衆議院

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第11号 平成28年2月10日(水曜日)

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平成二十八年二月十日(水曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 竹下  亘君

   理事 石田 真敏君 理事 金田 勝年君

   理事 菅原 一秀君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 関  芳弘君 理事 平沢 勝栄君

   理事 柿沢 未途君 理事 山井 和則君

   理事 赤羽 一嘉君

      あべ 俊子君    秋元  司君

      井上 貴博君    池田 佳隆君

      石原 宏高君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大隈 和英君    大西 英男君

      岡下 昌平君    奥野 信亮君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      小池百合子君    小林 鷹之君

      佐田玄一郎君    佐藤ゆかり君

      鈴木 俊一君    中村 裕之君

      長坂 康正君    根本  匠君

      野田  毅君    原田 義昭君

      古屋 圭司君    宮川 典子君

      宮崎 政久君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    保岡 興治君

      山下 貴司君    山田 賢司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      若狭  勝君    井坂 信彦君

      今井 雅人君    緒方林太郎君

      大串 博志君    大西 健介君

      階   猛君    玉木雄一郎君

      西村智奈美君    福島 伸享君

      細野 豪志君    本村賢太郎君

      浮島 智子君    國重  徹君

      濱村  進君    吉田 宣弘君

      赤嶺 政賢君    穀田 恵二君

      高橋千鶴子君    畑野 君枝君

      足立 康史君    伊東 信久君

      椎木  保君    松浪 健太君

      丸山 穂高君    小熊 慎司君

      重徳 和彦君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   国務大臣         岩城 光英君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       馳   浩君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   経済産業大臣       林  幹雄君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣         丸川 珠代君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣         島尻安伊子君

   国務大臣

   (経済再生担当)     石原 伸晃君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)    加藤 勝信君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       遠藤 利明君

   財務副大臣        坂井  学君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   会計検査院事務総局第三局長            須藤  晋君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       加藤由起夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   齋木 尚子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  真部  朗君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事長)        上西 郁夫君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     あべ 俊子君

  岩屋  毅君     山田 賢司君

  小倉 將信君     宮崎 政久君

  小田原 潔君     池田 佳隆君

  小林 鷹之君     大隈 和英君

  佐藤ゆかり君     勝沼 栄明君

  長坂 康正君     大西 英男君

  野田  毅君     八木 哲也君

  原田 義昭君     宮澤 博行君

  保岡 興治君     若狭  勝君

  山本 有二君     神山 佐市君

  緒方林太郎君     今井 雅人君

  玉木雄一郎君     本村賢太郎君

  福島 伸享君     細野 豪志君

  松野 頼久君     井坂 信彦君

  浮島 智子君     國重  徹君

  赤嶺 政賢君     畑野 君枝君

  高橋千鶴子君     穀田 恵二君

  足立 康史君     伊東 信久君

  松浪 健太君     椎木  保君

  重徳 和彦君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     井上 貴博君

  池田 佳隆君     小田原 潔君

  大隈 和英君     岡下 昌平君

  大西 英男君     長坂 康正君

  勝沼 栄明君     佐藤ゆかり君

  神山 佐市君     門山 宏哲君

  宮崎 政久君     小倉 將信君

  宮澤 博行君     原田 義昭君

  八木 哲也君     野田  毅君

  山田 賢司君     宮川 典子君

  若狭  勝君     保岡 興治君

  井坂 信彦君     升田世喜男君

  今井 雅人君     緒方林太郎君

  細野 豪志君     福島 伸享君

  本村賢太郎君     玉木雄一郎君

  國重  徹君     真山 祐一君

  穀田 恵二君     高橋千鶴子君

  畑野 君枝君     畠山 和也君

  伊東 信久君     足立 康史君

  椎木  保君     丸山 穂高君

  小熊 慎司君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     小林 鷹之君

  門山 宏哲君     山本 有二君

  宮川 典子君     中村 裕之君

  升田世喜男君     松野 頼久君

  真山 祐一君     浮島 智子君

  畠山 和也君     赤嶺 政賢君

  丸山 穂高君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     岩屋  毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十八年度一般会計予算

 平成二十八年度特別会計予算

 平成二十八年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

竹下委員長 これより会議を開きます。

 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算、平成二十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 三案審査の参考に資するため、来る十七日水曜日、福島県及び香川県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹下委員長 次に、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房総合海洋政策本部事務局長加藤由起夫君、総務省自治行政局長渕上俊則君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、外務省国際法局長齋木尚子君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君、防衛省整備計画局長真部朗君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長須藤晋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹下委員長 これより政治姿勢・政治とカネ等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子君。

あべ委員 おはようございます。自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日の集中審議、政治姿勢と政治と金ということでございまして、質問をさせていただきます。

 政治資金のあり方、与野党を問わず、政治家が責任を自覚し、国民に不信を持たれないよう襟を正すことが大事でございまして、もし疑念が生じることがあれば、しっかり説明責任を果たすべきでございます。

 そうした中、閣僚の政治資金にかかわる問題が報道されております。国会でも野党からの追及があるところでございますが、問題を指摘された各閣僚は、それぞれの説明の責任を果たしてきていると思います。野党の皆さんも、みずからの政治資金の問題を指摘されると、マスコミを通じてしっかりと説明され、説明責任を果たされているようでございます。

 閣僚の説明を拝聴する前に、幾つか確認をさせてください。

 何といっても予算委員会、国民に影響のある政策がしっかりと議論されることが重要でございまして、この集中審議、しっかり閣僚からの説明がされた後は政策議論をやっていただきたい。また、反対のための反対ではなく、しっかりとした対案を出していく形で国会の生産的な議論を進めていきたいと思うわけでございます。

 そうした中、まず、山井議員の事業収入の不記載疑惑に関してでございます。

 本日の集中審議に関して、ことし一月二十日、毎日新聞の朝刊の記事に、「民主・山井氏、記載ミス 収支報告書 後援会の会合めぐり」という記事がございました。

 事実関係は、平成二十四年から二十六年、やまのい和則後援会が主催した山井和則を囲む会の会場使用料が支出されているが、対応する会費収入がないというものでございました。平成二十六年の会合は感謝の集いとして京都市内のホテルで九月に開催し、会費一万円を徴収していたところ、事業による収入がなかったというものでございます。収入を故意に除外していれば、政治資金規正法の不記載罪に該当するおそれがあります。

 政府参考人にお聞きいたします。

 収支報告書に法令で定める記載事項を記載しない場合、罰則について、政治資金規正法上どのような規律の規定になっているのか、教えてください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案につきましては、具体の事実に即して判断されるべきものでございまして、総務省としましては、実質的な調査権を有しておりませんで、具体的な事実関係を承知する立場でございませんのでお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で一般論として申し上げますと、政治資金規正法におきましては、収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者につきましては、罰則として、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処する旨の定めがございます。

あべ委員 改めて確認をさせていただきますが、わざとではなく、事務的なミスで記載漏れをすることもあると思います。いかなる場合であっても罰則の対象となるのか、政府参考人にお聞きいたします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたとおり、具体の事実関係を承知する立場ではございませんのでお答えは差し控えさせていただきたいということで、その上で一般論として申し上げさせていただきますと、政治資金規正法におきましては、故意または重大な過失により収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者について、罰則の対象となっているというところでございます。

あべ委員 この疑惑に関しまして、山井氏の事務所によりますと、会費収入を個人からの寄附に含めていた単純ミスであると説明をして、寄附への記載を削除し、事業による収入欄に記載をし直すとのことです。

 しかし、疑問はまだまだ残ると思っております。

 平成二十四年からのこの催事、全部会費制のパーティーのようでございますが、いわゆる政治資金パーティーということであれば、事前に政治資金パーティーであることを告知しておかなければなりません。これがあったかどうかが不明でございます。また、全部、個人の寄附に会費が紛れてしまったということでございますが、法人や団体で会費を支払ったところは全くなかったということなんでしょうか。これも不明でございます。

 この点については山井議員が説明をされておりませんが、その後もされた形跡がないようですが、説明責任は果たされたということなんだと理解をします。

 また、私は実は山井議員と共通が幾つかございます。その中の大きな一つが、スウェーデンで福祉の研修をした、看護師である研究者の指導者が同じでございます。山井議員は半年ほどスウェーデンにいらっしゃいました。私は数週間でございましたが、彼女から、いかに政治が大切であるのか、福祉というのは、その福祉のあり方とともに負担のあり方も一緒に考えていかなければいけないというところを本当に教えていただきました。やはりその初心に返り、私たちは、政策が国民に大きな影響を与えるということを改めて議論していく、それが国民から選ばれた私たちの役割であると思うわけであります。

 その上で、もう一つ聞かせてください。山井議員の量的制限違反に関してでございます。

 本年一月二十三日の新聞に、「山井議員、限度超す寄附」「資金管理団体へ千八十万円」の記事がございました。事実関係は、山井議員が、平成二十四年に、自身の資金管理団体、やまのい和則と日本の未来を創る会に、個人による寄附の限度を超える一千八十万を寄附したとして、政治資金規正法の量的制限に違反する可能性があると報道されました。

 政府参考人にお聞きいたします。

 寄附の量的制限違反に抵触して寄附をした場合、罰則について、政治資金規正法上、どのような法律の規定になっていますか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 これにつきましても、具体の事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたい。

 その上で一般論でございますけれども、政治資金規正法の規定におきましては、寄附の量的制限に違反して寄附をした者につきまして、一年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処する旨の規定が二十六条第一項第一号で規定されているところでございます。

あべ委員 山井事務所によれば、当初は、特定寄附に当たるため問題ないと主張していらっしゃいました。その後に、二回分、百十万の寄附について、貸し付けとして処理するものが事務的ミスで寄附として処理をした、指摘を受けるまで気がつかなかったとして、収支報告書の訂正をしたということでございます。その後、寄附が借入金だったのかの説明もございませんが、これで説明責任は果たされたということなのでございましょう。記載ミスもあると思います。

 政治と金、政治姿勢、非常に重要なところです。しかしながら、国民は今、日本はどこへ行くんだろうか、子供たちや孫たちの時代には非正規雇用で結婚もできない所得の方々がいらっしゃることを、今、国会でどう対応してくれるんだろうかと、本当に皆さんが待っているところでもございます。政策議論するための今回の集中審議だと私は理解しておりますので、繰り返し繰り返し同じことを聞くのではなく、しっかりと、この政治と金の説明責任をお互いに果たしていこうではありませんか。

 また、玉木議員でございます。

 玉木議員の問題で、平成二十七年でございますが、西川前農水大臣に対して、寄附が脱法行為だという追及をしているときに、その玉木議員の資金団体に二百八十万円という話がございました。これは予算委員会で玉木議員がしっかりと説明をされております。繰り返すことはやめたいというふうに思います。

 そうした中にあって、まだまだ野党に関してもあるところでございますが、私たちは、何といっても重要なオリンピック・パラリンピック、この担当大臣が、今さまざまな問題が出ていることの答弁もいただきたいと思っているところでございます。

 そうした中、柚木議員に関してもございました。

 平成二十四年の十月に、財務大臣政務官に就任をされたときに、医療系政治団体から、従来より額面が高い金額の寄附を突然受けられています。五百万という額だと聞いておりますが、しかしながら、このことは触れるだけにしておきたいというふうに思います。

 何といいましても、政治と金、また政治姿勢、これをしっかり議論していく場だと私は理解をしております。

 また、山尾議員のお話もございます。

 資金管理団体、この平成二十四年の収支報告書に、ことし一月十四日付で訂正がされておりました。個人の寄附のところを見てみますと、山尾議員自身が合計一千百四十四万円を寄附していました。これだと、先ほどの量的制限の違反に抵触することになります。一月十四日に、最後の二件の寄附である七月二十四日の百二十四万と十一月七日の百万円の合計二百二十四万円の寄附を訂正、削除し、十一月七日付で二百二十四万の借り入れをしたと借り入れの欄に記載しています。

 この量的制限違反の件についてはネットで報道されたようでございまして、その後に山尾議員が訂正をされているようでございます。しかしながら、山尾議員は元検事であります。政治資金規正法に精通している方なので、なぜ間違われたかよくわかりませんが、単なる事務的ミスと説明をされるのだと思います。

 民主党の山尾議員、しっかりとここの説明責任も含めて、よろしくお願いいたします。

 では、遠藤大臣でございます。

 オリンピック・パラリンピック、これは日本にとって非常に大切でございます。そうした中、毎日新聞に、遠藤大臣が多額の個人寄附を受けた、見返りに、寄附者の創業した派遣会社のために文部科学省から通知を出させたなどとする記事が掲載されたことについて、説明をしていただけますでしょうか。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 二月四日付毎日新聞の朝刊に、私が派遣会社A社の創業者から個人寄附を受け、自民党教育再生実行本部長としてALT利用拡大の旗振り役をしただとか、文科省がALT派遣事業に絡み国の予算をつける方針を初めて決定し、A社は高い値段で転売され、創業者は多額の利益を得たとする記事が掲載されましたが、全くの事実誤認です。

 事務所から毎日新聞社に直ちに書面で抗議をいたしました。また、文科省、A社も、書面で抗議をしております。そして、創業者に至っては、弁護士名の内容証明郵便で、毎日新聞に対し、一昨日を回答期限とした書面で抗議をしたと聞いております。

 毎日新聞社は、創業者が、A社のALT事業がうまくいかないと自分の保有する株式が売り抜けないので、多額の個人寄附をするとともに、ALTの利用拡大を働きかけたとのシナリオを描きました。

 しかし、創業者の代理人弁護士が毎日新聞社に出した内容証明によれば、まず、創業者は、ALT派遣事業に絡み、国の予算をつけることを要請したという事実もない、事実無根だとおっしゃっております。

 次に、創業者は、平成二十年九月二十日には代表取締役を退任し、同時に取締役を辞任し、A社の経営からは離れたとのことであります。そして、平成二十二年三月には、A社の経営権をB社に譲渡した際、自己の所有するA社株式の全部をB社に譲渡し、A社の株主でもなくなったとのことであります。さらに、創業者が得た対価は、平成二十二年三月に全株式を譲渡した時点で確定した売却代金であり、会社転売後に創業者が多額の対価を得た事実もないとのことでありました。

 以上のとおり、創業者は平成二十二年以降はA社とは全く関係のない方だということであり、あたかも現在でもA社と関係があるかのような報道をする毎日新聞の記事は事実無根と言わざるを得ません。

 さらに、創業者が高い値段で株式を転売したという記事も事実無根です。しかも、創業者が毎日新聞社に対して四度も、事実が違うと抗議したにもかかわらず、あえて事実無根の記事を掲載したのであり、創業者が立腹されるのももっとものことだと思います。

あべ委員 大臣、この創業者との関係を改めて御説明いただけますか。

遠藤国務大臣 お答えします。

 そもそも、この創業者との出会いは、十数年前に友人から紹介をしていただきました。その後は、創業者から個人寄附やパーティー券を購入していただいております。

 寄附や政治資金パーティー券の購入額は、法令に従い適正に収支報告をしておりますので、その収入については各年の収支報告書をごらんいただければわかると思います。

 なお、政治資金規正法上、個人寄附については、年間五万円を超えるものについては寄附者の氏名などを、一の政治資金パーティーごとに二十万円を超えるものについては支払い者の氏名などを報告に記載しなければなりませんが、年間五万円以下の寄附や、一の政治資金パーティーで二十万円以下の支払いについては、寄附者などのプライバシーに照らして明細を記載しなくてもよいことになっております。

 この創業者は、現在は実業を引退され、ボランティア活動に専心される毎日だと聞いております。創業者の意思は清らかであり、国のためと思えば浄財を政治家に寄附などしていると聞いております。したがって、私以外にも複数の与野党の国会議員に寄附をされているようであり、自分の利益のために寄附をされるような方でないと確信をしております。

 それゆえ、創業者から、自分や自分が経営する会社の事業のために行政の支援や働きかけを求められたことは全くございません。

あべ委員 では、大臣、次に、毎日新聞によりますと、平成二十六年八月に文科省が通知を出す直前に、遠藤大臣の事務所が仲介して厚生労働省とA社が面会したというふうな報道がされておりますが、真相はいかがでしょうか。

遠藤国務大臣 お答えします。

 そもそも、毎日新聞は、創業者からの個人寄附の見返りに何をしたのかについては具体的な指摘が余りありません。

 その中で、二月五日付毎日新聞では、平成二十六年八月に文科省がALT請負契約に関する通知を出す直前に、私の事務所が仲介して厚労省とA社が面会していたとありますが、全くの事実誤認です。

 事務所に確認させたところ、平成二十五年十二月ごろにA社から労働者派遣法の解釈について質問したいことがあるとの連絡があったので、事務所が制度を所管している厚労省の法令担当課を紹介したとのことであります。したがって、平成二十六年八月に文科省がALT請負契約に関する通知を出す直前に、私の事務所が仲介して厚労省とA社が面会していたとする毎日新聞の記事は、事実誤認であります。

 国会議員の事務所では、毎日さまざまな相談事が舞い込みます。そして、どの事務所でもそうでありましょうが、一般に、国の制度などについての問い合わせがあった場合は、所管省庁の担当課を紹介することは自然なことだと思っております。担当窓口を紹介しただけで口ききだと言う方はいらっしゃらないと思います。

 この紹介後に、A社は派遣法や請負契約についてわからない点を厚労省に質問し、厚労省から回答を得たと聞いております。

 毎日新聞の記事によれば、厚労省はこの面会が通知を出すきっかけになったと言っていると書かれておりますが、厚労省に確認したところ、毎日新聞の取材において、A社がこの面談が通知のきっかけになったと理解をしていることについて見解を問われ、当該企業自身がそのように理解すること自体について特段意見をしなかったところ、それがあたかも厚労省自身の見解であるかのようなことを書かれたとのことでありました。

 厚労省によれば、一企業の質問をきっかけとして対応したものではないということであります。

 A社によれば、厚労省のA社への回答は四月上旬であり、その後四カ月も離れた時期に出された通知のきっかけとなったというのも考えにくいと思います。

 そして、厚労省は、先週の二月五日付で、毎日新聞社に対し、重大な誤解を招く記述であると厳重抗議をしたと聞いております。

 さらに、文科省によれば、ALTを請負契約により活用する場合の法律上の解釈については自治体から問い合わせが寄せられており、平成二十六年の通知より以前、すなわち平成十七年から通知を出してきたところです。そして、各自治体は地域の実情において、その判断でALTを雇用し、平成二十六年度において請負契約をしている自治体は一七・六%とのことであります。このため文科省は、平成二十六年八月に改めて通知を発出し、ALTの請負契約による活用についての留意点の明確化を図ったと聞いております。

 以上のとおり、平成二十六年八月に文科省がALT請負契約に関する通知を出す直前に、私の事務所が仲介して厚労省とA社が面会していたとの記事は、全くの事実誤認であります。

あべ委員 改めて大臣にお伺いいたします。

 また、先日の予算委員会の中で、あたかも遠藤大臣が自民党の教育再生実行本部長として政府の教育再生実行会議に影響を与えたというような質疑がございました。このような事実があるのか、御説明ください。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 私が本部長を務めた自民党教育再生実行本部の提言や政府の教育再生実行会議における私の発言において、A社にとって有利となるようなものがなされたものではないかとの指摘を先日の予算委員会で受けましたので、そのような事実は全くないことを説明申し上げます。

 党の教育再生実行本部というのは、自民党の組織であります。私は、平成二十四年十二月から本部長を務めさせていただきました。

 これに対し、教育再生実行会議は政府の会議であり、メンバーは、総理大臣、官房長官、文科大臣のほか、学者、学校関係者や経済界などの有識者であり、自民党の教育再生実行本部とは全く別の会議であります。私と公明党の代表者は、オブザーバーとして会議に同席をさせていただきました。

 党の教育再生実行本部の提言では、ALTに特化した政策は含まれておりません。

 これに対し、政府の教育再生実行会議においては、有識者による議論の結果、第三次提言の中で、JETプログラムの拡充等によるネーティブスピーカーの配置拡大を提言しておりますが、これは、A社の事業であるALTの請負などについて直接言及したものではありません。いずれにしても、党の教育再生実行本部が決定したことではありません。

 その後、第四次提言に向けた平成二十五年九月十八日の政府の教育再生実行会議の中で、オリンピックが決まったという話題が出ました。そして、今後のオリンピック開催に向けたグローバル人材の養成が話題となり、私から、小学校から英語を授業として進めていくことが重要であるということを述べただけで、ALTの請負や派遣などを求めた発言は全くございません。

あべ委員 大臣からのさまざまな御説明がありました。

 東京オリンピックが決まって以来、日本に対する世界の注目は本当に高まり、観光客は著しくふえております。さまざまな問題があった東京オリンピックに対する問題を遠藤大臣は本当に精力的に解決してきた。また、この大臣としての職を全うすることが日本の国益にとっても非常に重要なことだと私は思っております。

 きょう、いろいろなことを御説明いただきました。その政治姿勢として、また政治と金の問題をしっかり説明していく中で、日本の政治をとめない、進めていく、停滞させない、これが重要なんだと思っております。政策議論をしていきたい。私たちは、この予算がいかに国民に影響を与えるのか、次世代に影響を与えるのか、TPPでこれから先どうなるかと心配している農家の方々、政策をしっかり議論していかなければいけない。今、非常に流通も活発化していく中、トラック関係者は、人材がいない、トラックはあるけれども人材がいない。また、アベノミクスは中小企業にまだ来ていない。予算が大切です。政策をしっかり議論していく。

 生産的な政策議論をぜひともしていきたい中、では、外務大臣にお聞きをいたします。日本の国際機関に対する拠出金の件でございます。

 大臣が一生懸命海外を回られて、また、国際機関の方々も大臣に何度も何度も面談をされ、為替の変動もあるし、貧困の子供たちが食事も食べられない状況もある。また、特に女の子たちです。教育を受けられない、投票権もない女の子たちが、その子たちが五歳まで生きられる確率がまだまだ低い国があります。その子たちに、私たちは、日本として、日本国として品格を持った援助をしていかなければいけません。そうした中、国際機関に対する拠出金、私は、この評価は非常に重要だと思っております。

 アフリカ、アジアに、ワーキングプア、貧しいお母さんたちと貧しい子供たち、食事ができない、給食すらもない、一日に三食なんかとんでもない、一日一食食べられるかどうかわからないというところがあります。日本でも、ワーキングプアがいます。日本のワーキングプアの方々にも手を差し伸べながら、国民の血税をしっかりと海外の方々に届けていくためには、国民の理解がまず必要であります。

 アフリカや中東、特定地域、特定分野において複数の国際機関が事業を展開しているところでございますが、国際機関の役割分担、相互調整が必ずしも図られていないのではないかという感覚を、大臣にお仕えしていたときに私は感じたところでございます。

 例えば、補正予算につきましても、現在、PDCAサイクルの一環で、外務省において、国際機関別、分野別にイヤマークの内容、また成果目標が公表されているところでございます。この一つを見ても、特定地域、特定分野に複数の国際機関が並行して事業をしている状況がわかると思います。

 他方で、国際機関の相互の調整がとられているか。あるいは、援助国にマスタープランがあるか。西アフリカはどうしていくか、アフリカ全体に対しては何をしていくのか。資源国に対してどうなのか、資源がなくても、人間の安全保障として一体何を援助しているか。このマスタープランがしっかりつくられているかどうかということが明らかではありません。拠出金が国際機関別に縦割りで行われ、結果、非効率が生まれているのではないかということを感じるわけでございます。

 国際機関の担当課、外務省の中でも幾つか分かれています。二十の国際機関の担当課をいただきました。その中で、地球規模課題総括課、また緊急・人道支援課、国際保健政策室、この全体をどこが統括しているのか。マスタープランとして、日本の国策として、日本人の国税を使っていくこの拠出金、国民の理解を得られるために、ここの評価の部分を、国民に対する説明責任を果たしていくために、ぜひとも国際機関の評価をしっかりと見直すべきではないかと思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

岸田国務大臣 御指摘のように、国際社会の厳しい現実を前に、我が国がグローバルな課題に積極的に貢献していくためには、まずは二国間ベースのODAを効果的に、そして効率的に活用する、こういったことは大事でありますが、それとあわせて、専門性を有し、そして幅広いネットワークを有する国際機関を活用していく、こういった視点は大変重要だと思います。

 ただ、我が国の厳しい財政状況を考えますときに、国際機関に対する評価や、さまざまな拠出につきましても国民の理解を得なければなりません。必要性を精査する、また、めり張りのきいた予算を考える、こういった視点は大変重要だと考えます。

 そういったことから、これまでも我が国として国際機関の評価は行ってきたわけですが、特に平成二十八年度の予算に際しまして、行政事業レビューの指摘も踏まえながら、概算要求を行う際、五つの評価基準を設定し、それによって評価を行い、そしてそれを公表するという取り組みを行いました。

 五つの評価基準。一つは、重要外交課題遂行上の有用性、我が国の実施事業との相互補完性。二つ目として、国際機関等の意思決定における我が国のプレゼンス。三つ目として、国際機関等の専門分野における影響力や組織・財政マネジメント等。四つ目として、国際機関等における邦人職員数。そして、五つ目として、PDCAサイクルの確保。この五つの評価基準を設けて評価を行い、そして、平成二十八年度概算要求を行った次第であります。

 先ほど委員の方から、国際機関同士の関係、横の関係についても御指摘がありました。この評価基準につきましては引き続き不断の検討は続けていかなければならないと思いますし、そのことによって適切な予算の執行に努めていきたいと考えます。

あべ委員 国際機関に関して、例えば戦争が、また紛争地帯がある地域、その子供たちに援助をしている国際機関もございます。その子供たちに会ったある大使の方々が、偉い人が来るから何か言いたいことがあったら言ってと子供たちに言いました。その子たちは御飯が食べられていません。だけれども、食べ物が欲しいとも、お金が欲しいとも言いませんでした。学校に行かせてくれと言いました、勉強したいと。そういう子たちにしっかりと私たちの国際援助が届いているのか。現場で頑張っているNGOの方々もいます。国際機関の方々も本当に頑張っています。そうした中で、横断的な連携をしっかりとっていく。

 私は、外交は日本の国益にとって非常に重要だと思っています。一番の安全保障であります。しっかりとコミュニケーションを海外ととっていくことが日本の国益を守っていく重要なところでございます。

 大臣、改めてお聞きします。

 今やっている国際機関に対する評価、私ども、今自民党の中でも、評価の見直しをすべきではないかという議論をしております。

 例えばMOPAN、国際機関の評価ネットワーク、日本は二〇一四年に加入をいたしました。そうした中にあって、まだこのMOPANに対する日本政府のかかわりが足りないというふうに私は思っております。また、英国は、英国国際開発省として、自分たちの国際機関に対する評価、これを通じてコミュニケーションをとっています。コミュニケーションをとって、拠出している額だけしっかりと発言もしながら、また、日本が考える、本当に困っている子供たちや女性たちやそういう方々に対して支援ができているのかということを、改めてしっかり関与していくという仕組みが必要だと思います。

 今の評価軸、確かにございますが、私は改めて見直しが必要だと思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

岸田国務大臣 国際機関の評価の重要性、そして不断の見直しが必要であるという点につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。

 ただいま委員の方から、MOPAN、OECDの中に事務局があります国際機関評価ネットワークについて御指摘もありましたが、MOPANに対しましても、我が国として関係者を出席させ、そして、外務省における国際機関の評価を行う際には、MOPANによる国際機関のアセスメント結果、これも参考にさせていただいている、こうした取り組みを行っております。

 党の方でもこの評価について議論をされるというお話もありました。ぜひ、この国際機関の評価につきましては、その重要性に鑑み、こうしたMOPANの議論、あるいは党における議論、こうしたものもしっかりと参考にさせていただきながら、不断の見直しを続けていきたいと考えます。

あべ委員 大臣にお答えをいただきました。

 本当に貧困国で困っている子供たち、また女性たちをしっかりと、外交政策も含めた形での国際機関を通しての日本の援助、私は一番の安全保障の考え方だと思っておりまして、海外の方々と本当にしっかりコミュニケーションをとっていく、また、国民の血税を、自分たちも本当に困っている中で、その血税を海外に出していくことの意味を国民の方々に御理解いただく、これは私は本当に重要なことだと思っております。

 政治姿勢、政治と金の問題の集中審議、今回予算委員会でされておりますが、私は本当に何度も何度も地元の皆様からいただいております。予算委員会では予算の話をしてほしい、予算委員会では政策を議論してほしい。

 今、非正規雇用で、また五十を過ぎた私の地元の方の息子さんが仕事をなくしました。今、日雇いで生活をつないでいる、自分は年金は少ないけれども何とかやっていっている、私と息子は我慢する、でも孫だけは我慢させないでほしい、そういう社会をつくることを自分たちは期待をして国会議員にお願いをしているんだということをおっしゃっていました。

 予算委員会では予算の話をしていただきたい。政策の話をしていただきたい。私たちは政策議論をするために国会議員として皆様に応援をしていただいているわけであります。政治と金、政治姿勢、これはしっかりと説明をした上で、説明をした後に、繰り返し繰り返し繰り返しつまらないことを言っていくのではなく、政策を言っていきたい。国民のための政治を我々はやっていく。

 自民党は、政治は国民のものであるという立党精神を持っております。弱者のための政治を一緒にやってまいりましょう。

 ありがとうございました。

竹下委員長 これにてあべ君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、このような質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 本日は、政治姿勢、政治と金に関する予算委員会の集中質疑ですので、これらに関して質問をさせていただきます。

 先日のTPP署名式で、今般辞任に至った甘利前大臣について、各国のTPPを担当する大臣の方々が、タフな交渉をして議論をリードしていた人が署名式に来られない、本当に残念だ、そう口々に言っていたということを聞きました。それだけ国際的にも影響のある政治と金の問題です。

 甘利前大臣の秘書を含む事務所の問題に関しては、全容がまだ明らかになっておりません。仮に、口ききをして、見返りに対価を受け取っていたとすると、これは極めて悪質な行為でございます。だからこそ、きちんと調査を尽くす、その上でしっかりと説明責任を果たす、このことは当然のことでございます。

 今回の件に限らず、これまで繰り返されてきた政治と金の問題が起きるたびに、国民の政治に対する信頼は大きく揺らいでまいりました。

 私ども公明党は、結党以来、政治腐敗は絶対に許さない、この政治姿勢を貫いてまいりました。今から五十一年前、庶民の汗と涙のわかる政党政治家はいないのか、こういった切実な声を受けて、庶民、大衆の中から生まれた政党が我が公明党でございます。大衆とともにの立党精神に照らし、特に政治と金の問題については一貫して厳しい姿勢で取り組んでまいりました。だからこそ、あっせん利得処罰法、官製談合防止法、政治資金規正法、この三つの法律をつくり、我が党が、各党各会派の理解、協力を得るべく、粘り強い取り組みで必要な改正を行ってまいりました。

 甘利前大臣の件でその適用の有無が問題となっているあっせん利得処罰法については、自社さ政権時代に法案化の動きがありましたが、与党内で調整がつかなくて、政権が壊れるきっかけとなったと言われる難しい法案でございました。その後、平成十二年十一月に、当時の自民、公明、保守連立政権の中において、我が党が旗振り役として与党内の議論をリードして、法案を成立させました。その二年後、これまた我が党のリードで、その適用対象を私設秘書にまで拡大する法改正を行っております。

 また、官製談合防止法については、公明党が独自の法案骨子を発表したことから議論が本格化し、平成十四年七月に成立に至りました。

 さらに、政治資金規正法についても、平成十一年十二月に政治家個人への企業・団体献金を禁止する改正を実現させたほか、執念を持って何度もその改正に取り組んでおります。特に、平成十九年十二月には、国会議員とその予定候補者に関係する政治団体の一円以上の支出の領収書を全て公開する、これを柱とする改正が実現しました。この改正についても公明党が主導的な役割を果たしたと自負をしております。

 このように、我が党は一貫して政治と金の問題に真剣に取り組んでまいりました。そうしたことが政治家の不正が暴かれる要因となったことは間違いない、こう思っております。

 しかし、こうした取り組みにもかかわらず、いまだ政治と金の問題が後を絶たない。大変遺憾でございます。

 週末、地元の皆さんからさまざまなお話を伺ってまいりました。甘利前大臣に同情的な声があったことも、これは事実でございます。その一方で、政治にはお金がかかるのかもしれへんけれども、五十万とか三百万とか、そんな大金があったらどれだけ生活が楽になるのか、助かるのか、そのお金がどこに行ったかわかれへんとか、秘書が勝手に使ったとか、自分たちの金銭感覚と全然違う、こういった声もございました。また、ある御婦人は、こんな問題がテレビから流れてきても、もう見たくない、聞きたくない、そう思っちゃう、安倍総理に手紙を出そうかと思っていたくらい政治と金の体質改善を望んでいる、そういう声もございました。

 これが庶民の声、庶民の思いなんだな、この政治の原点を忘れちゃいけないなと私は改めて襟を正す思いでございました。

 安倍総理、総理には、政治と金の問題にけじめをつける、そのためにぜひリーダーシップを発揮していただきたい。安倍総理の決意をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 私が初当選をいたしましたのは、平成五年の総選挙でございました。この総選挙に向かうきっかけは、金丸事件が発生をいたしまして、政治とお金の問題、さらには、そこから選挙制度の問題に発展し、大きな政治改革が最大のテーマとなって平成五年の総選挙が戦われたわけでございます。

 この総選挙の結果、我が党は野党になったのでございますが、しかし、その後、与野党で合意をしながら、選挙制度の改革が行われ、かつまた政治資金にかかわる法改正が行われた、このように思います。

 政治と金の問題をめぐっては昔からいろいろな事案が発生し、得られた教訓からさまざまな改善の取り組みがなされてきたわけであります。その中で、御党が中心的な役割を担ってこられたことに対しましては敬意を表したいと思います。

 政治資金を適正に扱うための法規制や罰則が強化され、また、政治活動に要するコストを誰がどのように負担するかという観点から、国民の御理解をいただき、政党助成制度が創設されるなどしてきたところであります。

 しかしながら、規制や、罰則、制度がいかに整備されたとしても、つまるところ、この問題は政治家一人一人が自覚を持って行動するか否かにかかっている、このように思います。みずからの政治資金について、国民の信頼を損なうことのないよう、法にのっとって適正に取り扱い、みずから襟を正し、必要に応じ説明責任を果たしていく、そうすることによって国民の負託に応えていかなければなりません。

 今回、閣僚が交代する事態を招いたことについては、国民の皆様に大変申しわけなく思っております。政治家の一人として、姿勢を正して国民の負託に応えていく、このことを政にかかわる、携わる者の中でしっかりと共有するようにしてまいりたいと思います。

 この問題につきましては、政府、与党、野党の区別なく、政治家一人一人が自覚を持ってその責任を果たしていくことが大切ではないか、このように考えております。

國重委員 総理、ぜひよろしくお願いいたします。

 さて、甘利前大臣の会見によりますと、秘書は、建設会社から受け取っていた五百万円のうち三百万円を政治資金収支報告書に記載をしておりません。この五百万円が政治団体に対して渡されたものであるとするならば、これは政治資金規正法違反の疑いのある、ゆゆしき行為でございます。

 そもそも、なぜ政治資金に透明性が求められるのか。それは、政治資金が全て政治活動に充てられるからです。公共性の高いものだからこそ、一般的な贈与とは違って、課税も免除されております。このような政治資金に高い透明性が求められる、これは当然のことでございます。

 今回の問題で甘利前大臣は、法的責任はさておいて、国会議員としての秘書の監督責任に鑑みて大臣を辞任されました。大臣の職を辞さねばならないほど、この責任は重いということです。

 再発を防止するために、とりわけ政治家の会計責任者に対する監督責任を強化する、それによって秘書に任せっ切りの状態にしないようにしていく、これが重要でございます。

 現行の政治資金規正法によりますと、政治団体の代表者の会計責任者に対する選任、監督責任は、選任及び監督、その両方で過失があった場合に限り生じる、罰せられる、罰金が科せられ公民権を失って失職する、そのように定められております。つまり、政治家の会計責任者に対する監督に過失があったとしても、選任に過失がなければ罰せられないということでございます。これが、結果として、政治家の言い逃れを許してしまうということになっております。

