衆議院

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第18号 平成28年3月1日(火曜日)

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平成二十八年三月一日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 竹下  亘君

   理事 石田 真敏君 理事 金田 勝年君

   理事 菅原 一秀君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 関  芳弘君 理事 平沢 勝栄君

   理事 柿沢 未途君 理事 山井 和則君

   理事 赤羽 一嘉君

      秋元  司君    井上 貴博君

      池田 佳隆君    石原 宏高君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    奥野 信亮君

      門  博文君    小池百合子君

      小林 鷹之君    佐田玄一郎君

      佐藤ゆかり君    鈴木 俊一君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    古屋 圭司君

      保岡 興治君    山下 貴司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      井坂 信彦君    緒方林太郎君

      大串 博志君    大西 健介君

      小山 展弘君    階   猛君

      篠原  豪君    玉木雄一郎君

      西村智奈美君    福島 伸享君

      中野 洋昌君    濱村  進君

      吉田 宣弘君    高橋千鶴子君

      藤野 保史君    足立 康史君

      下地 幹郎君    松浪 健太君

      重徳 和彦君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         岩城 光英君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       馳   浩君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       森山  裕君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      林  幹雄君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    丸川 珠代君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       高木  毅君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)

   (規制改革担当)

   (防災担当)       河野 太郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     島尻安伊子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   加藤 勝信君

   国務大臣

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   国務大臣         遠藤 利明君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   財務副大臣        坂井  学君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     中村 裕之君

  小田原 潔君     池田 佳隆君

  西村智奈美君     小山 展弘君

  松野 頼久君     井坂 信彦君

  浮島 智子君     中野 洋昌君

  赤嶺 政賢君     藤野 保史君

  足立 康史君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小田原 潔君

  中村 裕之君     岩屋  毅君

  井坂 信彦君     篠原  豪君

  小山 展弘君     西村智奈美君

  中野 洋昌君     浮島 智子君

  藤野 保史君     赤嶺 政賢君

  下地 幹郎君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  豪君     松野 頼久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十八年度一般会計予算

 平成二十八年度特別会計予算

 平成二十八年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

竹下委員長 これより会議を開きます。

 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算、平成二十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局長生田正之君、資源エネルギー庁長官日下部聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹下委員長 御異議なしと認めます。(発言する者あり)

 政府参考人の出席に異議ありますか。何の異議ですか。(発言する者あり)

 ちょっと聞こえないから、待ってください。

 政府参考人出頭に異議があると言われましたが、何ですか。政府参考人の出席について、私は異議を聞きました。その部分で異議がありますか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹下委員長 理事会の協議により、これより集中的締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 おはようございます。自民党の平沢勝栄でございます。

 ちょっとごたごたしていますので、総理、最初、申しわけありませんけれども、きのうの岡田代表の質問の中で、総理の御答弁についていろいろ意見があるようですので、その辺の真意をちょっと御説明いただけますか。

安倍内閣総理大臣 子ども手当について、これは平成二十二年三月十六日の本会議において、民主党の福田議員が、民主党・無所属クラブを代表して、これまで子供は家庭で育てるものという考え方ですと述べた後、その後は、今後は子供は社会で育てるものという考え方で行っていかなければならない、いわば子供は家庭から子供は社会にという考え方に変えていくと言われたわけであります。

 そしてまた、太田和美委員が、広報において、「子どもを生み育てることを家庭や個人の責任にするのではなく、」つまり家庭の責任ではないということを述べ、「生まれた時から社会の責任」ということを述べ、そしてそういう思想で今回の子ども手当はつくられたものである、こう述べていたわけでございますので、この意味において、いわば社会や国というふうに私は捉えたわけであります。

 そして、その中において、議論としてこういう議論を、自民党の中でも、民主党がこういう議論をしているという議論があったということで紹介をしたわけでございます。

 それを今……(発言する者あり)ちょっと聞いていただけますか、少し。冷静になって。

 最初に、こういう発言があったということについては、いわば、家庭ではなくて社会でということ、こういう、今私が紹介した発言が事実あったわけでありますから、それを御紹介させていただいたわけであります。

 というのは、今まで家庭が責任を持って養育を行っていたということから、愛情を注いでいたということから、これは社会が育てていく、そういうものに変わっていくのではないかという疑問を我々は持ったわけでありまして、そういう議論があったのは事実でありまして、それを紹介したものでございます。

平沢委員 よくわかりました。

 それでは、次の……(発言する者あり)山井さん、やめてくださいよ。

 では、次に入らせていただきます。

 二月三日にはこの予算委員会、実質審議に入ったんですけれども、きょうの三時間を入れて、きょうまでに七十五時間審議していることになるわけです。そのうち、総理の出席が五十二時間になるわけです、きょうの三時間を入れまして。そして、大臣の場合は、全く質問がなくても二十四時間、ここに出席されていたということになるわけでございます。いずれにしましても、地元を回っていますと、大臣も一日ここに座っているのは大変だな、ほかの仕事もあるわけだから、もっと効率的に、重点的にやることはできないかどうかという疑問を誰もが思っておられるわけでございます。

 ちなみに、イギリスに調べに行ったことがあるんですけれども、イギリスなんかの場合は、そこを非常に効率的にやっていまして、イギリスの首相が議会に出るのは週一回、一日三十分なんです。前は二回だったんですけれども、ブレア内閣のときに大幅な改革が行われて、今は週一回、一日三十分というのが原則でございまして、その意味で、イギリスの場合は、かなり総理とか閣僚の議会出席というのは時間が限られているんです。日本の場合は、もちろん、憲法上の要請がありますから出るのはもう当然のことですけれども、もっと効率的にできないのかどうかというのは誰もが思っていることではないかなと思います。

 この問題については、各党間で議論することで、今までも何度も議論してきたことでもありますけれども、なかなかそれが実を結んでいないわけで、この前の予算委員会の理事会でもこの話は出たわけでございますけれども、これから国政も外交もいろいろな問題があるわけですから、もっともっとこれを私たちは検討していかなきゃならないと思います。これはもちろん国会で決めることですけれども、総理、この問題について御所見がございましたら、お願いいたします。

安倍内閣総理大臣 国会において、内閣総理大臣以下の閣僚が、国民の代表たる国会議員の質問を受けて、政府の進めようとしている政策、そしてまた予算について説明責任を果たしていくことは当然のことであろう、極めて重要である、こう認識をしています。

 そこで、委員御指摘のとおり、我が国においては、総理大臣は、他国と比べて相当多く、圧倒的と言ってもいいと思いますが、多くの時間を国会において費やしているわけでございます。同時に、内政の重要な諸課題について、内閣総理大臣として日々政治的な判断をしなければならないわけでありますし、また外交もあるわけでございます。

 例えば、きのうも、七時間の審議を終えた後にエジプトの大統領との首脳会談を行い、そして共同記者発表を行い、また、仕事をしながらの夕食、晩さん会を行うということになるわけでございますし、そして同時に、その後も、さまざまないわば判断をしなければならない、G20で共同声明も出されましたが、その分析等々についても行わなければならないということを、一日のうちに全てやらなければいけないということであります。

 こうした中において、国会において、政府のためということではなくて、国民の負託に一層応えていくという観点から、内閣総理大臣や閣僚の国会への出席日数がどの程度であれば適当なのかということも含めて、国会運営のあり方、政府と国会のあり方など、国会改革について御議論をいただければ大変ありがたいと思う次第でございます。

平沢委員 この問題はこれからも引き続き議論していきたいと思います。

 それでは、高齢者雇用の問題についてお聞きしたいと思います。

 ことしも新年会シーズンはほぼ終わったんですけれども、地域を回っていますと、お元気で御活躍しておられる方が大勢おられるんです。そういった方々の中には、できれば仕事につきたいと思っておられる方も大勢おられるわけですけれども、日本は、六十歳定年、そして、雇用を延長しても六十五歳ということで、その後、お元気だけれどもなかなか仕事が見つからないという方もおられるわけでございます。

 高齢者の方がお元気な秘訣というのは、キョウイクとキョウヨウと言われているんです。キョウイクというのは、きょう行くところがあるという意味です。キョウヨウというのは、きょう用があるという意味ですけれども、いずれにしましても、仕事をしていることは健康につながる、そして医療費の抑制にもつながるわけで、そういった方が御活躍してくだされば、今総理が言っておられる一億総活躍社会の実現にもつながるわけでございます。

 そこで、お聞きしたいと思うんですけれども、日本の高齢者雇用の実態、そして、高齢者の方で、仕事を希望しているけれども仕事についていない方はどのくらいおられるのか、これは事務当局でいいですから、教えていただけませんか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の高齢者雇用の状況につきましては、少子高齢化が進展する中で、就業する高齢者は増加しております。平成二十六年で、六十から六十四歳の就業率は六〇・七%、就業者数は五百五十三万人でございまして、六十五歳から六十九歳では、就業率四〇・一%、就業者数三百六十三万人となってございます。また、就業を希望する高齢者も増加しておりまして、平成二十四年時点で、六十五歳以上で、現在働いていないけれども就業を希望する方が二百七万人にも及んでおります。

 以上でございます。

平沢委員 今お話ありましたけれども、二百七万人の方は六十五歳以上で仕事を希望しているけれども仕事についていない。こういった方々に仕事についてもらえば、今、高齢者の方がふえている中で、いわば少子化が進み、そして、なかなか労働力不足と言われている中で、私は大いに戦力にもなるんじゃないかなと思います。

 そこで、お聞きしたいと思うんですけれども、年齢差別というのは、世界どこの国でも、禁止しようということで必死に取り組んでいるわけですけれども、日本でも、雇用対策法で年齢差別というのは厳しく禁止されていて、採用とかあるいは募集の場合には年齢差別はしちゃいけないということになっているはずでございます。

 そこで、お聞きしたいと思いますけれども、この年齢差別、アメリカなんかでは、履歴書に年齢を書く欄がない、あるいは面接で年齢を聞いちゃいけないというぐらい厳しくやっていると思うんですけれども、日本の年齢差別禁止の実態というのはどうなっているんでしょうか。事務方で結構ですから。

生田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の年齢の取り扱いにつきましては、まず退職に関しましては、定年制が普及しているという我が国の雇用実態を前提といたしまして、高年齢者雇用安定法に基づきまして、定年年齢を六十歳以上として、六十五歳までの雇用確保措置を講ずることを企業に義務づけております。

 その上で、労働者の募集、採用につきましては、委員おっしゃるように、雇用対策法に基づきまして、定年年齢を上限とする場合、あるいは六十歳以上の高齢者に限定する場合などの一部の例外を除きまして、年齢制限を設けることを原則禁止しております。

 こうした我が国の仕組みは、四十歳以上の年齢差別を禁止されるアメリカ、あるいはイギリスなど、定年制がないことを前提に、法律に基づいて、退職やあるいは募集、採用いずれについても年齢差別を禁止して、通常は、履歴書に年齢を記載せず、面接で年齢を問われることもないような国々とは違います。

 しかしながら、我が国の仕組みは、定年までの雇用の安定を確保するという我が国の雇用の実態に即してございまして、企業などにも広く定着し、現実に雇用される高齢者の比率は、アメリカ、イギリスに比べて高くなってございます。

平沢委員 日本の場合は外国に比べて高齢者の方が働いている率が多いという今の答弁、大変にうれしい限りですけれども、まだ希望している方が大勢おられるわけです。

 そこで、厚労大臣にお聞きしたいんですけれども、こうした御高齢の方にもっともっと働いてもらうために、厚労省としてはこれからどういう取り組みを考えておられるのか、そこを御説明ください。

塩崎国務大臣 先ほど数字が出ておりましたけれども、二百七万人という六十五歳以上でも働くことを希望されている方がおられるということでありますので、これらの方々の希望を実現することができるように頑張らなきゃいかぬというふうに思っております。

 これまで、定年を定める場合は、年齢を六十歳以上としてまいりました。希望者全員の六十五までの雇用確保措置を義務づけるということがもう既に導入をされておりますが、高齢者雇用に積極的な企業への支援などによって、高齢者が働き続けることができる環境を整えていかなければならないと考えております。

 今後は、六十五歳を超えて生涯現役で働くことができる社会の実現に特に力を入れていくことが大事だというふうに考えておりまして、六十五歳以上の方への雇用保険の適用拡大、これは法改正として今国会に提出をいたします。

 ハローワークにおいて、高齢者向けの求人専任の求人開拓員というのを初めて置くということにいたしまして、再就職支援の強化を図る。それから、これも法改正でありますけれども、就業時間規制の緩和によるシルバー人材センターの業務拡大、これも行っていきたいと思っておりまして、六十五歳以上の高齢者雇用対策を充実強化するということにしているところでございまして、いずれにしても、六十五歳以上で働くことを希望される方には、その希望がかなえられるように全力で取り組んでまいりたいと思っております。

平沢委員 ぜひ、二百七万人の方ですか、あるいはもっと多いとも言われていますけれども、そういった御高齢ですけれどもお元気な方は大勢おられるわけですから、ちなみに、私がことしの新年会でお会いした最高齢の方は九十九歳の方なんです。地元の葛飾区を自転車で飛び回っておられるんです。九十九歳でもお元気な方はおられるんです。そういった方々でも、もし仕事につきたいという方があったらぜひその仕事が見つかるように、ぜひお願いしたいと思います。

 そこで、最後に総理にお願いしたいと思うんですけれども、今、日本の定年というのは六十歳なんです。それで、雇用延長で六十五歳。ところが、外国では、例えばドイツとかフランスは六十五歳なんです、定年が。そして、日本は世界一の長寿国なんです。かつて日本は五十五歳が定年だったんですけれども、今、六十歳になりました。

 今、これだけ長寿社会になって、六十歳定年というのが果たしていいのかどうか。企業によっては六十五歳定年というのを定めているところもありますけれども、まだまだ少なくて、今、法で決められているのは六十歳なんですけれども、もっともっと働きたいという方が大勢おられるわけで、これから定年の延長ということも考えていかなければならないと思いますけれども、それについて、総理の御所見をお願いします。

安倍内閣総理大臣 まさに、昔の六十歳と今の六十歳、あるいは、昔の七十歳と今の七十歳、昔の八十歳と今の八十歳は全然違うと思いますので、平沢委員のおっしゃるとおりだろうと思います。

 将来的に定年年齢の引き上げを進めていくためには、環境を整えていくことが重要であります。高齢者の皆さんの七割近くが六十五歳を超えても働きたいと願っておられるのに対して、実際に働いている方は二割にとどまっています。このような高齢者の皆さんの希望をかなえるためにも、人口が減少する中で我が国の成長力を確保していくためにも、高齢者の就業率を高めていくことは極めて重要であると思います。

 このため、企業の自発的な動きが広がるよう、六十五歳までの定年延長や六十五歳以降の継続雇用を行う企業等に対する抜本的な支援、環境整備策のパッケージについて政府を挙げて検討するよう、先月の一億総活躍国民会議において指示をいたしました。また、経済界に対しても、高齢者の再就職の受け入れについて御協力をお願いしたところでありまして、今春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいて、その具体的内容を明らかにしていきたいと考えています。

平沢委員 ありがとうございました。

 時間が来たから終わります。もっと聞きたかったんですけれども、最初に別なことでちょっと時間をとられてしまって、貴重な時間が失われまして、本当に残念でなりません。

 では、これで質問を終わります。ありがとうございました。

竹下委員長 これにて平沢君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野委員 兵庫八区、兵庫県尼崎市選出でございます公明党の中野洋昌でございます。

 この締めくくり総括質疑におきまして質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 本年夏の参議院選挙は、十八歳選挙権が導入をされる見込みでございます。今まで以上に若い世代の方々の意見を政治に取り入れていく必要があります。そこで、私ども公明党青年委員会は、現在、ボイスアクションと銘打ちまして、若者向けのアンケート活動を行っております。

 このパネルをごらんください。

 これは、昨年公明党が行いました調査に基づいて、特に若者からの要望が強かった五つの政策、これの中からさらに進めてほしい政策を選んでいく、こういうものでございます。このパネル、あるいはこうしたフライヤーも使いながら進めておりまして、既に五十万人以上の方から御意見をいただいております。まとまった段階でしっかりと政府にも要望してまいりたい、こういう決意でございます。

 私の地元でアンケートをとったときには、一番上にございます、非正規雇用の待遇改善あるいは最低賃金時給千円、こういう要望が大変強うございました。やはり、少子高齢化の克服といっても、一億総活躍といっても、若い世代が給料が上がっていく、希望が持てる、こういうものをぜひ実現しないといけない、このように考えております。この非正規雇用の待遇の改善、同一労働同一賃金の実現が不可欠であります。

 次のパネルをごらんください。

 よく指摘されることでございますけれども、いわゆる正社員と比べて、我が国の非正規雇用の労働者の方々は非常に賃金が低いと言われております。パートタイマーの例で見れば、正社員の五六・八%。このパネルに数字はないですけれども、いわゆる非正規の職員の方は六四%、こういう数字になっております。しかし、ヨーロッパの事例を見ますと、正社員の七割、八割、あるいは九割といった給料をもらっている、こういう事例もございます。

 同じ仕事を同じ給料で、同一労働同一賃金、この考え方をどうやったら実現ができるのか、これは大変に難しい、しかし大事な課題でございます。正社員と非正規職員の待遇の差、どこまで合理的なのか、どこまで許容されるのか、こういうルールを示していこう、こういう議論もされておりますけれども、いかなる仕組みを考えるにしましても、我々は、正社員の約六割という非正規職員の待遇を具体的に上げていく、この結果というものがやはり求められていくと思います。

 そういう意味では、最低賃金を上げる、これは待遇を底上げしていく強い力でありますし、実現をしていかないといけない、このように考えております。同一労働同一賃金あるいは最低賃金千円、こうした実現に向けて実効性のある取り組みをどうやって行っていくのか、これはぜひ総理の御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 委員がおっしゃったように、大切なことは、政治に求められていることは、まさに結果を出していくことであります。言うだけになってはならない。安倍内閣においては、お約束したことはしっかりと実行していきたいと考えています。

 我が国の非正規雇用労働者については、例えば女性では、結婚、子育てなどもあり、三十代半ば以降、みずから非正規雇用を選択している方が多いことが労働力調査から確認できますが、御指摘のとおり、欧州各国に比して、正規労働者と非正規労働者の賃金格差が大きいとの指摘があることを我々も十分に承知しております。

 このため、女性や若者などの多様な働き方の選択を広げていくために、非正規雇用で働く方の待遇改善をさらに徹底していく必要があると考え、同一労働同一賃金の実現に踏み込むことといたしました。

 進め方については、一億総活躍国民会議で議論をいただいた上で、今春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいて同一労働同一賃金実現の方向性を示したいと考えています。

 その際、御指摘のように、実効性を持った仕組みとするため、我が国の雇用慣行には十分に留意しつつ、同時にちゅうちょなく法改正の準備を進めるとともに、あわせて、どのような賃金差が正当でないと認められるかについては、政府としても早期にガイドラインを制定し、事例を示していく考えであります。このため、法律家などから成る専門的検討の場を立ち上げ、欧州での法律の運用実態の把握等を進めることとしています。

 また、最低賃金の引き上げについては、年率三%程度を目途に引き上げ、全国加重平均で千円を目指すこととしています。具体的な水準については、今夏の中央最低賃金審議会、各地方最低賃金審議会で調査審議されることとなりますが、これに当たって、厚生労働省においては、一億総活躍の緊急対策を踏まえた審議がなされるよう対応されるものと承知をしています。

 あわせて、中小企業、小規模事業者の生産性向上や、価格転嫁等の取引条件の改善を図るなどの環境整備に政府を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

中野委員 ありがとうございます。

 政治は結果、大変重い言葉であると思います。しっかりかみしめて、私どももしっかりと支えていく決意でございます。

 先ほどおっしゃられた非正規雇用の待遇改善、最低賃金千円、これの実現のためには、もちろん企業側がしっかりと利益を確保されていることが大事ということでございます。

 次のパネルをごらんください。

 これもよく指摘されますが、大企業の経常利益は大きく近年改善をした、他方で中小企業の経常利益の改善はペースが遅い、こういう状況でございます。

 この待遇を改善するという取り組み、経済の好循環を中小企業に波及をさせるという取り組み、これは車の両輪であります。どちらも進んでいかなければなりません。

 しかし、地元でいろいろな業種の方にお話を伺います。例えばトラック業の方、では荷主に運賃を上げてもらったかというと、なかなかそういう声は残念ながら聞こえてこない。あるいは製造業の方、下請の方、むしろ厳しいコストカットを毎年迫られている、こういうお声も強い。人手不足である、そうするとどうしても賃金を上げざるを得ない局面もある、経営としては大変に苦しい状況が続いている、こういうお声が非常に強い。このように感じております。

