衆議院

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第13号 平成20年3月19日(水曜日)

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平成二十年三月十九日(水曜日)

    正午開議

 出席委員

   委員長 笹川  堯君

   理事 小此木八郎君 理事 根本  匠君

   理事 吉田六左エ門君 理事 竹下  亘君

   理事 三ッ林隆志君 理事 金子 恭之君

   理事 川端 達夫君 理事 仙谷 由人君

   理事 石田 祝稔君

      井澤 京子君    井脇ノブ子君

      越智 隆雄君    大塚 高司君

      亀岡 偉民君    清水清一朗君

      中森ふくよ君    御法川信英君

      若宮 健嗣君    小川 淳也君

      三日月大造君    谷口 和史君

      佐々木憲昭君    保坂 展人君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議長           河野 洋平君

   副議長          横路 孝弘君

   事務総長         駒崎 義弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     中森ふくよ君

  奥野 信亮君     越智 隆雄君

  藤井 勇治君     井澤 京子君

  保坂 展人君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     藤井 勇治君

  越智 隆雄君     奥野 信亮君

  中森ふくよ君     あかま二郎君

  日森 文尋君     保坂 展人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本銀行総裁及び同副総裁任命につき同意を求めるの件

 本日の本会議の議事等に関する件


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 まず、日本銀行総裁及び同副総裁任命につき同意を求めるの件についてでありますが、同総裁及び同副総裁に、お手元の印刷物にあります両君を任命するについて、内閣から本院の同意を求めてまいっております。

    ―――――――――――――

 一、日本銀行総裁及び同副総裁任命につき同意を求めるの件

   総 裁 田波 耕治君 福井俊彦君三、一九任期満了につきその後任

   副総裁 西村 清彦君 岩田一政君三、一九任期満了につきその後任

    ―――――――――――――

笹川委員長 この際、発言を求められておりますので、順次これを許します。根本匠君。

根本委員 自由民主党の根本匠です。

 今回の同意人事について、意見を述べます。

 現在、内外の金融市場は、サブプライム問題に端を発し、混乱のただ中にあり、我が国市場においても急激な円高、株安が進行しております。日銀総裁は金融政策の司令塔であり、こうした不安定な経済状況においては、一日の空白たりとも許されるものではありません。

 今回政府が提示した田波耕治氏は、国際協力銀行総裁を務め、豊富な国際経験を有する人物であります。また、内閣内政審議室長、大蔵事務次官を歴任し、特に、次官在任中には、戦後最悪と言われた不況と山一証券破綻に端を発する金融システム不安の解消に手腕を発揮されました。まさに今の時期における日銀総裁として適任であります。

 いわゆる財金分離の観点から、元大蔵次官の田波氏は日銀総裁として不適格であるとの主張があります。

 しかし、日本銀行の独立性は、日銀法上、金融政策の決定を合議制の機関である政策委員会にゆだねることで、制度的に担保されております。諸外国でも、財務当局経験者が中央銀行総裁に就任する例は少なくありません。

 昨日の所信聴取において、田波氏は、国民や市場との対話を十分に行い、日本銀行法改正によって高められた金融政策の独立性と透明性を確保し、国民の皆様に信認いただけるよう努めたいという決意を明確に示されました。

 したがって、財務省出身であるというだけではなから不同意とすることは、到底納得できるものではありません。

 国会の同意人事案件は、内閣の行政権の行使であります。三権分立及び議院内閣制の趣旨からすれば、法案や条約の審査、総理の指名といった立法府本来の機能とは異なり、国会の役割は行政の監視にすぎません。したがって、人事案件の不同意は、政府の人事権の濫用を防ぐためにやむを得ない場合にのみ行われるべきであります。そもそも、国会同意人事は、従来から、総理指名と異なって政治的要素を含まないとされてきた経緯もあり、政略にゆだねられるべきものではありません。

 日銀総裁の人事は、出身母体や経歴にとらわれず、中央銀行の司令塔として職責を全うし得る人物か否かという観点から行うべきであります。総裁候補である田波氏の人物を虚心坦懐に見詰め、現時点においてどういう判断を行うことが国益にかなうかを冷静に判断され、同意されんことを望みます。

笹川委員長 小川淳也君。

小川(淳)委員 ただいま議題となりました国家公務員の任命につき同意を求めるの件について、意見を申し述べます。

 まず、日本銀行総裁及び副総裁の任期満了が本日に迫る中、今月七日に至るまで最初の候補者すら提示しなかったこれまでの政府の姿勢に対し、強い抗議と懸念の意を表明いたします。

