衆議院

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第3号 平成26年10月6日(月曜日)

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平成二十六年十月六日(月曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君

   理事 菅原 一秀君 理事 萩生田光一君

   理事 原田 義昭君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      秋元  司君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    石原 宏高君

      岩屋  毅君    大西 英男君

      加藤 寛治君    金子 一義君

      菅家 一郎君    菅野さちこ君

      岸  信夫君    熊田 裕通君

      小池百合子君    小林 茂樹君

      佐田玄一郎君    白石  徹君

      寺田  稔君    土井  亨君

      中村 裕之君    根本  匠君

      野田  毅君    船田  元君

      星野 剛士君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      保岡 興治君    山本 幸三君

      山本 有二君    若宮 健嗣君

      小川 淳也君    階   猛君

      辻元 清美君    細野 豪志君

      山井 和則君    井坂 信彦君

      小沢 鋭仁君    柿沢 未途君

      坂本祐之輔君    清水鴻一郎君

      重徳 和彦君    松浪 健太君

      松野 頼久君    中野 洋昌君

      樋口 尚也君    桜内 文城君

      杉田 水脈君    西野 弘一君

      山田  宏君    浅尾慶一郎君

      佐藤 正夫君    赤嶺 政賢君

      塩川 鉄也君    玉城デニー君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         松島みどり君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       西川 公也君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      小渕 優子君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   防衛大臣

   国務大臣

   (安全保障法制担当)   江渡 聡徳君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山口 俊一君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (規制改革担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   財務副大臣        宮下 一郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   会計検査院事務総局第三局長            堀部  貢君

   会計検査院事務総局第五局長            藤崎 健一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西室 泰三君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月六日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     宮崎 謙介君

  岩屋  毅君     中村 裕之君

  衛藤征士郎君     菅家 一郎君

  古屋 圭司君     星野 剛士君

  井坂 信彦君     松野 頼久君

  坂本祐之輔君     小沢 鋭仁君

  清水鴻一郎君     柿沢 未途君

  重徳 和彦君     松浪 健太君

  西野 弘一君     杉田 水脈君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     加藤 寛治君

  中村 裕之君     岩屋  毅君

  星野 剛士君     小林 茂樹君

  宮崎 謙介君     秋元  司君

  小沢 鋭仁君     坂本祐之輔君

  柿沢 未途君     清水鴻一郎君

  松浪 健太君     重徳 和彦君

  松野 頼久君     井坂 信彦君

  杉田 水脈君     桜内 文城君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     大西 英男君

  小林 茂樹君     古屋 圭司君

  桜内 文城君     西野 弘一君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     三ッ林裕巳君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     衛藤征士郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西室泰三君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、環境省自然環境局長塚本瑞天君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 基本的質疑を行います。

 この際、去る三日の前原誠司君の質疑に関連し、階猛君から質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、台風の影響で多くの方が避難されていらっしゃいます。お見舞いを申し上げますとともに、これから台風の進路に当たると思われる皆様におかれましては、早目早目の避難を心がけていただきますようお願い申し上げます。

 さて、早速ですが、質問に入らせていただきます。

 きょうは、台風の影響で、このテレビはNHKの教育テレビで中継されていると伺っておりますが、ぜひ、安倍総理には、教育テレビを見ている小中学生のお子さんにも、わかりやすい、簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 一点目は、安倍政権の情報公開姿勢と秘密保護法の問題点についてということなんですが、まず安倍総理にお伺いしたいと思います。

 先週末の枝野幹事長の質疑の中で、新三要件の一つ目の明白な危険という文言が曖昧で、歯どめがきかなくなるという指摘がありました。私も同感ですが、この点については、きょうは質問いたしません。

 このパネルの一番右下に明白な危険というのは何かということがありまして、政府が、以下の全ての情報を総合して客観的、合理的に判断するということです。1から5まで、さまざまな情報が挙げられております。

 この明白な危険の有無ですが、このパネルでは政府が判断するとなっておりますけれども、さきの国会での御答弁にもありましたように、総理は国会の事前または事後の承認が必要だということをおっしゃっておられました。この承認は国会が与えるということで間違いないですね。はいかいいえでお答えください。

安倍内閣総理大臣 個別的自衛権につきましても、いわばさまざまな状況を判断した上において防衛出動あるいは武力行使を判断するわけでございますが、その際、国会の事前事後の承認が必要でございます。

 当然、法改正を進めていく上においては、それにかかわる防衛出動あるいはそれにかかわる武力行使については、国会の事前事後の承認が必要となる、そういう法律になっていくものと思われます。

階委員 ところで、パネルにも書いていますが、政府がまず明白な危険を判断する際、七月十五日の国会答弁で、1から5の全ての情報を総合して客観的、合理的に判断すると言われていますけれども、ここで挙げられている全ての情報というのは、承認権を持つ国会には当然開示されると思います。この点は間違いないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 そうした状況になったときに、政府としてある事態が新三要件を満たすとの判断に至った場合についてのお尋ねだと思います。

 その際、そもそも憲法上許容される武力の行使を行うために自衛隊に対して防衛出動を命ずる際には、これまでと同様、原則として事前に国会の承認を求めることとしているということは先ほど申し上げたとおりでございますが、政府としてある事態が新三要件を満たすとの判断に至った場合には、そのような事実を含めた情勢認識などの情報を国会や国民の皆様に適切に公開し、その御理解を得ていくことは極めて重要であると考えております。

階委員 極めて重要だということなんですが、こうした重要な情報を隠蔽するということが絶対にあってはならないと思っております。

 ところで、十二月に特定秘密保護法が施行される予定ですけれども、集団的自衛権行使の今の国会の承認を得るために、政府にとって不都合な情報が、特定秘密に指定されるなどして国会に開示されない可能性があるのではないかという懸念がありますけれども、こうした事態を防ぐための法制度上の担保は、今、ありますでしょうか。

 総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 まず、運用基準につきましては、既に諮問委員会において運用基準がつくられたところでございます。

 そして、このつくられた運用基準において、内閣府に設置する予定の独立公文書管理監に行政機関に対して十分な検証、監察を行うために必要な権限を付与することを検討しています。

 各行政機関は、閣議決定である運用基準に従わなければならないことから、独立公文書管理監による適正確保の機能は十分果たされるものと考えているわけでございます。

 そして、運用基準において、行政機関が特定秘密の提供を拒む場合には独立公文書管理監にその理由を疎明しなければならないことを明記することを検討しているので、特定秘密の漏えいのおそれがないにもかかわらず独立公文書管理監に特定秘密が提供されない場合は極めて限られると考えております。

 いずれにいたしましても、既に今、防衛秘密とか特別管理秘密、あるいはまた米軍との条約に基づく秘密等々はあるわけでありますが、一定のルールがない中におきまして、今回はしっかりと一定のルールがつくられたわけであります。

 そして、総理大臣である私等がしっかりとその中身も見ることができるということになるわけでありますから、明らかに、基本的には透明性、そして政治レベルにおける把握が進んでいくのは間違いないのだろうと思います。

 さらには、今申し上げましたような仕組み、二重三重の仕組みによって、恣意的な、不正な運用はできないということになっているわけであります。

階委員 国会が承認を与えるわけですから、国会の方でチェックする仕組みが機能する必要があります。

 民主党は、今の法制度では不十分だと考えておりまして、国会による強制力のある開示請求や、隠蔽の事実を知った方に内部通報を義務づける規定が必要だと考えています。その必要性を示す具体例を挙げさせていただきます。

 自衛隊の皆さんには、今も災害救助等で御活躍されていらっしゃいますことを本当に感謝しておりますが、その自衛隊であっても、時として、情報隠蔽をされたということがあります。

 平成十六年十月、護衛艦「たちかぜ」乗員の一等海士が外出中に自殺し、その原因は先輩隊員のいじめだとして、国と先輩隊員を被告として損害賠償請求が提起されています。

 裁判の過程で、原告は、自衛隊が自殺直後に「たちかぜ」の乗員らに実施した艦内生活実態アンケートの文書提出を求めましたが、自衛隊は、公開した場合には、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛する任務に支障を来す結果を招くことは自明の理であるという、私からすると理不尽な理由で開示しませんでした。その後、勇気ある内部通報をきっかけにこのアンケートが開示され、ことしの四月に原告は勝訴し、証拠隠しについても国の損害賠償義務が認められました。

 この勇気ある内部通報者についても、一時は懲戒処分の手続があったようです。

 こうした事案を見ると、残念ながら、今後も、証拠隠しや内部通報の抑圧によって、さきの明白な危険を判断する上で必要な情報が開示されないおそれがあるのではないか。現在の法制度では、そういった理由から不十分と考えます。

 過去にこのような不祥事があった組織のトップである防衛大臣に伺います。

 現在の法制度のみで、政府にとって不都合な事実は隠蔽されないと断言できますでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 「たちかぜ」の案件は大変残念で遺憾なことであると思っておりまして、このようなことが再度ないようにということで、私の方からも職員全員の方に話をさせていただきましたし、事務次官からも通達等々させていただきました。そのほかに、先月の十七日ですけれども、防衛副大臣を委員長とした、防衛省におけるいじめ等の防止に関する検討委員会を新設させていただいて、検討委員会もスタートさせていただいたというようなところです。

 そこで、先生のお尋ねの件でありますけれども、私自身の立場として、今回の件に関してはきちんとした対応でできると思っておりますし、そして、特定秘密に指定されたとしても、できる限り我々としては国会に出せるものは適正な形で提出させていただいて、そして御審議いただけるものというふうに考えているところでございます。

階委員 不都合な事実を隠蔽しないという姿勢を、ぜひ防衛大臣みずから示していただければと思います。

 そこで、パネル二をごらんください。防衛大臣が政治家として、みずからの資金管理団体から寄附なるものを受けたという事案でございます。

 このパネルに示しましたとおり、江渡防衛大臣の政治資金管理団体の収支報告書に、六回にわたり、記載自体は違法と見られるものがありました。ただし、違法と見られる理由は二つあります。

 まず、この表でいいますと、一番上の百万円とその下、二つ飛ばして残りの三つのもの、合計三百五十万円になるかと思いますが、これらについては、政治運動以外の目的で政治資金管理団体から江渡さんへの寄附がされておりますので、この寄附そのものが違法です。

 しかし、つい最近になって、「寄付」という記載が「人件費」に訂正されました、「訂正内容」というところに書いておりますけれども。さらに、寄附を受けたとして江渡さんの名義で発行していた領収書は仮のものだったというふうに報道されています。

 いかにも不自然な弁解であり、違法行為の隠蔽工作のように思われますが、いかがでしょうか。もし、そうではないとおっしゃるのでしたら、今申し上げた該当する四件三百五十万円それぞれについて、人件費として支払われたという客観的証拠と仮の領収書なるものの原本を公開していただけますでしょうか。

江渡国務大臣 階先生にお答えさせていただきたいと思います。

 ちょうど記者会見の方においてもしっかりと私、述べさせていただいたわけですけれども、そもそもの流れを一旦お話しさせていただきたいと思います。

 八月の末の方ですけれども、それなりにマスコミ等でいろいろなことが挙げられまして、私の名前も挙がりまして、そういうことがありまして、そして、うちの秘書の方から、もう一度いろいろな形で、問題があるかどうか、収支報告書等々を検証したいという話があったものですから、それはしっかり検証していただきたいと。

 ただ、私としては、しっかりと、この私自身の資金団体の方は専門家の会計監査も受けているから間違いはないと思うけれども、でも、念には念を、しっかりと行った方がいいだろうということで検証していただきました。

 そうしたところ、秘書の方から実はミスがありましたという報告を受けまして、ミスがあったのであれば、しっかりとした形のものとして訂正をしていただきたいということで、お話をさせていただいたわけであります。

 そこで、この最初の平成二十一年のときの人件費なんですけれども、実は、当初、うちの東京の方の、議員会館の方の事務所で人がいませんで、急遽私の親族の方に、できれば、週二、三日でもいいから出てくれないかということで、最初はボランティア的な形で来ていただくような形だったんですけれども、事務所の方も忙しい、人もいないということで、ほとんどフルタイムのような状況になりました。

 そこにおいて、きちんとした、人件費としての月々幾ら幾らというような契約がされていなかったということで、うちの秘書の方は親族の方にお金を払っていなかったという経緯がありまして、それはないだろう、ここまでフルに使っていて、ちゃんと払わなきゃいけないだろうということで、約五カ月強なんですけれども、部分として、交通費も含めた形で支払いをさせていただいたというところでございます。

 そして、私の親族の方は別にも仕事があったものですから、実は劇団の方の仕事をしておりまして、劇団員ということもあって、不定期で時間があくということもあったりしたものですから、私の方の手伝いに来てもらっていた。それで、まとめて払ったというのが最初のものであります。

 その後、一、二カ月、間があいて、そして、残りまた来てくれということで来てもらったということで、その後の約五カ月分ぐらいの部分でまとめてまた払ったということが流れでございます。

 ですから、そういうような形で、平成二十四年分、五月二十五日と十二月二十八日と、それから、平成二十一年の七月のその部分と十二月十五日部分というのは、いずれも議員に対する寄附として記載されていましたけれども、実際には職員らへの人件費でしたので、平成二十四年のは九月二日付で……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。(階委員「質問は、情報公開しろということです」と呼ぶ)

江渡国務大臣 一応、全部話をさせてください。

 平成二十四年分は九月二日付で、平成二十一年分は九月十日付で訂正をさせていただいたわけであります。

 このような誤記が生じたのは、職員らに対する人件費を交付するに際して、やはりお金が大きいということで、お金の出入りをしっかりさせたいという事務員からの話があったものですから、ではということで仮の領収書を発行させていただいて、後日、政治資金収支報告書作成の際に、そのまま仮の領収書を議員への寄附として担当者が混同したための事務的ミスだったわけでありますけれども、いずれにしても、この預かり金の領収書を仮領収書として出したというものでございまして、それはちゃんとありますものですから、その辺のところはさせていただきたいと思っております。

 以上です。

階委員 今、仮の領収書は出すということですが、御説明があった人件費として払ったということも、客観的証拠があれば出してください。

 それから、もう一つですけれども、上から二段目と三段目、二十万、五十万、これはもう一種類の違法な記載になります。

 これは選挙運動の目的での寄附ですから、この寄附自体は合法なんですけれども、選挙運動として江渡さんが寄附を受けたのであれば、選挙運動費用の収支報告書に記載しなくてはいけません。しかし、この記載がなかった。これも違法です。これは、公職選挙法二百四十六条または二百五十条二項によって三年以下の禁錮刑に処せられる可能性もある重要な記載漏れなんですね。

 当時、政治資金管理団体から寄附を受けたという認識は、江渡さん御自身あったでしょうか。もし、ないというのであれば、当時江渡さんの名義で発行していた領収書の現物を公開していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 この平成二十一年の八月二十四日の二十万円と八月三十一日の五十万円は、いずれも政治資金収支報告書記載のとおり選挙運動のための寄附でありまして、正確な記載でありましたけれども、選挙運動費用収支報告書への記載が漏れていましたもので、県の公報に掲載された同報告書の要旨を九月十日付で訂正させていただいたという流れでございます。(階委員「流れはいいんですが、認識は当時ありましたか」と呼ぶ)

大島委員長 階君、ちゃんと手を挙げて質問してください。(階委員「いや、質問しています。質問に答えていないんです」と呼ぶ)

江渡国務大臣 では、お答えさせていただきたいと思います。

 事務員の方から報告がありましたという、その記憶だけは残っております。

階委員 寄附がされたという認識があるならば、それをわかっていて記載しないということであれば、先ほど申し上げているとおり公職選挙法に違反するという話であります。ですから、この点についてもしっかりと、私は、そうではないということを裏づける証拠を出していただきたいと思います。

 この点については、また野党の別の議員からも指摘があると思いますので、きょうはこの程度にさせていただきます。

 話をかえます。

 安倍政権の米価下落対応の問題点と地方創生についてというテーマで御通告していますけれども、きのうも、私、地元の方で稲刈りの光景を見てきました。天高く馬肥ゆる秋という言葉があります。しかし、今、私ども、あるいはほかの地域でも、農村地帯では、米価が安く農家細る秋というふうになっていると思います。

 新米の主要銘柄の概算金の全国平均、これが六十キロ当たり去年に比べてどれぐらい下落しているかということを、済みません、総理、通告していませんが、把握されていますでしょうか。どの程度下落しているかということを把握されていますか。

西川国務大臣 専門的なことですから、私からお知らせします。

 概算金、大体平均一万一千円前後で推移をしてきましたが、ことしに限って八千円、あるいはそれを上回る地域もありますし、下回る地域もありますが、大体八千円、こういうふうに見ております。

階委員 大体全国平均で二千七百円、率にして二二%。私の地元岩手県では、二五%も前年より安くなっています。

 こうした米の値段が下落した場合、民主党政権時代には、米の所得補償交付金というもので、まず十アール当たり一万五千円という金額が交付されています。この金額が、政権がかわって、ことしから半額になりました。その結果、これはJA岩手県中央会の試算というものでいいますけれども、十アール当たりで前年より約三万三千円収入が減ったということです。

 金曜日の予算委員会で、小野寺議員の質問に対し、農水大臣は、ナラシ対策に加入していれば価格下落分の九割が補填されると答弁されました。

 しかし、岩手県では、加入しているのは、経営体数ベース、戸数のベースでは五%程度です。また、仮に加入して、最大限二〇%の価格下落に対応できる積立金を払っていたとしても、なお赤字です。その額は、ナラシに加入できる最低規模の経営面積、今四ヘクタールとなっておりますが、その農家で約六十万円。同じ規模の農家で、もしナラシに加入していなければ、というか、ナラシに加入していない方が圧倒的に多いわけですけれども、こちらは、ことし限りの特例救済措置を加味しても約七十五万円の赤字になっています。この赤字は、経営規模が大きくなればなるほど膨らむわけであります。

 パネルで示したとおり、民主党政権下では、ナラシ対策に加入していなくても、一番上の方に米価変動補填交付金というのがあります、これによって赤字を免れることができました。

 今回のように米作農家の大半が赤字に苦しむ事態は、民主党政権下の所得補償交付金と米価変動補填交付金があれば生じなかったと思いますが、総理、違いますか。

西川国務大臣 今言われましたように、ナラシ対策がありますね。収入減少影響緩和対策、こういうことでありますから、私どもは、想定した額よりも減った部分については九割補填する、こういうことにさせてもらっています。

 さらに、ナラシに入っていないのはどうするかということでありますが、今年度に限っては半額払う、こういうことであります。

 では、今後どうするか。今後どうするかということは、よく検討させていただきたいと思いますが、できる限りの皆さんがナラシ対策に加入をしていただく、この努力をさせていただきたいと思います。

 そこで、今御指摘がありましたように、面積では、ナラシに入っているのは四〇%強でありますが、確かに……(階委員「戸数ベース」と呼ぶ)戸数ですね、戸数ではそうですが、面積では非常に低い、七%弱だと……(階委員「戸数では低い」と呼ぶ)戸数ではですね、逆になりましたが。

 そういうことですから、これから構造改革を進める上に、できる限りナラシ対策に入っていただいて、私どもは安定した米作経営ができるように努力をしていきたい、こう考えています。

階委員 今申し上げましたように、ナラシ対策というのでは十分に補填がされないわけでございまして、さらに加えて、米の所得補償交付金という一番下の一万五千円も、今、七千五百円になっていますけれども、これが四年後には廃止されて、そして米農家の所得を下支えする制度がどんどん弱くなっていっています。他方で、四年後には米の生産調整も廃止され、米価を下支えする制度もなくなります。

 こうした状況のもとで、米づくりで将来生き残れるのは、大規模化、機械化で生産コストを極限まで圧縮できる企業や大規模農家に限られると思いますけれども、農水大臣として、米づくりについては、将来の経営体の数と一経営体当たりの水田面積、どの程度にしていこうと考えていますか。

西川国務大臣 まず、わかってほしいのは、日本の農業生産額、八兆五千億円前後だと思います。そこで、畜産は二兆六千億ぐらいの生産額を上げます。米麦で二兆二千億ぐらいだと思います。それから、野菜で二兆円ぐらいだと。

 予算を見ますと、民主党時代もそうでありましたが、米に偏重しておりまして、米の予算が七千億から八千億だった、こういうことですね。それに比べて畜産は、二兆六千億の一番の生産額をつくり出すにもかかわらず、わずか千八百億前後なんです。

 そういう中で、この日本の生産調整で需要と供給のバランスがとれておりません。米は余ります。米が余った結果、どういうふうになったかというと、四百五十九万ヘクタールの日本の全農地面積の中で、今、三十九万六千ヘクタールぐらい耕作放棄地、こういうことになっていった原因の一つにならないか、こういうことを私どもは検討してきました。

 やはり、米も大事ですね、麦も大事です、畜産も野菜も、バランスのとれた政策をやっていきましょう、こういうことで検討した結果、概算金払い、あるいは、民主党では戸別所得補償で全額補償されましたが、私どもは、納税者の気持ちも考え、どういう形がいいかということを昨年議論して、今回のものをつくり上げてきた、こういうことであります。

 今後の問題は、今、農水省を挙げて検討しておりますし、審議会等の皆さんの意見ももらいながら、しっかり所得倍増に向けて、何を幾らつくればいいか、そして何が幾ら稼ぎ出すか、こういうことも含めて検討中でありますから、もう少し待っていただきたいと思います。

階委員 将来のビジョンがないと、米づくりの農家は不安なんですよ。そこをちゃんとやっていただきたいんですね。

 総理に、最後、この件に関してお尋ねしますけれども、今回、所信表明で、地方の創生は安倍内閣の最重要課題だ、我が国が直面する人口減少を克服する道筋を描いていくと述べられています。

 しかし、今のような米づくり政策では、出生率の高い農村部から人口が減ってしまい、地方の創生ではなくて、地方の衰退につながってしまいます。人口減少にむしろ拍車がかかると思います。矛盾しているのではないでしょうか。

 本当に地方の創生を最重要課題とするなら、ナラシ対策では不十分で、民主党政権がやったような米作農家の所得を下支えする制度を復活すべきではないかと思いますが、総理の所見を伺います。総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 現状のままでは、まさに地方はどんどん人口が減少し、そして疲弊していくんですよ。実際、農家がそうじゃないですか。これを我々は変えなければいけない、こう思っているんです。やる気のある、担い手になりたい、そういう皆さんが、自分たちの努力、情熱で新しい地平線を切り開いていくことができる農業に変えていきたい、こう思っています。

 その中において、いわば、長い間、戦後、農地解放になった後、小さな小規模農家が大きな役割を担ってきたのは事実であります。しかし、そこのほとんどは、今、兼業農家になっていて、そして農業以外の収入が多いのが事実であります。しかし、そうしたものを固定化していったのでは、なかなか農業が産業としての道を歩んでいくことができないわけであります。

 そこで、担い手になろうという意欲のある方々、あるいはさまざまな人々が参入してくる、あるいは企業も含めて、そういうところがしっかりとした経営理念を持って、合理的な経営をしていくことによって新たな農業の世界が生まれてくるのも事実でありますから、土地の集約化を可能とする法改正等々も行いました。

 そして、きっちりと地域のよさを生かしてまいる、地域の農協を主体とした、あるいは農協にはもっと営業力を生かしていただく、広報力を生かしていく、あるいは海外への輸出も生かしていただく、そしてまた付加価値もつけていく、そうしたこともあわせながら、農業、農村の所得倍増を私たちは目指していきたい、このように考えております。

階委員 安倍総理は、産業政策としての農業について語ったと思っていますが、この点については、私もそれは正しいのかなと思いますが、ただ、農業、特に米づくりというのは、地域政策という意味があります。地域の伝統文化、あるいは地域のコミュニティーを維持する上で、米づくりの農家が減っていくということであれば、私は、これは、米づくりの産業の部分としてはいいかもしれませんけれども、安倍政権の掲げる地域創生とは相反すると思っています。

 そのことを申し上げますとともに、私は、ぜひ安倍総理には、所信表明でも米の問題については触れていただきたかった。これは本当に地方では大変な問題です。ぜひこの点について安倍総理にも関心を持っていただければと思います。

 安倍政権の中で、円安がアベノミクスによって進みましたけれども、一方で、輸入の物価が上がってコストプッシュインフレになっているのではないか、これは先日、民主党の前原議員が説明したとおりでありますけれども、復興を進める上で、物や人の移動を円滑に進めるためには、ガソリンの値段が上がるというのは大きな足かせになるわけです。

 この大きな足かせになっているガソリンの値段の高騰を抑える策として、民主党政権のときにトリガー税制というものを導入しました。三カ月連続で全国平均の価格が百六十円を超えた場合に、これはトリガー、すなわち引き金が発動されまして、そして暫定税率、ガソリン税でいえば二十五円、それから、軽油引取税でいえば十七円、これが軽減されるというものでございます。こうしたトリガー税制が今凍結されている。

 なぜ凍結されているかというと、東日本大震災の直後に、民主党政権が自民党、公明党と協議する中で、特別法をつくって、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案して別に法律で定めるまでの間、適用を停止することとなっているわけです。

 しかし、今の震災の復旧及び復興の状況を勘案すれば、申し上げたとおり、物流とか人の流れを円滑化するべきときですから、この適用停止を解除して、トリガー税制によって軽減するべきではないかと思います。総理、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘のありましたトリガー条項、これは民主党内閣のときのスタートだったんですが、これが発動された場合ということを考えますと、当然のこととして、被災地におきましてはガソリンの買い控え、当然のことですが、その反動として流通に混乱が起きることもはっきりしていますが、今後も被災地の復旧復興に全力で取り組んでいかざるを得ないという地域があります中で、国、地方と合わせて約一・八兆円ぐらいの大幅な減収になろうと存じます。

 したがいまして、その凍結解除というのは、今言うのは適当ではないのではないかと考えております。

 また、二十五年度の補正予算及び二十六年度の予算におきましても、昨年七月以降、ガソリンの価格の高騰がありましたので、漁業などの燃料を大量に消費しておられる事業者に対する対策とか、ガソリンスタンドに対する支援とかなどを講じているところでして、引き続き、これらの施策を早期に努めていかなければならぬと考えております。

階委員 一・八兆円減収になって、復興の財源が乏しくなるというお話ですが、それを言うならば、なぜ法人の臨時特別税を廃止したのかということになります。

 また、消費税引き上げでも、駆け込み需要やその反動減で流通の混乱とかいうのもあったわけでありまして、このトリガー税制を発動したからといって、それほど混乱は生じないであろう、こう思っております。

 ですから、今、ガソリンの価格が高騰している中で、特に内陸部よりも、岩手県では、被災地、沿岸部の方が十円以上高くなっています。

 こうしたことを考えると、私は、本当に被災地の復興なくして日本の再生なしと言うのであれば、一・八兆円減収分は、先週の答弁で安倍総理も、円安で輸出企業からの税収がふえているというお話がありました、このふえた税収を充てれば十分工面できると思います。

 ぜひそのことをお願いして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて前原君、辻元君、山井君、枝野君、階君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、会計検査院事務総局第三局長堀部貢君、会計検査院事務総局第五局長藤崎健一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 維新の党の松野頼久でございます。

 まず、質問に入る前に、今回の御嶽山の噴火に巻き込まれて命を落とされた方に心から御冥福をお祈りしますとともに、また、被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 それでは、総理、質問に入らせていただきたいと思います。

 総理、まず、ことし最大のテーマは、消費税の引き上げをいつ決断されるかということでありますが、総理はこれをいつ決断されるつもりでありますか。

安倍内閣総理大臣 消費税につきましては、伸びていく社会保障費に対応する、そして子育ての支援のための費用を確保する、国の信認を維持する、そうした目的のために消費税を引き上げていくこととしたわけでございますが、同時に、経済は生き物でありますから、経済が打撃を受けている状況、あるいはまた、消費税の引き上げによって経済が腰折れをして、結果として成長がはかばかしくないということになり、デフレ脱却が困難となり、その結果、税収減につながり、よって財政の再建にもマイナスになるようであれば、これは考慮しなければならないわけでございます。

 つまり、経済の指標を分析し、判断する必要があるんだろうと思います。そのための指標となるものが七月、八月、九月の指標でございまして、どれぐらいの成長率なのかということでありますが、足元のさまざまな数値が七月、八月、九月とそれぞれ出始めるわけでございますので、昨年も行ったマクロ経済の専門家等による議論を早目にスタートしたい、こう考えているわけでございまして、そうした議論も進めながら、七―九の数字を見て年内に判断をしたい、このように考えております。

松野(頼)委員 うわさによると、これは十二月に判断するとかいうことをおっしゃっているようですが、今回の国会の会期は十一月三十日までということです。ぜひ、これは国会の会期中に、そして我々野党の声も聞いていただいて、しっかり審議をした上で判断をしていただきたい、このことをお願い申し上げますが、ぜひ御答弁いただきたい。お願いします。

安倍内閣総理大臣 これは、まず、数字が出てこないと最終的な判断ができるかどうかという問題があります。あくまでも数値を見ながらの判断、そしてそれは政府として責任を持って判断をさせていただき、その際、上げる場合、上げない場合がありますが、上げない場合は法改正が必要でございますから国会で御審議いただくことになるわけでございますが、引き上げる場合は、もう既に法定で引き上げが決まっておりますから、それはそのままということになるのは当然のことだろう、このように思っております。

松野(頼)委員 議会は行政のチェック機関でもあり、国民の声を代弁している機関でもありますので、ぜひそれは議会での審議をしっかりお願い申し上げる次第でございます。

 そして、消費税の引き上げの前に、やはり我々は、まず、身を切る改革というのが必要なのではないでしょうか。おととしの選挙をするときに、当時は安倍総理はまだ野党の自民党の総裁でした。当時の与党の野田総理と、次の国会で国会議員定数の大幅な削減を約束されたのではないでしょうか。もう二年近くたっていますが、いまだに国会議員定数の大幅削減はできておりません。

 これは自民党総裁として、安倍総理に、この大幅な削減はいつまでに行うのか、ぜひそれを御答弁いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 一昨年の党首討論において、当時の野田総理と議論をしたところでございますが、当時は、まず〇増五減について、これが喫緊の課題でありました。〇増五減について、すぐにやりましょうと。正直申し上げて、あのとき与党は、これをしっかりとリーダーシップを持ってやっていなかったのは事実であります。それをしっかりと、ではまずこれをちゃんとやりましょうねということをあの党首討論で確定したわけでございます。

 その上において、定数の削減、今、〇増五減については定数是正でありますが、定数の削減については、これは民主主義の土俵でありますから、ここで私と野田さんがこういう案だということを決められることではありませんよ、小さな政党も含めてしっかりと議論していく必要がありますね、その中で議論をスタートしていこうではありませんか、こう提案をさせていただいたところでございます。

 その後、私の方から、かつては政府のもとに諮問の委員会ができていたわけでありますが、本来はこれはやはり国会に置くべきだろうというのが私の考え方でございまして、議長のもとに置いていただきたいということをお願いしたところでございます。

 しかし、これは正直言って、議長から呼びかけてもほかの政党がなかなか乗ってこなかったのが事実なんですよ。これはやはり……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 行政がやるものと国会がやるものはやはり分けて考えていただいた方がいいと思いますよ。

 というのは、国会議員の数を減らす、それは行政からすれば、国会のいわば勢力が小さくなってくれれば小さくなっていくほどいいという考え方も、いいというのは都合がいいということですよ、行政にとって。そうなってしまってはいけないじゃないですか。三権分立というのは、行政が自分たちに都合のいいようなことができないようにするために国会は国会で決めていくということなんですよ。だから、私がここでとうとうとこうするべきだということを言うことは今自重しなければならないというのが私の見識であります。

 その中において、国会に仕組みができたんですから、そんなことをおっしゃるのであれば、維新の党のみならず、民主党の皆さんも、そしてほかの党の皆さんも真摯な議論をしていただきたい、このように思うわけでございますし、当然、自民党も、最大の政党でございますから、リーダーシップを発揮していくということになるんだろう、このように思います。

松野(頼)委員 今、行政のトップとしては大変ゆゆしき発言をされたのではないかと思うんですが、国会は小さい方がいいというのは、これはちょっと大変な答弁だと思います。

 いずれにしても……(発言する者あり)ちょっと黙ってください。

大島委員長 自民党も静かに。

松野(頼)委員 ちゃんと聞いてくださいよ。今言ったじゃないですか。

 それはいいにしても、いずれにしても、今議会の方は、この間まで石破大臣がそのメンバーでありましたけれども、何回も真摯な議論をして、もうほぼ固まっているんですよ。ある意味、自民党がリーダーシップをとってもっと強引にこれを、定数削減、もう九十何%の、我々は合意しているわけですから、ある意味決めれば決まるような話なんですけれども、なぜあのときの約束をしっかり守られないのか、そのことはぜひ自民党総裁として、特に消費税増税の前に国会議員の大幅削減、これをまずやることをぜひこの場でお願いする次第でございます。

 そして、実は私たちは、維新の会の時代から、国会議員定数の大幅削減の法律、これは二〇一三年の五月十六日、三割削減の法律を出しました。また、議員が自分の政党支部、政治団体から、寄附をしても還付を受けない法律を六月の十三日に提出しました。そしてまた、議員歳費の三割削減の法案を二〇一四年四月の二十四日に提出させていただきました。また、このたび、これはルールが今までないので大変苦労していますが、文書交通費の公開という、これも法律を出させていただきますし、法律が通らずとも十月一日から実施をするということで、今動いているところです。

 確かに、つらいことはつらいですよ、我々も。でも、国民に痛みを強いる前に、まず国会みずからが身を切って、そこから次に行政改革をやって、いかに国民に増税を強いる前に身を切るかということが大事なことではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、三権分立という中でまさに民主主義は機能しているわけであります。行政府が行政府の意向で全てを回してはいけないわけでありますし、行政府と国会は緊張関係になければならないわけでありまして、このような形で我々は時間を割いて行政の立場から説明をしておりますが、議会は議会の立場からチェックをしているわけであります。

 そこで、国会議員の数はどれぐらいいればいいのかということについては、まさに行政の立場からすると、行政だけでやった方が我々はチェックされずに済む、こう思うわけですよ。しかし、そうであってはいけないという、当然、それは良識もあるわけでありますから、その良識の中において、国会のことは国会で決めていくということではないだろうかということを申し上げているわけでありまして、まさに、国会の中のことは国会で決めていくという中において、議長のもとにそうした議論する場ができたわけでありますから、そこでしっかりと議論をしていただきたい。

 今、強引にというお話があったけれども、強引ということで我々の案を、与党案としてもありますけれども、これを出していきなり採決をしていいということでは我々はないと思っておりますので、できる限り多くの党が賛成する案にしていくべく今努力を重ねているところではないか、そのように承知をしているところでございます。

松野(頼)委員 よもや、国会議員定数が大幅削減が決まる前に解散することはありませんね。

安倍内閣総理大臣 解散については、これはもちろん、今の段階では全く考えておりませんが、適切に判断していきたい、このように思っております。

松野(頼)委員 続きまして、行政改革についてお伺いをしたいと思います。

 有村行革大臣、行政改革についての所信を伺いたいと思います。

有村国務大臣 お答え申し上げます。

 松野委員の御指摘に、敬意を持って拝聴しておりました。

 もとより、国民からお預かりしている税金を無駄にすることなく、行政改革やあるいは政策効果を最大限向上させていくことは、行革に不断に取り組むことと、極めて大事なことだと思っております。

 同時に、その成果を国民に御理解いただけるように説明責任を果たしていくということも極めて大事なことで、これは消費増税をするしないにかかわらず重要なことだという意思を明確にしたいというふうに思っております。

 安倍内閣におきましては、無駄の撲滅のために、行政事業レビューということで五千の事業全てを自己点検、改革の検討、そして結果の公表に取り組んでおります。

 今後も、御指摘のように、切るべきものはしっかりと切って、つけるものはしっかりとつけるという方針を明確にして、その効果を高めていきたいと考えております。

松野(頼)委員 大変いい答弁をいただきましてありがとうございました。

 若干、これから個別の案件について伺いたいと思います。

 まず、今年度、百一兆の概算要求を政府は出されておりますが、公共事業費、これは五兆二千八百五十三億から五兆九千六百八十五億、一二・九%増ということで要求をされています。

