衆議院

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第6号 平成14年5月16日(木曜日)

会議録本文へ
平成十四年五月十六日(木曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 田並 胤明君
   理事 小野 晋也君 理事 田中 和徳君
   理事 宮本 一三君 理事 吉田六左エ門君
   理事 今田 保典君 理事 松原  仁君
   理事 遠藤 和良君 理事 山田 正彦君
      岩崎 忠夫君    岩屋  毅君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      左藤  章君    高木  毅君
      谷本 龍哉君    中野  清君
      中本 太衛君    西川 京子君
      原田昇左右君    堀之内久男君
      村上誠一郎君    谷津 義男君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      奥田  建君    小泉 俊明君
      後藤  斎君    鈴木 康友君
      津川 祥吾君    土肥 隆一君
      中津川博郷君    前田 雄吉君
      赤羽 一嘉君    東  順治君
      塩川 鉄也君    藤木 洋子君
      菅野 哲雄君    山内 惠子君
      西川太一郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (防災担当大臣)     村井  仁君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   高橋 健文君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   稲村 公望君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           加茂川幸夫君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           素川 富司君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           上原  哲君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教
   施設部長)        小田島 章君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長
   )            今村  努君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           真野  章君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           林  建之君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局整
   備部長)         中島 克己君
   政府参考人
   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   政府参考人
   (気象庁長官)      山本 孝二君
   参考人
   (東京都総務局災害対策部
   長)           岡部 恒雄君
   衆議院調査局第三特別調査
   室長           柴田 寛治君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  東  順治君     桝屋 敬悟君
  山田 正彦君     高橋 嘉信君
同月八日
 辞任         補欠選任
  桝屋 敬悟君     東  順治君
  高橋 嘉信君     山田 正彦君
同月十六日
 理事山田正彦君同月七日委員辞任につき、その補欠として山田正彦君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 災害対策に関する件
 三宅島噴火災害対策に関する件


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     ――――◇―――――
田並委員長 これより会議を開きます。
 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に山田正彦君を指名いたします。
     ――――◇―――――
田並委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。
 去る五月八日、三宅島噴火による災害状況調査のため、三宅島に視察を行いました。その概要につきまして、私から御報告をいたします。
 当日の視察委員は、自由民主党の吉田六左エ門理事、田中和徳理事、梶山弘志委員、左藤章委員、西川京子委員、堀之内久男委員、民主党・無所属クラブの今田保典理事、松原仁理事、奥田建委員、公明党の遠藤和良理事、桝屋敬悟委員、自由党の高橋嘉信委員、日本共産党の藤木洋子委員、社会民主党・市民連合の山内惠子委員、そして私、田並胤明の十五名であります。
 御承知のように、三宅島雄山は、平成十二年七月の噴火以来、現在も多量の火山ガスを噴出しており、島民の方の島外避難生活は本年九月で二年を迎えるという、前例のない事態となっております。
 本委員会は、昨年十月に同様の視察を行いましたが、今回の視察は、今国会での三宅島噴火災害対策の議論を踏まえ、島民の方の帰島への願望を実現するため、また、帰島した際の生活及び産業の復興等に対する支援策を検討するため、被災現場に立ち、被害の実情や災害復旧事業の進捗状況を調査することが重要であるとの認識のもとに実施したものであります。
 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。
 視察委員は、陸上自衛隊市ケ谷駐屯地からヘリコプターに搭乗し、三宅島空港に到着した後、復旧事業の進む都道二百十二号線に沿って視察を開始しました。
 まず、三池地区の火山ガスによる住宅や植生等の被害状況を視察いたしました。この地区は火山ガスによる影響が最も大きい地域であり、住宅のトタン屋根は火山ガスにより腐食し、一部青いビニールシートによる仮補修の様子が見られました。これは、希望者が約八十万円の費用を負担して工事を行っているとのことでありました。また、この地区周辺の木々はほとんど立ち枯れた状態であり、火山ガスが植生に及ぼす被害の深刻さを痛感いたしました。
 次に、神着地区において、泥流被害を受けた家屋の様子を視察いたしました。宅地内はおろか、天井近くまで泥流に埋もれておりました。宅地内の泥流や降灰除去が困難な作業であることが、今後の大きな課題であると考えさせられました。
 引き続き、神着地区の泥流被害を未然に防ぐために施工されている川田沢の砂防ダム建設現場を視察し、砂防事業計画の概要説明を聴取いたしました。川田沢では、四基の砂防ダム建設が平成十七年三月完成を目途に進められております。なお、島全体では、十五基の砂防ダムが既に完成し、新たに十二の渓流での砂防ダム建設が計画されているとのことであります。
 その後、伊豆地区の東京都三宅支庁に向かいました。
 三宅支庁においては、青山東京都副知事等から、災害復旧状況及び避難島民の生活状況について説明を聴取した後、長谷川三宅村村長から、島民に対する継続的な生活支援対策、泥流・降灰除去対策、家屋修理等に対する支援、帰島後の生活再建及び産業基盤の整備等について要望がなされました。
 視察委員からは、復興計画のあり方、帰島後の産業の復興問題、漁業者に対する支援の現状、短期滞在の帰島の実現等について発言があり、意見交換を行いました。
 引き続き、庁舎屋上に設置されている脱硫装置を視察いたしました。
 次いで、泥流による道路被害の復旧工事である空栗仮橋を視察し、説明を聴取しました。島内には、このほかに、立根仮橋等、四カ所において仮橋が設置されており、島内一周の車両通行が可能となっています。今後は十六の被災箇所について、平成十五年度末完了を目途に本復旧工事を進める予定とのことであります。
 次に、村道雄山線を上り、途中、農業用ハウスを視察いたしました。かつては、三宅島農業の主要な作物であるレザーファンが栽培されていたハウスは、火山ガスにより支柱が腐食し、再利用は不可能な状態でありました。
 その後、雄山中腹の村営牧場を視察いたしましたが、一メートルもの降灰が堆積しており、かつて青々としていたという草原は見る影もなく、荒涼とした風景でありました。
 今回の視察を通して、三宅島噴火災害対策における当面の最大の課題は、火山ガスと泥流の危険への対応であると感じた次第です。
 泥流対策については、各沢筋には、砂防ダム、泥流溝等の整備が行われており、平成十七年度完了を目途に土木関係の復旧事業は順調に進められていると見受けられました。
 一方、島民の方が帰島するための生活基盤である住宅の整備、宅地、農地等の降灰除去、さらに水道、電気等のライフラインの確保等については、課題は山積していると存じます。
 さらに、帰島が実現した場合の、火山と共存するための復興計画における国の支援のあり方についても、今後の大きな課題であると認識いたしました。
 以上が、委員会視察の概要であります。
 なお、今回の視察に当たりましては、東京都、三宅村及び陸上自衛隊第一ヘリコプター団等の方々の多大なる御協力をいただきました。ここに深く謝意を表しまして、報告といたします。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
田並委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として東京都総務局災害対策部長岡部恒雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官高橋健文君、総務省政策統括官稲村公望君、消防庁長官石井隆一君、文部科学省大臣官房審議官加茂川幸夫君、文部科学省大臣官房審議官素川富司君、文部科学省大臣官房審議官上原哲君、文部科学省大臣官房文教施設部長小田島章君、文部科学省研究開発局長今村努君、厚生労働省社会・援護局長真野章君、農林水産省大臣官房審議官林建之君、農林水産省農村振興局整備部長中島克己君、林野庁長官加藤鐵夫君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、国土交通省航空局長深谷憲一君、気象庁長官山本孝二君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 岡部参考人におかれましては、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、大変御苦労さまでございます。
 質疑の前に申し上げます。参考人には、委員の質問に対しお答えいただきますが、委員長の指名によりまして発言していただくようお願いを申し上げます。
    ―――――――――――――
田並委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。
松原委員 松原仁であります。
 今回、我々、五月八日に三宅島に、現実の、実地を見に行ったわけでありまして、昨年行ってから半年ぐらい経過をして、再び私はお伺いをする機会を得たわけであります。
 火山活動は、その後も徐々に鎮静化をしながら、今日まだ続いている、こういう認識であるわけでございますが、最初に林野庁長官にお伺いしたいと思うんですが、半年前に比較して、山林の立ち枯れというんですか、枯れている状況というのはなかなか解決されていない。特に島の神着、三池地区周辺は、ぱっと見ても完全に緑がなくて、視察した車でずっと回ってくると、逆側に青々とした緑がある、こういうことで非常に対照的な厳しい風景だったわけであります。
 そういった意味で、半年前と比較し、また、全島避難が始まって以来、この山林の状況というのは今どんなふうになっているのか。この数カ月の間でむしろ緑が徐々に回復をしているのか、それとも枯れている領域というのは全然減らないで威勢を誇っているのか、こういった点について、林野庁長官にお伺いいたしたいと思います。
加藤政府参考人 三宅島の森林の被害状況でございますけれども、被害地域が危険区域内にあるわけでございまして、詳細な被害調査ができない状況でございますけれども、本年一月時点で、航空写真により判読等を行いまして、被害状況を把握いたしたところでございます。それによりますと、三宅島の森林面積四千二百ヘクタールのうち、おおむね六割に当たる二千四百ヘクタールの森林について何らかの被害があるというふうに見込まれたところでございます。今までと比べますと、御指摘のとおり、被害区域の島の北東部を中心に拡大をしているというような状況になってきていると認識をいたしているところでございます。
 これらの森林被害につきましては、火山ガスの放出がおさまった時点で、被害状況等を調査、把握した上で、森林災害復旧事業や治山事業による復旧整備を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 なお、現在、泥流防止対策につきましては、治山ダム工を五カ所で着手しているところでございますし、さらに、工事関係者用のクリーンハウスというような脱硫装置のついた施設についてもこの六月に完成させるということで取り組んでいるところでございます。
松原委員 今のお話ですと、枯れている場所はだんだんと狭まっていくのではなくて、それと裏腹にどうも拡大をしているのではないか、こういう印象を持つわけであります。
 そうした中で、気象庁長官にお伺いをするわけでありますが、火山活動の現況を、いわゆる放出ガス、有毒ガスがどんどん減っている、こういうふうな報告があったわけであります。これが最終的には桜島山レベルよりはもっと低くならないと、たしか桜島山よりも三宅島の山は低いですから、なかなか難しいという議論もあります。実際にこういった火山活動が、我々は、だんだんとおさまってきている、ガスの放出も減ってきている、こういうふうに聞いているわけでありますが、今の林野庁長官のお話等を含めると、自然の生態系では緑がリカバリーするためにはいま一つ時間がかかるという認識かもしれませんが、実際の火山活動がどうなっているのか。本当に鎮静化をしているのか、実は鎮静化をすると見せかけて、また厳しくなる兆しがあるのか。なかなか予測というのは気象庁にとっても厳しい部分かもしれませんが、その辺、どのようにごらんになっているのかを気象庁長官にお伺いをいたします。
山本政府参考人 お答えいたします。
 現在、火山ガスの放出量でございますが、これは一日当たり大体五千トンから二万トンの高い値になっておるわけでございます。この放出量について、変動はあるものの、長期的には減少傾向が続いておりまして、なお火山性地震や火山性微動は発生しているわけですけれども、地震活動や地殻変動の傾向から見ますと、火山活動全体として低下途上にあるというふうに考えてございます。若干の降灰をもたらすような小規模な噴火はその中で今後も発生する可能性があるのではないかと考えております。
 なお、これらについては、来週開かれます火山噴火予知連におきまして総合的な診断を改めていたすところでございます。
松原委員 これから行う議論の前提は、まさにそういった火山の活動が終息に向かう、火山ガスも従来よりだんだんと排出量が減ってくるというのを前提にして議論を展開していきたいわけでありまして、先ほど林野庁長官がおっしゃるように、むしろ場合によっては木々の枯れぐあいが拡大しているのではないかというふうなことになると、かなりこれからの考え方もまた考えていかなければいけない部分があるのですが、気象庁長官、その辺、もう一回お答えいただけますか。
山本政府参考人 お答えいたします。
 ガスの放出量あるいは地殻変動の傾向から見て、私どもの現時点での知見では、火山活動は徐々に終息の方向に向かっていると考えております。
 なお、三宅島におけるガスの挙動の、振る舞いでございますが、これは風向、風速によって相当変化するということで、現在、山頂及び三宅島周辺のさらなる火山ガスの実態把握の観測強化に努めているところでございます。
松原委員 特に要望したいことは、そういった中で、これから島民の皆様の思いもあり、そして議論していきます島におけるショートステイとかそういったものが実際行われるとするならば、だんだんとガスが減ってきているというふうな議論はもちろん大事ですが、ここはとりあえず広範に調べていただいて、どうも私の印象では、立ち枯れのエリアが前に行ったときよりも広くなっているような体感が私もあったわけですね。林野庁長官もその点は今指摘をしたわけでありますので、そこは気象庁が徹底的にそういうチェックをしていただきたいと思うわけであります。
 そこで大臣にお伺いをするわけでありますが、そういう状況の中で、今回、我々の視察を含め、島からずっと離れている状況というのが余り長く続くと、現実に島というものの一つの集まり、また思いというものも厳しくなっていくだろう、こういうふうなことがございまして、既に全島避難が始まってもうすぐ、もうすぐという表現は極端ですが、二年を迎えようとしているわけでありまして、春と夏と秋と冬が二回来ているわけであります。そうなった場合に、そろそろ我々は、それが可能であるならば、火山ガスとの共存ですね、火山ガスとの共存という新しい、従来の災害ではこういうふうな状況というのはなかなか想定しなかったわけでありますが、そういったステージに踏み込んでいかなければ、三宅島の復興というものは難しいだろうというふうな認識もあるわけでございます。
 また、現在の状況であれば、さまざまなライフラインを復旧することによって、帰島をし、生活をするための生活基盤というのはまだ残されている。もちろん、今回の視察でも、この火山性ガスによってトタン屋根の家はトタンに穴があいているというふうな状況を散見したわけでありますが、しかしながら、時間がたてばたつほどそういった問題も厳しくなってくるということで、火山ガスとの共存というふうなことに踏み込むべきだと思うんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。
村井国務大臣 まず、先般、五月八日でございますか、田並委員長を初め当委員会の委員の方々が三宅島に御視察をいただきましたことに、私からも改めて敬意を表したいと存じます。
 当委員会で何度か申し上げておりますように、我が国災害史上で前例を見ない、既に一年八カ月を超える全島避難を強いられている島民の皆様方の心情というものを考えますとき、大変事態は深刻だと私も認識をしているところでございます。
 ただ、ただいま気象庁長官から御答弁申し上げましたように、まだ火山ガスの排出量が五千から二万の間を行ったり来たりしているというような状態でございまして、桜島が一つの例になるんでございましょうけれども、あちらの場合には、やはり一部地続きである、それからまた、一年に一回でございますか、船による避難訓練を実行しているように聞いておりますけれども、ともかく指呼の間に陸地があってそこへ避難ができる、そこで千ないし三千というようなレベルの火山ガスが放出されている、今、松原委員仰せのとおり、しかも少し高い山だというようなところで、まあ何とか生活ができている。それに対しまして三宅島の場合、何といいましても海の中の孤島であるということもございまして、いざというときにどうするのか、なかなか難しい問題があると存じます。
 今お尋ねの、火山との共存というような観念でございますけれども、やはりまずは、ともかく島に帰って普通の暮らしができるような火山ガスの状態、レベル、そこまでいかないと私はなかなか難しいのではなかろうかということを申し上げざるを得ないと思うわけでございまして、そういう意味で、そうはいいながら、いよいよ帰れるぞということになったときに、そこから慌てて準備をしても始まりません。
