衆議院

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第5号 平成16年3月18日(木曜日)

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平成十六年三月十八日(木曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 堀込 征雄君

   理事 河井 克行君 理事 河本 三郎君

   理事 福井  照君 理事 三ッ林隆志君

   理事 達増 拓也君 理事 都築  譲君

   理事 松原  仁君 理事 石田 祝稔君

      今井  宏君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      小野寺五典君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    金子 恭之君

      北川 知克君    小西  理君

      谷  公一君    西村 明宏君

      萩野 浩基君    原田 令嗣君

      平田 耕一君    保坂  武君

      山際大志郎君    山本 明彦君

      吉野 正芳君    泉  房穂君

      小沢 鋭仁君    奥田  建君

      奥村 展三君    鎌田さゆり君

      黄川田 徹君    中川  治君

      増子 輝彦君    三日月大造君

      村井 宗明君    若泉 征三君

      赤羽 一嘉君    河合 正智君

      白保 台一君    西  博義君

      高橋千鶴子君    山本喜代宏君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       井上 喜一君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   内閣府大臣政務官     森元 恒雄君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   尾見 博武君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)  小神 正志君

   衆議院調査局第三特別調査室長  五十島幸男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     小西  理君

  江藤  拓君     山際大志郎君

  保坂  武君     北川 知克君

  土肥 隆一君     鎌田さゆり君

  白保 台一君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  北川 知克君     保坂  武君

  小西  理君     今村 雅弘君

  山際大志郎君     江藤  拓君

  鎌田さゆり君     土肥 隆一君

  赤羽 一嘉君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  西  博義君     白保 台一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

堀込委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官尾見博武君及び国土交通省大臣官房審議官小神正志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 この際、本案に対し、松原仁君外四名から修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松原仁君。

    ―――――――――――――

 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松原委員 ただいま議題となりました被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨について御説明申し上げます。

 自然災害による被災者がその被害から回復するためには、日常生活の再建とともに、その生活の基盤たる住まいの再建を欠かすことはできません。また、被災地における住宅再建は、単に個人レベルにおける再建だけではなく、地域社会全体においていかに迅速な復興を遂げるか、すなわち、地域再生の見地からも極めて重要であります。

 本法制定時におきまして、そのような観点から、「住宅再建支援の在り方については、総合的な見地から検討を行う」との文言が附則に盛り込まれました。また、今日に至るまで、全国知事会や自然災害議連を初め、全国各地、各方面の方々から、一刻も早い住宅再建支援制度の創設が望まれてきたのは、皆様よく御存じのとおりであります。

 しかしながら、今回、政府より提出された改正案は、居住安定支援の名のもと、瓦れき撤去費やローン関係経費など周辺部分に対する支援のみにとどまり、肝心である住宅本体への支援は見送られました。これでは、被災者が最も望む住宅再建のための支援制度ではなく、不十分な内容と言わざるを得ません。

 そこで、本改正案をよりよいものにするため、立法府の責務において、ここに本修正案を提出するものであります。

 次に、修正案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、被災者生活再建支援金の支給対象となる経費として、住宅の建築費、購入費または補修費を法定するものとしております。

 第二に、被災者生活再建支援金の支給制度については、この法律の施行後三年を目途とし、新法の施行の状況を勘案して総合的な検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする旨の規定を追加するものとしております。

 以上でありますが、何とぞ本修正案の趣旨を御理解いただき、委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

堀込委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井照君。

福井委員 皆様おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 本日議題の、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案につきまして御質問をさせていただきます。

 まず、この法律改正に伴いまして、居住安定支援制度を創設することができます。これはまたすごいことだなというふうに思いました。柱立てだけ申し上げましても、解体撤去費の支援それからローン利子補給というものを、毎年のように発生する災害、全壊十世帯以上の被災者にも適用するということも一つの柱になっておりますし、何よりも、個人に対して、直接家賃補助、直接現金給付を行う仕組みを初めて制度化したというのも大きな柱でございますし、半壊の、大規模なということが条件はついていますけれども、全壊だけではなく半壊の世帯にも支援対象としたということもありますし、概算払いもターゲットにしているということもございます。

 九年前の阪神・淡路大震災以来、本当に長い間御苦労いただきました、御議論いただきました関係者の皆様方に、本当に深い敬意をまず表させていただきたいというふうに思っています。

 まず、大臣に御質問させていただきます。

 きょうは、事後の対策をどの範囲で幾らにすべきかというのが議論の最も根幹になろうかと思いますけれども、事前の施策、すなわち減災に対する基本的な考え方について伺いたいというふうに思っています。

 戦後、我が国を振り返ってみますと、風水害とか土砂災害とか、この国土保全事業を本当に一生懸命やってきました。結果として、すごい雨が降ったなというふうに思っても、犠牲者の数、災害はそう大したことはないというのが昨今の状況になってきております。一方、大規模地震対策としては、予知できると言われた東海地震を除いては、地震が起こってからの救助とか、地震が起こってからの避難という事後的な対策が中心となっているというふうに言わざるを得ません。

 したがって、この大規模地震に対しても、風水害とか土砂災害と同じように、国土保全事業と同じようなスタンスで、被害を事前に軽減するための対策を重点的に実施する必要があるというふうに思っていますけれども、まず、大臣のこれに対する御所見を伺いたいというふうに思っています。

井上国務大臣 災害につきましての国の政策といいますのは、ややもすれば、災害が起こった後の災害対策を中心に考えられがちだったと思うんでありますけれども、やはり基本は、風水害あるいは地震がありましても、被害が最小限度になるようなそういう備えといいますか、対策を立てるというのが基本だと思うんですね。

 したがいまして、基盤を整備していく、河川を整備する、あるいは道路をよくしていく、あるいは治山事業に力を入れていく、こういうことがやはり基本になると私は思うんでありまして、これは、災害復旧事業も大切でありますけれども、それ以上に大切なものとしてこれからも力を大いに入れていくべき分野だと思います。

 今、地震のお話がありましたけれども、例えば地震なんかを例にとりますと、一つは、家屋の倒壊による被害が大きいということでありますので、そういった対策ですね。耐震化をどう進めるかというようなこと、そういったことも大切だと思いますし、さらには、やはり地震の場合は津波が大変怖いということを言われておりますので、津波対策、例えば避難でありますとか、あるいは、水門を自動的に開閉するようなそういうのを設置していくようなことが必要だと言われております。

 いずれにしましても、その基盤整備ともども、今申し上げましたような家屋の耐震化の推進でありますとか水門等の施設につきましてさらなる整備をしていく、こういうことが必要だというふうに考えております。

福井委員 ありがとうございました。

 地域再生、地方再生、特に高知県のような貧しいところは、そういう観点で、今の考え方ですと、予備費的な国家予算、地方財政、今はそういう分類でも、これからは災害が起こる前に支出ができるように、ぜひ、そういう展望で大臣のリーダーシップをよろしくお願い申し上げたいというふうに思っています。

 それで、今大臣も言及されました津波対策について、尾見政策統括官にお伺いをさせていただきたいと思います。

 今、高知県のことを申し上げましたけれども、東南海・南海地震に対する防災対策でございます。これは、昭和二十一年、一九四六年に、今までよりは小さいと言われている地震が起こりました。規模が小さかったと言われていますが、それでも、高知県においては津波が五メーターという高さにも達しまして、大きな被害をもたらしました。先般は、そのときに撮ったビデオが出てきたりしまして、改めましてその恐ろしさが目の当たりになったというような状況でございます。

 さらに、中央防災会議の資料では、発生が想定されている東南海・南海地震では、十二メーター超、十二メーターよりも大きい、そういう津波による死者が県内で二千九百人に上るというふうに予想されております。しかし一方では、避難がうまくいけば千人でおさまると。まあ千人でもすごいんですけれども、千九百人は避難で助かるということも想定されているということで、少しでも早く高いところに避難するということができれば、命はたくさん助かるということが考えられます。

 そういう総合的な施策、今大臣も言及されました、閘門、水門を津波が来る三十分以内に早く閉めるとか、そういう遠隔操作、あるいは、今、海岸堤防がありますが、もう少し強くするとか、いろいろ総合的な、コンプリヘンシブな施策があるかと思いますけれども、こうした津波対策の現状と課題、展望について政策統括官から教えていただきたいというふうに思っています。

尾見政府参考人 津波対策についてのお尋ねでございますが、東南海・南海地震に即してお答えを申し上げたいと思います。

 今、委員御指摘のように、東南海・南海地震では、強い揺れと巨大な津波によって広域かつ甚大な被害が予想されるということでございます。

 特に津波でございますが、これは、今おっしゃったような大変な規模の津波が来るということで、そのままでは甚大な被害が予想されるということでございますので、迅速かつ的確な避難によって被害を大幅に軽減することができると考えておりますので、住民の方に参加していただいて、津波のハザードマップをきちっとつくっていくということで意識を高めていくというのが基本にあると思いますが、同時に、津波からの避難路とか避難場所、避難地の整備、これに努めていきたいというふうに思っております。

 また、高知県など震源域に近い地域では、地震が発生して数分という単位で津波が到達するということになりますので、津波の防御をするための施設、防潮施設だとか、そういうものが重要な役目を果たすと思います。

 それから、先生がおっしゃいましたような、水門を自動的に閉鎖するとか、あるいは、人が近づかなくても遠くからの遠隔操作で閉められるとか、そういうことも非常に大事だと思います。それから、堤防の耐震点検とか耐震補強、こういうのもきっちりやっていかないといけないと思っております。

 このほか、今まではナウキャストと言われていましたが、今では緊急地震速報という名前に変わって試験運用が始まっておりますけれども、これは、実際に起きた地震を早期に検知するということであります。これも非常に大事な仕組みだと思いますので、こういうものの実用化というようなことを進めて津波被害の軽減につなげていきたい、かように考えております。

 いずれにしましても、ソフト、ハード面の対策を効果的に組み合わせて対策を推進してまいりたい、かように考えております。

福井委員 もう世界語になっております日本語が津波ということで、ヨーロッパ人もアメリカ人もそういうものだということが理解されるという現状でございます。ということは、すなわち日本人の研究が進んでいる、逆に言えば、日本人が一番世界で被害を浴びているということでございますので、ぜひ、そういう意味で総合的な対策を早急に確立をしていただきたいというふうに思っています。

 やるべきことがわかっているんですから、あとはもうお金をつけて、海岸堤防も、それからそういうリモートコントロールなどのIT施設もぜひ早く進めていただきたいというふうに思っていますので、よろしく御指導いただきたいと思います。

 では次に、申しわけございませんが、住宅局の小神審議官にきょうお越しいただいていますので、住宅対策という観点でひとつ御質問をさせていただきたいと思います。

 今、行政のことで御質問させていただきましたけれども、行政も大切ですが、一般の市民が自分で自分の住宅を耐震化する、地震が来ても強くする、神戸のようにどんと下から突き上げられても土台と柱とが離れないようにするというような耐震化、みずから対策を講じることが重要であると考えられます。

 九年前の阪神・淡路大震災の事例を見ましても、八三・三%が、自分のうち、家屋倒壊によって窒息死あるいは圧死という本当に悲惨な亡くなり方をしています。このときのメッセージ、すなわち、犠牲者の方、この亡くなられた数千人の魂からのメッセージは、何よりも大事なのは命である、一番大事なのは命である、そして、命を守るために住宅の耐震化を進めることがだから一番大事なんだということを教えていただいたというふうに思っています。

 我々は、特に高知とかもう危ないところでは、少なくとも自分のうちの下敷きになって一人も死なせないんだぞということを目標に施策を講じなければならないというふうに思っていまして、昨年の総選挙でも、もうそれしか訴えていないと言っても過言ではないというぐらい皆さんの気持ちも強いし、そして、そのための公助、共助への御希望も強いということでございました。

 私自身の経験も、阪神・淡路大震災の次の日から、四十三号、国道二号、百七十六号、神戸市内を毎日毎日歩かせていただいて、本当に悲しい思いをしました、風景が変わりますから。すべてのうち、すべてのビルが斜めになっている。そして、しばらくすると神戸がブルーシートで覆われるというようなこと。そして、足腰が弱いから二階で寝られない、足腰が弱いから一階で寝ていらっしゃる高齢の皆さんが、自分のうちの二階に押しつぶされて亡くなっている。あるいは、その瞬間でなくても火事で亡くなるという、本当に言葉では言い尽くせない悲惨な亡くなり方をしているという経験を踏まえて、本当に一番大事なのは命なんだ、そして、一人も亡くさないという目標を立てること、そのための耐震化の施策を早く進めることが大事だというふうに本当に思っておりますが、今般の住宅行政、この耐震化についての支援策について御教示をいただきたいと思っております。

小神政府参考人 今、先生から御指摘いただきましたように、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、住宅の耐震化を進めることは極めて重要な課題だというふうに認識しております。

 国土交通省におきましては、阪神・淡路の大震災を踏まえて、平成七年から、マンションについて耐震診断、耐震改修について補助する枠組みをつくらせていただきました。また、戸建て住宅につきましては、耐震診断については平成十年から、耐震改修については平成十四年度から補助の制度を設けたところでございます。

 しかしながら、耐震診断につきましては年間三万戸程度を実施いたしておりますけれども、耐震改修につきましては、密集住宅市街地という要件がございましたので、残念ながら実績が現在まで上がっておりません。東海地域など比較的意識の高い地域におきましては、地方公共団体の単独事業で年間千戸程度、今耐震改修は行われておりますけれども、いずれにいたしましても、耐震改修の実績が極めて不十分であるという認識を持っております。

 このため、ただいま御審議いただいております十六年度の予算案におきましては、密集住宅市街地という枠組みだけではなくて、今御議論いただいておりますような大規模地震のおそれの高い地域につきましては、地方都市の一般的な中心市街地みたいなところはこれを対象に含めようというような、地域の大幅な拡充のお願いを予算案で御審議いただいているところでございます。

 このほか、住宅金融公庫の融資につきましても、基準金利といいまして、最優遇金利をさらに〇・二%引き下げるというような金利の見直しも予算案でお願いをいたしております。

 こういった制度の拡充によりまして今後ともこの耐震化が一層進むように、地方公共団体とも連携をとりながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

福井委員 ありがとうございました。

 行政の方も個人の方も事前の施策がいかに大事かということを今るる御議論いただいたわけですけれども、今度は、きょうの議論の根幹でありますけれども、尾見政策統括官にこの制度の基本的な考え方を伺いたいと思います。

 そうやって事前は頑張った、しかし、不幸にして全壊、半壊をしたということで、自助だけでは、自分だけでは住宅を再建することはもう非常に困難だという方々に対して、本当にそういう支援が必要な方々に対して社会として温かい手を差し伸べることが必要であるというふうに思っていますので、今回の法改正によって創設される居住安定支援制度、どういう考え方でつくられたものなのか、この制度の基本的な考え方を御教示いただきたいと思います。

尾見政府参考人 それでは、お答えを申し上げます。

 現在の制度は、住宅が全壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた者であって、経済力あるいは高齢などのため自立した生活再建が困難な、真に支援が必要な者というふうに考えていますが、そういう方々に対してその自立した生活の開始を支援するもので、ある意味では社会連帯の観点からの支援という性格を持っている、こういうふうに考えております。

 被災者の方々に対する調査でも、生活再建の中で最も重要な要素は、やはりついの住まいというか、そういう問題であるというふうにされております。被災者の安定した居住の確保は生活再建を支援する上で重要な課題だ、こういうふうに考えております。

 そこで、現行制度を拡充する形で、真に支援が必要な者が安定した居住を確保する際の立ち上げを支援するというのが今回の制度のねらいでございます。

 以上でございます。

福井委員 ありがとうございました。

 では、最後に大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 本委員会では、私有財産である個人住宅の建築費本体を支援対象にするかどうかというのが次からの議論になろうかと思いますけれども、今までは現物支給が中心であった発災後の対応に金銭給付を拡充するということについては、そういうことによってバリエーションが、例えば、民間の住宅を活用するとかいうことで被災者の多様なニーズに迅速にこたえる道を開くものと大きく評価をさせていただいております。

 この問題については、立場によってさまざまな御意見があることは承知しておりますけれども、客観的に見ると、この長い長い議論の中で、政府として、自由主義経済のもとで、そして私有財産制度のもとで細い細い道を探して、最善、最高、最大のソリューションを今お示しいただいたというふうに私自身は理解をさせていただいて、本当に心から御礼を申し上げたいと思います。

 この制度の活用の魂と、そして今後の方策について、大臣から決意表明をぜひしていただきたいというふうに思っております。

井上国務大臣 今般法律案を出しておりますこの居住安定支援制度ですね。これはいろいろな意見がありますけれども、私は、個人の住宅につきましての公的な資金の給付というのは本当に画期的なものだというふうに考えております。

 元来、私有財産制度のもとでは、私有財産といいますのは、取得なり維持管理をしたり処分というのはこれは自由であるわけでありますが、その私有財産の中でも、本当に典型的な私有財産たるものはやはり住宅だと思うんです。そういったことで、住宅につきましてはやはり自分で手当てをしていくというのが基本だというふうに思うんであります。つまり、自助ということを言われておりますが、自助でもってうちをつくっていくということが基本でありまして、あとは、共助でありますとか公助と言われておりますが、それをいかに組み合わせていくか、組み合わせることによって個人の住宅建設を支援していくか、こういう問題だと私は考えるわけでございます。

 国も、長い間いろいろな助成をやってまいりましたけれども、この住宅に対しては直接的に支援をするということはなかったわけですね。それが、今度は制度としてこういった制度をつくったということでありまして、そういう意味は大変大きいというふうに考えているわけでございます。

