衆議院

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第11号 平成27年2月27日(金曜日)

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平成二十七年二月二十七日(金曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金田 勝年君 理事 萩生田光一君

   理事 原田 義昭君 理事 平口  洋君

   理事 平沢 勝栄君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      秋元  司君    石原 宏高君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      鬼木  誠君    金子 一義君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      熊田 裕通君    小池百合子君

      小林 鷹之君    古賀  篤君

      新谷 正義君    鈴木 俊一君

      田所 嘉徳君    土井  亨君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    長坂 康正君

      根本  匠君    野田  毅君

      藤原  崇君    古屋 圭司君

      星野 剛士君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      八木 哲也君    保岡 興治君

      山下 貴司君    山本 幸三君

      山本 有二君    若狭  勝君

      小川 淳也君    大串 博志君

      大西 健介君    奥野総一郎君

      菊田真紀子君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    階   猛君

      玉木雄一郎君    津村 啓介君

      辻元 清美君    西村智奈美君

      古川 元久君    馬淵 澄夫君

      松本 剛明君    本村賢太郎君

      山井 和則君    柚木 道義君

      井坂 信彦君    江田 憲司君

      落合 貴之君    重徳 和彦君

      高井 崇志君   松木けんこう君

      松浪 健太君    吉田 豊史君

      岡本 三成君    中野 洋昌君

      樋口 尚也君    斉藤 和子君

      高橋千鶴子君    畑野 君枝君

      堀内 照文君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         上川 陽子君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣         望月 義夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     小泉進次郎君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    井波 哲尚君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       川上 伸昭君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     宮川 典子君

  金子めぐみ君     豊田真由子君

  熊田 裕通君     宮内 秀樹君

  小林 鷹之君     新谷 正義君

  田所 嘉徳君     中山 展宏君

  宮崎 謙介君     中谷 真一君

  保岡 興治君     金子万寿夫君

  山下 貴司君     古賀  篤君

  山本 有二君     八木 哲也君

  小川 淳也君     菊田真紀子君

  岸本 周平君     松本 剛明君

  後藤 祐一君     古川 元久君

  階   猛君     柚木 道義君

  辻元 清美君     本村賢太郎君

  馬淵 澄夫君     大串 博志君

  山井 和則君     玉木雄一郎君

  松木けんこう君    江田 憲司君

  松浪 健太君     落合 貴之君

  赤嶺 政賢君     斉藤 和子君

  高橋千鶴子君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     鬼木  誠君

  古賀  篤君     山下 貴司君

  新谷 正義君     小林 鷹之君

  豊田真由子君     金子めぐみ君

  中谷 真一君     宮崎 謙介君

  中山 展宏君     藤原  崇君

  宮内 秀樹君     熊田 裕通君

  宮川 典子君     岩屋  毅君

  八木 哲也君     山本 有二君

  大串 博志君     西村智奈美君

  菊田真紀子君     小川 淳也君

  玉木雄一郎君     山井 和則君

  古川 元久君     後藤 祐一君

  松本 剛明君     岸本 周平君

  本村賢太郎君     辻元 清美君

  柚木 道義君     大西 健介君

  江田 憲司君     松木けんこう君

  落合 貴之君     吉田 豊史君

  斉藤 和子君     堀内 照文君

  畑野 君枝君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     若狭  勝君

  藤原  崇君     田所 嘉徳君

  大西 健介君     津村 啓介君

  西村智奈美君     奥野総一郎君

  吉田 豊史君     高井 崇志君

  堀内 照文君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  若狭  勝君     保岡 興治君

  奥野総一郎君     馬淵 澄夫君

  津村 啓介君     階   猛君

  高井 崇志君     松浪 健太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十七年度一般会計予算

 平成二十七年度特別会計予算

 平成二十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算、平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、総務省自治税務局長平嶋彰英君、総務省統計局長井波哲尚君、文部科学省科学技術・学術政策局長川上伸昭君、厚生労働省職業安定局長生田正之君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、中小企業庁長官北川慎介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 本日は、経済・財政等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。

山本(有)委員 自民党の山本有二でございます。

 きょうは、経済・財政の集中、若者雇用に関連いたしまして質問させていただきます。

 さて、まず、川崎市の中学生、しかも一年生の痛ましい死亡事件をめぐって御質問させていただきます。

 あくまで空と海は青い、人は温かな町、島根県隠岐の島、西ノ島、一年前までその小学校の生徒で、島民の人気者であったバスケの好きな少年、上村遼太君が、今月二十日、遺体で発見されました。心から御冥福をお祈りいたします。また、御家族の皆様にお悔やみを申し上げます。

 それにしても、報道で知る限り、あんないい子が、島の人気者が殺害されるなんてという憤りを禁じ得ません。あれから一週間、一体何があったのか、一体殺害されるに至る事情は何なのか、悔しい気持ちは皆さんと私も一緒でございます。

 この問題、政治の場で何か予防、解決できることがあったのではないか、救う手だてがあるのではないか、こんな気持ちで御質問をさせていただきたいと思います。

 新聞報道では、昨年十一月、グループをやめると言ったら殴られた、殺されるかもしれないと聞いたと友達は語っています。この段階で、上村君のこの小さなSOSのサインが発せられていたのです。もしそれに何らか大人が気がつくことができれば、被害が防げたのではないでしょうか。

 こうした制度、仕組みを考えられないものかどうか、文部大臣にお伺いいたします。

下村国務大臣 今月二十日の早朝、川崎市内の中学に通っていた上村遼太さんが、多摩川の河川敷におきまして変わり果てた姿となって発見されました。私の方からも、上村さんの御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対し、心よりお悔やみを申し上げます。

 一般的には、児童生徒が連続して長期間欠席をしたり欠席の日数が急にふえたりした場合は、学校は、電話連絡や家庭訪問などにより欠席理由を把握し、必要があれば、警察や児童相談所等の関係機関と連携しつつ、早期に対応するのが通例であるというふうに承知をしております。ですから、そういう疑問点を持つのは当然のことであります。

 本件の場合、そのような対応が十分に本当になされたのかどうか、子供を守るという視点での対応に不足はなかったのかどうか、しっかりと検証していく必要があるというふうに思います。

 現時点では、捜査が行われている段階でありますが、文部科学省として、可能な対応を進めるとともに、川崎市教育委員会と緊密に連携をとりつつ情報の収集に努め、生徒の心のケア等の対応を求めるとともに、昨日は、川崎市教育委員会に職員を派遣し、学校や教育委員会の対応に問題がなかったかどうかの検証や原因分析を先方にも求めております。

 また、この事件を検証し、二度とこのような事件が起きないように、実効ある再発防止策の策定につなげるため、省内においても、本日、丹羽副大臣を主査とするタスクフォースを設置いたしました。

 文科省としては、二度と起きることがないよう、関係機関とも連携しつつ、検証結果を踏まえた再発防止策を講ずるなど、しっかり取り組んでまいります。

山本(有)委員 この事件に関し、文部大臣、しっかり対応していただきたいと思いますが、総理も何か御感想があれば。

安倍内閣総理大臣 今回の事件には大変ショックを受けております。ただいま委員がおっしゃったように、上村遼太君は十三歳、隠岐の島を出るときにはたくさんの友達が見送りに出たといいます。新しい生活、希望に胸を膨らませていた遼太君が、そのとうとい命が無残な形で、そして卑劣に奪われました。そのときの遼太君の気持ちを思うと哀れでなりません。残された親御さんや御家族のお気持ちを思うと、痛惜の念にたえません。心から御冥福をお祈りをし、そして、親御さんや御家族に対し心からお悔やみを申し上げます。

 なぜこのようなことが起こってしまったのか、果たしてそれを防ぐことができなかったのかと思います。子供たちを守るのは私たち大人の責任であります。このような悲しい出来事を二度と繰り返さない、できることは何でもやっていくとの思いで、今後取り組んでいきたいと思います。

 具体的には、既に下村大臣が答弁をさせていただきました。学校や教育委員会や警察や児童相談所との連携が十分だったのかどうかということも含めて検証しながら、再発防止策をしっかりと考えていかなければいけない。いずれにいたしましても、こうしたことを二度と起こさない、この決意で臨んでまいります。

山本(有)委員 文部大臣に二つ要請したいと思います。

 今月の十六日に、担任の教諭が上村君と携帯で会話をしておるそうです。不登校になって一カ月以上たった日であります。

 私は、不登校というのは発達の経過の中でよくある出来事じゃないのかなと。そして、そのとき、間々大人は、こんなことはよくあるものと、私と同じように考えてしまうのではないか。しかし、学校関係者や教育関係者はやはりアンテナを高くして、細かいSOSとか小さな声、そういったものを拾うようにしないと、こうした問題は解決できない。

 特にその中で、私は、転校生という方々が、環境が変わる、友達が変わる、孤独感になる、そういったものについてもやはり研究を深めて、子供の心理に沿いながら不登校問題を解決していくという姿勢が大事じゃないかなというように思っています。

 下村大臣、何か所感はありますか。

下村国務大臣 私もいじめに遭ったことがあると言うと結構意外に思われるんですが、小学校三年生のときに転校しまして、直後はやはりそういう思いがありました。ただ、そのときに、不登校にはなりませんでしたが、やはり、先生や周りの大人がサポートしてすぐ落ちついた状況になりましたが、おっしゃるとおり、一人で全部耐え忍ぶというのは、これは大変なことだと思います。

 ただ、学校の先生も、この上村君に対しては、三学期から学校を休んだ、それに対しては毎日連絡はしていたそうでありますが、実際、御本人と連絡がとれたのはちょっと時間がたってからということであります。それは川崎市の教育委員会から報告を受けています。

 改めてその検証をしながら、しっかりと、二度とこういうことが起きないような体制について、文部科学省としても考えていきたいと思います。

山本(有)委員 警察に何もかも頼むというわけにはいきません。しかし、こういう暴力とか、あるいは特に殺人なんというのは、一般の社会で普通の人が食いとめられる話じゃありません。そうすると、どうしても、警察がもっと早く察知してくれたらというように思います。しかし、今まで、勝手に警察は入っちゃいけない、そして事前に何か予防措置はなかなか警察ではとれないというのが常識論、当たり前です。しかし、この間の東京マラソンでもランニングポリスというのがあったじゃないですか、これらは予防的措置ですよ。子供の学校関係、そういったものも特に警察も入っていいのじゃないかな、私はこう思いますが、国家公安委員長、いかがですか。

山谷国務大臣 子供は国の宝、未来の宝であります。前途ある少年が殺害された、まことに胸が痛みます。御冥福をお祈りし、そして御遺族の方々にお悔やみを申し上げます。

 本件につきましては、神奈川県警察において捜査本部を設置いたしまして、今、犯人の検挙、そして真相解明に全力で取り組んでおります。捜査中でありますので、具体的な内容は答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども。

 平素から、警察は、学校、教育委員会そして児童相談所等と枠組みをつくりまして、連携をし、情報収集に当たっているところであります。

 子供たちの安全の確保、健全育成というのは安全、安心社会の基盤でもございます。今回のような、このようなことが起きないように、今後、より一層関係機関と連携に努め、早期の把握、情報収集、そして的確な対応について検証をし直して、二度とこのようなことが起きないように、この痛みを胸に体に刻みながら、再発防止に努めていきたいと思います。

山本(有)委員 私が生まれたときには、同じ生まれ年の人たちが二百万人いました。去年一年間で生まれた子供さんは百万人です。極端に言うと日本の人口が半分になっていく、そういう時代を迎えました。

 子供が少ない、この子供が少なくなることの評価、財政経済的評価は、例えば、年金を支えるのに半分しかいないので負担は倍になるとか、あるいは、少ない人口ならばマーケットが小さくなって経済が縮まるとか、こういう悲観論が非常に多いわけであります。しかし、逆に、大人が二人で一人の子供の面倒を見ることができる、もし子供一人に十の愛情があるならば、これを足して二十の愛情で育てることができる、そんな国家にすることができたら、この国というのはまだまだ経済成長もあるのではないか。イノベーションが起こる、あるいは、あのワットだとかエジソンだとかフォードだとかいうような子供が日本でいっぱい出てきたら、私は、経済成長は倍、三倍というのも希望できるような気がします。

 そんなことを考えているときに、イギリスで、子供が少なくなった上に大変非行少年の多い、犯罪少年の多い時代を迎えた一九八〇年代がありました。ブレアとブラウンという首相がこれに真っ向から取り組んで、コネクションズというイギリスの一つの子供雇用の制度、仕組みを創設したわけであります。私は、これに日本も学ぶことがいっぱいあるのではないかなというように思っておりますので、厚労大臣に、このコネクションズ、少し説明をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今先生御指摘のように、これは、一九九八年、ブレア政権の際に、いわゆる福祉から雇用へということで考え出されたと聞いておりますけれども、さまざまな理由によって将来の社会的排除の可能性のある若者を早くから支援して、大人としての生活とか職業生活への順調な移行を全体としてサポートしていく、こういうことでつくられた総合的な窓口だというふうに聞いております。

 十三歳から十九歳までの全ての若者を対象として、学習それから職業選択、予期せぬ妊娠などのあらゆる課題の改善、解決を支援すること。そして、構成員として、プレーヤーとしては、学校、警察、職業紹介機関、住宅、健康などを担当する公的機関、それから若者支援NPOなどのこういった関係機関が全て連携をして支援をしようと。そして、個々の若者ごとに一人の相談員が担当して、マンツーマンで全ての問題について対応して、定期的な相談支援を行うということだというふうに理解をしております。

山本(有)委員 そのとおりでありまして、特徴が私は二つあると思っています。

 それは、アウトリーチ型行政ということです。

 つまり、事務所で何か子供が相談しに来るのを待つんじゃなくて、子供のいるところに積極的に大人たちが入っていく。特に、ここで私が感心したのは、全ての子供に対して面接をしていく、少しでも何かSOSの気配があったら、これは何度でも何度でも解決のために出ていくというその姿勢。さらに、もし、子供を見せたくない、子供を隠したいということがあるならば、強制力、刑事罰も科してやっていくことができる。このことが一つの特徴。

 もう一つは、私はロンドンまで行って、所長さんにお話を聞きましたが、日本とイギリスは全く話が違うよと。このコネクションズでは、犯罪になる前に大人がいっぱい関与していく。日本を見ていくと、犯罪になった後、物すごく大人が関与してくる。例えば補導の先生、担任の先生、校長先生、警察、さらに弁護士としての付添人、家庭裁判所の調査員、裁判官、少年鑑別所、少年院の職員、そして保護司。一年の間に何十人も大人が関与し過ぎる。むしろ、犯罪になる前にもっと大人が関与してもよかったのではないか、その反省のもとにイギリスはこの制度をつくりました。

 塩崎大臣、今、児童相談所というのは問題があってから動くでしょう。私は、そうじゃなくて、問題がなくて動くような制度、仕組みが要ると思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 もちろん、児童相談所は、支援が必要な保護者に対して、事前的にも、児童心理司や精神科医によるカウンセラーを実施したり、それから適切な療育方法について助言を行ったりしているわけでございます。

 また、個々の保護者の養育負担を軽減するために、例えば市町村のホームヘルパーを派遣して、家事、育児の援助を行うなど、地域の関係機関との連携を図りながら、保護者の問題を解決するというために必要な取り組みも行っているわけでございますけれども、今先生御指摘のように、事前的な取り組みとして十分ではないんじゃないかということがございます。

 その点については、絶えず我々もかみしめながら、できる限り事前的にやるようにしなければいけないということで、形として、きちっとやるようには我々としても指導しているつもりでございますけれども、今のようなことで、今回、上村遼太さんがこのような形になったことは、私としても大変残念で、お悔やみを申し上げたいと思いますけれども、事前的な対応をもっとやれという今の先生の御指摘はそのとおりだというふうに思います。

山本(有)委員 去年の夏、隠岐の島の港に上村君はいました。そして、上村君が隠岐の島を離れるときに見送った人たちは、大勢の大人がいたようでございます。ということは、私に言わせれば、このイギリスのコネクションズの精神が隠岐の島ではあったんじゃないか、そして、隠岐の島の子供たちは、大人との接触で犯罪を免れ、うまく育つようになっているんじゃないか。それを都会でも、日本全国どこでもできるようにすることが、私はこの事件の反省点であり、教訓じゃないかなというように思っております。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 ただいま山本委員のお話を聞いていて、まことにそのとおりだと思いました。

 コネクションズについては、第一次安倍政権で再チャレンジを担当していただき、その際、英国、ブレアの試みについてもいろいろと研究をしていただいた。

 まさに、コネクションズの特徴は、委員が御指摘になったように、そもそも、なかなか子供は相談所には行かない、問題を抱えていれば抱えているほど行かないわけでありますから、そこにやはりアウトリーチで、声をかける、出向いていくということが大切であり、それがさまざまなこうした悲惨な出来事を防いでいく、あるいは、子供たちが社会から離れていくのを防ぐことができる。

 社会の中でしっかりと目標に向かって進んでいくことができるような、そういう社会をつくっていくためにも、今委員がおっしゃった点に十分に留意しながら対応していきたい、このように思います。

山本(有)委員 終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野委員 おはようございます。公明党の中野洋昌でございます。

 予算委員会で初めて質問の機会をいただきましたことを改めて感謝申し上げます。どうかよろしくお願いいたします。

 まず、地方創生について質問をさせていただきます。

 日本は、二〇〇八年をピークに人口減少社会に突入をしており、対策の具体化はまさに待ったなしの状況であります。

 公明党は、人が生きる地方創生を大きなテーマに掲げております。地方創生の担い手たる人に焦点を当てた政策、例えば、地方での仕事づくり、あるいは若者の地方への定着、あるいは多くの世代が集う拠点づくり、こうした分野に重点的に力を入れてまいりたい、このように考えております。

 私は、党では学生局長という立場をいただいております。全国各地の学生の方と意見交換をさせていただく、こういう機会がございます。そうしてみますと、都市部に出てきている地方出身の学生の方も、あるいは地方で大学に行かれている方も、自分の地元、地方に帰って就職をしたい、こう思われている方というのは実は少なからずいらっしゃる、私はこのように感じるわけでございます。

 しかし、いろいろなハードルがある。もちろん、地方にはいい就職先がないと思われている方もいらっしゃいます。いろいろなハードルがあって、地元ではしかし働けない。しかし、この希望をかなえていくために、地方の取り組み、これはもっともっと後押しをしていかなければこの問題は解決できない、このように感じます。

 そのためには、まずは、地域において魅力ある雇用を生み出していく、これが第一でございますし、また、都市部に出てきた学生が都市部にいたままで、自分の地元の、地方の就職を例えばできるような仕組み、こういう取り組みをしていくなど、UIJターンをしやすい環境というのをもっともっとつくっていく必要があるというふうに考えますけれども、厚生労働大臣の答弁を求めます。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、若者の雇用を地方でも、こういうことでありまして、やるべきことは二つあると思うんですね。一つは、地方に魅力ある仕事をつくるということで、若者が地方で安心して働ける環境づくりをする。そしてもう一つは、大都市圏に集中した若者に対して、地方での就職に向けた支援をしっかり強化するということだというふうに思っております。

 来年度の予算でもその双方をやろうということでやっておりまして、今、地方創生のもとでの地域しごと創生プランを盛り込んでいるわけでありまして、特に雇用に力を入れる。地方自治体が町おこしなどを通じて行う雇用の創出の取り組みを専門家の助言や財政面で支援する実践型地域雇用創造事業の対象地域を拡大して、なおかつ、人口減少が進んでいる地域にも支援の充実を図る。それからもう一つは、大都市圏の学生に対しても、地方の暮らしや仕事の魅力を伝えて地方就職の意識を高めるとともに、ハローワークを通じて地方企業の求人、これをしっかりつなげていく事業、例えば、これは首都圏と近畿圏の大学などにコーディネーターが訪問して紹介をしていくという事業であります地方就職希望者活性化事業というのがありますけれども、こういったことも新たに開始をしていこうというふうに考えているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。しっかりと、この地方の取り組み、後押しをしていただきたい、このようにお願いをさせていただきます。

 若者の定着という観点からは、今回新しく導入された仕組みといたしまして、地元で就職をする方に奨学金を減免する、こういう仕組みを導入させていただきました。

 パネルをぜひ見ていただきたいんですけれども、こうした奨学金の事例、何も突然今回始めたわけではなくて、地方でも今まで事例がございます。例えば香川県あるいは福井県、こういうところで既に取り組まれている事例でございまして、いわば、こうした現場発の、地方発の知恵を国としてもしっかりと後押しをしていく、こういうことだと思っております。

 具体的にどういう仕組みにしていくかというのは、恐らく、それぞれの地方で知恵を絞られることだとは思うんですけれども、私は、この仕組みをしっかりと効果のあるものにしていくためには、自治体、産業界あるいは地方大学、いろいろな方が連携をされて、この地方はこれからこういう仕事をしっかりと柱にしていこう、そのためにこういう人材をしっかり集めていこう、こういう戦略的な取り組みというのをもっともっと後押しをしていくべきではないか、このように考えますけれども、総務大臣、御答弁をお願いいたします。

高市国務大臣 今委員が、香川県や福井県の先進的な取り組みをお示しいただきました。大変すばらしいことだと存じます。やはり地方創生ということを考えますと、地域課題の解決に資する人材ですとか、あと地方経済を支える産業を担う人材、この確保が不可欠でございます。

 このため、総務省と文部科学省で連携をいたしまして、地方公共団体と地元の産業界が協力をして、将来の地域産業の担い手となる学生の奨学金返還を支援するための基金を造成する取り組みを支援することとしました。

 この取り組みの対象といたしましては、地域に就職、定着をし、かつ、地域の中核企業を担うリーダー的な人材、これを想定しております。

 具体的には、地元産業界と地方公共団体の合意によりまして、地方経済の牽引役となる産業分野や、また戦略的に振興する産業にかかわる分野の学位や資格の有無ですとか、さらには成績等の要件、こういったものも設定していただくことが考えられます。

 この奨学金を活用した若者定着の取り組みの推進につきましては、委員お考えのとおり、やはり地元産業界の協力というのは必要不可欠です。

 私も同じ思いを持ちまして、総務省の職員に、ぜひ経済産業省にもお願いをして、ちょっと経済団体にも協力を要請しましょうということで、具体的には二月四日に日本商工会議所や経済同友会を訪問させました。経済産業省にも同席をしてもらいまして、今後、さまざまな会頭ですとか事務局長などが、各地の方々が来られるような会議で説明の機会をいただくことにいたしました。

 このほかにも、地方公共団体と地方大学が具体的な数値目標を掲げた協定を締結しまして、連携して行う若者定着の取り組み、例えば、地元企業への長期のインターンシップなどの実施につきまして、これも文部科学省と連携して支援することにしております。

 しっかりと地方への新しい人の流れをつくりまして、また、地方大学と地方の産業界が連携して技術革新を行うなど、新しい経済発展の流れをつくり出してまいりたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、地方創生、地方が主役となって知恵を出していかなければ実現できない課題だというふうにも感じております。公明党は、地方議員の皆様とも大変強いネットワークを持っております。党が一丸となって、この地方創生、しっかりと取り組んでまいりたい、このように決意をしております。

 続きまして、防災・減災対策について質問をさせていただきます。

 昨年八月、広島で大変痛ましい土砂災害がございました。私の地元、兵庫県丹波市、篠山市、多くの被害が出ました。

 まず、パネルを少し見ていただきたいんですけれども、これは大雨の発生件数のグラフ、一時間当たり五十ミリ以上、こういうことですけれども、これはどんな雨かといいますと、車でワイパーをしてもきかない、もう対応できない、こういう大雨でございます。

 これを見ていただくと、一九七六年から八五年、年間平均百七十四回発生。これが、二〇〇四年から二〇一三年、平均二百四十一回発生ということでありまして、雨の発生が一・四倍、雨の降り方というのが大きく変わってきている、こういう状況でございます。

 本年は、阪神・淡路大震災からも二十年であります。関西においても、災害を忘れない、災害に備える、こういう思いが大変強まっておりますし、私の地元の兵庫県尼崎市というところは、非常に海抜ゼロメートル地帯が多い。市域の約三割以上、多くの地域が大変低い場所にあるということで、非常に災害に脆弱だ。地元の皆さんも、地域の防災力を高めようということで、さまざまな取り組みをされておられて、必死に今頑張っておられるところであります。しかし、こうした雨の降り方が変わっていく、そうすると、やはりやるべきことも変わってまいります。

 国土交通大臣、地域の防災力を支えていくためのソフトの取り組み、こういったものを国としてもっともっと支援をしていけるようにぜひお願いをしたいというふうに思いますけれども、大臣の答弁を求めます。

太田国務大臣 御指摘のように、雨の降り方が激甚化し、集中化し、局地化しているという状況にありまして、五十ミリの雨を基準にした、いろいろなことが、それをオーバーするようになっています。ハードでこれに対応するというのは基本的に難しい、ハードの整備をさらに促進するとともに、その上にもっとソフトということの対策をいろいろな広範囲に展開をしていかなくてはいけないということだと思います。

 新しいステージに対応するようにということで、有識者にも集まっていただいて、去年の秋から研究を進めさせていただきまして、そこでもやはりソフトが大事であるということで、そのソフト対策として、具体的に、時系列でわかりやすい情報の提供、そして、それを受けた市町村の側が的確にそれをお伝えする。あるいは、どこに逃げるということについてもハザードマップをしっかりと用意する。ハザードマップだけではなくて、どこに行けばいいかということを一つ一つ各個別に判断できるように常日ごろから備えていく、そうしたことが重要だと思っております。

 今まで展開されておりませんでしたが、アメリカのハリケーン・サンディなどの例から、タイムラインといいまして、五日前にはどうする、三日前にはどうする、そして一日、二十四時間前には鉄道はどうする、学校はどうする、企業はどうするという行動をあらかじめ決めておくというようなタイムラインの設定とか、あるいは防災教育ということを重視するということで、国交省だけではありませんが、さまざまな機会に防災訓練をする。一年に一回するというのではなくて、一週間に一回ずつ。例えば、三十四メートルの津波が来るというところの黒潮町というのが四国の高知にありますけれども、ここでは、学校で朝子供たちが集まりますと、毎週最低一回は山の上にわっと駆け上がっていくということを、訓練というか運動というか、あわせてやるというように、体にしみつけていくということが極めて大事で、そうしたソフト面への体制というものの強化をさらに進めていきたい、このように思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 国土交通大臣には、これは質問ではなくて、一点ちょっとお願いというか、あるんですけれども、災害時に災害復旧にかかわる建設業の皆様、この担い手確保ということで大臣に御尽力いただいてまいりました。しかし、やはり地元に帰ると、関西であるとか、あるいは地方であるとか、まだまだ厳しい状況だ、こういう声もございます。大臣には、引き続きこうした災害復旧の担い手を支える取り組みというのをまたしっかりとお願いを申し上げたい。これは質問ではなくて御要望させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 続きまして、十八歳選挙権について質問をさせていただきます。

 選挙権年齢を十八歳に引き下げる公職選挙法の改正、現在各党各会派の中で協議をしていただいております。青年の政治参加の機会を拡大する、こういう観点から、私はぜひとも早期に成立を目指すべきである、このように考えます。

 公明党は、非常に早くからこの十八歳選挙権の問題に取り組んでまいりました。何と一九七〇年年ごろから国会でこの問題を取り上げてまいりまして、党としてもしっかり進めてきた、こういう思いがございます。

 パネルを見ていただきたいんですけれども、他方で、若い世代の投票率が必ずしも高くない、こういうのも事実ではあります。

 これは昨年の衆議院選のデータもありますが、二十歳から二十四歳の投票率、残念ながら三割を切ってしまいました。非常に低い。しかし、これは私、政治の側もしっかり反省をしないといけないんじゃないかな、こう思います。若い世代にしっかりと向き合って、若い人たちが希望を持てるようなビジョンもしっかりと出していかないといけない、そしてまた、若い人たちが政治への理解を深めていく、こういう取り組みもやはり必要であると思います。

 我が党としてもしっかりと取り組んでまいりたい、こういう決意でございますけれども、この若者の政治意識の向上について、総理からぜひ御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 選挙権年齢が引き下げられ、若い皆さんが政治に参加する、これは日本の将来を見据えていく上において大変いいことだと思っております。有意義であると思っております。

 しかし、若い世代、今御指摘になったように、投票率が低いという課題がありまして、その理由は、そもそも選挙に関心がないということでありますが、確かに、今、中野委員が御指摘になったように、政治に身を置く私たちにも大きな責任があるわけであります。

 そもそも政治家の集会というのは、若い皆さんにとって、参加しにくいというか、参加したいという気持ちにならないということがありますから、やはり私たち自身が若い皆さんにアプローチをしていく。若い皆さんが参加しやすい会を開きながら、そして、政治というのはまさに自分たちのことなんだと、国や社会の問題を自分たちの問題として考え、捉え、行動していく主権者を私たちも育てていくという認識を持ちながら、若い皆さんの投票率が上がっていくように努力を重ねていきたいと思っております。

中野委員 総理、ありがとうございます。

 大事な問題であると思います。全政治家がしっかりこの課題に向き合って努力をしていく必要がある、このように考えておりますし、私もしっかりと、若い世代でございますので、頑張ってまいりたい、こう思います。

 最後に一点お伺いをいたします。

 これはパネルを見ていただくと、現在、学校の耐震化、これは公明党が地方議員の皆様と力を合わせてやってまいりました。平成二十七年度、一部残っておりますけれども、ほぼ十割近く達成できる、こういう見込みになってまいりました。

 しかし他方で、近年、こうした耐震化以外にも、学校施設整備、例えば学校統廃合、最近多うございます、これに伴う施設整備であるとか、あるいは老朽化対策、子ども・子育て支援のために認定こども園をつくる、中学校給食を導入する、こうした耐震化以外の整備、こういうニーズがふえつつあると聞いております。

 厳しい財政制約のもとではございます。しかし、私は、やはり教育環境の整備、これは地域づくりの第一歩でもあると思います。しっかりと地方の声に応えていっていただきたい、このように考えておりますけれども、下村文部科学大臣、そして総理からも総括的に一言いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

下村国務大臣 御指摘のように、学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難所にもなることから、その安全性の確保は極めて重要であるというふうに思います。

 公立学校施設整備費については、厳しい財政状況のもと、平成二十七年度までに完了させることを目指して、耐震化のための予算を中心に、平成二十六年度補正予算で四百八億円、また、平成二十七年度予算案で二千四十九億円を計上しております。平成二十七年度の予算執行後には、公立小中学校の耐震化はおおむね完了する見込みであります。

 文科省としては、今後、学校の統廃合に伴う改修や老朽化対策など耐震化以外の事業についても、児童生徒の教育環境の改善を推進する観点から、各地方公共団体の要望を踏まえつつ、地域の実情に応じた施設整備が進められるようしっかり取り組んでまいります。

安倍内閣総理大臣 ただいま大臣から答弁をさせていただきましたように、学校というのは、子供たちにとって生活の場であると同時に、地域のコミュニティーの中心であります。

 そういう観点から、安全をしっかりと確保し、同時に、耐震化以外のことについてもしっかりと対応をしていきたい、取り組みを行っていきたい、このように思います。

中野委員 ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

大島委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党、後藤祐一でございます。

 西川前農水大臣の政治と金の問題について、きょうはまず扱いたいと思います。

 二月二十三日のこの予算委員会で私はこの問題を取り上げ、私の質問の後、予算委員会が終わり、西川前大臣は、総理官邸で安倍総理とお会いになられて、辞表を提出、受理されました。

 その後だと思いますけれども、西川前大臣は、全部説明できたし、法律に触れることはない、これは安倍総理大臣もわかってくれたとおっしゃっておられます。

 安倍総理は、同じく会見で、私としては、ぜひとどまってその職を全うしていただきたい、こうお願いしたところでございますが、本人の辞任という意思はかたく、これを尊重することにした、大変残念であります、このように述べておられます。

 安倍総理に伺います。

 西川前大臣は、法律に触れることはないと言って、総理に理解いただいたと言っていますが、本当ですか。また、総理は、西川前大臣に、やめないで、ぜひとどまってほしかったんですか。これについて、総理の御見解をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 西川大臣の政治資金にかかわる問題については、この国会においてさまざまなやりとりがなされたわけでございまして、後藤委員も質問で相当の時間を費やされたものと承知をしております。

 その質疑を通じまして、いわば、西川当時の大臣が、西川さんに献金をした事業者が補助金を受けていたということを知らなかったということでございまして、この知らなかったということについては、いわば、これは、出し手側の方は補助金を受けていればわかるわけでございますが、受け手側はなかなかわかりにくいという基本的な課題があるわけでございます。

 その中においては、これは一年間の間は禁止されている、知らなかったという説明です。

 先般、総務大臣からも説明があったように、構成要件においては、知っていたか、知らなかったかということが大きな構成要件になっているという以上、これは法律には反しない。

 しかし、その後、指摘された以上、それについては返金をされたという説明をされていたわけでございまして、私としては、そうした質問に対する答えにおいて、これは違法性がなかった、このように理解したところでございます。

 そこで、私は西川大臣が、例えば農協改革において全力を挙げ、そして手腕を発揮して、農協改革において、中央会側ともいわば話し合いを成立させて、大きく一歩を踏み出した。これは、今まで全く進んでいなかった農協改革に大きな歩みを見せたわけでございます。農政の改革は待ったなしの中において、しっかりとその職責を果たしていただきたい、こう考えたところでございます。

後藤(祐)委員 そうしますと、総理、西川前大臣は違法なことはしていなかったけれども、おやめいただいたということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 私は、西川大臣のここでのやりとりの説明、あるいは私が聞いていた中において、西川大臣は、いわばその当該企業が、献金を受けた企業が補助金をもらって、そして、その交付から一年たっていたかどうかということについては知らなかったという説明については、それは了としたところでございます。

後藤(祐)委員 質問に答えてください。

 違法なことはしていないが、やめていただいたということでよろしいですか。質問にお答えください。

安倍内閣総理大臣 ただいま申し上げたとおり、私は、西川大臣の説明を伺って、この献金をした企業がいわば補助金を受け取って、そして西川大臣が受けた段階でそれが一年以内に入っていたということについて知らなかったということについては、これは当然、贈り手、献金を出す先しかわからないわけでございまして、そもそもそれに関与していたら別でございますが、基本的には、ほとんどこれはなかなかわからないわけでございます。

 これはまさに……(後藤(祐)委員「質問に答えさせてください、委員長」と呼ぶ)

大島委員長 静かに、質問者。

 どうぞ、総理。

安倍内閣総理大臣 はい。

 いわば出し手側しかわからないわけでありますから、受け手側の方にはわからないわけでありまして、ですから、そのたびごとに確認をとるということは当然必要かもしれませんが、その段階で、知っていたか知らなかったかということについての西川さんの説明については私は理解できる、こう考えたわけでございます。

 そして、それまで西川大臣は、農業において、まさに農政改革において大きな力を発揮していただいた。しかし、これ以上国会や内閣に対して迷惑をかけたくないという強い意思を持っておられたので、辞職願を受理した、こういうことでございます。

後藤(祐)委員 お答えいただけないようですが、総理は、任命責任、説明責任を大切にしていると言う割には説明責任も任命責任も果たしていないと思いますが、今のお答えは、違法性はなかったけれどもおやめいただいたというふうに理解します。

 さて、西川前大臣の話をなぜさらにしなきゃいけないか。それは、西川前大臣は脱税の疑いがあるからであります。

 昨日、この予算委員会の理事会で、西川前大臣がお務めになられていた顧問、これについての御説明があったようでございます。

 新聞報道によりますと、二つの企業で顧問として、落選中からそして現職になられてからも、大臣になる前だということですが、現職になってからも含めて、合計で千一万千五百五十五円、テクノウッドワークス社、これは別途の資料でわかるわけです。関連会社等報告書というものを私は入手してきました。テクノウッドワークス株式会社の顧問として、報酬九百四十六万円を受け取っておられました。

 ちょっとおさらいをしましょう。

 このテクノウッドワークスという会社と西川前農水大臣は、まず、二〇〇七年にパーティー券四十万円、二〇〇八年は全くありません、二〇〇九年は百万円の献金、そして二〇〇九年度は国からの補助金が一億六千百万入っています。

 二〇一〇年は、献金、パーティー券はないんですが、新聞報道によりますと、計算しますと、この二〇一〇年、落選中ですね、顧問料が九十万円入っています。そして、この二〇一〇年度、補助金として国から三億七千万円の補助金、これが行っています。

 二〇一一年、献金、パーティー券はございませんが、顧問料が、これは落選中ですが、二百十六万円入っています。つまり、国からの補助金が入って報酬も上がったということなんでしょうかね。

 二〇一二年、これは当選される前に、献金三百万円が入っています。パーティー券はありませんが、顧問料として二百四十万円受け取っています。そして、二〇一二年度、補助金で、これは大きいですね、国から七億円、このテクノウッドワークスに入っています。

 それで、二〇一二年の十二月に当選されて、現職になられて、二〇一三年の一月三十日に百万円の献金、これはテクノウッドワークスの社長の方からの個人献金です。さらに、パーティー券は六月十八日に百万円、そして、顧問料は引き続きいただいていたようでございまして、二百四十万円。

 二〇一四年は、献金、パーティー券、これは今のところわかりませんが、顧問料は、新聞報道からすると百六十万いただいているはずであります。合計しますと、テクノウッドワークスから西川前大臣は、合計千五百八十六万円、知り得る限りでいただいている。そして、農水省からの補助金が合計十二億三千百万円交付されている。

 この両者に関係がないというのは、かなり無理がありますよね。無理があります。法律上は、確かに、二〇一二年度補助金の七億円の交付決定からの一年以内に、二〇一二年九月三十日に三百万円の献金をしている。これが補助金交付決定から一年以内の献金を違法とする政治資金規正法違反になるんですが、これについては、総理が何度も言っているとおり、知らなければ違法でない。ですが、献金した側は違法なんですよ。この献金は違法なんですよ。総理、違法献金なんです。知らなかった側は罰せられませんよ。ですが、献金自体は違法なんです。そのことを国民の皆さんによく知っていただきたいんです。

