衆議院

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第6号 平成13年4月12日(木曜日)

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平成十三年四月十二日(木曜日)

    午前八時二十分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 小野 晋也君 理事 田中 和徳君

   理事 萩山 教嚴君 理事 宮本 一三君

   理事 奥田  建君 理事 古川 元久君

   理事 西  博義君 理事 山田 正彦君

      岩倉 博文君    大島 理森君

      岸田 文雄君    阪上 善秀君

      高木  毅君    武部  勤君

      谷畑  孝君    西川 京子君

      林田  彪君    堀之内久男君

      松下 忠洋君    三ッ林隆志君

      山本 幸三君    吉田 幸弘君

      井上 和雄君    後藤  斎君

      武正 公一君    中津川博郷君

      中村 哲治君    藤村  修君

      前田 雄吉君    三村 申吾君

      山田 敏雅君    河合 正智君

      斉藤 鉄夫君    佐藤 公治君

      塩川 鉄也君    春名 直章君

      金子 哲夫君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当大臣)     伊吹 文明君

   内閣府副大臣       坂井 隆憲君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   内閣府大臣政務官     山崎  力君

   総務大臣政務官      滝   実君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   吉井 一弥君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木 康雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電

   気通信事業部長)     有冨寛一郎君

   政府参考人

   (消防庁長官)      中川 浩明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教

   施設部長)        小田島 章君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局水道課

   長)           三本木 徹君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    中村 利雄君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            風岡 典之君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   衆議院調査局第三特別調査

   室長           柴田 寛治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     佐藤 公治君

  春名 直章君     藤木 洋子君

  金子 哲夫君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 公治君     黄川田 徹君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  牧  義夫君     井上 和雄君

  牧野 聖修君     山田 敏雅君

  河合 正智君     斉藤 鉄夫君

  黄川田 徹君     佐藤 公治君

  藤木 洋子君     春名 直章君

  菅野 哲雄君     金子 哲夫君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 和雄君     牧  義夫君

  山田 敏雅君     牧野 聖修君

  斉藤 鉄夫君     河合 正智君

  佐藤 公治君     黄川田 徹君

  春名 直章君     藤木 洋子君

  金子 哲夫君     山内 惠子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成十三年芸予地震被害状況)

 派遣委員からの報告聴取




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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 本日は、特に平成十三年芸予地震被害状況について調査を進めます。

 去る四月四日、平成十三年芸予地震被害状況調査のため、広島県に委員派遣を行いましたので、この際、私が派遣委員を代表いたしまして、調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党の小野晋也理事、民主党・無所属クラブの奥田建理事、公明党の西博義理事、自由党の佐藤公治委員、日本共産党の春名直章委員、社会民主党・市民連合の金子哲夫委員、そして私、赤羽一嘉の七名であります。

 また、自由民主党の谷川和穗議員、公明党の斉藤鉄夫議員が現地参加をされました。

 まず、芸予地震及び被害の概要についてでありますが、去る三月二十四日十五時二十八分ごろ、安芸灘を震源とするマグニチュード六・四の地震が発生し、広島県河内町、大崎町及び熊野町で震度六弱を、瀬戸内海の周辺各地で震度五強を観測いたしました。

 このため、広島県と愛媛県を中心とする瀬戸内西部一帯に多大な被害が生じました。

 広島県におきましては、一名の方が亡くなるなどの人的被害が出たほか、家屋、水道施設、道路、港湾、学校、文化財、農林地などに甚大な被害が発生いたしました。

 広島県全体の被害状況は、四月三日現在、人的被害が、死者一名、重傷者二十三名、中軽傷者百六十九名であります。

 住家被害は、全壊二十五棟、半壊百二十六棟、一部破損等二万二千百八十七棟であります。

 概算被害額は、公共土木関係二十九億円、農業関係十二億円、林業関係六億円、水産業関係七億円、教育・文化財関係四十七億円、福祉・衛生施設関係十一億円、商工業関係四億円など、合計約百十六億円に上っております。

 なお、災害救助法が広島市など三市十町に、被災者生活再建支援法が呉市に適用されました。

 震度五強を観測し、とりわけ被害が大きかった呉市につきましては、四月三日現在、人的被害が、死者一名、重傷者十一名、軽傷者六十五名、住家被害は、全壊二十棟、半壊五十二棟、一部破損六千九十棟であり、被害額については、その大きさから、現在も調査中という状況であります。

 この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 それでは、調査の内容について御報告申し上げます。

 まず、広島空港において、藤田雄山広島県知事を初めとする関係者から、被害状況の説明等を聴取いたしました。

 引き続き、災害復旧予算枠の確保、災害査定の早期実施、災害復旧に要する経費に対する財政援助、災害関連緊急事業の採択、中小企業の被災者に対する災害復旧資金としての長期低利融資の確保等について、要望がなされました。

 また、派遣委員から、発災時の国の対応、いわゆるライフラインの被災・復旧状況、通信確保の重要性、被災者に対する県の支援措置、教育施設の被害状況、児童生徒の心のケア対策等について発言があり、意見交換を行いました。

 その後、呉市へ向かいました。

 呉市役所では、小笠原市長から被害状況の説明を聴取し、引き続き、二次災害発生のおそれがある民間所有の人工擁壁復旧に対する制度創設、二次災害発生のおそれがある被災家屋等の強制撤去制度及びその支援制度の創設、がけ地近接等危険住宅移転事業制度の補助金限度額引き上げ等について、要望がなされました。

 また、派遣委員から、避難勧告の実施状況、将来の安全を配慮した今後の都市計画のあり方、二次災害の危険が指摘されている民有地の取り扱い、地域コミュニティー確保の必要性等について発言があり、意見交換を行いました。

 次いで、呉市内の被災の実情を視察いたしました。

 市内には、屋根がわらの崩落した家屋も多く、防水のためのブルーシートが点在する光景が見られました。

 また、呉市の地形は、三方は山で囲まれており、すり鉢状の斜面に民間所有の石組みの擁壁により造成した土地に、住居が階段状に建設されております。こうした土地利用の特徴から、今回の地震により、石組みの擁壁の崩壊・ひび割れが各所で発生しておりました。

 派遣団は、特徴的な被災箇所として、市内両城二丁目の私立第一保育所を視察いたしました。同保育所は、上部住宅の石組みの擁壁が倒壊し、下にあった幼児の手洗い場等に岩石が直撃し、土砂が流入しております。幸い幼児は不在であったため建物被害にとどまりましたが、破損箇所は同保育園の二階遊戯室の壁面まで及んでおります。

 さらに、派遣団は、擁壁の復旧工事の様子を視察いたしましたが、廃土や器材等の搬出、搬入の通路が階段となっている上、住居が擁壁に近接しているため、重機の利用が困難であり、人手のかかる工事であることがうかがえました。

 余震や降雨によるさらなる擁壁倒壊の危険があり、現在、ブルーシートによる防水措置が施されておりますが、早急に何らかの措置が必要であること、地域社会の維持にも配慮した被災箇所の修復・復旧に加え、今回の災害の教訓を生かした市としての復興計画が望まれると痛感をいたしました。

 また、派遣団は、隣接建物のブロック壁の一部が崩壊しその直撃を受け一名が死亡した、市内本通五丁目の事故現場に立ち寄り、私が派遣団を代表して弔意を表しました。

 以上が調査の概要でありますが、私どもは、この調査を通じまして、現地の一日も早い復旧復興がなされるよう、力をいたす決意を新たにしたところでございます。

 報告を終えるに当たりまして、改めて被災された多くの皆様に心からお見舞いを申し上げ、復旧復興対策に尽力されておられます関係者各位に対し深甚なる感謝を申し上げる次第でございます。

 また、今回の調査に御協力をいただきました広島県及び呉市の皆様に心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 広島県及び呉市からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官吉井一弥君、総務省大臣官房審議官鈴木康雄君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長有冨寛一郎君、消防庁長官中川浩明君、文部科学省大臣官房文教施設部長小田島章君、厚生労働省健康局水道課長三本木徹君、中小企業庁長官中村利雄君、国土交通省総合政策局長風岡典之君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、国土交通省道路局長大石久和君、国土交通省住宅局長三沢真君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田敏雅君。

山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。

 質問を始めるに当たりまして、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

 まず最初に、国土交通省にお伺いいたします。

 今回の地震に関して、被災された方に対する、被害に対する、どのような基本的な立場でお臨みになるのか、その決意を少しお聞かせください。

高橋副大臣 ただいま先生から芸予地震の呉市の被害対応方針についてお尋ねがございました。

 三月二十四日に中国・四国地方を中心として発生いたしました芸予地震によりまして二名の方が亡くなられたことを心よりお悔やみ申し上げます。それとともに、被害に遭われました方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。

 国土交通省といたしましては、三月二十五日に今村大臣政務官を広島県に派遣いたしまして調査を行うとともに、災害査定官や専門家を現地に派遣し、技術的な指導を行ったところでございます。また、被災された方々への生活支援として、公営住宅の一時提供や住宅金融公庫の災害復興融資を措置したところでもございます。

 呉市におきましては、人工擁壁が崩壊し、二次災害の懸念もありますために、早期復旧等の要望を受けたところでございます。

 国土交通省といたしましては、被災地域の早期復旧復興が図られますように、広島県や各市町村と連絡を密にして取り組んでまいる所存でございます。

山田(敏)委員 私どもも被災地を回りました。そして、住んでいらっしゃる方に一人一人意見をお伺いいたしました。

 先ほどの委員長の報告にもございますように、今回の地震で最も要望の強い点がございます。それは、民間の家屋が非常に急斜面に建っておりますので、各家庭の方は擁壁をつくっていらっしゃるわけですね。それが崩れたり、ひびが入ったりという状況が今現在起こっております。これに対して、国はこれを補助する方法がないというお答えでございます。これはもちろん個人の持ち物でございますけれども、非常に急斜面に建って、下にずっと住んでいらっしゃる。そこにまた余震がある、あるいは大雨が降るということで、被災に遭われていないおうちの方も、一刻も早く引っ越しをしたい、こういうふうに申されました。これは非常に心理的に不安要因が多いわけですね。この人工擁壁を一刻も早く復旧しなきゃいけないわけです。

 ここに住んでいらっしゃる方に皆さんもちろんヒアリングされたと思うんですけれども、四百万円かかります、家屋を撤去するのにさらに三百万かかりますと。ひとり住まいのお年寄りの方に七百万とか八百万を今から融資して、人工擁壁を、下の方に御迷惑がかかるし二次災害のおそれがあるからやりなさい、こういうのが今、国の立場でございます。

 そこで、高橋副大臣、この人工擁壁を復旧するというケースは、阪神大震災のときには国は認めて、これは国が行いました。半公共的な、そして特例を認めて、やりました。この呉地区の一部、非常に急斜面の特殊な地区です。数もたくさんありません。予算的にもそんな大きな負担ではありません。ここに特例を認めることは、国において何か不都合があるのか。原理原則を振り回して、今住んでいらっしゃる方、そして被災に遭われていないけれどもその下にずっと住んでいらっしゃる方が、一刻も早くこの地区から全部引っ越してしまいたいと言っている状況において、型どおりの事務的な考えでこれをやっていくということは、いかにも人間的でない、国の行政としておかしいのじゃないでしょうか。

 高橋副大臣、お答えください。

高橋副大臣 今先生のお話でございますが、この急斜面の建物というのは、かつての軍時代の公舎的な住まいだったというふうにも聞いておりますし、中に住んでいる方もお年寄りが多いというふうなことも聞いております。そういうふうなことで、今鋭意、県とか市町村と連絡をとっておりますので、詳しくは河川局長から御答弁させます。

竹村政府参考人 詳細について私の方からお答えさせていただきます。

 現在、呉市の調査が終わり、広島県で調査の結果を取りまとめてございます。来週にでも私どもに報告があるのではないか、そのような状況にございます。

 ですから、現時点ではまだ確定したことは言えませんが、従来、国土の七〇%が山地であるこの日本国で、大変災害が多いということで、国会の審議を経まして、法律に基づきまして、急傾斜地等の崩壊による災害の防止に関する法律、昭和四十四年からこの法律が施行されまして、私ども鋭意、災害に応じた対策をやってきたわけでございます。

