衆議院

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第32号 平成24年8月1日(水曜日)

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平成二十四年八月一日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 山井 和則君 理事 松野 頼久君

   理事 笠  浩史君 理事 糸川 正晃君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 佐藤  勉君

   理事 高木  毅君 理事 太田 和美君

   理事 遠藤 乙彦君

      川内 博史君    川越 孝洋君

      坂口 岳洋君    橘  秀徳君

      水野 智彦君    山花 郁夫君

      湯原 俊二君    伊東 良孝君

      小泉進次郎君    齋藤  健君

      塩崎 恭久君    渡辺浩一郎君

      佐々木憲昭君    服部 良一君

      平山 泰朗君

    …………………………………

   議長           横路 孝弘君

   副議長          衛藤征士郎君

   事務総長         鬼塚  誠君

   参考人

   (原子力規制委員会委員長候補者(一般財団法人高度情報科学技術研究機構顧問))           田中 俊一君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月一日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     湯原 俊二君

  橋本 清仁君     橘  秀徳君

  浜本  宏君     山花 郁夫君

  森山 浩行君     川越 孝洋君

  中島 正純君     平山 泰朗君

同日

 辞任         補欠選任

  川越 孝洋君     森山 浩行君

  橘  秀徳君     橋本 清仁君

  山花 郁夫君     浜本  宏君

  湯原 俊二君     岡田 康裕君

  平山 泰朗君     中島 正純君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力規制委員会委員長任命につき同意を求めるの件


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 まず、原子力規制委員会委員長任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る七月二十六日の理事会において、齋藤内閣官房副長官から、内閣として、原子力規制委員会委員長に一般財団法人高度情報科学技術研究機構顧問田中俊一君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会申し合わせに基づき、原子力規制委員会委員長の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として原子力規制委員会委員長候補者(一般財団法人高度情報科学技術研究機構顧問)田中俊一君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小平委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、田中参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、田中参考人、お願いいたします。

田中参考人 田中でございます。どうぞよろしくお願いします。

 このたび、私が原子力規制委員会委員長をお引き受けする決心をしたのは、東京電力福島原子力発電所事故以来、福島の多くの方々と触れ合う中で、皆さんの現状と苦悩に直面したからです。

 福島の皆さんが一日でも早く安心して生活できる環境を回復することが大事であると信じ、昨年来、除染の現場などで微力を尽くしてまいりました。原子力にかかわってきた個人として、なぜこのような事故を起こしてしまったのかという思いと、福島の皆さんに申しわけないという思いが、いつも交錯してまいりました。

 そうした中で、このたび、原子力規制委員会委員長の打診をいただきました。正直なところ、大変悩みました。しかし、福島の皆さんの顔を思い出し、国民が納得できる原子力安全規制に取り組むことは日本のためである、立地地域のため、そこで暮らす人々のために身を投げ出すべきではないかという思いに至りました。そして、決心をした次第であります。

 私は、旧日本原子力研究所において、放射線物理や放射線遮蔽の研究に長く携わってまいりました。東海研究所では、副所長、所長として、研究、経営の立場から、多種多様な原子力施設の建設、運転管理、人材の育成など、安全確保にかかわる業務を指導してまいりました。

 この難局にあって、新たに発足する原子力規制委員会が果たすべき役割は極めて大きいと承知しております。

 国民の健康と財産を守り、環境への影響を防ぐという使命を実現するために、まず、国会事故調査委員会や政府事故調査委員会等の御指摘をもとに、科学的、技術的見地から、安全規制や指針を徹底して見直す必要があります。その上で、事業者には安全規制や指針に基づく要件の実施を厳格に求め、要件が達成できない場合には原子力発電所の運転は認めないこととすべきと思います。

 例えば、四十年運転制限制です。

 四十年運転制限制は、古い原子力発電所の安全性を確保するために必要な制度だと思います。法律の趣旨を考えても、四十年を超えた原発は、厳格にチェックし、要件を満たさなければ運転させないという姿勢で臨むべきです。

 また、原子力発電所の再稼働については、去る四月六日に提示された再起動に当たっての安全性に関する判断基準も含め、原子力規制委員会で慎重に確認、評価を行う必要があると考えております。

 具体的には、海溝型地震による津波や地震、活断層の評価、あるいは、事故調の報告でも御指摘がありました技術的な点について、その精査が不十分だった可能性があると考えています。例えば、新たな調査の結果、活断層による影響があるとの判断になれば、運転の停止を求めるべきと考えます。

 このように規制の厳格化に取り組むためには、規制組織そのものの改革も不可欠です。特に、人材の確保、育成、安全文化の徹底などは、みずからが強いリーダーシップを持って取り組むべき課題であると考えております。

 私は、原子力規制委員会の委員長を拝命した場合には、ほかの四名の委員と協力し、原子力規制委員会設置法にのっとり、独立性と透明性の確保を基本として、国内外から信頼の得られる原子力の安全規制の実施に最善を尽くしてまいる所存であります。

 どうもありがとうございました。

小平委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 理事会申し合わせに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより田中参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、山花郁夫君。

山花委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。よろしくお願いいたします。

 田中参考人から、今、所信の聴取をいたしまして、福島の皆様に申しわけないという気持ちもあったというお言葉もございました。

 一方で、参考人に対しては、いろいろな方々のいろいろな評価がございまして、日本原子力学会会長であるとか、あるいは、原子力委員会の委員長代理などを歴任されたということもあって、新聞等には、原子力村の中心メンバーだったじゃないかというようなことも書かれたりしているところでございます。

 ただ、他方、原子力発電の福島の事故を受けまして、十六人の研究者の方でまとめられた文書の中にも、原子力の平和利用を先頭立って進めてきた者として国民に深く陳謝するというような言葉もあったわけですけれども、昨年の事故に対する思いというものを改めてお聞かせください。

田中参考人 まず、福島の事故を起こしてしまったということについては、言いわけができない、反省を原子力界全体としてすべきだと思いますし、私自身もそのように思っております。まず、今回、一言で申し上げれば、そういうことでございます。

 二度とこれを起こしてはいけない、こういったような事態を起こしてはいけないということで、これにつきましては、今回発足します原子力規制委員会というものの役割が大変大きいというふうに認識しておるところでございます。