 ところが、もらう方は、知らなければ違法にならない。ざる法なんですよ、要するに。違法な献金なんですよ。

 総理、これからちょっと幾つか伺いたいと思います。

 西川前大臣は、テクノウッドワークスの顧問となって、その事実を関連会社等報告書というものに現職の国会議員は記載しなければなりません。これは法的義務です。ところが、記載をしておりませんでした。これは違法だったんです。それを、私が、きのうこれは入手してきたんですが、関連会社等報告書というものをきのうになって西川大臣は出されている。

 報酬があったわけですから、そうなりますと、もう一つ、所得等報告書というものを現職の国会議員は出さなければなりません。つまり、テクノウッドワークス株式会社の顧問になっていますというものが関連会社等報告書で出たら、必ず所得等報告書で幾らの所得があったという報告をしなきゃいけないんですが、今のところ、これは出ていません。なぜでしょうか。

 所得があったら、所得等報告書を出す義務があります。この所得は、もしかすると税法上、適正な申告をされておられないんじゃないですか。

 まず伺います。

 関連会社等報告書は出ているのに、所得等報告書はまだ出ていない。これは明らかに資産公開法に反しております。違法であります。これについての総理の御見解をいただきたいと思います。

大島委員長 後藤さん、ちょっとその前に、委員長としてあなたに伺うことがございますが、新聞報道等と言いますが、顧問のところは、何々新聞の報道でございますか。後藤さんにちょっとお伺いを。その新聞報道等という、きのうは秘密会で行ったものでございます。したがって、顧問のところは何の新聞からそういう資料をいただいたか、お答えしてくださいますか。

後藤(祐)委員 これは各紙報道されておられますし、あとテレビでも、これは、毎月、最初十八万だったものが途中から二十万になったという報道はなされております。

大島委員長 各紙というのは、全国紙全部ですか。

後藤(祐)委員 全部とは言いません。書いてあるものがあります。テレビでも報道している番組がございました。

大島委員長 できれば、新聞といったら、何々新聞と言っていただいた方が、委員長としては、秘密会にしたこと……

後藤(祐)委員 今、明確にこの新聞というふうにちょっと具体的に言えませんが、必要であれば、後ほど御説明に上がります。よろしいでしょうか。

大島委員長 そうしてください。

後藤(祐)委員 それでは、先ほどの質問に、総理、お答えいただけますか。

安倍内閣総理大臣 最初に、ここでも何回か議論になったんですが、いわば補助金が出ていた場合、受け取った企業については、補助金を出した企業が、補助金を受け取っていて出してはならないわけでありますが、受け取った側の話をずっとしていたわけでありますから、受け取った側の西川さんにおいては、それは知らなかったということについては、構成要件だからこれは違法ではないという話をしていたわけでありまして、それも違法だという言い方は、それは正確性を欠くのではないか。(後藤(祐)委員「そんなこと聞いていません」と呼ぶ)これは、法は法であるわけでありまして、それは申し上げておきたい、このように思います。

 こういう議論というのは、やはり正確に議論していくことが大切であって、いわばレッテル張りや決めつけということではならない、このように思いますので、繰り返し指摘をさせていただきたいと思います。

 その上において申し上げますと、そもそも秘密会で開催されたこと、秘密会として開催された理事会において提出された資料については、当然、私は知り得る立場にはないわけでございます。

 いずれにいたしましても、適法かどうかというのを今私がここでつまびらかに申し上げることは適切ではない、こう思うわけでございますが、今はもちろん、西川議員は内閣の一員ではございませんが、議員として、これは内閣の一員であれ、与党であれ、野党であれ、こうした疑いがかけられたら、それに対して説明を果たしていく責任を、見識の中において果たしていかれるものと考えております。

後藤(祐)委員 まず、私は正確に先ほど説明しています。献金を差し上げる企業側の話とそれを受け取る側の話を分けて、きちんと私は説明しております。正確に説明しておりますことを、まず申し上げたいと思います。

 その上で、総理、質問にお答えください。

 関連会社等報告書が出ているのに、所得等報告書が出ていない、これは法定義務を果たしていないと思いますが、これについてどう思いますかと、総理としての御見解を伺っているわけです。しかも、これは私、きのうのうちに通告をしておりまして、西川前農水大臣に確認した上で総理に答弁していただくよう、これはこのまま通告をしております。質問にお答えください。

安倍内閣総理大臣 これは、いわば西川大臣は、現時点では閣僚のメンバーではなくて一議員として秘密会に提出をされたわけでございます。

 ですから、秘密会に提出されたわけでありますから、理事以外である、私は行政府の一員でありますから、そこには、その中身については知り得る立場にはないわけでございまして、そこで、今言った事案について、個別の事案でありますから、私は、政府の立場について、そこは判断する、申し上げる立場にはないということでございます。

後藤(祐)委員 この所得等報告書がどういう形になるかは、西川前大臣が脱税をしているかどうか極めて重要な文書なんです。それを今の時点では西川前大臣は説明しておられません。ですが、我々、西川前大臣に説明していただく方法がなかなか難しいんですよ。御自身が自発的に説明していただくのが一番いいです。総理はそれを期待されておられますが、もう、月曜日にやめてから、きょう金曜日ですよ。今のところ、そこの説明がなさってないですよね。

 この関連会社等報告書はきのう出されて、もう一日たっているんですよ。これについて、総理は、自分からその理由を説明するつもりはないと言いました。

 まず、総理の見解を伺いたいと思いますが、この西川前大臣の顧問報酬、これは確定申告等、税法上適正な処理がなされているんでしょうか。もしなされているのであれば、その根拠、明らかな根拠を説明していただきたいと思います。これはきのう私は通告しておりまして、西川前大臣と、必要なら税務当局に確認してお答えいただきたいということで通告しております。

 総理大臣、お願いします。今、何か秘書官がとめていますけれども、総理大臣に聞いています。私は総理大臣にきのう通告しております。

大島委員長 ちょっとお待ちください。後藤さん、調べたのは私です。きのう報告を私の責任で……(発言する者あり)いやいや、ちょっと待ってください。

 そこで、今、税務のお話をされましたので、財務大臣が今、そのことについてちょっと答弁したいと言うので。

麻生国務大臣 今、納税の話でしたので、私のところかなと思って手を挙げさせていただいたんですが。

 個別の納税ということですよね。個別の納税者の課税状況ということについて……(後藤(祐)委員「所得等報告書について聞いています」と呼ぶ)だから、個別とおっしゃるのは個別の話でしょう。西川という個別の話でしょう。

 だから、個別の納税者の納税状況について、国税当局に対して、財務大臣が、政府が国税当局に確認を求めるということはこれまで行ったことはありません。

後藤(祐)委員 財務大臣がそうお答えになるのはわかったから言っているんです。実際に税を納めているかどうか、財務大臣、答弁してくださいといっても答弁できるわけないのはわかっているんです。だからこそ、この所得等報告書が何で出ないんですか、そしてそれを出すべきじゃないですかということについて、総理の任命責任及び説明責任の観点から、総理にきのう通告した上で聞いているんです。その事実関係は、西川前大臣に総理が確認をして答弁をしてくださいと私は言っているんです。

 総理は答弁する責任があります。総理、どうですか。

安倍内閣総理大臣 それについては、まさに、いわば大臣としてとった行動ではなくて、議員自体の話でございまして、議員としてどう対応するかということについては、まさに議員の見識で、これは閣僚のメンバーであるとないとにかかわらず行うことでございます。

 まさにこれは議員の納税状況についてでありますから、財務大臣が答弁したとおりであります。

後藤(祐)委員 同じ答弁ですが、では、総理は西川大臣に、この所得等報告書がどうなっているのか、そして必要な税法上の申告をしているのかどうかについて、説明するよう促すことはしないということですね。

安倍内閣総理大臣 現在、西川大臣は一議員という立場であり、さまざまな、この委員会で行われていた議論、政策の議論がなかなか行われていないということに鑑み、みずから責任をとったものと私は理解をしているわけでございます。

 そこで、今の御質問の点でございますが、今、西川議員はまさに一議員となったわけでございまして、先ほど申し上げましたように、その中において、議員は、それぞれ見識の中において説明責任を果たしていくことが求められている、このように考えているところでございます。

後藤(祐)委員 総理は今まで、私が厳しい言葉を使ったときに、大変厳しい口調で叱責を私は何度もされています。

 脱税の疑いという大変厳しい言葉を使いましたが、これに対して私に厳しく叱責しないんですか。

安倍内閣総理大臣 それは、いわばこの事案自体について、先ほど財務大臣から答弁したとおりでございまして、それが、まさに個人の納税状況については政府は答弁する立場にはないというのは、これは一貫した立場でございます。

後藤(祐)委員 そうすると、脱税の疑いが全くゼロではないというふうにお考えですか、総理。

安倍内閣総理大臣 今まさに、私はその詳細について全く把握をしていないわけでございますし、そもそも、先ほど麻生大臣から答弁をさせていただいたように、個人の納税状況について、この場で政府が述べるということについては、これはもう一貫した政府の立場でございますが、立場にはないということでございます。

後藤(祐)委員 脱税の疑いということについては否定しないということだと理解しました。

 そうすると御本人に説明をしていただくしかありませんが、小渕優子元経済産業大臣がおられました。調査をするといって、報告するといって数カ月、国民に対して何も説明がありません。それどころか、御本人ではないと思いますが、どなたかが証拠となるかもしれないハードディスクにドリルで穴をあけてと、いろいろなことが起きています。本人に説明を任せても、しないんですよ。それはもう小渕優子さんが証明しているじゃないですか。

 西川前大臣が脱税しているかどうかは、これを確認する方法は三つあります。

 一つは、西川大臣が今からでも、今見ているでしょうから、自発的に記者会見をして御説明される、これが一つ目のやり方。でも、これは小渕優子さんの例を考えると期待できません。

 二つ目。今からでも総理が御反省されて、自民党総裁として西川前大臣に対し、やはりこれは説明した方がいいと促し、そして西川前大臣に説明していただく、これが二つ目。ところが、これも総理はやるつもりはないようです。この前同じことを伺いましたが、きょう、答弁は変わりません。

 そうしますと、安倍総理が言うように、西川前大臣に直接この場に来ていただいて説明をしていただくしかありません。

 大島委員長、西川前大臣にこの予算委員会に来ていただいて、参考人招致、これをしていただくことをお願いいたします。

大島委員長 前のどなたかの委員からも要求を受けていますので、理事会で協議します。

 私から、ちょっと後藤さん。

 あなたは脱税の疑いと言ったんですね、今、先ほど来。脱税というのは、委員長としても、やはりこれはちょっと行き過ぎた言葉のように思います。私から反論するわけではございませんが、税というものをもし納めていたとするならば、それはどうなるかということにもなるわけで、したがって、脱税という問題については、理事会でちょっと協議したい、こう思います。

後藤(祐)委員 脱税の疑いという言葉が強過ぎるかどうかは、聞いてみないとわからないんじゃありませんか、委員長。事実関係を西川前大臣にこの予算委員会できちんと説明していただいて、この脱税の、疑いと私はちゃんとつけましたからね、脱税の疑いという言葉が本当に強い言葉だったかどうか、ぜひ参考人招致をしていただいて検証していただけませんか、委員長。

大島委員長 参考人の問題は理事会で協議いたします。

後藤(祐)委員 ぜひ、それしか方法がないようですから、必ずやる方向で御検討いただきたいと思います。

 続きまして、望月環境大臣に伺いたいと思います。

 望月環境大臣は、環境大臣になる前、少なくとも二〇一二年十月から自民党行政改革推進本部長をお務めになられておられました。最近、行政改革では、行政事業レビューシートというものがつくられて、無駄遣いをなくすような取り組みがなされていますが、平成二十六年の行政事業レビューシート、これは全てごらんになっていますか、望月大臣。

望月国務大臣 さまざまな改革ということでやってまいりましたが、行政レビューシート全てを私が見ているわけではございません。

後藤(祐)委員 行革本部長として、これを見ていないというのもいかがなものかと思いますが、確かに、例えば机に配付されて何らかの会議でそれが議論になった、そういったことはございましたか。

望月国務大臣 我々、我が党の中の行政改革推進本部長ということでございますので、党の中でやるべきことをやってきた、こういう形でございます。

後藤(祐)委員 大臣の地元に本社のある鈴与株式会社、こちらの会社が、二〇一三年八月十九日に、望月大臣が大臣を務めている環境省から一億七千二百万、二〇一三年三月十五日に国土交通省より四千二百万の補助金の交付決定を受けています。これらの交付決定から一年以内の二〇一三年十二月三十日、望月大臣が代表者である自由民主党静岡県第四選挙区支部は、鈴与株式会社から百四十万円の献金を受けています。これは、西川前大臣と全く同じ構図です。違法献金です。

 つまり、補助金交付決定から一年以内の献金を禁じた政治資金規正法違反ではありませんか。望月大臣の見解を聞きたいと思います。

望月国務大臣 マスコミ等から昨日、二月二十六日でございますが、指摘を受けるまで、鈴与がこのような補助金の交付決定を受けていることは承知をしておりませんでした。

 今、御指摘を受け、調査を行ったところでありますが、早急でございましたが、現在までわかった範囲でお知らせをさせていただきたいと思います。

 環境省の低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援基金事業についてでありますけれども、これは、国ではなくて、一般社団法人である低炭素社会創出促進協会が交付決定を行っていることから、これは、政治資金規正法第二十二条の三で規定する、国からの交付決定を受けた補助金には当たらない、このように思っております。

 そういうことでございまして、今私が、きのう、きょうのことでございますが、調べたところ、そういうことでございまして、二十二条の三で規定することでございます、当たらないということでございます。

後藤(祐)委員 先ほどの西川前大臣のテクノウッドワークスも、国から県に行って、そこから出たお金ですね。今回のお金も、結局、もとをたどれば国から来たお金なんじゃありませんか、望月大臣。

望月国務大臣 しかしながら、この規定によりまして、法律の中では、これは国ではなく一般社団法人である低炭素社会創出促進協会でございますか、これが交付決定を行っているということでございまして、これは、政治資金規正法第二十二条の三で規定する、国からの交付決定を受けた補助金には当たらない、そういうことで法律で規定をされておりますので、これについて私は適正なものである、このように思っております。

後藤(祐)委員 もとをたどれば国のお金じゃないですか。そして、会計検査院はこういったものをチェックするんですよ。

 ちなみに、鈴与株式会社は、グループを挙げて望月大臣を応援されているようで、鈴与単体では、望月大臣は、二〇一〇年から二〇一三年の四年間で、手元の収支報告書で知り得る限りでは、毎年百四十万円から三百九十万円、合計八百十万円献金をいただいています。

 鈴与のホームページにグループ会社一覧というのがございまして、そのグループ会社の献金を含めますと、これはちょっと漏れがあるかもしれませんが、少なくとも、手元で計算した限り、献金額はグループ全部で二千三百万円に上るようでございますが、事実でしょうか。

望月国務大臣 今のことは通告がないので、ちょっと全てのものを知り得るということは、把握はしておりませんけれども、私自身は、それぞれの会社と長年のおつき合いをさせていただいておるということでございまして、グループということでの全体的なものではなくて、それぞれ長年おつき合いをさせていただいて、そういう中で献金をいただいたものと認識をしております。

後藤(祐)委員 望月大臣の後援会長は鈴与株式会社の副社長だというふうに聞いています。これは事実ですか。

 そして、後援会長が鈴与株式会社の副社長だということは、補助金交付を知り得たんじゃないんですか。大臣の御見解をいただきたいと思います。

望月国務大臣 私の後援会長の方、今お話出ましたが、この方は現在、鈴与の相談役ということになっております。私の後援会長を務めていただいております。

 そういった中で、知り得たかどうかということでございますけれども、私の方は、そういったものについては知り得なかった、わからなかった、そういうことでございます。

後藤(祐)委員 失礼しました。副社長から相談役になられていたんですね。相談役と相談しなかったんですか。相談役は、大臣と相談するのが仕事だったんじゃないんですか。

 しかも、望月大臣は環境大臣です。この所管の補助金です。さらに言うと、望月大臣は環境政務官をされて、国土交通副大臣をされて、環境大臣になられている。そして、今回、環境省と国土交通省の補助金をいただいた会社から、グループ会社まで含めると二千三百万円という献金をいただいている。

 これは、農水省の世界というのは今までいっぱいありました。たくさんやめた大臣もおられました。西川前大臣もおやめになられました。たくさんの補助金がたくさんの会社に配られて、そこから献金されていたわけですが、比較的これまできれいであった環境省の世界を望月大臣は汚してしまったんじゃないんですか。いかがですか。

望月国務大臣 お言葉を返すようですが、環境省は、今、除染の問題、中間貯蔵施設の問題、それからさまざま、もちろん九州へ行けば水俣の問題、本当に一生懸命やっていただいているところで、そういったことで……(発言する者あり)今、環境省の問題が出ましたから環境省の話をしているんですけれども、そういった問題で、汚れているじゃないかとか、そういう言葉はひとつ慎んでいただきたいなと思います。

 私の問題につきましては、法律に抵触しているかどうかということで、私は、今の補助金の内容は、先ほどから申しましたように、法律に即してでございまして、この一般社団法人の低炭素社会創出促進協会が交付決定をしている、そういうことでありまして、現在の、今指摘のことに関しては、政治資金規正法の第二十二条の三の国からの交付決定を受けた補助金には当たらないということで、法律的にはそういうことでございますので、私は適法である、このように思っております。

後藤(祐)委員 そこは、これからまたじっくり確認したいと思いますが、上川大臣、同じことが起きております。

 上川大臣も、上川大臣が代表者である自由民主党静岡県第一選挙区支部は、二〇一三年一月から十二月にかけて、同じ鈴与株式会社から、毎月六万円、年間計七十二万円の献金を受けています。このうち、少なくとも、国土交通省の補助金決定があった三月十五日、二〇一三年ですね、三月十五日以降の六十万円分は、西川大臣と同じ形の違法献金。そして、形式として、望月大臣とも同じになるわけですが、この補助金交付決定から一年以内の献金を禁じた政治資金規正法違反に当たるんじゃありませんか。

上川国務大臣 御指摘の会社から政治献金を受けていたということは、そのとおりでございます。

 今回、当該会社が政治資金規正法の違法な補助金をもらっていたということについては、全く承知をしておりませんでした。

 ただいま御指摘をいただいたということでございまして、私としては、しっかりと調査をして、そして説明責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 返金はしたんですか。

上川国務大臣 現実、どのような状況になっていたのかということにつきましては、通告もいただいておりませんでしたし、これまで御指摘がございませんでしたので、改めてしっかりと調査をした上で対応していきたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 ちなみに、望月大臣は、先ほど、ここではないですけれども、閣議後記者会見で、百四十万円返金したというお答えをされているそうですが、上川大臣は返金していないんですね。法務大臣として、法律をつかさどる法務大臣ですが、返金されていないんですね、今の時点で。

上川国務大臣 しっかりと、現実、現状はどうなっているか調査をした上で、そして対応していくということで、説明責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 返金していないということはよくわかりました。

 次に行きたいと思います。

 下村文科大臣、私も役所のころ一緒に仕事をさせていただきましたが、下村大臣のフェイスブックで、こういった下村大臣自身のフェイスブックのページがあります。「私の全国にある後援会のは一つである、中部博友会講演会で、名古屋に来ています。」と書かれています。

 幾つか事実関係を確認したいと思いますが、一つ目、このフェイスブックは下村大臣のものですか。

 そして、この前列一番左の和服の方、名古屋を中心に学習塾を経営する、Tさんと言っておきましょう、彼は、三年ほど前まで中部博友会の会長を務めておられた方と聞いていますが、事実ですか。

 このTさんが、風俗店を経営するグループに約六億円を融資、この融資先のグループが、さらに暴力団に資金的援助をしているというふうに言われています。二〇〇七年に国税当局の家宅捜索を受けた際、公用文書を破って実刑判決を受け、脱税事件でも在宅起訴されている。そんな人物が中部博友会の会長だったんですか。

 そして、このTさんから、二〇一三年、下村大臣は四・八万円、四万八千円の献金を受けているんですか。

 これは全て事実でしょうか。

下村国務大臣 まず、私のフェイスブック等に後援会と記載したことでありますが、これは、通常言われている意味での政治団体としての後援会ということではありません。教育仲間としての私を囲む有志の懇親的な集まりという意味で使ったものでありまして、年に一度程度、顔を見せて話をしろと言われて行く程度のものでございます。

 したがって、組織的でもございませんし、継続的な集まりというものではないと思いますが、誤解を招いたとすれば、適切な表現でなかったというふうには思います。

 さらに、選挙区区外の方々の集まりであり、しかも、政治資金を集めるような団体でもありませんので、世上言われるような政治活動をする後援会とは全く違います。ですから、そこの団体から私に対する寄附とかあるいはパー券の購入等ということは全くございません。

 そして、名古屋の方の例でありますが、これは、先ほど申し上げましたように、任意団体で、直接私の事務所また私自身もかかわっておりませんので、その方がいつ後援会長をやめられたかというのは正確にはちょっと把握していませんが、もっとずっと前に後援会長はおやめになったというふうに私としては記憶をしております。

 それから、その方が、いろいろな今御指摘のようなことがあったということで、脱税事件報道後、これは平成二十二年の二月ですが、その後、寄附などを辞退しております。

 その方が、反社会的勢力との関係があるのではないかという報道が昨年あったということをことし一月ごろになって聞きましたので、念のため、寄附等を確認させたところ、平成二十五年、御指摘のように四万八千円の振り込みがあるということを確認したので、直ちに、これは平成二十七年一月十三日に返金をいたしました。

後藤(祐)委員 塾で稼いだお金を風俗に貸して、間接的に暴力団を助ける。ひどい話じゃありませんか、これは。子供の将来を担う、そういった立場の方々が、最も子供に見せられないようなことをしている。こういったことを繰り返したくありません。農水省の世界から環境省の世界に行って、教育の世界までおかしなことになっている。

 ただ、今回、このTさんというのは、偶然直接献金をされておられたので、こういったことが発覚しましたけれども、こういった不適切な活動が任意団体ではわからないんですよ、我々。

 政治団体であれば、その政治団体の中で動く。それは直接文科大臣に対して献金しているから、別途、だからわかっただけであって、この任意団体の中でいかがわしい活動をしているような方がいた場合、それは我々、知り得る由もないんですよ。だからこそ、政治家に関連するような、応援している団体は政治団体として登録しなければならないと政治資金規正法に書かれているわけです。

 この、全国に六つ、地方の博友会というものが任意団体として存在しているときのう大臣から説明がありました。そのうちの一つ、中四国博友会という規約がございます。この中の第二条、目的というところで、「本会は、下村博文氏の政治活動を支援することを目的とする。」と書いてあります。

 これは我々も大体、政治団体、後援会の形で持っていますけれども、こういった規約、まさにこういう形で書くんです。これが政治団体でなくて任意団体というのは、だったら、我々政治家は、みんな任意団体にしてしまえば、チェックされなくなるじゃないですか。そんな法律の抜け道が認められるとお思いですか、本当に。

 法律との関係を申しましょう。

 政治資金規正法第三条では、「「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。」とされています。その中で、「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」、これは政治団体、こういうふうに定義されています。

 この政治資金規正法第三条の規定上、なぜこの下村博文氏の政治活動を支援することを目的とする中四国博友会が政治団体でないと言えるんですか。法律上の議論をしましょうときのうおっしゃっていました。法律的にお答えください。

下村国務大臣 後藤さん、言葉にはやはり気をつけていただきたいと思うんですよ。

 私は、あなたが経産省の役人で、そして構造改革特区、大変な能力を持ってやっていた。当時から評価をしておりましたが、しかし、今、個人的な揣摩臆測で誹謗中傷に近いような発言をするということについては、これは政治家としてしっかり考えて発言をしていただきたいと思います。

 今、政治資金規正法第三条の御指摘がありました。

 この三条というのは、「この法律において「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。」云々であります。

 それから、この中四国博友会、任意団体でありますが、これは、それぞれの、私には地方に博友会と名前のつく後援会が六つありますけれども、それぞれの後援会が、博友会がですね……(後藤(祐)委員「後援会ですね。後援会とおっしゃいましたね」と呼ぶ)だから、政治資金規正法で言う政治団体としての後援会ではないというのは先ほど申し上げたでしょう。言葉尻をとらないでください、まず。

 それで、中四国博友会を含めた地方の博友会六団体がなぜ任意団体かというのは、それは、非常に失礼なことをおっしゃっていましたが、別に脱法行為とか、あるいはわからないところでとかそういうことではなくて、そもそも、任意団体そのものというのは、つまり、直接私に対して政治資金の寄附とか、それからパー券の協力とか、そういうことをする団体ではないんです。年に一度、私が行ったときに、教育関係中心の昔の仲間たちの集まりだから、ぜひ話を聞かせてくれということで年に一度行くだけの、そういう関係であります。ですから、そこでは、昨日申し上げましたが、別に講演料とか、それからいわゆるお車代とか、そういうことも受け取っておりません。

 ただ、そういう個々の人たちが、それと別に、私の東京第十一選挙区支部、これは政党支部ですから、そこに個人的に寄附をしていただいたり、あるいは東京でパーティーがあるときに来ていただいたりとかいうことはしていますが、この会そのものが、そういう意味で、政治団体として私に物心両面の支援をしていただいているということではないということで、任意団体としてその方々が認識して活動していただいているわけであります。

後藤(祐)委員 この博友会の、任意団体である地方博友会のメンバーの方が個人として寄附している、あるいは法人として寄附している場合がございますよね。でも、それって区別できないですよ。

 例えば、大きなホテルでパーティーをやって上がりがあった、その分を誰かの名前で、下村さんに献金なりパーティー券を買うなりでお届けする。その上がりを実際には使っているんだけれども、形式としては、個人が別途、地方博友会の活動とは別にこれは出したんですと言われれば、そんなもの、区別しようがないじゃないですか。それを確認するために、政治団体にやはりする必要があるんです。

 それで、下村博文大臣、きのう、ちゃんと政治団体として届け出た方がいいのではという議論が任意団体の中でされているということだから、そういうことであればそうしてもらった方がいいかもしれない、そうすれば誤解も生まれないと思うと発言されています。そうおっしゃるということは、実質的には政治団体だと思っているということですね。先ほど、実際、後援会とおっしゃいました。

 そして、下村大臣、現在任意団体である各地方の博友会は今後政治団体登録するのか、そうしてもらうよう下村大臣から働きかけていただけるのか。そして、任意団体の間でも、政治団体と同様の透明性ある運営をしていただけるよう下村大臣から働きかけていただけるのか、約束していただけますか。(発言する者あり)

大島委員長 傍聴席も静かに。山井さんも、時々声が聞こえるから、静かに。(発言する者あり)委員だからといって、品位のあるやじにしてください。(発言する者あり)品位はない。

下村国務大臣 後藤さん、あなた、相当問題のある発言をしていますよ。今、私の名前を使って、地方の博友会が、あたかもそのパーティーで売り上げた収益があって、それでそんなことをしているような話を具体的に言われていますけれども、何か根拠があるんですか。相当問題ですよ、一般論じゃなくて、私の名前を使ってやっているわけですから。これは撤回してください。

 それから、あたかも不正があるような言い方もしていますけれども、何か根拠があるんですか。きちんと言ってください。

 そして……(発言する者あり)質問権じゃありません、これは訂正してくださいと言っているわけです。そして、私が申し上げたのは、このようなことが国会で問題であるのであれば、今の任意団体の方々のやっていることは全く瑕疵がありません、問題ありません、しかし、問題があるかのようなことを言われるのであれば、それは、政治団体として届ければ済む話であれば、そうした方がいいかもしれないという議論があると。それに対して実際に判断されるのは、私ではなくて、先ほどから申し上げていますように、これは、それぞれの方々が、それぞれこういう地方における博友会をつくっていただいているわけです。うちの事務所が直接関与しているわけではありません。私自身が関与しているわけではありません。

 ですから、それぞれの方々が判断されることでありますが、お互いに要らぬそういうふうな誤解がされるのであれば、誤解されないような対処の仕方というのはあるだろう。しかし、それは最終的には、それぞれの任意団体の方々が判断していただくことであると思います。

後藤(祐)委員 先ほど申し上げたようなことは、これから同僚の柚木議員が質問すると思います。実際にそういう疑いは一部出ております。

 安倍総理、たくさん出てきました。第一次安倍政権も含めて、これまで、安倍政権では七人の大臣がやめています。そして、きょう、望月大臣、上川大臣、下村大臣、この政治とお金の問題で、少なくとも疑いがある状態になっています。安倍総理、お金まみれ政権じゃないですか、安倍政権は。

 安倍政権の、安倍総理の政治と金についての見識を最後に伺います。

安倍内閣総理大臣 後藤さん、少し言葉には気をつけた方がいいと思いますね。

 先ほど、下村大臣に対して、その下村さんを後援しようとしている人たちが、まるで裏でパーティー券を集めたり政治資金を集めるという団体をつくって、裏でやっているかのごとき、何の根拠もなくそういう決めつけを行った。そういうことは、何の根拠もなくそういう決めつけをこの場で、テレビの前で私は行うべきではない。

 同じように、あなたは、安倍政権は金まみれだと。これはとんでもない決めつけでありますよ。とんでもない決めつけですね。それははっきりと申し上げておきたい、このように思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、野党であろうと与党であろうと、さまざまな問題が起こった。そして、この補助金を受けているかどうかということについては、先ほど来申し上げておりますように、知っていたか知らなかったかということが、これは要件になっています。

 民主党政権時代にも、外国人献金が随分問題になった。二人の総理大臣がその問題にかかわった。一人の総理大臣については、一年間に数百万円毎年もらっているのがおかしいということがやはり課題になりましたね。

 でも、そういうことは、一つ一つをちゃんと、それは総理大臣がそうだったということでありますから、それは、今、私はそう申し上げているわけであります、事実をね。ですから、しかし、それは一つ一つ、全部ごっちゃにしないで、それぞれにどういう課題があったのかということについて冷静に議論するべきなんだろう、このように思いますよ。

 ですから、外国人から例えば献金があれば、それは絶対悪いということではない。しかし、これは構成要件、知っていたか知らなかったかは、実は、これは構成要件ではないんですが、しかし、だからといって、わからない場合もあるという意味においては、それは事実なんだろうな、そう思います。

 それを防ぐためにはどうすればいいかということもやはり考えなければいけないわけでありまして、私は、規約の中に、日本国籍を持つ者ということを入れています。それだったとしても、意図的に外国人であることを隠して私に献金しようと思えば、それを読んだ上でできるわけでございます。そういう問題だってあるんですよ。

 そういうこともやはり考えながら冷静に議論すべきであって、特に、決めつけによって、イメージを傷つけるためだけに質問するということは、これは極めて非生産的ではないのかな、こんな印象を受けたところでございます。

後藤(祐)委員 私は事実に基づいて申し上げています。

 先日、馬淵澄夫議員が申し上げたように、一九八五年からの三十年間で大臣は十七人しかやめていないんです。そのうちの七人が安倍政権でやめているんです。この事実に基づいて私は申し上げたということを最後に指摘申し上げて、同僚の柚木議員に後を譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、柚木道義君から関連質疑の申し出があります。後藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 下村文部科学大臣、そして、場合によっては安倍総理大臣にも、これは教育にかかわる、昨日もやりとりさせていただきましたが、広くそして薄く、全国から塾の経営者あるいは企業等から支援をいただかれている、そういうことであるわけですが、私がやはり忘れてならないと思うのは、その原資は、かけがえのない子供さんたちを本当に身銭を切って通わせる、お父さんだけじゃなくてお母さんも共働きをして、そういう授業料が原資になっている、このことをしっかりと踏まえつつ、誠実なやりとりをさせていただきたいと思っております。

 議論になっているのが、まず二点ございます。先ほど来、後藤委員がやりとりをしている、届け出をしなくてもいい任意団体が全国に六支部ある博友会、しかし、その博友会は、非常に今政治団体に近い、事実上、政治団体、実質的にはそういう活動をされている点。それから、もう一つ重要な論点は、その任意団体の年会費として納めているつもりだったその会費が、政党支部の寄附として領収書が発行されている、これは政治資金規正法上の問題が生じます。

 この二点について、昨日、文部科学大臣とこの予算委員会でやりとりをさせていただきました。

 私は、任意団体か政治団体かについては、誤解を招かないように政治団体として届け出るべきでは、そういうふうに指摘をさせていただきました。そのときには任意団体であるという御答弁だったわけですが、委員会の終了後に、これは文部科学省に戻られての記者の皆さんへの発言の中で、私も全て拝見をしました、ちゃんと政治団体として届け出た方がいいのではないかというような議論が任意団体の中である、そういうことであれば、ぜひそういうふうにしてもらった方がいいかもしれない、そうしたら誤解も生まれない、そんなふうに今思っています。

 私の答弁に対しては、任意団体だから問題ないとおっしゃったわけですが、しかし、今は、やはり政治団体として届け出をした方がいいというふうにお考えになられているのか、お答えください。

下村国務大臣 これは柚木さんに、きのうからそういう言い方をされていますので、十分言葉に気をつけていただきたいということで、指摘せざるを得ないんですが。

 私も、学習塾を昔やっていたことがあります。今でも、文科大臣ですから、子供とよく会う機会がありまして、また特に今は、不登校の問題、それからフリースクールの問題、貧困家庭の子供たちの問題をしっかり取り組もうというふうにしていますから、その中で、本当になけなしのお金の中で子供をフリースクールに行かせている、あるいは塾に行かせている、学校に行かせている、そういう方々はよく存じ上げていますし、そういう方々の思いを文部科学大臣としてしっかりと対応していきたいと思います。

 しかし、あなたは、そういうことが何か、あたかも私が巻き上げているみたいな、そういう言い方をきのうしたんですよ、きのう。きのうしたんですよ。(発言する者あり)でも、したんですよ、そういうことを。それについては、事実を事実だけ客観的にちゃんと答えてください。(柚木委員「質問に答えてください」と呼ぶ)いいですか、私、今答えているんです。ちゃんと聞いてください。(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

下村国務大臣 ずっと答弁しているんですよ、ずっと。いいですか。

 という中で、博友会の件が、今御質問がありました。

 これはきのう申し上げたとおりでありますが、改めて、ちょっと確認のために申し上げたいと思うんです。

 今東京都の選挙管理委員会に届け出ている博友会、これ以外に、全国に地方の博友会が六つあります。これは塾の経営者など、民間教育者らの有志の方で構成する親睦のための任意団体であります。地方の博友会は、各地域の有志の皆さんで運営をしていただいておりまして、私の事務所の者は一切タッチしていない。また、私自身も、財政面を含めたこれらの団体に係る具体的な運営に関する事柄は一切ありません。

 地方の博友会の皆さんからは、昔からのそういう、かつて塾長仲間だったという経緯の方々がたくさんいらっしゃるものですから、年に一回ぐらいは顔を見せて一緒に話をしてくれということで、お話を聞きに、年に一度、皆さんと懇親ということで行っている、そういう関係であります。

 年に一度程度の懇親会の、そのような集まりでありますので、政治的目的を持った会合ではありません。選挙のお願いに行くとか、そういうことではありません。ましてや、政治資金を集めるような集まりでもありません。

 ですから、先ほども、非常に誤解される言い方を後藤さんが言われていましたが、パーティーをやって、そこで利益を上げて、何かあたかも私に還元するような言い方をされていましたが、そんなことは全くありません。ですから、講演料も、それからいわゆるお車代もいただいておりません。

 ただ、実際、個人的に、私の東京十一選挙区支部、自民党支部の方に、地方の博友会は直接選挙は関係ありませんが、個々に寄附をしていただいたりとか、あるいは東京でパーティーをするときに協力をしていただいているという方々がいる、そういうことであります。

 そういう中で、これはそれできちっと、全く問題がありませんし、何ら恥ずることはないというふうに思います。

 ただ、週刊誌にきのう書かれて、事実をきちっと認識しない中で、違法献金のような書き方をされました。これも非常に私は憤慨をしていますし、抗議をしたいと思っておりますが、同じようなことを国会で質問されているということに対して、各地域の任意の方々が、下村さんのために応援しようと思ってやって、何ら不正はないけれども、しかし、そういうようなことを言われるのであれば、それは政治団体にするということも考えてもいいのではないかという声が上がっているということの中で、実際に選挙管理委員会に届ける政治資金規正法の後援団体にするかどうかはそれぞれの任意団体の方々が決めることでありますが、そういうふうに決めていただくのであれば、私は、そういうふうにしていただいた方がすっきりするかもしれないということを申し上げたわけです。

柚木委員 今の御答弁は正直な御答弁だと思いますよ。つまり、やはり誤解を招かないように政治団体として届け出るべきではないですかという私の御指摘に、これはある意味、ちゃんとお答えをいただいていると私は理解します。

 ただ、大臣、個々に東京のパーティーに協力してもらっているという今御答弁ありましたが、私の手元には、あの週刊誌の報道、早刷りが出てすぐに削除されてしまっている中四国博友会のホームページ、手元にあります。そこに、まさにこの東京のパーティーでありますが、国会議員在職十年を祝い、これは下村大臣です、安倍晋三総理を実現する決起集会、これがまさに総裁選のさなか、平成十八年九月十四日、東京プリンス、会費二万円。そして、わざわざ中四国博友会のホームページに、御多忙中とは思いますが、何とぞ御来臨賜りますようにお願い申し上げます、この催しは政治資金規正法第八条の二に規定する政治資金パーティーです、銀行振り込みを御利用いただければ幸甚です、こういうふうにホームページの中に書いてあるわけですよ、中四国博友会。