 この中の基本的な考え方としましては、もう先生も御指摘がございましたが、人工斜面の所有者がきちんとそれを保管しなければいけない、または災害防止に努めなきゃいけないという考え方が貫かれておりまして、阪神におきましての特例措置は、法律に基づきまして、阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律という法律に基づきまして、総理大臣を本部長とする中で決められた特例措置が確かにございます。

 ただし、これは法律に基づいたやり方によって阪神が対応したということをぜひ御理解願いまして、今度、呉の被害につきましては、阪神・淡路と比べましてどのようなものか。私どもは、まだ推定でございますが、大幅に阪神との比較はできないほど、阪神・淡路の被害は大きく壊滅的なものだったと認識してございます。

山田(敏)委員 法律に基づいてやったということでございますが、その法律をつくったのは政治家じゃないのでしょうか。政治的な判断がなければ、このようなことは特例としてできないのですよ。だから副大臣に答えてくださいと私は申し上げたのです。

 今おっしゃったように、ひとり住まいのお年寄りが多い。そして現実に、融資制度がありますよ、あなたの責任でやりなさい、七百万出しなさいと言ったら、皆さんここは全部引っ越して、もうだれもいなくなりますよ。そして、その下に住んでいらっしゃる方も、町も、どうなるのですか。

 今の行政の役人の方のお答えを聞いて、政治家が政治的な判断をして、この被災地の非常に悲惨な状況を救わなきゃいけない、これが政治家じゃないのでしょうかね。高橋副大臣、どうですか。

高橋副大臣 現実的には私も、あのがけ地での被災を受けた家屋の廃材といいましょうかごみのような問題は、マンパワーで下までおろしているのも写真でも見ましたし、人からも聞きました。こういう点では大変同情をいたしております。

 ただ、今、法律は政治家がつくるとおっしゃいましたが、法治国であるだけに、慎重に調査をして、対処する方法を探っているところでございますから、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。

山田(敏)委員 三月二十四日に震災がありまして、その報告は、先ほどのお話では来週出ますと。四週間近くたっている。さらに、それを聞いてこれから検討します。では、もう六月になって梅雨が来て、そのころはまだ検討しています、そんなことをやる政府があるのでしょうかね。

 検討はやる、報告は受けます、それはいいのですけれども、では、それを前向きにやるのか、後ろ向きにやるのか、それを答えてください。副大臣、お願いします。高橋副大臣。

竹村政府参考人 現在私ども、広島県から報告を受けてございません。早々に広島県から調査の結果を取りまとめて、どのような被災の状況なのかをきちんと把握した後に、さまざまな手法等を私ども関係省庁と議論していくわけでございまして、その点についてはお答えできないというのが現時点の状況でございます。

山田(敏)委員 知事からも呉市長からも二週間前から要望書が出て、被害状況についてという報告書も来て、これは呉市は四月三日に出しているじゃないですか。県はもっと早く出ていますよ。報告は来ていませんというのはどういうことですか。それは本当のことですか。

 それと、今の、報告を受けてから、報告を受けてからと、私がお聞きしたいのは、政治家として、国民の代表として、高橋副大臣、これは前向きにやるのですか、後ろ向きにやるのですか、それを言ってください。

高橋副大臣 過般、私はほかの委員会に出ておりまして留守でしたが、呉市長からの陳情は受けたようでございますが、その後、調べますと、県として正式に要望というふうなことは受けておりません。そして、二、三日前、伺いますと、県議会で質問を受けた知事は、鋭意市町村と協議して国とも交渉したい、こういう御発言があったやに聞いておりますが、この点は確認しておりませんが、私の耳にはそういうふうに入っておりますので、私どももじんぜんと時を過ごしているわけじゃございませんので、いましばらく御猶予をいただきたい、これが先ほどから申し上げている真意でございます。

山田(敏)委員 それでは、高橋副大臣は呉市の四月三日というこの報告書はごらんになっていないということですか。

 では、次の質問、私は第二問といたしまして、副大臣、今被害の状況、報告は受けていないということですけれども、もちろん地震の被害の状況等を御存じだというような発言がございました。それを踏まえまして、報告がどういうものであれ、一応もう既に被害の状況を御存じだということであれば、今、人工擁壁について個人がもうできない、そして二次災害が起こる、しかも呉市の特殊な地形、それから予算的に見ても国がそんな大騒ぎするような、これをやったからあちこち全部やる、そんな話じゃないので、これは政治家の裁量で、特例をやろうと言えばできるはずですから、それを前向きにやるのか、やらないのか、それだけ答えてください。大臣にお答えしていただきたい。

竹村政府参考人 阪神・淡路のときでございますが、一月十七日に震災が起きまして、四月に私どもそのような特例措置をやったわけでございますが、その間、さまざまな調査をし、把握をして、きちんとしたデータに基づきまして、関係省庁と法的な面も含めて議論したわけでございまして、私ども現在、決して調査が立ちおくれているとか、検討が進んでいないということではなくて、懸命にやっている最中だということでございます。

山田(敏)委員 ここは災害対策特別委員会です。災害に遭われた方の声を代表してこの国会の場で一番有効な議論をしよう、そういう場ですから、私が聞いた質問に答えていただかないと、この審議は進まないんじゃないですか。やめた方がいいんじゃないですか。高橋副大臣、いかがですか。

 今、阪神大震災では、検討して、そしてデータを踏まえて、そして特例をもって個人の人工擁壁を国によって補助した、こういう事実があるわけですから、それについて大臣はどう思われますかという質問ですから、それに答えていただかないと、ここの審議は要らないんじゃないですか。

高橋副大臣 先ほど申し上げましたように、私は報告は受けていませんが、お気の毒だということで、私は報道でそういう写真を見たり、そういうふうなことで個人的に対処しているわけでございまして、前向きとか善処とか、そういうことを離れて、役所としての正式な態度を決めるにはもう少し時間をいただきたい、そして御苦労かけている方々には、御苦労かけていることに対して恐縮しているというのが現状でございます。

山田(敏)委員 大臣が、私は報告を受けていません、知りません、新聞しか知りません、これは職務怠慢じゃないですか。これは大問題だと思いますけれども、そんな状況でこの災害特に出てこられたということはどういうことなんですか。もう役人に全部任せれば何も要らないということですか。私たちは、国民の代表として議論をするためにここに来たんですよ。それについて。

伊吹国務大臣 今、先生と事業を持っております国土交通省との間のいろいろなお話を伺いましたが、まず事実関係をちょっとはっきりしておかなければいけないし、またこちらから申し上げねばいけないこともあります。

 阪神・淡路大震災のときは、おっしゃるとおり、擁壁について特例として補助制度を認めているということは事実です。しかし、それはあくまで、その擁壁が下にある道路あるいは公益、こういうものに対してその崩落あるいは擁壁の崩壊が大きな影響を及ぼす場合という法律になっています。

 つまり、我が国は、憲法上の規定によって私有財産権という権利を認めているだけに、その権利の裏側にある義務というものをお互いに果たしていくというルールによって成り立っているわけですね。ですから、自然災害というだれにも原因のないことによって起こった場合の対応というのは非常に私は難しいと思います。大規模であればそれでは認めるのか、小規模であれば認めるのか、気の毒な状況であれば認めるのか、一人であれば認めないのか、いろいろなことがあります。だから、やはり統治というか国というものは、一定の原理というものだけは大切にしておかなければならない。しかし、その中で、優しさがなければ政治をやっている理由、意味がないというのは、先生おっしゃるとおりでしょう。

 したがって、知事の方も先般私のところへ来られまして、県費でもって融資の場合の利子補給をいたしますから、移転その他の枠を拡大するというような措置を住宅金融公庫で講じてくれませんか。つまり、御本人には負担がかからない、返済の義務は将来的に土地の処分その他によって行われるかもわからないけれども、金利は県費ですべて利子補給をして負担するから、そういう措置もひとつ考えてみたい。それから、今の制度の中で何かうまいやりとりができないのだろうかということを考えてもらえないかというお話がありましたから、私から国土交通省の方へ、政策統括官を通じて、そういういろいろな今の制度の中でとりあえず知恵を絞れないのかということをお願いしてありますので、いずれその結論が出ると私は思いますから、法改正によって一般的な我が国を統治していくルールを変えるというやり方がいいのか、それとも行政の範囲の中でできるのがいいのか、それは今国土交通省で検討していると思いますから、その点は、法律でということはちょっと待ってください。

山田(敏)委員 それでは、今の御発言をまとめますと、人工擁壁について、その下に道路とか公共のものがある場合は原則認めた、その考えがあるということですね。(伊吹国務大臣「阪神・淡路の法律でね」と呼ぶ)わかりました。呉市の場合は、がけの下に道路がありますから、これは原則として認める可能性がある、こういうことでよろしいですね。

伊吹国務大臣 これは、先ほど来先生の御質問にあったように、上の擁壁が壊れればその下に住んでおられる民有地の人がお困りだという質問をしていらっしゃるのでしょう。だから、それは下にあるのはあくまで私有財産なんですよ。

 私が阪神・淡路大震災のときの例として申し上げているのは、阪神・淡路の特例法によって認められたのは、擁壁が壊れることによって下の道路が使えなくなって、結果的にその道路をつくるという公益が著しく侵される場合に、特例法をもって私有財産である擁壁の改修についての制度をつくったということなんですよ。

山田(敏)委員 わかりました。今のお考えで、私も現場を見ましたので、道路がかなりずっと続いておりますので、その擁壁についてはそういう考え方があるということで理解いたします。その点で、特例を認めていただける方向で、ぜひお願いしたいと思います。

 最後の質問ですが、三原市、今融資の話がございました。住宅金融公庫で融資をやりますと利子を援助します。ところが、融資ですから融資条件があります。例えば、この制度を利用するには、もちろん被災証明が要るんですが、そのほかに返済額の四倍以上の収入があるという条件がある。もちろん、お金を借りるわけですから、法律に基づいてその条件があります。あるいは、住宅整備資金貸付制度というのがあります、こう新聞に書いてあります。これはいいことなんです。ところが、実際にそれには条件があります。対象になる人は六十歳未満の市民です。そうしたら、これは六十歳以上はだめです。こうやってやりますと、三原市のケースで、中国新聞の四月七日の記事によりますと、十七軒半壊しておる、そのうち半数程度しか、まず対象にもならない。

 対象になって、もっと問題なのは、最初に申し上げましたように、融資を受けたいという気持ちには全くなりませんと言っているんですよ。今から七百万も借金をして擁壁を直して、住宅を取り壊して、その費用を、七十歳になってそのような融資を受けてこれから返済していきましょう、そういう気持ちにはなりませんと言っているんですよ。

 その点について、今の法制度や今の枠組みでは、これはできないんですよ。これを考えるのが政治家の仕事なんですよ。伊吹大臣、いかがですか。

伊吹国務大臣 先ほど来申し上げたように、国というのは一定のやはりルール、規範によって動いているわけですから、それを曲げることについては、国会の最終的な御判断というものはもちろん必要でしょう。しかし、それについて、その法律を出すについて、閣法で出してもいいし、もちろん民主党がお出しになったって構わないんですよ。構わないけれども、そのルールを曲げるに、国が基本的な権利義務という関係、私有財産を認めている、そのかわり私有財産の管理の義務は私人が負うというルールによって成り立っているということを大きく変更するについては、それだけのやはり国民的な合意あるいは災害の大きさ、そういういろいろなものが関係してくるわけですから、したがって、その範囲の中でやれる方策があるのかないのかを考えるということを私は先ほど来申し上げているんです。

 お気の毒だということはわかります。しかし、お気の毒だということですべてのルールを曲げてしまったら、みんな気の毒だということはだれにでもあるわけですよ。

 ですから、これは国、国家というもの、あるいは政府というものに対する国家観あるいは考え、いろいろ先生の政党と我々の政党とは違うかもわかりませんが、基本的なルールの中で最大限の配慮をさせていただくということを私は申し上げたいと思います。

