衆議院

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第41号 平成21年6月9日(火曜日)

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平成二十一年六月九日(火曜日)

    午後零時二分開議

 出席委員

   委員長 小坂 憲次君

   理事 小此木八郎君 理事 今井  宏君

   理事 平沢 勝栄君 理事 渡辺 博道君

   理事 高木  毅君 理事 小野寺五典君

   理事 玄葉光一郎君 理事 渡辺  周君

   理事 遠藤 乙彦君

      あかま二郎君    井脇ノブ子君

      大塚 高司君    奥野 信亮君

      清水清一朗君    谷  公一君

      藤井 勇治君    松本 文明君

      若宮 健嗣君    近藤 洋介君

      高山 智司君    伊藤  渉君

      佐々木憲昭君    保坂 展人君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   議長           河野 洋平君

   副議長          横路 孝弘君

   議員           笠井  亮君

   議員           辻元 清美君

   事務総長         駒崎 義弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  伊藤  渉君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  西  博義君     伊藤  渉君

同月九日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     松本 文明君

  糸川 正晃君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 文明君     亀岡 偉民君

  下地 幹郎君     糸川 正晃君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 衆議院憲法審査会規程制定の件

 本会議において中間報告を求めるの件

 本日の本会議の議事等に関する件


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     ――――◇―――――

小坂委員長 これより会議を開きます。

 まず、衆議院憲法審査会規程制定の件についてでありますが、本件について、本日、議員笠井亮君、議員辻元清美君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の挙手を求めます。

    〔賛成者挙手〕

小坂委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小坂委員長 それでは、衆議院憲法調査会等における調査審議の経緯等につきまして、御意見を伺いたいと存じます。

 まず、笠井亮君、よろしくお願いいたします。御着席のままで結構でございます。

笠井議員 日本共産党の笠井亮です。

 私は、二〇〇五年の総選挙後に設置された憲法調査特別委員会の委員、理事会メンバーとして一年半余り、改憲手続法の審議に加わってきました。その経過を改めて振り返りながら、憲法審査会規程をつくるべきでないということを強く意見表明したいと思います。

 それは、第一に、改憲手続を整備するねらいが、九条改憲の条件づくりにほかならないからであります。

 当時の法案提出者は、改憲手続法は公正中立なルールづくりであり、改憲の動きとは無関係だとオウム返しに言ってきました。しかし、二〇〇五年秋、特別委員会の審議が始まるのを待っていたかのように、手続法をつくろうとする政党が、相次いで九条を中心とする改憲案や改憲構想を発表いたしました。その中で、自民党は、九条二項を削除し、自衛軍の保持と集団的自衛権の行使を含む、海外での武力行使を可能とする規定を公然と盛り込んだ改憲案を発表したのであります。

 その後、安倍総理が、自分の任期中の改憲を目指す、参議院選挙の争点にもする、そのための手続法だと言明し、時代にそぐわない条文の典型は九条とまで述べ、みずからの改憲スケジュールに沿って改憲手続法を強行成立させたのであります。こうした経過から、何のため、だれのための手続法であるかは明瞭です。

 その安倍政権が、二〇〇七年の参議院選挙で改憲ノーの国民の審判を受け、政権投げ出し、退陣を余儀なくされたのは周知のとおりです。今日に至るまで、改憲勢力が主眼とする九条改憲を求めるような国民の声は、どの世論調査でも一貫して少数であり、多数になったことは一度もないのであります。

 第二に、改憲手続法が、内容上も、不公正で反民主的なものとなっていることです。

 国の最高法規である憲法の改正は、主権者である国民の意思が最大限に酌み尽くされることが必要不可欠です。ところが、手続法は、投票率のいかんにかかわりなく国民投票が成立することになっています。有権者の二割台、一割台の賛成でも改憲案が通る仕組みなのであります。少数の国民の意思しか示されない国民投票で、最高法規たる憲法を変えていいのか。私は、この最も根本的な問題を繰り返し、審議の中でもただしましたが、法案提出者からは、まともな答弁は返ってきませんでした。