 新聞の論説なんかを見ましても、朝日新聞とか読売新聞は、自助と公助との関係というのはやはり一定のルールがあるべきだ、何でも公助でやるというようなことではないだろうということで、ちょうどいいところで線を引いてこの制度をつくった、そういうような評価だと思うんです。もっと厳しい意見というのは、やはり家は自分で建てるべきなんだ、こういうような意見もありますが、まずまず私どものこの制度を評価していただいておる、こんなふうに考えております。

 したがいまして、今後、できるだけ所期の目的に合うような運用をしていくということが大事だ、こんなふうに考える次第であります。

福井委員 時間が参りました。今大臣が最後におっしゃいました、ゆめゆめ、現場において、そしてその配り方において遺漏がなきように私の方からもお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

堀込委員長 次に、奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田建でございます。

 今回、内閣提出の被災者生活再建支援法一部改正、このことについて質疑をしたいと思います。大臣と、そして、修正案も出ておりますので、修正案の提出者を中心に質疑をしたいというふうに思います。

 大臣も御存じのとおり、阪神大震災の災害を皆さんが目の当たりにして、その後、平成十年、生活再建支援法というものができた。それができるときから長い時間を通じて議論し続けられている法案でもあります。五年後の検討、見直し条項というものの中から今回の改正案が出てきたというふうに思いますけれども、被災地での被災者を一つのボランティア、NGOとして支えていただく皆さん、あるいは市町村、都道府県、そして自然災害から国民を守る国会議員の会、総勢百名を超えていたと思います。そういった方々がいろいろな意見を提示し、また要望を出し、一つの素案を出したり、そういう中で、今もある生活再建支援法の問題点あるいは不足な部分、そういった部分が浮き彫りになりながら、今回出された政府案、支援の拡大というところはだれもが評価する部分だとは思いますけれども、その支援のあり方といったものについては、どれだけ皆さんの意見を聞いていただいたのか、反映していただいたのかということを考えたときには、やはりまだまだ不十分なものであると思います。

 災害支援はもちろんこの再建支援法一つだけではありませんけれども、やはり、この生活再建支援法が被災者の皆さんにとってその立ち直りを支える根幹になる法であると思いますし、国と地方、そして個人の役割、そういったものがどこまでかということが議論の根幹にはあると思いますけれども、長い間、自助、共助、公助といった中でその姿を求め続けていた議員の一人としては、私は、まだまだこの法律は未完成の、発展途上の部分だなというふうに感じております。

 少し古い話になりますけれども、平成十四年の六月に、災害議連が一つの自分たちの素案を持って各省庁と真剣な討論をしたことがございます。そのときの各省庁の私の記憶に残った言葉をメモにしたものを少しお伝えしますけれども、内閣府の政策統括官の方からは、個人に対しての支援ではなく、都道府県、市町村に対する補助の制度としたい、滅失財産に対する補助であってはならないし、持ち家の有無ではなく、生活支援を充実させるものとしたいと。半分納得できますけれども、半分納得できないような答えであります。中央防災会議の一つのこれまでの答申を踏襲したものかなというふうに思います。

 総務省の政策課長の方からは、住宅再建支援に対しては慎重であるべきである、地方自治体の意見を聞くべきで、現時点、平成十四年の六月の時点では意見が集約されていない、その集約を待ちたいという意見が出ました。

 財務省の主計官の方からは、個人財産に対して税からの直接補償は避けられるべきである、民間共済あるいは地震保険というものを活用していただきたいと。

 これに対して議連の方は、そのときはたしか共済制度の法案を出していたかと思いますけれども、住宅復興に高い公共性があることを、地域振興、地域再生という意味から大きな意義を持つということを、また、災害の特異性といったものを訴えて、何としても、この制度、災害議連が訴える住宅復興に対する支援というものをぜひ実現化させていただきたいというような意見がありました。

 その後、鳥取県の片山知事からも、いろいろな方がお話を聞いたと思いますけれども、私たちも聞きました。その中で、確かに財政ルールというものはあるんであろうと、しかし、財政ルールを守っても地域や人々の生活を守れないのでは、私たちが何のためにいるのかわからない、そういったお話を聞いて非常に印象に残ったことを覚えております。

 平成十二年の鳥取の西部地震では、約一万四千件の被災者の案件に対して、鳥取県が独自の判断で六十億円の補助金投下をしております。その後の一つの復興といいますか、その災害に遭われた皆さんの立ち直りの早さ、あるいは内外からの評価というものは大変高いものがありますし、また、今回の全国知事会の意見集約といったところでも大きな働きをしたというふうに私は思っております。そのときには、いろいろな適用要件といった複雑なルールは設けずに、住宅建設あるいは住宅の補修、あるいは液状化の対策、さらには、芸予地震なんかでありましたけれども、石垣の補修だとか擁壁補修にも補助を出しているということであります。

 先ほど、総務省の方でも、地方自治体の意見の集約を待つという言葉がありながら、昨年、全国知事会から、緊急決議あるいは緊急要望という形で何回かの意見集約されたものが提出されております。その中でも、自分たちが基金を積むためには、地方の復興のために、住宅再建、これを対象としてほしいということがやはり要望、決議の中心にあったと思っております。

 そのことを踏まえて、大臣そして修正案提出者の方に、この今回出された政府案の改正案、このことに対する評価、そして大臣は、前の福井議員の答弁でも、住宅関係の費用を出しているんだということをおっしゃっていましたけれども、居住関係経費という今回の名称だけではなくて、住宅建設費あるいは住宅補修費、こういったものをはっきりと支援の対象としているんだとおっしゃるつもりはないか。

 そのことについて、今回の法案の評価、そして、住宅復興に関する支援をするんだというこの二点についてお尋ねいたします。

井上国務大臣 このたびの法律案に盛りました制度につきましては、先ほどの福井委員に対しまして御答弁申し上げましたように、私は高く評価をするものでございます。

 これまで住宅につきましては、減税の制度なり、あるいは融資なりで住宅建設の支援をしてきたわけでございまして、直接的に公的なお金を住宅再建のために出すという、これはまさに画期的な制度でございます。この点につきまして、先ほど申し上げましたように、私は大方の評価を得られているものだと思うんであります。

 今、委員が御指摘になりましたのは、その中で建設費もその助成の対象にすべきではないのか、こういう御意見だと思うのでありますけれども、私は、現在の私有財産制度のもとにおきまして、住宅の建設そのものについて直接的にお金を出していくということは非常に難しいことじゃないかと思います。これはまさに個人が責任を持ってやるべき分野だと思うんでありまして、公がそれを支援するのにはおのずから一定の限度があるということであります。

 私ども、今回の制度では、その限度ぎりぎりのところまで考えまして支援をするという制度にしたと思うんであります。どうも、現行の制度の中では、住宅の建設費そのものに公金を出すというところまでは全体の合意が得られないというふうに判断をしているわけでございます。

 確かに、おっしゃいますように、これに賛成する方もございます、知事さんもおられますが、まだ全体としてそういったことについての理解は得られているという状況じゃないというふうに判断をいたしております。

松原委員 奥田委員に御答弁を申し上げます。

 委員御指摘のように、この支援の拡大という点においては一歩前進であるというふうに思っております。しかしながら、今回の法案において、住宅本体の建設費がその対象に入っていないということでありますが、住宅には、個人の生活の柱としての役割のほか、地域復興の柱となる公共性が認められるというふうに考えております。

 そして、今回は、周辺経費に限った制度では、住宅再建への有効な手段とならず、例えば、ローンを組める者と組めない者との間で支給金に差が生まれるなど、かえって不平等が発生するとの指摘もあるわけであります。

 政府が言うように、住宅が私有財産の最たるものという側面も当然ありますが、もちろん、それゆえに無限定な住宅本体への支援は許されません。所得等の制限を加えた上で住宅本体へ公費を支給することは、知事会においても今委員御指摘のように要望されているところであります。また、そのことについてはおおよそ国民の合意も得られていると私たちは考えております。必要な制限を加えた上で住宅の建設費等本体経費に公費を支出することには問題はなく、被災者及び地域の復興にとって重要であることにかんがみ、ぜひこれを認めるべきだというふうに考えております。

 今回、ローンについてはこれを支給するというふうな議論があるわけでありますが、それは、本体の住宅建設というものが当然その延長線上に想起をされるわけでありまして、そういった意味では、ぎりぎりの判断でこのようなものを出してきたという議論もありますが、やはり、わかりやすく、本体についてのこういった公的な資金を出せるというふうにするべきだと思っております。

 以上です。

奥田委員 今まであった、あるいは今提出されたものもそうですけれども、やはり、支給要件の複雑さというものが、ある意味でこの支援の制度を受けられる人の対象を少なくしていたり、あるいは、今お話にありました、ローンがどうだとかいった計算や算定式というか、現実の適用される者と適用されない者に分けられることで被災者間で支給額に非常に大きな差が出てくるということを、NGOの方からは指摘されております。

 政府案も、一つ、モデルケースの一枚紙を私も目にはしましたけれども、こういった全壊世帯の被害を受けた方あるいは半壊世帯、それぞれの方々に支給される金額、上限はありますけれども、その中でこれまでの被災例などを当てはめていくとどのような試算が出てきているのか、少しお答えをいただきたいと思います。

 そしてもう一つ、これまで五年間、上限百万という中であった生活再建支援制度、これでの支給実績の平均額、これは、全壊、半壊、あるいは全体を含めて、これも御報告をいただければというふうに思います。

尾見政府参考人 今回の居住安定支援制度でモデルケースを私どもは作成させていただいていまして、例えば二百万では、解体・整地費でありますとかローンでありますとか、そういうものを積み上げれば通常の場合はそこまで届くんじゃないか、そういったことを、百万円の場合、五十万円の場合に即して御説明をさせていただいております。それで、今申し上げましたように、全体として、通常の場合は、例えば年収五百万以下の方の場合ですと、全壊世帯では二百万、大規模半壊世帯では百万円が支給されるというふうに私どもは考えております。

 平均支給額についてのお尋ねでございますが、個々にはいろんなケースがございますので、それによって支給額がどうなるかという計算はなかなか難しいというふうに考えております。

 それから、これまでの生活再建支援金百万円の支給の状況でございますが、全壊世帯について平均いたしますと、年収、単数世帯、複数世帯の別による支給限度額の約九五%が支給されております。

 先生のお尋ねの中で半壊がございましたけれども、現在の生活再建支援法の支援金は全壊の場合にだけ対象になる制度でございますので、以上のように申し上げたいと思います。

奥田委員 私も、全半壊の方々を分けて、どれだけ支給されたかということのデータまではいただいておりませんのでわかりませんけれども、全体の支給額でいえば、出ております。この被災者生活再建支援法の五年間の実績は、これまで、大体二千七百十四世帯の方に対して二十一億円強の支出となっており、全半壊を含めてですけれども、平均七十七万六千円の支給額になるという統計になります。内閣府の方であれば、もう少し詳しいデータがありますから、全半壊に分けた御報告はできないものではないというふうに思います。

 大臣にお尋ねします。

 先ほどから、この適用要件が非常に複雑で、その対象者が妙に絞り込まれてしまうという意見があります。全壊、半壊という、人生のうちでとてつもない災害に出会うということを考えれば、一つの、私自身のこれは個人的な意見ですけれども、見舞金のように、その被害が認定された時点で、今の制度であれば、全壊には三百万、半壊には百五十万、もうすぐに被災の認定とともに出してあげてもいいくらいではないかというふうに思っております。

 今、五年間のデータ、省庁の方からはいただいていますけれども、この支援法が適用された方々、全壊、半壊の被害に遭って、そして所得制限や年齢制限というものを通したときに、どのくらいの方々がこの支援制度を利用することができるというふうにお考えでしょうか。これまで五年間、法が適用されてから、全半壊を受けた方々の何割の方がこの支援制度の恩恵を受けているか、そのことを大臣にお願いいたします。

 きのうから全部言っていて、紙一枚でいいから渡していただきたいと。大臣にその数字がいかに重いものかということを知ってほしいから、そういう質問通告の仕方をしているんです。

尾見政府参考人 先生のお尋ねは、現在の生活再建支援法の五年間の支給実績が全半壊世帯等に即してどういうふうになっているか、こういうお尋ねだというふうに理解していますが、それでよろしゅうございましょうか。(奥田委員「はい、そうです」と呼ぶ)はい。

 その前提として、まず、現在の生活再建支援法の支給対象は全壊世帯であります。それで、半壊の場合は、やむを得ない事情によって解体した場合を全壊同等というふうに考えて支給の対象にいたしますけれども、基本的に、半壊のままでは対象になりません。したがって、半壊に対しては支援金が出ないわけでありますので、全壊ということで整理させていただきたいと思います。

 それともう一つ、十五年度までもちろん支給をしているわけでありますが、十五年度に起きました、例えば十勝沖地震とか宮城県沖地震についてはまだ申請期間中でございますので、その適用の割合を算出するということでありますと、そういう申請期間が過ぎております十四年度前の実績とするのが適当だというふうに考えております。そうしますと、全壊世帯の三千二百七十七のうち支給対象が二千五百六十六で、七八%というふうになっているわけでございます。

井上国務大臣 二、三点のお尋ねないしは説明があったと思うんでありますが、見舞金という考え方につきましては、我々はそれに賛成をいたしておりません。これは税金を使うわけでありますから、やはり一定の実績といいますか、根拠に基づいて支給をしていくというのが筋だと思います。これは死亡の弔慰金なんかとは性格が違うものだというふうに理解をいたします。

 それから対象者ですね、これについてどうなのか。これは、全員に支給をするというのではなく、真に必要としている者ということでありまして、ある程度絞っていくという考え方だと思います。これが制度の趣旨だと思うんでありまして、そういうことで所得なり年齢要件を加味してきたというふうに理解をいたすものであります。

 三番目、今統括官の方からお答えしましたけれども、いろんな条件があるわけですね。所得あるいは年齢とか、それから全壊、半壊とか、あるいは複数世帯、単身世帯とか、いろんな条件がありますから、この新しい制度につきましての適用人数といいますか、これについてはなかなか把握が難しいということを答弁をいたしたものであります。

奥田委員 例えば法案には、真に支援の必要な方に絞るという、そういった言葉のもとから適用対象絞り込みというのが出てきているのかなというふうにも思います。当然、所得に関する線引きというのはどこかでしなければ、それは野方図に支援の資金を出すということはだれもできないわけですから、当然あってもおかしくはないかもしれない。だけれども、年齢要件や収入要件がもしあるんなら、資産要件だとかそういったものだってあるはずなんじゃないですか。そういった形で支援の適用要件を複雑にし過ぎていることが一番対象者を少なくしている。

 今、半壊はほとんど対象にしていない、一度壊してまた建て直す方が対象になると。今回はそういうことは少し改善されることになるかと思います。

 私のいただいたデータを整理すれば、この五年間、広島の平成十一年の豪雨災害あるいは台風十八号、そこから十勝沖地震までのデータをいただいて、全半壊の被害に遭われた方で今のこの法の適用になる方は、約一七%の方が支援対象となっているという数字です。そして、この中には、多くの方が適用対象になった三宅島の災害がございます。三宅島の集団離島の方々をもし除けば、除くことの根拠というものがあれですけれども、除いて、本当の地震あるいは風水害の災害に遭われた方で見れば、全半壊の被害に遭った方の八・八%がこの再建支援法の対象になっているということなんです。

 八・八%という数字は、一つの災害に対して、その支援の基本、ベースになり得ない法律ではないかなというふうに思います。この率を上げることに意味があるかどうかは別としまして、普通に被災に遭ったというだけじゃないんですよ、全半壊という、住居を一瞬にして失うというほどの被害に遭われた方の八・八%しか今のこの適用要件の中では対象になっていかないということをもっと直していかなければ、もう少し幅広くて使いやすいそういった制度にするということにもっと政府は尽力すべきであるというふうに私は思います。

 数年前には、全壊、半壊の基準がはっきりしていない、消防、警察、あるいは厚生労働省、そういった中でも違うし、保険会社の全半壊あるいは一部損壊という認定とも違う、一体どこに支給対象となる全半壊の基準があるんだということも大きな議論となりました。

 二〇〇一年ぐらいだと記憶しておりますけれども、そのころに政府の方でも、判定基準のあり方という一つのマニュアルをつくっていただきました。ないものを急につくると、百ページを超える膨大な全半壊の基準マニュアルが出てきて、本当にこれを見てしっかりと判定する方が市町村の判定員の方にいらっしゃるのかなというくらいの立派なものができましたけれども、最初に問題になっていた、例えば地震保険、これも政府が関与していますよね。地震保険の全半壊あるいは一部損壊の考え方と同じ考え方でやる、あるいは、それを基準にして、警察も消防も厚生労働省も災害に関する全半壊基準は全国一律で考えるというふうにすれば別に何の問題もないんですけれども、その後の全半壊の認定に関する取り組み、そして私とすれば、できれば統一した判断基準を持って取り組んでほしいということ。

 そして、もう一つ質問があるんですけれども、今度の法案の中に、大規模半壊という今まで聞いたことのなかった一つの言葉がまた出てきて、それを支給基準にするということが言われております。大規模半壊は「政令で定める」と。この大規模半壊の定義、そして、これまで宿題であった全壊、半壊の認定基準への取り組み、この二つをお尋ねしたいと思います。

尾見政府参考人 まず第一に、全壊、半壊についての認定基準でございますけれども、これは、先生御指摘のように、現在の認定基準につきましては、今から三年前になるかと思いますけれども、関係各省でありますとか都道府県でありますとか有識者の方、そういう方々の御意見もいただきまして、認定基準というものをつくったわけでございます。

