衆議院

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第13号 平成27年3月3日(火曜日)

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平成二十七年三月三日(火曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金田 勝年君 理事 萩生田光一君

   理事 原田 義昭君 理事 平口  洋君

   理事 平沢 勝栄君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      青山 周平君    秋元  司君

      石原 宏高君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小田原 潔君    大西 英男君

      金子 一義君    金子めぐみ君

      神谷  昇君    木内  均君

      熊田 裕通君    小池百合子君

      小林 鷹之君    小松  裕君

      古賀  篤君    鈴木 俊一君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    武井 俊輔君

      土井  亨君    長坂 康正君

      根本  匠君    野田  毅君

      古屋 圭司君    星野 剛士君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      保岡 興治君    山下 貴司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      若狭  勝君    枝野 幸男君

      小川 淳也君    大串 博志君

      奥野総一郎君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    階   猛君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      長島 昭久君    馬淵 澄夫君

      山尾志桜里君    山井 和則君

      柚木 道義君    井坂 信彦君

      落合 貴之君    重徳 和彦君

      下地 幹郎君    高井 崇志君

      松木けんこう君    松浪 健太君

      松野 頼久君    吉田 豊史君

      岡本 三成君    中野 洋昌君

      浜地 雅一君    樋口 尚也君

      赤嶺 政賢君    穀田 恵二君

      島津 幸広君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣         望月 義夫君

   防衛大臣

   国務大臣

   (安全保障法制担当)   中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (情報通信技術(IT)政策担当)         山口 俊一君

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   会計検査院事務総局第二局長            村上 英嗣君

   会計検査院事務総局第三局長            須藤  晋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大庭 誠司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小澤  仁君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   秋葉 剛男君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  三村  亨君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西室 泰三君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     古賀  篤君

  小田原 潔君     大西 英男君

  金子めぐみ君     宮川 典子君

  熊田 裕通君     青山 周平君

  根本  匠君     武井 俊輔君

  宮崎 謙介君     神谷  昇君

  山本 有二君     若狭  勝君

  小川 淳也君     長島 昭久君

  岸本 周平君     枝野 幸男君

  後藤 祐一君     山尾志桜里君

  辻元 清美君     大串 博志君

  馬淵 澄夫君     柚木 道義君

  山井 和則君     奥野総一郎君

  井坂 信彦君     松野 頼久君

  重徳 和彦君     落合 貴之君

  松木けんこう君    下地 幹郎君

  松浪 健太君     高井 崇志君

  中野 洋昌君     浜地 雅一君

  赤嶺 政賢君     島津 幸広君

  高橋千鶴子君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     熊田 裕通君

  大西 英男君     小田原 潔君

  神谷  昇君     木内  均君

  古賀  篤君     鈴木 憲和君

  武井 俊輔君     根本  匠君

  宮川 典子君     金子めぐみ君

  若狭  勝君     山本 有二君

  枝野 幸男君     岸本 周平君

  大串 博志君     辻元 清美君

  奥野総一郎君     玉木雄一郎君

  長島 昭久君     小川 淳也君

  山尾志桜里君     後藤 祐一君

  柚木 道義君     馬淵 澄夫君

  落合 貴之君     吉田 豊史君

  下地 幹郎君     松木けんこう君

  高井 崇志君     松浪 健太君

  松野 頼久君     井坂 信彦君

  浜地 雅一君     中野 洋昌君

  穀田 恵二君     高橋千鶴子君

  島津 幸広君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     小松  裕君

  鈴木 憲和君     小倉 將信君

  玉木雄一郎君     山井 和則君

  吉田 豊史君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  小松  裕君     田畑 裕明君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     宮崎 謙介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十七年度一般会計予算

 平成二十七年度特別会計予算

 平成二十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算、平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣官房内閣審議官大庭誠司君、内閣官房内閣参事官小澤仁君、警察庁警備局長高橋清孝君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、外務省大臣官房審議官山上信吾君、外務省国際法局長秋葉剛男君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、海上保安庁長官佐藤雄二君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省経理装備局長三村亨君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長村上英嗣君、会計検査院事務総局第三局長須藤晋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 本日は、外交・安全保障等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩生田光一君。

萩生田委員 おはようございます。自由民主党の萩生田光一でございます。

 本日は、外交、安全保障の集中審議ということで、私も、海洋における安全保障等についてお尋ねをしたかったんですけれども、連日、この予算委員会でも政治とお金の問題が取り上げられております。

 率直に申し上げまして、私は、国から補助金を受けた会社等からの寄附については、これは、閣僚の皆さんも答弁しているように、違法性はない、ここまでは確認できているんだけれども、違法性はないけれども何かおかしいんじゃないかというイメージづくりのような質疑が行われて、国民の皆さんも、何がよくて何がいけないのかがなかなかよくわからないという声を聞きました。

 あえて時間を割いて、この問題についてきょうは冒頭触れさせていただきたいと思っております。

 けさ、民主党の岡田代表への、国の補助金が交付された企業からの寄附報道がありました。私は、岡田代表が承知で受けたとは思えませんし、寄附をした企業側の意思を確認するすべもありませんから、直ちに違法献金だなどというレッテル張りをするつもりは毛頭ありません。

 しかしながら、この二週間の予算委員会の野党の皆さんの閣僚への質疑は、これは知っていたはずだとか、知っていないことがおかしいんだなんという議論が連日続いているわけですよね。私は、きのうは検事出身の女性議員の方が質疑に立たれて、その質疑を聞いていて、もし検察でこういう質疑をされているとすれば国民はたまらないなというふうに正直感じたところでございます。

 この問題は、きょうは詳しく聞きたいと思いまして、総務省から選挙部長にもお出かけをいただいております。

 国から補助金を受けた会社などの寄附についての、寄附をした側と寄附を受けた側の政治資金規正法上の制限でありますけれども、政治資金規正法第二十二条の三第一項においては、国から一定の補助金などの交付を決定した会社その他の法人は、当該補助金等の交付の決定の通知を受けた日から一年間、政治活動に関する寄附をしてはならないこととされています。

 この場合、政治資金規正法第二十二条の三第一項は、国から一定の補助金等の交付の決定を受けた会社その他の法人からの寄附を制限の対象としており、独立行政法人や社団法人からの補助金等の交付の決定を受けた会社その他の法人からの寄附は制限の対象とならないとされております。

 他方、同条第六項においては、何人も、今申し上げた寄附制限の規定に違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならないこととされています。

 そうすると、寄附を受けた側については、補助金を受けた会社などであることを知りながら受けたのでなければ違法ではないということでよろしいのではないんでしょうか。

高市国務大臣 もう、今委員が御指摘になった、読み上げられた条文のとおりでございます。

 つまり、知りながら寄附を受けることが要件であり、知らなければ、そもそも違法の問題を生じることはございません。

萩生田委員 なぜ、知りながら寄附を受けることを要件としているんでしょうか。

高市国務大臣 寄附を受ける側にとりましては、その寄附を行う側の会社その他の法人の一つ一つについて、この寄附制限の対象となる補助金の交付決定を受けているかどうかですとか、冒頭読み上げられました第一項にかかるんですけれども、交付決定を受けた日から一年間と、何月何日に交付決定を受けた等につきまして、なかなかこれを知り得る環境にない、事実関係を知ることが困難であるということから、制限違反の寄附であることを知りつつ、なおそれを受けるというような場合について禁止されております。

萩生田委員 次に、寄附をした会社等が国から補助金を受けていたことを知らなかった場合に、政治資金規正法は、寄附を受けた側に対して、その寄附を返還するなど、何らかの義務を課しているんでしょうか。

稲山政府参考人 お尋ねの点でございますけれども、政治資金規正法におきましては、寄附の返還等の義務を定める規定はございません。

萩生田委員 要するに、国から補助金を受けた会社などであることを知らずに受けた寄附は何ら違法ではないこと、また、事後的にこれを知った場合であっても寄附の返還等の法的な義務はないということは明らかなわけです。

 では、なぜやめたのか、なぜ返したのかということになるわけです。

 テレビを見ていらっしゃる国民の皆さんも、やめたんだから何か後ろめたいことがあるんだろう、返したんだから何か問題があるんだろう、こう思ってしまうことがあるんだと思うんですね。

 内閣の一員であった前農林水産大臣が、予算委員会という大事な、これは平成二十七年度の国民生活がかかった大切な予算です、一日たりとも遅滞を生まない、そういう思いで、内閣に迷惑をかけたくない、このことでみずから責任感を感じてそういう行動をとったことや、あるいは、善意で応援をしてくれた地元の企業の皆さんが、イメージをおとしめるような批判にさらされることは耐えられない、そういった意味で、相手を思いかばって、この際返金をするという判断をしたことは、私はよく理解します。

 しかし、もはや、こういった、ある意味では永田町の腹切り文化のようなものは、国民やあるいは世界に対しては間違ったメッセージとして伝わってしまうのではないかというふうに私は考えているんです。

 ですから、確かに、この予算委員会で議論するのはいかがかと思うけれども、説明責任は私も果たすべきだと思います。ですから、別途違うところで、幾らでもそういう議論をするスキームというものは我々国会はつくってきたはずなので、これは野党の皆さんを批判するつもりはありません、与党も野党も含めてですけれども、そういう問題が起きたときには、やはりここは二十七年度の予算を建設的に議論をして、できるだけ国民生活に影響を与えない、いい影響を与えることができる、そういうしっかりとした予算審議の場にこれからもしていきたいというふうに思っています。

 ちなみに、私、初当選のすぐ後に、突然、NHKの全国ニュースで、私が、補助金を受けている医療法人から本来もらってはいけない寄附を受けたというニュースが出て、これはもう家族もみんなびっくりしました。

 それは、地方議員の時代から毎月五千円、年間六万円を御支援いただいている医療法人が、たまたまその年だけ近代化改修資金という国の補助金を受けていたということがわかったんですけれども、私は当時、この二十二条について総務省に問い合わせをしました。それで、今質疑をしたように、これは違法性はないということで、正直申し上げて、返金もしていないですよ。ですから、堂々とその活動は続けさせていただいているんです。

 私は、こういう議論になって、企業の皆さんもあるいは政治家もだんだんだんだん萎縮をしてしまって、そして民主主義の土俵がどんどん小さくなるのではないかということを大変危惧しております。

 私自身は、総理も御承知のように、サラリーマンの家庭から、地方議員を経て国会議員になりました。地元の皆さんが私を本当に浄財で支えてくれて、育ててくれて、きょうまで頑張っていただいております。落選をしたときには、新たな政治資金の後援会をつくっていただいて、その規約の中には、見返りを求めないということも書いてくれたんですね。まさしくそういう関係で、地元の皆さん、企業の皆さん、法人の皆さんと政治家がつき合っているという実態もあるわけですよ。

 それを、何か色眼鏡で、政治家と企業の間でお金のやりとりがあれば、それは全て悪なんだというイメージづくりを我々国会がみずからつくってしまったのでは、これから政治を志す人たちのまさに幅がどんどんどんどん狭くなっていってしまう、あるいは政治家を志すことができなくなってしまうのではないかという民主主義の危惧を私は大変感じています。

 ここは、我々立法府ですから、法律にのっとって、違法があるんだとすれば、これは厳しく追及をされることも仕方がないと思います。しかし、そうではないことを、何かレッテル張りのように、推測で物事をやりとりするこのやりとりというのは、どこかで私はやはり考えなきゃいけないと思っております。

 これまでの質疑から、国からの補助金を受けた会社などであることを知らずに寄附を受けた者は違法でないこと、それから、事後に返還の義務はないことはわかりました。こうした問題を改めて前提としまして、私は、総務大臣、もう一度お尋ねしたいんです。

 政治資金規正法の二十二条の三、一項で、寄附制限の対象外となる補助金として、試験研究ですとか、調査、災害復旧に係るもの、その他性質上利益を伴わないものというのがあるんですけれども、特に、性質上利益を伴わないものについてはどのようなものなのか、これに該当するのがどういうものなのか、非常にわかりづらい印象を私は受けます。こうした補助金がどのようなものなのかを示すなど、規定の趣旨をより明確化していくことがこれから重要なんじゃないかというふうに思いますけれども、御所見をお伺いします。

高市国務大臣 たとえ国から補助金を受けている会社、団体であっても、今委員がおっしゃった、試験研究、調査に係るもの、災害復旧に係るもの、そしてその他性質上利益を伴わないものについては、この規制の対象にならないわけでございます。

 その他性質上利益を伴わないものにどういうものが該当するかというのは、個々具体的に判断すべきものなんですが、一般的には、国民の生活向上、民生の安定を図るために、初めから欠損または損失が予想されるような事務または事業を国が会社その他の法人に運営させる場合、その欠損または損失を補填する限度において交付されるもの。例えば、離島航路の補助金、これは損失が出る可能性が高いもので、それを埋めるものです。あとは、雇用調整助成金などもそうだと思います。

 それから、本来国が行うべき事務または事業を会社その他の法人が行う場合に、その事務または事業について交付されるもの。職業訓練費の補助金などが挙げられます。

 それから、低利融資を行う融資者に交付される利子補給金、これも利子補給を受ける金融機関が何かメリットを受けるということではない、通常の利子のほか何ら利益を伴わないものでございますので、これに該当すると思います。

萩生田委員 国は、まさにアベノミクス、地方にしっかりとその温かい風を届けようということで、地方の中小企業や小規模事業者の支援をしようというスキームを数多く今つくっております。

 私、今回のことで、これは中小企業の皆さんにも、例えば設備投資や製品開発研究などで国の補助を大いに使ってもらいたいと思うんです。そのことで、結果として、政治家との、あるいは政党との、そういった支援ができないという間違ったメッセージを送られてしまったのでは、私は逆にこれは地方の活性化にもならないと思います。ですから、せっかくのときですから、これは総務省としてもわかりやすくしていただきたいと思います。

 私、常々思っていたんですけれども、例えば、首長が、選挙期間中、公共事業ですとか請負の業者の皆さんからの寄附を求めることができないことになっていますよね。それは利害関係にあるからということなんですけれども、昨今の公共事業は、地元の皆さんがまさに責任感、義務感でお受けいただいて、部材の高騰や職人が不足をしたりしていても、これは本当に、地元のために、やはり地元で看板を掲げている以上やらにゃいかぬと思って、赤字覚悟で受けていただく公共事業もたくさんあるわけです。ですから、この法律をつくったときのさまざまな解釈とは、時代の変化の中で違う問題も出てきているんだと思います。

 今回の、まさに知っていたか知らなかったのかというのは、先人の皆さんが想定してつくった制度ではありますけれども、若干わかりづらいところもあるとすれば、私は最後に総理にお尋ねしたいと思うんですけれども、この問題を総務省に検討させ結論を求めても限界があるんじゃないかと思います。やはり、政治家の政治活動の根幹にかかわる問題であり、各党会派でしっかり議論して、対応すべきものがあれば、国会としてもぜひ結論を出すべきじゃないかと思いますけれども、総理のお考えをお尋ねします。

安倍内閣総理大臣 今、萩生田議員がこの問題の本質について整理をされ、そして指摘をされたと思っております。

 違法であるか違法でないかということは、冷静に見ていかなければいけないわけであります。

 また、この国会で問題になっている補助金を背景とした課題については、これは、出し手側と受け手側、それぞれに対して課せられているものが違うわけでありまして、違法性について、ここでの議論を聞いている国民の皆さんにとっては大変わかりにくかったのではないか、こう思うわけでございます。

 そしてまた、出し手側にとっても、利益性があるかないかということについて、限定的になっていないということは、やはりやや曖昧なところがあるということも否めない、こう思うわけでございます。

 こうした政治資金の規制のあり方については、これはまさに各政党や政治団体の政治活動の自由と密接に関連していると思います。

 我が党においても検討を進めているところでありますが、まず、現行法制のもとでこうした問題が生じないように何ができるのか、そしてその上で、規制そのもののあり方はどうあるべきかについて各党各会派において議論をしていただくべき問題である、このように認識をしております。

萩生田委員 ぜひ、そういう方向で我々も努力をしたいと思います。

 残りました時間で、本来の、外交、安全保障について一問だけお尋ねしたいと思います。

 ことしは戦後七十年です。総理の談話に大変な注目が集まっています。既に総理は、戦後五十年、六十年の談話を全体としては踏襲すると公言をしているんですから、私は、その上に立って、安倍総理らしい未来志向のメッセージを発していただくことを期待しております。

 この七十年、我が国はひたすら平和国家としての歩みをしてまいりました。国際貢献につきましても、さまざまな大きな貢献をしてきましたし、この七十年間を振り返って、日本が平和国家でないと言う人は私はいないと思うんです。日本国民はもっと、そのことにプライドを持っていると思うんですね。

 しかしながら、この七十年間の歩みを残念ながら正しく評価しようとせずに、それ以前の日本のイメージのレッテル張りや印象づけをしたい勢力が国内外に存在することは否めません。

 なぜこのようなことになるかと冷静に考えますと、日本の価値観と世界の価値観に大きな違いがあるのではないかということを私は二〇一六年のオリンピック招致のときに痛切に感じました。

 日本は、与えた恩は水に流して、受けた恩は石に刻む、こういう文化がありますし、善意はみずからは語らない、評価しない、そして、人知れず労をとるとか人知れず汗をかく、こういう文化があるわけですよ。

 例えば、我々政治家の社会でも、先輩たちとまざって食事に行けば、大体年長の人が、知らずに支払いを済ませるんですよ。その人が店を出た瞬間に、きょうの払いは俺がしたといつまでも言っていたら、その人には誰もついていかなくなるわけですよ。

 ですから、私は、そういった意味で、日本は日本の文化に照らしてこれまで国際貢献してきた、しかし、国際社会では、やはり払ったものは払ったと言わないとなかなかわかってもらえないことが数多くあるんだなということを、私はこのときに非常に強く感じたんです。

 例えば、国連ですとか、ユニセフですとか、WHOですとか、日本の努力や日本の技術や日本のお金によって伝染病を撲滅したりとか、貧困な国々を支えてきたり、こういったことは幾つもしてきました。あるいは、ODAに至っては、飲み水を生み、学校をつくり、あるいは電気を通し、橋をかけて、多くの国民の皆さんの暮らしを前進させてきたんですけれども、なかなかこれは広く理解をしていない部分もあるんですよね。

 よその国なんかは、寄附したというのはすごくでっかく書いてあるんですけれども、日本のODAの橋なんか、橋の橋脚の後ろの方に本当に小さく日の丸が書いてある程度ですから、これは、後ろに行って見ないと、渡る人は誰もわからないわけですよ。

 ですから、そういうことを考えますと、私は、せっかくこの七十年間、世界の平和国家の先頭を走ってきた、こういうプライドがあるにもかかわらず、なかなかそのことが評価をしていただけないのだとすれば、日本はこれをしたとか、あれをしたとか、こうしてあげたと言うのは、国柄に照らして、私は望ましい姿だとは思いません、思いませんが、事実は事実として後世にしっかり伝えていく必要もあるのではないかと考えます。

 そこで、世界にひけらかすことを目的とは思いませんけれども、この七十年、談話ばかり注目を浴びていますけれども、そうではなくて、事実関係を、我が国の各省にまたがるさまざまな国際平和貢献の歩みというものを一度きちんと整理して記録として残しておく必要があるのではないか、戦後七十年の日本の国際平和貢献年表のようなものをつくって、しっかりと後世に伝えていく必要があるのではないかと思いますけれども、最後に総理の御所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本という国は、陰徳を積んでいくことをとうとしとするということがあります。この精神で日本は、戦後、ひたすら平和国家としての道を歩み、自由で平和な国、そして民主主義をたっとび、法の支配をたっとぶ、そういう国をつくってまいりました。アジア太平洋地域、世界の平和と繁栄のためにも貢献をしてきたと思います。また同時に、国連とも連携をしながら、発展途上国への開発協力や人間の安全保障の推進、そしてまたPKOでも汗を流しました。民主化の支援や軍縮・不拡散、そうした貢献も行ってまいりました。

 しかし同時に、我々は、私たちの子供たちに対しても、日本というのはこういう貢献をしっかりとやってきた国なんですよ、君たちも一緒に頑張ろうねということをしっかりと教えていく。あるいは、世界に対しても、堂々と胸を張って、これからもこうした貢献を行っていく国なんだということを私は発信していくべきだろう、大いに発信をしていきたい、このように考えております。

萩生田委員 終わります。

大島委員長 これにて萩生田君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは、外交、安全保障の集中審議でございますので、私は、このテーマに絞ってしっかりした議論をさせていただきたいと思っています。

 閣議決定が昨年夏に行われました。現在、自民党と我々公明党で、与党協議ということで、この閣議決定に沿った形で法案化の作業が進められております。

 私が聞いたところによりますと、今、方向性を決めている、ですので、特段何か、一つ一つ決まったわけではないということを聞いておりますので、きょうも、総理に対しては、結論的なものを聞くつもりはございません。現在の総理の御認識についてお聞きをしたいと思っています。

 特に、きょうは、PKO活動以外の、いわゆる過去にイラクまたはアフガニスタンで行いました後方支援等、また人道支援等の国際貢献の自衛隊の活動に絞って総理の御認識をお聞きしたいと思っております。

 閣議決定におきましても、国際社会に対する国際貢献という活動、国際協調主義に基づいて、積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定のために、自衛隊が幅広い活動を十分に行うこと、十分にその能力を果たすことが重要であるというふうに既にうたわれております。私も、現憲法下ででき得る自衛隊の海外での活動というものは必要である、そのように思っております。

 ただ、私は、週末、地元に帰りました。PKO以外の国際協力活動、海外での活動につきましては、いま一つ国民の皆様の理解が進んでいないというのを感じました。ぜひ、海外での自衛隊の活動については、やはり慎重であるべきだという意見を私は頂戴いたしておりました。

 それはなぜかといいますと、PKO以外、特にアフガンやイラクで行いました国際協力活動につきましては、やはり我が国の防衛とはまた違うものでございます。そして、PKO活動は、明確な五原則があって、歯どめがあって、その上で経験も積み重ねてきておりまして、国民の中にも理解というものは浸透している。その中にあって、少し、PKO以外の国際協力という部分は異質なものに映っているんではないかというふうに思っております。ですので、やはり、国民の理解、そして支持というものが最も大切だろうと私は感じております。

 その国民の理解、また支持を得るためには、やはり正当性の根拠というものが非常に大事ではないかと思っています。いわゆる自衛隊を海外に出すために、これは国際社会の平和と安定にとって資する活動であって、国民の皆様方にも、正当性の根拠があって自衛隊は海外で活動しているんだ、それをお示しすることが最も大事ではないか、そのように私は感じております。

 実際に、テロ特措法のときにも国連の安保理決議がございました。テロの根絶、そして、これに対しては、国際社会への脅威だということで、国際社会を挙げてテロの根絶をすべきだというテロに対する国連の非難決議、また、武力行使容認決議があったわけでございます。そして、イラクにつきましても、人道復興については、やはりイラクの国家再建のために国際社会を挙げて人道復興すべきだという国連の決議がございました。しかも、テロ特措法、そしてイラク特措法の第一条の条文に、国連の決議があることが明確にうたわれた上で自衛隊は活動をしたわけでございます。

 ですので、安倍総理にお聞きをいたしますが、今後、自衛隊が海外で活動する場合があるとしても、やはり国際社会での正当性の根拠をしっかりと、国際社会にも、そして国民にもお示しをして活動をしてもらう、国連決議などの、こういった正当性の根拠が大変私は重要だと思いますが、総理の御認識をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 もとより、委員の御指摘のとおり、自衛隊の活動全般、特に海外での活動は、国民的な支持、理解が必要だと思っておりますし、そのためには正当性、当然のことだろうと思います。

 その中で、近年、国際社会の平和と安定のための活動は、国連PKO活動が多岐にわたってきているわけであります。そしてまた同時に、国連決議等に基づく多国籍軍等への後方支援や、国連の統括下ではない活動など、ますます多様化しているのも事実でございまして、昨年の七月の閣議決定においては、安全保障環境が大きく変化する中で、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定のために、自衛隊が幅広い支援活動で十分に役割を果たすことができるようにすることや、国連PKOなどの国際的な平和協力活動に十分かつ積極的に参加できることが重要であるとしたところでございます。

 その中で、現在、与党間で協議が行われているところでございますので、さらに詳細については控えさせていただきたいと思いますが、政府としては、自衛隊が幅広い分野で十分に役割を果たせるように、切れ目のない安全保障法制を整備すべきと考えておりますが、繰り返しになりますが、当然、その前提は、国民の理解や支持を得る、また正当性ということは当然の前提であろう、このように考えております。

浜地委員 今総理からも、やはり正当性の根拠、国民の理解というものが大事である、これは当然の前提だと思いますけれども、そういう御認識を示していただきました。

 もう一つ、国民の皆さんの理解を得るためには、しっかり自衛隊の活動が民主的コントロールのもとにある、つまり、我々国会の関与がしっかりと及んでいることが、やはりこれも重要であろうと思っております。

 これは、実際に自衛隊が活動を実施する場面でもそうでございますし、その前の計画の段階でもやはりそうでしょう。そして、実際に自衛隊が海外に、活動を開始した後も国会のコントロールが及ぶこと、これが一番の民主的コントロール、やはり国民の理解を得るためには重要だろうと思っております。

 総理も、これまでの予算委員会等で、当然、自衛隊を動かす場合には国会の承認があることは今までの通例である、今後、法制化を進める中においてもしっかりと検討するというふうに述べられておりますので、そこは共通している点であると思っております。

 一枚、図を示させていただきます。この表は、旧テロ、そして旧イラク特措法での手続の流れを簡単に示したものでございます。

 旧法では、まず、基本計画が閣議決定をされます。基本計画の中には、基本的な方針、そして実際に行う活動の種類及び内容、そして実施区域の範囲など、重要な点を閣議決定するわけでございます。そして、それが国会に報告をされて、その後に防衛大臣が実施要項を、細かいものを決めまして、そして実際に、基本計画に書かれていますそういった計画に沿って自衛隊が海外に、実施をするということでございました。

 イラクとテロのときは、これは実施後に、二十日以内に国会の事後承認をとるということであったわけでございますが、この国会の承認というところに書いておりますけれども、国会の承認の対象は、基本計画に定められた自衛隊の部隊が活動を実際に実施することというふうになっておりました。

 二段目のところに国会の報告というのがございます。

 基本計画というのは、非常に大事な、実際の後方支援活動と、また人道復興支援活動をするための基本的な枠を書いたものでございますが、これは国会の報告で足りるとなっています。

 そうしますと、仮に、基本計画があって、国会の報告があって、実際に自衛隊が海外に行った後にこの基本計画が変更になった場合、その場合には、条文を読みますと、それも国会の報告で足りる、国会の承認は必要ないというような当時の条文のたてつけだったわけでございますが、これでは国会の関与が十分であったとは、当時は言えなかったんじゃないかというふうに私は思っておりますが、中谷大臣にお聞きをいたします。

中谷国務大臣 二〇〇一年の九・一一のテロでこの法律ができたんですが、私はそのとき防衛庁長官をしておりまして、実際、その手続によって自衛隊を派遣いたしました。

 法律によりますと、お話しのとおり、自衛隊の部隊が実施する場合に、基本計画に定められた三つの活動については、対応を開始した日から二十日以内に国会に付議をするわけでありますが、その前に実施計画等もつくっていくわけでございます。

 ですから、国会に承認をするために上げた項目を変更する場合は手続が必要になってくるわけでございますが、その際、この基本計画の枠を超えるような場合、例えば自衛隊の部隊等の派遣先の国を追加するような場合についても、基本的には国会の承認を求めるものと考えていたところでございます。そのような手順によって自衛隊の派遣が行われたということです。

浜地委員 ただいま中谷大臣から、条文上は基本計画の変更については国会の報告で足りると書いておりましたが、基本計画の枠を超える、例えば実施区域の対象の国がA国からB国に変わるような重要な変更があった場合には国会の事後承認を求める、そういったたてつけになっていたというふうな御答弁だったかと思います。

 そうしますと、やはり、まず、イラクやテロのときは特措法でございましたので、基本計画を政府がつくる前に、当然国会の関与はあったわけでございます。そして、実際に自衛隊の部隊が海外に行く、この一番下の実施のところについても国会の事後承認があった。そして、先ほど御答弁がありましたとおり、自衛隊が海外に出た後も、基本計画の枠を超えるような大きな変更があった場合には、実際は国会の事後承認が必要だったということになります。

 そうなりますと、テロやイラクという特措法につきますと、やはり国会審議を通じての法案での事前の審査がまずあった、そして、自衛隊が実際に海外に出る実施の段階でも国会の関与があった、そして、その後、自衛隊が海外に出た後も、大きな変更があれば国会が関与できたということでございますので、テロやイラク特措法の当時の法律でも、やはり国会の関与というものは非常に強く働いていたということになろうかと思います。

 そこで、総理にお伺いいたしますが、今後仮に自衛隊が海外で活動をする場合、やはり、テロやイラクのときもしっかりとした国会の関与というのがあったわけでございますので、私は、今後も強い国会の関与というものが、民主的コントロール、そして国民の理解という部分では必要かと思いますが、総理の御見解をお聞きします。

安倍内閣総理大臣 自衛隊を海外に派遣する場合は、民主的統制の観点から国会の関与が重要であると考えております。その中において、まさに我々も検討していかなければいけないということだろうと思います。

 適切な関与について、まさに今与党で協議をしているわけでございますが、そうした観点からも、今委員の御指摘をいただいた観点からも協議をしていくことになると思います。

浜地委員 総理からも、当然、与党協議は行っておりますけれども、国会の関与は当然重要な点であるという御認識をいただいたというふうに思います。

 最後に、自衛隊の皆さんの安全確保という部分についてもお伺いをいたします。

 総理は常々、自衛隊の安全確保については、自衛隊は事に当たって危険を顧みず、任務を全うするために全力を尽くす趣旨の宣誓を行っております、こうした仕事をする上で、その安全の確保に全力を尽くすのは当然というふうに言っていただいておりまして、総理自身も、自衛隊の安全確保という部分についてはさまざまな場面で述べられております。

 しかし、昨年夏の閣議決定では、まず後方支援を行う地域の変更がございました。これまでの非戦闘地域という概念を廃止しまして、今後は、他国が現に戦闘行為を行っている現場ではない場所というふうになります。そして、これはPKO活動ではありますけれども、いわゆる駆けつけ警護、そして任務遂行のための武器使用、そして、今話題になっておりますが、領域国の同意を得た上での海外での邦人救出活動も検討されているところでございます。

 そうしますと、これはもう自衛隊の活動自体が広がることはやはり否定できないのであろうと思っております。ですので、やはりこれまで以上に自衛隊の皆さんのリスクがふえてしまうことも、これもまた否定はできないであろうと思っております。

 私は、この自衛隊の活動の区域、いわゆる現に戦闘行為を行っていないとかいう、憲法上の武力行使の一体化をしないといった話と、実際のオペレーションをする自衛隊の皆さんの安全確保、この実際の面というのは、少しやはり次元の違うレベルであろうと思っております。

 今まで自衛隊は海外の活動では一人も犠牲者を出していない、これが日本の現状でございます。この事実はやはり私は重いと思っております。これからも一人の犠牲者も出さない決意で自衛隊の安全確保には当たっていかなきゃいけない、そういう強い決意が必要だろうと私自身は思っております。

 特に、撤退の要件も含めた自衛隊の安全確保の規定、そしてさらには、自衛隊員一人一人の、例えば健康管理だとか、または精神上の管理も含めて、詳細な規定をやはり検討すべきではないかと私は思っておりますが、総理の御見解をお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 今日、国際社会における防衛力の役割は多様化をしています。紛争の抑止や対処にとどまらず、紛争予防から、復興支援や、さらには人道支援、災害救援、また海賊対処など、そういった分野で重要な役割を果たすようになっています。

 このため、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定のために、自衛隊が一層幅広い分野で十分に役割を果たすことができるようにすることが重要、必要と考えています。

 その中で、御指摘の際に、確かに幅が広がっていきます。自衛隊が海外で活動する際には、いかなる場所で活動する場合であっても、これまでと同様、自衛隊の部隊の安全を確保するとともに、メンタルヘルスや健康管理に万全を期すことは言うまでもない、このように思っておりまして、同様に、活動の幅が広がっていく中においては、しっかりとこうしたものにも配意していきたいと思います。

 なお、政府としては、安全保障法制の整備に当たっては、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とすることが重要であると考えており、将来、具体的ニーズが発生してから改めて立法措置を行うという考え方はとっていないわけでありますが、その結果、このような考え方のもと、あらゆる事態を想定して常に平素から適切な訓練を行うことができるようになりますので、さまざまな対策を講じておくことがあらかじめできると考えておりまして、むしろ自衛隊員の安全確保につながる、このように考えているところでございます。

浜地委員 総理から御答弁をいただきました。自衛隊の安全確保という部分も当然重要な視点であるというふうな御認識をいただきまして、これは我々と共通する点だと思います。

 最後に、やはり訓練等も必要だという部分がございました。確かに、実際、安全確保という大事な部分を図りながらも、実際の訓練ができていないと実際の行動のときに緊急の事態がとれないという部分もございますので、先ほどの総理の御答弁にも私は共感する部分が多々ございます。

 これからまだ与党協議は続いてまいります。私も、きょうの総理にいただきました御答弁を参考にしながら、党内でも議論を深めながら、やはり国民の皆さんに理解をしていただく、そういった法整備を目指して、これからも微力ながら尽力をしていきたいと思っています。

 本日はありがとうございました。

 以上で終わります。

大島委員長 これにて浜地君の質疑は終了いたしました。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 私も、先ほどの自民党議員と同様に、本題に入ります前に、いわゆる補助金交付企業からの政治献金の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、総務大臣にお尋ねします。

 政治資金規正法二十二条の三は、国から補助金等を受けている企業が一年間寄附をしてはならない、政治献金してはならないと規定しています。この規定の趣旨は、どういう趣旨でしょうか。

高市国務大臣 政治資金規正法第二十二条の三の規定は、国または地方公共団体との特別な関係を維持または強固にすることを目的として不明朗な政治活動に関する寄附がなされるおそれがあるので、それを防止するという見地から、その目的を達成するに必要な限度において規制する趣旨で設けられたものと承知いたします。

枝野委員 つまり、政治不信を招かないように、疑義を持たれないようにこうした規定があるんだと理解をしております。

 これは、この間いろいろ指摘をされている問題が違法なのかどうかという話がいろいろございます。我が党の代表も指摘されていますが、これはこの規定の、これらが利益を与えないものであるというものにダイレクトに該当するものでありますので、全く問題ないと思っているんですが、そうした除外項目を除く補助金を受けた企業が寄附をすれば、受けた側がそのことを知らなくても、寄附をした側は違法である、これは間違いないですね。

高市国務大臣 寄附をした側に関しましては、違法となります。

枝野委員 つまり、受け取った側は、知らなければ、受け取った政治家の側は、あるいは団体側は、政党支部等は、これは違法ではないけれども、利益を伴わないものを除いて、補助金交付決定を受けていた企業が政治献金をすれば、献金をした側は違法であり、これには罰則もありますね。

高市国務大臣 罰則もございます。

枝野委員 罰則つきでそういう寄附をしないようにしましょうということを決めているわけであります。

 確かに、政治家の側からは、いろいろな方から寄附を受けている場合において、補助金等を受けていることを知らなかったというケースが多々あるということは私も同感であります。ただ、この間私どもの同僚議員がお尋ねをしてきているのは、経歴やお立場、当該企業との関係から、知らなかったというのがにわかに信じがたいというケースがあるので、そのことをお尋ねしてきているところでございます。

 さて、きょうの一部報道では、いろいろな方のが出ておりますが、安倍総理が代表者を務める自民党の山口県第四選挙区支部についても、幾つかの報道がなされております。そのこと一個一個を問いただそうとは思いません。

 ただ、安倍総理は、二〇〇七年三月の参議院予算委員会審議において、共産党の議員の方から、二〇〇二年に経済産業省の補助金を交付された地元企業から同支部が献金を受けていたとして質問を受けられたことがあると思いますが、こうした質問を受けたことを覚えていらっしゃいますか。

安倍内閣総理大臣 済みません。その質問、今急な御質問でございますから、記憶にございません。

枝野委員 これは私も議事録を確認いたしました。二〇〇七年の三月の参議院予算委員会審議で、井上哲士議員から、今御指摘をしたようなことについて、安倍総理は質問を受けておられます。

 また、これも他党の機関紙などで、大変我々としては調査能力の点で残念でありますが、二〇一三年の十二月に、やはり補助金を受けている企業からの、安倍総理が代表者を務める支部に対する献金が指摘をされておりますが、これについては御承知でしょうか。

安倍内閣総理大臣 今、一々質問されておられますが、私の基本的な立場としては、例えば、後援会入会のしおりについては、まず、日本国籍を有する者と書いております。と同時に、企業側に対しては、口頭において、企業の献金が規制される場合について企業側に説明をしているところでございまして、今こうした事案が起きている中においては、文書でしっかりと相手側に伝えるようにしていこうということを決めているところでございます。

 今御質問の一三年についても、私もちょっと今、事前に言っていただければ調べるわけでございますが、正確にお答えをしなければなりませんので、詳細について、私は、今すぐにつまびらかにお答えはできません。