 そのほかにも、公務員、教育者の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限していること、改憲案の広報や広告が改憲推進勢力に有利な仕組みになっているなど、この法律の持つ多岐にわたる重大な問題が浮き彫りになったことを御記憶のことと思います。

 だからこそ、中央、地方公聴会や参考人質疑においても、世論調査や新聞の社説でも、また日本弁護士連合会や憲法学界などからも、拙速を避け徹底審議を求める声が、法案への賛否を超えて圧倒的多数だったのであります。にもかかわらず、審議も不十分なまま強行成立させたことは、憲政史上に重大な汚点を残す結果となったのであります。改憲手続法は、二重三重に非民主的な欠陥法だと言わなければなりません。

 国会における改憲の動きは、一九九七年の憲法調査委員会設置推進議員連盟の設立以来、憲法調査会、憲法調査特別委員会と十二年に及び、改憲勢力の周到な準備のもとに進められてきたかに見えます。しかし、いかに国会で改憲の機運を盛り上げようとねらっても、国民はそれをきっぱりと拒否してきた、これが、この間の憲法論議にかかわってきた私の実感であります。

 憲法に改正規定がありながら手続法がないのは立法不作為だと言って改憲手続法を強行し、今度は、手続法が成立したのに憲法審査会規程をつくらないのは違法だと言いますが、今国民が望んでいることは憲法改正ではありません。そうである以上、憲法審査会規程などつくる必要はないのであります。衆議院として憲法審査会を始動させるのではなく、その根拠法である改憲手続法を廃止することこそ国民の要求であることを強調し、私の発言とします。

 以上です。

小坂委員長 ありがとうございました。

 次に、辻元清美君、よろしくお願いいたします。御着席のままで結構でございます。

辻元議員 社民党の辻元清美です。

 私は、憲法調査特別委員会の委員を務めました経験から、本日、立法府が二年前のような事態、私たちから見れば立法府の過ちだったと思うんですが、繰り返してはならないという観点から発言をさせていただきたいと思います。

 ちょうど二年前、二〇〇七年の四月十二日に国民投票法案の与党修正案が委員会室が騒然となる中で強行採決されたことは、皆さん、御記憶にあると思います。

 当時の世論調査でも、与野党のコンセンサスがないまま強行採決することはおかしい、慎重審議という声が圧倒的に多くありました。そしてさらに、与党推薦の公述人の方からも、強引に進められることへの懸念が示されました。にもかかわらず、そういう中での強行採決だったわけです。直後には、「廃案にして出直せ」「手続き法でこの有り様では」時期も運びもむちゃくちゃだという見出しの社説が掲載され、強行採決が批判されました。

 当時の総理大臣は安倍晋三さんで、私の内閣で憲法改正を目指すとの発言を繰り返していらっしゃいました。憲法を最も守らなければならない立場の総理大臣が憲法改正の音頭をとるような発言は不見識だという声が、憲法改正に賛成の自民党の議員からも出されるありさまでした。しかし、憲法とは何かという基本認識もお持ちでないような総理大臣の思い込みに引っ張られるようにととられても仕方がないような形で強行採決がなされました。

 二年前のこの経験は、賛成、反対の立場にかかわりなく、立憲主義の国にとって、私たち野党は恥ずべき行為であると抗議をいたしました。私は、まず、皆さんにこのときを思い起こしていただきたいと思います。

 特別委員会の公聴会では、憲法は社会の安定装置であるという意見が出されました。憲法は、多数の横暴を防ぐものであって、政権次第でころころ変えるものではなく、賛否が激しく分かれる事項を憲法改正の対象に浮上させることは社会を不安定にするという、憲法を論ずるに当たっての基本的な問題提起もなされました。

 特別委員会では、欧州にも調査に参りました。どの国も、憲法にかかわる事項の取り扱いは極めて慎重でした。とりわけ、憲法改正にかかわる事項については、主権者である国民の民意としての多数の賛成と議会内でのコンセンサスが何よりも大切であるという指摘が各国の専門家や政治家からなされました。この二つを満たさないまま強引に進める憲法改正に向けての動きは失敗するという指摘を、憲法改正推進の立場の委員も神妙な顔でお聞きになっておりました。