赤羽委員長 山田委員に申し上げます。

 時間がもう既に五分超過しております。これで終了していただきたいと思います。

山田(敏)委員 はい、わかりました。

 そんな話はだれでも知っているんですよ。憲法があります、法律があります、ルールがあります、それにのっとってやりましょう、それを変えるときは特別の、そんな話はだれでも知っているんですよ、言われなくても。そこを、もっと実情を知って、今の呉市の人たちあるいは三原の人たちの本当の実情を知ったら、これを何とかしようという気持ちにならないんですかと言っているだけなんですよ。

 質問を終わります。

赤羽委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。本日は、こういう機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 また、このたびの地震におきましてお亡くなりになりました方々、御家族の方々に対して深くお悔やみを申したいと思います。また、被害に遭われました皆様方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。そして、今復旧復興に御尽力をいただいている皆様方には心から感謝と敬意を表させていただき、質問に入らせていただきたいと思います。

 本日は、正直言いまして、二十分という時間で議論がそんなにできるとは私は思いません。ですので、私、広島が地元でございまして、まさにこの地震のときに三原というところにおりました。この実体験、また私が本当に感じたこと、そして意見と皆様方に対する御提案、それを受けまして、時間がありましたら、皆様方からのいろいろな御所見をお伺いができればありがたいかと思います。

 私は、東京からの来客三家族とともに三原のホテルで、六階でございました、昼食をとりまして、その後、先にレストランを出て車に乗ってすぐさま、三原港の横の国道二号線に入ったところで、この地震に遭いました。私は、本当に目を疑うというか、うそであればいいなというような思いで、目の前を見ますと、目の錯覚でなければ、道路がゆがんだ波打ったような状態が私には見えました。そして、周りの建物がかなり揺れることにより、横の歩道にいらっしゃった老夫婦の方が地べたに座り込んでおびえている姿が印象的でございました。

 私は、先ほど別れた家族が心配だったもので、おじいさん、おばあさん、子供たちもたくさんいたので、すぐさまホテルの六階の方に戻りましたが、エレベーターは当然使えませんでした。では、非常階段を使って上がろうと思っても、非常階段を探し、そして上がるためにはやはり時間がかかりました。外からの非常階段は当然かぎがかかっているところも多く、上に行くこともできない、そんな状態の中でやっとのことで、二十分以上かかって上に上がれたような状況でございます。

 これが私が三原で経験をした簡単な話でございますけれども、そのときに幾つか感じたこと、見たことをお話しし、また今後の参考とともども、今広島県から要望が六項目、五項目出ておりますが、何としても早い政府におきます決断と実行、そして御尽力をいただきたいという、本当にまさに私は被災地、被災者の側からお願いを申し上げたいと思います。

 このときに、もう毎回のことでございますけれども、やはり携帯電話がつながらないということで、もしも電話がつながればいろいろな情報交換ができ、もっともっとより安全にまたいろいろなことができるのではないか。当然、物理的に二十数万の回線が一遍にふさがったことにより連絡がとれない、使えなくなる。パンク状態というのはいつものことでございますけれども、これを何とか今の技術で物理的に可能にならないか。移動式の、またもしくは分散式の交換機、交換システムの構築なんということができるのではないか、そんなことを思いましたが、こういうことに関してなお一層の研究とやはり皆様方の対応をお願いしたい。

 そして、テレビ、ラジオ、特にテレビでございますが、これを見ても、聞いても、報道のあり方というものをもう一度確認願えればありがたい。これは阪神・淡路のときも多分アンケート調査、いろいろな状況を御調査されているかと思いますけれども、やはり被害を大きく受けたところだけじゃなくて、それ以外のところも含めて、どういう情報、どういうことを報道すべきか、連絡をすべきかということを、現場の被害に遭われた皆さん方からもヒアリングをしながら、どう報道があるべきかということを再度検討していただけたらと思います。

 といいますのも、情報収集にもいろいろと問題はあると思いますけれども、被害が大きいところばかりが出ることで、ほかの部分の情報というものが余り知らされない、わからないような状況でした。ですので、それこそ選挙速報じゃございませんが、一番大きなところは随時きちんと報道するとともに、各市町村、被害が全くないところも多かったと思いますが、そういうところは、ないならないということで一言報道の中に乗せることにより、またそれは報道されなかったからないんだという言い方もあるかもしれませんが、やはりないところはない、なさそうだということでの報道のあり方も含めて御検討を願えたらありがたい。

 そして、私ども、地域におりまして今回本当にありがたいと思ったのは、地域のミニFMが地域密着型の情報を流し、それが聞けたことにより、いろいろな心配事が少しずつなくなった部分もございました。地域のミニFMというものが、ふだんは余り気にもしなかったんですが、こういう危機管理体制における役割はかなり重要だなということを感じました。

 また、先ほど山田委員からもお話がございました、私ども、目に見える部分での危険なものということはわかりますが、目に見えない危険なものというのが逆に何か多いようにも感じました。

 まさに一番私ども、これは瀬戸内海、広島だけではなくて、ほかの地域もそうかもしれませんが、やはり急傾斜地におきます擁壁、石垣、これの問題というのが非常に心配としてございます。崩れたりということは大変なことでございますけれども、今皆さん方も調査をある程度して御存じのように、また委員も視察をしてわかるように、石垣というものが、今は目に見えるものはちゃんとなっていたとしても、これがこの次の地震もしくは雨季、雨、いろいろなことにより、崩れるおそれがあるのではないかという不安を常に抱えております。

 こういう部分での検査というのも、本当に県の方でも市の方でも、地方行政も一生懸命対応してくれていることは事実ですが、やはりまだまだ不十分な点がございます。こういうことを国の方でも挙げて応援をしていただければありがたい。

 ただし、財政面、いろいろなことがあると思います。ですので、今後におきます私どもの要望としては、これはいろいろな方々とお話をする中、マンションや何かの建築のあり方を、古い老朽化したマンションをエックス線や何かで検査をするなんということも今あるようでございますので、そういうものを石垣や何かで、簡単に、経費を余りかけずに、エックス線等で調べることによってある程度の危険度がわかるような研究開発等、そんなものができればありがたいなとも思います。そういう研究開発を今後のためにもしていただき、そういうことが現実的にできるようにしていただけたらありがたいと思います。

 こういう中で、先ほども山田委員の方からも話がございました、ここで議論をやりたいこともたくさんあります。ありますが、私たちが一番言いたいことは、やはり今の日本におきます危機管理体制、日ごろの状況がどうなっているかということをもう一回、再度問いただしていただきたい。

 これは先ほどの民地のこと、私有財産とか公的財産、いろいろな危険度のことがございますが、危機管理体制における優先順位というもの、大臣及び皆さん方幹部、国の本来のあり方というものをもう一度考え直していただき、私ども自由党としても、危機管理体制における国のあり方ということはいろいろな分野で主張しておりますが、そういうものがきちんとなっていないのではないかということを改めて感じるところでございます。

 また、これは災害だけではなく、いろいろな分野に、多岐にわたることなので、こういうことをお互いの政党の中、政府としても、やはり前向きにこの辺は考えていきながら、御尽力、御努力をいただけたらありがたいかと思います。

 今回の災害というのは、実は、本当に被害がたくさん出ましたけれども、これは時間や曜日また季節によっては大変に幸運な、幸運という言い方は大変被害に遭われた方々には申しわけございませんが、これがもしも火を使うような時間、昼とか夜とか、もしくは季節が雨季だったらとか、そんなことを考えると大変恐ろしいものを感じます。こういう部分では、こういうことは言い過ぎかもしれませんが、あの阪神・淡路とかほかの震災に比べれば本当にまだ被害は少なかったのではないかという気持ちが多少あるのは事実でございます。でも逆に、本当にそのタイミングが悪い方向に行っていたら、大災害に遭っていた。

 当然、急傾斜地におきます家というのは防災に関しても全く不十分。これでまた火事でもあったならば、こういう空き家が多い、もしくは老夫婦、お年寄りがこういう中で動くに動けない。不安を抱えながら急傾斜地に住んでいる方々が瀬戸内海というのは大変多うございます。こういう部分に対して、不安がないように、国、県また地方行政のいろいろな御支援をなお一層、早い決断と実行をお願いしたいかと思います。

 私の言いたいことはまだまだあるんですけれども、時間がなくなる中で、こういった一連のこと、要望、要求、考えを聞いていただいた上、また当然政府として、大臣としても、いろいろなものを聞き、見ておると思います。こういうことを踏まえて、大臣の今後における対応、対策、地震危機管理体制、これはやはり予防とか事前にやっておかなきゃいけないということがかなり多いのではないかと思います。

 そして、もう一つだけ御提案を申させていただければ、私も地元にいるとき、地元消防団と活動をしてまいりました。そういう中で、いろいろと地域事情はあるかもしれませんが、今の地方におきます消防団、こういうものに対して国から、また地方における尽力、日ごろのいろいろな力添えがなお一層要るのではないかと思います。

 私が考えることは、日ごろの準備というものは、皆さん方だけではなくて、やはり国民一人一人の意識の問題にもなりますので、こういう部分で、啓蒙、啓発、教育という分野も含めて、日ごろ自分が何かあったとき、助けてもらうというよりも助けようという気持ちを持てるような国民であり、先ほど大臣がおっしゃいました、まさに思います、義務と責任を踏まえ権利を大切にする個人であり国民であるべきだと私どもは考えます。

 その意味で、そういう部分でもなお一層の御尽力、御努力をいただきたいと思いますが、そういうことを踏まえて、大臣の御所見、お考え、意欲を聞かせていただければありがたいと思います。お願いします。

伊吹国務大臣 非常に広範な分野にわたる御意見がございましたので、私がすべてお答えする能力もありませんけれども、常日ごろからあらゆることに対する準備をしておかなければならないということは確かだと思います。

 今回、先ほども山田先生から御質問がありましたが、特に地形上の問題で、いろいろ擁壁の崩壊等によって難しい問題が出ていることについては、知事さんとお話をした際に、知事さんも同じ意見であったわけですが、現在の住宅基準、うちを建てる場合の基準あるいは土地の造成をする場合の基準からいえば、全く認められない状況でうちが昔から建っているのをずっと放置していたということなんですね。このことは、もちろん、一つ一つの土地にお住みになっている方が私有財産としてお持ちになっていたから、法律が後からできてなかなか手がつけられなかったという事情が私はあると思うんです。

 したがって、今回、先ほども御質問があったように、いずれ公共事業が入り、そして皆さんも危険な土地だというのでお動きになり、しかるべき対価を払って、公益のためにもう一度都市計画的につくり直す場合は、やはり一人一人が公益のために、余り権利を大きく主張し過ぎずに、みんなが将来災害に強い町をつくっていくという観点で対応をする、私は、そういう公益的なことで私有者が対応してくだすった場合に、自治体や国がそれにどういうお手伝いができるかということは、一生懸命やりましょうということをこの前、実は藤田さんにお話をしたのです。

 自由党という先生の政党は、小沢先生のお立場もあって理念を非常に大切にしておられる政党だと私は思うのですね。ですから、やはり原理原則を大切にした上でどういうことができるかということをしっかりと考えて、将来防災に強い町をつくっていくために、地方分権の時代ですから、地元の自治体の長の皆さんが頑張られることに対しては、私は全力を挙げて応援をしたいと思っております。

佐藤(公)委員 やはり気持ちというものは、僕は、皆さん本当に早く何とかしたい、早くしてあげたいという気持ちはみんな持っていると思います。しかし、それは今大臣がおっしゃられたように、原理原則の中で一つの手続上のこと、そういういろいろなことがあった上で、なかなか動けない、時間がかかるというのも、これも現実だと思います。

 ただし、それが危機管理ということにおいては、一生懸命努力して皆さんは普通よりも本当に早くはやってくださっているとは思いますが、より一層本当に早くするために、また体制をきちんと整えるためには、日ごろの危機管理体制における、国における法整備を含めたことがもっと重要になってくると思います。そういう意味で、その辺をやはり大臣がきちんとリーダーシップをとってやっていただく、こういうことがもっともっと必要なのだと思います。

