衆議院

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第19号 平成21年3月18日(水曜日)

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平成二十一年三月十八日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小坂 憲次君

   理事 小此木八郎君 理事 今井  宏君

   理事 平沢 勝栄君 理事 渡辺 博道君

   理事 高木  毅君 理事 小野寺五典君

   理事 玄葉光一郎君 理事 渡辺  周君

   理事 遠藤 乙彦君

      あかま二郎君    井脇ノブ子君

      浮島 敏男君    大塚 高司君

      奥野 信亮君    清水清一朗君

      谷  公一君    藤井 勇治君

      若宮 健嗣君    小川 淳也君

      近藤 洋介君    横光 克彦君

      伊藤  渉君    佐々木憲昭君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議長           河野 洋平君

   副議長          横路 孝弘君

   事務総長         駒崎 義弘君

   参考人

   (人事官候補者(日本司法支援センター理事)) 篠塚 英子君

   参考人

   (検査官候補者(会計検査院事務総長)) 重松 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     浮島 敏男君

  近藤 洋介君     小川 淳也君

  高山 智司君     横光 克彦君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     亀岡 偉民君

  小川 淳也君     近藤 洋介君

  横光 克彦君     高山 智司君

    ―――――――――――――

三月十八日

 憲法審査会を凍結し、始動させないことに関する請願(笠井亮君紹介)(第一一三七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一一三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 人事官及び検査官任命につき同意を求めるの件


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     ――――◇―――――

小坂委員長 これより会議を開きます。

 まず、人事官及び検査官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る十三日の理事会において、松本内閣官房副長官から、内閣として、人事官に日本司法支援センター理事篠塚英子君、検査官に会計検査院事務総長重松博之君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会申し合わせに基づき、人事官候補者及び検査官候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として人事官候補者・日本司法支援センター理事篠塚英子君、検査官候補者・会計検査院事務総長重松博之君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小坂委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、篠塚参考人、重松参考人の順で所信をお述べいただきます。その後、懇談形式で、それぞれの参考人の所信に対する質疑を順次行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、篠塚参考人にお願いいたします。

篠塚参考人 篠塚英子でございます。

 本日は、所信を述べる機会をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。よろしくお願いいたします。

 さて、我が国の行政基盤を支える重要な制度である国家公務員制度は、国民に対し、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的としております。その国家公務員制度の目的を実現するために、人事院の役割が大きく三つあると認識しております。

 第一に、公務員の人事管理の中立かつ公正な運営を確保すること、第二に、国家公務員が民間人と異なり労働基本権の制約下にあることへの代償機能として労使関係の安定を図り、職員の利益の保護を図ること、そして第三に、人事行政の専門機関として時代の要請や変化に対応した人事行政施策を展開するという、この重要な三つの役割であります。

 このため、人事官には、国民全体の奉仕者たる国家公務員としての強い自覚と高い倫理観が求められているのはもとより、広く国民各層や関係各方面からの御意見を伺いつつ、誠実かつ公正に職務の執行に当たることが要請されているものと考えております。

 特に、近年、国民の公務員に対する目には極めて厳しいものがあることを一人一人の公務員が十分認識し、各人がそれぞれの職務に精励することによって、公務員への信頼を修復し、その確保に努めるという強い自覚が必要であると考えております。

 現在、行政を取り巻く環境が大きく変化する中にあって、公務員制度改革が重要課題となっております。国民全体の奉仕者としての国家公務員の一人一人が、国民本位の行政運営を実現すべく、公務に対する高い使命感と倫理観を持って、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任と誇りを持って職務を遂行することが要求されていると考えております。

 さて、今般の公務員制度改革が、時代の要請や変化に的確に対応した実効性のある改革となり、国民全体にプラスの影響を及ぼせるように、人事院は主体的な役割を果たしていく責任を持つと考えております。

 もし仮に私が人事官に任ぜられた場合には、微力ではございますが、長年大学教育及び労働経済学の研究にかかわってきました経験や知見を生かして、国民の視点や専門的見地を持って職務に取り組んでまいりたいと存じます。

 国民の代表である国会での御議論を初めとして、いろいろな御意見に耳を傾けながら、先任のお二人の人事官と協力し、人事院の使命達成のため努力をしてまいりたいと存じます。

 以上、私の所信を述べさせていただきました。本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございました。

小坂委員長 ありがとうございました。

 次に、重松参考人にお願いいたします。

重松参考人 重松博之でございます。

 本日は、このような所信の表明をさせていただく機会を与えていただきまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。

 近年、我が国の経済社会は、少子高齢化に直面いたしますとともに、情報通信技術の発達とグローバル化の進展など急速に変化する一方で、未曽有の経済危機に現在見舞われております。国の財政は非常に厳しい状況でございますが、その中で、これらへの的確な対応が求められていると思います。

 会計検査院といたしましては、このような経済社会の動向を踏まえながら、行財政執行に関し、正確性、合規性の観点から厳正な検査を行い、その際には、近年、一部の府省等において不正、不当な事態が相次いだことを踏まえまして、特に、基本的な会計経理について重点的に検査を行うこととしております。

 これに加えまして、こういう厳しい財政状況の中で、国の各種事業の経済性、効率性及び事業が所期の目的を達成しているかという有効性の観点からの検査も重視しております。また、行財政の透明性と説明責任の向上や事業運営の改善に資するための分析、評価などを行うとともに、特別会計、独立行政法人等の財務状況の検査を充実いたしまして、剰余金等の所在を明らかにすることも大変重要なことと考えておる次第でございます。

 会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関といたしまして、国の会計検査を的確に実施し、その検査結果に基づいて、決算検査報告を作成して内閣を通じて国会に報告するという、非常に重要な使命を課せられております。

 その中で、私がもし検査官に任ぜられたとするならば、私の果たすべき役割といたしましては、これまでの現場での会計検査業務で培った知識、経験に基づきまして、会計検査院の検査官会議における公平かつ均衡のとれた意思決定に貢献いたしまして、国の財政監督機関としての職務を担ってまいりたいと考えております。

 国民の皆様の関心の所在や国会における御審議の状況に常に注意を払うとともに、各方面のいろいろな御意見に耳を傾けながら、誠心誠意努力してまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 簡単でございますが、以上、私の所信とさせていただきます。

小坂委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

小坂委員長 理事会申し合わせに基づき、報道関係の方々は御退席願います。

 また、重松参考人は、お呼びいたしますまで別室にてお待ちいただきますようお願いいたします。

 これより懇談に入ります。

    〔午前十時十一分懇談に入る〕

    〔午前十一時四十五分懇談を終わる〕

小坂委員長 これにて懇談を閉じます。

 この際、お諮りいたします。

 ただいまの懇談の記録は、本日の会議録の末尾に参照掲載するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔懇談の記録は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小坂委員長 以上をもちまして人事官候補者及び検査官候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 懇談の記録

    午前十時十一分懇談に入る

小坂委員長 これより懇談に入ります。

 なお、懇談は、理事会申し合わせに基づき、速記を付し、その記録を公表することになっておりますので、御了承願います。

 これより篠塚参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内ずつ質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 今井宏君。

今井委員 おはようございます。

 所信を拝聴する機会をいただきまして、ありがとうございました。自由民主党の今井宏でございます。

 時間の関係がございますので、二点にわたり御意見を賜りたいと思います。

 まず第一点ですが、ただいま公務員制度改革が議論されているところでございますが、公務員を幅広く、しかも志の高い、優秀な人材を確保していかないと、国力の低下になるのではないかと大変憂慮している者の一人でございます。どのような取り組みが必要と思われるか。特に、各府省の天下りあっせんやわたりにつきまして、麻生総理から年内に廃止する旨のお言葉がございましたが、公務員の勤務環境や生活維持について、どのような問題点や対応策があるのか、御意見をお聞かせいただければと思います。

