衆議院

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第4号 平成13年3月22日(木曜日)

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平成十三年三月二十二日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 小野 晋也君 理事 田中 和徳君

   理事 萩山 教嚴君 理事 宮本 一三君

   理事 奥田  建君 理事 古川 元久君

   理事 西  博義君 理事 山田 正彦君

      小此木八郎君    大木  浩君

      大島 理森君    岡下 信子君

      岸田 文雄君    倉田 雅年君

      阪上 善秀君    高木  毅君

      武部  勤君    中本 太衛君

      西川 京子君    林田  彪君

      原田昇左右君    堀之内久男君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      吉田 幸弘君    後藤  斎君

      武正 公一君    津川 祥吾君

      中津川博郷君    中村 哲治君

      藤村  修君    前田 雄吉君

      牧  義夫君    牧野 聖修君

      三村 申吾君    河合 正智君

      黄川田 徹君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    藤木 洋子君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当大臣)     伊吹 文明君

   内閣府副大臣       坂井 隆憲君

   内閣府大臣政務官     山崎  力君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   吉井 一弥君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育

   局長)          矢野 重典君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学

   術政策局長)       大熊 健司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  安富 正文君

   政府参考人

   (気象庁長官)      山本 孝二君

   衆議院調査局第三特別調査

   室長           柴田 寛治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  松原  仁君     牧野 聖修君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  岩倉 博文君     倉田 雅年君

  大島 理森君     小此木八郎君

  谷畑  孝君     岡下 信子君

  松下 忠洋君     中本 太衛君

  三ッ林隆志君     山本 明彦君

  塩川 鉄也君     大森  猛君

同日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     大島 理森君

  岡下 信子君     谷畑  孝君

  倉田 雅年君     岩倉 博文君

  中本 太衛君     松下 忠洋君

  山本 明彦君     三ッ林隆志君

  大森  猛君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件




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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官吉井一弥君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省科学技術・学術政策局長大熊健司君、国土交通省道路局長大石久和君、国土交通省鉄道局長安富正文君及び気象庁長官山本孝二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において起草案を作成いたしました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 六千有余名のとうとい犠牲を出し、未曾有の大災害をもたらした阪神・淡路大震災発生より六年の月日が経過をいたしました。あの大震災で御家族を亡くされ、自宅が崩壊し、職場を失うことにより人生の転換を余儀なくされた被災者にとり、幾ら時間が経過をしても、決して消し去ることのできない大きな傷跡が残っております。あの悲劇を繰り返さぬよう、防災体制を整えることによって被害をできるだけ食いとめたいとの教訓から、地震防災対策特別措置法は、平成七年六月に災害対策特別委員会提出による法律として制定されたものであります。

 本法は、地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護し、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的としております。

 そのために、地震防災緊急事業五カ年計画の作成及びこれに基づく事業に係る国の財政上の特別措置について定めるとともに、地震に関する調査研究の推進のための体制の整備等について定めております。

 本法に基づいて各都道府県においては、地震防災緊急事業五カ年計画を定め、その推進に鋭意努めてきたところでありますが、地震防災緊急事業に係る国の財政上の特別措置につきましては、本年三月三十一日をもってその効力を実態上失うこととなっております。

 しかしながら、厳しい財政事情等により現行の地震防災緊急事業の進捗率が低い状況にあり、また、鳥取県西部地震を初めとする現下の国内外の地震災害の発生状況をかんがみると、今後とも引き続き、国民の生命、身体及び財産を震災から守るため、本法による国の財政上の特別措置の適用期間を延長し、対象事業の充実強化を図る必要があります。

 なお、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会の連名で、地震防災対策特別措置法に基づく国の負担または補助の特例措置の適用期間を延長することを趣旨とする要望書が出され、さらにはまた、第百五十回国会には、地方自治法による地方議会の意見書が四百八十八の地方議会から提出されております。

 本案は、地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業の実施状況にかんがみ、地震防災緊急事業に係る国の負担または補助の特例等の措置を平成十八年三月三十一日までとするとともに、その他所要の規定の整備を行おうとするものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 おはようございます。民主党の後藤斎でございます。

 ただいま委員長から、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律の起草案ということでお話がございました。まさに我が国は地震が大変多い国でございまして、万が一の場合、その災害から、この趣旨にもございますように、国民の生命、身体及び財産の保護ということで、これからもますます地震に対するいろいろな制度や法律を構築していかなければいけないということはごもっともだと思います。

 しかしながら、五年前の平成七年のときに、本法が制定される際の「地震防災対策の強化に関する件」、その二項に、

  地震災害発生の際に、国民の生命及び身体の安全を確保し、災害応急対策の拠点として機能する地域防災拠点施設の整備に係る事業の実施が極めて重要であり、地震防災対策を推進する上で不可欠なものと考えられる。

というふうな趣旨のことも決議をされております。

 今回の五年間の法律の評価、そして五カ年計画の評価をしてみますと、当時の計画の際には、総事業費が十八兆五千三十四億円、そして今年度末の実施見込み額が十三兆七千五百四十九億円、進捗率は七四・三%であります。それが附帯決議でもされたものと、どういうふうに今政府として御評価をされていて、この五カ年間の計画と次期計画について、その必要についてまずお伺いをしたいと思います。

坂井副大臣 議員御指摘のように、現行の五カ年計画は、地震防災対策特別措置法によって都道府県知事において地震防災緊急事業五カ年計画を作成するということになりまして、公立学校等の耐震改修、消防用施設の整備等に対する国の補助率のかさ上げ措置の適用により、地震防災上緊急に整備する必要がある施設の整備を推進するものとして定められたわけでありますが、本法律が平成七年度に議員立法で制定されたことにより、すべての都道府県が地震防災のための計画を策定し、地震防災施設の整備が促進されたことは、地震に強い国土づくりに大きく寄与したものと認識して、評価しているわけであります。

 地方自治体の財政状況の悪化や用地買収の難航等によりまして、委員御指摘のように、五カ年計画全体での進捗率が約七四%にとどまることについては、非常に残念であるというように思っております。

 ただ、一方で、苦しい財政状況のもとにおいても地震防災施設の整備に努力された地方自治体の御努力に敬意を表したいと思いますし、来年度から始まる次の五カ年計画においても、地方自治体においては地震防災対策に関する高い必要性を踏まえて相当額の事業を見込んでおり、また国の補助率のかさ上げ措置の延長についても、熱心な要望を多くいただいているところであります。