 私どもも、実際こういうことをやって、本当に気持ちはもうあしたにでも、すぐにでもしてみたい、これは多分与野党を問わずみんなが思っていることだと思います。では、それを本当にするためには、その原理原則というものをより日ごろから整備をし、こういう場合にはすぐさま、あしたでも大臣の決断一つでできるような体制というものが、もっともっとでき上がっていなくてはいけないかと思います。そういうことを私どもとしては、本当に皆さん方におけるなお一層の御努力をお願い申し上げたいと思います。

 もう時間でもございますが、具体的なことになりますが、私は、委員会でこうやって発言させていただく中、広島県または被災者、被害地の代表としても、ぜひともこちらにございます要望書を皆さん方にできるだけ早く、県また地方行政の意に合うようなことでの御決定、そして前に進むことをお願い申し上げたいと思います。

 特に、先ほどからもお話ししましたように、危険な住宅、また危険な擁壁、石垣というものが瀬戸内海には多々ございますので、こういう要望にあります予算というものがかなり本当にウエートを占める部分があると思いますので、ぜひともお願いを申し上げたいと思います。

 まだまだ話したいことはございますが、きょうのところはこれにて質疑を終わらせていただき、気持ちはある、でもできないではなくて、本当にやることはできるのですから、大臣及び幹部の皆さん方のリーダーシップを期待しまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

赤羽委員長 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章です。

 芸予地震で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

 私も、四日の呉視察に参加をさせていただきました。また、地震直後の三月二十五日には、松山市、今治市にも行きまして、実態をつぶさに聞いてまいりました。私は、災害の復興や復旧という場合に、被災と被災者の実態が先にありきで、制度はそれに合わせてついてくるものだ、積極的に改善していくべきものだ、こういうふうな基本的な考えで取り組むべきだと思います。

 私どもの呉視察に対して、先ほど同僚委員からもお話がありましたが、呉市長さん自身が「人工擁壁崩壊による二次災害防止緊急対策の実施について」という提案をされまして、私たち派遣委員もそれをしっかりと受けとめて帰ってまいりました。この要望を真剣に受けとめ実現していく上で、その前提として、今の被害、被災の実態の認識を共通のものにする必要があると考えます。

 そこで、この文書にも出てまいりますが、幾つか伺いたいと思います。

 一つは、被害の拡大という問題です。このまま擁壁が未補修のまま放置された場合、今後の降雨などによって擁壁が崩壊し、それに伴い擁壁上の住家が崩壊するおそれがあり、その被害が広範囲に及ぶ、そういう可能性が高い、こういう認識を言っています。私たちも現地に行って、その認識を新たにいたしました。政府はそういう御認識かどうか、第一。

 第二に、緊急対策の必要性について、放置しておくと二次災害が発生するおそれが大きく、今後、降雨の多い時期に入ることを考えると、緊急に対策を講じることが必要である。緊急対策の必要性、このことが提案をされております。私も、これも当然のことだと考えます。

 この二点の認識について、政府の責任ある答弁をお願いしたいと思います。

竹村政府参考人 現在の呉市における現状の政府の認識につきましてお尋ねがございました。

 私ども、現在、呉市におきまして避難勧告等、二次災害のおそれのあるための避難をやっておられるということは十分承知しておりまして、今御指摘のような二次災害についてはあってはならないという思いで、県と市と連絡をしながら、これから懸命に対処していきたいと考えております。

春名委員 地震直後の避難者は、最初わずか二十四名だったのですね。ところが、その後の雨で避難者は五百四名に膨れ上がったわけです。二十ミリの降雨予測で避難勧告を出さざるを得ない、こういう状況があるわけです。そして、不幸なことですが、四月八日には、屋根がわらを直そうとされたお年寄りが過って転落をして死亡されています。本当に深刻です。

 大小がけ崩れは合わせて九百カ所に及んで、自然がけの崩壊は四カ所程度で、ほとんどが個人所有の人工がけです。先ほどお話があったとおりです。したがって、放置したら危険である、一刻も早く手を打たなければいけない、この認識を改めて政府と共有しておきたいと思うのですね。

 大臣のお考えを一言で結構ですから、どうぞ。

吉井政府参考人 先生ただいま御指摘のとおり、芸予地震におきまして、特に呉市におきまして住宅地の擁壁の崩壊等が発生しておりまして、今後の降雨等による擁壁崩壊のおそれを心配しているところでございます。

 先ほど大臣からもお話がございましたが、早速、藤田広島県知事さんからもいろいろお話がございましたし、また政府といたしましても、内閣府坂井副大臣、山崎政務官等も現地に入られまして、つぶさに御視察をいただいております。

 先ほど来お話が出ておりますが、かなり昔にできました急勾配、垂直に近い擁壁でございまして、個人の私有財産でございまして、被災自治体の御意見を伺いながら、国として何ができるかということを検討してまいりたいと思っております。

春名委員 もう一点は、所有者補修の限界についてという問題です。

 この呉市の要望では、所有者の高齢化などによって、みずからの資力で補修することが困難である場合が多いということを述べているわけです。このことについては御認識が一致できるかどうか、その点いかがですか。

吉井政府参考人 確かに、今回の擁壁は個人所有の擁壁が多いわけでございまして、上も下も民地というようなところがかなり多いわけでございます。先ほど議論が出ておりました阪神・淡路大震災の際にも、被害の甚大性等から公共施設等に著しい被害を及ぼすおそれがあるなど、一定の公共性が認められたものに限って特例措置を講じたものと承知しておりまして、いろいろ擁壁の補修等につきましては融資等の制度はございますが、直接国民の税金を投入して復旧を行うということにつきましては慎重な検討が必要ではないかと思っております。

 呉市につきましてどのような対策が必要であるかを、よく自治体の考え方もお伺いしながら、検討してまいりたいと思っております。

春名委員 聞いたことに答えてください。

 所有者補修の限界、所有者の高齢化等によって、みずからの資力で補修することが困難である場合が多い、こういう実態を知っているのかと聞いているのです。

竹村政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたが、広島県下、呉市以外にも被害を受けた市町村がございまして、それらの市町村の調査を現在、広島県が取りまとめている最中でございます。そして、私ども中央にも近々その報告があるかと思います。そのような報告の中で、私ども実情把握をきちんとしていきたいと考えてございます。

春名委員 では、その取りまとめに反映していただきましょう。

 四月十日、三十五名の被災者が出席をされて、芸予地震被害者の会が結成をされております。そこで深刻な議論がされています。私はお聞きしました。

 家の基礎が五十センチ陥没し、下の家が危険なので家は解体した、無利子でも払うことはできない。家の裏も表もがけ、裏はがけが膨らんでずれてきそうだ、表は崩れて市道とその先の家をつぶしてしまった、せめて市道より先は公費で負担してほしい、家は全壊だ、年金生活でどうにもならない。五メートル掛ける十メートルのがけが崩れ下の家を全壊させてしまった、宙に浮いた自宅も修復不可能で全壊だ、下の家も年金者なのでもとに戻してくれと言われている、ノイローゼになりそうだ、しっかりしなくては、責任を果たしたいと思っているけれども等々、本当に深刻な話ですよ。三重四重の苦しみなんです。

 第一、自宅が全壊すれば、大がかりな修復が要る、宅地の地盤工事が要ります。第二、撤去するにしても家の解体費用が要ります。多額の引っ越し費用が要ります。借家住まいでも多額のお金が要ります。第三、下の方々への損害賠償が要ります。第四、世帯主のほとんどが六十五歳以上の高齢者の方々です。三重苦、四重苦なんですよ。

 ですから、こういう実態を呉市長、広島県の方々がつかんでいるからこそ、所有者補修の限界ということをあえて問題提起しているわけです。あえて問題提起しているのですよ。まとまっていないからよくわかりませんと、これはもう既に来ているわけですよ、同じ中身が。

 そこでの要望項目、被災者の会の方々の要望項目は、民有地分の直接復旧など融資以外の特別な対策を早急に立ててほしい、個人宅の復旧に公的支援を何とか実施してほしい、この一点ですよ。

 さて、この被災者の苦悩にこたえることが政治の務めであります。最大の問題となっている個人の擁壁の補修についてどう実施するのか、公的支援を実際どうやるのか、この点についてです。

 先ほどの山田委員の答弁を聞いておりました。私的な擁壁の補修は個人の責任でというのが基本的な原理原則だということを何度もおっしゃっています。

 そこで、呉市の提案として、新たな制度創設の必要性という点で、二点にわたって問題提起がされています。このことをどう受けとめるかが大事だと思います。

 その第一は、個人の財産を守るという狭い観点ではなくて、国土の保全・有効利用、民生の安定という観点からの対策として取り組んでいただけないかという提案をしているわけです。つまり、擁壁崩壊による被害が隣接住家に及ぶおそれがある場合には、個人への補償という観点ではなくて、国土の保全・有効利用、民生の安定という観点から、行政が主体的に人工擁壁の補修に関与する制度をぜひこの際にこういう角度から検討してもらえないか。

 今、前段で議論したとおり、被害拡大のおそれ、所有者の限界、修復の緊急性、これを同じ共通の認識にしているのですから、こういう角度から個人の財産であっても公的支援を実施していく、このことに今真剣に踏み出すというメッセージを送ることがかぎなんですよ。

 大臣、いかがでしょうか。

吉井政府参考人 呉市の市長さんからの御要望につきましては、私も直接承っております。

 災害のたびごとにいろいろな被害が生じまして、先ほどもお話が出ておりましたが、非常に大変だなというところがあるわけでございます。ただ、そこにおきまして、個人の所有物についてどのようにだれが対策を講じていくかということは、また若干別の問題であろうかと思います。

 先ほど来話が出ておりますように、これまでの実績等から申しますと、阪神・淡路大震災の際には、先ほども申し上げましたような一定の公共性が認められたものに限っての特例措置ができたわけでございます。

 呉市の市長さんのおっしゃるところも傾聴すべき問題だとは思います。ただ、例えば現在崩れた擁壁を直すとして、実際どのようにするのか。あのような垂直に近い擁壁を直すというふうなことでいいのか、全体の町づくりのような観点からどのようにするのかというふうなことから考えていかなければならないと思いまして、そういうところをよく呉市とも、擁壁の緊急的な対策は講じなければならないということはおっしゃるとおりだと思いますが、抜本的にどういうふうなことを考えていかなければならないかということを私どもも一緒に検討してまいりたいと思っております。

春名委員 大変だと軽々しく言わないでほしいのですね。そういうことを言うのであれば、今問題提起していることについて直ちに、この提案について、もう前から出ているのですから、どうするということを本当にメッセージとして送らなければ、本気でやってくれているのかと思うじゃないですか。

 それで、今お話が出た人工擁壁の問題でいいますと、ある方はこう言っているのですね。人工がけは平地の少ない呉市の人口を支えるための必要不可欠な社会資本ではないかということぐらい言われているわけですよ。その人工がけがなければ町として成り立たないような地形にもなっているし、実態にもなっているわけでしょう。そして、それはまさに公共的な性格を帯びているわけですよ。しかも、公共的な被害が及ぶ危険性が高いわけです、先ほど同僚委員も言われたとおり。それが実態なんですよ。

 だから、あえて民生の安定、公共的な被害の拡大を防ぐ、そして国土の保全をやる、まさに伊吹大臣も知恵を絞りたいと言われたけれども、そういう角度から今知恵を絞るべきときに来ている、こういうことを私は申し上げているのです。伊吹大臣の御答弁を今度はお願いします。

伊吹国務大臣 先生、私たちは私有財産を認めるという基本的なプリンシプルのもとにある国家ですから、逆に私からお尋ねしたいのですが、同じように人工擁壁があったお宅で、もし大雨のためにそのお宅一軒の人工擁壁が壊れて下の民家に被害を与える場合と今回と阪神・淡路大震災の、それではどこで線を引くかということは、常に国を統治するという立場からは考えておかなければならないのですよ。