 第二点でございますが、谷人事院総裁や人事院のOBも天下りやわたりを行ってきたことに対しまして、国民の視線は大変厳しいものがあるわけであります。人事院自身も新たな役割や方向性を示すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。御意見をちょうだいしたいと思います。

 以上、二点でございます。

篠塚参考人 今井先生、ありがとうございました。

 二点、御質問いただきました。

 第一点の、現在の公務員の人材確保の問題、そして、どのようにこれから対応していったらいいかということでございますが、基本的には、やはり長く勤められることが非常に重要なことだと思っております。民間でも六十五歳まで安定した雇用慣行ということ、それから年金の空白期間がないようにするということ、これがまず大前提だろうと思っております。

 そして、なおかつ、能力のある、活力のある公務員の人材が欲しいわけなんですが、働き方の面で、やはりかなりいろいろばらつきもあるかと思いますけれども、幹部クラスの人たちの超過勤務、時間の長さということを私は憂えております。いい仕事をしてもらうためには、ある程度のゆとりがなければ、新しいアイデアも生まれてきません。

 国を挙げて今、ワーク・ライフ・バランスという、働き方と、そして時間と生活のバランスの問題に取り組んでいるところでございますが、この視点をぜひとも入れていって、そして勤務時間の管理の中でも生かしていきたいと思っております。これが第一点でございます。

 第二点の、谷人事院総裁及び人事院そのものに対する批判があるのではないかということでございます。

 私自身も、人事院のことについてまだほとんどよくわかっておりません。しかし、最近の新聞報道などを読む限りは、表面だけしか見ておりませんけれども、かなりバッシングがあると思います。そして、その情報が国民にはなかなか正確に伝わっていないのではないかというふうに思っております。

 なおかつ、私自身の個人的な感想といたしましては、私自身は、この大きな変革というのは二十年ぐらい続いているかと思っておりますけれども、バブルが崩壊してから後、そしてその後の十年につきましても、ゆっくりと景気が回復している中にあって、しかし、国民の経済からいきますと、民間の大きなリストラというような形で、産業界は大きな変革を遂げております。

 そういう中にあって、どちらかというと、公務における人事の改革についてはおくれていたというふうに私自身は見ております。もちろん、公務員の改革というのは、話はあったんですけれども、これは簡単にはいきません、民間のように。法律をつくる必要もありませんので。そのようなことを考えますと、人事院に対する批判というのは、ある程度私は、国民の側からいったら納得もいきますが、それに対しての備えはなかなかできなかったというのは、この二十年間の日本経済を取り巻く環境、世界の中での環境を考えると、やむを得ない面もあるかなと思っております。

 それと同時に、先ほど天下りという言葉が出ましたけれども、天下りというのは正確な言葉ではありませんでして、公務員の早期退職慣行だと思います、制度ではありませんので。その早期退職慣行というシステムが、システムとは言いません、そういうような慣行があり、そして公務員の長期雇用が安定化されていなかった段階では、それに対してきちっとしたメスを入れられなかったというのは、私ども全体、国民から見ても、マスコミも含めて、もうちょっときちっと厳しく批判をする目がなかったのであろうというふうに私は思っております。人事院の中にも非があります、国民にも非がありますというふうに思っております。

 以上でございます。

今井委員 ありがとうございました。

小坂委員長 ありがとうございました。

 それでは、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 篠塚参考人におかれましては、きょうは御出席をいただきましてありがとうございました。

 まずは、教育者として、また研究者としての長年の御活躍に対し、心より敬意を表したいと思います。

 その上で、参考人がお書きになられました論文のたぐいですとかあるいはインタビューの記事の掲載等を拝見いたしましたところ、女性の雇用市場への参画、あるいは格差社会、ワーク・ライフ・バランス等々、各般の御提言をいただいております。これらを総合して、ぜひ、労働政策の専門家として、まず日本の雇用市場に関する御見識をいただきたいと思います。

 当然、公務員の雇用環境について御勤務をいただくわけでございますが、民間に目を転じますと、派遣労働の方々の大変な苦境ですとか、先ほどおっしゃいましたリストラの関係等々、苦しい状況を目にするところでございます。公務員の雇用環境のみを論ずるのでは不十分ではないかという気がいたしますが、日本が大きな構造変化の時代に入った今、雇用市場の改革、年金や医療などの社会保障と関連をすると思いますが、雇用市場そのものの新しいあり方について、ぜひ御見識をいただきたいと思います。

 加えて、今度は公務員に特化してのお尋ねでございますが、公務員制度改革に主体的役割を果たしたいという所信をいただきました。天下りという言葉が適切ではないという御見解もいただきましたが、やはり国民の側から見ますと、これについては大変厳しい目がございます。このことをよくお踏まえをいただきまして、天下り問題の解消、また谷総裁のこの間の行動に対する御所感等を含め、解決策についての知見をいただきたいと思います。

篠塚参考人 小川先生、ありがとうございました。

 二点、御質問いただきました。

 第一点は、民間の雇用市場の現在置かれている非常に厳しい状況に対して、公務員の人事問題もこれと無縁でないので、全体をとらえてどのように考えるかというような御指摘でございました。

 私も、こちらは本当に大変なことだと思っております。特に、先ほど小川先生が御指摘くださいました派遣問題ということが、あっという間に大きな社会問題になりました、ことしの一月から派遣村ができたりして。

 これは何なんだということを考えますと、労働市場の大きな変革そのものは、一九八五年、それは、労働市場が大きく変革する中にあって、今までは男性が中心だった労働市場に女性も入ってくる、女性も対等に扱わなくちゃならないということで、雇用均等法ができました。そのときに、女性が対等に働く場所だけではなくて、派遣とかという形でもあるでしょうということで、派遣法もできました。均等法も派遣法も一緒でありまして、新しく、労働市場の変革に対して、そのような法律が機能することを考えておりました。

 それから二十年たってどうなっているかというと、まさに常用労働者の方が非常に厳しくなってきまして、派遣労働者の数がふえてきた。そして、派遣労働者は、労働市場が必要で産業界も必要だからふえてきたんですけれども、その人たちに対してのさまざまな労働対策というものの手当てがないままに来てしまったというふうに思います。

 派遣労働そのものが悪いとは思っておりません。また、女性も、女性の労働者に関しましては、むしろ正規労働よりも非正規労働の方がふえてしまいました。そのようなことも二十年前には考えておりませんでした。世の中で必要な制度だからというふうにして法律はつくられてきたと思っております。

 しかし、私は、新しい法律ができて、新しい社会の要請が出て、そのようになっているときに、それから抜けてくる大きな問題に対しても目を向けるべきであったと思います。

 この間、日本経済、世界経済が厳しかったこともありまして、非常に、派遣労働者やそのほかの非正規雇用の人たちの問題については、数がふえてくるけれども、その人たちの生活の質を保障するような手当てをしないままで来た、そのことが格差社会というような形で批判されているんだろうと思います。

 それに関しましては、やはりもうちょっと私どもが細かいところに目を配って政策提言をしていくべきであったし、していったんですけれども、余りそれは反映されなかったという反省がございます。

 公務員の問題も、それらの民間の労働者の動向を見ながら、勤務制度、人事管理を参考にするわけですから、日本全体の雇用市場が非常に低迷している中にあっては、公務員の人事管理等もうまくいくはずがありません。一緒にあわせて考えていかなければならないと思っております。これが第一番目です。

 二番目につきましては、やはり同じように、谷人事院総裁の批判があり、それから公務員の天下りに関しては何らかの対策が必要ではないかということでございました。

 早期退職慣行というものを、何とか長期の、公務員が安定して仕事が続けられるような、六十五歳までという形に持っていくためには、恐らく賃金制度も職制も変えていかなければならないと思います。