山花委員 ありがとうございます。

 済みません、では、あと何点か、まとめてお願いします。

 一つは、先ほどの所信の中にもあったと思いますけれども、再稼働の問題でございます。これについて、今の発言の中にもあったかと思いますけれども、改めて確認させていただきたいと思います。

 具体的には、もう既に再起動している原子力発電所もあるわけですけれども、例えば、七月十七日に開かれた原子力安全・保安院の専門家の会合では、大飯原発の破砕帯についても活断層である可能性があるという指摘がございました。この点について、もしこの委員会が発足したといたしました際には、委員会として調査をするというようなお気持ちがあるのかどうか、そしてまた、もしそれが確認された際にはどのようにお考えであるかということがまず一点目でございます。

 もう一つは、今回のこの委員会の権限というものが、大変強いものがあります。原子力災害に際してのいわゆるオンサイト、オフサイトの対策について専門的な知見を提供するということがあります。

 今回のような事故というのは、これは二度とあってはいけないとは思う一方で、これまで、安全です、安全ですというような話がどうしても強調されてきたという側面も否定できないと思います。

 もう一度同じようなことがあるということは考えたくはありませんけれども、しかし、そういったことがあってはならないわけでありますので、重大事故発生時の備えということについて、委員長に就任された暁には、その備えをどのように構築されていくおつもりか、所信をお聞かせいただきたいと思います。

田中参考人 まず、再稼働と大飯三、四号炉の問題にお答えしたいと思います。

 原発を再稼働するかどうかということは、大変難しい判断があろうかと思います。ただし、今回発足します原子力規制委員会が、再稼働するかどうかということについて判断するという立場にはないんだというふうに思っております。原子力規制委員会としては、再稼働しても、安全かどうかということは厳しく判断していかなければいけないと思っています。

 それから、安全規制は、これまで、ともすると無謬性ということがございまして、一回決めてしまうとこれで安全だというふうに言いがちだったんですが、科学技術の進歩というのは日々進んでおりますし、いろいろな経験を積みます。そういうことですから、安全規制については、日々見直しをするという姿勢を貫いていきたいと思います。その結果として、必要があれば、遅滞なくその安全規制、あるいはそういったものに対策を求めていきたい、こんなふうに思っています。

 それから、三、四号炉につきましては、御指摘のように、今、活断層の有無が議論されているということ、問題になっているということは十分承知しております。これにつきましては、大変重要な問題ですので、できるだけ早く、きちっとトレンチ等を掘って調査し、判断する必要があると思います。

 原子力規制委員会としても、これまでのように事業者任せではなくて、みずからも調査に加わって、みずから判断していくことになろうかと思います。

 仮に、そのことによって活断層があるということになれば、当然、これはとめていただくということになるのではないかと思っております。

 以上です。

山花委員 では、終わります。

小平委員長 次に、齋藤健君。

 三分という短い時間でありますので、まず、御意見、質疑をされて、まとめて後で答弁、そういうことでよろしくお願いいたします。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 まとめて七問、質問させていただきます。

 いずれも大事な質問なので、真正面から丁寧にお答えいただきませんと同意しようにもできないということになりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 まず第一問でありますが、原子力といっても、幅広い専門的知識が必要だと思います。全ての分野で専門性を持つというのは不可能だろうと思います。田中候補は、今回の規制委員会の任務に照らして、どの分野についての専門性があって、あるいは逆に、どの分野についてはそうでもないという認識なのか。その辺を正確に、率直にお聞かせいただきたいと思います。

 二つ目の質問ですが、原子力は人類がコントロールできないものである、そういう見解をお持ちの人も世の中にはいるようでありますが、この点について、田中候補はどのような見解をお持ちでしょうか。

 三つ目の質問ですが、田中候補に関しましては、大学卒業後、すぐ原研に入られまして、また、原子力委員会委員を務められるなど、一部の報道によれば、原子力推進サイドの仕事が長い、口の悪い人によれば、原子力村の住民という声もあるようでありますが、この国会の場で、御本人の見解をお伺いしたいと思います。

 四つ目の質問でありますが、先日、新聞記事を見ておりましたら、国会事故調の委員長だった黒川先生がインタビューで、今回の委員の選考は不透明だという発言をされておられましたが、どのような経緯で今回候補に挙がったのか、できる限りお話しいただければと思います。

 それから、五つ目ですけれども、先ほど来から議論になっておりますが、原発の再稼働につきまして、現在、暫定基準に基づいて大飯の再稼働が認められたわけでありますが、この暫定基準について、田中候補はどう判断されておられるのか。十分なものと判断されているのか、あるいは、大きく改める必要があると判断されているのか。同意に際しての大事な論点ですので、御見解を伺いたいと思います。

 六つ目の質問ですが、新しくできる原子力規制庁の職員には、原子力安全・保安院から人が移ってきましたというわけにはいかないと思います。高度な原子力人材の確保というものを具体的にどのように進めていかれるのか、御見解を伺いたいと思います。

 最後の質問ですが、技術の専門家としてお伺いしますが、どんな原発も運転期間を一律四十年で切る、こういう考え方は合理的かどうか、技術の専門家としての御見解を伺えたらと思います。

 以上、二分五十九秒でした。ありがとうございました。

田中参考人 まず、専門的知識でございますが、私は、先ほど申し上げましたとおり、放射線物理とか放射線遮蔽ということですが、日本原子力研究所におりまして、さまざまな方、専門家ともつき合っていますから、原子力全体について、原子炉も含めて、あるいは加速器も含めて、いろいろな側面での見識というか考え方は持っているというふうに私自身は思っております。

 原子力発電所は、特に総合技術でございますので、一つの専門だけで何かを片づけるとか何かを判断するということにはまいりませんので、多くの専門的知識を持った人間をできるだけたくさん確保して、何か事態が起こった場合、あるいは安全の規制をつくる場合でも、そういったプロセスを踏むということが大事だというふうに思っておるところです。

 それから、原子力発電所ですが、人類がコントロールできるかということですが、結論だけ申し上げますと、コントロールできると思います。油断してはだめだと思いますが、これはコントロールできると思います。

