衆議院

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第16号 平成22年3月17日(水曜日)

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平成二十二年三月十七日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 松本 剛明君

   理事 高木 義明君 理事 松崎 公昭君

   理事 牧  義夫君 理事 松木けんこう君

   理事 横山 北斗君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 逢沢 一郎君 理事 高木  毅君

   理事 遠藤 乙彦君

      石井  章君    菊田真紀子君

      高橋 英行君    高山 智司君

      手塚 仁雄君    松崎 哲久君

      皆吉 稲生君    小泉進次郎君

      齋藤  健君    橘 慶一郎君

      徳田  毅君    佐々木憲昭君

      服部 良一君    柿澤 未途君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   議長           横路 孝弘君

   副議長          衛藤征士郎君

   事務総長         鬼塚  誠君

   参考人

   (人事官候補者(人事官))            原  恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  津川 祥吾君     高橋 英行君

  伊東 良孝君     徳田  毅君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋 英行君     津川 祥吾君

  徳田  毅君     伊東 良孝君

  柿澤 未途君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 人事官任命につき同意を求めるの件


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 人事官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る十二日の理事会において、松野内閣官房副長官から、内閣として、人事官に原恒雄君を再任いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会申し合わせに基づき、人事官の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として人事官候補者・人事官原恒雄君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、原参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、原参考人にお願いいたします。

原参考人 御指名をいただきました原恒雄でございます。

 本日は、このような機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。

 人事院並びに人事官の役割等につきまして、私の考えておりますことを述べさせていただきたいと存じます。

 国家公務員制度は、我が国行政の円滑な運営を確保する上で、その基盤となる重要な制度と考えております。

 戦前の公務員人事が党派化し、混乱したことなどを踏まえまして、戦後は、国民に対し公務の民主的かつ能率的な運営を保障するということを目的といたしまして国家公務員法が制定され、その目的達成のため、中央人事行政機関として人事院が設けられました。

 人事院は、中立第三者機関として、人事行政の公正の確保と労働基本権制約の代償機能という役割を担い、現在まで人事行政施策を展開してきたものと認識してございます。

 そのため、人事院を構成する人事官には、国民全体の奉仕者たる国家公務員としての強い自覚と高い倫理観が求められるところであり、代償機関として職員の保護を図るとともに、国民各層や関係各方面の御意見を踏まえ、誠実かつ公正に職務の執行に当たることが求められているものと考えております。

 これまで、四年近くにわたり、人事官として公務員制度に携わってまいりました。こうした人事院の役割の重要性とともに、人事官の職務の責任の重さを認識しているところでございます。

 現在、行政を取り巻く環境が大きく変化する中にあって、公務員制度改革が重要課題とされ、検討が進められております。

 中でも、国家公務員の労働基本権のあり方の見直しにつきましては、公務員制度の基本的な枠組みや行政の執行体制に大きな影響を与える問題であることから、新たな制度設計を議論するに当たっては、全体の奉仕者としての役割やその職務の公共性など、民間と異なる公務に特有の論点についても幅広い観点から十分な検討を行い、広く国民の理解と納得を得るものとすることが必要と考えます。

 公務及び公務員に対して、そのあり方について厳しい指摘を受けておりますが、政治主導のもと、全体の奉仕者として高い専門性を持って職務を執行するという公務員制度の基本を生かしつつ、公務員が使命感を持って全力で職務に取り組めるよう、人事管理システムを整えていくことが重要であると考えております。

 人事院としましても、中立第三者機関として、必要な公務員制度改革の実現に積極的に協力し、適切にその役割を果たしていく必要があると考えております。

 私は、国鉄で、いわば官のシステムとして二十年間勤務をさせていただき、その後、JRに転じまして、民間企業としての経営に携わってまいりました。そういった経験と、外部から公務の世界を見てきた、そういった視点に基づきまして、これまで、人事評価制度の導入と、その給与、任用への応用あるいは官民人事交流制度の改正など、広く国民の理解が得られるような公務員制度の実現に努めてまいったつもりでございます。

 このたび、人事官に再任されました場合には、引き続き、このような視点を失うことなく、人事院に与えられました使命の達成に努めてまいる所存でございます。

 また、その際には、国民の代表である国会での御議論を初め、いろいろな御意見に十分留意し、誤りなきを期してまいりたいと存じております。よろしく御指導を賜りたいとお願い申し上げます。

 以上、簡単ではございますが、私の所信とさせていただきます。

 ありがとうございました。

松本委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 理事会申し合わせに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより原参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 横山北斗君。

横山委員 原候補者、きょうは、お忙しい中おいでくださいまして、どうもありがとうございました。また、所信の方を伺わせていただきました。

 私の方からも、簡単に質問をさせていただきます。

 戦前と戦後との比較ということをお話しされましたけれども、戦後、実際、我が国の政治、行政というのは、大きな変化があったということを私もそう感じておりません。確かに、二十五年前と十年前とまた今と、大学で行政学の授業をやれば、その中身は少しずつは変わってきていますが、余り大きな変化はないだろう。