 しかし、それだけでは、とても国民の厳しい批判から免れられないと思います。私自身は、今の状況は、やはり公務員の自分自身の問題として、倫理観や責任感等に関して、再度自分たちの問題として精神的な面から含めて改革しなければならない問題だろうというふうに思っています。

 既に、民間にありましては、かなり厳しく人事評価制度があり、能力主義に基づいてさまざまな経営改革をしているところであります。公務員の人事管理にありましても、早期退職慣行の批判を契機にして、もう少し、人事評価制度それからさまざまな研修制度などを取り入れることで、運用を厳しくすると同時に、厳しくするだけでは公務員はやはり逃げていくと思いますので、インセンティブを与えなければならないと思います。

 インセンティブを与えるためには、今、本当に組織を活性化するためには、高い教育、学歴社会になっておりますので、海外の大学院に行けるようなシステムをつくることとか、海外との交流のシステムをつくるとか、民間との人事の交流をするとか、そのようなこともあわせてやらなければ、厳しい中だけにあっては非常に苦しいところだろうと思います。

 私は実証研究をやっておりましたので、人事院につきましてもデータをちょっと見せていただきましたならば、最近のところで、過去、一番新しいところですと、入って五年の方の退職といいますか、やめていく人の率が七%ありました。それは私はびっくりしました。本当に中堅、これからというときに出ていきますね。三年勤めた人でも三%から三・四%ぐらいありました。やはり、厳しくすれば厳しくするだけ、それに対してきちんとした何か対策もしなければならないと思っております。

 人事院に対する批判は先ほど申しましたように真摯に受けとめて、しかし、国家公務員、公務員のあり方に対しては、やはりもっと厳しくしていかなければ、ただただバッシングだけでは国を支える人材を育てていくことは無理だろうと思っております。

 以上です。

小坂委員長 遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。よろしくお願いいたします。

 今の国民の、特に政治、行政に対する批判は大変厳しく、信頼が地に落ちていると言っても過言ではないと思っております。特に、公務員の場合、かつては非常に評価、信頼が高かったと思うんですが、それが急激に下がっているということは問題があろうかと思っておりまして、どうしたらこの国民の信頼を公務員制度として取り戻していけるか、何がポイントとお考えかというのが第一点でございます。

 私も現場を歩いておりまして、政治家に対する批判はもとより、公務員に対しても、余りにも国民生活の現実を知らな過ぎるという声がありまして、農家の思いとか、あるいはシャッター通りの商店街の思いとか、あるいはまた介護の現実、現場を知らないとか、そういった民意が行政に反映されていない、特にそういうように思っております。そういう点も含め、どのように信頼回復を図るのかということにつきまして、お考えをお聞きしたいと思います。

 それから、第二点。公務員の能力をどう引き出すかという点も大変重要だと思っております。特に、女性の公務員、非常に優秀な方もたくさんいらっしゃるわけですが、阻害要因もいろいろあって、どうしたらそういった女性の可能性、能力を引き出し、さらに公務員制度を活性化するか、そういう点で女性の立場からもお伺いしたいと思っております。

 以上、二点でございます。

篠塚参考人 ありがとうございました。

 第一点の公務員の現在の信頼をいかに取り戻すかということでございますが、なかなか厳しい局面があるとは思いますが、今置かれている状況がどういうことになっているかという公務員自身の意識改革が一番の肝要かと思っております。公務員といっても幅が広うございますけれども、特に幹部の公務員であろうと思います。

 まず、いろいろな、今、制度改革の話、公務員法の改革の話が動いている渦中ではございますが、そういう法律が確定するしないにかかわらず、このように世の中が大きな公務員批判が起きているさなかにあっては、既に幹部の公務員は意識改革に向けてやれるところからもうやるべきであろうと思っております。何からやるべきかということは、それぞれ自分の省庁の中を見渡せばわかるところがかなりあるのではないかと思われます。

 日々、本当に、マスコミの情報を見ておりましても、公務員のさまざまな不祥事の報道がない日がないというようなことが続いております。これらが続きますと、きょうもどこかの新聞ではございませんが、政府に対する不信感一色になってしまったら、公務員というものの存在も危うくなります。やはりトップからだと思っております。

 二番目の、女性の能力を引き出し、活性化するためにはどうしたらいいかということでございますが、少なくとも、民間に比べますと、国家公務員の女性の採用といいますか、登用はかなり高いところに行っておりますね。現在でも、全体の採用されるところの二〇%は女性ですし、目標としても三〇%は恐らく可能であろうと思います。

 私は、入り口のところは恐らく大丈夫だろうと思っています。問題は、それから先の昇進、昇格、そして一番上のトップまでどれだけ昇進して上り詰めることができるだろうかということでございます。

 本日も、このような重要な会議に参加させていただきまして光栄に存じておるのでございますが、この先生方のメンバーでも女性は非常に少のうございます。やはりトップに上り詰める女性の数がもうちょっとふえていかないと、国際社会の中でいろいろ渡り合うときに、日本という社会は男女の能力に差があるのかなというふうに見られるかと思います。入り口のところでは差がないにもかかわらず、最終点のところの数が少ないということに関しての対応は、非常に大きなものであろうと思います。

 それに関しましては、やはり公務員の働き方が重要になってくると思います。もしかしたら御質問があるかと思いますけれども、やはり今の公務員の、特に重要なポストにいる公務員の方たちは、法案の作成、それから国会の対応などで、ほとんど自分で自分の時間の管理はできない状況になっております。そのような状況の中で、子供も産み、かつ仕事も続けていくということが望まれる中では、なかなか難しいというふうに思います。

 しかも、やはり国家というのはまず人がなければなりませんので、現在も、少子化対策ということで、民官挙げて少子化対策を進めているところでございます。ましてや、公務員の人たちは、能力があって、そしてキャリアを積んでいながら、子供を見ながら、なかなか上まで行けないということについての御理解をいただいて、その面で何とかしていくことが活性化につながるかなと思っております。

 ありがとうございました。

小坂委員長 それでは、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、人事院の位置づけについてでございますが、人事院の最も重要な課題というのは、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割を十分に発揮できるかどうかということであると思います。

 憲法二十八条が保障する労働基本権、すなわち、団結権、団体交渉権、争議権、これは本来公務員にも保障されるべきものでありますが、現行の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性ということを理由にそれを制限しているわけであります。

 したがって、代償機能としての役割を人事院が担い、その上で、政府から独立し、中立の立場で国家公務員の身分、任免、職務、さらに賃金、労働時間などの労働条件を定める役割を担っているわけです。そういう意味で、非常に重要な役割を果たさなければならないわけであります。その立場を踏まえて任に当たられるかどうか、まずお聞きをしたい。

 その上で、具体的なことですけれども、二〇〇二年の六月の骨太方針で総人件費抑制というのが打ち出されまして、そのもとで、公務員の定員の一律削減、総人件費抑制政策というのが閣議決定をされまして、人事院がこの政府の方向に沿ったマイナス勧告を行ったということがございました。

 本来、中立公平な機関であるべき人事院が、私どもから見ると、政府の圧力に屈したのではないかと思わざるを得なかったわけであります。この点についてどのような評価をなさっているか、お聞きしたいと思います。

 最後に、ILOなどが、日本政府が進めている公務員制度改革にかかわって、監獄職員の団結権ですとか、一般の公務員についての争議権、労働契約締結権を保障することなど、国際労働基準に従った改革を進めるべきだという勧告を繰り返し行っております。

 ところが、今問題になっている国家公務員制度改革では、その点が先送りされたままで、特に労働基本権の回復の問題については先送りということでありますので、私どもは、こういう点はしっかりとした対応が求められていると思いますけれども、その点についての御見解を伺いたいと思います。

