衆議院

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第31号 平成25年5月28日(火曜日)

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平成二十五年五月二十八日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 高木  毅君 理事 古川 禎久君

   理事 秋元  司君 理事 平沢 勝栄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 渡辺  周君

   理事 石関 貴史君 理事 大口 善徳君

      越智 隆雄君    鈴木 憲和君

      田野瀬太道君    根本 幸典君

      藤丸  敏君    星野 剛士君

      牧島かれん君    菊田真紀子君

      玉木雄一郎君    柚木 道義君

      今村 洋史君    木下 智彦君

      中野 洋昌君    大熊 利昭君

      山内 康一君    佐々木憲昭君

      小宮山泰子君

    …………………………………

   議長           伊吹 文明君

   副議長          赤松 広隆君

   事務総長         鬼塚  誠君

   参考人

   (人事官候補者(仙台高等裁判所長官))      一宮なほみ君

   参考人

   (検査官候補者(早稲田大学大学院政治学研究科教授))           柳  麻理君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     柚木 道義君

  山内 康一君     大熊 利昭君

同日

 辞任         補欠選任

  柚木 道義君     菊田真紀子君

  大熊 利昭君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 本会議における議案の趣旨説明聴取の件

 参考人出頭要求に関する件

 人事官及び検査官任命につき同意を求めるの件

 本日の本会議の議事等に関する件


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 まず、趣旨説明を聴取する議案の件についてでありますが、内閣提出の電気事業法の一部を改正する法律案は、本日の本会議において趣旨の説明を聴取し、これに対する質疑を行うことに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、本法律案の趣旨説明は、茂木経済産業大臣が行います。

 本法律案の趣旨説明に対し、民主党・無所属クラブの近藤洋介君、日本維新の会の今井雅人君、みんなの党の小池政就君、日本共産党の塩川鉄也君、生活の党の玉城デニー君から、それぞれ質疑の通告があります。

 質疑時間は、近藤洋介君、今井雅人君はおのおの十五分以内、小池政就君は七分以内、塩川鉄也君、玉城デニー君はおのおの五分以内とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、質疑者の要求大臣は、お手元の印刷物のとおりであります。

    ―――――――――――――

 一、趣旨説明を聴取する議案の件

  電気事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

   趣旨説明 経済産業大臣 茂木 敏充君

   質疑通告     時間   要求大臣

 近藤 洋介君(民主) 15分以内 経産、財務、山本国務、甘利国務(経財)

 今井 雅人君(維新) 15分以内 経産

 小池 政就君(みんな) 7分以内 経産、外務

 塩川 鉄也君(共産) 5分以内 茂木国務(経産、原子力賠償、原子力被害)、外務

 玉城デニー君(生活) 5分以内 経産

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。

鬼塚事務総長 まず最初に、日程第一及び第二につき、坂本災害対策特別委員長の報告がございます。両案を一括して採決いたしまして、全会一致でございます。

 次に、日程第三につき、平井内閣委員長の報告がございまして、共産党及び社民党が反対でございます。

 次に、日程第四につき、金田財務金融委員長の報告がございまして、共産党及び社民党が反対でございます。

 次に、日程第五につき、金子国土交通委員長の報告がございまして、共産党及び社民党が反対でございます。

 次に、日程第六及び第七につき、吉野環境委員長の報告がございます。両案を一括して採決いたしまして、全会一致でございます。

 次に、日程第八につき、富田経済産業委員長の報告がございまして、維新の会、みんなの党、共産党、生活の党及び社民党が反対でございます。

 次に、電気事業法改正案につきまして、茂木経済産業大臣から趣旨の説明がございます。これに対しまして、五人の方々からそれぞれ質疑が行われます。

 本日の議事は、以上でございます。

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十一号

  平成二十五年五月二十八日

    午後一時開議

 第一 災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 大規模災害からの復興に関する法律案(内閣提出)

 第三 総合特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律案(内閣提出)

 第六 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第七 放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

 第八 株式会社海外需要開拓支援機構法案(内閣提出)

    ―――――――――――――

佐田委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、人事官及び検査官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る二十一日の理事会において、加藤内閣官房副長官から、内閣として、人事官に仙台高等裁判所長官一宮なほみ君、検査官に早稲田大学大学院政治学研究科教授柳麻理君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会申し合わせに基づき、人事官候補者及び検査官候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として人事官候補者・仙台高等裁判所長官一宮なほみ君、検査官候補者・早稲田大学大学院政治学研究科教授柳麻理君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、一宮参考人、柳参考人の順で所信をお述べいただき、その後、それぞれの参考人の所信に対する質疑を順次行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、一宮参考人、お願いいたします。

一宮参考人 一宮なほみでございます。

 本日は、所信を述べる機会を与えていただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 国家公務員制度は、行政運営の基盤となる重要な制度であり、国家公務員法は、国民に対して、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを基本理念としております。

 この基本理念のもとで、全体の奉仕者である国家公務員の人事行政の公正を確保するため、また、労働基本権制約の代償機関としての役割を担うため、中立第三者機関としての人事院が設置されているものと認識しております。

 このように重要な使命を持つ人事院を構成する人事官には、その重い職責に照らして、公正な姿勢と高い倫理観が求められるとともに、公務員制度や職員の人事管理についての高い専門性も求められていると思います。

 私は、四十年近く裁判官一筋の生活を送ってまいりました。当然ながら、裁判官には、厳格な中立公正性と高い職業倫理が求められるものであり、私は、これまでの長い裁判官生活において、終始、そのことを自覚し、自己を厳しく律してまいりました。

 私が仮に人事官に任ぜられるとすれば、このような職務に対する厳格な姿勢を御評価いただいたものと肝に銘じて、人事官の責務を果たしてまいりたいと存じます。

 また、私は、裁判官としての経歴の中で、地方裁判所長や高等裁判所長官として、司法行政、すなわち、裁判所の組織運営や職員の人事行政にも携わり、職員の士気の高揚、ひいては組織の活性化に力を注いでまいりました。

 また、裁判所職員総合研修所の所長や司法研修所の教官を務めた際には、裁判所職員や法律家の人材育成、能力開発にも携わってまいりました。

 人事官に就任した際には、このような経歴も生かして、お役に立ちたいと考えております。

 グローバル化や少子高齢化により行政を取り巻く環境が大きく変化する中で、公務員に対する国民の目は非常に厳しいものがあります。特にここ十数年の間、公務員制度改革が大きな課題となっております。

 このような状況であるからこそ、今日、全ての国家公務員がみずからの役割と使命を深く自覚しつつ、高い専門性を発揮して国民の期待に応えていくことが、従来にも増して強く求められていると考えております。

 人事官を命ぜられた場合には、そのための条件整備に全力を尽くしたいと思います。

 公務員制度改革に当たっても、中立第三者機関たる人事院の人事官として、真に国民のためになるような改革はどうあるべきかという視点に立って、具体的に何が問題で、それをどう解決したらよいのかということについて、しっかりと検討し、取り組んでまいりたいと思います。

 国家公務員の人事行政については、さまざまな課題があると認識しておりますが、私が取り組みたい課題の一つとして、女性職員の登用の拡大があります。

 行政運営に女性の視点や発想をバランスよく取り入れることは、国民のニーズによりよく応えることにつながり、公務の質の向上に資すると考えます。行政の中枢部門で能力のある多くの女性が活躍できるように、尽力したいと思います。

 また、公務員に全体の奉仕者としての使命感を持たせ、国民のための行政を展開するためには、職員の研修の充実に一層力を入れていく必要があると考えており、この分野での私の経験も生かしていければと考えております。

 私は、これまでの長い裁判官生活の多くの部分で民事裁判を担当し、一件一件の事件に誠実に取り組み、できるだけ早くよい解決に導くということに情熱を傾けてまいりました。そうすることで人々が平穏な日常生活を取り戻し、安心して新たな生活を築いていくことができれば裁判官冥利に尽きると考え、社会のために少しでも貢献するということを生きがいにしてまいりました。

 このような私をこのたび人事官の候補に挙げていただいたことは、大変光栄なことであり、また、責任の重さも痛感しております。

 仮に人事官に任命されたときには、これまで裁判官として積み重ねてきた経験を生かし、国民の代表である国会での御議論を初めいろいろな意見に耳を傾けながら、先任のお二人の人事官と協力して、重大な責務を果たすべく、全力で職務に取り組んでまいりたいと思います。

 以上、簡単ですが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、ありがとうございました。

佐田委員長 ありがとうございました。

 次に、柳参考人、お願いいたします。

柳参考人 柳麻理でございます。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼申し上げます。

 まず、会計検査院は、国会及び裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、国や独立行政法人等の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督するという重要な使命を負っていると認識しております。

 また、会計検査院は、意思決定を行う検査官会議と検査を実施する事務総局で組織されていますが、三人の検査官は、合議体である検査官会議のメンバーとして会計検査院の意思決定にかかわるとともに、事務総局を指揮監督するという大変重要な職責を負っていると認識しているところです。

 そして、検査官会議が合議体となっているのは、会計検査院としての判断の公正、妥当を確保する必要があるためと承知しており、仮に検査官に任命されるならば、他の二人の検査官とともに、法令や客観的な事実、データに基づいて公正、妥当な判断を行うよう常に留意してまいりたいと考えております。

 会計検査の主たる対象は、政府の各種の行政活動に伴う経費支弁やこれら活動の結果による資産、負債などであると承知しております。

 この点に関連して、私は、国民の全てが重要なステークホルダーである政府にあっては、行政活動において、無駄、浪費なく政策目的を効率的かつ効果的に達成することにより、国民に対する受託責任と説明責任を果たすという責務を負っていると考えております。