 既に三宅村でも、三宅村の復興に伴う基本的な構想というのをお立てになりまして、自然との調和を図りながら居住者が不安のない生活を送れる安心な島を形成し、観光客にとって最大限の安全を提供するという防災しまづくりというのを掲げて、火山との共存を基本とする方針というのをお立てになっていらっしゃいます。
 私としましては、いずれにしましても、今後帰島が可能になった場合に、三宅島の復興につきまして、十分な安全対策を講じまして、火山との共存を図る、そういう考え方を進めることが肝心であろうか、こんなふうに考えているところでございまして、ただ残念ながら、今すぐそれができる状況になっているかというと、私はやはりまだ難しいのではないかという認識を持っているところでございます。
松原委員 きょうは、東京都の災害対策部長の岡部さんに参考人として来ていただいておりまして、ありがとうございます。
 岡部さんにお伺いしたいわけでありますが、今、三宅に、さまざまな土木復旧、いわゆる泥流対策の工事とかいうことでたくさんの方が働いていると思われますが、そのたくさんの方が働いている中で、一年有余の間で、三宅島の火山性ガスの関係で何か事故みたいなものがあったという報告はあるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
岡部参考人 工事中に若干、足を踏み外してけがということで救急に運んだという事故が一件ございました。ただし、火山ガスによる影響によって事故が起こったというふうなことはございません。
 なお、私ども、中央診療所を既に開設しまして、村の医師と看護婦等を備えつけまして、万全を期しているところでございます。
松原委員 ここが極めて大事な部分でありまして、本当に、リスクというのは常にリスクヘッジをしていかなければいけないわけでありまして、火山ガスとの共存という問題は、非常に慎重に対処しなければいけない問題だと思っております。
 しかしながら、現実に五百人か六百人でしたか、土木作業員が一年半働いていて、火山ガスによる事故もしくは問題というものは一件も報告をされていないということもまた、別にそれをもって安全確認ということにはならないと私は思いますが、防毒マスクをして働いている限りにおいては、クリーンハウスさえあれば、現実には今、六百人が一年半経過してガスによる問題の発生というのはゼロだったということで、私は、これは一年半という時間の経過の中で一つの大きな実績というふうに思うべきだと思っております。
 そういう中で、ぜひとも私はするべきだと思うことは、先ほど、火山ガスとの共存を視野に入れなければいけないということでございましたが、そういった意味で、ずうっと年がら年じゅう島でというのはまださらに向こうのステージかもしれませんが、当面は、島へのショートステイというものをぜひとも実現していただきたいというふうに思うわけであります。
 今までのデータで、六百人の土木作業員が一年半一人も火山ガスによる被害がなかったという一つの実績と、その当時に比べたら、今、気象庁長官の話でも明らかに火山性のガスは減っているという認識でありますので、島に対する思いが島民の間にうつぼつとしている、それがまた、島民の中にある島への思いのたいまつというか炎が消えないうちに、今も一時帰島というのは五時間とか六時間で行っているわけでありますが、できれば、例えばそれが二日なり三日なりというショートステイというものを考えていくことが、島民、特に東京で厳しい生活をしている島民、この間の参考人のときにも私は申し上げましたが、どんなに厳しくてもこういう未来がある、あしたがあるよというふうな思いがあればそれは耐えていけるわけでありますが、いつ帰島できるか全然わかりませんというのでは、東京での生活はまさに暗やみだけになってしまう、向こうに明かりの見えない、トンネルの先の見えないトンネルになってしまうと思うわけであります。
 ぜひとも、そういった意味では、火山ガスとの共存、そしてとりあえず、今言ったような土木作業員も事故がなかったというようなことも含めながら、今、クリーンハウス等を検討しながら、いわゆる島へのショートステイというものを検討するべきだと思うんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。
村井国務大臣 御案内のとおり、三宅島まで海路八時間かかる、そして現実に島に滞在できる時間が六時間程度というのが現状でございまして、そういう中で、だんだん劣化していく自宅の補修の問題でございますとか、島民の皆様方に大変深刻な御要望があることは私もよく承知しているところでございます。ただ、火山ガスの放出の状況などを考えますと、一般島民が滞在をされて、島である程度の時間を過ごされるというような状態といいましょうか、そういう環境をつくるというのは現段階ではなかなか難しいものがあろうかと思うわけでございます。
 ただ、将来の問題としまして、本格的な帰島に至るまでの一つの過程としまして、ある程度ガスが落ちてまいりまして、十分な安全対策が講じ得るという環境になりましたら、私は、何らかの形で滞在できるような形の一時帰島、これを視野に入れて考えていく必要はあろうかと思うわけでございます。さような意味で、今後のガスの状況などをにらみながら、また、三宅村、そして東京都ともよく連携をとって対応してまいりたい、そんなふうに思っております。
松原委員 基本的には、時期の問題はありますが、大臣の御答弁は島へのショートステイの可能性を踏み込んで御発言していただいたというふうに思っております。
 そういう中で、現在も日帰り一時帰島というものも含めて行われているわけでありますが、この一時帰島の費用というものについて、本来、私有財産のある島からある意味で強制退去という形をとっているわけでありますので、戻る場合に帰島費用というものについて、やはりある程度それは国が面倒を見るというふうなことも私は一つの支援のあり方として必要だろうと思うんですが、このことにつきましてはいかがでしょうか。
高橋政府参考人 島民が一時帰島する際の費用の点でございますが、昨年度は各世帯一名の方、状況を見るために公的な負担で帰っていただくような措置がとられたわけでございます。
 本年度に入りましてからの日帰り帰島は、昨年度、一応、全島民を対象とした一時帰宅が一巡したということ、そしてまた、島民のニーズに応じて世帯ごとにその帰宅者数が異なることから、三宅村においては、運賃について自己負担としたと聞いております。
 しかしながら、運賃につきましては、例えば船の二等席の場合に島民割引が適用されまして、往復で約七千五百円という低廉な形になっております。また、島民の島内での移動につきましては、無料の村営バスを運行することとしておりまして、移動の際の安全対策を含め、村が責任を持って対応しているわけでございます。
 さはさりながら、住民の方の一時帰宅については、これだけ長期間島を離れざるを得ない、そういう事情をよく踏まえて、可能な限り住民の方の要望にこたえられるような対応を、また村及び都と相談していきたいと思っております。
松原委員 これは、今もそういったいろいろな割引があるということでありますが、やはり島民の一時帰島が現実的にどんどんと行われていくということになって、さらなる支援をぜひとも要望したいと思っております。
 現実にそうやって島にいよいよ火山ガスとの共存でショートステイして戻っていこうではないかという議論になったときに、やはりそのときの前提になる条件が幾つかあるわけでありまして、先ほど岡部さんの話で、四百人、五百人、六百人の土木作業員が今まで火山性ガスで事故はなかったという議論であります。それは、クリーンハウスというものは、やはり一つのギャランティーをしていたというふうに思うわけでありますが、実際に島民の皆さんが一時帰島し、仮にそれが火山ガス等の流れを見ながらある程度の、滞在が三日とか四日とか一週間とかされる場合に、そういったクリーンハウスを各集落につくっていくということが一つの現実的なことになってくるかもしれないと思うわけであります。もし将来、火山ガスがずっと続いていって仮にそれがもう五年、六年に及ぶときに、各戸にクリーンルームをつくるということも場合によったら必要になってくると思うんですが、そのクリーンルームを各戸につくる場合は、今は大変に少ないので単価が高いわけでありますが、量産すれば単価は安くなると思うんですが、大体どれぐらいの費用なのか。目張りをするとかそういった部分の費用を別にして、アバウトこれぐらいだという印象があれば、特に東京都が熱心に研究をなさっていると思うので、岡部さんにお伺いしたいと思います。
岡部参考人 各戸にクリーンルームをつくるという設備的なものはまだ技術的には開発されておりません。また、たとえそれが実験的な段階でありましても、家屋の気密性とか費用の負担とかいろいろな問題を含んでおります。一戸一戸がもしやるとしたら、二十数億というオーダーになるとは思います。
 しかし、クリーンハウスの建設につきましては、私どもは、現実的で的確なガス対策ができた上で、建設場所や建設規模を三宅村と相談しながら建設していきたいと考えております。
松原委員 大体二十数億というオーダーということは、千五百戸とすると一戸大体二百万ぐらいかかるという感じだと思うんですが、これも技術の進歩で安くなるといいなというふうに思っておるわけであります。
 そういう中で、今、ひとつ実際にクリーンハウスをとりあえず各集落につくっていきたいというふうな思いも島の方にもあるかと聞いておりますが、各集落にクリーンハウスを設置する場合に、それを新しい建物で、百人規模のもので設定するとした場合、それについての費用はどれぐらいかかるのか、岡部参考人にお伺いいたします。
岡部参考人 ただいま建設してあります一番大きい建設中のが、農林の合同庁舎でございますが、百名程度入りますが、それが大体三億ぐらいかかります。五十五名の勤労福祉会館では三億七千万かかっております。二十名収容規模のふるさと館に九千万というオーダーになっております。
 以上でございます。
松原委員 そうすると、雑駁なイメージで、五つの集落でこれまた二十億ぐらいかなというふうな印象もあるわけであります。そういったものに関して、今、活動火山対策特別措置法というのがあるわけでありますが、集落ごとのクリーンハウスを、実際そこに人が住んだときにも噴火の可能性というのは常に三宅の場合はあるわけでありまして、将来のそういった噴火に備え、またそのときは観光客も三宅に戻ってきているというふうなことを前提にしたときに、そういったときは既にもう島に入島できないようになっているかもしれないわけでありますが、観光客の避難用も含めてクリーンハウスをつくることが、例えばいわゆる活動火山対策特別措置法の資金の運用の枠の中でできるのではないかというふうにも思うわけでありますが、そういったことも含めて、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
村井国務大臣 活動火山対策特別措置法の適用の問題につきましては、先般、この委員会で山田正彦議員から御質問がございまして、私、その際には大変消極的なお答えをしたのでございますが、その後、一つは、火山ガスの測定結果が四月になりまして三週間連続して一万トンを割っていたという現実、それから、三宅村におきまして復興基本計画の策定作業が進みまして、この活動火山対策特別措置法の適用を視野に入れた御議論が出てまいった、こんなようなことも考慮いたしまして、実は五月十日に政府が非常災害対策本部で、この活動火山対策特別措置法を用いて避難施設の緊急整備地域の指定を行うことも研究しようということで一つ割り切りをいたしました。そういう方向で検討を始めました。これが正確な言い方だと存じます。
 そのことを申し上げました上で、この緊急避難施設整備地域に指定されますと、知事が避難施設緊急整備計画を策定いたしまして、その計画に基づきまして、道路、港湾、広場等とあわせまして退避施設等の避難施設の整備に対しまして、補助率のかさ上げですとか地方債の起債の特例でございますとか、あるいは特別交付税の特別財政需要額への算入等の形でいろいろサポートをすることができる、こういう仕組みがございます。これはもう委員十分御案内のとおりでございます。
 こういったことを使いまして、例えば、まだ帰島のめどが立っているわけじゃございませんけれども、将来の課題としまして、滞在型の一時帰宅でございますとか、あるいはさらに本格帰島の後必要になる避難施設としてクリーンハウスの整備を検討するというようなことも考えられるのじゃないかというふうに考える次第でございます。
 そういうことも含めまして、各省庁でどういう支援が可能になるか、よく研究をさせていただきたい、こんなふうに思っているところでございます。
松原委員 三宅村の火山との共存という観点からいけば、そういった趣旨で活動火山対策特別措置法の中でクリーンハウスができる、大変にすばらしいことだというふうに思っておりまして、よろしくお願いをしたいと思っております。
 そういう中で、現実に、また、それぞれの家庭に将来クリーンルームができて、戻るところまで想定しないと、三宅村の本当の復興というのは視野に入ってこないわけでありますが、その場合のいわゆる水道、ガス、電気等のライフライン、この復旧が特に東京都を中心に進んでいるというふうに承っているわけでありますが、岡部災害対策部長にどういう状況なのか、お伺いをしたいと思います。
岡部参考人 水道、ガス、電気などの復旧につきましては、道路の復旧と並行しまして、基幹的な部分については全力を挙げて取り組んでいるところでございます。しかし、本格的な帰島の前までには、生活用の施設等はまだまだ手がついておりません、基本的に生活や産業に支障のない状態になるよう万全を期していきたいと考えております。
松原委員 まだ質問が幾つかあったのでありますが、時間になりましたので、最後に一言だけ申し上げたいことは、こういったクリーンハウスをつくる、そしてさまざまなライフラインをつくったりしながら、島へのショートステイ、火山ガスとの共存という世界でも初めてのことに我々は挑戦をしていかなければ、ふるさとを守れないということで頑張っていくわけでありまして、そのためには、村井大臣以下、ぜひとも万般の御指導をいただきたいと思うわけであります。
 本当はこの後質問しようと思ったのは、それぞれの被災者の宅地の中に降灰が入ったり、トタンがやられたりしているわけでありまして、これは、さまざまな国からの援助というのは、現状ではなかなか私有財産でできないというふうなことになっているわけであります。
 これは従来も超党派の議連等でも随分と研究し、議論をしたところでありますが、そういった私有財産であっても、一つの平面的な地域で、全体が大変に消耗し、損なわれた場合には、これを公的な措置によって復興するということをしていかなければ、なかなか三宅のような状況というのは克服できないというふうなことを私は考えておりまして、こういったものについて、この災害対策特別委員会としても恐らくさまざまな議論があると思いますが、また担当の村井防災大臣も、そういったこともぜひお考えをいただきたいと思います。
 あわせまして、いよいよこれからが、ことし十二月までが一つの正念場だと思います。ぜひとも、防災大臣その他の御指導をいただきながら、三宅島復興に本当に全力で取り組んでいって、これは日本の災害の新しい一つのモデルでありますから、何としてもこれを解決していきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
田並委員長 前田雄吉君。
前田委員 民主党の前田雄吉でございます。
 本日は、公共施設における耐震性の確保について伺いたいと思います。
 先般、当委員会におきまして、東海地震の可能性に、参考人の皆様をお呼びしましてさまざまな意見を聴取させていただきました。非常に発生の可能性が高い、それが参考人の皆さんの口をそろえての意見であったと思います。
 そこで、我が国におきましては、一九九五年、これは阪神・淡路の震災の後でございますけれども、九五年の年末に、耐震改修促進法が施行されたわけでございます。公共施設における耐震性の確保を推進する法律でございますけれども、これは、耐震対策が義務規定ではなくて努力規定であったことによって、この耐震対策については各自治体で足並みがさまざまに異なっている、ばらつきがある、これが現状でございます。
 そこで、特に災害発生時に避難所となり得る公共施設での耐震性の確保について、先般も報告書が出されておりますけれども、もう一度この現況を御説明いただけますでしょうか。
高橋政府参考人 災害時に避難所となります小中学校や、あるいは災害時にいろいろ支援を必要とされる高齢者の方だとか病人の方がいらっしゃる病院、社会福祉施設、そういったところの耐震性の確保というのは、防災上非常に重要な課題だと認識しております。
 このために、平成七年に制定されました建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づく施策を講じております。そして、それぞれの施設の所管省庁において国庫補助を行っておりますとともに、地震防災緊急事業五カ年計画や地震対策緊急整備事業計画に位置づけられた施設につきましては、補助率のかさ上げ措置を講じているところでございます。
 しかしながら、地方公共団体が所有します施設の耐震化の状況は、平成十三年度の消防庁の調査によりますと、耐震性能を有していることが確認された施設は、幼稚園、小中学校、高校等の文教施設で約四五%、社会福祉施設で五一%、病院、診療所等で五八%となっておりまして、委員御指摘のとおり、耐震性の確保が十分進んでいるとは言えない状況でございます。
 また、耐震診断も実施されていなくて耐震性の把握がされていない、そういう施設も多数ありますことから、昨年度創設されました緊急地域雇用創出特別交付金事業を活用しまして、防災上重要な施設の耐震診断の促進を図ろうとしているところでございます。
 これらの制度を活用いたしまして、耐震診断、耐震改修を進めることによりまして、公共施設の耐震性の確保を進めてまいりたいと思っております。
前田委員 今、公共施設における耐震性の確保の現況を御説明いただいたわけでありますけれども、四月の三日に消防庁から発表されています防災拠点となる公共施設等の耐震化推進検討委員会報告書、この中での数字を多く御説明いただいたわけでございますけれども、実際に自治体の施設に対して耐震の診断がどの程度進んでいるのか。
 私どもの愛知県、三重県、長野県、これは防災対策強化地区指定を拡大していただいたわけでございますけれども、この拡大に際しまして、地元の中日新聞が各自治体に行いましたアンケートがございます。これによりますと、公共施設の耐震診断について二極化が明らかになっている、つまり、一〇〇%やっている自治体と全くやっていない自治体とがある。
 確かに、耐震診断というのは百万円単位のお金がかかってしまう、また、その耐震診断をした結果に周辺住民の皆さんが非常に心配、不安に思われる、こんな現状があるから、なかなかその耐震診断も実行することができない。これが耐震診断が進まない理由となっているのかもしれませんけれども、この耐震診断は今現在どのぐらい進んでいるのか、もう少し詳しい数字をお教えください。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十三年四月一日現在で、地方公共団体が所有しております非木造の二階建て以上または延べ床面積二百平米以上を超える公共施設等の建物は合計で約四十三万四千棟となっておりまして、このうち、昭和五十六年五月三十一日以前に建築確認を経て建築されました、いわゆる旧耐震基準で建築されました建物は合計で約二十六万一千五百棟ございます。
 この旧耐震基準で建築された建物について耐震診断を進めたいと思っておるんですけれども、この実施棟数は合計で約六万七千六百棟ほどになっておりますので、耐震診断実施率は約二五・八%という状況になっております。
前田委員 二五・八%、非常に低い数字が、耐震診断すらそれぐらいしか進んでいないという現状があるわけでございます。