 しかし、原候補者がまさに人事官でおられたときに、政権交代ということが起きました。何か今、このお仕事をされている中で新鮮さを感じるものがおありかどうか。それから、これまでお仕事されてきた中でやり残したことがあれば、もちろん、やり残したことがあって、再任によってそれをなし遂げるわけですけれども、そこのところを、政権交代を契機にということを踏まえた上で、もう少し、やり残したこと、今後の展望などをお聞かせ願えればと思います。

 質問は、それだけでございます。

原参考人 政権交代を機に、公務員制度に限らず、いろいろと議論がなされておりますが、所管する人事行政の観点で申し上げますと、従前の、ここしばらくの政治と官の動きといったもの、いろいろと政官関係のあり方が現在も議論されてございますが、やはり、政の役割、官の役割といったものが、歴史的な経緯の中で、近年は、いわば境目がはっきりしない、ないまぜになってきた部分があろうかと思います。

 政なくして官はないわけでございまして、また官なくして政もないわけでございますので、それぞれがきちんとした持ち分を果たすということが制度の基本であるかと思います。

 そういった意味で、政と官の境目が不透明になっていた事実というのは否めないと思いますので、今回、政権交代によって改めて公務員制度が議論され、そういった中で政と官が本来どこまで果たすべきかといった議論をされることはいいことではないかと思っております。

 先生方の前で申し上げるのは大変しゃべりにくいんですが、政が本来主導すべき部分を一部官に依存していたといったことがあったことも、いろいろな事情の中で事実でございましょうし、官がいわばそののりを越えて動いた部分もあったかなと思います。そういった意味では、きちんとした議論をしていただいて、官はその役目をきちんと果たす、そのための人事制度をつくるということではないかと思います。

 やり残したという点につきましては、まだ公務員制度改革も、先年、いわゆる押しつけ的天下りの禁止と、人事を成績、能力、実績に基づいて行うという事柄が法案化され、その後は基本法が成立いたして方向づけは出ましたが、具体的な議論は今国会から始めさせていただき、またその次の過程もあろうかと思います。やり残したと申しますか、まだまだ課題は山積してございますので、しかるべく官のあり方をきちんとして、官僚の人事管理システムというものができ上がるように努めてまいりたいと考えております。

横山委員 どうもありがとうございました。

 私どもも、三権分立という言葉が、きちんとそういうことを学ぶ学生たちに説明できるような政治、行政でないといけないと思っております。これまではそうなっていない部分が多々ありました。そのことを御認識の上でこれからのお仕事に当たってくださるということであれば、大変いい話を聞けたなと思っております。

 以上でございます。

松本委員長 齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 原候補、きょうはお忙しいところありがとうございます。

 私、かつて経済産業省で人事採用の責任者をやっておりまして、やめたいと言う若手職員を一晩かかって説得したというような経験も多々ございますし、今の人事院に多くの問題点があるのもよくわかっているつもりでございます。その経験から、今行われつつある民主党の公務員制度改革について、実は大変な危機感を持っております。

 本日は、絞って二点だけ御質問させていただきたいと思います。

 人事院は、中立第三者機関としての機能だけでなくて、人事行政の専門機関としての使命もあると思っておりますので、お考えを率直にお聞かせいただけたらと思います。

 まずは、採用です。

 本当にいい人材が採れなくなってきております。人材確保の質の面で支障が出てきております。にもかかわらず、採用改革は遅々として進んでおりません。私は、この点、人事院にも大きな問題があると考えておりますが、いずれにしても、能力があり、志の高い人材が採れなくなってまいりました。私は、この点こそが今の公務員制度改革の抱える最大の問題だと思っております。我が国の国力に直結する問題だと思います。

 私自身にはどう改革すべきかという確固たる意見がありますけれども、原候補はその点で何をすべきとお考えか、御見解を賜れればと思います。

 二つ目。

 民主党の言うように、再就職を禁じ、人件費を二割カットするということは、恐らく、採用を今後十年以上極端に絞り続けて、人事構成を円筒型にするということを意味するんだろうと思いますけれども、それが実現すると、処遇するポストの数はほとんど変わらないわけでありますから、1種の職員の場合、今、三十歳ぐらいで課長補佐になっていたのが四十歳でやっと課長補佐になる、こういうことになります。これでは、優秀で志の高い職員のモチベーションを維持することは絶対にできません。いい人材の流出をとめることはできませんし、志の高い人間を採用することはできません。人事採用の責任者の経験者として断言をしたいと思います。

 今や公務員という職場は、はっきり言って魅力のない職場で、お金にも名誉にもなりません。唯一、若いうちに仕事が任せてもらえるというのがメリットであります。その唯一の売りが失われるわけですから、四十歳でやっと課長補佐、あり得ないと思います。人事政策を素人がおもちゃにしてはならないと思います。人材が死にます。そして、国力も低下します。私は、現場を担当した人間として、このような政策には絶対に反対であります。

