衆議院

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第15号 平成26年2月28日(金曜日)

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平成二十六年二月二十八日(金曜日)

    午前八時二十六分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君

   理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君

   理事 林  幹雄君 理事 森山  裕君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    秋元  司君

      伊藤 達也君    岩田 和親君

      岩屋  毅君   うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    越智 隆雄君

      大島 理森君    金子 一義君

      神山 佐市君    佐田玄一郎君

      菅原 一秀君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田畑 裕明君

      中山 展宏君    中山 泰秀君

      西川 公也君    野田  毅君

      原田 義昭君    藤井比早之君

      船田  元君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    宮内 秀樹君

      宮崎 謙介君    宮路 和明君

      保岡 興治君    山本 幸三君

      山本 有二君    大串 博志君

      岡田 克也君    篠原  孝君

      玉木雄一郎君    古川 元久君

      坂本祐之輔君    桜内 文城君

      重徳 和彦君    中山 成彬君

      西野 弘一君    松野 頼久君

      伊佐 進一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    佐藤 正夫君

      畠中 光成君    佐々木憲昭君

      宮本 岳志君    畑  浩治君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (国家戦略特別区域担当)

   (地方分権改革担当)   新藤 義孝君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山本 一太君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   財務副大臣        古川 禎久君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    小松 一郎君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 藤本 一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 戸谷 一夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  伊藤 盛夫君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    岩田規久男君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     堀内 詔子君

  今村 雅弘君     岩田 和親君

  うえの賢一郎君    宮崎 謙介君

  越智 隆雄君     田畑 裕明君

  小池百合子君     藤井比早之君

  船田  元君     中山 展宏君

  山本 有二君     神山 佐市君

  桜内 文城君     杉田 水脈君

  西野 弘一君     松野 頼久君

  佐藤 正夫君     大熊 利昭君

  畠中 光成君     柿沢 未途君

  宮本 岳志君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     今村 雅弘君

  神山 佐市君     山本 有二君

  田畑 裕明君     越智 隆雄君

  中山 展宏君     宮内 秀樹君

  藤井比早之君     牧島かれん君

  堀内 詔子君     秋元  司君

  宮崎 謙介君     うえの賢一郎君

  松野 頼久君     西野 弘一君

  大熊 利昭君     佐藤 正夫君

  佐々木憲昭君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     小池百合子君

  宮内 秀樹君     船田  元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十六年度一般会計予算

 平成二十六年度特別会計予算

 平成二十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 三案に対し、桜内文城君外一名から、日本維新の会及び結いの党の二派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 この際、各修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。畠中光成君。

    ―――――――――――――

 平成二十六年度一般会計予算に対する修正案

 平成二十六年度特別会計予算に対する修正案

 平成二十六年度政府関係機関予算に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

畠中委員 結いの党の畠中光成です。

 私は、提案者を代表して、日本維新の会及び結いの党の共同提案に係る平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算及び平成二十六年度政府関係機関予算に対する各修正案について、提案の趣旨及び概要を説明いたします。

 まず、提案の趣旨について申し述べます。

 政府提出の平成二十六年度予算の実態は消費税の増税に伴う水膨れ予算であり、経済再生、財政健全化、社会保障改革のいずれに対しても切り込み不十分です。

 また、我が国を取り巻く厳しい国際情勢に対応するためには、対外情報収集体制、防衛体制も抜本的に強化すべきですが、そうした安全保障面での予算措置も決して十分ではありません。

 政府は果たして本気で改革を進めるつもりがあるのでしょうか。政府提出の平成二十六年度予算は、大きな課題を先送りした課題先送り予算だと言わざるを得ません。

 予算とは、国の進むべき方向性を財務面で表現したものです。

 私たちは、我が国が直面している課題に正面から取り組み、全てのやる気のある人にチャンスを与えるための予算修正案を作成しました。ここに提示し、その概要について申し上げます。

 まず第一に、世界じゅうの資本が集まる国へです。

 法人税については、その税率を三五・五%から二五%へと約一〇%減税し、経済成長の基盤である国際競争力を強化いたします。

 また、GDPの六割を占める消費を支え、増税に直接影響を受ける家計に配慮し、所得税減税として、復興特別所得税分を減税いたします。

 第二に、世代間格差を是正する社会保障制度改革です。

 抜本的な社会保障制度改革を通じて過重な現役世代の負担を軽減するため、公的年金制度の積立金方式への移行により持続可能な公的年金制度を構築するとともに、一般会計から年金特別会計への繰り入れを三兆円減額します。

 医療保険についても、被用者保険の一元化に伴い一・二兆円歳出削減を行うほか、高齢者医療における自己負担金を本則の二割に戻すことなどによる歳出削減を行い、その一方で、地域医療体制の拡充予算は倍増するようにしております。

 第三に、未来への投資です。

 世界をリードする新産業及びそれを支える未来の技術者などの人材を育成するためにも、これまで減額されてきた科学研究に対する予算などを三〇%増額することにしております。

 また、やる気のある生徒を支援するため育英奨学金関係予算も三〇%増額しております。

 第四に、徹底した行財政改革です。

 私たちは、一般会計約九十六兆円で六千四百八十四項目、特別会計約四百十一兆円千四百九十八項目から成る平成二十六年度予算を、法的根拠の有無、重要度、緊急度等を勘案して徹底的に精査しました。その結果、一般会計では四千百三十六項目九・一兆円、特別会計では六百三十八件二百十六・五兆円の予算が法的根拠なく計上されていることが判明しました。

 そこで、移転的支出のうち法的根拠が曖昧な交付金、補助金、委託費等は、それぞれ一〇%、二〇%、五〇%減額としました。独立行政法人の運営費交付金は一割削減、不要不急の基金への積み増しは二割削減とし、各省庁の庁費も二割削減としました。国会議員の歳費及び国家公務員、教員の人件費も一割削減といたします。

 徹底した行財政改革を行うことで、経済再生の基盤である法人税減税の財源を捻出したいと思っています。

 第五に、国家安全保障体制の確立です。

 今日の厳しい国際情勢に鑑み、国家安全保障に関する予算、具体的には対外的な情報収集体制を拡充するための予算やサイバーテロ対策費、南西諸島防衛のための航空機改修費などを増額いたしました。

 その結果、一般会計及び特別会計の連結ベース(平成二十六年度期末)で、政府案と比較して、基礎的財政収支は約一・六兆円改善、国債残高は約五・六兆円圧縮することとなっています。

 以上が、修正案の提案の趣旨とその概要であります。

 何とぞ、議員各位の御理解を賜り、本修正案に御賛同いただきますようお願い申し上げ、私の趣旨弁明といたします。

二階委員長 これにて各修正案の趣旨説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

二階委員長 平成二十六年度予算三案及び平成二十六年度予算三案に対する各修正案を一括して質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案及び各修正案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、外務省大臣官房参事官下川眞樹太君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志です。

 早速質疑に入らせていただきたいと思いますが、その前に、委員長に対し、極めて強く遺憾の意と抗議を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 ここまで、当予算委員会、粛々と、我が国が直面するいろいろな課題、例えば、四月から消費税が引き上がる中で、景気を下支えしながら、実質的な賃金の上昇、景気の回復を実感できる日本にどうやってやっていくのか、こういった問題、さらには、それに連なる雇用や社会保障の課題、さらには、TPP、農業の問題、さらには、今課題にもなっています集団的自衛権を初めとする外交、安全保障の問題、そして公共放送の問題等々、極めて重要な、国事にかかわることを議論してまいりました。

 しかし、きのうの夕刻、突如として、きょう締めくくり総括、採決まで行うということが提案され、非常に強行的な形でそれが進められています。

 まだまだこの委員会において議論しなければならないことが多いと思います。きょうのこの議論の中で、やっと審議時間は六十時間から七十時間に近づいてこようとしています。しかし、この時間、極めて私は足りないと思っています。

 これまで、基本的質疑、一般的質疑という審議方式になった平成十二年以降十年間の中で、七十時間を下回った審議時間は過去二回しかありません。平均で八十時間を優に超える審議をしてきたのが、この予算委員会でございます。それがなぜ、この六十時間から七十時間にやっと至ろうとする中で採決にいかなければならないのか、私は極めて疑問でございます。審議を回避するために短い時間で終わらせようとしているのではないか、こういう気すらします。

 総括質疑には、私たちは強く反対します。しかし、もちろん審議には、私たちはしっかりやっていきたいと思います。ですから、私たちとしては、これは通常の審議として臨んでいきたい。その旨、抗議と意見を申し上げて、私の質疑に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず、集団的自衛権の問題について、総理にお尋ねさせていただきたいと思います。あるいは、ほかの大臣の皆様にもお尋ねさせていただきたいというふうに思います。

 私、総理ともこの問題を議論させていただきました。大変、我が国にとって重要な問題でございます。私がこの委員会で申し上げたかったことは、一つ一つきちんと議論されることはいい、しかしながら、いつの間にか、国民がよく気づかない中で、政府が長年積み上げてきた解釈、スタンス、こういったものがころっと変わってしまっているようなことがあってはいけない、国民の理解と合意の中で進められなければならない、こういったことを私、申し上げてきたつもりでございました。

 同じような趣旨のことを、私、大変力強く思いました、公明党の漆原国対委員長もメルマガでおっしゃっています。集団的自衛権の行使容認の可否は日本国や国民にとって最も大事な事柄だ、重要な事柄をたった十九人の閣僚だけで決定するのはいかにも乱暴過ぎる、なぜ変更する必要があるのか、変更した結果、何がどのように変わってくるのかなど、国会で議論をして国民的合意を得る必要がある、こういうふうにおっしゃっています。

 やはり、総理がここでおっしゃった、閣議決定だけで、国会の議を経ることなくして解釈が変更されるというのは、私、極めて拙速な感じがします。

 そこで、太田大臣にもちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。

 これは御党の漆原国対委員長がこういうふうにおっしゃっています。私、大変共鳴する考え方でございます。ですので、私は、太田大臣にお願いでございます。閣内の一員として、この集団的自衛権の問題に関しては、閣議で議論されるのももちろん結構、しかし、その前に国会で十分な議を尽くしていただく、このことを閣内でもぜひ発信していただきたいと思いますが、太田大臣、いかがでしょうか。

太田国務大臣 漆原国対委員長がどういう発言をしたかということについては、十分私は承知はしておりませんが、いずれにしましても、この安全保障をどのようにするかという論議につきましては、今、安保法制懇の中で論議をされていることであり、それをさらに深めていく、そしてまた、さらに論議を与党間においても深めるということがまず表明されているわけであります。

 いずれにしても、この問題については、じっくりといいますか、論議を深めるということが大事であるということは、恐らく総理も含めて同じではないかというふうに思っているところです。

大串(博)委員 じっくり議論を深めることが重要ではないかとおっしゃったその大臣の真意、国会においても事前にきちんと審議を深めるという趣旨、その旨発信をぜひしていただきたいということを、改めて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 国家安全保障会議担当の礒崎総理補佐官、報道によると、やはり、閣議決定前に国会で必要があれば議論すべきだという考え方を、総理補佐官、しかも国家安全保障会議担当の補佐官自身がおっしゃっているようでございます。

 こういうこともございます。総理、ぜひ、私からもお願いでございます。この集団的自衛権の問題、閣議でいろいろな決定をされるのかもしれません。しかし、その前にはこの国会できちっと議論をして、その上で進めていただくというふうな考え方をぜひ示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず初めに、大串委員から指摘のございました予算委員会の審議についてでございますが、与党の方からは、いわば与党の質問の時間を相当削って、それを野党の皆さんにお渡しをしているということでございますから、今までの審議の時間と比べて、野党の皆さんの質問の時間を足していけば、決して短いことにはならないんだろうな、こんなように思います。

 そして、今御質問のございました閣議決定との関係でございますが、私が先般質問にお答えをさせていただきまして、どのようなプロセスで進めていくか。

 プロセスとしては、当然、今、安保法制懇において、類型別に審議を深めている中において、果たして解釈の変更をする必要があるのかないか等々について議論をしているわけでございます。もちろんこれは、集団的自衛権の話だけではなくて、集団安全保障にかかわる自衛隊の行動における海外での武器使用等々も含まれるわけでありますし、また、防衛出動に至らない状況における自衛隊の対応が法的にしっかりとシームレスになっているのかどうかということも含めて、議論をしております。

 そして、今、安保法制懇で結論が出ておりませんから、ここで確たることは申し上げられないわけでありますが、安保法制懇の結論が出た中において、この結論を受けて、我々は、例えば、憲法解釈の変更が必要であるとするならば、どのように解釈を変更するのか、あるいは政府としてどういう見解を持つのかということについては、当然、法制局を中心に議論を詰めていく。

 これはもう何回もこの答弁はしております、同じ答弁をしているんですが、法制局を中心に、これは詰めていくわけでございます。そして、その中におきまして、当然与党との議論もする、これは当たり前のことであります。そして、それを受けて最終的には閣議決定が行われるということになります。

 しかし、この閣議決定が行われたからといって、直ちに自衛隊がそうした活動ができるようになるということではなくて、そのための根拠法等々、法的な、まさに各法ごとの法律の整備をしなければいけないわけでありますが、これは結構膨大な作業になっていく。これが完成して初めて個々の対応ができるようになっていくという手順を踏んでいく必要があるわけであります。

 そこで、では、閣議決定の前の議論、これは当然、国会がその段階での政府の見解を問いたいとなれば、我々はそこで答弁する義務があるわけでありますから、これは当然のことと言ってもいいんだろう、このように思うわけであります。

 ただ、その段階においては、政府の統一的な意思としての閣議決定がなされていませんから、我々の意思はこうですということはまだお示しはできないわけですね。閣議決定をしなければお示しができないというのは当然のことなんだろうと思います。

 ですから、その手順のことについて私は論理的にお話をさせていただいたわけでありまして、閣議決定をする前には政府の今の検討状況等々を一切お示しをしないと言ったことはもちろん一回もないわけでありますし、当然そうした御議論はしっかりとしていただく。

 我々も、そういう必要があれば、その段階での検討状況等々については御説明をさせていただくところになるわけでありますが、閣議決定で決まらないと、いわば政府・与党、そして政府としての意思、方針は決まっていないということは、これは当然御理解をいただけるんだろうな、このように思う次第でございますし、私たちは当然、大きな判断ということになれば、しっかりと慎重に議論を進めていきたい、このように思っております。

大串(博)委員 ぜひ、閣議決定に至るプロセス、あるいは閣議決定をされた後のプロセスにおいても、十分な議論を国会の中で、国民の皆さんに知れる形でやれるような環境を整備していただきたいと、重ねてお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、NHKの会長、そして経営委員の発言、その後の行動等々に関する問題でございます。

 先般、籾井会長の問題に関して私は取り上げさせていただきましたが、百田経営委員を初めとした経営委員の皆さんのことにも触れさせていただきました。

 経営委員の皆さんに関して少し触れさせていただきたいと思いますが、長谷川委員、先日も報道で明らかになっておりましたけれども、御本人も陳謝されていらっしゃいましたけれども、月刊誌のコラムに、ある考え方の違いをめぐってNHKへの不満をベースに受信料の支払いを拒否するという考え方をしたためた手紙をコラムに寄せられ、その一部が掲載されていた、こういったことがありました。受信料の支払いは、法律で定められている内容でございます。

 さらには、百田経営委員でございます。

 総理は、この経営委員の話になりますと、答弁を求められた際には必ず、経営委員の個人的な発言に関しては答弁は述べない、こういうふうにおっしゃっていました。しかし、その答弁も変わっていらっしゃいます。二月十二日の経営委員会で、経営委員会見解として、一定の節度を持ってちゃんとやりましょう、こういったことが決められた。その後においては、総理の答弁は、経営委員が服務準則にのっとり、公共放送の社会的な使命を踏まえてしっかりやってほしい、こういうふうな答弁に変わっていらっしゃいます。

 しかし、この二月十二日の経営委員会で、そういった、経営委員会として一定の節度を持ってやっていきましょうということを決められたそのやさきに、百田委員は、ツイッターでこういうことを書かれていらっしゃいます。

 「民主党が百田尚樹の国会招致を要求していたが、自民党が拒否したらしい。」済みません、百田さんのツイッターと言いましたけれども、百田さんと思われるツイッターというふうに言っておきます、これは確実にはわかりませんから。「民主党が百田尚樹の国会招致を要求していたが、自民党が拒否したらしい。実に残念や!国会に出て、思う存分、喋りまくって、前代未聞の国会答弁をしてやろうと思ってたのにー。本当にがっかりや!」

 もう一つ、「民主党、もっと頑張って、自民党に要求して、百田尚樹を国会に呼び出せよ!びっくりするようなこと、いっぱい喋ってやるから。」

 こういったことをツイッターで述べられています。

 これはいつ述べられているか。二月十二日です。まさに、経営委員会において、百田さんも含めて経営委員の皆さんが集まられて、その議事録はもうすぐ公開されますけれども、一定の節度を持ってやっていきましょうということを申し合わされたその日に、こういった投稿をされています。(発言する者あり)前かもしれません。その同じ日にやられています。

 この百田さんあるいは長谷川さんのこれまでの言動等々を踏まえ、これらを任命された任命権者は総理でございます。これに関して、総理、何がしかの責任をお感じになるということはありませんか。

安倍内閣総理大臣 放送機関のトップの発言、あるいはまた経営委員が個人的に行った発言やそれに対する反応について、政府としてコメントする立場にはございません。

 NHKの経営委員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することとなっております。現在の経営委員の方々は、そのような手続に従って適切に選任されたものと思います。

 NHKにおいては、社会的使命を担う公共放送として、放送法に基づき、自主自律のもと、中立公平な放送を続けてほしいと願う次第でございます。

大串(博)委員 これは私、なぜ総理に問うているかと申しますと、先ほど申しましたように、経営委員の皆様は、総理が任命権者なんです。罷免権も総理はお持ちです。そして今、この件に関して、もちろん会長の発言に関しては二万件に上るコメントがNHKに寄せられて、その大半は批判的意見。経営委員の皆様に対しても数千件のコメントが寄せられている、こういう状況にございます。

 極めて重要な公共放送、私は、NHKにしっかり頑張っていただきたいと思うからこそ、申し上げております。その責任を持つ総理として、任命された御本人の総理として、私は、今のような答弁、非常に責任感が薄いのではないかという気がしてなりません。

 今回のNHK問題は、その発言の一つ一つが問題であることに加えて、その後の事後対応、すなわち信頼回復の取り組み、発言、説明責任が十分でない、こういう問題にございます。その説明責任の中には、総理御自身の説明責任も含まれていると私は思います。先ほどの答弁は甚だ残念でございます。人ごとのような答弁。

 しかし、総理、この件に関しては、総理が任命権者であるということの責任感を持って、ぜひ今後の推移をよく見守っていただきたい。私たちもまた、必要に応じて国会の場で議論させていただきたいというふうに思います。

 次に入ります。年金の問題に関して議論させていただきたいというふうに思います。

 経済の問題、社会保障の問題、いろいろ議論させていただいてまいりました。私は、金融の出口戦略の問題なんかも議論させていただきましたけれども、黒田総裁から、出口戦略をしっかりやるから大丈夫なんだ、こういうふうな発言もございました。

 麻生副総理にちょっと、私、御見識をお伺いしたいと思います。

 私、ここで問うたのは、アベノミクスの第一の矢が成功して物価上昇率が二%に達した場合に、金利も恐らく上がるのであろう、そのときに国債の価格が下がるという国債保有のリスク、これが非常に心配なのではないかといったことを確認したかった、そういうことでございます。

 麻生財務大臣は、日銀政策に対しての責任者でもございます。日銀の政策決定会合にも財務省から出席されています。物価上昇率が、アベノミクスの第一の矢が成功して二%になったときに、国債金利が上がって国債保有のリスクが顕現化するのではないか、これに対して麻生副総理はどういうふうな御見識をお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 大串先生、予告はいただいておりませんので、私の思っている勘だけで申し上げますので、揚げ足をとらないように、よろしくお願いします。

 最初に、我々も、物価が上がれば金利が上がると思って、我々も学校で習った教科書ではそう書いてあるので、そう思って予算も編成したんですけれども、一・八%の物価上昇率を計算しておりますが、実質は〇・六、きのうあたりは〇・五八五まで下がっておりますので、物価は着実に上がっておりますけれども金利は下がったという状態になっておりまして、これまでに習った経済学とは全然違った現象が今起きておるという現状にどう対応するかというところが、FRBにしても、またBOJ、日本銀行にしても、皆そこのところが非常に悩ましいところなんだと思います。

 いずれにいたしましても、今はデフレ不況からの脱却を目指して大量の金融緩和というのをやっている最中でありますので、その中にあって、出口をどうという段階まではまだ来ておりませんので、この問題につきましては、かかって日本銀行の政策に我々は信頼を置いて、日本銀行といわゆるマーケットとの会話、対話、また日本銀行と我々との会話、対話等々をきちんと密にして、今後とも遺漏なきように努めていくということをして、努めて緊密に連絡をとり合ってマーケットを見守っているというのが状況であります。

大串(博)委員 そのとおり、ぜひお願いしたいと思います。金利リスクから国債保有リスクが顕現化しないように、万端の対応をしていただきたいと思うんです。

 それで、年金の議論に進みたいと思いますけれども、非常に重要な課題でございます。その中で、年金の運用に関して、長妻議員からもこの委員会で、るる質問がございました。

 十一月に、公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化に関する有識者会議というところが報告書を出されています。私、これは非常にいい報告書だと思います。問題意識として私も一致するところが多々ございます。しかし、若干違うところもある。

 これを受けて甘利大臣のもとで取りまとめられました経済対策、十二月五日閣議決定、その中で、GPIFを初めとする公的、準公的資金の運用等のあり方について、デフレ脱却を見据えた運用の見直しやリスク管理体制等のガバナンスの見直しなどに係る有識者会議の提言を踏まえ、厚生労働省等の関係省庁において所要の対応を行う、こういうふうになっております。

 甘利大臣にお尋ねしますが、この報告書及びこの閣議決定、どのような意図を持ってまとめられたものでありましょうか。

甘利国務大臣 基本的に、経済のバックグラウンドが変わります。デフレ下でどういうポートフォリオを構成するかということと、デフレから脱却をして軽度のインフレに移っていったときに、構成するポートフォリオはおのずと変わってくると思います。

 安全、有利と言われますけれども、安全と有利というのは相反する方向性であります。その最大公約数をとっていくというのが求められるところだと思います。極力安全で、しかしそこそこ有利にということで、そういう方向性の中で、経済のバックグラウンドが変わってくる、あるいは変えていく中でのポートフォリオ、適切なポートフォリオ構成に、どういう配置をしていくか、そのときの責任体制はどうかということであります。

大串(博)委員 田村大臣ともちょっと議論させていただきたいと思います。

 GPIFは、私たちの百兆を超える年金資産を運用しております。このGPIFは、前回の財政再検証のときから以降、求められている運用の目標といいますか、ございます。名目賃金上昇率プラス一・六%、足して四・一%という目標でございます。つまり、金利分を一・六%、こういうふうに置いているわけですね。

 GPIFはこれを達成してきているんじゃないかと思うんです。いかがでしょうか。

田村国務大臣 おっしゃられますとおり、ここ数年見てまいりますと、一・六というような、これはスプレッドの部分ですね。

 要するに、目標運用利回り四・一は確保できていませんが、先ほど来言われておりますとおり、名目賃金の伸び率というものが重要でありまして、年金の場合はそれをもとに給付を決めていくわけでございますから、そのスプレッドを確保する必要が年金財政を維持していくためにはあるわけであります。

 それが一・六という数字でありまして、それを超えておる。ちょっと今手元に資料はありませんが、大体二・七六ぐらいだったというふうに思いますけれども、そのような数字は確保いたしております。

大串(博)委員 今御発言がありましたように、GPIFは、これまで財政再検証で求められている運用利回りを達成してきています。ですので、ある意味、年金の運用、いわゆる百年安心の年金と言われてきた、百年後に一年分の年金支給分の積立金があるということを達成してきているんですね。

 ですので、その中で、先ほど甘利大臣がおっしゃった、安全と有利をどちらも最大、極大化すると。実は、そんなに利ざやをこれから大きく稼ぐという必要は、少なくとも今の年金の仕組みの中ではないんじゃないかというふうに僕は思う。むしろ、いかに安全にやっていくかということが必要なんじゃないかというふうに思います。