 例えば全壊というのはどういうものを言うのか。お尋ねの半壊に関して言えば、例えば損壊割合、これは床面積ベースでどれだけ壊れているかということでございますが、二〇%以上七〇%未満である場合を半壊としようというようなことで決めさせていただいております。ですから、消防庁でありますとか関係省庁においても、現在、この基準で対応をさせていただいているところでございます。

 それから、大規模半壊についてのお尋ねもございました。

 全壊という概念は、居住のための基本的な機能は喪失したということで、これは、補修ということを幾らやっても再び使うことができないというものを全壊というふうに考えております。それに対しての半壊というのは、補修すればもとどおり再使用できるものを言うというふうに考えております。

 大規模半壊は、今申し上げました半壊のうちで、倒壊等の危険性により、そのままでは当該住宅に居住することが困難な程度に損壊または損害が発生した場合というふうに考えておりまして、先ほどの損壊の割合のうち、五〇%から七〇%に当たる間を大規模半壊と呼べるのではないかと考えております。これにつきましては、今後、具体的な基準を検討の上、明らかにしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

奥田委員 普通の地震保険で言えば、今おっしゃったように、全壊は、壊れた部分、使えない部分、焼失した部分、こういった部分が延べ床面積の七〇%以上、あるいは家屋に対する経済的被害の八〇%以上というのが地震保険のルール。半壊については、失う面積が二〇%以上、家財、経済的なものでは三〇%以上の損害があったときにそれを認められるというふうになっているんです。地震保険の場合なら、全壊なら保険契約の一〇〇%が出て、半壊と認定されれば半額がすぐに出るというシステムもあるんです。そういったわかりやすいシステムであってほしい。

 例えば、もしかしたら私の勘違いかもしれませんけれども、こういった経済的被害あるいは家財としての損失ということで考えれば、地震保険の基準ともまた違うわけです。先ほど、各省庁が集まってこのルールづくりをしたということで、政府としての全半壊の統一見解は出たんでしょうけれども、まだ民間査定のそういった判定とは少し差があるように思う。これを統一してほしいですし、今度、五〇%以上とか言っていた大規模半壊、その全壊と半壊の間にハードルというか認定基準をまたつくっている。さっきから言っていたように、半壊の人でもほとんどこの制度を利用できなかったものを利用できるように対象を少しでも広げよう、本当に被害に遭った方に対象を広げようというときに、政府の方は出し渋っているようなそういった判断基準をまたつくる。これはぜひ改めてほしいですね。

 今の半壊基準というものは、はっきりと各省庁がみんな協力してつくったんでしょう。そうしたら、大規模半壊と、今度は内閣府だけが自分たちの考え方のそんな認定基準をまたつくっていくわけですか。お願いいたします。

尾見政府参考人 先ほど申し上げました大規模半壊の考え方につきましては、損壊割合で五〇%から七〇%を一つの目安と考えているというふうに申し上げましたが、その具体的な適用に当たっては、今後、関係省庁とも相談をしていきたいと思います。

 それから、先ほどちょっと省略をさせていただいて大変申しわけないと思いますが、先ほどの基準は、物理的な損壊という部分と同時に、またはということで、例えば全壊ですと、住家の損害割合が五〇%以上に達した程度のものを全壊と呼んでおりますし、その住家の損害が二〇から五〇%未満のものを半壊と呼ぶというふうに損害面でも整理されておりますので、保険会社の方との基本的な差異については、ないのではないかというふうに思っております。

 以上です。

井上国務大臣 一つは、半壊とか全壊なんかの定義を各種制度を統一すべきじゃないかというお話でありますけれども、それも一つの考え方だと思います。

 ただ、地震保険なんかの場合は、やはり、どれだけの損害をカバーするかによりまして保険料率が変わってくるわけですから、それは、保険の目的とするところとの関連あるいは保険料率との関連で、これは何か特別のまた考えがあるんじゃないかと思いますし、例えば消防庁なんかの統計では、被害がどの程度軽減してきているかを見るのが目的だろうと思うんですね。

 ですから、そういう視点から損失の区分が行われて統計をとっているというようなことかもわかりませんし、それぞれの制度の目的に照らして、同じ言葉を使いましても中身は多少変わってくるんじゃないかと思うんですが、でき得れば、同じような用語であれば同じような中身であるというのが望ましいとは思うんでありまして、原則的には私はそうだと思いますけれども、制度の目的、内容によりまして多少そこは変わってくるところもあるんじゃないかと思います。

 それからもう一つは、今お話しになりましたけれども、何かこう専門的に議論をしていきますと、非常に難しい条件になってくると思うんですね。ですから、これはできるだけわかりやすい基準をつくっていくというのは大事だと思いますね。物理的な損壊にしましても、あるいは経済的な損失にしましても、それはもう非常に細かい計算方式でこうだなんというようなことではなしに、だれが見ても、ああそうだというようなわかりやすいそういった基準を設定していくべきだろうと、こんなふうに思います。

奥田委員 でも、これから政省令で検討していくということであれば、私は、そういった今ある基準というものを使ってほしい。見に行くのは市町村の職員の方が中心でしょう。そういった方が制度を使うために幾つもの全半壊の基準を持って見に行くということも非常に非現実的でもありますし、半壊は全壊の二分の一という支給金額の上限の部分ではっきりと分けられているわけですから、次の全半壊の認定のところまで分けていくということは必要ないというふうに私は思います。

 この大規模半壊という新しい意味不明の文言を、ぜひ、今までの全壊、半壊という形のものに統一して使えるようにしてほしいということを申し述べさせていただきたいと思います。

 今度は、こちらの方の財源を心配している皆さんの声もあります。私も、対案提出者と同じように、住宅への支援を求める方の声、こういった声が圧倒的に多いというふうに思っております。それを心配しているのは、財務省の方々が心配する方はこういった方々であるというふうに思いますけれども、こういった住宅本体への支援、これが今の段階あるいはこれから先にもう少し膨らんでいくようなことがあれば、都道府県あるいは国に対しての大きな財政支援を心配する、そういった声もあるのも確かでございます。

 このことについて、大臣及び修正案提出者の方からの御意見があればお聞きしたいと思います。

井上国務大臣 御質問の趣旨が十分にとらえ切れないんでありますけれども、私は、この制度といいますのは、金がかかるから一つの制度をつくりにくいというような側面も確かにありますけれども、制度そのものとして必要なのかどうかということがやはり基本だと思うんですね。

 したがいまして、制度として必要なものにつきましては、これはやはり予算措置をしていくというのは当然のことだというふうに考えております。

松原委員 奥田委員に御答弁いたします。

 住宅本体への支給というのは、今、国及び都道府県に多額の財政負担がというお話がありましたが、もとより、この一方の負担者である知事会の要望を踏まえたものでありますので、これが第一点であります。

 同時に、従来、震災時における仮設住宅等にかかわる費用、経費ですね、こういった問題、この削減、さらには、地域の復興という観点からトータルに見れば、これは多額とは別段言えないのではないかと思っております。具体的に、宮城においても、また阪神においてもそうでありますが、そういった仮設住宅をつくり、また撤去する費用で平均で三百万を超えている、こういったデータもあるわけであります。

 したがって、それぐらいの金額を住宅本体再建のために使うということは、財政上、逆にむだをなくすことになるのではないかと、このように思っております。

奥田委員 もう一つ、取り越し苦労かもしれませんけれども、これは、知事会の方から、全国が協力して三百億円の新たな基金を積むんだということから一つの財源の基本ができ上がっているわけでもあります。もちろん国も、そこから拠出されることがあれば、その二分の一を負担するという法の趣旨であると思いますけれども。

 確かに今までの災害では、この法の中の制度として資金的には十分対応できますけれども、何十年に一回かの阪神大震災のような本当に大規模な激甚災害の場合には、やはりこういった基金というものだけでおさめようと思ってもおさまらない場合もあるかもしれない。そういったときの措置を今はっきりと決めておくということは無理であるかもしれませんけれども、どういった考え方のもとで対応していくのかということだけは認識しておかなければいけないかと思います。

 こういった大きな基金を新たに積んでいただくわけですけれども、そういった基金の規模を超えるとき、そういったときの国の一つの責務、役割といったものを大臣にお答えいただきたいと思います。

井上国務大臣 私どもは、通常の災害につきましては、今のこの居住安定支援制度でもって対応できると思うんであります。

 阪神・淡路大震災のようなああいう災害が起きましたときに、果たしてこういう制度で対応できるのかどうか。これは今にわかに答えられないんでありますけれども、例えばこの制度は、国と都道府県が拠出する基金で賄うわけです。しかも、今我々が理解しておりますのは、都道府県が負担いたしますのは、世帯数割と平等割というようなことで拠出するわけですね。だから、こういうような中身を持ちます今のこの制度で、果たして神戸、淡路の大震災のような災害に対応できるのかといいますと、これはなかなか難しいんじゃないかなという感じがいたしまして、こういう制度で対応できないことにつきましては、その時点で別途どういうことをするのかということを検討すべきである、そんなふうに考えます。

松原委員 大規模激甚災害が発生した場合、どのように対処するかということであります。

 政府案においても、東海地震クラスの大災害が生じた場合、基金だけでは対処できないということが想定をされております。住宅本体への支援金の支給とはまた別の議論がこれは必要になろうと思っております。基金の拠出額を超える大規模災害となった場合は、ケース・バイ・ケースでありますが、知事会等と相談しながら、新たな財政支援等の措置をまた対応していかなければいけないと思っております。

奥田委員 また今度事務的な質問になりますけれども、この居住安定支援のための基金というもの、これまで生活再建支援という形で積まれております基金が三百億あって、またその隣に三百億、新たにといいますか、居住安定のための基金として積み上げる。この管理方法、直接内閣府の管理下ではないかもしれませんけれども、同じ生活再建支援法の一部改正という中で出てくる基金なんですけれども、生活再建と居住安定、二本の基金が並行してあるわけですか。それとも、基金自身は一体化して、支払いの制度が二種類出てくるということなのか。

 ちょっとそのことをお尋ねしたいのが一つと、そしてこれは確認ですけれども、知事会の方から、運用利益だけではこの支援がとても埋まっていかないということで、元金の取り崩しの提案が出ております。これは法の中で認めるということをうたっていると思いますけれども、その確認と、させていただきたいと思います。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生がお尋ねになりました生活再建支援制度と居住安定支援制度は、法律上は、基金についてそれを区分してほしいということを求めているという事実はございません。それで、基金の管理については、法律の規定により指定されました支援法人、具体的には財団法人都道府県会館でございますが、が行うこととされております。

 それで、その区分をするかどうかについては、一義的にはその法人の方で検討されているというふうなことでありますが、現時点で伺っておるところによりますと、会計を別途分けるという理由は余りないのではないかというふうなことで考えておられるようでございます。

 それから、今回の法改正の中では、やはり、昨今の経済情勢で基金の運用利益というものがなかなか期待できない、そういう観点の中で、基金を取り崩すという方式に変えようということが、審議をお願いしております改正案の中で規定されているところでございます。

奥田委員 次に、災害宝くじというものが、阪神・淡路大震災のときには、たしか震災のあった年と翌年とに行われました。これも、もちろん総務省の管轄で内閣府の直接の管轄ではありませんけれども、三宅島の災害の後に東京都議会でもこういった話が出ましたし、また、政府の方も、あるいは私たちもいろいろな御指導をいただいている東大の廣井教授の方からも、制度の骨格をつくっていくものではないけれども、こういった大規模災害とか臨機応変にいろいろな施策をやっていくときには、一つの消極的な方法と言えるかもしれないけれども、こういったメニューといいますか、こういったことも考えられるといったお話を聞いたことがございます。

 阪神・淡路大震災では、二回の災害宝くじという形で――災害宝くじは変ですね。災害復興宝くじといった形で百三十二億円の収益金を復興のための基金に充当しているということもあります。もちろん、毎年やるとかそういった性質のものではありませんけれども、また、この宝くじを発行してどういう収益配分にしようかということが、政府の方で決めることではありませんけれども、こういった姿で復興宝くじをやってもいいんじゃないかという提言は、どこからでも、都道府県からであれ、政府からであれ、内閣府からであれ、大臣からであれ、あってもいいものだというふうに思います。

 こういった一つの宝くじという形での資金調達、あるいは、今の三宅島の長期避難に対しての一つの資金調達策としてのお考えがあれば聞かせていただきたいなというふうに思います。

尾見政府参考人 災害宝くじについてのお尋ねでございます。

 この問題は、総務省の方のいわばお仕事ということでございますが、私どもも、これからのいろいろの防災対策を考えていく上で、多様な手段というようなことで、いろいろな問題意識を持ってやっていくべきだろうと思っております。

 そこで、基本的に総務省のお考えを伺っているところをまず御紹介をし、私どもの見解を述べたいと思います。

 宝くじにつきましては、地方財政法及び当せん金付証票法の規定に基づきまして、都道府県及び政令市が公共事業等の財源に充てるため発売しているものでございまして、今日の厳しい財政状況の中で、各発売団体において貴重な一般財源として有効に活用されていると伺っております。

 先生御指摘のように、平成七年の阪神・淡路大震災の折には、発売団体の間で協議が調いまして、復興宝くじが全国で発売され、その収益金が被災地における復興対策事業に充当されたというふうに伺っております。

 所管の総務省とも御相談をしないといけないと思っておりますけれども、大規模災害時における都道府県、政令市の助け合いの一つの形というふうに考えられるのではないか、こういうふうに思っております。

井上国務大臣 よくおわかりにならなかったんではないかと思うんでありますけれども、私が聞いております限りで御答弁させていただくんですけれども、やはり、富くじマーケットというのは一定の限度があるようですね。幾らだって売れるということではなしに、大体年間どれぐらいという規模があるわけでありまして、この宝くじの収益金を各自治体が財源にしていて、いろいろな事業をやっているわけでございます。そういったことで、余り各自治体間で不公平が出ないようにということで、あらかじめどうも枠を設定されているような感じがするんですね。A県、B県、C県、ずうっと枠があります。

 そういうことでありますから、さあ大きな災害が起こった場合にすぐ発行できるんかとなりますと、そうはいきませんで、枠が残っている団体と話をして、その枠を分けてもらうようなことで富くじを発行している、こういうことのようですね。だから、そこの手続が必要だということを今申し上げたわけでございます。

奥田委員 今、確かに宝くじが大いに伸びているわけじゃなくて、横ばい状態、一兆円強の販売額があるというふうに聞いていますけれども、その使途を決める協議会、確かにそういうものがあるわけですから、その協議会に諮るという働きかけを――やはり今、三宅島の方々の支援の資金全体が、東京都という強い後ろ盾がありますから、どうなっているかということを詳細には知りませんけれども、もしそういった資金が早急に必要だ、あるいは不足だ、できれば、三宅島のような村全体で避難したようなところは、やはり村独自が自分たちの考えに基づいて使えるような資金というものを何とかして調達してあげることも一つの生活の支援策ではないかなというふうに思いますので、そういった面での、宝くじを使うとかどうかということを別として、そういった一つの町の、一番小さな身近な自治体が自分たちの考えられる施策をするための資金調達というものにもどうか御協力をいただきたいなというふうに思います。

 今、三宅島のことを言いましたけれども、一つ、やはり特異な例ではありますけれども、長期避難、平成十二年の九月だったと思いますけれども、そういったときからの長期避難に対する支援、これはこの法とはまた別の法での手当てかもしれません。あるいは、政府がどうこうというよりも、さっき言った、自治体や都が取り組むものを後ろから財政支援したりといったことも含まれるかもしれませんけれども、とりあえず、三宅島の長期避難という災害、これをどういうふうにこの法では見ていくことになるのか、そのことの説明をお願いしたいですし、また、申請回数の問題だとかそういったこともあります。あるいは、申請する期限というものもうたわれたりしております。三宅島のケースだけになりますけれども、三宅島のケースはどういうふうに考えられるのかということをお答えいただきたいと思います。

尾見政府参考人 三宅島の方々の長期避難は三年を超えているわけであります。私どもも、今度の新しい村長さんも帰島に向けて非常な決意を語っておられますので、できる限り国としても協力していきたいということで、今、三宅島についての帰島準備プログラムというものをこの三月中にも出したいということで考えております。

 そういう議論を進めます中で、避難が解除されて帰島されるというふうになったときに、当然また生活の根拠を多くの島民の方が島に戻されるわけでありますので、また、引っ越しをするとか新しい生活、家財道具を買うとか、そういう需要が出てくるということでございます。知事会からのお話もございましたので、今回の制度の中で、帰島のタイミングなども念頭に置きながら措置するのがいいんじゃないかということで原案の中に入れさせていただいたわけでございまして、基本的には、その引っ越しの費用でありますとか物品の購入費とか、そういうものを念頭に置いて、最大七十万というような額で、被災者生活再建支援金の百万円の二度目の支払いということで位置づけてお願いをしようと思っているわけでございます。

 全体としては、今回の制度改正の三百万円というのが公助としての一般制度としては一つの上限かなと思っておりますので、この三百万円の枠の中で考えていきたいと思っております。

奥田委員 多くの支援策がある中で今の制度の中だけの話になってしまいますけれども、長期避難をしている最中はまだ災害が継続していると見てもだれも異論は唱えることではないというふうに思いますので、これが遡及適用かどうかということは別の話として、新たな制度の枠の中で、全壊したりもう家が土砂に埋まっちゃったりしているような方もいますので、そういった新しい枠の部分も少なくともこの法の適用要件の中で利用ができるという柔軟な考え方を政府も示していただければというふうに思います。

