衆議院

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第11号 平成25年3月11日(月曜日)

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平成二十五年三月十一日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 岩屋  毅君

   理事 遠藤 利明君 理事 小此木八郎君

   理事 西銘恒三郎君 理事 萩生田光一君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    秋元  司君

      伊藤信太郎君    今村 雅弘君

      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君

      大塚  拓君    奥野 信亮君

      金子 恵美君    熊田 裕通君

      小池百合子君    関  芳弘君

      渡海紀三朗君    中山 展宏君

      西川 公也君    野田  毅君

      野中  厚君    原田 義昭君

      比嘉奈津美君    福田 達夫君

      福山  守君    船橋 利実君

      星野 剛士君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    宮路 和明君

      保岡 興治君    山本 幸三君

      若宮 健嗣君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      原口 一博君    前原 誠司君

      吉田  泉君    坂本祐之輔君

      重徳 和彦君    中田  宏君

      東国原英夫君    村岡 敏英君

      浮島 智子君    佐藤 英道君

      古屋 範子君    柿沢 未途君

      佐藤 正夫君    宮本 岳志君

      村上 史好君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   新藤 義孝君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山本 一太君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   財務副大臣        山口 俊一君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     熊田 裕通君

  大塚 高司君     比嘉奈津美君

  塩崎 恭久君     野中  厚君

  中山 泰秀君     福田 達夫君

  西川 公也君     金子 恵美君

  船田  元君     中山 展宏君

  牧原 秀樹君     福山  守君

  岸本 周平君     吉田  泉君

  中山 成彬君     村岡 敏英君

  佐藤 英道君     古屋 範子君

  柿沢 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     西川 公也君

  熊田 裕通君     伊藤信太郎君

  中山 展宏君     船田  元君

  野中  厚君     星野 剛士君

  比嘉奈津美君     宮崎 政久君

  福田 達夫君     宮崎 謙介君

  福山  守君     船橋 利実君

  吉田  泉君     後藤 祐一君

  村岡 敏英君     中山 成彬君

  古屋 範子君     佐藤 英道君

  山内 康一君     柿沢 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     牧原 秀樹君

  星野 剛士君     塩崎 恭久君

  宮崎 謙介君     中山 泰秀君

  宮崎 政久君     大塚 高司君

  後藤 祐一君     岸本 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算、平成二十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 東日本大震災から満二年を迎えました。犠牲になられた皆様に、心より哀悼の意を表します。また、被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げると同時に、一日も早い復興にともどもに頑張ることをお誓い申し上げます。

 政府におかれましては、自民党及び公明党が提出をしました復興の加速化のための緊急提言に全力で取り組んでいかれるように、心からお願いを申し上げたいと思います。

 さて、順序が少し変わりますけれども、その他の項目で冒頭に総理に対して質疑をしたいと思います。

 サンフランシスコ講和条約、四月の二十八日に、主権回復六十年の政府式典が予定されております。自民党のJ―ファイルの公約にも掲げられていることを承知の上で、少しばかり質疑をしたいと思います。

 一九五二年の四月の二十八日、沖縄県や奄美群島あるいは小笠原諸島の国民にとりましては、祖国から切り離されたという複雑な心境もございます。総理の、小笠原、奄美群島、そして沖縄県、島々の国民に対する思いをお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま西銘議員から御指摘のありました、四月の二十八日の主権回復六十年の政府式典についてでございますが、政府としては、サンフランシスコ平和条約が発効してから昨年で六十年の節目ということになったわけでございますが、その節目を記念して、我が国による国際社会の平和と繁栄への責任ある貢献の意義を確認するとともに、これまでの経験と教訓を生かし、我が国の未来を切り開いていく決意を確固としたものとするため、本年の四月二十八日に政府主催の記念式典を実施する方向で今検討をしているところでございます。

 もちろん、この式典に当たりまして、今委員が御指摘になられましたように、小笠原、奄美、沖縄が、戦後の一定期間、我が国の施政権の外に置かれたという苦難の歴史は忘れてはならない、このように思うわけであります。苦難を耐え抜かれた先人の心情に思いをいたし、沖縄の方々の抱えている基地負担の軽減に取り組むとともに、小笠原、奄美、沖縄を含めた我が国の未来を切り開いていく決意を新たにしていくことが大切であろう、このように思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、七年間の占領期間を経て、もちろん、そのときに、小笠原、奄美、沖縄、全てが同時にその段階で日本の施政権ということになれば一番よかったんだろうと思いますが、しかし、戦争に負け、占領下にある状況の中で、まずは一歩一歩独立の地歩を固めて、そして交渉力を得ていくしかほかに道がない、六十年前の人たちはそのように苦渋の決断をしたんだろうと思います。

 そうしたことにも思いをいたしながら、さらに、沖縄の方々、奄美、小笠原の方々の気持ちにも十分に留意しながらこの式典は行わなければならない、このように考えております。

西銘委員 私は、国政の根幹にかかわる安全保障政策は、政権交代が起こった場合でも、基本的に変わるべきではないと考えております。

 私自身、落選する前の六年間は、政権与党の国会議員として、普天間飛行場の辺野古への移設を推進してきております。これは事実であります。しかし、今般の衆議院選挙では、県外移設を求めると同時に、普天間飛行場は固定化しないと主張して当選をしてまいりました。

 当選をしてから今日までの間、私は、長崎県、佐賀県、あるいは総理の御地元の山口県の関係者と、普天間飛行場の移設について意見交換をしてまいりました。現実、沖縄県以外の県外移設先を求めて意見交換をしたわけでありますが、全くめどが立たず、厳しい現実にも直面をしております。

 安倍総理は、国会答弁で、日米合意を推進する、そして普天間の固定化はしないと明言をしております。普天間の固定化はしないという点におきましては、私も、また自民党沖縄県連も選挙公約に掲げておりまして、総理の考えと一致をしております。この点は明確にしておきたいと思います。

 そこで、お伺いをしたいのでありますが、日米合意を推進するという総理の答弁は、普天間飛行場の移設先は、キャンプ・シュワブ地先の辺野古埋め立て以外はあり得ないということでしょうか。また、政府として、知事が求めることも含めまして、沖縄県外への移設先を求める可能性についても、あわせて総理の御所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 普天間飛行場は、沖縄県の宜野湾市の中心部に位置をしておりまして、周辺には住宅や学校などが密接していることから、その早期の移設は安倍内閣の優先かつ最重要課題の一つであります。普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない、この思いは同じだと思います。私は、この信念のもとに全力で取り組んでいく決意であります。

 その上で、普天間飛行場の移設は、普天間の返還により沖縄の負担軽減を図ると同時に、在日米軍の抑止力を維持し、そして、あわせて、移設先の地元に生じる騒音や環境問題などの負担を最小限にして、地元の御理解を得つつ進める必要があるなど、極めて難しい問題ではありますが、かつての自由民主党政権下においては、国と沖縄県との間で、時間をかけて信頼関係を構築しながら一歩一歩前に進めてきたということは議員も御承知のとおりだと思います。

 しかしながら、民主党政権の迷走によりまして、地元沖縄県の方々の気持ちは大きく傷つけられたわけでありまして、一度失われた信頼関係を取り戻すことは容易なことではありませんが、政府としては、沖縄の方々の声に真摯に耳を傾けながら、信頼関係を再構築しながら、普天間飛行場の移設を早期に進めていく考えであります。

 現状といたしまして、目を外に転ずれば、我が国の領土、領海、領空や主権に対する挑発は続いておりまして、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。北朝鮮は、まさにきょうから休戦協定を全面白紙化するという挑発をしているわけでありまして、情勢は予断を許さないわけでございまして、沖縄に所在する米海兵隊の抑止力は、我が国の安全とアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠であるのも事実でございます。

 米海兵隊を構成するおのおのの部隊は一体性を維持することが求められており、普天間飛行場の航空部隊を他の部隊から切り離して県外に移設することは、現実の政策としては困難と言わざるを得ないところでございます。

 その中におきまして、沖縄の負担の軽減と抑止力の維持を両立させるために、現行計画が唯一の有効な解決策であるとの認識が、昨年四月の2プラス2の共同発表で再確認をされているわけであります。先般の日米首脳会談におきましても、改めて、現行計画を早期に進めること、また同時に、これも極めて重要なことでありますが、嘉手納以南の土地の返還計画についても早期にしっかりと進めていくということで一致をしたわけでございます。

 平成八年の四月に、当時の橋本総理とモンデール駐日大使との間で全面返還を合意してから既に十六年以上の歳月が経過をしてしまっておりますが、繰り返しになりますが、普天間の固定化は断じてあってはならないことでありまして、普天間飛行場の移設を早期に進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に全力で取り組んでいく考えでございます。

西銘委員 一方、米国の国防予算につきましては、連邦議会サイドから強制的な削減が発動をされております。

 米国の財政事情によって普天間の飛行場が固定化されることがあってはならないと私は考えておりますが、米国の財政事情と普天間の固定化について、防衛大臣の御所見を伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 米国議会の状況については私どもコメントする立場ではありませんが、今、予算の削減について、さまざま、太平洋軍司令ほか、米国の公聴会で不安の声が出ているということも事実でございます。

 ただ、直ちにこれが、日本のさまざまな問題、そしてまた沖縄の基地移転についてのことにかかわるということには、今のところはまだ把握はしておりませんが、先般、先週ですが、私とヘーゲル新国防長官との話し合いの中でも、この予算の問題、そしてまた普天間の危険性の除去の問題、このことについては言及し、しっかりと体制をとっていくということで合意をさせていただきました。

西銘委員 私たち地元選出の国会議員の手元には、地元の新聞社から、埋立申請が出されたときのコメントを求めるという形の文書が既に届いております。

 報道等によりますと、三月末にも埋立申請がなされるのではないかという声もよく届いてまいりますが、埋立申請の時期について政府はどのように考えておられるのか、防衛大臣にお伺いします。

小野寺国務大臣 埋立申請の時期については、まだ決まっておりません。

 きょうは、名護の漁協で、これは組合員の総会という中で、今後、この埋め立てに関する補償の問題について議論がなされるというふうにも伺っております。

 私どもとしましては、沖縄の皆さんの声を一つ一つ伺いながら、ですが、やはり日米合意の推進ということ、そのことの努力を、これからも沖縄の声を聞きながら努力していきたいと思っております。

 現時点で申請の時期が決まっていることではございませんし、きょうも、実は、申請にかかわる、例えば漁協の同意の議論が組合でされるということでありますので、そのことも注視をしていきたいと思っております。

西銘委員 次に、CH46ヘリコプターの後継機でありますオスプレイの安全性についてお伺いをしたいと思います。

 この飛行機は、ヘリコプターのプロペラが固定翼の飛行機に変わるというところで、素人の感覚としましても、その辺の安全性は、国民の不安を取り除かなければならないと考えております。

 私は、防衛省がオスプレイを購入して、政府専用機として運用することが望ましいのではないかと考えますが、今般の予算には調査費もついていると聞いております。この辺を含めて、防衛大臣の御所見をお伺いします。

小野寺国務大臣 オスプレイのような、固定翼それから回転翼、両方の機能を持つ、こういう航空機をチルトローター機と申します。

 今回、防衛省としましては、八百万円の調査研究予算というのをつけさせていただいております。ただ、これは防衛省がこのチルトローター機を導入するか以前の問題で、どのような有効な活用の方法があるか、そのようなことを検討する中だと思っております。

 これは、私個人的な感覚でいいますと、例えば、離島において患者の輸送、搬送が非常に厳しいような状況がある場合があります、小笠原を含めて。こういう場合には、恐らくこのチルトローター機というのは患者輸送には非常に大きな威力も発揮するのではないか。

 あくまでも、私どもとしましては、このチルトローター機がどのような活用があるのかということを、諸外国の例を含めて検討するという内容にしております。

西銘委員 オスプレイの飛行訓練についてでありますけれども、沖縄県で行うのと同様に、九州や四国、本州の予定コースでも行うべきだと考えております。自衛隊との共同訓練を含めて、防衛大臣の御所見をお伺いします。

小野寺国務大臣 オスプレイの運航訓練が沖縄に集中していることは、私どもとしましては、やはり本土を含めて日本全体でしっかりこれを受けとめる必要があるんだと思っております。

 先般も、四国を含めた皆様に御協力をいただきましたし、また、御心配をおかけしましたが、オスプレイの初めての本土での飛行訓練がございました。いわゆるオレンジルートというのを通って、三日間、今回は訓練をさせていただいたと報告を受けてはおります。

 今後とも、私ども、さまざまなところで、例えばキャンプ富士あるいは岩国飛行場、先般お世話になりました、こういうところを含めて、しっかりとした訓練を本土でも受けられるような、そういう努力をしていきたいと思いますし、また、先般から、本格的な訓練移転のことについても、さまざま米側と今協議をさせていただいているところであります。

西銘委員 最後になりますけれども、TPPについて林農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。

 私は、我が国の食料自給率を高めるということは、極めて優先順位の高い政策課題の一つだと認識をしております。農林水産大臣にお伺いをしますが、TPPと、食料自給率を高めるという優先順位の高い政策課題について、あるいは国境の島々の、私の選挙区のサトウキビ等も含めて、林大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 お答えいたします。

 今委員からお話がありましたように、食料の安定供給を現在のみならず将来にわたって確保していくということは、国民に対する国家の最も基本的な責務だ、こういうふうに思っておりまして、総理からも、食料自給率及び食料自給力を維持向上させるという指示を受けておるところでございます。

 農業においては、生産額の減少や高齢化などの課題がありまして、これは、TPP交渉への参加いかんにかかわらず、農業の活性化を図りまして食料自給率の向上を目指していくということは、もともと重要な課題であると思っておりまして、農林水産省に攻めの農林水産業推進本部というものを立ち上げて、今、検討しておるところでございます。

 先生のお地元のサトウキビ、私も何度もお邪魔をして、先生にもお連れいただきましたけれども、これは、台風が常に来るということもありまして、ほかの作物になかなか代替することができない基幹作物であるという性格が一つある。一方で、これからできます製品の方の砂糖は、なかなか品質格差をつけることが難しくて、海外産品に置きかわりやすいという特徴がある。こういうふうに思っておりますので、沖縄の戦略的な作物である、こういうふうに思っておりまして、この地域の活性化のためのサトウキビを含めた農業振興、大変大事な課題であると認識しておるところでございます。

西銘委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

山本委員長 これにて西銘君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょう、東北の大震災から二年目を迎えます。公明党におきましても、昨日、現地で東北の復興会議を開催いたしました。内閣として東北の復興の加速に全力を挙げていただきたい、そのことを申し上げ、質問に入ってまいりたいと思います。

 先日、我が党の斉藤幹事長代行は、生活困窮者支援制度について質問させていただきました。教育、就労、住宅、こうした具体的な支援が生活保護からの脱却には極めて重要である、そのことを質問させていただきました。厚生労働大臣の御決意はお伺いをいたしました。

 そこで、私の方からは、それにつけ加え、財務大臣にお伺いしたいと思っております。

 三年間で七百四十億円、これは生活保護費を適正化してまいります。その中から、こうした生活保護からの脱却に向け、あるいは生活保護に陥らないための制度のために、ぜひとも財源確保をお願いしたいと思っております。財務大臣、いかがでございましょうか。

麻生国務大臣 生活困窮者に関する御質問なんですが、これに取り組むのは、これはもう政府全体の一番大きな課題なんだと存じますし、現在、厚生労働省で、新しい制度について、いろいろ法案化を検討しておられると伺っております。

 新制度に向けた課題の検証を行うために、厚生省は既に幾つかの自治体に対して先行的なモデル事業というものを用意しておられるようなので、平成二十五年度の予算におきまして、これに関しましては三十億円を計上いたしておるところでもあります。