 以上です。

篠塚参考人 佐々木先生、ありがとうございました。

 三点、御質問をいただきました。

 まず最初に、労働基本権に対する代償機能を果たす役割を人事院としては持っている、そのことについてどのように理解しているかという御質問でございました。

 確かに、公務員というものは全体の奉仕者であるというふうに憲法に定められております。一部の省とかあるいは産業とか人々とか、一部の人ではなくて全体の奉仕をするということでありますので、そのためにはさまざまな制約が当然出てまいります。そして、その制約として、もちろん労働基本権そのものは公務員にも付与されておりますけれども、全体のために、全部のためにやらなくてはならないということになりますと、民間の企業のように利潤原理で動いているような形でさまざまな人事の条件をクリアすることはできません。そういう形で、それらの制約がある労働基本権に関する代償の役割を果たすとして人事院は設置されたというふうに理解しております。

 ですから、内閣の下に位置づけられますけれども、独立して中立的な第三者機関、ある意味では、準司法的な機関というふうに言ってもいいかと思います。そのように位置づけられておりますゆえに、ある省あるいはある関係機関のところのために公務員が働くことはないというふうな独立性だと思っております。中立的な形で機能を果たすという形では、やはり人事院というものはどうしてもなくてはならない存在だろうと思います。

 そして、そのような公務員の、国全体のサービスをするサーバントである人材の人事管理をしたような指標、目標、数値などは、関係した組織についても利用されます。私自身がおりました日本銀行などにおきましても、やはり人事院の勧告によればというふうでありましたし、国立大学法人お茶の水女子大学におきましても、さまざまな決定をする場合には、人事院の決定によりますとこのようになっておりますということで、やはり参考にいたします。

 そのようにして、国をつかさどる日本全体の大事な仕事をする公務員の人事管理などを保障し、そしてそれを守る組織としての人事院という組織は非常に大事なものであり、そこで仕事をする人たちも身を律して働かなければならないというふうに理解しております。

 二番目の御質問であります、二〇〇二年六月に総人件費の抑制が閣議で決まり、そしてこれがすべてのスタートでありますけれども、公務員も長らくマイナスの給与の勧告がなされておりましたけれども、それに対しては、人事院は中立という立場であるならば、必ずしも政府の言ったことどおりでなくてもいいのではないかというように承りましたけれども、それについてどう思うかというふうな御質問でございました。

 もとより、二〇〇二年というのは、小泉内閣になって、そして経済が一番厳しいときでした。財政ももう目いっぱい出しておりましたし、金融政策も、ほとんどもうゼロ金利から量的緩和に打ったときでございました。民間は既にリストラをし、そして職員の解雇までいっておりました。その過程で、派遣、非正規雇用がふえたというプロセスがあります。

 公務員が何もしないわけにはまいりません。それは、先ほど所信表明でも申しましたように、人事院のあり方、人事院というのはどういうものかといったときに、組織としては、やはり外部の動きを見て、そしてそれらも参考にしながら政策をとっていく組織であるというふうに申し上げましたけれども、世の中全体がそのような厳しい中で対応しているとき、民間が既にそのようにやっているときに、国が何もしないわけにはいかない。公務員であったとしても当然でありましたし、この選択は私はやむを得なかったんではないかと思っています。

 そうであるから、例えば民間が本当に景気がよくなり、そして給与水準も上げられるような状況になったならば、それらを反映して、速やかに人事院はそれらのデータも集めて、そしてしかるべく中立的な、民間と平衡感覚を持って勧告をするような動きになるのではないかというふうに私自身は認識しております。

小坂委員長 少し簡潔にお願いします。

篠塚参考人 済みませんでした。

 三番目に関しましては、現在、確かに公務員法の改革の中では先送りになっておりますが、この問題に関しましては、私自身はまだ勉強している最中でございまして、今現在はやむを得ないかなと思っております。

 いずれにいたしましても、これに取り組んでいくということについては、人事院の中からは御説明を伺っております。

 以上です。

小坂委員長 それでは、保坂展人君。

保坂委員 私の方からは、二点お聞きしたいと思います。

 一点目は、公務員倫理にかかわる問題です。

 私は十二年ほど前に、橋本内閣当時、自社さ政権の与党の中で、公務員倫理の問題について議論するメンバーでした。長い議論の中で、実は、国家公務員法十七条に人事院が証人を喚問する権限があって、役所の人事行政にかかわる事項については資料を提出等、罰則性の強い権限があるということに着目をいたしまして、この十七条を根拠にして、人事院にこそ国家公務員倫理審査会を置くべきだという主張をいたしました。現在、法律はそのとおりになっております。

 しかし、この間、現在の公務員バッシングの底流にもある、例えば防衛省のあれだけの乱脈を尽くした問題、公務員倫理の規範を垂れるべき人が接待漬けだった、こういうことについて、結局、警察や検察の捜査が始まらないと、人事院がみずから審査を始めることができるというのを国家公務員法の、これは倫理審査会が人事官も一人置いていますので、そういう仕組みがうまく動いていないんじゃないかという思いを強くしているんですね。

 ですから、人事院の、国家公務員法の十七条を根拠にした、それだけの強い権限が使われていない。したがって、公務員の不祥事などが結局捜査機関で問題にされるということについてどう思うか。

 二点目は、先ほども小川議員からの質問にお答えがありましたけれども、ワーキングプアとか非正規労働の問題。

 実は、公務員の中でも、最近は官製ワーキングプアということで言われています。先日、私は、社会保険庁の年金の窓口の応対に当たっている方が、時給八百円、時間を超えてやっていても残業ゼロだ、そしてどなられる、胸ぐらつかまれたり、けがをした人もいると。しかし、そういう中で、女性がほとんどですが、一生懸命説明して、ありがとうという笑顔が唯一の生きがいでやっているんだと。もちろん賃金は低いし、いつ首になるかわからないというようなことが国家公務員でも、地方公務員はもっと広がっています。

 ここから何とかしないと、民間に及んでいる、日本全体がこうなっている格差の問題、同一労働同一賃金の原則が全くない状態、これについてどう思われるかを、二点お聞きしたいと思います。

篠塚参考人 ありがとうございました。

 最初の御質問でございます十七条の問題については、済みませんが、私はまだ不勉強で承知しておりません。まだ、人事官としての参考人として表面的なものしか勉強しておりませんでして、このことについてはお答えができません。

 ただ、今御質問にありましたことをお聞きしておりまして、もしかしたら、人事院の中にそういう仕組みをつくっていても、まだ十分に機能していないのかなというふうにも思われます。できるだけ、このような仕組みがありながら機能していないものがあるのではないかというようなことについても、鋭意調べていく必要があるのではないかというふうな感想を持ちました。

 二番目のワーキングプアの問題、非正規雇用の問題は、公務員の組織の中にも抱えているのではないかということでございますが、恐らくあるのではないかなと思います。

 公務員といいましても、広く国家公務員と地方公務員がありますし、三百六十六万のうちの三百万は地方公務員ですし、その地方公務員の中では、恐らく、私もいろいろ仕事で地方に行くことが多く、特に地方の県庁の仕事などでお話しすることがありますが、本当に正規的な役職からどんどん外れていって、そして、さまざまな非正規の人たちを使わなければやっていけないというような体制になっていることは事実でございます。

 国家公務員にありましては、それもデータを見せていただきましたけれども、現在二万人ぐらいの非正規雇用の数だというふうに伺いました。そして、その二万人ぐらいの非正規雇用の人たちについては、やはりどのような形で対応するかということに関しては検討が進められているというふうに伺いました。

 今、保坂先生おっしゃいましたように、国があるいはこういうところから手をつけていく必要があるだろうということに関しましても、幹部の公務員の話だけではなくて、末端の人たちについての公務員のあり方についてもやはり勉強していき、調べていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