 にもかかわらず、唐突に強行採決が当時なされたのです。議会内の与野党のコンセンサスがないまま憲法にかかわる事項を一方が強行するというのは、これは国際的に見てもない行為だと思います。

 今、私たち立法府のなさなければならないことは、立憲主義に基づく憲法に関する事項はどのように取り扱うべきかという認識を深めることだと私たちは考えております。

 野党の反対の中で今回の会期は延長されました。そしてさらに、衆参両院での調整もなく、衆議院が単独で先走ったような形で、しかも、この衆議院の任期はあと最大三カ月余りという時期に憲法審査会の規程を強行してしまうことは、私は、立法府として、二年前は一体何だったのかと考えることこそ立法府としての責任を果たすことであり、同じ過ちを繰り返すことであり、しかも、同じ過ちを繰り返すということは、前以上に愚かな行為になりかねないということを皆様に強く訴えさせていただきたいと思い、この場に座っております。

 憲法審査会規程の採決は、行うべきではないと思います。立法府の良識を皆さんと一緒に取り戻したいということを呼びかけさせていただきまして、私の意見陳述を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

小坂委員長 ありがとうございました。

 それでは、笠井君、辻元君、御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。高木毅君。

高木(毅)委員 自由民主党の高木毅でございます。

 私は、自由民主党を代表して、憲法審査会規程の早期制定に賛成の立場から意見表明を行います。

 我が党は、これまで何度も主張してまいりましたが、二年にわたって放置されてきた立法府の不作為は、国会の責任として一日も早く解消すべきだと考えます。

 野党側は、憲法改正手続法は強行的に採決されたと主張されておりますが、参議院の特別委員会では、憲法審査会の運営に関する内容を含む附帯決議を自民、公明、民主の三党共同提案で議決しており、少なくとも民主党は、憲法審査会の開催を前提に改正手続法の採決に応じているのであります。

 信頼関係が壊されたとの発言もありますが、中山太郎前憲法調査会長は、規定の内容は自民、公明、民主の三党間では完全な合意が形成されていたと述べており、また特別委員会では、多数の公述人や参考人から幅広く意見を聴取し、百九時間を超える審査を積み上げる中で、与党と民主党の方向性は一致していたはずであります。

 また、決して拙速や強行ではありません。昨年来、議運委員長や与党から何度も要請してきており、民主党からも、規程の制定には反対ではない旨の発言がありました。各党が意見を表明する場も、本日もそうでありますが、何度かつくってまいりました。憲法論議を後退させるのではなく、一層広げていくためにも、審査会規程の制定は欠かせないと考えております。

 また、憲法を変えるべきではないという声が多いという発言もございますが、憲法を議論する場をつくることと実際に改憲に至ることとは別の問題であって、国会法に基づいて憲法審査会が設置されている以上、その運営ルールを策定することは当然であります。野党が主張される憲法の精神を生かしていくためにも、早々に議論の場をつくり、国民的な関心を喚起していくことこそ国会の果たすべき役割だと考えます。

 以上の理由から、一日も早く憲法審査会規程を制定し、違法状態が続いている立法府の不作為、及び憲法論議を停滞させている立法府の無責任をすぐにでも解消すべきであると強く申し上げて、私の意見表明といたします。

小坂委員長 近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 衆議院憲法審査会規程の制定の件につきまして、私は反対の立場から意見表明をさせていただきます。

 当委員会の場で、本件につきまして、憲法調査会、憲法議論にかかわってこられた先生方の意見を承ってまいりました。

 本日意見表明をされたお二方、また、先日表明された自民党の中山太郎元憲法調査会長を含め、各議員に共通しているのは、国会における憲法を改正する場合の手続に当たって、何よりも重要視すべき点は国会内の広範な合意であるという点であります。

 すなわち、改正手続について政党間の対立の争点とする、選挙の争点化とするような事態は厳に避けるという共通認識であります。憲法改正に対する各党の考え方は異なるにせよ、少なくとも、その手続、運営、国会での議論の場となる審査会のあり方、そのあり方を決める手段は、常に合意に基づいて物事を進めることが憲法議論を進める上での最低条件であります。

