衆議院

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第9号 平成14年7月18日(木曜日)

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平成十四年七月十八日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 田並 胤明君
   理事 小野 晋也君 理事 田中 和徳君
   理事 宮本 一三君 理事 吉田六左エ門君
   理事 今田 保典君 理事 松原  仁君
   理事 遠藤 和良君 理事 山田 正彦君
      岩崎 忠夫君    岩屋  毅君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      近藤 基彦君    左藤  章君
      阪上 善秀君    高木  毅君
      中本 太衛君    西川 京子君
      堀之内久男君    村上誠一郎君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      奥田  建君    小泉 俊明君
      後藤  斎君    鈴木 康友君
      津川 祥吾君    土肥 隆一君
      中津川博郷君    前田 雄吉君
      赤羽 一嘉君    河合 正智君
      塩川 鉄也君    瀬古由起子君
      菅野 哲雄君    山内 惠子君
      西川太一郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (防災担当大臣)     村井  仁君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   財務大臣政務官      砂田 圭佑君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   高橋 健文君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 村瀬 吉彦君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教
   施設部長)        小田島 章君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           真野  章君
   政府参考人
   (林野庁森林整備部長)  辻  健治君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   政府参考人
   (気象庁長官)      山本 孝二君
   衆議院調査局第三特別調査
   室長           柴田 寛治君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十八日
 辞任         補欠選任
  谷本 龍哉君     近藤 基彦君
  中野  清君     阪上 善秀君
  谷津 義男君     北村 直人君
  東  順治君     河合 正智君
  藤木 洋子君     瀬古由起子君
同日
 辞任         補欠選任
  北村 直人君     谷津 義男君
  近藤 基彦君     谷本 龍哉君
  阪上 善秀君     中野  清君
  河合 正智君     東  順治君
  瀬古由起子君     藤木 洋子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――
田並委員長 これより会議を開きます。
 災害対策に関する件について調査を進めます。
 この際、平成十四年台風第六号及び第七号に伴う大雨による被害状況について政府から説明を聴取いたします。村井防災担当大臣。
村井国務大臣 おはようございます。
 台風第六号及び第七号に伴う大雨による被害の状況につきまして御報告を申し上げたいと存じます。
 去る七月九日から十一日にかけて、台風第六号と梅雨前線の影響で、紀伊半島から東北地方の太平洋側にかけての広い範囲で三百ミリを超える等、各地で大雨になりました。さらに、十三日から十六日にかけては、台風第七号と梅雨前線の影響で、再び東北地方の日本海側、北陸地方、東海地方で三百ミリ近い大雨となりました。これらにより、全国各地で被害が発生いたしました。
 この災害により亡くなられました方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に対し心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 まず、台風第六号に伴う大雨による被害の状況でございますが、消防庁による現在までの調べによりますと、人的被害として、死者六名、行方不明者一名、負傷者二十九名、住家被害として、全壊家屋十五棟、半壊家屋二十四棟、一部損壊家屋百二十棟のほか、床上浸水二千五百四十六棟、床下浸水七千百三十棟となっております。
 また、国土交通省による現在までの調べによりますと、二十六都府県百二十カ所で土砂災害が発生したほか、河川三千三百十六カ所、道路二千百三十一カ所、砂防施設等百四十四カ所を初めとする公共土木施設五千六百二十カ所で被害を受けております。
 農林水産関係でも、農林水産省による現在までの調べによりますと、農地四千二十五カ所、農業用施設四千四百三十七カ所、治山施設二十九カ所、林地三百五十七カ所、林道二千三百六十八カ所、漁港等四カ所で被害を受けております。
 鉄道につきましては、国土交通省の調べによりますと、JR大船渡線の全区間及び長良川鉄道の一部区間において今なお運休中であります。
 続いて、台風第七号に伴う大雨による被害状況について御報告申し上げます。
 同じく消防庁による現在までの調べによりますと、人的被害として、負傷者九名、住家被害として、全壊家屋六棟、半壊家屋二十五棟、一部損壊家屋二百七十四棟のほか、床上浸水が二十三棟、床下浸水が二百十棟となっております。
 また、国土交通省による現在までの調べによりますと、十県二十五カ所で土砂災害が発生したほか、河川百九カ所、道路百九十八カ所を初めとする公共土木施設三百十四カ所で被害を受けております。
 農林水産関係でも、農林水産省による現在までの調べによりますと、農業用施設十カ所、治山施設一カ所、林地九カ所、林道一カ所で被害を受けております。
 このように、台風第六号及び第七号は広範囲にわたり、全国各地で被害をもたらしました。
 政府といたしましては、関係省庁において災害応急体制を整備し、災害救助法の岐阜県大垣市及び岩手県東山町への適用、自衛隊の災害派遣等、総力を挙げた対応を行ってきたところであります。
 七月十二日には、内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し、被害の状況等について政府としての情報共有を図るとともに、復旧対策の万全な実施、当時接近しつつあった台風第七号への万全な体制を期すことを確認したところであります。
 災害復旧に関しましては、関係省庁による現地調査等を踏まえ、公共土木施設、農地等の被害状況の早期把握を行っているところであり、被災地の速やかな復旧に努める所存であります。
 なお、激甚災害の指定については、被害の状況や被害を受けた自治体の財政状況、被災地の農業所得の状況等に照らし最終的に判断することとなりますが、災害査定の状況を把握した上で早急に検討してまいる所存であります。
 また、被災者生活再建支援法につきましても、現在までに岐阜県大垣市への適用について公示されたところであり、住家の被害認定を踏まえ、県により個別の対応がなされることとなります。
 今後とも、関係省庁が緊密に連携し、防災体制に万全を期するとともに、被災地の一日も早い復旧に政府が一丸となって対応することといたしております。
 以上、御報告させていただきます。
田並委員長 これにて説明は終わりました。
 なお、本災害対策特別委員会としても、お亡くなりになられた方々に対する御冥福と被害に遭われた皆さん方にお見舞いを申し上げ、政府として災害復旧に万全の措置をとっていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
    ―――――――――――――
田並委員長 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官高橋健文君、消防庁長官石井隆一君、財務省大臣官房審議官村瀬吉彦君、文部科学省大臣官房文教施設部長小田島章君、厚生労働省社会・援護局長真野章君、林野庁森林整備部長辻健治君、国土交通省河川局長鈴木藤一郎君、国土交通省港湾局長金澤寛君、国土交通省航空局長深谷憲一君、気象庁長官山本孝二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
田並委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。
田中(和)委員 おはようございます。自民党の田中和徳でございます。
 お尋ねをしてまいりますけれども、限られた時間でございますので、簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。
 備えあれば憂いなし、常に備えよ、この言葉こそ災害対策の要諦であります。しかし、すべての災害に対して一〇〇%の備えをすることは無理でありますし、大変な時間と資金も必要になってまいります。であれば、緊急性かつ重要性をかんがみて、より完璧な災害対策の取り組みに向けて優先順位をつけていかなければならないと考えております。
 ただいまも村井大臣より御報告がありましたが、このところ、日本列島に台風六号、七号が連続して到来しました。今回も極めて大きな被害が起きておりますし、被災者の皆様に心からの御冥福そしてお見舞いを申し上げつつ、対策の優先順位が極めて高いと思われる首都圏の一級河川、多摩川、鶴見川のはんらんによる被害、その対応あるいは東京湾の高潮が台風などのときにはあわせて起こってくるわけでございまして、それらのことごとについてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 私も、国土交通省の大臣政務官を先日まで務めておりまして、ともに汗を流した立場でございますけれども、平成十三年の七月に、鶴見川と多摩川の浸水想定区域が国土交通省より公表されました。歴史的にさかのぼれば、鶴見川も多摩川も昔から大はんらんを繰り返してまいりまして、河川の流れている場所もその都度に変化をしておりまして、鶴見川も多摩川も一緒に流れていた時期もあるんでございます。
 あるいは、東京の地名、川崎の地名なども見れば、多摩川を挟んで、今は東京都、神奈川県でありますけれども、同じようなネーミングの地名がございますし、お寺などの檀家さんも、神奈川県と東京都にまたがっている、こういう地域がございまして、私の選挙区でもございますので、そのあたりは大変詳しいわけでございます。
 また、私の地元の川崎市幸区には、女躰神社というのがございます。幾つか分社をされて、女躰神社は何カ所にもございますけれども、この女躰は、まさしく女性の躰と書きます。過去の多摩川のはんらんのときに、その余りの状況を何とか静めたい、そういうことで、言い伝えでありますけれども、女性の方がみずから人柱になられた、このようにも伝わっておるわけでございまして、大変な時代がずっと続いたわけでございます。
 今日は、スーパー堤防という事業なども多摩川沿いには始まっておりますけれども、スーパー堤防の事業も、現実には、何か橋のかけかえとか学校の建て直しとか道路の改良、こういうときにあわせて実は行われておりまして、多摩川のあの長い堤防の全体が計画どおりスーパー堤防で築かれるためには、私の計算だと百年以上かかるんじゃないかな、こんな思いでございまして、さらなる取り組みが実は待たれるわけでございます。多摩川に至っては、狛江の大災害もまだ記憶に新しいところだと思います。
 さて、国土交通省の公表資料を見ておりますと、想定されたはんらんが起こりますと、多摩川では、川崎市、大田区合わせて被害総額が九兆円、こうなっておりますね。被災人口が約九十万人、浸水面積は約六千ヘクタール。鶴見川では、川崎市において被害総額が約二兆円、被災人口約十三万人、浸水面積約八百ヘクタール、こういう状況にございます。
 公表された浸水想定区域を、図面をもとにして、今後、各自治体がハザードマップをつくっていくことになると思います。とりわけ私の地元の川崎市は京浜工業地帯の中核をなす位置にありまして、多摩川及び鶴見川に挟まれた地域でもありますけれども、この地域の取り組みについてお尋ねをしてまいります。
 鶴見川と多摩川で別々に浸水想定区域が指定、公表されましたけれども、流域の横浜市と川崎市がハザードマップを作成するに当たって、当然、国の方は指導もされなければならないわけでございますし、協力もされると思いますけれども、別々につくるのではなくて、両河川、両方を重ね合わせて使いやすいものにしていく。極めて人口集中、産業集中、しかし、土地は狭隘な地域でございますから、合わせたものをつくっていく、このようなことが大事だと思いますけれども、まず国土交通省河川局長さんにお尋ねをいたします。
鈴木政府参考人 先生御指摘のように、ハードなスーパー堤防等の河川整備だけではなくて、住民の避難に役立つ情報の提供、ソフト対策、そういったものは大変重要だと認識しております。
 昨年、水防法が改正されておりますが、それ以降、浸水想定区域の公表あるいはハザードマップの作成というのが大変進んでおりまして、水防法改正以降だけでも六十市町村にわたっております。
 川崎市については、先ほどお話がございましたように、既に、鶴見川、多摩川いずれの水系においても、改正の水防法に基づく浸水想定区域が河川管理者である国によって策定されております。これを受けまして、今度は川崎市が洪水ハザードマップを作成する、このような状況になってきております。平成十四年度から学識経験者や地元住民を入れた検討委員会を組織してハザードマップを作成し、さらにそれを公表する、このように準備を進めているところでございます。
 御指摘のように、この鶴見川と多摩川につきましては、両方の浸水区域が重なるところがあるわけでございまして、これについては、先生御指摘のように、多摩川、鶴見川及び市内の中小河川の浸水情報を総合的に示したハザードマップを作成する、そういった方向で検討委員会の方で検討する予定と聞いております。国土交通省といたしましても、住民にとって使いやすい洪水ハザードマップが作成されるように、委員会等において必要な情報提供を行う等、技術的な支援をしていくこととしております。
田中(和)委員 多摩川の河口部分は、これから羽田空港の四番目の滑走路の建設をされる予定の場所でもあります。また、多摩川沿い、重ねて申し上げますけれども、これは私たちも努力しなきゃいけませんけれども、スーパー堤防構想は大変すばらしいんですが、やはり絵にかいたもちということになってはいけませんし、相当予算をとりながら、日本の一番中心をなす場所でありますから、あの流域は大変大きな位置づけがある場所でございますから、やはり優先順位を高く、予算づけもしていかなきゃいけないな、計画の抜本的な見直しもしなきゃいけないな、このようにも思っております。
 さて、都市部には地下空間というものが実はございます。平成十一年の福岡水害、平成十二年の東海豪雨、これでも大変な被害であったわけでございますし、台風が来たり集中豪雨があれば、地下室、地下街に水が流れ込んでこれからも大変な被害が起こる可能性があります。
 私の地元の川崎にも、日本で最大級のアゼリアと呼ばれる地下街がございます。五万平米を超える大変大きいものでございます。地下施設というのは、地下鉄もございますね。とにかく、今ではもう都市生活の中に欠かすことのできない空間でございますけれども、これらの対策をやはり相当急いでやっていくことや、国民が日常生活の中でどうしたらいいのかということも含めて、水防の意識を持っていただいて生活をしていただかなければならない、こういうことだと思います。
 行政も、国民一人一人のお立場も、特にやはり行政の取り組みいかんということにもなってくるわけでございまして、この取り組みについてお伺いをしておきたいと思います。
鈴木政府参考人 地下空間の浸水は人命にかかわる深刻な被害につながる可能性が高いということで、御指摘のように、その対策は大変重要と認識しております。
 先ほど御指摘がございましたが、平成十三年七月に改正されました水防法におきましては、浸水想定区域内に地下街などの不特定かつ多数の者が利用する地下に設けられた施設がある場合には、利用者の円滑かつ迅速な避難の確保が図られるよう、市町村地域防災計画において特別に洪水予報の伝達方法を定める、このようなことになっております。
 御指摘の地下街のアゼリアの件でございますが、現在までの浸水対策といたしましては、階段の入り口部に浸水防止シェルターを設置しております。さらに、幅の広い階段の入り口部分には、必要な場合に人力によって土のうを設置するということで準備していると聞いているわけでございます。
 多摩川の浸水想定区域の公表によりまして、今後、地下街の管理者への洪水予報の伝達方法を法律に基づいて定めるということになってまいりますが、現在、地下街の管理者と電話での連絡体制をとって対応している。それから、その他の、このアゼリア以外の地下空間の管理者についても、その範囲をどうするかとかやり方をどうするかということも含めて、今後定めてまいりたいと考えております。
 それから、国土交通省といたしましては、地下街、デパートなどの地下空間の管理者、さらに住民向けに迅速に河川の状況を伝えるため、インターネットによって多摩川、鶴見川における雨量、水位、洪水予報等の情報を提供しているところでございます。今後とも、多様な方法を活用した河川情報の提供を進めてまいりたいと考えております。
田中(和)委員 実は、国民の皆さんへの徹底した周知だとか行政の取り組みというのが、私から見ても、何も川崎だけの話ではありませんけれども、全国的にやはりまだまだ不十分だ、このように申し上げておかなければならないと思います。これは大変な被害が起こる可能性があるわけですから、くれぐれも、ひとつ十分な対応を今後とも先取りでやっていただきたいと思います。
 さて、先ほどちょっと話しました、東京湾の高潮対策についてであります。
 台風がやってくる、多摩川や鶴見川あるいは首都圏の河川がはんらんをする、そのときにあわせて東京湾の高潮が起こってきた、これも国土交通省では大分調査をされて検討されてきておられますけれども、この地域は、平成三年度で、京浜臨海部の総生産高は十六兆円もあったんですね。日本というか、世界でも最大級の生産拠点でございます。今少し景気が悪くて下がっておりますけれども、そういう状況にあります。また、首都圏でこの地域の人たちは三千万人の人たちが日夜活動しておるのでございます。これも大変なことであります。
 この河川と海の方のあわせた対策というのを考えていかなければならないわけでございますが、港湾局長に、ひとつどういう取り組みになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