 原候補はこの点いかがお考えか、御見解をお聞かせいただければ幸いです。民間企業の御経験で、本社で定年までとにかく全員抱え込む、こんなことで活力ある組織、構成員のモチベーションが本当に維持できるのかどうか、御見解をお聞かせいただければと思います。

 以上です。

原参考人 最初の、採用に関する御質問、私も約四年座らせていただきましたので、毎年、公務員試験の1種にせよ2種にせよ、採用状況といったものを、数字を現実に見ております。

 民間の採用動向がいいときは公務員は少し減る、逆のときはふえるという傾向はございますが、それ以上に、やはり全体的な流れとして、公務員の志望というのが、倍率は非常にまだ高いんですけれども、かつてに比べますと落ちていることは事実でございます。

 大学の先生等のお話を伺いましても、それなりに優秀な学生が応募をしてくれているという話は聞くんですが、やはり先生も若干口ごもる部分がございまして、本当にどのクラスの人間が来ていただいているのか、懸念されるところでございます。

 試験につきましても、前回の基本法の流れも受けまして、新たな試験制度をいろいろと考えてございまして、そういった試験制度できちんとした選抜をするということも、これはこれで重要なことでございますが、やはり、今、先生もおっしゃいましたように、公務員の魅力というものがどうかということだと思います。

 若くして仕事を任せられるというお話もございました。若くして重要な仕事を任せられる、それが国家公務員としての使命だ、そういう志で公務員を志していただいた方がかつてたくさんいる、また現在もいると思います。やはりそういった形がなければ、幾ら試験制度なりを改正し、また、人事院も大学に向けていろいろ、各省の御協力もいただいてガイダンス等もいたしますが、それはそれで重要なことでございますが、公務員の仕事そのものを魅力あるものにしていかなければなかなか人材は集めにくいというのは、御意見のとおりかと思います。

 そういった意味では、先ほど政と官の関係についていささか付言いたしましたが、やはり官僚の役回りといったものをきちっとし、そして、官僚がその使命に燃えて、いい意味でプライドを持って仕事をする、そしてそれが国民からも評価され、政治からも評価され、そういった形になって初めて、公務員というものがいわばかつての位置づけに戻るのではないかと思います。

 そういった意味で、一手段としてこういう形にすればいい人材が集められるということは、なかなか難しいかと思います。地道な形でございますが、まず、みずから公務員も正すべきものは正し、そして、先ほど申し上げましたような形で評価されるような形にならなければ、なかなか人材は集められないのかなというのが率直な実感でございます。

 それから、定年まで職務をという問題につきましては、確かに御方針は出ましたけれども、まだ具体策といったものがきちんと決まったわけではございません。私どもも、年金の支給開始年齢のおくれといったものに合わせまして、政治的な一定の御判断とはもっと別の意味で、今までよりは長く公務員を勤める、その間にどういう形をとるべきかという勉強をさせていただいていまして、近く、いろいろ関係省庁とも打ち合わせしながら、一定の考え方を出したいと思います。

 組織が活力を持つということは、どんな組織であっても、民間であれ官であれ同じことでございますし、そういった意味で、単に職員構成が高齢化をしてということでは、これは若手が働く場が少なくなるということかと思います。

 そういった意味では、活力を維持し、全体としてアウトプットを出すための仕組みとしてどうすればいいか。ただ今までと同じように順繰りに遅くなるという形にしませば、組織が活力を徐々に失っていくという形になると思います。そういった意味では、ポストをどのように考えるか、給与をどのように考えるか、そういった具体的な問題が出てまいります。たくさんの要素があろうかと思いますが、そういったことを組み合わせる中で、現実的な解決を図る。

 民間会社におきましても、入社した人間が最後までいるというのは珍しいケースでございまして、民間会社の場合は、グループ企業なり関連企業なり、あるいは取引先なり、そういったところにだんだん分散をしていくという事実もございます。国の場合、そこに押しつけ的なものがあってはいけないというのはそのとおりかと思いますが、やはり、組織の活力を維持するために、一定の新陳代謝は、私は必要だと思います。

 そういった面で、基本的な考え方を踏襲する中で、方法論としてどういうものがあるか、これはきちんと議論していかないと、組織が、ただ老大国になるのではないかという懸念をしているところでございます。

齋藤(健)委員 終わります。

松本委員長 遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 原参考人におかれましては、大変御苦労さまでございます。また、もう既に一期務められたわけでありますが、民間の代表として、私たちも、ぜひ公務員制度の中に民間の人をできる限り反映していただきたいという強い期待感を持っているところでございます。

 私の質問は、基本的には、政官の役割をどうするかということと、モチベーションの維持という二点に絞ってお聞きしたいと思っております。

 今、公務員制度が大変大きな転換期にあるということはだれもが認めるところでございますが、なかなか政官の役割に混乱が生じている。多分、私の見方は、かつての日本、戦前、戦後を通じて、近代化を進めて、キャッチアップであった。要するに、先進国の目標は明確で、何をやるか、政治、行政は明確だったために、一たん目標が共有されれば、それをつかさつかさに分けて任せてしまえばよかった。これがいわば官僚主導という体制を生んだし、また、それがうまくいっていたんだと思います。