 すなわち、財やサービスについて最大の調達能力を持って国民に公共サービスを提供する責務を負う政府は、国民が受け取る便益の観点から、政策目的を効率的かつ効果的に達成するためによりすぐれた方法をとっているかについて十分な説明責任を果たした上で、国民のために継続的な改善、改革を実施するという極めて重要な課題を負っていると思います。

 そして、会計検査院としては、このような国民に対して政府が負っている課題を踏まえて、不正経理を根絶するとの意気込みを持って厳正な検査を行うこと、厳しい国の財政状況にも鑑みて、経済性、効率性及び有効性の観点からのいわゆる無駄などの問題を指摘していくこと、政府の説明責任の向上等に資するよう、国や独立行政法人等の財務をわかりやすく分析したり評価したりする検査を充実していくことが重要と考えております。

 私は、昭和五十五年に早稲田大学法学部を卒業後、富士短期大学等で研究、教育の経験を積んだ後、平成十五年から早稲田大学大学院公共経営研究科教授、同政治学研究科教授として、民間企業の管理会計のすぐれた実務を政府会計に適用することができないかという問題意識を持って研究を行ってまいりました。

 また、この間、政策評価・独立行政法人評価委員会の委員を初めとする政府の審議会等の委員を務めてまいりました。

 そして、さまざまな審議会等に関与する中で、無駄、浪費、重複をいかになくしていくかという観点に加え、有効性の観点に基づく政府の政策目的達成というマクロの視点と、効率性の観点に基づく業務の効率的遂行というミクロの視点をいかに統合するかという点に大きな課題があると考えております。

 仮に検査官に任命されるならば、私は、これまでの経歴の中で培った知識、経験を生かすとともに、国民の皆様の関心の所在や国会における御審議の状況に常に注意を払うなど、国民の目線も大切にしながら、全力を尽くして検査官の職責を担ってまいりたいと考えております。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。

佐田委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 柳参考人は、お呼びいたしますまで別室にてお待ちいただきますようお願いいたします。

 議長、副議長、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

 また、理事会の申し合わせに基づき、報道関係の方々は御退室をお願いいたします。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより一宮参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、星野剛士君。

星野委員 自由民主党の星野剛士でございます。

 一宮参考人に数点お伺いをしたいと思いますが、裁判所とは随分雰囲気の違うところで、御緊張はされておりますか。すばらしい御経歴をお持ちの参考人ですから、ぜひ、肩の力を抜いていただいて、思うところを、所信を存分に述べていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、時間も限られておりますので、早速御質問をさせていただきたいと思います。

 国家公務員への国民の視線は依然厳しいものがあります。人事官に就任された場合、取り組むべきと考えている優先課題は何でしょうか。具体的には、これまで、裁判所の組織運営、人事管理、職員の能力開発と人事研修などに携わってこられておりますが、あえて優先課題を挙げるとすれば、いかがでしょうか。お答えをいただければと思います。

一宮参考人 私は仙台高等裁判所で長官として勤務しておりますので、東日本大震災復興のために献身的に取り組んでいる国家公務員の姿を多数見てまいりました。

 確かに、一部に、役所仕事的な、形式的な執務の仕方をする者とか、時にはとんでもない不心得者も出ることがございますが、大多数の公務員は国民のために尽くしたいと一生懸命やっているのだというふうに考えております。

 ただ、現在、公務員に対する国民の目は大変厳しいものがございます。そうした批判の前に公務員全体がちょっと自信をなくして萎縮しているのではないか、そういうことが私は心配でございますので、今何よりも私として大事な課題というのは、公務員全体に、国民の奉仕者としての高い志と奉仕の精神、職務に情熱を傾ける、そういう意欲を湧き立たせる、そういうことが一番大事なことではないかというふうに考えているところでございます。

 また、所信でも述べましたように、女性の登用の拡大、また、職員の研修、人材の育成ということについても尽力していきたいというふうに考えております。

星野委員 ありがとうございます。

 次に、国家公務員の新規採用についてお伺いをしたいと思うんです。

 現安倍政権におきましては、民主党の前政権が行っていた採用数の上限値を定める方式をやめるという方針を決定しておりますが、この点について、どうお考えでしょうか。

一宮参考人 若年層の雇用の確保というのは、組織の活性化の観点からも非常に重要なことだというふうに考えております。大幅な採用の抑制を行うということになりますと、職場のモチベーションが低下するとか、それから、職場の年齢層がいびつになって、将来的には、中堅層の基幹職員が不足するというような懸念があるところでございます。

 しかし、国家公務員には定員というのもございますし、年金支給開始年齢の引き上げによる雇用と年金の接続ということに対処するため、再任用の義務化ということも考えられているところでもあり、また人件費削減という必要もあるところでありますので、このようなことを全体にうまく調和させながら、意欲と能力を持った人材を確保していく、そういうことが一番必要なことであると考えております。

星野委員 ありがとうございます。

 私も、二十代のころ、ある新聞社の記者をしておりました。その新聞社は、経営難から、ある時期、約十年にわたって、新規採用、記者を採っていなかったということがありまして、ちょうど中堅どころの人たちがごそっといないという中で、現場で相当苦労をしたという思いもあります。

 ぜひ、その方向で、柔軟に、そして職場が切れ目がないように、そのようにお願いをしたいというふうに思います。

 それから、最後の質問になりますが、長い裁判官の生活の中で、さまざまな経験や失敗、また、そこから得た教訓も多々あると思いますけれども、今後の公務員制度改革の中で伝えたい、参考人としての、公務員としての哲学というのはいかがなものなのか、お答えを願いたいと思います。

一宮参考人 私は、所信でも述べましたように、主に民事裁判を担当してまいりましたけれども、自分たちにとっては仕事の中の一つでしかなくても、当事者にとっては一生に一度の重大なことかもしれません。ですから、どんな小さなことでも真剣に取り組む必要がある、そういう信念のもとで今まで仕事をしてまいりました。

 一つ一つに誠実に取り組むということが、国民に奉仕するという姿勢につながっていくことであろうと思いますし、このことが国家公務員にとって最も大事な基本的な姿勢である、そのように考えております。

星野委員 よく理解できました。

 質疑が続くと思いますが、今後も、どうぞ自信を持ってお答えを願いたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 私、今質問された自民党の星野さんと同じ時期に、会社は違いますが、同じマスコミの世界におりました。新聞記者として、例えば地方裁判所なんかも担当したことがございまして、裁判所に毎日のように期日簿を見に行ったりして出入りした人間でございます。ですから、裁判所の雰囲気というのは、記者としての若干の体験はあるわけでございます。

 そんな中で、まさに、司法の世界から、今回、このような形で人事官候補になった。今こうして、いらっしゃるわけです。

 先ほどの所信の中に、裁判所職員や法律家の人材育成、能力開発にも携わってきたというくだりがございました。

 例えば、この能力開発という部分、公務員として能力を開発するというのは、なかなか難しいことではないか。御自身の経験の中から、公務員全体の士気を高めるという点で、具体的にどのようなことを生かされるか、簡潔にお答えいただけますでしょうか。

一宮参考人 私は、先ほども申しましたように、裁判所職員総合研修所の所長として、裁判所の書記官と家庭裁判所調査官の養成と研修を担当してまいりました。

 書記官は法律学、調査官は心理学などの周辺諸科学について、それぞれ高度の専門性を高めなくてはいけない。しかし、裁判所には、適正迅速な裁判の実現という、いつの時代にも変わることのない大きな目標がございます。

 私が研修において専門性とともに重視したのは、そうした大きな目標を職員の一人一人が自覚して、そして、それに向かって各職種間が効果的な連携をして、国民に対して質の高い司法サービスを提供するということでありました。このことは、行政府庁の公務員についても共通するところがあるのではないかというふうに考えております。

 国家公務員は、それぞれ専門性を持たなくてはいけなくて、その専門を、持っている分野において知識や技能を高めなくてはならないとともに、国民全体の利益を考えて行動できる高い見識と広い視野を持つ、そういうことが大事でありますので、そのようなことを目指して、私は、裁判所での経験を生かして、国家公務員の研修の充実というものを目指してまいりたい、こういうふうに考えております。

渡辺(周)委員 抽象的で、よくわかりにくかったんですけれどもね。

 一つ期待をすることがございまして、全国で八人しかいない高裁の長官を、女性でされていたということもありました。

 例えば、裁判所といったら、我々この議運の中では、弾劾裁判所というものも報告を受けます。立法府が司法に対するチェック機能を果たしています。

 裁判官に高い倫理性、道徳性が求められることはもちろんで、公務員も、まさにそのとおり。だとしますと、何か不祥事があったときに、極めて内輪の調査であるとか、あるいはペナルティーというものに対して非常に甘くなる、組織というものはこういう傾向があるんですが、その点については、いかがお考えですか。

 こうした、内輪だから調査が甘い、あるいは、どうしても、メディアに漏れることを防ぐが余り、隠蔽体質になる、あるいは、何かあっても内輪の論理で非常に甘くなってしまうということがかいま見られるわけですけれども、こうした何かあったときの対応については、今司法の場にいらっしゃるお立場として、どのようにお考えですか。

一宮参考人 国家公務員倫理法違反とか不祥事というものがなかなかなくならないということは、まことに遺憾なことであるというふうに考えております。

 人事院には国家公務員倫理審査会というものが、公務員の公正を確保するという組織としてございますので、私は、人事官に任命されましたならば、私の立場でそのあたりを厳しく審査してまいりたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 今、非常に厳しく、御自身の考えでということに対しては、大変評価できる御見解だと思います。