 いずれにしても、この実績を踏まえながら、事業の規模とか財源のあり方については今後とも厚生省としっかり相談をしてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 やはりこの支援制度には人の配置が欠かせません。そのためには財源が不可欠でございます。自治体に幾ら頑張れと言っても何も始まりませんので、ぜひ、この財源の確保に向け、御努力をお願いしたいと思っております。これができなければ福祉の党としての役割が果たせない、このように思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、子育て支援の質問に入ってまいります。

 まず、幼児教育の無償化について質問をいたします。

 昨年十二月の自公連立政権合意で、幼児教育無償化を財源確保の上で進めることが盛り込まれております。所要〇・八兆円との試算もございます。財政事情が極めて厳しい中ではございますが、実現に向けた取り組みを推進していかなければならない、このように考えます。

 この就学前の子供に対する教育の投資効果につきましては、ノーベル経済学賞を受賞いたしましたシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授は、就学前の教育支援が、生涯の人格形成あるいは基礎学力の定着、また、犯罪の減少、将来の所得の増大などをもたらす、教育的、社会的、経済効果が大きい、このような研究成果を発表されております。世界も、幼児教育の無償化に関しては、各国とも踏み出しております。

 私たち公明党は、二〇〇六年に少子社会トータルプランを発表いたしました。私も、事務局長で、一年半かけてこの子育て支援の政策集を取りまとめたところでございます。この中でも、幼児教育の無償化につきましては、その重要性に鑑みて、利用料の無償化も視野に入れ、費用負担のあり方について検討を進める、このような政策を発表いたしております。

 安倍総理も覚えていらっしゃると思うんですが、同年五月、当時官房長官であった安倍総理に、骨太方針にこれを反映させてほしいということを要望いたしました。初めて無償化の検討ということが骨太に盛り込まれたわけでございます。その具体化では、二年後の二〇〇八年五月に、私たち女性委員会が当時の福田総理に申し入れをさせていただきました。そして、九月の自公連立合意にこの幼児教育の無償化の検討ということが盛り込まれたわけでございます。

 今後、この会議等も始まっていくようでもございますけれども、ぜひ保育の質の向上に力を注ぐとともに、昨年成立をいたしました新システムとの整合性も図っていかなければならないと考えます。また、子育て世代、関係者などに広く意見を聞くべきと思います。

 総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 ただいま古屋委員が御指摘になったように、幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培う極めて重要な時期であるというふうに、私も、また安倍政権としても認識をしております。この時期に質の高い幼児教育を保障することは、極めて重要でございます。

 幼児教育の無償化については、関係府省の連携のもと、子ども・子育て支援新体制との関係、財源確保の観点等を踏まえ、検討を行っていきたいと考えております。

 現在、森女性活力・子育て支援担当大臣を中心に、政府・与党の検討の場を設けるべく準備を進めているところでございます。

 今後、古屋委員の御協力、御党の御協力もいただき、幅広い関係者の御意見を伺いながらしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

古屋(範)委員 ぜひ、地方、また現場、親たち、関係者の意見を聞きつつ、よりよい制度になるよう私も頑張ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、待機児童の解消についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 このたび成立をいたしました二〇一二年度補正予算には、保育士の確保、処遇改善、この予算が盛り込まれております。やはり、働きたいという女性が多い、また、働かなければやっていけない、こういう方々への支援、これは最重要だと考えております。

 私たちも、子供を安心して産み育てられる社会を目指しまして、昨年の九月に、次世代育成支援推進本部というものを設置いたしました。

 いろいろな活動を行っているんですが、山口県に参りまして、タウンミーティングを行いました。関係者、親たちにいろいろ御意見を伺ってみたんですが、やはり保育士の確保が非常に難しい。保育士の資格を取るために学校に行くんだけれども、結局、卒業して保育士にならない、それは処遇が低いからである、ぜひこの改善をお願いしたい、関係者からそういうお声を伺いました。

 そこで、非常に時間がない中ではございましたが、厚生労働大臣にも強く要望させていただき、大臣のリーダーシップで、関連予算四百三十八億を確保することができました。四月から一人当たり八千円から一万円アップするということで、非常にこれは喜びの声が広がっております。

 また、待機児童の解消に向けまして、横浜にも行ってまいりました。こちらも待機児童が多い地域ではありますが、保育コンシェルジュというものを各区に配置いたしまして、保育施設を最大効率よく活用するために、一人一人、生活の状況、就労の状況を聞きながら、きめ細かに保育対策に臨んでおります。

 その結果、待機児童が一昨年の九百七十一人から、昨年四月時点で、過去最少の百七十九人にまで縮小したということで、ハード、施設をつくる、そしてこうしたソフト面も重要だと考えております。

 一方で、御存じのように、杉並また足立区などでは非常に待機児童が多いということで、認可保育所に預けられない母親たちが行政不服審査法に基づく異議申し立てをする、このような事態も起こっているわけでございます。

 待機児童、ゼロ歳から三歳児を中心とした、主に都市部を中心とする問題でありますけれども、やはりここは地域に合わせた柔軟な制度をつくっていくことが重要かと思っております。

 来年度予算には、新たに受け入れ七万人増という予算を盛り込んでいます。これは非常に画期的であり、評価できる点だと考えております。しかし、潜在待機児童は百万人規模とも言われております。早急な対策が必要と考えます。

 総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 少子化の進展は、日本の将来に対して深刻な影響を与えるわけでありまして、待機児童をゼロにしていくという意味において、この対策は待ったなしの対策であろう、このように認識をしております。

 第二次安倍内閣の組閣に際しまして、待機児童の解消のため、即効性のある対策を講じるよう、厚生労働大臣に指示をしたところでございます。

 先般の補正予算では、処遇改善を通じた保育士の確保、先ほど委員が御指摘をされたように、建物だけではだめなわけであって、しっかりと人材を確保するための対策、そして、平成二十五年度予算においては、受け入れ児童数を大幅に拡充することとしております。

 子育てを支える社会の実現のために、公明党と協力いたしまして、しっかりと対策を進めていきたい、このように決意をいたしております。

古屋(範)委員 昨年来日をされましたIMFのラガルド専務理事も、女性が日本を救うという意味の御発言をなさいました。やはり、女性が力を発揮していく、活躍をしていく、また、働きたいと思う方が働いていくために、この待機児童解消は非常に重要な問題だと考えております。

 総理おっしゃいましたように、補正予算あるいは本予算でもこの予算を確保していただいております。また、子ども・子育て新システムもスタートしていくわけでありますけれども、当面、多くの課題がございますので、ぜひ早急な、また柔軟な対応をとっていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、ワクチンについて質問させていただきます。

 子育てをしている親御さんたちから多くの要望がございました、ワクチンの定期接種化の問題でございます。

 公明党の、国と地方のネットワークで強力に推進をしてまいりました子宮頸がんを予防するワクチンなど三種類が、四月から新たに定期接種化をされることとなりました。追加されるワクチン、子宮頸がんのほかにも、Hibワクチンあるいは小児用肺炎球菌ワクチン、三ワクチンでございます。

 私も、これまで何度も政府に要望してまいりました。国会でも取り上げてまいりました。特に私が取り組んでまいりましたのは、細菌性髄膜炎から子供を守るHibと小児用肺炎球菌でございます。

 これは、厚生労働省が基金をつくり、費用の一部を助成してまいりました。自治体により実施に格差があるということで、今回、予防接種法改正案を通常国会に提出し、これは日切れでございますので、何としても早期に成立をさせたいと私も決意をいたしております。

 そこで、この三ワクチンのみならず、定期接種、一類疾病の全てのワクチンについて九割を交付税措置をするということも盛り込まれております。これは非常に、いい意味で驚きの声が広がっております。

 先日も、細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会の方々、私も厚生労働省に呼んでいただきまして、申し入れをさせていただきました。会長のお子さん、車椅子で、小学校三年になられますけれども、歩くことができない。そういうお子さんたちのために、何としてもこれは定期接種化をさせていかなければならないワクチンでございます。

 新年度も迫ってまいりました。実施主体である自治体、これは混乱なく対応できるよう、一刻も早く成立をさせたい、円滑なスタートをさせたいと思っております。この点について、田村厚生労働大臣に御所見を伺います。

田村国務大臣 平素、ワクチン行政に大変御尽力をいただいておりますことに、心から厚く御礼を申し上げます。

 今委員おっしゃられましたとおり、三ワクチン、今まで基金事業でやってきたわけでありますけれども、今年度でこれが切れるということで、より安定的に恒久的な仕組みにしようということで、定期接種化を目指しております。

 今国会にこれを提出するわけでありますけれども、これが年度内に成立しませんと、空白期間ができまして、場合によっては全額自己負担ということも起こり得るわけでございまして、何としても今年度内にこれを成立すべく努力をしてまいりたいというふうに思っておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

古屋(範)委員 続けて、総理にもお伺いをさせていただきます。

 ワクチンギャップというものがございます。我が国は、ワクチン後進国と言われております。その残された課題、安定的な財源の確保、また評価・検討組織の整備、これは、米国にございますACIP、日本版ACIPのようなものをつくるべき、このように考えておりますけれども、こうしたワクチンギャップの解消、ワクチン後進国からの脱却について、総理の御所見をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 我が国の予防接種は、先進国と比べて、公的に接種するワクチンが少ない、このように指摘されています。

 今委員が御指摘になったいわゆるワクチンギャップということになるわけでありますが、このワクチンギャップの解消など、予防接種の総合的な推進を図っていくために、地方財源を確保した上において、定期接種の対象をHibワクチンなどに拡大して来年度より安定的かつ確実に実施をしていくとともに、予防接種施策に関して評価・検討組織からの意見聴取を行うことなどを内容とする予防接種法改正法案を提出しているところでございます。

 我が国の予防接種施策を大きく前進させる第一歩であり、速やかな法案の成立を目指していきたい、このように考えております。

古屋(範)委員 それでは、最後の質問に参ります。

 再生医療の推進についてお伺いをいたします。

 私も、五年ほど前、東京女子医大に行き、岡野光夫教授の研究を拝見し、そのときの感激をもとに、今までこの分野の推進に取り組んでまいりました。特に昨年は、党内にプロジェクトチームも立ち上げました。山中先生をお呼びし、ノーベル賞受賞決定直後でございましたけれども、我が党にいらしてくださいました。

 また、先日、理化学研究所では、iPS細胞で、目の難病である加齢黄斑変性症の臨床研究を行う計画を厚生労働省に申請したというニュースがございます。

 また、さらに先週では、札幌医科大学、ここも現地に行ってまいりました。画期的な研究でございます、脳梗塞患者に対する細胞治療研究の治験が開始をされる、こういう発表もございます。

 iPS細胞を使った再生医療の実用化へ大きな一歩が今踏み出されようとしております。

 このiPS細胞という日本発の画期的技術、これは日本を再建する大きな力となることは間違いないというふうに私も確信をいたしております。産学官一体となって研究の推進に取り組むべきと考えます。世界に先駆けて、iPS細胞による再生医療の実用化、新産業の創成など、夢の医療の前進に、国を挙げて、ぜひとも全力を挙げていただきたい、このように考えております。

 そのために、国や医師、研究者らの責務を明らかにし、国民が再生医療を迅速、安全に受けられることを目的とした議員立法、再生医療推進基本法、これは、勇退をいたしました坂口元大臣が私案をつくり、まとめたものでございます。これを一刻も早く成立させたい、私はこのように今考えております。

 総理、御所見をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今、この再生医療の可能性に、多くの病を抱える方々あるいは障害を抱える方々から期待が寄せられています。私のところにも、何通もお手紙をいただきました、早く進めてもらいたいと。

 そういう中におきまして、世界に先駆けて、再生医療を国民が受けられるよう、研究から実用化までの大きな方針と枠組みを定める議員立法が進められているというふうに伺っておりますし、これは極めて私は大切な立法だと思っております。法案では、安全面や倫理面への配慮もあり、再生医療の推進において大きな意義があるものと期待をしています。

 再生医療の実用化につきましては、健康長寿社会の実現のみならず、富と雇用を生み出すなど、経済再生の原動力にもなるわけでありまして、政府としては、今国会への提出に向けて関連法案の準備を進めるなど、再生医療の実用化に向けて取り組みを積極的に推進していきたいと考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

山本委員長 これにて古屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田泉君。

吉田委員 民主党の吉田泉であります。

 大震災からちょうど二年、改めて、犠牲となられた皆さん方へ哀悼の誠をおささげします。また、この二年間、いろいろな困難を乗り越えて、一歩一歩、きょうまで前進していただいた被災者、そして避難所の皆さんに心から敬意を表するものでございます。

 私は、東京電力の福島第一発電所が立地しております福島五区の出身でございます。そういうこともあって、震災の翌日から福島市に駐在をいたしてまいりました。一年半、緊急対策さらには復興、そういう仕事を担当してまいりました。

 大変厳しい困難な時期でございましたが、我々以上に大変だったのは、地元の首長さん、さらには職員さん、そしてもちろん、一番厳しかったのが、被災された方、避難中の皆さんでございます。これからも、復興は長期戦という覚悟でございますが、福島県民がもともと持っている穏やかな県民性というものをなるべく早く取り戻したいということで、力を合わせてまいりたいと思います。

 きょうは、主として福島の問題をお伺いしたいと思いますが、一問だけ、アベノミクス関連で財務大臣にお願いしたいと思います。

 間もなく日銀の新総裁が誕生して、おおよそ二年間で二%のインフレを目指そうという、いわば実験的な新政策が始まるというふうに認識しております。それが実現しますと、これはインフレ分だけ名目金利は上昇するだろうと思います。したがって、国の国債の支払い金利がふえざるを得ないというふうに思います。一方で、名目GDPがふえますから、税収もふえてまいります。

 問題は、一体、その支払い金利と税収とどっちが多いんだ、ふえ分がどっちが多いんだというのが、アベノミクスの一つのポイントになるというふうに思います。

 先週ですが、財務省は、毎年発表しております後年度試算、つまり、今後数年間、財政状況はどうなるか、予測の試算を発表いたしました。その一番最後の部分に、感応度分析と言われているものがついております。名目成長率が一%とか二%、前提よりもふえると、支払い金利はどのぐらいふえるのか、また一方では、税収は幾らふえるのか、これを財務省として試算しておりますが、今回も、この感応度分析によりますと、税収の大体二倍ぐらい支払い金利がふえるという数値が出ております。

 素直に読むと、アベノミクスを推し進めることによって国の財政運営は悪化する可能性があるというふうにも読めるんですが、大臣の御所見はどうでしょうか。

麻生国務大臣 吉田先生が御指摘のとおり、後年度の試算、後年度影響試算というんですが、これについて、今言われましたように、仮に名目成長率が一%に上昇した場合には、翌年、平成二十六年度には、税収はその半分、〇・五兆円の増収、逆に、金利のみ一%上昇した場合におきましては、二十六年度の国債費は一兆円増という試算になっております。

 したがいまして、簡単に試算をすれば、名目成長率と金利が同じ幅だけ一%上がった場合においては、その差額の〇・五兆円が税収としてはマイナスということになります。

 物価上昇に伴って実際の金利や経済成長率がどの程度影響を受けるかということにつきましては、これはいろいろなケースがあろうと存じます。したがって、インフレターゲットで直ちに財政運営が困難になるということではないと存じますが、議員御指摘のように、金利上昇による財政への影響というものは、これは、常に抑制するためには中長期的な安心感がないとどうしようもありませんので、中長期的な財政健全化に取り組むということは、国に与えられている最も大きな仕事の一つだろうと思います。