 したがって、私が知事さん、市長さんに申し上げたのは、今住んでおられる方は何の責任もないのだけれども、今の法律のもとでは、建築基準法その他から全く認められない状況でお宅が建っているというその形を、ある程度私有財産を放棄するという公的な義務をお果たしになる上で、土地の再開発、地震に強い土地をつくっていくというような決断を市長さん、知事さんがされますか、そうすれば、それがある程度の一つの公共的な理屈づけになるんじゃないですかということも私は申し上げているのですよ。

 そういうことももろもろ含めて、自治体の方の御決断、御判断も伺いたいと国土交通省も言っているという状況なんであって、こちらはそのことを、先生がおっしゃるように政府として全く放置しているわけでもなければ、委員長からの御視察の状況もお伺いして真剣に取り組んでいるわけで、では、一軒だけであれば認めないのですか。一軒においてもそれを認めるという、私有財産の管理権を全く放棄するというプリンシプルのもとによってこの国を動かしていけというのであれば、私たちは共産主義国家じゃありませんから、それはできません。

春名委員 話を変な方向に持っていかないでいただきたいんですね。呉市の被災者と被災の実態に即して、制度をどう知恵を絞って柔軟に対応するかという問題提起をしているんですよ。それを私有財産がどうのこうのなんて言って、変なこと言わないでください。

 国の責任の問題、もう一点言っておきます。

 現在、呉の住宅の多くが急傾斜地に建てざるを得なかった。その原因の一つが、国策による軍港と造船労働者の集中という呉独自の問題がある。これは国の責任を他の市町村以上に問うものだと私は考えます。この国の責任という点ではどういう御認識でしょうか。

吉井政府参考人 呉の町がそのような成り立ちでできたということはよく承知しておりますし、現在の町並みがそのようなことを基礎としてできているということはあるかと存じます。ただ、それは、ただいま先生がおっしゃいましたように、全部のところについて国が全責任を持って対応しろということとはまた別の議論かと存じます。

春名委員 私も呉市史を少しだけ勉強してみたんですね。

 そうすると、明治十九年に海軍条例が公布されまして、第二海軍区の軍港に指定をされて、二十二年に呉鎮守府が開庁されて、本格的な海軍基地の建設が始まる。そこから人口が急増しているんですね。明治二十二年が二万人、四十年が九万人、大正元年十一万人、終戦二年前の昭和十八年には四十万人と、急激に人口がふえる。昭和前期の呉市の戸口というのは、昭和元年、一九二六年の十二月末とピーク時の十八年と比べてみると、二・四倍も上昇している。つまり、非常時体制から戦時体制に進むに従って人口が一大飛躍を遂げている、こういう状況だということが記されています。そして、職業別の戸口を見ると、十四年間を通じて、昭和元年から十四年ですが、人口増加の圧倒的大部分が呉海軍工廠工員を含む工業従事者によって占められている、こういう状況がある。

 そして、昭和の初期、特に海軍の拡張期以降となると急速に戸口が増加して、昭和八年、一九三三年には、市内ではもうこの上の余地空渠がないために、三津田方面から両城、和庄、荘山田、宮原方面の高地部にかけての開墾が盛んになった。これ以降、高地部の住宅開発には一層拍車がかかって、昭和十四年四月一日には旧市内高地部の新住宅地に町名が施行されたり、既に制定された町区域の分合がなされる、こういう記述がずっと出てくるんですね。まさにこれは歴史の事実だと思います。

 急峻ながけを切り開いて新しい住宅地を次々開発する、その大きな要因は海軍の立地と拡大にあったことは明白なんですね。その意味でも、国の責任という問題についていま一度思いをいたすということが必要なんではないか、そういう角度からも知恵を絞っていただくことを私は強く求めたいと思っております。

 大臣、いかがでしょうか。最後の御答弁になるかと思いますが、大臣。

吉井政府参考人 呉の市長からも、そのような呉の町のできてきた経緯等はお伺いいたしました。そのようなことも踏まえまして、よく地元自治体と相談してまいりたいと思います。

春名委員 大臣にお願いします、最後に。

伊吹国務大臣 先生がおっしゃったような歴史的背景と同時に、しかし、その土地を現に持っているのは決して国ではなく、国有地ではないという事実も踏まえて、自治体がどういう公共性をそこに出してこられるかという、その知恵を私たちは見きわめながら、国としての知恵を出したいと思います。

春名委員 被災者の実態に強くこたえることを要望しておきたいと思います。

 終わります。

赤羽委員長 次に、金子哲夫君。

金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子哲夫です。私も広島の出身でして、被災当時、地震の発生時には広島におりまして、直接体験をいたした者の一人であります。

 不幸にして今度の地震ではお二人の方がとうとい命を失われた、心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また同時に、多数の皆さんが被災をされたことに対しましても、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 そうした中で、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。先ほど来、呉市の問題が非常に重要になっておりまして、私もこの問題について少しお話をさせていただきたいと思います。

 今のお話の中で、同僚委員から、それぞれの立場から、ほぼ同じような趣旨で御意見が出されております。そしてまた、大臣また関係の皆さんからの御答弁をいただいておりますけれども、呉市の市長さんが提言を出された。呉市の市長さんは、もう大臣も御承知だと思いますけれども、長く政府の関係の仕事もされ、また県の仕事もされ、今市長をされておりますから、さまざまな制度、そして法律の枠組み、そういったことも十分御承知の上で、今の呉市の被災の実態において復旧をどう図っていくかという中で、私は、今回の提言というのは、ある意味で、ただ単に緊急的なものだけでなくて、呉市全体の町づくりをも含めてこの提言をされておられるということをぜひ受けとめていただいて検討をしていただきたいということをまず最初に申し上げたいと思います。

 そして、大臣がお話しになりましたけれども、もちろん呉市のあの町の実態、私どもが委員会として調査に行った場所というのは、いわばかつて軍の高級将校の皆さんたちが住んでいらっしゃった場所でありまして、急傾斜地ではありますけれども、人工擁壁についても当時の技術でいえばかなりの人たちが行っていた。しかし、東側の斜面に行きますと、これは旧来の民家が密集しておりまして、道路も非常に入り組んでいるような状況で、私はそちらの方も二十五日に見せていただいておりますけれども、そういう状況の中で、非常に急傾斜地が市全体の面積の中で、市全体でいいますともっと広いわけですけれども、今の市役所を中心とするあの一帯の中ではかなりの急傾斜地がありまして、災害に強い町づくりの計画を示しながら今の緊急対策といいましても、かなりのコンセンサスを得なければ、今の土地問題も含めて、災害に強い町づくりの骨格を決めるまでには時間がかかる。

 とすれば、緊急の、今起きている問題の中、また二次災害までも予想されるような状況の中での対応というものは分けて市としては考えなければ、将来的には災害に強い町づくりということを考えながらも、やはり緊急の課題として考えなければならない中でこの提言も出されているというふうに私は思っておりますけれども、その点について、ぜひ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

竹村政府参考人 私どもの国土は、先ほど申しましたが七〇%山地でございまして、その山地におきまして一億二千万の人間が住んでいるわけでございますが、その国民が安全に住むため、呉だけではなくて、さまざまな斜面に住んでいる方々が安全な生活を営むためのさまざまな法的な体制を私ども整備し、そして制度を整備してやってきてございます。

 これからも、さまざまな災害が発生しておりますが、例えば今現在で年間九百から一千件の地すべり、がけ崩れ等が日本全国で発生してございますが、このような災害を防ぎながら、そして安全な対策をいかにしたらいいかということを、国と県と市の役割分担を踏まえながら、私ども検討していきたいと考えてございます。

伊吹国務大臣 先生御指摘のように、呉の市長は、昔の自治省、地方行政の経験者です。それだけに、法律や何かをよく熟知しているので、しかし、自治体の首長としては言わざるを得ないということもよくわかっておられます。ですから、その辺のバランスをとらないといけない、おっしゃるように。

 したがって、すべての計画をきちっとつくり上げなければ公益性が担保されないというものでは私はないと思いますよ。しかし、今の擁壁を同じようにもう一度公費を入れてつくり直して、今の私有財産権を同じような形で認めて、その上に今と同じような形のうちをつくるということであれば、これは何のために公費を入れているのかわかりませんね。自治体の首長として、その辺の私有権を持っておられる方との間のある程度の決意と、そして住民に対する説得ということが前提になります、公費の話というのは。

 ですから、阪神・淡路大震災のときも、先ほど申し上げたように、基本的には、私有財産の補修というのは、下の私有財産を侵すからやるのではないのです。私有財産の擁壁の補修というのは、下の道路という公益を侵すからやるわけなんですね。だから、下の私有財産が、ある程度今後の町づくり、あるいは安全な都市のための公共的な役割をどういう形で示してくれるかということがないと、この国の大きなプリンシプルというのはなかなか動かしにくいということを申し上げているわけです。

金子(哲)委員 そういうふうに言われると、またあえて言わなければいけなくなるのですけれども、もちろん、先ほど言いましたように、そのことを当然のこととしながらも、しかし同時に、緊急の問題があるわけです。

 例えば、この間も呉市でお話が出ましたけれども、私はもうここを立ち退きますよ、いいです、私はもう土地を国に返してもいいです、では、そのときはどうなりますか。そういうときは国がやってくれるのですか。私有地でなくなった場合はどうなりますか。そういう問題があります。

 そういう問題も含めて真剣に考えていらっしゃるということを私は言いたいわけであって、そして同時に、例えば逆のケースの場合、今人工擁壁の話が出ていますけれども、例えば人家の密集地に人工擁壁でなくて急傾斜地がある場合の防災対策、これはやるわけですね。急傾斜地の砂防工事というものはやるわけです。もちろん、そこには民家もあるわけです、下に。それは当然、その急傾斜地の崩壊によって民家や田畑やそういうものに被害が及ばないためにそういう急傾斜地対策はやられるわけであって、そこはたまたま民有地でなかった、急傾斜地は民有地でなかったが、実際にそのことによって被害を防ぐことのできるのは民家であり、田畑なのですよ。

 たまたま今回の場合、今のお話にもあるように、一番市長が心配されているのは、もちろん今いらっしゃる所有者の問題もありますけれども、同時に、そのことによって二次災害を受ける下の民家の皆さんのことをおっしゃっているわけです。

 そういうふうに考えていくと、人工擁壁かもわからないけれども、いわば山の急傾斜地と同じように、災害が起きたときには被害を受けることは事実でありまして、法律のことを言われても、住民の皆さんからは理解ができない。そしてまた、これはまたどうせ同じような答弁になるから答えてもらわなくて結構ですけれども、下にたまたま道路が走っていたらそこは補修ができますよ、それは公的なことだからしようがないということは、それは法律上そうでしょうけれども、しかし、地域の住民にとっては全く理解ができないわけですよ。

 私どもは行ってみて、そこは悲痛な声が上がっているわけで、もちろんこれから、今災害が、地震も多発している中で、どこで線を引いてどこまで国がやるべきかということは大変難しい判断だということは重々承知しますけれども、私は鳥取県の災害の際に二度ほど行きました。そのときにも、鳥取県の中山間地域の町長の皆さんが何をおっしゃったかというと、それは私的な財産かもわからないが、町が、県が負担をしてやらなければいけないその一番大きな問題は、もしそれをやらないことによってその村落、コミュニティーが崩壊する、そのことを理由にして高齢者の皆さんが町を退く、そのことによって町が成り立たなくなると困るのだということをおっしゃっているわけです。

 今の問題でも、その人工擁壁の崩壊のために、隣の民家に崩壊を与えることによって、そこの自治体やコミュニティーの問題がほったらかしにできない状況があるからこそ今真剣な問題になっているわけであって、もちろん私有財産というものの制約はあるとしながらも、当然のこととして、真剣にこれから課題として検討するというのは当たり前のことではないでしょうか。

竹村政府参考人 私ども、国土の保全のために、明治三十年に砂防法を設置し、そして人口急増が起きた昭和四十年代、昭和四十四年に急傾斜地の崩壊による災害防止法を設定しました。