 これは、まさに博友会という団体がこういうパーティーを東京プリンスで毎年やっているのは私も承知していますよ。しかし、中四国博友会のホームページにこのお願いを載せて、来てくださいということが書いてあるわけですよ。主催はどこにも書いていませんよ。こういうことがホームページに出ているということは、まさに政治団体そのものだと思いますが、いかがですか、大臣。

下村国務大臣 何が問題があるんですか。中四国博友会の方が自主的にそういうふうに書かれたんだと思います。その書かれたとおりでありますが、別の団体としてそういうことをします、これは東京の博友会が主催しています、そういうことに対して参加しませんかと呼びかけているわけですから、主催は中四国博友会でやるわけではありませんから、全く問題ないと思います。

柚木委員 この中四国博友会の連絡先は下村大臣の国会事務所になっているんですよ。その規約や問い合わせ先も削除されているんですよ、報道が出た直後に。何で削除する必要があるんですか。私は、そういうふうに普通に考えて疑念を招くと思いますし、きのうのぶら下がり会見で、わざわざ下村大臣は、こういう博友会という名前がよくないかもしれないと、九州とかの例を出して、博友会とせずに教育を考える会とかにすればよかったとかいうようなことを書いています。

 そして、領収書の問題も、これは、任意団体である下村大臣の後援会、博友会の地方支部への年会費を、政治資金規正法上の政党支部である自民党の下村大臣の支部から領収書を発行していた。これについても、二、三年前になぜか相手の要望で書いた記憶が事務方にあるようだが、現在はしていない、もし要望していないのに勝手に領収書を発行したなら、これは適切ではないので訂正する必要があると述べておられます。これは、その認識で正しいんですか。

下村国務大臣 それはおっしゃるとおりでありまして、先ほど申し上げましたように、地方における博友会は、政治団体としての届け出が出ている、いわゆるそういう後援会ではなくて、これは任意団体ですから、それと別に、しかし、私に対しては支援をしていただける、これは全国にたくさんありがたいことにいます。そういう全国の方々に対して、これは下村事務所の方で、年に一度、寄附のお願いの御案内をさせていただいております。その中には、地方における博友会に所属をされている方々にも、案内の中に入っていますから、来ていただいています、協力していただいています。そういうことであります。

 その中で、会費という問題がありました。これは、中に、これは寄附ですから、会費ではありません。しかし、先方の要望で、会費とただし書きの中に入れていただきたいという話があったということで、領収書の寄附のただし書きのところにそういうふうに書いたことがあった。ただ、それは望ましくないので、今はそういうことは書かないというふうにしております。

柚木委員 これは、御発言の中で、相手方の御要望でとか書いてあるんですが、要望があろうがなかろうが、これは適切ではないわけですね。政治資金規正法上の疑義が生ずるわけです。

 二点、具体的に確認します。

 そういったことがあったということは発言されているわけですが、では、具体的に、年会費として納めたはずのものが、政党支部の寄附控除の対象になる領収書として何枚発行されているのか、これが一点。もう一点は、その発行された領収書によって寄附控除の対象になるわけですが、その処理はされているのか。この二点について、ファクトをお答えいただけますか。

下村国務大臣 何枚、そういう寄附の、領収書ですね、領収書のただし書きのところに会費としてと書いたものを送ったかどうかというのはわかりません。今調査をさせております。

 それから、当然、これは寄附ですから、寄附として処理をさせていただいています。

柚木委員 これは今、それぞれ私は非常に重要な答弁だと思いますよ。

 まず、調査をされているという点については、ぜひこれは報告してください。

 それから、寄附控除とされているということは、御本人は年会費として納めたつもりでも、政党支部の寄附控除の対象となって控除されるということであれば、これは本当に政治資金規正法上の問題が生ずるということでありますから、こういったことがないようにしていただかなければならないのに、こういったことが実際に起こっているということ自体が、やはり私は、今回のように、政党支部か任意団体か、これをあやふやにしたまま、名前も博友会と、博友会の全国支部、地方支部、運営していることによってこういったことが生じていると指摘をせざるを得ません。

 それからもう一点、私は、重要な問題を前回も答弁されていると思いますので、指摘をしたいと思います。

 先ほど来、名古屋の名進研、この元代表の豊川氏から献金があって、四万八千円については一月十三日に返金された、昨日もそういうふうに答弁をされました。しかし、その献金、二〇一三年、平成二十五年の四万八千円以外にも、平成二十一年にも十万円の政治献金があって、それについて返金した、あるいはしていない、こういった発言を昨日のこの委員会後の文部科学省での記者へのぶら下がりの中で発言をされておられますが、これは実際に献金があったのかどうなのか、返金をされたのかどうなのか、お答えいただけますか。

下村国務大臣 名古屋の方の件での御質問でありますけれども、この方については、平成二十二年に脱税事件報道がございまして、そういう報道があったということを初めて知ったということで、それ以降寄附などについて辞退をしております。その方が反社会的勢力との関係があったのではないかという報道が昨年あったということを、ことし一月ごろに聞きましたので、念のため寄附等を確認させたところ、平成二十五年、四万八千円の振り込みがあったことを確認したので、直ちに、これはことしの一月の十三日ですけれども返金をいたしました。そういうこと以降はきちっとしているということに、対処しているわけであります。(柚木委員「十万円は」と呼ぶ)

 十万円については、今突然のお話ですので、今確認できておりません。

柚木委員 これは重要なことですから、お調べをいただいて御報告をいただきたいと思います。

 なぜならば、この名進研というのは、平成二十四年に東海地方で初めて塾立の小学校として開校しております。認可を受けたのは二〇一一年十二月二十日でございます。十万円の寄附が仮にあったとすればその二年前、まさに申請のための活動、二十年間夢だったと豊川さんは述べておられます。その活動をしている最中の献金ということにもなります。お答えいただけますか。

下村国務大臣 具体的に十万円とおっしゃったので、多分根拠が……(柚木委員「御本人が述べられたんですよ、ぶら下がりで」と呼ぶ)そうですか。いや、失礼しました。そういう献金はありません。

柚木委員 昨日のぶら下がり会見の中で、私、全部拝見しました。そういったことの質問があって、それに対しては返金した、あるいはしたかどうかを確認したいということを述べられているんですが、その献金の事実はないということでよろしいんですか、それは確認です。

下村国務大臣 その十万円というのは記者か何かから質問されたのではないかと思いますが、今事実確認をしましたら、一切そういうことはありません。

柚木委員 ないということだったら、その形で、私の方でもそれで確認をさせていただきます。そういう発言があったということで今確認をさせていただきました。

 私は、この豊川元代表からの寄附を返金したというのが一月十三日であったというのは、やはり不可解だと思いますよ。

 その一年前に、きのう大臣は、名古屋の朝日新聞だったから知らなかったとおっしゃっていますが、全国版にもしっかり出ていますよ、大きな記事で、東京版にも。

 ですから、まさに塾仲間として旧知の間で、御本人が言うには三年前、きのうの答弁では六年前ぐらいに中部の博友会の会長をされていて、そしてまさにこういう不適切なことがあってやめられているという認識をきのう述べられましたが、むしろ、そんなに前にやめているんだったら、そもそも平成二十五年の四万八千円の寄附自体を受け取るべきではないと思いますし、なぜそういう献金を、脱税で起訴、暴力団系の風俗店に六億円の融資、あるいは、調査が入ったときに文書を破り捨てる破損でも有罪判決、国税の職員の個人情報まで調べようとした。さまざまな、そういう方が寄附をされているのを、六年前にやめた方、そういう報道があってやめてもらった方から、平成二十五年度、まだ直近ですよ、四万八千円受け取られたんですか。

 そして、返したのも一月十三日。おかしいじゃありませんか。一年前にそういう報道が全国報道されているんですよ。答弁が矛盾しませんか。

下村国務大臣 いや、矛盾しているんだったら、何が矛盾しているか、ちゃんと端的に言ってください。(柚木委員「時期です。返金した時期です」と呼ぶ)矛盾ではありません、それは。

 それから、先ほどの十万という話で言われましたが、これはきのう記者が、議事録が今あるんですが、十万円が寄附されているというような情報もあるんですけれども、これらの対応についてもどのようにされているのでしょうかということを突然聞かれて、実は十万円の寄附が全くなかったということが明らかになったわけでありますけれども、そういうことも確認して質問をしていただきたいと思います。

 朝日新聞で、きのうの話ですと、全国報道されたんだから、知っていて当然だろうという前提でお話しされているかもしれませんけれども、私は毎日、各紙の全ての新聞を全部読んでいるわけではありませんから、それは、知らなかったということは、新聞記事について一々全部把握していなかったということは事実であります。

 それが悪いのかと言われれば、それは気がつかなかったということであれば、そうかもしれません。ですから、気がついた時点でちゃんとお返ししたということでありまして、それについては、気がついたのがことしの一月の十三日、そしてすぐ返金したということであります。

柚木委員 時間が迫ってまいりましたが、一月十三日というのは、その一週間ほど前に、まさに雑誌から、下村大臣が暴力団関係の企業との関係が報道されて、取材も受けていて、そういうこともあって返されたということなら、一月十三日、突然返金したのが理解しやすいんですが、なぜ一月十三日なのか。ほかに理由が、私の中ではなかなか見当たりませんが、これは私の考えです。なぜ、突然、一月十三日なのか。報道はもう一年前にされています。その点について、私の中では疑義が残ります。

 もう時間がございません。安倍総理……(下村国務大臣「答えますよ、ちゃんと。疑義があるなら答えますよ」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってください。いいですか。

 安倍総理、きょう、るる政治と金の問題、西川大臣は辞任をされ、望月大臣、上川大臣、そして、子供たちの教育を所管する下村大臣にこういう質問をしなきゃいけないこと自体、私は大変、本当に残念なことだと思いますが、なぜこういう問題がこの委員会でたびたび取り上げられなければならないのか。その問題は、私は、一つは、総理御本人にもあるんじゃないかと思うんですね。

 それはなぜかといえば、大臣規範というものが明確にあります。安倍総理、第二次になりまして、既に七人の大臣が一千万円以上、まさに大臣規範を超えるパーティーを開催され、ともすれば、総理御自身が率先してこの大臣規範を無視されている。そんなに軽いものですか、大臣規範というのは。閣議決定をされていますよ。

 私は、ぜひ、安倍総理、こういうようなことで予算委員会の時間がどんどん使われることにならないためにも、一つ具体的に提案をしたいと思います。

 それは、閣議決定で変えられる話ですが、大臣規約を改正していただけませんか、閣議決定でできること。在任中に、大臣、政務三役でもいいですよ、所管の業界、企業からの政治献金あるいはパーティー、講演料、こういったものを自粛するということを決められれば、きょうのような議論をしなくていいんですよ、総理。しかも、政治資金規正法の改正ではなくて、閣議決定でできるわけですから。安倍総理の決断一つでできるわけですよ。

 ぜひ、そういう、国民の皆さんから見ても、政治と金の問題が疑われない、そして、こういう予算委員会での貴重な時間が費やされない、そのためには、総理御本人が、では、閣議決定で大臣規範、規約を改正しましょうと一言おっしゃっていただければ済む問題ですが、安倍総理、御答弁いただけませんか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、閣僚はしっかりと大臣規範の精神を守っているということははっきりと申し上げておきたいと思います。

 その上において、大臣規範を……(発言する者あり)山井さん、ちゃんと読んでください。そして、その上においてはっきりと申し上げておきたいと思うわけでありますが、ずっと今、委員の質問を聞いておりますと、別に、下村大臣のお答えを聞いておりますと、何が問題なのかという感じがしてきているわけでございます。(柚木委員「わからない方が悪いんですか」と呼ぶ)

 そこで、今、わからない方が悪いとは、どういうことですか。(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 そこで、今申し上げておきたいことは、今、このお二人のやりとりの中から今の質問が出てきたんだろう、こう思いますよ。ですから、今のやりとりがもとになっているわけでありますから申し上げておきますが、十万円の寄附、ないものを、またあったかのごとくの質問をしておられた。

 そして、四万何千円でしたか、四万八千円、今は……(発言する者あり)

大島委員長 静かに、静かに。

安倍内閣総理大臣 今、筆頭理事からの不規則発言でございますが、今の質問の前提について私はまずお答えをする必要があると思っております。この前提があるから大臣規範を変えるということなんだろう、こう思うわけでありますが、その前提である今のやりとりを伺っておりますと、その四万八千円の当該の寄附について、もし寄附をした人が、それは問題があったということであれば、それは普通、誰だってすぐ返しますよ、当たり前じゃありませんか、そんなものは。しかし、やはりそれは知るのが遅かったということだろう。

 では、四万八千円が、そんなに下村さんが、決定的にそれが必要だったかどうかということになるわけでありまして、そこは、もう少し冷静に事実を見ながらやりとりをしていただきたいと思うわけであります。

 この前提となることについて、そもそも、このやりとりについては、私は、下村大臣の答弁は問題なかったという前提に立てば、今、議員はこういうことで時間を費やすべきじゃないと。これは柚木議員に対しても恐らく下村大臣はそう思っておられるんだろうな、こう思うわけでございます。そして、そもそも大臣規範はしっかりと守られているわけでございます。

 今後、この大臣規範について、私は、変えていく必要はない、こう考えているところでございます。

柚木委員 政治と金の問題に非常に後ろ向きな安倍総理の姿勢が明らかになったと思います。

 以上で終わります。

大島委員長 この際、古川元久君から関連質疑の申し出があります。後藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 総理、我々、質疑を充実するためには、やはり質問に対してきちんと答えていただきたいんですよね。質問に対して答えないで、それ以外の聞いていないことをとうとうと述べる。ぜひ、これからの質疑はしっかり聞いたことに答えていただきたいということをまず申し上げて、質問に入りたいと思います。

 きょうは、私は、消費税のことと財政健全化計画についてお伺いをしたいと思います。

 まず、総理は、きのうの本会議の質疑でも、二〇一七年の四月からの消費税の一〇%引き上げについて、これは景気判断を行わないで引き上げを行うというふうに明言をされました。

 私どもと三党合意の中で合意していた景気条項を今回税法で削除するということになって、それを受けてのきのうの本会議での質問に対してそのようにお答えになったわけでありますけれども、ということは、消費税引き上げによって景気が悪化することが明白な場合、そういう場合でもこれは引き上げを行うというふうに理解してよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 質問にお答えをする前に、私は質問にちゃんとお答えをしているつもりです。その前提について間違っていれば、その質問自体のいわば正当性についてかかわってくるわけでありますから、当然それについて説明をするということではないか、このように思います。

 それで、質問にお答えをさせていただきますと、平成二十九年四月の消費税率一〇%への引き上げについては、これはまさに、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡していくという責任を果たしていく、同時に、市場や国際社会からの国の信認を確保するため、景気判断条項を付すことなく確実に実施する、再び延期することはない、したがって今回のような景気判断は行わない、このように申し上げたわけであります。

 その上で、かねてから申し上げているとおり、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生をすれば、そのときは、政治判断において、新たに法律を出して国会で議論をお願いするということはあり得るということであります。

 いずれにせよ、消費税率引き上げを確実に実施するための経済状況をつくり出すという決意のもとにしっかりと現在の政策を前に進めていきたい、このように思いますし、経済の再生と財政の健全化、この両立を図っていきたいと考えております。

古川(元)委員 決意はいいんです。ただ、経済は生き物だというのは総理もおっしゃっている話で、ですから、私が聞いているのは、この消費税の引き上げによって景気が悪くなるだろうということが非常に明白なようなそういう経済状況であっても、先ほどの話のようなリーマン・ショックとか、これはもうお隣に座っている麻生大臣が一番実感をされた、ああいう特別な場合とか、あるいは大震災というような場合を除いたら、普通にこれで、景気が消費税の引き上げによって間違いなく悪化するだろうなというような経済の状況であってもそれは引き上げをする、そういうふうに認識してよろしいんですかと聞いているんです。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりでありまして、今回なぜ景気判断を行ったかということについては、既に我々は消費税を五から八に三%上げました。そして、そのときには確かに消費者のマインドが冷え込んだ、あるいは駆け込み需要が相当あったという反動減があって、景気は二四半期連続でマイナスになりました。その上において、さらに消費税を二%引き上げるということについては、デフレ脱却について大きなマイナスになる、デフレ脱却自体が危うくなる、私たちが進めている経済政策自体が危うくなる、そういう判断をしたところでございます。

 そこで、十八カ月延期をしたわけでございますが、十八カ月置く中において、我々は、ことしも賃上げについて政労使の合意ができています。来年の春も上げていく、そして再来年の春も上げていくということにおいては、これはそういう状況をつくっていくことができる。

 その中で、当然、消費税というのは消費者のマインドを冷やすということになります。そこで、そういう判断の中においては、我々は、今回のような景気判断条項による判断はしないということを申し上げているわけでございます。そして、今の段階で景気判断条項を落としていくということを国際社会に対してしっかりと我々が示していくことが国の信認を維持していくことにも必要である、こう判断したところでございます。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

古川(元)委員 聞いていることに簡潔にお答えいただきたいんですよね。

 今の答えは、総理が言った、何か答えをするための前提条件とか、そういう話では全くないと思います。

 私は、聞いているのは、景気判断をしないということは、消費税の引き上げによって、そのことによって景気が悪くなる、そのことが明白に想定されるような場合であっても、それは引き上げるということですね、そういうふうに聞いているんです。

安倍内閣総理大臣 ですから、簡潔にお答えをさせていただきますと……(古川(元)委員「イエスかノーかで」と呼ぶ)イエスかノーかではお答えできません。

 簡潔にお答えをさせていただきますと、今、古川委員がおっしゃったような状況には私たちはしないということでございまして、それは、その中において、今回は、ですから先ほどの答弁をよく聞いていただきたいと思ったんですが、我々は、さきの消費税の引き上げがありました、そして、さきの消費税の引き上げから間を置かずに今回二%引き上げるという状況にはないという判断をしたわけでありますし、そして、さきの消費税の引き上げの影響が明らかになったわけでございます。

 その中での判断であったということでございますが、今回は、さらに、平成二十九年、十八カ月、そのための延期があったわけでありますから、当然、先ほども説明いたしましたように、消費税の引き上げというのは消費者マインドにはマイナスの影響を与えますが、それには耐え得るだろうという判断が……(古川(元)委員「繰り返さなくていいですよ」と呼ぶ)でも、ここが大切な点なんですよ。ここが大切な点で、どうやら御理解をいただいていないので、もう一度説明をさせていただいたところでございますが、ここが大切な点でありまして、いわば、この期間をあけることによってそれに我々は備えることが十分にできる、こう判断をしているわけでございまして、前提条件が違うということを申し上げたいところでございます。

古川(元)委員 それは、総理がこの十八カ月間に景気を、消費税を上げられるような状況をつくっていく、その覚悟はいいし、それはやってもらわなきゃいけないんです。しかし、それでも、やはり経済というのは生き物ですから、そうでなくなる可能性だってあるわけですよね。では、その場合でもこれは上げるんですかということを聞いているのであって、イエスかノーかだけで答えていただけばいいんです。どうですか。

安倍内閣総理大臣 総理大臣がここで経済についてさまざまな方針を示すというのは、これは国際社会に与えるインパクトを、マーケットに与えるインパクトも含めて、よくお考えいただきたい。総理大臣たるものは、そういうことも考えて発言をしなければならないんです。そんな簡単なことでは実はないんですよ。

 ですから、私は、これは繰り返しになりますが、今回の判断をしたタイミングは、まさに消費税を五から八に引き上げた直後であり、その翌年に二%引き上げるかどうか、そういう判断であったわけであります。つまり、前提条件が今度は大きく変わるわけでありまして、だからこそ十八カ月延期をしたということであります。

 既にさまざまな数値においてデフレではないという状況を我々はつくっているわけでありますし、GDPのデフレーターにおいてもプラスに変わりましたね。そして、十―十二が数値として出てきているという状況があるわけでございます。

 繰り返しになりますが、もちろん、リーマン・ショックのような大きな事情の変更、どこまでが事情の変更かということについては、それはそのときの政治判断で決めていきたい、こう思っているわけでありますし、どのみち、それは法案として国会に御審議いただくことになるというのは先ほど申し上げたとおりでございます。そういう中で判断をしていくということを御説明させていただいているところでございます。

古川(元)委員 我々は、当然、やはり経済は生き物だから、それは、状況によっては延期とかそういうことも昨年のようにしなきゃいけない部分はあるだろう、だからこそ景気条項をつけたんです。それを削除するんですから、ということは、景気が悪くなっても上げるんですねと、その確認をさせていただいているだけなのに、これで十分も時間をとられて本当に私は残念です。

 では、こういう聞き方をしますが、先ほど来から、リーマン・ショックとか大震災のようなそういう場合には引き上げ延期の法案を出して引き上げを延期するというふうに述べられましたけれども、総理、昨年十一月に消費税引き上げの延期を決めた際に、民主主義の原点は税制であり、税制に重大な変更を行った以上、選挙をしなければならない、そうおっしゃって解散・総選挙を打たれたわけですよね。

 ということは、もし仮に消費税引き上げの法案を出すような事態になったら、そのときにはまた解散・総選挙を行う、そういうふうに理解してよろしいんですね。

安倍内閣総理大臣 いつ解散・総選挙を行うかということは、私は総理として申し上げるつもりはありません。そのときそのときに適切に判断したい、このように考えております。

古川(元)委員 でも、税制に重大な変更を与えることになるんじゃないですか。そのときには、やはり当然、国民に信を問わなきゃいけないですね、総理の去年おっしゃったことが当てはまるのであれば。そうじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 これは、そのときそのときに、そのときの状況があります。まさに天変地異のような状況の中において政治的な判断をする中において、果たして総選挙をしていいのかどうかというのは、当然これを考えますね。だから、そういうことも含めて、総理大臣はそんな簡単に、どういう状況であれば解散しますなんということは言わないんですよ。そんなことを言う総理大臣というのは恐らくいなかったと思いますね。

 今すぐ私は解散・総選挙をすることはありませんが、この先どういう状況で解散・総選挙をするということについては、適切に判断していきたいと思います。

古川(元)委員 私は、総理がそういう個別の判断をするかどうかじゃない、論理的に、論理の問題として聞いているんです。論理の問題として、税制のそういう重大な部分に変更を加えるのであれば国民に信を問うべきだというのは、それは総理がおっしゃった言葉じゃないですか。

 そうであれば、論理的に、そこにまた変更を加えることになる、再延長するようなそういう事態になったら、それは当然時期はあるかもしれません、でも、そこはやはり国民の信を問う。それは、総理の考え方を、まあ総理がそのまま総理をやっていればという前提でありますけれども、そうであればそういうことになりますねということを聞いているだけです。別に、このときに解散・総選挙をやりますかということを聞いているんじゃなくて、総理の論理からいえばそういうことになりますよねということを確認しているだけなんです。どうですか。

安倍内閣総理大臣 私が……(発言する者あり)それは想像されるのは御自由ですが、私が今言えば、私がそれで解散するということになるわけでありまして、今申し上げましたように、その事態というのは、まさにリーマン・ショックあるいは天変地異の状況ということになれば政治判断をするということを申し上げているわけでありまして、それは、そのときの状況によっては、とても選挙を行うことのできない状況も考え得るということであります。

 昨年総選挙を行ったのは、全くそういう状況ではありません。まさに景気判断条項を用いて、まあ、景気判断条項を用いても法改正はしなければならないわけでありますから、そういう上において、代表なくして課税なしという考え方、まさに我々はずっとそれを主張してきたわけでありまして、当時の野田総理に対しましても、当時の谷垣総裁は、こういう大きな変更を行う以上、あなたは法律を通す前に解散・総選挙をするべきだと我々は強く求めてきたわけでございます。そのときの民主党はまさにそれをやらずに、国民から厳しい審判を下されたんだろう、このように思うわけでございます。

 そこで、今申し上げておりますように、そのときの状況に鑑み、適切に判断をしていくということになるんだろう、このように思います。

古川(元)委員 総理、御自分が解散の根拠として、税制の重大な部分に変更を加えるときには国民の信を問うべきだとおっしゃったんですよ。論理的に言えばそうなるんじゃないですかということを聞いているだけなんです。そこは誠実にお答えをいただかないと、本当に御都合主義で自分の好き勝手なときに解散をするというふうに。私には、そういう総理の発言を聞いていると聞こえないんですよね。この議論を続けても、これは時間が無駄ですから、次に行きたいと思います。

 次に、私は、消費税の逆進性対策について御質問したいと思います。

 私たちは、低所得者の人ほど所得に占める消費税負担割合が大きくなるという、いわゆる消費税の逆進性を緩和するための対策は必要だと考えております。そして、その対策としては、我々の政権のときに、私も担当大臣として法案の提案までいたしました、マイナンバーを活用して、そして、低所得者の人に消費税を還付する制度、いわゆる給付つき税額控除を導入すべきだというふうに考えておりまして、ただ、その導入までの時間がかかる間は、現在行われている簡素な給付措置をもっと拡充すべきだ、そういう立場であることをまず申し上げたいと思います。

 その上で、低所得者対策として、ここのパネルにもありますように、税制抜本改革法の第七条で規定をされております給付つき税額控除と複数税率について伺いたいと思います。

 この給付つき税額控除と複数税率、これを見ていただきますと、全く同じ文言が使われて、両方とも、「低所得者に配慮する観点から、」、給付つき税額控除の導入について、あるいは複数税率の導入について、「様々な角度から総合的に検討する。」、そういうふうにこれは規定されているんです。

 ただ、ちょっと、ここで、私、この質問準備をしていて気がついたことがあります。

 そこで、ここは麻生財務大臣にお伺いしたいんですが、法律上は複数税率という言葉が使われているんですが、ところが、与党の税制改正大綱を見ると、いつの間にか、複数税率じゃなくて軽減税率という言葉に変わってしまっているんですね。これは、いつ、どこで、誰が、何のために、これを法律の文言から変えちゃったんですか。

麻生国務大臣 平成二十五年度以降の与党税制改正大綱において軽減税率と記載されるようになったと承知をしておりますが、与党における議論の内容については、ちょっと政府としてお答えする立場にはないのはもう御存じのとおりだと思います。

 ただ、一般論として申し上げさせていただければ、複数税率であれ、軽減税率であれ、いわゆる消費税の適用税率が複数であるという意味においては基本的には同じなんですけれども、今、いつからと言われれば、二十五年度以降の与党税制改正大綱だと記憶しています。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 これは、軽減税率というと、何となく、いかにも税金が安くなるという感じがありますよね。ですから、正確に理解を国民の皆様にしていただくためには、軽減税率じゃなくて、むしろ複数税率、大臣が言われた、やはり複数税率という言葉をきちんと使われた方がいいと思うんです。

 これは、軽減税率が入れば、後からの議論でもしますが、結局、その分だけ税収が減る。そうすると、標準税率が上がって、低くなるのもあるけれども、税率が高くなる、そういう品目もたくさん出てくるんですね。ですから、軽減されるものもありますが、逆にもっと、重課されるものも出てきちゃうんです。

 そういった意味で、やはり複数税率という言葉を、ぜひ、総理や大臣には使っていただきたい。与党の方々はいろいろな思いがあって軽減税率という言葉を使っておられるのかもしれませんが、やはり、国民の皆さん方にきちんと理解していただくためには、複数税率という言葉を使っていただきたいということをお願いをします。

 ただ、ここの法律で、この給付つき税額控除と複数税率というのは、両方検討することが法定されているんですけれども、私が仄聞する限りでは、政府・与党内で、この法定されている給付つき税額控除の検討は行われていないというふうに思いますが、これはどうして行われていないんですか。

麻生国務大臣 どうしてと。

 税制抜本改革法の中におきまして、古川先生が言われた低所得者への配慮として、いわゆる給付つき税額控除と軽減税率、複数税率、同じことだと思いますが、これは一緒に検討されております。

 このうち、軽減税率につきましては、財源の問題、対象範囲の限定、中小事業者への事務負担等の課題がある一方で、傍ら、この給付つき税額控除につきましても、所得の把握、資産の把握の問題、そして執行面での対応の可能性など、両方とも課題があることははっきりしておりますので、こうした中で、与党の中においては、平成二十七年度の与党税制改正大綱を踏まえて、軽減税率に関して検討が進められているものだと承知をいたしております。

 政府といたしましては、この与党の検討状況などをよく伺った上で、低所得者への配慮等々についていろいろこれは検討せねばならぬ問題だ、さように考えております。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

古川(元)委員 与党は軽減税率がいい、複数税率がいいと考えているから、そういうふうでいいかもしれませんが、政府は、これはきちんと法定されているんです。ちゃんと政府内で、給付つき税額控除、それは、こういう御指摘があるように、さまざまなクリアしなきゃいけない問題もあります。ですから、きちんとその点をやはり検討するということをすべきだと思いますが、どうですか。

麻生国務大臣 言われるまでもなく、これはいろいろな方法があるということははっきりしておりますので、要は、目的は、低所得者に対する逆進性の話からこれが出てきておりますので、どちらの方がより負担が少なく、いわゆる事務手続の負担とかいろいろありますので、そういったものは、負担が少なく、より公平にいくか。

 軽減税率というと、これは、何だ、一つのものを決めれば、お金持ちの人もみんな安くなるんじゃないかという話等々、いろいろ御批判があるのはよく知っておりますので、そういったものを含めて検討せねばならぬ問題だ、私どももそう思います。

古川(元)委員 では、今やられていないようですけれども、政府内できちんとこの給付つき税額控除を検討していただけるんですね。そして、そういう問題点とかなんかも含めてちゃんと、今、軽減税率、いろいろ資料が出されているように、きちんとこの給付つき税額控除についても、ちゃんと政府の中で具体的な検討がなされるというふうに理解してよろしいですね。

麻生国務大臣 平成二十五年、一昨年の二月の三党合意において、低所得者対策については、引き続き協議を行うということとされておりますのはもう御存じのとおりなので、お尋ねの給付つき税額控除というものにつきましても、この三党合意にのっとって取り扱われるものだと承知をいたしておりますので、まずは与党において検討の状況等々を踏まえる必要があろうとは存じますが、私どもとしては、いついかなる場合でも対応できるように検討しておかねばならぬ問題だと思っております。

古川(元)委員 これは法律にも書かれている話ですから、しっかり政府の方も協力していただきたいと思います。我々もしっかり検討していきますから、そこに対してぜひ政府も協力をしていただきたいと思います。

 私は、ちょうど消費税の論議が国会で行われていた昭和六十三年に大蔵省に入省しまして、最初の配属先が主税局。きょう隣に座っていただいている岸本さんのもとで、私は、消費税導入の最後の、一番末端ですけれども、そういうところに携わりました。

 このとき感じたのは、当時、竹下総理でありましたけれども、消費税導入のために、竹下総理を先頭にして、本当に多くの人たちがどれだけの汗と涙を流したことか。そういうものを間近に見ていました。

 総理のお父様、当時、たしか幹事長だったと思います。幹事長として、党内に大変な反対がある中で、先頭に立って、消費税導入に向けて御尽力をされた。

 私がそういうもとに、その末端にいた者として、この複数税率を導入するということは、平成元年に導入されて今まで続いてきた消費税の仕組みの骨格を大きく変えることにつながって、あの消費税導入のために苦労した先人たち、その人たちの労苦を水の泡にしてしまう、そういうことにつながりかねない、私は、これは大変大きな制度変更につながるんだと思っています。

 だからこそ、私は、その検討を行うに当たっては、消費税導入の際に行われた議論というものをもう一度ここで再確認することが極めて重要だと思います。

 そこで、総理に伺いますけれども、消費税導入以前には、個別物品税というのがあったんです。しかし、消費税導入のときに、ほとんどの個別の物品税、若干は残っております、自動車などは特にその典型でありますけれども、そういうものを廃止して、消費税を導入したんです。その理由はどこにあったのか。総理、覚えていらっしゃいますか。

安倍内閣総理大臣 当時、私は、幹事長であった父の秘書をしておりましたが、消費税導入前においては、奢侈性や便益性などに着目して、これはいわばぜいたく品だ、そうではない、そういう区別をしながら、また、便益的なものかどうかというところに着目をして課税する物品税がありました。

 物品間での課税の不均衡が生じる、あるいは、消費の多様化、サービス化が進む中で、サービスに対する課税が行われていないなどの問題点があったところから、消費税の導入は、こうした間接税制度が直面している諸問題を根本的に解決していく、あるいは、税体系全体を通じる税負担の公平を図るとともに、これはいわゆる、当時よくあった直間比率の是正ということだったと思うんですが、それと国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資することを目的としていた、このように承知をしているわけでございます。

 そこで、今、恐らく委員がおっしゃろうとしていることは、あのときも、例えば、軽減税率ということになると、まあ複数税率という言い方でもいいんですが、自分のところは軽くしてもらいたいということが、当然、これは起こってくるわけでございまして、それをどう果たしてさばいていくことができるかどうかという課題も当然ある、このように思います。

古川(元)委員 今総理が最後におっしゃいましたけれども、要するに、さばき切れない、個別の間接税で、物品税では、何に課税して、これは課税しないとか、もうさばき切れない、だからこそ、これは広く一律に税負担をお願いする、そういう消費税を導入したんです。

 ところが、複数税率を導入するとなると、これは個別物品税を復活するのと私は基本的に変わらないんだと思います。その問題点、これはなかなかわかりにくいんですけれども、うまく説明できる資料を私は見つけました。

 当時、主税局で消費税の広報を担当していたんですけれども、そのときに、ちょっと皆さん方に資料、これはテレビの方にはないんですけれども、「仙人 消費税を語る」という、自民党から依頼をされて、私達役所の中でつくったものですけれども、広報の資料。この三波仙人というのは、三%を三波仙人という、なかなかしゃれた名前で、それで、この文章の中の課税という言葉を標準税率、そして非課税という言葉を軽減税率というふうに読みかえると、複数税率を導入することの問題点というのがすごくよくわかってくるんです。

 少し読ませていただきたいと思います。

 せめて生活に絶対必要な基礎的な消費は軽減税率にしたらどうだという意見がある。なるほどと納得して、例えば日本人にとって最も基礎的な食料品である米を軽減にしたとする。その途端に、ではパンは、うどんはとなる。パンもまあ基礎的な食料品だと言えば、パンと菓子の境目をどこに引くかということになる。うどんが軽減税率となれば、うどん粉は、小麦そのものはとなる。どこかで標準税率、軽減税率の線を引いた途端に、不公平だという声が噴き出てくるのは目に見えている。

 後もいろいろ書いてありますけれども、これはぜひ、自民党の方々、麻生大臣は当時もいらっしゃったからわかると思うんですけれども、消費税導入後に議員になられた方々は、先輩方がどれだけの苦労とどういう問題意識を持って消費税を導入したのか、よく、多分まだ自民党にも残っているんじゃないかと思いますから、資料ですから、皆さん読まれるといいと思いますけれども、これは極めて大きな問題があるんですね。

 それだけじゃなくて、そもそも、軽減税率を入れる、複数税率を入れて軽減税率を導入する、その目的は、最初に申し上げた、逆進性の緩和にあるというんですけれども、逆進性の緩和にはならないという試算もあるんです。

 これを見ていただくと、これは中央大学の教授の森信教授が行った試算なんですけれども、これは一定の仮定を置いています。一〇%になったときに、生鮮食料品を三%軽減して七%にしたとする。そのときに、世帯収入三百万未満の世帯に一人当たり三万円、三百万から四百万未満の世帯には一人当たり一万五千円の給付つき税額控除を行う場合。これはその場合と比較した表なんですね。

 これを行うための財源としては、軽減税率の場合は五千四百億円、給付つき税額控除の場合は四千六百億円。この負担軽減策を行うのに必要な財源は、この試算の場合には給付つき税額控除の方が少ないんですね。

 しかも、これを見ていただきますと、低所得の人たち、低所得層の消費税負担割合、軽減税率の場合には、低所得の人も高所得の人も同じように、要するにその軽減対象を消費すれば恩恵を受けますので、そういった意味では、逆進性というのは、ここを見ていただくように、所得の低い人ほど消費税が年間収入に占める割合が高いというところが逆進性なんですけれども、これを改善する効果はこの試算では全く出てこないんです。

 ところが、低所得の人たちに給付つき税額控除という形でこの手当てを行うと、この赤いのを見ていただくとわかるように、大きく低所得の人たちの消費税の負担割合が減っているんですね。

 ですから、こういうことを見ますと、軽減税率というのは逆進性緩和にほとんど寄与しないということが言えるんじゃないかと思いますが、どうですか。

麻生国務大臣 いい指摘ですよ、これは。間違いありません、自信を持っておかれて大丈夫ですよ。

 消費税の軽減税率制度、これはさまざまな御意見があるんですが、例えば、昨年の与党税制協議会で行った各種団体とのヒアリングにおいても、痛税感を緩和するといった意見があった一方、高所得者にも恩恵が及ぶじゃないか、また、対象品目の合理的な線引きが困難じゃないかと。導入するときと同じ話がこのときも出ております。

 いわゆる税率区分が変更されれば、これは時の判断で消費税制度が揺るがせられることになるのではないか、また、多額の減収が出た場合においては、いわゆる社会保障財源に影響するんじゃないかとか、事務負担がえらいふえるじゃないかと。

 これはいろいろな御意見が出たところなのであって、与党においては、こうした懸念を踏まえつつ、二十七年度の税制改正大綱の中でいろいろ検討してまいりますが、御指摘にありました点は、昔から言われている話でもあり、これは間違いなく一考に値する御意見だと私もそう思っております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 何となく、最近、世の中的にはもう複数税率、軽減税率の導入で決まったかのような、そういうような風潮が流れているんですけれども、今、財務大臣からお話があったように、これはさまざまな問題があるんです。やはりそこのところはきちんと国民の皆さん方にお示ししていかなきゃいけない。