 いずれにしても、財政健全化のために中期的な目標というのをいろいろ立てて、二〇一〇年度比何%とか、二〇二〇年度までに何%とか、いろいろ言っておりますけれども、この目的を達成いたしますために、中期財政計画というものが極めて重要になってこようと存じます。

 これは、安心感というものを与えるために、国債に対する信頼感、そういったものも与えますので、これに対応するために、年央、この年の半ばまでにこれに対するめどをつけさせていただき、試算を出させていただこうと思っております。

吉田委員 税収は、大体、今、四十兆円台ですよね。それがどのぐらいふえるかという問題です。一方で、国債の毎年の発行額、借りかえと新規と両方合わせますと百兆円ですよね。これがどのぐらいの金利増を生むか。要するに、四十兆円と、片一方は百兆円、このベースがもう倍半分違っているということですよね。ですから、もちろん中期財政規律は大変重要ですが、そこまで日本の財政は追い込まれているんだという認識をぜひ強く持っていただきたい。

 私は、アベノミクスというのは、大変困難なナローパスを今歩こうとしているんじゃないかと思います。落ちたら第二の大震災だと思っております。よくウオッチしてまいりたいと思います。

 次は、福島復興関連で、まず総理にお伺いいたします。

 安倍総理には、復興を加速させるということを何度も言っていただいております。被災地の人間として大変ありがたく思います。ただ、この二年間、私がいた福島は、なかなかこの復興が加速できないという状況もございました。

 例えば、福島県いわき市の津波瓦れき。去年の総選挙のときも、この瓦れきの処理が遅いと、随分批判をされました。しかし、瓦れきは焼却すればいいんですが、焼却場の周辺の方々が、放射能不安があると。今、二つ焼却場がありますが、一つしか、そういう意味では燃やしていないという状況がございますが、それに対して、いわき市の市役所は、それじゃ、瓦れきを一般ごみに少しずつまぜて燃やそう、こういうことで住民の不安に対応しよう、こういうことをやっているわけでございます。そういうときに急げ急げと言われても、私はそれは無理だというふうに思います。

 ぜひ、そういう原発周辺地特有の事情をわかってもらいたい。加速はもちろん必要ですが、そういう意味では、いわば丁寧な加速が大事だろうというふうに思っております。

 総理の御所見を伺います。

安倍内閣総理大臣 政府としては、福島復興再生総局を中心に、まず現場主義を徹底し、被災地が抱える個別のニーズをお伺いしながら、七日に決定した早期帰還・定住プランなど、これからの工程をお示ししていくことで福島の再生を進めていきたい、こう考えております。

 確かに、委員が御指摘になったように、福島の復興に当たっては、地震や津波に加えて、原子力災害への対応が求められているわけでありまして、放射能というこれまでにない被害との戦いであるということを念頭に置きながら復興を進めていかなければならない、それはもう委員のおっしゃるとおりだ、このように思います。

 瓦れき処理なども含めて、住民の理解を得つつ、より丁寧に進めていく考えでございます。

吉田委員 福島の復興を丁寧に加速するためには、今総理もおっしゃられましたけれども、復興総局というような政府の組織を充実させるということも大切だと思います。さらには、人、物、金の追加支援、これはもちろん必要です。さらには、新聞も書いていますが、民間活力を何とか活用しよう、これも大事だと思います。

 ただ、私は、さらに本質的な、困難な課題が福島の場合は二つあるというふうに思っております。

 一つは、福島県民が抱えている心理的な不安です。第一原発、今、廃炉に向けていろいろ作業をしてもらっていますが、本当に大丈夫なのか。さらには、空間線量の、まあ低線量ですが、本当に影響はないのかという不安が一つございます。

 それから、二つ目の大変困難な課題は、賠償金です。特に不動産の賠償金は、何千万円という単位のお金が、これから、間もなく動き出しますが、そのお金をいわば正しく、公平にお支払いする、これが解決されないと、なかなか復興の歯車を前に回すということが根本的に難しいと私は思っております。

 そこで、まず経産大臣にお願いしたいと思いますが、事故収束の問題でございます。

 二十三年の十二月十六日、ステップ2が完了、冷温停止状態達成、そういうことをもって、政府は、原子炉は安定状態を達成した、発電所の事故そのものは収束に至ったということを確認したという宣言を出したわけでございます。これがないと、二十キロというところに警戒区域を設けていますけれども、これを解除できないわけです。さらには、今、最終段階に入っておりますけれども、その警戒区域を解除して、新たな避難指示を出す、再編する、これもできない。ひいては、それをしないと、今度は不動産の賠償金が動かない、こういうことでございます。

 さて、大臣は、先日の予算委員会で、この収束宣言につきまして、収束という言葉は現政権としては使わないんだという趣旨の答弁をされたと思いますが、これは、この一二・一六の宣言を事後的に否定するということになりませんか。

茂木国務大臣 お答え申し上げます。

 私が先日国会で答弁させていただきましたのは、ステップ2の完了宣言についてではなくて、事故収束宣言についてお尋ねがありましたので、そのことにつきましてお答えをさせていただいた次第であります。

 確かに、東京電力福島第一原子力発電所につきましては、委員御指摘のように、一昨年の十二月に、原子炉の状態を定量的に評価した上で、冷温停止状態となった、そのことが確認をされまして、現在でも安定した状態にある、そのことに変わりないと思っております。そういった意味で、ステップ2は完了した、そういう評価をされたんだと思います。

 しかしながら、では、福島の問題、委員がおっしゃるように、全て解決したかといいますと、廃炉もこれから三十年、四十年という長いプロセスが残っております。さらには、賠償の問題、除染の問題、そして被災者の皆さんの帰還や健康の管理、多くの課題が残されているわけであります。そうしますと、あたかも全ての問題が解決をした、こういうふうに受け取られかねない事故収束という言葉につきましては、表現が適切でないだろう、このようなことを申し上げました。

吉田委員 事後的にその一二・一六宣言を否定するのかしないのか、ちょっとよくわかりませんでしたが、いずれにしましても、二年かかって、一歩一歩、ここまで来たわけでございます。そして、一連の政府の施策が連動しているわけでございますね。宣言が否定されるとなると、全てはやり直しということにもなりかねません。ぜひ、慎重な御発言を願いたいと思います。

 次に、避難基準、二十ミリシーベルト・パー・イヤーの意味についてお伺いいたします。

 これまで二年間、政府の避難基準は、まず一つは距離です、二十キロとか三十キロという距離、それに年間二十ミリシーベルトという線量、この二つを組み合わせて決めてきたわけですが、いよいよ、先ほど申し上げた宣言以降、距離の方はやめて線量だけでもう一回区域を見直そう、こういうことになっているわけでございます。

 しかし、福島県民の相当数の方がいまだにその二十ミリ基準を必ずしも納得できていない。県知事も、二月の意見交換会ですか、復興大臣の方に、もう一度この二十ミリ基準をよく説明してくれというような要求をされたということでございます。

 改めて、なぜ避難基準が二十ミリなのか。これは子供も大人も一緒だと思うんですが、一緒でいいのか。二十ミリ未満ならばそれまでと変わらない生活をしていていいんだと。その辺の認識を改めてお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 委員の方から、慎重に御発言をという話がありました。慎重になるから、事故収束宣言というのは、やはり地元の皆さんにとってもさまざまな臆測を呼ぶのであろうと。

 そして、委員おっしゃる区域の見直しは進めているわけであります。既に六地域につきましては区域の見直しは終わりました。そして、先日、三月七日に、葛尾村、そしてまた富岡町、浪江町につきまして、この区域の見直し決定をいたしまして、残るは双葉町と川俣町ということで、地元の自治体ともしっかりと調整をしながら区域の見直しは進めていきたい。

 申しわけありませんが、前政権より速いペースで、ピッチで、この区域の見直しは進めさせていただいております。

 その上で、二十ミリシーベルトとの関係でありますけれども、避難基準の設置に当たりましては、住民の安全、これを最優先にして、また国内外の専門的な知見、これも踏まえて設定をさせていただいております。

 具体的に申し上げますと、放射線防護に関する国際的な専門機関であります国際放射線防護委員会、ICRPが、避難を含む放射線防護措置を講じるべき水準として年間二十ミリから百ミリシーベルト、こういう基準を示しておりまして、ここの中で最も線量の低い年間二十ミリシーベルトを避難指示の基準として採用しているわけであります。

 なお、国立がん研究センターの研究や、内閣府の低線量被曝のリスクに関するワーキンググループの報告書によりますと、被曝線量百ミリシーベルト以下の健康影響は、喫煙であったりとか運動不足などほかの要因による発がんの影響に隠れてしまうほど小さいものだ、このように分析をしております。

 引き続き、関係省庁とも連携をしながら、住民の健康管理、情報提供に努めてまいりたいと思っております。

 そして、私も、先日、根本大臣、そして石原大臣とともに、福島、現地に赴きまして、関係の自治体、知事さんも含めてお話を伺いましたが、線量につきましては、むしろ、除染を行う線量の一ミリシーベルトについてどうなんだろうか、もう少し国際的な客観基準を示してもらわないとなかなか帰還が進まない、こういう御要望が強かった、このように認識をいたしております。

吉田委員 次に、環境大臣にお伺いいたします。

 この二十ミリ基準で二年間避難をしてもらっているわけですが、その結果、福島県民の被曝の状況、さらには健康リスク、どうだったでしょうか。

石原国務大臣 もう委員御承知のことだと思いますけれども、福島県では、知事さんの強いお考え、県が主体となりまして、県民の皆様方の健康を長期にわたって見守るための健康管理調査を実施していただいております。国は、それを財政的あるいは技術的にバックアップするということで、七百八十二億円の基金を拠出するなど、取り組んでいるところでございます。

 今委員のお尋ねになりました住民の皆様方の被曝線量に関しては、福島県、福島医大を中心に調査していただいておりますけれども、事故後四カ月の外部被曝線量の推計を行っていると承知しております。全県民二百二万人のうち、およそ四十万人についての推計というものが終了しておりまして、九九・八%の方が被曝線量五ミリシーベルト未満とされているということでございます。

 この結果をどう見るかということについて、専門家の皆さん方は、放射線による健康影響があるとは考えにくいという評価をしたというお話を聞かせていただいているところでございます。

吉田委員 避難するということは大変なことですけれども、それによって多くの方の健康を守ることができたという、今、状況だと思います。それはやはり評価されるべきではなかろうかと思います。

 それでは、ちょっと一問飛ばしまして、お金の問題をお伺いしたいと思います。

 東電の不動産賠償、随分かかりました。去年の二月に指針が出て、七月に基準をつくって、何回も何回も住民説明会をやって、いよいよこの三月、四月ぐらいに実際のお金が支払われるというところまで来たわけでございます。

 ただ、いまだに多くの方から、この不動産の東電の賠償金というのは、例えば高速道路などで土地を収用するときの公共事業の補償と比べて低いんじゃないのという質問が参ります。そこを改めて明らかにしていただきたいと思います。

茂木国務大臣 基本的に、土地価格の算定につきましては、違いはないと考えております。

 ただ、東電による賠償の場合は、数多くの被災者の方に対します迅速な賠償を行っていかなければいけないということで、基本的には公示価格をもとに支払うことにしている。公示価格をもとに支払うということはどういうことかといいますと、固定資産の税額の評価が公示価格の大体七割ですから、逆に割り戻しまして、固定資産税の評価額掛ける一・四三、こういった形で出させていただいております。

 これに対しまして、今御指摘のあった、例えば高速道路等公共事業用地の補償につきましては、この公示価格も使いますが、それ以外に、周辺の取引事例等を参考にして、個々の物件ごとに価格の評価を行っている。恐らくその場合の方が、どうしても時間というのはかかってしまうんだろうと思います。

 もちろん、被災地の土地の賠償額につきましても、疑義があるという場合には、公示価格ではなくて、当該物件を個別に鑑定した結果に基づく東電への請求も可能となっております。

吉田委員 続きまして、中間貯蔵施設の土地の買収についてお伺いします。

 これは今の質問とも関係するんですが、今回の不動産賠償は、所有権はもともとの所有者に残すということがございます。今後、中間貯蔵の、今、話し合い、調査が始まろうとしているところでございますが、そろそろ、用地をどういう考え方で買うのかということを検討せねばならないと思います。

 東電が賠償した部分はこの用地の買収価格から外れるのかどうか、東電が残した所有権というものの価値をどういう計算式で計算するのか、そこが、今後、この中間貯蔵施設建設に当たって大変重要なポイントになると思いますが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 吉田委員は、中間貯蔵施設の必要性については、復興副大臣もお務めになられ、仮置き場に除染をした土壌が山積みになっている、あるいは稲わらが放置されているものを目の当たりにされ、その必要性は十分御承知でありますので、このような、では、いざその土地を買収するならばというような御質問をいただいたものだと思っております。

 もうこれも御存じのことだとは思いますが、中間貯蔵施設の設置に当たっては、やはり、その施設が安全であるということを、地権者の方、また近隣の方々に理解していただくということが最重要であり、今、事前調査を行った上で、施設の具体的なイメージを、地元の理解を得て、しっかりお示ししていきたいと考えております。

 そこで、この価格というものが非常に重要になってくるわけですけれども、中間貯蔵施設の用地取得の方法は、委員の御指摘のとおり、これから実際に、今、茂木経産大臣がお話しになられたように、用地の買収とは別に、東電の補償ということが多分先に出てくることになると思いますので、非常に重要な課題であり、やはり地元、地権者の方々の希望を伺いながら、適正な価格で買うということをしっかりと検討していく必要がある、こういうふうに認識をしているところでございます。

吉田委員 これは大変難しい問題ですので、ぜひ検討を始めていただきたいと思います。

 復興大臣に一問お願いいたします。

 子ども・被災者支援法ができました。基本方針が今どういう作成状況にあるのかということでございます。

 一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、または居住していた者及び避難指示により避難を余儀なくされている者並びにこれらに準ずる者を支援しようという法律ですが、問題は、この基準線量を何ミリにするのがいいのか。先ほど来、二十ミリとか一ミリとかお伺いしましたけれども、これも大変難しい問題だと思いますが、その辺の検討状況をお伺いします。

根本国務大臣 吉田委員も、政府におられて、この法律を担っておられて、今の一定の基準の難しさ、今お話がありましたように、実は私も、この一定の基準が本当に難しいと思うんですね。一定の基準をしいた場合に、何か、地域を引き裂くんじゃないかとか、あるいは、それが例えば健康不安との関係でどういう意味を持つのか。実は、ここの一定の基準を決めるのは本当に私も難しいと思っております。

 ですから、法律上は一定の基準という文言になっている、具体的な検討は政府に任された。立法過程でも見ますと、一定の基準については総合的な要素を勘案して決める。さまざまな議論があったと理解をしております。

 したがって、一定の基準については、専門的、科学的、国内外の知見を集めて、そこで専門的に検討していただく。それを受けて、我々、総合的に考えて決めていくことが必要なのではないかと思っております。

 ただ、そうはいっておりましても、基本方針は、支援対象地域を決めろ、それは一定の基準以上、こうなっていますので、私は、施策についてはどんどんやっていく必要がある。昨年度も、リフレッシュキャンプ、あるいは健康管理調査、こういうものもやっておりますし、二十五年度の予算でも、例えば、低放射線量で、子供たちが屋外で遊べなかった、運動不足になった、肥満もふえている。このために、子ども元気復活交付金、屋内で全天候型の運動場で伸び伸びと遊べる生活環境の整備、こういうものも今回新たにやっておりますし、復興支援活動を行うNPOの支援。施策についてはどんどん推進していきたいと思います。