 これらによりまして斜面における安全な国民の生活ということでやっておりますが、いわゆる乱開発による粗製の擁壁、人工擁壁による人為的な災害は国費を支給しないというようなことから、自然がけ、昔からある自然のがけに関して、私ども、その下に住んでいる方々、五戸または十戸とそれぞれの基準を設けておりますが、一般の方々が自然がけによる災害を受けるときには防止の事業をするという採択基準を持ってございます。

 一つの基準を持ちながら、そしてその基準にはまらないところは、県が独自の条例をつくって災害対策をしたり、または市町村が単独に個別の事業を組み立てたり、さまざまな工夫、いわゆる国と県と市町村の役割分担をしながら、その地域がそれぞれの形で安全に住んでいけるような災害対策をやっているのが現状でございます。

金子(哲)委員 そういう発言があると、また質問をしなければいけなくなるのですよ。

 先ほど委員からお話があったように、呉市の場合に、乱開発をしたとかそういう問題でないわけですよ。戦前に、私はそれを国策だからどうこうしろということを、歴史的な問題で討論しようと思っているわけではなくて、当時の呉市がどういう形で発展したのか、またなぜあそこに家が建たなければならなかったのか、それは乱開発の問題とは全然違うわけです。

 だから、すべて国が責任をとれということを言っているわけではなくて、そういう一般的な問題でこの呉市の問題を今のような答弁をされるというのは、全然実情を知っていないということではないですか。余りにもそれは、今のような、乱開発のものに適用しない、そんな答弁を今呉市の問題が論議されている中でするなんて、政府は全くその事情を考えていない。

 私は、そのことについて同じようなことを答弁してもらっても困るわけで、そこは全然違うことをもっと認識して、その上で何ができるかということを考えていただきたいと思うのです。

吉井政府参考人 呉市のような町は大変難しいところだと思います。

 ただ、戦前の軍港として発展してきた斜面地だけではございませんで、先生もよく御案内のとおり、例えば呉市の市街地の東の部分は、戦後かなり農地だったところが、やはり同じような斜面として形成されてきたところもございます。また、最近の市街地は、その斜面のところを外れまして、山の向こうというか、離れたところで、より平たんな場所に市街地が形成されているところもございます。

 そういう中で、市民全体の方々が不公平にならないように、どのような形でやっていきたいかということを国が県、市町村と相談して慎重に検討していきたいということだと思います。

金子(哲)委員 いずれにしても、最初にも申し上げましたように、今私はあえてもう一度申し上げたいと思いますけれども、実は昨年、鳥取県西部地震のときに二度ほど現地に調査に行きました。十二月に行ったとき、ちょうど災害復旧査定が行われていた時期です。そして、その災害復旧査定の際に、余りの対応の悪さによって、当時、現地の首長の皆さん、そしてまた現地の準備をされた町の職員の皆さんから非常に大きな不満の声が上がりました。

 いずれにしても、どの市にしても、どの自治体にしても、これだけ大きな災害が起きたときには、その復旧のために昼夜を分かたず懸命な努力をされているわけですから、やはりそういう被災地の立場に立って物を考えていくという発想でぜひやっていただきたい。

 私は、災害査定の問題についても実は触れたかったんですけれども、これは要望として申し上げておきますけれども、鳥取県西部で災害査定の際に起きたようなことが起きないように、知事の要望にもありますように、早急に査定を行ってきちっとした対策をとっていただきたいという要望が出ておりますけれども、ぜひそのことを、今の問題も含めまして、やはり呉市の問題についても、ぜひ市の立場、また住民の立場も十分念頭に置いていただきながら、この災害復旧という問題について対策をとっていただきたいと思います。

 次に、もう一つ別の問題を質問させていただきたいと思います。

 今度の災害の際に、いわゆる学校施設がかなりの被害を受けております。県の数字でも、いわば四校に一校ぐらいは何らかの被害を受けたのではないかというふうに言われております。

 私立の学校ですけれども、呉市の清水ケ丘高校のことは、これはニュースにも報道されて、たまたま土曜日でしたけれども、バレーの練習試合が行われていて、被害に遭われてけが人が出たということです。私は行きまして、いわば本体の場合は壁などが壊れるということはないんですけれども、そこに打ちつけるボード、天井に張るボード等、これは熊野町の小学校ですけれども、これもたまたま、その直前まで子供たちがいた、お別れ会の準備をしていた、そしてそこから出た直後ですけれども、天井が落ちて、たまたま被害がなかったということが言われておりますけれども、これも天井に張ったパネルです。

 この点について、被害の状況を、私はきちっと調査をする必要があるんではないかということを先般、委員会視察のときも県の方にもお話をしましたけれども、改めてやはりきちっとした調査をして、何が原因で学校施設にこのような被害が出たのか。つまり、たまたま土曜日ということもあって、また春休みの期間ということもあって、子供たちがほとんどいなかったという不幸中にして幸いなこともあったわけですけれども、もしこれが平日であればという思いはあります。

 そこで、今回の原因というものをしっかり点検していただいて、もちろん早期の復旧を進めていただきたいということ、当然でありますけれども、これからの教育に支障を来さないように早急に復旧をしていただきたいということと同時に、さまざまな原因がありますので、原因を調査して、いわば全国的に総点検を行って、それによってやはり危険防止というものをやらなきゃいけないんじゃないか。特に公共施設の場合には避難場所になったりするということもあるわけでありまして、学校によれば大分古い学校も当然全国的にはあるわけでして、そういう中で、特に今回の原因、ボードなど、私も見た際にはあると思いますが、その点について文部省で、詳しい話はいいですけれども、これからの対応など、お願いいたします。

伊吹国務大臣 先生、ごもっともなんです。

 それで、実は、学校だけではなくて病院その他、公共施設においても同じようなことは考えられますので、各省にまたがることでございますから、閣議が終わりました後の閣僚の話し合いの中で、どこに原因があったのか、今後こういうことは多く考えられる可能性がありますから、基準法そのものに従ってきちっとやっていたのか、それとも工事そのものに原因があったのか、あるいは耐久性に問題があったのか、そのところの原因究明をお願いしたいということを私から各省大臣に申し上げてありますので、その結果が出てきましたら、そして何か間違ったところがあるのなら、そこは直していただくようにしたいと思っています。

金子(哲)委員 もう時間が来ましたので、質問を終わります。

 最後に、あの日は土曜日でした。それで、本来なら市は休みということで、自治体の対応が非常に時間がかかるところですけれども、それぞれの各自治体が緊急に対応されて、私が呉市に行ったときには、三時二十八分に災害が起こって、三時三十分には災害対策本部を立ち上げたということで、自治体の対応は非常に迅速だったと思います。

 ただ、そこの中で一点言われましたのは、実は、先ほど同僚委員からも質問がありましたけれども、自治体職員に対する連絡が非常に難しかった。神戸のときは携帯電話がある程度通じたけれども、今回は携帯電話も有線の電話も全部だめだというようなことになっております。私は、携帯電話はなかなか難しいかもわかりませんが、有線の場合には、一定の発信箇所からの電話については優先的にこれを確保して発信ができるようなシステムというのは当然とれると思いますので、例えば市役所でありますとか消防署でありますとか、県から各市町村の方は緊急の防災無線等で連絡はとれておりますけれども、自治体から各職員に対しての連絡体制のためのいわば防災用の有線を確保するというようなことを、これはNTTやそれの関連の通信業者ということになると思いますが、ぜひその点についてはそういう方向で進むように検討していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

赤羽委員長 次に、小野晋也君。

小野委員 まず、三月二十四日の芸予地震におきまして被災されました皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、広島また愛媛県を中心にいたしまして、かなり広範にわたりまして被害を受けた今回の地震でございますだけに、地方自治体からも要望が出されておりますけれども、この災害を復旧するための対策予算の確保、それから災害の査定についてはできるだけ早くこれを行っていただきたいという点、また、地方自治体自身が災害対策に対していろいろな事業を予定して取り組んでいかれるようでございますから、それに対して国側から可能な財政支援の問題等々につきましては、この地域の災害復旧を早期に行う上に、ぜひ力強いお取り組みをお願い申し上げておきたいと思っております。

 さて、先ほど来、委員皆さん方からお話がございましたとおり、当委員会といたしましても、赤羽委員長を中心にいたしまして被災の状況調査に行ってまいりました。そんな中で、いろいろなお話をお伺いいたしておりますと、非常に的確な対応がなされていたような気持ちが私はいたしております。

 この地震が起こりますと、すぐに各県において、また市町村において災害対策本部が立ち上がり、その間において的確な連係プレーが行われていたこと、また警察、消防、医療関係、自衛隊、こういったところが非常に的確な連係プレーをとってこの震災に対応しておられた姿、阪神・淡路大震災がもう六年以上前のことになろうかと思いますけれども、その教訓が十分に生かされた対応がなされていた、こういうふうに評価を私はさせていただきたいと思っております。

 そうは申しながらも、では今回も問題なしであるかというと、そうではなくて、幾つか気になる点があったのも事実でございます。

 その一つは、先ほどの御指摘にもありましたけれども、非常に長期にわたって一般の電話回線が途絶状態になっていたという問題でございます。

 いろいろと、こういう災害がありましたときには、けがをされる方もおられるでありましょう。また、緊急の連絡をどうしてもとらねばならない方もおられるでしょう。しかし、そういう方々が日常的に使われる通信手段がほとんど使えないのがその日一日続いていたというような問題に対しては、今後、改善策を含めて取り組みをやっていかねばならない課題だと考えております。

 携帯電話等につきましては、空中に臨時の基地局を設けて、そして多くの回線をその地域について確保するというようなことも一つの検討課題になってくるだろうと思っております。また、一般の電話回線につきましても、地震のお見舞いみたいなことで随分外部から電話が入ってきて、それで残された回線がいっぱいになってしまったというような状況もございますから、私の提案といたしましては、やはり震災等が起こって、それでその地域に回線の混雑が予想される場合には、回線使用料といいますか、通信料について五倍ないし十倍の料金をその場で設定して、不要不急の電話はできるだけかけないということを、経済原理に基づいて行っていこうというようなことも考えてみていい話ではないでしょうか。

 委員長、お笑いになっておられますけれども、外部から電話がかかってきて、うちの猫が地震にびっくりしてこんなことをやったのよとか、うちのお皿が、こんなものが割れてしまったなど、その回線を一回つないだら、三十分も四十分もそんな話をされたら、緊急の電話を入れたいと思う人がなかなかかからない。これはやはり非常に大きな問題だと思います。

 その点について、総務省、いかがお考えでございましょうか。

有冨政府参考人 電気通信事業部長の有冨といいます。

 先生御指摘のように、災害時におきましては電話がふくそういたします。したがって、緊急医療だとか警察だとかというような通信をどうしても確保しなきゃならぬこともございまして、事業法に基づきまして重要通信を優先するという観点で通信規制をする、したがって電話が通じにくくなるということがございます。

 この前の地震の場合でありましても、NTT西日本の場合ですと、八〇%の通信規制を行っております。これはどういうことかといいますと、十回かけて二回しか通じないというようなことでございます。これでは、先生さっき言われましたように、いざというときの通信が確保できない、長電話をされたのでは、とてもじゃないけれどもほかの人が利用できない、こういうようなことでございます。

 では、どうするのかということで、先生から御提案ありましたけれども、料金を上げてはどうかということでございます。ただ、料金を上げるということにつきましては、料金を上げて、それで重要通信が優先されるというのであればまた別の意味もあるのかもしれませんし、また、料金を上げても、とにかく料金に関係なくおれは話したいんだというようなことも場合によってはあるかもしれませんので、なかなかその辺は難しい。むしろ今、災害時の場合ですと、ただにしてくれというような声が非常に強うございます。

 では、どうするのか、悩ましいのでございますが、私どもといたしましては、とにかく安否の情報をどうやって確保するのかということで、代替手段はないか。これで電気通信事業者等ともいろいろ協力をいたしまして、今災害用の伝言ダイヤルという新しい技術を導入することによって、その代替措置を講じてきております。この前の地震でありますと、それを活用した方々が、件数が、三万四千件登録をして、それで東京等からつながったのが約五万四千件ということでございまして、これはダイレクトな通信ではございませんけれども、一応安否は確認できる、こういうような非常に便利なシステムでございます。