 こういった政治家の言い逃れをなくして、政治と金の問題の再発を防ぐためには、選任及び監督ではなくて、選任または監督、つまり、選任と監督、そのどちらか一方でも過失が認められた場合、政治家は罰せられるようにする、このように政治家の会計責任者に対する監督責任を強化する必要があると考えます。

 私ども公明党は、現行の政治資金規正法第二十五条第二項の「選任及び監督」を「選任又は監督」に改めた政治資金規正法改正案を平成二十一年十一月、国会に提出いたしました。この改正案は、半年後の平成二十二年五月に審議入りしましたが、衆議院解散によって、残念ながら廃案となりました。

 選任または監督に改めれば、私ども政治家にとっては厳しいものになりますが、信なくば立たずでございます。政治と金の問題、再びこの問題が生じないようにするために、今申し上げた改正について、ぜひ御検討をいただければと思います。総理の見解をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 政治資金規正法は、政党、政治団体の収支については、一義的に、会計責任者に会計帳簿の記載義務、収支報告書等の提出義務等を課しているところであります。その会計責任者に収支報告書等の虚偽記入等があった場合において、代表者が会計責任者の選任と監督の双方について相当の注意を怠ったようなときは、当該団体の収支の適正確保について代表者としての責任を果たしたとは言いがたいことから、罰則の対象としているものと考えられているところであります。

 議員の御指摘のように、平成二十一年に、公明党から、収支報告書の虚偽記載等があった場合において、政治団体の代表者が会計責任者の選任か監督のいずれか一方について相当の注意を怠ったときに罰則の対象とすることを内容とした、政治家の監督責任を強化する法案が提出されたことは承知しております。

 これは一つの考え方であるとは思いますが、代表者に非常に重い責任を課すものであり、政治活動にも大きな影響を与えることになることから、慎重に議論されるべきものと考えております。

 いずれにせよ、政治資金の適正な処理と透明性を確保し、政治に対する国民の信頼を得られるよう努めていくことは重要であると認識をしております。

國重委員 総理、今御答弁いただきました、政治家にとっては大変重い責任だと言われましたけれども、それはそのとおりでございます。

 ただ、今回のこの改正にしたとしても、情状によって、必ずしも公民権が停止されて失職するわけでもありません。さまざまな歯どめもございます。前回のこの改正案の審議の折も、各党各会派から非常に前向きな質疑もされました。またぜひ御検討いただければと思います。

 日本の政治史は、一面から見れば、政治と金の問題の繰り返しでございました。政治家とお金の問題ですから、本来、そこには与党も野党もございません。政局にするのではなくて、その再発防止のために何が必要なのか、政治活動の自由にも配慮した上で、どういう点をさらに規制しなければいけないのか、冷静な議論、幅広い検討が必要でございます。そういった真摯な政治姿勢でなければ、国民の皆さんに見透かされる、うんざりされてしまう。その結果、国民の皆さんの政治に対する不信がますます増大していくんだろう、こう思います。真摯な議論、不断の改革、これが大事でございます。

 ただ、総理、総理も先ほどおっしゃっておりましたけれども、規制をしても何らかの抜け道は残ります。より根本的に重要なことは、政治に携わる議員、そして秘書の政治に対する姿勢、覚悟、自浄作用でございます。

 甘利前大臣の秘書は、建設会社から受け取った五百万円のうち三百万円を政治資金収支報告書に記載しなかった。しかも、その三百万円を秘書みずからのために流用した。これは業務上横領にも当たり得る行為でございます。しかも、その建設会社から飲食や金銭授受などの接待を繰り返し受けていた。国民の負託を受けた議員の秘書としてあるまじき行為でございます。

 ここで大事なことは、今回の件を人ごととせずに、我々政治家一人一人、そして秘書が今回の件を通して襟を正していくことでございます。自浄作用を発揮するために、その前提として、最低限、政治と金に関する法律の基本的知識を押さえておく必要がございます。

 でも、政治資金規正法等に精通した議員、秘書が一体どれほどいるのか。そんなに多くはないという声もお聞きします。

 新人議員が何とかチルドレンとかいって大量当選すれば、それに伴ってふなれな秘書も急増いたします。故意に不正を働くことは論外ですけれども、無知ゆえに法に抵触して、結果的に国民の皆さんの信頼を裏切ることがあってもなりません。新人議員、秘書を育てることも政党の大事な仕事の一つであると思います。

 そこで、監督責任者である政治家はもちろんですけれども、現実に経理を担当する秘書も、まずはみずからがこの政治資金規正法等をしっかりと研さんしていく、また、各党各会派、そして衆議院として、議員や秘書に政治と金に関する法律の基本的知識等の研修をしっかりとやっていく、実施する、より一層の充実をさせていく、このことが極めて大事だと私は思いますけれども、総理の見解をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になった点は、私は大変重要だろうと思います。

 よく、議員同士で話しておりますと、誰々さんの事務所のあの責任者、本当にしっかりしているねという話になることが多いんですが、そういう事務所は非常に事務処理もしっかりしておりますし、政治資金についても漏れもないし、ちゃんと、まさに国民の負託を受けた議員の事務所らしい対応をしているということがあるわけでありますが、これは、誰かという属人的なものにせず、議員の秘書として働く人たちみんながそういう知識と基本的な倫理観、姿勢を持つようにしていくことが大変大切だろうと思います。

 既に政治資金の監査人に対する研修などは毎年全国で行われているところでありますが、各秘書の人たち、あるいは事務所の人たちの研修に対しても、今の御提案を受けて、我が党においてもさらに力を入れていきたい。

 私が党の幹事長のときにコンプライアンス室をつくりまして、先生のような弁護士の方に入っていただいてそうした法令遵守の指導を行うようにしているところでございますが、これからもしっかりと力を入れていきたい、このように考えております。

國重委員 総理、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

竹下委員長 これにて國重君の質疑は終了いたしました。

 次に、細野豪志君。

細野委員 おはようございます。

 私の方からは、きょうは経済を中心に質問させていただきたいと思いますが、その前に、冒頭で、少し政治と金のことについて申し上げたいと思います。

 朝、あべ議員の方から、山井理事を初めとした民主党の議員に対するさまざまな指摘がありました。指摘は真摯に受けとめなければならないというふうに思います。

 ただ、例えば山井議員の例、自分の歳費から自分がかかわる政治団体に寄附をしていると。確かに、上限を超えたということについては反省をしなければならないけれども、率直に言って、貧しいがゆえにそうせざるを得なくて、自分の歳費で事務所を回していた、そういう話ですね。その話と、そもそもあっせん利得にかかわるような政治と金の極めて深刻な問題、この問題を私は全く同列で論じるということはどうかと思います。そこは、この後、同僚議員が質疑をいたしますので、その中で恐らく国民の皆さんにはしっかりと御理解をいただけるのではないかというふうに思います。

 経済の問題に入る前に、丸川大臣においでをいただきました。二月の七日、松本市での講演ですね。私も講義録を拝見しました。正直言って、ちょっと信じがたい御発言をされているわけですね。福島での除染の長期的な目標を一ミリシーベルトにしたことについて、こう御発言をされている。何の科学的根拠もなく、そのときの細野さんという環境大臣が、一ミリシーベルトまで下げますって急に言ったんです、誰にも相談をしないで、何の根拠もなく。

 これは、まず、もうこういう講義録も出回っていますので事実だと思うんですが、丸川大臣、こういう御発言をされたということでよろしいですか。

丸川国務大臣 まず、私、大変申しわけないことに、たった一人で出張をしておりましたので、かつ記録をとっておりませんでして……(発言する者あり)ああ、そうですか。私自身は拝見をしておりませんので、曖昧な記憶でしか御答弁できないことをまず申しわけないと思います。

 私の発言について、まず冒頭、福島の皆様にもし誤解を与えているとしたら、これは大変申しわけないことだと思っておりまして、おわびを申し上げたいと思います。

 その上で、細野議員が大臣の当時、ちょうど東日本大震災の発災から一年半余り大臣をお務めになられたと思いますけれども、大変難しい時期に大臣をお務めになられて、福島にも頻繁に足を運ばれた、対話をきちんとされた中で、とりわけ、統一的な科学的な見解を得るには十分ではないエビデンスの中で一つ一つ基準を決めてこられたという御苦労に対しては、本当に敬意を表したいと思います。

 私の発言については、一言一句覚えておりませんけれども、今のような、趣旨は違いますけれどもそのような言葉遣いであったというふうに御指摘を受けております。

細野委員 記憶が曖昧だというのは時々政治家が使う言葉で、国民から不信を招くんですが、大臣、三日前ですからね。三日前に行かれて、殊さらにこのことについてみずから講演をされているわけですから、さすがにどうかという気がします。

 まず、これは福島のためにも正確に指摘した方がいいと思いますので申し上げますと、誰にも相談をしないでというのは、これは全く事実に反します。

 環境省内でも随分議論をしました。その中で、一ミリシーベルトを長期的な目標にしていこう、ただし、この一ミリシーベルトというのはすぐには達成できないので、まずは五ミリまでを目標にして、そして、生活空間にまず絞って一ミリを目指そうじゃないか、こういう努力をしてきたわけですよね。

 ですから、これは、事の経緯として、福島の皆さんとも相当相談しました。福島の皆さんからも、健康の問題や帰還の問題とは別にして、やはり汚染者負担の問題もあるから、一ミリまでを長期的な目標にしてもらいたいという経緯がありましたので、誰にも相談をしないでというこの部分は完全に撤回されるということでよろしいですね。

丸川国務大臣 私、あの当時は野党でございまして、野党議員として私がどのように受けとめたかという趣旨の発言でありましたけれども、あのとき、環境回復検討会で五ミリシーベルトということの案が示されました。その後、次に合同の会議がまた別途開かれたと思うんですが、その間に五ミリシーベルトという言葉が政府の言葉の中から消えて、一ミリシーベルトというところに収束していったことについては、野党議員の立場から見ますと、五ミリシーベルトというのが突然消えたという印象を持って受けとめた次第でございます。

 いずれにしても、細野議員がその間大変な御苦労をされて除染についての基準値を決める努力をされたということについて、何ら否定をするもの、あるいは問題だということを申し上げていることではございません。

細野委員 私のことはいいといえばいいんですよ、いろいろなことを言われていますから。当時のいろいろな難しい判断の中で、私も、いろいろな御批判があるとすれば、それを受けとめなければならないとも思いますよ。

 ただ、これを決めたときは、健康被害のことをどう考えるのか、そして、将来的な帰還のことも考えたときに、それとは別に分けた上で、一ミリシーベルトを長期的目標にしてもらいたいという福島の皆さんの強い要望があったんですよね。そこを全部、野党時代って、もう三年以上前、五年ですか、五年前の記憶で大臣が勝手に話すというのは、これは福島の皆さんに余りに失礼だと私は思いますよ。

 もう一つ、大臣に改めて指摘を申し上げたいんですが、一ミリシーベルト、何の根拠もなくとおっしゃいましたが、今お配りしましたけれども、資料をごらんいただけますか。これはICRPのガイドラインですよね。この中の放射線量の拘束値という中の一以下というところ、これは資料として皆さんにお配りをしているんですが、例えばこういう記述があるわけですね。例として、「計画被ばく状況における公衆被ばくに対して設定された拘束値」。つまり、計画的に被曝がある場合については、こういう拘束値として例示されているわけです。

 ですから、何の根拠もなくというのは、これは本当に、逆に、何を根拠におっしゃったか。ですから、恐らく事務方から説明を受けて、このICRPの勧告も多分ごらんになったと思う。これは、我々は何度も熟読をして決めた基準です。

 ですから、環境大臣として、この発言は明確に撤回していただいた方がいいと思います。明確に基準があって、それに基づいて長期的な目標としてはこれをやっていくんだ、そうお答えにならないと、福島の皆さんは本当になかなか納得していただけないと思いますよ。いかがですか。

丸川国務大臣 福島で大変御不安に思われている皆様方に私も誤解を与える発言をしたとしたら、本当におわびを申し上げたいと思います。

 このICRPの基準というのは、まさに出していただいている資料の左側に、「拘束値と参考レベルのバンド」ということで、まさに参考レベルということでICRPがお示しになっているものの中で、一番高い目標として年間一ミリシーベルトという目標値を選ばれたということだと思います。

 その上で、この一ミリシーベルトを、除染だけでこれを達成するのだという理解であったり、あるいは帰還の際の目標値というような誤解を抱いておられる方がいらっしゃることを私も一方で認識をしておりまして、その上でも、私は、住民とのリスクコミュニケーション、細野大臣も大変御苦労されたと伺っておりますけれども、やはりこれがまだまだ不十分であったというところを指摘したいという趣旨で申し上げた次第でございまして、一ミリシーベルトという目標を福島の皆様の安心、安全への思いに応えて掲げていくことは、これは引き続き重要なことであると考えております。

細野委員 私も、帰還の問題と、例えば安全の問題などと混同されないようにということは相当気をつけたつもりです。その誤解があるとすれば、それは今の大臣である丸川大臣がしっかりやっていただかなければならない仕事だというふうに思いますよ。

 ただ、その前提は、まずこういう基本的なことは大臣が理解をされ、そして過去の議論がどういう経緯だったのかということもしっかり踏まえた上で説明をしないと、説明にならないでしょう。そこの部分はちょっと認識を根本的に改めていただかないといかぬと思いますね。

 もう一つだけ最後に指摘をしたいと思うんですが、この講演の中で、講義録を拝見すると、もう一つ、私はちょっとどうかと思う発言がありまして、こうおっしゃっているんですね、もう少し前の部分で。

 今まで環境省というのは、エコだ何だって言っていればよかったんですけれども、この震災から五年間、ずっと除染の仕事をやっていますと。

 エコというのは、これは環境省そのものですよね。エコだ何だって言っていればよかったというのは、これは私は環境省の職員の皆さんに対しても失礼だと思う。私も大臣をやりましたから環境省のこともよくわかっています。決して大きな役所ではない。しかし、非常に真摯に、誇りを持ってしっかり仕事をやっていますよ。

 もうこれは聞きません。聞きませんけれども、この程度の認識で環境大臣をやられるのであれば、私は、資格がないと思いますよ。そのことだけは最後に申し上げておきたいというふうに思います。

 どうぞ、お引き取りいただいて結構です。

竹下委員長 引き取ってください。

細野委員 それでは、総理にお伺いしたいと思います。

 総理の施政方針演説の中で、幾つか私は気になったことがあります。

 まず一つ、総理に考えていただきたいのは、冒頭の部分でこういう御発言をされているんですね。「批判だけに明け暮れ、対案を示さず、後はどうにかなる、そういう態度は国民に対してまことに無責任であります。」

 これは恐らく我々に対する言葉として総理が投げかけられたんだろうというふうに思いますね。私はこれは、発言としては実はかなり不適切だし、我々の実態を示していないと思っているんです。

 昨年一年間で成立をした内閣提出法案は六十六本です。六十六本通りました。総理、このうちで、民主党が実際に賛成をした法律は何本ぐらいあると思われますか。クイズをするつもりはないので、数字は答えていただく必要はありませんが、六十六本中五十三本に民主党は賛成しているんです。八〇%。その中には、なかなかニュースにはなりにくいけれども、与野党でしっかり話し合いをして、そして最終的に政府や与党の側にも一定の理解をしてもらって通した法案もたくさんありますよ。

 そういうこの一つの数字を考えても、まあ、条約については十五本全部賛成しています。この批判に明け暮れて対案を示していないという御批判は、余りに国会の実態を示していないと私は思いますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 最初に発言の御紹介をいただいたように、私は、政治あるいは国会における審議のあるべき姿を申し上げたわけでありまして、民主党がと言ったことは一回もありませんし、それはつゆほども実は思っていないわけでありまして、そうあっていただきたい。恐らく民主党も、一度政権を担っておられるでしょうから、まさに細野委員がおっしゃったような姿勢で臨んでおられるとすれば、そんなすばらしいことはないんだろう、こう思うわけでありまして、まさに、あるべき姿を示した。

 このあるべき姿に対して、果たして自分はどうなのかと自省しながら進んでいくことこそ政党に求められている、あるいは政治家に求められているんだろうな、こんなように思っているところでございます。

細野委員 これだけ冒頭で明確に野党を向いておっしゃって、いや、それは民主党のことではありませんと言うのは、余りに、最近の総理らしいと言えば総理らしいということになるのかもしれませんが、御答弁だと思いますね。

 そこで、もう一つ指摘をしたいんですが、私、ちょっと総理を見ていまして感じるのは、総理御自身の中に、与野党でしっかりと物事を協議して進めていこうという姿勢が見えないのではないか。もうそろそろ、総理、三年たっていますし、長期政権になっていますよね。その中で、その姿勢を改めていただいた方がいいのではないかというふうに思っているんです。

 具体的に一つ事例を申し上げますと、総理、三年以上たちましたけれども、野党第一党を初めとした我々との党首会談というのは、安倍政権になって一度もやっていませんよね。

 過去の記録を見てみたんですね。例えば、民主党政権のとき、野田政権のときは、社会保障と税の一体改革などがありましたから三回やっています。そして、菅政権は、震災がありましたから四回。鳩山政権は短かったですが一回。

 ちなみに、麻生副総理が総理をやられていたときは二回。そして、福田政権は三回やっている。意外に思われるかもしれませんけれども、小泉政権は、実は、さまざまな有事法制を初めとした議論の中で、五回も党首会談をやっているんですね。

 機会がなかったかといえば、そんなことはありません。例えば、三党合意の中で消費増税を最終的に国民にお願いをした。先延ばしをするときだって、与野党で話し合う、そういう可能性はあったと思いますよ。また、例えば安保法制の議論の中で、一昨年の閣議決定、集団的自衛権の解釈変更のところから一年以上の期間があったわけだから、いろいろな呼びかけの可能性もあったと思いますよ。それを一回もやっていない。

 もう一つだけ申し上げますと、昨日、特例公債法を提出されました。本来は例外でなければならない特例公債を五年間は例外的に出し続けることができる、こういう法案になっていますね。

 あれも、前回これを決めた、三年という形にしたときには、与野党で随分話し合いをして、当時私は政調会長でした。政調会長として調整をした上で、社会保障と税についてもお互いに一定の歩み寄りを見せるのであれば、実際には予算は赤字国債を出さないと組めませんから、そういったことについてはお互いに理解した方がいいだろうということで、幹事長と政調会長でサインをして、法案を通したんです。

 今回は、もちろん我々に全く相談もなくそのまま出されました。

 総理、どうですか。繰り返しになりますけれども、もう三年になって、与野党で対決するところは徹底的に対決します、我々もそれはやっていく、しかし、少なくとも、もう少し総理自身が野党に呼びかけて合意を求めていく、そういう姿勢に転換された方がいいんじゃないですか。

 総理に、ぜひこの面について御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 野党の党首、これは野党第一党の党首だけでいいのかどうかということもあるんだろうと思いますが、野党の皆さんとの話し合いというのは私どもは持ちたい、こう思っております。

 しかし、残念ながら今までその機会がなかったということでございますが、今後も、そうした必要性、機会があれば、ぜひ野党の皆さんとも忌憚のない意見交換をしていきたい、このように考えております。

細野委員 機会がなかったとおっしゃいますが、与野党の党首会談というのは、基本的には与党・政府の方が呼びかけるんです。それに応じて与野党が話し合わないと、小さい方が呼びかけたって、聞く耳を持っておられなければ、実際に会談は成立しないじゃないですか。

 ですから、三年以上にわたって一度も、重要案件がこれだけあったにもかかわらず党首会談をやっていないというのは、与党の皆さんもちょっと異常だと思いますよ。そこの部分を、まあ総理が今比較的前向きな答弁をされましたので、それでその答弁については私も受けとめますけれども、態度を私は改めていただきたいと思います。

 その上で、きょうは改めて、我々が今国会でしっかりと提案をしていきたいと思っている法案の中身について、少し紹介をさせていただきたいと思います。

 今国会からは、維新の党と統一会派を組みました。我々の中で、しっかりと政策を提案していこうということで、こういった法案を国会に提出することを計画しております。

 まず、消費税の払い戻し法案ですね。これは、政府の側が軽減税率を導入されている中で、我々は、これは低所得者対策という意味では極めて合理性が欠ける、むしろ、給付つき税額控除という形で払い戻しをすることによって低所得者の皆さんにしっかりと応えていこう、こういう考え方です。

 また、財政健全化推進法案についても提出をします。我が国の財政は非常に厳しい。しかし、やはり二〇二〇年に向かってしっかりとプライマリーバランスを維持していかなければ、未来の責任を果たすことにはならない。この話は後で議論しますが。

 そういった中で、例えば国家公務員の総人件費についても、しっかりと二割切り込んでいくということも、この法案の中に書いております。そして、その中で、一番下に書きましたが、国家公務員の働き方についても変えていかなければならない。労働基本権の問題についてはしっかりと付与した上で、そして、さまざまな公務員の働き方も変えて、その上で二割削減というのも法案として提出をしております。

 そして、二行目にあります中小企業の社会保険料の負担軽減法案ですが、これは、中小企業にとってはなかなか正社員を雇えないのには理由があるわけですね。それは、一人雇うと、例えば月に二十万円ぐらいの給料を出そうと思うと、実際には三万円ぐらいの年金、医療、介護、そして失業保険などの負担をしなければならないので、ついつい非正規社員に置いておきたいというふうに思う、本当は正社員で雇いたいんだけれども。そういう中小企業が多い。そういう負担をできるだけ軽減することによってしっかりと正社員をふやしていこう、そういう中身になっています。

 恐らく、この法案がしっかりと成立をすれば、政府が提案をされている法人税の減税が実現をするよりは、はるかに雇用に対する効果もあるし、中小企業に対するメリットも私どもはあるというふうに思っています。

 そして、安全保障ですね。安全保障については、政府案については問題が多いですから、これは廃止をすると同時に、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道復興支援については積極的にという考え方に基づいた五法案を間もなく国会に提出して、総理が批判をされたような、批判に明け暮れて対案を示さず、こんな国会にだけは我々はしない、その努力をこれからもするということを国民の皆さんに明確に申し上げたいというふうに思います。

 せっかくちょっと説明をさせていただいたので、我々がしっかりと提案をして政策をやるということについて、総理にも改めてしっかりと受けとめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まさに、私が皆さんに呼びかけた方向に向かって進んでいくというふうにおっしゃっていただいたことは、私も呼びかけた意味があるのかなと、改めてこのように思ったような次第でございます。

 いずれにいたしましても、国会で真摯な議論をしていきたい、こう思っておりますし、今、細野委員から御党のさまざまな御提案、短い時間ではございましたが、そうした御提案をしていただくことがより議論を深めていくことにつながると、敬意を表したいと思います。

細野委員 もう一つ言い忘れました。

 先ほどの法案の中に、これは全て党として既に了承したものだけを並べましたが、企業・団体献金の禁止についても、維新の党としっかりと一致をした案を出したいというふうに思っています。やはりその部分について根本的な解決というのをしていかなければ、甘利大臣の問題を初めとしたさまざまな問題というのがなかなか絶てないということも含めて、我々には覚悟があるということもあわせて申し上げておきたいと思います。

 次に、経済に話を移したいと思います。

 マイナス金利が先々週導入が決定されました。この政策、やはり一番直接的なダメージを受けるのは高齢者の皆さんだと思います。預金で生活をされている方、そういった方々というのは多いですから。預金金利はまだマイナスではありませんが、当然、さまざまな振り込みや引き落とし、さまざまな手数料がかかりますから、高齢者の皆さんの貯金というのは実質的にはマイナスになるということになってしまうわけですね。すなわち、普通に生活をしている我々の感覚からすると、相当異常な政策が決定をされたということだけは間違いないだろうと。

 その中で、大変厳しい市場の評価が今下っていると思います。株安。きょうは、先ほど見たら一万六千円をちょっと割りましたか、一万五千八百四十一円というメモが入りましたが。これは、株の上がり下がりについては総理としてはコメントしないというレベルを超えていると思いますね。マイナス金利によって、これだけの株安。そして円高ですね。

 特に、株安について私が懸念するのは、銀行株が非常に下がっている。これは、日銀に預けてお金を置いておけば手数料を取られるわけですから、銀行の収益は厳しくなりますね。特に、地銀が下がっている。地銀が下がっているということは、地銀の収益が厳しくなるということをマーケットが予測しているということですね。そうなってくると、地方経済に、よりダメージが大きくなる可能性がありますよ。

 総理、まずお伺いしますが、これはもうアベノミクス相場が崩壊したというふうにも言われているんですよ。明らかに、マイナス金利に関して市場は非常に厳しく対応していますよ。これについて、総理はどう評価をされていますか。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 再三申し上げておりますが、我々は、三本の矢の政策によって、デフレマインドを払拭し、デフレから脱却し、日本の経済を力強く成長させていくという、三本の矢の政策を進めてまいりました。それがアベノミクスと言われる経済政策でございます。

 事実、この三年間におきまして、名目GDPは二十八兆円ふえたわけでございますし、百十万人の雇用を創出したわけでございます。有効求人倍率も二十三年間で最高水準になってきているという状況をつくり出すことができましたし、もはやデフレではないという状況もつくり出すことができた。

 と同時に、二十年近いデフレマインドを完全に払拭するというのは、これはそう簡単なことではないわけでありまして、さまざまな手段を打ってきたけれども、うまくいかなかった。我々の政策で初めてデフレではないという状況をつくり出したことは事実でございまして、後戻りするわけにはいかない、こういうことでございます。

 その上で、金融政策につきましては、まさに、どういう手段をとっていくかということについては、日本銀行が手段を決めていくわけでございます。黒田総裁を任命し、黒田総裁を私は信頼しているわけでございます。

 現在、どういう手段をとっていくことが、デフレから脱却をしていく、そして二%の物価安定目標に向かって進んでいく、物価の安定をそういう意味で確保していくという意味において、しっかりとした政策手段をとっていかれるもの、このように考えております。

細野委員 きょうは総裁はお呼びはしませんでしたが、マイナス金利を導入して、その直後に株がこれだけ下落をし、しかも円高になるという、当初想定をしたのとは全く逆の動きになっているわけですよね。ですから、結局は、マイナス金利というこの政策そのものは、少なくともこれまで見たところで言うならば、これは失敗と言わざるを得ないのではないか。

 それは、そもそも、マイナス金利を導入するところまで金融政策に頼って、そこに大きく依存する形で、実体経済がよくなっていないから。実体経済はよくないのに、需要はふえないのに、金融政策だけで景気がよくなるなんてことはないという金融政策の限界をあらわしているんですよ、これは。

 そこで、経済の中身について石原大臣にお伺いしたいと思います。

 さまざまな統計が出ていますが、数日前に出た毎月勤労統計ですね。暦年の数字が固まりました、二〇一五年。私は以前、経済の予測の仕事をしていたことがありまして、この統計は割となじみがあるんですよ。

 改めて見ると、厳しいですよ。暦年でマイナスだったということもありますが、正直ちょっと驚いたのは去年の年末のボーナス、特別給与も十二月に出ますから、これはマイナスなんですよね。総理は、いや、それはパートの人がふえたので、安倍家では、御主人が五十万円で、二十五万円が奥さんということになるとという話もされましたけれども、そういうレベルではないですね。

 確かに、円安によって、一部の製造業についてはボーナスが上がったところもあるでしょう。しかし、サービス業はどうか、中小企業はどうか。全体として、一番マクロでとっているのが毎月勤労統計ですからね。この数字が、ボーナスがマイナスになっている。つまり、所得が上がっていないわけですよ。所得が上がらない中で、経済がよくなるわけがない。

 来週にはGDPの統計も出ます。これも十―十二の数字が出ますから、そうすると二〇一五年の暦年の数字が固まりますね。改めて指摘するまでもありませんが、二〇一四年は暦年でマイナス成長、暦年でも年度でもマイナス成長です。そして二〇一五年、暦年の数字が来週固まりますが、ほとんどゼロ成長だろうと言われている。

 大臣は、きのう、上昇局面にもでこぼこがある、そういう発言を会見でされていましたけれども、私、そういうレベルじゃないと思いますよ。ずっと歴史を見てください。二年連続ゼロ成長もしくはマイナス成長というのは、これはどう考えたって景気後退局面に入っているじゃないですか。

 大臣は、今でも日本は景気回復局面にあって大丈夫だというふうに思っておられるんですか。

石原国務大臣 御質問にお答えする前に、冒頭、株式マーケットについての御言及がございましたが、総理大臣から御答弁させていただきましたけれども、状況についての一般的な認識として言わせていただきますと、今回はやはり、ヨーロッパの金融、すなわち、南欧州、そちらの方に対する融資等々に問題があるんじゃないかということで基幹バンクの株価が下がったところに今回のこの株価局面の原因があるということは、多くのエコノミストが分析しているところでございます。

 そしてまた、アメリカの経済が拡大基調にある。すなわち、アメリカでは、ほぼ完全失業率ゼロという状態、これがつくられたからこそ、イエレン議長が昨年ゼロ金利を変えられた。そんなアメリカではありますけれども、原油価格がワンバレル当たり三十ドルを切る、こんなことは、実は、変調の起こりは二〇一四年の最終クオーター、一年ちょっと前だと思いますけれども、そんな中で、これまで円高・ドル安を許容してきたアメリカの経済に変調を来したのではないかというようなマーケットの反応によって今回の株価の現状が表出しているということは、ぜひ、多くのエコノミストの発言等々も参考にさせていただきまして、御理解をいただきたいと思います。

 そこで、昨日発表されましたいわゆる各月の賃金でございますが、これは、委員御指摘のとおり、二〇一五年の一人当たりの実質賃金というものは〇・九%の減であるということは事実だと思います。名目では、物価が上がっておりますので、〇・一%の増。四年連続のマイナスであります。

 しかし、一人当たりの賃金、これも総理がよく御答弁をされていることで委員は御認識のことだと思いますけれども、間違いなくファンダメンタルズはよくなっていますよ、この三年間で。GDPがこれだけ拡大している、二十八兆円。実質でも十二兆円。就業者が百十万人を過ぎている。これを、アベノミクスで景気が失速している、あるいは収束局面にあるというのは、やはり間違った認識だと思っております。

 では、なぜ実質賃金が減ったのか。これは大きく言って二つ理由があると思います。就業者がふえる、パートの方々の人員がふえてくる。それと、私の選挙区で見てもわかるのでございますけれども、単身の方が大変ふえている。すなわち、この後どういうことが起こっているかといいますと、収入が少ない方々、高齢者の方がふえているわけでございます。そういうことによりまして、こういう傾向が出てくる。

 アベノミクスはこのように多くの成果を出しているということは国民の多くの方々が認識されているからこそ、安倍内閣の支持率はこのように高く推移しているものと承知しております。

細野委員 先ほど、名目GDPが二十八兆円ふえたとおっしゃいましたが、二〇一二年の七―九から二〇一五年の七―九までの非常に都合のいいところの四半期をとって、名目で二十八兆円とおっしゃっているんですね。

 大臣、これは経済のイロハですが、成長率というのは何で見るかというと、実質で見るんです。名目というのは、為替の影響も含めてさまざま水膨れするところもあるし、物価の動向もある。実体的に経済が伸びているか伸びていないかは、実質で見るんです。

 実質で見たときに、安倍政権になってからの今の期間の成長率の平均は〇・八%です。そして民主党政権のときは、確かに華々しくはなかったけれども、平均で倍の一・六%の実質成長をしているんですよ。ですから、その数字をもって景気回復していると言うのはおかしい。

 大臣、もう一回聞きますよ。全体としてレベルが高いか低いかということを言っているんじゃないですよ。景気というのは、上がることもあれば下がることもある、つまり、上昇局面、後退局面とあるわけですね。二年にわたって実質GDPが低下しているというのは、これは経済のそれこそ定義にかかわるぐらい、明確に後退局面じゃないですか。今でも回復局面だというふうに大臣はおっしゃるんですか。

石原国務大臣 細野委員のお言葉を返すようですけれども、名目GDPというのは、一年間の付加価値の合計から輸入を引いたものであります。ここの部分が二十八兆円、実質でもこの三年間で十二兆円ふえているわけですね。この事実は認めていただきたいですし、都合のいいということを言われましても、二〇一二年の十二月の選挙の後、二〇一三年、一四年、一五年と、安倍政権になりまして方策を大きく変えた。

 これも先ほど総理が答弁されておりましたけれども、二十年間続いた、もちろん、その間、自民党政権の時代もございました。そして、民主党政権の時代もありました。私も金融調査会長等々もやらせていただきまして、この問題、どういうふうにすればいいか悩んできたことですけれども、政権交代いたしまして、デフレから脱出していこう、脱却していこう、そして事実として、ファクトとして、実質的にデフレ状態ではないというところまで今来ている。

 そして、後段の御質問でございますけれども、私は、トレンドとしたら緩やかな回復基調にある。その根拠は、雇用、所得、企業の収益が過去最高を記録しているということに事実が含まれていると御認識いただきたいと思います。

細野委員 雇用の統計というのは、景気の遅行指標です。おくれて来ます。実際に、確かに、需給が逼迫して上がったという面があるでしょう。

 実質のGDPというのは、全ての結果を総合した総合成績、結果なんです。それが明確に下がっているのに、今でも経済の基調が回復基調にあるということを言っているようでは、政策を誤りますよ。まずは現状をしっかり認識した上で、これまでの金融政策絡みの経済運営というのはもはや限界だということをわかった上で、しっかりと転換をするということをやらないと誤りますよ。

 総理、景気は相当基調が変わっています。マーケットの雰囲気も変わっている。本当に経済が厳しい状況にあるということを認識した上で対策を打つべきじゃないですか。(石原国務大臣「委員長」と呼ぶ)これは総理に伺います。大臣にはさんざん答弁をいただきましたから、総理に伺います。委員長、さすがにもう随分浪費していますから。

菅原委員長代理 先に手を挙げています。経済再生担当大臣石原伸晃君。

 その後、総理。

石原国務大臣 この後、総理が御答弁させていただきますけれども、実質的な数字のことだけはぜひ話をさせていただきたいと思うんです。

 先ほど、民主党政権下の実質GDPの伸びの話を細野委員はされましたけれども、あのとき、リーマン・ショックの後、麻生財務大臣がいらっしゃいますけれども、十五兆円の経済対策をやったんですね。その十五兆円の経済効果が民主党政権のときに出ましたからGDPを五・七%増加させた、そのファクトだけはぜひ言わせていただきたいと思っております。

 そして、実質も名目も、デフレーターはいずれも安倍政権のとき上昇しているということもぜひ御理解をいただきたいと思います。

 この後、総理に総括的なお話をいただくことになるんだと思っております。

安倍内閣総理大臣 先ほど来、名目GDPと実質GDPについてお話をされました。

 我々は二十八兆円名目GDPをふやした。しかし、大切なのは実質で、民主党政権時代の三年間に五・七%ふやしたではないかと。なぜそうなったかという原因の一つについては、ただいま石原大臣から答弁をさせていただきました。

 もう一点は、そのときの名目GDP、民主党政権時代の名目GDPは、実質は五・七なんですが、〇・七なんですね。つまり物価が五%下がったわけでございまして、ここに問題があったわけでありますから、そういう問題を私たちは見ながら、なぜ名目が大切かといえば、デフレから脱却していく上においては、これは名実逆転させなければいけないんですね。名目の方が実質GDPよりも低いというこの異常な状況をまず正常に戻すこと。ですから、当然、名目GDPを重視する。そうでなければデフレから脱却なんかできないわけでありまして、私たちのその着目が正しかったから、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができたと思います。

 同時に、今細野委員が御指摘をされている今までの三年間というよりも、直近の経済の状況をどう見るかという御質問でもあるんだろう、このように思います。

 それにつきましては、株価の動きについて私はコメントすることを差し控えたいと思いますが、ただいま石原大臣から答弁したように、多くのエコノミストは、世界経済のさまざまな状況による影響ではないかと分析をしているわけでございます。

 いずれにせよ、我々もそうした現在の足元の状況等についても注意深く動きを見つつ、しかし、日本経済のファンダメンタルズはしっかりしているということは申し上げておきたい、このように考えるところでございます。

