衆議院

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第9号 平成27年2月25日(水曜日)

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平成二十七年二月二十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金田 勝年君 理事 萩生田光一君

   理事 原田 義昭君 理事 平口  洋君

   理事 平沢 勝栄君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      池田 佳隆君    石原 宏高君

      岩田 和親君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    岡下 昌平君

      金子 一義君    金子めぐみ君

      熊田 裕通君    小池百合子君

      小林 鷹之君    鈴木 俊一君

      田所 嘉徳君    土井  亨君

      長坂 康正君    根本  匠君

      野田  毅君    古屋 圭司君

      星野 剛士君    三ッ林裕巳君

      宮崎 謙介君    保岡 興治君

      山下 貴司君    山本 幸三君

      山本 有二君    若狭  勝君

      小川 淳也君    緒方林太郎君

      岡本 充功君    岸本 周平君

      黒岩 宇洋君    小山 展弘君

      後藤 祐一君    階   猛君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      馬淵 澄夫君    宮崎 岳志君

      本村賢太郎君    山井 和則君

      柚木 道義君    足立 康史君

      井坂 信彦君    重徳 和彦君

      松木けんこう君    村岡 敏英君

      横山 博幸君    岡本 三成君

      中野 洋昌君    樋口 尚也君

      赤嶺 政賢君    穀田 恵二君

      清水 忠史君    高橋千鶴子君

      畠山 和也君    藤野 保史君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山口 俊一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          江畑 賢治君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          丸山 淑夫君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    田中 一穂君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     若狭  勝君

  岩屋  毅君     井林 辰憲君

  金子めぐみ君     岩田 和親君

  熊田 裕通君     池田 佳隆君

  田所 嘉徳君     井野 俊郎君

  土井  亨君     赤枝 恒雄君

  長坂 康正君     青山 周平君

  宮崎 謙介君     大串 正樹君

  小川 淳也君     玉木雄一郎君

  岸本 周平君     緒方林太郎君

  階   猛君     宮崎 岳志君

  馬淵 澄夫君     黒岩 宇洋君

  井坂 信彦君     村岡 敏英君

  松木けんこう君    足立 康史君

  松浪 健太君     横山 博幸君

  赤嶺 政賢君     畠山 和也君

  高橋千鶴子君     清水 忠史君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     大岡 敏孝君

  赤枝 恒雄君     土井  亨君

  井野 俊郎君     田所 嘉徳君

  井林 辰憲君     岩屋  毅君

  池田 佳隆君     熊田 裕通君

  岩田 和親君     金子めぐみ君

  大串 正樹君     宮崎 謙介君

  若狭  勝君     穴見 陽一君

  緒方林太郎君     岡本 充功君

  黒岩 宇洋君     本村賢太郎君

  玉木雄一郎君     小川 淳也君

  宮崎 岳志君     階   猛君

  足立 康史君     松木けんこう君

  村岡 敏英君     井坂 信彦君

  横山 博幸君     松浪 健太君

  清水 忠史君     穀田 恵二君

  畠山 和也君     藤野 保史君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     岡下 昌平君

  大岡 敏孝君     三ッ林裕巳君

  岡本 充功君     岸本 周平君

  本村賢太郎君     小山 展弘君

  穀田 恵二君     高橋千鶴子君

  藤野 保史君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     秋元  司君

  三ッ林裕巳君     長坂 康正君

  小山 展弘君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  柚木 道義君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十七年度一般会計予算

 平成二十七年度特別会計予算

 平成二十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算、平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑の補充質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長江畑賢治君、人事院事務総局給与局長古屋浩明君、総務省自治行政局長佐々木敦朗君、総務省自治行政局公務員部長丸山淑夫君、財務省主計局長田中一穂君、国土交通省住宅局長橋本公博君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 予算委員会基本的質疑の補充的質疑、改めてきょうは、大臣が辞任をされた、きょうこうして基本的質疑の中でも補充という形で総理に問わなければならないことがある。一つ一つ具体的にお尋ねをしたいと思っております。

 一昨日は、西川農水大臣が辞任をされた。安倍政権では、成長戦略の柱として、また最も重要な課題として農業を掲げ、さらにはTPP、これも成長戦略の大きな柱、その中心人物であった西川前農水大臣が、利害が絡む企業から違法性を指摘されるような献金を受けていた。このことについては、当委員会でも、同僚議員初め他の野党議員も再三、西川農水大臣にただしてきたところであります。しかしながら、十分な答弁は得られず、そのままの辞任となってしまいました。

 特に、TPPの交渉が極めて重要な局面、その中でも、関税撤廃例外の重要五項目である砂糖、この関係団体からの献金。あるいは、補助金七億円を受ける、これが決まっていた木材加工会社からの寄附。こうしたそもそも大臣としての適格性を問われる疑惑を持ったまま農水大臣としてTPPの交渉に参加する、そのような資格は私は到底あり得ないと思っています。すなわち、このような状況、大臣の辞任は遅きに失している、こう言わざるを得ないと思っています。

 政府は、大臣辞任の同日に後任の人事も決められた。だから、そのまま予算審議をということで、昨日、予算審議の準備がなされ、報道では野党の審議拒否ということでありますが、この現状の中で、我々としては、全閣僚出席の基本的質疑、それを重ねてきた中で、大臣が説明を十分に果たさないまま辞任をされている、到底この状況の中で基本的質疑を続けることはできない、いや、むしろ、改めての、全閣僚による基本的質疑を一からやり直さなければならないところであると思っています。

 こうした状況の中で、改めてきょうは、先ほど冒頭に申し上げたように、補充質疑ということでこの基本的質疑をやりますから、ここでは、この大臣の辞任並びに任命責任、安倍内閣がどのような姿勢を持っているのか、あるいはそもそも自民党政権下においてこの辞任をどのように捉えていくのかということについて、国民の皆さん方にわかりやすく丁寧にただしてまいりたいというふうに思います。

 では、まず冒頭に、総理に改めてお尋ねをいたします。

 今回の、この西川農水大臣、もう前農水大臣でありますが、西川大臣の辞任について、総理は任命責任をお認めになられますか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 政治活動におきましては、内閣、与野党を問わず、一人一人の政治家が、国民の信頼を得ることができるように、みずから襟を正し、説明責任を果たしていくことが求められるのは当然のことであります。

 いずれにせよ、閣僚の任命責任は私にあります。私が任命した閣僚が交代をするという結果を招いたことにつきまして、国民の皆様に大変申しわけない思いでございます。

 若者が魅力を感じる農業、そして農村の所得倍増を目指し、農家の大改革を力強く進めていく決意はいささかも変わらないわけでございまして、しっかりと政策を前に進め、結果を出していくことによって責任を果たしていく決意でございます。

 経済の再生を初め、内外の課題が山積する中、緊張感を持って今後も政権運営に当たっていく考えでございます。

馬淵委員 総理は、任命責任は私にある、今このように答えられました。総理は、この任命責任というものは一体何に対しての責任だとお考えでしょうか。

 外形上、西川農水大臣は、違法な行為の疑いを持たざるを得ない、このように何度も指摘をされてきました。このような大臣を任命したこと、そのことの責任であるのか、あるいは、国会審議、昨日空転となってしまいましたが、それまでも、再三、委員長席に理事の皆さんが、この質疑の答弁はおかしいんじゃないかと繰り返し、ある意味、国会審議が前に進まない状況を生んでいる、これに対する責任なのか。

 総理は、任命責任は私にあるとおっしゃった、その任命責任は何に対しての責任だとお考えですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 内閣を組閣するに当たりまして、各閣僚を任命するのは、私が任命をしていくわけでございます。陛下の認証を得て、私が任命をしていくわけでございます。

 そして、その大臣が能力を発揮して国政を進めていく方向において、私がこうした方向に進めていきたいということにおいて、しっかりと内閣の一員として実績を残していくことができるかどうかということについて、全体として私は責任を負っているわけでございます。

 今回は、この道半ばにおいて、結果として辞任に至ったということについては、当然、そもそも閣僚を任命する上においては私が全責任を負っているわけでございますので、そうした結果に対して責任を負っている、このように申し上げたわけでございます。

馬淵委員 総理、責任という言葉の中に、いろいろな責任を今まぜてお答えになられていますよ。

 総理として、内閣が行政権を執行する、全てを、全体を見ていく、認証を受けて、そして信任を受けて、そして任命したんだ、そのとおりです。内閣全体として政策を進めなければならない、そのとおりです。それは、でも、あくまでも執行責任なんです。私は、任命責任とは何の責任なのかとお尋ねしているんです。

 二つ例を挙げました。任命責任とはどういう責任か。一つは、先ほど申し上げた、外形上違法な行為の疑いがある大臣を選んだという責任なのか、それとも、国会審議が滞ってしまう、そのことに対する責任なのか。

 総理、行政の執行の責任を問うているのではありません。任命の責任はいずれにあるんですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 今私が申し上げたとおり、すべからく、総理大臣は大臣を指名するわけであります。その大臣がしっかりと職務を執行することができるかどうかということについても、これは、私が任命している以上、責任を持つわけでございます。

 委員は、二つの例だけを示されたのでありますが、そうではなくて、いわば大臣がしっかりと結果を残していくことができるかどうか、政策を前に進めていくことができるかどうか、政策を立案する、あるいは役所をしっかりと指揮監督、指導できる能力があるかどうかということについても私は責任を負っている、こういうことを申し上げたところでございます。

馬淵委員 総理、もう一度聞きますよ。

 おっしゃっているのは執行責任なんですよ。選んだ大臣が職務を執行できるか、内閣として執行してその政策を進めていけるかというのは、これは執行責任なんです。

 選んだ責任ということを問うときには、あるいは問われたときには、資質ある大臣を選んだのかどうかということ、あるいは、選んだ大臣によってその議会が進行が滞ってしまっている、こういったことに対する責任を負うのか、私はそのどちらに対して責任を負っておると御自身が感じておられるかということを問うているんです。任命責任です。内閣総理大臣の執行責任やあるいは内閣総理大臣としての国家の威信を守る責任、そういったことを私は問うているのではありません。

 この辞任に関しては、総理は、任命責任は私にあると言った。今回のこの辞任に対しての任命責任というのは、二つの例を挙げたと言うが、この任命ということに関しては、この二つの例、今回、これ以外に出ていません、課題としては。いずれを総理は責任だとお考えなのかということを私は問うているんです。質問に答えてください。

安倍内閣総理大臣 これは繰り返しになるわけでありますが、総理大臣としては、いわば私の職務執行責任というよりも、任命ということであれば、いわばその役所を統括してしっかりと政策を前に進めていくことができるかどうか。例えば、重要な法案を国会において説明責任を果たして、そしてその法案を通していくことができるかどうかという能力も含めて、任命したということになります。この能力があるかないかというのは、もちろん個人の資質によるわけでございますが、そうした資質も含めて私は大臣を任命しているわけでございます。

 そして、今回、結果として、こうした形で途中で交代することになったということに対しての責任がある、このように申し上げているところでございます。

馬淵委員 今総理はいろいろおっしゃいましたが、能力を含めて、資質を含めて任命したんだ、このようにおっしゃいました。すなわち、私の問いに対しては、大臣としての資質、そのことに対して、みずからが任命したことについて、今回辞任をされた、この大臣としての資質に対しての自分の任命したことに対する責任はあるということをお答えいただけたんだというふうに理解をします。

 しかし、私は、今回の問題の中で重要なことというのは、この任命責任を果たす、今、任命責任については総理からいただきましたから、では、この任命責任を果たす、責任があって、そしてみずからがその責任を果たすというのはどういうことかということを重ねて今度はお尋ねしたいんですが、この大きな責任というのは、私は、違法の行為が疑われるその大臣を任命したことであり、その違法な行為の疑いとは何かといえば、これは政治と金の疑惑なんですよ。政治と金の疑惑、問題の本質はここにあるんです。

 ですから、総理、私がお尋ねしたいのは、今度は二つ目になりますよ。総理が責任を果たすというのは、政策を力強く推進するとおっしゃったが、政治と金に対してのこの問題をどう解決したかということじゃないんですか。その責任をどう果たすということ、そのことについて総理はどうお考えですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 まず、西川大臣について言えば、農政の改革という意味においては、TPP交渉についてもしっかりと責任を持って、交渉を前に農水省の責任者として進めていくという責任を果たしておられた。また、農協改革という大変難しい改革を、全く手がつけられていなかった六十年ぶりのこの改革について、この困難な仕事についてしっかりと実績を残していただいた、このように思います。その上において、しかし途中で交代せざるを得なかったということについて私は任命責任を感じている、こういうことでございます。

 同時に、政治資金の問題につきましては、西川大臣が違法性についてはるる説明をしてきたとおりであろう、このように思います。

 しかし、大臣であるとに、またあるいは国会議員であるとにかかわらず、それは説明責任をさらに求められるのであれば、果たしていくということは当然のことではないか、このように思います。

馬淵委員 総理、やはり問題のすりかえをされているんだと私は思います。

 今、農協改革だとかおっしゃいました。農水大臣としての行政の執行を一生懸命やってこられたということでありますが、繰り返しになりますが、任命責任というのは、これはまさに、能力を含めて、資質を含めたその判断、そこが問われている。そして、今回はそこに対しては違法な行為の疑惑を指摘された。そして、その本質は何かといえば、政治と金なんです。

 ですから、政策を前に進めるのではなくて、責任を果たすということは、すなわち、この政治と金の問題を正すということなんですよ。総理はそれをすりかえておられるんですよ。問題のすりかえ、これをずっと繰り返されている。

 総理、私はこのことを再度聞きますけれども、この問題のすりかえというのが、総理、ずっと言っておられることなんです、繰り返し繰り返し。政治と金の問題に対する責任を果たすという決意はお持ちではないんですか。これほどまでに国会の中で問題視されて、報道にも上がっている。政治と金に対するみずからの取り組みの姿勢ということをしっかりと示して責任を果たすというお気持ちはないんですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 これは繰り返しになるわけでありますが、いわば、任命する際に、しっかりと農業政策を前に進めていく能力があるかどうか。今回は、TPPの問題、農協改革の問題、農政の大改革という大きな問題がありました。それに対する知識、そして党もまとめていくという実行力、それに期待をしたわけでありますが、そうした期待に応えていただいた、このように思っています。

 その中において、当委員会も含めて、さまざまな疑問に対する質疑がなされたわけでございますが、その質疑に対しては西川大臣は説明をしておられる、このように思います。

 つまり、同時に、今は大臣をやめて議員という立場になりましたが、さまざまな要求があれば、議員としてそれに対して資料を出していくなり、そういう対応をとっていくということは議員としては当然のことであろうということを申し上げたまででございます。

馬淵委員 総理は、すりかえてお話をずっとされていこうとお考えなんでしょうね。

 ただ、これは西川前農水大臣も同じなんですよ。資料をお配りしていますけれども、二の資料ですが、ここでは、これ以上国会審議に影響が出ることは避けたいなどとして辞表を提出し、受理されたとあります。西川農水大臣がおっしゃっているのは、これから農政改革をやるときに内閣に迷惑をかけてはいけない、このように語っています。

 つまり、西川前農水大臣も総理と同様に、問題のすりかえをしているんですね。先に進めなきゃいけない、滞らせてはいけないからやめるんだと言っている。そうではないんです。政治と金の疑惑をこの国会でも何度も何度も追及されているんです。それに対してわかりやすく国民にしっかりと示したことは一度もない。

 私は、こういう状況を見ると、総理も西川前農水大臣も、お二人ともに問題のすりかえを行って、政治と金の疑惑に対しては真摯に取り組む姿勢がない、このように言わざるを得ないんですよ。

 そして、さらに問題なのは、西川前農水大臣はこのようにもおっしゃっています。資料にもありますように、私が幾ら説明してもわからない人はわからない。これはみずからの説明責任をまさに放棄し、まるで問題視する人の方が悪いかのような言い方をしています。説明責任を放棄。しかし、これはある意味、真摯な姿勢でないということについては、実は総理御自身も同じ姿勢であるのではないかと私は言わざるを得ない。

 これは、去る十九日の同僚の玉木議員の質疑で、西川前農水大臣への献金は、法には直接触れないかもしれないが、関連会社を経由させた手法は法の趣旨を逸脱している、いわゆる脱法献金だとの指摘をした。そのときには、総理みずからがその答弁席から、日教組はどうするのなどとやじで対応する、そんなことがありました。しかも、これは事実に反するやじです。

 つまり、西川前農水大臣も、わからぬ人にはわからぬと言って説明責任を放棄し、総理みずからも自席からやじを発するなど、問題に対して真摯に取り組んでいるとは言えない、このような状況があるんじゃないでしょうか。

 総理、改めてお伺いしますが、反省のかけらもない、政治と金の問題に対して。総理みずからがこの政治と金の問題から目をそらしているんじゃないですか。いかがですか。総理、お答えください。

安倍内閣総理大臣 政治家というのは、内閣にあろうとも、与党であろうとも野党であろうとも、みずから襟を正していくのは当然のことであろう、このように思います。議員すべからくそうであります。そこで、指摘された問題があれば、それに対して誠実にお答えをしていく、答弁をしていくのは当然のことではないだろうか、このように思います。

馬淵委員 みずからだけではなく、それこそ内閣を総理する総理大臣が率先してリーダーシップを持ってその説明責任を果たせよと指示するのは当然だと思うんです。

 そこで、今のお話を伺うと、やはり政治と金の問題に対して真剣に目を向けようとされていないということが私は明らかだと感じるんですが、総理は、このような今私がお尋ねをした答弁、これを繰り返しいろいろなところでお話をされている。そのことについて一つ一つ確認をしていきたいと思います。

 そこで、安倍政権における歴代閣僚の政治と金の問題についてということで整理をしてみたいと思いますが、お手元の配付した資料の中、三をごらんください。これは、国立国会図書館にて調査し、作成いただいたものです。一九八五年、すなわち直近の三十年間、この間における内閣での、いわゆる政治と金の問題で辞任した閣僚のリストであります。

 一九八五年の中曽根内閣から二〇一五年までの、今日のこの安倍内閣までの三十年間、これをごらんいただきますと、一々読み上げませんが、十七名の方が政治と金で辞任をされています。もちろん、辞任の理由はさまざま複合する場合があります。定義はないでしょう。したがって、今回、国立国会図書館におかれては、外形的にも客観性を担保するために、新聞各紙の報道ベースとして作成されたものであります。

 これをごらんいただきますと、まず安倍内閣、安倍政権は二〇〇六年九月二十六日に発足をしました。二〇〇七年八月二十七日までの第一次安倍内閣、二〇〇七年八月二十七日から九月二十六日までの第一次安倍内閣改造内閣。さらに、二〇一二年十二月二十六日から二〇一四年、昨年の九月三日までの第二次安倍内閣、昨年九月三日から十二月二十四日、これは選挙後ですね、までの第二次安倍内閣改造内閣、これは改造した後の、選挙後までの内閣。そして、昨年総選挙後の十二月二十四日から今日までの第三次安倍内閣。三つの内閣というふうにこれはカテゴリーされるんだと思います。

 そして、これを見ますと、二〇〇六年からの第一次で安倍内閣は丸一年ですね。そして今、第二次と第三次、二〇一二年から二年二カ月。安倍内閣は、三年二カ月で合計七人の閣僚が政治と金で辞任をされています。

 とりわけ、第一次の一年で四名、昨年秋の改造後から年末の選挙を挟んで一昨日までの実質四カ月、三人の辞任です。この三十年間で計十七名の閣僚が政治と金で辞任をされている。そのうち七名、十七分の七、実に四一%が安倍内閣なんです。歴代八人の総理の内閣でも、これは突出した数字です。

 こうした状況の中で、さらに、昨年九月の改造で大臣となった後、政治と金の疑惑が指摘され、第三次内閣での再任は固辞したとされる江渡聡徳防衛大臣、これも含めれば、事実上は八名。その場合は、十八分の八で四四%になります。

 これは、いずれにしても、私は異常な数字だとしか言いようがないんですね。総理は、安倍政権、未来に向けて前へ進む、改革断行とおっしゃいますが、この数値、客観的なデータから見れば、実は歴代内閣の中でも、いや、日本の政治史上でも、最も政治と金にまみれた内閣ですよ。

 総理、このようにデータが物語っているんです。そして、その状況の中で、総理が今まで何とおっしゃってきたのか。一つ一つ確認をさせていただきます。

 第一次安倍内閣、二〇〇六年の十二月二十七日、平成十八年の十二月二十八日、ここに辞任と書いてありますが、このときには佐田玄一郎行革担当大臣が、事務所費問題、政治資金収支報告書の虚偽記載で辞任をされました。

 佐田行革担当大臣が辞任した当時、総理は任命責任についてどのように発言をされておられましたですか。また、その責任をどう果たすと述べられましたですか。お答えいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは随分前のことでございますから、今、正確にどうお答えをしたかということは申し上げられませんが、基本的に、先ほど、内閣において大臣を任命する際には、それぞれに対して任命した上においては責任がある、このように私は考えているところでございます。

馬淵委員 当時、総理はこうおっしゃっておられますね。国民に対して責任を感じている、今後、このようなことのないように適切に判断したいとおっしゃっている。みずから任命責任は認められておられます。

 そして次に、二〇〇七年の八月一日、赤城徳彦農水大臣、事務所費問題等の責任をとり辞任となっています。

 では、赤城農水大臣が辞任した当時、総理は任命責任についてどう発言されたんですか。また、責任をどう果たすと述べられましたですか。お答えいただけますか。御記憶にある中で結構です。

安倍内閣総理大臣 一々の発言は、私、記憶は定かではございませんが、先ほど申し上げましたように、基本的に、私は、内閣を組閣するに当たりまして、それぞれ、その分野に通じているかどうか、しっかりと仕事をしていただけるかどうかということの念頭の中から指名をしておりますので、私はそうした責任を常に有している、このように考えているわけでございます。

馬淵委員 明確ではない、覚えておられないということでありますので、結構です。私の方で調べたことで申し上げます。

 当時の赤城農水大臣の辞任について、総理は、これは当然、全て私に責任がある、任命責任は痛感していると述べられ、さらに、約束してきたことを実行することが最大の使命だとおっしゃっています。ここでも任命責任を認め、その上で、約束してきたことを実行することが使命、すなわち政策の推進をうたっておられます。西川大臣に対しておっしゃったことと同じ言葉ですね。

 総理は、佐田大臣のときにも任命責任を認められた。そして、赤城大臣のときにも、自分には任命責任がある、政策を推進する、このようにおっしゃっている。

 二〇〇七年九月三日、遠藤武彦農水大臣、みずからが組合長を務める農業共済組合の補助金不正受給問題の責任をとり辞任。だんだん思い出していただけていますでしょうか。

 当時、総理は、遠藤農水大臣の辞任、これに対して、任命責任についてどう発言したか、あるいはどう責任を果たすとおっしゃったか。お答えいただけますか。

安倍内閣総理大臣 一々について、もう大分時間がたっておりますから記憶は定かではございませんが、基本的に、先ほど申し上げましたように、内閣において大臣を任命する上においては、しっかりとその分野に精通しているかどうか、政策において前に進めていく力を持っているか、あるいは政策を立案していく能力があるかどうか、そしてまたその政策を与党とともに協力をして前に進めていく能力があるかどうかという観点から任命しているわけでございまして、そうしたことも含めて当然私には責任がある、こう考えている次第であります。

 任命責任ということについては、ただ、今委員が指摘をされていることだけではなくて、結果を残せないということに対しても、それは本来、ひそかに任命責任を感じなければいけないのではないか、こんなように思うところでございます。

馬淵委員 当時も同じことをおっしゃっています。責任は私にある、残念だが、農水行政に遅滞がないよう全力を尽くすことで責任を果たしたい。つまり、ここでも、任命責任は認める、そして政策を推進する。

 これで、第一次内閣、四人の方が政治と金で大臣を辞される、あるいはおりられるということになっているんですよ、一年の間に。政治と金の問題に対しては向き合わずに、総理は、自分には責任があるけれども政策を進めるのが自分の仕事だと、九年前から同じことをおっしゃっているんです。

 そして、もう覚えておられますよね。昨年です。第二次内閣、十月二十日、小渕優子経産大臣が関連政治団体の不明朗な政治資金の支出等の責任をとり辞任。同じく同日、松島みどり法務大臣が選挙区でのうちわ配布問題の責任をとり辞任。昨年の十月二十日の小渕、松島両大臣のダブル辞任の日、辞表を受理した、そのときです。官邸での記者団へのコメント、覚えておられますか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 総理大臣として閣僚を任命する際には、それぞれの閣僚の見識、あるいはその分野の政策に通じているかどうか、そしてまた政策を立案していく能力があるかどうか、省庁をしっかりと指導していく能力があるかどうか、また与党とともに法案を通していく、政策を実現していく能力があるかどうかということも含め、任命をするわけでございます。

 そうした中におきまして、結果として途中でそれぞれ交代をすることになった。今回は、途中で急遽交代することになったということについて私は任命責任を感じているわけでございますが、この基本的な考え方にのっとって、私は総理大臣としての職を務めてきたところでございます。

馬淵委員 覚えておられないんだったら、また私の方から言います。

 総理は、このときも、政治の遅滞は許されない、難問が山積している、経済最優先で政策を前に進めていかなければならない、こうおっしゃっています。ここでも、任命責任は認める、そして政策を推進する。それこそ、冒頭申し上げているように、すりかえたことをおっしゃるだけです。

 総理、総理は同じことをずっと言っているんですよ。ずっと九年前と変わらないんです。大臣の辞任のたびに、政治と金の問題で辞任するたびに同じことを言っているんです。みずからは責任がある、政策を推進する、それは責任の果たし方ではないんです。政治と金の問題に真摯に向き合って、それをどう正すか、それを示すのが本来の責任の果たし方なんです。

 総理、わずか三年二カ月で、過去三十年間ですよ、歴代の総理がいらっしゃる、三十年間の中でわずか三年二カ月の総理の任期の中で七名もの大臣が政治と金で次々と辞任を繰り返している。そのたびごとにあなたは繰り言を重ねている。政治と金の問題を全く反省していないからじゃないですか、違いますか。

 そして、これこそまさに、この閣僚の辞任、自民党の体質そのものだと私は思いますよ。古い体質そのものじゃないでしょうか。総理、どうですか。何かおっしゃることがあれば、おっしゃってください。

安倍内閣総理大臣 事務所費の問題については、確かに第一次政権のときに、事務所費に関連して数名の大臣が辞任をいたしました。

 しかし、あのとき事務所費を指摘されたのは、辞職した大臣だけではなくて、与野党にこれはわたっていたわけでございます。

 そういう中において、これは内閣だけではなくて、与党だけではなくて、野党にも随分おられましたよ、相当ね。その中において、我々は、一円から領収書を公開するということを決めさせていただいたわけであります。そういう意味において、透明性を高めていくという努力は行ったということは申し上げておきたい、こう思う次第でございます。

 政治と金というのは、常にさまざまな御批判がございます。そのたびごとにしっかりと責任を果たしていく必要がある。

 その責任の果たし方というのは、例えば、法に不備があるのかどうかということであります。

 これが適法であるかないか、これは、最終的にここで判断することではなくて、ここでは説明をする、真摯に説明をする、それ以上はまさに司法の場に行く話であります。司法の場と同じようなことをここですることはできないわけでございます。

 かつて私が官房長官時代に、当時馬淵委員が、私に疑惑があるといって三十分ぐらい質問をしたことがございましたが、結局、疑惑は何にもなかったということが証明されたわけでございます。

 ですから、それはしっかりと証明することができるかどうかということではないか、こういうことを考えるわけでございまして、ですから、今度の問題において、では例えば、この構成要件において、ここは大事なところでありますが、後藤さんは知っていたか知らないかは問題ないとおっしゃったんですが、知っていたか知らないかが構成要件、そもそもの構成要件であります。構成要件であった。しかし、その構成要件であるということについては、ではこの構成要件を変えるのかということですね、立法において。そういう議論はまさに国会でしていただければよろしいんだろう、こういうことではないか、こう思うわけであります。

 そしてまた、例えば外国人の献金については、構成要件ではないけれども、これは悪意がなければ罰則の要件ではないということになっていて、この補助金をもらっていて一年というのとは、構成要件とは違うわけでございますが、そうしたものを果たしてどう考えていくかということについての議論はされるべきだ、このように思うわけでございます。

 私は、そうした責任を果たしていくことも立法府の責任ではないか、いわば冷静な議論もしていく必要もあるのではないか、このように思うところでございます。

馬淵委員 全然違う問題を出されても、私、この質疑は総理の任命責任をお話ししているんです。私がかつて野党時代にただしたことについては、政治と金の問題ではありません。そのことを私は今回問うているのではありません。

 私が今問うているのは、繰り返しになりますけれども、政治と金の問題に対して総理がどのように取り組んでいくのかということについて、一切それを示していないじゃないかということを私は申し上げているんです。

 その上で、総理が一体、ではどういう姿勢をしてきたかということを一つ一つ、閣僚の辞任のたびに発言されたことを、私、今皆さんに開陳した。外形的な、まさに客観的な事実としてお伝えをしているんです。

 では、さらに、これもお尋ねしますよ。総理が、政治と金の問題で辞任が繰り返されている中で国民に何と発しているかということなんですが、これも覚えておられないかもしれませんので、私の方から申し上げましょうか。

 二〇〇七年八月二十七日、これは第一次安倍内閣の改造内閣発足のときです。このときに総理が、第一次内閣、先ほど申し上げたように四名辞任されていくわけですが、三名の辞任が相次いだ。その中で、改造内閣の発足のとき、総理は、政治とお金の問題は透明性を高めていく努力をしなければいけない、このようにおっしゃっています。そして、その上で、閣僚においては何か指摘されれば説明をしなければならない、こうもおっしゃっています。先ほど総理が政治家みずからがとおっしゃったこと、このことだと思いますよ。その上で、十分な説明ができなければ去っていただく、このように述べておられるんですね。

 つまり、総理としては、この政治と金の問題というのは透明性を高めていく努力を当然きちっとしろ、そして閣僚であるならばこれは説明せよ、できなければ去れ、こういうふうにおっしゃっているんです。

 しかし、今回、私は、この問題に関して言うと、総理が西川農水大臣に説明責任を果たすように厳しくただしてきたのかというと、そうは思えない。総理は、資料一にお配りしているように、この会見の中でも、できなければやめよとおっしゃった総理が、それこそ、西川農水大臣には慰留をした、このように言われています。説明が十分でない、こう国会でも再三指摘をされている中で慰留をされている。

 説明せよ、それができなければやめよとおっしゃってきたのは総理なんです。つまり、みずからが説明責任を果たせよ、このことを最初、冒頭おっしゃった。私もそう思います。総理は、内閣総理大臣として、閣僚に対してはそれができなければやめよ、こういうふうにおっしゃってきた。ところが、西川農水大臣に対しては慰留もしている。これは、すなわち方針を変えられたんですか。

 責任を果たすというのは、繰り返し言いますが、政治と金の問題に向き合って、そして、その対処の方法を示すことなんです。総理は方針を変えられたんですか。できなければやめよと言ってきたにもかかわらず、慰留を繰り返してきた。この一点についてお答えください。やじに一々お答えいただく必要はないと思いますので、お願いします。

安倍内閣総理大臣 少しやじもありますが、今回は私、お答えはしていないと思います。

 それと、先ほど、まさに官房長官当時、質問を受けたことは、これはいわば私の後援団体に関することであったわけでありますから、政治と金の問題であったと思います。私は一切そこからは献金を受けていなかったということが明らかになり、全く問題がなかったわけであります。あのときも盛んに疑惑疑惑というふうに追及されたことを私は覚えているわけでございます。

 同時に、私がここで答えてきたことは、先ほど申し上げましたように、知っていたか知らなかったかということが大きな、補助金を受けて一年以内、交付から一年以内ということでありますから、これはこちら側の、受け手には知り得ない場合も当然あるということは、これは恐らく委員も同意されるんだろう、このように思います。

 しかし、同時に、それは、献金を受けた方は、当該企業、団体はそれは理解をしているわけでありますから、そこがしっかりと管理をするか通知をしなければならないということであって、それは私はそのとおりだなと思いながら聞いていたところでございます。

馬淵委員 お答えいただいていないようなんですが、要は総理は、繰り返しになりますが、政治と金の問題が発覚をして辞任されるたびに、責任は自分にある、任命責任は自分にある、そして政策を推進するということだけしか繰り返しおっしゃっていない。その上で、政治と金に対する対処は一切言及をされない。

 さらには、その政治家みずからがそのことに対しては身を正さねばならないとしながらも、総理大臣みずからが、内閣に対しては説明責任を求め、それができなければ去れ、このように言った。にもかかわらず、今回、西川大臣のときはそうじゃないんですね。慰留をされ、疑惑があるのを、説明を不十分だと繰り返し指摘されているにもかかわらず、それについては何もせず、大臣がおやめになった後はもはやそれについては一切触れない。このような状況でいいのかということを、私はこの委員会、この時間を使ってお尋ねしているんですよ。

 この問題を西川大臣の辞任で終わらせていいんでしょうか。そうではないはずです。繰り返し繰り返し発生する政治と金の疑惑に対して、しっかりとした内閣の方針、それを示すべきではないんでしょうか。

 総理、そこでお尋ねしますけれども、疑惑を徹底的に解明する、あるいは明らかにするのは、みずから行うべきではないでしょうか。例えば西川前大臣に関しては、第三者の調査なり検討会を設置する。あるいは、今既に名前が挙がっている、疑惑を追及される、あるいは疑惑のことで名前が挙がっている大臣、また全ての閣僚について、徹底的な情報公開、問題ないんだということを検証させる、このような調査を行うという取り組みを行うべきじゃないでしょうか。

 総理はそこまでやって初めて、説明責任あるいは任命責任の中で、政治と金の問題に対処した、このように国民の皆さんに伝えられるんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。

 このまま何もせずに、やめたから終わり、後は政策を推進する。これは、繰り返し申し上げます、完全にすりかえの答弁なんですよ。問題に対する責任のとり方ではないんです。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になっている点、西川大臣の点についていきますと、補助金を受けていて、それは執行から一年以内には受け取ってはいけないということであります。これは、いわば補助金が政治資金へ還流されてはならないということなんだろう、このように思います。

 そこで、では、法の趣旨に照らしてどうだったかということが大切な点であろう、こう思うわけでございます。

 ですから、それは一年以内、これはずっとではなくて一年以内という期限も切っているという点にあるわけでありまして、西川大臣の場合は、これはまさに、知らなかったという答弁をされているわけでございます。そして、その後にその事実を知らされて、しかし、これは構成要件ではないですから、違法状態が続いていたということでは実は法的にはないわけでありますが、しかし、道義上その献金は返したという説明をされているわけでございます。

 では、政治の役割は何かということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、では、西川さんのもらった献金のもらい方について、これは違法性があるという、いわば構成要件を変えていくのかどうか、法改正をしていくのかどうかということもあるんだろうと思います。しかし、こちら側は知り得ない立場でありますから、それはどうなるのかということもあります。

 そしてまた、国会においてこれはもっと調査が必要ということであれば、国会においてそれは御議論されるべきではないか、こう思う次第でございます。

馬淵委員 繰り返しですが、総理がみずから総理する内閣のことだったわけですから、やめたら終わりじゃないはずなんです。党総裁でもいらっしゃる。与党として当然これは取り組むべきです。

 総理は、今のようなお話を伺って、現状は、今の内閣、全く政治と金の問題はない、このようにお考えですか。今の閣僚の皆さん方を含めて潔白である、このようにお考えですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 私は、内閣を組織する、閣僚を任命する上においては、まさに、それぞれの議員の能力、見識等、そしてまた政策を遂行していくことができるかどうか、また政策を立案できるかどうか、与党とともに法案等をしっかりと実現していく能力があるかどうか、役所を統制していく能力があるかどうかということ等も含めて任命をしていくわけでございます。

 そういう中においてこの安倍内閣が発足をした、第三次安倍政権は発足をしたわけでございますが、当然、そうした問題が指摘されれば説明責任を果たしていく。説明責任を果たしていくということは、これは、内閣のみならず、与党、野党かかわりなく、議員であればすべからく、襟を正し、求められたら説明責任を果たしていくことが求められるのではないか、このように思います。