吉田委員 時間ですので、これからも原発事故を含めた東日本大震災の復興への御支援を心からお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 本日は三月十一日、あの東日本大震災から二年がたちました。私も、警戒区域内を含め、何度も被災地に足を運びましたけれども、被災地は、農業、漁業、第一次産業を基幹産業とする地域であります。そして今、復興に向けて一生懸命現地で頑張っておられる方もいますけれども、TPPについて、きょうは中心に質問したいと思うんですが、やはり被災地の方は心配をされておられます。

 先日も、十分な情報公開がまだされていない、あるいは国民的な議論も尽くされていない、こういった内容を中心とする緊急要請が、北海道、東北の八道県の皆様からなされております。

 私も、民主党政権下で、経済連携PTという党内のTPPの意見の取りまとめを行う事務局次長をやっておりました。党内でも、そして国民の中でも議論の分かれる、そんな案件でありますから、そういった意見の集約、議論を進めること、大変困難を伴ったことは身をもって実感しております。しかし、だからこそ、この難しいTPPの案件については丁寧な説明が何よりも必要だというふうに思っております。その意味で、きょうは、この三月十一日、被災地の皆様に応える、そんな思いで真摯な答弁をぜひお願いしたいと思っております。

 まず初めに、先般、総理がアメリカに行って結んでこられた日米共同声明についてお伺いをしたいと思います。

 私は、この共同声明は二つの意味で画期的だと思っております。総理もおっしゃるように、文書の形で首脳同士でこういったことを結んだことは、これは確かに民主党政権ではできませんでしたし、画期的だと思っております。しかし、これまで国会の審議でもありましたように、その内容自体については新しいものがないと私も思います。

 ただ、これまで文章では決して書けなかったことが、中身も含めて新しいことが一つだけ入っていると思われるのは、第三段落の内容であります。

 それは、自動車や保険といった残された懸案事項に対処するなど、なされるべきさらなる作業があるということが文章上明確になっていることであります。

 これは、資料一のところに英文と日本語を並べて書いておりますけれども、冒頭に、ザ・ツー・ガバメンツ、両国政府は二国間交渉を継続します、それは、日本のTPP参加に対する、英語ではポシブル・インタレストと書いておりますけれども、参加に対する関心に関してたくさんの作業が残されているというふうに書いています。

 まず冒頭、お聞きをしたいのは、ここに書いてある自動車やあるいは保険、こういった残された作業が行われなければいけない、完結しなければならないと文章で規定されておりますが、この作業はいつまでに完結をしなければならないことが予定されているんでしょうか。まず、この点を教えてください。

岸田国務大臣 御指摘の日米共同声明のこの第三段落目の意味ですが、これは、日米両国の間では、今日までもさまざまな関心事が協議をされてきました、そして、この共同声明が発せられた後もこうした関心事について協議をしていく、これを確認したというのが趣旨でありまして、こうした関心事項をいつまでに協議を完了するかということについては、この第三段落目の中には何も含まれておりません。

 そして、日米両国の間においても、いつまでにこれを完了するのか、こうした点については決まってはおりません。

玉木委員 第三段落目が極めて重要だと思うのは、仮にこれが、TPP交渉に参加を認めてもらうための、いわゆるよく言われる前払い、あるいは参加のための入場料と言われますけれども、そういったことを両国間で合意した内容であれば、例えば自動車、保険の分野で一定程度の譲歩をした上で初めて交渉に参加できる。

 もっと言えば、資料二につけておりますけれども、TPP交渉には一連の流れがありますけれども、米国にはいわゆる九十日ルールというのがありまして、議会の承認を得なければ、交渉参加を、関係国を新たに認めることができないという仕組みになっています。

 その意味では、交渉参加に入る前に何か具体的な、言葉は悪いですけれども、お土産であったり、何か譲歩するものを、この明示されている、例えば自動車の分野で具体的に行わなければ、そもそも交渉入りができないのではないのかということも言われておりますけれども、そういったいわゆる前払いを約束したものになっていないか、この点、もう一度教えてください。

岸田国務大臣 第三段落目の趣旨は先ほど申し上げたとおりですが、これは、引き続き日米間で協議を行うという趣旨でありますので、今後この協議が進展することを当然米国は期待はしていると思いますが、少なくとも、交渉参加するまでにこれをやらなければ交渉参加は認めない等、こうした条件を定めたものではないと認識をしております。

玉木委員 メキシコやカナダがまさに九十日ルールで議会から承認をもらったときのUSTRから議会へのレターの中には、いわゆる自由化に対する準備度合い、そういったものが十分満たされていますよということが書かれています。ただ、これこれをやったから、具体的に、例えば日本がハイスタンダードの高いレベルの交渉に臨む用意ができているということがこれで認められましたということは、具体的なことは書いてなくて、極めて定性的に、準備ができているのでオーケーですよというレターになっています。

 私が何を申し上げたいかというと、全てのものを交渉のテーブルにのせるのがTPPの大原則だと思います。しかし同時に、全てのことをテーブルで決してもらいたいんです。つまり、いろいろなことが、譲ること、とることがあると思うんですが、事前に何かを譲ってしまって、例えば、私は、これはよく地元で支援者に話すときにこういうことを言うんですが、お茶室がありますよね。にじり口という小さいのがあって、あれはなぜ小さいかというと、武士が必ず刀を外してその中に入る、お互い武装解除して入って、それで、争うことをやめて、静かな心で向き合うというのがあのお茶室のつくりに出ているといいます。では、私が刀を置いて中に入ったら、相手はにじり口からも持って入れるちっちゃなピストルを胸に持っていたということになって、対等な交渉ができなくなる可能性があるんじゃないのかということが最大の心配なんです。

 これは推進派の方も、全てのものをのせてやったらいいじゃないか、ただ、全てのことをやはりテーブルで決してくれと。その全てをテーブルにのせて、何かを事前に譲った、あるいは武装解除したり、あるいは一部武器を置いて、それで交渉に臨むようなことを明示的に日米間で決めてきたんじゃないのかということを心配する方がいるんです。

 ですから、答弁してもなかなか明確な答えは得られないと思いますので、要望したいと思うんですが、全てのことを交渉のテーブルにのせてやる、あわせて、全てのことを交渉のテーブルで決してきてください。事前に何かを譲るようなことをして、お願いして交渉に入れてもらうようなことをしたのでは、総理がおっしゃるような強い交渉力が得られないと思いますので、その点についてはぜひお願いをしたいと思います。

 最後に、これに関して一つだけお聞きしますけれども、交渉を担当する人は、一体、これから誰になるんですか。

岸田国務大臣 まだ我が国は交渉参加を決定したわけではありません。これから総理が最終的に判断するということになると存じます。

 当然、実務的には外務省は大きな責任を担うことになると思いますが、仮に交渉に参加するということになりましたら、改めて政府としてしっかり体制を確認して、交渉に当たっていかなければならないと考えます。

玉木委員 今あえてお聞きをしたのは、USTRは単一の組織でありますね。しかし、例えば、自動車のことだったら茂木大臣、農林水産の分野だったら林大臣、そして、外交全般であれば岸田大臣というふうに、日本はそれぞれ、経済、外交交渉についての担当が各役所、各大臣に分かれています。

 これはずっと言われてきたことなんですが、分かれてきたことによって、日本全体としての交渉力がしっかりと保てないのではないのか。向こう側が一人で来ているのに、こっちはずらっと並んでいて、身内同士で相談したりけんかしたりするということがよくあると言われています。

 ですから、先ほど、強い交渉力をぜひ維持してほしいと申し上げたその一つとして、TPPを含む経済連携の担当大臣、内閣府特命担当大臣でもいいんですが、その専任の大臣を明確に設けて、強い権限のもとで交渉に臨む、こういった体制をぜひつくっていただきたいというふうに、これは総理にお願いを申し上げたいと思います。

 次に、いわゆる極秘条件についてお聞きをしたいと思います。

 これは先週もこの予算委員会でも議論になりましたけれども、昨年六月にメキシコ及びカナダが交渉参加を承認された際に、それまで合意された事項については、再協議、いわゆるリオープンができない、そういったことに同意をした上で、のんだ上で、両国は交渉に参加が認められたというようなことが問題になりました。

 実は、昨年七月の時点で、政府から我々も、そういった報道がある旨の説明は受けておりました。

 きょう、参考につけておりますけれども、インサイドUSトレードという、アメリカの業界ではよく読まれている雑誌でありますけれども、多分これがそういった報道のもとになっております。

 二つ、大事なことが書かれています。

 下線を引いて、私の事務所で仮訳をつけておりますけれども、一つは、今あった、合意済みの事項については再協議ができないんだということ。このことについては、私の理解が確かであれば、先週、岸田大臣、再協議ができないんだということについては、確認しているという政府としての御答弁だったと思いますが、あわせて、もしそれがそうだとすれば、どの程度までがかっちり決まっていて、再協議ができない、そういったものがどのぐらいもう既に決まっているのか、あわせてお答えいただければと思います。

岸田国務大臣 メキシコ、カナダ、こうした新しく交渉に参加した国々のありよう、あるいは条件につきましては、さまざまな報道がされております。

 先週お答えいたしましたのは、我が国としては情報収集に全力を挙げておりますが、相手国との信頼関係もありますので、具体的にどの国に何を問い合わせたか、詳細等については予算委員会の場で控えさせていただく、こうした答弁をさせていただきました。

 そして、その中で、これまで得られた情報の中で、参加国の方からは、包括的かつ高いレベルの自由化にコミットすること、そして交渉の進展をおくらせないこと、こういった考え方を示してきているということを申し上げました。

 そして、その中の一つの例として、前の政権の時代、昨年三月一日にまとめた文書「TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果」、これは内閣官房、外務省、財務省、農水省、経産省合同で昨年三月一日に発した文書で、公にされておりますが、この中に書かれている情報として紹介をさせていただきました。

 そして、その中で、議論を蒸し返さないこと、さらには交渉の進展をおくらせないこと、こういった考え方がTPP参加国の中から示されている、こういったことを紹介させていただいた次第です。あわせて、こうした意見はありますが、いずれも、条件として九カ国で同意しているわけではない、こうした意見も添えられているということ、これを紹介させていただいたということです。

 そして、こうした情報も含めて、我が国はさまざまな情報収集に努めている、こういったことを先週お答えさせていただきました。そして、あわせて、我が国には、報道で示されているような条件はまだ何も示されていないということ。

 いずれにしましても、我が国はまだ交渉に参加を決めたわけではありません。交渉参加が仮に決定されたならば、さまざまな結果は全て交渉の中で決まるということですので、我が国の交渉能力が問われる、こういったことになると考えています。

玉木委員 その交渉能力が極めて大事なので、きょうはそのことについて幾つか質問しておりますけれども、既に決まったものについては再協議は認められないということは、一つ、その中からも書かれていますね。

 私がもう一つお聞きをしたいのは、今まだ決まっていないけれども交渉が行われているものについて、ここに書いてある、いわゆる、新しく加盟する国々には、英語でビートー・オーソリティーと書いていますけれども、拒否権が認められないということが書かれています。

 これは極めて重要なことで、交渉力を発揮しようと思っても、例えばこういうことです、既に入っている九カ国が何かを決めようとして、ちょっと待ってくれ、これはうちの国には少し合わないので少し待ってくれと言っても、既存の九カ国が合意した時点で、あるチャプターの妥結はそこで終わり、決まってしまうということになって、後から口を出す権利がないのではないかということが、ここに書かれているわけですね。

 これは報道ベースなので、私は報道がどうこうと言う気はないんですが、去年の七月の時点で、あるいは六月の時点で、外務省はこれを把握しています、少なくともこの報道は。そういう説明を受けています。

 ちなみに、稲田大臣、外務省はこのインサイドUSトレードを買っているんですよ。何でわかるかというと、行政レビューシートというのがありますよね、前に申し上げた。あれは検索システムを一緒に入れてあって、インサイドUSトレードと入力すると出てくるんです、当該の行政レビューシートが。これはオープンにする仕組みとして非常にいいので、こういうものをぜひ残してもらいたいなということを要望したいと思います。

 本論に戻りますが、このインサイドUSトレードの報道は、去年の六、七月で外務省は把握しています。この拒否権が新しく入る国に認められるか認められないかというのは、交渉のルールそのものを決めるのに極めて大事なんですね。

 ですから、こういったことについて、事実かどうか、このことは確認したか。する必要があると思うんですね。これは確認していますか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、こうした報道があるということ、事実でありますし、我々も認識をしております。

 その上で、確認したかどうかという御質問ですが、先ほども申し上げましたが、要は相手国との信頼関係がありますので、具体的にどの国に何を確認したか等も含めて、詳細についてここで申し上げるのは控えさせていただきたいと存じます。

 その当事国自身が立場を明らかにしていない、そこの中で我が国がコメントするのは控えなければならないと思っています。

玉木委員 国名を答えていただかなくても結構なんです。

 これはちょっと下線を引いていませんけれども、この英文の中に、インサイドUSトレードの中に、ここの日本語で書いている次のパラグラフの三行目ぐらいにテーク・イット・オア・リーブ・イット・ベーシスと書いてあって、これはどういうことかというと、交渉参加を表明したら、いわゆる秘密条件のようなレターが送られてくるか、送付されて、あとはそれをのむかのまないかということをその時点で判断を迫られるような内容だということが書かれてあるんですね。

 つまり、交渉参加を表明する前に、そういうことがあり得るのかどうかということは、既存の九カ国に対してしっかりと私は確認しておく必要があると思うんです。これは別にメキシコやカナダからとれというんじゃなくて、既存の九カ国を含めて、そういうことがあり得るのかどうか、そのことについては、私は、いわゆる拒否権が与えられないということが我が国に求められるとしたら、これは交渉の余地、度合いを決める上で物すごく大事なことだと思うんです。

 ですから、その結果がどうであったかはあえて言う必要はないと思うんですが、そういったことをきちんと問題意識を持って、関係各国、既存の九カ国と、今新しく入った二カ国、こういった国々にしっかりと問い合わせをするし、こういったことは確認していきたいという、その意思は明確に示していただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、まず、情報収集は大変重要だと認識をしております。そして、我が国には御指摘のような条件は現在提示をされていない、これも事実であります。

 そして、今後、交渉に当たりまして、現在得ている情報として、TPP交渉においては、項目として、今妥結している、確認がされている項目は、中小企業をめぐる項目だけだという情報も得ております。

 その中にあって、我が国として最大限国力に資するため努力をしていかなければならない、交渉力が問われるというふうに思っています。

玉木委員 これは大臣、非常に大事な条項だと私は思うんです。いろいろなことは交渉でもちろん決めなきゃいけませんから言えないと思うんですが、これは交渉のルールそのものにかかわるので、どこまで交渉の余地があるかどうかということがそこで決められてしまうので、交渉で頑張ろうと思っても頑張れなくなる可能性があるんですね。ですから、ここについてはぜひしっかりと確認をしていただきたいのと、そして、仮にそういう不利な条件が突きつけられる可能性があれば、そういったことについては、そのルールそのものを変えてくれということをこれまた外交交渉力で働きかけていくのが、我が国の国益を守る上でも大切だと思っているんです。

 九カ国が同意をすればそのルールが変わるかもしれないということも少し示唆されたことも書かれておりますので、必ず確認をした上で、そのことがおかしな内容である可能性があれば、それを変えていくような交渉もあわせて進めていかれることをぜひお願いしたいというふうに思います。

 時間がなくなってきたので、ちょっと試算についてお伺いします。

 先週、官房長官から、統一試算ということを出すということで、総理の交渉参加の表明前に出すとおっしゃったと認識しているんですが、その点は間違いありませんか。

菅国務大臣 委員も委員会で聞いておられると思いますけれども、省庁ごとに試算を出すんじゃなくて、内閣官房で政府としての統一試算というものを今作業中であります。

 そして、これについては、こうした試算等も勘案しながら参加するかしないか判断するということを、この予算委員会で総理は答弁をいたしております。そして、私たちも、この政府としての統一試算については、しかるべき時期にこれは公表したいというふうに思っています。