小坂委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。篠塚参考人、本日はありがとうございます。

 私もお尋ねをしたいんですが、先ほど聴取の中で、早期退職慣行のことについてお話をされたと思います。今、公務員制度改革がどんどん進んでくる中で、天下り、言葉でいいますと早期退職慣行なんでしょうか、このことに対して多くの国民の皆さんはメスを入れることができるんだろうかということを考えていらっしゃると思うんですね。

 そこで、参考人は、日本銀行の政策委員会の審議委員であったり、さまざまな審議会の委員を今までやっていらっしゃったと思います。こういうところにいらっしゃって実際変えられるのかなと。審議委員としていらっしゃって、御意見を言ったことによって変えてこられたのかどうか。そして、今度、人事院の人事官として、こういうことに対してどのように本当にメスを入れることができるのかと非常に注目をされると思うんですね。

 ですから、人事官になられたらどのようにメスを入れていくのか、そして、公務員の側の立場からすると、では、再就職というのはどのようにあるべきなのかということ、この二点をお答えいただければというふうに思います。

篠塚参考人 糸川先生、ありがとうございました。

 まず、第一番目の方の御質問でございますが、早期退職慣行という、これまでずっと続けてきた公務員の慣行が本当に変えられるのかどうかということでございますね。そして、私自身も確かに幾つかの仕事をかえてきましたけれども、それも含めてどのように変えてこられたのか、こられなかったのかというような御質問かと思いました。

 私自身は、変えていけるだろうと思っています。慣行というものは法律ではございません。社会慣行というものは人々がつくってきたものですから、みんなで、やめようよと言ったら、慣行というものはやめられます。

 女子大におりましたものですから、よく女子大の話をして申しわけないんですが、お茶くみというのは女性の仕事で当たり前でございました。今は、役所に行きますと、お茶を出すのは男性です。それは、こういう慣行はやめようよということで、同じ試験を受けて同じような能力で入ったなら、男女同じように順番でやりましょうよというふうにして変えることができました。

 早期退職慣行というものが、もし本当に、役人はおかしいじゃないかということが大きな声になり、当たり前だとみんなが思ったら、私はやめられると思っています。それは、大きな声に本当にきちんとなっているか、正しい情報が出ているかどうかだと思っております。

 私自身は、民間の研究所から大学に移り、それから突然日本銀行に参りました。日本銀行では三年しかおりませんでしたが、行って、やはり驚きました。民間として全く特殊な会社に入りましたので、あそこも株式会社ですけれども。全体の五千人の規模の中の二千五百人、半分が女性でした。その中のわずか二十五人が総合職でした。その総合職の女性が制服を着ていました。物すごく高度な仕事をしている人たちが、私はこれを脱ぎたいと。よその役所なんかに行くときも、その制服を着て行くとだめなので、いつも脱いで行くということでした。行ってすぐやったのはその制服の廃止運動でした。役員として行きましたけれども、二年かかりました。でも、変えました。

 言いたいのは、慣行であれば変えられると思っています。ですから、人事官にもしも仮になったらですけれども、まだどういうところかわかりませんが、やりたいと思っております。

 もう一つの問題点は、ごめんなさい、ちょっともう一つの問題のことを忘れました。(糸川委員「公務員の再就職に関してどうあるべきなのか」と呼ぶ)どうあるべきかですね。

 恐らく、公務員も民間も、仕事をして一生働いて生きていくのは同じベースだと思っております。公務員だけがある年齢で仕事ができなくて、再就職はもうほっぽり出されるということは、やはりかなりこれは不公平なことだと思っております。公務員も民間も自由に再就職ができるような、労働の流動的な市場ができることが望ましいわけで、どこかで制約があって、ここはだめ、あれはだめというようなことがないようなルールをどうやってつくっていくかということに尽きるかなと思っております。

 以上です。

小坂委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内ずつとしていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

 特に質疑がないようでありますので、篠塚参考人の所信に対する質疑はこれをもって終了いたします。

 どうも御苦労さまでございました。ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小坂委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、重松参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内ずつ質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 重松参考人にはお疲れさまでございます。二問だけ質問させていただきたいと思います。

 最初の質問ですけれども、この会計検査院のパンフレットを見させていただいたんですけれども、これは平成十九年度ですけれども、不当として指摘された額が三百七十七億円、そのほか、意見を表示しまたは処置を要求した事項、こういったものを入れましてもトータルで千二百五十三億円なんです。国民は、不正経理だとか不当支出、無駄遣い、もっともっとあるんじゃないかなと思っておられるはずなんです。これに対して、会計検査院がこういう形で指摘されている数字というのは余りにも少な過ぎるのではないかな。

 そこで、重松参考人にお聞きしたいんですけれども、国民のそうした期待に今の会計検査院は必ずしも十分にこたえられていないと私は思いますけれども、それは何に原因があると思われるのか。体制が弱いからなのか、権限が弱いからなのか、あるいはやり方がおかしいのか。そして、国民の期待にこたえられるような会計検査院をつくるにはどうしたらいいと思われるか。それをお聞かせいただきたいと思う。それが第一問。

 それから、第二問。お聞きしたいのは、いろいろな無駄の支出の中で一番許せないのが、裏金というか、不正経理だろうと思いますけれども、この不正経理、検査院の方が行けば、向こうは当然準備しているからなかなか見抜くのが難しいだろうと思うんです。しかし、向こうがあらかじめ不正経理を見抜かれないように書類を改ざんして準備していれば、これは当然のことながら刑法上の犯罪、公文書偽造とか虚偽公文書作成といった犯罪に触れるわけで、今まで会計検査院が長年検査に行って、こうしたものを見つけたケースがあったと思いますけれども、それらについて捜査当局に一度も告発したケースがないというのはなぜなのか。こういった形で厳しく対処すれば、こうした裏金とか不正経理は防げたのではないかなという気がしますけれども、これについてはどうお考えになられるか。

 この二問についてお聞かせいただきたいと思います。

 以上です。

重松参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、第一点目でございますが、この千二百五十億円という昨年の検査報告の指摘額、おっしゃいますように、二百兆円に対して多いか少ないかというのは、本当にいろいろ御意見があろうかと思いますし、先生御指摘のような、少ないじゃないかという御意見も我々としてもいただくところではございます。

 ただ、戦後の我々の検査の実績から見ますと、戦後の混乱の時期、二十三年でございますが、このときに二千五百億という実績がございますが、それ以来、この千二百五十億というのは最高の額ということで、これは、いろいろ御指摘のことがあって恐縮ではございますが、現場の第一線の調査官がいろいろ検査手法を工夫し、また、研修等でスキルアップを図るなどの必死の努力の結果であろうかと思います。

 そういうことで、我々、内部ではそれなりの評価をしているわけでございますが、確かに、決してこれでいいと思っているわけではございません。検査の手法にさらにいろいろな工夫を重ねる必要があろうかと思いますし、もっと違った、我々が目の届かないところにさらに目を向けていくこと、あるいは、新たな視点、新たな観点で検査をして、新しい事案を発掘して国民の期待にこたえていくということが重要だと思います。

 そういうことで、調査官が自由に働けるような環境を我々つくっていくこと、これが最も重要だと思いまして、新しい、現在の財政状況に見合った組織改編、柔軟な組織をつくっていくということでただいま準備をしておりまして、四月一日からそれをスタートさせていく予定でございます。

 我々としても、先生の御指摘のようなことを肝に銘じまして、これから一生懸命頑張っていきたいと思いますので、これからも御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

 また、第二点目でございますが、私ども、院法二十条の二項でございますが、会計経理を常に検査し、指摘して是正させる、そして検査報告で国会に報告するという、これが基本任務だと思っております。実情を申し上げますと、ただいま、私どもの限られた人員で最大限この任務を果たしていくということが、非常にそれに精力を費やしているというのが実情でございます。