金澤政府参考人 東京湾におきます高潮対策についてお尋ねがございました。
 京浜臨海部を初めといたします東京湾の臨海部は、委員御指摘のとおり、我が国の人口、資産の集中地域でございます。特に、いわゆるゼロメートル地帯というものが百二十四ヘクタールほどございますし、この地盤高が低い地域に人口や資産が集中してございます。高潮が来襲した場合には甚大な被害が生じるおそれがありますことから、昭和三十四年にいわゆる伊勢湾台風がございましたが、そういう台風等を契機に海岸保全施設が集中的に整備をされました。しかし、その後、臨海部の土地利用状況も随分変化してまいりましたし、新たに防護すべき区域も広がっております。また、既設の海岸保全施設の老朽化が進んでございます。そのため、高潮被害の危険度というのは依然として高く、災害発生時の被害が甚大になるおそれがあります。京浜臨海部を初めといたします都市の高潮防災対策は、緊急に取り組むべき課題と認識しております。
 高潮防災対策の基本的な方針といたしましては、海岸保全施設の整備を河川施設の整備等と連担しながら計画的に推進するということが第一でございますが、それとともに、あわせまして、防災情報の提供などのいわゆるソフト対策を組み合わせて進めていく必要があると考えております。
 平成十一年の台風十八号におきまして西日本を中心に甚大な被害が発生したことを受けまして、国土交通省は、内閣府などとともに地域防災計画における高潮対策の強化マニュアルを昨年三月に発行いたしました。このマニュアルの中で有効な手段として位置づけられておりますいわゆる高潮のハザードマップでございますが、これは市町村長が作成して地域住民に配付するのが基本でございますけれども、国土交通省といたしましては、平成十四年度から高潮ソフト対策調査を実施いたしまして、現実の被災シナリオに近い、精度の高いハザードマップが作成できますような技術開発を進めていって、これをマニュアルなどの形でまとめまして、地方自治体に公開し、作成を支援していきたい、かように考えております。
田中(和)委員 時間の関係で、大臣に最後にお答えをいただきたいと思いますが、河川、海、これらは実は別々の対策では仕方がないわけでございまして、総合的に日本全国各地、やはりハザードマップも含めて整えていかなければならない、対策を講じていかなければなりません。
 それからもう一つ、私は大変心配しておりますが、首都圏では九月一日に、大臣にもお出ましをいただいて、いろいろと災害対策の訓練をいたしますけれども、水防の演習というのはやらないんですね。私は天竜川の水防演習に政務官として出向いたことがございますけれども、非常に真剣な取り組みでございました。市民がほとんど、台風のときあるいは水害のときのことを想定した意識が持てないというのも実は大変大きな問題でして、今お話がありましたように、これから整えていくことばかりでございますから、時間的なスパンがあるわけでございますから、それまで自分のところはやはり自分がどうやって守るのか、あるいは地域をみんなでどうやって協力して守るのか、こういう視点が大事だと思いますが、都市部の水防演習についてもひとつお考えをお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
村井国務大臣 きょう、田中委員のお話をずっと拝聴しておりまして、都市部の防災、とりわけて水に絡む災害の深刻さ、私どももこれ、例えば名古屋でございましたか、平成十二年九月に東海豪雨で大変なことになりまして、ライフラインが大きな被害を受け、六十万人を超える方々に避難指示が出たというような経験があります。また、東京でも、新宿で、平成十二年七月でございましたか、地下室への浸水がございましたり、それから、十一年六月、博多でやはり地下室への浸水がございまして、これはもう非常に短期間の水でございましたけれども、死者が出たというようなことでございます。こういう新たな都市型の水害というものに私ども、非常に用心しなければいけないということは、きょうのお話を伺っておりましても、しみじみ痛感いたしました。
 その際に、確かにハードの整備というのは時間のかかる問題でもございますし、また、上流サイドでのいろいろな手当ても必要だということでございますので、そういう意味では、どこまでできるか、なかなか難しい。冒頭仰せになりましたように、完璧を期するのは難しいとすれば、結局、その起きたときの対症療法といいましょうか、そこを考えなければならない。しかしながら、消火というのはそれなりにかなり認識されているんでございますが、水防訓練というのは、確かにおっしゃるように、特に都市部でそれほど一生懸命行われているか、御指摘のように非常に問題があるように思います。
 関係省庁ともよく相談をいたしまして、今の御指摘を重く受けとめまして、これからも注意してまいりたい、そのように考える次第でございます。ありがとうございました。
田中(和)委員 終わります。
田並委員長 前田雄吉君。
前田委員 民主党の前田雄吉でございます。
 今や日本列島は地震の波に包まれようとしております。東海地震、百五十年の周期で起こると言われておりますが、百四十七年起こっていない。そして、東南海・南海地震におきましては、政府の地震調査研究推進本部の推計によりますと、今後三十年以内に各五〇%と四〇%、五十年以内となると確率は八〇%から九〇%にはね上がるという推計も出ております。また、専門家の中には三地震が同時発生する可能性を主張する方も見えます。例えば、江戸時代の宝永地震は三地震同時発生の形でございました。
 そこで、本日は、公共施設ですね、これは災害の発生時におきましては避難所となり得るところでございます。特にその中でも学校施設の耐震化、この話は以前にも取り上げさせていただきましたけれども、それと、広域災害の発生におきまして、救援、そして復旧に役立つ基幹的防災拠点の整備について伺いたいと存じます。
 地震に強い地域をつくるのは、これが防災の常道ではありますけれども、七月一日に国が初めて実施されました地震対策の全国調査で、全国の学校の何と五四・三%が耐震性に疑問ありという判断がなされました。
 私も前委員会で取り上げましたように、学校施設は本当に災害発生時の避難所となり得るところであります。そして、子供たちが生活時間の三分の一を過ごすところでもあります。もう実際に地震の危機が迫っている、こんな中で、耐震性の強化に具体的に来年度どのように取り組まれるのか、どのような対策を講じられるのか、教えていただきたいと存じます。
小田島政府参考人 お答えをいたします。
 学校施設につきましては、非常災害時における児童生徒の安全確保はもちろんでございますが、先生御指摘のように、地域住民の応急避難場所としての役割も果たしていることでございますので、その耐震性能の向上を積極的に図っていくこと、極めて大切な課題と認識いたしております。
 今回、内閣府の方で実施しました調査では、学校校舎の五四%に耐震性に疑問があるというような調査でございましたが、このうち四五%の建物につきましては、現在のところ、まだ耐震診断がなされていないという状況だと承知いたしております。
 したがいまして、これまで文部科学省としましては、公立学校や私立学校の耐震補強事業につきまして国庫補助を行っておりますけれども、特に公立学校の緊急性の高い校舎の耐震補強事業につきましては、国庫補助率のかさ上げなどの措置を講じております。さらに、国立学校につきましても、緊急整備五カ年計画等に基づいて、計画的に耐震補強を実施しているところでございます。
 文部科学省としましては、平成十五年度概算要求におきましても、地方公共団体等、小中学校等の設置者の事業計画に支障を来すことがないよう、まずは必要な事業量の確保に努力してまいりたいと考えております。
前田委員 今、学校の耐震性の強化について、具体的なお話を伺いました。
 それでは次に、広域災害が発生する、これは私の地元であります愛知県の西春日井郡でありますけれども、そこは東海豪雨の最大の被害地でございました。そのときは、私は思いました。自分自身もヘルメットをかぶり、二週間、救援等復旧作業をやってまいりましたけれども、全国に救援物資をお願いする、実際に本当に多くの皆さんのお世話になりました。
 例えば、東京のゴム長靴協同組合さん、千八百足のゴム長靴を私どもに送っていただきました。掃除のためのデッキブラシを送ってくださった会社もありました。救援物資、何と四トン車で私の事務所の前に三杯とか、本当にうずたかく救援物資が積まれてしまう。善意のテレビをお願いしましたところ、皆さんから四百五十台送っていただきました。
 本当にありがたい、しかし、置き場所に困る。うちの秘書たちもみんな若いですけれども、腰を痛めるような状態で荷さばきをやっておりました。そのときに、私、つくづく思いましたのが、何とか荷さばきの場ができないか、場所ができないか。
 そして、ボランティアの皆さん、見えました。最初三人で始めたボランティアセンターが、物すごく多くのボランティアの皆さんが全国から集まっていただきました。しかし、夜寝る場所がない、ベースキャンプがないわけでございます。そこで、私は、私ごとでありますけれども、学習塾を経営しておりまして、その学習塾の二階を、授業が終わった後、提供いたしまして、そこへ皆さん、泊まっていただきました。また、浸水に遭っていない地域の自治会にお願いしまして、自治会の集会場をお借りしました。そこでボランティアの皆さんに泊まっていただいたりしておりました。
 ですから、荷さばき場が欲しい、ボランティアの皆さんのベースキャンプが欲しい、そんなことをつくづく思っておりましたところ、私は、基幹的防災拠点、これの整備をするんだという国の施策に出会うことができました。昨年の六月十四日、小泉総理は、都市再生プロジェクトの第一次決定として、東京湾臨海部における基幹的防災拠点の整備を発表されました。また、大阪におきましても、検討委員会を立ち上げられております。
 この国全体としての基幹的防災拠点の整備の進捗状況と予算措置について、御説明いただきたいと思います。
村井国務大臣 ただいま前田委員御指摘のとおり、東京湾臨海部におきます基幹的広域防災拠点の整備でございますが、これは、昨年七月に関係省庁それから関係地方公共団体から成る協議会を設置いたしまして、整備に向けて調整を図ってきたところでございまして、平成十四年度の予算におきましては、全体計画に関する基本調査等の予算を関係省庁で確保いたしまして、検討を進めるということにいたしました。
 それで、早期に整備着手するために、今月、七月の十二日でございますが、首都圏広域防災拠点整備協議会というところで、平成十五年度概算要求に向けまして、具体的な整備箇所それから整備手順というようなものにつきまして、既に決定をいたしているところでございます。
 一方、大阪でございますけれども、こちらの方は、平成十三年度から、国土総合開発事業調整費を確保いたしまして、有識者等から成る検討委員会を設置しまして、基幹的防災拠点の必要性も含めました広域防災拠点の適正配置に関する検討というのをやっております。これは、私どもの見通しでは、大体今年度末くらいに調査結果を得たい、こんなふうに考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、首都機能が集中しております東京、そしてもう一つの重要な人口の稠密な地域でございます大阪、この両方におきましてこのような形で現在、進めておるわけでございまして、できるだけこれを実現するような方向に努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
前田委員 私どもの中部地域でございますけれども、先ほど申し上げましたように、東海豪雨の災害の被害地であり、そうした教訓から、あるいは先般の台風六号、七号、岐阜県の大垣市が水につかった状況を皆さんもマスコミ報道等でごらんになったと思いますけれども、そうした水害の発生しやすい地域であり、また、東海地震、東南海地震、南海地震の発生も今や懸念される地域であります。こうした緊急性が高い地震と水害の地域である中部圏におきまして、私はぜひ基幹的広域防災拠点が必要かと考えております。
 この基幹的防災拠点、先ほど私が少し触れましたように、平時におきましては防災公園等になっている。そこには陸上競技を行うトラックもあり、テニスコートもあるかもしれません。そうした、ふだんは市民に使われる、あるいは備蓄基地になっているかもしれません。しかし、災害時、災害が発生しますと、そこが速やかにボランティアあるいは各地からの応援部隊のベースキャンプになる、あるいは救援施設、援護の医療チームのベースキャンプになる、荷さばき場になる、そうしたすばらしい構想であると私は思っております。
 本当に、水につかって自衛隊のボートを押した東海豪雨のあの経験から考えまして、ぜひ私は中部圏に、また地震の、先ほど申し上げた東海地震、東南海地震、南海地震の発生の可能性が高いこの地域にぜひ基幹的防災拠点をおつくりいただけないかと思っておりますが、現在のこの中部圏における基幹的防災拠点の検討状況をお聞かせいただけないでしょうか。
村井国務大臣 ちょっと繰り返しになりますが、東京圏の場合でございますが、これは阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、広域災害への対応を迅速かつ円滑に行うことが必要だということになりまして、その構想が検討されたわけでございます。都府県境を越えまして連担する非常に稠密な市街地の広がり、それからオープンスペースの不足、こういうことに着目いたしまして始めたものでございます。
 これらは、今、委員御指摘のとおり、昨年六月の都市再生プロジェクト第一次決定におきまして、災害対策活動の核として現地対策本部機能を持たせようということで、東京都臨海部において設置しようという方向になったわけでございます。さらに、大阪圏につきましては、先ほど申し上げましたように、その必要性も含めまして、適正配置を検討するということまで進んだわけでございます。
 今御指摘の中部圏でございますが、これは何と申しましても、私どもの認識でも我が国の三大都市圏の一つでございますし、東海地震、それから今御指摘のように、いろいろな水害なども過去あった地域でもございます。そういう意味で、御認識のとおり、広域防災拠点の適正配置についての検討をすることが必要であろう、そういう問題意識は私ども、持っております。
 このために、本年度におきまして、中部圏における基幹的広域防災拠点の必要性を含めまして、広域防災拠点の適正配置等広域防災ネットワーク整備に関する検討調査を行うということにいたしまして、先般、災害対策総合推進調整費というものを、約千六百万円でございますけれども、とりあえず確保いたしたわけでございます。今後、検討委員会を早急に立ち上げまして必要な検討調査を進めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございますので、御理解よろしくお願い申し上げます。
前田委員 非常に迅速な御対応をいただいているということで、私も安心しております。ぜひこの中部圏への広域防災拠点の整備ということで、またこれはお願いいたしたいと思っております。
 では、これは言葉として、基幹的広域防災拠点というのは、私も若干ながら御説明いたしましたけれども、実際にもう少し具体的に、この基幹的広域防災拠点というのがいかなる機能を有し、そしてまた、どのぐらいの規模のオープンスペースが必要なのか、これを具体的に伺いたいと存じます。
高橋政府参考人 基幹的広域防災拠点に必要な機能及び規模はいかなるものかという点でございます。
 東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備は、昨年八月に基本的方向をまとめました。その中で整理されましたのは、先ほど委員からも御指摘がありましたように、被災時には、国、地方公共団体等の合同現地対策本部を設置して広域防災活動の現地司令部としての機能を果たす、それとともに自衛隊だとか消防、そういった実働部隊、さらには災害ボランティアなどのベースキャンプ、災害時医療の支援基地、緊急輸送物資の中継基地、そういった機能を果たす必要があると考えております。また、平常時には、自衛隊、警察、消防等の合同訓練でありますとか研修、あるいは人々が防災に関する体験学習さらには憩いの場として活用していただく、そういったことが大事であるということが基本的方向で示されております。
 規模でございますが、そのためには周辺の既存施設との連携も視野に入れながら、現地司令部となります本部棟としては大体一ヘクタールから一・五ヘクタール、救援物資の集積だとか荷さばき、分配、そういうスペースとしましては約二十から四十ヘクタール程度、またヘリポートとしては二ヘクタールから四ヘクタール程度、こういったことがコア施設として必要とされているところでございます。
 なお、京阪神圏ですとか中部圏、その他の大都市圏において基幹的広域防災拠点が必要となった場合には、それぞれの大都市圏におきます被害想定、さらには既存の防災拠点の状況、またオープンスペースの分布状況など、地域特性も踏まえて必要な規模や機能を検討する必要があると考えております。
前田委員 今、具体的に御説明いただきましたので、各委員におかれましてもイメージがわかられたかと思います。そこで、コア施設だけれども、かなりの土地が要る、少なくとも四十ヘクタールぐらいは必要であるのではないかというふうに私は今受けとめました。
 実際に、中部圏におきましても、大都市の名古屋圏の隣接部に基幹的防災拠点を設置し得る場所が、広大な場所、土地がございます。それは、私は、中部新空港への一元化後の名古屋空港、ここを基幹的防災拠点として活用し得るのではないかというふうに考えております。
 中部の名古屋市を含めまして九県と一市におきましては、災害応援に関する協定というのを既に結んでおりまして、もう連絡も緊密に、東海豪雨の経験もございましたので、構築しておるわけでございます。
 また、この地域、先般、東海地震に対処するために、本年の四月に地震防災対策強化地域の拡大が発表されました。これは、名古屋市まではここに入っている。一部、名古屋市も含まれておりますけれども、名古屋空港があります春日井市、小牧市におきましては、この地域はまだ強化地区指定には入っておりません。ですから、名古屋市が被災いたしましても、残る可能性がある地域でございます。また、中部圏のへそに当たる地域でもあり、私は、ここが活用し得る場所ではないかと思っております。
 具体的に、一元化後、この名古屋空港といいますのは、ゼネラルアビエーション、GA空港となる予定でございますので、このGA用地が六十ヘクタール、周辺の振興対策地が四十ヘクタールございます。だから、これだけの広い土地が名古屋の大都市圏の隣接部にあるということがございます。
 また、私が先ほど申し上げました中部の名古屋市を含めまして九県一市、ここは中部圏知事会議というのを開いております。この七月の十二日にも、中部新空港への一元化後の名古屋空港用地を前提に考え、愛知県の神田知事はこう申し述べております。国、地方公共団体、防災関係機関が現地において総合的調整を行い、迅速的確な応急対策が実施できるような基幹的広域防災拠点の整備が必要だと考える、こう申しまして、各知事と名古屋市市長に理解を求めた次第でございます。こうした地域での合意の醸成も、少しずつではございますけれども、進んでおります。