 最後になりますけれども、先日も、この議運でも、国家公務員に準拠して、国会の職員に対して、五十五歳以上の人間の、昇給するかしないかということについての、今の取り組みについてはお話がありました。

 適正な人事評価というのは難しいんですね。営業とか企画みたいに、ノルマがあって達成したとか、予算に見合うだけの結果を出したというのならいいんですけれども、人が人を評価するというのは、事務職では非常に難しい。

 そういう意味で、この適正な人事評価ということについてどのようなお考えをお持ちか、ぜひその点を伺って、終わりにしたいと思います。

一宮参考人 おっしゃるとおり、公務員の場合には、現在、能力・実績主義ということで、適正な人事評価が、それについては前提になるというふうに考えております。

 まだまだ新しい取り組みというものが現場に根づいているとは言えない部分もあると思いますので、ふなれな部分について、これからしっかりと、適正に運用ができるように、検証して、指導してまいりたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 終わります。

佐田委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村です。

 では、早速質問に入ります。

 国家公務員制度改革基本法にある自律的労使関係制度について、基本法では、「協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置する」と定められています。

 文言の上では、必ずしも協約締結権の付与が確定していたわけではないと、人事院でお出しになっている国家公務員制度改革等に関する報告でレポートされています。

 民主党政権時に提出された国家公務員制度改革関連四法案、これは廃案になりましたけれども、その中に、団体交渉、団体協約等、つまり、非現業の国家公務員に協約締結権を付与することまでに言及していることについて、候補者は、いかがお考えになりますか。

一宮参考人 公務員について、労働条件を形成するための協約締結権を付与するということは、一つの考え方であろうかと思っております。

 しかし、公務の場合には、民間と異なって、給与決定に市場の抑制力が働かないということ、それから、勤務条件法定主義でございますので、給与が国会のコントロールのもとで定まるということから、当事者能力に限界があるのではないかという難しい問題点が指摘されているところでございます。

 今後の制度改革については、いろいろな考え方があるということは承知しておりますけれども、制度を変えるに当たっては、その制度がきちんと現実に機能するかどうか、そういうことを検討して、混乱を招かないようにするということが一番大事であると考えておりますので、十分な議論を行った上で、国民に対して、理解とそれから納得を得る、そうしていくことが一番大事であるというふうに考えております。

今村(洋)委員 今候補者がおっしゃったお話ですと、人事院で出しているレポートと内容がちょっと食い違うような印象がありますけれども、それは、人事院の中で意思統一ができるというお考えがあって、今候補者がおっしゃったような考え方を貫き通していくということですか。お聞かせください。

一宮参考人 人事院の考え方と大きく違うところがあるというふうには認識しておりませんでしたけれども、仮に違うところがあれば、よく、ほかの、先任の人事官とも話し合いをして、考えていきたいというふうに思います。

今村(洋)委員 わかりました。

 では、次の質問に移りますけれども、平成二十四年十一月十六日付、原総裁談話において、高齢者職員の給与水準の見直しが、平成二十六年四月から実施する方向で平成二十五年中に結論を得るものとすると閣議でされ、平成二十五年一月一日から昇給制度を改定するとの人事院勧告を実施せず、結論を翌年に持ち越したことについて、極めて遺憾と総裁はおっしゃっています。

 これは、五十歳代後半層における給与水準の上昇を抑制するため、昇給、昇格制度を見直しする、昇給停止や俸給月額の増加額を縮減するなども先送りしたことに遺憾とされていたわけですけれども、このたび、今内閣は、給与改正法案を提出しました。

 候補者は、二十四年度のこの人事院勧告、給与改正法案に関して、どのようにお考えになりますか。

一宮参考人 高齢者給与の給与水準の見直しに関してでありますれば、民間準拠という考え方でありますので、民間企業の、対応する高齢者職員の給与水準に合わせた見直しを行うという内容であれば、合理性があるというふうに考えております。

 また、人事院の勧告を前提としない、あるいは、異なる対応措置をされるということにつきましては、それが必要である社会的、政治的な条件がある場合には国会において判断されることであるかと思いますが、これは、極めてそうせざるを得ない限定的な相当な理由がある場合に限るというふうに考えております。

今村(洋)委員 わかりました。

 では、あと、候補者は、女性の待遇についていろいろ深くお考えになっているようですけれども、女性国家公務員が育児休業をとる率というのは御存じでしょうか。

一宮参考人 取得する率は九割以上になっているというふうに承知しております。

今村(洋)委員 民間が八三・七%。民間に比べると、国家公務員は九八・七%と、ほぼ一〇〇%に近い。

 今後は、休業中の、技能等の維持向上のための研修、説明会への参加、情報提供、復帰後のキャリア形成などについて配慮すると人事院でおっしゃっていますけれども、これについて何か御意見をお願いいたします。

佐田委員長 時間が来ておりますので、簡略に。

一宮参考人 女性の登用に関しましては、私の実現したい大きなテーマでございますので、できることは、できるだけ実現していきたいというふうに考えております。

今村(洋)委員 どうもありがとうございました。これで終わります。

佐田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 本日は、大変御苦労さまでございます。八人の長官の一人ということで、本当に、女性の裁判官として最先端を走ってこられたと思います。期待をしております。

 そういう中で、四十年近く裁判官一筋であられた。組織運営や人事行政を担って、また、人材育成や能力開発をやっておられる。

 行政職と裁判官、裁判所の職員とは違うと思うんですね。違いと、同じところと、そこら辺のことについてどう認識されているかが一点。

 もう一つは、国家公務員制度の改革が議論されておりますが、その中で、全体の奉仕者あるいは人事行政の政治的中立性、この点との関係でどう考えているのか、お願いします。

一宮参考人 私は、現在、仙台高等裁判所の長官として司法行政を担当しており、東北の裁判所の業務が円滑に行われるように日々腐心しているところでございます。

 これまでも、水戸地方裁判所の所長、裁判所職員研修所の所長として、司法行政事務を担当する機会に恵まれました。

 司法権に属する裁判所は、おっしゃるとおり、行政権とは独立した存在ではございますけれども、司法行政の実際というのは、行政機関のそれとほぼ共通するものでございます。

 裁判官は、職務として、中立公平な立場で裁判を行うということで仕事をしてまいりましたので、このような裁判官としての経歴というものは、人事官に就任した場合でも有意義なものであるというふうに考えているところです。

 具体的な職務の遂行につきましては、先ほどもお話ししたように、ほかの人事官とよく意見交換をし、協力しながら、重責を果たしてまいりたいというふうに考えております。

 また、政治的中立性ということですけれども、人事院は内閣の所管ではありますけれども、独立して中立の立場で人事行政を行うという大切な役割を持っておりますので、中立の独立した立場で職務を執行していきたいというふうに考えております。

大口委員 国家公務員制度改革基本法第十二条で協約締結権について規定をされております。これから大変議論が盛り上がってくるわけでございますけれども、そういう協約締結権について、これを認めると、自律的な労使関係を導入すると賃金が下がるというふうな見解もあったようですが、果たしてそれはいかがなものかということが一つあります。

 それと、今回は、二十六年の三月まで、人事院勧告実施分と、それから給与減額、これは財政上の問題、東日本大震災への対応の問題で七・八%減額されておりますけれども、こういう人事院勧告と、それから、やはり行政全般における配慮、あるいは、これからプライマリーバランスの改善の問題もあります。行政あるいは国会におけるそういう対応、この点についてどうお考えなのか。

 昭和四十八年の全農林警職法事件最高裁判決もございます。そういうものも踏まえてお答えいただきたいと思います。

一宮参考人 まず、協約締結権を付与した場合に賃金が下がるかどうかということでございますけれども、協約締結権を付与するということは、労使交渉を行って給与が定まるということになろうかと思います。労使交渉は、そのときの状況とか、労使交渉の結果によって異なってくる、決まってくるというふうに考えますので、必ずしも、給与が下がってくる、そういうこととは断言できないのではないかというふうに考えております。

 また、御趣旨は、人事院勧告と政府との見解が対立したときということと理解しましたが、人事院勧告は、国家公務員の労働基本権の制約の代償措置として憲法上も重要な意義を有するものでございますので、政府においてこれを最大限尊重していただくということは、これは制度の趣旨からいって当然のことであるというふうに考えておりますし、実際、政府も基本的にそのような姿勢に立っておられることだと思っております。

 ただ、先ほども申しましたように、政府が、そのような人事院の勧告を前提としない、あるいはこれと異なるような判断をされる、そういうような特別の政治的、経済状況であれば、これはまさに政治的責任において政府がなさるということでありますので、個別の一つ一つのことについて意見を述べるということは差し控えるべきであろうとは思いますけれども、このような措置をとられる場合には、そうせざるを得ない明確で合理的な根拠がなければいけないというふうに考えております。

大口委員 次に、女性の登用ということでございますけれども、平成二十四年度の採用は二八・六%、本省の課長、室長相当以上が二・五%と、非常に数字が低いわけでございますね。

 そういう点で、では、人事院はどうなのか、何%ぐらいなのか。そして、数値目標といいますか、そういうものはどう考えておられるのか。それが一つ。

 それともう一つは、グローバル化ということからいいますと、試験にTOEFLというものを導入するということもお考えなのか、お伺いします。

一宮参考人 まず、女性登用ということでございます。

 人事院における女性の割合は三割に近いというふうに認識しておりますけれども、公務員全体、先ほど御指摘のとおり、私も登用されている一つの例ではございますが、まだまだ女性の登用の数は少のうございます。能力のある女性は数多くいると思っておりますので、重要なポストにそういう方たちをつけて、活躍していただけるような環境をつくってまいりたいというふうに考えております。