 個人や世帯単位に対して行われる支援というものが、この生活再建支援法のほかにも、弔慰金や障害見舞金、あるいは、よく阪神では利用されました災害援護資金、こういった幾つか制度がありますけれども、たしか阪神大震災のときの一つの反省要件として、「被災者が早い時期に支援の全体像を理解し、自主的に住宅の再建に取り組むことができるよう体系的な支援メニューを提示し、これを被災者に十分周知することが重要である」と。これは、いろいろな団体がいろいろな形で支援メニューをつくったんですけれども、実際にそれを利用できるはずの被災者の方がどういうものがあるのか理解できないまま効果的に使われなかったという反省に基づいて出てきた言葉でもあるんです。

 先ほど、大臣の方からも、金融公庫のローンがあるよ、あるいは税制の減免措置があるよというようなこともお話の中に出ましたけれども、今の制度、あるいは、そのほかに各省庁が担当であったりするような制度、こういったものを、一つの、防災あるいは災害対策の担当となっている内閣府というものが各省庁を束ねて、被災者に対して、あるいは被災のあった市町村、都道府県に対して、こういった制度、しっかりとこれだけのメニューがありますと。これは確かに市町村が窓口で、市町村が少し上乗せしたり横出しする部分はあるかもしれないけれども、制度としては国の制度でこういうものがありますと。私たちでさえ、どちらかというと、税制の部分でどんな税制の恩恵があるのかというと、多分大臣も一つ、二つはもしかしたら言えるかもしれないけれども、全部言えないような状況じゃないかと思います。

 これはもう四年前に出た提言なんですけれども、こういった提言、災害担当の部署としての幾つかの宿題でもあったわけです。このことにしっかりと取り組んでいるのかどうか、御報告をいただきたいと思います。

尾見政府参考人 先生のお尋ねは、災害が起きたときに、ワンストップサービスみたいな形で、できるだけ被災者支援メニュー等いろいろなもろもろのものについての相談窓口みたいなものをきちっと整備すべきだというお話だと思います。

 それで、私ども、災害が発生した場合には、通常、被災自治体において問い合わせ窓口というものをきっちり決めるというふうに承知しております。そこでは、各種被災の支援制度などについて広報を積極的に行うというようなことで周知に努めているというふうに聞いているところでございます。

 また、防災基本計画がございますが、ここにおきましても、被災者等の生活再建等の支援や被災者等への的確な情報伝達の活動について、国、地方公共団体はきちっとその責任においてやりなさいということが書かれておりますので、こういうものが的確に行われるべきものだというふうに認識しております。

 御指摘もいただきましたので、さらに地方公共団体と連携をし協力をして、そういう御指摘のようなことがスムーズに行われるように努力していきたいと思っております。

奥田委員 私に言わせれば、指導していますとか聞いていますと言うだけで、やっていないと思うんですよ。例えば、きのう質問通告のときに、そういう制度を全部一括して見たいから、こんなようなパンフレットぐらいあるでしょうという話で言ったら、ないという話ですよね。厚生労働省を呼んだり、財務省を呼んだり、総務省を呼んだり、それじゃ困るわけです。

 本当にたくさんメニューはあるんです。これは、二〇〇〇年のときに民主党が、こういう災害対策で新しい拡大策を打ち出したいということで出したものですけれども、多くの支援メニューも一緒に書かれています。ぜひこういったものを、市町村によって違いはあるかもしれないけれども、こういうメニューが政府の方としてはあるんだということを、市町村へ――確定申告で取るときは立派な資料をたくさんくれて、それに沿って書きなさい、税金払いなさいと言うけれども、出すときになったら、全部個別にあちこち一つずつ回れ。そうじゃなくて、どちらにも同じような、まあサービスというような言い方は変ですけれども、そういった周知徹底を必要な仕事としてぜひ取り組んでいただきたい。

 時間だそうですので、まだ途中ですけれども、これで質疑を終わらせていただきたいというふうに思います。これで終わりではなくて、より使いやすい、より充実した制度をお互いにこれからもまだつくっていきたいということを述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

堀込委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党、滋賀県第三区の三日月大造と申します。

 ただいま議案となっております被災者生活再建支援法の改正案、そしてまた、修正案として出されました法案に対しまして審議に参加をさせていただきたいというふうに思っています。

 御案内のとおり、我が国は、地震も、そして噴火も、台風も、豪雨も、水害も頻発する国でございます。毎年どこかで自然災害が発生をし、多くの方々が犠牲になっておられます。これまで失われた多くのとうといお命に心から哀悼の意を表したいというふうに思いますし、命は取りとめられても、被災されて大変な思いをされてきた方々、そして、今もなお三宅島から全島避難をされている方々を初め、不自由な生活を余儀なくされている方々が多くいらっしゃることを思うときに、我が国においては、そういういざというときの自然災害に備えるための対策、特に、被災者をいかに救済、支援するのかという制度の設定が極めて重要だというふうな思いをいたしております。

 私自身、平成七年、あの阪神・淡路大震災のときに、神戸駅や新長田駅で鉄道員として復興に携わりました。そのときに目の当たりにいたしました、家族を失われて途方に暮れていらっしゃる方、家を失われて路頭に迷っていらっしゃる方、そしてまた、ほこりにまみれながら、何とか一日も早い復興をしようと昼夜を分かたず御尽力をされていた方々の御様子が今もなお脳裏に強く焼きついております。

 平成七年、あの阪神・淡路大震災、その多くの犠牲と被害、反省と教訓の上に、平成十年五月、被災者生活再建支援法が議員立法で制定をされました。自然災害によって住宅が全壊した被災者に対して、家財道具などの生活必需品の購入を支援対象として最高百万円支給される仕組みが制度化をされたところでございます。その後、同法の附則第二条や附帯決議、そして、被災者の皆様からの切なる願いを受けた御検討、御議論をこれまで積み重ねてこられました。ここに、大きな改正、第一歩のための審議が行われています。これまでの先輩諸氏そして関係者各位の御努力に対して、改めて敬意を表したいというふうに思っています。

 その質疑に参加をさせていただくこと、そしてまた、国民の悲願を背負うこの大きな改正審議に参加をさせていただくことに対しまして、言葉では言い尽くせない責任というものを感じております。

 特に、今委員会での審議に当たりましては、修正案が対案として示されております。委員の皆様も多くいらっしゃいますし、きょうは全国から傍聴の方々もいらっしゃっています。インターネット中継を見ながら、本当に祈るような気持ちでこの審議の様子を見守っていらっしゃる国民の皆様も多くいらっしゃいます。これまでの経過は経過としてきちんと踏まえつつ、大きな法改正のこの審議に当たりまして、国民の皆様に信を問う、そしてまた、選択していただくことに寄与をする審議を行ってまいりたいと存じます。

 政府側の井上大臣を初め関係者の皆様方、対案を示された側の皆様方の、真摯な、かつ思いのこもった答弁をまず冒頭要請をしておきたいというふうに思っています。

 何といいましても、今回の焦点は、被災時に、被災者の住宅再建に当たって住宅本体への支援をするか否かということに尽きるというふうに思っています。だからこそお伺いをいたします。

 今回、現行の生活再建支援というものに加えて、居住安定支援制度というものを提案されています。政府がつくられた今回のこの表なんですけれども、その概念図を示されているそれぞれの制度が、果たして自助なのか公助なのか共助なのかということを、まずどのような位置づけをしているのかということが極めて重要であり、それが制度設計の出発点になるというふうに思うんですけれども、お伺いをいたします。

 今回の居住安定支援制度というものは、そもそもどういう位置づけとして政府はとらえていらっしゃるのか、そしてまた、修正案をお出しになった皆様方はとらえていらっしゃるのか、この点についてまずお伺いをいたします。

井上国務大臣 居住のこの支援制度につきましては、俗に自助とか共助、公助と言われます。いずれもが必要で、要は、その組み合わせをどうするかということが問題だと言われているわけでありまして、このたび法律案として出しましたのは、その中で、いわゆる公助に当たる部分でございます。

鎌田委員 お答え申し上げます。

 まずは、このたびの審議に当たりまして、私どもがお出しをいたしました修正案もともに御議論をいただきますことを感謝申し上げます。そしてまた、この委員会に集われているすべての委員の皆様、それぞれ御地元、地域を背負われて、地域の声を代弁する代表者としてこの場に集われていらっしゃいますので、その方々にこの修正案をお示しをさせていただけたことを大変光栄に存じております。

 そして、今、三日月委員からも御指摘ありました、思いを込めてという御指示がありましたので、私も、二十五年以上前になりますけれども、宮城県沖地震がありました。あの規模のクラスの地震が三十年以内に九八%の確率で起こる、そういう地域から代表して来ている者としてお答えを申し上げたいと思います。

 まず、御質問に対するお答え、結論から申し上げれば、私たちは公助というふうにとらえさせていただいております。災害から国民の命、身体、財産を守り、社会生活、地域経済の安定を図るために、災害予防対策の充実とあわせて被災地及び被災者の生活再建支援、これを行うことは、まさに国としての責任は非常に大きい、そこに帰するところが大であると私たちは考えております。

 いわゆる天災というものに遭遇をしても、なお自分たちが生まれ育ったそこの地の伝統、地域、ふるさとを守っていこうというそういう方々にとって、まさに一番大切な居住、これを安定して確保をしていくこと、これを国が支援をするということは大変重要なことでありまして、私たちは、今回の修正案の主眼のテーマにもそのことをさせていただいております。

三日月委員 井上大臣からも、そしてまた、修正案を出された鎌田議員の方からも、今回の居住安定支援制度というのは公助だというような指摘、とらえ方が示されました。

 にもかかわらず、政府案の方は、今回、住宅本体の建築費に対する支援が入っていないんです。対案で示された方には住宅本体に対する建築費の支援が入っているんです。もちろん、先ほどの委員の答弁にもございました、住宅本体というものは私有財産の最たるものだということは、そういうとらえ方については一定理解をいたします。

 しかしながら、よく考えていただきたいんですが、住宅は、個人にとっては生活の基盤であって、地域にとってはまさに復興の柱、国民経済計算上も非常に大きな位置づけを占めていると。特に、阪神・淡路大震災のあの長田周辺もそうでした。非常に密集地。私の地元の滋賀県草津市、守山市、栗東市、野洲郡、東海道、中山道、旧の街道沿いに多くの密集地がございます。それぞれの委員の皆様方の御地元にもそういう密集地があるというふうに思いますが、こういう密集地では、まさにこういう住宅というものが大きな公共性を持っているというふうに思うのですけれども、そのあたり、大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 密集地域につきましては、国の方でも一定の条件のもとに助成をしているわけですね。といいますのは、そこで火災が起こるような場合には、延焼していく、非常に被害が大きくなるというようなことから、そういったことに着目して、一定の条件をつけて助成をするというような制度がございます。

 しかし、いわゆる住宅そのものにつきまして、住宅の建築費につきまして税金をつぎ込んでいくということについては、反対論がまだまだ根強いというふうに考えております。

 ちなみに、これはもうお読みになったと思うんでありますが、朝日新聞もおおよそ同じような論調であります。これは、我々の考え方と完全にイコールだということではないんでありますけれども、まあまあこんな考え方じゃないかということで御紹介をするんです。「個人の住宅再建に税金を投じることには反対論が根強い。といって、住まいを失った人たちに何の手助けもしないというのも酷な話だ。」ということですね。「新しい制度は、住宅再建への「周辺整備」を図る形で私有財産と公的援助のかね合いを求めたことや、国と地方が折半負担という点に、工夫のあとが見られる。その発足に賛成したい。」これが大体大方の意見でありまして、私は、個人が住宅を建てます場合に、建築そのものに公金を投入していくということにつきましては、まだ合意が得られる段階じゃないと思います。

 したがいまして、我々もいろいろな検討をしたんです。本当に議論をしまして、最終的に、ここに書いてありますように、これは何かの支援が必要だ、やはり住宅というのは生活の本当の中心ですから、何とかやはり支援しないといけないんじゃないかということで、ぎりぎり今のような中身で制度を発足させていただきたいということをお願いしている次第であります。

三日月委員 これまで本当に長くいろいろな議論がされてきて、そして、今回、ぎりぎりのところで政府側の改正案が出されたということは理解をしております。その政府案に対する、今、朝日新聞の記事を紹介されましたけれども、一つの御意見、評価というものも私は認識しておりますけれども、しかし、住宅本体への建築費に公的支援をするか否かについては、必ずしも、朝日新聞の今の記事、その評価だけがすべてではない。

 特に、災害によって被害を受けられた方々の個人資産の損失補てんをするという観点からではなくて、むしろ、その被災地復興のための住宅再建だ、大きな公共性を持つ住宅の再建、そのことに対する公的な支援なんだというこの考え方については、むしろ、その朝日新聞で述べられていること以上に、大きな国民の賛同が得られると私たちは考えております。

 その観点からあえてお伺いをしたいというふうに思うんですが、あの農地というものに対しては、いざ被災をされたときに、公的なお金を投じて復旧の支援がなされています。そしてまた、御記憶に新しいと思うんですが、金融機関に対する公的な資金の投入というものもなされて、間接的ではありますけれども、個人の私有財産の最たるものであるそういう金融資産に対しても公的な支援がなされるんです。もちろん、生産基盤である農林事業への公的支援というものもありますし、経済基盤である金融機関への公的支援というものにも理解をいたします。

 ならば、生活基盤である住宅という私有財産にも、その建築費等に対する公的支援というのも十分説得力があって理解をしていただけるものだと思いますが、これは、政府、そして対案を示された民主党の皆様方にお伺いをしたいというふうに思います。

井上国務大臣 今、農地の災害復旧につきましてのお話がございました。

 農業あるいは農家につきましては、これはもう明治以来、あるいはその前からかもわかりませんけれども、大変手厚いといいますか、ほかの分野以上の対策が講じられてきたということは、これは紛れもない事実なんです。

 災害復旧の農地といいますのは、あくまでこれは生産手段の原状復帰をするということでございまして、農家といえども、住居をなくした場合に公的な支援はないわけでありまして、この住宅に対する支援というのは、農地等と同列に論じられないということでございます。

 確かに、議論のようなことをされる方もありますが、この私有財産制度を前提にしまして、自分でみずから建てる、あるいは管理をして、処分をしたりもする。そのための例えば保険制度なんかもあるわけであります。これは、信用秩序の維持というようなことを目的とした今の金融機関に対する一定の助成、こういうのとはまた違った制度の仕組みになっているわけでございまして、私どもとしましては、やはり自助でうちをつくっていくというのが基本で、それに対して公助でありますとか共助というような組み合わせをしていくというのが、まあまあ一番適切なる方法じゃないかと思います。

 いずれにしましても、私有財産制度を前提にしました現行の制度の中で、住宅というものに対しまして直接に公金を投入していくのは難しいと思いますし、また、今申し上げましたように、その損害を補てんするための保険制度もあるということでございまして、そういう制度も活用しながら、やはり基本は、自助でひとつ頑張っていただきたい。公助は必ずしも我々は否定するわけではないわけでありまして、公助の中で、建築費を対象にして公助をするというものはいかがなものかというぐあいに考えているわけでありまして、できます限り公助は、その周辺経費でありますけれども、していきたい、こういう考え方であります。

鎌田委員 私どもも、民主主義の国家において常にいろんな議論があって、いろんな討論が交わされるということを承知した上で、しかし、今、全国知事会からのお声、四十を超える知事の皆さん方が、まさに地域現場を見て歩いて、地域に住んでいる人たちからの直接の生の声を聞いて、そして今回の改正案に対して異論を唱えているこの実態、この意見というものも、私たち政治家はやはり真摯に耳を傾けなければいけないと考えております。ですから、だからこそのこの修正案になっておるわけなんです。

 農地についての御質問でございますが、そもそも農地の災害復旧におきましては、公費が支出できる理由について、一つには、個人で負担するにはやはりこれは多額過ぎるという現状があるということ、それから二つには、今大臣も御指摘ありましたけれども、国民経済上重要な生産基盤であるということ、これらも私たちは承知をしているつもりでございます。

 しかし、同様に、災害によって破壊された住宅、これにつきましてもすべてを個人負担しろというのは、これまた大変酷な、多額な費用になるということもぜひ御理解をいただきたい。

 そしてさらに、この国を形成しているのは、まさに地域があってこそです。そして、地域があるのは、地域に住んでいる人たちがそこの居住地域、住宅をもとにそこで生活基盤を成立させているからだということを、やはり私たちは考えなければいけないと思っております。

 ですから、それほどまでに重要な、国家を形成していると言っても過言ではない重要な基盤、この住宅、居住、これに対して公費でもって助成をしていくことは、私たちは、ごく自然な考え方であり、合意が得られると考えております。

三日月委員 先ほど、大臣の御答弁の中にありました。住宅本体という私有財産の建築費に当たって公的支援ができるか否か。この議論は、本当に賛否両論ががちがちに闘い合わせて、そして、半ば神学論争のような展開をされてきたというような経緯についても理解をしております。

 一点、ちょっと踏み込んで質問をさせていただきたいと思うんですけれども、阪神・淡路大震災のときには、瓦れきの撤去や解体や整地といったものは、公的な支援によって公の責任においてなされました。今回、この支援対象となっております解体、瓦れき撤去、整地、これが各自の申請による実施というものになれば、これは、公的な支援、公の責任においてなされるということにならないのではないかという危惧の声も多いんです。(発言する者あり)いや、それならそうとお答えいただければいいんですけれども。

 それで、今回のこういう解体や瓦れき撤去や整地というものは、非常にその地域の早期復旧に対して大きな影響力を持っていると思うんですけれども、そういう場合のことについて、大臣、いかがでしょうか。

尾見政府参考人 阪神・淡路のときのお話がございました。

 確かに、阪神・淡路の大震災の場合は特例的な措置を講じたわけでありますが、基本的には、瓦れきの処理は個人の責任において行うのが基本とされております。阪神・淡路大震災の場合には、一つには、被害が大変甚大であったということ、それから、都市機能全体が麻痺した、それから、放置ということによる社会的、経済的影響が極めて大きなものであった、そういう特別な事情がございまして、特例的に公費負担で措置したというふうに私どもは理解をしております。