馬淵委員 お答えの中では、結局、総理自身がそこは自信がなさげに私には聞こえます。

 このままいくと、それこそ八人目、日本憲政史上最悪の、金まみれの内閣ということでの汚名を残すことになりますよ。

 総理、これは、みずからが政治と金に対しては対処するという姿勢を示して、それができなければ、八人目ができなければ、それこそ内閣総理大臣を辞職する、それぐらいの覚悟と決意を持っていただかなければならない。そのことをお伝えして、私の質疑を終わります。

 以上です。

大島委員長 これにて馬淵君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 引き続いて、総理の任命責任についてお伺いをしたいと思います。

 お手元に資料を配っておりますので、それをちょっとごらんいただきたいと思います。

 まず、資料一で、これは先週私が安倍総理と直接やりとりをさせていただいた際に、総理はこのようにおっしゃっておられます。「西川大臣は説明責任を果たしておられる」とおっしゃっています。

 それから、週がかわりまして月曜日、我が党の後藤祐一議員の質問に対して安倍総理は、「まだ十分に国民の皆様から御納得いただいていないのも事実」ということで、完全に西川前大臣が説明責任を果たし切れていないような、そういったニュアンスを含むお答えをなさっております。

 それに対して、資料三、すぐ横を見ていただきたいんですが、西川大臣がやめられる際に、まあ、私が幾ら説明してもですね、わからない人にはわからないということで。私もわからない人の一人なのかと思いますけれども。その下、政治資金問題については、西川大臣はこうおっしゃっています。全部説明はできたし、全部法律に触れることはない、これは首相もわかってくれたというふうに、やめる際に西川前大臣はこのようにおっしゃっておられます。

 そこで、総理にお伺いしたいと思いますけれども、総理としては、西川大臣、もう今はやめられましたけれども、説明責任を全部果たした、あるいは全部違法性がなかった、そういう認識でおられるのか。その点について、まず総理、お答えください。

安倍内閣総理大臣 西川大臣はここで、玉木議員とのやりとりにおいても、私は、西川大臣は一生懸命説明をされた、このように思います。

 そして、違法性があるかないか、また外形的にどうなんだろうと思われるというのは、これはまた別のことだろう、こう思うわけであります。

 違法性ということに対しましては、先ほど申し上げましたように、知らなかったと。恐らく、私も西川大臣の話を伺っていて、知らなかったんだろう、このように思いますし、私が同じ立場であれば、相手の企業がそうした補助金を受けて献金をする、それは事故的にはそういうことが起こり得る、だから、起こらないように工夫として相手側にあらかじめ伝えておくということをしておりますが、しかし、必ずしもそれは完全にやっているかどうかというのは、私もこの資料を全部見ているわけではございません。規約の中には書き込むようにしているわけでございます。

 そこで、それは起こり得る。でも、起こり得た場合は、これはいわば法律を犯したということにはならない、知らないということでありますから。

 しかし、農水大臣という職責上、いわば農林水産行政とかかわるところとの関係でありますから、これは国民の皆様が、これはおかしいのではないかという疑問を持たれやすいというのは事実であろう、このように思います。

 ですから、その意味におきまして、私は、法的な意味においてはしっかりと説明責任を果たしておられる、このように思うわけでありますが、国民の皆様からの疑問に対してもしっかりとお答えをしていく必要がある、そう感じたところでございます。

玉木委員 今の総理の説明は、精糖工業会館から西川大臣への献金、またテクノウッドワークスさんから西川大臣への献金と、いわゆる補助交付決定してから一年以内の献金についてどうだというところについては、今総理の説明のとおりかなと私も思います。

 先週も申し上げましたけれども、まさに構成要件ということからすると、確かに厳密に読むとどうかなというところがあるというのも事実だと思いますし、ですから私は、あのときも、法改正の必要性についても提案をしたわけであります。

 私が質問したいのは、四を見ていただけませんか。資料の四です。

 知っている、知らないというような議論もありましたけれども、私が問題にしたいのは、これも月曜日でありましたけれども、宿題が残っているというふうに実は認識しているんですね。

 まず、この下側の吹き出しを見ていただきたいんですが、例の選挙区内にある木材加工会社の顧問を西川前大臣は落選期間中になさっておられたということは、この委員会の中でも御本人がお認めになられました。

 問題は、この上です。では何をしておられたんですかという問いに対して、これは会社の社長さんの言葉ですけれども、私は何にも仕事は頼まない、あんたは再起に向かって一生懸命働け、こういうことをお話しされておられました、私は経営上の問題について頼まれることはありませんでしたということで、これは多分、補助金の交付決定について全く知る立場になかったということの説明の中でおっしゃったと思うんです。

 そうなると、逆のというか、もう一つの問題が出てくるのは、全く勤務実態のない当時この会社の西川顧問について、一定のお金がこの会社から払われていた際に、そのお金の性質は一体どういうものなのか。このことは、例えば税法上の問題も出てくると思います。

 そこで、西川前大臣はこういうふうにお答えになっています。顧問の職務内容や報酬あるいは在任期間ということについて、私は、精査をして、それから報告をする、こういった約束でありますから、もう少し時間をいただければとお願いしますということを月曜日におっしゃいました。そして、その数時間後に大臣を辞任されたわけでありますね。

 ですから、私どもの認識としては、今現在においては、西川大臣は辞任会見で、もう全部説明できた、これは首相もわかってくれたということをおっしゃっておるんですが、この間の経緯を整理いたしますと、少なくとも、この選挙区内の木材加工会社を初めとした、顧問契約を落選中に結んでいたその会社との関係、報酬の額、こういったものについてはまだお答えになっておられないと認識しています。

 この点については、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この顧問を受けていたという議論は、あの日の後半だったと思いますが、おとといですか、でございまして、私も、それについては、まさに西川大臣が言っているとおりでございますから、私もあそこで初めて聞いた話でございますし、詳細については存じ上げないわけでございます。

 要は、その段階において知っていたか知らなかったかという関係等々については、今は西川前大臣は一議員となられましたが、それは議員として説明を果たしていくべく努力をしていくということは当然のことではないか、このように思っております。

 税法上の問題ということを御指摘になられました。

 これは、私も詳細はつまびらかではございませんので、今お答えすることはできないわけでありますが、一般論として、よく、そういう浪人の方について、経営上のアドバイスは受けないけれども、例えば社員の研修等に、経験と知識等について、研修の際、話を何回かしてくれ、そのための対価としての顧問料を払うことというのはあるように私も伺っております。

玉木委員 ですから、現時点においては、今総理がおっしゃったように、研修を確かに受けていれば、しっかりとしたある程度のサービスといいますか、そういったことが行われる対価として払われたということになるんですが、大臣は、全く何も頼まれることはありませんでしたともうおっしゃっているので、いずれにしても、この事実関係についてはしっかりと確認をする必要があるのではないかと思っております。

 何もしない人にお金を払えば、これが例えば社長個人からのお金であれば、これは贈与ですから、百十万円の控除を除けば贈与税がかかってきますし、法人からであれば所得税の問題が生じますし、そもそも、会社の側から見ても、勤務実態のない人に払えば、これは架空人件費、架空経費の計上になるので、法人税法の問題も出てくるということになりますね。

 また一方で、実は、西川大臣がおっしゃったように、いや、とにかく再選に向けて頑張ってくれ、こういう方はいらっしゃると思います。私は本当に政治家を応援したいという形でいらっしゃると思うんですけれども、ただ、それであれば、それは政治献金、寄附でありますから、政治資金規正法上の記載の義務を負ってくるということなので、いずれにしても、いわゆる顧問契約という、これは西川前大臣もおっしゃったとおり、いろいろな形態があり得ると思います。

 ですから、それがどのように処理をされていたのか、法律に照らしてどうだったかということについては、これは、たしか二十六日に委員長にお願いして出てくることになっているいわゆる顧問リスト、これが出てくると思いますので、ぜひこれが出てきた時点で西川大臣に参考人で来ていただいて、御本人からこの委員会の場で説明する機会を西川大臣に与えてさしあげて、しっかり弁明をするように、あるいは説明責任を果たす機会を西川前大臣に与えるようにしていただきたいと思いますけれども、委員長、いかがでしょうか。

大島委員長 理事会で協議をいたしますが、調査のその問題については既に理事会で私自身が判断をしたので、総理にお話しされても、これは総理もお答えようがないところもあると思いますので、理事会でそれはお示しをさせます、してもらいますということを私は申し上げています。

 参考人の問題については、理事会で協議をいたします。

菅国務大臣 今の玉木委員の質問に対してでありますけれども、何もしていないということでありましたけれども、先般のこの委員会の中で、西川大臣は、顧問として社員との意見交換等をしていたとのことであり、実態がないものではない、こういう答弁をした、こういったこともぜひ御理解をいただきたいと思います。

玉木委員 確かに総理に直接お伺いするようなあれではないかもしれませんけれども、官房長官がおっしゃった議事録を私も読んでおります。ただ、そのことをやはりちゃんと確認しないと、種々の、政治資金規正法上あるいは税法上の問題が出てくるということで指摘をさせていただいた次第であります。

 改めて、安倍総理に任命責任ということについてお伺いしたいと思うんです。

 先ほどもるる馬淵委員から話がありましたけれども、私も、資料二に、安倍内閣になってからの、選挙前の小渕経産大臣、松島法務大臣の辞任の際の安倍総理のお言葉と今回のお言葉を整理してみました。

 簡単に言うと、二つの要素です。まず、任命責任は、総理、堂々とお認めになられて、国民の皆さんにおわびをしなければいけないとおわびをまずおっしゃっておられます。その上で、小渕大臣、松島大臣の辞任の際は、経済最優先で政策を前に進めていかなければならないとおっしゃっておられます。今回は、同じように国民の皆さんにおわびをすると申し上げた上で、政策を力強く推進していく。

 総理の任命責任を問われた際のある種の答えのパターンはこの二つになっているんですけれども、馬淵委員も指摘をしたように、私がきょう、例えば西川大臣に先ほどの顧問の話を聞きたくても、もういらっしゃらないわけですね。ですから、私が考える任命責任の果たし方の一つの形態は、やはり任命をされた内閣総理大臣が西川前大臣のかわりにこの予算委員会や国会で、ある意味かわりに説明責任をしっかり果たすのも、私は一つの任命責任の果たし方のありようかなというふうに思っております。

 その意味では、二十六日に顧問リストが、先ほど大島委員長からも話があったように出てくると思いますので、そこについて、また同僚議員が我が党から質問すると思いますけれども、できるだけ総理にそこは直接お答えいただくか、もしそれができないのであれば、御本人しか知り得ないこともあると思います。それもわかります。であれば、繰り返しになりますけれども、西川前大臣に参考人でお出ましをいただいて、直接ぜひお話をしていただきたいと思っております。

 あわせて、選挙も前になって、遠い昔のように言われていますが、小渕前大臣についても、これは第三者の検討を待つというふうに理解をしておりますけれども、その後どうなったのか。例えば、一議員ではありますけれども、経済産業委員会などに出てきて御説明をされるということをぜひ総理からも勧めていただければなと思っております。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今の委員の御指摘は、小渕前大臣に経産委員会で説明すべきではないかという御指摘でございますが、これはまさに委員会の運営にかかわることでございますので、委員会でお決めになることだと思います。

玉木委員 私は、今、説明責任を果たせ果たせと言ってきました。しかし、私にも、今、実は、この間のいろいろやりとりをする中で、政治資金にかかわる問題を一部メディアで取り上げられました。ですから、人に言う以上、私は自分が自分の責任を果たしたいと思いますので、この予算委員会の場で、できるだけ情報を出して、自分なりの説明をさせていただきたいと思っております。

 私は、西川大臣と同じようなことをしている、脱法的な行為をしているということで、多くの人に、特にネットの中で批判を受けております。

 代表者が同じ複数の法人から、それぞれは政治資金規正法で決めている百五十万円の範囲内でパーティー券を購入してもらって、ただ、それを合計すると百五十万円を超える、このことが脱法ではないかというふうに新聞にも書かれました。

 私は、これは説明をできるだけ誠実に行いたいと思っております。これは逃げずに、説明責任を私なりに果たしたいと思っております。

 そこで、資料の七を見ていただきたいんです。

 これは私の場合なんですが、これは私が浪人時代から、私が野党のとき、まだ一回も通っていないときから大変御支援をいただいているある会社の社長さんでありますけれども、幾つかの事業をされておられます。これは、ここに八つの企業がありますけれども、全て住所も違う、そしてやっている事業も違います。食品の製造をやったり、あるいは不動産をやったり、それぞれに独立した、もちろん従業員もそれぞれにいらっしゃいます。

 そういうところから一社当たり、法律上は同一の者から百五十万円を超えない範囲でパーティー券を購入していただくことは許されるということで、それぞれに三十万円から五十万円の範囲でパーティー券を購入していただいているというパターンであります。

 私は、これは法律に合致しているという自信はあります。しかし、このことについて一部報道から批判を受けていることも事実であります。

 私は、このことを説明するのにどのような説明をすると国民の、特に普通の余り政治にかかわっていない人も含めて御納得をいただけるのか、真剣に考えました。多分、最終的には司法の場で判断していただくのが一番明確なんではありますけれども、国会議員でありますから、まず立法府の場で自分なりの説明責任を果たすということが第一だと思って、きょうあえてこれは取り上げました。

 そして、このことを、西川大臣の際に問題になった精糖工業会と精糖工業会館の関係と同じように報道されましたので、このこととの違いを私なりに説明したいと思うのは、献金とパーティー券が違うということがまずありますけれども、西川大臣の場合に問題となった精糖工業会には、まず国の補助金、税金が入っています、十三億円。

 そして、そこが取り扱っている砂糖というものは、農林水産大臣、これはまさにTPP交渉のいわゆる重要五項目の一つにも選ばれている大変重要な項目であり、いわば、明らかに大臣との関係の中で利害関係のある法人と言わざるを得ません。

 そして、総理にも何度も御発言をいただきましたけれども、精糖工業会と精糖工業会館は、代表者だけではなく住所も一緒でした。そして、精糖工業会館の業務を精糖工業会に委託をして、委託、受託の関係があって、そして委託料もしっかり払っているというような極めて一体性の強い関係がそこにはあったわけであります。

 しかし、私が今みずからの収支報告書を挙げましたけれども、これは大変申しわけないんですけれども、林大臣にもちょっとおつき合いをいただきたいんです。

 下に書いている林農林水産大臣のものなんですけれども、これも、同じ代表者、そして林大臣の場合は住所も同じでありますけれども、異なる二つの企業からそれぞれ百万円のパーティー券を購入していただいていて、それぞれは百五十万円の法律の範囲内ですから合法だと思います。しかし、足すと二百万円になって百五十万円を超えるという私と同じようなケースであります。

 これも私は法律に照らせば違法性はないと思います。私もそうですし、林大臣の場合もそうだと思いますけれども、会社はそれぞれ実態があると思いますし、何より、支援していただいている会社の社長さんは本当に純粋な支援者だと思います。国の補助金もこれは入っていないと思います。つまり、利害関係や利益誘導の関係にはないと思っています。

 こうしたケースが、私も林大臣も含めて犯罪者のような扱いを受けることは、私はちょっと遺憾だというふうに思います。

 そこで、林大臣にお伺いしたいんですけれども、林大臣のケース、これも違法性はないと私は考えますけれども、大臣もそのようにお考えですね。

林国務大臣 突然のお尋ねでございましたので、きちっと調べてからお答えした方がいいと思いますが、住吉工業、住吉運輸、私の後援会の中心的な人物でありまして、大変お世話になっている皆さんであります。しっかりと別会社で工業と運輸は分けてやっていると思っておりますので、今、玉木委員がおっしゃったことのとおりであろう、こういうふうに思っております。

玉木委員 私は報道されたので特にしっかりと説明責任を果たしていかなければならないと思っているんですが、私もこれは違法ではないと自信があるんです。

 ある政治資金に詳しい大学の教授も違法性はないというふうに言って、報道の中にもありましたけれども、ただ、これは道義的責任というか法の趣旨からすると問題があるんではないのかということなんです。

 これは総理にお伺いしたいんですけれども、こういうケースが、私は違法ではないと思うんですが、道義的責任があるということであれば、それは大臣も責任を問われることになると思うんですけれども、私もその際は何らかの責任はとらなきゃいけないと思っています。

 我々は、このケースでは、大臣をやめたりそういったことをするようなケースではないと思うんですけれども、総理、まさに任命権者として、今これをごらんになって、この件については特段問題ないと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は、玉木議員の件については余り承知をしていなかったわけでございますが、この林議員の住吉工業、住吉運輸、私の地元でもございますので、林先生の幹部でもあるんですが、私の幹部でもございますから、私はここには行ったことがあります。同じ建物でありますが、これは全く別の会社として実態はございます。

 同じ社長さんで幾つか会社を経営しておられるということはあるでしょうし、そもそも、一つの会社から、法人からたくさんもらってはいけないという、個人に着目をしていないという中において、法人ということなのかなと私も思ってきているわけでございまして、もちろん、林大臣のこの場合、全く問題ない、このように思っておりますし、また、玉木委員の御説明を今聞いておりますと、私は、政治家としては、ああ、そのとおりだなと思います。

 ただ、同時に、こういうものというのは、例えば報道の仕方とか国会での取り扱いの仕方によっては、何かまるでとても悪意のあるような、そういう雰囲気になる場合もございますので、冷静に議論すべきではないのか。では、こういう場合は法律上どうしていくのかということについて議論していくことなのではないのか、このように思います。

玉木委員 総理、ありがとうございました。

 私も総理と同じ考えであります。ただ、取り上げられ方によっては、いかにも悪いことをしているというように思われてしまうので、私もこうした場で取り上げ方には注意をしなければいけないと思いますし、メディアの皆さんにも、そういったことについては十分配慮をして報道いただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 ただ、私、今回、自分がこういうことを言われたことによって一つ感じたことがあるのは、今総理がおっしゃったように、政治家としてはこういうことはわかるし、問題ないと思うんですが、一般の方が見たら、やはり、同じ社長の方が、複数の企業からパーティー券を購入してもらって、足したら基準を超えるというのは、でも結局、実質同じなんじゃないのというのは、私、この一般の人の感覚もよくわかります。

 ですから、これは林大臣も詳しいと思いますが、金融の部門、金商法とかあるいは会社法の世界では実質支配基準という概念を入れて、例えば、親子関係にあったり、関連会社も一定の資本関係があったり、関連性や取引の関係があったものについては、いわゆる実質支配基準という概念を入れて一体的に規制しよう、コントロールしようという法概念、法的な考え方があります。

 ですから、こうしたことが非常に国民の皆さんから疑念を抱かれるようなことがもしあるのであれば、金融の世界でよく用いられる実質支配基準の概念を政治資金規正法の中にも入れて国民の疑惑を晴らしていく、あるいはより透明性の高いものにして政治に対する信頼を確保していくことも私は一つの方向かなと思いました。(発言する者あり)

 今、後ろの石原さんも含めて、与党席から現実的じゃないという話がありました。

 確かに、このパーティー券の仕組みをうまく使って、何とか工夫して、我々政治家はお金がかかりますから、資金を集めている実態もあります。

 ただ一方で、やはり国民が納得できるような政治とお金の関係を築かないと、政治に対する信頼を取り戻すことはできないと思っていますので、私は、政治家として、立法府に身を置く者として、今申し上げたような、金融界で言われる実質支配基準を政治資金規正法の中にも入れることができないのかどうか、そういう議員立法ができないのかどうか、これからしっかりと検討していきたいと思いますので、与党の先生方にもぜひ御協力をいただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。

 それでは、農政の問題に入りたいと思いますが、資料の五、六を見てください。

 これも大島委員長に感謝しなければならないんですが、補正予算の際に、私は、農地中間管理機構、これは林大臣、去年通常国会で随分議論をさせていただきましたけれども、今、安倍内閣の進める農政改革の大きな柱の一つになっています。いわば農地を、出し手と受け手の間をつないでマッチングをしていく組織であります。各都道府県に一つつくられておりますけれども、この実態がどうなっているのか、補正予算の審議の中で取り上げました。

 資料の五を見ていただきたいと思います。

 これは既にお示しをした資料でありますけれども、今現在、補正予算の審議の際には、ここにありますように、面積ベースでいうと二十三万ヘクタールを欲しい、受け手の側の希望総面積としては二十三万ヘクタールが出てきています。それに対して、去年の八月末時点では幾ら実績でマッチングできているのかというと、わずか五百六ヘクタール、執行率でいうと〇・二%です。

 このマッチングを進めるために、さまざまな予算措置が組まれています。出し手に対して農地を出しやすくするための予算、受け手がまたそれを受けやすくする、規模加算を推進するような予算、そして、この中間管理機構を推進していくような予算、さまざまな予算がありますけれども、私がここでお伺いしたいのは、出し手に対する支援策である機構集積協力金という予算であります。

 これが、ここに書いておりますけれども、おさらいになりますが、二十五年度の補正予算と、今進行年度の二十六年度の当初予算で、合わせて二百五十三億円計上されておられました。これは麻生大臣にもお伺いしましたけれども、前回の補正予算の審議の際に、ではお金としてはどれぐらい執行していますかと質問をしましたら、〇・五億円、五千万円ですね。執行率にすると、これも〇・二%。符合するわけであります。

 ここで私が問題にしたのは、こういう状況の中でさらに補正予算を積むんですか、二百億積むんですか、二百五十三億のうち〇・五億円しか使っていないのに、二十六補正予算で緊要性があるといって二百億積むんですかといって指摘をしたんですが、多勢に無勢でございまして、やはり補正予算は通って、結局この二百億円は積まれまして、今四百億円を超える基金になっているわけであります。

 そして、下を見てください。

 あのとき大島委員長にお願いをして、今度、では、二十七年の当初予算を審議するまでには、最新のこのマッチングの状況と予算執行状況、少なくとも二十六年度十二月末時点のものぐらいは全国から集めて、その実態を見ながら、新しい年度、二十七年度でどれだけの機構集積協力金が必要なのか議論しましょうとお願いをしたわけであります。そして、資料を出していただきました。ありがとうございます。その結果が、資料の六であります。

 面積ベースでいうと二十三万ヘクタール欲しいという人がいる中で、マッチング実績は、結構出てきていましたね、四千四百七十ヘクタールで、前のときよりは随分出ています。しかし、この棒グラフを見ていただくとわかるんですが、年間で予定していたその予定から、希望からすれば、まだまだ足りませんね。

 予算です、右側。二百五十三億円のうち、昨年末時点で実績は、これも少し上がっていますけれども、十六億円。執行率でいいますと六・四%です。

 まず、これは主計局長さんにお伺いしたいと思うんですが、こういう状況の中で、さらに、今これを我々は審議していますけれども、二十七年度当初予算、九十億円積もうとしているんですね。この前、補正で積んだばかりです。右に書いていますけれども、百五十三億、二十五年度補正で積んで、二十六年度の当初で百億積んで、二十六年度補正で二百億積んで、執行率六・四%の十六億円しか使っていない中で、なぜ二十七年度当初でさらに九十億積む必要があるのか。その必要性について、どのように査定したかについてお答えください。

田中政府参考人 お答えいたします。

 この制度は、先生御案内でございますけれども、二十六年の三月一日に法律が施行されました。これを受けまして、各都道府県で農地中間管理機構というものをつくってきたわけであります。

 したがいまして、いわゆる農地の出し手、これを貸してもいいよという方がそういう判断をする時期については、今まで、先生のさっきお示しいただいた十二月末の数字というのは、農水省の考え方、私どももそうでございますけれども、まだまだ本格化していないというふうに思っております。

 すなわち、前回農水省の官房長からもお答えしましたが、一月から三月に恐らく、農閑期でございますので、一番マッチングが行われる量がふえる時期だというふうに考えております。

 したがいまして、この制度ができてから初めての農閑期を今迎えつつあるわけでありまして、この数字が、そういう意味で、定常的な数字であるというふうには考えておりません。

 予算編成に当たりましては、そういう意味で、現時点で、年度ごとの所要額を極めて正確に見積もる上での参考となる過去の実績が存在しないわけでございますけれども、先生の御指摘のように、これは極めて大事な、農政改革においてキーポイントになる制度でございますので、借り手の側、貸してくれと言っている側のデータが二十六年九月末で二十三万ヘクタール出てきております。もちろん、これが全部直ちにマッチングがうまくいく可能性が完全にあるというわけではございませんけれども、担い手の方々の旺盛な意欲に、いざとなれば万全の対応ができるような予算の手当てを行うということで、この二十三万ヘクタールをもとに、さらに二十七年度で六万ヘクタールぐらい増加するというふうに見込んで予算をつくっております。

玉木委員 いや、私、田中局長は昔はもっと厳しかったと思ったんですけれども、まるで農水省の経営局長さんのような答弁だったので、査定側というよりは、むしろ要求側のような答弁だったかなと思っているんですが。

 麻生大臣、これは常識的に見て、私、またちょっと使い切れないんじゃないのかと。それは、ぐっと伸びてきたらいいと思いますけれども。プライマリーバランスもやはり達成しなきゃいけないし、財政事情厳しき折なので、やはりもう少しこれはきちんと精査を。私、つけるなと言っているんじゃないんです。やはり、信頼できるような額をしっかりつけていくということがこれから特に大事だと思っています。

 それで、これは林大臣にちょっと、少しブランクがありますから、思い出していただいて、ぜひ推進していただきたいんですけれども、今、田中局長も、二十三万ヘクタールの受け手側の要望があるからこれが要るんだということになったんですが、私が問題にしている機構集積協力金は出し手への支援策です。ですから、出し手の希望総面積は幾らなのかということをやはりきちんと把握して査定しないと、ずれてきますよ。

 出し手の総希望面積、十二月末時点でとっていますか。これは農水省でも財務省でも答えてもらいたいんですが、出し手の側の希望総面積ですよ、それが多分予算査定の根拠になるはずですから。これは前にも申し上げましたけれども、当然とっていますね。

林国務大臣 少しブランクがあるというお話でしたが、きょう御質問がありましたので。

 これは、御案内のように、借り手の方、貸してもらいたいという方、これは公募をするようになっております。したがって、いろいろな人が手を挙げてくれる。

 一方、出し手の方は、それぞれの地域、玉木先生が与党の時代にやって始めていただいた、人と農地プラン等に基づいて、そういう個別的な、営業的な中から出していただこう、こういうことで、どのあたりをもって本来的な、確定した、出すということなのかということは必ずしも、いろいろな段階があるとは思いますけれども、その努力を今している途中ということでございます。

 そういう意味では、この数字が何月末時点でということをはっきりととっているという状況ではないわけでございますが、逆に、これは制度を設計したときに議論をさせていただきましたけれども、借りたいという人もどれぐらい出てくるんだろうという議論も随分ありました、出したい人が出て、逆になるかもしれないんじゃないかということもありましたので、やはり、これだけ借りたい人がいるということに合わせて、どうやって出す方をふやしていくかということを今から一生懸命やっていかなければいけないと思っておりますので、そういう意味で、その努力をしっかりやっていくということが大事だ、こういうふうに考えております。

玉木委員 もう終わりますけれども、出し手の希望面積を今に至っても把握していないというのは問題だと思いますよ。それなのにこんな予算をなぜ積めるのか、これは根拠がないと思いますよ。

 ですから、委員長、またお願いなんですが、いろいろ出していただいていますけれども、ぜひ、出し手の側の希望する総面積数、これを農林水産省は調べてこの委員会に提出していただくこと、そのことが実のある、これから農政改革の審議にも役立つと思いますので、このことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 承っておきます。

 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 まず、総理の任命責任について少し続きをやりたいと思います。

 総理、まず、総理が認めた任命責任の中に、任命時点における政治と金のチェック、いわゆる身体検査が甘かった、このことの責任というものは入っているでしょうか。

安倍内閣総理大臣 いわゆる世の中で言われている身体検査というのは、これは個人のプライバシーの侵害ということもございますから、いわゆる身体検査というものは、どういうことで言っておられるのか、これはわかりませんが、いわば、私どもで知り得る限りのことを我々もチェックをすることはございますが、しかし、実際に国家権力を活用して本人のプライバシーの中に入っていくということはもちろんしてはならない、このように考えておりますし、政府と議員という関係もございますから、そこはおのずとかなりの限界があるということではないかと思います。

後藤(祐)委員 質問にお答えください。

 総理が認めた任命責任の中に、任命時点における政治と金の問題についてのチェックが甘かったという責任は入っているでしょうか。

安倍内閣総理大臣 いわば国会議員として、そもそも有権者にみんな選ばれているわけであります。その意味において、私は、全ての議員は有資格者であると。そういう観点から、当然、先ほど申し上げましたように、その政策分野に通じているか、あるいはまた政策を実行していく能力があるか、役所を統率していく能力があるか、与党とともに法律をつくり、そして法律を成立させていく能力があるかどうか、こういうことを全般的に見ながら判断をするわけでございます。

後藤(祐)委員 どうも答弁いただけないようですが、次にもう一つ、事後の問題について。

 なかなか西川大臣が説明責任を果たされない場合に、突き放したままですか。それを、説明責任を果たすように総理から促す責任、これも任命責任の中に入っているのではありませんか。

 それは、小渕優子さんが説明責任を果たすと言って果たしていない、これも同じことだと思いますが、問題が発覚した後、当の議員本人が説明責任を十分に果たしていないと思われるときに、これに対して総理がその責任を果たすよう促すことも、総理が認めた任命責任の中に入っているのではありませんか。

安倍内閣総理大臣 まず、西川大臣におきましては、先ほど申し上げましたように、違法性があるかないかということについては、私は、違法性についてはしっかりと説明責任について話をされた、このように思います。

 後藤委員が先般言われた、知っているか知っていないかはかかわりないということでございましたが、実は、それが大事な構成要件であったわけでございます。

 そうなりますと、知っているか知らないかはかかわりがないという観点から攻撃をしていけば問題であるかもしれませんが、そこが大きな構成要件ということであれば、これはまさに、そもそも、補助金をもらった方はわかるわけでありますが、補助金をもらっている会社から献金を受ける方は、これは確かになかなかわからないわけでありますから、そこは基本的な問題として、これはここでも議論になっているとおり、違法性はない、こう西川さんは答弁をされて、私はそこは納得をしていたわけでございます。

 しかし、なかなか、先ほども玉木議員との議論の中でもあったように、国民の皆様との関係において、これはさまざまな疑問が出されているのも事実でございまして、今、一議員に戻ったわけでありますが、議員としてそうした疑問に答えていくことは当然のことであろう、こう思うわけでございますし、あるいはまた、この委員会の場でどう対応していくかということについては院でお決めになることだ、こう思っておりますし、また、小渕優子議員につきましても、先ほどお答えをしたとおりでございます。

後藤(祐)委員 質問にお答えいただきたいんですが、総理みずから西川大臣あるいは小渕大臣が説明責任が不十分だと考えた場合に、総理自身がその説明責任を果たすよう促すということも総理の果たすべき任命責任に入っているか入っていないか、お答えください。

安倍内閣総理大臣 これは、任命責任に入っているか入っていないかということではなくて、基本的に、私が申し上げておりますように、内閣のメンバーであろうと、あるいは議員であろうと、我が党の議員であれば私は総裁であります、あるいは与党の議員であろうと、そうした疑問を持たれれば、それに対して答えていく責任があり、その説明責任を果たしていかなければならない、こう申し上げて……(発言する者あり)

大島委員長 静かに。傍聴席からごちゃごちゃとやじらないように。

安倍内閣総理大臣 済みません、なかなか、しゃべりにくいものですから。よろしいでしょうか。反応はしているわけではありませんが、しゃべりにくいということでございまして。

 その上で申し上げますと、いわば議員として、まさに、議員は常に襟を正さなければならない、求められれば説明責任を果たしていく責任がある、私は自民党総裁としてもそのように私の考え方を述べているわけであります。

 そして同時に、個々の議員は、それぞれの選挙区で国民から負託を受けている。その重い責任の中で、当然、議員として判断をしていくことであろう、このように思います。

後藤(祐)委員 今まさに自民党総裁というお言葉がありましたが、自民党総裁としてでも結構です、総理大臣としてでも結構ですが、西川大臣及び小渕大臣に対し、説明責任を果たすよう促すことはしないということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 促す促さない、あるいは命令する命令しないということではなくて、議員はどうあるべきかということについて私はお話をしているわけでございます。

 これは、総理というよりも総裁でございますが、総裁と議員の間において、説明責任を果たしていくということは、私が説明責任を果たせという命令をするということではなくて、それぞれの議員の見識の中において、しっかりと説明責任を果たしていかなければいけない。私は、説明責任を果たしていくべきだ、こう申し上げているわけでございます。

 その上において、各議員は、国民の負託を受ける、また、選挙の場において、国民の、そのことも含めて審判を受けていくということではないかと思います。

後藤(祐)委員 促すことはしないということで、八人目が出ないことを、大変懸念いたします。

 それでは、きょうは、NHK籾井会長、浜田経営委員長にもお越しいただいていますので、この問題について扱いたいと思いますが、お手元の配付資料、二ページ目をお開きください。

 二月四日の毎日新聞記事によれば、「籾井会長は昨秋、与党幹部の前で「NHK予算は与党が賛成してくれればいい」と発言、逆にたしなめられた。」とされておりますが、籾井会長、これは事実でしょうか。

 ちなみに、これについては、二月十八日の民主党総務部門会議で同じことを聞かれた際、予算で与党だけが賛成すればよいという話をどこで誰が言ったのか全く心当たりがない、そういうふうなことを言うわけがないじゃないですか、このように答えておられます。

 事実でないと断言できますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 新聞記事には、やはり私はコメントすべきでないというふうに思っております。

 それから、この前もちょっと申しましたが、そのような発言をした記憶はございません。

 当然のことながら、我々は、NHK予算の国会審議に当たっては、全会一致による承認を目指し、誠心誠意、丁寧に対応してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 記憶にございませんというのは、完全に否定しない、したくない、後で問題が起きるかもしれないときに使う用語でありますが、このような発言はしていないと断言してください。断言できますか。

籾井参考人 今も申しましたように、そのような発言をした記憶はございませんし、我々は、当然のことながら、NHK予算の国会審議に当たっては、全会一致による承認を目指し、誠心誠意、丁寧に対応してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 質問にお答えください。

 この発言をしたのですか、それともしていないのですか。記憶にないではなくて、したのか、していないのかをはっきりとお答えください。

籾井参考人 先ほども申しましたように、私がそのような発言をした記憶はございません。

後藤(祐)委員 後でまたちょっと戻ってまいりますが、幾つかあります。

 同じ二月十八日の我が党の合同部門会議において、昨年は、御承知のとおり、私が一月二十五日に着任したその日に記者会見がセットされたんです、私からすると大変無謀なことだと思いますけれども、えっの声、NHKのことを何も知らないんですからとお答えになられています。

 籾井会長、昨年一月二十五日にNHK会長に着任した日、NHKのことは何も知らなかったんですか。何も知らないで会長におなりになったんですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 一月二十五日、たしか土曜日だったと思うんですが、私はその日にNHKに着任いたしました。

 御承知かどうかは知りませんが、私はそれまで民間の会社で四十数年勤務をしておりました。

 そういう中で、一月二十五日に着任して、NHKの内容についてほとんど存じ上げなかったのは事実でございます。やはり着任してから、いろいろ勉強もし、講義も受けるということだったんだと私は思います。

後藤(祐)委員 今、ほとんど存じ上げなかったとおっしゃいましたが、二月十八日の会議では、何も知らないんですからと言っているんです。

 発言を変えましたが、そうしますと、二月十八日の、何も知らないんですからという発言は撤回されますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 全く表現だけの問題でありまして、真意は全く変わりません。

後藤(祐)委員 同じようなことを答えるでしょうから、次に行きましょう、時間がないので。

 全会一致の重要性についてお聞きしたいと思いますが、昨年三月、二十六年度NHK予算の承認が八年ぶりに全会一致ではありませんでした。民主党、日本維新の会、結いの党、日本共産党、生活の党、社会民主党の六会派が反対しております。我が党も反対しました。

 籾井会長に伺いますが、NHK予算の国会での全会一致はなぜ重要だと思いますか。

籾井参考人 先ほども申しましたけれども、我々は当然全会一致ということを目指すんですが、NHKは、公共放送として、視聴者・国民の幅広い信頼の基盤の上に立っております。国民を代表する国会の各会派の賛成を得るべく努力することは必須であると考えております。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