 今、日本は最も多くの課題を抱えた先進国になったわけでありまして、目標それ自体が明確でない、課題それ自体を明確にまだ識別できていない、そういった中で政治、行政自体が創造革新をしていかなきゃいけないという課題を負っている、その中で政官の役割分担の混乱が生じていると思っております。

 今、政治主導の名のもとに、政務三役が入られて大いに頑張っておられるようでありますけれども、公務員側から見ると、やはり今のは政治家の官僚化ではないか、これによってまたモチベーションが下がっているという声もかなり聞くわけであります。

 したがいまして、そういったことを踏まえまして、参考人としては、これからの日本にとって政官の明確な役割分担と協業、どういう形でいくべきか、政治が何をやり、公務員が何をやるべきか、その点についてどうお考えかということと、それから、全般的に非常にモチベーションが下がっている中にあって、人材を活用しなければならないわけであって、どうやってモチベーションを高めるか、これについての具体的な提言をお聞きしたいと思っております。

 以上です。

原参考人 大変難しい御質問で、なかなかお答えできるかどうかあれでございますが、政と官は、先ほどもちょっと申し上げましたが、政と官の役割がいわばないまぜになって流れてきたなということは、私、人事官という立場じゃなくて、それまでJRにいた立場で外から見ていてもそういう感じがいたします。

 端的に申し上げて、先生方の前で恐縮でございますが、政権がどんどんかわり、内閣改造がどんどんあり、民間会社で責任者が一年でかわるということはあり得ないわけですね。二年でかわるということもあり得ないわけです。そういった中で主導的に動かれなければいかぬ、これも大変難しいことであります。

 ただ、現実に、今の仕組みでも官の役目というのは限られているわけでございまして、政策決定なり方針は、政治が立てられるということでございます。その基本は、日本が安定成長、熟成期に入った、あるいはキャッチアップする時代であれ、そこは変わらないと思いますので、そこのところはどの時代にあっても変わらず、政の役目と官の役目というのは歴然としたものがあるかと思います。そこのところで、やはり官は政を支え、専門性を持って仕事をするということだと思います。

 そういった形でいけばいいんですが、若干いろいろな課題が取り上げられて、官僚がかなりいじめられる、俗っぽい言葉で言えばそういった形が出ておりますので、そういった意味では、先ほどの採用の動向なんかにも関連してまいりますが、やはり官とは何をするところだというのがはっきりしていない。官僚が、国民から見て、国にとって大切な仕事をしているんだという評価を受けるような形にならなければいけないわけで、そのための公務員が正すべきものはみずから正し、そして、政と官の役割を果たす上で守るべき部分、それは守っていかなければいけないということではないかと思います。

 モチベーションといいますか、どの仕事をするにしましても、自分の仕事に自信を持つ、誇りを持つということがすべてだと思います。私は鉄道しかしておりませんので、そのほかの業界のことはわかりませんが、目標を持って、自信を持って仕事をするということは何事にもかえがたい話だと思います。ぜひ、公務員の皆さんにそういった形で動いていただけるような、そういう仕組みを政治においてもあるいは私どもの立場においてもつくっていかなければいけないのかな、大変難しいと。

 なかなか答えになっておりませんが、お許しをいただきたいと思います。

遠藤(乙)委員 ありがとうございました。

松本委員長 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 再任ということになりますと、人事官として四年間の活動が問われるわけであります。

 この間、私どもは、人事院の決定をめぐる問題を振り返りますと、小泉内閣が二〇〇二年に骨太方針を出して、公務員一律削減、総人件費抑制政策を打ち出しました。それにどう対応するかというのが問われたわけです。この政府方針に沿って、人事院は、二〇〇二年、初めてマイナス給与勧告を行い、さらに給与構造改革を進めて給与引き下げの勧告を重ねてまいりました。

 原さんが人事官に就任したのは二〇〇六年のころだと思いますが、その勧告は、給与の官民比較の規模を、百人以上だったのを五十人以上というふうに拡大をしまして、本来なら給与増とすべきところを、勧告なし、こういう結論を出したわけです。

 昨年は、自民・公明政権、与党の政治的圧力だと私どもは思っておりますが、突然四月に臨時調査を行った、そして、特別給、夏のボーナスを削減するという勧告を行いました。

 従来、特別給というのは、毎年五月から実施される職種別民間給与実態調査において、前年八月からその年の七月までの一年間民間で支払われた特別給の実績を把握して、官民較差を算出した上で、八月に勧告を行う。たとえ夏のボーナスを削減する場合でも、十二月のボーナス時に調整をするというやり方をしてきたんです。

 こうした人勧制度のこれまでのルールさえも一方的に踏みにじるというか、そういう乱暴なやり方をしたと私どもは感じております。

 公正中立であるべき人事院が、政府の意向に唯々諾々と従うというようなことで、果たして労働基本権制約の代償機能を果たすことができるのかどうか、このように思いますが、原さんの御意見を伺いたいと思います。