枝野委員 私は、個別の献金がどうこうと、ここでお尋ねしようとは思いません。もし必要があれば、今後、同僚議員がやるかもしれませんけれども、私がお尋ねをしているのは、つまり、補助金を受けている側の企業が献金をすれば、受けた側がその補助金交付のことを知らなくても、それは処罰もなされるような違法な行為であるということです。

 そうしたことの疑義のあるケースを、これまでに、二〇〇七年そして二〇一三年の十二月と指摘を受けているということの中で、今、安倍総理は、口頭で、そういうケースはできないんですよということをお伝えしていると。

 それは、いつごろからですか。いつごろから、企業・団体献金をされる企業に対して、補助金を受けている場合は一年間だめなんですよということを、いつからそういったことを口頭でお伝えするようにしているんですか。

安倍内閣総理大臣 いつからということを今つまびらかに申し上げることはできませんが、外国人献金が話題になったときに、いわば外国人献金については、こちらが知っていようが知っていまいが、これは既に、構成要件から外れているわけではなくて、違法であるという観点から、いわば入会のしおりに書き込んだところでございますが、同時に、これは私自身ではありませんが、支部においては、基本的に、入会をしていただく際には、政治資金規正法について説明をしていくということになっているわけでございます。

 その段階では、文書においては、いわば外国人献金については入会のしおりに書き込んでおりますが、それ以外については、例えば三年連続赤字であった企業も寄附できないということもあったように記憶しておりますが、そういうことも含めて、制限がありますということについては、こちら側から常に、いわば企業献金の側に、そこで制限がありますよということを、恐らく口頭で、これは私自身が説明をしているわけではありませんが、事務所にはそうした説明をするように、私は従来から指示をしてきているところでございます。

枝野委員 今の御答弁は大変重要な御答弁でして、外国人献金などが問題になったのは、二〇一〇年、一一年ごろ問題になりました。

 これまで報道等で指摘をされている、補助金等を受けている企業からの安倍総理が支部長をしていらっしゃる自民党支部への献金、二〇一二年について三社、二〇一三年についても二社、うち一社は二〇一二年と重なっているというものがございます。つまり、これらの企業は、形式的に言うと、自民党山口県第四選挙区支部から、企業献金についての制限、規制があってできない場合がありますよという口頭の注意を受けていたにもかかわらず寄附をしていた、こういうことになる。

 これは、渡した方の企業は大変な問題だということになるという御答弁を今されているということになるかというふうに思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、先ほど岡田代表への補助金を受けた企業からの献金が……(発言する者あり)

大島委員長 ちょっと、今総理が答弁しているから。

安倍内閣総理大臣 いわば違法性がないという趣旨でおっしゃったわけでございますが、そもそも、今おっしゃった企業について、どういう企業か言っていただかないとわからないんですが、基本的には、今回も幾つか指摘をされておりますが、その中には、今、枝野委員がおっしゃったように、収益性を伴わないものが明確に入っている企業がございます、そして、今回指摘された企業からも、これは収益性を伴わないということが明確に私の事務所にも伝えられているものもございますから、そうしたものを今混同して、どこということもおっしゃっておられないので、私も、それについてはお答えをしようがない、こういうことでございます。

枝野委員 まず、先ほど申しましたとおり、今、岡田代表も報道されていますが、これは、明らかに性質上利益を伴わないものでありますし、また、そもそもが別法人、実体を伴う別法人であります。

 それで、安倍総理おっしゃられるとおり、安倍総理に献金をしたとして報道等で指摘されているケース、あと一件はまだ報道されていませんが、我が党が調べているケースがありますが、その中には、それと同様な、つまり性質上利益を伴わないものがあるかもしれない。その点についての問いただしをしていませんので、だから今個社名を挙げませんでした。

 ただ、もし、性質上利益を伴う補助金等を受けていた企業であるにもかかわらず献金をしていたケースがあれば、それは、せっかく注意喚起をしたにもかかわらず寄附をしたんだ、そういうことになりますねということですので、これは今後事実関係をしっかりと調べさせていただきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、特に、知っていたか知っていなかったかというのは、我々もなかなか、これは知っていたと受け取られても仕方がないのではないかというようなケースを指摘しておりますが、知っていたということの明確な証明をするのは困難なケースが多いです。逆に、知らなかったということを証明するのも、なかなか大変なケースが多々あります。

 そうしたことの中で、知っていたか知っていなかったかというような議論は、政治不信をむしろ高めるということになりかねないのは間違いありません。

 こうしたことを変えるためには、一番やるべきことは、実は、企業・団体献金そのものをやめてしまうということ。これは、我が党は、かねてから共通のルールとして主張し、国会に議員立法の提案もしたことがあります。ただ、残念ながら、自民党の理解を得られずに、進展をしておりません。

 しかし、少なくとも、今回この補助金を受けた企業からの献金をめぐって、いやこれは知っていたと言われても仕方がないじゃないですかというケースを我々指摘しながら、それについて、残念ながらきちっとした御回答もいただけないというケースが今相次いでおります。

 こうした状況を抜本的に解決するためには、繰り返しますが、本来は、企業・団体献金そのものをやめるべきだと思います。

 まず一つは、献金をした側が違法であるというのははっきりしているわけですから、一つには、献金をした側の罰則を相当重くする。献金をする側がみずからチェックしていただくことが一番大事なわけでありますから、献金をした側の罰則を強化するとともに、あえて言います、これまでは献金をする側もこのルールを御存じなかったケースも少なからずあるでしょう。でも、少なくとも今後、補助金等を受けてから一年間は献金できないんだということが、今回こういう形でいろいろな方に報道等を通じて周知されています。

 今後は、相当厳しく取り締まるということをやっていくということ。

 それからもう一つ、補助金等の申告書なのか交付決定書なのか、政治資金規正法の二十二条の三による寄附禁止の制限がかかるんですよ、この補助金の交付決定を受けたら。そのことを明確に記述してあげて、当事者が間違えないようにする。寄附する側が間違えないようにする。こういうことを行うことによって、この政治資金規正法二十二条の三に違反する献金、少なくとも献金をする側にとっては違法であるという献金がなされないようにする努力をすべきではないか。

 こうした建設的な議論をするつもりはありませんか。

安倍内閣総理大臣 今までもここでお話をさせていただいておりますように、こうしたこちら側には知り得ない寄附というのはあるわけでございます。

 そして、その上において、さらには、先ほど枝野委員もおっしゃっていましたが、岡田さんに行った献金については、これは明白に収益性がない、こう枝野さんはおっしゃっている。私も、指摘された、該当しているところについては、そういう企業もあるというふうに先ほど申し上げているわけでございまして、そこで、しかし、そもそも知らなかったということについては実際知らなかったわけでございますから、これ以上言いようがないわけでございます。

 その上において、私どもの事務所で行っている努力について申し上げたわけでございまして、しっかりと規約に書き込んでいること、そしてまた、口頭においては、正確に申し上げますと、企業の献金について制約される場合がありますよということについて、先方に言っているということでございまして、ただ、そこについては、紙において先方に渡してはいないわけでございますし、また、企業においては、国の補助金はだめで地方の補助金はいいと思って、誤解しているところもあるわけでございます。

 そうしたことから、私どもの自民党としての努力においては、例えば、しっかりと、紙において、必ず献金を受ける際には相手方にそれを送付するということを行うことによってこうした出来事を防ぐことができるということも可能ではないかと思います。

 また同時に、企業・団体献金についてどうするかということはたびたびこの委員会でも取り上げられたところでございますが、まさに民主主義のコストをどう我々は担っていくのかということなんだろう、このように思います。

 先ほど我が党を代表して質問に立った萩生田議員は、まさに何もないところから自分で地盤をつくり、当選を果たしてきた。これは、まさに多くの方々のいわば寄附等によってその活動は支えられているわけでございまして、その中において、個人であるか、あるいは法人であるか、これは、要は誰かに頼まれて、仕事を頼まれて、お金の見返りに政治的な力を使って何かをやるかどうかということが、これは問題であろうと思います。

 いずれにせよ、私は、企業・団体献金そのものがいけないとは考えておりませんが、しかし、枝野議員が提案されたことについて、これは、こうした国民の疑惑を払拭していく、疑問を持たれないためにもどうしたらいいかという観点から、各党各会派において議論をしていくということについては、当然そうした議論は常に行っていくべきだろう、このように思うところでございます。

枝野委員 最後のところを言っていただければいいのでありまして、これは、別に自民党だけのせいと言うつもりはありませんが、今いわゆる補助金等を受けている企業からの寄附という問題は、その原資は、基本的に国民の皆さんの税金であります。お金に色はついていませんから、その税金がぐるっと回って、結果的に政治家の献金のところに行っているのではないかということについて、国民の皆さんは、やはり政治不信を持たれて当然なんだと思うので、そうしたことに対して、まず真摯に受けとめて、できるだけ疑義を生じないように、何が最大限できるのか、そういう姿勢が、私は、なかなか、今不足をしているのではないかというふうに思っています。

 後ほど当事者が午後の質問でお尋ねしますが、下村文部科学大臣も、国会で堂々と答弁をしていたことが、実は全く事実と違っていたというようなことも明らかになってきております。まずは指摘されたことに対して真摯に受けとめるという姿勢、その中で、どうしたら信頼を回復できるのかということに向けては真摯な努力を。今、最終的には各党間で協議をと言っていただきましたので、与党自民党から建設的なボールが、我が党に対して、あるいは各党に対してなされることを期待をしたいというふうに思います。

 それでは、きょうの本題に入りたいというふうに思います。

 横畠長官、おいでいただいていると思います。法制局長官にまずお尋ねします。

 昨年の七月十四日、予算委員会での横畠法制局長官の答弁です。

 閣議決定でいわゆる新三要件と称するものが出されておりますが、この新三要件の第一要件、集団的自衛権、一部が行使できる要件として、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるのはどういった場合であるのかという問いに対して、このパネルの上段、「武力を用いた対処をしなければ、国民に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということをいうものと解されます。」とお答えになっています。

 これが政府の公式見解でよろしいですね。

横畠政府特別補佐人 同じ趣旨は総理も御答弁されているとおりでございまして、その意味で政府の公式見解であると理解しております。

枝野委員 それで、今度は総理の答弁です。

 同趣旨の答弁、いろいろなところであるんですが、一番明快なのかなと思うので、昨年の十月三日の予算委員会における答弁を引用しました。「石油価格も高騰し、経済は壊滅的な被害を受ける可能性は高いわけであります。経済の状況が厳しければ、」「命にかかわってくる問題にもなるわけであります。 そういう意味におきまして、我が国の国民の生活に死活的な影響が生じ、我が国の存立が脅かされ、まさに国民の命や自由及び幸福追求の権利が根底から覆される事態は生じ得る」、これはいわゆるホルムズ海峡の機雷掃海が含まれ得るかということに対するお答えでありますが、この考え方は変わっておられませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 その答弁はその答弁のとおりでございまして、現在もその考え方に変わりはございません。

枝野委員 ホルムズ海峡が封鎖された場合には、武力攻撃を受けた場合と同様、深刻、重大な被害に当たり得る、そういうことが生じ得ると考えている、こういうことでよろしいんですね。

安倍内閣総理大臣 いわば、どういう事態かによります。もちろん、これは新三要件に合致するかどうかということが大前提でございまして、では、新三要件に絶対に合致しないんだということは言えないだろう。その中で、当たり得ることも当然生起し得る、このように答弁したわけでございまして、そういう考え方に立っております。

 同時に、この新三要件に、例えば、ホルムズ海峡が機雷封鎖された、それは自動的になるものではないわけでございまして、その中において、新三要件に当たるという状況であれば、これは今申し上げましたように、集団的自衛権の一部行使容認の武力行使に、武力行使といってもこれは非常に受動的、限定的なものでございますが、それは起こり得る、このように考えているところでございます。

枝野委員 確かに、我が国にとって石油は生命線と言えるのかもしれません。特に、中東からの原油に我が国のエネルギーの相当部分が依存をしています。

 しかしながら、我が国には石油の備蓄もあります。国際状況によっては、もちろん、中東以外のところからも石油はとれる部分はあるわけであります。

 それから、武力攻撃を受けた場合と同様のと言っているところを私は申し上げているんです。相当な経済的な打撃を受けることにはなるでしょう。でも、いわゆる日米戦争のときも、石油の備蓄やあるいは確保が困難になっているということに対して、東南アジアに進出をして石油を確保しなきゃならないといったことが要因の一つになったという歴史的な事実もあります。

 これは詳細通告していませんが、当然、法制局長官は御存じだと思いますが、昭和二十九年の四月五日の内閣委員会で、木村国務大臣が、海上封鎖も個別的自衛権行使の対象になり得るとの答弁をしておりますが、これは生きていますか。

横畠政府特別補佐人 御指摘の、木村当時保安庁長官でございますけれども、答弁がございまして、「この周囲海に包まれておる日本を武力をもつて海上封鎖をし、日本の国民の糧道を断ち、あるいは生産物資を断つ、そうして日本を危殆に陥らしめるというような手段を講ずるならば、それはまさに外部からの武力攻撃に該当するものと私は考えております。」という答弁がございます。

枝野委員 だから、その考え方は生きていますかとお尋ねしているんです。

横畠政府特別補佐人 当時、政府として責任を持って大臣が答弁しておりますので、それは現在も同様であると考えております。

枝野委員 私も、その答弁は同感なんです。

 つまり、当時の軍事的な国際的な状況の中で、特に日本が置かれている状況の中で、日本全体を海上封鎖して、海外から貨物の輸送を一切できないように海上封鎖をしてしまう、日本近海の制海権を他国に押さえられてしまうというようなことが生じれば、我が国の領土、領海に直接的な武力攻撃がなかったとしても、残念ながら日本は、ある段階で国民の相当な人たちが餓死の危機に陥るということは、我が国が島国である中で論理的にあり得るし、そうした場合には、領土、領海に対する武力攻撃ではなかったとしても、それは我が国に対する武力行使として個別的自衛権の行使が可能になるという考え方、昭和二十九年の国会での答弁は、私はあり得る、当然の考え方だと思うんですが、そういう考え方でよろしいですか、横畠長官。

横畠政府特別補佐人 結局はその事態の判断ということになるわけでございますけれども、理屈としてはそのとおりであると私も考えております。

枝野委員 ペルシャ湾あるいはホルムズ海峡での海上封鎖が、例えば日本の周辺の海域を、完全に制海権をどこかの国に押さえられて、我が国に対して貨物の搬入が全くできないような状況が一定程度継続するというのと同視できるほどの状況を生み出すのかといえば、それは、中東の原油は我が国にとって大変重要ではありますけれども、我が国に対する貨物等の運送、運搬が全て封鎖された状況、これはまさに我が国に対する武力行使と同視できると思いますが、それとはやはり相当違うんじゃないですか。中谷大臣、どうですか。

中谷国務大臣 かつて石油危機というのがありましたが、あのときは本当に国民生活が混乱した状況が出てきたと思います。確かに備蓄は六カ月ありますが、機雷が敷設された状態が長期間続きますと、かつての石油ショック以上に我が国に深刻なエネルギー危機が発生します。例えば、車が走れないとか、電力が供給できないとか。

 そういうことで、枝野委員も官房長官をやられていたと思いますけれども、やはり、国として、国民生活に死活的な影響が生じるような場合は、この状況を総合的に判断して、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害、これが及ぶことが明らかな状況に当たり得る場合もありますので、先ほど法制局長官がお答えした状況と私は一緒に考えてよろしいかと思います。

枝野委員 石油危機のような状況で国民生活が大変な影響を受けるのは、それは間違いありません。

 しかしながら、では、中東からの油がとまっただけで我が国で大量の餓死者が出るというような状況になるのかといえば、それはむしろ、仮にそういう状況が生じたとしても、それ以外の外交的な努力によって、日本近海の制海権を押さえられているのでなければ、いろいろなものを輸入することも可能であります。そうしたケースが集団的自衛権行使の例として出すようなケースかといえば、論理的に全くないとまでは言い切れないというところまで仮に同意したとしても、少なくとも集団的自衛権の行使の例示として出すようなケースでは私は全くないと思います。

 あえて聞きますが、機雷というのはどこの国の船に対しても爆発します。我が国が個別的自衛権行使ができるような状況、つまり、武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶようなペルシャ湾のホルムズ海峡の封鎖で機雷をまいたケースというのは、少なくとも、我が国が、日本が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及んでも仕方がないという未必の故意に基づいて、我が国に対する武力攻撃として個別的自衛権を行使できるんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 いわば、外形的に、国際法上、これは個別的自衛権なのか、集団的自衛権と見られるかという話でございます。

 そこで、我々も検討してきたわけでございますが、もちろん、日本近海に日本を攻撃するという目的を持って機雷を敷設されたら、これは、いわば我々は個別的自衛権を発動することができる、こう考えているわけでございますが、ホルムズ海峡に敷設した機雷については、それは我が国の船も触雷することもありますが、これは船籍の問題もあるわけでありまして、多くは外国船籍であったりとかいうこともあるわけでありますし、外国の船に対してもそうでありますし、敷設された機雷を掃海することは、外形的にはいわば集団的自衛権の行使であるという判断が国際法上なされているところでございますので、我々は、これは集団的自衛権の行使である、しかし、それは極めて限定的であり、受動的なものである、こう考えているところでございます。

 もちろん、我が国事態と集団的自衛権を行使するという事態は事態としては別の事態でございますが、しかし、それが三要件にかかるか、かからないかということでありますし、今、枝野議員も、論理的にはあり得る、こうおっしゃった。我々は、論理的にあり得ると同時に現実的にもそれは絶対ないとは言い切れない中においては、私たちは国民の命と幸せな暮らしを守っていく上においてはそれを可能にしておくということでありまして、あしたからそこに行くということではなくて、もしそういう事態があって、かつ、三要件にそれが適しているということになって、さらには、恐らく、今与党で協議をしているわけでありますが、当然、国会の関与もございます。そういう中において判断をしていくということではないか、こう考えております。

枝野委員 ですから、その三要件に当てはまり得るのかと。

 先ほどの昭和二十九年の政府の国会答弁、日本が海上封鎖を完全にされてしまって、海外から物資が全く入らなくて、国民の多くの人たちが餓死するような状況に類するようなことが生じなければ、私は、武力攻撃を受けたのと同様な深刻、重大な被害とは言えないと思います。

 それには、ホルムズ海峡が封鎖をされていても、外交的努力等を通じて他の地域から、そういった備蓄もあるし、少なくとも国民が餓死しないようないろいろな手段が確保されている限りはこれにはやはり当たらないと思うんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 直ちに、多くが餓死をしなければこの要件に当たらないとは我々は考えておりません。

 と同時に、備蓄もあるし外交努力という、私は、それほど簡単なことではない、こう思っております。備蓄があったとしても、そこに機雷があれば、どこかがこれを掃海しなければそこにあり続けるわけであります。そして、そのショックは相当のショックになるわけでありますし、あるいは、石油の八割はこのホルムズ海峡を通ってくるわけでありますから、それを直ちにつけかえるというのもそう簡単なことではございません。

 もちろん、我々は、原油の輸入ルートを多角化するための努力もしておりますし、ホルムズ海峡の周辺国との関係、あるいは、機雷を敷設し得るかもしれないという可能性のある国々との関係についても、良好な関係を維持すべく外交努力をしていくのは当然のことであろうと思います。

 今の段階から、当然、そうした事態にならないように最大限の努力を払っていくのは言うまでもないわけでございますが、想定外は許されないわけでありますから、万々が一の際にそういう状況がもし起こり得た場合、そういう影響がある、三要件に当てはまるような影響がある。これは石油が突然どんと遮断されるわけでありますから、相当のパニックになるわけでありまして、ちゃんと備蓄がありますよという説明をしても、これは一時的にパニックになるというのは今まで我々は経験をしてきていることでございます。

 そういう中において、私たちは、そういう事態にも切れ目のない対応を可能にしていこう、こういう考え方でございます。

枝野委員 今の答弁のような答弁だから問題なんですよ。

 一時的なパニックが起こるかもしれないけれども、一時的なパニックが、武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況と言えるのか。我が国が武力攻撃を受けるというのは、まさに武力攻撃によってダイレクトにたくさんの方が亡くなる、そういう状況が我が国が武力を受けた場合ですよ。

 それは確かに、石油が急にあした来ませんということになったら、それは経済的にも社会的にも大変な問題が生じますよ。でも、それは武力攻撃を受けた場合と同視できるような話なのかと言えば、それは明らかに次元が違うと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 それはいわば、石油が入ってこない、これはもう電力のいわば供給に基本的な、死活的な打撃を与えるのも事実でございます。そこで、当然、命にかかわることも起こり得ると私は考えているわけでございます。それが絶対に起こり得ないと言うほど、いわば全能の神のような判断を我々はすべきではない。そういう判断をしてきて、実際そういうことが起こったときに、政治は右往左往することがあってはならない、こう考えているわけであります。

 再三申し上げておりますように、三要件というのは、この三要件に当てはまらなければ、これは行わないんですから。ですから、今、枝野委員はそうおっしゃっている。しかし、それは私どもはあり得る。でも、それはあり得るか、あり得ないかという今議論をしているわけでございます。

 しかし、我々はあり得ると考えているわけでございますし、その段階で、三要件に当たるか当たらないかというのは、冷静に、客観的に判断をしていくわけでありますし、国会においても、当然、それは関与ということも我々も今議論をしているところでございます。その上において判断する。

 我々は、まさに今申し上げましたように、三要件に当てはまるということはあり得るということを、これは今お答えとして申し上げているわけでございます。

 再三申し上げているわけでありますが、そういう……(発言する者あり)いや、しゃべりにくいものですから。継続的にやじられますと、単発的だったらまだしも、継続的に言われるとちょっとしゃべりにくいものでありますから、少し静かにしていただきたい、このように思うわけであります。

 そこで、大切なことは、私たちは国民の命をしっかりと守っていく、幸せな生活を守っていくということでございます。まさにエネルギー源を失うというのは、我々の生活の基盤を失っていくことにつながるわけでございます。

 そこで、根底から覆されるといういわば可能性ということについて申し上げているわけでございまして、そういう可能性がある中においては、当然、それは法的な対応を可能にしておこうというのが、むしろ政治の責任に当たる者の立場ではないか、このように思うわけでございます。

枝野委員 やはりずらしているんですが、可能性があるかないかじゃなくて、あなたがおっしゃっている新たな三要件に該当するかどうか。

 その三要件にある「武力攻撃を受けた場合と同様な」と言っている話は、「武力攻撃を受けた場合と同様な」というのが、石油がとまったことだけで武力攻撃を受けた場合と同様なのか。

 それは、武力攻撃を受けた場合は、ダイレクトにたくさんの国民の皆さんの命が失われるんですよ。確かに、原油がとまれば、今と同じような快適な生活は全くできなくなりますよ。だけれども、武力攻撃で大量の方が命を落とすという状況と、今の快適な状況が送れなくなるというのは、根本的に全然違いますよ。

 そして、集団的自衛権を行使すれば、それを契機として、我が国に対する直接的な武力攻撃がなされるそのリスクが高まるのは間違いないんですよ。

 確かに、たくさんの人の命が失われるような状況に対しては、それは対応しなきゃいけません。でも、武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な事態に、今と同じような快適な生活はできないけれども、でも国民の皆さんがダイレクトに命を失っていくという状況ではない。私は、石油がとまるということは、相当深刻な状況だけれども、「武力攻撃を受けた場合と同様な」にはとても当たらないと思うから指摘をしているんです。

 石油がとまることが、武力攻撃を受けた場合と同様なんですか。

中谷国務大臣 そのまま機雷が除去されなければ、危険はなくならないんです。石油の供給が回復しなければ、我が国の国民生活に重大な、死活的な影響が出る場合もあり得るわけでありまして、その際には、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻な、重大な被害が及ぶことが明らかな状況でございます。

 そして、一言加えますと、確かに、個別的自衛権に関してのような答弁があるわけでありますが、今回、新たに新三要件を設けたのは、我が国に対する武力攻撃を前提としたものではなくて、新三要件に言う「明白な危険がある場合」とは、他国に対する武力攻撃を前提としたわけでございますので、両者はその前提を異にするわけでございますが、他国が攻撃を受けた、我が国はまだ武力攻撃を受けていない、そういう状況もあり得るということでございます。

安倍内閣総理大臣 ただいま大臣から答弁をさせていただいた、「自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」ということでありまして、つまり、そういう意味においては、今、枝野議員がおっしゃったように、文化的な生活がこれはもう営めないということであれば、これはまさに幸福の追求の権利、あるいは自由に移動することも難しいということにもなってくるわけでございます。

 これはまた、そういう観点から鑑みて、そこに機雷があり続ける限り、ホルムズ海峡を通って多くは日本にやってくるわけでありまして、多くは日本にやってくるのに機雷を除去しないということであれば、日本が除去しなければ、日本のかわりにどこかやってくれる国があるかないかということであります。

 どこかやってくださいということは、そういう努力はするということもあるかもしれませんが、基本的に、この海峡を通って多くの石油は日本にやってくるわけでございまして、日本がその除去をしない、しかも、機雷の除去というのは、事実上これは、そこでは戦闘行為は行われていないという状況になっているときに行うものでございまして、受動的に、制限的なものでございます。

 いわばそれを行う上において、かつ三要件に当てはまるということになって初めて我々は機雷の除去を行うという考え方であるということは、繰り返し申し上げているところでございます。

枝野委員 だから、その三要件に、ホルムズ海峡が封鎖されて石油がとまりましたという状況が、本当に、三要件のまさに意味はこういうことですと、武力攻撃を受けた場合と同様の状況にならないんじゃないかということを申し上げて、まあ、大変重要なお答えですよ。

 要するに、今のような快適で文化的な生活、これが営めなくなることも避けたいですけれども、でも、武力攻撃を受けたのとは質的に我々は違うと思う。少なくとも、今のような非常に快適な生活を仮に営めないとしても、国民の生命を守るというところであれば最小限の武力攻撃はやむを得ないと思いますが、しかしながら、今と同じような快適な生活が守られないからといって集団的自衛権を行使するというのは、我々はとても容認できないと思いますし、さらにもう一つ申し上げましょう、今の答弁から。

 受動的とおっしゃいました。でも、そこに機雷があるという状況が長期に継続するという状況の場合は、多くの場合、当該海域の制海権と制空権を他国に押さえられているケースが当然想定できます。他国が制海権、制空権を押さえているから、ホルムズ海峡を通って石油が、タンカーが外に出てこれない、こういうケースが考えられます。

 こういうケースはやらないんですか。(発言する者あり)やれないんですか。なぜやれないんですか。

安倍内閣総理大臣 これは既に何回も申し上げておりますように、いわば武力行使を目的として自衛隊を海外に派遣する、いわゆる派兵については、これは一般的に行わないということは、今まで答弁しているとおりでございます。

 まさに戦争が行われているという状況の中において、海外に出かけていって、他国の領土、領海に入っていって、そうしたいわば一般的な派兵は我々は行わない、こう言ってきているのは、答弁をしてきているとおりでございますが、ホルムズ海峡については、なぜ受動的かといえば、機雷が敷設をされている、しかし、戦闘行為が現状に行われているという状況であれば、我々は掃海艇を出すことはそもそもこれはできないですし、掃海行為もこれは事実上できませんから、極めてデリケートな作業になるわけでございますので、それは事実上ほとんどできないと言っていい。

 しかし、ただ、これは、形式的に停戦がなされていないけれども、事実上ここには戦闘行為は行われていないという状況の中で機雷掃海を行うという意味において受動的、制限的ないわば武力、機雷の掃海についても、これは国際法的には武力の行使に当たり、集団的自衛権の行使に当たるから、我々はそれを可能にしよう、こういうことでございます。

枝野委員 いいですか、機雷掃海をするのは、国民に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況の場合、だから機雷掃海をすると皆さんはおっしゃっているんですよ。

 機雷がまかれていて、戦闘行為が終わっているときだけは出ていきますと。では、機雷がまかれて、そこが制海権、制空権を押さえられていて、その押さえられている状況が半年、一年、二年と続きます、こういう状況が二年、三年続けば、皆さんのロジックでいえば、武力攻撃を受けたのと同様な事態が生じるじゃないですか。それを放置するんですね。

中谷国務大臣 二年、三年待たなくても、電力の供給がとまることによって、まさに生命の危機に陥るというようなケースもあるわけでございます。そういった点においては、お答えしたとおり、国民生活に重大な影響を及ぼす、いわゆる武力攻撃を受けた場合と同様な事態に陥るというふうに思います。

枝野委員 繰り返し同じことを申し上げますが、皆さんの理屈では、ホルムズ海峡を封鎖されて石油がとまった、それはいろいろな混乱が生じるけれども、私たちは武力攻撃を受けたのと同様な深刻な重大な事態、国民の生命がたくさん失われるという事態とは違うと思いますが、もしそれが武力攻撃を受けたのと同様だと解するならば、戦闘行為が終わった状況じゃなくても、そこが封鎖され続けている状況が二年三年と続いていけば、武力攻撃を受けたのと同様な事態が生じるんでしょう。それは放置をしている。でも、戦闘行為が終わった、機雷掃海だけはする。それは国民の生命財産を守るための集団的自衛権なんですか。

中谷国務大臣 今回新たに新三要件を求めたのは、我が国に対する武力攻撃を前提としたものではなくて、明白な危険がある場合ということで、他国に対する武力攻撃を前提とする場合の対応が可能とするものでございますので、こういった認定において、我が国の危機を回避するという場合にその手段を用いるということでございます。

枝野委員 全くお答えになっていない。(発言する者あり)

 ちょっと時計をとめて。理事も言っていますし、最後、きょう五時までなんだから、NHK、五分や十分延ばせるんですから。とめてください。

大島委員長 枝野君。(発言する者あり)

 総理が今帰ってきましたから、もう一度、枝野さん、質問。

枝野委員 もう一度総理にお尋ねしますが、ホルムズ海峡が封鎖されて石油が入ってこないという状況は深刻な状況ですが、私は武力攻撃を受けた場合と同様とは思いません。したがって、この第一要件には当たらないと思います、原則的に。

 でも、もしホルムズ海峡が封鎖されて原油が入ってこないという状況が武力攻撃を受けた場合と同様に深刻な状況を及ぼすというのであれば、戦闘行為が終わって機雷を掃海する前の段階、つまり、そこで戦闘行為が激しく行われていたり、敵国に制海権、制空権を押さえられているという状況、そういう状況が長く続いていたら、武力攻撃を受けた場合と同様、深刻な被害が及ぶことが明らかな状況になってしまうじゃないですか。そうした場合に、国民の生命財産を守るために何かしないんですか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、最初、先ほど私、もう答弁をしていると思いますが、武力行使を目的として自衛隊を派遣するということは、戦闘行為を目的として、武力行使を目的として海外に自衛隊を出すことはしないということは、これはもう明確になっています。ですから、そういう状況の中で、今、枝野委員がおっしゃったような状況の中においては、それはしないというのは、もうこれは何回も答弁をしているとおりでございます。

 と同時にまた、そこで機雷掃海するということは、これはそもそも実際の任務としてはあり得ない。では、機雷は受動的なものだからやるかどうかということなんですが、戦闘行為が行われているところでは、機雷の掃海というのはできません。

 そもそも、機雷掃海艇というのは木でできた船で、脆弱性を持っているわけでございまして、そこからいわば潜水士が海に入ってこれは非常に微妙な作業をする。線を一本一本抜いてそこでカットするということをするわけで……(発言する者あり)しかし、これは国民の皆様に大事なところですから説明をしなければいけないんですよ。国民の皆様が見ておられますから、掃海はどういう行為かというと、そういう行為なんですよ。

 ですから、これは切ってはいけない線を切ったらそこで爆発するわけですから、そういう行為をするということでありますから、いわば、そこで戦闘行為が行われているところで掃海をするということはそもそもないということは申し上げておきたいと思います。

枝野委員 戦闘行為が行われていない場所であるならば、それは停戦合意がなされているかどうかという問題はありますけれども、そこで掃海作業ということだけを行うなら、わざわざ集団的自衛権だなんという議論をする必要はない。

 むしろ、先ほどのお話のとおり、このロジックを突き詰めていけば、では、石油がちゃんと通れるようにするためにそこで戦闘行為を行いに行かないと、我が国は武力攻撃を受けた場合と同様な深刻な影響を受けることになるじゃないか。あるいは、制空権をちゃんと押さえるためには、地上の空軍基地を爆撃しなきゃならないじゃないか。間違いなくこのロジックでいったら行きますよと。

 逆に言えば、戦闘行為が行われていない地域で今のようなことを行うんだったら集団的自衛権ということをやる必要はないということを申し上げておいて、もう一つこの話をしたかったんですが、中谷大臣、残りの時間で簡単に聞きたいんですが、二月二十七日の記者会見、報道によると、文官統制の根拠とされてきた防衛省設置法十二条の規定が云々とあって、これができたのは一九五四年、私はその後生まれたわけで、当時どういう趣旨があったかはわからないと述べたと報道されていますが、まさかこんなお話はされていませんよね。

中谷国務大臣 この報道は、私の発言の一部だけ取り上げられたものでございます。

 申し上げたいのは、文民統制と文官統制という言葉がありますけれども、文民統制というのは、これはまさにシビリアンコントロールの制度を採用しているということで、これは政治が軍事組織をコントロールするという意味でございます。

 そこで、これはさきの大戦の教訓で設けられたものでありますが、文官統制というのは、いろいろな意味がありますけれども、いわゆる官僚が自衛隊や軍隊をコントロールという意味でございまして、その規定でこの十二条ですね、これの質問がありました。

 この防衛省設置法の十二条においては、長官官房と内局、そして幕僚監部というものの位置づけを規定したものでありますが、私はそのときにきちんと説明しております。

 防衛省設置法十二条の趣旨は、政策的な見地からの大臣の補佐と軍事的専門見地からの大臣の補佐の調整、吻合、これを行うものと二回お答えをしておりますし、また、その後もシビリアンコントロールの趣旨等を申し上げましたが、この文官統制という言葉は、政府としてその考えをとっておりません。

 ですから、その文官統制というものについていかなるものであるのか、そういうものは、質問者が当時の政治家がどう考えていたのかという点についてそうお答えしたものでございまして、私としては、政府の考え方はそのとき適切にお答えをしたものでございます。

枝野委員 言葉の使い間違い、あるいは説明の仕方が足りなかったと言うならば、目くじら立ててそのことだけを取り上げよう、揚げ足をとろうとは思いませんが、やはり誤解を招く発言ですよね。生まれる前だからわからないという趣旨のことはあったんですね、今のお話だと。

 生まれる前だからわからないではなくて、今の話を善意で解釈すれば、当時の立法者の意思はわからない、当時の政治家の意思はわからないとお答えすべき趣旨のことだったんじゃないんですか。違いますか。

中谷国務大臣 その私の答弁の後に、わからないがと言いまして、それで、いろいろシビリアンコントロールの本来の意味を説明いたしております。

 政府としては、その文官統制という考え方は今まで持ったことがありませんので、質問者が、それはどうであったかということを聞かれても、私はわかりませんというふうにお答えしたわけでございます。

枝野委員 ごめんなさい、報道を否定されているのか何かちょっとはっきりしないんですが、その後生まれたわけで、わからないという趣旨は、これはあり得ないわけですよ。つまり、それは政府としてとってきた考え方ではないから答えられないとか、当時の立法者の内心はわからないだったらわかるんですが、生まれていないからわからないというところが切り取られているわけで、これは、切り取り方が間違っているのか、それとも生まれる前だからという部分が余計だったのか。そこはきちっと整理してお答えいただけませんか。

中谷国務大臣 お答えいたします。

 この質問は、いわゆる文官統制という規定が、戦前軍部が独走してしまった反省から、先人の政治家たちがつくった規定だというふうに考えるかということで、文官統制ですよ、官僚が軍事をコントロールする。

 これに対して、私は、防衛省設置法十二条においては、いわゆる政策的見地からと軍事的見地からの補佐を調整、吻合するものというふうに二回お答えをして、その後繰り返し質問をされたので、戦後までの経緯に対する反省もあって、自衛隊が国民の意思によって運用されることを確保するために、旧憲法の体制と全く異なり、厳格な文民統制を採用していること、そして、民主主義で選ばれた国民の代表がしっかりと自衛隊をコントロールしていくこと、また、政府として文官が自衛官をコントロールするという文官統制をするという考え方をとっていないということは、そのとき申し上げております。

 そういうことで、その上で、あくまでも政府としてとっていない考え方であるいわゆる文官統制の経緯については承知をしていないという旨をお答えしたところでございまして、その言葉だけが報道で取り上げられているのでございまして、その言葉は、今説明したように、私の発言の一部であったということでございます。

枝野委員 恐らく、生まれていないから知らないよというようなことをおっしゃるような方でないのは、中谷さんと私、意見は違いますが、信頼をしたいと思うんですが、これはやはり誤解を招きかねない切り取られ方をしています。