後藤(祐)委員 昨年三月、全会一致が崩れて、その後の四月八日の経営委員会で上村委員長代行が次のように述べておられます。配付資料三ページです。

 「やはり全会一致が崩れたというのは、残念だったでは済まないぐらいの重大な問題だと思います。」もう全部読みませんが、「会長が、私の個人的見解はこうだ、ということを言って、最終的に全会一致が崩れたことは、極めて重い意味があると思います。それは公共性の高いNHKのトップとしてのあり方そのものに反省を迫るものだと強く思いますので、そのことも十分会長にお伝えいただきたいと思います。」このように述べておられます。

 そして、この上村委員長代行の発言も恐らくあって、昨日、NHKの経営委員会が開かれました。その中で申し入れというものがなされておりますが、同じ配付資料の六ページになります。

 この中で、「籾井会長以下執行部には、事態を一刻も早く収拾し、この経営計画の初年度である、平成二十七年度のNHKの収支予算、事業計画が、国会で、全会一致での承認を得られるよう、最大限の努力をしていただきたい。」このような申し入れをすることになりました。

 昨年にも同じような申し入れがありましたが、昨年は、国会で全会一致の承認という言葉はありませんでした。ことしから入りました。

 この、昨年にはなくて、ことし全会一致での承認を得られるようとなったのは、これは浜田委員長に伺いたいと思いますが、どういう意味なんでしょうか。

 つまり、これは民主党だけではありません、昨年、六会派が反対しているわけですから、民主党も含めた野党の賛成をいただくよう、籾井会長以下経営陣は、執行部は最大限の努力をせよと。その中には、民主党の賛成を取りつける最大限の努力をしていただきたいという内容も含まれると我々は考えますが、いかがでしょうか、浜田委員長。

浜田参考人 NHKは、受信料で成り立つ公共放送であり、放送法で定められた理念を実現するためにも、全会一致での御承認をあくまでも追求すべきである、そういうふうに考えております。

 二十七年度の収支予算、事業計画については、全会一致の承認を目指して全力で取り組むよう執行部に申し入れいたしました。経営委員会としても、そのための監督はしっかり行っていきたいというふうに思っております。

 何とぞ御審議、御承認賜りますようお願いいたします。

後藤(祐)委員 委員長、その中には、民主党の賛成を取りつける最大限の努力をするということも含まれますか。

浜田参考人 繰り返しになりますけれども、あくまでも全会一致を目指していただきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 全会一致の中には民主党の賛成も当然含まれると思うんですが、全会一致の中には民主党の賛成は含まれますか、経営委員長。

浜田参考人 先ほどもお答えいたしましたように、あくまでも全会一致を求めていただきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 全会一致の中に民主党の賛成が含まれないということは論理的にあり得ないと思うんですが、それはどうしても答えられないということであれば、次に行きたいと思います。

 では、民主党のNHK予算の承認のために、籾井会長はどのような努力をされているんでしょうか、最大限の努力をするよう申し入れをされたわけですが。

 二月二十日の予算委員会で、同僚の階議員から、二月十八日の民主党総務部門会議でのやりとりについて質問がありました。

 「こんなにたくさん時間を使って、また呼ばれるのは御免だとか、あなたの方がへ理屈だとか、言葉尻の話だと言われました。また、国会を場外と評するなど、国会を軽視する発言もありました。やりとりの最後には、くだらぬなどと捨てぜりふを吐かれたとお聞きしました。私は、大変ショックでした。」と、ここに階先生がおられますけれども、おっしゃっておられました。

 その場で階議員は、「あの場での御自身の言動は問題がなかったと思われますか。」と質問しましたが、籾井会長は、「私の言葉遣いが誤解を招いているのであれば大変残念なことだと思っております。」と発言されておられますが、謝罪の言葉はおっしゃっておりません。

 謝罪すべきではありませんか、籾井会長。

籾井参考人 私の発言が皆さんに御不快な思いを与えたのであれば、私は、まことに申しわけないと思っております。

 それから、一つ訂正させていただきたいと思います。

 国会を場外と私は言ったことは全くありません。あれは、場外というのは、国会以外の、例えば記者会見とかそういう場での発言でございます。よろしく御訂正お願いいたします。

後藤(祐)委員 私の言葉遣いがということでございましたが、あのときは、テレビでもたくさん報道されておりますが、階議員と相当激しい口調でおっしゃられ、こんな感じになって、言葉遣いだけではなくて言動全般について相当問題があったと思いますが、これは、最大限努力するという意味において、今の言葉だと足りないんじゃないですか。もう少しきちんと、どういったことについて申しわけないと思ったのか、わかりやすく話していただけませんか。

籾井参考人 私がつぶやいたことが何か、私はちょっと耳が悪いものですから、ちょっと声が思ったより大きくなったみたいで、聞こえたようなんですね。これは本当にそうなんです。

 よって、その言葉も含め、なおかつ、やはりあのときは、私、ほぼ一人で皆さんに対応したわけですから、そういう意味において、私はある程度の興奮状態にありましたので、そういう言動も含めまして、もし不愉快なお気持ちになられたのであれば、まことに申しわけないと思います。御理解ください。

後藤(祐)委員 そうしますと、一番最初に、与党幹部の前で、NHK予算は与党が賛成してくれればいいという質問に対して、記憶にございませんとしか先ほど答弁されませんでしたが、もう一度聞きます。この言葉は話したんですか、話していなかったんですか。その事実関係をきちっとこの場で、記憶にございませんという言葉ではなく、はっきり言っていただかないと、最大限努力しているとは我々民主党は考えません。いかがですか。

籾井参考人 先ほども申しましたけれども、そのような発言をした記憶はございません。

後藤(祐)委員 それですと、最大限の努力をしていると我々としてはみなしにくいんですが、よろしいんですか。最大限の努力をするチャンスを失ってもよろしいんですか。

籾井参考人 先ほどの、言動に対する謝罪も含めまして、我々はベストを尽くして、民主党の皆様にも、全党から全会一致の了承をいただきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 先ほどの、NHK予算は与党が賛成してくれればいいと言ったのか言わなかったのかということについて、事実か事実でないかを説明する努力はされないということがよくわかりました。

 次に行きます。

 浜田経営委員長に伺いますが、籾井会長が事態を一刻も早く収拾し、NHK予算の国会での全会一致の承認を得られるよう最大限の努力をしているかどうかを監督することは、放送法二十九条、今お配りの資料の一ページ目が放送法、幾つか載っていますけれども、二十九条もありますが、二十九条一項の「役員の職務の執行の監督」、これに該当すると考えてよろしいですか。

浜田参考人 そのように思っております。

後藤(祐)委員 真摯な答弁、ありがとうございます。

 もう一つ伺います。

 浜田経営委員長に伺いますが、この最大限の努力をしようとしないことは、経営委員会による会長の罷免を定めた放送法第五十五条、同じページに、一番下のところにあります、この五十五条の、会長が職務の執行の任にたえないと認めるとき、あるいは会長に職務上の義務違反その他会長たるに適しない非行があると認めるときの、いずれかに該当し得るのではありませんか。

 そこでまず聞きましょう。

浜田参考人 そのような御懸念を招いていることは大変残念なことと考えております。

 しかし、今は、経営委員会といたしましては、平成二十七年度の収支予算、事業計画を国会で全会一致で御承認いただけるよう努力し、次期経営計画を着実に実行することを執行部に求めているところであります。

 会長以下執行部には、皆様の御理解を賜るための最大限の努力を行っていただきたいし、経営委員会としてもその監督はしっかり行っていきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 その監督はしっかり行っていきたいということは、その対象に入るように思いますが、もう少し具体的に聞きます。

 野党があるいは民主党が二十七年度NHK予算に賛成するよう、まあ、全会一致という言葉でないと答えにくいのであれば全会一致で結構です、二十七年度NHK予算が全会一致で賛成となるように籾井会長以下が最大限の努力を行うことは、籾井会長の職務上の義務と見てよろしいですか。

浜田参考人 籾井会長以下執行部、それから経営委員会を含めての義務で、努力事項であろうというふうに思っています。

後藤(祐)委員 努力事項という言葉がよくわかりませんが、放送法五十五条の「職務上の義務」に該当するんですか。二十七年度NHK予算が全会一致になるように最大限の努力を行うことは、NHK会長の職務上の義務と見てよろしいですか。

浜田参考人 努力を行うことは、会長以下執行部の義務であるというふうに思っています。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 NHK予算の全会一致での賛成をいただかなくてはならない、その一つである民主党の会議で、声を荒げて口論し、くだらないといった言葉を口走る、先ほど謝罪の言葉がありましたけれども、これは、職務の執行の任にたえない、放送法第五十五条の、会長が職務の執行の任にたえないと認めるとき、ここに該当する可能性があると思いませんか、経営委員長。必ず該当するかどうかはわかりませんが、該当する可能性はありますか。

浜田参考人 そのような御指摘をいただきましたことは大変残念なことだというふうに思っています。

後藤(祐)委員 残念ということは、可能性があると見てよろしいですか。もう一度、経営委員長。

浜田参考人 繰り返しになりますけれども、御指摘いただきましたことは大変残念だというふうに思っています。

後藤(祐)委員 経営委員長を余りこれ以上追及してもあれなので、次に行きます。

 二十九条というのもございます。放送法二十九条には、経営委員会としての役員の職務の執行の監督という職務を行うことになっております。

 この放送法二十九条の経営委員会としての役員の職務の執行の監督とは、ただ会長以下の執行部を見ていて問題があるといったときに、最終的に放送法五十五条で経営委員会が会長を罷免するだけなんですか。それとも、そこに至る前の段階で、経営委員会あるいは経営委員長が会長に対して何らかの指導を具体的に行うことも含むものですか。

 つまり、役員の職務の執行の監督、この監督という言葉には、もう少しちゃんとやれ、真摯にやれ、丁寧にやれというようなことを経営委員会あるいは経営委員長が会長に対して具体的に指導することも含まれますか、経営委員長。

浜田参考人 経営委員会は十二人の経営委員の合議体であります。その意見集約を踏まえて、注意を申し上げたり申し入れをしたり、そういうことを行っております。

後藤(祐)委員 先ほどの一番最初の、NHK予算は与党が賛成してくれればいいということに対して、記憶にございませんという、最大限の努力とは言えない答弁をされました。最大限の努力をするよう、経営委員長から会長に対して促すべきではありませんか。

浜田参考人 昨日も経営委員会の中で意見交換を行い、その意見交換の結果を踏まえ、会長に申し入れをいたしました。全会一致をもって、最大限の努力をすべきだということでやっております。

後藤(祐)委員 ここをしっかりしないと、経営委員長あるいは経営委員会としての責任が問われるようになりますので、ぜひ具体的な御指導をしていただきたいと思いますが、安倍総理、寝ていらっしゃいますか、起きていますか。

 最初の話に戻ります。

 二月四日の毎日新聞記事にあった、「籾井会長は昨秋、与党幹部の前で「NHK予算は与党が賛成してくれればいい」と発言、逆にたしなめられた。」とされておられます。籾井会長は記憶にございませんと答えましたが、これを聞いた方の方も、これは実は事実関係を知っているわけでございますが、与党幹部、この与党幹部と思われる方に安倍総理から確認すべきではありませんか。確認していただけますか。

安倍内閣総理大臣 与党幹部と言われても、どこまでが幹部か。自分が幹部だと思っておられる方もおられますからね。これは確認のしようがないですよ、そういうふうに言われても。

後藤(祐)委員 安倍総理、この話を本当に全く聞いていませんか。二月四日のこの記事が出て、本当に何も知らされていないんですか。何も知らないんですか、本当に。

安倍内閣総理大臣 私も総理大臣としてたくさんの仕事がありますから、与党幹部に誰々が話した、そういう記事はよく出ますよね。そんな記事を一々私は気にとめておりません、申しわけないですが。いわば国政の大事、大切なことに私は集中していきたい、このように思っております。

後藤(祐)委員 与党には、自由民主党と、もう一つ公明党がございます。

 公明党の太田大臣に伺いますが、太田大臣、この与党幹部、公明党の可能性もあるわけですね。NHK予算は与党が賛成してくれればいいと籾井会長が昨秋、与党幹部の前で発言し、逆にたしなめられた。

 確認していただけませんか、公明党の幹部の方に。

太田国務大臣 私どもの場合は、党のことは党に任せているというのが現状でございます。

後藤(祐)委員 官房長官がおられなくて大変残念なんですが、高市大臣に伺いたいと思います、これを所管している総務大臣として。

 高市大臣も、与党幹部に今の発言をされたかどうか、確認していただけませんか。

高市国務大臣 報道による与党幹部と言われましても、それが誰なのか、全く想像もつきませんし、調査のしようもございません。

 基本的に、NHKは予算をつくり、それを総務大臣に提出し、また、総務大臣はそれに意見を付して国会に提出し、そして御承認をいただく、こういうたてつけになっております。

 本当に多くの皆様に、先ほどから全会一致という話も出ておりますけれども、しっかり御承認いただけるように、NHKには努力をしていただきたいと思っております。

後藤(祐)委員 よく調べていただきたいと思います、関係者の皆様。ちょっと菅官房長官がいないのは残念ですが。

 籾井会長、二月二十三日の予算委員会で、同僚の階議員からNHK会長の資格要件について問われました。「NHKの公共放送としての使命を十分に理解している。人格高潔であり、広く国民から信頼を得られるNHK会長としてふさわしい人材である。政治的に中立である。構想力、リーダーシップが豊かである。社会環境の変化、新しい時代の要請に対して的確に対応できる経営的センスを有する。業務遂行力があり、説明力がある。」このように御本人から答弁がありました。

 一方で、昨日の経営委員会において、二月五日の籾井会長の発言は誤解を招くようなものであったと、これは経営委員会として正式にされておられます。

 それだけではなくて、昨年の会長就任時の記者会見における多数の発言、そしてそれに対する撤回事件、さまざまな問題を起こしておりますが、少なくともこの説明力があるという資格要件は満たしていないのではありませんか。御自分としてどう思いますか。

 この説明力があるという資格要件を満たしていると主張されるのであれば、その具体的根拠とあわせて御説明いただけますか。

籾井参考人 私の資質について、私がああだこうだとコメントすることは控えたいというふうに思っております。

 私としましては、常に申しておりますが、放送法にのっとり、与えられた職務をしっかりと果たしてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 質問に対してお答えになられないということは、最大限の努力をしていると我々はみなしません。

 最大限の努力を果たす、今、チャンスなんです。きちんと質問に答えていただけませんか。

籾井参考人 私としては、今答えたつもりでおります。

 やはり、自分のことを資格があるとかないとか、能力があるとかないとか、そういうことをコメントする人は少ないと思います。

 私は、先ほども言いましたように、放送法にのっとり、与えられた職責をしっかりと果たしてまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 最大限の努力を、残念ながら果たすチャンスを失ったと我々は考えます。

 安倍総理、籾井会長はNHK会長としてふさわしい人ですか。説明力はない、そして、これまでの多数の発言撤回、階議員に対する姿勢。いろいろ謝ったり取り消したりすればいいというものではありません。

 安倍総理、籾井NHK会長はふさわしくないと思いませんか。安倍総理の見解を聞きたいと思います。

安倍内閣総理大臣 放送機関のトップであります。放送機関のトップの言動等々について、行政の長である私がふさわしいかふさわしくないかということをコメントするのは不適切である、このように思います。

後藤(祐)委員 きょうは終わりますが、あさってまた集中審議がございます。この問題も含めて、引き続き追及してまいりたいと思います。

 終わります。

大島委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。よろしくお願いしたいと思います。

 月曜日の質疑の中で、我が党の松木委員が、やじに関しては少し反応されない方がいいんじゃないかという質問をさせていただきまして、総理は、その中で、いまだ木鶏たり得ずということをおっしゃったと思いますけれども、それを例に出されて大変反省しているというふうにおっしゃられました。

 これは荘子の言葉で、闘鶏が余り相手に反応しないで堂々としているという、そういうことの例えで、威風堂々としていろということで、その例を出されて反省しているとおっしゃったのは、私は、すばらしい答弁だと思いましたし、それでこそ一国の総理だというふうに思ったわけであります。

 その上で、せっかくの機会ですから少しお願いがございまして、まず一つは、先日、日教組の話でやじの問題でいろいろありましたけれども、ああいうことの全ての起因となっているのは、私は民主党じゃありませんけれども、いろいろなやりとりをしている中で、民主党はどうだったんですか、民主党はどうだったんですかというような発言をしばしばなさっておられる、それがあのやじの原因になったんだと私は思うんですね。

 もう政権をとってから二年以上たっているわけですから、民主党はもう野党ですので、与党時代のことを一々あのときはどうだったんですかと言うのは、正直、この委員会の理事として、ずっと委員会にいる人間として、もう聞きたくないので、そういう意味では、そういう発言はまず今後は控えていただけないかということをお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先般、荘子の、これを望むに木鶏に似たりという考え方で宰相を務めていきたい、残念ながらまだ、いまだ木鶏たり得ずという心境を披瀝したところでございます。

 民主党の例を挙げるということは、これはある意味、敬意を表しているわけでございまして、野党第一党であり、かつ与党であった、政権を担っていたということであります。そして、政策を遂行していくことはそう簡単なことではないんだということ、お互いそれは共感しているでしょうという中において申し上げているわけでございまして、そういう意味で、例えば維新の会についてはそういう発言は余りしていない、このように思うわけであります。

 政権を担うという経験をお互いにした者として、それは、その批判はちょっと当たらないのではないですか、我々もこういう努力をしていますよと。あとまた、例えば経済の指標を比べるときに、これはそのときの絶対値もそうですが、どういう傾向に変えたか、あるいはかつてはどうだったか、どういう改善を見たかというと、どうしても前政権のときのことを言わざるを得ないということであります。

 我々も、今後、例えば五年とか十五年、十年とか、まあ、前政権という立場にはなりたくありませんが、もしそうなったときにも、あのときはああだった、こういうふうに言われずに、あのときはよかったなと言われるような実績を残していきたい、このように思っております。

今井委員 私たちはできたばかりで野党しか経験しておりませんので、そういうことは言われないんですけれども、そういう立場だからこそ、客観的に見て、ちょっともう少し、言い合いをするのはどうかなというふうに思いましたので、ここでちょっとお話をさせていただきました。

 それともう一点、昨年の臨時国会から、私、この理事をやらせていただいていますけれども、その間、総理がここの答弁のところで、民主党の議員に対して、三名名指しで、ちょっと黙ってくださいというふうにおっしゃられたんですけれども、私はこれは控えるべきだと思うんですね。

 というのは、当然、私も、やじを飛ばされて、ここで自分の言っていることがわからなくなって困ることはありますので、少し静かにしていただきたいと思う気持ちはよくわかります。しかし、テレビが映っている中で名前を名指しして、少し黙ってくださいと言うのは、やはりちょっと私は、礼儀としては、そういう場で、いや、静かにしてくださいと言うのはいいんですよ。でも、本来は、これは予算委員長の権限なんです。この議場でそのことを、少し静かにするとか、そういうことを仕切られるのは予算委員長の権限なわけです。総理がそういうことをやられる立場じゃないんですね。

 総理は、行政府としてこちらに来られて御答弁される立場ですから、そういうことはやはり予算委員長に任せていただきたいと思うんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 予算委員長の立場、権限、それはそのとおりだと思いますし、私もそう従っていきたい、このように思いますが、ただ、余りにも何回も同じ人が、いわば、やじというのは、私は全く否定するわけではないんですよ。ウイットに富んだやじ、そのとおりだなと思われるやじがございます。私も飛ばしたことはございます。

 その際、私も名指しをされたことは実はあるんですよ、安倍さん、うるさいですよと。でも、私は、それはしようがないなと思いました。それについては、地元で、あのとき、この人がこういう指摘をしましたけれども、こういう意味なんですよということを説明すればいい、こう思ったわけでございます。だから、そこでたじろぐわけではないし、そこでくじけるわけではなくて、しっかりと、むしろ、自分のことを強敵だと思っているんだな、こんな気持ちでいたことを思い出しているわけでございます。

 いずれにせよ、この委員会を仕切るのは、指名権も含めて委員長でございますから、議場の整理については委員長にお任せをしていきたい、このように思います。

今井委員 本題じゃないのでこれで終わりますけれども、私も別にやじは否定しておりませんし、自分も飛ばすことはありますけれども、そこら辺の仕切りはやはり委員長の裁量ですので、そちらにお任せして、あとは答弁に専念していただきたいということをまず最初にお願い申し上げておきたいと思います。

 それで、次に、西川大臣の辞任の件についてお伺いしたいんですが、まず総理にお伺いしたいのは、今回、西川大臣が辞任なさった原因ですね。

 これは、政治に関する疑惑、あるいは政治に関する問題、言葉は何でも結構ですが、今回の一連のいろいろな政治とお金のことが議論されたことが辞任の原因になったという御認識でよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 西川前大臣が辞意を表明された際、みずからの問題で国会そして内閣に迷惑をかけているという状況にある、そして、国会の議論、みずからの問題において政策の議論がなかなか進んでいかないという状況にあり、その責任をとりたい、こういうことでございました。

今井委員 今おっしゃられたみずからの問題ということは、つまり、政治とお金に関する問題ということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 そういうことでございます。

今井委員 そこでお伺いしたいんですけれども、今、今回、政治とお金の問題で御自分で判断されて辞任をされたということでありますが、総理は、閣僚がこうやって政治とお金の問題で大臣をおやめになる、大臣をおやめになるということは大変重いことだ、そのことは私は理解をしておりますけれども、辞任をしたことで、その後、その問題は全て解決したというふうに思っておられますか。

 辞任をされたことをもって、この政治とお金の問題、これの説明を果たすとかそういうことをしないで、大臣を辞任したことをもって全て責任をとったとお考えですか。

安倍内閣総理大臣 責任のとり方はさまざまでございます。

 一つの責任のとり方として、いわば、委員会において、みずからの問題、みずからにかかわる疑問等において国会で議論がなされ、それがいわば国会や内閣に対して迷惑をかけている、そしてまた、議論において政策的な議論がなかなか進んでいかないということに対しての最高の責任のとり方は、やはり辞任というお気持ちになったんだろう、私はこのように思います。

 それで説明責任が終わるということではもちろんなくて、西川前大臣は今でも、国会、衆議院議員でございますから、先ほども申し上げましたように、国会議員すべからく、内閣にいようが、あるいは与野党を問わず、みずからにかけられた疑問に対しましてしっかりと説明していく責任はある、こういうことではないかと思います。

今井委員 今、政治家はしっかりと説明責任を果たしていくべきだという明確な御答弁をいただきました。

 それで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、これも今まで議論が出ていますが、西川大臣はここまでの国会のいろいろな答弁で十分説明責任をもう果たしたというふうにお考えでいらっしゃいますか。

安倍内閣総理大臣 説明責任を果たしたというのは、さまざまな側面があると思うんですが、法律違反ではないかということについては、まさに重要な要件である、知っていたか知らなかったか。お話を伺っていれば、知らなかったんだろうなと思いました。

 一年という期間が、これは禁止をされている期間であって、ここは、その意味において、例えば、長いおつき合いがずっとありますよ、しかし、補助金を受けたらその間は自粛しましょうということになるんでしょうけれども、相手からそういう通知があれば、それは普通、違法とわかっていればその献金は受け取らないというのが常識なんだろう、我々もこう思っておりますから、西川議員の言ったことはそうだなと。

 しかし、先ほども玉木議員とのやりとりでもございましたように、なかなか、一般の国民の皆様から見て、それはおかしいなと思われるという中においては、やはりこれからも、求められれば御本人が説明責任を果たしていくべく努力をしていかれるんだろうな、このように思います。

今井委員 しっかりと説明責任を果たすべきだということを再確認させていただきました。

 先ほどのリストの件ですけれども、これは実は、大島委員長がすばらしい御裁定をいただきまして、あすの理事会のところに提出をいただくということなんですが、これは秘密会でございまして、私たちは拝見することはできます。私たち理事は拝見することはできます。しかし、秘密会ですから、それを我々は外にお話をすることはできません。

 そういう意味におきましては、国会の場で、西川元大臣がこれをちゃんとお答えしますと言っておりますけれども、それを知る立場にある人間は極めて一部の人間でしかないというのが今の状態でございまして、やはり西川元大臣は、それとは別に、しっかり国民に対して、いろいろな疑惑を持たれているのであれば、その部分も含めて説明をする必要があると私は思いますけれども、総理はいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほども答弁をさせていただきましたが、国会議員であれば、閣内にいようとも、あるいは与野党を問わず、疑問を持たれればそれに対して説明責任を果たしていかなければならないというのが、これは大前提であろう、こう申し上げているわけでございます。

 現在は、西川議員は大臣ではなく一議員でありますが、一議員としての責任を果たしていくことだろう、このように思っております。

今井委員 ちょっとその話は後でしたいと思いますけれども、小渕さんの話を後でしたいと思いますが。

 現在は一議員になられましたけれども、問題が生じた時点では閣僚だったわけです。ですから、それが原因でやめた議員の皆さんがそこで説明をするということは、当時は閣僚だったわけですから、その長である総理大臣はやはりそこに責任を持っていると思うんですね。それをしっかり説明させるということは大事だと思いますが、それはちょっと後でやります。

 その前に一つ、総理に、これは御答弁をちょっと訂正された方がいいんじゃないかなということがございますので、指摘をしたいと思います。

 先ほどから、西川大臣の件で、お金を返す前に違法状態であったかどうかということの質問が、この間もありました、きょうもありましたけれども、違法状態ではないというふうにおっしゃっておられますが、それはちょっと違うと思います。

 というのは、これは、政治資金規正法第二十二条の三「寄附の質的制限」というのがありますが、ここには二つのことが書いてあります。一つは、出す側ですね。国から補助金、負担金、利子補給金の交付決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないと書いてあります。そして六項には、何人も、この規定に違反している寄附であることを知りながら受けてはならない、これが受ける側のルールであります。

 つまり、確かに、受けた側はそれを知っていたか知っていないかという問題はありますけれども、知っていなければこのルールには抵触をしておりません。しかし、出した側はこの時点で違法なんですね。違法なんです。

 ですから、この時点で違法状態ではないという答弁は間違っていると思うんですね。間違っています。総理は、受け手側の話はされておりません、この状態が違法状態かどうかという質問をされていて、そこで違法状態ではないとおっしゃっていますので、主語をおっしゃっておられません。これは、この状態は出し手にとっては違法なんです。違法状態なんです。ですから、この状態自体を見れば、これは違法状態と言えなくはないわけです。

安倍内閣総理大臣 私は、出した側の法的な問題については議論はしていないわけであります。そもそもこれはいけないんですから、それはおっしゃるとおりですよ。

 しかし、受け手の西川さんの問題について議論されていたから、西川さんが違法行為をずっとやり続けてきたかといえば、これは今読まれた法律のとおりでございまして、政治資金規正法第二十二条の三の第六項に、何人も、第一項または第二項、これらの規定を第四項において準用する場合も含むということが書いてありますが、この規定に違反している寄附であることを知りながら、これを受けてはならない。

 知りながらというのがまさにこれは要件でありますから、受け手の方は、知りながら受けていたらこれが違法と断ぜられるわけでありますが、つまり、この瞬間を言うわけでありまして、そうでなければ、知らないということであれば、それは西川さんにとって、西川さんが違法行為をずっとやっていたということではないということはこれは明らかであろうと思うわけでありまして、これはあくまでも西川さん側の話をさっきしていたじゃありませんか。ですから、西川さん側の立場にとってそうであった、こういうことであるということでございます。

 そして、いわば違法行為がずっと続いていたわけではありませんが、そこで、知ったという段階においてこれは道義的に、それはその時点で、いわば知っていて一年間の中でもらってはなりませんが、それが経過した後に、後で知ったわけでありますが、しかし、そこにずっと違法行為が西川さん側に続いていたわけではもちろんないわけでありまして、西川さんとしては道義的にお金を返したということであれば、私の答弁は全く問題がないのではないかと思います。

今井委員 私はここのところを突っ込みたいわけじゃないんですけれども、先ほどお話を聞いていて、これは議事録でもちゃんと確認していただきたいんですが、そういう限定的におっしゃっていなくておっしゃっているので、ちょっとその辺は、これは指摘です。後でまた議事録をチェックしたいと思いますけれども、本当の趣旨はそこじゃありませんので。

 西川大臣が、この献金のことは知らなかったというふうにおっしゃっておられます。実はこれは、本当に知っていたか知らないかというのは本人しかわからないような話でありまして、ここを知っていたか知らないかとやること自体はなかなか難しい問題です。

 しかし、西川大臣がそれを知らなかったと言った後の質疑の中で、顧問であったという事実が、その後で、答弁の後でそういう事実がここではっきりしたわけです。

 もちろん、顧問であったからといって、知っているかどうかは、それはわかりません。しかし、ここは庶民感覚ですけれども、一般的に言って、その会社の顧問をやるぐらいの深い関係の人が、そういう補助金をもらっていたかもらっていないか、それぐらい知っていたんじゃないのというふうに思うのが一般的だと思います。それは、事実関係はわかりませんよ。でも、そういうふうに思われても仕方ないということなんですね。

 そういう新しい事実が出てきた時点から、大臣は、実はそこについての説明をこの国会の場でなさっておられません。なさっておられません、議事録を確認していただいても。そういうのは知りませんでしたというのは、顧問というのが発覚する前の答弁であります。

 ですから、その事実の上で、西川大臣がやはり、その顧問はこういうことだったけれどもそれでもそういう事実は知らなかったということをしっかり説明される必要があると思うんですね、新しい事実が出てきたんですから。

 ですから、それを総理の方でぜひ、こういうことについてしっかり、問題が新しく出たのなら説明をするべきだということを御指導していただきたいんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今井さんが先ほどおっしゃった出し側と受け手側、これは全然違いますよ。これを混同して違法状態と言うのは、それは間違いなんです。そこがポイントで、だって、議論になっているのは西川さんの責任じゃありませんか。出し側の責任は、ここでは議論になっていないでしょう。だから、受け手側の西川さんの責任ということでは、当然私は答弁していますよ。

 ですから、西川さんは知らなかったら、先ほども申し上げましたように、違反している寄附であることを知りながらこれを受けてはならないと書いてありますから、その段階では知らなかったと言っていれば、違法性は、まさに要件を満たしていない。これがまさに大きなポイントであったからこれを申し上げたわけであって、先ほどの今井さんの言い方だと、まるで何かその段階で違法な状況が起こっていた、西川さん側にもですよ、起こっていたかのごとく、これは誤解される方がおられると思いますから、もう一度はっきりとさせておきたい、このように思います。

 その上において、顧問ということについては、この前、この委員会で、私も西川さんの答弁で初めてお伺いをしたわけでございますが、その中で、西川大臣、当時の大臣の方から、いわば経営等に参画して、直接お願いをする、また仕事等という話をされたわけでございます。

 これは、要するに、西川さんの言いたかったことは、まさにこうした政治的な、自分たちの、いわば御自身の、政治家、当時はもう既に国会議員でもなかったわけでございますし、また野党でもあったという立場の中での、さまざまな社員との交流等々で自分の立場を生かしてもらいたい、こういうことが期待されたのかと私は推測、推測でございます。

 その上において、詳細については私もわかりませんし、あの段階でも、西川さんも、あのときはまだ詳細がわからないということでございますから、今、先ほど大島委員長のまさに指揮のもとに資料を出されるという方向で決まっているということでございますから、先ほど、一番最初に今井委員がおっしゃったように、私も委員長の指揮に従いたい、このように思っているところでございます。

今井委員 実は、昨年の十月十七日の経済産業委員会で、私は小渕優子さんに、政治資金の使途ですとかワインの話ですとか、いろいろ質問させていただきました。十月十七日だったと思います。委員会の場で調査してお答えしますという御返事をいただいたんですが、三日後の二十日月曜日に辞任をされて、とうとう委員会には出てこられませんでした。その日は委員会で御回答をいただく予定にしておりましたが、出てこられなかったんです。その後、一般の議員になられました。

 先ほど、それでも説明責任を果たしていくのが国会議員の見識だというふうにおっしゃられましたけれども、小渕優子さんがその後どうされたかといいますと、自分で調査委員会を開きますというふうにおっしゃっていまして、これが今どうなっているのか確認しましたが、ブログで、昨年の十二月二日に、捜査及び調査委員会の調査は途上で、結果はまだ明らかではありませんと。これを書いたきり、もう二カ月、ナシのつぶてです。何も公表されておられません。

 これは、小渕優子さんは政治家として見識がないということですか。

安倍内閣総理大臣 現在、事案については捜査中であるということを私は承知をしております。その中において、これは捜査中の事案であるからまさに今発言を控えている、このように承知をしております。

今井委員 それでは、捜査が終わったら小渕優子さんは全てこれを、調査委員会も含めて公表なさる、そういうふうにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 まさにそれは議員としての見識において判断される、このように思いますが、最初に申し上げましたように、私の考え方としては、閣内の一員であろうと、与党であろうと野党であろうと、何か疑問があれば、問題があればそれに対して答えていく責任がある。そしてまた、まさにこれは今、法的な側面において捜査がなされているという状況ではないか、このように思います。

今井委員 では、小渕優子さんは今捜査中ということでありますが、西川元大臣は捜査中じゃありませんので、今いろいろな公表をしっかりしていただくということは当然必要だというふうにお考えですね。

安倍内閣総理大臣 まさに、先ほど私の考え方は申し上げたとおりでございます。議員であれば、常に国民の信頼をかち取る、信頼を得るために襟を正し、そして、疑問が投げかけられたときには説明責任を果たしていくというのは当然のことであろう、こう思うわけでございます。

 我々は常に選挙を経るわけでございまして、選挙というのはそう簡単なことではなくて、しっかりと説明をし切らなければ、なかなかそれは、そう簡単なことで当選はできないところでございますが、またそれとは別に、既にさまざまな疑問が出されているという中において、法的側面については、私、先ほどお話をさせていただきました。

 新たな顧問ということについては、詳細は後で報告をしたいという大臣の答弁もございました。その中で大島委員長が既に判断をしておられる、このように思います。

今井委員 なぜ私がこれを申し上げているかというと、先ほどもお話がありましたけれども、今までのケースは、やはり閣僚がこうやって辞任をすると、その後、もうそういう問題について解明されるということがないんですね。そのまま闇に葬られてしまうんです、毎回。ですから、ここでもう一度申し上げているんです。

 一議員になったからといって、やはりそこはしっかり説明責任がありますから、今後もこれはやりたいと思いますけれども、西川元大臣にはやはり国会議員としてしっかり説明をしていただきたいというふうに改めてお願いを申し上げておきたいと思います。

 もう時間がありませんので、最後に一問。

 精糖工業会と精糖工業会館の問題がありました。これは、形式的には確かに法律違反ではないと思います。実質的な問題はいろいろな議論があると思います。

 私がお伺いしたいのは、西川元大臣が、当時自民党のTPPの責任者だったと思いますが、マレーシアでしたかに交渉に行く数日前にこの献金を受けておられた。交渉に行く前にこういう業界あるいは業界関連の皆様から献金をもらって出かけるということが政治家として適切であるか、あるいは、こういう疑惑を持たれることであれば、こういうことはするべきじゃないと、総理のお考えを最後にお伺いして終わりたいと思います。

安倍内閣総理大臣 そもそも、交渉するのは西川さんではありません。まさに、交渉するのは、政府として交渉するわけでございます。我々は、国益を守るため最善の道を求めていくという観点からTPP交渉を進めているわけでありまして、我々の交渉態度には一点の曇りもないと思っております。

 その中で、西川さんは、いわば砂糖産業あるいは砂糖の農家との関係においてよく理解をしている、あるいは、そういう農家にとって、自分たちのことを理解し、この産業界の発展のために貢献をしていただけるという中において献金を行っていく。しかし、それが政策を曲げることになってはいけないわけでありますし、たとえ合法だったとしても、個別の政策がそれによって決定されることがあってはもちろんならない、それは厳に慎まなければならないことではないか、このように思います。

今井委員 ちょっと今、時間をいただきましたので、もう一度だけ。

 政府ではないですけれども、与党ですからね。与党は政府に物を言える立場にあるわけですから、その方がやはり数日前に献金をもらって行くという外形的な状況が私は余り望ましくないんじゃないかなということを申し上げているんですが、その点をもう一度お答えください。

安倍内閣総理大臣 交渉においては、与党といえども交渉者ではありません。我々は、時には与党側に厳しい対応をしたこともございますよ。その中で、しかし、最終的には、我々の交渉について、与党の御理解もいただきながら今進んでいるところでございます。