 それで……(発言する者あり)国債六割を持つことが安全なのかよという声が今、横からありましたけれども、麻生副総理は、その問題に関しては、国債のリスクが顕現化しないようにするというふうにおっしゃいました。

 ところが、先ほどの年金のこの報告書の中には、脱デフレをした場合に国債保有にリスクが生じると書いているんですよ。政府自身が、脱デフレをしたら国債保有にリスクが生じるとした有識者会合の報告を受けて、まさに政府の閣議決定の文書の中に、デフレ脱却を見据えた、つまり、脱デフレした際に国債保有のリスクがあるからやらなきゃいけないということを書いているんです。

 先ほど麻生副総理がおっしゃった、物価が上がっても国債保有にリスクが生じないようにするというふうにおっしゃったこととは相違った方向、すなわち、こっちではこう言う、こっちではこう言う、非常に都合のいい言い方をされていると私は思います。

 なぜこう言うかというと、年金は極めて重要だからです。なぜかと申しますと、年金に関しては、ことし、財政再検証が今行われております。過去、財政再検証は一回、五年前に行われました。そのときの結果は、私は大変残念だったと思います。すなわち、財政再検証を行って、マクロ経済スライドを働かせなければならない期間が基礎年金に関しては延びてしまった。かなり長い間、基礎年金に関してはマクロ経済スライドがかかって、基礎年金の受給額が下がってしまう、こういうふうな状況になっています。

 今、政府は、この年金は長期的に持続可能だというふうにおっしゃいます。しかし、その意味は、百年後に一年分の支給額がちゃんとたまっている、よって年金を運用する側にとっては大丈夫なんだということです。しかし、受け取る側の年金受給額が本当に大丈夫かという点に関して、十分な検討はなされていないと私は思うんです。

 なぜならば、年金の受給額が十分かという点に関しては、いわゆる所得代替率、モデル世帯において五〇%を維持しているというふうに言われています。基礎年金のマクロ経済スライドが、前回検証の際に、終了するのは平成五十年です。平成五十年のときに、本当に、旦那さん、奥様、その二人が年金受給者であるというような普通の世帯がどれだけ一般的なのか。これだけ非正規の労働者がふえている中で、基礎年金のみの受給者がふえている中で、モデル世帯だけを受給者のモデルとして本当に大丈夫なのかという点はあると私は思うんです。

 この点に関して私が心配しているのは、今回の財政検証において、また極めて有利な、楽観的な金利推定をして、年金はずっと大丈夫なんだというふうな非常に楽観的な見積もりをされてしまうんじゃないかという心配をしているわけです。

 そういうふうな財政検証にならない、極めて保守的な、誰が見ても信頼できるような財政検証になって、必要な是正措置があれば早目から講じていくというような、信頼の置ける年金、財政検証に今回必ずしていくんだという考え方をぜひ厚労大臣から示していただきたいと私は思います。いかがでしょうか。

田村国務大臣 財政再計算を何度かやってきて、前回から財政検証という名前に変えたんですけれども、五年ごとに、年金が持続可能であるか、給付とそれから負担のバランス、これがとれるようにということでやっておるわけであります。

 まず一点目から言いますと、先ほど来申し上げております、目標運用利回りと名目賃金上昇率のスプレッド、これが大事である。今までなぜ、先ほど二・七六、目標値を超えられたかというと、運用利回りは低かったんですが、賃金が上がらない、場合によっては下がる、だからスプレッドがとれたわけですね、運用利回りが低くても。

 しかし、我々が今目指しているのは、所得をふやそう、収入をふやそうという話でありますから、名目賃金が伸びるということを前提に今、経済政策を組んでいます。そうなれば当然、目標運用利回りは高くとらないと、それは確保できない。国債のリスクという話をされましたが、国債の運用利回りが低いままだと、これがとれないという話になる。もちろん、キャッシュアウトかどうかという、キャッシュアウト局面になればまた違ったことがあるのかもわかりませんが。

 だから、そういう意味からしますと、やはり一定のポートフォリオの見直しというものは目標運用利回りに合わせてやる話なんだろうと思います。その中において、いろいろな運用対象があった方が、分散投資という形でリスクを減少する、その中でどういうような配分をとるかということになるでありましょうけれども。

 我々、年金は、国民の皆様方、言うなればこのために、安全で効率的な運用を目指すというのがGPIFでございますから、これを実現していきたい、こういうことであります。

 後段に関して申し上げれば、言われるとおり、ちゃんと安全に我々は年金をやっていかなきゃならぬわけであります。いろいろな、モデルが変わってきておるという話がありますが、そのために、御党と我々と公明党とで議論して、非正規の方々に関しましても厚生年金の方に、被用者年金の方に入れていこうという動きをまず第一にやりました。これからもこれに対しては、いろいろな見直しも含めて、我々も検討していかなきゃならない部分があろうと思います。

 そのような形で、しっかりと年金の給付額というものをそれぞれ確保していく、こういうことも考えていかなきゃならぬというふうに思っております。

大串(博)委員 マクロ経済スライドがかかる結果、基礎年金に係る所得代替率はほぼ六割ぐらいに下がってしまう。つまり、基礎年金を持っている方々の所得代替率は、これから平成五十年までの間に三分の二になってしまうということなんです。この現実を踏まえて、さらに年金問題、もっともっと議論させていただきたい、この予算委員会の場でということを申し上げさせていただいて、私の質疑を終わります。

二階委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡田克也君。

岡田委員 岡田克也です。

 まず、質疑に入る前に、今回のこの予算委員会の日程、運びを見ておりまして、やはり私は、少し粗過ぎると思うんですね。私自身、この予算委員会で与党の筆頭理事、野党の筆頭理事、いずれも務めてまいりました。もう何年も予算委員会に所属しております。そういう目から見ても、先ほどの説明で、いや、与党の議論を削ったからいいじゃないか、野党の時間は十分足りているという御説明でしたけれども、国民から見れば、やはり与党の質疑も聞きたいわけですね。どういう議論を与党が提案しておられるか。ですから、野党、与党の時間も含めて、全体としてもう少し時間を確保すべきだということを私は申し上げているわけです。

 私は思うんですけれども、やはり国民ということを意識して委員会の運営というのはあるわけで、与党も野党もきちんと議論して、全体としても常識的な線に抑える。やはり今回は非常に短い。

 なぜこうなったのかということを考えますと、私はやはりこの国会を始めるのが少し遅かったんだと思うんです。私が想定していたよりも遅く始まりました。だから、全体の日程がきゅうきゅうになっているわけですね。もう少し早く始められるということがあれば、私はいろいろな問題がなかったんじゃないかというふうに思いますが、ぜひお考えをいただきたいというふうに思います。

 そこで、まず選挙制度改革についてお聞きしたいと思います。

 二週間前に、野党五党、民主、維新、みんな、結い、生活、この五党で、衆議院選挙制度改革について基本的な合意に達しました。

 与党案と我々の案との最大の違いは、小選挙区について、さらなる格差是正、一票の格差の是正あるいは定数削減ということをやるのか、あるいはやらないのか。やらないのは与党案です。そこが最大の違いであります。

 私は、当然、これだけの大きな格差も残っている中で、しかも、比例にだけしわ寄せするのではなくて、小選挙区、比例、いずれも定数を削減するということが極めて理にかなった答えではないかというふうに思うんですが、総理はいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 最初の御意見にございました委員会の運営においては、まさにこの予算委員会において決めていかれるものと思います。

 与党と野党の質問の割合等においては、私は、理事会等において、いわば、まさに民主党側からの考え方としても、与党の質問の比率を少なくせよ、そういう御意見もあったというふうに承知をしております。

 いずれにせよ、それはこの委員会において決められるものだ、このように思います。

 そこで、今御質問のございました選挙制度改革についてでありますが、一票の格差是正については、昨年十一月の最高裁判決において、平成二十四年の衆議院総選挙の時点では違憲状態との判断がなされたものの、その後の〇増五減の区割り改定が一定の評価をされており、現在では、違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えています。

 いずれにせよ、一票の格差是正については、民主主義の根幹に関する事項であり、今後とも、各党各会派による御議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

 そして、それを踏まえての定数削減についてでございますが、定数削減ということにつきましては、我が党におきましてもさまざまな議論がありまして、国際比較においては、日本の国民の人口に対する国会議員の比率においては、必ずしも議員の数が多い方には入らない、むしろ少ない方に入るわけでございます。他方、我々、消費税を引き上げていく中において、国会議員みずからも身を切るという御意見も多数あるということもございます。

 そうしたことを踏まえ、我が党としては、我が党の案を既にお示ししているところでございますが、これは民主主義のまさに土台をつくっていく議論でありますから、しっかりと各党各会派が入って議論が進められていくことがふさわしいわけでございますが、そこでなかなか今も決まらないという状況が続いている中におきましては、国会において、この選挙制度の改革においての議論をする、いわば専門家等が入った、有識者が入った議論の場をつくってはどうかということも申し上げたところでございます。

 いずれにせよ、これは各党各会派において御議論をいただきたい、このように思います。

岡田委員 総理は、最高裁の十一月の判決を挙げられるわけですが、あの判決は、違憲ではないという判断は下しました。しかし同時に、一人別枠方式という構造問題は残る、国会はさらなる努力をすべきだということも言っているわけですね。ですから、いや、違憲じゃないからいいんだというふうに考えてしまうのはおかしいでしょうというふうに私は申し上げているわけです。

 やはり、なるべく人口の数に応じて一票の格差というのは縮小していく必要があるし、何よりも、前から問題になっている、各都道府県に一議席配分するという基数配分、これは基本的に今の状態でも残っているわけですね。そのことは最高裁も認めているわけです。

 現に、例えば神奈川県と大阪府を比べてください。人口は神奈川県の方が多い。しかし、神奈川県は十八議席だけれども、大阪府は十九議席である。これはやはり、神奈川県の方から見たら、なぜ人口が多い神奈川県が議席が少ないのか。これは論理的に説明できないと思うんですよ。やはり、投票、一票の価値というのは民主主義の土台ですから、そういった事態がないように格差是正に努めていくということは、これは避けられないんだと私は思うんです。

 小選挙区制度で、これをいじることが大変だということはよくわかります。民主党も大変ですが、その数倍、自民党は大変でしょう。だけれども、だからといって、これを放置しておいて、先ほど言ったような逆転現象もある、住んでいる場所によって一票の価値が大きく違う、そういう状態を放置していいのかということを申し上げているわけです。いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 昨年十一月の最高裁判決では、〇増五減の区割り改定については、「是正の実現に向けた一定の前進と評価し得る法改正が成立に至っていた」とした上において、「今回のような漸次的な見直しを重ねることによってこれを実現していくことも、国会の裁量に係る現実的な選択として許容されている」という判示を示しているわけであります。一定の評価がなされていることから、現在では、違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えています。

 そこで、一人別枠方式についてでありますが、この一人別枠方式の廃止の評価でございますが、一人別枠方式については、平成二十三年三月の最高裁判決で速やかに廃止することが求められたところでありまして、そして〇増五減の緊急是正法の成立により廃止されたところであります。

 また、昨年十一月の最高裁判決においては、〇増五減の区割り改定は、「一定の前進と評価し得る法改正が成立」として評価をされておりまして、現在では、違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えているわけでございます。

岡田委員 ですから、一定の前進とか、許容される範囲とか、そういう言い方を最高裁はしているわけです。つまり、ちゃんとした合格点かどうかということについては言っていないわけですね。憲法違反ではないということは言っています。やはりここは民主主義の土台ですから、きちんとした議論をすべきだというふうに思います。

 いずれにしろ、それは各党間で、あるいは衆議院議長のもとに置かれる第三者のその場で議論すればいいと思いますが、一つ私は総理にお聞きしたいんですが、議長のもとで第三者機関をつくるということですけれども、これは余り時間をかけちゃいけないというふうに思うんですね。

 中身は、それは自民党は、小選挙区はさわらない、定数削減だ、こう言われるかもしれません。我々はそうではないと言っているわけですが、そこは第三者で議論してもらうにして、やはりそこの結論は時間を置かずに出していかなきゃいけない。

 そもそも、この議論のスタートは、あの野田総理と安倍総裁との党首討論です。消費税を引き上げるというときに我々は身を削らなくていいのかというところから始まっているわけですから、やはり、消費税引き上げのこの四月までに一定の方向性が出るぐらいの、そういう全体のスケジュール感で議論すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 定数削減につきましては、我々は、三十人削減する、比例の議員を中心にではありますが、三十人削減するという案を、党としての考え方としてお示しをしているところでございます。

 しかし、これは、各党各会派によってまだ意見の開きがあるわけでございますが、いずれにいたしましても、なかなか、各党各会派でこの議論を重ねていっても、そう簡単にこれは収束していくという状況ではないということから、私は、議長のもとに第三者機関として専門家、有識者から成る場を設定してはどうかということを申し上げたわけでございます。

 そこで、時間についてあらかじめ私が申し上げる立場にはございませんが、大切なことは、そこで決まったことが各党各会派によって尊重されるか否かということが極めて重要なんだろうな、こんなように思います。

岡田委員 それは、尊重されるだけの内容を持った有識者の会議がきちんと合意できるかどうかということにもかかわっていると思います。

 しかし、もう一度申し上げますが、私は、やはりこれは急がなければいけない話だというふうに思います。消費税の引き上げが始まるときに一定の方向性が見えていなければ、私は、国民は、約束違反だ、そういうふうに受けとめかねないと思いますので、ぜひそういう思いで議論を進めていきたいというふうに考えております。

 次に、密約についての御質問をしたいと思います。

 一月三十一日の予算委員会で、この密約の問題を私は取り上げました。そこで総理の方からはこういう答弁をいただいたわけです。「政府としてどう考えているかということについては、お示しさせていただきたい」ということであります。

 この密約の問題について、その解明を踏まえて一定の政府見解が出るというふうに私は理解をいたしましたが、これは、いつごろ政府見解をお出しになる予定でしょうか。

岸田国務大臣 いわゆる密約問題につきましては、まず、委員御案内のとおり、外務省で調査を行って、平成二十二年三月に調査報告書を公表いたしました。

 そして、その公表の際に、当時の岡田外務大臣が発言されたこととして、外交の評価というもの、これは簡単なものではなく、そして、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨述べられている、こうした発言をされております。

 まず、この点につきましては、今の政権におきましても、この考え方は踏襲をしております。

 そして、一方で、この問題がこれほど長期間にわたって国民に対し明らかにされてこなかったこと、これに対する政府の見解ですが、この点につきましては、政府としましては、遺憾であると考えております。このことについて遺憾であると考え、政府としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力していきたいと考えております。

 これが、この密約問題に対する政府としての見解であります。

岡田委員 私はそんなことを聞いていないんですよ。今大臣がおっしゃったことは、私が外務大臣のときに決めたこと。私は、そのことと違うことを言うつもりは全くありません。

 ただ、それを踏まえてこの場で議論をして、総理の方から、政府としてどう考えているか。つまり、それは、私が申し上げたのは、この密約の問題は主として自民党政権のときに行われたことだ、私はそのことを一方的に批判するつもりはないけれども、しかし、やはり自民党政権としてやってきた以上、自民党政権に政権が戻ったわけですから、基本的な考え方をお述べになるべきではないかというふうに申し上げて、総理はそれを受けて、「政府としてどう考えているかということについては、お示しさせていただきたい」、こう言われたわけです。

 そのことについて、いつごろ、どのような形でその見解をお出しになるのかということを聞いているわけです。

安倍内閣総理大臣 今、外務大臣からも大体、概要について答弁をさせていただいたわけでございますが、あのときにお示しをすると言った政府の考えについて、今この場でお示しをさせていただきますと、いわゆる密約問題については、外務省において徹底した調査を行い、平成二十二年三月にその結果を公表している。調査結果の発表に際して、岡田外務大臣、当時の岡田外務大臣でありますが、岡田外務大臣は、当時の状況については簡単に判断できるものではなく、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨述べられていると発言されたと承知をしております。

 しかし一方で、この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。政府としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力していきたいと考えている。

 これが密約問題に対する政府としての見解でございます。

岡田委員 私はもう少し踏み込んだ見解を総理がお述べになるのかなというふうに予想していました。今の御答弁だと、私が外務大臣のときに、我々は密約には直接かかわることはなかったわけですが、そのとき述べたものと変わらないと思うんです。

 総理は、国民にそのことを示さずに来たのは間違いだったという答弁もされていますよね。やはりこれは、もちろんそのときの状況がいろいろあったということは私も認めます。簡単な政治判断じゃなかったと思います。

 例えば、岸総理が六〇年安保のときに事前協議制を導入されました。これは、私は、日米安保をより対等なものにする意味で非常に意義のあることだったと評価をしています。ただ、その中で、朝鮮半島有事の際には、これは事前協議なしで日本から直接発進できるという約束を、密約ですね、していたということが、今回の密約調査で文書が出てきて明らかになりました。

 いろいろな事情を考えたときに、それしかなかったのかもしれないという思いは私もありますけれども、しかし、国民に対して、この国会の場で、歴代総理大臣がそういうものはありませんと言い続けてきたことは事実なんですよ。そのことに対して、国民に対してどう説明するかということを私はお聞きしているわけです。これはやはり国会の権威にかかわる問題なんです。

 歴代総理大臣、外務大臣がないと言ってきたことが、あるということがはっきりした。私は、一方的に密約そのものを断罪しようとは思わない。それは、私が同じ立場であれば、同じような判断をしたかもしれません。しかし、国民に対してはどうなんでしょうか。明らかに違うことを言ってきたのであれば、それはそのことに対してきちんとけじめをつけるべきじゃないか。

 私は、当時、そういうことも考えました。しかし、やはりそれは違うだろうと。我々の政権の時代の話じゃない、やはり、それは自民党政権がきちんとけりをつけるべき問題じゃないか。我々の政権がやれば、それは一方的に批判することになってしまうかもしれない。だから、そこは私は相当気を使ったつもりなんですよ。

 そして、私は、例えば佐世保や横須賀に行って、そこの市議会議長や市長に謝りましたよ。ずっと最近まで、その市議会の、核を積んだ船が入ってきているということはないですねということに対して、いや、それはありませんという、密約に基づいた答弁を繰り返してきたからですよ。しかし、より当事者は自民党政権ですから、やはり、そのことについて、佐世保や横須賀や、あるいは国民に対してきちんと説明すべきじゃないか。

 私は、総理が、どう考えているかということについてはお示しさせていただきたいというふうに言われたときに、ああ、そういうことについて言及されるんだなというふうに思いましたよ。今の話じゃ、私が言っていたことと変わらないじゃないですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になったいわゆる密約についてもいろいろ種類があるわけでありまして、日本からの米軍の朝鮮半島への戦闘作戦行動、今おっしゃったのは、いわゆる核の領海通過等々に係る認識の問題だろうと思います。

 そこで、今私が申し上げましたのは、岡田当時の外務大臣が、当時、民主党政権下において述べられたことでありますが、いわば政権交代された後、政府として今申し上げたこと、これをお示しをするのは初めてのことでございまして、一方で、この問題がこれほどの長期間にわたり国民に対し明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。政府としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力をしていきたいと考えているということでございます。

岡田委員 明らかにしてこなかったんじゃないんです。国会で明らかに事実と異なる答弁を続けてきたんです。そのことに対して、やはり国民に対してもっときちんと説明し、そして一定の見解を述べられるべきではないかということを私は申し上げているわけです。

 いや、そういうつもりはない、歴代総理が事実に反することを言ってきても、それはそれでいいんだというふうに総理が開き直られるのなら、それは政権のお考えとしてやむを得ないかもしれません。しかし、私は、やはりそれでは政治に対する国民の信頼というのは出てこないというふうに思っているということは申し上げておきたいと思います。

 次に、集団的自衛権について。

 先ほど大串委員も言われましたが、先ほどの総理の答弁の中で、閣議決定しなければお示しできないというふうに言われましたね。私は、それはそうじゃないと思うんですよ。やはり、閣議決定をする予定の案をおつくりになったところで、そこで国会できちんと議論をすべきだということを私は申し上げているわけです。

 閣議決定してしまった後では、これはもう決まったものになってしまうわけです。そうすると、それは国会を経ずに、内閣だけで、あるいは与党だけで、憲法解釈の大幅な修正、変更、つまり、海外で武力行使を基本的にはしないという、その日本の戦後の方針を変えるという大きな解釈変更ですから、そのことを一内閣の判断だけでやっていいのかどうかという議論ですよ。

 これは与党も野党もないと思います。やはり国会であれば、今まで国会の中でこの問題、九条の問題をずっと積み重ねて議論してきたことを考えれば、やはり、正式に決まるまでに議論をすべきだ、そういう機会がなければならない、そういうふうに私は思うんですが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほども御説明をさせていただきましたが、今まさに安保法制懇において、さまざまな議論がなされているわけでございまして、集団的自衛権にかかわることについて、分類をしながら議論を行っております。

 また、集団安全保障にかかわる自衛隊の海外での武器使用に、あるいは行動にかかわること、そしてまた、自衛権発動に至らない、武力行使を行うに至らない段階における自衛隊の活動等々について、いわば法的基盤が整っているのかどうかということ等について議論を進めているところでございます。

 この議論を経て結論が出てくるわけでございまして、この議論につきましても、大体、大まかお示しをしているところでございますが、この場でももう何回も、既に議論が出されていることと思います。

 その上において、出てきた結論に対しまして、政府として、法制局を中心に議論を進めていくわけでございます。そして、その間、与党との関係におきましては、まさに与党と、自民党、公明党の中におきまして議論を進めていく上において、当然、その中におきまして国会の御要請があれば、その議論の過程等についての議論を御紹介させていただくというのは当然のことなんだろう、こう思うわけでございます。

 そして、その上において、政府としての意思決定がなされるというのは、これは、閣議決定をもって、政府として最終的な意思を決定するのは、そこでございます。ですから、それがなされなければ、それはいわば正統性を持った政府としての考え方ではないわけでございますから、その上において御議論をいただく、政府はがっちりとそこでまさに考え方が決定されるということに、法的にもなるわけでございます。ですが、それを、いわばさらに議論を深めていくということは当然ではないか、こう思うわけでございます。

 いずれにせよ、それに至る過程においても、国会の御要請があれば、当然、御議論に応じるのは当たり前のことだろう、こう思うわけでございます。しかし、繰り返しになりますが、閣議決定を経て初めて政府としての決定になるんだということは申し上げておきたい、このように思います。

 その上において、先ほども申し上げましたが、その上において、自衛隊がどう活動していくかということについては、それにかかわる法律が決まっていかなければ自衛隊は動くことができないというのは、これは当然のことでございます。

岡田委員 閣議決定しなくても、案として固めることはできますよね。それを国会できちっと議論して、その審議を踏まえて最終的に閣議決定するということは、私は全くできないことじゃないと思うんですよ。

 それを、閣議決定してしまったら、そこでもう一旦確定するわけですから、変えられないじゃないですか、幾ら議論したって。今は審議はしていないんですよ、だって結論が出てきていないんですから、案が。だから私は言っているわけですよ。

 だから、きちんと政府の案を、これは総理も言っておられるように、安保法制懇の結果が出て、政府の中で調整する、与党と調整する。特に、やはり法律的な詰めが必要ですよ、これは。

 憲法解釈、これを変えるということは、私は絶対できないというふうには考えていません。これは政府の考えと一緒です。

 しかし、政府の今までの質問主意書に対する答弁の中でも言っているように、規定の文言、つまり、例えば憲法九条の文言と整合性があるかどうか、あるいは全体の整合性、今まで国会でいろいろ議論してきたこの九条をめぐる解釈ときちんと整合性があるかどうか、そして論理的に成り立っているかどうか、そういったことについて、恐らく法制局中心にいろいろ議論されるんだと思うんですが、そういうことの議論を、国会をすっ飛ばして、政府の中の調整を終えたら閣議決定するというのは、私は明らかに間違っていると思いますよ。

 それは、今まで国会でずっと議論してきたわけでしょう。しかも、先ほど言ったように、自衛隊を海外に送って武力行使をできるようにする、そういう中身ですから、程度の問題がいろいろあるとは思いますけれども、これはやはり国民的な論議が必要なんです。国民的な論議、国民の理解というのは、やはり国会審議を経てなされることじゃないですか。それをすっ飛ばしていきなりやるというのは、これは私はあり得ないと思うんですよ。