 資料をお配りしたこの一枚目を見ていただきたい。公共事業費の未消化が十六兆円あるということです。十六兆未消化で、さらにまた昨年より一二%増の六兆円の要求をされていますが、果たしてこれは消化できるんでしょうか。国交大臣、お願いします。

太田国務大臣 御指摘の、十六兆円の公共事業の未消化と書いてありますのは、本文の中にも書いてありますが、建設業者が受注をしまして現在執行中、仕事をしている、抱えている、これが十六兆円ある、こういうことです。

 ということは、これは、未消化というよりも、今、抱えて、算段がされて、やっている量が十六兆円あるということで、これは仕事をしているわけですから、消化をしているということに現実にはなります。

 これがふえているということはどういうことかといいますと、今までよりも、補正にしましても、あるいは本予算にしましても、早い執行をするようにということを政府全体で決めておりまして、例年より執行率がいいということが一つございます。

 そういう意味では、例年よりも早く執行がされて、受注が行われて仕事が始まっているという、それがこの十六兆円という数であり、それはむしろ例年よりふえているということで、これは仕事がされているということですから問題はないし、私は、ことしは早い執行が行われたということは大変いいことだというふうに思っているところでございます。

松野(頼)委員 ちょっとよくわけのわからない答弁ですけれども。

 ことしの二月に予算委員会で指摘をさせていただいたときに、公共事業が、三・五兆円、これが入札されていないけれども、各自治体に対して財務省が通知を送っているという記事もありました。

 要は、十六兆、これがまだ消化できていない状況、全部がとは言いませんが、消化できていないのに、さらにまた六兆積んで、一体本当に受けられるのか。ただ発注することが目的になっているんじゃないかというふうに思います。

 個別の案件で申し上げます。

 例えば、愛知県で設楽ダム、これは民主党政権で一回とまっている事業ですけれども、復活されましたね。また、伊賀の川上ダム。設楽ダムが二千九十四億円、総事業費。伊賀の川上ダムが千百八十億円。またこういう大型な公共工事、一度民主党政権で検討がなされるためにとめられた事業が復活をしているという状況ですけれども、果たしてこれは無駄な公共事業なのではないかということですが、会計検査院、これに関して指摘をされたことはありますか。

堀部会計検査院当局者 お答えいたします。

 ただいまお話のありましたダムのうち、川上ダムにつきましては独立行政法人水資源機構が施行しているダムでございますが、これにつきまして、会計検査院は、参議院から国会法第百五条の規定による会計検査の要請を受けて、検査を行い、平成二十四年一月に「大規模な治水事業に関する会計検査の結果について」として報告したものの中で記述しているものがございます。

 その概要につきましては、従前の事業期間の期限を過ぎてから延長が行われるなどの状況となっていたものでございまして、そこで、水資源機構は事業期間等が事業の実施状況を反映したものとなるよう適時適切に事業計画の見直しを行ったり、計画変更について事業の実施の可否も含めて適時適切に検討したりすることが必要であると報告しているものでございます。

松野(頼)委員 こうやって会計検査院が指摘されている事業まで復活しているんですね。

 続いて、霞ケ浦導水事業という、これもまた復活をしているんですけれども、総事業費が約千九百億。これも三回から四回、事業の期間が延長されているんです。これまでに千九百億のうち千四百九十一億が投じられて、まだ三分の一しかできていないという状況なんですね。

 当時は、首都圏の水不足、工業用水や水不足という目的でつくられましたけれども、人口が減っている状況の中で、この二十年間で首都圏の水の需要というのは二四%減っているんです。にもかかわらず、今度は水質浄化という形に目的を変えて、今回、安倍内閣によって再開をされたという事業です。

 これも、会計検査院、何か指摘されていますね。御答弁ください。

堀部会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 霞ケ浦導水事業につきましても、先ほど申し上げました、参議院からの検査要請に対する報告の中で記述しているところでございます。

 その概要につきましては、霞ケ浦導水事業におきまして、事業参画を継続する意思がない利水者が出てくるなど事業開始当初に比べて社会経済情勢に変化が見受けられましたが、従前の事業計画により引き続き実施をしているなどの状況となっておりました。

 そこで、国土交通省は、継続して事業を実施する場合には、事業の効果、必要性等を再度明確にした上で事業に取り組むことなどが必要であると報告したものでございます。

松野(頼)委員 もう一つ、これも民主党政権で話題になりましたが、スーパー堤防、これもまた復活しているんですね。これも、会計検査院、所見を伺いたいと思います。

堀部会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 スーパー堤防事業につきましても、先ほど申し上げました、参議院からの検査要請を受けましたその結果について報告したものがございます。

 その概要につきましては、スーパー堤防事業につきまして、基本的な事業スキームとして一般的に示されている整備手法によって事業の進捗が図られているとは言えない状況となっていたり、事業再評価における費用便益比の算定式等が効果を必ずしも適切に反映するものとはなっていない状況となっていたりなどしていたものでございます。

松野(頼)委員 こうやって会計検査院からいろいろ指摘を受けている事業まで、一度とまった事業まで、また復活しているんですよ。

 要は、公共事業が必要なんじゃなくて、その事業をやることが目的になっている、こういう状況なんじゃないですか。太田大臣、どうでしょうか。

太田国務大臣 論理が私は通っていないというふうに思うんですが。

 民主党政権のときに、例えばダム、この凍結、点検をいたしました。全部で八十三事業なんです。私は、これはいいことだったというふうに思います。

 そして、有識者を初めとして事業を検討しまして、現在のところ、複数の、代替案をどうするかとかダムはどうするんだとか一つ一つやりまして、六十七事業の対応方針を徐々に徐々に決定をしてきています。その中に、四十六事業の継続が決まり、二十一事業の中止を決定したということです。先ほどの設楽ダムということも、そうした、ダムが要るのか、ほかの方法があるのかということで検討をしっかりしていただいて、これは事業継続だということが決まったんです。

 河川等をどういうふうに、きょうも台風であるんですが、統御するか、コントロールするかといいますと、堤防を上げるということもある、あるいは、浸透崩壊という、堤防の下をくぐって水が行くということがありますから、できるだけ広くとるという方がいいという場合もある、あるいは川底を掘削するという方法もある、放水路をつくるという方法もある、そしてダムをつくるということもある、遊水地をつくるということもある。どういう形で河川の洪水というものを抑えていくかということを総合的にして、先ほどの検証をしていただいて、そして設楽ダムはやりましょう、そして川上ダムもやりましょう、こういうことになった。

 そして、スーパー堤防という話もありましたが、スーパー堤防も、これは縮小しました。東京と大阪で現在工事が行われている箇所がございます。そこは非常に、ゼロメートル地帯、こういうところで、洪水が起きたという場合は壊滅的な打撃を受ける。二十二年のキャサリン台風のときのようなことを起こしてはいけない。ましてや地下街がふえている。こういうことの中で、東京や大阪を初めとして、どう守るかということを、縮小して、しかも都市計画というものを決めた上で、我が町をどうするか。堤防の場合は買収してやるという、普通はそうなんですけれども、スーパー堤防は、そのまま土地を上げて、都市の再開発と、そして、逃げる場をつくるということも含めて、どういう形がいいのかということを検討していただいた上でスーパー堤防のできるところを始めている、こういうことです。

 ですから、公共事業をばらまいているとかそういうことではありませんで、今のこの気象状況ということからいきますと、どういう形で河川をなだめて、自然と折り合いという、これが河川工学の日本の数百年の伝統です。コントロールしようということは、力ずくでやるのではありません。

 私は、そういうことから丁寧にこの議論をしていただいて、一つの結果が、八十三事業のダム事業についても結果が出ているということを受けとめながら、財政制約の中で仕事をしているということでございます。

松野(頼)委員 確かにそのとおりかもしれませんが、では、コストを考えてみてください、コストを。今まで、スーパー堤防を五十キロつくるのに七千億かけているんですよ。これに一メートル千四百万かけているんですよ。これは、当初は八百七十三キロの予定で、五十キロしかできていないわけです。あと三百年、四百年かかると言われているんですよ。総工費が十兆円以上というお金です。果たして、それだけの今財政的な余裕があるのか。これから消費税を増税するという状況の中で、それでも税収が四十六兆、概算要求が百一兆という状況で、果たしてそこまで今できるのかということなんですよ。

 続いて、もう一つ。ことしの予算委員会で補正予算をやらせていただきましたが、基金事業という問題点があります。これもやはり、ある意味、無駄遣いの一つではないかというふうに私は思っているんです。

 ちょっと細かくなりますが、今回、二十五年度の補正予算で四十九基金、一兆二千億積みました。二十六年度の当初予算で四十八基金、一兆四千億、合わせて二兆六千億という基金を積みました。その中に、廃炉・汚染水対策基金二百十五億円、そしてもう一つ、分散型電源導入促進事業基金二百四十九億、合わせて約四百六十億ぐらい積んだ基金を受注した法人があります。これは、地球と未来の環境基金というところが受注をしているんですが、つけた資料の十五ページを見てください。

 現地に行って見てきましたらば、雑居ビルの一室に、幾つかの会社に同居しているような状況で、そこがいるんですね。大体、そこの決算を見ると、年間三千万から六千万の事業費、そこに何と四百九十億のお金がいきなり国から基金として積まれているんです。

 それで、何をやっている法人かというと、2からつけてあります。この事業は非常に立派な事業だと思うんですが、植樹を国内外でしている事業をやっているNPO法人です。そこに、いきなり四百九十億というお金が積まれました。(発言する者あり)違う、違う、二〇一四年、ことしの十月ですよ。

 それで、この基金に関して、資料の八ページをごらんください。これが基金の募集要項です。まず、下の段、3の(4)というところに、法人の信頼性、そして、東京電力福島第一原発の廃止措置を円滑に進めるという本補助金の目的との関連性が、応募するときに応募する法人に対して求められていることですけれども、小渕大臣、この法人が福島原発事故廃炉のために行う関連性というのはどこにあるんでしょうか。

小渕国務大臣 お答え申し上げます。

 当法人でありますが、これまでも、二十五年に分散型電源導入促進事業基金というものもやっており、今回、経験もあるということで、公募によってこの法人を選定したところであります。

 執行の効率性や多額の国費を管理する能力を有するかどうかという観点等を踏まえて、企画競争の形で公募を実施して、この法人を選んだところであります。

松野(頼)委員 資料の十も見ていただきたいと思います。

 これが、第三者機関がこの法人をチェックしたときのチェックシートなんですけれども、その一番目のところ、組織の事業に関する専門知識、ノウハウ等、原子力分野に精通しているかということがチェックの一つの項目になっているんです。

 今と同じような質問になるかもしれませんが、当法人がどのようにして原子力分野に精通しているかチェックされたのか、経産省としてお答えいただきたいと思います。

小渕国務大臣 委員が御指摘になりました十ページの項目でありますけれども、それぞれの点数については非公開とさせていただいていますが、この原子力分野に精通しているかというところも含めて総合的に判断してこの法人を選んだところであります。

松野(頼)委員 要は、なぜ判断したのか。二百億以上の基金を管理させている法人ですよ。

 そして、廃炉・汚染水対策事業ということで、当然、原子力の知識というものを有するのは、これは誰が見ても当たり前の話だと思うんですが、なぜここに選定をしたのか、もう一回答えてください。

小渕国務大臣 基金の設置法人の選定に当たりましては、執行の効率性、多額の国費を管理する能力を有するかどうかという観点を踏まえ、企画競争の形で公募を実施して選んだところであります。

 また、多額の基金を預かるということでありますが、これについては信託銀行に信託されておりまして、設置法人が信託銀行から資金を引き出す場合には、経済産業省の確認書の提出が必要となっております。

 基金の信頼性は確保されていると考えています。

松野(頼)委員 このチェックシートに書いてある専門性を有しているということをどうやって判断されたのかと聞いているんですよ。

小渕国務大臣 基金の設置法人の選定に当たりましては、専門家によって評価をし、公募によって選ばれたところであります。

松野(頼)委員 全くお答えになっていないので、委員長、ぜひ答弁をさせていただきますようにお願いいたします。

大島委員長 これはエネ庁かね、基本的に判断したのは。

 なぜここを選んだのかという理由をもう少しお話ししてくださいということでしょう。(松野(頼)委員「そうです」と呼ぶ)

 小渕大臣、もう少しお話ししてください。

小渕国務大臣 この基金の設置法人の選定に当たりましては、公募という形をとらせていただきました。

 公募については、ホームページなどの掲載や複数の方への周知を行って公募をさせていただいたところであります。

 適正な、公正な競争入札となるために、十分な情報公開を行った上、公募をとらせていただいたところであります。

松野(頼)委員 今までに何件採用されましたか。

小渕国務大臣 これまで四十二件の事業を採択しております。

松野(頼)委員 廃炉事業ですよ。

小渕国務大臣 これまで四十二件の事業を採択しております。

松野(頼)委員 廃炉事業はまだ一件も受託されていないはずですけれども。

 まあいいや、いずれにしても、もうあと五分しかありませんので、これはどういう選定をされたのか、その外部委員のメンバーと、そして、そのときの状況というのをぜひ理事会に出していただきたい、このことをお願いします。

大島委員長 理事会で検討させていただきます。

松野(頼)委員 そして、ここの理事長さんが、ここに役員表をつけてありますけれども、5に書いてあるんですが、環境パートナーシップ会議の理事で、この方は、二〇〇九年から二〇一二年までの間、基金担当執行理事として、家電エコポイント事業、住宅版エコポイント事業、エコカー補助金を初め、経産省の各基金を所掌しましたということが5に書いてあります。これは申込書です。5、五ページです。

 要は、基金運用が安心して任せられる団体かというのがやはり一つの評価なんですね。

 会計検査院、この環境パートナーシップ会議に何か指摘されていますでしょうか。

藤崎会計検査院当局者 お答えいたします。

 平成二十四年度決算検査報告におきましては、一般社団法人環境パートナーシップ会議に関しまして、二件の指摘をしてございます。

 一件は、国庫補助金の交付を受けて一般社団法人環境パートナーシップ会議に設置造成されました四つの基金につきまして、新規申請の受け付けが終了したのに、基金基準において行うこととされております検討を行っておらず、使用見込みのないまま四百五十億余円が同会議に滞留していたものであります。

 なお、本件使用見込みのない額につきましては、本院の指摘に基づき、いずれも国庫へ返納済みとなってございます。

 もう一件は、レアアース等の含有量を低減させたリチウムイオン電池の材料の製造等を行うとした企業に対しまして、一般社団法人環境パートナーシップ会議が、国庫補助金の交付を受けて造成されました基金から補助金を交付いたしましたところ、この企業が補助金により購入した設備を目的外に使用してございまして、これに係る国庫補助金相当額二億一千六十五万余円が不当と認められたものでございます。

 以上でございます。

松野(頼)委員 こうやって、四百五十億滞留させてみたり、二億の使途不明、目的外使用を指摘されているような団体なんですよ、ここは。ここに、さらにまた約四百億の基金を、運営を任せている。

 そして、うちの事務局が電話でヒアリングをしました。我々の組織の規模ではこの規模の基金について公募業務を行うのは合理的でないので、三菱総合研究所に委託をしている。要は、ここの基金は、ただ持っているだけで、事業は丸投げしているんですよ。

 これは、もう一回、どこに委託しているか、ちょっと答弁いただけませんか。

小渕国務大臣 株式会社三菱総合研究所です。

松野(頼)委員 要は、これは決算書もつけていますけれども、とても四百億の基金を管理できる、そして募集をできる規模ではないのと同時に、その環境パートナーシップはこうやって会計検査院に指摘をされているような、本当にこれだけの巨額な基金を運営できるだけの能力があるのかということは大いに疑問な団体なんです。

 前に、民主党の蓮舫議員から、千七百三十億、レンタルオフィスであった場所に基金管理を任せていたということもありました。余りにも、この基金事業というのは、金額が大きい割に管理運営がずさんなんじゃないでしょうか。ぜひ、そこはしっかり正していただきたい。

 先ほど行革大臣がおっしゃっていただいたように、これから消費税増税を目の前にして、税金の無駄遣いということはしっかりチェックをしなければならないし、無駄を一円でも排除しなければならない、このことを切にお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、小沢鋭仁君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 維新の党の小沢鋭仁でございます。

 今、松野議員からも話がありましたけれども、消費増税についての質問をさせていただきますが、小渕大臣、やはり研究開発費を含めてこれは本当にしっかり見ていかないと、研究開発費というと一見もっともらしく聞こえるんですが、本当に、政府、丸投げでやっている事業が多いんですね。ぜひ、まず冒頭、そのことを申し上げておきたいと思います。

 私は、消費税に関して、マクロ経済政策的な観点から総理初め皆さん方に御質問させていただきたいと思います。

 まず、総理、先般、私は新聞を見ておりましたら、御党の議員、私も大変親しい、いわゆるリフレ派の議員であります。名前は差しさわりがあるといけませんので伏せさせていただきますが、大体もう皆さんおわかりだと思います。総理もデフレ脱却国民会議等で一緒に議論をしてきた仲間ですね。まさにその議員が、きちっと、新聞報道にもある形でこう言っています。経済指標から見れば、予定どおりやるのは無理だ、一年半くらい延ばした方がいい。同時に、党幹部が既定路線みたいに言うのは問題がある、経済状況によっては見直すことも法律に書いてある、これを忘れてもらっては困ると。

 私はこの法律をつくったときの与党の税調プロジェクトチームの座長で、私がこの規定を入れさせていただきました。経済指標をしっかり見て判断するというのがこの法律の内容でもあります。

 総理、まず、この与党議員の発言、どんな御感想をお持ちでしょうか。いい仲間だというふうに私も思っているんですが。

安倍内閣総理大臣 その与党議員、誰かということは大体私も想像がつくわけでございますが、第一の矢、第二の矢、第三の矢によって、いわばデフレからの脱却に向けて進みつつあるわけでございます。実際、経済についてもマイナス成長からプラス成長に転じたわけでございますし、雇用も、賃金にもいい影響を与えている。

 しかし、ことしの四月の消費税の増税による反動減があります。そして、天候の不順があることと加えて、輸出について、これはリーマン・ショック後、輸出がずっと減少していったのでございますが、一二年の第三・四半期まで続いていたものが下げどまったのは事実でありますが、下げどまり、それから、さらに力強く伸びていくというところにはなっていないという状況の中において、四―六は反動減でマイナスになるのは、これはもう想定内でありますが、これはやむを得ない。しかし、七―九で果たして力強く戻れるかどうかということ。そして、来年、果たして、十月に二年連続で引き上げを行って、デフレマインドにまた戻ってしまう危険性がないのか。つまり、消費を落としていくわけでありますから、消費税の引き上げは。という御指摘だろうと思います。

 そうした御指摘をされる方も含めて、専門家の方々に御議論をいただき、最終的には私が判断をしていきたい、このように考えております。

小沢(鋭)委員 総理のいわゆるデフレ脱却に対する気持ちは大変強いものがある、こう私は一貫して評価をしてまいりましたし、さきの代表質問でも我が党の江田代表は、第一の矢は飛んだ、こう言っているんですね。

 ただ、問題は、その後の経済状況は、総理は、景気循環はいい方向に入りつつある、こうおっしゃいましたが、ここが問題だと思っているんですね。要は、この今の景気動向をどう見るのか。まさに、いわゆる反動減としての一時的なものと見るのか、あるいは構造的な問題として見るのか、ここが最大のポイントであって、先ほどの与党議員は、これは一時的な反動減ではない、こう言っているわけでしょう。

 具体的に数字を見てみましょう。

 皆さん方にもお配りしていると思いますが、これは何度もこの委員会でも他の議員から出ていますから、もうさっと駆け足でいきたいと思いますが、実質GDP、四―六は想定内とおっしゃっていましたが、政府はマイナス四%程度を考えていたんでしょう。これはマイナス七・一%ですよ。このマイナス七・一%というのは、東日本大震災のときの、その後の成長率の落ち込み以上ですよ、これは。まず、この落ち込みを想定内とは言えないでしょう。

 それから、雇用者報酬が上がった、こうおっしゃいますが、それは一・六%。消費者物価は三・六%上がっていますから、給料は上がらずに物価が上がって購買力が低下している。この結果として消費がマイナス五・一%に下がっているんですよ。

 円安で海外移転が進んでいないというのは総理もお認めになりましたけれども、これも、我々が期待していた輸出、伸びないどころか、マイナス〇・五%です。

 それから、内外需要不透明で企業も慎重姿勢に入っておりまして、設備投資はマイナス五・一%です。

 九七年に三%から五%に上げましたよね。そのとき、税収は約五十兆。ついこの前は四十兆円近くまで税収は下がりました。

 我々はいつも言っているんですが、税率を上げて税収が下がる、景気が落ち込んで、それは絶対に避けなければいけないというのが、我々、リフレ派というんでしょうか、まさに私や総理がずっと勉強してきた話じゃないですか。税率を上げて税収が下がる、こんなあほみたいな、ばかみたいな経済政策をとったらだめですよ。

 もしかしたら総理も本当は上げたくないと思っているのかもしれませんが、お気持ちをお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 もちろん、税率を上げて税収が落ちては元も子もないわけであります。しっかりと名目GDPを伸ばしていくことによって、これは大体、名目GDPがしっかりと伸びていけば税収は基本的に伸びていくわけでありまして、これをマイナスにすれば、幾ら頑張って税率を上げていっても、残念ながら税収は伸びないわけでありまして、そこが大切なところなんだろうと思います。

 一方、確かに、マイナス七・一%に四―六はなりました。しかし、一―三と四―六を足し込むと、ことしの一月から六月までは、昨年の一月から六月までと比べれば、プラス一・三%の成長になっているということ。

 そしてまた、実質雇用者所得、これは一人当たりの賃金に雇用者数を掛けたものでありますが、消費税引き上げ分を除きますと、つまり、我々のこのプランは、物価安定目標をつくる、そしてその物価安定目標に向けてデフレ脱却を進めていくわけでありますが、同時に、それに所得が追いつき追い越すようにしていくわけでありますが、それとは別に、四月から上がった消費税は、まさにこれは皆様の年金や医療や介護の給付を維持するためのものでありますから、これは、一時お預かりして、また給付としてお支払いをするためのものでありますから、これとこれは別に考えていただかなければいけないわけでありますが、この消費税分を引くと、六月、七月、八月はプラスになるわけでございます。

 一人当たりの賃金については、これは、公務員は現業を除き含まれておりません。それを見ると、六月、七月、八月はプラスになっているということについて言えば、基本的に、いわゆるアベノミクスと言われているものは今もしっかりと機能し、成功しつつある、こう言えると思います。

 しかし、同時に、この反動減から立ち直れているかどうかということも含めて、それによって、マインドが冷やされて消費が落ちてしまった、消費が引っ張っていくというのが我々の経済政策でもあります。

 そしてまた、設備投資については、これは昨年はプラス三・五%であり、また、日銀の短観におきましても、今年度の設備投資計画はさらに増加する、こう言われているわけでございます。

 いずれにせよ、慎重に指標を見ながら、これは、せっかく国民の皆様に苦しい思いをしていただいて消費税を上げても、結果として、経済が腰折れをして、GDPは伸びずに税収が減るということになってしまっては、財政再建も結果としてできないことになるわけでありますから、そういう観点からもよく見きわめていきたい、このように思っております。

小沢(鋭)委員 前半部分のいろいろな数字の羅列は、恐らく役所からずっと総理のところに入っている話だろうと思います。後半の、まさに消費税率を上げて国民にある意味では苦しい思いをさせても税収が上がらない、あるいはまた財政も改善しない、それじゃだめだ、こういう話は総理の本音かな、こう思って聞かせていただいておりました。そこは大事だと思いますよ、総理。

 まさに、今行われていることは、先ほど民主党の議員からも、地方が大変苦しんでいる、こういう話がありました。これから私どもの同僚もそういった話をやらせていただきます。

 そして、いわゆる資産を持っている人と、それから持っていない人の格差、この問題も大変大きくなっています。

 新聞報道でありますけれども、十月一日の新聞報道、介護保険料、六十五歳以上の方の滞納が急増しているんですね。本当に苦しいんですよ、地方の庶民は。

 地方が苦しんでいる、資産を持っていない一般の国民の皆さんが苦しんでいる、そうした中で、税収が上がらないようなまさに消費税アップを今決める必要は何もないんですよ。

 そう言いますと、また役所の方はいろいろ言うんです、国際環境の中で約束をしている、だからおかしいと。何を言っているんですか。アメリカのルー財務長官は、既にこの前の二十一日の二十カ国財務相・中央銀行総裁の、閉幕後の記者会見で、日本の成長がとまっていることに失望している、こういう発言をしているじゃないですか。

 まさに今、国際的に見ても大事な話は、日本が成長を続けるということなんですよ。庶民も困っている。日本の成長もとまるかもしれない。そして、リフレ派と言っていいかどうかわかりませんが、そういった仲間はみんな今、いわゆる延期、凍結、これを求めている。

 総理、どうかここはもう一回再考いただいて、そして、重大な、役所にからめ捕られない決断をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 判断に当たっては、まさに冷静に経済の状況を分析しながら、また、専門家の皆様に、しっかりと分析し、見識を生かした御議論をいただき、そうしたものを勘案しながら、最終的には、経済に資する、国民の生活に資する判断をしていきたい、このように考えております。

小沢(鋭)委員 ぜひ、誤った判断をいわゆるプレッシャーの中でされないように期待をしたいと思います。

 テーマをかえさせていただきます。

 今、この予算委員会の中、ちょっと外はわかりませんが、台風であります。ことしは災害も大変多かった年でもあります。

 先週、アメリカのゴア元副大統領が日本にお越しになって、国会内で講演をいただきました。

 ゴア副大統領は、「不都合な真実」という、この本は二〇〇七年に出ている本ですが、この中で、いわゆる地球温暖化が進んでいる、地球温暖化が進めば、大規模な洪水、そういったものが起こる、嵐もまた大変強くなる、こういった警告をもう既にしていますね。水温が高いと嵐に供給される水蒸気の量がふえる。また、気温が高いと大気中にとどまる水蒸気の量がふえる。そこで、一たび雨が降ったら、大量の雨や雪が一度にどっと降ることになる。そのせいもあって、十年ごとの記録を見ると、全ての地域で大洪水の頻度が上がっている。

 もう一枚、これは、前に予算委員会で見ていただきました山梨の二月の雪害です。これも記録上初めての大雪でありました。

 こういった、まさに大災害が頻発している、これの原因は何なのかということですよ。もちろん、それに対する対応も必要だと思いますが、原因は何なのか。環境大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

望月国務大臣 小沢議員にお答えさせていただきたいと思います。

 災害が多発しているが、気候変動、こういった関係の質問だと思います。

 IPCC、気候変動に関する政府間パネルでございますけれども、ことし公表した第五次評価報告書において、全ての大陸や海洋で気候変動の影響が既にあらわれているということが示されております。

 我が国においても、近年の猛暑や豪雨等の異常気象、まさにこれまで我々が経験したことのないようなものでありまして、その多くは気候変動の影響である可能性が指摘されております。また、将来についても、豪雨の増加に伴う増水のリスクや海面上昇などによる高潮リスクの増加が懸念をされております。

 このような状況から、気候変動問題は深刻な状況であると受けとめておりまして、地球温暖化対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。

 今まさに小沢先生からお話がございましたが、いつでしたか、ゴア副大統領ですか、インドネシアかどちらか、大変申しわけございません、ちょっと私も思い出したものですから。気候変動は現在の地球にとって最も恐ろしい大量破壊兵器に匹敵すると、今ちょうど先生がおっしゃったことを言っておりますけれども、我々もこのことについてはしっかりと受けとめて対処をしていかなきゃいけない、このように思っております。

小沢(鋭)委員 いい答弁をいただいたと思います。

 いわゆる因果関係という言い方をすると、学者の世界だと何%以上の確率じゃないと認められないとか、そういう話になるんですが、トレンドとしては、やはり温暖化が進んでいる中でこういった災害が多発している。これは、もう本当に、テレビで見ていただいている皆さん方もおわかりだと思います。ヨーロッパ、北米、南米、アジア、全ての地域で、すさまじい、やはりこういった大災害が起きているんですね。

 これは洪水だけじゃないんです。逆に干ばつも起こるんです。なぜ干ばつが起こるかというと、地表から水が上がっちゃうからですよ。ですから、大洪水も起きれば、大干ばつも起きている。

 今、環境大臣、まさに大量破壊兵器だ、こういうお話がありましたが、今、私どもは、世界じゅうでいろいろなところで戦争、戦闘が起こっている、このことを毎日ニュースでも見て、そして心を痛めているし、日本としての対応もしっかりしていかなければいけない、こういう話になっているわけですが、これは、じっと来るわけですよ。そう簡単に見えないけれども、もうじわじわじわじわと進行しているんですね。

 この問題は、本当に、地球を守っていく、我々が住んでいる地球、この地球は、少なくても我々が知っている限り、生き物が生きている、そういう星はまさに地球だけですよ。夜、星を見ると、何千何万という星が見えますが、少なくても我々が知っている限り、生き物が生きている星は地球だけ。この地球が傷んでいるんですね。ですから、そういった意味において、ぜひ総理には真剣にこの気候変動問題に取り組んでいただきたい。

 ことしの九月、五年ぶりに国連で気候変動サミットが行われましたね。総理も行って御発言をしていました。これは最大のチャンスなんですね。二〇一五年までに、要は、途上国も先進国も含めた目標を決める、二〇二〇年から実行する、その物すごく大事なタイミングです、今。ただ、日本はその目標を決められていない、そして、決めるべきいわゆるエネルギー利用計画もなかなか本質的なところが定まっていない、こういう状態なんですよ、総理。

 ここは、総理、決意を聞かせてくださいよ。災害で死んでいるんです、みんな。どうですか。

安倍内閣総理大臣 昨日も、STSフォーラムにおいて、フランスのファビウス外相と会談を行いまして、来年のCOP21の会議におきましては、両国で連携し、しっかりと成功させていこうということで一致をしたところでございますが、COP21では、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みを採択することとなっておりまして、国際社会は重要な局面を迎えていると思います。

 七年前、私は総理のときに、美しい星、クールアースの概念を提唱いたしました。これは、二〇五〇年の温室効果ガス半減を世界の目標とするよう提案したところでございます。

 先週、ニューヨークで開催された国連気候サミットにおいては、日本は最もエネルギーの消費については効率的な消費を行ってきたわけでありまして、省エネについては高い技術力を持っております。そうしたものを生かしながら、途上国の支援、技術の革新と普及、そして国際枠組みへの貢献の三つを鍵とする貢献策を発表したところであります。

 日本は、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入等を初めとして、地球温暖化対策をしっかりと推進していきます。さらに、全ての国が参加する公平で実効的な枠組みの実現を目指して、来年のCOP21の成功に向けて積極的に貢献していく考えであります。

小沢(鋭)委員 ぜひ、本当に気合いを入れていただいて、まさに日本がリードするような対応を国際交渉でお願いしたい、こう思います。

 スターン・レビューという、いわゆるイギリスのスターン卿の有名な本がありまして、「気候変動の経済学」という本ですが、これをこのままほっておきますと、まさに災害等で世界のGDPの少なくとも、最悪二〇%に相当する被害が起こる、こう言われているんですね。そして、その対策コストは、GDP一%を負担すればそれを避けることができるというのが有名な二〇〇六年に出ているスターン・レビューでありまして、そういった意味では、先ほどのように無駄な公共事業を積むよりも、こういったことを世界じゅうがやっていけば、まさに根本から直るんですよ。

 その一つの解決策として、いわゆる再生可能エネルギーの問題がありました。総理は、この間、国会答弁で、最大限の努力を行う、こう言っておりましたが、経産大臣、それでいいですね。経産大臣の意見を聞かせてください。

小渕国務大臣 委員が御指摘のように、この再生可能エネルギーでありますけれども、CO2を排出しないため、地球温暖化対策の観点から大変重要であります。しっかり、これは最大限導入を進めていきたいと考えております。

 一方で、エネルギーは、全てにおいてすぐれたものというのはありません。なので、やはり現実的かつバランスのとれたエネルギーの需給構造をつくっていくことが重要であると考えています。

 再生可能エネルギーについては、最大限導入ということを前提にしながらも、国民の負担をできる限り抑制するという観点から今議論をいただいているところであります。こうした議論を踏まえて必要な対策を進めていきたいと考えています。

小沢(鋭)委員 前半部分はよかったと思いますが、後半部分は役人答弁ですね。やはり、大臣、もっととんがって、びしっとやってくださいよ、びしっと。

 これを見ていただければおわかりなんですが、再生可能エネルギーの発電設備導入状況です。いわゆる認定をしているのが七千万キロワットあるんですね。導入済み容量がまだ一千万キロワットですよ。六千万キロワットがまだ、認定はされているけれども、導入できない。これはなぜですか。

 要は、時間がないので私が先取りして若干申し上げると、いわゆる再生可能エネルギーの買い取り制度、これに拒否事由があるんですね。拒否事由があって、エネルギーの安定供給のためには拒否できるというような話があり得るんです。ですから、こういう話になっている。

 だけれども、ヨーロッパは違うでしょう。日本だけ何でこんな事由があるんですか。

小渕国務大臣 再生可能エネルギーを最大限導入するために、電力会社は、原則として、再生可能エネルギーの発電事業者からの接続の申し込みを拒否できないこととされています。しかし、例外的に、電力の安定供給上支障がある場合には接続を拒否できるということになっています。

 太陽光、風力を初めとする再生可能エネルギーでありますけれども、やはり天候などの影響を受けるために、なかなか、その出力というものが不安定な状況になります。また、再生可能エネルギーを大量に導入することで、電力の供給が需要を上回ってしまうというおそれがあります。

 このために、再生可能エネルギーの導入により電力の安定供給が損なわれるということがないようにするという上で、本規定は重要な意味を持つものと考えています。

小沢(鋭)委員 まず、安定供給に関して言えば、いわゆる自然エネルギーベースの系統運用、こういった話をきちっと進めなきゃいけないんです。さっき、ヨーロッパはできているでしょう、こういう話を申し上げましたが、ヨーロッパはそうなっているわけです。今の日本のいわゆる系統は、それができていない。こちらの方から、与党の方から声がありましたよ、電力会社は買わないんだよなと。そうなんですよ。与党から声が出ているじゃないですか。

 それで、もう一つ小渕大臣の答弁で気になった話は、需要を上回る、こういう話がありましたね。上回っていいじゃないですか。上回ったら売ればいいじゃないですか。上回ったら売ればいいんですよ、世界じゅうに。それもできないんですよ。いろいろな規制があるからできないんですよ。

 まさに、発送電分離をしっかりやれば経済界は送電に入ってきますよ。そして、そういう会社は世界じゅうに売りますよ。そうじゃないんですか、小渕大臣。

上田政府参考人 私の方から少し事実関係を御説明させていただきたいと思います。

 再生可能エネルギーでございますが、大臣が申し上げましたとおり、最大限の導入を行っていくという考え方でその導入を進めてまいりたいと思いますが、今回、九州電力等々におきまして、一部その接続申し込みの保留を行っているという状況にございます。

 この保留を行っている状況というものは、この再生可能エネルギーに関する申し込み、特に昨年度の三月に非常に集中をいたしました。実は、昨年一年間、九州電力を例にとりますと、七万件ぐらいの接続に関する申請がございましたけれども、三月だけで同じような七万件という申請がございました。その結果、もし仮にその再生可能エネルギーを全部接続するとすれば、九州地域における、これは瞬時瞬時の話でございますけれども、需要を上回るような供給力になるおそれがあるということでございます。

 そういったことを含めまして、需要を上回る供給力がありますと、実は、再生可能エネルギーに限らず、電気というものは周波数が上がってしまいまして、むしろ停電のおそれがある、エネルギーの安定供給に支障があるということでございます。