玉木委員 それは総理の参加表明の前ということでいいんですか。もう一度。

菅国務大臣 そこも含めて、しかるべき時期に政府として判断をしたいということです。

玉木委員 試算、これは大事だと思うんですよ。三つあってばらばらで判断できないから一つにまとめようということでやっておられるわけですよね。だったら、やはりそれを出した上で、国民的な議論にも付した上で、しっかりと判断を最終的に総理がなされるというのが筋だと思うんですね。それを、判断の前に出されないんですか。もう一度お答えください。

菅国務大臣 私は、前回と全く同じ答弁をさせていただきます。

 今、内閣官房で政府の統一した試算というものを努力しておりまして、そこについて、これはしかるべき時期に政府として責任を持って公表をさせていただきたいということです。

玉木委員 試算はやはり総理が交渉参加を表明する前に出すべきだと思いますし、そういうふうに先週答弁されたと理解していますけれども。

 資料の四に、民主党時代の三つあったうちの一つをつけているんですが、多分、今政府で議論されているのも、この内閣官房がまとめたGTAPモデルということを多少何か修正するような内容になっているんだと思います。

 これを見ていただくとわかるんですが、幾つか書いていますが、真ん中の棒グラフ、TPP一〇〇%自由化と書いていますけれども、試算を出すときに、これは日中EPAと日・EU・EPAの場合は、センシティブ分野の自由化をしない、あるいは中国が自動車を自由化せずということを前提に計算もしているんですね。一方で、全部自由化した場合の日中のEPAも書いています。

 今度試算を出されるときには、今、この第三パラグラフの話に戻りますけれども、アメリカもセンシティブ品目があります、日本もそうです、それについて一定の合意をしましょうというようなことが一定程度あるのであれば、日本については、これはもうセンシティブ品目は明確なんですよ。米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖と置いています。こういったことが自由化の対象にならない、あるいはアメリカにおいて日本からの自動車に対して関税がかかったままだというようなことの前提でも試算を出すのが誠実なやり方だと私は思っているんですけれども、もう一度、いつ出すのかということと、そして、こういった具体的な一定の前提条件を置いたもので試算をしっかり出すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 何回言っても同じですけれども、しかるべきときに客観的な試算を出したいと思います。

玉木委員 私は、余り自民党さんの悪口とか言いたくないんですけれども、例えば二十四年の七月十三日に「野田政権のTPP「秘密交渉」への抗議と申し入れ」というのがあります。これには、「今、野田政権が行おうとしていることは、秘密交渉を行い、情報を隠し、国民的議論を行わず、米国の要求のまま入場料を支払い参加するという、まさに国益を損ねる二枚舌外交そのものである。」という御批判を我々はいただきました。

 済みません、私が大変尊敬する、そしてお慕い申し上げている茂木大臣が、平成二十三年十一月八日の予算委員会でこういうふうにおっしゃっています。「現段階では、政府の情報収集、そして国民に対する説明、私は決定的に不足していると言わざるを得ないと思います。このような状況下で」「日本が交渉参加を表明することには、我が党としては反対をいたします。」ということをおっしゃっています。

 私は、正直、これは余り状況は変わっていないのではないかと思いますし、何より、冒頭申し上げました、被災地の皆さんは非常に不安な思いでいます。

 ですから、交渉に参加するかどうかは、政府の決定、専権事項でありますし、総理が最終的に判断されると思いますけれども、だからこそ、丁寧な情報の開示と国民に対する説明を必ず行っていただきたいというふうに思っております。

 丁寧に丁寧に進めていかない限り、結局、私は、このTPPがまさに国益にかなうものにならないと大変懸念しておりますので、そのことを最後に強く要請申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

山本委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず冒頭、二年前の本日、三月十一日、東日本大震災で犠牲になられた皆様の御冥福をお祈りするとともに、いまだ仮設住宅に暮らす皆様、そして被災地で復興に向けて日々奮闘されている皆様とともに、我々政治家も、この復興をしっかりこれからも早急に進めていく決意を申し上げて、質問に入りたいと思います。

 本日は、まず、憲法改正について総理のお考えを幾つか御確認させていただきたいというふうに思います。

 総理は施政方針演説の中で、憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた国民的議論を深めようではありませんかというふうにおっしゃられております。この議論は、最終的に憲法改正の場合は国民投票になるわけですから、そういう意味でも国民的議論を深める必要があるというふうに考えておりますし、私は、憲法改正はすべきだという立場だということを、改めて冒頭、申し上げておきたいと思います。

 その中で、おととい、三月九日土曜日のBS朝日の番組で、総理から非常に、今の段階でここまでおっしゃるんだなというような発言がございました。

 この番組で、総理は、国連軍に参加することがあるということかと問われまして、そうですねというふうにお答えされておられます。

 また、いわばPKOがですね、もう少し国際的な集団安全保障ですね、集団的自衛権とは違いますね、みんなでやるやつですね、世界で。その中には参加できる道を残した方がいいのではないかと。これはそのまま安倍総理の発言でございます。

 このような発言をされたのは事実でしょうか。そして、国際的な集団安全保障に、また具体的には国連軍に参加すべきだというふうにお考えでしょうか。総理の御見解をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 それは、私が出た番組において、自民党の憲法改正草案、昨年の四月の二十八日に出したものでありますが、あの四月二十八日に出した我が党の改正法案について、九条の改正について、第一項、第二項ございますが、その一項、二項についてどのように改正するのかという問いがございまして、司会者は田原総一朗氏であったんですが、田原総一朗氏は、第一項は残しておいた方がいいでしょうという意見を開陳されました。我が党も一項は基本的に残していますよという返答をしたわけでございます。

 田原総一朗氏から、しかし、この部分が少し書きかえられていますねというお話だったものでございますから、一部、いわば条文を整理したわけでありますが、同時に、これは一つの考え方として、国権の発動たる戦争は放棄する、こう書かれているわけでありますが、武力の行使あるいは威嚇は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する、こう二つの段に、自民党草案では分けたわけでございまして、その趣旨を聞かれましたので、いわば集団安全保障の中において、例えば国連軍が結成された際と。

 ただ、国連軍については、その番組でも申し上げたんですが、朝鮮戦争の際には、当時恐らくソ連が欠席をしたんですね、それを決める際に。ですから、そこで一時的な成立はしましたが、米国は、国連軍という概念において、他国のコマンドのもとに米軍が活動することはないということを今鮮明にしておりまして、事実上、国連軍は結成されるという可能性はほとんどないんですが、しかし、ほとんどないといっても、これは、国連に加盟をしていて、そして我々は国連改革を求めている中において、最初からそういう責任を全て排除するという考えはとるべきではないというのが私の考えでありますから、そこで、そういう解釈も可能にするという意見もある中において、この条文が整理をされた。

 しかし、条文が整理された主たる目的は、もう少しわかりやすい条文にしていくというのが主たる目的だったというふうに、私は記憶しているところでございます。

後藤(祐)委員 国連軍への参加は排除されるべきではないという明確な答弁をいただいたと確認させていただきました。

 今、総理のもとでは、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会というのが第一次内閣のときに引き続いて行われておりますけれども、この中では、我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、それにふさわしい対応を可能とするようという問題意識のもと、集団的自衛権の問題を含めた憲法との関係の整理につき研究を行うという趣旨のもとで行われていると承知しております。

 これは主に集団的自衛権の議論をされていると認識しておりましたが、今総理が答弁された、国連による集団安全保障についても、この懇談会の中で議論されていると理解してよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 一応、念のために繰り返しておきますが、国連軍という概念はありますが、実態としては、アメリカは、国連軍については、自分たちは事実上参加しないということを明確にしておりますので、その中においては、安保理の常任理事国である米国、そして米国の参加しない国連軍というのは事実上考えられませんから、それは恐らく現実問題としてはないだろうということは、これは今、世界の常識になっているわけであります。

 そのことを申した上において、しかし、そもそも、最初からそれを排除すべきではないだろうということを申し上げたわけであります。これは理論上の話でございますが、概念上の話でありますが、それを申し上げたということでございます。

 と同時に、今の御指摘でございますが、安保法制懇を復活させたわけでございますが、この中の例えば四類型におきましては、集団的自衛権の行使ということだけについて、解釈の変更だけについて議論をしているのではなくて、安全保障環境が大きく変わった中において日本をどのようにして守っていくべきか、そして、日本が国際社会においてどういう責任を果たしていくべきかということに関して議論がなされているわけでございます。

 例えば、四類型の中におきましても、公海上における、日本の艦船と米国の艦船がともに走っていて、米国の艦船が攻撃を受けた際に、我が国がそれを助けなくていいかどうか。これはまさに集団的自衛権の問題なんだろう、このように思います。

 もう一つは、BMDについて、日本に落ちてくるミサイルは撃ち落とすけれども、例えばグアムに飛んでいくミサイルは落とさなくていいのかどうかという問題ですね。

 そしてもう一点は、例えば、海外でPKO活動をしていた際に、ともにそこで活動をしている国の軍隊にテロ等の襲撃があったときに、それを救援、救助することができるかどうか。これは、海外での武器使用を含む、いわば言ってみれば、集団的自衛権の行使というよりも、集団安全保障の中で活動をしている際の海外での武力行使についての解釈が今のままでいいのかどうかという観点からの議論なんだろうと思います。

 そういう意味において、やはり、これは果たして今までのままでいいのか、そして、その解釈はそのままでいいのか、新しい認識も必要ではないかということも含めて、さまざまな真摯な議論が行われているというふうに承知をしております。

後藤(祐)委員 先ほどの懇談会において集団安全保障についても議論されているという御答弁でございましたことを確認したいと思います。

 さて、憲法九十六条についてでございますが、私はこの九十六条を改正すべきという立場でございますけれども、この九十六条の議論というのは常に、改正した後、では、どの条項を改正するんですかという議論になります。

 今、九条の話がかなり先行してしまうと、特に九条改正を心配される方からは非常に御懸念が示されるところなのでございますけれども、これも、先ほどのBS朝日の番組で、九十六条を変えた後、どこを変えるんですかという御質問があって、総理から、一気に全部はできませんから逐条的にやっていくということになりますが、そこでやはり国民的な議論が深まっている分野からやっていきたいと思いますと御発言されておられます。

 この国民的な議論が深まっている分野とは、どの分野のことなんでしょうか。九条のことでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど委員が九条を先行というふうにおっしゃったんですが、その分野では、私は九条ということで申し上げたのではなくて、田原総一朗氏から聞かれて、我が党のいわば憲法改正草案の九条についての解説を求められましたから私は解説しただけであって、それを最初にやっていくということは一切申し上げていなくて、自由民主党の総裁として、解説を求められましたから、その解説をしたということでございます。

 そして、国民の議論については、どの条文について深まっているということについて、今、私はそのことについてまだ述べる立場ではないんだろう、このように思います。前文もあれば、これは、さまざまな条文があるんだろうと思います。

 自由民主党としては、まず、前文から改正条項まで含めて、全て、我が党が考える憲法の草案について相当の議論をしました。相当の議論をした上で、政党の責任として、日本の将来はこういう国であるべきだという、おのおのの議員の責任でもって憲法改正草案をお示ししているわけでございます。

 この草案をもとに、国民の中において議論が深化、活発、そして広がっていくことが望ましい、このように考えております。

後藤(祐)委員 九十六条改正というのは、結果的に、九条を過半数で改正するために、両院過半数で通すためにやるのではないかという議論になってしまうと、なかなか九十六条そのものを改正する議論というのがうまくいかないんじゃないかということを、私はむしろ懸念をしております。

 総理は、その番組の中で、憲法を改正するリアリティーを高めていきたいというような御発言をされておられますけれども、例えば地方自治に関する規定ですとか、あるいは衆議院、参議院のあり方ですとか、こういったものを見直すというのは、まさに今、決められる政治をどうやってつくっていくかといったことが議論になっているときに、非常にリアリティーのある議論ができると思います。

 九条論で九十六条がとまるという非建設的なことにしないために、九十六条を変えた後、どこを変えるんだという不毛な議論に陥らないために、私は、一つ建設的な提案をここでさせていただきたいと思うんです。

 天皇陛下に関する規定ですとか、あるいは九条ですとか、基本的人権ですとか、あるいはこの九十六条そのもの、最高法規性、こういったものというのは、過半数で本当にいいのかどうかという大きな議論がある中で、私は、これは三分の二を残すべきではないかと思うんです。

 一方で、国会に関する規定ですとか、内閣に関する規定ですとか、先ほどの地方自治に関する規定ですとか、いわゆる統治機構論、この部分については、むしろもう少し柔軟に変えるべきではないか。具体的には、両院の過半数プラス国民投票という形で、少しやわらかくすべきではないか。

 つまり、憲法の条項によって、三分の二を求めるものと過半数でいいものを分けるという議論について、どのようにお考えでしょうか。

 ちなみに、これは、ロシアですとかスペインですとかカナダですとか、世界各国の憲法で例が実はございますし、あと、もう一つあり得る議論としては、三分の二がちょっと高過ぎるので五分の三という要件はいかがかというのも、これは実は笑い事ではなくて、世界各国の憲法で例がたくさんございます。

 これについてのお考え、総理のお考えをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 実は、今、後藤委員が指摘になった御議論は、自民党の中でも議論がされました。三分の二を、二分の一ではなくて五分の三という意見もありました。

 そういう中において、しかし、今、憲法の議論について、やはり極めて低調なんですね。なぜ低調なのかといえば、これはやはり、いろいろ一生懸命議論したって、結局、国会議員が三分の二だから、きっとそれでやらないんでしょう、こういう、いわば中長期的な大きな課題には、国会議員は取り組む勇気はないんじゃないのということなんですね。ですから、結局、その中において、深まってはいかないんですよ。そこでリアリティーがないということだったのではないかと思います。

 しかし一方、二分の一ということになれば、これはすぐに国民投票に直面する。国民の皆さんが議論をして、そして、自分たちの一票で憲法を変えていくか、あるいは変えていかないかの判断をせざるを得ないという現実に直面していくことになるんですね。私は、そこで初めて、憲法という問題、課題についてみんなが真摯に議論をしていくという状況をつくり出すことができるのではないか、こう思うわけであります。

 確かに、今委員が指摘された、そういう考え方も一つの考え方としてはあるんだろう、このように思うわけでございますが、しかし、憲法が制定されてずっと六十年以上、全然これは変わらなかったという現実がございますから、それを変えるというのは、やはり大きな思い切った判断と決断と勇気が必要ではないのかな、私はこんなように思うところでございます。

後藤(祐)委員 太田国土交通大臣、公明党の中ではまた違う議論があると思うんですけれども、今の三分の二、二分の一をあわせて残すような提案も含めて、公明党としてのお考えを聞かせていただければと思います。

太田国務大臣 突然のお伺いですが、私は公明党を代表する立場では今ありませんから、内閣の一員としてという範囲で申し上げますと、公明党としても、九十六条ということについて、改正していいのではないかという方もいらっしゃり、また、三分の二を守るべきだという両論があるというのは事実で、今詰めているところでございます。

 ただ、私は、憲法調査会に二〇〇〇年から二〇〇五年までの間、五年間ずっと所属していた唯一ではなくて唯二の、中山太郎先生とでありまして、安倍内閣のときに国民投票法案というのを成立させたということからいきますと、我が党は加憲という立場に立っておりまして、与党と野党ということの全面的な、一部は除いて当然なんですけれども、三分の二というのが、与党のみでそれを形成するという以上に、与党も野党も多くの国会議員が賛成するということの中に、部分改正としての加憲として、今総理もおっしゃいましたけれども、この項目について、この項目についてという投票が行われるというのが国会での三分の二条項の持つ意味であろうというふうに思っております。