 これは法制局長官の答える話じゃないんですよ。政治論なんですよ。法律論じゃないんですから。あなた、間違っているんだよ。

 総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 もう事実上の議論は既に始まっているわけですね。

 何回も、我々が審議をしている個別事案についてもお示しをしていますよ、ここにおいて。お示しをしていますね。その上において、先般は、岡田委員は、中身、そうした個別事案の中身についてではなくてプロセス論についてお話をされましたから、こういうプロセスで進めていきますよということをお話をさせていただいたところでございます。

 しかし、閣議決定をするというのは、これはプロセスとしては、当然、議論をした上において、いわば内閣としての方針をそこで決定するわけでございます。つまり、決定したものについて、さらにそれが議論されないということではないわけでありまして、当然、これは国会でも議論になるわけであります。

 今までも常にそうじゃないですか。閣議決定したものを国会で議論しているじゃないですか。閣議決定したものとして法律として出して、それを議論しているじゃないですか。ですから、これはプロセスとしてはそういう議論になるわけでありますし、かつ、今回は、大体の議論について今までも議論をしておりますし、これからも、安保法制懇の結論が出た段階におきまして、さらに閣議決定をしていくというプロセス。あるいは、与党との調整がございますよ。与党との調整を経て、最終的に決まらなければ、それはもちろん閣議決定はできないわけであります。

 しかし、閣議決定を踏んで初めて、正式なものとして国会で考え方として議論ができる、まさにこれが正しいプロセスなんだろう、私はこのように思っております。

岡田委員 総理、根本的に誤解していますよ。仕組みを間違えていますよ。

 つまり、法案を今言われましたね。法案は閣議決定するんですよ。そして、国会で議論して法律になるんですよ。でも、今回の解釈の閣議決定は、閣議決定したら確定するんですよ。だから、その前に実質的に国会でしっかり議論する、そういうプロセスが必要だと言っているわけです。法案と一緒にされるのは間違っていますよ。

 しかも、法案よりずっと重い解釈の問題でしょう、憲法九条の中身を実質的に変えるということですから。私は、集団的自衛権について、前にも申し上げましたように、全面的に否定しているものでは必ずしもないんです。しかし、余りにも粗い手続で物事を進めていって、国民の理解も進まないということになれば、これはやはり国の基本が揺らいでしまいますよ。

 やはり、こういう、戦後ずっと日本が平和憲法のもとで築き上げてきた解釈で、そのために国会の先輩たちが時間をかけて、本当に議論を重ねて重ねて、そして今の解釈になっているわけじゃありませんか。それを、国会をすっ飛ばして、いや、開いていれば議論したらいいとおっしゃいましたが、そういう話じゃなくて、きちんと国会で位置づけて、一定の議論をすべきじゃないかということを私は申し上げているわけです。

安倍内閣総理大臣 岡田委員、今までも、憲法の解釈について、法制局で累次、憲法の、例えば自衛権の行使について解釈を示してきましたよ。それは、ある意味ではいきなり法制局長官が考え方を、国会の上においてお示しをしたわけですね。閣議決定もしていませんよ、それについては。お示しをしたわけですよ。そして、そのお示ししたものについて国会で議論していますよ。

 今度は違いますよ。今度は、むしろしっかりと、しっかりと政府としての立場を示す上において、政府としての解釈をどう考えるかということについて安保法制懇で議論した、結論を得たことにおいては、これはしっかりと、まずは法制局を中心に議論をしますが、さらに与党との調整を行い、そして閣議決定、閣議決定をなされて、そして初めて、これは政府として統一的な考え方にするということでありまして、その上において法整備を進めていくということでありますから、むしろ非常に丁寧に物事を進めていると言ってもいいんだろうと私は思うわけでございます。丁寧に進めていく上において、まさに閣議決定をするわけであります。

 つまり、これは、今まではまさに閣議決定を経ていないわけでございますし、考え方として、そこで閣議決定をする必要があるかどうかという議論もあるわけであります。しかし、私は、そこはしっかりと、変更するわけでありますから、閣議決定を行うべきだという考え方のもとに立って、閣議決定を行う。

 閣議決定を行うことによって、まさに私たちの立場が決まり、立場が決まって、法的にしっかりと決まった段階において、内閣として統一した閣議決定によって私たちの立場がここで明確になった上において、それを御議論するということでなければ、答弁をする上において、まだふわふわした段階において我々がどういう考え方を持っているかということについては、これはむしろ逆に、お答えすることが曖昧になる可能性があるわけでありまして、むしろ、閣議決定によって政府の考え方を決めて、御議論をいただく、これは当然のことではないかと思うわけであります。この御議論の中におきまして、それはやはりおかしいということになれば、いわば自衛隊法等の改正に進んでいくことは、もし必要となった場合、それはできないわけであります。

 ですから、この議論においては、まさに私たちは、しっかりと丁寧に、むしろ今までよりもプロセスを踏みながら進めていきたいと考えているということでございます。

岡田委員 閣議決定は、それは必要ですよ。だって、今まで、政府としてのたびたびの国会での答弁や、この予算委員会での答弁や、あるいは質問主意書への答えや、あるいは政府見解や、いろいろなことを重ねてきていますから、それとの整合性をとるためにはやはり閣議決定しなければ、そういうものがまだ生きていることになりますから、閣議決定は絶対必要だと私は思いますよ。

 ただ、閣議決定をしてしまえばそれで固まってしまいますので、それは国民の理解も十分得られないままかもしれない、何よりも、それは法律よりもさらにずっと重要な憲法九条の解釈の問題ですから、やはり国会で真摯な議論をしなきゃいけないでしょう、それが我々国会議員の務めでしょうというふうに、これは野党の議員だけじゃなくて、与党の議員の皆さんにも申し上げたいと思います。そういうのをすっ飛ばして、政府がいきなり決めて、それで後からいろいろ議論したって、それはもう変えられませんよ。国民の理解が得られるとは思えませんよ。国民の間に亀裂が入りますよ。だから丁寧にやるべきだということを私は申し上げているわけであります。

 ぜひ、そのところはよくお考えいただいて、与党の中にもいろいろな議論はあると思います。普通に考えれば、私のような答えになるんだと思います。ぜひそこは、よく皆さんの意見も聞いていただき、慎重にお考えいただきたい。

 先ほどの密約の問題もそうなんですが、結局、総理の視野の中に国民というものはないんじゃないかと私は思うんですね。やはり国民に対する理解というのを丁寧に求めていくということが、大きな与党だけに、より求められるんじゃありませんか。粗っぽくどんどん進めていって、いや、憲法九条、海外で武力行使しない、こんなの閣議決定で変えればいいんだ、それは私は違うというふうに思うんですよ。ぜひ、よくお考えいただきたいと思います。

 終わります。

二階委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 本日、昼にこの予算案の採決をするということが、昨日、委員長職権で決められました。厳重に抗議するとともに、強くこの撤回を委員長に求めます。

 中央公聴会の職権による議決から始まって、分科会の職権による議決、そして今回の職権による採決、ほかの予算関連の財務金融委員会、総務委員会も、職権で強引に立てられております。

 消費税を四月に控えて、大変重要な平成二十六年度の予算審議で、しかも、一般会計の予算規模は九十六兆円と過去最大です。実質審議入りから衆議院通過まで、休日を除いて、たった十四日間、二〇〇一年以降で最速の審議です。審議時間は本日も入れてちょうど七十時間、一日七時間の審議とすればわずか十日間で、一般会計だけでも百兆円近い税金の使い道をこの衆議院で決めてしまうわけです。平成に入ってからも、二十六回目の総予算審議ですが、今回の審議時間は四番目に短い時間となります。

 幾ら衆参のねじれがなくなったからといって、本当にこんな超特急審議でいいのでしょうか。委員長、きょうの採決を撤回願えないでしょうか。

 これは、まだ煮詰めなければならない議論があります。

 例えば、今も出ました集団的自衛権の問題です。安倍総理が閣議決定で憲法の解釈を変えることを表明し、しかも、閣議決定前の公聴会も含め、集中した国会での議論を行うということをいまだ決めておりません。この問題では、本来、答弁に立つはずの法制局長官が長期間不在で、法制局の的確な答弁が得られないまま、生煮えの中、本日、採決がされてしまっていいのか。

 本来は、この集中審議、憲法と集団的自衛権の集中審議は本日行われる予定だったわけで、我々はそれを提案していたわけであります。しかし、その集中審議をせずに、きょうのお昼には予算委員会を閉じようとするのはなぜなのか。この集中審議もできないようでは、憲法解釈変更の閣議決定前の国会審議などはほとんど期待できないと言わざるを得ません。国民の代表者が集まる国会で、憲法解釈をどう変えるのか、閣議決定前に時間をかけて議論するのは、立憲主義の観点からも当たり前ではないでしょうか。

 NHKの会長に至っては、この予算委員会で、自分の発言すら、後日公開される議事録を見てくれとの趣旨の答弁を繰り返し、たびたび審議もとまりました。このまま予算委員会がNHK問題の幕引きを許すことは、予算委員会の権威をおとしめるものとなります。

 しかも、自民党は、NHKの経営委員で問題発言があった百田氏の参考人招致を拒否しました。国会同意人事で決まった重い人事にもかかわらず、なぜ拒否するのですか。本人も国会に出席したいという意向があると聞いています。なぜ堂々と国会で答弁されないんですか。

 エネルギー基本計画に対する質疑では、閣僚の質疑妨害とも受け取れる、質問に答えない長々とした答弁が幾度となく繰り返されました。

 我々野党は、これまでの野党とは異なり、要請があった総理の外遊は了解をしています。首相の仕事の半分は首脳外交であると考えているからです。外交は重要です。

 しかし、国会も重要であることを忘れてはおられませんか。

 我々は、無理難題を言っているのではありません。今回のように平成に入って四番目に短いスピード審議ではなく、平均的な審議時間を確保してほしいと言っているにすぎません。百兆円近い巨額な税金の使い道を決めるこの委員会が、衆議院でたった七十時間、一日七時間審議と換算するとたった十日間で閉じられることを強く抗議するとともに、強く採決の撤回を委員長に求めます。

 このようなスピード審議の採決の撤回を強く求め、この採決は受け入れられません。

 以上です。(退場する者あり)

二階委員長 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。

 民主党・無所属クラブの質疑時間が残っておりますので、そのままでお待ちください。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、お諮りいたします。

 三案及び各修正案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官藤本一郎君、文部科学省大臣官房長戸谷一夫君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、防衛省経理装備局長伊藤盛夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 日本維新の会の松野頼久でございます。

 今、当委員会で民主党が退席をされました。多分、これは強引な国会運営に対する抗議であろうというふうに思います。

 私も十数年国会運営に携わってまいりましたが、確かに、去年の特定秘密保護法案で総理が丁寧な国会運営とおっしゃっていたとは思えない、少し強引な国会運営だなということを私も思います。

 通常、大体、二月二十八日、きょう予算が上がるというのも、これは相当早い。我々も、きょうは本来であれば集団的自衛権の集中審議、そして来週、我々の修正案をしっかり質疑をしてくれということを理事会の中で申し上げていたというふうに思いますけれども、それを無視されたまま、きょう締めくくり総括ということでありますので、ぜひこれは、しっかりとした、野党の意見も聞くような国会運営を冒頭お願い申し上げる次第であります。

 先ほど安倍総理と岡田委員の議論を聞いていまして、これはちょっと通告しておりませんけれども、一問聞きたいと思います。

 先ほど、集団的自衛権に関して総理が、憲法の解釈を法制局が行っているやの御答弁がございましたけれども、憲法の、法律の法制解釈権を行政府である内閣法制局が持っているんでしょうか。

小松政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 大変重要な点だと存じますので、憲法解釈の変更について、大前提を法制上の観点から御説明申し上げることをお許し願いたいと思います。

 まず、憲法第八十一条は、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と規定し、いわゆる違憲立法審査権を定めてございます。

 したがって、憲法の最終的な解釈は最高裁判所において示されるものでございますが、当該権限は司法権の作用でございますので、ドイツ、フランスにございますような憲法裁判所がないという現行日本国憲法のもとにおいては、裁判所の判断が示されるためには具体的な訴訟事案が提起されることが必要でございまして、また、仮に判断が示された場合でも、裁判所の判断は当該個別の訴訟についてのみ効力を有するということでございます。

 他方、憲法第九十九条は、公務員の憲法尊重擁護義務を定めているところでございまして、行政府が日々その権限の行使を行うに当たりまして、その前提として憲法を適正に解釈していくことは当然必要なことでございます。

 このような観点から、憲法の解釈については、まず第一義的には、憲法第六十五条において「行政権は、内閣に属する。」と規定されているとおり、行政権の帰属主体である内閣がその責任において行うべきものでございます。

 そこで、今委員から御質問ございましたように、行政府の憲法解釈というものは内閣が行うべきものでございます。

 内閣法制局の役割ということでございますが、これは、内閣法制局設置法第三条において、内閣法制局は、法律問題について、内閣、内閣総理大臣、国務大臣に意見を述べることと書いてございますので、内閣が最終判断を行うに当たって、法律のプロフェッショナルという立場から適切な意見を申し上げるのが私どもの役割であるというふうに認識してございます。

松野(頼)委員 ぜひこれはきちっと答弁してほしいんですけれども、要は、法制局長官の答弁が金科玉条のごとく、憲法解釈権であるかのような議論がなされていることは、私は大きな間違いだと思うんですね。行政権を執行する上での法的なそごがあるかないかということを総理にアドバイスするのがあなたの役割であって、集団的自衛権の憲法解釈を内閣の法制局がするというのは行き過ぎであり、ぜひ、その認識があるならば正していただきたいというふうに思います。

 もう一問、法制局長官に伺います。

 では、立法府である衆議院、参議院法制局長の解釈権と、行政府であるあなたの解釈権では、もしそこが違ったとしたら、どっちが優先するんですか。

小松政府特別補佐人 これは先ほど総理から的確に御答弁しているところでございますけれども、これはまだ結論を今予断することはできないわけでございますが、仮に行政府の憲法解釈を一部でも変更するといたしますと……(松野(頼)委員「行政府は憲法解釈できないよ」と呼ぶ)いえ、行政府は第一義的な憲法解釈……(松野(頼)委員「行政上のだけですよ」と呼ぶ)いえ、第一義的には憲法解釈をするわけでございます。

 ただ、それが、行政府が憲法解釈をまずして、それを全てそのまま行政に反映できるかといえば、それはそうではないわけでございまして、例えば自衛隊の行動にかかわるような内容のものであれば、当然これは立法措置を必要とするわけでございまして、そのしかるべき立法措置を、国の唯一の立法機関であり、国権の最高機関である国会にお願いする必要があるわけでございます。総理は、この問題について、まず第一義的に内閣の考え方を決めた上で、それに基づいて必要な立法措置を国会にお求めになるとおっしゃっているわけでございます。

 そこで御質問でございますけれども、行政府の、内閣のアドバイザーである内閣法制局と、それから、議院に置かれている法制局、これは国会のアドバイザーでございますので、どちらの判断が優越するとかいうものではないということでございます。

松野(頼)委員 いや、ある意味、国会は国権の最高機関なんですよ。そこの両院の法制局長と行政府の法制局長官の優位性を尋ねているんですが、そこに優位性はないとおっしゃるんですか。

小松政府特別補佐人 委員が正しくおっしゃいましたように、行政府の、内閣の第一義的な憲法解釈という場合に、内閣法制局長官は意見を述べるという立場にございます。適切な、内閣総理大臣に採用していただけるような恥ずかしくない意見を述べるべきでございます。それが役割でございます。その役割が果たせなければ、これは職を辞するべきだと思います。しかし、その内閣法制局の意見がそのまま内閣の見解になるわけではございません。

 次に、立法府でございますが、立法府に、議院に置かれている法制局がある。これもアドバイザーでございますから、議院の法制局の意見がそのまま国会の御意思になるわけではないというふうに理解しておりまして、したがいまして、アドバイザー同士が意見を闘わせてどちらが優越ということはないというふうに考えております。

松野(頼)委員 そこはしっかり整理する必要があると思うんですね。

 それと、もう一点伺います。

 この予算審議を通じて、要は、法制局長官が不在の状況で、次長が政府参考人として当委員会で答弁をされていました。この政府参考人の答弁は、内閣としての答弁と認められるのかどうか。

小松政府特別補佐人 私は心ならずも一カ月近く入院をいたしまして、その間、内閣に多大な御迷惑をおかけするとともに、先ほども長妻委員の御指摘にもございましたように、本来国会で御審議に答えるべきことで大変多大な事象をもたらしたということについては、心から申しわけなく思っておりまして、この場をかりておわびを申し上げます。

 私不在中の次長の答弁でございますが、これは内閣法制局長官事務代理というのが正式に発令されておりますので、次長の答弁は内閣法制局を代表した答弁でございますけれども、それが内閣の見解そのものかというと、それは違うわけでございます。

松野(頼)委員 お体のことは、我々もこれはいたし方ないということで納得して、そのことはお認めさせていただきましたので、そのことは結構なんですけれども、ただ、事務代理はあるけれども、法律上の欠格事項は法制局長官にはないんですね。衆議院の法制局長には欠格事項、要は欠けた場合の事項が書いてあるんですけれども、これは法律として書いてないんですよ。

 ですから、その辺はしっかり今後整理する必要があるのかなというふうに思いますし、この件は、集団的自衛権が出てきたらまたしっかりやりたいと思います。

 時間もありませんので、予算に入らせていただきたいと思います。

 まず、総理、今回、ダボス会議で法人税減税について言及されています。世界標準並みの法人税減税を行う旨の表明をされているんですが、当予算には減税分の予算が盛り込まれていないのと同時に、法人税の減税、実効税率の引き下げを今回見送られていますが、なぜ今回見送られたのか、御答弁いただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 法人課税の改革については、まずは与党に検討いただきまして、政策効果の検証や、あるいは課税ベースの拡大や他税目での増収策の検討といった論点が示されたところでございます。また、日本経済の活性化のためには、産業構造も含めた大きな議論が必要であることは事実であります。

 こうした議論を行いながら、グローバル経済の中での競争等も考えながら法人課税のあり方を検討していくことが重要であると考えておりまして、本年、さらなる法人税改革に着手することといたしました。

 今後の政府税制調査会において、専門的な観点から、法人実効税率のあり方、課税ベースのあり方、政策効果の検証、他の税目との関係などについて検討を行っていく考えでございます。

松野(頼)委員 今回、我が党は、結いの党と共同提案で修正案というのを出させていただいております。その修正案では、法人減税に踏み込んでいるんです。

 桜内委員に伺いたいんですが、法人税減税を今回の予算案修正案に盛り込んだ意味を教えてください。

桜内委員 お答えいたします。

 予算とは、国の進むべき方向性を財務面で表現した、非常に重要なものと考えております。その上で、我々は、今回、抜本的な予算の修正案を提出いたしたところです。

 その中で、一つの大きな項目といたしまして、法人税の約一〇%の減税というものを盛り込んでおります。やはり、日本経済の復活をなし遂げるためには、従来型の裁量的財政政策によるばらまきよりも、こういった民間投資を喚起するための法人税の税率の引き下げ、実効税率の引き下げこそが何よりも重要であると考えております。

 我々の修正案では、世界じゅうから資本を呼び込み、グローバル競争に打ちかつことのできる強い経済をつくり上げるために、法人税率を三五・五%から二五%へと約一〇%減税し、経済成長の基盤である国際競争力を強化することとしております。

 法人税を一〇%減税した場合、約二兆九千六百三十億円の歳入が減ることとなりますが、その財源は、徹底した行財政改革による歳出削減のほか、公的年金制度の積立方式への移行や、医療保険の自己負担割合の一律化などによって、後年度も含め、安定的な財源を捻出することとしております。

松野(頼)委員 また、今度は総理にお伺いしますが、復興特別法人税を一年間前倒しいたしました、約八千億。しかしながら、復興特別所得税はそのまま残されたわけですね。企業は減税をしましたけれども、個人所得に関しては増税をそのまま残しているという状況に関して、なぜそのまま残したのか、教えてください。

麻生国務大臣 復興特別所得税の減税についてのお尋ねがあっておりますが、これは、個人に対する所得税の減税というのを行えば、個人の可処分所得が増加するということにつながります。

 所得、消費の持続的な拡大につながるという自律的な好循環を実現しようと思えば、少なくとも、足元の企業収益にきちんと影響して、それが従業員に還元する、給与として、賞与として。また、企業の成長に向けた投資を促すことによって将来の収益拡大ということにつながって、それを個人の所得やら消費の拡大につなげるという総合的な取り組みの方が所得税の直接的な減税より効果があるというように考えさせていただいたのが、その大きな背景であります。

松野(頼)委員 維新、結いの修正案では、復興特別所得税の減税も行っています。

 そこのところ、どういう理由で減税を予算に反映させたのか、お答えください。

桜内委員 この点は、結いの党からの提案でもあったわけですけれども、子育てや介護を担っている現役世代への支援という意味合いとともに、消費税増税によります反動減を緩和する措置として、約三千億円程度でございますが、復興特別所得税分を減税しようということとしております。ちなみに、お手元に松野委員の配付資料が配られておりますけれども、その中の七枚目、7というところで、色刷りですけれども、今回の私どもの修正案の全ての項目について、金額も含め記載されておりますので、これも御参照ください。

松野(頼)委員 要は、今回の税制を見ても、企業からは減税をしているんですけれども、個人からはさまざまな増税や社会保障の負担というものを取っているんですね。総理が財界に対して賃上げの要請をされていますけれども、要は、企業に利益を上げるから、ぜひそれを賃上げに回してくださいということですよね。可処分所得を上げてくださいということですね。

 ただ、個人の方の増税や社会保障の負担は、これは強制的に税や保険料の値上げでやっているにもかかわらず、企業の方の賃上げの方は要請ベースなんです。結果、今、企業は三百兆という留保金をため込んで、リーマン・ショック以降は若干落ち込みましたけれども、直後からまたふえ続けているという状況。

 この三百兆の留保金をどうやったら賃上げなり、もし賃上げを聞かない場合には、留保金に課税をするという考え方はないんでしょうか。財務大臣でも結構です。

麻生国務大臣 今、御意見がありまして、確かに企業は約三百四兆円の内部留保がたまっておると予測されます。正確な数字ではありませんけれども、予測されます。

 したがって、通常ですと、これは株主配当に回るか、設備投資に回るか、個人の給与所得、いわゆる労働分配率を上げる、難しい言葉で言えばそういうことになりますが、そういったものに回されてしかるべきだということになっておるんですが、残念ながら、松野先生、今まで世の中がデフレーションということだったものですから、企業はためた金をじいっと持っておきさえすれば、物価が下がったんですよ。だから、じいっと持っていて、上がっちゃった。(松野(頼)委員「それがふえているんです」と呼ぶ)間違いなくふえていきつつあります。デフレが続く以上、必ずそうなります。

 したがいまして、我々としては、まずはインフレーションターゲットというので、普通、十何%のインフレを二%に下げるというのをやった国は幾つもありますけれども、マイナスのデフレーションのものをプラスの二%のインフレーションターゲットというものを設定した国は日本以外にありません。

 そういったことをやらせていただいておりまして、我々としては、企業の持っているそこのところをなるべく、吐き出させるはちょっと品がよくないですな、もうちょっと出していただくという形にしていただかないと、なかなか企業として、景気として回っていかないことになるのではないかと思いましたので、私どもとしては、所得拡大促進税制の拡充とかいろいろなもので、今設備投資をすれば間違いなく即時償却を認めますとか、いろいろな形で、御存じのとおりなので、そういったような形の設備投資減税をやらせていただいたり、研究開発促進税制をやらせていただいたり、そういったようなものをやらせていただいて出させようとしておるというのが実際のところです。

松野(頼)委員 要は、それで聞かなかった場合ですよ。来年もまた留保金が積み上がった場合、今回の減税分をまた企業が留保に回した場合、要請ベースではもうこれは無理だとなった場合ですね。例えば、土地家屋に関しては市町村税ですけれども、固定資産税は一・四%という保有税がかかっています。この現金、留保金に関しての保有税というお考えはないんでしょうか。