原参考人 二〇〇二年ですか、小泉内閣で方針が出て、その後削減の勧告をしたという御指摘がございましたが、先生に申し上げるまでもなく、人事院の役目は、情勢適応の原則で、民間の給与を調査した上で決定するということでございますので、年々に、このところはほとんどマイナスないし据え置きという勧告が大半でございますが、基本的には、プラスにせよマイナスにせよ、そういったものの調査に基づいて勧告をするという形でございまして、政府の御方針で、例えば削減をするという形があるから勧告をこうするという性格のものではございません。

 それから、昨年夏のボーナスの点につきましては、異例の取り扱いを勧告させていただいたことは事実でございます。

 現実に、春闘段階、年をかえると今の段階、きょうが集中回答日のようでございますが、そういった段階でボーナスがかなり大幅に動きました。その前の年の十二月というのが、余り大きくは変わっておりませんでした。

 公務員のボーナスにつきましては、前の年の十二月のボーナスと夏のボーナスをもって公務員のその年の夏と冬を決めるという形になっておりますので、春が、民間の六月が落ちるということになりますと、公務員の六月、十二月を大幅に切らざるを得ないという形に自動的になってくるわけですね。

 それで、現実に民間の六月がかなり落ちまして、このままいきますと、従来のルールでいけば、公務員の六月の賞与は前年出した数字に基づいて淡々と支払うという形になる。そういたしますと、自動的に調整を十二月の賞与で事実上一度に行うという形になりまして、かなり大きな数字になりかねないという事実がございました。

 当時、自民党においてもそういう議論がなされたことは私どもも承知しておりますし、私どもも、民間の調査をする中で、そういった状況を踏まえて、十二月に一度に削減をするのは問題が出てくるという認識であのような形をとらせていただいた。

 現実に、その後、春のボーナスをきちんと調査させていただきまして、数字が確定した段階で十二月の支給もしたわけでございますが、結果的に六月に一部凍結をさせていただいた分以上の削減をするという形になりましたので、結果としては、それなりの穏当な形になったのではないかなというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

松本委員長 服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。きょうは、どうも御苦労さまです。

 三点ほど御質問させていただきます。

 先ほど政権交代という言葉も出ましたけれども、昨年の十一月六日に鳩山首相が予算委員会で、労働基本権の回復を行い、人事院の存廃の議論が必要なぐらいの人事院改革をしなければならないというふうに言われております。再任ということもあって、そういう点で、改めて、人事院の改革あるいは労働基本権の回復ということに関する決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。

 それから二点目は、私も、三十三年間中小企業といいますか、機械メーカーで働いてまいりまして、公務員ということに対しては独特の実は感情を持っておる人間の一人なんですが、元国有会社国鉄に就職をされ、そして民間JRということになり、そういった経過を踏まえて、今現在お持ちの公務員像といいますか、あるいはその改善点といいますか、そういったことに対する感想があればお聞かせいただけたらと思います。

 それから、最後の質問ですけれども、今、官製ワーキングプアという言葉が非常に話題となっております。先日も、郵政職場の中で約四六%でしたか七%でしたか、非正規の労働者が働いておるということで、これも何とかしなければならない、こういう議論があるわけですけれども、そういった中で、特に公務員職場が範を示してこういった非正規の労働者を少しでも減らす努力をしていくべきだというふうに私は思うわけですけれども、そういった今の現状の認識、あるいはそれに対してどう考えておられるのか、今後の是正の方法を含めて何かお考えがあればお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 よろしくお願いいたします。

原参考人 人事院改革なり基本権、基本的には、基本権を議論すれば当然人事院改革につながるということがございますので、基本権の問題をどう取り扱っていくかということかと思います。

 人事院の職務は、人事行政の公正中立といった問題を確保することと、基本権を制約している代償機能を果たすというのが人事院の大きな役目の二つでございます。

 その基本権の問題につきましては、かねて議論がされているところでございますし、また、各政権において一定の方向づけがなされ、現政権においても一定の方向づけがなされていることは承知しております。

 私、たまたま国鉄に長く勤務をいたしまして、国鉄というのは、今の公務員は団結権があり交渉権があるけれども、協約は結べない、ストライキができないというのが今の公務員の制度の仕組みですが、昔の国鉄、電電、専売あるいは郵政といったいわゆる三公社五現業は、団結権があり交渉権があり、そして協約を結ぶことができる、ただしストはできないということでございまして、先年来議論されている公務員の基本権の姿の一つのパターンに該当する組織に二十年間勤務をいたしました。

 そこでの一番の問題は、民間における労使関係というのは、市場メカニズムといったものが労使に働いて、例えば最大の労働条件である賃金については一定のところに落ちつくという問題がございます。公務員の場合はそこが働かない。