細野委員 今一言だけ、足元の動きをしっかり見つつという御答弁ありましたが、しっかり見てください。数字はかなり明確に語っていると思いますよ。明らかに日本の経済は変調を来している。アベノミクスはしっかりと、これは本当に、所得をふやす、さらには働き方を変える、それにシフトしていかないと結果が出ないと思いますよ。そのことだけは申し上げておきたいと思います。

 今、需要が上がっていない中で二%の物価上昇というのは、これは現実的には相当厳しいと思います。しかし、物価が上がる可能性はある。その可能性は、やはり原油の価格が動いたときですね。原油の価格が大きく動くと、前年比でいうと相当大きな動きが、今の水準だといずれかの段階で出てくる可能性がある。

 そこで、これは石原大臣に改めてお伺いしたいと思うんですが、先日の玉木議員に対して黒田総裁はこう答弁されていますね、物価安定目標が実現されていくとともに当然長期金利も上昇していくと。つまり、黒田総裁としては二%物価上昇をさせたいですから、させたら金利がどうなりますかと玉木議員が聞いたら、長期金利が上昇していくということも言われている。大臣、その認識は総裁と同じということでよろしいですか。

石原国務大臣 あのとき、私も玉木委員と黒田総裁とのやりとりを聞いておりました。総裁がそのように発言されたことは承知しております。

 私は経済財政担当でございますので足元の話をさせていただきますと、足元では、名目の長期金利は、これも委員御承知のことでございますが、低位で推移している。一般論として申し述べさせていただきますと、長期金利が経済成長や物価上昇によって上昇するというのは、これは委員御指摘のとおりでございます。

 本年の一月公表の、経済や財政の連関を分析する計量モデルであるところの経済財政モデルを用いた内閣府のいわゆる中長期試算でも、経済成長と物価の上昇とともに金利が上昇する姿となっております。ただし、長期金利の急激な上昇は、もうこれも委員が御指摘でございますけれども、経済に悪影響を与える。私は、日本銀行において、市場とのコミュニケーションを適切に図りつつ、経済、物価情勢を踏まえて金融政策をこれからも適切にやっていただくことを期待しているというのが、政府の立場でございます。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

細野委員 我が国は一千兆の借金を抱えているわけですね。それをやりくりしながら、つまり、借りかえ借りかえをしながら、また新規に数十兆、毎年出している。日本の財政を考えたときに、これは麻生大臣が一番よくわかっておられると思うんですが、一番怖いのは金利の上昇なんですよ。

 今、石原大臣が言及されたシナリオについて少しやりとりしたいと思ってパネルをつくってきましたので、それをごらんいただきたいんです。

 これは、国と地方の公債残高のGDP比の将来の予測を政府がつくったものを私の方でわかりやすく描いてきました。これはGDPに占める割合ですから、上に行けば行くほど借金が積み上がって首が回らなくなる、そういう話ですね。

 まず、ベースラインケース、経済成長が今の水準か若干よくなる程度で推移する場合というのは、赤の部分ですが、どんどん赤字がふえていって、これは場合によっては財政的に発散するかもしれない、そういうシナリオになっている。

 一方で、経済再生ケース、実質で二%、名目で四%ぐらいの成長をするという、名目で四%ですから、これは相当の高成長で、想定は相当甘いとは思いますが、そうなった場合については、この残高はGDP比で縮小していく、こういう絵を描いているわけですね。

 石原大臣、ちょっと私、気になりましたのは、こういう記述がこの試算結果の中にあるんですよ。二〇二〇年以降の長期金利が名目GDP成長率を上回っていることに留意が必要だ、こういう記述がありますよね。つまり、二〇二〇年以降というのは、名目GDPは長期金利を上回れない、これは当たり前といえば当たり前で、長期金利が四%とかいう数字になるという想定になっていますからね。四%を超える名目成長なんというのは、さすがにどんなにうまくいったっていきようがないわけですね。

 そうなってくると、大臣、これは財政の問題を考えたら明確なんですが、経済再生ケースについても、一旦減り始めたGDPに占める債券の残高というのがまた上がるということになりませんか。これは、日本の場合には、恐らく、このシナリオでいけば、長期金利を成長率が上回ることは難しいと思いますよ。どうやって財政再建するのか、絵が全然描けていないじゃないですか。これは大臣、お答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 先ほどの委員の御指摘のとおり、この内閣府の経済財政の連携を分析する計量モデルであるところの経済財政モデルを用いた、ことしの一月に発表された中長期試算の経済再生ケース、すなわち、アベノミクスを浸透していって、経済再生なくして財政再建なしというケースでは、二〇二〇年度以降、名目長期金利が名目GDP成長率を上回って推移する姿になっている、これはグラフでお示しいただいたとおりだと思います。

 ただし、名目の長期金利の動向は、やはり、これも私が申すまでもなく、その時々の経済や、あるいは物価の動向、金融政策によって影響を受けることはもう間違いのないことですから、この試算は幅広く見るということが肝要だと思います。

 そして、委員御指摘になりましたのは、多分、二〇一九年、二〇年を境に、この試算によりますと、名目成長率が、二〇一九年が三・五、二〇二〇年が三・六、二〇一九年でいいますと、名目の長期金利は三・二と、名目成長の方が上でございます。このケースの場合には大丈夫だというのが委員の御指摘だと思います。

 そして、委員の御懸念は、二〇二〇年に名目成長率が三・六に、そして名目の長期金利が三・九に、二〇二一年で見ますと、名目の成長率が三・七に、名目の長期金利が四・二とこの経済分析モデルを回した結果なっていると。そうしますと、金利負担、これは財務大臣の所掌でございますけれども、国債の金利が上がってきて財政再建に著しい弊害を起こすのではないかというような御質問であると私は理解をさせていただきました。

 一般論として申しますと、長期金利は経済成長や物価上昇に伴って上昇するものである、これはもう既に御答弁をさせていただきました。そういうことを見まして、金利動向についてはやはり今後非常に注意深く見守っていかないと、委員の御指摘になられるような懸念が発生しないように、これからも注意をしていかなければならないと認識をしております。

細野委員 いや、大臣は余りわかっておられないように聞こえましたね。

 注意深く見守るのではなくて、政府の想定している最もいいケースで経済が回復した場合は金利がGDPを上回るので、財政が発散するリスクがあるんじゃないですか、この一番希望的なケースでどうですかということを言っているんですよ。

 金利を注意して見ていくと言いますが、それは日銀が決めるんでしょう。発散しそうになるから金利を抑えるなんということは、インフレになったら日銀はしませんよ。

 つまり、今は金融緩和で物価が抑えられているからまあ何とかなっているけれども、実際に原油が上がって金利が上がったときには、場合によっては二〇二〇年より前に来る可能性だってありますよね。金利が上がった場合については財政が回らなくなるという巨大なリスクをアベノミクスは抱えることになっているということを、しっかり担当大臣として認識してください。そこは多分総理も十分わかっておられないと思う。

 最後に、委員長にお願いしますが、実は奇妙なことが起こっていまして、この先をなかなか政府は出さないんですよね、二〇二四年より先を。かつては、この中長期の試算においては十二年後まで出していた。ですから、二〇一六年からでいうならば、これは二〇二八年まで出していたはずなのに、二〇二四年までしか出さない。この先も含めて日本の財政はどうなるのかということについてはしっかりお示しいただかないと、アベノミクスの足元の結果がどうなのか、影響はどうなのかということもしっかり検証できないと思いますので、委員会として、この後もしっかり出して、財政はどうなるのか、それを検証できるような環境をつくっていただきたいと思います。

竹下委員長 理事会で検討させていただきます。

細野委員 はい。

 それでは、後は同僚議員がしっかりと政治と金の問題について追及をするというふうに思いますので、以上で終わります。

竹下委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 本日の予算委員会集中審議は政治と金の問題ということでありますので、私からは甘利前大臣の問題について質問させていただきたいというふうに思います。

 先ほども少しいろいろ政治と金の問題のお話がありましたけれども、前回も申し上げましたけれども、私は、今回の甘利大臣の問題というのは、例えば国の補助金を受けた企業から政治献金を受けたというような話とは全く異質の問題だというふうに思っています。

 というのは、政治家がお金を受け取って働きかけをして行政をゆがめたということになれば、これはまさにあっせん利得という、先ほど公明党からお話がありましたけれども、公明党さんも中心になっていただいて長年政治浄化に取り組んできた、このことにそのものずばり当たる問題だというふうに思っております。

 前回、私は、甘利大臣の記者会見の中の疑問点を二点取り上げさせていただきました。

 その第一は、平成二十五年と平成二十六年、二回にわたって受けた寄附、これは年をまたいだ寄附です、これを合わせて収支報告書に掲載するというのは政治資金規正法違反ではないかということ。

 第二は、甘利事務所とURのやりとりの中で、例えば、少し色をつけてでもとか、先方に私から額を聞きましょうかとか、あるいは事務所の顔を立ててほしいとかいう発言が繰り返されている、甘利氏が記者会見の中で秘書は金額交渉には介入をしていないと言っていたけれどもそれはうそじゃないか、それはずばり、まさにあっせん、口ききに当たるのではないか、この秘書の一連の行為というのは先ほど申し上げましたあっせん利得処罰法ないしはあっせん収賄に当たる可能性が極めて高いのではないかということを申し上げました。

 その上で、本日は、甘利前大臣本人のあっせん利得あるいはあっせん収賄の可能性ということについて議論させていただきたいというふうに思っております。

 というのも、甘利大臣の先月二十八日の記者会見の全体のトーンというのは、自分は重要閣僚として非常に忙しく国政に邁進していた、そのため事務所の監督の目が行き届かなくて、秘書は悪事を働いたけれども自分は法に触れるようなことはしていないんだ、そういうトーンだったんですね。

 しかし、果たしてそう言い切れるのか。この点、一つの鍵を握っているのが、私は、甘利氏本人の現金の授受、ここではないかというふうに思っております。

 この点について、記者会見での甘利氏の説明と、建設会社総務担当者、一色氏の証言がいろいろなところで異なっています。これを整理させていただいたのがこのパネルであります。

 まず、ごらんをいただきたいんですけれども、上の段です。

 平成二十五年十一月十四日の、大臣室での現金五十万円の受け取りの場面であります。甘利氏は、後になって菓子折りの入った紙袋の中にのし袋に入った現金があることに気づいて、秘書に政治資金として処理を指示したというふうに説明しています。一方で、一色氏は、ようかんの入った木箱に添えて、お礼ですと言って渡して、大臣は封筒を取り出してスーツの内ポケットに入れたというふうに証言をしています。これは、のし袋というふうに記者会見で言われていますけれども、こういう白い封筒だったと。この封筒を内ポケットに入れたというような証言をしておられます。

 次に、平成二十六年の二月一日の大和事務所の方でありますけれども、ここでは甘利氏は、帰り際に菓子折りと白い封筒を差し出されて、直接受け取ったことは認めています。そして、秘書に渡して適正に処理をするように指示したと説明をしています。

 それに対して、建設会社総務担当者の証言でありますけれども、産廃のことについて三十分以上大臣に案件の説明をした後に、清島秘書に促されて、直接大臣に封筒に入った現金五十万円を渡したと証言をしています。また、そのとき、甘利氏はパーティー券にしてと秘書に言ったけれども、一色氏が、いや、個人的なお金ですからと言うと、やはりこれまたスーツの内ポケットに入れたということであります。

 今確認させていただいたように、甘利氏本人も現金の受け取り自体は認めているんです。ただ、スーツの内ポケットに入れたのか、それとも適正に処理するように秘書に指示をしたのかという点で、両者の証言がまず異なっています。

 また、一色氏の証言によれば、大臣室の五十万円というのは二・二億円の補償がおりたことのお礼の趣旨で渡した、それから大和事務所の五十万円、これについては、先ほど申し上げましたように、産廃の案件について三十分以上説明をした直後にそのことの依頼の意味を込めて渡したんだということですけれども、この点も食い違っています。

 今言ったように食い違いがあるわけですけれども、実は私、先日、一色氏本人に直接会って、話を聞いてまいりました。

 ここに書いてあることを全部確認させていただきましたけれども、間違いないということであります。そして、十一月十四日と二月一日の大臣室と地元事務所、この二つの場面についてはいずれも録音があるというふうに聞きました。

 私は、一方の当事者である一色氏には話を聞くことができたんですけれども、ただ、閣僚を辞任した甘利さんに質問したくてもできないんです。

 ですから、甘利大臣を本委員会に呼んでいただきたいと改めてお願いをしたいと思いますが、委員長、よろしくお取り計らいいただきたいと思います。

竹下委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

大西(健)委員 総理、総理自身も、甘利氏本人が説明責任を果たすことが重要であるということを繰り返し述べられているというふうに思います。盟友である甘利氏に、身の潔白を証明するためにはぜひこの委員会に出てきていただいて、お話をいただきたいというふうに説得をしていただきたいと思います。

 また、参考人招致に反対をしているのは自民党の皆さんなんですね。ですから、自民党総裁として、真相究明に協力するようにぜひ指示をしていただきたいというふうに思います。テープもありますので、総理、ぜひ指示をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 甘利前大臣本人も、さきの記者会見の中で、引き続き調査を進め公表すると語っておりました。今後ともしっかりと説明責任を果たしていかれるものと考えております。

 また、委員会においてどのように取り扱っていくかということにおいては、委員会でお決めいただくことだと思っております。

大西(健)委員 一月二十八日の記者会見からもう何日たっているんですか。その間に説明責任を全く果たしていないじゃないですか。

 先ほども遠藤大臣の話がありましたけれども、遠藤大臣は御自身で、その疑惑については違うんだ、事実誤認だということをここで説明されていましたよ。身の潔白を証明するんだったら、ぜひ出席をしていただきたい。反対しているのは自民党さんなんですから。ですから、これはしっかり甘利大臣に出てきていただいて、説明をしていただく必要が私はあるというふうに思います。

 次に、前回の質疑でも取り上げたURとの補償交渉に関して、先ほどの会見の中でも甘利前大臣は、秘書は金額交渉には介入していないと何度も説明をされているんですけれども、この説明は私は虚偽があるのではないかというふうに思っています。この点について聞いていきたいというふうに思っています。

 まず、平成二十五年の八月六日に補償契約が結ばれた二・二億円の補償というのがあるんですけれども、URにお聞きをしたいと思います。これは基準にのっとって算出された正当な補償額ということでよろしいでしょうか。確認です。

上西参考人 お答えいたします。

 補償金は、公用地の取得に伴う損失補償基準に従って計算をされておりまして、妥当なものと考えております。

 以上、お答え申し上げました。

大西(健)委員 私の手元に、平成二十五年五月二十日付のURに送られた内容証明というのがあります。この中で、S社、薩摩興業さんは二つのことを要求しています。URが購入した土地を従前どおり使用させるか、さもなければ営業補償を支払えというふうなことを求めています。

 これに対して、六月二十一日の、今度はURの回答書の写し、これも私の手元にあるんですけれども、一項めでは、貴社に対し本件土地に関し賃貸する義務や営業補償をする義務はないと、ゼロ回答しているんですね。ところが、二項というのがありまして、そこには、別の土地に存する貴社所有の物件の補償に関し通知人から別途提案がありますので、当該折衝は通知人、担当者との間で行っていただくようにお願いをいたしますと、全くトーンの異なる一文がつけ加えられています。そして、この提案というのが後ほどUR側からあって、最終的にURは二・二億円の補償を行っています。

 なぜゼロ回答だったものが一転して二・二億円の補償につながるような提案になったのか、UR、御説明をいただきたいというふうに思います。

上西参考人 お答えいたします。

 内容証明につきましては、一項と二項がございますけれども、一項と二項はそれぞれ違う物件に関しての内容証明でございます。

 なお、少し補足させていただきますと、甘利事務所の方がURに最初に来られたのは二十五年六月でございます。これはたまたま、アポイントもなく突然いらっしゃいまして、千葉ニュータウンについてというお話だったものですから、千葉でもいろいろな事業をやっておるわけで、担当を誰にするかということでちょっと時間がかかったんですけれども、課長等もいなかったものですから平の担当者三人が対応したということで、会話は十分で終わっているわけでありまして、そのときは、この内容証明郵便の取り扱いについてのお問い合わせだったということであります。

 それ以降、URと甘利事務所は、昨年の十月まで、本件に関して一切の関与というか、対話をしておりません。したがって、この間、補償契約が結ばれているわけですけれども、それについて事務所とのやりとりで金額が動いたということは一切ございません。

 以上、お答え申し上げました。

大西(健)委員 先ほども私が申し上げましたように、そのまま企業庁が買った土地を使わせてくれるか、さもなければ営業補償を出せということなんです。それに対してはゼロ回答ですよ。ゼロ回答しているんです。そんなのは言いがかりだぐらいの回答をしているのに、それがいつの間にか二・二億円出るようになったんですよ。

 この部分についても私は一色氏本人に聞きました。そうしたら、甘利事務所の仲介で、難航していた交渉がすんなり決着したというふうに言われています。ですから、まさに一色さんがかかわる前からずっと難航していたんですよ、ところがゼロ回答が二・二億円になるんですよ、これはやはり甘利事務所の秘書さんが本社に行ったということが影響しているんじゃないですか。UR、どうですか。

上西参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、一項と二項の物件が違うわけでございまして、一項については道路用地、二項については、その周りの、彼らが賃貸している土地の物件でございます。

 それから、先ほど来申し上げましたとおり、平の担当者が応接しただけでございまして、それでもって金額を動かすということは到底あり得ないというふうに私どもは考えているところでございます。

大西(健)委員 もう一つ、ちょっと別のことを聞きたいんです。

 先ほどURは二・二億円というのは適正に積算された正当な額だとおっしゃいましたけれども、しかし、この点についても、私が一色氏から直接聞いたところによれば、URからの最初の提案というのは一・八億円だったそうです。その場でもう少し何とかならないのかと言ったら、二千万円アップしたそうです。その後また電話で増額を要求したら、また二千万円ふえたと。

 正当に積算された額が、もう一声、もう一声と言ったら、二千万、二千万とふえて、一・八億円が二・二億円になるんですか。これはさっきの説明と全然違うじゃないですか。おかしいんじゃないですか。

上西参考人 先方さんがそうおっしゃっているだけでありまして、私どもといたしましては、法人の権利や正当な利益を害するおそれがあるため、今後の当機構の補償交渉の遂行に支障を生ずるおそれがあることから、具体的な内容はお答えできません。

 ただし、一般論として、補償交渉の過程において概算額を提示し、その後、補償対象物の特定、単価の時点修正等を行いまして、最終的に金額が変わるということは大いにあり得ることであります。

 いずれにいたしましても、公共用地取得に関する基準に従って適正に算定されたものでございます。

 以上でございます。

大西(健)委員 その場で二千万円アップして、電話したらまた二千万円アップする、そんなのがちゃんとした根拠に基づいて積算した額なんですか。あるいは、やはりこの案件のバックには甘利事務所があるということがあったから、こういうことが起きているんじゃないですか。

 ちなみに、二億二千万円を最終的に払うことになった物件移転の補償契約書というのも今ここにあります。これを見ると、八月六日に結ばれていますけれども、補償金二億二千四十一万二千八百円。このうち一億七千六百三十三万円と残額を二度に分けて支払う契約になっていますけれども、最初の支払いの約一億七千六百万、これはいつ払われたんですか。

上西参考人 個々の支払い日あるいは個々の支払い金額について情報開示することは、法人の権利や正当な利益を害するおそれがあるため、従来から非開示としているところでございます。

 以上でございます。

大西(健)委員 いや、これは都合が悪いから私も隠していると思うんです。

 ちなみに、私、一色氏にこれも確認しました。入金は平成二十五年八月二十日なんです。この八月二十日という日付、ぴんとくる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、八月二十日に、その日のうちにこの補償金を引き出して、そのうち一千万円をお礼として同日中に甘利事務所に持っていっているんですよ。

 これはまさにURが支払った補償金の一部が甘利事務所にキックバックされているとも見られるわけでありまして、私は極めて悪質だと思います。口きき、あっせんの対価そのものというふうにまさに見ることができるんじゃないかと思います。

 さらに、一色氏にこれも私聞いておりますけれども、補償契約がうまくいったときのお礼の額、これについては事前に清島秘書と相談の上決めたということなんです。まさに、二・二億円の話がうまくいったら、これぐらいのお礼でいいですかねと。初めに言った額には何か不満そうだったので、では一千万円でいいですかということで一千万円ということを決めて、実際には五百万円しかその日は受け取られなかったということであります。

 前回の質疑で私が示した、真っ黒に塗られた記録というのがあったかというふうに思います。あれは平成二十七年の十月二十七日と十一月十二日の記録なんですけれども、これが、前回の質疑を受けて、理事の皆さんの御協力をいただいて一部墨塗りが公開されました。

 その中で、まず上の方の、十月二十七日という方から見ていただきたいんですけれども、一色氏と思われる人物が冒頭のところで、なぜ本日この場が設けられたのかと聞いて、それに対してUR側が、甘利事務所のほにゃらら秘書からお話があったためと答えています。

 この日の会合というのはUR側から持ちかけたものということでよろしいんでしょうか。また、件名のところにも議員秘書依頼による面談とわざわざ特記をしてありますけれども、議員事務所が補償交渉をセッティングするというのは普通にあることなのかどうなのか。UR、いかがですか。

上西参考人 十月二十七日の補償交渉は、九日の、甘利事務所の秘書の方とうちの職員が面会した際に、先方から面会の要請があったことによってセットされたものでございます。

 こうしたことがよくあるかというお問い合わせかと思いますけれども、ケース・バイ・ケースであり得るということだと思います。

大西(健)委員 前回も私、十二回に及ぶ甘利事務所とURの面談の記録というのを皆さんにお示ししましたけれども、あれとは全然話が違うんですね。最初、何で真っ黒になっていたかというと、これは補償交渉なんですね。補償交渉というのは、当然のことながら、本来、当事者でやるものなんです。それを議員事務所がセッティングするということは本当にほかにもあるんですか。ほかにあるんだったら、ほかの例を教えてください。

上西参考人 具体例につきましては、今、持ち合わせがございません。

大西(健)委員 あるんだったら、後日、理事会に提出をしていただきたいというふうに思います。

 ないんですよ。ですから、さっきも言いましたように、これは議員事務所とURの接触ではなくて補償交渉そのものですから、それを議員事務所がセッティングするということ自体が私はあっせん行為に当たるんだというふうに思います。

 しかも、さっきもちょっと触れましたけれども、この冒頭の会話はちょっと不自然だと思いませんか。一色氏がこの交渉の場に行っているわけですけれども、きょうはなぜ呼ばれたのか、面談の議題は何かと聞いているんですね。これは不思議ですよね。不思議なんですけれども、私はこういうことじゃないかなというふうに思うんですね。

 つまり、一色氏は、わかっていて聞いているんですよ。わかっていて聞いているんです。つまり、きょうは自分が呼ばれたんだけれども、きょうは甘利さんのところから言われてこの会をセットしたんだよね、来たからには新しい提案があるということだよねということを吹っかけているということなんじゃないですか、冒頭こういう発言をするというのは。つまり、事前に甘利事務所からこの会をセッティングするということがあって、その上でこれがセッティングされているんだから、きょうここに来たからには新しい提案をしてくれるんだよねということを言っているんです。

 ちなみに、この日の会話も録音されています。私はその会話を文字に起こしたものを読みました。そうすると、一色氏は交渉の中で何度も甘利氏の名前を出しています。例えばこんなことを言っています。こういうことを言っているんです。

 まして国務大臣でもね、国務大臣の中でも相当の方だと思うよ、それの秘書の方が、ただ聞いてあげてじゃなくて、ちゃんと聞いてあげてくださいというのが普通だと思うよ、こう言っているんですよ。甘利氏が後ろにいるんだよと。だから、それはただこれを聞きおくという話ではなくて、ちゃんと聞いてあげて、つまり、ちゃんと聞いた上で動いてあげてということを言っているんですよ。

 これは、URとしては相当プレッシャーを感じると思います。私も気の毒だなというふうに思いますが、UR、プレッシャーを感じませんでしたか。

上西参考人 お答えいたします。

 補償交渉の中身に触れる件でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

大西(健)委員 中身に触れるところと言いながら、でも、まさにこの会をセッティングしたのは甘利事務所なんですよ。ですから、その中身についても、私は、これだけ疑いがかかっているわけですから、ちゃんと明らかにすべきだと思います。先ほど言いましたように、録音もあります、私も文字起こしを読ませていただきました。何度も甘利氏の名前を出して一色さんは交渉しているわけです。

 パネルに戻っていただいて、下の方です。これは平成二十七年の十一月十二日でありますけれども……(発言する者あり)そうなんです。最初はこれは全部黒塗りで、そもそも日にちまで隠されていたので、本当にこの日にちのものかもわからなかったんです。十一月十二日なんですけれども、相手方のところに、社員と紹介されたが、名刺を切らしているとのことで確認できずというふうに書いてあります。

 つまり、この日の補償交渉には一色氏以外にもう一人の同席者がいます。これは、甘利氏の政策秘書の鈴木氏ということでよろしいんでしょうか。UR、お答えください。

上西参考人 お答えいたします。

 我々の交渉は、甘利事務所との関係は東京で行っておりまして、具体的な補償交渉は千葉で行っているということでありまして、千葉の人間は甘利事務所の方を一人も存じ上げないということでございます。

 当日、一人、一色氏のほかに同席されていますけれども、それが誰かということは確認できておりません。

 以上でございます。

大西(健)委員 確かに、千葉ニュータウン事務所で補償担当をしている人は、東京の秘書のことを知らないかもしれません。

 ただ、逆に言うと、薩摩興業の人はもう大体知っているわけですよ。薩摩興業というのは小さい会社ですから、もう何度も交渉しているわけですから。だから、このとき薩摩興業のサトウですというふうに名乗ったということなんですけれども、薩摩興業にそんな人がいないということは逆に言うとわかるんじゃないですか。どうですか、この点、UR。

上西参考人 お答えいたします。

 全容を確認できているわけではありませんので、確たることは申し上げられません。

大西(健)委員 そもそも、さっきも言いましたけれども、補償交渉というのは当事者間で行われる話で、そこに誰か全然関係ない人が同席していること自体がおかしいんです。ですから、本来、違っていたら同席を断らなきゃいけない話だと思います。

 もう一つ、先ほど確認しましたけれども、この時点では誰だかよくわからなかったということでありますけれども、名刺を出さずにサトウと名乗った人が甘利事務所の秘書だったということに後日気づいたということはありますか。

上西参考人 当人にも確認いたしましたが、確認はできないという発言でございました。

大西(健)委員 この部分についても、私は一色氏に確認をしました。サトウと名乗った人物ですけれども、この人物は甘利事務所の政策秘書の鈴木氏で間違いがないということであります。

 ちなみに、一月二十八日号の週刊文春には、鈴木氏と一色氏が千葉ニュータウン事務所に入っていくところ、建物に入っていく写真がもう掲載されているんです。また、この日も録音が残っています。文字起こししたものを読みましたけれども、建物に入る前に、鈴木秘書のことを薩摩のサトウということにしようと一色さんと鈴木さんが打ち合わせをしている、その音がちゃんと残っているんです。

 偽名を使ったということは、まさに先ほどから私が申し上げているように、純然たる補償交渉に秘書が同席するのはまずいということを自覚しているからこそ、偽名を使っているんじゃないでしょうか。補償交渉に甘利事務所の秘書が同席したこと自体があっせんそのものであって、そして、甘利大臣が記者会見で説明をしている、秘書による金額交渉への介入はなかったということもうそになるのではないかというふうに私は思います。

 次に、皆さんのお手元の配付資料の中に、読売新聞の記事というのを入れさせていただいています。

 この記事の中で、UR幹部が甘利氏本人もこの問題を把握しているのかと尋ねたところ、細かいことは申し上げていないが案件は報告をしていると答えたというふうに載っていますけれども、これで間違いありませんか。

上西参考人 その発言をしたことは間違いございません。

 以上でございます。

大西(健)委員 そうなんです。秘書はそう言っているわけですね、細かいところまでは言っていないけれども報告をしている。甘利氏本人は当然こういう秘書の動きを、案件のことについても報告を受けているんです。そして、甘利氏の公設秘書が口きき、あっせんを行った。さっき一連の経緯を見ていただきましたけれども、甘利氏本人も現金を受け取って、公設秘書も金銭や接待を受けていたということであります。

 つまり、先ほども言いましたけれども、記者会見では、秘書は悪いけれども自分は国民から後ろ指を指されるような行為は今日まで行っていないと大臣は言っていたわけですけれども、これは極めておかしいじゃないかというふうに思います。まさに一体となってこの案件をやっていたんだというふうに思います。それがそうだとしたら、私は、甘利氏に同情した国民はばかを見る話じゃないかなというふうに思います。

 その点、先ほど甘利大臣についてはお願いをしましたけれども、公設秘書であった清島健一氏、そして鈴木陵允氏の両名の本委員会への参考人招致を求めたいと思いますが、委員長、よろしくお取り計らいください。

竹下委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

大西(健)委員 まさに、私は、先ほど申し上げましたように、これは補償交渉に甘利事務所の秘書が同席をしていたということだと思いますが、この点、これでいいんですか、UR。

 実際そのときは気づかなかったということですけれども、結果としては、補償交渉という当事者間で本来やるべきところに甘利事務所の秘書が同席していたということですけれども、それでいいんですか、UR。それはいいことなんですか。

上西参考人 私どもとしては確認ができておりませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

大西(健)委員 これは、不適切と答えていただかなければならないんだと私は思います。気づかなかったのかもしれませんが、結果としてそういうふうになったということは私は不適切だったというふうに思います。

 一個飛ばしたことで少し時間がありますので、せっかくの機会なので総理にお聞きしたいんです。

 提案をしたいんですけれども、先日は、企業・団体献金はこの際もう禁止に向けて一歩踏み出すべきじゃないかということを言いましたけれども、それについては余りよい御返事はいただけませんでした。

 私は、今回の事案というのが国民の目に非常におどろおどろしく映っているのは、事もあろうに、大臣室で現金の受け渡しが行われているということだというふうに思うんです。

 そこで、簡単にできることの一つとして、例えば、一万円、二万円ならわかりません、少額の寄附ならわかりませんけれども、一定額以上、例えば今回の五十万円みたいな政治献金についてはもう現金の授受というのはやめて、必ず振り込みの明細が残る、例えば銀行口座への送金に限定をしてはどうかというふうに思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 政治活動に関するコストを誰がどのように負担していくかは、民主主義の根幹にかかわる大きな問題であります。

 その中で、お金でもって政策や政治をねじ曲げようという行為が許されないことは言うまでもないと思います。そのことは個人であれ団体であれ同じことであります。企業、団体が政党等に献金すること自体が不適切なものとは考えておりません。

 また、これまでも、公職者等によるあっせん利得等の規制、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範による大規模な政治資金パーティーの自粛、企業・団体献金の政党等に対するものへの限定など、長い期間をかけてさまざまな取り組みがなされてきたところであります。

 安倍政権としても、これらのルールにのっとり、政治資金を適正に取り扱っていくことは当然のことであるものと認識しており、また安倍政権の政策が政治資金によって影響を受けることはありません。

 いずれにせよ、この問題は、今後とも引き続き各党各会派において十分御議論をいただくべきものと考えております。

大西(健)委員 今私が申し上げた部分、実は政治団体については振り込みしかできないということになっているんですよ。だから、やろうと思ったらできるんです。もう一歩前に進めていただきたいということを申し上げたいと思いますし、まさに今御答弁であったように、これは、お金によってまさに行政がゆがめられたのではないか、そういう重大事案なんです。

 ネット上にこんな都々逸がありました。口はきいても意見は聞かぬ、金が目当ての権力者。私は、まさに国民の目にはそう映っているんじゃないかというふうに思います。

 本日をもって甘利問題に幕引きを図ることは絶対に許されない、このことを申し上げて、私の質問を終わります。

竹下委員長 この際、階猛君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 民主・維新・無所属クラブの階です。

 今の大西委員の質問に引き続いて、甘利前大臣の問題についてまずはお尋ねします。

 先ほど二億二千万の補償金が妥当な額だったのかどうかということも論点になったと思うんですが、私もその点について非常に疑念を持っております。

 まず、事実関係をお尋ねしたいと思います。

 URの理事長、今回、補償の対象となった問題の建設業者の物件、この物件の立地している土地、この土地については、一般私人の持ち物と千葉県が持っている持ち物、両方あったと思うんですが、とにもかくにも千葉県が所有していた物件の上に建っている建設業者の建物、これはいわゆる不法占拠であって、何ら権限も有さずに建物を建てていた、こういうことでよろしいですか。

上西参考人 お答えいたします。

 本件道路予定地につきましては、従前、民間の方が所有していたところ、昭和四十五年に当該土地の一部を、これは道路の東側の部分でございますけれども、千葉県企業庁が取得しております。その後、平成四年ごろ、S社が道路予定地及びその周辺の土地に移転いたしまして、S社は道路予定地内には物置、建築資材等を置いておりましたが、千葉県企業庁の取得した土地においてS社は何ら権利を有しておらず、不法占拠であるというふうに認識しております。

階委員 URの事務方とこの間議論をしておりまして、従来からURは、不法占拠した土地上の建物等についても通常の補償料を支払うという扱いになっているということでした。私はちょっとこれは理解に苦しみます。

 民法上は、もし不法占拠している人がいれば、土地の所有者、本件でいえば千葉県企業庁、千葉県企業庁からまず底地を買い取る。底地を買い取れば、所有権はURになります。所有権者であるURは、所有権に基づいて建物の明け渡し、妨害排除、そういったことができるわけですね。

 なぜそういう手続を踏まないで、所有権を持たないまま移転の補償費用を払うことにしているのか、この点について説明してください。

上西参考人 お答えいたします。

 不法占拠の物件であっても所有権その他の財産権の成立は認められるわけでございまして、かつ公共事業の施行に必要な土地の取得が伴い、その物件の移転が余儀なくされる以上、これにより生ずる損失については移転補償をする必要があるものと考えております。

 この点につきましては、これまで収用委員会の裁決においても示されているところでございます。また、国の直轄事業も含め補償実務としても既に定着しているものと認識しておりまして、このような不法占拠の物件に対してもURとしては適切に移転補償を行ったということでございます。

階委員 私の問いに対して、ずらして答えていると思うんですね。

 私は、不法占拠の建物であっても、その建物の所有者が所有権を持っているということは否定しません。ただし、不法占拠をしているのであれば、土地所有者であれば出ていってくださいと言えるわけです。建物を取り払ってくださいと言えるわけです。そのためには、土地の所有権をまず取得する。それをやれば、お金を払わなくても、出ていってください、のいてくださいと言えるわけですよね。なぜそういうことをしないで税金の無駄遣いにつながるような補償金を支払うのか、その点について答えていませんよ。

 なぜ最初に所有権を取得しないのか、このことについて御説明ください。

上西参考人 お答えいたします。

 今回の移転補償につきましては、これまでの公共事業の施行として一般的に行われてきた補償の内容に倣ったものでございます。したがって、補償基準に基づき適正に行われたものと考えております。

階委員 昔からこうなっていますということを言っているだけで、何ら法的な理由づけになっていませんよ。それで税金を適正に使っていると言えるんですか。

 きょうは、会計検査院、この問題についての調査を始めていると伺っております、一般論として会計検査院にお尋ねします。

 まず、公共事業のために土地を購入するケースです。そのような土地を購入する、だけれどもその土地を第三者が不法占拠している場合、私が言うように、不法占拠者に補償金を支払ってから土地を購入するよりも、現状のままで土地を購入して、所有権に基づいて不法占拠者に上物の撤去や立ち退きを求める方が税金の使い方として正しい、私はこう思います。この点について会計検査院の御見解をお願いします。

河戸会計検査院長 会計検査院は、会計検査院法第二十条の規定に基づき、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、かつ是正を図るとともに、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等、さまざまな観点から検査を行っております。