 特に公共施設の中で、公立の小中学校施設に関して耐震性が確保されていない。最悪の場合、六割の小中学校施設が耐震性の確保がなされていないという文部科学省の数字を見させていただいたことがありますけれども、皆さん、四月の十二日に沖縄でありました事故でありますが、ひとつこれを御紹介申し上げたいと思います。これは沖縄の中学校でありますけれども、三階の天井のコンクリートが突然剥離いたしまして、石こうボードの天井を突き破り、その下にいた男子生徒に当たった、それでけがをしたという事故がございました。このように、地震に限らず、もう既に老朽化した学校施設が子供たちに対して非常に危険な状況にある。
 子供のことを考えますならば、一日のうちに三分の一の時間は学校で過ごしているわけでございます。また、もしいざ災害となれば、避難所として例えば学校の体育館等が使われるわけでございます。そうなれば、地震で傷んだ体育館に避難をした、そこでまたその体育館が崩れ落ちる、二次災害発生の可能性も非常に高いと思います。
 私は、これで実際、老朽化した校舎に対する予算がどのぐらいあるものかと思いましたところ、まず公立学校施設整備費が当初予算で、昨年の千六百十九億円から千四百二億円に削減されている。また、二〇〇三年度以降、老朽化対策費が毎年三百億円ずつ不足する、そうしたことが指摘されているわけでございます。
 どんどん地震の発生の可能性は高まる、しかし予算は削減されていく。こんな中でまた災害発生時の避難所となり得る学校等の施設が老朽化を重ねていってしまう。どう学校施設の耐震性の確保に当たられるのか、その対策をお尋ね申し上げたいと思います。
加茂川政府参考人 公立学校の耐震性能の向上についてのお尋ねでございます。
 文部科学省におきましては、公立学校の耐震性能の向上につきましては、市町村等より補助申請のあった事業につきましてこれまでも優先的に採択するなど、積極的に推進をしてきたところでございます。また、緊急性の高い校舎の耐震補強事業につきましては国庫補助率のかさ上げ措置を講じているほか、御指摘にもございました建物の耐震改修の促進に関する法律の趣旨を踏まえまして、各種の会議において趣旨の徹底を図るとともに、各都道府県教育委員会を通じまして、学校の設置者に対し防災機能の整備についての早急な実施をお願いするなど、学校施設の耐震化の推進に努めておるところでございます。
 子供たちが学習する場であります学校の安全を確保することの重要性及び地震防災対策の緊急性等にかんがみまして、公立学校施設の耐震性能の向上のより一層の促進を図ることは大変重要でございますし、地方公共団体の事業の計画に支障を来すことがないよう、必要な事業量の確保に今後とも努めてまいりたいと思っております。
 なお、委員から御指摘のございました平成十四年度の事業量についてでございますが、十四年度の公立学校施設整備費予算は一千四百二億円を計上しておるところでございます。しかしながら、十三年度の補正予算、一次、二次ございましたが、合わせまして約四百九十四億円の事業が前倒し整備の対象になってございます。そうしますと、十四年度の本予算と合わせますと、一千八百九十六億円の事業量を確保できておりますので、当初、平成十四年度に予定されておりました市町村計画には支障を来すことなく十分対応できるものと私ども、考えておるところでございます。
前田委員 先ほど私が挙げました消防庁の防災拠点となる公共施設等の耐震化推進検討報告書ですね、公立の小中学校施設、耐震化の状況が四五・六%、その中で、予算がすごく切り詰められていく。予算の執行の仕方で、例えば防災対策強化地域に先に重点的に予算を投下していくというような方法が考えられると思うんですけれども、そんな考えについてどう思われますでしょうか。
高橋政府参考人 地震防災対策については、先般、東海地震についての強化地域の見直しが行われました。しかしながら、東海地震の場合は、海溝型の、プレートが陸域に引きずり込まれることによって生ずる、予測が可能な地震ということで、いわば地震の早期発見ができる、そういう意味での強化地域でございます。
 それとともに、日本の場合は、今はわかっているだけでもおよそ二千の活断層があって、どこの地域においても地震の危険性があるということでございますので、もちろん東海地震の強化地域は東海地震直前予知を前提とした対策を重点的に講ずることは当然でございますが、公共施設の耐震改修はもう日本全国どこでも、全国が重点地域だ、そういう感じで対応していくべき課題だと思っております。
前田委員 最後に、今後の公共施設の耐震対策、耐震性の確保を推進するためにどのようにしたらいいのかという大まかな御意見をいただきたいと思います。
村井国務大臣 今、前田委員御指摘のように、確かに、災害が発生しましたときに避難をするべき場所であるさまざまの公共施設がまだまだ耐震性が弱いということはもう紛れもない現実でございまして、私どももこれは非常に深刻に受けとめなければならない問題だと思っております。
 先般、開催されました中央防災会議において取りまとめました「今後の地震対策の基本的方向について」という文書におきましても、防災上、公共建築物の耐震性の強化というのが非常に重要な課題だということで、今後、平成十五年度概算要求までに、具体的にどのように耐震性を高めるべきか、ひとつ十分研究しろというような御指示もちょうだいしているところでございまして、関係省庁、一丸となって、公共施設の耐震性の強化を進めるように努力をしてまいりたいと存じます。
 それからもう一つ、委員からさっき御指摘ございました発災後にいわゆる二次被害が起きる、これも確かに大変深刻な問題でございます。この問題につきましては、応急危険度判定士というのが、これは都道府県知事が行う講習を受けまして認定、登録された建築技術者のボランティアでございますけれども、この方々に被災した建物をチェックしていただきまして、倒壊する危険があるならば赤印を、それから可能性があるということであれば、危なければ黄印を、大丈夫ならば緑印をマークしてもらう、こんなような形で二次災害をできるだけ防ぐような努力もしてまいりたい、そういうことで頑張りますことを付言させていただきます。
前田委員 ありがとうございました。以上で終わります。
田並委員長 吉田六左エ門君。
吉田(六)委員 おかげさまで二度にわたる三宅島の視察をすることができました。そして、委員長の災害にかける強い思いのもとで、今委員会で、三宅にかかわる、島民はもちろんのこと、多くの方々の意見を聞かせていただくことができました。結果して、私が一番強く感じたのは、いつこの人たちが島へ帰られるんだという、このことでございます。
 冒頭から、思いは、このこと一言でこの質問を終わりたい、そんな思いでいるのでありますが、乱暴な質問をして、よい御答弁がちょうだいできなくても悔やまれますものですから、視察をさせていただいた結果、あの噴火以来、あの島には大きな雨が降っていないんだという説明をいただきました。瓦れきが、土石流が道路を壊し、橋を壊し、山々を削りしている様子を見ますと、帰るためにはまずそのことがちゃんとできないと帰られないのではないかな、このように思いました。
 国土交通省に伺いますけれども、防災事業、道路復旧、整々努力をいただき、スピーディーに進捗をしているという様子は見てきましたけれども、計画の内容、状況、完成についてのめど、これらをお教えいただきたいと思います。
竹村政府参考人 三宅島の泥流対策と道路の復旧等の御質問がございました。
 委員御指摘のように、現在、三宅島の噴火に関しまして、東京大学の地震研によりますと、約二千二百万立方メートル、つまり、甲子園球場を砂でいっぱいにしますと、甲子園球場三十六杯分があの山に降り積もっているということでございます。
 私ども、今、委員御指摘のように、雨が降ってきますと、それが各沢にたまっているものがスープのようにどろどろに溶け出して下流に押し出してくるという二次災害の泥流対策について、懸命に防止するための工事を現在行っております。平成十二年八十一億円、平成十三年度五十七億円の事業で砂防堰堤等を実施しておりまして、さらに、平成十三年度から五カ年で、事業費百八十二億円によります火山砂防激甚災害対策特別緊急事業によりまして、本格的な火山災害防止対策を実施しています。
 なお、すべての渓流、三宅島に分布している渓流は二百二十七渓流ございます、これ全部を分散的にやるというより、人家や帰島した方々の防災拠点となる重要施設がある場所、または特に災害のおそれのある箇所、渓流三十六カ所を特に選びまして、重点的かつ集中的に砂防事業の整備を進めているところでございます。
 現在のところ、砂防ダム十五基、先ほどから御審議のありますクリーンルームが三カ所、定員二百四十五名の労務者が泊まれるクリーンルーム、そして現在、七渓流において懸命に砂防事業を実施している状況でございます。
 さて、次の道路でございますが、三宅島を一周する都道につきましては、暫定的には平成十三年の四月に開通しております。降灰の除去、緊急的な対策をやりまして去年の四月に開通しておりますが、本復旧に向けましては、五回の災害査定の結果、私ども、都道については二十一カ所、村道については十一カ所の三十二カ所の工事の採択をし、現在、都道につきましては十五年度末の完成、村道につきましては十四年度末に完成の目標で、懸命に工事をやっている状況でございます。
 以上でございます。
吉田(六)委員 ありがとうございました。
 神代の時代から、私たちのこの日本国は災害列島であります。にもかかわらず、ここまでの繁栄をなし遂げたということは、我が民族の優秀さと知恵だ、努力だ、こう思っています。先人のこれらの努力にひとつ恥じないように、国交省はこうした災害の復旧あるいは未然に防ぐということに対する、やはり先兵的な役割があると私は任じておりますので、御努力がいただけますようにお願いを申し上げさせていただきます。
 二つ目の帰られない問題の原因は、ガスだと思うんですね。三週間続けて一万トンを切ったという最新情報を聞くにつけ、おう、いよいよ帰れるか、そんな思いがしておりますが、今ほど竹村河川局長からもお話がありましたとおり、クリーンルームの整備によって、今五百名の労働者がいわゆる棟に宿泊して復旧工事に従事している。さすれば、三千人の島民ですから、ざっくり一千世帯かなと思うんですね。そうすると、もし五百人が泊まれるものを民間で、島民のために用意すれば、二回り、一家族一人ずつ行っても、一遍交代にだれかが行って、そしてしばらくの間は泊まって手入れができるというふうに、ざっくり考えて、ああ、そんな規模か、こう思うのであります。決議案にも記載していますが、さっきもお話がありましたけれども、活火山対策特別措置法の早期指定が必要、このように考えます。
 指定によってどのような支援が可能になるのか、またその検討状況はどんな様子になっているのか、奥山政務官にひとつお聞きしたいと思います。
奥山大臣政務官 吉田委員にお答えを申し上げます。大臣は今ほかの委員会にとられておりますので、私からかわってお答えを申し上げたいと思います。(吉田(六)委員「政務官でもう十分であります」と呼ぶ)はい、ありがとうございます。
 先日、視察されまして、本当に御苦労さまでございました。私もまた、前に行って実情をつぶさに見てきたものであります。
 ところで、活火山対策特別措置法の避難施設緊急整備地域の指定につきましては、帰島のめどが立った段階で検討を行うのが通常でありますが、避難生活が長期にわたり、帰島のめどが立っていないという状況が継続をしておりますこと、一方、火山ガスの観測結果が四月以降、先ほどおっしゃいましたように、三週間連続して一万トンを切っているということ、そして、三宅村において復興基本構想の策定作業が進んでいることを踏まえて、今後、火山ガスの状況等を見きわめた上で検討することを五月の十日の政府の非常災害対策本部で確認をしておるところであります。
 通常は、避難施設緊急整備地域に指定されますと、知事が避難施設緊急整備計画を策定し、計画に基づく道路、港湾、広場、退避施設等の避難施設の整備に対して、補助率のかさ上げ、地方債の起債の特例、特別交付税の特別財政需要額への算入などの支援等が可能になるわけであります。
 そして、三宅島の場合は、まだ本格的帰島のめどが立っていないため、当面は滞在型の一時帰宅や本格的帰島の際に必要となる避難施設としてのクリーンハウスの整備を検討することが必要と考えております。
 各省においてどういう支援が可能か、さらに検討をしてまいりたいと思っております。
吉田(六)委員 いっときも帰りたい、戻りたいという島民の思いを強く受けとめて、スピードアップしてこの措置法の制定に努力してもらいたい、このように思います。
 そして、今話題のクリーンルームの設置について、具体的にどのような支援が可能なのか、このことを一言聞かせていただきたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 クリーンハウスの施設の詳細につきましては、現在、東京都と三宅村におきまして調整をされているところでございますけれども、消防庁としては、私どもが所管しております活動火山対策避難施設に関する補助金制度を活用した支援が可能であろうと思っております。
 ただいまお話に出ておりますように、活動火山特別措置法によります避難施設緊急整備地域の指定が行われまして避難施設緊急整備計画に盛り込まれますと、それに対する補助率は三分の一から二分の一というふうになるものですから、こういった地域指定がなるべく早くされることになるのかなと思うんですが、その辺の検討状況も踏まえまして対応したい。
 なお、地方負担の問題もあるわけですけれども、これは過疎債の対象にできるんじゃないかと思って、今検討いたしております。
 以上でございます。
吉田(六)委員 今の状況、精いっぱいスピーディーに整いさえすれば島民は島へ帰れる、また帰っていただくことが幸せなのでありますし、日本国の離島が元気だというこのことにも、これは根本的な政策にも合致する。そうした意味合いから、帰られた後、何をしてどのようになりわいを立てるか。もちろん農林、水産そして観光というようなことがあの島にとって大事なことだと思うんですが、これらの施設整備に対して、政府としての支援としてどのような措置が可能なのかをお聞かせいただきたいと思います。
林政府参考人 お答えいたします。
 三宅島におきます農林水産業の事業再開をするためには、被災をいたしました箇所について早急に災害復旧を行うことが何よりも必要でございまして、鋭意取り組んでいるところでございます。
 具体的に現在までの取り組みについて御説明申し上げますと、神着貯水池でございますが、これについては、土砂を約八割撤去を終えております。
 それから阿古漁港でございます。ここは滞在者の緊急避難でありますとか、応急工事に必要な資材の搬送のための非常に重要な施設でございますけれども、これにつきましても岸壁の復旧工事を終えてございます。
 それから、泥流防止のための対策でございますが、治山ダム工を現在五カ所で着手しているところでございまして、六月には工事関係者用のクリーンハウスが完成するということになりました。これによりまして、事業の一層の進捗が図られることとなると思っております。
 ただ、先生御承知のように、火山ガスの放出等がまだ続いております。そういった意味で、その他の施設につきましては、安全が確保され次第に災害査定を行いまして速やかに災害復旧に着手したい、このように考えてございます。
 なお、資金面での、被害を受けられた農林漁業者の皆様への支援でございますけれども、既貸付金につきましての償還猶予等の措置を指導するとともに、東京都等と連携をいたしまして無利子融資の措置を講じているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも東京都等と連携をとりながら、農林漁業の再開を円滑に行えるように対応してまいりたい、このように考えております。
吉田(六)委員 今回の三宅の災害は、全島民が避難をする、そしてガス、はや二年にもなんなんとするかという特異なものであります。帰られた後、島民の皆さんのなりわいが立つためには、東京都は必死の努力をされていますし、またしていく覚悟であることはよく理解できますけれども、これは大変な財政的な負担のかかるものだろうとも推測するわけであります。
 これに対して勝手に名前をつけてみれば、復興支援法、これは別に、雰囲気で申し上げているんですけれども、何かそんな法律の制定をもして支援していかなければならぬのかな、このように思いますが、このことについては決議にもいただいておりますものですから、政務官から御答弁を一言いただこうと思いましたけれども、時間の都合もありますし、こんな思いでいるということをひとつ御認識いただきたいと申し上げて、この項は終わります。
 最後になりますが、岡部災害対策部長にわざわざおいでいただいています。三宅島で大変な御苦労をいただいていることに心から敬意を表します。
 そして、いろいろなプロジェクトを用意され、今話題になりました復興計画なんかの政策も準備をしておられると聞きますが、この前視察したときにちょっと耳にしたんですけれども、夏休みに子供を帰島させたい、させるというプロジェクトが計画されつつあると聞きますけれども、子供さんたちが島へ帰って、島の様子や何かを見て元気に帰ってくる。このことは、島民の帰島意識を今までにも増してまた啓蒙することになるのではないかな、大変よいプロジェクトを御計画中だと私は思うんですが、この内容を聞かせていただきたいと思いますし、もう最後でありますから、いろいろと国の立場でのお話がありましたけれども、不足があったら、この際どうぞたくさん申し上げていただきたいと思います。あと三分ございますので、存分にひとつ御答弁をちょうだいしたいと思います。
岡部参考人 これまでも国等にいろいろな御支援をいただいて、本当に感謝しております。
 先ほど委員の御指摘の、まさに復興の段階での問題も、今後大きな課題になるかと思います。その辺また、ますます御支援のほどをお願いしたいと思います。
 御質問の子供たちの帰島の計画につきましては、現在は村民の日帰り帰宅を実施しておりますが、児童生徒は除外しております。子供たちの今後の帰島につきましては、将来の三宅振興を担う人材育成という観点からぜひ実現したいということで、安全対策等を慎重に検討して、その時期や方法等につきましては村と十分協議をして進めたいと考えております。
 以上でございます。
吉田(六)委員 それこそ、一言御健闘を祈りますと申し上げるにとどめます。
 緑なる南の楽園、東京からもう指させば届く、こんな島を早くもとどおりにして、にぎわいの三宅になってもらいたいという思いを込めて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
田並委員長 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 本日は、同僚の遠藤議員と二人で二十分間という大変限られた時間でございますので、端的にお答えをいただきたいと思います。
 全島避難という未曾有の事態から一年半という月日が流れておりまして、避難されている島民の皆様にとっては、一日一日がまさに死活問題、この委員会の一言一言を聞き漏らすまいとされているんだというふうに私は思っております。
 そういった意味で、それだけの真剣な場だということを、腹を決めていいかげんな答弁はしないでいただきたいとまず申し上げておきたいと思います。
 三宅島については、私はいつも三つのステージがあると。避難島民の皆様の生活支援。二つ目には、ガスの量が減っていくその段階、途中のプロセスでの、どのように帰島プロセスを進めていくかという二つ目のステージ。そして三つ目のステージは、本格的に帰島が行われた後にどう三宅島を復興させていくか、この三つの大きな仕事があるというふうに考えております。
 しかし私は、きょう、限られた時間でございますので、直面する避難島民の皆様の生活支援について、一年八カ月たった今、どのようなことを真剣に考えているのかということを、政府並びに東京都の方にしっかりと聞きたいと思います。
 先ほどの午前中の質問を聞いておりまして、日帰りの定期帰島についての運賃について質問がありました。私は、私自身、神戸で阪神・淡路大震災に遭遇し、住む家を失った。しかし、あのときは毎日家に帰って荷物をとることができました。家の修繕もすることができました。