 それをどうするかというのは、昨年の暮れに報告が出た、学習院大学の今野先生にやっていただいた労使制度検討委員会でも、交渉は交渉として、民間の動向なり、そういったものを調査するべきかどうか、した上で報告すべきかどうかといった論点が提起されておりますが、これは、やはり市場原理がにわかには働かないという、公務の民間にない部分をどう補強するかという議論であろうかと思います。

 ただ、給与そのものは、一方的に高ければ政府も認めないでしょうし、国民も認めない、あるいは一方的に切り下げるような形になれば労働組合としてもそれには応じないという形で、市場メカニズムがなくてもそれなりの落ちつき方というのは出てこようかと思います。

 ただ、国の場合は、三公社五現業も同じなんですが、労使で交渉しても、最終的には手続的に国会の承認が要るということです。民間の労使の交渉というのは、交渉の席に着いた当局側が責任を持って妥結した内容を実施するわけです。株主総会の許可が要るわけでもありません。めちゃくちゃな回答をして会社が壊れれば次の株主総会で解任されることはあるかもしれませんが、賃金を改善するのに株主総会の了承を得るという手続は要りません。

 ただ、国の場合は、どうしても国会で先生方の御承認をいただくという形が必要になってまいります。そういった意味では、交渉に出てくる当局側が一〇〇%決めることが手続的にはできないという問題がございます。

 もちろん、国会の多数を占める政権でございますから、政権が出した方針は、事後であれ、国会で承認されるということが普通のこととは思います。ただ、実際には、どういう国会構成があるかというのはその時々で違うわけでございますし、そこで否決されたり修正されたりすることはなくても、例えばほかの重要事案があって審議未了になるという形もあるわけです。

 労働組合は、当局側と交渉して判こをついたならば、それを当然実施してくれという話です。国鉄の問題が大いに荒れたのは、やはり当局側が給与を決める権限がなかったんです。総裁といえども決められなかったわけです。したがって、回答にならないわけです。したがって、労働組合は、一番大事な問題について当事者能力のない当局を相手にしないということになるわけです。

 国鉄は御承知のように大変な問題を抱えておりましたが、いささか特別なことは確かにございますが、財政問題がなかった郵政でございますとか当時の電電でございますとか専売、そういったところでも自主交渉で賃金が決まったことはないんです。ですから、そういった意味では、協約締結権を持つということは、協約を結んだ当局はそれを実施する権能を持つということとセットでなければいけないわけですね。そういったところが三公社五現業の場合はなかったわけです。

 そういった意味で、今回の国家公務員、これは三公社五現業とはまた違う位置づけでございますが、国会側の承認が手続的に要るということは同じかと思います。そういった意味で、それをどういうふうに解決するかということを十分に議論していただかないとなかなか答えは出てこないと思います。

 人事院の改組というのは、人事院は法律に基づく組織でございますので、今、法律に基づいて人事行政の公正中立それから基本権の代償という形の役目があるわけで、法律が変われば、それが必要に応じて改組されるということは当然のことかと思います。

 少し長くなりましたが、国鉄の経験あるいはその後のJR、JRの場合は民間会社と同じですが、交渉に出た人間が仮に五%と約束したら、即五%で実施なんです。したがって、組合との交渉が成立するということだと思います。

服部委員 ありがとうございました。

松本委員長 柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。お疲れさまでございます。

 原候補者の御経歴を見て、おやっというふうに思いました。平成三年から平成十年まで、七年間にわたってJR東日本の長野支社長をお務めになられておられます。ちょうどこの時期、平成十年二月に長野オリンピックがあって、新幹線は通る、また、あの仏閣駅舎から駅舎がかわって、東口の再開発がある、こういう時期だったと思います。

 何でこんなことをよく知っているかというと、私はそのころNHKの長野放送局の記者をやっておりまして、ちょうど長野で同じ時期を過ごして、一つの大きな歴史の一光景を見たというような思いでございます。私も、赴任をしたときは「あさま」で、スイッチバックで長野に赴任して、帰りは新幹線で帰った、こういう思い出を思い出しております。

 JRの御出身、また国鉄の御出身ということで、民間企業の経営経験、そして国鉄といういささか特殊な立場で、また人事等にもかかわった御経験を今まさにお話ししていただいて、大変参考になるなというふうな思いで聞いておりました。

 民間企業の経営経験を生かしてということで人事官への再任の提案がなされているわけですけれども、JR、それ以上に国鉄は非常に特殊な会社組織でありまして、民営化されたといっても、非常に色濃いそれまでのお役所体質というか、そういうものを持っていたのではないかというふうにも思います。それを改革したという経験を生かしてという部分もある一方で、純然たる民間企業の経営者からすれば、民間企業の代表としてそういう方が人事官になるといっても、なかなか、民間代表としてはどうなんだろうか、こういうふうな見方をされる方もいらっしゃるのではないかと思います。

 これまで四年間務めてこられたわけですけれども、こうした御経験が今までの四年間の人事官としてのお仕事にどのように役に立ったかということをぜひ語っていただきたい、これが一点でございます。

