衆議院

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第7号 平成25年2月15日(金曜日)

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平成二十五年二月十五日(金曜日)

    午前十時九分開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 高木  毅君 理事 古川 禎久君

   理事 御法川信英君 理事 秋元  司君

   理事 平沢 勝栄君 理事 櫻田 義孝君

   理事 渡辺  周君 理事 石関 貴史君

   理事 大口 善徳君

      越智 隆雄君    大塚 高司君

      佐々木 紀君    鈴木 憲和君

      田野瀬太道君    根本 幸典君

      藤丸  敏君    星野 剛士君

      牧島かれん君    近藤 洋介君

      階   猛君    今井 雅人君

      木下 智彦君    松田  学君

      中野 洋昌君    畠中 光成君

      山内 康一君    小宮山泰子君

    …………………………………

   議長           伊吹 文明君

   副議長          赤松 広隆君

   事務総長         鬼塚  誠君

   参考人

   (検査官候補者(会計検査院事務総長))      河戸 光彦君

   参考人

   (公正取引委員会委員長候補者(みずほ総合研究所株式会社理事長))     杉本 和行君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     佐々木 紀君

  菊田真紀子君     階   猛君

  郡  和子君     近藤 洋介君

  今村 洋史君     松田  学君

  山内 康一君     畠中 光成君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     田野瀬太道君

  近藤 洋介君     郡  和子君

  階   猛君     菊田真紀子君

  松田  学君     今井 雅人君

  畠中 光成君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     今村 洋史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 検査官及び公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件

 次回の本会議等に関する件


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 まず、検査官及び公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る八日の理事会において、加藤内閣官房副長官から、内閣として、検査官に会計検査院事務総長河戸光彦君、公正取引委員会委員長にみずほ総合研究所株式会社理事長杉本和行君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会申し合わせに基づき、検査官候補者及び公正取引委員会委員長候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として検査官候補者(会計検査院事務総長)河戸光彦君、公正取引委員会委員長候補者(みずほ総合研究所株式会社理事長)杉本和行君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、河戸参考人、杉本参考人の順で所信をお述べいただき、その後、それぞれの参考人の所信に対する質疑を順次行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、河戸参考人、お願いいたします。

河戸参考人 河戸光彦でございます。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼申し上げます。

 近年、我が国の社会経済は、本格的な人口減少社会の到来、少子高齢化に伴う社会保障費の増大や内外経済の構造的な変化、地球環境問題等の課題に直面しております。また、東日本大震災からの復興が我が国の大きな課題となっており、行政等には、こうした課題への適切な対応が求められております。

 会計検査院としましては、このような社会経済の動向を踏まえながら、一に、一部の府省等において不正、不当な事態が見受けられたことも踏まえて、正確性、合規性の観点から厳正な検査を行うこと、二に、厳しい国の財政状況にも鑑みて、事務事業や予算執行の効果及び国等が保有している資産、補助金等によって造成された基金等の状況についても積極的に取り上げるなど、経済性、効率性及び有効性の観点からの検査を重視すること、三に、行財政の透明性と説明責任の向上や事業運営の改善に資するために、国の決算等の財政や独立行政法人等の財務状況について分析、評価を行うなどの検査を充実していくことが重要と考えております。

 会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国の会計検査を実施し、検査の結果に基づき、検査報告を作成して内閣を通じて国会に御報告するという重要な使命を課されております。

 私は、昭和五十一年に会計検査院に採用されて以来、会計検査業務にかかわり、現在は、事務総長として、検査官会議の指揮監督のもと、事務総局の業務全般を統理する任にございます。

 仮に検査官に任ぜられるとするならば、これまでとは異なって、事務総局を指揮監督する検査官会議の構成員としての自覚と責任感を持ち、これまでの会計検査に関する実務で培った知識経験を生かすとともに、国民の皆様の関心の所在や国会における御審議の状況に常に注意を払うなど、いろいろな御意見に耳を傾けながら、検査官会議における公平かつ均衡のとれた意思決定に貢献することによって、国の財政監督機関としての職責を担ってまいりたいと考えております。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼申し上げます。

佐田委員長 ありがとうございました。

 次に、杉本参考人、お願いいたします。

杉本参考人 杉本和行でございます。

 本日は、所信を述べる機会をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

 まず、公正取引委員会委員長の任務につきまして、認識を述べさせていただきたいと思います。

 公正取引委員会が担当しております独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意工夫を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民の実所得の水準を高め、もって一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的、健全な発展を促進することを目的としております。

 公正取引委員会は、この目的を達成することが任務でございまして、公正取引委員会の委員長には、他にも増して、国民全体の奉仕者たる国家公務員としての強い自覚を持ち、国民の皆様や関係各方面の御意見を十分伺いつつ、公正に職務を遂行していくことが求められていると考えております。

 次に、取り組むべき施策の基本的な方向についての考え方を申し述べさせていただきたいと思います。

 我が国を取り巻く国内外の経済環境は大きく変化いたしまして、大変厳しいものがございます。こうした中、公正かつ自由な競争を促進することを通じまして、我が国の経済の活性化を図り、消費者の利益を確保していくことが、極めて重要であると考えられます。

 競争環境の整備は、公正な市場を担保することによりまして、経済活動が活力を持ったものとなることを目指しているところでございます。これは、日本経済の発展を促し、支えていく上での重要なインフラを提供するものであると考えております。

 このため、経済の実態に即応しつつ、独占禁止法の厳正かつ適正な執行等競争政策の推進に取り組んでいくことは、我が国の経済が活力を持って発展していく上でも、極めて重要な基盤を確保するものであると考えております。

 具体的な施策といたしましては、まず第一に、厳正かつ実効性のある独占禁止法の執行を確保していくことが重要であると考えております。

 独占禁止法に違反する競争制限的な行為に厳正に対処していくことは、経済の活性化、消費者の利益に資するところでございます。したがいまして、国民生活に影響の大きい価格カルテル事件や入札談合などには、厳正に対処していく必要があると考えております。また、合併等の企業結合事案につきましては、迅速かつ的確な企業結合審査を進めていくことが要請されていると考えております。

 第二には、公正な取引慣行を推進する観点から、中小企業に不当に不利益を与える行為の取り締まりをしっかりと実施することでございます。

 優越的地位の濫用、不当廉売などの不公正な取引方法や下請法違反行為など、中小企業に不当に不利益を与える行為があってはならないと考えております。中小企業にとりましても事業環境が厳しくなっている中、こうした行為に対しては厳正かつ積極的に対処するとともに、違反行為を未然に防止していくための施策を実施していくことが重要だと考えております。

 ただいま申し上げましたこととも関連いたしますが、昨年八月に成立しましたいわゆる税制抜本改革法に基づく消費税率の引き上げに際しましては、同法におきまして、消費税の円滑かつ適正な転嫁に支障が生じることのないよう、事業者の実態を十分に把握し、より徹底した対策を講ずることとされておりまして、独占禁止法及び下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずることを初めとする取り組みについて規定されております。

 こうした方針に従い、消費税率の引き上げが実施されます際には、中小企業の方々の転嫁対策に関して、公正取引委員会におきましても、円滑かつ適正な転嫁が確実に図られるよう、役割をしっかり果たしていくことが重要であると認識しております。このためのさまざまな取り組みを適切に講じていくことが必要と考えております。

 第三に、企業の独占禁止法コンプライアンスの向上や、国や地方公共団体等の発注機関が入札談合に関する行為を未然に防止するよう、競争環境の整備への取り組みも行っていく必要があると考えております。

 近時、アジア経済が大きく成長するなど、経済の急速なグローバル化が見られます。企業活動が国境を越えて行われている中では、国際的なカルテルへの対応や企業結合事案等、法執行面での海外競争当局との連携協力の必要が増大しております。また、法執行以外の分野におきましても、二国間、多国間のさまざまな枠組みを通じた競争当局間の国際的連携の推進が重要な課題になってきていると考えられます。こうした面でも、日本の競争当局としてのふさわしい貢献を行っていくことが必要であると考えられます。

 両院の御同意がいただくことができまして、公正取引委員会委員長に任ぜられました場合には、その職責をしっかりと認識し、国民の代表である国会の御議論を初めいろいろな御意見に耳を傾けながら、公正取引委員会の使命を達成すべく、他の委員とともに努力を尽くしてまいる所存でございます。よろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。

 以上、私の所信を申し述べさせていただきました。

 本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございました。

佐田委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 杉本参考人は、お呼びいたしますまで別室にてお待ちいただきますようお願いいたします。

 それでは、議長、副議長、結構です。どうもありがとうございました。

 また、理事会の申し合わせに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより河戸参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、越智隆雄君。