 ただ、今先生言われましたような長電話防止をどうするのかということにつきましては、ともあれ国民の皆さん方への啓発活動というのが最優先課題かと思っておりますし、また、必要な技術開発も当然やっていく必要があるだろうというふうに思っております。

小野委員 基本的には、これは今後、回線の容量をふやすことで根本的解決を図っていただくというのが問題の原点だろうと思いますから、光ファイバーの対応等もこれからやられるようですから、そんな中での取り組み、料金問題についてはさらにもう一歩皆さんの中で御検討いただければと思っております。

 それから、二点目ですが、交通の問題です。

 これにつきましては、緊急車両だとかそれから給水車等の皆さんのニーズにこたえるような車両も、交通混雑の中に巻き込まれてしまって、なかなか目的地に到達できないというような御指摘もありました。聞いてみると、道路が傷んでいないかどうかを検査するために非常に長い時間がかかっていたがゆえに、道路を通行どめにしている、特に高速道路等を通行どめにしている関係で、一般道にその車両がおりてきて、それが混雑の原因になっていたというような御指摘でございました。

 そこで、県知事からもお話があったのが、緊急車両だけでも、注意しながら走っていただくことを条件にして、検査している最中でも高速道路等を走れるようにする措置はできないのか、またその検査時間を短縮することはできないのか、こんな要望がありました。

 これはもう私の方からあえて答弁を求めません。せっかく局長に来ていただいていますけれども、もう二分ぐらいしかないんですね。ですから、これは答弁を求めませんが、ぜひ大石局長、今後の対応を御検討いただきますように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、最後に、もう一点気になりましたのは、石垣の問題で、委員皆さんから御指摘がありましたけれども、私は、こういう問題に対して、法律的対応をして一つ一つの問題に対してどうするんだという議論を幾らやっても、災害というのは多種多様でありますし、地域性が非常にある問題であるということを考えていくと、それぞれに対応しろといってもなかなか困難な課題であるというような認識を持ちました。

 そんな中で、一般論として問題提起させていただきたいと思いますのは、災害がどういう形で起こり得るのかということをその地域の皆さんが一番認識しておられるという原点に立ち返りますならば、市町村が、この部分が危ない、例えば呉市なら石垣が危ない、それを何とかしたい、こういうことで呉市自身が力を注いで、金も出して対策したいということで、条例制定等も含めてその対応に指針を持った場合に、国や県がそれに財政的援助を行うことができるというような制度をつくってみてはどうだろう。だから、各地域各地域で危険なものが予見されるわけでありますけれども、それぞれへの対応のできる一般的法制度というものをこの際確立して対応することを御提案申し上げたいと思うわけでありますが、坂井副大臣、いかがでございましょうか。

坂井副大臣 災害に係る補助のあり方については、災害からの早期復旧の必要性もあって、できるだけ地元の要望にこたえられる弾力的な制度のもとで、地域の実情を踏まえて行われることが望ましいという認識をしております。

 ただ、先ほど大臣からもいろいろとお話があったと思いますが、補助制度自身、補助金のあり方というものがいろいろとかねてから議論されて、一定のルールがあります。そういう意味では、災害復旧、被災者支援に係る施策とはいえ、国として支援をする以上は、目的、必要性などの点でやはり一定の公共性のある施策でなければできないというのが、一般的な補助的な物の考え方のルールであります。

 自治体の独自の判断で行う施策に対して当然に補助をする仕組みを設けるといったことについては、そういう意味では、いろいろとやはり検討すべき課題があるのではないかと思っているところであります。

 ただ、各地域の実情に即した早期の復旧のためにどういうような弾力的なことができるのか、先生の御意見も十分参考として、今回の地震についても、県、呉市、いろいろと要望も来ておりますから、被災自治体の御意見も伺いながら、勉強はしていきたい、そういうように思っているところであります。

小野委員 ぜひこの点は御検討をさらに進めていただきますよう、お願い申し上げます。

 また、我々もいよいよこれから自民党総裁選ですから、総裁選の一つのテーマとしてこういうものを取り上げてみるのも一つの考え方だろうと思いますので、我々も努力してやってみたいと思います。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、岸田文雄君。

岸田委員 おはようございます。自由民主党の岸田文雄でございます。

 まず最初に、三月二十四日、芸予地震において亡くなられた皆様方の御冥福をお祈り申し上げ、また被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げながら、質問を始めさせていただきたいと存じます。

 私も、ちょっと時間が限られておりますので、先ほど来たびたび質問に出ておるようでありますが、今回の芸予地震におきまして大きな被害を受けました広島県呉市における急傾斜地に密集した家屋、人工擁壁、これに伴って二次災害が発生するおそれがある、この部分につきまして絞って質問をさせていただきたいと存じます。

 先ほど来たびたびお話が出ております。呉市におきましては、赤羽委員長を初め視察団の皆様方もごらんになっていただきましたように、急傾斜地に家屋が密集している、人工擁壁も損害を受けている、こういったことから二次災害が起こるんではないか、大変大きな不安を引き起こしているわけであります。事実、三月三十日に避難勧告が行われる等もありましたし、また、これから梅雨を前にしまして、どうなるんだろうかという不安の声、本当に大きくなっているわけであります。そして、こうした状況でありますから、急傾斜地における家屋の所有者、当事者にとどまらず、この下の方に住んでいる方々、周辺にも大きな被害が予想されるというようなことから、問題視する声が随分大きくなっているわけであります。これは先ほど来話に出ているとおりであります。

 この問題についてでありますが、おっしゃるとおり、民間が所有している家屋あるいは人工擁壁でありますから、これは民間が自助努力で対応する、これが基本だというふうに私も思っています。それがために、住宅金融公庫の災害復興住宅融資等、さまざまな自助努力を支援する仕組みがあるわけであります。こういったものを使って自助努力で対応するのが基本だというふうには考えます。

 しかし、呉の特殊事情、これも話が出ておりますように、こうした急傾斜地に住んでいる方々、高齢者であったり、あるいは経済的な事情等があって、こうしたコスト負担にたえられないんではないかというようなことが言われています。そして加えて、呉の急傾斜地に密集している民家という状況、例えば家屋を取り壊すにしても、またその廃棄物を移送するにしても、手作業でやらなければいけないということから、一般のケースに比べまして大変コストがかかる、こういった事情もある。こういった事情も重なってなかなか個人では対応できない、こういったことになっているわけであります。

 先ほど言いました、広く被害も波及する可能性もある、また雨季が近い、こういった事情を考えるときに、本当にこのまま何も支援をしなくていいんだろうか、民間の自助努力に任せるだけでいいんだろうかということになるわけであります。

 そして、先ほど来いろいろ議論が行われているわけですが、どうも聞いておりまして、真正面からお話を聞いても、なかなか話の整理がつかない、どうも前に進まない、こんなことを感じておりますので、ちょっと整理して質問をさせていただきたいと思います。

 呉の急傾斜地における密集した民家の状況、要は、人工擁壁があり、その上に家屋が建っているわけであります。それが被害を受けたという状況にあるわけであります。まず人工擁壁の上に建った住宅を取り壊さなければいけない、そして出た廃棄物を移送しなければいけない、そして人工擁壁の損傷を修復しなければいけない、こういったことになると思うんですが、まず最初に、家屋の取り壊しと廃棄物の移送の部分についてお伺いしたいと思うんです。

 この部分におきましても、さまざまな自助努力の手段があります。また、支援の手段もあると思うんですが、家屋の取り壊しと廃棄物の移送、この部分に限って、今、国として、自治体としてどういう対応をしているのか。この部分について、まずひとつ整理してお話をいただけますでしょうか。

三沢政府参考人 先生御指摘のとおり、今回の地震によりまして、急傾斜地の多い呉市においては、がけの崩壊によって危険な状態となった住宅が多く発生しておりまして、これを早期に除却するということが大変重要な課題でございます。

 こういうような危険住宅の除却を支援する事業といたしまして、除却費について国と地方公共団体で費用を補助する、いわゆるがけ地近接等危険住宅移転事業というのがあるところでございます。

 現在、地元の地方公共団体におきまして、この事業を活用すべく、危険住宅の実態の把握、それからその所有者がこういう事業を活用する御意向があるかどうか、そういう意向の把握に努めておられるところでございます。一部については既に補助申請が出てきているというふうにも聞いております。

 私ども国土交通省といたしましても、地元の状況を十分踏まえながら、的確にこの事業の運用を図っていきたいというふうに考えております。

岸田委員 おっしゃるように、がけ近と言われておりますが、こうした補助事業があるわけであります。しかし、これは最大七十八万円というようなことになっております。先ほど申し上げました呉の場合は、手作業で密集地において作業をしなければいけない、車両が入れないということから、すべて手作業でやらなければいけない。大変大きなコストがかかります。それでは不十分な部分があるということもお考えいただき、そしてそれ以外にもいろいろと支援の政策があるということを聞いております。この組み合わせの中で、まずもって家屋の取り壊し、そして廃棄物の移動の部分、この部分におきましては、しっかりと既存の制度をフル活用して対応していただきたいということを強く要望させていただきたいと存じます。

 そして次に、今度は下の部分であります。人工擁壁の部分であります。

 これも先ほど来大変議論になっているところでありますが、人工擁壁、自然がけではなくして人工がけであるというような事情もあります。また、基本的にこれは民間の所有物でありますから、民間の自助努力、低利融資等を使って対応するのが基本だということ、これはまたおっしゃるとおりだというふうに思います。

 しかしながら、呉の事情、二次災害によって被害をこうむる範囲が広く他へ及ぶというようなこと、さらには梅雨を前にして大変危険が迫っているというような事情、こういったことを考えますと、なかなか自助努力だけでは早期に対応することができない。このままほったらかしていいんだろうか、このあたりが先ほど来の問題意識だと思います。私もその辺強く感じるところであります。

 そして、こうした人工擁壁の対応につきましては、かつて阪神大震災のときに災害関連緊急事業の採択基準の緩和等、特例措置が行われた、こうした先例があるわけであります。もちろん、阪神大震災の場合と今回の芸予地震、これは全くケースが違うわけであります。規模も違う、事情も違う、これはもうそのとおりであります。

 しかし、先ほど小野理事から、それぞれの個別の事情に即した柔軟な対応をというような質問がありましたが、呉の場合の事情、先ほど来申し上げておりますような個別な具体的な事情に加えまして、歴史的な過程があるわけであります。呉、軍港として栄えた町であった。国策として多くの労働者、軍関係者を集めなければいけない、こういった事情の中で急傾斜地に住宅をつくっていかなければいけない、結果としてああいった町並みができ上がってしまった、こういった事情があったわけであります。こうした歴史的な経緯等も加えて考えますときに、本当に何もしなくていいのか、自助努力に任せるだけでいいんだろうかというような思いを持つのは私だけではないと思うわけであります。

 質問時間も来たようでありますが、そういった思いの中で、こうした前例がある、そして柔軟な対応が必要だという認識がある、なおかつ歴史的な経緯、国策の中でこうした町づくりができたという経緯、こういったことを考え合わせた上で、ひとつ検討していただく余地がないんだろうかという強い思いを持っております。その点につきましてひとつ御答弁いただけますでしょうか。

竹村政府参考人 呉におきます災害、そして二次災害に対する私どもの認識も全く委員と同じでございます。私ども、現在、現地で調査をやった結果を広島県を通じて聞く体制になっております。

 阪神・淡路との比較でございますが、大変被害のレベルが違う、状況が違う。そして、そのようなことから、そのまま阪神・淡路の特例措置を使うということは難しいのではないかと考えておりますが、国土交通省としましては、今御指摘の明治より軍港として発展した急傾斜地の利用等の歴史的経緯をも踏まえまして、調査結果や県、市の要望をお聞きしながら、国、県、市の役割分担をきちんと決めつつ、連携して対処してまいりたいと考えてございます。

