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第3号 平成23年1月27日(木曜日)

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平成二十三年一月二十七日(木曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 川端 達夫君

   理事 松野 頼久君 理事 山井 和則君

   理事 高山 智司君 理事 村井 宗明君

   理事 三谷 光男君 理事 横山 北斗君

   理事 菅  義偉君 理事 高木  毅君

   理事 遠藤 乙彦君

      相原 史乃君    石山 敬貴君

      小宮山泰子君    中屋 大介君

      浜本  宏君    松岡 広隆君

      山本 剛正君    横粂 勝仁君

      伊東 良孝君    小泉進次郎君

      齋藤  健君    橘 慶一郎君

      佐々木憲昭君    服部 良一君

    …………………………………

   議長           横路 孝弘君

   副議長          衛藤征士郎君

   事務総長         鬼塚  誠君

   参考人

   (検査官候補者(公認会計士・公認情報システム監査人・有限責任監査法人トーマツ パートナー))   森田 祐司君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十七日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     石山 敬貴君

同日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     山岡 達丸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 検査官任命につき同意を求めるの件

 本日の本会議の議事等に関する件


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     ――――◇―――――

川端委員長 これより会議を開きます。

 まず、検査官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る二十四日の理事会において、藤井内閣官房副長官から、内閣として、検査官に公認会計士・公認情報システム監査人・有限責任監査法人トーマツ パートナー森田祐司君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会申し合わせに基づき、検査官の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として検査官候補者、公認会計士・公認情報システム監査人・有限責任監査法人トーマツ パートナー森田祐司君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

川端委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、森田参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、森田参考人、お願いいたします。

森田参考人 森田祐司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。

 近年、我が国の社会経済は、少子高齢化に伴います社会保障費の増大や内外経済の構造的な変化等の課題に直面する一方、国の財政は非常に厳しい状況にあり、行財政は、こうした課題への的確な対応が求められております。

 このような社会経済の動向を踏まえながら、会計検査院が、近年、一部の府省等において不正、不当な事態が相次いだことも踏まえて、正確性、合規性の観点から厳正な検査を行うこと、事務事業や予算執行の効果等について経済性、効率性及び有効性の観点からの検査を重視すること、また、行財政の透明性と説明責任の向上や事業運営の改善に資するための分析、評価などを行うとともに、特別会計、独立行政法人等の財務状況の検査を充実し、基金等の資産、剰余金等の状況についても明らかにしていくということが重要と考えております。

 会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国の会計検査を実施し、検査の結果に基づき、検査報告を作成して内閣を通じて国会に御報告するという重要な使命を課されております。

 私が仮に検査官に任ぜられるとするならば、私の果たすべき役割といたしましては、これまでの知識、経験に基づきまして、会計検査院の検査官会議における公平かつ均衡のとれた意思決定というものに貢献することと認識しており、国の財政監督機関としての職責を担ってまいりたいというふうに考えております。

 国民の皆様の関心の所在や国会における御審議の状況に常に注意を払うとともに、いろいろな御意見に耳を傾けながら、誠心誠意、一生懸命努力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

川端委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 理事会の申し合わせに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。

    ―――――――――――――

川端委員長 これより森田参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 村井宗明君。

村井委員 森田候補者に、民主党を代表して質問させていただきます。

 森田候補は民間の経験と知識を持って入られるわけですから、だから期待して、お願いしたいことがあります。

 私たちが今調べてきていることに官民の価格差があります。

 役所が物を買う場合、大体定価に近い金額なんですが、民間企業は非常に、コストダウンのために、コスト削減、コスト改善のために値切って物を買います。定価よりも七掛け、場合によっては半掛け、そういった形で物を買ったりしているため、同じものを同じ量だけ買っても、官民の価格差が随分と出ています。

 今まで会計検査院は、正確性と合規性を中心に調べてきました。

 正確かどうかといえば、定価で買っても正確です。合規性、つまり、規則に合っているかどうかという意味でも、定価で買ってももちろん規則には合っているわけですが、では、実際、本当にそれがいいかどうか。

 経済性という観点で見ると、非常におかしいんじゃないかという物の買い方がたくさんありました。A4のコピー用紙、電球、ボールペン、さまざま調べてみても、随分と官民の価格差が大きくなっています。

 森田候補者が、そういった経済性の分野も、今までは非常に少なかったけれども、これからしっかり取り組む気があるのかどうか、お聞かせいただきたい。

 そして二点目は、一社応札です。

 発注のときの仕様書が非常に特定のメーカーしか注文できないようになっていて、事実上、一社応札になることがあります。金額が高い発注になるときというのは、大体一社応札になる。一社応札になるから、落札率九九%ということが少なくありません。三社、四社、五社と、五社ぐらい出たら大体民間価格とほとんど変わらなくなるのに。