麻生国務大臣 御存じかと思いますが、御指摘の留保金というものは、これは既に税金を払った後の金ですからね、基本的には。

 したがいまして、損金算入につきましては、平均給与がずっとふえていないのに、配当は十年前と比較して約二倍にはふえておりますので、配当は間違いなくふえておると思っております。平成十四年が六・五兆が、今十四兆ぐらいになっていると思いますので。

 したがいまして、事業の経費ではない、利益処分に当たります配当の損金算入を認めることが適切かと言われると、ちょっと考えないかぬところであります。これは仮定の話ですので、ちょっともう少し、この一年間ありますので、今後の状況を見て、四月以降、消費税が伸び、いろいろな形で世の中が変わっていきますので、その中で企業の行動がどう変わってくるかを見た上で判断をさせていただきます。

松野(頼)委員 次に、社会保障制度の世代間格差について伺いたいと思います。

 平成十七年度に出された年次経済財政報告によると、二十歳未満の世代と六十歳以上の世代の間には、一生涯を通じて、一世帯当たり一億円もの差が生じるという報告が出されています。

 この不公平感を是正するために、世代間格差の是正が必要か必要じゃないか、総理、御答弁いただけないでしょうか。

田村国務大臣 社会保障全般、いろいろな制度があるわけでありますけれども、例えば、年金制度に関しますれば、そのような世代間格差というものがいろいろと国民の皆様方の中で意識があられる中において、マクロ経済スライドというような制度を導入することによって、今給付されておられる年金受給者の方々の年金水準というものを、物価が上がる、賃金が上がる中において、本来、年金がスライドして上がっていく部分をある程度抑えながら、実額では下げないけれども、全体として水準としては下がっていくというような施策等々を取り入れる。

 また一方で、今、七十歳から七十四歳の方々に関しては医療は自己負担一割でありますけれども、これも本来に戻すという意味で二割負担にお願いする等々の幾つかの対策を組む中において、世代間の不公平というものに対しても、一定程度我々もお応えをさせていただくというような施策をとっておるわけであります。

松野(頼)委員 現在の出生率並びに人口の推移を見ると、果たして現状の賦課方式のまま、継ぎはぎで本当にやっていけるのかという不安があるんですね。

 抜本的にこの年金制度を変えるべきではないかと思いますけれども、維新、結いの修正案の桜内委員から御答弁いただけないでしょうか。

桜内委員 現在、税と年金保険料を合わせて毎年三十兆円程度の金額が、働き盛り世代、若者世代から高齢者世代に所得移転されているという現状があります。

 働き盛り世代や若者世代の負担が過大である一方、これが高齢者世代へと所得移転されている構造を一日も早く改め、一般会計から移転される社会保障関係費を最小限度に抑制する安定的な社会保障制度を確立しなければなりません。

 我が党は、昨年の臨時国会に、世代間格差を是正するための公的年金制度及び医療保険制度の改革の推進に関する法律案を提出いたしました。同法案に基づき、公的年金制度を現行の賦課方式から積立方式に移行することにより、持続可能な公的年金制度を構築すると同時に、本予算修正案においては、一般会計から年金特別会計への繰り入れを約三兆円削減することとしております。

松野(頼)委員 今の人口推移を見ると、やはり抜本的にこの年金制度を変えなければ、本当に年金財源がもつのかということ、これをぜひ政府も考えていただきたい。お願いします。時間がないので、もう答弁はいいです。

 次に、今年度予算の科学技術について伺いたいと思います。

 今回の政府の予算では、科学技術費二・八%増となっています。しかし、例えば二十年度の科学技術白書によれば、二〇〇〇年度を一〇〇とした場合、二〇〇七年で、アメリカは一三〇%、イギリスは一二〇%、韓国は一七三%、中国は二二五%、もっと大きな額を各国は伸ばし続けているんですね。それに比べて、確かに総理も、科学技術は大事だ、将来への投資だというふうにおっしゃっていますが、実際に、予算上の数字というのは二・八%なんですよ。

 これしか伸ばさないで本当に大丈夫なのかということを感じるんですが、御答弁いただけないでしょうか。

下村国務大臣 昨年の六月に閣議決定されました日本再興戦略において、科学技術イノベーションは、我が国の成長を支える柱の一つとして、その重要性が指摘されているところであります。

 文科省としては、同戦略等を踏まえ、基礎研究、人材育成、研究開発インフラ等の我が国全体の科学技術の基盤を発展させる取り組みとともに、革新的なイノベーション創出を目指した取り組みや、国家基幹技術の開発等を進めるため、必要な予算を計上しております。

 今後とも、科学技術政策の中心的な役割として、その充実強化にさらに努めてまいりたいと思います。

松野(頼)委員 もう少し伸びが欲しいですね。

 修正案はどうなっていますか。

桜内委員 お答えいたします。

 日本維新の会は、文部科学省の科学予算を三〇%増の九百三十四億円増額、研究に関する予算も三〇%増の一千五百三十六億円増額、合わせまして合計二千四百七十億円と、政府予算よりも約六倍の増額をしております。また、やる気のある生徒を支援するための育英奨学金関係予算も、三〇%増額をしております。

松野(頼)委員 諸外国の伸び率を見ると、ぜひ、こういう委員会の質疑をてこに、来年は予算要求をしていただければと思います。

 若干、行革について伺います。

 今回の予算でも行革は一つのテーマだというふうに思いますが、今回の予算上で、政府としてここを絞った、ここの無駄を省いたというところがあれば、お答えください。

安倍内閣総理大臣 政府としては、平成二十六年度予算において、個々の予算について、さまざまな要因を勘案いたしまして予算額を決定し、経済再生と財政健全化の両立を図っていく観点から、全体としての予算を編成したものであります。

 この予算においては、未来への投資や暮らしへの安全、安心といった重点項目にまさに特化していったわけでございますが、基礎的財政収支を五・二兆円改善いたしました。そして同時に、新規国債発行額を一・六兆円減額いたしました。行財政改革も大きく前に進めているものと考えております。

 今後とも、行財政改革にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

松野(頼)委員 ちょっとここは非常に大きな差が出ると思うんですが、修正案をお答えいただけないでしょうか。

桜内委員 今般、我が党は、一般会計六千四百八十四項目、約九十六兆円、それから特別会計一千四百九十八項目、約四百十一兆円から成る平成二十六年度政府予算案について、法的根拠の有無、あるいは重要度、緊急度等を勘案しつつ、徹底的に精査をいたしました。

 その結果、法的根拠が曖昧な交付金、補助金、委託費等の移転支出に関しまして、それぞれ、一〇%、二〇%、五〇%の削減を実施することとしております。また、独立行政法人の運営費交付金は一割削減、不要不急の基金への積み増しは二割削減、このほか、各省庁の庁費も二割削減としております。加えて、国会議員の歳費及び国家公務員、教員の人件費も一割削減としております。これらの行財政改革によって、約一・五兆円歳出を削減することができております。

 ちなみに、先ほど申しました配付資料の七枚目に、今回の修正案の全ての修正項目を記載しております。

 その結果、一般会計、特別会計合わせまして、歳入歳出を七兆六百三十九億円削減しております。これに伴いまして、新規国債発行額も約五・六兆円削減することができるというような修正案となっております。

 結果といたしまして、一般会計、特別会計の連結ベースにおきましては、政府案と比較いたしまして、基礎的財政収支は約一・六兆円改善、国債残高は約五・六兆円圧縮という形となっております。

松野(頼)委員 若干、この予算案を党内で見たときに、基金とか庁費が一割、二割というのはちょっと不満だったんですね。給料も一割ぐらいであればちょっと不満だなというふうに思いましたけれども、それでもこれだけの数字をたたき出すことが私はできると思います。

 ですから、本当に一千兆もの借金を抱え、この四月からは消費税の増税で個人の負担をふやすという状況ですから、もっと切り込む余地は政府案はあると思いますので、ぜひそこはしっかり来年度予算のときには見て、無駄なものは切る、そして財政再建に寄与していただきたいということをお願い申し上げるところです。

 続きまして、今のこの防衛費、国際情勢が緊迫している状況の中で、これは十一月二十三日に中国が防空識別区を設定してから、非常に緊急発進の回数がふえているんですね。去年の十月―十二月の三カ月間で、何と百三十八回です。同じ年の四月―六月六十九回に比べると、倍以上に緊急発進がふえている。これはやはり、航空自衛隊に対して今これだけの負担がかかっているという状況ですから、しっかり予算上の措置をしなければいけない。

 聞くところによると、自衛隊の飛行機のメンテナンス、人員確保、相当なお金がかかると聞いていますけれども、そのような予算措置が今回の予算上できているのか、伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 自衛隊の活動について御理解をいただきありがとうございます。

 平成二十六年度防衛関係費につきましては、新防衛大綱、新中期防等を踏まえ、警戒監視能力の強化、島嶼部攻撃への対応の強化を図るため、四兆八千八百四十八億円、対前年比二・八%増となっております。これは二年連続での増額となっております。

 今後とも、新防衛大綱、中期防に基づき、防衛力整備に必要な経費を各年度予算にしっかりと計上することにより、国民の生命財産と領土、領海、領空をしっかり守り抜く体制を整えてまいります。

松野(頼)委員 修正案、ちょっと手短に御答弁いただけないでしょうか。

桜内委員 手短にお答えいたします。

 我が党の修正案におきましては、国家安全保障に関する予算、具体的には、対外的な情報収集体制を拡充するための予算や、サイバーテロ対策費、南西諸島防衛のための航空機改修費など、政府予算よりも約二千六百億円増額することといたしております。

 また、情報収集衛星が四基体制で稼働しておりますけれども、その画質が十分ではないというふうにも伺っております。これらの改修、それから、代替機を打ち上げる際にはより精緻な画像が得られるものが必要であると考えまして、こういったものも含め、情報収集衛星システム開発費等を倍増し、百億円を計上することとしております。

 ちなみに、きょうのこの修正案の提出の際に、こういった非常に分厚い、一つ一つの予算の項目についての金額のものも配付、皆さんの机の上にあると思います。絵に描いた餅ではありません、しっかりと精査した上でのものだということで御議論をお願いいたします。

松野(頼)委員 あと五分という紙が入りましたので、幾つか伺いたいと思いますが、これは総理、今国会中に国民投票法案、これを議員立法なんですけれどもしっかり上げていきたいというふうに思います。

 そしてもう一つ、IR法案、これも議員立法ですけれども、今国会の中で、特にこれは、オリンピックがもう決まりまして、オリンピックまでに何とか実現したいという思いの中で法案を上げていきたいと思いますが、これは自民党総裁としての答弁になりますので、この二つ、まずお答えいただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 国民投票法につきましては、第一次安倍政権のときに議員立法で成立をしたものでございまして、この国民投票制度のあり方については、まさに憲法の改正に対する国民の主権行使に関する、いわば憲法改正の土俵と言ってもいいんだろう、このように思います。

 これまでも各党各会派で御議論いただいたところでございますが、私としては、御党の御協力もいただいて、与党のリーダーシップによって、議論を加速させ、早期に結論を得ていきたいと考えています。

 そして、もう一つのIR法案についてでございまして、我が国の経済の成長と地域の活性化においては、IRも観光と密接に関係をしているんだろうと思いますが、観光は大変重要な分野だと思っています。

 御指摘のIR法案において規定されるカジノについては、産業振興をもたらし、そして活性化にもつながるものというふうに考えておりますが、同時に、カジノについては、治安や青少年への影響を懸念する声もあることでありまして、この法案をきっかけに、こうした利点と課題に関する議論が深まるものと考えております。御党の考え方も参考にしながら、さらに研究を進めてまいりたいと思います。

松野(頼)委員 ぜひ、今国会中の成立を目指すと明言していただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これはまさに議員立法でございます。このIR法案につきましては、我が党も当然これは参加をしているわけでございまして、党としても出しているということであれば、当然、この議論が行われる中において成立を目指していくということになる、このように思います。

松野(頼)委員 続いて、先日、我が党の中田議員が教育委員会制度について相当突っ込んだ議論をさせていただきました。

 その中で、要は、我々の考え、政府は、A案、B案、C案という中で、今、政府・与党の中でC案でまとまりそうだみたいな形の報道が出ています。ただ、我が党としては、これは不十分だということを申し上げています。

 これはぜひ、この質疑の中で、この法案をまとめるに当たって、我が党との協議機関を設置するということを明言していただけないですか、政府・与党含めて。

下村国務大臣 教育行政の責任が明確でない現状を変えていく必要があることは、これは与野党を通じて共通した認識が既にあると思います。

 今後、政府・与党一体となってベストな案をまとめた上で法案として国会に提出したいと考えておりますが、教育行政については、与野党の違いということではなく、子供たちのためにどういう体制をつくっていくべきかという観点から、御党とも建設的な議論を行ってまいりたいと思います。

松野(頼)委員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひ、これは大臣がおっしゃったように教育の問題ですから、余り政局だとかそういうことではなくて、しっかりとした、首長経験もある中田先生の意見もしっかり取り入れていただきたい、このことを強くお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

二階委員長 これにて松野君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田宏君。

山田(宏)委員 いよいよ締めくくり総括となりました。

 期間は短うございましたけれども、総理初め皆さんにおかれましては、熱心に審議に応じていただいてまいりました。そのことについては一定の評価をさせていただきたいと考えております。

 そしてまた、委員長を初め与党、野党の皆さん方のお力もあって、今回、我が党が求めてまいりました河野談話にかかわる参考人の招致ということも実現ができ、そこで一定の真相解明に向けて前進がありました。

 きょうは、締めくくりということでもございますので、河野談話について、また我が国の情報発信、広報戦略等について、そして集団的自衛権について、私の方から幾つか御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、河野談話についてお聞きをしていきたいと思います。

 二十日の集中審議において、石原信雄元官房副長官の証言によって幾つか確認ができました。日本の官憲が直接関与を示す資料は見つからなかった、韓国政府が用意した元慰安婦十六人の証言に基づいて談話は作成した、しかし、その証言の裏づけ調査は行わなかった、談話の文言は韓国政府と意見のすり合わせを行ったと推定される、こういった重要な証言がありました。

 このことを通じて、私のところにもたくさんの手紙、ファクス、メールが寄せられました。本当に膨大なものです。それぞれ意見は、解明が一歩進んでよかった、一層の政府の努力を求めたい、国会の努力を求めたいというものがほとんどでございました。

 何よりも、この問題は、特に海外にいる日本人の子供たちが非常に肩身の狭い思いをしている、そして、これから育ってくる日本国内の子供たちが肩身の狭い思い、卑屈な思いで、ずっと子々孫々過ごさなければいけない、それが事実であればしようがないけれども、事実でないことでずっとこうべを垂れ続けなきゃいけないということについて、我々の世代できちっと事実解明をしていくべきではないか、こういうふうに主張いたしました。

 その中で、FNNや産経新聞の調査においても、この質疑について世論調査が行われておりまして、慰安婦募集の強制性を認めた河野談話を見直すべきかという問いに対して、思う五八・六%、思わない二三・八%、また、政府や国会が元慰安婦に対する調査のあり方などを検証すべきかという問いに対しては、思う六六・三%、思わない二〇・八%。

 国民の声、国民の正気ということがここによくあらわれていると思うんです。政府は、また国会は、この国民の声に応えていく義務があると私は考えております。

 そこで、こういった国民の声が政府に寄せられていると思うんですけれども、この証言を通じて、いろいろな意味で国民の声が寄せられていることについて、まず総理の御所見を伺います。

安倍内閣総理大臣 前回の山田委員の質問、そして質疑の後、さまざまな世論の反応があったというふうに承知をしております。

 だからこそ、政治家は歴史に対して謙虚でなければならない、このように思うわけでありまして、そして、同時にまた、政治家の仕事の評価は歴史家や専門家に任せるべきであるという思いを新たにしているところでございます。

山田(宏)委員 私が求めているのは、河野談話を発する原点となった証言、元慰安婦の方々の証言の事実の裏づけがないまま政治的に取り決められた文書、まあそういう文書は世の中にはいっぱいあると思いますけれども、この文書がひとり歩きをして、今や、日本人が過去、日本軍が二十万人の人々、女性たちを強制連行して性の奴隷にしたんだ、こういうことが流布されているということを問題にしているんです。ですから、事実の解明は絶対に必要だ、こう思っております。

 このことについて、韓国政府の反応もありました。いわば、官房長官がこれから検証をどうできるか検討するということについて、河野談話を否定して歴史の時計を逆に戻そうとする試みであると見るほかなく、これまでの両国関係の基礎となってきた正しい歴史認識の根幹を破壊するものにほかならない。また、こういったものを検証するということはということで、韓国の中央日報は、証言聴取は非公開を前提に行われたものだ、こういうことを挙げながら、こういう検証を進めることは、日韓両国の友好に、これまで築いた歴史に反するものだということで、要は、検証するなと言ってきているわけですね。

 本当に事実だったら、検証してくださいというのが普通じゃないですか。何で検証するなと言うんですか。事実だということで胸が張れるならば、どうぞ検証してください、我々も資料を出しますよというのが普通の反応だと私は思うんですよ。検証するなと言われれば、なおさら検証しなきゃいけませんね、これは。

 さらに、困ったことに、村山元首相。私が初めて国会に当選した後は村山さんの内閣になりました。お人柄は愛すべきお人柄だと思いますよ。だから困るんですよ、こういうことをおっしゃられると。

 まず、河野談話については、事実があったかなかったかをあげつらったって何の意味があるのかと。冗談じゃないですよ、ここが問題で我々の子孫たちがひどい目に遭っているんじゃないですか。

 それから、特に尖閣諸島についても、ちょっと今の質問に関係ないんですけれども、どちらに占有権があるか解明のしようがない、日本に言わせれば日本の領土だし、中国が言えば中国の領土だと言うし、切りがない、そんなことを突っ張り合ったってしようがない、台湾も含めて、近辺の国がお互い共有して、幸せのために生かしていくことができれば一番よいと。もう宗教家になってほしいと思うんですよね。

 こういうことを日本の枢要な立場にある人がおっしゃっておられるから、なおさら事実の究明、事実の検証というものが必要なんですよ。

 官房長官は、このことについて、政府の中で、いろいろな制約はあるけれども、検証することを検討していくというお話がありましたけれども、今後どのようにこの検証、検討を進めていこうとされるのか、お考えをお聞きしておきたいと思います。

菅国務大臣 まず、先般、石原元副長官が参考人として出席をしていただいて明らかになったこともたくさんありました。

 まず、四つのポイントだったですね、山田委員が今言われましたけれども。強制的な官憲による直接の関与を示す資料はなかった。このことについては、第一次安倍内閣の閣議決定の中で、強制的な連行はなかったということはもう決めております。そして二番目は、韓国政府が用意をした元慰安婦十六人の証言に基づいて行われた、そしてその証言の裏づけはとっていない、こういうことでした。さらにまた明らかになった点は、談話の文言は韓国政府とすり合わせている可能性があるというふうなことも、その証言の中で言われました。まさに韓国の主張に配慮してこうなったんだろうということですよね。

 当時は、そのことでこの問題は決着がついて、冷静に日韓が戻ったわけですけれども、しかし、またこうも言っていましたね。現在、日韓関係が厳しい状況になっている中で、当時の日本政府の善意が生かされていない、このことは非常に残念に思う、そういう証言もされました。まさに、私は、官房副長官の偽らざる思いだったというふうに思っています。

 そういう中で、前回、山田委員から私に対して、調査という話がありました。私はこう申し上げました。慰安婦の証言については非公開というのが原則でありましたので、そこは日本政府としては、やはり約束したことはしっかり守る政府でなければならないと思っていますから、そこは十分配慮をすべきだということも私は申し上げました。

 そういう中で、この機密の扱いの中でどうできるかということを検討したいということを私はそこで申し上げました。そうしたら、委員から、提出よりも、とにかく政府の中でチームをつくって、検証するものを含めてやってほしいという私に対しての質問でありました。

 現在、安倍政権の基本は、歴史学者や有識者の人たちが研究を重ねている中で、そこでこれからも検討を重ねることが望ましいというのが今までの安倍政権の基本的な考え方です。ただ、今の石原副長官の発言の中で、その意見のすり合わせの実態、こうしたこともやはり解明する必要が私どもはあるというふうに思っています。

 ですから、そういう考え方の中で、まず政府の中で、全く秘密の中でその検討のチームをつくらせていただいて、そこについて私ども、もう一度掌握をさせていただいて、それからこの問題についてどうするかということはまたしっかりと検討していきたいというふうに思います。

山田(宏)委員 もうちょっと、最後の締めくくり質疑なので確認しておきたいんですけれども、要は、政府の中に、この十六人の証言の裏づけ調査も含めた事実関係の検証、また、石原証言に基づいて、河野談話が韓国とのどういうすり合わせによって行われてきたのかという事実関係の検証というものを、秘密を保持する検証チーム、専門家チームによって行うということですね。

菅国務大臣 十六人の証言に基づいて談話作成をした、それと同時に、そこの証言の裏づけの調査は行っていなかったということでありますから、そこは極めて難しいと思いますね、裏づけがないわけですから。ただ、そこについても、そんな状況であったということは、全く極秘の中で、秘密が保持される中で、そこはやはり政府としてもう一度確認をすることが必要だろうというふうに思います。

 そして、すり合わせの部分についてはそうした前提条件がありませんので、そこについてはどのような形で行われてきたのか、そこもしっかりと検証させていただいて、今後については、どういう扱いをするかということは検討させていただきたい、こういうことであります。

山田(宏)委員 ありがとうございます。

 そうしたら、その検証、ここで、予算委員会で議論されたことなので、政府による検証が終われば、国会に御報告をお願いできますよね。

菅国務大臣 政府としては、その用意はあります。ただ、そこは、委員会でどうされるかということは委員会でお決めいただきたいと思います。

山田(宏)委員 政府はその用意があるということですので、立法府においても、私は、我が党も議運等で要請をいたしておりますけれども、この問題についての検討機関というものを設置するという必要があると思うんです。

 政府の立場はなかなか難しいと私は見ています。特に日米関係、いろいろ考えれば、なかなかこの談話について踏み出すタイミングというのは厳しいものがあると私も認識をしております。また、日米同盟をきちっとさせておかないと歴史問題の解決もままならないということも、残念ながら、我が国の置かれた現状であります。

 ですから、そういった意味では、政府が一歩も二歩も踏み出していくことは、結果としてはいい結果に終わらない、こう思っておりまして、その部分はやはり、立法府の役割、国会の役割というものは極めて重かつ大ではなかろうか、こう思っておりまして、ぜひ国会の中で、こういった、河野談話、または聞き取り調査等の、政府がそういう調査を行った後、我が国会でもそれをきちっと検討できるような機関をつくっていくという必要があるというふうに考えております。

 なお、さらに、我が党としては、石原発言を踏まえて、石原さんの方からは、どのような韓国とのやりとりがあったかは知らないということでありました。また、どういう政治判断で最後はこれがつくられたのかということもわからなかったわけであります。そういった意味では、そのことに携わってこられた、当時の外政審議室長でございました谷野作太郎氏、そして河野洋平元官房長官につきましては、引き続き、国会での御証言をお願いするということで、参考人招致を求めていきたいと考えております。

 さて、それで、先日の質疑の中で、私は、慰安婦の碑が建てられたり、また、各国で日本の慰安婦に対しての決議が行われたり、アメリカの各州で行われているこういう動きに対して、外務省が一体どういう説明をしてきたのかという内容を聞いたのに、時間だけ五分も過ぎて同じ答弁ばかりで、周辺の、どういうことを行ったかということはおっしゃいましたけれども、その中でどういう説明をされたのかということを具体的に聞いたにもかかわらず、お答えになりませんでした。大変問題だ、こう思っておりまして、あのときはテレビの中継でございましたから、不満でありましたけれども、そのまま過ぎました。

 しかし、ここは締めくくりでございますので、もう一度お尋ねしますけれども、こういった動きに対して、これまで外務省はどういう説明をそのたびごとにされてこられたんでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の碑文ですとか決議の動きに対しましては、我が国としてはこうした動きを容認することはできないということで、我が国の立場や今日までの取り組みを説明してきたわけです。