 しかし今回は、三宅島という離島という特殊性から、そういったことが全くできない。日本国民というのは、日本国憲法において財産権が保障されている。しかし、その保障されている財産権に制限が加えられているという極めて異常な状況が、今の三宅島の実態であります。
 この制限を加えられている財産権に対して、何とか修繕をしたいという思いで、日帰りの定期帰島が実行されている。このことについて、有料で帰すということの問題点というのは指摘をされてきているわけでございます。前回の本委員会での参考人質疑でも、参考人からのそのような指摘もあり、同様の意見が与野党を通して、おかしいのではないかという指摘があった。
 しかし、先ほどの答弁を聞いていると、島民割引で半額になっているとか、島の中の移動はバスが無料になっているとか、こんなふざけた答弁をしている。バスの料金を取るばかがどこにいるんですか。取れるわけがない。そんな当たり前のことを施策としてやっているなんということは、私は、ふざけるのもいいかげんにしていただきたい、こう思うのでございます。
 国会のこの委員会の、立法府としてきょうも決議されると思いますが、この有料というのを何とか無料にするべきだ。大した額ではないではないですか。このような決議がされた場合には、真剣に所轄官庁としての内閣府は受けとめて、立法府の意を体して、しっかり施策をとるということを政府からも言明していただきたい。
奥山大臣政務官 早くから、赤羽委員から我々も承ってきておるわけでありますので、我々もできる限りは検討をしてまいりたいと思いますが、東京都それから三宅村等とも十分協議をしてまいりたいと思います。
赤羽委員 どうか、その発言の趣旨にのっとって、よろしく御対処のほどをお願いいたします。
 それでは、きょうの質問に入らせていただきたいと思います。
 この前の参考人質疑でも、東京大学の廣井脩先生が、第二回の生活実態調査の集計結果をもとに、どう考えても収入実態が大変厳しくなっている、全体の約三割の人に生活支援が必要だという御報告がございました。また同時に、三宅島非常災害対策本部の第四回本部会議、これは内閣府の主管だと思いますが、この会議において、避難島民の生活支援についてのその必要性が訴えられております。その中身は、災害保護の観点から、既存制度の弾力的運用を含め、さらなる支援策の実施に関し検討を行う、こう書かれております。
 このことにつきまして、政府としての考え方、また東京都としての考え方を確認したいのですが、収入実態の厳しい避難島民に対して、例えば既存制度といえば生活保護制度の弾力的な運用、こういったことを含め、もう既に実行済みの被災者生活支援金に類似したような、さらなる生活支援策を講じる必要があるという認識でのこのような御報告になったのかどうか、政府並びに東京都から、それぞれ御答弁いただきたいと思います。
奥山大臣政務官 お答えを申し上げます。
 先日、東京都の知事並びに三宅村村長から、正式に生活保護の弾力的な運用を図ってほしいという要望があったところであります。
 ところで、生活保護法の性格から、義援金やあるいは被災者の生活支援金について、自立、更生のために保有していても、生活保護を受けられるなどの弾力的な運用が既にされており、島民の方々へも周知、推進されているところであります。
 いずれにしても、政府としては、災害保護の観点から、既存の制度の最大限の活用を含め、さらなる支援が可能かどうか、東京都と連携して検討をしてまいりたいと思っております。
岡部参考人 帰島後の家屋の改修や整備など、生活再建資金として、それぞれ島民は預貯金を保持していく必要があると考えております。また、生活に困窮している場合、この預貯金を取り崩さずに帰島できるよう配慮する必要があると考えております。このような島民の自助努力というものをいかに支援するかということが、まさに災害保護という観点から重要ではないかと考えております。
 したがいまして、必要な場合には、災害見舞金を上回る額でありましても、災害保護という観点から、その弾力的運用を都として国に要望しているところでございます。
赤羽委員 ありがとうございます。
 今のことに関して、きょう厚生労働省も来ていただいておると思いますので、確認をしたいのです。生活保護について、今言われるような、災害等により損害を受けたことによって臨時的に受けた補償金、保険金または見舞金、こういったもののうち、当該被災世帯の自立、更生のために受けられる額は、収入認定として除外できることになっている、こういった項目があります。
 今回の三宅島の場合、例えば高齢者二人の世帯、これまで義援金、被災者生活支援金、上限二百十八万円支給されているというふうに考えておりますが、この二百十八万円の分は、まず収入として認定されないということで間違いないんですね。
真野政府参考人 今、先生御指摘のような通知をいたしておりまして、そのとおりでございます。
赤羽委員 ここで、ちょっと東京都に確認したいのですが、こういった強い要望があるということにもかかわらず、これは岡部さんのところだと思いますが、四月二十五日付の東京都災害対策本部が発表された三宅島避難島民の生活状況についての内容を見ますと、全避難世帯中、毎月の収入額が生活保護基準以下は約三百世帯と推計され、その中で、預貯金額が二百万円以下、今確認しました二百十八万円より低い預貯金額、要するに、収入認定されない、だから生活保護を受けることができると思われる世帯が二百二世帯ある、こう発表されております。しかし、現実には生活保護を受けている世帯は約五十世帯だと。百五十世帯は、生活保護を受けられるのに、受けることなく大変苦しい思いをしながら頑張っている。
 いろいろな理由はあるんだと思いますが、東京都のこの今の項目について、収入除外認定について、周知徹底されているといった政府からの答弁も先ほどありましたが、避難島民向けの広報活動はことしの四月の時点で初めて行っている、こういった事実。なぜ、今回この四月まで行われなかったのか、私はよく理解できないんですが、その点について御説明をいただきたいと思います。
岡部参考人 平成十二年の十二月に、被災者再建支援支給金の交付がございました。そのときに、あわせて義援金の収入除外規定に関することにつきまして、都内の福祉事務所に通知したところでございます。また、民生児童委員の協議会、ケースワーカー連絡会等、福祉関係者の会合で周知を図っているところでございます。その後、第二回の三宅村のアンケート調査によりますと、非常に苦しいという世帯の中で、半数以上の方が生活保護の相談をしたいというお答えもございました。
 そういった状況を踏まえまして、東京都独自で平成十四年二月の戸別訪問調査の結果、委員の御指摘の、現在の認定が可能な世帯が約二百世帯というふうに想定されているところでございます。このように、四月以降、災害保護の観点を強調したPRを今実施しているところでございます。
 四月一日に「広報みやけ」に記載しまして、四月十五日に「広報みやけ」に折り込み、そのほか、民生委員代表会議、三宅島島民連絡会代表会議等でさらに説明をしているところでございます。
赤羽委員 岡部さん、ごまかしの答弁はやめましょうよ。平成十二年十二月のその通知、僕も持っていますが、これは、生活保護を受けている人たちに対して、被災者生活支援金をもらってもその受給資格は失わないですよということの告知じゃないですか。そうでしょう。受けていない人に対する内容じゃないはずですよ。こういうことをやっているとだめですよ。島民の皆さんに告知したのはこの四月からだ、東京都の調査によって初めてわかった、こういった話だとするならば、地方自治体として東京都の三宅島島民に対する感覚は余りにも鈍いという指摘を私はせざるを得ない。
 しかし、過去は過去として率直に認めて、ばらついて、高齢化していて、なかなか島の人というのは生活保護を受けたがらない、こういった状況の中で、せっかく、これは弾力的な運用じゃないんですよ、生活保護の真っ当なルールなんですから、このルールを受けるならどうぞ、権利なんですよということで、東京都、三宅村の職員がみずから全部を訪問して、百五十件ぐらいだったら何日もかからない話ですよ、とってもらうというのは行政にとって当たり前だと私は思いますよ。これがまず第一点、答弁は要らないです。
 それで、弾力的な運用ということは、二百十八万円を収入除外するというのは弾力的運用じゃないんですよ。社会・援護局長の答弁にもあったように、これは今のルールであるわけで、弾力的な運用じゃないんですよ。
 さらなる弾力的な運用というのは、私自身の考えでは、島の人たちは島に帰る、そうしたら家を修繕しなければいけない、だれだってお金をやはり残しておきたいんですよ。しかし、お金を残しておきたいがゆえに、毎年の収入は生活保護以下の収入しかない。これで生活保護の対象にならないということを何とかするということが弾力的な運用だというふうに私は思うんです。
 ですから、二百十八万円とは言わないで、例えば五百万円ぐらい、これはどこに設定するかはいろいろな議論があると思いますが、そういったことを行うことがまさに弾力的な運用だというふうに私は考えるし、この三宅島において今こそそういったことを実施することが現実的な措置だというふうに私は考えますが、主管の内閣府としてどのようなお考えかを聞かせていただいて、最後にしたいと思います。
奥山大臣政務官 今、赤羽委員の御意見は、災害保護の観点から、生活保護制度の弾力的運用、何とかならないか、そういった気持ちであろうかと思います。
 今回、東京都及び三宅村より生活保護の適用基準の弾力的運用に関して正式に要望されたところでありますが、長期にわたって避難生活を余儀なくされている三宅島の被災者の特殊事情に即した何らかの支援ができないかどうか、政府としてもさらに検討すべき課題であると考えております。
赤羽委員 どうもありがとうございます。
 やはりルールを守るのも大事なことですけれども、現状の苦しみに対してどうルールをつくっていくかというのは我々の仕事でもあると思いますので、我々も頑張りますので、ぜひ内閣府にも頑張っていただきたいと申し添えて、終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
田並委員長 遠藤和良君。
遠藤(和)委員 私、三宅島に参りましていろいろ現状を見てきたんですけれども、いわゆる公共事業は進んでいるんですが、肝心なことは、幾ら公共事業は終わっても、整備はされたけれども人が帰らなければ意味がないわけですね。無人の島になっちゃったらしようがないわけですね。ですから、個人が、全島民が帰れるような態勢をきちっとつくる、これが一番大事だと思うんですね。
 それで、私有財産に対する国の関与の仕方ですけれども、今一番深刻な問題は、住宅が、泥流に埋まっちゃっている家がいっぱいあります。これを個人の力で何とかしろと言われてもなかなか難しいんじゃないか、せめて宅地の中の濁流の残渣、これの除去ぐらいは公の力でやってあげないとなかなか難しいんじゃないか、このように思うんですけれども、基本的な見解を聞きたいと思います。
高橋政府参考人 三宅島の噴火災害によりまして、委員御指摘のように、泥流に家が埋まったりいろいろなことで、宅地からの泥流の除去というのが大きな課題だと思っております。これについての公的支援が強く要望されていることも承知してございます。
 あと、宅地内の泥流除去につきましては、その堆積の実態等を的確に把握した上で、都市災害復旧事業など、これは国土交通省の事業でございますが、既存の支援措置を弾力的に適用しまして、そういった要請にこたえられるようにしていきたいと思っております。
 今後とも、関係省庁とも連携を図って、適切な対策を検討してまいりたいと思っております。
遠藤(和)委員 私有財産といっても、例えば田畑等の被害についてはちゃんと国が補償しているわけです。したがって、宅地とか宅地の中の住宅の支援についても、これは知恵を出したらできると思うんですね。ですから、今、宅地の中の泥流の話はそれで一つ方向性が見えてきましたけれども、個人の財産だから公が関与できない、そんな原則論を振り回さないできちっと対応してもらいたい、誠実に対応してもらいたい、これを最初に要望したいと思います。
 それから、次に、一時帰島の話ですけれども、これの自己負担というのはとんでもない話だ、今、話があったとおりです。強制的に避難させたんだから、その財産権を管理するために帰るわけですから、これはきちっと国あるいは公の力で無料になるように努力をする、これは当然のこと。
 それから、あと、一日だけではしようがない、仕事にならないんですね。ですから、ショートステイができるような態勢をつくること。そのためには、やはり集落ごとに、クリーンハウスですか、これをきちっとつくってさしあげることが大事だと思うんですね。これは国の行政として消防庁の補助金を使えると思いますが、消防庁長官、答弁願います。
石井政府参考人 クリーンハウスにつきましては、三宅島の方から御要望いただいておりまして、現在、東京都と三宅島でその具体的な内容について調整が図られていると承知しておりまして、消防庁としては、活動火山対策避難施設に関する補助金制度を活用した支援が可能であると思っております。
 なお、補助率については、避難施設緊急整備地域の指定が行われまして緊急整備計画にその整備が盛り込まれますと、補助率が三分の一から二分の一になるというようなこともございますので、現在、この指定の状況がどうなるかといったようなことも考慮して検討を進めたいと思っております。
遠藤(和)委員 今、消防庁長官からお話がありましたから、東京都も自信を持って、この集落ごとのクリーンハウスの建設をやってくださいよ。
 そして、ショートステイ事業は東京都がきちっと実行していただきたい。一日だけ日帰りというのは本当に何にもできない、こう思いますが、ちょっと東京都の答弁を聞きたいと思います。
岡部参考人 早期に活動火山対策特別措置法の地域指定を受けまして、それを受けまして、三宅村と整備計画等を検討しまして、実現に向けて努力したいと考えております。
遠藤(和)委員 最後にまとめて聞きます。
 一つは、中間報告がありましたね、三宅村の復興に伴う基本的な構想ですか。その中で、この際、全島に光ファイバーを設置したい、こういうふうな話があります。これは、災いを転じて福となす大きな基盤整備事業だと思いますけれども、これに対する国の見解。それから、火山防災研究所の誘致、これも積極的な取り組みですね。それから、ジェット機対応の空港をつくりたい、これも前からの念願ですけれども、これに対してどう考えているのか。
 この三点をあわせて御答弁願いまして、質問を終わります。
稲村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の三宅村の復興に伴う基本的な構想の中間報告におきまして、大変積極的な提言がなされておる、これは、光ファイバーなどを敷設しまして、大容量の高速通信網を活用しまして観光の活性化とかいうことを図る、こういう御指摘でございます。
 御案内のとおり、総務省としましては、従来の民間事業者だけの整備に支援することに加えまして、十四年度予算では、地域情報化の基盤整備の新たな補助事業などを創設しておるところでございます。
 そういうことでございますので、例えば新しい情報通信技術を使って、今まで過疎化とかあるいは小さな島だ、離島だと言われたところが本当に新たな雇用が生まれたり、観光が、そういうことでお客様がたくさん来られるようになったりすることを一生懸命目指してまいりますので、これから、地元におきまする計画の具体化が図られるのを待ちまして、積極的に、かつ適切に対処してまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
今村政府参考人 火山に関する研究につきましては、全国の共同利用研究所でございます東京大学の地震研あるいは防災科学技術研究所、気象研究所、国土地理院等々の関係機関の連携によりまして、観測研究の充実強化に取り組んでおります。
 御承知のとおり、三宅島の火山につきましても、政府に関係機関が連携いたしまして、三宅島総合観測班を設けまして研究体制の強化に努めているところでございまして、その必要な観測機器等の整備等に文部科学省も努めているところでございます。
 御指摘の研究所の設置ということでございますが、やはり単独の施設を設置するということではなくて、現在行われておりますような各研究組織、研究機関のそれぞれの特徴、機能を充実いたしまして、相互連携を図ることによりまして三宅島における火山研究の推進を図っていくことが重要ではないか、このように考えておりまして、今後とも三宅島における観測研究体制の強化に努めてまいりたい、このように考えております。
深谷政府参考人 お尋ねにつきまして御説明申し上げます。
 先生御指摘の三宅村復興計画策定委員会の中間報告におきまして、地域振興のうち、観光振興の観点から帰島後に実施すべきこととして、ジェット機対応型空港の整備、これについて記述されておりますのは十分承知しているところでございますが、三宅島空港の設置管理者でありますところの東京都の方からは、私どもといたしましては、三宅島空港のジェット化につきましては、例えば需要面の話だとか、そういった面でいろいろ課題があるようには伺っております。
 今後の話といたしましては、設置管理者でございます東京都の方から具体的なお話、御相談があれば、当省といたしましても適切な対応をしてまいりたい、かように考えております。
遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。
田並委員長 山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 三宅島の現在の状況等について質疑させていただきたいと思います。
 まず、火山ガスが日量一万トンを切ったんじゃないかという最近の情報ですが、一体、本格的帰島ができるには、どの程度の火山ガスが日量出るようだったらできるとお考えなのか。大臣か、あるいは副大臣でも結構です。
村井国務大臣 なかなか難しいところでございますけれども、桜島の例が一つのモデルではなかろうか。この場合に、一千トンないし三千トンの間で推移しているというふうに、一、二千トンですかというあたりで推移していると聞いております。
 ただ、桜島の場合、申し上げるまでもないことでございますが、地続きである、それから湾を隔てて陸地までそれほどの距離がない、それから、島の大きさ、山の高さ、これも違う。それに対しまして、三宅島の場合、絶海の孤島であるといいましょうか、離れ島であるというあたりのところが、考えてまいります上でやはり非常に厳しい点ではないか。
 ちなみに、桜島の場合は、一年に一回、船による緊急避難の訓練も常時やっているというような状況であると承知しております。
山田(正)委員 桜島並み、三千トンを切るようだったら本格帰島をするという、大臣、どれくらいだったら本格的帰島をし、どれくらいの火山ガスだったら一時帰島あるいはショートステイという形なのか。
 もう既に二年たっているわけですから、それなりに、大臣として、また災害対策の本部として、今度、三宅島のいろいろな、これに関する対策本部として、基準と申しますかある程度の準備、そういったものは当然できていてしかるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
村井国務大臣 これはもう再三今までに申し上げておりますように、我が国災害史上経験したことのない体験を私どもしているんですね。一年八カ月を超えて、生活の基盤から切り離されて全島民が避難しなければならない、この深刻な事態。しかし、相手は自然でございまして、どういう状況にこれからなるかということが、どうしても明確には予断しがたい。
 田並委員長ほか委員の先生方には、五月八日に三宅島現地を御視察いただいたわけでございますけれども、なお非常に厳しい状況であるということにつきましては、先ほどの委員長の御報告という形で私も拝聴させていただきました。また、気象庁長官からも、だんだんと火山ガスの排出量というのは減少の傾向にはあるけれども、なお高い水準にあるという指摘がございました。