 委員お尋ねの補償の事案に限らず、個別の事案の検査に当たりましては、まずは事実関係等を十分精査した上で、個々の事態の具体の状況に応じてその適否を判断することになると考えております。

 いずれにいたしましても、会計検査院といたしましては、今後の検査におきまして、国民の関心や国会での御議論も踏まえて、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

階委員 今は個別の話を聞いていませんよ。

 もう一回お尋ねします。

 公共事業のために土地を購入する場合であって、かつその土地を第三者が不法占拠している場合、不法占拠者に補償金を支払ってから土地を購入するよりも、現状のまま土地を購入して、所有権に基づいて不法占拠者に対して上物の撤去や立ち退きを求める方が税金の使い方としてはるかに正しいと思うんですが、この点、いかがですか。

河戸会計検査院長 委員の問題意識も十分踏まえながら、合規性、経済性の観点からも徹底した検査を行ってまいりたいと考えております。

階委員 そこはぜひ、法律上はその方がはるかに妥当ですし、また税金の使い方としても正しいということを申し上げます。しっかり調査してください。

 そして、総理にもこの点について見解を伺いたいと思います。

 URに限らず、公共事業に関連して土地の不法占拠者に補償金を支払うというやり方は、政治家に不透明な金が流れる原因となりますし、税金の無駄遣いでもあります。

 今回の甘利前大臣の問題を契機として、不法占拠者への補償金支払いをやめるよう全省庁に徹底すべきと考えますが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 個別の事案に対する対応をどのようにするかということについては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、独立性のある会計検査院において適切に検査がなされていくものと思っております。

階委員 私、一般論で聞いていますよ。総理の政治姿勢を問うているんです。

 こういう不正の温床につながりかねない、あるいは税金の無駄遣いにもつながる不法占拠者への補償金支払いはやめるべきだと考えます。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただいたとおりでございまして、今回の事案に絡んで今御質問をしておられるんだろう、このように思うわけでございまして、個別の件にかかわることについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

階委員 これは一般論ですよ。だって、URは昔からそうやっていますと言っていますよ。昔からそうやっているんだったら、この機会に改めるべきなのではないか、そういうことを言っています。

 今回の事案ではありません。一般論として聞いています。もう一回お願いします。

安倍内閣総理大臣 こうした課題についてどのように対応していくかということについても、まさに会計検査院において正しく検査がなされるもの、このように承知をしております。

階委員 会計検査院の問題ではありません。政府の、行政のあり方の問題ですよ。どう考えたって、不法占拠者に通常と同じ補償金を払うのはおかしいじゃないですか。税金をしっかり使う、無駄なく使うという意味で、総理の矜持が問われますよ。総理の見解を聞いているんです。

 ぜひ、こういうことはやめるという決意をお願いしたいんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 税金の無駄使いを決して許さないという見地から会計検査院は今までも厳しく検査をしてきたところであり、その観点において今後もしっかりと対応していくものと考えております。

階委員 テレビをごらんの皆様にもわかっていただいたと思うんですが、こういう不祥事が起きても、不正の温床となるような不法占拠者への補償金支払いを改めようとしない、この姿勢は大いに問題である、そのことをまず指摘します。

 次のテーマです。

 行政監視の役割、私たち国会、そして会計検査院、先ほど来、来ていただいておりますけれども、その大きな行政監視という役割を負っている。

 行政が不適切、不透明なお金を使っていないか監視する役割は憲法九十条にも定められていて、国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院が検査すると定められています。これは、戦前、軍事上の機密漏えいを処罰する軍機保護法という法律があったわけです。それがゆえに当時は会計検査が制約を受けて、軍事関係予算の過度な膨張を防げなかった、こういう反省を踏まえて設けられたのが憲法九十条です。

 ところが、現政権のもとで、御案内のとおり、二〇一三年、特定秘密保護法が成立しました。軍機保護法と同じように、防衛関係予算の検査が制約を受けるのではないかという懸念が生じたわけです。会計検査院からも、特定秘密保護法の制定過程で、憲法九十条に違反するのではないかという指摘があった。これは、行政文書の公開請求で明らかになったやりとりです。

 こうした九十条違反ではないかという指摘に対し、担当の岩城大臣、どのように考えられますか。

岩城国務大臣 憲法上の会計検査院の役割の重要性については十分認識をしておりまして、特定秘密保護法案の作成時において内閣官房と会計検査院との間で協議も行われましたが、会計検査院への秘密事項の提供に関する従来の取り扱いについては法の施行により何らの変更がない、このように考えております。

 それを前提に、内閣官房におきまして、一昨年の十二月の法の施行前に、法の逐条解説に関する資料を作成し、各行政機関に周知したほか、昨年末、改めて関係行政機関に通知をしております。

 また、先週二月四日に開催されました第三回内閣保全監視委員会において、私からも、関係省庁の事務次官や長官に対し、従来どおりの対応を求めたところであります。

 このように、政府として適切に対応しており、会計検査について特定秘密を理由として支障が生じることはないものと認識をしております。

階委員 今の答弁の中で、昨年、政府から各省庁に対して通知を出したというくだりがありました。

 この通知、今私の手元にもありますけれども、確かに、法の施行により取り扱いに何らの変更を加えるものではない、従来どおり情報は提供するんだというくだりもありますけれども、一方で、「会計検査院が実施する会計検査は、法」、法というのは特定秘密保護法です、「法第十条第一項第一号の「公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務」に該当するので、会計検査院への特定秘密の提供は法第十条第一項の規定に基づき行われる」というふうに書かれております。

 そこで、パネルをごらんください。

 この十条一項をよりわかりやすく整理したものです。会計検査院と国会、対比して書いておりますけれども、まず会計検査院の方をごらんになってください。

 会計検査院、十条一項で行政機関が特定秘密を提供する場合というのは、まず、特定秘密の利用方法として、公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務ということで、今申し上げたとおり、会計検査院が実施する会計検査はこの業務に当たるということは通知にも書かれております。

 そして、その提供を受けた会計検査院が講ずべき保護措置、これは政令で定められておりますけれども、いろいろあるんですが、要するに、取扱者を制限するとか、あるいは漏れないような措置を講ずるとか、そういうことなんです。

 問題は、その他の条件。これは国会も会計検査院も共通なんですが、行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときという要件がかかるのか、かからないのか。

 先ほどの、従来と取り扱いは変わらないというのであれば、この要件は特定秘密保護法で新たに加わっていますから、この要件は従来と同じであれば会計検査院にはかからない、この要件を満たさなくても特定秘密は提供する、こういう理解でいいのかどうか。この点、確認させてください。

岩城国務大臣 特定秘密保護法の規定につきましては、委員のお話のとおりであります。

 それで、会計検査院にかかわるお話でありますけれども、実務上はこれまで、行政機関が秘密事項であることを理由として検査に必要な資料の提出を拒否した事例はないと聞いております。また、秘密事項について会計検査院から検査上の必要があるとして提出を求められた際にはこれに応じて提出を行うという従来の取り扱いについては、先ほど説明したとおりであります。

階委員 全く答えていないですよ。先ほどの繰り返しになっています。

 私が聞いているのは、十二月二十五日の通知では、第十条第一項の規定に基づいて会計検査院に特定秘密を提供するとなっています。しかし、十条一項には、要件として、行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときという文言があります。

 この要件がもし会計検査院にも適用があるとすれば、憲法九十条で会計検査院には毎年の決算検査をするというしっかりとした規定があるわけですけれども、これが空文化するのではないか。行政機関の長の一存によって情報を出さないこともできるようになるわけです。だからこそ、この要件、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときという要件が会計検査院には適用されない、こういうふうにおっしゃっていただかないと憲法九十条違反の疑念は消えない。だから確認しているんです。

 この要件の適用が会計検査院にあるかどうか、しっかりお答えください。

岩城国務大臣 第十条一項にあります、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき、これは会計検査院にも適用されます。

階委員 今、重要なことをおっしゃっていましたよ。会計検査院、これでいいんですか。

 もともと会計検査院は何を問題にしていたかというと、まさに今のこの要件。行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められなければ、特定秘密は会計検査院に提供されなくなってしまう、このことを懸念して、皆さんは特定秘密保護法を改めるべきではないかということを言っていたんじゃないんですか。

 今の大臣の答弁でいいんですか。当時の協議の結果と矛盾していないですか。お答えください。

河戸会計検査院長 各行政機関には会計検査に応ずる義務があり、会計検査院はこれまでも、会計検査において各行政機関から、安全保障に関する秘密も含め、検査に必要な全ての情報の提供を受けてきているところでありまして、会計検査院が検査上の必要によりこれらの情報を利用することによって我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすことがあり得るとはされていないものと承知しており、このことについては特定秘密保護法の施行により何ら変更があるものではないと承知しております。

階委員 答弁に矛盾がありますよ。

 大臣、今の会計検査院の見解、どういうふうに先ほどの答弁と整合されますか。違うじゃないですか。

 もう一度、この要件、会計検査院に適用があるかどうか、お答えください。

岩城国務大臣 検査に必要な資料の提供、これについては適用がないということであります。

竹下委員長 階君、どう判断しますか。(発言する者あり)

 総理が答弁をいたします。安倍内閣総理大臣。

安倍内閣総理大臣 これは、法制上、私が指揮監督できることになっているわけであります。一義的には担当大臣は岩城大臣でありますが、その上に、組織上、私が指揮監督することになっております。

 確かに、今委員がお示しになったように、行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき、これは、かからないということではありませんが、しかし会計検査院がこれに当たるということはおよそ考えられないわけでございまして、基本的には会計検査院においてこれがかかって情報が開示をされないということはおよそ考えられないということは、まずはっきりと申し上げておきたいと思います。

 同時に、なぜそうかといえば、会計検査院において特定秘密を取り扱う職員は、安全保障上の理由により、反復継続して取り扱うものではない、一時的な取扱者であるにすぎないわけでございまして、その観点から、例えば特定秘密保護法上の適性評価を受けることは求められていないわけでございます。

 これは適性が求められていないということももちろんあるわけでありますし、そして会計検査院の性格上、これは私が指揮監督するという立場ではっきりと申し上げておきますが、会計検査院がこれに当たるということはおよそ考えられないということは申し上げておきたいと思います。

階委員 今の総理の答弁、それから先ほどの岩城大臣の答弁、いずれも、法律上のこの要件は会計検査院にもかかるんだということを前提にされました。ただし、実務上はこの要件は適用はないみたいなことを言っていました。

 要するに、法の支配ではなくて人の支配なんですよ。きのうの高市大臣の放送法の話と同じですよ。電波停止もできるけれども私のときはしない、こういう、法的安定性を欠くといいますか、恣意的な運用によっていかようにでもなる、そういうやり方では危険なんですよ。憲法九十条違反の疑いは消えませんよ。

 少なくとも、岩城大臣、先ほどおっしゃいましたけれども、従来の取り扱いと全く変更がない、これは法律上はそうは言えないと思いますよ。撤回すべきではないですか。

岩城国務大臣 実務上はこれまで、検査に必要な資料の提出を拒否した事例はありませんし、従来の取り扱いに変更はないもの、このように考えております。

階委員 実務上ではなくて、法律上は、特定秘密保護法ができる前とできた後で明確に違っていますよね。こういう要件が加わっているんですよ。

 だから、岩城大臣に限らず、ほかの大臣のもとでこの要件が適用されて、情報提供がなされなくなるおそれというのは法律上はあるということだと思いますよ。だから、従来とは取り扱いが変わってくるのではないかと言っているんです。

 どうですか。法律上はそうでしょう。法律上はどうなんですか。

岩城国務大臣 おただしの件は当たらないと思っております。特定秘密保護法の施行により、特定秘密であることを理由として、検査上の必要があるとして求められた資料の提出がなされないという問題は、現実には生じないものと考えております。

竹下委員長 岩城大臣、もう一度、答弁をお願いいたします。

岩城国務大臣 検査上の必要があるとして求められた資料の提出、これにつきましては、法的に問題がありません。

階委員 さっきの答弁とも矛盾していますよ。法的に問題ないということはどういうことなんですか。

 法的には、先ほどの答弁では、ここに書いてある要件がかかると言いましたよね。法的にはむしろ、従前よりも情報提供に対して厳しい状況になっているんです。法的に問題がないとは言えないでしょう。

 さっきの答弁とも矛盾していますよ。この要件は適用されると言いました。ですから、撤回してください。

岩城国務大臣 検査上の必要があるとして求められた資料につきましては、実務上も法的にも適用されないということです。法的にも適用されないということであります。

竹下委員長 階君、質問を続行されますか。(階委員「速記をとめてください」と呼ぶ)

 岩城法務大臣。

岩城国務大臣 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、検査上の必要があるとして求められた資料、これにつきましては、法的に適用されないということであります。

階委員 法的に適用されないというのはどういう意味ですか。意味がわかりません。

 法的にはこの要件がかかると言いました。かかるということは、適用はあるんじゃないですか。法的には適用されるけれども実務上は情報は出す、そういうふうにさっき言いましたよ。

 法的に適用はないというのはおかしいですよ。さっきと矛盾していますよ。説明してください。

竹下委員長 岩城大臣、答弁できますか。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

竹下委員長 速記を起こしてください。

 安倍内閣総理大臣。

安倍内閣総理大臣 私が先ほど答弁したとおりでございまして、これがいわば政府としての最終的な答えでございます。つまり、先ほど申し上げましたように、確かにここに書いてありますように、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき、これは、かかるわけでありますから、委員がおっしゃったような意味においては、新たに加わっているのは事実でございます。

 しかし、我が国の安全保障に著しい支障、著しい支障という、これは相当の縛りでございますから、これを会計検査院に適用するということはおよそ考えられないということでございます。それはいわば行政上、私が指揮監督の権限を持っている総理大臣として申し上げているわけでありますが、およそ考えられないということでございまして、これが政府としての考え方でございます。

階委員 総理、およそ適用が考えられない要件をなぜ置いているんですか。会計検査院は、この要件を取っ払ってください、こういうことを議論していたわけですよ。取っ払えばいいじゃないですか、適用されないんだったら。

 なぜ修正しないんですか。その点をお答えください。なぜこの要件を残すのか。

安倍内閣総理大臣 その規定は、そもそも、いわば特定秘密を提供する対象を一般として考える中において適用を示しているわけでございます。

 そこで、会計検査院においては、先ほども申し上げましたように、例えば適性評価についても、これは反復継続して取り扱うものではないわけでありまして、一時的な取扱者にすぎないことでありますから、特定秘密保護上、適性評価を受けることは求められていないということでございます。こうしたことも留意していただきたい、こう思うわけであります。

 いずれにいたしましても、我々が、特定秘密について会計検査院が検査を求めたときに先ほどの条項をもってこれを提供しないということはおよそ考えられないということでございまして、実質的にはそうした形で提供していく、こういうことでございます。

階委員 どっちが法務大臣かよくわからないですね。

 法務大臣、法務大臣ですよね。さっきの答弁と総理が言っていることは違いますよ。法の適用はないと大臣は言われましたけれども、総理は、適用はあるけれども、運用上これは適用しないんだと言われました。

 最後にお尋ねしますが、適用がない要件をなぜ残していくのか、これについてだけお答えください。端的で結構です。

岩城国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、検査上の必要があるとして求められた資料の提出、これにつきましては適用がない、法的な問題がありません。

階委員 明らかに総理の答弁と岩城大臣の答弁は矛盾しています。統一見解を出すよう求めます。

 理事会で統一見解を諮ってください。

竹下委員長 理事会で検討いたします。

階委員 では、終わります。

竹下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、大串博志君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。

大串(博)委員 民主党の大串博志です。

 早速質疑に入らせていただきます。

 きょうは、安倍政権、総理を含めた政治姿勢、そして政治と金ということで議論させていただいております。

 私は、地元で、安倍政権、安倍総理の政治姿勢、どういうふうに思いますかと、地元の皆さんとよく議論するんです。国会なんか見られてどう思われますと聞くと、どういうふうに言われるかというと、まあ何を質問しても長くしゃべられる、関係あるようなこともないようなこともべらべらべらべら長くしゃべられて、結局、何を聞いても同じような答弁になって、いろいろなことを好き勝手しゃべっていらっしゃるように見えるというふうに言われるんですね。さらに言うと、人の意見を聞いているのかというふうに疑念すら湧く、違った意見に関しては、それは違うと、自分の意見だけが正しいかのごとく、かなり抑圧的に言われているんじゃないかということを言われる方もいらっしゃいます。

 私は、それが全体に何となくの雰囲気としてあるんじゃないか。違った意見を抑えよう、抑圧しよう、あるいは、それは違うんだと言って、自分の意見だけが正しいんだというふうな流れとして受け取られているんじゃないか。

 そのきわみは、私は、先年の安保法制の強行採決。あれだけ国民の理解が及んでいないというふうに総理自身が認める中でも、途中で審議を打ち切って強行採決する、そういうところからその雰囲気は国民に伝わっているんじゃないかという気がします。

 そういった中で、それをあらわす事例として、私はきょう、放送法、そして放送法に定められている政治的自由、公平性、これに関して取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 御案内のように、放送法は放送の自由を定める法律だと私は思います。

 一条に、いろいろなことが書かれていますけれども、「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」と書かれていて、そして、「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」そして、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」表現の自由です。さらには、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」こういった、ある意味、放送の自由、報道が自由に国民の皆さんに、知る権利に応えるようにする、これがこの法律の目的だと思います。

 それがあるので、これまで、放送法において政治的公平性というものが求められています。放送法の四条において、番組の編集等については、政治的に公平であることということが書かれている。

 この政治的に公平であることの意味に関して、ここに出しました、二十七年十二月四日、高市早苗大臣がある会のお求めに対して出された資料、これは、それまで、放送法遵守を求める視聴者の会という方から、NEWS23の岸井キャスターの九月十六日の安保法制に関する発言に対して、あれは放送法上おかしいじゃないか、政治的公平を欠いているじゃないかということで公開質問書が出て、それに対する答えとして高市総務大臣が出された内容です。

 この前段、上の二行目、放送法第四条第一項第二号の政治的に公平であることについてと書かれています。ここを見ていただければわかりますように、これまでの政府の考えは、この政治的に公平であることという意味は、一つの番組というよりは、放送事業者の番組全体を見て判断する、こういうふうになっていた。ところが、安倍政権になってこれが変わります。

 どう変わったかというと、その下に、他方、一つの番組のみでもと下線を引いています。一つの番組のみでもということで、一、選挙期間中のあり方、そして、二に、国論を二分するような政治課題について、事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊さらに他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合、こういうふうに、一つの番組でもということが安倍政権になって加わっているんですね。

 先ほど、放送法の理念、すなわち、放送の自由をきちんと確保し、それでもって憲法二十一条に定める表現の自由、そして国民の知る権利にサーブする、仕えるということから考えると、一つの番組の内容を問うて、それによって放送法に定める政治的公平性を判断する、これは行き過ぎではないかと私は思いますが、安倍総理、なぜ安倍政権になって一つの番組でも政治的公平性をチェックするというふうな方向になったんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 放送法第四条の政治的に公平であることとは、従来から、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであることと解釈してきたものと承知をしています。

 その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するものであり、従来の解釈を変えるものではないと理解をしております。

大串(博)委員 明確に答えてください。

 これは安倍政権になって出された紙ですよ。その紙で、これまでは、一つの番組というよりは、放送事業者の番組全体を見て判断するという考えを示してきましたと確認しつつ、他方、一つの番組のみでもということで、一、二、特に二は、国論を二分するような政治課題についても、ある放送の内容によっては政治的公平性をチェックするとつけ加えているじゃないですか。これは安倍政権になってつけ加わったチェック項目ですよ。

 新たに放送法に定めるチェック項目を加えた理由は何ですか。必要性は何ですか。

安倍内閣総理大臣 それは高市大臣の回答でございますから、総務大臣の名前で出しておられる回答書でありますから、それは総務大臣に聞いていただければいいのではないかと思いますよ。

大串(博)委員 とすると、聞きますけれども、安倍総理はこれと異なる見解をお持ちだということですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 その趣旨を聞きたいのであれば、総務大臣をここに呼んでいただければ答えるはずでありますが、総務大臣が総務大臣の名前で出した回答書の趣旨について、その趣旨は何だと聞かれても、私は答えようがないわけでありまして、まさに今初めて私は御質問をいただいたわけでございますが、総務大臣にその趣旨については聞いていただきたい。

 例えば、安倍晋三名で出したのであれば別ですよ。あるいはまた、閣議決定して出したものであれば、私がここで答えますよ。しかし、総務大臣名で出したものを今ここで私に聞かれても、お答えのしようがないということでございまして、これは私は常識ではないのかな、このように思うところでございます。

 そこで、御質問のようなことを聞きたいのであれば、ぜひ前もって総務大臣をと指定していただければ、これは直ちに総務大臣が出てくるものでございます。

大串(博)委員 二つ申し上げます。

 この件については、実は、きのうまで二回にわたって高市総務大臣の見解を求めてまいりました。高市総務大臣の見解を求めて、この国の最高の立場にいらっしゃる総理に対して確認しなければならないと思い、きょう総理に聞いているわけでございます。そのために、きのう質問通告も綿密に行っています。

 さらには、この見解は、去年の五月の段階で高市大臣が国会でも述べていらっしゃいます。国務大臣が国会で述べていることに関して、安倍総理が同じ考えかどうか確認するのは、ある意味当然じゃないですか。

 同じ考えなら同じ考え、違うなら違うとはっきり述べてくださいよ。

安倍内閣総理大臣 これは、同じ考えとか同じ考えではないということではなくて、繰り返させていただきますと、放送法第四条の政治的に公平であることとは、従来から、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであることと解釈してきたものと承知をしております。

 その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するものであり、従来の解釈を変えるものではないと理解をしているわけであります。

 そこで、総務大臣の回答の趣旨については、まさにこれは総務大臣に聞いていただかなければならない、こう思う次第でございます。

大串(博)委員 この問題は、先ほど申しましたように、表現の自由、憲法二十一条、そしてそれをベースとした国民の知る権利、しっかりとした報道がなされて、国民が知る権利をしっかり享受できるかという国民全体に極めて大きな課題なので、この場で総理から、総務大臣に聞いてくれ、俺は知らないという答弁は到底受け入れられません。同じ政権の中の意見であります。

 もう一度聞きます、総理。

 なぜこれを私が一つの番組のみでもということにこだわって聞いているかというと、この安倍政権になって、一つの番組に口を挟もうとする態度が非常に多かった。私たちは懸念しているんです。

 私自身も、一昨年の安倍総理のNEWS23、アベノミクスの街頭インタビューに関して、四人がアベノミクスの効果なし、実感しない、一人がアベノミクス効果あり、これはおかしいということをその番組の中で安倍総理はおっしゃった。それに対して私が予算委員会で去年のちょうどこのころ、おかしいじゃないか、総理が個別の番組に口を挟むんですかと言ったら、総理は、私にだって言論の自由があると言って開き直られました。そんな経緯がある。

 そして去年の四月には、自民党において、当時、個別の番組に関して、テレビ朝日や、あるいはNHKクローズアップ現代問題、こういったものを党に呼ばれて、これは圧力じゃないかということすら言われたんです。

 その中で、先ほど申しました、高市総務大臣の、五月、参議院において、この一、二の内容、一つの番組でもこの辺は放送法上の政治的公平性の観点になりますと言って、新たな答弁が出たんです。極めて重要な問題なんです。だから、総理に答弁してもらわないわけにはいきません。

 ぜひ、この一、二、総理も同じ考えなのか、御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 今、大串委員が大変間違った印象を国民の皆さんに与えたんだろうと思いますので、そこはぜひこの場を使ってしっかりと訂正をさせていただきたいと思います。

 まず第一、NEWS23に対して私が意見を言った。

 これは、私は外から総理大臣としての立場を使ってNEWS23に圧力をかけたのではないんですよ。出演者としてNEWS23に出て、司会者との関係で議論をしたわけであります。例えば、この視聴者の声というのはどうなんですかということは、私だってそれは当然、選挙が近い中において恣意的な攻撃を排除しなければいけませんから、私はこう言う。果たしてどちらが正しいかというのは、番組を見ている視聴者が判断することであります。

 これを全く大串委員は、基本的にそれを取り違えている方でありますから、今私の……(発言する者あり)よろしいでしょうか、大切なところなんです。番組に出て私の意見を言ったり、この編集の仕方はどうですかということを一言も言ってはいけないということの方が私はおかしいと思いますよ。

 私が言ったことについては、私は非難されるというそういう立場にあって申し上げているわけであって、私に反論するのであれば、その場で反論すればいいわけですよ。私が正しいから反論できないのであるのであれば、それは私の方が正しかったということになるのではないでしょうか。

 ここのところは非常に大切な言論の自由、報道の自由にかかわることでありますから、誤解を与えられるのであれば、私は丁寧に誤解をとる努力をしなければならない、こう思うわけでございます。

 そこで、これはもう繰り返しの答弁になるわけでありますが、これは、放送法を所管する総務大臣の責任において、質問をされた事項について高市大臣は回答されたものであり、私はそれ以上は承知をしていないわけであります。

 そして、言うまでもありませんが、言論の自由を初め表現の自由は、日本国憲法で保障された基本的人権の一つであり、民主主義を担保するものであり、これを尊重すべきことは当然のことであろう、このように思うところでございますが、放送法を初め関連法令を所管する総務大臣において、従来からの解釈にのっとって適切に対応されるものと理解をしておりますが、いずれにいたしましても、内閣総理大臣としての答弁は先ほど申し上げたとおりであって、法令の解釈は変わっていないということであります。

 そこで、高市大臣にあとは聞いていただかなければ、高市大臣の答弁でありますから、その趣旨については高市大臣に聞いてください。それ以上は、私は高市大臣ではありませんから答弁のしようがないんです。議論を深めたいのであれば、ここに高市大臣を呼べばいいだけの話ですよ。それをいきなり、高市さんの回答書について私に聞かれても、私はこれしか答えられないということであります。

 これ以上、もし聞きたいのであれば、何回も申し上げますが、高市大臣を呼ばないというのは、高市大臣との論争を嫌がっているんですか。そこのところが大切だろう、このように思いますから、ぜひ、議論を深めたいのであれば、担当大臣あるいは回答を出した大臣を呼んでいただきたい。これ以上は、私は回答のしようがないということでございます。

大串(博)委員 大臣がかつて答弁をした、あるいは大臣がこうやって公に言っていることに対して、総理大臣に同じ考えですかと問うのは当たり前じゃないですか。それで、もし答弁が違ったら、閣内不一致だといって追及するのは当たり前じゃないですか。同じなら同じで、ではその次にと議論が進むのは当たり前じゃないですか。それが国会のこれまでのルールじゃないですか。なぜこれだけ答えられないんですか。

 しかも、私、きょうたくさん質問を用意してきています。この一番目の質問の答えを聞いてから、次の質問を用意しているんです。いろいろな質問を用意しているので、ぜひ、この一番目、明らかに、一つの番組でも、放送法上の政治的公平性、チェック項目をなぜふやしたのか、答弁してください。これ以上答弁がないんだったら、質問は続けられません。

安倍内閣総理大臣 これは質問が続けられないという方がおかしいですよ。

 それはよく、総理と大臣の違いを浮き彫りにしたいという質問の仕方はあります。我が党の議員も、民主党政権を立ち往生させましたよ。でも、そのときは必ずその主管大臣を呼んでいますよ。主管大臣と総理大臣、この違いを浮き彫りにさせる中において、どうなんだということでやったわけでありますが、それを主管大臣を呼ばずに、私をここに置いておいて。

 これはまず、閣議決定したものではありません。安倍晋三という名前でも答弁していない。安倍晋三としての答えは、先ほど申し上げたとおりであります。私の答弁は、これ以上は答弁のしようがないわけであります。

 そこで座ったままで、答えてくださいって。今答えているんですよ。だから、私が答えたことが全てでございます。(発言する者あり)

竹下委員長 大串君、質問を続行してください。総理は答えています。大串君、質問を続行してください。(発言する者あり)大串君、質問を続行してください。(発言する者あり)

 この問題、双方で意見が違っておりますが、もう一度理事会で協議は続行いたしますけれども、大串君、質問を続行してください。

大串(博)委員 委員長にお尋ねしていいですか。

竹下委員長 はい、どうぞ。

大串(博)委員 総理は、これに関してどういう答弁をされたんでしょうか。私、全く理解できなかったんです。ちょっと委員長、答えてください。答弁していますとおっしゃったから、どういう答弁だったのか私に教えてください。

竹下委員長 総務大臣を呼んでください、総務大臣の見解をまずただしてくださいと聞こえました。(発言する者あり)いやいや、それはあなたの十分希望する答えではないかもしれない。だけれども、総理は誠心誠意答えています。そのことは理解してください。

 それから、もう一つ言います。

 後半は聞こえませんでした。ひどかった。

大串(博)委員 もう一度。これは国民の皆さんも絶対、あるいはメディアの皆さん、あるいはメディアからいろいろな情報をとられる国民の皆さんは知る権利を持っていらっしゃる、本当に気にしていらっしゃると思うんですよ。

 これまでは、一つの番組というよりも、放送事業者、番組全体を見て政治的公平性を判断する、これが長年の流れであった。長年の決まりであった。それを、他方、一つの番組のみでもということで、一、二のような場合、特に二は、国論を二分するような政治課題について、こういう場合には政治的公平性を欠くということを政府が判断することがありますよということを高市大臣は国会でも述べ、公にもこうやって答えていらっしゃる。これを総理大臣も同じ考えですかと問うのは当たり前じゃないですか。

 端的に聞きます。この一、二と同じ考えですか。それだけお答えください。

安倍内閣総理大臣 先ほどもう既に答弁をしておりますから、繰り返しにならざるを得ないんですが、これは私の答弁です。

 内閣総理大臣としての私の答弁は、放送法第四条の政治的に公平であることは、従来から、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであることと解釈してきたものと承知をしています。

 その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するものであり、従来の解釈を変えるものではないと理解をしているわけでありまして、私はこのように理解をしているわけであります。

 高市さんの発言についてもこのように理解をしているわけでありまして、これ以上高市さんの発言の趣旨を知りたいということであれば、これは高市大臣を呼んでいただかなければならない。私が答えるのは、従来からずっとこう答えてきているのでありますから、私はこう答えているわけでございます。

 この基本的な方針の中において高市大臣は答弁をしておられるんだろう、こういうことでございまして、それ以上、高市大臣の発言の趣旨について聞きたいのであれば、先ほど来何回も申し上げているんですが、高市大臣をここに呼ばれれば、もし予算委員会であれば、大串さんが高市大臣に要求を出せば、ここに座っていますよ。それはほとんど難しいことではありません。直ちに応じる。

 なぜ高市大臣をここに呼ばないのか私は理解できないわけでありまして、私の立場での答弁はこのとおりでございます。

大串(博)委員 私がなぜこの質問を総理大臣に問いかけているかといいますと、高市大臣は、おととい、きのうと、このことに答えられたんです。だから、実は、多くの方から私は言われたんです、ぜひ安倍総理がこの一、二に関して同じ考えかどうか聞いてほしいと。実は多くの皆さんが、安倍総理の見解を、一、二に同じ考えなのかどうか、そこだけでいいから聞いてほしいということだったんです。

 大臣が答えた答えに対して同じか違うかも答えられないというのは、私、どういうことか全く理解がつきません。

 しかも、これまでは、先ほどなんかは、岩城法務大臣が全く答えられなくて答えに窮していらっしゃったところ、わざわざ自分が出てこられて、わざわざ自分で答弁されたりされているじゃないですか。そういうふうなことができるにもかかわらず、総理の判断を聞きたいというときに、なぜ逃げるんですか。なぜ答弁を逃げるんですか。なぜ答弁を逃げるかどうかに関するお答えを下さい。

安倍内閣総理大臣 逃げてはおりません。私は、総理大臣の立場として、従来の立場には変わりないということを、その中身もつけてお答えをさせていただいているところでございます。

 そして、高市大臣の回答書、あるいは高市大臣の答弁については、もちろん、これは、私が答弁している基本的な考え方、従来の解釈の中において高市さんの考え方を述べておられるんだろうと。

 そして、それ以上であれば、高市さんをここに呼んでいただかなければ、高市さんが回答書においてお答えをした趣旨について私が勝手に臆測することはできないのでございまして、これは高市さんが答弁すれば済む話であろう、こう思うわけであります。

 ですから、そういう意味においては、この予算委員会で深い議論をしていく上においては、しっかりと担当大臣を常に呼んでいただいた方がいいのではないか、私はこう思う次第でございます。

大串(博)委員 そうしたら、私から一つお願いがあるんです。

 先ほど来申し上げましたように、多くの方々から、他方、一つの番組でもということで政治的公平性がチェックされるということに関しては大変気になるという声を多くいただきました。高市大臣からはこういうふうな答弁をいただいているので、総理大臣の判断はどうかということをぜひ聞いてほしいという声をいただきました。

 心配されているのは、一つの番組でもこういうふうに一、二とチェックの項目が新しく入ったんです。もし、先ほどのように高市大臣に聞いてくれというような態度をとられるのであれば、私は一つお願いがあって、非常に、一つの番組でも一、二のような場合には政治的公平性を問われるということが心配だから、これは取り消してくれという声が多かったんです。

 総理に一つお願いですけれども、そういう国民の声が多い、一つの番組でも一、二の場合においては政治的公平性をチェックするという考えを取り消していただくということはできないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今、大串さんが、国民の声が多いとおっしゃった。それは大串さんが聞いている声だと思いますね。最初、安倍さんは人の言うことを聞かないという声ばかりだと。でも、例えば私の地元では、安倍さんはよく聞いてくれる、人の話をよく聞いていると言う方はたくさんおられますよ。その結果、私は、八回、圧倒的な成績で当選をさせていただいているところでございます。我が党においてもそうであります。

 これは、ですが、果たしてどうなのかということなんだろうと思うわけであります。私は、あえて、我が党と民主党との支持率の違いとかそういうことは申し上げませんよ。しかし、そういう中で、果たして大串さんが聞いている方々がどうなのか、ここも大切な点で、多くの人たちが言っているよ言っているよとテレビを通じて言えばそうなのかと思ってしまう、そういう危険性もあるんだということも認識していく必要があるんだろうと私は思います。

 私は、私が言っていることが正しいし、多くの国民に支持されているということも申し上げるつもりは全くないわけでありまして、常に私は謙虚に事に臨んでいるつもりでございますし、日々、我、我が身を三省すと、反省しながら日々暮らしているところでございまして、きょうの大串委員の御指摘等についてもしっかりとお伺いをしながら、その上においていろいろな判断をしていきたい、こう思っている次第でございます。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、政府の考え方としては私が申し上げているとおりでございまして、総理大臣としての答弁は先ほどさせていただいたわけでございまして、高市大臣が答弁したことについては高市大臣にその趣旨を聞いていただきたい、こう思う次第でございます。

大串(博)委員 高市大臣に趣旨を聞いてほしいということは、今おっしゃったように、これは私は取り消してほしいと言いましたけれども、取り消されませんでした。そうすると、これは国会答弁でもしゃべられていますし、公にもなっていますので、国民の皆さんの知るところとなっています。この状況の中で、メディアの皆さん、あるいはメディアから情報を受け取る国民の皆さん、特にメディアの皆さんにしてみると、ああ、こういうことなのかというふうに思われている状況です。

 それで、きのうもこれは課題になりましたけれども、放送法四条に違反している、これらのチェック項目があります。政治的公平性を維持しなきゃならないという項目、こういうチェック項目があります。こういうチェック項目に違反した場合には、高市大臣は、放送法に基づく業務停止あるいは電波法に基づく停波まで行うというふうなことまで言われました。

 放送事業者に関して停波になるということは、これは単に事業ができないというだけじゃなくて会社が潰れるということです。こういうことも放送法四条を基礎に行われるということなんでしょうか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 大串さんとしては、何か、我々の政府や我が党が高圧的に言論を弾圧しようとしているのではないかというイメージを一生懸命印象づけようとしておられると思いますが、これは全くの間違いであるというふうに申し上げておきたいと思います。安倍政権こそ、我々与党こそ言論の自由を大切にしていると思います。