 内容としまして、論点を申し上げるならば、まず、米国の地方自治体の動きに対しましては、基本的に、地方自治体においては、民族的少数派が平和と調和の中で共生することを希望しており、出身国間の意見の違いが米国の地方自治体に持ち込まれるべきではない、こういった点をまず一つ申し上げ、そして、以下、論点を申し上げるならば、日本と韓国は、一九六五年に日韓請求権協定を締結し、両国民の請求権については法的には完全かつ最終的に解決されたことを確認しているという点。

 そして、しかしながら、こうした解決が確認されているわけですが、日本政府は、道義的な見地から、元慰安婦の方々への現実的な救済のため、日本国民との協力により、一九九五年に設立したアジア女性基金を通じて最大限努力を行ってきたということ。

 そして、さらには、政府としまして、平成三年以降、慰安婦に関する関係資料の調査等を進めてきました。そして、その報告書を発表しているわけですが、こうした報告書の調査分析の結果は、こうした米国等における慰安婦像、碑文、あるいは各国の決議の中には、こうした分析の結果と相入れないものが多数含まれている、こういった点についても指摘をしてきました。

 実際には、さまざまな資料を使い丁寧に説明をしてきましたが、大きな論点としては、今挙げさせていただいた点を挙げております。こうした論点を掲げながら、現地の大使、大使館、総領事館、あるいはロビイスト、こうした関係者が協力をしながら働きかけを行ってきたわけです。

 それぞれの状況は、具体的なケース、さまざまであります。より効果的な説明をするためにはどうしたらいいかという見地から、マスコミですとか、あるいは議会関係者、さらには有識者、そして地方自治体、政府、あるいは首長、こういった関係者にさまざまな形で働きかけを行ってきたということであります。

 実際のところ、米国の地方自治体の中には、韓国系住民が多い地域であったり、あるいは選挙事情もあり、難しい状況も存在いたしますが、こういった働きかけを行うことによって、実際、関係者の理解を得てこうした動きがおさまる、こういった例も複数存在いたします。

 引き続き、こういった努力は続けていきたいと考えております。

山田(宏)委員 どういう説明かというときに、一九六五年の請求権を放棄した条約があるじゃないか、だから今さら請求されるのはおかしいじゃないかとか、アジア平和女性基金をつくって見舞金を出したんだ、だからもうこれは、こういう形で日本も対応、道義的な責任を負ったんだということとか、そんなことを幾らあげつらったって、向こうは、二十万人を日本軍が強制連行して性奴隷にした、こう言っているわけです。

 見舞金を出したとか、請求権があるとかないとか、そんなことを言っていたって、それは、そういうような強力な発言の前では、あんた、実際はそれを認めたんだろうということになっちゃうんだから、それは、そんなことは事実じゃありません、何が事実ではありませんかというと、官憲が、日本軍が強制的に女性を連行した、そんなことはありませんよということを、はっきり、なぜ言えないんですか。

岸田国務大臣 我が国としましても、平成三年以降、この慰安婦問題等につきましては、資料等を分析し、調査をし、そして報告書をまとめています。そして、この報告書との比較において、明らかにこれは一致しない、これは事実ではない、こういったことにつきましては、累次説明はさせていただいています。

山田(宏)委員 それではお聞きしますけれども、強制連行とそこらじゅうの決議や碑文に書かれているけれども、この強制連行にはどういうふうに反論したんでしょう。

岸田国務大臣 こうした強制連行を初め、この慰安婦問題につきまして、我が国の今日までの調査の結果、そして我が国の政府としての見解、立場、こういったものをしっかり示して説明をしてきたというのが今日までのありようです。

山田(宏)委員 だから、その調査の結果を、強制連行について、あったと相手は言っているんだけれども、そのことについて調査の結果を示したと言われたって、どんな結果をどう示して反論したのかわからないんですよ。それをお答えいただけますか。

 お答えいただけなければ、お答えが出るまで待ちます。時計をとめてもらいますから。

岸田国務大臣 御指摘のこの案件については、さまざまなケースがあります。さまざまな案件が存在いたします。

 ですから、具体的には、現地におきましてさまざまな説明を行っております。強制連行の部分も含めて、先ほど申し上げました論点に従って、丁寧に説明をさせていただいております。

山田(宏)委員 それでは、強制連行はあったのか、なかったのかといった場合、なかったと説明しているんですね。一言で答えてください。

岸田国務大臣 その御指摘の点につきましては、第一次安倍内閣の際に政府の答弁書として公表させていただいている内容に従って説明をしております。

山田(宏)委員 つまり、強制連行を示す証拠というか、そういうものは見つからなかったということを説明しているということで。確認です。

岸田国務大臣 第一次安倍内閣における政府答弁書の内容は、御指摘のとおりだと思います。

山田(宏)委員 相手は、日本軍によって強制連行されたというふうな主張に対して、強制連行を示す証拠はなかったということだけでは弱いんですよ。やはり、強制連行はなかったと日本が判断しておかないと、証拠はなかった、いや、証拠はほかにあるはずだ、見つければあるだろう、隠しているだろう、こういうふうになっちゃうんですね。

 私は、今回の、外務省の苦衷はよくわかります、大体、河野談話そのものが曖昧な内容ですから、それを表に出しちゃったんですから、外務省としてはそれに基づいてやるしかないわけです。ですから、この曖昧性が、外務省の担当者、在外公館の担当者の苦衷になってあらわれてくるわけです。ぴしっとした姿勢、背骨が入っていないんですよ。だから、背骨を入れるのが今回の検証なんです。もし、それで、事実ということであれば、これはもうしようがない、もうそれは認めるしかない。だけれども、事実でなければ、今回の検証を踏まえて、外務省の対応はきちっと変えるべきだ、こういうふうに考えております。

 そこで、全体的には、これを外交問題化しないというのが今の政府の対応ですけれども、これだけ国際的にむちゃくちゃに日本の名誉が傷つけられて、子供たちが非常に悲しい思いをしているのに外交問題化させないなんて、させているのは相手じゃないですか。させないということは、日本にも何か弱みがあるんじゃないかと相手は思うんですよ。今までそういうような歴史を我々は繰り返してきたんです。言うべきことはきちっと言っていく。外交問題化しないといったって、相手がしてくれば、こちらはやはり堂々と渡り合っていく。こちらが逃げて、外交問題化しないなんて言うから、次から次へと主張を広げていくわけです。私は、この検証を機会に、そろそろ日本の対応を変えていくべきだと考えております。

 何せ日本は、正しい国際世論をつくるということについて、甚だ弱い。または、島国の傾向なんでしょうか、この部分については関心が低いと私は思うんです。相手から何とか言われても、その場しのぎ、事なかれ、先送りをしていけば、何とかその台風は過ぎていくんじゃないか、台風のように消えていくんじゃないか、こういうふうに思いがちなんです、日本人は。そうじゃないということを今回のこの問題は示しています。

 国内社会では、我々も、なあなあ、まあまあ、水に流そう、これはもう日本の国内の美風です。だけれども、国際社会は逆です。そういうことをやれば、おまえが弱い、おまえが罪悪感を持っている、こうなって居丈高になっていくのが国際社会です。

 そういった中で、来年、第二次世界大戦が終わって、大東亜戦争が終わって七十年になります。今、隣の国は、反ファシズム、戦勝記念ということで、全世界に働きかけて、いわば反日包囲網を広げようというキャンペーンを行おうとしています。また、行ってきています。

 我々日本も、日本はずっと女性も含めた人権をアジアで最も大事にしてきた国なんだということをきちっと国際広報戦略の中心に据えて、この慰安婦問題も、それから東海の問題も、出てきたら何かモグラたたきのように扱うんじゃなくて、戦略を定めて、相手のいろいろな国、韓国や米国だけじゃない、欧州、そして、アジアのほかの国、第三者の国が大事ですから、そこへ行って、そこのオピニオンリーダーの人たちの話を聴取して、いろいろな意見を言われる、いろいろな考えもある、それを全部在外公館が手分けをして集めてきて、中央に集めて、それに対してどう対応するかを決めて、どう働きかけるかを決めて、お金もかけて、十六億円なんかでは丸が二つ足らないんです。

 戦争になったら終わりなんだから、やはり宣伝戦で勝たなきゃいけないんですよ。そういう情報戦にもっとお金をかけて、そして、日本の主張と正しい国際世論をつくるための努力というものを今までやってこなかったんだから、これを安倍政権のときにきちっとやってください。

 戦争なんて、我々は平和を求めているわけです。ただ、こういう形で包囲網をつくられてしまうと、どんなに自衛隊を強化したって、戦争は負けです。戦前はそうだったんです。そういうことになったら終わりです。

 そういったことを今までやってこなかったということを認識した上で、ぜひ総理のもとに、そういった日本の情報発信、広報戦略を立てていく本当に強力な部門をつくっていくための研究会等をつくって、来年、戦後七十周年になります。他国は、反ファシズム闘争、こういうことをやっているわけです。ですから、そういう研究機関をつくって、なるべく早くそういう体制を整えてもらいたいと思うんですけれども、総理の御答弁を求めます。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 安倍政権が発足した際、まさに、海外での日本のイメージ、これはソフトパワーでありまして、日本は戦後、今、山田委員が指摘をされたように、自由で民主的な国をつくってきた、基本的人権を守り、法の支配をとうとんできた国でありまして、この日本の戦後の歩みを、我々はまさに胸を張ってもっと世界に発信をしていくべきなんだろうと思いますし、この歩みが今後も変わることはないわけであります。

 そして、その中におきまして、残念ながら、日本をおとしめようとしているキャンペーンが海外で展開されているのは事実であります。現実の日本とは全く違う姿を、まるでそのような姿が現実にあるんだ、そういうプロパガンダがなされているわけでございまして、そうしたプロパガンダはまさに私たちの子供たちの世代に大きな影響を与える危険性が出てきているわけでございまして、しっかりとした広報戦略を戦略的に考えていきたい、このように思っております。

山田(宏)委員 きのうもニュースになっていましたけれども、「アンネの日記」を、公立の図書館、今被害がどれぐらいかと聞いたら、都内で八自治体、三十八の図書館で、三百八冊ものアンネ・フランクにかかわる著作、またはホロコースト、ユダヤ人虐殺、アウシュビッツ、こういったものにかかわる図書が破られる、また大手の書籍店でも破られる、こういったことが起きています。

 我々日本人の感覚からいうと、「アンネの日記」というのは、我々日本人の好きな書籍ですよ、愛する書籍ですよ。我々は戦前も、ナチス・ドイツと同盟を結んでいましたけれども、ユダヤ人の迫害については、日本政府は表とは裏腹に、陰では、杉原千畝さんだけではなくて、陸軍も海軍も、それはシベリア鉄道で逃れてきたユダヤ人の数万人もの人々を出国させているんですね。そういったことをやってきているんです、日本は。ですから、そういったことをやる風土にないんです。

 それで、私が気になるのは、中国、韓国が、この日本の事件について、日本の右傾化のあらわれだとか、ファシズム勢力のしわざだとか、日本をそういうレッテル張りに使おうとしているわけです。

 私は、この事件というのは、単に個人的なそういう思いでやられているのか、それとも一定の何か政治的背景があるのか、これは相当注意して考えなきゃいけないと思うんですけれども、ちょっと質問通告していないんですけれども、古屋国家公安委員長、この問題は背景も含めてしっかりやるべき必要があると思うんですけれども、いかがでしょう。

古屋国務大臣 昨日、イスラエルの公安大臣もお見えになりまして、私の方から、冒頭、このことについて、警察としては徹底的な捜査をお約束申し上げました。

 やはり許しがたい事件ですよ。そういう意味で、私も国家公安委員長として、警察に徹底的な調査、その背景の調査も含めて指示をさせていただきました。できるだけ早い時期に解決をさせるように全力を挙げます。

山田(宏)委員 国外に犯人が逃げるかもしれないので、ぜひ早期に解決を図って、日本の名誉が守られるように努力をしていただきたい、こう考えております。

 そこで、次に、ちょっと時間がなくなりましたので、集団的自衛権についてお尋ねします。

 先ほども議論がありましたので、余り意地悪なつもりで申し上げるわけじゃなくて、心配して申し上げるので、ちょっと太田大臣にお聞きをしておきたいな、こう思っております。

 昨今ニュースになりましたので、公明党の山口代表、井上幹事長、また漆原国対委員長等が、政府の集団的自衛権の解釈を変えるに当たっては、国民的議論が必要だ、閣議決定の前に国民的議論が必要だ、そしてまたさらに、井上幹事長は、近隣諸国の理解も必要だ、こういったお考えを述べられております。先ほど民主党の御質問でもそういった議論がありました。

 しかし、私が心配しておりますのは、やはり、与党が態度を決める前にここに持ち出されても、議論のしようがないんですよ。与党がきちっと立場を明確にしてもらうということを通じて、野党が質問できるんですね。ですから、そういった意味では、総理が先ほどお答えになったことも私はうなずけるものがあると思っているんですね。

 そういった意味で、与党の立場として、国民的議論、与党が立場を決める前にまず国民的議論だというのは、ちょっと違和感があるんですよ。与党が決めてから国民的議論じゃないか、こういうふうに思うんですね。そうでないと、責任ある答弁はできないと思うんですね。

 そこで、太田大臣にお聞きしますけれども、太田大臣も、先ほどの岡田さんの質問のように、閣議決定の前に国民的議論が必要だ、こうお考えなんでしょうか。

太田国務大臣 私は再三ここでも述べておりますが、集団的自衛権あるいは安全保障、これらの問題については、今、安保法制懇で論議をしているという状況にありますから、その論議を見守るというのが、まず現段階で私がとっている姿勢であり、また、総理の御答弁も常に、安保法制懇の議論が深まることを期待するという趣旨の答弁だったというふうに思います。

 まずは、そこを見守っていくというのが全てだろうと思います。

山田(宏)委員 まずはそうなんですけれども、やはり国民が関心があるのは、公明党さんの幹部の方々がそういう御議論をされているので、閣僚に入っておられる太田大臣は一体どういうお考えなんだろうかということは、誰でも関心を持つんですよ。ですから、やはり、国民的議論が閣議決定の前に必要なのかどうかということはぜひお聞きをしておかなきゃいけない、こう思っております。

 それから、さらに、井上幹事長は近隣諸国の理解も必要だと言うんですね。

 さて、自分の防衛政策を決めるのに、何で他国、特に敵対している他国の意見を聞かなきゃいかぬのですか。それは逆でしょう。聞いたら逆になりますよ。だめだと言うに決まっているんです、そんなのは。だから、むしろ、だめだということをやらなきゃいけないんです。

 そういう意味で、これも、私も資料を持っていますけれども、これは井上幹事長の会見なんですけれども、このことについて太田大臣はどうお考えなんでしょうか。

太田国務大臣 井上幹事長の一つ一つの発言と真意と、また、その膨らみ、背景という部分については、十分存知しておりません。しかし、恐らく、論議を広範囲で深めていくことが大事だということが一番大事な主眼での発言ではないかと想定します。

山田(宏)委員 諸外国の理解を得て決めるなんてあり得ないですよ。我が国の防衛ですからね。それは明確に反対してくださいね。どうでしょう。

太田国務大臣 よく熟慮して判断します。

山田(宏)委員 小松長官が新聞のインタビューにおきまして、総理が、最終的な内閣の憲法解釈の判断の責任者は私だと。私はそのとおりだと思うんです。何の違和感もありません。それが内閣の責任ある姿勢だ、こういうふうに考えております。

 しかし、最終的な憲法解釈権は、先ほど御答弁にもありましたように、最高裁判所にあります。内閣の判断が憲法に適合しているかどうかということを最高裁が判断するわけですけれども、しかし、今の最高裁は何か事件がないと憲法判断をしないんですね。個別の事件性が必要なんですよ。だから、その法案がいいか悪いか、憲法に合っているか合っていないかなんということを、何か事件が起きないと判断できないということであります。

 私は、これではだめだと思うんですね。やはり、憲法解釈はきちっと裁判所ができるようにしていくというために、憲法裁判所をつくるとか、または、さらに、今、憲法改正が必要ならば、今の最高裁の中に憲法部をつくってそういった事案も扱うとか、こういったこともきちっと改革していくべきだと考えているんですけれども、最後に総理の御答弁を求めて、終わりたいと思います。

萩生田委員長代理 谷垣法務大臣、時間が来ております。

谷垣国務大臣 今、山田委員おっしゃいましたように、今の最高裁判所は、憲法の規定によって、個別の事件の処理に必要な範囲で憲法適合性を判断するということになっております。

 それで、委員は、今、憲法裁判所ないしは最高裁判所の中に憲法部みたいなものをつくるということはどうだという御議論がございました。これは、憲法裁判所、必ずしも事件性と関係なく、抽象的といいますか、一般的に法令の憲法適合性を判断できるような仕組みをつくれということでございます。

 そうしますと、これは、今の憲法も、長いいろいろな各国の法制の歴史がございまして今の事件性というものを要求しているわけですが、三権分立の原理等々からどういう問題が生ずるか、多面のことを考えていかなければならないと思います。そういう意味で、幅広い国民的な議論をやっていただく必要がある案件だと私は考えております。

安倍内閣総理大臣 憲法裁判所あるいは最高裁判所内に憲法判断を行う部門を設置すべきだという御提案でございますが、これは非常に大きな問題でございまして、各党各会派によって議論をしていただいた上において、さらに国民的な議論を深めていく必要がある、このように考えております。

山田(宏)委員 ありがとうございました。

萩生田委員長代理 これにて山田君の質疑は終了いたしました。

 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もどうぞよろしくお願いをいたします。

 最初に、原発関係をお伺いしたいと思います。

 当該委員ではございませんので、初めてこういった関係を質問するんですが、私どもみんなの党としましては、電力自由化を通じた価格メカニズムの競争によって、原発は、実はいろいろ含めると高いんだ、したがって淘汰されていくんだ、そういう立場をとっておりますが、政府は、必ずしもそうではないということで、まず、安全性が確認された原発は再稼働ということ、それから一方、価格競争力もあるんだ、私はそういう理解をしているんですが、そうなりますと、安全性が確認されて、それで原発が再稼働されていく。一方、エネルギー源は分散なんだということなんですが、ここの政府側の論理がよくわからないんですね。

 どういうことかといえば、安全性も大丈夫だ、価格も大丈夫だ、それでなぜ分散するんだ。そうしたら、論理的には集中じゃないかと思うんですが、なぜ分散なのか、集中じゃないのか、教えていただければと思います。

茂木国務大臣 簡潔に御答弁申し上げます。

 まず、電力システムを進めるということについては、全く同じ考えであります。一方で、原発のコストが高い、これまでの検証からも、客観的な数字ではそうなっていないと思っております。

 御案内のとおり、東日本大震災以降、我が国は新たなエネルギー制約に直面をしておりまして、具体的な数字は割愛させていただきますけれども、石化燃料に対する依存度の増加、そして、原発停止によります燃料費の増加、電気料金の上昇、CO2排出量の増加、こういう問題が生じております。こういう状況で、具体的な代替案なしに原発ゼロと無責任に言うわけにはいかないと思っております。

 ただ、その一方で、あらゆる面、コストであったり、さらには、安定供給、環境負荷、安全性、すぐれたエネルギー、それが一つあればそれを使えばいいわけですが、ないわけですから、現実的そしてバランスのとれた需給構造というのをつくっていきたいと思っております。

 そこの中で、バランスのとれた需給構造をつくっていく中で、徹底した省エネも進めていく。同時に、再生可能エネルギー、基本的には分散型電源であります。さらには、日本にはすぐれた、石炭火力を初め、高効率火力の技術もあります。こういったことによりましてエネルギー源が多様化していく。同時に、電力システムを初め、需要面でもスマートな消費抑制を図る。こういったことで可能な限り原発依存度を低減させていく、これが政府としての基本方針であります。

大熊委員 大臣、ありがとうございました。うわさどおりの長い御答弁でございました。

 私が申し上げているのは、そういうことで輸入の石油等の代金が上がっているから大変なんだということですよね、原発の方がいいんだということですね。しかも、原発は安定して二十四時間稼働できる。だったら分散じゃなくて集中と何でしないんですかというロジックを聞いているんです。

 その事実の御説明はわかりました。なぜ集中じゃないんですか。

茂木国務大臣 電源はそれぞれごとに特徴があります。

 ですから、例えばベースロード電源、ここの中には、原子力であったりとか、一般水力であったり、石炭、地熱というものが入ってまいります。これは、コストは安く、そして昼夜を問わず安定的に使える、こういうメリットがあります。ですからベースなんです。

 そして、それと比べるとコストは若干高くなる、しかし、立ち上げは早くなる、変動が可能、これがミドル電源でありまして、典型的なのがLNGになってまいります。

 一方で、コストが高い、これは、例えば太陽光であったり石油。しかし、石油の方が立ち上げが極めて簡単ですから、すぐに発電が始まるんですよ。こういうのをピーク電源として使う。

 これが一般的な考え方ですから、これを組み合わせていくということであります。

大熊委員 確認をしたいんですが、では、原発のまずい点、今何か若干あったかもしれませんが、これを具体的に。やはり、安全性が確認されたといっても安全性一〇〇%じゃないという点、そういうことも含まれる、こういう理解でよろしいんですか。それとも、安全性は一〇〇%、こういうことなんでしょうか。

茂木国務大臣 原発につきましては、いかなる事情よりも安全性を重視する。そして、その安全性につきましては、独立した原子力規制委員会によって判断をされる。そして、その基準として、世界で最も厳しい新規制基準、こういったものを適用することになっております。

 そして、原発は先ほど申し上げたような特徴がございますから、ピーク電源としては使えません。

大熊委員 その安全性の確認ということなんですが、二月二十五日の経産省発表のエネルギー基本計画、「はじめに」の中で、「「安全神話」から決別し、万が一の過酷事故に対処するため、」というふうにございますが、そうすると、安全性が確認されてもやはり過酷事故は起こり得る、こういう理解でよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 安全性につきましては、先ほど申し上げましたが、規制委員会において判断をしていくということになります。

 同時に、これは規制委員会の基準をクリアすればそれでいいということではなくて、常に安全性の向上、こういったものが必要でありまして、米国におきましては、一九八〇年代から、確率論的リスク評価、PRAというものでありますが、それを導入して、各発電所の安全性を評価する仕組みが構築をされまして、事業者によります自主的な安全性向上、これが達成されております。

 現在、我が国におきましても、ワーキンググループを設置いたしまして、諸外国の取り組み等を参考として、産業界が自主的安全性を向上していく取り組みについて議論を行っているところでありまして、どこまでやればいいというものではありません。

 アメリカのINPOという組織があります。ここなんかはかなり日本でも参考になると思って、日本としても、規制委員会によります安全性、それから、事業者そして関係者によりますたゆまざる安全性の向上、こういった努力が必要だと思っております。

大熊委員 わかりやすく、確認のためにお伺いしますが、そうすると、どこまでいってもという御発言がありました。したがって、どこまで安全性を確認しても、やはり万が一の過酷事故というのは起こり得るんだということでよろしいんですね。

田中政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 先ほど茂木大臣からもお答えしましたように、安全性という、もう絶対安全だということだと、まさに安全神話という世界に入ります。

 私どもは、今回の事故の教訓を踏まえて、そういった過酷事故を二度と起こさないような設備要求、それから、それをきちっと使えるようなソフト面、教育訓練とか手順とか体制とか、そういったことを求めております。

 ですから、安全について、絶対、ゼロ%のリスクであるというようなことは、私どもはそういうふうには考えていなくて、常に安全を求めて、向上を求めて努力することが大事だ。これは国際的にもそういう考え方に立って原子力の利用というのを進められていますので、そういった考え方を我々は踏襲して、その中でも最も厳しいレベルの基準を要求しているということでございます。

大熊委員 もう一度確認ですが、過酷事故は起こり得る、こういうことでよろしいんでしょうか。

 あわせて、安全審査ですか、この中に、再稼働の審査について、避難対策というのは入っているのかいないのか、教えていただければと思います。

田中政府特別補佐人 過酷事故は絶対起こらないという前提には立っておりませんで、そういった事故を起こさないためのまず設計から始まりまして、仮にそういった事故が起こったときには、それを大きな事故にしないような、いわゆるシビアアクシデントマネジメントというような対策を多重に求めております。そういうことが一つあります。