 もとより、憲法第九十六条に改正規定があり、これまで長期間にわたり国会において憲法議論が重ねられてきたことは十二分に承知しております。しかしながら、こうした議論の経緯、関係者の努力をすべて踏みにじったのは、ほかならぬ安倍内閣での参院選での選挙の争点化、そしてその後の強行採決であります。

 衆議院の任期満了を目前にしたこの時期に、自民、公明の与党がこの事態を引き起こしたことに対して、何の反省、謝罪もなく審査会規程の制定を強行することは、混迷した現状をさらに悪化させるだけであり、断じて容認できません。

 信頼の再構築に向けた努力こそ、国権の最高機関たる国会の責務、国民への責任であります。この必要性を申し上げ、意見表明といたします。

小坂委員長 遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 公明党を代表して、憲法審査会規程の早期成立に賛成の観点から意見表明を行いたいと思っております。

 既にるる議論が行われてまいりましたが、どうしても私が理解しがたいのは、憲法見直しについての話し合いの場を設けよという視点と、それから憲法そのものを具体的に変えるという議論と、混同が非常に激しいのではないかということを野党の方々に指摘したいと思っております。

 この話し合いの場を設けることは民主主義の原点であり、日本国憲法の九十六条に改正規定があるわけでありまして、これを受けて、十分な時間をかけた憲法調査会等の場での意見を踏まえ憲法審査会規程が提起をされたわけでありまして、この問題は、国民投票法が既にでき、また国会法上も既に憲法審査会の設立は決められているわけでありますから、国会の不作為を指摘されないように、ぜひとも早期にこれを制定する必要があるかと思っております。

 よく政治的けじめがついていないという発言もあるわけでありますが、二年前の時点におきまして、確かに衆議院では若干不正常さがあったかもしれませんが、その後、参議院におきまして十分な議論を踏まえ、附帯決議を踏まえてスムーズに成立しているわけでありまして、そういった不正常な状態は既に解消されていると理解をいたしております。

 また、その後、安倍内閣の姿勢に問題があったというわけでありますけれども、既に内閣は二回かわっているわけでありますから、そういった意味で、政治的けじめはもう十分についているというふうに考えてもいいのではないかと思っているわけであります。

 国民投票法施行の一年を切った段階であり、国会の不作為をなくすためにも、ぜひとも早期の憲法審査会規程の成立を望むものでございます。

 また、今、野党の、特に社民党、共産党の方々は、今憲法改正の必要はないという議論をされました。その護憲の思いというものは理解できないわけではありませんが、これから二十一世紀における日本のあり方、さまざまな諸問題を考えますと、やはり必要な見直しは行わなければならないだろうという意識を強く持つものであります。

 日本国憲法制定以来六十二年がたち、当時想定されなかったさまざまな大きな環境の変化、問題の発生もあるわけでありまして、こういった問題に対して、どういう指導原則のもとに日本が未来に向かって取り組んでいくかという基本原則を新たに検討すべき非常に大事な点ではないかと思っております。

 何度か申し上げておりますが、例えば地球環境の問題、今大変な世界的課題になっております。特に持続可能性という考え方、私は、若干個人的な意見でありますが、これは今後、根本規範として受け入れるべき非常に重大なテーマであると考えておりまして、こういった問題を憲法秩序にどう取り込むかは、大変差し迫った重大な議論かと思っております。

 また、よく憲法二十五条、生存権の問題が取り上げられるわけでありますが、私もその重要性は大変同感しているわけであります。特に今、日本が格差社会が広がりつつあるという問題、また、さまざまな地域の現場においては、人間が人間らしく生きられる環境条件が大きく崩れている。医療の問題あるいは介護の問題、子育て支援の問題あるいはまた家族の崩壊、コミュニティーの崩壊と重なって、そういった問題、非常に厳しい現実があることは、私たちがよく認識をしているところであります。