 それから、原子力村の住人ではないかということです。

 これは、私が今まで仕事をした経歴をもってそう言われるのであれば、これはもう、それを否定するすべはありません。

 ただ、私は、特に研究所が長かったということもありまして、余り事業者とのつき合いはありません。そういった点もありますし、原子力規制庁ということは、独立性と透明性、特に透明性が大事ですので、それをきちっと守ることによって、事業者とは、きちっと、今までとは違うような一線を画した規制行政ができる、すべきというふうに思っているところであります。

 それから、どういったいきさつで今回話があったかということですが、これは、直接には細野大臣からお話をいただいたわけですけれども、細野大臣は、まず、原子力に対して、今度の事故に対して厳しく反省しているということを私に対して御判断されたと思います。それから、そういった福島を原点にしてこれからの原子力のことを考えられる人間である、プラス、今までの専門的知識とか経験を生かしてやってほしい、こういうことでありました。

 ただ、先ほど申し上げましたとおり、そうは言われても、今回の委員長の要請を受けるということについては随分悩みましたし、誰とは申し上げられませんけれども、二、三の方に、友人にそのことは相談して、決心させていただきました。

 それから、再稼働についてですが、暫定基準については先ほど申し上げたとおりです。十分だというふうには思っていませんが、それも含めて、十分にこれから規制委員会で見直し、評価をしていくべきというふうに思っています。

 それから、職員、高度な人材をどうやって確保するのかということであります。

 現実問題として、原子力保安院の方たちに来ていただくということが、そういう数が多くなると思いますけれども、当然、この規制委員会というのは全く違ったミッションを持っていますので、そういった覚悟を持って来ていただくということです。特に、幹部の方は、ノーリターンルールということが適用されると聞いておりますので、それなりの覚悟を持って来ていただけるものと思います。

 人材の確保が大変重要な課題ですが、これは少し時間がかかります。時間がかかりますけれども、とても大事なので、できるだけいい人材を育てていく、あるいは確保するという点では、最大の努力をしたいということを考えています。

 それから、四十年規制については、これも先ほどお話しさせていただいたとおりであります。

 これは、四十年を機械的に適用するということではありません。ただし、四十年というのは、人の一生、技術、第一線で働ける一生と照らし合わせても、なかなか、四十年以上ということになると、その施設自体の内容もだんだん薄れてくるというような、そういう弊害もあります。それから、四十年というのは、技術の面で見ると、その間にはすごく進歩します。

 きちっとそういったことを踏まえて、安全に支障がなければそういう判断もあろうかと思いますが、大変厳しいバリアになるというか、そういうふうに判断しています。

 以上です。

小平委員長 次に、太田和美君。

太田委員 国民の生活が第一の太田和美でございます。

 私の方からは、七問、質問をさせていただきたいと思います。

 早速でございますが、国会周辺では、毎週金曜の夕方、数万人の国民が自発的に集まり、脱原発を訴えておられます。田中さんは、この国民の声をどのように受けとめておられますか。

 また、二問目でございますが、一個人として、一国民としてで構いません。田中さんなら、二〇三〇年の原子力エネルギーの比率について、ゼロ、一五%、二〇から二五%の三案について、どの選択肢を希望されますか。

 そして、三番目でございますが、原発を動かすと、数万年もの間、厳重な管理が必要な使用済み核燃料がふえ続けるわけでございますが、将来世代に対する責任の問題も含めて、核廃棄物の処理に関する御所見もお聞かせください。

 四番目の質問でございます。

 細野環境大臣は、田中さんについて、率直に深い反省を持ち続けている、このように言っておりまして、そして、田中さん自身も、先頭に立って原子力を推進してきた者として深く陳謝する、そして先ほどの所信の中でも、福島の人に大変申しわけないという思いだということを述べられておりますが、何をどう反省しているのか、具体的に教えていただきたいんです。それを、被災された福島県民の心に届くように、具体的に、わかりやすくお答えください。

 そして、次の質問に移ります。

 先ごろ発表された国会事故調の報告書において、事故原因が、津波ではなく地震である可能性を否定しておりません。これについての御所見をお聞かせください。

 六問目の質問でございます。

 政府は、机上のシミュレーションにすぎないストレステストの急ごしらえの三十項目の判断基準に適合したことをもって大飯原発を再稼働させました。先ほどの、前の質問にもございましたけれども、規制委としてこの再稼働については判断することではないという御判断でございましたが、この人事は個人の資質がかなり問われてくることもございますので、この大飯原発を再稼働されたことについてどう評価されているのか、お答えをお願いしたいと思います。

 そして、最後の質問でございますが、原子力規制委員会は、これまで推進と規制が一つの行政組織において行われてきた反省に立ち、設置されるはずでございます。しかし、いわゆる原子力村の中核ともいうべき原子力委員会の委員長代理を務めるなど、一貫して推進の主流を歩まれてきた田中さんに、これから規制の側の職権行使ができますか。できるということでしたら、その理由を国民にわかりやすく述べてください。

 以上でございます。

田中参考人 脱原発の声が大きくいろいろな行動になってあらわれているということは、新聞やテレビ報道で承知しております。

 それから、二〇三〇年の三つの案についてでございますけれども、これは規制委員会として判断すべき事項ではありませんので、これについては、個人的な意見は申し上げるのは差し控えたいと思います。こういった政策的なことは、ぜひ政治の場、あるいは国民の声を反映してお決めいただくものというふうに思っています。

 それから、使用済み燃料の処理の問題ですけれども、これについては、さまざまな、安全に処理、処分するという方法があります。それについては、世界的に見ても、十分にそれが確立されているかというと、幾つかの選択肢がございますので、少しきちっと時間をかけて検討していく必要はあると思いますけれども、規制委員会としては、どういった処理をすべきであるということを提案するというよりは、どういった処分の仕方について安全かどうかということをきちっと評価できるように、そういったデータの蓄積とか知見の蓄積というのを図っていくべきものというふうに思っています。

 それから、どう反省しているかということでありますけれども、これは、どう反省していいか、正直言って、どんなに反省しても反省し切れるものではないという今回の事故の状況ですから、大変難しい問題です。

 ただ、私は、福島の地をできるだけ早くもとに戻して、避難している人ができるだけ早くふるさとに戻れるようにする、そういう思いで取り組んできているということで御理解願いたいと思います。