 そして、やはり問題なのは、生まれる前のことを含めてしっかりと認識した上でいろいろなことをやらないと、特に安全保障についてはいけないと思います。

 そこで、中谷大臣に聞きます。

 統帥権干犯問題とそれから軍部大臣現役武官制の復活というのが、我が国が国策を誤った一つの大きなきっかけだと思いますが、どう思いますか。

中谷国務大臣 そのとおりだと思います。

 大臣が軍人でなければならないというのが統帥権の軍事専門性でありますし、軍令と軍政というのがありまして、軍令の場合は内閣のコントロールになかったという点は非常に大きな反省点でありまして、やはりシビリアンコントロールで、国民から選ばれた政治家が軍事組織をコントロールするというふうに改めたわけで、これは大事な原則であると思っております。

枝野委員 軍部大臣現役武官制というのは昭和十一年に広田内閣が復活させたんですが、実はその復活前も原則としてやはり現役武官が軍部大臣をやっていたということであります。しかし、それを制度として復活させたことによって、その後、宇垣内閣の成立を阻止したり、米内内閣を倒すなど、軍部が強い影響力を行使する原因になりました。

 それから、軍令と軍政のバランスというのも、いわゆる統帥権干犯問題、ロンドン海軍条約をめぐる昭和五年の論争を契機として、やはり軍令が軍政に対してより強い影響力を持つようになっていった。このことが、軍の独走をとめにくくなった一つの原因だと思うんですね。

 今回、防衛省設置法十二条の改正の議論がなされていると承知をしております。どういう中身なのかと聞いたら、まだ閣議決定前なのでお伝えできませんというのが防衛省からのお答えでした。

 これは、今の段階で、だめですと言うつもりはありません。いろいろと運用を効率化するために、防衛省内局、いわゆる背広組と制服組とのいろいろな関係を整理してよりよくすること自体は私はあり得ることだと思いますが、少なくともこうした過去の歴史を踏まえれば、単なる組織改編ではない。本当にそのことが予期せぬ弊害、問題を生じさせないかということは相当慎重な議論をしないと、繰り返しますが、軍部大臣現役武官制だって、もともとほとんど現役の陸海軍大将が軍部大臣をやっていたけれども、制度にしたことが、その後大きな禍根を残しました。

 そうしたことを考えれば、これは単なる組織改編ではない。もうちょっとしっかりと慎重な議論が必要だと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 おっしゃるような趣旨で、新しい制度、法律の改正を今検討しているところでございます。

 大事なところは、シビリアンコントロールというのは、政治家、政治が軍をコントロールするという意味でありますが、これが正しく判断できるためにも、やはり政策的見地の補佐と軍事的専門家の補佐と両方を調整、吻合して、そしてそれが相まって正しい判断ができるということで、特にオペレーションの面におきましてやはり緊急に対応しなければならないとか、まさに的確に行動する場合等におきまして新たな組織を立ち上げるわけでございますが、枝野委員がおっしゃったような趣旨で、きちんとコントロールできるような、シビリアンコントロールがむしろ積極的に活用、強化できるような内容にしているわけでございます。

枝野委員 同僚議員の御了解をいただいて、ちょっと食い込ませていただきます。

 あえて申し上げるならば、大臣も退役武官なわけです、昔で言えば。そうしたことの中では……(発言する者あり)昔で言えば。戦前で、類似したことを言えば。

 そうした構造の中で、過去にこういった、戦前に問題があったことを考えれば、今おっしゃられた趣旨だと、大臣が思っていらっしゃることはいいんですが、しかし、本当にそれで弊害、問題が生じないかということはかなり慎重に国会でも時間をかけて議論させていただきたいし、これは組織改編だけだから、国会に出したらすぐに通せ、そういう性質ではないですよねということを申し上げました。

 最後に、総理、今の統帥権干犯問題と軍部大臣現役武官制の復活というのは我が国が大変重要な教訓としなきゃならないことだと思っていますが、どう思いますか。

安倍内閣総理大臣 それはそのとおりだと思います。

枝野委員 だとすれば、今の防衛省設置法の話も、きちっといろいろなところからのチェックを受けて、万が一の弊害も生じさせないような慎重な対応を、我が党としても、具体的な中身が出てきたら、決して初めから否定するつもりはありません、建設的、かつ、ただし慎重に議論させていただくということを申し上げて、仲間の質問者に時間を譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、辻元清美君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。辻元清美君。

辻元委員 辻元清美です。

 私は、集団的自衛権の行使をめぐっての先般の政府の閣議決定、これに関して今与党協議が行われていますけれども、この与党協議が、どうも閣議決定の範囲を超えてどんどんエスカレートしているんじゃないかという不安が広がっていますし、そもそも国民の中には、この閣議決定の変更によって日本が戦争ができる国になってしまうんじゃないかという不安が広がっていることも事実です。

 ですから、ここは、何ができるようになって何が変わったのか、一つ一つ確認したいと思うんです。

 その前に、今の枝野さんと中谷さんのやりとりを聞いておりまして、中谷さんは生まれた前だったので知らないという言葉だけが切り取られてというお話でしたが、中谷さん、生年月日はいつですか。

中谷国務大臣 昭和三十二年、一九五七年十月十四日です。

辻元委員 私よりちょっと上ということになりますが、中谷さんは今、文民統制というのは文官が統制するといったことを政府としては言っていないというような御答弁をされた。実は、いろいろな総理、歴代総理がよく似たことをおっしゃっているんですね。

 どういうことかというと、佐藤栄作総理が、これは昭和四十五年四月七日ですが、本会議で言っています。これが主に定義みたいになっているわけです。これは、中谷さんは生まれていたと思うんです。まだ子供だったかもしれませんが。「自衛隊は政治優先のシビリアンコントロールの原則が貫かれております。そしてその背景には、戦前の苦い経験があることを忘れてはなりません。現在、自衛隊のシビリアンコントロールは、国会の統制、内閣の統制、防衛庁内部における文官統制、及び国防会議の統制による四つの面から構成されておりまして、制度として確立されているものでございまして、この点では不安はない」。

 ですから、中谷さんが防衛大臣ですけれども、ここではっきり、防衛庁内部における文官統制もシビリアンコントロールの大事な一部であると先人たちはおっしゃってきた。これは、竹下総理はもっとはっきりおっしゃっていますよ、その後。防衛庁設置法をつくった中曽根さんも、私がつくったんだということで、大東亜戦争の悲劇から、これはいわゆる内局問題についてもちゃんとしたんだということを答弁されているんですよ。

 中谷さん、防衛大臣として、今実際に安保法制の議論があって、先ほど言ったみたいに、日本は、過去の日本みたいに戻っちゃったらどうしようという不安もあることはあるんです。ということは、やはり、過去の戦争、戦後七十年だから、過去の反省とか、歴代の総理を含めてどういう議論をしてきたのか。

 中谷防衛大臣は防衛大学校も卒業されている、そして自衛隊も経験されている。こういうことは学んでこられなかったんですか。はっきり言っているじゃないですか。どうですか。

中谷国務大臣 私、防衛大学校で、シビリアンコントロールのことはしっかり学んだつもりでございます。特に、当時の学校長からは、自衛官である以前によき市民たれというような言葉も聞かせていただきました。

 やはり、シビリアンコントロールというのは、国民の統制を受ける、それは国民の代表である政治家がしっかりコントロールするということでございますので、そういう意味で、それぞれのシビリアンコントロールの仕組みがつくられております。国会、内閣、総理、防衛大臣、そして、防衛省の中においても、政治任用である防衛副大臣、防衛大臣政務官、これ等が防衛大臣を補佐するということで、厳格な文民統制の制度が採用されていると思っております。

辻元委員 いや、先ほど、文民統制というのは文官が統制するということを政府として言ったことはないとおっしゃっているので、実際に佐藤総理が、これも、要するに、文民統制の一つの重要なファクターであると答弁されているわけですから、先ほどの発言は間違いだった、過去にあったということじゃないですか。いかがですか。

中谷国務大臣 先ほどは、そういう考え方をとったことはないというふうに申し述べました。

辻元委員 そうすると、もう一度聞きますよ。佐藤首相が、防衛庁内部における文官統制。それで、竹下さんはこう言っているんですよ、防衛庁そのものの中でいわゆるシビルの方、内局の方がコントロールしていかれる、このシビリアンコントロールというのは、何重にもそういうコントロールという枠がかかっておりましてということで、この文官統制についても大事なシビリアンコントロールの一つであると答弁されているわけですが、中谷さんは、これはそうではないとさっきおっしゃったので、発言を訂正された方がいいんじゃないですか。中谷さんに聞いています。

中谷国務大臣 シビリアンコントロールというのは、まさに政治家がコントロールするということであります。

 確かに、防衛省には事務官、そして自衛官がいるわけでありますが、それぞれの仕事の分野を分類したというのが防衛省設置法の十二条でありまして、そこには文官たる事務官のやることが書かれていますが、片や、同時にできた自衛隊法においても、幕僚監部ということで、軍事的見地から大臣を補佐するという規定がありまして、この両者が、まさに車の両輪のごとく調整、吻合して大臣を支えていくという意味の補佐でありまして、あくまでもシビリアンコントロールというのは、政治家たる防衛大臣、またそれを補佐する防衛副大臣、そして政務官、これが行っていくものだと認識しております。

辻元委員 いや、私は、政治家がコントロールすることはとても大事だと思っていて、ただ、今の現状は、政治家がちょっと勇ましいことをおっしゃる方もいらっしゃるので、懸念しています。そういうときに、むしろ自衛隊の隊員の方の方が現場をよく知っていて、そういうことはできないよとブレーキをかける役をされてきたことも存じ上げております。

 私が聞いておりますのは、今おっしゃった、まさしくシビリアンコントロールは、佐藤栄作首相を初め、文官統制も一つの大きな重要な役割だ、シビリアンコントロールの一つの要素をなしていると歴代の首相が言ってきているから、このことは認めますねと言っているわけです。

中谷国務大臣 確かにそういう言葉はありますが、ですが、この文官統制というのは、官僚が自衛隊をコントロールするという意味ではありません。その内容についても、こういう考え方であるということでお話をされたということではないと思います。

辻元委員 私は、中谷大臣と安保委員会などでかなり議論をしてきて、このことにずっとこだわってこられていることはよく存じ上げているんですよ。

 しかし、やはり過去の歴代の総理大臣も答弁されて、一つは過去の反省、それから、いわゆる文民統制、シビリアンコントロールの中の一つがやはり文官統制として構成されていると。これはつくられたんです。しかし、これの運用に当たっていろいろ問題があるという点を指摘されてきたことは存じ上げているんです。

 なぜこれを言うかというと、やはり私たちは歴史に学ぶ、これが今しっかりと、戦後七十年で談話のことも言われていますが、二度と繰り返さないということをしっかり肝に銘じて、防衛大臣として、今、安保法制が議論されているわけですから、していただかないと、心もとないわけです。ですから申し上げているわけです。

 それで、これはまたちょっと引き続き後でやりますが、今、安保法制懇の報告書から始まりまして、与党協議があります。その中で、どうも前の閣議決定のときに出てきていないような、船舶検査の話とか後方支援での武器弾薬の輸送とかという話まで飛び出てきて懸念が広がっていますので、これを一、二確認しておきたいと思います。

 船舶検査については、今まで、要するに、平時の場合、いきなり自衛隊が出ていって、それから武器使用もできるようにして強制的にするのはその後トラブルになるからということで、これは国際的にもそうですけれども、その船の旗国の同意や船長の同意をしてやりましょうということだったですよね。これを何か強制的にできるように変えたいというような御提案をされているようなんですけれども、何か強制的にしなければならないような具体的な事案が発生したから言っているんですか、どうなんですか。

中谷国務大臣 今から十五年前に周辺事態法ができたわけですが、思い出すと、辻元さんは、当時自社さ政権で、私も自民……(辻元委員「周辺事態のときはもう自社さじゃなかったです」と呼ぶ)その議論のときに、自社さ……

大島委員長 勝手にそこで会話するのはやめなさい。

中谷国務大臣 ともに議論をいたしました。それはもう十五年経ていますので、この間の安全保障環境、我が国をめぐる状況は大きく変わっております。

 例えば、大量破壊兵器、弾道ミサイルが拡散して、国際社会においては、イランの核関連物資の禁輸、またテロ関連の物資の移動防止、こういうことが行われるなど、船舶検査の重要性は高まってきているということです。

 そして、この変化と船舶検査の重要性の高まりを踏まえて、我が国の平和、安全に加えて、国際社会の平和及び安定にも寄与する船舶検査のあり方について現在検討をいたしておりますが、趣旨は、あらゆる事態に切れ目のない対応ができる安全保障法制でありまして、そういう観点で検討し、また、現在、与党で議論をしていただいているところでございます。

    〔委員長退席、金田委員長代理着席〕

辻元委員 今、安全保障環境が変わったとおっしゃって、いろいろ事例をおっしゃられたんですが、当時、約二十年ほど前に議論したときも同じような議論があったんです。船舶検査を強制的にするかどうかとさんざん議論したわけです。同じように、あのときも必要じゃないかという声もあったわけです、今おっしゃったように。

 しかし、例えば、日本の船が不審船ということでもしもどこかで捕まって、いきなり軍隊が、相手が出てきて、そして武器も使用して強制的にされたら、これは何なんだと。そこで小競り合いになって、そして武力行使をしてしまって、それが国際問題にも発展する、これは日本だけじゃなくて世界じゅうで。

 その大きな原因になるから、第一義的にはもちろん海上保安庁がやって、自衛隊が出ていくときには抑制的であらねばならぬから、やはり船舶検査は、今みたいな議論をさんざんしたんですよ、あのときも。でも、やはり船舶検査は同意が必要だね、平時はと。有事じゃないですよ、平時はということだったわけですよ。

 何だか、見ていると、当時出てきた議論をまた同じように、国際環境が変わった、あのときも言っていましたよ。あのときは朝鮮半島危機だったわけですよ。同じことですよ。何か、閣議決定を法制化するどさくさに紛れてと言ったら悪いですけれども、在庫セールじゃないけれども、今までできなかったことを全部やってしまえというように思えるんですよ。

 あのときも同じ議論をして、船舶検査は、やはり平時は、大きな国際紛争やちょっとした小競り合いから大きな武力行使につながることがあるから抑制的にしようねという議論があった。これは変わっていないと思いますよ。そうなる可能性は同じですよ、中谷さん。ここはよく考えていただきたい。

 昔のこともおっしゃいました、そのころから議論してきたと。ですから、この本質は変わらないわけですよ。抑制的にすべきだと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 当時から辻元委員とこういう議論はしてきました。

 しかし、安全保障に思考停止はできないんですね。状況が変わっているんです、日本を取り巻く国際情勢も、世界の情勢も。こういった点で、いかにして日本の国の安全、そして世界の安定を考える、その中で我が国が何ができるのか。

 現に、こういった視点で法整備をどうするか、あの当時も議論されておりましたけれども、こういった状況も変化しておりますので、そういった点で、国の安全や世界の平和の安定のために日本が何ができるかという観点で、あらゆる事態に切れ目のない対応ができることは何なのかということで検討されているということです。

辻元委員 立法事実といいますか、それでこの二十年間物すごく困った、強制的に船舶検査ができなくて、我が国に何か危害が及ぼされそうになったとかがあれば別なんですよ。

 今、中谷さんがおっしゃった答弁は、二十年前にも同じことをおっしゃっていた。状況が変わったと、朝鮮半島の。あのときはそうでしたよ。同じなんですよ。でも、本質は変わらないんですよ。

 もう一つお聞きしたいと思いますが、先ほど、後方支援における武器弾薬、それから発進準備中の航空機への給油の問題も問題になりましたね。それは武力行使との一体に当たるおそれがある。

 なので、これはちょっと内閣法制局長官にお聞きしたいと思います。

 大森長官が昔このことを問われて、もうこれもずっと議論しているんですけれども、戦闘行為との密接な関係があるのではないかということで慎重になるべきだ、これは武器弾薬も航空機への給油もそうですけれども、そのような発言をされています。大いに憲法上の適否については疑念があるから慎重にやりなさいという趣旨の発言をされているんですね。これは変わっていないですね。

横畠政府特別補佐人 この一体化の問題につきましては、提供する物資が武器弾薬であるか、あるいは食料、水等であるか、その物によって結論が異なる、そういう考え方は基本的にとってはおりません。

 例えば、前線、戦場におきまして食料、水を提供する、それもまさに戦う力を補強する、現場で補強するということになりますので、それは一体化し得るというふうに考えております。武器弾薬でありましても、離れた場所で提供する場合には、いずれそれが戦場で使われるかもしれませんけれども、それは一体化するものではないというふうに整理しております。

 それから、発進準備中の戦闘機に対する給油等でございますけれども、これにつきましては、明確にそれ自体が一体化するものであるから避けるという整理ではございませんで、そういうニーズはないだろうということでこれまで取り上げていないというふうに理解しております。

辻元委員 今、発進準備中の戦闘機、ニーズがないという発言をされて、中谷さんも、当時のガイドラインのときにそういう発言をされていたと思うんですが、大臣も。結局、今の法制局長官とのやりとりみたいなのをあのときもまた延々やったんです。その結果、ガイドラインの、別表に、わざわざ備考として、物資の供給には、「武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする。」そして「物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。」と、もうややこしいから書いておこうねということになったと思いますよ。これは覚えていらっしゃると思いますよ。でしょう。

 何かニーズがあったんですか、今。例えばアメリカから、武器弾薬を提供しろとか、発進準備中の航空機に給油してくれとか、あったんですか。

中谷国務大臣 当時はニーズがなかったという結論でございました。

 今検討しておりますのは、閣議決定にも書いていますけれども、我が国の安全の確保、国際社会の平和と安定のために活動する他国軍隊に対して、必要な支援活動を実施できるようにするための法整備を進めるということでありまして、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする観点から検討を進めております。

 法律というのは、それがなければ自衛隊は支援も活動もできません。そして、そういった事態が発生してから新たに法律をつくるということでは間に合わない場合もございますので、ありとあらゆる事態を想定して法律を定めるという観点で今検討をしているところでございます。

辻元委員 今のような御答弁もかつてもあったんです、主張する方からは。しかし、ニーズがないし、それから、大森長官のこの答弁も紹介されて、武力行使と一体化になる場合もあるから、考えられるから、ですからこれはやめておこうということをはっきりさせたわけです。

 ですから、さっき申し上げたように、かつてできなかったことを、それもさんざん議論してそうしようということを、かつても状況が変わったとおっしゃった。それを、この際全部、閣議決定、法制化に合わせてやってしまえと。これは閣議決定に書いてあるんですか。切れ目のないとおっしゃったけれども、具体的に議論は出ていないですよ。そういうことまでやろうとするのはお控えになった方がいいんじゃないかと申し上げているわけです。

 もう一点、後方支援でお聞きしたいですが、当時も、この後方支援については、ガイドラインのときは後方地域支援という言葉までつくって、リアエリアサポートという、ロジスティックじゃない言葉までつくってやりました。これも、その期間中を通じて武力行使が行われない地域に限って行ける、支援活動に行けるということだったわけですね。これを、現に戦闘が行われていない地域に区切ろうとしている。

 では、具体的に伺いたいんですが、例えば新宿で戦闘があったとする、中谷さん、新宿で。今までだと、その期間中、戦闘が行われない。新宿東口であったとしましょう。その期間中はだめだということだから、例えば東京都はだめですよと、あらかじめ決めていかないと、いつそこが戦闘地になるかわからないから、行く前にあらかじめ決めておきましょうというのが、武力行使と一体化、要するに憲法九条に抵触しちゃいけないのでという考え方でしたよね。

 サマワなんというのは、東京新宿から考えたら名古屋ぐらいなんですよ。それぐらい安全を見て、しかし貢献できることをやりましょうとさんざんおっしゃってきた。それよりも近づいていくと、いつ戦闘現場になるかわかりませんからという答弁だったんですよ。

 これが、現に戦闘をしていない地域ということであれば、例えば新宿東口で戦闘が行われていて、渋谷はいいんですか。どうですか。

    〔金田委員長代理退席、委員長着席〕

中谷国務大臣 まず、その前に、先ほど法制局長官が答弁した、憲法の範囲内で後方支援については検討しておりますが、非常に安全保障の環境の変化とか近年の防衛協力、これの進展を踏まえて、その対象また内容を検討しているということで、あくまでも憲法の範囲内で、今の時点でどうあるべきかという観点で検討をいたしております。

 それから、武力の一体化というか、現に戦闘が行われている現場の考え方でありますが、基本には、憲法で言う武力行使になってはいけないということで、武力行使との一体化を避けるためにそれぞれの法律ができてきたわけでございますが、今回、現に戦闘行為を行っている現場というのは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し物を破壊する行為が現に行われている現場ということでありますので、それが適用されるかどうか、今の御質問でありますが、それぞれの状況に合わせて、これに的確に合わせていくということです。

辻元委員 今の戦闘は、前半におっしゃったような状況ではなくて、市民と例えばテロリストが混在しているわけですよ。そして、どこでいつ誰が銃を向けてくるかわからない状況の非対称戦争になっているわけです。軍隊と軍隊がぶつかるということよりも、むしろ、いつでもどこでも戦場になっちゃうわけですよ。

 ですから、現に戦闘が行われていない地域というのは、ある一定の範囲に入っちゃうと、もうこれは、戦闘が行われている地域と同じ、見分けることができないと思いますよ。この後方支援の問題は、後でまたちょっと時間があれば触れたいと思います。

 次に、今回の新三要件について、さまざまな答弁がなされていますので、きちんと、何ができて何ができないのか整理をしたいと思っております。

 今までの三要件は、一番最初に、我が国に対する急迫不正の侵害があることでしたね。それにつけ加えてこうあるわけですよ。すなわち武力攻撃が発生したこと。日本が武力攻撃で攻められたら反撃していいですよということですよね。

 それが、主な変更点はここなわけですが、今度の新三要件では、我が国だけではなくて、さっきの枝野さんの議論と同じです。我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることと。二項も少し変わっていますが、主にはここが変更点。

 法制局長官にお伺いします。

 今までの答弁の中で、ちょっと整理してみますと、まず安倍総理の答弁で、二月二日に参議院で、地球の裏側まで行くんですかと問われたわけですね。これに対して、集団的自衛権を行使するのは、三要件が当てはまるかどうかで決まるということで、地理的にどこだから当てはまらない、近くなら当てはまるということではないと答弁されています。

 もう一つ、二月十六日に、安倍総理は、憲法上、武力行使が許されるのは閣議決定にある新三要件を満たす場合。

 これらを総合しますと、新三要件を満たせば、世界のどこでも武力行使ができるということになりますか。

横畠政府特別補佐人 世界のどこでもという言葉は、なかなか、誤解を招きやすい言葉であろうかと思いますけれども、そのための新三要件ではもちろんございませんで、あくまでも新三要件を満たす、その場合に限って我が国は武力の行使ができるという考え方でございます。

辻元委員 安倍総理が、地理的にどこだから当てはまらない、近くなら当てはまるということではないと言っているので、私は整理した方がいいと思うので、あくまで新三要件が該当した場合、武力行使ができる、それは、地理的に制限がなくて世界どこでもできるということですね。そこを答えてほしいんです。

横畠政府特別補佐人 新三要件そのものには地理的制限はございません。ただし、どのような事態がこれに当たるかということの判断におきましては、その事態がどこで発生しているかということは、かなり大きな判断要素になり得るものと考えております。

辻元委員 これは、もう一回言います。安倍総理は、地理的にどこだから当てはまらないということはないとおっしゃっているわけですね。

 では、もう一回聞きますよ。新三要件というのは、それを判断するときに、では地理的な概念は考慮材料になる、今の御答弁はそう理解していいんですか。

横畠政府特別補佐人 どのような事態がこの新三要件、特にその第一要件にございます、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることに該当するかは、個別の具体的な状況に即して、主に攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、その規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民がこうむることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断することとなるというふうにこれまでも御説明しているところでございます。

辻元委員 今、場所という御答弁がありましたが、そうすると、地理的なことは新三要件判断の上での条件になるという理解でいいんですか。条件の一つですか。

横畠政府特別補佐人 繰り返しになりますが、新三要件そのものに地理的限定があるわけではございません。

 ただし、どのような事態がこれに当たるかという判断におきましては、事態の発生場所というものは当然その判断の要素になるということを申し上げております。

辻元委員 そうすると、もう一回確認しますが、安倍総理がおっしゃっている、地理的にどこだから当てはまらないということは、新三要件の条件ではないということですね。

横畠政府特別補佐人 繰り返しになりますが、新三要件そのものに地理的制限はないということで、総理の答弁もその趣旨であろうと理解しております。

辻元委員 ということは、世界のどこでも、新三要件が合致すれば武力行使ができる、新三要件そのものが合致すれば、ということになるじゃないですか。

 もう一問、法制局長官にお伺いします。

 多国籍軍などによる集団安全保障措置との関係を整理したいんですが、まず、新三要件を満たせば、いわゆる集団安全保障措置としての、よく言われる多国籍軍などに参加している国々と一緒に武力行使ができるということになりますか。

横畠政府特別補佐人 憲法上、武力の行使が許容される要件として新三要件をお示ししているところでございますが、国際法上の違法性阻却事由がいずれであるかということとは直接は関係しておりません。もとより、実際に行使するためには、国際法上の違法性阻却事由が必要であるということは当然でございます。

 その意味で、この新三要件を満たす場合ということでありますれば、その範囲内におきまして我が国としての武力の行使は可能であるというふうに考えております。

辻元委員 ということは、今、突き詰めて言えば、新三要件を満たすということであれば、その条件のもとで集団安全保障措置としての多国籍軍にも参加できるということですね。もう一回確認します。

横畠政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、新三要件を満たす場合には、我が国として、必要最小限でございますけれども武力の行使ができます。逆に言えば、新三要件を満たさない限り我が国として武力の行使はできないということでございます。

辻元委員 私は、何についてというところで、集団安全保障措置、いわゆる多国籍軍などでも、満たせばできますねと聞いていますよ。そこをはっきりしてください。これは答弁を整理しているんですよ。

 総理はこう答弁されていますよ、既に。この集団安全保障措置について、国際法上の武力行使の根拠が国連安保理決議に基づく集団安全保障措置になったとしても、新三要件を満たしている限り自衛隊は活動できるとおっしゃっているわけですよ。だから、私は整理しておきましょうということで、集団安全保障措置としての多国籍軍等にも、新三要件を満たせば日本は武力行使できるようになったんですねと聞いています。

横畠政府特別補佐人 先ほどお答えしたとおりでございまして、憲法上、武力の行使が許容される要件が新三要件でございます。国際法上の違法性阻却事由とは別のことでございます。もとより、国際法上の違法性阻却事由を備えているということが必要でございます。

 国際法上の違法性阻却事由としては、個別的自衛権として認められる場合、集団的自衛権として認められる場合にあわせて、国連安保理決議によって武力行使が認められる場合がございます。

辻元委員 今、長々とおっしゃいましたけれども、多国籍軍等へも新三要件を満たせば武力行使ができるという答弁ですよ。

 今まではどうだったかといいますと、今までの条件だと、我が国が攻められたときだけですから、今までの内閣法制局の答弁は、国連決議に従って我が国が武力の行使を行い得る場合でありましても憲法九条において禁じられていますとか、それから、集団安全保障措置に関しましても我が国としてこれを行うことが許されていないという答弁をしてきたわけです。日本が攻められたときだから、多国籍軍とかは一切だめよというのだったわけです。だから、湾岸戦争にもイラク戦争にも、どこも行っていないわけですよ。

 ところが、これを、今回の新三要件に憲法解釈を変えたことで、新三要件に合致すれば、このような今までだめだったと言われている集団安全保障措置にも参加できることに変わったということですね。ここが変わった点ですね。これは法理上ですよ。

横畠政府特別補佐人 国連の安保理決議がある場合、これは国際法上、武力の行使が可能でございます。しかし、我が国としては、憲法九条のもとで、国連決議があるからといって、その決議のとおりに全て武力の行使ができるという解釈をしているわけではございませんで、あくまでも憲法上の制約であります新三要件を満たす、それと重なり合う範囲において我が国としての武力行使が可能であるということを繰り返し申し上げているところでございます。

辻元委員 それでは、あわせて聞きますが、今までの三要件だったらできないことが、新三要件になったら、合致した場合はできるということになったということですね。この点だけ答えてください。

横畠政府特別補佐人 できる場合が……(辻元委員「あると。はっきりと言った方がいいよ。法理上」と呼ぶ)できる場合があるということでございます。

大島委員長 辻元清美君、答弁者がしゃべっているときに、こんなことをやらないように。(辻元委員「委員長、わかりました。委員長も時々やるじゃないですか」と呼ぶ)いやいや、委員長の権限でやっているのでありますから。

辻元委員 失礼いたしました。

 それでは続けます。

 要するに、今までは、湾岸戦争にしてもイラク戦争にしてもアフガン戦争にしても、行けなかったんですよ。でも、新三要件というものに合致すれば行けると変わったんですよ。ここは大きな変更点なんですよね。これは明らかになりました。

 総理にお伺いします。

 総理は、今後とも湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘には未来永劫参加することは決してないとおっしゃっています。こうおっしゃっている意味は二つあると思うんですよ。どっちか私はお聞きしたいんです。

 今後とも湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘が新三要件に当たることは絶対に未来永劫ないという意味でおっしゃっているのか、それとも、湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘も、法制局長官が今法理上おっしゃったように、ケースによっては新三要件を満たすような場合があるかもしれないが、しかし、安倍政権の意思としては、政策的には参加しない、法理上はできるが参加しないということなのか、新三要件を絶対満たさないからだめだとおっしゃっているのか、どっちですか。

安倍内閣総理大臣 はっきりとお答えをさせていただきたいと思います。

 従来より、政府は、いわゆる海外派兵、すなわち、武力行使の目的を持って、武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣することは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない、こう解釈をしてきたところでございまして、この自衛の中には、当然個別的、集団的両自衛権が入るわけでございまして、新三要件のもとでも、この見解には全く変わりはない。いわば、閣議決定を行う上において、これは政府として統一的な考え方を既に示しているとおりでございます。

 先ほど辻元委員が引かれたものは、例えば、個別的自衛権を行使している中において、安保理の決議があって集団安全保障に変わったとしても、当然、これは、個別的自衛権で武力行使を行うということはそのまま継続していくことができるという文脈で答弁したとおりでございます。

辻元委員 いや、違うんですよ、それは、総理。

 それでは、先ほどからのホルムズ海峡の問題を聞きます。

 湾岸戦争やイラク戦争は、中東で戦争がありました。しかし、あのときは、機雷はまかれておりません。そうしたら、湾岸戦争やイラク戦争のような場合でも、機雷をまかれたら、新三要件に当たる可能性があるということですか。

安倍内閣総理大臣 いわば機雷がまかれたらということで、機雷がまかれたというのは、ホルムズ海峡に、例えば機雷がまかれたということでございます。そこでまだ停戦合意はなされていないけれども、事実上の戦闘行為が終わっている状況において、その敷設された機雷を除去しなければ、まさにこの新三要件に当てはまるという事態が生じ得るというときについて、先ほど来これは議論しているとおりでありまして、その機雷の掃海を行うことはあり得る、このように申し上げているところでございます。

辻元委員 もう一回さかのぼってその前の質問に行きますが、はっきりここはしておきたいと思うんです。

 湾岸戦争やイラク戦争に未来永劫行きませんというのは、法理的に、例えばさっきの機雷の除去みたいな場合は、先に戦争が起こっていて、そこに、新三要件が当たるからといって日本が行くわけですよ。そこで戦闘になるかもしれない、攻撃されるかもしれない。先ほど総理がおっしゃったように、日本が近海で自衛権を行使していて、その後、集団安全保障措置に変わったじゃないんですよ。違う場合もある。その違う場合も含めて、法制局長官は、新三要件に当たれば多国籍軍等の集団安全保障措置にも参加できるということを御答弁なさったわけですよ。

 ですから、総理にもう一度お聞きしますね。

 イラク戦争や湾岸戦争に行かないとおっしゃっているのは、これは法理上、絶対に新三要件に当たらないから行けないとおっしゃっているのか、法理上は行けることもあるが、政策上行けない、そんなことは日本はしませんよとおっしゃっているのか、どっちですか。これははっきりさせておいた方がいいですよ。

安倍内閣総理大臣 既にもうはっきりさせていると思いますが、もう一度答弁をさせていただきます。

 これは、従来より、政府は、いわゆる海外派兵、すなわち、武力行使の目的を持って、いわばアフガン戦争、イラク戦争、湾岸戦争に参加するというのは、これはまさにこれに該当するわけですね、武力行使の目的を持って武装した部隊を送ることに、これはまさに該当するわけでありますから、明確に申し上げられる、このように思うわけでございますが、武力行使の目的を持って、武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣することは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない、このように理解をしているわけでございまして、これは新しい新三要件のもとでも変わらないということでございますから、いわば、憲法上それはできないというのが我々の考え方でございます。

辻元委員 法制局長官にお伺いします。

 先ほどから、集団安全保障措置には、法理的には新三要件が当たれば行けると。しかし、行くか行かないかは政策判断だと思うんですよ。法理的には行けるということでよろしいですね、新三要件が当たればですよ。

横畠政府特別補佐人 新三要件に当たればというもちろん前提でのお尋ねだと思いますけれども、なかなかこの新三要件は厳しいものでございまして、先ほどの海外派兵の問題でもありますとおり、一般に自衛のための必要最小限度を超えるようなもの、そのようなものには憲法上もちろん参加することはできません。

辻元委員 先ほどホルムズ海峡の例を申し上げましたのは、総理、それを言うからややこしくなるんですよ。

 結局、ホルムズ海峡に行く。行って、単に、ホルムズ海峡の上を防弾ガラスかなんかで絶対にその船が攻撃されないように囲って、その中で海の掃除をするんじゃないんですよ。相手が攻撃する可能性が十分あるわけですよ。それが武力行使に発展していく。これは、要するに、湾岸戦争やイラク戦争だって同じなんですよ。ですから申し上げているわけです。

 この話は私はまた詰めます。

 きょうの法制局長官の御答弁では、新三要件を満たせば世界じゅうどこでも、満たせば武力行使ができるということは確認した。そして、多国籍軍のような集団安全保障措置でも、満たせば法理上は武力行使ができるということも確認できたと思います。

 なぜこれを私が言うかというと、最後にこのことだけ示して終わりたいんです。

 実は、皆さんに資料もお配りしていますが、戦前の海軍大臣官房という、「軍艦外務令解説」、これは、当時の山本五十六次官が、これは非常に有意義であるということで、政府の統一見解のようなものになっている中で、これを見ていただくと、満州事変、上海事変、注のところですね、「自衛行為ヲ発動シタリ。」と言っているわけですよ。

 私は、総理がおっしゃるところの、ホルムズ海峡は日本の生命線というのは、満州は日本の生命線というのにどうも重なって聞こえて仕方がないんですね。いつも自国の権益の保護と邦人保護なんですよ。

 では、戦前の自衛権の行使の要件はどうだったかというと、一番「国家又ハ其ノ国民ニ対シ、急迫セル危害アルコト。」、二番「危害ヲ除去スルニ、他ニ代ルベキ手段ナキコト。」、三番「危害ヲ排除スルニ、必要ナル程度ヲ超エザルコト。」、今と同じなんですよ。

 最初に私は中谷さんに歴史の話をいたしました。邦人の救出とか権益保護ということで、満州事変から日本は戦争の泥沼に落ち込んでいくわけですよ。同じような要件をかけていても、戦前、行っちゃったわけですね。

 しかし、これは、それでも、日本に危害を加えられた、急迫不正の危害なんですよ。今の新三要件のように、日本と密接に関係がある外国に危害が及んだときも行けるとはなっていないわけですよ。それでも行っちゃったから。過去の歴史でもこういうことがあるので。それで、自衛官は死ぬでしょう。亡くなるんですよ、戦争に行ったら。

 石破さんにお伺いしたいと思う。

 石破さんとも安全保障議論をかなりやってまいりました。実際に、ホルムズも、単に行くだけで、掃除じゃないですよ。反撃もある。自衛官が死亡することもあるし、自衛官が反撃して相手国の人を殺すこともあるわけですよ。そういうこともある、そういうリスクであったり、そういうことなんですよということを率直に言った上で安全保障議論をしないとだめだと私は思います。

 石破さんはすごく率直にそうおっしゃっていたので、どうですか。そういう可能性は高まるじゃないですか、やはり行くと。いかがですか。

石破国務大臣 この問題は長く辻元議員と議論してまいりました、今は中谷大臣が責任を持ってお答えになっておられるわけですが。

 サマワに出しましたときも、あるいはインド洋に出しましたときも、これは、いかにして自衛官の生命身体を守るかということについては、いろいろな議論をしながら極限までやったと思っております。さればこそ、インド洋においてもサマワにおいても、一発の銃弾を撃つこともなく、一人も傷つけることなく、一人も傷つくことなく。

 やはり私どもは、そういうような貴重な経験というものをよく生かしながらやっていかねばならぬ。リスクが高まるとせば、どうやってそれを回避するかということは、政府において万全の体制をしいてまいるというのは当然のことだと考えます。

辻元委員 やはりリスクは高まるんですよ。

 中谷大臣とも一昨年アメリカに参りました。アメリカでは、イラク戦争やアフガニスタンの帰還兵の問題が社会問題になって、どこへ行っても聞きました。それは、負傷して帰ってくるだけじゃなくて、人を殺して帰ってきたことが心のトラウマになって、今アメリカは深刻な状況になっているということを一緒に見聞きしたじゃないですか。