 次に、TOEFLの採用についてでございますが、おっしゃられたように、グローバル化した時代を迎えて、国家公務員も国際的な業務はふえてくるというふうに考えますので、そういったときに、コミュニケーションスキルとしての英語力をつけるということは重要なことだというふうに考えます。

 そういう意味では、これから海外の留学などもふやして英語力をつけさせるということも一つの考えかとは思いますけれども、試験の科目にTOEFLを採用して、少なくとも幹部職員の候補の採用に当たっては、そういう、TOEFLを採用する、英語力を確認する、審査するということは必要なことではないかというふうに考えております。

 ただ、英語力だけを決定的な採用の要素としてはいけないので、公務員の必要とする能力は多様でありますから、英語力だけで決めることは避けなければいけないというふうに思っております。

 受験生への周知の期間とか、受験の準備をするのに必要な期間というものを考えながら、これを取り入れていくのがよろしいかというふうに考えるところです。

大口委員 ありがとうございました。

 やはり、人事院におきましても、ちゃんと数値目標を立てて、まず人事院が、隗より始めよで、どれだけ幹部へ登用できるかが一つ。

 それから、新規採用につきましては、抑制というのはよくないと思うんですね。ただ、これから再任用があります。定員がある、そういう点で大変難しいわけでございますけれども、一方的に大幅に新規採用を抑制する、これは間違いだと思います。

 その二点、お願いします。

一宮参考人 申しわけありません。もう一度質問をお願いします。

大口委員 人事院においても、幹部の登用を積極的にやっていただく、まず隗より始めよでやっていただけませんか、人事院では数値目標をつくってくれませんかということと、新規採用の抑制については、私は間違いだと思いますが、いかがですかということでございます。

一宮参考人 申しわけありませんでした。

 女性登用の数値目標を定めるということは、一つには、各行政庁の、人事院も同じですけれども、意識喚起ということにも役に立つ、それから、ポストが人をつくるというように、まず登用するという意味でも重要なことかと思います。

 ただ、誰でもいいというわけではありませんので、適正な、能力・実績主義を前提とする、優秀な女性の職員を必要なポストにつけていくという意味では、ただ数値目標を実現するというためだけで能力の低い者を登用するということは、本人にとっても周囲にとっても酷なことになると思うので、避けていかなければいけないというふうに考えております。

 また、新規採用の職員の抑制についてでございますが、先ほども同様の質問がございましたが、おっしゃるとおりに、全体のバランスを考えながら、拡大の方向で進んでいくべきだというふうに考えております。

大口委員 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、先ほど来出ておりますが、国家公務員制度改革の関連でございます。

 国家公務員改革の進展に伴って、恐らくは、人事院の役割だとか人事官の役割というのは変わっていくのではなかろうかというふうに想定されると思うんですが、それは、どのように変わって、変化していくのか、あるいはそうすべきなのかというところについて、御意見をお伺いしたいと思います。

一宮参考人 制度改革は、所信でも述べましたように、非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 ただ、やはり、国家公務員の場合には労働基本権の制約というものがございますので、これの代償措置としての人事院の存在ということでございますから、人事院勧告というものは重要なものであるので、これを尊重していっていただきたい。

 制度改革に当たりましては、人事院ということでなくても、人事制度というものの仕組みをどのように構築していくかということは、いろいろな考え方というものがあるということは承知しておりますけれども、これまで人事院が果たしてきた役割をよく検証していただいて、公務員の生活が不安定なものにならないように留意しながら、していただきたいというふうに考えております。

大熊委員 中央人事行政機関として内閣の方でやる方、それはそれでいいと思うんですが、人事院の方として、具体的に、こう変えるべきだ、変わるべきだというところは何かございますでしょうか。

一宮参考人 現在、各省庁におきまして改革についてのいろいろな取り組みをされているところであると承知しておりますので、人事院としても、変えるべきところは変えるという前提で、各省庁の改革についてよく調査して、その改革が実現できるようにしていきたいというふうに考えております。

大熊委員 公務員改革とは必ずしも関連性はなくてもいいんですが、人事院そのものの改革について、何かお考えはありますか。

 例えば、入間に入間研修所というところがあって、多分行かれたことはないと思うんですが、大変広大な土地があって、ほとんど使っていない野球場とか体育館とかテニスコートがあるんですが、こういったものは、一種無駄なとストレートで言ってはどうか知りませんが、どうなのかなと。湯島にも別途研修所がありますから、そういったところに統合するというのはどうなのかなとか一国民としては思うわけなんですが、その辺、いかがでございましょうか。

一宮参考人 そのような問題があるやには聞いておりましたが、私自身、まだ外部の人間ですので、人事官に任命されたならば、そのあたりを調査して、どういう形でやっていくのが一番いいのかということについては、検討したいというふうに思います。

大熊委員 それでは、組織の中で提案をなさっていかれる意気込みであると、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

一宮参考人 そのように理解していただいて結構かと思います。

大熊委員 それでは、ちょっと毛色が変わりますが、私も、議員になる前、随分たくさん転職をしてまいったんですが、通常、転職をするという場合は、入りたい会社に履歴書を送ったりしてというのが最初のアプローチなんですが、どういういきさつでこの人事官の候補というお話が来たのか。多分、履歴書をそのまま参考人が送られたということじゃないと思うんですが、その辺のところについて、ちょっと御説明いただければと思います。

一宮参考人 今回の人事官候補になったいきさつでございますが、それは、私、最高裁の方から、人事官の候補ということで話があるので受けないかというお話をいただきました。

 先ほども所信で述べましたように、私は、社会のために役に立つということを生きがいにしてまいりましたので、またそのような機会を与えていただけるということに対して非常に光栄に思いまして、即座に引き受けさせていただきました。

大熊委員 一宮参考人、大変すばらしい御経歴をお持ちなわけで、一宮参考人そのものが云々ということじゃなくて、仕組みとして、例えば、こういったポストの機会を公募に付して、内外で、いろいろな人事の、行政なり民間企業の人事関係の経験の人を公募によって選別していって候補にしていくという、そういうアプローチも、今はやっていないんですが、あると思いますが、そういう仕組みについて、どう思われますでしょうか。

一宮参考人 いろいろな分野で公募による選抜が行われているということは承知しておりますが、人事院の人事官について、どのようにこれを選抜していくかについては、まだ私の考慮の中にあるというものではございませんので、今後検討させていただきたいというふうに思います。

大熊委員 前の、公明党の大口先生の御質問で、TOEFLの、英語の試験の関係で、幹部候補の採用についてはというふうに参考人はおっしゃったんですけれども、この意味についてお伺いしたいのです。

一宮参考人 言葉が足りなかったかもしれませんが、少なくともというつもりで申しました。

 全体に、英語力というものがどの程度公務員に必要であるかということについては、必ずしもまだ国民全体への認知というものがされているというふうにも思いませんので、これから順次実施していくことが円滑な導入に結びつくのではないかというつもりで申し上げました。

大熊委員 すばらしい経歴の方に、僣越ながら、現在の採用なり試験というのは、幹部候補としての採用、これは法律上やっちゃいけないことになっておりまして、いわゆるキャリア制度の弊害ということでございますので、そういったことをぜひ、キャリア制度、法律上の根拠はなかったわけでございます、これを運用上もしっかりとなくしていっていただくようにお願いしたいと思います。

 以上でございます。

佐田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 人事院の位置づけについてでありますが、最も重要なのは、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割であります。

 憲法二十八条が保障する労働基本権、すなわち、団結権、団体交渉権、争議権は、本来、公務員にも保障されるべきものと考えております。ところが、現在の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性を理由に、公務員の労働基本権を制約しております。そのことから人事院が代償機能を求められているわけであります。

 人事院は、政府から独立して、中立の立場で、国家公務員の身分、任免、服務、さらに、賃金や労働時間など労働条件を定める役割を担っているわけであります。同時に、人事院は、中央人事についての準司法的権限もあわせ持ち、公務員の中立、公正、公平を確保する役割を担っているわけであります。

 したがって、三人の人事官というのは、こうした任務の重要性を自覚して、政府から独立し、中立の立場で職務を遂行する、こういうものでなければならないと思います。

 まず、その認識を伺いたいと思います。

一宮参考人 全て、おっしゃっていただいたとおりであると思いますので、その重責を意識しながら、微力ではございますが、三人で協力して重責を果たしてまいりたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 これまで、公務員の定員一律削減あるいは総人件費抑制政策、公務員給与の引き下げ、こういうことが政府側の意向によって行われてきたことがたびたびございます。

 人事官というのは、中立、独立の独自の判断というのが必要であって、その時々の政府の意向によって簡単に左右されるべきではないと私は考えます。

 この点で、中立公平な機関であるはずの人事院が、その役割を十分果たせないような状況が続いているのではないか。この点について、どのように評価されていますでしょうか。

一宮参考人 人事院勧告は、国家公務員法に根拠を有して、労働基本権制約の代償措置として憲法上も重要な意義を有するものでありますので、政府においてもこれを最大限尊重すべきである、そして、政府もそのような基本姿勢に立っておられるであろうと考えていることは、先ほども申し述べたとおりです。

 その上で、政府が人事院勧告と異なる判断をする場合には、国民に対してその合理的理由を説明する責任があるというふうに考えております。

 人事院としては、公務員人事の公正性の確保及び労働基本権制約の代償という役割を担う中立な第三者機関として、その使命や責務を果たしていくというものであると理解しております。