越智委員 おはようございます。自由民主党の越智隆雄でございます。

 所信を拝聴させていただきました。ありがとうございます。関連して、二点質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど所信の中で、時代の大きな変化に行政が適切に対応していかなければならないというお話がございました。また一方で、役所の無駄遣いに対して、世論の厳しさがますます増しております。

 そんな中で、近年、会計検査院は、時代の要請に応じて、さまざまな取り組みを実施してきたというふうに思います、決算検査報告の早期送付あるいは随時報告、フローからストックへのシフトなど。そして、指摘金額も増大して、昨年度の報告では五千億円超となって、従前に比べると格段に大きくなったというふうに思います。

 ただ、時代の要請はまだまだ大きくて、変革を続けなければいけない、そういう時期だというふうに思っておりますが、そんな中で、今回、河戸参考人は検査官の候補者になられたということだと思います。

 そこで、まず、検査官の候補者としての抱負を改めてお伺いしたいのです。

 先ほど所信の中で、昭和五十一年から検査院で仕事をされてきたという話がありましたが、河戸参考人が検査官に就任された場合は、三人の検査官の中でただ一人、検査院の出身で、実務全般を熟知して、行政運営にも通じた方となります。その意味で、大きな期待をされるものと思います。

 先ほど所信の中で、指揮監督される側から指揮監督する側に移るんだ、いわば事務総局から検査官会議の一員になるということでありまして、自覚と責任を持って取り組むとおっしゃっておりましたが、具体的にどういうことをしていかれたいのか、そしてまた、三人の検査官の中で、河戸参考人の役割はどのようなものになると考えておられるのか、抱負を伺いたいというふうに思います。

 そして、もう一つの質問は、有効性の観点からの検査についてであります。

 先ほど所信の中で、経済性、効率性及び有効性の観点からの検査を重視するということをおっしゃっておられましたが、平成二十五年次の会計検査の基本方針を読みますと、中でも、有効性の観点ということについては、積極的に取り上げるよう努めるということが書かれていると同時に、他省庁がみずから行う政策評価などの状況にも留意して検査を行うという趣旨の記述もありまして、これからさまざまな工夫をしながら取り組んでいかなければならない分野だというふうに認識されているものだと思います。

 そこで、お伺いしたいことは、これまでの御経験の中で、有効性の観点からの検査について、印象深い、あるいは特筆すべき事案があれば、ぜひ御紹介をいただきたいと思います。

 そして、検査官に就任された場合に、有効性の観点からの検査に対してどのように取り組んでいかれるのか、進めていかれるのか、具体的な所信をお聞かせ願いたいと思います。

 以上でございます。よろしくお願いします。

河戸参考人 ただいま御質問いただきましたことにつきまして、一点目、事務総局の職員と検査官会議の検査官ではその立場、役割が大きく変わると思うけれども、どのように事務総局を指揮監督していくのか、その考え方につきましてお話がございました。

 御質問のとおり、これまでは、検査官会議の指示や意見等を踏まえて事務総局が行う検査やその他業務を事務総長として統理してきた立場でございますが、検査官としての立場や役割は、事務総長のそれとは全く異なるものと承知しております。その職責の重要性に身が引き締まる思いでございます。

 仮に検査官に就任した際には、この立場の違いを十分にわきまえて、事務総局とのなれ合いというような悪い方向に向かわないように、事務総局とは一線を画すよう、みずからを律してまいりたいと考えております。

 一方で、事務総局出身者として、会計検査の独立性や中立性、指摘の客観性の確保の重要性を強く認識しているところでございまして、こうした経験を踏まえて、事務総局を指揮監督してまいりたいと考えております。

 また、国民の期待に応える会計検査を行っていくためには、何より事務総局職員の士気や能力の向上が重要でありまして、このための環境整備にもより一層努めてまいりたいと考えております。

 次に、二点目の御質問でございます。私が三十六年余り会計検査院で経験してきたもの、その中で、有効性の検査の指摘について、印象に残る事例を紹介するようにというお話でございます。

 平成十二年度の決算検査報告の中に、国が公益法人等に補助金を交付して設置造成させている資金についてという内容の報告をしたことがございます。これは、単年度で完結しない特定の目的を持つ公益性の高い事業を継続して行わせるもので、公益法人等に補助金を交付して資金を設置造成させるものでございます。

 そのときに検査しましたのは、昭和四十一年度から平成十二年度までに設置造成された五十六法人、九十四資金の国庫補助金で、二兆七千二百億円を対象に検査を行っております。

 その結果、中には、引き続き実施が必要な事業もございましたが、その後の社会経済情勢の変化により事業実績が全くなくなっていたりして、多額の資金が利用されないまま保有されているような事態がございました。そういった事態を報告した事例がございます。

 会計検査院では、この報告以降、公益法人だけでなく、独立行政法人あるいは都道府県等において同様なストックに関する検査を始めるきっかけとなった事例でございます。

 検査官に任命された場合には、長年会計検査実務に携わってきた経験を生かして、このような有効性の検査も今後引き続き取り上げるよう努めてまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。

越智委員 以上で終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。本日は、よろしくお願いいたします。

 会計検査院は、予算の執行が経済的、効率的、有効的に使われているか、それをチェックする重要な役割を負っています。その役割というのは、近年ますます高まっていると思っています。

 私も、政権担当時代は、政府の中では総務省の行政評価局担当の政務官として、また、党に戻ってからは政府の仕分け人、あるいは、党の中では行政改革の仕事などをやってきました。

 この三年余りの間に、大きく行政監視、行政評価の動きというのはあったと思います。

 政府の中では、先ほど言った事業仕分けであったり、行政評価局も大分機能強化をしてまいりました。行政事業レビューというのも始まりました。また、国会では、これは当時の与野党が協力して、行政監視委員会で国会仕分けというのもやりました。

 そうしたさまざまな動きがある中で、なお会計検査院が存在感を維持し、そして組織のモチベーションを高めて、国民から期待される役割を果たしていくためにどのような組織運営をされていこうとしているのか、その思いを聞かせてください。

 それと、もう一点でございます。

 皆さんの役割は重要だということなんですが、一方で、行政に対して厳しいことを言わなくてはいけない立場でもあります。みずから襟を正して、みずからに厳しくなければ、そういう仕事はなかなか理解を得られないのではないかと思っております。

 そうした意味で、我々民主党の同志であります長妻さんも過去に国会で指摘しました天下りの問題、会計検査に携わった調査官がみずから検査した先に天下るというようなことは、決してあってはならないと思っております。

 そうしたことが決して起こらないように、再就職の管理については徹底して厳しく行うというおつもりがあられるのかどうか、この点についてもお聞かせください。

河戸参考人 御質問ありがとうございました。

 一点目の、行政評価あるいは前政権時代に行われた事業仕分け等、いろいろ、会計検査院の検査活動と類似の分野での最近の動き、私ども、非常に参考になるということで、そういった議論を注視して会計検査に当たってまいりました。

 総務省の行政評価局とは事務的に意見交換をさせていただきながら、内容のより深化を図るような努力を行ってございます。

 行政府で行われているそのような行政の見直し等につきましては、私どもも留意して検査に当たるという方針でございますので、今後もそういった形の検査を運営していきたいと考えております。

 二点目の御質問の、会計検査院の職員の天下りという御質問がございました。

 私ども会計検査院の事務総局職員につきましても、国家公務員法が適用されてございます。

 国家公務員の退職管理につきましては、平成十九年七月の国家公務員法等の一部を改正する法律によりまして、各府省等の職員が職員または職員であった者について営利企業等に対し再就職あっせんを行うことが禁止されるなどの退職管理に関する新しい枠組みが定められたところでございます。

 会計検査院におきましても、改正国家公務員法が施行された平成二十年十二月三十一日以降、改正法及び退職管理基本方針に従って退職管理を行っておりまして、職員の営利企業等への再就職あっせんは一切行っていないところでございます。

 一方、会計検査院は、内閣から独立した機関であり、会計検査という職責を果たすために、国民の信頼を損ねることのないよう、厳正、公正な立場を守らなければならないということは当然でございまして、より一層、厳格、中立な立場を守るよう努めていく必要がございます。

 今後、このような方向で、引き続き検査対象との関係は維持していきたいと考えております。

階委員 最後に、もう一問だけお聞かせください。

 指摘金額について、先ほど越智先生からもお話がありました。我々の政権になった平成二十一年度に一兆七千九百四億円ということで、前年の二千三百六十四億円から大きくふえました。また、その前、数年さかのぼりますと、ずっと数百億円台という数字が続いてきました。我々の政権になって、一兆七千九百四億円、二十二年度が四千二百八十三億、その後、五千三百億というふうに変わってきました。

 こうした傾向、これがこれからも続いていくのか、続けていくつもりがあるのかどうか。つまり、これからも無駄の削減について徹底的に努力していくつもりがあるのかどうか、お聞かせください。