 大変残念でございますけれども、いつ帰島ができるか、あるいは一時的なりとも滞在ができるような形になるかということについては、大変残念でございますけれども、今ここで私から申し上げ得るような状況ではない。しかしながら、私どもとしましては、帰島がかなうような状況になったときに、それがいたずらに遅延することのないような準備作業だけはしっかりやっておく、そういう決意で事に臨んでいるつもりでございます。
山田(正)委員 大臣、私が聞いているのは、いつ帰島できるのかと聞いているんじゃなくて、日量火山ガスがどの程度、三千トンまでなったら、あるいは五千トンまでなったらクリーンハウスをつくって、いわゆる共存できるのじゃないのか、みんなでの一つの協議というのか、どこで、そういうところをどういう基準で決めるのか、そういう段階的なものができているのか、できていないのか、それだけお聞きすればいいんですよ。できていないのなら、まだできていませんで結構なんです。
村井国務大臣 そういう意味で、何トンになったら大丈夫だというような判断基準を、残念ながら、私どもの知見として持ち合わせているとはお答えできないと思います。
山田(正)委員 既に二年近くになるのに、まだそういった判断基準を持っていないということは、大臣、怠慢じゃありませんか。
村井国務大臣 やはり、私は、防災担当大臣を仰せつかりましてから、いろいろな災害の現場なども訪ねまして、ある意味では、自然の脅威というものを非常に深刻に受けとめている一人でございまして、さような意味で、何といいましょうか、残念でございますけれども、この地球の息吹ともいうべきこの火山あるいは地震現象というものは実験可能な世界ではございません。例えば、風向きにより、あるいは地形により、その影響するところは区々でございますから、他の例によって一つの参考にすることはできるとしても、この数値になったらそれでいいんだというようなことは軽々に言える状況ではないということを申し上げていることでございます。
山田(正)委員 私は島の生まれ、離島の出身でございまして、殊さらに三宅島のそういった状況については胸を痛めている一人なんですが、いわゆる担当大臣において、まだそういった準備すらできていないということは非常に悲しい思いがするわけなんです。
 ただもう一つ、活火山対策特別措置法、この法案でいきますと、まさにこのような場合にこそ、早くその地域指定をして、それなりにいわば避難施設、退避施設等をつくりながら、幾らかでも住民が一時帰島及び本格的帰島ができるような準備をするべきだと思うのですが、この地域指定はなぜいまだになさっていないのですか。
村井国務大臣 三月に山田委員からのお尋ねがございまして、私が答弁申し上げましたときには、この活動火山対策特別措置法の、特に委員御関心のございました避難施設緊急整備、この問題につきまして、私、大変消極的なお答えを申し上げました。
 それは、その当時、やはり火山ガスの排出量一万トンを超え、そしていつ帰島が可能か全く見当がつかない、そのめどもつかないという状況でありましたからでございますが、実は、そのときの基本的な考え方としましては、こういった指定は帰島のめどが立った段階で検討を行うということが適当ではないか、通常ではないか、こういう趣旨に立脚するものでございました。
 ところが、四月に入りまして、三週連続して、三宅島における火山ガスの観測結果でございますが、一万トンを切った。それから、三宅村におきまして、復興基本構想というものの策定作業が進みまして、五月十日でございますけれども、政府の非常災害対策本部におきまして、今後、火山ガスの状況等を見きわめた上で、活動火山対策特別措置法の避難施設緊急整備地域の指定について検討することもひとつ考えてみたらどうか、こういう議論になってまいりまして、これにつきまして、私の責任でこれの研究を開始させるようにいたしました。
 そういう意味で、三月の時点に比べまして、若干、望ましい方向への変化が出てまいった。そこで、まさに山田委員、かねて御指摘の問題意識で、そういうことはできないかよく研究してみろということで、政府内で、これは三宅村の御要望もあったことでございますけれども、研究を開始させていただいたということを、まず御報告を申し上げさせていただきたいと存じます。それが直ちにクリーンハウスの建設に結びつくかどうか、このあたりにつきましては、またちょっと議論をさせていただきたいと存じます。
山田(正)委員 前回は確かに消極的な御意向だったのですが、大臣、今回は、研究したいということの前向きな発言だ、そういう意味では、私もほっとはしておりますが、ただ大臣、これは今本当に我々政治の行革等々で、いわゆる従来の、今まで内閣がそうであったからとか、対策本部がそうであったからなかなか指定できなかったとか、指定するには前例もいろいろあるからとかということはあるにしろ、私どもは本当に、今この法律を弾力的にというか、災害対策という意味で適用するとしたら、この法律を私、施行令まですべて全部読んでしまったのですが、今これを適用しない、ただ研究しろという段階にまだとどまっているということ。
 すぐに、例えば大臣が判断で、これは三宅島から要望も来ているし、あしたにでも地域指定を決めて、それから緊急避難施設でもつくり、幾らかでも帰島できるように早くやろうじゃないか、そういう決断が、大臣、できないのか。いかがですか。大臣としての決断、これは当然、大臣としての行政判断。ただ研究を指示するというだけでは、私は納得いかない。
村井国務大臣 どうもこれは、山田委員と私との三月の議論の蒸し返しのような感じがいたしますが、要するに、委員の問題意識は、恐らく、避難施設としてクリーンハウスを建てる、それにさまざまの助成が可能になる、この枠組みとして活動火山対策特別措置法を使ったらどうか、こういう問題意識だと私は理解しているわけでございますが、実際問題としまして、クリーンハウスをつくって、そこで住めるような環境になるかどうかという実態の方が私はもっと大事なんじゃないかということを思うのでございますね。そういう意味で、例えば一つの御議論として、各地域、三宅島の各集落ごとに避難施設としてクリーンハウスを設置したらどうかというような御議論が御議論としてございます。私は、これは研究に値するものだと思います。
 ただ、問題は、そういうことが可能な、要するに、通常にそれぞれの住居にお住まいになってクリーンハウスに避難するというような生活実態が可能になるような火山活動の状況にまでなるかどうかというところが、やはりある程度予見できませんと、法律の適用をしてみても余り意味がないのではないか。法律というのは、私は、それなりに効果というものが伴って初めて意味があるのではないか。本来、専門家でいらっしゃる山田委員にこのようなことを申し上げるのは大変僣越なことはよく承知の上で申し上げておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
山田(正)委員 大臣、今五百人からの人が三宅島に一年半住んでおって、一度も火山ガスによる事故もなく生活している。その中で、大臣、今言いました、一体クリーンハウスを今つくったとして生活実態が可能かどうかという言われ方をしましたが、既に作業員の人五百人、その中には、いわゆる警察の人、町役場の人、消防関係の人、そういった関係者がどれくらい日常の生活を、今三宅島で実態生活をしておられるか、大臣、御存じですか。
村井国務大臣 おっしゃるように、五、六百人の方々がおいででございまして、作業に従事される方、それに付随しまして最低限必要な、警察関係職員あるいは医療関係の職員等々が生活をしているということでありますが、これは申し上げるまでもなく、三宅島を取り巻く都道の修復でございますとか、あるいは、出ました火山灰がちょっとした雨で流出して、これがまたいろいろな形で地域で破壊的な影響を及ぼすことを防ぐための砂防工事でございますとか、一々申し上げるまでもございませんけれども、ともかく、できるだけ三宅島が帰島可能な状況になったときに必要なインフラがきちんと整備されている状況を確保しよう、そういうために必要な最小限の方々にお入りをいただいている、そういう作業の一環だと理解しております。
山田(正)委員 大臣、ですから、私が言っているのは、そういった方々が実際に、五百人もの人がこの一年半ぐらい日常の生活をし、それで生活の実態がそれでもないと大臣は考えているのか。先ほどクリーンハウスをつくったって生活の実態があると言える状況になるのかどうか疑問だという言い方をされたので、私はそう言っているわけであります。
 私も、全島避難した後、二回三宅島に行ってまいりました。大臣も行かれたと思いますが、その中で、あの状況を見て、私どもも二回ともガスマスクをするようなこともなく、平穏に、まさにこれが火山噴火の大変被害の激しい島なのかな、うそみたいだな、そんな感覚も受けたんです。そんな中で、大臣としては、生活の実態が営めるかどうか、だからクリーンハウスの問題で、活火山指定もまだ研究の段階だと言うんだったら、私は、これは大臣として大いに問題があるんじゃないかと。
 ここは私としては、当然、一時帰島のために、まずは活火山対策特別措置法の地域指定をする。この法律を読む限り、今地域指定をできないということは何もないわけですから、むしろ地域指定をしなければいけない状況にあると思うので、それをしていないこと自体がおかしい。それをして、ガスが日量一万トンを切ったわけですから、クリーンハウスをつくり、緊急避難施設をつくり、一時帰島を始める、これが一番大事だと思うんですが、大臣、もう一度その点について前向きに検討できないかどうか。
村井国務大臣 ですから、私は、先ほども申し上げましたように、去る五月十日の非常災害対策本部におきまして、活動火山対策特別措置法の適用の問題も含めまして検討をするという決定をさせたわけでございまして、関係各省におきまして、よくこの問題、今、山田委員、三月以来あるいはそれ以前から仰せの方向に持っていきつつあるんだということを申し上げているわけであります。
 問題は、ただ、今の時点でどうだ、指定するのかと言われますと、今指定しても、それは私は実効性がない。要するに、すぐに、ではクリーンハウスを建てて、そこで、例えば地域ごとにせよ、一時帰島が可能な状況であるかというと、火山ガスの排出状況を見ますと、そこまでは行っていないということであります。
 しかし、そうはいいながら、四月になりまして、一万トンを割るような状況が三週間続いたということを踏まえ、それから三宅村の御要望もございますことを踏まえて、まさに山田委員かねて御指摘のような方向での検討をさせるようにいたしたということでございまして、ぜひ御評価をいただきたいと思っておるところでございます。
山田(正)委員 今、私の聞き間違いでなかったら、今地域指定しても意味がないという言い方をされたと思ったんですが、具体的にはどういうことで意味がありませんか。
村井国務大臣 例えば今の時点で指定したら、では、三宅村でクリーンハウスを避難施設として、あるいは一時帰島のためのクリーンハウスとして建てるという決断をされるかどうか。そこはまだわからないでしょう。そういう意味では、要するに、指定した効果というものが一体どういうふうに出てくるのか、これはわからない。しかし、その研究をしておかないと、これはもう山田委員かねて御指摘のことでありますけれども、やはり研究をしておきませんと、いざこれが意味があるような状況になったときに、それからというのじゃ役に立ちませんから、今から研究はさせることにしたということであります。
 私は、今の時点ではまだ、火山ガスのレベルや、それから実際問題として一時帰島のベースとしてクリーンハウスを建てるというような決断、あるいはそういう要望、三宅村におかれてもあるいは東京都におかれても、そこまでの結論を出していらっしゃるとは考えておりません。そういうふうには認識していない、だからその意味がないのではないかと申し上げたんです。
山田(正)委員 大臣、今の発言は大変大事だと私は思うんです。
 活火山の地域指定があれば、この法律の条文で見る限りは、当然、国の費用で国が責任を持って緊急避難施設ができる、そう思います。今、既に五百人からの人が、警察官、消防その他の人がこの一年半、平穏に日常生活を三宅島で行っている。島民としては一日も早く一時帰島でもしたいと。各公民館ごとに、各部落ごとにショートステイ、いわゆるクリーンハウスを早くつくってもらえないか、そういう強い要望が出てきている。それなのに、緊急避難施設の地域指定をしたとしても、クリーンハウスをつくるかつくらないかわからないじゃないか、だから意味がないと。それはどういう意味なのか。いわゆる対策本部として島民のことを考えていない。大臣としてそれは大いに問題があるのじゃないのか。私には納得いかないんですが、大臣。
村井国務大臣 この活動火山対策特別措置法に基づく緊急整備地域に指定するという行為はどういう効果があるかと申しますと、ちょっと整理して申しますと、知事が避難施設緊急整備計画というものを策定し、計画に基づきまして、道路ですとか港湾ですとか広場ですとか、避難施設等の整備を行う場合に、補助率のかさ上げ、それから地方債の起債の特例、特別交付税の特別財政需要額への算入等によりまして支援することが可能になる。これはもう釈迦に説法でございますが、そういう効果があるということであります。ですから、通常の場合でしたら、例えば火山の周辺のところで避難施設を、要するに整備するのに役に立つ仕組みである、こういうことが言えるかと存じます。
 今、山田委員の仰せになっていらっしゃいますのは、そうしてできる避難施設というのを一時帰島のときの宿泊施設等に使うことを視野に入れて考えたらどうかということでありました。
 当然のことでございますけれども、クリーンハウスというのは大変コストのかかるものでございますから、現在は、要するにインフラを整備し、あるいは維持し、それから砂防工事等々を行う、そのために必要最小限の規模のものを用意しているというのが実態でございます。累計して約五、六百人程度の方がそこに宿泊できるということになっているわけでありますが、ここでさらにそれ以外に、他の目的で一時帰島をされる方々まで、例えば集落ごとに収容するというような施設を行うかどうかということは、やはり三宅村、さらには東京都でよく御研究いただく必要があるだろうし、それからまた、やはり大変コストのかかるものでもございますから、それだけのものをつくる何というか必要性と申しましょうか、そういうものがあるかどうかということも含めてよく研究していただく必要はある。
 ただ、将来、火山ガスが相当低レベルになって、しかしなお噴出する可能性がある、それが一時的に高まる可能性があるということになりましたら、通常の生活はクリーンハウスなしにできる、しかし、火山ガスが急激に増加した場合に避難する施設としてクリーンハウスが要るというような環境になりました場合には、例えば各集落ごとにこれを整備するというような必要も生ずるかもしれません。このあたりも含めましてよく研究をしていただく必要があるんじゃないかと私は申し上げているのです。
山田(正)委員 大臣、活火山法の第五条に緊急避難施設整備、そして第六条に国の予算への経費の計上及び特別な助成等々あります。
 そして、クリーンハウスをつくるのに費用がかかり過ぎるんじゃないかとかそういうお話をなさっておりましたが、一部落百人ぐらい収容のクリーンハウス一棟つくるのに大体三億しかかからない。五部落全部つくったとしたって、幾らになりますか、十五億。今現在、いろいろな道路整備とか云々に二百億の金をつぎ込んでいて、十五億の金を通じて、各部落百人だから、五百人ぐらいのクリーンハウス、宿泊施設、これは、いずれにしても、活火山がほぼおさまったとしたって、いつ何どきどうなるかわからないから、必要な措置。それが、大臣は、一体こういうクリーンハウスが必要なのかどうか、むだなのかどうか、むだとまでは言いませんでしたが、いずれにしたって、随分検討しなきゃならない問題だと。我々は、普通に考えたらすぐにでもぜひやってあげなきゃいけない、そういう大事なことを、もたもたしていて、いつまでも我々がこういうところでこんな議論しなきゃいけないということ自体が情けない。
 大臣、まだいろいろ質問したかったのですが、私の持ち時間が終わりました。本当に一日も早くいわゆる活火山対策特別措置法の地域指定をして、大体、しないのがおかしいと思うのですよ。しないとしたら、なぜ、どの条文でできないのか、それを明らかにしなきゃいけないと思う。その意味で、ぜひ御検討願いたい、そう思います。
 最後にもう一度、大臣の活火山対策特別措置法に対する決意をお聞きして、私の質問を終わりたい。
村井国務大臣 私は、クリーンハウスのコストの問題について、そう詳細に承知しているわけでもございませんから、私の手持ちの資料だけでちょっと申し上げさせていただきますが、要するに、あの構造から、御視察になっておられますからもう十分御案内と存じますが、かなりの気密性が必要でございます。その上で、既設のRCの建物に施工をいたしますのに、例えば勤労福祉会館の場合でしたら三億七千万もかかっている。それで収容人員が、これは建物の構造によりましょうが、九十五名だというようなことでございまして、例えば五百人のクリーンハウスをつくるというのは相当大変な話だということを御理解いただきたいと存じます。
 そのことを申し上げました上で、私といたしましても、去る五月十日の災害対策本部におきまして、まさにこの活動火山法の適用の問題につきましても十分検討するようにという決定をいたしましたので、そういう方向で、いつ帰島が可能あるいは一時的帰島にしましても可能な状況になっても、それに対応できるような万全の準備を整えてまいる努力をしたい、このように思う次第でございます。
山田(正)委員 終わります。
田並委員長 藤木洋子君。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 三宅島の方たちは、全島避難で、ふなれな土地で本当に不自由な生活を余儀なくされて、間もなく二年を迎えようとしております。本日の委員会では、直接の災害対策にかかわる委員会といたしまして、この間の議論を踏まえて、実際に被災者の方たちに、現在の避難生活と今後の帰島に向けて安心と希望を持ってもらうことができる、実効性のある施策や対応をとるという姿勢を明らかにすることが求められているであろうというふうに思っております。今、国としてどういう責任を果たすのか、政府の姿勢が厳しく問われております。そうした思いで質問をさせていただきたいと思います。
 まず、何よりも、現在の避難先での日々の生活です、毎日の生活をどう支援するのかという問題です。この支援策が必要不可欠かつ緊急の課題であるということは、二度にわたって参考人質疑をさせていただいた中でも明らかになった問題でした。
 四月の三日の当委員会の参考人質疑では、商工会議所の代表から、現在の生活に対する経済的支援は必要だ、特に自営業者のほとんどは収入がゼロ、高齢者などに安心感を与える個人への施策が必要、継続的な災害なので、すべての面で継続的支援、援助を行ってほしい、切実な要望が述べられました。
 また廣井教授は、二回のアンケートを通じて被災者の生活が悪化していることがわかる、だんだん悪くなっているということがわかると述べておられるわけです。生活費が不足しているとの回答が三五%、三割以上の世帯に生活支援が必要だ、今からでも遅くはないと逆にその緊急性を述べておられます。
 さらに、四月二十五日、当委員会に対し、三宅村村長あるいは議長から、避難生活の安定を図るため、適切な措置を講じてもらいたいとの要望が出されています。
 こうした繰り返し出されている切実な要望、被災者の実態を踏まえて、国としてはどういう対策をおとりになるのか、まず大臣にこの点をお伺いしたいと思います。
村井国務大臣 本当に、再三申し上げておりますけれども、一年八カ月を超えるという我が国災害史上未曾有の異常な事態でございまして、三宅島の島民の方々に対しまして私も深い同情を禁じ得ないわけでございます。
 政府といたしましては、一つは、災害救助法による生活必需品、これは三十一品目に上るわけでございますが、これを供与し、千四百六十九世帯に対しまして被災者生活再建支援金の支給、それから東京都におきまして、都営住宅の無償供与でございますとか、あるいは三宅島げんき農場の開設、さらには医療費、上下水道の減免等の生活支援策を実施していることは、もう委員十分御案内のとおりでございます。