 政府としても、関係省庁が密接に連携して、今後とも、地方自治体等による地震防災施設の効果的かつ効率的な整備を強力に支援する所存でありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

後藤(斎)委員 今、最大限やっているというお話は、確かに地方の財政状況もそうだと思います。

 ただ、十九の事業のうち、補助率のかさ上げをした消防施設であるとか社会福祉施設であるとか応急救護施設等々がありますが、いずれも平均の進捗率を下回っております。特に、万が一の災害の際活躍するであろう応急救護施設の目標の達成率は二〇・一%と最低になっています。

 なぜ補助率をかさ上げした事業の方が逆に進捗率が悪くて、目標達成率が悪くて、かさ上げしない方がいいのか。何か逆転現象が起きて、補助率をかさ上げした意味合いが、法目的が達成されていないような気が私はするのですが、その点はいかがでしょうか。

吉井政府参考人 先生ただいま御指摘のとおり、今回、全体の進捗率七四%のところ、かさ上げ対象の事業につきましてだけ集計いたしますと五八%ということで、下がっております。

 かさ上げ対象事業につきまして進捗率が低くなった主な理由といたしましては、全般的には、ただいま坂井副大臣から御答弁いたしましたように、自治体の財政状況の悪化でございますとか、用地買収の問題とかあったと思いますが、特にかさ上げ対象事業の計画につきましては、事業費的に見れば、その半分以上を占めます公立小中学校の耐震改修、社会福祉施設の耐震改修につきまして、計画を策定した以降、耐震診断をした結果、改修の必要性が必ずしもないことが判明したものがございましたり、また、特に社会福祉施設につきましては、事業主体であります社会福祉法人の財政事情によりまして事業実施がずれ込んでいるものがあったりというふうなこと、あるいはまた、先生ただいま御指摘の応急救護施設等につきましては、地方単独事業等が多く含まれておりまして、地方自治体の財政事情の悪化がより強く影響したというふうなことがあるのではないかと思っております。

後藤(斎)委員 今、副大臣と統括官からお話がありましたが、それでは今度、本法を五カ年延長することによって、次期の五カ年計画、それについては、かさ上げをする事業の七項目ですか、これはどの程度目標に近づき、そして今度の二次計画、本法が制定をされればどの程度の事業額が見込まれ、それがどんな効果を持ってくるのか、その御評価についてお伺いをしたいと思います。

吉井政府参考人 次の計画につきましては、ただいま御提案いただいております法律が成立いたしました後、各県におきまして最終的な作業をすることになると思いますが、私ども、これまでの段階であらあら聞いておりますところでは、それぞれのところでまた、前計画、現行計画で積み残しました事業に、その後の各県の事情によりまして必要となった事業を積み上げまして、新しい計画を立てるようなことを伺っております。

 確かに、先生おっしゃいましたとおり、せっかくかさ上げになった事業の進捗率が悪いということは非常に残念なことだと思っておりまして、次の五カ年計画の策定に関しましては、私どもといたしましても、各省庁とよく調整した上、全体的な計画の目標を立てたり、整備目標それから現状等をよく把握した上で計画を立てるよう、各県と調整してまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 確かに、地方の財政は大変悪化しておりますし、国の財政もそうであります。仮に、政府として、そしてまた我々議員が、必要性があれば、かさ上げをどういうふうにするかということも、あわせてこれから考えていかなければならない問題だというふうに思いますので、ぜひその点は御留意を賜り、そして次期五カ年計画でトータルとして十年という期間を迎えます。地震というのは、冒頭もお話をしましたように、まさにいつやってくるかわかりませんし、そして大規模な災害が発生をすることが想定をされます。

 そんな中で、今回の地震防災対策特別措置法のほかに、二十年ほど前になる大規模地震対策特別措置法という法律も相まって我が国の地震災害に、制度づくりに寄与しておると思いますが、本法と地震財特法と言われる法律との関係について、簡単で結構ですので、御説明を賜りたいと思います。

吉井政府参考人 ただいま先生御指摘ございましたように、東海地方に適用されていますいわゆる地震財特法につきましては、地震の発生の切迫性等に基づきまして、法律に基づきまして指定された地震防災対策強化地域につきまして、各種の地震防災施設の整備が実施されているところでございます。

 一方、地震防災対策特別措置法は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、全国どこででも発生する可能性のある地震に備えるために法律が制定されたものでございます。

 以上の趣旨から、東海地域に適用されておりますいわゆる地震財特法におきましては、関係の県知事さんに計画の策定が義務づけられておりまして、特定の事業に係ります国庫補助率のかさ上げのほか、地方債や地方交付税の特例措置が設けられているところでございます。

 地震防災対策特別措置法は、若干違いまして、各都道府県知事の計画策定は任意とされておりまして、地方債等の特例措置は設けられておりません。また、国庫補助率のかさ上げ対象施設につきましても、指摘されております地震の切迫性等を反映してだと存じますが、若干の違いがあるというところでございます。

後藤(斎)委員 確かに、その両法が相まって対応なさっていることは、私も理解ができます。

 ただ、今回の法律の審議に当たっていろいろな各省庁のお話をお伺いする中で、私は、本当に地震が起こるときに今の体制の中で十二分に国民の生命や財産を守ることができるのかということに若干不安を持っています。

 と申しますのは、一月六日の省庁再編の中で、伊吹大臣が防災担当大臣として統括しているにもかかわらず、まだまだ縦割りの要素が大変強いと思っております。本法にも、内閣府のみならず、国土交通省、農林水産省、ほかの関連省庁があるんですが、人的スタッフについて防災部門のお話をお伺いしましたところ、まだやはり縦割りの中でしか、正直言って資料も出てきません。

 そして、内閣府におかれましては、平成十二年と十三年は局全体で同人数。そして、気象庁においては、十三年度は四人増の三百十三人。消防庁は、十三年度はわかりませんが、十一年度から十二年度に一人減員をして百六十人。ほかの省庁は提出がなかったので、全体像が総じてわかりません。

 アメリカのFEMAと言われている連邦緊急事態管理庁は、二千五百人という人数ですが、各州を越えて、地震のみならず、いろいろな災害について大変機能的な対応をしているというふうにも言われています。

 そして、県境を越えた場合ということでお話をお伺いしたところ、やはり各自治体がメーンになって、あくまでも国はそれをフォローしているだけであります。そして、災害が本当に起こった場合、物資の備蓄というものは大変大きな効果を有すると思いますが、それも各自治体ではまだまだ不十分だというお話を聞いています。そして、人的な面で損傷ないし大変な傷を負った場合の防災ヘリについても、まだ未配備の県が三県あるというふうにもお聞きをしております。