 もう一つは、労働基本権の付与の話が先ほども出ました。

 まさしく、この労働基本権の付与は、私どもみんなの党の政策でもございまして、我々は、まさに民間並みの人事制度を導入する大前提としてこれを付与すべきであるというような意見を持っております。そうでないと、先ほど自民党の齋藤先生がおっしゃられたように、本当に、定年まで働き続ける一方で、非常に定年近辺の方々が、いわばだぶついてしまうというようなことも起きかねない。そういう意味では、場合によっては降格あるいは降給ということを行えるような人事制度にしていかなければ、今後の公務員制度の改革そのものが成り立たないのではないかというふうに思っているところでございます。この点についてお考えがありましたら、ぜひお伺いをさせていただきたい。

 以上の二点をお伺いさせていただいて、質問とさせていただきます。

原参考人 長野は、私のいわば第二のふるさとでございます。東京の出身で東京で育ちましたので、いわゆる本当のふるさとがありません。そういった意味で、長野は本当に私のふるさとでございまして、長野時代のことをいろいろと御報告いただきまして、大変ありがとうございます。

 実は、仏閣駅舎を取り壊す決断をしたのも不肖私でございまして、これは戦犯みたいなものかもしれませんが、いろいろと状況に合わせてあれし、おかげさまで新幹線を開業させていただきました。御評価をいただきまして、ありがとうございます。

 官と民の問題でございますが、やはり、民の場合というか、いわゆる企業経営の場合は、必要なときに必要な対策をすぐ打つということなわけですね。決めたらすぐ動く、決めるのもすぐやるというのが基本だと思います。

 公務員の仕事の場合、これは国政も同じかと思いますが、法律にかかわること、あるいは政令にかかわること、人事院でいえば人事院規則にかかわることでございますから、仮に、新たな仕組みをつくる、仕組みを実施するということになりますと、いろいろ調整もたくさんございますし、法令であれば国会の御審議も経なければいけないということで、これをしようと言ってから実現するまでに非常に時間がかかる。

 民間の場合も、時間のかかることは当然ありますが、決めたらそんなに時間を置いてはおけないわけですね。同じことをやっても、タイミングを失すれば、それは会社の施策にならない。足を引っ張ることすらあるということです。

 そういった意味で、官と民の仕事の仕方というのは、そういった制度的な違いがいろいろあって、基本的には違うと思います。

 そういった面で、私は、先ほど先生もおっしゃったように、国鉄とJRですから、JR、一応民間会社ですけれども、昔から民間会社だった組織とはおよそ違います。国鉄の変わった姿でございますので、本当の民間経営を私は経験したとは言えないと思います。

 ただ、形としては、自分で物事を決めて自分で動けるという経験は、国鉄から政治的に強制設立された民間会社ではありますが、やはり国鉄と大分違う形の行動パターンというものが二十年間できてまいりました。少なくとも、昔の国鉄よりは今のJRの方がいいという御評価はいただけているんだと思います。

 そういった意味で、霞が関にかかわらせていただいて四年間たちましたが、仕事の仕方が、やはり物事を決めるのに時間がかかるというのが私が一番率直に感ずるところでございまして、それを日ごろの仕事の中でいかに早くするかということは、私が心を砕いている一つでございます。

 もう一つは、やはり見方が、そういった中でずっと来て、周囲はほとんど霞が関で育った方が大半でございますので、霞が関的な物の考え方、物事には時間がかかるというのが、結局、考え方にもだんだん出てくるわけですね。そういった意味で、やはり外からの目線というものを、少なくとも、私が十分持てるかどうかは別として、彼らよりは持てるわけでございますので、そういった面で、外からの目線をいかに日ごろの仕事に生かしていくかという点について、それなりに取り組ませていただいているところでございます。

 それから、基本権の問題でございますが、今、先生から民間並みにというお言葉がございました。確かに、民間の労使関係というのは自律的な労使関係ができている。それで、きちんと使は使の役目を果たし、労は労としての権利を主張し、労としての役目を果たすという形でできているんだと思います。民間においても不幸にして紛争が起きることはございますが、幸いにして大きな紛争がここしばらく出ていないことは、大きな意味でいえば事実だと思います。そういった意味で、一つの労使関係ができているんだと思います。

 一方、公務員はどうかといいますと、確かに、自律的な労使関係があるとは私は思えません。ただ、労使関係を、自律的なものをつくるというのは、やはり最大の労働条件がきちんと議論できるかということだと思います。やはり今は賃金が、ちょっと人事院の立場を離れてもいいんですけれども、たまたま今私が人事院にいますからかかわってしまいますが、自分たちの給料を自分たちで決めていないという仕組みなわけですね。したがって、なかなか自律的な労使関係ができていない、だからそこが問題であるということは、認識は一致します。

 ただ、しからば公務員の労使関係をどうするかという形になりますと、民間と同じような自律的労使関係をつくるべきだという点はそのとおりでございますが、民間と同じような仕組みをつくれるかといいますと、やはり市場のメカニズムが働かない、あるいは、先ほども申し上げましたが、最終的に国会の御承認をいただかなきゃいかぬという点は民間にはない話なんです。したがって、民間と全く同じ仕組みは、僕はできないと思います。