 したがいまして、九州電力は、これをしばらくの間保留させていただく、その間に、どのようにさらに連系を強化したり再生可能エネルギーを導入することができるのかを検討していく、こういうことになったわけでございます。

 政府といたしましても、こういった事態を受けまして、つい先般、資源エネルギー庁、総合資源エネルギー調査会のもとに系統のワーキンググループをつくりまして、果たして電力会社がおっしゃっておられる連系可能容量の上限というものが正しいものであるかどうか、さらに連系を確認していけば、連系を拡大するにはどういう政策があるかといったことについて直ちに検討を開始することといたしたところでございます。

 しかしながら、電気でございます。ドイツにおきましても、実は、送電網の制約から、北における風力発電の電気を南にある電力の需要地帯になかなか送電できない、その結果、北にある電力をほかの国に輸出しているといった問題もございまして、そういった送電網のあるいは連系線の制約といったことにつきましても十分配慮しながら再生可能エネルギーの導入を進めていく必要があると考えております。

小沢(鋭)委員 政府委員の方の答弁を聞いていると、何が何だかわからなくなるんですね。

 やはり大臣にぜひお願いしたいのは、今も話が出ていましたが、需要を上回る供給がある。いいことなんですよ、再生可能エネルギー、いわゆる太陽光からエネルギーをつくるんですから。日本は、ずっとエネルギーを、石油を含めて輸入してきたじゃないですか。だから、例えば、それは輸出をしていったらいいんですよ。そういう話ができないからおかしいと言っているんですね。既得権ですよ、これは。

 維新の党は、既得権に切り込んでいくんです。ぜひ皆さん方もそういった意識を持っていただいて、そして本当に必要なエネルギー政策をつくっていきましょうよ。ぜひそういうふうにお願いしたい。

 もう一つ、この既得権を守る仕組みを御指摘しておきたいと思います。

 今言ったのは、法令による拒否事由ですよね。法令によらない拒否事由みたいな話があるんですね。接続問題、こう言われています。

 要するに、ネットワークのまさに接続拒否。系統につなぐために、そこの部分が、工事のある意味では優越的な力を利用して、接続ができないようになっているんですね。そして、これは公取からも、問題になって、既にある意味では対応も進んでいるようですが、一言で言いますと、高い工事費を払ったところから接続を認めているんです。ですから、現実に、そういった意味ではなかなか接続が進まないんです。

 この具体的な、技術的なと言われていますが、実質的接続拒否の問題、小渕大臣はどのようにお考えになっていますか。

小渕国務大臣 再生可能エネルギーの発電者が電力会社の送配電網に接続するための電源線については、これは発電者の方がしっかりつくっていかなければならないということになっています。

 これは、やはり事業費の安いところからつくっていくという経済的なことを考えたときに、また、これを全て電力会社が持つということになると、これは一般の電気料金にはね返っていくということにもなりますので、これは発電事業者の方で電源線をつくっていかなければなりません。

 しかし、これにつきましては、発電事業者がみずから電気工事会社を選定して工事を行うことができますので、工事費が高いという批判に関しては、これは一面的なものではないかと思います。

 もう一方で、この送配電網自体の大規模な増強工事が必要な事例というものも発生をしています。これについては、電力供給全体に大きな影響が及ぶものでありますから、やはりこの工事は電力会社がみずから行うことが必要であります。安定供給の確保のために必要な高度な工事を要する場合も多いものと認識をしています。

 この点につきましては、国としても、電力会社に丁寧な説明を促すなどにより、工事が円滑に進むように配慮してきているところであります。

小沢(鋭)委員 接続問題、それから優越的地位の濫用、こういう言葉を聞きますと、私は、情報通信のことでかつて全く同じことがあったな、こう思い起こすわけであります。

 私、情報通信も専門にしていた時期がありまして、まさに接続問題、これはいわゆる新規参入の業者が大変苦しんだ問題でありました。今それはかなりの部分が解決されて、情報通信分野は安くなりましたよ、電話料も、それからネットワークも。昔は、ずっと、常時接続なんてできなかったですよ、ネットワーク。それが今や、まさに自由競争が進んでそれができるようになったじゃないですか。

 まさに電力のこの問題はそれに本当に似た問題だなと私はつくづくと思っておりまして、小渕大臣にはぜひそういった観点からお取り組みをいただきたい、こう思います。

 それに加えて、もう最後ですが、一つ申し上げたいと思います。

 情報通信にはない、この電力特有の、エネルギー問題特有の問題は、原子力発電の問題であります。

 原子力発電というものをどう考えるか、こういう話があって、我々は、まさにマーケットメカニズムによって二〇三〇年にフェードアウトする、こういう公約を出しています。これはどういう意味かというと、さっき言ったように、いろいろな業者が新しいエネルギーをつくって、そして、原子力発電はコスト的にも見合わなくなって自然にフェードアウトしていく、そういう意味です。

 ですから、そういったハードルを下げてもらわなければ困る、こういうことを言っているわけですが、もう既に、先ほど政府委員の方の答弁でありましたが、ある地域の電力会社は、太陽光発電、今認められているものが全部稼働すると、既にそこの需要を上回ってしまうという話になります。そうなりますと、原子力発電は必要ないんです。

 原子力発電を選んでいくのか再生可能エネルギーを選んでいくのかというのは、もう今直面している問題なんですよ。先の問題じゃないんですよ。現時点でどっちを重視してやっていくのか、そういう話にもう直面しているんですよ、我が国は。

 小渕大臣、どっちを選ぶんですか。

小渕国務大臣 エネルギー源においては、全ての面ですぐれたエネルギー源というのは、残念ながらありません。経済の面、CO2の排出の面、安全保障の面、安全性の面、全てにおいてすぐれたものがないという中で、やはり現実的かつバランスのいいエネルギー需給構成というものをつくっていくということが何よりも大事だというふうに考えています。

 再生可能エネルギーに関しては、先ほど申し上げましたように、これは最大限導入の方向で進めてまいります。

 一方で、原子力発電に関しては、原子力規制委員会において安全性が確保された原発に関しては再稼働を進めてまいります。しかし、再生可能エネルギー、省エネルギー、こうしたものを取り入れながら、原発についてはできる限り低減をさせていく方向であります。

小沢(鋭)委員 大変優等生の答弁かな、こう思います。

 ぜひ小渕大臣には、私が今申し上げたようなことも勘案をいただいて、そして、この国のまさに環境を守り、あるいはまた地球の環境を守り、さらにはまた新しいエネルギー分野を切り開いていく、そういう観点で頑張っていただきたいというふうに思います。

 女性が輝く社会というのは私も大賛成でありますが、ぜひ役人の皆さん方に、役人の皆さんが全部だめと言うつもりはありませんよ、そうではありませんが、しっかりと新しい時代を見据えて御活躍することを期待申し上げて、そして、総理にも、国際社会で、これは本当に引っ張ってくださいね。地球を守っていくという意味で重要な課題だと思いますので、それを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、松浪健太君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松浪健太君。

松浪委員 維新の党の松浪健太であります。

 冒頭、台風十八号の被害に遭われている皆様、また、その対応に向かって働いていらっしゃる皆様に、心よりのお見舞いとそして尊敬の念を表するものであります。

 さて、久々にこの予算委員会に私も戻ってまいりました。一年間委員長をさせていただきましたので一年半ぶりでありますけれども、一年半前、国会改革の指摘をさせていただきました。総理が所信表明で二回演説を読む、同じものを読んで、これで本当にいいのかどうか、そしてまた、この基本的質疑では通告を出した大臣だけでいいのではないかというような改革を申し述べました。

 ことしの五月に与野党で、かなりの部分、この国会改革、合意をいただいたそうでありますけれども、最初に指摘をした二つの部分についてはまだ全く動いていないということでありますので、このあたりについては今後の御配慮をお願いしたいと思います。

 また、私は本日、山谷大臣には通告を出しておりますけれども、こうした観点から、副大臣、政務官の対応でもきょうは構いませんので、臨機応変にいただければというふうに思います。

 我が維新の党は、結党以来、本当に捨て身で選挙を戦い、やってまいりました。身を切る改革、そして捨て身。まさに我々も、前回の選挙は、もう本当に何もなく、借金をしたメンバーが供託金を払い、そして、みずからの身をもって散っていったメンバーも多くありました。

 これは何のためかといいますと、やはり今の日本は大きな転換点にある。まさに総理がおっしゃる憲法改正、そして私どもが長年主張しています道州制、こういった歴史の転換点をつくるためには、本当にこれまでの、二大政党というか、与党と野党のお互いの対立だけでいいのかどうか。我々は、ですから、この一年半、是々非々ということで活動してまいりました。ですから、この国会改革についても、我々野党に不利なことも皆さんに提案をしてきたわけであります。

 こうした道州制、憲法改正、今の一瞬だと思うんですね。

 我々維新の党が出たのは、ある種の、我々は自爆テロだと言っていました。選挙の観点でいえば、野党票を分断してしまったというところがあります。(発言する者あり)民主の皆さんからもそういう声が出ていますけれども、まさに身を捨ててしまった、そういうところがあるわけです。自爆テロという言い方は不適切な部分があろうかと思いますが、身を捨ててやってきたわけであります。

 これは、総理、本当に一瞬だと思います。憲法改正、道州制、やはり三分の二の国会の議決が要る。自民党の中で議論をされている道州制は、第一段階の道州制です。これはまず憲法改正を前提としていない。しかしながら、道州制が機能するためには、憲法第八章、地方分権の部分を変えていかなければならないわけであります。

 ですから、今のこの一瞬、今、安倍内閣は大変な追い風を受けていると思いますよ。しかしながら、総理、この一瞬を逃せば、次の選挙、もう我々は前のような選挙はできません。維新と民主がもしすみ分けをすれば、普通に、前のシミュレーションでも、前回ですら新聞は、五十議席は変わった、八十議席は変わったと書いているわけであります。

 ですから、こうした観点から、総理、今本当に道州制でも、皆さん、多くやりましょう、外交においても我々は、与野党これは是々非々でやらなきゃいけないというところで、今防衛問題もやっていると思いますよ。ですから、総理、この道州制を通じて、本当にパーシャル連合でもしましょうと、今、議席のあるうちに求めなければならないときだと私は思いますよ。

 しかしながら、道州制、総理、後退しているんじゃないですか、自民党は。この点について、まず伺いたいと思います。

    〔委員長退席、上杉委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 我々自由民主党は、豊かで明るい、創意に満ちあふれた地方をつくっていく。地方の創生は、安倍内閣の最重要課題であります。地域みずからの発想と創意工夫によって、個性と魅力あふれる地方をつくっていくことが重要だと考えています。

 道州制の導入につきましては、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指し、国と地方のあり方を根底から見直していく大きな改革であります。与党において、道州制に関する基本法案の早期制定を目指し、精力的に議論を行っているところでありまして、この議論が集約されていくプロセスの中で、法案が国会に提出されることになると考えています。

 政府としても、連携を深め、取り組んでいく考えであります。

松浪委員 その法案でありますけれども、もはや、自民党が野党時代にまとめたものから余り変わっていない。自民党の中で総務会まで通し、そして、自公とプロジェクトチームをつくって、その案を総務会まで通した。かくいう私が、当時、道州制の自民党の事務局長として総務会で御説明をさせていただきました。何度も何度も、政審、政調、そして部会、丁寧に丁寧に出した。そのときから、前文がついたぐらいしか変わっていないはずであります。そして、もはや内容を変えるという段階ではなくて、いつ出すかという段階だと思います。

 しかし、私がなぜ総理にこの状況を聞くかというと、今、安倍内閣で道州制担当大臣はいらっしゃいますか。

    〔上杉委員長代理退席、委員長着席〕

石破国務大臣 担当は私がいたしております。

松浪委員 担当は、一応石破大臣が所掌しているという話であります。

 では、第一次内閣では、名刺にちゃんと総務大臣等が道州制担当大臣というしっかりとした公式の立場がありました。今、そういったものがありますか。

石破国務大臣 それは、名刺に書くか書かないかは本質的な問題ではございません。それは、道州制の担当大臣として任ぜられておりますが。

 我々政府として、今、与党におきまして、委員が自民党におられた当時、大変な御努力をなさいましたのは、私は政調会長をしておりましたので、よく存じております。その後、今村議員、そしてまた佐田議員という形で、今、自由民主党の中において、本当にきちんとした議論を詰めておるところでございます。

 いずれにいたしましても、これは、総理が申しましたように、国の形そのものを変える大きなお話でございますので、まず与党においてきちんとした御議論を賜り、国会において審議がなされるものと承知をいたしております。

松浪委員 先ほど申し上げましたように、野党時代に、これは政権をとったらすぐやるんだということで、選挙前にあれだけの、公式な、総務会まで何度も通しているのに、いまだにこれが通ってこない。

 これが、もし安倍内閣の勢いが、これはプログラム法なので、本当にまずプログラム法を通すことが大事であります。ですから、そのあたりは大変な、安倍内閣の成長戦略といえばこの道州制をやるしかないわけでありますので、このあたりは、やはりしっかりと見ていただきたいと思います。

 そして、現実的な道州制は、まさに道州制国民会議をつくって、そこで議論をしていくわけでありますので、その仕組みをしっかりと出していかなきゃいけない。

 こうしたことは、古くからもうこれはあるわけです。もう一九二七年の田中義一内閣のころからこの議論をやっている。

 特に、しっかりとこの国の形を見据えようと思ったら、私、違和感はありますけれども、民主党の平成十二年のこのパンフレット、私も自民党で道州制の第三次報告がまとまってからこれを見ましたけれども、すごくよくできていますよ。本当にわかりやすい。「一人一人が責任を持つ、新しい民主主義」、そして「小さな中央政府、適正な地方政府」、そしてまた、これが当時ですら新しいですね、「インターネット時代が要請する道州制」。

 まさに今、コンビニとかいろいろなところで手続が簡素化される。こうしたことを、普通に国家をベンチャー企業として、しっかりともう一回、第三の転換点と。中曽根先生がよくおっしゃいます、この国は今、第三の転換点にあると。幕末と、そして終戦時と、その次の転換点。まさに我々は、分配の政治から今、削減する政治に移らなければならない。これ以外のものは考えつかないということは、もう本当に、政治家が真剣にこの国家のことを考えれば、私はこれを今すぐにでもやるべきだと思います。

 民主党の皆さんも、かつてこういう新しいことをやったんだから、私は、これさえあれば、本当に政界の枠組みをこの道州制で変えていくべきものであります。

 この機会に、ぜひとも、全国会にこの考え方を共有していきたいというふうに思います。

 ちなみに、石破大臣は、このパンフレットをごらんになったことはありますか。

石破国務大臣 拝見したことはございます。ただ、精読したかどうかと言われますとなかなか自信はございませんが、民主党がそういうものをまとめられたということは承知をいたしております。

松浪委員 これは確かに細かくつくったものではありませんが、まさに消費税を入れるというときに、政治家が身を切る、行政が身を切る、そして国民の皆さんにやっと納得いただく。まさに、政治家の数も減りますよ、でも、その分は道州に行くわけでありますから、新しい思想の転換が非常に大事だと思いますよ。

 そして今、今国会は地方創生国会だと言われております。まさに地方創生国会という割に、今回の地方創生法案、非常に内容が、私はちょっと効果的にいかがなものかなと思います。

 役人の皆さんと議論をしても、きょうは正直これについて私は通告を出しませんでした。なぜならば、余りに効果が薄いこと、そして、地方といっても、もう本当に、国家の成長戦略とかではなくて、都市部に視点が余りない。つまり、この法律は、地方創生は、言ってしまえば農村部にとってはディフェンスですよ、そして都市部は、成長戦略から考えれば都市部の成長でアタックをする。まず、ディフェンスと成長のアタック、この二つが私は必要だと思います。

 その中で、大阪では、大阪都構想というものを当時の自民党、民主党、公明党全てで合意をしてやったわけでありますけれども、総理は特に、テレビ番組等でも大阪都構想はマルだというふうに、そういう御意見を出していただきましたけれども、総理、まだそのときのお気持ちとお変わりありませんか。

安倍内閣総理大臣 いわゆる大阪都構想でありますが、大都市地域特別区設置法に基づいて、大阪市を廃止して特別区を設置することにより、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするものであり、その目的は重要であると認識をしています。

 大阪都構想の実現については、法令の手続に従い、地域の判断に委ねられているものであり、関係者間で真摯な議論に努めていただくことを期待しております。

松浪委員 本来は、この法律は、今記者会見がちょうどダブってしまいましたけれども、菅官房長官が座長になられて、自民党のプロジェクトチームで基本がつくられた法案でありました。

 非常にできた法案だと思いますけれども、菅官房長官、当時の菅座長がおっしゃったのは、民意が示されたということをよくおっしゃいました。民意が示されたんだからこの法律をつくるんだということで、菅官房長官、よくおっしゃって、本来は、きょうは菅先生に、官房長官に通告を出したんですけれども、政府の方が、どうしてもこの時間は官房長官が出られないので、かわりに総理にということをおっしゃっていただいて、私もこういうパターンは初めてなんでありますけれども、総理に伺っているわけです。

 総理、この民意が示されたというのは、一体どういうことを示すとお思いになりますか。

安倍内閣総理大臣 今、官房長官は定例の記者会見で席を外させていただいておりますが、官房長官が民意が示されたという発言をされたことを、私が推測して言うのは不適切だと思うわけでございますが、これは、いわば、最初の選挙によって大阪府知事から市長に、橋下当時の知事が市長選挙に打って出たときに、それをテーマとして市民から支持された、こういうことを意味しているのではないか、このように思います。

松浪委員 今おっしゃる意味もわかりますが、当時、橋下市長と松井知事という二人が、維新から知事、市長と同時に誕生したということで、大変な支持があったということだと思います。

 そして、この問題、先日、総務省からは、法定協という問題で、法定協に出したこの大阪都構想の問題が、これは、きょうは大阪の話をしているんじゃなくて、まさに日本国の東京都一極集中から、まず大阪を入れて複眼化して、そして、将来的にはもっと多くのエンジンをつくろうということで、これを一つ目の話としてやっているわけでありますけれども、この支持が今大阪ではどういうことになっているかといいますと、やはり大阪市民にはすごく理解されていると思いますよ。

 ここに読売新聞の調査がありますけれども、大阪市議選が近づいていますけれども、大阪市内では、読売新聞によりますと、維新が二九%、自民が一八%、公明六%、民主、共産、無所属が各五%で、無党派というか、決めていないが二五パーということで、随分様子が違う。これはやはり非常に市民の理解というのが、支持というのがあるんじゃないか。

 ついでに、ありますけれども、維新の手法を評価せず六八%。それから、橋下さんも言い過ぎるところがある、松井さんもやり過ぎるところがある、ちょっとやり方を考えろよと。でも、私たちはそれでも支持しますよというのは、私はかなり強烈な支持だと思うんですね。

 しかしながら、ここに今民意のねじれというのが起きている。自民党さん初め、大阪の自民党さんが今反対している、これもおかしいと思うんですね。

 なぜかというと、当時、私たちがよくこの大阪都構想を議論していた時代には、谷川秀善先生という、大阪の副知事もして、そして自民党の大阪府の府連会長もされた先生もおりました。谷川先生も、わしは都政論者やというようなことをよくおっしゃっていましたが、大阪の自民党でも、もともとはこれが進んでいた。総理も適当だと思われますけれども、普通なら、自民党がどんと支持を抜いていいと思うんですよ、これだけの風があるんですから。しかしながら、今これはねじれている。

 総理、これは、今民意がねじれている理由を何だと思われますか。

安倍内閣総理大臣 大阪の今の現状について、政界の現状について、私も余りつまびらかではないわけでございます。

 維新の党が発生した段階、成立をした段階で自民党が分裂をしたということもあったというふうに承知をしておりますが、そうした最初のスタートに起因するものもあるのではないか、このように思います。

松浪委員 皮肉な言い方をすれば、維新は改革派自民党だったわけでありまして、これが今、民意とのねじれになって、そして支持率のねじれにつながっているということだと私は思いますけれども、まさに総理も、大阪都構想、進めていると言うのであれば、今、常識的に考えて、大阪で自民党がこういうものに反対するというのは、安倍内閣の改革方針に沿ったものだと思われますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、大都市地域特別区設置法については、我々はこれについて支持をしたところでございますが、その中におきまして、まさに地域の判断に委ねられているわけでありますから、それはやはり地域において、多数をとるコンセンサスをそれぞれの地域で重ねていくことが重要ではないか、このように思います。

松浪委員 二元代表制の話があるんですけれども、しかしながら、国会である小選挙区制度とそれから地域での大選挙区制度とやはり違うわけで、感情と政策はやはり別にしなければならないと思います。

 総理おっしゃるように、できた経緯からこういうふうになっているわけでありますけれども、これが今、民意のねじれが生じているということは重々に承知をいただいて、大阪の自民党の方にもしっかりとやはりこうした内容はお伝えをいただきたい。我々の方も行き過ぎた部分はそれは改めなければなりませんけれども、これで国家の成長戦略がとどまることがあってはならないというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 次に、成長戦略としての公営企業の民営化について伺います。パネルをお願いします。

 中曽根内閣以来、民営化は我が国の経済に大きな貢献をしてきたと思います。国鉄民営化、そして電電公社の民営化、それから日本専売公社の民営化、そして、総理が第一次内閣につかれる前に、小泉内閣では道路公団民営化、郵政民営化というものがありました。

 国家の方ではこういうふうに民営化がどんどん進むんですけれども、地方の方では、これは民営化の例えば大阪でのメニューを並べたものなんですけれども、地下鉄、バスの民営化、水道事業民営化、ごみ収集事業民営化、住宅供給公社、市立幼稚園等々の民営化と、それからこの青い部分は、これは都市部の例として挙げたわけですけれども、市立大学の統合とか、それから港湾の港務局、それから病院、そしてこうした研究所というものを挙げたんですが、総理、こうした地域の活動について、国としてはやはりこれからもバックアップしていくべきだと思われますか。

高市国務大臣 失礼いたします。

 公営企業の民営化についてでございますけれども、今、公営企業の経営は全体としておおむね健全な状況だとも言われますけれども、それでも、人口減少ですとかさまざまな状況の変化もございますので、これはもう不断の見直しを検討していかなきゃなりません。

 総務省におきましてことしの八月に「公営企業の経営に当たっての留意事項について」というものを発出いたしまして、事業の意義ですとか採算性を踏まえて廃止、民営化の必要性について検討していただくということを地方に対しまして要請をいたしております。ただ、強制はできません。地方自治法に基づく技術的な助言でございます。

 このときに、あわせて、コンセッション方式を初めとするPPP、PFI、民間委託など、民間の資金、ノウハウの活用についても要請をしております。

 ですから、今後私どもが期待するのは、各地方におきまして、サービスの質の維持、できたら向上、そして効率化、これをまた住民の意見や地方の実情に応じて、しっかり民営化の方向に向けて検討していただくということでございます。

松浪委員 今、高市大臣がおっしゃったことは、私、ちょっと次に聞こうかと思ったんですが、まさにこの民営化というのは、国の成長戦略にも合致したものだと思いますよ。

 そして、今大臣がおっしゃっていただいた民営化そして公共事業の廃止、こうしたものは地方自治法にかかわるというふうにおっしゃいましたけれども、まさに私が昨年の予算委員会で指摘をしました。JRの民営化は、あのときは二分の一、国会の決議は二分の一でしたと。地方自治法では三分の二が望ましいとされている。そして、首都機能の移転というのは、国会でも二分の一で決められるんですけれども、地方自治法はこれにわざわざ三分の二のかせをはめている。

 この民営化というのは、当時は、地方自治法の条文においては公営企業の廃止及び長期的な独占的な活用ということでありまして、民営化も想定をしていないものに三分の二がかかっている。そしてまた、事務所の位置も、これだけ支所が多くて、先ほどのインターネットの話じゃないですけれども、さまざまな手段ができているのにそれが三分の二になっている、それがおかしいということを今高市大臣は指摘された。検討をこれからするということでよろしいんですね。

高市国務大臣 失礼いたします。

 私が申し上げましたのは、公営企業の民営化それから民間委託などについて、地方自治体でも積極的に検討していただきたいという要請を行ったということでございます。

 今委員が御指摘の、要は議決権の問題にかかわるかと思うんですけれども、特に重要な公の施設の廃止などに関しましては、今、特別多数議決三分の二ということで、非常に高いハードルがあります。

 では、何が特に重要な公の施設かというのは、これは地方の条例で決めるということになっております。この中に、県によっては、例えば県立の学校だったり病院だったり、それから工業用水施設だったり上下水道の施設だったり、こういったものを定めているところがある。ですから、何を特に重要な公的な施設とするかというのは、これは地方に委ねられているものでございます。

 それから、事務所の位置についてもお話がございました。

 例えば、地方公共団体の施設の支所などは過半数の議決で大丈夫なんですけれども、主たる事務所の移動ということになりますと、市町村合併なども進む中で、交通の便ですとか、やはり住民の利便性ということにも十分に配慮しなきゃいけない、非常に重要な問題ですから三分の二以上という形になっている、こう理解をいたしております。特に現在、すぐに見直す予定はございません。

松浪委員 非常に矛盾をはらんでいるんですね、この三分の二については。

 先ほど申し上げたように、国では二分の一だけれども、どうして地方議会では三分の二、地方は三分の二が要るんですか、大臣。

高市国務大臣 これは、何が重要な施設かということを地方が条例で決められる。それぞれの議会において、また地方行政の現場において、地域によって多様に状況が違うわけですね。例えば、さっきの事務所の話にしても、非常に広大な地域で、距離感がどうなのか、交通の便がどうなのか。それから、工業地帯ですとやはり工業用水、これは非常に大事な公的インフラになるわけです。これは地域によって決められるということでございますから、このようになっております。国とは違います。

松浪委員 以前、新藤大臣に質問したときよりも議論が後退をしているわけであります。

 新藤大臣は、以前答弁されましたときに、これは昭和三十八年当時に決めたものですから、その当時は民営化等も想定していなかった、ちょっとこれは後退している部分があるんじゃないかということはお認めになったんですよ。その当時の議事録等を受けてきょうは発言されていますか。

高市国務大臣 委員がもう随分前からこの問題に取り組まれ、非常に強い問題意識を持って新藤大臣に質問されたということも私は承知をいたしております。現在なぜ地方自治法のたてつけがこうなっているかということの説明を申し上げました。

 今後、その地域の実情に応じて、やはりこれは民営化すべきだ、また所有権の移転をすべきだとか、そういうことになりましたら、それは、それぞれの地方自治でございますので、それぞれの地方自治の現場で判断されるべきこと、条例の変更などをされるべきことだと考えております。

松浪委員 何も今大臣はお答えになっていないんですね。

 ですから、三分の二に指定してもいいよと、一旦指定をします。すると、それを二分の一に下げてもいいと総務省の方はおっしゃるんですけれども、一旦、重要な公の施設のままで二分の一に下げるということを地方自治体はできない、自縄自縛に陥る、こういう制度を昭和三十八年段階でつくったわけですから、それが実情に合わなくなっていますよということを指摘しているんですけれども、大臣、このことを御理解できますか。

高市国務大臣 これは繰り返しになりますけれども、各地方自治体におきまして、例えばこの施設については、これはもう民営でいいんじゃないかということをその地域の実情に応じて、また住民の民意に応じて決めていかれれば、三分の二の議決であってもそれは民意の多数ということになります。

 これまでを見ましても、例えば点字図書館を廃止するですとか、これまで廃止が決まった例でございますけれども、それから県立学校の統廃合ですとか県立病院を廃止するとか、それぞれの地域で決断をされたこと、非常にやはり住民にとっても重い話であると思います。

 ですから、やはりそれぞれの地方で議員の方々がしっかりと住民の意見をお聞きいただきまして必要な改革をしていただくということがまず先決だと思っております。

松浪委員 大臣にロジカルに答えていただくことができなかったのは大変残念であります。

 総理、ここに並んでいるメニューでありますけれども、地下鉄、水道事業等の民営化、これがずっと並んでいまして、地下鉄でも、PPP、PFIとかいろいろな制度はあるとおっしゃいますけれども、これは民営化しないとなかなか、投資をするに当たって、大阪の場合であれば、本当にそこにホテルを併設するとか飲食店を併設するとか、いろいろな市民に対しての、運賃を下げるということもできます。

 水道事業なんかであれば、大阪であれば、今まで六十五の国と事業の協力をしているわけですね。しかしながら、これが民営化できないと海外展開もできない。もし民営化して海外に水道事業も展開できれば、これがお金を稼いで、そして国家に対する非常に大きな貢献ができる、地域においても大きな貢献ができるわけでありますけれども。

 総理、こうしたメニューをごらんになって、地方のこうしたメニューに、これからの地方がそれぞれ自立して発展していく未来を総理はお感じになりますか。こうしたメニューについて、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 こうしたメニューというのは、私が答えるというよりも、まさにこれは大阪市において、大阪市の未来を考えていく上において、こうした方向に向かっていくことが適当かどうかということを地域で判断されることではないか、このように思います。

松浪委員 普通に、今までの自民党の政策、与党の政策を見ていると、こうした民営化の方針、皆さん本当に熱心だと思います。非常に肯定的だと思いますよ。

 しかしながら、私は先ほど、感情の問題と政策の問題は分けなければいけないという話を申し上げました。これに全部反対をしているのが今の大阪の自民党というところで、今現在、我々は、非常に国の問題が進まないと。

 これは大阪の問題ではなくて、まさに我々は、今、国のエンジンを、この東京一極集中から二極目をつくって、そして自民党も、そして公明党も、公明党の太田ビジョンも、かつて道州制を大きな一本柱に入れていただいたわけであります。それで自民党の議論も進んだ。

 それが今進んでいない中で、道州制への一里塚として、この大阪都構想も進んでいるわけでありますけれども、これが今進んでいない状況について、私は、今総理に、もう本当にこれを何とかしていただきたい。本当に民意が、今、感情と政策で政治家がねじれて、そして、その民意が今ねじれているということについて、私は皆さんに問うているわけであります。

 総理、その辺、いかがお感じですか。

安倍内閣総理大臣 いわば、大阪における自民党の大阪市連、府連として、それぞれ地域の現状を考えながら判断をされているんだろう、このように思うわけでありまして、まさに地方自治のことでありますから、そこまで私が、ああせよ、こうせよと言うことは差し控えさせていただきたい、このように思います。

松浪委員 今、もともと総理も、私がこう申し上げてお答えになるのは、大変苦しいお立場だと思います。これは、まさに政治が、地方の族議員もこれを打ち破っていかないということだということを最後に指摘しておきたいと思います。

 次に、復興予算について伺いますが、今回の復興予算、ちょっともう時間はないんですけれども、この復興予算ですけれども、算定の根拠について伺いたいと思います。

麻生国務大臣 結構長くかかるので、もう少し最初のうちに聞いておいていただくとよかったんですけれどもね、こういうのは。答弁が長くなると困るなと思って後に回されたのかと勘ぐりたくなるぐらい結構長い話なんですが。

 十九兆円の復興財源フレームについては、必ず必要となる災害扶助、生活再建、瓦れきの処理、インフラ復旧といった、いわゆる救助・復旧費用について積み上げました十兆円程度がまず必要になると見込んだ、もうこれは御存じのとおりです。

 その後に必要となる復興費用については、阪神の大震災に比べて、東日本大震災の災害額推計が一・七倍でありますということを勘案して計上した事業費が五・三兆円。リーマン・ショック後の同程度の中小企業の資金繰り支援に二・五兆円などを見込んだ結果、大体九兆円程度が必要となると見込んだものでありまして、十九兆円は、これら救助・復旧費用十兆円と復興費用九兆円台の合計となっているのが十九兆円の背景であります。

松浪委員 この問題についてなんですけれども、きょうは議論し切れないというふうに思います。

 この十九兆円、実は、御説明申し上げますと、内閣府がつくっている被害想定が十六・九兆円ということであります。十六・九兆円の算定根拠は、今までのルールにのっとっているんですけれども、今回の十九・五兆円、まさに麻生大臣がおっしゃった十九・五兆円の、五年間での復興予算、まず民主党政権でできました。そして、自民党政権で二十三・五までふえました。

 この根拠は、財務省の説明によると、これは、阪神大震災のときの被害額を並行的に見て、当時は九・二兆円でしたから、今回は十六・九兆円なので、当時は九・九兆ぐらいまで広げましたけれども、十九・五兆円になったという説明が、大体、復興庁においても、一般的に役所の人間が理解していることであります。

 しかし、この十六・九兆円なんですけれども、もう時間が近づいてまいりましたけれども、この十六・九兆円なんですが、実は減価償却等を見込んでいないんです。ですから、実際に壊れている額というのは、私が出させたところですと九・一兆円という額が、内閣府からやっとのことで出てきました。

 そして、ほかに原田泰先生などの専門家は、実は六・何兆円しか壊れていないということをおっしゃっておりまして、次に南海トラフ地震等が起きたときに、南海トラフは最大想定は百六十九兆かかりますから、そのときに本当に百七十兆の予算が組めるのかどうか、それが常識的に考えるのかどうかということを最後に麻生大臣に伺って、質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 二つ御質問をいただいたんだと思います。

 最初にまず、第二次安倍内閣の発足と同時に二十五年度の予算編成をやらせていただいたんですが、全体の復興事業費が復興財源十九兆円を超えるという見込みになっておりました。このため、復興財源に関する不安というものが多く寄せられましたので、二十三年度から二十五年度予算における事業費が二十・八兆円、加えて、二十六年度及び二十七年度に確実に見込まれる事業費、二・七兆円程度を見込むなどによって、復興財源フレームを二十五兆円に拡大したという経緯であります。いずれにしても、復興予算については、これは毎年やっていく話でもあり、予算編成において必要な精査をしてまいりたいと思っております。

 では、南海トラフ、この被害想定は、東日本大震災の教訓を踏まえて、それよりも発生頻度の低い最大クラスの地震、津波を前提として推計したものだと承知をしております。ただし、今後の防災・減災計画、耐震化等々の推計は、早期復旧技術の開発などによって被害想定も大きく異なってくるのではないかというような御指摘もあっております。いずれにしても、仮に南海トラフ巨大地震が発生した場合、その時点の被害額推計を念頭に置きつつ復興財源についてさまざまな知恵を絞っていくしか方法がないとは思いますが、いずれにしても、不測の事態への対処を可能にするためにも、これは財政健全化をきちんと進めておかないと、財政基盤を強化しておかないと、そのような対応が非常に難しくなってくるというように考えております。

大島委員長 お時間ですから。

松浪委員 はい。

 今のスキームでは、東日本大震災のスキームでは十倍の被害には対応できない、新たなスキームがあることを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 実は、私は岐阜県側の御嶽の麓で生まれ育ちまして、そういう関係で、今回のことは大変心を痛めております。

 改めまして、お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げるとともに、おけがをされた方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 行方不明の方が一日でも早く御自宅に帰れるように、政府には全力を尽くしていただけるようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 それと、もう一点ちょっとお願いがあるんですけれども、これは救助とは関係ありませんが、実は、風評被害が結構出ておりまして、私の地元の下呂温泉あるいは小坂の温泉郷のところでも、今宿泊客のキャンセルがもう相次いでおります。これは恐らく長野県でも起きていると思いますし、奥飛騨温泉郷でも若干起きているようであります。これは、本当は御嶽山からは非常に離れているんですけれども、テレビ報道で下呂市、下呂市というのが報道されるものですからなかなか誤解が解けないということで、今、本当に風評被害が起きております。

 各自治体も懸命に今、安全ですよということをアピールしておられますけれども、ぜひ、観光庁を含めて、政府の方にも御協力いただきたいということを最初にお願い申し上げておきたいと思います。