河戸参考人 ただいま指摘金額の推移について御質問がございました。

 先ほど、検査の観点を申し上げました。私ども、正確性、合規性、それから経済性、効率性、有効性、こういった観点から検査を行っております。

 指摘金額が非常に大きくなる場面というのは、先ほどちょっと御質問の中でお答えしましたけれども、ストックの検査に着目したものを始めて以降、金額が大きくなる可能性がございます。近年、そういった形でそういった数字が出ておりますけれども、これは、その時々の検査をどういうやり方でやっていくかによって金額が増減するものでございまして、金額がふえることを目指して検査しているわけではございません。

 したがいまして、先ほど言いましたように、不適切な会計経理が行われないということも我々の重要な使命でございまして、こちらにつきましては、それほど指摘金額が大きくなるものではございません。

 したがいまして、先ほど言ったさまざまな観点からの検査を引き続き行っていくことによって、国民からの期待に応えてまいりたいと考えております。

階委員 終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。

 二つばかり質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今、日本が、未曽有の、先進国の中でも最悪の財政状況の中にあって、歳出の合理化というのを引き受けている会計検査院の役割は大変大きいものだと思っております。

 よく、正確性、合規性のほかに、スリーEですか、経済性、効率性、有効性という観点、この三つの観点というのは、かなり、価値判断というか政策判断というのが、長年御経験されて、あるんじゃないかと思うんです。例えば、最近の検査で、郵貯・簡保管理機構の、休眠預金六百億円、収益計上しているものを国庫納付する、この辺などは、相当そういった政策判断にかかわる領域じゃないかと思います。

 財務省の予算査定と会計検査院が、ある意味で車の両輪としてやっていくと非常に有効ではないかという気もするんですが、その点について、長年の御経験から、これまでどんな実績を上げて、これからどんな点をさらに推進していくべきかについての御見解をひとつ伺わせていただきたいと思います。

 それから、二点目は、日本維新の会は、かねてから、公会計の改革ということで、日本の財政も現金主義、単式会計から複式会計、発生主義に転換すべきである、こういうことを主張しているんです。

 政府も、バランスシート、財務諸表というのを近年は作成していますけれども、まだまだこの作成のスピードが遅いとか、あるいは、これを決算ベースだけじゃなくて予算ベースでやるべきだという提案なんかも私どもしていくことになっているんですけれども、この、いわゆる複式会計にしていく、あるいはバランスシートをつくっていってそれを予算ベースでやっていくということについて、どんな御見解をお持ちであるかをお聞きしたいと思います。

 以上二点でございます。よろしくお願いいたします。

河戸参考人 一点目の御質問、財務省の予算査定と決算、車の両輪ではないかという御質問でございます。

 私ども、決算検査報告は、現在、十一月の上旬に内閣に提出しまして、それが十一月中旬の国会に提出されるようなスケジュールで行っているところでございます。

 これは、決算審査を予算編成に反映させたいという国会の強い御意向がございまして、私ども、平成十五年度の決算から、早期に検査報告を提出するという方向で業務を行っているところでございます。

 そして、会計検査院の検査結果につきましては、財務省主計局との連絡会等で、その決算と予算の、会計検査院の検査結果を予算に反映させていただくという場面もございますので、そういう意見交換を行っているところでございます。

 二点目の、国の会計制度につきましての御質問でございます。

 我が国では、現金の授受をもって歳入歳出を計上するという意味で、現金ベースで管理が行われておりまして、民間の企業会計との対比において、このような現金主義については、ストックとしての国の資産、負債に関する情報が不十分ではないか、フローとストックの財務情報の連動がないのではないか、こういった問題点が指摘されているところでございます。

 一方で、憲法の八十三条以降にございますように、国会において財政がコントロールされるという意味合いがございます。これにつきましては、現在、現金ベースでの国会でのコントロール、これが、議会の事前統制あるいは管理手段としてのわかりやすさ、あるいは透明性があるといったことも考えられているところでございます。

 政府の方でも、平成十五年度ごろから、財政等審議会におきまして、諸外国のそういう会計制度を比較しながら、現在のような会計制度の欠点を補うために、例えば、特別会計とかの中では、財務諸表を作成するという努力をされていると承知してございます。

 先ほどのような、会計制度をどのように変えていくかという点につきましては、立法政策の問題と考えておりますので私から意見を述べるのは差し控えさせていただきますけれども、仮に、国の会計全般がそのような方向に改正されるならば、会計検査院としましては、その役割を適切に果たしていく必要があると考えてございます。

松田委員 二番目の質問に対する答えとして、立法政策の問題があるかもしれませんが、これまでいわゆる財務諸表というのを決算ベースで策定してきたことにつきまして、それによってどんな点が、例えば、財政あるいは収支の管理上よくなったとか、あるいは政策立案の上でプラスになっているんじゃないかとか、その点について御見解があれば、お聞かせいただければと思います。

河戸参考人 先ほどちょっと、会計検査院の最近の検査の方向性について御説明いたしました。

 申し上げましたように、先ほどの、現在の現金会計の問題点ということで、ストックとしての国の資産、負債に関する情報が不十分である、あるいはフローとストックの連動がない、こういった点につきまして私ども検査しますと、やはりストックの問題点が多々出てきております。それにつきまして、これまでも、問題点を意見表示したり処置要求したりした形で、その問題点についての問題提起をしてきたところでございます。

松田委員 以上です。

佐田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 検査官候補者河戸さん、五十一年に採用されて、会計検査院でずっと仕事をしてこられた。そういう点では、よく、いろいろ会計検査院の問題点ということを知悉していると思います。

 三人の検査官のうち民間の方がお二人ということでございまして、やはり、国民の視点あるいは民間の視点というのが非常に大事になってくると思うんですね。そういう点で、よく二人の民間の検査官と協力しながら、国民の目線で仕事をしていただきたい、こういうふうに思っております。それが一つ。

 それから、今回、二〇一一年度については、五百十三件、五千二百九十六億円、こういう指摘金額でございますけれども、返還対象は百九十一億円ですか。もっとこれは頑張ってほしい、こういう意見もございます。ストックの検査をしっかりやって指摘金額が拡大したということでございますけれども、そういう点で、さらに頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。

 さらに、三番目でございますけれども、その方法についてお伺いしたいと思います。

 東日本大震災の復興事業、これが今行われています。復興予算の転用という問題もありました。そういうことから、会計検査院として、東日本大震災の復興事業について検査を精力的にやられる、あるいはこれからもやられようとしているわけでありますけれども、やはり、被災地の、あるいは被災者の目線に立って、被災地のニーズですとか対処能力ですとか、そういう観点からの検査というものが大事であろう、こういうふうに考えております。

 なかなか予算の執行ということも十分でない、あるいは入札の不調がかなりの割合である、人手不足、専門家不足、また生コン不足、資材不足、こういうさまざまなことがあるわけでありますけれども、よく被災地の目線で検査を行っていただきたい。これが三点目でございます。

 それから、私ども公明党は、一つは、先ほどの委員からもありましたように、複式簿記、発生主義会計の導入で財政の見える化を推進していきたい、ガラス張りの財政の実現ということを主張しております。

 東京都におきましては、公明党の都議会議員、公認会計士がおりまして、大変これを推進してまいったわけです。

 これにつきまして今御意見もありましたが、その点について、私の方からもお伺いしたいと思います。

 それから、不正経理防止法、あるいは会計検査院法の改正、これを我が党は主張しているわけであります。

 やはり、検査院の指摘事項に対して、対処報告の義務づけが私は必要だと思います。あるいは、組織的な裏金づくりにつきましても、規制を強化する必要があると思います。これにつきましてもお伺いしたいと思います。

河戸参考人 最初の御質問がございました、国民の視点に立った検査を行っていくべきではないか。まさに、おっしゃるとおりでございます。

 ただいま、お二人の検査官がいらっしゃいます。企業会計の専門家の学識経験者と監査法人出身の公認会計士、お二人の検査官がいらっしゃいます。そのお二人の御意見は、まさに、今先生おっしゃったような形の方向での検査が必要ではないかとおっしゃっております。

 検査官会議は合議体でございます。私どもの事務総局出身者として、あるいは今までの会計検査の経験を踏まえて、国民の視点に立った検査を今後とも引き続き努力して行ってまいりたいと考えてございます。

 二点目の、返還額でございます。

 これは、私ども、不当事項等がございましたものを、その後どのように返還されたかというのをフォローアップしております。私ども、言いっ放しではなくて、その後どのようにそれが是正されたかを大変重視しております。

 会計検査院法の三十四条と三十六条に基づいて処置を要求したり意見を表示するものにつきましては、会計検査院法で、事後の処理状況を記述することになってございます。

 また、国会等で御議論がありましたように、それ以外の、不当事項とか処置済み事項といったものにつきましてのフォローアップも、近年、検査報告の中に記述して、その是正状況を把握するような形で検査報告を作成してございます。