 民間と同じ仕組みにするのであれば、それをどういう形でつくればできるのかという議論をしていただくべきだと思いますが、今まで、ここ数年、私が着任して以来、公務員制度改革というのは議論されておりますが、そういう点について議論が十二分に闘わされたというふうには感じていないところでございます。

 国の重要な制度を決める話でございますので、その点について、私は賛成とか反対する立場ではありません。人事の専門家として、またJR、国鉄を経験した人間として、そういった論点をきちんと議論していただきたい、その上でお決めいただきたいというお願いでございます。

松本委員長 下地幹郎君。

下地委員 私がもう最後になりますから、原人事官も私も三分以内で終わりましょう。

 再度人事官候補になられたわけですので、私はこの四年間でこれをやったというのが、わかりやすいのがあったら、ひとつ教えてください。そして、新たに再任されるわけなんで、これをやりたいというのがあったらお話しください。一点だけです。

原参考人 特に私がやったと申し上げるようなことでなく、組織的に動いていることでございますが、ちょうど私が参りまして議論がされてきましたのが、いわゆる人事評価をきちんとやろうという形で、そういった人事評価の制度が大体事務的にも積み上がりまして、総務省とも御相談して、今度それを給与にどう反映していくかというような議論がされました。

 そのときに、やはり霞が関のそれまでの法制度的な、いろいろルールがございまして、現実にどういう人事評価をしてきたか、それを給与にどう反映してきたかということは、先生方も御存じのとおり、かなり年功を中心にやってきたことは事実でございまして、やはり人事評価に基づいて給与なり処遇にいろいろ配慮をする、処置をするということについてはやりなれていなかったのが事実でございました。

 そこに、評価そのものをきちんとやることが大変なので、評価することが物すごく手間がかかる、必要なことだけれども手間がかかる。その評価をした上で、きちんと評価をしなければいけない。大抜てきをする必要も大降格をする必要もない。仕事をした人間をそれなりに評価し、しからざる者にはしからざる処遇をするという形が必要なので、そういった仕組みをどうしていくかといったところについては、それなりに、私なりに一定の主導性を持ってやってきたものと考えております。

 今後につきましては、人事院に絡む課題は山積してございますので、いずれにいたしましても、現在与えられた使命に基づいて、また時の政治の御方針、そういったものも承りながら、それなりに役目を果たしてまいりたいと思います。

下地委員 難しい時代ですけれども、頑張ってください。

松本委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。たびたび済みません。

 人事院は、中立公正、きちっと貫いていただきたい。

 一つは、公務員定員の一律削減というのが行われておりますが、非正規雇用の公務員が急増しておりまして、官製ワーキングプアと言われる人たち、これについてどう考えるか。

 それから、ILOの勧告が出されておりますが、やはり労働基本権、消防職員あるいは監獄職員などの団結権の保障まで言っております。これを受け入れるべきだと私どもは思いますが、どのようにお考えか。この点、お聞きしたいと思います。

原参考人 先ほど、ワーキングプア絡みの御質問をいただきながら回答しておりません。大変失礼をいたしました。

 公務員にも一定の、非正規といいますか、非常勤の職員がいることは事実でございまして、かねてからいろいろと問題の指摘もございまして、給与そのものの議論もございますし、雇用形態そのものの議論もございます。それから、休暇とか病気だとか、そういった福祉的な問題もいろいろとございます。

 まず、できるところから手をつけていきたいということで、御承知のように、給与について一定のガイドラインをお示しさせていただき、また、福祉関係につきましても従来とは違う取り組みを一部させていただいてございます。ただ、原則が日々雇用という、かなり実態にそぐわない雇用形態をとっておりまして、これがまだ直っておりません。

 この問題が、それによって給与が直ちにどうこうということではございませんけれども、やはり安定的な雇用形態ではありませんし、現実とも違いますので、この点については余り時間を置かずに答えを出していかなければいけないなと思っております。

 世に言うワーキングプアから国家公務員の非常勤のワーキングプア、必ずしも同次元の話ではないと思いますが、国家公務員という国の制度でございますので、そこでいろいろな形態の雇用形態があるわけで、それにやはり国としてしかるべく対応をするというのが当然だと思います。それなりの努力を重ねてまいりたいと思います。

 それから、ILOの問題につきましては、かねてから、数次にわたっていろいろ勧告なり意見が出されておることは承知をしてございます。これまでも政府としての一定の見解はございますが、今たまたま公務員制度改革、基本権を含めて議論になっておるわけでございまして、どういう形にするかという点について私の意見は申し上げましたけれども、きちんとした議論をしていただいて、勧告は受けとめつつも、日本としてはこう考えるというのを、政府として御方針を出されるというのが順序なのかなというふうに存ずる次第でございます。

松本委員長 他にいらっしゃいませんか。

 それでは、これにて原参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 原参考人、ありがとうございました。

    ―――――――――――――

松本委員長 以上をもちまして人事官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十五分散会


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