 それから、地震の可能性ですけれども、これにつきましては、政府事故調でも言われていますし、中がまだ放射線のレベルが非常に高いものですから十分な調査ができていないので、あくまでも可能性があるということですので、今後、規制委員会としましても、これは、できるだけ早く、速やかに、そういったことができるような状況になりましたら、きちっとその原因を明らかにした上で、それに伴って、必要があれば必要な対策を求めていくということにしたいと思います。

 ストレステストと大飯三、四号炉の稼働につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

 それから、推進と規制ということであります。

 私自身も、原子力委員会にいるときから、推進と規制はもっと明確に分けるべきだという個人的な見解を持っていました。ですから、今回ようやくこれで規制委員会が独立性を持って発足するということについては、大変内心喜んでいます。ですから、そういった気持ちを大事にして、きちっとした規制はできるというふうに私は思っています。

 以上です。

小平委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 田中参考人に、七問お聞きしたいと思います。

 まず第一に、国会の事故調は、今回の一番根本的原因として、規制当局と東電の逆転関係、特に、とりこになったという言葉を用いて指摘をしております。このことについてどう評価されるか、どうしたら規制当局のいわば本来の姿を復活できるか、この点が第一点です。

 それから、第二点。同じく国会事故調は、危機管理体制がそもそも機能しなかったと、大変厳しい指摘をしております。参考人としては危機管理の様態をどう考えていくか、これについてお聞きしたいと思います。特に規制委員会は危機管理の大変重要な責務を負うわけですから、ぜひこの点の決意も含めてお聞きしたい。

 それから、第三点。透明性ということを主張されました。非常に重要な点だと思いますが、具体的にどの程度これを考えているのか。例えば、推進当局、事業者、政府あるいは政治とのさまざまな折衝が当然あるわけですけれども、原則公開とすべきではないか、議事録を全部作成し原則公開とすべきではないかと私は思いますが、この点についてどういうふうにお考えなのかという点です。

 それから、第四点。チェルノブイリのケースでは、九一年に制定されたいわゆる被災地域の法律では、年間五ミリシーベルト以上は強制移住の対象になります。五ミリシーベルト以下一ミリシーベルトまでは、住んでもいいけれども、選択的に移住を選べて、国が支援する。一ミリシーベルト以下は健康の監視ということになっております。田中参考人の場合、今までの発言では少し緩目の基準を考えておられると思いますけれども、この点、どう考えますかということです。

 それから、五点目。現実の脅威としては、地震、津波という自然災害が今回は大きな問題意識にありますけれども、もう一つはテロ対策、これが抜けていると思いますので、この点について、規制委員会としてどう考えて、もし委員長になった場合にどうお考えになるかという点です。

 それから、安全基準、立地基準、これの見直しが大変重要なテーマです。いつまでに、どのようなものをお考えなのか、そしてまた、再稼働の暫定基準との関係性をどう考えるかという点です。

 最後に、そもそも、今の原発、核分裂という非常に危険な反応を、多重防護という思想でこれを制御しております。これについては、基本的には無理筋ではないかという見方もありまして、より本質的な安全性の高い技術はあり得るかという指摘もあるわけでありまして、原子力の専門家として、そういった新しい、将来の本質的な安全な技術についてどんな展望を持っておられるか。

 以上七点、御質問します。

田中参考人 国会事故調で、規制の、とりこになったということについては、まさに規制と推進が一つであったということと、事業者の意向を余りにもしんしゃくしながら実際の規制を運用してきたということがあります。

 今回は、規制委員会、規制庁は独立性と透明性ということが非常に大きな大原則としてうたわれておりますので、透明性ということの中で、きちっと、そういったとりこになるということは排除できる、していくべきだというふうに思っております。

 それから、危機管理体制は大変重要です。今回の事故も、もう少し何とかならなかったのかという強い思いはあります。

 私自身は、一九九九年にジェー・シー・オー事故が起こったときに、東海研究所の副所長としてたまたま東海研究所におりましたので、全職員の能力を結集しまして、臨界防止のための方策を検討して、また、私も、その日に現場に赴いて事故収拾に当たりました。

 その後も、事故調査委員会とか健康管理委員会とかという場にも御協力をさせていただきまして、率直に、危機管理ということの不備については、そのときにも指摘させていただきましたけれども、今回は、そのことすら十分に生かされていなかったという思いはあります。

 やはり、そういう思いを、私自身の個人的な経験と思いも含めて、危機管理については、きちっとやっていきたいというふうに思っています。

 それから、透明性ですが、先ほどの、とりこになったということと同じでありますけれども、基本的には、原則、全て公開、あるいは議事録をとるということにしたいと思います。どこまでかということになりますけれども、原則、そういう考え方でいきたいと思います。

 それから、私が被曝線量について非常に甘いという言い方というのは、これは少し説明が要ると思うんです。

 実は、二十ミリシーベルトというのは、国が、今、年間二十ミリシーベルト以上を超すおそれのある住民の方には避難していただく、それから、一から二十のところは、そこに居住しながら、時間をかけて、少しずつ、一ミリシーベルト以下になるように努力するということであります。

 ですから、私は、実際、伊達市で除染アドバイザーとしていろいろこの一年やってきていますけれども、伊達市も、計算上は、十とか十五ミリシーベルトになるような地域がございます。そういったところについては、まず五ミリシーベルト以下になるように除染しましょうと。五ミリシーベルト以下のところは、その半分ぐらいを目指しましょうということです。除染だけで一遍に一ミリシーベルト以下にできるといいんですけれども、なかなか、現実にやってみると、そこまではいかないということであります。

 と同時に、実際には、計算上の被曝線量と実際の被曝線量というのは個人によって違います。一家のお父さん、お母さん、子供、それぞれみんな行動パターンが違いますので、実際の被曝線量は違いますので、伊達市では、昨年の八月から、子供たち、小中高校生については全部、個人被曝線量計をつけていただきました。それを見ますと、平均で見ると、実際の計算値よりは三分の一ぐらいとなっています。この七月からは、伊達市の住民全員につけていただくということでお願いして、そういう方向でいます。

 実際に一ミリシーベルトを目指すためにどういったことに注意しなきゃいけないかということを、そういったデータを見ながら判断していくということでありますので、私が二十ミリシーベルトまではいいんだとかという、そういう御批判があるようでございますけれども、それは、そもそもが、私がそういったことを判断する立場にはないということも含めて、誤解であるというふうに申し上げたいと思います。