 私は、それぐらい大きな問題、そして、多国籍軍にまで、満たせば行ける、新三要件があれば世界のどこでも行ける、それを閣議決定で決めていいんですかと申し上げたいわけです。だから我が国は、絶対に攻められた以外は戦争しないということを決めてきたんじゃないですか。それが、がんと歯どめが今回大きく外れるということだと思いますよ。

 最後になりますけれども、安倍総理がこの道しかないとよくおっしゃいます。私は、安倍総理がおっしゃるこの道しかないは、いつか来た道につながっているんじゃないかと懸念しているんです。そうならないためにも、憲法解釈変更の閣議決定は撤回すべきであるということを最後に申し上げて、質問を終わります。

大島委員長 この際、大串博志君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。

大串(博)委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは質問の時間をいただきました。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、きょうは外交、安保の議論でございますけれども、一つ確認をさせていただきたいと思うことがございます。

 先ほど、防衛省の設置法十二条に関する議論で、私が聞いていても過去の答弁と、中谷大臣が退出されまして、私、きょうは御通告申し上げていないので中谷大臣はここにおられませんけれども、先ほどおっしゃったことにそごがあるような気がいたしました。

 中谷大臣は、シビリアンコントロールと、つまり文民統制と文官統制、これは違うと。つまり、文民統制というのは、トップ、つまり大臣が文官であるということのみを示すということであって、省庁内部において文官が一定の役割を果たすということとは違うんだというようなことをおっしゃっているにもかかわらず、先ほどの佐藤栄作首相の答弁、これは生きているというふうに言われていますけれども、文官統制、いわゆる文官統制と中谷大臣がおっしゃっていたものが、文民統制としても大きな位置づけを与えられているということがありました。これは、私、政府の答弁は食い違っていると思います。

 これに関して、委員長に対して、政府としての統一見解を出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

大島委員長 大串さん、大臣は一生懸命答えているんですが、統一見解に当たるかどうかは、もう一度大臣の答弁を精査して、今の要請に対しては、理事会で引き取って検討をいたします。

大串(博)委員 ありがとうございます。ぜひ明確な統一化をお願い申し上げたいと思います。

 まず、きょうは、官房長官にお忙しい中おいでいただきました。

 今般起こりました非常に痛ましい湯川さん、後藤さんの殺害テロ事件に関する検証作業に関して、まずお問い合わせをさせていただきたいと思います。

 大変痛ましい事件で、絶対にテロに対して許すことはできない、屈してはならない。総理もそうおっしゃっています。私も同感に存じます。二度とこういうことが起こってはならないという思いの中で、検証作業、これはしっかりやっていく必要があると私も思います。

 その中で、検証作業が先般始まりました、チームも立ち上げられましたが、私が非常に不思議に思うのは、この検証作業の中で、委員長は、内閣官房副長官、事務の副長官ですね。委員長代理が、内閣危機管理監、国家安全保障局長、内閣情報官。そして、委員が、内閣官房副長官補、これも事務の方ですね、そして国家安全保障局次長、警察庁警備局長、外務省大臣官房長、外務省中東アフリカ局長、防衛省運用企画局長と、全て今回の対応にかかわった内部の方によるチェック。

 しかも、今回、国会の中でも、総理やあるいは官房長官が、十二月二日に後藤さんが何者かに拘束された疑いがあるな、可能性があるなというふうに思われて以降も、例えば選挙に遊説に出かけられていた、その際の連絡体制は大丈夫だったのか等々の議論が出ている中で、官房長官や官房副長官はこの対象となれるのかという問題もございます。

 さらには、前回、二年前にアルジェリアで邦人が亡くなられたという痛ましい事件が起こったときの事後検証作業においては、第三者の目、有識者懇談会というのが最初から設置されて、第三者の目を入れて、最後、報告書もしっかり出されています。ところが、今回、有識者の皆様が関与される仕組みが冒頭から入ってはいません。なぜあえて第三者の目を外したのか、このことに関して、官房長官の答弁をいただきたいと思います。

菅国務大臣 今回の検証委員会でありますけれども、今委員が御指摘ありましたように、杉田官房副長官のもとに、今回事件に対応した実務者が参加して検討を行っているところであります。

 そして、この検証委員会には、中東地域や危機管理、こうした専門家の有識者の皆さんにも御参加をいただいて御意見を伺うことになっております。そして、こうした有識者の皆さんからいただいた御意見を反映させた形で、最終的には検証結果を取りまとめたいというふうに思います。

 なぜ事務方からスタートしたかということでありますけれども、実は、一昨年、アルジェリア事件がありました。ここで検証結果を取りまとめました。在留邦人の保護のあり方に関する施策、そうしたことを取りまとめたものでありますから、こうした施策に基づいて初期対応ができたのか、あるいは情報収集の体制がどうだったのか、関係省庁の連携がどうだったのか、国民への情報発信等、こうしたことをまず実務者の方から、このアルジェリア事件で策定したものについて検証をする。そして、その過程の中で、先ほど申し上げましたけれども、中東関係あるいは危機管理の有識者の皆さん、五人の方にほぼ内定をいただいております。

 そういう形でしっかり検証して、次にこうしたことがないように、また未然に防ぐことができるようにしっかり対応していきたいと思います。

大串(博)委員 今そうおっしゃいましたけれども、やはり違いが大きくあるんですよ。

 アルジェリアのときには、二年前、検証委員会を開催するというスタートの段階で、既に、在留邦人及び在外日本企業の保護の在り方等に関する有識者懇談会を開催する、委員長も決めて、こういうふうになっているんです。ところが、今回のスタート時点、二月九日、そこには有識者のことは一言も公式には触れられていない。

 その後、有識者の意見も聞くとはおっしゃっていますけれども、今、今回これだけ湯川さん、後藤さんの痛ましい事件が大きな課題となった中で、十分情報を開示して、公正公平な場で検証がなされるんでしょうかという議論が何度もなされた上で設置されたものの中でも、有識者懇談会というのが最初から入っていないということは、何がしか情報を国民の皆さんに、出し渋るという言葉はよくないですけれども、出てこない可能性があるんじゃないか、十分な検証がなされないんじゃないかというおそれを抱くものですから、言っているんです。

 もう一度お伺いします。なぜ有識者懇談会を最初から設置しないんですか。

菅国務大臣 そうしたことは全く考えておりません。

 そういう形で、まずアルジェリア事件で検証した結果、必要だった、そのことが、実務レベルでどのように対応することができたかということをまず検証することを考えたわけでありますし、現に私、この第一回検証委員会の中でも、有識者の皆さんにも参加してもらうということも明言をさせていただいています。

 そして、現在考えております有識者の皆さんにも守秘義務、ここを付すことによって、具体的な、まさに表に出ることもできないこともしっかりと有識者の皆さんには開示をして、今委員から御指摘のあったことがないようにしっかり行っていきたいと思います。

大串(博)委員 なぜこれを申し上げているかというと、私は非常に残念なことだと思いますけれども、この安倍政権において、国民一般の中で、情報がきちんと国民に開示されるのかということに関する一般的な疑念が私はあると思うんです。特定情報保護法の議論でもありました。さらには、昨日、井坂議員の中でも、海外誌においても、日本の報道は萎縮してしまっているのではないか、こういったことが言われているというのがありました。こういったことがあるから、官房長官に、この検証は、国際的に注目を浴びた内容ですから、ぜひ第三者の目を入れてしっかりやっていただきたいということをあえて申し上げたんです。

 このことをぜひ官房長官にしっかりお願い申し上げて、官房長官への質問は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。御退席いただいて結構です。

 引き続き、今申し上げたこととの関連で、国民全般の中に、情報がきちんと政府から開示されているんだろうか、自分たちに正しい情報が伝えられて、いろいろな判断ができるようになっているんだろうかということに関する疑念があるのではないかということをなぜあえて申し上げたかというと、政府から出す情報に関して、情報を運んでくださるメディアの方に対しても、いろいろな、私は圧力という言葉は使いたくないですけれども、そういったものがあり得るのではないかという疑念があるものですから、あえて申し上げておるわけです。

 フリップを見ていただきたいと思います。

 私が最近非常に問題視したのは、この総理の発言でございます。

 これは、冬の解散・総選挙が行われた際の、解散がまさに宣言されたその日、総理はテレビニュースに生出演されました。アベノミクスに関する議論で街頭のインタビューというのがありました。全部で五カット流れて、いろいろな意見があった。アベノミクスの実感は、景気回復の実感はないなという声が多かった。

 これを受けて、どうですかと振られて、総理、上の方にあります、「町の声ですから、みなさん選んでおられると思いますよ、もしかしたらね。」と、ここはつけ加えていらっしゃいます。しかし、その下、それに続けて、「しかし、事実六割の企業が賃上げしてるんですから。これ全然声が反映されてませんが、これおかしいじゃないですか。」と、まさに個別具体的な報道のカットの取り上げ方、インタビューの取り上げ方、これに関して、その場で総理自身が、この報道のあり方はおかしいじゃないですかと言う。

 報道の中立公正というのは国民にとって極めて重要なことだと私は思います。それを、総理自身が、この編集自体がおかしいじゃないかと、その場で、インタビューの取り上げ方自体を個別具体的におかしいと言うこと自体がおかしいと思いませんか。どうですか。

安倍内閣総理大臣 そのパネルの写真も、もうちょっといい写真もあるんですが。そういう写真を、私もいい写真を使ってもらいたいなと思いますよ。ということと同じことなんですね。どういうイメージをつくるかということになるんですね。

 例えば、五人いれば五人の中でさまざまな意見があるはずでありますが、これは、何かほとんどみんな、景気が悪いという意見しか出なかったから、圧力をかけるというのは、大体、わからないところで圧力をかけるというのが普通、圧力をかけるんですが、まさにテレビの場で、私はその場で、国民の目の前で、これ、おかしいですよと言った。これ、おかしいですよという私の疑問をまさに国民の皆様に投げかけたんですよ。

 それが正しいかどうかということも含めて、私たちは選挙で審判を受けました、どちらが正しいのか。それはまさに、国民の皆様にも、私はそう考えていますよということをお伝えする。

 それはおかしいじゃないか、安倍晋三の言っていることはおかしいよという方も恐らく、それは大串さんを初め、おられるでしょう。民主党の皆さんはそうかもしれない。でも、そうでない人もやはりいるんですよ。いや、自分に聞いてもらえれば、もしインタビューで聞いてもらえたら、違うことを言ったのにな、こう思うかもしれない。

 我々の疑問としては、一体何人に聞いたんでしょうね。編集権の問題とはいっても、我々だって、当然、その前提として、幅広い意見を公平に公正に扱ってもらいたい、不偏不党な放送を行ってもらいたいという趣旨でございました。これは当然のことであろう、こう思う……(発言する者あり)そんなエキサイトしないでください。ここはそういうエキサイトする場ではなくて、冷静に議論する場だと思いますよ。

 そこで、私は、そういう考え方をまさにその場で、テレビの、国民の皆様の前で御指摘をしたわけでありまして、それは番組側の方も、安倍さん、そんなことありませんよ、何人に聞いて、こういう比率だったですよといって私に答えればいいだけの話ではないのかな、こう思うところでございます。

大串(博)委員 このフリップを見ていただいたとおり、明らかに個別具体的な、この街角インタビュー五カットの取り上げ方がおかしい、まさに放送する側の、放送する内容自体ですよ、この場における個別具体的な。この内容に関して、「これ全然声が反映されてませんが、これおかしいじゃないですか。」と、その場で総理御自身、権限、権利を持つ総理御自身が言われていることが私はおかしいと申し上げているんですよ。

 しかも、この数日後に、報道によりますと、自民党の幹部から報道各局に対して要請書が出されている。要請書として、出演者の発言回数や時間などは公平を期してください、ゲスト出演者などの選定についても公平中立、公正を期してやってください、テーマの選定も公平にやってください、街角インタビュー、資料の映像なども一方的な意見に偏らないようにしてください、こういうふうに言われています。(発言する者あり)当たり前なんですよ。一般論として言っていただければ何ら問題のないことだったんですよ。

 ところが、総理、これは個別具体的に、この五カットに対して、「これ全然声が反映されてませんが、これおかしいじゃないですか。」とおっしゃった。

 しかも、総理、今おっしゃいましたけれども、五件意見を聞いたら、ほとんどアベノミクスに景気回復の実感を感じていないという声だったからとおっしゃいましたけれども、違いましたよ。五カットありましたけれども、五カットのうち一つは、いや、いいな、株も上がっていいなとおっしゃっていましたよ。株も上がって、言われているほど悪くないというふうにおっしゃっていましたよ。

 当時も今も、アベノミクスに関して世論調査をすると、八割は景気回復を実感していないという答えなんですよ。それとちょうどいいあんばいでインタビューを報道しているんですよ。それに対して、「これ全然声が反映されてませんが、これおかしいじゃないですか。」かなり個別具体的な介入だと言われても仕方ないんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 介入というのは、放送する前に介入するわけですよ。私は、放送されたものを見て、これはおかしいと感じたわけですよ。そこで、私の考え方を申し上げました。

 今そこに書いてあったように、六割の企業が賃金を上げていますという状況を見ながら、いわばいろいろな声を聞いていくわけですね。そこで、果たしてどうなのかという印象を持ったわけであります。

 実際に、もちろん、感じていないという方もおられますが、感じている声を、これはどういう声を取り上げていくかということもありますよね。だから、株が上がったという声だけだったのか、あるいは、給料が上がったという人もいたけれども、いや、こっちの方は落としておこう、株が上がっただけだろうという批判もあるから、こっちだけはとっておこうという。それは編集権ですから。

 しかし、私の考え方をそこで述べるということは、これはまさに言論の自由で。私はそこで申し上げたことは、そこはあくまでも、先ほど、公平公正にやっていただきたい、そういう考え方から私は述べたわけでございまして、何ら問題ない、このように思うわけでございます。(発言する者あり)

 それは放送法三条違反とかおっしゃっている方がおられますが、私は、そんなことは全くなくて、いわば公平公正にやっていただきたい、これは当たり前の要望であろう、このように思いますし、また、副幹事長名の文書を発出したことは知っておりますが、これはまさに放送法にのっとって公正中立な番組づくりを要請したものである、このように考えているところでございます。

大串(博)委員 先ほどから申し上げておりますように、さっき総理、公平公正な報道をしていただきたいという意味において言ったんだとおっしゃいましたけれども、そんな一般論では言っていないですよ。「これ全然声が反映されてませんが、これおかしいじゃないですか。」と。これですよ。これがおかしいんですよ。

 その結果、きのう井坂議員からも指摘されたように、海外からも、日本では報道が萎縮しているんじゃないかというふうに言われるような、報道されるような、民主主義国家として極めて残念な状況になっていると私は思いますよ。

 総理、この発言がおかしくないとおっしゃるのであれば、また生放送の報道番組に出られて、同じように街角インタビューが流れて、そのあんばいが、比率が、配分が自分の考えとちょっと違うなと思われたら、同じように、これ、おかしいじゃないですかと言うということですか。どうですか。(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 イメージというのは大切でありまして、どういうイメージでつくっていこうか、まさに今、大串委員がつくられたこのボードの私の写真、これは、こうやってイメージがつくられるわけですよ。

 ですから、我々も、選挙を前にして、いわばイメージづくりは困りますね、やはり真面目な議論をしたい、特に経済はそうですよという思いで言ったわけですね。

 ですから、そこで、こうした町の声というのは、もちろん私は承知をしていますよ。でも、さまざまな、もっと声があるわけですから。それは事実ですよね。事実ですよ、それは。いろいろな声はありますよ。

 給料が上がったという人はたくさんいますよ。中小企業の、小規模事業者の方々だって、もちろんおられます。でも、例えば、テレビの前でそんなことを言ったら、納入先の企業からいろいろなことを言われますから、言わない方もおられますし、しかし、それをあえて堂々と言われる方もいますよ。

 でも、それは、もちろん、そこはそうですよと、いろいろなことで編集をされますよ。それは当然編集をしていかれるでしょう。ただ、私は私の考え方として、公平公正にやっていただきたい、こういう思いを述べたわけでございます。

 ですから、それは、いいあんばいというよりも、果たして、では、いいあんばいに選べばいいということも含めて、これはやはり公平公正にやっていただきたい、こう思うのは当然のことであろう。

 解散の前にまさに党から文書を出したのは、こういう報道を一旦やられてしまってレッテルを張られたら、例えば、私だって、今まで、発言していないことを発言したといって報道されて、訂正されたことは何回もありますよ。何回もありますが、例えば、選挙の前にそれがあって、選挙が終わってから訂正されてしまったら、有為な人材が大切な議席を失うということもあるわけでありますから、公平公正に、ちゃんと放送法にのっとってやっていただきたい、そういう真っ当な思いを申し上げたわけでございます。

大串(博)委員 先ほどの写真に随分こだわっておられますけれども、この写真は、私なりに見て、そのときの総理のテレビでのお顔はこんな感じだったかなと思って、一番似たようなものをつくったんですけれども。

 今、公正公平を保つためにお願いしたとおっしゃっていましたけれども、これは明らかに個別です。これをまたおっしゃるというふうなことを否定されない。国民の側からすると、報道から流れてくるものが政府によってある程度圧力がかけられているというふうに思われるんじゃないかなという疑念を持つこと、これは私は非常に不安に思うということを御指摘させていただきたいと思います。

 次に行きたいと思います。

 なぜこういうふうに言ってきているかというと、今安保法制の議論が進んでいます。先ほど来話がありましたように、いろいろな、閣議決定、七月一日自身に関する曖昧さがたくさんあります。閣議決定自体にたくさん曖昧さ、詰めなきゃならない点がある中で、今与党の中で安保法制に関する具体的な議論が進んでいるというふうに言われています。

 その中で、閣議決定自体から見ても、一体どこに淵源があるんだろう、きっかけがあるんだろうと思われるような議論が行われているやのことも聞こえるものですから、非常に、どうなっているんだろうという思いを持ちます。

 例えば、ここに「なし崩し的に拡がる、安保法制?」と書いていますけれども、武器等防護に関しても、日本の自衛隊の武器防護するのみというのが今の現行法制ですけれども、米軍、そしてそのほかの軍隊も。

 あるいは、後方支援に関して、周辺事態法に関しては、周辺事態というものをなくして地理的にどこまでも行くのか、あるいは米軍以外の軍隊も支援するのか。特措法に関しても、恒久法として整備するのか。先ほど来お話がありました武器弾薬の提供、戦闘に向かう航空機への給油、これは解禁されるのか。その他、物品役務協定、あるいは船舶検査活動。これはいろいろ言われています。

 私は一つ総理にお尋ねしたい。

 特に私が一番気になったのは、周辺事態法に関して、周辺事態という概念を撤廃して、地域的に周辺じゃない地域も後方支援を、しかも米軍以外も支援していく方向にしていこうというような議論があります。しかし、これは、閣議決定、どこに書かれているんだろう、どういうふうな考え方でこれが示されているんだろう。極めて歯どめが曖昧なんですね。

 どこにどういう考え方が書かれていて、どういう歯どめになっているんですか。歯どめがあったら教えてください。

安倍内閣総理大臣 端的にお答えをしたいと思いますが、現行の周辺事態法は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して我が国が実施する措置について定めているものであります。

 昨年七月の閣議決定においては、我が国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動する他国軍隊に対して必要な支援活動を実施できるよう、法整備を進めることとしているわけでございます。

 この閣議決定にのっとっているということでございまして、これを受けて、現在、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする観点から検討を進めているところでございまして、周辺事態法についても、既に制定から二十年近く時を経ています。その間の安全保障環境の変化や近年の防衛協力の進展を踏まえ、支援対象や支援内容などについて検討を行っているところでございます。

 なお、周辺事態とは事態の性質に着目した概念でありまして、地理的な概念ではないということは一貫して申し上げてきているところであります。

 また、先般の閣議決定においては、今後我が国が行う支援活動は、現に戦闘行為を行っている現場では実施しないこととしています。このように、武力の行使との一体化の問題が生じないことが担保された法律に基づく支援活動であれば、活動の地域を限定しなくても憲法上の問題は生じないものと考えています。

 また、詳細については、現在、与党で協議をしているところでございますので、引き続き検討をしていきたい、こう考えておりますが、いずれにせよ、自衛隊による後方支援については、我が国として、みずからの国益に照らして主体的に判断するものであり、自衛隊が無限定に後方支援を行うようになることはあり得ないということは申し上げておきたいと思います。

大串(博)委員 今の御答弁からすると、地理的な制限はないということになると、例えば、周辺事態法の改正された法案をベースに、シーレーン全般に関しても、周辺事態だという前提のもとに、まあ周辺事態という概念がなくなるのかもしれませんけれども、同じような後方支援を行うことがあり得るということでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、まさに、どのような整理を行っていくのかということも含めまして、今、与党で協議をしているところでございまして、さまざまな観点から議論を深めていきたいと思います。

 ただ、つけ加えて言いますと、はっきりしておりますのは、これはあくまでも後方支援でありますから、武力行使ではありませんし、武力行使とは一体化しないということははっきりと申し上げておきたいと思います。

 繰り返しになりますが、先ほどの辻元議員とのやりとりにもあったところでございますが、いわば武力行使を目的として自衛隊を海外に派遣して戦闘行為を行うということ、イラク戦争やアフガン戦争やそういうものに参加をするということはもちろんないということは明らかにしておきたい、このように思うところでございまして、これはいわば必要最小限を超える、そして必要最小限というのは新三要件の中に入っている、こういうことでございまして、極めて明確であろう、このように思います。

大串(博)委員 外務大臣に来ていただきましたので、最後に一つだけ。

 対外広報に関する予算がこの予算案の中に盛り込まれています。外務省におかれても、ジャパン・ハウスというものをロンドン、ロサンゼルスを初め三カ所につくるという予算がことし三十六億、国庫債務負担行為で数百億盛り込まれています。

 この中で、施設を整備する予算が極めて多い。実際にどのように対外広報を発信していくかという側面は非常に少ない。対外広報という非常に大事なことに関しても、まず物をつくることがありきであって、そのコンテンツ、ソフト面に対する目線が、私、非常に少ないのではないかと思います。対外広報という極めて重要なものに関して、ほかの関係機関とのダブり、あるいはその調整も含めて、これが本当にいい予算なのかというのは、私、疑念を持たざるを得ません。

 この点に関し、外務大臣から答弁をいただいて、多分、とても納得するような答弁じゃないと思いますので、またどこかの機会で議論をさせていただくことにしまして、答弁をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 今年度の補正予算と来年度の当初予算、これを合わせますと、対外発信予算、戦略的な対外発信を行う予算として五百億増の予算をお願いしております。

 その中に、今御指摘がありましたジャパン・ハウス三十六億が含まれているわけですが、このジャパン・ハウスそのものにしましても、ハード、もちろん重要でありますが、ソフト面における運用が重要だというふうに認識をしまして、これは、第三者による運営委員会を設けて、地方とか民間の知恵をしっかり吸収した上で有効な運営をしていかなければいけない、こういった構想をつくり上げています。

 そして、その五百億増の予算の中には、ジャパン・ハウス以外にも、日本の多様な魅力の売り込み二百八十四億、交流事業の拡充四十二億、あるいは日本研究支援二十億など、ソフト面の予算をしっかり盛り込ませていただいています。

 ですので、ハード面、もちろん重要でありますが、これをいかに運用するのか、ソフトにおける予算の獲得も今回の予算の審議の中でお願いをしている次第であります。

 ぜひ、ソフト、ハード相まって有効な対外発信ができるように、しっかり努めていきたいと考えます。

大島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、柚木道義君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柚木道義君。

柚木委員 先週の木曜日、金曜日に引き続きまして、下村文部科学大臣に、私が金曜日に質問をしたこの件から、まず確認をさせていただきたいと思います。

 名進研の元代表を務められた豊川氏からの、平成二十一年、十万円の政治献金を受け取られたことの事実関係、そして返金をされたかどうかの事実関係に対して私がお尋ねをしましたらば、下村文部科学大臣は、このように答弁されているんですね。十万円の寄附が全くなかったということが明らかになったわけでありますけれども、そういうことを確認してから質問をしていただきたいと思いますと、逆切れぎみに私にそのように答弁をされたわけですよ。

 けさの新聞報道を見ると、一転して、寄附があったと認めると。下村文部科学大臣は元塾の代表から十万円の献金を受けたということを認められたという報道がなされておられますが、それは事実ですか。

下村国務大臣 まず、申し上げたいと思うんですが、前回も後藤委員からも質問がありましたが、民間の方の名前については、具体的にはおっしゃいませんでした。これは、メディアでもそういうふうにはやっておりません。この方のプライバシーの問題もありますので、個人的な名前については控えていただきたいと思います。

 それから、二十七日の衆議院の予算委員会における柚木議員の質問について、私の方で、「今突然のお話ですので、今確認できておりません。」という答弁をした最中に私のところにメモが入ってまいりまして、そのメモで、献金していないというメモだったものですから、そのまま申し上げました。しかし、実際に調べてみると、つまり、この方から、企業献金はこれまで受けていたことがありましたが、個人献金はなかったということもあって、事務所がそこまできちっと調べなかったという、これは本当にミスでございます。

 東京十一自民党支部として、この方から十万円の寄附を受けておりました。おわびして訂正いたします。この十万円は返却をいたしました。

柚木委員 下村大臣は、これまでの、先週の木曜日、金曜日の私への質疑の答弁の中で、再三にわたって、事実無根であるとか、虚偽報道に基づいているとか、よく確認してから答弁しろとか、そういったことを言い続けてこられたわけですよ。

 この国会での答弁ではちゃんと答えられずに、院外で訂正の答弁をするということが、この件以外にも相次いでいると私は認識をしておりますが、小学校の学習指導要領にはこのように書いてありますよ、小学生向けに。「過ちは素直に改め、正直に明るい心で元気よく生活する。」これは、大臣が重視をされている道徳教育の中に書いてあることですよ。

 私に対して何度も、事実無根、虚偽報道、そして、よく調べてから質問しろと逆切れぎみに答弁をされながら、これまでの政治団体、任意団体の問題、年会費を政党支部の寄附の、寄附控除の対象として領収書を発行していた問題、それぞれ、私の質疑の後に、やはり政治団体にした方が望ましいのだったらそうなった方がいい、領収書も発行していたことがわかった。答弁と矛盾するような形で、次から次へと事実が明るみになってきているわけですよ。

 そういうことであるならば、やはりここはしっかりと、私にではなくて、国民の皆様に謝罪をされることが、教育行政をつかさどる文部科学大臣としてふさわしいのではありませんか。

下村国務大臣 矛盾する答弁は全くしておりません。

 そして、今回の十万円が、これは個人献金を受けていたということがわかったということで、すぐ事務的に御連絡をさせていただいたというふうに思います。

 私自身は、きょう柚木議員が質問をされるというふうにお聞きしていましたから、国会できちっと、この場で訂正をし、おわびし、返却したということをお答えしようと思っていたんですが、これは私の方からマスコミに事前に流したということではなくて、そういう過程の中で出てきたことでありますが、しかし、国会の中できちっと答弁するということがあるべき形だと思いますし、そういうふうに私自身してまいりたいと思います。

柚木委員 個人名を出すことは控えるということですから私もそういたしますが、この方は、大臣が、私が最初の質疑で指摘をしたように、平成二十三年には企業の代表者名で四万八千円の政治献金をされていて、これも返金をされたと。

 ちなみに、この方というのは、暴力団系の風俗店に六億円を融資して塾の代表を辞任され、さらには脱税で有罪判決、そして、一時期はその融資をした風俗グループの役員も務められていた。脱税で有罪判決を受けただけではなくて、国税の査察を受けた際には、その際に公文書を破るなどして有罪判決も受けていて、しかも、国税の査察への腹いせに、国税職員の住所入手を風俗店の幹部に依頼した。こういう方ですね。

 そういう方から、二十三年にも四万八千円受け取っている。そして、二十一年に十万円。ちなみに、その二年後に、東海地方で初めて塾立の小学校が認可をされています。

 こういったお金の流れを見ると、非常に、所管の大臣あるいは副長官も務められてきて、自民党の中でもまさに教育行政の中心的な役割を担って、いろいろな議連も取り組まれてこられている。そういうお立場の中で、この方は既に、今二〇一五ですから、六年ぐらい前と大臣は答弁されましたよ、こういう不適切なことが明らかになって、中部博友会の会長をやめていただいていると。それなのに、二十一年、二十三年と、その後も、個人あるいは企業の代表として献金を受け続けている。

 下村大臣は、これまでにも暴力団系の企業からの献金九十六万円、計算し返金をし、補助金を受けている学校法人からの献金も、これは代表者名は違う、間違っているということで、個人に訂正をしていますね。次から次へと、二度とこのようなことはいたしません、ないように私を含めてチェックをしますという答弁を繰り返しながら、こういうことが続いているわけであります。

 そういう中で、私は今回、今謝罪という形でおっしゃられたと思いますが、本当に今後もこういうことが起こらずに文部科学行政を推進していただけるのか、非常に疑念を感じているところでございます。

 続いて、そのさらなる疑念について質問をさせていただきます。

 大臣、お尋ねをいたしますが、文部科学大臣秘書官、榮友里子さんという方でよろしいですか。

下村国務大臣 はい、おります。

柚木委員 おりますというのは、実際に文部科学大臣秘書官は榮友里子さんということでよろしいということですか。はい。

 この秘書官の方、もともとは、政務秘書官ですから、下村大臣の秘書の方でいらっしゃいます。今は文部科学省に籍があって、公人、答弁も、場合によっては参考人という立場でし得る方ではありますが、私は、この間の質疑の中で、下村大臣が、全国に六つの支部がある博友会、大臣はもとより、事務所としても一切その運営にタッチしていないということを答弁として伺ってまいりました。

 しかしながら、私がこの週末にかけて、実際、地方の博友会の方から直接お話を伺う中で、直接この秘書官の方から、その博友会の会員にもともと連絡があると。つまりは、全国合同博友会などが開催されるときにはぜひ十口、無理なら五口、だめでも一口、二口よろしく頼む、そういうお願いの電話があるのみならず、今般、こういう報道がなされた中で、私から見れば、これは口どめに当たるのではないかというようなやりとりがされている、その現物を拝見しております。

 これはその方の了解をいただいておりますので、ここで読み上げさせていただきたいと思います。

 御連絡ありがとうございます、これは大臣秘書官の返信でございます。ほとんど全ての後援会会長、幹事のところに取材に行っています、これはメディアのことです。大臣より、取材の要請が来ても応じることなく、無視でお願いと申しております。大臣になりますと、あらゆる疑いをかけられ、ないことないことを書かれますので、取り合わないようお願いいたします。応じると記事にされますので。

 こういうような類いのメール。

 前後もメールを私は確認させていただいておりますが、これは、最近は、携帯のショートメッセージというそうです。

 もしこれが事実だとすれば、大臣は、「地方の博友会は、各地域の有志の皆さんで運営をしていただいておりまして、私の事務所の者は一切タッチしていない。」と、この間御答弁をされておられますが、事務所からメールを出している、さらには、場合によっては口どめとも受け取られるような、こういうやりとりをされているということになるわけですが、これは事実関係、確認をできますか。

下村国務大臣 確認をしてみたいと思います。

柚木委員 これは、ぜひ大臣秘書官にも御確認をいただきたいと思いますね、確認をしますということですから。

 仮に、こういった私が今御紹介をさせていただいたメールが実際に秘書官から出されているということであれば、これは委員長、非常に重要な問題だと思います。答弁の前提が根底から覆ることになりますので、ぜひ、きょうじゅうに榮秘書官にこのメールの内容を御確認いただきまして、理事会に報告を求めたいと思います。

 ちなみに、このメールは、お聞きしたところによれば、二月十三日に大臣室に全国博友会の方が集まられたとの報道がありますが、メール自体はその翌日の二月十四日に来たやりとりだそうです。

 ぜひ、委員長、このメールの内容を秘書官にも確認いただいて、理事会に御報告を求めたいと思います。

大島委員長 理事会で協議します。

柚木委員 私は、このメールをなぜ公開されるとその御本人が言ったかという言葉をお聞きして、胸が痛む思いでした。

 その方は、これまで大臣を応援されてきた方ですよ。ある地方の若手博友会の顧問を五年も務めてこられた方ですよ。息子さんが会長をされている方ですよ。一生懸命応援してきた、お金も人も出してきた、しかし、大臣がこの国会で、その方の言葉によれば、うその答弁を繰り返されるので、真実を語ってほしい、そう思ったからこそこのメールを公表するということを決断した、そういうことのようですよ、大臣。

 同じ教育者として真実を語ってもらいたい、この方の思いに、大臣どのように応えられますか。

下村国務大臣 真実を語っているつもりです。

 ただ、事実確認で間違いがあったということについては、これは素直におわびし、訂正しておりますが、今までうそを申し上げたことはありません。

柚木委員 私が申し上げたいのは、大臣は、この国会の委員会の答弁の場では、お金も一切もらっていない、そして領収書も、当初はお認めにならなかったけれども、後から出てきた。任意団体で問題がないという当初の御答弁が、やはり政治団体が望ましいということであればそうしたい。次から次へとおっしゃっていることが二転三転していっているわけですよ。

 これは、国民の皆さん、あるいは、この献金、親御さんたちの授業料が原資になっている、親御さんたちに、本当に、こういう虚偽報道ということを言われて、ともすれば逆切れともとれるような御答弁もされて、そして、これは下手をすれば、大臣の方が虚偽答弁をされているんじゃないですか。実際に答弁が次から次へと変更されているんですよ。

 続いて、このことについても私は訂正をされるのかなと思いますが、お尋ねをします。

 大臣は、私の二月二十六日木曜日予算委員会での質問に、講演料や車代などは一切もらっていない、そういう答弁をされていますが、その後、二月二十七日、二十八日、それぞれ共同通信あるいは地元の河北新報によれば、後援会で車代や宿泊費を負担したと東北博友会の会長の方がコメントをされています。

 そして、報道によれば、大臣もそれをお認めになられるようなコメントをされておりますが、これは事実ですか。タクシー代、宿泊費、これを負担いただいているんですか。事実関係をお答えください。

下村国務大臣 柚木委員、二転三転するというようなことを私は言っていません。間違いは間違いとして訂正していますけれども、ごまかしているとかそういうことではありません。

 もう一度、ちょっと原点について申し上げたいと思うんですけれども、東京選管に届け出ている博友会以外の全国にある地方の博友会、これは六つあります。これは、塾の経営者など民間教育者らの有志の方で構成する懇親のための任意団体であります。

 地方の博友会は、各有志の皆さんで運営していただいておりまして、私の事務所は一切タッチしておらず、私は、財政も含め、これら団体に係る具体的な運営に関する事柄は一切知りません。

 地方の博友会の皆さんからは、年に一度ぐらい顔を見せて仲間に話をしてくれと言われまして、お話しに行き、皆さんと懇親をしている、それだけの関係であります。

 年に一度程度のこの懇親会はそのような集まりでありまして、政治目的を持った会合でもありませんし、ましてや政治資金を集めるような集まりでもありません。実際、地方の博友会から寄附を受けたり、パーティー券の購入をしてもらったことはありません。(柚木委員「タクシー代、宿泊代は負担いただいたんですか」と呼ぶ)タクシー代、宿泊代もいただいたことはありません。

柚木委員 そうだとするならば、これは報道が間違っているということになりますね。大臣のコメントということでも引用されていますが、これは報道が間違っているんですか、大臣のコメントの部分。

下村国務大臣 これは前から申し上げていますが、私自身が直接お車代とか、それから講演料をいただいたことはないということであります。

 ただ、それぞれの任意団体で、私が泊まるホテルとか、それから、現地に着いてから会場までの、みずから車の運転をして迎えに来ていただいているところもありますし、またタクシーを用意してくれているところもありますが、私自身が直接宿泊代とかお車代をいただいたことはないと言っているのは、言っているとおりであります。

柚木委員 私自身が直接ということは、では、秘書の方が受け取っているとか、そういう意味合いですか。その直接という意味合いをお答えいただけますか。それとも、直接タクシー会社に払ったとか、ホテルに払ったとか、そういうことですか。(発言する者あり)

下村国務大臣 いや、詭弁ではないですよ。(発言する者あり)

大島委員長 静かに。

下村国務大臣 私自身もうちの事務所も、宿泊代とか、それからタクシー代をいただいたことはないということを明確に申し上げているわけです。

柚木委員 御自身で宿泊代、タクシー代を負担されていますか。

下村国務大臣 先ほど申し上げました。任意団体でそれは配慮していただいているんでしょうけれども、私自身に対して直接いただいたことはないということを申し上げました。

柚木委員 こういうのを詭弁というんじゃありませんか、大臣。

 私の答弁に対して、何度も何度も、講演料、車代、そういった類いのものは一切受け取っていないと明言をされ……(発言する者あり)ちょっと待ってくださいよ、御自身が直接負担されていなくても、二十七日の大臣の会見で、宿泊費とかタクシー代を負担してくれているのは事実、ただ、お車代を出してもらったわけではないと説明をされているんですが、この発言自体が間違いですか。

下村国務大臣 いや、全く詭弁ではないと思うんですよね。先ほどから申し上げているように……(柚木委員「発言、間違っているんですか、今の報道の」と呼ぶ)