 同時に、我々が主張している消費税額還付、いわゆる給付つき税額控除も、法定されているんですから、きちんとやはり検討してもらいたい。両方ちゃんと比較考量して、そして国民の皆さん方にきちんとわかっていただいて、その上で、それでもあえてこの制度を選ぶのかどうか。

 まさに、これは本当に、先ほどからの総理の話でいえば、税制の重大なところに大きな変更を与えるような話なんですね。ですから、ここはやはりしっかり議論していただいて、これは国会の場でやはりきちんとやっていきたいと思っています。

 特にこれは、自民党の先生方は、これも本当に繰り返しになりますけれども、先人たちの思いを、この複数税率導入によって、根本から台なしにすることにもつながりかねない話なんですから。それこそ山中貞則先生が怒って天国から出てきますよ、これは本当に、そんなことをしたら。

 やはりそこは、そういう問題だということをしっかり総理も認識をして議論していただきたい。私どももしっかり、我々の考え方、よくちゃんと今度比較考量していこうじゃないですか。国民の皆さん方にわかっていただく、そういう議論をぜひしていきたいと思っています。

 次に、財政健全化計画について少しお話をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、来年度のプライマリーバランス赤字半減目標について。来年度予算案では、半減目標は、何かはかったかのように、ぎりぎり達成するという形に今なっているわけでありますけれども、当初予算でぎりぎりということは、もし仮に、これまでの安倍政権のように、毎年補正予算を組むということになったらこれは達成できない可能性もある、そのように認識してよろしいですか。

麻生国務大臣 古川先生、今の段階で、まだ本予算も成立していない段階から、補正予算の話をするほど私ども先が見えているわけではありませんので。

 財政収支が基本的に悪化するかということなんだと思いますけれども、私どもは、基本的には、今の経済というものは後半さらによくなってくるとも思っておりますので、今、平成二十七年度の補正予算を編成するという前提は全くいたしておりませんので、その年度の基礎的財政収支が悪化をするとはとても今思ってもおりませんので、今ただいま聞かれれば、そのような考え方はございませんとお答え申し上げます。

古川(元)委員 でも、これは、補正を編成したら、半減目標が達成できない可能性がゼロではないということはやはり言えるんだと思うんですね。それくらいやはりこれは厳しいんだと思います。

 これが二〇二〇年の目標になると、もっと厳しいんですね。ちょっとこの夏に策定するとされている中期財政計画についてお尋ねしますが、内閣府の試算ですけれども、この試算によれば、三%台後半の成長を達成したとしても、二〇二〇年、基礎的財政収支の赤字、PB赤字が九・四兆円も存在するというふうに試算されているんですね。

 きょうの新聞に、そもそもこの二〇二〇年の目標が、ゼロなのか黒なのか、そういう議論が政府内でなされているという話がありましたが、これは黒字化、つまりゼロではなくて黒字化するということの認識で、総理、よろしいですね、二〇二〇年は。

安倍内閣総理大臣 まさに夏までに、二〇二〇年のプライマリーバランスについて、これはマイナスからバランスさせるということでありますから、これは黒字化と考えてもいいんだろう、このように思います。

古川(元)委員 ありがとうございます。黒字化、ゼロじゃなくて黒字化するということですね。そこを確認したいと思います。

 その上で、黒字化目標の達成のためには、経済成長とそして歳出改革、歳入改革、この三つを組み合わせていくしかない。経済成長はもう既に目いっぱい見込んでいますから、要は、あとやれることは、この九・四兆を、この差を埋めるのは、歳出削減と歳入増を図るしかないんだと思います。

 では、この五年間でこの九・四兆円の赤字をどう削減するのか。今度策定される中期財政計画では、二〇二〇年までの歳出削減と歳入増の具体的内容まで示すべきだと考えますが、いかがですか。

 要は歳出削減と歳入増でこの九・四兆は埋めなきゃいけないわけですよね、経済成長は目いっぱい計算した上で足らないんですから。ですから、どういう歳出削減を行うのか、どういう項目を削っていくのかとか、歳入増であれば、ではどういう税目を引き上げるのか、やはりそういう具体的なところまできちんとこの策定計画の中には入ってくるんですよね。どうですか。

麻生国務大臣 これから、今、古川先生、この夏までにつくり上げようとしている中で、歳出歳入のところが今から真剣に検討されるところだと思いますけれども、やはり、これまでの中で、いわゆる立ち入れないところまで、私ども、随分いろいろやらせていただいておりますし、社会保障関係等々でも、全体九十兆のうち三分の一が社会保障関係で、約三十兆ありますので、そういったところを含めまして。また、歳入の方につきましても、少なくとも、予算を編成させていただいて三年目になりますけれども、三年前の税収見積もりが四十二兆円、今度は五十四兆円、したがって、三年間で十二兆歳入がふえるという計算になっております。

 こういったこともその当時は計算できていたわけではありませんので、いろいろな意味で、景気の好調に伴っていわゆる法人税、所得税等々の税収もふえてくるというような、いろいろいいことも考えて私どもとしては計算せねばならぬ、歳入歳出両面にわたって計算せねばならぬと思っております。

古川(元)委員 これはもう、いいことは考えた上での計算なんですよ。いいことを考えた上で九・四兆足らないんですから、やはりここのところはしっかり、あと五年しかないんです、どういうところでどれぐらい削るのか、そして、ではどういう税目でどれくらい歳入増を図るのか、きちんとそこまで今度の計画では入れていただきたいと思いますが、最後に総理、その決意をお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 具体的な道のり等については、まさに今、経済財政諮問会議で議論しているところでございます。そして、夏までに、二〇二〇年に黒字化をしていくということについてお示しをしていきたい、このように思います。

 今、古川委員から御指摘になった税収増だけではなくて、まさに経済成長についてはしっかりと、これはもう当然、前提条件として置いているわけでございますから、歳入について、特に、社会保障費については、今まで既に、生活保護費の適正化、あるいは診療報酬、そして介護報酬の改定等々も行って努力をしてきているわけでございますが、そうした努力も含めて、しっかりとした目標をつくっていきたい、このように考えております。

古川(元)委員 繰り返しになりますけれども、先ほどの試算は、経済成長は目いっぱいで、それでも九・四兆足らないということになっているんです。ですから、そこのところはきちんと、具体的な歳出削減、そして歳入増の方策というのを示さないと、それこそ日本の財政に対する信認がいつ揺らぐかわからない、そういう状況にあるんだという危機意識を持って政権運営に当たっていただきたい、そのことを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

大島委員長 この際、松本剛明君から関連質疑の申し出があります。後藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 松本剛明でございます。

 冒頭に、まず総理に一言、御通告を申し上げておりませんが、簡単な質問でございます。

 我が国の財政の状況というのはなかなか大変な状況にあるということで、税金は大事に使っていかなければいけない、そういう認識を共有しているということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 国民の皆様の努力と汗の結晶であるこの税収、私たちがお預かりをしている税収に基づくこの予算は大事に使っていかなければならない、このように考えております。

松本(剛)委員 短いお答えをいただきましたけれども、それでは、法人税の問題について議論をさせていただきたいと思います。

 法人税そのものについては、民主党政権でも引き下げを行いました。その意味では、可能であればやはり引き下げていくということが望ましいということはわかります。ただ、やはり財源の問題があります。

 冒頭に総理にお聞きをいたしたのも、法人税を下げるとやはり結構税収には大きくきいてくることになります。つまり、それだけの効果があるものなのかどうかということを問いながらやっていかなければいけないということで、きょうは、いろいろなやり方がある、先ほどの軽減税率もまたお話をしたいと思いますが、いろいろな考え方の中で、どれが一番効果があって、どれが一番お金がかからないのかということを考えなければいけないと思いますので、余りこの道しかないと言わずに、いろいろな道の中で何が効果的かということで進めていきたいと思います。

 改めて、法人税減税の目的をどこに置いておられるのか、伺いたいと思います。

甘利国務大臣 御案内のとおり、初年度で二・五一、そして次年度で、累計で三・二九下げ、数年間で二〇%台にするという目標を掲げております。一言で言えば、法人税を成長志向型の構造に変えていく。

 その結果、どういうことが起きるかというと、立地競争力は上がります。投資を国内に呼んでくるときに、法人税の高いところに投資をするか安いところに投資をするかでいえば、当然、条件のいいところに投資をします。でありますから、立地競争力の強化、それから、企業自身は国際的に世界の企業と戦っているわけでありますから、戦っている相手は低い税で戦い、こっちは高い税ということになりますと競争力が落ちるわけでありますから、この二つに資することになろうかと思います。

 あわせて、政労使の会議を通じまして、それぞれ、その結果得たものを、好循環を回すために資するようにしていこうと。政府は政府としてその環境整備をつくるという意味で、法人税減税をしたり、あるいは所得控除、減税をしたり、政府は環境をつくる。それによって得られた成果は、好循環を回すために、還元に使ってほしいということにしているところでございます。

松本(剛)委員 幾つかのことをおっしゃられましたけれども、競争力のために法人税を下げるんだというお話は、そのとおりだろうというふうに思います。

 ただ、好循環のための賃上げとか、さらには、輸出企業からこれが、関係先の協力会社なりに取引条件が改善をされるようにするとかといったことと、法人税の引き下げというのは、直接結びつくものではない。だからこそ、逆に、今わざわざ新しい雇用や人件費の拡大についての税制について多分言及をされたのではないかというふうに思います。

 法人税減税の目的はやはり競争力であって、賃上げとか、そちらの方が直接の目的とは、少なくとも政策に対する目的とは言えないのではないかということを確認したいと思って、今お聞きをしています。

 というのも、やはり、単純に、さまざまな政策減税ということであれば、こういうことをしたら税を減らしますよというのが基本的な政策減税ということになると思います。そうすると、法人税というのは、いわば利益を残せば税を減らしますよと言っているわけですから、例えば人件費を削ったら利益がふえる、ですから利益を残しなさいと、いわば、そこの部分だけに関して言えば言っているわけですよね。ですから、そこを解消するために、今お話があったように、政労使とかおやりになっているんだろうというふうに思います。

 参議院の予算委員会での麻生大臣の答弁というのが、率直におっしゃっておられています。

 今なぜ引き下げるかといえば国際競争力ということになろうかと存じます、下げて、内部留保だけためられちゃたまらないと。おっしゃるとおりだと思います。この後があります。「政労使という、ちょっと連合の代わりに我々が団体交渉をやるのはいかがなものかなと思わないでもありませんでしたよ、正直なところですけどね。だから私、正直に申し上げましたから、御本人にも。」こうおっしゃっておられるわけで、法人税の引き下げというのは、やはり競争力であって、賃上げとそういったものというのは別の努力をされておられるんだということを整理していただきたい。

 そうなると、法人税の引き下げというのがかなりコストがかかるというものに対して、企業との関係ももちろん重要でありますけれども、本当に、復興法人税も廃止をして、今五%の引き下げが具現化をしたところで、その効果によってどれだけ投資が来るのか、国内への回帰の投資があるのかといったことも見きわめないで、また、今から間違いなく、ことしも、今年度改正でも引き下げて、この先も下げるんだということを決めようとしておられるというか、与党の税制大綱の中ではもうほぼそれを決めておられる。

 私から見たら、これは法人税の引き下げが目的になっておることはないですか。この道しかないということではなくて、本当に経済の好循環を目指す、競争力を上げるために、もうちょっと、個別の政策減税であるとか。我々も課税ベースの拡大と言ってきました。でも、いろいろやはり今の限られた財政状況を考えると、単純にただただ課税ベースの拡大ということではなくて、有効な政策減税もあるのではないかということを考えると、法人税の引き下げを来年度以降もおやりになる予定だからこそ、今ここでお聞きをしています。

 本当にそのことだけが改革だ、そのことだけがいい方法だというふうに凝り固まるのは、一度見直していただいた方がいいのではないですか、そういう思いで質問させていただいています。

甘利国務大臣 具体的な見通しを立てて、法人税を引き下げますと言うことが、海外投資家、国内外の投資家に対してのアピールになっているわけです。五%以上引き下げて二〇%台にしますというのを、途中でやめますと言ったら、恐らく投資家にとっては、政策を変更するのかということになろうかと思います。

 海外の投資家にとって、日本に投資する際の魅力は何かといえば、そういう方向が出ていることということになっているんだと思います。もちろん、各種政策減税も、競争力を強化する方にシフトして、めり張りをつけて設計をしているわけであります。

 先ほど、成果をどう還元するかは別次元の話と。

 確かに、直接、法人税減税自身にかかわってくることよりも、間接的にそれらで得た利益というものを経済を回していく循環に使っていく、そうすれば結局また自分にも返ってくるという理屈であります。

 政労使というのは、それぞれ経済の好循環にかかわる三者が何ができるかをみんなで話し合って、共通認識とした会議であります。もちろん本来は、賃金交渉というのは労使の民事契約でありますから、政府が余り立ち入るものではない。これは、最初の一巡、二巡、三巡をしっかり回していくために、政府もできることをやります、使用者側も働く側も、日本のこの経済危機を救っていくために何ができるかを考えましょうといった結果として生み出されたものだというふうに思っております。

松本(剛)委員 先ほども申しましたけれども、今回の法人税減税だけで、平年度ですが、六千六百九十億円の減税になります。国民のお金です、これもやはり減税になるということは。

 今もお話がありました、法人税を引き下げると約束したから今さらやめられないと。法人税だけが我が国の投資環境をよくするというふうに説明をしてきたことそのものを軌道修正すべきではないんですか、これだけコストがかかってきているのであれば。

 投資環境を整えるには、さまざまなテーマがあります。そのさまざまなテーマの中で、いろいろなやり方もあります。非常にコストの高い法人税のみをターゲットにしてこのメッセージを発し続けてきたからこそ、マーケットに対してもこのメッセージを今さら引っ込められなくなってきているわけですが、これを続けていこうと思ったら、また毎年五千億、六千億というお金をどこかからひねり出さなければいけないということにもなりかねない。

 この国民のお金をどんどんどんどんそこへつぎ込むのであれば、もっと有効なやり方があるのではないか。そのことをしていくためにも、今ここで急に軌道修正をしろと甘利大臣には言いませんけれども、これをずっと言い続けて、一年、二年かけて、法人税を下げ続けなければ目的は達成できないんだというふうに凝り固まらないで、この道しかないと言わずに、こういう形で我々は日本の魅力を増しますというメッセージの出し方もあるはずですので、ぜひそう考えていただきたい。

 そうしていかなければ、これはやはり国民のお金なので、法人税減税、大変なお金ですので、お考え直しをいただくようにお進めいただきたい。

甘利国務大臣 もちろん、先生重々御承知で御質問だと思います。

 アベノミクスで投資を呼び込むというのはパッケージになっています。基本は規制緩和であります。企業が事業を展開していく際にどういう規制が問題になるのか。もちろん、それが安全にかかわるものであるならば、それにかわる安全の担保ができるかどうかも含めて、規制改革を主にしているわけであります。

 そして、同じく、イノベーション・ナショナルシステムと申し上げていますけれども、基礎研究から実用化まで一気通貫でつなげていくようなシステムをつくる。あるいは、その医療部門を切り出して、日本医療研究開発機構が四月一日からスタートをいたします。

 その先行的な取り組みとして、再生医療についてはかなり大胆な緩和をやっております。そこで世界で最初のiPS細胞による移植手術もできました。これは、規制改革を、安全にしっかり配慮しながら合理的にやってきた結果であります。

 世界じゅうからは、日本の環境が一番いいねとうらやましがられているという研究者の発言でありますから、そういうあらゆる投資環境の整備を通じて、日本を投資対象国として最も魅力的な国にしていくという作業の一環として法人税があるとお捉えいただきたいと思います。

松本(剛)委員 政策は、やはり効果とコストできちっとまず決めていく。その上で、経済ですから、マーケットとの対話も必要だということは申し上げたいと思います。

 その意味では、今、法人税改革に余りに強烈なメッセージを出し過ぎて自縄自縛になっているように私には見えるから、あえてこの機会に、幅広い形での総合的なメッセージによってやっていただきたいということを申し上げています。

 ひとつ、今後も法人税改革は続くというふうに少なくとも与党ではお決めになって、これを受けて政府も動かれるというふうに思います。財源も確保しつつということになって、課税ベースの拡大等をして財源を確保しながら法人税改革をすると言っています。

 例えば、ことし、研究開発に関する減税も、課税ベースの拡大という中で手をつけるかどうかという議論がありました。当然、これから先、さらに課税ベースの拡大をしていこうと思えば、かなり大きな減税をしている一つの分野が研究開発でありますから、そこに手をつけるという話も出てきかねないというふうに思います。

 民主党政権のときから、さまざまな減税措置というものの透明化を進めました。研究開発でかなり使っているのは、やはり、分野別でいくと化学工業ということになっていますが、化学工業のかなりの部分は、実は医薬品です。成長戦略の一つのターゲット分野が医療関係だというふうに私は理解をしています。

 そうすると、法人税改革、とにかく、実効税率という名前の表面税率ですけれども、これを下げることをやらなければだめなんだ、これをやらなければマーケットとの関係で大変なんだという状況を続けていくと、今何とか投資をするに当たってメリットも受けている医薬品産業を、今より下手したら悪い環境に置くことにもなりかねないわけですよね、研究開発減税に手をつけてそこから財源をひねり出そうとすれば。

 まさに、自縄自縛ということを申し上げているのはこういうことであって、ぜひ凝り固まらないで法人税改革を考えるべきだということをもう一度申し上げますが、甘利大臣にお答えいただいて、もう間もなくお昼ですから、総理にも感想を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 正直な話、いい指摘だと思います。全体を下げて、競争力にかかわるところをその財源にしてしまって、なくしてしまったら元も子もないというのは、御指摘のとおりです。

 そこで、私も、法人税改革をするときに、課税ベースを拡大する、これは別な拡大もありますけれども、租特の見直しということがありました。租特を、要するに日本が向かおうとする方向にシフトさせていくということが大事だと思うんです。

 そういう中で、効果の薄いものは切っていって、効果の強いところにシフトさせていく。そういう意味では、この研究開発減税、私は非常に注目しておりました。これは共同研究型にシフトをしていきます。

 我々がやろうとしていることは、上流から下流までをしっかりつないでいく、連携を強化していきたいと思っているんです。そこは削らない。ということで、政府が目指す方向がそういう方向に行っていますよというメッセージをしっかり出した中で、そっちはしっかりと確保していくということにしているところであります。

安倍内閣総理大臣 松本委員からは、この道しかないと決め打ちをして、凝り固まらないようにという御指摘をいただきました。高い御見識からの御指摘だと思います。

 確かに、私たちも、果たして効果があるのかどうかということは常に検証すべきであろう、こう思っております。

 法人税減税についても、これはさまざまな御批判を私たちもいただいている中において、これは実際に法人税減税を進めていくという難しいチャレンジではあるんですが、そのことによって日本の競争力を高めていくということについては現在のところ効果を上げている、こう思っておりますし、世界の市場関係者も、まさにそういう日本であれば投資をしようという状況が確実に生まれつつあるのも事実なんだろう、こう思っております。

 先般も私、海外から集まった投資家の会で講演をしたところでございますが、やはり関心は、この法人税の、二〇%台に入っていくことができるかどうかということも見ている。そして、国民にしっかりとその果実が、大企業だけではなくて多くの方々に均てんされていくかということも大切なんだろうな、こう思っております。

 もちろん、これは、委員が御指摘になったように、また大臣から答弁させていただいたように、競争力を上げていくためのものでありますが、同時に、政労使の仕組みを使って、我々はこれをしっかりやっていくんだから、企業側もちゃんと応えてもらいたい、経済の好循環に入っていくためには、それを内部留保という形にはせずに、ちゃんと投資もしてもらいたい、特に賃金を引き上げるという人材への投資を行っていただきたいということを我々も申し上げる中において、経済の好循環がスタートしているのではないか、こんなように思っております。

大島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松本剛明君。

松本(剛)委員 引き続き法人課税についてお伺いをしたいと思いますが、今度は、法人事業税、今回の外形標準課税の拡大についてお伺いをしたいと思います。

 資料の一枚目を、皆さん、ごらんいただきたいと思います。

 先ほども、政策の目的と効果、そして手段ということをどう選ぶのかということでお話をさせていただきました。外形標準課税の拡大も、稼ぐ力のある企業を応援するんだということであったわけでありますが、資料をごらんいただきたいと思います。

 一番右の欄をごらんいただきたいと思いますが、これは前提を置きましたが、上の方から、稼いでいる企業、真ん中の枠で囲ったところが収支とんとんの企業、その下が赤ということになります。見ていただくとおわかりのように、実は、今回の改正で一番負担がふえるのは、収支とんとんの企業ということになります。

 稼ぐ力を応援することは否定をしませんが、地方へ行っていただくとわかります。何とか収支ぎりぎりで、しかし、雇用を維持しながら仕事をやって、製品、サービスを送り出している。こうやって継続している企業というのも大変重要な存在であります。

 結果として、今回の改正は、そういう頑張って継続している企業に一番負担増を押しつけるということになってしまうわけでありますが、この辺の理解と整理をどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

高市国務大臣 今回、所得割の引き下げと外形標準課税の拡大等を内容とする法人事業税の改革でございますけれども、これは、法人税改革の一環としまして、企業の稼ぐ力を高めて、法人事業税を、成長志向型の構造に変えていくということを目指して、法人実効税率の引き下げを税収中立で行うものです。全体として、税収中立という中で、どうしても負担減となる大企業がある一方で、負担が増加する大企業もございます。

 今、松本委員御指摘のとおり、収支が均衡する大企業の負担が相対的に大きくなるという傾向がございますけれども、こうした収支均衡を持続できる大企業というのは、底力もあると考えられますので、こうした大企業がより稼ぐ力を高めて所得を増加させるように取り組むことを後押しする効果を今回は期待いたしております。

 さらに、こうした改革に一定の期間を要することもございますので、事業規模が一定以下の法人については、法人事業税の改革により負担増になる場合は、時限的にその二分の一を軽減するという措置を講じることとしております。

 赤字や収益の低い大企業も、業績が向上すれば税負担が軽減されていくという形になっておりますので、私は、所得を増加させる努力のインセンティブというのは日本経済全体の成長につながっていくものだと考えます。

松本(剛)委員 お答えになったようで、お答えになっておられないんです。

 稼ぐ力があるところを支援しよう、稼ぐ側に回ろうということは、確かにこれを見ていただくとわかります。しかし、そのしわ寄せというか、税収中立のものを、赤字よりも収支均衡でぎりぎり頑張っているところに集まっているんですよ。

 ですから、私が申し上げているのは、外形標準課税の今回の改正、そして、今後ももし外形標準課税を拡大するとすれば、同じ設計を続けるということでは、やはりどこに一番負担が行くのかということを考えて、効果を考えていただきたい。

 地方では、やはり頑張っているところというのは、頑張って収支均衡に持ってきているところもあるんですよ。そういったことを考えていただくと、上の方ばかり見ずに、真ん中も見て、下も見て、きちっと負担の分担ができるような形にしていただきたいということを強く要請しておきたいと思います。

 もう一つ、外形標準課税については、資本金一億以下のところに適用するかどうかということについては、与党の大綱では、一律に一億以下を対象とするのかどうかということを含めて、引き続き幅広い観点から検討するとなっております。

 今まで政府側の御答弁も基本的にこのラインで御答弁をいただいていると承知をしておりますが、まさに景気をこれから地方にも届けて、よくしていこうというときであります。中小企業も一番心配しているときなわけでありますから、安倍政権では中小企業にやる気はないとか、このぐらいの答弁をいただいてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 今回の法人税改革は、国際競争を担う大法人を中心にということで、大法人について外形標準課税の拡大を行ったところです。

 今後、中小企業についてどう考えるのかということですけれども、与党税制改正大綱におきまして、中小法人の実態はまちまちであることから、その実態を丁寧に検証しつつ、資本金一億円以下を中小法人として一律に扱うことの妥当性について検討を行うとされたところであります。

 現在、資本金一億円以下は対象外ということですけれども、対象になっているのは全法人の一%しかない。しかし、資本金一億円以下だから必ずしも所得を上げていないとか、そういうわけではない。さまざまな実態があるかと思います。

 今後、適用対象法人のあり方についても、この大綱の中で、地域経済、企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行うとされたところですので、この方向に従って検討を続けていくことになると思います。

松本(剛)委員 法人税改革だと、極めてシンプルに二〇%台を目指すと断言をするんですけれども、中小企業のことになると急に作文のような言葉になってしまうわけで、どちらを大事にするのかということからしても、ぜひそこはもう一度強く要請をさせていただいて、次のテーマに入りたいと思います。

 自動車関係の税の話に入りたいと思います。

 資料の二枚目、ごらんいただくと、これは同僚の議員も使ったパネルですので、もう中身は皆さん御存じのとおりだと思いますが、いかに自動車にいろいろな税がかかっているかということの表であります。

 最初にこれを提示させていただいたときも、恐らくテレビをごらんの方も字が小さいという批判があるだろうけれども、小さくせざるを得ないぐらいいろいろな税がたくさんかかっているんですよという話をさせていただいております。

 ちょっともう一枚、資料をおめくりいただきたいと思います。

 これは、自動車工業会さんがおつくりになった資料です。おおむね百八十万の車を買って十三年間使うと、もろもろの経費も含めてでありますが、二百三十万ほどお金がかかる。税だけでいきましても、大体百七十万以上の税を払うことになるということになっております。本当に自動車に払っている方々にそれだけのお金をかけるべきなのかということであります。

 今ごらんいただいたのは八%のときの負担でありますが、もう一枚めくっていただくと、五%のときです。

 五%のときでも、これは使用年数を一年短く、計算になっていますが、二百四万。

 取得のときの税だけ見ていただいても、実は、いろいろ下げてきていただいていますが、消費税が上がった分を考えると差し引きプラスになっているということで、大変自動車に関する税は高いという認識をぜひ共有していただきたいと思っております。

 また、もう一枚めくっていただくと、軽自動車の県別の保有台数です。

 これは皆さんもよく御承知のとおりであります。昨日の本会議でも、自動車がいかに地方にとって大切な足かということが指摘をされておりました。軽自動車の場合ですけれども、東京は一世帯当たり〇・一ですが、一番多い県は一を超えています。かなりの県がやはり一世帯に大体一台というふうに、軽だけでも見ていただいていい、生活に必要な足になっているということであります。

 生活のために重要だという認識、総理に一つ一つお伺いをしようと思いましたが、ちょっと時間が限られていますので、認識は共有いただけるものと。本会議でも石破大臣からも同様の認識をいただきましたので。

 次は、産業の面から、経産大臣にもお伺いをしていきたいと思っております。

 自動車産業というのが製造業として日本の重要な産業であると同時に、日本の自動車の国内市場というのも、製造拠点を維持するという意味からも、また国内市場そのものが産業としての意義があるという意味からも大変重要であると思っていますが、今回の消費税の引き上げで、売り上げもかなり下がってきております。ぜひ応援をすべき分野ではないかというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 資料にもお示しいただきましたけれども、自動車産業の出荷額は約五十兆円、全産業の二割でございます。そして、輸出額も全輸出額の約二割ということで、大変重要な産業でありますし、五百四十七万人に上る雇用を支えている、日本で一番大きな、重要な産業であります。

 非常にその重さというのがよくわかりましたのはリーマン・ショックのときでありまして、あのときに、最初は、金融の問題、銀行の問題ということで、我が国に対する影響は大したことないだろうという見通しでありましたけれども、結局、ヨーロッパで、アメリカで車が売れなくなった結果、世界的に見ても日本が一番大きな被害をこうむった。同じような経験を大震災のときにもいたしました。

 さらに、プラスで認識しましたのが、まさにアベノミクス第一弾でありまして、円安になる、輸出が伸びる、自動車の輸出が伸びるということで、まさに、アベノミクス第一弾のスタートダッシュにとって自動車産業というものは大変大きな役割を果たしたと思っております。

 そして、委員おっしゃるとおりでありまして、日本は大体一千万台弱の車を製造しておりますけれども、そのうち国内で半分、海外で半分。海外で売っていればいいじゃないかという話ではなくて、国内で売れるということがまさに国内に立地している大きな理由でありまして、国内で売れるようにするということが、まさに日本の経済にとって大変大事なことだと思っております。

松本(剛)委員 認識を共有させていただいたので、先ほど法人税の減税のところでもお話をさせていただきました、やはり応援をしていくべき分野というのをまさに減税して負担を軽減し、しかも、この自動車関係の税というのは、製造業であったり販売業を直接減税するものではないんですね。今、これから議論になっているのは、自動車を利用している方々が今負担をしていただいているもの、これは生活にもかかわるから、冒頭申し上げさせていただきました。

 その意味では、我々からしたら、財源を引っ張ってこなければいけませんけれども、その上で、自動車に関する税について負担を軽減する方向で検討することは、応援をすべき産業の分野にプラスになり、また地方を中心に生活の応援をすることにもなる。まさに、効果のある政策としてこれから取り組んでいただきたいと思っています。

 そういう中で、軽自動車の税がこの四月から引き上げられることになります。

 先ほどごらんいただいた資料を一枚めくっていただくと先ほど経産大臣が御答弁いただいた内容ですが、その次をめくっていただきますと、国内の新車販売台数の推移というのを出させていただきました。

 一部で、何で軽自動車を上げるんですかと言ったら、軽が売れ過ぎているからだ、軽の割合が四割を超えているじゃないか、こういうお話をいただきましたが、これをぜひ見ていただきたいんです。

 確かに軽は頑張っていますが、長い目で見ていただいて、どちらかというと、横ばいか、少しふえている程度で頑張っている。むしろ登録車が落ちてきていることが問題なわけでありまして、先ほど宮沢大臣からも、国内で売れるということが製造にもやはり大事なポイントであるというお話がありました。

 我が国は、残念ながら、人口が減りつつあり、世帯数も減少の域が近づいてきているという状況になってきておりますので、むしろ積極的に応援をしなければ、当然、こういうじりじりと減ってくるという現象から免れ得ないわけであります。

 そういう中で、軽が売れているということを理由に軽に負担をふやすということであれば、普通は、負担がふえれば売れ行きは下がるんです。登録車が下がっている中で、何とか頑張っている軽まで下げたら、全体が減ってくるじゃないですか。

 政策の方向と逆だと思いますし、なおかつ、地方で暮らしている多くの家庭にとっては、軽が一台目の家庭もありますけれども、二台目、三台目の家庭もあるわけですから、ここで軽自動車の税を引き上げるということは根本から見直していただきたいと思っておりますが、総務大臣、軽自動車を引き上げた所管の省庁として弁明を伺いたいと思います。

高市国務大臣 軽自動車については、公共交通機関が不十分な地方でまさに生活の足として使われているということは、私も奈良県におりますし、十分承知をいたしております。

 他方、地方の方では、やはり自動車に関連する道路ですとか橋梁の整備、維持管理などの財政需要も非常に大きいということ、それから、軽自動車と小型自動車について税負担の均衡を欠くのではないかといった指摘もございました。

 以上のような事情を踏まえまして、平成二十六年度の税制改正においては、税制抜本改革法、これは民主党政権時代に成立したものでございます、この法律に基づいて、自動車税制全体について与党税制調査会で議論を行いました。軽自動車税については、地方団体の要望等も踏まえて、小型自動車等との負担の均衡を図る観点から、税率を引き上げるとされたことでございます。

 その際に、軽四輪車につきましては、平成二十七年度以降に取得される新車から税率を引き上げる、それから、平成二十七年度税制改正において、グリーン化特例を講じるということとされましたので、所要の法案の審議をちょうどお願いしているところで、負担の軽減にも十分配慮するということにしております。

松本(剛)委員 大臣はよくおわかりだと思いますけれども、新車の分は、政府側の税収の見通しでいけば、これから毎年六十億円の増税になっています。これがずっと積み上がっていきますから、十年使えば六百億円の増税になります。グリーン化の分は、単年度で五十一億円でありますから、一桁違うことをされておられるわけであります。

 小型車との均衡という話もありましたが、均衡は差を縮めればいいわけであって、軽を引き上げるという、軽をたたきにいく必要があるんですか。もちろん、地方の自治体の財源の問題もあります。ここからが政治じゃないですか。

 今、宮沢大臣にも確認をしていただきました。地方創生も今看板に掲げておられる、地方の生活も応援をしなきゃいけない、そして、自動車産業も応援をしなければいけない。その応援をしなければいけないのであれば、そこにどうやって財源を引っ張ってくるかというのが政治であって、そこをしっかりと引っ張ってきて、そして自動車産業も地方も応援をする。

 今のままでは、一つの小さな枠の中でやりくりをしていくから、増税をしているのか減税をしているのかわからないような形になって、結局、地方や自動車産業にしわ寄せが行くということになっているわけであります。

 自動車の車体課税についてお伺いしなきゃいけないことがたくさんあるんですが、もう一度ちょっと三枚目に戻っていただいて、四枚目かな、消費税五%時代の税負担というのがありますが、左端を見ていただいたらというふうに思います。

 自動車取得税八万一千円と書いてあります。消費税九万円というふうに書いてあります。これは五%のときです。

 取得税をなくそうという話がありますが、この八万一千円がなくなる。四と書いてあるところですね。今、百八十万の車を買って、取得税が八万一千円です。消費税が九万円です。消費税が一〇%になったら、消費税は十八万円になります。九万円負担がふえます。取得税が八万一千円減っても、差し引き九千円のプラスであります。

 地方の財源の関係でということで、取得税にかわって、自動車税の環境性能課税ということで実質的にこの穴埋めをしようという話も出ています。これも、結局、自動車の負担をふやすことになってしまうんです。

 応援をしなければいけない分野の負担を、実は、横ばいどころかふやしているんだということの認識を持っていただいて、今後、車体課税の見直し、二十八年度、取り組むということでありますが、しっかりやっていただきたいということを御要請申し上げたいと思います。

 総理、ここまでの経緯ですけれども、ぜひそういうことで、その分野を応援していただきたいと思いますが、御答弁をいただけませんか。

安倍内閣総理大臣 車体課税については、今、状況については既に委員から御説明がございましたが、税制抜本改革法第七条において、簡素化、負担の軽減及びグリーン化の観点から見直しを行うとされておりますが、あわせて、安定的な財源を確保、地方財政への配慮といった点も規定をされています。

 自動車関係諸税については、こうした法律の規定や、与党の税制改正大綱を踏まえ、今後の税制改正において検討をしていくことになると考えております。

松本(剛)委員 総理が触れましたように、法律にも、負担の軽減と書いてあるんですよ。これは今、負担の増加になっているんです。そのことをぜひ御認識いただいて、法律どおり負担の軽減をするためには、財源が要ります。ですから、先ほど冒頭にも総理にも、税をどう使うのかというのが大事だとお話をしました。

 法人税六千億、大変な財源が使われているわけでありますが、ここに、有効にきくところにしっかり応援をするということが行われていないどころか、負担増になっている中で、本当にその使い方でいいんですかという問題提起をさせていただいて、複数税率のテーマに移りたいと思います。

 先ほど古川委員からもお話をさせていただきましたが、私の方は、複数税率を入れて一部のものの税を軽減した場合には減収になると。

 八と書いてある資料をごらんいただきたいと思います。

 既に何度か議論がなされていますが、最も考えられる一つのパターンとして、全ての食料品からお酒と外食は除きましょうという形でやる。これはわかりやすく五%にさせていただきましたが、五%減収するときに、これをいわば一〇%と五%にすると、二兆四千七百億のお金が、想定をしたよりは入ってこなくなるということであります。

 このお金はどこで補うのか。麻生大臣も、減収分、例えば二%なら、二・七%上げていただかないと穴が埋まらないという御答弁をされておられました。消費税を増税するんでしょうか。消費税を増税しなければ、どこかで歳出削減をしなければいけないということになります。

 社会保障の使い道は決めているはずですが、例えば、二兆レベルの歳出というのは何があるのか。まさに今問題になっている介護保険の給付費、国が保険を応援しているお金が全部で一兆七千億ということになります。これは国民の皆さんにも一緒に考えていただかなければいけない。

 我々国会議員もみんな買い物をします。八%、決して安いとは思いません。食べ物だけ安かったらいいなという気持ちは非常によくわかります。しかし他方で、では、例えばその歳出削減を介護給付費で行ったとすると、今の介護給付の自己負担をふやさないと保険の会計は回らなくなる。どちらを選ぶのかということを考えなければならない。

 そして、もう一つ、効果ということで、この参考と書いてある真ん中のところを見ていただくと、二千二百八十億、これが今行われている子育て世帯の応援も含めた簡素な給付措置であります。もうちょっと厚くやっていただきたいと我々は思いますが、ある意味での、これは、給付つき税額控除にかかる、ピンポイントで所得の低い方々を応援するのにかかる費用と桁のレベルは一緒だと思ってください。一桁違うんですよ、かかるお金が。どういう影響があるのかということをやはり考えていただきたいと思っております。

 ましてや、逆進性の効果についても先ほど古川議員から御指摘がありました。ぜひ、政府においても、法に定めたとおり、複数税率の検討をやめてくれと我々は申し上げているわけではない、ただ、給付つき税額控除についてもしっかり検討していただきたい。

 特に、複数税率は、今申し上げたように効果に議論があります。税収に議論があります。本質的な問題であります。

 給付つき税額控除は、把握も容易ではないし、公平性という意味では決して簡単にクリアできるとは言いません。言いませんが、税を所管するという意味からも、また、さまざまな制度でも所得によって線が引かれているものはたくさんあるわけですから、所得が把握できない、だからやらないということは理由にならないと私は思います。

 執行面の問題があると言われる。だからこそ、早く検討して、執行面の問題をクリアできるような体制を整えるべきであります。法にも定められておりますし、与党での協議を踏まえてというお話ですが、政府として、ぜひ、やはり税を預かる、歳入も政府の重要な責任でありますから、検討する、このようにおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 先ほども古川先生の御質問にもあっておりましたけれども、この給付つきの税額控除につきましては、間違いなく、軽減税率よりも低所得者に絞った効率的な支援が可能になるという議論があるのは間違いない。先ほど申し上げたとおりです。