 それから、テロ対策ですが、これは、特に九・一一以来、アメリカ等では非常に厳しくテロ対策について考えてきました。ところが、日本は、残念ながら、やはり、かなり平和な国でありまして、そういったことについて余り真剣に考えてきていなかったというのも事実かもしれません。

 原子力委員会はテロ対策とか保障措置についても所掌しておりまして、そういったことについては、原子力委員会当時も、随分、専門家の先生の御意見を聞きながら勉強させていただきました。それを、今後は、規制委員会、規制庁の一つの仕事でありますので、そういったことも生かしながら、きちっとしたテロ対策というのも、対応していく必要があるんだというふうに思います。

 それから、立地基準とか安全基準についての見直しですが、これは、今回の事故が起きたということを見れば、明らかに不備であったということですから、それについては、全面的に徹底的に見直しを図っていきたいというふうに思います。

 それから、核分裂反応の危険性ですね。もともと、核分裂エネルギーというのは非常に大きな可能性を持っていますけれども、非常にリスクの大きい、内在したものであるということは、先生おっしゃるとおりでございます。そういったことで、どんな方法でも大丈夫だというふうには私は申し上げられないと思います。

 今回は軽水炉の事故です。ガス炉とか黒鉛炉とか、いろいろな原子炉もあります。それぞれに特徴がありますので、そういったことも含めて、今後、やはり、より安全な原子炉の研究開発というのは、十分に力を注いでいっていただきたいと思いますし、規制庁としては、ぜひそれを望みたいというふうに思います。

 以上です。

遠藤(乙)委員 ありがとうございました。

小平委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 できるだけ重複を避けて御質問したいと思います。

 一点目は、事故の原因の究明についてであります。

 福島第一原発の過酷事故は、放射性物質の放出が続いておりますし、いまだ収束していないと思います。したがって、建屋内、炉心の調査、これがまだできない。そういうもとで、事故原因そのものは未解明であります。今後、事故原因の究明をどのように進めていくおつもりか、お聞かせをいただきたい。

 次に、これまでの原子力推進体制をどう反省するかという点です。

 これまでの御質問にありましたように、原発を推進する中枢の部分におられたわけであります。電力のとりことなったと国会事故調が指摘をしたことについては、既に質疑者が指摘をしておりますが、政官業、学界等で安全神話がつくられた、その理由をどのように見ておられるか。それから、何を反省されているか。

 それから、先ほど、事業者とのつき合いは余りないというふうにおっしゃいました。田中さんは、東電から、あるいは事業者から、報酬を受けたことはありますか。また、あるとしたら、幾らでしょうか。

 次は、日本の原発の今後のあり方でありますが、原発輸出についてどのようにお考えでしょうか。国内で原因究明も明確ではないのに、原発の輸出は私は認められないと思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。

 それから、先ほど、原発再稼働について、安全かどうかを厳しく判断するとおっしゃいましたが、その場合の安全基準というのをどのように考えておられるか、お示しをいただきたい。

 核燃料サイクルの破綻は明白でありまして、「もんじゅ」の廃炉、六ケ所村の再処理工場の中止、この点についてどのようにお考えでしょうか。

 最後に、低線量被曝についてでありますが、田中さんは、原子力損害賠償紛争審査委員として働いてこられました。委員として、自主的避難者への賠償に最後まで反対したというふうに言われておりますが、それはなぜでしょうか。

 それから、低線量被曝リスクについて、先ほども紹介がありましたように、百ミリシーベルトというのは健康に大きな影響がないというふうにおっしゃいました、これは原子力委員会の議事録、昨年八月二十三日ですが。この点について、今もそのようなお考えなのでしょうか。

 以上、お聞きしたいと思います。

田中参考人 まず、事故原因の究明でございますが、今の状況は、一般論で言いますと、完全に収束した状態でないということは確かであります。

 今後、解体し、あそこをきちっと整理していく上では、いろいろなリスクを伴いますので、それについては、安全規制当局としましては、その際の事故がないようにする、さらなる事故が起こらないようにする。

 特に、今後大事なことは、あそこで二千人から三千人の方が毎日働いておりますので、その方たちの被曝を防ぐという点も大変大事だと思っていますので、そういった点も含めまして、きちっと、実際の解体計画とか幾つか出ておりますけれども、それについては精査させていただきたいと思います。

 それから、事故調査をどうするかということですが、これについては、実際に中が見られるようにだんだんなってきましたら、できるだけ早急に、それをきちっと調査して、そこから教訓を学び取らないといけないというふうに思いますので、それは、やっていきたいというふうに思っています。

 どういうやり方をするのが適当かは、今後皆さんと御相談させていただきたいと思います。

 それから、安全神話はなぜつくられたかということなんですが、これは以前、昨年、朝日新聞の「耕論」にもお書きしましたけれども、安全神話というのは、結局、原子力に対する非常に強い反対意見とか地元の了解を得ることの難しい中、できたんじゃないかというようなことを私は書いたように思います、無理にそういうことを言ったんではないかと。やはり、そこに無理があったと私は思います。

 ですから、そのことについては、今後はそういったことをないようにする。特に、規制庁というのはそういうことにとらわれてはいけませんから、そこについては、安全神話があるようでしたら規制庁の場合は不要になりますので、安全神話ということは規制庁にとっては禁句に近いというふうに思っています。

 それから、報酬については、いただいたことはありません。事業者からの報酬というのはありません。

 昨年、あちこちで除染についての講演を頼まれたときに、幾つか財団からいただいた、数万円いただいたことがございます。それは大体、非常にうれしいことに、私、年金生活者ですので、福島へ行っていろいろなお手伝いをするときの資金に使わせていただきました。

 それから、原発の輸出計画ですけれども、これについては、私個人の意見をここで申し上げるのは適当ではなくて、今後、国全体としてどうあるべきか、あるいは世界、国際的な中で、多分、政策的に判断されていくべきものと思います。

 それから、再稼働については、先ほどもちょっと申し上げましたとおりであります。きちっと厳しく安全指針とか規制を見直していきたいというふうに思います。

 燃料サイクルが破綻しているという御指摘ですが、これについても、ここで、規制委員長になるかもしれない立場としては、それをそうだこうだということは、個人的意見は申し上げるべきではないと思います。