 そんな中で、県境を越えて人的な面、物資を動かす場合とか、本当に災害が、地震が起こった場合、どんな形で本法の趣旨を十二分に生かして災害、地震に備えていかれるのか。大変基本的なことではありますが、お聞きをしたいと思います。

吉井政府参考人 日本の災害対策基本法等では、災害対策に対する第一次的な責務と申しますか、これは市町村、それから第二次的に都道府県にあるわけでございまして、国は、非常に大規模な災害等が起きた場合に対応する。場合によりましては、非常災害対策本部、緊急災害対策本部等ができまして、国の各機関の総力を挙げてやることになっております。

 ただいま先生が御指摘になりました大規模地震発生時等の備蓄の物資等の関係でございますが、こういうことによりまして、それぞれの地方自治体等で備蓄が行われているわけでございます。ただ、大規模な地震が発生した際には、それを県境を越えて融通し合う、あるいは応援するということが極めて重要なことであると思っております。阪神・淡路大震災の後におきまして、各地方公共団体におきましてはそれぞれの備蓄を強化するとともに、各自治体間の広域の応援体制等も格段に強化されてきていると存じます。

 内閣府といたしましては、大きな災害が起きまして非常災害対策本部ができました場合、その事務局といたしまして、震災時における緊急輸送のための総合調整等を行うことになるわけでございます。先生御指摘がございましたように、政府の防災機能を強化するというふうな観点から、今回の省庁再編で内閣府に防災部門が設置されまして、災害対処につきましても、施策の企画それから総合調整ということが法律上明定されたわけでございまして、こういうことの趣旨を十分かんがみまして、今後一層、総合調整の機能を果たしていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 確かに、今統括官がお話しになられたようなことだと思うのですが、今の置かれたいろいろな縦割り行政、なかなか時間がかかるかもしれません。ただ、その縦割り行政が、進んでいけば、本当に災害が起こった場合、統括官がおっしゃられたように、本部長ができて副本部長ができてということになるのかもしれませんが、そうではなく、先ほどもお話ししましたように、防災担当大臣、危機管理担当大臣ということで伊吹大臣が御就任をなさって、今、内閣府、本法が改正をされた以降、さらにきちっとした対応をしていくという強い意思があってこそ、アメリカの連邦緊急事態管理庁、FEMA的なものになっていくということが、国民に真に安心感を与えるというふうに私は思うのですが、その点、大臣ないし副大臣から御答弁をお願い申し上げます。

伊吹国務大臣 今先生の御主張は、災害という面では一番いい御提言だと私は思います。

 しかし、同時に、国の組織、あるいは、先生も公務員でいらしたと思いますが、公務員の日常生活というのは国民の税金によって支えられているわけですね。そうしますと、法律でおのおのの事業を所管している、例えば農林水産省であっても、あるいは災害に対応している消防庁や警察の警備局であっても、いろいろな場面の仕事をしているわけです。災害ということだけの仕事をしているわけではないんですね。

 ですから、緊急の事態にはそのような人たちを包括的に動かす仕組みというものを、今回、内閣府にその責任者を置いて、そして高い立場から全体を統括しながら動かしていこうという役割をしているわけです。

 連邦政府であるアメリカと、一つの政府である日本のやり方というのは、私は少し違うと思うのですけれども、一体となってそれを緊急のときに動かさねばならないという先生のお考えは、私は全く賛成でありますから、そのような方向に持っていけるように私は努力をいたしたいと思っております。

後藤(斎)委員 関連をして幾つか御質問させてもらいます。

 最近、富士山における低周波地震が大変増加をして、地域住民の方々が大変不安に思っておられます。これは火山性地震ということで、直接本法には関連をしない部分もありますが、これも先ほどもお話ししましたように、一つの自治体だけでは観測体制や予知研究というものには十二分に対応できません。国におかれましての富士山低周波地震に関する今後の観測体制の充実と予知研究について、お伺いをしたいと思います。

 現行では、気象庁が二つ、東京大学の地震研究所が五つ、防災科学技術研究所が八つの地震計、合計で十五の地震計があるというふうに資料をいただいておりますが、もちろん財政的な制約がありますが、通常であれば、もっと充実した中ですべきではないかという指摘もあります。その点について、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 富士山では、先生御指摘のとおり、平成十二年十月から低周波地震が起きまして、十一月から十二月にかけて月に百回から二百回、しかし、本年一月以降、それはやや減少してございます。富士山の低周波地震は、山頂の北東側深さ十五キロ程度と、深いところで今発生していること、また地殻変動観測では特に変化がないということで、直ちに噴火等の活発な火山活動に結びつくものではないと考えております。私ども気象庁といたしましては、関係機関と連携をとりまして、現在、注意深く監視を続ける必要があると考えてございます。

 いずれにしても、先生御指摘のように、今後の火山活動の診断を的確に行うため、気象庁では機動観測班を派遣する計画で関係機関と検討を進めてございますし、東京大学その他の機関においても緊急のそういう診断に必要な観測体制の整備を行うと聞いております。

 なお、気象庁では、平成十三年度に火山活動評価手法の開発研究に着手することにしておりまして、富士山についても、この研究の一環として活動評価を行っていきたいというふうに考えてございます。

後藤(斎)委員 ぜひその中で、これからも十二分な観測体制をお願いしたいと思います。

 そして、今公共事業がいろいろな形で取りざたされておりますが、私は、これからの公共事業のあり方は、まさにきょうの主題でもございます、いろいろな事業、地方が十二分にできない部分のかさ上げであるとか、避難路の確保であるとか、いろいろな形のものを充実していくべきだというふうに思う一人でもあります。

 実は、私の地元は、長野と静岡の県境に挟まれて、国道五十二号線というのが一本あるだけでございまして、東京には別の中央道もありますけれども。仮に、釜無川活断層とか、南関東直下プレート境界地震であるとか、東海地震のときに、完全に寸断をされて、まさに陸の孤島になってしまうということを地域の方も大変懸念しております。そんな意味で、国道五十二号線というのが一本あるだけなんですね。

 今、国土交通省におかれましては、中部横断自動車道の開通に向けて、いろいろな調査や工事をしているところでありますが、今後どの程度のスピードで対応していくのか、その見通しについてお伺いしたいと思います。