 この仕様書の時点で、まず、あいまいで新しい人が入ってこられないというパターン、二つ目は、初めから特定のメーカーしか参入できないように仕様書が組まれているというパターン、そういったものをしっかりとなくしていただきたい。

 例えば、ボールペンを発注する場合でも、ぺんてるの何番というんじゃなくて、こういうボールペンでこれ以上があればいいというスペックの問題があります。特に、オーバースペックで、本当はカローラでいいのにベンツの仕様書になっているようなものも少なくありません。

 こういった一社応札を防ぐために、特に一社応札になった場合は、会計検査院で徹底的に、その仕様書がよかったのかどうかを見ていただきたい。

 そういった官民価格差と一社応札後のチェック、この二点について、森田候補者の意気込みを聞かせてください。

森田参考人 御質問ありがとうございます。

 最初の御質問の、経済性の観点でございます。

 これは非常に重要な御指摘と思いますし、会計検査院としてそのあたりの部分をしっかり見ていくということはこれまでの会計検査院の活動の中にもあるようには聞いておりますけれども、さらに、私の今までの経験なども生かして、そのあたりがしっかり行えるようにすべきだというふうに考えております。

 それからもう一点、一社応札の件なんですけれども、私も契約監視等々で、これまでもそういうような案件について見させていただくこともございました。もちろん、民間企業での物の買い方というものも経験をしてまいりました。

 今、先生御指摘のとおり、一社応札にさまざまな問題点というのが内在している可能性は非常に高いというふうに思います。

 そういうような部分について、私の考えとしては、まずは、執行されるところが、きちっとした内部統制という形で、そういう競争性が働かないような発注というものが行われないようなチェックをかけ、さらに、外部の独立した機関として検査院がしっかりそこを見ていく。このような形で、そういうようなことが今後行われないような仕組みづくり、これを進めていくということが非常に重要かと思います。

 そこに果たす会計検査院の役割も非常に重要であるというふうに認識しております。

村井委員 ありがとうございました。質問を終わります。

川端委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 検査官候補者の森田さん、御苦労さまでございます。

 私は、自民党を代表して、一、二点お伺いしたいと思います。

 今いろいろなお話が出ましたけれども、会計検査院の役割は極めて重要になってきているというふうに思います。

 二十一年度の決算検査報告を見ますと、指摘金額の総額は一兆七千九百億。これは、十年ほど前は二百億台でずっと推移していたものが、去年は、二十年度は二千三百六十四億、あるいは十九年度、千二百五十三億、また二十一年度は一兆七千九百億と、とてつもなく上がっております。これは、先ほど候補者がお話しのように、いわゆる埋蔵金と呼ばれる利益剰余金等々が指摘された鉄道・運輸支援機構のお金が相当入っている、こう思うわけであります。

 会計検査の重点を、予算のフローだけではなくてストックにも着目をされている、そしてまた、特別会計あるいは独立行政法人が有する資産、基金、利益剰余金などを、お話しのとおり、有効活用する新たな観点を持たれた、このように思っているところであります。

 このような会計検査の状況も踏まえまして、官民双方の監査業務の経験を有する候補者でありますので、現在の会計検査院に対してどのような基本認識、あるいは改革をしようとされているのか、その抱負をお聞かせいただきたいと思います。

森田参考人 御質問ありがとうございます。

 御指摘のとおり、フローの指摘になりますと、その年度の支出というものが対象になって、金額的にはそれほど、今の一兆というようなお金というのはなかなかあれなんですけれども、ストックというのは、やはり、積み重ねということでございますので、どうしても金額が大きくなります。ですから、ここに、うまく使われていない、有効活用されていないようなものがございますと、逆に、非常に大きな影響を与えるということかと思います。

 国におかれましても、国の財務書類等、企業会計的な考え方も踏まえ、このストックというものをしっかりと財務会計的にとらえていこうという動きがずっと進められておりまして、私も、その一端を今まで研究等々で担わせていただいてまいりました。

 ですから、そういう情報をきちっと有効活用して、二十一年度、非常に大きな金額の指摘があったわけですけれども、今後とも、そういうストックの面、これは、資産あるいは剰余金、いろいろなことがあろうかと思いますけれども、きちっとそのあたりについて財務情報を活用しながら検査をしていく、そういう方向で私も努力してまいりたいというふうに思っております。

伊東委員 ぜひ、そうしたストックについての活用をお願いしたい。

 それと同時にあぶり出されてきたのが借金でありますので、これらについても、やはり、しっかりした返済あるいは整理の計画なども指摘していただきたいと思うところであります。