 ただし、再処理工場にしろ、「もんじゅ」にしろ、非常に重要な、重い原子力施設です、安全上も。ですから、そういったものの稼働に伴う安全の問題については、これはまた軽水炉と全く違う側面がございますので、そういう点で、きちっと見させていただくということは、お約束したいと思います。

 それから、自主避難についてですが、これも、賠償審査会での、私、発言したという事実はありますけれども、なぜかということにつきまして少し御説明したいと思います。

 現在、福島県だけで大体二百万人弱ですけれども、住民の方が、いわゆる現存被曝状況、一ミリシーベルトから二十ミリシーベルトの範囲と言われているところに住んでおります。その中に、大部分の人はそこに住んでおられます。一部の方は、自主的避難しております。ですから、自主避難している人だけをもし補償した場合には、残りの人たちの気持ちがおさまらない。これは、私も実際に福島に行っていろいろな方にお聞きしました。やはり、補償するなら全員やってほしい、同じようにやってほしいと。

 ということになりますと、そういう議論ではなかったものですから、自主避難については、指針というのはこれは半ば義務みたいなあれで、ここに書かれたことは最低補償をするんだという趣旨ですから、そういうことになりますので、自主避難の方でどうしても賠償をお求めになるのであれば、賠償紛争センターとかそういうところを通して請求をしていただくということについては、私は合意しました。

 そのことについては、何ら、それをどうこう言ったことはありませんので、そういったことで御理解いただければと思います。

 以上です。(佐々木(憲)委員「百ミリシーベルトについて」と呼ぶ)

 百ミリシーベルトについては、私の判断ではなくて、百ミリシーベルト以下では、国連科学委員会等からのデータで、一応、有為な影響は出ていないと言われています。そういう資料を御提出しました、これは客観的なデータとして。私自身が、百ミリシーベルト以上で影響があって、以下で影響がないと言うほど専門家ではございませんので。

 地元でもいろいろ御説明しているんですが、私自身の判断は、健康管理、健康影響については、余り自分自身の判断としては御説明しないようにしているんです。客観的データとしてこういうことがあります、原爆調査の追跡調査でこうなっています、国連科学委員会のデータはこうなっています、ICRPはそれに基づいてこんな考え方をしていますと、そういう説明をさせていただいています。

佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 原子力委員会の秘密会議ということが問題になっておりますけれども、実は、過去十年以上にわたって非公開会合が毎週開かれていた、しかも、重要案件の実質審議までしていたというふうに報じられています。

 田中先生は、二〇〇七年から二〇一〇年まで原子力委員長代理でしたので時期が重なっているわけですが、御自身はそのような会合に参加されていたのか。また、こういった原子力委員会と事業者との関係について、御自身のことを含めて、どのように認識を持っておられるでしょうか。

 それから、事業者との癒着を断つということは原子力規制委員会の絶対条件であるわけですけれども、規制委員会における事業者との接触のあり方、その透明性の確保についてどのようにお考えなのか。

 及び、核燃料安全専門審査会の委員やその他の外部有識者の人選のあり方についても御所見をいただきます。

 それから、今、百ミリシーベルトのことで、自分の考えを述べたわけではないというふうにおっしゃっておりますけれども、昨年九月十五日の日経ビジネスの先生のインタビューの中で、百ミリシーベルト以下なら健康への影響は大きくない、野菜不足、運動不足、肥満などは、百ミリシーベルトの被曝よりリスクが大きいという統計がある、一番のリスクは被曝を恐れるストレスと言われているというふうに説明をされておられます。

 今回の事故による被曝と日常生活上のリスクを並べて論じるのは極めておかしいというふうに思いますけれども、非常に誤ったメッセージを伝えられているのではないかというふうに思います。

 それから、田中先生は、二〇一一年度に、原稿料や講演料として、原子力の啓発活動などを行う日本原子力文化振興財団から二十万円、放射線関連商社、日本原子力産業協会から受け取ったというふうに報道でされているわけですけれども、三年で五十万という欠格条項にはかからないものの、こういった原子力産業からお金を受け取っていたということに対しては、どういうふうにお考えでしょうか。

 それから、先ほど再稼働の問題が出ましたけれども、原発の再稼働は、新たな安全基準とバックフィットをクリアすることが最低条件になるというふうに思いますけれども、その点についてお聞かせください。

 最後に、大飯原子力発電所の活断層について先ほど質問がございましたが、活断層であれば中止という表現をされましたけれども、今、Sクラスの耐震基準の施設が活断層を縦断しているということもあり、これは当然廃炉だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

 以上です。

田中参考人 原子力委員会で秘密会議と言われているのは、次の週の委員会、公開の委員会の打合会というのが大体前の週に基本的に行われて、どんな議題になるかということについて、短時間ですけれども、そういった話がありました。

 ただ、ちょうど私が原子力委員を拝命していたときは、もう既に原子力政策大綱が決まった後でしたので、政策的な議論というより、実際の具体的な進行ですね、原子力政策の、個別のいろいろな課題がどういうふうに進んでいるかとか、予算がどうなっているかとか、そういった話が多かったように思います。

 ですから、今回、いろいろ御批判があると承知していますけれども、事前に電力事業者に意見を求めるとか、そういったことはなかったと私は記憶しています。

 それから、事業者との関係というのは、これは非常に大きな課題ですけれども、先ほど来申し上げていますけれども、やはり、透明性というのが最大のとりでになるんだというふうに思います。特に、もしどうしても事業者との話が必要なときには、きちっとした透明性を確保する、公開でやるというふうにしていきたいと思います。

 それから、審査会の人選ですが、これは、技術的な審査指針とかそういったものを見ていく場合には、やはり、多様な人材とともに、それぞれの分野でのできるだけ専門的知識を持った方、そういった方を中心に選ぶことになりますが、具体的には、今、私、何も、誰がどうだというふうなアイデアは持っておりません。

 百ミリシーベルトの件ですけれども、例えば運動不足というのが二百ミリシーベルトぐらいに相当する、こういったそのデータ自身は、示したのは事実です。それは、国立がんセンターがそのことを示していますので、放射線によるがんのリスクはこういう状況ですというデータが出ておりますので、それを紹介したのです。