 では、実際に、その土地をとり得るように進んでいるかどうかということでございますけれども、先般、同じく愛知県議会におきまして、この六月、議会で神田知事は、県がGA空港の設置管理者になることを明らかにするとともに、着陸帯の用地につきましても、取得する方向で国と協議を進めていきたいと答弁しております。
 この愛知県によるGA空港への取り組みに対して、今後、国土交通省としていかが御対応いただけるのか、今少しずつこの土地の、着陸帯を県が取得するという方向で話が進んでおると聞いておりますけれども、具体的にどのように進んでいるのか、国土交通省に伺いたいと存じます。
深谷政府参考人 現在の名古屋空港につきましての、中部国際空港開港時におきますところの、いわゆる中部国際空港への一元化の関連につきましてお尋ねがございました。
 先生御指摘のように、中部国際空港開港の際には、定期便につきまして、同空港に名古屋空港のものを一元化するということで、現在の名古屋空港、第二種空港として国が設置管理いたしておりますけれども、これは、二種空港としては廃止をいたしたいというふうに考えておるのは先生も御案内のとおりでございます。
 先ほどお話がございましたように、この六月議会で愛知県の知事も先生の御指摘のような趣旨の御答弁をされたというふうに、私どもも承知いたしております。私どもといたしましても、いわゆるゼネラルアビエーション空港、GA空港を円滑に立ち上げていくために、県が設置管理主体となる意向を表明されましたわけでございまして、そういうことを受けまして、着陸帯の取得条件の協議、こういったことを含めながら、管制の取り扱いでございますとか周辺環境対策のあり方などの諸点を詰めていく必要があろうかと思っております。これらの点につきましては、中部国際空港の開港、二〇〇五年の三月というふうに予定されておりますので、この残された期間内にその調整を完了できるようにということで、今後とも引き続き、県、防衛庁、私ども、関係者間で精力的に積極的に調整を進めてまいりたい、かように考えております。
前田委員 今、土地の取得に関して、県の取得に関して関係省庁あるいは関係自治体と協議を進められるというふうにお話しいただきましたけれども、私が伺っておりますところ、この七月中にも第一回の会合を持たれるということを伺っておりますが、いかがでございましょうか。
深谷政府参考人 これまでの間にも、県あるいは関係省庁ともいろいろ御相談をさせていただいてきておるところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、六月議会での知事さんの方針の表明を受けまして、これからも絶えず積極的に調整に入ってまいりたい、かように考えております。
前田委員 ありがとうございます。ぜひこれをしっかりと推進していただきたいと思います。
 それで、実際に土地がGA空港としてあるということでございますので、この名古屋空港跡地を利用するその方策としてのGA空港が、基幹的防災拠点の機能を有することが私は適当であると考えておりますが、これを航空行政の立場でどうお考えになられますでしょうか。
深谷政府参考人 いわゆるGA空港として防災機能をどのように取り扱っていくか、またその関係をどうするか、これにつきましては、基本的にはGA空港の設置管理者となります愛知県の方で御判断されるというのがまず第一かとは思いますけれども、一般論として申し上げれば、空港というものは、一たん事があると、災害時の緊急輸送基地などとしていわば重要な防災機能を担う、こういう場面もあるわけでございまして、実際に他の空港におきまして、空港に隣接をして防災拠点が併設されているケースもございます。
 そういうことを考えますと、私どもといたしましては、県の方からGA空港と防災拠点のあり方、これらにつきまして具体的な御相談があれば、私ども航空行政を担当している立場から、我々のできる範囲で協力をぜひさせていただきたいというふうに考えております。
前田委員 今、航空行政の立場から御検討いただけるということでございますので、ぜひこれもお願いいたします。
 実際に、名古屋空港、航空自衛隊も使っておりまして、C130輸送機もそこにございます。こうした状況で、災害時における自衛隊の緊急出動等も考えれば大変有効な地域であると思いますので、ぜひこのGA用地の利用として基幹的防災拠点の整備をお願いしたいと思います。
 中部圏におきまして、この基幹的防災拠点の整備をするに当たって、やはり地域の特性を十分に考慮する必要があるかと私は考えますけれども、首都圏、近畿圏においてこの地域特性をどのように考慮していかれるのか、これを伺いたいと思います。
高橋政府参考人 首都圏広域防災拠点の整備協議会におきましては、地域特性としては、関係省庁に加えて地元の七都県市がメンバーとなって、その特性を反映するようにしてございます。また、京阪神の都市圏の広域防災拠点整備検討委員会におきましては、やはり地元の九府県市、それと関西に在住する有識者をメンバーとして、京阪神圏の多極・帯状構造、そういう地域特性を考慮した検討を行っているところでございます。名古屋圏の検討におきましても、地元県市等を交えまして、その都市構造等地域特性を十分に考慮して検討していきたいと思っております。
前田委員 名古屋空港には、防災ヘリの「まんなか」号というのがございます。航続距離七百キロ、ちょうど首都圏あるいは近畿圏、両方の地域を、真ん中を埋める意味でも、中部圏における防災拠点の、基幹的防災拠点の整備が私は必要であると考えますので、きょうは具体的に大臣初め皆様に御答弁いただきましたことを確認いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
田並委員長 中津川博郷君。
中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。
 私の選挙区は東京・江戸川でございまして、ここのところ微震というんですか、震度一から三ぐらいのが非常に頻繁に起きているんですね。
 昨年、この委員会で、私、質疑のときに、南関東直下型地震の切迫性というものについてお聞きしたんです。そうしたら、こういう答弁でありました。「ある程度の切迫性を有しており、今後その切迫性が高まってくることは疑いない」、要するに、きょう起きてもあした起きても不思議ではない、こんなふうに翻訳できるかと思うのですけれども、この認識は現在も同じでございますか。
村井国務大臣 平成四年八月に、地震防災の専門家から構成される中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会の検討結果が報告されたことは御高承のとおりでございます。この中で、南関東地域直下の地震のタイプを大きく分けますと、一つは地殻内の活断層で発生するもの、それからプレート境界面近くで発生するもの、この二つのカテゴリーがある。このうち、地殻内の活断層で発生するタイプの地震というのは、その発生の切迫性につきまして判断するのは困難である、このようにされておりました。しかし、プレート境界近くで発生するタイプの地震というのは、過去の地震発生の状況から見ますと、相模トラフ沿いで百年から二百年先に発生すると言われているマグニチュード八クラスの巨大地震に先立って、マグニチュード七クラスの地震として数回発生する可能性が高い、このような推定がされておりました。
 実は、関東大震災発生後既に八十年経過しているということを考えますと、南関東直下でこのようなタイプの地震が発生する可能性というのは、今後その切迫性が高まってくることは疑いないということでございまして、昨年の当委員会での政府側の答弁と全く基本的には同じ認識、このように御理解いただければありがたいと存じます。
中津川委員 大臣、都民の認識とはちょっとずれがあると思うのですね。それだけの切迫性、そういう情報というものが、私は、江戸川区含めて東京都民、そのPRが足らないんじゃないか、こんなふうに思っているんですが、いかがですか。
村井国務大臣 何と申しましても、この地域、我が国の政治経済の中心であるということは否定できないわけでございます。そういう意味で、南関東地域の地震対策というのは、昭和六十三年、また古い話になりますが、南関東地域震災対策応急活動要綱というようなものをつくり、それから平成四年には南関東地域直下の地震対策に関する大綱というもの、これをいずれも中央防災会議において決定して、我が国の地震防災における最も重要な課題として重点的に対策を講じてきたものでございます。
 PRの点について仰せでございますけれども、この大綱等によりまして、防災意識の高揚でございますとか、あるいは防災知識の普及というものを図る、これは非常に大事だと私どもも考えておりまして、毎年九月一日の防災の日に政府が総合防災訓練をいろいろやるわけでございますけれども、この際に、東海地震対応の訓練と並びまして、必ず南関東直下型地震対応訓練を実は実施しているわけでございます。しかも、その南関東直下型地震対応につきましては、七都県市の合同訓練というのが最近は行われておりますが、これには必ず内閣総理大臣を団長とする政府調査団を現地訓練に参加させております。さらに、来年一月には七都県市と共同で政府の図上訓練も予定をしておりまして、国民への普及啓発に努める、そういう努力をしている次第でございます。
 私どもとしましては、ある意味では一番重点を置いてやっている地震対応のケースだろう、こんなふうに思っているところでございます。
中津川委員 住民の防災意識を高めると今、大臣はおっしゃられましたが、まさにそれに尽きると思うんですね。今、政府の無策で景気がどん底で、毎日の生活でもう国民は必死だという中で、なかなかこの危機管理、いつ地震が起きるかというようなものが希薄になっていると思うので、むしろこういうときこそ、忘れたころにやってくるという言葉もありますから、ぜひこれからも、その事実を、今の研究で知り得たそういう情報をどんどん国民にPRしてもらいたいということをお願いしたいと思います。
 地震予知について、前回もお伺いしたんですが、南関東地域の地震の発生の短期直前予知の技術はないという答弁だったんですが、そしてたしか、どのくらい予算を使っているんだというふうにお聞きしましたら、大学で十七億ぐらいだと、いやに少ないなと思ったんです。
 地震というのはいつ起きるかわからないというのがまだ今の科学の技術らしいんですが、要するに、切迫性はあるけれどもいつ起きるかわからない、これではなかなか国民が不安であります。質問して一年たっているんですが、あれからまた、どうなんでしょうか、研究体制、予算の規模、これからの研究の進展状況、あわせてお伺いしたいと思います。
山本政府参考人 お答えいたします。
 現在の技術では、昨年もお答えしたとおり、南関東直下型の地震の発生を直前に予知するということは非常に困難でございますが、お尋ねの件で、気象庁に関する研究活動について御説明いたします。
 まず、現在までの気象庁における研究によって、プレート運動に伴う地殻内の応力場を再現するモデル、数値モデルでございますが、これを開発いたしまして、データの豊富な東海地域に適用すること等によってモデルのさらなる改良に現在、努めているところでございます。また、地殻変動からノイズを除去する手法ということで、さまざまなデータが地震波形に入ってくるわけでございまして、真の地震波形あるいは応力場を推定するためにノイズの除去というのは大変重要でございます。この手法の高度化もあわせて進めてございます。
 なお、気象庁でございますが、特別研究として、平成十四年度においては予算三千四百万円及び定員七名の研究員を確保し、鋭意研究の推進を図っているところでございます。
中津川委員 どうも、地震というのはなかなか予知するのが難しいというあきらめの気持ちが今あるように思うんですが、大臣、こういうのに僕はお金をどんどん使っていいと思うんですよ。ですから、とにかく毎年毎年予知能力を高めるんだ、こういう姿勢でぜひ取り組んでもらいたいというふうにお願いしておきます。
 次に、地震保険についてお伺いしたいと思うんですが、私調べてみたんですね、今の地震保険制度。一九六四年にこれは大変な、死者二十六人ですか、全半壊八千六百棟の新潟地震を契機に翌々年の一九六六年に創設されたと。火災保険に入れば自動的に地震保険加入、このときは義務だったんですね、ただし、全壊で九十万円が上限だと。以降、半壊も加えたり保険金額を増額しようというような声があって、一九七九年に、自動附帯という言葉を専門で使っていますが、義務ですね、この原則が望ましいということだけれども、任意加入にした。それで、翌年の八〇年の七月に制度改定をしまして、損害対象や保険金が増額された。要するに、地震保険加入は加入者の判断であると。
 こんなことで、当初は、スタートのときには大体加入率が一五・二%だったんですが、バブルの九二年、九三年ぐらいになるともう七・数%、そして調べてみたら最近で一六%ぐらいですか、そうですね。
 この地震に関する法律には、保険会社が多大な損害額を払えない場合は、国が不足分を払うということになってはいるんですが、そこで、関東大震災級の巨大直下型地震が生じた場合、総支払い額を幾らぐらいに設定しているのか。それから、そのうち国と保険会社は今まで幾ら積み立てしているのか、現状を数字でお答え願いたいと思います。
村瀬政府参考人 お答えいたします。
 平成十四年四月一日以降の一回の地震等における支払い保険金総額については、四兆五千億円というふうに定めております。また、そのための準備金といたしまして、十四年の三月末現在、十三年度末でございますが、政府の責任準備金といたしまして七千九百七十二億円、民間の危険準備金といたしまして六千八十七億円を積み立てておりまして、合計で一兆四千五十九億円ということになっておるわけでございます。
中津川委員 随分不足しているじゃないですか。四兆五千億、これで関東大震災級の地震を大体カバーできるということで、合計で一兆四千五十九億ですか。本当にこれだけ不足しているというのは大変驚きでありまして、今後の積み立て計画は一体どうなっているんですか。それで、何年ぐらいでこの限度額に到達するんでしょう。
村瀬政府参考人 先ほど申しましたように、十三年度末の政府と民間の責任準備金の合計が一兆四千五十九億円ということでございます。十三年度中の準備金の増加額は八百六十四億でございますが、仮にこれが将来にわたり継続できるといった前提で単純な機械計算をいたしますと、四兆五千億円に達しますためには約三十五年程度を要するという仮定計算が成り立ちます。
中津川委員 いやいや、三十五年というのはすごいじゃないですか。先ほど質問しましたが、巨大地震の発生する可能性は高い、そういう認識に比べて地震保険の備えというのはもう本当に心細いと。これは国民が聞いたらびっくりしちゃうと思うんですよ。近い将来に実際に震災が起きた場合、この積み立て分の、きょう、あした起きるかわからないんですから、どのように手当てするおつもりなんですか。
村瀬政府参考人 お答えいたします。
 仮に再保険で支払う保険金が責任準備金の残高を超えてしまうというような場合につきましては、現在の地震再保険特別会計法の規定によりまして、再保険金の支払いの財源に充てるため借入金をすることができるということで、この再保険金の支払いに支障が生じないという仕組みにはなっております。ただ、その借入金の償還等につきましては、予算で定めますところによりまして一般会計から繰り入れることができるようになっておるわけでございます。
 なお、繰り入れられました繰入金につきましては、後日繰り入れた金額に達するまでの金額を、予算で定めるところによりまして一般会計に繰り入れなければならない、こういうことでございます。
中津川委員 一般会計から借り入れるということになるんでしょうが、これは大変なことですね。僕は、この保険というのを、これはやはり今真剣に考える時期に来ているんじゃないかというふうに思うんですよ。
 地震保険の加入率は、先ほど歴史を申し上げましたが、任意加入へ制度が変わってから大変低い状況が続いている。これはなぜかといいますと、火災保険の大体三〇%から五〇%が地震保険なんですね。建物、上限が五千万なんですよ。家財が一千万円限度。ですから、保険に入っても家がもとどおりに建てられないとか、支払い金額に対してどうも補償が十分ではない、割高だというような不満が渦巻いているわけであります。
 そこで、今、地震保険の皆保険化というので、近いデータで賛成が三四%、反対が三九%、ほぼ拮抗しているんですが、国や保険会社のこういう諸状況をかんがみれば、この地震保険の皆保険制度の復活というものも視野に入れた検討は必要かなとも思うんですが、いかがでしょう。
村瀬政府参考人 お答えいたします。
 一つ申し上げなければならないことは、保険の対象物件といいますのは、個人の私有財産でございます住宅あるいは家財でございまして、これに生ずる損害に保険をつけるか否かというのは、やはり自己責任として各自の自由意思に任せるのが基本であるというふうに考えておるわけでございます。
 また、先生御指摘のとおり、昭和四十一年に地震再保険制度ができました当時は、先生が触れられましたように、自動的に加入するという仕組みになっておったわけでございますが、実は、昭和五十五年に法律の一部改正法を審議いただきました際の院の附帯決議におきまして、地震保険への加入は強制にわたることのないようにとの御指摘が両院からございました。こういうこともございまして、五十七年の四月からは現在のような、火災保険に加入する際に、契約者本人が希望しない場合を除いて地震保険が附帯されることになったという経緯がございます。
 また、仮に、火災保険に加入すれば自動的に地震保険が附帯されるという制度としました場合には、予想最大損害額といいますか、かなり技術的な話で恐縮でございますが、そういったものが一挙に増大いたしまして、現在の政府あるいは民間損害保険会社の責任準備金では到底対応できないことになることが予想されるわけでございます。またこういった場合に、契約者に地震保険の保険料負担を強制するということになりますために、一つには本当に国民のコンセンサスが得られるかどうかという問題もございますし、保険料負担の関係から、火災保険自体の加入を断念せざるを得なくなるというケースが出てくる可能性もあるというふうに考えられます。
 以上のことから申し上げまして、火災保険に地震保険を自動的に附帯するという制度にすることには、なかなか難しい面があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
中津川委員 阪神大震災で、犠牲者の八割が住宅倒壊で圧死しているわけですね。だから、これは大変深刻な問題ですよ。この地震保険の普及を促進するために、いろいろ知恵を出さないといけないと思う。住宅の耐震性能とかを例えば保険料の率に乗せて反映させるとか、いろいろなことを考えて、やはり今、ちょうどこの保険というのを見直す時期に来ているんではないかということを強く申し上げたいというふうに思います。
 最後に、ちょっと東京の防災対策について質問をしたいと思うんです。