 それから、避難についての防災指針というのは、私どもが基本的なところは策定して提示してありますが、それに基づいて、各地域におきまして、地元におきまして、それぞれの地域の特性を踏まえた最も適切な避難計画等を策定していただくという……(大熊委員「避難対策は審査基準に入っているんですか」と呼ぶ)そういった意味では、避難計画とか、それ自身は審査指針には入っておりませんけれども、そういった適切な、住民の方が安心できるような策定に当たっての支援は、私どもとしても全力を挙げて進めていきたいというふうに考えています。

大熊委員 私ども、市場メカニズムを通じての原発ゼロなんですが、それでもやはり、避難対策が入っていなくて何で再稼働の審査なのかというのはちょっと不思議です。

 過酷事故が起こったら、二時間以内にみんな逃げなきゃいけないんですよね。どうするんですか、これは。自治体に任せている、こういうことなんですか。

茂木国務大臣 法律のたてつけにつきまして簡単に御説明申し上げますが、原子力災害にかかわります地域防災計画、これは、災害対策基本法等に基づいて、原子力防災や避難のための対策を含めて、対象となる自治体が作成することになっております。これはそもそも、上位法として、地域防災計画、住民の生命、身体、財産を災害から保護する観点から、災害対策基本法に基づいて、地方自治体が責任を持って作成することになっております。

 この地域の防災計画、そして避難計画でありますけれども、では、どうして自治体が作成をするのかということでありますけれども、地区ごとの、例えば避難経路がどうなるかとか、避難先をどうするかとか、そういう地形であったりとか、どの町内にどういうお年寄りが住んでいるとか、独居の方が何人いるかとか、それを規制委員会で全部つくるというのは恐らく無理だと思います。一番その状況に精通をされているのは地元の自治体、こういう観点から、地元の自治体によりまして実効性ある計画がつくられる。

 もちろん、国としても、こういった自治体におけます防災計画の策定に対しましてさまざまな面で支援をしていきますし、規制委員会におきましても、先ほど田中委員長の方から答弁がありましたように、基本指針、こういったものを示すことによりまして、防災計画の策定に資するということで尽力をいたしております。

大熊委員 そうしますと、自治体任せということになりまして、リスクは自治体の方に転嫁できている、こういうふうに自治体の方は、私も受け取りましたので、皆さん、地方自治体の方はそう受け取りますよね。そう受け取ります。いや、私はそう受け取ったんですけれども。

 では、私の受け取り方を変えるような御答弁をお願いします、もう一言。

茂木国務大臣 地域防災計画、これは、住民の生命、身体及び財産を災害から保護する観点から、災害対策基本法に基づき、地方自治体が責任を持って策定をすることになっております。

 そして、この地域防災計画や避難計画、先ほども申し上げましたが、ぜひよく聞いてください、どの地区ごとの避難を行うのかといった避難の実施体制であったりとか、では、例えばどこの公園に避難するのかとか、どこの体育館に避難するのかといった避難先であったり、そこに至りますまでの経路であったりとか地形であったりとか、さらには、その自治体の中の町内、そこの中に、例えば、おひとりの老人の方とか、足が不自由な方がどういう生活で暮らされている、こういうことはやはり自治体が一番御存じだと思います。ですから、自治体において責任を持ってつくっていただく。

 しかし、その策定に当たりまして、国としてもさまざまな面で支援をしてまいりますし、そして、規制委員会におきましても、こういった基本指針を示すことによりまして防災計画の策定に資する、こういったことをやってまいりたいと思っております。

大熊委員 残念ながら、やはり私の理解は変わらなかったですね。この問題、私もそう詳しくないわけなんですが、一般の国民の方も、あるいは自治体の方も変わらないと思いますね。

 何とか村のどこに公園があって、どのぐらい、どういうふうに人が住んでいるか、どこに逃げるか、それは地元の人は詳しいでしょうけれども、では、原子炉の状況はどうなっているかとか、それから、実際の事故のときSPEEDIの情報だって開示されなくて、飯舘村ですか、北西方向に逃げちゃったとか、要するに、情報共有が瞬時にできるとは限らないので、情報共有、そういうのを包括的にやるということが安全性の確認だというふうに思います。

 あと三分なので、本来の予算のことをお伺いしますと、私どもみんなの党も予算の組み替え動議というのを出させていただいておりまして、政府の予算案よりは大分スリムで、合計八十八・三兆の規模でございます。

 ちょっと先にあれなんですが、維新と結いの党さんの修正案の方からお伺いするんですが、私どもの案と、結いの党、維新の会さんの案、ちょっと似ておるところがあるわけなんですね。

 先ほど麻生大臣が別の方の御答弁で、笑っていらっしゃいますが、私どもの配当の損金算入のことを維新の会の方のときに宣伝していただきましたけれども、これは私どもみんなの党の案でございまして、配当の損金算入ということなんですが、私どもと、維新の会、結いの党さんとの最大の違いは、消費税分のところを入れているか入れていないか、そういう違いになってございます。

 私どもの方は、歳入の方を四・五兆入れていないとか、出る方も、地方交付税の交付金の減額のところ、これを入れていないとかあるわけなんですが、消費税のところを入れたままにするということは、消費税が上がるということ、これはやむなし、容認するんだ、こういうことでつくられたのか、ちょっと御確認をお願いします。

桜内委員 お答えいたします。

 我が党といたしましては、まず、現下の政府の財政状況というものは極めて厳しいものだと考えております。一千兆円を超える政府債務、それから、経常収支がどんどん悪化しております。そうしますと、デフレ脱却に伴って長期金利も上昇していく。こういった関係の中で、財政再建は喫緊の課題だというふうに考えております。

 その上で、増税の大前提といたしまして、今回の修正案に盛り込んでおりますけれども、徹底した行財政改革、それから抜本的な社会保障制度改革、あるいは大胆な規制改革、これら、御党とは昨年、修正案を共同提出させていただいたわけですけれども、その際に、今申し上げたような、御党の言い方をかりるとすれば、増税の前にやるべきことをさらに推し進めて今回の修正案に盛り込んだ次第でございます。

 したがって、今回、みんなの党が修正案に、共同提案に、去年は乗っていただいたものを、ことし乗っていただかないということは、私ども、大変残念に思っておりますし、それは、消費税の増税を云々ということを言うのであれば、まさに責任野党を自任されているのであれば、乗るべきだったということを指摘しておきます。

大熊委員 この点、違いが明確になりました。

 ちょっと、残り一、二分なので、本来のといいますか、政府の方にこれはお伺いしたいんです。

 私どもの案、歳入の見直しで、労働保険特会の剰余金取り崩し二兆というのを提案させていただいているんですが、これは、数字を見ると、現預金でも六兆、雇用勘定だけで六・四兆あって、しかも、純資産でも六・七兆あるわけでございまして、この二兆というのは控え目な数字。しかも、アベノミクスが成功すれば雇用関係はよくなっていくわけですから、これだけ、六兆を積んでおく意味はないわけですね。

 雇用がこれからまずくなっていくんだということであれば、私どもの案は、ちょっとそれは、みんなの党は過激過ぎだなということなんですが、雇用がよくなっていくんです。そうですよね、アベノミクスが成功するはずなんだから。だったら、六兆のうちの三分の一ぐらいは取り崩してもいいんじゃないですか、こういう御提案なんですが、財務大臣、一言でどうでしょうか。

田村国務大臣 雇用保険というのは、大体、景気のいいときに積み立てて、悪くなったら吐き出す。平成九年は四兆ぐらいあったんですが、十四年度には四千億円ぐらいまで減ったという例もあります。今は積み上がっていますので、例えば育児休業給付等々、この比率をふやしたりだとか、それから労働移動のためのそういう助成に使ったりだとかしています。

 ただ、今委員の言われた点なんですが、積立金は、実は企業とそれから働いている方々の保険料なんです。国庫は入っていません。国庫が入っているのは、給付のときの一三・七五%。これは補正で調整していまして、決まった金額にしているわけでありますけれども、この積立金自体には国庫は入っていないものでありますから、それを使うというのは問題があると思います。

萩生田委員長代理 時間が過ぎておりますので、簡潔に。

大熊委員 これは特別会計、国の資産ですから、それは全く認識が違うと思います。

 以上です。終わります。

萩生田委員長代理 これにて大熊君の質疑は終了いたしました。

 次に、畠中光成君。

畠中委員 結いの党の畠中光成です。

 三月十一日で、あの東日本大震災から三年になろうとしています。被災地の住宅再建や、福島の原発事故に伴って避難を余儀なくされている方々の帰還など、まだまだ道半ばです。復興に向けては与野党を超えて取り組む必要がありますけれども、言うまでもなく、経済の再生が極めて重要で、四月の消費増税を控える中、この平成二十六年度予算は問題が多いと言わざるを得ません。

 私は、この震災については人一倍思い入れがございます。といいますのも、私が大学卒業を控えた平成七年、一九九五年の一月に地元で阪神・淡路大震災がありました。私の家も全壊をいたしました。あれから間もなく二十年がたとうとしています。その後間もなく、私は初めての社会人として大手の生保会社に就職しましたが、いっときは仮設住宅から通勤をしたことも覚えています。

 当時を思い起こせば、阪神の震災から二年たった一九九七年、消費税が三%から五%になりました。皆様も御記憶のことかと思います。私にとっては、それがちょうど入社してから三年目ぐらいでありました。それまでの社内の雰囲気としてはあり得なかった突然の業績悪化、対前年割れ、それから毎月毎月前年割れをしていくような、いわば右肩上がりの終えんの節目を目の前で体験いたしました。そして、それは自分の会社や業界だけではありませんでした。地域の中小企業はもちろん、ほかの大手企業やメーカーでさえ、軒並み右に下がっていった時代でありました。

 阪神の震災の際も、消費増税は、復興需要に冷や水を浴びせ、阪神間のみならず全国に景気の悪化を招いた一因となったように思います。長い間、その爪跡は特に被災地に残りました。もちろん、その原因が全て消費増税だとは申しません。アジアの通貨危機だってありました。しかし、申し上げたいのは、そのときと今が余りにも酷似しているのではないかということ。

 東日本の震災から三年がたとうとしている今、復興も道半ばです。四月からは、消費税が五%から八%になります。そこで、アベノミクス一本目の矢の効果も切れかかっていて、二本目、公共事業と基金に頼り過ぎて、復興関係の基金も執行されずに積み上がっています。それと、三本目に至っては、医療、農業、電力、こういった既得権に切り込めていない。

 こういった成長が期待できる分野にしっかりと投資をしていく、政治は、切り込んでいく、規制改革、こういうことができていない。旧来型の経済政策と何ら変わらないため、景気回復は巡航速度に至っていないのではないでしょうか。

 そこで、総理にお伺いします。

 九七年の消費増税後の経験を思い起こせば、私は大変心配しておりまして、グローバル化した経済の中で、安倍政権を支えているこの株高だって、どうなるかわからないんじゃないでしょうか。総理は先行きを楽観視し過ぎているのではないでしょうか。

 この四月の消費増税をしっかり吸収できる予算になっているのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回の消費税の引き上げについては、伸びていく社会保障費に対応して、次の世代に世界に冠たる社会保障制度を引き渡していくためでもあり、また、我が国の国の信認を維持していくためのものであります。

 一方、安倍政権としては、デフレ脱却、これを大きな目標に掲げている中において、三本の矢の政策によって、今、デフレ脱却に向けて着実に進んでいるわけでございます。

 そこで、例えばデフレ状況についてでありますが、現在デフレ状況ではなくなりつつある、こういうふうに認識をしているわけでございますし、経済の各指標は全て、ほとんど好転をしているわけでございます。

 ただしかし、同時に、私ども、今おっしゃった一九九七年の引き上げのときの状況等を十分に検証しながら、消費税を五%から八%に引き上げていけば、影響も出ますし、反動減もあります。今進めているこの政策、成果が出ているわけでありますが、これが腰折れにつながっていくことがないかどうか。そのために、私は、決してそんな楽観的な見通しということではなく、慎重に検討を重ねたわけでございます。だからこそ、昨年、専門家の皆様にお集まりをいただきまして、検証、検討をしていただいたところでございます。

 その中におきまして、先般、御審議、成立に御協力をいただきました補正予算におきまして、五・五兆円の経済対策パッケージ、そして一兆円の税制対策を行う。これを行っていけば、影響を緩和し、そして、七―九から今の勢いを取り戻すことができる、こう考え、我々は消費税の引き上げを判断したところでございます。

 状況としては、阪神・淡路大震災があって二年後に引き上げた、そして今回も、東日本大震災の後二年経過して消費税を引き上げていくという外見的な状況は似ているわけでございますが、当時はアジアの通貨危機もあって、その後の金融不安が起こったということもありますし、また、あのときは社会保険料もぐんと上げてしまったということもあるわけでございます。

 今回は、今の現状におきましては、企業の財務体質は、自己資本比率が上昇し、強化されているということ。そして、全国銀行の不良債権比率が低下するなど、金融システムは安定をしている。一方、社会保障費の割合、そして長期債務残高を見ると、安定財源の確保、そして国の信認が大切だろうという観点から、消費税率を引き上げる判断をしたところでございます。

 しかし、今後、消費税の経済に与える影響、こうしたものは十分に注視をしながら、必要な対策は、対応していかなければならないと考えておりますし、日本銀行におきましても、黒田総裁は、さまざまな状況の変化に対してしっかりと対応していくという趣旨のことをおっしゃっております。

 いずれにいたしましても、この反動減を抑制するための予算は、しっかりと、タイムリーに実施していくことが大切であろう、このように思っております。

畠中委員 私ども結いの党といたしましても、この四月の消費増税、このタイミングではいかがなものかと思います。きっと、先ほどのみんなの党さんもそのことを聞きたかったのではないかというふうに思いますけれども、しかしながら、現実的にこの四月に消費増税が控える中で、私ども結いの党は、先ほど趣旨説明もさせていただきましたが、維新の会さんと共同でこの修正案を提出させていただいたわけであります。

 この中では、増税の前にやるべきことというのを織り込んだ修正案にさせていただいています。

 一般会計六千四百八十四項目、約九十六兆円、特別会計千四百九十八項目、約四百十一兆円を精査して、その重要度、緊急度を勘案して、歳入歳出を七兆六百三十九億円削減したわけであります。

 政府案の公共事業中心の施策よりも、減税の方がはるかに効果が高いと考えます。法人税減税、所得税減税、こういったことをしっかりと行って、行財政改革を行うべきです。

 特別会計、埋蔵金も活用して、不要不急の基金への積み増しは、修正案では二割削減しています。

 もちろん、長期的に見て投資効果の高い部分、あるいは、今、防衛費で特に必要と思われるもの、これは増額をしている。

 こういった現実的な修正案を出させていただいたわけでございます。こういった旧来型の予算編成から脱却せずして、経済の再生はなし得ないのではないでしょうか。

 全ての公共事業を否定しているわけではありませんが、公共事業に関して、不用、繰り越しが多発しています。経済効果が高く、必要性の高い事業をどのように選択しているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

太田国務大臣 国土交通省がかなりの部分を占めますので、私の方から。

 国土交通省の公共事業予算については、二十五年度十一月時点で七〇%が契約済みになっておりまして、昨年の同時期を上回る水準で予算が執行されています。十一月末ですから、それから十二、一、二となりますと、ことしはかなりの執行率になるというふうに思います。

 公共事業に関する問題としては、最近の大雪もありますし、想定される首都直下地震や南海トラフ地震など、災害が局地化し、そして集中化し、激甚化しているということへも対応していかなくてはならないというふうに思っています。これなくして経済や生活が成り立たないということを意識しなければならないというふうに思っております。

 このような状況でありますものですから、平成二十六年度予算案におきましては、防災、減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化のうち、必要性、緊急性の高いものについて重点的に事業を行うことになっておりまして、防災、減災、老朽化、この比率が全体の五三%、例年よりもこれはふえるという状況になっておりまして、命を守る公共事業になっているという状況にございます。

畠中委員 また、増税の影響を直接受ける家計への配慮というのはどのようにお考えなんでしょうか、お答えください。

麻生国務大臣 増税にかかわる、家計に対してどのような影響が出るかということでありますけれども、いわゆる家計に当たりましては、低所得に与える点をいろいろ考えて、低所得向けのローンをいろいろやらせていただいたり、所得の低い方は一万円、高齢者では一万五千円等々の補助が出たり、いろいろな形で個別のものがいろいろございますのはもう御存じのとおりなので、いろいろな形で消費税というものの点を考えてやらせていただいております。

 一番肝心なことは、消費税を上げる目的は何かといえば、いわゆる社会保障という一番大きくみんなに響いてくるところをきちんとカバーしていくという、先ほどどなたかの質問にあっておりましたけれども、今後一番大きないわゆる社会保障関係のものを今のうちからきちんとしておかねばならぬということが一番肝心なことなのであって、社会保障関係にこの消費税の全額が充てられるという前提になっているというところが、こういうふうに低所得向けへの配慮というのは、みんな忘れられていますけれども、ここが一番大きい、私どもは基本的にはそう思っております。

畠中委員 低所得者向け、高齢者向け、こういったことを否定するわけではありませんけれども、視点として一番欠けているのは、まさに現役世代、社会保障とまさにおっしゃいましたけれども、負担を一番大きく受けるのは、まさに現役世代、子育て世代ではないでしょうか。

 社会保障だって、その社会保障の支払い、可処分所得というのが極めて制限的になってしまう、そういうような予算に見えてしまいますので、私どもは、繰り返しになりますが、修正案の中で、世代間格差を解消する社会保障の抜本改革を訴えておりますので、ぜひとも議員各位の皆様に御賛同をお願いしたいと思います。

 それでは、時間も限られていますので、質問を移らせていただきます。

 先ほど、阪神の震災のお話をさせていただきましたけれども、私も、もうすぐ震災の経験から二十年になろうとしています。その間、景気も非常に悪い時代もあって、だからこそ、いろいろなその間の問題を感じて私はここに立っている、そのように思うわけであります。

 例えば、若い人たちの教育の問題や、あるいは現役世代の皆さんが感じてくる問題というのは、何も教育、そういったことだけではなくて、本当に社会全体のありようや経済のありよう、日本全体のありようによって影響を受けるのではないでしょうか。

 先ほども阪神震災から二十年間と言いましたけれども、当時おぎゃあと生まれた赤ちゃんは、もうすぐ二十になろうとしているわけであります。その間の我が国の社会のありようというのは、果たしてどうだったでしょうか。

 今、経済が長い低迷にあった中で、例えば、我が国を取り巻く安全保障環境、これが厳しい状態にある、こういうことを繰り返し繰り返し総理もおっしゃっておられますけれども、景気が悪くなって、そして安全保障環境が厳しくなったら、当然、日本全体としてはナショナリズムが頭をもたげてきます。こういう時代のリーダーはどうあるべきかということを、ぜひとも総理に考えていただきたいと思うんです。あおるべきか、あるいは抑制的であるべきか。総理には、御自身が信任されていると過信をするのではなくて、常に周囲を確認しながら、特に説明をこの国会の場でも大事にしていただきたいと思います。

 そこで、この予算委員会の中でもまだまだ十分な議論はなされていないと思いますけれども、集団的自衛権の問題に絡む質問をさせていただきます。

 自民党の公約に書いてある国家安全保障基本法案、その中の第十条、国連憲章に定められた自衛権の行使、いわゆる集団的自衛権です。

 我が党においても、賛成派、慎重派の識者をお招きして、現在鋭意取りまとめているところでございます。我が国を取り巻く環境を考えれば、グレーゾーン対応のすき間を埋める必要がありますし、憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認するというならば、先ほど申し上げましたように、国会においてしっかりとした議論が必要だという立場でございます。

 先日、集中審議もありましたけれども、まだまだ足りないのではないでしょうか。報道に出る割には、この集団的自衛権の行使がなぜ必要かという説明がまだまだ十分になされていません。

 国家安全保障基本法案を自民党は選挙で示されて、そういった基本的な枠組みを国会に示して、そして議論することも大切かと私は思っているわけでありますが、その後、この国家安全保障基本法案、現在、政府あるいは与党においてはどのように検討されていて、進捗はどうなっているのでしょうか。総理・総裁の立場で説明をお願いします。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣 国家安全保障基本法案は、我が党が野党時代に、国の安全保障についての基本的な考え方を取りまとめたものであります。その中におきましては、御承知のように、集団的自衛権の解釈について、変更を事実上認めていくことについての趣旨についても書かれているわけでございます。

 この国家安全保障基本法を出すということは、我々は今、政府の立場にあるわけでありますから、政府としては、いわば、集団的自衛権の行使を可能にする法律を法律として出すわけにはいかないわけでありまして、解釈を変更しなければ、それは違憲立法になってしまうわけであります。

 ですから、これはまず、今、安保法制懇で議論が行われているわけでありまして、この議論が終局をし、その結論を得た上において、憲法の解釈の変更が必要であれば、必要であるという解釈の変更を行う。

 そして、それを閣議決定し、その上において、実際に自衛隊が行動する、その解釈がもし変わっていった場合、変わっていったことにおける行動が可能になった場合、しかし、行動を行う場合には、その法律をつくらなければ、法律を改正しなければ、その行動は行うことはできないわけでございます。つまり、そのことについてはしっかりと国会で議論が行われていくことになる、こういうことでございます。

 基本法におきましては、今申し上げましたように、野党として我々は法律を出したわけでございまして、それは考え方を示すものであります。そして、野党としてできることは、いわば、その法律を通すことによって考え方を変えていくということでありますが、しかし、政府としては、この解釈について、あらかじめ変更していなければ、変更を前提とした法律を出すことはできない、これは自明の理なんだろう、このように思うわけでございます。

畠中委員 時間が参りましたので、質問ではなくて、意見だけ申し上げますが、解釈の変更をして、それから法律を出すというのは、順番は理解できるんですけれども、今の答弁では、国家安全保障基本法案の位置づけというのが非常に曖昧な答弁であったのではないでしょうか。

 しっかりと、わかりやすい枠組みをぜひとも提示していただくような御準備を、そして、その進捗がどうなっているのかということを、ぜひ今後示していただければと思います。

 以上で終わります。

二階委員長 これにて畠中君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず初めに、総理に基本認識をお聞きしたいと思います。そもそも政党とは何かという点であります。

 政党とは、政治理念、政策で一致する個々人が自発的意思で集まって結成する自立的な組織であると思います。その上で、党の政策、理念を掲げて国民に支持を訴え、国民の支持のもとで存立する、そういうものだと思うんですね。

 したがって、政党の運営のための資金、政治資金というのは、国民に依存し、依拠し、国民の浄財で賄うというのが基本でございます。

 国民の側から見ますと、政党を結成したり、加わったり、または支持する政党に政治資金をカンパする、これは結社の自由、政治参加の自由であり、主権者としての国民の権利だと思うんです。

 総理はどのようにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 政党助成制度については……(佐々木(憲)委員「助成制度じゃない、政党とは何か」と呼ぶ)政党とは何かですか。

 政党とは何かにつきましては、今、佐々木委員が冒頭御説明になったように、まさに、政治を行う上において、考え方、政策を同じにする人々が相集い、そして政策を実現していくための結社であろう、このように思います。

佐々木(憲)委員 ことしは、政治改革四法が一九九四年に成立をしてちょうど二十年になります。政治改革の中心は、当時、小選挙区制の導入と政党助成金制度の創設にありました。

 政党助成金について言いますと、毎年約三百二十億円の税金を政党に配分する、こういう仕組みになっております。

 この政党助成金制度の導入をめぐりまして、そもそも政党が税金に依存していいのか、こういう議論が当時あったわけです。税金だから過度に依存しないように上限を決めようということで、細川総理と河野自民党総裁の合意で、上限は四割にしようという合意がありました。

 しかし、法制化するときに、三分の二ということに後退をさせまして、九五年十二月には、この歯どめも削除して、政党が幾ら税金に依存しようと構わない、こういうことになってしまったわけです。

 総理、このような経緯、御存じでしょうか。

安倍内閣総理大臣 経緯については私は余り詳しく承知をしておりませんが、基本的に、我が党においても、さまざまな議論が行われる中において、政党助成金にどれぐらい頼るべきかどうかということは議論になっていたことは承知をしております。