 さて、会計検査院で、昨年十二月、二十二年の十二月に出されました、都道府県及び政令指定都市における国庫補助事業に係る事務費等の不適正な経理処理の報告書がありました。

 二十年度から二十二年度までの三カ年にわたり会計検査を行った結果、すべての都道府県あるいは政令市において、不適正な経理処理により需用費が支払われた事態または補助の対象とならない用途に需用費、賃金もしくは旅費が支払われた事態が見受けられたと。すべての都道府県あるいは政令市であります。

 さて、そこで、今回の、新年度の政府予算案の中に、実は、一括交付金と称する地域自主戦略交付金、これは仮称でありますけれども、これが創設をされて、八省庁の所管する投資補助金三・三兆円のうち、都道府県分を対象に五千百二十億が内閣府に一括計上され、これが配分される予定になっております。

 さて、今私がお話し申し上げましたように、地方自治体が、知恵を絞り、創意工夫しながら、自由にひもつきでない事業を行う、こうしているところでありますけれども、この会計検査院の報告にあるとおり、地方公共団体における不正経理あるいは不適切な処理というのが全自治体にあったとしたら、果たして、この一括交付金、この制度設計に当たりまして、これを会計検査院としてどうやって検査していくのか、あるいは地方公共団体の金の使い道をチェックするのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

森田参考人 御質問ありがとうございます。

 自治体の不適正経理の問題につきましては、私も自治体の会計監査の経験がございます。

 事象としては同じでも、その原因ということを考えてみますと、さまざまな原因があろうかというふうに思います。ですから、本来は、きちっと原因を分析し、それについて、まず一義的には自治体の方で、今後そういう問題が起こらないような仕組みづくりというものが必要ですし、そこに国のお金、今も一括交付金のお話がございましたけれども、国のお金が入っていく以上、会計検査院としても適正な使用ということについてきちっとチェックをしていく責務というものはあろうと思います。

 そういうような総合的な形で国全体としてお金の有効活用、適切な使用というものが進められますように、私も努力してまいりたいというふうに思っております。

伊東委員 これで終わりますが、ひもつきでない一括交付金、自由に都道府県、自治体が使える交付金というのは、これから年を追うごとに拡大していくというふうに思いますので、会計検査院としての業務は非常に難しいことになるだろうという思いがいたしますので、十二分な研究をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

川端委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 森田参考人にお伺いしたいと思います。

 今、会計検査院は、行政におけるさまざまな不祥事の発生に対して非常に国民の目線が厳しくなっており、また、予算の効率的使用という点からも、非常に国民の期待が高まっている中でございます。

 そういった中で、一つは、行政における不祥事、特に裏金づくり等で非常に問題が多いわけでありまして、庶民の目線から見ると許しがたいことが多い。やはり、行政については信頼ということが何よりも大事でございますので、こういった不祥事の一掃ということは大変重要なポイントだと思っております。この点において会計検査院の果たす役割は非常に大きいわけでありまして、これに対してどのような抱負を持っておられるのかということが一点。

 それからもう一点は、所信にもありましたが、今、単に適法な使用ということのみならず、経営的な観点から効率的なものということは非常に重要だと思っております。

 従来の予算が、枝ぶりよく予算を組み、これを消化していくという発想でやってきた嫌いがあるかと思っておりますが、もはやそんな時代ではないわけでありまして、いかに、限られた税金、予算を効率的に、特に経営的な観点から効率的に使って財政を立て直すかは非常に重大なテーマでありまして、その点、特に、会計士出身の立場であり、また経営的にも非常に豊富な見識をお持ちである森田参考人として、どのような抱負を持って対処されるか。

 この二点につきましてお伺いしたいと思います。

森田参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、一点目のところでございまして、まさに国民の信頼というものを維持する、それをつなげていく、非常に重要な観点かと思います。

 そのために何をすべきか。まずは、実際にお金を使うというところにおいてきちっとした執行が行われる、そのためのいろいろな仕組みづくりとチェック機能というものが非常に重要だと思います。

 会計検査院は、検査をし指摘をするというのが大きな機能ではございますが、その過程でその仕組みに何らかの問題点があるということがございましたときには、その仕組みそのものの改善を求めていくという機能があるというふうに理解をしております。

 ここの部分、私、民間等あるいは国、自治体などでの経験から非常に重要なポイントかというふうに思っておりますので、この点を肝に銘じて、そういうような全体としての仕組みがあり、さらに検査院の検査を受けてということで、先生御指摘の国民の信頼というものの一翼を担っていきたいというふうに思っております。