 一方、ただいま御指摘のあった告発ということになりますと、犯罪を構成する要件なりなんなりということで、また違った形での調査ということが必要になるわけで、これまでなかなかそちらまでに手が回らなかったというのが実情でございます。

 とはいいましても、それでいいというわけではございません。これまでもさまざまな形で、そういうことをどうにかできないかということで、法務省ともさまざまな意見交換を、定期的にも、あるいはいろいろな場面でも行っておりますし、先ほど言いましたような業務の厳しい中ではありますが、工夫して、御指摘の趣旨に沿ってまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御理解のほどお願いいたします。

小坂委員長 横光克彦君。

横光委員 民主党の横光克彦でございます。

 会計検査院は、国会、裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の会計検査機関でございますが、重松参考人は、その会計検査院一筋と言っていいような形でこれまで会計検査の仕事に携わってこられました。事務方のトップとして検査官会議を支えてきたわけですが、今度、事務総長から検査官に就任ということになれば、現場の職員の士気が高まるということでは期待していいんではないかという気がいたしております。

 また、検査官あるいは会計検査を実施する事務総局一体となって無駄の撲滅に取り組んできたと思うんですが、しかし、そうはいいながら、今度は立場が変わるわけですね。指揮監督される立場から指揮監督する立場になる、これは、私は大きなまた力を発揮できる場になったんではないか。

 いろいろ所信でも、今の質問にもお答えになりましたが、やはりここは、総長でいたときの思い、私が検査官だったらこういうことに取り組みたいというようなこともあるんではないか、また、なきゃいけないんじゃないかという気もするので、そのあたりをひとつお聞かせいただきたいということ。

 それから、会計検査院は、会計経理の不正、違法、そういった問題点、合規性ですね、そしてまた予算執行の経済性、効率性を検査する、これはもう当然のことですが、より大きな問題として、政策の効果、いわゆる有効性ですね、これを検証していくことが私は時代の要請だと思うんですよ。

 ところが、まだまだその職責を十分に果たしているという状況ではない。そういったことに対する批判がやはりある。それはやはり、国民の期待が大きいだけに、批判があり、不満が出てくると思うんですね。このあたりは、どのようにそういった批判にこたえていくかということも一つ。

 それから、先ほどお話ございましたように、昨年度、十九年度の決算報告は指摘事項も指摘金額も過去最高になっていますよね。指摘金額は、これまで三百億か四百億ぐらいだったのが、千二百五十三億円になっている。これは、ある意味では、会計検査院が有効性を高めるなどして検査を徹底すれば、より多くの問題が指摘できるということを証明したのではないかと私は思うんですよ。

 十九年度はこれだけの指摘をした。それは決して実際の二百兆からすると大きいあれじゃありませんよ。しかし、そういったことがありますので、何か先ほど所信で、いろいろな意見を聞きながらということをお述べになりましたが、私は、そんなことより、率先して果敢にもっと取り組む意欲を示していただきたい、このように思います。

重松参考人 御質問ありがとうございます。

 まず第一点目でございますが、先ほどの所信でも私申し上げましたけれども、何といっても、長年検査実務に携わってきたわけでございます。そういうことで、検査の第一線の現場も承知しておりますし、また、検査の取りまとめ全般をどうやって指揮していくかということもやってきたわけでございます。

 その中で、検査官会議というのは、事務総局をこれから指揮監督するという立場に立つわけでございますが、やはり現場をよく知った者が指揮監督するというのは、私ども会計検査院は検査官会議と事務総局という二重の組織になっておりますが、その二つの組織をうまく動かす、車の両輪としてうまく動かすということが検査院として最も効率的な仕事をできるのではないかと思います。

 そういうことで、私は、ある意味で御指摘のあったような経歴を持っておりますので、それに全力を尽くしてまいりたいと思います。

 具体的には申し上げられませんけれども、現場でやはりいろいろネックとなっている問題についても、事務総局という立場ではなくて、さらに高い立場で光を当てていければ、さらに職員ももっと活躍ができる場ができるのではないかというふうに思っております。

 それから、第二点目でございますが、これも先ほどの所信で申し上げましたように、私ども、有効性の検査というのを重視してまいっております。そういうことでございますが、予算でありますとか政策そのものを最初から取り上げて指摘するということは、私ども、予算の執行過程あるいは執行結果を検査するという立場でございますから、これはなかなか難しいわけでございます。

 ただ、執行過程あるいは執行結果に問題がある場合には、これを指摘して、その原因を究明することによって、その原因が、あるいは政策的な問題あるいは予算の問題があるとすれば、それは果敢に指摘をしていくということはやぶさかでないだろうと思いますし、そういったことでまだ不十分だという御指摘ございましたけれども、諸外国もこういった方向で進んでおります。毎年、諸外国の検査院とはそういう意味で意見交換しながら技術の向上に努めておりますので、そういった中で頑張ってまいりたいと考えております。

 それから、私ども、一生懸命、金額をふやすということは、もちろんターゲットを持ってやっているわけではございません。ただ、先ほども所信で申し上げましたように、国民の期待にこたえるべく幹部も現場の職員も一体となって努力していけば、結果として金額なり件数という形で反映されていくのではないかと思っております。

 先ほどもお答え申し上げましたように、時代の要請、国民の期待にこたえるべく日々その努力をして、果敢に努力していくということが結果に反映してくるというふうに信じてこれからもやってまいりたいと思いますので、よろしく御理解のほどをお願いいたします。

小坂委員長 それでは、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 私も二点、御質問させていただきます。

 一つは、既に御指摘がありますように、税金の無駄遣いに対する国民の目は極めて厳しいものがあることは御承知と思いますが、その点、特に会計検査院への期待は非常に大きいわけですけれども、その期待の中身は、私なりに解釈すると、単に施策の適法性の判断のみならず、経営努力をもっとせいということだと思うんですね。

 要するに、民間は今、血のにじむような努力でやっているのに、国や行政は一体どういうことなんだということで、例えばコストの問題、単価とか、もっともっとこれは下げられるのではないかといった問題。あるいはまた、有効性という言葉が出ましたが、本当に国民のニーズに合った施策であるかどうかという判断も大変重要な点でありまして、こういった点につきまして踏み込んだ指摘をして、本当に意味のあることはしっかりやる、意味のないことはどんどん外すという選択と集中を、そういった意見をすることも時代に即応した会計検査院の重要な任務だと思います。

 この点につきましては、これからどのような踏み込んだ努力をしたいのかということにつきましてお聞きをしたいのが一点です。

 それから二つ目に、ODAの問題です。

 グローバル化でODAは非常に重要な位置を占めておりますが、ただ、相手国の問題であるためになかなか目が行き届かないということがあって、逆にODAの無駄遣いに対する国民の批判が強く、それがまたODAに対する批判になってきているわけであります。

 そういった意味では、いかにしてODAに対して透明性を確保し、しっかりと検査をして、国民の納得を得るかということも大事な視点でありまして、そういった相手国の主権にかかわる話であっても、いろいろ知恵を出して切り込んでいくことはできるかと思うので、この点につきましてどうお考えかという、このODAに対する問題ですね。

 二点についてお聞きしたいと思います。

重松参考人 質問ありがとうございます。

 まず第一点目でございますが、私、所信でも若干述べさせていただきましたように、私ども会計検査院の現在の方針は、合規性あるいは正確性のみならず、国の各般の事業の経済性、効率性、そしてまた事業が実際効果を上げているかといったような有効性の観点からも検査をすることが非常に重要だと考えて、今そういった方向に邁進をしております。

 したがいまして、これは合規性、正確性と、経済性、効率性、有効性というこの二つは、私どもの仕事の車の両輪だと思っております。

 その有効性ということで申し上げますと、例えば、事業運営の改善にはどうしたらいけるのかというようなことについても、経営手法としてどういうやり方があるのかということも、特に最近は独立行政法人等、民間的な経営をする団体もかなり出てきております。こういったところについては、公認会計士の資格を持った方々をお招きして意見を聞きながらやるとか、さまざまな知見を集めて最大限の努力をしておるつもりでございます。