 三番目の、東日本大震災の復興事業の検査につきましては、大震災からの復興に向けた各種の施策については、一定期間に多額の国費が投入されていることなどを踏まえまして、各事業の進捗状況等に応じて適時適切に検査を行ってまいりたいと考えております。

 先ほどお話のありましたように、被災者の目線に立って、我々としても、復興の後押しになるような検査ができないか、あるいは、一方で、それに便乗するような不正なことは許さない、こういった形で検査に臨んでいるところでございます。

 それから、四点目の、会計制度の見直しにつきましては、先ほどちょっと申しましたけれども、平成十五年度に、財政等審議会で現在の公会計のあり方について検討がなされております。その際、現在の会計制度における問題点、それを是正すべく、先ほどおっしゃったような財務書類を作成するようになってございます。

 特別会計につきましては、現在、法律の上で、この財務書類をつくることになっておりまして、会計検査院は、それを検査する役割を与えられております。

 こういった面で、今後とも、法制化されたものにつきましては、このような複式簿記に基づくような検査を行ってまいりたいと考えております。

 それから、不正経理につきまして、そういったものについて罰則規定を設けるべきではないかということでございます。

 私どもも、そういった不正経理がまだ依然として後を絶たないという問題意識は持ってございます。それがなくなるということが望ましいと考えておりまして、そのための手段として、いろいろな方策があると考えております。

 我々の会計検査をしっかり行っていくこともその牽制効果になると考えておりますが、先ほどお話のありましたような、法律によってそういうものを防止していくということの重要性は認識してございます。

 ただ、法律につきましては、立法政策のことと思いますので、この場では発言を控えさせていただきたいと考えております。

大口委員 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 まず最初に、民間人の登用について質問します。

 会計検査院では、二〇〇九年から、民間人の受け入れによる特別検査プロジェクトチームというのをやられています。十名の民間人を任期つきで採用して、プロジェクトチームをつくって検査を行うということです。

 報道によると、この民間人のプロジェクトチーム、非常に成果を上げているというふうに高い評価を受けておりますが、にもかかわらず、その後、十名が四名に、人員が削られたりと、規模がむしろ縮小されております。

 私は、民間人のプロジェクトチーム、こういうものが成果が上がるのであれば、むしろ、減らすよりもふやした方がいいと思いますし、あるいは、会計検査院の職員にしても、新卒のプロパー職員ばかりではなくて、中途採用とか期限つきの任用をもっとふやして、民間の人材をもっと活用するべきではないかと思うんですが、その点についてお尋ねします。

河戸参考人 ただいま御指摘いただきましたように、民間人を会計検査の分野に活用するということの重要性につきましては認識してございます。

 今お話のございましたように、従来から、公認会計士、ITの専門家、民間企業の実務経験者等を、任期つき職員や非常勤職員として採用しているところでございます。

 そして、これら民間人と国等の公会計に精通した検査院プロパーが連携して検査することによって大きな成果が得られたと認識しているところでございます。

 こうした専門的な知識や経験を有する者が関与したこれまでの検査実績や、新たな検査領域の出現などを踏まえますと、今後とも、企業会計の実務、情報通信その他に関する専門的な知識を有する人材を民間から確保することは必要だと感じてございます。

 そして、これらの人材を活用して、民間の手法や民間人の視点を導入した検査体制を充実させるなどして、国民の目線に立った検査を一段と強化してまいりたいと考えております。

山内委員 今、民間人を活用するべきだということでしたけれども、河戸候補は事務総長として全体を見られていると思いますが、では、なぜ、十名を四名に減らしてしまったのでしょうか。どういう政策判断だったんでしょうか。

河戸参考人 どのような検査要員を配置するかという問題もございます。

 私どもは、今お話がありましたように、民間からいろいろ登用するということは今後とも進めてまいりたいと考えているところでございますが、一方で、会計検査院プロパーの職員についての能力向上、こういったことも重要であると考えております。

 現在も、会計専門職大学院等に職員を派遣したりして、そういった面の強化は行っているところでございます。

 人数が減るとかという面よりは、能力的にそういった面を補充できるような方策を考えているという状況でございます。

山内委員 次の質問に行きます。

 会計検査院のレポート、時々、非常にいいなと思うものもありまして、例えば、平成二十四年十月発行で、家電エコポイント制度について会計検査院の報告書がありまして、私、それを読んで、非常にいい報告書だなと思いました。

 内容的には、家電エコポイント制度をやってみたけれども、環境面のインパクトは全然なかったと。景気対策としては意味があったかもしれませんが、環境面の成果というのは全く家電エコポイント制度はなかったという結論を出したレポートでした。私は、非常にいい視点だと思います。

 私、以前に、エコカー減税とエコカー補助金の環境影響について予算委員会で質問をしたことがあります。経産省も環境省も、エコカー制度の環境評価を全くやっておりませんでした、あきれることに。一兆円もエコカー減税と補助金にかけているのに、エコ面の、環境面の評価を経産省も環境省も全くやっていない、あきれる実態があったのです。

 そういう意味では、会計検査院のような事業官庁じゃないところがちゃんとそういう政策面の評価を行うというのは、非常に重要なことだと思っております。

 単に、領収書がちゃんと張ってあるかとか、そういう点ばかりではなくて、そういう家電エコポイント制度に対する評価のような、政策のインパクトについての計測、これは、各事業官庁が評価をやるとお手盛り評価になりますから、会計検査院のような独立した機関がやるというのは、非常に意義があると思います。

 そういった政策のインパクトの評価を今後どのように進めていくか。あるいは、私としては、家電エコポイントみたいな評価をもっとやっていただきたいと思います。それについて、河戸候補の御見解をお聞きします。

河戸参考人 行政機関では、平成十四年度から、行政評価法に基づきまして、それぞれ政策評価を行っているところでございます。会計検査院でも、ただいまお話のありましたような分野以外に、公共事業、例えば道路事業、河川事業等につきまして、費用対効果分析というものにも取り組み始めたところでございます。

 このような政策の費用対効果の分析につきましては、最近までの検査成果でいえば、なかなかその資料自体が保存されていないという問題がございましたのでこういった指摘をしてきたところでございますが、今後は、その中身につきまして正しく評価されているか、こういった面から、会計検査院でいえば、有効性の観点の検査を引き続き行ってまいりたいと考えているところでございます。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党、小宮山泰子でございます。よろしくお願いいたします。

 さて、東日本大震災の復興予算、そういった意味では、会計検査院の持つ意味、役割というのは、特にことしは、平成二十四年度の補正予算、これは、二十五年度の前倒し予算という大変思い切った予算を組まれるという方向になっておりますので、会計検査院の責務というものはまた大きくなっているのかと思っております。

 先ほども少し指摘がございましたけれども、二〇〇九年より、会計検査院に民間人の登用というものがあった。この点に関しましては評価するものでもありますし、さまざまな視点というものが今後さらに必要かと思っております。会計検査院プロパーの皆さんと、やはり、こういった民間人の登用の強化というのは重要かと思います。

 先ほども指摘がありましたけれども、この関係に関して、今後どういうふうなお考えがあるのかをお聞かせいただきたいのが一点。

 また、現在、公認会計士試験などにおいて、残念ながら、就職ができないとか、実務を重ねることができないという現実もあります。こういったせっかく資格をきちんと取られている方々が、ここは会計検査院ではないのかもしれませんけれども、メンバー構成の中に公認会計士の方も入っているということを鑑みますと、こういった方々が会計検査院でお働きになることを実務経験としてみなすことも必要なのかなというふうに考えております。

 こういった会計検査院のあり方というものをどうお考えになられるのか、御見解を聞かせていただければと思います。

河戸参考人 ただいまお話にありました民間人の登用という点につきましては、検査の必要に応じて、従来から、公認会計士、企業会計、ITその他の専門的知識を有する民間人を検査要員として採用してきているところでございます。

 また、職員の採用に当たっては、試験採用だけでなく、企業会計の専門知識を備えている者を採用するための選考採用も始めてきているところでございます。

 今後とも、このような検査能力向上のための取り組みを積極的に行って、検査の人的資源をより一層充実したものにするなどして、検査体制を充実していきたいと考えておるところでございます。

小宮山委員 ぜひ、この点は、さらに研究、また検討を、できれば実施も含めて、人的資源の登用というか、幅の広さ、そして深めるということをしていただければと思います。

 また、私も過去にさまざまな予算を調べさせていただく中で、これは社保庁の問題が起きたときでありますけれども、各省庁でそれぞれ高い専門性を皆さんお持ちで働かれていらっしゃいますが、そういった方々、公務員の方々の原稿料とか講演料、中には物すごい額を一月でいただいている方も独立行政法人の中にはいらっしゃったりということ。これは、省内の方の許可を得まして、総務課とかそういったところできちんと、もちろん書類も残している状態でございます。