 その上で申し上げさせていただきたいと思いますが、放送番組は放送事業者がみずからの責任において編集するものであり、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくものと理解をしています。言論の自由を初め表現の自由は、日本国憲法で保障された基本的人権の一つであるとともに、民主主義を担保するものであり、それを尊重すべきことは言うまでもないわけであります。

 総務大臣の答弁は、放送法について従来どおりの一般論を答えたものと理解をしております。そのことは恐らく大串委員もよく承知をしておられるんだろう、こう思う次第でございます。

大串(博)委員 放送法四条を基礎に業務停止あるいは停波、これは否定されないということでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 高市大臣は、法令についての、基本的に今までの政府の立場は一貫している中において、当然、法令としてある法令について一般論としてお答えをしたもの、聞かれた中においては、法令として存在するということも含めてお答えをしたということでございます。

大串(博)委員 否定されなかったことは非常に残念なんです。

 この一、二、一つの番組でも政治的公平性をチェックするということを取り消しもされないで、かつ、放送法四条をベースに業務停止、停波があるということも否定されなかった。私、これは深刻な影響を報道各社に、あるいは国民の知る権利をないがしろにする方向に働くと思うんです。

 総理にちょっと私はお尋ねしたいんですけれども、憲法二十一条、表現の自由、これは人権の中では優越的な地位を与えられているというふうに言われているんですけれども、それは何を意味するのか御存じですか。

安倍内閣総理大臣 まさに表現の自由、また言論の自由もそうなんですが、これこそまさに人権において最も大切な権利であり、そして、それはまさに、先ほども申し上げてきたとおり、民主主義を担保するものであります。また、自由のあかしでもあるわけでございます。

 と同時に、今申し上げましたように、法令としてあるものについて、その法令について、一般論として、そういう法律があるのかどうか、そういう法律は適用されるのかどうかということについて質問された中において、一般論として答えたことについて、それをすぐに、直ちに恣意的に、何か気に食わない番組に適用するのかというイメージを広げるというのは、かつて、まさに徴兵制が始まるとか戦争法案と同じ手法だと私は言わざるを得ない、このように思う次第でございます。

大串(博)委員 もしそのイメージを恐れられるのであれば、総理、今おっしゃったようなイメージを払拭したいと思われるのであれば、この場で、一つの番組のみでも、例えば以下を、これはもうなしですと言っていただければ、そのイメージはもう払拭されるんですよ。簡単なことなんです。それをされる機会を、さっきも何度も私、答弁してくださいと言ってお与え申し上げました。ところが、否定されなかった。だから、安倍政権は報道に対して高圧的に抑圧しようとしているのかなというイメージ、雰囲気はやはり漂うんですよ。それは否定できないと私は思いますよ。

 そのことを申し上げた上で、あと、最後に、国務大臣の資質の問題に関してちょっと問いたださせていただきたいんです。

 島尻大臣に来ていただいています。島尻大臣にお尋ねしますが、非常に重要な職務を担っていただいております。島尻大臣は北方担当大臣としての仕事も担っていただいておりますけれども、内閣府設置法における島尻大臣の北方問題における職務とはどういうものか、お答えください。

島尻国務大臣 北方問題等に関して国民の世論を喚起していくということに尽きるというふうに思っています。

大串(博)委員 実は、それに尽きないんです。自分の所掌をよく御理解ください。

 これはよくよく知られていることなんですよ。北方大臣の職務は、内閣府設置法には、国民世論の啓発に関すること、これは今おっしゃるとおり。でも、尽きないんです。北方地域に生活の本拠を有していらっしゃった方に対する援護措置、これも入っている。これは極めて重要なことなんですよ。あるいは、いろいろな書類の作成、公文書の作成に関すること、これらも、今まで政治的な問題として大きな問題になった非常に重要なことなんです。これらも、今、尽きますということで言われなかったことに、私、驚きを感じました。

 さらには、きのう、歯舞という言葉をお読みになれなかった、読めなかったと。もう、任につかれて数カ月たたれます。そこで、島の名前も読めなかったことに関して、御自分はこの職に適任なのかということに関してどう思われますか。

島尻国務大臣 今御指摘のございました、昨日の記者会見におきましてのことであります。

 千島歯舞諸島居住者連盟、いわゆる千島連盟の皆様がネット配信等を通じて広報啓発活動に御努力をされているということがございまして、その件、内閣府としても後押ししていきたいと言及をさせていただきました。

 その際、千島連盟というものを正式名称でお呼びしなければならないと思っていたところ、一瞬この発言に詰まってしまったということでございます。千島連盟と略して表現をすることが多いものですから、千島歯舞諸島居住者連盟というところが、一瞬、これで合っているのかなというふうに思って確認をしたかったというのが正直なところでございます。

 関係者の皆様に御心配をおかけしたとすれば、大変申しわけなく思う次第でございます。一層の緊張感を持ってまた職務に励んでいきたいと思っております。よろしくお願いします。

大串(博)委員 北方問題は、やはり日本にとって、みんなにとってとても大切な問題だ、これは皆さん共有されていることと思います。だから、大臣においては万般の職務を果たしていただきたいと皆さん思っていらっしゃると思います。そういう中で、先ほどおっしゃったように、間違いかもしれないけれども、島の名前を読めなかった、あるいは、今、自分の職務を、国民世論の啓発に尽きるとおっしゃったことなんかも、私は非常に驚きを禁じ得ません。

 こういったことに関して、最近、安倍内閣において、答弁が二転三転したり、答弁ができなかったりということもこの委員会で大変多発しています。そういったことに関して、本当にこの内閣において国務がきちんと遂行されるのか非常に心配です。

 これを申し上げつつ、最後にもう一回、再度、先ほどの国民の知る権利、表現の自由、憲法二十一条、これをさらに議論させていただきたいと思いますけれども、一つの番組に対してでも政治的公平性を政府が介入してチェックする、これを否定されなかったこと、これを非常に残念に思うということを申し上げさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹下委員長 この際、西村智奈美君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 西村智奈美です。

 きょうは、政治姿勢、そして政治と金をめぐる問題ということで集中審議でありますけれども、これまでの総理の答弁を聞いていまして、私もやはり残念だなと思います。

 自民党政権が発足して既に三年以上が経過をした。

 民主党政権の三年三カ月、私は、今振り返ってみても、子ども手当を中学校卒業時まで延長したり、また高校授業料の実質無償化をやって、これは当時、自民党からは、ばらまき三Kといってかなり批判をされておりましたけれども、それはよかったんでしょうね、効果を認めていただいているということだと思いますが、今もこれは継続をされている。しかし、その中でも、三年三カ月の中で、私たちは確かにできなかったこともありました。そのことについては真摯に反省をいたしております。

 しかし、今、安倍政権がスタートして三年たちました。もう十分な時間がたったと思います。いまだに民主党のことをたたいて、たたけば自分たちのよさが浮き彫りになるというこのやり方は、私はもうそろそろおやめになった方がいいんじゃないかというふうに思うんですね。

 先ほどの大串委員への答弁に対しても、自民党政権のときには、民主党政権をたたくときにも担当大臣はちゃんと呼んでいたと言いますけれども、本当にそうなんでしょうか。今確認はできませんけれども、後で確認をちゃんとした上で私も申し上げたいと思いますけれども、決してそんなことはなかったと私の記憶の中では思います。ですから、そのような口から出任せみたいな答弁はもうやめてもらいたい、そういうふうにまず冒頭申し上げておきます。

 それで、きょうは私、まず政治姿勢ということについて申し上げたいんです。

 きょうは、甘利前大臣、それから遠藤大臣、いろいろな大臣の問題についても言われておりますけれども、実は、衆議院の品位をおとしめているんじゃないかと思われる人たちは大臣だけではないんですね。特に安倍チルドレンと言われる当選回数の比較的若い、若手の議員の言動、大変問題になってまいりました。

 ちょっと思い起こしてみますと、一番最初に申し上げたいのは、もうこれは本当に事例は幾つもあるんですけれども、大西英男議員が女性議員に対して、質問しているときに、早く結婚して子供を産まないとだめだぞなどと発言をして、これは後に謝罪をしました。それは、謝罪はよかったことだと思います。

 それから、その後、中川郁子農水政務官と門博文代議士との、これは不倫デートなどと称されておりますけれども、そのような報道があった。

 それから、また大西英男議員ですが、マスコミを懲らしめるためには広告料収入をなくすのが一番いいと。これは、やはり先ほどの質問ともつながってまいりますけれども、マスコミに対する言論統制ですよね。そのようなことを党全体としてやらせているのではないか、そういうことをうかがわせるような発言もありました。

 また、武藤貴也衆議院議員、この方についてはほかにもいろいろあるんですけれども、やはり一番問題なのは、議員枠の未公開株というものがあるということをうかがわせながら取引を持ちかけるという、まあ、詐欺ですね。このような金銭トラブルがあった。

 また、ふくだ峰之衆議院議員の元秘書、居住実態のない地域から立候補をして当選した市議さんですが、彼女が当選無効ということで、裁判所の判決も下された。このふくだ峰之衆議院議員はマイナンバー担当の補佐官であったということもありまして、これは、みずからの職務のことを考えても本当にひどい、軽率な経過だったと思います。

 そして、ここに来て、宮崎謙介衆議院議員が、奥様の出産入院中に自宅に女性を連れ込んだという報道もございました。

 私、宮崎議員が育休宣言をされたときに、実はちょっと期待をしたんです。なかなか男性の育休の取得が進んでいかないという中で、国会議員が育休を取得するということを宣言した。それは、職務との関係でどうなのか、あるいは、私たちは言ってみれば会社の中で雇われている従業員とはちょっと異なりますから、そういう意味ではマッチしないところもあるのではないかというふうには言われておりましたけれども、それでも、今の社会の風潮に一石を投じるのではないかというふうに期待をしていました。しかし、今ここに至ってみると、結局のところ、売名行為のためにあの育休宣言をしたのではないかということを疑わざるを得ない。これは非常に残念なことです。

 総理、この一連の自民党の若手議員によるさまざまな不祥事、それに関する報道、これについてどのように思われますか。

安倍内閣総理大臣 最後に挙げられた例については、当該週刊誌の記事を読んでおりませんから、コメントは控えさせていただきたい、こう思う次第でございますが、いずれにいたしましても、信なくば立たず、やはり国民の信頼の上に我々は政治活動があるわけでございますし、政策を実行していく上においても国民の信頼が必要だろう。そのために、それをしっかりと国会議員は、あるいは政治家は拳々服膺しながら、みずからの行動を律していく必要があるだろう、このように思う次第でございます。

西村(智)委員 先ほどの報道を読んでいないから答えられないというのも、ちょっとおかしな話だと思うんですね。

 宮崎議員が育休宣言をされたときに、総理は、新年の挨拶に来られた議員に対して、それでこそ政治家だと言って励ましておられるわけなんです。それも、恐らくは報道を通じてしか総理は知り得なかったはずなんです。それについてはちゃんとコメントをしておられて、そして、今回のことについてコメントができない、その記事を読んでいないということについては、私はちょっと事実にそごがあるのではないかというふうに思っております。

 また、今もやじが後ろの方からいろいろ飛んでおりますけれども、この委員会の雰囲気、やはりちょっと異常だと思います。これまでも、大臣が答弁をしているときに、私もやじがはっきり聞こえたんですけれども、大臣、もっと長く答弁して時間稼ぎをしろというような発言がありましたり、また、今もそうなんですけれども、寝ている方がいらっしゃるわけなんですよ。いびきも聞こえるんです。大変残念なことで、みんなでとにかく衆議院の品位を高めようと思っているときにこのような事態が起きているということは本当に残念なことだというふうに思いますので、今のお言葉、総理、よくよく党内にもしっかりと行き渡らせていただいて、これからぜひ実のある国会での議論ができるようにお願いをしたいというふうに思います。

 では、政策論争ということですので、これから政策の話をさせていただきたいと思いますが、同一労働同一賃金について伺いたいと思います。

 総理、所信表明演説で、同一労働同一賃金について、均等待遇まで踏み込んで、ことしの春に作成をする一億総活躍プランですか、そこに内容を盛り込むということを明らかにされました。

 私、この同一労働同一賃金、そして均等待遇という言葉が総理の口から出てきたので、本当にびっくりしました。

 総理は、これまでは、アベノミクスという経済政策のもとで、大手のところ、あるいは大都市、そういったところを潤わせてから、そしてその恩恵を地域に、あるいは働いている人たちを潤すという、言ってみればトリクルダウンの考え方によって経済政策を運営しているものとばかり思っておりましたけれども、均等待遇という、発想が百八十度違うことをみずからがおっしゃったので、これは本当にありがとうございますというふうにも思いつつ、だとすれば、なぜ昨年、労働者派遣法などという改悪法案を強行採決したのかということは非常に不思議に思うわけでありますけれども、きょうは、総理が考えておられる均等待遇とは一体何なのかということをぜひ聞かせていただきたいというふうに思っております。

 実は、私たち民主党も、均等待遇の実現には長く取り組んでまいりました。昨年は、維新の党と一緒に、同一労働同一賃金推進法案提出もいたしました。また、パート労働法、それから男女雇用機会均等法、こういったものの改正時には修正案を提出したり、いろいろな対案的なものを出したりしてきたんですけれども、私たちが考えている均等待遇と総理が考えている均等待遇というのはどうも違うんじゃないかというふうに、私、先日の長妻委員とのやりとりを聞いていて、思わざるを得なかったんです。

 ちょっとここは確認をしたいと思いますけれども、総理の答弁で、こういうふうにおっしゃっておられます。所信でも同じです。「仕事の内容や経験、責任、人材活用の仕組みなどの諸要素が同じであれば同一の待遇を保障する」、これを均等待遇というふうに捉えていらっしゃるようなんですけれども、これは総理の答弁をそのまま読んでおりますが、そのとおりだということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 答弁する前に、私が言っていないことを言ったとして発言しておられますので、少し訂正をさせていただきたいと思います。

 宮崎議員に対して、いわばイクメンについて、私はこれは発言をしておりませんから。恐らく週刊誌か何かで私が発言したということが書いてあったものを紹介しておられるんでしょうけれども、私は発言をしておりませんので訂正をさせていただきたいと思いますし、私が、ここに座って大臣に、長く答弁して時間を費やせと指示したことはございませんので。あるのであれば……(西村(智)委員「後ろが言ったの。総理は言っていません」と呼ぶ)それだったらいいですが、私は言っていないということは申し上げておきたいと思います。大切なことでありますから答弁をさせていただきたい、修正をさせていただきたい、こう思った次第でございます。

 そこで、均等待遇、均衡待遇等については、均等待遇については、仕事の内容や経験、責任、人材活用の仕組みなどの諸要素が同じであれば同一の待遇を保障することということでございます。

西村(智)委員 今、そのとおりだというふうに確認いただいたと思います。

 それで、この前の長妻委員のお話も総理はどのくらい理解されていたのかなとちょっと心配だったので、私きょう、あえてとても簡略化して、均等待遇の幾つかのパターン、これが均等待遇かな、あるいはこういうふうにしたら均等待遇になるかなと思われるパターンをとても簡略化して、また三つに限定して持ってまいりましたので、パネルで見ていただきたいと思うんです。

 今総理がおっしゃった均等待遇のパターンは、仕事の内容が同じで、経験と責任と人材活用の仕組みが同じということですから、これはパターン一の中で、つまり、同じ仕事をしていて、そのほかの要素もみんな同じなんだけれども、なぜか賃金が違う人たちがこの中にいるときに、それは同じ待遇にしていくようにしましょうよということが均等待遇の一のパターン。これが総理が言っておられることだと思うんですね。

 ところが、実は、世間でいいますと、この均等待遇一のパターンというのはそんなに多くないんです。実際、パート労働法や男女雇用機会均等法の中では、仮にこういう人たちがいたら、それは均等な待遇を実現するようにしましょうということで今既に法律はなっておりますので、ここはもう既に担保されているものであるというふうに言わなければなりません。

 だから、今、実際はまだ十万とか二十万とかもらっている方々、賃金のばらつきがあるとしても、法律でいえば、そこのところは本当は同じ待遇を確保しなければならないというのが、このパターン一なんです。

 問題は何かといいますと、このパターン二なんです。

 これは何かといいますと、先日長妻委員が指摘した、スーパーの中でのレジ打ちをやっている方とそれから正社員で仕入れをやっている方のグループがありますよということを示した例示もこれに当たるんですけれども、例えば、同じ仕事をしていても、人材活用の仕組みが同じというところが条件になって、雇用管理区分BとC、違う雇用管理区分に入れられてしまうことがあります。

 何かといいますと、例えば、転勤ができますかというふうに入社試験のときなどに聞かれるわけですね。そのときに、家族の事情とかいろいろ考えて、それはちょっと難しいかもしれませんというふうに言われたら、違う雇用管理区分に入れられる。そして、転勤でも何でもいつでもやりますという人たちが、また別の雇用管理区分に入れられる。そうすると、転勤できると言った人たちがこの高い賃金のグループに入れられて、そして、転勤できませんと言われた人たちが安い賃金の雇用管理区分に入れられるということなんですね。

 だから、今言ったように、転勤できる、できないというところで単にグループ分けされたんだけれども、実際にやっている仕事の中身、責任の重さ、これは全く同じなのに違う賃金体系になってしまっているというグループが非常に多いということが今問題になっているんです。

 総理は、このパターン二についても均等待遇を実現したいというふうに考えてくださっているでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これはケース・バイ・ケースというふうに考えなければならないんだろうと思います。

 そもそも、この雇用管理区分のBとCがどういう雇用管理区分か。今たまたま、転勤をする、しないという区分で言われました。しかし、その区分が、例えば一般職と総合職ということもあるわけであります。それは、いわば労働の質の違いやキャリアコースの違い、学歴や資格の相違を考慮に入れて、例えば、欧州においては賃金差の正当性を判断することとされているわけでございます。しかし、その場合もケース・バイ・ケースになってくるわけでございます。そうしたことも踏まえて、今度しっかりと検討を進めていきたい、こう考えております。

 また、この仕事Aについては、二十万と十万というのは、例えば、これは大体同じであっても、正規と非正規という違いだけでそうであるならば、それを直していこうというのは明確であろう、こう考えているところでございます。

西村(智)委員 ケース・バイ・ケースとおっしゃいましたけれども、ケース・バイ・ケースが今まで横行してきたがゆえに、賃金の格差が放置されてきているんですよ。そのことを総理は御存じないんだということを今私は改めて知らされました。

 それで、自民党内で、先週金曜日に同一労働同一賃金に関するプロジェクトチームの会合が初めて開かれたそうなんですけれども、今の総理の御答弁でも、これから内容を考えていただく、考えてもらうんだということのようなんですけれども、果たしてこんなスピードで本当にことしの春までのプランに間に合うのかどうか、すごく不安ですね。

 結局、できてきたものが、今総理がおっしゃったみたいに、ケース・バイ・ケースで、これは均等待遇は実現するものだけれども、これは均等待遇は実現しなくてもいいものですというようなお墨つきを与えてしまったら、世界的な流れから逆行してしまうことになりますよ。(安倍内閣総理大臣「欧州でもケース・バイ・ケースです」と呼ぶ)いいえ。

 では、質問の仕方を変えたいと思います。

 今、欧州は違うんだというふうにおっしゃいましたが、日本は一九六七年にILO百号条約というのを批准しています。ここには同一価値労働同一賃金の原則が記されていて、日本も五十年前に批准している条約ですね。

 それで、総理は、長妻委員との質疑の中でも、法律を制定することが必要だったら法律もちゃんとつくりますというふうに言われておりますけれども、総理、ILO条約から求められている法律、これは、今回の均等待遇の実現に向けて当然策定していくことになるというふうに思いますけれども、それでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 このILO百号条約は賃金において男女差別のないことを求めていますが、同条約が求める原則を十分に反映するため、同一価値労働についての男女労働者の同一報酬が実現できるよう法律で規定すべきこと等の見解がILO条約勧告適用専門家委員会において示されていることは承知をしております。

 この点に関し、これまで日本政府からは、労働基準法第四条は「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」と規定し、本条約の要請を満たしていると説明をしてきております。

 先ほどのパターン三において、同じ仕事をしている中において男女差があれば、これは当然労基法の違反になる、こういうことになるのではないかと思うわけであります。

 しかしながら、今般、同一労働同一賃金の実現に踏み込むこととした背景には、女性では、三十代半ば以降、出産、育児等を機に非正規雇用で働く方が多くなっているという事実があります。これまでも、政府としては、女性が出産、育児を経ても継続就業できるような環境の整備をし、望まずに非正規雇用となる方をふやさない努力をしてきていますが、今般、これに加えて、非正規雇用で働く方の待遇改善をさらに徹底することは、男女間の賃金格差の是正にも資するものであり、同条約の要請により一層応えることとなると考えております。

 今春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいて、同一労働同一賃金の具体的な方向性を示したいと考えています。これに従って、必要な制度改正を検討することとなるわけであります。

 ケース・バイ・ケースと申し上げましたのは、ケース・バイ・ケースでやらないというわけではなくて、これはまさに今後、今まで全く踏み込んでいなかったこの同一労働同一賃金に踏み込む中において、今までこれは忘れ去られていたもの、あるいは、これはしっかりと頑張っている人たちが差別的な扱いを受けていると、新たに同一労働同一賃金に踏み込んだことによってそれが明らかになってくれば、ケース・バイ・ケースの中においてしっかりと対応していくことが可能となるということでありまして、今、西村委員がおっしゃったように、我々がこれに踏み込んでも今までと変わらないかのような印象を与えることは間違っているのではないかということは申し上げておきたいと思います。

西村(智)委員 では、さっき総理からパターン三と言っていただきましたので、パターン三の方もちょっと言います。

 まず先に言っておきますと、ILO条約は、労働基準法の第四条が満たしているというふうに考えていると答弁がありましたけれども、ILOはそのようには認めておりません。そこのところは明確にしておきます。

 なおかつ、この均等待遇のパターン三というものですけれども、これは、一つの仕事をしている中で明らかに男性と女性の賃金の格差があるというケースなんですね。これは指数であらわしていますけれども、この会社は比較的いい会社、男性の賃金指数を一〇〇としますと、女性が八五なんです。平均しますと、今、日本の国内では、男性の正社員を一〇〇とすると女性の正社員の賃金は大体七〇、七割ぐらいですから、その中で八五を出しているということは、まあまあいい会社の方ではあるというふうに思うんです。

 さっき総理は、均等待遇を実現すればこれは解消されるというふうにおっしゃったと思うんですが、これは実は実際に裁判になった事件でして、とある会社の、同じ年代に入社した、事務系の同じ仕事をしている男女別の賃金の分布を、裁判の原告団が資料として提出をしたものです。

 これはちょっと見にくいんですけれども、プライバシーのこともあるので、逆にちょっと見にくいまま出させてもらっていますが、平成十三年から平成十四年、そして平成二十三年に至るまで、賃金の高い方を左にして、賃金の低い方を右にして、男性と女性で入れていったんですね。男性が青です。女性が赤です。そうすると、明らかに男性の賃金が左寄りに寄っていて、女性の賃金が右寄りに寄っていますよね。格差があるんです。すごくはっきりしている格差があるんです。

 ところが、裁判所はこの事件で、男女間の賃金格差はあると言って認めました、認めたんだけれども、これだけの賃金の差があるということは会社の裁量の範囲内だから違法とは言えないということで、これは男女間の賃金差別ではないですかといって起こした原告の訴えを、上告を棄却されちゃったんですよ。これが今の日本の現状なんです。格差があると言って認めているにもかかわらず、実際に裁判になると、最後は、裁量だと言って負けちゃうんですよ。

 つまり、今総理がケース・バイ・ケースだというふうにおっしゃったことがどんどんどんどん拡大解釈されていって、まあ実際にケース・バイ・ケースなんていう法律はないはずですけれども、そういったものがこれからさらに出ていってしまうと、会社のいわゆるさじかげんで何でもこれから、このような格差があるとしてもそれが認められちゃうということになるんですよ。本当にこれでいいと思いますか、総理。

安倍内閣総理大臣 裁判については、個々のケースでしょうし、どういうケースか私は存じ上げませんから、裁判の判決とこの一般論としての図でお示しをされたことを今同じに扱うわけにはいかないんだろうと思うわけでございます。裁判については、これは個々のまさにケースでございまして、個々のケースと言ったのは、先ほどのケース・バイ・ケースと同じように申し上げているのではなくて、まさに裁判は裁判で見ていただかなければコメントのしようがない、このように思うわけであります。

 先ほど私が申し上げましたように、パターン三については、全ての条件が同じ場合には、労働者が女性であることを理由として男女の差別的取り扱いが可能かを問うように見受けられるわけでありまして、これは男女差別を禁ずる労働基準法第四条に違反するものと考えるわけでありますが、個別のケースについては、これは裁判所が判断することでありますから申し上げようがないということを申し上げるしかないと思います。

西村(智)委員 やる気がないということがとてもよくわかりました。

 この判決が出ないような、要は、これだけ格差があるということを認めていながら、会社の裁量だということでこれが認められてしまう法体系であるということが、今の日本の法律での問題点なんですよ。

 雇用管理区分というものがあること、そして、男女の賃金格差が厳然としてあるにもかかわらずそれが野放しになっているということ、これを防止するという法律をつくらないと、本当の意味での均等待遇なんて言えませんよ。そこはよくよく申し上げておきます。

 ですから、私、プランを大変楽しみにしております。この二点がクリアされるものでなければ、これはもう絵に描いた餅どころのものではありません。これをつくりますと言って、でき上がったものを見せられたら全く違うものができてきた、それはもう詐欺ですからね。そういったことがないようにきちんと詰めていただいて、提出をしていただきますように、ぜひお願いをしたいと思います。

 それでは次に、児童扶養手当に移りたいと思います。

 児童扶養手当、民主党政権のときに父子世帯まで対象を拡大いたしました。今回は、安倍総理、第二子、第三子以降の子供たちについても加算額をふやしてくれるということで、これは本当にありがとうございます。だけれども、その加算の額が倍増だと言っておられますけれども、これは倍増じゃないですよね。正確に言ってください。

安倍内閣総理大臣 昨年十二月に、ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトを取りまとめたところでありまして、就業による自立に向けた支援を基本としつつ、総合的な取り組みを充実することとしております。

 具体的には、児童扶養手当については、限られた財源であるということは御承知のとおりだろうと思いますが、その中で、特に、経済的に厳しい家庭に重点を置いて、子供が二人以上の一人親家庭の加算を倍増し、第二子は月一万円、そして第三子以降は月六千円と最大限の努力をしているところでございます。

 もちろん、そういう母子世帯に対してできる限り応援をしていきたいというのは、これはもう与野党を問わず同じ気持ちなんだろうと思います。そこで、限られた財源の中でいかにそれを実現していくかということが大切なんだろう、こう思う次第でございまして、我々は、今回、第二子、第三子それぞれ、これを倍増した、こういうことでございます。

西村(智)委員 私、正確におっしゃってくださいと質問したんですけれども、今のは全然正確じゃないですよね。六割の人しか倍増にならないんでしょう。六割以外の方は所得制限がかかって、年収百七十二万円の方だって減額されて支給されるんでしょう、加算額が。そういうことを正確におっしゃらないで加算を倍増しますと言うのは、過大広告じゃないですか。

 最初、この加算額が倍増されるというので、報道もいろいろ出ました。その必要額は百五億円だといって報道に出ました。私も、百五億円かと思っていましたら、実際は八十三億円だというんですね。二十億円けちられてしまいました。削られてしまった。

 申し上げましたように、年収百七十二万円の人たちに対する加算も、これは所得制限がかかるということで削られてしまうんですよ。冷たい話ですよ。

 所得の低い一人親世帯に対して支払われる児童扶養手当。児童扶養手当というのは、申すまでもないですが、一人親世帯に対する給付です。これが加算されるということで、喜んだ。喜んだところが、所得の制限が入ってしまって、倍増と言われていたその看板も、実際、扉をあけて中に入ってみたら全然違う中身のものであったというのは、これはごまかしじゃないですか。加算がゼロになる方もいらっしゃるんですね。ということになると、本当にひどい話で、これは一人親世帯に対してはとても冷たい。

 それは加算はありがたいですよ、重ねて申し上げます。だけれども、所得制限がその厳しい中にもさらにかけられるというのは、これはやはりとんでもないことじゃないですか。

 それから、今回、児童扶養手当現況届というものが、不正受給を防止するために強化されるということになっております。

 これは、総理、確認したいんですけれども、養育費の請求、これを改めて確認するということなんですけれども、世間には、DVの被害に遭ってなかなか養育費の請求ができないという方、夫が失踪してしまってそういったことができないという方がいらっしゃいます。そういった方々に対しても養育費の請求を義務づけて、それを児童扶養手当の支給の要件にするなどということはまさかないと思いますけれども、そこは確認させてください。

安倍内閣総理大臣 先ほどの児童扶養手当については、いわば、我々、第二子、第三子について、五千円、三千円というのを倍増して一万円と六千円にする、これは代表的な例で申し上げたわけでありますが、それで、もう少し詳しくやりとりするのであれば厚労大臣を呼んでいただければいいんだ、こう思うわけであります。

 同時に、所得制限については、これは民主党政権時代からあったじゃないですか。所得制限は根っこについているわけでありますから、これは同じだということは申し上げておきたい、このように思います。

 そういう中において、民主党政権のときのことを言うなと言われますが、そのときになかったものを我々としては加算しているということは申し上げておきたい、こう思います。

 その上で今の御質問でございますが、今回の児童扶養手当の多子加算の拡充に当たっては、財務大臣と厚生労働大臣の大臣折衝において、不正受給の防止、養育費確保の促進などの観点からの検討が行われていると承知をしています。具体的には、制度を所管する厚生労働省において適切に対応されるものと考えております。

西村(智)委員 何も答えてくださっていないですね。

 これは、本当に始まってしまったらすごいことになると思いますよ。私は、これはもう絶対にやめてもらいたい。そこを今総理から明確な答弁がなかったというのは非常に残念です。

 時間がありませんので、もう一問、最後に重要なことを伺いたいと思います。

 おととし、一人親世帯のお母さんが娘さんを殺害したという本当につらい事件がありました。家賃を二年間滞納して、それで、公営住宅の明け渡しの強制執行の当日に犯行に及んだということなんです。彼女は、学校給食のパートの調理員の仕事をしておられた。仕事がある月はそれなりの収入はあったと思いますが、仕事がない月は養育費の月三万円ぐらいしかなかった。ところが、児童扶養手当が入る四月、八月、十二月には三十万円前後の収入がある。それはそれで非常にいいことだと思います。

 だけれども、これは多くの研究者が指摘しているところなんですが、とにかく、そういう社会的な給付を受けている世帯は、なかなか家計の管理がうまくいかない。年間の収入が非常にがたついていると、ただでさえ、ならして月平均して使うということができない中で、なぜ日本がこういう年三回という給付を続けているのか。

 年金は年単位ですけれども、今、年六回の支給になっています。海外の児童扶養手当に類似する手当の支給頻度を見ると、隔週というところもあるぐらいなんですね、毎月じゃなくて隔週というところも選べるぐらいになっているんです。

 公明党も、二〇一〇年の法改正時には、支給回数を今の三回から六回にしてくださいという提案をしているんですよ。採決直前には撤回をされているんですけれども。

 支給頻度の見直し、総理、せっかく加算を倍増するこのタイミングですから、今回法案も出てくるということになりましょうから、このタイミングでぜひ見直しをしていただきたいと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 児童扶養手当の支給回数をふやすことについては、地方自治体における円滑な支給事務の実施体制との関係で難しいわけでございます。

 これは、当時の山井大臣政務官が、私と、今と全く同じ答えをしておられます。市町村にとってさらに負担を与えることになり、なかなか非常に厳しい、市町村、自治体の事務負担から考えて厳しいというのが状況であります、まことに申しわけございませんと答弁しておられますが、この状況は残念ながら変わっていないということでございます。

西村(智)委員 今私が申し上げたことは、最近の研究でようやく明らかになったことなんですね。民主党政権のことをもう何度も言われるので本当に困ったものですが、私たちは、その当時のことは当然反省をしております。その上で前向きな議論をしたいと思って、今申し上げました。

 質問を終わります。

竹下委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 きょう、きのうの新聞を見て私は驚いたんですけれども、自民党で定数削減を二〇年に先送りする、こういう記事が出ているんです。先ほどニュース速報を見ましたら、自民党の部会ですか、何かどこかで了承されたと。これはまさか、うそですよね。総理、そんなことはありませんよね。どうですか。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 ここで私が累次お話をさせていただいておりますように、定数削減あるいはまた定数の是正等について、これは政党間において、各党各会派で議論をする。自民党はかつて三十という削減案を出しましたが、残念ながらこれは各党の賛成を得ることができませんでした。

 私は、野田さんとの間においては、まさに小さな政党の存在も留意しながら民主主義の土俵は決めていかなければならない、ここで私と野田さんが全て決められるわけではありませんよということを申し上げて、その上において政党間で協議をしてきたわけでございますが、残念ながら、その政党間協議で成案を得ることができなかった中において、そして、では第三者機関をつくろうということを申し上げたわけであります。

 そこで、議長のもとに第三者機関を、当時は伊吹議長でありましたが、ここで第三者機関がつくられ、かつ、議運委員会においてこの第三者委員会の答申を尊重するという議決をしているというふうに私も承知をしておりますが、そして、先般、この答申が出されたわけでございます。

 今回、自民党においては、この第三者機関の答申を守っていくということが基本的に決定された、こう承知をしております。

今井委員 答申を守っているか守っていないかという問題じゃなくて、安倍総理が自分のお言葉を守っているかどうかなんですよ。

 二月の四日、うちの松野代表が、十の定数削減ぐらいやらないんですかというふうに質問しました。そこで、総理はそれに対して、松野さん、たった十人の国会議員、国会議員だけ見ればそれは十人かもしれないけれども、大変なんだ、そういうのをまとめると。大事なことは、しっかりと次の選挙、行われる選挙においてそれが反映されていくということ、これが大事なんですよというふうにおっしゃっているんですよ。

 次の選挙で反映されることが……(発言する者あり)いやいや、私、ちゃんとここに議事録を持っていますから。そう答弁されています。後で確認してください。次の選挙で反映されることが大切だと答弁されているんです、この予算委員会で。(発言する者あり)いやいや、答申ではありません。総理がこの予算委員会の場で答弁されたことなんですよ。答弁されたんです。それを破るんですか。うそをつかれたんですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 この答申の趣旨についてしっかりと守っていくのは当然だろう、だから、答申については賛成する、こう申し上げているわけでございまして、この答申を守っていくのは当然のことだろうと。

 ですから、この答申に反しているということになれば、これはまさにここでお約束したことを破ることになるわけでありますが、しっかりとここでお約束したことは、答申を守っていくということでございますから、その中には十削減するということが入っているんだろうと思います。

 また、五年ごとの国勢調査においては、これは県ごとの調整ではなくて選挙区ごとの調整をしっかりとやっていくということだろうと思います。そして、十年ごとの国勢調査においては、県ごとのいわば格差をなくしていくというものも取り入れていく、こういうことではないか、こう思うわけでございます。

 それと同時に、答申の中においては十削減というものが書かれている、こういうことではないかと思います。

今井委員 この質問をよく見ていただきたいんですけれども、松野代表は、一票の格差の話とか答申の話をしているのではありません。十の削減をやらないんですかという質問をしているんです。その質問に対する答えが、次の選挙に反映することだというふうにおっしゃっているんですよ。答申の話を松野代表は質問していませんから。十削減はしないんですかという、そういう質問ですから、それは答申を尊重してじゃなくて、この十削減をいつやるかという質問をしたんですよ。それに対して総理は、次の選挙に反映することが大事だとおっしゃったんですから。それは十削減を次の選挙でやるということじゃないんですか。違うんですか。

安倍内閣総理大臣 これはまさに、国会も身を切る改革をする、ここから出てきた案に賛成するというのは、答申について賛成しなければならない、こういうことだろう、こう思うわけであります。