 そういった点につきまして、単に生存権をプログラム規定という問題にとどめることなく、特に、国連等の場で今議論されております人間の安全保障、国家の安全保障にとどまらず、個々の人間の安全保障という視点から深く掘り下げて議論していくことは大変重要な課題ではないかと思っておりまして、発展途上国のみならず、先進国バージョンとしての人間の安全保障という問題を、ぜひ深く議論をしていく必要があるかと思っております。

 また、憲法九条につきましては、これは大変重要な、今後守るべきとも思っておりますが、例えば国連の場におきましても、今、世界の平和の問題の根本が文明の衝突の問題、それをどう文明の対話に変えるかという問題も提起されておりまして、そういったことも含めて憲法を議論していく必要があるかと思っております。

 そういった意味で、二十一世紀の日本の将来を考えた場合、幅広く国民的な議論を踏まえ、コンセンサスをつくりながら、そういった話し合いの場をつくることは大事であると考えておりますので、ぜひとも憲法審査会規程の早期成立を期待するものであります。

 以上でございます。

小坂委員長 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 本日、二人の参考人の意見表明の場が設定されましたが、これは改憲原案を審査する憲法審査会の規程づくりに向けて一歩を進めるためのものであり、私どもとしては、このやり方に賛成できないということを改めて表明しておきます。

 ただいま二人の参考人の御意見を聞きましても、今、憲法審査会規程をつくる必要は全くないという確信を改めて深めたところでございます。

 改憲手続法は、安倍政権のもとで、自民党などの九条改憲のスケジュールに沿って強行採決で成立させられたものであります。慎重審議を求める圧倒的多数の国民の声を無視し、審議も不十分なまま、与野党の合意のないまま与党が数の力で強行したことは、憲政史上に重大な汚点を残したものであったことは、笠井、辻元両参考人から先ほど厳しく批判されたところでございます。

 それを前提として、憲法審査会規程を二分の一ということで押し切るようなことはやってはなりません。法律に定められた憲法審査会規程が未整備である、こういうことを問題にするなら、むしろ、強行成立させられた手続法そのものを見直し、廃止すべきであります。

 今、どの世論調査を見ても、憲法九条を変えよという声は極めて少数であり、九条を守れという声が圧倒的多数であります。九条の会、全国で七千以上つくられて、九条を守る、世界に広げる、これが国民的な世論になりつつあるのでございます。

 この議院運営委員会でも、憲法審査会の規程を今つくれという与野党の合意は成立しておりません。合意のないまま、また与党は数の力で強行するということを繰り返す、このようなことは絶対に許されません。

 今求められているのは、平和と人権の保障を目指す日本国憲法、とりわけ、九条、二十五条の実現を目指すことであります。このことを強調して意見表明といたします。

小坂委員長 保坂展人君。

保坂委員 私たち衆議院議員の任期は、九月十日と、あとわずかです。この時期に、参議院との共同歩調をとる努力も放棄して、近く憲法審査会規程の採決を強行しよう、このやり方に強い怒り、また違和感を覚えます。

 一体、何のための、だれのための規程制定なのでしょうか。

 私たちは、二年前の憲法審査会の際の、今、辻元清美議員も述べたような、荒わざで強行採決になだれ込んだ安倍政権の強硬姿勢、これは参議院選挙で有権者から否定されたと考えています。規程をつくらないのが立法不作為ではなく、ねじれたやり方で強行突破した国民投票法案の位置づける憲法審査会そのものが民意に背を向けるものだと考えています。

 改めて与党の皆さんに問いたいと思います。

 自民党は、二〇〇五年に発表した新憲法草案を近く規程を置こうとしている憲法審査会に提案し、改憲手続をどんどん進めたいということなんでしょうか。同じ与党の公明党は、憲法九条の全面改定で、自衛軍、軍事裁判所を明記し、集団的自衛権を行使するという、その方向には反対されているのではないでしょうか。

 こういったこともしっかり議論することなく、最高法規たるこの憲法を、四年前の議席の数で近く採決をしようということは、二年前の安倍政権の愚を繰り返すことにほかならないということを指摘して、規程制定には反対という社民党の意見にかえます。