 残念ながら、これは、一元管理という形ではなく、ペーパーで、いまだに、たしか一枚ずつ見なければいけないという状況でありますが、これを見ますと、OB企業のところからの講演依頼がたびたび重なっている方が出てきたりと、そういう意味では、予算書には出てまいりませんけれども、なかなか癒着の問題が疑われるのではないか、こういったこともありました。

 こういう意味で、今後、会計検査院の体制の強化、そういったことに関しての御決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。

河戸参考人 ただいまお話しいただきました原稿料等につきましては、職員個人個人の問題であるかと思いますが、これが公的な、国費が使われる分野になりますと、我々としてもしっかり検査していきたいと考えておるところでございます。

小宮山委員 ありがとうございました。

佐田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

 それでは、なしということで、これにて河戸参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 河戸参考人、ありがとうございました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより杉本参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、秋元司君。

秋元委員 自由民主党の秋元司でございます。

 先ほど所信を述べられたことにつきまして、改めて、公正取引委員会が持つ今後の役割、または、それに対する具体策、そういったことを幾つか質問させていただきたいと思います。

 その前に、まず、冒頭、公正取引委員会の委員長、大分、歴代、財務省出身の方が多いわけでございますけれども、これに対する御感想を、もしあればお願いしたいと思います。

杉本参考人 これまでの委員長につきましては、任命権者でございます内閣総理大臣が、法律の規定にございますような適任者ということで判断された方を国会に提示された上で、両議院の審査の上同意いただき、内閣総理大臣から任命されたというふうに承知しております。

 そういうことで認識しておりますので、私から特にそれ以上コメントすることではないのではないかと思っております。

秋元委員 ありがとうございました。

 話題を移ります。

 とかく、規制緩和の流れによりまして、市場への参加といたしましては、事前チェック型から事後チェック型に転換をしてきて、特に、公正な市場を守るためには、時代の変化に対応したチェック機能をもっともっと働かせていかなくちゃいけない、私は、そういった認識をしております。

 特に、我が国においては、企業数の九九%が中小零細企業となっております。また、現在、景気が低下し、そしてまたデフレ状況下の中で、この中小零細企業を取り巻く環境というのはより厳しさを増しているわけでございますが、近年、特にデフレの中で、大手小売が頻繁に行う不当廉売、または優越的地位の濫用による下請いじめなどの対策、非常に急務と叫ばれておりますけれども、こういった点、どのようにお考えですか。

杉本参考人 先生おっしゃいますとおり、昨今の厳しい経済情勢のもとで、とりわけ中小企業は厳しい取引環境に置かれていると思っております。

 そうした状況でございますので、やはり、下請法違反、それから優越的地位の濫用、こういった中小事業者に不当な不利益を与える行為については、その未然防止に努めることが非常に重要だと考えております。

 したがいまして、こういった違反行為に対しましては、迅速かつ的確に対処することがぜひ必要ではないかと考えておるわけでございます。

 これまでも、公正取引委員会の方では、そういったことで、下請法、独占禁止法の周知徹底とか、優越的地位の濫用に関して、いろいろ事前に防止するような手続もやっているようでございますので、そういったことを引き続き積極的にやっていく必要があるんじゃないかと思っておるところでございます。

秋元委員 おっしゃっていただきましたように、本当に、公正取引委員会、この分野について大分頑張っていただいております。

 ただ、中小企業、零細企業というのは体力がございません。今申し上げたようなことが行われたときには、直ちに、スピード感を持って対処していかなきゃならないと思うんですけれども、果たして、現在のままで、公正取引委員会のいわゆる人員、足りるのかということ、その辺の認識をお伺いしたいと思います。

杉本参考人 先生おっしゃいますように、積極的かつ適正に中小企業の不公正な取引を是正していくというためには、必要な人員を確保していく必要があるんじゃないかと思っております。

 これまでにも、公正取引委員会の人員は、徐々にではございますが増加させていただきまして、確保されているというふうに認識しておりますので、引き続き、こういったものを、先生おっしゃいますように、迅速に対処することが周りの企業の方々に対する影響を防止するといったことからも非常に重要なことだと思っておりますので、そういったことで努めていきたいと思っております。

秋元委員 ぜひ、この点は、より積極的に行っていただきたいと思うんです。

 特に、今回、安倍政権下におきましては、いわゆる地域経済もしっかり元気にさせていくということでございますから、さまざまな経済対策における富の創造というものが、本当に地域経済に至るまで行き渡っていかなくちゃならないことでございます。一部の大企業だけではどうしようもないという思いであります。そういった中において、今おっしゃられたことをぜひ実行していただきたいなという思いであります。

 あわせて、消費税というのが今後予想されます。こういった中において、消費税の価格転嫁、これが本当に円滑に行われていかなければ、先ほど申し上げた中小零細企業、特に小売の世界においては大変なことが予想されますので、この辺についての価格転嫁における具体策、何かございましたらお願いしたいと思います。

杉本参考人 今回の消費税の引き上げというものは二段階にわたるものでございますので、中小企業、零細事業者を中心に消費税の転嫁をきちんとやるということは、ぜひ必要なことだと思っております。

 このためには、転嫁しやすい環境をきちっとつくっていく必要があると思っておりまして、先般の税制抜本改革法を踏まえまして、独禁法、下請法の特例に関する立法措置も講じられるように準備は進んでいると認識しておりますし、さらには、その相談体制、ガイドラインの徹底、それから競争制限的行為に対する独占禁止法の適用、こういったものに積極的に取り組んでいく必要があって、消費税の円滑かつ適正な転嫁というのが適切に行われるように進めていく必要があるんじゃないかと思っております。

秋元委員 以上で質問を終わりますけれども、とにかく迅速に、スピード感を持ってやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上です。

佐田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 貴重な機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 限られた時間ですので、早速伺いたいと思います。

 まず、独占禁止法をつかさどる公正取引委員会の役割が極めて重要なことは論をまたないわけでありますが、この公正取引委員会のあり方について、我々は、審判制度の廃止といった大きな制度改正をこれまで閣法としても提案をしてまいりましたし、議論を重ねてまいりました。この点について候補者の所見を。

 私は、公正な取引委員会を運営するためにも、権力の集中はよくない、権力の独占をするのはよくない、こういう観点からも、この審判制度の分離は必要だろう、信頼される公取にとっても必要だろう、こう思うわけでありますが、候補者の御所見をまずお伺いしたいと思います。

杉本参考人 審判制度の廃止は、先生おっしゃるように、そういう方向で行うということで、さきの臨時国会にも提案されたものだと承知しております。

 さきの臨時国会では廃案となりましたが、この廃止については、引き続き検討中であると承知しておりまして、そういった方向で対処されるとは思いますけれども、今後とも、いろいろ担当大臣とも検討を進め、こうした法律の提案を検討していくということになるんじゃないかと推察しております。

近藤(洋)委員 ぜひ、そういう方向で検討していただきたい、前委員長も取り組んでこられたので、よろしくお願いしたい、こう思うわけであります。

 もう一点、行政の透明性というのが極めて公正取引委員会は重要だ、こう思うわけでありますが、委員会の議事録、これは残念ながら非公開、非公表であります。組織は違えども、日本銀行については、政策委員会の議論、いろいろな議論を踏まえて事後に公表するという形に相なっております。

 その観点から、公正取引委員会の委員会の議事録を、やはり、事後でも構わないので、公表すべきと考えますが、候補者の御所見はいかがですか。

杉本参考人 公正取引委員会は、証拠に基づきまして独占禁止法の違反の有無を立証する、いわば捜査的権能も持っております準司法機関というふうに位置づけられるんじゃないかと思っております。そうした会議の性格というのが、御議論になりました日本銀行の政策決定会合とは性格を異にする面があるのではないかと思っております。

 そうしたことからも、法律上は、「公正取引委員会の合議は、これを公開しない」という規定になっておりますので、そこはなかなか、合議体としての意思決定の中身を公開するのは困難な面があるのではないかと思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 審判制度を分離、廃止すればその準司法的な性格も、もちろん執行の部分はありますけれども、やや変わってくるかと思いますので、ぜひ、議事録の公開、事後公開について、ここは意見だけ申し上げたいと思いますが、真剣に検討していただきたい、こう思うわけであります。

 次に、前公正取引委員会の委員長だった竹島委員長が十年間取り組まれてきたことの一つに、再販売価格の見直しというのがございました。私は竹島委員長を大変尊敬しておるんですが、その中の一つに、再販について果敢に検討された。