 松野さんが質問しても、私は私なりの考え方を述べますから、十だけを切り出していくことはできないわけでございまして、この全体について、私の答弁についてやはり注目していただきたい、こういうことでございまして、いわば、先ほど申し上げましたように、まず、違憲状態を減らしなさいということであります。あの答申をよく読んでいただきたいと思いますが、違憲状態を減らしていく、これは直ちに対応しなければならないわけでございます。

 それと、次の選挙というのは、これは、次の選挙において、私は何回も答弁をしておりますように、解散権については、これは縛られないということは申し上げているとおりでございますから、それはそう答弁もしているのは御承知のとおりだろうと思います。

 その上でそう申し上げているのは、まさにここから出てきた案に対して、ここにも書いてあるじゃないですか、「賛成する」と。これはまさに答申を、ここから出てきた案ですから賛成する、こういうことではないかと思うわけでございます。

 同時に、三十二年の国勢調査から出てきたものについて、アダムズ方式で調整をしていくということについては、この中、全体でこれを見ていかないと、これはなかなか難しいということではないかと思います。

 いずれにいたしましても、我々は、この第三者委員会で出してきた案をしっかりと受け入れていく、こういうことでございます。

今井委員 繰り返しになりますけれども、松野代表が答申について尊重するのかと質問して、そうお答えになったなら私は納得します。しかし、松野代表は、定数削減だけを絞って、これはいつやるんですかというふうに質問して、次の選挙で反映するとおっしゃったから、それはやらなきゃおかしいじゃないですか。答申全体の話をしているんじゃないです。後で議事録をよく読んでください。うちの松野代表は、定数削減をいつやるかと質問しているんですよ。それはちょっと、やはりおかしいんじゃないですか、今の答弁は。

安倍内閣総理大臣 今、私の手元に議事録が参りました。ここにこう書いてありますね。

 ただ、答申が出た以上、それを尊重するというのは、今まで私が申し上げているとおりであります。そして、ここで賛成と言うか反対と言うか、それはそういう話ではなくて、まさに我が党において、先ほど申し上げましたが、こういう重い課題についてはちゃんと議論をしていく。こういうプロセスを抜いてはいけないんですよ。大切な民主主義の土俵をつくるのですから。そういうプロセスを抜いてはならない。しかし、ここで私が答えなければいけない話ではないんです。しっかりと次の行われる選挙において反映させていくということも含めて、これが大切な点なんですよと。

 含めて、これが大切な点なんですよというふうに申し上げているわけでありまして、次の選挙でやるということではなくて、次の選挙も含めてまさに議論していくということを私は答えているんですね。

 ですから、ちゃんと私たちは結果として出していく、そしてそれを法案として出していくということは申し上げているとおりであります。その点においては、ちゃんと私たちも尊重していくわけでありますと。

 これが私の答えの全てでありまして、今申し上げましたように、答申について答えている、こういうことでございますから、私は全く食言をしていない。正確にちゃんと読んで、言葉を全て正確に読んでいただきたい、こう思う次第でございます。(発言する者あり)

平沢委員長代理 静粛にしてください。

今井委員 いやいや、別にそんな、私は変な誘導をしているわけではなくて、次の選挙に反映することも含めてとかなんとか等と言ったら、全部それはやらなくていいという、そういう答弁になっちゃうじゃないですか。

 うちの代表が、十削減するのかということを聞いてやっているわけですから、それに対してどう答弁したといったら、質問は十削減するということにピンポイントなんですから、それに答えているというふうに思うのは、それは当然です。だから、やはり、二〇二〇年まで延ばすというのは、私はこれは認められませんよ。

 それともう一つ、安倍総理は以前からもうずっとおっしゃられておりますけれども、消費税を引き上げるなら国会も身を切るべきという考え方で、二つの両輪があるんですというふうに答弁されています。消費税の引き上げは来年の四月ですよね。ですから、それにあわせてこの定数削減を当然やらなきゃいけないんです。だから、次の選挙で必ずやるということをやはり国民に示す必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 これはこれからもやりますからね。やはり、安倍総理は、言ったことは私たちはやるんですとおっしゃっていますから、言ったとおりやっていただきたいと思います。

 きょうは、政治と金の集中審議ということでございますので、遠藤オリンピック担当大臣にお越しいただきまして、ちょっといろいろお伺いをしたいと思います。

 一つまず御指摘したいんですが、二月四日、これも松野代表の質疑の中で、二十八年度に新たについた六億円の予算、これについて松野代表が質問したときに、遠藤大臣が、念のため文科省に確認をしましたら、御指摘の会社は対象外ということでありましたから、利益にはなっていませんという話をされています。

 しかし、これは間違っています。この予算は直接任用のところに該当するものなのでありますが、実は、このインタラックという会社は直接任用のところの業務を行っています。

 具体的に言うと、平成二十五年ですけれども、大阪市の方で、直接任用をふやそうということで、業務委託をしようと。つまり、人を集めるのも大変だし、いろいろな管理も必要なので、包括でそういう管理をしてもらおうというところで募集をしておりまして、その受注を受けているのがインタラックという会社です。四千百九十万円ほどで受注しております。

 つまり、この予算は、インタラックがやっている業務も含んでいるんです。インタラックは直接任用のコンサルティングもやっているんですね。このときに、わざわざ有料職業紹介という資格まで取ってこの分野に入り込んでいるんです。

 ですから、これが対象外だというのは答弁として間違っていますから、まずこれを訂正してください。

遠藤国務大臣 お答えします。

 先日の御質問は山尾委員からの御質問ではなかったかと思いますが、私が答弁いたしましたのは、報道を受けて、文部科学省に対し、どういう事業が対象かと聞いたところ、自治体の直接雇用のみで、派遣、請負は入っていないということを確認したので、そのように答弁したものであります。私、その会社がどのような事業をやっているか、詳細には了解しておりませんでしたので、請負、そして派遣と思っておりましたので、そういう答えをさせていただきました。

今井委員 私はきのう通告をしておりますので、今、私が指摘しましたから、大臣の発言は間違っていますので、これは今訂正してください。もう一度。

遠藤国務大臣 詳細に私わかりませんので、できれば文科省に聞いていただければありがたいと思います。

今井委員 では、文科省さんにお伺いしますけれども、大阪のこれでインタラックが業務委託を受けているのは事実ですか。

小松政府参考人 お答えをいたします。

 コンサルティング業務について……(今井委員「受けているか受けていないかでいいです」と呼ぶ)はい。契約をしているというふうに認識しておりますけれども、そのコンサルティング業務については補助事業の対象となっておりません。

今井委員 対象に入っていなくても、そこのビジネスができるわけですから、直接任用にお金を入れるということはそこのビジネスが広がるということでしょう。そこのコンサルティングをやるんだから、当然利益を受けているわけですよ。それは当然そうじゃないですか。そこのビジネスが広がるんですから、そのコンサルティングをやっている人にも当然恩恵が行くわけですよ。そうじゃないですか、大臣。違いますか。

遠藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、詳細な事業を私承知しておりませんので、先ほど、聞いたときに、派遣、請負は入っていなくて、そして直接の雇用だけというふうなことだったので、そういう答えをさせていただきました。

 今、文科省の話を聞いても対象になっていないということですから、それでよろしいんじゃないかと思っています。

今井委員 もう時間がないので飛ばしますけれども、普通に考えて、そこに補助金が入ってそこの商売が伸びたら、それにかかわる人が恩恵を受けるのは当然じゃないですか。普通、それは常識ですよ。

 このビジネスが伸びるに当たっては、もう既に大臣が答弁されておられますけれども、第一次提言にALTが入っていなかったので、私もそこにぜひ入れるべきだと言って提言書に入れさせて、結果的にそういう予算もついているということですから……(発言する者あり)いやいや、ALTを入れるべきだということでその提言に入っているわけですから、そこはやはり疑われても仕方ないということをまず指摘しておきたいと思います。

 次にちょっとお伺いしたいのは、資料の最初ですけれども、平成二十八年二月五日に遠藤事務所から毎日新聞へのコメントが出ていますね。ここの二枚目のところの3の(4)なんですけれども、こう書いてあります。さらに、弊事務所が厚労省に働きかけた事実が全くありません、すなわち、ALT派遣会社に厚労省窓口を紹介した後は、会社と厚労省の間で書面による質疑が行われていただけのことですというふうになっていますよね。

 その次のページを見ていただきたいんですけれども、厚労省さんに何回かお伺いしたら、最初はちょっとしかなかったんです。だんだんふえてきたんですけれども、直近に出てきたのは、平成二十五年から二十六年の五月までの間に六回面談しています。この六回のうち、遠藤事務所の秘書が同席しているのは四回です。最初は遠藤事務所でやっています。それで、二度目、三度目は厚労省に秘書がついていっていますが、四回目はまた遠藤事務所でやっているんですね、秘書も入って。

 これで、最初に紹介して、後は書面でやり合ってもらっただけですとおっしゃっていますが、遠藤事業所でもやっていらっしゃるし、秘書もずっと同席しているじゃないですか。(発言する者あり)いやいや、そのコメントが、だから、紹介して、後はお互い同士やってもらいましたというふうにコメントしているのは事実じゃありませんねということです。違いますよね。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、このコメントの(4)、「すなわち、ALT派遣会社に厚労省窓口を紹介した後は、会社と厚労省の間で書面による質疑回答が行われていただけのことです。」ということをコメントしました。

 それについて、今委員からお話がありましたが、最初にお会いをしたのは、同席したのは二回だけなんです。

 最初に、こういうことがありますからということで十二月の上旬に、これは秘書だけです、秘書が、厚労省から事務所へ来ていただいて、こういうことがありますと。そして、十二月の下旬に、同席をして、厚生労働省に行きました。そこで書面等々と言われて、そして、二十六年の一月にまた質問書を持っていったので、そのときに同席をしました。しかし、その後、四月は、これは同席したのではなくて、課長補佐が、前回提出した文書についてということでお持ちいただいたということであります。

 ですから、同席したのは二回しかございません。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

今井委員 同席をして、質問の場でこういう回答をしたことを、遠藤事務所にもちゃんと結果をお伝えしているというふうに聞きましたけれども、それは事実ですか。

遠藤国務大臣 改めて申し上げますが、十二月下旬に厚労省に当該会社を紹介した折に、厚労省から会社に対して、質問を書面で提出してほしいとの申し出があった。これを受けて、年明けに会社が厚労省に質問書を持っていった際に、秘書は同席いたしましたが、内容等については一切働きかけをしていないということであります。

 そういう意味で、会社と厚労省の間で書面による質疑回答が行われた、こう書いたものであります。

今井委員 書面でやるだけなら会わなくてもいいんですよね。面談しながら、こうやって話をしてやっているわけでしょう。そこに秘書も同席しているわけじゃないですか。だから、それはかかわっているということじゃないんですか。紹介しただけでというのは、それは言い過ぎなんじゃないですか。紹介しただけというふうにそこに書いてあるじゃないんですか。遠藤事務所コメント、紹介しただけです、後はお互いにやってもらいましたと書いてありますよ。

遠藤国務大臣 二回目にお伺いしたとき、新年でもありますし、お伺いしましたが、内容については一切かかわっておらないということを聞いております。

今井委員 何がこれは問題かといいますと、実は、平成二十一年に、こういうものが請負偽装に当たるということで厚労省、文科省で通知を出していまして、しかも、そのときに各都道府県にアンケート調査を出しています。アンケート調査には、こうした請負偽装は一体皆さんいつやめられますか、いつ見直しをされますかというアンケートです。続けますかじゃありませんよ。いつ見直しますかと、見直すことが前提で時期だけを聞いています。つまり、見直せというアンケートを出しているわけですね。

 国会の答弁を見ましたけれども、当時の鈴木副大臣も、請負というものは見直しをするべきだというふうに発言をしておられるので、もともとこれはやめる方向だったんですよ。

 それが、平成二十五年の後半からいろいろな陳情をしていることによって、二十六年に変わっているんですけれども、私が問題としているのは、実は、この平成二十五年十二月の前の平成二十五年一月ですけれども、愛知労働局、ここで紛争がありまして、実はこの会社は行政指導を受けています。

 何の行政指導を受けているかというと、こういうものは偽装請負に当たるので、これはやめなければいけないと。判決のところにどう書いてあるかというと、平成二十一年の通知に、こういうことは、請負は認められませんと書いているのにもかかわらず、この会社はやっているので、こういうことを見直せということで行政指導をしているんです、一月に。

 それを受けて、その年の後半にこういう要望をし始めているんですね。それで、六回要望したことによって、この通知が二十六年の八月に変わりまして、一部の部分だけはやってもいいというふうに通知が変わっているんです。

 これは、前に聞いたとき、行政指導をしていますかと聞いたら、答えられませんと言われたので、僕は自分で調べたんですけれども、行政指導を受けているんです、この件において。それを、こうやって六度も会って働きかけをして、何とか制度を変えてもらおうというのは、それは会社の利益にならないんですか。

遠藤国務大臣 まず、六度もというのは、秘書が直接同席したのは二回でありますから、御承知をいただきたい。

 それからもう一つは、この会社の内容等について、私、詳細は詳しくわかりませんので、その指導があったかどうかについて、もしあれでしたら担当役所にお伺いいただければと思います。

 同時に、偽装請負等々については、あったかどうかは全く承知しておりません。

今井委員 では、済みません、行政指導は受けていたかどうか、ちょっと事実関係を教えてください。

坂口政府参考人 先般もお答え申し上げましたけれども、行政指導の状況につきましては、個別の企業に対する御答弁については差し控えさせていただきたいと思います。

 私どもとしましては、二十六年八月の通知につきましては、文部科学省から、教育委員会からの照会が多いということで、それを踏まえましてあの通知を発出したということでございます。

 また、通知の内容的にも、ALTの適正な運営を確保するために、従来からの法令解釈にのっとり、その解釈を明確化するために回答し、通知を発出したというものでございます。

今井委員 後ろの方で何か印象操作とおっしゃっておりますが、私は事実関係を一つ一つ申し上げているだけなので、そこは誤解なさらないでいただきたいと思います。

 それで、ちょっと先ほどの面談記録を見ていただきたいんですけれども、平成二十五年の十二月にこういうのが始まっていますが、先ほど言いましたように、一月にそういう請負をやっちゃいけないというような判決を受けています。その年の十二月から遠藤大臣のところも含めて要望に行っています。

 それで、平成二十六年の一月、四月、順番にいっていますけれども、実は、この平成二十六年の四月というのは、インタラック社というのが五十一億円で売却された月なんですね。売却されたことによってこの創業者の人は三億円キャピタルゲインを得ました。

 そして、この方は、同じ月の四月二十三日に遠藤後援会に百万円寄附されています。ちょうどこのお願いをしているときです。つまり、このお願いをしているときに百万円寄附を受けているということですね。

 ですから、ちょうど、要するに高値で売り抜け、もうかって、こういうこともお願いしているので、こういう事情もあって五十一億円で売れたというのもあるんだと思いますけれども、それでその直後に百万円の献金をいただいている。(発言する者あり)当然なんですか。何ですか。ああ、偶然なんですか。

 しかし、同じ四月ですよ。ほとんど同じ時期ですよ。ちょっとこれは疑わしいと思われても仕方ないと思いませんか。

遠藤国務大臣 売却等のことについては、私は全く承知しておりません。

 そして同時に、この創業者の方からは、十数年前、おつき合いをさせていただいて、その十年ぐらい前からいただいておりますので、このときにこうだということについては、全くそう思っておりません。

今井委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今聞いていただいたように、余りに時期が集中しているんですね。同じ時期にいろいろなことがずうっと起きていますから、やはりこれは疑義を持たれても仕方ない、口ききがあったというふうに疑われても仕方ないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

竹下委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。

井坂委員 神戸から参りました井坂信彦です。

 本日は政治と金の集中審議ということなので、甘利大臣、遠藤大臣の疑惑、またマイナンバー汚職について、きょうは追及型で質問をさせていただきます。

 まず、甘利事務所との接触についてURにお伺いをいたします。

 甘利事務所とUR、また甘利事務所と国土交通省、この間でどのようなやりとりがされたのか、ここが、本件があっせん利得処罰法違反かどうかを解明するための核心だというふうに思います。

 URからは十二回にわたる甘利事務所との面会議事録が公開をされましたが、黒塗りの部分が多いです。それでも、補償金にもう少し色をつけてとか、甘利事務所の顔を立ててとか、あるいは甘利事務所から業者側に希望金額を聞こうかなどと、あっせん利得を強く疑わせるやりとりが議事録からはかいま見えるわけであります。

 URがこの議事録を黒塗りにする理由、これは、交渉途中の金額などは交渉の当事者以外には見せてはいけないからだというふうに言っておられます。

 そこで、資料の一番をごらんいただきたいと思います。

 これはまさにURから開示された黒塗りの議事録なんですが、この中で三行目に当たります、甘利事務所の秘書さんが、補償は幾ら提示したのか、教えられる範囲で構わないので教えてくれと聞きました。URの答えは、最初黒塗りになっています。短い黒塗りの後、ちなみに建物補償は二・二億円支払い済みです、こういうふうに答えているわけであります。

 何か手がかりはないかなというふうによくよく見ていきますと、実は、この議事録全部、全ページ見ましたけれども、このワープロソフト、縦横全部びちっとそろう、いわば原稿用紙に字を書いたような、縦横びちっとそろうワープロソフトなんですね。たまに字がずれている行があって、そういうときは全部、半角の数字が入っている行だけです。アルファベットの入っている行も、アルファベットは全角文字なので、縦横びちっとそろっていて、数字が入っている行だけずれているんですね。

 この行を見ますと、補償金は幾らかと聞いた、機構の最初の短い黒塗りの答えの部分でいきなりずれている、ここでいきなりずれているので、私はここにやはり数字が入っているんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 もちろん、これは本当にそうなのかどうなのかということで、昨日URの方にお伺いをいたしましたが、まだ答えられないということでありました。

 この黒塗りの部分が、聞かれたけれどもそれは答えられませんという答えだったら全然問題ないんですが、どうも、ずれているから、何か、日本語じゃない、平仮名や片仮名や漢字じゃない文字がここに入っているんだというふうに思うんですね。

 URにお伺いをいたします。

 URが……(発言する者あり)英語でもずれはないんですよ、この議事録は。URが当事者以外に公開しないと言い張って我々には絶対見せてこなかった交渉中の金額を、このときに甘利事務所に、この秘書に伝えたのかどうか、お伺いいたします。

上西参考人 お答え申し上げます。

 当機構の職員が一度交渉中の案件に係る金額について口を滑らせてしまったのは事実でございます。

 これについては、極めて不適切だと考えておりまして、しっかり反省いたしまして、二度とこういうことが起こらないように職員を指導してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

井坂委員 引き続き、URにお伺いいたします。

 きのうはお聞きしてもお答えいただけなかったわけですが、きょうは、一度金額を言ってしまった、大変不適切であったということであります。

 確認ですけれども、まさにこの日、この場所で金額を答えたということで間違いないと思いますが、よろしいですか。

 あわせて理由をお伺いしたいと思いますが、何で、絶対やってはいけない、また、我々、結構、事前の野党とURのやりとりの中で、黒塗りを外してくれ、せめてこの辺を見せてくれと随分交渉したんですけれども、絶対見せられない、部外者以外には絶対見せられないと言った情報を、秘書にはやすやすと、聞かれたら即答しておられる、その理由は何ですか。

上西参考人 お答え申し上げます。

 甘利事務所につきましては、本事業の補償について相手側から相談を受けていると聞いておりまして、また、平成二十七年十月五日の面談では、同事務所の相手方が同席していたというような環境で、それを前提にお話をしたということなんですが、金額まで触れたことについては、先ほど申し上げましたとおり、大変不適切だったというふうに考えているところであります。(井坂委員「理由は」と呼ぶ)

 これは、つい口を滑らせたということでございます。

井坂委員 つい口を滑らせたで納得できる話ではありません。

 恐らく、以下の三つの中のどれかが理由だろうというふうに思います。一つ目は、やはり大事な甘利大臣の事務所だから、ちょっと、野党議員には言えないことでも特別な便宜を図ってあげようということで特別な便宜を図ったのが一つ目。二つ目は、甘利大臣の、あるいは事務所の強烈な圧力を背景に感じたので、本当に怖くて、つい金額を言ってしまった、これも考えられます。三つ目は、甘利事務所が業者との補償金額交渉のいわば代理人的な立場だというふうに感じておられたから、すんなり金額を言った、この三つのどれかだと思いますけれども、どれでしょうか。

上西参考人 先ほど申し上げましたとおり、うっかり口を滑らせたということでありますが、なお、秘書の方からは、それによって補償額の増額を求められたり圧力を受けたという認識はございません。

 また、当機構といたしましても、秘書とのやりとりによって補償内容に影響を受けたことは一切ございません。

 以上でございます。

井坂委員 今、URは、金額はうっかり言ったけれども、別にそれで何か秘書が言ったわけではないと。

 きょう、まさにこの十月九日の議事録も、ぎりぎり入っていますけれども、この金額を聞いた後で、少しぐらい色をつけてでもという発言が秘書からあったり、また、ここには載っていないけれども、このちょっと後には、甘利事務所の顔を立ててと、こういう威圧的な物言いがあったりしているので、もう一度答弁願います。

上西参考人 色をつけてという御発言があったわけでございますけれども、全体の文意としては、当機構と面談をお願いしたいということでございまして、決して、金額をどうこうというふうには私どもとしては理解していないということでございます。

井坂委員 私、これまでは、URはむしろ、甘利事務所の圧力を必死に耐えて、適正に仕事をしようと努めておられたというふうに好意的に見ていた部分もあるんですよ。

 ただ、きょうのやりとりで、ついに、絶対誰にも言わないと言っていた金額もやすやすと教え、そして、まさに面会のセットだけを頼まれていたとずっとおっしゃっていましたが、実際、金額を聞き出されるわ、色をつけてと言われるわ、また、こっちから業者側の金額も聞いてあげようと言われるわ、もう完全にこれは価格交渉そのもののことを甘利事務所の秘書はやっているというふうに思います。

 これは、あっせん利得ということにまた私は一歩近づいたんじゃないかなというふうに思っているところであります。

 このあっせん利得処罰法についてちょっと総理にお伺いをしたいことがあるんですけれども、これはもともと、口ききをして、そしてお金を受け取る、このような政治を改めるために、平成十二年にできた法律です。あっせん利得処罰法。その後、この法律が適用されて有罪となった事件は、法務省の調べでは八件だということであります。

 ちょっと、お配りしている資料をごらんいただきたいというふうに思います。

 これをごらんいただくと、有罪となったのはこれまで、市会議員とか町議会議員さん、地方議員さんの方ばかり。そして、受取金額は最低で五十万円、多い方で七百万円。これはみんな有罪ということになっています。あっせん行為も、仕事が受注できるようにとか、あるいは市の職員に採用してもらえるように、こういう依頼を議員がして、そしてお金を受け取った、こういうことで有罪になっております。

 総理にお伺いをしたいんですけれども、過去八件と比べて、一番下に今回の件、甘利大臣、公設秘書、十回以上役所を呼んで、また、今みたいなやりとり、金額まで聞いて、金額交渉しているとしか思えないやりとり。これは、黒塗りの上からでもこれぐらいわかっているので、黒塗りが全部取れたらとんでもない議事録が出てくるというふうに思いますよ。

 これをごらんいただいて、どうでしょうか、総理、これまでの有罪事件と比べても、働きかけの内容、また受け取った金品の額、もう十分過ぎると思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 違法に当たるかどうかということについては、これは司法が判断することでございますので、私は、答弁することは差し控えたい、このように思います。

 いずれにせよ、この件につきましては、甘利前大臣はしっかりと説明責任を果たしていくと言っておられますので、説明責任を果たしていかれるものと考えております。

井坂委員 今回の件で仮にあっせん利得処罰法が適用できなかったらこの法律は一体いつ適用するんだ、こういうことをおっしゃっている専門家も複数おられるということを申し上げたいというふうに思います。

 今、総理が、甘利大臣はまた説明責任を果たしていかれると思いますと。いつも総理は他人事のようにおっしゃっているわけです。

 安倍内閣になって、政治と金問題で辞任をされた大臣は既に四人になりました。これは歴代内閣で飛び抜けて多い数字です。さらには、ほかにも、防衛大臣とか経済産業大臣とか、あるいは環境大臣初め、政治と金がこの場で厳しく追及をされて、そして今大臣席に座っていない、そういう方々も多数おられます。

 総理は常に、任命責任は私にあると、何か責任をとりそうなことをおっしゃりつつ、では説明責任はどうやって今後果たすんですか、それは当人がこれからやっていくことだと思われると、完全に他人事のようなことを繰り返してきておられます。

 しかし、今、世論調査でも、七割の国民が甘利前大臣の説明は不十分、こういうふうに感じているわけであります。もちろん、議場の我々も不十分だというふうに思いますよ。しかし、総理はまた、説明責任は甘利さんが果たしていくと思うと。これは私は、任命責任者としても大変無責任な答弁ではないかというふうに思います。

 ぜひ、総理、お伺いいたしますが、任命責任は私です、こう口先でおっしゃるだけでなく、説明をさせる責任、この疑惑をちゃんと解明するためにも、説明をさせる責任をどう果たしていかれるのか。総理にお伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 政治とお金にかかわることについては、これは、政府にあろうが、あるいは与党であろうが野党であろうが、それぞれがしっかりとその説明責任を果たしていくことが求められているんだろう、こう思う次第でございます。

 それぞれの議員がそれぞれの選挙区において国民の負託を受けてくるわけでありますから、その中において国民の期待に応えていくことが大切ではないか、このように考えております。

井坂委員 いや、総理、それぞれの議員がそれぞれ頑張るのはいいんですよ、それは大事だと思います。

 お聞きしたのは、任命者として、甘利大臣を任命した総理として、甘利前大臣に、まだ国民の七割が不十分だと言っている、この説明を最後までさせ切る責任が私は総理にあると思いますから、総理が甘利大臣に説明をさせる責任をどう果たすんですか。

安倍内閣総理大臣 甘利大臣は、みずからにかかわることについては違法なことはしていないが、事務所そして秘書についての責任をとって職を辞する、こう記者会見で述べられて、経済再生担当大臣の職を辞したわけであります。

 そして、私の責任とは、まさに大臣が交代する事態に至ったことについては、これは私の責任であり、国民の皆様におわびを申し上げたわけでございます。

 その上において、私は、しっかりと日本の経済を再生させていくという責任を果たしていきたい、こう考えている次第であります。

 そして一方、こうした出来事についての説明責任は、与党であろうと野党であろうとそれぞれの議員が説明責任を果たしていくことではないか、こう考える次第でございまして、議員それぞれが個人の自覚においてなされるべきものと考えております。

井坂委員 責任を総理が果たされるお気持ちは全くないということだというふうに思います。

 今回、この議事録、ごらんいただきましたけれども、URは、黒塗りでも議事録を出してくださったので、まだいい方だというふうに私は思っています。

 一方、先ほど今井議員がやりとりしておられました遠藤大臣、これも何か不当な口ききをしたのではないかという疑惑が持たれている。

 この件に関しては、実は、秘書とそれから厚生労働省、四回も面会をしている。にもかかわらず、厚生労働省は面会議事録が存在しないと言って出さないわけであります。

 そこで、厚生労働大臣にお伺いをいたしますが、これはたしか、国会議員やあるいは秘書が役所に働きかけをしたらそれは記録、保存をする、「政・官の在り方」という基本ルールがあったように思うんですけれども、このルールで記録された文書、厚生労働省で、安倍政権になってから一体何件ありますか。

塩崎国務大臣 今御指摘の申し合わせがあることは先生御存じのとおりでありまして、国家公務員制度改革基本法の第五条第三項と、それから「政・官の在り方」、平成二十四年の十二月二十六日の閣僚懇談会の申し合わせ、これに基づいて今、職員とそれから国会議員の接触の記録について従っているルールがあるわけでございまして、それに基づいて厚生労働省も当然適切に対応しているところでございます。

 国会議員またはその秘書からの個別の行政執行に関する要請、働きかけであって、政府の方針と著しく異なるなどのためという、きょうお配りをいただいている資料の最後のページにありますけれども、この案件の処理経過を記録、保存することに従っているのは、今のルールに従っているわけでありますから、現在確認できているところでは、平成二十四年十二月の安倍政権発足以来のそういった記録を保存している案件はございません。

井坂委員 ゼロ件だということであります。ルールがあるのに、記録をしているのはゼロ件だと。

 ちょっとお配りしている資料をごらんいただきたいと思います。

 国家公務員制度改革基本法というものが成立をして、この第五条第三項、職員が国会議員と接触した場合の記録、保存、公開のために必要な措置を講ずる、プログラム規定でこれをやりますと法律で定められました。

 その後、安倍政権が発足した平成二十四年十二月二十六日、閣僚懇談会申し合わせという形でありますが、今議論した「政・官の在り方」という文書がつくられて、ここにこう書いてあります。

 官は、国会議員または秘書から、個別の行政執行に関する要請であって、一つ目は、政府の方針と著しく異なる、二つ目に、施策の推進における公正中立性が確保されないおそれがある、三つ目に、対応が極めて困難なもの、この三条件を全部満たす、こういう案件については大臣に報告する、そして記録をする、こういうルールになっています。

 厚労省がゼロ件だということで、実は昨晩、全省庁にお尋ねをいたしましたら、何と、このルールに基づいて安倍政権で作成した政治家との接触記録、これは全省庁でゼロ件、全省庁で一件も記録をされていない、こういうことであります。

 考えてみれば、こんな特殊な三条件がそろう働きかけはなかなかないんだろうというふうには思います。しかし、問題なのは、例えば、ここで二番目に先ほど申し上げた条件、施策の推進における公正中立が確保されないおそれがある。これは、あっせん収賄だったら、こういう働きかけ、公正中立を害する働きかけがあっせん収賄ですけれども、あっせん利得だったら、別に公正中立を害さない働きかけでも、それをやってお金をもらったらあっせん利得になるわけで、この三条件はもう全く不十分なんですよ。特に、あっせん利得を予防するという意味合いでも全く不十分なんです。

 さらには、最初は問題ない働きかけだと思っていても、今回みたいに四回とか十二回とか、さんざん呼び出されていくうちに、何かとんでもないややこしい案件になってきたなといったときに、もう最初の案件を記録していなかったらどうしようもない。

 これは総理にお伺いいたしますが、そもそも、公務員改革基本法がこういう趣旨で通って記録ルールがあるのに、面会の議事録は全省庁でゼロ件。これはさすがに問題ではありませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 公務員制度改革基本法は、いわゆる口ききと言われるような政の官に対する圧力等を排除する趣旨で、事務をいたずらに膨大化させないことにも留意しつつ、職員が国会議員と接触した場合の記録の作成、保存などについて必要な措置を講ずることとしています。

 この趣旨を踏まえて、平成二十四年の閣僚懇談会で申し合わせた「政・官の在り方」において、官は、国会議員やその秘書からの個別の行政執行に関する要請、働きかけであって、公正中立性の観点から対応が極めて困難なものについては、大臣等に報告し、報告を受けた大臣等は、内容の確認を行うなど、みずからの責任で、適切に対処することとされています。

 政府としては、これらの規定にのっとり、各大臣等の指揮監督のもと、記録の作成や管理は適切に実施されているものと認識をしております。

井坂委員 つけ加えますけれども、実は、「政・官の在り方」、このルールは、公務員改革基本法ができる前からあるんです。公務員改革基本法が通る前と後で、中身はほとんど変わりません。つまり、公務員改革基本法ができたから今のルールが不十分ながらできたなどということでは全くなくて、公務員改革基本法の前からあるルールがただ今もだらだら続けられて、実態としては何にも記録をされていない、こういうことであります。

 この問題は、実は地方の方が相当進んでおります。私の地元神戸でも、私が市会議員をやっていた二〇〇六年に、自民党議員の汚職があり、議員から市の職員への働きかけを全件記録する口きき防止条例というものができています。似たような条例は、全国に今、多数あります。

 国会でも、我々がいつも役所の方とお話しするときは、必ずメモをとる人が大体横におられて、メモをとっておられるわけでありますから、これを保存するだけでも、不正な口ききの防止や、あるいはこういう疑惑が起こったときの検証に役立つというふうに思うんです。

 総理にお伺いをいたします。

 ちょっときょう、追及型でと言いましたけれども、この一点だけ提案型でいきたいと思いますが、面会議事録ゼロ件の現状のような形ばかりのルールではなくて、政治家との接触がきちんと記録をされる実効性あるルールをつくる必要があるのではないですか。総理、お伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、いわば職務上の煩雑さが増していくということにも留意しながら、今回、この一、二、三というルールをつくったわけでございます。そこで、その観点から、今後適切に対応していくことが望ましい、このように考えております。

井坂委員 せっかく提案を申し上げたんですけれども、総理はこの面においても、説明責任を果たすということについて大変後ろ向きだなというふうに思います。

 最後、マイナンバー汚職についてもお伺いをいたします。

 昨年の十月、厚生労働省の情報政策室長補佐が逮捕され、そして、マイナンバー関連事業の入札で業者に便宜を図って百万円を受け取ったということで、翌月、起訴されました。私も十一月の予算委員会でこの問題を取り上げまして、大臣は、謝罪された上で、再発防止を約束されたと思います。

 当時は、この事件、大変変わった職員さん、役所に来たり来なかったり、風貌も、言うことやることも変わった職員さんの特殊な事件というような雰囲気があったわけでありますが、しかし、その後さらに、別のマイナンバー関連の入札で新たに二名の汚職が見つかったということであります。わずか二百名足らずの関係者を調べただけで、その中に三名の汚職が厚労省では見つかった。

 厚労省、一昨年、職業訓練事業の入札不正、それから昨年は年金情報流出、そしてこのマイナンバー汚職。私、ずっと厚生労働委員会をやっておりますけれども、もはや何かお家芸と言われても仕方がないぐらい、厚労省、不祥事が続いているわけであります。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、もはやこれは組織の体質の問題だ、大臣の責任は極めて重いというふうに思いますが、大臣の答弁を求めます。

塩崎国務大臣 御指摘のように、二十三年、これは民主党政権でございましたが、中安が収賄をしたということ、それから、今お話がございました、二十六年にまたもう一件あったということでございます。

 これは、今御指摘をいただいたように、監察本部の中で取りまとめをいたしました対応策をつくったわけであります。今おっしゃったように、体質改善も必要ということは、そもそも、この入札のような事案に関しての体制がしっかりしていないということであって、平成二十六年の監察本部の提言というのが、まずJEEDの問題でありました。これに基づいて再発防止策をやってきたにもかかわらずこういう問題が起きたということは、大変遺憾な問題であることはもう言うまでもないわけであります。

 厚生労働省で、やはり厳しい処分の上に、明確なルールをさらに厳しく課すことが大事だということで、監察本部の提言を受けて、先般、調達ルールの内容それから運用を明確化した通知というものを省内で発出いたしまして、再度の周知徹底を図っております。

 例えば、今、入札について、専門的なことであると特にですけれども、一人で処理をしてしまうということから、チェックリストをちゃんと複数の者が見る体制にするとか、それから、独法に限っていた、調達事務が適正に進められてきたことを確認するためのチェックリスト、これを独法以外との契約についても当てはめるなど、やはりルールを明確化し、さらにそれを執行をきちっとすることで、監察本部も、常時チェックを組織内に入れていただくように運用も変えていくということにしたところでございます。

井坂委員 時間ですので、終わります。ありがとうございます。

竹下委員長 これにて細野君、大西君、階君、大串君、西村君、今井君、井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 私は、安倍総理大臣に、国立大学の運営費交付金問題について質問をいたします。

 今、国立大学では、収入の主な部分を占める国立大学運営費交付金の大幅な削減が大問題になっています。

 パネルをごらんください。お手元にも棒グラフの青いものがございます。

 国立大学が法人化されて以降、十二年間で一二%、一千四百七十億円も削減されてきました。このことが大学に深刻な問題を引き起こしています。若手教員の常勤雇用の減少、教員の研究時間の確保に支障が出るなど、大学の運営基盤は急速に脆弱化し、危機的状況に陥っています。さらにこの上、昨年十月、財政制度等審議会で財務省は、運営費交付金を毎年一%減少させ、自己収入を毎年一・六%増加させることが必要との提案を行いました。これに対して、日本じゅうの大学関係者から反対の声が上がりました。