 東京消防庁が最近、震災時の消火活動困難度マップというものをつくりました。東京が大地震に見舞われた際の弱点が明らかになったと思われるんですが、ここで幾つか指摘されているんです。東京二十三区内においては延焼危険度が高い。私の住む江戸川区もそうなんですが、消防車が入れない、つまり、ポンプ車が入れない住宅密集地がたくさんあるんですよ。いつも私は、火事になったら、あるいは地震が起きたときにどうなるんだろうなと。東京はまだまだ本当にインフラが必要なんですね。よく言うのですけれども、地方のタヌキやキツネしか通らないところに公共予算を使うんだったら、まさに東京投資が必要なんだというようなことを言っているんです。
 こういう地域の現状を国はどの程度認識をして、それで、防災対策というのをどの程度進められているのか。これが私たちの下町地域の一番心配するところであります。それと、多摩地区の方は消火用水が大変不足しているということでありますが、これらに関して政府の認識と対策についてお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
石井政府参考人 お答えを申し上げます。
 東京の防災対策につきましては、東京消防庁で震災時における消火活動困難度マップといったようなものをおつくりになったり、いろいろ御研究されていると承知しております。
 東京の場合、特に問題になりますのは、非常に住宅が密集して道路が狭くて、なかなか消防自動車の進入が困難じゃないかといったような地域があるということがございます。こういうところにつきましては、周辺の消火栓等の消防水利に消防自動車をつけまして、そこからホースを延長する、そして、いろいろな手法がございますけれども、一キロないし一・八キロぐらい、かなり遠方から水を運んで消火活動をするといったようなことも考えております。
 それから、今、巨大水利といいますか水利の確保をどうするんだというお話がございましたけれども、細かい点までは承知しておりませんが、これは東京都の方で、例えば環七の地下に二万四千トンぐらいの水を確保されていらっしゃったり、そういう事態に備えまして、地下に水利を確保するとか、それから先ほど申し上げました遠距離の大量送水の工夫をするとかいったようなことをやっていらっしゃると承知しております。
 私ども消防庁としましても、これは東京都に限らず、大都市あるいは東海地域等も含めまして同じような問題がございますので、しっかりそういった点に配慮をして、地方団体と連携しながら対応していきたいと思っておる次第であります。
中津川委員 ありがとうございました。
田並委員長 河合正智君。
河合委員 公明党の河合正智でございます。
 台風六号、七号に伴います大変な災害が発生したわけでございますが、村井担当大臣初め政府におかれましては迅速に対応していただきまして、まず最初に、心から感謝を申し上げたいと思います。
 台風六号は、七月九日から十一日にかけまして日本列島を襲いました。私も公明党の災害対策局長をさせていただいておりますけれども、大変被害の大きかった岐阜県の大垣市に対しまして、鉄道の回復を待ちまして急遽現地へ参りました。そのときの惨状等をつぶさにお訴え申し上げて質問をさせていただきたいと思います。
 今回の台風六号は梅雨前線を刺激して、台風が来る前にもう大変な降雨量でございました。この間、岐阜県では五百ミリを超えております。観測史上第一となる記録的な大雨を全国的に記録したところでございます。
 これに対しまして政府は、七月九日、十日、国土交通省に注意体制、非常体制をとっていただきまして、内閣府は情報対策室を設置していただきました。そして、災害救助法を岐阜県大垣市また岩手県に対して適用していただいたところでございます。さらに、被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を岐阜県の大垣市に適用していただいたところでございます。
 さて、この大垣市の荒崎地区というところに起きました事例を中心に申し上げさせていただきますと、この地域は歴史的な経緯を持ったところでございます。それは、旧大垣藩の城下町を洪水から守るために遊水地状態とされてきたところでございますが、洗い堰からの越流浸水が頻発しましたところ、昭和五十五年に洗い堰のかさ上げを実施いたしました。しかし、その越流浸水が、回数は減ったものの、今回を含めまして五回を記録しております。特に、十二年前には今回と同じ惨状でございました。
 そういう現況でございますけれども、今年の台風六号による出水によりまして、この地域では、洗い堰からの越流によりまして、床上浸水が約三百戸、床下浸水が約百五十戸の被害が起きたところでございます。
 これに対しまして、政府もまた岐阜県も、この地域の浸水、洪水に対して着実に対策をとってきたところでございますが、今後の計画といたしまして第一期計画、第二期計画に分けておりまして、第一期計画は、徳山ダムの完成予定である平成十九年度を目途に計画されております。しかし、今回の洪水の状況を見てみますと、第一期の計画が完成しましても、大谷川の洗い堰から超える溢水というのは防ぐことができません。そして、さらにその下流に合流している泥川という川があるんですけれども、このはんらん状況は全く変わらないという状況でございます。
 さて、この第一期計画が終わりますと、第二期計画の中で、それは平成十九年度以降ということになりますけれども、洗い堰を解消して、そしてそこで初めて、関係する国土交通省の直轄事業であります徳山ダムの完成によりまして、揖斐川本流の水位が低下するとともに、大谷川等の洪水時の水位も低下するという計画でございます。
 しかし、この地域住民にとりましては、例えば、台風六号の水がやっと引いたという段階で台風七号が既に襲いました。そうしますと、ここに住んでいる住民の皆様、ここは現在は県営住宅も建っておりまして、したがって、民間住宅を購入して居住している方たちがたくさんいらっしゃるわけでございますが、水に対する恐怖感というのは、私は現地にいましてひしひしと実感したわけでございます。
 したがいまして、私がきょう申し上げたいのは、平成十九年度までに、徳山ダムの完成までに第一期計画を完成させるという計画でございますが、しかし、私は、この十九年度の徳山ダム完成の時点では、むしろ、第二期の計画されている工事も完了しなければ、現地で生活している人たちの水に対する不安というのはぬぐい去ることができない。しかも、何年かに一度これが起きるという状況であれば格別、現に十二年前には同じように起き、五十年に一度という洪水の予想は、ここではもう十年に一回起きているわけでございます。
 第二期計画を平成十九年度までに完成させていただきたいという私の要望に対しまして、村井大臣もしくは河川局長はどのようにお考えか。河川局長からお答えいただきたいと思います。
鈴木政府参考人 ただいまの御質問について、若干詳しく御説明申し上げます。
 御指摘がございましたように、大谷川の下流部右岸側の地域は、ちょうど左岸側に位置します大垣市の市街地を洪水から守るために江戸時代より遊水地状態とされてきた、これは御指摘のとおりでございます。
 戦後、この地域でも食料増産を図るというような要請が出てまいりまして、昭和二十九年から三十三年にかけて、これは土地改良事業で実施したわけでございますが、今回浸水のあった地域にかかわる大谷川右岸の築堤を行い、さらに築堤を行うことによって、先ほど申し上げました大垣市ですとかほかの地域が破堤の危機に瀕するということであってはならないということで、そういった甚大な被害の発生を防止するために、全体の治水バランスを考慮して、大谷川の右岸側については洗い堰が設置された、こういうことでございます。さらに、四十二年度からは、今度は河川改修事業を実施しまして、大谷川の築堤、橋梁のかけかえ等を進めながら、流域全体の治水安全度の向上に努めているということでございます。この洗い堰については、先ほどもございましたように、昭和五十五年にかさ上げを行っておりますが、これ以降でも五回の越流を記録しているということでございます。
 ここで大事なことは、大谷川の河川整備は、ちょうどその下流の方で合流しております杭瀬川、相川、泥川とあわせて、流域全体の治水の安全度を上げることが必要である。つまり、大谷川だけを改修いたしますと、他の河川にかかわる流域は危険率が増してしまうということでございますので、流域全体として安全度を上げる必要がある。そして、そのために流域住民のコンセンサスを得る必要がある。さらに、全体として実施しなければいけないということで事業量も膨大になるということから、岐阜県におきましては、ここの改修については段階的に安全性を高める河川整備を実施しているということでございます。
 当面、平成十九年度を目途に、御指摘がございました第一期計画を実施しまして、その一期計画の状況にあわせた洗い堰のかさ上げを行い、さらに、徳山ダムの完成あるいはほかの河川の改修というものの全体が進んだ段階で、この洗い堰を最終的には解消するというような計画になっております。
 この点、どうしても御理解いただきたい点がございますが、事業量が大変膨大になるということから、全体が完成しないと治水効果が得られない、これは避ける必要があるというのが基本的な考え方でございまして、段階的に安全性を高める、工事も段階的にやりますし、効果もちゃんと段階的に出していくということをこの地域における河川整備の基本としております。この点については、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
 いずれにしましても、今回の出水を踏まえまして今後とも河川整備の促進に努めてまいりたいということでございますので、よろしくお願いいたします。
河合委員 江戸時代ならともかく、市街地を守るために別なところを必ず、市街地に水があふれたときにはある特定のところが水害を受けるという江戸時代の思想というのは、今日においては私は適用されないと思います。ぜひとも、岐阜県並びに地元の要望をお聞き届けいただきたいことをまずお願いしておきたいと思います。
 ただ、これは従来の河川行政、時間雨量五十ミリ対応という考え方が、既に私の岐阜県では四年間に三回にわたって破綻しております。なぜこういうことが起きているのか。時間雨量九十ミリという雨量が、この四年間に岐阜県だけでも三回起きているわけでございます。なぜなのか。
 私は、前回のこの特別委員会におきまして、アメリカの上院におきます一九八八年のジェームス・ハンセン博士の証言を紹介いたしました。
 これは、地球の平均気温は上昇しつつある、これは自然現象ではない、人間の活動によるものである、特に化石燃料の大量消費によってもたらされたものであり、それに伴って、間違いなく気候が大きく変動する。そのことによる現象というのは、ある場所は異常渇水になり、ある地域は間違いなく異常な集中豪雨が起きるという気候変動が起きるという予見でございます。この気候変動による環境破壊によって災害が起きるということに対しましては、我が国の白書においても、因果関係を認めた上で記述している段階に入っております。
 したがいまして、このような、例えば東海集中豪雨の場合は四百二十八ミリ、台風六号による場合は五百ミリを超えておりますが、こういう従来想定されなかったいわゆる集中豪雨、私は気候変動による集中豪雨だと思いますけれども、これはむしろ、政府において新しいタイプの災害として対策を講じなければいけない、しかし、これは各省でそういう対策を講ずることは難しいという現況を踏まえますと、むしろ、村井大臣のところでぜひともこの問題にお取り組みいただきたいと存じますが、いかがでございましょうか。
村井国務大臣 大変深刻な問題でございまして、今、河合委員のお話を、私も大変考えさせられるものがあると思いながら拝聴をしておりました。
 従来の河川改修あるいは上流におけるダムの設置等々によりましていろいろ対応しても、なお尽くせないような被害が起きている。内閣府の防災担当といたしまして、昨年の白書で、今、河合委員御指摘のように、二十一世紀における新しい災害の態様というようなとらえ方をいたしまして、注意喚起をいたしたわけでございます。私自身、平成十四年度の白書をつくるに当たりまして、この視点というのはやはり継続してお訴えしていく必要があるんじゃないかというような判断をいたしまして、事務当局にも指図をいたしまして、繰り返しになるがこの点もう一度強調しろということで、今まさに委員御指摘のような、地球の平均気温が上昇することであるとか、大都市におけるヒートアイランド現象とかこういうものと、例えば、現に岐阜で、大垣で四、五百ミリの雨が過去三回降ったというようなことと直ちに因果関係があるかどうかは私、わかりませんけれども、しかし、そういう問題提起はしっかりして、これからその対策をいろいろ工夫しなきゃいけないんじゃないかというような意味で、イニシアチブをとらせていただいているところでございます。
 間々、公共事業というものがもう済んでいるんだ、いいんだというような御議論もあるようでございます。しかし、ただいまの経過を拝聴しておりますと、過去、遊水地であったところに土地改良を行って住宅が建つというような形で、住まい方が変わってきているというのも一つの現実でありますから、それに即応した体制もまた工夫していく必要があるというのは、我々に課された課題だと考えております。今後とも、いろいろな意味で御指導、御協力のほどをよろしくお願い申し上げたいと存じます。
河合委員 大変ありがとうございます。
 最後に、松下副大臣にお伺いさせていただきます。
 災害による住宅再建及び生活支援の問題でございまして、これは阪神・淡路大震災のときに、個人住宅の補償は資本主義社会では難しい、こういう政府の一貫した考え方に対しまして、私は、資本主義社会でもそうでない国がありますよ、イタリーでは緊急勅令で、特別立法で二回にわたって個人住宅に対する再建支援をしている例がありますと、こういうことを申し上げましたら、大臣、研究させてくださいということで鋭意研究していただいているところでございます。
 さらに、本日は引き続きまして、その後の展開、例えば鳥取県におきましては、同じような考え方で、支援できないという状況でほっておけない。そこでは倒壊、半壊した家屋にお年寄りが残されて、それは都市部へ全部引き取られていく、そうすると、村、町そのものの存在がなくなってしまうという危機感から、鳥取県は何と地域を活性化するという視点からこの住宅再建支援とか生活支援を行われたという例がございます。
 私はその英断に対して深く敬意を表する者でございますが、同じように、この岐阜県の荒崎地域におきましては、この方たちは、引き取るべき都市部の方もいない。というのは、すべての資金を投入してここに住んで、ここから逃げることもどうすることもできない方たちが水の恐怖の中で生き抜いているわけでございます。
 したがいまして、鳥取県が行いましたような住宅再建、鳥取県では何と、県税の免除、子弟の奨学金の支給それから返済の免除、それから事業所に対する再建資金、また福祉サービス関係においても数々のメニューをつくっておりますけれども、この災害列島で、このような特殊な災害が多発している現在、私は住宅再建及び生活再建についても、国が特別のやはりスキームをつくるべきであると訴え申し上げたいのですが、いかがでございましょうか。
松下副大臣 河合委員からは、昨年のこの委員会の席でも同じような問題提起がございまして、イタリアの例等を教えていただきました。我々もその後、いろいろ勉強をしてまいりました。
 現在、被災者に対してどのような支援がなされているかということは、もう御承知でございますので、これは省きますけれども、鳥取県におきましては、今、先生もお話しになられましたとおり、あの西部地震の後、人口流出の危機という鳥取県の事情があったというふうに聞いております。確かにそうだったと思います。そういうのを踏まえて、同一の市町村への居住を条件として、住宅復興補助金でありますとか民間賃貸住宅への家賃の補助等の、住宅にかかわる総合的な支援を、被災地の地域社会の崩壊の防止という、非常に危機的な状況からそれを守っていくという観点から実施されたというふうに聞いておりますし、相沢英之先生たちも随分努力されたというふうにお話を伺っております。
 私どもも、中央防災会議がございまして、その中の防災基本計画専門調査会という中で、こういう問題の議論を一年近くしていただきました。その中で、「防災体制の強化に関する提言」というのをいただきまして、私有財産である個人の住宅が全半壊した場合に、その財産の損失補てんを公費で行うことは、持ち家の世帯と借家の世帯との公平性が確保されるのかどうかという観点、それから、自助努力で財産の保全を図る意欲を阻害しないかなどの問題があるというふうに指摘もいただいております。
 また、その一方で、被災者の生活再建を支援するという観点からは、住宅の所有、非所有にかかわらず、真に支援が必要な者に対して、住宅の再建とか補修とか賃貸住宅への入居等にかかわる負担軽減などを含めた総合的な居住確保を支援していくことが重要だというふうにも強く指摘をいただいております。
 こういう提言をいただきながら、我々もいろいろな関係機関等や都道府県の実態をあわせてさらに研究していかなきゃいかぬ、こう思っております。少しは前進しているかなと思っております。
河合委員 大変ありがとうございます。
 いかなる時代におきましても、私は、命と暮らしを守ることは政治の原点であると考えております。引き続いてどうぞよろしくお願い申し上げます。大変ありがとうございました。
田並委員長 山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 大臣にお聞きしたいと思いますが、活火山対策特別措置法、三宅島を何で早くその地域指定しないのかということを再三この委員会で言ってまいりましたが、先般、七月五日でしたか、地域指定いただけたということで、ほっとしているところです。実際、随分かかったわけですが、どういうことでやっと活火山の地域指定をするに至ったか、その事情を簡単で結構ですが、大臣。
村井国務大臣 この委員会でたびたび山田委員から、なぜ早く指定せぬのか、こういう御指摘をいただいたことを思い出します。
 やはり、火山ガスの噴出量が非常に高いレベルでございまして、なかなか下がらないものでございますから、帰島の可能性というものがなかなか見えない。そういう環境の中で、活動火山対策特別措置法の想定しておりますのは、例えば、避難施設緊急整備地域に指定するという具体の話が伴うわけでございますので、その実行があり得る段階にならないといかがなものかという趣旨で私はお答えをしてまいったように存じます。
 最近の火山ガスの噴出状況というものを見ておりますと、やや下降の傾向を示しているというようなところから、また一方で、いよいよ三宅島全員離島以来二年に近くなろうとしているわけでございます。さような意味で、一時帰島といいましても、現在のように数時間滞在するということではなくて、もう少し長く滞在したいというような御要望も島民の方々にあるわけでございます。そういたしますと、これまたかねての山田委員の御提言でありますけれども、いわゆるクリーンルーム、クリーンハウスを数多く設置するような方向も研究してはどうだろうかというようなことで、東京都そして三宅村などの御要望も踏まえまして、去る七月四日の中央防災会議で決定をいただき、七月五日付で活火山措置法の適用を決めた、こういうことでございます。
    〔委員長退席、松原委員長代理着席〕