 御案内のとおり、再販の適用除外については新聞、CD等々が含まれているわけですが、とりわけ新聞の再販制度について見直すべきだという御主張をされ、そして取り組まれてこられたと思います。もちろん、いろいろな意見がこの分野にあるのは承知しておりますが、私は、今日的な状況を鑑みても、新聞やCD等々が再販制度の適用除外になっている理由はほとんどないと考えますが、委員長候補者の御所見はいかがでしょうか。

杉本参考人 再販適用除外制度については、先生おっしゃいますように、いろいろ検討が進められたわけでございますが、平成十三年三月だったと思いますけれども、公正取引委員会の方から、その廃止については国民的合意が形成されるに至っていない状況で、当面存置するというふうに、方針が明らかになったと思っております。

 その後、現在まで、この方針を変更すべき状況の変化が生じているとは私としても承知していないところでございまして、当面この見直しを行うということは考えておらないというふうに承知しているところでございます。

 ただ、先生がおっしゃいますように、こういった再販制度を弾力的にさらに適用を進めていくということは、引き続き必要なことじゃないかと思っておるわけでございます。

近藤(洋)委員 前回の結論が出て、もうかれこれ十年近くたっているわけでありまして、ぜひここは、国民的議論を深めることも含めて、行動をとっていただきたい、こう思います。

 以上で終わります。

佐田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 私の方からは、きょうは、杉本候補者の基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。

 私ども日本維新の会は、徹底的な規制緩和、規制改革をして徹底的な競争社会をつくるということが日本の経済を成長させる一番大きな鍵だというのが基本的な考え方でありまして、まさに、この競争をつかさどる公正取引委員会というのは非常に重要な委員会でありまして、この長は非常に重要な位置だというふうに私たちは考えております。

 党内でいろいろ意見をお伺いしている中で、企業が競争するところに、ある意味規制をずっとしてきている役所の人たちが長になるというのは、それは考え方としてはどうなのかという声も少なからずあります。

 その上で、ちょっとお伺いしたいんです。

 今までの御経験の中で、省庁の中でもいろいろな規制緩和とかやってこられたと思いますし、民間にも少しおられたようですので、その辺に対しての反論というか、どういうふうにお考えかということと、それから、徹底的に規制を緩和して、入り口はまずあける、出口のところは、もちろんしっかり監視をしなきゃいけないんですけれども、必要以上のことは、やはり余りかかわるべきではないというふうに考えておりますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

杉本参考人 私といたしましても、公正かつ自由な競争というものが経済の活性化のための基本であると思っておりますし、さらに言えば、消費者の利益にもつながることじゃないかと思っています。

 したがいまして、自由かつ公正な市場というものを確保することは日本経済にとりましても非常に重要なことだと思っておりまして、そういった認識で、さらに自由な競争が行われる場を確保していくということがぜひ重要なことじゃないかと考えておるわけでございます。

今井委員 もう一問お伺いをしたいことがあるんです。

 これは、独禁法の、法の整備も恐らく必要になるのかもしれませんが、昨今、これから人口が日本はどんどん減少していく中で、グローバル化がどんどん進んできているわけでありまして、いろいろな業界のところで大型のMアンドA、買収、こういうことが進んでいるわけでありますね、鉄鋼、化学、製造業、いろいろあると思いますけれども。

 今後、独占という考え方をするに当たりましては、もちろん国内のことも大事なんですけれども、海外で日本の企業が伍していくためには、ある程度の規模というのが必要になってくると思うんですね。

 ですから、国内というものから海外に大きく目を広げていく、そういうことも日本が成長をしていく上におきましては非常に重要な観点ではないかというふうに私は考えておりまして、この点についての候補者の御意見をお伺いしたいというふうに思います。

杉本参考人 先生おっしゃるように、経済は非常にグローバル化しておりまして、マーケットといいますか市場も非常にグローバル化しているというのが実態だと思います。

 日本の市場を考えましても、国内外の供給者がいろいろな商品、サービスを提供するということになっておりますし、日本の企業におきましても、海外でいろいろな商品、サービスを提供するということで、グローバル化が大変進展しているという認識はございます。さらに、最近は、東アジア、こういうところが非常に成長を遂げておりますので、市場としての重要性も非常に大きくなっている。そういうことから、企業活動というものも、グローバルな市場を対象にした企業活動も、非常に多くなっておると思います。

 そういったことから、競争政策の適用に関しましても、単に国内市場だけを見るのではなく、グローバルな市場を見ながら競争の確保ということを図っていくことは、これから、日本企業、日本の競争力を高めるためにも、すなわち、公正かつ適正な市場基盤を提供するためにも、非常に重要なことじゃないかと思っておるところでございます。

今井委員 ありがとうございました。

 今おっしゃったように、これからアジアが伸びるというところでアジアの成長を取り込んでいかなきゃいけませんので、私どももそういう観点でいろいろな整備をしていく必要があると思いますけれども、公正取引委員会におかれても、そういう考え方でぜひやっていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 杉本候補者にお伺いいたします。

 先代の竹島委員長、ほえない番犬からほえる番犬、あるいは闘う公取ということで、談合の摘発に徹底的に力を入れてこられた、リーニエンシー制度、こういうものを設けた、あるいは、企業合併につきましては、この審査期間を短縮する、あるいは、世界市場のシェアを考慮に入れたガイドラインをつくる、こういうことで大変高く評価をしているところでございます。

 また、課題としましては、下請いじめの注意件数が高まっている、それから審判制度の廃止が、まだこの法案が成立していない、こういう課題もございます。

 そして、期待するものとして、規制改革に対する政策提言、これを今後さらに積極的にやっていただきたい、こう思っております。

 この竹島委員長の時代のプラス、また課題、そして今申し上げました公取に対する期待について、お考えをお伺いしたいと思います。

杉本参考人 先生から、今、竹島前委員長時代に、ほえる公正取引委員会ということで、非常に積極的に競争環境の整備について辣腕を振るわれたということは、私もそういうふうに考えております。

 竹島委員長の在籍時に、平成十七年及び二十一年に独占禁止法が改正されまして、課徴金算定率の引き上げ、課徴金減免制度の導入、対象事業者数の拡大、犯則調査権限の導入、優越的地位の濫用等の不公正取引に関する課徴金の制度の導入、そういった改正が行われまして、この改正によりまして独占禁止法の執行力が高まったんだと思います。

 そうした独占禁止法の執行力の高まりをきちんと運用して、これまでされていると思いますので、私も、引き続き、その権限が増大いたしました独占禁止法の積極的かつ適切な執行に努めてまいりたいと考えているところでございます。

大口委員 実は、消費税が来年の四月、そして再来年の十月に引き上げられる。中小企業、下請事業者の方は、この価格転嫁の拒否事案、こういうものに対して大変心配をしておられます。

 商工会議所の調査だと、中小企業の六割以上が価格転嫁は困難、こういう回答をしている、あるいは、大阪信用金庫の調査でも、七割の企業が価格転嫁が困難、こういうことでございます。

 これにつきましては、独禁法あるいは下請法の改正が今回上がっておりますけれども、これは、しっかりしていかなきゃいけないと思いますが、体制としましても、相談体制をしっかりしていく、それから、消費税転嫁Gメンを充実したものにして取り逃しのないようにしていく、そして、転嫁カルテルや表示カルテル、これも進めていくことになると思いますけれども、これに対してちゃんとそれが推進できるようにしていく、こういうことが大事だと思います。この点についてどう考えているのか。

 それと、著作物の再販制度、それから新聞の特殊指定につきましては、私は、文化、公共の面からいって、これは維持をすべきだと考えておりますし、また、国民の知る権利あるいは民主主義の維持発展ということからも、また戸別配達という点からいっても、これは現状を維持すべきである、こう考えております。これについてお伺いしたいと思います。

杉本参考人 先生おっしゃいますように、消費税の引き上げに際しましては、価格転嫁が円滑かつスムーズに行われることが非常に重要なことだと考えております。

 このため、税制抜本改革法でいろいろな措置を講ずるように規定されておりまして、まずは、消費税の転嫁拒否等の行為を取り締まり、当該行為を是正するため独占禁止法及び下請法の特例に関する立法措置を講ずることとか、転嫁カルテルそれから表示カルテルについても例外措置を講ずるといった立法措置が講じられることと考えられておりまして、今こうした法案を提出する方向で準備が進められているんじゃないかと認識しているところでございます。

 さらに、相談体制、これも非常に重要でございまして、積極的にむしろ調査を行って、必要な指導をこちらから前向きにやっていくという、そういった相談、指導もぜひ必要なんじゃないかと思っているわけでございます。

 それから、新聞の特殊指定の問題でございますが、公取の方でも検討が行われまして、当面、これを改正する、改めるという状況には至っていないということでありまして、それ以降、私としましても、特に状況が変わっているというふうに認識しておりませんので、特に今の段階で見直す必要があるというふうに考えておるところではございません。