 他方、議員というのは、今申し上げましたように、さまざまな政策の分野において、そういう分野の方々が、例えば農業においては農業に理解のある人に頑張ってもらいたいと思うのは、これは民主主義においては当然のことであり、一票を入れ、かつ政治活動も財政的にも支えていく、そういう行為が行われるわけでございまして、しかし、もちろん誤解を受けることのないように我々は襟を正していかなければならない、このように思います。

今井委員 では、時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 先週の金曜日に資料請求したことに関しては、委員長の裁量であす提出されるということですから、それを見守りつつ、前大臣には説明していただきたいと思います。

 私は、きょうは農業再生、農業改革に関してお聞きしたい、こう思っております。

 林農林大臣、私は、二年二カ月前初当選したときに初質問したのが林農林大臣であり、しかしながら、今、五カ月ぐらいですか、農林省から離れて、林大臣のころに、農地中間管理機構、そして生産調整の廃止、さらには日本型直接支払い、飼料米、いろいろな改革に、農林水産委員会の中で話させていただきました。

 それを考えたときに、今回もう一度農林大臣になって、今、農業が待ったなしで改革しなければならない、この思いを林農林大臣からお聞かせ願えれば、こう思います。

林国務大臣 またこうして村岡先生と議論ができるようになったことを大変うれしく思っております。

 今お話ししていただきましたように、私も、就任以来、攻めの農政ということで、今まさに委員から挙げていただいたようなことを通じて、いろいろな課題、高齢化しているとか耕作放棄地がたくさんあるとかいうことに一つ一つ対応し、そして、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村、この両輪でやっていこうということで、農林水産業・地域の活力創造プランというのをまとめさせていただきました。その内容を少し触れていただきましたけれども。

 したがって、これは大きな絵を描いたわけでございますから、まさにこれを一つ一つ丁寧に実行していく、こういうことをやっていかなければならない。

 閣僚から外れた後は、党の農林水産戦略調査会というのがございますが、ここの会長としても引き続きフォローアップをしてきたつもりでございます。

 またここに戻ってまいりましたので、しっかりと引き続き今度はこの立場で改革の実行ということを遂行してまいりたい、こういうふうに思っております。

村岡委員 ありがとうございました。

 ぜひ、農業の待ったなしの改革を、しっかりと議論を農水委員会でもしていきたい、こう思っております。

 そこで、金曜日、前大臣に聞きましたけれども、林農林大臣にはお聞きしていないのでちょっとお聞きしたいんですが、資料で金曜日にも出した、二〇〇七年の減反対策八割返納というのがあります。このことに関しては、その当時ではないですけれども、それが終わった後の石破大臣にもお聞きしましたが、やはり米の問題が、大変な減反、そして米をどうするかというのが常に農業の中で大変大きな問題となっております。

 そこで、この概算金が、二〇〇七年も七千円、八千円、そして昨年も八千円前後と、米が落ちたときに緊急対策をするのは必要だと思います。しかし、緊急対策なのに、国庫に返納しなければならない。急ぎ過ぎて、現場としっかりと連絡をとって、現場が使えるようなお金になっていない。

 今回も、体質強化ということで銘打っているわけですけれども、二百億が、第一次募集で六十億しか使われていない。それが、第二次募集をするからいいんだということを言う方がいますけれども、あの内容を見ると、第一次募集でほとんど終わるからもう第二次募集はないような書き方の中でこの対策をやったのに、結果的にこうなっている。やはり現場が、あの対策が米の体質強化になると思っていないという現実があります。

 これは、大臣、引き継いで、米の体質強化の補正での二百億ですから、緊急対策ですから、どのようにしていく方針か教えていただきたい、このように思います。

林国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 今委員が配っていただいた平成十九年補正でございますが、これは、五年または三年の長期にわたって生産調整の実施を約束した方に対して緊急一時金を支払う、こういうことでございまして、五百億をつけたものに対して結局百十八億しか交付されなかった、こういうことでございます。

 これはやはり、五年または三年ということをコミットする、こういう条件をつけましたので、これが非常に厳しい条件となって、結果として幅広い生産者の参加ということにならなかった、こういうことがあったというふうに認識をしております。

 今回の緊急対策は、そういうこともありましたので、この二十七年産の一年限りの取り組みで済むということにいたしまして、また、取り組みやすいメニューということでそろえております。

 米全体の政策と整合性をとりながら取り組みやすいメニューということにも気を配ったということでございますので、十九年の対策のようにならないように、しっかりと遂行してまいりたいと思っております。

村岡委員 第二次募集はしているわけですけれども、大臣が就任のときに、現場とのキャッチボールはしっかりするということですから、ぜひ中身も、これは訂正するべきものは訂正して、体質強化というのをしっかりやっていただきたいと思いますので、その点はお願いいたします。

 何でこうなるかというのが、金曜日も指摘しましたけれども、やはり選挙が絡むと、どうしても急いで対策をしてしまうと、これが農家にとって猫の目行政になり、猫の目農政になってしまう。総理が施政方針演説で農業の成長戦略を言われていましたけれども、これまでの農業政策は、どうしてもその場その場の対策をやり過ぎて、結局農業が成長できなかったという反省がなければ、やはり農業は成長していかない、こう思っております。

 もう一つは、やはり農業の中で一番大切なのは、米をどうするかなんです。ここに着目しなければならない。もちろん、それに付随して、農協や農業委員会やいろいろな組織があります。しかし、日本にとって大事な米なんですけれども、米が余剰しているというときから減反対策がどんどん進み、結果的にいろいろな対策がその場その場になっている。

 その認識のもとで農業の改革を総理が進められようとしているのかどうかを教えていただければ、こう思います。

安倍内閣総理大臣 今まさに村岡委員がおっしゃったように、今までの農政は、猫の目農政、こういう批判がありました。我々自由民主党は長い間農政を担ってきたのでございまして、そのときそのとき全力を尽くしているわけでありますが、農家の方々にとって、農業というのは長い目で見た投資をしなければいけない中において、そういうお気持ちになったんだろうという感は否めないわけでありまして、そうした御批判は甘受しなければならない、こう思っております。

 その上において、我々、農業の活性化は待ったなしであろう、こう思います。平均年齢が六十六歳以上になってしまった、これを変えていく。成長産業に変えていくために全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

村岡委員 米が一番解決しなければいけない。例えば、国内の消費といっても、ある程度の人口、高齢化が進んでいます。もちろん輸出もやっていかなきゃいけない。この米対策に関して、しっかりとした議論をして政策をとっていかなきゃいけない。稲は、五月、六月に植えて、十月、十一月、一年に一遍しかとれないですから、計画はしっかり立ててやっていかないとやはり農家の人たちの不信を招くということがありますので、そこはぜひお願いしたい、こう思っております。

 それで、水田の利用状況ということで、水田の利用状況のイメージという資料をお渡しいたしております。

 この中で、全体で作物作付面積は二百十四・七万ヘクタール、これがまず水田ですね。これを、これまで減反の中、米が余っているから、野菜やソバや飼料作物や大豆や麦、いろいろなものを植えて転作して、減反を奨励してきた。結果、四〇%を超えるような状況になって、もう減反では無理だということの中で、生産調整の廃止ということを考えながら農業政策をしなきゃいけないというぎりぎりのところに来ている、こう思います。

 しかしながら、そこで一つ、もう一回考えてみなきゃいけないのが、例えば飼料用米、それから加工用米、備蓄米、そして輸出米とありますけれども、これをふやそうとしたとき、結果的に主食用米にただ食い込んでいるだけなんです。同じ米をつくっているんです。

 そこが、どのようにするかという方針がなければ、結果は、これは加工用米に行く、飼料用米に行く、それから輸出米に行く、しかしながら生産量は同じだという中で、それがどんどん主食用米に食い込んでいけば、別に輸出がふえているわけじゃない、それは米の中の部分をただいじっているだけということになりかねない。やはり、そこはしっかりと農業者にわかるメッセージをとっていかなければならない、こう思っております。

 林農林大臣、どう思われますでしょうか。

林国務大臣 大変大事な御指摘をいただいたというふうに思っております。

 米といったときに一般的に我々が思い浮かべますのは、消費者としては、食べる米、おにぎりや御飯、こういうことですが、まさに今委員がこの表で示していただいたように、主食用米というものに加えて、加工用米ですとか飼料用米というものが実はあるわけでございます、酒米なんかもあるわけでございます。

 実は、我々が考えておりますのは、まず水田のフル活用。水田は、土地改良なんかをやって、水を引いて、かなり設備投資をした、ある意味で大事な工場みたいなものでございますので、これをしっかりと活用していく。

 その中で、残念ながら、主食用の米の需要というのが、御案内のように、八百万トンから毎年一%ずつぐらい漸減している、こういう状況でございますので、やはり需給という面で、水田で主食用の米以外のものをつくっていただくということが、水田フル活用と主食用の米の需給のバランスを同時にとる、こういうパッケージであろう、こういうふうに考えてまいりまして、一連の政策をやってきたわけでございます。

 したがって、輸出は輸出でパイをふやしていくという意味で、また別途計画を立てて、米、米加工品をふやしていくという目標は立てておりますが、水田フル活用という意味では、しっかりと水田を活用しながら、主食用の米以外のもの、それから、麦、大豆といった自給率が非常に低いものにも転作していただくということを各種の施策で後押しをしていく、こういうふうに考えておるところでございます。

村岡委員 そこが、TPPもいつ妥結するのかわかりませんが、聖域五品目というのは、国会決議でそれを守っていくということですけれども、それは別に、米はしっかり守っても、いろいろな作物、転作作物まで全部かかわってきますので、やはり、しっかりとしたメッセージがないと、対策がどうしても後手後手になって、緊急対策の連続というふうにならないように、水田の活用のプランをしっかりと農家の方々、農業者に示していただきたい。

 そしてまた、総理が言っている輸出戦略というのは、非常に今進み始めていると思っております。今回は六千億を超えて、大変伸びもいいです。

 ただ、一兆円を目指すときに、加工品を中心にしてやっているんですけれども、確かに、お酒、そしてお煎餅だとかそういうのはいいんですけれども、米自体をどうやって売っていくか。

 普通、先進諸国家は、アメリカにしても、カナダにしても、オーストラリアにしても、主要な製品が生産技術や機械化によってふえたら、他国に売ろうとして輸出を広げてきた。ところが、日本は、それを減反という政策で、まさに民主主義の経済政策と反対方向に行ってしまった。そこをどうやっていくか、総理がどのように思っているか、お聞かせ願いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先ほどの御質問もありましたが、やはり生産者というのはいいものをたくさんつくりたい。一方、価格を維持するために減反という政策をとってまいりましたが、これが限界、かつ、生産者に対してマイナス。頑張りたいというのに、頑張るなと言っていることに等しいわけであります。

 そして、今委員が御指摘になったように、ヨーロッパの国も、食料自給率、自給力を回復する上においては、得意なものをたくさんつくって輸出をした。まさに得意なものはお米ではないか、このように思います。日本のおいしいお米、少し価格が高くても、事実、国際市場である香港では日本のお米の売れ行きはいい、いい値段でよく売れているわけでありますから、こうしたことをしっかりと、米の輸出に力を入れていきたい、このように思います。

村岡委員 ぜひ、農業者へのメッセージに、やはり自分で自信を持ってつくれるものはつくっていく。そして、多収米をつくってやはり生産コストを下げていかなきゃいけないと思うんです。

 今まで、減反するときにはなるべく余りとれないようにしていたことが現実で、研究していないんですね。向かう方向が間違えていた。これは、これから手直しして、やはり、多収米で、同じ面積の中で倍とれればコストは下がるわけですから、そういう研究をしっかり農林省が中心になってやっていただきたい、こう思っております。

 そういう戦略は、農林大臣、お持ちでしょうか。

林国務大臣 まさに、おっしゃるように、輸出は既に、生産調整の見直しを五年かけてやるということを決める前から、その外枠でどんどんつくろう、こういうことにしておりますし、それから酒米も、私のときに外して、これは需要がふえております、どんどんつくっていただこうと。

 それから、収量についても、今までそういうことがあったかもしれませんが、特に今度は、餌米なんかは、補助金の仕組みを、単収が上がっていくと補助金がふえるという部分も導入することによってそういうことを促していこう、また、技術革新等で品種改良の面からもそういうことをどんどん応援していこう、こういうことをやっているところでございます。

村岡委員 ぜひ、その視点をしっかりと農業者に伝えていく、そして、一緒に頑張ろうという気分にならないと農業の再生、成長戦略はできていかない、こう思っております。

 それともう一つ、必ず忘れちゃいけないのが、総理も林大臣も山口県ですけれども、山口県も中山間地が非常に多いと思います。やはり、そこに配慮する。

 ですから、成長戦略と、もう一つのメッセージで、環境保全というメッセージ、この二つがなければ、農業は成長しないし、また、自然の保全、そして日本の国を、美しい国を守っていくということはできませんので、そこのところはしっかりやっていただきたい、こう思っております。

 もう時間がなくなったので、農林水産委員会でまた議論しますけれども、農協改革、このメッセージが、私も改革はしなきゃいけないと思っております。

 しかし、今現場の中で、全中を、監査法人を外してという中、県の中央会、非常に不安に思っている部分があります。その不安を、まずは大臣、就任して、各中央会、七百もありますから全部回ることはできませんけれども、しっかりとその人たちに、政府はこういうメッセージで、監査法人を変えて、そして農業の成長戦略をやっていくんだ、これをしっかりとやっていただけないでしょうか。そのことを最後お聞きして、終わらせていただきます。

林国務大臣 村岡委員最初におっしゃっていただいたように、キャッチボールということが大変大事だと思っておりますので、この間、骨格はまとめさせていただきましたけれども、その骨格をお示しして、団体の皆様とも一緒にやっていこうということになりました。したがって、今からこれを詳細、実行していく段階でも、キャッチボールを続けながら、しっかりと説明をして納得の上で進めていきたい、こういうふうに思っております。

 農協の数が七百ちょっとで、県の中央会は、各都道府県ということですから、四十六プラス北海道ですが、そういう皆さんとも、不断の対話を通じて、御不安がないように、しっかりと努力してまいりたいと思います。

村岡委員 これで質疑を終わらせていただきますけれども、その点は、農業者が不安、不信がないように、しっかりと前に進めていくことで、農水委員会でこれからも議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて村岡君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松木けんこう君。

松木委員 皆さん、どうも御苦労さまでございます。

 なかなか、政治と金という言い方をすると、あたかも何かみんなで悪いことをやっているような、そんな印象を受けちゃうんですけれども、政治資金規正法違反だとかいろいろなことを言いますけれども、西川大臣、過剰報道だったというお話もされています。あながち、それが全部うそだ、何だその言い方というふうにも私は言いたくないですね。

 というのは、例えば、昔、年金未納の問題というのがありましたよね。あのときに、私の事務所にファクスが来たんですよ。そして、テレビ局が、年金未納ありましたかというアンケートだったんですね。私もばかなものだから、ばかというか、その前に、年金未納が出たときに、ちょっと自分が心配になって調べたんですよ。そうしたら、二カ月あったんですよ、何と。要するに、秘書と会社の役員と行ったり来たりしている時期があったものですから。

 それで、二カ月ありました、そういう回答をしたら、その日の五時ぐらいですか、民主党で代議士会がありまして、行ったら、みんな、松木君、大丈夫か、大丈夫かと言うんですよね。私、全然知らなかったんですけれども、年金未納、松木代議士発覚とテレビに出たらしいんですね。発覚、自分で言ったのもやはり発覚になるのかなというのが、文句を若干言いたいところなんですけれども。

 しかし、政治家というのは、そのぐらいやはり、身もきれいにしなきゃいけないし、何かあったら、自分でも大丈夫かなということを見なきゃいけないということなんだなということを、つくづくそのとき思いました。

 そこで、せっかく、余り変なことで委員会がとまったりということはよくない、私はそう思いますので、ここで、皆さん、安倍先生はいいですから、あと十九閣僚の皆さん、御苦労さまでございます、私の質問に答えていただけたらありがたいと思いますね。

 これは、どれにも当てはまらないんだったら、そのまま静かにしていただいても結構ですけれども、まず一つは、西川さんのような、近いような献金、こういうものが、いや、実は自分もありそうだなという方、おられたら、お手を挙げてください。

 そして、しかし、そういう言い方はちょっとよくないぞ、そういうことには答えたくないという方もお手を挙げていただいても結構。

 そして、それはちょっと調べないといかぬな、ひょっとしたらということもあるので詳しく自分で後で調べたい、そして後ほど委員長に報告をしたい、こういうふうに思われている方もお手を挙げていただきたい。

 この三つで、別に恥ずかしがることもないし、私は追及しているわけじゃないんで、ぜひ、ちょっと気になるのであれば、お手を挙げてください。大丈夫ですか。

大島委員長 松木さんにちょっと申し上げますが、今のは質問であるかどうかわからないんです。

 まず第一点は、西川さんのようなということの、具体性の質問ではないんですね。それから、各大臣に、自分でどうか、ちょっと手を挙げて答えてくれというのも、どうも具体性のない質問なようなんです。

 もし、松木質問者が、もう少し具体的に、こういう案件でこうだけれども、こういうことについて、何か資料を持ってあれするんだったら、それで何々大臣と言われた方が、予算委員会としては私は的確な質問であろう、こう思いますね。

松木委員 わかりました。

 ちょっと質問の仕方もよくなかったのかもしれません。

 それでは、企業、団体の献金の中で、自分の今の職務に関して、過去にもらったけれども、ちょっとまずそうになるようなことがありそうだという、いいんですよ、だから手を挙げなくても、いや、自分はしっかりやっているということであればそれでも結構ですけれども、そういう方がおられたら、いや、そういう言い方は非常に失礼だというふうに思う方でも結構ですよ、ぜひお手を挙げてコメントしていただけたら、どうぞ、そういう時間を持っていただきますので、言ってください。

大島委員長 どうもなさそうでございますね。

松木委員 はい、わかりました。

 では、皆さんを信頼して、これからそれぞれの委員会に入っていくということになっていくと思います。

 しかし、よくたたかれるし、文句を言われるし、ぐずぐずぐずぐずやられるし、大臣というのは大変だなというふうに思います。しかし、これも大切なこの予算委員会の中での話ですから、ぜひ、お一人お一人の大臣、余りそういうことに対して恨まないで頑張っていただきたいというふうに思います。

 そこで、今まで予算委員会をやってきて、それぞれの大臣が、ちょっと、一言でも言いたいことがあるんだということはないですか、皆さん。いや、いいんですよ、本当に。普通は我々が質問する方ですけれども、ちょっと、ストレスもかなりたまっているでしょうから、一言や二言、言っていただいて結構ですから、ぜひ。

 では、総理大臣から、どうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は、先般、松木委員にも指摘をされまして、総理は総理らしく、しっかりと、どっしりとというお話もいただきましたので、残念ながら、いまだ木鶏たり得ずという気持ちではありますが、しっかりと、どっしりと、国政のかじを誤らないように進めていきたい、答弁にも真摯に向き合っていきたい、こう思うところでございます。

 今の御指摘でございますが、先ほど来の質疑の中におきましても、いわば本人は一生懸命説明しているし、またあるいは、違法性については、そうではないということを説明している。ただ、一般の方々にとってはなかなかわかりにくいものもあります。では、補助金が行ったところで、一年間という期間でなぜいけないのかということもあります。

 そうしたこと等についても、恐らく、それぞれ、一議員として日ごろから説明をしていくということは当然求められるわけでありますし、そういう要望があれば議員としてそれに応えていくのは当然のことではないのかなと思いますが、例えば、何か疑問があるということを、すぐに、まるで罪があるかのごとく、あるいは、まるで大きな疑惑があるかのごとくそれを決めつけていくということはいかがなものか、そういう印象は持っているところでございます。

松木委員 はい、わかりました。

 しかし、政治家は襟を正していくということが非常に大切なので、そこら辺は気をつけていただきたいと思います。

 そして、先ほど今井委員からちょっと頼まれたんですけれども、西川前大臣はこれからも説明責任をされるよう総理の方からも言っていただきたいという伝言も預かっておりますので、そこを一言。

安倍内閣総理大臣 先般の委員会においても、西川大臣は説明責任を果たしていくというお話をしておられましたので、また一議員の立場として説明責任を果たしていかれるものと思います。

松木委員 余り時間がないのでばんばん行きますけれども、麻生先生、どうですか。何かコメントがあれば。(麻生国務大臣「何に関してですか」と呼ぶ)何でもいいですよ。皆さん、大臣は非常にストレスもたまっているでしょう。だからこういう機会にちょっと言うのがいいんですよ。ぜひ言ってください、私はそれを問題にしませんから。

大島委員長 松木さん、ここは委員会ですから、もう少し具体的に、何に対して答えてくれということを言わないと、これは委員会の質疑になりません。

松木委員 はい、わかりました。

 では、一応、政治献金のこと、このことに関して、今まで委員会でやってきたんですけれども、どういうふうにお思いになったか、それをちょっとお話ししてください。

麻生国務大臣 これは、松木先生、大分前に、とにかくみんなでなるべくオープンにしようということでオープンにして、かなりみんなオープンにして、そこで問題点があったらそこは修正すればいいという話であのときルールを決めたんだと思っていますが、今、修正したら、それが、修正したところをわあっと言うんだったら、では、またみんな出さなくなっちゃうんじゃないかなと思いますので、あのルール自体が、そういう事態になっていますので、ちょっともう一回思い出しておかぬと間違えるかなという感じはして聞いていました。

松木委員 政治資金をもらうときにも、今副総理が言ったとおり、補助金をもらっているところは一年間はだめだよとか、外国人の献金はいけませんよとか、赤字の会社からはもらえませんよとか、いろいろなことがあるわけですよね。ところが、それがわからないでもらってしまうということは当然あるんですよね。

 ただ、これだけ問題になっているんですから、これからはこういうことがないように、秘書さん方がよくわかっていると思いますので、よく各閣僚の方々は一回お調べになるというのは、これは僕は大切なことだと思いますので、ぜひそこら辺はお願いしたいと思いますけれども。

 それでは、甘利先生、どうでしょうか。

甘利国務大臣 政治資金については、私もかなり神経質にやっております。今回の事案が出たときにも、うちの事務所、こういうことがないだろうなということは確認をいたしました。

 なお、私の事務所も、総理と同じように、こういうことに該当する人からは献金は受け入れませんという書面をその都度出して、献金をいただくときにはその手続をいつもやっております。

松木委員 石破先生はどうですか。

石破国務大臣 何度か政府の役職につかせていただいて、そのたびにきちんきちんと、そういうことがないかどうかは点検はいたしております。

 私どもが当選一回のときというから、もう今から二十何年も前のことですが、リクルート事件というのがあって、政治と金というのが物すごくクローズアップされて、政治改革ということが行われて、小選挙区制というのが導入をされてということでした。

 あそこの政治改革というものの評価はともかくとして、実際、お金はかからなくなっているんです。国民の皆様方に政党助成金というのもいただいているんです。ですから、議論の本質というのは、あのときとは違う議論になっているのだろうという気が私はしております。

 ですから、民主主義が大切なものである以上は、ある一定のコストはかかるのであって、民主主義のコストとは一体何なのか、それは一体誰が負担すべきなのかというお話をあのときも随分しました。政治と金という議論をするときには、民主主義のコストとは何か、それは誰が負担すべきか、大金持ちでなければ、資産家でなければ政治家になれないというのではおかしいので、それを変えようというのがあのときの趣旨だったと思います。もう一回そのような議論は必要なのかもしれません。

松木委員 それでは、官房長官、どうでしょうか。

菅国務大臣 私も、松木委員が年金の未納を自分から言って大騒ぎになったという話がありましたけれども、総務大臣当時に、当時、事務所費でいろいろな閣僚がやめることがありました。私も、総務大臣のときに、ある新聞の一面に、事務所費が多いということだけで書かれてしまいました。結果的に、私はすぐ領収書を全部オープンにしたんです。しかし、一旦報道されてしまいますと、これを回復するのに数カ月かかったというふうに、私は当時の記憶を今思い浮かべております。そのとき抗議しましたら、こんなに小さくですよ、問題なかったという文章を載っけてくれました。

 ですから、マスコミの人も、やはり事実をしっかり報道してもらいたい。臆測だけで書かれると政治家は本当に大変だなということを思い浮かべました。

松木委員 それでは、新任になられた林大臣の方からも一言お願いします。

林国務大臣 それぞれお話があったことを、私もそのとおりだなと思って今聞かせていただいておりました。

 私も何度かこういう政府の役職についたことがございますが、そのたびにしっかりと点検をするということもやる、また、ふだんから政治活動の中でいろいろな方とお会いしますが、そういう中でも最大限の注意をしておるところでございます。

松木委員 それぞれ大臣、しっかりやられているようでございまして、本当に安心しましたけれども。

 高市さんも、にっこりされているので、どうぞ、もしよかったら。

高市国務大臣 松木委員の御好意によりまして一言申し上げる機会をいただきまして、ありがとうございます。

 一昨日の他党の委員の方からの御質問の中で、少し西川前大臣の名誉にかかわる御発言がございました。大変利益率の高いパーティーを開かれているということで、それは寄附同然じゃないかといったイメージを与える御質問がありましたけれども、政治資金規正法上、パーティー収支は政治団体の事業収入として位置づけられるものですから、寄附とは全く違うものでございます。利益率は関係ないということだけ申し上げさせてください。

 ありがとうございました。

松木委員 わかりました。

 ほかにもしお話ししたい、そういう方がいたらどうぞ。大丈夫ですか。下村先生、どうですか、何となくしゃべりたそうですから。

下村国務大臣 私、十二月の総選挙のときに、大変なマイナスイメージのキャンペーンを張られたことがありまして、それはうちの事務所のミスだったんですけれども、二件、政治資金規正報告書の中で、四万五千円と六万円だったんですが、そこの代表者が寄附していただいたんですが、その所属が学校法人だったんですね。

 ですから、記載ミスで、もちろん個人、相手も個人というつもりだったんですが、学校法人の名前で政治資金規正の中に名前を書いてしまったということで、それをマスコミに、指摘されて、書かれたことがあった。それの拡大コピーをつくって、選挙期間中、全戸配布をされました。

 地元の人たちは、そんなことないということで、選挙の当落には影響しませんでしたが、それぐらい、一旦週刊誌とか新聞で載ったりすると、あたかも何か事実のように書かれるということで、非常に迷惑をした思いがあります。

 これからも書かれるかもしれませんが、十分に政治家として気をつけて、信頼されるような処理の仕方と、また政治家としての対応をしていきたいと思います。

松木委員 ぜひ注意して、頑張ってください。

 結局、皆さん、大島委員長も言ったとおり、政治資金のことというのは非常に難しいですよね。本当にわかりづらい。先ほど言ったとおり、いつの間にか実はミスになっちゃっているということも大いにあり得るんですよ、これは、どう考えても。外国人だとわからないときもありますしね。そして、その企業が赤字だというのもわからないこともあるし。しかし、それはやはり我々の側の方がしっかりやらなきゃいけないということも、これも当然だというふうに思います。

 維新の党というのは、皆さん、この際だから企業・団体献金やめようよ、こういう法律もたしか出したはずなんですね。そんなことでさせていただいているんですけれども、これだけいろいろなことがあれば、それもいいなというふうに私も思うんですけれども、総理、どうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 政治資金規正法については、今まで種々の改革が行われてまいりました。そこで、長年の議論を経まして、企業・団体献金についてはいろいろな議論がありました。

 そこで、政党等に対するものに限定される、そういう改革を行ってきたところでありまして、私は、企業、団体が政党等に献金することが不適切なものであるとは考えておりませんが、この問題は、民主主義のコスト、費用をどのように国民が負担していくかということにかかわることでございますから、これはまさに各党各会派においてしっかりと議論をしていただきたい、このように思います。

松木委員 総理の言うのもよくわかりますけれども、これだけいろいろなことがあるのであれば、本当に企業・団体献金を思い切って禁止するということがあっても私はいいかなというふうに思います。

 そして、もちろん、コストのことがありますから、これは、そうであれば、この間も言いましたけれども、今の時流に合うかどうかわかりませんけれども、私は、政党助成金というものをふやさせていただくということがあってもいいと思いますよ。そのかわり、まずい金をもらった政治家はそれこそ懲役を一年以上から始めるとか、そのぐらい厳しくする。こういうことも大切なような気がします。

 今、石破先生が、そうだなというお顔をされていたので、もしよかったらコメントしてください。

石破国務大臣 それは、まさしく、政党間、議会で御議論いただくべきことだと思います。

 ただ、政党を運営するのが政党助成金に余りに過度に依存をするようになりますと、やはり政党というのは権力に対してある種インディペンデントでなければならないということはあろうかと思います、ですから、一体どれぐらいの助成金が正しいのかというのは、それはいろいろな御議論があろうかと思いますが、政党の運営が余りに助成金に偏るというのは、私は決して好ましいことだとは思っておりません。

松木委員 では、最後に一言だけ、私の方から。

 今石破さんが言ったことも正しいと思いますけれども、例えば、政党助成金じゃなくて議員助成金にするという手もありますね。いろいろなことを私は考えた方がいいと思うんですね。ここは、変なことになるより公明正大な方がずっといいんですから、そんなこともぜひ、今、政権を持っているのは何といっても自民党の皆さんですから、しっかり何かいい方策を考えていただいて、議連でも何でもつくったらいいと思うんですよ、私。そういうことでお考えいただけたらありがたいというふうに思います。

 我が維新の党は、企業・団体献金、これの禁止法案というのを今もう出させていただいております。ですから、そちらの方もしっかりこれから議論していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて松木君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、西川農林水産大臣辞任に関連して、政治と金の問題について総理大臣に聞きたいと思います。

 西川大臣は、政治と金をめぐる疑惑で辞任しました。辞任後の会見で、幾ら説明してもわからぬ人はわからないと述べ、総理にはわかってもらったとも述べています。

 総理は、一体何がわかったと思っているのか、国民の疑惑を招いていたとは認識していないのか、この辺についてまずお聞きします。

安倍内閣総理大臣 政治家は、内閣にいるかいないか、あるいは与党か野党かにかかわらず、常に襟を正し、そして、もし疑問が投げかけられたらしっかりと説明をしていくという責任を果たしていかなければならない、こう思っております。

 そこで、西川大臣につきましては、何について私が了解をしたのかということでございますが、西川大臣が献金を受けた相手方が補助金をもらっていたということに関しまして、それは西川大臣は知らなかった、こういう説明をしておられたわけでございますから、その中におきまして、ああ、知らなかったんだろうな、こう思ったわけでございます。

 であるならば、法的な面においてはそれは違法ではない、西川さんという受け手にとっては違法ではないわけでありますし、事実、先ほども松木けんこう議員の指摘の中にもあったように、相手方が果たして補助金を受けているのかどうか、あるいは相手の人が日本国籍を持っているのかどうかということも、わからない場合もあるわけでございます。

 特に、補助金については、知っているかどうかが構成要件になっているわけでございますが、そこで、今後もこうした出来事を踏まえて慎重にしっかりと対応していくということでございますが、西川さんも、ただ、その中で、国民の皆様にはなかなか御理解いただいていない部分もあるが、これから一生懸命説明をしていきたいとも思っている、こういう話でございました。

 同時に、一生懸命、彼は農政改革も取り組んできました。その彼の今まで進めてきた仕事については、私は多とするところでございます。

穀田委員 いずれにしても、総理は、投げかけられた問題について説明する必要があると言っていますし、それから、しかし、知らなかったでは済まないという問題は、国民の多くの方々が思っていることだと思うんです。

 そこで、安倍内閣は、昨年五月二十七日、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範を閣議決定しましたね。それを御存じですね。

安倍内閣総理大臣 日にち等正確に覚えておりませんが、閣議決定をしたのは事実でございます。

穀田委員 これですけれども、ここでは、政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する、そのために具体的にということで、営利企業については、報酬を得ると否とにかかわらず、その役職員を兼職してはならない、さらに、政治資金パーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する、さらに、関係業者との接触に当たっては、供応接待を受けること、便宜供与を受けることなど国民の疑惑を招くような行為はしてはならないと定めています。

 この規範に照らして西川大臣はどうだったのか。

 西川氏は、農林水産関係業界から献金を受け、関係業界にパーティー券を買ってもらっています。関係業界の企業の顧問への就任や、安愚楽牧場をめぐる疑惑もありました。

 西川大臣は、この大臣規範の精神に照らして問題じゃないのかと思うんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今の御指摘全てについて、西川大臣の顧問等々について、私は承知をしているわけではございませんが、そうした役職については、大臣に就任する際に当然やめられているものと承知をしております。

穀田委員 私が言っているのは、それは規範としてあるわけだから、そういうものが守られなきゃならない、そして、守っているのかどうかも確かめなくちゃならぬというふうに普通は思うんですね。

 閣議決定は、その中心は、国民の疑惑を招きかねない行為を定めたものですよね。そういう意味でいいますと、それに照らして問題のある人物を大臣に任命した責任は極めて重いと私は言わざるを得ないと思うんです。その点の答弁を求めます。

安倍内閣総理大臣 このいわば違法性等々については既に西川大臣が答弁をしているとおりでありまして、その点は問題ない、こう考えているところでございますが、しかし、このような形で、急な形で大臣が交代するに至ったことについては、当然、任命責任がある、こう考えているところでございます。

穀田委員 私は、法律に違反していないということで切り捨てるわけにはいかないと思うんですね。

 やはり今、規範というところで述べたように、国民の疑惑を招いてはならないとする趣旨がどう貫徹されたのかということが問われると思うんです。

 そこで、西川大臣の問題で問われているのは、職務に関連する業界団体や企業から政治献金をもらって政治を行っているのではないかという疑惑なんですね。

 これは、この政治と金に関する問題というのは、二十数年前から続いている問題です。総理と私は、御承知のとおり、一九九三年にこの国会に参りました。それで、当時、一九九三年の政治改革の議論の中心問題は、やはり企業・団体献金をどうするかだったわけですね。

 その中で、政治改革法案の提案者は、企業・団体献金を禁止する、こう述べました。ところが、先ほど総理は政治家の資金の問題について一言言っていましたけれども、しかし、実際は、政治家個人への企業・団体献金は禁止しましたよ、だけれども、政治家が支部長を務める政党支部には献金してもよいという抜け道がつくられました。今や、政党支部は幾らあるか。十政党で八千九百二十一もあるわけです。

 もう一つは、企業・団体献金の受け取りを禁止させたはずの政治家の政治資金パーティーを認めた。

 この二つによって企業・団体献金を温存した。このことが、今、相変わらず政治と金をめぐる疑惑が取り沙汰される、繰り返される根源となっている。

 総理には、そういう認識はございませんか。

安倍内閣総理大臣 確かに、一九九三年、穀田さんや私が当選したときは、金丸さんの政治資金の問題が大きく議論になっておりました。そういう中において、政治改革を進めていくという中で、小選挙区比例代表並立制とともに、連座制あるいは企業、団体の政治家個人への禁止が決まったところでございます。

 ただ、同時に、政党に対する寄附ということについては、企業、団体も政党を通じて、いわばそうした民主主義のコストに対して貢献をしていく道は残しておこうということになったんだろう、こう思うわけでございます。

 そしてまた、パーティーについては、先ほど高市大臣が答弁をいたしましたが、これは、政治家が行うパーティーによっての事業収入という形をとり、政治家を応援したいという方々、あるいはその政治家の経綸に触れたいという方々が会費を払ってパーティーに参加するという形がとられたものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、こうした民主主義のコストをどのように分担をしていくのか。

 これは、法人であれば問題があって個人であれば問題がないかということではなくて、例えば、お金をもらって政策をねじ曲げていく、あるいはお金をもらってその人の便宜を政策上図っていく、権力を使って、職務権限を使って図っていくということが問題なのであって、法人そのものに私は問題があるというふうには考えてはいないわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、これは、民主主義のコストをどう分担していくかという議論であり、各党各会派で話し合っていくことではないかと思います。

穀田委員 企業・団体献金については、一九九三年の政治改革の議論の際に、禁止するということが大きな前提として議論になったわけですよね。それが温存して、結局、その後も政治と金をめぐる疑惑が相次いできている経過を直視する必要が私はあると思っています。

 そこで、今、二つの抜け道という話をしましたけれども、主要閣僚の国会議員関係政治団体、収支報告書を見てみました。二〇一三年の企業・団体献金と政治資金パーティーの収入はどうなっているか。