 今回の制度は、居住安定の支援の観点から、住宅の再建を図る場合の負担の軽減を図るのに、通常必要となる経費の一部に、解体撤去費、これは現実の問題として被災者の肩に重くのしかかっておりますから、これを支援対象とするということにしたものでございます。

 お尋ねのように、それをばらばらにやられたらかえって問題もあるんじゃないか、そういう点につきましては、市町村におきまして、例えば、被災者の方々の意向なんかをできるだけ集約して効率的な処理に努めるということも一つの工夫としては考えられると思いますし、阪神大震災の場合にも、私が仄聞しているところによりますと、短期間の中に被災者の意向をある意味では反映できない形で一括して処理されてしまったことに伴う問題点もあったやに聞いておりますので、この辺の問題は運用とか実行に左右されることが多いのではないか、こういうふうに考えております。

井上国務大臣 私は、この解体、整地は、今統括官が申し上げましたように、個人の家は個人でやるのが原則だと思います。

 ただ、神戸のああいう大震災、何百ヘクタールという住宅に被害が出たわけですね。連檐した地域でやります場合、住宅も燃えたり倒壊したりするというようなことで、あわせて道路整備もやらないといけないというような場合は、まさに公共事業としてやるというのも私は一つの方法だろうと思います。

 これはまさに、だから、神戸のああいうような大震災が起きた場合にやはり検討されるべきことでありまして、原則的には、やはりそれは個人が整地、解体をしていくということだというふうに考えます。

三日月委員 今御答弁があったように、もちろん大規模災害は、追加的な別途の措置が、先ほどの委員に対する答弁にもありましたとおり、当然必要だというふうに思います。

 それで、これまで公でやってこられたことはそのまま公でやっていただければいい話であって、今回、焦点となり議題になっているのは、踏み込んだ、それぞれの方が持っていらっしゃる住宅、これが壊れたときに、再建しよう、そのことに対して公の支援ができるかできないかというのが焦点になっている話でありますから、ぜひこの部分は、もちろん、周辺経費に対して直接現金で支援するという、踏み込んだ、大きな前進の改正案だということは理解するんですよ。だからこそ、もう一歩踏み込みましょうということをぜひ強く要請をしておきたいというふうに思っています。

 先ほど、鎌田議員の方からありました。全国知事会の各都道府県知事の皆様が、県民、都民、道民、府民の皆様方からの本当に強い要望を受けられて、いろいろな御意見等も承っているところであります。あわせて、今回、三百億円の追加拠出というものも知事会は決定をいたしております。ただ、その追加拠出の前提でありました住宅本体への支援というものが今回の政府案では示されていないんです。それで、二月の下旬に、当然もう皆様方はお読みになっていると思うんですけれども、朝日新聞が実施をいたしました都道府県知事へのアンケート調査、政府案に対する賛成は三県にとどまっておりまして、三十二都道県の知事は、不十分であるし、制度の拡充が必要だということを指摘をされております。

 昨日も、自然災害から国民を守る国会議員の会という議連で静岡県の石川知事をお招きして、全国知事会の御意見、御要望についてもお伺いしたところであります。緊急要望と言われた要望書をいただいたんですけれども、若干政府・与党の立場をおもんぱかられたのか、今回の本改正案に対して附則や附帯決議を行うことを要望をされております。しかし、今回、修正案の方で、対案で出されたものをもし皆様方に御選択いただければ、それでもって十分全国知事会のその要望にもかなうものであるというふうにも思っています。

 あわせて、各都道府県で行われている議会において、各都道府県が割合として負担することになった今回の金額、おかしいじゃないかと。住宅本体に対する支援が前提で各都道府県はそれぞれの金額を負担するんだったんだろう、にもかかわらず、住宅本体に対する支援ができないんだったら、都道府県だってそんなお金を払うことないじゃないかというような御意見も多く出されて、知事はその矢面に立たされて、非常に苦しいお立場にいらっしゃいます。

 今回の政府の改正案で、果たして全国知事会の御理解は得られるとお思いですか。

井上国務大臣 まあいろいろな御意見もあろうと思いますし、ましてや細部につきましては、そういった御意見、あっても決しておかしくないと思います。

 ただ、朝日新聞のあのアンケート調査、私もよく読みました。私も選挙区が兵庫県ですから注意を持って読みましたが、私と話している知事さんが賛成だと言っているのに、バツが書いてあるわけですね。だから、どういうような調査をしてどういう集計をしたのか私はよくわからない、これは。しかし、ああいう報道であったということであります。

 ということで、私は、これは全国的な制度として実施をするものでありまして、その地域地域におきまして、また県民の意向もあるでしょう、いろいろな意向もあるとは思うんだけれども、新しい工夫を凝らして何か考えられるということもあっても、それはそれで別におかしくはないと思うんです。

 ただ、そういう場合に、今おっしゃるような建築費本体について出すということにつきましては、これはいろいろな意見があると私ども思いますし、まさに県の独自の財源でおやりになると言うならば、それも一つの方法だと思います。やって、国がそれを面倒見てくれと言われるようなことがあっては困るんです。それは当然のことだと思います。

三日月委員 そうでしょうか。各県のお金でそれぞれやればいいと今大臣はおっしゃいましたけれども、ここはある意味、国家論、哲学が問われていると思うんです。被災をされて、まさに公の、公共性を持つ、そこの線が分かれ目なのかもしれませんが、住宅、これを再建して地域復興のためにも努力をしようとされている方々に対して、お金を持っている県がそれぞれやればいいんだ、国は何もしないんだというお考えですか。

 その点、ちょっと追加で。

井上国務大臣 国は、今回の制度で、二百万円を限度にして支給をするという最大限のこれは努力をしているわけです。努力の結果が今回の制度の実現に結びついたということであります。

 私は、都道府県がそれぞれの地方の実情に基づいていろいろなことがやられる場合もあるんじゃないかと思うんですけれども、しかし、私どもが提出しております基本的なこの問題、これについては十分議論をしていただきたい、そんなふうに考えます。

三日月委員 繰り返しになりますが、私は、今回の改正というのは大きな前進だと思っているんです。だからこそ、もうあと半歩踏み出しましょうよということを、国民の皆様方の御要望を受けて、あえてこの場で何回も言わせていただいているんです。

 当然、兵庫県の知事も、大臣に会われて、いやいや、あれは担当者が書いたことだからとかなんとか言われたかもしれませんけれども、それはやはり、大臣を前にして、いや、あの政府案には反対ですわというのはなかなか言えないと思うんですね。やはり、その部分を私たちは申し上げていきたいというふうに思いますし、ぜひお酌み取りをいただきたいというふうに思っています。

 平成十年の法律施行以来、二千七百十四世帯、約二十一億円の支援が行われてきました。若干その財源論について確認をさせていただきたいんですが、今回、もし万が一、億が一、都道府県の方々に御理解をいただいて、追加拠出三百億円という満額がいただけた場合、今回の改正案に対する支援金の支払い想定についてどのようにお見積もりをされているのか。また、これまでの運用実績についてお聞かせをいただきたいと思います。

尾見政府参考人 今回の制度改正によりまして、今後、年間どのくらい支援金の支払いが生ずるかというお尋ねということでよろしゅうございますか。

 災害ごとの支援金総額を出すというのは、大変実は諸条件がたくさんございまして、非常に難しゅうございます。全壊と半壊の戸数をどう見るか、被災世帯の年齢や年収、あるいは世帯の人の数、あるいは、再建するのか賃貸住宅に入られるのか、そういう居住パターンみたいなこともございます。そういうことによって支援金の額が大きく変わってきますので、私どもは、支援金の額を正確に推定するということは困難なことだと思っております。

 それで、今までの百万円の支援金の支給がどうだったかについては、先ほどのほかの先生の御質問に対してもお答えをしましたけれども、全壊した世帯に対して大体九五%ぐらいの支給になっているということでございます。

三日月委員 基金の運用実績についてお聞かせいただきたい。

尾見政府参考人 それでは、基金の運用実績を申し上げたいと思います。

 平成十四年度までの四年間の基金の運用益は、約十四億円というふうになっております。それでよろしゅうございますか。(三日月委員「はい」と呼ぶ)

三日月委員 今回の支援をするかしないかというのは、当然お金がかかる話ではありますけれども、予算の枠があるからできるんだ、できないんだという話ではなくて、ある意味、政治的な決断でこれはできる話でありますから、ぜひ踏み込んだ支援を要請をしておきたいというふうに思っています。

 若干、制度論、各論に入っておきたいと思います。

 といいますのも、この被災者生活再建支援法というのは、二十四条と附則から成る、本当に骨組みだけの法律なんですね。あと細かいことは政令と府令によって決められております。ですから、この委員会審議でしっかりとその具体的な内容についても確認をしておかなければならないというふうに思っていますし、中身についても明らかにし、そして担保をとっておかなければならないという観点から質問をさせていただきます。

 言うまでもなく、災害時という緊急の場合の支援については迅速でかつ簡便でと、先ほど大臣の御答弁の中にもありました。そういう支援制度というものが最重要だというふうに思っています。

 今回の改正の中で、居住安定支援制度の中に組み込まれました住宅ローンの利子そしてローン保証金について支援をするんだということに政府案ではなっておりますが、しかし、ローンが組める人と組めない人というのがいらっしゃって、特に、多くの債務を抱えていらっしゃる方や高齢者の方々はローンが組めないんです。しかし、その方々にも住宅があって、被災されたときには、その住宅を再建しようと思われることは当然のことだと思うんですけれども、ローンが組める人と組めない人に対して支援ができる、できない、このことについての不公平感をどのようにお考えでしょうか。

 大臣と、そして提出者の方にお伺いいたします。

井上国務大臣 これはローンの利子補給ですから、ローンがない場合は利子補給はできませんね。私はそういうものだと思います。

泉(房)委員 提出者の一人としてお答えいたします。

 この問題、極めて重要な問題であります。まずもって皆さんにお伝えしたいことは、現在この委員会、委員長を除いて三十九名おります。私も含めまして野党側三党で十六名、与党側二十三名、あと四名の賛成をもってすればこの修正案は可決する、そういった緊張感を持って御審議のほどをよろしくお願いいたします。

 現在、今御質問ありました件でありますが、ローンのこの関係費、不公平だという指摘は多くの知事からなされております。私の選出であります兵庫県におきましても、不公平が生ずるがゆえに、その補完をする措置をとらなければならないぐらいであります。また、鳥取県を初めとして、今回のようなローン利子、周辺経費に限るのであれば、予定されていた三百億円の基金の拠出すら要らないのではないか、そういうふうな御意見もまだ根強くあります。

 私どもの修正案によりますと、住宅本体に支給されますので、それをもってすれば、このような不公平感、また、実効性が薄いということはありません。満額支給が受けられます。不公平もありません。ぜひとも修正案の可決をお願いしたいと思うとともに、また、この政府案のローン利子の考え方でありますが、ローンの利子はまさに現金給付であります。そういうふうにローンの利子についてまできっちりと支給するのであれば、もう一歩踏み込んで住宅本体への支給をすることに何ら差し支えはないと考えます。

 このように私は答弁させていただきます。

尾見政府参考人 申しわけありません。ローンの利子についてのお尋ねでありますが、私の方からも一言二言申し上げたいと思います。

 まず、今回の制度で、ローンを組まないケースでも、再建される場合は、通常、解体除却費ということで二百万まで支援対象になるというふうにまず考えています。

 それで、高齢者の方々の場合、残念ながら、新たにローンを組まれる方というのは通常の場合でも極めて少のうございます。したがって、そういう点で、災害時で、もともとローンが組めないというケースについては、組めない者について移転新築購入を選択するということは少ないのかなと。例えば公営住宅に入られるとか、そういう道を選ばれる方が多いんではないか、こういうふうに思っております。

三日月委員 大臣から御答弁あった、ローンがない人にローンの支援はしないのは当然でしょうというのは、それは私も当然わかっています。

 ただ、あえて申し上げておきたいのは、ローンの利子に対する支援をする、もしくはローンの保証金に対して支援をすることで、住宅本体の建築費に対して支援をしなくても十分それで賄えるんではないかということを言われるから、組める人と組めない人がいるにもかかわらず、それは不平等が生じるのではないですかということを申し上げているんです。当然、ローンがない人に支援がいかないのは、これはもう私は十分これを読めばわかります。

 このあたりを、ちょっと大臣、一言お願いできますか。

井上国務大臣 いろいろな方がおられまして、いろいろな選択があるわけでありまして、そういう選択の中で我々として支援のできる対象の世帯でありますとか経費を言っておるわけでありまして、すべての人が同じような条件で同じようなことになるということは、到底私は想像できないんです。

 その状況に応じまして制度にのっとってこの支援をしていくということが、法律を実施していく立場からいいますと一番妥当なやり方ではないか、こんなふうに思います。

三日月委員 ローンの利子や保証金に対して支援をすることで住宅本体の建築費にしなくても十分賄えるかもしれないというような御意見に対しては、そういう不平等、不公平があるんだということをぜひ御理解をいただいておきたいというふうに思っています。

 そして、もうあと二つ御質問したいと思うんですが、今回、支援対象となった居住関係経費については、原則として発災後三年以内、そして、家賃等においては二年以内に支出される経費が対象になっています。

 そもそもこの根拠というものを教えていただきたいということと、そしてまた、原則としてというのがついているんです。では、例外は何なんですか。原則じゃないものはどういうものなのか。

 政府案と提出者にお伺いいたします。

尾見政府参考人 例えば、ローンの利子補給について発災後三年間としております。それから、家賃等につきましては二年以内としております。いずれも原則がついております。

 これは、阪神・淡路大震災の例をとりますと、再建された住宅の八割は三年以内に再建されているという事実がございますので、これらを踏まえまして、原則として発災後三年以内に発生した経費を対象としているということでございます。

 家賃の方は、仮設住宅の期間が原則二年でありますので、それとの均衡というものを考慮して二年といたしております。

 いずれの場合におきましても、やむを得ない事情によってその期間を延ばすという必要がある場合には、これについて対応ができるというような仕組みにしております。

泉(房)委員 お答えいたします。

 この三年と二年でありますが、発災後三年であれば、二年十カ月後にローンを組まれた方につきましては、二カ月分しか厳密に考えると出ません。今の答弁にありましたが、三年以内に組めばいいという運用がなされるのであればまた別でありますが、三年、二年で区切られるんであれば、より早くローンを組みなさい、民間に入りなさいということになりかねません。

 また、この金額につきましても、ローンの額にしても家賃にしても、より高額であればより手厚く出るというシステムですので、より高いところに住みなさいということになりかねません。運用面がきっちりなされなければ、この制度は本当に被災者にとって手厚いものになりません。

 そんなことをしなくても、繰り返し申し上げます、住宅本体に支給をすれば手厚い保護はできるわけであります。この点からいたしましても修正案の方がすぐれている、そのように答弁させていただきます。

三日月委員 今回の出された改正案、そしてそもそもある被災者生活再建支援法、私も、今回、被災したつもりになって詳しく読ませていただいたんですけれども、非常にわかりにくいんですよね。

 それで、今回創設される居住安定経費というのは特別経費だと位置づけられているんです。そもそも、通常経費、特別経費という区分は必要なんですかね。

 そしてまた、もし区分を残すんだったら、現行の生活再建支援金同様、概算支給、もうぽんとこれだけのお金は概算でお渡ししますよと。今までの現行の制度は一定の制限があると。そうしたら、今回追加的に創設された居住安定支援制度にもその割合というものは存続されるのかどうなのか。

 そしてまた、特別経費に係る支出には、領収書の添付とか、いろいろと複雑で煩雑な手続も必要で、もちろん公費ですから、いいかげんにお金を使っていいとは思わないですけれども、余りにも手続が複雑でややこし過ぎると思うんですが、そのあたり、いかがでしょうか。

 それぞれにお伺いいたします。

尾見政府参考人 特別経費と、一般経費といいますか通常経費の区分についてのお尋ねがまずございました。

 現行の生活再建支援金につきましては、七十万円が通常経費ということになっていまして、三十万円が特別経費ということになっています。特別経費というのは、一般の場合では生じにくいような、例えば、けがをされて特別の治療を必要としたとか、そういうようなケースに適用されるものでありまして、それについては、その趣旨から、証明する書類が必要だというふうな整理になっております。

 今回の居住安定支援制度でありますけれども、それぞれのものについて、きちっと目的に従った支出がされているということを、やはり国民の税金を使ってやるわけでありますので、その点は確認をさせていただきたいと思いますが、証明書類が一つということでありますし、それから、付随していろいろな書類が必要とされているものにつきましては、できるだけ簡素化を図るというようなことで対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。

泉(房)委員 この問題、まさに議員御指摘のとおりでありまして、運用面に係るところが極めて大きいわけであります。この面、運用を厳格に解しますと、領収証をつけてからお金を出すんであれば、支給時期がおくれます。概算払いを活用するなどしないことには手厚い保護にはなりません。

 繰り返し申し上げます。修正案のように、住宅本体に支給をすれば、この満額支給がすぐに受けられるわけであります。

 この点、修正案の有利な点を申し述べた上で、運用面の手厚い保護、運用を考えていただかないことにはだめだということを申し添えた上で、さらに、この問題につきましては、今回の支給対象の問題のみならず、支給の金額、また、年齢、年収要件等いろいろな問題があります。見直しが必要であります。

 見直しにつきまして、修正案といたしましては三年後の見直しを掲げております。より速やかな見直しが必要であろうと思われます。五年とかいう期間ではなく、三年後の見直し、できればもっと早い見直しをしていくべきであろうと他の方面からも考える次第であります。