大口委員 規制緩和の政策提言、これを積極的にやっていただきたいと思うんですが、この点、お伺いしたいと思います。

杉本参考人 市場における競争というものが、日本の経済を発展させていくためには、成長させていくためには非常に重要なことでございますので、規制が緩和されて競争がより市場において行われるという環境をつくるということは競争当局としても重要でございますので、そういった観点からも、各所に対していろいろ提言するとか相談することは必要なことじゃないかと思っております。

大口委員 しっかり提言を精力的にやっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、畠中光成君。

畠中委員 昨年十二月の総選挙で当選しました、みんなの党の畠中光成です。

 早速ですが、幾つか質問させていただきます。

 まず、天下りについてお聞きしたい。

 官民の癒着、利権の温床化を招く天下りの是非について御見解をお聞かせください。

杉本参考人 省庁の権限とか予算を背景にして省庁から就職先をお世話するといいますかやります天下りについては、これは禁止されているものと理解しておりまして、そういった意味の天下りを排除するということで運用が行われているものだと思っております。

畠中委員 みんなの党は、政務三役によるあっせん、前任OBによる推薦は天下りの抜け道であると指摘しております。

 候補者は、これに当てはまりますか。お聞かせください。

杉本参考人 私は、大蔵省、財務省に長年勤めておりまして、退官いたしました後、民間企業、一つは、みずほ総合研究所というところで調査分析業務をやらせていただいております。

 これは、私がいろいろ経済財政政策等の運営にも携わり、世界経済、日本経済についてどう見るかということの知識といいますか見方もございますので、そういったことを生かしながらその仕事をしていくということだと思っておりまして、そういったことでみずほ総合研究所のところに職をいただいたのだと思っておりますので、先ほど申し上げました、省庁からのあっせん等によりまして職をいただいたものではないと考えております。

畠中委員 歴代の公取委員長で、大蔵省御出身の方は何人いらっしゃいますでしょうか。また、御面識のある方はいらっしゃいますでしょうか。

杉本参考人 正確に数えたことはございませんが、今、リストを見させていただいてちょっと数えさせていただきますと、歴代公正取引委員長が十六代いらっしゃる中で、大蔵省、財務省に在籍したことがある人は、十一名ではないかと思っております。

畠中委員 十一名というのは非常に多いと言わざるを得ないと思うわけでありますが、これは財務省の次官級OBの指定ポストになっているということではありませんか。

 自由経済の番人、競争を促進する立場にある公取の委員長ポストがずっと固定されていることについて、どのようにお考えでしょうか。

杉本参考人 公正取引委員会の委員長につきましては、独占禁止法の二十九条二項だったと思いますが、法律または経済に関する学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命するという規定になっております。したがいまして、こういった規定に従いまして、内閣総理大臣の方で候補者を考えていただいて、任命していただいて、両院の同意をいただいたことではないかと思っております。

 それぞれの方々がどういうふうに考えられて仕事をされたかということでございますが、それぞれの職につきますと、その職責に合わせまして全力を尽くすというものが職務に対する対応じゃないかと思っておりまして、私もそういう考え方でございます。

 したがいまして、そういうことで、職務に対して、職責を全身全霊を込めて果たしてこられたということじゃないかと思っております。

畠中委員 今度は公取の事務局についてですが、財務省からの出向者はいらっしゃいますでしょうか。いらっしゃる場合、どのような役職に、何人いらっしゃいますでしょうか。

杉本参考人 私も定かではございませんが、かつての経験からいいますと、正確ではございませんが、数人と言っていいんでしょうか、何人かは、公正取引委員会の方に出向させていただいて、そこで事務をとっていたと思っております。

 今も何人かいると思っておりますが、今、具体的なポストについては、把握しているわけではございません。

畠中委員 私が調べましたところ、局長級に一名、課長級一名、そしてその下にも事務局には出向者の方がおられます。これでは、公取が財務省の植民地、一部局と化していると言われても仕方ないのではないでしょうか。どのようにお考えでしょうか。

杉本参考人 国家公務員になりまして行政の仕事をいろいろするに際しまして、各省庁間で人の交流をしていく、国全体のことを考えながら仕事をしていくということが必要だということでもございますので、そういった観点から、各省で人事交流をしながら国全体の行政を進めていくということにしているんだと思います。

畠中委員 公取の行う業務と財務省の行う業務は、その内容も手法も大きく異なると思います。

 公取で、候補者御自身の財務省での御経験がどのように生かせるとお考えでしょうか。

杉本参考人 私も行政に携わってきた者でございますから、こういった独占禁止法の厳正かつ適正な執行、それから競争環境の整備ということも重要な行政だと思っております。

 行政は、あくまでも法律に基づきまして適正に執行するということでございますので、そういった行政執行の観点というのは大きな意味で変わっていないところもあると思いますし、そういった観点から、行政の執行に全力を尽くしていくという観点からは、今までの行政経験がベースになるというところもあるんじゃないかと思っているところでございます。

畠中委員 逆に、公取の事務局に出向中の財務省職員の方は、財務省に戻って、公取での経験は生かせるのでしょうか。

杉本参考人 行政官というものは、国の行政全体を、どういうふうに行政を執行していくかということが任務でございますので、そういった独占禁止法の執行、さらには自由な市場の確保ということも国の政策としては非常に重要な政策でございますので、そういった政策を実行していくという経験は、財務省に戻りまして財務省の職務を果たす上でも非常に重要な経験になると思っております。

畠中委員 先ほど、再販制度の見直しを考えていないと。私は残念な回答だったと思いますが、その詳しい理由についてお聞かせください。

杉本参考人 再販制度につきましては、十三年三月に、検討の結果、その廃止について国民的合意が形成されていないので当面存置するという方針が明らかにされたというふうに理解しております。その後、現在までにこの方針を変更すべき状況の変化が生じているというふうには私も見ておりませんでして、そういった意味で、現段階において見直しを行うことは考えていないということでございます。

 ただ、弾力的な運用、再販制度の中でも弾力的な運用を進めていくということは、ぜひ進展させていっていただきたいなと思っているところでございます。

畠中委員 新聞業界で問題となっている押し紙について、公取も平成十一年に禁止しているところですが、候補者の御見解をお聞かせください。

杉本参考人 たしか、新聞の特殊指定の中で、押し紙の禁止という条項も決めて、やっているところだと思います。

 この押し紙の禁止は、業者の公正な取引方法を確保するためにも必要なことだということで指定されているというふうに理解しております。

畠中委員 消費増税に際して、新聞業界は軽減税率適用を求めていますが、御見解をお聞かせください。

杉本参考人 軽減税率につきましては、税制改正大綱で、一〇%に消費税が引き上げられるときに軽減税率の導入を目指すというような文言になっていたかと思いまして、今後、そういうことに向けて具体的な方策が検討されていくことになるんじゃないかというふうに理解をしているところでございます。

畠中委員 再販制度を所管する公取委員長に軽減税率を所管する財務省出身者がつけば新聞業界には二重の無言の圧力がかかるので、それで増税キャンペーンを張らざるを得ないのではないでしょうか。

 このような意図のある人事とも思われかねないと思いますが、いかがでしょうか。

杉本参考人 私といたしましては、公正取引委員会委員長の任にもし当たらせていただくことで同意がいただければという前提のお話でございますけれども、そこは、公正取引委員会として、独占禁止法の競争政策の推進ということを、私としてはその任務を全力を尽くしてやっていくつもりでございますので、消費税の軽減税率をどうするかという話と私の職務とは切り離して考えていただければと思っております。

畠中委員 独禁法の適用除外は、関係の業界や企業にとって非常に大きな意味を持つものです。

 例えば、たばこも日本全国どこで買っても同じ値段ですが、公取の委員長が財務省出身者の指定ポストとなっていることとJTにも多くの財務省天下り社員がいること、これは密接に関係していると思います。

 ほかにも、信用金庫、労金、生保協会、損保協会、酒造組合等、適用除外と天下りの例はたくさんあると思います。

 お考えをお聞かせください。

杉本参考人 たしか、先生おっしゃるように、独占禁止法上は、協同組合については適用除外になっているものが規定されていると認識しております。

 ただ、その立法理由は、組合というものは組合員間の相互扶助機関でございますので、その関係で、独占禁止法の適用になじまないといいますか、適用から除外する理由があるということだと思っておりますので、そういった理屈といいますか、きちんとした政策観点から、そういった適用除外が規定されているんだと考えておるところでございます。

畠中委員 以上で終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、日本は、世界に通じる企業や、またブランド名など、こういったものが発展をしてきた。この点に関しましては、私どもも大変誇りに思うところでもありますし、また、これからも活躍をしていただく。やはり、そういったベースに、日本国内の製造業や、また、その環境というのも由来しているものだと考えております。