佐々木(憲)委員 国民の自発的な浄財に依拠して自立すべき政党が党の財政を税金で賄う、これは本来の政党のあり方としてはあってはならないと私は思うんです。

 確認をしたいんですけれども、一九九五年に政党助成金の制度が導入されてから二〇一三年末までに政党助成金が幾ら交付されたか、総額をお答えいただきたいと思います。

新藤国務大臣 政党助成制度が創設された平成七年、一九九五年分から、平成二十五年、二〇一三年分までの政党交付金の交付総額は、五千九百九十六億円余であります。

佐々木(憲)委員 六千億円、相当な金額になるわけですね。これを各政党に配分した。我々はこれを受け取っておりませんし、この制度に反対をしてまいりました。

 自民党は累計で幾ら受け取っているか、数字はわかりますか。

新藤国務大臣 うち、自由民主党への交付総額は、二千七百十六億円余であります。

佐々木(憲)委員 ということは、全体の四五%を占めている。半分近いのが自民党であります。

 これまで、国民の血税である約六千億円という巨額の税金を、政党では三十三の政党、これが配分をして、山分けした。しかも、この十九年の間に消えていった政党が二十五もあるわけですね。

 我々は政党助成金を受け取っておりません。それは、支持する政党を持たない国民に一律に献金を強制するようなものでありまして、思想、信条の自由を侵すものだからであります。

 そこで、お聞きしますけれども、自民党の収入に占める政党助成金は何%なのか、最近、一二年の数字を教えていただきたいと思います。

新藤国務大臣 政治資金規正法に基づく平成二十四年、二〇一二年分の政治資金収支報告書によれば、自由民主党本部であります、自由民主党の収入総額百五十八億円余に占める政党交付金の割合は、約六四%となっております。

 ちなみに、民主党が八四%、社会民主党が四二%、みんなの党が七九%でございます。

佐々木(憲)委員 自民党の場合は六四%。ほかの党も今説明がありましたけれども、庶民から浄財を集めるという努力をせずに税金で党財政を賄うというのは、これは庶民の感覚からいうと理解できない。庶民の痛みがわからなくなってくるんじゃないかと私は思うんですね。

 政府は、四月から消費税率を八%に増税しようとしているわけです。国民に増税を押しつけて、税金の山分けである政党助成金を懐に入れる、こういうやり方をして、総理自身は胸が痛みませんか。

安倍内閣総理大臣 政党助成制度は、政治改革の議論が行われたときに、さまざまな意見を集約する形でこの制度ができたわけでありますが、政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくことは、いわば民主主義のコストを国民の皆様全体に負担をしていただくという制度であるわけでありまして、政党がその運営においてどの程度政党交付金に依存するかの選択については、政党の自主性に委ねるのが適当だろうというふうに考えているわけでございますが、まさに我々は、国民の皆様からいただいた大切なこの政党交付金を、正しい、法にのっとった目的のために使っていくという大きな義務を背負っているものと思います。

佐々木(憲)委員 余り胸が痛むような話ではなかったと思いますね、今のお話では。

 二十年前に、リクルート疑獄など、金権腐敗政治の横行に国民の批判が高まったことがありました。そのときに、企業献金は禁止しよう、こういう世論が高まりまして、これに対して、自民党など政治改革を進めた方々は、企業・団体献金は禁止する、そのかわりに政党助成金を導入する、こういう話をしていたわけです。

 ところが、政党助成金は導入したんだけれども、企業・団体献金の方は、政治家個人に対してだけ禁止で、事実上、存続なんですよ。廃止すると言っていた企業・団体献金は一体どうなったのか。

 自民党は、企業・団体献金を幾ら受け取っているんでしょうか。総務省と都道府県選挙管理委員会に届けられた、自民党本部と支部、党の政治資金団体国民政治協会について、それぞれ額をお答えいただきたいと思います。

新藤国務大臣 法人その他の団体からの寄附金額について、総務大臣届け出分及び都道府県選挙管理委員会届け出分を合計したところ、平成二十四年分については、自由民主党本部と支部に六十三億九百三万円、国民政治協会に十三億七千百七十二万円の寄附があったところでございます。

佐々木(憲)委員 結局、合わせますと七十六・八億円ということになるわけですね。七十七億円であります。

 やめると言っていた企業・団体献金は温存されて、しかも、このほかにも、政治団体からの寄附、あるいは企業、団体によるパーティー券の購入、こういうのはここから除かれているわけです。これを入れますと膨大な数になりますよ。

 政党と、党の財布である政治資金団体が抜け穴になっているわけですよ。政党には党支部も含まれるわけですから、今度は政治家が党支部をたくさんつくる、そこに企業・団体献金を受け付ける、こういうやり方をするようになったわけですね。党支部は政治家個人の財布のようになっているわけです。

 ところで、安倍総理、自民党には支部が今幾つありますか。わかりますか。

安倍内閣総理大臣 通告をいただいておりませんので、そこまでは把握をしておりません。

佐々木(憲)委員 総裁だからそのぐらいはぱっと出ると思ったんですが、まことに残念であります。

 日本の全ての政党の支部の総計は、九千百十四あるんですよ。その中で、自民党は七千三百五十六。圧倒的に自民党の支部が多いんです。ほかの党のことは言いませんけれども、ほかの党は大体百単位なんですね。これだけの支部が企業・団体献金を受け付ける、こういうふうになりますと、大変な規模になるわけであります。

 企業献金、団体献金というのは、私は、個人の浄財とは性格が違うと思うんですよ。主権者は国民ですから、その国民が支持する政党に政治献金を行う、これは自由であります。個人献金は政治参加の一つの手段であり、国民の権利でもある。しかし、企業の場合は利益を求めていく存在でございます。主権者でもないし、選挙権ももちろん持っていないですね。その企業が政党や政治家に金を出して政治に影響を与える、それで自分の利益を図るということになりますと、主権者である国民の基本的権利を侵害することになる。だから、企業・団体献金の禁止が求められているわけでございます。

 総理に聞きますけれども、政党助成金も受け取る、企業・団体献金も受け取る、これは最初の出だしからいってもちょっと逸脱していますけれども、二重取りというような状況ではありませんか。どういう感じをお持ちですか。

安倍内閣総理大臣 民主主義にかかるコストをどのように分け合っていただくかという中において、二十年ちょっと前の政治改革の際に、いわばさまざまな問題が起こった、これはやはり国民の皆様にもこの民主主義のコストを税金という形で担っていただいて、そうした問題が起こる、そういう状況をなくしていこうということだったんだろう、このように思います。

 一方、全て税金に頼っていいのかどうかという議論も、先ほど申し上げましたように、あったわけでございまして、我が党は、その中におきまして、政党助成金を六十数%、そしてそれ以外は、まさに我々の政策、行動に共鳴していただいている皆様から浄財をいただいているということでございまして、つまり、我々の政策に共鳴していただく方が、献金として、企業、団体も含めて、資金を提供していただいている。これはある意味、民主主義の一つの姿の一部ではないか、このように思います。

佐々木(憲)委員 民主主義の姿とは思いませんね。

 個人の献金というのは、これは政治参加の一つの形態でありますけれども、企業の存在というのは個人とは違いますから、その財政力、資金力で政治に影響を与えるということになりますと、国民主権そのものが侵害される、こういうことになるわけであります。だから、我々は、労働組合の団体献金も禁止という立場であります。

 国民には消費税増税を行って、また税金から政党助成金をもらうわけだから、増税を押しつけて、上がった税金の一部を懐に入れるようなものですね。その一方で、今度は法人税の減税をやるわけでしょう。だから、減税を受ける大企業から政治献金を受け取って、またその税金を還流させる。二重の還流だと言わざるを得ない。

 昨年の参議院選挙前に、自民党と国民政治協会が、ゼネコンの業界団体であります日本建設業連合会、日建連に二つの文書を出しております。自民党の文書では、巨大公共事業を含む安倍内閣の経済政策、アベノミクス、これを説明している。それから、国民政治協会の文書では、自民党は強靱な国土の建設へと全力で立ち向かっている、こう強調しまして、その政策遂行を支援するためということで、四億七千百万円もの献金を要請していたわけですね。これは、政治を金で売るような、最悪の利権政治だと私は思いますよ。

 政権政党に復帰したからこういうことをやるのか。こういう利益誘導をやっているということは、国民に対して私は説明がつかないと思いますけれども、総理はどのようにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 一般論として申し上げれば、国民政治協会は自民党の政治資金団体でありますが、企業から献金を受けることは法律的に何ら問題がないわけでありまして、その手続も法律にのっとって適切に処理されているというふうに承知をしております。

 また、この協会からの寄附の要請は、公共事業予算と何ら連動するものではございません。一般的な政治活動に対する支援要請であるというふうに承知をしております。

佐々木(憲)委員 こういう政策をやります、国土強靱政策をやって公共事業をどんどんやりますよ、だからぜひ支援をというような話ですからね。そういう文書を出していながら今のような説明は、誰も納得できないと思いますね。これはまさに利益誘導のようなものであります。

 二十年前の政治改革で小選挙区制が導入されました。この選挙制度は、死に票が大変多くて、得票率と議席に著しい乖離がある、民意が反映されない、そういう性格のものです。

 自民党は、今回、勝った勝ったと言っていますけれども、四割の得票で八割の議席というような、虚構の多数ですよ。だから、民意から若干上乗せされたそういう状況を、若干じゃない、かなり上乗せされていますよね、その水増しされた多数を前提にして、今度は、政党助成金もそれを基数にして配分するわけであります。だから、ますます自民党に多額の税金が入ることになるわけですよ。

 この間、政治改革を進めてきた方々が、政治の劣化ですとかあるいは政党の堕落、こういうことを指摘するようになっております。政党助成金というのは本部に交付されます。それから各支部に配分されるんですね。配分は、本部、特にその中で中枢を占める方が全権を握ってやるわけですね。それと、小選挙区の公認権、これを政党のトップが握る、こういうわけでありますから、それをめぐる抗争もいろいろ指摘されております。

 二十年たちまして、その最初の改革をやった方々が今反省の言葉を述べておられるわけです。政党助成金と小選挙区制の害悪というのは、もういよいよ明確だと思うんですね。

 私どもは、政党助成金も企業・団体献金も受け取っておりません。党の財政というのは、やはり個人個人の浄財によって支えられるべきものである、そういうことで、政党助成金も廃止し、そして企業・団体献金は禁止する、こういう立場で私どもはやってまいりました。自立した結社としての政党、本来のあり方というのはそういうものではないかというふうに思っております。

 以上の見解を述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

二階委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 まずもって、本日、予算採決を行おうとすることについて、断固抗議をいたします。

 今回の予算案は、まさに、四月からの消費税増税を目前にして、一般会計において過去最大規模の予算であります。私は、本来であれば、もっと充実したというか、さらなる審議が必要であると考えておりました。そのことを申し上げておきたいと思います。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 TPPについて、きのう質問し切れない分もありましたので、引き続き議論させていただきたいと存じます。

 日本の情報公開のあり方、これはきのう多々議論が出ました。確かに、ホームページ等を見てみて、マレーシアと比べてそんなに極端な差はないというのはそうなのかもしれないけれども、私は、一つ大きな問題があると思います。

 それは、ホームページが、アップ・ツー・デートに情報が出てこないんですね。つまり、TPP、先般シンガポールで交渉があった。その後、あった直後にもう、次の日ですかね、USTR、アメリカはすぐフロマン代表のコメントが、一枚紙程度ですが載っています。日本は、見ると、沈黙したままで、そこの更新がなされていない。私は、こういう情報公開の更新の頻度とか、そういうところのアップ・ツー・デートの度合い、こういうところの情報公開が足りないというか、たたかれるゆえんではないかと思います、これはどうかということは言いませんが。

 であればこそ、日ごろ情報公開がなかなかなされない。そういう中で、国会の審議になっても恐らく、外交の案件というのは短期間で審議がなされて通るということがこれまで通例でありました。だから、ある段階でドラフトなり条文なり条項なりを公表して、しっかり慎重な審議というか、時間を持って、検討する時間を議員に与えなければいけないだろうと思います。

 この議論を農水委員会で、ドラフト公表を早くすべきじゃないかとしたときには、たしか、外交交渉というのはいろいろな段階があって、まず妥結するわけですね、内容の。そして、その妥結したものをもとに条文成文化、法律でいえば法案ですね、成文化作業を行うんだそうであります、そこは法律の専門家のチェックを受けながら。そして、実際に固まって、さあこうですよという条文案になる。ここで国会審議にかけられるんですが、この段階で初めて公表するということでありました。

 実は、交渉の過程で守秘義務、守秘義務と言われて、なかなかその辺が見えないし、隔靴掻痒の感があるわけです。決まって、成文化作業して初めて、さあどうぞ、国会に、すぐ審議に入りますということであれば、国会議員は十分審議というか検討ができないのではないでしょうか。私はそういう疑問を持っております。

 守秘義務は百歩譲って認めるとしても、では、どの段階で公表するかということを考えたときに、大まかな妥結というか、内容の合意、妥結、つまり、これ以上後戻りが、根本的な内容が変わらないんだ、そういう段階では公表しなければ、やはり国会をばかにしているなと思うし、国会決議に反しているんだろうと私は思います。

 この点について、資料の方をきのう準備したんですが、きょうはつけておりませんが、各国が、日本も含めて、協定への最終的な署名が行われる前に議会で精査し、公に議論することができる十分な時間を残してドラフトテキストを公開することを要求するという内容を署名で各国出しておりまして、これは米国の議員も同じような声明をUSTRに出して、それがこのテキストに別添としてついているということであって、全世界のTPP参加国の議員の大まかな考えだろうと思います。

 こういうことを踏まえてお聞きしたいんですが、やはり早目早目の、ある程度の、条文が固まったというよりも、中身が固まった段階で私は公表すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 TPPで、閣僚会合で一定のことが決まると、その後に各国の閣僚は会見をするわけであります。アメリカのフロマン代表の会見コメントが直ちにホームページに掲載をされる、日本は少しおくれているではないかと。これは、工夫をして、極力早く、許される範囲のものは載るようにはいたします。ただ、フロマン代表は予算委員会の集中審議に呼ばれることはありませんから、私は、そこで一日、丁寧に説明をさせていただいたわけであります。

 基本的に守秘義務があります。これは、それを破ったら直ちに退場ということになるわけであります。ですから、各国の議会から、あるいは議員から、あるいはステークホルダーからいろいろな要求がありますが、その要求にどう応えるか、各国も苦労しながら、工夫をしながらリリースをしております。私どもも、交渉官、担当官が、ステークホルダーにはその都度丁寧に説明をさせていただいているわけであります。

 最終的にリリースされるのは、おっしゃったとおり、国会にかけるときにその中身を説明しなければなりません。それ以前の場合については、基本的には、各国間で、ではここまではいいということの合意が成り立てば、それはそういうルールのもとにできるわけでありますし、今後、交渉が仮に妥結をした場合、それから国会にかけるまでの間に、どこの部分までというのは、これは、各国からそういう要望が出れば協議の対象になるんではないかと思いますし、そして、合意された範囲の中でリリースがなされるのではないかというふうに思っております。

畑委員 ぜひとも各国とその部分についての協議もしていただきたいと思います。

 国会決議、重要五品目は決議をバックにがんがんやっていただいておりますが、国会決議はもう一つあります。国会に速やかに情報を報告するということであります。だから、この趣旨を踏まえて、公表のことについては、各国の協議によって決まるのであればそこも頑張っていただきたいと思うんですが、これはきょうは述べるにとどめておきます。

 実は、きのうも話がありましたが、自民党は野党のときには、とにかく情報を出せ出せ、情報を出さない中での交渉参加入り表明は許されないと言ってまいりました。今の情報提供の度合いは、恐らく、自民党ないし公明党さん、与党の議員にとっても満足のいくものではないと思います。だからこそ、こういう与野党の超党派で国会決議もなされているんだと私は理解しております。

 そういうことで、これは議会の全体の力が必要ですから、自民党の皆さんも含めて、今後、ともに情報公開を求めていこうではありませんか。よろしくお願いいたします。

 質問を続けさせていただきます。まだ時間がございます。

 話をかえまして、これはちょっと総理にお伺いしたいんですが、大きな話でして、TPPの今後の見通しですが、TPP交渉については、私は、いつまでにこの妥結のめどを示してやるということを、腹を固めないと、こういう状況になってくると漂流するんじゃないかなと思っております。いろいろなメディアの話を見ても、アメリカ大統領中間選挙、これが近づいてくると、もう決めるインセンティブ、妥協するインセンティブがなくなってくるという話もあって、期限を明示することは適当でないということもわかりますけれども、やはりある程度の腹を決めておかなければ求心力がなくなるんだろうと思います。

 西村副大臣はテレビの報道で、五月のAPEC貿易相会合が一つの目安だということはおっしゃっておられます。そこにこだわりませんが、やはり、一つの腹を決めなければいけないと思うんです。ここに決めてぜひともまとめるんだという形で進めていかれるのか、そこをお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 TPPについては、アジア太平洋地域に大きな二十一世紀型の経済圏をつくっていく、物品の市場アクセス、物品のアクセスだけではなくて、ルールづくりにおいてもしっかりとしたものを、新しいものをつくっていこうということでございまして、そのことによって、このアジア太平洋地域、活力のあるアジア太平洋地域、伸びていくアジア太平洋地域のこの力を日本も取り込んでいこうということでございまして、人や物やお金、知恵も含めて、いろいろなものが自由に行き交う地域をつくっていくことが地域の人々にとってこれは明らかに富をもたらすものになっていくという中においては、早期締結は国益そして地域の利益になる、このように考えているわけでございまして、少なくともこのTPPについては、妥結を目指して全力を尽くしていきたい、こう思っている次第でございます。

 先般のシンガポールの閣僚協議におきましても、各国にやはりセンシティビティーがありますねという共通認識もできました。同時に、この新しい大きな経済協定を結んでいくことは地域にとって大きなプラスになるなということも認識されたわけでございまして、同じ方向に向かって、方向性、そういうものもつくられつつある、このように思うわけでございます。

 そこで、いつまでにということを今ここで申し上げることが交渉の上においてプラスかどうかということでございますが、足元を見られることになってはならないわけでございまして、我々は、締結を目指していくということについては、強い意思を持って進んでいきたい、このように思いますが、いつまでにということはここで申し上げることは控えさせていただきたい、このように思います。

畑委員 いつまでは言えないと思います。ただ、これは妥協してもまとめなきゃいけないんだということではなくて、こっちの主張を通した中で、がんがん交渉して国益を確保していくということで、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。

 次に、公共投資の話を伺わせていただきます。

 公共投資については、やはりうさん臭く見られている。私は、公共投資は反対ではない立場として、不幸だと思っております。なぜかというと、やはり原則がないと見られているんですね。つまり、中長期の見通しのもとでやっていないと見られている。

 この前、鹿児島の地方公聴会に行ったとき、鹿児島の建設協会の会長ですか、公共投資をしっかり積んでいただくのはありがたい、しかし、いつまたこれが下がるかわからない、要は、国土という物理的なものを相手にしていますから、中長期的な見通しのもとで、なだらかに、一定水準にやってほしい、こういうことを言っておられるわけであります。

 今、公共投資について、繰り越しとか、償還ができないとか、資材の高騰とかいろいろ出てくるのは、結局、体制が思い切り切られた中で今無理くりやっている、しかし、今体制をふやすと、また将来、何年か後に減るかもしれない、こういう思いで不安なんだろうと思うんです。

 こういうことも含めて、私はかねてからこの予算委員会で、経済計画のような、投資水準を決める計画が必要ではないかということを申し上げてまいりました。投資水準を平準化するということは必要ですが、きょう端的にお伺いしたいのは、経済計画のような中長期計画、今、これを日本でやはりつくるようにすべきじゃないかという思いがあります。これは経済財政担当の甘利大臣の御見解を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 経済財政担当としてお答えをいたします。

 経済財政運営と改革の基本方針、つまり骨太方針の中におきまして、選択と集中の徹底実行であるとか、賢く使うことへの転換とか、あるいは民間能力の活用という基本方針は掲げているわけであります。

 ただ、昔のように定量的に道路整備何カ年計画という数字を置いていく、これは、確かにフラクチュエーションはなくなりますから、事業者にとって、よく言われることでありますけれども、公共事業が突然減ってしまって重機の維持ができない、それをもう売却しちゃった、災害が起きたときに自治体から建設業協会に協力依頼があっても重機自身がないとか、そういうことがあるから、量の水準はともかくとして、見通せるように計画をつくるべきだという声があるのはよく承知をいたしております。

 ただ、財政再建等々もろもろ、あるいはPPP、PFIで民間資金を活用するという計画を、向こう何年かでしたか、十二兆円にするというプラン等もありますから、公費としての、幾ら公共事業に使うというのを、将来見通しも含めて提示するというやり方よりも、例えば、二十七年度に向けて駅の耐震化をどう図っていくかとか、あるいは三大都市圏の環状道路整備をどうしていくかという、ある種、定量的というよりも定性的というか、こういう事業を、こういう部分の充実を図っていく、そういうプランで出すようにしているところであります。

畑委員 数字の部分が、実は、数字ありきじゃいけないんです。確かに、かつての社会資本計画の問題はそこにありました。

 ただ、そういう定性的なものをしっかり中長期で記述した上で、それがどれぐらいなのかという見通しは結果としてあるはずだし、そこは示していただいた方がいいと思うし、問題は、一回決めた後、それが金科玉条のごとく五年間、十年間変えられないんだということではなくて、計画の中に見直す仕組みをビルトインして柔軟に見直せるようにしていく。かつても変動で見直すというのはありましたが、あれは題目だけでしたから、そこのシステムというのはこれから研究の価値があるんだろうと思っていますが、そういうことも含めて、ちょっとこれからも議論をさせていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、最後、日銀に来ていただいていますので、ちょっとお伺いしたいと思います。金融緩和でございます。

 金融緩和の効果というのは、これはいろいろ議論があると思いますが、マネタリーベースを見ると、二〇一二年十二月と二〇一三年の十二月、一年で六十七兆円ふえているわけです。しかし、マネーストック、実際にそれが市中というか、実際の需要者にどれぐらい流れるかというのを見たときに、三十三兆円しかふえていない。つまり、半分以下なわけであります。これを見ると、せっかくのお金が実体経済にそのまま流れていないという感じがうかがえます。

 せっかくの黒田総裁の異次元の緩和も、丸々効果を出しているわけではないと思いますが、この緩和した資金、この差の部分は一体どこに流れているんでしょうか。そして、それを踏まえて、景気回復において、金融緩和の意義、効果があると評価するのか、ないと評価するのか、そこをお伺いしたいと思います。

岩田参考人 量的・質的金融緩和というのは、強力な金利低下圧力をかけるとともに、ポートフォリオリバランスの効果があって、それらは貸し出しをふやす方向に作用します。さらに、家計や企業のデフレ予想を抜本的に転換するということによって、前向きな資金需要を生み出すことを目的としております。

 実際に、銀行貸し出しの前年比は二%半ばのプラスで推移しておりまして、中身を見ると、大企業向けだけでなく、中小企業向けもプラスで推移しております。

 過去に幾つかのデフレからの脱却過程というのがあるんですが、それを見ますと、要するに、デフレ期には企業も家計も大量に現預金をため込んでおります。そのために、過去のデフレ脱却過程は、貸出残高がむしろ減ってしまう。しかし、家計や企業が持っているお金が動き出すことによって回復を始める。貸し出しは大分おくれてふえ始めるということでしたが、今回も、企業も家計も現預金を大量に持っている、にもかかわらず、今回は銀行の貸し出しが速やかにふえ始めているというところに、むしろ、過去よりも銀行の貸し出しがふえるという効果があると思います。

 それから、それに伴うマネーストックなんですが、マネーストックはどういうふうになっているかというと、これは、安倍総理が、当時、いわゆる大胆な金融政策を含めたアベノミクスを宣言されたのが二〇一二年の十一月ですが、そこまでは、マネーストックは、むしろ、増加率は低下傾向にありました。しかし、アベノミクスで恐らく期待が変わったということもあったでしょうし、異次元の金融緩和を期待されたので、そこの伸び率を底に、急激に上昇過程に入っていきます。そして、その伸び率が毎月のように上昇するという過程は、量的・質的緩和以後もっと強まって、ついに一月は前年比で四・四%まで増加しています。

 この増加率は、実に一九九八年以来の高い伸び率でありますので、量的・質的金融緩和は、銀行の貸し出しやマネーストックの伸び率に対して極めて効果的に働いていると考えております。