 もちろん、まだまだ道半ばということでございますから、さらに勉強をしながら、御指摘のような方向に邁進をしてまいりたいと考えておりますので、これからも御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。

 それから、二点目のODAでございますが、これは、お話にもございましたように、主権の問題がございます。したがいまして、供与したODA等の経理の中身をつぶさに見るというのは非常に難しいわけでございますが、しかしながら、国民の貴重な税金等で賄われているわけでございますので、外務省等の検査を通じて、現地に赴いて、事業が実際、もともと意図したとおりに有効に機能しているかといった点を中心にODAについては検査をしてきております。

 そして、これは毎年、何らかの問題があるものについては、検査報告の中で内容を公表しております。特に、従前は、内容、こういったところが問題だというところだけで終わっていたわけでございますが、昨年からは、その原因等を究明して、外務省に改善の処置を要求するというような形で、さらに進んできております。さらにこういった点を突き詰めてまいりたいと思っておる次第でございます。

 今後もさらに努力をしてまいりたいと思っておりますので、またひとつ、この点についてもよろしく御指導のほどお願いいたします。

小坂委員長 それでは、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 会計検査院の役割というのは非常に大きなものがありまして、憲法第九十条で「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」と規定されているわけです。

 会計検査院法は、この憲法上の規定に基づきましてつくられており、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と。そして、「常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」というところまで書かれているわけであります。

 先ほど、指摘した総額が一千二百五十億円という話でございましたが、このうち、実際に是正を図った金額というのはどのぐらいあるのか、あるいは件数、もしおわかりになりましたら教えていただきたいと思います。

 それから、検査院法の中には、「検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる。」大変大きな権限が与えられているわけでありますし、「検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」こういう権限が与えられているわけであります。

 振り返ってみますと、今まで、ゼネコン汚職ですとか、あるいは最近では防衛省の官製談合の問題ですとか、こういう問題が繰り返されてまいりましたけれども、会計検査院として摘発したのは、こういうものの中にはなかったのではないかと思うわけです。

 それから、無駄遣いという点でいいますと、大きなダムですとか、港ですとか、橋ですとか、なかなかそういうもののチェックというものがしっかり行われてきたとは言いがたいと思うわけです。

 そこで、こういう問題について、なぜ、いわば大きな課題にこの役割が発揮できなかったのか。人手が足りないのか。あるいは、検査のやり方も、肩越し検査を改めるというようなことも言われていますけれども、果たして姿勢に問題があったのか。あるいは、例えば抜き打ち検査というようなことをやる、そういう姿勢があったのかないのか。

 こういう今までの検査院のあり方ですね、その点をしっかりと今の時点で洗い直す必要があるのではないか。そういう姿勢がおありかどうか、お聞きをしたいと思います。

重松参考人 質問ありがとうございます。

 まず第一点目の御質問でございますが、千二百五十億、これは指摘額ということで総称されておりますが、その中にはさまざまな要素がございます。税金がちゃんと取れなかった問題でありますとか、まさしく無駄遣いというのもございます。

 無駄遣いという中にも、これは無駄な工事をしてしまったというのもあるわけでございます。つまり、劣悪な工事をしてしまったというのもあるわけで、それも金額に入っているわけです。これは、もちろん工事の是正をするというようなことでございます。

 したがって、取れなかった税金については改めて取りますし、払い過ぎたものについては戻してもらう、不十分な工事については手直し工事をしてもらうというようなことでやっております。

 あと、例えば財産の管理ということで、財産の管理が不十分だったというような場合には、これは、きちっとした管理をやってもらうという形で、管理体制を整えてもらうという金額も入っているわけでございます。

 したがいまして、まことに申しわけありませんが、その区分をきちっとした上で御説明をすればいいと思いますが、私ども、指摘をした場合はフォローアップをきっちりやっていくということにしております。

 例えば、補助金でございますれば、きちっとこれは調書をとりまして、年度末までにどういう処置がとられたかということを集計しながら、ウオッチをしております。もちろん、一〇〇%毎年やられるわけではございませんで、いろいろな事情があるということで、一〇〇%には年度末では完結はしないわけでございますが、完結するまでしっかりフォローアップするという体制でやっておるつもりでございます。

 数字についてお示しできないのは残念でございます。またこれは改めて御説明をさせていただければありがたいと存じます。

 それから、第二点目の問題でございます。

 告発については、先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、これまで、そちらまでなかなか手が回らないというようなこともございましたし、限られた人員の中で難しかったという問題もありますけれども、それはそれでいいというわけでは決してございませんので、厳しい環境の中ではございますが、さまざまな工夫をしながら、あるいは司法当局とも、そこら辺、どういったやり方があるのか、意見交換しながら改善をしてまいりたいと考えております。

 さらに、ダムとか巨大な事業、これについても、これまで検査報告で、重要な問題があるものについては積極的に指摘をしてきたつもりでございます。もちろん、先生御指摘のようにまだまだ不十分だということであろうかと思いますが、その点は、これからも工夫しながら積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、ひとつ御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。

小坂委員長 保坂展人君。

保坂委員 私からは、二点聞きたいと思います。

 一点目は、国の出先機関についての検査についてです。

 私、昨年、野党で、道路の予算の問題、金がかかり過ぎているんじゃないか、こういう点に注目をして、阪神国道事務所というただ一つの事務所、そこだけが問題だという意味ではないんですね、そこだけをたまたま調べました。

 調べたところ、道路を応援する女性を育成していくんだ、こういう名目で、三年から四年にわたって一億二千万円ですかね、そういう予算が使われ、ただ、それは道路予算ですから、何かしなきゃいけないので、道路と道路に挟まれた、ドングリの形をした残地というのが山の中にございまして、この残地に、どうしようかということで、結局ドングリを植えた、見に行ったらそのドングリは枯れていたという。総額二億円近いんですね。

 そのほかを見ますと、五十年誌というのをつくるというのはどうなったのと聞いてみたら、これは一冊だけつくりましたと。一冊幾らでつくったのかというと、八百三十万円だと。映画、これをダビングします、これは五、六本だと。幾らかかったんだ、二百三十万円、そんなばかなことはないだろうと。こういうことだらけなんですね。

 これは、コンサルティングとか、そのほかの道路を実際に建設する業者のところまでは入っていません、本当の入り口だけ。会計検査院に検査してもらわなきゃと思ったら、実は去年検査したというんですね。私は、何をやっているんだと思いまして、検査の方法は、結局、コピー代とか電気代とか職員給料とか、日付ごとに出金のつづりがあるんですね。それが膨大にある。それを見たということなので、私たち素人から考えても、道路事務所の予算の項目表があって、何をやったのか、成果物は何なのか、そういうことを全くやってないんじゃないかと、非常に私はこれは腹が立ちました。その点について、どうなっているのか。

 二点目は、今度は、頑張っているという話なんですが、剰余金の指摘がございました。

 地方公共団体、外務省のとりわけ信託基金の残余金、これは湾岸戦争の基金なんかも余っていたという話ですから、大変大きな話です。現在八億円が余っていたということなんですが、残念なのは、その余っていたお金が全部国庫に返納されていないということなんですね。

 結局は、余っていたお金を振りかえてほかのものに転用していくということが割と自在に行われている。あるいは特別会計の中でも、雇用対策の助成金なんて相当余るんですね。消化率一五%なんというものは全部、労働保険特別会計に戻されていく。