三日月委員 時間が参りましたので終わりにいたしますが、細かいところは政令、府令でこれから決められるんだと。今回の委員会質疑の内容も踏まえて、ぜひそのあたりについても、簡便で、被災された方がより利用しやすい制度になるような改正をお願いしたいというふうに思いますし、今回の改正は大きな一歩なんです。それはもう本当に評価します、これはもう何回も言っていますけれども。だからこそ、心が温まって、腹をくくった政治決断が今回必要だ。

 政府は、今回新設された居住安定制度のことを、倒れた方が起き上がるためのつえだというふうに表現をされています。国会におけるこれまでの取り組みや議論を十分踏まえて、そしてまた、各都道府県から、そして多くの方々から寄せられている強い要望を十分受けとめて、どうせ差し出すつえだったら、身の丈に合ったつえを差し出そうじゃありませんか、ぜひともそのための制度改正をしようじゃありませんかということを皆様方にお呼びかけをいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀込委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 改めて申し上げるまでもございませんが、我が国は非常に自然災害の多い国です。災害といえば、やはり地震、台風、津波、豪雪、世界各国の中でも数少ないぐらいいろいろな災害に見舞われます。私たちは、今、国として、いつ発生するかわからない自然災害に対しての危機管理をしっかりとやっていかなければなりません。

 特に大規模地震につきましては、阪神・淡路大震災の例を見ましても、被災地域の方々の多くのとうとい人命を失いました。私も、大学時代、二カ月間、阪神大震災の被災者を助けるためのボランティアへ駆けつけました。いろいろな現場を見て、そのときの思いを持って今回の法案の審議についてお訴えをさせていただきたい、そして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、人命の犠牲を最小限にするための対策が危機管理の第一です。そしてもう一つは、政治家の責任として、生命の安全だけでなく、それを確保できたその人たちの生活の再建、財産の安全を守ることが必要です。

 今回の、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案並びにこの修正案について質問させていただきます。

 まず、住宅に対する公費投入の是非についてお話をさせていただきます。

 不幸にして大規模な災害に遭遇した被災者が、命は守れたものの、生活の基盤である住宅を失った場合、被災者の生活再建を支援するのであれば、順番として、当然、住宅そのものを支援しなければなりません。そこの部分に公費の支給を考えるべきだと私は思います。

 この部分は、何度も前の方が質問されているので質問にはいたしませんが、私は、今のこの修正案、百メートル走で言えば、確かに前進しているんです。しかし、九十五メートルぐらいのところまで進んで倒れてしまった、そして、あと五メートル前へ進んでいただいたら、本当にみんなが使いやすい公平な制度になる。そのためには、やはり住宅本体、建築費そのものに公的なお金を入れなければならないのではないか、そのように考えています。

 私は、修正案の方が現実的で、かつ公平だと確信をしています。それに対して、今の政府案の説明がどうもしっくりこない感じがしているんです。特に、予算額が先にあって、後から理屈をつけるために対象経費を考えただけではないか、そう感じるんですが、どうお考えでしょうか。

 言葉をかえてお聞きします。内閣府では、個人資産への税金投入ということと生活再建支援ということをどのように区別されておられるんでしょうか。また、区別する際の根拠はどのように理解したらよろしいのでしょうか。

 内閣府の方にお尋ねします。

尾見政府参考人 私は、昨年の七月以来、この問題を予算要求の段階から担当してまいりました。

 まず、基本的なところで私どもの説明が必ずしもよくないのかもしれませんが、私どもは、生活の再建を被災者の方にしていただくためには、住まいの問題が極めて重要であると。それで住まいという言葉を使わせていただいております。それは、物理的な住宅ということにとどまらない、あるいは住宅ということを離れても、住まいの確保、居住の安定の確保というものが必要なのではないか、そういうことでそういう言葉を使わせていただいているということでございます。

 これは、平成十四年の七月の中央防災会議というところで、この問題についていろいろ御議論がある中でなかなか話が収れんしないということがございました。何とか方向性を出そうということで、そこでの御議論を要約いたしますと、住宅の所有、非所有にかかわらず、真に支援が必要な者に対して、住宅の再建・補修、賃貸住宅それぞれへの入居等に係る負担軽減などを含めた総合的な居住確保を支援していくことが重要ではないか、国は、これらに加えて、安定した居住の確保のための支援策を講じるべきである、こういうふうなことでございました。

 したがいまして、住宅本体についての議論は、先ほど、私どもの大臣からもいろいろるる御説明がありましたけれども、さまざまな議論があるところであります。そういう中で、住まいを確保する、それは、持てる者も持たざる者も含めて、そうしたらどうしたらいいかということで私どもとしては私どもなりに知恵を絞って、住宅という資産の形が残らない、けれども、実際に住宅を再建するという過程では被災者の方々の肩に重くのしかかっているいろいろな経費がございますので、そういう経費を支援対象とすることで幅広い住まいの確保ということが考え得るのではないかな、そういうふうに考えて整理しているところでございます。

村井(宗)委員 今答弁でいただいたように、要するに、初めに予算を決めて、いろいろな議論の末、後で理屈をつけて対象経費を決めてしまった。そのために、やはり不平等で非現実的なややこしい制度になってしまった。そのことが明らかになってしまったんではないか、そのように思っています。

 それでは、次に移らせていただきます。

 この制度で言うところの居住安定支援制度の中身についてであります。

 繰り返しになるかもしれませんが、ここで対象にされている大規模災害の被害に遭われた方たちは、命だけは取りとめたわけです。あるいは、御家族や身内には犠牲者が出ておられるかもしれません。そんな精神的ショックの大きい中で、御自身の住宅の再建に取り組まなくてはならないわけです。したがいまして、再建の支援策は、精神的にも被災者の心の支えになるような配慮がなされている必要があるんではないかと私は思います。

 それではお伺いします。

 居住安定支援制度における瓦れきの撤去費用などの周辺経費だけで、本当に被災者の住宅再建意欲が高まると考えられるんでしょうか。まず、内閣府の方から御答弁をお願いします。

尾見政府参考人 瓦れきの撤去費などの周辺経費だけでは被災者の方々の住宅再建意欲というのは高まらないんじゃないか、こういう御質問でございました。

 私どもは、先ほど言いましたように、住宅を再建する過程で、実際に被災者の方々が負担しなければならないお金が、今申し上げました瓦れきの撤去に加えて、お金がなければローンも借ります。それから、もろもろの諸経費もかかるでしょう。そういう経費を実質的に対象とするということで考えておりますので、瓦れきの処理だから、あるいは本体だからということで住宅再建意欲が左右されるというふうに私は考えておりません。実質的な負担が減少するということをきちっと理解していただければよろしいのではないかと。

 そのために私どもは、今回の仕組みでも、通常のケースでは、きちっとした二百万、百万それぞれの経費が見込める場合は通常であるというよなモデルケースを算定いたしまして、それを御理解いただくように御説明させていただいているところでございます。

村井(宗)委員 それでは、同じ質問を修正案の提出者にお聞きします。

 本当に周辺経費だけで被災者の住宅再建意欲が高まるとお考えでしょうか。

鎌田委員 まず、率直に結論、お答えから申し上げますと、意欲が高まると考えていれば修正案は出しません。

 私は、先ほどから、政府側と委員の皆様のやりとりをお聞きをしながら、いわゆる永田町、役所の目線と、現場で、地域で暮らしを営んでいる市民、住民、国民の皆様との目線の思いというものがここまで乖離してしまっているのかなということを深く感じておりました。

 しかし、今この審議に臨んでいる我々は、政治家、代表者、議員でありますから、私たちは、やはり、役所の目線ではなく、地域の、現場の目線に立って、一体何を求めているのかというところにこたえていく法制度の改正というものをしなければならないと思っています。

 周辺経費のみでは、やはり、満額手にすることができるかどうかという、まずその大きな不安もあります。ですので、住民の皆さんにとっての住宅再建への意欲、これを十分に引き出すものにはならないというふうに私たちは考えています。住宅の建設費ということであるならば、ほぼ満額支給されるものでありますから、被災者の皆様にとっての住宅取得意欲を十分に引き出せるものと私たちは確信をいたしております。

村井(宗)委員 今、鎌田議員がおっしゃられたとおり、確かに、役所と現場の目線が今非常に乖離し始めている。それで、本当に住宅再建意欲の高まり、そのために実効性のある政策がなかなかとられていないんではないのか、そのように私も考えます。

 では、次の質問に移ります。

 支援金の支給を、他の都道府県に移転する場合は支給限度額の二分の一にするということになっていますが、この根拠は何でしょうか。

 内閣府と修正案提出者にお聞きします。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 居住の確保支援は、被災者個人への支援という側面と地域の復興促進という両方の側面がある、こういうふうに考えております。ちなみに全国知事会も、その要望の中で、被災地の早期復旧と復興対策推進のための総合的支援制度の一環として被災者の居住確保支援を位置づけている、こういうふうなことでございます。

 このため、支援金額の算定に当たりましては、後者の地域の復興促進という観点も一方であるということも考慮いたしまして、災害を契機に他の都道府県に転居する場合には、被災地での住宅再建をする場合と違う扱いをさせていただく、こういうふうにしているところでございます。

泉(房)委員 お答えいたします。

 これは、要するに何を支援していくのかの問題であります。支援すべきは、単に雨露をしのげてどこに住めてもいいということではなく、その住みなれた町を守っていこうということから、都道府県の中に住むのか違うのかで分けていると考えます。守るべきは町のぬくもり、被災した方が仮設住宅や復興住宅に点々とばらばらになったんではだめなのであって、もとの町で、住みなれたところでその町のぬくもりを取り戻す、そのためにこの支援対策が極めて公共性の強いものであります。

 したがって、個人資産の形成云々の議論はありますが、この公共性の見地からも一歩踏み込んだ支援策が必要であると考えております。

村井(宗)委員 答弁、ありがとうございました。

 では、次に移ります。

 大規模災害の被災者は、住宅だけではないんです。やはり、不幸にして仕事も職場も失ってしまう場合が考えられるわけです。収入の道が途絶えてしまう場合や収入が大きく減少してしまう場合があるわけです。あの震災以降、すぐにそのまま仕事を続けていたという自営業者はそれほどいないはずです。住宅再建に多大な出費が必要である上に、さらに収入の方がなくなったり減ったりしてしまう厳しい状況の中、生活再建支援はまさに最後のよりどころなんです。

 そこでお伺いします。

 被災が原因で解職、離職などを余儀なくされても、現行制度では、被災世帯の年収の算定は前年の収入額で算定しています。そのため、生活再建支援金が支給されない場合などがあります。被災したその年の収入額による算定に改めるべきではないでしょうか。

 まず、内閣府からお尋ねします。

尾見政府参考人 本制度は、対象世帯の認定につきましては被災日を基準としているわけでございます。したがって、前年の収入を用いざるを得ないということでございます。

 なお、結果としてこのことが、被災者の自立した生活の開始に迅速かつ確実に支援する。というのは、その次の年の収入ということになりますと、支援金の支給されるのも一年ずれ込むということに相なりますので、そういう意味合いもあるということでございます。

 それで、被災後に生じた事情の変化につきましては、災害との因果関係等の問題もございまして、仮に何らかの支援があるとしても、本制度の対象としてどうかということではなくて、ほかの施策等も含めて検討をしていただくような問題ではないか、こういうふうに考えております。

村井(宗)委員 同じ質問を修正案の提出者にもしたいと思っています。

 前年の収入額で算定していても、やはり震災が原因で、本当の収入額が、その年の収入額は減るかもしれない、私はそう思うんですが、どうお考えでしょうか。

泉(房)委員 答弁いたします。

 まさに議員御指摘のとおりであります。本当に今の役人の答弁は役人の発想からだと思います。現場を見れば、建物、工場も壊れて、仕事もなくなっている。そういう方々に、前年度あなたは収入があったから支援しません、そんなことはおかしな話であります。これは運用次第であります。前年度の収入のみならず、当該年度、その両方で見て、いずれかが要件を満たせば支給する、そのような運用だって考えられるわけであります。

 この点考えますと、そもそも、年齢要件、収入要件、そんなことを課していること自体見直すべきなのでありまして、繰り返し申し上げます。この法案につきましては見直しが早急に必要であります。一年後、二年後、三年後、少なくとも三年以内の見直しをきっちりと決めておくべきだと私は考えております。

 そのように答弁いたします。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

 今後の運用についてもしっかりとそういった形で議論していただく、それと同時に、できれば三年後に法案自身をしっかりと見直していく、そのようにお願いをしたいと思います。

 ここで申し上げるまでもございませんが、大規模自然災害、とりわけ大規模地震の被害は、その被災者の年齢や収入に関係なく襲ってくるわけです。当然ですが、どの程度の被害を受けるかは年収や年齢に全く関係ございません。また、生活再建の困難さ、大変さは、必ずしもその被災者の年齢や収入と相関関係にあるとは限らないんです。それこそ千差万別であり、被災者お一人お一人の被害の度合いは単純には分類できないんではないか、私はそのように思います。一命を取りとめた上で、他の家族がどうなったのか、同居していた家族の安否あるいはけがの程度、職場や勤務先の状況、その他もろもろの条件の中で生活を再建する困難さは、単純に年齢や年収要件で類型化できるものではございません。

 そこでお聞きします。

 被災世帯の自立した生活の再建を支援するためには、年齢や年収の要件を今後緩和していくべきではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

 内閣府及び法案修正者にお聞きします。

尾見政府参考人 年齢、年収要件についてのお尋ねでございます。

 本制度は、基本的には、社会政策的な見地から、真に支援が必要な者に対して支援を行う、こういう枠組みでございます。現行の要件は、実は、五年前に、国会の先生方の議員立法でこの法案は成立したわけでございますけれども、そこでいろいろ御議論がある中で、支援対象をどうするかということについて基本的な枠組みをつくられたわけでございます。そこでのお考えは、被災世帯の約半数をカバーするというような考え方で設定されたものであるというふうに承知をしております。

 したがって、この点はこの被災者生活再建支援制度のいわば基本となることでございまして、この前提を見直すということはそう簡単にできることではないのではないかと思っております。

 ちなみに、五年前と比較いたしますと、一つには、高齢化が進みました。それから、残念なことではございますが、経済の低迷というふうなこともございまして、収入が下がっているということがございます。したがいまして、現時点での支給対象の世帯割合を計算してみますと、その五割というのを少し上回るというふうな状況になっているという事実だけ御報告しておきます。

鎌田委員 お答え申し上げます。

 現行制度のもとでは、世帯主が四十五歳から五十九歳以下の場合、それから年収制限におきましても、世帯の年収が七百万円以下でないと支援金が支給されないという現状がございます。

 私たちは、やはり政治家がここに集っているわけですから、今、政府の答弁の中で、五割あるいは五割をちょっと上回るというふうな御答弁がございましたけれども、そういう数字よりも、現場で果たしてどれだけの人がどのように困っているのか、必要な人に必要な分をというそういう視点がやはり今後大切になっていくのではないかなと思っています。

 ただ、私どもも、いわゆる要件という制限をすべて外して無制限にじゃばじゃばという考えではございません、まさに公金ですから。ですけれども、今のこのさまざまな要件というものが現実、現状に合っていないというところにかんがみまして、これから先の見直しの中でしっかりその要件の緩和、見直しというものは行っていくべきだと考えております。

村井(宗)委員 そういった意味で、今回のこの法案では、年齢の部分、年収の部分、いろいろな部分でまだまだ見直しするところがたくさんあるわけです。そして、本当にいろいろな形での災害があるわけですから、今、私たちが想像していない大きな災害があるかもしれません。そういった意味で、それぞれの事態に対応できるように、また、今の年齢、年収要件もさらに現実に合うように、期限をやはり三年以内と明確化して法案を修正しておくべきではないか、私はそのように考えております。

 それでは、次の質問に移ります。

 どうも、政府案の支援金支給の考え方、支援対象経費の考え方、あるいは支援対象者の要件の絞り方をお伺いしておりますと、できるだけ少なくしたい、なるべくなら支出を抑えたい、そういう考えがやはり見え隠れしています。しかし、それだけでは、本当に安心で安全な国民の生活を守ることはできないんです。

 冒頭にも申し上げましたように、危機管理の第一番は生命の安全の確保、第二番は財産の確保です。もちろん、不幸にして被害に遭われた方の生活再建支援が重要なのは当然ですが、その前に、生命の安全と財産の安全の確保のための今後の対策を講じることがもう一つの危機管理なんです。そして、実は、この事前の危機管理対策を充実させることこそが、災害発生後の支援のための経費を結果的に抑えることができるはずなんです。

 だから私たちは、今いかに支出をする人を減らすというだけではなくて、今後、耐震性、つまり、住宅の耐震性をふやすことによる経費の削減、そういった方向も考えていかなければならないんではないか、私はそのように考えます。

 そこでお伺いします。

 国土交通省の推計では、耐震性の不充足により、大地震で倒壊の危険性のある住宅は全国で約千四百万棟になっているとのことであります。被災者に対する事後の支援制度を充実させることはもちろんなんです。しかし、本当に被災で亡くなる方、命を守るために住宅の耐震化を進めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 まず、内閣府の方からお尋ねします。

尾見政府参考人 村井先生の先ほどの御指摘、全く同感でございまして、私どもは、やはり基本的に、人命を守るという観点からは、住宅あるいは学校とか病院とか、そういうものの耐震化をきちっと進めて、少なくとも地震災害で人が死なないことを目標にするということが極めて大事なことだと思っております。以下、そういうつもりで御答弁をさせていただきます。

 東海地震でございますとか東南海地震、南海地震によります被害の発生が考えられる地域におきましては、地域内の住宅の耐震化を図ることが、被害の軽減のため緊急に取り組むべき課題であるというふうに考えております。