 安倍総理は、企業・団体献金は三千七百五十六万円、パーティーは八千五百八十万円。麻生副総理は、三千二百二十三万円と五千二百五十三万円。岸田外務大臣は、千四百四十九万円と一億八十万円。甘利大臣は、三千三百五万円と六千百六十万円。菅官房長官は、千七百七十万円と六千七百八十万円。林新農水大臣は、三千五百九十七万円と九千八十三万円。

 安倍内閣の主要閣僚は、いずれも、みずから支部長を務める政党支部や資金管理団体で献金を受け、パーティー券を購入してもらうという形で企業、団体から資金を得ている。

 これは、政界全体で見ると、こうした企業・団体献金が、二〇一三年、八十七億円、政治資金パーティーは百七十六億円に上っています。二百五十億円を超える巨額が動いているというのが実態です。こうした金によって政治が動かされているのではないかと国民が疑惑を抱くのは当然ではないでしょうか。

 私は、今こそ企業・団体献金を禁止すべきだということを思いますが、どうですか、総理大臣。

安倍内閣総理大臣 私たちの活動は多くの方々の支援によって成り立っているわけでございまして、私は、感謝をしながら、そういう方々の期待に応えていきたい、こう思っているわけでございますが、しかし同時に、私はあなたに献金をしているから、これこれこういうことをやってくれということについては決して応じる考えはないわけでございますし、いわば、献金をもらって、あるいはパーティー券を買ってもらって、それでもって政策をどうこうという考え方は全くないわけでございます。

 自民党においても、まさに、さまざまな支持団体、自民党に対する献金をいただいている団体があるわけでございますが、しかしながら、私たちが進めている改革については、しっかりと進めていく、大変な御批判をいただきながらも、そういう団体から御批判をいただきながらも、進めていく改革はしっかり進めているところでございます。

穀田委員 先ほどの菅官房長官のところで六千七百八十万円と言いましたが、五千七百八十万円の間違いでした。

 今、総理は、支援に感謝していると言いますけれども、やはり、もともと政治改革の議論の中で、御承知のとおり、政党に対する企業・団体献金は禁止をする、本来、個人献金をふやすことが望ましいということまであったわけですよね。それはなぜか。それは、自然人である個人であり、そしてまた、選挙権を持っている主権者たる国民に依拠して資金を集めるというのが本来の筋だという議論が当時されたことは御承知かと思います。

 ですから、私は、何度も言うように、この間、結局のところ、政治と金をめぐる疑惑が何度となく繰り返されてきた根源にこの問題があるということを言わざるを得ません。

 もう一つは政党助成金の問題であります。

 企業・団体献金を温存しながら、毎年三百二十億円の国民の税金がつぎ込まれています。政党の運営を税金に依存することで、政党の堕落、政治の劣化という事態がもたらされています。

 私は、企業・団体献金の全面禁止と、そして、政党の運営資金を税金に依存するという政党助成金の廃止、このことにいよいよ踏み切るべきであるということを改めて主張して、質問を終わります。

大島委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。

 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 西川前大臣の辞任に対して安倍首相は、みずからの任命責任を認めながら、政策を推進することで責任を果たしたいと述べました。

 しかし、農業改革については、多くの農家が、この改革で自分たちの経営はよくなるのかと疑問や不安の声を上げています。

 昨年の米価下落と直接支払交付金の削減に、円安と消費税増税による資材や飼料の値上がり、そしてTPP交渉では、米国から五万トンもの米を新たに輸入かとの報道もありました。このような自民党政権、農政のもとで農家が苦しんでいるのではないでしょうか。

 そこで、まず農協改革について伺います。

 そもそも協同組合というのは、組合員が自主的、民主的に助け合い、管理する組織です。改善すべきことがあれば、組合員の声に基づき行うことが原則です。しかし、今回の農協改革は、政府の手によって全中の監査権廃止などが取りまとめられました。なぜ、当初から出されていた全中の自主改革案を尊重しなかったのか、総理に伺います。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、農協は協同組合でございますので、農業者が自主的に設立された民間組織であるということでございます。したがって、改革は自己改革が基本である。委員のおっしゃるとおりでございます。

 したがって、今回も、JAグループから自己改革の案も出されて、これをこの最終的な案にも十分入れさせていただいている、こういうふうに思っております。

 その上で、でき上がった案をごらんになっていただきますと、自己改革を促進するという観点で、地域農協について、責任ある経営体制を確立するための理事構成、経営の目的などを規定して自己改革の枠組みを明確にするということ、そして、中央会については、地域農協の自己改革を適切にサポートできるような組織体制に移行するということを規定しております。

 最終的にいろいろ調整をいたしましたけれども、全中初め団体の皆様方とも、そのとき私は与党の立場でございましたが、調整をさせていただいて、一緒にやっていこうということになったということをまず申し上げておきたいと思います。

 また、今、中央会の監査のお話がありましたが、中央会は、昭和二十九年当時、経営が危機的状況に陥った農協組織、これを再建するために、国にかわって農協の指導を行う特別認可法人という形で発足をしております。

 そういうことで、行政にかわって組合の指導、監査、こういうものをする権限を有するというようなことでございまして、協同組合のスタートの、自主的につくった組織と言えない部分もあるということでございますので、ここが、全国の単協、一万を超える農協数が七百まで減ってきたということにも鑑みて、この中央会の仕組みというものを変えていこうという改革をしたところでございます。

畠山委員 監査権の廃止の問題は、私も多くの農家や農協さんともお話ししてきましたけれども、それによって地域農協が縛られているという話は聞いていません。営農指導を強めてほしいとか、資材調達を安くしてほしいとか、農協に対する意見は聞きますけれども、それらは協同組合の原則に立って自己改革を尊重すればいいのであって、先ほどからあったように、地域農協が縛られているかのような話は聞いていないわけです。

 それでは、監査権を廃止して、公認会計士の監査を進めたらどうなるか。

 北海道には、組勘制度、一般的には短期貸し越し制度と呼ばれる仕組みがあります。冬になって、次年度の営農計画をどうするか、営農指導員と組合員とが相談をし合いまして、個々の経営実態を見て、資金の貸し付けが行われます。それで種子だったりあるいは肥料だったりを買って、必要によっては設備投資も行う。決済は、秋の販売代金から支払われるという仕組みです。

 営農指導や販売、信用、共済などを一体に支援するから、資金に苦しむ農家も生産に取り組み、これまでの食料生産を担ってくることができました。この場合、担保は農地や農産物となるわけで、実質は対人信用の無担保となります。協同組合としてできてきたことだと思います。

 総理は、施政方針演説で、会計士による監査を義務づけるとしましたが、公認会計士の監査として、このような農家を支える仕組みを壊すことにはならないか。資金繰りできないで、営農を断念せざるを得ないということになりはしませんか。

    ―――――――――――――

大島委員長 議事の途中ではございますが、ただいま、後方の傍聴席にパキスタン・日本友好議員連盟のレイラ・カーン国民議会議員御一行がお見えになっております。この際、御紹介を申し上げます。

    〔起立、拍手〕

大島委員長 どうぞお座りください。

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大島委員長 続行いたします。林農水大臣。

林国務大臣 今、いわゆる単位農協のファイナンス機能、これが大丈夫か、こういう御趣旨の御質問だった、こういうふうに思います。

 今回の改革は、全中の内部の監査を義務づけておりましたのを外出しにしていただきまして、それと一般の公認会計士によるところの監査を選択制にしようということで、これは地域の農協に選んでいただける、こういう仕組みにしようというのが改革の大きな姿でございます。

 したがって、そこで地域農協の独自性というのも発揮できる余地はできますが、そのことによって大事な機能であるファイナンスそのものが損なわれるということがあっては元も子もありませんので、そういうことにならないように、しっかりと制度の設計において意を用いていきたいと考えておるところでございます。

畠山委員 選択制にするほどだったら、初めからする必要もないのではないかというふうに思うんですね。

 先ほどから述べているように、そもそも現場では、監査権で縛られているとか、そういうようなことに対する話は出ていないわけです。ですから、そうなると、何で殊さら監査権が問題となるのかというふうに考えざるを得ません。

 与党取りまとめを踏まえた法制度等の骨格では、会計監査は、農協が信用事業を、イコールフッティングでないといった批判を受けることなく、公認会計士による会計監査を義務づけるとあります。

 農水大臣、誰が、イコールフッティング、平等でないという批判をされているのですか。

林国務大臣 このイコールフッティング論はいろいろなところからなされておる、こういうふうに思います。

 それは、御説明しておかなければなりませんのは、監査と一概に言うときに、いわゆる金融事業、信用事業を行うために必要な会計監査、これは金融事業を行っておる信金、信組も行われているところでございますが、これと、それから、いわゆる業務監査と呼んでおりますが、農協の組織の中でやっておられる業務監査と、二つの種類があるということでございます。

 一般の会社では、御案内のように、業務監査というのは余りなくて、コンサルというのを任意で受けてやられる方もいらっしゃる、こういうことでございますが、農協の組織の中では会計監査とともに業務監査も義務づけられておった、こういうことでございましたので、ここを、業務監査については任意にしていくということで、地域農協がいろいろな販売等、工夫をもってできるようにさらに促進をしていく。

 一方で、イコールフッティング論というのは、多分おっしゃっておられるのは会計監査の方についてだ、こういうふうに思いますが、信用組合、信用金庫というのは、独立した公認会計士法に基づく会計監査というのを受けている。一方で、農協の場合は、全中の中にある監査機構がやっているということで、イコールフッティングになっていないのではないか、こういう指摘がある、こういうことでございます。

畠山委員 今大臣が話された中身というのはもちろん承知していまして、私が聞いたのは、誰から批判をされているかというふうにお聞きしたわけです。もう一度大臣に伺います。

林国務大臣 これは、当然、金融の関係の皆様、信用組合、信用金庫を初め、そういう関係の方々からの御意見というのもあると思いますし、それから、ちょっと今手元に資料はありませんが、規制改革会議の中でもそういう御意見があったのではないかというふうに承知をしておりますが、詳細は確認させて、御報告させていただきたいと思います。

畠山委員 規制改革会議などでもそういうふうに出されているはずです。問題は、規制改革会議だけではないはずですよ。

 きょう、これを持ってきました。昨年六月の在日米国商工会議所の意見書です。JAグループは、日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長に資する形で組織改革を行うべきという表題です。この中の提言には、平等な競争環境が確立されなければJAグループの金融事業を制約するべきで、外資系金融機関に不利な待遇を与える結果となっていると、米国企業参加の道を求めています。

 さらに、これですが、米通商代表部、USTRは、二〇一〇年外国貿易障壁報告書の中で、わざわざアルファベットでKyosaiと書いた項目を立てて、日本の農業共済は、規制の基準や監督を、競争相手である民間企業と同じ条件にすべきと書いています。

 イコールフッティングでないというのは、米国からもつけられた注文ではないのですか。

 総理、規制改革会議の方向とこの米国の要請と軌を一にして、この間、監査権廃止が進められてきた議論ということではないのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 米国から、商工会議所、さまざまな要望が出ております。そういう要望は私も承知をしておりますが、しかし、農協改革は、この米国の要望に沿うという意思で行っているものでは全くございません。

 まさに、農業人口において平均年齢が六十六歳以上になっている、農業人口も減っていく中において、農業改革、農政改革、そして農協改革は待ったなしであり、いわば担い手農家、そして地域の農協が主役となって、農協中央会はそれをしっかりと支えていく、ある意味ではいい脇役として応援をしてもらいたい。

 そういう意味において、これから農業の成長産業化を進めていく上において、この農協改革をそのために資するものとしていきたい、こういう考え方でこの農協改革を進めているところでございます。

畠山委員 先ほどの在日米国商工会議所の意見書は、最後にこう書いているんです。在日米国商工会議所、ACCJは、こうした施策の実行のため、日本政府及び規制改革会議と緊密に連携し、成功に向けてプロセス全体を通じて支援を行う準備を整えている。つまり、日本政府と二人三脚で農協改革を進めるという表明があるんです。

 小泉政権時の総合規制改革会議から、農協については、信用、共済事業を含めた分社化と解体が叫ばれてきました。現場の農家から不安や批判の声が出てくるのは、だから当然なんです。

 農業金融を日米営利企業の新たなビジネスチャンスとするような農協改革は認められないということを強く述べておきます。

 農家の不安や疑問の声は、農協改革だけにはとどまりません。施政方針演説では、農業委員会制度を変えて農地集積を進め、農業生産法人の要件緩和を進めて多様な担い手参入を促し、構造改革を進めると述べたことに対しても疑問の声が上がっています。

 まず農水大臣に伺いますが、この多様な担い手というのは、誰を想定してのことですか。

林国務大臣 農地を所有できる法人であります農業生産法人の要件につきましてでございますが、昨年六月の政府・与党の取りまとめ、また、今月取りまとめた法制度の骨格におきまして、法人が六次産業化等を図って経営を発展させようとする場合の障害を取り除く、こういった観点から、役員の農作業従事要件、それから構成員要件、こういう見直しを行うというふうにしております。

 具体的には、役員の四分の一程度が農作業に従事する必要がある、こういうことでございますが、六次産業が進められていきますと、その中で全体での農作業のウエートというのは当然下がってまいりますので、これは四分の一というものを役員等の一人以上が農作業に従事すればいいということにいたす。

 それから、総議決権の四分の一以下に、農業者以外の者の議決権が制限されておりますが、これも、六次産業化を進めるためには外部からの資本調達も必要となる場合もあるということで、二分の一未満まで保有可能とするというふうに見直しを行うということにいたしました。

 まさに、多様な法人が農地を所有して、農業を営むことが可能となるということと、既存の農業生産法人が六次産業化を進めていく、これが容易になるようにということでございます。

畠山委員 生産者を中心にして地元の加工業者などとの連携を進めることは、大事だと思います。その場合も、生産者、家族農業が主役であることが大事です。

 一方で、安倍首相は、昨年一月、ダボス会議で、四十年以上続いてきた米の減反を廃止します、民間企業が障壁なく農業に参入し、つくりたい作物を需給のコントロール抜きにつくれる時代がやってきますと述べました。

 私は、産業競争力会議や規制改革会議の会議録も読みましたけれども、大多数を占める家族経営の発展についての話は出てこないわけです。安倍政権の進める農業改革、農政改革というのは、家族経営中心の農政から、企業法人経営中心でもうけることを目指すというのが、総理のダボス会議で述べた趣旨でしょうか。

安倍内閣総理大臣 家族経営は、これはいわば一つの重要な担い手である、このように思っております。まさに自由民主党こそ家族経営を大切にしてきた、こういう自負が我々にはあるわけでございます。

 しかし、同時に、平均年齢はもう六十六歳を超えてしまっている中において、家族経営といっても、私の地元もそうなんですが、おじいちゃん、おばあちゃんはやっているけれども、もう息子や孫は後を継がないという農家はたくさんあるわけでございまして、耕作放棄地もふえている中にあって、そこで、新たな担い手を農業という分野に引き入れてくる必要もあります。そういう新たな担い手にとって魅力ある分野にしていく。

 その形態は、これは個人であろうと、あるいはまた株式会社という形態、新たな時代にふさわしいものであろうと、そういう新しい活力が農業に入ってくることは決してマイナスにはならないわけでありますし、家族でやっている方々自体が、この皆さんが、では、形態を株式会社にしましょうということだって、それはあり得るわけでございますし、さまざまな形態で、集団でやっていこうということもあるでしょう。

 そういう中において、効率化を図りながら、同時に、やはり市場のニーズに敏感に対応していくことによって、より高く売れるものを売っていく。そのことによって農家の収入を上げていきたいし、付加価値を上げていくためにはどうすればいいかということについてもさまざまな視点から検討していく上においては、例えば、株式会社の中において、そういう視点を持った人たちがその会社の中に入ってきて、そういう視点から農業を変えていくことによって農業、農村の収入は上がっていくものと思うわけでございまして、私は、決して、家族農業対株式会社、そういう対立構造を考えているわけではないわけでございます。

畠山委員 先ほど産業競争力会議や規制改革会議のことも出しましたけれども、家族経営を大事にされるということは話はされましたけれども、この間の議論は、家族経営が大事だという議論がされていないわけですよ。

 国家戦略特区のワーキンググループ座長を務めた八田達夫氏は、昨年六月に都内で開かれた経済成長フォーラムで、政府が米の生産調整をやめることを評価し、やめたい人はお金をもらってやめたらいい、手切れ金を出したらいいとまで表現して、それができるとかなりスムーズに非効率の農家は出ていき、効率的なところはその土地を利用して広がっていく、だから企業が参入するんだという、あけすけな語り方をしているわけです。

 このフォーラムには、規制改革会議の農業ワーキング・グループ座長を初め、今の農業改革を進めた、中心となった方々が参加して、農業への企業参入に何が必要かを議論しているわけです。

 先ほど、対立ではないというふうに総理はおっしゃいましたけれども、ただ、実際、このような議論の経過を見れば、非効率な農家が追い出されて企業が参入するようなことになるのかどうかという心配があるわけです。どうお答えになりますか。

安倍内閣総理大臣 決して我々は、そういう企業による囲い込み運動のようなものをやろうということは、全く、つゆほども考えていないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、まさに家族経営というのは日本の農業を担ってまいりました。

 同時に、農業には、産業という側面だけで切り取れない面もあるわけでありまして、地域を守り、水を涵養し、環境を守る、さらには、文化や伝統を継承してきたのも日本の農村、漁村地帯であろう、私はこう思っているわけであります。

 しかし、その中においても、もう既に平均年齢が六十六歳になっているという状況に鑑みれば、産業という見方、側面でしっかりと、競争力を発揮できるところには競争力を発揮してもらおう、こういう考え方であります。

 しかし、中山間地帯もたくさんありまして、ただそういう側面では切り取れないという側面もあることはあるわけでありますから、そういう面においてもしっかりと農政は目配りをしていくということではないかと思います。

畠山委員 資料をごらんください。家族経営が政府の方針に従って規模を拡大してきたところでも、多くの支えがないと今やっていけなかった。価格保障、所得補償を中心としてでないとできなかったわけです。

 そして、もう一つの資料の方は、河北新報という、石巻市でその方針にのっとってきた農家が本当に苦しい中で農地を支えているということをまとめています。

 日本共産党は、家族経営を大事にした農政に今の安倍政権の農政から転換することを求めまして、質問を終わります。

大島委員長 これにて畠山君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑の補充質疑は終了いたしました。

 財務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、経済財政政策担当大臣以外の大臣は御退席いただいて結構でございます。

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大島委員長 これより一般的質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 皆様、引き続き大変お疲れさまでございます。

 まず初めに、林大臣におかれましては、急遽の御就任、大変にお疲れさまでございます。与党の一員として全力でお支えすることをお誓いしたいというふうに思います。

 きょうは予算委員会の一般質疑でございますので、省庁横断的な二つの課題について質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、財政健全化計画についてお伺いをいたします。

 甘利大臣は、改めて一昨日、二月の二十三日に答弁をされ、経済財政諮問会議で民間議員が論点整理中であり、夏までに工程表をつくる旨、答弁をされたところでございます。

 さて、去る二月の十二日に開催をされました第二回経済財政諮問会議に提出をされました民間議員のペーパーを読みますと、二〇二〇年の財政健全化目標を堅持するという言葉はありますが、閣議決定をしている二〇二〇年の基礎的財政収支の黒字化という目標が明示されておりません。これまでの政府の目標はプライマリーバランスの黒字化だったはずでございます。

 当日の発言要旨を見ますと、麻生大臣は、目標を変更したと思われるとこれまでとの整合性を問われる、誤解を与えないようにする注意が必要だとくぎを刺され、昨日の会見でも同趣旨のお話をされていらっしゃいます。黒田日銀総裁も、黒字化に向けた計画を策定することは重要だ、こういうふうにおっしゃったということでございます。

 そこで、財務大臣と黒田総裁にお伺いをいたします。黒字化目標を明示しなかった民間議員の提案は、財政規律の観点から見てどう評価をされるのか、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今お尋ねのありました民間議員ペーパーの記述につきましては、プライマリーバランスの黒字化という文言はないが、プライマリーバランスの黒字化目標を変更するものではない旨、諮問会議の場で民間議員から説明はあっております。

 このように、プライマリーバランスの黒字化目標を引き続き堅持するという趣旨のものでありましたので、政府の考え方とも整合的なものと考えております。

樋口委員 黒田総裁にお願いします。

黒田参考人 財政運営につきましては、政府、国会の責任において行われるものであり、具体的なコメントは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、国全体として財政運営に対する信認をしっかりと確保するということは極めて重要であると考えております。

 この点、政府は、基礎的財政収支を二〇二〇年度までに黒字化するという財政健全化目標の達成に向けた計画を夏までに策定するというふうにされておりまして、日本銀行としては、政府による財政健全化に向けた取り組みが着実に進んでいくことを強く期待しております。

樋口委員 黒田総裁、ありがとうございました。どうぞ御退席、お願いします。

 発言の要旨を見ますと、民間議員からは、黒字化ありきで歳出と歳入を動かすということではないといった意見もあったそうであります。

 黒字化ありきではないということは非常に重たい発言だというふうにも考えますが、この民間議員の提案、そして提言というものはどういう意図でなされていらっしゃるのか、麻生大臣そして甘利大臣、それぞれの御見解をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今お尋ねのありました、黒字化ありきで歳出と歳入を動かすということではないとの民間議員の御意見がありましたことは確かでありまして、プライマリーバランスの対GDP比というものを考える際には、これは分母と分子に分けないかぬと思いますけれども、分子側、つまり、財政上の直接的ないわゆる収支改善の努力だけではなくて、分母に当たります、経済上の、経済成長とかそういったものを活性化することによって税収を伸ばしていく等々のことで、GDPも含めた上で議論をすることも重要であることを強調するという意味の趣旨であったと言われましたので、こうした趣旨であるならば私どもとしても同感であります旨を諮問会議でも申し上げたところです。

 ただ、政府としては、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化目標というものをしっかりと堅持して、ことしの夏までに、その達成に向けた具体的な計画を策定するということにしておりますので、その策定に当たっては、現内閣でも、デフレ脱却、いわゆる経済成長、経済再生、それと歳出改革、それから歳入改革等々、三つの柱を軸に検討を進めてまいりたいと、これまでどおりに考えております。

樋口委員 甘利大臣にもお願いいたします。

甘利国務大臣 財務大臣そして日銀総裁から御答弁がありましたとおり、従来目標を変えるとか、あるいは緩めるということではございません。

 民間議員の御提言は、経済再生と財政健全化に最大限取り組むことにより黒字化を実現するという考え方でありまして、今財務大臣からもお話がありましたように、分子のプライマリーバランスの赤字を削減するのみならず、分母のGDPを大きくして税収を伸ばしていくという効果も含めて考えるべきだという趣旨だというふうに理解をいたしております。

樋口委員 重ねて細かい話で恐縮ですが、この民間議員による経済再生と財政健全化に関する提言には、基礎的財政収支の黒字化ではなく、国と地方のプライマリーバランス対GDP比を二〇二〇年度までに、五年間で、二〇一五年度に比べ三・三%程度改善するといったような、持って回った言い方をされております。

 なぜストレートに黒字化と言わずGDP比なのか、なぜゼロにするではなく三・三%程度なのか。目標を変更したと思われかねない表現でございますが、財務大臣の感想を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今お尋ねがあっておりました民間議員ペーパーにおきます国と地方のPB対GDP比を三・三%程度改善するとの記述は、今言われたとおり、これまでの、閣議決定に掲げられております、プライマリーバランスの黒字化という表現ぶりとは異なっているというところでありますが、意味していることは全く同じであるということは、意味はわかりますけれども。

 もともと、プライマリーバランスの黒字化につきましては、これまでも国際会議の場で、プライマリーサープラス、いわゆるプラスという意味で、プライマリーサープラスが財政健全化目標でありますということを説明をずっとしてきておりますので、引き続きこの目標に変更はないということは国際社会に対しても説明をし続けていく必要があろうと存じております。

 このため、二月の十二日の諮問会議において、私の方から、目標を変更したとの誤解を与えることがないように念を押したところ、民間議員からは、目標の変更ではないとの明確な回答をいただいた。このことは議事録にも載っておりますので、確認をいただけるはずと存じます。

 したがいまして、政府としては、二〇二〇年度のプライマリーバランスを黒字化するとの財政健全化目標というのは、総理も言われたとおり、これは堅持してまいりますし、その実現に向けた財政健全化計画をつくって、その議論を今後進めていかねばならぬと考えております。

樋口委員 甘利大臣にもお願いいたします。

甘利国務大臣 来年度が赤字幅が三・三でありますから、黒字化する、プライマリーバランスが均衡して黒字化に向かっていくというには、その具体的な三・三を縮める。黒字化というのをより具体的に言うと、三・三ということになるわけであります。

 経済成長というものの大事さを強調したものだと思います。デフレというのは、経済規模が最終的に縮んでいってしまう、諸悪の根源であります。デフレを脱却するということは、名目GDPを大きくしていくということが至上命題であります。

 つまり、歳出カットと増税だけ、増税をしてあと歳出カットするだけということになりますと、経済規模を大きくしていくという、本来のアベノミクスのデフレ脱却という発想を忘れがちになります。経済を大きくしていけば、黒字化達成以降も、債務残高総額対GDP比の比率の改善も、その路線でしっかり経済規模を大きくしていくというのが続いていけば、プライマリーバランスが均衡した後もしっかりとした道が開けるということだというふうに思っています。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

樋口委員 経済成長のお話をいただきました。

 まさに、消費税が一〇%になる二〇一七年の四月まであと二年と一カ月余りとなったわけでございまして、何としても経済成長をして、実感のできる景気回復を実現しなければなりません。

 だから、経済成長は大変重要でございます。重要であるからこそ、財政健全化計画では、黒字化目標と同じくらい優先度の高い目標として、例えばGDP比などの数値目標を据えればいいという考え方もあります。

 麻生大臣がおっしゃるとおり、誤解を与えるような計画ではなく、堂々と財政の健全化、そして経済成長もともに追求をするという形で計画を作成していただきたいと思いますが、麻生大臣の見解をお伺いします。

麻生国務大臣 この夏までにと思っておりますけれども、財政健全化計画につきましては、今言われましたように、経済再生、経済成長、いろいろな表現があろうと思いますが、経済再生と財政健全化という両立を目指しております。これまでの取り組みをさらに強化していくということになろうと思いますが、実効性のある具体的なものをきちんと明示しなければいかぬと私どもは考えております。

 その策定に当たりましては、これまでのところ、先ほど言われましたデフレ脱却・経済再生、並びに、歳出の改革、歳入の改革等々、三つの柱を軸にこれを進めていくということになろうと存じます。

 この計画を今具体化に向けて、六月までにとか夏までにとか、いろいろ考えてやらせていただいておりますが、いずれにいたしましても、御指摘を踏まえてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

樋口委員 甘利大臣にもお願いいたします。

甘利国務大臣 考え方といたしましては、分子にPBの黒字化、分母にGDPの拡大というのをイメージしていきます。

 PBの黒字化というのは、これは経済規模をどんなに大きくしてもここはゼロにはならない、ここはちゃんと、その年の歳出はその年の収入、国債費以外のもので賄えるということで均衡してゼロになるわけです。

 一方、経済規模を大きくしていくということは、達成した以降のその路線を展開していくのにも非常に正しい判断だと思います。つまり、経済を大きくしていって対GDP比率を減らしていくという発想になっていきますし、経済規模を大きくしていけば、税収にもはね返ってくるわけであります。

 そしてそれを、二〇二〇年までを三・三としたのは、具体的なアクションプランを描きやすいことでそういうふうに提示をしたわけであります。アクションプランは、例えば中間点で見られるようなものにするか、なかなか毎年毎年というのよりは、少し幅を持って中間点でチェックした方がいいのかなとも思いますけれども。

 いずれにしても、それは、今、諮問会議の民間議員にそれぞれの担当ごとに論点整理をしていただいております。それが出てきましたら、いろいろ財務大臣の御指導もいただきながらしっかりとしたアクションプランにしていこうというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございます。

 論点整理中ということでございますので、ぜひ財政健全化ということと経済成長、ともに追求をするといったような具体的な目標設定をお願いしたいというふうに思いますけれども、総理も一昨日、二月二十三日の予算委員会で、基礎的財政収支を二〇二〇年にバランスさせる目標を堅持する、変えたことは一度もないという趣旨の答弁をされたところでございます。

 財務大臣にお伺いをいたします。

 夏に策定をする財政健全化計画には、今お話がありましたとおり、当然黒字化の目標を明記するというふうに考えてよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 先ほど総理からも御答弁がありましたとおりでありまして、私どもとしては基本的に、黒字化ということはこれまでずっと言ってきた一番わかりやすい話になって、最初PBと言われて、プライベートブランドですかと聞いた人もいらっしゃいましたし、御年配の方はポケベルかなんてからかわれた時代もありましたが、たしかこれは小泉内閣、私は政調会長だったと思いますが、第一次の小泉内閣のときにこのPBという言葉を最初に使われて、基礎的財政収支というのは、日本語的には、日本語で正確に言うとそういうことになるんだと思いますけれども、何か短い言葉だとか言われて、ある日突然にこのPBという言葉が出てきたんですが、もう十数年もたちますと何となく定着しつつあるように思います。

 新たにまたこれを三・三とかいって、それは何だといって、またそこの説明をするのもちょっと大変だなという感じがしましたので、これは今さら変えていただくと、皆、目標が変わったのかというような話に取り違えられると困りますのでということは、諮問会議でも私の方から申し上げさせていただいたところです。

樋口委員 甘利大臣にもお伺いいたします。

 二〇二〇年の黒字化目標は、夏に策定する財政健全化計画に入ると理解してよろしいでしょうか。

甘利国務大臣 そのとおりでございます。

樋口委員 この財政健全化計画でありますけれども、市場関係者はもちろん、海外からも、かなりこの具体的な内容を示さなければならないというような声も聞かれているところであります。

 麻生大臣が一昨日おっしゃられたように、国の借金については、これは国民の皆様は債権者であり、政府が債務者なんだという趣旨のお話もされました。まさに、そういう意味では、全ての債権者である国民の皆様のための財政健全化計画だというふうにも言えなくはないというふうに思っております。大変に困難な作業だというふうに思いますけれども、一層の取り組みをお願いしたいと存じます。

 続きまして、総合取引所について伺いたいと思います。

 総合取引所の創設は、金融庁、そして農水省、経産省という、それぞれの取引を所管する関係官庁による調整と合意が必要であります。本日は、商品先物取引の活性化のための総合取引所の早期実現についてお伺いをいたします。

 皆様、お手元の資料の一をごらんいただきますと幸いです。一を見ていただきますとおり、世界の商品先物取引がこの十年間で約六倍に伸びているところでございます。

 一方、裏面を見ていただきますと、資料二でございますが、我が国の商品先物取引は、十年間で五分の一、七分の一と言ってもいいかもしれません、衰退をしているのが現状でございます。世界はふえて、日本は大きく減っている。

 次に、その次の資料三をごらんください。右側の方を見るとわかりやすいんですが、世界的には、現物の株式、そして証券・金融先物に加えまして、金や原油、農産物などの商品先物も一つの取引所グループで取引できる総合取引所というのが主流でございます。アジアの中でも、香港取引所によるロンドン金属取引所の買収や、シンガポールにおける証券取引所と商品取引所の合併による総合取引化などが進んでおります。

 裏面を見ていただきまして、資料の四を見ていただきますと、我が国のJPXグループの先物、デリバティブは世界十四位でございます。

 こうした中、日本においても世界に通用する総合取引所を一刻も早く実現するためには、その取り組みを強化していくこと、そのことについて、政府は成長戦略の一環として、平成十九年の第一次安倍内閣での閣議決定を経て、平成二十五年、第二次安倍内閣においても閣議決定され、総合取引所の実現は、低迷する我が国の商品先物市場の活性化や利用者の利便性の向上に資するものというふうに考えます。

 昨年の三月には、総合取引所を実現するための平成二十四年改正金商法が施行されました。総合取引所における規制、監督の枠組みは整備されたわけでございます。

 また、昨年六月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂二〇一四においては、金融・証券デリバティブ市場と商品デリバティブ市場の統合が進んでいる現状等も踏まえ、総合取引所を可及的速やかに実現するとされました。

 「日本再興戦略」改訂二〇一四にあるように、総合取引所を可及的速やかに実現するべきであります。まずは、麻生金融担当大臣の見解を伺います。

麻生国務大臣 総合取引所を実現するということは、これは、証券、金融と先物取引というか商品取引の垣根を取り払って多様な投資機会を提供する、そして、市場参加者の利便性の向上に資するものだと思っておりますので、これによりまして、商品先物市場が当然活性化しますし、日本の金融や資本市場の国際競争力の強化にもなる、そう思っておりますので、そういったものの強化をさらに図っていかねばならぬ、率直にそう思っております。

 したがいまして、金融庁としては、この「日本再興戦略」改訂二〇一四などを踏まえまして、速やかにこれの実現というものに向けて積極的に今後とも取り組んでまいりたいと考えております。

 この前、おととしも去年も、同じような、御同様の質問を他の議員からいただいたんですが、これはなかなか進んでいないのが実態でありますけれども、基本姿勢は変わっておりません。

樋口委員 なかなか進んでいない。積極的にやるということですが、進まないわけであります。

 続いて、林大臣に伺います。

 昨年の国会で、私も二度、林大臣にお伺いをしました。農水省としては早く総合取引所の実現について取り組みたいと二回答弁をいただきました。さらに、金商法で規定されている、総合取引所に関する金融庁と農水省、経産省との事前協議、同意について、農林水産物について総合取引所で先物取引が行われることになった場合の生産、流通に対する影響を勘案して、あらかじめ必要な措置を講じることができるように設けられているものであり、この規定により総合取引所の実現が先送りされる性質のものではない、こういう明快な答弁をいただいております。

 林大臣におかれましては、現在においてもこのような見解であると理解して間違いないでしょうか。

林国務大臣 ただいま麻生金融担当大臣からも御答弁をいただいて意を強くしておりますが、今おっしゃっていただいたように、積極的に取り組むということで日本再興戦略にも書かれておりますし、私も、昨年の農林水産委員会で樋口先生からの御質問を二度ほどいただきましたが、そういうふうに答弁をさせていただきました。また、御指摘の事前協議等の規定についても、そういう答弁をさせていただいたので、全く同じ考え方でこれからもやってまいりたいと思っております。

樋口委員 続きまして、宮沢大臣にお伺いをいたします。

 商品取引所についてですが、国内には七つあった商品取引所が、一昨年の東京穀物商品取引所の解散によりまして、現在は、東京商品取引所、TOCOMと大阪堂島商品取引所の二つになっているところでございます。そのTOCOM自体も、流動性の低下、市場の縮小に歯どめがかからずに、経営的にも六期連続の営業赤字という今状況でございます。

 現在の商品先物市場の衰退は、個人投資家への勧誘規制の強化とか、税制上の整備がなされていないとか、こういうことが原因というふうに言われておりますけれども、私は、個人投資家を再び取引に呼び込むことで市場の活性化にはつながらない、根本的な解決にはならないというふうに思います。

 残念ながら、これまで我が国では、商品先物取引には個人投資家とのトラブルの歴史ということがありました。個人投資家を再び取引に呼び込むことではなく、外国人投資家や機関投資家の参入を目指し、市場の担い手を、現物を扱う当業者や外国人投資家、そして機関投資家といったプロを中心とすることが重要であり、そうした市場構造の転換といった抜本的な改革こそが真の商品先物市場の活性化につながる、こう思っております。

 ぜひこのためにも総合取引所の実現が不可欠と考えますが、宮沢大臣の御見解を伺います。

宮沢国務大臣 委員おっしゃるように、商品取引の歴史というのは、いろいろ問題が起こった歴史でありますし、今おっしゃったように、法人等々といったものが大変これから大きなウエートを占めてくるんだろうということは同じ考えでございます。

 経産省といたしましても、総合取引所の実現につきましては、可能な限り早期にこれを目指していくという考え方は共有をしております。

 そういう考え方に基づきまして、昨年の十二月に、東京商品取引所と日本取引所グループはシステム統合を決定いたしまして、これはかなり大きな第一歩だろうと思っておりますし、また、現在も両取引所の間でかなりハイレベルな議論を行っていると承知をしております。

 そして、私どもとしましては、今、商品取引の主な取引は金とか白金がかなり大きなウエートですけれども、経産省としましては、今後、電力の先物とかLNGの先物というのは我が国のエネルギー政策にとって大変大事なものだと思っております。