 それから、先日、五月十日でございますが、非常災害対策本部の第四回本部会議を開催したわけでございますが、ここで、生活支援につきまして、これまで講じている対策を引き続き着実に実施するとともに、災害保護という観点から、生活支援に関する既存制度の弾力的な運用を含めまして、さらなる支援措置の実施につきまして検討を行うことを確認いたしております。
 今後とも、東京都、三宅村と連携をいたしまして、政府として、島民の皆様にできる範囲の支援を行うべく、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
藤木委員 何をやってこられたかということは私も存じ上げているわけですけれども、今、これから何をされようとしているのかというのは鋭意努力中のようなことをおっしゃいました。
 しかし、三月二十九日の参議院の対策特別委員会で、我が党の大沢辰美議員が、生活への直接的な、また継続的な支援を求めました。これは第二回アンケートで明らかになった三宅島被災者の生活実態を示して伺ったものです。大臣はそのとき、既存の施策を活用するのは当然だが、それ以外にも何か方法があるのか、それも含めて思い切った施策を講じなければならないというふうに答弁されています。既存の施策の枠組みにとらわれない、被災者の実態に見合った生活支援をどうするのか、このことを伺っているわけです。
 それに、生活保護の受給に関しては重大な問題があるということを私は申し上げないわけにはまいりません。何よりも一番の問題は、三宅島の方たちの場合、生活保護受給開始前に義援金や生活再建支援金を受け取っていらっしゃいます。しかし、一時的に入るお金というのは自立、更生をするために今生活に充てなければならないということを生活保護では述べておりません。
 ところが、そういったことの周知徹底ができなかったということで、都は四月二十五日付でその徹底を図る文書を出しております。保護の弾力的運用を進めるとともに住民への制度の一層の周知を図りとございますけれども、これは弾力的運営ではなくて、もう既に決められていることです。これをいかにも弾力であるかのようにとらえることは、もう本当にごまかしとしか言いようがございません。
 それから、最初から周知しないとだめなんですね。四月になってから周知を図るということではだめです。国としても、災害時というのは混乱の時期でありますから、しかも、避難生活が都内の各所に散在しているというような状況ですから、こうした事態というのが起こり得るということは当然予測の範囲の中です。ですから、事前に周知徹底の指導あるいは援助、丁寧な対応をするということが逆に問われているわけです。
 ですから、私、思うんですよ。実際に生活保護を申請に行かれました、ところが、預金通帳がゼロになったら来い、窓口でそう言われているんですよ。結局、その一時的に受け取った夫婦二人で二百十八万円、それを全部使い果たしてからもう一回申請に行って、やっと受給できた。私はこれはとんでもないことだと思います。だれの責任ですか、これは。私はその方が帰ってから、生活が再建できないところへ追い込んだ責任をとって、これは政府と都が一体となって遡及して返金を行うべきだということを強く求めたいと思います。
 さらに大臣は、生活保護を受給することについては、御本人のいろいろなお気持ちもおありでしょう、災害でこのような事態になられた方について、何か一工夫、二工夫できないものだろうかと思う、私はかねてからそう思っている一人ですので、いろいろ研究をしてもらっている、研究をしてもらっているというふうにおっしゃっておられるわけですね。
 そこで、既存の施策の枠組みにとどまらない施策についてどういう検討を重ねてこられたのか、そしてどのようになさるおつもりなのか、その進捗についてお話を伺いたいと思うわけです。
村井国務大臣 生活保護の体系というのは、私は余りこれを語る権威ではございませんけれども、大変いろいろな形の生活の困難をもたらす原因というのがございまして、それが一般的に適用されるような形になっておりますことが一つの原因でございましょうけれども、大変いろいろな意味で縛りあるいは運用上の制約というものがあるものであることを、私も改めてこのところ認識を深めているところでございます。
 先般、今、委員御引用になりましたような私の答弁、これは、私もやはり何らかの意味で、日常生活を維持するための何らかの給付を行うような必要があるのではないか、あるいはその工夫をする道がないものかということで関係者との議論をいろいろ重ねているところでございますけれども、率直に申しまして、まだめどがついていないというのが実情でございます。
 なお、先般の五月十日の非常災害対策本部でございますが、ここでも問題を改めて投げかけまして、御懸案を関係省庁で検討をいただいているというのが実情でございます。
藤木委員 検討されるというのは当たり前なことなんですけれども、それだけではやはりだめなんですね。
 三宅島の全島避難から間もなく二年を迎えるわけですけれども、では、この間政府は一体何をしていたのか。廣井教授も指摘されておられました、この間の二回にわたる島民の生活実態調査アンケートを行って、結果が出たら、その実態に基づいて支援の検討をすると繰り返し政府は言ってこられたわけです。ところが、一番被災者が困っている日々の生活への直接的な支援についてはほとんど何もやってきていない。さらに、都が行った五十歳以上世帯への戸別調査、このときも大臣は、結果をもう一つよく吟味させていただきながら、政府部内でも相談をしていきたい、重ねてこのように答弁をしておられるわけです。しかし、結局は実効ある施策が何も動いていないわけです。国会で繰り返し、島の人たちが期待を持つような、そういう御答弁をされているわけですね。私は、言いっ放しでは余りにも責任を放棄していることになるんじゃないかというふうに思うわけです。現金支給であれ、現物支給であれ、実際に日々の避難生活で困窮している被災者のために役立つ施策をとるというのが政治の責任ではないのでしょうか。
 それでは、伺いますけれども、雲仙・普賢岳の災害のときには、食事補助事業というのを地元がやられまして、これに国は補助事業として支出をされました。では、あれはどうしてできたのですか。
村井国務大臣 雲仙・普賢岳の噴火災害のときに食事の供与事業をやった、これは確かに事実でございます。これは避難所から応急仮設住宅への移行の時期に、長崎県が臨時特例の措置として六月の間の期限づきで実施した事業でございまして、国は長崎県の要望を踏まえまして、その事業費のうち二分の一の補助をしているわけでございます。
 それに対しまして、三宅島の被災者の方々への生活支援でございますけれども、東京都は東京都の状況に即した被災者の自立支援のための対策に力を入れてきたと私は認識しております。国とも連携をしてのことでございますが、先ほども申し上げた都営住宅の無償提供でございますとか、生活費の給付でございますとか、あるいは義援金、支援金等の給付、それから中小企業者の既往債務に対する返済猶予等々の対応をしてきたということでございます。私はその雲仙・普賢岳のケースというのは、やはり緊急に避難をしたときに、比較的、短期的に処理をしたその施策が食事供与事業であったんだ、こんなふうに認識しておりまして、実際にそれぞれに定着をされました後ではこういうことはしていないわけでございますから、ちょっとこれとの並びといいましょうか、比較をされてもいかがなものか、こういう感じがするところでございます。
藤木委員 三宅島の方は避難所にこそいらっしゃいませんけれども、避難生活なんです。どんなに立派な家に住んでいても避難生活なんです、今は。仮設住宅に移るわけではありません。しかし、このように長期に続いた避難生活をしなければならないのは三宅島の特徴じゃないですか、今度の災害の。だからこそ、未曾有だとか、かつて経験したことがないと大臣もそのような認識をお述べになっていらっしゃいます。
 それでは、確認いたしますけれども、もし村や都がそういう災害なんだからということを考えて、被災者に対して直接的には現金給付あるいは間接的な現物支給、こういう事業を今行わなければならないという立場に立って行った場合は、国として当然支援することになりますね。いかがですか。
村井国務大臣 当然国が支援するという形になるかどうかというのは、それぞれの自治体の体力とかいうようなことも考えてまいらなければならない点だと思っております。
 いずれにいたしましても、東京都、三宅村とよく御相談をさせていただきながら対応させていただく問題だと考えます。
藤木委員 それでは、そもそも国の責任についてお聞きをしたいと思います。
 参考人質疑で、廣井教授は、今の状況が健康で文化的な生活をする権利が阻害されている状況である、このように長期化した災害に対する支援は根本的に国として対応する必要があると述べられております。このことは、せんだって当委員会で自由党の議員からも同趣旨のことが言われたところでございますけれども、実際、島に戻れないわけですから、このことについて大臣も繰り返し、生活基盤からこれほど長期間完全に断絶されて生活せざるを得ないというのはまれに見る異常な事態だ、こう述べてこられましたね。だからこそ、頭をやわらかくして、思い切った施策を検討したい、このようにもお述べになられたんだと思うんです。私はこうお述べになった積極的な答弁、これに責任を持っていただきたいということを申し上げているわけです。
 そして、そもそも国民の生命財産を守るということは国の重大な責務であるということもお述べになっていらっしゃるわけですけれども、この国の責務はそれではどうなるのか。では、国は、地元自治体が実態に見合った生活支援などを何もやらない場合、地元がやらないからといって放置をされるおつもりか。いかがですか。
村井国務大臣 私は、東京都におかれましても、あるいは三宅村におかれましても、大切な住民の生命財産の維持ということに不熱心であるなんということは夢にも思っておりませんし、これはもう、国、それから東京都、さらに三宅村、力を合わせてやる、そういう主題だと考えております。
藤木委員 それでは、国の責任というのはどうなるんですか。国は責任がないのか。地元が一生懸命やっているから、それでいいということなのか。
 私は、これだけの異常な事態というのは、都だとか村だけで対応し切れない問題があるのではないか、それほどの問題ではないかという認識を国はお持ちかどうかということを聞いているんですが、どうですか。
村井国務大臣 私は、やはりあくまで御一緒に協力をしてやるべき問題だと思っております。
 もちろん国としてできるだけのことを、例えば制度をいろいろ微調整するとか、いろいろ工夫するとかいうことでできることを一生懸命考えなければいけないことは、これはもう申し上げるまでもないことだと思います。
藤木委員 私は今のお答えは到底納得できないわけですけれども、阪神・淡路大震災を体験しているわけですね。もうあれから七年を経過してしまっても、なお、営業も住まいも、そして暮らしの再建も、どれだけ苦しんでいるか、孤独死だとか自殺も出続けているという実態を目の当たりにしております。
 ですから、生活への支援がどうしても必要だということを繰り返し繰り返し申し上げているわけですね。しかも、実施の時期がおくれればおくれるほど、その深刻さは深まりと広まりを持ってどんどんどんどん加速的になってまいります。ですから、一刻も早く実施しなければと思いを強くしております。
 阪神・淡路大震災被災者の多くは、生活保護基準以下の生活をしていらっしゃる方が随分たくさんいらっしゃいますけれども、そのために体を壊されたという方たちがどんなにふえているか御存じでしょうか。放置できないと胸を痛めているのであれば、直ちに国の責任で必要な生活支援策を行うように強く申し上げて、次の問題に移りたいと思います。
 自宅の屋根の補修の支援について伺いたいのですが、全員帰島するまでこのまま放置するなら、今後の生活再建、復旧復興に重大な影響を及ぼすということで、一時帰島の枠が拡大されたことを受けて、既に屋根の補修が始まっております。
 四月の末の東京都の見積もりで、約三百戸が屋根の補修が必要だということですけれども、現在補修に着手し始めたのはほぼ半分だそうでございます。私も実際見てまいりまして、放置されているところはどんどんどんどん腐食が進んでいく、ひどくなるばかりなんですよね。
 しかし、その放置されている半分というのは、大体一戸当たり、材料費や人夫賃も含めますと七十万から八十万ということで、その半額規模を島で貸し出しを行っているというふうに伺いましたけれども、ともかく三十五万とか四十万の現金が今なければできないという仕事でございますよね。ですから、実態調査などを見ますと、現在まだ補修に着手できていない約半分の方たちというのは、実際には補修が困難ではなかろうかというふうに思われるわけです。
 本格帰島ができるようになったときにも、そうなれば帰島をちゅうちょするということにもなりかねないわけでして、高齢で自分で補修することもままならないし、費用も捻出できない世帯には、コミュニティーの存在を守るという公共性から考えるならば、公で支援することは当然のことではないかと思います。国としても費用負担を行うべきだと考えます。
 これは四月二十五日提出の村長、議長の要望書にもその項目がございますので、当然その費用負担について支援を行うべきだと考えますけれども、これはどのように検討をしていらっしゃいますか。
    〔委員長退席、今田委員長代理着席〕
村井国務大臣 確かに、住宅は住んでおりませんと、ただ空き家にしているだけで荒れてまいります。その上に、非常に火山ガスの影響を受けまして劣化の度合いが激しい。この状況につきましては、私も大変心配をしている問題の一つでございます。
 特に屋根でございますけれども、これは三宅島職工組合が修繕を実施しておられると承知しておりまして、しかし、今、委員御指摘のように、基本的に自己負担でございます。ただ、政府としましてサポートできる一つの仕組みとしまして、住宅金融公庫による長期、低利の災害復興住宅融資、これは使える形になっているわけでございます。
 三宅村からそのような御要望が出ているということは私も承知しておりますが、東京都とも御相談をしながら、今後どんな支援が可能かよく検討をしてまいりたいと思います。
藤木委員 融資の世界では、返す当てのある人でなければ手が出せないという問題がありまして、やはりそれには手が出せないという方たちがたくさん出てくるであろうということを私は思いますね。
 ですから、実際には困難だからこそ、鳥取県などでは、公共性が高いんだということで公費を支出するということを思い切ってやられて投入をされてきました。
 この四月に中間報告が出されました三宅村の復興に伴う基本的な構想の中でも、「三宅島の復興は、そこに住む島民と家屋財産があってこそである。」できるだけ家屋の荒廃を減らすため、島民が各家屋を保護できるように村は支援策を強化するということを明記してございます。
 私も、実際、五月八日に行ってまいりまして、インフラの方は確かに進んでいますよね。あれだけのお金を投じて、道路はできた、ダムもできた、人が住んでも安全だというような対策が打たれていても、そこに人が帰れないということでは何のためにお金をつぎ込んだのかということになりかねません。
 それでは、村や都が公共性の高い事業だとしてもし補助を行った場合は、当然国は財政支出をすることができると考えてよろしいですか。相談するとおっしゃいましたけれども、もし、村や都がこれに財政支出をするから国にも支援してくれといった場合はどうなりますか。
村井国務大臣 これは私有財産の、何といいましょうか、復旧につきましてどの程度公が関与するべきかというところは、率直に申しまして、この委員会のみならず、いろいろなところで御議論があり得るところだと私も認識しているところでございまして、直ちに国が補助をするというような、もうちょっと端的に申せば、直接的な財政支援を行うというような性格のものではないのではなかろうかという感じを私は持っております。
藤木委員 それがやはりおかしいと思うんですね。
 私も言いましたけれども、大臣も、インフラだけ整備されてもどうしようもないではないかということで、人が住めるような状態にならなきゃいけない、当然、家屋の補修や復旧についてもきちんと手当てをしていかなければならないともお答えになっていらっしゃるんですよね。ですから、その答弁の立場に立って支援をしていただければよろしいというふうに私は思っておりますので、ぜひこれは実行していただきたい。
 では続いて、宅地内の降灰除去への国の支援についてお伺いをいたします。
 宅地内の降灰の除去については、村で既に実態調査を終えておりまして、いつでも取りかかれるという状態ができております。これは当然、運用で、重機を入れなければならないような大仕事でもありますので、援助をしていくということになるんだと思うんですが、国の支援があればすぐにでもできるわけですから、一体いつおやりになるのか、どの時点でおやりになるおつもりなのか、そこらをお聞きしたいと思うんですが、いかがですか。
村井国務大臣 宅地内の降灰除去につきましては、堆積の実態などを的確に把握しました上で、都市災害復旧事業という制度がございますが、これの弾力的な適用を含めまして、関係省庁と適切な対応をしてまいりたいと存じます。
 具体的にちょっと御紹介申し上げますと、都市災害復旧事業として、これは国土交通省の所管でございますけれども、市町村長が指定した場所に堆積されたものの除去を行うということでございまして、一定の条件がございますけれども、二分の一の補助を国が行うという制度がございます。これの活用が考えられるのではないか、こんなふうに思っております。
藤木委員 そうなんですよね。ですから、それをいつやっていただけるか。先ほども大臣おっしゃいましたけれども、放置すればするだけ工事は大事業になっていくわけで、早く手を打った方がいいわけですよね。その時期はいかがですか。
村井国務大臣 これも実は御要望がある点でございますし、去る五月十日、関係省庁を集めました災害対策本部におきまして、検討を進める項目の一つとして取り上げている次第でございます。火山ガスの噴出状況等をにらみながら、適切なタイミングで処理をしてまいりたいと思っております。
藤木委員 できるだけ、もう準備は万端、地元はできているとおっしゃっているわけですから、ぜひ早急に進めていただきたいと思います。
 それから、人間の手でできる状況ではないことが明らかですし、全島避難で自助努力のできる段階ではないということも勘案したら、公の事業として、一刻も早く国費の投入を決定されることを重ねて求めておきたいと思います。
 参考人質疑では、農業委員の方、商工会議所の方、双方から言われましたけれども、切実な要望が出ております。廣井教授自身もおっしゃっていましたけれども、第二回アンケートでは、九割の島民が帰島したいと回答していらっしゃいます。しかし、そのうち、生活のめどが立てば帰島するという回答は四割。ですから、帰島したいと思っていても、生活のめどが立たなければ帰島できないと不安に思っている方が四割いらっしゃるわけですね。ですから、対応を間違えば人口は半減してしまうことが懸念されるという状況でございます。
 また、農業委員の方は、中堅農家も含め、自助努力だけでやれと言われると農業を断念する人が多数出ることが予想される、自助で何とかしろと言われてもそれは無理に等しいと訴えられました。
 そこで、具体的にお尋ねをいたしますけれども、ビニールハウスを撤去して、土地改良を行って、再びビニールハウスを設置して初めて農業を行う基盤が整備できたということになるんだそうですけれども、その全部の支援というのが必要だというふうにこの委員はおっしゃっていました。しかし、少なくともビニールハウスの撤去と土地改良、ここまでは災害復旧事業として国が支援できるのだと伺っておりますが、それでよろしゅうございますね。いかがですか。
中島政府参考人 お答えいたします。
 三宅島の噴火によりまして農地に堆積しました降灰を除去する際に、ビニールハウスを降灰と一体的に除去することが合理的と考えられる場合には、災害復旧事業において撤去することとなります。