佐々木(憲)委員 次に、公務員制度改革ですけれども、一番大事なのは、労働基本権の回復問題であります。

 ILOは、日本が進めている公務員制度改革にかかわって、監獄職員の団結権、一般の公務員についての争議権、労働協約締結権を保障するなど、国際労働基準に従った改革を進めることを求める、そういう勧告を行っております。

 これをどのように受けとめておられますか。

一宮参考人 ILOから勧告があることは承知しておりますが、日本においては、労働基本権が制約されていることに対する代償措置として人事院勧告という制度が存在して、適切に機能しているということについて、ILOの理解を得ていく必要があるというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 最後に、天下り問題ですけれども、民間企業との癒着を生み出すということでかなり批判が強かったわけですが、この点については、どのようにお考えでしょうか。

一宮参考人 公務員の場合には、役所の力をバックにして、特定の組織にOBを送り込むとか、何度も組織を渡り歩いて高額の退職金を受け取るというような、いわゆる天下りということが国民の不信を買って、厳しい指弾を受けているところであるというふうに思っております。

 これについては、これまでに、再就職のあっせんが禁止されるなど改革が進められているところであると認識しておりますので、国民の信頼を損なうような天下りの根絶に向けて、厳格に対応することが必要だというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 労働基本権の回復というのは大変大事な課題であると私は思っておりますし、そういうことをしっかりと自覚していただきたいなというふうに思います。

 以上で終わります。

佐田委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。

 一宮候補には、私の地元川越でも判事をされていたということで、御質問させていただきたいと思います。

 まず、昨今ですけれども、公務員というものの役割が変わってきているのかという思いをするときがあります。

 それは、安倍総理のもと、内閣のもとでは、企業が百社以上、ゴールデンウイークのときも今週末も、海外に、日本企業の売り込みということで同行されている。そういう意味では、政府自身が、日本企業の収益を上げるためなわけですけれども、一緒に、経済ミッションという形で行く。当然、それのアレンジという意味においては、今まで、公正中立という意味においては、経済活動はそういう意味では民間に任せというところを主眼に置いてきたのが、直接的に公務員が日本企業の売り込みというものにもかかわってくるのではないかというふうに思っております。

 そういう中において、今までもそうですけれども、公務員のモチベーションという中では、政府自体も、民間企業には、給与を上げるようにということを言っております。当然、それは売り上げがあってこそのものでもありますが。

 その一方で、私どもは、震災復興の原資とすることもあって、国家公務員について、二年間、平均七・八%の給与の削減も決定させていただいております。

 これまで長引いてきたデフレ不況のもとで、民間企業では当然平均年収が低下をしてきたことでもありますし、並びに、行財政改革の一環としての採用抑制なども含めて、人員の削減と給与引き下げの両面から、総額並びに平均額の削減による公務員人件費の削減がテーマに上がっております。ここ衆議院におきましても、同様のことをされることになります。

 公務員給与は民間給与の調査に基づく人事院勧告に基づいてその水準が定められるという大原則に対して、昨今、政治的状況により影響を受けているという面もあるかと思っております。

 人事院の果たすべき役割と、国会主導での給与削減への動きに関してのお考えをお聞かせください。

一宮参考人 現在、公務員が給与を削減されているということに関しましては、東日本大震災の復興という特別な目的のために二年間に限って減額をするという特例措置であるというふうに理解しております。

 また、民間に対して給与を増額するように要請しているということに関しましては、マクロ経済的な観点からされていることであろうというふうに考えております。

 人事院の勧告は民間準拠でございますので、そういう形で民間の給与が上がれば、それに伴って公務員の給与も上がっていくということですので、そういう意味では、民間に頑張ってもらいたいというふうに考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 また、女性職員の登用拡大についての意気込みというのを聞かせていただきました。

 今までの委員の質問の中にも随分ありました。実際、働いていて、何が障壁となっていたのか、ぜひ体験から、経験からお聞かせいただきたいのと、それには、一面、男性の育児・介護休業取得というのが非常に少ない、この障壁というものもあわせてあると思います。ここを直していくことが、所信にあったことをクリアする問題点だと思っておりますので、ぜひ、この点に関しての御意見を聞かせていただきたいと思います。

一宮参考人 私も、子育てをしながら今まで勤務を続けてまいりましたので、女性が仕事と家庭を両立するということが非常に難しいということは、身をもって体験してまいりました。

 ただ、私のときと比べますと、随分、育児休業も長い時間になりましたし、夜間勤務とか、それから残業とか、そういったものが免除されているとか、いろいろな配慮がなされてきているところだというふうに思っております。

 ただ、育児休業制度を何年にするかというようなことを考えた場合には、キャリアを積むということからすると、非常に、長い期間休むというのに対しての、その後、復帰したときの処遇に対する不安感などもあるところでございますので、期間はある程度長くして、その中でそれぞれのニーズに合わせた対応がとれるようにしていくことが大事であるというふうにまずは考えております。

 それと、男性の育児休業の取得でございますが、これも、だんだん職場の理解も出てきているところで、ふえつつあると思っております。

 私ども、女性の育児休業を検討しましたときには、その後のキャリア形成という観点から、果たしてどの程度取得されるものであろうかと疑問を持たないわけではなかったのですが、現実には、この間、順調に取得が伸びて、今、ほとんど一〇〇%に近い状態で取得されているところでございますので、男性の育児休業についても、とにかく実施していって、なるべくとりやすい、周囲の理解を求めていくようなことを考えていきたいというふうに思っております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、育児及び介護も含めまして、頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

佐田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

 ありませんか。

 それでは、これにて一宮参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 それでは、一宮参考人、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより柳参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、田野瀬太道君。

田野瀬委員 自民党の田野瀬と申します。

 柳参考人におかれましては、本日は、ようこそお越しいただきました。実りある質疑応答にするために、ぜひ、肩の力を抜いてというか、リラックスをして、思うところを思う存分お述べいただけたらなというふうに存じます。

 時間も限られておりますので、早速、数点、私の方から御質問をさせていただきたいと存じます。

 会計検査院の役割といいますと、憲法九十条の規定によりまして、国の収入支出の決算の監査を行うほか、法律に定める会計の検査を行うということで、それに伴い、非常に強い強い権限を付与されておるという機関であると認識をいたしております。

 翻りまして、我が国の財政状況、これを考えさせていただきますと、公債残高が毎年毎年増加をしております。また、東日本大震災からの復興等に向けましても、必要な予算措置というのも今後また見込まれておるわけでございまして、このため、財政の健全化、また、それに加えまして、予算の厳格な評価、検査というところが本当に大きな課題となってきておりまして、この点からも会計検査院の役割は一層重要になってきておる、そのように認識をいたしております。

 柳参考人が検査官に御就任された場合、これらの課題、つまりは、財政の健全化であったり、予算の厳格な評価、検査について、どのような姿勢でお臨みになられるかというお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

柳参考人 御質問、ありがとうございました。

 ただいま御指摘いただいたことは大変重要なことで、これまで会計検査院が、正確性、合規性、そして経済性、効率性、有効性という観点で検査を行ってきたということからしますと、大きな政策課題を解決するために資源が効果的に投入されているのかという観点で検査を行っていくということがますます必要になってくると思います。

 将来世代に対する負担もございますので、そういった観点からは、発生主義に基づく財務諸表あるいは政策コストの情報等も鑑みながら、それらを加えて会計検査に取り組んでいく必要があるのではないかというふうに考えております。

 以上です。

田野瀬委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただきましたとおり、近年の厳しい財政や経済状況を鑑みますと、ただいま本当におっしゃっていただきましたし、所信でもお述べいただきましたように、会計検査院の検査は、正確性はもちろん、経済性であったり、効率性、有効性の観点からの検査も、一層重視されておるというところでございます。

 会計検査院の平成二十四年次会計検査の基本方針にも、特に有効性の観点からの検査において、各府省がみずから行う政策評価等の状況についても留意して検査すると記載されているところでございます。

 検査官に御就任された場合、特に、ただいま申し上げた観点、経済性、効率性、有効性、このような観点で、今までの御経歴で御経験された知識とかを踏まえられまして、具体的な御所見がございましたら、お聞かせいただけたらと存じます。よろしくお願いします。

柳参考人 御質問、ありがとうございます。

 ただいま御指摘いただいたことは本当に重要なことで、政策目的といいますのは、短期間には達成できないことがかなり多うございます。法令とか制度的な観点からも、非効率ですとか、そういうことについて問題がある場合もございます。

 そういった観点からは、どう改善していったらいいのかということ、そして、政策目的を達成するために事業構造がどのように組み立てられているのか、事業構造自体が政策目的の実現に効果的になっているのかといった観点が非常に重要であると思います。

 高齢化の社会の中で、高齢者の生活の質を高めるといったようなことを目的にした場合に、それを実現するためにはどのような事業が効果的なのかといった視点が非常に重要になってくるというふうに考えております。

 以上です。

田野瀬委員 ありがとうございます。非常に期待をさせていただいているところでございます。

 最後の質問なんですけれども、会計の検査におきましては、優秀な人材の確保といいますか活用が必要不可欠であると考えております。

 柳参考人が検査官になられますと、三人によります検査官会議におきまして事務総局を指揮監督されるという担いも帯びておられますし、一層の検査能力の向上を求めていく上で、長年教鞭をとっておられる御経歴から、人材育成、人材活用について、御所見があればお聞かせいただきたいと思います。

佐田委員長 時間が来ておりますので、簡略にお願いします。

柳参考人 はい。

 現在の日本の社会環境あるいは経済環境というのは非常に複雑化しておりますので、多面的な、多様な人材が必要とされると思います。専門的な検査能力を持つ公認会計士等の実務家ですとか、あるいはITの専門家など、多様な人材が求められてくることになると思います。