 さきの三月二日の予算委員会分科会の中でも、今東海道新幹線が建築をした後三十年たって老朽化と、そして東海地震のときには二百二十キロにわたる警戒区域の中で甚大な被害を及ぼすであろうということで、私は、東海道新幹線のバイパスとしての中央新幹線であるとか、北陸新幹線を通すとか、いろいろなモデルがあると思うのです。その点、陸の孤島にしないような地域づくり、防災対策づくりが必要だと思いますが、その点について、政府としてどのようにお考えになっているのか、お答えをお願い申し上げます。

大石政府参考人 中部横断自動車道は、今先生御指摘のとおり、中部日本を南北に横断し、静岡、山梨、長野三県を相互に結ぶとともに、東名、中央、関越自動車道と連絡し、ネットワークを構成することによりまして、沿線地域の産業、経済等の発展及び振興に不可欠な路線であると認識いたしております。

 また、本路線は災害時におきまして、並行する一般国道五十二号、これは災害時によくとまることがあるわけでございますが、これの代替路線として、地域住民の安全な生活を確保するとともに、沿線地域の防災性を高める観点からも、早期整備が必要な路線であると認識をいたしております。

 現在、山梨県と静岡県を結ぶ双葉ジャンクションから吉原ジャンクション間七十五キロメートルにつきまして、全線にわたり整備を進めておるところでございまして、平成十三年度には、双葉ジャンクションから白根間七キロメートルを供用する予定といたしております。残る区間につきましても、早期整備を図るため、地元の御協力をいただきながら、懸命に努力してまいりたいと考えております。

安富政府参考人 先生から御指摘ございました中央新幹線でございますが、中央新幹線は現在、全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画路線として位置づけられております。仮にこの中央新幹線が整備されますと、先生御指摘のとおり、いわゆる東海道新幹線のバイパス機能として非常に大きな役割を果たすのではないかと考えております。

 ただ、現在、中央新幹線については、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、地形、地質等の調査を実施しているところでございます。この具体的な整備につきましては、今後の経済社会の動向あるいは東海道新幹線の輸送状況、さらにはほかの整備新幹線の整備状況等を勘案しつつ、今後、長期的な課題として検討していくべき問題ではないかというふうに考えております。

後藤(斎)委員 もう一つ、関連でお聞きをしたいと思います。

 モナザイト鉱石というのが、先般、長野県から山梨の塩山市というところに、十三トンという大量のものが搬入をされました。モナザイト鉱石というのは天然のトリウムが含まれており、核原料物質として国に原子炉等規制法に基づく届け出が必要になっているということであります。いろいろな経緯があったようなんですが、なぜ十三トンという大量なものが地域の方が全く知らずに長野から塩山市の方に搬入をされ、それに対して国はこれからどんなことをしていくのか、ちょっとその点についてお聞きをしたいと思います。

大熊政府参考人 お尋ねのモナザイト鉱石の件でございますけれども、文部科学省では、このモナザイト鉱石の所有者に対しまして、これまで各地、七カ所ばかり分散されて一時保管されていたモナザイト鉱石につきまして適切な管理等を求めていたところでございまして、今般、先週十六日金曜日でございますが、その所有者から、これらのモナザイト鉱石につきまして原子炉等規制法に基づく届け出がございました。その内容は、温泉等への有効利用を図るために、所有者が確保した保管場所、先生がおっしゃられましたように、塩山市郊外の倉庫に一括保管を行うこととしたということでございます。

 当省としましては、微量ではありましても放射線が出ている、そういうものでございますので、その安全確保に当たり、職員を派遣しまして、専門的、技術的観点から助言等を行うとともに、移転後の線量の測定等を行い、安全上問題ないことを確認したところでございます。

 モナザイト鉱石につきまして、ちょっと簡単に申し上げますが、天然に産出される砂状のものでございまして、少量では全然問題がございませんが、先生が先ほどおっしゃられましたように、鉱石に含まれるウラン、トリウムなどの量が九百グラム以上になりますと、鉱石の量にすると大体十三キロぐらいになろうかと思いますが、そのぐらいの量になりました場合に原子炉等規制法の届け出を必要としてもらう、こういうことでございまして、利用としては、ラドン温泉などの温泉材料あるいは排気ガスや排水の浄化のための触媒として使われて、現在、そういう事業所はほかにも数社ございます。

 そうしたことでございまして、今回、所有者からの届け出でございますけれども、他の事業者による届け出と手続上何ら変わりなく、事前に公表を要するものとは考えておりませんでしたが、当省としましては、届け出が出た後、速やかに地元自治体に届け出内容や安全確認の結果等を連絡いたしました。

 今後、地元自治体と相談しつつ、安全性につきまして地元説明等の対応を十分図ってまいりたい、こういうふうに考えてございます。

後藤(斎)委員 地域の方は、そうはいっても大変不安視もしておりますので、引き続きの管理体制の十二分な徹底も含めての御指導をぜひ賜りたいと思います。

 最後ですが、今回の法律案が議員立法によって本日制定をされると思います。そんな中で、先ほどもお話ししましたようなかさ上げ事業の充実、そして事業実施がスムーズにいくように、ぜひ委員長並びに伊吹大臣のこれからの政府全体への御指導をお願い申し上げまして、質問を終わります。

赤羽委員長 次に、山田正彦君。

山田(正)委員 自由党の山田正彦でございます。

 私どもは、この法律の立法された当時の趣旨、いわゆる阪神大震災によって多くの人がその犠牲に遭い、その命、財産が失われた。これから先、この日本において地震によってそのようなことがなされないように、防災のためのいわば緊急事業、これが地震防災対策特別措置法、こうなったのではないか。

 この法案は、もとは各党派が一緒になって委員長提案でなされた法案でありまして、私ども自由党としては、この法案をさらに延長することについて、当然異議ありません。今回は、質疑ではなく、賛成の意見の陳述をさせていただきたい、そう思っております。

 述べるに当たって、この法案の問題となるべきところ、これを参考までに四つほど大臣にお聞き願いたいと思っております。

 一つは、この法案ともう一つ東海地震に対する特別措置法がございます。この整合性、一方では大きくこの法案で全国的なネットをかけていながら、一方、東海地震に対する特別措置法だけがある。これについて私の方で調べてみましたら、東海地震においては三施設において同じ率で緊急事業に対するかさ上げ、本法においては六施設において同じ三施設を含んだ分についてのかさ上げ、ある意味では整合性が保たれておる。ただし、この法案があれば東海地震に対する特別措置法は要らないのではないのか。要らない法律はどしどし整理してなくしていく、そういう対策を大臣にとっていただきたいということが一点。