 最初に、実は私、きょうは、アベノミクスによって、お金持ちとそうでない人、それから大企業と中小企業、そして大都市と地方、全部に格差が拡大していますよというお話をさせていただこうと思いましたけれども、先ほど民主党の階委員のところの江渡大臣の答弁で若干確認したいことがございますので、まずそちらの方をやらせていただきたいと思います。

 先ほどの御説明、いろいろチェックをした後に事務の方が間違いを指摘されて直しましたと、その点は理解をさせていただきました。

 その上で確認をしたいんですけれども、となると、訂正をする前は、政治資金規正法あるいは公職選挙法に対して、違法状態であったということはお認めになりますか。

江渡国務大臣 お答えします。

 違法状態であったかどうかというのは、私は、そこは認められません。

 なぜかといいますと、会計監査等もいろいろ全部調べて、問題がないと思って私は出していたわけであります。ですから、その段階では、私自身は違法状態とは思っておりませんでした。

今井委員 ちょっと今の答弁は納得できないんですけれども。

 私は、違法とは申し上げておりません。これは、法律に照らして違法状態にあったんじゃないかということで訂正をされたんじゃないかと思うので、そこを確認しているんですね。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員のおっしゃるような状態であるかということであれば、確認させていただいた段階でそういう状態であったということで認識したものですから、訂正させていただいたということになるわけであります。

今井委員 であれば、訂正した日を見ますと、九月二日というのもありますが、ことしの九月十日あるいは九月十九日ですね。もう既に内閣改造が終わった後、江渡大臣が大臣になられるということが決まった後に訂正をされておられるわけであります。ですから、先ほど階さんがおっしゃっていましたけれども、これは、訂正されたのであれば、当然、人件費の、払った何らかの証拠があるはずなんですね。

 先ほどは仮の領収書は出しますということをおっしゃっておられましたけれども、人件費に関してお支払いしたものを出していただきたいということにお答えいただいていないので、それは出していただけるでしょうか。

江渡国務大臣 お答えしたいと思います。

 仮の領収書を私が書いたという段階で、そして事務的に処理したわけでありまして、それで、事務員の方が、本来であればきちんと相手側から領収書をもらって、それを添付していればよかったんでしょうけれども、そうじゃなくて、私のものでそのまま処理してしまったからこういう状況になったということであります。

 ですから、仮の領収書は残っておりますので、それは出させていただきたいということをお話しさせていただいたところでございます。

今井委員 通常であれば、この人件費の領収書を公開する必要はないんですけれども、先ほどもありましたように、これは、違法状態にあったものを、大臣に決まってから訂正をされておられるわけでありますから、これをちゃんと明らかにするというのは、やはりこれは責務だと私は思いますね。

 ですから、せめてその領収書を出していただきたいということをお願いしたいと思います。

江渡国務大臣 お答えしたいと思います。

 ですから、先ほど仮領収書というものを出させていただきたいということを言わせていただいたわけであります。

 それと同時に、大臣になってから訂正したという部分がありますけれども、その前の段階でわかったと。なる前に、私は、先ほど階先生のときにもお答えさせていただいたわけでありますけれども、新聞等々で私の名前等々も挙がってきたということで、事務員の方がもう一度再チェックすると。そして、再チェックさせていただいた段階においてミスがあったと。そこで、まずは調べていったということです。

 そして、調べていってわかった段階で、まずは、九月二日付で二十四年分を直させていただいた。その後、またほかの方もどうかということで調べていって、今度は九月の十日、訂正させていただいたという、一連の流れがあるということを御理解していただければありがたいなと思っております。

今井委員 どうもその人件費のところは、何かはっきり答えていただけないので、委員長、ぜひこれは委員会の方で、この領収書を出していただきたいということを要求いたします。

大島委員長 理事会で検討します。

今井委員 ありがとうございます。人件費の領収書ということでございます。

 それともう一点、これは、ちょっとびっくりというか、こういうことがあるんだなと思ったんですけれども、ちょうどこのことで江渡大臣の収支報告書を少し拝見させていただきました。そうすると、政党支部の方から個人に、平成二十二年に二百五十万円の寄附、平成二十三年に三百五十万円の寄附、それから平成二十四年に二百万円の寄附というのが行われております。

 この政党支部から個人への寄附というのは、実は法律的に認められているんだと私は全然知らなかったんですけれども。というのは、私なんかは、お金が逆に足らないので、自分が政党支部に寄附しているので、寄附してもらったことがないので、これは大丈夫なのかなと思って調べましたら、これは収入にも上げなくていい、税金も払わなくていい、どういうことに使ったかも、これも報告しなくていい、こういうものなんだそうですね。へえ、こんなのは、本当にこれはいいのかなと、改めて今回僕は思ったわけであります。

 ちょうど松野代表の方からも文書通信交通費の話がありましたが、これも実は性格が似ていまして。というのは、政党支部の中には、もちろんいろいろなお金が入っていますが、政党交付金も入っているんです、政党交付金も入っている。そうすると、お金に色はないわけですね。だから、そこから個人に寄附をした場合は、一体どのお金かはわからないという状態なわけですね。

 いや、これは法律的に許されているんです。私は、今申し上げたいのは、こういう法律をつくってきた、これは国会議員の特権なんじゃないか、いわゆる既得権益なんじゃないのかという問題提起なんですね。

 確かに、こんなことを言うと嫌な顔をされます。何ということを言うんだ、おまえはと。しかし、我々も、よく考えてみると、県会議員の、兵庫の問題、先週も徳島で県議が偽りの領収書をつくって辞職しちゃいましたけれども、あれも、ちゃんと公開をしているからみんなにわかるんです。でも、我々は、何も公開しなくても、政治活動のお金だから別にいいんだよ、そういうお墨つきをいただいているんですけれども、これはやはりもう一度、消費税を、国民に負担をお願いするとかこういう機に、こういうことを透明化しなきゃいけないと私は思うんですけれども、一政治家として、あと自民党の総裁として、安倍総理、どうお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 自民党におきましては、政党交付金から各議員に交付されているものの使途については厳格な使途が求められておりまして、その報告も求められているということは申し上げておきたいと思います。ですから、その自民党がやっているような形で、それぞれの政党がこの政党交付金の使途についてはしっかりと対応されたらいいのではないか、このように思います。

 また、文書通信交通滞在費ですか、政治活動の諸経費については、そもそも、それぞれの国会議員が国民に疑念を持たれないように責任を持って行動すべき問題ではないかと考えます。

 その上で、公開のルール化については、議員活動にかかわることでありまして、国会において、各党各会派によってよく御議論をいただきたいと思います。

今井委員 ぜひ、我々もこれは問題提起してやっていきますので、与党の方でも検討していただきたいと思います。

 ちなみに、江渡大臣、この個人に政党支部から寄附されたお金というのはどういうことにお使いになっていらっしゃるんでしょうか。

江渡国務大臣 これは直接ここで答える必要はあるのかどうなのかということもあるかもしれませんけれども、私自身は、党の政策広報とか、あるいは政策実現のための活動費として使わせていただいているところでございます。

今井委員 いや、それは別に個人に入れる必要はないわけでありまして、ちゃんと政党支部でやればいい話なので、今のはちょっと説明にならないと思いますよ。もう一度お答えください。

江渡国務大臣 しっかりと政治資金規正法にのっとって私は活用させていただいているわけであります。

今井委員 結局、これ以上お答えにならないと思いますからこれでやめますけれども、つまり、仕組みがそうなっていることが問題なんですよ。僕は、きょう、ぜひ国民の皆さんにわかっていただきたいんですが、こうやって国会議員は結構いろいろなお金を何に使ったかを出さなくていいようになっているという仕組みであるということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 次に、私、実は、アベノミクスが始まってからずっと、アベノミクスには光と影がある、この光と影が三つの格差を拡大させますから、対応する必要がありますよということを国会の場でずっと申し上げてきました。その三つの格差とは、お金持ちとそうでない人の格差、それから大都市と地方の格差、そして大企業と中小零細企業の格差、この三つであります。

 お金持ちとそうでない人の格差というのは、先日も前原委員がおっしゃっていました、そのとおりなんですね。お金を持っている人は当然株が上がればもうかるしということなんですけれども、さらに申し上げれば、例えば麻生大臣なんかは配当をたくさんもらっていらっしゃるからわかると思いますが、株式にかかわる税金、税率、申告分離課税ですから二〇%だけで済むんですね。本来、所得税であると半分ぐらい持っていかれますが、金融資産でもうけたのは二割しかお金を払わなくていいわけです。お金が八割自分のところに残るわけですね。ますます格差が拡大するということです。

 つまり、本来、税というのは所得の再配分機能が働かなきゃいけないんですが、ここはしっかり働いていない。そのことによってお金持ちとそうでない人の格差が広がってしまう。アベノミクスというのは、そういうところに光が当たっている政策であるということがまず一点です。

 二点目は大都市と地方の格差というところなんですけれども、これは何をお示ししているかといいますと、去年の八月からことしの八月にかけて、各地区での消費者物価指数の上昇率を示しています。

 こちらが東京の二十三区、二・七%の上昇です。その隣が、人口五万人から十五万人未満の都市、つまり地方の都市ですね、こちらの方では物価が実は三・一%上昇している。つまり、田舎の方が物価が上昇しているんです。この理由は後で述べますけれども。もちろん、賃金は東京は非常に高い、地方に行くと賃金は低い、こういう状態に今なっているということが一つ事実としてあります。

 そういうことも影響しているんだと思いますけれども、実は、今、東京都に人口がどっと、流入がふえているんですね。この図は、東京に転入する人と転出する人の差、つまり社会増減ですね、社会増減の推移を見ていますけれども、実は、二〇一二年から東京への人口流入が急激にふえておりまして、ことしはまだ八月までなんですが、もう六万七千人という状態になっております。

 安倍総理は、ここでお伺いしたいんですけれども、最近、東京一極集中を防ぐ防ぐとよくおっしゃっていますが、そもそもアベノミクス自体が都市型あるいは大企業型の政策であるために、こうやって東京に人口が集中している、まずこのことを御認識なさった方がいいと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 あれをやればこんなことが起こるかもしれない、これをやればこんなことが起こるかもしれないと。十五年間ずっとデフレだったんですよね。ずっとデフレだったわけですよ。デフレというのは、給料の方が物価よりも下がってくるんですよ。企業は投資をしない、賃金も上がらない、GDPも、GNIとして、五十兆円近く、後で再計算したら四十兆円ぐらいですけれども、四十兆円ぐらい縮んできたんですよ。それが現実なんですね。そして、失業率だって随分上がってきたわけなんですよ。

 ですから、そこで、我々はそれを、やはりデフレから脱却をしなければいけない。デフレから脱却をするというのは、十五年間誰もできなかったんですから、これはそう簡単なことではない中において、三本の矢によってまさにそれを我々は達成しつつあるのは、それは御認識いただきたいと思いますよ。

 その中においてどういうことが起こっているかということでありますが、当然、その中で、有効求人倍率は二十二年ぶりの高い水準であります。その中においても、では東京だけかといえば、三十五の都道府県においてこれは一を超えています。ほとんどの都道府県で、これは前年よりよくなっているわけでありますから、改善はしているんです。

 しかし、その改善のスピードが首都東京の方が速いかもしれませんし、この人口の東京集中について、分布について、もう少しよくこれは分析してみる必要があると思いますよ。例えば、そのときに卒業を迎える年齢に達した人々、大学の卒業を迎える人々がどういう分布になっているかということも含めて見ていく必要もあるんだろう、こう思うわけであります。

 いずれにいたしましても、今の時点でこれだから悪いということではなくて、基本的には、四割、東京に、地方で暮らしたいという方々が住んでおられるのも事実でありますから、そういう方々が地方に行きたいという希望をかなえられるような、そういう政策をこれからまさに打っていきたい、こういうことであります。

 こういう状況があるから、今行っている政策をやめてしまったら、これはまさに元も子もないんですよ。またおととしに戻ってしまうということになるわけでありますから、それは決してやってはならないわけでありまして、しかし、今委員が御指摘になったようなことも勘案しながら、しっかりとさまざまな対策を打っていきたい、こう考えているところでございます。

今井委員 誤解のないようにしていただきたい。私は、アベノミクスには光と影があると言っているわけでありまして、アベノミクスがだめだと言っているわけではないんです。格差が広がっていくので、そこをちゃんとならしていくのが政治の役目じゃないでしょうか、そういうことをお話ししているのであって、アベノミクス全体が、私は金融緩和はどんどんやった方がいいと最初から申し上げていましたし、それ自体を否定するわけじゃありませんが、副作用がありますので、そこは目をちゃんと配らせてくださいねということを申し上げているんですね。

 そこで、先ほど階さんがトリガーの話をされていましたけれども、実は、この閉会中、私は地元をずっとくまなく歩いて回りました。皆さんもそうだと思いますけれども、やはり一番大きな声は、ガソリンとか燃料費の高騰を何とかしてほしい、これが一番なんです。特に田舎は本当にきつい。

 例えば、生活の足の自動車ですけれども、一世帯当たりの車の台数が今一番多いのは福井です。大体一・八台。その次は富山、それから群馬、山形、そして我が岐阜県です。一方、車の保有台数が圧倒的に少ないのは東京、〇・四七台です。そしてその後、大阪、神奈川、京都、兵庫です。みんな大都市部ですね。東京と福井を比べると、何と四倍なんです、四倍。それは相当きついですよ。

 先ほど、こういうこともあって、階さんは、トリガー条項をやられたらどうですかということで質問しましたけれども、どうも民主党時代にやったことは嫌なようで、それはだめだということなんだと思いますが、私、一つ御提案したいんですね。

 これは、実は、ずっと私も経済産業委員会とかでやっているんですが、ガソリンの値段、軽油もそうなんですけれども、ガソリンを例に出します。ガソリンというのは、本体価格にガソリン税を乗せて、それに対して消費税をかけています。つまり、タックス・オン・タックスですね。二重課税というふうになっています。ちなみに、今、一リットル五十三・八円税金がかかっていますけれども、その税金にも消費税をかけるという、こんなおかしな状態になっているんですね。

 そこで御提案ですけれども、これから消費税を、今八%、一〇%にするかもしれませんが、この消費税をかける対象を、ガソリン税を除いたもともとの値段、ここに課税をする。これをやれば、そもそもこの二重課税という問題が解決します。それと、現行でいうと、恐らく一リットル五円ぐらい安くなりますから、これは地方と都市部の格差の縮小という政策にもつながると思います。二つの問題が解決する一石二鳥だと思いますが、ぜひこれを検討していただけないでしょうか。

麻生国務大臣 トリガーの話から、その後、どっちの方が。時間がないので、後の方の話が多分重要なんだと思いますが。

 ちなみに、ガソリン税の上にまた消費税が乗っかっているじゃないかというあれですが、これは先生、海外におられたのでおわかりと思いますが、これは世界じゅう皆同じルールですよ、基本的には。ですから、その意味で、その点においては、日本だけが不当に財務省が暴利をぼったくっているような感じにとられると、ちょっと話が違うんじゃないかと思います。

今井委員 いやいや、他国がどうというより、それは、そんなほかの国はいいんですよ。我が国はちゃんとしっかりと税の考え方に基づいた税の取り方をしていただきたいということをお話ししたわけであります。

 あともう一分しかありませんので、もう一つの大企業と中小企業の話はちょっとできないんですが、最後にちょっと、日銀のDIが十月一日に発表されたんです。これはちょっと見にくいんですけれども、このことだけちょっと最後に指摘して、終わらせていただきたいと思います。

 上は販売価格判断DI、つまり、販売価格がどういう状況になっているかということなんですけれども、大企業のサービス業だけは上がっていますけれども、ほかは価格は上げられないという状態に、なかなか苦しいという状態になっています。

 下を見ますと、こちらは実は深刻なんですけれども、仕入れ価格判断DIというのを見ますと、中小企業は製造業、非製造業とも物すごく苦しい、仕入れ値段がすごく上がっている。でも、大企業は比較的少ないんです。

 これは、一つは、大企業の仕入れのスケールメリットがあると思いますよ。でも、もう一つは、ひょっとすると、これは、大企業が下請会社にその価格の転嫁をさせないで、大企業が全部利益をとってしまっているから、その分、中小企業が仕入れ値段のコストを自腹を切っているということを示しているというふうにもとれます。

 これから法人税を引き下げるときに、今、外形標準課税で広く取るとかいろいろな話をしていますけれども、本当に中小零細企業は今厳しいです、円安も厳しいです、こういうことをトータルに考えて、ぜひいろいろな光と影の、影の部分にも光を当てていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 午後一時五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、柿沢未途君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。

 このたび、維新の党の政調会長に就任させていただきました。改めて、よろしくお願いいたします。

 まず、原発の再稼働についてお伺いをいたしたいと思います。

 安倍総理は、九月の訪問中のアメリカでこういう御発言をされたというふうに言われています。安全が一〇〇%確保されない限り原発再稼働は行いません、こういうふうに言われたというんですけれども、ここまでいろいろと御発言をされてきましたけれども、一〇〇%安全というのを世界に向けて発信をしたというのは、このタイミングで、私は、おっと思ったんです。

 まず、安倍総理に、この御発言の真意を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私が米国で行った講演の報道を見て御質問されたのだと思いますが、実際私が行った発言は、次のとおりであります。日本は過酷な事故を経験したので、完全に安全を確認しない限り原子力発電所は動かさないと申し上げたわけでありまして、これが正確な私の発言であります。

 この発言は、大体今まで私が発言していたラインと同じ発言でございますが、いずれにせよ、独立した原子力規制委員会によって、世界で最も厳しい水準の新規制基準に適合すると認められ、再稼働に求められる安全性が確認された原発について再稼働を進めていくという方針に変わりはありません。

柿沢委員 完全に安全性が確認をされた上で再稼働を行う、こういうスピーチをされたということであります。

 一方、田中規制委員長、原子力規制委員長の田中委員長は、川内原発の規制基準の適合判定に当たって、安全だとは私は申し上げません、こういうふうにおっしゃったというふうに言われています。

 完全に安全でなければいけない、安全だと私は申し上げません、この御発言の真意について田中委員長から伺えればと思います。

田中政府特別補佐人 私が、安全とは言わないと申し上げましたのは、安全という言葉がひとり歩きして、リスクがゼロであるというふうにとられることを防ぐために申し上げたものでございます。

 また、川内原発の設置変更許可に当たりましては、運転に当たり求めてきたレベルの安全性が確保されることが確認されたということでございまして、安全とは言わないという趣旨とは、その意味で異なるものでございます。

柿沢委員 何か最後の語尾がよくわからなかったんですけれども、安全だと私は申し上げないというふうに会見でおっしゃられたでしょう。ここのところに非常に混乱が生じてしまっていると思うんです。

 なおかつ申し上げれば、ああいうふうに言えば、田中委員長は何を言っているのかなとみんな思いますよ。

 だって、原子力規制委員会設置法には、第三条に、原子力規制委員会の任務として、原子力利用における安全の確保を図ることと書いてあります。第四条には、原子炉に関する規制と安全の確保ということが所掌事務として書いてあるじゃありませんか。それをつかさどる田中委員長が、安全だと私は申し上げませんと言うんだったら、これは法律上の職責を果たしていないということになっちゃうじゃないですか。不安に思っている国民は、一体誰を信じればいいんですか。

 田中委員長、お願いします。

大島委員長 田中委員長、語尾をはっきりお願いします。

田中政府特別補佐人 申しわけありませんでした。

 安全とは言わないというのは、これは基本的に、安全性の向上は常に求めなければいけないというのが安全確保の基本原則でございまして、これは国際的にもそのように言われております。そういう意味で、安全とは言わないということを申し上げました。

 ただし、稼働、運転に当たり求めてきたレベルの安全性は確保されているというふうに申し上げたところでございます。

柿沢委員 世界最高水準の規制基準、これに適合したんだということを安倍総理も御答弁されているわけです。本当にそうかということをちょっとお伺いしてまいりたいと思うんです。

 再稼働を直接の所管とする小渕経産大臣にお伺いいたします。

 新規制基準及びそれに基づく原子力規制委員会の審査というのは、それこそ原発再稼働に当たっての安全が完全に確認をされている、世界最高水準の厳しいものになっている、こういう認識でよろしいですね。

小渕国務大臣 これまでも原子力の規制委員会の方で説明をしてきましたけれども、この新規制基準については、これまで明らかになった福島第一原発の事故の教訓を踏まえて、IAEAや諸外国の基準も確認した上で、万が一重大な事故が発生した場合にも対処できる対策を要求しています。これによりまして、世界でも進んだ規制基準を定めている米国またフランスと比較しても遜色のない規制基準となっています。

 さらに、我が国では、地震、津波、火山といった自然条件があります。そうした厳しさ等も勘案をしているところであります。

 加えて、最新の知見を基準へ反映し、それに対する適合を義務づける、いわゆるバックフィット制度も新たに規定をしているところであります。

 しかし、一方で、絶対的な安全、すなわち一〇〇%の安全、ゼロリスクということはありません。むしろ、このようなことがあることによって安全神話を生んでしまうものであると思っています。

 その上で、原子力については不断に安全性の向上を図っていくことが重要でありまして、規制当局と事業者双方が継続的に安全性の向上に取り組むことが重要であると考えています。

柿沢委員 原発再稼働に当たって、原発稼働に当たって、ゼロリスク、一〇〇%安全というのは私も難しいと思っています。

 人間はあらゆるリスクと向き合っています。ただし、リスクをできるだけ小さくする、こういう措置は何としても必要だというふうに思うんですね。日本は、ましてや、世界最悪の原発事故の当事国になったわけですから、これでリスクを過小評価して再稼働に踏み切って同じような事故を二度も起こしてしまったら、国家としての信用がゼロになってしまいます。ですから、世界最高水準の規制基準に基づく審査と対策、こういうものが私は必要だというふうに考えています。

 それは満たされているというふうに小渕経産大臣は御答弁されるわけですけれども、しからば、三・一一前の安全基準、過酷事故対策というのは、一体どこにどのような問題があった、どこをどう変えたということなのか、お伺いをしたいと思います。

小渕国務大臣 震災前につきましては、やはり原発については絶対安全であるというような安全神話というものができていたのではないかと思います。

 福島第一原発の事故を踏まえ、また規制委員会によって新規制基準をつくりました。新規制基準の基準については、先ほど申し上げたとおりであります。やはり一〇〇%の安全というものがない以上、しっかりと、さらなる安全に向けて継続的に安全向上に取り組んでいくということが何よりも大事なことではないかと考えています。

柿沢委員 福島の前は安全神話があった、そして、今、最新の知見を取り入れてやっていくんだ、やっているんだというお話です。

 三・一一の前なんですけれども、これは世界標準に比べても余りにもプアな、電力事業者の、経営サイドに立った、安全思想に欠けた安全基準がまかり通ってきたと私は思います。

 パネルを見ていただきたいんですけれども、原発の耐震設計の基準超過を二〇〇五年以来実に五回も経験をしています。こんな国はほかにはありません。そして、大きな地震があって耐震設計の基準地震動を超過するたびに、ちょっとずつ基準地震動を上げてきて、女川なんか二回超過しちゃっているわけですよ。こういうことをずっとやってきたわけです。

 そこに三・一一がやってきて、今度は千年に一度の大災害だから想定外だということにされたんですけれども、下を見ていただければ、これはアメリカの原子力学会から、そんな千年に一度の頻度の頻繁に起こる災害を、それを耐え得なかったとしたら、これは不適切だというふうに断罪されています。

 例えばEUでは、域内百数十基の原発にストレステストが行われていますけれども、一万年ないし五万年に一回の確率で起きる地震規模を耐震設計基準として設定をしています。これが世界標準の確率論的リスク評価と言われるものです。

 日本は、今なおそれができていない。今回の川内原発も、最大地震動五百四十ガルを六百二十ガルに上げました。報道によれば、九州電力の幹部は、ある意味、えいやと大きくした部分があると言っている。まるで科学的でない。これで本当に世界最高水準なんですか。ちょっと御答弁ください。

田中政府特別補佐人 先生御指摘の事実、基準地震動を上回った、あるいは福島の事故を津波によって起こしてしまったというようなことを踏まえまして、そういう教訓を踏まえて、新しい規制基準では、地震や津波に対する基準を大幅に見直しております。

 具体的には、発電所の設計の基本となる基準地震動の策定に当たっては、三次元地下構造の把握、活断層のより厳格な評価、複数の活断層の連動を考慮することなどにより厳しい評価を行うよう規定しております。

 また、津波については、既往最大を上回るレベルの津波を基準津波として策定し、基準津波への対応として、防潮堤等の津波防護施設等の設置を要求しております。

 川内原発についても、こういった考え方において、周辺の状況を全て考慮した上で今回の六百二十ガルという基準地震動を設定していただきました。

柿沢委員 やはり、今申し上げましたとおり、一万年に一度というような、そうした発生頻度の地震動を確率論的に割り出して、そして原発の耐震設計に当てはめるという作業は、実はできていないんです。その点、私は、やはり今回の規制基準及び審査にはまだまだ足りない部分があるのではないかというふうに思っています。

 次のパネルをごらんいただきたいんですけれども。

 全電源喪失の過酷事故発生時に、炉心が溶融して圧力容器を貫通する、いわゆるメルトスルーした場合、溶融した炉心と格納容器の底部のコンクリートが化学反応して放射性物質を帯びたガスが大量に発生する、こういうことが起きます。それを防ぐために、溶融した炉心を受けとめるコアキャッチャーという装置が開発されていますけれども、日本では、その設置は今、求められていません。

 ところが、パネルでごらんのとおり、これは日本のプラントメーカーがIAEAの会議で発表したものなんですけれども、日本のプラントメーカーも、EUではコアキャッチャーの設置された最新型の原発の提案をしているんです。それが、EUにおける電力事業者要求仕様、EURの求めている仕様だからです。

 もともとの日本のプラントは理想の安全設計とはほど遠い、だから、同じものではEUで通用しないのはわかっているから、日本のプラントメーカーも、大幅にアップグレードしたものを原発として提案をしているわけです。いわばこれはダブルスタンダードをやっていると言っても過言ではないのではないかというように思います。

 世界最高水準の安全性確保を意図するなら、EURが新設炉に要求するコアキャッチャーやそれにかわる装置を備えるべきだと思いますけれども、それができていない。そのかわり、可搬式ポンプ車で格納容器下部に水を蓄える、こういう福島第一原発事故と同じような、人力による決死隊的な作業が対策として想定されています。これでは福島と同じになってしまうではありませんか。

 しかも、これは、間に合わなければ高線量の被曝リスクの中で水を入れる作業を人力で行うということになりかねません。誰がやるんですか。電力会社ですか、警察ですか、消防ですか、自衛隊ですか。それも決まっていないではありませんか。いかがですか、田中委員長。

田中政府特別補佐人 規制基準というものは、国際的に見ても、満足すべき性能水準を要求し、それを実現する技術の細部までは指定しないのが一般的でございます。

 これは、技術の進歩に合わせて事業者が規制要求の実現方法を柔軟に選択できる仕組みとする方が、新技術の取り入れが進んで、安全性向上に寄与するという考え方によるものであります。

 日本の今回の新規制基準においても、溶融炉心の冷却機能、格納容器による放射性物質の閉じ込め機能、航空機衝突への備えを求めており、具体的な対策の有効性は審査の中で確認しているところでございます。

 なお、御指摘のありました欧州での沸騰水型炉については、新設の原子炉にかかわるものであって、現在のところ、欧州でも、いわゆる欧州にある全ての既設の原子炉に対して御指摘のあったような技術の導入を義務づけるような基準にはなっていないものと承知しております。

柿沢委員 私が申し上げたのは、世界最高水準の安全性の確保をこのことによって実現できているのかということなんです。

 皆さんにお尋ねをすると、コアキャッチャーの後づけは構造的に不可能だとか、そういう御説明があるんですけれども、しかし、それにかわる、既設原発に装着可能な薄型コアキャッチャーというものの開発を資源エネルギー庁が推進していて、七月にはその開発に成功したというニュースも報じられています。つまりは、安全対策として、溶融炉心のコンクリート反応及び水蒸気爆発を防ぐ装置が何らか必要だというのは、皆さんも認識しているんだと思います。それとも、不必要な技術開発をやってきたのかということになるわけです。

 こうした点について、今回の対策で全く同じ性能が実現、具現化できる、こういうことであるかどうか、もう一度田中委員長に御答弁いただければと思います。

田中政府特別補佐人 コアキャッチャーというのは、炉心が溶けて下におっこちたときに、格納容器の方に直接触れて格納容器と反応を起こすということを防ぐためのものでございます。

 このため、そういったことを防ぐために、あらかじめ水を圧力容器の下に張ってそういったことを防げるということを求めておりまして、その有効性については確認させていただいております。

柿沢委員 基本的に、本来であれば、世界最高水準の安全確保というのは、恐らく、人力が介在しない、ある種、機械と自然現象の力で溶融燃料を冷却する、そして、こうしたコンクリート反応を起こさない、そうした設備を具備することによって実現をされるのではないかというふうに思います。

 次に行きます。

 アメリカでは、九・一一のテロの後に、NRCの文書として、パラグラフ番号をとっていわゆるB5bと呼ばれたものが出ています。日本にも内々に示されていたにもかかわらず政府内で隠匿されていた、こういうふうにも言われています。

 そこには、爆発、火災による全電源喪失の状況下において、使用済み燃料プールの水がなくなって、燃料棒の被覆管のジルコニウム火災が起こって、大量の放射性物質の拡散が起こるという最悪の事態が想定をされています。これは、考えてみますと、福島第一原発で、首都圏に人が住めなくなると言われたシミュレーションは、まさにこれなんですね。

 このため、アメリカでは、炉心から取り出したばかりの高温の燃料棒を近接した位置に配置をせず、高温の燃料棒と温度が低下した燃料棒をそれぞれ空間をあけて互い違いに配置していくというのが一般的になっています。これは、市松模様の配置、チェッカーボード方式、こういうふうに言われるものです。これによって、万が一水がなくなった場合でも、高温の使用済み燃料同士が相互反応してオーバーヒートでジルコニウム火災が起こる、こういう危険を少なくするようにしています。

 日本では、福島第一原発四号機プールの、首都圏に人が住めなくなるような危機的状況があったにもかかわらず、むしろ、この燃料プールのラックのすき間を縮めて高温の燃料棒をぎゅうぎゅう詰めにする真逆のことをリラッキングと称して進めてきた。それを改める兆候も、どうもなさそうであります。

 こういうことを事業者に求めるということはないんですか。規制委員長、いかがですか。

田中政府特別補佐人 先生御指摘のように、使用済み燃料のプールの水がかれてしまうということは大きな事故につながりますので、これを防ぐことは大変重要なことであります。そういうふうに認識しております。

 このため、そういった状況が起きたときには、可搬式注水設備とか可搬式スプレー設備の設置を義務づけて、これによって水を補うようにしております。これによってジルコニウム火災あるいは燃料の溶融を防ぐということを確認させていただいているところでございます。

柿沢委員 さっきの話と今の話と、可搬式、可搬式とおっしゃっているわけです。可搬式とは何か。人が近づいてその作業を行うということでしょう。さっきお尋ねしましたけれども、その作業は一体誰がやるんですか。電力会社ですか、警察ですか、消防ですか、自衛隊ですか。決まっていないじゃありませんか。

 一体誰がこれを責任持って行うのか。規制委員長、また小渕経産大臣、お答えください。

田中政府特別補佐人 そこの従事者、事業者でございます。

 シビアアクシデント、さまざまな過酷事故についていろいろな想定をして、それに対する対策は基本的には事業者がまず行うということを、それができるかどうかということも確認させていただいておりますし、今後もそれを確認していくということにしております。

柿沢委員 小渕大臣にお伺いする前に、小渕大臣が鹿児島県知事に川内原発の再稼働に当たってお出しになられた文書においては、万が一事故が起きた場合は、政府は関係法令に基づき責任を持って対処します、国が責任を持って事故対処しますと書いてあります。

 今のを、電力会社ですか、警察ですか、消防ですか、自衛隊ですか、お伺いします。

小渕国務大臣 あってはならないことですが、万々が一そのような事故が起こった際に、一義的に責任を持つのは事業者になります。

 しかし、先ほど、私が鹿児島県知事に出した文書の中で、当然のことながら、万が一そうした事故が起こったときには、法令にのっとって国も責任ある対処をしていくということになっております。

柿沢委員 一義的には電力会社が対応するということでありますが、先ほどの耐震設計基準の問題もそう、そして、メルトスルーによって最悪の事故が起き得る場合の物理的な対策もそう。使用済み核燃料の、高温の取り出したばかりの燃料の配置の問題なんかは、本当はやろうと思えばすぐできる問題だと思います。こうしたこともできていない。

 そして、一義的には電力会社が対応する、これは、福島第一原発事故のときにさんざん当時の閣僚の皆さん、政府の皆さんがお答えをされたとおりではありませんか。福島第一原発事故の教訓を踏まえて、こういうことを小渕大臣はおっしゃられましたけれども、本当にそういう形の、教訓を踏まえて世界最高水準の安全確保ができているものになっているのかどうか。

 小渕大臣、もう一度、もう時間もありませんので、御答弁をいただければと思います。

小渕国務大臣 事業者が原発を進めていく上で、その責任の全てを国がとるということになると、これはモラルハザードを起こすことになりますので、どこにおいても原発の一義的な責任は事業者にあるものと承知をしています。

 その上で、福島第一原発の反省に立って今後の原発についてはしっかり進めていかなければならないというのは当然のことであり、福島第一原発の事故を教訓として新規制基準というものがつくられているというふうに承知をしています。

大島委員長 時間が参りましたので。

柿沢委員 はい。

 議論をもう少し深めたいと思いましたが、このままでいくと新たな安全神話のもとで再稼働が行われることになってしまうのではないか、こうした懸念を拭い切れなかった、こういう印象を持ちました。

 終わります。

大島委員長 これにて松野君、小沢君、松浪君、今井君、柿沢君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田宏君。

山田(宏)委員 次世代の党の山田宏でございます。

 次世代の党を代表して予算委員会で質疑に立たせていただきますが、まず、党としての最初の質問でございますので、やはり、この夏は多くの自然災害が起きました。とりわけ、広島での土砂崩れ、そして現在も行方不明者が出ておられます御嶽山での火山の噴火、そしてきょうは、先ほど台風十八号が東京あたりも通過していきましたけれども、今、茨城県の方へ行っているということで、ここでも土砂災害が起きているようでございまして、犠牲になられた方々に対して心から哀悼の意を表しますとともに、今、おけがをされた方、そしてまた不自由な生活をされておられる方、心からお見舞いを申し上げます。

 また、自衛隊、警察、消防、各関係者が日夜努力をしていただきますことに対しても、心から厚く御礼を申し上げます。

 次世代の党は一時間二十分をいただきました。最初五十分、私の方から、河野談話と慰安婦の問題、そしてその後、日米共同による遺骨収集の問題、それから、地方創生に関して私の杉並区長時代の経験をもとに幾つかの御提案をさせていただきたいと考えております。

 まず、次世代の党は八月一日にスタートいたしましたけれども、私たちのモットーは、次世代に胸を張れる日本へ、次世代に胸を張れる日本を残そう、こういう思いで党を結成いたしました。とりわけ、国の安全、名誉という問題については大変強い関心を持っておりまして、国を守るということは、単に生命や財産を守るだけでなく、国の名誉、先人たちの名誉も守っていくということでないと国そのものも守れないというふうに考えております。

 そういった立場で、次世代の党はこれまでも、慰安婦の問題、河野談話の問題についてこの国会でも取り上げさせていただいております。先日も、平沼党首から代表質問で取り上げさせていただきました。

 そして、この慰安婦の問題、特に河野談話に至るまで、最初に火をつけ、その火をあおり、そして国際的にいわれなき汚名をまき散らす原因をつくったと言ってもいい朝日新聞が、やっと三十二年たって、みずからの、誤報と彼らは言っていますけれども、いわばうその報道を認めました。