 幅広い国会議員の意思の形成というものが国民投票法案では必要であるという考え方の上にこの法案が成立したという経過を、私は重視しなくてはいけない、このように思っています。

後藤(祐)委員 憲法論についてはこれからもじっくり議論を深めていきたいと思いますが、次に、行政改革について質問をさせていただきたいと思います。

 第一次安倍内閣の際に、安倍総理が一番行政改革の中で力を入れたのは恐らく公務員改革だったのではないかというふうに思いますが、二〇〇七年の参議院選挙の直前の国会を延長してまでも国家公務員法改正案を通されました。

 そのときの衆議院本会議での安倍総理の答弁で、この法案の内容的な説明も含めて申し上げますが、こういう答弁をされておられます。

 「各省庁による再就職あっせんを禁止し、そして官民人材交流センターに一元化するほか、離職後の再就職に関する規制の導入、再就職等監視委員会の設置等により、退職管理の適正化を図ることとしております。これらの措置により天下り問題は根絶できるものと考えております。」と答弁しておられますが、本当に根絶できたのでしょうか。

 我々は、その後、二〇〇九年に政権をお預かりしてから、やはり天下り問題は根絶できていないと考えまして、その後、あっせんの全面禁止、これを早急に、政権交代したあの二〇〇九年九月のうちに決めました。

 そして、独立行政法人の役員については公募制にするですとか、実際、その数字がそれで変わったんですね。第一次安倍政権のとき、例えば、独法の常勤役員に占める公務員OBの割合というのは、二〇〇六年十月一日で三九・四%だったんですが、我々の政権の後半、昨年の十月一日現在、六・五%まで下がっています。

 また、公益法人、ここはまさにあっせんで行く場合が多いんですけれども、この二〇〇九年度というのは、主に六月に退職される方が多いですから、霞が関のいわゆる管理職ベースで見た場合に、三百九十八人の方が公益法人に再就職されていたんですが、その次の年、我々が厳しくあっせん禁止をしてから、九十六人に、ほぼ四分の一に減っているんですね。我々は、そこをやったからこそ、かなり天下りに対しては厳しい態度を示せたというふうに思っておるんです。

 総理に伺います。

 第一次安倍政権のときの公務員制度改革法案、天下りに関しては甘かったんじゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 甘かったという御指摘でありますが、しかし、いわゆる天下りに対して、あの法律改正は二つ意味があって、一つは、省庁の権限を背景としたあっせんによる天下りはなくしていくというものであります。ということは、それがそれまで広く行われていたわけであります。もう一つは、いわば役所組織における能力による昇格等を決めていくということであります。

 そして、これはまさに今までなかったところ、新しいところに新天地を切り開いていくわけでありますから、それは相当の困難さがあったということでありました。同時に、それは不断の努力によって達成されるべきものだろう。しかし、あのときにこの法律改正をしなければ、今日行われているさまざまな前進は全くなかったということは確かに言えるのではないかと思います。

後藤(祐)委員 甘かったかどうかについての答弁は全くなかったんですが、数字がこれを物語っていますので。

 稲田大臣に伺いたいと思います。

 今、総理は、権限を背景にしたあっせんを禁止したとおっしゃっていますが、この権限を背景にしたという修飾語をつけちゃうところが役所の言いなりなんです。あっせんを禁止すると、明確に我々ははっきりさせたわけです。このあっせんの禁止については、二〇〇九年九月二十九日の閣議において、内閣総理大臣発言ということを根拠に行ってきましたが、これは現時点において有効なのでしょうか。

 ちなみに、このあっせん禁止が有効かどうか、二月二十八日現在で事務方に確認したところ、今の時点では有効なのかどうかもわからないというような御説明を受けておりますけれども、今、三月十一日において有効かどうかを確認します。教えてください。

稲田国務大臣 ただいまの委員の御指摘は総理の発言ということでございますので、総理の発言自体を安倍内閣が引き継ぐことはないと思います。

後藤(祐)委員 ということは、現時点では、あっせん禁止は有効でなくなっていて、あっせんは可能だということでしょうか。

 そして、もしあっせんが可能だとすれば、いかなる基準によって、誰があっせんをすることが認められているのでしょうか。

稲田国務大臣 再就職のあっせんの禁止や新規採用の抑制等により公務員の年齢構成の高年齢化が進展している中、組織の活力を維持向上させることが課題だと思っております。

 このような状況の中で、公務員がみずからの能力を生かし、第二の人生を選び取って、その能力を発揮していくことは重要であると思っております。

 そのため、早期退職募集制度の施行に合わせて、それを効果的かつ透明性の高い形で行うため、民間の再就職支援会社を活用した再就職支援を行う仕組みを導入することが現政権での考え方であると認識をいたしております。

後藤(祐)委員 稲田大臣は、御自分の著書「私は日本を守りたい」という本において、天下り、わたりは全面禁止、在職期間に応じた一定の期間は、いかなるルートによるものであれ、許認可の及ぶ業界等への再就職を禁止すべきだと私は思っていますと書かれておられますが、今されていることというのは、その本で書いていることの全く逆をやられておられないでしょうか。

 安倍総理に伺いたいと思いますが、あっせん禁止を継続する意思はありませんか。今、稲田大臣がお答えになられたように、あっせん禁止はやはりやめてしまって、その昔のようにあっせんをある程度やるというところに戻るということでよろしいんでしょうか。

 総理にお願いします、稲田さんにはさっき聞いたんですから、この質問は。

山本委員長 もう一回、短く、ちょっと稲田さん。(発言する者あり)まあ聞いてください。

稲田国務大臣 今、私の著書を引用いただきましたが、その精神は今も変わっておりません。

 そして、安倍第一次内閣において、国家公務員法を改正して、そして、府省庁のあっせんによる再就職を禁止したところと認識いたしております。

後藤(祐)委員 であるならば、現在あっせんが行われているわけであって、何月何日に、どのような規定においてあっせんをルールで決めたんでしょうか。

 何らかのルールがなければあっせんはできないと思うんですけれども、その根拠を示してください。

稲田国務大臣 現政権の基本方針につきましては、先ほど私が答弁いたしたとおりでございます。

 安倍第一次内閣において国公法を改正をして、府省庁のあっせんによる再就職は禁止をいたしておりまして、再就職監視委員会において厳格に運用しているところと認識をいたしております。

後藤(祐)委員 再就職監視委員会は機能していなかったんですよ。そこで、動かすには新たな基準が必要なんですよ。その基準があるのですかと聞いているんです。

稲田国務大臣 委員が何をこだわっておられるのかわかりませんが、再就職監視委員会は、国会同意を得て委員長が任命され、昨年三月に立ち上がったところ、同委員会における監視体制のもと、現行の再就職規制を厳格に運用してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 今、ルールが本当にないんですよ。

 例えば、経済産業省から電力会社に行っていいのかとか、あるいは、補助金を幾ら交付していたらその補助金をもらった会社に行っちゃいけないかとか、昔は人事院の承認というのがあって、物すごく細かくルールが決まっておりました。これに関するルールは今存在しないんですよ。だからこそ、あっせんをするときには相当気をつけてやらなきゃいけないはずで、相当厳密な基準がないと、あっせんはできないはずなんです。

 今のような曖昧な答弁では、例えば、この三月三十一日にやめる方がもしかしたらおられるかもしれない、あっせんは既に行われているかもしれないんですよ。

 では、現時点で、あっせんの準備をされているかどうかを伺います。

稲田国務大臣 何度も同じ答弁で恐縮でございますけれども、安倍第一次内閣において国公法を改正いたしまして、府省庁のあっせんによる再就職を禁止いたしております。そして、再就職監視委員会において、その運用を厳格にしているところでございます。

後藤(祐)委員 要するに、ルールなきままあっせんをしているという状態に至ったということなんです。信じられないことです。

 再就職監視委員会で、どういう会社にだったらあっせんしていいのか、どういう会社だったらよくないのかというルールが今、示せないじゃないですか。それをぜひ……(発言する者あり)では、今その申し出があった場合にはどうするんですか。あっせんはできる状態なんですよね。していないですが、これからできるわけですよね、現時点では、法制上。

 あっせんができる以上、何らかのルールが必要なわけで、そのルールをぜひこの場に示していただきたいと思います。

稲田国務大臣 何度も恐縮ですが、あっせんは禁止いたしております。

後藤(祐)委員 あっせん禁止は継続しないで、あっせんできると先ほど答弁して、今、あっせんは禁止していると答弁して、どっちが正しいんですか。どっちの答弁が正しいかわかりません。

 総理、ちょっと、はっきりさせてください。

安倍内閣総理大臣 あっせんは禁止をしております。

 ですから、安倍内閣において、かつて行われていたような、そうした省庁によるあっせんは行わないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。

 そして、今、委員は、何か具体的な事柄を挙げて、これがおかしいじゃないかと言っておられるのではなくて、あっせんを禁止していないんじゃないかと、まるで、やっていないことをやっているかのごときの質問をされても、なかなか答弁するのが難しいんですよ、正直言って。

 ですから、申し上げたいことは、我々はあっせんはしないということは申し上げておきたいと思います。

後藤(祐)委員 時間が来たのでこれで終わりにしますが、再就職監視委員会による、権限なんかを背景にしないあっせんは否定していないですよね、今の答弁も。

 要は、府省庁によるあっせんはしないというのはわかりますよ。再就職監視委員会によるあっせんは否定していないですよね、今の総理の答弁は。かつ、そこに、どういうところだったらあっせんできるのかというところの基準も示せていないですよね。

 そこは大変な問題だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

山本委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原です。

 三月十一日、東日本大震災、また、原発の事故が起きてから二年がたちました。お亡くなりになられた方々に心から哀悼の誠をささげたいと思います。

 また、今なお厳しい避難生活をされている方々、あるいは復興に向けて御努力されている方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、国会が一丸となって復興に対して力を注いでいくように我々も頑張っていきたいと思いますし、また、今の政府が取り組まれていることについては、正しいことについては全面的にバックアップをさせていただくということを改めて申し上げたいと思います。

 その上で、安倍政権がおっしゃっている、経済を強くしていくということについては、私は総論として大賛成であります。そして、金融緩和を行う中で、結果として、行き過ぎた円高が是正をされ、株価が上昇しているということの現状については、それは一定の評価をしなくてはいけないという立場であります。

 ただ、幾つかのポイントについて少し懸念がございますので、安倍総理を中心にお話を聞かせていただき、そして経済の議論を深めさせていただきたいと思います。

 さて、安倍総理、二月の七日に私がこの予算委員会で安倍総理に質問をさせていただいた御答弁で、「デフレは貨幣現象ですから。つまり、金融政策においてそれは」、それはというのはデフレだと思いますけれども、「変えていくことができる」、こういうことをおっしゃっておりますけれども、そのお考えには変わりはございませんか。

安倍内閣総理大臣 前回答弁をさせていただきましたように、デフレについては、さまざまな原因があるものの、基本的には貨幣現象であり、その脱却のため、日本銀行が二%の物価安定目標を責任を持ってできるだけ早期に実現していただくことを期待しているということでございます。

 そういう観点から、今回も、新たな日銀の総裁の人事についてお願いをしているということでございます。

前原委員 若干変わったのか、つけ加えられたのか、さまざまな要因はあるけれども基本的にという言い方をされました。

 それについては、私は、一国の総理としては、生意気な言い方ですけれども、その方がいい答弁だろうと思います。つまりは、デフレの要因は貨幣現象が全てであるということになると、今からも少し議論をさせていただきますけれども、なかなかおかしな問題点も出てくるのではないかというふうに思っております。

 では、総理にちょっと教えていただきたいんですが、基本的にはデフレの要因は貨幣現象であるということ、そのメカニズムと、デフレ脱却をしていくために、貨幣現象が基本的なものであるとするならば、どういうメカニズムで、いわゆる貨幣現象ですから、デフレから脱却できるとお考えなのか、それを教えていただけますか。これは総理がおっしゃっていることですから、総理にお答えをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本銀行は、今までも金融緩和を何回かやっています。例えば、二〇〇〇年あるいは二〇〇六年、それぞれ判断をしているんですが、その前に行ったゼロ金利あるいは量的緩和で一定の効果を上げているんですが、残念ながら、しかしデフレから脱却することはできなかった。

 と同時に、今までの日本銀行の説明の中において、今、私はさまざまな原因と申し上げました。それは、例えば経済のグローバル化であったり、あるいはまた人口の減少であったりします。しかし、結局、そこに原因があるから、量的緩和等をどんどん続けていってもそれはできないんだという言いわけになるということにもなっていたのも事実であります。

 そこで、我々は、この二%の物価安定目標を持って、それに向かって早期の実現をしていただくのは日本銀行の責任としてやってくださいということを申し上げたわけであって、それであれば、恐らく、二%に向かって物価は緩やかに上昇していくのではないか。

 あるいは、それまでにしっかりと、今まではある程度の量について日本銀行は緩和をしていくということであったわけでありますが、目標を設けて、その目標を達成するということに対して日本銀行が絶対的な責任を持ちますから、それに対して、さまざまな手を、手段を打っていくんだなと市場が反応したからこそ、初めて、この数カ月間にわたって、為替においても、そして株価においても、こういう大きな変化が出てきたわけであります。

 そこで、このことによって、まず一番最初に出てくるのは、この量的緩和を行っていくということ、これから実際に、さらに総裁がかわっていく中においてさまざまな手段を打っていくんだろうと思いますが、そういう政策に大きな転換がなされるということになった段階で、最初に、これは私も最初に申し上げていたんですが、恐らく為替と株価に変化が出てくるだろう。

 為替と株価に変化が出てきたことによって、そこでインフレ期待が出てくるわけであります。ずっとデフレ期待がこびりついている中において、これをインフレ期待に変えていくことによって、いわば初めて、基本的に、消費が生まれてくる可能性があるということに企業が備え始めるわけであります。

 しかし、実際に企業が設備投資をする、あるいは賃金を上げていくということについては時間がかかる場合もあるわけでありますが、しかし、それを続けていくことによって確実に上がっていくという論理の中において、例えば、アメリカのFRBも行っているわけでありますし、ヨーロッパにおいても、ECBはそれに備えてそういう措置をとった。

 その中において、いわば株価とそして為替から、だんだんと実体経済における企業の投資、もちろんその前に消費が出てくるわけでありますけれども、消費から企業の投資に行って、そして賃金にいい効果が出てくる。このサイクルに入るように、この循環に入るように我々も努力をしていきたいと思います。

 その中で、やはり日銀だけに背負わせるわけにはいきませんから、あと、我々は、機動的な財政政策とそして民間の投資を促す成長戦略によって、なるべく早く、広く、このデフレからの脱却を行き渡らせていきたい、こう考えているところでございます。

前原委員 総理、一枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、今、私は、デフレは貨幣現象であるというメカニズムをお聞きしたんですけれども、それに対するお答えは全くありませんでした。

 上の図は、マネタリーベースを名目GDPで割ったものでありますけれども、言ってみれば、量的緩和は、先ほど総理の答弁にありましたけれども、日本はかなりやってきているんですね。

 よくこれと比較される図が、リーマン・ショックの後のマネタリーベースの拡大はどうかというと、日銀はほかの国に比べて低い。そのことが過度な円高に向かったということを批判されている面はありますし、それは私も、その論拠に立って、短い、二カ月半でありましたけれども、経済財政担当大臣のときに、金融緩和を強力に日銀に求めていったわけであります。