 チェルノブイリの、いろいろIAEA等の評価でも、一番の弊害というか健康被害がストレス障害であるというふうに言われておりますので、福島の方もすごいストレスがかかっています、日々、食事をするとか、その辺を歩くと被曝をするのではないか、特に、食べ物の中で放射能を取り込むのではないかとか、いろいろなストレスがかかっていますので、そういったことをできるだけ和らげて、被曝以上の、ストレスによる健康被害がないようにしていただきたいという思いでそういったデータを示してきています。

 例えば、先日も、伊達市のある小学校に、プールをどうするか、使うかどうかという話を父兄に説明しに行きました。学校の先生が、最近、子供を外で、グラウンドで走らせると、転ぶ子が多いんですよということなんです。これは大変なことだなというふうに私は思いました。

 ですから、そういったことを含めて、確かに放射線の被曝というものはできるだけ少ない方が、それにこしたことはないんですけれども、一個の個人の健康ということを考えたときは、やはりトータルとして判断しないといけませんよというか、した方がいいんじゃないでしょうか、もちろんそれはお母さんとかお父さんが判断することですけれどもということを申し上げています。

 それから、原文振とかから昨年いただいたのは、実は、楢葉町とか富岡町とか川内村とか、郡山とかいわきに避難されている人たちに対して、除染とかこれからの生活の仕方についてお話をしていただきたいというお話がありましたので、喜んで私は行きました。その結果として謝金をいただいたわけですが、それは、どちらかというと、先ほども申し上げましたけれども、この一年間で大体七、八十日、伊達市とか福島、それから飯舘、川俣の方に出向いておりますので、そういったときの足代とか、そういったものに使わせていただいているということで、大変ありがたく受けとったということは事実であります。

 再稼働についてのバックフィットの問題は、先ほど来申し上げましたとおりでありますので、省略させていただきます。

 大飯三、四号炉についても同じです、先ほどお答えさせていただきましたので。

 以上で終わります。

服部委員 では、終わります。

小平委員長 次に、平山泰朗君。

平山委員 国民新党・無所属会の平山泰朗です。

 この非常に厳しい委員会の委員長を引き受けられるということに、まず田中様に敬意を表します。

 最後になりますので、簡単に、まとめて三つほど質問をさせていただきます。

 先ほど、経歴の方をいろいろ見させていただいている中で、田中委員長だけが福島県出身ということが非常にクローズアップされて書かれておりまして、ほかの方はどこの県というのは書いていない。これは、ある意味、福島ということが非常に大きな意味を持っているんじゃないかなというふうに思います。

 そういう意味で、福島県に生まれられたということで、原発の被災者は親戚、友人等にいらっしゃるのか、また、これが職務に関して影響をするのかということをお聞かせください。

 また、就任後、今、国民的な注目も非常に高まっておりまして、大変なストレスが田中委員長にかかることは当然考えられると思います。そういう意味で、五年間という任期は長くはないのか、健康上の御不安とかはないのかということをお聞かせいただきたい。

 もう一点。最近、中国と韓国はどんどん原発を推進している。国内は、かなり安全性に関して多くの人たちが興味を持っておりますし、かなり安全は守られるということは考えられると思うんですが、逆に、釜山とか、そういうところにも今原発ができておる。ここが事故などになった場合は、九州、中国地方、そういうところには影響が及ぶのではないか。

 これは、今回の福島も、右側、特にアメリカなんかにも影響を与えておりますし、そういう意味では、中国、韓国、国際的な原発災害というのも考え得るのではないかというふうに思っています。その点に関する見解をお聞かせいただきたい。

 最後に、福島の原発事故に関して、委員長は、天災であったのか、人災であったのかという御見解をお聞かせいただきたいと思います。

 以上です。

田中参考人 私は、先生御指摘のように、福島市に生まれまして、その後、親の関係で、中学、高校は会津の方に行きまして、大学からは福島を離れましたけれども、私のおじ、おばを含めて、親戚は福島かいわいにたくさんおりますし、お墓も福島にありますので、そういった意味では、別の意味での福島に対する今回の事故の捉え方は違うのかもしれませんが、基本的に、やはり、原子力をやってきた者として、今回の事故について、何とかしなきゃいけないなという思いが強いことは事実であります。

 それから、今後の職務にそれが影響するかということですが、影響すると思います。心の中では、やはり、これだけのことを起こしてしまった、こんなことを絶対起こしちゃだめだという思いは、もうこれは私の強い信念として今持っていますので、そういう意味では厳しい規制になるかもしれませんけれども、これはもう御容赦願うしかないというふうに私は思っています。

 それから、五年間、確かに長うございます。本当に務まるのかということですが、幸い、今のところ年の割には健康な方なので、何とか健康に留意して職務を果たさせていただきたいというふうに思います。

 それから、中国、韓国では確かに原子力発電所の増設というのが、特に中国では急ピッチで進んでおります。

 そういう意味もありまして、原子力発電所の大事故というのは、チェルノブイリも今回もそうですけれども、国境を越えるということがありますので、今回の福島原発事故の教訓というのは、やはり、国際的な資産として、きちっと伝承していくというか、お伝えしていくということがとても大事だと思います。

 そういう意味では、IAEAとかそういうところを中心として、きちっと今回の事故の原因とかも究明しながら、今後の対策について、国際基準として、安全が確保できるように努力していきたいというふうに思います。

 それから、人災か天災かということですが、これは、事故調等では、もう明らかな人災だという評価もあります。

 余り私がここでどっちだというふうに言うのも適当ではないと思いますが、事故調査報告書を見れば、そこのところはおのずと明らかになっているのではないかというふうに思っております。

 以上です。

小平委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

高木(毅)委員 自民党の高木毅でございます。

 四十年廃炉について再度確認させていただきたいと思います。

 私は、やはり、一律ではなくて、炉によって判断すべきだというふうに思っておりますが、先生の御見解をお聞きしたいと思います。

 あわせて、先ほど、技術は進歩するという言葉がございましたけれども、そのとおりであるというふうに思います。ならば、廃炉とともにリプレースというような考え方も、安全が確保されればあり得るのかなと思いますが、その点についてお願いをしたいと思います。

 それから、先ほど「もんじゅ」あるいはサイクルについてお話がございましたけれども、私は、やはり、このFBR技術というものは一定のところまで進めるべきだというふうに思っております。

 政策的判断をなさる立場ではないのかもしれませんけれども、今後のこういったようなFBR技術の研究、実証あるいは実用ということについてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