 現在、政府でも、こうした課題に対応していただくため、下請との取引がどうなっているかの調査を行っていただいております。全業種対象ということでございます。私は、それぞれの、先ほど申し上げたいろいろな細かい業種ごとに状況は違う、きめ細やかにぜひやっていただきたいと思っております。また、ここでも実際に求められているのは、調査を行うという取り組みだけではなくて、やはり結果、ここでも結果をぜひ出していきたい、こういうことでございます。

 この下請取引条件を改善させる実効性のある取り組みの進め方、これについても総理の御答弁を求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 最低賃金を上げていく上においても、しっかりと私たちの経済政策、アベノミクスの果実を行き渡らせていくためにも、取引条件の改善、これは中野委員がおっしゃったように、極めて私は重要だと考えています。

 現在、中小企業の取引条件について、産業界に対する大規模な調査を実施中であり、年度末までに結果を取りまとめます。製造業のみならず、建設業、そしてトラック運送業、食料品製造業などについて、業種特有の実態や課題の調査を行っております。

 取引条件の改善に向けては、政労使合意に基づき、仕入れ価格上昇を踏まえた価格転嫁の産業界への要請や、下請代金法に基づく立入検査を行ってまいりました。

 今回の大規模調査を踏まえて、取引条件の改善等の課題が確認された業種の大企業に対して、改善の契機とするため、関係府省がヒアリングを行っていきます。その上で、下請ガイドラインの改訂や対象業種の拡大の検討など、さらに必要な対策を検討していきます。

 今後も、経済の好循環が確実なものとなるよう、中小企業の収益が拡大するよう、環境の整備にしっかりと取り組んでいく決意であります。

中野委員 ありがとうございます。

 本当に、実際に働いている方の待遇を改善していくためには、同一労働同一賃金もそうですけれども、経済の好循環、これがいかに中小企業に、あるいはさまざまな地方に及んでいくか、これを車の両輪として取り組んでいく必要があると思います。しっかりと私どももこれを進めてまいりたい、こういう決意でございます。

 経済の好循環の実現、中小企業が元気になるということがやはり大事であると考えております。もちろん、先ほど申し上げた下請の取引状況の改善、これは大変に重要な柱でございます。しかし、これ以外にも、例えば成長する市場、例えば海外への展開、こういうものを中小企業がどんどん進めていく、これも非常に大事なことではないか、このように考えております。

 私の地元、兵庫県尼崎市、総理も二〇一三年に視察に一度来ていただいたかというふうに思います。ニッチな分野であっても世界で活躍する、いわゆる経済産業省が今やっておりますグローバルニッチトップ企業、こういうものに選ばれた企業もございます。あるいは、これに準ずるような、非常に世界で活躍をしている企業、こういうものが数多くある、いわゆる製造業、物づくり、こうした町であります。昨日も私は、雷の対策、こういうもので非常に高いシェアを持っている企業の視察もしてまいりました。

 こうした海外展開をされている企業、こういう方々からよくお伺いをする話がございます。それは何かといいますと、日本というのは、物づくりの力は非常に強い、技術開発力も非常に高い、だけれども、それを例えば海外で特許をとって展開していく、あるいは国際的な標準化をする、ルールをつくっていく、こういう分野においてはやはり諸外国の方がすぐれている、ビジネスをする上で大きな課題になるんじゃないか、こういうような御指摘をいただくわけでございます。

 確かに、こういうルールづくり、国際標準化、こういう観点から日本はもっともっと主導的な役割を果たしていかないといけない。あるいは国際特許の出願、大きなコストがかかります、スピードもなかなかスピーディーにはいかない。あるいは専門の分野の人材、こういうものも不足をしている、こういうさまざまな御意見も伺います。これはぜひ改善をしていかないといけない。

 中小企業が海外で活躍をする、このために、こうしたいわゆる知的財産のような分野、こういう全体戦略を大きく強化していくべきだ、このように考えますけれども、経済産業大臣の御答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 中野委員御指摘のように、中小企業の海外展開を後押ししていくためには、知的財産の保護や活用、さらには標準化の戦略について、スピード感を持って必要な支援策を講じていくことが重要だというふうに思っております。

 このために、全国四十七都道府県に設置されました知財総合支援窓口において、弁理士やあるいは弁護士などの専門家によって情報提供などをワンストップで行っているところでありまして、年間約十五万件、そのうち海外は五千件程度あります。また、外国で知的財産を権利化するための出願費用に対する補助、あるいはまた模倣品対策調査費用のための助成、これについても引き続き実施してまいります。

 あわせて、国際標準の獲得についても、昨年十一月に創設しました標準化活用支援パートナーシップ制度、これらを活用しまして、日本発の標準の提案と実現を積極的に支援していきます。

 さらに、各国で異なる知的制度や運用の調和に向けて我が国が積極的な役割を果たしまして、中小企業の海外展開の促進に向けて取り組んでいくことが重要だと思っております。

 具体的には、これまで日本は、米国、欧州、中国や韓国と協力して特許制度の調和などに取り組んできております。本年六月には、五大特許庁長官会合を日本で開催いたしまして、この議論をさらに前進させます。

 また、ASEAN諸国との協力を深めて、先進国及び新興国における特許や商標などの知的財産分野の国際的なルールづくりをより一層推進してまいりたいと思っております。

中野委員 以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹下委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 本日の予算委員会締めくくり総括質疑、質問に立てまして光栄であります。ありがとうございます。

 冒頭、きょうの会議が始まる前に少し理事間でいろいろとこじれていたところがありましたが、恐らくテレビを見ている方は何のことかわからないので、私の方から説明させていただきたいと思います。

 昨日のこの予算委員会におきまして、我が党岡田代表の質問に対しまして、安倍総理は子ども手当についてこのように述べておられます。

 民主党の中でもこういう発言をした方もおられたんだと思いますが、つまりは、子育て支援、子ども手当というのは、両親や家族からいわば養育費が払われるということではなくて、まさに国家から直接子供たちに養育費が行くということによって、自分たちは両親に対し何の義務を感じる必要がないという議論もあったということを我々民主党が言ったと安倍総理は言われたわけです。

 それに対しまして、では根拠は何だと我々が聞きましたところ、我々が与党時代の平成二十二年三月十六日、衆議院本会議におきまして、我が党の議員の賛成討論として述べた言葉が、「これまで、子供は家庭で育てるものという考え方で、すべての負担が、子供を育てる家庭に負っていました。」その後、「現在の日本では、児童虐待の問題や、七人に一人の子供が貧困であるという問題など、家庭の中だけでは解決できない問題が山積しています。子供は社会で育てるものという考え方」というのを我々は述べたわけであります。

 子供は社会で育てるものという考え方と述べたのが、なぜ安倍総理の頭の中の理解では、自分たちは、子供たちは両親に対し何の義務を感じる必要がないというふうに置きかわるんですか。安倍総理大臣。

安倍内閣総理大臣 私の発言については、いわば民主党の中での発言というのと、という議論もあったという、これは二つの段階に分かれているわけでありまして、つまり、私は……(発言する者あり)済みません、今私は説明しているんですから、少しは静かにしていただきたい、このように思います。

 あのとき民主党の中でこういう発言をした方もおられたわけだと思いますが、つまり、子育て支援、子ども手当というのは、両親や家族からいわば養育費を払えというわけではなく、国家から直接子供たちに養育費が行く、こういう趣旨の発言があったという意味において、これは……(発言する者あり)そんなことを誰が言ったかと今やじがございましたが、しかし、あれは突然の質問でございましたから、そこに民主党の発言録を私は持っているわけではありません。そこで、記憶を……(発言する者あり)それは、そういう正確な発言そのものを私がここで答えることを望むのであれば、ちゃんと通告をしていただきたい、このように思います。

 通告のない中において、記憶として申し上げたことは、つまり、福田議員が言われた、「これまで、子供は家庭で育てるものという考え方で、」ということから、「家庭に負っていました。」というところから、「子供は社会で育てるものという考え方で、」という発言が代表質問であった。

 また、太田和美委員は、子供を産み育てることを家庭の責任にするのではなく、子供は社会全体で育てるという考え方に変えなければならないと。つまり、子供は家庭で育てるのではなくて社会で育てるという考え方というふうに捉えることもできるわけでありまして、生まれたときから社会の責任でということがその後書かれていて、今回の子ども手当はそういう思想でつくられたものであるという、そういう思想ということが書かれているわけであります。

 そこで、いわば、議論になったのは後段のところでありまして、今、緒方委員が言われたようなことについて議論があったのは事実、我が党の中でもそういうことを、自民党の中でも議論があった。つまり、議論があったという部分と、民主党の発言ということについて、大体要旨について、私が捉えた要旨について申し上げたわけでございます。

緒方委員 我々は、安倍総理、今、最後のところ、私が先ほど読み上げたところで、途中までは自分の言葉で読み上げましたが、自分たちは両親に対し何の義務を感じる必要がないという議論もあったわけでございますと。こんな議論、民主党はしていないですよ。

 安倍総理大臣、これは明らかに、公共の電波を使って、根拠のないことを、事実無根のことを言っているわけですよ。撤回してください。

安倍内閣総理大臣 それは、つまり私が言っていたところは、民主党の中でこういう発言をした方もおられますということで、最初、前段の趣旨について私が話したわけであります。それは、そのまま発言どおりではなかったわけでありますが、私の受けとめでありまして、私はそういうふうに受けとめたわけでございます。

 そして、それを受けて、議論があったというのは、まさに我々の中であった議論について御紹介をしたわけでございます。

緒方委員 今、安倍総理の答弁を見る限り、自由民主党の中でこういう議論があったなんて到底読めないですよ。民主党に対して、自分たちは両親に対し何の義務を感じる必要がないという議論を、我々がしたかのように答弁しているわけですよ。明らかにこれは間違っていますよ。安倍総理、素直にここは撤回、そして謝罪すべきだと思いますが、もう一度。

安倍内閣総理大臣 それは、その後も岡田さんとやりとりがあれば、それはそういうふうに説明しましたよ。

 でも、それはいきなりの質問の中で私がこういうふうに申し上げたわけでありまして、いわばどこにかぎ括弧をつけるかということにおいて、この最初、子育て支援に括弧がついて、その後、子供たちに養育費が行くというところで括弧を切っていく、あるいは、ということによってということで括弧を切っていくわけでありまして、その後のことについては、自分たちは何の義理や義務も感じる必要はないという議論もあった、こういう議論もあったというのは、普通、議論があったというのは、民主党の中でどういう議論があったということは私は知らないわけでありますから、当然、自民党の中で議論があったということについて紹介をしたわけでございます。

 これはまさに、私が言ったことはどのように理解するかということについての見解の相違を今議論をしているわけでありますが、これは何といっても二十八年度予算の締めくくりの総括でありますから、しっかりと二十八年度の予算に係ることについての議論をしていくことが、国民が求められている予算委員会での議論ではないか、このように思う次第でございます。

緒方委員 まさに二十八年度締めくくり総括質疑であります。そこで問われるのは安倍総理の資質であります。根拠のないことを言って、そして、それに対して謝罪もしない、事実無根のことを言う、こういうことは絶対に許されてはならない。

 安倍総理、根拠のないことを言ったことは事実なんですよ。撤回すること、撤回した方がいいですよ、これは。安倍総理、もう一度。

安倍内閣総理大臣 これは、いわば質問通告なしに質問したことに対して、そして、これは文書で出しているわけではありませんから、どこからどこまでかぎ括弧がつくかというのは、そちら側はそちら側の見解を述べられて、今、私は私の趣旨について述べたわけでございます。

 そして、質問通告がありませんから、そこで正確に民主党の議員の発言を、私はここで御紹介は残念ながらできません。私の記憶の中について述べたわけでございまして、その根拠については、今、当時の福田議員の質問と、そして太田議員の発言の中から御紹介をさせていただいたわけでございまして、その後、議論ということについては、まさにそういう議論になっていたということを申し上げたわけで……(発言する者あり)いや、議論は自民党の中でそういう議論があったということでありまして、それについては、その時々の、その後、岡田委員が私に、それはどういうことなんだと言えば、それは自民党の議員であった、こういうことでありまして、それを今ここで謝罪とか撤回というのは、これは余りにも過大な要求ではないか、このように思う次第でございます。

緒方委員 この発言の前のところで、きのうも岡田委員の方から質問がありましたが、子ども手当によって子育ての国家化、社会化が行われ、これは実際にポル・ポトやスターリンが行おうとしたことですと、これは安倍総理の発言でありました。この発言と、そして、子ども手当に対して、自分たちは両親に対し何の義務を感じる必要もないという発言を全部合わせてみると、実は安倍総理は子供を社会で育てるということについて極めて否定的な考え方を持っているのではないかと思うわけでありますが、安倍総理大臣。

安倍内閣総理大臣 今まさに、緒方委員の質問を聞いて、私が言ったことをよく聞いておられなかったんだなということがよくわかりました。

 今まさに、子育てについては、家族は子供を育て、愛情を注いで子育てを行う、その中において地域や社会や国家がしっかりと支えていく、それが正しい子育て支援だと思う、こう答えているわけでございまして、今おっしゃったようなことは一言も言っていないわけであります。

 つまり、このように、私の発言自体について、人によっては受け取り方が違うということでありまして、私が言ったことを全く違うように緒方委員が受け取っておられたということの証明ではないのかなと思います。

 繰り返しになりますが、その中において地域や社会や国家がしっかりと支えていく、それこそが正しい子育て支援だと私は今でも考えているわけであります、このように申し上げたわけであります。

緒方委員 明らかに、公共の電波で、NHKのテレビが入っているときに、事実に反することを言って、そしてそれを指摘されても、ああでもないこうでもないと言って、そして言いわけばかりして、撤回、謝罪の一つもしない。これは本当に総理大臣の資質として非常に問題が多い。強く抗議をさせていただきまして、次の質問に移っていきたいと思います。

 きょうは、もともと用意していたのは憲法の問題であります。国民の関心が高いテーマでありまして、安倍総理と一対一、真摯な議論をさせていただければと思います。既に国会で何度か議論になっておりまして、一部重複はあると思いますけれども、締めくくり総括質疑でありますので、整理する意味も込めて議論させていただければと思います。

 まず、安倍総理、憲法改正を参議院選挙の争点にするおつもりがおありになられますか。

安倍内閣総理大臣 我が党は、結党以来、ことしで六十一年目を迎えるわけでありますが、結党した際のいわば大きな党是といたしまして憲法を改正するということを申し上げているわけでありまして、自来ずっと、自民党はこの六十一年間、選挙のたびに、政権構想、政権公約の中に大体おおむね憲法改正を掲げて戦ってきたのではないか、このように思います。

緒方委員 もう一度確認でありますが、参議院選挙の争点として掲げられるということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 これは、争点が何になるのかということは選挙のときによるわけでありますが、争点というよりも、我々は自由民主党として何を求めていくかということを、しっかりと選挙においてそれを書いているわけであります。

 しかし、憲法ということについて言えば、国民投票もありますし、あるいは三分の二の確保ということ、これは我が党あるいは与党だけでも無理だと私は考えているところでございますが、多くの議員からの支持がなければ発議も難しいわけでありますから、政権をとったらそれはすぐできるということでは全くないわけでありますが、私どもが目指すべき課題として掲げていくことは、それは当然今までの六十年間と同じでございます。

緒方委員 参議院選挙で訴えていくということまではよくわかりました。

 憲法改正を訴える、それは自由民主党としてやられるんだと思いますが、それに何が含まれるのかということについて、これが明らかにならないのであれば、単に憲法改正します、その箱のところだけが訴えになって、中身に何が入るのかということがわからないと、結果として、国民として判断の材料がないわけですね。

 選挙の後にこれを明らかにするということはないですね。選挙で訴えるときに、憲法改正という箱の中に何が具体的な政策で入っているかということをお訴えになられますね、安倍総理大臣。

安倍内閣総理大臣 憲法改正を訴えていく、この憲法改正の中の、今、箱とおっしゃったんですが、中身がなければ、それは一体何なんだという話になるでしょうけれども、我々は谷垣総裁の時代に憲法改正草案をつくったわけでございまして、これは前文から全てあるわけでございます。

 しかし、その中で何を改正していくか、それは三分の二の多数を形成しなければ発議もできないわけでありまして、私たちは、そのお示しをしている中において、どの条文から改正をしていくかということについては、それは、その後のいわば憲法審査会の中において、多くの党から議員の皆さんが出席をされ、議論をしているわけでございます。

 その中で議論が収れんをしていくことを我々は期待しているわけでありますが、議論が広がり深まっていく中において、おのずと収れんをしていく、そうした収れんをしていき、三分の二が可能となったものから我々は憲法改正に取り組んでいきたい、こう考えているところでございます。

緒方委員 よくわかりました。

 そうすると、今、安倍総理も言われたとおりで、これは何度も答弁があったんですけれども、まさに三分の二がとれるものからやっていくということであって、どういうものが優先的に憲法改正として行われていくのかという、そのテーマを選ぶ選び方というのは、その中身がどうであるか、その具体的な政策がどうであるかということではなくて、全体で三分の二が得られるということが優先順位の唯一の基準だということでよろしいですか、安倍総理。

安倍内閣総理大臣 それは、各党各党によって優先順位あるいは関心の度合いというのは違うんだろうと思います。しかし、政治は現実でありますから、我が党が考えればそうなるわけではないわけであります。

 しかし、憲法調査会で議論をしていく中において、それはやはり自民党あるいは公明党、それぞれの党の主張、おおさか維新の会も憲法改正について考え方を一部示しておられますが、そういうものにだんだん賛同が集まっていくということになれば、そして我々がこうした条文について優先度が高いなという自民党の中の議論に沿う方向でいけば、それが一番いい、こう考えているわけでございます。

緒方委員 そうすると、三分の二の合意が得られたものからやっていくとなると、政策として何がやりたいとかいうことではなくて、これは私が誤解しているのかもしれませんけれども、やるためにやる、中に何が入るかということについては幾つかの政党で議論をして、そして、その中で三分の二がとれたものだけを入れていくということになると、まさにそれはやるためにやるわけでありまして、何のために改憲するのかということの目的がぼけてくると思うんですね。これはお試し改憲じゃないかと思うんですけれども、安倍総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 お試し改憲というのは、まさにレッテル張りではないのかなと思いますね。

 私どもが憲法改正の草案を示していないのであれば、一体何をやろうとしているかわからないのであれば、ただ憲法改正と言っているのであれば、そういう批判は当たるんだろうと思いますが、我々は既に憲法改正草案を示しているわけでありまして、私たちはこういう憲法をつくりたいと思います、これに全て三分の二が得られるのであれば、どんと全部、こういくわけでありますが、残念ながら現実は……(発言する者あり)今ええっという声が上がりましたが、そう思わなければそういうものを出さないはずでありますよ。出す以上、そうしたいと思わないのにそういうことはしません、私たちは。そうしたいと思うからそれは出しているのであってですね。

 しかし、政治の現実を私たちは知っています。知っているからこそ、今も政権与党であるわけでありますが、だからこそ、三分の二を得ることができるものから、できるものからというのは当たり前でありまして、発議できないんですから。そもそもできないものはできないということでありますから、発議できるものについては、そして私たちの憲法改正草案に沿うもの。私たちの憲法改正草案と全く違うものについて、これは三分の二がとれそうだからということはないんですよ、それは。つまり、私たちの憲法草案に沿う、方向性において沿うものであれば、三分の二を形成していきたい。

 もちろん、政治は現実でありますから、我々の憲法改正草案どおりに一字一句ということにはならない、恐らくそうだろう。政治の現実の中において三分の二を形成していく中において、さまざまな意見や修正というものを取り入れながら努力をしていく、それが政治というものであろう、このように考えております。

緒方委員 それでは、確認でありますが、現時点において、憲法改正という箱の中にどういう政策テーマが入ってくるかということについては決まっていないということでよろしいですね、安倍総理。

安倍内閣総理大臣 決まっていないというのは、草案を示していないのであれば決まっていないということでありますが、もう既に草案を示しているわけであります。これは示しているわけでありますから、どれを選んでいくかということについては、これは政府が閣議決定をして閣法として出すものではありません。院において発議をしていただくものでありますから、憲法審査会において、我が党は我が党の議員の皆さんが議論をしています、各党がしっかりと考え方を持って議論をしていただき、その中で、議員同士が、国民に対して責任を持っているんですから、そういう責任感の中において収れんしていくことを期待したい、こう考えているところでございます。