 特に、電力につきましては、小売の自由化がもうすぐ始まりますし、また、今回、発送電分離の法案もお願いしております。そういう中で、しっかりとした先物市場があるということは、電力供給システムにとっては大変大事なことだと思っております。

 また、LNGにつきましても、我が国は世界最大の輸入国でありますけれども、残念ながら価格が硬直的だという問題がございまして、そういうためにも、日本が主導してLNGの先物取引というものをしっかり育てていくということが大事でありまして、そういう中で、この統合というものがどういうふうになっていくか、こういうことだろうと思っております。

樋口委員 宮沢大臣、ありがとうございます。

 そこの点なんですけれども、まさに、電力先物やLNG先物の上場という総合エネルギー市場の整備の話があります。だけれども、これが総合取引所実現の前提かのように聞こえる、こういう議論がありますけれども、これは全く別のお話だと思うわけでございます。

 そもそも、総合取引所を早期に整備しようという話と、電力やLNGの先物の総合エネルギー市場の整備をすることというのは、どちらかが一方の前提になるような話ではなくて、そういう性格でもなく、これは全く別々に、並行して議論を進めるべきだと思います。閣議決定をしている総合取引所をまずやる、このことが大事だというふうに思っています。

 昨年の五月、TOCOMの江崎社長は、ブルームバーグのインタビューに、今のままだと数年で商品取引所が日本からなくなるとおっしゃっていらっしゃいます。

 総合取引所の創設に当たっては、現実的なのは、先ほど大臣からも御答弁いただきました、まさにJPXとTOCOMが合流することだというふうに思っております。TOCOMは、これまでの長い歴史から、統合により、例えば中小が多い商品先物業者がはじき出される可能性があるとか、現在上場している不採算商品が上場廃止に追い込まれるのではないかとか、こういう懸念をお持ちかとも思いますけれども、これがJPXとの合流に二の足を踏んでいるようにも見受けられるところでございます。

 私は、これまで何度かこの問題を取り上げてまいりましたけれども、どちらかといえば、金融庁さんと農水省さんからは、創設に向けた積極的な御回答だ、御答弁だ、こう思いますが、経産省さんは、どちらかというと消極的で、省庁間の合意を得ることができず、膠着状態が続いております。

 こうなれば、あとは政治判断しかないわけでございまして、全てを御存じの聡明な宮沢大臣にぜひ御決断をいただいて、世界と戦える総合取引所を早期に実現していただけませんでしょうか。もう一度御答弁をお願いします。

宮沢国務大臣 今、もう委員御承知のとおり、関係者がいろいろなことを懸念しているということは事実であります。

 一方で、先ほど申し上げましたように、LNG、また電力の先物市場というものはどうしても必要なものであるし、育てていかなければいけないということでございますので、そういう観点に立ちまして、将来的にどういう形で結んでいくのかということについて検討したいと思っております。

樋口委員 ぜひ、前向きな協議をお願いし、また総理のリーダーシップもいただいて、早期実現をお願いしたいというふうに思います。

 私の地元大阪は、一七三〇年に江戸幕府が先物取引を公認した、世界で最初に組織化されたデリバティブ取引所の堂島米会所があった先物取引発祥の地でございます。昨年の三月には、JPXグループにおける金融・証券デリバティブ市場は大阪取引所に集約をされました。関西そして大阪の経済再生への突破口は私はこの総合取引所にある、このように思っております。今の金融・証券デリバティブ市場に加えて、金や原油、農産物などの商品デリバティブ市場も大阪の地で取引ができれば、大阪、関西の活性化に必ずつながっていくと思っております。

 総合取引所の早期実現を心からお願いし、質問を終わります。ありがとうございました。

萩生田委員長代理 これにて樋口君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 きょうは質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速ですが、お配りをしている資料、一番最後のところから御質問したいと思っています。農林水産大臣がお座りでありますので、お尋ねをしていきたいと思います。

 今年度予算、農業農村整備事業、二千七百五十二億六千五百万円、一体どういう根拠でこの積算になっているのかということをお答えいただきたいと思います。

林国務大臣 いただいていた御質問の御通告が、幾ら支払われているのか、こういう御質問というふうに聞いておりましたので、それに対するお答えになります。

 土地改良区に対する補助金、都道府県や団体を通じて交付するものが多いんですが、これらの交付先について、必ずしも土地改良区宛てということではなくて、市町村、団体宛てで、その一部が土地改良区に支出されるものもあるということでございますので、土地改良区に対する国の補助金全体の額というのが幾らというのがなかなか特定しにくい状況でございます。そういうことでございます。

岡本(充)委員 私がまず聞いているのは、済みません、大臣になられたばかりで大変恐縮ですけれども、今回出されているこの予算の積算根拠は一体何から来ているのか。

 つまり、過去に使用した、税金がどれだけ使われたかということを見ながら今年度予算をつくるべきではないかという観点に立つと、過去の支払い状況がわからないと言っていながら積算を上げてくることはおかしいのではないかという趣旨で、私は質問通告をさせていただいた。

 したがって、今の話で、どういう根拠でこの予算案を財務省に対して要求したのか、国会に出したのか、御答弁をいただきたい。

林国務大臣 まず、国は、国庫補助を受けた土地改良区でございますが、補助金の使途について、できるだけ的確な把握に努めておるところでございます。

 そういったことを通じて、補助事業の予算の積算、これに際しましては、都道府県から、当該の都道府県それから市町村、土地改良区等、事業計画に基づいて、どの程度工事等を行う必要があるかといった情報を聞き取りまして、それを勘案した上で、できる限り予算に反映させる、こういうふうに努めておるところでございます。

岡本(充)委員 それでは、要望した金額をそのまま積み上げているだけの話であって、去年使った状況、剰余、不用額、もしくは、場合によってはどういうような内容だったのかという決算状況を含めた話になっていないという理解でいいわけですね。

林国務大臣 これは、今申し上げましたように、予算の積算でございますので、決算といったものがどういうタイミングで出てくるのかということもあろうかと思いますが、その前の事業年度の決算というのがもしあれば、そういうことも必要な限り聞き取るということはあり得るのかと思いますが、基本的には、今申し上げたように、工事の必要性といった情報を聞き取って、それを勘案した上で、予算も枠がございますので、御要望を全部積み上げていってその枠が足りるかということもございますが、なるべくそういうニーズといったものを反映させるように努めておるところでございます。

岡本(充)委員 繰り返しの話で大変恐縮なんですが、ニーズに基づいて積み上げたものということではなくて、本来であれば、これまでの執行状況等を勘案して予算を要求するべきだと私は伺っているわけであります。

 農林水産省に資料要求したところ、お手元の最後の八ページ目の資料だけ、平成二十四年度だけ、たまたま調査をしたら、補助そして助成金は国、県を通じてこれだけ行っている、しかも、アとイがありますけれども、括弧イのところには、いわゆる人件費等の事務費も入っていると。

 そして、この決算状況はどうなっているのか、誰がウオッチをしているのかということを問いましたところ、内部でのチェックのみである、こういうことでありまして、具体に国の税金がどれだけ入ったかということがわからない土地改良区が多い。しかも、これも聞き取り調査だけでありまして、これではやはり状況がわからない。

 しっかり、農林水産省として、どれだけの税金が入り、そしてその執行状況がどうなっているか調査をして、当委員会に出していただけますか。

林国務大臣 この土地改良区でございますが、業務の適正な執行を図るために、土地改良法に基づきまして、監事というのがおられますが、財産の状況、理事の業務の執行の状況の監査、それから農林水産省または都道府県による業務及び会計の状況に関する検査、それぞれ、この法律に基づいて行われております。

 これらに加えて、これはなかなか費用の関係で難しいところもあるわけだろうと思いますが、外部監査の導入というのも図られるように御指導させていただいているところでございます。

 こういう監事による監査の充実等を通じて、土地改良区の適切な業務運営というものを確保していきたい、こういうふうに思っております。(岡本(充)委員「資料を出してくれということに答えていない」と呼ぶ)

 理事会でそういうふうにお決めいただければ、その上で検討させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 私が要求しております、県、国、市町村、農協、それぞれが助成金を出しているようでありますが、それぞれの助成金がどれだけ土地改良区に入っているのか、それを踏まえて本年度の予算が組み立てられているか。外部監査が入っているという話でありましたが、こうした監査の状況とあわせ、当委員会に御提出いただけるよう理事会でお取り計らいをお願いしたいと思います。

萩生田委員長代理 後刻、理事会で協議いたします。

岡本(充)委員 そうしましたら、その資料が出てきたときにまた質問させていただきます。

 続いて、きょうは資料が幾つかあるわけでありますけれども、民間労働者と公務員労働者の条件の差について。

 私は、働く者にとって、その雇用主が誰であれ、同じような制度のもとで働けるべきだと考えているわけであります。きょうは人事院に来ていただいています。いわゆるフレックスタイム制や裁量労働制、ここには書いておりませんけれども、民間企業にはあるけれども公務員にはない、この理由はどのように整理をされていますか。

一宮政府特別補佐人 一般的に、公務においては、法令の執行その他の行政サービス等、行政需要に応じ、国民に対して適時適切に提供する責務を担っております。適正かつ円滑な公務運営を確保する必要があることから、一般職の国家公務員について、職務遂行の方法及び時間配分の決定等を大幅に職員の裁量に委ねる裁量勤務制は導入していないところです。

 ただし、いわゆる招聘型の任期つき研究員として、業績等により当該研究分野において特にすぐれた研究者と認められている者を招聘して、当該研究分野に係る高度の専門的な知識経験を必要とする研究業務に従事させる場合については、例外的に認められております。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

岡本(充)委員 公務員であれ、一般の方であれ、サービスを提供するという場合において、私は今総裁が言われたような差異があるとは考えていないわけであります。とりわけ、事業の運営に関する事項について企画立案、調査及び分析の業務につく労働者であれば、裁量労働制、民間で認められているものが国で認められないということの理由にはなっていないように聞こえるわけであります。

 今回、厚生労働省が高度プロフェッショナルな技能を持つ方に対する新しい労働基準のあり方の法律をつくろうとしていますが、この実施状況を見た上で、先ほどの招聘型任期つき研究員など特に高度の専門的知識経験を必要とする研究業務につく者について、こうした働き方を導入していく方針、もちろん制度の導入を見た上で、そのおつもりがあるという理解ですか。

一宮政府特別補佐人 先ほども申しましたように、一般職の国家公務員につきましては、法令の執行その他の行政サービス等、行政需要に応じ、国民に対して適時適切に提供する責務を担っており、そのための体制を確保するため、幹部職員や管理職員を含め全ての職員に勤務時間法が適用され、この法律に基づいて一週間の所定勤務時間等が定められております。

 また、国家公務員は法令や予算に基づいて組織的に行政を執行しており、職員一人一人の職務の範囲を明確にし、業務の遂行を職員それぞれの自律性に委ねることは必ずしもなじまないものと考えております。

 したがって、高度プロフェッショナル制度の公務への導入については、国民への適切な行政サービスの提供、組織的な業務遂行、適切かつ円滑な公務運営の確保などの観点から、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

岡本(充)委員 今の答弁、先ほどの答弁とほとんど一緒だったんですけれども、招聘型任期つき研究員に限って、先ほど言われたように裁量労働制を今認めているわけですから、これは認めるということになり得るという答弁に最初は聞こえたので、ここだけに限ってもう一度聞きます。

 この形の研究員にも導入しない、こういう方向で検討していくということでしょうか。

一宮政府特別補佐人 高度プロフェッショナル制度を含む労働基準法の改正案は、今後国会で審議されるものと承知しております。

 現在、公務において具体的に検討しているということはございません。

岡本(充)委員 その上で、きょうは厚労大臣にもお越しいただいています。

 今回、法律案の要綱を拝見しましたけれども、成果と働く時間が連動しない働き方と言われますが、そもそも厚生労働省が考える仕事の成果というのはどういったものなんでしょうか。

塩崎国務大臣 今回お諮り申し上げようと思っております高度プロフェッショナル制度を選んで働く方における成果ということであるならば、仕事にかかった時間数ではなくて、事前に設定した業務目標に照らして、定量的かつ客観的に見て判断をしていく必要があるわけでございます。

 通常、海外の例などを見ても、今回の高度プロフェッショナル制度というのは、高収入でなおかつ高度な専門性を持った能力のある方に限るわけでありまして、事前に職務記述書みたいなものに署名するということで、職務の内容そしてまた制度の適用についての本人の事前同意、こういうものがなければならないわけで、希望者に限る制度であるわけであります。

 その過程で、今お話がありました成果でありますが、職務に沿った業務目標を労使で事前に設定することによって、それに応じて定量的かつ客観的に成果が判断されるものだというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 私、厚生労働省が成果という言葉を使われているので、成果の定義とは何ですか、こう聞いているんです。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、この制度の前提は、職務記述書というのに署名するわけで、労使の間でこういう中身について、言ってみれば、やることですということが書かれるわけですね。そこで同意をして、それに基づいてきちっとした成果が出るかどうかということを言っているわけであって、その中でどういうことが書かれるかはケース・バイ・ケースであるわけでありますので、そこでの職務の中身において成果が出ているかどうか、要するに目標を達成したかどうかということが問われるということだと思います。

岡本(充)委員 委員長、私の質問を御理解いただけていると思いますけれども、成果の定義は何かということを聞いておりますので、厚生労働省における成果の定義について、厚生労働大臣にお答えをいただきたいと思っています。

大島委員長 成果の定義について、厚生労働大臣、どうぞ。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、業務の目標というのを事前に立てて記述書を書くわけであって、その目標をちゃんと達成したかどうか。達成したことがやはり成果ということに当然なるんだろうというふうに思うわけであります。

岡本(充)委員 もう一度しっかり答えていただきたいんです。

 成果とはこうこうこういうものである、こういうお答えの仕方でお願いできませんか。労働者とはこうこうこうである、こうやって厚生労働省は定義されていますよね。成果とはこういうものである、そういうふうにお答えいただけませんでしょうか。

塩崎国務大臣 法律上の定義につきまして、まだ法律ができておりませんので、それができた段階でまたお答えをしたいと思いますけれども、考え方は、今申し上げたように、職務についての記述をお互い労使で決め、目標も定め、それを達成したことが成果というふうに考えるのが常識的ではないかというふうに思います。

 法律的にどういうふうに定義をするかということについては、また法律を目の前にしてきちっとした定義を示したいというふうに思います。

岡本(充)委員 法律が出るときに定義が示される、こうお答えいただきました。

 それでは、その上で、次に御質問させていただきたいわけであります。

 今回、この要綱を見ると、現状でも割り増し賃金を払えば、三六協定を出して超過勤務をすることは可能でありますし、連続勤務も可能なんだそうであります。場合によっては三百六十五日働いてもいいそうでありまして、ちょっとそれも驚く話でありますが、今回のこの法律案のたてつけだと、どの健康確保措置をとるか、それぞれの労使の間での合意に基づくんでしょうけれども、場合によってはこうしたことが可能になるということを確認したい。

 いただいているこの要綱の中の、皆さんのお手元の二ページ、イのところに書いてありますけれども、「労働者ごとに始業から二十四時間を経過するまでに厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ、深夜業の回数を一箇月について厚生労働省令で定める回数以内とすること。」ということになっています。

 これは、何時間休憩をとるかというのはこれからでしょうけれども、現状、さまざまな法令や海外の事情を見て、例えば十一時間休憩時間をとるものとすれば、十三時間連続勤務が可能。しかも、その間、これまで労働基準法で求められていた休憩時間もとらなくていい。つまり、昼飯もトイレも行かない、そして連続勤務を十三時間。そして、それを三百六十日連続勤務をさせてもいい。これが、ある意味、今回の法律、要綱が示している可能な働き方となってくる、これで理解はよろしいですね。

塩崎国務大臣 先生、今、やや極端な例をお出しになられて御質問いただいたわけでございますが、まず、ですから、そうなると、この高度プロフェッショナル制度はどういうものかということを、全体像を国民の皆さん方にも御理解をいただいた上で、そういう極端な例についてどう考えるかというふうにお考えをいただいた方がいいのではないかと思うのであります。

 今回の制度は、仕事の進め方とか時間配分をみずから決めて、時間ではなくて、先ほど御指摘にありました、成果で評価される働き方を選ぶ、こういうための制度であるわけであります。

 ですから、意欲や能力を十分に発揮できるようにということでやるわけでありますけれども、しかし、それを追う余り、健康を損なってはいけないということは、もう先生おっしゃるとおりでありますし、我々もそれが大前提ということで考えているわけであって、時間の長さに比例した割り増し賃金によるのではなくて、その働き方に見合った健康確保のための措置によって対応していくことがふさわしいというふうに考えているわけであります。

 具体的には、今先生ちょっとお触れになりましたけれども、今この要綱もございますけれども、在社時間などの客観的な把握を使用者に求めた上で、使用者がそれをきちっと把握するということですね。ということで、例えば、終業時間から始業時刻までの間に一定時間以上を確保させる、いわゆるインターバル規制、在社時間等の上限規制、それから年間百四日の休日数規制、この三つのどれかをとるということを使用者に求めるわけであります。

 今のがいわゆる健康・福祉確保措置というものでありますけれども、なおかつ、もし、例えば月に百時間以上の残業が起きたというようなことになれば、いわゆる健康管理時間が長時間となった場合、医師による面接指導の実施を義務づけるなどの健康確保のための充実した措置を講ずるということで、これは罰則を含めて法律に定めようと今考えているところでございます。

 ですから、今先生おっしゃったように、例えば毎日十一時間のインターバルさえ置けばいつでもいいじゃないかみたいなことでやると、まず今の三つの規制のどれかにひっかかってくることがありますから、それはそれでそこを守らないといけないということになるわけであります。

 今申し上げた措置は全ての対象者に必ず講じなければならないと法定するものでありまして、また、その他の方にはない厳しい、今の三つのどれかということなども、健康措置も厳しい規制であって、割り増し賃金の支払い義務がなくなるということを十分補うに足るものではないかというふうに考えております。

岡本(充)委員 手短に御答弁いただきたいんです、余り長い答弁じゃなくて。お願いします。

 繰り返します。三百六十日、一年間、五日間有休をとらせて残り三百六十日、インターバル規制を十一時間と仮にした場合、十三時間働き続けて、三百六十日働いて、割り増し賃金なしでいく、これが今回の法改正でできる要綱になっていますよね。そこについて端的にお答えください。

塩崎国務大臣 今、十一時間のインターバルを入れた上で、なおかつ一日十三時間労働、そして、三百六十と言いましたけれども、我々が聞いていたのは、一年間は三百六十五日ありますから、こういうようなことができるかということでありますけれども、それは理論的にはできるということであります。

岡本(充)委員 割り増し賃金を払うことで、ある意味、会社側には、やはりそれではコストがかかる、だからもう一人雇おうというインセンティブが働くような、いわゆる給与体系になっていたんじゃないかと思うんです。

 わかりやすく言うために、今回はもっと給料が高い人ですけれども、厚生労働省にも出してもらいました。私もちょっと試算してみました。

 仮に、時給千円の人がいて、この人、一日八時間、百四日休暇をとらせて二百六十一日働いてもらうと二百八万八千円になるんですかね。今お話をしたように、十三時間連続勤務で、割り増し賃金を払って、今の現行法でもし三百六十日働いてもらおうと思うと、およそ三百三十三万九千円、賃金を余分に払わなければいけない。つまり、二百八万円の人をもう一人雇った方が安く済むというのが、事業者側の、ある意味、長時間勤務に対する歯どめになっていたんじゃないか、こう考えるわけなんです。

 今回、この三百三十三万九千円、これはあくまで時給千円としていますから、給料として安いですけれども、このお金を払わなくて済むということによって、企業の方には抑止弁がなくなるのではないか、こう考えているわけでありますけれども、この点についてはどうお考えですか。

塩崎国務大臣 今の先生の計算は、事前のレクで御質問が出て、そういうやりとりがあったということは私も聞いております。一日十三時間労働、三百六十五日で約三百四十万、先生は二百八十万とおっしゃいましたが、いずれにしても、そういう数字は計算上は可能でありますが、もともとこれは、言ってみれば、よく言う年俸制というのがございますが、年俸制という方には残業代というのは特にないわけであって、ざっくり理論的には、残業込みで年俸制というのは大体決められるもので、残業代という概念自体がそういう場合には薄いわけであります。

 しかし、問題は、この制度の目的というのは、ですから、さっき少し長くなりましたが申し上げたのは、やはり成果をきちっと出す、そしてまた限られた分野の専門性を持った、そして一千七十五万円という、場合によっては、その会社の労働条件が悪ければ、あるいは扱いが悪ければほかのところに移れるような、そういう人たちが対象となる。言ってみれば、クリエーティブなスタッフとか、そういう人たちなんですね。

 ニュースなんかで見ていると、管理職というところがあって、その下の一般職の一番上みたいなことになっていますけれども、そこで割り増し賃金が払われないのはおかしいんじゃないかという解説がテレビなんかでなされることがありますが、実は、そういう管理職とその下の一番上みたいなことはやや不正確でございます。それはむしろ、管理職というラインではなくてスタッフ的な人たちで、管理職にかかわるような能力のある人たちもいるという中でこの制度を新たにつくって、言ってみれば、結果として、企業が力を発揮できて、そこで働いている人たち全体のパワーにもなって賃金も上がっていくということを狙っての制度でございます。

 これは、さっき申し上げたように、もともと再興戦略でも、一千万円、一定の年収要件以上であり、職務範囲が明確で、高度な職業能力があって、それから健康確保や仕事と生活の調和を図るのが前提。そして、総理が加えて言っているのは、希望しない人には適用しない、それから、職務の範囲が明確で、高い職業能力を持つ人材に対象を絞り込む、さらには、働き方の選択によって賃金が減ることのないようにということでありますから。

 今先生の直接的な御質問は、言ってみれば、残業代を計算してみればもう一人人を雇えるじゃないかみたいなお話がございましたけれども、むしろ、年俸制でこれだけの、一千七十五万円以上払っても効果がある、結果が出せるという場合に限って、お互いの同意でやるものでありますし、また健康は必ず守るということで新たな規制を加えているわけでありますから、御懸念のようなことはないのではないかというふうに思います。

岡本(充)委員 もっと端的にお答えいただきたいんです。

 そう言うのであれば、今現状どれだけの残業時間をしている人たちがいるのかということを厚生労働省は把握しているはずですよ。現実にどのくらいの残業時間が現場で行われているのか、これについて御報告いただきたいと思いますが、御報告いただけますか。

塩崎国務大臣 今手元にはちょっとございませんが、あり得るものはお出しをしたいというふうに思います。

岡本(充)委員 では、委員長、それについても理事会で取り扱っていただきたいと思います。

大島委員長 承っておきます。

岡本(充)委員 そうしましたら、次の話題に行きます。

 今度は、いわゆる外国人技能実習生の実態についてということに行きたいと思います。

 外国人技能実習生、大変厳しい環境で働いている人がいるんじゃないかという話もあり、また、いわゆる米国の人身取引報告書、こちらの方で指摘も受けているところでありますが、本当にさまざまなお国からお越しをいただいて、その皆さん方が本国に帰ってきちっとその技能を使っているのか、これを調査している。

 実態はどうかと厚生労働省に聞いたら、済みません、厚生労働省ばかりですけれども、次が資料の五ページです。フォローアップは、わずかに一年間で千八百人程度。本当にごくわずかの方しかフォローができていない。

 つまり、これが有効に、その実習生にとって生きているのかどうか、これをもう少ししっかりフォローする必要があるんじゃないでしょうか。

塩崎国務大臣 先生お配りをいただきました、私どもの方から行っている資料だと思いますが、一五・四%という回収率だ、これは低いじゃないかということでありまして、実際、数字を見ますと、必ずしも胸を張れるものではないということは、そのとおりだと思います。

 このフォローアップ調査というのは、実習生の帰国後の就職状況、日本で習得した技能の活用状況を把握するために実施をしているわけでありますけれども、現行の調査では、調査票の記入、返送を帰国後一カ月以内としております。

 これは、帰国後の復職等に一定の期間を要すると考えられることが一つ、それから、余り期間が経過をしてしまいますと、調査票をなくしちゃったとか、あるいは忘れちゃったとか、そういう回答率がさらに低下をするというおそれがあるものですから、一カ月以内ということで帰国前にお渡しをしているわけでございます。

 技能実習生の帰国後の就職状況等をより的確に把握することは、先生御指摘のように大変重要であって、もともと、この制度の趣旨からして、これは技能を移転するということでありますので、調査票の内容とかあるいは回答時期の設定のあり方についても、今先生の御指摘のようなこともございますが、これは引き続き、何がベストなのかということは絶えず検討をしてまいりたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、平口委員長代理着席〕

岡本(充)委員 実際、日本国内にいる人、来てくださった、もしくはお越しいただいた実習生の方、失踪している事件も多いようです。

 法務大臣にも来ていただいています。平成二十六年の数字、私、四ページに出しているのは二十五年なんですが、しっかり議論したいので、二十六年の数字も早急にお出しいただけますでしょうか。

上川国務大臣 昨年、平成二十六年の技能実習生及び研修生の失踪者数でございますが、四千八百五十一人でございまして、平成二十五年には三千五百六十七人でありましたので、千二百八十四名、約三六%の増という状況でございます。

岡本(充)委員 ありがとうございます。

 これだけふえているというこの実態を踏まえて、今度は介護の世界にこの話が来るのではないかという話になっているんですが、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令によりますと、そもそも、本邦に来て修得しようとする技能等を要する業務と同種の業務に外国において従事した経験を有することが本邦に来る要件になっているようですが、厚生労働大臣、いかがですか、海外で介護を業務としている方を厚生労働省として把握されていますか。

塩崎国務大臣 今、御存じのように高齢化がどこでも進んでおりまして、例えばシンガポールとかああいうところを含めて少子化、出生率の低下というのがかなり激しいわけで、この間もダボスでいろいろな保健大臣などに話を聞きましたら、全てやはり高齢化の問題、生活習慣病の増加、つまり高齢化に伴うものとして非常に注目をして、ですから、我々は高齢化先進国ですから、日本がどうやっているのかということをすごくたくさん、大勢の保健大臣から私は聞かれました。

 アジアの多くの国では、今申し上げたように高齢化が進展をしておりまして、介護従事者に関する資格制度とか位置づけは国によってもちろんまちまちであります。そういう意味では、一律に把握することは困難でありますけれども、例えばマレーシアでは、NGOなど民間で運営をする高齢者施設が約二百カ所以上ございます。

 それから、フィリピンでは、二〇〇二年にケアギバーという介護職の国家資格が創設をされまして、初年度で約五万人が養成をされているというふうになっています。

 また、ベトナムでも、私の地元の専門学校の方にリクエストが来ていまして、介護などの授業をやっている教科書を送ってきてくれないかという向こうの学校の方からのリクエストがございました。

 ということは、いかに職業としてもニーズがあるかということであろうかというふうに私たちは思っております。

岡本(充)委員 私が聞いたのは、ニーズがあるかじゃない。業務についている者がいるかというのは把握するのは困難だというお答えでしたね。人数ですよ。

塩崎国務大臣 全体の人数としては、どうかということはなかなか、国それぞれでまちまちなものですから。

 今申し上げたように、フィリピンでこのケアギバーというのが介護職、これは五万人養成をされているということでありますので。ですから、そういう意味では、人数を細かく把握しているということまでにはいっていないと思います。

岡本(充)委員 人数は把握ができていないんですね。であれば、業務として行っている者を厚生労働省として把握をしていない、こういうことであります。

 その上で、では、これでこの制度を走らせるのかという問題は別途あるということを指摘しておいた上で、最後に、文科大臣にお越しをいただいております。遅くなりまして済みません。

 まず一点目、学校耐震化の問題。

 時間の関係で手短に御答弁いただければ幸いですが、皆様のお手元にもありますように、今、学校の耐震化、残念ながら進んでいない地域がまだ残っているようです。特に、Is値が〇・〇一という施設もあるという話でありますが、これは国交省、きょうは局長も来ていただいておりますけれども、手短に、これも端的にお願いします。

 Is値〇・〇一というのは摩擦力で建っている程度の建物である、これでイエスかノーか、端的にお願いします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 Is値〇・〇一というのは、震度四程度の地震に対して倒壊、崩壊する危険性が高いという建物でございます。

 ただし、Is値というのは、建築物の最も弱い部分の数値を用いるということでございますので、必ずしも震度四程度の地震で建築物全体が倒壊、崩壊するということを示すものではないということでございます。

岡本(充)委員 その上で、文科大臣、小学校で〇・〇一という施設があるということ、一部にしろ、これは大変な問題で、三十三年度と言わずに、もっと早く耐震化が進むように、これまでの取り組みは、さまざまされているのは承知をしていますが、工夫をしていただけるかどうかだけ、お答えいただけませんか。

下村国務大臣 工夫ということで申し上げますと、今、小中学校の施設については、地震防災対策特別措置法によりまして、学校を設置している地方公共団体が耐震診断を行わなければならない、それから、建物ごとに耐震審査結果を公表しなけりゃならないと義務づけられておりますから、自治体に対して公表させることによって、地域の方々がどこが危険かということがわかりますので、それに対してしっかり文部科学省がフォローアップ、促進するようにしていきたいと思います。

岡本(充)委員 もう少し踏み込むと、私、きのうのレクの段階で言ったんですが、例えば保護者の皆さん方にお伝えをする。これまで首長にお伝えをしてきたけれども、保護者の皆さんに伝わるような方法で、保護者の皆さん方にもその推進に協力をしてもらう、こういう手もあるんじゃないかという話をしましたが、これについてはいかがですか。

下村国務大臣 今年度の四月一日現在で、市町村別の耐震化率や耐震性のない建物の棟数などをホームページで公表していますので、事実上、保護者の方々に公表しているということであります。

岡本(充)委員 私は、首長の皆さん方に文部科学大臣がお手紙を出されたという話も聞いています。やり方はいろいろあるでしょうけれども、ホームページに公表しているから見ていない方がという話よりも、もう少し丁寧な取り組みを私は求めたいと思います。

 続いて、次の話に行きたいと思います。

 教育全般の話ももちろん議論したいんですが、医学部新設の話、一点聞きたいです。

 そもそも医学部の新設、これまで、閣議決定等もあって制限をされてきたところでありますけれども、東北地方につくるということの中で、一定程度学費の、国立大学見合い程度の負担にできないか、こう考えているようでありますけれども、それ以外にもさまざまな費用がかかっている、予備校に行っている人もいますし。そういう意味で、私立と国立の実際にかかる費用もしっかり見た上で学費のあり方を検討するべきだという指摘と、もう一つは、やはり本当に東北地方の県だけで集まるのかという問題点、これについて私は指摘をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 御承知のように、東北、被災地、特例で、安倍総理から、医学部の設置について三十六年ぶりに認めるということにいたしました。その中で、今、東北薬科大学が新設予定ということで、東北全体の地域枠をつくりまして、関係団体とそのための、開校に向けた協議をしているところでございます。

 その中で、東北薬科大学の修学資金制度における学生の自己負担額は四百万円程度であるというふうに聞いておりますが、これは国立大学の医学部における学費負担額約三百五十万円を参考として設定したというふうに聞いております。

 今後設置できるかどうかというのはまだ協議途中でありますが、そういう形で東北全体の理解が得られるように今努力をしているというふうに聞いております。

岡本(充)委員 終わります。ありがとうございました。

平口委員長代理 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民主党・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 私にとっては、二期目なんですけれども、予算委員会では初めての質問となります。一生懸命、相努めたいと思います。

 きょうは、主として高市早苗総務大臣に御質問させていただきます。

 個人的な思い出話になるんですけれども、私は、今から二十四年前、湾岸戦争のときに、テレビの討論番組で大臣と御一緒をさせていただいたことがございます。もちろん、大臣、初出馬の前なんですけれども、当時、「アズ・ア・タックスペイヤー」という本を書かれて、これがその世界ではヒットされたということだと思うんですけれども、非常に新進気鋭の論客として大臣が売り出し中だったということであります。私は、一大学生としてひな壇の方にいたわけですけれども、番組終了後、大臣がつかつか歩み寄ってこられて、君、おもしろいねと言ってくれたというのをよく覚えております。

 そういった思い出もあって、身の引き締まる思いで質問をさせていただきます。

 「アズ・ア・タックスペイヤー」を国会図書館で借りてまいりました。裏表紙に、大臣のすてきな若き日のお写真がございます。

 一節、きょうの質問に関係することとして読ませていただきたいんですが、

  それが悔しいと思うからこそ、こうして私ごとき者が拙い文章をつづっているわけです。こうして書けるのも、私があるシステムの中にからめとられていないからこそで、政治に関係していて常にある立場にいる人たちは、いろんなしがらみから口が重くなるのでしょう。

  今、私は、国民がちゃんといろんなことを言うべきときが来ていると思います。

  プロと称する政治屋さんのいいところもありましょうが、アマチュアの単なる疑問、意見も言っていいと思うのです。

それで、

  政治家は悪いことをしても仕方がない、というゆがんだ常識のもとで浪費される血税を見過ごしてはいけない。今まで、納税の義務だけをコツコツ果たして、お金の使われ方を見届けたり、主権者としての権利を主張することに無関心過ぎたのではないでしょうか。

 こういった「アズ・ア・タックスペイヤー」の視点から、きょうの質問をしたいと思います。問題提起をさせていただきます。

 資料の一枚目をごらんください。

 厚生年金と国家公務員、地方公務員、私立の学校教職員の共済年金が本年十月に統合されるわけであります。いわゆる被用者年金の一元化というものであります。加入者が納める年金保険料が統一をされる。入り口が同じになる。出口の年金給付というのも一緒になる。入り口と出口が一緒になるんですけれども、真ん中に積立金というのが残ります。この積立金については、これは一緒にならない、それぞれの共済組合等が持ち続ける。どうもちょっと違和感があるなというところが正直あるのであります。

 積立金というのは、各共済組合が独自に運用を続けるということです。ここに概念図のようなものをちょっと出させていただきます。全て網羅しているわけではないかもしれませんが、サラリーマンの厚生年金、GPIF、ここが積立金を持っている、これはこれまでどおりですけれども、これに、国家公務員はそのまま、私立の学校はそのまま持つ、地方公務員については、公立学校、警察、市町村、道府県、また東京都、こういうところが別々に積立金を持って、一定の方向性は国が決めますけれども、最終的にはそれぞれが独自に運用するという仕組みになっているんですね。

 入る額と出る額が同じなわけですから、目指す運用利回りというのは同じなわけですよね。別々に運用すると、予想以上にもうかるところと余りもうからなかったところ、さらには、場合によっては、すごい損失を出してしまったということもあるかもしれません。

 現実に、例えば信用組合とか農協系の金融機関とかといいますと、過去にも、元本保証の高利回りの金融商品なんというものに投資をして、実際にそれが紙くず同然になってしまったなんというケースも、私も新聞記者時代に取材させていただいたことがあるんですけれども、でこぼこが生じてしまうわけです。

 なぜこういうふうになっているのか、どういう理由なのか、あるいは、特定の共済でどんと損をしてしまったみたいなことが起こったときに、一体そこはどこが補填をするのか、こういったことについて、まず塩崎厚労大臣にお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほどお話がありましたように、制度そのものはそういうことでございますので、この被用者年金制度の一元化によって、それぞれの積立金は厚生年金制度の共通財源ということになりまして、それで、共済組合等の積立金に増減が生じた場合には、もちろん、この年金全体の財政に影響は及ぼし得るということではございます。

 先ほどお話がございましたように、この積立金基本指針というのが、所管大臣、つまり厚労、財務、総務、文科が共同してこの指針を定めて、積立金の運用は長期的な視点から安全かつ効率的に行うということになっていまして、共済組合等においては、この指針に沿って行われるということだと思います。

 所管大臣は協力してこの積立金全体の運用状況の評価、監督をすることとされておりまして、当然、安全かつ効率的に運用されるということでございまして、厚生年金、国民年金の場合、GPIFで仮に運用に、仮にですよ、問題があったとした場合には、当然、厚生労働大臣が最終的な運用は寄託をしていますから責任を持つということになるわけでありますが、そうならないように安全かつ効率的に運用していくということでございます。

宮崎(岳)委員 質問は、何で別々で、積立金は統合されなかったのかという理由を端的に伺いたいというのと、そういう各、まあGPIFは大きいですから、そんなに大損するということはないと思うんですが、細かいところでがっと損してしまうということはあり得るかなと思うので、そこについてなんです。