 ちょっとパネルを出していただきたいと思いますが、何度もこれは出していますが、今やアメリカ各地、九カ所に、公用地に、公園とか役所の前にこういった慰安婦の像なるものが建てられて、そこでは、少女たちが自宅から二十万人連れ出され、日本の帝国軍によって性奴隷状態を強制されたとまで、こういったものもどんどんふえているわけです。

 そういった状況を今何とかしなきゃいけない、とりわけ、河野談話をつくった関係者の方々がおられる間にこの汚名をそそいでいかなければならない、こう考えております。

 そこで、総理にお聞きしたいと思いますが、まず、朝日新聞が八月五日、六日に検証の特集記事を組まれましたけれども、これを総理はお読みになられましたでしょうか。また、お読みになられたとすれば、どういう御感想をお持ちでしょうか。

安倍内閣総理大臣 報道については読みました。

 個別の報道機関の記事については本来コメントをするべきではない、このように思いますが、しかし、この朝日新聞の慰安婦問題に関する誤報により、多くの人が苦しみ、そして悲しみ、そしてまた怒りを覚えたわけであります。そして、日韓関係に大きな影響、そして打撃を与えたとも言える、このように思います。そして、国際社会における日本の、日本人の名誉を著しく傷つけたことは事実であります。

 こうした誤報を認めたのでありますから、この記事によって傷つけられた日本の名誉を回復するためにも今後努力していただきたい、このように思います。

山田(宏)委員 今回の予算委員会は、この八月五日、六日の検証記事から初めての予算委員会となりまして、我が党としては、予算委員会の理事会において、河野元官房長官とそれから朝日新聞社の木村伊量社長の参考人での招致をお願いいたしましたけれども、残念ながら、今回は招致に至りませんでした。

 真相を解明していく上でも、そしてまた、今総理がお話しになった国際社会への誤解を解く上でも、やはり、加害者の証言を、慰安婦を狩り出した、強制連行したというのは、最初に報道したのは朝日新聞ですから。それから、被害者の報道、私はそうやられましたということを報道したのも、これも朝日新聞なんですね。

 つまり、加害者も被害者の記事も全部朝日新聞からスタートしておりまして、そういった意味からも、ただ、朝日新聞の社長は、その後、謝罪は読者に対してなさっておられるんです。国民に対してでしょう。もっと言えば、韓国国民に対してでしょう。さらに、全世界の誤解している人たちに対して説明と謝罪をしなければいけないのは、国会でしかできませんよ。自分の紙面だけだったら読者になってしまいますから。

 私は、そういった意味で、ぜひ参考人として来ていただいてお話を伺いたかったわけでございますが、そこまで至りませんでした。

 実は、朝日新聞は、この吉田証言、つまり、自分たちが強制連行して慰安婦にしたという最初に証言をしてきたものは、これはうそでしたと三十二年たって認めました。それから、慰安婦と、当時、日本国民全員が負っていた徴用、労働奉仕、こういったものと混同して、これを女子勤労挺身隊というのと混同した形で報道し続けたのも朝日新聞で、ここにも強制性だということを印象づけるための大きなやはり影響を与えました。

 十六本の、十六カ所の記載、つまり、吉田証言のミスを取り消します、こう言ったんですが、いまだに朝日新聞はどの記事なのかということをみずから発表していないのであります。それを他の新聞社が求めても、それをみずから出さないのです。

 何でも欠陥の商品が出たら、この商品のこの場所が欠陥ですよとちゃんとそれを言わないと、かつての朝日新聞は、何でだ、おかしいじゃないか、こうやって経営者を追及していたわけですから、自分のところの欠陥も、一体どの記事のどの部分というのをちゃんと出さないと、言論の場でこれを検証してくださいといっても検証しようがないんです。

 まずこれが朝日新聞の不誠実な対応の第一なんですが、総理、この点についてどう御感想を持たれますでしょうか。

菅国務大臣 委員の御指摘の記事、その部分も含めて、今、今後、朝日新聞社が第三者委員会において徹底した検証を行うということを表明しております。

 いずれにしろ、この慰安婦問題について、誤報によって多くの皆さんが悩み、悲しみ、また、日韓関係には大きな影響を与え、国際社会にも日本の名誉が傷つけられたということは事実でありますので、朝日新聞はそうしたことの誤報によってそうしたことを生み出したわけですから、その自覚と責任のもとに、まず検証していくということが必要だろうというふうに考えます。

山田(宏)委員 国会での審議の場はなかなかないわけでありまして、今報道される状況を聞きますと、社内での報告を最後に社長が退任されるかのような報道もございます。退任されてから国会にお呼びしても、相当期間がたちます。

 もちろん、当然、社内ではやりますよ、どこの会社も。しかし、この問題は、今総理がお話ししたように、国の名誉にかかわってきた問題なんですよ。国会でやってくれという声が、かなりの国民の世論調査でもあらわれています。この検証記事では足らない、こう言ってきたことを、例えば日本テレビの世論調査では、朝日新聞社は「訂正・謝罪は評価するが遅すぎる」「評価しない」で八七%。謝罪したけれども信頼を回復することができるか、「思わない」というものが六〇%。産経新聞では、検証は十分だと思わないという回答が七〇%。

 国民のほとんどは、朝日新聞みずからの検証も大事だけれども、国または国際関係に大きな影響を及ぼしたこれまでの三十二年間について、国会の立場できちっとこれを検証していくということがやはり絶対必要だと私は思うんです。

 そこで、ちょっとおさらいをしておきたいと思いますが、まず、このいわゆる慰安婦問題に火をつけたと申し上げましたけれども、これは朝日新聞なんです。世界のどこを見回しても、朝日新聞が最初。

 一九八二年、昭和五十七年九月二日の記事を、皆さんのところにも資料として提出しております。「元動員指揮者が証言」ということで、この吉田清治さんなる人が、済州島で昭和十八年の初夏に、一週間に二百人の若い朝鮮人女性を狩り出した、こういう証言を加害者側がしたということでニュースにしました。

 しかし、これはおかしいなと思った人たちもたくさんいまして、済州島では済州新聞というのがあるんですけれども、この済州新聞で一九八九年八月十四日に、韓国の新聞が調べまして、こういった報道に大きな衝撃を受けているが、ここでいろいろ調べたけれども、皆、島民たちはでたらめだと一蹴し、ある住民は、そんなことはなかった、二百五十余りの家しか中にないこの村で十五人も徴用したとすれば大事件であるが、当時そんな事実はなかった、このように韓国の新聞自体も報道し、それをもとに、秦郁彦先生が一九九二年に、こういった事実はなかったのではないかと。

 その後、日本の各報道機関もこの報道を自重し始めたわけですけれども、朝日新聞だけが相変わらずこの報道を続けました。そして、一九九七年、皆さんのところに資料を置いてありますけれども、一度検証してみようということで、九七年の三月三十一日に朝日新聞は、「従軍慰安婦 消せない事実」、政府や軍の深い関与明白と書いて、その中の記事に、済州島の人たちも、この吉田氏の著述を裏づける証言は出ておらず、真偽は確認できていないと。真偽は確認できないと朝日新聞はここで認めたにもかかわらず、取り消さなかったわけですね。

 普通、真偽が確認できない事実は書かないというのが普通じゃないですか。真偽が確認できないのに書くというのは、これは偏向報道でしょう。誤報じゃないですよ、偏向しているんですよ。真偽の確認をしていないと自分で認めながら、確認していないものを取り消さないなんて、こんな報道機関がありますか。誰だって、それはおかしいと思いますよ。だから、私は、誤報、誤報とおっしゃるけれども、これは誤報じゃない、偏向だ、偏向報道だ、こう思うんですね。

 偏向とは何か。ウィキによりますと、「偏向報道とは、例えばある特定の事象について複数の意見が対立する状況下で、特定の立場からの主張を否定もしくは肯定する意図をもって、直接的・間接的な情報操作を行うといった報道のことである。」まさにこれじゃないですか。ちゃんとした、意見がいろいろ分かれているにもかかわらず、一方の側に立って報道し続けたんです。みずからも、事実かどうか確認できないと言いながら、さらにそれをずっとそのままにしておいたんですね。

 私は、これだけの、報道機関の資格があるのか、こう思いますけれども、この点、総理、いかがお感じでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この山田委員とのやりとりが果たして朝日新聞で報道されるかどうかということがまあ注目されるんだろう、このように思います。つまり、報道機関である以上、正しく報道する、正確に報道することが求められているんだろう、このように思います。

 真偽が明らかでない。かつて、故中川昭一議員と私がNHKの報道に対して圧力をかけたという報道があったわけでありますが、その後、中川昭一さんはその番組の前に会った事実がないということが明らかになり、そして、私も呼びつけたと言われていたんですが、そういう呼びつけた事実はないということが明らかになったわけでございます。あのときも朝日新聞は検証記事を書いたんですが、事実は明らかにならなかったという結論であります。そういう意味におきまして、やはり報道機関として信頼性というのは大切ではないだろうか、このように思うわけであります。

 民主主義がしっかりと健全に機能する上においては、報道の自由、極めて重要であろうと思います。であるからこそ報道機関の責任は重たいのではないか、このように思うところでございます。

山田(宏)委員 まず、この総理と私のやりとりを朝日新聞が報道するかどうか、そこがやはり一番ポイントだろうと思います。テレビを見ておられる方も、よくあしたの新聞を見ていただきたいというふうに思います。

 官房長官は、まず新聞社の方で、第三者機関でとお話ありましたけれども、こういう新聞ですから、やはり一方で国会でやっておかないと担保にはならない、私はこういうふうに思うんですよ。

 そこで次の、今、吉田証言というのは、私が強制連行したという加害者側の初証言を報道したものでした。次に、被害者側も出てきたぞというのを出したのが、一九九一年八月十一日のこの記事です。これも朝日新聞が世界で初めてです。

 この中で、読むのは大変ですけれども、ある慰安婦の方がやっと重い口を開いたということで、その記事を書いているわけですが、ここの中で、最初の一行目、女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり云々、こうなっているんですが、女子挺身隊の一人、こう書いてあるんです。ここの女性は、後で金学順さんということがわかります。韓国語で言うとキム・ハクスンさんですね。わかるんですけれども、この方は、その後裁判を起こす、または、その後韓国の報道機関のインタビューにも答えていますが、一度も女子挺身隊の一人などということを言ったことがないんです。

 朝日新聞は、なぜこれを女子挺身隊の一人と断定したのか。本人が何も言っていないんですよ。女子挺身隊の一人などと断定する理由があったのか。これを朝日新聞は、誤用と、慰安婦と挺身隊は当時混同されていたところもあるというふうに言っておりますけれども、誰でも、日本人だったら、こんなもの混同している日本人なんか、まともな人はおりません、当時は。そうにもかかわらず混同したと言いわけをしているわけですけれども、私はこれこそ記事の捏造ではないかというふうに思っているわけですね。

 これも、本人が言ってもいないことを書くというのは、これは捏造以外何物でもないというふうに思うんですけれども、そういった事態をもたらしてきたということについても触れておきたいと思います。

 そして、この挺身隊という捏造記事、九一年の八月十一日の後、九二年一月十一日に朝日新聞は、慰安所、軍関与を示す資料が出たなどという大きな記事を書きましたが、これは、軍の名前をかたって違法な募集をしている、またはだまして連れていくという事件が朝鮮半島では横行していましたから、それを、そんなことをやったらだめだということを、ちゃんと取り締まれということを言った文書ですが、問題は、この内容よりも、その下に朝日新聞が記入した従軍慰安婦の解説なんです。「多くは朝鮮人女性」と書いてありまして、最後の方、「太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は八万とも二十万ともいわれる。」ここで初めてこの二十万という数字を出しました。

 さて、この二十万という数字、強制連行、そして性の相手、それは、さっきの慰安婦の銅像を見てください、ここに書かれていることと同じですよ。

 なぜ二十万なの。いや、朝日新聞が言ったからです。それから、なぜ強制連行なの。朝日新聞がこの記事を出したからです。そして、性奴隷状態、こういうふうに。ここに至るまで、この銅像に至るまで、全部朝日新聞の記事なんですよ。

 ですから、やはり、取り消すというだけで、誤報でした、読者の皆さんにおわびしますだけでは、とてもではないけれども、国会の責務を果たしたことにはならないのではないか、こういうふうに考えております。

 ちょっとお話ばかりで申しわけないんですが、この朝日新聞の、彼らが言う誤報、私に言わせれば偏向報道であり捏造記事というのはどういうことをもたらしたかということを、九三年三月の文芸春秋で、盧泰愚大統領の対談記事を出しています。そこの記事を読みます。

 盧泰愚大統領が、これは浅利慶太さんからの質問に対して、「先般からの挺身隊問題についても、」というふうに書いていますが、これは慮泰愚大統領ですよ、当時の韓国大統領のインタビューです。

 実際は日本の言論機関の方がこの問題を提起し、我が国の国民の反日感情を焚きつけ、国民を憤激させてしまいました。そうなると韓国の言論も、日本は反省していないと叫び、日本に対して強い態度に出ない政府の対応はひどいとさらに感情論で煽ってきます。

 とにかく、もっと両国の言論に携わる識者の人々が冷静になり、反省し、悟らねばならないと私は強く思います。

これは韓国大統領の言葉なんですよ。日本の言論機関が韓国の国民に火をつけた、たきつけたと言っているわけですね。

 私は、そういったことを見ておりますと、この結果、結局、河野談話を出さざるを得なくなった。

 いや、河野談話には吉田証言は根拠になっていないじゃないかと朝日新聞は書いておりますけれども、根拠にはなっていません。大体、河野談話の根拠なんかないんですから、そもそも。河野談話のもとになる強制性を示すような証拠は見つからなかった。しかも、被害者の証言についても裏づけもとっていない。そして、さらに、加害者もこういった状況。

 河野談話は関係ないですよ。ただ、河野談話はそういう根拠なく書かれた政治文書ではあるけれども、河野談話を出さざるを得なくしたのは主に朝日新聞の責任だというふうに考えるんですね。

 そういった意味で、私は、河野談話は、当然ながら、吉田証言なんかは根拠にしていません。根拠になっているものは何もない。何もない中で、日韓関係を何とかしようと思った方々の中で、善意ではあっても、石原信雄さんがおっしゃったように、何とかしたいという思いでつくった作文でしたよ。しかし、結局、今、裏切られる形になりました。

 今まで、私は、そういった意味で、朝日新聞の木村社長をぜひ、検証されたことはよかったと思うが、しかし、まだまだ不十分、ぜひ国会に出てきて、盧泰愚大統領がお話しになったこともあり、日本国民、そして韓国国民にも、そして誤解をされている世界じゅうの人々にこの国会の場でお話しをする以外、朝日新聞の新聞の紙面でやったってしようがないんですよ。国会に出てきてやっていただくということが大事と考えますが、総理の御所見を伺います。

菅国務大臣 この件については、やはり国会で判断をしていただくことだろうというふうに思います。

山田(宏)委員 この問題については、安倍総理と私はほとんど同じ考えでいると思っておりますし、また、自民党の中にも、心ある人たちは、やはり非常に危機感を持っておられます。私は、もっともっと自民党はこの参考人招致に対して積極的に反応してほしいと心から願うものであります。

 我々次世代は、やはり木村伊量朝日新聞社長の参考人としての招致を予算委員会にしていただきますように、改めて委員長にお願いをさせていただきます。

大島委員長 理事会で協議いたします。

山田(宏)委員 はい。

 それから、もう一点。河野元官房長官ですが、総理も先日の答弁で明らかにされましたように、この談話自体は、強制連行の根拠もなくつくられてきたわけです。それはもう政府の出された検証報告で明らかなんです。

 しかし、その河野談話を発表した当日に、河野さん本人から、その記者会見場で、これは強制連行を認めたものかという記者の質問に対して、そう考えて結構ですというふうに答えて認めてしまったわけです。談話自体の作成過程では、強制連行なんか認められないという態度でやっていたにもかかわらず、御本人が強制連行と認めたために、河野談話は強制連行を認めたものだということが定着してしまいました。

 私は、こういった点も含めて、なぜ河野さんがそのときに、河野談話は強制連行を認めたものだと根拠もなくおっしゃったのか、または根拠が御本人の中にあったのかどうか、この辺について、やはりこれも朝日新聞と同じように、国会の中で議論していかないと日本の名誉は取り戻せない、こう思っております。

 どういう御発言をされるかわかりませんが、やはり国会がこの問題に対して頬かむりをしていく時期はもうとっくに過ぎてきたんではなかろうかと考えておりまして、河野洋平元官房長官につきましても参考人招致を改めて求めたいと思います。

大島委員長 理事会で協議いたします。

山田(宏)委員 今申し上げましたとおり、資料も、どの箇所を、記事を削除したのかというのを明らかにしない。それから、今申し上げたとおり、誤報、誤用と言っているけれども、そうではなくて、実はもっと意図的なものだ、偏向報道であり、でっち上げ報道の可能性もある。そして、謝罪は朝日新聞は読者にしかしていない。本当はもっと、国民、韓国国民、世界じゅうの人たちに謝罪をすべき、説明をすべき内容であるということでありますから、これは国会でしかやれないことだというふうに考えております。

 そこで、今こういった状況になりながら、幾つか今後の対応についてお聞きをしていきたいと思います。

 先日、私は、平沼党首ともども、党の国会議員でワシントンを訪問しまして、民主党、共和党の上院、下院の両議員何人かにお会いをして、我々の立場ですから、この慰安婦の問題についても、実はそういうような事実はないんだよということをしっかりお話をしてきました。

 しかし、他の問題については、アメリカの国会議員も、親日的な人ですからなるほどと言うんですけれども、この慰安婦の問題になると、日本は、政府が、首相が謝罪してきたではないか、今さら、その謝罪してきた対象、事実に対して、あなた方はそれをひっくり返せと言うのか、こういう反応なんですよ。謝罪してきた、なのに、何でその謝罪する対象を今さらどうのこうの言うんだという言い方なんです。非常に困った状況であります。

 今、吉田証言もうそだとされ、加害者の証言ももう完全になくなりました。そういった中で、今後、外務省は、こういった、謝罪をしました、償いもしました、だから、もう我々はちゃんとやることをやったんですというような説明を、相変わらず続けようとするのか。その辺について、私は、謝罪はもうすべきじゃない、こう思っておりますけれども、どうお考えでしょうか。

岸田国務大臣 まず、誤報により日本の名誉が毀損されたことは耐えがたいことであり、事実関係の不当な歪曲につきましては是正されるべきであると考えます。

 日本政府として求めているのは、正しい事実認識に基づいて、日本の取り組みに対して国際社会から正当な評価を得ることであります。ぜひ、こうした考えのもとに、国際社会に対しましてしっかり発信していかなければなりません。

 そして、我が国、日本政府の立場ですが、平成十九年の閣議決定されたこの内容にもありますように、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」、これが我が国の立場であります。そして、この点につきましては、河野談話作成過程の検証報告書、この中においても確認をされています。

 そして、今回の誤報事案も含めまして、我が国として、より一層、国際社会に対しまして、しっかりとした発信をし、説明をしていかなければならない、このように認識をしております。

山田(宏)委員 外務大臣にお聞きしますけれども、仮に、外務大臣がこの慰安婦の問題でアメリカへ行かれて、日本は謝罪してきたではないか、では、何に謝罪したんだ、これまで何に謝罪をしたのか、こう聞かれたときに、何に謝罪してきたと、どういうものに対して、どういう行為に対して謝罪したというふうに説明をされる御予定ですか。

岸田国務大臣 今日まで、この問題につきまして、我が国政府としてはさまざまな取り組みを行ってきました。

 基本的には、日韓間においては、一九六五年の日韓請求権協定に基づきまして、この慰安婦問題も含めて請求権の問題は完全かつ最終的に解決している、これが基本的な立場であります。

 しかし、それに加えて、道義的な見地からアジア女性基金等の取り組みが行われた、これが過去の経緯であります。

 そして、この謝罪につきましては、この取り組みの中で行われたことということで説明をさせていただく、過去の経緯の説明ということで、こういった説明はさせていただいております。

山田(宏)委員 ちょっとだめなんですよ。

 何に対して謝罪をしてきたんですかと聞かれたら、今まで、こういう強制性を疑わせるような談話を出し、それがそういうようなことも捉えられてきた、強制的な慰安婦というものをつくってきたということに対して謝罪をしてきたと言われるのか、一体何について謝罪をした、だって、謝罪する対象はもうないじゃないですか。何を謝るんですか、国がですよ、今後、これまでも。これまでの内容がうそだったんだから、謝罪する対象はないじゃないですか。謝る対象はないじゃないですか。

 何に対して謝ったんですかと聞かれたら、そんなのはなかったんですよ、間違いだったんですよと言ってくださいよ。それは、これまでの対応、日本政府は間違っていたんですよと言ってくださいよ。どうですか。

岸田国務大臣 まず、いわゆる強制性につきましての我が国の立場は、先ほど説明させていただいたとおりであります。

 そして、この問題につきましては、歴代総理が、歴史の中で筆舌に尽くしがたい、つらい思いをされた方のことを思うと心が痛む、こういった思いについて公にしてまいりました。この思いにつきましては、安倍総理も明らかにされておられます。

 こうした思いのあらわれとして、我が国として取り組みを行ってきた、こういったことだと思っております。

山田(宏)委員 ですから、それだけにしてほしいんです。心が痛む、同情を禁じ得ない、それはもう私も同じ気持ちです。だけれども、何で日本国政府が謝るんだということなんですね。ですから、そういう思いだけの表現であって、強制連行についてはもはやほぼ否定された、こういうふうに考えております。

 そこで、外務省のウエブサイトを見ますと、いわゆる、今お話もありました、女性のためのアジア平和国民基金という欄がありまして、この基金への拠出金の呼びかけというものが平成七年七月十八日に載っています。これは日本政府が出したものじゃありませんよ。だけれども、外務省のウエブサイトにちゃんと載っているわけです。

 その中に、こういう文章があります。「この戦争は、」云々の中で、「なかでも、十代の少女までも含む多くの女性を強制的に「慰安婦」として軍に従わせたことは、女性の根源的な尊厳を踏みにじる残酷な行為でした。」

 これは日本政府の出した文書じゃないけれども、外務省のウエブサイトに載っているのは、これは問題じゃないですか。

岸田国務大臣 御指摘の文書ですが、我が国におきましては、先ほど申し上げましたように、アジア女性基金という取り組みが行われ、そして、このアジア女性基金の呼びかけ人が平成七年に発出した拠出呼びかけ文として、御指摘のこの文書が出されたわけであります。

 過去の経緯を紹介するという形で文部省のホームページに掲載されてきたというのが経緯でありますが……(山田(宏)委員「外務省」と呼ぶ)失礼、外務省のホームページに掲載されてきたというのが経緯ですが、この拠金につきましては、これはもう既に終了しております。

 御指摘も踏まえまして、この文書につきまして、削除するか、あるいは注釈をつけるか、どう対応するかにつきまして、ぜひ部内においてしっかり検討させていただきたいと考えます。

 いずれにしましても、政府の立場というものがしっかり明らかになることは重要だと考えています。

山田(宏)委員 女性のためのアジア平和国民基金については、その基金自体のウエブサイトはあります。ですから、見たい人はそこを見ていればいいわけでありまして、政府にこういう文書が載っているということは大問題であります。削除を検討していただきたいと考えております。

 それと、こういったいわゆる慰安婦の強制連行をほのめかすような文書、政府の文書だけじゃなくて、今お話があったように文科省にあるかもしれないし、外務省にも、ほか、あるかもしれない。こういったものをやはり各省庁で洗い出して、こういった表現があるものについては、今外務大臣がお話しになったように、取り消しも含めて、ぜひ善処をお願いしたいと考えております。

 それから、事前にお渡しをした資料なんですが、慰安婦は性奴隷だったということを国際的に広める結果になったのが、国連人権委員会の特別報告書です。クマラスワミ女史が出した女性に対する報告書の中の附属文書で、日本の慰安婦の問題について取り上げましたが、これが一九九六年です。

 これに対して、当時の日本国政府が日本国政府の見解というものを書いたと一時報道されておりますが、これは書いたけれども出されなかったんですね。

 私の手元にございます。これは一般に発表されておりませんので、事前に外務省にお渡しをしております。まず、この文書は本物かにせものか、お答えください。

岸田国務大臣 一九九六年に公表されましたいわゆるクマラスワミ報告書ですが、この報告書に関しまして、御指摘のように、一九九六年に日本政府としてこの文書を作成いたしました。

 しかし、この文書につきましては、その文書を出しました直後に、このクマラスワミ報告書に言及する、女性に対する暴力撤廃と題する決議が採択されることになりました。要は、御指摘のこのクマラスワミ報告書を歓迎する、ウエルカムという形で肯定的に捉える決議になるのか、あるいは単に留意する、テークノートとする決議になるのか、これがこの人権委員会で問われることになりました。

 そして、その際に出しましたこの文書につきまして、詳細過ぎるという幾つかの国からの指摘を受けて、簡潔な文書を改めて出した。そして、そのことによって各国の理解を得、結果として、このクマラスワミ報告書について留意するという表現にとどまった決議が採択された、こういった経緯がありました。

 よって、御指摘の文書はその前者の方の文書ですので、これは今の経緯のもとで非公開ということになっております。よって、今、現状では取り扱いは非公開ということになっておりますので、それについて、私の方からこの真偽について申し上げるのは控えなければならないと考えております。

山田(宏)委員 真偽は非公開だから明らかにできないというお立場ですよね。

 この附属文書、なかなかよく書けています。本当に、これこそ、やはりこれからちゃんと公開をして、日本の立場をちゃんと説明できる文書だと思うんですね。ですから、これをぜひ公開していただきたいというふうに考えております。

 そこで、次に、日米合同の遺骨収集作業について御質問させていただきます。

 これは、代表質問で平沼党首の方から総理に質問させていただきましたが、いま一つかみ合っていなかったので、我々の方の考え方を申し上げたいと思います。

 九月十一日に、平沼党首を代表とする訪米団を次世代の党としては出しましたが、その中で、アメリカの太平洋軍統合戦時捕虜行方不明者調査司令部というのがホノルルにありまして、そこのマッキーグ司令官を訪ねました。

 この部隊は、アメリカの各軍からの代表者による五百人の部隊でありまして、アメリカ軍が海外で戦争をして、そこで亡くなった方々を捜索するということを任務としております。

 そこの司令官の要請は、日本も太平洋地域でいろいろ御遺骨の収集作業をしているけれども、アメリカもやっている。日本はまだ百十五万柱ですから、すごくたくさんの方々がまだお帰りになっていない。そして、アメリカは、七万三千のアメリカ兵、将兵がまだ眠っている。しかし、これまで、それがばらばらで遺骨収集されていた。

 日本は、遺骨収集した御遺骨を現地でだびに付して、そして日本に持ち帰るということになっているわけです。アメリカは、必ず遺骨はどなたのものかを明らかにして、遺族に返すことになっているんです。ですから、アメリカは徹底的なDNA鑑定をするんです。

 ところが、同じ戦場ですから、日本の集めた御遺骨の中には米兵のものも入っているわけです。頭蓋骨を見ないと、どちらの、白人か黄色人種かわからないわけです。手や足の御遺骨だけではわからないわけですね。

 ですから、アメリカとしては、なるべく一緒に、共同で、戦ったところも一緒なんだから、戦場も一緒なんだから、そこで一緒に収集をして、向こうで振り分けて、そしてお互いの対応をしようじゃないかということを提案されております。

 なぜならば、戦時のときにどこで戦闘があったかという情報は日本にもあります。アメリカも持っています。それをお互い重ね合わせて、そして共同でやっていけば、かなりこの収集活動もうまくいくんじゃないか。そしてまた、かつて戦った敵同士が、今度は、その御遺骨をお互い共同して収集していく、または遺族のもとに返す、またはきちっとお祭りをする、こういうことをやっていけば、これから日米同盟にとっても非常に大きな役割を果たすと思うんです。

 アメリカは、海外で行方不明になった遺体、遺骨その他は、何百年かかっても必ずホームランドに戻すんだというのがアメリカ軍の鉄則なんです。だから、絶対曲げないんですね、それは。

 ですから、そういったことを考えると、日本と一緒になってこういうことをやるということが、日米の関係の、世論とか心理に向けては非常にいい結果になるし、また、そこで散華されていった多くの日本の将兵の方々の平和への思いというものも、やはりきちっと形づくる礎になるんじゃないか、私はこう考えているわけですけれども、ぜひ、日米共同の遺骨収集作業を、来年、終戦七十周年になるので、日米の大きな一つのメッセージとして決断をしていただきたい、こう考えておりますが、総理の御所見を伺います。

安倍内閣総理大臣 さきの大戦において、祖国を思い、家族を案じながら、遠い異郷の地で多くの方々が命を落とされたわけでございます。そうした御遺骨を、一柱でも多く、一日も早く帰還させることは政府の責任だろう、こう考えております。

 先般も、七月にパプアニューギニアのウエワクの日本兵の慰霊塔にお参りをいたしまして、手を合わせてきたところでありますが、パプアニューギニアにおいても多くの日本兵の遺骨がまだ残されているわけであります。

 その中において、今委員がお話しになったように、米国と共同で、あるいはまた自衛艦を活用していく、さまざまな手段を用いながら、一日も早い、一柱でも多くの帰還を目指していきたい、このように思っております。

山田(宏)委員 今総理の方からお話がありましたように、自衛艦の活用というのは、この次に質問しようと思っていたんですが、厚生労働省が日本は担当しています。厚生労働省の方もよくやっておられます。向こうのマッキーグ司令官にお聞きをしたら、七月にタラワというところで共同でやった、そのときに、日本の人たちがアメリカ軍の兵士の御遺骨まで祭壇に供えてお参りをしてくれた、非常にアメリカとしては感謝をしているということを言っておりました。

 そういった光景をちゃんとつくっていくということも大事だと思うので、来年に向けて、やはり七十周年の記念の事業として、日米共同の事業としてこれをぜひ位置づけていただきたい、御検討をぜひお願いしたいと思うんですが、もう一度お願いします。

安倍内閣総理大臣 米国側の事情もあるとは思いますが、今おっしゃったことについても検討していきたいと思います。

山田(宏)委員 ありがとうございました。

 それでは、地方創生、女性活躍ということが安倍政権の今回の臨時国会の一つのテーマとして掲げられております。

 その中で、総理の所信表明の中で、子供を育てる環境について、子供支援員制度というものについても御指摘がありました。これは、子育ての経験のある方がお子さんをお預かりしてという制度です。

 これも悪くはないです。悪くはないけれども、私は、杉並区長をやった経験からいうと、一つ一つの子育てのメニューを国がつくる時代はもう終わったと思うんです。地域によって違うんだから、需要が。だから、そういう制度をつくっても、活用できるところもあれば活用できないところもある。

 そうじゃなくて、私は、子育てということを考えるんだったら、私が杉並区長のときにやったんですけれども、バウチャーですね、子育てバウチャー。杉並では子育て応援券、これはちょっと見本ですけれども、子育て応援券というものを発行して、これをゼロ歳から二歳までのお子さんを持っている家庭には子供さん一人当たり六万円のバウチャー券、それから三歳から六歳未満のお子さんには一人三万円のバウチャー。

 それで、この子育て応援券を使って、例えば一時預かりとか、または親子のリトミックとか、こういったところに自由に使える。しかも、保育園に出している、働いている御家庭だけではなくて、家事で、または家で育児、介護に追われているそういう専業の主婦の方々にも、お子さんがいるところにはこれを配った。非常に喜ばれた、大成功でした。

 何が大成功かというと、これを見ていただくと、登録事業者、子育て応援券が使える子育て事業者は、二〇〇七年、入れたときは四百二十九だったのが、瞬く間に千まで杉並区に子育て事業者が集まってきちゃった。

 そして、この券を目当てにいろいろな事業をやるんです。いろいろな事業というのは、使うのはお父さん、お母さん方ですから、彼ら、彼女らの需要に応じたサービスを何とか民間は提供しようとするわけです。つまり、うちはほかよりもこういうサービスがありますよ、うちはほかよりも安いですよ、そういう競争が事業者間で行われて、質も上がるし、値段も下がるわけです。

 私は、こういった形で子育て事業というのはやっていった方がいいと思うんです。そうしたら、地域に応じた事業者が出てこられるんです。その中にそういう支援員というものもひょっとすると出てくるかもしれません。

 しかし、一律的に国が事業を決めていけば、絶対無駄になります。一番だめなものは、現金を配ることです。これはだめです。これは、現金を配ったら、どこへ行っちゃうかわからないんです。だから、これは、当時やゆされたのは、子ども手当のときは、パチンコ屋さんに行っているんじゃないかとか、貯金に回っているんじゃないかとか、旅行に行っちゃったんじゃないかと。とにかく子育てにしか使えないもの、そういうバウチャーを配ったら地域のサービスが豊かになるんですよ。これはもう経験済みです。

 杉並区は合計特殊出生率も非常に低かったです、〇・七八。それがぐうっと上がっていきました。さまざまな努力もありますけれども、それでも大したことないです。大したことないけれども、しかし、上昇方向になりました。

 子育て応援券だけではありませんが、子育てとなると、何かやってあげよう、こうやってあげようと思って、善意だけれども、メニューからつくり始める、これはだめですから。地域は地域で使えるお金を、それもその地域のお金はバウチャーにしろと言って渡さないとやはりうまくいかない、こう思うんですけれども、この点についても御検討いただけないでしょうか。

塩崎国務大臣 山田委員におかれましては、杉並で杉並子育て応援券などさまざまな新しい試みをされたことはよく聞いておりまして、改めて敬意を表したいというふうに思います。

 バウチャーの問題というのは、今先生御指摘のように、いろいろな質の向上やあるいは競争を通じて切磋琢磨する中で効率化が図れる、つまりは値段も下がるということで、そういうことの方策として我々もこの価値をよく認識はしているところでありますし、今大事なことは、やはり選択の幅を広げてみんなに選択してもらうということだと思います。それは、今、山田先生がおっしゃったとおりだと思います。

 ただ、来年の四月から始まる子ども・子育て支援新制度では、消費税財源を使うということで、法定をする形で多様な子育て支援の事業メニューというのを今回は定めていることになっていまして、その中で保護者がどうやって質の高い多様なサービスを選択できるようにするかということに今腐心をしているところでありまして、いろいろなバウチャーに対する懸念というのがまだ若干あって、それは弱者に対してどうだろうかとか、あるいは質の均一性の問題とか、いろいろなことがまだ指摘をされていまして、しかし、それらは何らかの形で解決ができるという説もありますから、先生が今おっしゃったような考え方をよく含んだ上で、我々も前向きにこの選択の広げ方というものを考えていきたいと思いますが、とりあえず、来年の四月からのは、事業のメニューは充実はされていますけれども、一応そういう形で定められているということでございます。

山田(宏)委員 ちょっと何をおっしゃっているのかわからなかったけれども、とにかくこのバウチャーは我々は実証済みですから、ぜひ前向きに検討してください。

 私からは以上です。ありがとうございました。

大島委員長 この際、桜内文城君から関連質疑の申し出があります。山田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。桜内文城君。

桜内委員 次世代の党の桜内文城です。

 きょうは、生活保護や年金等、社会保障について主にお聞きしたいと考えておりますが、一言だけ、先ほどの慰安婦問題に関する議論で意見を申し上げたいと考えております。

 先ほど山田議員が配付資料としてお配りした中の朝日新聞の一九九二年一月十一日の記事の中に、「軍関与は明白 謝罪と補償を」というふうな吉見義明中央大学教授の話も書かれております。ちなみに、私は、彼から、慰安婦制度が性奴隷制度であったと主張している方々に対してこれは捏造と申し上げたところ、今、名誉毀損訴訟の被告となっておりまして、そういった意味で、国会ではありませんけれども、司法の場で闘っておるところでございます。

 先ほど外務大臣から謝罪ということについての政府のお考えをお聞きしたところですけれども、私、ここは、特に外交という場においては謝罪をするということの意味合いについてやはりしっかりと考えなくちゃいけないと思うんです。