緒方委員 わかりました。

 それでは、少し具体的におりていきたいと思います。

 憲法九条について。

 安倍総理、この予算委員会質疑で、憲法九条の改正について、今答弁があったように、我が党は変えるという憲法改正草案を出している、自民党総裁としては同じ考え方だと述べておられます。それを踏まえて質問させていただきたいと思います。

 安倍総理としては、自衛隊を憲法上位置づけるということのみならず、国防軍をつくるべきだという考えに立っておられますね、安倍総理。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、これは閣法として出すわけではございませんので、私は総理大臣として今ここに立っているわけでございますから、自民党のいわば憲法改正草案について、ここでその条文について一々コメントすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでありますが、いわば、自民党の草案の中においては、自衛隊を国防軍として位置づけるというように記述がある、このように承知をしております。

緒方委員 それと同じ考え方ですね、安倍総理。

安倍内閣総理大臣 これは自民党草案でありますから、私は自民党総裁でありますから、自民党草案と私が違うということはあり得ないわけでございます。

緒方委員 それでは、少なくとも、国防軍をつくるべきという考え方については、安倍総理、そのお考えだということをよく理解いたしました。

 もう一つ。自衛隊は最終的には集団的、個別的を含めて全ての自衛権を行使できるようにすべきだというふうに安倍総理大臣はお考えですか。

安倍内閣総理大臣 現下の憲法下にあっては、我々は、まさに、集団的自衛権においては我が国は憲法上の制約があって限定的な行使になっているということについては、既に平和安全法制の議論においてお示しをしているとおりでありますが、私どものこの憲法草案については、まさに、これは読んでいただければおわかりのとおりでありまして、しっかりと日本国民の命を守り抜いていく、美しい海や領土、領海を守り抜いていく上において必要であるということについての、いわば国際法上持っている権利については行使できるという考え方のもとに我々は憲法改正草案をお示ししているわけでございます。

緒方委員 確認までですが、フルスペックの自衛権を行使できるようにすべきというのが安倍総理大臣のお考えですね。

安倍内閣総理大臣 憲法改正草案については、我が党がこれをお示ししているとおりでございまして、今申し上げたとおりでございます。

緒方委員 安倍総理は、自衛隊が最終的には個別的、集団的を含めて自衛権を行使できるようにすべきだというお考えだということがよくわかりました。

 さらに、この九条につきまして、私、自民党の改憲草案を見ておりまして少し気になったところがありまして、自衛隊が公の秩序の維持ということについて出動が可能だということが明文上書かれております。

 現在の自衛隊法でも特定の条件を満たせば治安出動ができるということになっておりますが、こうやって憲法のところに公の秩序の維持、これは治安維持だと思いますけれども、そういうことが入ってくるということは、自衛隊の通常のミッションとして治安維持というのが行い得るというふうにも、そう読めるわけです。それは安倍総理のお考えですか。

安倍内閣総理大臣 私は今、内閣総理大臣という立場で立っております。そして、閣法として出すことはないわけでありますから、今ここで一々、自民党の草案について、どういう意図であるかということについてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 同じ考え方だと言っているわけでありますから。

 では、一般論としてお伺いします。自衛隊が国内の治安維持に関与することについて、安倍総理はどう思いますか。

安倍内閣総理大臣 現在でも治安出動が可能なわけであります。

緒方委員 今以上に治安維持にかかわることについて、安倍総理はどう思いますか。

安倍内閣総理大臣 今以上には、現行憲法のもとにおいてはかかわることはできません。

緒方委員 今後、それが行われることについて、安倍総理は肯定的な意見を持っておられますか。

安倍内閣総理大臣 現在、私は総理大臣としてこの場に立っているわけでありまして、現行憲法下においてしっかりと治安を守り、国民の命を守っていくことが私の使命でございます。

緒方委員 今幾つか憲法について質問してきましたが、都合の悪いところになると、これは総理大臣だからと言って逃げるんですね。けれども、同じ考え方だということについては明確に言っている。けれども、では、その同じ考え方が何なんですかと聞いたら、それについては答えない。これでは議論は深まらないし、そして、参議院選挙の争点にしたいと言っているけれども、中に何が入っているかもわからない。

 この状態で終わってしまうと、選挙が終わった後になって、実はこれこれこういうことをやりますというふうになってくることを危惧いたします。非常に心配な状況だということを申し述べさせていただきまして、私の質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

竹下委員長 この際、福島伸享君から関連質疑の申し出があります。緒方君の持ち時間の範囲内でこれを許します。福島伸享君。

福島委員 民主・維新・無所属クラブの福島伸享でございます。

 本日、締めくくり総括質疑での質疑のチャンスをいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、経済問題について、若干総理と議論をさせていただきたいと思っております。

 年末年始からずっとこの間、地元を回っていますと、アベノミクスに期待する声というのは、政権発足当初はいろいろお聞きして、私も、うん、アベノミクス、いいところはいっぱいありますよねなんて言っていたんですが、最近は、景気が悪い、景気が悪いという声が本当に多いです。特に飲食とか小売とか、そういう関係はみんな軒並み景気が悪いと言っております。建設関係はいいのかなと思ったら、みんなからいいと思われているけれども全然よくないですよ、公共事業も全然回ってこないしという声を多く聞きます。

 こうしてテレビで何度も質問に立ちますと、週末、いろいろな方から、総理の答弁を聞いていると余りにも浮世離れしていますよ、今度、安倍総理に質問するんだったら、本当に今、日本の国の景気がどうなっているか、正しい答弁を聞いてちょうだいよというような声が多かったです。

 現に、最近のこの世論調査を見てみますと、安倍総理と仲のいい読売新聞では、安倍内閣のこの三年余りの経済政策を全体として評価するというのが四二%、評価しないは五七%、お友達の産経新聞だと評価しないがほぼ六割、経済関係の専門紙である日本経済新聞でも五〇%、安倍総理に厳しい朝日新聞はちょっと控え目でありまして、期待できないが四九%。いずれにしても、五〇%から六〇%がアベノミクスに期待しない、評価しないというふうに答えております。

 さらに、この次の景気の回復を実感するかしないか、その点に……(発言する者あり)ちょっと静かにしてもらえませんかね。するかしないかということですけれども、景気の回復を実感しない、読売新聞八四%、産経八〇%、実際のデータで見ても、そういうデータが出ております。

 総理は何度も、もはやデフレではないというお言葉をお使いになりますが、これは、受けとめる方で見ると、景気がいいの悪いの、どっちなのと、ある意味、非常にいらいらさせられる答弁なんですよね。

 総理、この世論調査を見てどのようにお感じになるか。これまでお聞きになったような、数字を出して、これがよくなった、これがよくなったという答弁はもう議事録でさんざん読んでおりますので結構ですので、この世論調査に関する感想だけ簡単にお答えいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 デフレではないという状況は、景気がよくなったということともちろんイコールではないわけであります。いわばデフレではないということは、物の値段が下がっていくという状況ではなくなったということであって、物の値段がだんだん上がっていくという状況にはなっているけれども、脱却はしていないという状況であります。

 しかし、生活をしている人々にとっては、買い物の際、物の値段が下がった方がこれはいい状況だと感じるわけでございます。物の値段が上がっていく方が生活が大変だな、こう思っていくわけでございまして、つまり、マクロ経済的に正しい方向に行っていることが必ずしも生活実感においてはいいとは感じにくい場合もあるわけでありますが、もはやデフレではないというのは事実でございます。

 また、DI等々を見て、まあ、数字を挙げるなというふうにおっしゃったんですが、業況判断ということについてはしっかりと我々は回復基調にあるもの、こう考えておりますが、しかし、今委員が挙げられたように、こういう数字は我々もしっかりと受けとめたい、こう思っておりますし、なるべく多くの方々に我々の経済政策がうまくいっているという実感を得ていただけるように努力を重ねていきたい、このように考えております。

福島委員 何か今、消費者はデフレの方が喜ぶというような話のように聞こえたんです、誤解だったらあれですけれども。

 要は、物価の上昇に見合う賃金の上昇とかがあればそれは使うわけです。私が子供のころの高度経済成長はまさにそうだったわけで、決して値段が安くなれば喜ぶというわけではないと思います。

 総理はこれまで何度も具体的なデータを出して、アベノミクスが成功してきた、成功してきたとおっしゃる。今の答弁は私は非常に中立的でいい答弁だと思うんですけれども、国会審議だとどうしても熱くなって、いろいろ、これがうまくいっている、あれがうまくいっていると言いがちですけれども、実際、データで見ると、必ずしもアベノミクスだけで世の中が変わったわけではないというふうに思います。

 これまでの答弁で、例えば、名目GDPは安倍政権で二十七兆円ふえたというふうにおっしゃっておりますが、それはここの一番下の東日本大震災の底辺から数えて二十七兆円なわけでありまして、安倍政権が始まった後の二〇一三、二〇一四、二〇一五年で見ると十九兆円、わざとこれは八兆円底上げして、そのせこさは愛きょうなんですけれども、伸び率で見ると毎年年率二・一%です。

 民主党政権のときは、最初、リーマン・ショックからぴょんとはね上がって、東日本大震災で、二〇一一年でがくんと下がっておりますが、これは別に民主党政権がよかったからと言っているわけじゃないですよ。不幸にしてリーマン・ショックに見舞われたその後のV字回復のときの年率の伸びは二・四%ですから、トレンドとしては、アベノミクスで大きく変わったわけじゃなくて、リーマン・ショックの後、東日本大震災で一回下がったけれども、またリーマン・ショック前に戻ろうと、官民一緒になって、民主党政権も自民党政権も、いい政策もあったかもしれない、悪い政策もあったかもしれないけれども、努力した結果だというふうに思うんですね。

 これをドルベースで見てみると、この次のグラフですけれども、赤がドルベース、青が円ベースです。確かに、円ベースで、青いので見ると、安倍政権になって名目GDPは伸びていますが、ドルベースで見ると落ちているわけですね。

 下は、一人当たりですけれども、青の線、ドルベース一人当たりも安倍政権になって落ちていますし、何よりも、一人当たりの名目GDP、日本国民が世界の中でどれだけ経済的な地位が高いかというものは、二〇〇〇年に四位だったのが、リーマン・ショックのあたりで一回落ちて、民主党政権下で十三位までなって、また二十位まで、史上最低まで落ちている。

 確かに、民主党のときはデフレだったから、ドルベースになったら落ちるというものはありますよ。しかし、私が言いたいのは、民主党が正しくて自民党がだめだとか、あるいは民主党でだめだったけれども自民党でよくなったということではなくて、しっかり虚心坦懐に統計データを見ることだと思うんですよ。この道しかない、こうやって粋がるんじゃなくて、今はまさにリーマン・ショックからの回復の途上にあるんですよ。

 これを見てください。企業の経常利益……(発言する者あり)ちゃんと見てください。企業の経常利益で見ても、リーマン・ショックの後に落ち込んでいますけれども、民主党政権のときにぽんと上がって、やはり東日本大震災で足取りがちょっと落ちましたけれども、上昇のトレンドにあるんですよ。企業の倒産件数を見てもしかりです。何も安倍政権のときにいきなり企業倒産が減ったんじゃなくて、リーマン・ショック以降一貫して減り続けている同じトレンドの中にあるんです。完全失業者数の推移を見てもしかりです。有効求人倍率を見たって全部同じなんですよ。

 私は、こういう統計データをもっと虚心坦懐に見て、誰が悪いと言うんじゃなくて、お互いにデータを見た上で何をするかということを議論すべきだと思いますけれども、総理、どう思いますか。

安倍内閣総理大臣 まず、名目GDPが二十八兆円ふえたのは、リーマン・ショックの底のときではなくて、これはまさに、一二年の十―十二月期と比べてGDPは二十八兆円ふえているということは我々は申し上げておきたい。つまり、交代する前の直近の十二月と、その後の十二月との比較において、二十八兆円ふえているということでございます。

 また、ドルベースということでお話をいただいたんですが、そのドルベースでみんな給料をもらってはいません。みんな円でもらっているわけであります。ドルベースでふえたといえば、最近の数週間で円は上がっていますから、上がっているんですよ。これは上がったと評価するんですか。誰もしませんよ。これは当たり前じゃないですか。自国の通貨でGDPを見るのは当たり前であって、円高になって倒産件数はふえても、円高になればGDPはふえていきますよ。これは当たり前なんです。

 しかし、国民が生活をしているのは、円で生活をしているんですから、これは相当苦労されたんだと思いますよ、何とか大きく見せようと。これはやはり見るべき指標は、円で生活をしているんですから、それはちょっと私は無理があるのではないのかな、こう思うわけであります。

 また、数字は、どんどんどんどんこれを上げていくということが大変なんですよ。これは、落ちたときから一時的に上げるのはできますよ。でも、それをさらに上げていくということが大変なんです。

 我々が政権交代する前は、野田政権、三四半期連続マイナス成長じゃありませんか。デフレだったのは事実です。三四半期連続でマイナスだったところを、我々はそこからプラスに変えたのは大きいわけでありますし、事実、デフレから脱却。デフレの状況をずっと皆さんは続けておられたのは事実なんですよ。これを、そこから、もはやデフレではないという状況をつくるのは、これはまさに先進国としては初めての試みと言える試みであるから、我々は三本の矢を使ったというわけであります。

 こういう政策を全く評価しないのであれば、またいわば民主党政権のときの経済政策をそのままやっていかれるということなんだろうというふうに理解をさせていただきました。

福島委員 いや、残念ですね。そういう答弁が、みんな、テレビでごらんになっている方もかちんとくるし、株式市場も、きょうこういうのをみんな見ている。見ながら、トレーディングしている人たちにとって、ああ、安倍さんは全然反省がないんだなと思うんですよ。

 私は、何もアベノミクスがだめだと言っているわけじゃないし、民主党政権の政策が全てだめだったわけでもない。さまざまな統計はさまざまな見方があるんですよ。

 ドルベースなんて、ドルで給料を持っていないから関係ないと言いますけれども、私は、この間、中国のアモイというところへ行ったら、物価が物すごく高く感じるんですよ。貧しくなったんだ、急に。それは日本が中国の元に対して円が弱くなったから、日本人が外国へ行ったときに買いたくても買えない、ホテルに泊まりたくても高くて泊まれないということが起きることもあるわけです。それが国力が落ちるということですよ。だから、ドルベースは関係ないと言うのは、それは言い過ぎであって、物の見方によって、ドルで見るか円で見るかというのは、尺度をいろいろ変えればいいんですよ。

 ただ、私は、安倍政権になって雇用は確かにいいと思うんですよ。求人倍率とか、あるいは就業者数の推移、名目雇用者報酬の推移、これはいいと思いますよ。だから、私は、いいところはいいと認めているんですよ、皆さんはやじっているけれども。冷静に議論をしたいんです。(発言する者あり)していますよ。

 ただ、雇用というのは、これは石原大臣、景気の遅行指数ですよね。一致指数、先行指数、遅行指数とありますけれども、景気におくれてあらわれるものなんですよ。おくれてあらわれるのだとすれば、それは安倍政権の前の経済成長の積み重ねもこうした雇用のデータにあらわれているのであって、何でもかんでも暗黒の民主党政権からアベノミクスになって変わるというのは、私はそれは言い過ぎじゃないのかというふうに思っております。

 安倍総理は株価が上がったというのを一時自慢しておりましたが、きょうも一万六千円を割り込むぐらいになって、年を明けて以来、株が落ちてから、余りそのことをおっしゃらなくなりましたけれども、これは、私の知人の田代さんという方がおもしろいグラフをつくって、これもドル建てにすべきじゃないと言うかもしれないけれども、外国人の投資家はドル建てで見た日本の株価を見て、日本の東京証券市場に投資しようかどうかを決めるわけですね。確かに、円建てで見ると伸びている。ドル建てで見ると、円安になっている分、伸びが弱いですね。

 おもしろいことに、ピークは二〇一五年の四月二十八日、安倍総理がアメリカ議会で演説をしたその前日が、実はドルベースで見た安倍政権の株価のピークなんですね。あのとき、日本は今、クオンタムリープのさなかにあります、どうぞ日本に来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本を見てくださいと言った、その前の日が実はピークで、そこから残念ながら落ちちゃった。これは単なるエピソードです。

 次を見てください。

 これは、バブル期と今の株価の推移を、ピークを合わせて、バブル期は一九八九年の十二月二十九日がピーク、今は二〇一五年六月二十四日がピークで、平均株価を、二〇一五年六月二十四日を一〇〇、同じように一九八九年十二月二十九日を一〇〇と指数化してあらわしたのを見ると、これは気持ち悪いぐらい何か似ているんですよね。この先、どうなるかはわかりません。

 安倍総理は、株価に一喜一憂しないとおっしゃっている。私はそれでいいと思うんですよ。これからもぜひ、株が伸びたときは自分のおかげ、落ちたときは知らぬ顔としないで、株価は関係ないということをおっしゃっていただきたいんですけれども、この株価のグラフを見て、感想、どう思われますか。

安倍内閣総理大臣 皆さんは株価が下がると大変元気になるということがよくわかりましたが、私たちはしっかりと経済政策を進めながら、成長戦略を進めている中において、その中で投資がなされるものと期待をしておりますし、ドル建てで見るのはもうやめましょうよ、余り意味がない話であってですね。

 では、なぜ円が安くなって、株価が上がっていくかということでありまして、それを見たら、倒産件数においてもそうなんです。いわば行き過ぎた円高において、根っこから仕事を失っていったわけでありまして、その多くの製造業が日本を拠点とすることを諦めて、当時、六重苦と言われていたんですよ。民主党政権の悪口は余り言いたくありませんけれども、六重苦と。

 これは私が言っているのではなくて、そういうふうに言われていたということを申し上げているわけです。これは私が言っているのではなくて、六重苦と言われていましたが、今はこの六重苦は解消されつつある、こう言われているのは事実。これは私が言っているのではなくて、経済界が言っているのは事実であります。

 ドル建て、円建てではなくて、企業が最高の収益を上げているということ、雇用をつくっているということ、そして、雇用をしっかりとよくしているということ。

 きょうも有効求人倍率が発表されましたが、二十四年ぶりの数値になっているわけでございます。そして、高校生の内定率も、二十四年ぶりですかね、ということになっておりますし、大学の内定率も八年ぶりになっているわけであります。大切なところは、そこで見なければいけません。幾らドル建てで経済成長が上がったって、内定率が悪くて、有効求人倍率が悪くて、会社が倒産しているのでは、どうしようもないじゃないですか。

 なぜかといえば、実態をやはり円で見なければならないんだと。円建てで株価を見て、では、自分たちは、為替が変わったから株価が上がったと感じる人なんか誰もいないんですよ。それは日経平均をちゃんと見ていかなければならないんだろうな、こう思います。

 確かに今、海外の要因で、世界で株価は、影響を受けている市場は残念ながら乱高下をしているわけでございますが、しかし、下がったとか言われて我々は一喜一憂していないわけでありますが、下がったのは、これは安倍政権の中においての変化を言われているわけでありまして、民主党政権より下がっているわけではないということは申し上げておきたい、このように思います。

福島委員 せっかく私は、民主党政権が悪かった、アベノミクスは成功したという二元論から脱して冷静に質問しようと思ったのに、またその答弁は情けないですね。

 あともう一つ、びっくりぽんは、ドル建てで見るのはやめようということですけれども、東証に多く参加しているのは外国人ですよ。ドル建てでも、両方で見ないとちゃんと見ることはできないし、総理、ふだんからグローバルな社会に出ていこうと言っているのであれば、国内の、内向きの、経団連の人たちだけの会話を信じては私はいけないと思うんです。

 現に、多くの海外のメディアは、アベノミクスに懸念を示しています。日本は、一部の人が、アベノミクスはアホノミクスだとか言っている方はいらっしゃいますけれども、しかし、海外はいろいろ心配しているんですよ。

 例えば、十一月十六日のウォールストリート・ジャーナル、まさにニューヨークで経済活動をやっている人みんなが読む新聞ですよ。アベノミクス・スパッターズ・イン・ジャパン、アベノミクスが音を立てて消えるとして、構造改革の失敗が別の景気後退に導くという見出しを打っています。

 マイナス金利を決定した一月二十九日には、同じウォールストリート・ジャーナルが、ジャパン・ゴーズ・ネガティブとして、量的緩和が実体経済を刺激しなかったことを暗に認めたと。この副題はなぜか日本語版からは抜けちゃっております。