 だから、そこの剰余金を指摘するところまではいいんですが、その先は、やはり国庫に返納しろと、これは国会でも言っていきますが、そういう点についていかがでしょうか。

 二点お聞きします。

重松参考人 御質問ありがとうございます。

 まず第一点目でございますが、先生御指摘のような事案については、昨年来さまざまな形で報道されておりますし、国会での御議論も私ども注目して聞いております。

 そういうことで、昨年、私どももそういうことで地方整備局を中心に検査を特に集中して始めております。また、国会からの検査要請もございまして、特別のチームを組んで現在検査をやっている最中でございます。

 ただいまの先生の御指摘を非常に重く受けとめて、これからも検査をより集中してまいりたいと思っておりますので、よろしく御理解のほどお願いいたします。

 第二点目でございますが、昨年、国連関連の団体への拠出金、これは指摘をいたしましたが、さらにほかにはないのか、あるいはさらに違った形での問題がないのか、引き続き検査をしております。この点については、改めていろいろ御指摘をいただければと思います。

 それから、特別会計等の剰余金でございますが、我々も従前は、そういうものがあるよということだけで終わっておったわけでございますが、昨今は、これをやはり検討して、余るのであれば一般会計に戻すべきだというところまで意見を言っております。

 さらに、それをどういうふうに踏み込むかということはまたいろいろ我々も工夫しなければいけませんが、私ども、国会にそういったことを御報告して、それがどういうふうにまた議論されるかということを我々の検査にもまた反映させてということで、御趣旨のような方向で検査を進められればというふうに思っておりますので、誠心誠意そういった形で頑張りたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。

小坂委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、大変貴重な意見、ありがとうございます。

 先ほどからの質問を聞いておりますと、参考人は、限られた人員の中で一生懸命やっているということを言われていらっしゃるわけですが、では、今までの御経験というんでしょうか、検査全般を熟知されて、そして、この会計検査院というものをこれからどういうふうにしていったらいいのかなと、例えば人員さえふやせば、もっともっと高い、高度な検査をもって、そして、例えば特別会計の剰余金の話も今出ましたけれども、こういうものもしっかり検査することができるのか。今までは人がいなかったから検査できなかったということなのか。この点についてどういうお考えを持っていらっしゃり、また、これから検査官として、検査官になられた場合、そのときにはこの会計検査院そのものをこれからどういうふうにしていきたいのか。上から見られる立場というところで、どういうふうにしたいのかという意気込みをお聞かせいただければと思います。

重松参考人 御質問ありがとうございます。

 私ども会計検査院は、憲法上の独立した機関でございます。これはやはり、国民に成りかわって検査をするという意気込みで我々は検査をしておるわけでございます。したがいまして、人員は、現在、こういう厳しい中でも、若干ではございますが、ふやしていただいたりなんかしておりますので、そこで頑張る、これは基本的なことだと思います。結局、この人員をいかに生かしていくかということが最も重要なことだろうと思います。

 それでは、何かというと、先ほど申し上げましたように、国民の目に成りかわってということでございますから、国民の皆様方がどういうところに関心を持っておられるかということに対して常に関心を持って、それを我々が察知して、検査を集中していくということが一つ必要なのではないかと思います。

 常日ごろから私どもやっておることでございますが、例えば昨年でございますと、国会等でも議論されております年金記録の問題でありますとか、防衛省の装備品の一般輸入の問題等々、特別なテーマについては、一般的な組織じゃなくて、テーマに関する特別の検査室を柔軟に設立して検査をするという手法を昨年からとってきておりますので、そういった手法をさらに発展させていきたいと思っております。

 さらに、国民の目ということでございますれば、まさしく国会は国民の代表ということでございますので、国会でのさまざまな御議論、これは常日ごろから注視しながら、我々、そういったテーマについて検査を集中していくことが、まず、これも我々の検査資源を有効に活用する一つであろうかと思っております。

 さらには、ちょっと触れた検査室の問題と少し重なりますけれども、組織を機動的あるいは弾力的に運用する、ルーチンだけにこだわって硬直的な組織で運営するということではなくて、弾力的かつ柔軟な運営をすることによって、その人員を活用してまいりたいと考えております。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、そういった面で、今、大きな組織改編をやろうということで準備をしておりまして、そういった理念のもとに、さらに組織的な力を挙げていこうかと思っておる最中でございます。

 また、何よりも外部からのさまざまな御批判、あるいは御意見というのが我々にとって非常に活力にもなりますので、国会等で、我々の指摘した事案も含めて、あるいは我々の仕事ぶりについても、さまざまな御意見をいただければ、さらに我々の仕事が発展していくのではないかというふうに期待もしておりますので、何とぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

小坂委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内ずつとしていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 参考人にお伺いしたいと思います。

 重松参考人は、伏屋検査官の御後任という形になろうかと思いますが、伏屋検査官、院長は、内閣官房副長官補でありますけれども、要するに、旧大蔵省、財務省御出身であられます。

 会計検査院の検査官は、しばしば財務省、大蔵省の大物の官僚OBがつかれてこられましたが、このことは、会計検査院の本来の機能からして、予算を査定する大蔵省のOBが、みずから予算を査定したものに対して検査をするという大変論理矛盾を含んでおりますし、また、官僚中の官僚である財務省の大物OBを検査官として受け入れるということは、内閣からの独立性ということから考えても極めておかしいという指摘を受けておるところでありますが、事務方として会計検査院をずっとごらんになられていた参考人は、このような批判に対してどのようにお考えか。

 また、このようないわゆる霞が関支配、会計検査院の霞が関への配慮というものの疑念を払拭するためにどのような努力をこれから続けられるお考えかをお聞きしたいと思います。

重松参考人 お答え申し上げます。

 検査官については、院法上、内閣が衆参に御提案をして、その同意を得て内閣が任命するということになっておりまして、それについて私が何かを申し上げるということは適当ではないのかと思います。

 私も検査院に入りまして三十七年ということで、第一線から、あるいは検査業務全体を指揮する立場までやってきたわけでございますが、実感ということで申し上げれば、財務省御出身の方は財政面での御専門ということで私ども接しさせていただいてきたと思います。

 私自身の実感で申し上げれば、そういうことで何か検査に支障が具体的にあったかということで申し上げれば、私のこれまでの経験では、そういうことはなかったということを申し上げるしかないので、まことに、それはそういう個人的な体験でしか申し上げられないということでございますので、その点、何とぞ御理解のほどいただければと思います。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 私も決算行政監視委員会にかつて所属したこともございますが、指摘をされるようなことというのは、指摘されたころにはもう大分時間がたっていて、国会の決算自体ももう形骸化しているという指摘もあります。

 会計検査院で、例えば不適切な税金の支出ですとかあるいは社会一般常識から照らし合わせてみてこれは見逃せないということについては、直ちに指摘して、やはり国会の審議なりあるいは世論の喚起なりをすべきだと私は思いますけれども、その点について何かお考えがございましたらお聞かせください。

重松参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘のあったような点は、従前から私どもも聞いております。

 その一つとして、決算検査報告の時期を早くできないかということが一つございます。これについては、やはり従前から努力をしてまいっておりまして、大体一カ月ぐらい早めることによって、国会での決算審査あるいは予算への反映ということに極力貢献できるように努力をしてまいりました。

 それと、今お話がございましたように、その都度ということでございますが、これは平成十七年十一月に院法が改正をされました。その重要なポイントの一つは、これまで年一回の決算検査報告でございましたが、検査院が必要と認めたときには随時に報告できるという制度ができました。これは、平成十七年からでございますから、十八年、十九年、二十年、昨年でございますが、合わせて二十二件ということでございます。さらに、昨年はそのうち十四件ということで、私どもも、これを大いに活用してタイムリーな報告ということに心がけてまいりたいと考えております。

 ただいまの御指摘を、我々、重く受けとめて、さらに誠心誠意頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

小坂委員長 ほかに。

 特にないようでございます。

 これにて重松参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 参考人は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

 これにて懇談を閉じます。

    午前十一時四十五分懇談を終わる


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