山田(正)委員 その地域指定を受けたわけですが、それによって、避難施設緊急整備事業というのを国が直接やれることになると思うんです、この法律によれば。
 具体的に、今ちょっと大臣からも話がありましたが、一時帰島して、ショートステイというのですか、するためのいわゆるクリーンハウス、それについては具体的な計画がなされておりますか。あったらお話しいただければと思います。
村井国務大臣 七月五日にこのように指定をいたしましたので、これを受けまして、東京都が避難施設緊急整備計画を策定いたしまして、これに対しまして内閣総理大臣による同意の手続がございます。それを踏まえましてクリーンハウスの整備に着手しまして、現在、私どもが承知していますところでは、今年度末までに大体三百人程度の規模のクリーンハウスが設置できるのではないか、そんな見通しになっております。それができますと、火山ガスの状況や何かにもよりますけれども、滞在型の一時帰宅が実現できるようになるのではなかろうか、そういうふうに期待をしているところでございます。
山田(正)委員 三百人ほどの施設というのは、一カ所につくるんですか、数カ所につくっていくものなんですか。
村井国務大臣 このあたりは、東京都が三宅村といろいろ御相談になられましてどんな形になさるかまだよくわかりませんが、実は、ずっと見ておりますと、火山ガスの流れ方とかいろいろな問題がございまして、山田委員、かねて、昔の、旧の集落ごとにつくったらどうだという御提案がございましたね。しかしながら、これまでの経験によりますと、どうもそれが必ずしも可能ではない。要するに、特定のところにずっとガスが流れる傾向もあるようでございまして、そういう意味で、現段階では、一カ所つくるのかなというような感じに私は聞いております。
 いずれにいたしましても、もう少し東京都と三宅村の間でよく御相談になる問題だと理解しております。
山田(正)委員 一カ所と私の方もお聞きしてはいるんですが、三百人ぐらいの大きい施設で、それでいても、いざとなったらその三倍ぐらい、約千人ぐらいは収容できるようになりますというお話は聞いているのです。その中で、それなりの人たちが一時帰島して、常時ガスマスクを準備しておれば、どこからでも二、三十分以内にはそのクリーンハウスに行けるようにする、そういう方向で、一時帰島、私どもが考えるに、道路とかライフラインみたいなものはかなり整備されておりますが、そういったものの整備より一番大事なのは、個人の財産の家がどうなっているか、その中をどういうふうに一時帰島しながら補修し、住んでいくかということが最も大事だと思います。このクリーンハウスについては、一刻も早く三宅島においてできるように、また一時帰島ができるように、大臣も、今後もぜひ御尽力いただきたい、そう思っております。
 それで、同じく三宅島なんですが、それぞれ生活できなくて、生活保護その他をもらって生活せざるを得ない家庭も出ているようですし、失業保険もそのままもらえなくなっているところも多々あるようでして、聞くところによりますと、やはり大変生活に困窮しているというのが実情じゃないか、そう思います。
 そんな中で、実は、こういう災害の場合、雲仙の場合、有珠山の場合、三宅島の場合、これを比較してみますと、雲仙の場合には、食事の供与として一日一人千円ですか、一人千円ですから、三人家族ですと三千円、月に十万ぐらい、ずっと三年近く支給されていった、そういういきさつがあります。有珠山の場合、これは生活支援事業というのですか、支給額三万円で、三万円掛けるの世帯人員ですから、三人家族だとしたら九万円、それにプラス三万円で、十二万円が月に支払われていった、そういう事実があります。
 そんな中で、この三宅島の被災者に対しては、そういった支払い、生活支援、食事供与というのはなされていないという事実、これはなぜなのか、同じ災害なんですが、それに対しては、大臣、どうお考えでしょうか。
村井国務大臣 私の理解しておりますところでは、まず、今、委員御指摘の雲仙・普賢岳の食事供与事業でございますが、これは、避難所から応急仮設住宅に移行した段階で、過渡的な措置として行われた施策だ、こんなふうに理解しておるわけでございます。
 三宅島の場合は、東京都が東京都の状況に即した被災者の自立支援のための対策に大変力を入れてこられたという事実がございます。私どもが認識しているところでは、例えば、都営住宅の無償提供でありますとか、生活必需品の三十一品目の給付あるいは千四百六十九世帯に対しまして約十二億円の被災者生活再建支援金、これを支給しているわけでございます。ちなみに、義援金と合わせますと、一世帯、これは二人で計算いたしますと、約二百万程度の支給が行われている。それから、被災中小企業者の既往債務に対する返済猶予でございますとか利子補給、こういったこともやっております上に、大変きめの細かな職業相談、一生懸命職業相談、紹介をやっております。あるいは、お年を召した方などが主たる対象でございましたけれども、三宅村げんき農場とかゆめ農園の開設というようなことで、雇用の場を積極的に創設していくという御努力を東京都もおやりになった、こういったところで対応してこられたということを御評価いただければありがたいと思う次第でございます。
山田(正)委員 都の住宅で無償で云々と言っておりますが、雲仙の普賢岳の場合には、もちろん私も何度か見に行きましたが、仮設住宅、有珠山の方にも仮設住宅を建設して、それぞれ無償で当然入っていただいております。それから、一時的な災害の弔慰金ですが、雲仙の場合には五百万、有珠岳の場合には三百五十万。三宅島の災害時よりもかなりの高額のものが支給されていて、かなりきめ細かい対策も十分なされておる。
 ところが、この三宅島の災害に至っては、今言ったような生活に困窮する部分について、例えば雲仙とか有珠山におけるような支援活動、支援事業、これは国が二分の一各自治体に対して助成しているようですが、それについて東京都はやっていない。国もそれなりの支援をしていないという事実、これについてはどうお考えなのか。その他のきめ細かい対策は、有珠においても雲仙においてもそれ以上のことをしている、そう考えられます。大臣、いかがでしょうか。
村井国務大臣 金額の比較につきましては、それぞれの地域の人口規模でございますとかいうような問題もございます。
 それで、私は、三宅島と今、委員が例にお挙げになりました有珠山あるいは雲仙・普賢岳の災害と、一番相違いたしますのは、三宅島の場合は、全員島から避難するという形で、従来の生活基盤から切り離されたという事情がある、そのために全く新しい職場の提供等々が必要になった。それに対しまして、雲仙の場合もあるいは有珠山の場合もそうでございますけれども、従来のお仕事を続けられながら、いわば少し近いところで避難場所をつくる、落ちつくまである程度面倒を見ればよいというようなあり方だったのではないかというところが随分違うんじゃないかという感じがいたします。
 私は、そういう意味で、三宅島に対するサポートが足りないというのは、必ずしも比較して当たらないのではないかと思っておりまして、三宅島について本当に問題なのは、全島避難、全員が離島避難というこの事態がもうそろそろ二年になろうとしている、こっちの方が非常に深刻な問題だろう。
 このことにつきましては、私どもも内部で、どうしたらよろしいか、いろいろな面からの研究をなお続け、また、東京都そして三宅村の意向などもいろいろ聞いておるところでございます。
山田(正)委員 今、大臣のお話ですが、雲仙の普賢岳とか有珠山においては、そこにある程度住むことができるという意味では、まだこれまでの事業の継続ができる、まだ収入の道が幾らかでも確保できるという事情がある。ところが、三宅島の場合には、島を離れて、東京でどうやって生活していくか、全くあしたからの生活に困るという状況下において、当面、失業保険等をもらえたとしても、あるいは当面、見舞金等々で生活できたとしても、それ以後の生活についてはさらに深刻であるという事情、これについては、大臣、どうお考えか。
村井国務大臣 ですから、その点が私は一番問題であって、ただ、その中で、新しい職を得て一生懸命働いていらっしゃる方もいらっしゃるということもまた一つの事実でございます。いずれにいたしましても、それぞれの皆さん方の実情に即しましたサポートをできるだけしてまいるということが大切ではないか、こんなふうに考えているところでございます。
    〔松原委員長代理退席、委員長着席〕
山田(正)委員 いわゆる災害時の生活支援、それも含めてですが、災害時の個人財産について、もちろん、火山等々によってそういったものが一瞬にしてなくなるわけですが、そういったものを、国が個人財産の補償をするという考え方、例えば、先ほど河合先生も言っておりましたが、鳥取県における住宅支援といった問題、これは従来、憲法解釈上個人財産の補償は無理であると言われてきたようですが、その点、大臣としてどう考えられるか、どう考え方が変わってきているか。今まで、橋本総理の時代から森さんの時代と、それぞれいろいろな見解を私も調べてみましたが、ひとつ大臣、今どうお考えか、それについてお聞きしたいと思います。
村井国務大臣 いろいろな考え方があると思うんでございますけれども、個人財産の中で、とりわけて、例えば住宅でございます。先ほども松下副大臣からお答えをしたお話と共通することでございますけれども、私有財産でございます個人の住宅が全半壊した場合に、その財産の損失補てんを公費で行うということは、やはり持ち家世帯と借家世帯との公平性が確保されるかどうか、あるいは自助努力で財産保全を図る意欲を阻害しないかというような問題があることは事実でございまして、これに対する備えとして、保険でございますとか共済制度でございますとかの加入により対処していくのが基本ではなかろうか。
 一方で、被災者の支援という観点からは、本当に困っている方に対しましての支援というのはどうしても大事なことでございます。そのために、災害救助法に基づきまして、被災者の当座の生活に必要な物資、施設等の支給でございますとか、被災者生活再建支援法の支援金の支給というような支援が行われているわけでございます。また、被災住宅の所有者等に対しましては、住宅再建というような段階になりましたら、再建のための建設、補修資金に対する住宅金融公庫による長期、低利の融資でございますとか、あるいは既往債務につきまして、被災の程度に応じまして貸し付け条件の緩和をやるというような支援が行われているというのが現在の状況でございます。
 私どもといたしましては、最近、いろいろ中央防災会議の下部に設けました専門調査会で示されました御見解なども踏まえながら、被災者の生活再建を支援するという観点から、支援策の充実に向けてどのようにしていったらいいか、なお検討を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
山田(正)委員 先般、この委員会で鳥取の片山知事の話を聞いた際に、片山知事が、いわゆる住宅支援について県費で助成しようとするとき、本庁の方で憲法違反であると随分言われたというわけですね。いわゆる個人の財産の災害に対する損失について、国がそれを支援する、補償することは許されないという言われ方をしたというお話がありましたが、それについては、大臣、今はどうお考えなのか。
村井国務大臣 大変申しわけございません。私はその片山知事の御発言を直接聞いておらなかったものでございますから、どのように申し上げたらよろしいか、ちょっと判断いたしかねるところでございますが、もう一度、申しわけございません、片山さんは何と言われたんですか。
山田(正)委員 私どものこの委員会で参考人のときに、鳥取の大震災のときの住宅支援のために、三百万でしたか、県費を支給するわけですが、県費をそうして支給すること自体がいわゆる憲法違反である、そう言われたというわけです。災害において、個人財産の損失についていわゆる公費を出すことは許されないと、かなり厳しくそういう言われ方をしたという話をしておりました。
村井国務大臣 それはどなたがおっしゃったことか、そのあたりが私もよくわかりませんし、私の承知しております法律の理解では、どうもそういうロジックが直ちに出てくるというのはよくわからない、こう申し上げざるを得ない次第でございますが。
山田(正)委員 大臣、お聞きしたいんですが、これまでいろいろな大臣あるいは総理大臣等々が災害時の個人財産の損失補てんについてどういう見解を述べてこられたか、大臣も大体おわかりだと思います。その中で、やはり今の法の建前上、いわゆる個人財産の、国の、国費というか公費によっての補てんはそこまで踏み切れないというのがこれまでの大臣の答弁だと思うんですが、村井大臣はどうお考えなのか。
村井国務大臣 一言で申し上げれば、本当に必要な、本当に公による支援を必要とする方々に対してはしかるべき対応をするべきであろう、それは私はそのように思っております。
 もうちょっと具体的に申し上げれば、現在、東京都で都営住宅を無料で貸与するというようなことをしているわけでございますけれども、例えばこういうようなのも一つの対応でございましょうし、あるいは生活保護というのも恐らくそういう考え方で基本的にはできている。ですから、いわば最後のセーフティーネットというのは、それはそれであるんだろうと思います。
 ただ、住宅の再建の費用を公費で見るというのに、私は、法律論というよりは、国民的な合意というものが果たして得られるのかというところが、過去のいろいろな経過を見てみまして甚だ難しい点があるのではないか。鳥取西部地震の後で片山善博知事がおやりになったことというのは、鳥取県知事として、鳥取県の特定の地域のコミュニティーが完全に崩壊してしまう、これを避けたいという極めて高度の政策判断からおやりになったことで、それはそれで一つの御見解だと私は思う次第でございます。
山田(正)委員 大臣もそういう意味では従来の考え方にはこだわらないという表明だ、そう思い、いずれにしても、大変これから大きな課題のところではありますが、その中で、憲法二十五条、御承知のとおり、いわゆる生存権、生存権の保障で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあります。その二項に、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障、公衆の衛生の向上及び増進に努めなければならないという、まあプログラム規定だという憲法学者もいるわけなんですが、そういう規定があるということは、いわゆる政治家あるいは大臣が、言ってみれば、そういう支援策を法律でつくるか、あるいは行政でやるということは十分憲法上も認められることであり、逆にそうしなければいけないことなんじゃないのか、災害時においては。
 だから、実際、鳥取県の場合に、片山知事の話を聞いていて大変私も感銘を受けたんですが、いわゆる仮設住宅をつくるとしたら三百万か三百五十万ぐらいかかる、それを取り壊すのにまたそんなに金がかかる。ところが、実際には、その地域、その同じ場所に住宅を新しく再建するとして、それに三百五十万か助成するというのがどれだけ、財産のロスにならないし、その人たちにとって、その地域にとってプラスになるか。いろいろなことを考えれば、ひとつこれから具体的にそういう方向に進んでいかなきゃいけないんじゃないか。
 そういう意味では、先ほどの三宅島あるいは三宅島の島民の生活支援はなされていない、ところが、雲仙とか普賢岳とか有珠山においては食事供与名目で国からそれなりの助成がなされておった。そういったこと等々を考えると、やはり災害において、いつ何時、どこで起きても、国は平等に公平にあらゆる被災者に対してそれなりの手を差し伸べる、いわゆる網羅的な被災者の生活支援、生活保障といったものの法律の必要があるんじゃないか、そう考えますが、大臣、最後にいかがでしょうか。
村井国務大臣 私は、三宅島につきまして先ほども御答弁申し上げましたけれども、雲仙・普賢岳や有珠山でございますか、これに比較して支援のレベルが不足しているとは必ずしも言いがたいということをまず申し上げておかなきゃいけないと思いますが、それはそれといたしまして、災害をお受けになった方にどの程度公の支援を行うかということは、やはりいろいろな形で考えなければならないことだと思うんです。
 今、委員は鳥取県の例をおとりになりまして、例えば、当座、要するに、とりあえず住んでいただく住宅を建てて、それに数百万かかる、三百五十万ですか、かかるんです、取り壊すのにまたかかる。それよりは、そこにずっと住めるように、持ち家なり建屋なりをきちんと再建する費用を支援するという選択をした鳥取県のケースは非常によかった、こうおっしゃいます。
 それはそうかもしれません。それは、鳥取県の、特定の地域だったから適用できた話でありまして、これはいろいろ御議論はあることでございましょうけれども、逆に、例えば、大都市でそれが起きました場合に、直ちに住宅再建をする、仮設住宅は建てないというような選択が果たしてできるのか。私は、災害の起きる場所、それからまた災害の起きた態様、それによりまして随分違うのではないかということを申し上げざるを得ない。
 そういう意味で、どの程度のことが公平に、また最低限度行われるべきかということは、またこの委員会でいろいろ御議論をいただきたいところでありますけれども、現在のところでは、被災者に対する救援、当座の措置というのは、一応、私はミニマムのものは用意されているということは一つの事実だと思っております。
山田(正)委員 これから委員会でも、災害支援についていわゆる勉強会を予定しているようですが、その中で、ぜひ大臣各位においても前向きにひとつ御検討いただければと思います。
 私の持ち時間は終わりました。質問を終わります。
田並委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 台風六号、そして七号は、全国各地に多数の被害のつめ跡を残しました。
 その一つが、群馬県境町での竜巻被害であります。私もその直後に現場に行ってまいりましたけれども、人が居住している家屋で、全壊が七棟、半壊が九棟、一部損壊が六十五棟、負傷者十人、被災した建物すべてで百十軒以上でした。幅数十メートル、約三キロ余りにわたって直線上に被害が出るという、大変局所的ではありますけれども極めて重大な災害であります。
 お手元、参考に毎日新聞の記事を紹介して、図もあるとおり、大変特徴的な災害であります。その記事の中にもありますけれども、町役場の職員の人が、きょうはよく鳥が飛ぶねと見ていましたら、いや、あれは鳥じゃない、トタン屋根だと、空高くトタン屋根が多数舞い上がっている。一番被害の出た川沿いの天人寺というお寺さんの、本堂の銅製の屋根も吹き飛ばされたわけですが、直径一メートル五十センチのカシの木が、その竜巻で倒されて毘沙門堂をすべて押しつぶす。
 その写真でも、奥にあるのは本堂、屋根が飛んでいて、手前にある崩れているのが毘沙門堂で、跡形もなく破壊をされるような大変なエネルギーがあったわけであります。墓石も軒並み倒れておりました。近所の男性の方が、爆弾を落とされたみたいだ、こういうふうに受けとめていらっしゃった。家の屋根が完全に吹き飛ばされたお宅では、台風の雨で家財道具もすべてだめになってしまい、みんなが元気だからそれだけでよかった、でも、住む家にめどが立たないので、これからは不安が多いです、このようにおっしゃっておられましたし、また、全壊した理髪店、床屋さんでは、自分の家だけではないから仕方がないが、悔しいと。