 もう一度申し上げます。

 講演料とか、それから宿泊代とか、いわゆるお車代、それを直接私がいただいたことはありませんということを今までも終始申し上げているわけです。

柚木委員 世の中の方が普通考えれば、当然、宿泊代、タクシー代、実費ですから、自分がもらうんじゃなしに、相手に支払われるわけですよ。その原資がまさに地方の博友会であることが問題なわけですから、結局、そこからお金が出ている、それはまさに、大臣、一切お金はもらっていないと。

 これは、講演料はまだしも、講演料も私はいろいろな話を聞いていますが、車代、一切もらっていない、タクシー代、負担をしてくれているのは事実。車代とタクシー代というのはどう違うんですか。

下村国務大臣 任意団体が、私が泊まるホテル代とか、それから、実際現地に着いてからの話ですけれども、タクシー代、送迎代ですね、それをみずから払っていただいているのは、別に何ら違反でも、何にも問題はないということだと思います。

 繰り返すようですけれども、私自身がそういうことをいただいたことはないということを終始申し上げているわけです。

柚木委員 これは非常に国民の皆さんから見ればわかりにくい御答弁ですよ。一切、講演料、車代の類いは受け取っていないと明言されているんですよ、この委員会の場で。なのに、自分はもらっていないけれども、呼んでくれた団体が宿泊代、タクシー代は負担してくれている。それは、大臣がもらっていなくても、負担していただいているんですから、そこからお金が出ているわけではないですか。

 本当にそういう説明をされていて、大臣、国民の皆さんが、そもそも車代とタクシー代というのは普通考えたら一緒ですし……(発言する者あり)一緒じゃないんですか。自民党の方は車代とタクシー代が違うんですか。

 さらに申し上げれば、大臣は再三にわたって、地方の博友会からパーティー券購入や政治献金はないとの答弁もされているわけですが、私が昨日伺った地方の博友会の会員、その証言をされた方、あるいはこの東北博友会の報道でも、会長が、御自分が就任した一三年四月ごろは、会費収入を政治献金に充てるよう前執行部から申し送りを受けたことを明らかにしたと。複数の全国支部で、会費収入を政治献金に充てるようという引き継ぎがなされている。大臣の御答弁と矛盾しませんか。

下村国務大臣 全く矛盾していないと思います。

 任意団体は任意団体として独自にされているわけで、その中でどんな発言があったかどうかは承知しておりません。ただ、私の事務所から、あるいは私自身からそのようなお願い、依頼をしたことはありません。

柚木委員 二つについて矛盾していますよ、今の答弁は。

 まず、独自にされているということは、結果的に、では、パーティー券購入、政治献金、これをしているということがあり得るということなのか。

 それから、先ほど申し上げましたが、博友会の全国合同のパーティー、セミナーがありますよね、大臣。そこに全国の方々が、本当にこれ、私も聞いてちょっと気の毒になりましたよ、若手博友会の方、経営者だけじゃありませんよ、年収三百万、百万、そういう方も本当に大臣のパーティーに駆けつけていらっしゃるわけです、会費を払って。しかも、そのときには、先ほどの話題になった秘書官、連絡があって、十口頼む、五口頼む、無理でも一口、二口。

 二万円の会費ですよ。年会費が三万円、これだけでも大変だからもっと下げられないか、そういう議論がある中で、秘書の方からお願いをされてということで駆けつけているんですよ。全国博友会の方、気の毒じゃないですか、そんな御答弁をされたら。

 パーティー券購入や政治献金はないとの答弁、これは矛盾すると思いますよ。独自にされているということは、パーティー券購入、政治献金はあり得るということですか、そういう認識ですか。

下村国務大臣 まずは、パーティーの件は、東京博友会、これは東京選管に届け出ている団体であります。ここが行う政治資金パーティーに、全国の任意団体の博友会の皆さんが個人としてそれぞれ参加していただいて、パー券を購入していただいているということですから、それぞれの地域の任意の後援会でそういうことをしているわけではないということであります。

 実際に出るか出ないかはそれぞれの皆さんの判断でありまして、それぞれの任意団体がそういうことをしているわけではありませんから、全く矛盾していることではない。

 先ほどから申し上げましたように、任意団体は任意団体で、そして、今までも申し上げましたが、任意団体関係なく、私は、全国の今まで縁のある方々に、政党支部として年に一度寄附のお願いをしております。そういう中で、個々に寄附をしていただいている方の中に地方の博友会に所属している方もいらっしゃいますけれども、それはそれぞれの個人の判断で寄附について御協力いただいている。

 同じように、パーティーも東京で年に一度やっていますが、それは東京の博友会が主催するパーティーでありまして、個々に、参加されるかどうかは個々の方々が判断していただいて来ていただいている、そういうことであります。

柚木委員 大変私は気の毒だと思いますよ、博友会の会員の方は。

 大臣、そのように、全国の博友会の方が自主的にやっているんだということを言われますが、払っている方は、実際に身銭を切って来ている方は、会の活動として、会員として実際にお金を払って行っている。つまり、個人としての認識ではないんですよ。そういう認識なんですよ。私は、大臣の認識は非常に御自分に、申しわけないですけれども、御都合のいい認識だと思います。

 それから、終わりますけれども、領収書の件も、私は控えもいただいておりますが、任意団体の年会費を勝手に政党支部の寄附控除の対象になる寄附として領収書を発行しているということに対して、大臣は、要望があったからそれに基づいて領収書を発行した、そういうことをお答えになられて、前回、それは何件あったんですかということはすぐ確認しますとおっしゃいましたから、何件あったのかという御答弁と、しかし、その方々、私が聞いた方々、その周りの方々は、要望なんかしていない、要望なんかしていないのに勝手に送られてきたと怒っていらっしゃいましたよ。そういう矛盾が起こっていることに対してどう思われるのか。

 何件発行したのか、そして、要望していない方がいるのに、答弁と矛盾すると思いますが、お答えください。

下村国務大臣 今も、正確な質問にはなっていないんですね。

 先ほど申し上げましたように、自民党の東京十一選挙区支部から寄附のお願いを全国に、縁のある方々に対してしています。その中には地方の博友会に所属されている方もいらっしゃいます。ですから、これは寄附していただいた方には全て領収書を送るというのは当然の話なわけですね。

 その中で、一件、ただし書きの中に年会費と書いてくれという要望があって、うちの事務所がそういうふうなただしを書いたことがある。ただ、そのとき、要望のない方からも、ただし書きの中で年会費と書いて送った事例があるということを指摘されましたので、それは今調査をしておりますが、本来そういうことは望ましいことではありませんから、これは、今回のことが質問される以前から、昨年からそういうただし書きは一切しないようにしております。

 どれぐらいあるかは、今事務所の中で調査をさせています。

柚木委員 終わりますが、このように、前回の質問で安倍総理は、私と下村大臣のやりとりで何が問題なんだという御答弁をされたんですね。

 きょうのこのやりとりを聞かれても、つまり、再三にわたる訂正、きょうも謝罪がありました、本当に、何が問題があるのかという御認識で変わりませんか。安倍総理、最後に御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 まず、下村大臣は教育再生に全力を挙げて、しっかりと実績を上げている、このように思います。

 政治活動においては、たくさんの方々からの支援で私たちは政治活動を続けることができるわけでございます。その際、後援会員になっていただいたり、あるいは、任意団体というふうな団体の中において、そこで話をしてもらいたいという要請というのはさまざまあるわけでありまして、自分の考え方を伝えていきたい、それは当然そうなんだろうと思います。

 その中で、さまざま委員は指摘をされたわけでございますが、そういう指摘について、もし問題があれば、それは正していくのは当然のことだろう、こう思いますし、答弁の中においても、それは急に聞かれたことについて正しく答弁できないということはあるんだろう。そこで、誠意を持ってしっかりと調査した結果について下村大臣は答弁をしておられたわけでございまして、これからもしっかりと文部行政を前に進めていくことが下村大臣の使命であろう、このように思います。

柚木委員 疑念が晴れるようにしっかりと調査をお願いいたします。以上で終わります。

大島委員長 この際、長島昭久君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 私は、初当選のころから、外交、安全保障には与党も野党もない、あるのはただ国益だけだ、そういう信念で政治活動を続けてまいりました。

 現下の国際情勢、我が国にとって本当に厳しい情勢だというふうに私は思っています。中国の台頭、そして、ともすればアメリカの覇権の揺らぎ、こういったものがもたらす危機の拡散、これによって国際秩序が非常に不安定化している。

 そういう中で、少なくとも、日本はアジア太平洋地域の平和と安定そして繁栄に責任を持っていかなければならない、その中で役割を拡大していく必要がある、そういう認識においては、私は、安倍総理の問題意識とそれほど違いがないんだろうというふうに思っています。

 そこで、これは、私の個人的な見解というよりは、私どもは政権時代に防衛計画の大綱の見直しをさせていただきました。きょうここに、二二大綱と呼ばれております平成二十二年の民主党政権下の防衛計画の大綱と、一昨年の暮れに安倍政権下で策定された国家安全保障戦略、この二つの章立てを比較する図表を今提示させていただいています。皆さんのお手元にもお配りをさせていただいております。

 これを見ていただいてわかるように、章立てを見ていただいても、特に第四章、戦略を具体的に実施していく、そのアプローチといいますか手順といいますか、ここはほとんど、私どもがつくったベースの上に、安倍政権もこの延長線上で外交、安全保障を展開しているということが一目瞭然だと思います。

 特に、第四章の一番目が、まず、我が国の能力を拡大していくこと。そして、同盟国アメリカとの協力関係を強化していく。そして三番目は、国際社会における多層的な安全保障協力をやっていく。その上でも、まず、アジア太平洋地域のパートナー国との協力を中心に、そしてその後、国際社会全体に対して日本は協力の輪を広げていく、こういう筋立てになっているんですね。

 あのウィンストン・チャーチルはこう言っています。外交の八割はコモンセンス、いわゆる常識だ、あとの二割はニュアンスの違い。私はきょう、あえてこの二割の違いに着目をして、安倍総理に少し注文をつけさせていただきたい、このように思っています。

 まず、第一番目。ことしは戦後七十周年であります。この戦後七十周年を迎えるということで、安倍総理の終戦の日の談話がどうなるのかということに注目が集まっているわけでありますけれども、この節目の年に安全保障法制の大改革を断行しよう、これが安倍政権の姿勢であります。

 この点について、戦後七十周年という節目に安全保障の大改革を行うというこの二つの関係、これは、ともすれば、私も欧米からお客さんが来られるとよく話をするんですが、歴史認識の問題と安全保障の役割拡大がごっちゃになると、思わぬ副作用を生んでしまって、これが本当の所期の目的を達成するのはなかなか難しくなる、こういうことをおっしゃる方は多いんですけれども、この点に留意をされて、総理は、七十周年に安保改革をやるというこの二つの関係についてどんな御見解をお持ちか、まず御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ことしは、終戦から七十年目の節目の年に当たります。国の行く末を案じ、そしてまた家族の幸せを願いながら、たくさんの方々がとうとい命を犠牲にしました。この犠牲の上に、私たちは今の平和な日本を享受することができている。この平和国家としての歩みは、これからも決して変わることがない。さきの大戦の反省の上に立って、歩んできたこの七十年間の足跡をもう一度かみしめながら、そして、これからさらにしっかりと国際社会の平和と安定のために日本は積極的に貢献をしていくというメッセージを出していきたい。

 日本が、反省の上に、この七十年間の足跡をどのように考えているか、そして、世界と普遍的価値を共有し、しっかりとそれを確かなものとしていくために大いなる貢献もしてきた、さらに、国際社会において、アジア太平洋地域においてしっかりと貢献をしていくという姿を明確にしていくことが今求められているんだろう、このように思います。

長島(昭)委員 大事なことを二つ申し上げたいと思います。

 一つは、安保法制の大改革、この大きな仕事をなし遂げる上に、国民のコンセンサスを得る努力をぜひ丁寧にしていただきたい、こういうことであります。これは言いかえれば、国会におけるより多くの賛同、賛成が得られるような進め方をぜひしていただきたい。

 思い出すのは、有事法制。これは与党、野党なく、たしか八割から九割ぐらいの国会議員、衆参で賛成に回って、最後、可決をいたしました。やはり、今回の閣議決定も含めて、国民の間にある不安あるいは疑問、こういったものを丁寧に払拭する努力を貫いていただきたいということが第一点。

 それからもう一つは、歴史問題に絡んで、総理が、これは総理御自身にとっては非常に不本意なレッテルかもしれませんが、歴史修正主義者であるといったような誤解が、欧米のメディア、中国はこれを最大限に利用して、そして世界じゅうで今そのプロパガンダをやっているわけですけれども、そういう中国の思うつぼにはまってはいけないんだろうというふうに私は思うんですね。

 その意味では、総理が本当に歴史修正主義者ではないということを、戦後七十年の談話、そして、四月の終わりに、ゴールデンウイークにアメリカに行かれるんだろうというふうに思いますが、日米の間で共同宣言を発出されることになるんだろうと思います。場合によっては、連邦議会の上下両院のジョイントセッションで演説する機会もあるかもしれない。そういう中で、私はあえて申し上げたいと思っているのは、この歴史修正主義者であるという疑念を完全に払拭して、そして、三年九カ月にわたって激しい干戈を交えた日米が、今や同盟国としてアジア太平洋地域の平和と安定の礎を担っている、こういうことを堂々と世界に発信をしていただきたいと思う。

 そのためには、慎重に言葉を選んでいただいて、そして謙虚に過去の時代を反省して、そして未来志向の発信をしていただきたい。

 総理が、七十年の談話、あるいはアメリカにおける共同宣言に込めていきたいと思っておられるメッセージがありましたら、ぜひ国民の皆さんに開陳をしていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、七十年におけるメッセージでございますが、それはまず、戦後五十年には村山談話、六十年には小泉談話が出されているわけでありますが、安倍内閣としては、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおります。今後も引き継いでいく考えでありまして、戦後七十年の談話は、それを前提にして作成されるものであります。

 その上で、新たな談話の内容については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、日本としてアジア太平洋地域や世界のためにさらにどのような貢献を果たしていくべきか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になることを目指すのかといった点について、世界に発信できるようなものを英知を結集して考えていきたい、こう思っているところでございまして、先般発足した二十一世紀構想懇談会においては、まず、二十一世紀の世界のあり方、その中で日本が果たすべき役割等について大いに議論をしていただきたい、こう考えているところでございます。

 また、歴史修正主義では、もちろん私は全くないわけでございますし、また、歴史修正主義という考え方は、かつてヨーロッパにおいてホロコーストがなかったという、そういう考え方に対する批判であったんだろう、このように思います。

 先般、日経新聞に、歴史修正主義の虚と実でしたか、というコラムがございまして、私の言っていることを正しく理解していただいた。

 戦後レジームからの脱却という言葉が、海外である種の誤解を生んでいるわけでありますが、私が演説で述べたことを、戦後レジームの脱却とはと言って、中身を見ていただければ、これはまさに、戦後たくさんの仕組みができて、この仕組みをまさに変えていくことが私たちの課せられた使命である、まさに内政について言っているわけでありまして、戦後体制について、それに対して挑戦するという類いのものでは全くないということでありまして、そういう正しい理解も進めていきたい、こんなように考えているところでございます。

長島(昭)委員 どういうメッセージを発信されるか、国民とともに注視をしてまいりたいというふうに思っています。

 もう一つ懸念をしているのが、総理がまさに売りにしている地球儀を俯瞰する外交。この地球儀を俯瞰する外交、これは非常に聞こえはいいし、また、世界でかなり評価を得ているということは私も仄聞しておりますけれども、その地球儀を俯瞰する外交の背後に少しリスクがあるのではないかと私は思っていまして、そのことについてちょっと議論したいと思うんです。

 まず、先ほど示しました国家安全保障戦略、総理は、この国家安全保障戦略をなぜ今この時期に発出をしなければならない、こう思われたのか。この国家安全保障戦略を策定した意味はどうお考えでしょう。

安倍内閣総理大臣 国家安全保障戦略は、我が国として初めて策定したものでありますが、我が国の国益とは何かを長期的視点から見定め、それを達成するために我が国がとるべきアプローチを示したものであります。これは、国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施することを可能とする、私は有意義なものであると考えています。

 政府としては、国家安全保障戦略に基づき、外交・安全保障政策を遂行するべく、その司令塔たる国家安全保障会議のもと、関係省庁が一体となって取り組んできています。

 特に、二週間に一回の割合で、これまで合計三十三回開催した四大臣会合において、地域情勢から中長期の国家安全保障政策に至るまで、さまざまなテーマについて精力的に議論を積み重ねたことにより、戦略的、機動的な外交・安全保障政策の実施が可能になってきた、こう考えております。

長島(昭)委員 私は、この外交、安全保障というのは、あれもやりたい、これもやりたい、それはトップリーダーとしては、世界じゅう、まさに地球儀を俯瞰して、ここにも行きたい、あそこにも行きたい、ここでもこういう政策をやりたい、こういう思いになるのは理解できなくはないんですけれども、やはり国力というのは限りがあるわけですね、資源も人材も。ですから、限りある国力の中で、プライオリティーをつけて、優先順位をつけてそれを実施していく、それがまさに戦略文書にあらわれていくんだろう、このように思っているんです。

 その意味では、地球儀を俯瞰する外交というと、どうしても焦点がぼけるといいますか、どうしても優先順位づけが曖昧になる嫌いがある、このことを心配しているんです。

 五十カ国以上行かれた、延べ二百回以上首脳会談をやられた、これはすばらしいことだと思いますよ。しかし、あれもこれもと余り手を広げ過ぎますと、オーバーストレッチ、こういうことになりかねない。

 私は、年明けの総理の中東外交を拝見していて、ちょっとそういう懸念を持ちました。その結果、肝心のところに割くリソースをほかにとられてしまうということになりかねないんじゃないか、そう思いましたし、また不測の事態が起こりますと国民の意思もなえてしまう、こういう副作用もある。

 そこで、私、きょう、皆さんのお手元に中曽根外交四原則というのを持ってまいりました。国力以上の対外活動をしてはならない、外交はギャンブルであってはならない、内政と外交を混交してはならない、世界史の正統的な潮流を踏み外してはならない、この四つは非常に含蓄のある外交原則だというふうに私は思います。

 総理、欧米が中東に力を入れるのは、これは歴史的な背景があります。大体、ヨーロッパは中東、アフリカ、そしてアジア太平洋はやはり日本中心に、これは悪い、下世話な言い方をすれば仕切っていく、こういう役割分担が底辺にあるんだろうというふうに私は思っているんです。

 日本はアラブ社会とも友好関係を築いてきた。これも歴史的背景がございます。それから、例のIS、ISIL、このISILを生み出した最大の要因の一つは二〇〇三年のイラク戦争だった、私はそう思っています。あのことによってサダム・フセインが倒れ、そして、スンニ派の部族がシーア派を中心とした政権に対してISILのような組織を応援するようになった、私はこういう原因があったんだろうと思う。

 ですから、米、英、仏、それから英連邦の国々、オーストラリア、カナダ、ああいうところが中東に注力をしていくというのは、これは私は理解できるんです。しかし、日本までそんなに中東にのめり込む必要はない。

 これは、国家安全保障戦略にもしっかりあらわれています。テロに対する記述というのは、第四章の三ポツの七、国際社会の平和と安定に向けた域外諸国との協力強化、ここで初めて出てくるんですね。それから、国際社会の平和と安定のため、四ポツの一番最後に、国際テロという言葉が出てくるんです。

 これは、ありていに言えば、日本が本来注力する、神経を使う、そして国力を投入していく地域というのは、先ほど総理みずからおっしゃったように、アジア太平洋地域だというふうに思うんです。

 中国の台頭に伴う海洋秩序の不安定、それから北朝鮮の脅威、そしてシーレーンだって、アメリカにおんぶにだっこではもはや立ち行かないんだろう、このように思います。そこだけやるのでも相当日本の国力を消耗するんだろう、私はこのように思っています。

 ブラックホールのような中東にそれほど余力をかける、力を振り向けていく、そういう余力というものは日本には残されていないんだろうというふうに思いますし、このアジア太平洋地域の平和と安定と繁栄というものこそが、私は最大の戦略的な利益だろうというふうに思います。そのための安全保障法制の整備だろうと思いますし、日米のガイドラインの見直しではないか、このように私は思っているんです。

 ですから、もう一度プライオリティーを申し上げますと、まず、国土の防衛です。そして、領域の警備です。そして、周辺事態に対する対応です。そして、地域の安定をしっかりと確保するための抑止力の拡大。こういったことがきちっとできた後に、テロとか中東とかPKOとか国際平和協力とかいうことが出てくるんだろうというふうに私は思っています。

 その意味で、私は、ガイドラインのこれからの整備と、そして安保法制の整備というのは、これは車の両輪のような形になるんだろうと思いますけれども、総理はこの二つの事柄の関係をどのように考えておられるか。例えば、総理の頭の中で、この安保法制の整備と、それから日米ガイドラインの見直し、どういうスケジュール感でこれを捉えておられるか、お答えいただけますか。

安倍内閣総理大臣 日米のガイドラインについては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、平成二十五年十月の2プラス2共同発表において、紛争を抑止し、平和と安全を促進する上で日米同盟が引き続き不可欠な役割を果たすことを確保するため、これを見直すことを日米で合意したわけでございます。

 このガイドラインと安保法制の整備との関係でございますが、これは、日米間では、ガイドラインの見直しと我が国における安全保障法制の整備との整合性を確保すること等の重要性を再確認した上で、我が国における法制の整備の進展を踏まえながら、議論をさらに深めていくこととしているわけでございます。

 優先順位については、全く私は長島委員の指摘のとおりだろう、いわば国家資源というのは有限でありますから、振り向け方はそのとおりなんだろう、こう思います。

 しかし、その中で、先ほど申し上げました地球儀を俯瞰する外交というのは、それは目的ではなくて手段の一つとして、今言った主目的、さまざまな課題、アジア太平洋地域においては中国の軍事的な膨張があるわけでありますが、それを日中関係だけを見るのではなくて、これはやはり地球全体を見ながら、その中で戦略を立てていこうというアプローチであるわけでございます。

 この日米ガイドラインと安保法制との関係については、今申し上げたような関係の中において進めていきたい、このように考えております。

長島(昭)委員 安保法制は連休明けに出てくるわけですね、政府が提出をされる。そして、それから議論が始まるわけですね。

 そして、累次にわたって総理もおっしゃっているように、安保法制がしっかりと固まらない限り、自衛隊は行動できないわけですね。安保法制が固まってから、つまり、自衛隊がきちっと行動できるという方向性と担保が完了してから、アメリカとのガイドラインの協議を詰めていこう、こういう関係ですか。もう一度お答えください。

安倍内閣総理大臣 今与党で協議をしておりまして、その進捗ぐあいもよく見ていかなければいけないわけでございますが、基本的には、並行して、お互いに整合性をとりながら進めていきたい、このように思います。

 御承知のように、安保法制が整備されていなければ、ガイドラインにおいて自衛隊の活動、行動はできないわけであります。と同時に、日米の同盟によって地域の平和と安定を守っていく、その中でどういうことが必要かということも、その中でさまざまな議論がなされるわけであろう、このように思うわけでありまして、安保法制がどのように進んでいくかということの中においてもガイドラインが進み、ガイドラインを進めていく中においても安保法制の中にもそれが生かされていくということでありまして、整合性をとりながら、並行して進めていきたいと思います。

長島(昭)委員 これは、総理、大事なところなのでもう一度伺いたいと思うんですが、九七年の、前のガイドライン、つまり今のガイドラインは、まず日米のガイドラインをつくってから、それを実施する法制度ということで周辺事態法をつくりました。ですから、まずガイドラインがあって、そしてその後、法制の整備があったんです。

 そのときは、憲法解釈は変えない、こういう前提でやりました。したがいまして、予見可能性があったわけです。ガイドライン、日米との間の協議を先にして合意をしても、結局、憲法の解釈の枠内で自衛隊の行動を考えていましたから、新しい法制度をつくってもこれは予見可能性があったんです。

 しかし、今回は、そもそも閣議決定に対する国民の理解もまだ不十分、しかも、集団的自衛権を含む憲法解釈の変更をしたわけです。したがって、法制度がきちっと整うまでは、日米の間でも予見可能性は極めて低いんです。

 与党協議とおっしゃいました。それは、与党ですから、与党の協議を重んじられるのはわかりますけれども、しかし、国会で、先ほど私冒頭に申し上げました、国民の不安や疑問に応えるために、有事法制に見習って丁寧にやってほしいと。

 ですから、国会の議論を経て安保法制が確立されてから、日米の間できちっとした役割分担を堂々と決めていく、私はこういうスケジュール感であるべきだと思いますが、総理、いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 二十五年の十月の2プラス2に先立って、委員が防衛副大臣であったときに、平成二十四年の十一月に、当時のカーター国防副長官、今の長官でありますが、との会談において、ガイドラインについて必要な研究、議論を行っていくことが同盟深化につながるとの認識で一致したというふうに承知をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、我が国の安全保障上大きな法整備を進めていくわけでございますから、国民的な理解も当然必要であります。国際社会に向けての発信も当然必要だろう、このように思うわけでございますので、法案を整備した上においては、しっかりと国会において議論をしていきたい、御議論もいただきたい、このように思っております。

長島(昭)委員 私の名前まで出していただいて、私が、今の国防長官のカーターさん、当時は副長官でしたけれども、お話をさせていただいて、日米の間でガイドラインの見直しに向けた実務レベルの作業を開始しようと、これはそのとおりであります。しかし、そのときにはまだ、集団的自衛権を含む、憲法解釈の変更までは視野に入っていなかったわけであります。

 しかし、その後、安倍政権になって、憲法解釈の変更を伴う新しい法制度を整備するという方向性が打ち出された。

 であれば、たび重なってガイドラインの締め切り期日は延ばされてきているわけですけれども、ここまで延びたのであれば、私は、きちっとした法整備を行った上で、アメリカ側と誤解のない関係の中でしっかりとガイドラインの議論をすべきだというふうに思いますが、これは防衛大臣、いかがでしょう。

中谷国務大臣 現在、ガイドラインも協議をしておりますけれども、この最終報告の公表時期と法案の提出時期、これは、その前後の関係も含めまして、それぞれの作業の進捗等を踏まえて、今後判断をしていきたいと思っております。

長島(昭)委員 いやいや、それは今後判断されるんだろうと思いますが、大事なことは、国会での議論をおろそかにしていただきたくないということなんです。つまり、アメリカともう合意しちゃった、だからこの線で法案をつくったからよろしく、これはだめですよ、総理。私たちは最初から反対とか言っているわけじゃないんですから。

 きちっと枠組みを決めて法整備、その上でアメリカとやった方が私はよほど生産的だと思いますが、これはいかがですか、岸田外務大臣。

岸田国務大臣 安保法制関連法案の提出、そして日米ガイドラインの見直し、時期については、ただいま防衛大臣から答弁がありましたように、前後関係を含めて、今後の検討作業によると考えております。

 ただ、その際に、まず一つ大事なことは、両者の整合性、これをしっかり保つということ、これは大変重要なポイントだと存じます。そして、それをしっかりと維持した上で、国会において充実した議論をお願いする。これは当然のことだと考えています。

長島(昭)委員 いや、両者が整合すれば一番いいんですよ。しかし、整合するかどうか。だって、まだこちら側は、全く国会の議論は始まっていないんですよ、法整備の。

 閣議決定で、安倍政権はこういう方向性を目指したいということはわかりましたよ。しかし、それが具体的に個別法でおりてくる、それまでにはまだ、連休を挟んで、相当先じゃないですか。

 今、アメリカと一体どういう議論をやっているんですか。お答えください。

中谷国務大臣 まず、ガイドラインの見直しと国内法の整備については、両者を整合させて進めておるわけでございます。

 この法整備につきまして、政府としても今検討しておりますが、現在、与党と相談をして議論を詰めておりますが、ガイドラインの見直しについても、国会における議論に適切に対応していく考えでございまして、先ほど申しましたけれども、政府としては、両者の整合性を確保しつつ、国会の御理解も得ながら作業を進めてまいりたいと思います。

長島(昭)委員 そうしますと、国会の議論を踏まえてと今おっしゃいましたよね。まだ始まっていないんですよ。

 では、今、ガイドラインで何の議論をしているんですか。

中谷国務大臣 ガイドラインの見直し作業につきましては、国会における議論に適切に対応してまいりたいと思います。

長島(昭)委員 いや、ですから、もう中間報告が出ていますよね、ガイドライン。そして、中間報告が出てから、もうかれこれ数カ月たつわけですね。しかし、まだ、そのもとになる、日本の、つまり行動を規定する、もっと言えば自衛隊の行動を規定する安保法制ができていない。まだ審議も始まっていない。与党ではいろいろやっていますよ。しかし、それが平場に出てきたときに、つまり国会に出されたときに、どういう方向に行くかというのは、これはまだ予断を許さないわけですよね。

 大臣は、相手の国防長官、あるいは外務大臣だったら国務長官とお話をされるときに、何を手がかりにお話しされているんでしょう。

安倍内閣総理大臣 既に大臣から答弁をさせていただいておりますが、まさにこの議論を進めていく上において、昨年、閣議決定をし、閣議決定の上に議論をしてきたということの意味において大臣も答弁されたんだろうと思いますが、今まさに法案の中身においては与党で協議をしております。この協議を進めながら、他方、ガイドラインも並行して議論を行いながら、整合性を保ちつつ行っているわけでございますが、だんだんこれはある程度、与党の中でも姿形が見えてくる段階というのは出てくるんだろう、こう思うわけであります。

 そして、さらに最終的には条文になっていく、そういう過程を踏んでいくわけでございますが、そういう姿形が出てくる中においても恐らくさまざまな報道もなされることと思いますが、そういう中においても国会で御議論をいただくわけでございます。

 基本的に、これは、ガイドラインとこの法案のどちらが先に出るから、例えばガイドラインの方が、タイミングが最終的な法案の条文よりも先だったら、ガイドラインで決まったからこれにしなければならないということではもちろんなくて、それはまさに並行的に行われていくということで御理解をどうかいただきたい、このように思います。

長島(昭)委員 いや、これは非常に苦しい。私、本当はきょうは領域警備の話をさせていただこうと思ったんですが、もうこれは時間がなくなってまいりました。

 総理、どっちが早いかはそんなに問題ないとおっしゃいましたが、これは大問題だと私は思いますよ。

 なぜかというと、では、総理のもくろみどおりに法律が上がらなくて、それから、アメリカとその前に合意しちゃって、いや、申しわけない、国会で議論してみたらこんなにやれなくなっちゃったといったら、アメリカとの協議はどうなるんですか。そんな無責任なことはできないでしょう、日本政府として。

 だから、まず法整備をして、きちっと足場を固めて、できること、できないことをしっかり見きわめて、それからガイドラインの最後の詰めの作業に入った方が、これはやはり日米間の協議としてもよほど生産的だと私は思うんです。

 最後にちょっと伺いたいんですが、ということは、巷間言われているように、四月の終わりの訪米のときにTPPとガイドラインの合意をやってしまおうというようなことは、まあTPPは今回いいとして、ガイドラインをお土産に持っていくような話がありますが、さすがに国会に法案を出す前にガイドライン、私は別に日米の同盟関係を崩そうと思って言っているわけじゃないですよ、これは本当に国民の支持基盤がなかったら同盟なんか機能しないわけですから。そういう段取りでいくということは、まさかないですよね。ここでお約束いただけますか。

安倍内閣総理大臣 今の段階において、法案の与党協議の進捗ぐあいについても、予見を持ってお答えすることができない状況でございますので、どのタイミングでということについて、ガイドラインも含めてこれは並行に協議を行っていますから、今ここで、では、訪米前にどうのこうのということは申し上げることができませんが、例えば訪米を目指してとかいうことは基本的に考えておりません。

 しかし、どのようなタイミングでガイドラインについていわば話がまとまるかどうか、あるいは法整備がどの段階で姿形をあらわしてくるのか、あるいは条文まで至るのかということについては、今のこの段階では申し上げることはできないわけでございますし、訪米の際に、日米でどういう中身に、そもそも訪米の日程自体まだ決まっていないわけでございますから、どういうことかということは定かに申し上げることはできません。

 あと、いずれにいたしましても、ガイドラインを決めたとしても、それは日本の憲法、日本の法令に従ってしか自衛隊は動くことができないというのが大前提であるということは、これは委員御承知のとおりでございます。

長島(昭)委員 誤解のないように申し上げますと、私たち、別に、ガイドラインの改定の邪魔をしようと思って申し上げているわけではないんです。やはり国民の支持があっての同盟ですから、きちっとした法整備をした上でアメリカと協議に臨む方がよほど生産的ではないかということを申し上げているまででありますし、憲法解釈については、やはり大きく変更を、総理の強い意思でされたわけですから、九七年のような順番ではなかなか国民も国会も納得しないということだけ最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて枝野君、辻元君、大串君、柚木君、長島君の質疑は終了いたしました。

 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 維新の党の松野頼久でございます。

 きょうは、午前中からの議論を聞いていましても、政治と金の話が随分出てきています。そしてまた、安倍内閣になって、第一次内閣から、政治と金関係で七名の閣僚がおやめになっているということが出てまいりました。

 私たちは、しつこいようですけれども、前回の質疑の中でもお示しをしました。我々は、身を切る改革ということで、随時、改革の法案をつくってきています。ついに六法案まで行きました。

 まず最初に、衆議院の議員定数三割カット。国会議員の歳費三割カット。文書交通滞在費の使途の報告、公開、これは法案は通っていませんけれども、去年の十月分からもう我々はスタートしています。そして、政治活動に対して自分で寄附をした場合、還付を受けないという法案。今回、国会議員が歳費を国庫に返納しようとしても公職選挙法の関係で返納できない、それを何とかできるようにということで法案を出しました。

 そして、これは、先々週の党大会までに、ちょうど我々の政党は、去年九月に日本維新の会と結いの党が合体をするときに、次の党大会までに企業・団体献金の禁止に関して一定の結論を出す、こういう合意をしましたので、党内で相当な議論がありました。

 もちろん、我々の党の中にも企業・団体献金を受け取っている議員はたくさんおりますし、これからどうやって政治活動を支えていくんだとか、また、例えば、何の見返りも考えずに、中小企業のおやじさんがこの政治家を育てようとして月に一万円ずつ出している献金までこれは禁止するのかという議論もしました。

 でも、今回いろいろ、補助金をもらっている企業の話が出てきましたけれども、もうそういうことを根底から一回、厳しくてもやり抜こうじゃないか、こういう思いの中で我々は法案を出しましたけれども、この法案が通らずとも、企業・団体献金は、ことしいっぱいで全部個人献金とかに切りかえてもらう、こういう作業をもって、来年から一切受け取らないということを決めました。結構大変な議論でもありましたし、いろいろな政党の中でもこれは今までも永遠の課題として議論がされていますが、本当にやっていけるかどうかも含めて、我々は来年からやっていくつもりです。

 きょう、実は、午前中の議論を聞いていまして、民主党の枝野幹事長が、やはり企業・団体献金そのものをやめてしまうということ、こういうことを我々はかねてから共通のルールとして主張し、国会に立法もしたことでありますという大変うれしい発言をしていただきましたので、ぜひ民主党の皆さんと一緒にこの件では共闘してまいりたい、そして、今の政治不信に陥っているこの状況を少しでも変えていきたい、こういう思いで活動していきたいというふうに思っています。

 総理、ここのところずっと行われていますこの政治と金の問題、一言、個別の話は結構ですから、感想なり、これからどうしていくべきかということをお答えいただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 政治とお金の問題について、国会議員であれば、閣内であろうと、与党であろうと野党であろうと、もし疑問があれば、その疑問に対してしっかりと説明責任を果たしていく責任があるんだろう、このように思います。同時に、政治活動にはコストが伴うわけでございまして、このコストをどのように分担していただくかということなんだろう、このように思います。

 今、我々自由民主党としては、政党助成金もいただいておりますし、個人からの寄附もいただいております。同時に、団体や法人からの寄附もいただきながら、浄財を集め、そして政治活動を行っているところでございまして、今後、我々としては、しっかりと、国民の疑惑を生まないように、襟を正して進んでいきたいと思うところでございます。

 そこで、今問題になっております補助金を受けた企業との関係についてでございますが、これは、いわば、こちら側は知り得ないというわけでございますが、先方はわかっているわけでございます。ただ、先方の意識も十分でない場合もあるわけでございますし、また、収益性があるかないかという点についても、見解においては分かれるところもあるかもしれない、こう思うところでございます。

 基本的には、我々としては、しっかりとこれから相手方に対して文書でもって、企業献金に対してはこういう制約があるんだということを一つ一つ示しながらお願いをすべきだろう、こうも思っているところでございます。

松野(頼)委員 ただ、確かに、補助金を受け取っていることを知らずに受けていた例もあるし、逆に、補助金を頼まれて、その見返りのような形で献金を受ける場合もあるかもしれない。多分、後者の方を法律は縛っているんだというふうに思いますけれども、ただ、国民から見ると、結局、その補助金という税金が企業に入って、それが政治家に還流しているんじゃないか、こういう思いは一緒だと思うんですね。