 二点目に、緊急事業ですから、本来、五年間になされなければならなかった。ところが、各都道府県において、自治体において進捗率がばらばらである。なぜそうなったか。それは、一つには各自治体のいわば財政事情等々もあるようです。そういったものも含めて、この法案の趣旨そのものが、全国をできれば平等に、どの地域もこの緊急事業で地震に対する災害からできるだけ身体の安全と財産の安全とを守るためにという趣旨ですので、その辺の考慮をしなければならないのではないかということ。

 三点目に、実は、地震に関する調査研究で、あの阪神・淡路大震災のもとになった活断層、危険な活断層だけでたしか九十八本、これをこの五年以内に調査をしてしまう。ところが、実際にはたしか十五本ほどしか調査が終わっていない。東海地震のトラフにしても、最近、その位置がずれているとか、いろいろなことが言われておりますが、この地震に対する研究そのものは非常にまだ不十分であるということ、これをぜひ力を入れていただきたい。

 四番目に、実は、この法案そのものは、最初に作成されたものに限る緊急事業、いわゆる地震防災緊急事業となっておりますが、これを削除して延長するということですから、言ってみれば、何でも法案はそうですが、例えば石油取引税とかそういったものにおいても、五年間の時限立法であるといいながら、それが過ぎて延長、延長、延長。この法案においては、今回の延長については、しかけた事業もあり、私どもも党内で論議した結果、やむを得ない、同意であるということになりましたものの、大変気になるところであります。

 この四点を十分留意していただいて、ひとつこの法案の取り扱いをぜひともまた、委員各位、これからの方向としてもよろしく御配慮のほどをお願いしたいと思います。

 以上、陳述を終わります。

赤羽委員長 次に、藤木洋子さん。

藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。よろしくお願いをいたします。

 ただいま趣旨の説明がございました地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案について、その内容をより充実したものにするために、現行法を執行されている政府に対して、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 現行の地震防災対策特別措置法は、その目的を、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するために、国庫補助率のかさ上げ等により、地域防災計画のうち地震防災上緊急に整備すべき事業を五カ年で計画的に推進する、このようになっているわけです。

 現行の五カ年計画額に対する、最終年度ですから、二〇〇〇年度の執行予算額で算出をいたしました進捗率は、全事業の平均にいたしますと七四・三%というふうになっております。この五カ年計画は、地震防災上整備すべき事業すべてを網羅しているわけではございません。五カ年で整備すべき緊急の事業、極めて限定されたものであるということから考えてみますと、事業はおくれていると言わないわけにはまいらない状況であります。特に、公立盲学校等の進捗率は三三・二%、公立小中学校は五五・〇%、社会福祉施設は四五・〇%と、そのおくれがかなり目立っているわけです。

 そこで、大臣にお伺いをいたしますけれども、地震防災緊急事業が目的達成にふさわしく進まない、その理由をどのようにお考えでしょうか。

吉井政府参考人 まず、進捗率の数字等について御説明させていただきます。

 先生も御指摘のとおり、これまで、十二年度に終わります計画額、全都道府県の計画を集計いたしますと、全国における計画額十八兆五千億ほどでございましたが、これに対しまして、平成十二年度までの執行額は約十三兆七千億円というふうに報告いただいておりまして、進捗率は七四%でございます。

 七四%にとどまったわけでございまして、この理由といたしましては、まず一つは、事業主体であります地方自治体等の財政状況が、ちょうど平成七年度、八年度ぐらいから著しく悪化してきたということ、あるいは、計画の中で大きなウエートを占めます老朽住宅密集市街地に係る地震防災対策事業でございますが、この事業が用地買収等で地元の調整が難航し、非常に進捗率が下がっております。

 それからまた、公立小中学校等の耐震改修でございますが、計画には載っていたものの、その後の耐震診断の結果、改修の必要性がないというようなことから後送りになったというふうなことが大きかったんではないかと思っております。

藤木委員 いろいろおっしゃいましたけれども、やはり一番何がネックになっているかということを、私は大臣の御認識として実はお伺いをしたわけですね。地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業の進捗率が低い一番大きな原因は何なのかということであります。それは予算の確保、今地域財政が逼迫しているということを言われましたけれども、これがやはり最大のネックだというふうに私は思うんですね。

 この間、先ほど趣旨説明の中で委員長からもお話がございましたけれども、現行法の改正に関する意見書というのが先国会だけで四百八十八自治体から提出されておりますね。その意見書によりますと、財政上の制約等により現行計画の進捗率が低い状況にある、こういうふうに述べているわけです。ですから、私が自治体へ伺って担当者の方にお話を幾つか聞いてまいりましたけれども、この際にも、予算を事業にふさわしく確保していただきたいというのが強い要望として出されておりました。

 こうした問題点をこのまま放置しておいて、その目的達成にふさわしい事業が進むのかどうか、このままでいいのかどうかという点は、大臣の方からお考えを伺いたいと思います。

伊吹国務大臣 先ほど来、先生がおっしゃいました文教施設であるとか社会福祉施設というのは、特に弱い人たちの生活の場でございますから、私たちもできるだけのことはしたいと思いますし、先生のそれにかけるお気持ちというものは、私も共有をいたしております。

 今、ふさわしい予算の確保というのは、例えば文教施設でございますと、地方自治体が事業主体になりますけれども、地方が三分の二をつくって、国が三分の一を補助するという財源構成になっています。ところが、この法律を適用した場合には、地方が二分の一をつくって、国が二分の一、つまり三分の一と二分の一の差の六分の一のかさ上げがこの法律で行われている。ですから、一つは、先ほど来申し上げましたように、地方が補助裏の、つまり通常であれば三分の二、この法律であれば二分の一を確保できる財政状況になっているかどうかということがまず一つありますね。

 それからもう一つは、先生の今のお気持ちは、国の方がかさ上げとして二分の一にしているけれども、これを三分の二に上げた方がさらに進むじゃないか、多分こういう御趣旨だと思うんですね。私は、防災担当大臣としては、できるだけそのように努力もしたいし、関係省庁にも話してみたいと思っております。

 しかしながら、これはもう多分、その財源をどこから持ってくるかという話に最後になるんですね。御党の御主張は、私はわかっております。しかし、自民党や他の党には他の党のやはり主張があり、地方自治体には、地方分権という建前の中で、その財源をどういうふうに使うかという、また自治体の首長、自治体の議会の判断があるわけなんですね。