 山本七平が以前書籍の中で書いておりますけれども、日本社会の中でいえば、何か悪いことをした、子供のころから、ごめんなさいと言えというふうにしつけられるわけですよ。もし、ごめんなさいと言わなければ、やったことよりももっとひどいやつだというふうなしつけがなされていて、日本人同士であれば、日本社会の中であれば、まず謝罪をする、そうすれば責任が解除されるというふうに彼は書いているわけですけれども、しかし、宗教や生活環境あるいは社会のお互いの考え方の違いというのはやはりありまして、恐らく日本以外では、全ての社会において、謝罪をするということはみずからの罪を認めること、神の前でみずからの罪を認めることというのは、地獄に落ちても仕方ないし、殺されても仕方ないというのが世界の常識だと書いてございました。

 したがいまして、ぜひ、外務省、特に外交をつかさどる大臣でいらっしゃいますから、やはり、謝罪ということをもしされるのであれば、今言ったような、日本国内で日本人同士で頭を下げてごめんなさいという話ではないということをしっかりとわきまえておいていただきたいと思います。

 さて、では、本題の社会保障、最初に生活保護についてお尋ねをいたします。

 きょう、パネルと、それから配付資料も、ちょっと順番が前後して申しわけないんですけれども、中ほどに色刷りの「標準三人世帯における生活保護基準額と一般勤労世帯の総収入との関係」という、厚生労働省が作成した資料が入ってございます。よろしいでしょうか。

 これによりますと、標準三人世帯ですと生活保護基準額二十四万四千九百七十円、約二十五万円近くでありますけれども、この水準を一応頭に入れておいていただきたいと思います。

 そして、配付資料の中ではその次のページに、年齢階層別被保護人員の年次推移というのが入っております。これは、ここ数年、特に六十歳以上の方の保護率、保護人員の数が随分伸びておる。これも厚生労働省の資料でございます。

 そして、ここでやはり問題とされていますのは、若い方、まだ働ける年代の方々、二十代、三十代、四十代、五十代の方々の保護人員が随分ふえてきている。働けるのに、生活保護に陥ってしまって自立が阻害されている。

 そして、次のページもぜひ見ていただきたいのですが、不正受給というのが平成二十三年度に三万五千五百六十八件、百七十三億、これは稼働収入の無申告や過少申告が主な理由となっているということでございます。

 そして、次のページですけれども、生活保護費の負担金のうち、大体約半分が医療扶助に使われておる。生活保護を受けていらっしゃる方は、病院等へ行きましても無料で診療が受けられる、薬も無料でもらえる。

 きょうの本題であります外国人に対する生活保護の実態について、一番最後のページにつけております。

 平成二十三年の調査によりますと、被保護外国人世帯数が四万三千四百七十九世帯あるそうでございます。そして、人員で申しますと、二十六年六月の、ことしの六月ですね、速報値ですと、人数でいうと七万四千四百八十二名、そして生活保護費というのが平成二十四年度で三兆六千億の大変な巨額に上っておりますので、これに対して、この人員数からしますと、約一千二百億円程度が外国人に支給されているのではないかということであります。

 まず、この実態について、厚生労働大臣、どのようにお考えになるか、お聞きいたします。

塩崎国務大臣 桜内先生から今、現状についていろいろと御指摘をいただきました。

 まず最初の標準三人世帯のこれでございますけれども、生活扶助基準については、所得税や社会保険料等の支出が含まれていない、一般低所得世帯の消費実態との均衡を適切に図るということが、五年に一回、検証するということになっています。

 先生が恐らくおっしゃりたいことは、余計に払い過ぎていないかということではないかなというふうに思うわけでありまして、この検証結果を踏まえた上で、二十五年の八月から二十七年まで、三年程度かけて段階的に必要な適正化を図るということを今やりつつあるわけでございます。

 さらには、住宅扶助あるいは冬季加算などについても、社会保障審議会の生活保護基準部会において議論を進めておりまして、同部会での専門的かつ客観的な検証結果を踏まえて、年末までに平成二十七年度における必要な見直しを行っていきたいと思っています。

 今、高齢者が特にふえているということがまず第一点。そして、若い人もふえているじゃないかということでありますが、確かに、高齢化に伴ってこういう高齢者の生活保護世帯がふえているということについては、十分認識を踏まえた上で対処しなきゃいけませんし、若者については、我々、年金にもかかわることですけれども、やはり働く機会を多くしていって労働参加をしてもらうということが実は年金の制度の安定にもつながるということでもありますので、これについても、さらに働き方の多様化というのをやっていくということが大事じゃないかなというふうに思っております。

 不正の問題については、確かに、ここにあるように毎年増加しているということですが、この増加した要因としては、生活保護の受給者が増加する中で、福祉事務所で、これまでに比べて特に力を入れて、税務担当部署の課税情報と被保護者の方からの収入申告額とを突き合わせる課税調査、それから被保護者の方の年金加入状況や受給額を確認する年金調査など、保護の決定、実施に係る業務を適切に取り組んできているわけで、そういう中からこういうものが出てきているということで、出てきていること自体が決していいわけではもちろんないのは言うまでもないわけで、今後とも、支給に際しては、収入申告義務があることを周知徹底するなど、適正な保護の実施に努めるとともに、今般の法改正に盛り込まれております福祉事務所の調査権限の拡大、こういったもので取り組みをしっかりとやって、不正受給の対策をやっていきたいと思っています。

 医療費の問題は、医療費を、言ってみれば一番の目的にするという方もおられるやの報道などもたくさん聞いているわけであって、これについてはよく考えていかなければいけないというふうに思っております。

 外国人の問題については、恐らくまた先生からいろいろと御質問があろうかと思います。

桜内委員 ありがとうございました。

 塩崎先生とは、役人の時分から随分御指導いただきまして、また選挙区も隣ということで、日ごろから大変尊敬申し上げておるところでございまして、きょうは胸をかりるつもりで質問させていただきます。

 その外国人の関係ですけれども、御承知の方も多いと思うんですけれども、ことし七月に最高裁で重要な判決がございました。これによりますと、要は、外国人というのは生活保護法の対象ではない、生活保護法の対象ではないけれども、昭和二十九年の厚生省の通知によって行政措置として生活保護に準ずる支給が行われているものだというふうな判決が出たところでございます。

 実態なんですが、先ほどお示しした資料の中でいいますと、一番多いのが韓国または北朝鮮の国籍の方々なんですね。世帯数でいいますと、平成二十三年時点で二万八千七百九十六世帯。

 これが多いのか少ないのかわからないと思いますので、比較できるように少し申し上げますと、直近のいわゆる保護率というのがありまして、生活保護全体でいいますと、人口千人当たりでいいますと十七人の方が生活保護の対象となっているというのが厚生労働省の数字でございます。

 これに対して、では、この韓国または北朝鮮の方々、世帯ベースで少しベースが違うんですけれども、千世帯あるとして一体何世帯が生活保護受給世帯になっているのか。これは驚くべき数字でありまして、きょうの朝、ようやく厚生労働省から数字をいただいたんですが、百四十二世帯だそうです。桁が違うんですね。

 これは、人数ベースは残念ながら厚生労働省も把握していないということでしたけれども、把握していないということ自体、どうかとも思います。

 というのは、最高裁の判決にもありますように、外国人が生活保護法そのものの対象ではない。であるとすれば、行政措置で当分の間ということでやっているのであれば、その行政措置に基づく生活保護に準ずる措置を、どの国籍の人に対して幾ら払っているのかということを把握するのは当然じゃないですか。それを全くなされてこなかった。先ほども言いましたように、昭和二十九年の通知に基づいて、もう六十年ですよ、当分の間ということでこのような取り扱いがなされてきた。

 もちろん、特に、今申し上げました韓国または北朝鮮の方々というのは、特別永住者ですとか、いろいろな経緯があってのこととは理解いたしますけれども、しかし、先ほど申しましたように、保護率が桁が違うんですよ。

 いいですか。生活保護全体でいうと千人のうち十七人。これに対して、韓国または北朝鮮の方々、世帯で見ると、千世帯に対して百四十二世帯が保護の対象になっている。この現実について、厚生労働大臣、どうお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、さきの最高裁の判決で、ことしの七月十八日に、かつて昭和二十九年に厚生省の社会局長の通知というのが出ておりまして、ここで、そこに書いてあることが、事実上の保護を行う行政措置として、当分の間、同法に基づく保護の決定実施と同様の手続により必要と認める保護を行うことを定めているものだということでございます。

 先般、総理からも答弁申し上げたとおりでありますけれども、やはり、外国人については生活保護法の適用がなくて、本年七月の、今の最高裁の判決のとおりの考え方が示されているわけでありますけれども、この判決では、外国人の保護については行政措置により事実上の保護の対象となり得ると言及されていて、現行の運用が容認されたものと考えております。

 また、外国人に対する保護を法定化することについては、生存権保障の責任は一義的にその人の属する国家が負うべきであるとの考え方に立ちつつ、人道上の観点からの保護を行っていることを踏まえれば、行政措置にとどめるべきものだというふうに考えているわけであります。

 当分の間ということでありますけれども、外国人に対する保護については、人道上の観点から当分の間行政措置を、支給するということを、今申し上げたとおりでありまして、特定の期間を想定しているものではないというふうに思っております。

桜内委員 それがおかしいと申し上げているんです。

 隣国のうちには、いわゆる親日禁止法という法律まで定めている国があります。先ほど申しました慰安婦問題等も抱えているところでございます。その方々の、国籍をお持ちの方々の保護率が、桁が違うんですよ。これをほっておくということがいかに国益を損することになるのか。やはりこれは国務大臣としてよく御検討いただきたいというふうにお願いをしておきます。

 そして、何が違うのかと申し上げますと、先般の代表質問の折に、安倍総理からもこの件について少し御答弁いただきました。衆議院の、速記録ですのでちょっと不正確かなと思うところもあったんですが、現在、外国人については生活保護の適用はありませんという御答弁をいただきました。これは恐らく、保護法の対象、適用はないということの間違いだと思いますので、これは訂正を後ほどお願いしたいと思います。

 それはさておきまして、総理のこういった御答弁があります。このような保護は人道上の観点から行政措置として行われるものであり、今、これを見直すことは考えておりません、これは僕は相当問題だと思っております。

 なぜならば、私も以前大蔵省に勤めておりましたけれども、役人の仕事、行政官、あるいは行政機関の長である総理大臣のお仕事というのは、まず予算と法律の適正な執行にあるはずなんですね。

 この生活保護法について言えば、この最高裁の判決の中でも触れられておりますけれども、戦後すぐの旧生活保護法上は外国人も対象とされていたんですね。それをわざわざ、今の生活保護法に変えたときに国民に限定した。しかしながら、サンフランシスコ条約等があって国籍の問題が生じた方々がそれ相当にいらっしゃるので、昭和二十九年に今ほどの行政措置を行う旨の通知を発出されて、現在に至るまでそれが適用されてきておるということなんですが、最高裁が、まさに立法者の意思として外国人を生活保護法の対象ではないという判決を出したわけですよ。

 にもかかわらず、法律が想定していないものを行政措置でやって構わぬというふうに強弁されるのは、これはおかしいと思います。法律に基づく行政の原理というものがあります。

 ですので、本当に対応しようと思うのであれば、今、私どもの方でも議員立法で準備しておりますけれども、生活保護法とは別に、例えば外国人緊急支援法であるとか、本当に急に生活にお困りになった方に、別の法律でもって生活保護に準ずる措置を一定期間に限り与えるとか。それを永遠に、これまで全く期間の定めもなく、当分の間といって六十年以上もこのような措置を続けてきた。その結果、先ほど言った実態ですよ。保護率が桁が違うんです。この状況を見過ごしてよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 桜内先生、この判決をごらんになっておられると思いますが、先ほども申し上げたとおり、この判決の中に、通知によって同法に基づく保護の決定実施と同様の手続により必要と認める保護を行うことを定めたものだということで、その次に、外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまり、生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく、同法に基づく受給権を有しないものと言うべきであると。

 ですから、今先生もおっしゃったように、生活保護法の法的枠組みの中ではないんだということを最高裁もことしの七月に言いながら、外国人に対しての行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象になり得るということですから、今それぞれの市町村が判断でやっていることについて、特に異を挟んでいるわけではないというふうに解すべきではないかというふうに思います。

桜内委員 その解釈がおかしいと申しているんです。

 要は、これは生活保護法の対象にならないと判決が言っている以上、現下の財政状況が大変厳しいのはもう御承知のとおりだと思います、生活保護を初めとする社会権と言われるものは、国家に対する権利であって、そういった意味では、政府の財政状況にやはり左右されざるを得ない権利であるわけです。

 さらに言えば、先ほど何度も言っていますけれども、保護率が桁が違うんです。これを放置したまま、年間一千億を超える金額がこういった形で外に出ていっている。また、少なくない不正受給も見られる。こういった状況について政府が何もしないということは僕はあり得ないというふうに考えております。

 この問題ばかりやっておっても時間が足りませんので、次に行きます。

 次は、資料にもつけましたけれども、ちょっとややこしい話ではありますが、年金財政について、財政検証というものがことし六月に厚生労働省から発表されております。

 これは、五年に一遍、財政検証をやって、年金制度が持続可能なものなのかどうかをしっかり検討しましょうということで、お手元の資料では、何かややこしい計算式を書いております。留学先の大学院でも先輩に当たる塩崎大臣ですので、このぐらいはちょいちょいと御理解いただけるだろうと思ってお出ししたんですが、問題点のところを赤で丸をつけております。全要素生産性上昇率、そして利潤率というのがどうなのかということをなるべくわかりやすくお伝えしていきたいと思っております。

 二枚目、おめくりいただきたいんですが、今パネルにしておりますけれども、これは、私がややこしいものを書いたわけじゃなくて、これは厚生労働省の資料ですので。

 ここも赤丸をつけておりますが、今申しました全要素生産性上昇率、これは何かというと、GDPの成長率のうち、労働力がふえたですとか資本がふえたですとかで説明がつかない、よくわからないところを、残差を全要素生産性という美しい名前で呼んだだけの話でありまして、ここはなかなか経済学上も説明がつかないところなんですが、こういった概念がございます。

 そして、年金の場合、運用利回りというのが大変重要な前提数値になるんですけれども、そのもとになるのが、利潤率という概念があります。ただ、この利潤率というのは、国民経済計算体系といいますGDP統計上は確定した概念ではなくて、ここでわざわざ厚生労働省が使われておる数字ですが。

 次が、問題の、図をちょっと出してみます。パネルにもお示ししておりますけれども、どういうことか。これは、一番左側にあります〇・五%、GDPの成長率に対する寄与分なんですけれども、これが二〇一三年度第三・四半期の実績といいますから、去年の今ごろの話ですね。景気が悪いものですから、〇・五%しかなかった。内閣府試算経済再生ケースというのが、二〇二三年にはこれが一・八%まで急上昇するという。ケースAに至ってはそれが百年後まで続くということになっています。

 一・八%というのは一体何なのかといえば、一九八三年から一九九三年の平均なんですね。いわゆるバブル真っ盛りのころで、バブルが崩壊してもう二十年がたとうとするときに、こういったとてもあり得ない想定を、このようにケースA、B、C、D、Eと、五つもおつくりになっていらっしゃいます。

 それはちょっとやはりさすがに気が引けたのか、厚生労働省も、あと三つ、別のケースとして、やや低目の、一九八三年から二〇〇九年の平均、三十年近くの平均で、一%までだったらまあ許されるかなということで、ケースF、G、Hというふうに、三つつけられております。

 まず、全要素生産性上昇率の設定の仕方自体、あの、例のバブルのころが今後百年続くなんていう想定がケースAなんですね。とてもこれは信じられません。

 そして、もう一つ重要な問題点が利潤率でありまして、次のページ、お手元の配付資料をめくっていただきたいんですけれども、これによれば、これも赤丸をつけておりますけれども、利潤率と実質長期金利の相関係数、過去十五年、〇・〇四です。こんなもので、相関係数を使って、利潤率がここでは七・三五%というふうに計算されているんですけれども、あり得ないですよね。

 あり得ないということをお示しするために、もう一つ、きょうはお手元に、A3判の、これまた数字がいっぱい入ってややこしいものなんですが、塩崎先生と思ってややこしいものをあえてお持ちしたんですけれども、これです。

 これも赤でくくってあるんですが、付加価値を固定資産で割り算して利潤率というのを求めているんですね、厚生労働省は。

 ところが、実際には、経済循環というのはいろいろありまして、下の方に丸をつけておりますが、正味資産の変動、特に再評価による正味資産の変動、これはいわゆるキャピタルゲイン、ロスを意味しまして、株式投資するときに、配当以外に株価自体が上がるかどうかなんですけれども、これが入っていないんですよ、残念ながら、厚生労働省の利潤率の計算の中に。

 ですので、七・三五%のような非現実的な数字があって、本来であれば、次のページも数字がいっぱいでややこしいので大変恐縮なんですが、下の辺で枠で囲ってある部分、六十三行から六十四行のところなんですけれども、過去十九年間で利潤率がマイナスの年が十五回あるんですね。こういったことを全く考慮されずに、今回財政検証をされている。

 塩崎厚生労働大臣、ちょっとこれ、計算をやり直した方がいいんじゃないかという提案なんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 桜内先生の公会計の授業を聞いているような感じがいたすわけでありまして、いっとき大学でも教えていらっしゃったほどで、実はさっきの、自民党の行革本部でも、随分公会計で御尽力いただいたのを改めて感謝申し上げたいと思います。

 私にこのややこしいのを出していただくのは結構なんですが、やはりテレビで見ていらっしゃる皆さん方にわかりやすいものの方がいいかなとちょっと思ったりはしますが。

 まず第一に、全要素生産性ですね。ここにあるのは、非現実的だというお話がありましたけれども、ここは確かに、一・八と一・〇というのがありますね。この一・八というのは、八三年から九三年ですから、言ってみればバブルの真っ最中、おっしゃるとおりです。しかし一方で、一・〇というのは、八三年から二〇〇九年ですから、これはまさに失われた二十年を含んだ時期であるわけで、これが一ということであります。

 それで、今先生、一・八がそのままずっと百年いくということをおっしゃいましたけれども、必ずしもそうじゃなくて、それはケースAの場合であって、ケースBだと一・六、ケースCだと一・四、一・二、一・〇ということで、一番低いのが〇・五ということで、直近の二〇一二年並みということなので、幾つかやはりパターンを分けて、八ケース今回お示しをしたという前提の一つに、この全要素生産性が大事な前提として入っているわけであります。でありますから、そんなに非現実的なことをやっているわけではないということをまずはっきりわかっていただきたいということと、それから……

大島委員長 塩崎大臣、時間があれですから、わかりやすく答弁してください。

塩崎国務大臣 はい、わかりました。

 株のキャピタルロスとかなんとかいうお話がありましたけれども、要は、これは、短期的なロスとかゲインとかいうものを入れるのではなくて、長い計算をするのが財政再計算でありますので、それをあえて入れずにリターンを試算するということで、長期的なリターンを試算する場合には、むしろこれを考慮しない方が一定の合理性があるんじゃないかということで我々は特に入れていないということでありまして、決して非現実的ではない、出っ張ったり引っ込んだりだけで判断するわけではないということを、年金は長い話ですから、しっかりと計算をしているものであります。

大島委員長 ありがとうございます。

 桜内さん、今度は、塩崎さんにだけわかる資料じゃなくて、先生方にもわかる資料を出してください。

桜内委員 はい。

大島委員長 これにて山田君、桜内君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党代表の浅尾慶一郎です。

 今回の台風で被害に遭われた皆様方、また、さまざまな形でその災害からの復旧に御尽力いただいている皆様方に、被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げ、復旧に御尽力いただいている方には心から敬意を払わせていただきまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 みんなの党は、徹底した行政改革、そして市場重視の経済政策ということを我が党の立党の原点という形で掲げておりますけれども、そうした我が党でありますから、実は、今国会の中の隠れた争点の一つであります消費税の増税の問題については、ことしの五%から八%への引き上げについても時期尚早だということをずっと申し上げてきたわけであります。

 総理、きょうは十月六日ということでありますが、去年の十月一日、安倍総理は、ことしの四月に五%から八%へと消費税を引き上げるという最終的な決断をして、そのことを発表されました。そのとき、同時に五兆円の景気対策ということを発表されましたが、今度、八%から一〇%に上げる前に、私どもは五の段階で反対でありますが、八%から一〇%に上げる前に、今回の五%から八%に引き上げるに至った中での五兆円がどういう効果があったのかなかったのかということについて、しっかりと、その決断をする前にいわゆるレビューをされたらいいんじゃないかと思いますが、その点について、総理のお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の四月からの消費税の引き上げ、五%から八%への引き上げに対しまして、当然、反動減があるであろうということを見込んでいたわけでありますが、この反動減対策プラス、七月から景気回復軌道にまた戻れるようにするために、そうした観点から五兆円の対策を打ったところでございますが、この対策について、どういう効果、成果、あるいはそれほど効果がなかったかということも含めて、当然、検証をしていきたい、このように思っております。

浅尾委員 ぜひ、その検証の結果を最終的な消費税増税の引き上げの前に予算委員会にも示していただきたいと思いますが、改めてそのことを伺わせていただけますか。

安倍内閣総理大臣 こうした計数が今国会が開催中にそろうかどうかということ、また、分析がそれまでにできるかどうかということもありますが、いずれにせよ、消費税引き上げの判断をする上においては、そうした経済対策がどういう成果、効果を上げたかということについては分析をしたい、このように思います。

    〔委員長退席、金田委員長代理着席〕

浅尾委員 私は、この今の全国の景気については、先般の代表質問の際にも申し上げさせていただきましたけれども、かなり厳しいという認識を持っております。株価は、最近ちょっと落ちぎみでありますけれども比較的堅調でありましたけれども、一般的な家計の消費支出であったり実質賃金が消費税が上がったほど伸びていないといったようなことを含めて、かなり厳しいと思いますが、特に、これは代表質問の際に、あるいは所信演説の際にも総理も言っておられましたけれども、燃料価格の高騰ということが影響する地域というのが結構あるのではないか。

 つまりは、首都圏は比較的公共交通機関が発達しておりますので、電車による移動というのが多いわけでありますけれども、電車よりも車がいわゆる公共の足である地域においては、この燃料価格、特にガソリン価格の上昇というのは非常に影響を与えているんじゃないかと思いますが、まず、全国の景気の状況は一律というふうに判断されているのか、あるいは、よいところ、悪いところというところの認識を持っておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 当然、景気については全国一律にはならないわけでありますが、しかし、例えば有効求人倍率について言えば、都市部はいいわけでありますが、求職者の数を仕事が上回るということについて言えば、我々が政権をとる前は都道府県は七であったものが、三十五にふえてきているわけでもあります。

 つまり、そういう意味においては、間違いなく地方においても改善はしているのでありますが、しかし一方、ガソリンも含め燃料代については、個人の家計及び中小企業に対してこれはマイナスに作用するわけでありますから、そうした対応も十分に行うことを今既に決めておりますが、そうした対応あるいは状況を注視していく、しっかりとやっていきたいと思っております。

浅尾委員 有効求人倍率の改善というのはそのとおりだと思いますけれども、これは、私、景気がよくなったというよりかは、一定程度あるいはある部分は人口構成の変化による部分が大きいのではないか。つまりは、団塊の世代の方が労働市場に余り本格的に参加をされなくなるというような状況の中で人手不足になっているということだと思いますけれども、そういう時期だからこそ、逆に言うと、生産性を高めるために企業の統合も進めていくことができる、そういう機会もあるんじゃないかなというふうに思っております。

 その観点からお伺いさせていただきますが、いわゆるアベノミクスの三本の矢のうちで、金融政策ということについては、私どもも、日銀は金融政策を変えるべきだということでありますので、これは効果を発揮しているというふうに考えておりますけれども、二本目あるいは三本目の矢については、特に三本目の矢についてはこれからだというふうに思っておりますけれども、その点の、三本の矢ごとの認識を総理に伺いたいと思います。

甘利国務大臣 一本目の矢は、デフレの環境を弱インフレに持っていくために金融緩和をして、それは御評価をいただいているんだと思います。

 二本目の、これは財政出動ですね。デフレギャップというか、それを解消するためには、需要をつくらなければならない。まず公需で需要をつくっていくという、その意味もあると思います。

 それで、消費税引き上げ前にはほぼ需給ギャップがなくなってきています。需給ギャップがなくなったときにサプライサイドの改革をするというのはとても大事で、つまり、なぜデフレが起きるかというと、一つには、供給力があって需要がないから、この差がダンピング要因になるわけですね。これがなくなったところでこちらの売り上げに対して付加価値をもっととれるようにする、そうすると、それが還元材料になっていきます、賃金の還元材料とかあるいは下請代金の還元材料になるわけですから。

 この需給ギャップがバランスしたときにこそサプライサイド改革をやっていく、これを中心に今の成長戦略があるわけでありまして、好循環を回していく手順どおりに今進んでいるんだというふうに思っております。

    〔金田委員長代理退席、委員長着席〕

浅尾委員 二本目の矢の公共事業については、後ほど、実態の部分について議論をさせていただきたいと思います。

 まず、一本目の矢のところの円安ということも少し触れていただいたと思いますが、一部、閣僚の皆さんの中でも、過度の円安は余りよくないといった発言も出ているわけでありますけれども、これは、アメリカの連銀が金融引き締めに転じる中で、日銀の方は金融緩和を続けていくから円安になるというのは、金融の理論でいえば当然のことだろうと思います。

 過度の円安というのはやはり景気に影響を与えるというふうに私どもも考えておりますが、それは、今の日本の生産構造が、既に大企業が生産拠点を海外に移転してしまって、円安が例えば百十円でずっと未来永劫続けばもしかしたら日本に生産拠点を戻すかもしれないけれども、しばらくしたらまた円高になるということであれば、変動があるという前提でいうとなかなか、生産拠点をあえて戻さないということなんだろうというふうに思いますけれども、この過度の円安についての認識はどのように考えておられるか、伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 為替の水準については言及を差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、円安の影響は、輸入価格の高騰によりマイナスの影響を受ける企業もある一方、輸出企業や海外展開をしている事業者等にとってはプラスになるわけでありまして、両面あると言ってもいいんだろう、このように思います。

 しかし、円高が行き過ぎれば、今、浅尾委員が指摘をされたように、物づくりの企業は海外への移転を決断するわけでありますし、また、国内への設備投資を行わずに海外への設備投資を行うということになるわけでありまして、まさに、そういう意味におきましては、工場あるいは物づくりの会社に物を納めている会社も含めて根っこからいわば仕事がなくなるという問題もあるわけであります。

 もちろん、他方で、円安方向への動きに伴う輸入価格の高騰は、エネルギー価格の上昇等を通じて、中小企業や地方経済、そしてまた消費者に影響があるのも事実でありますから、そうした対策を打っていくと同時に、よく影響を注視していきたい、こう思うわけであります。

 リーマン・ショック後から我々が政権を取り戻すまでの間、円安が固定化されたわけですね。円安が固定化されている中において、多くの企業が相当海外へ出ていくということになりました。同時に、輸出も相当減少したんですね。輸出は割と強い勢いで減少したのでありますが、我々が政権をとった以降に、確かに、そうした中で既に生産拠点が移っておりますから、当初の予測ほど伸びてはいませんが、しかし、輸出減はとまった、顕著にとまったのも事実であります。

 この中において、いわばビジネス環境の変化において、投資を考える際、今度は海外ではなくて国内に投資をするという企業が出てくることを我々は期待しているところでございます。

浅尾委員 円安の場合、海外で生産して海外で売っていたものの利益は、円安ですから、かさ上げされるという効果はあるんだろうということだと思います。

 この円安については、後ほど外為特会の中で、これを使って財源をつくる話もちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 財政出動ということについて言いますと、実は、本会議で触れさせていただきました。公共事業の施行状況を見ますと、契約率は余り変わっていないんですが、実は、財務省に資料を出してくれと言ったら、財務省はまだ国分についてはその資料がないということでありましたけれども、実際にお金が渡っている割合というのは、例えばことしの六月の段階では、地方分、これは全国四十七都道府県と千七百市町村の中で、契約をされて公共事業を実施して、お金が渡っているのは六・九%しかない。多分、国も同じようなものだと思います。契約は三割から四割ぐらい入っているんだと思いますけれども、お金が回っているのは六月末の段階で六・九%。

 これを調べてみたら、なぜそういうことなのかというと、一番大きな理由の一つは、金融環境が日銀の金融緩和の効果もあってかなりよくなっているので、いわゆる前受け金的な形で事業会社がもらうと、東日本信用保証とか、いわゆる国交省の関連の信用保証会社に保証料を払わなきゃいけない。その保証料を払うぐらいだったら、工事が完工してからの方がいいんじゃないかということでなかなかお金が回らないということが実態として私どもが調べたらわかったわけであります。

 申し上げたいのは、今度、消費税を再度引き上げたとして、公共事業を積み上げても実際にはお金が回らないんじゃないか、だんだん回っていくかもしれませんが、すぐには回らない、効果がないんじゃないかというふうに思いますが、その点についての御意見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今の御指摘というのは、間違いなく、これまでのあれを見ましても、平成二十一年度からここまで見ましても、六月の公共工事の支出率というのは大体四%、三%でありますので、大体毎年この時期ぐらいですとそういうことになろうと存じますので、別にことしだけが特殊に低いじゃないかというわけではございません。毎年そういうことになります。

 これは、進捗状況を見るときはやはり契約率で見た方がよろしいんだと思いますけれども、契約率を見ると、前年度比を見ますと、平成二十六年度の予算とともに、やはりこれは一〇%以上上回っておりますので、取り組んだ成果はそれなりにあらわれているんだと思っております。

 それで、二十四年度や二十五年度の補正というところになるんだと思いますけれども、これはもう浅尾先生御記憶のとおりに、このときは、とにかくデフレ不況からの脱却、これが優先順位の一番でもありましたので、それに集中しましたし、それから、二十四年度の補正のときは、あれはたしか経済の底割れということが一番の大きな理由だったので、それにばっと集中してということで、反動減対策とかいろいろな形で需要の下支えを行ったものだと思います。

 今おっしゃるように、足元のところを見れば人手不足じゃないか、資材が高騰しているじゃないか、地域によって差があるではないかという御指摘は私ども全く否定するものではありませんので、今後ともこういったところはきちんと詰めていかねばいかぬところだと思っております。

 いずれにしても、早期実施の状況というのを見ますと、平成二十六年度の予算でも、この九月末では六割以上ということになってきておりますので、そういったものでは、確実に仕事を完工させているということになりつつあるんだと思っております。

浅尾委員 今申し上げたのは、契約率ではなくて、実際にお金が回っている部分については保証料が実際の金融環境と比べて割高になっているので、そこまで早目にお金をもらうような形にしていないということを指摘させていただいたわけであります。

 私は、財政出動ということであれば、むしろ民間の財政を出動、先ほど総理が言われたように、円安になってもし日本に投資をする環境がよくなってくるんだったら、それを喚起させるようないわゆる投資減税的なものの方がいいんじゃないか。これは指摘だけさせていただきたいと思います。

 もう一つ、先ほど甘利大臣から御指摘がありましたけれども、需給ギャップが縮まってきた段階ではサプライサイドを整えていかなければいけない。サプライサイドを整えるに当たっては、私は、これは企業の、特にそんなに大きな企業でなくても、地域の企業、ないしは、企業ではないけれども、例えば地域において雇用を多くしている医療法人とか、そういったようなものの統合を進めていくということが結果として生産性を高めることになるんじゃないかなと思いますが、その観点から二つ伺いたいと思います。

 一つは、この間の本会議で質問をさせていただいて、公的金融機関も、仮に、統合するに当たって私的な整理をした上で事業譲渡をするということもあり得ると思いますが、その私的整理をする当事者が日本政策投資銀行等の公的金融機関からお金を借りている場合に、民間の金融機関と同じように、例えば経営者に個人保証を入れていても何百万円かその財産を残す、そういうガイドラインを適用するというような発言があったと思いますが、そういう理解でいいのかどうか、確認のために一点伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 質問にお答えする前に、先ほど私、答弁の中で、二〇〇九年から、リーマン・ショック以降、我々が政権奪還をするまでの円高と言うべきところを円安と言ったようなので、あれは円高ということでございましたので、訂正をさせていただきます。

 日本経済の活性化に向けて産業の新陳代謝を促進することは重要な課題であると思います。この観点から、本年一月に施行された産業競争力強化法に合併や事業譲渡などによる事業再編を促進するための方策を盛り込んだところでありまして、既にこれを活用した企業結合が動き始めています。

 御指摘の、経営者保証に関するガイドラインについては、個人保証偏重の慣行を断ち切り、再チャレンジしやすい環境を整えるため、本年二月から運用を開始しています。民間金融機関のみならず、公的金融機関においても、このガイドラインに基づいて早期に事業再生や廃業を決断し、私的整理を行う経営者には一定の資産を残すことを可能とするように運用をしているところであります。

 こうしたガイドラインの実効性を確保することで、円滑な事業の清算や、一度事業に失敗した人の再チャレンジを応援していきたい、このように考えております。

浅尾委員 そういった方向性で生産性を引き上げていくことは、私は大変重要だと思いますので、ぜひそのことをお願いしたいと思います。

 景気、消費税あるいは地方再生について、最後に一点だけ、ちょっと法人税について伺う時間がなくなってしまいましたけれども、地方再生について、石破担当大臣もいらっしゃるので、思い切って、この地方再生においては、全国一律というよりかは、そういう方向性だと思いますが、地方の中核都市に政策資源の集中をするべきだというふうに思いますが、それを行うに当たって、どのような形でやっていかれるか、伺いたいと思います。

石破国務大臣 どこに歯どめをかけるかということですが、日本全国一律に同じことをやるつもりはございません。中核都市というような概念があって、そこで人口の流出をとめるという防衛的な考え方もあろうかと思います。

 一方におきまして、仕事がないから地方から出ていくということではなくて、仕事をつくりに地方に行くのだという観点が必要でありますし、同時に、中核都市に集中をする、そこに防波堤を設けるということでありとせば、いわゆる中山間地、限界集落的なものをどのようにしてやっていくかという観点は必要であろうと思っております。そこにおいて、どのようなことが一番政策効果を発現しやすいかということは考えていかなければなりません。

 投資に対してどれだけの影響があるか、効果があるかということは、厳密に検証しながらやってまいりたいと思います。

浅尾委員 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 我々は、野方図に、要するに、財源の当てもなくいろいろなことをやれと言っているわけではありません。財源は、今活用されていないものもかなりあるということで、きょうは日本郵政の西室社長にも来ていただいておりますが、後ほど日本郵政についても御質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、外為特会について伺いたいと思います。

 ことしの三月末あるいは八月末においては、一ドルは百四円ということでありましたけれども、その百四円段階での外為特会の、まず米国ドル換算した資産の残高と、そして、その為替のいわゆる評価損について伺いたいと思いますが、私の理解では、これは百二十兆円ぐらいあって、為替の評価損では九兆八千六百億円だということだと思いますが、その数字で、百四円の段階で九兆八千六百億円だということでよろしいかどうか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 為替評価損で九兆八千六百億、資産の超過額で、おっしゃるとおり、十二兆一千三百億円。

浅尾委員 大体、総資産額百二十兆円ぐらいという理解でよろしいですか。

麻生国務大臣 一・二兆ドル。

浅尾委員 今、一・二兆ドルというお答えをいただきました。

 百十円になると、六円動くわけですね、百四円から。そうすると、単純計算すると、これはドルだけじゃありませんので単純計算ではいかないんですが、ユーロとかも入っていますけれども、しかし、簡単にするために単純計算をさせていただきますと、一・二掛ける六円ですから七・二兆円評価損が減ります。私どもの計算ですと、大体百十二円の後半ぐらいになると含み損がなくなるということなんだと思います。