 配付した資料をごらんください。

 全国の国立大学からの声明が、北海道大学を初め三十六もの大学から発表されています。経営協議会学外委員の声明が多く出されています。地方自治体首長、大手企業役員、メディア関係者など、地元有力者が名を連ねています。国立六大学連携コンソーシアムの声明では、継続的に運営費交付金を削減することは、日本の高等教育の中核を担う国立大学が壊滅的な機能不全に陥り、結果として我が国に将来にわたりはかり知れないほど大きな損失を与えかねないとあります。

 安倍総理大臣に伺います。

 国立大学の運営費交付金の削減の提案に対して、猛然と批判の声が上がったことを御存じですか。

安倍内閣総理大臣 予算編成過程において、財政制度等審議会で示された運営費交付金を毎年一%減少させるとの提案に対して、当時、国立大学から危惧する声が上がっていたこと、また地方の経済団体から国立大学の予算の充実を求める声明が出されたことは承知しております。

 こうした要望も踏まえ、国立大学が自治体や企業との連携強化など改革を進めていけるよう、来年度予算において、運営費交付金を前年度と同額確保したところでございます。

畑野委員 声を上げているのは、大学関係者に加えて経済団体からも寄せられております。

 安倍総理の地元の山口県では、県内の経済団体を挙げて次のような声明が出されました。

 山口大学の地域に及ぼす経済波及効果は六百七十五億円以上にも上ると聞いており、大学の存在そのものが、地域経済の活性化に不可欠なものとなっています。今後ますますその活動が期待されることを考えますと、国立大学の基盤的経費である運営費交付金の削減による地域の基幹大学の衰退は、地域経済の衰退に直結する重大事であり、私どもとしてもこれを看過するわけにはまいりません。

 これは、山口県経営者協会、山口経済同友会、県商工会議所連合会、県商工会連合会、県中小企業団体中央会による「山口大学に関する予算の充実を求める声明 山口県の地方創生実現に向けて」の一文です。

 麻生財務大臣の地元、九州経済連合会、馳文部科学大臣の地元、北陸経済連合会など、各地の経済界からも同様の声明が出されております。

 安倍総理大臣に伺います。

 地方の経済団体からも、国立大学の運営費交付金の削減が地域経済の衰退に直結する重大問題だと指摘されています。この危機感を共有されていらっしゃいますか。

安倍内閣総理大臣 山口大学に関する声明あるいは山口大学からの御意見等についても伺って承知しているところでございます。

 確かに、地域の大学が果たす役割には大変大きな役割があるわけでございます。山口大学におきましても、産学連携等の事業を進めているところでもあります。こうした声も我々は受けとめなければならない、こう考えたところでございまして、そうしたことも踏まえて、運営費交付金を前年度と同額確保したところでございます。

畑野委員 全国の大学関係者あるいは地域を挙げた反対の声で、来年度については運営費交付金の予算は総額、前年度と同額に据え置きになりました。

 問題なのは、今後どうしようとしているかということです。

 麻生財務大臣に伺います。

 昨年十一月の財政審の建議においても、国立大学については、「今よりも国費(渡しきりの運営費交付金)に頼らずに自らの収益で経営する力を強化していくことが必要」「運営費交付金の削減を通じた財政への貢献」と書かれました。

 つまりは、再来年の二〇一七年度以降の運営費交付金の削減を検討しているということではありませんか。

麻生国務大臣 まず最初に、千四百七十億の話を畑野先生に御説明させていただくところから始めさせていただきたいと存じますが、国立大学附属病院の赤字を補填する病院運営費交付金五百八十四億円がこの中に入っております。それから、毎年度所要額を計上いたします退職手当が四百九十四億円も入っております。それを知った上で聞いておられるわけでしょう。合計一千七十八億円は自然減ですから、やたら一千四百七十億を財務省が減らしたごとく言われると、何かえらく悪者のように仕立て上げられるのはかなわぬなと思っているんですけれども。

 これを考慮した額は三百九十二億円ということになるんですが、そうすると、パーセントでいえば三コンマちょっとということになろうと思いますが、この間、十八歳人口が約一五%減っております。また、入学者数が約三%減少しておりますから、その点から考えれば自然減の範囲ということも言える程度の話だという点もちょっとあわせて見ないと、これだけ見ますと、グラフのつくり方としてはなかなかよくできていると思いますけれども、事実としては余り……。それだけは申し上げておきます。

 それから、二十九年度からの話ですけれども、これは、新設する三つの重点支援区分ごとに一定の係数、いわゆる機能強化促進係数というのを掛けまして財源として約百億円程度を、改革に取り組むというところに関してその二分の一を補助しますという取り組みも、大学に重点配分するとか、また、先ほど言われましたように、寄附金等々につきましても私どもとしては重点的にそういったものはやらせていただきます。

 また、授業料免除の拡大ですとかいろいろなことをやらせていただいておるということで、私どもとして大学と一緒になり、今後とも、人口が減ります中にあって、我々としては大学というものの意義をきちんとして、いい大学を残していかないかぬ、レベルの高い大学をきちんとやらねばいかぬ。小中はいいけれども、大学になるとみんな海外へ行っちゃうということなどなどいろいろ問題点はあるわけなので、私どもとしてはこういったところも十分に踏まえて、文部科学省並びに大学、国立大学に限りませんけれども、大学等々と話をさせていただければと思っております。

畑野委員 麻生財務大臣からグラフの御説明がありましたが、これは財務省からいただいたものでございますから。わかって質問をしております。

 それから、肝心なことをお答えいただかなかったんですが、新しい交付金の考え方ですね。

 毎年百億円程度取り上げて、そのうちの二分の一戻す、そういうルールについてお伺いをしたんですが、どうなりますか。

麻生国務大臣 今申し上げたつもりだったんですけれども。

 単に授業料の引き上げ等々いろいろ検討しておられることも知っておりますけれども、私どもとしては、中期目標期間として一兆九百四十五億円、前年と同水準とさせていただきましたけれども、今言われましたように、百億円というものを財源として出して、そのうちの二分の一程度の額を、改革に取り組む大学、取り組まない大学等、いろいろ大学は中によって取り組み方がかなり違います、学校のレベルによってはすごく差がありますよ、これは御存じかと思いますけれども。

 そういったところで、運営費交付金を適正化して再配分するルールとして、私どもは、初年度の改革の重点的な取り組みと運営費交付金の適正化等々を再配分ルールの導入とあわせて、自主財源というものの確保を大学を経営しておられる私立大学等々はいろいろやっておられますので、そういった目標を設定して、寄附金に関しましては税額控除ということを導入するなど、いろいろ実施する予定なんですけれども、これらを通じて、財政健全化とも整合的に国立大学というものの経営力の強化と自立性の確保というものを向上させてまいれればと思っております。

畑野委員 つまり、運営費交付金を削減するという話を今お認めになりました。これは重大な御答弁だと思います。

 新潟日報の二〇一六年二月四日付ではこう報道されております。

 新潟大が教員の昇任や退職者の補充など人事の大部分を凍結することが三日わかった、国からの運営費交付金の減少に対応するため人件費を抑制する異例の措置で、ことし採用(昇任)分からおおむね二年間凍結するということです。ただ、決定が一月になったのでことし三月の定年退職者の補充は行う、学生への教育への影響が懸念されるが、学長は、教員の給料や教育、研究の質を下げないための苦渋の判断だと言っております。

 現場では既に、今以上の切り詰めを迫られているんじゃありませんか。

 さらに伺います。

 運営費交付金を削減して自己収入を上げろと言いますが、自己収入は、寄附金、産学連携の研究費、学費、授業料、この三つが挙げられます。

 馳文部科学大臣に伺います。

 私が昨年十二月一日、文部科学委員会で質問したところ、文部科学省は、寄附金収入は頭打ち、産学連携収入は継続的に増加することは必ずしも見込めないと答弁されました。そうですね。

馳国務大臣 昨年十二月一日の衆議院文部科学委員会において畑野委員よりそのように指摘を受け、我が省の高等教育局長がそのように答弁したことはその時点では事実でありますが、それ以降、今から申し上げる二点において状況は変わっているという認識を持っております。

 一点目は寄附金収入に係る問題ですが、平成二十八年度税制改正大綱において、国立大学法人等が実施する学生等への修学支援事業に対する個人寄附に係る税額控除の導入が盛り込まれており、今後は個人からの寄附金の獲得のさらなる増加が期待されるところであります。これが一点目です。

 二点目は、本年一月に第五期科学技術基本計画が策定され、オープンイノベーションを推進するための仕組みを強化し、国立大学等において民間資金など多様な資金を確保していくための必要な措置を講じることとされているところでありまして、昨年の十二月一日の委員会時点で答弁したときとは状況は変わっているというふうな認識を持っております。

畑野委員 これからのことをおっしゃいましたけれども、まだそんなことは決まっていることではありません。

 しかも、鳴門教育大学の経営協議会学外委員の緊急声明、何とおっしゃっているか。市長や地方銀行の会長、地元企業の社長など、学外から大学経営に参画している方々の声明です。教育系大学では外部資金の獲得が非常に困難であり、一定の教育水準を保つためには、不本意ながら授業料の改定を検討せざるを得なくなる。このように悲鳴を上げておられます。

 それで、確認ですけれども、十二月一日の私の質問で、文部科学省は、財政審に財務省が示した提案、運営費交付金を毎年一%減少させ、自己収入を毎年一・六%増加させるという場合に、この自己収入の増の部分を全て授業料で賄うとしたら十五年間で約四十万円の増、約九十三万円の授業料になる、こういう試算を示したのではありませんか。そうですね。

馳国務大臣 そのときの時点で、仮定、たらればで試算を示せとおっしゃるから機械的に数字を示したのでありますが、そのときは高等教育局長は同時にこのことも申し上げているはずであります。

 継続的に運営費交付金を削減することは極めて憂慮すべき事態でありますから、そのようなことを想定したことは、学生に対する授業料の値上げにつながるようなことは経済的負担をかけることにつながりますから、そういうことは想定しておりませんと答弁をいたしましたし、同時に我々は財務省とも協議の上、授業料の標準額も据え置いたわけでありますし、運営費交付金におきましても据え置いたわけでありますから、その当時の憂慮されている事態ではないという現状をちゃんと申し上げておきたいと思います。

 そのようなことを前提に、私は、あのようなチラシというかビラを作成することは公党としてはいかがなものかということを申し上げたばかりであります。

畑野委員 前提として自己収入を上げろと言うから、では、どうですかと。寄附金の問題あるいは産学連携の研究の問題、それはこれから上げるというふうにおっしゃいますけれども、まだ上がっていない。これから先の話じゃありませんか。それができないとなったら授業料にはね返るんじゃないですかということを言って、文部科学省の試算で約四十万円上がり、約九十三万円になると。それは文部科学省が試算されたんですよ。

 しかも、一言言っておきますけれども、チラシではありませんから。よく事実を確かめてください、プラスターというんです、チラシと一緒に掲げるものですよ。何を言っているんですか。言われたから私も申しました。

 だからこそ、私たちは、上げないためにどうしたらいいかと。それは同じですよ。大学人やあるいは地域経済界の皆さんが挙げて、運営費交付金の削減はやめてほしいと声を上げて運動された、それで来年度は運営費交付金は同額に据え置かれたというのが経過じゃありませんか。十二月一日に私はそれを質問したわけですから。

 そして、馳大臣は二月三日の答弁で、授業料の標準額、現行五十三万五千八百円について、中期目標の期間中、すなわち六年間はできる限り固定することが望ましいと述べました。できる限り、望ましい。何で授業料を上げませんと断言できないんですか。していないじゃありませんか。

 麻生財務大臣に伺います。

 現在の授業料の仕組みは、標準額五十三万五千八百円の一二〇%、二割増しまで各大学の判断で上げられることになっております。財政審の建議は、国立大学の自己収入構造を考える際、こうした授業料の引き上げについても一定の議論が必要であると書いています。これは、自己収入の増額のためには授業料の引き上げも行うということになるではありませんか。

麻生国務大臣 御指摘の財政審の建議において、これは単に授業料の引き上げを提言しているわけではなく、家計負担に十分配慮することが重要であり、授業料免除の拡大、奨学金制度の拡充、充実、多様な教育サービスの提供とそれに応じた多様な授業料の設定など、多様な措置をあわせて検討していくことが必要であると指摘をされています。そういうことでしょう。(発言する者あり)そう書いてあるから。

 繰り返しになりますけれども、主要先進国の中では御存じのような財政事情でもありますので、今後、国立大学が高い質を維持しながら自立的、持続的な経営を続けていくためには、国立大学も聖域化せず、運営費交付金等の適正化を行うことが重要であると我々は考えております。

 したがって、国立大学につきまして、運営費交付金への依存を減らして、多様な収入源の確保によってみずからの収益で経営していく力というものを強化していくことが必要であると考えておりますので、こうした観点から、引き続き幅広い議論が必要であろうと我々は考えております。

畑野委員 聖域化しない、つまり運営費交付金を削って自己収入で賄えという方針、こういう考えをとる限り、授業料以外の外部収入をふやすことが難しいと言われてきた中で、結局、授業料値上げにつながるということになるじゃありませんか。この考え方を改めるべきだということを申し上げているんです。大学の基礎研究、日本の知的基盤を壊すことは、学生や保護者の置かれている深刻な経済状況に心を寄せていないと言わなくてはなりません。

 ある学生は、ことし大学受験と高校受験の兄弟がいる、だから、親が授業料を出せるのか、一生懸命働いてくれているけれども体は大丈夫かと本当に心配していると話してくれました。私立の高校生は、これまで授業料で親に苦労をかけ、兄弟もいるので大学は四年制を諦めて短大に行くことにしました、こう話してくれました。これ以上の学費の値上げは教育の機会均等を壊し、学生の未来を奪うものだと言わなくてはなりません。

 安倍総理大臣に伺いたいんですが、私が最初に示したように、今、全国の国立大学、地域経済界が挙げて、継続的に運営費交付金を削減することは、日本の高等教育の中核を担う国立大学が壊滅的な機能不全に陥る、我が国に将来にわたりはかり知れないほど大きな損失を与えかねないとおっしゃっております。この声に真摯に応えるべきです。

 国立大学運営費交付金の削減方針はやめて、十二年間で一二%削減してきた運営費交付金をもとに戻す、このことをやるべきではありませんか。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 国立大学が果たしてきた役割、また地域における知的基盤として大きな期待がかけられているということについて、そして学生たちにとって経済的な理由で進学を諦めなければならないような状況をつくってはならない、こういう諸点に関しては、畑野委員と全く同じ気持ちであります。

 そこで、まず授業料についてでございますが、安倍政権の三年間を含めた最近の十年間値上げはしておらず、来年度予算でも値上げは行っていないわけでございます。そして同時に、先ほど、山口大学やあるいはまた山口県、地元の経済界等々からのそうした要望書もいただいたわけでございますが、まさに地元の知的基盤として産学の連携をさらに進めていくということ、そうした改革的な取り組みを行いながら収入もふやしていくという努力も我々としてはしていただきたい、そういう努力を後押しするという意味も含めまして、今回この運営費交付金についての改革を進めていきたいと思っているわけでございます。

 国立大学は、グローバル化やイノベーションの創出、地域社会の活性化に取り組むため、大学改革を積極的に進めています。このような改革が着実に実行されるよう、国立大学法人の運営費交付金について今後とも必要額を確保してまいりたいと考えております。

畑野委員 結局、国立大学の運営費交付金を将来にわたって削減しないとはおっしゃいませんでした。もとに戻してふやすというふうにもおっしゃいませんでした。

 最初に紹介したように、全国各地の学長や経済界がこれほど声を上げているのはなぜか。地域を担う人づくり、それこそ地方の国立大学の使命であり、地域の将来を左右する重要な問題だということではありませんか。国立大学の授業料は今でも高い。公立大学もそうです。私立大学ではさらに高い。五割の学生が奨学金という借金を背負って学んでいます。学費が高い上に、給付制奨学金の制度がないのはOECD諸国の中でも日本だけです。

 経済格差が教育格差につながる状況を放置することはできません。教育予算を抜本的にふやす、教育への政治姿勢を根本的に転換することを強く求め、引き続き多くの国民の皆さんと運動することを申し上げて、私の質問を終わります。

菅原委員長代理 この際、穀田恵二君から関連質疑の申し出があります。畑野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、総理にお聞きします。甘利前大臣の口きき疑惑について聞きます。

 甘利氏は辞任しましたが、私は、辞任すればしまいというものではないと思います。

 総理は、甘利大臣御自身はいわゆる口ききそのものには関与していないと答弁されています。何をもって関与していないと言えるのか、お答えください。

安倍内閣総理大臣 甘利大臣御自身が、自分自身は一切違法なことは行っていないと説明しておられるということをここで申し上げたわけでございます。その上において、秘書あるいは事務所に対する責任において辞任をした、こういうことでございます。

 今後、説明責任を果たしていく上において調査をし、そして国民の皆様に説明をしていく、このように述べているわけでございまして、その意味におきまして、しっかりと説明責任を果たしていかれるものと考えております。

穀田委員 簡単に言えば、あの人がやってへんからやってへんというだけの話ですわな、今の話は。そういうことは通用しないと言っておきたいと思うんです。

 今回の事件は、甘利前大臣の事務所が薩摩興業の社長から依頼を受け、県道工事に絡み、先ほどもずっとありましたURに口ききしたものであります。甘利事務所がURに二〇一三年六月から二〇一六年一月まで十二回にもわたって交渉し、御承知のとおり、少し色をつけてとか、それから事務所の顔を立ててもらえないかと発言していることは、UR側の証言で既に明らかになっています。

 甘利氏本人が、二〇一三年十一月十四日、大臣室で薩摩興業社長からのし袋に入った五十万円を受け取った、一四年二月一日には神奈川県大和市の地元事務所において薩摩興業の総務担当である一色氏から五十万円のお金を受け取ったと。甘利前大臣はもらったことを認めているわけですよね。

 総理、これが口ききでなくて何と言うんです、一体全体。

安倍内閣総理大臣 犯罪の有無等については司法が判断することでございますので、そうした事柄については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 犯罪の有無を聞いているんじゃなくて、口ききでないのかと言っているわけで、口をきいたか口をきかないかという事実の問題でありまして、これを口ききというんです、誰が言うたかて。だから、犯罪があるかないかということを言っているんでしょうけれども、そう聞いているんじゃないんですよ。

 それで、秘書は、甘利大臣の看板で何度もURと交渉する、すなわち事務所を挙げて口ききをしたわけであります。それでお金をもらっている。このことがよいのか悪いのかということが問われているわけですよね。

 口ききを依頼した側の一色氏は、渡したお金について、県道工事に絡み、URとの移転補償での口ききの謝礼や、用地内の産業廃棄物撤去をめぐる今後の交渉が進むようにとの趣旨だったと説明しているわけですよね。一色氏は、移転補償の二億二千万円の補償金をURから得たその日に甘利氏の地元事務所を訪れ、秘書に五百万円を渡し、秘書には、入金されたのでお礼に伺いましたなどと、補償金交渉の謝礼であることを伝えたと証言しています。

 世間ではこれを何と言うか。賄賂と言うんですよ。

 ところが、甘利氏は記者会見で、大臣室と地元事務所で受け取った計百万円は、大臣の就任祝いや舌がんからの快気祝い、相手から祝うのは、快気祝いというのは自分がやるのかなと私は思ったんだけれども、まあそれはいいんだけれども、快気祝いとして受け取ったと説明した上で、秘書に、自民党神奈川県第十三区支部への寄附として、いわく、政治資金としてきちんと処理するように指示したと述べています。

 また、八月二十日に受け取った五百万円のうち百万円は元秘書の県会議員に回したと言い、勝手に献金先をつけかえ処理したことも述べています。

 総理、どういう経過にせよ、もらったお金を表で処理したらよいという甘利氏の言い分をどう考えますか。

安倍内閣総理大臣 いずれにいたしましても、政治資金規正法にのっとって、適切に政治資金については処理をしていくことが求められている、こう思います。

 同時にまた、国民から疑いをかけられた際には、しっかりと説明責任を果たしていくことが求められていると思います。

 大切なことは、恣意的にお金でもって政治や行政をねじ曲げてはならない、こう考えているところでございます。

穀田委員 金で政治をゆがめてはならないことは、それは誰も知っていることなんですよ。問題は、もらった金を表で処理したらええのかということを聞いているんですよ。

 甘利さんは、もう一つ重大なことを言っていまして、痩せ我慢の美学と言って辞任したわけですが、いい人とだけつき合っていたら選挙に落ちるとも言っています。このことは重大と言わなければなりません。東京新聞は、二月五日付で、「我慢はカネを出されたときにすべきだ。」と痛烈に批判しました。この意見は、私はもっともだと思うんですね。

 総理は、盟友としてきた甘利氏の政治と金についての向き合い方、こういった発言に見られる姿勢、どう思われますか。

安倍内閣総理大臣 政治と金につきましては、先ほども話をいたしましたが、甘利大臣は、みずからにかかわることについては違法なことは一切ないが、秘書あるいは事務所に対する監督責任において職を辞された、こう会見で述べておられたわけでございます。

 いずれにいたしましても、政治家たるもの、国民の皆様から疑惑の目を向けられることのないように、しっかりと説明責任を果たしていくことが大切だろう、このように考えております。

穀田委員 安倍総理は、政治と金の疑惑が出たとき、大体三つ言うんですよね。本人のきちんとした説明が要るということと、法にのっとってということ、それともう一つは、実際に疑惑を持たれぬように、大体この三つを言うんですけれどもね。

 私が聞いたのは、こういうもとで会見されたとおっしゃいましたよね。今、私が会見の話をしましたら、その会見の話をしましたよ。会見録を見ると、そんな格好のいいような話とちゃうんですよ。政治家の事務所はいい人とだけつき合っているだけでは選挙に落ちてしまうのです、小選挙区だから、かなり間口を広げて、来る者は拒まずとしないと当選しないのですと語って、悪い人とつき合っていることを認めているわけですね。

 まさにそういう意味では、そう言っているわけだから、語るに落ちるというのはそのことで、その際に、確かめもせずにお金をもらって、適正に処理しておくようにでは済まないということは誰の目にも明らかだと思うんですね。これが国民の常識ですよ。

 では次に、受け取ったお金の処理の問題です。

 一色氏は、その授受した五十万円のお金をこう証言しています。甘利氏はパーティー券にしてとおっしゃいました、こう述べています。

 総理は、受け取ったお金をパーティー券で処理するというやり方をどう思われますか。

安倍内閣総理大臣 政治資金につきましては、いずれにせよ、政治資金規正法にのっとって適切に処理することが求められている、こう思います。

穀田委員 ごっつ具体的に聞いていますやんか。その一般論は、それはいつもおっしゃるとおりだから、だからもう前に述べたわけですやんか。そういう、もらったお金をパーティー券で処理してという言い方、やり方はどう思わはりますか、それでええのかと聞いているんですやんか。

安倍内閣総理大臣 いわば政治資金におきましては、浄財として、政治献金あるいはまたパーティー券の購入等々の方法をもって我々また多くの方々は浄財を寄附していただいているわけでありまして、それは我々の政治活動を支えているわけでございますが、いずれにせよ、その処理に当たっては、繰り返しになるんですが、政治資金規正法にのっとって適切に処理をしていくことが求められている、このように思います。(発言する者あり)

穀田委員 後ろでいろいろやじを飛ばしている人たちは、自分たちもそういう処理をしているということをはしなくも言っているんだと思うんですけれどもね。情けないなと。

 しかも、相手は、自分はパーティー券で処理してくれと言っているわけじゃないんですよと。そういう浄財とかなんとかいって格好のいい話をしているけれども、もらうときに渡す方が個人献金にしてくださいといっていろいろ言っているものを、パーティー券で処理せいと言っているわけですやんか。

 では、なぜパーティー券で処理するかといえば、簡単に言うと、結論から言えば、賄賂性を覆い隠すというやり方なんですね。

 同時に、では献金の場合、この場合、年五万円以上すると企業名を収支報告書に記載しなければならない。パーティー券購入であれば、二十万円以上でなければ記載しなくてもよい。透明度が低く、名前や金額を届けなくてもよいという抜け道を利用したものと言わざるを得ません。

 そこで、今パーティー券の話をまた安倍さんもおっしゃったので、パーティー券の問題について聞きたいと思うんです。

 安倍内閣は、政治資金パーティー自粛の大臣規範について、二〇一四年五月二十七日、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範、これを改正し、閣議決定しています。そこには、政治資金パーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛すると定めています。これは、政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保するために定めたものだと述べておられるわけですね。

 そこで、昨年三月の予算委員会で、私の質問に対して総理は、政府としては、国民の疑惑を招くようなものについては各人の良識の判断で控えるよう定めていると述べています。

 実際はどうか。二〇一二年末、第二次安倍内閣が発足して以来、辞任するまで閣僚を続けていた甘利氏の一三年、一四年の政治資金パーティーの収入の合計総額はどうなっているか、その中でも収入が一千万円を超える特定パーティーは何回開かれたか、総務大臣、お答えください。

高市国務大臣 甘利大臣についてお答えいたします。

 平成二十五年分のパーティー収入総額は六千百六十万円、うち特定パーティー開催回数は三回。平成二十六年分のパーティー収入総額は八千四百十万円、うち特定パーティー開催回数は三回でございます。

穀田委員 一億四千万円以上の資金を集めている。特定パーティーは六回やっている。

 辞任した甘利氏と一緒に、この三年間、閣僚を続けてきた方は四人です。すなわち、安倍さん、総理、それから麻生さん、そして岸田さん、菅さん、菅さんはちょうど今記者会見ですからあれですが。まとめて言ってください、個別に分けて言うとあれだから。一三年、一四年の分を合計して四方の政治資金パーティーの収入は幾らで、特定パーティーの回数は幾らか、これを報告してください。

高市国務大臣 まず、麻生財務大臣でございましたね。二十五年分及び二十六年分のパーティー収入の総額は一億千十三万八千円、あわせて特定パーティー開催回数は二回でございます。

 それから、岸田外務大臣でございますが、二年分のパーティー収入の合計は一億五千三百四十八万円、うち特定パーティー回数は合計七回でございます。

 安倍総理につきましては、二年分のパーティー収入の総額は一億四千七百七十七万円、うち特定パーティー開催回数は八回でございます。

 菅官房長官につきましては、収入総額合計は五千六百五十六万円、うち特定パーティー開催回数はゼロ回でございます。

穀田委員 今の数字をお聞きになったと思いますが、安倍総理、一億四千七百七十万円、特定パーティー八回で間違いありませんね。

安倍内閣総理大臣 間違いございません。

穀田委員 麻生副総理、一億一千十三万八千円、特定パーティー二回、間違いありませんね。

麻生国務大臣 一億一千十三万八千円、間違いありません。

穀田委員 岸田外務大臣、一億五千三百四十八万円、特定パーティー七回、間違いありませんね。

岸田国務大臣 間違いございません。

穀田委員 この実態ですよ。

 総理大臣は、良識の判断で控えるよう定めているということで言っています。結局、特定パーティーも八回だとか七回だとかやっている、一億を超える金も集めている。国民の常識とかけ離れた資金集めと言わなければならない。大がかりなパーティーを毎年開催し、総理を先頭に、自分たちで決めた自粛を全く守っていないじゃないか。これが国民の疑惑を一層招いていると言っても差し支えないと思います。

 そこで、直近の二〇一四年の政治資金パーティーを開催した団体数、収入総額について、総務大臣、お述べいただきたい。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

高市国務大臣 平成二十六年分の政治資金パーティーの開催団体数は、千五百五十三団体でございます。パーティー収入額でございますが、百八十七億三千四百万円でございます。

穀田委員 お聞き及びのとおり、一千五百五十三の団体が開催し、百八十七億三千四百万円が集まっている。

 この二十年余りを見ていますと、パーティーを開催する団体数はふえて、巨額の金が動いています。百八十七億円全てを企業、団体が購入しているとは言わないけれども、その大半を企業、団体が購入しているのは通例ではないかと思うんですね。だから、政治資金パーティーは形を変えた企業・団体献金にほかなりません。そしてその上で、企業献金も直近の二〇一四年では百億円を突破しています。極めて重大と言わなければなりません。

 この甘利さんの事件を契機に、多くのメディアも企業・団体献金の問題についてきちんとこの際やめるべきだという論調が大きくなり、世論としても企業・団体献金をどうするんだということが問われているわけであります。

 そこで、自民党全体の企業・団体献金額と国民政治協会の企業・団体献金額、自民党が政権に復帰する一二年と直近の一四年を示していただきたいと思います。

高市国務大臣 済みません、平成二十三年から平成二十六年にかけてでしたら今すぐお答えができますが、よろしゅうございますか。(穀田委員「はい」と呼ぶ)

 合計額でございますが、自由民主党が受けた法人その他団体からの寄附金額届け出分の合計は、二百三十九億二千百万円でございます。

 それから、一般財団法人国民政治協会が受けた法人その他団体からの寄附金額は、六十八億五千九百万円でございます。

 平成二十三年から二十六年にかけてでございます。

穀田委員 それは合計額でしてね。では、しようがないから私の方から言いましょう。

 二〇一二年、総理、聞いてくださいね、六十三億円ですよね。二〇一四年、復帰してからは、政権に戻ってからは六十六億円。国民政治協会は、十三億七千二百万円、一四年が二十二億千三百万円ということで、結局、自民党が政権に復帰して以降、企業・団体献金はふえ、自民党本部の財布である国民政治協会への企業・団体献金は一・六倍にもなっています。

 では、この間、何があったのか。献金を出した側の言い分について見てみました。

 経済界の総本山とも言われる日本経団連は、自民党が政権に復帰した直後、二〇一三年の一月には政党の政策や活動の評価を実施することを表明し、政策評価という通信簿を毎年つけてきています。

 一五年十月の講評を見ると、自民党に対して、法人実効税率の引き下げを実施した、その実績は高く評価できると述べ、さらに、消費税率一〇%への着実な引き上げ、法人実効税率を早期に二〇%台へと引き下げ、これが課題だと言っています。まさにこの課題を実現しようというのが来年度予算ではありませんか。

 この通信簿を受け、もう一つ大きな変化があります。公的資金の投入を受けて以来、献金を自粛してきた銀行関係、三大メガバンクが十八年ぶりに国民政治協会への献金を再開しています。昨年末ですからまだ資料は出ていませんが、そういうことが起こっている。

 ですから、まさに今、野方図な形でこれが拡大されようとしているということが今の現実だと思うんですね。献金が急増しているのは、今述べた消費税増税と法人税減税の実行を求める、この政策を評価したものであり、まさに政策買収そのものではありませんか。

 政治資金パーティーを含めた企業・団体献金は直ちに禁止すべきだと思いますが、改めて総理の見解を伺っておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私が総裁になって以降、その後政権に復帰するわけでございますが、自民党へのいわば支持がふえていく中において当然献金はふえてきた。多くの方々が浄財を提供していただいていることに対して感謝申し上げたい、このように思います。

 経済界からの支援がふえたということは、当然経済がよくなっているという実態を示しているんだろう。やはり、経済をよくしていく、企業が収益を上げていくことができる状況をつくっているということに対して彼らは、この政権に対して応援をしよう、頑張ってもらいたい、もっと景気をよくしてもらいたい、こういう考え方のもとに献金をしていただいているのではないか、こう思う次第でございます。

 一方、企業からの献金を受けて、彼らの要求に我々が従っているということでは全くないわけでありまして、我々が進めている政策が正しい政策であり、経済を成長させデフレから脱却させていく中において、企業が最高の収益を上げている中においてこの政権を続けさせていこうということではないか、こういうことでございます。

 その中で、例えば、これは共産党からも要望があったところでございますが、企業に対して我々は賃上げを要望したわけでございます。企業側としては、これは労使で話すことであって、政府が介入すべきじゃないという強い意見もあったわけでございますが、我々は、しかし、デフレから脱却するためには特別なことをやらなければいけないという中において政労使の対話も進めたわけでございまして、最終的には経営者側も御理解をいただいたということではないか。また、取引条件の改善についても私たちはお願いをしているわけでございまして、むしろ経営者側が嫌がることも我々は進めている。

 しかし、それは全体として経済の好循環を回していくことであって、誰にも、経営者にも、労働者側にも、あるいは一般の生活者の皆さんにもこれは大きな富をもたらすということをだんだん御理解いただいた上において、お金によってそういうことをしているのではなくて、こういう政策を理解していただく、政策を相互に理解していく中においていわば好循環が生まれてきている、こういうことではないか、このように思うところでございます。

穀田委員 確かにわかりました。経済界と自民党は好循環しているということだけは、最後、本当によくわかりましたわ。

 それで、支持がふえている中でと。別に支持がふえているわけじゃないんだ、票数はそんなに、野に下ったときの票よりも減っているわけですからね。それと、しかも、個人献金は全くふえていないんですよ。ですから、何か支持がふえている中でお金もふえた、そんな実態はないということだけは言っておきたいと思うんです。

 そんなことを言うんだったら、本当に個人献金をきちっと集めて、どうだと言ってみたらどうだと私は思うんですよね。そんなことはないことははっきりしているじゃないですか。集まらないとか個人献金の文化がないとか言って、たらたら文句を言っているのはそちらじゃないですか。

 しかも、私は言うんですけれども、安倍内閣の経済政策の柱は、企業が働きやすい国づくり、ビジネスのハードルを下げますと言っているわけであって、まさに大企業のために働く政治がその中心だということを言っておきたいと思うんです。

 最後に、政党助成金について聞きたいと思うんですね。この問題は、私と安倍総理は何度も議論してきました。

 企業献金をなくすからといって導入された政党助成金の創設以来、この間、合計で幾ら政党に交付されたか、主な政党への交付はどのくらいか、総務大臣、述べてください。

高市国務大臣 政党助成制度が創設された平成七年分から平成二十七年分までの政党交付金の交付総額は、六千六百三十一億円余となっております。

 自由民主党三千四十五億円、民主党千九百三十四億円、公明党五百一億円、社会民主党三百五十二億円、それ以外の政党八百億円でございます。

穀田委員 巨額という額なんですよね、これは。六千六百三十一億円も国民の税金から分け取りしている。

 ことしの政党交付金の配分の試算額は、各紙の報道によれば以下のようになっています。自民党はことし百七十二億円、民主党七十六億円、公明党二十九億円、維新の党二十億円、おおさか四億八千五百万円、こころ五億六千万円、社民四億七千百万円、生活三億三千二百万円であります。

 私は、昨年の質疑で、安倍総理とこの問題についてもお話し合いをし、討論をしました。そのときに安倍さんは、個人と税金そして企業・団体のベストミックスを構成していくと述べました。私は、最悪のミックスと指摘したわけですね。

 私たち日本共産党は、御承知のとおり、政党助成金制度は憲法違反として指摘し、一貫して受け取りを拒否してまいりました。

 この問題は、政党とは何かということが問われているんじゃないかと思うんです。政党は、思想、信条に基づく自発的結社であります。政党は、国民の中で活動し、国民の支持を得て活動資金をつくることが基本であります。労せずして税金頼みになっているからお金に対する感覚が麻痺し、腐敗政治をつくり出す要因の一つとなっていることはもはや論をまちません。

 事口を開けば大体、安倍さんは民主主義のコストと言いますけれども、それでは誰が負担すべきなのか。私は、政党の財政の大部分を国家からのお金に依存して、国民のための政治ができるわけがないと思います。

 今、若い方々は声を上げておられて、政治は金に汚いものなのかということまで言い出しています。この若者の批判に応えようではありませんか。十八歳批判に応えようではないかと私は思います。十八歳選挙権実施のことし、企業・団体献金のパーティー券を含む全面禁止を行い、政党助成金廃止に踏み出す年にすべきだと私は思っています。

 既に、私ども日本共産党は、昨年、両法案を提出し、継続審議になっています。この二法案を成立させるよう求めて、質問を終わります。

竹下委員長 これにて畑野君、穀田君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 本日は、この予算委員会、集中審議ということで、政治と金、あるいは政治姿勢、その他経済等というテーマになっております。