 こういう被災者の生活再建を支える政治が求められていると思います。被災者生活再建支援法では、このような竜巻被害でも、十戸以上の全壊家屋が生じれば支援金支給の対象となります。その他の施策も含め、政府としても、県や町と連携をとり、その支援にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 その点で、これにかかわり村井大臣にお聞きします。このような被災者支援策の判断材料となり、災害時の被害調査の基準ともなる災害に係る住家の被害認定基準は、大変重要な基準であります。この認定基準が、昨年の六月二十八日付で見直しがされております。なぜこのような見直しを行ったのか、この見直しのポイントは何か、お聞きします。
村井国務大臣 今御指摘の台風に関連する竜巻、幸いにして人命に犠牲がなかったということだけが救いでございまして、大変なことだと私も、認識しております。
 お尋ねの住家の被害認定基準につきましては、これはちょっと古い話でございますが、昭和四十三年の六月当時の、中央防災会議事務局を担当していた総理府におきまして統一基準を策定したという経過がございます。しかしながら、最近、住宅の構造ですとかあるいは仕様が変化してきたということを受けまして、住家の部分は最近の災害の被害の実態に合わないのではないかという指摘が非常に強く出てまいりました。
 具体的に申しますと、建物に例えば断熱材が入っている。その断熱材が水でぬれてしまいました場合に、現実には、壁が膨らんでくるとかいろいろな問題が起こるわけでございますけれども、こういったものには対応できないような基準になっておった。その他いろいろ細かい点がございますが、そういったことで、関係省庁参加のもとに、平成十二年の十一月から検討委員会でずっと見直し作業をやってまいりました。その結果、まとまりましたのが昨年六月でございまして、中央防災会議で御了承いただきまして、内閣府から、警察庁、消防庁、厚生労働省、中小企業庁及び国土交通省、関係五省庁に通知をいたしまして、これらの省庁で地方公共団体に対しまして、被害認定基準の見直しにつきまして周知を図るというようなことにしたわけでございます。
 建物の傾きでございますとか、先ほど申しました浸水による断熱材の吸収等による被害認定を判断基準に追加いたしまして、一番のポイントは何かと申しますと、居住のための基本的機能が失われていれば、これはもう壊れたんだ、こう認定するというところが一番のポイントでございます。そういったことで改正をいたしたということでございます。
塩川(鉄)委員 この被害認定基準というのが、被害の全体の規模を調べる上での迅速性の基礎的な資料であると同時に、被災者生活再建支援法の適用などにかかわる実際の支援策に当たっての判断材料となる、こういう点でも大変重要だというふうに思うわけです。
 その点で、この被害認定基準の変更について、先ほど御説明があったように内閣府から各省庁に通知が出されました。現に、厚生労働省と消防庁から、各都道府県に通達も出されております。その厚生労働省が出している都道府県あての通達の中に、都道府県に対して内閣府の方から、「災害に係る住家の被害認定基準運用指針が別途送付される予定であり、参考とされたい」というふうになっております。
 この運用指針は、都道府県、市町村に対していつ届けられたのか、まずその点を一点お聞きします。
高橋政府参考人 委員御指摘のように、この住家の被害認定基準は、いろいろな、被災者に対する支援策でありますとか、そういう判断基準にもなるものでございまして、第一線で罹災証明等を行う担当の職員を初め、徹底して新しい基準を承知していただく必要があると思っております。そのために、標準的な調査方法及び判定方法を示しました災害に係る住家の被害認定基準運用指針を関係省庁の協力も得つつ策定しまして、昨年七月に各地方公共団体に配付いたしました。
 今後も、関係省庁と連携を図りながら、研修会等のさまざまな機会を通じまして、各地方公共団体に対して運用指針等についての周知に努めてまいりたいと思っております。
 あと具体的には、各県において、県内の市町村の防災担当職員を対象とした研修会等が企画されますと、内閣府からも出席して御説明しております。昨年の七月に各都道府県の防災担当部長あてに内閣府と消防庁連名でそれぞれ届けておりますし、また、それぞれ関係各省庁から地方公共団体の各部局に対して周知徹底が図られているわけでございます。
塩川(鉄)委員 本当に届いているのかということなんですよ。
 といいますのは、私、この群馬県境町に行きました。町長さんにもお会いして、その後、群馬県庁にも行ってお話も伺いました。この分厚いものですね。専門家でない方にもわかりやすいというので、百ページ以上にわたる運用指針です。届いていれば当然わかる話であります。実際には昨年七月ということで届いていないわけですね。
 例えば群馬県の消防防災課、うちが担当しているところですというところでお聞きしましたら、昨年には届いていないんです。いつ届いたかというと、ことしの六月二十日付の送り状のついた運用指針が届いた。つまり、先月届いている。去年出したものが先月届いている。境町に届いたのはいつかといえば、竜巻被害があって、その日に駆けつけた県の職員がその運用指針を持ってきたときだった。専門家でない方が実際に被害認定に当たって基本となるべき運用指針というのが、昨年出しているのに、現場ではことしなんですよ。一体どういうことなんですか、大臣。
高橋政府参考人 昨年の七月に内閣府と消防庁の連名で各都道府県の防災担当部長あてに配付いたしました。そしてまた、内閣府、消防庁のホームページ等を活用して周知しているわけでございますが、委員御指摘のように、第一線の方に周知することが大事だということで、本年六月にまた改めてその資料を配付したわけでございます。また……
塩川(鉄)委員 いいです。その六月二十日付の送り状を私も送ってもらいましたよ。つまり、現場では去年届いていないということなんですよ、第一線の担当者が持っていないんですから。
 ついでに私の地元の埼玉県にも聞きました。消防防災課、今もって届いていないという話ですよ。消防防災課の、過去、去年からの一年間の収受簿を全部調べてもらいましたけれども、内閣府から運用指針が来ていないんですよ。これは問題じゃないですか。そういう点でも、改めて、全都道府県、市町村へきちんと届くようにし、わかりやすく説明する。この点、ぜひはっきりさせていただきたい。大臣、いかがでしょうか。
村井国務大臣 これは、こういったことを決めましたら、塩川委員御指摘のように、非常に基本的な話でございますだけに、決めましてから一年たってようやく到達する、あるいは到達していないという事態は、非常に残念としか言いようがございません。
 いずれにいたしましても、内閣府防災担当といたしまして、もう少し目配りをよくやってまいりたいと存じます。決めればいいというものではないということは、全くおっしゃるとおりでありまして……(塩川委員「しっかり届けていただけますか」と呼ぶ)届けるというよりも、これは、私は、仕組みといたしましては、多分、まず都道府県から各市町村にというようなやり方でいくべき性格のものだろうと判断いたしますが、いずれにいたしましても、こういう新しいルール、ルールの緩和といいましょうか、ルールがより適切になったものがきちんと必要なところに届くように、十分な目配りをしてまいりたいと存じます。
塩川(鉄)委員 埼玉県には届いていないんですから、まずそこに届けていただくというのが第一だと思いますし、あわせて、この被災者生活再建支援制度、これを担当しているというのはどこかといえば、それぞれの県の消防防災課であります。群馬県庁でも、消防防災課に対して、この被災者生活再建支援法の適用に当たって参考としているものは何かとお聞きしましたら、出してきたものが、被災者生活再建支援基金が発行しております「被災者生活再建支援制度―事務の手引き―」というものです。これはいつ発行したものでしょうか。その一点。
高橋政府参考人 現在、被災者生活再建支援基金から出されております「事務の手引き」は、平成十二年七月に改訂されたものでございます。
塩川(鉄)委員 平成十二年七月ということは、去年起こった災害については認定基準が入っていないということなんですよ。先ほど説明がありましたように、被災者支援制度の判断材料となる認定基準が新しくなっているにもかかわらず、現場では古い手引を使っているんですよ。消防防災課の方がコピーして持ってきた、支援制度の説明で持ってきたというのは、この「事務の手引き」のコピーですよ。現場ではこれで仕事をしているわけですよ。同じことは埼玉でも言われていました。
 こういう点でも、全壊、半壊の認定といっても、その信頼性、公平性、的確性が問われるものになっている。現場に本当にしっかりこのことを理解していただく上でも、すぐこれをきちんと改訂版を出す、それで届けるということをやっていただきたいし、あわせて、今、現状で行われている判断基準そのものの妥当性も疑われる部分もあるわけですから、これについても、きちっと現場にこの点、改めることも含めて正す必要がある。その点、大臣、いかがでしょうか。
村井国務大臣 今御指摘のこの被災者生活再建支援制度の事務の手引という資料でございますが、確かに現場で大変活用されているものではありますが、これは被災者生活再建支援基金が発行しているわけでございます。そういう意味では、建前論からいえば、その改訂等は基金がやるべきことだ、こういう答弁になるんでございましょうが、それじゃいけないんで、やはりちゃんとこれがこういうところまで、目配りと先ほど私、申しましたけれども、今大変貴重な御指摘をいただきました。十分これからも注意いたしまして、同様のことがないようなチェックもしたいと思っております。どうもありがとうございました。
塩川(鉄)委員 指摘しました運用指針の徹底、また、この「事務の手引き」という、現場の皆さんの判断の材料、土台とされているこういった資料をきちんと届けていただきたい。それが前提ということでお願いして、質問を終わります。
田並委員長 瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、六号台風による岐阜県の大垣市等の災害対策について、まず伺います。
 今回、五百五十一戸の浸水被害を受けました大垣市荒崎地区の浸水は、先ほど御質問にもありましたように、江戸時代、旧大垣藩の城下町を洪水から守るための堤防より低い洗い堰からの溢水でありまして、ある意味では起こるべくして起きたものでもございます。輪中と言われるような小堤防のようなものに囲まれた昔ながらの住居は、今回でも水害の被害になりませんでした。ところが、昔から遊水地として使われてきたことを十分住民に知らせないまま、地域を市街化区域として県営住宅や市営住宅まで建設して住宅地として開発してきた行政の責任、これは人災、政治災害として問われるものだと私は思います。
 その生活復旧や中小商工業の復興、今後の防災対策、住宅のかさ上げだとか移転、こうした問題については、きちんと公的に支援する制度を検討すべきだと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。
村井国務大臣 どうしても一般論として申し上げざるを得ないんでございますが、損壊した家屋等の処理等々でございますけれども、これはやはりそれぞれ家屋をお持ちの方々の責任でやっていただく世界ではなかろうか。
 ただ、今、瀬古委員御指摘のような行政の懈怠と申しましょうか、この問題、私は、そこがもともと遊水地だった、したがって、水害に遭う可能性がある、これはやはり市営住宅ということであれば、住宅地にしたということであれば、市の御判断ということなんでございましょうけれども、やはり国の立場から申しますと、それぞれの自治体の責任で対応をお考えいただくべき問題ではなかろうかとしか、ちょっと申し上げようがないのではないかと存じます。
瀬古委員 少なくとも、ここはそれなりの水害の危険性があるという地域に市営住宅や県営住宅などをつくってきた責任、それぞれの自治体の責任も当然あると思うんですが、しかし、全体的には、こうした災害復旧という問題でいえば、国も一定の、それなりの制度をつくってしかるべきだ、そういう検討もぜひしていただきたいと私は思います。
 二つ目なんですけれども、今回の被害、徳山ダムを建設すれば今回の溢水が防げたとして、ダム建設の前倒し要請も出されていると聞いております。この溢水は洗い堰と対岸と同じ高さにすればなくなる、徳山ダムができれば堰は閉めることになると行政当局が住民に説明している場合もございます。
 今回、徳山ダムがあれば溢水はなかったという科学的な根拠があるんでしょうか。徳山ダムができれば堰はなくす計画なんでしょうか。その際、両岸同じ高さになるということなんでしょうか。伺います。
鈴木政府参考人 御説明いたします。
 徳山ダムができれば今回のこの地域の洪水はなかったのかということでございますが、この徳山ダムというのは揖斐川の上流に建設されます。その揖斐川が下流の方に下ってまいりますと牧田川というのが合流しておりまして、さらに上流に杭瀬川があり、そして相川があり、その上流に大谷川がある、こういう位置関係にあるわけでございます。この徳山ダムが完成いたしますと、揖斐川本川の洪水が当然低下する、河道しゅんせつを行いますと低下するということになりまして、それの効果が先ほど言いましたような川の順番で上流の方まで上がっていきます。
 そういう意味で水はけがよくなるということは間違いないことでございますが、その際、洪水がどの程度低下するのかということについては、雨の降る位置や大きさとかいろいろなことによって違ってまいりまして、効果があることは間違いないわけでございますが、それはいろいろなケースがございますので、これはきちっと調査をしなければいけないことだと思います。(瀬古委員「今回」と呼ぶ)
 今回について、これも今データをいろいろ見ておりますが、ちょっとまだ、私どもの手元に届いたばかりでございますので、完璧なことは申し上げにくいんですが、この当該地点の洪水のピークというのが、下流で合流している河川の影響を受けたということはデータから見て間違いないんですが、先ほど言いましたように、だんだんつながっていって、それから揖斐川の方に到達するということでございますので、揖斐川の効果が今回の浸水のどの時点で影響しているのか等々、これはやはりきちっと調査してまいらなければわからないことでございます。
 もう一つの御指摘の、徳山ダムができれば堰をなくすのかという御質問がございました。これは、先ほどの御質問でも申し上げましたが、大谷川の河川整備は、杭瀬川、相川、泥川、こういった流域全体の治水の安全度を上げるということが大前提でございまして、この川だけの安全度を上げるということになりますと、ほかのところが大変大きな災害を起こすことがあるということでございますので、流域住民のコンセンサスを得る必要がございます。
 さらに、そういった全体の事業をやるということについては大変大きな事業量を要するということから、私どもとしまして、県の方としては、全体が完成しないと治水効果が得られない、これはやはり避ける必要があるわけでございまして、段階的に安全度を高める河川整備を実施しているところでございます。
 そこで、いよいよ先ほどの御質問の核心に入ってまいりますが、当面の計画としては、徳山ダムが平成十九年度に完成する、こういう予定でございまして、これを目途に大谷川の堤防補強や洪水の安全な流下を阻害している橋梁のかけかえ等を実施することにしております。そういったことで、これによりましてさらに現在よりも洗い堰の高さを上げることができます。
 さらに、先ほどから申しておりますように、流域全体として、杭瀬川、相川、泥川等の改修の全体の進捗を待ってこの問題の洗い堰の高さを上まで上げる、こういう二段階の計画になってございます。
瀬古委員 今回、洗い堰からの溢水は十日の午前六時十分、そのとき、揖斐川の下流今尾地点の水位はまだ三・八九メートルです。そして、同地点での同日の最高水位は八・七九で、これは午後二時なんですけれども、揖斐川上流の徳山ダムは今回の溢水に何の影響も持たないことは明らかなんですね。それはぱっと資料を見ただけでも、はっきりしていると思います。
 そういう意味では、今御答弁されたように、その時点時点でこの徳山ダムができていれば大丈夫だったなんて、溢水はなかったなんて必ずしも言い切れないということはもうはっきりしていると思うんですね。ましてや今回の場合は、全然、時間的にはずれがございますから、それを、ダムが早くできればこれがなかったなどというキャンペーンは大変問題があると思います。
 そして同時に、この洗い堰もダムができれば解決するんだと言うんだけれども、今言われたように、まだ、全体的な、総合的な治水のそれぞれの対策、こういうものができていない限りは、一定の堰を上げたとしても、全体的にはなくすなんということはないということが今の御答弁の中でも明らかになったと思うんですが、そういう点を意図的にキャンペーンをやられているということに対して、大変問題があると私は思います。
 そういう点では、今言われたように、今回の溢水の原因を全面的に科学的にやはり調査する、そうして、その調査を全面的に公表すべきだと私は思います。今度のこういう調査をもとに、被災者住民を含む住民代表、専門家、関係自治体を含む検討委員会、流域委員会などを設けて、住民合意のもとで防災対策や治山治水対策を進めるべきだというふうに思います。
 とりわけ、長良川の堤防も今回決壊しておりますけれども、森林荒廃を原因とする災害というのが大変多くなってきています。そういう意味では、山の保水力というものについての抜本的な対策も含めて考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
鈴木政府参考人 後からまた御答弁があると思いますが、前段の部分について若干補足させていただきます。
 私、先ほど申し上げましたのは、徳山ダムも完成することが必要でございます。さらにそれだけでこういった下流の支川の治水対策が、直接、本川ではございませんので、支川の洪水対策が本川の上流につくられる徳山ダムの完成だけで完成するということではないことを申し上げたわけでございまして、徳山ダムと、さらにその支川の改修全体としてやる必要があるということを申し上げました。
 それから、この原因を科学的に調査しさらに云々ということでございましたが、これについては、現在、今回の出水を受けまして、岐阜県は、洪水痕跡、浸水範囲、浸水深の調査と雨量、水位データの収集、こういったものを実施しているところでございまして、結果が取りまとまり次第、公表する予定であると聞いております。
 なお、この対策について、現在、大谷川を含みます牧田川圏域については、河川法に基づく河川整備計画を策定するということで、昨年度から検討委員会を開催してございます。この検討委員会は、一般住民からの公募メンバーと行政からの推薦メンバー、三十名、三十八名ということにそれぞれなるわけでございますが、そういったものから構成されておりまして、昨年度既に三回の会議が持たれております。問題の大谷川についても、検討会内に設置されました、相川・大谷川・泥川ブロック会議というところで議論されております。
 これまでもアンケート等により住民の方々の意見の聴取に努めているところでございますが、今後とも、御意見を幅広く伺いながら、整備計画を策定する方針である、このように伺っております。