 その中ではありますけれども、今、グローバル化の中、またさまざまな動きの中で、日本の強さをつくり上げてきた源泉でもある企業というもの、またブランド名も含めまして、世界での市場の占有率や売り上げ規模では、残念ながら、多少陰りが見える部分もあるかと思っております。

 こういう中で、日本が適正な市場の競争環境というものを整備するということは大変重要だとも思っております。日本の製造業やサービス業などのノウハウの強み、こういったハード、ソフト面を生かしていくこと、また、世界のトップレベルのプレーヤーとしてのさらなる活躍をするためには、競争環境の整備というもの、先ほどもお触れになりましたけれども、大胆な発想や、また判断というものも重要かと考えております。

 この点に関しまして、公取としてどういうふうな立場をとっていかれるのか、お考えをお聞かせください。

杉本参考人 先生がおっしゃるように、日本の事業活動といいますか企業活動が、力を持って、競争力を持って世界市場で伍していくということは、これからの日本経済の成長を高めていくためにも、かつ消費者の利益を確保していくためにも、非常に重要なことであると思っております。

 そのためには、競争力をつけていくという環境がぜひ必要でございまして、そういった意味で、自由な競争の市場を確保していく、そういう環境を整備していくということが企業の競争力を確保していく上でも非常に重要なインフラ整備になるんじゃないかと思っておりまして、引き続き、そういったことにつきまして、市場の整備ということにつきまして努力していきたいというのが考え方でございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 その一方で、あるエコノミストの方なんですけれども、規制緩和を進めて民間の利益というものを優先する新自由主義というものよりも、やはり、共存共栄の資本主義というきちんとしたルールの中で公正にするという、行き過ぎた規制緩和という形でない方が今望まれているのではないかということを言う方がいらっしゃいました。

 私自身も、この点に関しましては、大変難しい判断を今迫られていると思います。

 また、消費者の安全を確保するという意味では、規制緩和が行き過ぎることによって確保できない、先ほどちょっと酒類の問題が出ましたけれども、独占禁止法の枠があるからこそ、逆に、未成年者の飲酒を可能とする、そういう購買ができるような環境がとられてしまうというのも、裁判の結果でも出てきている次第でもあります。

 やはり、こういう意味においては、行き過ぎた規制緩和と消費者の安全確保というものは、競争という市場の原理の中では相入れない部分もあるかと思います。

 この点に関しまして、どのように消費者の利益というものを確保されていくのか、お聞かせください。

杉本参考人 日本経済にとりまして非常に重要なことは、これから雇用機会をいかに確保していくかということじゃないかと思うわけでございます。

 そうした雇用機会を十分確保するということに関しましても、企業が競争力をつけまして、それで経済が発展していく、それが前提になるんだと思っております。そういった意味で、企業の競争力をつけるという意味でも、自由な競争の市場を確保することが必要なんじゃないかと思っているわけでございます。

 安心、安全の面で、これはいろいろな規制が必要な面はあるんだと思います。サービス、商品を供給するに当たっても、安心、安全なものである必要があるわけでございますから、そういった観点は必要じゃないかと同時に思っているところでございます。

 さらには、そういった競争市場の確保ということと安全、安心なそういった面からの規制というものは両立しないわけじゃございませんでして、私は、そういった中で市場のインフラの確保が図られるということが必要じゃないかと思っているところでございます。

小宮山委員 行政に携わられたという行政経験を基本とされている、また研究職等であったかと思います。

 民間というものは、生活をかけ、さまざまな商慣習も含め、取引が行われている。この中から出てきているのが、消費増税のときの価格転嫁、この心配というものがなくならないということであります。

 この点に関しまして、具体的に価格転嫁を、防ぐ方策を考えていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせいただければと思います。

杉本参考人 消費税の税率アップに際しまして適切かつ円滑な価格転嫁が図られるということは、非常に重要なことだと思っております。

 そのためには、独占禁止法、下請法の改正も準備されているというふうに承知しておりまして、その中で円滑かつ適正な価格転嫁が図られるようにしていくことになるんだと思っております。

 さらには、積極的に相談を受けるとか調査をしていくということで、不当な転嫁拒否というものに対してしっかりと対応していくということではないかと思っております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 最後に、私自身の見解としては、やはり、まだ、新聞の再販制度など、情報を入手する方法というのが高齢化社会の中において確立していない、そういう意味においては、同じように、今の時点ではこれを維持するべきであるということを申し添えまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

佐田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 一点、お伺いをしたいと思います。

 候補者は、たしか財務省、大蔵省時代、農林担当の主計官もおやりになられたと思いますので、農政については大変御見識の深い方だ、こういう前提のもとにお伺いしたいと思うんです。

 先ほどの適用除外の件で、まさに農業団体、JAは適用除外、このようになっています。

 私は、JAというのは、戦後農政において大変大きな役割を果たしたし、これからも大きな役割を果たすだろう、こういう前提に立つわけでありますが、他方で、このJA自体が本当に生産者の方を向いているのかといった、さまざまな意見も出ているのも事実。

 ただ、同時に、この適用除外になっていることによって、いわゆる攻めの農業というんでしょうか、農業をさらに発展させる意味においても足かせになっているのではないかといった議論もございます。

 公正な市場を形成するという公正取引委員会の使命に即しても、今日的な意味において、もはやJA、農業団体を適用除外にする意味が果たしてあるのかどうか。私は、議論すべきテーマではないか、研究すべきテーマではないかと思いますが、候補者の御所見をお伺いしたいと思います。

杉本参考人 先生のおっしゃいますように、JA、農業協同組合に関しては適用除外になっておりますが、それは、協同組合という性格上、組合員の相互依存性といいますか相互利害を図るためということのために除外されているというふうに理解しているところでございます。

 農業を非常にしっかりとした産業として育成していくということは大変重要なことだというふうに私も認識しておるところでございまして、そのために、農業がさらに生産性を上げて産業として発達していくことが重要だと考えているところでございます。

 こういった農業協同組合のあり方等についてどういうふうに考えるかというところは、そこは担当省庁でいろいろ考えていただくことだと思っておりまして、公正取引委員会の立場としましては、そこは、きちんとした競争がさらに今の枠組みの中で確保されることが重要だということになるのではないかと考えるところでございます。

佐田委員長 他に質疑のある方はいらっしゃいますか。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 消費税の価格転嫁の問題について、一点、補足的に質問をさせていただきます。

 私も、地元を回っておりますと、どうしても下請の事業者さんの方からは声が上げにくい、こういうお声を非常にいただくわけでございます。

 先ほども、積極的に相談、調査をしていく、こういう力強いお言葉をいただいたわけでございますけれども、もう少しこれの具体的な中身がわかれば、また、候補者の、積極的に相談、調査をされていくという御決意を聞かせていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

杉本参考人 消費税の円滑かつ適正な転嫁に関しましては、立法措置を講ずるということで準備が進められているというふうに理解しておりますし、さらに、公正取引委員会とか中小企業庁だけではなく、各業界を所管する省庁においても、調査を行って、必要な指導を行うための枠組みを構築するということで検討が進んでいるというふうに考えております。

 こういったような積極的な立場からの指導とか調査とかを行うためにも、公正取引委員会を含む各省庁におきましては、転嫁対策調査官、いわゆる消費税転嫁Gメンとも言われておるのかと思いますが、こういうものを配置することが予定されていると考えておりまして、こういったいわゆる消費税転嫁Gメンの人たちも積極的な役割を果たす必要があるというふうに承知しているところでございます。

佐田委員長 他に御質疑はありますか。

田野瀬委員 自由民主党の田野瀬と申します。

 一点だけ、候補者の御所見をお伺いしたいです。

 公正取引委員長、委員会の中の担い手としましては、入札の談合等を厳しく取り締まっていただいておるということでございます。

 談合は取り締まっていただきたいんですが、不当廉売といいますか、最低入札価格を下回っているような事業が横行しておるという現状を鑑みたときに、不当廉売に関しての、不当廉売じゃないかと私は感じる局面もあるわけでございまして、そのあたりの候補者の御所見をぜひお伺いしたい、そういうふうに考えております。よろしくお願いします。

杉本参考人 建設業につきまして不当廉売というものがございましたら、そこは厳格に独占禁止法を適用して、不公正な取引方法ということで積極的に対応していく必要があるのではないかと思っておるわけでございます。

 いろいろな経営実態といいますか建設業の実態をきちんと踏まえながら、そういった対応をしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

佐田委員長 他に質疑のある方はいらっしゃいますか。

 なしというふうに認めます。

 それでは、これにて杉本参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 杉本参考人、ありがとうございました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 以上をもちまして検査官及び公正取引委員会委員長の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、次回の本会議及び委員会は、追って公報をもってお知らせいたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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