畑委員 金融緩和については私も否定しておりませんが、金融緩和を先行してやっていくという期待に訴えるだけであって、実体経済の需要とはまた別ですから、需要もあわせて上がることによってそういうことになってきたんだろうと思います。

 そこの三十何兆、間の部分がどこに行ったのかということは、きょうはお答えになっていただいておりません。私は、これは投機マネーとか外国のヘッジファンド等に行っている部分も大きいと思うし、まず需要をしっかり高めて、金融は、それについて、フォローで来ることが大事だと思っていまして、そこの政策の進行の進め方、順番の問題もある部分は、問題意識は持っております。

 本日、時間が参りましたので、私の質疑はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。(発言する者、離席する者あり)

二階委員長 民主党・無所属クラブの所属議員は、御着席願います。御着席願います。(発言する者あり)民主党・無所属クラブの所属議員は、所定の席に御着席願います。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十六年度予算三案及び各修正案に対する質疑は全て終局いたしました。

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二階委員長 ただいままでに、みんなの党佐藤正夫君から、また日本共産党宮本岳志君から、また生活の党畑浩治君から、それぞれ、平成二十六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、各動議について提出者より順次趣旨の説明を求めます。佐藤正夫君。

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 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算及び平成二十六年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤(正)委員 私は、みんなの党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の平成二十六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、その趣旨を説明いたします。

 みんなの党は、その結党以来、繰り返し、増税の前にやるべきことがあると申し上げてまいりました。

 増税の前にやるべきことは、デフレとの戦い、不公平との戦い、国民に負担を強いる側である政治家、公務員の定数削減や報酬カットなど、身を切る戦いです。安倍内閣の取り組みは、いずれについても不十分であると言わざるを得ません。

 とりわけ、デフレからの脱却がまだ確実なものではない中で行われようとしている消費税増税は、確実に国民生活を直撃します。

 したがって、以下の三つの理由により、予算の抜本的組み替えが必要です。

 第一に、政府の予算案が、消費税率引き上げと財政支出を前提とした、たくさん集めてたくさん配る、大きな政府への道を突き進むものであるということ。それよりも、増税を凍結し、民間経済に力を与えることこそが、経済再生、デフレ脱却につながる道です。

 第二に、政府の予算案の歳出削減が不十分なことです。政府の予算案は、平成二十五年度補正予算に事業の一部を前倒し計上したにもかかわらず、九十五兆円を超える巨額の予算であり、歳出の拡大に歯どめがかかっていません。

 第三に、民間主導の経済再生には結びつかない予算になっているということです。みんなの党は、効果の薄い官による財政出動によらない経済対策、すなわち、減税策によって民間の活力を増大させる予算への転換が必要であると考えます。

 これら三つの理由から、平成二十六年度予算案三案を撤回し、編成替えを行うことを求めます。

 次に、編成替えの概要について申し上げます。

 歳出面では、即効性のない基金積み立てや公共事業の見直しなどにより、二・四兆円を削減します。また、議員歳費削減措置の継続などで〇・三兆円、補助金や交付金の見直しで一・三兆円を削るなどし、歳出全体では七・二兆円の大幅削減を断行します。

 歳入面では、消費税増税の凍結によって四・五兆円の減が見込まれます。また、財政健全化の促進のため、特例公債の発行を六兆円減らします。一方、特別会計剰余金を取り崩すことで五兆円の歳入を見込みます。

 これらの措置により、平成二十六年度予算を、政府案九十五・九兆円から七・二兆円減額し、八十八・七兆円規模といたします。

 以上が、みんなの党の組み替え案の概要です。

 何とぞ我々の動議に委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、宮本岳志君。

    ―――――――――――――

 二〇一四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一四年度予算三案につき政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要について御説明申し上げます。

 本予算案は、消費税率アップの大増税を国民に押しつけた上で、年金、医療、生活保護などの社会保障を削減し、教育、農業、地方財政など、国民生活に密着する予算を軒並み削減しております。その一方で、大企業向け減税と新規大型開発事業の大盤振る舞いを盛り込み、軍事費は二年連続で増額となっております。

 円安によって大企業の利益は急増していますが、労働者の実質賃金低下を初め、家計消費の低迷、物価上昇により、暮らしはますます苦しくなっています。四半期実質GDPの伸びは二期連続で一%程度となり、経済の減速傾向が明らかになっています。

 消費税で八兆円、社会保障の改悪などを合わせて十兆円もの負担増を国民に押しつければ、暮らしも経済も落ち込むことは必至であります。大企業がもうかれば国民にも利益が滴り落ちるというアベノミクスの路線では、国民の暮らしも日本経済もよくなりません。経済政策の抜本的転換が求められています。

 以上の立場から、二〇一四年度予算案を抜本的に組み替えることを要求するものです。

 編成替えの大きな柱は、消費税増税を中止し、国民の所得をふやす政策に転換することです。

 そもそも消費税は、低所得者ほど負担が重い税金です。政府は、全額社会保障に使うと言ってきましたが、実際に社会保障の充実に充てるのは、消費税増税による増収額の一割にすぎないのが事実であり、政府の説明は成り立ちません。消費税収を当て込んで、大企業減税や新規大型開発事業、軍事費を増額するなど、財政再建にも逆行するものです。

 大企業を優遇する予算を削減し、大企業等に応分の負担を求めるべきです。復興特別法人税の廃止をやめ、研究開発減税や投資減税などの大企業優遇税制の拡充を中止します。

 日本経済を立て直す鍵は、賃金等の国民の所得をふやすことです。そのため、二百七十兆円に上る大企業の内部留保を活用して、ベースアップを含む賃上げの実現を求めます。最低賃金を抜本的に引き上げるために、雇用の七割を支える中小企業に対する最低賃金引き上げのための財政支援の制度を拡充することが必要です。

 労働者派遣法など労働法制の改悪は、総非正規化、残業手当ゼロ、首切り自由につながるものであり、中止します。

 また、社会保障の連続給付削減と国民負担増をやめることです。年金給付、児童扶養手当は、連続削減が続いています。七十歳の医療費二割化を中止し、保険証取り上げをやめ、介護保険料、利用料の負担増を中止します。

 もう一つの柱は、軍事費を大幅に削減し、海外で戦争する国づくりをやめることです。

 沖縄県名護市長選挙で示された県民の意思を尊重し、辺野古への米軍新基地建設を撤回し、普天間基地の即時閉鎖、無条件撤去、返還を求めます。

 五年間で二十四兆六千七百億円に上る新中期防衛力整備計画を撤回し、新型ステルス戦闘機F35やオスプレイ、無人機、ミサイル防衛、水陸機動団の編成など、周辺諸国との軍事緊張を高め、東アジアの平和環境づくりに逆行する軍備拡大は中止します。

 さらに、東日本大震災から三年、住宅となりわい、地域社会の復興に国が最後まで責任を負うことを基本に据え、被災者支援を抜本的に強化することを求めます。

 原発を重要なベースロード電源と位置づけ、原発再稼働を推進するエネルギー基本計画を撤回し、原発即時ゼロを政治決断することを強く求めます。

 以上、編成替えの概要を説明いたしました。

 委員各位の御賛同を訴え、趣旨の説明を終わります。

二階委員長 次に、畑浩治君。

    ―――――――――――――

 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算及び平成二十六年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求める動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 私は、生活の党を代表いたしまして、平成二十六年度政府予算三案の組み替え、撤回のうえ編成替えを求める動議を提出いたします。

 本格的な景気回復と国民生活の向上に資する適切な内容、規模の財政支出の必要性は認めますが、平成二十六年度予算案には、不要不急の支出が随所に見られるなどの問題が多いと考えます。また、個人消費への悪影響に適切に対応する支出や国民の実質可処分所得の向上のための措置が十分とは言いがたいと考えております。経済の土台である家計、中小企業、地域経済を活性化する施策を最優先に講ずべきと考えます。

 このため、政府提出の予算案については、これらの理念に沿って組み替える必要があることから、撤回のうえ組み替えをする動議を提出いたします。

 以下、理由を説明申し上げます。

 私たちは、不要不急の予算措置に反対しております。平成二十六年度予算案においては、行政改革推進会議の秋のレビューで指摘がなされた五十二事業について、削減額四千八百億円のうち、二十五年度補正予算で三千六百億円が復活した上に、そもそも、平成二十五年度当初予算と比べれば、平成二十六年度予算案においても三千四百億円の増額がなされております。このように、平成二十六年度予算案は、平成二十五年度補正予算と合わせると、七千億円もの不要不急の増額がなされていると言えます。また、平成二十五年度補正予算と平成二十六年度予算案で概算要求を上回るものが六十九項目、二兆二千億円に上っております。

 また、基金については、二十五年度補正予算で四十九事業に対して一兆二千億円が投入され、二十六年度当初では四十九事業に一兆四千億円が投入されました。補正、当初の双方で重複して投入されたものは二十事業、八千億円にも上り、中には、これまでの執行状況から、現段階での増額に疑問のあるものも多いのであります。

 そして、私たちは、現時点での消費税増税に反対であります。

 現時点での消費税増税は、デフレ脱却を目指し、日本経済を持続的成長軌道に乗せるに当たって、矛盾した政策であります。したがって、消費税増税による財源約四兆六千億円を見込むことは不適切であると考えております。

 そして、さらに、エネルギー政策についてでありますが、これを抜本的に転換して、原発依存度をゼロにする政策を進めるべきであると考えております。

 しかしながら、政府提出予算案にはその方向性が見えません。核燃サイクルを含めて、原発を推進するための予算を最大限削減して、これによって得た財源を、新エネルギー、再生可能エネルギーを中心とした代替エネルギーの普及や、省エネに寄与する投資に重点化すべきであると考えております。脱原発こそ、最大の成長戦略であります。

 そして、私たちは、復興特別法人税の廃止に反対であります。

 復興は、全ての主体が復興のための負担を分かち合うことにあります。これだけを廃止すれば、黒字法人だけがその輪から抜けることになります。そもそも、復興特別法人税の廃止は、黒字法人だけを支援することになり、不公平、不適正な支援措置であります。経済的にも、復興特別法人税廃止と賃上げのリンク、担保が明確ではありません。

 そして、次に、組み替えの概要について御説明申し上げます。

 まず、平成二十五年度補正予算と平成二十六年度予算案の合計額で概算要求額を上回る予算配分を受けた六十九項目、二兆二千億円に上る事業について、精査の上、減額することであります。

 また、基金への拠出についても、特に、平成二十五年度補正予算及び二十六年度予算の両方で拠出を行っている基金について、拠出の必要性や執行の可能性等を精査の上で減額すべきであります。

 次に、復興特別法人税の前倒し廃止を撤回し、平成二十六年度も引き続き課税することといたします。これによる増収額は八千億円であります。

 そして、電源立地対策費、電源利用対策費、高速増殖炉サイクル技術に係る経費等を減額し、これによって確保された財源を、新エネルギー、再生可能エネルギーを中心とした代替エネルギーの普及や、省エネに寄与する投資に充てることであります。

 次に、中小企業関係予算、正規雇用化関係の助成金、奨励金等の拡充、医療、介護提供体制の充実、介護労働者の処遇改善、子育て支援の充実、高校無償化の所得制限導入の撤回、給付型奨学金の拡充、米の直接支払い交付金を含む農業戸別所得補償の維持など、国民の実質可処分所得向上のための予算の拡充を図ります。

 最後に、税率引き上げ以上の負の経済効果をもたらすことから、消費税増税を凍結し、税収増分を皆減いたします。四兆五千三百五十億円であります。その見合い分を、外為特別会計、国債整理基金特別会計等の積立金または剰余金、政府保有資産等の活用により賄うことにいたします。

 以上であります。

 何とぞ議員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

二階委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

二階委員長 これより討論に入ります。

 平成二十六年度予算三案、これに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件及び平成二十六年度予算三案に対する各修正案を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中山泰秀君。

中山(泰)委員 自由民主党の中山泰秀です。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案に対して賛成、みんなの党、共産党、生活の党提出の編成替え動議及び日本維新の会、結いの党共同提出の修正案に対して反対の立場から討論を行います。

 安倍内閣が初めて概算要求の段階から策定し、内閣としての経済財政運営のスタンスをあらわすべきものこそ、ただいま議題となっております平成二十六年度予算であります。

 以下、平成二十六年度予算三案に賛成する主な理由を申し述べます。

 賛成する第一の理由は、この予算が、未来への投資や暮らしの安全、安心など、民間消費、投資を喚起する予算となっていることです。

 こうした施策により、民間のイノベーションが誘発され、新たな需要が生まれることを通じて、経済の自律的な成長につながることが期待されます。また、生活の安心が確保され、安定した消費活動の基盤になると考えております。

 賛成する第二の理由は、財政健全化に向けて着実に歩みを続けている予算であることです。

 一般会計における基礎的財政収支については、中期財政計画で掲げた四兆円程度の改善幅を大きく上回る五・二兆円の改善を果たしました。

 賛成する第三の理由は、社会保障・税一体改革を実現する最初の予算として、本年四月に予定されている消費税率引き上げによる増収分を活用して、子育て支援などの社会保障の充実と安定化を図っていることです。

 以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。

 私は、お金には二通りの使い道があると思います。一つは生き金として使うこと、もう一つは死に金です。国民が額に汗して働き、今がたとえ厳しい時代であったとしても、次の時代、子供たちの時代のためにと拠出してくださった貴重な税金を、一円たりとも死に金にするわけにはいきません。しっかりと生き金として使う、お金の使い道にこだわることが私たち予算委員一人一人に課せられた使命であると思います。

 本国会は、好循環実現国会と言われております。好循環の実現に向けて着実な一歩を踏み出すこの平成二十六年度予算を一日も早く成立させることが、まさにこの好循環実現国会における我々の使命であると考えており、議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げ、私の政府提出予算に対する賛成討論とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

二階委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 私は、日本維新の会を代表して、政府に対しまして、平成二十六年度一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算の三案を撤回することを強く求めるとともに、みんなの党、共産党、生活の党各党による編成替え動議に反対し、日本維新の会及び結いの党共同提案による日本の経済、財政、社会の未来に責任を持ち、将来にわたる希望をもたらす予算修正案を採用することを強く要求し、討論を行います。

 私たちは、自立する個人、地域、国家を目指す基本理念を掲げております。国が何もかも支援する政策は、経済と人口が右肩上がりの場合に限ってできることであって、高齢化が進み、現役世代への負担が増大している現状では、根本的に配分を見直さなければなりません。

 しかしながら、今回の政府予算案は、過去の社会背景を引きずったまま、消費増税による景気腰折れ対策の名のもとに、不要不急の政策がてんこ盛りの旧態依然の予算案になっています。

 私たちの予算修正案は、まず第一に、世界じゅうの資本が集まる国にするために、政府案には盛り込まれていない実効税率三五%超の法人税を世界標準の二五%へ一〇%分減税するとともに、個人の復興特別所得税も減税する予算案としています。

 第二に、社会保障制度における世代間格差の是正です。公的年金制度を積立方式に移行し、現役世代が高齢世代を支える仕組みを改めるとともに、高齢者医療の自己負担分を一割から二割へふやし、国の制度として子供の医療費を三割自己負担としていることとの格差も見直します。

 第三に、未来への投資です。将来性のある再生医療を初めとした科学研究の予算を三〇%増額し、欧米との競争環境を整えるとともに、やる気のある生徒を支援するための育英奨学金も三〇%増額しております。

 第四に、徹底した行財政改革です。国民に消費税増税を課しながら、政府予算案は、国会議員や国家公務員、教員の人件費、庁費の削減などに着手する姿勢が一向に見られません。交付金、補助金、委託費についても、法的根拠がない項目、効果が検証されていない項目などについては大胆に見直し、経済再生の基盤である法人税減税の財源を捻出すべきです。

 第五に、良好な国際関係を築くとともに、国家安全保障体制を整備するため、サイバーテロへの対策、情報収集体制の拡充、南西諸島防衛のための航空機改修費などを増額するとともに、東京オリンピックに合わせて、日本文化のすばらしさを世界に向けて発信、交流させる政策を盛り込んでいます。

 私たちの修正案では、来年度末の一般会計及び特別会計の連結ベースで、政府案と比較して、基礎的財政収支は約一・六兆円改善、国債残高は約五・六兆円圧縮することとなります。

 財政健全化を進めていくためにも、政府の予算案に反対し、日本維新の会及び結いの党の共同提案による予算修正案に対する代議士各位の御賛同をお願いして、私の討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

二階委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十六年度予算三案に対して、賛成の立場から討論いたします。

 その前に、豪雪で被害に遭われました皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 安倍内閣発足から一年を超え、日本経済は大きく好転へと動き出しました。時機を捉えた適切な三本の矢の経済対策によって、長年のデフレ脱却への道筋に光が差し始めております。

 今こそまさに正念場です。経済の好循環の実現に向け、将来にわたってあらゆる対策に万全を期していく、その本丸が平成二十六年度予算です。

 以下、賛成理由を主に三点から申し述べます。

 まず第一に、自律的な成長の予算である点です。

 平成二十六年度予算案には、科学技術の司令塔機能強化、医療分野の研究開発体制整備、また、国民の命と財産を守る公共事業予算への重点化など、国民生活の安全、安心に直結するものであります。

 第二に、いまだ二十七万人が避難生活を余儀なくされる中、東日本大震災からの復興加速化に不可欠な予算であるからであります。

 発災から間もなく三年、長期避難者への支援、ふるさとへの早期帰還の支援等のための交付金など、多数計上されております。

 第三に、社会保障と税の一体改革において重要な予算であるからです。

 消費税増収分は、国民の皆様の年金、介護、医療、子育て支援のために使う、三党合意のこの約束を果たすための重要な予算だからです。例えば、将来にわたっての年金の安定化、切迫する介護現場の環境改善、患者、家族の方々の悲願であった難病対策の拡充、新たな地域型保育を含めた多様な保育への支援、昨年十二月に承認した障害者権利条約のための施策など、そのどれをとっても待ったなしの課題解決のための予算であります。

 以上、主な理由を申し述べました。

 公明党は、実感できる景気回復を含め、国民の皆様の安全、安心実現のため、「大衆とともに」の精神で、全力で諸施策に取り組むことをお約束し、私の賛成討論とさせていただきます。

 なお、みんなの党、共産党、生活の党、日本維新の会、結いの党から提出されました編成替え動議及び修正案については、見解を異にするものであり、反対いたします。

 以上です。(拍手)

二階委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 まず、冒頭、十分な審議を尽くさず本日採決することに反対だということを申し上げておきたいと思います。

 私は、日本共産党を代表して、二〇一四年度予算三案に反対、維新等提出の修正案に反対、我が党提出の組み替え動議に賛成、その他の各党提出の組み替え動議に反対の討論を行います。

 本予算案は、消費税率アップの大増税を国民に押しつけて、予算編成で初めて消費税収が法人税収を上回っております。経済的弱者を踏みつけにする消費税大増税を前提とする予算には反対です。

 円安によって大企業の利益は急増していますが、労働者の実質賃金低下を初め、家計消費の低迷、物価上昇により、国民の暮らしはますます苦しくなっています。

 消費税で八兆円、社会保障の改悪などを合わせて十兆円もの負担増を国民に押しつければ、雇用の七割を支える中小零細業者の営業をも破壊し、国と地方の税収が落ち込み、財政危機打開にもつながりません。復興特別法人税の廃止、研究開発減税や投資減税、交際費非課税などの大企業優遇税制をやめ、大企業と資産家等に応分の負担を求めるべきです。

 第二に、社会保障と労働法制の改悪の押しつけに反対するものです。

 社会保障予算は、年金給付削減一兆円、年金保険料引き上げ〇・七兆円、老人医療費負担増と生活保護水準切り下げなどの負担押しつけとなっています。国民が必要とする手当や給付の削減と、国民負担の増加は、憲法が保障する国民の生存権を脅かすものであり、容認できません。政府が検討している労働法制の改悪は、非正規労働者を拡大し、首切り自由につながるものであり、断じて認めることはできません。

 今必要なことは、内需拡大を本格的に進めるため、賃金等の国民所得をふやす方向に踏み出すことです。中央公聴会でも、公述人から、最低賃金引き上げの有効性が語られました。最低賃金を抜本的に引き上げ、雇用の七割を支える中小企業に対する最低賃金引き上げの財政支援を拡充すべきです。

 第三に、軍事費を二年連続で増加し、戦争する国づくりの予算を認めることはできません。

 名護市辺野古への米軍新基地建設を撤回し、普天間基地の即時閉鎖、無条件撤去、返還を求めます。新中期防に基づく、新型ステルス戦闘機F35等の軍備拡大や、水陸機動団の編成、さらには敵基地攻撃能力の保有の検討などは、周辺諸国との軍事緊張を高め、東アジアの平和環境づくりに逆行するものであり、反対です。

 最後に、エネルギー基本計画に原発を重要なベースロード電源と位置づけ、原発再稼働を推進することは、断じて認められません。原発即時ゼロを政治決断することを求めます。

 以上指摘して、討論を終わります。

二階委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 私は、生活の党を代表しまして、ただいま議題となりました政府提出の平成二十六年度予算三案に反対の立場から討論を行います。

 現下の経済状況に鑑みれば、本格的な景気回復と国民生活の向上に資する適切な内容、規模の財政支出の必要性は認めますが、二十六年度予算案には、不要不急の支出が随所に見られるなど、問題点が多いと考えます。

 平成二十六年度予算案においては、秋のレビューで指摘がなされた五十二事業について、二十五年度当初予算額と比べれば、二十六年度予算案においても三千四百億円増額されております。また、二十五年度補正予算と二十六年度予算案で、概算要求額を上回るものが二兆二千億円に上っています。基金については、二十五年度補正予算で四十九事業に対して一兆二千億円が投入され、二十六年度当初予算案では四十九事業に一兆四千億円が投入されました。補正、当初の双方で重複して投入されたものは二十事業、八千億円にも上り、中には、これまでの執行状況から増額に疑問のあるものも多くなっています。

 また、経済対策としては、GDPの六割を占める個人消費をふやす必要がありますが、個人消費への悪影響に適切に対応する支出や、国民の実質可処分所得の向上のための措置が十分とは言えません。賃上げの環境整備のため、中小企業関係予算、あるいは正規雇用化に向けた関係の助成金、奨励金等の拡充等も必要であると考えます。

 なお、税率引き上げ以上の負の経済効果をもたらす消費税増税は、現時点では行うべきではありません。

 さらに、復興特別法人税の廃止には断固反対します。

 そもそも、黒字法人だけを支援することになり、不公平、不適正な支援措置であるとともに、復興特別法人税廃止と賃上げのリンク、担保が明確ではないからであります。

 以上の諸点を指摘して、平成二十六年度政府予算三案への反対討論といたします。

 なお、維新、結いの党提出の修正案、みんなの党、共産党の動議については、見解を異にする点もあり、反対といたします。

 最後に、今回の予算案は、四月からの消費税増税を目前にして、一般会計において過去最大額の当初予算案であります。であるにもかかわらず、近来まれに見る短時間の審議で採決がなされようとしております。本来であれば、さらなる充実審議が必要であるにもかかわらずであります。このようなやり方に対して断固抗議をするものであります。

 以上で私の反対討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

二階委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

二階委員長 これより採決に入ります。

 まず、佐藤正夫君提出の平成二十六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立少数。(発言する者あり)静かに。よって、佐藤正夫君提出の動議は否決されました。

 次に、宮本岳志君提出の平成二十六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立少数。よって、宮本岳志君提出の動議は否決されました。

 次に、畑浩治君提出の平成二十六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立少数。よって、畑浩治君提出の動議は否決されました。

 次に、桜内文城君外一名提出、平成二十六年度一般会計予算に対する修正案、平成二十六年度特別会計予算に対する修正案及び平成二十六年度政府関係機関予算に対する修正案の各案を一括して採決いたします。

 各修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立少数。よって、各修正案は否決されました。

 次に、平成二十六年度一般会計予算……(発言する者、離席する者あり)静かに。自分の席に座りなさいよ。次に、平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決します。(発言する者あり)これが円満な姿ですか。席へ着いてください。自分の席へ着いてください。一旦席へ着いてください。委員長の整理権に対して協力しないじゃないですか。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立多数。よって、平成二十六年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十六年度予算三案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。(発言する者あり)

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 どうぞ席に着いてくださいよ。席に着いてくださいよ。

 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

二階委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十五分散会


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