小坂委員長 小此木八郎君。

小此木委員 小此木でございます。

 結論から申し上げたいと思いますが、私は、この憲法審査会の規程制定について、次回の本会議で決定をするための本会議を行っていただきたいというふうに思います。

 この委員会では、平成十二年に設置されました憲法調査会、平成十七年に設置されました特別委員会当時の、与野党を代表する四人の皆様をお招きして御意見を聴取する会を設けてまいりました。四人のうち三人につきましては、ほとんどの合意を得る中でのこういう機会をつくることができたということ、それぞれの皆さんから、御意見を聴取後、聞きました。これについては、乱暴という声も聞かれましたが、私自身は乱暴な運営をしてきたという気持ちはございません。そういう中で、玄葉民主党理事との話も進めてまいりました。

 その意見の中で、民主党、そして共産党、社民党の皆さんは、野党としての統一的な意見は述べられておらなかったということ。民主党におきましては、規程の制定自体には反対でないという御意見もこの委員会でありました。共産党や社民党の場合は、これは調査会、特別委員会での採決自体がおかしい、これは立法府の過ちだという話もございましたが、そういう野党の中での話が統一されていないということもありまして、完全なる合意での本会議を迎えることは非常に難しいということを判断しております。

 きょう、与党の高木、遠藤両理事からの御意見を全面的に支持をいたしまして、動議を提出した者としても、次回の本会議に議題として上げていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

小坂委員長 玄葉理事。

玄葉委員 ちょっと一言だけ、誤解を与えるといけませんので。

 民主党は、規程はいずれ必要だというふうに思っております。

 ただ、繰り返し申し上げましたけれども、壊された与野党間の信頼、これを取り戻すための政治的けじめというものに対する真摯な答えがないということと、全般的に考えたときにタイミングではないというふうに思っておりますので、私どもとしては、いわゆる本会議で採決することに反対ということであります。

小坂委員長 本件につきましては、理事会等におきまして、引き続き御協議願いたいと存じます。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、厚生労働委員会において審査中の第百六十四回国会、中山太郎君外五名提出の臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案、第百六十四回国会、石井啓一君外一名提出の臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案、第百六十八回国会、金田誠一君外二名提出の臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案、根本匠君外六名提出の臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案の各法律案について本会議で中間報告を求めるの件について御協議願います。

 小此木八郎君。

小此木委員 動議を提出いたします。

 本日の本会議において、厚生労働委員会において審査中の第百六十四回国会、中山太郎君外五名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案、第百六十四回国会、石井啓一君外一名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案、第百六十八回国会、金田誠一君外二名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案、根本匠君外六名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案の各法律案について委員長の中間報告を求めることを望みます。

小坂委員長 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 厚生労働委員会において審査中の臓器移植法改正案について中間報告を求める動議を本日の本会議の議題とすることに反対の意見を表明します。

 脳死臓器移植によってしか命を救うことが困難な疾患を抱える患者を救う道を開くことは大変重要な課題です。移植を待ち望む子供たちを何とか救う道を開きたいと私も思います。しかし、臓器移植法は、人の生死にかかわる極めて重大な法律です。したがって、その改正は、十分な審議を尽くし、正確な医学的知見を共通認識にし、問題点を解明し、国民的な議論を尽くして、合意を形成する努力が必要であります。

 この間の厚生労働委員会で、そのような審議が尽くされているでしょうか。厚生労働委員会の審議は、小委員会を含めても二十一時間であり、委員会における審議は、今国会になっても、五月七日に四時間、六月五日に四時間、計八時間にすぎません。

 審議の内容はどうでしょうか。三年前に提出されたいわゆるA案は、脳死を一律に人の死とし、家族同意のみで臓器提供を可能とするもので、現行法体系を大きく転換するものであります。その上に、B案、C案が出され、さらに今国会の五月になって新たなD案が提出されました。二日間八時間の審議で、四法案の趣旨、内容が説明され、質疑が行われましたが、とても各案の内容が深まり、国民にわかるようになったとは言えません。