 今まで外為特会が解消できないと言われていた最大の理由は、含み損があるからということなんですが、これは全国の皆さんにわかりやすく説明しろという多分委員長の御指摘もあろうかと思いますが、簡単に申し上げますと、日本国政府が国民からお金をお借りして、そのお金でもってドルを買って、買ったドルを米国債にしている。円高になると含み損になるけれども、円安になると含み益になる可能性がある。含み益になる可能性というのは百十二円の半ばぐらいだろうということなんだと思いますけれども、先ほど来、余り過度な円安になるとよくないというような話がありました。

 私は、為替というものは基本的には中央銀行の金融政策でもって決定されるべきものであって、大きな外為特会みたいなものを持っている国というのは、実は、日本より大きいのは中国ですけれども、日本が世界で二番目、日本に次いで三番目が多分、国と言うと語弊があるかもしれない、台湾、四番目がサウジアラビアということで、いわゆるOECD加入の、先進国と言われている国の中で日本は突出して多いわけです。

 介入というのを今後やっていかないということであれば、せめて為替差損がなくなるようなレベル、百十二円後半になったら満期になったものからもとの円に戻していくということによって、両サイド、借金も減らせるし、そして損もしない。借金も減らすと、大体百二十兆円ぐらいの借金がなくなるわけですから、一千兆円の借金のうちの一割強がそれでなくなるということだと思います。

 こうした、満期になったものから、円安になっているんだったら、そういう方向性をとることが、そういう方向性を示すということだけでかなり円安の流れをとめていくこともできますし、そこで仮に含み益が出たら、いろいろな形でその含み益を使って、先ほど来出ておりますガソリン価格が急騰しているための対策にも使えるというふうに思いますが、その点について、財務大臣、ぜひ、官僚の言葉ではなくて、元企業経営者であった麻生大臣に、その観点から今私の指摘したことについてお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今みたいな言葉にひっかからないようにしていたんですが。

 先ほどの話ですけれども、浅尾先生、これはすごく大事なところで、二十三年を見ますと、一ドル七十七円で、そのときは二十兆八千億円の債務超過だったんですな、あのときは。二十四年になりますと、一ドル八十九円になっていますが、そのときは六・三兆円の債務超過。それが、二十五年度末になって百四円になって、先ほど言われましたように十二兆一千億円で、約十二兆円の黒、債務じゃなくて資産になったということなんだと思います。

 いずれにしても、この外為特会で保有しておりますドルというのを売る、満期になったものから売れという話なんですけれども、これは基本的には円買い・ドル売りの介入ということになりますので、金融とか為替の市場には、これは何が起きるかわからぬ、極めて不測の事態が起きることになりますので、これはちょっと、うかつなことは申し上げられないので、特に私みたいな立場では全くうかつなことは一言も言えない立場にあります。慎重な検討が必要だと存じます。

浅尾委員 私が申し上げているのは、そもそも外為特会というのはおかしな制度なんです。国民から借金をしてドルを買う、それはそろそろやめたらいいんじゃないですか。

 すぐやめるというのはいろいろな影響があるでしょう。しかし、円安が進むという流れの中で、そこで利益が出ているんだったら、満期になったものから少しずつ減らしていく。そして、そこで出た要するに損じゃなくて利益というのを国庫に納付すればかなりの財源にもなりますし、過度な円安というものをその方向性を示すだけでとめていくということができるわけでありまして、考えると言うだけで口先介入になる可能性はあると思います。しかし、口先介入はそんなに効果は示さないだろうと思います。

 大きな面でいうと、アメリカの米連銀が金融引き締めに転じて、日本はまだ金融緩和ということでいえば、それは円安になります。なりますけれども、日本が持っているその可能性を使うということを示すだけでかなりインパクトもあるでしょうし、そしてまた、そこで差益が出るのであれば、それを今の円安で困っているところの緊急対策の財源にするというのは、まさに、無責任なことではなくて、ちゃんと財源の当てもある対策になるのではないかというふうに思いますので、そのことも含めて総合的に財務大臣はどのように考えられるか。

 このことを申し上げるのは、実は、かつて、これは自民党が与党のときだったかもしれませんが、今厚生労働大臣をやっておられます塩崎さんが、これはあえて言う必要のある話かどうかわかりませんが、外為特会で財務官僚が留学しているとか、百何兆ものお金を十数名で管理していればそれぐらいのことはできるということを、私が指摘したんじゃなくて、塩崎大臣が指摘したんですから。

 そういったこともある話なので、ですから、そういう、不明朗とまでは言いませんが、他の先進国がやっていないことは日本もそろそろやめていく方向性ぐらいは示したらいいんじゃないかと思いますが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 かつて、橋本龍太郎、時の内閣総理大臣が何と言われたか。そのころ議員をやっておられたかどうか存じませんけれども。時々大量に持っているアメリカ国債を売りたいなという気持ちになることもあると言って、この程度のことだけで株に一体どのような影響が出たかというのは、もうあの当時の新聞、一面これで全部ですので。

 私もあしたの一面トップに載る気もありませんので、済みませんけれども、今御指摘のあった考え方というのは、前々からよく指摘されているところでありますので、先ほどの答えと同じで恐縮ですけれども、慎重に検討をさせていただきたいと存じます。

浅尾委員 ぜひ慎重に、そして合理的に検討していただけるようにお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 きょうは、私も大変尊敬しております日本郵政の西室社長にもお出ましをいただいております。

 来年度、日本郵政が上場を予定しておりまして、今、日本郵政、これは間接的に子会社であるゆうちょ銀行を一〇〇%持っておりますが、ゆうちょ銀行が持っている資本が十一兆円、そして日本郵政がその他の部分で持っているのが一兆数千億なので、十二兆円の資本を持っているわけでありますが、来年、日本郵政が上場を予定されております。

 西室社長は、元東京証券取引所の社長であられたわけでありますけれども、十二兆円の資本を持っている会社ですけれども、利益は日本郵政の計画で二千二百億円ぐらいしか出ない。二千二百億を十二兆で割ると、物すごくROEの低い会社になるということでありますし、そういうものを上場した場合に、つく株価も低くなるだろう。低くなるというのは、その資本に対して低くなるということが予想されます。

 一般に、東京証券取引所に上場しているいわゆる大手の大銀行が大体利益の十倍ぐらいが時価総額だというふうに理解しておりますので、郵便事業そしてかんぽ生命事業はそんなに利益が上がっていないという前提で言うと、ゆうちょの利益が大宗だ、そうすると、二千二百億の利益に対して十倍というと、二兆二千億しか値段がつかない。

 かたがた、資本が非常に厚いということを考えると、先に、上場前に四兆円ぐらい減資をする、減資をして国庫に配当したらいいんじゃないか、そうすることによって国が財政難の中で非常にお金も回していくことができるんじゃないかということを、わざわざ新聞広告まで、みんなの党の党費を使って訴えさせていただいたので、それをパネルにさせていただいているわけでありますけれども。

 先般、代表質問の際に、総理の答弁では、これはゆうちょ銀行が考えるべきだという発言がありました。

 私は、今の安倍政権が企業にガバナンスを求めるということであれば、現在のゆうちょ銀行の株主は日本郵政でありますが、日本郵政を一〇〇%持っているのは日本国政府なので、不適切な資本の状況であるとすれば、日本政府としてもそれは株主として指摘をする、監督官庁ではなくて株主として指摘をするというのは当たり前のことなんじゃないかと思います。

 まずそのことについて、ゆうちょ銀行が一義的に考えるべきだというふうに総理は御答弁いただきましたけれども、株主として日本国政府が発言をするべきではないかということについてはどのように考えられますか。

高市国務大臣 郵政民営化法に基づきまして民営化された日本郵政グループにおけます「経営の自主性、創造性及び効率性を高める」、これが基本理念として掲げられております。

 ゆうちょ銀行につきましては、みんなの党で御提案されている減資につきましては、ゆうちょ銀行と、そしてその株主であります日本郵政の御判断によるものであると考えます。

浅尾委員 私は監督官庁である総務大臣に伺ったんじゃなくて、株主は多分財務大臣だと思いますので、株主としてどういうふうに考えるかということです。

大島委員長 それでは、財務大臣、株主として。

麻生国務大臣 一人株主だということ、一人株主というか財務相が株主、一人で、一者で持っているということなんだと思いますが、今言われましたように、コーポレートガバナンスだ、スチュワードシップ・コードだと言っている話と今の話とちょっと合わないではないかという御指摘なんだと思います。

 これは私どもも、今言われるようなことは私どもの話としては考えないわけではありませんけれども、これは浅尾先生、ほかの役所ならともかく、財務省がこれを言った途端に不当介入じゃないかと言われることはまず間違いないだろうと思いますね。財務省というのはちょっとしただけでも必ず言われる役所だということを百も二百もわかってからちゃんと財務大臣を引き受けろと言われましたので、私もそう思いつつ、かれこれ二年たちますけれども。

 ちょっとしたことでも、やはりこの話は世界じゅう大きく関心のあるところでもありますし、ファンドなんかもえらくここに興味のあるところでもありますので、ここのところに関しましての発言は控えさせていただきたいと存じます。

浅尾委員 私は、今は日本国民全員の財産が日本郵政だ、これは一旦上場すると一〇〇%日本国民の財産じゃなくなっちゃうので、今のうちにやるべきことをやっていったらいいんじゃないかというふうに思います。

 私どもがゆうちょ銀行は過剰資本じゃないかと指摘をしていたら、ずっとゆうちょ銀行は過剰じゃないと言っておったんですが、最近、七千億円を年金債務に使う、そして六千億円を運輸事業に使うということで、一兆三千億円過剰だったというふうに認められましたが、その間の経緯について、西室社長に伺いたいと思います。

西室参考人 御質問いただきまして、どうもありがとうございます。

 基本的に、過剰であるかどうかという判断も含めて、私どもは経営について全面的に国からお預かりしているという意識は明らかにございます。しかしながら、今御指摘のような、その中でどういうふうに運営をしていくかということについては経営判断のうちであるということで、まず、私どもは、資本構成について約一年間いろいろ考えました。

 それで、これは歴史のことを申し上げるわけではございませんけれども、そもそも日本郵便という会社が、非常に大きな人員と、そしてその中の、これから先のユニバーサルサービスの義務を負っている、その先端になって仕事をする会社であるにもかかわらず、極めて資本が少ない、これを何とかしなきゃいけないというのが一つ。

 それから、もう一つの問題点は、今御指摘の整理資源と称する、これは昔の公務員さんの、昭和三十四年に公務員の恩給を、仕組みを変えられたときに、郵政の方に、その当時で約一兆二、三千億、それは私ども郵政が責任を持って返してくれ、こういうお話があったものの残りが今七千億ぐらいあります。この七千億というのは、私どもとしては、どういう形にこれから持っていくのがいいか、上場を含めて考えれば、これは信託資産にした方がいいだろうということで、オフバランスにすることを七千億については考えました。

 それから、もう一つの六千億の分でございますけれども、これはあくまでも、日本郵便という会社を本当の意味で国民のためにお役に立つ、日本の地域社会の役に立つような、そういう仕組みをつくっていくのには余りに資本が小さ過ぎる。そして、資本が小さいばかりに、この会社は、私がまだ社長になって日は浅いんですけれども、本当に、設備投資もほとんど使えないという状況にございました。これは変えておかなきゃいけないだろうということで、そこで六千億を計算した、そういうことでございます。

 あわせてその二つは、経営の判断として絶対にやらなきゃいけないことでございます。

 それから、先ほど御指摘の、今の株の相場からいえばという発想でおっしゃられましたけれども、私ども、現状では、約四兆円を国家のために上場によってお返しするというお約束もしております。

 そして、これは当然のことながら、上場の仕方をしっかり考えてやっていくことでございますから、来年、一番最初の上場をやらせていただくときには、多分、約一〇%あるいは一五%程度の上場にする。それは、マーケットが本当の意味で、私どものお役に立つための改革あるいはその先、それを御理解いただくことが非常に難しい。そうすると、それの評価というのは、先ほど御指摘のとおり、非常に低くなる可能性がございます。

 しかし、これを受けとめながらでも上場をしろというのは、これは郵政民営化法によって決められたことでございますから、必ず上場はいたします。しかし、ほぼ一〇%か一五%の上場から始めて、その後徐々に株を放出していくということで、最初の場合の値段というものについての影響は約一〇%程度の話で、これで初値が決まる、そしてマーケットバリューが決まる。その先について、私どもとしては、大きな希望を持っておりますし、国民の皆様方にも期待をしていただけると思いますので、必ず四兆円の分は国にお戻しすることができるような上場をしっかりとやらせていただくということでございます。

浅尾委員 西室社長に伺うよりは、今の御答弁を政府に伺った方がいいと思うんですが、上場によって、一回目ではなくて、将来的に、全部売らないけれども、四兆円を約束していると。約束は結構なんですが、約束を実現する責任の主体は誰なのか、それを実現できなかった場合にどういうふうに責任をとるのかを伺いたいと思います。

西室参考人 多分、最終的な責任は現在の一〇〇%株主にある、こういうお考えでおっしゃっていると思います。

 しかし、私どもは、一〇〇%株主からの信任を得て、そして会社の経営をやらせていただいております。この責任は、私ども経営陣、そしてまた従業員全員が負うものだというふうに思っております。

 したがって、これから先の、政府の責任になるような、そういう空約束をしているつもりは全くございません。

 以上でございます。

浅尾委員 実は、四兆円というのは、東日本大震災からの復興で、日本郵政の株を売却して財源とするのが四兆円というふうになっている。したがって、これは本当は政府が四兆円で売る責任を持っているわけですね、その何%かは別として。経営を担っておられるのが西室社長。ですから、私は別に西室社長にその点において責任をとれということを言うつもりは全くないんです。

 しかし、日本郵政自身が、今の利益の計画でいうと二千二百億しか出ない。それを、大きな投資をしてよっぽどその二千二百億が四千億、五千億になるということであれば、四兆円、それもトータルです、全部売って初めて四兆円ぐらいの値段につくということなので、そういったことも含めて、できることは、過剰に持っている資本があれば、それを先に国庫が吸い上げるということを、ぜひ政府においても、ひそやかにで結構でございますから、新聞の一面にならないように、検討していただくようにお願いをさせていただいて、私の質問を終えたいと思います。

大島委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず初めに、台風十八号、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。また、御嶽山の噴火に巻き込まれ亡くなられた方々と御遺族に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 火山活動の観測監視と避難の体制について総点検し、抜本的な見直しと強化を進めることを求めていきたいと思います。

 また、ことしの夏、広島市を初め集中豪雨や台風による被害が相次ぎ、多くのとうとい命が失われました。犠牲になられた方々を哀悼し、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。

 台風や大雨を前に今後も安心して住み続けられるのか、政府は、切実な不安に正面から向き合うべきであります。自力で避難された方々に対する住宅支援、納得を得られる被害認定などの緊急の対応とともに、全ての被害者が生活を再建するために必要な対策を強く求めるものであります。

 そこで、きょうは、私は、米軍普天間基地問題について総理に質問をいたします。

 普天間基地は、沖縄県宜野湾市にあるアメリカ海兵隊の航空基地です。宜野湾市のど真ん中に位置し、住民は、その周辺を取り囲むようにして生活することを余儀なくされております。その上空を米軍機が日常的に旋回し、訓練を行っており、危険きわまりない状態である基地であります。

 一九九五年に発生した米兵による少女暴行事件、これに抗議して開かれた沖縄県民大会を契機に、日米両政府は普天間基地の返還に合意をいたしました。ところが、それにかわる新たな基地の建設が条件とされたために、十八年が経過した今なお、返還は実現していません。

 政府は、昨年三月、名護市辺野古への新基地建設に向けた埋立申請書を沖縄県に提出し、昨年末、沖縄県の仲井真知事は埋め立てを承認いたしました。

 ことし一月の名護市長選挙で、辺野古の海にも陸にも基地はつくらせないとする稲嶺市長が再選され、基地建設反対の民意が改めて示されました。しかし、政府は、その直後から本体工事に向けた入札手続を開始し、今、辺野古では海底にくいを打ち込むボーリング調査が進められています。

 こうした政府の対応に、県民の怒りはさらに広がっております。八月の地元紙の世論調査では、基地建設に向けた作業を中止すべきだと答えた県民が八割を超えました。ボーリング調査を開始した安倍政権の姿勢を支持するとの回答は一八・六%、不支持は八一・五%に達しています。

 まず、総理の基本的な認識を伺いますが、なぜこれだけの県民が基地の建設に反対するのか、総理はどういう認識をお持ちですか。

安倍内閣総理大臣 今、赤嶺委員がおっしゃったように、確かに、現在の普天間基地は、住宅に囲まれ、学校にも囲まれ、市街地の真ん中にあるわけでありますから、この普天間基地の固定化は断じてあってはならない、これは我々とまた沖縄県民の皆様との共通の認識であろう、このように思うわけでございます。

 そこで、今議員が御指摘になったように、この基地の移設をするために、米国と協議をし、合意したのが辺野古への移設でございます。この移設をするに当たっては、決して基地の拡張であってはならない、できる限り負担を小さくしていく、負担を削減していくということでございます。

 その意味におきましては、現在の普天間飛行場の機能は三つあるわけでありまして、一つはオスプレイなどの運用機能、そして、もう一つが空中給油機の運用機能、そして三番目に、緊急時に外部から多数の航空機を受け入れる基地機能という三つであります。これに対して、辺野古に移る機能は、そのうちの一つ、オスプレイの運用機能のみでありまして、機能は三から一に減るわけであります。

 なお、空中給油機については、既に八月に全機、山口県の岩国基地へ移駐を完了しているわけであります。

 また、辺野古におきましては、埋め立てる面積は全面返還される普天間飛行場の面積と比べれば三分の一以下でありまして、大幅に縮小されるところであります。

 さらには、訓練等で日常的に使用する飛行経路については、現在、市街地の上空でありますが、これが移設後は周辺の集落から数百メートル離れた海上へと変更されるわけであります。

 まさに、現在は市街地の真ん中にあるという大きな問題があり、そして騒音においても、一万数千世帯の方々が住宅防音が必要になる状況に置かれているわけでありますが、移設後は、このような住宅防音をしなければならないような世帯はゼロになるわけでありまして、一万数千世帯からまさにゼロということになっていくわけでありまして、そのこともどうか御理解をいただきたいと思いますし、騒音の値は住居専用地域に適用される環境基準を満たすことになるわけであります。

 これに加えまして、万一航空機に不測の事態が生じた場合は海上へと回避することで、地上の安全性が確保されるわけであります。

 このように、辺野古への移設は負担軽減に十分資するものである、このように考えている次第でございます。

 また、これ以外にもしっかりと、負担軽減の具体化のため、関係閣僚そして沖縄県知事及び宜野湾市長をメンバーとして設置された普天間飛行場負担軽減推進会議などを通じて地元の皆様の意向を丁寧に伺いながら進めていく考えでございます。

赤嶺委員 総理は今、普天間基地は移転先の条件が問題であり、移転そのものは何の問題もないかのような、そういう答弁を行いました。この間から繰り返し行っております。

 我々は、基地があれだけ集中している沖縄で、新たな基地が今つくられることを重大視しているわけであります。これが、先ほどの世論調査で、総理の態度を支持しているのは極めて少なく、そして総理の態度を批判しているのが八〇%以上に上っている。総理の先ほどの答弁は県民を納得させるものではないということを一つ申し上げて、それで、沖縄の基地問題を考える上で何が大事かということについて、きょうは総理と議論をしてみたいと思います。

 県民が新たな基地の建設に反対をするのは、米軍基地があるもとで続いてきた県民の苦難の歴史があるからです。

 沖縄の米軍基地は、沖縄戦で上陸した米軍が、住民を収容所に収容している間に、住民の土地を奪ってつくったものです。その後、一九五二年のサンフランシスコ講和条約第三条で、沖縄は、奄美、小笠原とともに本土から切り離され、米軍占領下に置かれ続けました。そのもとで、米軍は、銃剣とブルドーザーで住民の土地をさらに奪い、基地を拡張いたしました。こうしてつくられたのが今の沖縄の米軍の基地であります。

 一九七二年に沖縄は本土への復帰を果たしましたが、米軍基地はほとんどそのまま残されました。県民が願ったのは憲法のもとへの復帰でありましたが、その後も、米軍による殺人、婦女暴行、米軍機の墜落、爆音、原野火災など、全く変わりませんでした。

 県民が求めてきたのは、米軍基地の縮小、撤去を進めることであります。基地のたらい回しでは絶対にありません。

 総理は、辺野古に基地ができれば沖縄の負担は軽減されると言いますが、逆に、その負担は沖縄本島の北部、中部の住民に集中し、将来にわたって北部、中部の住民が基地に苦しめられることになるのではありませんか。

安倍内閣総理大臣 それはある意味、先生がおっしゃるように、これは、この基地はなくしてということになれば、いわば、そのまますっかり沖縄の基地負担の軽減につながるわけであります。

 一方、米軍基地は、日米の安保条約の中において、日本に、そして沖縄に多くが存在するわけでありますが、そのことによって抑止力機能を果たすわけでございます。この抑止力機能において、日本は平和と安定を手に入れることができる。

 しかし、その中において、できる限り沖縄の負担を軽減させていく努力を私たちは積み上げてきたわけであります。相手があることでありますから、こちらがこう言えば決まるということではございませんが、しかし、先ほど申し上げましたように、普天間から辺野古にかわっていくことによって、三つの機能のうち一つだけになるわけでありますし、岩国への移駐も、これは十八年越しのことがやっと実現できたわけであります。

 そしてまた、嘉手納以南の基地の返還、嘉手納以南の返還計画についても、これは七年越しの課題であったわけでありますが、昨年、オバマ大統領と会談をいたし、そして合意に至ったわけでありますが、来年、まず西普天間住宅地区が返還されます。三月には返還される予定でありまして、広さでいえば、これはディズニーランドとほぼ同じ面積が来年返ってくるわけでございます。

 このように、着実に交渉しながら、一歩ずつ我々は沖縄の負担の軽減に向けて努力を重ねているわけであります。

 さらには、さまざまな訓練等につきましても、これは、沖縄県外における訓練等に向けても、オスプレイについてでありますが、沖縄県外における訓練等を着実に推進しているほか、さらなる負担軽減のため、本土にオスプレイの訓練基盤を整備することとしているわけでございまして、我々は、しっかりとお約束したことは実行していきたい、このように考えておる次第でございますし、沖縄の皆様にも丁寧に御説明していきたい、御理解を得る努力をしていく考えでございます。

赤嶺委員 総理は、私が、普天間基地を辺野古に移したら、北部、中部が米軍の軍事要塞化されて、今でも基地に苦しめられている北部、中部の皆さんが一層基地に苦しめられることになるんじゃないかということにはお答えにならずに、抑止力だとおっしゃいました。

 抑止力の名前で人権が侵害される、抑止力の名前で軍事優先の社会がつくられている、ここを異常と思わない限り、沖縄の基地問題は絶対に解決できる話ではありません。嘉手納以南の土地の返還といっても、全部移設条件つきです。移設条件をつけて、その条件を満たさなければ基地は動かさないと言ったら、沖縄の基地は絶対に動かせるはずはありません。

 今、北部、どうなっているか。現に、先ほど総理は、基準値を超える騒音が出る場所は、辺野古に基地を移したらゼロだとおっしゃいました。官僚が自分で鉛筆をなめなめつくった作文ですよ。そんな、今でさえ、辺野古の上空、オスプレイが飛んでいるんですよ。国立高専のそばにオスプレイの着陸帯があるんですよ。その辺野古にオスプレイが配備されたら、今住宅地上空を飛んでいるオスプレイ、飛ばなくなるんですか。ゼロになるんですか。そんなのはあり得ない話ですよ。

 辺野古だけじゃないですよ。だから、ゼロになるというのは官僚の作文で、もう一回官僚から説明を聞き直した方がいいと思いますよ。だって、米軍も言っているんですよ。海だけ飛ぶといったって、そんなのは無理だ、陸地も飛ぶことになるんだということは繰り返し言っているんですよ。埋立申請書の中にも書かれているんですよ。

 こういうようなことを無視して、ゼロになるというあり得ないことを言う。辺野古だけではないですよ。辺野古の近くの東村の高江でも、住民の抗議にかかわらず、集落を取り囲むようにしてオスプレイの着陸帯の建設が進められています。伊江島では、オスプレイが重さ三トンもあるコンクリートブロックをつり下げて集落上空を飛行しています。こうした訓練は一層激しくなることになりかねません。絶対に移転を認められないというところは、こういうところにあるわけです。

 大体、米軍の占領下で力ずくでつくられた、そしてその基地が今なお引き継がれているのが沖縄であります。その沖縄で移設条件をつければ、基地の返還は進みません。普天間基地は、当初の合意では五年から七年の間に返還される計画でありました。ところが、移設条件がつけられたために返還は実現せず、二〇〇四年には沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落をいたしました。

 総理は、普天間基地の一日も早い危険性の除去が必要だと言いますが、移設条件をつけたことが普天間基地の返還をおくらせてきたのではありませんか。

安倍内閣総理大臣 基本的には、まさに普天間の固定化はあってはならないとの考え方のもとに、辺野古への移設を我々は進めていく考え方で、沖縄の皆様の御理解をいただきながら進めてきたところでございます。

 そういう意味におきまして、現在はまさに市街地の真ん中にあるわけでありまして、先ほど来繰り返しているように、市街地の真ん中にあるものがいわば海側にできるわけでございます。半分は海上になるわけでございますから、これは大幅に変わってくる。まさに現在は防音が必要になる戸数が一万数千世帯であるものが、このようにゼロになっていくということでございます。

 その点、やはりそういう意味におきましては、我々は辺野古への移設を着実に進めていきたい、地域の皆様の御理解を得る努力を進めながら同時に進めていきたい、このように考えているところでございます。

赤嶺委員 辺野古に移せばゼロになるというお話にこだわっておりますが、これは私が国会で何度も取り上げてきたことでありまして、米軍は必要な場合は民間の集落上空を飛ぶのではないかという質問に対して、当然それは米軍の運用にかかわることでありますから、当然飛びますよというのがこれまでの政府答弁でありました。安倍首相になってから、そういううその説明を繰り返しているわけであります。これは私は絶対に納得いきません。

 それで、本当に沖縄の米軍基地というのは、移設条件をつけなければ解決できないのか。

 一九六〇年代から七〇年代にかけて、日米両政府の間で沖縄返還交渉が始まりました。先日、その沖縄返還交渉のアメリカの側の担い手でありました、交渉当事者だったモートン・ハルペリン氏が、復帰後初めて、四十七年ぶりに沖縄を訪問いたしました。普天間基地の問題についてハルペリン氏がどういう発言をしているか、これはメディアでも大分取り上げられたんですが、総理は御存じでしょうか。

安倍内閣総理大臣 普天間の返還については、そもそも日米合意においては、代替施設ができてから返還されるというのがそもそもの合意でございました。

赤嶺委員 それは普天間基地の話ですね。普天間の辺野古ですね。ハルペリン氏が担当したのは沖縄返還交渉なんです。一九七二年ですからね。私たち沖縄県民は、そのハルペリン氏が、当時の返還交渉の当事者がこんなことをおっしゃるのかといって少しびっくりいたしました。

 ハルペリン氏はこう述べているんです。

 いまだにこれだけ多くの米軍基地が沖縄に残っているという現実に改めて驚きを感じた。日本本土の米軍基地は、一九五二年に米国による占領統治が終わった後、大幅に減った。沖縄もそうなるだろうと返還交渉時には漠然と思っていたが、日本政府が沖縄の声を十分にアメリカ側に伝えてこなかったのではとの疑念を抱く。こうハルペリン氏はおっしゃったんですね。

 さらに、ハルペリン氏はこう言っております。

 基地をめぐる沖縄県民の意思は尊重されるべきだ。日米とも民主主義の国である以上、民主的な手続で基地の将来を決めていかなければならない。日中間の緊張など安全保障上の視点も当然考慮することになるが、ベトナム戦争中に沖縄返還の合意ができたことを考えれば、安全保障環境がより厳しいとは思わない。このように述べております。

 沖縄返還当時は、ベトナム戦争真っただ中でした。米軍が、沖縄の米軍基地を一番必要とする時期でした。そのときでさえも、返還交渉を前進させた、ハルペリンさんはこのようにおっしゃっているんです。

 沖縄県民の声をもっと大事にすべきだ、民主主義の国じゃないか、このようにハルペリンさんはおっしゃっているんですが、総理はどのように受けとめられますか。

安倍内閣総理大臣 私は、そのハルペリンなる人物は承知をしておりませんし、発言内容についても承知をしておりません。もし質問通告をしていただければ、今御紹介をいただいた中身が、本当にそういう発言があったのかどうか確かめようがありますが、今、確かめていない段階でお答えすることはできません。

赤嶺委員 要するに、知らないから答えられないということであって、ハルペリンさんは、やはり民主主義の国であればそういうことは当然だというような点であります。

 次に、総理が繰り返されてきました、現在の普天間基地の機能について、幾つかは本土に移転されるから負担は軽減される、こういうことを強調されました。

 現在の普天間基地にある三つの機能、オスプレイ、それから空中給油機、緊急時の航空機の受け入れ機能、これは一つになるんだ、辺野古に移るのはオスプレイだけで、他の二つは本土に移転される、このように強調しておられます。

 そこで伺いますが、普天間基地の空中給油機は、八月、山口県の岩国基地に移駐いたしましたが、辺野古の新基地に飛来することはないのですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今、赤嶺委員から御質問がありました、空中給油機KC130の移駐完了によりまして、まずは、軍人軍属等八百七十名が沖縄県外に移りました。

 その後、KC130は全部移転しましたけれども、しかし、訓練等の関係、あるいは運用等の関係において沖縄に再度訪れるということはあろうかと思っております。

 ただ、細かいところは、米軍の運用の関係もありまして、それなりに我々もできるだけ情報の収集は、得ようとして努力はしているところでございます。

赤嶺委員 江渡防衛大臣、安保委員会でもいろいろ一緒にお仕事を正反対の立場でやってきたところでありますが、岩国に移ったKC130、訓練などで沖縄に移ることは、米軍の運用の問題であるから、あろうかと思います。

 そうしたら、辺野古にも移っていく、辺野古に新たな基地をつくった場合に、KC130の運用の問題ですから、それもあり得るということでよろしいですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 その具体的なことは、米軍の関係のこともありますから、私が確たることはお答えできませんけれども、ただ、滑走路の長さ等々を考えた場合に、果たしてKC130を辺野古で運用するかどうかというと、またこれは微妙なところがあろうかというふうに私自身は思っておるところでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 江渡大臣、軍事は専門家ですから間違いはないだろうと思ったんですが、実は、滑走路は、オスプレイに必要な滑走路の長さ、これは千五百三十六メートルです。KC130は千四百三十三メートルです。滑走路も満たしているんですよ。いかがですか。

江渡国務大臣 そもそも、その距離云々というのはいろいろあろうかと思いますけれども……(発言する者あり)今、赤嶺委員が言ったからそのように言っておるわけであります。

 ただ、米側の方から我々が聞いているところでは、海兵隊は、引き続き伊江島、嘉手納及びその周辺の空域を訓練しますというふうなことは我々は聞いておりますけれども、新たにできる辺野古をということはまだ聞いておりませんので、これは、最終的には米側の運用状況によろうかと思っております。

赤嶺委員 つまり、総理が、KC130は岩国に移すんだ、沖縄の負担軽減のためにこんなに一生懸命政府は努力しているんだと言っていたKC130は、訓練のために沖縄に戻っているんですよ。

 それで、米軍は、そのときのプレスリリースの中でこのように言っています。

 海兵隊の運用要件及び沖縄に駐留する地上部隊との関連任務のため、KC130は今後も定期的に沖縄に飛来し、適切な支援を提供していく、具体的には、引き続き普天間基地、伊江島補助飛行場、嘉手納基地及び沖縄周辺の訓練空域を使用し、運用、演習、訓練を支援する、このようにプレスリリースで述べているんですね。沖縄はとても大事な訓練の地域だ、普天間も伊江島もそうだ、このように言っているわけですよ、米軍が。

 それは、本籍地は岩国に移したかもしれません。だがしかし、演習、訓練をするために、現住所は沖縄なんですよ。沖縄ですよ。

 では、総理は、KC130は沖縄に戻って訓練はしていないと断言できますか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 それは、運用や訓練の都合上、沖縄でそれなりの形の訓練や行動はすることがあるかもしれませんけれども、実際に、KC130はもう移駐してしまっています。そして、軍人や軍属等合わせて八百七十名がもう既に岩国の方に移っているという、その現実というものをまずは御理解いただきたいと思います。

 その分は、少なくとも沖縄にとっての負担軽減には私は資すると思っているところでございます。

赤嶺委員 本籍地は岩国に移したけれども、現住所は普天間で、今までと相変わらずタッチ・アンド・ゴー訓練を行い、しかも、深夜の訓練までKC130は行われている。そういう実態があるわけですよ。

 先ほどから、これは米軍の運用の問題だ、そこからはちょっとなかなか答えにくいというお話でありましたが、やはり運用の問題まで立ち入って検討しなければ、沖縄の基地問題というのは絶対に解決しないんです。

 運用は米軍のやりたい放題、排他的な基地を使う権利を持っている、だからこそ、どんなに負担軽減だと移転しても、また帰ってきて訓練する。これまで政府が一生懸命言ってきた嘉手納の問題ですが、ここで繰り返されてきているわけです。

 二〇〇六年の米軍再編合意で、嘉手納基地のF15戦闘機の訓練の一部が本土の自衛隊基地に移転されることになりました。しかし、嘉手納の爆音被害は何も変わりませんでした。

 防衛省の騒音測定調査によると、基地周辺の北谷町砂辺のうるささ指数、いわゆるW値でいうと、二〇〇五年度が七十九・八だったのに対し、二〇一三年度は八十一・八です。むしろふえているわけです。訓練の一部を移転しても、アメリカ本国などから、F22ステルス戦闘機などの所属機以外の米軍機、いわゆる外来機が日常的に飛来して、沖縄の広大な訓練空域や射爆撃場を使って訓練を行うからであります。

 防衛省の調査でも、嘉手納の離着陸回数のおよそ三割前後を外来機が占めていると思いますが、この点、確認できますか。

江渡国務大臣 委員にお答えさせていただきたいと思います。

 嘉手納飛行場におきまして、同飛行場周辺住民等々から、日ごろ外来機が飛来するため騒音が増加している、あるいは、同飛行場所属の航空機の訓練移転期間中に外来機が飛来し訓練を行っているため騒音が増加し、負担軽減が実現されていないとの御指摘を受けたことを踏まえまして、沖縄防衛局におきまして、外来機の飛来状況について、平成二十二年四月から目視調査を実施しているところでございます。

 平成二十五年度の調査結果といたしましては、前回の二十四年度の調査結果に比べ、外来機の比率は前回とほぼ同じ約二六%で推移しているところでございます。

赤嶺委員 ですから、外来機が来るから騒音がふえているという。

 大体、外来機が来るから騒音がふえているということを、私がこの場で、この委員会で何度追及しても、本土に訓練は移転したから負担軽減になっていると言って認めなかったんですよ。それでも、爆音は増大しているという県民が絶対に引かない要求の中で、防衛省が目視調査をしたら、確かに、訓練移転している間、しかし、三割は外来機がやってきて効果が生み出されないという県民の主張が立証されたわけですよ。

 これは、十時以降は飛ばないという基地の騒音防止協定についても同じであります。全く守られておりません。アメリカは、住民の生活や安全よりも軍事運用を優先する、そういう軍隊として、六十九年間、私たちの目の前で活動してきているわけであります。

 日米安保条約、これに基づく日米地位協定の第三条は、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」いわゆる排他的使用権と言われておりますが、これを決めております。このもとで、どういう部隊を配備するか、基地をどう運用するかは、米軍の権限とされてきたわけですね。

 ですから、総理が、海に場周経路が設定されているから、米軍がその場周経路を守って飛んだら騒音は住宅地で基準値を超えることはないだろう、ゼロだというのは、あれは、あくまでも場周経路を守った場合という前提がついていて、大体守っていないんですから、米軍が。守っていないから、ゼロになるはずもないんですよ。