 それから、効率性の問題でございます。

 これにつきましては、民間での経験はもちろん豊富でございますし、民間的な経営というものもいろいろ取り入れていく余地といいますか可能性は高いというふうに思っておりますが、一方、やはり、国、公共ということを考えてみますと、そこの部分というのは必ずしも民間と同じではない。そのあたり、私は、官民の両方の経験の中から、そのバランスというものをどういうふうにとっていくかということについて、今後とも勉強しながら務めていきたいというふうに思っております。

 どうぞよろしくお願いします。

遠藤(乙)委員 以上です。

川端委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず第一点は、会計検査院の役割ですけれども、憲法九十条の規定、それから会計検査院法でも明らかなように、会計検査院というのは、何よりも、内閣から独立する、そういう独立性を保持することが大事でありまして、国の決算を初め、すべての行政機関に対してタブーなく検査のメスを入れる権限があります。それを期待しておりますけれども、森田さんは検査院の役割をどのように御認識か、まずこれをお聞きしたい。

 二点目は、会計検査院の改革の問題です。

 会計検査院法では、「検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる。」「求めを受けたものは、これに応じなければならない。」大変大きな権限が与えられております。それから、「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」こういう規定もあります。

 こういう大きな権限を持っているわけですが、これまで、いろいろな官製談合事件あるいは官庁と天下り企業との癒着、こういう不祥事が後を絶っておりません。こういう事件について、これまで会計検査院が独自に摘発をしたということはほとんどなかったのではないか。それは、会計検査院のどこに問題があって、どう改革すべきか、お考えがあればお聞かせをいただきたい。

 三点目は、公会計と自治体の役割です。

 公会計に大変お詳しいようでありますが、企業会計方式を自治体の経営に適用するというお考えをお持ちというふうに伺っております。ただ、企業は利益を追求するものでありまして、自治体というのは住民の福祉の増進というのが目的でありますから、これは本質的な違いが私はあると思います。その点をどのように認識されているのか。

 それから、財政健全化というのはもちろん必要だと思いますけれども、受益と負担というふうになりますと、だれが受益をし、だれが負担をするか、その構造に立ち入って考えなければならぬというふうに思います。

 福祉や医療という公的な住民サービスの場合は、単純に受益と負担ではかることはできないと思うんです。健全化を理由にして福祉とか医療の切り下げが行われる、あるいは負担がふえて住民生活が非常に圧迫される、職員の削減、非正規化、こういう問題も起こっております。これは本末転倒だと思うんですけれども、こういう点をどのように考えておられるか。

 この三点、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

森田参考人 御質問ありがとうございます。三点にわたって御質問をいただきました。

 一つ目が、会計検査院の役割ということでございます。

 今、先生も御指摘のとおり、やはり、独立性というものが、検査院が出します意見といいますか、報告の信頼性のもとになっている、大きな基礎になっているということでございます。

 独立性につきましては、二面がございまして、外見的な、あるいは形式的な独立性、外から見て、あのような立場なんだから、そういうことというのは包み隠さずすべて指摘しているんだねというふうに、周りから信頼できる。もう一点は、実質的な、別の言い方をしますと、精神的な独立性ということだと思います。こんなことを言ったら嫌われるんじゃないかとか、困られるんじゃないかとか、そういうようなことがない。

 この二面というものが、これは民間の監査法人の監査におきましても同じでございまして、そのような考え方、あるいはその対応につきましては、三十年の経験の中で培ってきたものを、ぜひこれから会計検査院の中で、どのようにされているかということを勉強させていただきながら務めていきたいというふうに思っております。

 それから二点目、会計検査院、非常に強い権限を持つ中でということでございます。

 どのように変えていくべきかということにつきましては、いろいろ仄聞する限りで考えるところはございますけれども、まだ中に実際入ったことはございませんので、今後勉強しながら、そこの部分についても留意しながら務めていきたいというふうに思っております。

 最後に、公会計の御質問をいただきました。私のメーン、専門でございますので、お時間さえ許せば幾らでも御説明したいところではございますけれども。

 やはり、民間企業は利益を目的とする。ですから、売り上げ、収益というものが目的であって、そのための手段が費用、コストである。それに対して、国や自治体、公的機関というものは、収入、これは税収が主でございますけれども、税収が目的ではございません。今も御指摘があったように、福祉の増進でありますとか安全、安心、これが目的でございます。

 ただ、ここの部分は、会計的に安心、安全を幾らかという評価をすることはできませんので、まずは、そのための手段としてのコストというものがどれだけかかっているのかということを明確にし、そこの成果、行政が負うべき成果の部分は、政策評価でありますとか、いろいろなところでチェックをしていく。そこが官民の会計の大きな違いかというふうに思っております。そこのところを肝に銘じながら、今後とも進めてまいりたいと思います。