 以上でございます。

田中参考人 四十年廃炉につきましては、先ほど来申し上げたとおりでございます。一律にこれがだめだということではなくて、きちっと、新しい安全規制とか安全基準に合致できるということを十分に確認した上で、それはそういう判断をしていくということになると思います。

 それから、リプレースにつきましては、リプレースの是非を私が今ここで申し上げることは適当でないんですが、リプレースをするという申請がある、そういう場合には、その安全性については、規制委員会としてはきちっと見ていきたいというふうに思っています。

 それから、FBR技術については、これも先ほど申し上げたとおりです。今、大事だとか大事でないとかということは、ここでの発言は控えさせていただきたいと思います。

 ただし、今、「もんじゅ」については、まだ電気が起きていません。今、国民にとって大事なことは、この厳しい中で、今回のいろいろなことを見ていますと、社会生活、国民生活にとって電力が足りないんだ、そういう中での非常に苦渋の選択のような稼働になっていますので、そういうことから含めますと、「もんじゅ」は軽水炉とは全く違った安全評価をする必要がありますので、少しそれについての判断には時間が要るということだけは御承知おきいただきたいと思います。

川内委員 川内と申します。きょうは、ありがとうございます。

 田中委員長候補は、いわゆる秘密会議について、打合会というふうに言葉をかえられました。それはいいとして、さらに、被曝のリスクを他と比べることについて、例えば肥満のリスクについては、国立がんセンターがそういう論文を発表しているというふうにおっしゃった。これは、正確に言うと、国立がんセンターの一研究者が一研究者の論文として発表しているものであって、国立がんセンターのものではありません。規制をきちんとする組織のトップとして、言葉を微妙にずらされるというのは、私は、いかがなものかというふうに思います。

 今後、国民に対して誠実に向き合っていかなければならない、公正に向き合っていかなければならないお立場として、今私の指摘に対してどのようにお答えになるか、聞かせていただきたいと思います。

田中参考人 打合会というのは、そういう言葉で、私ども、打合会ですから来てくださいということでやっていましたので、秘密会議とかそういうことではなくて、通常、打合会と原子力委員会では呼んでいました。ですから、言葉をすりかえたということではないので、御理解いただきたいと思います。

 それから、国立がんセンター、正確に言えば、先生がおっしゃったとおりかもしれません。ただ、そこの点については、必ずしも十分に、私も、誰がどうだというところまで調べていなかったということは、今後、規制をする場合のデータの扱いについては、客観性というのが大変大事ですので、そういった点では注意深くやっていきたいと思っています。

坂口(岳)委員 民主党の坂口岳洋です。

 田中参考人に、一点、個人的な御見解をお伺いしたいと思います。

 我が日本、また人類は、原子力にかわる、安全でそして効率的なエネルギーソースというものを手に入れることができるのか、その御見解。そして、それが手に入れることができるとするならば、どのぐらい先に原子力にかわる安全で効率なものをとれるか、その御見解をお伺いしたいと思います。

田中参考人 大変申しわけありませんが、私が、手に入れられるかどうかということについて、今すぐに、個人的にも、それにかわる安全なものを手に入れるように精いっぱいの努力はすべきだというふうには思いますが、いつ、どういったものが手に入るかどうかについては、お答えできないというのが正直です。申しわけありません。

松野(頼)委員 民主党の松野でございます。

 先ほど参考人から、できるだけ早く福島の地に帰れるようにというような御発言がございました。

 ちょうど昨年、この議運委員会で私どもチェルノブイリに行きまして、今の現状というものを見てまいりました。もちろん、放出された燃料の量等は違うという状況はわかっておりますけれども、チェルノブイリでは、二十五年たった今でも、二十キロ圏には誰も人が住んでいない、居住させないという状況であります。

 今、除染をずっとされてきたということでありますが、今の福島の地、十キロ圏内、二十キロ圏内、この原発事故の近隣が、果たして、もとに戻る状況になれる、帰れるようになるというふうにお考えなのか、そうではないのか、お聞かせをいただければありがたいと思います。

田中参考人 全部がすぐに帰れるようになる、できるだけ早く帰れるようになるというふうには、なかなかこれは実際問題としていかないと思います。少しずつ帰れる場所をふやしていくということになると思います。

 私は、今回の福島の汚染の原因が、セシウムという、比較的除去しやすいし、表面にとまっている、そういう核種ですので、実際に私の経験からいうと、努力をしていけば少しずつそういった方向に向かっていけるというふうに思っています、いついつまでに帰れるとか。

 それに、実際に福島に、そこに住んでいた方たちの声は、何とか帰りたいという声が強いわけですから、やはりそれに少しでも応えていきたい、そういうことであります。

 そういう意味で、十分に今除染が進んでいるかというと、私自身は、個人的には、遅いというのが正直な感想です。ぜひ、先生方にも、その点については御尽力いただきたいと、余計なことですけれども、お願い申し上げます。

水野委員 民主党の水野です。

 ちょっと一点、本当に全然、難しい話というか、今までの質問と違うんですけれども。

 先ほど田中参考人は、今までの、原発の、自分がかかわってきたものを、反省というか、そういうものを踏まえて今回いろいろと福島で働いてきたと。そして、今度は、この原子力規制庁の委員長に、なりたいというか、要望があってということで来られたというふうに聞いております。

 そういう中で、例えば、今私のところに、給与の問題で大変申しわけないんですが、二千百八十八万円という給与があります。田中参考人とすれば、この給与を、全額、例えば福島のために今後五年間返還していくとか、そういうことも含めて、もう一度、その決意というか、そういうものを聞かせていただければというふうに思っております。やはり、そういうものも含めて我々はぜひ判断してまいりたいと思っておりますけれども、どうでしょうか。

田中参考人 ちょっと、大変お答えしにくいんですが、私も、今、リタイアしまして、基本的に年金生活で、先ほど御紹介いただきました顧問というのも無給でやっていますので、では全く生活資金がなくてこの仕事ができるかというと、それは、多分できないと思います。田舎に住んでいます。ですから、その辺はどう判断するか、ちょっと答えに窮しています。

小平委員長 いかがですか。御質問ございますか。よろしいですか。

 それでは、これにて田中参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 田中参考人、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

 以上をもちまして原子力規制委員会委員長の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十八分散会


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