 二月十日には、アベノミクス、行き詰まりへの道として、安倍総理の経済再生プログラムは持続的上昇に失敗した、ハズ・フェールドといって完了形、もう失敗したと断じているわけです。

 九月二十五日に総理がバイ・マイ・アベノミクスと豪語しましたけれども、逆に今、ニューヨークの新聞は、セル・アベノミクスですよ。売れというのになっているんですよ。

 イギリスの高級紙ガーディアンも、アベノミクスは体調不良状態、そして末期症状かもしれないと。二月十二日に、これはイギリス人らしくねちねちわけのわからない英語で言っているんですけれども、そういうのもあります。

 イギリスのフィナンシャル・タイムズ、これは日経新聞が買収したからおべんちゃら記事が多いんですけれども、経済ジャーナリストと言われるチーフエコノミストのコメンテーター、マーチン・ウルフが、アベノミクス、核心は民間需要の不足として、真の問題は民間需要の弱さにある、デフレを拭い切れていない、そう言っているんですよ。

 でも、私はこれは傾聴に値すると思いますよ。アベノミクスはうまくいっている、うまくいっていると言うのではなくて、足りないところは何かというのは、海外の投資家は冷静に見ているんですよ。

 一つ言えば、足りないのは消費の力強さです。これは総理もお認めになると思いますよ。消費増税をした後に消費がずっと弱い、これは安倍政権だけじゃなくて、ずっと構造的にそうなんですよ。

 いろいろな要因があると思います。一つは、短期的には消費増税をしたということもあるでしょう。長期的には、賃金が上がっても消費がふえないというのは、まず、総理がおっしゃるような名目ではなくて実質賃金が上がらないから購買力がふえないということもあるだろうし、社会保障の全体像が見えない中で、将来に不安があるから消費ができないということもあると思うんですよ。

 しかし、マーケットは、この消費税増税をどうするかというのを私は本当に真剣に見ていると思うんですよ。

 アベノミクスは全部が正しいんだ、何もやる必要はないんだといえば、それはそうでしょう。でも、海外のメディアは決してそうは思っておりません。

 安倍総理は、最近答弁をちょっとずつ変えております。これまでは、リーマン・ショック級あるいは東日本大震災級の出来事がなければ予定どおり引き上げていく考えとおっしゃっておりましたが、それに加えて、単に個人消費の落ち込みということのみではなくて、その背景に、世界経済の大幅な収縮が実際に起こっているかどうかについて、専門的な見地から行われる分析も踏まえて、そのときの政治判断において決められるべきであろうと。これはもっともかもしれません。

 その一方、先日の小沢鋭仁さんの質問に答えて、税率を上げて税収が上がらないようなところで消費税を引き上げることはあり得ないと。これは結構低いハードルだと思うんですよ。橋本政権が三%から五%に上げたときに、税を上げてまさに税収が減ったわけでありますから、リーマン級が起きなくてもそういうことはあり得るんですよ。

 きょうの読売新聞を見ると、「世界経済分析へ会合」といって、世界経済がどうなっているかということを有識者と話すと言っているんです。まさにこれは消費税の増税を延期する布石じゃないかと思うし、それに期待している人もいるかと思うんですけれども、総理、どうですか。

安倍内閣総理大臣 消費税については、既に答弁をさせていただいておりますように、リーマン・ショック級あるいは大震災級の出来事がない限り、予定どおり引き上げを行っていきたい、こう考えている次第でございます。

 また、消費については、福島委員がおっしゃるように、しっかりと消費が上がってくるように下支えをどのように行っていくか、まずはそのために賃金が上がっていくように企業側にもお願いをしているところでございます。

福島委員 きょうの報道であった「世界経済分析へ会合」。世界の経済を分析してみたら、原油安や中国の減速や米国の金融の動向などもあって、その検討の結果、消費税増税を延期するという判断を参議院選挙前に行う、この布石ではないですね、この世界経済分析のための会合というのは。どうですか。

安倍内閣総理大臣 いずれにせよ、我々はこのG7の議長国を務めるわけでありまして、この不透明さを増す世界経済に対して、先般もG20で議論をしたわけでありますが、G7でも大きなテーマになるわけでありますから、議長国としてどのような考え方を持っているのか、どのように分析をしているかということについては示していく必要があります。

 その際、さまざまな方々からお話を伺わなければならない、こう考えている次第でございます。

福島委員 この会合が消費税増税の延期を決定する会合ではないということを確認させていただきました。

 もう一つ、マーケットや経済界から財政出動の声が続出しております。

 先日のG20でも、全ての政策手段、金融、財政及び構造政策を個別または総合的に用いるとしておりまして、財政出動を協調してやろうというようなニュアンスのこともあります。

 榊原経済財政諮問会議議員、経団連会長は、個人消費を上昇トレンドに変えていくためには、即効性のあるてこ入れ策を検討すべき。

 本田内閣官房参与。二十八年度予算案の成立後、間髪入れずに二十八年度補正予算案の議論に入れば国民の心理は変わってくる。最低でも五兆円くらいの本格的な経済対策を打つことが重要だ。

 麻生大臣。必要だと判断すれば機動的に対応する。先日の財金委員会での答弁です。

 自民党二階総務会長。多くの国民が安心できる経済対策、積極財政に今こそ転換していくべきだ。

 この本予算が成立した後、二十七年度補正、つい先日成立させたばかりですけれども、もう一度補正予算を組んで財政出動するようなことはありませんよね。どうですか、総理。

安倍内閣総理大臣 我々は、最大の景気対策はこの本予算を一日も早く成立させていくことであろう、このように考えております。

福島委員 仮に、補正予算を組むようなことになれば、幾ら今までの答弁でアベノミクスがうまくいっている、うまくいっていると言っても、それはアベノミクスがうまくいっていないと認めることに私はなると思いますよ。

 ましてや、六月の参議院選挙の前に、選挙目当てか何かわかりませんけれども、二階さんが言うとどうもそういうにおいがしてしまうんですけれども、そういうことを言われると、いかにも選挙対策の補正予算。補正予算や消費税増税の延期を選挙の材料にしてはいけないと思います。

 そのためにも、まず、私はしっかりとアベノミクスの現状というのを虚心坦懐にごらんになっていただきたいと思うんです。それも、国内の経団連の会長や、あるいは仲のいい新聞社のリーダーたちだけではなくて、ドルで見たらどう見られているのか、海外のメディアからどう見られているのか、虚心坦懐に私は見るべきではないかというふうに思っております。

 総理は、裸の王様という寓話を御存じだと思います。アンデルセンの寓話です。

 詐欺師がやってきて、私はすばらしい着物をつくるんだと王様に言うわけです。これは見える人にしか見えないと言って、みんなは、本当は実際は裸なのに、いや、見える、すばらしいものだと言って、最後、王様は裸でパレードをするわけです。最後に、一人の子供が王様は裸だと言ったときに、王様は初めて気がつくんですよ。

 アベノミクスがこうであってはいけないと思うんですよ。裸の王様になって、耳ざわりのいい言葉だけ聞いて、アベノミクスはうまくいっている、うまくいっていると考えるのではなくて、内外のマーケットの声、批判的な声、さまざまな、プラスのものもある、マイナスのものもある、そうした統計のデータをしっかり見てほしいと思うんですよ。

 裸の王様は、最後、こう書いてあるんですよ。

 一人の子供の言葉でだまされたことを知った王様は、今さら行進パレードをやめるわけにはいかないと思ったので、そのまま、今まで以上にもったいぶって歩き始めました。召使は仕方なく、ありもしない裾をこう持ち上げて、王様の後を歩いていきました。

 私は、安倍内閣がこうなってはいけないと思っているんです。もっと素直に、虚心坦懐に、経済を、マーケットの声を聞いて、そして、政策転換が必要なんだったら素直に頭を下げて認めて、私はやるべきだと思いますし、そのためにも与野党の真摯な議論を望みまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 以上です。

竹下委員長 この際、玉木雄一郎君から関連質疑の申し出があります。緒方君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 総理にまずお伺いします。

 きょう緒方委員も質問しましたけれども、昨日の我が党の岡田代表に対する発言、これを改めて見ますと、子ども手当について発言をされていて、民主党の中でこういう発言をした方もおられたんだと思いますが、つまり、子ども手当というのは、両親や家族からいわば養育費が払われるということではなくて、まさに国家から直接子供たちに養育費が行くことによって、自分たちは両親に対し何の義務を感じる必要がないという議論もあったわけでありますと。

 平成二十二年三月十六日、我が党の福田議員の賛成討論の中で、これを例として挙げていますが、この中で、いろいろなことを書いていますが、家族の中だけでは解決できない問題が山積しているので、子供は社会で育てると。つまり、もちろん子供は家庭で育てるのが原則です。ただ、さまざまな理由から家庭の中だけでは解決できない問題を社会全体で支えていこう。これは、子育てについても、そして介護についても私は同じだと思うんですね。

 こういう発言を捉えて、自分たちは両親に対し何の義務を感じる必要がないという議論もあったわけでありますというまさにレッテル張りは、総理、これは取り消された方がいいと思いますので、取り消してください。

安倍内閣総理大臣 先ほど来何回も答弁をしているわけでありますが、私の答弁においては、これは岡田委員から突然の質問でございましたので、その場でお答えをさせていただいたわけでございます。例えば福田委員や太田議員の当時の発言をそのまま引用することはできないわけでありますが、私が受けとめた印象において紹介をしたわけでございますが、同時に、当時それを受けて自民党の中であった議論についても紹介をさせていただいた次第でございまして、民主党の発言と当時の議論について分けて言っているわけでございます。

 しかし、文書で出しているわけではありませんからそこは正確になっていないのでありますが、その後も岡田委員が質問されればそう答えていたのであろう、このように考える次第でございます。

玉木委員 総理、一国の総理として見苦しい。別にそんな反論とか答弁を国民の皆さんは聞きたいとは思っていないと思いますよ。

 もう一つ、子ども手当に対する反論で書いていますけれども、子ども手当、では、全部これはやめていますか。四Kばらまきと言って、やりましたけれども、所得制限は入れました、名前も変えました。当時、我々は与党だったけれども議論して、いろいろなことを譲ったけれども、ただ、きちんといわゆる我々が言った子ども手当は残っていますよ、きちんとやっていて。だったら、もう全部なくして、いわゆる給付から控除に全部戻したらいいじゃないですか。

 もう一つ言うと、高校の無償化だって、あれだけ無駄だと言って、四千億、無駄、無駄と言って、全部残っているじゃないですか。一部、所得制限を入れたけれども。

 農業の戸別所得補償も、私はずっと農政をやったからわかるんだけれども、あれだけ無駄だ、無駄だと言いながら、いわゆる岩盤部分の固定払いの半分を残していますよね。

 私は、だから、さっき福島委員も言ったけれども、別に安倍政権が全部悪いとか、民主党がいいとか悪いとか、そういうことを超えて、我々は非常に構造的な日本の問題を今抱えているわけです、与野党を超えてこれからどうそれに対して立ち向かっていくのか、このことを建設的に、締めくくり総括、ぜひ議論をさせていただきたいと思います。

 まず、資料の一を見てください。

 これは、私、補正予算でも取り上げました。石井大臣にも質問しました。いろいろな問題点を指摘した三世代同居住宅支援事業であります。

 私があのときに指摘をしたのは、これはもう一度視聴者の皆さんにごらんいただきたいと思うんですが、三世代同居を応援していく、そのことによって希望出生率一・八、これは新三本の矢の大きな柱ですね、これを推進していくということで三世代同居を進めていこうということなんですが、中身が、私は政策効果もやり方もはちゃめちゃだと思うんです。

 なぜかというと、まずこれを見てください。三世代同居を進めるといって、おさらいですけれども、では何をするのかというと、一番、台所、キッチン、二番、トイレ、三番、浴室、玄関。この一から四のうち二種類以上が二カ所以上あると補助が受けられる、こういう制度なんです。

 補正予算のとき、私はさんざんこの制度の問題点を指摘しました。最大の問題は何かというと、三世代同居を支援すると言いながら、補助を受けるときの要件として、三世代同居じゃなくてもいいんですよ。意味がわからない。総理、後でちょっとお願いしますね。総理、お願いしますよ。

 これだけ私が二十七年度補正予算で今申し上げたような問題点を指摘したのに、さらに予算をふやして、二十八年度当初予算にもまた持ってきている。加えて今回は、麻生大臣、いらっしゃいますね、税制の優遇措置も加えてきているんですよ。

 伺います。先般、二月二十四日、私が質問しましたが、白石公述人が公明党のたしか推薦でお越しをいただきました中央公聴会です。その際、私が、この三世代同居支援、まさに子育ての専門家として白石公述人に来ていただきましたけれども、効果はありますかということを聞いたらこういうふうにおっしゃっているんですね。大変この政策についてはクエスチョンマークだということを率直におっしゃっておられるんですね。私もそう思います。

 質問いたします。改めて聞きますが、三世代同居住宅の支援なのになぜ三世代同居ということを条件として求めないのか、お答えください。

石井国務大臣 世代間で子育てを支え合うあり方といたしましては、親と本人夫婦と子供という典型的な三世代同居の場合のほか、例えば出産を予定している夫婦の場合、おじやおばなど他の家族と同居する場合等を含め、さまざまなケースが考えられます。

 また、家族の構成や間柄、出産の予定や意思などはプライバシーにかかわることから、慎重に取り扱うべきものと考えたところです。

 このため、家族の構成や間柄などについては一律に要件とせず、子育てしやすい環境づくりという観点から、三世代同居など複数世帯の同居に必要となる工事に着目して支援を行うこととしたところでございます。

玉木委員 国民の皆さん、今聞いていてわかりましたか。

 私は三世代同居なんです。両親と私と妻と息子で住んでいますけれども、三世代同居をしたいなと思ったら、キッチンは一つでいいですよ。一つでいいけれども直したいんです。なぜ二つを求めるのか。しかも、この四つの項目のうち二つ以上を二カ所、三カ所つけなきゃいけないんです。多世帯で住むんだったら、そのことを確認したらいいじゃないですか。おじさんでもおばさんでも別にいいですよ。そういうことをなぜチェックしないんですか。

 だって、ちょっと皆さん、よく考えてくださいよ。政策効果があるかどうかわからない、例えば外国人のお客様を迎えたいからちょっと直したいなと思って、この制度を使えますよね。退職して、これから退職した仲間とホームパーティーをしながら少し悠々自適のそういう生活を送りたい、使えますよね。これだけのお金をつけて、子供のために、出生率上昇のためになるかならないかわからないようなことにこんなに税金をつけるんですか。

 麻生大臣にお伺いします。財務当局としてお伺いします。

 予算もありますけれども、先ほど申し上げたように、税制の優遇、リフォームについてはありますね。条件とはしないんですけれども、三世代同居が目的ですよね。これは、政策効果をどうやってはかって検証して、決算を見て次の制度や予算に生かしていくんですか。どうやってチェックしますか。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

石井国務大臣 施策の効果をよく検証しなければならないということは御指摘のとおりでありまして、三世代同居を含む複数世帯同居の支援措置については、事後的に、この支援措置を利用された方がどの程度同居を実現されたのか、また本支援措置が同居を行うきっかけとなったのかといった調査を行うなど、政策効果について検証を行っていくこととしております。

玉木委員 調査は誰がどうやって行うんですか。だって、事前に全くそういうものを記述も何もさせていないのに、どうやって事後的にチェックするんですか。

 もう一つ伺います。

 既に補正予算で、これについて私は問題を指摘しました。今もう年度が終わろうとしています。三月、今月から補正予算の執行に回っていますけれども、では、これも同じように既にチェックしているんですか。

石井国務大臣 この検証を行うために、例えば、工事を実施した事業者の団体を通じたアンケート調査などにより検証してまいりたいと考えております。

玉木委員 もう一回聞きます。

 ちょっと驚きなんですけれども、事業を実施した事業者の団体のアンケートでしょう。後で聞くんだったら、その事業を実施した人が最初に聞けばいいじゃないですか。あなたはこの制度を利用するときに、どうなんですか、どういう家族形態なんですかと。

 家族形態のようなプライバシーにかかわること、家族形態に関与することはおかしいと言うけれども、税金を使って、まさに特定の家族形態に関与しているじゃないですか。

 補正予算のことをお伺いします。

 今、事業を実施した事業団体のアンケートをとると言いましたけれども、補正予算で既にそれをとる体制は組んでいますね。組んでいるんですね。

石井国務大臣 これから組んでまいります。

玉木委員 いいかげんですね。言われたらあれします、これしますじゃなくて、予算をつけるのは国民の税金ですよ。

 皆さん、ごらんください。この制度を利用すれば、最大二百五十万円もの補助が受けられるんですよ。まず、そもそも個人の私的財産の形成にこんなに税金を使っていいんですか。

 加えて、これは、使われるうちの全部が全部、子育ての支援に回らないかもしれない。先ほど申し上げたような、単に豪華な家を建てたいとかリフォームしたいとか、外国人を呼びたいとか友達を呼びたいとか、そんなことにも使われるかもしれない。そのことは制度上排除できないんだ。そんなことに貴重な税金を使うべきではないと思っております。

 安倍総理に伺います。

 これは今回、税制改正に入っていますけれども、税制改正要望をするときの要望書を見てみました。

 そうすると、パネルの二をごらんください、今回の三世代同居のための目的なんですけれども、これは主税局に対して要求したときの要求書の中に入っています。少子化対策、これは一・八の希望出生率を目指すということで今も申し上げましたが、二番目、親世代の介護が自助で、つまり子供世代で行われることによる介護費の抑制、これが目的に入っているんですね。加えて、女性の就労支援ということなんですけれども。

 総理も、こういうことを進めようということで三世代同居は進めたらいい、そういう認識でしょうか。

安倍内閣総理大臣 三世代同居につきましては、既に答弁をさせていただいておりますが、希望出生率一・八の実現のためには、結婚、妊娠そして子育ての希望をかなえる環境整備を推進していくことが必要であると考えています。

 三世代同居は、家族において世代間で助け合いながら子や孫を育てることができ、そしてまた子育てのしやすい環境づくりになるものであろうと思います。そこで、新婚世帯や子育て世帯を世代間で助け合い、大家族で支え合う生き方も選択肢として支援をしているわけでございます。

 その中において、今、介護についてはどうなのかということでございました。

 介護については、いわば我々は、介護保険制度を導入した中において、しっかりと御本人も負担をされますが、同時に社会や国としても、自助、公助、共助の思想でこの介護保険が成り立っているわけでございますが、そういう中において社会もしっかりと介護を支えていくということでございます。

 同時にまた、三世代の中において、一緒に住んでいる中において、子供や孫と一緒にいる中において、おじいちゃん、おばあちゃんも元気になっていくということもあるわけでございますし、社会性も維持されていくということにもなるんだろう、こう思うわけでございます。そういう中において介護費等々が抑制されるものもあるのではないか、こういう考えなのだろう、このように思います。

玉木委員 三世代同居を進めることによって介護費の抑制を図るということですね。

 きょう、重要な最高裁判決が出る予定です。それは、要介護四の九十一歳の認知症を患っていた御主人が、目を離したすきに電車にひかれて亡くなるという痛ましい事件。

 ただ、これに対して、八十五歳の要介護一の妻、そして二十年別居していた、同居はしていなかった長男に対して監督責任、損害賠償責任が問われて、第一審では妻も長男も責任を問われ、七百二十万円の損害賠償が言い渡されました。

 第二審では、要介護一の妻には責任を認めたけれども、長男への請求は棄却した。しかし、妻には三百五十九万円。この妻の方も八十五歳です。

 この二審のときに長男が賠償を免れたという一つの理由に、二十年以上別居していて監督者には該当しないということが書かれています。逆に言うと、同居していればこの責任はどうしてもとらざるを得ないということになってしまいます。

 私は、今回、きょう出るこの最高裁判決は、これからの高齢化社会、介護社会を考えていく上で極めて大事。施設から在宅へ、大きな方向はわかります。ただ、施設介護をどうしていくのか、家庭での介護、それを誰が担当していくのか、このことについては、もう一段踏み込んで我々も真剣に考えていかなければならない。その意味もあって、きょうはこのことをあえて、補正予算に続いて取り上げさせていただきました。

 総理にお伺いします。

 本当に、この三世代同居を進めることが今申し上げたような介護の問題や子育ての問題に最も効果的、効率的な政策だと心から信じていますか。

安倍内閣総理大臣 三世代が全てを解決するわけではなくて、いわば選択肢の一つとして、こうした大家族において、三世代において助け合っていくということについて、その意義についての考え方について今、玉木委員はお示しになっているところでございますが、しかし、実際、同居していることによって、どういう形で同居するかということもあります。妻の両親と同居するということもあるでしょう。そうした際、自分の子供を預けやすいという人も結構おられるのではないのかなと私は思うわけでございます。