 ですから、ここは非常に難しい縛りだと思うんですよ。法律上は多分両方とも縛っているけれども、実際は、補助金をとってあげるような形でそれを還流する形にしちゃいかぬというのがこの法律の趣旨なんでしょうけれども、そこの、やはりどうしても税金が企業を通じて政治家に還流しているんじゃないかという疑念を持たれるかもしれない、ここの部分に関して、総理はどうお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは、例えば、会社の、企業の社長さんが個人で寄附もできるわけでありますから、それは個人であろうと団体であろうと、そういういわばお金でもって行政をねじ曲げよう、あるいは行政に容喙をしようという行為であれば起こり得るんだろう、大切な点は、そういう行為を断じて許してはならないということなんだろう、このように思います。

 であるからこそ、補助金をもらった企業が還流した形になる、あるいは口をきいた形になるということは一切取り締まらなければならないという趣旨で、これは議員立法でありますが、この法律はつくられた。いわばその趣旨にのっとって正しく我々も対応していくことが求められるだろう、このように思います。

松野(頼)委員 ちょっと今の答弁、勘違いされている部分があるんじゃないかと思いますが、会社に補助金が出るわけです、個人に補助金が出るわけじゃなくて。それと個人はまた別ですし、もし会社の補助金から個人に還流するときには、きちんと、所得、給与を上げてやらなければいけないので、所得税というものが発生しますから、会社のお金と個人のお金は僕は全く今は違うと思うんですね。

 ですから、補助金が入ったから社長が個人で献金するのまで考えてしまっては、それは違う意味だというふうに思いますので、そこは個人献金と企業献金というのはしっかり切り分けるべきだというふうに思います。

 今のでもう一言お願いします、ちょっと答弁が、勘違いを多分されていると思いますので。

安倍内閣総理大臣 いや、それは、個人が例えばオーナー経営者だった場合、もちろん自分が個人で献金するのは所得税を払った上でのことですよ。しかし、そうだったとしても、大きな献金、あるいは利益を得ようとして献金をするということで、自分の意思としてそれは個人献金するということもあり得る。

 ですから、個人献金であれば全てがこれは正しい、確かに、個人と法人は別でありますよ。しかし、事実上その人物の支配下にある企業に利益をもたらすということになったとすれば、それは結果としては同じではないだろうかといういわば疑いを持たれる。今、松野委員がおっしゃっているのは、厳密に法律に反するということではなくて、疑いという点でおっしゃっているから私はそう申し上げているわけでございます。

    〔委員長退席、平口委員長代理着席〕

松野(頼)委員 いずれにしても、やはり国民の皆さんの見る目は非常に厳しいものがありますので、ぜひそこのところはしっかりとした行動をとっていただきたい、このことを申し上げて、この件は終わらせていただきます。

 きょうは、汚染水の問題について伺いたいと思います。

 きょうは、東電から廣瀬社長も来ていただきました。ありがとうございます。そういう中で、今回、汚染水の雨水、高濃度に汚染された雨水が外洋に漏れていたというような大変ショッキングな記事が出ておりました。この件について伺いたいと思います。

 まず総理、以前に私はこの件を、ちょうど去年の十月、おととしの十月ですかね、一三年の十月にこの委員会で取り上げました。それは、総理が二〇一三年にIOC総会で、汚染水の影響は〇・三キロ平米以内で完全にブロックされている、こういう発言をされたことを受けて、この予算委員会でこの件を取り扱わせていただきました。

 ずっと、その後の委員会でも、政府の公式見解としては、汚染水の影響は〇・三平方キロメートル、これは資料に図をつけてあります。〇・三キロ平米というのは、この先の湾の中ということですね。そういう政府見解をずっと述べてこられましたが、今この汚染水漏れが出ている状況の中でも、同じ見解でしょうか。

安倍内閣総理大臣 福島第一原発の港湾外ですね、港湾外の放射性物質濃度は、従来から公表しているように、法令で定める告示濃度限度に比べて十分低いままであります。

 また、これまで日本からIAEAに対し、継続して福島第一原発に関する情報提供を行ってきています。そしてIAEAからも、周辺海域や外洋では放射性物質濃度は上昇しておらず、WHOの飲料水ガイドラインの範囲内にある、公衆の安全は確保されているとの評価をいただいているところでございまして、したがって、汚染水の影響は福島第一原発の港湾内にブロックされているという状況だと思います。

松野(頼)委員 今回汚染水が出ているのは、この図で赤い線が引いてある港湾外なんですよ、外。この資料にもつけてあります。港湾外なんですね。そこに流れ出ているんですよ。これでもまだ、港湾内でブロックされているという政府の見解なんですかということを伺っているんです。もう一回御答弁ください。

宮沢国務大臣 今総理から御答弁された趣旨は、港湾外においても告示濃度限度を調べておりまして、これにつきまして、先ほど総理からも御答弁ありましたように、IAEAから、WHOの飲料水ガイドラインの範囲内であり、公衆の安全は確保されているとの評価をいただいたということで、御答弁になったものと思っております。

松野(頼)委員 今、告示濃度限度をおっしゃいましたけれども、ここに、資料にもつけてありますが、昨年四月以降の最大値として、セシウム千五十ベクレル、ストロンチウム千五百ベクレル、これは告示濃度内ですか。そして同時に、この数値が検出されていますよね。その確認をさせていただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 今先生御指摘の値は、そのとおりでございます。

松野(頼)委員 大臣、告示濃度以上の数字が出ているんですよ、今聞いていただいたように。これでもまだ、告示濃度以内という答弁をおっしゃるんですか。もう一回御答弁ください。

宮沢国務大臣 私は、法令で定める告示濃度限度に比べ、十分低いというふうに聞いております。

松野(頼)委員 ちょっと規制庁、もう一回答弁してください。告示濃度以上の数字が出ているんですよね。もう一回答弁ください。

田中政府特別補佐人 一般的に、いわゆる放射性廃液の濃度制限というのは、三カ月間平均してその値をとるとか、希釈をするとか、そういったことも法的に認め、通常は行われております。

 そういった意味で、今おっしゃったように、瞬間的と言うと語弊がありますけれども、そういう、一時的にそういった濃度、上限を超えたというのは事実でありますけれども、そういった点では、実際の海水の濃度は十分低いものになっております。

松野(頼)委員 これは資料五に告示自体も、ペーパーもつけてありますけれども、そんなこと書いてないじゃないですか。

 告示では、セシウム134が一リットルに直すと六十ベクレルなんですよ、告示濃度というのは。これは千五十出ているんですよ。そして、セシウム137が一リットル当たり九十ベクレル。ストロンチウムがちなみに三十ベクレル。これは千五百出ているんですよ。

 その告示の中に、一体どこにそんな瞬間値ではいいなんて書いてあるんですか。もう一回御答弁ください、規制委員長。

田中政府特別補佐人 まず、前提としまして、今回、今先生がお取り上げになっているK排水路からの排水ですけれども、これは、東京電力からの報告によりますと、雨水とともに出ているものです。通常は雨水については規制の範囲外なんですけれども、一Fの状況を踏まえて、雨水についても、きちっとできるだけ制御できる範囲では管理をするようにということを私ども求めております。

 その中でK排水路からの排水については、ずっと昨年来この一年以上議論しておりますが、どういった方策をもってそれをやれるかということについて検討していただいていたところですけれども、そこのところがまだ決まらないうちに今回のような事態が起こったということでございます。

松野(頼)委員 今、雨水は規制対象外だというふうにおっしゃいました。

 これはちょうど次の質問として用意しているんですが、炉規法の何条で雨水は対象外だとしているんですか。お答えください。

田中政府特別補佐人 雨水については、通常の原子炉では規制対象外です。

 それから、三カ月平均についての線量、その濃度につきましては、濃度限度については、三カ月間についての平均濃度、炉規法に基づく告示第八条にそういう規定が書いてあります。

松野(頼)委員 雨水はどこに書いてあるんですか。

 炉規法の十六条を読み上げます。「放射性廃棄物の廃棄に関し、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。」その六として、液体状放射性廃棄物は次に掲げるいずれかの方法によって廃棄すること。排水施設によって排出すること。ロとして、障害防止の効果を持った廃液槽に保管廃棄すること。要は、きちっと廃液槽に入れて廃棄しなさい。容器に入れて、または容器と一体的に固型化して障害防止の効果を持った保管廃棄施設に保管廃棄すること。障害防止の効果を持った焼却施設において焼却すること。障害防止の効果を持った固型化設備で固型化すること。こういう形できちっとやりなさいということが書いてあるんですね。

 それで、ここのどこに雨水は対象外だとなっているんですか。きちっと液体の廃棄物に関してはこういう形で処理をしなさいというところまで決めているにもかかわらず、なぜ雨水がその適用の外だというふうにおっしゃるのか。御答弁いただけないでしょうか。

田中政府特別補佐人 雨水は規制の対象外ということで、従来から法律には書いておりません。

 ただし、放射性廃液としての告示濃度限度としては、先生の資料にありますように、第八条に書いてあります。

松野(頼)委員 今聞いていただいたように、法律で雨水は液体放射性廃棄物じゃないということはどこにも書いてないんですよ。勝手に規制庁が判断をして、今回の雨水は規制の対象じゃないというふうにしているんですね。

 そして、核燃料物質及び原子炉規制に関する法律、これが今の炉規法ですけれども、核燃料物質によって汚染されたものもしくは原子炉による災害防止上または特定核燃料物質の防護上十分でないと認めるときは、特定原子力事業者に対して、特定原子力施設の保安または特定核燃料物質の防護のために必要な措置を講ずることを原子力規制委員会は命ずることができる。

 いわゆる燃料物質によって汚染されたものなんですね。それの液体廃棄物のところも、きちんと処理方法まで法律には書いてあるんですよ。これを、雨水がどうだとか雨水は規制外だとかいって、判断しているのは規制委員会なんですね。

 もう一回きちんと、法律にのっとって、どういう形で雨水は除外したかということを答弁してください。

田中政府特別補佐人 御承知のように、福島第一原子力発電所は、あの事故によって全体がかなり高濃度に汚染されております。

 したがいまして、通常の原子炉、原子力施設であれば雨水は管理対象外ですけれども、福島第一原子力発電所につきましては、雨水についてもできるだけきちっと管理をしていくという方向で検討するようにということを昨年来求めてきております。

 それに基づいて、事業者である東京電力が、実際に、K排水路については、かなり低い位置にある大きな排水路でございますので、なかなか対処ができないということもあって、中の除染等を含めてその状況を報告していただくことになっておりまして、昨年の十二月にその報告がありましたけれども、十分なデータは残念ながらありませんでしたけれども、やはりそれについてきちっと早急に対策を立てるようにということで、私どもとしては求めております。

松野(頼)委員 規制庁、大丈夫ですか。

 炉規法の七十八条で、次の各号いずれかに該当する者は、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。二十七の四としては、第六十四条の三第六項の規定による命令に反した者というふうに書いてあるんですよ。一年以下の懲役か百万円以下の罰金だというところまで、刑事罰もきちっと書いてあるんですよ。

 報告を求めたからやってこないんだとか、それは規制庁として大丈夫ですか、そんな対応で。そもそも、まず、どこまでを禁止して、どこまではいいのかということのルールも、法律にのっとってきちっとやらなければいけないんじゃないですか。今まで、従来というような答弁じゃないんですよ、これは。きちっと刑事罰も決めてあるんですよ、ここに。

 そういうことを踏まえて、もう一回きちんと答弁してくださいよ。

田中政府特別補佐人 先ほども申し上げましたように、福島第一原子力発電所は他の施設と状況が違いますので、そういった意味での管理をきちっとするようにということは求めています。ただ、さまざまな難しいところがありますので、ある程度時間の余裕が必要だということで、それを見ておりました。

 今、刑事罰ということでありますけれども、法律にはそう書いてありますけれども、実際にその適用は、もし法律に違反しているというような状況があった場合には、まず是正命令を出して、それでも従わない場合にはそういった罰則規定を適用するということはありますが、直ちに罰則をするというようなものではありません。

 私どもとしては、やはり今回の事態の重要性を鑑みて、きちっとそういった点については東京電力にも、排水の管理方式というのを早急に対処するように求めていきたいと思っております。

松野(頼)委員 これは、ちょっと事実関係の確認をしたいんですけれども、まず、二〇一三年の十一月、K排水路で高い放射能を検出、一四年の一月、規制委員会の作業部会で、K排水路を港湾内につけかえてはどうだ、要は、このK排水路が湾外に出ているから、湾内につけかえたらどうですかということを規制委員会は東電に対して言っていますよね。それは間違いないですね。

田中政府特別補佐人 そういう、湾内につけかえるというようなことも検討してみたらどうかということを申し上げた、監視検討委員会では行っております。しかし、東京電力から、すぐにそれはできる仕事ではないので、もう少しいろいろな方策を考えさせてほしいということで、何回もそういったことを議論はしてきていることは事実であります。

松野(頼)委員 では、そういうことはなかなかできないという回答はあったんですか、東京電力から。

田中政府特別補佐人 委員会に私は出ていたわけではありませんけれども、そこでの議論を振り返ってみますと、そういった、非常に難しいということです。

 要するに、排水を単につけかえて下流に流れるというような状況ではなくて、高いところに持っていくというような操作が要りますので、そういったことで難しいというようなことが、そういった返事があったというふうに承知しております。

松野(頼)委員 それは、正式に回答ということがあったんですか。

田中政府特別補佐人 監視検討会は議論をしておりますので、そういった議論の中でそういった回答があったということで、書類で何か出ていたというものではありません。

    〔平口委員長代理退席、委員長着席〕

松野(頼)委員 その後、それは本当にあったのかなかったのか、正式なものなのかわかりませんが、東京新聞の記事によると、東電からは回答なしというふうになっているんですね。

 規制委員会の作業部会で、K排水路は計測してから放出すべき、データも速やかに伝えてほしい、東電は、はい、かしこまりましたといって、回答、データ公表せず、それで現在に至るということですけれども、この事実関係は間違いないですか。

田中政府特別補佐人 K排水路についての懸念というのは、昨年一月の評価監視検討委員会でも取り上げまして、それ以来、私の承知している限りでは六回、そういったことについて議論をし、その途中経過についても、東電の進捗状況等を確かめる議論も行われました。

 東京電力の方からは、今年度いっぱいぐらい待っていただきたいということがあって、現在に至っているということであります。

松野(頼)委員 ちょうど、原子力規制委員会記者会見録というのがございます。

 金城室長という方が、「まず、K排水路の状況については、昨年の一月の検討会やワーキングで、K排水路の中の濃度がどうなっているか、詳しい説明はそのときにも提示があって、今の状況だと告示濃度を超えてしまうという説明はございました。」、その後がありまして、面談でも何回か確認はしていたのですが、なかなか説明に来なかったという状況はございますという発言をされています。

 そして、こういうやりとりが実は行われているんですね。説明を求めたけれども、なかなか説明に来なかったとか、そのまま数カ月も放置されていたとかいう状況ですけれども、やはり規制庁、これは規制庁なんですから、きちんと法律にのっとって、どういう状況のものを規制していくのか、その規制が是正されない場合はどういう勧告を出していくのか、そのプロセスとして、どうやって刑事罰まで、きちんと法律では決まっているわけですから、どういうプロセスを行政上の権限として出していくのかということをちゃんとやらなければいけなかったんじゃないですか。

 なかなか説明に来なかったから今日に至っているんですみたいな話は、それは規制庁としてあり得ないと思いますよ。では、このままもう四年間ずっとだだ漏れの状態で、汚染されている液体廃棄物が海に漏れていていいということなんですか。それを規制するのが規制庁の仕事じゃないですか。ちゃんともう一回、そこの自覚を持って答弁してくださいよ。

田中政府特別補佐人 私どもとしては、一Fの廃止に伴ってはいろいろな課題があります。それについては一つ一つ重要なところから対策を立てるようにということで求めてきております。

 それで、K排水路についても、先ほど来議論したように、そういう管理がきちっとできるようにというようなことも求めてきておりますが、実際には、それをすぐに管理できるような対策が即座にはとり得ないという、そういう物理的な条件もありまして、その経過措置を見ております。

 ただ、全体としましては、一年少し前は敷地境界で十ミリシーベルトぐらい、年間線量がありましたけれども、この三月には二ミリシーベルトを目指すこと、それから、来年の三月には通常の一ミリシーベルト以下になるようにということを求めてきておりまして、それについては、全体として、排水の影響も含めまして、そういうところに大体行ける見通しがついております。

 規制委員会としましては、細かい、こうしなさいという具体的なことではなくて、達成すべき、今申し上げましたように、守るべき基準みたいなものを示しまして、それをどのように達成していくかということは、これは事業者の、いろいろアイデアを出して、具体的に現場をよく知った事業者が行うことでございます。

 先生がおっしゃるように、決して我々がこういったものがどんどん出ていいというふうには考えておりませんので、できるだけ早急にその対策を立てるように指導してまいりたいと思います。

松野(頼)委員 いや、それはちょっと違うんじゃないですか。

 平成二十五年九月三日の原子力災害対策本部で、今後は、東京電力任せにするのではなく、国が前面に出て、必要な対策を実行していく、これが政府としての意思なんじゃないですか。

 自分たちは、いや、規制庁だから事業者に任せるんだみたいな今答弁だったですけれども、それはもう政府として違うんだというふうにおっしゃっているんですよ。

 ちょっと議論が拡散しましたので、ちょっと戻したいと思いますが、まず、規制庁として、さっき一番最初に聞きました、今回のこの雨水は、炉規法のもとでの液体放射性廃棄物に当たるのか当たらないのかという、ここの原点をまずきちんと答弁してください。どっちなんですか。

田中政府特別補佐人 炉規法上は、雨水は、規制の対象の、いわゆる液体放射性廃棄物には該当しません。

松野(頼)委員 今そういうふうに答弁されましたけれども、さっきから言っているように、何の根拠を持ってそういうふうな判断をされているんですかということを何回も聞いているんですよ。もう一回きちんと答弁してください。この法律のどこにそれが書いてあるんですか、雨水は除外だということを。どこに書いてあるんですか。条文を言ってください、ちゃんと。もう一回答弁ください。

田中政府特別補佐人 除外規定も、もともとそれを対象外としておりますから、法律には書いておりません。

松野(頼)委員 書いていないけれども、雨水は適用除外だと言い張るわけですね。

 資料の七を見てください。

 これは、平成二十六年二月の二十六日に、原子力規制委員会で、規制要求についてという文書をまとめています。その中の、資料七の、三番の三番、「制限の対象とする排水の範囲の明確化」と書いてあるんですね。こういう議論をされていますね。

 そこでは、「排水路の水を含め濃度及び量を把握でき、排出を制御できる水全般について、上記実効線量の規制対象である液体廃棄物と同様に扱う。また、それによる敷地境界における実効線量の評価に当たっての考慮事項は別紙のとおりとする。」ここで言っているじゃないですか、ちゃんと。「水全般」、水全般を液体廃棄物と同様に扱うと。これは規制委員会の資料でしょう。今の答弁と全く違うことを、ここできちんと規制委員会としてペーパーで出しているじゃないですか。どうなんですか。もう一回答弁ください、ちゃんと。

田中政府特別補佐人 少し法律的な混乱があるので少し整理させていただきたいと思うんです。

 まず、先ほどお答えしたのは、いわゆる一般的な原子力施設に適用されている従来の炉規法、現在の炉規法ですけれども、一Fについてはそのまま適用できないということで、特定原子力施設として、具体的な実施計画については、私どもが評価検討会でそれを審議しまして、その対策について求めております。ですから、ここに、先生今お読みになった記述についても、これはその中で、特定原子力施設としての福島第一の雨水の扱いであります。

 ただし、ここで、排出を制御できるというようなこと、これについてはなかなか実際には、具体的に言うと、K排水路から出た水は、昨年の十一月には一日で一万四千トンほど出たという報告もいただいております。

 ですから、これをすぐに即座に処理するというようなこともなかなか難しいということで、その具体的な方策については、もちろん、この問題が明らかになってから、東京電力を含めて、私どもも知恵を絞って検討を進めておりますけれども、今後とも、こういったことについてはきちっと監視をして指導して、そういった事態が起こらないようにしていきたいというふうに考えています。

松野(頼)委員 ちょっとよく答弁がわからないんですけれども。

 だから、今の福島原発事故の、排水をしている汚染された雨水は炉規法上における液体廃棄物として扱うのか扱わないかを聞いているんですよ。もう一回答弁してくださいよ。ちゃんと、そこの部分だけで結構ですから、きちっとそこを答弁してくださいよ。

田中政府特別補佐人 要するに、特定原子力施設として炉規法の中で定めまして、その中での実施計画の中で、雨水についてはそういった一定の放射性廃棄物としての扱いを行うということで指導しております。

松野(頼)委員 ちょっと聞き取れなかった。扱うんですね。雨水は炉規法上の液体放射性廃棄物として扱うんですね。

田中政府特別補佐人 液体放射性廃棄物という定義に入るかということと放射能を含んだ排水であるかということは少し違うところがありまして、今、一Fの状況というのは、そういったところが、全て液体放射性廃棄物として扱っていくことが事実上非常に難しいところがありますので、実質的には、放射能をできるだけ外に漏らさないようにということで、実施計画上で指導をしているということでございます。

松野(頼)委員 もうこの議論を長々してもしようがないですけれども、要は、規制庁として、きちんと法律にのっとって、ぴしっぴしっと指導していかなきゃいけないんじゃないですか。

 要は、国が、漁民の皆さんも相当不安を持って、テレビで訴えられていましたよ。せっかく少し操業をしようと、南相馬の方に聞くと、地元は少し操業を始められるかなと言っていたときにこういうことが起こって、また落胆をしているのと同時に、本当に国に対する信頼というものが薄らいでくるんですよ、こういう対応をしていたらば。

 ですから、まず、行政として法律にのっとって何をやらなければいけないかというのをちゃんと順次やるのと同時に、国がきちんと前面に出て、そういう不安を払拭していく必要が私はあると思うんですけれども、ぜひそこはしっかりやってください、もう一回。

 総理、今の議論を聞いていて、本当に総理がおっしゃったように、完全に湾内でブロックされているんですかね。

安倍内閣総理大臣 これは、今、委員長との間で、この法文の解釈等について何回か議論しておられた、こう承知をしておりますが、先ほど答弁いたしましたように、汚染水の影響は福島第一原発の港湾内に完全にブロックされているという認識に変わりはございません。

松野(頼)委員 いずれにしても、国が前面に立って、しっかりやっていただきたいと思います。

 ちょっとテクニカルな議論を長々続けていてもわかりづらいところがありますので、また、経済産業委員会なり常任委員会でしっかりやっていきたいと思います。

 続きまして、また時間が足りなくなるかもしれませんが、厚生労働大臣に来ていただいています。

 雇用保険特別会計について、前回、剰余金が十四兆円あるという答弁で終わってしまいました。これは若干飛ばしますけれども、この剰余金があるのに、ことしの一般会計から国は雇用保険会計に幾ら予算を入れているんでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど雇用保険特会ということでございましたが、労働保険特会でございまして、その中の予算におきましては、雇用勘定に千五百二十三億円、労災勘定に二億円、徴収勘定に一億円、合計千五百二十六億円が労働保険特会に国庫負担として繰り入れられております。

松野(頼)委員 これだけ剰余金が集まって、要は、雇用保険勘定では失業給付金が一・六兆、雑収入〇・一九兆、千九百億、二事業で五千六百億、合わせて二兆三千八百億の収入があるんです。労災保険の方は合わせて一・一四兆、そして、両方で積立金が十四兆もあるような特別会計に、千五百億といえども、国の予算の一般会計から繰り入れる必要があるんだろうかということで質問させていただいていますが、ここの特会への予算はまだ来年度も続けるおつもりでしょうか。

塩崎国務大臣 先生御指摘の雇用保険の国庫負担でございますけれども、労働保険特会への国庫負担でございますけれども、失業が政府の経済政策そしてまた雇用政策と密接に関連をしているということで、政府もその責任の一端を担うべきという考え方が根底にあるわけでございます。

 また、雇用保険の現在の国庫負担の割合というのは、平成十九年の雇用保険法の改正によりまして、本来の割合であります原則二五%から、暫定的にその五五%、つまり一三・七五%に引き下げられております。これは、平成二十三年の雇用保険法のまた改正がございまして、できるだけ速やかに本来の割合に戻すことへの検討規定が設けられて、このときの改正は全会一致でございました。

 したがいまして、労働保険特会の雇用勘定に対する国庫負担の繰り入れの削減については、こうした規定も踏まえながら、国会の御意見を聞きながら検討をしていかなければいけないというふうに考えております。

松野(頼)委員 あと、ここが、資料の十七から、ちょっとたくさんあるんですけれども、二十三ページまでつけました。これだけの未利用地を抱えているんですね。三百九十カ所、北海道から沖縄まで。そして、この保険料で官舎なんかも建てていますね。

 そして、特に、今使っている官舎はまた別にして、この未利用地に関して財務省が通達を出しています。できるだけ早く処分をするということの通達を出していますが、この通達にのっとって、この特会の未利用地を今後どうされていくか、お答えいただければありがたいと思います。

塩崎国務大臣 宿舎につきましては、既に御案内の朝霞の宿舎のときに、財務省の方で縮減計画をつくりました。

 私どもとしては、これにのっとって削減を図るとともに、これは二十八年度まででございますけれども、二十九年度以降は、言ってみれば、寿命が来たものはもう廃止をするということでいきたいと思いますし、今、未利用国有地の数は、今先生がお示しでございました三百九十カ所ございますので、これについては、今の方針にのっとって積極的に売却を行ってきたところでありますけれども、引き続き、早急に売却をしていきたいというふうに考えております。

松野(頼)委員 これで時間が来ましたので終わりますが、中小零細企業、また商店の皆さんは、本当に苦しい中に雇用保険を払っているんですね。もしそういう無駄があったりするならば、少しでも雇用保険のお金を安くする、中小零細企業の本当に負担を安くする、こういう思いでぜひ行政をやっていただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、下地幹郎君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。下地幹郎君。

下地委員 私は、去年の十一月十六日に知事選挙に立候補しました。惨敗しましたね。

 この知事選挙で私が感じたことは、沖縄の経済とか、そして福祉だとか、さまざまな格差の話をしても、あのとき、どんなにお話をしても聞く耳を持たないんですよね。何かといったら、辺野古は賛成か反対か、もうこの二つしか聞く耳を持たないというような環境になっていたこと。そして、翁長さんという自民党の幹事長までした人が、共産党と一緒になって沖縄県の知事になった。そういうふうな背景には何があるのかなということをやはり考えてみる必要があるんじゃないか、そういう思いをまず安倍総理と官房長官に聞かせていただきたいと思っています。

 これをちょっと皆さんに見ていただきたいんですけれども、鳩山さんが最低でも県外というようなことを言って、この沖縄の基地問題が大きく変わり始めた。これがきっかけになっていることは確かなんです。また、二月の二十日には、辺野古に行ってマイクを持って、辺野古反対だと言われている。総理大臣をやった経験者がこういうふうなことをやるとどうにもならない、そういうような思いになっていることだけは確かなんです。

 その後、これは野中官房長官でありますけれども、この前も「時事放談」に出て、今の自民党はどんなに沖縄が窮地に追い込まれても差別をすることしかわからない、官邸の翁長知事に対する措置は全く理解できない、絶対に許すことができない沖縄に対する差別だと、これは野中さんが言っているんです、自民党の幹事長だった人が。

 しかし、一九九八年、大田さんが知事になったときに、当時の野中官房長官は、大田知事を人の道に反したと批判して、大田知事と小渕総理の会談設定を打診するために上京した宮平洋副知事に対して、官邸は応接をしないように、どの大臣も大田さんと会わないようにとやっているんです。いいかげんですよね。

 自分が官房長官のときはそういうふうなことを言って……(発言する者あり)今知りましたけれども、それが、私にとっては、沖縄の中においてもういろいろと積み重なって今の現状になっているんじゃないかと思うんです。

 また、安倍総理、これを見ていただきたいんですけれども、自民党の候補者も辺野古反対と公約するんです。私が嘉手納統合と言ったとき、自民党を除名されましたよ。そのときの、私を除名する一番の旗頭は野中さんでしたよ。その人が、今、辺野古反対に回って、その当時の自民党の幹事長は翁長さんですけれども、その方も今もう辺野古反対に回って、そして、自民党の候補者が辺野古反対と言ったときも自民党は公認していて、この積み重ねが私は今の沖縄の現状をつくっているんじゃないかと思うんです。

 だから、ここは沖縄が混乱しているんじゃなくて、混乱させた背景というのはやはり東京にあるんじゃないかという素朴な思いを持っていただくことが私は大事じゃないかというふうに思うんですけれども、そのことについて、総理、ちょっとお言葉をいただきたいんですけれども。

安倍内閣総理大臣 確かに、下地委員の御指摘のように、これは沖縄の混乱ではなくて、いわば東京に責任があったということは私は明らかなんだろう、このように思います。

 安全保障政策とか基地、それにかかわる基地の政策について、やはり東京の見解が大きく変われば、沖縄の皆さんは、もう本当に、基地を受け入れる、耐えがたいけれども、国の基本的な方針であり、安全保障政策の中においては自分たちはもう我慢しようということで辺野古を受け入れていただいた。でも、そこで大きく変わるのであれば、それは反対させていただきたいということになったということなんだろう、このように思います。

 ですから、まさにこの安全保障政策における基地の問題のような大事な政策については、その時々の政局に利用したり、選挙に利用してはならない、改めてこのように思ったようなところでございます。

下地委員 まさに今総理がおっしゃったように、今は中央が変わるごとに、そして立場が変わるごとに沖縄の基地問題が変われば、沖縄もまた変わってしまう、そのことを私たちは真剣に考えていかなければいけない。

 もう一つ、この基地問題だけじゃなくて、総理、これを見ていただきたいんですけれども、これは沖縄振興策なんですけれども、私たちの沖縄振興策というのは、全国との格差、沖縄との格差をなくそうというような名目で振興策をやってきましたけれども、これを見ていただくとわかるように、まさに、市町村の財政指数を見ると、基地のあるところは裕福になり、基地のないところは財政的に厳しくなる、こういう状況が財政の中で生まれてくる。それがどうなるかというと、金武町なんかによると、高校生まで医療費無料だとか、基地のあるところと基地のないところでは対応が全く変わってくるんですね。

 だけれども、私たちの基地政策は、基地を抱える市町村にだけ厚い思いをする、基地を抱えないところには厚い政策がない。しかし、これが恐ろしいぐらいの格差をつくっているという今の現状をどう見るかということを考えなきゃいけない。

 右の方を見ていただくと、高所得ランキングですけれども、一千万円以上、人口の比率で割ると沖縄は十位なんですよ。沖縄は、四十七都道府県の中で、一千万円以上の所得を持っている人が十番目なんです。そして、横の方を見ると、一人当たりの県民所得は四十七番で間違いなく一番低い。その下を見ると、貧困率も二九%で、高知県とは七%以上あって、一番高い。非正規の数も四〇%ぐらいと高い。

 そして、左の方の企業のところを見ると、三番目を見ていただきたいんですけれども、沖縄の企業の中でも、特措法や沖縄振興策にのっとった政策をもらっている企業は、それは企業的には経営はうまくいっています。しかし、全くその恩恵を受けない企業は厳しいんです。企業の間でも格差が出ているんですよね。

 私は今回の知事選挙をやってみて感じたんですけれども、どんなに安保政策に協力しても、一部にしかいかないんじゃないか、自分たちのところには回ってこないんじゃないかと。今まで稲嶺さんを二回、辺野古賛成で当選させ、仲井真さんを一回、辺野古賛成で当選させ、こういうふうなことをやってきても、これは、格差が出て、一部にしかいかないような今の状況では、一回、基地をなくした方がいいのではないか、そういう発想に変わってしまったんじゃないかと思うんですよね。

 そのことも私は今度の知事選挙の中で感じたわけですけれども、これについても総理のお考えを聞かせていただきたいと思うんです。

山口国務大臣 いわゆる振興についてということでございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 今も、先生御指摘のとおりで、返還以降、約十一兆円、いろいろな格好で振興策を講じてきたわけでありますけれども、確かに、まだまだ県民所得、全国最下位、あるいは失業率がワーストワンだ等々。

 そういった中で、かつ、県内における地域間格差、これも御指摘をいただいておるわけでありますが、ただ、下地先生も御案内のとおり、実は日本全国、県内格差というのは結構あります。私の地元でも、県中央部と私自身が住んでおるところというのは物すごい格差があるんですね。有効求人倍率にしても、片や二近い。私の地元は〇・七ぐらいです。沖縄においても、そういった格差があります。

 ただ、基地云々というふうなお話がありましたが、例えば国頭村とか東村、これは、基地面積は結構大きいんですが、先生も御案内のとおりで、財政力指数が大変弱い、低いというふうなこともありますので、一概には言えないんだろう。

 ただ、御指摘のいわゆる振興策のあり方ということも、振興経費のあり方ということもあるんだろうと思いますが、これもよく御案内のとおりで、平成二十四年に沖縄振興計画の策定主体を国から県の方にやってもらおうということで改正を行っておりまして、いわゆる地方自治の本旨にのっとりといいますか、まさに県の主体的役割を尊重すると同時に、県内市町村からも十分意見を聴取した上で振興計画を立てていただいたわけでございます。

 同時に、例えば大きな事業に結構行って、偏りがあるんじゃないかという話もございます。

 そういった中で、いわゆる一括交付金も、ソフトをじわじわとふやしていただいておって、これが、離島にしても、どこにしても、やはり福祉とか、あるいは医療とか教育等々にも使われ始めて、最近は結構うまく回りつつあるのではないかなという感じもしますが、ただ、もっともっと市町村あるいは県の御意見も聞きながら、先生御指摘のいわゆる県内格差につながらないように、しっかり配慮していきたいと思います。

下地委員 山口大臣、役人が書かれた答弁をお読みになっていると思いますけれども、私が示した数字を率直に認めた方がいいんです。それからスタートしなければ沖縄の担当大臣というのは務まりませんよ。

 国頭の例を持ってきて、国頭というのは那覇市内から三時間もかかって行くようなところです。財政指数がよくなるわけないんです。北部の訓練場もこうなるのも決まっていますよ。しかし、それを比較して今のような発言をして、自分の四国の地域と基地のある地域を同じにする、その感覚が、大臣、どうですか。もう少し数字を謙虚に認めて、さあどうするかという声に耳を傾けないと、沖縄担当大臣というのは簡単に務まりませんよ。ぜひそのことを申し上げておきたいと思いますね。

 それともう一つですけれども、これは山中先生という私の政治の師が書いた「顧みて悔いなし」という本なんですけれども、この本の中で山中先生が、五十年間国会議員をして、山中貞則、おまえは何をやったといったら、沖縄問題をやったというふうに答えている本なんです。この本を見て、山中先生は最後に、私は沖縄県民のためになったんだろうかというようなことをいつも悩みながら沖縄振興策をやっていたというようなことをこの本の中に書いていますね。

 そして、さまざまなことをやったけれども、毒ガスの、アメリカに対する復帰時の輸送問題も大変だった、これをわからないようにしてやっていくには大変だったとか、ドルと円を交換するときも、三百六十円、世界じゅうからドルが沖縄に入ってきて交換されないように最大限の配慮をしながら交換をやったとか、沖縄電力の上場も、補助金をもらっている企業を上場させるのは大変だから、それをどうやってうまく沖縄県民のためにやるのかというのは大変だったと、さまざまな大変なことを言っているんですけれども、山中先生がこの本の中で書いているのは、一番大変だったのは、自分と思想的に違う屋良朝苗さんという知事とどう向き合って、その人を尊重しながら沖縄県の発展をやっていくかというのが一番苦労したとこの本の中に書いていますね。

 今、私は、見ていて、沖縄県の知事とは全く政府の考え方と違う。この前も来られたんですよ。私のところに来たときも、官房長官の日程がとれないとかというようなことを言っていましたから、とれなかったら沖縄にお帰りになった方がいいんじゃないですかと。

 私は、官房長官も今難しい立場だと思うよ、あれだけ仲井真知事にお願いして辺野古の印鑑を押してもらったとか、沖縄の国会議員が全部負けたとか、それは党人としては大変な思いがあるから、今急に手のひらを返したようにとかというのはなかなか難しいこともあるのではないかなと知事に申し上げたんですよ。それがまた菅官房長官らしいところでもあるから、時期が来たら必ず彼は会いますよ、だからそれまで、余り慌てて会いたい会いたいと言わずに、じっと身構えて自分の考えをまとめてやった方がいいんじゃないかというふうに思うんですよねということを申し上げたんです。

 私は、ここまで来たら、もうそろそろ会う時期だと思うんですが、やはり会い方が問題だと思うね。翁長県知事が東京に来て官房長官と官邸で会うというんじゃなくて、予算委員会が大変かもしれないけれども、合間を縫って沖縄へ行ってお会いしたらどうでしょうか。沖縄へ行って、官房長官が一回、考え方もいっぱい違いはありますけれども、沖縄県知事と会わないということはできないわけだから、官房長官の沖縄に対する思いを示しながら、沖縄に行って官房長官が翁長知事と会って、基地問題に対して、一回では決まりませんよ、スタートを切るというようなことをおやりになったらいかがかと思いますけれども、官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 十九年前、日米の間で、まさに住宅地、学校のど真ん中にある普天間基地の危険除去と固定化を避けるということで合意をして、それから三年後、今から十七年ぐらい前になるんですかね、当時、沖縄の県知事と、地元の、辺野古のある市長が同意をして、それに基づいて政府は閣議決定をして進めてきて、そして仲井真知事のもとでようやく、当時は十六年ぶりでありましたけれども、埋立承認をいただいたんです。