 現在の検査、調査を行っている職員の方々についても、多様な訓練メニューのようなものを開発することが求められてくるのではないかというふうに考えております。

 以上です。

田野瀬委員 以上です。

佐田委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 柳参考人、きょうは、お出ましいただき、ありがとうございます。私の方からも、二、三御質問をさせていただきたいと思います。

 一点目、先ほどの田野瀬委員の方からの質問と多少重複をいたしますが、参議院の方の質疑でも同様のことを述べておられまして、きょうの質疑の中でも、今のお話も多少重複するところがあると思いますが、こういうふうに述べられておられます。多年度にわたって政策目的を達成するという観点で、国民がどのような便益を受けていくのかということについて、尺度を持って効果的に資源が投入されたかということについて検査をしていくことが重要と。

 この、尺度を持ってという部分で、具体的に、今、どういった制度、尺度等が想定をされるか。

 実は、これは党派を超えて、例えば、会計検査院の機能を強化する、こういった議論をさせていただいていたり、あるいは、予算執行職員等の責任、これについてもやはりもう少し明確にする必要があるのではないかとか、あるいは、先ほど述べられました公会計法の仕組みづくり、一般会計も含めて、発生主義、複式簿記による国の財務書類等の作成及び国会への提出等による国の財務情報の開示等を義務化する、こういう議論もなされているわけですが、具体的な尺度、イメージ等がおありでしたら、御所見をお述べいただければと思います。

柳参考人 御質問、ありがとうございました。

 尺度につきましては、これは非常に我が国の会計検査上の課題であるというふうに考えております。

 例えば、少子化の問題ですと、現在では、地方自治体の方では、待機児童ゼロですとか、あるいは高齢者のところでは、特養に待機している高齢者の状態というようなことがございます。

 これは、環境の、科学技術等、ヘルスケアの発展等のそういった進展も鑑みながら、いろいろ、どのような方法がいいのか、そして、高齢者が豊かに過ごすことができるためにはどのようにしたらいいのかということで、アウトカムを測定する尺度というものを明確にしておかなければいけない。

 つまり、例えば、認知症の高齢者がどのぐらいふえていて、その人たちがどのような生活をしているのかといったデータを用いて、それをはかっていくということが必要になってくると思います。

 政策課題は非常に複雑化して、非常に困難なものになっておりますので、それに対するアウトカム測定、あるいは、そのアウトカムを達成するための活動、どのような事業がいいのかといったことについての連携といったものについても会計検査院はこれから取り組んでいかなければならないし、それが、国民の目線に立った検査につながり、国民の便益につながるものだというふうに考えております。

 以上です。

柚木委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そういう意味では、費用対効果、予算の再分配機能が、ある意味では、公共投資とか、あるいは社会保障に投資をするとか、いろいろな考え方があると思いますので、そういったスケールを、しっかり、この検査院という立場の中でもお考えをいただければありがたいと思います。

 二つ目ですが、実は、この間、民主党政権の中でも、官民競争入札とかPFIとか、いろいろな観点から御所見を賜ってまいりました。

 そういう視点からも、今後、例えば、今、二十四年度予算、補正予算なんかの復興予算のあり方、これは前の政権もそうなんですが、その評価を、例えば執行率という側面から見たときに、行政レビューシートというのがある。ただ、これは、一旦地方に基金という形で投げられたら、その執行状況等フォローアップもできない、まさにPDCAサイクル等が十分にフォローアップできないというような問題もあって。どういった形が考えられるのか、基金シートというものの作成を考えられているようですが。

 参考人におかれましては、公会計改革推進プログラムの中で地方公共団体間の連携ということを取り組まれているんですが、国と地方公共団体とがフォーマットも一定の統一された形で例えば基金の執行状況等も共有できるようなあり方も含めて考えていただくとか、予算、特に補正がなかなかガバナンスがきかないという視点が提起されておられますから、そういった観点から、何らかのスキームの御所見がおありでしたら、お述べいただければと思います。

柳参考人 ただいま御指摘いただいたことは、大変重要な点だと思っております。

 国から地方に資金が流れていったときに、それが全体として復興ですとかということに効果的に使われているのかということについてトレースをしていく必要があるということだと思います。

 今、国の財務書類の中でもいろいろ作成が進んでいるわけですけれども、その活用、つまり、目的別の資金がどこに行っているのかということについてフォローできるようなことが必要になってくるし、それを受けた地方の側でもそれを目的のために使っているのかということを確認する、そして、国と地方を合算してその効果的な使われ方についてチェックしていくということが必要であり、その点では、会計情報の役割といいますか、それを基礎にして、会計検査の手法あるいは国の財務書類の整備などを進めていく必要があるというふうに考えております。

 以上です。

柚木委員 終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。本日は、よろしくお願いします。

 まず最初なんですけれども、会計検査院ということで、国家運営の面で決算検査の重要性ということについていま一度お話しをいただきたい。

 それから、候補者の著作、履歴を見させていただきましたら、公会計に関する御研究を相当やられているということで、その中で、一般企業の管理会計の手法というものは公共部門に必ず適用できるんだというふうにおっしゃられているかと思うんです。

 私たちが思っているのは、やはり、一般企業というふうに考えたときには、複式簿記というのが一つキーワードになってくると思っておりまして、その複式簿記の積極的な導入と活用について御見解をいただければと思います。

柳参考人 一点目の、決算検査についてでございます。

 決算は、国会の決算監視機能というものに役立つ報告をしなければいけないということで、会計検査院の機能は非常に重いものだというふうに考えております。

 決算は、予算がどのように先ほどの正確性、合規性、経済性、効率性、有効性の観点で使われたのかということを検査するということで、それを国会に検査報告あるいは随時報告をいたしまして、または国会の要請に応じて検査をいたしまして、それを国会が次の予算を立てるときに役立てていただく、PDCAサイクルをきかせていくというところで、非常に重要な機能を持っているんだというふうに認識しております。

 二点目でございます。

 民間企業の複式簿記、発生主義という考え方は、現在非常に重要になっております。まだ国とか地方自治体では整備されておりませんけれども、今、財源の半分は将来世代の国民の負担になっているわけでございまして、そういう意味では、ストックがどのように形成されているかとかといった意味で、個別の資産と個別の負債を管理できる仕組みというのが民間企業の複式簿記、発生主義には内蔵されておりますので、それを国にどのように活用することができるのかという観点で、一層の会計検査手法の精緻化に、もし検査官に任ぜられましたら、取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

木下委員 ありがとうございます。

 PDCAサイクルというお話が出たんですけれども、会計検査院の一番大きな役割は、チェックという部分だと思います。

 会計検査院の方で決算の検査報告書というのが毎年出ておるんですけれども、それは私も中身を結構見させていただいております。

 そうすると、昨年のものを見ていると、分厚さというのは、相当分厚いんですね。その前の年を見てみても、同じぐらい分厚さがある。そのもう一つ前の年を見ても、物すごい分厚いという状態です。これは、本来であれば薄くなっていくのが理想だというふうに私は思っているんですが、チェックをする部分で、なかなかそうはいかないと。

 今、一般の国民としての考え方として、PDCAを回していくというふうに考えたときには、やはり企業のように、しっかりと情報公開していって次につなげていくんだというふうにやるべきだと。そのためには、会計検査院がやったことを、次に、指摘された省庁は直していく。直していくためには何をするかというと、一般企業の場合は必ずそれが評価制度に結びついていると思うんですが、今の国の制度は、それになっていないということ。

 それからもう一つは、衆議院の中で、決算委員会、今、決算の審議は、まだ三年分とまっているような状態になっている。

 その点について、どういうふうに感じられているかということを、ひとつお聞かせ願えますでしょうか。

柳参考人 ありがとうございます。

 ただいま御指摘の点は、まさに先生御指摘のとおりだというふうに思っております。

 チェックするということで、チェックした内容について各府省に改善の要求をする、あるいは、そのチェックした内容の原因分析をして、その原因が法令、制度等にある場合にはそれを改善していただくように要請していくということが、会計検査院の大きな機能であるというふうに考えております。

 評価制度、各府省が内部統制をしていくということが求められていくわけで、その点で、各府省がやっていることのチェックされた改善内容というのは、いろいろな府省の中でも横断的に発生していることだというふうに考えておりますので、そういった改善のフォローアップをしていくことが非常に会計検査院に求められているというふうに考えております。

 以上です。

木下委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

佐田委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 柳候補におかれましては、本日は、所信を聞かせていただきまして、ありがとうございます。

 私の方からは、三つ質問をさせていただきます。今まで出てきた論点もございますけれども、少し重複する部分があっても結構でございますので、御回答いただければというふうに思います。

 一つ目は、今の会計検査が抱える課題が何であるかということであります。

 私は、もともと国家公務員として、十年国土交通省で勤務をしておりまして、会計検査も何度も受けてまいりました。

 やはり、先ほど来議論のあった正確性、合規性、こういった審査、契約書面も全部準備をして、チェックをして、お互いが何日もかけて、非常にマンパワーがかかる大変な検査でございますけれども、大変重要であります。

 これから国民が会計検査院に求めていくもの、それは、もう少し踏み込んだ、もっと大きな役割を期待していると思います。

 政策の、本当に有効なのか、あるいは本当に無駄がないのか、こうした部分をもっともっと指摘していっていただきたい、このように期待をしておりますし、先ほどの所信の中にもそういった御決意を述べていただいたというふうに思いますけれども、今の会計検査のあり方で、例えばどういう課題があって、どう克服していけばいいというふうにお考えか、これを少しお伺いできればと思います。