 このため、昨年七月に、これはかなり強調しておきたいわけでありますが、閣議決定をさせていただきました。東海地震緊急対策方針というものでございます。これは、緊急に実施すべき予防対策の第一に住宅の耐震化を位置づけまして、政府を挙げて取り組むということの決意表明をするということでございまして、二ないし三年のうちに一定の方向を出すということを内容としております。

 また、住宅の耐震化の機運を高めるというのは大変大事なことでございまして、国におきましては、具体的には、静岡県の長泉町でありますとか愛知県の岡崎市とか、全国で九つの地域についてモデル的なマップづくり、こういうのをやろうと思っております。これは、かなり細かい、五十メートルメッシュだと思っておりますが、そういうところでどういう震度になるかということが明らかになります。そうすると、それぞれの住宅がどれだけ危険性があるかということが認識をされます。そういうことに大変役に立つ。結果として、耐震工事なんかについて促進されるということになります。

 そのための融資制度やローン減税制度などの支援もあわせて行っていきたいと思っております。

 また、公共団体におきましても、住宅の耐震改修への補助でありますとか融資などを用意して耐震化に取り組んでいるところでございまして、今後とも、この問題は大変重要であるということで、国土交通省や関係公共団体とも連携をしてしっかり取り組んでいきたい、こう思っております。

村井(宗)委員 同じ質問を法案の修正担当者にもお聞きしたいと思います。

 耐震性をまずしっかりとやる、そして、今後命をなくす人をできるだけ減らしていく、そのようにすべきだと私は考えますが、どのようにお考えでしょうか。

鎌田委員 私どもも全く村井委員と同じ考えでございます。

 阪神・淡路大震災の際には、八割を超える方々が、いわゆる住宅等の倒壊によりまして圧死あるいは圧迫死、これで命を落とされているということも聞き及んでおります。やはり、天災はいつ襲ってくるかわかりませんけれども、しかし、ふだんからの備えというものは、これはあらゆる限りを尽くしてやっていかなければいけないことだと私たちは考えております。

 よって、村井委員御指摘の住宅の耐震化、あるいは住宅のみならず、さまざまな地域における公共施設等の耐震化というものは、積極的にこれは公費をそれこそ投じながら進めていかなければいけないと思います。

 地域においては、大地震が起きたときに災害対策本部を設けなければならない市役所もしくは区役所、そういう行政の拠点になるべきところが築四十年とかいう時間がたってしまって、大きな地震が来たら、対策本部をつくるところが一番先に壊れるんじゃないかなんという地域も、実は全国に目を向ければあるようなのが実態でございますので、やはりこの耐震という問題は、これから先、大きなテーマとして考えていかなければいけないと思っております。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

 内閣府の方も、そして法案の修正案の提出者の方々も、今おっしゃられたように、やはりまず、今後の対策としての住宅再建支援だけではなく、同時に、耐震性を上げて極力被害を少なくしていく、命を守る、財産を守る、そういった予防の観点からも今後政策を進めていただければと思います。

 さて、政府の中央防災会議におかれましては、今後の大規模地震に対しての被害想定も考えておられるのではないか、そのように思います。東海地震、東南海地震、南海地震、そして首都直下型地震など、将来起こるだろうと予想されている大規模地震の対策をどのような被害想定で考えておられますでしょうか。

 内閣府にお尋ねします。

尾見政府参考人 東海地震、東南海地震、南海地震など、近い将来に予想される大規模地震対策に関して被害想定はどうなっているか、こういうお尋ねだと思います。

 中央防災会議におきましては、今申し上げました地震に関しまして専門調査会を設置して、被害想定を実施し、防災対策を検討してまいりました。

 東海地震についてまず申し上げますと、静岡県を中心に、それから東南海・南海地震につきましては、東海から四国にかけての太平洋沿岸を中心に、広域かつ甚大な被害が予想されるわけでございます。

 被害想定の結果、東海地震が自宅で就寝中の方が多い朝五時に発生したとした場合には、揺れや津波、液状化などにより、全壊棟数は約二十六万棟、死者は、東海地震の場合は予知情報があるなしがございますが、予知情報なしの場合約九千二百人、予知情報がある場合には約二千三百人、経済被害は、予知情報なしの場合約三十七兆円、予知情報ありの場合は約三十一兆円と想定されております。

 東南海・南海地震につきましても、同様の想定によりまして、全壊棟数約三十六万棟、死者約一万八千人、経済被害約五十七兆円となっているところでございます。

村井(宗)委員 今、南海地震、首都直下型地震なども一緒に質問をしたわけでありますが、その部分はもしかしたらまだ予想がついていないのかもしれません。

 その中で、では、特に今の東海地震の予想そして東南海地震の予想で、今回の支援制度が適用されれば一体幾ら支援金額が必要になってくるのかという算定をお答えいただければと思います。

 まず、東海地震で二十六万棟つぶれ、九千二百人、三十七兆円の被害が出たと想定した場合は、どのぐらいの支援制度の支援金総額が必要になるんでしょうか。

 内閣府にお尋ねします。

尾見政府参考人 先ほどの被害想定に関しましては、それを出します場合に、例えばどのぐらいの建築物が倒壊するかということは一定の予想を立てております。過去の災害で、例えばこの程度の倒壊があったときにどのぐらいの方が亡くなっているか、そういうことに基づいて死者数を出したりいたしております。

 そういうことはわかるのでございますが、今度の制度におきます支援金総額を出します場合には、先ほど来、委員の先生方にも御説明させていただいておりますように、全壊、半壊戸数から直ちに算出されるというものではございませんで、被災世帯の年齢、年収、世帯の人数、再建か賃貸住宅入居か等の居住パターン、そういうものがいろいろ変わってまいりますので、そういうものによって支援金額が大きく異なるというふうに考えております。したがって、現時点で支援金額を正確に推定するということは困難であると考えております。

村井(宗)委員 私がもし今の質問で同じようなことを、東南海地震の、三十六万棟がつぶれ、一万人が亡くなり、五十七兆円の経済損失という条件を当てはめたとしても、多分お答えになれないんじゃないかと思います。それだけ修正案の方はまだ明確に予想がつくわけなんです。しかし、今の政府提出案の方では、いろいろな要件が重なったり、よくわからない細かい経費がいろいろあるわけで、なかなか想像がつかない、そういう複雑でややこしい案、そういうふうなことが明らかになったかと思います。

 では、今、先ほどの被害想定に該当する地域に対しましては、住宅の耐震化の促進に関してどのように取り組んでおられますでしょうか。

 内閣府にお尋ねします。

尾見政府参考人 先ほど御答弁したものとちょっと重複するかもしれませんが、東海地震につきましては、基本的には、東海地震対策要綱といういわばマスタープランを定めておりまして、それに基づきまして具体的な施策を実行しております。

 それで、具体的にその中での中心のテーマとしては、先ほど申し上げました耐震化の促進というようなものを大きな柱にいたしておりまして、そのために、東海地震緊急対策方針、こういうものを定めておりますと同時に、ハザードマップの整備だとか、そういうことをこれから積極的にやっていくということで対策に努めてまいりたいと思っております。

村井(宗)委員 同じ質問を井上防災担当大臣にもお聞きしたいと思うんです。

 私たちは、国民の生命財産の安全を守るという観点からも、国の危機管理の観点からも、やはり耐震化の普及、それを最優先し、より促進していくことに力を入れる必要があると思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。大臣の所見をお伺いします。

井上国務大臣 福井委員の御質問の際にも御答弁をしたんでありますけれども、災害につきましては、どうも事後策が力を入れて論じられるわけであります。事後策も大変重要でありますけれども、起きる前のその対策、これも大変重要な政策だと考えております。

 社会基盤といいますけれども、河川でありますとか道路でありますとか、あるいは海岸の堤防、あるいは治山、こういったものにつきまして、災害が起きましても被害が出ないようなことを計画的にこれは進めておく必要があると思いますし、また、津波なんかの場合には、先ほども答弁いたしましたように、水門なんかを自動的に開閉できるようなそういう施設の整備も行っていかないといけないとか、もろもろのことがあると思います。

 今委員の御指摘の耐震化も、これも当然のこととしてやらなくちゃいけない、大変大事なことだと思います。これは公共的な分野とそれから個人の分野がありますけれども、公共的な分野について申し上げますと、学校でありますとか病院でありますとか、あるいは避難をする場所、こういうところの耐震化は何においても最優先で整備をする必要があると思いますし、また、個人におきましても、やはり災害は自分で守る、そういう意思を持って対応していかないといけない、私はそう思います。

 しかし、そうは申しましても、耐震化は御存じのとおりなかなか進まないというのが状況でありますけれども、さらなるその必要性を関係者の方に伝えて、強力に耐震化を進めてまいりたい、こんなふうに考えます。

村井(宗)委員 それでは、この午前中のいろいろな観点からの質疑を通じまして、本当に、最後もう一つ、内閣府及び法案修正者の方にお聞きしたいと思います。

 今後のこの公的資金、公のお金、これを建築費自身にも入れるべきだと思うのか、それともやはり、ややこしいけれども周辺経費だけ、これに限定すべきだと考えるべきなのか。これはそれぞれにお聞きします。

 まず、内閣府の方にお聞きします。

尾見政府参考人 私どもといたしましては、阪神大震災以来の課題を何とか実現したいと。幸い、知事会の方でも、三百億の拠出ということで正式には十月に決めていただきました。それを形にするということであらゆる知恵を絞ってきたつもりでございます。

 それで、住宅本体の議論につきましては、大臣からもるる御説明がございましたように、さまざまな議論がある中で、そこを突破するというか一歩踏み込むということは、厳しい環境の中で精いっぱいの制度をつくったと思っております。そういう意味では、この制度について、私どもとしては私どもなりの自信を持って、胸を張って御提案をさせていただいているつもりでございます。

鎌田委員 私どもがこのたび提案いたしました修正案の主眼のテーマが住宅本体の建築費でございますので、ここは何としても皆様に御理解をいただき、ぜひ成立に御賛同いただきたい。今の改正案のままでは、はっきり申し上げて、地域再生のエネルギーにはなり得ない、私たちはそのように考えております。

村井(宗)委員 それでは、最後の質問にさせていただきます。もう一度最後の質問をさせていただきます。

 いろいろな形でこの午前中、審議がされました。そんな中で、やはりこの議論はいろいろまだ審議しなければならない論点がたくさんあるんです。また、先ほど内閣府の方がお答えになられたように、今後起こり得る地震、そういったものについてどれだけの被害が起こるかの算定すらなされていません。今後、やはり三年以内には修正をして、しっかりともう一度審議をし、民主的な手続を含めて、国民的な議論を進めて修正をしていかなければならないんではないか、私はそのように考えるんです。

 地震だけではないんです。いろいろな災害がまだまだ起こり得るんです。そんな中で、まだ見当がついていない東南海地震にしても南海地震にしても、また首都圏直下型地震についても、結局、被害額、そして支出される支援金の総額すら明らかになっていない。今、その中で本当にこれで法案の修正や審議を打ち切っていいのかどうなのか。私は三年以内の修正が必要だと考えますが、まず内閣府、そしてその後、修正案の提出者にお聞きしたいと思います。

尾見政府参考人 私どもといたしましては、今回の制度は諸般の状況にかんがみて最善の案だと思っておりますので、今先生御指摘のようなことについて私がにわかに同調するということはできないと考えております。

鎌田委員 お答え申し上げます。

 最後に、やはり三年以内の見直しというものは、私たち何としてもこだわりを持って外せない重要なところでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

井上国務大臣 今、いろいろな御意見をお聞かせいただきました。質問がダブっているところもたくさんあったと思うんでありますけれども、まあまあこの午前中の御審議をお聞きいたしまして、皆さん方のお話しになりましたことが今いろいろな形で問題になっているところなんだろうな、そういう理解はいたしました。

 御承知のとおり、法案をつくります場合は、単なる関係者だけではなしに、広く一般の人の考え方もお聞きをするわけでございます。そういったことで徹底的に議論をしていくわけですね。まして、今回の法律のように、これまでなかった制度をつくるんです。私有財産制度の核であります住宅に対するこれは支援なんですね。御指摘のように、建築費そのものに対して支援はしないんだけれども、しかし、広く支援をする、これは間違いないことでありまして、こういう制度ではありますが、ぜひ住宅の支援制度をつくりたいというようなことでいろいろな議論をした、本当に徹底的な議論をしたわけでございます。

 政権政党といいますのは、そういうことでいろいろな人の意見を聞く、その最大公約数を求めていく、それを土台にしてこういう成案を得てくるわけでございます。そういうプロセスを経て今日のこの提案をさせていただいたということを御理解いただきまして、この制度がうまく運用できますように、我々も努力してまいりますけれども、御理解をいただきたいと、こんなふうに思います。

村井(宗)委員 最後に大臣まで答弁いただいたこと、本当にうれしく思います。

 大臣がおっしゃられたように、これまでなかった制度なんです。だからこそ、やはりまず施行してみて、その後、三年以内にはもう一度審議をして見直す必要があるんではないかという私の意見をつけ加えまして、それでは質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

堀込委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十九分開議

堀込委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、与えられた二十分間という大変短い時間でございますが、私自身、あの阪神・淡路大震災で住む場所を失った被災者の一人でもございますし、この九年間、被災地選出の衆議院議員として、つぶさに生の現場、そして、被災者の皆様の生の声を国政に届けてきた者の責任ある立場の一人として、二十分間思いのたけを質問させていただきたいと思いますので、どうか端的に、よりよい制度になるような御答弁をいただければというふうに思っております。どうかよろしくお願いいたします。

 これまでの九年間を振り返ってみますと、九年前の一月十七日、阪神・淡路大震災が起こったわけでございますが、あの震災で約四十万という膨大な数の住宅が全半壊をした、そして六千四百名を超えるとうとい人命が失われた、こういう大変なあの未曾有の大災害となった震災復興を通じる中で、それまで日本の制度ではタブーとされてきた、私有財産に対する公的助成とか個人補償といったものの議論がされてきたわけであります。その議論の中で、時間はかかりましたけれども、被災者生活再建支援法案という新しい法案を議員立法という形で成立をさせ、そしてタブーにやや一歩踏み込んだ、こういった経過があったというふうに思っております。

 また、その震災復興の中で大変な数の住宅が倒壊をしました。そして、国、地方自治体も、何もしなかったわけではなくて、当然、賃貸住宅居住者への対策と並行して住宅所有者に対しても数々の対策を実施してきたわけでございますけれども、現状は、なかなか住宅の再建というのは期待どおりに進捗しなくて大変時間がかかった、生活再建や地域社会の復興の遅延につながってしまった、こういった反省もあったわけであります。

 このような状況を背景に、被災者生活再建支援法の附則第二条に、これはもう御存じですけれども、「自然災害により住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建支援の在り方については、総合的な見地から検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとする。」というこの附則に基づきまして、平成十一年の一月八日に、国土庁のもとに、東京大学の社会情報研究所教授でいらっしゃいます廣井脩先生を委員長として、九名の委員の方々で構成された被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会というものが設置されたわけです。この委員会というのは十七回に及ぶ委員会を開催されまして議論を重ねられ、平成十二年の十二月四日に報告書が作成をされました。

 その報告書、大臣もお読みだと思いますが、住宅そのものは、住宅単体としては個人資産ではあるけれども、「阪神・淡路大震災のように大量な住宅が広域にわたって倒壊した場合には、地域社会の復興と深く結びついているため、地域にとってはある種の公共性を有しているものと考えられる。」こういう報告があります。

 そして、それに続いて、阪神・淡路大震災においては多額の義援金が寄せられたにもかかわらず、被災者が多く、住宅再建資金としては十分ではなかった。一軒当たりの義援金の分配もわずかだった。また一方では、高齢社会における多数の高齢者の存在、また、地域経済の崩壊に伴う各世帯の収入の減少、こういったさまざまな要因によって被災者の自力再建というのは大変限界があった。だからこれは、自助、共助、公助の「共助の理念に基づく相互支援策を拡充することについて検討する必要がある」、こういった提言がされたわけでございます。

 私自身も、この九年間現地でつぶさに住宅再建の状況を見てきた一人として感じることは、やはり住宅というのは、一生の買い物、三十年のローンを組んで買った買い物、しかしこれが、あの二十二秒間の揺れで、購入したローンの対価が一瞬にして滅失してしまった。その形のないローンだけが残る。新しく家を買えば二重ローンになるし、賃貸に入っても同じような負担が出る。まさに二重ローンを抱えながらの住宅再建をするというのは、これは、いわゆる社会的弱者だけではなくて、一般の方々も、被災者は大半が絶望的な困難を感じたということが言えると思うんです。

 そういった状況を見て、私も、これは実は井上大臣も、同じ新進党の所属議員として国会の場において幾度となく指摘もし、新たな議員立法も何回か国会に提出をしてきたわけであります。こういった立法府での議論とか動きとか、審議会の報告書とか、世論とか、こういったさまざまな経緯を経て、今般、この被災者生活再建支援法に関する住宅再建の部分についての法改正が提出されたということは、私は、この中の住宅本体の再建がなされていないという指摘もあるけれども、しかし、よくよく考えてみれば、利子補給というのは、ある意味じゃ住宅再建の支援そのものという考え方もできるわけで、私は、相当限られた制約の中で今回の法改正というのは一歩踏み込んだんだろうなというふうにも思いますし、九年前の時点では、まさに私的財産に関するあらゆる補償とか公的助成というのはタブーとされていた。そのタブーがこの九年間の中で確実にやはり変化をしてきている。そういった変化をしてきているということを、私は認識そして評価するわけであります。