 ただ、この名目GDPを一つの物差しにした場合、日本はかなりのマネタリーベースの拡大をやっている。

 そして、下を見ていただきたいんですね。

 先ほど総理は、為替にいい影響が出て、そして株価というものがよくなってということになって、それがインフレ期待になったというふうにおっしゃいました。しかし、今の為替水準あるいは株価というのは、この十五年間のデフレの中にもあったんじゃないですか。この状況にあったにもかかわらず、下の図を見てください、マネタリーベースをずっと拡大しているにもかかわらず、CPI、つまりは物価はほとんど変わっていないんですよ。

 だから、今の段階でおっしゃっているけれども、先ほど申し上げたように、今の株価、あるいは今の為替水準なんというのは、十五年の中ではもっとあった。株価はもっと高いときもあった。為替は、もっとドルが高くて円が安いときもあった。だけれども、CPIは変わっていないじゃないですか。

 つまりは、今おっしゃっていることが本当に起きるかどうかは、何の確証があっておっしゃっているんですか。

安倍内閣総理大臣 それが問題なんですよ。

 だから、かつても、いわば円が百十円、百二十円になったこともあります。株価は一万八千円になったこともある。だけれども、デフレから脱却できなかった。つまり、第一次安倍政権のときには、株価は一万八千円ですよ。円は百十円を超えていた。百二十円ですよね。だけれども、なぜできなかったか、なぜデフレから脱却できなかったかといえば、その段階で日本銀行が量的緩和をやめたんですよ、二〇〇六年に。これが極めて大きかったんですね、結局。

 今度とかつての大きな違いは、今回は、二%という物価安定目標を日本銀行が自分の責任で設けたんですよ。これを市場が見るからこそ、メカニズムとして、まずマインドが変わる。これは決定的な要素と言ってもいいと思いますよ。このマインドを変えることが、結局できなかったんですよ。今回は、変えつつあるのは私は事実だと思います、まだ完全に変わってはいないかもしれませんけれども。これをしっかりと続けていく。

 かつてであれば、かつての日本銀行の態度であれば、ここからもう既にだんだん引き締めに入ってしまうんですよ。それをみんな見越しているから、結局デフレから脱却できなかったけれども、今度は、確固たる決意を持って二%という目標を持っている。だから、市場の態度は恐らく変わってくるだろうと我々は期待をしているところでございます。

前原委員 金融緩和を打ちとめたから、それで経済が減退傾向になったというのはそのとおりだと思います、結果論から見て。

 これを見ますと、ちょうどマネタリーベースが膨れ上がったときから下がっている。下がっているところが第一次安倍政権のところですよ。この下の図です。だから、こういうふうな形で下がった。しかし、それでまた量的緩和を始めて、基金を創造するということもやってきたわけですよね。

 私が伺いたいのは、いわゆる気合い論というか市場期待論だけじゃなくて、今までの過去の経緯から見ると、マネタリーベースが拡大をしている、しかも、これからずっと拡大をしているのにCPIが反応しなかった。反応していないです、これは全然。(発言する者あり)いやいや、これはちゃんとしたグラフをつくっていますよ。何の捏造もしていませんから。

 そういう意味においては、マネタリーベースが拡大したのにCPIはほとんど反応していない、拡大をした後もですね、それはどう説明されますか。総理に聞いているんです。

山本委員長 甘利経済再生担当大臣。(前原委員「逃げないで、総理。アベノミクスだから、これは総理がやらなきゃいけない」と呼ぶ)いやいや、そのために大臣を置いているんです。

甘利国務大臣 貨幣現象という意味では、市場に流通する貨幣の量と市場に流通する物やサービスの量の関係で、売り手市場になったり買い手市場になったりします。つまり、マネーサプライの多寡によって、インフレ方向に行ったりデフレ方向に行ったりしますね。

 要は、先生は、ベースマネーをふやした関係と、それから、CPIが上がる関係をおっしゃっているわけですよね。つまり、それは、ベースマネーをふやしても、マネーサプライがふえるかふえないか。マネーサプライが確実にふえていれば、それは市場における貨幣現象で、売り手市場が買い手市場になりますから。

 要は、ベースマネーをふやしてもマネーサプライがふえなかったというところに問題がありますから、総理がおっしゃっているのは、日銀の姿勢がまだ弱くて、市場が、本当にベースマネーをふやしてもマネーサプライがふえるんだろうかと疑心暗鬼があるわけですね。今度はきちんと、めどじゃなくて目標として示して、そこまで日銀はやりますよという決意を示しているわけです。そうすると、マインドが変わっていく。そのことを総理はおっしゃっているわけですね。

 つまり、デフレ期待ではなくてインフレ期待が市場に広がっていけば、消費は、金を持っているよりも今使った方が得だと思いますし、設備投資だって、持っていればお金の価値は上がるんじゃなくて下がってくると思えば、そういうふうに展開しますよ。そういうことを申し上げているわけです。

前原委員 マインドの話を安倍さんも甘利さんもされるんですけれども、それが実体経済と乖離をした場合においては、そのマインド、つまりは、よく話に出ますけれども、インフレ期待ですよね、それが永続するかどうかの話なんですよ。それが永続するものであるかどうなのかが大きなポイントなんですね。そこを継続させるということになると、出口戦略なく永遠に日銀は金融緩和をし続けなきゃいけないということになります。後で、幾つかその副作用も申し上げますけれども。

 では、その前に幾つかポイントを申し上げましょう。

 これは、アメリカです。上の図は、アメリカのマネタリーベースと消費者物価指数の関係で、一九六〇年を一〇〇にしたもの。これはまさに、金融緩和とそれから物価上昇というのはほとんどうまく比例しているんですね。要は、貨幣現象であるということを裏づけるようなグラフになっている。アメリカも、二〇〇八年ぐらいまでは、若干乖離はしてきたけれども、そういう面があった。

 下の図をごらんください。ふやしてもCPIが上がらなくなるというものが来ているわけです。先ほどの日本のグラフと一緒なんですね。そういう時期が来る。

 どこが大きなポイントかということでありますけれども、では、これについて総理にお伺いします。

 先ほど甘利さんがおっしゃったことにもかかわりますけれども、今、日銀のバランスシートはどれぐらいあるか。約百六十四兆円です。百六十四兆円の中で、バランスシートの片方の資産、その中で最も大きいのは国債です。国債は百二十二兆円。他方で、負債と純資産、資産の相対になるものでありますけれども、その中において一番大きいものが発行銀行券なんですね。これが大体八十三兆円。そして、次に大きいのが当座預金です。当座預金、四十四兆円。

 では、ちなみに、この当座預金のうち、法定準備がどのぐらいで、そして超過準備がどれぐらいか。これはもう時間がないので申し上げますと、法定準備は八兆ぐらいなんですよ。超過準備がその残りを占めているんですね。

 要は、日銀が資金を供給してきたこの一年間、二〇一二年の一月から十二月まで、超過準備はどれぐらいふえたかといいますと、十七兆円ふえているんですよ、十七兆円。

 つまりは、日銀が民間銀行から国債を買っても、市中に有利な貸出先がなくて、超過準備、これは付利は〇・一%ですね、〇・一%で利益を得た方がよいと判断すれば、そのまま市中銀行は超過準備としてとどめることになって、経済全体の資金循環が活性されるわけではないんです。これは、経済用語で言うと流動性のわなということですね。そして、専門家の中では、その超過準備を豚積みと言われるわけです。

 つまり、先ほど甘利さんがおっしゃったことはそのとおりなんですよ。金融緩和をしても、それが実際の経済を活性化する形に使われない。豚積みをされたり、そして超過準備になったり。そうすると、幾ら日本銀行に物価上昇だ、二%だ、徹底的にやれと言っても、それがどんどんどんどん広がってくれば、本当の経済はよくならない。それも、安倍総理は、まさにいわゆるインフレ期待で全てが乗り越えられるということをおっしゃるんですか。

安倍内閣総理大臣 今まで十年間ずっとできなかったわけですよね、残念ながら。なぜできなかったかといえば、結局、例えば二〇〇〇年、先ほど例を挙げましたね。二〇〇六年もそうなんですが、少しよくなり始めたというところにおいて量的緩和をやめたんですよね。二〇〇六年においてはやめてしまったんですよ。結局、もとのもくあみになったわけですね。(前原委員「私の質問に答えてください。さっきから聞いていましたよ、それは」と呼ぶ)いいですか。大切なところなんですよ。

 そこで、そこにおいて今回との違いは、まず二%という物価安定目標をつくりましたから、それまでについてはずっと金融緩和はやっていくんだなという強いメッセージを出しました。実際やっていきますしね。それが決定的な違いであって、今回はいわば市場がそれに強く反応をしているわけであります。同時に、我々は有効需要をつくっていく。

 まず、貨幣現象というふうに申し上げたのは、デフレは基本的にそのとおりなんですよ。しかし、その中において、量的緩和を行っていくことによってマインドを変えて、実体経済に出てくるのが二年、三年かかる場合もあるんですよ。二年、三年かかる場合もあるにもかかわらず、途中でやめているケースがあるんですね。ですから、今回はそうしないということがまず第一。これは大きな違いですよ。これは決定的な違いと言ってもいい。

 そして第二番目。二番目は、我々は、この期間を短くするために有効需要をつくっています。有効需要をつくって機動的な財政政策を行っていく。

 でも、これは何回もできませんから、当然、我々は、第三の矢として、民間の投資を促す成長戦略を進めていくわけであります。

 この三本の矢を同時に射込むというのが、今までの経済政策とは大きく違う点であろう、このように思っております。

 物価連動債と国債との差がいわばインフレ予測になるわけでありますが、今までは物価連動債はずっとデフレですから出せなかったんですが、今度はいよいよ出せるわけですよね。それはまさにインフレ期待が出てきたからこそ、物価連動債がちゃんと市場でさばける状況になってきたと言えるのではないか。これが、今現実に起こっている、結果として起こっていることではないかと私は思います。

前原委員 先ほどから一つも質問に答えていないんです、まともに。二〇〇六年とは違う状況をつくり出すために、日銀に対してはとにかく金融緩和を求め続ける、そのような人を総裁、副総裁にする、その意思はわかっています。それは、総理が第一次安倍政権のときに、日銀が金融緩和をとめてしまったがために経済が失速したんだということはわかりました。それはわかりました。

 きょう、二つ目には、今までは貨幣現象だとおっしゃっていたんです。もちろん、三本の矢ですから、財政出動、それから成長戦略が重要なのはわかりますけれども、私はむしろ、デフレは貨幣現象だから、そういう意味においては二%の物価上昇は日銀に任せるんだ、日銀に責任があるんだということをおっしゃってきたと思ったんです。(安倍内閣総理大臣「そうですよ」と呼ぶ)それはそれでいいんですね。わかりました。それでは、後でそれは聞きましょう。

 では、今の話を伺いましょう。

 先ほどから聞いておりますように、アメリカにしても日本にしても、通貨の供給量をふやしても、CPIはほとんど変化していないんです。その中でどうやって物価上昇するんですかということを私は申し上げているんです。それは気合い論ではだめなんです。メカニズムで私は聞いているわけです。

 そこの一つの実態として私が今申し上げたのは、金融緩和をしても、それが流動性のわなに陥って、結果的に日銀の超過準備の積み増しになっていますねと、これは事実を申し上げているんです。そして、市中に出ていっていない状況になってきているということですね。こういうような状況の中で、先ほど、物価上昇がなかったと。

 では、伺いましょう。今まではとおっしゃった、小声で。では、金融政策は日銀がやることですけれども、総理としては、豚積みが行われない、流動性のわなに陥らないために、どういう金融政策をしたらそうなるんですか。

安倍内閣総理大臣 今、前原委員は、デフレ期待をインフレ期待に変えることを気合いというような言い方をされた。でも、デフレ期待をインフレ期待に変える、これが一番大変なことなんですよ。これがなければ、残念ながら、デフレからは脱却できないんです。この期待を変えることですよ。これを変えることが極めて重要であって、今まで、いわば日本銀行の金融政策において、これに対する比重が少なかったのは事実なんですよ。もう期待を変えていく。

 ですから、これは余りききませんけれどもと言って政策をやったって、それは実際、せっかくやっているのにきかなくなってしまうんですよ。市場が反応しなかった。申し上げれば、そういう状況だったと言わざるを得ないんですね、せっかくやっているのに。今度は違いますよ。二%という目標を持って、自分たちの責任でやっていくんですから。

 貨幣現象どうのこうのというお話がありましたが、これは貨幣現象ではないんですか。違いますよね。デフレというのは貨幣現象ではないということではないわけですから、貨幣現象なんですよ。(前原委員「デフレは貨幣現象だとおっしゃった」と呼ぶ)いや、だから、委員は貨幣現象ではないとお考えなのかなと私は思ったんですが、そうではないわけですよね。ですから、これは基本的に貨幣現象なわけですよ。

 今までは、これは日本銀行だけではやり切れないと言ってきて、十四、五年間できなかったじゃないですか。それを今度私たちはやっていこうということになるわけであって、そして、この金融政策の中身においては、新しい総裁、副総裁を中心に今までとは次元の違う金融政策をやっていただく。今おっしゃったように、日銀の当座預金のところにどんどん積み増しされるようなことがないような金融政策をしっかりとやっていただきたい、私はこういうふうに期待をしているわけであります。

前原委員 私は、デフレは貨幣現象だけではないと思っています。

 金融緩和は大事ですよ。だからこそ、私は、経済財政担当大臣のときに、日銀に強力な金融緩和を求めた。結果的な円安傾向、そして株価が上がるというようなことをやってきたのは、だから、そこの認識は共有しているわけですよ。だけれども、貨幣現象だと二月七日に言い切られたので、デフレは貨幣現象だけですかと言われると、私は、そうではありません、人口減少とか。

 では、一つグラフを出しましょう。

 これを見ていただきますと、太い折れ線グラフが労働力人口の成長率、そして細い折れ線がGDPデフレーターの変化率です。つまりは、これは全く相関関係が、ある時点から起きているんですね。さまざまな要因があると思いますよ。人口減少。

 だから、先ほどから総理がおっしゃっているように、これは、もう総理を日本国民は選んだんですから、自民党、公明党の連立政権を選んで、自民党の総裁は安倍総理だったわけですから、その安倍総理が、とにかく、このデフレ脱却というのはインフレ期待に変えるんだと、もうその一本でやられる。

 先ほど、金融政策の中身については具体的にはお答えにならなかった、これは日銀がやるということで。本来そうなんです。本来そうなんですが、お答えにならなかった。

 それは、国民も安倍さんがやることにかけるしかないんですよ。だけれども、我々は、その危うさというものを指摘させていただいている。それは、過去の、今までの金融緩和の中でCPIが動いてこなかったということの中で、ほかの要因もあるでしょう、ほかの要因をしっかりと変えることについても大事な面があるんだということを我々は指摘し、それはまた、本予算の議論がこれからも続きますから、しっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 先ほど、日銀の人事のことを私も申し上げましたし、総理もおっしゃいました。二%の実現は可能だと。そして、先ほども繰り返しおっしゃいましたね。それは日銀にやってもらうんだ、日銀の責任でやってもらうんだと。黒田さんも岩田さんも、二年をめどだとおっしゃっていますね。岩田さんに至っては、できなかったらやめるとまでおっしゃっている。

 二%の実現は可能、達成時期は二年、そしてその責任は日銀にある、これは、総理、お考えは変わりませんか。

安倍内閣総理大臣 デフレ脱却について、物価安定目標をつくりました。この共同声明を出した段階から、二%に向けてできるだけ早期にということにおいて日本銀行に責任を持ってもらったということでありますから、その考えに変わりありませんし、今回の日本銀行の総裁人事においては、例えば、選挙で選ばれた政府である安倍政権の責任者である私が、選挙によって国民から権限を与えられた私と日本銀行の総裁、副総裁とが、同じ方向について、政策について完全に確認をしたということにおいては、初めての日本銀行の総裁の人事だと思います。