 そしてまた、今、金持ち優遇というやじもございましたが、三世代同居を前提にフラット35を利用した方のうち半数以上は年収五百万円未満でありまして、三世代同居は高所得者への優遇策といった批判は当たらないんだろう、こう思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、三世代の意義また意味も私は十分にあるのではないかと思います。その中において、子育てあるいはまた女性の活躍についてもプラスで、少子また介護についても、いわば家族と近いところ、あるいはともに生活をするということによって、おじいちゃん、おばあちゃんも元気になっていくということもあるんだろう、こう思う次第でございます。

玉木委員 いや、総理、答えていただけませんね。

 私は、政策の効率性として、財政も厳しい中で何百億のお金を使ってやる政策として、だって、政策効果があるのかないのかは後で見てみないとわからないし、アンケートをとって、ほとんど三世代じゃなくても誰も責任を問われないんでしょう。財務大臣も問われないし、安倍総理も問われないし、そんな政策を私はやるべきじゃないと思いますよ。

 一つ数字を紹介しますと、公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団というところが出しておりますが、親が重度の介護状態になったときの離職の可能性です。このアンケートをとった場合に、男女別だと男七・一に対して女性が二六・三、圧倒的にやはり介護が必要になったときに女性が離職するんですね。私の母もそうでした。そして、離職する人の中で、常に顔を合わせて同居している場合は離職の可能性が二六・六%、近居だと一四・六%、遠居だと一一・九%となって、同居の場合が突出して高いんですね。

 ですから、私は、同居することによって介護離職ゼロどころか介護離職促進政策になっているのではないのかということを懸念するわけです。そのことにこれだけの税金を使う必要があるのか、この検証はもっとしっかりとやるべきだと思います。

 お金の使い方をもっと効果的にと言ったので一つ申し上げますが、今回、私も評価をしていますが、一人親家庭の児童扶養手当、これが第二子、第三子、拡充されました。評価をしています。初年度の金額、もう時間がないので言いますけれども、二十八億ですね。平年度化しても八十億ぐらいなんです。効果があるかないかわからないような三世代同居支援に百数十億使うなんというのは、私はお金の使い方を間違っていると思いますよ。

 給食費が払えないとか、新しい下着が買えなくて友達と一緒に修学旅行に行けないとか、給食の余ったパンを集めて回っている子供がいるとか、そういう声に耳を傾けるのであれば、効果が不透明な、トイレを二つ、浴室を二つ、台所を二つ、最大二百五十万も補助が受けられるようなところに税金を使う余裕が我が国のどこにあるんですか。本当に次世代のことを考えれば、予算の査定についても、新たな税制の導入についてももっと真剣に考えていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。

 次に、金持ち優遇という話が出ましたが、軽減税率の話を最後に伺いたいと思います。

 これは何度も出しました。一兆円の財源が軽減税率には必要であります。お示しをしたように、現在、簡素な給付措置として、五パーから八パーに上がったときに低所得者対策でやっている簡素な給付措置、大体二百六十万円以下の世帯に対して給付が行っています。三百万円未満の御家庭、世帯が受ける軽減税率、お金の行き道はわずか一割ですね。三百万円以上の方々にこの一兆円のうち九割のお金が使われてしまう。九千億です。もちろん、負担の軽減効果が低所得者にあるのは間違いありません。

 しかし、私が申し上げたいのは、この一兆円があれば、例えば年収一千万円以上の人に使われるお金があれば、もっと年収三百万未満や苦しい人にそのお金を使って、低所得者の支援を拡充できるのではないのかということを申し上げているんです。だから、我々は、給付型の税額控除の方式、これを対案として法律を出しております。そのことが世界的にもすぐれた制度だと信じております。

 お伺いします。

 一兆円もの財源が必要な軽減税率ですが、総合合算制度で四千億は見つけてくる、これは何度も聞いています。問題は残りの六千億です。この財源が見つかっていないので、子ども・子育ての政策や社会保障の予算が削られるんじゃないかとみんな心配しています。その財源として総理もおっしゃっているのが、税収の上振れや底上げですね。

 では、お伺いします。

 総理がよくおっしゃる、この間、約二十一兆円、二十・八兆円税収がふえた、民主党政権の末期から安倍政権になってふえたと言いますけれども、資料の四をごらんください。これは国税ベースの残り十五・三兆円だけを出したんですが、内訳はこうです。

 一番多いのが消費税ですね。これはアベノミクスの成果ですか。三党合意で野田政権のときに消費税増税を決めたので、約七兆円入ってきているんです。所得税も四・五兆円ふえていますが、きのう我が党の岡田代表も言ったように、これはほとんど株の配当と譲渡益課税ですよ。株価の上昇に伴うもの。逆に言うと、下がると減りますね。

 私が質問したいのは、法人税のところです。法人税も確かに、企業収益が最高だとおっしゃっていますので、法人税収が上がっているんですが、この前も申し上げたように、第一次安倍政権のときの法人税額より少ないんですね。

 この三・四兆円のうち、前回、私との質疑の中で総理はこういうふうにおっしゃいました。底上げのものがあればこれを財源として使えるんだ、その一例として、先ほども話がありました。企業が海外に出ていたのが国内回帰して、それがきちんと定着するんだ、円安によって多分それが進むんだという話だったと思いますが、次の資料をごらんください。

 これは二十六日の最新の資料ですけれども、上場企業の海外現地生産比率なんです。これをずっと見ていただくと、それこそ福島委員が言ったようにトレンドで上がってきていますね。五年後の見通しもあわせて調査しているんですが、二〇二〇年に至っても上がることになっています。

 そもそも、海外で現地生産をする理由は何ですかと聞いたときに、これを見てください、アンケート調査の結果。為替のことなんかどこにも出てこないんですよ。一番大きいのはやはり旺盛な需要。例えば中国、巨大なマーケットがある、マーケットの近いところで生産したらいい、こういうことはある種当たり前ですね。労働コストが安い、こういうことになっています。

 お伺いします。

 総理がおっしゃった底上げのうち、国内回帰が進むことによる税収増、本当にそんなものが存在するんですか、そしてそれはあるとしたら幾らなんですか。お答えください。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣 まず、先ほど、民主党政権時代に株の配当等々についての増税をした結果税収がふえた、これは違うんですよ。もちろん、それもちょっとはありますよ。しかし、株価がほぼ二倍になったことが大きいわけでありまして、配当が三割増加をしているんですね。株の取引金額も二倍以上になったんですから。これが結果として税収増につながっているということは玉木議員も当然お認めになるんだろうな、このように思うわけであります。

 そこで、企業の設備投資や国内回帰についてでありますが、足元では、為替の円安傾向や法人税改革を含めた国内の事業環境の改善を受けて、日本企業が海外投資を国内に振り戻す動きが見られます。これは自動車あるいは電機関係であります。

 また、具体的には、国内の設備投資はこの二年で約五兆円増加をしています。五兆円ですよ、二年間で。設備投資全体に占める海外の設備投資の比率を見ても、二〇一三年の四―六月期は三〇・九%に上昇しましたが、それ以降は頭打ちとなり、最近の二〇一五年の七―九月期では二五・三%と低下しています。また、外国からの対内直接投資残高も二〇一四年末時点で過去最高の二十三・三兆円に増加をしておりまして、引き続き企業の事業環境の改善を進め、さらなる国内への投資拡大につなげていきたいと考えております。

 では、具体的には幾らだということでございますが、それをまさに経済財政諮問会議で議論していくということでありまして、それは前から申し上げていたとおりでございまして、そこにおいて、果たしてどれぐらい底上げされているのかということについて議論をしていくということでございます。

 それと、必要な社会保障費について削るということはないということは申し上げておきたいと思います。

玉木委員 よくわからない説明です、総理。株価が上がってよかったじゃないかという話なんですけれども、まさに株価の上昇に伴ってふえるような税収は恒久財源と言えるのかどうかということを聞いているんです。

 前回、GPIFの話をしたときに、株価が下落したら年金の額を減額調整する可能性もあるということを総理は言及されました。私、株が上がることはいいですよ。ただ、それは、上がったり下がったりするのが株なので、過度に年金も税収も株価に依存している、しかも実態は矛盾だらけで、実態はギャンブルですよ。その意味ではいわばカジノ経済政策とアベノミクスは言えるのではないか、このことを指摘申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

竹下委員長 この際、柿沢未途君から関連質疑の申し出があります。緒方君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。

 締めくくり総括質疑でありますが、振り返ってみると、麻生財務大臣、軽減税率について、私に言わせれば、おもしろ半分のふざけた答弁を連発してきたと思います。

 ごらんください。

 間違いなく混乱は起きる。そして、中小零細商店で潰れるところが一つや二つ、百や千出てくる。

 本当にふざけた答弁だと思いますよ、失礼ですけれども。かつて池田通産大臣が、中小企業の倒産、自殺はやむを得ない、こう言って辞任に追い込まれたのと同じような答弁ではないか、暴言ではないか、こういうふうに指摘をさせていただきましたけれども、麻生財務大臣は最初はこれを極めて現実的な答弁だと開き直ったんですよ。開き直ったものの、批判が集中してやはりまずいと思ったのか、結局は答弁の訂正に追い込まれております。

 これは、中小零細企業、中小零細商店には大変な話なんですよ。売り上げ一千万円以下の免税事業者は、免税事業者のままならインボイスが発行できないので取引排除されてしまう。または、課税事業者になれば益税の反射的利益を得ることができなくなって、いずれにしても経営が圧迫されてしまうんです。

 免税事業者は五百万社。その一%でも廃業、倒産すれば五万社になるんですよ。百とか千とかいう数じゃないんです。必ず大変なことになるからあらかじめ影響を調査すべきではないかと言っても、麻生財務大臣も、また林経産大臣も、経過期間を設けるからと、全く解決にならない答弁を繰り返してきたわけであります。

 また、それだけじゃないんです。ごらんください。

 意図的に、はなからだますつもりで、テークアウトだと言って食っちゃう人もきっといる。うちの地元にはいっぱいいそうな気がする。農家は税金を一回も払ったこともない人もいる。地元で三人ぐらいから聞いた。

 麻生財務大臣は、地元の人たちを一体何だと思っているんですか。おもしろ半分で答弁しているとしか聞こえないではありませんか。

 結局、国民、庶民、中小零細商店の苦しみ、これから起きる負担、廃業、倒産の危機、こうしたことに全く思いをいたさない姿勢ではありませんか。こんな軽口めいたふざけた答弁で、軽減税率など私は認めることはできないと思いますよ。

 総理はいかが思いますか。御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 麻生副総理の発言についてどう思うかということでございますか。私が承知をしているのは、財務大臣はそのようなことを、これはつまり、中小企業の潰れるケースが一つか二つは発言しておらず、また、軽減税率の導入による事業者の混乱や過度な負担を容認しているわけでもないということでございます。

 財務大臣の発言の趣旨は、その後の柿沢委員の質問への答えでも申し上げているとおりでございまして、軽減税率制度の導入により事業者の方々には複数の税率に対応するための新たな事務負担が生じることから、政府として事業者の準備をしっかりと支援していく必要があるということと承知をしているわけでございます。

 また、財務大臣は、インボイス制度の導入に伴う事務負担の増加についての御質問にお答えする中で、世の中で行われている指摘や地元の農家から聞いた話によると、税務関係の事務負担にふなれな方もいらっしゃるのではないかという趣旨を答弁したところであり、一般論として農家は税金を払っていないという趣旨で答弁したわけではない、こう承知をしております。

 以上のとおり、委員の御指摘は財務大臣の答弁の趣旨を誤解されているように思うわけでありまして、発言の趣旨を明確にすることは重要と考えていますが、いずれの財務大臣の発言についても、これは先ほど申し上げた趣旨で発言なされたものと承知をしております。

柿沢委員 読めばわかる、見ればわかる、聞けばわかるんですよ。先ほどの民主党の皆さんとのやりとりもそうですよ、総理、聞けばわかる、どういう趣旨だか。それをこうやって問題だと指摘されて、いや、そうじゃないと。幾らすりかえたって、見ればわかるんですよ。

 私たちは、こんな軽減税率一兆円が横入りした形での消費税一〇%引き上げは反対ということを決めさせていただいています。

 きょう発表の家計調査、一月の実質消費支出は三・一%減少、こういう水準になりました。

 先日の予算委員会でもこのグラフを紹介させていただきましたけれども、実質賃金が低下をし、安倍政権に入ってから、民間最終消費支出、一番のピークは八%増税前の駆け込み需要で、がくんと下がった二〇一四年の第二・四半期、それより今の消費は低いんです。

 アベノミクスで、消費はふえるどころか減退しているんですよ。そして、今まさに消費はさらに冷え込みを見せています。来年四月の消費税増税を予定どおり行うと安倍総理はきのうも答弁されています。必ず消費に痛撃を与えることは間違いない。

 安倍総理、やるんですか。

安倍内閣総理大臣 今まで答弁をしておりますように、来年四月からの消費税の八%から一〇%への引き上げにつきましては、リーマン・ショック級あるいは大震災級の出来事が起こらない限り、予定どおり引き上げていく考え方に変わりはないということでございます。

柿沢委員 これが消費にどういう影響を与えるか、私自身も懸念を持っているところでもあります。

 また加えて、国民が消費を拡大するためには、生活の不安、老後の不安、こういうものを解消しなければ、一千七百兆円の個人金融資産を安心して消費に回すことはできない。だからこそ、先般も、日本版ベーシックインカム、給付つき税額控除の考え方についてお尋ねをさせていただきました。こういう答えも持ち合わせずに消費税増税を強行して、消費に大きな痛撃を与えるようなことになってしまえば、それこそアベノミクスどころではない、このことを申し上げておきたいというふうに思います。

 続きまして、憲法改正についてお伺いをしたいと思います。

 自民党憲法改正草案について安倍総理は実現をしたいと思っているのかどうか、こういうことについてお尋ねをしたいと思っていたんですが、前段の質疑で、全部やりたい、こういうことを安倍総理の思いとして答弁していただきましたので、これは答えは求めません。自民党が決めた憲法草案ですから、自民党総裁である安倍総理がその内容を全部やりたいというのは当然のことでもあると思います。

 先日、この予算委員会で麻生副総理に、かつて言った、ワイマール憲法がナチス憲法に変わった、ナチスの手口に学んだらどうかね、こういう発言について取り上げさせていただきました。

 まず、そもそも歴史上、ナチス憲法なんて存在していないんです。これは麻生副総理の歴史の不勉強に基づく極めて不穏当な発言だと指摘をさせていただきました。

 その上で、自民党憲法草案にある国家緊急事態条項について指摘をさせていただきました。

 自民党憲法草案にはこう書いてあるんです。国家緊急事態を宣言したときには、内閣は法律と同等の効力を持つ政令を公布できる。そして、国民は国の指示に従わなければいけない。

 これは、悪用すれば、ワイマール憲法四十八条に基づく大統領緊急令を乱発して、令状なしに共産党員らを逮捕、拘禁して、あっという間に全権委任法を通してヒトラーの独裁を完成させた、まさにナチスの手口を可能にするものになってしまうではありませんか。この国家緊急事態条項を、何と自民党は憲法改正のイの一番に掲げているんですよ。

 私は、憲法改正、憲法の条文で見直す必要のあるものはあると思っていますけれども、しかし、こんな憲法改正なら私はしない方がましだと思いますよ。

 そして、言論の自由です。これも、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と今の憲法の二十一条には書いてあります。

 そして、この憲法二十一条に自民党憲法草案は二項というのを追加して、見てください。前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害すると認めれば、結社の自由、言論の自由を制限できることができるようになる。参考までに戦前の治安維持法の条文をパネルに示しておきましたけれども、どんな結社を、どんな活動を制限するかはともかく、これはほとんど一歩手前じゃありませんか。

 もう一度言いますけれども、私は、こんな憲法改正ならば、やらない方がよっぽどましだ、こういうふうに思いますよ。

 今、放送局のジャーナリズムの自由を国家権力により侵害するかのような高市総務大臣の言動が非常に危険視されています。私自身も記者出身のジャーナリストの端くれとして、殊さら、不偏不党に反したら処分だ、停波だ、一つ一つの番組もチェックする、こう言い立てる高市総務大臣に異様なものを感じてまいりました。

 とうとう日本を代表するジャーナリストが怒りの声を上げました。ごらんください。高市氏の電波停止発言に対する抗議会見。声明文を抜粋していますけれども、私たちは怒っている、高市総務大臣の電波停止発言は憲法、放送法の精神に反している。

 田原総一朗さんはこう言っています。高市発言は非常に恥ずかしい発言で、こういう恥ずかしい発言をしたら直ちに全テレビ局の全番組が抗議をすべきだ。

 そして、NEWS23のキャスターを降板する、まあ、させられたのかもしれませんが、岸井さんは、憲法の精神あるいは放送法の精神とか目的を知らないで発言をしているとすれば大臣失格、もし仮に知っていて曲解をしているのであれば、言論統制に進みたい、こういう意図があると思われても仕方がありませんと言っています。

 そして、鳥越俊太郎さん。私はこれはある種の恫喝だと思いますよ、安倍政権側からのメディアに対する恫喝、おどしです、いつでも電波をとめられるぞ、変なことするなよ、こういうことじゃないですかと。

 私自身が記者とはどういう仕事か教わった、研修の先生だったNHK出身の池上彰さんも、国が放送局に電波停止を命じることができる、まるで中国政府がやるようなことを平然と言ってのける大臣がいる、欧米の民主主義国なら、政権がひっくり返ってしまいかねない発言です、こういうふうにおっしゃっています。

 田原さん、岸井さん、鳥越さん、そして池上さん、彼らは、野党の政権批判の印象操作にたやすく引っかかるようなやわな人たちではありませんよ。それが、安倍政権の言論の自由に対する姿勢をこれだけ危険視しているんです。

 この高市氏の電波停止発言に対する抗議会見に対して、安倍総理、どういうふうに受けとめられますか。

安倍内閣総理大臣 今、延々と演説をしておられましたが、自民党に対するレッテル張りやイメージ操作はやめていただきたいなと、本当に今お伺いをしていて思いました。

 また、このジャーナリストの記者会見、私はきのう、実は大変忙しかったんですね。七時間予算委員会がございまして、その後、エジプトの大統領との首脳会談がございます。首脳会談がスタートしたのも六時半からでございますが、その後、共同記者会見もし、仕事をしながらの晩さん会もあり、またG20の声明に対する分析等々もありまして、きょうは、朝、この委員会の対応のための勉強会をしなければなりませんから、寡聞にして、どういう発表をされたかということは承知をしていないわけでございます。

 いずれにせよ、高市大臣の答弁は、かつて民主党政権、菅内閣の平岡副大臣と同じ趣旨の答弁をしていて、これは新聞にも書かれていることでございますが、平岡副大臣が答弁すればよくて、高市大臣が答弁すればだめということについてはおかしいのではないか。いわば行き過ぎた場合の電波の停波について言及したということについては同じで、今、拍手が向こうからも起こりましたが、停波ということについては同じということではないかということでございまして、公平に扱っていただきたいというのは多くの要望なんだろう。皆さんの場合、もしかしたら違うのかもしれませんが、我々は、公平に扱っていただければいいんだろうなということでございます。

 きのうも御答弁をさせていただいたわけでございますが、かつていわば放送局に対して総務省から注意ということがあったのは、自民党の広報の番組を長い間山形放送で放送したとき、これは自民党政権でありますが、局に対して注意をしたわけでございます。もう一件として、報道ステーションにおいての、当時、民主党の新しい内閣のメンバーの発表を延々と報道したということでございます。

 そこで、例えば自民党のいわば広報の番組を選挙の前に延々と何日も何日もやるということは、私はそれはいいことだとは思いませんし、それに対しては当然注意がなされて、これは我が党のものであったとしても当たり前なのかな、こう思うわけでございます。

 そういう観点から、これは公平なものであるか、公正なものであるかということについてしっかりと見ていくということはあり得るのではないのかな、率直にそう考えているところでございます。

柿沢委員 長々と御答弁をされましたけれども、いいですか、これだけの、私は客観的に見て、日本を代表するジャーナリストだと言っていい、そういう顔ぶれだと思いますよ。そういう方々が、安倍政権の、そして高市総務大臣のこの電波停止、一つの番組が政治的な中立を問われて、それで行われるよということを繰り返し示されていることに対してこれだけ危険視しているわけですよ。