 軽減税率になった場合はいろいろな難しさがあるというのは先ほど申し上げたとおりですが、一方、こちらの方も、所得の把握とか資産の把握とか執行面での対応の可能性というのは、ちょっとこれも考えないかぬところもいろいろありますというのも確かです。

 だから、両方とも、いいところもあれば問題もあるということだと思いますので、いずれにしても、これは、一昨年の二月の三党合意で、低所得者対策につきましては引き続き協議を行うということにされておりますので、お尋ねの給付つき税額控除につきましても、これはもう当然のこととして、一緒に検討させていただかなきゃいかぬ問題だと思っております。

松本(剛)委員 政党間の協議は、私も当事者でございました。どこまで申し上げるべきかは考えながら申し上げますが、複数税率についても、かなりはっきりとした立場をお持ちの政党もおありです。与党という枠組みと、三党という枠組みもございます。そういう中で、私は、しっかりテーブルの上に三党でのせていただくということはぜひやっていただきたいと思います。

 同時に、その意味では、党の総裁である、総裁にお願いをしておかなきゃいけないと思いますが、同時に、やはり歳入歳出の歳入の部分も政府の重要なテーマでありますから、ましてや執行の問題も、複数税率には含まれています。これは、ぜひ政府で、法にも定められているので、両方ともしっかり検討を始めていただきたい、お約束をいただきたいということを繰り返しお願いしていますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは、軽減税率、複数税率と言ってもいいんですが、それと給付つき税額控除については、これは両方とも、当時の自公民で検討していくということになり、今日に至っておりますし、自公の、与党の今度の税制改正大綱等においても、検討していくと。

 その検討していく上において、それぞれの課題は指摘されておりますが、当然、検討していく上においての検討の材料というのも、政府として要求されれば出していくということではないか。それは、政府として検討というよりも、まずは与党で検討していきますので、その検討に資するものについては、それは求められれば当然提出をしていくということになるのではないかと思っております。

松本(剛)委員 終わりますが、与党では複数税率の検討をされているとしか私は承知をしておりませんが、最終的に歳入は政府の責任でありますし、法の七条にも記されているわけですから、政府としてもぜひ検討をされるべきであるし、そのことについてやられないのは、責任をきちっと果たしていることにならないのではないかということを指摘して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、馬淵澄夫君から関連質疑の申し出があります。後藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 総理、きょうは、集中審議、経済の話、この政策の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 私自身は、初当選の二〇〇三年以来、昭和恐慌研究会、こういう会がございます、そのメンバーの皆さんと交流を深めてまいりました。これは、当時、学習院大学教授であり、そして現在は日銀の副総裁の岩田規久男先生が編著者として出されました「昭和恐慌の研究」という著書がございます。そのいわゆる執筆メンバーの皆さんと、私自身、研究会を通して交流を深めてきたわけであります。以来十二年間、私は、リフレーション政策を研究してきたという意味で、マクロ経済政策については、恐らく我が党で最も古いリフレ政策、リフレ派を自任している者であります。

 したがいまして、デフレ脱却の重要性、この一点につきましては、私自身は、総理と認識をともにするものであるというふうには思っております。

 そこで、きょうは、総理がデフレ脱却のために推進すると言われているアベノミクス、これと消費税との関係についての議論をしていきたいというふうに思っております。

 そこで、まず冒頭に総理にお尋ねいたしますが、端的に、アベノミクスと消費増税、これは両立するものとお考えになられているでしょうか。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 デフレ脱却に向けて進んでいく上においては、消費税を引き上げていくというのは、確かにこれは足かせになるのは事実でございます。

 しかし、同時に、我々は、もう既に累積をしている債務に対して責任を負っているわけでございますから、財政の健全化も図っていかなければいけない。大切な社会保障制度を守っていくという観点から、いわばその中において両立をさせていくということで、我々はこの道しかないというふうに考えております。

馬淵委員 繰り返し総理が、これは車の両輪で進めていく、このように答弁されているのも承知しております。

 しかし、本当にそのような取り組みになっているんであろうか、また、総理やあるいは政権の方々が気づかない間に政策がねじ曲げられてはいないか、また、本来の姿と違ったりはしていないのか、こういった観点。特に、三本の矢というふうに称しておられる、その総理の考えというものを、それぞれ各分野、さまざまな方々が自分たちのいいように自己都合で解釈をしてはいないか。こういったことを、私は、それこそ、成果という中で、うまく自分たちのための、自己実現のために使ってはいないかということを少し確認していきたいと思います。

 そこで、増税後のアベノミクスの成果の伝え方について確認をしていきたいと思います。

 皆さんのお手元には、資料の一から四、お配りをしておりまして、テレビをごらんの方には、この一の資料、パネルをごらんいただきたいと思います。

 これは、「やわらか成長戦略。」と官邸の方でホームページも出されておりますが、この成長戦略、これを語る中で、どういう成果が出たかということを示されたものであります。

 「成果、続々開花中!」とこの右肩にありまして、十の視点から成果がまとめられています。そして、その成果として各指標が挙がっているわけでありますが、プラス、あるいはその数値を超えている、あるいは高水準などの言葉が並んでいます。

 これをごらんいただきますと、右下に、二〇一四年四月一日時点とございます。お手元には、この後、随時新しくなっていくわけでありますが、二〇一四年の六月二十七日、あるいは、ことしに入って一月三十日、二月二十日という直近のものもあります。

 こうした十の指標の中で、実質のGDPの成長率を見てみますと、この四月一日時点、これはちょうど消費税が上がった時点なんですね。実質GDPはプラス二・六%成長、このように書いてあります。前年同期比ということでありますから、政権が我々から交代をしてちょうど一年たったところでの同期比ということであります。プラス二・六%、一年間の成長をここで表現されているということであります。

 この成長率そのものは、近年のGDPを見れば、高い水準であるというふうに私も思います。

 そこで、この確認をさせていただきたいんですが、済みません、甘利大臣、恐縮ですが、この二〇一四年四月一日時点でのこの成果報告にある実質GDP、この公表データというのはいつのものでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 これは、二〇一四年の三月十日公表のものです。

馬淵委員 これは、二〇一四年三月十日公表データ、ちょうど前年の十月から十二月期のいわゆるGDPの二次速報値を用いて出したものです。

 そして、続いて、六月二十七日時点のホームページ、これの成果報告、これを見ていただきたいと思います。二で、パネルも用意しております。

 こちらを見ますと、このGDPの表記に関しては、今度はこれは若干変わっているんですね。実質GDPが累計のプラスの四・二%成長、このように書いてあります。

 そこで、改めて、これも公表データの日付をお尋ねいたします。甘利大臣、この六月二十七日時点でのこの成果報告、実質GDP、これはいつのものでしょうか。

甘利国務大臣 六月二十七日に掲載したものは、公表日は二〇一四年の六月九日であります。

馬淵委員 ありがとうございます。

 六月九日の公表データというのは、ちょうど消費税が上がる前の二〇一四年一月から三月期のGDPの二次速報値を用いて出したものです。

 そして、累計とありますのは、これは同じ期間を見ているわけではありません。これはちょうど、二〇一二年の七月から九月期と、二〇一四年の一月から三月期、これを比べて、累計、ずっと足し合わせて四・二%成長ということです。つまり、一年半、十八カ月かけての成長の数値なんですね。

 したがいまして、この累計で四・二%成長ということでありますが、これは当然、前の表記、一年間の成長率と、これは十八カ月ですから、変わってきます。これを年率に直しますと、二・八%になります。

 なぜこのように表記を変えたのかということでありますが、二〇一四年一月から三月期というのは駆け込み需要があります。そして、成長率が大きく上振れるわけですね。それによって助けられた成果があるわけですが、期間を一年から一年半に変えたことによって、これは、基準が二〇一二年の十月から十二月期、そして二〇一二年の七月から九月期に変更されています。こうして変えることによって、数値を高くすることができる。つまり、事前の駆け込み需要のところを、ここの数値に入れ込んでいるということなんです。

 こういうことがその後も、実は、先ほど申し上げたように、一月三十日の官邸のホームページでも同様のことがなされております。

 一月三十日のデータですが、これは、パネルはございません。皆さんの資料に、三を見ていただきますと、ここでは累計で二・九%成長、こう出ています。

 これも、二・九%成長とありますが、これは前年の九月八日公表データ、これをもとに書かれたものであります。一月三十日に、前年の九月八日のものを使っておられるんですね。(発言する者あり)

 しかも、これは、今指摘もありましたように、比較の期間も一年半、十八カ月、そして二四半期分に当たる六カ月の平均をとっています。これをやることの意味ということを考えますと、いわゆる反動減と駆け込み需要、これをならして、数値が高く出るようにということを考えられているのかなというのが想像できます。

 パネルの三というのをごらんいただきますと、このような形になっています。

 つまり、成果がどんどん出ている、官邸ではこのように表明され、発信をされているわけですが、実際には、二〇一四年、最初の段階、二・六%は確かに高い水準を示したんです。しかし、消費税を上げていくという段階になって、これを見ていただきますと、二〇一四年の六月二十七日の段階、四・二と書いてあるのは、これは実質二・八なんです、年率換算では。さらには、一月三十日、前年の九月のを使って一・九%、これが年率換算です。

 しかし、もっとひどいのは、一月三十日の時点では、二〇一四年の十二月にGDPが公表されているんですよ。十二月八日です。これは、ちょうどあの解散をめぐる、いわゆる速報値、十一月に出る速報値なのか、あるいは改定値なのかという議論があったそのデータ、これが十二月八日に出ています。出ているにもかかわらず、九月の数値を使って二・九という数字を出しているんですね。実質GDP、これを年率換算しますと、〇・六%になります。

 これはやはり、官邸といいますか、アベノミクスを推進して続々と成果を出しているんだと言いながらも、実は、実態としては、こうした正直な状況を国民の皆さん方に知らせていないということになりかねない、私はそう思います。

 特に、これは、「やわらか成長戦略。」ということで、一般の方々、恐らくは主婦や、あるいは場合によっては学生さんやお勤めの方々、こういった方々にも手にとっていただけるようなものにつくり上げていると私は感じる、そういったソフトなものになっています。にもかかわらず、数値は、今申し上げたように、実際の年率換算とは違う、非常に高目の数字を出している。

 これは、いわゆるV字回復を果たすんだ、昨年の四月の消費増税後、景気は回復していくんだ、アベノミクスでV字回復を目指すのだとおっしゃりながらも、実は、一方で実質成長率が下がり続けているということ。もちろん、データは出しているんだということで、隠したとは言わない。しかし、一般の方々に見ていただくものはこのように変えているということなんですね。

 このように都合のいい数字に置きかえられている、こうした成果を報じているということについて、総理、これは総理御自身は御存じでしたでしょうか。いかがですか。(発言する者あり)

安倍内閣総理大臣 私自身は、きょう初めてこれは拝見させていただきました、私も忙しいですから。

 しかし、今いろいろな粉飾とか虚偽とか言っていますが、これはみんな数字としては事実ですし、説明は……(馬淵委員「総理、私は言っていませんよ」と呼ぶ)馬淵さんは言っておられませんが、こちらの方から不規則的にそうした発言が出ています。

 しかし、これは数字としては事実であって、ただ、ほかにもさまざまないい数字が出ているわけですから、そんな別に無理する必要は全然ない、私はこう思っているわけでございまして、そこは、どうしてこのとり方がちょっと変わったということの御指摘だろうと思います。

 それは、消費増税を契機として経済成長が大きく変動している状況の中においては、ある程度の期間をとって平均的な経済の状況を捉えることで経済の実態をより適切に反映することができる、こういうことでございまして、これも一面の真実でありますし、数字自体は事実であるということは繰り返し申し上げておきたいと思います。

馬淵委員 総理、私は質問の中でも、期間を多くとっているというのは、ある意味そこを平均的にならしてということも考えられると私自身申し上げていますし、私は粉飾などとは申し上げていません。

 繰り返し申し上げますが、政策を進めようとしているときに、一方でその効果の外向けの発表がねじ曲げられてはいないか、私はそういうことをこの委員会の質疑の中でただしていきたいというふうに申し上げました。このように、実際には官邸の発信の数値が、これは私、ある意味、多くの国民が誤解を招くような数値になっているのではないかということを、まずエビデンスとしてお示しをしたい。

 逆に言えば、私は、消費増税とアベノミクスというこの政策が果たして両立するのかということを、一つの命題としてこの審議の中でお尋ねをしたいと思っているんです。

 先ほど総理は、両立するとおっしゃる、つまり、これは二本立て、車の両輪のように前に進めるんだ、こうおっしゃいますが、一方で、数値をどうしても正直に出しにくい状況が起きている。私はこれが、一方の、アベノミクスと消費増税というのが両立するということをなかなか言いにくいという状況が起きている、数字を変えなければならないということが、そもそも両立は困難だということのエビデンスなのではないかということを一つ指摘したいと思います。

 その上で、先ほどのパネル一にちょっと戻りますが、このパネル一、二も一緒ですが、一緒というのは、項目は同じなんですが、もう一つは、消費支出のところを少し見ていただきたいと思います。ここには、「六年ぶりに増加率一%超え」というのがあります。

 消費支出も確かにふえているということで、皆さんのお手元には資料六をつけました。これは総務省の統計局の家計調査の年報からなんです。

 確かにこれは、ここにあるように、「六年ぶりに増加率一%超え」とあります。資料六をごらんいただくと、二〇〇七年以来、二〇一三年一・一%ということで、二〇〇七年が一・二%、それ以降はマイナスやあるいは〇・三、〇・二というところで消費支出が非常に低迷していた。これが六年ぶりに一%を超えたということ、これは事実であります。

 しかし一方で、本当にこれが、超えていってさらに消費支出がふえていくのかということを示しているようなデータかというと、私はそうではないなというふうに思っております。

 パネルの四を少しごらんください。これは皆さんお手元の資料七でありますが、先ほど申し上げたように、ホームページはどんどん更新されていきます。前のは消えていってしまっていますが、これはずっと変わらずに、消費支出に関してはふえていますよと、これをそのまま掲載されているんですね。

 実態はどうかというと、総務省の統計局での家計調査があります。確かにこちらは、アベノミクスの三本の矢の効果、成果を書いているところは、これは家計の中での総世帯を基準としていますが、一方、総務省統計局の家計調査、これは総世帯ではありません。これは二人以上の世帯ということでありまして、直接比較することには整合性がないと御指摘いただくかもしれませんが、しかし傾向は見えると思います。

 これを見ますと、明らかに、消費税が上がった段階から消費支出というのは当然落ちていくわけですね。少なくとも一月三十日現在、これは一月三十日の直近の数値は、昨年の十二月の家計調査月報の数字、これはマイナス三・四、大幅にマイナスなんですよ。まだまだ消費が上がらない状況にあります。

 こういう状況を見ますと、やはり家計に対しては非常にこの消費税が大きなインパクトを与えているということになります。

 資料の十一には、過去の消費税の導入時との比較ということでの折れ線グラフがありますが、これをごらんいただいてもわかるように、導入時の八九年、そして、消費税率三%から五%への引き上げの九七年、さらに昨年の四月、二〇一四年、これをごらんいただいても、落ち込みが大変厳しいんですね。厳しい落ち込みがある。

 この状況の中でも、政府は、消費増税に伴う反動減は一時的であり、日本経済はV字回復する、こう言い続けておられます。

 これはやはり私は、かなり宣伝の仕方としては問題があるんじゃないか、無理があるんじゃないか、このように思いますが、これは、甘利大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 委員御指摘のとおり、消費税を導入すれば、それは消費の下押し圧力になりますから、導入以降は当然消費は減るわけです。

 それが回復してきているのかどうか、それが過去のトレンドとどう違うのか、これは委員御指摘の十一番のパネルに表がございますね。過去は、前回は二%ポイントを上げました。今回は三%であります。ですから、この山谷を見ますと、山が高い分だけ谷が深くなってきています。そういう変化はあると思います。

 ただ、委員が御指摘の表を見ても、回復トレンドは回復してきています。深い分だけ、下から上がってきていますけれども、回復状況は、前回は途中で金融危機がありましたから失速しましたけれども、その前までの基調を、マイナス幅はありますけれども、トレースしているというふうに理解をしていいのではないかと思います。

馬淵委員 今大臣は、少なくとも二〇一四年五月の段階からはマイナスの幅が徐々に減っているということを御指摘されているんだと思います。私もそのことは否定はいたしませんが、しかし、まだまだ消費支出は、少なくとも上振れている状況ではないんですね。まだまだ厳しいマイナスの状況にあるということは間違いない。

 そして、その上で、これからなんだということをおっしゃるのかもしれませんが、これからだと言ってきた今日までの安倍政権の経済の見通しというのが果たしてどれほど的確性があったのかということが、やはりそこは問われるんだと思います。それは後ほどちょっとお尋ねをいたしますが。

 今申し上げたように、消費支出に関しては、少なくとも外向きに発信している数値、一%を超えていますよ、そういう話をいつまでもずっと同じ数字を出しているのではなくて、これは明らかにマイナスなんだということはしっかりと伝えなければ、消費税のインパクトがどれほど影響があるかということについてミスリードしかねない、私はそのように思います。

 その上で、では、本来の実質GDP、これはどういうものかということについて申し上げたいと思いますが、これは先日、二月の十六日です、昨年の十―十二月のGDPの速報値、これが発表されました。報道では、二四半期連続マイナス成長からようやくプラスになった、このように報じる向きもあります。

 これは資料十二にあります。第一・四半期がマイナス一・七、そして第二・四半期がマイナス〇・六、昨年の十―十二月にプラスの〇・六に転じたということであります。

 しかし、これは見ていただくとわかるように、七―九のマイナスを打ち消したにすぎません。したがいまして、これはまだまだ厳しい状況が続いているということです。

 GDPは、このように見ていきますと、プラス方向、プラス方向を報じようとしているけれども、実態をきちっと伝えなければならないということがある、私はこのように思っておりまして、なぜこうしてプラス、プラスと叫ばなければならないかというと、やはりこれは、実は消費税のインパクトというものがアベノミクスと称される政策となかなかに両立しにくい、整合がとれない状況が起きているというその証拠になるのではないか、私はそのように感じるわけであります。

 総理、今までの私が指摘したことに対して、改めていかがでしょうか。両立ができるというお考えだというふうに承りましたが、今までの議論の中で、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、馬淵委員御指摘のように、消費税を引き上げていくということは、最初に申し上げましたように、デフレから脱却をして、経済を成長軌道にしっかりと乗せていく上においては、これは当然、可処分所得を減少させるわけですから、経済にマイナスになる。そのために我々は経済対策を打ったわけでございます。

 確かに、我々の想像以上に、駆け込み需要もあって、山もある程度大きくなったんですが、谷も深くなったのも事実でございますし、七―九にもその影響が残ったということも、これは、ある程度予測よりも消費が落ち込んだということは大きかった。

 だからこそ、消費税の再引き上げを十八カ月延長したということになるわけでございまして、そこで、我々はこの十八カ月という延長した期間を生かして、しっかりとそういう経済状況をつくっていきたいと思います。

 これはなかなか、確かに困難な課題ではあるんですが、しかし、累積債務がある以上、そして社会保障制度を守っていかなければいけないという大きな使命がある以上、この両立を目指していくしかない、こう考えております。

馬淵委員 消費税率引き上げの先送りそのものに関しては、我々も、昨年のその状況のときには、その判断ということについて、我々は野党の立場でありましたが、同じ考え方を持つということで、当時、代表以下、党の執行部、しっかりと表明をさせていただきました。私もそのことは否定いたしておりません。

 しかし、これを通して見てくると、やはり経済の見通しに対しての甘さがあるのではないかということが浮き彫りにされているのではないかというふうに私は感じます。

 そこで、この甘い経済の見通しということについても少し検証させていただきます。

 政府はV字回復というシナリオを繰り返し説明されてきたわけでありますが、一体その説明が何だったのかという状況が今日あるのではないかということです。

 資料の十三、これがお手元にあります。

 それは、二〇一三年の十二月二十一日に閣議了解をされた政府の経済見通しであります。この経済見通しの数値を見ますと、右に平成二十六年度、今年度の実質の成長率、これは目標というより見通しが書かれています。小さい字で恐縮ですが、これが一・四%、このように当時閣議了解をされているという数字であります。

 そして、その後、消費税が引き上げられます。二〇一四年に消費税が引き上げられる。引き上げられた後に、昨年の七月二十二日、内閣府では、年央試算というものを発表されています、平成二十六年度の経済動向についてということで。ちょうど年央です。年の半分に来て、経済の見通しの、いわゆるロールオーバーしていくということでの見直しだということだと思いますが、この年央試算では、二〇一四年度の成長率は一・二%と、これはわずかですけれども、下方修正をされているんですね。

 これは、当然ながら、消費税のインパクトというものを考えられてということでしょう。

 先ほど、七―九のときには、雨の問題があった、天候不順があった、さまざまな外的要因というのが、後ほどまたお話を伺うと、そういうお答えが返ってくると思うんですが、年央試算では、それがまだはっきりしていない段階で、〇・二ポイント、これを下方修正されています。

 そして、資料十五をごらんいただきますと、これが、つい先日、一月十二日に閣議了解をされた来年度、平成二十七年度の経済見通し、ここには二十六年度の見込みというのも記されております。これを見ますと、二〇一四年度、すなわち今年度の成長率の実績見込みはマイナス〇・五%と、マイナスになっているんですね。つまり、一年前には一・四と言っていた、そして年央では一・二だと言っていたのが、マイナス〇・五%の成長だということになっている。

 麻生大臣、ちょっとお尋ねしたいんですが、この二月十六日に発表された十―十二月期のGDPの速報値、これを踏まえると、この二〇一四年度、閣議了解をされていますマイナス〇・五%、これを達成するためにどれぐらいの成長率が、まさに今です、この一―三月期に必要になるのかということについて、麻生大臣、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 恐らく、年率換算すると八%ぐらいになろうかと思います。

馬淵委員 はい、そうですね。これは年率換算、私もちょっと計算をしてみました。細かい数字を言っても余り意味がないので申し上げません。

 二〇一四年度、一・四だと見通した。そして、年央、一・二と見通して、実際にはマイナス〇・五だったというのが、これが見込みです。そして、この一―三月でどれぐらいの成長率を遂げなければマイナス〇・五におさまらないのかということでいうと、今、甘利大臣がおっしゃった、これが年率換算で八%。私、細かい数字を出しましたので八・七と書いてありますが、一―三月期の第四・四半期で二・二%程度の成長を遂げなければならない、こういう数字になります。

 細かな数字は、二%、八%でも結構ですが、一―三月期で年率換算八%を遂げなければ、年央でも見直した数字、成長の見込みというのが達成できないんですよね。

 このような状況で、ある意味、政府の経済見通しの能力そのものに疑問を持たざるを得ませんし、逆に、私は、何か大きな力で、とにかく楽観論、楽観論で経済を見通して、そして、増税圧力というもの、それに対して、まあ増税だけとは言いません、さまざまな、それぞれみずからの立場を考えていろいろな意見が出てくる中で、私、政策がねじ曲げられていかないかと冒頭申し上げました。余りにも見通しが外れているんですよ。

 これについて、正直申し上げると、これだけずれるような状況の中で、それを前提にした、今国会では補正予算の審議をし、今この総予算の審議をしているんですね。

 繰り返し申し上げますが、この予算の審議は、今申し上げた政府の経済見通しに基づいて予算編成がなされて、そして議論しているんです。でも、これから年率で八%も成長しなければならない前提に立って見通している、その前提の総予算審議、麻生大臣、これはおかしくないですか。

甘利国務大臣 財務大臣からも御答弁があろうかと思います。

 非常に政府見通しが甘かったのは事実でありますが、民間も一つ残らず全部外しているというところが、なかなか難しいというところだと。難しさは知っているのであります。

 これは、やはり消費が予想を超えて落ち込んだということ、だからこそ、補正予算はピンポイントに消費と地方ということに絞って、焦点を当てた補正を組んだわけでございます。

 今後とも、あらゆる政策を動員して、この見通しに向けて、少しでもその幅が縮まっていくように全力を挙げたいと思っております。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりに、私どもも、消費税をそのまま二%上げるべきという意見と延長すべきという意見と分かれていたときの状況も、あのときも、経済成長率の見込みは民間の予想をさらに下回るほど下に出ましたので、あの時代の消費の伸び率の見方は、かなり、我々から見ても間違えましたけれども、皆、間違えられたんだと思っておりますが。

 いずれにしても、そういった状況で消費が下に出たことは、馬淵先生、これは間違いないんですよ。それは、私どももそう思っております。

 したがって、三・五兆円の、消費を喚起するための補正予算を組ませていただいたというのが経緯なのであって、私どもとしては、結果として、今度の、二〇一四年のいわゆる実質GDP等々が初めてプラスの二・二と出てみたりしておりますので、少しそういった状況が底を脱したかなというところまでは来ているんじゃないかと思っております。

馬淵委員 大臣、私、非常に頑張っておられるということで拝見させていただいていますが、大臣の御発言を見ていると、やはり景気見通し、内閣府の見通しとは別に、財務大臣としての景気見通し、非常にこれも、大変失礼ながら、甘く見ておられるというふうにしか感じられない発信なんですね。

 消費税の引き上げ後の五月三十日の閣議後の会見ですが、会見録を見ますと、四―六の動向は、落ち込みは少なくて済むのではないかと期待していますと。六月二十七日、先ほどホームページで上がったところですね。これは、五月の方の減り方がどんと下がり、下がる率が悪化していますが、これは想定の範囲内だとおっしゃっています。七月一日、消費税の影響を最小限に食いとめて、そこに緩やかな経済の回復軌道が続いているように判断すべきではないかと。七月十八日、駆け込み需要というものの反動は和らぎつつあると。八月十五日、五月、六月、持ち直してきていますと。八月二十九日、マイナス幅が拡大したということだと思いますが、これは、七月は雨が多かった、悪天候の影響と、外の要因にされています。

 そして、九月二日、天候不順に伴うと、これも外の要因、外的要因。でも、いずれにしても、経済全体の中では景気の回復基調が続いていますと。九月十六日、緩やかに回復している、ずっとこれまで述べてきたとおりですと。九月三十日、消費が減ったのは天候不順と、これは外の要因。十一月七日、だんだん解散が何となく雰囲気が出てきたなというころですよね。七月、八月の雨でおくれた、九、十、十一の数字が、これはどんな数字で上がってくるか、間違いなく上がってきていますしと。

 ずっとこうして、麻生大臣、私、政府の見通しは甘いと申し上げたが、大臣の見通しも甘く甘く発信されているんですよ。

 この状況の中で、これは十二月九日、解散してですよ、ここで、景気後退期に入っているというイメージは私にはありません、こういうふうにおっしゃっているんですね。

 政府としての見通しがやはり余りにも甘過ぎる。そして、消費税増税ということのインパクトを甘く甘く見積もってきたがゆえのあの昨年の先送り。

 私ども、これは否定はしません。しかし、私が申し上げたいのは、総理が、景気の回復、経済の回復、この道しかないと何回もおっしゃっている。一方で、消費税の増税のインパクトを甘く見ているがゆえに、今日、本当に両立しているのかということなんですよ。していない状況が、エビデンスとしてはここに積み重なっているんじゃないですか。総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただいたように、消費税については、これは景気の足を引っ張る効果が出る、他方、その必要性についてもお話をさせていただきました。

 そこで、どれぐらいの影響が出るかというのは、政権内でも相当議論がございました。私の九月の終わりごろの感じとしては、七―九も余りよくないのではないか、そういう印象を持っておりました。

 一方、それほどでもない、それなりに回復しているという説もあったんですね。しかし、それなりに回復しているという説の方は、割と、消費税を絶対に上げるべきだという人が、それなりにこれはプラスになっているのではないかということも、これは客観的事実だったのかなとも思わないでもないわけでありますが、そこで、私は、これはある程度、想像以上に消費を下押ししている、このように思ったわけでございます。

 出てきた数字はもちろん予想よりも悪かったわけでございます。これは、先ほど御紹介をさせていただいたように、民間の予測よりも悪かったわけでございますから、そこで、延期をしたわけでございます。

 いずれにいたしましても、正しい予測をするというのは非常に難しいわけでございますが、基本的に、私たちの経済政策を成功させていく上においてもしっかりと予測をしていきたい、このように思っております。

馬淵委員 終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて後藤君、柚木君、古川君、松本君、馬淵君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 維新の党、江田憲司でございます。

 昨年末は小渕大臣、松島大臣、ことしに入ってまた西川大臣の辞任という本当に残念な事態が続いておりまして、総理は事あるごとに私に任命責任はありますという御答弁をされておりますけれども、これはもう何度も聞かれたと思いますけれども、いま一度、やはりみずからが招いた結果でございますので、その任命責任をみずからどう果たされていかれるおつもりか、もう一度お答えください。

安倍内閣総理大臣 このたび、西川大臣が急な形で辞任し、農水大臣が交代するという事態になったことはまことに残念でございます。その意味におきまして、任命責任は私にあるわけでございます。

 農政改革も待ったなしでございますから、しっかりと政策を前に進めていくことによって私はその責任を果たしていきたい、このように思っております。

江田(憲)委員 申しわけないんですけれども、政策をしっかり前に進めて責任を果たしていくなんという話は、こういう問題が起ころうが起こるまいが総理大臣の職責として当たり前のことなんですね。

 こういう異例な、異常な、国民に申しわけない事態が起こっていることに対する任命責任を、総理大臣として、みずから招いた結果責任としてどう果たされていくおつもりなんですかということを私はお聞きしているんですが、もう一度お答えください。

安倍内閣総理大臣 急な交代となってしまったという事実、しかし、政治に遅滞を招かない、政策の遂行に遅滞を招かないように責任を果たしていきたい、こう考えているところでございます。

江田(憲)委員 馬淵委員でしたか、この三十年間で十七人の閣僚が政治と金のこの問題で退任、辞任をされた中で、実に七人の閣僚が辞任したのが安倍政権だということを聞いて、改めて私も驚いたんですけれども。

 私も、閣僚の身体検査を経験していない人間ではないので、それは、全知全能で、全て把握しろとは言いません。余り望ましいことではありませんが、任命した結果、後でわかって一人二人辞任するということなら、それも許せませんけれども、しかし、そういうことも起こり得ると思いますよ。しかし、七人の閣僚が安倍政権で辞任をされ、またきょう、法務大臣と環境大臣が、補助金を受けている企業から献金を受けていたということも報道されているわけでありませんか。

 ここまで来ると、国民の皆さんの中には、これは安倍政権、安倍官邸の構造的な問題ではないかという疑念を抱くような事態が起こっているわけですから、それを払拭するために総理大臣としてはどうされるんですかということを私は申し上げているんです。

 もう一度お答えください。

安倍内閣総理大臣 構造的な問題と言われれば、それは少し私にも言わせていただきたいと思いますよ。

 それは、まさに今回の問題については、補助金を受けている企業から一年以内には政治献金を受けてはいけませんよということが決まっている。しかし、それは、受け手の方は知り得ない立場でありますから、先方からそれを聞かなければわからない。しかも、知らなければ、それは当然、違法行為ではないということは法律に明記されているわけでございます。

 ですから、そういう意味においては、これはまさに違法行為ではないということは明らかだろうと思います。しかし、指摘された以上、その献金を返したということで十分に説明がついていたんだろう、私はこう思うわけでございます。

 ですから、例えば、そういう中においては、これは閣僚であろうと、あるいは与党であろうと野党であろうと、そういう事態を防ぐためにどうしたらいいかということは考えなければいけませんし、だから、例えば外国人の献金、随分問題はありましたよ。しかし……(発言する者あり)でも、これは大切なことですよ。その中で、外国人からの献金ということは、まさに政策に対する外国の容喙を防がなければいけないという根本問題なんですが、そこでも知り得るかどうかということにおいて、私は、例えば私の後援会入会の規約の中に、日本国籍を持つ者ということを書いています。いわばしっかりとそういうことをしていけば、相手方もそれがわかるわけでございます。

 しかし、それでもなおかつ献金されてしまったら、それは、そういうことは起こるわけでございます。そこで……(発言する者あり)今、答弁している最中なんですが……

大島委員長 ちょっと静かに。

安倍内閣総理大臣 よろしいでしょうか。

大島委員長 どうぞ、総理。

安倍内閣総理大臣 そこで、そういう課題に対してしっかりと対応していくということであって、構造問題ということについては、極めてそういう言葉を使われるのは不愉快であるということは申し上げておきたいと思います。

江田(憲)委員 危機管理の問題だと申し上げているんです。

 ですから、一人二人ならいざ知らず、もう七人も八人もこう陸続として出ているというのは、やはり官邸のチェックが甘い、総理大臣のチェックが甘いと言われてもしようがないんですよ。それも含めて任命責任を認めておられるので、不愉快だなんという話を聞く方が私は不愉快ですね。

 しかし、その中で一つだけいいことはおっしゃいました。任命責任を果たすと国民に大見えを切られたわけですから、制度的に穴を防いでいく対策を講じないかぬというのが今総理大臣の発言としてありました。

 ですから、我々維新の党が申し上げたいのは、まさにこの企業・団体献金というものが、二十年前、国民一人当たり二百五十円、赤ちゃんからお年寄りまで税金を徴収して約三百二十億円、この政党助成金を入れたときに、政治家個人に対する企業・団体献金は全面禁止しますというふうに法律にもう書いてあるわけですよ。これさえ守っていれば、今回のような西川大臣の問題も起こらなかったんですよ。補助金を受けていたかどうかなんという認識を問題にするような問題にもならないんですよ。

 ですから、総理、規約に書いておる、外国人献金はとおっしゃるのであれば、総理みずから、二十年前に約束した国民との約束を履行する、私の内閣で陸続としてこんな問題大臣が出て辞任している、だったら、みずから率先して、私は企業・団体献金を受け取りませんと規約に書いてくださいよ。

安倍内閣総理大臣 先ほど、規約というのは、私の後援会への入会の規約でありまして、私の後援会への入会の規約については、日本国籍を持つことということが書いてあります。

 これを渡した上において献金をしていただいておりますし、また、当然、例えば補助金を受けた企業についてもそれはできませんよということも最近書き込んでいるわけでございます。そうしたものを渡しておけば、こういうことは起こらないということであります。

 しかし、それはほとんどの、恐らく与野党でやっている議員というのは少ないんだろうと私は思うわけでありますよ。ということでありまして、では、根本において、今個人の資金管理団体においては法人、団体の献金は認められていないわけでありますが、政党においては、それは政党支部は認められています。そこで、民主主義のコストをどのように分かち合っていこうかということであります。

 しかし、個人ならよくて法人ならだめという理屈においては、要は何かといえば、お金を献金して、自分の政策的な目的を達成しよう、あるいはねじ曲げようということであって、それは個人であろうと法人であろうと、あってはならないことであろうと。私は……(発言する者あり)済みません、やじるのをやめていただけますか。

大島委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 つまり、個人であろうと法人であろうと、そういう意図を持っていれば、これは同じであろう、こう思うわけでございます。

 そこで、先般も申し上げましたように、日本は法人社会という社会にもなっているわけでございまして、法人として政党に献金される方が多い。しかし、いわば企業と個人の政治資金管理団体においてはそれは認めない、政党の支部あるいは政党に限るということにおいて仕組みをつくっているわけでございます。

江田(憲)委員 総理、そういう企業・団体献金がいいか悪いか、個人献金とどう違うかみたいな根本論、白地からならあると思います、総理の議論も。しかし、これはもう二十年前に決着しているんですよ、法律的に。税金を入れるかわりに、政治家個人への企業・団体献金は禁止するという、これは法律、立法府の意思ですからね。それはどうなんですか。

 安倍さんは山口県第四区支部支部長、私は神奈川八区支部長。二十年前に禁止したら、今いみじくも総理がおっしゃったように、政党には許されている、政党の資金団体には許されている、自民党では国民政治協会ですか、こういう政党本部、政党の資金管理団体一つには許されているという抜け穴を利用して、政党支部をにょきにょきと雨後のタケノコのようにつくったじゃありませんか。今調べてみると九千近い。これは国会議員だけじゃない、県議、市議も一緒だ。

 また、安倍さん、聞きたいんですけれども、私は言いますよ、ここにいらっしゃる政治家はみんなそうでしょう、選挙区支部がみずから政治家個人と一心同体なんということを否定する人がいたら、出てきて堂々と言ってくださいよ。私は一心同体だと思っていますよ。だから私は、一切、今まで議員活動に企業・団体献金を一円も受け取っていないんですよ。業界団体や労働組合の推薦状も一枚ももらっていないですよ。これは私の個人の信念です。それはいいです。

 しかし、国民にとって大事なことは、三百二十億円もの税金を入れたときに、そのかわりに政治家個人への企業・団体献金は禁止しよう、それは認めた上で、またその政治家個人と一体である政党支部にどんどんどんどん企業・団体献金を受け取ってきた。

 総理、お聞きしたいんですけれども、二重取りしている、政党助成金と企業・団体献金を国民との約束を欺いて二重取りしているという御認識はありますか。

大島委員長 簡明に。

安倍内閣総理大臣 はい。

 これは、そもそも政党助成金を入れたときには、税金として政治活動を支援していくということと同時に、民主主義のコストをどう分かち合っていくかということであって、全部税金にすべきではないですねという中において、まさに税金と、そして個人と企業、団体、こういうバランスで考えられたんだろう、こう思うわけでございます。

 そして、雨後のタケノコのごとく、こうおっしゃったんですが、それはいわば、国会議員や地方議員や与野党の議員、全部まとめてであるということは申し上げておきたい。

 要は、大切なことは透明性が維持されているかということでありまして、透明性とともに考えなければならないんだろうな、このように思います。

 年間五万円以上は、これはまさに公表しなければいけないということになったわけでございますし、パーティーについては二十万円ということになったんだろう、こう思うところでございます。