 新聞は、「移植審議 混迷深め幕」「「脳死とは」A案迷走」「「本人意思」乱れる論拠」「にわか議論 浅さを露呈」などと報道しております。まさに、この二日間の厚生労働委員会の審議で各案の問題点や矛盾点が噴出した段階であり、厚生労働委員会でさらに審議を尽くすのが筋であります。だから、五日の委員会でも、審議を継続すべきだという意見が自民党議員からも出されたのであります。

 にもかかわらず、厚生労働委員会では決められないなどといって、その審議を打ち切って、本会議に中間報告を求め、いきなり本会議で採決してしまうというのは、極めて無責任だと言わなければなりません。こういうやり方は、臓器移植に対する国民の理解や前向きの認識を築いていく上でマイナスに作用することにもなりかねません。そのことを深く憂慮するものでございます。

 以上、中間報告を求める動議に反対の意見を終わります。

小坂委員長 保坂展人君。

保坂委員 臓器移植法案の本日の中間報告の動議に、社民党も反対をいたします。

 まず、この四法案の審議、厚生労働委員会でどれだけの議論がされてきたのか、その時間及び質が問題です。

 二十一時間の中で、これは小委員会も含めたもので、委員会審議は八時間にすぎません。この八時間の審議の中で、いわゆる基本の基本である人の死とは何かという点で、最重要な議論が中途半端なままになっています。

 現状の移植法案は、脳死イコール人の死であるというふうにした衆議院段階での法案を、参議院で、臓器移植をする場合に限ってという修正をかけてスタートしています。

 A案では、この修正部分を実質的に外して、脳死イコール人の死とする。されば、臓器移植を前提としない患者が脳死になった場合、治療打ち切り、医療保険が使えない等の問題点があるのではないかという指摘について、A案の提出者である福島豊議員は、疑義を生むということであれば修正も当然あると五日の委員会で答えられています。

 とすれば、修正もあり得るかもしれない法案が、本日の本会議の中間報告という形で、委員会審議をいわばこれ以上はしないという形で出されて、近いうちに採決というのでは、拙速のそしりを免れません。

 厚生労働委員会で、人の死とは何か、子供の死とは何か、もう一歩掘り下げた議論をするべきだということを申し上げて、ただいまの動議に反対いたします。

小坂委員長 それでは、小此木八郎君の動議に賛成の諸君の挙手を求めます。

    〔賛成者挙手〕

小坂委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、厚生労働委員長の中間報告に関連して、各法律案について、自由民主党の中山太郎君、公明党の石井啓一君、社会民主党・市民連合の阿部知子君、自由民主党の根本匠君から、それぞれ発言の通告があります。

 発言時間は、おのおの五分以内とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。

駒崎事務総長 まず最初に、動議により、厚生労働委員会において審査中の中山太郎さん外五名提出の臓器移植法改正案、石井啓一さん外一名提出の臓器移植法改正案、金田誠一さん外二名提出の臓器移植法改正案及び根本匠さん外六名提出の臓器移植法改正案の四案について委員長の中間報告を求めることをお諮りいたします。共産党及び社民党が反対でございます。次いで四案について田村厚生労働委員長から中間報告がございます。

 次に、厚生労働委員長の中間報告に関連して、各案について四人の方々からそれぞれ発言がございますが、順序は印刷物のとおりでございます。

 本日の議事は、以上でございます。

    ―――――――――――――

 一、厚生労働委員会において審査中の臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案について本会議で中間報告を求めるの件

  臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、中山太郎君外五名提出)(いわゆるA案)

  臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、石井啓一君外一名提出)(いわゆるB案)

  臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十八回国会、金田誠一君外二名提出)(いわゆるC案)

  臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(根本匠君外六名提出)(いわゆるD案)

  (1)中間報告を求めるの動議(議事進行係提出)

    採決(起立)   反対 共産、社民

  (2)中間報告

    厚生労働委員長  田村 憲久君

  (3)厚生労働委員長の中間報告に関連して、各案について発言

    中山案について  中山 太郎君(自民)

    石井案について  石井 啓一君(公明)

    金田案について  阿部 知子君(社民)

    根本案について  根本  匠君(自民)

    ―――――――――――――

小坂委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、来る十一日木曜日午後一時から開会することといたします。

 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十九分散会


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