 同時に、期限がきわまって候補者を提示したことが今回の混乱の原因であるにもかかわらず、ポストの空席等の責任が野党にありと言わんばかりの政府・与党内の声は大変遺憾であり、国会での十分な議論を確保せず、みずからの人事案を押し通すことが当たり前であるかの旧来型の発想に猛省を促したいと思います。

 その上で、日本銀行総裁及び副総裁のあり方について、我が党の考え方を申し上げます。

 言うまでもなく、日本銀行には高度な独立性が保障され、通貨価値の安定を至上命題とする機関であります。しかし、現在、国、地方合わせて七百七十兆円に上る巨額の長期債務の存在は、ともすれば国家財政の都合により金融政策にゆがみが生じかねない、また国民の側から見てそのような疑念を生じかねないことは周知の事実でございます。

 現に、八五年のプラザ合意以降、超金融緩和政策がとられ、その後のバブル経済とその崩壊、さらに、その後連なる異常なまでの超低金利政策、加えて、日銀による多額の国債買い入れ、この一連の経過は大いに教訓とすべき歴史的事実であり、今なおその背景に大きな変わりはないのであります。

 したがって、日銀総裁には、第一に、国家財政からの十分な独立性を保ち、国民生活の目線に立った金融判断、金融政策の実行力を備えていただかなければなりません。また、それを期待できる環境を整えることが私たちの使命であります。

 同時に、金融政策のかじ取りをする者として、過去の金融政策を正しく総括し、経済の現状について的確な認識を持つ必要があり、バブルを挟んだ一連の財政金融政策を単に正当化したり、その弊害を省みない姿勢では、日銀トップとしてふさわしくないと考えます。

 さらに、米国サブプライムローン問題をきっかけに世界の金融市場が混乱する中、次期日銀総裁には、豊かな国際性、具体的には海外の中央銀行や国際金融機関関係者との豊富なネットワークを蓄積してこられた実績が望まれます。

 以上の観点から、特に総裁候補田波耕治君について申し上げれば、第一に、かつて国家財政の事務方のトップにあった者であり、知見や人脈を察するに、国家財政からの独立性を十分に担保することは難しいと判断されること。第二に、同氏は、拓銀や山一証券そして長信銀の破綻が続いた、まさに大蔵省による長年の金融政策の失敗が一気に噴出した未曾有の金融危機、しかもそれがピークに達した一九九八年当時のまさに大蔵事務次官であり、今なおその責めを免れるものではないと考えられること。最後に、官僚時代のキャリアを通じて金融実務の経験はいささか乏しいと言わざるを得ず、海外の中央銀行や金融機関関係者とのネットワークも必ずしも十分とは言えないこと。以上の観点から、田波耕治君の総裁就任には懸念すべき点が多く、反対すべきと考えます。

 同時に、今回の政策論議を一つのきっかけとして、長年当たり前のように続いてきた、大蔵事務次官経験者と日銀出身者が交互に総裁ポストをたらい回しにする、いわゆるたすきがけ人事の慣行に一石を投ずべきことを、あわせて主張いたします。

 最後に、日銀総裁の長期空席を回避すべきは当然であり、福田内閣には、速やかに新たな人事案を提示することを強く要請し、意見の表明とさせていただきます。

笹川委員長 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日銀総裁、副総裁の同意人事について意見を述べます。

 日銀は、通貨・金融政策の最高の意思決定機関であり、総裁、副総裁は、金融に関する専門的知識を備えることは当然ですが、国民的視点に立ち、一定の自主性、機動性を持った政策判断ができる人物でなければなりません。

 政府提出の人事案にはそのような視点が十分ではなく、二度も財務省の事務次官経験者を提案し、それをのむよう求めてきました。その姿勢に根本的な疑問を持たざるを得ません。

 田波氏は、一九九八年、金融機関の不良債権処理のために三十兆円を超える公的資金の投入のスキームをつくったときの事務次官です。

 その後、資金注入枠を拡大し、総額三十五兆円超の公的資金を投入し、十兆円以上が戻らなかったのであります。さらに、不良債権処理を加速させ信金、信組を中心とする金融機関の統廃合を促進し、その利用者である中小零細業者を倒産、廃業に追い込み、国民生活と日本経済に重大な被害をもたらしました。

 昨日の聴聞会で私は、血税を使わず、銀行業界全体の負担と責任で危機に陥った銀行を支援すべきではなかったかと問いました。しかし、田波氏は、不良債権が大きくなり過ぎたのでやむを得なかったという答弁で、反省がありませんでした。