 こうしたもの全体において、この政治資金の問題についての政治改革が行われたというふうに理解をしております。

江田(憲)委員 与野党とも、そういう企業・団体献金をみずから個人と一体の政党支部に受け入れている事実はおっしゃるとおりですよ。

 だからこそ、維新の党は、おくればせながらですよ、余り胸を張って言えませんが、さきの日曜日の党大会において、党としては、企業・団体献金の全面禁止でいこう、受け取りはことしいっぱいでやめよう、それを党の規約に書こう、そういう決断をしたわけです。しかし、これだって国民に対して胸を張って言えませんよ、二十年ほったらかしにしていたんだから、お互い。

 しかし、総理、こういうことを申し上げたいんですよ。任命責任とおっしゃるんなら、制度的にしっかり担保すべきだとおっしゃるんなら、まさに自民党も、こうやってやじを飛ばしている人は、選挙区に帰って有権者にどういう申し開きをするのか言ってくださいよ。堂々と言うんでしょう。自民党の人は堂々と言うらしいですよ。これは国民が判断することです。

 ぜひ総理、維新の党のように、おくればせながらであるけれども、政治家個人には、とにかく政党支部であれ政治家個人であれ一体なんですから、もう企業・団体献金はお約束どおりやめますと、ここでお約束いただけませんか。

安倍内閣総理大臣 資金管理団体と政党支部は全然成り立ちが違いますよ。

 資金管理団体というのは、まさに安倍晋三の政治資金管理団体であります。一方、選挙区支部というのは、私だけのものではなくて、もちろん別途、これは個人の資金管理団体にもおりますが、ちゃんと公認会計士の監査も受けるわけでございますし、私とは別の方々も役員としてちゃんと入っているという成り立ちになっているわけでございまして、一緒くたにされては私は困ると思うわけでございます。

 繰り返しになりますが、これは考え方の問題であって、では、個人にすれば本当にそれはクリアなのか。個人になれば、大変な個人的な資産を持っている方がこれをやりたいということで誰かに資金を入れる、そして政策的な何かを実現しようということと、法人と、ではどこが違うんだということにもなってくるわけであります。

 要は、何が大切かということは透明性ということでありまして、透明性を確保する、そしてこういう行為を絶対にしてはならないということが……(発言する者あり)済みません、ちょっと、やじは少し、今、私と江田さんの議論なんですから、静かにしていただけるでしょうか。

大島委員長 静かにして。

 どうぞ、総理、淡々とお答えください。

安倍内閣総理大臣 はい、淡々とまいりたいと思います。

 そこは、大切なことは透明性、そしてそういう行為は決してあってはならないということではないかと思います。

江田(憲)委員 だから、言っているじゃないですか。白地から議論すれば、安倍総理のおっしゃっていることも一つの考え方ですが、二十年前、決めたんですよ。

 申しわけないけれども、今おっしゃっていることは、私も九〇年代、与党三党首会談に出ておりましたけれども、要は、個人献金を促進して企業・団体献金はやめる、それまで政党は許す、もっと言えば、政党本部と政党本部の資金団体には許す。それを、これは与野党ともの責任ですよ、政党支部という一体の組織をにょきにょきつくったでしょう。だって、九五年以降つくっているんですから。前々からあったのならまだいいですよ、まだ理屈はありますよ。こんなことは、こんな見透かされるような議論、予算委員会でしたくないんですよ。

 これは、言っても自民党はできないということも私はようわかっていますわ、もう自民党はどっぷりつかっていますから。構造的問題、政官業の癒着なんという話が、最近余り出ませんけれども、昔は、政官業の癒着、そのために企業・団体献金を禁止しよう、政治家個人、末端で企業・団体献金をもらっていると、ミクロの世界で、本当にわからない中で政官業の癒着が形成される、しかし、政党本部であれば、政党本部の一つの団体であれば、まさにおっしゃるとおり、透明性というか、外部からチェックもしやすい、だから認めたんですよ。そんな曲解は……。大島委員長もにやにやしてごらんになっている。九〇年代、政権を担い、そういうこともよく御存じだからだと思いますよ。私が敬愛する大島委員長ですから。

 ですから、こういう話は、国民に見て判断をしてもらうしかありません。

 維新の党は、安倍総理がどう言おうが、自民党がどうやじを飛ばそうが、これはもうおくればせながらですよ、うちも正直言うと、調べてみたら、二十人以上の議員が企業・団体献金をもらっていました。そこを一人一人説得して、最後は、ことしいっぱいできっぱりやめると。これが国民への約束だ、こう思っていますから、そこは言っておきます。

 最後に、任命責任でもう一つあるのは、やはり、閣僚を任命されたのは安倍総理なんですから。どうしてこういうやめざるを得なかった閣僚を七人も任命したのか。もうこれは二度と起こしてはいけない、国政の遂行にも遅滞を起こしてはならない、それは国民への責務ですよね。

 だからこそ、総理、総理は自民党総裁でしょう。西川さんは、もうやめたといっても所属議員ですから、ぜひ、予算委員会でこんな話をしたくないんですよ。国民も望んでいない。だから、別途、予算委員会の参考人招致、証人喚問、あるいは政倫審でもいいですよ、とにかくそういう場で、予算委員会、こういった政策論争を妨げない範囲内で、そういう別のトラックで、別のルートでしっかりと説明責任を果たすように、自民党総裁として指示していただけませんか。

 総裁として、毎週一回、役員会にも出ておられる。そこで一言、とにかくそういう場でしっかり国民に説明責任を果たせと言うのがやはり任命責任の一つの果たし方だと思いますけれども、そう思われませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 まず、予算委員会において西川さんを参考人として呼ぶかどうかは、まさにこの予算委員会でお決めをいただきたい、このように思います。

 安倍内閣のメンバーでありましたが、今は一議員であります。しかし、内閣のメンバーであれ、与党であれ、野党であれ、議員であれば、これは当然、疑問が投げかけられた場合には、説明をしていく責任を果たしていくということは当然のことであろうと私は思っているわけであります。そういう責任がある。そういう中において西川さんは判断をされるだろう、このように思っております。

江田(憲)委員 要は、自分は何もしないということでしょう、それは。

 例を挙げていいかどうかわかりませんけれども、旧みんなの党は、前党首の巨額借り入れ問題が起こって、党として調査委員会を立ち上げて、弁護士まで入れて、十分かどうかわかりませんけれども、報告書を出した。これも一つの、不十分かもしれないけれども、けじめのつけ方だと思いますよ。

 総理は自民党総裁なんですよ。自民党の所属議員が、そういう国民に疑惑を招くような事態を起こしているんです。その引き起こした張本人は総理じゃありませんか、任命された。何でそんなことが、私、ちょっと情けないんですよ、同じ政治家として。同じ政治家として、何でそれができないんでしょうか。何で、それは予算委員会でお決めになること、国会でお決めになることで済むんですか。それが総理の任命責任の果たし方なんですか。もう一度お答えください。

安倍内閣総理大臣 これは予算委員会の運営の話でございますし、先ほどもう既に、その話は何回も出ておりまして、委員長のさばきで、後刻理事会で話をするということに決まったものと承知をしております。

江田(憲)委員 だからこそ、役員会に出ておられる自民党総裁として、一言、役員会の場で、おい、予算委員会でちゃんと決めてやれよ、政倫審、本人の申し出をちゃんとあれしてやれよというような話が何で言えないんですか。何で言えないのか、本当に僕は理解できないです。そんなことを言って、任命責任だ、任命責任だと口先ばかりでいるから、こういうことが繰り返されているんじゃないんですか。自分に痛みがないから、国民はそれで許してくれると思っているから。

 だから、そういうふうな、いや、私、別に責めているんじゃなくて、やってほしいと言っているだけなんですけれども、しようがありません。幾ら言ったってこれです、自民党は。

 それでは、次のあれに移ります。

 文書通信交通滞在費ですが、これこそ、選挙区に帰って国民の皆さんに、あなた方、月々百万円、年間千二百万円もの税金を、使い道の公開もなく領収書もなく使っておるようですねと。どこでもやっている、民間会社でもこれは常識だ、地方議員も政務活動費全部一円単位で領収書で公開をしておる、何であなた方国会議員だけが千二百万円もの税金を何にも公開せずに使っているんだといったときに、総理はどういう弁明をされるんでしょうか。聞いてみたい。

安倍内閣総理大臣 政治活動に係る費用の問題は、議員活動、ひいては民主主義の根幹にかかわる重要な問題でありまして、そのあり方については、歳費等も含めて、政治活動に係る費用全体について、金額の多寡、使用の範囲、国民への説明責任など、多角的な視点から総合的に議論すべき問題であるとともに、さまざまな事情や環境のもとにある者が国会議員として活動するための基盤となるものであることに鑑みれば、これは多数の意見で押し切れる性格のものではもちろんありません。

 したがって、文書通信交通滞在費の公表の是非のみを論ずるのではなくて、国会において、今申し上げましたような観点も踏まえ、各党各会派で真摯に議論した上で結論を得るべき問題ではないかと考えております。

江田(憲)委員 申しわけないですけれども、そんな大げさな問題じゃないんですよ。

 国会で議論をしろと言うけれども、もう結論が出ているんですよ。このパネルを見ていただくように、もう十年以上前、二〇〇一年に、綿貫衆院議長の諮問委員会で、瀬島龍三さんを会長にして、全体の改革ですよ、金だけじゃないですよ、衆議院改革に関する調査会答申というのが出ていて、文書通信交通滞在費については、「領収書等を付した使途の報告書の提出を義務付け、報告書を閲覧に供するべき」と、答申が出ているんですよ。それをずうっとほったらかしている。

 二〇〇一年十一月といえば、小泉政権。安倍さんは多分、官房副長官でおられたと思いますよね。自民党の政権時代ですよ。この答申を履行すれば、もうこんな議論する必要もなかったんですね。

 世界でも調べてみました。

 アメリカとイギリスも、こういう経費については、領収書添付の申請書で初めて払い戻される。文通費の方は、あらかじめ千二百万円を渡す、それで後で公開する。アメリカやイギリスの場合は、領収書を添付して申請書を出して、払い戻される。これはあたかも、今の日本の民間会社でも当然にやっているようなことですよね。ドイツは、渡されたお金を使った後、決算書をつくって、それを会計検査院の検査に付する、こういうことになっているんですね。

 要は、何を議論するんですか。各党各会派で何を議論するんですか。その何を議論するかを言ってください、総理。

安倍内閣総理大臣 これはまさに、繰り返しになるわけでございますが、繰り返して恐縮でございますが、まさに政治活動に係る経費で、今、江田委員が御指摘の、文書通信交通滞在費ですか、これも政治活動に係る費用の問題でありまして、この点については、あり方については、金額の多寡や、使途の範囲や、国民への説明責任等、多角的な範囲からしっかりと議論をしていただきたい、このように考えております。

江田(憲)委員 まあ、それで、国民で納得する人は百人に一人もいないと思いますね。

 今度、世論調査でもやりましょうか、千サンプル、二千サンプル、客観的な調査機関に頼んで。自民党と共同で委託してもいいですよ。

 申しわけないですけれども、こんな世間の常識、民間会社で当たり前のこと、百人が百人認めるようなことまでできないというんでしょう。そんなことで、これだけ閣僚の政治と金のスキャンダルが起こっているのに、申し開きできるんですか、総理大臣、総裁として。

 それから、消費増税もお願いしていますよ。社会保障、年々一兆円自然増もある、抑制していかなきゃいけませんよ、それは財政再建のためにも、社会保障の安心、安全のためにも。

 国民の皆さんにこれだけ痛みを分かち合っていただいているのに、何でこんな千二百万円もの巨額のお金、税金ですよ、全部、公開できないんですか。

 維新の党も同罪だったんですよ、先月公開するまでは、法律を出すまでは。しかし、そうじゃいかぬと思って、それで、昨年秋からずうっと文書通信交通滞在費の使途公開法案を出していますよ。しかし、自民党だけじゃありませんよ、ほかの党も全然賛同してくれない。

 もうとにかく我々だけで率先して公開しようと。一月終わりに、十月分のものを領収書まで全部公開しました。ホームページを見てください。まだ足らざるところはありますよ、だって基準がないんですから。今までいいかげんにしてきたんですから、これを。とにかく千二百万円渡すよという法律しかないんですから。

 この一番下に書いてあるように、苦労して苦労して捜し出してみたら、九三年、議運の場で、小委員会というのがあって、当時与謝野委員長です。そこで、文通費というのは、こういう議員活動事務所の経費だ、国会活動報告などの経費だ、東京滞在費だ、文書通信交通以外にこういった経費を使うということがやっと古文書で出てきました。しかし、これも非常に広いと思いますよ。

 しかし、それは公開してこそ、国民の皆さんに批判を受けてこそ、そういった意見を入れながら改善をすればいいと思います。まずは公開することだと思います、使い道を。

 あの兵庫県議、号泣県議と言われた彼が、何であの不正が暴かれたか。それは、地方議員の政務活動費全部、一円残らず公開していたからでしょう。

 皆さん、これは別に与野党ないんですよ、本当に。帰って聞いてください、支持者に。我々は千二百万円もの税金をもらっている、ありがたいと。それを減らせと言っているんじゃないんですよ。

 では、言ってください。谷垣幹事長が会見で一時おっしゃったように、適切に使っておりますから公開する必要はありませんと言ってください。それで納得する国民が一人でもいるんでしょうか。そういう問題なんですよ。

 ぜひ総理、もう一回再考してください。これは与野党ないんです、本当に。ぜひ政治家として御見識をお示しください。

安倍内閣総理大臣 これは、今、江田委員がおっしゃるように、維新の党で主張しておられるわけでございますが、会派として、維新の党以外には今のところ賛成している会派はないわけでございます。

 いずれにいたしましても、これはまさに民主主義の基盤といっても、政治活動にかかわる費用をどのように考えていくかという基盤に係ることでございますから、これはまさに国会の場において、私は行政府の長、もちろん自民党の総裁ではありますが、ここには行政府の長として立っているわけでございます。だからこそ、これは議員活動の根幹にかかわることでありますから、各党各会派において議論していくことは当然のことであろう、こう思っております。

江田(憲)委員 ですから、議院運営委員会の場で何度も何度も我々が提起してきても、全く取り合わないわけですよ。だからここで申し上げているわけですよ。こんな当たり前のことが通らない。世間の常識は国会の非常識だと言われるゆえんだと私は思いますよ。

 議論しろと言って、では、賛成しない各会派、それぞれ会見して、なぜ賛成しないか理由を言ってくださいよ、本当に、国民に対して。これだけの税金をもらっているんですから。反対する理由が私はわからないから聞いているんです。

 そして、もう既に、国会、議院として、立法府として結論を出している話ですよ。諸外国は全てやっているんですよ。何で、日本の国会議員だけがこんなことが許されるのか。私は全く理解できないし、何よりも理解できないのは国民の皆さんだと思います、もう何度聞いてもこれですから。

 最後、この問題についてお聞きしますけれども、総理、総理だけでも公開されませんか。公開するのは自由ですから。どうですか、閣僚の皆さん。国民に申しわけないと思う気持ちが少しでもあれば、ほかのところでやるのはいろいろ各党各会派議論があるだろうから、私だけは率先して公開しますと言っていただけませんでしょうか、総理。お願いします。

安倍内閣総理大臣 これは個々の議員がそうしたことを決めていくということよりも、新たなルールとして考えていくということであるのならば、各党各会派で議論していくことは当然のことではないか、このように思っております。

江田(憲)委員 それでは、総理、閣僚の皆さんだけは、ノーブレスオブリージュといいまして、やはり高い地位にある方はそれなりの責任が伴うという意味で、今、総理大臣、閣僚とも給与返上されているじゃありませんか、総理三割、閣僚二割。議員はしていません、後で触れますけれども。そういうノーブレスオブリージュの、高い地位にある者の責務として、そういうこともやっておられるじゃないですか。

 総理や閣僚の給料の中には議員歳費も入っているわけですよ。それをああだこうだ言う前に、やっておられるじゃないですか。別に安倍政権がやった話じゃなくて、歴代政権がそうやってきたわけですよ。だから、しようがないからやっているんだろうという思いでやっておられるのかもしれませんけれども。

 そこでちゃんと線を引くというやり方もあるんです。各党各会派がやらないのなら、とりあえずは総理大臣と閣僚がノーブレスオブリージュの観点からやります、閣僚の給与返上と同じです、そういう考え方も成り立ちますけれども、それでもおやりになりませんか。

安倍内閣総理大臣 これは第一次安倍政権でスタートしたことだろうと思っております。

 私が三割で閣僚が二割。というのは、これは議員の歳費には食い込まない。議員の歳費に食い込んで下げますと、これは公選法の問題が出てくるわけでありますから、議員の歳費に食い込まないぎりぎりのところまで下げているのは事実であります。

 これはまさに行政府側の一員として我々の姿勢を示そうということであって、しかし、議員としての歳費ということについては、これはやはり、当然、法律問題は横に置いておいても、各党各会派において、議員活動にかかわることであればしっかりと、これは根幹にかかわることでありますから、議論していくべきだろうと考えております。

江田(憲)委員 ちょっと情けなくて言葉が出ませんので、もうこの問題は終わります。

 これは、国民の皆さん、ぜひ御判断ください。この程度のことができないような国会議員が改革を語るな、偉そうなことを言うな、こういうことだと思いますよ。いつでも君子豹変できますから、ぜひ、きょうお帰りになって沈思黙考されて、豹変されることを望みます。

 そして、今出ましたね。議員歳費の三割カット法案もずっと出してきましたが、ほかの各党各会派は見向きもしません。

 昨年四月、消費税が五から八に上がりました。国民に負担を求めた翌月に、国会議員の給料は月額二十六万円アップ。そして、年間に直すと四百二十一万円アップですよ。こういう事実を、国民の皆さん、知らない方が多いんですね。知ると怒りますよ、皆さん例外なく。

 しかし、これはずっと、それまで二割カットしていたんですね、国会議員は。それはなぜかというと、大震災の復興財源が必要だ、国民に増税もお願いしている、さらには国会議員の定数もされていない。定数削減がされるまでの間、一三%分が復興財源、七%分が国会議員の定数がやられるまでということで二割カットしていた話を、まだまだ復興も続く、定数削減もされない段階で、平気の平左でこの二割カットをもとに戻すから月額二十六万円アップなんですね。これだって本当に世間の非常識だと思いますよ。

 我々は、いやいや、二割じゃ足りないんだ、国民に負担増をさらに求めるんですから三割カットせにゃいかぬといってやってきましたが、これは見向きもされませんわ。

 ですから、このたび、各党各会派はいいよ、とにかく、そういうことについて後ろめたい、忍びない、申し開きできないと思っておられる議員が自民党や民主党さんの中にもおられるだろうから、そういう良心的な議員の方は自主返納する。我が党の場合は三割自主返納する。

 自主返納したいと思っても、これが何か法律上、違法寄附に当たるんですと言うんですけれども、きょう総務省の方を呼んでいますけれども、何で国会議員が国に歳費を返納するのが違法なんですか。それは、選挙区の選挙民、有権者にお金を上げるのはもう完璧に違反ですよ。何で国に寄附するのが違法なんですか。簡単にお答えください。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 公職選挙法におきまして、寄附禁止の規定がございます。公職の候補者等は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附してはならない、こういう規定でございます。

 この選挙区内にある者とは、当該選挙区内にある全ての者を意味し、自然人はもとより、法人のほか、国や地方公共団体も含まれるところでございます。

 こういったことから、国会議員が国に対して寄附をすることは、この規定により禁止をされているところでございます。

 この寄附禁止でございますが、日常いろいろな名目で寄附が行われまして、これが選挙や政治活動に金がかかる大きな要因となっていた、こういったことから順次規制強化が図られておりまして、こういった金のかかる選挙の是正を目指し、選挙に関すると否とを問わず、いかなる名義をもってするを問わず、特定の場合を除きまして一切禁止する、こういったようなことになっていると承知をいたしておるところでございます。

江田(憲)委員 ちょっとなかなか納得できません。しかし、それが今の公式見解であればやむを得ません。

 ということで、今回、我々は、臨時特例法をつくりまして、その違法寄附のところを適用除外にする。これはあたかも、今総理が触れられた、総理大臣の給与、そして閣僚の給与返上は、まさに臨時特例法を設けて違法寄附に当たらないような措置をしているわけですね。それと同じように、今回、我々維新の党は、良心的な心ある議員が、国民に対して申し開きできない、忍びないといって歳費を寄附する場合、これは適法にしようという法案を出しました。

 ぜひ、総理にもう何度も何度も言いますけれども、この程度のことは御指導してください、自民党に。お願いします、本当に。

安倍内閣総理大臣 これも、もちろん御党から出される議員立法でございますが、それも、先ほど来申し上げていて、同じことを申し上げるのは恐縮でございますが、まさに議員の費用をどう考えるかという、これは民主主義の根幹にかかわることでございますから、各党各会派でしっかりと議論していただきたい、このように思います。

江田(憲)委員 民主主義の根幹にかかわる政治活動のコストをどう見るべき問題かということをもう十回近く繰り返されましたので、ぜひ議院運営委員会の場でやりましょう。我が党の理事がもう逐次提起をしております。議運委員長にもぜひ一言声をかけてください、本当に。

 議論はいいんでしょう。選挙戦中に民放番組で党首討論をやったときも、誰も反対されませんでした。山口公明党代表は、まさにこれは議院運営委員会の場で議論すべきだとおっしゃったんですよ。それは記者会見の場でもそうおっしゃっている。

 ぜひ、太田大臣、せっかく来ていただいておりますので、公明党さんは、政治資金についてはきっちりきれいにやっておられると私は思うので、政治資金の透明性を図るという一番熱心な政党だと思っておりますので、議論ぐらいいいでしょう。公明党の理事さんに指示してください。山口代表でも結構です、太田大臣でも結構ですから、議論しようじゃないかと言っていただけませんか。

太田国務大臣 各党各会派でよく検討し、議論すべきものだと思っております。

 ただし、私は今、閣僚という立場でもありますし、それから党を代表する立場でもありませんけれども、私はそう思っております。

江田(憲)委員 だったら、山口代表にちょこっと言えばいい話ですよ、本当に。もううんざりですわ。こんな世間の常識の話が通用しない。何をやっているんだという話でしょう。(発言する者あり)この辺でやじを飛ばしている、誰か知りませんけれども、名前を呼び上げましょうか。情けないわ。

大島委員長 余りやじに答えないで、こちらに質問してください。

江田(憲)委員 それは総理に言ってください。

 いずれにせよ、これが今の実態ですよ。こういう政治家、与党が、国民に負担を求める、増税を求める、社会保障費の抑制を求める、そんな資格は全くないことだけはここで断言をしておきます。

 さて、ちょっと話題をかえまして、七十年談話についてちょっとお聞きをしたいと思います。その内容にきょうは踏み込むつもりはございません。

 まずお聞きしたいのは、総理、この七十年談話はもう出されるというのが既定方針になっておりますが、事前に与党公明党とは協議をされますか。

安倍内閣総理大臣 本年、七十年を迎えるに当たり、安倍内閣として、この七十年の来し方、そして今後の八十年、九十年、百年を見据えて、日本がどういう役割を担っていくのか、どういう役割を担っていくべきと考えているのかということについて世界に発信をしていきたい、こう考えているわけでございます。

 そのために、まずは英知を結集していきたい。今般発足した二十一世紀構想懇談会において、二十一世紀の世界のあり方、その中で日本が果たすべき役割等について大いに議論をしていただき、幅広い有識者の方々からさまざまな御意見を伺った上で、政府として新たな談話について検討していきたいと考えております。

江田(憲)委員 今、政府としてとおっしゃったので、公明党とは協議しないという理解でよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 これは、まず前提として、自民党と公明党というのは、長年の風雪に耐えた連立政権を構成してきたわけでございます。その信頼関係が強固であるということは申し上げておきます。その上においては、さまざまな事柄については緊密な連携をとりながら事を進めてきたし、これからも進めていくわけでございます。

 談話につきましては、まずは有識者の懇談会を開き、進めていくということになるわけでございます。

江田(憲)委員 まずは有識者を中心に政府でやり、その先のことはわからぬ、白紙だという趣旨ですね。

 太田大臣、公明党はそれでいいんでしょうか。

太田国務大臣 私が党を代表して答えることは適切ではない、このように思っております。

江田(憲)委員 まあ、しようがないですね。

 太田大臣ともあろう方が、時々、公明党の答弁もされているのに、これまで本会議場でも委員会でも、一切、閣僚だけで通してきているわけでもないのに、この問題についてはそれほどセンシティブなんでしょう。

 それからもう一つ、ちょっとこれは聞いておきたいんですけれども、総理は、小泉政権時代、六十年談話を出されたときは幹事長ですか、副長官ですか。ちょっとお聞きしたいんです、本当に純粋に、なぜ六十年談話を出したんですか。

 実は、五十年談話は、自社さ政権でしたから、村山富市総理の村山談話、当時、私は使いっ走りをやらされました。ここではっきり申し上げますが、当時、自社さ政権、与党は自社さですが、五十年談話は自社さの中で綿密に協議をしたということだけは申し上げておきます。

 橋本総裁、当時通産大臣でしたが、そこに私が文案を持っていったときに、ある意味でこれは有名な話ですけれども、橋本龍太郎自民党総裁は、終戦という二文字を敗戦に変えられたんですね。そういう意味での協議はしておりますから、公明党さん、太田大臣は閣僚であれですけれども、公明党の議員の皆さんにも申し上げたいと思いますけれども、五十年は、これは大きな節目ということで出したんです。四十年、三十年は出していないんですね。

 ちょっと御記憶を喚起されて、なぜ六十年に出そうとされたのか、おわかりだったら御説明ください。

安倍内閣総理大臣 二〇〇五年ですね、六十年談話。当時、私は、八月十五日、ちょっと前であれば幹事長代理だったんだろう、このように思います。郵政選挙の後に、私、官房長官になるんですが。

 幹事長代理当時、あの小泉総理の六十年談話については全くかかわっておりませんし、党内で議論は一切私はしていなかったと思います。また、五十年談話についても、これは党内では一切議論しておりません。いわば、与党の協議というのは全く行わずに、いきなり閣議決定だったんだろう、このように思うわけであります、基本的には、ほとんどですね。そこで、ではなぜ六十年談話かということについては、ですから、私は、それは小泉当時の総理大臣に聞かなければわからないことではないのかと思うわけでございます。

 私が七十年談話ということに思い至ったのは、まさに、七十年を機に、例えば今、国連改革を進めているわけでございますし、日本への注目が集まる中において、これから日本がどのような世界を、地域をつくっていこうとしているかということについて、考え方を明白にしていく必要もあるだろう。そして、七十年ということについての日本の歩み、世界の中での日本の歩みを示していく必要があるだろうと思います。

 その前提として、五十年談話、六十年談話を全体として含む歴史認識は、全体として受け継いでいるということはもちろん今まで累次申し上げてきたとおりでございますが、大切なことは、これは二十世紀における日本の行動に対する反省においても、世界の中の日本あるいはそのとき世界はどういう世界であったかということも含めて考えていくべきではないかということ等々も含めて、これは、まずは御議論をいただき、その中で総理大臣としての私の考え方を示していきたい、こう考えたところでございます。

江田(憲)委員 いずれにせよ、我々も、出すのであれば、やはり未来志向、前向きな談話にすべきだと思います。その上で、やはり過去の反省とおわびというものはしっかりと持っていかなきゃいかぬ。

 これは、何も中国、韓国との関係だけではなくて、総理、当然念頭に置かれていると思いますが、同盟国のアメリカとの関係でも大変重要なワーディングというのもございますから、そういう意味で、まずは政府で検討されればいいと思います。野党としては、国会審議の場等々でこれからもしっかりお問いただしをしていきたいというふうに思います。

 さて、官房長官にもせっかくお忙しいのに来ていただいていますので、政府系金融機関の天下りの問題についてちょっとお聞きをしたいんです。

 これは代表質問でもやったんですけれども、安倍政権になってから、日本政策金融公庫、国際協力銀行に、民間人だったトップから財務省のOBになっていますよね。それから、商工中金の社長も、これも民間人だったのが経産省のOBになっていますよね。これは、天下りの禁止とか小泉政権時代に進めた政府系金融機関の民営化であるとか、そういう流れからして本当にいいんでしょうか。

 これは人事ですから、官房長官が多分しっかり検討した上で認められたと思いますので、ちょっと御見識を伺います。

菅国務大臣 当然、所管大臣とも相談をします。そして、総理の指示をいただきながら人事を決めていくわけでありますけれども。官僚出身の天下りポストの固定だ、そういうことでなくて、やはり適材適所の中で、その時々の人材を活用する、それが基本でありますので、そういう中で決定をさせていただいたことであります。

江田(憲)委員 一年ほど前でしょうか、私は、さすがは菅官房長官とこの場で申し上げましたのが、日本郵政の社長に坂篤郎さんという方を据えたときに、それを官房長官のリーダーシップで更迭したということがございました。そのかわり、民間のトップを据えた。私は、さすがは菅官房長官だとここで申し上げましたけれども。

 そういう菅官房長官、同一人物がやられるような人事ではないと思っているんですけれども、その辺の平仄というか整合性はどうとられているんですか。

菅国務大臣 民間出身の方あるいはプロパーの方、そうした方も含めて、その時点において適材適所であるという人材を選ばせていただいたということであります。

江田(憲)委員 では、坂さんは適材適所じゃなかったと。では、坂さん、僕は直接知っているし、私も官僚出身ですから今トップに座ったOBも知っていますけれども、どこが適材適所で、どこが不適材なのか、全く理解できません。まあいいでしょう。

 問題は、それもありますけれども、政投銀も今、副総裁ですか、財務省OBですけれども、大方の予想は、財務省OBがめでたくまたトップに返り咲くと言われていますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今申し上げたように、官僚は必ずしも排除するわけではないんですけれども、民間やプロパーも含めて適材な人選をしてまいりたいと思います。

江田(憲)委員 それでは、角度を変えましょう。

 政投銀、政策投資銀行と商工中金は、これは完全民営化が決まっているわけですね、方針として。これも小泉政権時の政府系金融機関改革の一環としてですけれども。

 この完全民営化が何度も先送りされておりますけれども、これはどうしてなんですか。完全民営化は諦めたんでしょうか。それから、諦めていないとおっしゃるのであれば、本来、ことしの秋ぐらいだったと思いますね、完全民営化の時期、最初決めたのは。いつごろまでに、いつまでにやられるんですか。お答えください。

麻生国務大臣 現行の制度上、民間金融機関がということで、危機対応融資を行うことというのは可能なんですが、実際には、リーマン・ショックをやったときには全く機能しませんでしたものね、御記憶もあろうかと思いますけれども。東日本大震災の際にも、民間金融機関から危機対応の融資に参加するということはありませんでしたから。そこで、こういった時点で、現時点で民間による危機対応が当然なものとして期待するというのはなかなか難しい、そう思っております。

 また、日本の経済としては、長らくデフレということもありますので、民間による成長資金、最近の言葉で言えばリスクマネーなんでしょうけれども、そういった供給も現時点では極めて限定的ということもはっきりしておりますので、こうした状況を踏まえて、財務省所管のいわゆる政投銀、政策投資銀行につきましては、完全民営化の方針というものはこれはきちんと維持した上で、現実的に必要な当面の施策としては、危機対応とか、また成長資金の供給に役割を果たさせるということをしておかないといかぬのではないか、私どもとしてはそう思っております。

 また、政府系金融機関の役員人事につきましては、これはもう適材適所にのっとって人物本位で人選が行われるべきものだ、それはそう思っております。

江田(憲)委員 異なことをおっしゃると思ったのは、では、リーマン・ショックのときに政策投資銀行、生活金融公庫はなかったんですか。あったんでしょう。あったけれども対応できなかったんでしょう。だから、これは政府系金融機関がどうこうというような、そんな話じゃないんですよ。当時もあった。

 それで、小泉政権のとき、たしかこれは、安倍総理、小泉政権でこの方針をお支えになっていたはずですからね。私の記憶では、民営化をしても大丈夫なような、まさに金融危機対応のスキームというものをつくったはずですよ。

 それで、何度も言いますけれども、リーマン・ショックとかに対応できなかった、大震災でどうだというんだったら、当時も政策投資銀行はあるんですから、政府系金融機関はまだもっとあるんですから、対応できる。それができなかったという問題なんですよ。要は、政府ができなかった、当時の政権ができなかったという話なんです。官邸には金融危機対応会議というのがあるんですよ。私たちはつくったんですよ、橋本政権のときに。

 だから、いいですよ、これはもう時間もないですから。総理に最後、お戻りになりましたから。

 総理は小泉政権下の政府系金融機関改革をお支えされた身だと思いますから、それから、天下りの例のあっせん禁止の国家公務員法の改正をされたのも安倍総理じゃありませんか。それが、やはり、見ていると、こうやって昔ながらの、昔は政府系金融機関といえばもう指定席だったんですよ。大蔵省OB、通産省OB、みんなたらい回しのようにやっていたんですね。それを小泉政権で遮断したんですよ。菅官房長官は日本郵政で遮断されたんですよ。だから、あっぱれと申し上げた。それがどんどん時代に逆行して、こうなっている。それが実害を及ぼしていないならともかく、完全民営化というのがどんどんおくれている。

 総理、総理もかかわられた、支えられたこの完全民営化の方針、それから天下りの禁止という意味で、ぜひしっかりと総理のリーダーシップを発揮していただきたいと思います。どうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、完全民営化のとき、私は官房長官だったと思うんですが、基本的にその後の、さっきの麻生副総理の答弁は、いわば、リーマン・ショック等のときには民間の金融機関がなかなか頼りにならなかった中において、やはり政府系金融機関は政府系金融機関の役割を果たしているんですよ。あれはみんな政府系金融機関が頼りだったですから。ですから、そうしたことも鑑みながら対応していくことが必要ではないかとの答弁であったわけであります。

 そこで、まず、いわゆる天下りと言われている問題については、これは省庁の権限等を背景とした再就職の押しつけによる特定省庁の固定ポストになっているのではないかとの批判も多くあったわけでありまして、第一次安倍政権においては、人事の一環としたそういうことはだめですよと、こうした不適切な行為を厳格に規制するための公務員制度改革を断行いたしまして、適材適所による人事を徹底してきたところでございます。

 今御指摘の政府系金融機関についても、適材適所の原則にのっとり、人物本位で人選が行われているものと考えておりますし、今後、しっかりとこの基本的な方針にのっとって対応していく考えでございます。

江田(憲)委員 そういう御答弁は、安倍総理がやられた国家公務員法の改正以前に、その当時の総理や閣僚や役人が答弁した内容と一緒ですからね。それを変えようとしたのが安倍総理であって、そして今があるわけです。

 もう終わりますけれども、ちょっと必要以上に、政治と金、身を切る改革、そういうところで、歯切れのいい御答弁もいただけなかったので時間をとりまして、きょうは林農水大臣にせっかく来ていただいて、本当は、私はこういった本格的な農政改革の政策論争をしたかったんですね。次回ぜひ、また来週でもやろうと思っていますけれども。

 国民は決してこういうスキャンダル追及を望んでいないと思います。ですから、最初に申し上げましたとおり、また別の場、どこでもいいですよ、個人になって、しっかり説明責任を果たさせるように自民党の方にも指示されて、西川さん個人、あるいは今後出てくるであろう方々の説明責任も、総裁としてやはりリーダーシップをしっかりとって、それはそれ、論争は論争、政策論争という形で、維新の党というのは政策の党と標榜しておりますから、本当はそういうことはやりたくないんですけれども、しかし、余りそういうことをゆるがせにしていくと、そうでなくても緊張感のない緩んだ国会がさらに緩んでいく。これは決して国民のためにはなりません。国民本位の政治は生まれませんから、ここはしっかりけじめをつけていただく。

 早急に、総理大臣として、任命責任をおっしゃるのなら、総理大臣みずからがけじめをつけていただくことを国民の皆さんも望んでおられると思いますので、きっちりけじめをつけて、政策課題は山積しておりますので、これから維新の党はしっかり政策論争を挑んでまいりますので、ぜひその点はよろしくお願いを申し上げまして、私の質問は終わらせていただきます。

 どうも本当にありがとうございました。

大島委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申し出があります。江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。

井坂委員 神戸から参りました維新の党の井坂信彦です。

 本日は経済と財政に関する集中審議ですので税金について議論をしたいと思いますが、冒頭に、先ほどの江田代表との質疑の中で一点だけ、文書通信交通滞在費について、少しだけ総理にお伺いをしたいと思います。

 あの有名な号泣県議は、私の隣町の西宮から県議になっておられました。おかげさまでといいますか、地方議員の経費の透明化、これは四月の統一地方選のやはり一つのテーマというふうになっていると思います。

 国会議員も、月百万円の経費、文書通信交通滞在費。ただ、名前はこうなっておりますが、先ほど江田代表と総理との議論もありましたように、議員活動事務所の経費、いわゆる家賃や人件費、また国会活動報告の経費、いわゆる地元での活動報告の経費にも使えるということになっております。

 最大の問題は、何に幾ら使ったのか、報告書も領収書も出さなくてよい、この一点に尽きるわけであります。いわば、あの号泣県議よりひどい使い道にも、全くばれずに使おうと思えば使えてしまう仕組みが温存をされております。

 総理は、制度改正の前にまず透明性が大事なんだ、こういうふうにおっしゃっておられましたが、お伺いをいたしますのは、今回、文書通信交通滞在費を減らしましょうという議論は、我々、まだしておりません。まずは使い道を公開しましょうという当たり前の提案を申し上げているわけで、これは議論の余地がないというふうに思うわけでありますが、総理は、減額ではなくて公開にどのようなデメリットがあるとお考えで先ほどからあのような答弁になるのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今御指摘の公開についてであります、文書通信交通費についてでございますが、ここは、ではなぜ今まで非公開だったかということも含めて、歳費との関係、あるいは全体の金額の多寡や使途についてどう考えるかということも含めて、何回も申し上げておりますが、これはまさに議員活動の根幹にかかわることでございますから、国会の各会派において御議論をいただきたい、このように思っているところでございます。

    〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕

井坂委員 総理は二言目には、民主主義の根幹にかかわるから、あるいは議員活動の根幹にかかわるから、この一点張りで逃げていかれるわけでありますが、お伺いをしたいのは、単なる文書通信交通滞在費の使い道を公開しましょうという御提案であります。これを公開することでなぜ議員活動の根幹にかかわるような出来事が起こるのか、私は想像がつかないんですけれども、何か使い道を公開すると議員活動の根幹を揺るがされるような問題が起こるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この問題については、私は今、行政府の長としてここに立っているわけでございますが、この御提案については、御党以外は、他の党は今反対をしているというのが現状でございまして、まさにその場で、国会の場で、これは議員の活動の根幹にかかわることでありますから、御議論をいただきたい、こう思っているところでございます。

井坂委員 地方議員の活動経費、いわゆる政務活動費も、地方自治法百条十五項で、地方議員は条例の定めるところにより政務活動費の収支報告を議長に提出するものとすると。どういう報告の仕方になるかは条例で定めるわけでありますが、とにかく使い道は報告と、当たり前の法律になっているわけであります。

 ぜひ御提案したいのは、国会議員のいわゆる文通費も、まず収支報告をするということは二〇〇一年の答申どおりに法律でさっさと定めて、どういう報告をするのか、これについては各党で話し合えばよいだけだというふうに思うわけでありますが、報告をするかしないか、そんなところまでさかのぼって議論しなければいけない問題でしょうか。

安倍内閣総理大臣 議論しなければいけない問題でしょうかという御趣旨の質問でございますが、繰り返しになりますが、まさに今言った論点も含めて、政党間で御議論をいただきたい、このように思っております。

井坂委員 透明性とおっしゃった総理がこの点に関しては大変歯切れの悪い御答弁で、私は残念に思うところであります。ふだんは大変力強いリーダーシップを発揮して、この議場でもちょうちょうはっしの議論をされておられる総理でありますが、事議員が身を切る改革、ましてこの文通費の公開などは、身を切る改革とすら呼べない当たり前の話であって、別に身を切るわけでもない、税金からいただいている経費を何に使ったのか報告をしましょう、こういう話でありますが、それすら、それ以外の御答弁はいただけませんか。

安倍内閣総理大臣 こうした経費あるいは文書交通滞在費等が今まで続いてきたという成り立ちも含めて、これはしっかりと御議論をいただきたい、このように思います。

井坂委員 残念ですが、税金の議論に移りたいと思います。

 租税特別措置について伺います。

 これは、簡単に言えば、税金の特別割引のようなものであります。いろいろな政策目的を持って、現在、財務省の報告書によれば、百二十九種類ありまして、合計一・二兆円の租税特別措置があるというふうに承知をしております。

 ここで、パネルを、そして配付資料をごらんいただきたいんですけれども、適用件数が極めて少ない租税特別措置というものが思った以上にたくさんあります。ここに書かせていただいたのは、ピックアップした中でもごく一握りであります。

 せっかくつくった制度が全く使われていない。これは、制度の中身か、あるいは宣伝方法に大いに問題があるに違いないと思うわけであります。そして、結果的に、これらは広く国民のための政策ではなく、わずか一、二社のための制度になってしまっています。

 この適用件数が例えば一桁の租税特別措置、いわゆる税金の特別割引、これはもう特定企業のための制度となってしまっており、見直すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 そこに出ている資料以外にも、私どものところで、例えば特定農産加工品生産設備等の特別償却、これは二件とか、そういったものが、そこに書いていないということで幾つかありますので、私どもとしては、こういったものは、二十七年度の税制改正におきましては、この利用状況を踏まえて、廃止をしたり、期限が来たらそれ以上延ばさないとか、そういった形でいろいろやろうとしている。税のゆがみを生じさせる面もありますので、そういった面から真に必要なものに限定していくことが重要だと考えております。

 同時に、研究開発とかそういったいろいろなものに資する部分というのがありますので、そういったものは今後とも必要なものだと思いますが、やはり、これまで利用者が極端に少ないというのは必要ないんじゃないの、その当時はあったのかもしれませんが、ということを思っておりますので、こういったときにと思って、廃止する方向で検討させていただいております。

井坂委員 見直しや廃止とおっしゃっているんですが、しかし、制度の期限が来ても、これはどう見ても要らないだろうと、件数的に見れば、あるいは中身を見ても、そんなものも、やや縮小するけれども延長というものが非常に多いですから、厳しく見直していただきたいと思います。

 次に、今ちらっとおっしゃった研究開発、これは必要だとおっしゃるんですが、しかし、実は、今何千社にも使われている研究開発減税、研究開発税制、今回、大幅に縮小されました。一千百四十億円が削減をされ、中には特別試験研究費で三百億円上乗せはされておりますが、それでも、差し引き、規模が大幅に減っている。あわせて、設備投資促進税制も三百三十億円の縮小となっています。

 これは、アベノミクスでは、基本的には研究開発や設備投資になるべく企業にお金を使っていただく、それで景気を回していこう、こういう方向性があったと思うんですが、随分逆行しているのではないでしょうか。この研究開発減税や設備投資減税を縮小してしまえば、法人税率を下げても消費や投資に回る金額は減るのではないかという懸念がありますが、いかがですか。

麻生国務大臣 御指摘のありました二十七年度におきます税制改正におきましては、研究開発税制についても、支出をいたしました試験研究費の総額に応じた税額控除は認めるいわゆる総額型、意味はおわかりだと思いますけれども、総額型の税額控除については、これは課税ベース拡大の観点からも見直しを行いたいとは思っております。

 ただし、その際には、単に縮小するというだけではなくて、少なくとも現行の総額型では研究開発の質というものを全然問わないことになっておりますので、今回の税額控除の上限枠を法人税額の三〇%から二五%に五%分縮小いたします一方、質の高い研究開発投資が活発に行われますよう、共同研究などのいわゆるイノベーションに関しましては別枠として五%創設する等々、いろいろバランスをさせていただいております。

 長くなりますので、それだけにします。

井坂委員 今おっしゃったような、確かに、質の向上、三百億円積んでいる部分もあるんですが、一方で、一千百四十億円減らして、やはり差し引きで減税の規模は八百億円減ってしまっている、ここを問題にしておりますので、ぜひまた御検討いただきたいと思います。

 もう一つ、税金で議論をしたいのが、今政府が提案いただいております、結婚・子育て贈与、これを非課税にしようという制度であります。祖父母、おじいちゃん、おばあちゃんが子供の結婚資金や孫の育児費用を出した、贈与した場合に、その贈与税を非課税にしようということが政府から今回税制改正で提案をされております。

 その目的を見ますと、少子化対策のため、若年層の経済不安を解消し、結婚、出産を後押しと書いてあります。すばらしい目的だと一瞬思うわけですが、しかし、本当かなというふうに思うわけであります。

 配付資料の二枚目をごらんいただきたいと思いますが、親の世帯の収入によって教育と結婚にどのような格差がつくかという一覧表であります。

 そもそも、祖父母が多額の贈与をできるようなおうちで、そのお子さんが経済不安で結婚、出産できないような状況にある確率は非常に低いのではないかなというふうに考えます。

 もちろん、親と子の間で所得や資産に相関関係があるかどうか、これを直接調べた研究は、多くはないですが存在をします。その結論は、所得の低い親の子は所得が低くなるといういわゆる貧困の連鎖よりも、裕福な親の子は裕福になるという豊かさの連鎖が起こるんだ、こういう研究があるわけであります。

 豊かな親に多額の教育費をかけてもらった子は、学力、学歴が高くなって、結果的に大人になって所得が多くなる、また、親の地位や財産を受け継げば豊かさの連鎖はますます強くなる、こういうことだろうと理解をしております。

 また、結婚に関しても、父親の収入が多いほど娘さんが二十代で結婚する確率が高くなる、こういう研究もございます。

 お伺いをいたしますが、今回の結婚・子育て贈与の非課税、この制度には結婚の格差が開く効果しかないと思うわけでありますが、いかがでしょうか。あるいは、格差を縮める側面もあるんでしょうか。

    〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 今御指摘のありました結婚・子育て資金及び教育資金にかかわる贈与税の非課税制度というものは……(井坂委員「教育は後でまた」と呼ぶ)ああ、教育は後で、別。はい。

 高齢者層から消費意欲の高い若い人に資産が早期に移転されませんと、八十五で、遺産相続するのは六十五、六では、その人もまた何も使わないということになりますので、飛ばしてということを、この前の二十六年でもやらせていただきましたけれども、非常に効果があって、いろいろなところで多く使われたのはもう御存じのとおりです。

 需要の安定的な拡大による経済の活性化ということにもつなげていくと思っておりますけれども、格差の固定化につながらないように時限的なものにしよう、そう思っております、消費が必要とされているのは今ですから。

 また、税制改正において、再分配機能の回復というのを図るために所得税の最高税率を引き上げておりますのは御存じかと思いますが、四〇が四五%に上がりますし、また、相続税の基礎控除等々も引き下げをすることにしておりますので、そういった意味では、いずれもことしの一月からこれを適用させていただくことにしておりますので、今言われていました御指摘の点にも配慮してそういったものも対応させていただいております。

井坂委員 お聞きしたことに端的にお答えいただきたいと思いますが、この制度には結婚格差が開く効果しかないのではないですかということですから、この制度に関してはいかがですか。

麻生国務大臣 そういう資料がある、ない、私どもその資料は残念ながら持っておりませんので、その資料を見させていただいた上で御返事申し上げます。

井坂委員 確かに、年配の方が貯金をしておられて、そのお金がなかなか若い世代におりてこない、そして現実の経済の中でお金が表に出てきて回らない、だからそれを引っ張り出すんだ、こういう政策は、そういう側面はわかるんですが、しかし、その手段としてこれをやると、結局、豊かなお年寄りから豊かなその子供への所得移転にしかならなくて、そこで結婚の格差が生じるのではないですか、こういう懸念を持っているわけであります。

 もう一点、教育資金の贈与非課税についてもお伺いをいたします。

 全く同じような制度です。平成二十五年度から始まった孫への教育資金の贈与非課税、現在、おっしゃるように大ヒット商品と言われていて、十万件、信託銀行に口座が開かれて、そして合計七千億円も既に贈与がされている。

 大臣、期間限定とおっしゃいましたけれども、これは、最初にどかっと贈与して、あとはもう本当に二十年、三十年ずっとそれを使うような制度ですから、期間限定どころか、この政策を一度やるともう、一世代丸々そういう話は続くわけであります。

 この制度で、平均すると七百万円、これは子供や孫ごとに贈与ですから、一人の子供や孫にぽんと七百万円、出したらもう一生返ってこないお金をぽんと出せる高齢者、これはやはり平均以上に相当裕福な御家庭だというふうに思います。

 この制度で贈与がこんなペースで進み、富裕層の払う相続税額は、では、どの程度減るんですか、政府はわからないということ、そして、教育贈与を使っている世帯の平均資産はどうなんですか、これもわかりませんということであります。そして、この贈与を受ける子供の側の所得制限もなくて、要は、幾ら裕福な家でもこれは非課税の対象になる、こういう制度であります。

 お伺いをいたしますが、裕福な家の教育に贈与非課税といういわば税制上の特典を与えるのであれば、当然、並行して、それ以上に教育の格差縮小のための予算をふやさなければいけないと思いますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど来、財務大臣が説明をしております。

 この教育あるいはまた結婚に対する贈与に対する税制の問題でございますが、これは、狙いとしては、先ほど御説明をしたとおり、デフレ脱却というのはそう簡単なことではございませんから、高齢者からいわば働き盛りの若年層への資産の早期移転、そして基本的にはそれはすぐに消費に回っていくということを想定してこの税制をとったところでございまして、教育についてはまさにその狙いの方向においてこのお金は使われていくわけでございまして、行ったものがそこに滞留するというよりも、基本的にその方向で使われていくということでございます。

 確かに、今委員が御指摘のような意味もございますから、これは期間を基本的には限定していくということでございます。

 しかし、そこで、格差が固定化しない、いわば貧困の連鎖もそうなんですが、裕福な家庭はずっと裕福だということではなくて、再配分機能をしっかりと機能させていくということも大切であろう、こう思っているわけでございます。

 教育に係る施策については、家庭の経済事情に左右されることなく希望する教育を受けられるようにしていくことが重要と考えておりまして、平成二十七年度予算案においては、幼児教育の無償化に向けた取り組みを段階的に進めていく、高校生等の奨学給付金を充実していく、無利子奨学金や授業料減免を充実するなどを盛り込んでいるところでございます。

 また、結婚については、仕事と子育ての両立の困難さや経済上の問題を抱える若い世代の希望をかなえるという観点から、育児休業の取得促進や安定的雇用を目指した取り組みの推進を行うこととしているところでございます。

井坂委員 総理がいろいろおっしゃった、例えば育児休業とかそういった話は、別に所得制限のない話でありますから、みんなが使える制度で、いい制度だと思うんです。

 ただ、一方で、この贈与非課税というのは、やはり非常に資産がある家庭だけを対象にされた税の減免です。こちらだけやって、あと全員が使える制度だけがあってだと、結局、格差は拡大する方向の政策だけあって、縮小方向の政策がない、こういうことを心配しているわけであります。

 教育に関しては、幼児教育それから高校教育、この分野では、確かに安倍政権になってから格差を縮めようという政策が幾つか打たれていると思います。しかし、では、小中学校の段階ではどうなのかといえば、やはりこういう贈与非課税政策を矢継ぎ早に、教育資金もそう、それから結婚、子育てもそう、それから家を買う資金もそうですよね、こういう政策が矢継ぎ早に今出されていて、まさに格差拡大政策だけだと、特に小中学校段階では、ほかにないというふうに私は見ておりますから、格差拡大だけになるんじゃないですか。その点はいかがですか。

下村国務大臣 御懸念の点は、そういう部分はあると思います。

 ただ、小中学校については、小学校では一人当たり税金投入額が約百万円、中学校では百十万円、ところが、幼児教育といいますか、幼稚園や保育所では実際は五十万円以下でありますし、高校、大学ですともっと少ないという部分があって、義務教育ですから、逆に言えば、税金投入額がほかのところに比べると結構恵まれているという部分はあります。

 ただ、そうはいっても、小中学生の中でも格差の問題というのはあるわけで、これについては、貧困対策法等を含めて、教育扶助制度等の充実とかいうようなことでしっかり格差是正をしていくことは大切なことだというふうに我々も思っております。

井坂委員 全員に適用される政策と、特定の方々にしか適用されない政策を分けて考える必要があると思います。

 小中学校が公費で手厚くされている、これは、豊かな家庭の子であっても全員に適用される公費でありますから同じ高さなんですね。そこに、豊かなおうちの子だけが贈与非課税でさらに同じ土台の上に高いげたを履く状態になるわけです、こういうことが続くと。一方で、こちらの人の履くげたはないんですか、新しい政策はないんですか、こういうことをお尋ねしているわけであります。

 大阪市で、既にこういう発想で一つ政策が進んでおります。お配りしている表で、小中高それぞれ四百万未満のおうちと一千万以上のおうちでかけている学習費の総額が違いますが、さらに右の方に行きまして、公立中学校の補助学習費、いわゆる塾代とかこういった部分でも、世帯の収入、親の収入によって相当使っているお金が違う。ここに着目をして、中学生の、しかも一定の所得以下の御家庭の中学生の塾代だけを、塾にしか使えない形で補助をしていこう、こういう政策も大阪市では始めているわけです。

 まさに、お金のある層にだけ、今、贈与でお金がどんどんおりてくるわけです。こっちだけげたを履いて、こちらに履くげたがないというのを、どうやってここを解消するかという視点でお尋ねしていますので、お願いいたします。

下村国務大臣 御指摘のように、今度大阪市では、ことし、二十七年から全域において低所得者層の子供たちに対するいわゆる教育バウチャー制度の導入を図るということで、二十五億計上するということは相当思い切ったことであると思いますし、大変に注視をしております。

 そして、我々としても、学習者や保護者が多様な学習環境を選択できるようにすることも非常に重要だと考えておりまして、文科省では従来から、この理念の実現に向けて、高等学校等就学支援金や、幼稚園就園奨励費の補助の充実など、家計の教育費負担の軽減に努めているところであります。

 同時に、現在、今フリースクール等、これは小中学生の不登校の子供等が対象になりますが、このフリースクール等での学習に関する支援のあり方について、有識者会議を設置して検討を始めております。

 大阪市のような教育バウチャー制度についても、さまざまな創意工夫をしながら、私は、国としても検討すべき時期に来ていると認識しておりまして、今後とも、一人一人の子供の視点に立った教育環境の改善に、柔軟に検討してまいりたいと思います。

井坂委員 結婚・子育て贈与、あるいは教育資金贈与、これを非課税にするというのは、間違いなく、一定の層のおうちに、これは現にもう七千億円お金がおりているわけですから、こういうおうちの方だけ教育資金が子供一人当たり七百万円平均で裕福に使えるようにもうなっているわけですね。こういうことがもう生じておりますから、一方で、こちら側でどういうげたを履くのかということを真剣に考えていただく必要があると思います。

 月曜日の予算委員会では、二十年後の仕事、なくなる仕事、また残る仕事、そのために必要な能力、こういった議論をさせていただきました。あのピケティ教授もおっしゃっていましたけれども、収入の格差や資産の格差だけでなくて、やはり教育の格差というのが本質的に問題になるんだと私は思っております。

 維新の党は、身を切る改革から始まる歳出削減、税金の無駄遣いの撲滅、それで、浮いた財源をどこに投入するのかといえば、まさにこの教育分野に、そして、申し上げたような格差を縮小する方向の政策を打っていく、明快な目的を持って、また引き続き予算委員会で議論をさせていただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

大島委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 きょうの質疑を聞いておりまして、少し確認したいことがございましたので、望月大臣にお越しいただきましてどうもありがとうございます。

 午前中の質疑の中で、一般社団法人の方からの献金は、これは直接もらっていないので特に問題はないんだという御見解をされていたと思いますけれども、朝日新聞の報道を見ますと、一般社団法人とは別に、国交省の補助金をこの鈴与さんはもらっているというふうに書いてあるんですけれども、こちらは一般社団法人じゃないですから、補助金をもらっているということであれば、これは、そのもらっている人が望月大臣に献金をするということは違法だということでよろしいですか。

望月国務大臣 これは、私も新聞を見せていただいて、今、朝日新聞というようなお話がございましたが、広域物資拠点施設整備費補助金というものだと思いますが、私も調べましたら、国土交通省の中部運輸局が交付を行ったものでありますが、これは政治資金規正法が定める国の交付決定を受けた会社による寄附の制限に該当するか否かの判断については、その性質も含めまして、実は慎重な検討を要するところでありまして、当該補助金は当省が、私の環境省で所管するものでないことから、引き続きちょっと調査をさせていただきたいな、こんなふうに思っております。

今井委員 ということは、違法性があるかもしれないという御認識ですか。

望月国務大臣 それでございますけれども、先ほど急に御質問だということなものですから、私、今、きのうの新聞の、あれから改めてもう一度、そういった形でございましたけれども、こちらへ今来るまでの間にそういうところを調べられなかったものですから、大変申しわけないんですけれども、そういう形の中でございます。

 今、実はそういうことで、しっかりと一度その分については調査をさせていただきたいな、こんなふうに思っております。

今井委員 すぐ調べられるのではないかと思うんですが、私の通告も突然でしたから、では、これを調べて、また御報告いただいてよろしいですか。

望月国務大臣 調べて、お答えさせていただきたいと思います。

今井委員 では、よろしくお願いします。

 それで、きょうの報道ですかね、望月大臣は鈴与さんからいただいた献金を返金されたというふうに伺っておりますけれども、それは事実ですか。いつ御返還なされましたか。

望月国務大臣 この交付金を受け取った、補助金の性質について、今申しましたように、引き続き調査を行う必要もあることや、そもそも、国の補助金の交付決定を受けたことを知らずに受け取ったものでございます。受け取った行為については、私自身は、法に抵触するものではないとは思われます。しかしながら、政治資金規正法上、一定の寄附行為について制限がなされているということ、これは事実であります。

 この広域物資拠点施設整備費補助金については、この制限に当たるかどうかは引き続き調査をしなくてはなりませんけれども、これに該当するというようなおそれもあることから、これは道義的な立場から、二十六日に、昨日、報道が出てすぐに、百四十万円を返還させていただきました。

今井委員 今おっしゃられましたけれども、ここの委員会でも何度も議論になっていますが、もらった方は、補助金をもらっている企業かどうかを知っているか知っていないかが構成要件ですから、そこは今議論をおいておいて、まあ、知っているか知らないかというのはこれからまたいろいろお話をお伺いすることになるかもしれませんけれども、とりあえず、出す方に関しては、補助金をもらっているところが交付から一年以内に献金を出せばこれは違法ですから、だから、鈴与さんにその疑義があるからお返しになったということでよろしいんですね。もう一度お伺いさせてください。

望月国務大臣 その問題については、今、私のことで聞かれた場合を答えていることであって、このお金についてお返しをした、そういうことで、あとの問題は、そちら側の、あるいはまた、そういう法律にのっとってどういうことかということは、調べていただくことになるのではないかな、このように思います。

今井委員 はい、わかりました。その点は、御報告をいただいた上でまた議論したいと思います。

 それと、ちょっともう一点、これは確認なんですけれども、西川元大臣の件は、結果的には、その企業の顧問をやっていたというところで、では、補助金をもらっていたのを知っていたんじゃないかというような疑いが持たれかねないという状況だったのでいろいろと議論になったということであります。

 大変失礼なんですが、ちょうど同じ時期に落選なさっていたんじゃないかなと思うんですけれども、念のためですが、鈴与さんとは、そういう顧問契約とか、その他、会社との関係のような、そういう立場にはおつきになってはいらっしゃらなかったですか。

望月国務大臣 補助金をいただいたこの会社と顧問契約等はございません。

今井委員 明確に答弁いただきましたので、ありがとうございました。

 望月さん、これで結構でございますので、どうもありがとうございました。

 次に、総理にお伺いしたいんですけれども、西川元大臣の件なんですが、きのう、関連企業等報告書というのを訂正なさったというふうに伺っています。訂正をしたのはきのうですから、もう一議員でございますけれども。

 確認をしたいんですが、訂正をしたということは、現在、資産公開法においては適法な状況になっているということなんだと思いますけれども、訂正をする前は違法状態にあったということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 違法性について、私が今、個々の事案について、違法性があるかどうかというのをここで断定する立場にはございません。

今井委員 では、一般論でお伺いしますけれども、資産公開法において、記載すべきことが載っていない状態というのは違法状態でございますか。どなたでも結構ですけれども、参考人はいらっしゃっていますか。

 一般論ですから、お答え、そんなに難しい質問じゃないと思うんですけれども、お答えいただけない。一般論としてお伺いしているので、お願いします。

安倍内閣総理大臣 委員、こういうのは、普通、有権解釈をする人を、政府委員を呼んで、そこで答えさせるというのが基本的に予算委員会のあり方だと思います。

今井委員 はい。では、質問をかえます。

 では、私の方から申し上げますけれども、一般的に考えて、訂正をしたわけでございますから、訂正をする前の段階では間違った報告をしているわけですから、普通に考えれば法律に違反している状態ということだと思います。

 その時期は、閣僚だった時期なんですね。閣僚だった時期です。訂正をしたのは議員にもうおなりになった時期ですけれども、大臣をやめた後に訂正はされていますが、逆に、大臣時代はずっと間違った状態のままあったということでありますから、そこにおいては、やはり西川大臣はしっかりとどういう経緯だったのかということを説明する義務があるというふうに思いますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 委員は、今、違法とか違反とかいう言葉を使われましたが、そうすると、それが違法というのは、どういう法律上の構成要件になっているのかということ等についてもしっかりとそれはつまびらかにしなければいけないわけでありまして、政治資金収支報告書等について、訂正しているのは何回もあるわけでありますし、間違い等々でそういうこともあるわけでございます。それとこれは大体同じことかもしれませんし、今、私がそれについてコメントする立場にはないということは再三申し上げているとおりでございます。

今井委員 では、違法という言葉はやめましょうか。内容が間違っていたと。内容が間違っていたということはあるわけですから、間違っていたものを、間違っていなければ訂正するわけないので、だから訂正したんですから、そこはどういうことだったのかということをしっかり説明する必要があるというふうに思われますけれども、それはいかがですか。

安倍内閣総理大臣 事実としては、訂正したということなんだろうと思います。それ以上のことは、私は存じ上げません。

 そして、同時に、何回も申し上げておりますように、政治家個人であろうと閣僚の一員であろうと、与党であろうと野党であろうと、疑問が投げかけられれば、それに答えていくということについて、責務を果たしていくことになるのではないかと思っております。

今井委員 私は、この内容を総理に答えていただきたいということを申し上げているんじゃなくて、西川元大臣はやはりここをちゃんと説明する必要があるんじゃないですかということをお伺いしているんですね。

 状況だけを申し上げれば、関連企業等の報告書は訂正されましたけれども、所得等の報告書は以前のままであって、ですから、では、もともとその報酬は所得の方にはあったんだけれども、関連企業の方は報告をしてなかったのか、あるいは、関連企業の方は今報告しているけれども、所得の方はまだ載っていないのか、恐らくどちらかだと思うんですね。どちらかしかあり得ないと思うんですが、その辺もはっきりしないわけです。

 このもともとの話は議員になられてから出てきた問題ではなくて、そもそも顧問だったかどうかというのは、この予算委員会の議論の中で出てきた話ですから、連続しているわけですね、話としては。その連続しているものの中で、議論が、内容がだんだんだんだんわかってきたわけでありまして、その点については、やはり、大臣がここに来てしっかりと御説明をなさるか、あるいは、総理がちゃんと指示をしていただいて、それなりの場所でしっかりと報告をしていただくか。国会に限らないと思いますけれども、どこかの場でしっかりと説明をするということを、閣僚時代の話ですからね、もうやめたからいいという問題ではないんだと思うんです。

 ですから、これは、しっかりと説明責任を果たしてくださいということをやはり西川元大臣に御指示をなさるということが大事なんじゃないかなというふうに思いますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 これは、先ほど来申し上げているとおり、この予算委員会において参考人として西川さんに証言を求めるかどうかということについては、予算委員会の運営でございまして、ですから、まさに、これは先ほど委員長がおっしゃったように、理事会において議論されることだと思います。

今井委員 私は別に、予算委員会じゃなくても、例えば、まず御自分で会見を開いてしっかり説明されるとか、そういうことをされればいいと思うんですね。だから総理も、何らかの形でちゃんと明らかにするようにという指示はできるんじゃないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは、私が指示する、しないではなくて、議員というのは、個々の議員は選挙によって選ばれているわけでございまして、国民から負託を受けているというこの重い責任の中において個々の議員が当然説明責任を果たしていく、そういう認識の中において常に襟を正していくことが大切であろう、このように考えております。

今井委員 いつもこういうことになるとお逃げになるんですけれども、過去の例を見ていただければわかるんですが、過去の例を見て、閣僚がこういう類いの問題でおやめになった後、御自分から説明したことがありますか。今までそういうことは、私は記憶にないですよ。

 結局は、喉元過ぎれば熱さ忘れるかどうかわかりませんが、時間がたてばみんな忘れるからといって報告しないまま時間が経過していくということは、ずっと続いてきているんです。ですから、政治の不信感がいまだに国民の中から払拭できないんですよ。

 総理は、私は非常にリーダーシップのある総理だと思いますよ。ですから、安倍政権がどうかという問題ではなくて、やはり政治家の、そういうお金の問題の不信感、国民から持たれている不信感を払拭するために、先頭に立ってこういうものを明らかにしていこう、やはりそういう強い気持ちで臨んでいただくことが私は大事なんじゃないかなと思っておりますので、どうか総理に一歩そうやって踏み出して動いていただきたいんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 この説明責任については、議員としては当然、国民の信頼の中において政治は行うことができるわけであります、政治家としての仕事を果たしていくことができるわけでございます。だからこそ、常に襟を正していく必要があり、何か疑問が投げかけられたら、政治家としてその責任を果たしていく、説明責任を果たしていくのは当然だろう、これは再々申し上げているところでございます。

今井委員 なかなか踏み切っていただけないので、ぜひもう一度再考して踏み切っていただきたいと思いますが、今のところらちが明きませんので、理事会のときにも申し上げましたけれども、私は小渕優子さんにも委員会で質問した後、答えると言ったままおやめになられて、ナシのつぶて状態です。ですから、今回の西川元大臣、そして小渕優子元大臣をお呼びして、この予算委員会で、参考人でお呼びして、集中審議をぜひやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

大島委員長 理事会で協議いたします。

今井委員 私も理事の一人でございますので、またよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、先ほど江田代表がちょっと言われたことを少しだけおさらいしておきたいと思います。

 二十年前の件なんですが、これはもともと、黒い霧事件、ロッキード事件、リクルート事件、こういうものがいろいろあって、小選挙区導入と一緒に、政治四法を全部変えようということで、政治資金規正法も改正になりました。そのときの趣旨は、政治家への企業・団体献金をやめていきましょうということで、先ほど江田代表もおっしゃいましたけれども、政党は許しましょうということで始まったんです。

 それから五年間、経過期間があって、いわゆる政治家の団体のところは全面禁止になった。その経過の中で、政党支部には献金はしていいという状態になったものですから、これは政党支部を使えばいいということで、政党支部を続々と設置していったということなんですね。

 実際、今どうなっているかといいますと、これが平成二十七年一月一日現在の届け出政党の支部の数です。自民党は七千四百六十八、民主党が四百八十九、公明党四百二十七、これは事実ですからね、二百三十五、それから我が党は百七十五であります。

 もちろんこれは、法律上、問題はありません。法律上は全く問題ありません。ただし、この七千四百六十八はみんな企業・団体を受けられる支部なわけでありますね。こういうところがたくさん出てくると、どうしてもチェックが行きにくくなるということで、どんどんと、結果的には個人と近い政党支部というような形になって、本来、個人への企業・団体献金を禁止していたのに、これをある意味抜け道にして、みんなが献金を集めるということになっているわけです、実質は。法律上、問題ないんですよ。だから、法の抜け穴、みんな、いろいろな抜け穴を使っていろいろなことを考えますから。

 やはり、こういうふうに使われているという現状があるのであれば、一度見直していく、もう二十年たったんですからこういうものをしっかり見直していく、もうそういう時期に来ているんだと思いますけれども、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 我が党が支部の数が多いというのは、当然、地方議員と合わせた数は圧倒的に多いわけでございまして、それに比例しているんだろう、こんなように思うわけでございます。

 そこで、どうするかということでありますが、政治活動に対する献金のあり方については、長年の議論を経て、企業・団体献金は政党等に対するものに限定されるなど、種々の改革が行われてきたわけでございます。

 私は、企業、団体が政党等に献金することは不適切なものとは考えておりません。その上において、この問題は、民主主義の費用をどのように国民が負担していくかという観点から、まさに各党各会派が話していくべき問題なんだろう、こう思うわけでございまして、もとより、この問題を考える上において大切なことは、透明性を確保するとともに、国民に対する説明責任を政治家一人一人が十分に果たしていくことではないか、このように考えております。

今井委員 私は、いろいろな支部がある中で、ちょっとこれはどうなんだろうと思うのは、実は職域支部というものですね。

 職域支部というのは、医師会とかいろいろな団体があります、こういう団体がつくっている自民党の支部です。これは、それぞれの協会と場所もほとんどいつも同じですし、代表者も一緒、つまり政党と団体が一体になっているわけですね。農政なんかでもそうだと思います。いろいろなところがこの職域の支部をつくって、自民党と団体が一体化しているわけです。

 そういう中で、陳情とかいろいろなことが行われるわけです。許認可を受ける団体もあれば、補助金をもらう団体もいっぱいあるんですね。そういうところが自分のところに支部がある、こういうのが本当に正しいんだろうかというのを常々思っているんですが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 これは、それぞれの団体がそれぞれの団体の中において求めている政策的な課題というのがございます。その課題の中において政治活動を行っていく、これは一つの民主主義の姿だろうと思いますよ。そういう方々からお話を伺うことは、まさに地に足のついた政策を進めていくことにもつながっていくんだろうと思います。

 我が党においては、そういう中において、職域の方々に支部をつくっていただいているということでございますが、それは同時に、しかし、それがそのまますぐに政策に反映されるわけではございません。我々の政策への反映というのは、基本的には、公約、あるいはかなり細かくJ―ファイル等についてお示しをしているということでございますし、その職域支部ということにつきましても、これはオープンに、ガラス張りになっているわけでございます。

 そういうあり方も含めて、常に国民の皆様の審判を受けている、また同時に、常に国民の皆様の審判を受けるという緊張感の中において、我々は政治、行政に取り組んでいかなければならないと思っております。

今井委員 もう時間が一分しかないので、私の方で話して終わります。

 いろいろなものを見させていただいていますけれども、具体論はきょうは申し上げませんが、やはり、協会があって、そこに同じ住所で、代表者が一緒で、みんな一緒なんですね。これはもう一体としかどうしても思えない。

 これから軽減税率の話が恐らく出ると思いますが、これは物すごい陳情合戦になりますよ。新たな利権になりかねない、これはいろいろなところで指摘されているんです。

 ですから、ことしじゅうに決められるんでしょうけれども、物すごい陳情合戦が始まりますから、そこでまたお金の問題が起きないように、私もしっかりチェックしてまいりたいと思いますけれども、その点は政府もよく考えてやっていただきたい、そのことを申し上げて終わりたいと思います。

大島委員長 これにて江田君、井坂君、今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年秋の米価の暴落が農家に大きな打撃を与えております。

 二〇一〇年のことを思い出しているんですけれども、農協からの概算払いで七千円という衝撃が走ったことがありました。岩手の民話のふるさと、美しい平地が続く遠野市で、大規模農家ほど六百万から七百万もの減収だと訴えられました。秋田では、農業で食べていけないから若い人が県外に出ていくんだと怒りをぶつけられました。予算委員会でも発言をしましたし、政府交渉、各地からの意見書など、米価対策を求める世論が瞬く間に広がりました。

 あのとき、米価が例年並みまで戻ったときに、もう少し農業を続けてみようと思ったという一言を聞いたときのうれしさは忘れることができません。

 二〇一四年産米も同様に、三割から四割減、二千円から三千円も下がって、例えばあきたこまちの一等米では一万一千五百円から八千五百円など、再度の衝撃がもたらされました。

 しかし、五年前と最大の違いは、安倍内閣の新農政、二〇一八年度には米の生産調整の廃止が決まっているということです。仮に低利で長期の融資が受けられるとしても、五年先、三年先が見通せない、だから踏み切れないというのが現場の声ではないでしょうか。

 林農水大臣も、この点で認識は共有できるでしょうか。

林国務大臣 今、二十六年産米のお話がありましたが、直近の十二月でございますが、相対取引価格が六十キロ当たり一万二千百四十二円ということで、二十五年産より二千円程度低い水準になっております。

 二十六年産米の概算金また価格が例年に比べて低下したことなどによって、生産現場において二十七年産の生産について不安が生じていることは承知をしております。

 したがって、二十六年産米のナラシ対策により収入減少に対する補填対策を実施する、これはもうずっとやってきたことですが、これに加えて緊急対策を打ったわけでございます。

 米の価格は民間取引の中で決定されていくものでありますが、我々としては、需要に応じた生産を進めるためのきめ細やかな情報提供や、需給の安定を図るためのいろいろな施策、例えば餌米への転換等を進めるとともに、やはりナラシ対策に多くの皆様に入っていただくということで経営安定を図ってまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

高橋(千)委員 次の生産に不安を持っているということを、大臣も同じ認識で述べられたと思います。

 そこで、二年前に、改定された農林水産業・地域の活力創造プランでは、生産調整の廃止とともに、農地中間管理機構によって農地を集積、大規模化する、そして、今後十年間で米六十キロの生産コストを一万六千円から四割減らす、九千六百円まで引き下げるということを目標にしました。正直、どきっときたわけですね。

 つまり、今でさえも、農水省が示している生産費は、生産者がそこまでペイすることができません。つまり、赤字であります。それを承知の上で四割下げるということは、総理に伺いたいんですが、TPPが妥結すれば安い米が入ってくる、これが前提ではないのか。三、四割も米価が暴落して悲鳴が上がっている、そんなときにどうしてこんな安い生産費が実現するでしょうか。

 総理が強調される強い農業をつくるための改革、農家の所得をふやすための改革とは、今年度の米価に耐えられないような生産者はそもそも退場してくれと言っているようなものではないでしょうか。総理に伺います。

安倍内閣総理大臣 私たちが進めている政策は、米に対する政策についてもそうでありますが、これはTPPとは全くかかわりがないことでございまして、そもそも我々は、米等も含めて五品目についてしっかりと国会決議を踏まえて交渉していくということは、申し上げているとおりでございます。

 その上におきまして、これは既に農水省が再三答弁をさせていただいておりますように、農地をフル活用していくという中において、農家の、また農業、農村の所得をふやしていく、そういう政策を進めていきたいと考えております。

高橋(千)委員 もちろん、TPPのためですと言うわけがないだろうと思っておりましたけれども、当然、今、全く関係がないと否定をされました。

 ただ、私が今紹介した強化策、プランを発表した翌日の読売新聞は、「TPPにらみ農業強化」という大見出しがありました。「TPPの妥結に備え政府は農政改革を急いでいる」とし、減反の廃止、農地の集約と並んで、企業の参入と農協改革などを並べておりました。