岸田委員 今、竹村局長の御答弁の中で、連携しながら対処していくということで、少し前向きな御答弁だったかと私は理解いたしました。ぜひ対処していただき、そしてその結果どうなっていくのか、その辺また教えていただきますよう、御報告いただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 今回の芸予地震におきましてお亡くなりになられた方また被災をされた方に、お悔やみまたお見舞いを申し上げさせていただきながら、質問をさせていただきます。

 私も、前の質問者の方がずっと質問されてこられました呉市の人工擁壁の問題に的を絞りまして、質問をさせていただきたいと思います。

 現在、二十ミリ以上の雨の予測がある場合には、約二百世帯、五百人の方に避難勧告がなされております。これから梅雨を迎えるに当たって、かなり大規模な避難が繰り返されるわけでございます。これの避難者は、いずれも人工擁壁、地震によって被害を受けまして、そして雨が降ることによって二次被害の可能性がある、その破壊された人工擁壁の下に住んでいらっしゃる方々、またその上に住んでいらっしゃる方々でございます。こういう問題をどう解決するか、ずっとここでも議論が続いてきたところでございますので、ちょっと的を絞りまして、先ほど岸田委員からも話がございました阪神大震災のときの特例措置、これと比較しながら議論を進めていきたいと思っております。

 平成七年四月一日、兵庫県知事あてに、建設省の河川局砂防部長から、「災害関連緊急事業の運用について」ということで文書が発せられております。そこで、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業、これはいわゆる自然がけについてこれまで適用されてきたものでございましたが、採択基準に特例措置を設けた、このように書いてございます。

そして、その特例措置の目的は、このまま放置すれば、今後の余震、降雨等により被害が拡大し施設の所有者以外の第三者に被害が及ぶおそれがある場合、また周辺の道路、公園、周辺住民の生活維持のために不可欠な水道、ガス等の各種公共施設等に被害が生ずるおそれがある場合、この場合については、これまでの自然がけに限らず、擁壁等これに類するものを含む人工壁についてもこの対象とするということになったものでございます。このことによって、二次災害の防止と民生の安定を確保するため災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業に特例を設ける、こうなっております。そして、その人工擁壁につきましては、「急傾斜地の高さが十メートル(人家等に実際の被害があったものについては五メートル、人家等に実際の被害があり、且つ、周辺住民に二次的被害を生じる恐れがあるものについては三メートル)以上であること」というように明快な基準が引かれておりまして、民民でありましても、二次災害そしてまた公共施設に大きな被害が及ぶことが明らかな場合は特例を設けるということが阪神大震災のときに行われているわけでございます。

 確かに阪神大震災と今回の芸予地震は違うと思いますけれども、しかし、現実に今、雨が降るたびに五百人以上の人が避難をしているという意味、またその方々にとってはある意味で同じ状況ではないかと思います。この点についてお答えを願います。

竹村政府参考人 ただいま委員が御指摘の阪神・淡路における特例につきましては、全くそのとおりの内容でございますので、繰り返すことは避けさせていただきます。

 阪神・淡路のときは、もう御承知のとおり、兵庫県、神戸市の行政がいわゆる壊滅状態になるような大変な被害でございました。標準税収額をはるかに上回る公的被害、民的被害が生じたわけでございます。そのために、政府としましては、立法を設けまして、内閣総理大臣を本部長とする対策本部を設けまして、その中で検討し、今御指摘のような阪神・淡路における民間の人工擁壁につきましても、第三者への被害そして公的被害が考えられるということで、国の関与と申しますか、国がこの事業を採択していくという姿勢で臨んだわけでございます。

 私ども、広島県が取りまとめた報告を現在待っている段階でございまして、早急にその報告を受けまして、その被害の内容、実態、そしてこれからの心配等をきちんときめ細かく聞きまして、私どもの次の方針を立てていきたいと思っております。

 よろしくお願いします。

斉藤(鉄)委員 阪神の場合と今回の場合と、自治体が負担する額も違うことも考え合わせるという御答弁でございましたが、先ほど岸田委員からも話がございました呉の特殊性、昭和十八年には、あのすり鉢状の小さなところに四十万という人口でございます。私も地元でしたので何度も行っておりますけれども、石垣もほぼ直角に近い、直角に近い上にそういうたくさんの軍人さんまたは海軍工廠に勤める方の住宅でしょう、上に行きますと、せり出して宅地をできるだけ確保しているというところもたくさんございます。そういう当時の一つの国としての要請があって、そういう住宅事情また市街地になっているということもございます。

 また、現実に、今も自分の力でできる人はもう行っております。自分のがけの崩壊によって、その下に住んでいらっしゃる方、十世帯、二十世帯という方が現実に雨が降るたびに避難をしている。もうそれに耐えられなくて、自分の力で一生懸命修理をされている方もたくさんございます。

 民民でやるということは十分みんな知った上で、しかし、老齢の方も多い、資力のない方も多い、そういう中で、阪神・淡路とは比べ物にならない被害の小ささではございますが、現実に悩んでいらっしゃる方は同じ悩みでございますので、ぜひこの特例を市また県当局とも打ち合わせて適用していただきたい。県は、先日の県議会で、国が決断すれば県も半分出す、このように県知事が答えております。

 もう一度御答弁をお願いいたします。

竹村政府参考人 私ども、さまざまな災害を受けて、その災害のたびにさまざまな教訓を学びながら施策を展開しているわけでございます。阪神・淡路もそうでございました。

 今回の呉、広島の災害におきましても、特に今委員御指摘のような呉の歴史的な背景等を私どもこれから十分聞いて、地元からその内容を聞きまして、国がやるべき内容、県がやるべき内容、そして市がやるべき内容、きちんと整理して、住民の方々が安全に、安心して生活できるような体制に、そのような状況になるように私どもも検討していきたいと考えてございます。

斉藤(鉄)委員 阪神大震災の場合を見ておりますと、この緊急急傾斜地崩壊対策事業、きちんと基準が設けられております。人家五戸以上または公共的重要建築物・施設に著しい被害を及ぼすおそれがある場合。所得制限もございます。また、急傾斜地の高さについても、二次的被害を及ぼすおそれがある場合三メートル以上。そして実績として、件数といたしましては百三十五件五百十六宅地、事業費としては七十四億六千万円という形でこの事業が行われております。

 同じ質問を何度もいたしますけれども、実際に被災されている人の苦しみは同じ、また二次災害のおそれも神戸の場合と同じだと思います。ぜひ対処方よろしくお願いいたします。もう一度御答弁をお願いいたします。

竹村政府参考人 御指摘のように、震災全体の規模は違いますが、被害を受けた方々から見たら全く同じ状況の被害でございまして、私どもはそれは十分承知しているわけでございます。

 同じような答弁になって大変恐縮でございますが、私ども、国としてやれる内容、県がやるべき内容、市がやるべき内容、それぞれを連携しながら、どうやってその地域が安全になるか、呉市が安全になるかということについて、これから真摯に検討してまいりたいと考えてございます。

斉藤(鉄)委員 どうか前向きな検討を、また実際に被害に遭われた方、またその地元自治体の実態に即しながら、よく聞きながら、対策をとっていただきたいと心からお願いをする次第でございます。

 急傾斜地問題については以上です。

 もう一つ、今回の芸予地震と少し離れますけれども、三宅島の避難島民支援について質問をさせていただきます。

 三宅島からの避難島民の大半が短期間の避難のつもりでございましたが、つまり着のみ着のままで島を出た、そういう状況でございましたけれども、非常に長期にわたっております。この中で失職した人もたくさんいらっしゃる。当然、働く場所がなくなった方がほとんどでございますので、失職した人もたくさんいらっしゃる。そういう失職した人の約三割の世帯に借入金があるそうです。その借入金の残金の平均は、一千二百万円。これは事業者も含まれておりますので、ちょっと高い金額になっておりますけれども、借金の残金の平均は千二百万円。そして災害前、毎月五万円以上ローンを返済していた人というのが約六割、十万円以上の人も約三割いらっしゃいまして、そういう状況の中で失職をして、既存ローンの返済が非常に経済的圧迫要因となっているという状況にございます。

 この中で、特に事業者、被災中小企業の方の既存ローンにつきましては、中小企業庁そして民間金融機関の配慮もございまして、平成十三年度につきましては元本返済猶予をする、そして利子については利子補給による無利子化を行うということが決まっております。ある意味では、事業者の方については対策がとられたわけですけれども、借入金があると答えた世帯のうち、実はその事業者の方は三五%でございまして、残りの六五%、三分の二の方は、いわゆる個人の民間のローンでございます。住宅でありますとか、車でありますとか、もろもろのローンだと思います。

 こういうローンの方にとりましても、失職中の方もたくさんいらっしゃいます、この事業者と同様の措置をとる、元本につきましては返済猶予、利子補給についても配慮すべきではないか、このように考えるわけですけれども、これに対して御答弁をお願いいたします。

吉井政府参考人 ただいま先生御指摘のとおり、三宅島の噴火災害につきましては、被災住民の方々は長期にわたり大変苦しい避難生活をお過ごしのところでございますが、被災されました中小企業者の既往債務につきましては、特にその債務がかなり多額に上りまして返済額も多いというふうなことから、臨時異例の措置といたしまして、当面一年間の元本の返済猶予、それとその間の金利の無利子化のための利子補給措置が講じられたところでございます。

 住宅関係のローンにつきましては、住宅金融公庫からのローンについての支払いの猶予、据え置き期間の設定、その期間内の金利の引き下げ、償還期間の延長等の措置を実施しております。

 そのほかに、被災住民の生活支援といたしましては、都営住宅の無償提供でございますとか、生活必需品の給付、それから被災者生活再建支援金の支給等の措置を講じておりまして、長期避難により被災住民の方々が強いられている御負担の軽減を図っているところでございます。

 なお、今後とも、火山ガスの状況等を見ながら、国としてどのような対策が必要なのか、東京都等とも連絡をとりながら対応していきたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 対処していきたいということですが、実は昨日、私は、本当に被災されている方のことを考えて真剣にやっていこうという気持ちが政府にあるのかなと疑わざるを得ないようなことがございました。

 それは、この質問はどこに質問をしたらいいのかということで、民間金融機関のローンの話ですので財務省かな、財務省は、いやいやこれは銀行のことですから金融庁です、金融庁は、いやいや我々は別に民間金融機関に対してどうこうということは言えません、災害のことですから内閣府じゃないでしょうか、内閣府は、いやいやこんな質問、答えられませんというふうなことで、結局、答弁をしていただく方が決まったのは夜の十一時半でございました。

 つまり、だれも自分のこととして考えようとしていない。変な質問だったら仕方ないかもしれませんが、ローンで、事業者についてはこういう措置がとられた、また今一般の銀行のローンで困っていらっしゃる方、これについても同様の措置はとれないだろうかというのは、私は極めてリーズナブルな質問ではないかと思いますけれども、その質問に対してどこも答えようとしない。一体、被災者のことを本当に心から考えてやろうという気があるのかどうか、こういう気をきのう強く持った次第でございますが、もう一度御答弁をお願いいたします。

吉井政府参考人 三宅島の噴火災害に対する被災者につきましては、お言葉でございますが、私ども政府といたしましても、非常災害対策本部をつくりまして、かねてより各省とも密接な連携をとりながら対応を真剣に考えているつもりでございます。

 ただ、昨日のことを、具体的な時間も提示してのお話でございますが、私ども、質問の内容をお伺いした時間もそう早くはございませんでしたし、具体的にこのような問題が提起されているということに関しましての整理が若干おくれたところでございます。

 ただ、私ども内閣府が災害対策全般については取りまとめてやっていこうということで、今後ともやっていきたいと思います。

斉藤(鉄)委員 この三宅島の問題、そして今回の芸予地震の問題、私たちも現場の方、被災された方とお話をして、私たちが本当に一生懸命取り組んでいかなければならない、こういうことを強く痛感して帰ってまいりました。どうか、政府におかれましても、その気持ちで頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

赤羽委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十八分散会




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