柳参考人 ありがとうございました。

 会計検査、この複雑化する社会環境ですとか経済環境の中で、政策が実現すべき目的というのは非常に大きなものがあると思います。

 会計検査院も、経済性、効率性の検査から、さらに、有効性の検査にシフトしているというふうに考えております。

 国民的な観点に立ちましても、政策目的が効率的かつ有効に実現されるのかということが最大の関心でございます。

 その場合に、では、効率性と有効性をどのようにはかっていくのかということが非常に重要な観点で、これは、国民の目線に立って、国民が受ける便益というものが最終的には何ではかるのが一番いいのかということを検討していく。その意味で、検査手法をさらに精緻化していくということが求められているのだというふうに考えております。

 その点、国民の重大な関心である分野というのは何なのかということと同時に、そういった検査手法の精緻化というのに課題があるというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 まさに、おっしゃるとおりであるというふうに思います。

 検査手法の精緻化、これが大変大事でございまして、私も、二年間大学院で学んでおった際に、例えば費用対効果分析、こういうものも勉強いたしました。

 大変印象に残っておりますのが、教授の先生が、見えない効果、あるいは見えない負担、例えば社会的な便益であるとか、社会的な負担であるとか、これをどう設定するかによってかなり結果が変わってきてしまう、だから、どういう考え方で費用効果を分析するかは非常に大事だ、こうおっしゃっておられたのが印象に残っております。

 これは、非常に専門的な知識も必要でしょうし、さまざまなノウハウも必要だと思いますけれども、会計検査を実際行う職員に対してどうやってこういうスキルを与えていくのか、こうした人材育成の観点で何か御所見があれば、御意見をいただければと思います。

柳参考人 ありがとうございます。

 職員に求められる能力というのは非常に多様になっておりますし、多角的な視点も職員に求められていると思います。

 検査対象はさまざまにわたりますので、それに対する専門知識というものも必要になってまいりますし、それによって、その検査対象が遂行している政策目的というものの実質的な中身、それが国民に及ぼす便益をどこで測定したらいいのかという、つまり政策が達成すべきことが何なのかということについても知見を広めなければいけないというふうに考えております。

 民間企業での公認会計士の監査のような観点も求められると思いますし、あるいはITや、それから経済分析のような、財務分析のような観点、あるいは定性的な便益の測定手法の観点などが必要で、そういったことを行っていく必要があるんですね。

 私も、会計検査院がそういった知識を得るために職員を大学院等いろいろなところに派遣しているというふうに伺っておりますので、そういったいろいろな経験を積むことによって視野を広くして、国民の視点に立った検査を行っていくということが必要であるというふうに考えております。

 以上です。

中野委員 ありがとうございました。

 最後の質問でございます。公会計制度について少しお伺いをさせていただきます。

 先ほど来、発生主義あるいは複式簿記による財務諸表、これの活用をもっとやっていくべきだというお話もございました。

 今現在も、平成十五年度決算分から、決算の後に大体一、二年ぐらいたって既に財務諸表が作成をされております。しかし、私、この今の財務諸表はなかなか活用が進んでいないのではないか、こういう思いがございまして、何とか進めていきたい。

 候補の今までの御経験から、今ある財務諸表、なぜ活用が進んでいかないのか、どのように活用を進めていけばいいのか、御意見をいただければと思います。

佐田委員長 時間が来ておりますので、簡略に。

柳参考人 はい。

 御指摘の点は本当に重要な観点で、これまで、財政規律といったような観点では現金主義の情報が重要だったと思いますけれども、これからは、先ほどの、政策コストが幾らなのか、それが全部原価で幾らなのかということ、発生主義ベースで幾らなのかということと、それに対する業績尺度、結果の測定ということを対比するということについて、これからまず我が国は進めていかなければならないという段階だというふうに考えております。

 以上です。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございます。

佐田委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 重複するところもあろうかと思いますが、お許しいただければと思います。

 まず、柳参考人のこれまでの経験を踏まえて、具体的に、どのようにこの検査官のお仕事に生かされていこうと考えられているか、教えていただければと思います。

柳参考人 ありがとうございました。

 私は、実務家ではございませんで、大学で教鞭をとっておりまして、研究をしてまいりました。

 今、各国は、非常に限られた財源の中で、多様な国民ニーズに応えるためにはどうしていくのかということについて共通の課題を抱えております。そういった課題を抱えている中で、どういう制度的な、あるいは理論的な考え方というものが議論されているのかということについて私は研究をしてまいりました。

 そういった観点で、基本的な、何をすべきなのかという観点を、この我が国の非常に複雑化した状況、問題を抱えている状況の中でどのように適用していくことができるのかといったことについて、検査官に任ぜられましたら、実際に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

大熊委員 なぜこの検査官のお仕事をされたいのかというのを伺おうと思ったんですが、それは、今答えられたことと同様のお答えというふうに考えてよろしいでしょうか。

柳参考人 はい。そのように考えていただいて構わないと思います。

 私が今まで研究してきたものを、実際に国民のために、国民の観点に立ってそれを実践していくことができるという、もし任ぜられましたならば、そういう職務に取り組むことができるというふうに認識しております。

大熊委員 仮に、実際の現場に立たれた場合に、これまで研究なさっていらっしゃった理論と実際の現場、実務が大きく異なったというふうに認識されたときに、理論の方を実務にすり寄せていくのか、逆なのか、その辺の基本的なお考えをお伺いできればと思います。

柳参考人 ありがとうございます。

 理論と実務には乖離があるという御認識だというふうに承知しております。実際に、そのように理論と実務の間にはギャップが存在するということは、当然だというふうに認識しております。

 理論といいますのは、先ほどの経済性、効率性、有効性といった観点を、さまざまな検査対象にどのように適用していくのかということに尽きるのかというふうに思います。その点に関しましては、諸外国がいろいろな違った制度あるいは法環境の中で実際に取り組んでいる課題というものも承知しておりますので、そういったことを組み込みながら、我が国の環境の中でどのように適用することができるのかということを探求することができるのではないかと考えております。

 以上です。

大熊委員 ありがとうございます。

 具体的に、私、会計検査院さんの方からいただいていますこの「会計検査のあらまし」、二十三年度の決算検査報告、この中で、柳参考人が一番印象的、あるいは注目をした、あるいはしているという事例、もしありましたら教えていただければということと、それと、その理由についても教えていただければと思います。

柳参考人 私が大変関心を持ちましたのは、これは都市再生機構のニュータウンの問題で、造成が、利用計画があるにもかかわらず、それが実際に進捗していないし、売却の見込みというのもきちんと立っていないというような指摘が検査でございました。それは、いわゆる塩漬け土地のような形であるというふうに認識しておりますが、これは非常に国民的な関心が高いことだと思います。

 つまり、都市再生機構が、当初のミッションから、今現在求められている業務ということについて、国民的な目線からも乖離があるのではないか、そこに大きな無駄があるのではないかということだと思います。

 そういった指摘をすることによって、国民が拠出している財源で行っている事業の有効性あるいは効率性、経済性を高めていくという観点が非常に重要であるというふうに認識しております。

 以上です。

大熊委員 ありがとうございます。

 そうしますと、例えば、言われたニュータウンの事例、実際に塩漬けになっているものを動かしていくような政策的なあるいは行政への働きかけ、これについて何かお考え等があれば、教えていただければと思います。

柳参考人 会計検査院法の三十六条には、法令、制度、行政に対して改善の処置を要請することができるという規定があると認識しております。

 そういったことを通じて、これまでの行政の中で求められていた都市再生機構に対する任務というものが変化しているという実態、市場経済の実態等もあるとすれば、それについて意見を申し述べるというようなことが重要な任務になるんだというふうに認識しております。

 以上です。

大熊委員 この決算検査報告の中ではないんですが、これからの事例になってくるかと思うんですが、昨今、いわゆる官民ファンドと言われるスキームがたくさん出てきておりまして、私が所属しております内閣委員会でも二件の官民ファンドが、法律、成立したわけなんですが、実は、それぞれの根拠法となっているものを見ますと、投資をするとき、これは支援基準ということで定められているんですが、投資した後のモニタリング、これは法律上の定めがない。それから、失敗したときの責任、これも何も法律に書いていない。実際、二月に通した法律の二カ月後に一社倒産をしておりまして、これについて責任はどうかと問うと、法律には何も書いていない、そういう答弁が政府からあるんです。

 この辺について、検査院の役割が大きくなってくるんじゃないかと思うんですが、お考えはいかがでしょうか。

柳参考人 官民ファンドの問題につきましては、いろいろ問題があるということは承知しております。

 この点につきましては、国が資金を出資しているといったところでの検査の責務ということはもちろんあるわけでございますけれども、その先のトレースにつきましても、国民が拠出した資金というものがどのように使われているのか、それがどのような結果に終わっているのかということをどこまでトレースすることができるのかということも含めて、今後、会計検査院の課題になるところではないかというふうに考えております。

 以上です。

大熊委員 ぜひお願いしたいのですね。

 一言つけ加えさせていただきますと、内閣府の官民ファンドの担当の部局では、投資収益率などの数字で管理していないというふうに答弁しているので、そういったことも含めて、定量的な検査等をしっかりやっていただきたいなというふうに考えているところです。

 最後に、会計検査院そのものの改革、組織改革を含めて、というのは、この本を見させていただきますと、いわゆる省庁の縦割りと同じような組織、第一局から第五局になっておりまして、それぞれやはり縦割りのトレースになっているという印象があるんですが、これを、横串を刺すような、そういう組織改革をしていくような、そういうお考えはいかがでしょうか。