 しかも、これらについては、全て、産業競争力会議実行実現点検会合なるものが実はすごく頻繁に開かれて、直近ではことし一月にコスト縮減に向けた取り組みについてチェックをされておりますけれども、進行状況を見られているという中にあります。

 そうした中で、ことし二月十二日の施政方針演説で、総理は改革断行のトップに農業を挙げました。しかも、あれほど長く言及されたのも珍しかったのではないでしょうか。六十年ぶりの農協改革、農業委員会改革、多様な担い手による農業参入、農産物の輸出を強調されました。

 なかなか生産者の顔が浮かばないなと思いましたけれども、切り出したのは、「最終局面のTPP交渉は、いよいよ出口が見えてまいりました。米国とともに交渉をリードし、早期の交渉妥結を目指します。」というものです。

 重ねて伺いますが、新農政はTPPの受け皿づくりそのものではありませんか。

安倍内閣総理大臣 TPPについては、アジア太平洋圏に自由で新しい大きな経済圏をつくっていく、日本の成長、日本を豊かにしていく上においては間違いなくプラスになっていく、こう考えているところであります。

 TPPの交渉いかんにかかわらず、我が国の農業の活性化は待ったなしの課題でありまして、そもそも平均年齢が六十六歳を超えてしまっているという状況の中にあっては、大切な農家や農業を守っていくためには、農政の改革を断行していく必要があります。

 このため、安倍内閣においては、農地集積バンクの創設や輸出の促進に力を入れてまいりました。この輸出については、この二年間で、そうした施策を進めてきた結果によって、三六%輸出がふえて、過去最高、六千億円を超えたわけでございます。

 農政全般にわたる六次産業化の推進など、抜本的な改革を進めているところでございまして、さらに、今般、意欲のある農業の担い手が活躍しやすい環境となるように、農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行うこととしております。

 特に、農協改革については、意欲のある担い手と地域農協が力を合わせ、創意工夫を発揮して、ブランド化や海外展開など自由な経済活動を行うことにより、農業者の所得向上に全力投球できるようにしていく考えであります。

 こうした改革を進めていく中において、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、農業の可能性は広がり、農家の所得もふえていく、このように私は確信をしているところでございます。

高橋(千)委員 全国の農地を八割担い手に集積する。でも、今、十五ヘクタール以上の生産費でも一万一千四百二十四円、これが農水省のデータであります。ですから、いかに規模拡大したといっても、到底外米に勝てる水準にはないということは明らかなわけであります。強い農業を語るといっても、本当にその実態が、生産者を本当に支えて、誰が主役になるのか、問われていくのではないでしょうか。

 そこで伺いますが、甘利TPP担当大臣、二十四日の閣議後の会見で、三月九日から十五日に予定される十二カ国の首席交渉官会合に合わせて、日米実務者協議を開きたいと述べたと報道されています。また、ゴールデンウイークには、安倍首相の訪米とオバマ大統領との会談を探っているとも報道されています。

 十九日付の農業新聞で、大臣は、米議会でTPP交渉など通商対策を担当している下院歳入委員会のライアン委員長、共和党だということですが、と会談して、日米が協力してTPPが期限内に成立できるように努力することで一致したと語ったといいます。しかも、農産物関税など、重要品目を理解しつつ、どこまで高水準にするか意見を交わした。高水準というのは、要するに開放するという意味ですよね。ライアン氏は、日米関係は大変貴重な関係で、一層強化するのが我々の使命と述べました。

 二つ聞きます。

 期限内に成立と言っている、期限とはいつでしょうか。また、なぜ日米が協力してということでしょうか。

 つまり、もう日米は同じ方向を向いているという意味ではないか。その結果が、既に現在七十七万トン輸入されているミニマムアクセス米にプラスして、さらに米国産米五万トンを関税なしで輸入する方向で調整しているということも取り沙汰されています。守るべきものは守ると盛んに繰り返しても、もうとっくに守るものの中身は小さくなっているのではありませんか。

甘利国務大臣 TPP枠でアメリカに五万トンなんというのは、全く何も決まっていません。報道が推測をして発信しているだけというのが正直な現状でございます。

 二点お尋ねがありました。

 期限内にまとめなきゃいけない。

 これは、ポール・ライアン下院の歳入委員長が来られまして話し合ったところで、期限内というのは、来年になればアメリカ大統領選が事実上始まります。というか、ことしの年末に近づけば近づくほど関心はそっちに行ってしまいますから、当然期限は決まってくる。というか、そこまでにできないとすると、次の大統領になってからということになるわけですから、漂流しかねない。そういう意味で、ことしの遅くなればなるほど非常にまとめるのが難しくなってきますねという意味で、おのずと期限があると申し上げたわけであります。

 それから、二点目の、なぜ日米が協力する必要があるのかと。

 これは、TPP十二カ国のGDPの各国割合を調べていけば、日本とアメリカで十二カ国の経済規模のうちの八割を持っているわけであります。八割がまとまらないで全体がまとまるはずはないわけでありますから、主要二カ国がまとまっていくということが全体がまとまっていくことの前提になるわけであります。

 日米が全く同じ方向を向いているかといえば、全く同じ方向を向いていれば、こんなに私が苦労しなくて済むのでございまして、お互いに利害がぶつかる。

 安倍総理がTPPに入る決意を固めたときの日米首脳会談では、お互いセンシティビティーはある、アメリカは自動車、そして日本は農産品五品目というお話をされたわけでありまして、そのセンシティビティーは違う方向を向いているわけであります。アメリカの要求と日本の要求は違うわけであります。それをすり合わせるために非常に苦労をしているわけです。

 アメリカはアメリカの要求にできるだけ近いものにしたい。日本は、衆参農水委員会の決議がありますから、まとめたところで、国会を通らなければまとめる意味がないわけでありますから、決議にどこまで合致をしていくか、抵触しないか、最終的な判断は国会でしていただくしかない。政府側が勝手に、ここまでは決議をクリアしている、ここから米が一粒入ると決議違反だというような明確な線引きというのはなかなかできないわけであります。最終的には議会で判断していただきますが、衆参の決議の意をしっかり内閣として受けまして、交渉しているというところでございます。

    〔委員長退席、平口委員長代理着席〕

高橋(千)委員 ここまでなかなか一致できないから粘ったんだとおっしゃるんだったら、潔く協議から撤退すればよい、私はそう思いますね。これ以上すり合わせをしたって日本は譲るだけではないか。もうわかり切ったことであります。

 二年前、この場所で甘利担当大臣がおっしゃったことは、日本のカードは何かといったときに、自動車が十年後には関税ゼロになる、せいぜいその程度しかお話しできなかった。それが実態じゃないですか。それで今は、米一粒で線引きがあるのか、そこまで言わざるを得なくなった。非常に日本が攻められているのは明らかではないでしょうか。

 農協改革についての懇談で、実は、青森県の農協中央会と国会議員との会合の場がありました。そのとき、中央会の代表がこう言ったんです。新農政、TPP、農協改革は三本の毒矢だ。さすがに言い過ぎだと言って訂正をされましたが、でも、私はそのとおりだと思いました。それほどに、息の根をとめられるという思いがあるのではないでしょうか。

 総理は、今月二十四日、都内で開催されたCLSAジャパンフォーラム二〇一五、午前中も少し紹介されておりましたけれども、毎年恒例の、有力な投資家が集まるフォーラムだということであります、ここで講演をされております。こんなことをおっしゃっています。

 これまで口にすることすらタブー視されてきた農協改革を断行します。六十年ぶりのことです。目指すは世界のマーケット。経済活動から国境は消えました。国際競争に打ちかつことができなければ、企業は生き残ることはできない。国内の構造改革を進め、同時にTPPなどの経済連携によって、広い経済圏に打って出る。内外の改革を一体で進めていくことは、日本の競争力を高めるために欠かすことができません。

 そして、最後にこう述べています。

 エンジン全開のことしの日本を、皆さん、買わない手はないと思いませんか。投資家の皆様におかれては、この機会に、生まれ変わりつつある日本経済を肌で感じていただき、有力な投資先として御検討ください。

 総理、なぜ投資家フォーラムで農協改革が出てくるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これはまさに、我々は、日本を、成長していく、活力に満ちあふれた国に変えていくという発信をしたわけでございます。

 日本の農業というのはもう成長していかないのではないかと見られていました。そうではなくて、まさに農業という分野はこれから最も可能性に満ちあふれた分野なんだということを私は言いたかったわけでございまして、まさに投資家の皆さんに対しても、日本の農業、農業だけではありませんが、農林水産業全般について、彼らもぜひ、食市場と言ってもいいわけでありますが、この食品市場全般を含めてそういう分野に投資もしていただきたいし、日本の農業というのはすばらしい分野ですよということを訴えたかったわけでございます。

 まさに、しっかりと消費者ニーズをつかんで、六次産業化も進めていくし、販路も拡大し、海外へも輸出をし、付加価値もつけていく、そういう形で農業、農村の所得倍増を目指していくことによって、若い皆さんにも、この分野は自分たちの努力や情熱で新しい地平線を切り開いていくことができる分野だ、こう思っていただけるような分野に変えていくんだという私の決意を表明したところでございます。

高橋(千)委員 狙いは農協の金融資産ではないんですか、この開放なのではないでしょうか。

 農協改革は、規制改革会議あるいは在日米国商工会議所などから、例えば准組合員の利用を制限するとか、信用、共済事業を金融庁の監督下にと迫られてきました。この間、自民党の中でも随分議論されてきたと思っております。

 一昨年の六月には、日本がTPP交渉に参加するに当たって米国政府が募集した意見の中で、米国生命保険協会は、TPP交渉参加を歓迎、支持する、TPP協定においては、かんぽ生命も共済も優遇されない対等な競争条件が確保されるべきと述べております。

 かんぽ生命、まさにこれは一昨年に私取り上げましたけれども、日本郵政グループのかんぽ生命でがん保険や単品の医療保険展開を凍結すると、USTR、米国の通商部に日本が通告したんですね。同じ日に麻生大臣が、通告したことに対して、やはり、TPPと直接関係するわけではありません、たまたま同じ日になったと会見している。

 だけれども、結局、今、全国二万を超える郵便局の窓口にアヒルがいる。アフラックのアメリカンファミリー生命保険会社の窓口が置かれるようになりました。アフラックは、保険料収入一兆六千七百五十七億円、外資企業の中では第一位、その利益の八割を日本で得ているそうです。

 日本には新しい保険をつくるな、そう言いながら、そのかわりにアメリカの保険窓口を置けと。身勝手ではありませんか。次はJAではありませんか。

林国務大臣 郵政と農業共済というのは一律に論じることはなかなか難しいと思います。農業共済、農協金融、これを海外に開放するというふうに先生がおっしゃっている意味も、どういう形でというのかもよくわかりませんが、今回の改革はまだ骨子を決めた段階でございますけれども、骨子の段階でそういうことが想定されているということはないということは申し上げておきたいと思います。

高橋(千)委員 ですから、これまでもそうでした。TPPはなかなか、秘密協定でもありますから、議論しているときは、そんなことはないと言いながら、結果としてはそうなっている。もともと、日米保険協議のときからずっと開放を求められてきた、そういう経過があるんだということを重ねて指摘したいと思います。

 私は、この間、やはり農協そのものの存在が問われている、そういう危機感を持って懇談を重ねてきました。別に、丸ごといいと言っているわけじゃありません。あるいは、農協の方たちだって、自分たちも変わらなければならない、そうおっしゃっています。だけれども、米価が下がったのも何もかも農協を一人悪者にして、上から解体を迫るのはあんまりじゃないか、そういう声も上がっているんです。

 東日本大震災で最も被災した石巻で、当時はJAの会長、今は宮城県の会長である石川寿一さんはおっしゃっています。大震災を経験して、JA全中をトップとする農協の役割を改めて認識しました、まさに全国支援での炊き出し、JA共済の早期支払い、全国から査定員に来ていただいて迅速な対応ができたと。まさに、ならではの役割を発揮したと思うんですね。

 こうしたことを本当に見ながら、元組合員や地域の非組合員と支え合いながら地方を守ってきた農協を解体し、一路TPP、これは絶対に認められない。重ねて訴えたいと思います。

 きょうは、もう一つ大きなテーマがあって、年金問題について質問したいと思います。

 消費税増税や物価高の一方で、年金は減り続けています。年金削減中止や最低保障年金制度の創設を求める全日本年金者組合の署名が三十万五千筆も集まり、ふえ続けています。

 ほんの一部を紹介します。

 四十二年間、一生懸命働いてきました。老後は安心して暮らせると信じてきた。ところが、退職して年金支給額を知ったとき、余りの少なさに愕然としましたが、それをまた削減されたのです。どうしても納得いかない。

 余分な収入なんて全くない高齢者。買いたいものも手が出ず、見たいものも足が遠のき、我慢ばかり強いられている生活。楽しみのない高齢者に、これ以上どうしろというのですか。早く死ねと言わんばかりです。

 四十年近く福祉分野で働き、今月六十五歳になります。年金事務所で年金額を聞いてびっくりしました。ワーキングプアの基準を超えることができません。福祉に人生の大半を注いできた我が生涯を国に裏切られたような気がしました。

 塩崎厚労大臣、こうした実態、声をどう認識していらっしゃいますか。

    〔平口委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 今先生御指摘の件は、恐らく、特例水準の解消などについておっしゃっているんだろうというふうに思います。

 年金というのは、言うまでもなく、社会保障制度、保険制度の中で行われる、言ってみれば長い期間の対応ということで、今年金をもらっていらっしゃる方々、そして今その方々に仕送りをしている、保険料を払っていらっしゃる現役の方々、そしてこれからの、生まれてくる世代を含めて将来世代、こういった長いスパンで考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 平成十二年から十四年度にかけまして、物価が下落したにもかかわらず、法律上の特例的な措置として、マイナスの物価スライドを行わずに年金額を据え置いてきた。このことによって、本来の年金額よりも最大で二・五%高い水準で年金が支払われてまいりました。

 平成二十五年の十月から実施しております特例水準の解消の措置は、一つは現役世代の将来の年金額の確保につながるように、そしてまた世代間の公平を図る、今申し上げたとおりでありますけれども、その観点から、社会保障・税一体改革の中で、与野党の枠を超えて合意に至って、そのための法律が成立をして、将来世代を考えながら、年金制度を適切に実施するために必要な措置をとった、こういうことでございます。

高橋(千)委員 高齢者の実態をどう認識しているか、まずそのことが大臣に聞きたかったんですよね。もう既に特例水準の解消で年金を減らしてきたことの口実をおっしゃいましたが、それをまた反論していると時間がもったいないので次に進むんですけれども、これでどうなるんでしょうか。アベノミクスで年金はふえたんですか。来年はどうなりますか。制度が大変わかりにくいですので、シンプルに、基礎年金の場合どうなるか、説明してください。簡潔に。

塩崎国務大臣 先生が今お配りをいただいておりますけれども、この四月からの年金がどうなるかということでございますけれども、基礎年金に例をとって説明せいということでございます。

 二十七年度の年金額につきましては、先ほど申し上げた特例水準の段階的な解消というのがあって、さらにマクロ経済スライドによる調整と合わせまして、基本的には〇・九%引き上げられることになっておりまして、基礎年金の満額は、平成二十六年度の額が月額の六万四千四百円であるのに対しまして、平成二十七年度の額は、先生お配りの資料のとおり、六百八円引き上げられまして、月額が六万五千八円ということになるところでございます。

高橋(千)委員 国民年金が満額の場合は六百八円。これは全て実額で、減ってはいないということだけが唯一の救いではありますけれども、実際には、説明があったように、物価は二・七%プラスなんだけれども、賃金は、そこまで上がっていない、二・三%が実は基準になるわけですよね。そこから、先ほど大臣がるる説明されました、物価が下がっていったときに年金をそれに合わせて下げなかった分を、下げなくちゃいけないんだということで〇・五%下げられて、そして、この真ん中にある〇・九%マクロ経済スライド、少子化を見越して一定抑制をしていくというものが初めて今回発動されて、結局、ふえるのは〇・九%にすぎないということが判明したわけです。

 これは、実質でいうと目減りしていると言えるのではないでしょうか。

 総理は、政権交代後のアベノミクスの効果について繰り返し強調されました。今までデフレだったけれども、物価が上がっていけば、当然、物価がスライドしますから年金は上がっていく、これは二〇一三年四月十七日の党首討論でこんなふうにおっしゃっています。

 だけれども、今見ていただくとわかるように、物価だけが上がっても、賃金が追いついていかなければ年金は上がらない、これは当たり前ですよね、総理。

安倍内閣総理大臣 そこはですね、まさに物価と賃金の背比べのようなものになるというのはかつて田村大臣が言っていたとおりでございまして、しっかりと物価の上昇に賃金がついていく、そして、この賃金の上昇に合わせて裁定が、新規の裁定がなされていく。物価や賃金が上昇していけば、年金を受け取り始めた後の年金、既裁定年金を含め年金の名目額は上昇し、また将来の受給者の年金水準の確保にもつながっていくわけであります。

 したがって、デフレ脱却を確かなものとして、賃金上昇を含む経済の再生に取り組んできて、だからこそ、我々、政労使の会議の場を設けて、物価が上がっていくと同時に、デフレ脱却を目指していく中においては賃金の上昇が極めて大切であるということをお願いしているところでございます。

高橋(千)委員 ですから、そこはですねとおっしゃったんですけれども、物価が上がるだけでは年金は上がらないということはお認めになったと思います。

 結局、そこだけ強調されてもだめなんですよね。消費税が増税されたことで反動している物価高もあるわけですから、実態ではない。そこに賃金が追いついていないことが、今、年金生活者を苦しめているということにもなっているわけです。

 そこで、今、二枚目のパネルを見ていただきたいんですね。これは、総務省の家計調査に基づく基礎的消費支出と老齢基礎年金の比較であります。

 実は、厚労省はいつも、モデル世帯といいますと夫婦で出してくるんですね。夫が厚生年金で妻が国民年金、そうすると、合わせると足りますねという資料を出します。だけれども、そればかりじゃないんですよ、残念ながら。単身で見ると、明らかに差があります。内閣府の高齢社会白書によれば、ひとり暮らしの高齢者は男性で一一・一%、女性は二〇・三%です。年々ふえていますね。ですから、ここで見なければならないんです。

 リーマン・ショックで最も消費が落ち込んだときでも、〇九年、六万七千五十三円に対して年金は六万六千八円。足りていません。今はもっとそれが乖離して、七万五十三円に対して六万四千四百円しかないというのが実態であります。

 国民年金法第一条には、「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」と書いています。憲法二十五条が条文の目的規定に明記されているのは、多分、ほかに生活保護法のみかと思います。

 この第一条に照らしても、最低限度の生活を保障することができない、これが実態だ、これはお認めになりますね。

塩崎国務大臣 そもそも年金とは何なのかということかというふうに思いますが、もともと、この基礎年金というものが全ての暮らしを賄うという考え方で賄われているわけではないわけでございまして、さまざま、みずから積み上げてくる現役の際の蓄えとか、そういうこともあった上で、そしてまた、国民年金の場合には基本的に自営業者の方々であるわけでありますけれども、そういった方々は六十歳になったらそのまま退職するということでもないということもあって、全ての生活をこれだけで、年金だけで老後生活を賄うという考え方で設定しているわけでないということを一つまず押さえていただきたいと思うんです。

 一方で、低年金などの問題につきましては、社会保障・税一体改革においても、被用者年金への適用拡大とか、あるいは年金の受給資格期間の短縮など、年金制度としてとり得る対応をとることとしておりますし、一方で、保険料納付に対応した形で給付が算定をされます年金制度において、低所得やあるいは低年金に着目をして特別な配慮を行うことは難しい、年金制度においてやるというのはなかなか難しい面があるということであります。

 このような点も考慮した上で、低所得者対策については、社会保障・税一体改革において、医療もそれから介護についても保険料負担の軽減や、あるいは低所得での、低年金の高齢者に対する福祉的な給付、こういったものなどについて社会保障全体を通じて強化を図っていこう、こういうことで考えているところで、対応をしているところでございます。

高橋(千)委員 だったら、法律に憲法二十五条を書いている意味がないではありませんか。全ての暮らしを賄うものじゃない、これは、今、年金部会でそういう議論をしているんですよ。最初からそうじゃないんです。

 これは、今、ことし一月二十一日に出した社会保障審議会年金部会の議論の整理です。年金制度の持続可能性と年金給付の十分性をいかに両立させるかについては、先進諸国共通の課題となっているが、いずれも、この矛盾する課題の解決策として、就労期間の長期化とともに私的年金等の自助努力の奨励の拡充に取り組んでいるということで、公的年金だけではもう間に合わないから、私的年金も何とかしなさい、自助努力も何とかしなさいということを言っている。

 でも、今からどうするんですか、今からどう責任をとってくれるんですかという思いで皆さん聞いていると思いますよ。

 今、年金をもらっている方の六割は、年金だけが生活の全てであります。また、世界でもトップクラスで高齢者は既に働いています。だけれども、とても足りないから、今、悲鳴を上げているのではありませんか。このことを重ねて指摘したい。

 二〇〇四年の年金改革で、百年安心年金プランと盛んに叫ばれたことは皆さんも記憶に新しいところだと思います。先ほど取り上げたマクロ経済スライド、これは、出生率とか物価や賃金上昇率などのデータを五年ごとに検証しながら、百年たっても収支のバランスがとれている、受け取る年代は、所得代替率、つまり、現役世代の賃金の半分は維持しますよ、そういう大まかな枠組みだったと思います。とにかく持続しなきゃいけないんだよということが強調された、そういう説明だったと思うんですね。

 そこで、このパネルを見ていただきたいと思います。

 左に現在の年齢が書いてありますが、皆さん、御自分の年齢から右にずっと見ていっていただければと思います。

 大変失礼ですが、総理はことし還暦を迎えられると思っておりますが、六十五歳で初めて年金を受け取るときは代替率が五九・七%なんですけれども、七十五歳で既に五割を切り、八十五歳では四一・八%です。しかし、四十五歳の方だと、七十歳で既に五割を切り、八十五歳では四〇・九%なんです。

 ですから、何か年金をもらっている人は既得権のようにしっかり持っているというんじゃないんですよ。最初だけ、裁定のときだけ五割は持っているけれども、どんどんどんどん減っていくんですね。それが、国民年金だと、実は最初にもらうときから三割まで減っていく、これが実態であります。間違いありませんか。

塩崎国務大臣 年金制度におきましては、経済成長に伴う国民生活の向上を年金給付にも反映させるという考え方のもとで、年金を賃金水準に合わせて改定をするということが基本ということになっております。

 一方で、二〇〇〇年の改正におきまして、年金を受け取り始めた後の年金、いわゆる既裁定年金と呼ばれますけれども、この改定は、購買力を維持するために、基本的には物価スライドのみということにしたわけでございます。

 経済成長によって物価上昇を上回る賃金上昇がある通常の経済状況においては、年金を受け取り始めた後の年金を時々の現役世代の賃金に対する比率で見た場合には、下がっていくということとなっておるわけであります。これは将来世代の保険料負担を過重なものとしない観点から行われた措置でございまして、マクロ経済スライドは、特に上限を固定するということでありまして、制度を持続可能なものにするというためにはこれは必要な措置だということが判断をされたわけでございます。

 なお、先進諸国の年金制度においても、多くの国々は我が国と同様に、年金額の改定というのは物価スライドのみで行われているということが多いわけでございます。

 なお、既裁定年金と新規裁定年金、今先生御指摘になられましたけれども、斜めに行くのと横に行くのと御指摘がございました。この二つの水準が二割以上乖離をした場合には既裁定年金も賃金水準に合わせて改定をさせるということで、既裁定年金の水準が過度に低下をしないようにするというための措置が予定をされておりまして、昨年行いました財政検証でもこの措置を前提として行っているところでございます。これは、いわゆる八割ルールと呼ばれているものでございます。

 今先生がお配りになられたものの前提が、これは物価上昇率が一・二で、それから賃金上昇率が一・三ということで置かれてはおりますけれども、今申し上げたようなことで、こうなっております。

 なお、今、六十五歳の二〇一四年度の一番上に六七・二と書いてございますけれども、これは六二・七に訂正をしていただくとありがたいなというふうに思います。

高橋(千)委員 失礼しました。

 経済の前提が、幾つかの数字があって、その中で一番現実的だと言われているEのケースで今出したものであって、いずれにしても、長生きすればするほど年金が削減されていく、いろいろおっしゃいましたけれども、これは事実だと思っているんですね。だから、先ほど紹介されたように、早く死ねと言うのかという訴えが届いているんではないでしょうか。

 ちょっと時間の節約のためにあわせて言いますけれども、実は、さっき言った年金部会で、諸外国もそうなんだという議論をしておりましたよね。確かに、いろいろなヨーロッパの国々で、平均寿命が延びていけばその分給付をカットするとか先延ばしするとか、いろいろな議論をされています。されていますけれども、これをまず見てください。

 年金給付の所得代替率が日本は下から二番目、三五・六%。イタリアの七一・二%やフランスの五八・八%と比べても極めて少ないんです。ですから、少ないところからスタートして、今、手厚い年金をやってきたところが少し見直ししようかねと言っているところと同じ削減をしたら、たまらないわけですよ。そこをちゃんと見てくれなければ困ります。

 そこで、問いを二つ一遍に言いますけれども、幾ら何でも最低生活を保障する基礎年金まで割り込むのは、マクロ経済スライドですよ、削減するのは絶対やめるべきではないか。そしてまた、障害基礎年金を連動させる、これも余りにも過酷であります。本来、別のものであります。やめるべきではないか。二つ、お願いします。

塩崎国務大臣 先生今、二つということでございますけれども、もう一つ、今パネルをお示しいただきましたものですから、それについてちょっと申し上げないと誤解を国民の皆さんがされるものですから。

 このOECDのデータは、現時点での年金の所得代替率ではなくて、マクロ経済スライドによる調整が三十年後、四十年後に終わるわけですけれども、それが終わった後の水準を今ここで、三五・六という数字でOECDが試算をしているということでありますことがまず第一点。

 それからもう一つは、平均賃金で勤務をした労働者一人分の年金水準を示しているものであって、我が国の代替率を示しているモデル、これは夫婦でありまして、基礎年金一人分少ないんですね、こうすると。大体一三ポイントぐらいありますから、この三五・六に一三ポイントを加えると大体五〇になるということで、我が国の財政検証とは異なるベースで算出をされているということをお示ししておかないと、皆様方は大変御心配されるということで、つけ加えさせていただきたいと思いました。

 まず、基礎年金の問題でありますけれども、年金制度については、今申し上げてきたとおりでありますけれども、長期的に持続させていくということが何しろ大事でございます。現役の方もいずれは支えられる高齢者におなりになるわけでありますから、そういう意味で長期的に見ることが大事だ。

 少子高齢化が進む中で、平成十六年改正において、支え手である現役の方の御負担が過重にならないようにということで、保険料の上限を固定することとして、長期的な保険料の収入が固定されることから、それに応じて給付を決定しないと長期的な収支が合わないということであります。長期的な収支を見たときに、将来世代が受け取る年金水準を一定程度確保するためには現在の高齢者の年金水準を調整していくというのが今回のマクロ経済スライドの考え方であります。

 また、厚生年金、国民年金の双方について保険料の上限を固定した以上、基礎年金についてもスライド調整をかけて、現在の高齢世代と将来世代との間のバランスをとっていくということをやらなければ、将来世代の給付水準を確保する上ではうまくいかなくなるということであります。

 年金部会での議論であるということでありますけれども、さまざまな意見があって、やはり、将来世代の給付水準を確保する観点から、マクロ経済スライドによる調整が極力先送りされないように工夫することが重要になるという認識がおおむね共有されているというふうに理解をしているわけであります。

 今、障害基礎年金の話がありましたけれども、年金は、稼得能力の喪失に対して所得保障を行うことを目的としておりますけれども、通常は加齢に伴って起こる稼得能力の喪失が、現役期に障害状態となって、早期に到来するという考え方の整理が障害年金でございます。したがって、障害年金の額は老齢年金の水準と同じ水準が基本となっておりまして、老齢年金と同様にマクロ経済スライドによる調整がかかることは、制度の趣旨から避けられないということでございます。

 消費税の引き上げの延期によって施行が延期されることになりましたけれども、社会保障・税一体改革における低所得者対策の強化の一環として創設される年金生活者支援給付金制度において、低所得、低年金の高齢者に加えて障害基礎年金受給者についても、一部の高所得者を除いて、約九割でありますけれども、対象となっておりまして、障害者の所得保障については、福祉的な措置を含めて総合的に対応していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 委員長、ちょっと大臣の答弁が余りにも長過ぎますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど私が、ひとり暮らしの高齢者がふえているでしょうと指摘したじゃないですか。なのに、厚労省のデータは夫婦で計算しているから違いますと。そんな理屈で通りますか。だから、いつも実態が反映されないんですよ。モデル世帯にはまるところがどれだけあるのか、そこをちゃんと見なければだめじゃないか。

 そして、障害基礎年金の問題でも、昨年十月の年金部会で早稲田大学の菊池先生がおっしゃいました。老齢基礎年金と同様、障害基礎年金の最低保障機能も、マクロ経済スライドで将来的に相当程度毀損される、先天的な障害により二十歳前の障害基礎年金のみを受給する者を含め、資産などの蓄えが乏しく稼働能力も十分でない、そういう障害者にとって給付水準低下の影響は大きい。

 これは本当にそのまま受けとめるべきですよ。

 それで、今大臣がおっしゃった、老齢年金生活者支援給付金五百万人、障害基礎年金、遺族基礎年金二百万人の方に、わずか五千円ですけれども、プラスすると決めたじゃないですか。でも、これは消費税増税とともに延期になったわけですよね。何でそうなっちゃうんですか。飛ばして質問しますけれども、これは結局、消費税でやると決めちゃったから、増税延期したらやらない。そうじゃなくて、消費税と関係なくやればいいじゃないですか。

塩崎国務大臣 今回、二%増税を、ことしの十月からというものを一年半延期することを総理が御決断をされたわけでありますけれども、これについては、他の政党の皆様方にも同じ考えだという考え方があるようでございますけれども、社会保障・税の一体改革ということで、これはやはり優先順位をきちっとつけた上でやるべきことはやっていくということで、子ども・子育てをまず最優先にやったり、あるいは医療保険の改革もございましたし、そういうようなことを考えた上で、今回、今御指摘の福祉的な給付についての延期は、二%上げるときにということで、一年半先に延ばさせていただいているということでございます。

 我々としては、きちっと財源を確保した上で対応してまいりたいというふうに思いますし、先ほど来申し上げているように、他の介護であるとかあるいは医療であるとか、社会保障全体の中での低所得者に対する、あるいは高齢者に対する配慮というものをやっていくという考え方で臨ませていただいているところでございます。

高橋(千)委員 私は、積極的な提案をしています。だって、大臣自体がさっき、障害基礎年金まで削るのかというのに対して、こういう制度があるとおっしゃったんじゃないですか。だったら、それを早くやれと言っているだけなんです。その予算をよそから持ってこいなんて言っておりません。

 十年間で年金の受給資格を持つ制度をつくりましたよね。これも三百億円あればできるそうです。そして、今言った五千円プラスするのに、五千六百億円あればできる。これは厚労省の調査であります。

 昨年の厚労省の不用額は一千九百九十五億円、繰越金は六千五百八十八億円です。その前の年は、繰越金が千九百八十億円で、不用額は六千百億円です。

 つまり、本来なら、予算の中にちゃんと位置づければ、厚労省の中でやりくりすればできるんですよ。消費税でやると決めちゃったからできない、それだけでしょう。決断すればいいじゃないですか。

塩崎国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、年金あるいは社会保障制度全般に言えることでありますけれども、やはりこれは、長い間の世代間、世代内の助け合いであるわけでございまして、年金あるいは今の福祉的給付の問題も、一時金などとは異なって、一定の要件を満たせば給付権が生ずる、そして継続的に給付が保障される恒久的な制度として導入をされるものであって、そうしたものはやはり恒久的な財源が手当てをされるというのが常識的な考え方ではないかというふうに思います。

 厚労省に少しお金が余ったとかそういうことだけで、一年だけで対応するような話では決してないわけでございますので、やはりその辺は考えた上で優先順位をつけて、この二%は先送った中で、できることはやっていこう、優先順位をきちっとつけて国民のニーズに合わせた形でやっていこうということで、今回、特に少子化対策について優先をさせたということでございますので、御理解を賜れればというふうに思うところでございます。

高橋(千)委員 そこまで言うほど子育ては優先ではないんですが、このタイミングではもう反論する時間がありません。

 私は、月額五千円のプラスでいいなんて本当は思っていないんですよ。民主党さんは、最低保障年金七万円に近づけるために六千円と提案をしたのに対して、自民党さんが割り引いて五千円にしちゃった、そういう経過があったわけですよ。だから、そういう中で、せめて各党が一致したそれだけでもやればいいじゃないかという議論をしているわけです。

 本当に、こういう優先順位だとかお金がないという議論をしながら、一方では、年金積立金管理運用法人、いわゆるGPIFが管理する年金積立金は約百三十兆円あります。ため息が出ます。何もしなくても、丸々三年間年金を支給できるお金があるわけです。世界最大の機関投資家と言われています。

 総理は、昨年十月の予算委員会でこんな答弁をされています。政権交代直前の上半期の運用収益がマイナス一兆五千億円だったのに対して、政権交代の兆しが見え始めた以降の好転によってプラス二十五兆円になっているわけです、株式市場のために私は話をしているわけではありませんが、株式市場において株価が上がることは、明らかに、運用はプラスになり、年金の資産、二十五兆円プラスになったんですから、これは年金受給者のためのものであると明言されています。

 二十五兆円プラス、これは年金受給者に還元されますか。

安倍内閣総理大臣 年金の運用益についてでございますが、年金の運用益については、我々が政権を交代した、二〇一二年の十―十二でありますが、民主党政権もかかわっておりますが、事実上、解散してから十一月、十二月でぐっとふえているということで、二十五兆円の中に入れているところでございますが、今、さらにもう少し上がっていっているのではないか、このように思います。

 公的年金制度については、持続的で安心できるものとするため、将来の保険料水準を固定した上、積立金の活用をあわせ、その財源の範囲内で長期的な給付と負担の均衡を図る仕組みとなっています。ですから、今直ちに、運用益が出たからこれを今の年金受給者に配るということではもちろんございませんが、しかし、この仕組みにおいては、運用収入が増加した場合には、将来の受給者の給付水準が改善されることとなると考えております。

高橋(千)委員 それはそうなんですよ。二十五兆円をそのまま年金者に配れなんて言っていないし、そういうふうに成果が上がったときは大きな声を出すけれども、そうじゃないときだって当然あるわけでしょう。

 百年安心なんだから、私が百年安心をいいと言っているわけではありませんが、時間をかけて、要するに、大損するときもあればプラスになるときもあるけれども、大体とんとんになるというのが計算なわけですよね。百年たってあと一年支払いできる分を残すという計算なんですよ。長い目で見て、子供や孫の世代に負担が少なくなると言っているだけなので、これは、総理自身が実は認めているように、一喜一憂してはならないんです。ここははっきり指摘をしておきたいなと思います。

 ですから、二十五兆円上がった、その前は五兆円、たった三カ月で五兆円ということをおっしゃいましたよね。でも、余りそういうことはおっしゃらない方がいいと思います。

 こうした中で、昨年の十月、運用先の配分表である基本ポートフォリオを変更して、最後の資料になります、これは配付だけですけれども、国内株を倍にして二五%、プラマイ九%まで運用できることになりました。これは、今度は、国内株と外国株も一緒に一括して運用を任せることもできるというふうになりますので、そうすると、四割、プラマイを入れると五割を超える資産が市場に流れ込むことになります。

 この数年で六兆円から八兆円の買いだとか、かわりに売りに出した国債を日銀が買い支えているとか、大型株百の銘柄を買ったなんという記事も連日躍っています。株価PKO、平和維持活動ならぬ株価維持活動という言葉がかつてありましたが、政府による株価操作にほかならないと言わなければなりません。

 でも、やはり実体経済のない株価上昇だけでは賃上げには連動しないと思いますが、麻生大臣に伺います。

麻生国務大臣 基本的に、株が上がる、それを年金に運用するということによって株が上がって、株を持っている人だけがいかにもうまくいって、株を持っていない私たちは何の関係もないかのごとき話をよくされておられる方が支援者の中には多いと思いますけれども、この株というものの運用は、少なくとも、私どもの前のときは一兆五千億の赤、それが翌年から十兆、十一兆というような、ふえてきております分は、それは年金の運用にそれだけ回せることになりますので、年金の額がどうのこうのという話は、この二年間はほとんど聞かれなくなったという事実は大きいと思っております。

高橋(千)委員 ちょっと伺ったことに答えていただけていないなと思って、我が党の佐々木憲昭議員がかつて財務金融委員会で質問したときに同じ趣旨のことを答弁されました。私はそれがとても大事なんじゃないかと思うからこそ、あえてもう一度指摘をさせていただいたわけです。

 一昨年十一月の有識者会議の報告書では、GPIFの手数料が低いということを評価した上で、それが、かえって十分な情報を得られず、貴重な運用機会を逃しているとか、金融資本市場の発達を阻害する要因になっている可能性がある、なお、より高度な運用を行う結果、手数料を含むコストが上昇することもあり得る、こうやって指摘しているんですね。

 それで、このときのメンバーが三人も、米沢委員長を初め、GPIFの運用委員会に入って、この巨大な資金の運用を任されております。

 日本株の運用委託先は七割くらいが外資系、ほとんどが米国です。市場の動向を読み込む専門家を採用するために、手数料を上げてハイリスクにも挑戦するというような冒険はするべきではないと思います。

 さっき指摘をした総理のスピーチ、買いのときだと言っていることで、結局、株に縁のない国民の資産が失われるようなことがあってはならないと指摘をして、終わりたいと思います。

大島委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る三月二日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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