辻政府参考人 森林は、災害の防止等の公益的機能を有してございまして、その高度発揮を図るためには、健全な森林の整備を図ることが必要でございます。しかしながら、一方で、現在、森林・林業をめぐる情勢は大変厳しいわけでございまして、間伐等の手入れの不十分な森林の増加が懸念される状況でございます。
 このため、昨年、森林・林業基本法に基づきまして森林・林業基本計画を策定いたしまして、地域の幅広い関係者による合意形成を図る中で、森林を、重視すべき機能に応じまして水土保全林、人と森との共生林、資源の循環利用林、この三つに区分したところでございます。その中で、特に水土保全林につきましては、地域住民の意向等も踏まえつつ、治山事業等による森林の整備、保全、治山施設の設置等を積極的に推進しているところでございます。
 今後とも、災害防止に果たす森林の役割の重要性にかんがみ、総合的な治山対策に努めてまいりたい、そういうように考えてございます。
瀬古委員 時間が余りございませんが、最後、岩手県の釜石市に私、参りまして、ここは二人の方が亡くなっています。
 それで、ここはがけ地が多くて、もう本当に災害の救出、そして復興も大変な状態になっています。しかし、全体的には災害救助法の基準に合わないということで、実際に適用されていないんですね。でも、やはり全体的な状況を含めて、災害救助法の適用を柔軟に行って、危険家屋の撤去、それから住宅支援を含めた復興対策をぜひ進めていただきたいというように思います。
 それからさらに、ここは急傾斜地が大変多いわけなんですけれども、この整備がもう本当におくれているんですね。そういう点では、財政的な負担も含めて、国として一定の集中整備ができるような援助をぜひお願いしたいと思うんですが、最後に伺います。
真野政府参考人 災害救助法の適用の関係について御説明申し上げたいと思います。
 私ども、災害救助法の適用基準を国で決めておりまして、原則として各市町村の人口規模に対します家屋の全半壊世帯数を用いているわけでございますが、この要件に該当しない場合でありましても、当該市町村におきまして多数の者が生命または身体に危害を受け、または受けるおそれが生じ、避難して継続的に救助を必要とされる場合等には、都道府県知事の判断で災害救助法の適用が可能ということになっておりまして、従前は厚生相に協議をするということになっておりましたが、今は都道府県知事の判断で適用が可能ということになっております。被災の状況を一番よく総合的に把握されている各県において判断をされるものというふうに考えております。
鈴木政府参考人 手短に申し上げます。
 砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業は大変重要な事業と認識しております。厳しい財政状況の中ではございますが、事業の進捗を図るべく資産の確保に努め、危険箇所の対策工事を進めてまいります。
瀬古委員 ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。終わります。
田並委員長 菅野哲雄君。
菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。
 当委員会に、村井防災大臣から、台風六号、七号による被害の状況報告がなされました。私は、申すまでもなく、台風本体と梅雨前線に伴う雨の大きな被害というものが、岐阜県、あるいは全体的な統計を見ると、岩手県南部に集中していたというふうに言えると思っています。
 それで、大臣に冒頭お聞きしたいんですが、台風による被害というのは、公共交通機関に大きな影響を及ぼしているというふうに思っています。それで、鉄道、船あるいは航空路線においてもかなり運休や欠航という状況になっているにもかかわらず、このことが大臣のこの災害の報告には触れられていないという状況であるというふうに思います。
 特に、私が毎週帰って通っているところですが、岩手県の東山町においては、後でも申しますが、鉄砲水が出て地方ローカル線が本当に今も運休したままという状況になっているのが現状なんですね。そういう意味では、ローカル線の果たす役割というのは、通勤通学に大きな影響を及ぼして、そしてまだ十日間以上もかかると言われていて、その間どうすればいいのかという形で交通弱者の人たちが困っている現状だというふうに私はとらえています。
 一日も早い復旧を地域の人たちは待ち望んでいるということでありますけれども、大臣、公共交通機関というこの位置づけですね、JRになっても私は公共交通機関だというふうに思っています。国もしっかりとしたその対策というものをとらなきゃいけないというふうに思うんですが、大臣、このことに対してどう思っていますか。お聞きしておきたいと思います。
村井国務大臣 先ほど御報告の中でごく簡単に触れさせていただいたこと、申しわけないと存じますが、今回の台風第六号でございますが、鉄道ではJRを含めまして多数の路線に影響を及ぼしておりまして、現在も、JRの大船渡線の一ノ関―千厩間、それから長良川鉄道の郡上八幡―美濃白鳥間の二路線におきまして運休している、このように承知しております。
 なお、JR大船渡線につきまして、先ほど私の報告の中で全線不通と申し上げましたけれども、そしてまた資料の方もそうなっておりますが、十七日当初は全線不通でございましたが、その後順次運行を再開しまして、さらに本日、運転を再開した区間もございますので、現在の不通区間が一ノ関と千厩の間のみ、こんなふうになっておりますので、この点は訂正をさせていただきたいと存じます。
 さて、ただいま菅野委員御指摘の点でございますが、私の地元でも実は、あれは平成七年でございましたか、梅雨前線災害で大糸線の北部が全部やられまして、本当に大変な事態になりました。当時、JR西日本などに協力をしてもらいまして、一方、当時の建設省河川局で大変な工事もやっていただきまして、それを合わせました形で復旧を何とかやってもらって、まさに今、委員おっしゃいましたような交通弱者、車を使わない人たちにとりましての不可欠の足である鉄道を回復することができた。
 その経験を私自身も持っておりますだけに、鉄道の不通というのは特に交通弱者の皆さんに大変大きな影響を及ぼしている、そういう意味では、鉄道事業者の努力によりまして一日も早い復旧がなされることが大切である、それを期待しておる次第でございます。
菅野委員 今最後に大臣いみじくもおっしゃいましたけれども、鉄道事業者の努力によってという言葉、今の段階ではそれしか言えないというのが現状だという、私自身もそのことはわかっております。
 ただ、国鉄時代はそれじゃどうだったのかということを振り返ってみたときに、確かに国鉄という責任において復旧作業はしましたけれども、総動員かけて一日も早い復旧ということに全精力を傾けたというふうに私は思っています。それだけ地域における鉄道というものの果たす役割というのが大きいという認識が、私は今もかつても変わりないというふうに思っています。
 それがJRになってからどういうふうな影響が出てきているのかというふうに考えたときに、やはり東日本旅客鉄道会社ですか、そのJRの努力によってという形には、ずっとそういう形がつくられてきて、一日も早い復旧というところがないがしろにされている嫌いがあるのじゃないかなというふうに思っています。
 それで、民間だから民間会社に任せるというのではなくて、やはり防災担当大臣として、公共交通機関の運転をどう確保していくのかという観点を形づくっておく必要があるんじゃないのかなというふうに思うのですが、その考え方をぜひお聞きしておきたいというふうに思います。
村井国務大臣 経営体としてのJRの存在がございますし、その判断というものがございますので、一般的に申し上げるのはなかなか難しいのでございますけれども、今ちょっと申し上げましたように、実は私の地元で起きましたことは、JR西日本が大変難色を示したわけでございます。たしか、百円稼ぐのに七百円コストがかかるという大変な赤字路線でございましただけに、できれば、あのときやめたかったというのが本音ではなかったか。
 そこへ何が起きたかといいますと、建設省の補助もちょうだいしながら、長野県で思い切って河川改修という形で、現実には、線路の床の部分と申しますか、ここを造成するという形をとりまして、JR西日本はその上にレールを乗せればいいという程度にまで持っていった。そこで、JR西日本も、地域の強いそのような要望に従って、この大糸線の北部でございますけれども、これを復旧したというような例もございます。それぞれの実態に即しましていろいろな工夫の仕方があるのではないか、それにつきまして、可能な支援を私どもとしてもいろいろ工夫をしてまいりたい。そのときに、今申し上げましたように、当時の建設省河川局の大変な支援を得たことは、一つの事実として私は想起できるところでございます。
菅野委員 私、取り上げているのは、幹線鉄道であれば、これはみんな復旧作業に総力を挙げて取りかかっている。村井大臣、いみじくもおっしゃいましたけれども、このJR大船渡線というのは本当にローカル線でありまして、本当に赤字ローカル線と言われる線が、ややもすれば交通弱者という人たちがいるにもかかわらず、放置される傾向に今ずっとなってきているということをしっかりととらえておく必要があるというふうに思います。
 それで、今走っている公共交通機関において、そういう事態が発生したときにどう対処していくのかということを、国としてしっかりとした制度をつくっていかなければ、赤字だから災害復旧がおくれるという形がやはりあってはならないというふうに私は考えていますから、取り上げているところでございます。ぜひ、これからの対策を強くお願い申し上げておきたいというふうに思っています。
 それで、この岩手県東山町、ちょうど東山町において鉄砲水が発生して、鉄道の床がすっかりえぐられてしまって、鉄道路線が橋のように宙づりになっていることで、十日以上も復旧作業にかかる、時間がかかっているのですが、相当被害が出ました。そして、災害救助法も適用になって、今一生懸命、復旧作業に、地域挙げて、町挙げて取り組んでいるんです。私もずっと、地元に帰るときに通る地域なものですから、現地を往復見ているのですけれども、地元の新聞も取り上げて、この被害がなぜ起こったのかということで、鉄砲水が原因だというふうに報道されているんですね。鉄砲水が一気に川から流れてきて、流木も、倒木まじりの泥流が一気に襲来というふうに書いています。倒木まじりの泥流が一気に襲来というふうに地元では書いているのですね。そういう状況の中で大被害を受けたというふうに言われています。私は、この鉄砲水の問題というのをやはり考えておく必要があるというふうに思うのですね。
 なぜこの鉄砲水が起こるのか。局地的に大雨が降ったということだけで片づけられる問題ではないというふうに思うのです。そして、ずっと私の持論ですが、先ほども瀬古委員が言っていましたけれども、この一つの原因として、山林、森の保水力の低下というものを指摘せざるを得ないというふうに思うのですね。先ほどの倒木まじりの泥流がということが、そのことを端的に示しているというふうに私は思うのです。
 大臣、こういう現状が、今、東山町だけじゃなくて日本全国の現状であるというふうに立って、この鉄砲水というものをどう考えておられるのか、大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
村井国務大臣 以前も菅野委員に申し上げたことがあったように思いますけれども、私の地元も全く同じ悩みを抱えている地域でございまして、結局、山がいろいろな意味で荒れてしまった。それから、戦後、針葉樹が非常にたくさん植えられたというようなことも恐らく影響しているんだろうと思います。
 それから、これは、昨年の防災白書で、「二十一世紀の災害の態様」の問題点の一つとして記載したところでございますけれども、日本国土の六割、人が住まなくなってしまったということは、私もいつも感じていることなんでございますけれども、私の地元でございましたら、どうしても、例えば松本ですとか長野ですとかいうような都会に人が集まってくる。そして、同じ村の中でも、山奥から平らなところに皆さん集まってくるということで、結局、昔は人が分散して住んでいたところが、どんどん人が住まないところになってきて、その結果、人の手が入らない山がたくさんできてくるということになるわけでございます。こういった意味で、いわゆる水土保全林というような言葉があるようでございますけれども、森林整備といいましても容易なことではないわけでございます。ともかくそういう問題意識を国民みんなでひとつ共有していただいて、対応をやっていくというのが大切ではないかと私はいつも思っている次第でございます。
 そういう意味では、私の地元なんかもどんどん過疎になっておりますけれども、できればそういうところにも人が住んでもらうという施策が要るのじゃないかと思っておる次第でございます。
菅野委員 前にも伊吹防災担当大臣とも議論しているのですが、そこまでは、問題意識を国民全体が共有していかなければならないということまでは、みんな同じ考えで共有できるのです。それから先が、具体的な道筋というのをつくりかねているというのが現状だというふうに私は思っています。
 先ほどの林野庁の答弁を聞いていましても、森林・林業基本法をつくって基本計画を制定しました、それで、それに基づいて山林整備をしていきますと言っているにもかかわらず、山村地域に人が住まなくなって、間伐も具体的に行われていない現状であるというふうに先ほど答弁は聞いておりました。そのことをそれじゃどう打開していくのかということを、私も農林水産委員会に所属していますから、そちらの方でもここまで議論しているのですが、議論しているにもかかわらず先に進まないというのは、どこに原因があるのかな、私は、国民全体が共有していることであるというふうに認識はしています。ぜひ、防災大臣として私は議論したいのですが、この山林の持つ保水機能というのが非常に重要な役割を担っているんだと。そして、防災という観点から、先ほども河合委員の方からも、地球温暖化という問題も提起されております。この地球温暖化防止という観点と防災という観点、これをかみ合わせて、国を挙げて、政府を挙げて山林に手をかける施策というものをどう展開していくかということが、今非常に重大な時期に来ているんではないのかなというふうに思っています。
 そして、これからも、大災害でございますから、市町村、県含めて災害復旧が行われて、災害査定が行われて、国が補助金を出していくという仕組みしか今はございません。そういう意味では、防災という観点から、災害を防ぐという観点から、地方に対して、ある基金、お金を交付していく、そういう制度を内閣府としてつくり上げることが非常に重要ではないのかなというふうに私は思うんです。災害が起こって災害復旧に対処するということだけではなくて、未然に災害を防ぐ、そのための一つの手段として山林をしっかりと整備していくという政策を打ち出すべきだと私は思うんですけれども、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
村井国務大臣 全く同感でございますが、ただ現実、非常に難しいのは、例えば土木建設というのはかなりの程度まで機械化されているわけですね。それからもう一つ、農業というのもかなり機械化されているわけですが、それから諸外国におきまして、林業の施業というのも非常に機械化されているわけでございますけれども、一番の問題は、残念ながら日本の場合、大体いわゆる山でございます。傾斜しているところで機械で作業ができるという環境になっていない。
 そこのあたりが、実際に、例えば長野県なんかで、さっき委員が仰せになりましたように、倒木が鉄砲水で一緒に流れてくるというような事態を引き起こします一番の原因になっておる。間伐もできない、枝打ちもできない、これを人力でやらざるを得ない、結局やる人はいないという問題がもう一つの大きな悩みでございまして、そのあたりを本当にどうしたらいいのか、ひとつ、ぜひいろいろまたお知恵をちょうだいしたいと思う次第でございます。
菅野委員 袋小路に陥っているというふうに大臣はおっしゃるんですが、私は、政策として、施策として、例えば、地方自治体がまず持っている山を本当に整備していく、そして民有林をどのように整備していくのかという問題なんですが、そこにもやはり行政の手を使ってやっていかなければ防災という観点が浸透していかないというふうに思っております。先ほどからも議論になっていますけれども、単に民有林は民有林としてその所有者が手をかけるべきだという施策を展開していったならば、前に進まないというふうに私は思います。やはり国として防災という観点からしっかりとした対応を打ち出す、そういう検討というものをしっかりと行っていただきたい、このことを申し上げておきたいというふうに思っています。
 それで、三つ目なんですが、議員立法で、当委員会委員長提案で東南海・南海地震対策特別措置法案が衆議院を通過して、今、参議院段階で議論になろうとしております。このことは当委員会で、委員長提案という形ですから、質疑は行われませんでしたけれども、大臣に少し考え方をお聞きしておきたいというふうに思うんです。
 東南海・南海地域に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法案というものが出て、今、災害対策基本法があって、地震防災対策特別措置法があって、そして大規模地震対策特別措置法、これは東海に対する立法と、これで四つ目という形になるんですね。それで、今回の東南海・南海地震の部分は地域限定の法律案である。その他の部分は、大規模地震対策特別措置法も東海という地域限定の特別措置法ですが、私は、法律というのはくまなく、全国ひとしく対象にすべきだというふうに思うんです。
 特別の事情がありますから、この東南海・南海地域という部分も法律案として制定する意義はわかるものの、大臣、一つは、そういう状況において、内閣総理大臣は防災対象推進地域として地震防災対策を推進する必要がある地域を指定するものとするというふうに第三条で書いているんですね、東南海・南海地震の法律では。それからもう一つは、大臣が所管している中央防災会議は防災対策推進基本計画を作成し、その実施の推進をしなければならないという規定をしております。
 これは、東南海・南海地震に対して、海溝型地震に対して、大臣としての決意が法案が委員会を通った後披瀝されましたけれども、そこにも、同様の措置を講じていくという決議案に対して意見表明がなされました。こういうことも含めて行っていくことなのかどうか、私はこのことをお聞きしておきたいというふうに思うんです。
村井国務大臣 東南海・南海地震につきまして、先般、当委員会で、委員長の御提案によりまして法律案を御可決いただいたわけでございます。そのときにもいろいろ申し上げておりますけれども、私どもは、今度の東南海地震につきましての法律の効果というのは、言ってみますと、大規模地震対策特別措置法の適用に至るまでの、いわば一種の事前措置みたいな形で今度の法律はできたんではないか、こんな理解をしております。