 これについて統一見解を示されて、一つの番組においてもということを事実上追認された形になっています。それを過去の答弁と変わっていないと。これこそ強弁だというわけですよ。だからこそ、この問題について、幾らそれを釈明し、答弁を長々とされても、こういう形でまさにジャーナリズムの現場から声が上がってきているわけじゃありませんか。

 こういういわば国家統制色といいましょうか、国家権力が上から目線でさまざまな民間そして言論を統制する、こういう上から目線の国権主義、私は安倍政権の本質だと思いますよ。これに対して、私たちは、国民、庶民の側に立った民権主義の新しい政党をこれから結成したいと思っていますよ。

 こういうまさに対立軸を持って、これからも予算委員会を初めとした国会の論戦もしていきたいと思いますし、また参議院選挙もそうした形で戦うことになるでしょう。まさに憲法改正の問題、言論の自由の問題、こうした問題について真っ正面からこれから議論をしていこうではありませんか。

 長い答弁の結果、時間が消費をされてしまいましたけれども、本来であれば、原発の再稼働の問題についても林経産大臣にお尋ねをさせていただく予定だったんですよ。

 高浜原発で、きのう、あのサイレンが鳴りましたよ。そして、右往左往した姿。原発再稼働からわずか三日後にああした出来事が起きて、原発が緊急停止している、こういう状況ですよ。こうした状況の中、予定どおり原発の再稼働を進めるんですか。一体、原発再稼働は何のために行われているんですか。こうしたことについてももっともっと議論を深めなければいけませんよ。

 そして、甘利大臣の問題も、全く説明責任を果たされずに、証人喚問の要求からも逃げ回っているではありませんか。こうした問題に幕引きをするかのように予算の採決に進んでいく、こんなことは私たちは断じて認めることができない。

 私は、このことを申し上げさせていただいて、この決着は新党を結成した上で選挙でしっかりと果たしていく、こういう気持ちで戦っていくことをこの場で国民の皆さんに申し上げさせていただいて、この質疑を終わらせていただきたい。

 高市大臣、何かありますか。

竹下委員長 時間が参っておりますので。

柿沢委員 終わります。

竹下委員長 これにて緒方君、福島君、玉木君、柿沢君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、きょう、予算委員会は三時間の質疑で、締めくくり総括質疑だということで議論されておりますけれども、私たちは、まだまだ審議はするべきだ、きょう採決することには反対だ、このことを最初に述べておきたい、このように思います。

 さて、来年四月からの消費税一〇%への増税について、そもそもアベノミクスが評価できるのか否かが大きな争点となりました。率直に言って、企業が世界で一番活動しやすい国を目指している総理と我々では、目線が違うために議論がかみ合わないのかなと思って聞いておりました。

 しかし一方、一億総活躍社会の実現を目指し、そのための新三本の矢として、介護離職ゼロや、八年後ではありますが最低賃金千円、希望出生率実現など、こうしたことを打ち出しているということは、大企業や大資産家がひとり勝ちの社会では成長もとまる、格差が広がり、ゆがみが出てきたということをお認めになっているからではないでしょうか、総理。

安倍内閣総理大臣 私どもが今進めている政策については、まさに成長と分配の好循環をつくっていくというものでございます。

 我々の政策によって企業は最高の収益を上げているわけでございますが、それがさらに賃上げという形となる、そして設備投資という形になっていく、あるいは下請企業等の取引条件の改善とつながっていくことによって、さらに消費が喚起されていく中において経済の好循環を生み、また国は、それによって得た果実を希望出生率一・八の実現あるいはまた介護離職ゼロの実現等のための子育て支援あるいは社会保障費に振り向けていくことによって、安定した社会基盤の上にしっかりとさらに成長していくことができる、そしてそれで得た果実をまたそうした社会基盤のために使っていくという、成長と分配の好循環を目指していきたい、このように思っている次第でございます。

高橋(千)委員 年収二百万未満のワーキングプアが千百三十九万人、二四%。貯蓄なし世帯が三割を超えて、生活保護世帯も百六十二万世帯にもなりました。

 一方で、百万ドル以上の金融資産を持つ方は二百四十五万人。二〇一二年十二月から二〇一五年七月までの株価上昇によって、上位十人の株主だけで二兆三千六百六十七億円も資産をふやしています。やはり大きく、成長と循環と言いますけれども、とても循環とはいっていない、格差が広がってきた、ゆがみが出ている、このこと自体はお認めになっていただけるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 格差が拡大しているかどうかについては一概に申し上げることができないわけでありますが、格差に関する代表的指標であるジニ係数について例示として申し上げますと、我が国の場合、税や社会保障による再分配後の所得の格差はおおむね横ばいで推移しているものと承知をしております。

 そしてまた、他方、相対的貧困率については、二〇一二年、民主党政権までのデータでございまして、第二次安倍内閣以降における状況を示すものではございませんが、厚生労働省の国民生活基礎調査及び総務省の全国消費実態調査のどちらで見ても、長期的な傾向としてはおおむね緩やかに上昇しているものと承知をしております。

高橋(千)委員 この間ずっと、どの数字をとるかで伸びている伸びていないという議論を見てきたから、あえてこういう議論をさせていただきました。総理自身が最低賃金を上げなきゃいけないとか言っているその背景には、やはり同じ、前進しているという、その評価は違うかもしれないけれども一定認めるところがあるんだろう、そう思って議論を始めたわけです。その点をなかなか、また数字を持ってきてお認めにならなかったことは、とても残念だなと思っております。ただ、この後の議論でもう一回そこを踏まえて答えていただきたいなと思うんですが。

 先に麻生大臣に伺います。

 消費税増税は、軽減税率をもってしても負担増であるとか、あるいは所得の低い人ほど負担の重い逆進性があるということがこの間も指摘をされてきたし、お認めになってきたと思うんです。その中で、総理も大臣も、増収分は全額社会保障に使われるからとお答えいただきました。ただ、全額社会保障といっても、はっきりさせておきたいのは、社会保障の充実に使われるのは増税分の一%にすぎません。そうですよね。

麻生国務大臣 御存じのように、税制抜本改革法によります改正後の消費税法及び地方税法によりまして、消費税の五%から一〇%への引き上げによります増収分、いわゆる通称十四兆円と言われておりますが、それを全額社会保障の充実、安定化、いわゆる年金、医療、介護、子育て等々に充てるということとされておりますのは御存じのとおりです。

 具体的に、今一%と言われました約二兆八千億円程度のものを子育て、医療、介護、年金の分野ごとにメニューを示した社会保障の充実に充てるということになりまして、残りの四%相当分、十一兆二千億程度を、基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げます分に約三兆二千億、または後の世代への負担というもののツケ回しの軽減に七兆三千億程度を充てるなどの、社会保障の安定化に充てる枠組みとなっておりますのは御存じのとおりです。

 したがいまして、社会保障制度を持続可能なものにしていかななりませんので、そういった意味では、安心してこういった制度を利用できるようにしていくためにも必要な制度だと私どもは考えております。

高橋(千)委員 答えだけでよかったんです。

 資料の一枚目に書いてありますけれども、結局いろいろおっしゃるけれども、充実、これは私は中身にはちょっと意見があるんですけれども、一%の部分である二兆八千億円。それ以外、四%は社会保障の安定化。資料でも分けてありますけれども、ただ、その最大のものは七兆三千億円、後代へのツケ回しの軽減。これは、消費税なかりせば赤字がもっとふえていたんだろうという理由で、やるべき予算をつけかえている。黙っていても当然予算をつけなきゃいけない部分を消費税財源につけかえただけであって、消費税は全額社会保障に使うからいいんだという理由は私は全く成り立たないと。このことを指摘したい。

 昨年一月の経団連ビジョンの中でも、現行三二%の法人実効税率を二〇二一年度には二五%に引き下げる一方、消費税を一九%に引き上げるよう提案をしています。こんな虫のいい話があるでしょうか。消費税で税収がたとえふえても、法人税減税で引っ込むわけです。これでは、どこまでいっても充実も安定もできないではありませんか。

 パネルをちょっと見ていただきたいと思うんですね。申告所得に対する税と社会保険料の負担率。

 これを見ますと、社会保険料の負担率は最も逆進性が高いです。これに所得税の負担率を私たちはよく示しますけれども、一億円の所得の人までは、大体境になって、応能負担なんですよね。だけれども、一億円を超えるとぐんと下がってしまう。ところが、社会保険料負担率は、所得二百万円の方の一六・七%が山で、あとはがくんと下がるんです。このパネルのトップは百億円以上の方なんですが、十一人いらっしゃいます。ところが、余りに所得が多過ぎて、負担率がゼロしか表示できないんです。ゼロ円という意味ではなくて、〇・〇〇何とかということなんですよね。

 こうした現状は、厚労大臣、お認めになりますよね。今やるべきは、庶民と中小企業に余りに重い社会保険料負担を軽減して逆進性を是正するべきではないでしょうか。

塩崎国務大臣 社会保障制度、我が国では社会保険を基本としておりますけれども、所得のない方とかあるいは所得の低い方も、社会保険から排除して生活保護などの扶助制度で対応するのではなくて、保険料の軽減あるいは免除の仕組みを設けて、できるだけ社会保険制度の中でカバーするようにしているのが我が国の制度であるわけであります。

 そして、低所得者についても、社会保険制度に加入することで年金、医療、介護などの社会保険方式による給付あるいはサービスを受け取ることができるということになっておりまして、基礎年金あるいは国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険についても、費用の半額は税金で見ているということで混合のスタイルになっているわけであります。社会保険制度に加入することで、所得がなくて、あるいは低い、税金を負担していない方でも社会保険の給付を受けることができるわけでありまして、社会保険料の負担については、給付を伴うということと、そして税の負担、つまり累進の税でも負担をする仕組みにしているということを考えなければいけないんだろうと思います。

 社会保険料自体についても、例えば医療や介護では、負担能力に応じて負担をいただく仕組みをとった上で低所得者にはさらなる保険料の軽減などを行うきめ細かな対応を行っているわけでありまして、八%への消費税の引き上げのときにも所得の低い方については既に二十六年度から国民健康保険料の軽減の拡大はしておりますが、二十七年度から介護保険料の軽減の拡充を行っておりますし、これを通じて、特に所得の低い方についても社会保障・税一体改革の中において、社会保険料について負担能力に応じた負担となるように特段の配慮を行っているところでございます。

高橋(千)委員 低所得者でも加入することで給付がある、それはいいんですよ。だけれども、だからといって、低所得者の負担が極端に逆進性になっているということが問題でしょうということを言っているのであって、最後に一定検討していますというお答えだけでよかったのではないかと思いますね。これは引き続き、もっと思い切って軽減をするようにしていかなければならない、こう思います。

 政府の財政制度審議会の建議では、二〇二〇年度までの経済・財政再生計画を着実に実現するために、来年度予算が目安から逸脱するようなことは断じてあってはならないと述べた上で、特に社会保障関係費については目安が設定されているが、三年間の目安であるからといって歳出の伸びの抑制を先送りすることがあってはならないと言明して、高齢化などに伴う伸びを、いわゆる自然増分を五千億円弱におさめるように求めている。まさに社会保障の狙い撃ちなんですね。

 それが資料の四枚目に示された財務省の改革工程表であります。これは一部抜粋させていただきました。実際は四十四項目あって大変細かいので、悪いけれども、わかりやすいところだけ抜粋させていただきました。

 一つ一つやる時間はありませんが、一般病床の居住費、水光熱費の患者負担ですとか、六十五歳から七十四歳の介護保険の利用者負担を原則二割負担に、倍にするということですよね、そして年金支給開始年齢のさらなる引き上げ。

 先ほど来、一億総活躍で、定年を延長することとか高齢者も働くことの議論がありました。それはいいですよ、働きたい人が働くことはいいですよ。だけれども、誰もがそうだとは言えないのに支給年齢を引き上げる、さらに先送り、こうしたメニューがずらずらとある、これはひどいのではないでしょうか。

 具体に質問いたします。資料の五、二十六日付の東京新聞に書いてあります。「年金抑制強化 十八年度から」

 厚労大臣、簡潔にお願いしたいと思うんですが、物価などの伸びよりも年金給付を低く抑えるマクロ経済スライドの仕組みが実際はデフレ時には発動しないために、一度発動したのは今年度、昨年四月から一回きりであります。来年は、実質賃金が下がったので発動しないそうです。これではいかぬ、毎年下げられるようにということで、デフレでも下げようということが議論されてきたわけですよね。でも、今回それはしないかわりに、下げられなかった分を翌年回しにして、確実に下げていこうと考えている。

 これを簡潔に御説明ください。

塩崎国務大臣 翌年にというお話でございますが、それは正確な話ではないと思います。

 平成十六年改正でこのマクロ経済スライドを、現役世代の負担が過重なものにならないように、将来の保険料の上限を固定して、そしてその範囲内で年金の給付水準を調整するという仕組みを入れたわけでありますが、一方、マクロ経済スライドの導入後も、デフレによって賃金、物価が上昇しない中で、給付水準の調整が行われない状態が続いてまいりました。

 このことから、これをできる限り先送りしないという観点から、マクロ経済スライドのあり方について社会保障・税一体改革のときから課題として議論してきたわけでありますけれども、マクロ経済スライドについては、現在の高齢世代の生活にも配慮して、年金の名目額がマイナスとならないようにする現行の枠組みを維持しながら、経済状況によってマクロ経済スライドの調整が完全に実施できなかったとしても、その未調整分を直近の景気上昇局面で調整する方向で検討しておりまして、すぐ翌年に必ずやるんだというような話では決してないわけで、これによって将来世代の給付水準を確保していくという考えでございます。

高橋(千)委員 そうですね。翌年がやはり余り上がらなかったら、上がった分だけ減らして、またその残りを積み上げていって、どんどん減らしていく。だから、ずっと、よほどのことがない限り年金はそのままになる、据え置きになる。つまり、このマクロ経済スライドの率を、来年度は〇・七%と聞いていますが、それより上回る実質賃金でなければ結局年金は上がっていかない、こういうことだと思うんですね。

 私は、国民の老後の支えである年金保険料積立金を、GPIFが株の運用で七兆円とか九兆円とかの損失を出しても、長い目で見ればとんとんだから大丈夫と開き直り誰も責任をとらないのに、年金受給者に対しては、ほんのわずかでも減らせなかった分は来年あるいは再来年まとめてというぐあいに確実に減らす仕組み、しかも、とんとんどころか今でさえ暮らせない、こういう声が上がっているときに、余りにも身勝手だと思います。これ以上の年金削減は絶対やめるべきです。

 昨年の予算委員会での私の質問に対しても塩崎大臣は、年金削減がずっとされるじゃないかと言ったら、いやいや、公的年金だけで暮らせるものじゃないと答弁をされました。

 四十年間せっせと納めてきて、やっと年金をもらえると思ったら足りないけれども、それは自己責任よ、個人年金や金融商品を活用して何とかしなさいと言っているのが今の政府なんです。これは理念の上でも、もはや社会保障は自分と家族による自助努力が基本と変質されております。

 パネルを見ていただきたいと思います。お手元の資料は六です。

 上は、二〇一二年、民主党政権時に三党合意で成立をした社会保障制度改革推進法の基本的な考え方、「社会保障制度改革は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。」「自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう」云々。これも大分私は不満がありましたけれども、でも、自助、共助、公助となっていた。

 それが、翌年、安倍政権になって、この社会保障制度改革推進法の四条の規定に基づいてつくったこれからの改革の全体像を明らかにするのが、プログラム法というこの下にあるものなんですね。ここには、「政府は、住民相互の助け合いの重要性を認識し、自助・自立のための環境整備等の推進を図るものとする。」と。自助しかなくなっちゃったんです。

 総理、この理念は、憲法二十五条、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、これを国が保障するという二項、この義務を放棄したに等しいのではありませんか。

安倍内閣総理大臣 我が国の社会保障は、従来から、みずから働いてみずからの生活を支え健康を維持する自助を基本とし、社会連帯の精神に基づき共同でリスクに備える共助、そして自助、共助で対応できない場合の必要な社会保障を行う公助を適切に組み合わせる考え方に立って制度を構築してまいりました。

 御指摘の社会保障改革のプログラム法では、この考え方を改めて確認し、政府は自助、自立のための環境整備等の推進を図るとしたものでありまして、我が国の社会保障の理念を変更したとの指摘は全く実は当たらないわけであります。

 社会保障と税の一体改革においては、むしろ、消費税率の引き上げにより安定的な財源を確保した上で、年金制度を安定的なものとするための基礎年金の国庫負担割合二分の一への引き上げ、所得の低い方への国民健康保険料や介護保険料の軽減の拡充、難病対策の充実など、幅広い分野で社会保障の機能強化と充実を図っているわけでありまして、このような取り組みを通じて、所得の低い方々にもきめ細かく配慮を行いながら、引き続き、憲法二十五条に基づき、国が社会保障の向上、増進に努める責務をしっかりと果たしていく考えであります。

高橋(千)委員 この条文のどこを読んでも、総理が言うような、改めて確認した自助、共助、公助、これは全く担保されていないと思います。

 先ほど話題になった子ども手当のときもそうだったんです。自民党が野党だった、これを修正したときに、子供は家族が育てるものとわざわざ書き込ませた。まずそういうところに思想が貫かれているんですよ。

 本当に困った人にはセーフティーネットと言います。しかし、そのネットが余りに小さく、その網の目は余りに大きくなってしまって、どんどん取りこぼされています。例えばさっき紹介した財務省の工程表には、就労意欲がないなら生活保護を停止するといった法改正をこの次にやれと書いています。最後のネットさえ断ち切ってしまうような改悪を迫っているんだ、どこに共助があり公助があるんだ、これを重ねて指摘しておきます。断じてあってはなりません。

 そこで、最後に提案をいたします。

 本来、賃金が上がり雇用者がふえれば、年金財政は改善されていきます。パート労働者に厚生年金加入を拡大することも必要ですが、もともとの賃金が安く、加入期間も短いので、到底暮らせる年金にはなりません。働いてもなお低賃金で、生活保護を受給している人も多いです。ここを上げていくべきです。最低賃金千円を目指すべきです。

 例えば時給千円未満の労働者がおよそどのくらいいて、最低賃金を底上げすることにより経済効果がもたらされ、財政効果も大きいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 平成二十六年の賃金構造基本統計調査の特別集計によりますと、平成二十六年六月時点で、時給換算をした賃金が千円未満の常用労働者数は約八百四万人でございまして、常用労働者全体の二五・九%に当たっております。

 最低賃金は地域の実情を考慮した上で都道府県ごとに決定しているわけでありますけれども、全国千円以上に引き上げた場合、中小企業を中心として、労働コストの増加によって経営が圧迫され、かえって雇用が失われるおそれもあるわけでございまして、賃金増加による経済波及効果や年金受給額、生活保護受給者への影響などについては一概に言えないのではないかと思います。

 最低賃金につきましては、年率三%程度を目途としまして、名目成長率にも配慮して引き上げ、これによって全国加重平均が千円となることを目指すこととしております。最低賃金の引き上げにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 また、生活保護に至る前の段階にある生活困窮者への相談、就労支援などの包括的な支援、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大などにもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 例えば、労働総研の調査では、二兆七千八百億円の経済効果があるという指摘があります。昨年の経済財政諮問会議でも、総理の指示で、最低賃金を二十円、これは桁がちょっと残念ですけれども、上げたらどうか、経済効果があるねという試算をしていますね。

 こういう立場で、懐を暖めて経済再建と財政再建に向かう、やはりこの道をやるべきだということを指摘して、質問を終わります。

竹下委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 この予算委員会が始まるときに、与党でもない、野党でもないというようなことを私どもが申し上げたら、私どもの時間を民主党が搾取したんです。きょうも、最後の時間なんですけれども、柿沢さんを初めとして民主党が七分も時間をオーバーして、私たちのテレビの時間もなくなる、改革の時間もなくなる。また同じように民主党が搾取する。この党はどうなっているのかね、本当に。人の批判をする前に、こうやってちゃんと時間を守る、そしてお互いがちゃんと公平にテレビの前で質問できるようにする、これは当たり前のことだと思いますよ。それを守らないで指摘をするのはおかしい。冒頭でこのことを申し上げておきたい。

 時間がないので前に進めますけれども、総理、今度、私たちの党は、党ができて初めての通常国会でした。これで党にどういうイメージをつくるかということで苦心したわけなんです。(発言する者あり)党のPRは当たり前ですよ。