藤木委員 それでは、もう時間がございませんので、最後に一言だけ申し上げておきたいというふうに思うんですけれども、今必要なことは、避難者の皆さんの日々の生活で苦労していらっしゃるのは、東京都が困窮していらっしゃるだろうという五十歳以上の方たちを対象に行ったアンケートの対象者がいましたけれども、その枠をはるかに超えているというのが第二回のアンケート調査で出ているんですね。ですから、その枠を超えたところにまで支援の手が伸びないといけないということが一つです。
 それから、いま一つは、帰島することが現実の段階になってきたときに、産業の基盤を支える農業を営んでいらっしゃる方たち、あるいは商工業者の皆さん、観光業者の皆さん、こういった方たちが、その支度をすることができるか。立ち上がるまでの間のつなぎ、この支援が求められておりますし、当然、事業をやっていない皆さんたちにもそういったことが求められています。
 今もお話を伺っていますと、あの法律ではこれができない、これではこれができないとか、いろいろなことをおっしゃいます。もう既存の枠の中ではとてもできないということをいっぱいおっしゃいましたけれども、私はそれはおかしいと思うんですよ。国民の命と財産を守るのが重要な国の使命であるならば、こういったことはやる気になればできることであるというふうに思います。
 個人資産に対してお金は出せないというようなことを言っているのは、それは政府が言っているだけでありまして、国民がそう思っているわけでも、被災者がそう思っているわけでもありません。ですから、頭をやわらかくしてというのであれば、今、そこのところをやわらかくしていただくことを強く御要望申し上げて、質問を終わらせていただきます。
今田委員長代理 山内惠子君。
山内(惠)委員 社民党の山内惠子です。
 初めに、大臣にお聞きしたいと思います。
 私は北海道出身ですので、有珠山の災害のときに、観光地としての復興計画について質問させていただきましたが、計画書が出た段階で十二分に予算のことも検討するとおっしゃってくださって、あのときも大変感謝しておりました。おかげさまで、皆さん、観光地の復興に向けて今もなお頑張っていらっしゃいますので、そのことをお礼申し上げます。
 次の質問なんですけれども、きのう、質問取りに担当の方がいらしたときに、今回、大臣が、武力攻撃事態特別委員会の方で質問があったときには私の質問に対してはいられないかもしらない、大変難しい状況だとおっしゃいました。御本人がおっしゃったんじゃないと思いますけれども、担当の方が苦労していました。
 そのことにつきまして言いますと、私は、とてもそのこと自体に残念に思っていたんです。どちらが大事かということを私は申しませんけれども、一方は、今後あるかもわからない事態の検討ですが、こちらの方は、三宅島の島民にとってもう既に二年に近くなっているという状況があるだけに、この方たちの問題がどれだけ重要かということを考えれば、もう一つの委員会があるからこちらは副大臣でというふうに考えてはいただきたくないと私は思っていました。もしどうしても重なる心配があるのであれば、最初からこの日程は別の日に設定すべきであったというふうに思っているんです。
 今、私の目の前に大臣がいらっしゃるんですから、御努力くださったことは感謝しますが、この開催についてもどう思われるか、ちょっとだけ、短い時間、最初にお聞かせいただきたいと思います。
村井国務大臣 これは、政府の一員といたしましては、院の話でございますので、何とも、コメントを遠慮させていただくのが適切ではないかと存じます。それぞれの御質問に当たられる委員の方々の御理解を得ながら、二つあればありがたい体を何とかやりくりするしかないものだと思っております。
山内(惠)委員 こうやって努力して来てくださっているんですから、このようにダブることがないような開催というのは、今後のところで要求していきたいというふうに思っています。
 先日、NHKのテレビで「プロジェクトX」が放映されまして、随分たくさんの方々もごらんになったと思うんですけれども、三原大噴火のときの状況と今回の三宅島の噴火は、状況こそ違うと思いますけれども、それぞれのポジションにあった方の御努力というのは、やはり大変なものであったというふうに思いますので、ぜひ、この後も、開会に関しましては大臣が必ずいられる日程を検討されるようにというふうに思っていることを私の意見として述べておきたいと思います。
 時間も限りありますので、大臣に簡単にお答えいただきたいのは、先ほどからいろいろな方たちの質問に対してお答えくださっているのを聞きますと、まず、火山ガスが桜島程度になるのに、前回のときの報告でも一年か一年半かかるとおっしゃられていますね。それから、先ほどのお答えの中では、砂防ダムが完了するのが二〇〇五年ころとおっしゃっていますね。となると、この復興に向けての皆さんの努力は、およそこの二〇〇五年までが完了時と考えて努力されているのかなと思いますが、そこの当面の限界というのを設定はされているのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
村井国務大臣 砂防事業の方は、実際、砂防工事をやっていきますのにやはりそれだけの時間がかかるということで、平成十七年度でございますか、そのあたりで現在計画中の砂防工事がおよそ終わる、こういう趣旨だと存じます。特段、何と申しましょうか、火山ガスが減少して、そのころには帰島ができるというようなところまで考えた数字ではないと理解しております。
山内(惠)委員 わかりました。
 それでは大臣にはまた後で一度質問したいと思っています。ありがとうございました。
 生活支援についてお聞きしたいと思いますが、今回、東京都から岡部部長、御参加ありがとうございます。前回の四月三日の委員会のときに、廣井参考人が、就労あっせんは当然だけれども、働きたくても働けない方がいるので、生活支援は二本立てでいくべきだというふうにおっしゃっていました。生活支援を必要としていらっしゃる方が三〇%とおっしゃっています。
 国に対しては、たくさんの議員がおっしゃっていまして、私も同じ要望を持っていますが、きょうは東京都から来られたということですので、この生活支援に関してなんですけれども、東京都として、生活支援を必要としている方を島民のうち何人ぐらいと把握していらっしゃるのか。高齢家庭は何件、母子家庭は何件と押さえていらっしゃるのか、お聞かせください。
岡部参考人 平成十二年の二月に第二回の三宅島のアンケート調査に基づきまして東京都職員が訪問調査をしました結果、生活保護の受給が可能な世帯、これは生活保護の基準収入以下が三百世帯ございまして、その中で、さらに預貯金が二百万円以下という、二百十八万円ですね、が、例としては二百万円以下の世帯が約二百世帯と推定されております。
 なお、年齢構成でございますが、六十歳以上の方は、避難前は三六・七%でしたが、平成十四年四月末現在四〇・五%と、高齢化しているところでございます。
 母子世帯につきましては、若干、ちょっと数字の持ち合わせがなくて、また御報告をいたします。失礼しました。
山内(惠)委員 母子世帯に関しては、児童扶養手当の削減問題まで起こっていますので、数については改めてお聞かせいただきたいと思っています。
 時間の関係上、ここのところは短く質問したいと思いますが、生活支援に関しては、一時金だけではなくて、日常的に現金支給が欲しいというのが随分たくさんの声だと思います。北海道の有珠山の災害のときには、世帯の人数掛ける三万円プラス三万円というのが支給されています。それから、長崎県の雲仙の災害のときには、最低月三万円が支給されたそうです。その意味では、廣井参考人の計算だったかと思いますが、一世帯十万円支給したとしても年間七千万円あればできるんだとおっしゃっているんですけれども、東京都として、このことを検討し、実施しようと思っていらっしゃるのかどうか、聞きたいと思います。
岡部参考人 東京都としましては、これまで、生活支援策につきましては、公営住宅の無料とか上下水道の基本料金が無料等、現行制度の枠を超えた災害の保護という観点から減免をさせていただいております。また、高齢の低所得者層につきましては、生活保護の受給を、当然のごとく、受給できる方々には積極的に推進していくつもりでございます。しかし、自助努力する中でまだ生活困難な世帯がございます。こういった世帯につきましては、現行の既存制度を、災害保護の観点から運用等の見直しを国等に要望しているところでございます。
    〔今田委員長代理退席、委員長着席〕
山内(惠)委員 やはり住宅が無料であるということは大変ありがたいことだと思いますけれども、衣食住の食のことを考えても、現金支給がどんなに必要かということを考えましたら、ぜひぜひ現金での月々の支給を早急に御検討いただき、実施していただきたいという要望にかえさせていただいて、次の質問に行きたいと思います。
 就労問題その他もいっぱいあるんですけれども、実は私は学校現場に長くいたという観点で、教育問題で質問したいと思います。
 初めに、大臣にお聞かせいただきたいと思っているんです。その後で都の方にもお聞きしたいと思っていますが、皆さんが避難されて二年近くになるんですけれども、避難方法の中に、途中で避難所というプロセスを経過しないで、今無料でとおっしゃった都営住宅に避難したということについての対応、それから、子供が親から離れて学童疎開したということについて、もう二年ですから、この後いつ帰れるかわからないという意味では、中間総括が必要じゃないかと思うんですけれども、大臣はどのようにこの間の避難のあり方を総括していらっしゃるか、お聞かせください。
村井国務大臣 現段階では、小学校のお子さん方は大体、御家族と御一緒になられたように承知しておりますが、まだ、中学校、高等学校の生徒さんの中には、あきる野市の旧秋川高校に家族と離れて入寮しておられる、こういう状況で、私もいわゆる疎開というような経験をした世代でございますから、こういったことがどんなにつらいことかというのは、もう想像にかたくないわけでございます。
 ただ、教育のいろいろなありようということを考えますと、ある程度年齢のいった方々には、このようなことを我慢していただかざるを得ないのが今の状況なのかなというような感じを持っております。
山内(惠)委員 高齢者の方たちが、特に都営住宅の中でも高いところに住んでいることが大変つらいというふうに、前回のときお聞きしているんですけれども、私の地元でも、高齢者の方がお一人のときには住宅一階を優先しているという状況があるんです。その辺も、この後、やはりこのまままだ長くということをどう考えていくのかなということも含めて御検討いただきたいと思うんです。
 今回、避難をするのに立派な都営住宅があったということは、一方で、生活はよかったんだと思うんです。村民の皆さんの運命共同体としての暮らしということを考えたら、一カ所に集まってプレハブでというのは、生活は苦しいかもしらないけれども、慰めたり励ましたり協力したりということができる状況があったんだけれども、今回はばらばらに離れて生活をしたということがあったということをお聞きして、本当に難しいなと思ったんです。その意味で、東京都としては、この避難のあり方をどのように分析されているんでしょうか。
岡部参考人 このような長期避難、それから、ばらばらに生活しているという状況につきまして、現在、災害は進行中でございますし、また、学校の問題、秋川高校で集中的に授業を受けているという状況など、全体を含めまして、まだ総括できる状況ではございません。
山内(惠)委員 確かに、まだ復興の途上ですから、総括というのは難しいと思います。
 それにしても、前回の参考人の長谷川参考人が、御自分の年齢四十三歳とおっしゃっていましたが、御自分の人生で三回噴火を体験した、今回が最もひどかったということのようですけれども、そのことを考えましたら、避難の仕方というのは、それなりに丁寧な分析が必要だと思います。
 特に、今回は、学童疎開という方法をとられたことについて、文部科学省の方はどのように分析されているんでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
加茂川政府参考人 疎開方法についてのお尋ねでございます。
 私どもとしましては、児童生徒を優先的に避難させた点につきまして、地元関係者からも特段の問題の指摘があったとは聞いておりません。そういったこともございまして、本件については、三宅村において適切に判断されたものと考えておるところでございます。
 平成十二年の時点でございますが、八月末の時点では、まだ全島民の避難を指示する段階に至っていなかったと承知をしておりますけれども、翌月九月からの第二学期の始業を控えまして、授業の再開を確保するという観点から、児童生徒の島外避難を決定したわけでございまして、これは適切であったと私どもは考えておるところでございます。
山内(惠)委員 少し話が飛びますが、先に聞いておきたいことがあります。
 三宅島の学校の被害状況が、私もこの間一緒に視察に行かせていただいたんですけれども、途中、学校の前を通ったんですが、あそこでおろしていただく計画を要求しなかったものですから、これはきょう聞くしかないなと思いまして、質問させていただきますが、学校の建物自体がどのような状況になっているのか。
 それから、帰島後に学校を開校するとしたら、どのような計画をなさっているのか、これは東京都に準備のあたりを最初にお聞きしたいと思います。
岡部参考人 学校の被害状況につきましては、外観としての被害の調査をしております。その面では支障はないように見えますが、しかし、まだ災害査定というものを行っておりませんので、学校の設備等、まさに火山ガス等の影響、どのような影響があるのかという調査はしておりません。
 なお、学校につきましては、開校までの準備につきましては、今三宅村で復興基本計画を策定している中で、帰島後の村の復興の方向などを踏まえまして、教育システムのあり方を検討するということになっています。その検討の中で、東京都は必要な支援をしていく考えでございます。
山内(惠)委員 わかりました。子供たちのことですので、本当に何があっても安全であるような対策ということは重要だと思います。
 もう一つ、子供たちの心の問題ということについても対策が重要だと思いますので、今回の対応の仕方につきまして、先ほど問題は聞いていないということもありましたけれども、私としては、本当に問題はなかったのかという点で、次の質問に入りたいと思います。
 小学生の子供たちは、全員が親元に帰られたそうですけれども、長い集団生活と災害からのストレスということを考えると、大変大きなものがあるのではないかと予想されるんです。特に小学校の低学年、私は小学校に勤務しましたから、一年生の子供たちの親離れ状況はどんなであるかということを具体的に知っています。その子たちがあの噴火という災害を体験した後、親元を離れて避難生活が続いたということを考えると、子供たちのケアの点からもアンケートが必要だと思うんですけれども、そのアンケートをなさっていますか。
岡部参考人 三宅村が主体となって行うところでございますが、まだアンケート調査しているとは聞いておりません。
山内(惠)委員 きょうは担当者がお一人で来てくださっているから、難しい質問なのかもわかりませんけれども、教育委員会として、村に対してこのようなアンケートをせいというような状況ということはあり得ないことなんでしょうか。
 村の方がいらしたら、そこで聞くことはまたできるんですけれども、きょうは東京都の方にお聞きしたいと思います。
岡部参考人 重要な問題でありますので、今後、村と相談して検討してまいりたいと思います。
山内(惠)委員 中学生は、まだ避難の、秋川高校ですか、残られているんですね。
 高校生は、やはり年齢が高くなった分だけ、集団生活の中から得るものもあったという声もあるわけですから、そこはある意味では心配ないのかなとも思いますけれども、高校生も、受験とか自分の将来を考えると、ストレスはきっと抱えていると思います。
 私は、小さい子供もですけれども、割とけなげなものだということもいろいろな場面で見ています。親が避難をしているのが別な日であったということもありますから、帰りたいという思いも我慢しているということは当然あったと私は考えます。その意味で、アンケートをとられていないということは本当に残念です。
 分厚いアンケートをいただいた中に、教育にかかわってはほんの七行ですが、記載されているところを私は見つけただけなんですけれども、この中で、これは親が書かれたのか、地域の方が書かれたのか、回答者のことはわかりませんけれども、子供たちも同じ避難が長期化になり、せめて家族単位での生活はできないのだろうか、今でも秋川に子供たちを預けている家庭があるようだが、私は秋川はもうやめた方がいいと思う、預けなければ生活できない家庭があるのなら、別の形で支援し、閉鎖すれば、親も子供も選択できない形で答えを出せるのではないかと書いています。
 それから、避難生活が長期化する中で、未就学児の支援が手薄過ぎると書かれています。
 未就学の子供に対しての状況は把握していらっしゃいますか。それから、この家族単位での生活という部分では、ちょっと後で質問することにいたします。未就学の子についてはどんな対応をされていますか。
岡部参考人 学童、未就学等についての調査をまだしておりません。
 なお、子供たちは三宅島の復興のための有力な人材でございますので、その意思等をしっかり把握するということは重要だと考えております。
山内(惠)委員 四月を何度も迎えられているんですから、把握していないというのは、これは都教委は把握していないんでしょうかね。把握、当然すべきだと思うんですね。自分はどこの学校に行こうかと、親は相当悩んでいるということも含めて、秋川の高校にこの子たちが行くのかという状況も含めたら、何のお答えもいただけないというのは大変残念に思います。早急に検討していただきたいと思います。
 それで、このことにかかわってなんですけれども、これは文科省と東京都との両方に質問したいと思います。
 前回、四月三日のときにも私は同じようなことを申し上げたんですが、大抵の災害は学校が避難所になるという例があります。この間のお答えの中でも、ピーク時で三十二万人のうち六割が学校に集まったというふうなお答えがありました。
 学校は地域社会の一つの拠点でもありますので、そこに勤務している教職員は、だれから言われるまでもなく、子供のいる学校で、ある意味では地域のリーダーとなる役割も働いてくれていると私は押さえています。その意味で、あのとき、廣井参考人のお話の中で、学校に避難された方々はトイレの掃除に至るまで整然とやってくださった。それは、相当教職員の皆さんのアドバイスなりあってのことだと私は思っているんです。
 その意味で、あの避難に対し、避難をするとき、学童疎開をするという避難を決めたときに、教職員の声はお聞かれになったんでしょうか。済みません、これは文部省じゃなくて、東京都の方に先に。
岡部参考人 三宅島が噴火する前に、防災の、もともと防災訓練を秋にする予定でございましたが、その打ち合わせ等の中で、関係防災機関、教育関係者と三宅島村役場との中で訓練の方法につきまして協議を重ねている中で、学童の全島避難というものも視野に入れて、いろいろ意見を伺っておったところでございます。
山内(惠)委員 アンケートも、子供たちの声も聞いていない。一応先生方の声をお聞かれになっただろうと推測で今お話しされたんですけれども、六月の二十六日に、噴火のおそれがあって、大噴火があって、八月の二十九日に学童疎開を決められた。その前までは、低学年の子供たちは親と一緒のはずだったと聞いています。しかし、緊急になって、子供たちだけでも先にというふうに考えられたのも、そのような状況の中ではある意味では仕方がなかったと思います。
 しかし、全島避難があったのが九月の五日なんですよね。そのことを考えると、五日、一週間ぐらいあったんでしょうか、全島避難というときに、どうすべきかと考えるべきだったと思うんです。特に、一年生から三年生の低学年の子供を当初方針どおり続けてあの秋川高校に置いて、教職員の管理のもとで、寝る時間があるわけですから、その意味では、全島避難のとき、一回そのことを検討すべき時期があったと思います。