 ですから、私たちは、防災という観点からは、できるだけこの補助率をかさ上げできるような財源をつくりたいという努力をしていきますので、税収の減るような御提案などは余りなさらぬように、私はぜひお願いしたいと思うんです。

藤木委員 防災担当大臣としては、この事業の進捗を促進させるような立場に立って予算も確保してまいりたい、こういうふうなお考えだということを確認させていただきたいと思います。

 それでは、もう少し具体的な話を挙げてお聞きをしたいと思うのですが、公立小中学校の整備事業について見てみますと、私の地元の尼崎市というところがございますが、ここでは、父母や教員から、学校の施設を改修してほしい、建てかえてほしい、こういう強い要望があるにもかかわらず、市の計画にはのらないということがあるわけですね。調べてみたんですけれども、一つの学校の耐震診断だけで、学校の規模にもよりますけれども、五百万円かかる、こう言われるわけですね。実際に改修に入ろうといたしますと、これも学校の規模によりますけれども、私が伺った学校で、一校当たり最低三億円、最高のところは十億円かかる、こういうことでございました。ですから、これで国の補助率が二分の一になったとはいえ、市が単独で出さなければならないあとの二分の一というのが極めて大きな額になる、こういうことがございまして、緊急に整備するどころか、結局は計画にも上げないというようなことになっているわけです。

 耐震補強を必要とする建物は、大規模な改修をしなければならないものが極めて多いわけですね。ですから、尼崎では、その結果として、補強の必要な学校が、やらなきゃならない学校があるんですよ、ところが、その八割が残っているわけです、八割が。だから、圧倒的多数は、危険な校舎で学ぶということが今なお続いているわけですね。

 ですから、現行の国の補助率で自治体負担が重いままでは、整備の必要な公立小中学校あるいは公立盲学校の整備が終了するのは一体いつになるのか。これは文部科学省に伺いたいと思うんですけれども、いつになるのか見通しがおありになるんでしょうか。結局、国の補助率をもっと引き上げて、自治体の負担を減らさずにこの状況を続けるのだったら、本当に必要な整備は完了しないのではないかというふうに懸念されますけれども、文部科学省の方からお返事いただけますでしょうか。

矢野政府参考人 地震防災緊急事業五カ年計画の公立学校施設についての実績見込みは平成十二年度末で五千七十六校の予定でございまして、計画に対する進捗状況は六六%となっているわけでございます。こうした進捗状況につきましては、先ほどお話ございましたけれども、地方自治体の財政事情の悪化でございますとか、改築計画への変更等の理由によって計画が後年度に繰り延べされたことによるものというふうに私どもとしては考えているところでございます。

 そこで、次期五カ年計画でございますが、これにつきましては、公立文教施設につきましては、現行の計画内に実施できなかったもの、さらに新たに補強等事業を必要とするものを考慮しながら、これは最終的には内閣府を中心として取りまとめていただくことになるわけでございますけれども、現段階におきましては、それぞれの都道府県において次期計画のための準備が進められている、こういう状況にあるわけでございます。

 また、文部科学省といたしましては、予算面でございますけれども、学校施設の耐震性能の向上をより一層推進する必要がありますことから、次年度以降につきましては、法改正を待って、円滑な事業の実施ができるよう、かさ上げ措置分も含めまして、平成十三年度予算案におきましては、改築、耐震補強事業を中心にいたしまして、公立学校施設整備費といたしまして一千六百十九億円を計上いたしているところでございまして、これによりまして、市町村の整備計画に支障が生じないように措置をしているところでございます。

藤木委員 今のお話では、総額の予算としてはふやすおつもりのようですけれども、やはり具体的に一つ一つ事例を手のひらの上に乗せていただきたいというふうに思うんですね。今のお返事では、やはり阪神・淡路大震災の教訓を生かしたことにはならないだろうというふうに私は思います。公立の小学校、中学校あるいは公立盲学校などの必要な耐震改修が終了するのが結局いつになるのか、今のお返事ではさっぱりわかりません。これでは余りにもお粗末だと言わなければなりません。

 そこで、緊急事業に挙げられている事業は、どの事業も防災上緊急を必要とする、そういう事業ばかりです。しかし、今私が問題にしているのは、とりわけ子供たちが学ぶ場所です。ですから、大臣、特に子供たちの命に直接かかわりのある事業として、補助率をさらに引き上げるなどの特別の財政上の配慮を、先ほど御決意を述べられましたけれども、ぜひ進めていただくように、もう一度念を押してお聞きをしたいと思います。

伊吹国務大臣 先ほど申しましたように、これは基本的には事業主体は地方自治体でございますから、地方自治体の意向や国の財政事情も考えた中で、防災担当大臣としては、私はそのような方向で努力はさせていただきます。しかし、全体の国のバランスというものの中で内閣としては動かねばなりませんので、その点も国務大臣としては義務がございますので、両々バランスをとりながらやらせていただきます。

藤木委員 先ほど私、尼崎で補強の必要な学校のうち補強済みはわずか二割ということを申し上げましたけれども、そもそも全国の公立小中学校、公立盲学校などの現行五カ年計画で整備をするとしている学校は、整備を必要としている学校の何割をカバーしているのか、文部科学省、いかがですか。先ほどのお返事では、計画の何割が進んでいるということでしたけれども、計画は立っていないけれども直さなければならない、必要の学校、補強必要校、整備必要校の何割をカバーしているのか、御説明いただけますか。

矢野政府参考人 全国にどれくらいそういう耐震改修の必要な学校があるかということになるわけでございますけれども、これにつきましては、公立小中学校でございますと、まず市町村において耐震診断等の調査を行う必要がございます。その調査に基づいて、どれだけの学校について補強なり改修をする必要があるかということが出てまいるわけでございますが、そういう意味で、国としては、全国的なそういう状況は把握をいたしていないところでございます。

藤木委員 それでは、内閣府の方ではどのように把握していらっしゃいますか。

吉井政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の状況と同じでございますが、私どもといたしましては、現行の五カ年計画におきましてどのような措置が必要かということを各県からお伺いしてございまして、そういうふうな数字として把握しているところでございます。

藤木委員 結局、国としては、各都道府県から計画が上がってきていることに対して認定をするということで終わっているわけですね。ですから、本当に必要なのがどれだけあるかということをどこもつかんでいらっしゃらないということになりますね。