 今回は、私たちは野党として、絶対に審議拒否はしない、必ず討論の中で政府とやり合うということを決めました。

 それで、この関連法案の審議も、野党というのは最初に反対ありきで質問をつくる、反対ありきで物事をやりますけれども、そういうことはしない、ちゃんと全部の審議を聞いてから最後の判断をする、こういうことを二つ目にやることにしました。

 三点目には、政府案に対して組み替え動議を私たちは提案します。この組み替え動議も、私たちが出すのは、来年度の予算で組み替え動議をしてくれと言ったら、これはできませんよね。けれども、再来年度の予算で組み替え動議をしてくれと言ったら、それは可能性があるので、できない話をやって反対するという手法じゃなくて、馬場幹事長がきのう言ったように、再来年度の予算で、一兆二千億無駄があるから省いてもらえませんかという質問をして、きのうは総理からいい答えがもらえませんでしたから反対になりましたけれども、これも初めての建設的なやり方なんですよ。

 そして、最後は、国民、テレビの前で賛否を決める。きのう、五項目、予算案、そして特例公債、そして所得税法、そういうふうなことを全部国民の前で判断する、こういう新しいやり方をしたんですね。

 何でこうするかというと、この国がこれから成長していくには、私は新しい野党の姿ができてこないとだめだと思うんですね。今、スキャンダルで自民党を倒しても、自民党内の政権交代はあっても野党に回ってきませんよ。これは、はっきりと、しっかりと野党が、次の政権はあなた方が担える、次の政権はあなた方がやってもいいよというような姿をつくらないと、私は新しい野党の姿というのは国民からなかなか期待されないと思うんですね。

 だから、今回私たちは確実に野党共闘という言葉はやりません。野党共闘という言葉はやらない。そして、必ず国民から理解される、そういうふうな野党の姿をつくる、新しい野党をつくる。与党にも野党にも同じ熱量で質問し、論戦に臨むというのが新しい野党。これが第三の勢力をつくろうとする私たちの役割なんです。

 普通だったら、第三の勢力といったら、自民党と公明党が第一の勢力、今、民維は第二の勢力、第三の勢力といったら、参議院や衆議院の議員の数からしても共産党になるのが当たり前なんです。しかし、今、共産党はもう民主党の補完勢力ですから。大体、選挙に出ないで、候補者をおろして一緒にやろうというのはもう補完勢力になっているから、第三勢力にならないんですよ。第三勢力はおおさか維新の会しかないんですよね。だから、そこが私たちの新しい政党としての役割だと思うんです。

 総理、ここで質問ですけれども、この国に新しい野党の第三勢力が必要だ、その勢力があることでこの国の政治がよくなり、この国がよくなると思いませんか。総理の答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 いずれにせよ、国民の皆様の前で政策をお互いにぶつけ合いながら切磋琢磨し、そしてお互いに政策を磨き合っていくことが求められているんだろう、このように思うわけでございまして、相手にただ単にレッテルを張ったりとか、ただ単に全てを否定したり、相手をたたきのめそうという姿勢では建設的な議論は生まれないんだろう、こう思う次第でございます。

 私どもも、建設的な批判は虚心坦懐に耳を傾けていきたい、こう考えているところでございまして、自分たちは批判するけれども人の批判は許さない、そういう政党は、これはやはりよくないんだろう、こう思うわけでございます。

 しっかりと、おおさか維新の党が第三勢力として頑張っていく、我々とも戦うわけでありますが、お互いに切磋琢磨しながら国民の期待に応えていきたい、このように思います。

下地委員 おおさか維新の党の議員全員が、自民党と選挙を戦うんですよ。戦うんですけれども、しかし、しっかりと政策面では、一緒にできるところはやる、だめなものはだめと言う、こういうふうな政治をこれから第三勢力としてしっかりとやっていく、これがこの国の将来をよくする、そういう思いでこれからもしっかりと政治の役割を果たしていきたいというふうに思います。

 これをちょっと見ていただきたいんですけれども、これは私たちの党の二大政策なんです。既得権の打破と憲法の改正、この二つを、私たちは今回のこの党としての考え方で進めていこうというふうに思っているんです。

 租特の透明化法、これは政策減税で大体二兆円ぐらい減税します。この減税が、間違いなく自民党に献金をするというような迂回献金になっているんじゃないか、これはずっと言われていることですよ。

 また、二つ目には、民主党は、人事院勧告の給与、今回、国家公務員だけ六百八十億円ありましたけれども、身を切る改革と言いながら賛成したというようなことからしても、やはり公務員の労働組合に推されている政党だからこのことは絶対できないというような、もうがんじがらめに縛られて物事をやっているんですね。

 また、この労働組合のところでありますけれども、労働組合といっても、大きな会社の労働組合です。こうやって非正規が四〇%にふえたというのは、大きい会社の労働組合が非正規を認めないで、正規だけを大事にしろということをずっと言ってきたから非正規がふえたんですよ。だから、連合を母体とする正規だけの労働組合がやはりこの構造をおかしくした。これも私は一つの大きな利権だと思いますよ。

 こういうふうな既得権を思い切って変えていくというのが私たちおおさか維新の考え方なんです。

 憲法改正においては、憲法改正をぜひやりたい。

 一つは、教育の無償化をぜひやりたいというのが私たちの考え方です。二十六条の二項に義務教育は無料化と書いてありますけれども、私たちは、教育を全部無償化するということを書きたいというのが一点。

 あと、統治機構改革。これはもう、おおさか維新のおはこですけれども、とにかく、地方が元気になるためには、地方が地方で物事を決められる、そういうようなことをやっていこうということが二点目。

 三点目には、憲法裁判所をつくってしっかりと、安保法案のときになかなか論議できなかったということで、やはり憲法裁判所できちっと憲法に関するものは決めていくというようなことをやりたい。

 こういうことをやっていきたいというふうに思っています。これが私たちの二大政策で進めていこうということで思っているんです。

 それで、総理、どんなに自分たちがこれを出しても、有権者が私たちのこの政策を評価しなければだめなんです。今回の党ができて初めての選挙が京都三区、私たちが初めて候補者を出すんです。これで候補者を出して、おおさか維新の会として初めて、私たちのこの二大政策、既得権の打破と憲法の改正、この二つを京都三区の有権者にぜひ理解してもらいたいということで、今度、候補者を出して戦うんです。

 自民党は京都三区に候補者は立てますか。

安倍内閣総理大臣 この場には総理大臣として立っております。

 京都三区において我が党が候補者を立てるかどうかということについては、谷垣幹事長及び執行部が熟慮した結果、今回は、自民党としては候補者を立てることは自粛すべきではないかという議論になっているというふうに承知をしております。

下地委員 谷垣幹事長の発言、今の雰囲気だと、京都三区で戦わないということになってくると、今回はまれに見る野党同士の戦い、共産党と民主党勢力と単独おおさか維新の会の戦いなんです。真の野党、次の政権を担う野党はどこなのかを決めるのが、私は京都三区の戦いだと思うんですよね。そこまで私たちはこの選挙を位置づけて、今度は戦いたいというふうに思っております。

 そういう中で、今度、候補者を出さない、そして、共産党と民主党という勢力と単独のおおさか維新の会が選挙をするわけですけれども、自民党はこのままでいけば傍観者になりますよね。

 私がきょう申し上げたいのは、真の、本当の次の政権を担う野党は誰なのかというようなことを決める大事な選挙のときに傍観者であっちゃいけないと思うんですよね。(発言する者あり)自民党に応援しろというような話じゃなくて、傍観者にはなっちゃいけない。本当の意味での野党の姿をしっかりと見て判断をしていくというようなことをやっていかなければいけないというように思っておりますけれども、安倍総理、安倍総理のお考えをちょっとお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 御党とは我が党も戦っているわけでありますし、特に大阪においては厳しい戦いをしているわけでございまして、この場にも大阪府連関係者がいるとすると、厳しい思いで今の下地委員の議論を聞いていたんだろう、こう思うわけでございますが、いずれにせよ、党としてどのような対応をしていくかということについては、これは今、谷垣幹事長のもとに議論をしていることだ、このように思います。

下地委員 民主党と共産党の勢力が勢力を伸ばすことはあってはならないと思うんですね。だから、ここはしっかりと、テレビの前ですけれども、私たちの新しい考え方を持った、既得権を打破して、そして憲法改正をしっかりやって国民の暮らしをよくしよう、こういうふうな勢力が成果を上げていかなければいけない、このことを一点申し上げておきたいと思います。

 もう一つだけ。最後になりますけれども、沖縄で今ユニバーサルスタジオの話が大きくなっていますけれども、菅官房長官、新聞に、ユニバーサルスタジオ、断念とかということを書いております。これは沖縄にとって非常に大事な振興策の一環になっておりますが、このユニバーサルの今の現状。私の知り得ている範囲では、断念とかそういうような状況にはなっていないというふうに思うんですけれども、総理、官邸が一億円の予算をつけて調査費もつけているこのプロジェクトがどういう状況になっているのか、ちょっと沖縄県民に説明していただきたいと思います。

菅国務大臣 ユニバーサルスタジオの沖縄進出についてでありますけれども、現在、USJと沖縄県との間で検討が進められているんだろうというふうに認識をしております。

 現時点において、USJ側から沖縄進出撤回を検討しているという話は聞いておりません。なお、USJからは、沖縄進出に関しては継続検討中であるとの話が内閣府には来ております。

 最終的にはこれはUSJの判断になるわけですけれども、このUSJの沖縄進出計画というのは観光を通じて沖縄の振興に大きく貢献をする、そういう観点から政府としてはできる限り支援していくという従来の考え方に全く変わりはありません。

 そして、平成二十八年度、三千三百五十億円の沖縄振興予算を計上しております。引き続いて、沖縄が日本のフロントランナーとして二十一世紀の成長モデルとなり、日本経済再生の牽引役となるように、振興策、しっかり政府として対応していきたいと考えます。

下地委員 もう時間が来たから、ちょうど終わります。

 これが野党がやる姿なんですよ、柿沢さん。見習っておきなさい。

 ありがとうございました。

竹下委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、重徳和彦君。

重徳委員 改革結集の会の重徳和彦です。

 私ども、今回の予算委員会では一貫して、この改革結集の旗印、四項目を掲げ続けてまいりました。そういう中で、野党ではございますけれども、さまざまな政策提言をさせていただいております。消費税増税は、今の経済情勢、また身を切る改革が不十分という理由で凍結するべきではないか、そして議員定数の削減は四の五の言わずに即実施するべきだ、こういうようなことを申し上げてまいりました。昨日も、これは私自身ですけれども、TPPに伴って恐らくたくさん入ってくるであろう輸入牛肉に成長促進ホルモン剤が投与されている、こういうことについては食品表示をするべきじゃないか、さまざま申し上げてまいりました。

 そこで、ここで麻生大臣に一つ聞いてみたかったことがあるんですが、そもそも、議員から政策提言が行われる、これは、平常時の提言というか要望活動もありますし、あるいは国会の各委員会で提言をすることもあります。これが、言っている内容は同じでも、言っている人間が与党に所属している議員なのか野党に所属している議員なのかによって予算のつけ方が違う、こういうことはありますか、大臣。

麻生国務大臣 単に、与党だから、野党だから、もしくは重徳だからとか、いろいろな理由で予算を手当てしているというわけではありませんで、これは、その時々、さまざまな観点から、日本にとって重要な課題というものに対応していろいろ御意見が出てくると思いますが、我々は、基本的に、いわゆる財政再建と経済再生というこの二つを両立していくという観点というのを基本に据えて予算というものを政府として最終的に編成する。基軸はその二つに置いております。

重徳委員 要するに、与党だから、野党だからという違いは、一言で言えば、ないというようなことを今大臣は答弁されたと思いますが、私ども、野党として活動しておりますと、どうしても、これは私だけじゃなくて多くの野党議員は、どうも与党の議員さんは、地元で、自分は与党だから何でも陳情してくれれば実現するから、予算をつけるからということを吹聴して回っておられる方も多くいらっしゃる、そういう声がよく聞こえてくるんですが、それは正しくないということを今、麻生大臣がおっしゃったんだと思います。

 それから、この予算委員会においても、野党議員から多くの提言がございました。きょう聞く中でも、私、民主党の玉木委員が、トイレとお風呂が二つあれば、そうすれば補助金がつく、これで子供がふえるんだろうか、こういう疑問はそのとおりだなというふうに思いますし、あるいは軽減税率も野党各党が異論を申し上げております。給付つき税額控除の方が制度としてすぐれているのではないか、こういうことも申し上げております。

 そこで、総理に質問させていただきますが、本委員会はこれまで一月初めから議論してまいりましたが、この委員会におけるこれまでの野党のさまざまな提案の中で、これは政府・与党の案よりも野党の委員が言っていることの方がいいなと、なかなか表向きは言えないと思いますが、実は思っていたというものは一つでもありますか。

安倍内閣総理大臣 予算委員会においては、二月三日から、財務大臣から提案理由を説明させていただいて以来、本日まで大変熱心な御議論をいただきました。その中におきまして、大変多岐にわたる観点から御議論を伺ったと思います。その中には、反対のための反対ではなくて、建設的な観点からの意見と受けとめられるものもあったな、そうした考え方において傾聴に値するお考えもあったということは率直に認めさせていただきたい、こう思っております。

 しかしながら、来年度の予算としては、やはり政府として提案させていただいている予算が最善のものであると考えておりまして、最大の景気対策は、二十八年度予算を早期に成立させていただき、国民の皆様にお届けすることではないか、このように思っております。

重徳委員 総理御自身も、建設的な観点からの意見もあった、あるいは傾聴に値するものもあった、ここまでお認めになりながら、しかし政府案を何が何でも通したいんだ、こういうことだと思います。

 私は、やはり自民党の従来型の陳情型政治、こういうことでは経済は自立しないと思います。補正予算の話ではありますが、高齢者一千百万人に三万円ずつ、これはもう選挙対策以外の何物でもないという批判まで起こっている次第であります。こういうばらまき型の予算というものは、私は一切やめるべきだと思っておりますし、そのように申し上げてまいりました。

 麻生大臣に質問しますが、今総理は政府予算案が最善であるとおっしゃいましたが、麻生大臣としても、今回の当初予算案、無駄な予算は一円もないということを断言することはできますか。

麻生国務大臣 無駄の排除というものは、我々は常に取り組んでいかねばならぬのは当たり前の話なので、行政事業レビューにおいても、国の事業というのは大体五千からもう少しあるんだと思いますが、それについても各省庁においてそれぞれいろいろ点検をさせて概算要求やら事業の執行等々で反映させるということになっているんですが、この点検が十分かどうかということについても、行政改革推進会議のもとでいわゆる有識者による秋のレビューにおいて議論を行って、その結果、具体的な改善策というものにつなげているところであります。

 二十八年度の予算に当たりましても、これは必要性とか効率性とか有効性とかいろいろなものはあろうかと思いますが、こういったものにかなりきちんとした精査をさせていただいて、無駄というものに関していろいろな観点から、行政のニーズにとって本当に必要ですかという点については、我々としては、予算としては真剣に考えた結果だと思っております。

重徳委員 すぱっと、無駄はないというところまで断言はしておられないということからしても、やはり最初の質問で申し上げました、与党だろうと野党だろうときちんとした提言をして、それを政府に今まで以上に受けとめていただいて、取り入れていただきたいと思います。

 この後、組み替え動議がさまざまありますけれども、今までのところ、どうしても形ばかりになってしまいます。しかしながら、これをもっともっと実質的にして予算案をお互いぶつけ合う、こういう中身のある予算委員会にこれからもしていきたいということを感じておりますので、ぜひとも、政府・与党、野党、力を合わせてそういった充実した委員会審議になることをお願いというか要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹下委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十八年度予算三案に対する質疑は全て終局いたしました。

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竹下委員長 ただいままでに、民主・維新・無所属クラブ西村智奈美君外二名から、また日本共産党高橋千鶴子君外一名から、またおおさか維新の会松浪健太君から、それぞれ、平成二十八年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、各動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。西村智奈美さん。

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 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

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西村(智)委員 私は、民主・維新・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提案の平成二十八年度予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。

 予算委員会のこれまでの審議においても、アベノミクスが失敗していることは明白になりました。実質賃金は低下し、消費は振るわず、経済は低迷を続けています。今こそ、経済政策の転換が必須です。持続的な経済成長に不可欠なものは人材であり、人々の持つ能力を最大限発揮できるようにするため、格差是正、人への投資に係る予算を重視すべきです。

 なお、昨今、当初予算の財政的なつじつま合わせのために、補正予算に問題の多い事業が押し込まれる傾向が強く、一体的に見ていく必要が高まっていることも指摘しておかなければなりません。民主党・維新の党は、平成二十七年度補正予算においては、我が国財政の現状等も勘案し、約八千億円の国債発行減額を求めたところです。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、格差是正、人への投資に予算を振り向けます。

 具体的には、中小企業正規雇用促進のための社会保険料負担軽減、年収の低い世帯の若者に対する奨学金の拡充、返済不要の給付型奨学金の創設、児童扶養手当の支給対象年齢の引き上げ、多子加算の一律一万円への増額、三十五人以下学級の拡充、介護・障害福祉従事者、保育士等の給与の引き上げを実施するための費用を計上いたします。

 第二に、水膨れ予算を減額いたします。

 平成二十七年度補正予算額と平成二十八年度当初予算額の合計が平成二十八年度概算要求額を超える事業が数多く存在いたします。現下の厳しい財政状況の中で、不要不急と思われる事業に過度な予算配分を行うことは不適当であり、災害復旧復興関係予算を除き、精査の上、原則、概算要求額まで減額すべきです。

 第三に、一括交付金を復活させるとともに、見合いの交付金、補助金を廃止、縮減いたします。

 民主党政権下で導入した一括交付金は、霞が関支配、政官業の癒着の温床とされてきたひもつき補助金から地方自治体にとって自由度が高く、創意工夫を生かしやすい交付金にかえることで地域の知恵を最大限に発揮できる仕組みを導入するものでした。しかし、安倍政権になると、即座に一括交付金は廃止され、霞が関支配が復活しました。そこで、平成二十四年度の一括交付金の財源となっていた事業に関係する補助金、交付金を廃止、縮減し、一括交付金を復活させます。

 第四に、農業者戸別所得補償制度を復活させるとともに、その財源として交付金等を廃止いたします。

 民主党政権下で実施した農業者戸別所得補償制度は、再生産可能な農家所得を保障し、農業経営の安定を図り、営農が継続されることを通じて、多面的な機能の維持を図るものでした。しかし、安倍政権は、農業者戸別所得補償制度を縮減、廃止し、農業土木復活の方向にかじを切り、日本の農業の根幹を崩し始めています。そこで、大規模農家に偏った平成二十八年度予算の交付金等を廃止し、農業者戸別所得補償制度を復活させます。

 以上が、民主・維新・無所属クラブの編成替え案の概要であります。

 何とぞ私どもの動議に各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、提案理由説明といたします。(拍手)

竹下委員長 次に、藤野保史君。

    ―――――――――――――

 二〇一六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

藤野委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一六年度政府予算三案につき、政府がこれを撤回のうえ編成替えを求める動議について、提出理由及び概要を説明します。

 安倍内閣の三年間で、大企業の利益は大幅にふえましたが、国民の暮らし、中小業者の経営はますます苦しくなっています。二〇一四年度は、戦後七回の景気後退期の中で初めて、大企業は史上最高益を更新しましたが、実質GDPはマイナスに落ち込みました。大企業を応援すれば日本経済もよくなるというトリクルダウン政策は完全に破綻しています。

 日本の相対的貧困率は年を追うごとに悪化し、一人親家庭の貧困率は五四・六%と、OECD加盟国中最悪です。貧困と格差をなくしていくことは、憲法二十五条の要請であるとともに、個人消費という日本経済最大のエンジンを暖め、経済の好循環を生み出すことにもつながります。この立場で、二〇一六年度予算案を抜本的に組み替えることを求めます。

 次に、編成替えの概要について、主な点を説明します。

 第一に、総額四・五兆円、一世帯当たり六万二千円もの負担増となる消費税率一〇%への増税は直ちに中止します。

 軽減税率は、将来、国民にさらなる増税を押しつけるための布石にほかなりません。法人実効税率引き下げなどの大企業減税は、既に異常な規模に達している内部留保をさらに積み増すだけの愚策であり、直ちに中止します。能力に応じて負担するという当たり前の税の原則に立ち返り、財源を生み出します。