柳参考人 まだ私は会計検査院の外の人間でございますので、私の今の観点で申し述べさせていただきます。

 情報の共有というのは非常に重要なことで、それは、各府省の横断的な情報共有も必要であり、また、会計検査院の中でも、検査対象が異なっていても、そこでの知見を共有していくということは非常に重要なことであるというふうに考えております。

 そういった知見を共有する場というものをこれから積極的に設けていくということが求められ、それが、検査能力の向上にもつながっていくし、ひいては国民に対する説明責任にも資するものだというふうに考えております。

 以上です。

大熊委員 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、会計検査院の役割についてでございます。

 憲法第九十条と会計検査院法でも明らかなように、何よりも、内閣からの独立性を保持し、国の決算を初め全ての行政機関に対してタブーなく検査のメスを入れる、そういう権限がございます。

 国民は行政に対する厳しいチェックを求めていると思います。この、内閣からの独立性という点についてどのような認識をお持ちか、まずお考えをお聞かせください。

柳参考人 ありがとうございます。

 会計検査院は、独立性を保障されて、その機能を、つまり、中立性、公平性、厳正性、厳格性というような観点から検査を行うことが国民的に求められているところだというふうに認識しております。

 国会の決算審査機能に対する会計検査院の役割も重要なものであり、行政監視に対するいろいろな検査報告の提出なども、非常に重要なものだと思います。

 国民的に非常に関心のある部分について正確性、合規性、経済性、効率性、有効性の観点からそういった検査を独立して行っていくというところに会計検査院の使命があるのだというふうに認識しております。

 以上です。

佐々木(憲)委員 会計検査院の権限についてでありますが、会計検査院法によりますと、「検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる」、「求めを受けたものは、これに応じなければならない」と、大変大きな権限が与えられているわけです。また、「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない」と規定されているわけです。

 こういう大きな権限があるにもかかわらず、これまで、官製談合とか、あるいは天下りによる企業との癒着の問題、いろいろな事案がありました。しかし、会計検査院としてこれらの事案を摘発したものはほとんどありませんでした。あるいは、ダムですとか港あるいは空港など、大型公共事業の無駄の究明、これも、我々から見てもほとんどなかったと思います。

 どこに問題があったとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

柳参考人 御質問、ありがとうございました。

 会計検査院の重要な役割に関する御質問というふうに認識しております。

 会計検査院の検査というものは、犯罪の摘発といいますよりも、無駄とか非効率とかといったところの指摘をいたしまして、それに対する改善をしていただくというような観点が重視されているものというふうに承知しております。

 ただいま御指摘いただいたような、検査対象からそういうものが外れているというようなことがありますれば、それは会計検査院の国民に対する説明責任といいますか機能として非常に重要なことだというふうに認識しておりますので、限られた会計検査院の資源ではございますけれども、そういった重要な、無駄とか非効率の部分というのは、やはり厳しく目を光らせていく必要があるのだというふうに認識しております。

 以上です。

佐々木(憲)委員 先ほどの所信表明で、民間企業の管理会計のすぐれた実務を政府会計に適用する、こういう御発言がありました。

 公会計と言われているものは、企業会計方式を国や自治体の財政運営に適用するという内容があると思うんですが、ただ、私は、企業というものと国や自治体というのは違うと考えております。企業は、利益を追求する、そういう組織であります。国や自治体の場合は、国民の福祉の増進というのがやはり基本だと思うんですね。

 これは本質的な違いがあると思うんです。その違いをどのように認識されているかというのが一つ。

 それから、もう一つは、財政の健全化と言われますけれども、例えば、医療、福祉などの公的なサービスについては、受益と負担のバランスと言われておりますけれども、これは、結果としては、財政健全化のために福祉、医療を縮小するとか切り捨てるということに逆につながってしまうのではないかという懸念があります。やはり、主権者、国民の利益をまず優先させるという財政運営が基本でなければならぬ。

 その点、どのようにお考えでしょうか。

柳参考人 ありがとうございます。

 御指摘の点は非常に重要なことかと思います。

 第一点目につきましては、企業におきましては、もちろん、利益を追求するためにコストダウンを行っていく、収益を上げていくということだと思いますけれども、国とか地方自治体の場合には、国民の福祉でございますので、そこの部分でパフォーマンスを、業績をいかに把握していくかという観点が全く異なる、そこに難しさがあるのだというふうに認識しております。

 有効性の検査に当たりましては、そういった国民が受け取る便益の観点に立った指標づくりというようなものがますます必要になってくるんだというふうに認識しております。

 二点目でございますが、受益と負担の関係、つまり、切り捨てられてしまうのではないかということでございます。

 日本の国が抱えている大きな政策目的というものは、やはり、プライオリティー、優先順位をつけていく必要があるんだと思います。国民的関心の中で、どの政策が一番重要で、国民的にはどれに重点的に資源を配分していかなければいけないかということを確認していくということが必要になってくるんだというふうに思います。その上で、無駄の排除ですとか効率性といった観点での検査もしていくことが求められるというふうに考えております。

 以上です。

佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。きょうは、よろしくお願いいたします。

 昨今、近年ですけれども、本来本会計に計上すべき内容のものが特別会計で実行されるなど、予算の全体がわかりづらかったのが、特別会計が廃止、整理統合の方向へ向かったというのは、こういう不透明であるという問題点を解消する対応としては適切だと思っております。

 その一方で、震災対応もあったり、また、さまざまな支援というか投資のような形で、年度を越えての基金を積んでおく、場合によってはとりあえず積んでおくという予算措置も多くなっているように感じております。

 柔軟対応がとりやすい、複数年度にわたっての事業に対応しやすいなどの利点はございますけれども、特別会計の廃止、基金化の増加、これらの流れに関して、どのように捉え、感じていらっしゃるか、御所見をお聞かせください。

柳参考人 ありがとうございます。

 複数年度にわたってのということでございますけれども、我が国は、会計年度独立の原則というもとでこれまで財政運営が行われてきましたが、政策目的からしますと、単年度での会計経理、その効率化ということにはやはり限界があるというふうに考えておりますし、私も官民競争入札等にもおりますと、非常に、国債、ゼロ国債等、そういった債務負担行為等を用いて競争の中で効率性を高めていくというようなことも求められてくるというふうに思います。

 ですから、その複数年度にわたるところで不透明な部分が出てきた場合には、それは非常に国民的にも問題でありますので、目的と支出のやり方というものが整合性があるのか、適正なのかといった観点で見ていく必要があるのではないかというふうに考えております。

 以上です。

小宮山委員 私自身も、かつて、国費を投入した地下駐車場、さまざまな形があるんですけれども、この問題をずっと、二期のときですか、取り上げ続けていたことがございます。

 その中で、調査した中には、いわゆる天下り団体のところの所有分が入っていたりして切り離せないように見事につくり込まれていたり、工事が始まった後に工期が延長になる事例。また、なぜか、地下駐車場なんですけれども、入り口だけあるという不思議な駐車場があって、出口の予算が組んでいない。後から追加で予算をと。こんないろいろな事例を見てまいりました。

 地下駐車場に限らず、公共事業、予算時点では、後から見ると費用を安目に計算したように思えるもの、また、便益や需要予測を過大に見積もっている例、半ば常態化しているというふうにも指摘ができるんだと思っております。

 会計検査院は、決算のチェックをすることも目的とされております。出口だけでなく入り口も、終わった後どうだったのか、さまざまな観点があると思います。

 どういった点に注意されていくのか、思いをお聞かせください。

柳参考人 ありがとうございます。

 ただいま御指摘の点は大変重要なことで、最終的には国民が受け取る便益というものをどのように実現していくのかというプロセスの中で、つまり、資源を投入するときから、それをどのように使っていくのかというそのプロセスについても目を光らせる必要があるし、そこに透明性を求める必要があるというふうに思います。

 政策目的を実現するために本当に合理的な仕組みになっているのかという観点についても、会計検査の重要な視点だというふうに認識しておりますので、もし会計検査官に任ぜられましたら、そのような観点、広い観点で検査に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

小宮山委員 最後になりますけれども、所信というか、お述べいただいた中で、今までもさまざまな審議会に関与する中で、無駄、浪費、重複をいかになくしていくかという観点、また有効性の観点ということも述べられております。

 候補にとって、いわゆる無駄というのは、どういうことが一番象徴的なのか、お聞かせいただきたいと思います。

柳参考人 御質問、ありがとうございます。

 無駄というのは、非常に数限りなくこの国には存在しているのではないかというふうに考えております。

 例えば、各府省が財源を使って形成した資産というものも、同じような目的で同じような資産が保有されている、これも無駄でございます。また、コストの意識といいますか、民間ではコストダウンをする努力がされますのに対して、非常に、予算の中で予算執行をしていくといった観点の中では、効率化が阻害されて、かえって無駄になっているということはあるというふうに認識しております。

 多くの場合、国民が拠出したものについて説明責任を持っているわけですから、その点について、十分に、経済的かつ効率的であるのか、そして、それが本当にその政策目的にどう役立っているのかということを精査していくということがますます会計検査院に求められているんだというふうに考えております。

 以上です。

小宮山委員 政策的に適用するのか、ある意味、今委員の中からもありましたけれども、民間の企業の営利を目的というのとは違う政府の役割があります。その中で、有効な施策、また予算の使い方も含めまして、そして、今まででは見られなかった、見過ごされていたようなもの、そういうものをきちんと会計検査院として調査されることを願いまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

 ありませんか。

 それでは、これにて柳参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして人事官及び検査官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 それでは、柳参考人、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、次回の本会議及び委員会は、追って公報をもってお知らせいたします。

 なお、来る三十日木曜日午前十一時から理事会を開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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