 私は、一号から十九号の緊急事業の重要性というのを各省庁が正しく認識をして、積極的に耐震補強や整備を必要とするものが一体どのぐらいあるのか、その実態を把握して、各都道府県がその事業を進めやすくする上で援助を行っていく、それが国の役割ではなかろうか、それがあってこそ、法の目的を達成するスピードアップが図れるだろうというふうに思うわけです。

 今回の省庁再編で防災対策部門が内閣府に設置されたということで、権限が強化されたというふうに言われているわけですから、内閣府として、防災上緊急に整備すべき事業としてふさわしく進捗しているのか、数字上だけではなくて実態をつかんで、その推進に当たっていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

山崎大臣政務官 お答え申し上げます。

 いわゆる公立の小中学校等の施設に限らず、これまで以上に計画的にこれからやっていかなければいけないという認識は持っております。そういう意味で、次期五カ年計画の作成に当たりましては、長期的な整備目標の設定をしていただく、各施設の整備状況を把握していただく、地震防災上の整備の必要性、緊急性というものを明確にしていただく、そういった中で、それぞれのところで五カ年計画に、各都道府県ということでございますが、明記していただくように、昨年四月に通知したところでございます。今、各都道府県では、これに基づいた計画の策定作業が進められていると承知してございます。

 これに対して、計画が策定されましたら、内閣総理大臣の同意を得てということになっておりますので、その時点で、内閣府としては各都道府県の実情というものを把握できるものと考えております。

 また、ことしの一月の中央防災会議におきまして、内閣総理大臣の方から、防災施設等の整備を初めとする地震対策状況の再点検を行いなさいという御指示がございました。そして、地方公共団体、関係機関等と連携を密にするための協議を行いまして、実効性ある広域的防災体制を確立していきなさい、こういう御指示もございましたものですから、そういった意味で、先生のおっしゃられたようなことに対して我々としては努力しているという形で、これからもやっていきたいと思っております。

藤木委員 今の御答弁の中で、再点検というお話がございましたね。再点検というからには、この建物は本当に耐震改修が必要かどうかという診断が必要だというふうに思うんですけれども、それも含めて点検されますか。

山崎大臣政務官 今、私が使いました再点検というのは、内閣総理大臣から、各防災施設等の整備を初めとする地震対策の状況、このことがどうなっているかをもう一回点検しなさいということでございまして、個々具体的な建物について、全部もう一回診断をやり直しなさいという意味ではございません。

藤木委員 やはりおかしいですよ。防災対策が適切にやられているかどうかを点検する場合に、やらなきゃならない事業がどれだけ残っているかということがわからなければ、本当の点検にはならないというふうに思うんですね。

 これからお話ししてまいりますけれども、整備の必要な学校の数さえわかっていないわけですよ。今お聞きになりましたでしょう。文部科学省自身が、整備を必要としている学校がどれだけあるかというのはわからない、自治体に任せてある。なぜわからないのか。自治体が耐震診断を受けていないからですね。その事情があるわけです。

 耐震診断は、学校の場合、耐震改修とセットになってやることになっているんです。改修をするということを条件にして診断を行うことになっているわけです。ですから、初めから予算がないということになりますと、とても改修には手が出ない。診断をすれば改修の必要性があるという結果が出てくるかもわからないということがわかっていても、診断を受けないでいる。こういう状況が実は広がっているわけですよ。だから、文部科学省がつかめない。なぜ尼崎はできているかというと、阪神・淡路大震災を受けた直接の被害地ですから、これは特別な措置として、耐震診断を一斉にやったわけですね。だからわかったわけですよ。私は、そのまずわかるということが必要だということをここで申し上げているわけです。

 ですから、この際、耐震診断は耐震改修とは切り離して、セットではなくてもできるという取り扱いをぜひやっていただきたい。その際、耐震診断を国の負担で行っていただければ一番いいのではないか、このように私は思っておりますが、文部科学省、いかがですか。

矢野政府参考人 お尋ねの耐震診断の経費についてでございますけれども、これにつきましては、私ども、国と地方の役割分担、経費分担という観点に立ちまして国庫補助を行っているところでございまして、耐震診断につきましては、各地方公共団体の判断で、単独でやる場合でございますけれども、適時適切に実施していただくことが必要であると考えているわけでございます。

 ただ、補強事業等の申請があった際には、耐震診断費等につきましても、現在、補助対象にしているところでございまして、さらに、この計画が始まります平成八年度以前は、補強事業実施年度の前々年度までに行った耐震診断の調査に要した経費を補助対象としていたわけでございますけれども、この計画が始まりました平成八年度からは、地震防災緊急事業五カ年計画に計上されております耐震補強事業を計画期間中に実施する場合は、計画期間に行った耐震診断でございますれば、それは補助の対象としているところでございます。

藤木委員 私は、そんなことを申し上げているんじゃないんですね。実態をつかまないで耐震改修を本当に進めていくことができるのか、放置しておいていいのかという問題なんですよ。

 ですから、省としてそれは余りにも無責任じゃないですか。あなたたちが担当している省の、子供たちが学ぶ場所ですよ。そういうところが危険にさらされていても、結局、今のお返事だったら、いつまでもそのまま放置しておくという無責任ぶりを述べられたとしか言いようがないというふうに私は思いますね。

 耐震診断について、全額国の負担というのは、確かに難しいかもわかりません。ですから、補助率についてはいろいろあると思います、先ほど大臣が言われたように、これを三分の二にするとかという方法はあると思います。ともかく、一体にやらなければならないというやり方を改めて、せめて耐震診断だけでも補助金が出るというやり方をぜひ進めていただきたいと思うわけですよ。そうすれば、整備の必要な学校数について、国としても責任を持って把握できるような、そういう状況を切り開いていくことができるのではないかと思うのですが、大臣、どうですか。切り離して、診断だけでも補助の対象にするということをぜひやってください。

伊吹国務大臣 これは、先生の情熱とお気持ちは私はよく理解しますけれども、地方分権がどんどん進んでいく中で、学校については、事業主体はあくまで地方自治体なんですよ。そして、その学校を建てるについて、国は補助をするという立場なんですね。ですから、かさ上げをしてほしいという、つまり三分の一じゃなくて二分の一にしてもらいたいというときは、補助の申請として、二分の一にするべき証明を出さないといけないわけですね。だから、地方自治体がその調査をするという建前になっているわけなんですよ。