 きょう、ずっと一日、民主党さん等の質疑を拝聴していまして、政治と金についてはもういいかなと思っています。もちろん、それぞれの指摘を受けている政治家の先生方については、十分な説明責任を果たしていただくことは当然でございますが、きょう、少なくとも私が予算委員として拝聴した内容は、もうほとんど週刊誌の下請のような内容が中心でございますので、あえてそういったテーマを私の方から深掘りすることはいたしません。

 その上で、きょう、午前中を含めて拝見していまして、ちょっと訂正をしておかねばならないなと。やはりテレビでごらんいただいている方もいらっしゃいますので。

 午前中、民主党の細野政調会長が安倍総理に、野党との党首会談をやっていないじゃないかという御指摘をされました。していますよね。我々の前代表、橋下徹代表、あるいは今の代表、松井一郎代表とは、再三お時間を頂戴して、まさに党首会談を繰り返してきているわけでありまして、これは事実ですから訂正をしておきたいと思います。

 ところが、驚いたことに、おおさか維新の会以外の野党の皆さん、特に民主党、維新の党もかな、我々が安倍総理と党首会談をすると、野党じゃないとか、与党になったのか、こういうふうに言って、とうとう予算委員会の質問の時間を奪って自分たちで使っちゃいました。そういうことをする政治グループが安倍総理に党首会談を要請しても、何かおかしいな、わかりにくいなというのが私の率直なところでございます。(発言する者あり)えっ、論理的じゃないですか。

 では、もう一度言いましょうか。

 きょうは十八分で時間がありませんので繰り返しませんが、とにかく言っていることとやっていることがばらばら。民主党さんは、企業・団体献金を受けながら、企業・団体献金を廃止する法案を出すと胸を張る。維新の党は、国家公務員の給料を上げながら、身を切る改革と胸を張る。そうしたものを見ていると、国民の皆様も、そうした国会の審議、なかなか信頼を寄せていただくことは難しいなということで、我々おおさか維新の会、大阪の実績に基づいて、新しい政党として衣がえをさせていただいて今スタートを切っているところでございます。

 時間も余りありませんので、ちょっと、共産党のビラですね。共産党の皆様に言わせると、これはプラスターということで、街頭で掲げる板だということであります。

 これはもう長くはやりませんが、見えにくいのでちょっと拡大させていただきました。これ、見えますね。十倍に拡大しても、ようやく見えるかなということでございますが……(発言する者あり)ちょっと静かにしてもらえますか。

 下側に書いてあるのは、「安倍政権が」と書いたら、うそだろうと言われたので、「安倍政権のもとで狙われる」と書き直した。もう一つ、上に書いてあるのは、先ほど財務大臣からも、あるいは文科大臣からも御紹介があった財政審。これはもう一回修正しておきます。ぜひもう一度修正してくださいね。今、何も書いていなかった九十三万円について、「財政審で示された方針にもとづいた試算」、こういう修正をされていますが、これは正確には、財政審で採用されなかった考え方に基づいた試算ということですので、正確にお願いしたいと思います。

 いずれにせよ、先ほどの共産党さんの質疑によれば、こういったプラスターを使った署名運動、青年を、若者を惑わすような署名運動をまだ続ける、こうおっしゃっているんです。

 これは、文科大臣、こんなものを放置していたらあかんと思うんですよ。やはり公党がどうして……(発言する者あり)きょう、総理、共産党の皆様に囲まれていまして結構つらいんですが、文科大臣、これは文科省として、事実はこうだとしっかり政府広報を、共産党のデマがかすんでしまうような力強い政府広報をお願いします。

馳国務大臣 確かに財政審でこういう議論がされたことは事実でありますが、十一月下旬の建議においてはその数字は消えているんですよ。ここはやはり全国の懸念の声もありましたし、また、財務省とも協議の上、やはり現場の声も聞いていただいた上で、数字は消えたんです。消えた数字をもとにこういった広報をされるということについては大変遺憾に思います。

 同時に、今委員御指摘のように、文部科学省としても、今後、明確にわかるような周知もしていかなければいけないと思いますので、こういったことの二度とないように求めたいとも思っています。

足立委員 私は別に、山井委員を初めとする民主党の皆さんが、何か与党を利するとか、何か連立に入りたいんだろうとか、そういう大変なデマをそれこそ振りまいていらっしゃいますが、私は、これは安倍総理のためでもないし、自民党のためでは毛頭ない、公明党のためでもありません。これは国のためです、国のために、こうしたデマが振りまかれるのは本当によくないことであるし、これから若い方も選挙に関心を持っていただかないといけない中で、これはもうゆゆしき事態。

 特に、大阪維新の会はかねがね、これは大阪維新の会の四年、八年の改革をまとめた四百ページを超える書籍であります。教育無償化、私立を含めた、公立の教育無償化についても書いてあります。我々は、教育費、子供たちがお金の問題で勉強できないようなことは絶対にあってはならないということで、その最右翼として、大阪ではもう既に高校の完全無償化を実施しているんです。そうした立場から、我々はこうしたプラスターについては看過できないということであります。

 総理、特に私が懸念しているのは、こういう揚げ足取り。要は、試算をしました、試算には前提があります。TPPのモデルにも前提があります。その前提を外した数字がひとり歩きをするようなことがあったら、もう二度と政府は試算を出してくれなくなります。そういう形で、闊達な議論が国会で行われなくなる。言論を封じるような動きをする野党について、私は、脇でちょっと静かにしておいていただいて、与党自民党、公明党と、そして提案型の責任野党おおさか維新の会で、しっかりと切磋琢磨、競い合っていきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 実際、おおさか維新の会の皆さんとは、足立委員もそうなんですが、我が党と激しい選挙運動をしているわけでございまして、大阪においては自民党対民主党ではないんですね、自民党対おおさか維新と。我々も何とか足立さんを撃滅しようとしたわけでありますが、しかし、残念ながら、残念ながらと言ったらなんなんですが、立派に当選を果たされたわけでございます。

 きょうは、後ろでは共産党の皆さんが厳しい目を向けておられますが、我が党の大阪府連の議員も厳しい目を今向けているわけであります。

 いずれにせよ、これは建設的な議論をしていくことが求められているわけでありまして、それはやはり、正しい認識であり、レッテル張り等ではなくて、いわば、例えば前提条件等においても、前提条件においては正しくお互いに示しながら議論をしていくことが求められているのではないか、このように思う次第でございます。

足立委員 選挙に言及いただきましたので、一言私ごとながら申し上げますが、一期目は小選挙区で当選させていただいて、二期目は惜敗をしまして比例でここに立たせていただいています。次の解散・総選挙では何としても小選挙区で当選をするべく、総理を前に恐縮でございますが、決意表明をさせていただきたいと思います。

 さて、話はかわりますが、今、国にとって一番大事なのは、外交、防衛と経済です。

 外交、防衛については、この後、丸山委員が私を引き継ぐ形で質疑していただきますので、私は少し経済の話をいたしたいと思います。

 ここには、憲法と地方自治法というのを並べて書いています。私がなぜこの話を持ち出すかというと、総理、先ほども民主党の細野政調会長から、民主党はこういう法案を出すんだ、こういうお話がありましたが、我々も十を超える法案を今用意しつつあります。

 一つは、企業・団体献金禁止法案。これは、あっ、また民主党さん、いらっしゃらなくなりましたが、民主党さんは献金をもらいながら禁止法案を出す。我々は既にもう企業・団体献金を禁止しています。その上で法案を出します。

 それから、先ほどもあった教育の無償化。これは、憲法も含めた義務教育のみならず、教育について広くこれを無償化する、そのための財源をしっかりと公務員制度改革等で出していく、こういう政策パッケージを今精査して、提出をする準備をしているところであります。

 テレビ入りというのはめったにないので一言申し上げますが、維新の党は、給与法に賛成して、もう身を切る改革は捨てられたようでありますので、ぜひ次の国政選挙までには、維新の党という名前、あるいは身を切る改革というキャッチフレーズは使わないようにしていただくよう、改めてお願いをしておきたいと思います。

 さて、総理、これから日本の経済を考えたときに、もっと長い目で見ると、まさに自民党政権は数々の民営化に取り組まれてきました。国鉄、郵政を挙げるまでもありません。道路公団もそうですね。NTTもそうです。多くのそうした民営化で日本の経済を何とかブーミングさせるべく取り組まれてきたのが自民党の歴史だと私は理解をしていますが、これはJRですね。JRが民営化によって、青いところ、税金を食べるところから、税金を、法人税を納める側に回った数字がここには並んでおります。

 ところが、実は今、地方を見ると、公営の地下鉄、さまざまなまさに、かつての国鉄とは言いませんが、市役所が経営をしている鉄道がたくさんあります。こういったものを今大阪市では、民営化をする、完全民営化に向けて今作業を進めておりますが、先ほど御紹介をした橋下改革、あるいは吉村新市長が今取り組んでおりますが、なかなか難航しています。

 なぜ難航しているかというと、総理、憲法改正の発議三分の二というのは、これはよく出る話です。地方自治法の三分の二の壁というのがあるんですね。実は地方自治法では、市役所の場所、これが三分の二なんですよ。隣のブロックに市役所を動かすのもだめなんですよね、財務大臣。それから鉄道の民営化、これも、株式会社にした途端に三分の二が要るということです。

 そこで私、文科大臣にきょうお越しいただいています、一つ教えていただきたいのは、文化庁が移転するという議論がありますが、文化庁を動かすときに必要な改正事項、法律なのか何なのか、ちょっと教えてください。

馳国務大臣 法令上、文化庁の所在地を変更する場合の手続として、国会の承認を必要とする規定は置かれておりません。

足立委員 これは私も改めて勉強してわかったんですけれども、霞が関が今の霞が関にある理由は、根拠は何もないんです。いつでもどこでも動いても何も改正する必要はないんです。ところが、私の地元には三市二町、役場が五つありますが、隣に動かすのも議会の三分の二が要るんです。それも、国会であれば、小選挙区制のもとでの二分の一でしょう。大選挙区の市議会で三分の二がとれますか。

 結局、私は、これはもうやるなということに聞こえるわけでありまして、ところが、今、橋下改革、そしてそれを引き継いだ松井知事とそして吉村新市長は、この三分の二のハードルを乗り越えるべく、対話と協調ということでやっているわけであります。

 国交大臣にお越しいただいています。例えば東京メトロ、これは既に民営化をされていますが、これを民営化するときには、国会の議決、幾らで民営化をされましたか。

石井国務大臣 東京メトロ、東京地下鉄は、平成十四年に制定されました東京地下鉄株式会社法によりまして、民営化に向けて、できる限り早く、速やかに株式を売却するよう規定されております。法律で規定をされているということでございます。

足立委員 ということは、すなわち国会で過半数で通過をして、今、民営化をされているわけであります。

 ところが、この地方自治法というのはややこしいので細かいことはきょうは割愛しますが、要すれば、今言ったのは東京メトロ、これは国の法律に基づく地下鉄です。では、東京都の交通局、いわゆる都営地下鉄はどうかというと、これは二分の一でいいんですね。ところが、大阪市営地下鉄は三分の二なんです。

 これはおかしくないですか、総務大臣。

高市国務大臣 どの施設を特別多数議決、つまり、三分の二以上の賛成が必要となる特に重要な公の施設とするかというのは、地域の実情に応じて、それぞれの地方自治体に判断が委ねられております。

 今、地下鉄のお話がありましたけれども、東京都、札幌市及び福岡市は、地下鉄事業はこの特に重要な公の施設としては位置づけておりませんので、三分の二は必要ないということでございます。

足立委員 さきの基本的質疑で高市総務大臣に私は同じ質問をしました。そうしたら高市総務大臣は、三分の二が嫌なら外したらいいじゃないか、こうおっしゃいました。しかし、二分の一で外せるんだったら、そもそも三分の二条項という意味がないですよね。これは意味ないんです。では、この地方自治法の三分の二条項というのは何のためにあるかといえば、これは地方議会において三分の一の少数が籠城するためにある条項なんです。

 したがって、今の日本は、霞が関、東京は何の規定もなく自由に発展していますが、実は国の法律で、日本じゅうの自治体の資産ががちがちの法律で塩漬けにされているんです。おおさか維新の会は、今の制度のもとでそれを乗り越えるべく頑張っていますが、なかなかこれはハードルが高いので、これから経済の成長、地域の創生、これをやっていくためには、国の制度改正をぜひお願いしたい、こう思います。

 最後、もう時間が来ていますので、総理、こうした、総理も憲法を、我々と一緒に三分の二を乗り越えるべく頑張っていますが、ぜひこの地方自治法についてもちょっと御関心を改めて持っていただいて、改正を御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 政府の答弁としては高市大臣が答弁したとおりでございまして、いずれにせよ、議員のようなお考え方の方もおられますし、しっかりと検討していく必要があるんだろう、こう思いますが、いずれにいたしましても、地方においては、地方の自主性を尊重し、地域が活性化を図っていく、そういう体制をつくっていくことが常に大切ではないか、このように思います。

足立委員 最後に、私たちは、まさにこうした現状を変えるために首都や副首都に関する法律をしっかりと整備していくことが必要である、このようにお訴えを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございます。

竹下委員長 この際、丸山穂高君から関連質疑の申し出があります。足立君の持ち時間の範囲内でこれを許します。丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会、泉州選出の丸山穂高でございます。

 朝からずっと、この予算委員会、同じような、失言を言った言わない、もしくは総理が答弁逃げている逃げていない、歯舞諸島が読める読めない、あとは共産党のビラがまかれたまかれていない、正直テレビをごらんの国民の皆さんにとって、予算委員会でこういったことをずっとやるというのはもういいんじゃないかなと思われているというふうに思います。

 そういった意味で、もちろん政治と金の問題はしっかり我々政治家自身が襟を正さなければいけない大事な問題ですけれども、しかし、その追及はこの予算委員会ではなくて政倫審等ほかの委員会でしていただいて、この予算委員会ではしっかりと予算や政策の議論をしていくというのが非常に重要だと思います。

 甘利大臣の件、そして閣僚の失言もありました。政権の支持率が下がらない、我々野党の支持が広がらない、そうした中で、ただいちゃもんをつける、そういった姿勢じゃなくて、しっかりと現状の政治の問題点を指摘して、そしてそれに対する具体的な提案を、我々おおさか維新の会、示していきたいというふうに考えております。

 きょうも株価が大きく下がっております。そしてまたマイナス金利の影響が非常に懸念される中で、私、専門が経済でございますので経済財政の話も伺っていきたいところですが、あさって、財務金融委員会で、本日お越しの麻生財務大臣そして日銀総裁と議論をさせていただく機会を設けさせていただきますので、本日は、足立議員が経済や地方自治の話をされました。私からは、担当の安全保障の分野で、総理や防衛大臣等、お伺いしていきたいというふうに思います。

 まず初めに、安全保障上重要な土地の売買の問題について質疑していきたいと思います。

 近年、外国の資本によって、自衛隊そして米軍の基地の周辺の用地や水源、国境付近の離島など、安全保障上重要な土地が買い取られているという問題が言われて、かなり長い時間たっているところでございます。

 しかしながら、これは、現状としてほとんど危機的な状況は変わっていないというのが今の状況ではないでしょうか。

 長崎県の対馬での、外国の土地、用地の買収の問題が非常に有名になってまいりましたが、それだけじゃなくて、例えば横須賀基地、米軍基地の周辺の高地、高い部分で、イージス艦が航行するようなものを一望できるような土地を外国籍の方もしくは不審者が買い取りをしているという情報が出ているとか、またもしくは、それだけじゃなくて、巧妙化しておりまして、外国籍を隠して購入する。また、基地だけじゃなくて、国境付近の離島だとか、もしくは水源地といった、重要な土地というのが、対象が広がって、非常に巧妙化しているというふうに言われてきています。

 まず、防衛大臣にお伺いしたいと思います。

 政府として、これらの基地、水源、国境付近の離島、原発もそうだと思います、安全保障上重要な土地に係る取引、そして外国籍の所有者の状況を把握されていますか、調査されていますでしょうか。お答えください。

中谷国務大臣 お話がありました対馬の防備隊の隣接地におきましても、先日視察をしてまいりました。

 現在まで、土地の所有等につきまして調査をしておるわけでありますが、平成二十五年以降、離島に所在する施設、司令部機能を有する施設七十四施設、そしてその後、陸上自衛隊の師団、海上自衛隊の航空群、航空自衛隊の航空団の司令部等が所在する施設九十六施設、合計百七十施設につきまして、隣接する土地の現況確認を実施したところ、それに加えて、米軍につきましても、横須賀海軍施設に隣接する土地の状況を調査いたしました結果、防衛省に隣接するマンションの区域所有者の中に、住所が外国に所在し、氏名等から外国の方と類推される方が二筆確認された以外は、そのような事例は確認をされておりませんでした。

 現在、引き続き、陸上自衛隊の連隊等の所在する駐屯地、未調査の飛行場施設百五十七施設について、隣接する土地の状況確認を実施しているところでありまして、平成二十八年度におきましても約二百施設の現状を調査する予定にいたしております。

丸山委員 今、大臣、非常に数多くやっておられるような答弁をされておりますけれども、実際、防衛省だけじゃなくて、先に政府の方にお伺いしたところ、今言った数字はもちろん正しいんですが、実は数字のトリックがありまして、その基地の隣接地、つまり、周辺ではなくて本当に隣接しているところしか調べられていない。

 今、例えば、例に挙げさせていただいた横須賀の基地を見渡せる高台等はもちろん含まれておりません。しかも、水源や離島など、基地がないところというのはもちろん含まれていません、戦略上重要であっても。そしてなおかつ、米軍の基地は、今一件だけというふうにも伺っております。

 そういった意味で、予算がそもそもこれにほとんどついていないんです。私は、間違って、おかしいならば、しっかり予算をつけていく、これだけの危機感を国民の皆さんが安全保障上お感じの中で、しっかり国として調査をやっていくべきだと考えます。

 さらに、この問題が重要なのは、もう一つ、このフリップでも、真ん中の二つ目に書かせていただきましたけれども、この安全保障上重要な土地の売買が、もしこれはまずいというものが見つかった場合でも、残念ながら、これを規制する、もしくは国の方で収用する、そういった法律の枠組みがない状態になっています。非常にこれは法の抜け穴と言ってもいい状況じゃないでしょうか。これがまず一点目でございます。

 次に、海の状況を質疑していきたいと思います。

 海のいわゆる排他的経済水域、EEZでの外国海洋調査船、我が国のEEZにおける外国籍の調査船の特異行動と言われます、いわゆる、我が国に対して同意を得ずに海洋調査をしている、こういう特異行動の件数です。二十四年から二十七年で六十三件もあります。このまばらなようになっています。そして、二十七年、昨年は二十八件と急増しているところでございます。

 これについてお伺いしたいんですけれども、明らかに国連海洋法条約に違反していたとしても、これも先ほどの土地の問題と同じです、これに対して、現時点で、我が国で、明確に、違反しているものを拿捕したり、訴追する、取り締まる国内法の規定がないがゆえに、現状、先ほど言ったような行為ができない。取り締まれない、捕まえられない、訴追できない。今、こういう状況にあるということで、外務大臣、よろしいでしょうか。

岸田国務大臣 我が国は、我が国の排他的経済水域における外国による海洋の科学調査について、平成八年に国連海洋法条約に基づいて関係省庁で作成したガイドライン等で対処しております。

 このガイドラインにおきましては、調査実施国は、調査実施の六カ月前までに外交ルートを通じて我が国の同意を求めるとされています。そして、我が国の排他的経済水域において、我が国の同意がない海洋の科学的調査が行われた場合には、調査の中止を求めるなど必要な措置をとるとともに、調査実施国に対して外交ルートを通じた申し入れを行うこととなっております。

 このように我が国は対応している次第でございます。

丸山委員 今大臣がおっしゃったように、中止を求める、申し入れをするぐらいしか今できないのが現行法のたてつけでございます。

 この右側ですか、中国の船、写真が出ておりますけれども、この出してきている中国も、ちゃっかり出してきているにもかかわらず、もし彼らのEEZ内でほかの国の船がこういうことをした場合には、拿捕したり訴追したりするような法律を整えている国であります。中国も韓国も、隣国ではやっています。

 こういった取り締まりの今の法の穴と、そして、調査費、予算も含めて非常に問題があるし、今やらなければならない状況だと考えるんですけれども、総理、今お話を伺って、ぜひ、こういった部分、前向きに取り組んでいただきたいと思うんですけれども、検討をお願いできますか。

安倍内閣総理大臣 我が国の安全保障上重要な国境離島や防衛施設周辺等における外国人や外国資本による土地の取得に関しては、国家安全保障にかかわる重要な問題と認識をしています。

 このため、安倍政権発足後、我が国として初めて策定した国家安全保障戦略において、「国家安全保障の観点から国境離島、防衛施設周辺等における土地所有の状況把握に努め、土地利用等の在り方について検討する。」と明記したところであります。

 現在、これに従い、国境離島を含め、防衛施設周辺等における土地所有の状況について、防衛省を中心として計画的に把握に努めているところであります。これまでのところ、不審な事実等には接してはいませんが、引き続き、状況把握に努めるとともに、警戒警備にも万全を期していく考えであります。

 我が国EEZにおける外国による海洋の科学的調査の取り扱いについては、国連海洋法条約に基づき、いわゆるガイドライン等に基づく事前申請制度を設けており、これらに基づき適切な形で行われることが重要と認識しています。政府としては、引き続き、事前申請制度に基づき適切に対処してまいりたいと思います。

 法整備に関しては、かつて、当時の日本維新の会から、国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案が議員立法として提出されたものと承知をしております。

 他方、議員立法に関することについては、政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、自民党においても同様の問題意識のもとに議論が進められている、このように承知をしております。

 いずれにせよ、国民の命や平和な暮らしを守り、国の安全を守る安全保障政策には、本来与党も野党もないわけでありまして、国民の負託に応えていくためにも、それぞれがしっかりと政策の選択肢を国民に示しながら、建設的な議論を行っていくことは極めて重要であると考えております。

丸山委員 今、総理の答弁で、今の状況では不審な案件はないというお話がありましたが、先ほどお示しさせていただいたように、これは海の領域ですけれども、土地の調査においては、残念ながら、今、現状では予算枠も少なくて、そして、基地に接触している、周辺地でもない、基地のすぐそばの土地でしか今調査できていないからこそ、総理がおっしゃるような少ない現状です。これをきちんと、水源や高地や、あらゆる原発の近くだとか、戦略上の要地を見ていけば必ずもっと出てきますし、出てきた場合の対応が今こそ必要だというのが、総理もうなずいてくださっていますけれども、恐らく現状の認識だというふうに思います。

 海の話もありました。そして、与党の方でもこの話は進んでいるという話がありましたけれども、総理としてもう一度、これは政治家として、総理自身はこの問題は非常に大事だとお考えだと思うんですけれども、どう思われますか。

 総理は、自民党の総裁でもいらっしゃいますし、そして総理でもあります。そして、先ほど来、建設的な議論をこの予算委員会でやるべきだ、ただただ野党は今まで足を引っ張ってきた、失言したと指摘するだけ、そんな議論じゃなくて、建設的な議論をすべきだと総理はおっしゃいました。今まさに、非常に大事な問題について建設的な御提案をさせていただいて、そして、今申し上げたような法案について、我が党で、提案型の責任政党として出していきます。そして、与党の方も出す予定だというふうに、今総理、検討が進んでいるとありました。

 総理、もう一度この話、御自身の政治信条にも照らしてどのように進めていくべきか、前向きな御答弁をいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 自民党におきましては、これは平成二十六年の段階なんですが、安全保障と土地法制に関する特命委員会が佐藤委員長のもとに開かれておりまして、同じような問題意識で議論が行われていたというふうに承知をしております。

 その後、議論の経緯がどうなったかということは十分に私は承知をしておりませんが、この問題については同じ問題意識を自民党も持っているということでありますから、まさに議員立法でございますから、政党間においてよく協議をしていただきたい、このように思うところでございます。

丸山委員 非常に前向きにお答えいただきまして、ありがとうございます。

 維新の党と民主党というのは、どちらかというと、今批判をされておりました。しかし、我々おおさか維新の会は、批判に甘んじず、こうして問題点を指摘して提案していく、予算委でもほかの委員会でもそんな質疑を心がけていきたいと思います。

 しっかりと、我々おおさか維新の会、国民の皆さんのお声に応えるべく頑張っていくことをお約束申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

竹下委員長 これにて足立君、丸山君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊委員 改革結集の会の小熊慎司です。

 我々は、改革結集の旗印として、四つの大きな骨太の方針を出させていただいています。日本の最大の問題である人口問題を初めとして、消費税の増税を凍結、憲法改正、そして原発ゼロ社会といったものを挙げておりますけれども、この中で、増税の前にやはりやるべきことがある、政治家自身がしっかりと範を示して、身を切る改革に徹すべきだと。

 そういう意味では、今回の選挙法の改正も、二〇二〇年なんということを言わずに、先ほどの議論でもありましたけれども、しっかりと速やかにこの改革を行っていく、そして抜本的にまた改めていかなければいけないというふうに考えているところであります。

 そして、不幸にも今回、甘利前大臣の問題がありました。これはやはりしっかりと事実を明らかにして、二度とこういうことが起きないようにしなければならない、また政治家の陳情のあり方も見直していかなければいけない。また、午前中の総理の答弁にもありましたとおり、政治家一人一人が自覚を持って、当事者意識を持ってこの問題を解決していかなければならないというふうに思っています。

 そうした中におきまして、我々は昨日、超党派の勉強会を、先週の我が党の村岡代表の質問のときにも話が出ましたけれども、超党派で政治とお金の問題に関しての勉強会を立ち上げました。昨日は、国会図書館から各国の状況と、あとは民主・維新案の原案を勉強させていただきました。そして、本日、我が党がおおさか維新と、政治と金の問題、規制の法案について協議をしていくということも始まったところであります。

 これは、総理もおっしゃるとおり、民主主義のコストをどう考えるかということにもかかわってくるわけでありますけれども、各国とともに選挙のあり方とか、そうした問題も含めて対処をしていかなければならないところであります。その中で、企業・団体献金の禁止は多くの野党が今主張しているところでもあります。これについては前向きな答弁が今まで出ておりませんでしたけれども、さらに新たな提案として、抜本的にこれは見直していかなきゃいけないと思っています。

 その中において、日本では個人献金が少ない状況にあります。自民党さんにおかれましても、二十六年の収支報告を見れば、党としては百八十億を超える政党のお金となっていますけれども、その中の六七%以上が政党交付金で、個人献金は一・五%にすぎません。

 いろいろな規制もさることながら、民主主義のコストということであれば、個人の皆様方に政治を理解していただくという意味でも、この政治とお金の見直しの中で、個人献金の促進というか、多くの国民の皆さんに理解を求めやすい、そうした改革、規制のあり方が必要になってくると思いますが、総理の見解をお聞きいたします。

安倍内閣総理大臣 政治のコストをどのように分担していくかということでございまして、企業・団体、個人、そしてまた政党交付金として税金が投入されているわけでございます。その中で、そうした浄財によって我々は政治活動を行うことができるということを常に胸に刻みつけながら政治活動を行っていくことが大切なんだろう、こう思う次第でございます。

 個人献金につきましては、個人献金を割合としてふやすべく各政党また個人も努力をしているわけでございますが、ここはなかなか難しい壁があるのも事実でございます。同時に、問題は、これでもって政治や政策をねじ曲げるということでございまして、そういうことを行うのであれば、個人にしろ、団体にしろ、また企業にしろ、同じことであるわけでありまして、そういうことはあってはならないんだろう、こう思う次第でございます。

 今後、個人献金という文化がどのように根づいていくかということについて我々もよく考えていきたい、このように思うところでございます。

小熊委員 きょう配付させていただいた資料の中に、各国においては、今確かに個人献金のハードルは高いわけでありますけれども、税制上の優遇とかをとっている国もあるわけです。

 ただ単純に今のままで多くの皆さんの理解を得るというのはなかなか難しいと思いますけれども、こうした税制の部分まで含めてこれを検討していくという考えは総理にはありませんか。どうですか。

安倍内閣総理大臣 税制につきましては、個人の政治献金に係る寄附金控除ということについての御議論だろう、こう思いますが、国会議員等の候補者等に対する政治献金については、指定都市以上の公職の候補者等に対するものに今は限られているわけでございます。

 政治献金のあり方につきましては公党間で議論されるべきものと考えておりまして、関連する税制についてもまた政治献金のあり方の御議論の中で取り扱われるべきものであろう、このように思うところでございます。

小熊委員 いずれこういう事件が起こるたびに政治不信が渦巻いて、政治から信頼が離れていってしまっているというのは大変残念なことであります。こうした問題をしっかりと我々も、企業・団体献金の禁止等を含めてまたさらに国会の中で議論を深めて、本来の正しいあり方、また民主主義のコストというのはどういうふうにかけなければいけないのかということを議論していきたいというふうに思いますので、与党におかれましても、しっかりと逃げることなく受けとめていただきたいというふうに思っています。

 こういう問題をやっていながら、私も地元に帰ると、もういいかげんにしろということで大変お叱りを受けます。まして、私の地元の福島県は、震災からもう間もなく五年がたとうとしておりますけれども、いまだに解決できていない問題も多数あります。

 丸川大臣の発言については、昨日は民主党の緒方委員、そしてきょうは民主党の細野委員からも御指摘がありました。非常に今厳しい状況の中で、とりわけ風評被害、また風化といった問題についても苦しんでいるところであります。それについての大臣の発言は、一ミリシーベルトの基準は根拠がなかったというのは午前中はおわびの言葉がありましたけれども、この影響についてしっかりと大臣は受けとめていただかねばならないというふうに私は思っています。

 今、政府においても外国人の誘客を進めていて、二千万人に迫る勢いでありますけれども、実際は、直近の平成二十五年の観光庁のデータですが、県別の入り込み数をデータでとっております。福井、富山は今集計中で、大阪と福岡はこの集計をとっていないということですが、ほかの都道府県の中でいうと、福島県は四十一位になっています。

 これだけ東京から近くて交通の利便性もある中で外国人の誘客が果たされていないということは、もちろん我々もしっかり努力していかなければならないところでありますけれども、やはりこれも国際的な風評被害の一因ではないかというふうに思うところでもあります。また、さまざまな努力によって福島県の産物も全国的に理解を得て売られているところでありますけれども、消費者庁でデータを平成二十五年から半年ごとに六回とっていますけれども、やはり福島県ということで食品を買わないという人が二割弱で固定化してしまっています。

 こういう状況の中で、この風評被害というものをどう捉えていくかということであります。

 そういった中で、丸川大臣の発言が、我々がこれは安全ですよと、食品を検査して、どの県もやっていないような、お米も全袋検査してこの数字は安全ですよと言っているときに、その数字が根拠がなかったと言われると、それは失言だったとは思いますが、この影響がまた、我々が安全と言っている言葉にも不信を招いてしまう結果になるんですね。

 そうした影響のもとにあの発言があったということをどう自覚しておるのか、丸川大臣にお伺いします。

丸川国務大臣 小熊議員におかれましては、福島県の議員として、福島の皆様の思いを背負って今この場においでになられているということを私も大変重く受けとめて、今の御発言を聞かせていただきました。

 まずもって、私の発言が福島県の皆様に対して誤解を与えていたとしたら、これはもう本当に大変申しわけなく、おわびを申し上げます。

 加えて、私自身が実は一人でふだんから出張しておりますもので、記録をとっておりませんで、一言一句全てを正確に私自身が把握しておりませんので、大変申しわけないことなんですが、これからは記録をとるように気をつけたいと思います。

 その上で、私の発言の真意というのは、一ミリシーベルトという高い目標を掲げたというこれ自体が問題であるとか、一ミリシーベルトがICRPの考え方の中で一番高い部分をとったということについて何か問題を申し上げているわけではありませんけれども、この数字の性格が十分に伝わっていない、それゆえに例えばこれが除染だけで達成すべき目標であるとかあるいは帰還の際の目標値という誤解を招いているというようなことで、住民の皆様とのリスクコミュニケーションが今後も重要であるということを申し上げたいと思って発言したものでございます。

小熊委員 いずれ、あの発言によって大きな影響を受けてくるというふうに思います。

 風評被害に関しても、今、原発事故の対応については大分風化もしていて、こういう質問をしても、福島県だけの問題で日本全体の問題じゃないというふうに言われたりもします、残念ながら。でも、これは、総理も言っているとおり、福島の復興なくして日本の再生なしというふうに言っていただいているわけですから、日本全体の問題としてこれにどう対処していくか。

 そういう意味では、先週にも浪江町のADRの和解案を拒否されて、国に何回も何とか東電に和解案を受け入れるように言っても、それは当事者同士でということになってしまいますし、また風評被害の営業損害の打ち切りについても、こうやって風評被害がまだ残っているにもかかわらず打ち切ってしまおうとしている現状の中で、原発事故が最終的に収束するまでこの風評被害というのは続くわけですから、それをどう捉えていくかということが政治の課題になってくるというふうに思います。

 総理におかれましても、海外に行くときに、これは銘柄を言うと、NHKが放映していますから言いませんが、御地元の酒は持っていきますけれども、ぜひ福島の酒も持っていっていただいて。昨年は、世界大会で御地元の酒を抑えて、福島県の会津の酒が世界一になったんですよ。そのときの社長の言葉は、第三次長州征伐を制しましたと言っておりましたけれども。

 ぜひ、総理、トップセールスとして、この間も外務委員会でメキシコの日本大使館に行ったら、乾杯用の酒が総理の御地元の酒でした。私は会津ですけれども、長州の酒もおいしいから飲みましたが。総理自身が言葉で言っているじゃないですか、福島の復興なくして日本の再生なしと。であれば、総理自身がトップセールスマンとなって、今、県内各地の首長さんや関係団体の人も、国から特別な予算措置があるわけでもないのに、出張して沖縄に行ってお米を買っていただいたりしているんですよ。こうしたハンディを背負ってやっているんですよ。ぜひ総理もトップセールスマンとして、日本全体のトップセールスもありながら、この風評被害、どうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 おととい、まさに山口県のお酒を抑えて世界の金賞をとられた会津ほまれをいただきました。私は余りお酒を飲めないんですが、夜飲んでみて、本当においしいお酒でございました。

 それと、公邸で海外からお客様が来ているときに必ず日本酒を出しておりますが、日本酒のときは圧倒的に福島のお酒を出しておりまして、公邸において山口県のお酒を出すということはほとんどございません。たまに広島だったりとかすることもあるんですが。

 また、海外にも私は意図的に、もう既に獺祭等は十分だろうと思っておりますので、なるべく福島県のお酒を持っていこうと思っておりまして、アメリカにおいての晩さん会で出されたのは、これは私が選んだのではなくてアメリカ側が選んだということでございますので、お許しをいただきたいと思います。

 あと、海外に出たときには必ず、日本の農水産物に対する輸入制限をやっているところに対しましては強くお話をさせていただいておりますし、海外からやってきた人たちに対しましては常に申し上げております。また、官邸で使っておりますスパークリングのお水は会津のお水でございまして、必ず、相手の首脳にそれを飲ませた後、輸入措置について、今あなたが飲んでいるのは福島のお水ですよ、大丈夫でしょうということを申し上げた後に、科学的根拠のない輸入制限はやめてくださいということを申し上げている中において、シンガポールを初め多くの国々において解除が始まっている、こう思います。

 いずれにいたしましても、しっかりと福島の産品を売り込んでいきたい、こう思っておりますし、山口県のものは別の人がやっていただければいい、こう思っている次第でございます。

小熊委員 周りが気を使って、もう銘柄を言いますが、獺祭を使うので、ぜひ、そこを抑えて福島を使ってくれと。どうせなら、百四十八年前の戊辰戦争はまだ我々は手打ちはしていませんが、お酒は長州と会津の両方を海外にぜひ持っていってください。よろしくお願いします。

 以上で終わります。

竹下委員長 これにて小熊君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十五日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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