 でも、相当新聞でもこのような避難場所があるということや一緒に早目にやったことの評価の声があったらしくて、そこのところでの再検討が難しかったとしたら、次の、もう一度チャンスはあったはずです。一カ月がたったときです。子供たちは、一カ月後には親元へ帰れると頑張っていたと聞いています。
 時間の関係上、ここの次の質問も含めて一緒に説明させていただきたいと思いますが、不思議なことに、この一カ月たった時点で、親元に子供を帰そうということを親に働きかけるのを禁止したというようなことがあります。なお不思議なことに、この学校の校長先生は、三校の校長先生が転勤されているんですね。ここに先生方が居続けていただいて状況を見ていただいて、この判断をされるべきであったというふうに思うんですが、そのような状況、私は信じられない状況です。
 まず一つ、十月に、担任は一人とは限らなくて、A、B、Cと順番にかわって、子供たちの担任はかわっているわけです。交代です。夜もあるから、しようがないでしょう。しかし、教員が退寮を勧めたということに対して非難があったんですね。あるでしょう。親は仕事も探さなければならない、子供がここにいては大変だ、それは事情によりますから、事情をちゃんと聞いてあげればよかったと思います。そういう時点で、教職員の皆さんは子供の思いを親に伝え切れなかったと大変悩んでいる状況にあります。担任が三人もかわるという状況で、子供の泣く回数がふえたという報告があります。
 それから、退寮を勧めることを禁止された後の十二月に、突然子供たちの限界があらわれてきていて、もう子供たちはぼろぼろだったという表現があります。それで、先生方はもっと考えたんですね。平成十四年度から始まる週休二日制の先取りをしてはどうか、そうすれば二日間だけ帰れるわけですから。それも認められなかったとあります。そして、教職員の異動は凍結された中、先ほど言いました校長先生の突然の異動です。これは何なんでしょう。
 私は想像できますよ。小学校一年生の子供が親元から離れて、一日や二日でもパニックになるんです。でも、その子供たちが一月頑張り続けたんですよ。その子たちを帰してはどうかと考えられたのは、そのことを教職員が親に伝えるのも私は一つの責任だと思うんです。それをなぜ、そのことをするのを禁じたのか。これは行政にも禁じられたと聞いていますが、いかがなんでしょうか。
岡部参考人 先ほどの答弁で、その前に若干、訂正させていただきます。
 児童、未就学児の調査につきましては、三宅村で行っているとともに、学校の先生が各生徒を巡回してフォローをしております。
 また、今の件につきましては、非常に重要な問題でありますので、今後、三宅村と、児童、未就学児童等、子供に対するフォローについては一生懸命やっていきたいと考えております。
山内(惠)委員 ぜひアンケート、これは今、子供にとおっしゃったんですけれども、子供も当然ですけれども、そこでともに暮らした教職員のアンケートもしていただきたいと思うんですね。教職員の側、私はその側を一つ提起するとしたら、自分も避難しなければならない家族を持っていたんじゃないでしょうか。それと、子供たちの疎開と、そして全寮制ですから、泊まってということを考えたら、その中でさまざまな次回への、次回はあってほしくないですけれども、次回への対応の指針になるものもアンケートの中から出てくるのではないかなというふうに思います。
 子供たちにとって、一カ月が過ぎたときの、あそこのゴールを超えて次は無期限でとなったときの全寮制の建物にいた子供たちのストレスはどんなものであったか、想像もされていないことが本当に残念です。
 村教委の方々は、一番最初に、小学生は親元で生活することが望ましいとおっしゃっているんです。もしかしたら村長さんは今もそう思っていらっしゃるんじゃないかと私は想像できますが、都としてそのことを一月目に点検しないで、このような形で持続されたということを私は大変残念に思います。そのことを親に伝えたいという子の口までも封じてしまったという状況をぜひ反省して、アンケートをとって、今後の対策を分析していただきたいと思います。
 私は、この後、同じような状況があったときに、何日間かはもしかしたら同じ高校をお借りすることがあることもやむを得ないと思いますけれども、特に低学年の子供は親と一緒を原則にするとしたら、何日かやむを得ないのは子供は耐えると思います。そのことは当然、子供は頑張ります。でも、同じようなことを今後絶対になさらないでいただきたいという観点で、きょうの私の質問がこのようなことに集中させていただいたんですけれども、文部科学省として、私のやりとりを聞いていてくださって、今後どのようにこのことをお考えになるのか、いずれ中間まとめもしていただきたいという観点で、文科省としてのお答えをいただきたいと思います。
加茂川政府参考人 お答えをいたします。
 避難先での大変な苦労が多い事実につきましては、委員御指摘のとおりでございまして、教員を中心に御苦労があったと思います。
 具体的に、学ぶ場をどう確保し、または生活の場をどう確保するかというのは、基本的には、管轄をいたします村の教育委員会、連携します都の教育委員会で十分御検討いただきたいと思っておりますが、必要があれば、私どもも御相談に応じたい、こう思っておるわけでございます。
田並委員長 山内惠子君、申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力をお願いいたします。
山内(惠)委員 そうですね。ありませんね。わかりました。
 本当にありがとうございました。今後の検討に期待したいと思います。
 子供たちは親元に行けばたくさんの学校が受け入れてくれるわけですから、別な道はあったと思います。今後とも、御検討をし、子供たちのよりよい幸せのために頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
田並委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 きょうは、貴重な時間をいただきまして、感謝をいたしております。東京都からも参考人の岡部さんがお見えでございますので、私は、岡部さんを中心に質疑をさせていただきたい、せっかくの機会でありますので、三宅島の問題を中心にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 先ほど、この委員会冒頭に質疑に立たれました松原仁先生と不肖私は、この委員会の中における東京都議の経験者であります。松原先生は、直接的に島嶼地区を見ておられるお立場でもございます。
 私は、昭和五十二年から平成五年まで、美濃部、鈴木両都政で都議会議員を十六年させていただきまして、伊豆七島には何回も伺いました。島嶼は排他的経済水域の重要な拠点でもございまして、東京都は、その意味では全国一のそうした地域を保有している、小笠原島もこれあり、大変島嶼については手厚い行政をしていると私は承知をしてまいりました。
 二年になんなんとする三宅島の被災民の皆様の御苦労を思いますと、かつてはお医者様もなかなかいなくて、にせ医者事件なんというのがあったことも懐かしく思い起こします。今回、いろいろな各党の先生方の御尽力で離島振興法の一部改正が日程に上ってまいりまして、ドクターヘリの対応なども各離島で行われるようでありますが、東京都は、警視庁や消防庁の力もあり、また衛生局も、都立病院と島嶼を電話回線で、心電図がとれるような方法も講じたり、いろいろな努力をしていることをよく承知をいたしております。東京都並びに都議会の党派を超えた御努力に、冒頭敬意を表したいというふうに思っております。
 そこで、私は、ここは都議会でないことを重々承知の上で、東京都の御努力について幾つか伺いたい、こう思うわけでありますが、まず参考人にお伺いしたいことは、私が承知している限り、三宅村被災者に対しておとりになりました主な支援策としては二十数項目にわたるものがあると承知をしております。その結果、一律に生活支援金の給付というような形は行わないにしても、東京という大都市を背景に、就労機会に恵まれているということもこれあり、今、五十歳以上の方を除く、五十歳未満の世帯では九割近い方々が就労しておられる。また、都内の避難世帯に暮らしておられる方の七五%には公営住宅を提供しておられると承知をしておりますが、そういうようなことを踏まえてまず岡部さんに伺うわけでありますけれども、例えば、東京都の福祉局から伺いますか、福祉局は、主にどんなことを島民のためになさっていますか。
岡部参考人 生活支援で一番大事なのは、配ったのは福祉局でございます。
 まず生活必需品三十一品、これは災害救助法で当然適用でございますが、そのほか被災者生活再建支援金の支給、これは国制度がございましたが、国制度以外に、その制度に乗らない都の独自の制度として、都単独の被災者生活再建支援金を支給するなど、手厚い保護を行っているところでございます。
西川(太)委員 局長は遠慮をされておるわけでありますけれども、私が調査をいたしますと、それ以外に、国の制度の中のものも含めて、生活福祉資金の貸し付けでありますとか災害援護資金の貸し付け、これは国制度であります。それから、都単独の同じく貸し付け、利子補給、それから、三宅村が主体となって、噴火災害生活支援資金の貸し付け、または商品券の配付、義援金の配付、こういうようなことも、もう既に終わられたもの、さらに続けておられるもの、大変手厚くやっておられると承知をしております。
 次に、健康というものは非常に大事ですね。やはり、帰島する場合、健康でなければ意欲もわきませんし、そういう意味では衛生局はどんなことをしておられますか、重立ったところを御紹介ください。
岡部参考人 診療費の一部免除、それから住民の健康相談としまして、島嶼保健所三宅出張所が住民の健康相談、衛生管理、避難所巡回等を実施しております。そのほか、都の精神保健福祉センターの医師等を派遣しまして、島嶼保健所三宅島の出張所とともに住民の健康相談等をやっております。そのほか、避難先の各区市町村の保健所では健康相談のほかいろいろな保健サービスを実施できるよう各市町村に依頼し、全行政機関を通じて三宅島に支援をしているところでございます。
西川(太)委員 大分遠慮した答弁で、もっと積極的にこういうことをやっていると言ってほしいのであります。私が言うのは僣越でありますけれども、例えば、都立病院それから保健医療公社、こういうものに通院した診察料については非紹介患者の初診料加算を免除したり、また、医師、看護婦を三宅島に積極的に都立病院からチームを組んで派遣したり、努力をしておられると承知をしておりますが、間違いありませんか。
岡部参考人 先ほどの診療費の一部免除は、非紹介患者初診料の加算料の免除措置なども含んだものでございます。
西川(太)委員 それ以外にも東京都は、住宅局を中心に非常に頑張っておられるし、それから主税局、そして警視庁、水道局、下水道局、さらには産業労働局、こういう各局がそれぞれ事細かに支援をしておられると承知をしております。これに間違いない、こう思いますが、今後もどうぞひとつこういうことで頑張っていただきたい、こう思いますが、いかがでございましょう。
岡部参考人 公営住宅の家賃の無料化等、さまざまな支援を継続することが一番の大きな生活支援だということで、引き続き支援していきたいと考えております。
西川(太)委員 平成五年に奥尻島に当時の災害対策特別委員会の委員として視察に参りましたときに、既往債務の免除をしてほしいとか軽減をしてほしいという要求がありましたが、これについても、もちろん当然努力をしておられることと思いますが、この点、島の人は非常にまじめなんですね、だから、自分の生活のことを大事に思うことよりも、借金を返さなきゃいけないという、律儀に一生懸命やられるものですから、大変それが重くのしかかっているというような御意見も聞いて実は心配しているんですが、いかがでしょうか。
岡部参考人 商工業者関係の被災者が抱える既往債務につきましては、今まで商工業者への既往債務の利子補給、これが百九十三件千六百三十八万円、農林水産業者につきましても、同じく十四件三百八十一万円で、二百七件、合計二千十九万円の利子補給をしているところでございます。
西川(太)委員 ぜひ、生活再建にはそうした手当てが大事でありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 実は、私は十二時半に質問を当初終わる予定でした。それで、きょう本会議もあるし、決議もあるし、議事進行の意味で最後の質問をして、時間は余りますけれども、しかし、わずか数分で三宅の問題を議論できないと思いますから、議事進行に協力して、要望を一点と質問を一点して終わります。
 要望は、先ほど遠藤先輩から、飛行場の問題がありました。八丈島では、既に千二百メートルの飛行場を二千メートルに改修する工事に入っています。ぜひ、需要の問題はあるだろうけれども、深谷局長、きょうおいでいただいていますが、要望にとどめますが、ひとつ三宅島も、先ほどの遠藤先輩に対する御答弁の精神にのっとって頑張っていただきたいと思います。
 最後に、村井大臣に、ぜひ三宅を救っていただきたい、こう思うわけであります。冒頭松原議員初め、最後の山内議員に至るまで、最後は私ですが、私の直前の山内先生に至るまで、各般の御質疑を、三宅のために御心配いただいてしていただきました。東京都選出議員として、党派を超えた先生方の、委員長初め、御視察も含め、感謝を申し上げ、大臣、ぜひ三宅復興のためにお力を尽くしていただきたい。御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
村井国務大臣 きょう、去る五月八日の御視察を踏まえまして、こうして大変御熱心な御討議をちょうだいいたしました。東京都から参考人として御出席をいただき、また多くの三宅村議員の皆様方も熱心な傍聴をされたわけでございまして、大変有意義な災害特であったと思っております。
 いろいろ御指摘をいただきましたけれども、いずれにいたしましても、三宅村が四月の五日に、観光を中心とした地域振興、それから防災しまづくり、こういうことを内容にする復興計画の基本構想案をお立てになった、これは、私は非常に大きなことだと思っております。
 今後、八月下旬あたりをめどに復興基本計画を策定し、十月下旬には基本計画を決定する、こういう御予定だそうでございますけれども、私どもといたしましても、本格帰島が実現した場合の支援方策等も含めまして、復興へのこういった意欲を十分にサポートできるような体制を整えるべく、五月十日に催しました非常災害対策本部でございますが、これをまた改めて開催をいたしまして、平成十五年度の予算等々にもきちんと反映させるような努力をしてまいりたい。
 東京都、三宅村との連携を密にして、島の復興と島民の皆様の生活の安定のために努力をさせていただく決意を申し上げさせていただく次第でございます。委員長初め、委員の先生方の御支援をよろしくお願い申し上げます。
西川(太)委員 大臣、よろしくお願いします。
 そして、最後におわびですが、きょうは政府参考人として、お忙しい中、内閣府の高橋政策統括官、消防庁石井長官、厚生労働省真野社会・援護局長、国土交通省深谷航空局長にわざわざお出ましをいただきましたが、時間の関係で、後日にまた改めてお尋ねをいたします。失礼をお許しいただきたいと思います。
 以上で終わります。どうもありがとうございました。
田並委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
 岡部参考人におかれましては、長時間にわたり御出席ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
     ――――◇―――――
田並委員長 この際、吉田六左エ門君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党の七派共同提案による三宅島噴火災害対策に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。吉田六左エ門君。
吉田(六)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提案者を代表して、私からその案文を朗読し、趣旨の説明にかえたいと存じます。
    三宅島噴火災害対策に関する件(案)
  平成十二年七月からの三宅島雄山噴火による災害は、火山噴火の歴史で例を見ない大量の火山ガスの噴出が長期にわたり継続し、現在もその危険が去る見通しがたっていない。そのため、島民は、今日まで約二年の避難生活を余儀なくされており、帰宅の見通しがたたず、前例のない状況に置かれている。しかも、東京から海路六時間半の離島であることから、島民は島内に残した財産の保全が極めて困難である。
  現在、火山活動は、全体として低下途上にあり、火山ガスの放出量は、長期的には減少傾向にあると言われているが、今後の正確な見通しはたっていない。また、島民の帰島に備え、二酸化硫黄の濃度を警戒しながら、砂防工事等の生活の安全を確保する基盤整備が進められている。さらに、昨年七月からは、島民の日帰り帰宅も開始された。
  こうした状況の中で、すべての島民は、一日も早い帰島の実現を望んでおり、島民の避難生活は、慣れない環境の下、生業の目処も立たず、精神的に、また経済的にも限界にあるといえる。
  全島避難から約二年を経過しようとしている現在、避難島民を支援し、希望の光を与えるためにも、火山ガスとの共存を前提とした、帰島に向けた段階的な行動計画を明らかにすることが必要である。
  政府は、三宅島噴火災害の特殊性にかんがみ、避難島民の生活支援を継続、充実するとともに、東京都及び三宅村と緊密な連携を図り、左記の事項について、万全を期すべきである。
 一 避難島民の生活支援を継続するとともに、特に高齢者及び生活困窮者に対し、就労の機会を確保するとともに、生活保護法の弾力的運用等の避難生活の支援措置を講ずること。
 二 被災者が抱える既往債務への必要な支援措置を講ずること。
 三 一時帰島の費用の軽減のため、さらなる支援措置を講ずること。
 四 活動火山対策特別措置法を早期に適用すること。
 五 火山ガスの観測体制を強化するとともに、各集落へのクリーンハウスの設置をすること等により、財産保全のため短期滞在の帰島ができるよう、環境整備の措置を講ずること。
 六 被災者生活再建支援の観点から、宅地内の降灰除去及び家屋補修等について支援措置を講ずること。
 七 帰島後の被災住民が安心して暮らせるよう、泥流対策等のため必要な火山砂防激甚災害対策特別緊急事業、火山治山激甚災害対策特別緊急事業等を着実に実施すること。
 八 帰島後の生活及び事業が速やかに再開できるよう、関係機関は連携を強め、各般にわたる支援措置を早期に明らかにするとともに、必要な立法措置のための調査研究等を含め、適切な対応を行うこと。
 九 三宅島火山活動の学術的調査研究の充実強化を図ること。
  右決議する。
以上です。
田並委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
田並委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 この際、ただいまの決議につきまして防災担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。防災担当大臣村井仁君。
村井国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、東京都及び三宅村とも連携いたしまして、引き続き政府が一丸となって三宅島噴火災害に対する必要な支援策を講じてまいる所存でございます。(拍手)
田並委員長 お諮りいたします。
 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
田並委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 災害対策に関する件調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十八分散会


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