 私どもといたしましては、これから、御示唆に従いまして、また法律の命ずるところに従いまして、東南海・南海地震に係る防災対策推進のための組織体制の整備でございますとか、いろいろきちんとやってまいるつもりでございますが、それのみならず、他の海溝型地震も含めた地震防災対策の推進にも、これは当然いろいろ努力をしてまいらなければならないと考えていることは、先般、私も所信として申し上げたとおりでございまして、そういう意味で、さよう御理解いただければありがたいと思う次第でございます。
菅野委員 大臣、私は、法体系というものを内閣府としてしっかり認識しておく必要があるんではないのかなというふうな思いなんです。そういう意味では、災害対策基本法があって、そして地震防災対策措置法があって、大規模地震対策特別措置法、これが全国網羅、それから、例えば地震が多発する地域、そして東海というふうになって踏んできたというふうに思うんです。
 それで、大規模地震対策特別措置法ができたときにどうだったのかということをしっかりと見ておく必要があると思うんですが、東海沖地震は全部地震を予知する可能性、予知することができるということで、それで東海地域に大規模地震対策特別措置法が適用になったというふうに思うんです。
 ただし、東南海・南海も宮城沖地震も予知は非常に困難であるということが、そこはネックになったというふうに思うんですね。そうしたときに、予知が困難な地域をこれからどう予知可能にしていくのかというのは、この決議案にあるように、これはしっかりとした科学的技術水準の向上に努めることというふうにうたわれておりますとおり、努めていかなきゃならない。
 そうであれば、宮城沖地震も含めて、宮城地域は地震防災対策特別措置法に基づいてずっと対応してきたというふうに思うのです。それで、地震予知が可能になったときに、大規模地震対策特別措置法に基づく措置を行っていくという考え方なのかどうかなんですね。
 そこをはっきりしておかないと、地震防災対策特別措置法からそういうことにいかないとなれば、新たな法律案を、地域立法をつくる必要が出てくるのではないのか。それで、部署部署によって地域立法をつくっていかなきゃならないということでは、私は法体系上おかしいんじゃないのかという問題意識を持っているわけです。
 そういう意味において、ぜひ、この決議にあるように、全体的な流れというものを、内閣府として、地震対策、海溝型地震に対してもしっかりとした理念を持っていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
村井国務大臣 全くおっしゃるとおりでございまして、あくまで東海地震のその直前予知が可能であるということを前提にしまして大規模地震対策特別措置法が現にあり、そして東南海・南海地震につきまして予知ができるような段階になったら同じようなことをやろうという趣旨で、言ってみますと、予備軍と申しましょうか、という形で、このたび御決定いただいた。その後のことは地震防災対策特別措置法で対応しているわけでございますが、もしもそれが予知可能だというような段階になりましたら、当然それなりの対応をするということになるのだろうと理解しております。
菅野委員 最後になりますけれども、地震調査研究推進本部地震調査委員会で「宮城県沖地震の長期評価」というものが発表されていて、この地域は、二〇〇〇年から二〇二〇年末の発生確率が八〇%、それから、二〇三〇年末までの集積確率ということで九〇%より大というふうになっております。
 一九七八年の六月十二日に宮城県沖地震が発生して、地域においては毎年六月、地域を挙げて、県を挙げて防災訓練というのを行って、それに備えてきております。地震あるいは津波、防災に対する対応というのは、宮城県を中心とした沿岸地域は、本当に被害を最小限に食いとめようということで毎年繰り返しています。そういうことをやっている地域に対しても、地震防災対策特別措置法という中でかさ上げも行われております、そういう取り組みをやっている地域もあるということをしっかりと念頭に置いていただきながら、ぜひそういう地域にも防災のための対策というものをしっかりと抜かりないようにお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
田並委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 ただいまもお話がありましたが、東南海・南海地震につきましては、委員長の御提案、そして与野党筆頭理事を初め御関係の理事、オブザーバーの皆さんの御努力で大変迅速にすばらしい法案を上げていただいたと、国民の代表の一人として私は心から敬意を表したいというふうに思います。
 どうぞ内閣府村井大臣におかれましては、ただいまもいろいろ御議論がございましたが、大所高所から国民の生命、安全をお守りいただくという意味で、お力を注いでいただきたいとお願いを申し上げたいと存じます。重ねて、委員長初め皆様の御苦労に感謝を申し上げたいと思っております。
 さて、私はきょうは、三宅島の問題、これは私も都民の一人として心を痛めております。このことについてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、真野社会・援護局長においでいただいていると存じますので、お尋ねをしたいのでございますが、帰島後の生活再建は島民の皆さんにとっては切実な問題でございまして、これには莫大な資金が必要になるということが容易に想像できるわけであります。したがいまして、東京都も一生懸命やるでしょうし、村ももちろん頑張られるわけでありますが、それを国が十分に御支援をいただくということが必要ではないか。
 そこで、生活保護の受給要件の緩和の一つとして、預貯金の額について要望が出されていると聞いておりますけれども、五月十六日に当委員会でも委員会の決議を行ったわけでありますけれども、これについてどのように国として対応されていくのか、そのことについてまずお尋ねをしたいと存じます。
真野政府参考人 先生御案内のとおり、生活保護制度といいますのは、生活に困窮される方がその資産、稼働能力、その他あらゆるものの活用を図っていただきまして、なお最低限度の生活が維持できない場合に適用するというのが大原則でございます。
 ただ、今回の三宅島のケースに当たりましては、現実に土地家屋の財産について処分が実際にできないというようなことを勘案いたしまして、保有を認める弾力的な運用をしておりますし、また預貯金の保有というのは、そういう趣旨から原則としてこれを認めないということではございますが、義援金等は国民の善意のあらわれというようなことにかんがみまして、世帯の自立更生のために保有する場合を限度として保有を認めるという弾力的な運用を行っております。
 私ども、そういう意味ではぎりぎり最大限の弾力的な運用を図っておりまして、都としまして、これらの取り扱い、なかなか、非常に難しいケースもございますので、これらの取り扱いの周知や、対象となると思われるというとちょっと語弊があるかもしれませんが、所得の低いと思われるそういう方々に対しまして、電話相談その他訪問相談を実施してこの周知に努めておられるというふうに聞いております。私どもとしても、これらの取り組みの促進を今後とも努力をしてまいりたいというふうに思っております。
西川(太)委員 フロントで努力をしておられる方々も、結局は、法律によって認めていただくといいますか、弾力的運用ということを政府がきちっと認めていただかないとなかなかできないということは、局長も御案内のとおりでございますので、どうぞよろしくお願いをしたいと存じます。
 どうぞ、お役所へ戻ってお仕事をしていただいて結構です。御苦労さま。
 次に、内閣府の高橋政策統括官においでいただいていますが、伺いたいと思うのです。帰島後の生活再建には、家屋の修繕であるとか、また電気製品やいろいろな家財道具、こういうものの買いかえなんかが必要でありまして、これもやはり、それぞれ個人の負担は重いものがあるわけでありますけれども、これらの支援策について、前回も私、伺いましたけれども、その後もいろいろ工夫をしていただいていると承知をしておりますが、これについて、改めてこの段階での御見解を伺いたいと思います。
高橋政府参考人 三宅島の島民の方の生活再建に向けての支援策でございますが、現在、三宅村では、復興基本構想が五月の二十七日に策定されまして、これに基づいた復興基本計画の策定作業が進められております。
 政府といたしましても、去る五月十日に三宅島の非常災害対策本部の会議を開きまして、その中で、まだ帰島のめどは立っていないものの、三宅村復興計画の検討状況を踏まえながら、本格帰島が実現した場合の支援について、今の段階から各省検討を進めていくことを確認しております。
 また、この間、七月四日に中央防災会議が開かれましたが、そこでは、専門調査会の報告が中央防災会議でなされました。その専門調査会の報告の中でも、長期避難をしている三宅島の被災者に対して、「今後、避難生活時に加え、一時帰宅時、帰島時及び帰島後の支援について、通常の制度・施策に加え被災者に対して特別に配慮する観点から、」「総合的な検討を行い、その充実を図るべきである。」という提言が報告されまして、中央防災会議でも、そういう提言を踏まえて政府として検討していくことになってございます。
 帰島後の生活再建に必要な具体の支援策につきましては、三宅村の復興基本計画の検討状況も踏まえながら、今後各省一丸となって検討してまいりたいと思っております。
 東京都及び三宅村と連携しまして、島民の方々に対してできる限りの再建支援を行うよう検討してまいりたいと思っております。
西川(太)委員 大変結構だと思います。どうぞひとつ村の復興計画に沿った努力をしていただきたい。
 貸付金とかよくあるんですよね。しかし、もう九年前になるんでしょうか、奥尻島に災害対策委員会で、私、初めて国会議員に当選して、初めてその視察に行かせていただいたのは奥尻島でございました。そのときも全国から義援金がたくさん集まっておりまして、しかし、そのときに、御当局からの要望は、または地域の商工会からの要望は、やはり既往債務の負担を軽減してほしい、条件変更だけじゃなくていろいろ何とかしてほしい、こういうことでありました。
 確かに貸付金は、一時はいいんですけれども、結局は返さなきゃいけない。さりとて、島民の方々、何でもかんでも甘えるというのでは決してないわけでありまして、しっかり自分でやりたい、だけれども、債務がどんどんふえていくという方法以外にもっといい知恵はないのか。産業復興も含めて生活再建、ただいまの統括官の御報告にありました中央防災会議の専門家の御趣旨をぜひしっかりやっていただきたい。
 こういう意味で、私、松下副大臣にお尋ねをする予定でありましたが、確認の意味で、ただいまの政策統括官の御報告を、副大臣として、ぜひ村の復興計画に沿ってきちっと御指導いただけるようにお願いをしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
松下副大臣 西川議員の御指摘のとおりだというふうに思います。
 統括官からお話がありましたけれども、そういう方向でしっかりと取り組んでいかなければいかぬ、こう考えております。
 三宅村では、五月に、防災しまづくりでありますとか、生活再建、それから地域振興を柱とする復興基本構想を策定いたしました。これを踏まえた上で具体的な復興基本計画を策定していこうということで、今進行形でございます。
 五月十日には、二カ月前ですけれども、政府で非常災害対策本部会議を開催いたしました。その席に三宅の村長さんにも来ていただきまして、三宅村の復興計画の検討状況をお聞きし、それを踏まえながら、本格帰島が実現した場合にどのような支援が可能かということの検討に着手しようということで、具体的に申し合わせて、始まりました。
 帰島の目途が立った、この段階においては、東京都や三宅村と連携して、復興基本計画も踏まえた抜本的な復興対策が必要であると考えておりまして、国としても必要な支援をしっかりと行ってまいりたい、このように考えております。
西川(太)委員 私、ちょっと質問の順序を取り違えたと思いますが、高橋さんに確認の意味でちょっと簡単にお尋ねします。
 ただいまの中央防災会議でいろいろ御検討いただいたのは、もちろん住宅の対策、例えばシロアリ対策とか汚泥による対策、それも当然含まれておりますよね、その点もひとつお願いしたいと思いますが、含まれているかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
高橋政府参考人 中央防災会議での専門調査会の報告は、個別の、具体の話は出ておりませんが、ただ、これまでも二年近く長期にわたって避難生活を続けておられて、まだ帰島のめどは立たない、そういう未曾有の長期避難に対して、一時帰島したときにどうするか、あるいは本格帰島したときにどういう支援をするか、そういったことを真剣に検討せよ、そういう課題でございます。
 そういう中で、委員がおっしゃるような家屋のシロアリ対策、現在、村においていろいろな対策がとられておりますが、そういったことも踏まえて、今後さらに政府としても必要な支援があれば検討していきたいと思っております。
西川(太)委員 どうぞよろしくお願いします。
 そこで、島が復興していく中の主要産業はやはり観光なんですね。その観光業を盛んにしていくためにも、観光客の安全を守るということも当然大事であります。それから、もちろん島民の皆さんに砂防や治山のインフラ整備を着実に進めること、また、島民を守る、観光客を守る避難施設を設置していくということも必要だ、こういうふうに思うわけでありますが、総合的な防災対策について、まず高橋政府参考人に活火山法の検討状況について伺って、次に、気象庁長官にきょうはおいでをいただいておりますので、火山ガスでありますとか火山活動の観測体制の強化策について、それぞれお伺いしたいと思います。
高橋政府参考人 活動火山対策特別措置法につきましては、火山周辺の住民の安全対策のため避難施設の整備を行って、火山との共存を図るものでございます。
 そういったことで、火山の近傍で住民の生活が復帰した段階で指定するのが一般的な例でございますが、先ほど来御報告しておりますように、三宅島についてはまだ本格帰島のめどは立っておりませんが、火山ガスの放出も長期的には低下傾向にございます。また、島民の方が、先ほどお話があったような、シロアリの被害でありますとか住居の点検をするためには、六時間という限られた日帰りの帰宅ではなかなかきめの細かい対策もできないということで、宿泊型といいますか、滞在型の一時帰宅の要望も強くございます。そういった中で、とりあえず、滞在型の一時帰宅を実施するためにも、脱硫装置を備えたクリーンハウスの整備が緊急の課題であるということで、去る七月五日に、三宅島全島につきまして活動火山対策特別措置法の避難施設緊急整備地域に指定したわけでございます。
 このクリーンハウスの整備は、当面の滞在型の一時帰宅だけではなくて、将来、本格帰島のめどが立った段階でも、ガスが完全におさまるという状況も考えにくいものですから、そういう際に、島民の方が日常生活に復帰した以降も避難施設として役立つであろうということで、現在、地域指定を受けて、都において整備計画を策定中でございます。それを受けて、三宅村が今年度末までに島の北部の伊豆地区というところに三百人規模のクリーンハウスを設置する計画を今立ててございます。
山本政府参考人 三宅島におきます火山ガス観測体制についてのお尋ねでございますが、まず全体の放出量の観測でございますが、これは防衛庁、海上保安庁の協力を得まして、ヘリコプターによりまして、上空からの観測をおおむね週一回のペースで行っております。また、火山ガスの島内の地上濃度の観測でございますが、これは現在、東京都、内閣府、気象庁で共同いたしまして、島内の十六カ所で定点の監視をしております。
 また、火山ガスについては、島内の風と火山ガス濃度の分布というのが、これもさまざまな角度から重要でございまして、これらガス測定器のデータに加えまして、毎日一回、三宅島測候所の職員によります島内二十五カ所におきます観測を機動的に実施しておりまして、風及び火山ガス濃度のデータの解析に当たっているところでございます。
 さらに、今後の火山活動をより詳細に把握するという観点から、東京都、大学等と協力いたしまして、火口内のガスの直接採集、これを採取して分析するための検討を現在進めているところでございます。
 なお、火山活動全体の観測でございますが、これにつきましては、地震計、空振計、監視カメラ、GPS等々、関係機関のデータを合わせまして島内くまなく監視が行き届いておりまして、これらのデータを二十四時間、一元的に気象庁に収集し、火山活動の監視を行っているところでございます。
西川(太)委員 もう時間でございますから、最後に村井大臣にお尋ねをするわけでありますが、以上お聞きのように、生活再建のためには大変な資金を要するし、総合的な政策的バックアップをしていただかなければいけないわけであります。
 大臣は、私も長いおつき合いでありまして、経済政策にも非常にお詳しいし、税制も産業政策も、もう経済産業大臣も財務大臣も簡単に務まるお力をお持ちの大臣でありますから、私は、ぜひそうした大臣のお力をもって、東京都民として三宅島を復興していただきたいとお願いをして、これらについての総合的な国の力のバックアップを、御決意を承って、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
村井国務大臣 三宅島の島民の皆様は、一昨年の九月の全島避難から二年近く、長期にわたる避難生活を強いられるという大変な異常な状態でございます上に、火山ガス漸減の傾向にあるものの、突発的に高濃度のガスが出るというような事態は依然として変わっていないわけでございます。
 いろいろやってまいりまして、また、砂防ダムの建設でございますとか、幹線道路の修復でございますとか、帰島していただけるような環境の整備につきましても、一生懸命、方々やっているところでございます。
 去る五月十日に、私を本部長といたします三宅島火山噴火非常災害対策本部を開催しまして、長期避難生活に対するさらなる支援措置の検討、復旧工事の着実な推進、それから活火山対策特別措置法の適用の検討というようなことをやったわけでございますが、三宅村の復興計画の検討状況を踏まえながら、本格的帰島が実現した場合の支援についての検討に着手することを申し合わせました上で、中央防災会議を経て、七月五日には、先ほど来御報告を申し上げております滞在型の一時帰宅や、本格的な帰島を実施する際に必要になるクリーンハウスの先行的整備のための、活火山法に基づく避難施設緊急整備地域の指定などをやったわけでございます。こういったところを踏まえまして、これをきちんと措置をし、また、国庫補助のかさ上げ措置をやってまいる所存でございます。
 いずれにいたしましても、東京都そして三宅村とよく御相談を申し上げ、島の復興のために精いっぱいの努力を政府を挙げてやってまいりたいと存じますので、今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げる次第でございます。
西川(太)委員 ありがとうございました。
田並委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十四分散会


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