 そして、この辺野古移設というのは、日本の安全保障、抑止力、そうしたものを考えたときに唯一の解決策であるということを、安倍総理、私ども政権はその思いの中で今取り組んでいます。

 結果として、辺野古に行くことによって普天間の危険除去、これができますし、そして一万人を超える、住宅、防音装置をつくっています。これがゼロになります、皆、海上に行くわけで、飛行になるわけですから。そして、嘉手納以南、沖縄の人口の約八割あります。その中にある基地の七割が返還をされる。そして、今一万八千人いると言われる米国の海兵隊が、グアムを初め、半分県外に出ていく。政権になってから、これは総理の強い指示で、普天間にあった空中給油機十五機、岩国にお願いをしました。そして、オスプレイも国内で、とにかくさまざまな地域にお願いをして、ようやく理解をいただけるようになってきました。

 そういう中で、昨年、知事選挙があって、反対派の翁長知事が当選をされたわけであります。

 私は、沖縄基地負担軽減担当大臣も務めています。沖縄の知事と当然それは会って、これからのあるべき姿というものを話してみたいと思います。そしてまた、その時期でありますけれども、前もこの予算委員会の中で、今井委員から、選挙の結果で会うべきだと言われました。三回か二回だったか、申し入れがありました。しかし、予算、組閣の時期ですよ。さらにまた、決算委員会のときでしたからお会いはしませんでしたけれども、今、山口沖縄振興担当大臣がお会いをさせていただいています。また、官邸においては、沖縄対策の室長であります官房副長官が知事とお会いをさせていただいています。

 いずれにしろ、そんなに遠くない時期に、今、下地委員から話がありましたけれども、私はお会いをさせていただいて、私たち政権の考え方を何度となく知事にお話をさせていただいて、御理解をいただけるように取り組んでいきたいと思います。

下地委員 官房長官、いつ。私は沖縄がいいと言ったんですよ。

菅国務大臣 そうした御指摘も十分留意をさせていただきながら、お会いをさせていただきたいと思います。

下地委員 今、帰らないで待っておいてくださいよ。

 防衛大臣、この辺野古の工事というのは平成二十年から始まっているんですよね。これは今工事が始まったわけじゃなくて、二十年から始まって、もう七年たっているんですよ。それで、これまでに辺野古の工事に対して九十七本の発注が行われて、今六百九十億円発注されているんですよね。今始まっている話のように思うけれども、二十年から始まっているんです。もうこれだけ時間がたって、六百九十億円の発注が行われて、そして今度、中仕切り工事だとか護岸工事とかが発注されました、四月に。百五十億円と百二十億円。

 ここの問題のタイムリミットはいつなのかと考えたときに、私は、あの辺野古に土砂を入れて埋め立てをするというような工事が発注されて、それがいつ始まるのかというところが一つのタイムリミットだと思うんです。土砂を入れて全部が進んでから辺野古が賛成だ反対だと翁長さんが言っても、もうこれは後の祭りです。また、国と会談する必要もありません。その前に会談をして、国の考え方に翁長さんがなるのか、国が翁長さんの考え方になるのか。安倍総理が十二月の十四日、翁長さんが十一月の十六日。総理大臣と県知事が、戦後四年間、がっぷり任期が一緒というのは初めてなんですよね。だから、そういう意味でも、私はこの二人の会談のタイムリミットというのがあると思うんです。

 そういう中で、土砂を入れるというのは、この二つの工事、中仕切り、護岸工事ももう決まっていますから、いつになりますか、これは。具体的に少し、数字を言ってください。

中谷国務大臣 現在、業務設計とボーリング調査を行っておりますが、この事業に係る土砂投入を含む埋め立てを行うのに先立ち護岸工事が必要ですから、二十七年度中に護岸工事に着手をすべくこれまで契約手続を進めてきたところでございまして、既に契約を締結した工事については工事着手に向けた準備を行っているところでございます。

 これらの工事の着手に当たっては、これらの結果を踏まえて、現時点で具体的な着工時期について確定的にお答えすることは困難でありますが、その上、強いて申し上げるなら、各種準備が整うことを前提に、可能であればこの夏ごろにも着手したいと考えております。

下地委員 今大臣がお答えしたように、七月か八月。夏というのは七月、八月。九月は秋と一般的に言いますから、七月、八月にはもう土砂を入れるというようなことになるんです。

 となると、官房長官、あと四カ月しかない、三カ月しかない。三カ月間の間に翁長さんと何回もお会いして国の考え方をお話しする、翁長さんもまた官房長官にいろいろお話しするということになってくると、さっきの答弁じゃなくて、三月にはお会いしてスタートを切られるというようなこと。一カ月に一回会っても、四回しかないんですよね。

 そういう意味では、今この予算委員会で、私は三月には行って会いますよと。私の期待は沖縄県に行って会う、これを何とか実現して、一回会話を開いてもらえませんかね。

 私はこの本を読んでいて、こんなに違いがある中でも、山中先生、それに佐藤栄作総理大臣は、本当に沖縄の心を持って、考え方の違ういろいろなところに、復帰記念日にも屋良朝苗さんは出なかったんですから、東京の大会に。それを山中先生が裏で佐藤総理のところに行ってこの屋良朝苗さんを会わせたというシーンがこれにも書いてありますけれども、やはり、考え方が違う、哲学が違う、方針が違うという中でも、どこかで国の方から絶えず沖縄に心を寄せて話し合っていくというような姿勢を見せるという意味でも、僕はぜひこの場所ではっきりと官房長官のお考えを言っていただくことを期待したいんですよね。

菅国務大臣 沖縄の県民の皆さんの思いというのは、私なりにそこは真摯に受けとめさせていただいて、この今の仕事をさせていただいております。

 そういう中にあって、知事といつお会いをするかということでありますけれども、先ほど来、委員からいろいろな御示唆もいただきました。そうした中で、もうしばらく情勢を見させていただく中で判断をさせていただきたいというふうに思いますし、私は、やはりこの沖縄問題というのは、我が国の置かれている安全保障、そういう中で抑止力と普天間の危険除去、固定化は避ける、そういう中で十六年ぶりにその許可をいただいたことでありますから、十六年間、地元の県知事と市長が合意しても、閣議決定しても動かなかったんです。それだけこの問題というのは複雑な、そうした歴史のある問題だというふうに思っております。

 そういう中で地元の知事とお会いをさせていただくのは、これは当然のことであると思います。

下地委員 話をかえます。

 法務大臣にちょっと聞きたいんですけれども、識名トンネルという事案があるんですよね。

 これは、沖縄県のトンネル工事を、五十億円の予定金額のものを二十三億円で受注した、その共同企業体に対して沖縄県が工事を発注した。しかし、予算不足を理由に、追加工事じゃなくて、何もないのに工事を発注して国から補助金をいただいた、これは虚偽契約を行ったということで会計検査院から指摘を受けて、総合事務局が初めて復帰後沖縄県を訴えるというようなことをやったわけなんですよね。

 十二名の人が告訴されて、これが今那覇地検に回っているわけですけれども、この十二名を調べると、全く贈収賄がないんですよね。贈収賄がないのに何でこの共同企業体のために沖縄県が配慮をして予算をつけたのかというようなところが今度の事件の大きな争点になっているんですよ。

 争点になっているんですけれども、刑事告発をしてからもう二年九カ月間、書類送検をしてから一年五カ月間、全く決断していないんですよね。地検が決めていないんです。今まで一番長いものでさえも、猪瀬知事の場合であっても、五カ月間で略式起訴まで持っていっているんですけれども、なぜこの事案はこんなに、二年九カ月間もほったらかされて、裁判のスピード化とかいろいろなことを言われているのに、これがそういう状況なのかということを、ちょっと法務大臣のお考えを聞かせていただきたいんです。

上川国務大臣 ただいま下地委員からお尋ねの件でございますけれども、個別事件における捜査の具体的な内容にかかわるということでございまして、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

下地委員 法務大臣、二年九カ月間かかっても受理するか受理しないかを決めていないというようなことが、政治的配慮であるんじゃないかという話があるんです。

 やはりこの問題は、受理するのか受理しないのか、はっきりとこれはおやりになることが法務行政にとって大事だと思いますから、個別案件を細かく聞こうとは思いませんけれども、そのことがあるということを十二分に認識してもらいたいというふうに思っております。

 それで、ちょっと簡単に私の方からお話をさせていただいて、麻生副総理と安倍総理のコメントをお聞きしたいと思うんです。

 これは、財政再建のシナリオをちょっと書かせていただいたんですけれども、このグラフは、この二十七年間で日本の公債の発行高が百五十七兆円から八百七兆円で、六百五十兆円ふえているという図をこれに書いてあります。これの最大の要因は、社会保障にかかるお金がもうこの二十七年間で二倍になっているというのが大きなポイントになっているんです。

 次の二枚目をちょっと見ていただきたいんですけれども、これは、消費税が上がって、平成二十七年に十七・一兆円になりました。しかし、この消費税、これまでに歴代内閣がずっとさまざまな減税をしてきたものですから、十七兆円の消費税が法人税減税や所得税減税でもう十三・四兆円なくなって、残っているのは三兆七千億。財政再建に回らない、そういう状況が今ずっと続いて、消費税を上げても上げてもこれが財源に回っていないというところがポイントなんです。

 次に見ていただきたいんですけれども、これは予算ですけれども、鳩山内閣から安倍内閣まで、もう百兆円規模の予算を組んでいますね。これは、昔、亀井代表が百兆円予算と言ったら、こんなばらまき予算をどうするのかというような声がありましたけれども、実質はもう百兆円組んでいます。

 今回、公債の発行高を見ても、一番安倍内閣が少なくなったといって三十六・九兆円と書いてありますけれども、下を見ていただきたいと思うんですけれども、鳩山内閣のときの税率は五%、安倍内閣に対する税率は、今度の二十八年度は八%で、十七兆円の税収なんです。

 これは、比較すると、安倍内閣における税収規模が五十九兆円じゃなくて五十三兆円ぐらいの規模になってきて、公債の発行率は三十六兆円じゃなくて四十三兆円までふえるんです。だから、結果的には、消費税が上がった分だけが税収がふえていて、実質的にはふえていないというようなところがあるんです。

 次、ちょっと見ていただきたいんですけれども、これは、維新の党が考えている身を切る改革ということです。

 一九九〇年が一番消費税抜きで税収が集まったときです。そして、今維新の党が言っている、間違いなく政治改革や行政改革をやったら十兆円出てくると私どもは言っていますので、これをやっていただく。そして、あとは税制改正をやるんですけれども、これはもう、財政再建のためには一〇%まで消費税をしっかり上げる。しかし、上げても、減税をやると全くこれがまた意味をなさなくなるので、減税をやらないでこの三点セットを、経済成長なくして財政再建はありませんから、この経済成長のときに、絶対に税制改革をやって、減税を一緒にならないようにしながらやっていくことが、これは間違いなく財政再建になるというふうに私どもは考えているんです。

 それで、最後のところですけれども、結論ですけれども、今度、軽減税率をやるというんですよね。それで、法人税の減税をやるというんですけれども、これは三兆八千億ぐらいかかるんです。

 しかし、おわかりのように、軽減税率は、金持ちの人にも所得の低い人にも、全部当てはまるんです。今、格差社会といったら、本当に軽減税率がいいのかなと私たちは疑問を持つんです。法人税も、大企業にしか当てはまらない、中小零細企業がなかなか当てはまらないので、これも私たちは、格差という意味ではなかなか難しいんじゃないかと。これで三兆八千億。

 しかし、今一番大きく問題になっている、保育料の減免二万円、二万円をやると、もうあと残り一万円しかありませんから。あと、最低年金で頑張っている方々に一万円、それと介護士の処遇改善に三千億。これをやっても二・一兆円なんですよね。

 百兆円の予算を組んで、この二兆一千億をこの百兆円の中に組み込んで予算化をして、そして減税をしないで景気対策をやったら、財政再建も含めて、私は、この国の財政というのは次の世代に赤字を残さなくなるというふうに思っているんですけれども、そのことについて麻生財務大臣にお願いします。

麻生国務大臣 これは、下地先生、置いてある前提条件が御自分でつくれた前提条件ですから、自分でいろいろ都合よく、都合悪くつくっておられますので、それはこの前提を変えれば幾らでも変わりますから、ちょっと、そういったものだということをある程度頭に入れておいて話を聞かれないと、何かすごく夢のような話ですけれども。

 おっしゃるように、大前提として、間違いなく、消費税というものと、法人税を直接税でやる。

 直接税、間接税で引いていけば、昔おられたころは、間接税の方が断然少なくて、直接税の方が多かったという時代だったのが、だんだんだんだんなってきて、これだけ、高齢化してきたとかいろいろな理由もありまして、人口構成も変わって、働く人のあれも変わってきてということになりますと、どうしたって間接税の方が高くなってくる。これは、ヨーロッパとかみんな見てもそうです。

 今、六三対三五ぐらいになっていると思いますが、そういった形まで上がってきた分だけ直接税が下がって、間接税が上がってきたということで、総額五十四兆円ぐらいのものを来年度計画をしております。

 ただ、言われましたように、今後、財政改革をやっていくときに、軽減税率をやれとか法人税を下げろとかいったら、その分だけ税収が減りますから、そうなってくると、消費税を上げたって意味がないじゃないかという御説は、その面においては正しい。それは間違いありません、単純計算ですから。

 ただ、問題は、いわゆる消費税等々を上げて、税収がふえてこっちがよくなったといって、結果として景気が悪くなったら、結果として今度は法人税が下がり、所得税などの税収が全部下がってきますので、そういったものも計算してここはある程度やらないけませぬので、歳出はなるべく減らす、そして傍ら、景気がよくなるようにいろいろなことを考えてということを考えて、公共事業を含めていろいろな刺激策をやっていきながらも、両方バランスよくやらないかぬ、そのバランスが、下地先生、最も難しいところだと思って頭を痛めておるというのが我々の立場です。

下地委員 この数字は、麻生財務大臣のところからとった数字であります。私が適当につくっている数字ではありません。

 ただ、百兆円の予算を組むというのは、決して緊縮財政を組んでいるわけではなくて、百兆円という予算を組みながら財政再建ができるシナリオの最大のポイントは安易に減税しないことですよというようなことは、また、百兆円で予算を組んで景気をよくできなかったら、総理大臣としてやはり資格がないですよ。

 そういう意味でも、私はバランスのとれた考え方だと思っていますから、これから減税論議が出てきますから、減税をするならもう予算は八十兆円にする、そういうどこかけじめをつけてやらないとだめだということを、ぜひ私はこれからも財政再建についてお話をさせていただきたいというふうに思っています。

 最後になりますけれども、西室委員長来ていますけれども、もう時間がないので、私の方から申し上げて、御答弁だけいただきたい。

 今度有識者懇に入られたことに非常に私は不安を持っているんですよ。

 なぜかというと、私たちが郵政法案を通すときには、もうこの郵政というのを政局にしないでやりましょうねというのが一点、それと、郵政の公的役割を見出すために復興財源にしましょうねというのが二点、ユニバーサルをきちっと守っていきましょうねというのが三点セットだったんですね。

 今回、短く申し上げますけれども、有識者懇の座長になられるということで、不安を感じている人がいっぱいいるんです。これは二分しますよ。そして今度、株式上場なされる。しかも、六月に株主総会があって、ことしじゅうに上場なされる。八月に七十年談話が出てくるかもしれぬ。本当に忙しいのがかち合うんですよね、かち合う。

 それでいて、イデオロギーの違う人たちが郵政の株を買わなきゃいけないんですよ。また今度、新しい会社、オーストラリアの会社を買い取りましたけれども、あの会社の八千億のうちの一千五百億はアジアなんですよね。

 そうなってくると、今は本当に、郵政のお仕事に集中した方がよろしいのではないかと僕は素朴に思うんですよね。

 それは、私の尊敬する西室社長でありますから、いろいろお考えがあってやられたと思いますけれども、ただ、郵政の株価が下がるとか復興財源が小さくなるとかという、小さな何か信号が出ているものはもうおやりにならないで、郵政に集中して、これが国家のためになるんだという思い、気持ちの中で、郵政の社長の役割を果たしていただきたいと思いますけれども、これを最後にお聞きして、終わらせていただきます。

西室参考人 私は、今回、座長に推薦されまして、それをお受けしました。その前にこの委員もお引き受けしたわけですけれども、これは、今度の二十一世紀構想懇談会の重要性というのはやはり日本国の将来にとって極めて高いという認識をしたからでございます。

 私自身、現在まで、郵政のためなら郵政のための仕事を必死になってやりながら、何の手抜きもした覚えはございません。もしもそういうことが御指摘を受けるようであれば、私がこんなものを引き受けるはずがない。私は、しっかりと、郵政については、できることをできる限りやっているつもりでございます。

 これから先、先生も、いろいろなところでお気づきになられましたら、どうぞ御指摘はいただきたいけれども、これはしかし、郵政の仕事をはしょってこの懇談会に集中するなどと一言も言ったことはございません。

 そして、この懇談会の性格上、中立性が極めて大事だということでございまして、政治的な配慮、あるいは、これが郵政に悪影響を与えるなどということを毛頭私は考えておりませんでした。今御指摘をいただいて、正直言って、びっくりしております。

 その上、この懇談会そのものは、これから月に一、二度、そして七月までには一応の答申をつくることになっております。その期間、この懇談会に参画をさせていただくという、極めて、国にとっても、そして日本国の将来にとっても大事なことを一翼でも担わせていただけるというのは、大変にありがたいことだと思っております。

 私自身、もしもそれによって、郵政の今やっている、そして、既に発表したのは、まだ入り口です。さらにいろいろやっていかなきゃいけない。これをやっていくための努力は必死になってやっております。その間に、月に二度、そしてそれの準備その他は当然ございますが、私は、この仕事にしっかりと時間もかけ、自分の全身全霊を打ち込んで、懇談会の方もやらせていただき、そしてまた、郵政についても、全身全霊という言い方、同様にしっかりとやっていくつもりでございます。

 もしも私が不足な点がおありになるとお思いでございましたら、どうぞ御指摘いただきたい。私は、全身を挙げて、しっかりと、郵政を、先ほど御指摘になられましたような、新しい三党合意に基づく郵政民営化法の趣旨に基づいて、国民の大事な財産である郵便局のネットワークを活性化し、そして、さらに、地域のために、社会のために役立つように、永続的な成長を保証できるような体制を組んでいきたいと考えております。どうぞ御理解いただきたいと思います。

 ありがとうございます。

下地委員 最後になりますけれども、西室社長が両方に積極的に頑張られることは私がよく知っています。しかし、七十年談話というものも国にとって非常に大事なこと、郵政も大事なこと。一般の国民は、この大事なことの二つを心配なされているという気持ちがあることは、率直に認められた方がいいと思うんです。誰も手抜きをするとは言っていませんよ。だけれども、七十年談話も郵政も本当に国家にとって大事なことなので、私は、一つに絞ってやった方がいいというアドバイスだけはさせていただいて、終わらせていただきます。

西室参考人 まことにありがたい御助言だと思いますが、そうは……。

 ありがとうございます。

大島委員長 この際、高井崇志君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました、維新の党の高井崇志でございます。

 私も旧郵政省、郵便局の出身でございますので、西室社長、ぜひ、郵便局のため頑張ってください。郵政省出身の高井崇志でございます。郵便局、頑張っていただきたいと思います。

 それでは、質問に入ります前に、まず、我々維新の党は、身を切る改革を断行しています。先ほど、松野幹事長からも話がありました。企業・団体献金は禁止、そして文書交通滞在費は全てホームページで公開しております。

 総理には、何度聞いても同じ答えだと思いますからもうお聞きしませんが、せめて、まずは総理が率先をされて、この文書通信交通滞在費、これは都道府県でいえば政務活動費、全員が一円の領収書まで公開しているものでありますから、これを率先してまずは公開されてはいかがか、そのことを再度御提案申し上げて、質問に入りたいと思います。

 本日の質問は、きょうのテーマであります安全保障にとって極めて大事なエネルギー政策、このことについて、先日、同僚の今井議員が質問をした再生可能エネルギー、この問題を中心にお聞きいたします。

 先日、総理は施政方針演説で、原発依存度を低減させていく方針は変わりません、あらゆる施策を総動員して、徹底した省エネルギーと、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいります、力強くそうおっしゃいました。

 この再生可能エネルギー最大限導入のために、再生可能エネルギー法が極めて大事だと思いますが、その認識で間違いありませんか。

宮沢国務大臣 再生可能エネルギーは、エネルギーの安全保障の強化や地球温暖化対策の観点から、重要な電源であります。

 一方、発電コストが相対的に高いという問題がありまして、再生可能エネルギー特別措置法に基づいて、固定価格買い取り制度により、投資回収にしっかりとした見通しを与えることで、その導入を積極的に推進してきております。そして、この結果、制度導入後二年余りで導入量は七割増加ということで、効果が大変あったと思います。

 ただ一方で、かなり偏った導入が進んでいるという問題点がございます。太陽光が圧倒的に多いということで、国民負担の上昇とか、また、電力系統の受け入れ能力といった問題が生じつつありまして、当初されなかった事態がいろいろ起こってきておりますので、必要な制度の見直しについて検討を行いつつ、その適切な運用を図ってまいります。

 ともかく、最大限の導入という目標については、一切変わりはございません。

    〔委員長退席、金田委員長代理着席〕

高井委員 総理のお考えをお聞きしたかったんですが、それでは、総理、一般論でよろしいんですが、ちょっとお聞きします。

 ある法律が告示、告示というのは、総理は御存じと思いますが、きょうはテレビを皆さんごらんになっていると思うのでちょっと御説明します。法律というのは国会が決めます。しかし、その法律で政府、行政府に委任されているのが、政令と省令と告示というものがあります。告示というのは最も軽微な、簡単な手続で決めることができる規則であります。この規則、告示で法の趣旨の根幹にかかわるような変更がもしなされたとしたら、それは、一般論で結構ですけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 もちろん、法律については国会で御審議をいただいていることでありまして、そして、成立した法律の基本的な考え方にのっとって、省令、政令、また告示を決めていくというふうに承知をしております。

高井委員 おっしゃるとおり、法律にのっとって、法律の趣旨の範囲内で行政府が、経済産業省が告示を決めるのは構いません。

 しかし、今、総理のお耳に入っているかわかりませんが、再生可能エネルギー法では、昨年末、経済産業省が決めた告示、これが大変大きな影響を与えています。再エネ事業者は、もうこれで我々は潰れてしまう、これは完全に再エネ法の趣旨を骨抜きにしたものだ、そういう指摘があります。

 ちょっと具体的に説明しますが、これまで、三十日ルールというのがありました。これは、電力会社が行う出力抑制が三十日を超える場合は、電力会社は再エネ事業者に対して補償する、つまり、もうエネルギーは要りませんよ、電力は要りませんよといったら、三十日を超えた分は補償してあげるんです。そのために、再エネ事業者というのは事業の見通しが立っていた。

 しかし、今回、この告示の改正によって、実は、指定電気事業者制度というのが設けられて、無制限、無補償というルールに変わりました。この変更によって、再エネ事業者は本当に不安定な立場に今立っています。

 事業計画が立ちませんから、金融機関は融資してくれません。実際に、北海道では既に先行してやっていますけれども、この制度ができてから、某大手三大メガバンクの一つは一個も融資をしていない。融資寸前まで審査が行っているのに、この制度では、もう全然、再エネ事業者は潰れちゃうかもしれないから融資できないよ、そういうことが起こっているんです。

 それで、なぜこれが起こるかというと、ちょっとパネルをごらんください。

 接続可能量というのを決めるんですが、これが、経済産業省の総合資源エネルギー調査会の系統ワーキンググループというところで決めている数字です。これを見てください。全ての原発が再稼働を前提にしています。大間とか島根三号機、こういった、まだ動いていないものまで稼働する。それからもう一つ、四十年廃炉という原則を全く見込んでいません。新増設、リプレースをすることを前提とした数字です。

 政府としては、安全性が確認されていない原発の再稼働とか、それから、四十年を超える原発のリプレースは決めていないと承知していますが、決めていない数字がなぜ算定に含まれているんですか。

宮沢国務大臣 まず一点、告示でというお話がありましたけれども、基本的に、再生可能エネルギー特別措置法に、接続を拒否できるということについて、経産省令で定める、こういうことが書いてありまして、それに基づいて省令を定めているということであります。

 今の御質問でございますけれども、委員御承知のとおり、固定価格買い取り制度というのは、基本的に、二十年間という大変長い期間を同一価格で支払いを保証する、こういう制度でございます。一方で、今おっしゃった、例えば再稼働とかというようなことを入れている、また、四十年から延ばすことも前提に入っているのではないかというような御質問だと思います。

 要するに、現時点で、考えられる発電量がどれだけ出てくるかということはやはり想定をしておかないと、一方で、では、再稼働が実際に行われたということになりますと、お約束した接続を今度また切らなきゃいけないという問題が生じてまいるというようなこともありまして、こういう前提で計算をしております。

高井委員 ちょっと今の説明では納得できないんですが、実はもう一つこの制度の問題点があるので、それも御指摘した上で、改めてお聞きしたいと思います。

 もう一つは、地域間系統連系という仕組みがあります。これは、電力会社間で電力を融通し合うという仕組みなんです。しかし、今回の告示では、このことも全く考慮されていない。

 これは実は、環境省が非公式に業者に委託をした試算だと。環境省は非公式非公式と言い張るんですけれども、実は自民党の部会では説明をされていて、もう自民党のある議員の方はホームページにまでアップをされているので、再エネ事業者はみんな持っている資料ですから、きょうはもうアップさせていただきました。

 この資料を見ていただきますと、今回の経済産業省、上が、系統ワーキングと書いてあるのが経済産業省です。それから、下に書いてある本検討会というのは、環境省の委託した検討会。その数字を比較すると、全然、下の数字の方が容量が大きいですよね。つまり、まだまだ容量は足りているということなんです。

 なぜそうなるかというと、この東北と東京を見てください。東北電力と東京電力は接続していますから、融通できるんですよ。できるにもかかわらず、経済産業省のワーキングの資料では、それをぶつ切りにして、この系統連系を全く考慮していません。

 これは明らかに環境省の数字の方が現実的だと私は思いますが、環境大臣、いかがですか。

望月国務大臣 まず、その資料の話でございますけれども、この資料は、環境省として見解を示すものではありません。この試算は、委託先、三菱総合研究所でありますけれども、さまざまな前提を置いて、仮定を置いて試算したものであります。ですから、この間も若干お話をさせていただきましたが、試行錯誤の未熟成なものである。完成したものではありません。それがどういう形で出ていったのか。

 だから、我々が一番心配するのは、前回もお話をしたんですけれども、ではなぜ出さないのかということなんですけれども、これはそういった会社の中でやっていることであって、これがひとり歩きをすると、我々が出してこれを目標にしているんだということを今言われては、非常に、まだそこまでいっていないということでございます。

 いずれにせよ、委託先からの報告内容の参考資料の一つにして、環境省として、再生エネルギーの最大限の導入に向けては、ほかの省庁、関係省庁とも連絡をとってやっていくということでございまして、この数字についてそういったことで今のように決めつけられると、非常に困ったなということでございます。

 そして、自民党でそういう資料が出たと。これは、会社の方で概要というもので、そういった全ての数字が出ておりません。ですから、皆さんのところでそういう資料がということでありましたので、会社がそういったものを、今こういうことになっているということをお知らせに行ったということは聞いておりますが、環境省としては、まだこのことを、まとまって、こういう形でありますというものは一切出しておりません。

 もちろん、それがまとまれば、我々は毎回必ず出すんです、そういった数字を必ず出させていただく、そういうことになっております。

高井委員 まあ、そういう御回答は予想していたんですが、ここで私は別に閣内不一致だとかそういうことを問いたいわけじゃありません。別に、環境省がこれをオーソライズした数字かどうかということよりも、大事なことは、こういう前提を置いたらこういう数字が出てくる、これは現実にあるわけです。明らかに私は、非公式なものなのでしょうけれども、三菱総研が出した数値なのでしょうけれども、原発の再稼働の問題や地域間系統連系のことを織り込めば、より現実に実態を踏まえた数字はこちらの方だということが言えると思います。

 そして、これは、経済産業大臣には、やはりこの経済産業省の数値というのは、基本的には、電力会社が申告してきた、電力会社はこれだけの量しか受け入れられませんよという数字をそのまま受け入れている数字だというふうに見られてもしようがないと思います。今、現時点で安全基準をクリアできているかどうかもわからない原発が動く前提、そして四十年の耐用年数を超えて稼働する、そういう前提とした数字ですから、その数字を私は見直すべきではないかと考えますが、そのことをお聞きしたい。

 もう一つ同時に、関連しますが、先ほどの地域間系統連系という仕組みをしっかりルール化する、ルール化されていないからなかなか数値に盛り込みづらいということかもしれませんので、ぜひそれをルール化する、出力抑制を行うに当たってルール化するという、この二点、ちょっとお聞きしたいと思います。

    〔金田委員長代理退席、委員長着席〕

宮沢国務大臣 接続可能量につきましては、委員おっしゃるように、これがまず第一弾ということでございますので、定期的に検証を行って、需要や電源構成の変化を当然反映させていかなければいけないと思っております。

 そして、今接続連系についてもお話がございましたけれども、接続連系につきましては、今の系統ワーキングの前提は、現行の各電力会社間のルールを前提にしておりますけれども、今後、この四月から、例えば広域的運営推進機関が設立されますので、そういう中におきましてもしっかり検討していっていただかなければいけませんし、その中で、例えば三十分ごとの断面できめ細かく運用容量を決めるとか、そういうこともやっていかなければいけないと思っておりますので、定期的に見直していきたいと思っております。

高井委員 定期的に見直していただけるという御答弁だったんですが、その定期的というのはどのくらいなのかということと、もう一つあわせて、関連するんですが、数値を見直したときに、今指定電気事業者になっている電力会社が七社あります、東京と中部と関西電力を除いた地方の七社。この七社が今指定されたままで、仮にその数値が下回ったときには指定電気事業者から離れないと、つまり、解除されないと再エネ事業者は不安定な地位のままなんですが、解除という規定が今の省令か告示にはないですね、解除とか取り消し。これをやはり規定する必要があると思うんです。

 先ほどの、何カ月で見直すのかということと、解除の規定を設ける予定はないかという御質問をいたします。

宮沢国務大臣 以前もこの委員会でたしか答弁したと思いますけれども、一年程度で見直していく。固定価格買い取り制度の価格も一年でございますから、一年程度でやはり見直していくのが適当かなというふうに思っております。

 そして、解除につきましては、なかなかテレビを見られている方も指定電気事業者制度というのはよくわからないと思うんですが、現行制度では、年間三十日などの上限を超えて出力制御を行わなければ再生可能エネルギーの追加的な受け入れができなくなると見込まれる電気事業者を指定電気事業者として指定することとしておりまして、昨年十二月に北海道電力に加えて六電力会社を追加指定いたしました。

 そして、指定の解除についてでありますけれども、上限を超えて出力制御を行わなければ再生可能エネルギーの追加的な受け入れができなくなると見込まれるという指定の要件が解消されたと明らかに認める場合には、論理的には指定の解除ということがあり得ると現行でも思っております。

高井委員 ありがとうございます。

 それは重要な答弁で、解除ができる、あり得るということですね。それは、ぜひ要件を満たすことをしっかり見ていただいて。

 私は、やはり一年というのは長いと。先日、馬淵委員の質問に答えられたのは私も承知しているんですが、では、一年間、今の再生事業者は融資を受けられない可能性があるんです。

 実は、この後、石破大臣にお聞きしたいんですが、まさに今回の制度で一番被害を受けるのは地方なんですよ。先ほど言ったように、もう今、再エネ事業者というのは、北海道、東北、九州、そういった小規模な事業者が頑張って、私の地元岡山も晴れの国なのでいっぱいいます。そういった方々が、お金が調達できる大手の事業者はいいですけれども、何とか頑張ってお金を調達して、そして土地も探して、そしてさあこれから始めようといったときに銀行から融資を断られる、そういう事態が本当に起こっています。

 これはぜひ、私は、三十日ルールから一挙に無制限、無補償というルールはやはりおかしい、経営が余りにも不安定になって、本当に地方経済に対して大きな影響を及ぼすおそれがあると思っています。全国知事会からも要望が出ていまして、接続保留問題の解決についての知事からの要請文が昨年末に出ています。

 こういった地方経済、地方創生ということを進めていく上でも大変問題があると思いますが、石破大臣、見解をお聞かせください。

石破国務大臣 委員の御指摘は確かに当たっている面が多々ございまして、委員の選挙区かと存じますが、真庭市の取り組みというのは、私どもも非常に注目もし、全国的に広げていかねばならないと思っております。それは、晴れの国岡山ですから、太陽光のみならず真庭のバイオマスの取り組みというのは私どもとして高く、評価という言い方は上から目線で余り好きじゃないんですが、考えさせていただいているところでございます。

 したがいまして、私どもとして、地方創生を考えますときに、総合戦略の中にわざわざこの再生可能エネルギーというものを入れさせていただきました。また、これからつくっていただきます各地の総合戦略におきましても、KPI等々にこの設定もお願いしてもよいなというふうに思っておるところでございます。

 地方の事業者の方々が経営というものがきちんとできていきますように、政府として、いかにして原子力の比率を下げるか、再生可能エネルギーの比率を上げるかということは、これは共通した取り組みでございますので、円が高いといっては国が潰れると言い、円が安いといっては国が潰れると言い、どっちが本当だという話ですが、食料にしてもエネルギーにしても、国家が生存していく上に必要なものを金さえ出せば海外から買える、あるいは原子力というものに過度に依存するということがあってはならないのはそのとおりでございます。

 よく関係省庁と御相談して、地方創生という観点からも取り組んでまいります。

高井委員 まだまだ大臣の耳には入ってきていないかもしれませんけれども、制度が始まったばかりですから、恐らくこれから本当に地方の再エネ事業者からの悲鳴が上がってくると思いますので、ぜひそこは御検討いただきたい。

 最後に、総理に今までの話を聞いていただいて、やはり総理も地方創生、そして、きょう、私は総務委員でもあります、高市総務大臣はローカルアベノミクスだということを強調されていました。

 そういった地方経済にとっても、この経済産業省の告示、そういった場で決めたことが物すごく大きな影響を与えているということでありますので、ぜひここは経済産業省に、大臣にも頑張っていただきたいんですが、やはり私は経済産業省という、私も役人出身なんですが、資源エネルギー庁という組織は、電力・ガス事業部というところが原発の推進というか電力会社の推進をし、そして一方で、すぐその隣に新エネ・省エネ部というのがある。ここは、やはりある意味、癒着と言うと言葉はあれですけれども、たまたま今、部長は同期の方がやっておられます。

 でも、どちらかというと、新エネ・省エネ部が電力・ガス事業部に遠慮をしているのではないか。省エネ、再エネを本気でやろうと思っても、やはり隣の部の顔色を見ると、あるいは電力会社の顔色を見るとどうしても本気になれない、そういう構造的な仕組みが、現場の経済産業省の職員の皆さんは本当に優秀で頑張っているんですけれども、やはりそういう仕組みにも問題があるんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひ総理にリーダーシップを発揮していただいて、この問題について解決をしていただきたいと思うんですが、総理の御見解をお願いします。

安倍内閣総理大臣 確かに、高井委員がおっしゃったように、地域の事業者の方々、特に、小さな事業者の方々にとっては、資金を確保していく上においても重大な課題に直面しているだろうという今の委員の指摘について、ああ、そういうことが起こっているんだなということも私も理解させていただいたところでございます。

 同時に、エネルギーにつきましては、バランスも大切であろう、このようにも考えるわけでございまして、今般の接続保留問題に対する対応措置は、電力会社が停電を起こすことなく、そして、これからも再生エネルギーをしっかりと受け入れていくために講じたものであるということは、もちろん御理解をいただいているんだろうと思いますが、現行の固定価格買い取り制度のもとでは、再生可能エネルギーの中でも太陽光が非常に中心になってしまったという課題もあるわけでありまして、結果として、国民負担の上昇の懸念や、電力系統の受け入れ能力を超えることによって電力の安定供給に支障が生ずるおそれ等の課題が生じている。必要な制度の見直しについての検討も行いつつ、適切な運用を行っていきたい。

 今後も、さまざまな課題を克服して、再生可能エネルギーをしっかりと生かしていくというのは新たな試みでありますから、当然、進めていく中において新しい課題が発生してくるわけでございまして、そうした課題を克服して、再生可能エネルギーを最大限導入すべく全力を挙げてまいりたい、このように考えております。

高井委員 総理あるいは宮沢大臣がおっしゃるように、バランスをとることも大事で、この制度の難しいところではあるんですけれども、しかし、今のこの数字は、やはり電力会社の言うがままというか、私は、申告どおりにしているんじゃないかなと。そのいい例が、環境省の非公式、環境省と言ってほしくなければ三菱総研の数字があるわけですから、やはりこういう数字をぜひ参考にしていただいて、そして、まさに再エネ事業者が潰れることのないような、そういう措置をお願いしたいと思います。