 そういう中において、歴史的な使命を背負っている総裁、副総裁、皆さんに御承認をいただいて、ぜひ結果を出していただきたい、このように思っております。

前原委員 黒田候補の所信を一週間前に議運で聞かせていただきまして、その議事録を何度も読ませていただきました。二%の物価目標は、これはもうグローバルスタンダードだ、やるということもおっしゃっている。ただ、日銀の金融緩和だけで経済がよくなるかどうかということについては少し余韻を持たせている。岩田さんは、他方で、先ほどから総理がおっしゃっているように、とにかくデフレ期待からインフレ期待に変えるというようなことをおっしゃっているわけであります。

 まず、我々のスタンスを申し上げておきますけれども、これは政局にしないということは党の幹部も言っておりますけれども、今回、議運で二回、白川総裁の残余期間をまず同意を行って、そしてその後、五年間、本当の任期の同意を行うという話になっているようであります。これは、まあ、これからどういう議論になるのかわかりませんけれども。

 我々は、本当の判断というのは二回目の判断なんだろうなと思っています。逆に、白川さんの残余の任期の中で国会にぜひ来ていただいて、そして、黒田総裁にそのときなられていれば、きょうと同じような話を聞く中で、どれだけコミットメントをされるのかどうなのかということの決意と覚悟を伺わなくてはいけない、私はこういうふうに思っております。

 委員長にお願いをいたしますけれども、ぜひ、その同意人事の採決の方法につきましては議運が最終的にお決めになることでありますけれども、仮に二回にわたって行われるということになった場合、いよいよ五年の本格的な議論が始まる前に、しっかりと黒田新総裁を呼んで集中審議を行って、本当にこの方が五年間任すに足り得る人かどうかという議論をこの予算委員会で行うということは大事なことだと思いますので、そういうお取り計らいをお願いしたいと思います。

山本委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

前原委員 先ほど、吉田泉議員から麻生財務大臣に対して、物価が上がった場合の金利上昇、その際の負の要因という話がございました。そういう懸念というのは幾つかあると思うんです。

 残り十五分余りでありますので、きょうは二つに限って議論をさせていただきたいと思います。基本的には安倍総理にお答えをいただきたいと思います。

 一つは、円安傾向、そして株価が上がっている、これは私は基本的にいいことだと思います。ただ、円安が行き過ぎると輸入価格が上がる。もちろん、それがしっかりと輸出の増加につながっていけば、プラスマイナスでプラスになればいいという面もありますけれども、今の状況というものを見ますと、なかなか厳しい状況にあるなと思っているわけです。

 それは何かというと、経常収支と貿易収支の問題であります。

 これが日本の貿易収支、経常収支であります。青が経常収支、そして赤が貿易収支。貿易収支を含めて四つの収支を足したものが経常収支で、ただ、メーンのものは貿易収支と所得収支でありますので、青と赤の差というものは、基本的には所得収支であるということを御理解いただいたらいいというふうに思いますけれども、赤を見ていただくと、特に原発がとまって以降、恒常的な赤字になっている、貿易赤字ですね。

 このグラフで見ますと、青の経常収支は、所得収支の関係もあってプラスに、まだ上に上がっているわけでありますけれども、先般、政府から発表されました経常収支というものについては、三カ月連続の赤字ということになっているわけです。とうとう、貿易収支のみならず経常収支まで三カ月連続の赤字になってきたということであります。

 総理、もしくは麻生大臣でも結構です。日本は、国、地方を合わせて一千兆円もの借金をしておきながら、なぜ国債が高くて、そして金利が低いのか。その要因を二つか三つ挙げるとしたら、どういった理由が考えられるでしょう。

麻生国務大臣 確かにいろいろな理由があるんだと思いますけれども、何だかんだ言いながら、日本の場合は、個人金融資産が一千五百兆もあり、対外純資産も世界一あり、ほかにもいろいろ、現預金八百兆を超えるほどの金を持っておりますので、そういった意味では国債が出てもというのが一つ。

 二つ目は、国債が出ても、先ほど言われたように、マネタリーベースの話とマネーサプライの話の関係ですけれども、日銀から銀行に対して金が出されても、その銀行から先に、市中銀行から市中に金が出回らない。したがってマネーサプライはふえない、したがってマネーはどんどんどんどん日銀当座預金としてたまっていくという現象がこれまでの現象で、先ほど言われましたように、CPIがこうで、ふえていく、これは御存じのとおりで、経済学のゼミをやっている、我々、そういった立場にないので、いわゆる政策を論争しなきゃいかぬところだと思いますので。

 そういった意味では、我々としては、こういったようなものが、今回も同じく日銀からのお金だけがふえて市中に出回らないという状況にならないように、安倍内閣では、第二、第三の矢ということで、少なくとも実需が出るようなことにならない限りは、間違いなく物価もしくはマネーサプライはふえないということになります。

 今回、言われたように、金利はさらに下がって、一%を切って、今〇・六%台ぐらいまで十年物国債の金利は下がっていると存じますが、この十年物国債の金利が下がっている状況というのは、これは、だからもっと刷ればいいじゃないかという話も出てくるでしょうけれども、現実問題として、先ほど言われましたように、インフレだけになって、いわゆる給料はふえないとか設備投資はふえないということになると、これは余りいい形のインフレではありません。

 したがって、物価も賃金も両方上がるような形のものにしていくために、我々は腐心しているところでございます。

前原委員 麻生財務大臣がおっしゃるように、まず一つは、個人の金融資産も含めて国内資産が非常に大きいということを背景に、今まではお金が入り続ける仕組みだった。つまり、経常収支は黒字だったということで、国内にお金が入り続けることによって、千兆円から借金があっても安心感があったということ、それは麻生財務大臣がおっしゃったことであります。

 それから、日本銀行の件もそれにかかわるんですけれども、おっしゃるとおりなんですよ。例えば、今、株が上がったり、もちろん円安で株が上がっているというのもありますけれども、不動産も上がり始めている。これは、REITを買うということを黒田さんがおっしゃっているからですよ。

 つまり、金融緩和を量だけじゃなくて質も変えていくということは、多様ないわゆる品物、商品をこれから買っていくということですから、それにかかわるだろうなと思うところは上がりますよ。だって、日銀がこれから二%まで上がり続けるまで買ってくれるわけですから。私から言わせると官製市場ですよ、国がつくった市場。だから、株も上がりますよ。不動産も、投資信託を含めて上がりますよ。

 そこのところは、今は指摘だけにとどめておきたいと思いますけれども、日銀が買っている分も含めて、九一・五%国内消費がされているから安心感があるんだ、だから、これだけ借金をしても、日本の場合は金利が低くて国債価格が高い、安定しているということなんです。

 ただ、貿易収支のみならず経常収支まで赤字が恒常化すると、待てよということになり始める。そうなると、長期金利が上がるという大きな問題点が出てくる。つまりは、インフレの部分のコストプッシュ、金利が上がると同時に、経常収支が恒常的に赤字になった場合においては、つまりは行き過ぎた円安が続くと、今の日本の経済構造、特に原発がほとんどとまっているという経済構造においては、違う面から行き過ぎた円安というものに注視をしておかないと、一千兆円という借金のいわゆる暴走が始まるという話になるんですね。

 そういう意味では、金融緩和を二%まで徹底的にやるということは果たしていいのかどうなのか。トレードオフのときが必ず来るとは、総理、思われませんか。二%まで必ずやってもらうんですか。それとも、そういうものが来たときには、トレードオフだということで政策判断をするんですか。

安倍内閣総理大臣 円が安くなっている。これは、例えば第一次安倍内閣でも百二十円まで安くなりましたが、貿易収支も赤ではなかった。なぜかといえば、そのときのエネルギーコストが安かったんですね。

 今の問題は、原発が動いていない、よって、一年間三兆円、海外に対してエネルギー資源代を払わなければいけない。これはまさに、富が日本から外に出ていってしまうという大きな課題を我々は抱えることになりました。当然、その中において、油やガスを買うわけですから、円安は大きくデメリットとして影響を及ぼしていくわけであります。

 そこで、一つの方法としては、先般も日米の首脳会談において、シェールガスにおいて日本への輸出を認めてもらいたいという話をしました。もしこれが認められれば約半額ぐらいになりますし、今は日本はこういう状況でありますから、原発を動かしていない中において、なかなか価格が、LNGだって国際価格よりも全然高く買っているわけですから、そういうところでもう少し努力をしていくということを我々は進めていかなければいけませんが、当然、その中において、為替がどこの水準がいいかということは、私は、総理大臣としては申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

 我々も、経常収支が黒字になるようにそうしたさまざまな努力は行っていきたい、このように思っております。

前原委員 きょうの質問に全然答えていないですよ。

 つまり、金融緩和をし続ける、円安がさらに進んだときに、この経常収支が赤字になった場合に、長期金利が上がり、ほかの副作用が出てきた場合、それでも二%の物価目標はしゃにむにやるのかどうなのか、トレードオフをどう考えるのかということを質問しているんです。

安倍内閣総理大臣 いわば日本国にダメージがあることをしゃにむにやるということは、もちろんあり得ないんですね。今、いろいろ仮定を設定されておられます。我々は、そういう仮定の状況にならないように努力をしていくということに全力を傾けていきたい。

 やっと今いい兆候が出てきているわけでありますし、国民の皆様にも御期待をいただいているところなんですね。その中で、給与を上げようという企業も出てきているわけでありますから、我々は今の道をしっかりと進んでいく。当然、さまざまなことにも目配りをしながら、慎重になるべきところは慎重にやっていかなければならない、こう考えているわけであります。

前原委員 問題提起にしておきますよ、まともに答えられないから。

 つまりは……(発言する者あり)いや、答えていないじゃないですか。全然答えていない。全然答えていない。

 経常収支が赤字基調になった場合に、ほかの副作用が出てくる。そして、先ほど三兆円とおっしゃいましたけれども、一ドル八十円のときで三兆円ですから。今九十六円ですからね。そういうときになったらもっと膨らむんですよ、それは。そうすると、一兆円以上のまたさらなる経常収支赤字要因になる。もちろん、それで輸出がふえたりして、プラスマイナスでプラスになればいいというところはあるかもしれませんけれども、問題提起だけしておきますよ。

 つまりは、二%の物価目標は絶対視すべきではない。つまり、ほかの、経常収支が赤字になった場合において、国債の価格が下がる、金利が上がるということになってきたときに、マイナスの影響が出てくる場合があるということですよ。

 それと同時に、二%の物価上昇が近づいてくるのは、いい物価上昇の形と悪い物価上昇の形が出てくるんですよ。

 つまりは、コストプッシュ型、今の輸入代金、輸入のものが入ってくるその価格が上がることによって二%を実現したってだめでしょう。日本の経済の実態がよくなる中で二%の物価上昇というものが本当にできるんだったらそれはいいけれども、その二%の中身についてもしっかりとやはり我々としては精査をしなくてはいけないということで、そういう意味では、何でも二%を達成すればいいんだ、それまでは、もうしゃにむに、とにかく金融緩和なんだということについては、我々は、これからも黒田さんもお呼びして問題提起をしっかりさせていただきますので、そのことについてはテークノートをしておきたいと思います。

 最後に、TPPについてであります。

 TPPについてでありますけれども、野田政権のときに、私は政調会長をしておりました。野田さんが私を初めに呼ばれて、野田政権で何がしたいかということを共有してもらいたいということで、お話がございました。

 そのときに、一つが社会保障と税の一体改革、二つ目が原発の再稼働、そして三つ目はTPPの交渉参加でありました。この三つはとにかく野田政権でやりたいということをおっしゃっておりました。

 ただ、その中で、我々が最後まで交渉参加表明をできなかったのはなぜかというと、この間お話をしたように、我々は逆に与党でしたからよくわかっていますよ、アメリカの要求というものが、事前協議の中身というものが余りにも不公平だということでありました。

 車については、例えば、トラックの関税、車の関税についてはすぐにゼロにしない、猶予期間を設けるべきだということ。それから、安全基準については、米韓FTAと同じように枠を設けるべきだということ。それから、保険については、初めはいわゆるがん保険等の保険だけだと思ったら、学資保険の中身を変えることについてもいろいろと言い出したということであります。

 つまりは、中身について、事前交渉でこれをとにかく武装解除しなければ、アメリカの議会に通告しませんよと。でも、そういう中身については、我々は不公平であると。本来であれば、この自動車の関税の猶予なんということはまさに本交渉でやる話であって、我々が農産物と相対にしながら、カードをお互い出し合う中で交渉する中身だということで、我々は妥協しませんでした。

 これは、まさか妥協して交渉参加入りを表明するということはないでしょうね。我々は、交渉参加表明をしたいということで模索をしていましたけれども、この条件では余りにも日本に不公平だということで、非対称的だということで、我々は交渉参加をしなかった、表明をしなかった。そういう状況で、ましてや交渉参加表明をしないでしょうね。総理。

安倍内閣総理大臣 まず最初に申し上げておきたいことは、前原さんも、御党も、政府として交渉に当たってこられたわけであります。個別具体的なことは申し上げませんが、交渉の際に、米国との交渉においては、その中身においては皆さんには守秘義務がかかっているはずですから。今後も我々は交渉していかなければいけません。交渉していることを一々外に出していたら、これは交渉になりませんからね。そのことは申し上げておきたいと思います。

 同時に申し上げれば、今回の共同声明において、米国側に自動車等の工業製品についてセンシティビティーがあるということを我々は認めましたが、同時に、農業においてもセンシティビティーがあるということを認めさせた、これが第二段落であります。

 そして、第三段落については、今、前原委員が御指摘になったように、既に今までずっと交渉が続いてきていて、その交渉を今も続けている、こういうことであります。

 同時に、我々は国益を第一に考えるわけでありますから、守るべき国益はしっかりと守っていきたいと思っております。

前原委員 我々が与党のときには、自民党から、とにかく情報を出せ、情報を出さない中で交渉参加入りというのは決して許されない、それは先ほど話があったばかりであります。それを我々としては、今、野党になりましたけれども、守秘義務というものについては、これは本当に国益にかなうかどうか、見切り発車をしないために私は申し上げているわけです。

 菅官房長官に最後の質問をします。

 先般の答弁の中で、いわゆるTPPに入ったときのメリット、デメリット、国としての試算を統一的にやるという話。

 前の答弁では、江田憲司委員への答弁では、今、内閣官房でやっていまして、総理の表明には間に合うような形でする、総理の判断の材料になるような時期には出したいということを答弁されているんですよ。その答弁でいいですね。

菅国務大臣 今、議事録をごらんになっているんでしょう。私も持ってきました。

 ですから、私は、総理が表明するしないはまだ言っておりませんので、そういう中であって、総理の判断の材料になるような時期には出したいと思っています。これが私の正式な答弁であります。

前原委員 総理の表明には間に合うような形ということもおっしゃっていましたね。それもそのままでいいんですね。

菅国務大臣 その後に、私は、内閣官房でやっております、総理の表明に間に合うような形でいたしておりますと。それが全体です。

 ただ、総理がまだ、表明するかどうかはっきり言っておりませんので、そういう中で、総理の判断の材料になるような時期には提出したい、こういうことでありますから、先ほどの私の答弁と全く、これはそごはないと思います。

前原委員 私は、菅さんという人は約束を守る方だと思いますので、しっかりとこの答弁どおりやっていただくということを確信しておりますし、何よりも、与野党かわって、攻守はかわりましたけれども、国益の観点に立って我々は質問しているんです。国益を損なうような形で拙速にやってもらわないように、そして、万全を期して交渉参加入りを表明してもらうようにお願いして、質問を終わります。

山本委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十二日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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