 また、田波氏は、バブルを発生させたプラザ合意後の日銀の超低金利政策を肯定的に評価するなど、国民生活への犠牲を軽視しており、対米追従姿勢についても批判的姿勢がありません。

 田波氏は、武藤氏と同様、大蔵省の事務方のトップとしてやってきた国民犠牲の政策に全く反省がありませんでした。このような方が国民経済の健全な発展を責務とする日銀総裁にふさわしくないことは明白であります。

 西村氏は、二〇〇五年三月から日銀政策委員会審議委員に任命されましたが、任命後は、それまでとっていた日銀の超低金利政策に対する批判的な発言は見られません。むしろ、超低金利政策と量的緩和政策の継続を合理化する発言が目立ちます。

 金融政策決定会合でも福井総裁らにすべて同調しており、当初国民が西村氏に期待した役割を果たしているとは言えません。したがって、西村氏の副総裁任命には賛成しがたいものがあります。

 以上です。

笹川委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 日銀総裁、副総裁人事について、一言発言を行います。

 福田内閣は、最後の最後まで日銀人事を決定するのは財務省と信じ込んでいるのではありませんか。総裁任期ぎりぎりまで続いたこの迷走は、参議院で与野党逆転していることも踏まえて、野党の同意できる候補を提案するのが総裁空席を避ける唯一の選択肢でした。しかし、世界的な経済危機、円高、株安が国内でも急激に進展する中で、何事よりも省益を優先する財務省の総裁人事への強いこだわりと一体化し、武藤候補に執心したあげく、再び財務省肝いりの事務次官経験者の総裁候補案を出してきました。

 田波耕治君については、事務次官就任前の内政審議室長の時代に、連立与党内で協議が続いていた財政と金融の分離をめぐって、大蔵省を代表した抵抗が続いていたことを思い起こします。行革会議を取り仕切り、財金分離を棚上げしたのではないかと質問しましたが、委員の決めることなので、事務方の私が財金分離を進めたとは必ずしも言えないと答えるのみで、率直な回答はありませんでした。

 昨日、田波候補の所信を聞いていて、先週の武藤候補の所信を思い出しました。会議録のごく一部をたどってみます。

 金融政策の運営に当たりましては、透明性の向上と国民、市場とのコミュニケーションが極めて重要であると認識しております。このような考えのもとで、国民の皆様の信認をいただくよう努め、日本銀行の独立性をしっかりと確保してまいりたいと思っております。

  また、金融市場や金融システムの安定を図っていくことは、日本銀行の重要な役割であります。

もう一つ。

 国民や市場との対話を十二分に行うことを通じまして、日本銀行法改正によって高められた金融政策の独立性と透明性を確保し、国民の皆様に信認いただけるように努めたいと思います。

  日本銀行にとりまして、金融市場と金融システムの安定を図ることも大きな役割であります。

どちらが武藤氏で、どちらが田波氏か、おわかりでしょうか。前者が武藤氏、後者が田波氏です。会議録を突き合わせて読むと、財務省事務次官経験者は国内外の金融情勢を同一の視点、価値軸で見るとはいっても、文章構成上そっくりで、もとはといえば同一原稿ではなかったのかという感想を持ちます。財務官僚が原稿を準備しているとは思いたくありませんが、なぜこんなことが起きるのでしょうか。

 日本銀行とは、国際協力銀行同様に、旧大蔵、財務官僚の天下り先という感覚がぬぐえません。到底同意できる人選ではありません。

 西村候補については、審議会委員としての実績と識見を踏まえて同意いたします。

 一日も早く与野党合意のできる日銀総裁が決まることを望んで、私の意見表明といたします。

笹川委員長 それでは、本件は、本日の本会議において議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 次に、本日の本会議の議事について、事務総長の説明を求めます。

駒崎事務総長 日本銀行総裁及び同副総裁任命につき同意を求めるの件についてお諮りをいたします。採決は二回になりますが、順序は印刷物のとおりであります。

 本日の議事は、以上でございます。

    ―――――――――――――

 一、日本銀行総裁及び同副総裁任命につき同意を求めるの件

   総 裁 田波 耕治君

           反対 民主、共産、社民

   副総裁 西村 清彦君

                 反対 共産

    ―――――――――――――

笹川委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時二十分予鈴、午後零時三十分から開会いたします。

    ―――――――――――――

笹川委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、来る二十五日火曜日午後一時から開会することといたします。

 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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