塩崎国務大臣 失礼しました。

 この一元化法、これは民主党政権時に通ったものでございますけれども、この共済組合等は引き続き医療保険のための保険料徴収とか給付を行うことになっています。

 こういったことから、保険料の徴収その他の年金関係事務について共済組合等を引き続き活用するということとあの際なって、その一部である積立金の管理運用についても共済組合等が引き続き行うということになったということで、そこで、さっきのように、一元化によって、その共通財源として、この厚生年金制度の共通財源にもなりますから、我々としても、何かがあれば影響がないことはないということでございます。

宮崎(岳)委員 ちょっと今の質問で、触れていただけなかったのかなと思うんですけれども、統合しなかった理由の一つは、各共済組合等が独自の事業を行っている、その年金資金も含めて独自の事業を行っているということも理由の一つなんじゃないかなというふうに思っております。

 組合から見れば投資ということになるかもしれませんが、組合員にローンを貸したりとか、関係する団体にその資金を貸したり、それから、共済が運営する宿泊施設、ホテル、こういったところに貸し付けたりというようなことがあるわけでありまして、そういった事業を全部廃止するわけにはいかないということも積立金を統合しなかった理由なのかなというふうに推察をしております。

 その中で、ここから高市大臣への質問になるんですけれども、共済組合がホテルを経営しているというケースがあります。有名なのは、国家公務員共済のKKRホテルズ&リゾーツとか、道府県共済、地方職員共済組合の旅の宿とかいうのが有名なんですけれども、時間も限りがありますので的を絞って、全国市町村職員共済組合連合会、ここに係る施設についてお伺いをしたいと思います。

 この連合会を構成しているのは、全国の市町村職員の共済組合であります。例えば、高市総務大臣の地元であれば奈良県市町村職員共済組合みたいなことになりまして、ちなみに、奈良の共済は以前、共済会館やまとというホテルを経営していたんですが、これは既に閉館をしております。塩崎大臣の地元ですと共済会館えひめですかね、今もやっているかと思うんですが、こういったところを経営しているということになります。

 全国市町村職員共済組合連合会とその傘下の構成組合が経営しているホテル、平成二十五年の時点でお幾つになりましょうか、お伺いしたいんですが。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方公務員共済組合につきましては、法律上、福祉事業の規定が設けられておりまして、組合は、組合員の福祉の増進に資するため、宿泊事業等を行うことができるとなっております。この規定に基づきまして市町村職員共済組合、都市職員共済組合及び全国市町村職員共済組合連合会が運営する宿泊施設数についてでございますが、平成二十六年四月一日時点で四十五施設となってございます。

宮崎(岳)委員 今、二十六年四月一日現在で四十五カ所というお答えでございました。

 では、過去に建設等で年金積立金を使ってつくったというケースはどれぐらいありましょうか。四十五のうちの施設数と、その総額をできればお答えいただきたい。それから、年金積立金から借りた分が現在どれぐらい残っているのか、それについてもお願いをいたします。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねの、年金積立金から借り入れを受けて建設、改修等が行われました市町村職員共済組合等の宿泊施設につきましては、先ほどお答えいたしました四十五の施設中三十八施設になってございます。

 また、平成二十五年度末の借り入れの残高でございますけれども、総額で約四十億円となってございます。

宮崎(岳)委員 四十五のホテルのうち三十八は年金の積立金からお金を借りてつくられたということであります。それを年々返していって、今残っている借金は四十億円ということであります。

 こちらのパネルをごらんいただきたいんですけれども、大半は年金積立金から建設されていて、残り四十億しかないということなので、順調に返しているようには見えるということなんですね。

 これらのホテルは、共済組合の組合員の方の福利厚生とか健康増進とかそういったことのためにつくられているので、助成金も出ますね。一泊すれば二千円とか三千円とか、あるいは五千円出て、七千円のホテルで実質的に二千円ぐらいの個人負担で泊まれるみたいなところもあるんですよね。一種、そういう面からいえば有利な競争条件があるというようなことで、経営的には結構安泰じゃないかなという感じもするんですけれども。

 そこで、黒字となっているホテルはこの四十五のうち幾つあるのか、そこについてちょっとお願いしたいんですが。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、平成二十六年四月一日現在において市町村職員共済組合等が運営する宿泊施設は四十五施設となっておりますが、それにつきまして、経常収支の状況についてお答えいたします。

 赤字となっている施設が四十一施設、黒字となっている施設が四施設でございます。

宮崎(岳)委員 四十五のホテルがあって、赤字が四十一、黒字が四。大変な数字だと思うんですよね。ほとんど、九割以上が赤字ということですから。

 では、何で借り入れの返済が順調にできているのか。普通は、年金から借りてきてつくっています、赤字で回しています、返せないというふうになりそうなものなんですが、何で返せているかというと、次のパネルをごらんいただきたいんですが、つまり、ホテルの財政に対して、共済組合の内部で別の会計、いわゆる特別会計的なものですけれども、そういったところからお金を入れているから返せているということだと思います。

 代表的なものは、疾病予防とか健康増進のための保健経理というものがありまして、ここからの繰り入れが多い。人間ドックとか予防接種を受けるときにただで受けられたり割引があったり、あるいは先ほど言った宿泊費の助成なんかも、この保健経理からやっているんですよね。

 そこで、ちょっとこれも聞きたいんですが、ほかの経理、ここに言うように、宿泊経理というのがホテル経営ですけれども、ここに、長期経理、この年金の経理から建設費を借りているわけですね。保健経理とか短期経理とか、幾つかほかに経理があるんですけれども、ほかの経理から繰り入れているホテルというのは幾つぐらいあって、その総額はどれぐらいになりましょうか。

 それからもう一つ、そのうちの、内数でいいんですが、保健経理、先ほど言った健康増進、疾病予防、こういったところから繰り入れているホテルは幾つぐらいあって、総額はお幾らですかということです。お願いします。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 各地方共済組合につきましては、法律上の規定によりまして、大きく分けて三つの事業を行っております。一つは年金に係る長期給付事業、もう一つは健康保険に関する短期給付事業、そしてお尋ねの福祉事業ということでございます。

 福祉事業の中には、さまざまな事業を行っておりますけれども、共通するのは組合員の福祉の向上ということなものですから、それぞれの勘定間で繰り入れ等が許されているということでございます。

 他の経理からの繰り入れにつきましては、法令上禁止されていることではございませんけれども、安易に繰り入れに頼ることのないように、経費の削減、経営の合理化、効率化等を通じまして、経営の健全化を図るよう助言しているところでございます。また、繰り入れを行う場合につきましては、保健事業に係る保健経理や貯蓄に係る貯金経理等から、それぞれの事業に支障を来さないよう、剰余金の範囲内で繰り入れを認めているところでございます。

 お尋ねの点でございますけれども、市町村職員共済組合等の宿泊経理に繰り入れを行っている施設の数でございますが、四十五の施設中三十四の施設となっております。平成二十五年度末の繰入金の総額につきましては、約三十五億円となってございます。また、これまでの実績でございますけれども、平成十六年度から二十五年度までの過去十年間における繰入金の総額につきましては、六百十五億円でございます。今申し上げましたのは十年間の総額ということでございますが、単年度で見ますと、その繰入額は徐々に減少するように指導しているところでございます。

 また、その内数でございますけれども、保健経理から宿泊経理へ繰り入れを行っている内容でございますけれども、四十五の施設中三十一施設となっておりまして、平成二十五年度末の繰入金の総額は約二十二億円となってございます。

宮崎(岳)委員 そうすると、四十五のうち三十四施設、現在繰り入れをやっています、昨年は三十五億円でした、そして過去十年の合計が六百十五億円ですと。そして、四十五の施設中三十一で、そのうち保健経理から繰り入れている、それが二十五年度で二十二億円でしたと。

 ちなみに、この十年間の合計はわかりますか、保健経理の分は。わかれば、ちょっとお願いしたい。それから、その保健経理の財源というのはどこから来ているのかというところも。この二点、お伺いできますか、部長。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 保健経理からの繰入額の十年間の累積については、恐縮でございますが、今ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんので、お答えは控えさせていただきたいと思います。

 財源についてお答えを申し上げたいと思いますけれども、地方公務員共済組合の福祉事業につきましては、組合員及びその被扶養者の健康教育、健康相談、健康診査、人間ドック等を含めて、さまざまな健康の保持増進のための必要な事業を行っているところでございます。

 こうした福祉事業に要する費用についてでございますが、共済組合法の規定によりまして、組合員の掛金と事業主である地方公共団体の負担金で半分ずつ、折半で負担することとされているところでございます。

宮崎(岳)委員 今言ったとおり、昨年二十二億円、保健経理から入れましたよ。その財源というのは、半分が共済組合の組合員が納めた掛金、残りの半分は事業主負担です。事業主負担といっても、公務員ですから、雇い主である市町村の税金という形になるということですよね。単純に税金を入れているというのとちょっと違いますが、事業主負担とはいえ税金は税金だということであります。

 多分これは交付税措置されておりますので、そのさらに財源というのは、もともと国から地方交付税交付金として地方に入ったお金ということですので、全国民のお金とも言えるんじゃないかなというふうに思っているんです。

 先ほど、十年間の総額、これは保健経理以外で六百億円余り、六百十五億円という話がありました。保健経理から幾らかわかりませんけれども、十年間で四百億内外なのかなというふうに推察されますが、ということは、十年間で二百億円、このホテルの赤字補填のために税金から入っていますよという話になると思うんですね。

 昨年は二十二億円ですから、十一億円は事業主負担であります。事業主負担といっても税金だ。前年の平成二十四年度も三十二億円近く保健経理から繰り入れていると思いますので、十六億円ということになるわけですね、税金から。

 確かに、民間の健康保険組合とかでも、人間ドックや予防接種に補助したりとか、スポーツクラブ、フィットネスクラブと団体契約したりとか、保養所をつくることもあるかもしれません。民間企業は職員の福利厚生にこういうことがよかれと思って出すということで、それはある程度自由にやっていただければいいと思うんですけれども。

 事業主負担といっても公費であって税金であります。そうすると、おのずから常識的な使い方とか、限界というのがあるんじゃないかなというふうに思うんですよね。

 ホテルの赤字補填のためにお金を使っている。そのホテル自体が、公務員の職員の福利厚生、保養のためなんだといっても、そうはいっても、そこが、税金が入っているということに、赤字補填が税金だということにはやはり違和感があるわけです。

 かつて、グリーンピアの問題というのが問題になりましたけれども、これは第二のグリーンピアになりかねないような問題じゃないかなと思うんですよ。

 高市大臣に、ここは政治家としてお答えいただきたいです。こういう使い方というのは正しいんでしょうか。許されると思いますか。

高市国務大臣 これは、先ほど委員が指摘されたとおり、民間企業における福利厚生にかわるものとして、地方公務員の方また御家族に御利用いただいているものです。

 確かに大変厳しい経営状況でございます。そこは問題意識を持っております。

 一番新しいところでは、ことしに入って、一月三十日にも総務省から通知を出しているんですけれども、安易に他経理からの繰り入れに頼ることなく、経費の削減ですとか、経営の合理化、効率化、こういったものを通じて、まずは施設の経営の健全化を図ること、それからまた、著しい不採算ですとか、あと、組合員のニーズそのものが乏しい施設については整理するようにということで、要請をしてきております。

 その結果なんですが、平成七年には、地方公務員共済組合の宿泊施設で、全部、トータルしますと百五十四あった施設が、平成二十六年四月では七十六施設と、二十年間で半減してきております。

 ですから、やはりこれは、各施設の利用状況ですとかそれから経営状況、こういったものを踏まえてちゃんと各地域で検討するようにということを引き続き要請してまいりたいと思います。

宮崎(岳)委員 私は、こういう使い方は正しいのかどうか、あるいは好ましいのかどうか。

 今のお話でいうと、減らしてきていますよと。減らしてきていますよということは、つまり、余りよくないけれども、今の時点ではしようがないという意味なのかなというふうにとるんです。ここはどうでしょうか、大臣。

高市国務大臣 これは、地方公務員共済組合法に基づくものですので、現在運営している宿泊施設につきまして、組合員の代表者から成る組合会などにおいて、その必要性等について議論を経て、存続する、しないということを決定してきたものでございます。

 地方自治法そのものの趣旨も、基本的には地方の主体性に任せておりますし、この共済組合法にしましても、これを見ますと、第九条で、組合会というのは二十人以内の議員をもって組織するということで、例えば都職員の共済組合、指定都市の共済組合なんかでしたら、その議員は、半数を、都知事もしくは指定都市の市長が組合員のうちから任命して、また組合員が組合員のうちから選挙するというようなことで、きちっと手続が出ておりますね。また、事業計画とか予算、決算もこの組合会の議決を経なければいけないということでございますから、あくまでも、総務省としては、先ほど申し上げましたような要請を続けているということでございます。

宮崎(岳)委員 これは統合されるんですよね、年金が。その統合に向かって、やはりいろいろなものを、これまでいろいろな経過はあるんですけれども、整理していかなきゃならないだろう、そういったことの中でお伺いをしていることなんですよね。

 もう一つ、では、全国市町村職員共済組合連合会、今言いましたね、そこに、二十五年度ですと年間十一億円お金が入りましたよというお話が先ほどあったんですが、この常勤役員というのは何人ぐらいいて、いわゆる公務員OB、特にいわゆるキャリア官僚と呼ばれる方々のOBはどれぐらいいるのか、どんな方なのか、あるいはどんな待遇なのか、ちょっとお伺いできますか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 市町村連合会の役員につきましては、共済組合法三十三条の規定によりまして、理事長は理事の選挙により選出され、その他の役員は総会において選挙により選出されるということになっております。

 二月一日現在における全国市町村職員共済組合連合会の役員は十七名おりますけれども、このうち国家公務員の出身者は、常務理事と監事の二名でございます。

 その待遇でございますけれども、常務理事につきましては、公務員時の最終の職歴が本省の大臣官房審議官でございますけれども、報酬については年収で約千五百九十万円、監事の公務員時の最終職歴については本省課長でございますけれども、報酬については年収で約千四百八十万円となってございます。

宮崎(岳)委員 今、役員十七人中の二名というお話でしたが、常勤の役員です、常勤の役員は何人いるんでしょうか。そして、その中に入っているんですか、このお二人は。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 役員については、選挙によって選出されるということでございましたが、基本的には、参加する地方公共団体の長あるいは組合員の代表ということでございまして、役員は十七名でございますが、そのうち常勤は二名でございます。(宮崎(岳)委員「二名のうちの何名が、この方々は入っているんですか」と呼ぶ)その二名が公務員のOBであるということでございます。

宮崎(岳)委員 そうすると、常勤役員は二名しかいませんよと。非常勤の方々は首長さんでしょう。別に、給料はほとんどないわけですよね。二名の方がいわゆる総務省から天下りで行っていらっしゃって、千四百万から千五百万台の給料をもらっていらっしゃるというような状況ですね。

 それがいい悪いというのは、いろいろ考え方もありましょうし、これまでの経過があるし、議論を国会でもやっていることだと思いますけれども、少なくとも、その常勤役員が二名とも総務省OBだというところで、年間十億みたいなお金がいろいろな形で税金から入っていれば、それはもちろん法律的に正しい使い道だと思いますよ、法律的には適法な使い道だと思うけれども、入っていたら、これはお手盛りなんじゃないかというふうに言われかねない、そう思うんですよね。

 この代表的なホテルなんですけれども、大阪の市町村共済組合が経営するシティプラザ大阪というのをちょっと御紹介したいんですが、非常に頑張っているホテルなんですね。地上十四階、地下二階、全百十九室、天然温泉、露天風呂、プール、エステ等を備えて、ミシュランガイド関西で三年連続二つ星、その前三年連続一つ星ということですから、公共のものとしては大変頑張っているホテルだと思うんです。

 二十五年度の売上高、それから経常の損益、繰り入れ状況、あと建設費の年金積立金からの繰り入れの残り、ちょっと教えていただけますか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 シティプラザ大阪についてのお尋ねでございますが、この施設の建設につきましては、それまで運営しておりました宿泊施設の経年による老朽化、阪神・淡路大震災の影響による建物のふぐあいが生じたことなどを契機といたしまして、場所を移転の上建てかえを行い、平成十八年七月に開業したところでございます。組合員のニーズが高いこと、また地元の商工会議所からも周辺エリアの活性化に資する施設として期待されたものと聞いております。

 経営状況でございますけれども、平成二十五年度決算を見ますと、経常収支は四億円の赤字、繰入金は二億円、借入金の残高は約二十億円となってございます。

宮崎(岳)委員 大体売り上げが二十億のホテルだと思うんですけれども、そのうちで四億円赤字が出て、二億円繰り入れている。そのうち一億円は税金からであるということだと思うんですね。

 これは、先ほど御説明でもありましたけれども、いろいろ経緯のある施設ですね。もともと、このホテルは今大阪の商工会議所に隣接しておりまして、第三セクター、公益財団法人大阪産業振興機構が運営するコンベンション施設のマイドームおおさかに連絡通路で直結されている、いわばコンベンション施設の附属施設みたいなところなんですね。

 以前は、これも第三セクターですけれども、財団法人国際見本市協会が運営する大阪コクサイホテルというのがあったんですけれども、立地が余りよくないということで、非常に累積債務が重なりまして、実質破綻して、そこを共済が引き取ってホテルを建てて、ぜひ、この場所にホテルがなくなっては困るということなんですよ。

 つまり、マイドームおおさか、コンベンション施設の方を存続させるためには宿泊施設が必要だ、これはどこかにやってもらわなきゃ困るんだけれども、やってくれるところがないから、しようがない、共済の方にお願いして引き取ってもらったような感じの処理の仕方が行われたわけですよね。

 これは、ある意味で、そういうコンベンション施設を維持するということですから、行政とか、本来であれば産業界とか、そういうところが面倒を見なきゃならないであろう、本来の趣旨からいうと。それなのに、そのコンベンションを守るために共済の方にお願いして、税金と、プラス職員の掛金からお金を出してもらって何とか続けている、こういうホテルです。だから、頑張ってもなかなか黒字にできるのは難しい、そもそもそういう条件のところなのではないかというふうに思っているわけです。

 これらのホテルの赤字を補填するお金というのは、税金プラス市町村職員の給料から天引きされているであろう掛金、ここから払われている。保健経理から繰り入れている。それを組合員数で割ってみたんです。

 大阪は組合員数が多いのでランク外なんですけれども、まあ一人当たり四千円ちょっとかなというふうに思っているんです。一番高い鳥取で一人当たり年一万四千円なんです、赤字補填のための繰り入れを行っている額というのが。組合員一人当たり一万四千円ですよ。半分は税金、半分は掛金ということですね。二位の山形は一万円なんです。五千円ずつということですね。

 鳥取とか山形の職員はこれを聞いたら、えっと思うんですよ。余り使っていない職員も多いと思うんですよ、こういう宿泊施設。えっ、俺たちはあの施設、埋めるために給料の中から毎年七千円払っているの、五千円払っているの、しかも、その分、税金は同じ額だけ入っているのと。もし、この施設が赤字で、募金箱を持って職員一人一人回って、あの施設を守るためにことしも七千円出してくださいと言ったら、みんな素直に七千円入れますか。入れないんじゃないかなと僕は思うんですよね。

 こういう実態を職員共済の組合員の方にはやはりちゃんと知っていただかなきゃならないと思うんですよ。丸めて決算書を出しています、公開しています、いつでも見られるんです、わかるはずでしょうと言うだけじゃなくて、あなた、一人当たり年間七千円払っているんですよ、それでもいいですかということをちゃんと伝えなきゃならないと思うんです。そのための方策というのはもっと取り組むべきだと思うんですけれども、これはどうですか。

 では、公務員部長、お願いします。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 宿泊経理を含む地方公務員共済組合の事業計画、予算、決算につきましては、法律の定めるところによりまして、予算を審議する組合会等に予算案を提出いたしまして、そこで審議、議決をいただいて執行しているものでございますが、御指摘のように、この点については個々の組合員にとっても重要な問題でございますので、よりわかりやすく言う立場から、共済組合の広報誌等にその概要を掲載いたしまして、周知に努めているところでございます。

 具体的な内容は、各共済組合でいろいろ工夫をしておりますけれども、各事業の収支状況、繰入金等の状況とともに、宿泊施設の運営状況の概略についてもお知らせしているものと承知しております。

宮崎(岳)委員 これは、広報誌に載っている、総額予算何億円、何十億円、そのうちの何%とか出ても、一人一人の組合員、職員の方は自分の問題としてなかなか認識できない。でも、ちょっとした額じゃないんですよね、一人三百円とか五百円とかという額じゃないわけですよ。これを見るとおり、上位十位というのは、都道府県ですから、上位十位のところだけでも、一番下の福島でも四千二百七十七円ということですから、もっとちゃんとやはり知らせなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 もう時間も余りないんですけれども、共済組合のホテルをめぐるお金の流れをまとめたのがこちらのチャートであります。

 真ん中に、「ホテル(宿泊経理)」というのがありますね。その左方に「年金積立金」というのがあります、「(長期経理)」ですね。ここから借りて返す、これだけ見れば順調に回っているように見えるんですよね。貸した金が利子をつけて返ってきています、よかったですね、年金としても投資になっていますね、こういう話なんですよ。

 ところが、税金の視点で見るとどうか。国から市町村に交付金がおります。そこから、市町村から保健経理に事業主負担として税金が入ります。保健経理から繰入金として税金が入ります、ホテルの方に、税金と、掛金も組合員からあるんですけれども。それで、ホテルに入って、それが最終的に年金積立金のところに行くわけですよね。年金積立金の方にも税金が入って、それがホテルの方に貸し付けられているので、ぐるぐるぐるぐる税金と税金がめぐっている。もちろん掛金もありますけれども、税金と掛金、掛金も公費ですから、公費がぐるぐるぐるぐるここを回っているという還流の構図なんじゃないかと。

 毎年十億円とか十六億円とか、十年間で百億円とか、そういう税金を今後もつぎ込み続けるのかという話なんですよね。

 一元化すると、被用者年金は賃金上昇率プラス一・七%で回すみたいな話になっていると思うんですよ。極端な話、失敗したときに、それを架空の話としてホテルに貸しちゃう、利子をつけて返させる、ほかの経理から繰り入れして、そこには税金も入っていますが、そういったもので穴埋めしてしまうということも、テクニック上は可能になるような話だと思うんですよね。

 こういうことをこれ以上続けていいのかどうか。これはどこかで、特に十月に年金一元化するわけだから、ここら辺でそろそろけりをつけるべきじゃないですか。高市大臣、いかがですか。

高市国務大臣 つまり、委員がおっしゃっているのは、こういった宿泊施設は全て廃止をするという御趣旨でしょうか。

宮崎(岳)委員 そうではないですよ。

 これは、働いている人もいるわけですよ。全員首切れみたいな話を私はしないつもりですよ。だんだん廃止をしてきているということなんですけれども、最近になっても、建てかえもやっているわけですよね。完全に廃止をするという感じでもないわけですよ。

 だから、これを民間に移譲するとか、あるいはだんだんに廃止をするとか、いろいろなソフトランディングの方法はあると思うんですけれども、どこかで何かのけりをつけなければいけない、特に十月に一元化がありますから。これをほっておいたら、また、今の建物が老朽化したから建てかえます、建てかえに五十億かかるから、それを年金から借りてきますというようなことが繰り返されるんじゃないかということが言いたいんです。

高市国務大臣 まず、民間と競合するような公的施設については、平成十二年五月の閣議決定で、施設の新設、増築の禁止、既存施設の廃止、民営化その他の合理化措置、もうこれは閣議決定されたところです。

 また、地方公務員共済の宿泊施設については、組合員の福利厚生を目的としているということと、あと民間との競合関係が小さいということで、当時、閣議決定の対象外としておりました。それでも、この閣議決定の趣旨をやはり踏まえて対応するべきだということで、毎年総務省から要請しているんです。

 一つは、組合員を中心とする利用率の向上、それから二つ目は、独立採算の確保、三つ目は、もう経営が困難な施設の存廃ということをちゃんと考える、抜本的な経営改善対策を考えること、四つ目に、新たな施設の建設または増築は原則として禁止、それから五つ目に、施設の改良を行うというような場合は地元の旅館組合等との十分な調整をするということです。

 一元化という話が出ました。

 これは、先ほど塩崎大臣からお話がありましたとおり、平成二十四年に成立した被用者年金一元化法に基づくものですから、やはり、引き続き共済組合については活用するという法律のたてつけになっております。

 ただ、やはりこれから各共済組合が引き続き事務を行うという上で、さらに、主務大臣が共同で積立金基本指針を策定して、管理運用主体が共同で積立金のモデルポートフォリオを策定して、そしてまた、それぞれ地共連が各地方公務員共済組合等の共通の指針となる管理運用方針を策定するということで、厚生年金全体との統一性を確保してまいります。

 今まさに、それぞれの主体におきまして検討がなされているという段階でございます。まだそれぞれの主務大臣のところには報告がない状況でございます。

宮崎(岳)委員 時間となりましたので終わりますが、つい二、三年前にも一つ、ほぼ全面的な建てかえが行われたということを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平口委員長代理 これにて宮崎君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 一昨日の基本的質疑に続きましてお時間を頂戴しまして、同僚の皆さんには感謝申し上げたいと存じます。

 一昨日の基本的質疑で若干地元の大阪にもかかわることを質問いたしましたら、ある新聞が私の質疑を取り上げて、「大阪づくし」ということで書いてくださいました。もちろん、大阪にかかわることでありますが、私は一切、大阪のみにかかわることを質問申し上げたつもりは全くございませんで、きょうも大阪にかかわることが含まれておりますが、いずれも国の、特に今、安倍政権は、地方創生ということで、石破大臣を筆頭に頑張っていただいていますので、国の国益にかかわる大変重要なテーマであるという立場から御質問申し上げたいと思います。

 まず、資料にもつけさせていただいておりますが、このパネルにありますとおり、今回の地方創生、石破大臣に進めていただいている地方創生の取り組みの柱の一つに、企業の地方移転を促進するということで、いわゆるオフィス減税とか雇用促進税制、こういうものが、この国会にも関連の法案が出てくるということであります。

 その中身を拝見すると、この地図にありますとおり、東京二十三区のオフィスを展開していただくということは至極ごもっともなことでありまして、東京一極集中を是正するという観点から大変重要であると思いますが、その移転先について、実は、大阪の都心部と名古屋の都心部を排除しております。石破大臣、端的に、これはどうしてでありますか。

石破国務大臣 これは、東京圏というものが、東京二十三区が過度に集中をしている、それはもう多くの人が認めるところであります。そうすると、今委員御指摘の名古屋あるいは大阪の地域、ここもかなり集積をしている、言葉の遊びをするつもりはないのですが、そういうところも相当に集積をしていると認識をいたしております。

 今回この支援対象から外れる地域というのは、三大都市圏整備法、そういう名前の法律があるわけではなくて、首都圏整備法、近畿圏整備法、中部圏開発整備法でございますが、ここで定めております政策区域などのうち、例えば首都圏整備法の、産業及び人口の過度の集中を防止する必要があるとされている既成市街地、及び、既成市街地の近郊において、その無秩序な市街地化を防止する必要があるとされております近郊整備地帯というものを外しておるわけでございます。

 言いかえれば、現在でもほかの地域と比べて突出して人口や事業所が集中しているというような地域と認識をしておりまして、東京二十三区のようにそこから出ていった場合にはということを申し上げているわけではありませんが、そこへ行かれたときに優遇が施されるかというと、そうではない地域も存在するという考えでございます。

足立委員 今、石破大臣がいわゆる整備法の話をされました。

 私、ちょっと、誤解があればぜひ御指導いただけたらと思いますが、今回の地方創生、決してオフィスビルをどんどん建てろということではないと承知しておりまして、いわゆる会社の本社、例えば大阪であれば、多くの本社が、かつて大阪に拠点があった本社が、東京一極集中のあおりを受けて東京に転出をしたケースが幾つもございます。そうした、在阪の、本来大阪で起こった多くの企業にもう一度大阪で頑張っていただきたい、こうした思いで、今、橋下市長、松井知事を筆頭に、我々、大阪維新の会、維新の党、力を結集して頑張っておるわけであります。

 そうした中で、今、我々も、大阪の都心を含めて、もう一度大阪を再生していこうといって頑張っているときに、このいわゆる整備法を引っ張ってきて、大阪、名古屋の都心部をその支援策から除外するというのは、やはり私は、趣旨が違うものを引っ張ってきているんじゃないか、こういう思いを強く持っていますが、これはちょっと趣旨が違うんじゃないでしょうか。

石破国務大臣 これは先生既に御案内のとおりでございますが、この法の趣旨は何かといえば、三大都市圏への産業及び人口の過度の集中を防ぐとともに、交通施設等の重要施設の整備を促進する、こういうことになっております。過度の集中は防がなければなりません。しかしながら、そこにおいて重要施設の整備も促進するという、この二つの意味合いを持っているものでございます。

 先生御指摘のような議論は、私は、大阪に行くたびにそういう議論がございまして、この間も大阪の経済同友会でお話をしてきたのですが、やはり、ここ二十年ぐらいでしょうか、多くの大阪に本社を置いておったところが東京に移転をいたしております。今、それの回帰が始まっているというふうに認識をしておりまして、そこは、大阪は、やはり交通インフラ等々、他方、別の法律によりまして、国家戦略特区等々によりまして、そういう地域の整備も進めておるわけでございます。

 ですから、いろいろなインフラも整っている、本当にその気になればやはり大阪へ帰ろうというような民間のビジネスの判断もおありなわけで、そこに優遇というものをしくということはないのではないかと思っております。

 この法律の立法趣旨からいいましても、過度の集中を防ぐということも入っているわけでございまして、そうでない地域に移転ができるということの方が地方創生の趣旨にはかなうのではないかと判断いたしております。

足立委員 ちょっとすれ違っておると思うんですが、大臣が今推進をしてくださっているこの地方創生、基本的には、東京一極集中の是正、これが最大のテーマだと思っています。そうした今東京の二十三区に集中しているオフィスが、ではどこに適地を求めて、大臣の思い、また安倍内閣の思いに沿って展開をまた考えていこうというときに、なぜ名古屋と大阪だけ除外をするのかというのは、私はやはり今の大臣の御答弁ではわかりません。

 大臣、ぜひ、もうちょっと説得力のある御答弁をお願いしたい。これは本当に大事なテーマです。お願いします。

石破国務大臣 済みません。すれ違いに聞こえましたら、私の言い方が悪いのだと思いますが、それは、やはり東京のように本当に過度に集中しているというのは、多くの方が御認識いただいているとおりであります。

 それ以外に、本当にそういう本社もほとんどないよね、人口もどんどん減っているよね、就業機会もないよねというところがございます。松竹梅というのか、何というのか、東京のようにとにかくここから移っていただきたいという地域と、そして優遇をしいてでも来ていただきたいという地域と、移っていただきたいなんぞとは間違っても申し上げないが、移る場合に優遇は除外をいたしますという地域と、やはり私は三つあるんだろうと思います。

 私どもも、関西広域連合に我が鳥取県も入っているわけでございますが、大阪に行くたびに、すごいなと思うわけですよ。いろいろなインフラも集積をされている。もちろん新幹線もとっくの昔に走っている。空港も、伊丹、関空とある、神戸もある。そういうような相当にインフラも整っている。

 関西の方々に聞きますと、やはり帰ろうやないか、やはり大阪を力強く発展させぬといかぬやないかという、関西弁として正しいかどうか知りませんが、そういうような意欲というか、そういうものが相当に横溢しているような感じがいたしております。どことは名前は申し上げませんが、やはりそういうようなものを大阪へ帰そうとしている動きも相当にございます。

 インセンティブを引かないと、そういうような優遇税制をしかないと戻ってくれないところと、それをしかなくてもその気になれば戻れるところとあるのではないだろうか。大阪とそれ以外の、例えば山陰とかあるいは東北とか九州とか、これを同列に論じるというのは、やはりそこは無理があるのではないかと思います。

足立委員 まず、関西弁の話でありますが、いかぬやないのというのは余り言いませんね。大体、あかん、河内とか和泉の方、もうちょっと南の方に行くと、あかん、あかんやんけぐらい。あかんやんけと、こんな感じでぜひお願いしたいと思います。

 いずれにせよ、大臣、これは結構深刻なテーマで、大臣は、今回、地方創生に当たって、地域はしっかり地域が、地域が地域で考えてくれということで、国が別に細かいことまで言わない、こうおっしゃっていたはずですね。

 実際、今、大阪府市統合本部で、橋下市長や松井知事が、では、今、整備法が言うところのその都心部よりもできれば郊外に移ってくれと、そこに線を引いて格差をつけているということはありません。むしろ、大阪都構想の最大のポイントは、そういう線はもうないんだ、大大阪が一つになって成長していくのであり、それは、都心部の成長は郊外のプラスにもなるし、郊外の成長はまた都心部のプラスになる。大阪市域と大阪市域外とが、何かゼロサムで、どっちかが伸びるということではなくて、都心部と郊外が相まって、シナジーで、一足す一が三になる、そうした政策を今講じているわけであります。

 そうした大阪の政策とこの地図の黄色い地域は、決して平仄は合っていないんです。もし大臣が地方のことを尊重するということであれば、ぜひこの黄色い地域を抜いていただけませんか。

石破国務大臣 この法律が実際に審議に供されましたときに、また委員の御所見も承りたいと思います。

 当然、我が党の中でもいろいろな議論がございました。大阪選出の先生方あるいは名古屋選出の先生方、あるいは東京でも、その外れたところの先生方からそういうような議論がございます。ですので、これだけが正しくてあとはみんな間違っているとか、そんな不遜なことを申し上げるつもりはございません。

 ただ、これも委員もあちらこちらの地方をよく御存じだと思いますが、本当にインセンティブ、優遇をしかなければそういうのが来てくれないところというのはあるんだろうと思います。そういう地域の人口の減少の仕方というのは本当に消滅可能と言われるほどに深刻なものでございまして、そういう地域がこのまま疲弊をしていけば、首都の、あるいは大阪でもそうかもしれません、人材供給力そのものを失ってしまうのだと思っております。

 今、大阪都構想が、大阪の区部とそれ以外のところは分けない、全部が大阪として発展していくんだという松井知事あるいは橋下市長の御所見はよく承っております。それと相反するものだとは思っておりません。全体の日本をどうするかということであり、仮にここも優遇地域だということにしますと、そこへまた集中が起こるのではないかと思っております。インフラの面におきましてもそれ以外におきましても、大阪とそれ以外の地域というのも相当に違いがあるのだと思っております。

 ですので、大阪をここから外しましょうなんぞという殺生なことを申し上げるつもりは全くなくて、優遇をしなくてもできるだけの実力を大阪はお持ちなのではないだろうかという考えを私個人は持っておるところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 さすがと言ったら僣越ですけれども、石破大臣、大変御見識、ふだんから尊敬をしておりますが、今おっしゃったように、これでないといけないと一意に決められるようなテーマでは決してない。

 私も役人でしたのでわかりますけれども、しかし、決めないかぬということで、とりあえずこれでいくかなということであると承知しています。そういった意味では、これは与党で十分に御検討いただいた末のことであろうとは思いますが、残念ながら私、そこに加わっておりません。

 かつ、ちょっと誤解があるといけませんので補足いたしますと、私の選挙区は郊外であります。したがって、これはこのまましていただいた方が地元受けはいいかもしれません。しかし、先ほど申し上げた、大阪の全体、大都市大阪の発展のことを考えたときに、この黄色い色は何の意味もないし、むしろミスリーディングであるということを申し上げているし、逆に言うと、これは趣旨が違いますから別の法律ですが、整備法についても、近畿圏整備法は私が生まれたころの法律でありますので、もしかしたら整備法自体が若干おかしいのかもしれません。

 いずれにせよ、私は、大阪の都心部が過度に集中しているという認識は全く持っておりませんので、我が党として、これはまだ党内で議論中でありますが、整備法そしてこの関係の法律、場合によっては議員立法で修正等も含めて御相談を申し上げたいと思います。

 これは、ぜひ大臣、この法案の審議に当たって、今私が申し上げたようなテーマについて、場合によっては我々が御提示をする対案についても一緒に御議論、御審議をいただきますようお願いしたいと思います。ぜひお願いします。

石破国務大臣 それは、何を議題として議論するかは、委員会の理事会、あるいは委員会においてお決めをいただくことでございますので、私があれこれ申し上げるつもりはございません。