 だから、先生の御指摘のように、国がすべてを調査するとか、補助金を出して一律的に調査をさせてみるというのは、それは一つの方法かもわかりません。しかし、それはあくまで地方が学校を建て、地方がコミュニティーとして教育に責任を持ちながら、国が大きな指針を出していくという形で我が国は動いているわけですから、これは全体の補助体系とか事業主体とか地方分権とかという、そもそも論にかかわることでございますから、ちょっと私も、今すぐに即答はできません。

 しかし、防災担当としては、全体としてどの程度の危険があるのか、地方はなかなか財政状況が大変だから出してこないのかというような調査は、文部科学省の方としてできるかどうかというのは、私から文部科学大臣に話してみたいと思います。

藤木委員 ぜひ努力をしていただきたいというふうに思いますね。

 今、防災大臣としては、どれだけ本当に危険箇所があるのか、そういうことは手のひらに乗せておきたいんだというお気持ちはそのとおりで、それがやはり必要だというふうに私も思うんですね。文部省もそう望んでいなければならないと思うわけですよ。だからこそ、四百八十八の地方自治体からそういう意見書が上がってきているわけですからね。

 対象事業の拡大に関連して、もう一つ伺いたいことがございます。

 高速自動車道をまたぐ一般道路の橋梁がございますけれども、これは跨道橋と呼ばれていますが、この跨道橋の耐震補強について、国土交通省の担当課に伺いましたら、ことし一月末の時点で補強が必要な橋梁は八百六十八橋ある、一九九九年度末の対策済み橋梁数は百十橋、わずか一割強でしかないわけです。この跨道橋の場合、それ自体が緊急輸送道路には指定されていない場合がございます。そういうときは一般道路整備事業になってしまいます。高速道路の上をまたいでいるという橋の形態上からいうならば、その下を通っている高速道路そのものに被害は全くなくても、跨道橋が地震で崩れ落ちるというようなことになりますと、これはもう大変な被害が出るわけですね。本当に必要な輸送もできませんし、全く高速道路の通行どめという事態を招くことになるわけです。

 そこで、跨道橋そのものを緊急輸送道路に指定して対象事業とすることが必要だと考えるのですけれども、国土交通省はどのようにお考えでしょうか。

大石政府参考人 高速道路が、今先生御指摘のとおり、地震発生時にきちんと機能するということは極めて重要でございます。高速道路が地域の枢要な交通インフラとして発災時に迅速な救援活動あるいは復旧活動に資するという観点を見てみますると、先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、高速道路をまたぐ跨道橋につきましては、高速道路の安全性、機能維持のため、耐震性を確保することが極めて重要であるという認識を持っております。

 したがいまして、各都道府県が策定する地震防災緊急事業五カ年計画に位置づけられた緊急輸送を確保するために必要な道路というものについての跨道橋の耐震性の向上以外にも、計画的に耐震補強等の対策を推進いたしておるところでございます。

 このため、高速道路をまたぐ跨道橋は全国全体で三千三百九十三ございますが、阪神・淡路大震災における被災状況から判断いたしまして、平成十二年度末現在において補強が必要とされる橋梁数は、現在は七百二十八橋でございますが、七百二十八橋に関し、震災補強工事に要する費用について国による助成措置等を講じているところでございます。これによりまして、平成十四年度末までには、例えば東名高速道路におきましては九六・七%の耐震補強が完了いたしますが、全国全体の高速国道をまたぐ跨道橋につきましては、その九〇%に当たる三千五十八橋が所要の耐震性を有することとなる見込みでございます。

 しかしながら、相当数の橋梁が残るわけでございますので、平成十二年度には、落橋防止装置等の工事を行った箇所は、跨道橋につきまして三十カ所でございましたが、平成十三年度の要求では、百六十カ所の要求をさせていただいておるところでございます。

藤木委員 今年度の予算に組み込んで、今回の五カ年計画に組み込んで実施をする、そのおつもりでいらっしゃるということを述べられたものだと思います。ですから、そういった新たに必要な事業というのは、この事業拡大に含めていただきたいというふうに思います。

 もう時間がございませんから最後に、前回の委員会でも私、指摘したのですけれども、現に災害で苦しんでいる被災者に対する生活の支援、これが国の責任で全うできますように、阪神・淡路大震災の被災者が六年たってもまだ自立再建の見通しもないという方を多く抱えているわけですが、その実態を踏まえて、被災者生活再建支援法の抜本的な改正をも直ちに行うべきだということを改めてつけ加えさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党・市民連合の菅野哲雄でございます。

 私は、ただいま趣旨の説明がありました地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案の起草に際し、意見を表明いたします。

 阪神・淡路大震災発生から六年余りの月日が経過した今日においても、地震防災に対し対策強化を図ってほしいという国民の要望は強く残っております。しかしながら、国や地方の財政赤字と相まって、この五年間の進捗は十分と言えない状況であります。防災体制を先延ばしすることによって、国民の生命、身体及び財産を保護するという、いつ来るかわからない地震災害への備えがおくれてしまいます。今後、地方自治体と緊密な連携をとりながら、国と地方自治体相まって協議を繰り返しながら防災体制を強めていただきたいと強く要望いたします。

 また、地震調査研究推進本部の組織強化についてであります。

 内閣府に中央防災会議が設置されました。防災対策に対する内閣府の役割は大きなものとなっておりますが、関係省庁あるいは各地方自治体との連携、協調を密にしながら、十分な役割を果たしていただきたいと考えるものであります。

 また、地震防災対策と密接なかかわりがあるのが津波防災対策であると考えるものであります。この津波防災対策について、各地方自治体の自主的な取り組みが今日行われております。このような取り組みについても、各自治体との連携あるいは情報収集を進める中から、津波防災対策についても十分な配慮をしていただきたいと思うものであります。

 本法律案が持つ意味を十分かみしめていただいて、今後、計画達成の速やかな実現が図られるよう、国、地方挙げて取り組まれることを強く要望いたしまして、意見の表明といたします。

赤羽委員長 これにて発言は終了いたしました。

 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。伊吹防災担当大臣。

伊吹国務大臣 まず、本法律案の提出について、委員長初め議員各位の御努力と御熱意に敬意を表したいと思います。

 政府といたしましては、本法律案については特に異存はございません。本法律案が成立いたしますれば、その趣旨とそれから当委員会での御審議を踏まえまして、適切な運用に努め、地震防災緊急事業五カ年計画に基づく事業が速やかに達成されますよう、政府として努力をいたしたいと思います。

赤羽委員長 お諮りいたします。

 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しております起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 有珠山の火山活動及び対策状況等調査のため、委員を派遣することとし、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十九分散会




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