 第二に、社会保障の自然増を抑え込む改革工程表を撤回し、社会保障の切り捨てから拡充に転換します。

 家族の介護負担を一層重くする利用料の引き上げ、介護報酬の削減などを中止します。高齢者医療の窓口負担増、年金の削減、生活保護における生活扶助、住宅扶助、冬季加算の削減など、国民の命を脅かす社会保障の切り捨てをやめ、安心、安全の社会保障制度をつくります。

 第三に、賃上げを進め、人間らしく働けるルールを確立します。

 中小業者への支援とあわせて、最低賃金を抜本的に引き上げます。異常な長時間労働を是正し、ブラック企業を規制して、働く人が大切にされる環境をつくります。

 第四に、教育、子育て支援を充実し、子供の貧困打開に道を開きます。

 削減されてきた運営費交付金をもとに戻し、私学助成とともに大学の基盤的経費の拡充を図ります。子供の医療費無料化、認可保育所や学童保育の増設などとあわせて、子育て世代の雇用環境、生活基盤を改善します。

 第五に、農林漁業に大打撃を与えるTPPから直ちに撤退し、農業、中小零細業者など地域経済への支援を強めます。

 TPP協定発効を前提とした農業の大規模化、競争力強化一辺倒の施策をやめ、多様な家族経営が生き生きと役割を発揮できる予算に転換します。

 第六に、被災地の生活となりわいの再建に向けた取り組みを強化します。

 震災から五年、いまだ十七万四千人もの方々が仮設住宅などでの生活を余儀なくされています。五年間の集中復興期間が終わったなどといって国が支援の縮小、打ち切りを行うことなど、到底許されません。生活となりわいの再建、被災地の復興に国が最後まで責任を負うことを基本原則に据え、被災者支援を抜本的に強化します。

 破綻した高速増殖炉「もんじゅ」や六ケ所村再処理工場などの核燃料サイクル計画から撤退します。原発立地自治体を再稼働へ誘導するための交付金制度の改悪を中止します。国民の多くが反対している原発の再稼働と輸出をやめ、再生可能エネルギーを加速的に普及します。

 第七に、思いやり予算など五兆円を超える軍事費を大幅に削減し、沖縄・辺野古への米軍新基地建設を撤回します。

 安保法制、戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回します。

 以上、編成替えの内容は、お手元配付の文書のとおりです。

 委員各位の御賛同をお願いし、趣旨の説明を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹下委員長 次に、松浪健太君。

    ―――――――――――――

 平成二十八年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

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松浪委員 私は、おおさか維新の会を代表して、平成二十八年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議につき、趣旨説明を行います。

 まず、編成替えの理由について説明いたします。

 政府予算案には、時間をかけても均衡財政を目指すという姿勢が全く見えません。景気対策と称して歳出規模を大きくすれば、それだけで成長に資するという旧来の考え方で編成された予算であります。これは、過去の自民党政権の数十年にわたる財政運営と思考を一にするものであり、民主党政権でも、その過ちは正されることはありませんでした。

 我々おおさか維新の会は、小さな行政機構の実現を目指しており、民間経済を伸ばすための成長戦略を重視しております。この成長戦略には必ずしも税金をつぎ込む必要はありません。民間の経済を生き生きと発展させるためには、むしろ予算の無駄を省き、民間でできることは民間に任せることを大原則とすべきです。

 また、財政再建のためにも、増税の前に身を切る改革を行い、無駄な歳出の削減を優先させるべきです。我々は、政府が歳出削減の努力もなしに、安易に消費税増税に頼る財政運営を行うことには反対です。諸外国での財政再建の成功例を見ても、増税よりも歳出削減を先行させています。財政再建に当たっては、あくまで歳出削減を最優先で行うべきであります。

 以上のように、経済成長と財政再建の両面から歳出削減を行うべきと考え、各府省の個別事業の徹底的な精査に基づき、削減可能額を積み上げた結果、総額一兆二千億円以上につき、予算化の必要はないと判断いたしました。

 なお、この編成替え動議には、我が党が本当に行いたい政策である将来世代や真の弱者への徹底的な支援は、あえて盛り込んでおりません。我々が歳出削減で最重要視している公務員人件費の大幅な削減についても、あえて盛り込んでおりません。これらの政策は今回の動議以外の方法で実現を目指すこととして、今回はあくまで、個別事業の精査に基づいて、政府がその気になれば削ることができるような現実的な項目のみを並べることとしています。

 以上の理由から、平成二十八年度予算三案を撤回し、編成替えを行うことを求めます。

 次に、編成替えの概要について申し上げます。

 歳出面については、内閣府所管の予算から千五百八十三億円、総務省所管の予算から五十五億円、文部科学省所管の予算から九百二億円、厚生労働省所管の予算から四千四十億円、農林水産省所管の予算から八百八億円、経済産業省所管の予算から千六百四十九億円、国土交通省所管の予算から二千二百四十六億円、環境省所管の予算から七百九十三億円を削減し、総額で一兆二千七十六億円につき、歳出を削減します。

 歳入面については、歳出の編成替えで捻出される一兆二千七十六億円を国債発行の減額に充てることとしています。これにより、平成二十八年度予算の公債金収入は、三十四兆四千三百二十億円から三十三兆二千二百四十四億円となります。

 上記編成替えを行うことにより、一般会計の歳入歳出総額は九十五兆五千百四十二億円となります。

 以上が、おおさか維新の会の組み替え案の概要です。

 何とぞ我々の動議に委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げ、提案理由の説明といたします。

竹下委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

竹下委員長 これより討論に入ります。

 平成二十八年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 自由民主党の鈴木馨祐です。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算、以上三案に対しまして、賛成の討論を行います。

 平成二十八年度予算は、これまでのアベノミクスの成果の上に、今後も経済再生と財政健全化を両立させていくための予算です。

 以下、賛成する主な理由を申し述べます。

 第一の理由は、政府が我が国の重要課題に対応した予算となっている点です。

 まず、民需主導の好循環、強い経済の実現に向けた施策が講じられ、かつ、一億総活躍社会の実現に向け、希望出生率一・八、介護離職ゼロに資する施策が重点的、効果的に盛り込まれています。

 また、公共事業関係費を事前防災・減災対策の充実や老朽化対策に重点化し、復興のステージに応じた課題に対応した復興の加速化を進めるための措置が講じられています。

 さらに、ことし日本は、G7サミットの開催国として、また安保理の非常任理事国として世界の中で大きな役割を果たすことが期待されています。地球儀を俯瞰する外交を一層積極的に展開するため外交予算を充実し、また、防衛関係費についても、中期防に基づき必要な手当てを行っております。

 このほか、地方創生の本格展開、攻めの農林水産業への転換など、さまざまな分野において日本の重要課題への対応に重点化されています。

 第二の理由は、必要な施策を講じつつ、財政再建を両立させる予算となっていることです。

 一般歳出の伸びはプラス四千七百億円と、高齢化の加速の中にあって、経済・財政再生計画の目安に沿って抑制されております。公債発行額についても前年度から二・四兆円減額し、計画の初年度にふさわしい予算に仕上がっており、二〇二〇年度の基礎的財政収支黒字化に向けた重要な一歩を踏み出すものと考えております。

 以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げます。

 なお、民主・維新・無所属クラブ、日本共産党、おおさか維新の会提出の編成替え動議につきましては、いずれも見解を異にするため反対することを申し述べまして、私の賛成の討論といたします。(拍手)

竹下委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪です。

 私は、民主・維新・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の平成二十八年度予算三案について反対、民主・維新・無所属クラブ提出の動議に賛成の立場から討論をいたします。

 初めに、本予算案は過去最大の九十六兆七千二百十八億円のもので、なぜそれも四年間も連続で増額なのか、将来世代へ負担をツケ回さない財政規律の観点から適切に組まれているのか、本当に国民の皆様の生活の質の向上につながるのか、そしてそれを次代に責任ある政治へどうつなげていくのか、こういった観点からさまざまな角度で真摯に議論を行うべきものでございました。

 しかし、冒頭より、口きき疑惑を持たれた大臣の問題、所管分野にもかかわらず理解不能な答弁を繰り返し、知識が欠けていると言わざるを得ない大臣の問題、国民の知る権利をどう考えているのか全く理解に苦しむ、マスコミを萎縮させる答弁を平然とする大臣の問題など、安倍内閣の資質には余りにも難があるということが次々に発覚いたしました。

 にもかかわらず、この問題の解決に指導力を発揮すべき安倍総理は、数の力におごり、中身のない引き延ばし答弁で逃げ切ろうという姿勢を随所に見せ、政策議論にも、また同じでした。

 これでは予算の中身以前の問題で、本日こういう形で採決に入ることは極めて残念なことだと言わざるを得ません。

 それでも我々は、粘り強く問いただす中で、一億総活躍の看板は、中身を見れば旧態依然とした予算であることを明らかにしましたが、実質賃金、実質経済成長率の低迷などアベノミクスの失敗がどんどんと顕在化する中、予算編成を根底から変えねば、もはや、次代にビジョンと責任のある日本の国づくり、地域づくりはおろか、短期的な景気回復さえ望めないと考えています。

 以下、本予算の反対理由、我々の考え方を具体的に申し述べます。

 第一に、格差是正の視点に欠けています。我々の動議は、格差を是正し、人々の持つ能力を最大限発揮するようにする第一歩となるものです。

 第二に、安倍政権は、地域再生の前に余りにも実態とかけ離れ、無策です。我々の動議は、地域の知恵を最大限に発揮できるよう一括交付金を復活させる点で、地域再生の起爆剤とするものです。

 第三に、安倍政権の農政は、時代おくれの農業土木復活にかじを切りつつあります。我々の動議は、農業者戸別所得補償制度というセーフティーネットをつくり、日本の農業を競争力と魅力あるものに変える一里塚とするものです。

 最後に、我々は改革勢力の結集を図り、次代に責任ある立場からビジョンある新しいこの国の形づくりを行っていくことを国民の皆様方にお誓い申し上げ、私の反対討論といたします。

 なお、共産党並びにおおさか維新の会提出の動議については、見解を異にするため、賛成いたしかねます。

 ありがとうございました。(拍手)

竹下委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました平成二十八年度予算三案に対し、賛成の立場から討論いたします。

 討論に入る前に、冒頭、一言申し上げます。

 二月二十二日の予算委員会において、民主党、中根康浩議員により、URの情報開示に関し、疑惑隠しだなどと、何の根拠もない、看過しがたい誹謗中傷がありました。中根議員の発言は極めて遺憾であります。翌日の理事会の席上より謝罪と撤回を求めてきましたが、本日まで誠意ある回答がないことは民主党の見識を疑うものであります。改めて厳重に抗議するとともに、謝罪と発言の撤回、議事録の削除を強く求めます。

 以下、予算案に賛成する主な理由を申し述べます。

 第一に、一億総活躍社会を実現するための予算であることです。

 本予算案は、公明党の主張も踏まえ、希望出生率一・八、介護離職ゼロに向け、重点的に配分されています。出産から子育てまでの切れ目ない支援が充実するとともに、介護人材を確保し、在宅サービスを充実するほか、介護休業給付の給付率を引き上げることとしています。

 第二に、安倍政権が目指す経済の好循環の実現を後押しする予算であることです。

 中小企業の生産性向上を支援し、賃金や最低賃金の引き上げを期待します。

 第三に、東日本大震災からの復興を加速化する予算であることです。

 特に、原子力災害からの復興再生に向け、福島イノベーション・コースト構想の具体化、除染、中間貯蔵施設の整備を着実に進めます。

 また、本予算案は、経済再生、財政健全化を両立する予算となっております。

 以上、賛成する主な理由を述べました。

 なお、民主・維新・無所属クラブ、日本共産党、おおさか維新の会提出の組み替え動議については、認識を異にするため、反対いたします。

 一億総活躍社会の実現、経済の好循環に向け、本予算案の一日も早い成立と執行を望み、私の賛成討論といたします。(拍手)

竹下委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 私は、日本共産党提出の二〇一六年度予算組み替え動議に賛成、政府提出の二〇一六年度予算外二案に反対の立場から討論を行います。

 初めに、甘利前大臣の口きき疑惑について一言いたします。

 疑惑の解明は全く進んでおらず、甘利氏と関係者の証人喚問を強く要求します。繰り返される政治と金問題を根本的に解決するため、パーティー券を含め、企業・団体献金の全面禁止を行うべきです。

 以下、政府提出の予算案に反対する理由を述べます。

 第一に、本予算案が、来年四月からの消費税一〇%を前提にしていることです。

 政府でさえ、国民一人当たり年間二万七千円、一世帯当たり六万二千円もの大増税となると認めています。しかも、政府は将来の引き上げも否定しておらず、軽減税率はさらなる増税の布石にほかなりません。消費税一〇%増税はきっぱり中止すべきです。

 政府が昨年出した改革工程表に基づき社会保障自然増は半減以下とされ、高齢者医療の窓口負担増、生活保護のさらなる削減など、国民の命を脅かす負担増と給付減の全面改悪です。

 国民には大増税と社会保障削減を押しつけながら、史上最高の利益を上げ、内部留保をため込む黒字大企業には、法人実効税率の引き下げで一・六兆円もの大減税を行うなど、全く道理がありません。

 第二に、地方創生を口にしながら、地域社会と地方経済を支える農林漁業に大打撃を与えるTPPを進めようとしていることです。加えて、地方交付税が削減される新たな仕組みなどが導入されることも重大です。

 第三に、東日本大震災五年目を迎え、被災者の生活となりわいの再建が急務であるにもかかわらず、被災者生活再建支援金の増額に背を向けていることです。今なお多くの被災者が故郷に戻れない中で原発を再稼働するなど、福島県民の心を踏みにじるにもほどがあります。

 第四は、安保法制、戦争法を推進し、一層対米従属を進める軍拡予算となっている点です。改定PKO法のもと、自衛隊が武力行使する可能性について政府は明確に否定しませんでした。憲法九条が禁止した武力の行使へ踏み出すおそれがあります。

 思いやり予算の増加にとどまらず、さらなる今後の支出も盛り込まれました。軍事費は五兆円を超え、後年度負担を拡大し、中期防衛力整備計画をも大きく上回るペースです。政府は、辺野古への新基地建設も強行しようとしています。民意を無視する安倍政権の姿勢は、到底許されません。

 なお、この際、民主・維新・無所属クラブによる編成替え動議について一言します。

 貧困と格差を是正する点で、部分的ではありますが、返済不要の給付型奨学金の創設、介護・障害福祉従事者、保育士等の給与の引き上げなどは必要なことであり、賛成を表明するものです。

 以上で私の討論を終わります。(拍手)

竹下委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史です。

 私は、我が党を代表して、平成二十八年度予算案三案に反対の立場から討論をいたします。

 この予算案では、経済成長の実現にも、将来の財政再建にも道筋が見えません。身を切る改革も無駄の削減もなしに、歳出の規模ばかり大きくして、それを将来の消費増税で賄おうという姿勢がはっきりしているからです。

 この三年間、補正と合わせて百兆円規模の予算が組まれてきましたが、GDPを力強く成長させるに至っておりません。歳出だけをふやせば景気がよくなるという発想からは決別すべきです。経済成長のためには、むしろ予算の無駄を省き、既得権への硬直的な支出をやめて競争を促し、民間でできることは民間に、地方でできることは地方に任せていくことが必要であります。

 財政再建のためにも、増税の前に身を切る改革を行い、無駄な歳出の削減を最優先させるべきです。諸外国での財政再建の成功例を見ても、増税よりも歳出削減を先行させています。安倍政権は、歳出削減の努力もなしに歳出規模を膨らませ、そのつじつま合わせに安易に消費増税に頼り過ぎています。消費増税は、景気への悪影響を通じて、財政再建もおくらせてしまいます。この点は、二月二十六日の菅官房長官の記者会見を拝見する限り、政府内でも理解されていると思っております。

 以上のような考え方のもと、我が党は、予算委員会に予算の編成替え動議を提出いたしました。各府省の個別事業の精査に基づき、削減可能額を積み上げ、総額一兆二千七十六億円を削減の上、その全てを来年度国債発行の減額に充てる形の動議といたしました。我々の主張である公務員人件費削減や教育の完全無償化はあえて盛り込まず、政府がその気になれば削ることができるような現実的な項目を並べています。

 我々は、提案型責任政党として、予算案についても、ただ形だけ編成替え動議を提出して反対するという従来型のやり方ではなく、実現可能な案の提示で来年度予算を少しでもよいものにしたいと本気で考えて、このような動議とした次第です。

 予算委員会での質疑では、再来年度の予算案において総理が我々の掲げた歳出削減に賛成されるのなら、おおさか維新の会は来年度予算案に賛成し、我々の動議に総理が反対されるなら反対する旨を述べた上で、総理にお考えを伺いました。しかし、残念ながら、総理からは賛成のお答えは得られませんでした。

 このため、我が党は平成二十八年度政府予算案に反対いたします。

 以上。(拍手)

竹下委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 私は、改革結集の会を代表して、平成二十八年度予算三案に対して反対討論を行います。

 私たちは、現在の自民党一強の国会情勢で、政府・与党の意向のみで重要な物事が決まっていく状況、世の中の、草の根の声なき声が全く政治に届かない、この極めて不健全な日本政治の状況を変えるため、自民党に対抗できる改革政治勢力を結集することを第一義としています。

 改革結集の四本の旗印、人口問題、消費税増税は凍結、憲法改正、原発ゼロを目指す環境・エネルギー先進国日本を掲げています。

 自民党一強状態は与党の緩みを招き、既得権益を持つ業界団体等の要望全てに応える自民党型システムは、民主主義の悪弊の一面である予算膨張に拍車をかけます。

 先般の補正予算に盛り込まれた高齢者千百万人への三万円ばらまきという絵に描いたような選挙対策予算と同様、当初予算においても、どんな予算も、野党からどんなまともな指摘があっても、野党の意見には建設的観点もある、傾聴に値すると言いつつ、平気で数の論理で原案を通していく与党の暴走が目に余ります。

 予算審議において野党の政策提言を取り入れる姿勢がないのは、社会の少数者の意見、草の根の声なき声を切り捨てることにほかなりません。

 昨年十月から十二月期の四半期GDP、日経平均株価、実質家計最終消費、いずれも前回の消費増税延期判断時以上に悪いと言え、日銀はついにマイナス金利を導入するに至りました。消費税の税率を上げても、税収がふえなければ意味がなく、リーマン・ショック並みの世界経済の混迷がなくとも、消費税増税できる状態にはないと考えます。

 地域の草の根経済の再生を図るため、大企業中心にしか収益が上がっていないアベノミクス政策を根本的に見直し、中小企業の収益が上がりやすい経済政策、構造改革を図る必要があります。

 また、定数削減を初めとした身を切る改革は、増税判断以前の当然の理です。現在議論されている衆議院の定数是正は即実施が当たり前。加えて、今般の甘利前大臣の事件を機に、企業・団体献金の廃止、個人献金の充実、文書通信費の公開に全国会議員を挙げて取り組むべきです。

 以上申し述べましたとおり、平成二十八年度予算三案については、現下のゆがんだ政治構造、経済情勢のもと、身を切る改革と財政再建の観点も不十分と判断し、反対いたします。

 なお、おおさか維新の会提出の組み替え動議については、私たちが一貫して主張してきた増税前に身を切る改革と財政再建という基本姿勢を貫くものであり、賛成いたします。

 民主・維新・無所属クラブ並びに日本共産党提出の動議については、見解を異にする部分があるため、反対いたします。

 改革結集の会は、今後も、改革勢力を結集して、自民党政治には絶対できない地方分権、道州制を初めとした統治機構改革、しがらみのない改革を実現していきたいと考えております。

 以上で反対討論を終わります。(拍手)

竹下委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹下委員長 これより採決に入ります。

 まず、高橋千鶴子君外一名提出の平成二十八年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹下委員長 起立少数。よって、高橋千鶴子君外一名提出の動議は否決されました。

 次に、西村智奈美君外二名提出の平成二十八年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹下委員長 起立少数。よって、西村智奈美君外二名提出の動議は否決されました。

 次に、松浪健太君提出の平成二十八年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹下委員長 起立少数。よって、松浪健太君提出の動議は否決されました。

 次に、平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算、平成二十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹下委員長 起立多数。よって、平成二十八年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十八年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹下委員長 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 去る二月二日の審議開始以来、さまざまなことがございましたが、委員各位には終始真剣な議論を重ねていただき、本日ここに審査を終了いたしました。

 これもひとえに各党の理事並びに委員各位の御理解と御協力のたまものと存じます。ここに深く感謝の意を表する次第でございます。ありがとうございました。(拍手)

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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