 それでは、最後にもう一問、もうほとんど時間がないんですが、個人情報保護法改正についてお尋ねいたします。

 私はITを専門で一生懸命やっているんですけれども、ビッグデータの利活用にとって、今回の個人情報保護法改正は重要な改正なんですが、グレーゾーン、個人情報の定義が拡大して、ビッグデータ、パーソナルデータの利活用に非常に支障が生じるんじゃないか、そういう意見がございますので、ぜひ山口大臣にそのあたりしっかり、これから政令をつくるときに関係事業者の意見を聞いていただきたいということをお願いしたいと思います。

大島委員長 山口大臣、時間が来ておりますから、簡にして明なる答弁を。

山口国務大臣 委員御指摘のとおりだと思いますので、しっかり意見を聞き、また国会の議論も踏まえて、政令等を頑張っていきたいと思います。

大島委員長 これにて松野君、下地君、高井君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 私は、一月の二十七日の本会議において、圧倒的県民の民意に背いての沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設強行は断じて許されないと質問しました。きょうは、角度を変えて、名護市辺野古の米軍新基地建設における、一時的な訓練ではなく部隊の配置を伴う米軍と自衛隊の恒常的共同使用の問題について質問したいと思います。

 まず、中谷防衛大臣にお聞きします。

 二〇一三年七月十六日の記者会見で、当時の小野寺防衛大臣は、一部報道で、防衛省が陸上自衛隊の拠点を辺野古の新基地の中に設ける検討を始めたと報じられたことに対して、「キャンプ・シュワブにおいての陸上自衛隊の施設の共同使用について、検討しているという事実はございません。」と答えています。これは間違いありませんか。

 そしてまた、防衛省ではこれまで辺野古の新基地を米軍と陸上自衛隊が共同使用することを検討した事実はないのか、このことについてお聞きします。

中谷国務大臣 小野寺大臣からその後また引き継ぎも受けておりますけれども、現在のところ、そのようなことを伺っておりませんし、また承知をしておりません。

穀田委員 そういう事実はないと否定されるわけですけれども、このときの記者会見で、記者は、陸上自衛隊の「米軍施設、代替施設での共同使用というのは今後進めていくべきことだという考えでしょうか。」こういう質問をさらにしているんですね。これに対して、小野寺防衛大臣は、「今後の防衛大綱の議論の中で、議論はされていく」と答えています。

 防衛大綱というのは、安倍内閣が二〇一三年十二月に作成したものであります。実際にこの防衛大綱を見ますと、「南西地域において」「米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進める」、このことが盛り込まれているわけですね。

 だから、この「米軍施設・区域の自衛隊による共同使用」というのは辺野古の新基地も対象に含まれているんじゃないか、誰しもそう思うんですが、いかがですか。

中谷国務大臣 その件につきましては、二〇一三年の十月に行われた2プラス2で、南西諸島の自衛隊の態勢強化のために、共同使用作業部会の取り組みについて合意をしたわけでございますが、現時点においてこの具体的な内容、検討については、固まっておらず、今後、日米間における検討が完了した時点で対外的に説明をしていく考えでございます。

穀田委員 今防衛大臣は、2プラス2の話が出ましたから。

 そうしますと、今私が述べた防衛大綱が策定された数カ月前にこれは行われているわけですよね。そのときに、今お話があった、十月三日ですか、その2プラス2の共同発表には「施設の共同使用」という項目があると思うんですが、外務大臣、その中身を言ってください。

岸田国務大臣 施設の共同使用につきましては、御指摘の二〇一三年十月の2プラス2に先立って、二〇一〇年の2プラス2において共同使用を拡大する機会の検討について言及されたことなどを踏まえて、日米共同使用作業部会等において実務的な検討を行っております。

 そして、その上で、御指摘の二〇一三年十月の2プラス2の共同発表におきまして、「日本の南西諸島を含む地域における自衛隊の態勢を強化するため、閣僚は、共同使用に関する作業部会の取組を歓迎した。」という次第であります。

 今防衛大臣からもありましたが、この検討は今現在も続いております。地元との関係を踏まえた上で防衛協力を拡大していく、こういった観点から検討が続いていると承知をしています。

穀田委員 だから、その一〇年に行われた2プラス2でもそういう話があったというのは私も知っております。

 問題は、今外務大臣が述べられた、答弁された、「日本の南西諸島を含む地域における自衛隊の態勢を強化するため、閣僚は、共同使用に関する作業部会の取組を歓迎した。」こうありますよね。そうすると、作業中、要するに検討しています、こうくるわけですけれども、日米両国で「作業部会の取組」と明記しているわけだから、どういうメンバーで、一体何を検討しているのかということについてお述べください。

岸田国務大臣 日米共同使用の作業部会ですが、米軍及び自衛隊施設への両国によるアクセス拡張を通じて、両国の緊密な運用調整、同盟の能力向上、そして相互運用性、効率性促進及び地元との強固な関係の構築等について確認を行うことを目的として、ミニSSC、審議官級の会議のもとに設置され、政策担当者、課長級による協議体とされています。これを、二〇一一年以降、作業をこういった形で行っているという次第です。

穀田委員 そうすると、審議官級のもとに課長級の議論がされているということで、何をやっているかというと、先ほど両国の運用が云々という話がありましたけれども、一般論はそういうことなんでしょう。

 問題は、私が聞いているのは、施設の恒常的な共同使用という問題について、どんな議論をしているのかということを聞いているんです。

岸田国務大臣 検討は今現在も続いております。

 そして、詳細については、まだ部会としての結論が出たわけでもありませんので控えなければなりませんが、先ほど申し上げましたように、地元との関係も踏まえた上で防衛協力を拡大していく、こういった観点での議論が続いていると承知をしております。

穀田委員 もう一度確認しますが、続いている、そして地元との関係もある、ただ、いずれにしても、拡大していくという方向については間違いない、これはそういうことですな。

 もう一度聞きますけれども、作業部会のメンバーというのは両方とも課長級だということですか。それだけもう一遍確認します。

岸田国務大臣 ミニSSC、審議官級のもとに設置された政策担当者、課長級による協議体でございます。

穀田委員 中身の問題は検討中、それから今も続いているということで、概要的な、こんな枠をやっているんだという議論はいつも出るんですよ。そこまでは言うんですよ。

 ただ、私が言っているのは、恒常的な共同利用、しかも、その対象を含めていろいろ具体的に議論されているんじゃないかということを質問しているわけですよね。だから、この中身の問題がはっきりすることができないというのはどうもおかしな話だと私は思うんですよね。

 そこで、もう少し突っ込んで聞きたいと思うんですね。

 ここに、防衛省の統合幕僚監部防衛計画部の二〇一二年七月付の資料があります。「沖縄本島における恒常的な共同使用にかかわる新たな陸上部隊の配置」という資料で、これは「取扱厳重注意」ということが付されています。

 この資料には、こんな形で、「沖縄本島における共同使用の必要性」という項目が書かれていまして、そこには、「本地域の主力戦闘部隊は、沖縄本島に所在する第一五旅団の第五一普通科連隊(約七百名)のみであり、事態にシームレスに対応するためには、先島諸島に一個連隊規模、沖縄本島に一個連隊規模の平素配備部隊に加え、尖閣や先島にて事態が生起した場合に、緊急展開し初動対処部隊として増援ができる最低一個連隊規模の勢力が必要」、こう書いてあります。要するに、沖縄を中心とする南西地域で、沖縄本島、先島諸島にそれぞれ部隊を配置すると書いてあるわけですよね、この中身は。

 だから、このような検討をしているのではないかということなんですが、いかがですか。

中谷国務大臣 いずれも、防衛計画の大綱、また中期防等に基づいていろいろな検討はいたしておりますが、大綱にも書かれておりますが、南西諸島の約千の島嶼を初めとして六千八百の島嶼を抱える我が国の防衛にとって、この島嶼防衛態勢の充実というのは極めて重要な課題である。

 こうした中で、中期防に基づく南西地域における警備部隊の配置については、平成二十五年度予算で、沖縄県の先島諸島及び鹿児島県の奄美群島の有人島を中心に調査業務を実施するとともに、自後、具体的な候補地の選定のための現地調査を行って、総合的に検討を進めているところでございます。

穀田委員 その調査をしているという話は、後でもう一遍聞きますよ。

 私が言っているのは、今大臣がおっしゃった、島嶼がどれだけあるかとか、それから世界で六番目のあれだとかといって、広大な地域だからという話は、それは前文に書いているんですよ。それはわかっていますよ。問題は、ここで言っている、いわば配置する、沖縄本島、先島諸島にそれぞれ部隊を配置するという検討をしているのかどうかということを聞いているわけですよね。

 これは、実は、いろいろなことがあるからといった話では済まされない問題なんですね。

 調べてみると、二〇一一年の十一月十五日、参議院予算委員会で当時の一川大臣は答弁していまして、「米軍と自衛隊が沖縄の施設なりを共同的に使用する、共同的に管理するというようなことについては、明確な方針はまだ何も出してはおりませんけれども、」こう言って、そういうことを日米間で一つの方向性を出してはどうかということで「作業部会的なものを昨年の暮れからスタートさせている」として、やはり共同使用を検討しているということを答弁しているんですよね。

 だから、南西地域における共同使用について過去継続的に検討されてきたこと、具体的に私が言っているこういう問題がされているのは事実と違うのかということを聞いているわけですね。

 その上に立ってさらに見ますと、続いた資料がまたありまして、ここには「沖縄本島における恒常的な共同使用の構想」というふうに書いていまして、見てのとおり、沖縄本島の地図の上に、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、嘉手納弾薬庫をこのように赤く塗りまして、共同使用の対象としていることを一目でわかるようにしているわけです。

 この文書には、在沖米軍の主力部隊である31MEU、すなわち第三一海兵遠征部隊との連携を重視するとして、キャンプ・シュワブに普通科中隊を、キャンプ・ハンセンに普通科連隊等を配置する案が明記されているんですよ。

 さらに、「兵站施設については」とまで書いてあって、嘉手納弾薬庫、キャンプ・ハンセンを共同使用することによって兵たん基盤を強化する、ここまで書いてあるわけですね。

 だから、防衛省では、いろいろ検討しているという話を聞いているんじゃないんですよ、辺野古の新基地で米軍と陸上自衛隊との共同使用を検討している、ないしは検討していた事実があるんじゃないかということを聞いているわけです。

中谷国務大臣 その前提で、まず、二〇〇六年の五月に、日米ロードマップにおいて、陸上自衛隊の訓練に使用されるために、このキャンプ・ハンセンにおいて訓練使用ということが記載をされていることを踏まえまして、地元の理解を得て、二〇〇八年の三月から陸上自衛隊による訓練が行われてまいりました。

 その他の施設については、現時点において具体的な共同使用のあり方が決まっているものではございませんが、防衛省といたしましては、防衛計画の大綱、また、中期防に基づいてさまざまな検討は実施しているところでございます。

穀田委員 さまざまな検討、いろいろな検討、こうくるわけですけれども、今あった、例えばロードマップの関係でいいますと、それは陸上自衛隊との共同使用が行われているんですけれども、それは確かに、二〇〇六年の五月の米軍再編ロードマップ、麻生さんが当時外務大臣のときでしたけれども、そのキャンプ・ハンセンについて、陸上自衛隊の訓練に使用されると明記されたことを受けて、二〇〇七年度に始まった訓練のことなんですよ。訓練の話なんです、それは。

 私が聞いているのは、この資料にある共同使用というのは、恒常的な共同使用、すなわち常駐のことなんですね。だから、それを聞いているわけですやんか。それを、いろいろだの、さまざまだなんて、前の話へ戻したりして、どうなんだという話を県民の前に明らかにすべきじゃないかという立場で聞いているわけですよ。これは本当にけしからぬと私は思うんですね。

 さらに、この統合幕僚監部防衛計画部の資料の、さらにまだあるんですね、「南西地域における新たな陸上部隊の配置の考え方」、これですよ。これを見ますと、この表題のページには海上の地図を載せているわけですよ。そして、「米軍来援前の平素」と書いて、「グレーゾーンを中心に、南西地域へ緊急展開又は島嶼を奪回」、奪い戻すということまで、極めて具体的に書いているんですよね。

 先ほど防衛大臣がおっしゃったように、そういう中に、実はここに地図があるんですけれども、宮古と石垣、そのところを中心にして、そこに初動対処の新編、新編というのは新しく編成したというわけですけれども、部隊を配置するとまで書いているんですよ。

 だから、先ほどおっしゃったように、来年度予算には、石垣島や宮古島の現地調査費として、確かに二千万円計上していますよ。それは先ほどもおっしゃっていましたよ。どこで何の調査をやろうとしているのか。実は、これは自衛隊の初動対処の部隊配置計画の具体化じゃないのかと。では、そこはどうなんですか。

中谷国務大臣 自衛隊の任務というのは、我が国の領土、領海、領空を防衛するということでございまして、防衛計画の大綱に従ってその手段を検討はしているわけでありまして、お示しをいただきました先島における部隊の配置、これにつきましては、現時点の検討状況を踏まえて、まず、平成二十七年度の予算案におきまして、防衛省職員による現地調査費用として約二千万を計上しておりまして、その他の地域等におきましても、その可能性等は検討している段階でございます。

穀田委員 語るに落ちると言っては悪いんだけれども、つまり、では、こういうことをやっているんだということをお認めになるわけですね。つまり、先島の関係を言っているわけだけれども。聞いてください、こっちを見て。そういうことを検討しているんだなと。では、言ってください。

中谷国務大臣 まず、御指摘の文書をきょう突然見せられましたので、いかなる文書かは承知できなくて、お答えはできませんが、いずれにせよ、代替施設における恒常的な共同使用というのは、まずは現時点においてはないということでございます。

穀田委員 現時点ではないと。そういうふうにおっしゃいますけれども、どうも、さっきから文書を何回も出していたわけで、今ごろになって、最後の方になって、どこかのわからぬ文書と。それはお互いに認めておった話で、全然、後ろからアドバイスを受けて、その程度で反論しているようでは本当に困るんですよね。

 そこで、ではもう一つ聞きましょう。

 これもまた新しい文書だと言うのかもしれませんけれども、突然のといったって、これは、私が言っているのは、いわば南西諸島におけるそういう新しい共同の動きがあるのではないのかということを質問すると言っているわけですし、それをずっとしゃべってきているわけですからね。

 もう一つ私は言いたいんですけれども、結局、やはり今言ったように、南西地域における島嶼部で初動を担任する警備部隊の配備先選定に向けての作業とまさしく符合するということは誰の目にも今や明らかだ。

 そこで、沖縄における共同使用の拡大を記述しているのは、この今述べた統合幕僚監部の資料だけではありません。二〇一二年七月のもう一つの資料を出しましょう。

 防衛省防衛政策局日米防衛協力課の資料、これですけれども、これは、これまた「取扱厳重注意」と書かれているんですけれども、「沖縄における共同使用の拡大案」との表題のページには、これまた沖縄本島の地図の上に、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、これを、陸自の普通科連隊等の配置など、「共同使用の拡大を検討」と明記されているわけですね。

 これら防衛省の二つの資料からも、辺野古米軍新基地における陸上自衛隊の恒常的な共同使用を日米で具体的に現在検討しているんじゃないのか。ばくっと、いろいろとかさまざまと言っているんじゃないんですよ。キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、そういうことを含めて、具体的に検討しているんじゃないのか、二つの資料、あるじゃないかと言っているんです。いかがですか。

中谷国務大臣 二枚目の資料も今見せられたわけでございますので、いかなる文書であるかは承知しておりません。

 いずれにせよ、代替施設における恒常的な共同使用というのは考えておりません。

穀田委員 今初めて見たとか突然に指摘されたとか、そんな話じゃないんですよ。これは、ずっと続いている防衛の流れの中で、二〇一二年に出された資料なんです。ということは、知らないということは、逆に言うと、それを見てんと仕事をしているのかと言わざるを得なくなりまっせ。これはおかしな話ですやんか。共同使用という新たな問題についてのポイントについて防衛大臣が知らない。そんなことがあってたまりますかいな。

 では、逆に、総理大臣に聞きましょう。辺野古の新基地、陸上自衛隊の恒常的な共同使用について報告を受けておられるんですか。どのように承知していますか。

安倍内閣総理大臣 もちろん報告も受けておりませんし、全く考えておりません。

穀田委員 報告も受けていないし、考えてもいないと。しかし、大臣の話では、いろいろ、さまざま検討していると。そして、具体的には、先島諸島の問題についても、その調査費がつけられて、動きがある。しかも、この文書について言うならば、ずっと書かれているということだと思うんですよね。ですから、これは全く私は大事なことだと思うんですね。

 沖縄のメディアは、こういう問題に対して、やはり、「政府は地元に説明していない。普天間代替施設をめぐる全容はいまだに判然としないのが実情だ。」と指摘しているわけですね。つまり、このようなことをやっている、検討していて、何をやっているのかわからないということが多くの方々の、メディアも含めた指摘なんですよね。

 それで、先ほど言いましたように、「島しょ防衛のため自衛隊の活動拠点を新たに確保するとともに、」「日米が共同使用できる基地を増やし、軍事面の一体化をさらに進めるのが主眼だ。」こうも指摘しているんですね。私は、このとおりじゃないかと思うんです。

 総理は、この間、辺野古の新基地建設で沖縄の負担が軽減されるかのような主張と、県民に丁寧な説明をと何回も言っています。ところが、検討していないと。今、さまざま、いろいろとは言うんだけれども、具体的にこういったことを指摘しているのに対して、それは検討していない、聞いてもいない、見たこともないと。これでよく務まるなとは思うけれども。

 私は、ロードマップでも明らかにされていない、それから、米軍に加えて自衛隊も恒常的に共同使用することまで秘密裏に検討して軍事的な一体化を進める、このことを指摘されても知らないと逃げる、こんなことが許されるのかと思います。

 今まで隠されていた米軍と陸上自衛隊の恒常的な基地共同使用について、今お示ししたように、具体的な資料を出しているわけですよね。それも示したにもかかわらず、疑問に答えようとしないし、明らかにしようとしない。これで何が丁寧な説明とか理解を得る努力とか言えるのかと思うんです。

 一方、これから赤嶺議員が質問しますけれども、県民の反対の声を全く無視して基地建設を強行する、こんな強硬な政治は、国民的な反対運動の発展の前に早晩破綻するであろうということを指摘して、終わります。

大島委員長 この際、赤嶺政賢君から関連質疑の申し出があります。穀田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、二月二十二日の、名護市辺野古への新基地建設に反対して米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議活動を行っていた山城博治さんら二人の県民が、米軍の警備員によって身柄を拘束された問題について、ただしていきたいと思います。

 米軍基地内に正当な理由なく立ち入ったというのがその理由であります。同日午後、二人の身柄は県警に引き渡され、翌二十三日、那覇地検に送致され、その日の夜に二人は釈放されました。

 まず、警察庁に伺いますが、事案の概要と経緯について、具体的な時刻も含めて説明していただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御質問の事件は、平成二十七年二月二十二日午前九時三分ごろ、日本人の男性二名が正当な理由がないのに米軍キャンプ・シュワブのメーンゲートから基地内に侵入したものであり、午前九時五分ごろ及び六分ごろ、米軍当局が男性二名の身柄をそれぞれ確保しました。

 その後、午前九時三十分ごろ、米軍当局から沖縄県警に身柄を拘束した旨の通知がなされ、午後一時十三分、沖縄県警がその者の引き渡しを受け、同時刻、刑事特別法に基づき緊急逮捕いたしました。沖縄県警は、逮捕後、刑事特別法に基づき、午後五時ごろ、逮捕状を請求し、午後八時三十分ごろ、裁判官から両名の逮捕状が発付されました。逮捕した被疑者二名は、翌二十三日午後三時ごろ、沖縄県警が那覇地方検察庁に送致しました。

 なお、同日午後八時ごろ、釈放されたということを承知しております。

赤嶺委員 法務省に伺います。

 今の答弁の中で、刑事特別法という法律の名前が出てまいりました。これはどういう法律か説明していただけますか。

上川国務大臣 ただいま委員御指摘の刑事特別法についてでございますけれども、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の発効に伴いまして、日本国内及びその付近に配備されますアメリカ合衆国の軍隊に関しまして、刑事上の実体法及び手続法について特別の規定を設ける必要があるということで、昭和二十七年に制定されたものでございます。

 そこで、刑事特別法の概要でございますけれども、第一章におきまして総則が規定されております。そして、第二章におきましては、既存の法令によってはその法益を保護することができない行為についての刑罰規定を設けているところでございます。そして、第三章におきまして刑事手続の特別規定をそれぞれ定めているというものでございます。

赤嶺委員 つまり、日本がアメリカに占領されていたその当時、駐留米軍が持っていた権利、権限を、サンフランシスコ講和条約締結後、その後も引き続き保障するためにつくられた法律ということであります。

 基地への侵入、この問題は、刑特法第二条に述べられておりますが、正当な理由なく、米軍の施設・区域で立ち入ることを禁じられた場所に入ることなどを処罰する規定ですが、この規定の対象となるのは故意によるものだけであって、過失は対象にならないというのが法務省の解釈だと思いますが、その点はよろしいでしょうか。

上川国務大臣 ただいま委員御指摘の刑事特別法の第二条のことでございますけれども、この条文の中で書き込んでありますのは、故意犯を処罰する規定であるということでございまして、過失犯につきましては処罰はされないというものでございます。

赤嶺委員 問題は、二十二日の当日、現場で何があったのかということであります。

 当日は、午後一時から、キャンプ・シュワブゲート前で、国会議員や県会議員、県内各団体の主催で大規模な集会が予定をされておりました。私もその集会に参加するために辺野古に向かっていました。

 山城さんたちが拘束されたという連絡を受け、急遽ゲート前に向かったわけですが、現場にいた皆さんから拘束当時の状況を伺いました。

 当日は、朝から、いつものようにゲート前で抗議活動が行われており、そのときに、現場のリーダーである山城さんは、抗議活動の参加者が基地の中に立ち入ることがないように指示を出しているところだったというんですね。基地に入ろうとしていたのではなくて、その逆で、基地を背にして、下がろう、こういう呼びかけを参加者に行っているところでありました。その様子は、撮影されていた動画でも確認できます。

 ところが、そこにいきなり、後ろの方から米軍の警備員が駆け寄ってきて、山城さんを羽交い締めにして取り押さえ、両足を抱えて基地の中に引きずり込んだ、それをとめようとしたもう一人の男性も拘束されたというものであります。拘束したのは、米軍基地の従業員である日本人警備員でした。米軍の指揮のもとで基地を警備することを職務としています。

 その後、山城さんらは米兵に手錠をかけられ、県警に引き渡されるまで約四時間、基地内に拘束をされました。米軍からは拘束理由の説明さえありませんでした。

 総理に伺いますが、余りにも不当な米軍による身柄拘束ではありませんか。

安倍内閣総理大臣 本件は、平成二十七年二月二十二日午前、米軍キャンプ・シュワブの敷地内に日本人の男性二名が不法に侵入し、米軍側に身柄を確保されたもので、その後、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法に基づき、同日午後、沖縄県警が身柄の引き渡しを受け、逮捕したものと承知をしています。

 米軍は、日米地位協定に基づき、施設・区域の秩序や安全の維持を確保するための必要な措置をとることが認められており、その観点から、侵入者の身柄を確保することも認められていると承知をしております。

 これ以上の詳細につきましては、まさに現在捜査中であることから、コメントは控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、基本的に、現在、法と証拠に基づいて捜査が行われているもの、このように承知をしております。

赤嶺委員 逮捕された現場のリーダーである山城さんは、基地の中に入らないようにという指揮をとっている最中に身柄を拘束されたわけですね。

 現地での抗議活動や集会は、政府の基地建設に反対する多くの県民に支えられて行われているものです。何か特別な人の集まりということではなくて、普通の県民が、あの辺野古の新基地建設をとめなければということで、何かしたい、こういう気持ちで辺野古のキャンプ・シュワブゲート前に駆けつけております。行政と住民が協力して、送迎バスを出している自治体もあります。

 海外のメディアもその現場を取材しております。イギリスの経済誌エコノミストも、新基地建設問題を取り上げた記事の中で、極端な過激派はほとんどおらず、市民の中には元公務員や教員、大学教員らの姿もあると伝えています。

 沖縄では、キャンプ・シュワブゲート前での抗議集会はごく普通の光景であります。現地での集会もこれまでに何度も開かれてきました。

 そもそも、集会、結社の自由、表現の自由は憲法に保障された国民の権利であります。憲法に保障された抗議活動を米軍が直接出てきて監視し、参加者の身柄を拘束する、なぜそういうことが許されるんですか、総理。

安倍内閣総理大臣 この事案については先ほど述べたとおりでございますが、いずれにせよ、今御指摘があった、憲法が保障する表現の自由や集会、結社の自由を尊重すべきであることは言うまでもないわけであります。

 同時に、こうした行為は、法令を遵守する形で行われるべきものと考えております。

赤嶺委員 抗議活動は基地の中で行われていたわけではありません。参加者に対して基地の中に立ち入らないように制止していた山城さんを、基地と国道の境界である黄色い線を踏み越えたところを狙って、ここぞとばかりに拘束したものであります。どこにも故意という要件は成り立ちません。

 大規模な集会が開かれるのを前に、現場のリーダーを狙い撃ちにした不当逮捕だったのではありませんか。憲法に保障された抗議活動に対する不当な介入ではありませんか。いかがですか。

山谷国務大臣 米軍当局による身柄拘束に関しては、国家公安委員長としてお答えする立場にはございませんが、普天間飛行場代替移設工事の抗議行動に対しては、沖縄県警察において、個人の生命、身体、財産の保護と公共の安全と秩序の維持という警察の責務に照らして、必要な措置を講じているものと承知しております。

 今後も引き続き、沖縄県警察において、現場における関係者の安全等を確保するため、法令にのっとり、必要な警察措置を講じていくものと認識しております。

赤嶺委員 私が、こういう抗議活動に対する不当な介入ではないのか、このようにあえて指摘をしているのは、その前ぶれ、前兆があったからです。

 一月の上旬、アメリカの国防総省の高官が来日し、辺野古の現場を視察したことが報じられています。エステベス国防次官代理、バトー国防次官補らであります。在沖米軍幹部と抗議活動の排除に向けた対策を協議し、日本側にも協力を要請したと伝えられていますが、アメリカ側からどういう要請を受けたんですか。

岸田国務大臣 現場の抗議活動に関しまして、アメリカから何か要請を受けたかという御質問ですが、キャンプ・シュワブのゲート付近における抗議活動については、国道上に許可なくテントが設置されており、その一部が米軍施設・区域を侵害している状況にあります。本件については、米軍からも、当該テントの設置により、キャンプ・シュワブ内の安全が阻害されているとして、撤去の要請があったところです。

 この問題については、政府として、道路管理及び米軍施設・区域の管理の観点から適切に対応していく考えであり、沖縄総合事務局北部国道事務所及び沖縄防衛局から、当該テントの設置者に対し、撤去を行うよう指導や警告を実施していると承知をしております。

 このように、累次にわたり、米軍から施設・区域の安全に関する要請があったと承知をしております。

赤嶺委員 国防次官や国防次官補が来沖してキャンプ・シュワブを見るまでは、そのころもテントはありました、そのテントについて、これまで政府が撤去を強硬に求めることはありませんでした。ところが、今外務大臣がおっしゃったように、かなり強硬な撤去の行動を行っている。今、外務大臣は、テントの撤去について、米側からの要請があったということも認められました。

 別のゲートでは、基地との境界を示す黄色い線が引き直されました。少し奥まったところに当時の沖縄開発庁が設置した境界を示すくいがありましたが、その場所が突然間違っているということで、黄色い線が前の方に寄ってきたわけですね。

 これも米軍からの要請を受けたものだったのではありませんか。第三ゲートの点です。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生御指摘のラインの件でございますけれども、キャンプ・シュワブに隣接いたします辺野古弾薬庫地区におきまして、在沖縄の米海兵隊から沖縄防衛局に対しまして、警備上の観点から施設・区域の境界線を確認したいという旨の依頼がございました。

 これを受けまして、沖縄防衛局、沖縄総合事務局北部国道事務所及び在沖の米海兵隊の三者で現地を確認いたしましたところ、施設・区域の内側に国道の境界くいが設置されていることが確認された次第でございます。

 この境界くいにつきましては、誤った箇所に設置されているということで、今般、北部国道事務所におきまして撤去を行おうとしたものでありまして、また、在沖の米海兵隊におきましては、警備上の観点から、施設・区域内であることをラインで明示しようとしたものと承知しております。

赤嶺委員 これも米軍の要請があったと。その現場は、海上での工事がよく見える場所なんですね。抗議の皆さんも、そこに集まって抗議をしておりました。

 それだけではないんです。二月上旬には、抗議活動の最中に、米兵が基地内の建物から出てきて、拳銃を抜き、銃口を上に向けながらフェンス越しに歩くところが目撃をされました。発砲するのではないかと現場には危機感が走りました。政府は、そういう事実を把握しておりますか。

中谷国務大臣 御指摘の米兵の行動については、報道によって承知をしておりますが、防衛省としては、事実関係を承知していないために、お答えすることは困難でございます。

 また、米軍による活動の詳細につきましては、米側として運用上の理由から公にできないという立場も承知しておりますが、米軍が施設・区域内において警備活動を行うことや、所要の訓練を通じて施設・区域の管理、部隊の即応態勢を維持するということは、日米安全保障条約の目的達成のために不可欠なものと認識をいたしております。

赤嶺委員 中谷防衛大臣、報道で知っているんですから、報道には写真が出ていましたよね、銃口を上に向けているという。ああいうことを、県民が集まっているところから見える場所で、しかもそのときに大変怖かったと恐怖心を感じさせるようなものが、これが警備ですかね。基地の警備だったら何をやってもいいんですか。いかがですか。

中谷国務大臣 防衛省としましては、その事実関係を承知していないために、お答えすることは困難でございます。

赤嶺委員 新聞を見て、写真も見て、事実関係を確認していない、こんな政府がどこにありますか。自国民が大変恐怖心を抱いているんですよ。何で事実を確認しないんですか。

中谷国務大臣 米軍による活動の詳細につきましては、米側として運用上の理由から公にできないという立場であるものと私は承知しております。

赤嶺委員 全然納得できる答弁ではありませんが、山城さんらお二人が拘束された当時、現場の警備体制にも変化がありました。

 通常、現場では、日本の警察が前面に立って、その後方に米軍の警備員が控えております。ところが、その日は違ったんですね。米軍の警備員が前面に立っておりました。なぜ、その日に限って警察は前面に立たなかったんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 その時々の警備情勢に応じて、適切な体制で警備を実施しております。

赤嶺委員 その日は、午後からは県民集会もゲート前で開かれます。たくさんのバスで参加者もやってまいります。そういう日だからこそ安全の体制には気をつけるというのが、日本の警察の役割ではありませんか。

 それを、その日に限って米軍の軍警が前面に出てきていた、こういうことが、しかも、軍警が、軍の警備員が山城さんたちを後ろから捕まえて、両足を、本当に動物でも引っ張るかのように基地内に引きずり込んでいく。その様子を日本の警察は三台のカメラで撮影している場面も、動画で出ております。

 やはり今回の事件というのは、憲法に保障された抗議活動への不当な介入だったのではないかという疑念は深まるばかりであります。国家権力を使って、米軍新基地建設に反対するオール沖縄を押し潰そうとすることは、絶対に許されません。

 そもそも、日米地位協定の前身である日米行政協定は、先ほどもありましたように、一九五二年四月二十八日、サンフランシスコ講和条約、旧安保条約と同時に発効しました。

 アメリカは、サンフランシスコ講和条約第三条によって、沖縄、奄美、小笠原を本土から切り離し、米軍の直接占領下に置き続けました。同時に、日米安保条約によって、日本の主権回復後も米軍の駐留を認めさせました。その駐留米軍の特権を定めたのが日米行政協定でありました。

 その日米行政協定については、国会の承認は全く受けておりません。米軍基地内では米軍が必要な権利、権力、権能を有すると規定しておりました。その米軍基地への立ち入りなどを日本の警察に取り締まらせるためにつくらせたのが刑事特別法です。軍事優先の法律であります。

 きょう、一連の経過を聞いていても、米軍から指図をされ、そして米軍がやるがまま、日本国民の安全についても知らぬふり、その警察の対応にも業を煮やした米軍が、今度は直接抗議活動のリーダーの拘束に乗り出してきた、そういうことではないでしょうか。

 私、こういう、米軍が前面に出てきて、それから県民の抗議集会にもいろいろな干渉、抑圧が強まっているときだからこそ、ちょっと思い出したことがあります。

 おわかりかどうか。一九六〇年代のことですが、米軍占領下の沖縄で昆布土地闘争という闘いがありました。総理は、昆布の土地闘争ということで、どこかでお聞きになったことはありますか。あるかないかだけです。

安倍内閣総理大臣 恐縮でございますが、昆布土地闘争、私は寡聞にして存じ上げません。

赤嶺委員 ホンブと聞こえたなら申しわけありませんが、昆布ですね。

 今、うるま市の昆布、ここは、嘉手納基地の爆音に苦しめられている地域でもあります。

 一九六五年に、当時は具志川村、今はうるま市ですが、昆布という地域で、米軍が農地約二万一千坪の強制接収を一方的に通告しました。ベトナム戦争の激化に伴って、天願桟橋という米軍基地で軍事物資の集積所を拡充するのが目的でありました。

 土地を奪われては生活ができないと、住民は、当時、闘争小屋をつくって反対運動に立ち上がりました。米軍がどんなことをしてきても絶対に手を上げてはいけない、非暴力で反対運動を貫くことを肝に銘じていたといいます。

 米軍は、そのときも露骨に反対運動を弾圧しようといたしました。三十人ほどの米兵が突然あらわれて、闘争小屋目がけて石を投げつけることもありました。闘争小屋が放火され、全焼することもありました。それでも住民は屈せず、コンクリート建てで闘争小屋を再建して、闘いを続けました。住民の粘り強い闘いで、七一年、米軍は計画を断念いたしました。

 これが昆布の土地闘争と言われるものであります。

 そういう経験を沖縄県民は経ているんですよ。昔の話か。違うんですよ。今、そういう沖縄県民の、土地取り上げに反対してきた、新たな基地建設に反対してきた闘いの歴史が刻み込まれているのが、辺野古のキャンプ・シュワブゲート前での抗議活動であります。

 沖縄の戦後史に刻まれた、そして県民の尊厳を回復するための数々の闘いを引き継ぐものであります。米軍基地に奪われた県民の土地を県民の手に取り戻す闘いであります。踏み潰すことなど絶対できないということを強く申し上げておきたいと思います。

 それで、少し話をかえまして、ことしは戦後七十年の節目の年でありますが、安倍政権は、戦後の日本の外交・安全保障政策を大転換し、憲法改正に踏み出そうとしております。

 しかし、総理も、六月二十三日、沖縄慰霊の日には沖縄の式典に参加されて、よく雰囲気を御存じだと思いますが、沖縄県民にとって、憲法は、苛烈な沖縄戦、その後の米軍占領下での無権利状態を経て、一九七二年の本土復帰でかち取ったものであります。そこに込められた県民の思い、総理は総理としての認識の仕方があると思いますが、総理の認識はいかがですか。

安倍内閣総理大臣 さきの大戦において唯一の地上戦が行われた沖縄においては、たくさんの県民の方々がとうとい命を落とされたわけでございます。二度と戦争は嫌だ、この思い、当然のことでございまして、それは日本国民が共有するものだろうと思います。その中でひたすら我が国も平和国家としての歩みを続けてきたわけでございます。

 その中で、沖縄に現在、多くの米軍基地が集中をしているのも事実でございまして、その中で、我々は、沖縄の負担軽減のためにできることをしっかりと前に進めていきたい、こう考えている次第でございます。

赤嶺委員 二〇〇七年に沖縄戦の教科書記述への検定意見がつきまして、それは沖縄戦の歴史をゆがめるものでありました。教科書検定意見撤回を求めて約十一万の人々が沖縄で大集会に集いました。

 そのときにアピールが出されております。そのアピールを少しばかり御紹介したいと思います。

 砲弾の豪雨の中へ放り出され

 自決せよと強いられ

 死んでいった沖縄人の魂は

 怒りをもって再びこの島の上を

 さまよっている

 いまだ砲弾が埋まる沖縄の野山に

 拾われない死者の骨が散らばる

 泥にまみれて死んだ魂を

 正義の戦争のために殉じたと

 偽りをいうなかれ

 歴史の真実をそのまま

 次の世代へ伝えることが

 日本を正しく歩ましめる

 歪められた教科書は

 再び戦争と破壊へと向かう

 沖縄戦の死者の怒りの声が

 聞こえないか

 大和の政治家・文科省には届かないか

 届かなければ 聞こえなければ

 生きている私たちが声を一つにして

 押し上げ 訴えよう

 これが戦後七十年を迎えた県民の気持ちであることを紹介して、質問を終わらせていただきます。

大島委員長 これにて穀田君、赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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