 委員御指摘のように、この整備法の区域というのは変わっておりません。ずっと変わっていないのは、それなりの理由があるはずでございます。ですから、整備法がこうなのでこのようにいたしましたと言ってもすとんと落ちないところがあるというのはよく理解できるところでございます。

 ただ、私どもとして、やはり整備法が改正されていないというのはそれなりの理由があることだということを私自身認識しておりまして、そこがなぜ変わっていないのかということも私どもとしてよくお答えをしたいと思っております。

 委員が、議員立法等々で、これはおかしいのではないかと。委員は大阪のためだけを考えておられるわけではないことはよく承知をいたしております。ですから、これが日本全体のためなのだというようなことでまた立論をいただいて、私どもも謙虚にそれを承りたいと存じます。

 私どもとして、今のところ、このような法律が最も正しいのだろうと思っておりますが、また委員の御指摘を賜りながら、よりよいものを考えていきたいと思っております。当面のところ、私どもとして考えに変更はございません。

    〔平口委員長代理退席、委員長着席〕

足立委員 もちろん、私も、今大臣おっしゃったように、整備法とこの法律案は別だと思っています。したがって、整備法の議論は整備法の議論だと思いますが、少なくとも、私がきょうの時点ではっきりと申し上げたいことは、この法律は、オフィスの東京一極集中を是正するという観点からいえば、まあ、行政的には一番手っ取り早い出口を設定されたようには思いますが、政治家としては受け入れることができないという趣旨ですので、ぜひこの点についてはまた委員会でじっくりと御指導をいただきたいと考えております。

 次に、ここに御提示をしておりますのは、皆様にも配付をさせていただいております。三枚目に、これは棒グラフでございますが、横軸に政令市が北から南まで並んでございます。札幌から北九州、福岡、さらには熊本市まで書いてございます。

 この棒グラフの意味だけ一言解説を申し上げたいんですが、分母が、その政令市を中核とする、中心とする都市圏の広がりです。その都市圏の人口であります。これは、各省がいろいろな形で都市圏の定義をしておりますが、経済産業省が都市雇用圏ということで数字をはじき出してくださっているのを使わせていただいております。これは、政府が出されている数字の中で最も合理性が高く、かつ具体的な数字で、抽象論ではなくて具体的な数字ではじき出されている、いわゆる都市雇用圏の人口が分母でございます。そして、分子が、行政区域内の人口、政令市の人口でございます。

 これを見ていただいておわかりいただけるように、例えば札幌、新潟、広島等の都市は、まさに政令市が、政令市の首長さんがその都市圏の八割以上を押さえているというか、選挙区がその範囲なんですね。したがって、札幌市長さん、あるいは新潟市長さん、あるいは広島市長さんは、御自分が、その首長さんが、授権をされた有権者の方、国民の皆様、地域の住民の皆様から町をこうしてくれと言われたものをそのまま、その札幌都市圏、広島都市圏、新潟都市圏の行政に反映してほぼ問題がない地域であると私は解釈をしているわけであります。

 一方で、例えば京都、名古屋、岡山、こういったところは半分を割っておりますので、では、京都市長が京都都市圏、これをマネージできるかというと、いや、しかし、民意は四割しか受け取っていないんだ、こういうことになるわけでありまして、今申し上げた地域では、名古屋や岡山、京都、こういったところでは、知事さんと政令指定都市の首長さんの意見が食い違うことが間々ある。これはもう当然のことだと思いますが、まあ、少なくとも四割ぐらいあると、ドミナントでありますから、政令市長さんが、俺がこうすると言えばみんなついてくるというようなことが現実的な実態ではなかろうか、こう推測をいたすところでございます。

 それに対して、東京と大阪、特に大阪は、今、全国の政令市の中で最低の数字でありまして、二割であります。大阪市長は、大阪都市圏の中で二割の方の選挙しか受けていないんですね。そうした中で、大阪市長と大阪府知事が長年相争い、そのどちらがこの大都市大阪の主導権を握るかということで百年戦争を繰り返してきたのが実は大阪都構想の淵源なわけであります。

 これは、国勢調査、二〇一〇年の数字でつくらせていただいておりますので、直近の数字でこういう状況にあるということであります。石破大臣、これを見られてどんな感想をお持ちになりますか。

石破国務大臣 これは、経産省の資料をもとに先生のところでおつくりになったということなので、済みません、初めて拝見をいたしまして、よく理解ができないままコメントをしてはいけませんが。

 大阪市というものが大阪経済圏を必ずしも代弁しているわけではないということは、そうなのでしょう。それは、そこに限らず東京でも、程度の差こそあれ、似たようなお話でありまして、それを解決するのはどういう方法なのか。それがその大阪都という構想なのか、それとも、その近隣の自治体との間の協議をより密にするということなのか、広域連合なのか、いろいろな知恵があるのだろうと思っております。

 だから、そこの市長さんと知事さんとの関係というものが、よく橋下市長がおっしゃいますように、二重行政も解消せねばならぬというお話。そのためにはいろいろな手法があるのだろうと思っております。そこは、御党がおっしゃいますところの大阪都構想というのが、本当に住民の方々によってよく理解をされ、支持されるということもまた民主主義の帰結でございましょう。

足立委員 大臣、大阪都構想についての感想はちょっと求めていないんですけれども。むしろ、この政令市というものについて、そういう意味では、石破大臣に御答弁をお願いしたのはちょっと違っていて、高市大臣にお願いせないかぬのかもしれません。

 高市大臣、この図を見られて、もし御所見があられましたら。要は、政令市とはどういうものかということについて、もし御所見がありましたら教えてください。

高市国務大臣 私も初めて拝見をいたしましたけれども、やはりそれぞれの地域において、相当、沿革ですとか規模ですとか地域性とか、違いがあるんだなということはよくわかります。

 いいとか悪いとか、それぞれについてコメントをする立場ではないと思っております。

足立委員 私は、総務省のお取り組みについては大変敬意を表していまして、特に、昨年の地方自治法で調整会議というものができた。これは、政令市と都道府県がいろいろ調整事項があったときに、どうしても、それぞれが選挙で選ばれていますので、最終的にその調整がつかないときに、勧告という形で総務大臣が介入できる、総務大臣に介入を求めることができる、勧告を求めることができるという規定が昨年の自治法で創設をされ、来年の四月に施行される。私は、政令市のいわゆる軽微な問題についてはそれで一歩前進をするということで、そういう意味で敬意を持っているところでございます。

 この二枚目に、実は地図もつけさせていただいているわけですけれども、今の棒グラフを日本地図のもとに落として、それぞれの政令市のありようというものをビジュアルに描かせていただいているところでございます。

 これを見ていただいても一目瞭然でありますが、大阪市、大阪府というのがある中で、大阪都にすることによって、今申し上げた都市雇用圏、大都市大阪の雇用圏に対する大阪都の人口が八割近くになる、こういうことでありまして、私は、大阪都構想の卓越性を数字で示して余りある表ではないか、こういうふうに自負をしているわけでございます。

 そういう中で、ぜひきょうは、調整会議についてもう一言。実は、おとついも質疑をさせていただきましたが、調整会議について総務大臣の御意見も賜りたいと存じます。

 一昨日の基本的質疑で、大阪の大阪戦略調整会議なる条例案について議論をさせていただきました。

 大阪都構想は、大阪維新の会が大阪市民、府民の皆様に御提示をしている選択肢でありますが、今申し上げた調整会議というのは、自民党大阪府連がつくられているものであります。実際に条例が今上程をされております。

 このように、自治法の調整会議は、おとつい高市大臣がいみじくもおっしゃったように、別に条例の制定を求めるものでは全くないわけでありますが、少なくとも、自民党大阪府連は、自治法に規定する調整会議にかこつけて条例を上程されてきています。

 こういう条例というのはあってもいい、こういうことですね。

高市国務大臣 地方自治法に反する内容の条例は困りますけれども、例えば、調整会議のあり方について何か条例を制定されるということを阻むものではございません。

足立委員 ありがとうございます。

 その上で、今大阪で出ているような、そういう条例ですが、先日も御答弁いただきましたように、大阪の条例は、知事に対して議案提出を義務づける内容が含まれていて、このことについては高市大臣から、慎重な検討を要する、こういう御答弁をいただいています。私は、これはもちろん慎重な検討を要するわけですが、そもそも、公共団体の首長、知事の議案提出権というのは、大臣、大変失礼ですけれども、これはもともとどこにある規定か御存じ……(高市国務大臣「条例にですか」と呼ぶ)いや、条例じゃなくて、首長の、知事の議案提出権は何を根拠に定められているものですか。一番の根っこはどこですか。

高市国務大臣 地方自治法百四十九条だと存じております。

足立委員 憲法上の規定を御紹介ください。

高市国務大臣 お待たせしました。

 第九十四条、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」でございます。

足立委員 そもそも、首長の議案提出権というのは憲法に基づく権限なんです。その憲法に基づく知事の議案提出権を制約している自民党大阪府連の条例、これは法律違反ですね。改めて伺います。

高市国務大臣 個別の条例について、私が、大阪の府議会ですか、これから提案しようとされている条例案の個別の内容について、詳細を承知しているわけじゃありませんし、個別の、まだ議会にかかっていない条例案なんじゃないかと想像しているんです。それに対してコメントをする立場ではありませんが、しかしながら、国の法律である地方自治法の趣旨及び憲法、これに反する内容の条例案であってはならないだろうと思います。

足立委員 憲法は根拠として引きましたが、地方自治法に明確に規定がある、先ほどまさに大臣が御紹介くださったように。地方自治法に反する、それは、地方自治法は知事に議案提出権を付与しているわけです。それに対して、ある会議体が、ある調整会議が知事の議案提出権を侵害する、そうした、大臣、これは一般論で結構です、もう大阪は忘れてください。一般論で、条例で、知事の議案提出権を侵害するような条例は、これは法律違反、地方自治法違反である、これはイエスで結構ですね。

高市国務大臣 知事には議案提出権が法令上ございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃっていただいたように、ある都道府県、大臣が一昨日御紹介くださった大阪の調整会議に関する条例は、当該調整会議が決した内容について大阪府知事に議案提出の義務を課する、こういう内容であって、私はこの場で明確に、大臣も否定されていません、地方自治法違反である、このように大臣の御答弁を受け取らせていただいた旨、申し上げておきたいと思います。

 それから、この条例は、ほかにもたくさん問題があります。

 例えば、地方自治法の調整会議というのは、政令指定都市の首長、市長さんと知事が基本的に構成する。そこに、議会の議員が必要であれば、首長がそのメンバーに加える、メンバーの設定権は首長にあります。ちなみに、先ほどから議論になっている大阪の条例では、既にその条例で会議の構成が決まっており、議会がその構成を決めることになっています。

 こういうふうに、知事が設定するのではなくて、議会が会議の構成を決める。この点については、地方自治法上課題はありませんか、論点はありませんか。

高市国務大臣 あくまでも一般論として申し上げますけれども、特定の何か会議体を地方自治法上の指定都市都道府県調整会議として位置づけるというようなことを条例に規定する場合に、この地方自治法の指定都市都道府県調整会議に関する規定に反することのないよう、整合性を図る必要がございます。

 ですから、地域の事情に応じて条例で独自に設置する会議体において、二重行政の解消のための協議をしていただくということでしたら、特段問題はございません。

 重要なことは、とにかく二重行政を解消する、そのために指定都市とそれを包括する都道府県がしっかりと協議をする。これはやはり、地方のことですから、地域でよく議論をしていただきたいと存じます。国の法律には反しないようにしっかりと議論をしていただきたいと思います。

足立委員 まさに大臣がおっしゃるように、地域のことは地域でしっかり議論をしていく、これはもう基本であると思いますが、もし仮にこの条例を地方自治法上の調整会議と位置づけられた場合、当該地域においてですよ、今大臣がおっしゃった、仮にそうであった場合について、もう一度、クリアに、ちょっと繰り返してください、そこを。

 もし当該調整会議が地方自治法上の調整会議である場合は、今あった、本来、地方自治法は首長が調整会議を設定するんです。議員が必要かどうかは首長が判断するんです。ところが、この大阪の調整会議は、議会がそれを設定しているんです。おかしくないですか。これを地方自治法上の調整会議と位置づけた場合、一般論で結構です、再度お願いします。

高市国務大臣 仮に、もう既存の会議体があるというようなことで、それが、今後、平成二十八年から施行される法律に基づいた調整会議と同様の性質を持つ会議であって、なおかつ地方公共団体がそれを了とすれば、その今ある会議を同じように扱う、つまり、調整会議と位置づけることも可能でございます。

 構成員などのことも含めてのお尋ねなんだろうと思うんですが、この指定都市都道府県調整会議というものは、市長及び知事は必要と認めるときは協議をして、例えば、議会の議員を構成員として加えることもできますし、市長や知事以外の執行機関の権限に属する事務の処理について協議を行わなきゃいけないということになったら、その当該執行機関の者を構成員として加えることもできます。

足立委員 ちょっと、多分これを視聴されている方はよくわからないと思うんですが、今大臣がおっしゃったのは地方自治法の説明なんです。一方で、大阪の条例は、議会がそのメンバーを設定しているんです。これは今大臣がおっしゃった地方自治法と違いますから。だから、地方自治法上の調整会議だと言われても、それは相入れないので。相入れないですね、それは。

 そこだけもう一度、確認まで。

高市国務大臣 地方自治法上も、この調整会議に、もしも知事なり市長なりが必要だと思ったら、議会の方を構成員に加えることもできるということでございます。

 ただ、特定の、これから議論されるかもしれない条例案について、その詳細について、いいとか悪いとか、そういうことを私は申し上げる立場ではございません。国の法律に従って進めていただくということでございます。

足立委員 大臣、あくまでも一般論で構いません。大臣、さっき申し上げた、大臣が何度もおっしゃっているように、首長が設定するんですね。議員が必要かどうかは首長が決める、これが自治法の枠組みですね。

 それに対して、仮に、ある条例が、議員が、議会が首長の意見も聞かずに調整会議を設定するのは自治法に反していますねと言っているんです。反しているか、反していないか。お願いします。

 もう一回言いましょうか。

大島委員長 もう一回言ってごらんなさい。足立君、わかりやすく。

足立委員 時間がもったいないですが、高市さん、手を挙げていらっしゃるので、お願いします。

高市国務大臣 そもそもこれは条例でやる話じゃないんです。地方自治法のたてつけの中で、私の勧告権も含めてなんですけれども、この調整会議を設置する根拠というのは地方自治法なんです。だから、必ずしも条例は必要ないんです。

 ただし、それに何か関連する条例を、どうしても必要があって大阪で定められるということであったら、それを阻むものではないということでございます。

足立委員 法律と整合的で、かつ付加価値がつく条例があれば、それはすばらしいですよね。

 でも、繰り返し申し上げていますが、知事の議案提出権にかかわる問題とか、それから会議の設定の問題、さらに言えば、この条例では、首長三人に対して議員が二十七人、議会の意思が九対一で、その決定に過半数で決するとなっていますので、首長は一割の決定権しか持てない形になっているんです。こういうものも含めて、これは自治法に反していますねと聞いているんです。一般論で結構です。お願いします。

高市国務大臣 一般論とおっしゃりながら、この条例ではとおっしゃるので、本当にお答えしにくいんですが、一般論として言えば、指定都市都道府県調整会議と同様の性質を持つ会議であれば、地方自治法の規定に基づき、市長及び知事は、必要と認めるときは、協議して、議会の議員等を構成員として加えることができる、第二百五十二条の二十一の二第二項でございます。

足立委員 ありがとうございます。大変よくわかりました。

 時間をとりましたが、これは大変重要なテーマで、今実は、全国でこの調整会議、もともと、地方自治法にこの調整会議の規定が置かれる前から、各地域で、特に政令市を含む地域では、都道府県の知事と政令市長とのいろいろな会議体がございまして、今、いろいろ調べていただいたらおわかりになりますが、各地が、この調整会議の規定を受けて、今まであった会議をどういうふうに、この地方自治法に即して、バージョンを、より適切にしていくのかということを議論されておられます。

 したがって、きょう高市大臣が御答弁くださったような内容は、これからそれぞれの地域で政令市制度のあり方について議論していくに際して、大変私は有意義であると思っていますので、これは予算委員会で、特に地方創生が大きなテーマでありますこの委員会で審議をさせていただくことは、大変重要であると私は自負をしているところであります。

 また、私が申し上げた点については、少なくとも、大阪を初め、大阪の調整会議に見られるような、知事の議案提出権を侵害するようなことは地方自治法上違法であるし、また、その内容についても、あたかも、首長ではなくて議会が主導して調整会議を設定することも地方自治法は想定していないし、首長と議員の力関係についても、本来、首長の会議が調整会議であって、議員が必要かどうかは首長が判断する、これが調整会議であるということを改めてきょうは高市大臣に確認をさせていただくことができました。

 私が今申し上げたこと、異論があればおっしゃってください。なければもう結構です。ありますか。

大島委員長 高市大臣、発言しとうございますか。それとも、もういいですか。いいそうです。

足立委員 ありがとうございます。

 次の、最後、もうあと五分程度しかございませんが、これも一昨日の基本的質疑でも取り上げた、官民の給与比較の問題でございます。

 これが、実は、一昨日は通告が不十分であったという理由で、十分に御答弁をいただけませんでした。

 結論だけ、ぜひお聞かせをください。

 いわゆる地方公務員の現業職の官民給与比較、この比較はなされている、なされていない、どちらかだと思うんですね。これはどちらでしょうか。

高市国務大臣 先般、なされていると私はお答えをいたしました。

 その心なんですけれども、総務省から、主な職種別の都道府県ごとの民間賃金統計の情報提供ですとか、民間給与との、比較するための公表様式もお示ししております。現在、ほとんどの団体で比較、公表が行われております。

 その旨は前回お答えしたとおりなんですけれども、具体的に言いますと、都道府県では一〇〇%、指定都市では一〇〇%、市区町村では九八・七%、全部合わせますと、各地方団体の九八・七%の団体が比較、公表をしていただいております。

 ただ、現業職員の給与と一般行政職員の給与については、その根拠になる法律も違うということは、委員はよく御承知だと思います。地方公務員の中でも、一般行政職は、当局と交渉はできても団体協約は締結できませんし、それから、現業と言われる職員の方は、交渉もでき、団体協約も締結する権利を有しますので、ですから、一般行政職ほど精緻な比較、調査ということまで求めていないということです。比較、公表はなされております。

足立委員 大臣、今、比較、公表とおっしゃったところがポイントなんですけれども、国民の皆さん、ぜひ、ここ、誤解なきように、正確に理解していただきたいんです。

 確かに、かつて、この現業職の給与のレベルについてはいろいろなところで議論になって、総務省が、実際にこうやって公表しなさいということで御指導されています。それは、結局、賃金センサスの当該職種に関する賃金レベルを、表の右側に参照できるように書いておきなさいということでしかなくて、決して準拠しているわけではないんです。そういうことですね。参照しているけれども準拠はしていない。これはイエスですね。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 現業職員の給与決定のルールについては、先ほど大臣からお答えをしたところ……(足立委員「参照、イエスかノーかで」と呼ぶ)はい。参照……(発言する者あり)

 お答え申し上げます。

 総務省といたしましては、技能労務職員の民間給与との比較について、民間賃金の統計調査における類似職種の給与を参考にするほか、各人事委員会が実施する職種別の民間給与実態調査の機会等を活用し、調査、分析するなどの手法等を具体的にお示ししているところでございます。

 各地方公共団体には……(足立委員「いや、答弁になっていないですよ」と呼ぶ)はい。

 現業職員の給与決定に当たり、これは労使の交渉を通じて協約を締結してございますが、その参考として活用されていると理解しております。

足立委員 全然答弁になっていないので、終われないですね。

 ちょっともう一つ。まず、大臣がおっしゃったように、これは行政職と現業……

大島委員長 時間もそろそろですから、短く。

足立委員 では、答弁してください。

大島委員長 いやいや、短くもう一回。許しますから。

足立委員 行政職と現業職は違う、これは当たり前です。同じだったら人事院に聞きます。総務大臣に聞いているのは、それが別の制度だからです。

 それは、その前提として、参照しているというのはわかりました。参考資料として置いてはいるが、準拠していない。イエスですね。イエスかノーかだけ答えて、終わりにします。

大島委員長 丸山部長、短く。時間が来ておるから。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 一般行政職で言うような、ラスパイレス指数の比較による人事院、人事委員会の給与の勧告が出て、それを踏まえて改定しているという意味では、なっておりません。

 ただし、参考として、交渉され、その中で協約が結ばれて決定しているということでございます。(足立委員「だから、準拠していないですね」と呼ぶ)

 準拠の言葉の意味合いでございますけれども、一般行政職で言うような給与改定を行っているということではございませんが、労使交渉の中で参考にされていると承知しております。

足立委員 ありがとうございました。

大島委員長 これにて足立君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は北陸信越ブロックの選出です。このブロックには、福井の高浜原発を初め、新潟の柏崎刈羽原発、石川の志賀原発など多くの原発があり、原子炉の数でいえば、日本の原子炉の約半分が集中しております。私は、この原発を全てこの目で見て、地元の皆さんからお話を伺ってまいりました。

 きょうは初質問ですが、この原発の問題をお聞きいたします。ぜひ真摯な御答弁をお願いいたします。

 原子力規制委員会は、二月十二日に、川内原発に続いて高浜原発三、四号について、規制基準に適合していると判断をいたしました。

 しかし、福井県の若狭湾には、十三基の商業用原発に加えて、「もんじゅ」、「ふげん」を含めれば十五基の原子炉が集中しています。配付資料の一をごらんいただければと思います。ここで大規模災害が起きれば、ほかの原発でも、高浜だけでなく、大飯など近接する原発でも同時に事故が起きる可能性が高い。

 そこでお聞きしますが、高浜原発の審査に当たって、この複数原発での同時多発事故の問題を審査されたのでしょうか。

田中政府特別補佐人 新規制基準では、発電所内の複数原子炉で同時に重大な事故が発生した場合でも、それぞれの炉で独立して事故の対処ができるように、十分な数の要員、それから電源車、大容量ポンプ車など、必要な資機材も原子炉ごとに備えることを求めております。

 審査においては、地震、津波といったようなものが起こった場合に、発電所構内の道路の損壊や瓦れきの散乱など、そういった事態も想定しまして、こういった事態においてもそれぞれの炉で独立して事故対応ができるかどうかということを厳格に審査しております。

 高浜発電所に係る審査においても、三、四号機で同時に重大事故が発生した場合でも、事故に対処できる体制、手順書等を整備していることを確認しているところであります。

藤野委員 今、複数の炉で同時にとおっしゃいましたけれども、それは、今委員長がおっしゃったように、高浜なら高浜で三と四が同時に事故が起きた場合という、高浜の中で閉じた話でしかありません。すぐ近くにある大飯原発で四つの原子炉が事故が起きた場合のことはあわせて審査されていないということになります。これは配付資料の三に飛びますけれども、その上部で田中委員長自身が明言をされております。

 そもそも、いろいろな事故が起きても、道路も含めて、個々の原子炉で対応できると今おっしゃいましたけれども、まさにその個々の原子炉での対応を困難にするのが同時多発事故の問題じゃないでしょうか。

 私たちは、福島の原発事故でこの現実に直面をいたしました。福島の事故を受けて国会のもとに設置をされました事故調査委員会、いわゆる国会事故調でありますが、先輩方は御承知のことと思いますけれども、この報告書の二百一ページから始まる「同時多発事象に対する備え」というところで、以下のように指摘をされております。配付資料の二をごらんいただければと思います。2の1です。

 「一―四号機の事故は、発電所周辺の放射線量を上昇させることで、近接する五、六号機に影響を及ぼし、さらに、福島第一原発から約十二キロメートル離れた福島第二原発の復旧活動にも影響を与えた。」「どのような事象が、ユニット間及び近接する原子力発電所間での波及的影響を起こし得るかは、個別の評価によって判定しなければならず、今後の詳細な検討が必要である。」こういう指摘であります。

 規制委員長にお聞きします。福島の教訓を踏まえるのであれば、これはどうしても必要な検討じゃないでしょうか。

 福島第一原発と第二原発の距離は、ここにありますように約十二キロです。高浜原発と大飯原発の距離は約十三キロです。ほぼ同じなんです。なぜ、国会事故調の指摘を踏まえて、複数の原発での同時多発の波及的影響について審査されないのでしょうか。

田中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、私どもが今審査している原子力発電所は既設の炉であります。ですから、そういったところで、高浜、大飯、それぞれ四基ずつありますけれども、同時発災ということに対して対処するための一つの方策として、まず、そういった福島のようなシビアアクシデント、いわゆる過酷事故を起こさないためのいろいろな手だてを求めております。

 その上で、なおかつ、そういったことが起きた場合でも、個々の原子炉で原子炉ごとにそれが対処できるようにということで、先ほど申し上げましたとおり、資機材はもちろんのこと、人員についてもその要求を求め、その有効性も確認させていただいているところでございます。

藤野委員 何度お聞きしても、今のお答えもやはり、審査で個々の原子炉ごとに審査しているから大丈夫だ、有効性は確認しているというお答えでしたけれども、そこで、個々に審査する、個別の原子炉ごとに見るというその考え方そのものについてお聞きをしたいと思います。

 国会事故調は、この点について、以下のように指摘をしております。配付資料の二番目の2になります。

  「安全目標」が、個々の原子炉を対象として設定される現在の考え方は、複数ユニットの原子力発電所や近接する複数の原子力発電所の周辺住民の立場からは不合理なものであるかもしれない。わが国においては、ある地点からの半径二十キロメートル以内に二つの原子力発電所が存在する地域がいくつか存在しており、そこに居住する住民は、より高いリスクの下に置かれていることになるからである。

  したがって、居住者の立場からリスクの公平性を考えるならば、このような多数のユニットが集中して設置されている原子力発電所に対しては、より保守的な安全目標が設定されるべきとする概念も検討されるべきである。

 これは、まさに規制委員会が先ほど答弁された、個々の原子炉を審査すればいいんだ、そういう考え方そのものが不合理であるという指摘です。

 これは、この考え方に立たれている規制委員会に聞いても仕方がないので、大臣にお聞きしたいと思います。大臣、個々の原子炉を対象として設定される現在の考え方は不合理であるというこの指摘、どう思われますか。

宮沢国務大臣 委員御承知のとおり、原発の安全性につきましては原子力規制委員会が判断するということになっております。

 今、田中委員長がお話しになったわけでございますけれども、私どもとしては、規制委員会としては大変厳しい、世界最高水準の、新しい、新規制基準に基づいて、しっかりとした判断をされたものだと思っております。

藤野委員 規制委員会に丸投げということでは、この事故調が言っている居住者の立場、そこに住んでいる住民のリスクというものに応えていないということになると思うんです。

 個々の原子炉だけ見ていては原発が集中している地域に住んでいる住民の安全が守られない、個々の原発だけを見る考え方は不合理だという指摘ですから、これについてはもう一度お考えをお聞かせください。

宮沢国務大臣 これももちろん委員御承知のとおりでありますけれども、福島の原発の事故というものを受けまして新しい審査体制というものがつくられたわけでありますけれども、その中で、まさに新しい規制基準というものは規制委員会において策定するということでありまして、私どもから何か申し上げるということではないと思っております。

藤野委員 質問の趣旨なんですが、そういう基準自体が不合理だということなんです。基準ができたらいいじゃないかということじゃなくて、個々の原子炉だけを見る、そういう基準自体が不合理だという指摘なので、これはしっかり受けとめるべきだと思います。

 そしてもう一点、規制委員長にお聞きしたいんですが、原発の集中立地という問題につきまして、委員長は、新規立地の場合は検討すべきだとか、十分考慮されるべきかもしれないということを繰り返して発言されていらっしゃいます。資料の三をごらんいただきますと、その下の方ですけれども、「集中立地というのをどういうふうに見るかというのは、確かに御指摘のように少し検討材料で、新しい炉を作るときにはそういうことは十分に考慮されるべきかも知れない」こういう御発言です。

 しかし、住民の安全という観点からは、原発が動くという観点からは、新規立地の場合でも再稼働の場合でも同じではないでしょうか。

 規制委員長、原発の集中立地が検討材料とおっしゃるのであれば、なぜ今検討されないんですか。

田中政府特別補佐人 先ほどの質問にもちょっと関係するんですけれども、まず、私ども、既存の施設の審査、そこにある、四基なら四基、二基なら二基ということでありますけれども、そういったことで、福島の事故の反省も踏まえて、ひとつ、安全の目標については、国会事故調にも書いてありますけれども、私どもはそれの、福島で放出された放射能の百分の一以下になるということを求めています。

 具体的に言うと、セシウムで百テラベクレル。実際に、高浜でいろいろな対策を求めまして、最大の事故を想定しても、大体、一週間で四・二テラベクレルぐらい、一カ月で四・五テラベクレルぐらいになっておりますので、まず、一つ一つ、そういった厳しい基準を適用することによって、複数立地されている状況については対処できるものというふうに判断しております。

 ただし、新規につくる場合には、幾つつくったらそこが複数基になるのか多数基になるのかということも含めまして、いろいろな潜在的リスクということを考えた場合には、御指摘のところもありますので、十分に今後検討されるべきだと思っております。

藤野委員 新規の場合に検討するのであれば、今、再稼働しようとしているわけですから、今やるべきだという質問なんです。全然お答えになっていないと思います。

 新規の場合にやるなら、再稼働の場合にやるべきじゃないですか。もう一回お答えください。

田中政府特別補佐人 新規の場合に幾つが適当かということについては……(藤野委員「それも含めて」と呼ぶ)これも含めて、今後検討しなきゃいけないわけです。ですから、そう簡単に結論が出る話ではないんです。

 ただ、今、現実にそこに存在しているものについて、国会事故調等の指摘も踏まえ、一Fの経験も踏まえて、そういう事態にならないように、住民のリスクが過剰に大きくならないようにということで、今、我々はそういう個々の原子炉に対しての規制を行っているところというふうに御理解いただきたいと思います。

藤野委員 新規の場合にどれぐらい過剰になるかという判断がもし下されたとして、それを上回るような集中をしている場合は、どの原発を動かすかというよりも、どの原発を廃炉にするかということが問題になるんじゃないですか。全然ベクトルは逆になってきます。ですから、今審査しなければ、再稼働の審査そのものができない。とんでもない話だと思います。

 改めて別の論点もお聞きしますけれども、集中立地の問題につきまして規制委員長の発言が続いておりますが、資料の三の後段を見ていただきますと、先ほどおっしゃいましたけれども、今、そこにありますので、それをどうするかということは勝手に規制委員会が決められることではありません、こういう答弁です。

 勝手に規制委員会が決められないということですけれども、規制委員会が決められないということであれば、政治の出番ではないでしょうか。集中立地をどう考えるのか、どう対応するかというのは大変重いテーマです。

 大臣にお聞きしますが、政府以外に、この問題にまとまった考えを示すことができる場所はあるんでしょうか。政府がやるべきじゃないでしょうか。

宮沢国務大臣 再稼働に必要な、まさに新しい規制基準に適合しているかどうかということを判断する権限は、唯一、規制委員会であると思っております。

藤野委員 規制委員会に丸投げということではだめなわけですし、その規制委員長自身が規制委員会で勝手に決められることじゃないと言っているんです。だからこそ政治が、政治の出番ではないかという質問なんです。もう一回お答えください。

宮沢国務大臣 これは、福島の事故を受けて、民主党政権時代でありますけれども、規制委員会という三条委員会、大変独立性の高い委員会を設けてそこで審査をする、こういうことになっておりまして、それが今の制度だろうと思いますし、それはいい制度ではないかと私は思っております。

藤野委員 質問にお答えいただいていないんですけれども、規制委員会ができないと言っているんです。では、どこでやるんですか。経産省ですか。環境省ですか。どこでもいいんですけれども、こういう大きな問題を政治が逃げちゃだめだということを言っているんです。

 国会事故調はこういうふうに指摘をしております。配付資料の二の三番目を見ていただければと思いますが、「現在、東通原発と東海第二原発を除く全ての原子力発電所が複数ユニットとして運転されているわが国においては、特にこの特徴に関する潜在的な問題点について十分に考察する必要がある。」

 重ねて大臣にお聞きしますけれども、国会事故調は潜在的な問題点と言っております。しかし、福島の現実を見れば、この問題が顕在化してからでは遅いんじゃないでしょうか。まさに今こそ、この問題を知恵と力を尽くして十分に考察する必要があるんじゃないですか。御答弁ください。

宮沢国務大臣 重ねて申し上げることになりますけれども、今の制度においては、まさに三条委員会である規制委員会が判断をする、こういうことであります。そういうお話があって、私どもは今の制度はいいと思っておりますけれども、唯一可能性がありますのは、新しい立法をするということしか恐らくないんだろうと思います。

藤野委員 新しい立法をつくるとおっしゃいましたけれども、今まさにできるんです。政府が知恵と力を集めて、この問題、再稼働どころか再稼働以前にやるべきは、まさにこの集中立地、同時多発事故のリスクに真正面から向き合うことじゃないでしょうか。

 私、先日、福井県若狭湾に行ってまいりました。若狭の現実は、そういう無責任な対応を許さない厳しいものがあると思います。

 規制委員会にお聞きしますが、原発の敷地から約一キロメートル以内に耐震設計上考慮すべき活断層が確認されている原発は、どれとどれですか。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問は、活断層から一キロメートル以内に存在する原子力発電所はどこか、こういう御質問だと理解しておりますが、実は、同じ趣旨の御質問を平成二十三年の五月十一日に当時の吉井英勝委員から御質問がありまして、旧原子力安全・保安院長が答弁しています。

 その答弁の内容を繰り返して申し上げることになりますが、当時進めておりましたいわゆる耐震バックチェックにおきまして、日本原子力発電の敦賀発電所、関西電力の美浜発電所、それから日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」、この三つについては、原子炉建屋から約一キロメートル以内に耐震設計上考慮すべき活断層が確認されている、こういう趣旨の答弁を行っているということを承知しております。

藤野委員 ですから、若狭湾にある美浜、敦賀、「もんじゅ」、この三つの原発の敷地内の一キロメートル以内に活断層が確認されている。

 また、配付資料の四番目を見ていただきますと、これは関西電力の資料ですけれども、これ以外にも若狭湾には多くの断層がある。まさに断層の巣と言われているような場所なんです。断層の巣のような地域に十五もの原発が集中している。それなのに同時多発の事故の審査もしていない。集中立地でまともに検討していない。これで再稼働など、到底許すわけにはいきません。

 大臣に改めてお聞きします。

 今やるべきは、原発の再稼働ではなくて、集中立地のリスクに真正面から向き合ってそのリスクを減らしていく、このことではありませんか。

宮沢国務大臣 私どもといたしましては、まさに再稼働に求められる安全性というものについては規制委員会において判断をしていただく、そして、適合しているという判断が出たものについては再稼働を進めるというのが政府としての一貫した方針でございます。

藤野委員 規制委員会と言いますが、規制委員会はその同時多発事故の審査もしていないと言っているんです。そして、集中立地については勝手に決められないと言っているんです。ですから、こういう大きな問題は政府がしっかり責任を持つ、政治が動くしかない、こういう提起をしているわけです。本当に無責任な状態だと思います。

 このほかにも、避難計画の問題、核のごみの問題、全く解決しておりません。地元の同意の問題もあります。こんな状態で川内原発や高浜原発の再稼働など、絶対に認めることはできません。

 もう最後になりますが、今、高浜とおおいにはふるさとを守る高浜・おおいの会という会ができて、アンケートをとっております。これには住民の皆さんの生の声があふれております。

 少しだけ紹介させていただきますと、常にこの先子供たちは大丈夫なのか、いつ非常事態になってこの住みなれた高浜を離れなければならないのかなど、心にいつもある。これは三十代男性の声です。

 そしてもう一つだけ。原発は直ちに廃炉にすべきです、若狭には豊かな自然もあります。

大島委員長 そろそろ時間です。委員長も我慢しておるんです。そろそろにしてください。

藤野委員 原発に依存することはもうやめましょう。

 今、政治に求められるのは、この声に応えることです。原発の再稼働はきっぱりとやめる、そして、原発即時ゼロの決断を下して、原発に頼らない別の道を皆さんと知恵と力を合わせて切り開く、このことを強く求めて質問を終わります。

大島委員長 これにて藤野君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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