 もう一点いただきました受益と負担の関係につきましても、先生御指摘のところも踏まえて、さらに、世代間負担の問題、受益と負担なんかの問題もございましょうし、これからさらに勉強しながら務めてまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

佐々木(憲)委員 どうもありがとうございました。

川端委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部です。

 三点ほど私の方からも質問させていただきます。

 まず第一点目は、会計検査院の検査能力向上についての抱負についてお聞きをいたします。

 二〇〇九年、先ほどありましたけれども、国費の無駄遣い一・八兆円、件数が九百八十六件、会計検査に従事する職員は九百六十人ということで、一人一件当たりというふうにも読めるわけですが、罰則規定のある強制調査権を付与するなどの会計検査院の機能強化に向けた改革について、御所見があればお願いをいたします。

 二点目は、ODAだとか、いわゆる基本方針の中に重点的な検査項目として経済協力という項目が挙がっているわけですけれども、ODAとか、いわゆる会計処理の問題だけじゃなく、その背景にある環境破壊の問題であるとか、いろいろと問題になっているわけですけれども、特にこういった経済協力に関する検査に関して、何か抱負があればお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 三点目には、我が党は、国民が会計検査院に対して、直接、公金検査の請求を行い、会計検査院で、国の財政上の違法、是正策の審査を先行し、その後、国民が財政上の違法を是正するための訴訟を提起できる国民訴訟制度をつくるべきだということを訴えておるわけですけれども、その件に関して、もし御所見があればお聞きをしたいと思います。

 以上です。

森田参考人 御質問ありがとうございます。三点御質問いただきました。

 一点目、機能強化でございます。

 この点につきましては、仄聞する範囲では、年々いろいろな御努力を検査院の方でもされているというふうに聞いております。ただ、検査の能力というものは、社会経済がどんどん変わっていく中で、年々高度化をしていくものに対応していかなきゃいけないということで、継続的な教育、あるいは種々の専門家の活用、こういったところが非常に重要な観点なのかなというふうに考えているところでございます。

 二点目、ODA、経済協力に御質問いただきました。

 経済協力、ODAそのものについては、私、それほど詳しい者ではないんですけれども、一般論としてお答えするならば、お金の使い方というものをきちっとチェックしていくという検査院の仕事の中で、それがどういう目的なのか、その目的が、お金を使う目的なのかどうかというここの部分については、政策決定の御判断なのかなと。その目的に今出しているお金がきちっと結びついているのかどうか、ここの部分というのは、もちろん使う側もそうですし、検査院の方でも非常に注意して見ていく分野なのかな、見方なのかなというふうに考えております。

 三点目、直接の請求というか、その観点。

 これは、自治体には同様の制度がございますけれども、ちょっと、国にそれをどうかということについては、申しわけないんですけれども、まだ勉強不足で、どういうメリット、デメリットがあるのか、これから勉強しながら務めてまいりたいというふうに思っております。申しわけございません。

服部委員 ありがとうございました。

川端委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

 ないようですので、それでは、これにて森田参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 森田参考人、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

 以上をもちまして検査官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

川端委員長 次に、本日の本会議における国務大臣の演説に対する質疑は、まず公明党の井上義久君、次に日本共産党の志位和夫君、次に社会民主党・市民連合の重野安正君、次にみんなの党の渡辺喜美君、次いで国民新党・新党日本の田中康夫君の順序で行い、本日をもって国務大臣の演説に対する質疑を終了することになっております。

 なお、質疑者の要求大臣は、お手元の印刷物のとおりであります。

    ―――――――――――――

 一、国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

  質 疑 者     時 間  要求大臣

 井上 義久君(公明) 40分以内 総理

 志位 和夫君(共産) 20分以内 総理

 重野 安正君(社民) 15分以内 総理

 渡辺 喜美君(みんな) 10分以内 総理、財務、与謝野国務(経財)、中野国務(公務員制度)

 田中 康夫君(国民) 5分以内 総理

    ―――――――――――――

川端委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。

鬼塚事務総長 まず最初に、昨日の答弁に関しまして、総理より御発言がございます。

 次に、昨日に引き続きまして、五人の方々から国務大臣の演説に対する質疑が行われます。

 本日の議事は、以上でございます。

川端委員長 それでは、本日の本会議は、午後一時五十分予鈴、午後二時から開会いたします。

    ―――――――――――――

川端委員長 次に、次回の本会議及び委員会は、追って公報をもってお知らせいたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十二分散会


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