 この運用そのものについて、やはりここに手をつけない限り、住民の生活よりも米軍の運用が優先される、こういう状況を変えない限り、沖縄の基地の負担は軽減できないのではありませんか。総理、いかがですか。

江渡国務大臣 済みません、先にお答えさせていただきたいと思います。

 今、委員からるるお話があったわけでありますけれども、しかし、我々は、できるだけ沖縄の皆様方の負担軽減のために資するため、特に航空機の騒音軽減のためには、例えば、再編実施のための日米ロードマップ等々に基づきまして、グアムへの移転ということも、訓練移転というのを実現もさせていただいておりますし、また、そのほかには、特に、本年の三月二十八日ですけれども、日米合同委員会で合意させていただきまして、私の地元であります三沢の方の対地射爆場を使わせていただいて、空対地訓練等々も実現させていただいているというところで、とにかく、できるだけ私たちは、沖縄の皆様方の負担をどうやって軽減するかということに対しては、少しずつかもしれませんけれども、努力しているということをまずは御理解していただければありがたいなと思っているところでございます。

 と同時に、オスプレイの先ほどのお話がありましたけれども、これらにつきましても、我々は、九月五日及び九月九日に文書においての申し入れもさせていただいているというところも御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 米軍の運用優先、地位協定の排他的な米軍の権限、これを変えない限り、どんなにKC130が岩国に移ったといっても、今なお、今普天間で訓練をし、将来は辺野古でも訓練をすることになっていくという、その危険性を指摘しておきたいと思います。

 次に、ちょっと時間が迫ってまいりましたが、埋め立ての承認の変更について伺いたいと思います。

 総理は、埋め立ての承認は、法令にのっとり既に判断が示された、もう過去の問題だ、このように強調しておられます。果たしてそうでしょうかという問題です。

 埋立申請は、去年の十二月に承認されたばかりであります。ところが、政府は先月、承認されたばかりの埋立申請の変更を沖縄県に申請いたしました。その中には、辺野古ダム周辺の土砂採取に関する変更が含まれております。

 政府は、埋め立てに必要な土砂二千百万立米のうち、二百万立米を隣接する辺野古ダム周辺から採取することを計画しておられます。従来は、ダム周辺で土砂を採取し、湖面をまたいでベルトコンベヤーで運び、埋め立てに使用する計画でありましたが、これをダンプトラックで国道を通って運ぶ計画に変更いたしました。

 なぜこのような変更を行ったんですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 九月三日に沖縄防衛局が沖縄県に提出いたしました普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面の埋め立てに関する申請書は、埋め立て等の工事について、安全及び環境の保全に配意しつつ、より効率的かつ着実に進めるための方策を事業内容に反映させるものでありまして、そのような趣旨で変更申請をさせていただいたというところでございます。

赤嶺委員 江渡大臣の今の答弁、着実かつ効率的にというのを、現場の実態に合わせて、もうちょっと現場的に説明を申し上げますと、ベルトコンベヤーを設置するには、名護市の法定外公共物管理条例に基づいて、名護市と協議し、そして同意を得ることが必要になります。ダンプによる輸送の場合は、そのような手続は必要ありません。

 一方的に政府の側が計画を変更して、名護市との協議を打ち切り、名護市の同意がなくても工事を進められるようにした、そういうことではありませんか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 先ほどもお答えさせていただいたように、あくまでも、安全及び環境の保全に配意しつつ、より効率的にかつ着実に進めるためのものでございまして、今先生の御指摘のようなことではございません。

赤嶺委員 土砂運搬を、トラックで国道に運び出す、そういう作業になったためにどういうことが起こるか。計画の変更に伴い、十トン車の換算で合計十万八千台、一日平均五百九十二台のダンプが行き交うことになります。

 政府は、環境アセス評価書では、ベルトコンベヤーを使うことで埋立土砂運搬に伴うダンプトラックの走行は最小限に抑えると、あなた方のアセスに書いてあるわけです。走行に伴う粉じんや騒音、振動を避けられることから、環境に配慮された計画であるんだと、その根拠の一つにしてまいりました。

 ダンプの走行による環境への予測、評価も行われていませんが、そのこととの関係をどのように説明するんですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 ダンプによる影響等々につきましては、今現在は沖縄県において審査中であることから、具体的な内容については、環境負荷がどうなるかということについては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 終わります。

大島委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、四点について、それぞれ政府の考え、計画、見解をただしてまいりたいと思います。

 その前に、御嶽山の噴火によって亡くなられた方々、そして御遺族の方々にお悔やみを申し上げ、事故に遭われた方々へのお見舞いを申し上げたいと思います。あわせまして、去る八月の各地で発生した豪雨により被災された方々へのお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 台風十八号の襲来によって発生している被害及び交通網、輸送網などの影響については、万全の復旧対策をとるべく、政府においても、自治体及び関係機関との連絡、連携を密にとって取り組んでいただきたいと願うものであります。

 改めて思いますことは、日本という国は、一年を通して、暮らしの中で、国内それぞれの地方では、時として荒れ狂う厳しい自然環境の中にあって、生きるため、生活の糧を守るために、その艱難辛苦を乗り越えんとして懸命な努力を尽くすという歴史をつづってこられました。

 災害を未然に防ぐ防災はもちろんですが、その災害からの影響を少なくさせるための減災という言葉そのものも、万一の場合に備えるための努力として、個人個人や各御家庭、各職場で日常的に使われていることだというふうに思います。

 他方、大規模な防災対策や総合的な減災対策については、国、政府がその取り組みをしっかりまとめ上げ、都道府県並びに地方自治体や、または自治体による広域的組織などが、地域の企業とスムーズに連携していくための計画や、予算を互いに措置し合える関係をつくるなど、いわゆる火山列島、地震大国、台風銀座、豪雪地方と言われている我が国におけるこれまでの災害への取り組みを常に点検し、更新することはもちろんのこと、さらに、ゲリラ豪雨ですとかあるいは竜巻の発生などの際の迅速かつ詳細な情報を伝えるツールの開発と共有など、そのほか、万全を期するための徹底した観測事業なども、これからもしっかり取り組んでいただくことをあわせてお願いする次第であります。

 では、その点を踏まえまして、質問に入らせていただきます。

 総理は、さきの所信で、まず最初に、災害に強い国づくりということで所信を述べられました。その中で、国土の強靱化、災害対策について挙げておられます。

 そこで、まず総理の考えを改めてお伺いいたします。

 災害対策基本法の、特に挙げられております改正や国土強靱化との関連性などについて、そのお考えをまずお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨今は、短時間に膨大な雨が集中的に降ることによって、これまでに経験したことがないような甚大な災害が発生をしています。こうした状況に対応するためには、災害の経験を生かして、防災対策を不断に見直ししていくことが必要である、こう考えています。

 これまでも、短時間で安全に避難するため、屋内で安全が確保できる高さまで避難する、いわゆる垂直避難という選択肢を災害対策基本法に位置づけたわけでございまして、これは昨年の、平成二十五年六月に改正をしたわけでございますが、本年八月に広島で発生した土砂災害でも、二階への避難で難を逃れた方もおられる、このように思うわけでございまして、このときの、垂直型の避難という選択肢について提示をしたことが一部では生かされているのではないか、このように認識をしております。

 このように、災害対策基本法は不断の見直しを行っているところでありまして、今国会に提出を予定している改正案も、ことしの大雪災害の教訓等を踏まえまして、災害時における放置車両対策を強化するためのものであります。

 あの大雪のときには、車が動けなくなって、そのまま車に鍵をかけて退避をした方がたくさんいらっしゃったものでありますから、全く車が動かなくなってしまった。緊急車両も通らないし、その後、道を雪かきして交通を再び可能にしていくということにおいて大きな障害があったのも事実でございますので、こうした点からも改正をしていこうということであります。

 今後とも、自然災害が起こりやすい我が国において国民生活と財産を守るため、ハードとソフトを組み合わせた総合的な防災・減災対策に政府一丸となって取り組んでいく考えでございます。

玉城委員 その広島の豪雨による被害に遭われた方々は本当に大変御苦労をしていらっしゃるなと思いますのは、いわゆる土石流といいますか、その中にまじって、たくさんの杉の木、樹木が、一緒に押し流して、それがさらに被害を広げているというふうな光景がございました。

 ですから、私は、ぜひ、災害に強い森林づくりというものをこれからは防災、減災のために位置づけてしっかりと取り組むべきではないかというふうに思う次第です。

 そこで、災害に強い森林の整備について農水大臣にお伺いしたいと思います。

西川国務大臣 災害に強い国土づくり、森林はどういう役目を果たすか、こういうことを考えながら、農林水産省としましては、斜面をより安定させ、土砂の崩壊、流出や流れ木の発生を抑えるための治山施設の整備を行ってまいります。あわせて、樹木の根や下草の発達を促し、土砂の崩壊、流出防止効果を高める間伐の着実な実施、あるいは、多様な樹木が根を張ることによりまして山の斜面を安定させていきたい、こう考えております。

 今後とも、このような、災害に強い森林づくりの取り組みを通じた緑の国土強靱化を進めてまいる考えであります。

玉城委員 ありがとうございます。

 私は沖縄に住んでおりますので、杉の木はほとんどなく、どちらかというと広葉樹が多いのではありますが、それでも、やはり大雨が降ると、その保水力に限界が来て崩落するということもたびたび見受けることがございます。

 ですから、これからはきちんと、みお筋や沢筋に合った樹木の選択、それから低い木、高い木の選択、そして針葉樹、広葉樹の混交林というふうな形の、より進んだ森林政策をぜひとっていただきたい、そういうふうに願う次第でございます。

 そして、実は、アメリカで、これはさる会合で発表されたことなんですけれども、ミズーリ川が一九九三年に氾濫を起こして、それから二年たってから復旧作業が完了いたしました。しかし、五百年に一回というミズーリ川の氾濫が、わずか二年後に、今度は二百年に一回の想定で再び起こって、回復したインフラが全てまただめになったというふうなことがあって、アメリカでは、そこの、水が氾濫する地域に住んでいらっしゃる方々、あるいは災害に見舞われるかもしれないという方々の土地を買い上げて移っていただく、つまり、災害から避難していただく、最初の段階で避災をしておく、そういう考え方がとられております。

 こういうことに関しては、当然、災害が起こる前に、きちんとその災害が起こり得ることを想定して、災害から避ける避災への検討をぜひ行うべきではないかというふうに思いますが、その件についてお伺いいたします。

太田国務大臣 時間軸で対応するということが非常に大事で、そのときの、ハードとともにソフトというのをもっとしっかりやっていく必要があるというふうには思っています。

 時間軸というのは、日本の防災対策にはなかなかなかったものですから、アメリカの一昨年のハリケーン・サンディを例にしまして、タイムラインというのを設定しました。五日前には、台風等であれば来ることが予測されますから、どう対応する、一日前には、地下鉄はどうする、会社はどうする、そして、それぞれの企業等を含めて行政はどうするということを一人一人にわかっていただくように、五日前、四日前、三日前、そして何時間前というような体制をとらせていただいて、それをことしからスタートさせたところでございます。

 玉城先生おっしゃるように、もう最初からここは無理だというようなところがあれば、何らかの、先に移転をさせておかなくてはならないという事態が、現在直ちにとは言いませんけれども、よく吟味したら出てくる可能性があると思います。

 現在の制度は二つございまして、一つは、東日本大震災等でも適用されております、いわゆる防災集団移転促進事業です。これは、その地域全体を移すということでありますものですから、今回は、この東日本大震災の後でその事業が行われて、いわゆる防集事業という、防災の、町全体が移るということ、これが動いているという状況にありますが、一番のネックは合意の形成でございます。

 もう一つの制度がございまして、それは、がけ地近接等危険住宅移転事業というのがございます。これは、なかなか今までは動いておりませんが、現実には、個別に、ここは先にここに移るというようなきめ細かな対応で、数例、事例がございます。

 これらについても、全体的な長い時間軸、あるいは短いタイムライン等の時間軸、これを今回の防災ということについては常に頭に入れた、ハードそしてソフト対応という形の防災対策に努めていきたいと思っているところであります。

玉城委員 ぜひ、そのソフトをさらにもっと充実といいますか拡充をして、しっかりと対応できるということに、先駆けて取り組んでいただきたいというふうにお願いいたします。

 では次に、地方創生に関する件でお話を伺います。

 今回の所信でも、やはり総理は、まち・ひと・しごと創生に関して、本当に力強いといいますか、各地のさまざまなメニューを紹介しながら、やればできるというふうなことをおっしゃっていらっしゃいました。

 そこで、総理に、その創生本部が目指すものについて、その考え、見解をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 地域の若者が将来に夢や希望を持てる、魅力あふれる地方の創生は、安倍政権の最重要課題であります。また、景気回復の波を全国隅々にまで届けることも、若い方々が安心して働き、また子育てができる地域をつくることにも資するわけでありますから、この景気回復の波を届けると同時に、若い方々が安心して働き、子育てができる地域をつくっていきたい、そして人口減少を克服する道筋を描いていきたいと考えているわけであります。

 東京に在住の方の中にも、四割の方は地方への移住の意思を持っているという調査があります。移住を阻害する要因を取り除いていくことによって地方へ人が集まるムーブメントを起こしていきたい、こう考えています。

 例えば、株式会社コマツが本社機能の一部を小松に持っていったわけでございますが、そのことによって小松に行った人たちの生産性も上がり、かつ、そこに移った人たちの出生率も向上したということでございます。

 こうした試みをすることに多くの企業がトライすることによって、だんだん地域も変わっていく可能性もありますし、また、事業者から見るのではなくて、人材が移っていくということも考えなければいけないわけであります。

 例えば、子宝日本一を目指して子育て世帯への手厚い支援と企業誘致を行った結果、全国一の出生率を鹿児島県の伊仙町は実現しているわけでございます。こうした例に学びながら、国が画一的な枠を押しつけるというよりも、地域のそうしたよさを、あるいは地域のチャレンジを応援していくようにしていきたい、こう思っています。

 そして、各地域の活性化策を推進するに当たっては、東京中心の経済政策とは異なる取り組みが必要であると考えています。すなわち、物や人の流れ、産業構造等の地域特性の客観的な分析を踏まえて、地域みずからが考えていくことが大切であります。また、地域特性を踏まえた地域主導の提案を国としてもワンストップで支援していくことが必要であります。

 現在は、各省が縦割りでございますので、地域にとっても、地域を興していくために何かやりたいといっても、それぞれ補助金が別で、それぞれに相談をしなければいけませんし、それをまとめて一つの力にするということもなかなか難しい中において、それをワンストップにしていきたいと思います。また、必要な場合は関連の制度改正を行っていきたいと思います。

 また、資金の手当てだけではなくて、知恵やスキルを持った人材を地方に確保することも重要でありまして、そうしたアプローチをとることなどを検討していきます。

 このため、私のもとに創設をいたしました、まち・ひと・しごと創生本部のもとで、各省の縦割りを排し、従来の取り組みの延長線上にはない政策を実行していきたい、このように思います。

 まずは、今国会に、地域への支援策をワンストップで実現するための法案や、ふるさと名物の販路開拓やブランド力向上のための法案等を提出して支援の体制を整備していきたい、こう考えております。

玉城委員 では、地方創生担当大臣に一点お伺いしたいと思います。

 実は、私の母のふるさとが伊江島というところでございまして、本部半島の美ら海水族館から見える向かいの島、フェリーで三十分ぐらいのところなんですが、そこが、実は民間宿泊体験、高校生、中学生の修学旅行の、民間の方々のお宅への受け入れ事業というのが大変好調でございます。

 幸いにも、きのうの新聞にもその記事が載っていたんですが、県内外の修学旅行生でにぎわいを見せている伊江島が、本年度は合計三百校、延べ約五万七千四百人の民泊を見込んでいるというふうに記事で紹介しています。料金が、三食だと九千五百円、四食だと一万円ですから、そのまま一万円掛ける五万七千四百人にすれば相当な経済効果があるというふうに見込まれます。

 さらに、周辺の商店でも買い物をする、その地域でいろいろな子供たちのお土産を買う、そういうふうなことも実は好調でして、伊江村では、伊江ソーダ、炭酸飲料ですね、伊江ソーダですとか、それからラム酒、サトウキビでつくったラム酒のサンタマリアですとか、とにかくいろいろな、その島でとれるものを生かしてしっかりつくっている、自分たちでもそれの販路を拡大しようと頑張っているんです、観光協会と民間の会社で取り組んでいるんですが、一点お伺いいたします。

 こういうふうに、現在地方自治体が取り組んでいる事業、あるいは民間事業と協力して行っている事業へのサポート、それから、これまでにも、地域再生制度や特区構想などなど、その地域を盛り上げていこうという施策は数々あったと思います。今回の地方創生とどういうふうにしてそれを組み合わせてバックアップしていかれるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 委員御指摘の伊江島のお客様というのは、二〇〇三年以来、物すごく飛躍的な伸びだというふうに承知をいたしております。そこにおいて重要なのは、マスツーリズムからの脱却ということであったと思います。それぞれの人が何を欲しているか、そして、それにぴたっと合ったようなものを伊江島の方々が適切に提供していかれたということがこの成果を生んでいるのだと思っております。

 ですから、今だけ、ここだけ、あなただけという話がありますが、いつでも、どこでも、誰にでもではない、伊江島でしか味わうことのできない、体験できない、今だけ、ここだけ、あなただけということをどれだけ支援していけるかということだと思いますが、あくまで民間の創意工夫がその成果を生んだのだと思っております。

 ここは、文科省あるいは農水省でいろいろな御議論があろうかと思います。グリーンツーリズムというものをどれだけ応援していくべきなのか、この場合にはブルーツーリズムということになろうかと思いますが、ここは、地域のそういうようなすばらしい知恵というものを国としてどういうような応援ができるか、また先生の御指摘もいただきながら検討してまいりたいと思います。

玉城委員 この民泊で宿泊した学生さんたちは、わずか一泊であっても、島の人たちに行ってらっしゃいと送られます。子供たちは行ってきますと言って、何年後かにはこの島の思い出でリピーターになってくれる。つまり、いろいろな物事を組み合わせていくときに、そこにはやはり、感動体験ですとか人として味わったことはもう心の中から消えない、ぜひそういう地方創生に力を注いでいただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 では、続いて、生物多様性の国家戦略に関する件についてお伺いいたします。

 まず先に、総理にお伺いいたします。

 先般、二月十三日の予算委員会で、私ども生活の党の議員でございます小宮山泰子委員が、グリーンインフラの活用ということについて総理からの御答弁をいただいていると思います。この総理の御答弁以降、後ほど環境大臣にも伺いたいんですが、総理の考えていらっしゃるグリーンインフラの整備、このことについてぜひ御見解をお伺いできればと思います。

安倍内閣総理大臣 生物の多様性に関しては、国家戦略の実施、そして国立公園の指定による重要な生態系の保全や大規模開発に際しての環境影響評価手続を通じ、適切に取り組んでいるところでありますが、今後とも生物多様性の保全に努めていきたいと思っております。

 詳細について、もし必要であれば、環境大臣から答弁いたします。

玉城委員 まさに、そのグリーンインフラは、生物多様性と不可分の形で日本は取り組んでいくということをCOP10でもう宣言をしております。ですから、どのようにしてグリーンインフラの方向も取り入れていくかということは、ぜひ総理にもお考えいただきたいと思います。

 総理が二月十三日に答弁をしていただいて以降、どのような計画や予算がついたのかということについては、環境大臣、お願いいたします。

望月国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、人口減少化あるいはまた高齢化が進む地域において、例えば自然が有する機能を防災、減災に活用していくことは、我々環境省、環境面にとっても経済性の観点からも非常に有効である、先生のおっしゃるとおりだ、私たちもこのように認識をしております。こういう人口減少、例えばそういうことも大きな問題でありますけれども、土地利用を見直すちょうど契機になるのかな、こんなふうにも考えております。

 例えば、自然災害に対して、脆弱な土地について、自然を再生することによって災害の緩衝地域として活用していくことなどが考えられます。あるいはまた、自然生態系を保全し、活用することは、まさに豊かな水や食料の供給などの自然の恵み、いわゆる生態系サービスの強化、こういうものにつながり、安心、安全な地域づくり、こういうものにつながると考えております。

 そのため、これらの考え方を新たに整理して、先進的な地域の取り組み、これを普及に資するために、我々、ガイドラインの作成等を行う予算を平成二十七年度概算要求に盛り込んでいるところでございます。

 まさに先生の御質問はタイムリーで、こういうような概算要求を我々は盛り込んでおりますが、環境省としては、こうした取り組みを通じまして、今後とも、自然生態系を活用した安心、安全な地域づくりに後押しをしていきたい、このように思います。

太田国務大臣 グリーンインフラは、景観や環境の観点から極めて大事だと思っておりまして、その後の展開でありますが、ことしの六月に海岸法を改正しました。その中で、津波等に対しての減災機能という面にも寄与する、そして環境にも寄与するということで、緑の防潮堤ということを海岸保全施設として明確に位置づけて、予算化をしました。

 それから、この緑を使うという考え方は大都市部でも大事でありまして、例えば密集市街地等では、防災という観点では、地震等がありましたときに火災が一番の問題です。この火災を遮断するという意味での、緑の防災・減災対策としての延焼防止対策ということにも取り組んでいるところです。

 さらに、生物の生態環境や多様な河川景観を創出する多自然川づくりを全ての川づくりの基本として取り組んでいるところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 このグリーンインフラという考え方は、まさにこれからの日本における深刻な課題とも向き合っていく方向になるのではないかと思います。

 と申しますのは、人口の減少が、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、現在の一億二千七百十万人が、二〇二六年には一億二千万人を下回り、二〇四八年には九千九百十三万人、五十年後には現在の約三分の二まで減少します。

 そうすると、郊外化が進んでいる今の状況の中で、中心市街地の空洞化ができ、それから過疎地にあっては、人口減少、高齢化、過疎化、空き家の増加、耕作地の放棄など、これまで人口の増加や経済の伸びなどを基本にして構築されてきたインフラが、もうその予算がなくなってしまうというふうなことを考えると、自然環境を生かしたこのグリーンインフラこそが、私はこれから、新しい未来のためのまちづくり、人を呼ぶまちづくり、人が住まうまちづくり、自然環境の中で集まって暮らすということの新しいまちづくりになるのではないかというふうに思います。

 次に、環境省にお伺いいたします。

 生物多様性に関する捉え方なんですが、私が五月十六日、外務委員会で、日本の排他的経済水域内で重要海域というものを選定するということで質問をいたしましたところ、ことしの夏ごろには発表するというふうなことで、そのときに答弁をいただいておりますが、それ以降、どのような形で取り組んでいるのか、進捗状況についてお伺いしたいと思います。

望月国務大臣 日本の重要海域についてお答えをさせていただきたいと思います。

 御指摘の日本の重要海域につきましては、生物多様性の保全上、重要度の高い海域を抽出するものでございます。平成二十三年度に専門家による検討会を設け、二十五年度までの三年間をかけて選定の作業を行いました。

 選定した海域に関する情報の中では、希少種の情報が含まれており、これは公開することで、前にもお話が出ていると思いますけれども、希少な生物の違法な採取が起こる可能性もある。これは我々も本当に情報を公開していきたいんですけれども、さまざま残念なことというか不道徳といいますか、そういう中でこういったものがあるということで、その情報を得て違法な採取が起こるという可能性もあることから、公表の可否については個別に精査をしているところであります。

 個別に、これは大丈夫だろう、あるいはまたこれだけはちょっとまずいではないかという問題がございますので、このことについては作業が終わり次第公表したい、こんなふうに考えております。

 また、環境省としては、生物多様性の保全上、重要度の高い海域の情報は海洋における生物多様性保全を推進していく上での基礎となるものと認識をしておりますので、この情報を活用して、関係省庁とも連携して、保護区の指定などにつなげていきたい、こんなふうにも考えております。

 以上です。

玉城委員 生物多様の環境を守るための重要海域の選定、沿岸域では二百六十九カ所、沖合では五十一カ所の予定。私の住んでおります沖縄では、選定されたものは十八カ所。そして、その十八カ所のうちの一つの中に、先般、環境問題と基地問題で揺れています辺野古、大浦地域も含まれています。沖縄本島北部の全体の海が、八つの選定項目の中から七つが該当するという大変貴重な環境の中にある。

 ですから、我が国が愛知目標を定め、COP10で議長国となって、二〇二〇年までに取り組むとした努力の中にこの生物多様性の環境を守るということがあるということは、私は、基地問題と切っても切れない話だと思います。相反する方向に進もうとしているということは、私は正しくないというふうに思います。ですから、どういうふうにこの生物多様性の環境を守らねばならないのかということが非常に重要になってくるというふうに思うんですね。

 それではここで、次の質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど総理と防衛大臣は、普天間の負担軽減、県民の基地の負担軽減というふうなことについてお話をしていらっしゃいました。

 その中にあって、我が国は今、年末のガイドラインの改定も控えながら、さまざまな自衛のための措置に取り組むための準備を進めているというふうに思いますが、報道で、日米防衛指針、年末のガイドラインで、現行ガイドラインで定めている平時、周辺事態、日本有事の三事態を、削除するというふうなことが載っておりました。つまり、これまでにも集団的自衛権の行使について相当国民の皆さんは危機感を持っているということがこの予算委員会でも議論されてきているところなんですが、このガイドライン改定に際する周辺事態変更等の見直しについて、総理の見解をまずお伺いしたいと思います。

江渡国務大臣 玉城委員にお答えさせていただきたいと思います。

 現在、このガイドラインの見直しについては日米間で協議中でございまして、具体的な内容を今現在説明する段階にはございませんけれども、いずれにいたしましても、自衛隊の派遣につきましては、我が国として、みずからの国益に照らしまして主体的に判断するものでございます。

 我が国の平和及び安全の確保や国際社会の平和と安定への貢献とおよそ関係なく自衛隊を地球の裏側まで駆り出すなどということはあり得ないことでございまして、まして、そのようなことをアメリカとともにもくろんでいるなどという議論は、全く根拠のないものでございます。

 以下、要約いたしますと、周辺事態法に基づく自衛隊の活動は、我が国の平和と安全の確保が目的でございます。また、周辺事態は事態の性質に着目した概念であるため、我が国周辺の地域はあらかじめ地理的に特定することはできないものの、おのずと限界があるわけであります。

 これに対しまして、テロ特措法とかあるいはイラク特措法に基づく自衛隊の活動は、国際平和協力を目的とするものでございまして、グローバルな活動でございます。周辺事態における活動とは性質が異なるものでございまして、その活動範囲が異なることは当然となります。

 現在、ガイドラインの見直し作業につきましては、先般の七月一日の閣議決定において示された、国民の命と平和な暮らしを守り抜き、国際社会の平和と安定にこれまで以上に貢献するとの方針も踏まえまして、自衛隊と米軍の協力のあり方等について検討しているところでございます。

 また、ガイドラインの見直しと国内法整備の両者を整合していくという考え方で進めていきたいと思っております。

玉城委員 グローバルな活動という言葉に引きずられるように自衛隊を海外にどんどん引っ張っていく、そういうことをテロの特措法など前例としないように、しっかりと監視をさせていただきたいと思います。

 さて、続いて防衛大臣にお伺いいたします。

 この間、総理は、五年以内の普天間基地の運用停止について、これは仲井真弘多知事が求めたものでありますけれども、本年二月から五年をめどとする考えが示されている県の考えに基づいて取り組んでいくというふうになっておりますが、この五年以内の普天間基地運用停止に関する進捗はどのようになっているのか、お伺いいたします。

江渡国務大臣 玉城委員にお答えさせていただきたいと思います。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止を初めとする仲井真沖縄県知事からの御要望を実現するためには、政府一体としての取り組みに加えまして、米国から理解や協力を取りつけることが何よりも不可欠だろうと思っております。

 相手国との関係もあることから、詳細は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、仲井真沖縄県知事の御要望については、これまで各種の機会を捉えまして、米国に対してさまざまなレベルから説明し、沖縄の負担軽減に向けた米国の協力を要請しているところであります。

 私自身も、先月、ヘーゲル国防長官との電話会談の際に協力をお願いしたところでございます。

玉城委員 今大臣からは、ヘーゲル長官とも、しっかりその実現に向けて協力を要請したということですが、九月二十九日の沖縄タイムスで、これは米国特約記者からの記事の配信なんですが、ロックリア・アメリカ太平洋軍司令官が二十五日の記者会見で、日本側から普天間の五年以内の運用停止に関する要請を受けていないというふうに述べたことについて、アメリカ高官は、名前は明かせないんですけれども、この記者の取材に対して、そのとおりだと肯定したそうです。仮にそうした五年以内に運用停止にするという案を検討しなければならない場合、昨年四月の日米合意そのものを見直すことになるというふうに指摘しているんですね。

 つまり、アメリカ側は日本からその協議を具体的に受けていないと、司令官がそういうふうに言っているわけですから、どのようにしてその協力を依頼しているということが伝達されているのかについて、改めてお伺いいたします。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 我々は、閣僚級を含む高いレベルから米国に対しましていろいろな説明を重ねてお願いしておりますし、また、何としても沖縄の負担軽減に向けたアメリカの協力ということが必要であるということのお願いもさせていただいているわけであります。

 特に、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、沖縄の負担軽減につきましては、米国からの協力というのは何としても必要であるわけであります。

 そのために、例えば、本年の四月六日においては、小野寺防衛大臣からヘーゲル国防長官に対して説明を行いましたし、また、ヘーゲル長官より、沖縄県民の思いを理解しつつ、日本側の取り組みに対して引き続き協力していく旨の発言もあったわけであります。

 また、四月の二十四日においては、安倍総理からオバマ大統領に対しての説明を行いまして、オバマ大統領からも、沖縄負担軽減に対して引き続き取り組みたいという発言があったわけであります。

 ですからこそ、ロックリア米太平洋軍司令官がそのようなことを述べたというようなお話でありますけれども、直接その旨が我々のところに届いているわけではございません。我々は、何としても、沖縄の負担軽減に取り組むために、とにかく、沖縄の皆様方の、特に知事からの御要望というのは、県民の、特に沖縄県民の皆様方の思いだというふうに我々は受けとめまして、政府、できることは全てやるというのが安倍政権の基本姿勢でございますので、一生懸命頑張っていきたいと思っております。

玉城委員 では、これもまた沖縄における、常態化されているオスプレイの状況についてお話をさせてください。

 県民の多くが反対する中、アメリカ海兵隊のMV22オスプレイが米軍普天間飛行場に強行配備されてから、一日で二年を迎えました。二〇一二年に十二機、一三年九月に十二機が追加され、今、二個飛行隊、二十四機が駐留しています。

 この二年間、二千三百四十一回の離着陸や飛行場上空の通過を確認していますが、午後十時以降の運用が制限される航空機騒音規制措置の遵守などについては、沖縄防衛局の調査で、午後十時を超える訓練は配備後の十八カ月間で七十一回に上り、常態化しているということが明らかになっています。

 ですから、こういうことの常態化しているということについては、どういうふうな協議がなされているのかということが県民には全く見えないわけですね。運用上必要であればその上空を飛ぶということであっては、最初から約束などないのと同じことになってしまいます。そのことについて、どのように申し入れをしているんでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 先ほど赤嶺先生からも似たような質問があったわけでありますけれども、普天間飛行場につきましては、日米合同委員会合意によりまして、先生御承知のとおり、二十二時から六時までの間は、飛行等の活動は運用上必要と考えられるものに制限されまして、夜間訓練飛行は在日米軍の任務達成や練度の維持に必要な最小限に制限される旨、合意されているところであるわけであります。

 他方、米軍が訓練を行うに当たっては、公共の安全に妥当な考慮を払うことは当然であると私ども認識しているところでございます。

 防衛省といたしましては、累次の機会において、航空機騒音規制措置を初めとする合同委員会合意を遵守するよう米側に申し入れておりますし、最近では、九月の五日及び九日に沖縄防衛局から在沖米海兵隊に対しての文書においての申し入れもさせていただいたところでございます。

 オスプレイの配備は、我が国の安全保障にとっては大変意味があるものとは考えておりますけれども、その運用に際しましては、安全確保はもとより、周辺住民の方々の生活への最大限の配慮というものは私も大前提だと思っております。

 今後とも、米側に対しましては、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるように働きかけていく考えでございます。

玉城委員 オスプレイの住宅地上空の通過はもう常態化しています。私の事務所は沖縄市にありますが、嘉手納に向かうときには、当然、その市街地上空を飛んでいって嘉手納におりるわけです。そのときには、オスプレイ特有の低周波で、はるか遠くから飛んでくるオスプレイが、室内にいて、室内の空気が振動することでわかるんですね。

 ですから、そういうふうに、本来ならオスプレイ実機を用いたアセスメントもしっかりその移設計画の中に入れるべきであったはずなのに、そういうことが行われず、機体が換装されているから、それはそのままアセスメントの変更にはならないと言っていること自体にも、多くの県民や研究者の方々は、アセスは違反だ、違法だということを、しっかりやり直してくれということを再三再四要求してきているわけです。

 それから、もう時間になりますけれども、総理、現在、実は辺野古では、海上保安庁の厳しい制圧行動、あるいは、ゲート前での、反対派の市民の皆さんに対して、そのゲートの中では何も行われないんですけれども、たくさんの県民世論から、行き過ぎた海上における海上保安庁の対処などについて厳しい声が上がっています。

 ぜひ、総理には、あの海の環境を生物多様性の資産として、資本としてしっかりと残していくための考えを示していただき、そして、行き過ぎた対処行動にならないように、しっかりと国民の自由を尊重するという立場からぜひ見解をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 辺野古移設に関しまして、現場海域の安全を、海上保安庁、私が担当しておりますが、最優先に考えるとともに、法令の励行の観点から、適切に対応していく必要があるものと考えています。

 海上保安庁におきましては、必要な体制を整え、関係機関と連携しながら、法令に基づいて対応しているものと認識をしているところでございます。

玉城委員 法令に基づく対処ですが、私が海上保安庁第十一管区海上保安本部高橋次長に、どこの条文をもとにして取り締まっているんですかと聞いたら、二条だとおっしゃっていました。海上保安庁法二条。しかし、東京での、本庁での見解はそれとは異になっているはずです。ですから、現場でもとにしているその法令基準と、東京で発表している法令基準が一本になっていないんです。そういうことはあり得るんでしょうか。

 しかも、海上では、行き過ぎた対処行動をするために、本当にひどい行為が行われているということを、ぜひいま一度、現場の声をしっかりと聞いて御認識をいただきたいと思います。

 それから、一点申し上げます。

 総理は、普天間飛行場の機能の二つが移設され、オスプレイの配備だけになるんだというふうなことをおっしゃいます。

 この予算委員会の第一委員室、壁の高さは六メートルです。しかし、あそこの辺野古につくられるオスプレイのための埋め立ての擁壁は十メートルです。それが、滑走路沿いにずっと擁壁が立ち上がると、千八百メートル、十メートルの高さの擁壁が、あの優良な生物多様性の海に忽然と屹立することになります。当然、その周囲はもっと囲まれてしまいますから、どれだけ大きな環境に対する影響を与えるのかということをいま一度しっかりと考えていただきたいと思います。

 イメージでは、さも、平地に持っていくから大丈夫だろうと国民の皆さんは思うかもしれません。しかし、巨大な構造物が、県民がこれまで反対してきたことに反して、銃剣とブルドーザーではなく、国が強制的にそこに移すということを県民の意思に反して進めているわけですね。

 しかも、そこは国の公有地です。民間地ではありません。民間地であれば、いつかそれが地元に返ってきたときに、その土地の利活用も考えられるでしょう。しかし、つくってしまう基地は、運用四十年、耐用年数二百年という基地です。つまり、未来の子孫にまでこの生物多様性の資産を潰してつくってしまう。

 この基地がどれだけ巨大なものであるかということを最後に国民の皆さんにしっかりと御認識いただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて玉城君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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