 せっかくこういった法案ができた。しかし、一番問題なのは、この法案によってその運用の中で被災者の中で不平等が起きたりとか、または、なかなか運用上難しかったり機能しなかったりとか、せっかくつくったけれどもその効果がどうかというのはやはり検証されなければいけないと思いますし、やはり、そういった詳細についてはこの法律には書き込まれていない、ほとんどが政令で定めるようになっているわけでありまして、この限られた時間には、この政令について私の懸念をちょっと質問させていただきたいというふうに思うわけであります。

 政令というのは役所の皆さんのフリーハンドであるわけでは当然ないわけでありまして、本日の審議も含めて、これまでの国会審議のあり方とか、先ほど申し上げました、国土庁に設けられた検討委員会の報告書とか、地元の地方自治体、全国知事会の意見とか、こういったものが反映される中でおのずと政令が定まっていくというふうに、私はそう理解をしておりますが、まず、議論に入る前に、その政令の定め方について、そういったものである、こういった審議が当然参考になる、国民の声が反映されるというものを確認させていただきたい。

 当たり前のようでありますが、議論に入る前にその確認をぜひお願いいたします。

井上国務大臣 赤羽委員が阪神・淡路大震災の被災者の一人ということで、災害対策につきましては大変な関心を持って行動されてきたとよく承知をいたしております。本当に、この災害委員会が開催されるたびに質問に立たれまして、粘っこく災害対策のありようについて議論をされてきたということにつきましては、深い敬意を表するものでございます。

 今お話がございましたけれども、私は、一歩前進したというより、これは百歩前進した制度だと思います。そういう意味では非常に画期的な制度でありまして、まさにこれからの問題としては、その運用が法の目的に照らして的確に行われていくということが大切だろうと、こんなふうに思います。

 まだ細部に詰め切っていないところがありますが、この国会での議論、あるいは与党の中の議論、あるいは政府部内、特に財務省との話し合い等々を通じまして、できるだけその法の目的に即した的確な運用ができるように努力をしていきたいと、こんなふうに考えます。

赤羽委員 まさに、リーズナブルな政令が定まることによって百歩前進の法制度制定になった、こう言えるようなものをつくりたいと思っております。

 それで、懸念の一つ、具体的な話をさせていただきますと、瓦れきの解体費用、前回の阪神・淡路大震災では、全額国費一〇〇%でやったんですね。それも、解体費用を立てかえているということだと大変なので、平米当たり鉄筋の場合三万円と決めたんです。多少粗っぽかったかもしれませんが、四十万戸になんなんたる解体処理は、そのくらいやらないとできないと。

 ところが、この中で、学校も幾つかつぶれたんですが、学校の解体費用について平米当たり三万円だと思っていたのが、ちょっと待ったと文部省からストップがかかった。それは何かというと、校舎というのは、取り壊す、解体するというのは日常的に何十年かに一遍はあると。ですから、これは既存のルールがあったんですね。これは平米当たり九千二百円、それの二分の一補助なんです。ですから、ほかの建物は三万円の解体費用が国からダイレクトに出たからどんどんつぶれていくんだけれども、学校だけは、九千二百円の二分の一だから四千六百円、ばかでかい建物ですから、これはもうお手上げだという話があったわけです。

 これは、今の議論ですと、阪神大震災並みのときは、午前中大臣も答弁していただいたけれども、公共事業としてやっていくということも否定するものじゃないという答弁があって、まさにそれは大臣の答弁としてすばらしいなと思いますが、そこにしっかりとしたくさびを打たないと、今回のこの法改正ができた、解体処理は対象に入っているじゃないか、だから、解体はこの被災者生活再建支援法の枠組みでやってくださいよなんという話になってしまうとどういうことが起こるかというと、住宅を再建するところの解体処理だけが進むみたいな話になってしまうんですね。

 ですから、大臣とお話しさせていただいても、阪神・淡路大震災みたいな極端な例を想定していないんだというお気持ちはあるかと思いますが、これはちょっと念には念のため、阪神・淡路大震災級の震災が発生した場合には、阪神大震災のときに何を講じたか、どんな措置を講じられたかといったことを参考にして、当然、この法律の枠組みとは別にそういう特別措置がとられることをこの法律は否定するものじゃないということを御発言、御答弁いただければというふうに思います。

井上国務大臣 この法律は一般的な法律でありまして、原則的には、大概の災害につきましては適用されるというふうに考えますけれども、しかし、そうはいいましても、やはりこの制度には限界があるわけでありまして、この限界を超えるような場合には当然別途の検討があってしかるべきでありまして、それは、その時点で一番いい方法といいますか、適した方法で対策を検討していくということになろうかと思います。

赤羽委員 そういった状況に応じてこの法律が足かせになるものではないという答弁だと了解したいと思います。

 次に、発災後三年以内のローン利子補給という質問が午前中ありまして、尾見政策統括官の答弁で、住宅再建の八割が三年以内になされた、こういう御答弁がありましたけれども、こんなの僕の感覚でいくと、どこの地域の何の数字を調べた話なのかとちょっと信じられないんです。

 それはなぜ信じられないかというと、仮設住宅があったわけですよ。ピーク時、四万六千戸ができたんです。仮設住宅というのは、災害対策基本法とか災害救助法では二年がリミットだ。しかし、二年たった時点でまだいっぱい入っているわけですよ。三年たった時点で二万五千人入っているんです。ピーク時は四万六千人。ですから、仮設住宅の期限延長をしたわけですよ、法改正をして。二年じゃなくて三年。結局、撤廃まで五年かかったんですよ、最後の方は少なくなっていましたけれども。大半が仮設住宅の中に入っているような現状で、確かに芦屋とか東灘区とか、一部の、ある意味では区画の問題もない、経済的にもちょっと豊かなところというのは、そこそこ八割ぐらい再建されたのかなという気もしないでもないが、私は、この九年余り、地べたでずっと歩いているけれども、三年間で住宅再建が八割になったなんてとても信じられない。

 何をもって言っているのか、ちょっと明らかにしてください。

尾見政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、私、八割というふうに申し上げました。これは、兵庫県が発行している「街の復興カルテ二〇〇二年度版」という出版物がございますけれども、そのうちの「第五章 東灘区」で、そこの対象エリアの戸数がどのくらい震災後復旧して建設されたかという数字をもとに申し上げたところでございます。

赤羽委員 僕の推測どおり、東灘区という極めて一部の、極めて住宅再建が早かった地域のデータですよ。加えて、その住宅再建した人で被災者生活再建支援金の支給対象になったところはほとんどないはずですよ。

 結局、被災者生活再建支援金のこの支援法の改正案なんだから、前提がちょっと違うわけですよ。恐らく長田とか兵庫区とか、三年たっても仮設に入っていた二万五千人の人たちが被災者生活再建支援法の支給を受けたわけですよ。その人たちの住宅支援、再建について今やろうとしているわけでしょう。だから、私、これはもうちょっとよく精査をした方がいいと思うし、時間がないので、もっとぎりぎりやりたいんだけれども、これはやはりもうちょっと現場の声をよく聞くべきですよ。

 僕は、午前中、答弁を聞いていて、ぶったまげて兵庫県の復興本部に電話しましたよ、どういうデータなのかと。そんなデータを出しておりません、恐らく一部の地域を指定したものでしょうというふうに言っていましたよ。私もそういうふうに思う。

 ですから、やはりいい制度にするべきなんだから……(発言する者あり)いや、修正案とかなんとかというんじゃなくて、この九年間の重みというものを反映して、冒頭に、政令というのはこの審議のやりとりを反映していただけるという大臣の答弁もあったんだから、ぜひその辺はわかりやすく。

 復興基金の場合、利子補給があるんですけれども、ローンが始まって、利払いが始まって五年間が標準なんですね。ですから、それは原資も違うしなかなか難しいかもしれないが、阪神・淡路大震災級みたいなときに、発災後三年以内なんていったら、現実にはほとんど受けられない。細かいことはいっぱいあるんですよ。他の都道府県に家を購入したら二分の一、こういう人はいっぱいいるんですよ。とりあえず神戸にはないから大阪で家を借りて、おさまったら神戸で家を再建する、こういった場合とか、わからないんですよ、政令が細かくないから。だから、非常にシンプルにわかりやすくしていただきたいというのが要望でございます。

 そして、兵庫県が県単独で補完事業というのをもう発表したんですね。これは、役所の考え方だと非常に合理性がないわけです。

 午前中言われていたけれども、ローンをつくらないのに利子補給なんかできるわけない、これは当たり前なんですが、なぜそういった不合理なように見える補完事業をやるかというと、私は、兵庫県とか神戸市というのは、あの修羅場ともいうときに、窓口で被災者にぶん殴られたりした役所の人というのは多いんですよ。かりかりかりかりしていて、何でこんな当たり前のことが通らないんだ、おまえも兵庫県の職員でありながら被災者の気持ちがわからないのかとか言って、それで殴られた方は、兵庫県の職員、谷先生も当時そういう職員だったけれども、自分たちも家を失っているのに何も言い返せない。

 そういったことがあったので、恐らく、井戸知事初め兵庫県の決断は、多少不合理かもしれないけれども、震災で全壊で家を再建したという条件をクリアすれば、二百万円もうすぽんと出した方が、これは被災地の復興のために大きく役に立つと。

 私は、その横並びで、阪神大震災というのは特別なのかもしれないけれども、特殊なときには特殊な状況対応ができるようなことをしていただきたいな、こういうふうに強く思うわけです。

 そして、概算払いとか、なるべくシンプルにしていただけるという答弁も午前中出ていたから、それはそれでそういう方向に進めていただきたいんだけれども、都道府県知事会というのは、やはりある意味では地方分権の責任者の集まりですし、高く評価もしながら、まだまだやはり、この制度を施行して、実際の運営を見て、そして、どうだかよりよい制度に変えていけるようなそういった議論の余地を残しておいてもらいたい。

 僕は、資本主義の中で個人補償をしろと無理やり言うわけではございませんけれども、この九年間の議論の決着がこの今回の法案ですべて以後の議論はなしよというのは、ちょっと私は早急だというふうに思うんです。

 ですから、先ほど言いました細かい点ではまだまだ詰めなきゃいけないこともあるでしょうし、私たちも、九年間の現場の思いを伝えて、いい制度に反映させるように努力したいと思いますので、どうか、こういった大変難しい問題、どうあるべきかという大きな問題について、この制度をつくって百歩前進させると同時に、まだまだ議論のことも深めていっていただけるようにぜひ大臣にはリーダーシップを発揮していただきたいということを強くお願いして、最後に大臣から一言いただいて、終わりたいと思います。

井上国務大臣 常に神戸という被災地の本当に中心におられていろいろなことを経験をされてき、また、いろいろな運動をされてきました赤羽委員でありますので、恐らくいろいろな事情には精通しておられると思います。特に、委員の選挙区であります長田区とか兵庫区というのは特別に被害が大きかった地域でもありますので、今先生が言われるようなこともあるんだろうと、こんなふうに思います。

 ただ、一律に二百万というようなことになりますと、財源はあくまでこれは税金でありますので、それはやはり最低限度の証拠書類といいますか、そういったものも必要になろうと思うのでありますが、だからといって、えらく煩雑な、難しいそういう手続を決めるというんじゃなしに、できるだけ簡便な、しかもスムーズに金が交付できるようなことを考えないといけないと考えております。

 それから、やはり現場におきましてはいろいろな状況があるんだと思います。一律に三年以内に全部家を建築するなんということもないと思いますし、あるいは、仮設に入っていた人が二年間ですぱっと出ていくようなこともないと思うので、その辺は、現場の状況に応じまして制度が運用できるようなことを最大限考えてまいりたいと思います。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

堀込委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 阪神・淡路大震災より九年、この間、阪神・淡路の被災者や三宅の皆さん、宮城の皆さんを初めとする多くの被災者、支援者の皆さんの運動、あるいは本委員会における諸先輩議員の皆さんの熱心な討論や、あるいは全国知事会の働きかけなどがあってこうした一部改正案が今国会に提案されたということ、そのこと自体は、この間の非常に粘り強い取り組みが大きな形で実ったということで私どもも受けとめているところであります。

 十四日付の朝日新聞で、居住安定支援制度について全国四十七都道府県知事にアンケート調査を行った結果、賛成と答えた知事が三県の知事にとどまり、四十一都道府県が反対、その他と答え、住宅本体の建築、補修費を対象に含めるなど充実化が必要だと答えていることがわかりました。日本共産党としても、住宅の建築費本体を対象とする一部改正案修正案に対し共同提案で参加をさせていただいたのも、そうした立場からであります。

 改めて、こうした長年の運動に取り組んできた皆さんの要望にこたえて、修正案の採択を求める立場から質問をしていきたいと思っております。

 まず、支援金の支給上限額が、自宅が全壊した世帯に対し上限で二百万円、現行支援制度と合わせると三百万円の支援が可能となったわけでありますが、これにかかわってのまず質問であります。

 解体及び整地に要する経費、実際の七割を超えないということでありますけれども、これが、あくまで建てかえ及び補修が前提であるということ。この居住安定経費のモデルケースを見ますと、解体撤去、整地には百五十万から二百十万はかかるだろうと。これはそういう調査に基づいての試算であると思いますけれども、そうなると、もらったお金がそれだけで消えるということ自体が、非常に不十分であるということでありますし、あるいは、建てかえができない人には一切支援金が出ない。建てかえが前提としての補修費でありますので、やはりそこが不十分ではないのかと。

 建てかえが前提、そうでないのにかかわらず解体撤去などの費用は支援するべきと思いますが、まずこの点を伺いたいと思います。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の制度でございますが、今回の制度は、みずから居住の安定を図ろうとする者を支援するということでございまして、そのために、再建の過程で出てきます解体撤去・整地費、これを対象としていこうということでありますので、解体撤去そのものを支援するということを直接の目的としている制度ではないということについては御理解をいただきたいと思います。

高橋委員 ですから、解体撤去そのものを目的とする支援じゃない、であれば、この支援を通して何を目的としているのかと、改めてではその原点に返らなきゃいけなくなるわけですから、もう一度伺います。

尾見政府参考人 この制度は、御説明をさせていただいておりますように、災害に遭われた方が、生活の再建をするという上で居住の安定を確保するということが非常に大事だという観点から、住まいを確保するためにはどういうことが必要かということで、この委員会でもいろいろ出ています中で、住宅の本体を対象とすることについてはいろいろ難しい議論があるという中で、それでは、実際に被災者の方の負担をどういう形で軽減したらいいかということで知恵を絞った結果、実際問題として、建てかえに当たって、再建に当たって負担になる解体撤去・整地費とかローンの利子補給とか、もろもろの経費を対象とすることでその住まいの確保というものをやりやすくする、そういう自助努力を支援していくということの目的の中でこの対象経費を選定しているわけでございます。

高橋委員 住まいの確保にはいろいろな考え方があると思うんですね。居住安定だ、住まいを確保するために、それに必要な解体撤去などにお金を使うんだ、支援をするんだというお考えですね。

 だったら、それをどういう形で確保するかという点で、例えば、先ほど紹介された被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会の報告の中でも、確保のあり方についていろいろ言っているわけですよ、公的な住宅の活用や空き家の活用なども含めて住まいの確保が必要だと。

 例えば今回、三宅島では、議会で六十戸の村営住宅の建設を提案している。来年度の予算案に盛り込むということを確認しておりますけれども、六十戸では多分足りないだろう。もっともっと希望したいという方もいらっしゃる。ただ、こういう方たちは、今持っているうちをとても自力では再建できない。だけれども、村営住宅にだったらぜひ入りたいと思っているわけですね、住まいの確保だと。では、その持ち家はどうするのかということなんですよ。何百万もかけて撤去する余裕がないわけですね、支援も出ないし。

 だったら、そういう住まいを確保するために、そのステップとして持ち家を整理するということがまず前提となってくるわけですね。そういう考え方はできませんか。

尾見政府参考人 いろいろなケースがございまして、例えば区画整理とか、やむを得ない事情でそこの当該場所には建てることができないというケースの場合は、余儀なく別の土地で再建をするわけでありますけれども、そういう場合は、もとの土地の解体撤去費を対象とするという例外的な考え方を持っております。それから、建てる先の整地費を認めていこうというような形のことは考えているわけでございます。

高橋委員 今のお答えは例外的な場合ということでしたので、まず一つ確認します。

 そうすると、三宅島のように、非常にガスが強い場所に建っていてやむを得ない場合は、それは例外の一つなんだということなのか。それが一つですよ。今回の六十戸の村営住宅はそれではないと聞いております。そういう地域ではないところに建てるんだと言っています。そうすると、多分例外じゃないと言われるだろうなと。

 だけれども、自分の資力ではどうにもならない、そういう方たちが自分のうちをやむなく手放して移る。そうすると、先ほど私が紹介した検討委員会の報告にあるように、「大量な住宅が広域にわたって倒壊した場合には、地域社会の復興と深く結びついているため、」「ある種の公共性を有している」というこれが大きな決め手となって、今回、制度の改正になったわけですね。だけれども、下手をすれば、大変な廃屋が、言い方は悪いですけれども、放置されるということは、もう公共性から見ても重大な問題ですよね。そういうことをどうお考えになりますか。

 二つです、今聞いたのは。

尾見政府参考人 先生御指摘の問題は、ここの居住安定支援という範疇の中で考えるべきことか、もっと別のサイドからの御議論もあり得るんじゃないかと思いますが、例えば、阪神大震災のときの例などでは、そういうところを解体して駐車場として使われるとか、その土地を転売されるとか、いろいろな使い方があると思います。そういうことの中で、その解体撤去費も見られるケースもあるのかなと思います。

 今は三宅の例を出されておりますので、直ちに今また私が申し上げたことが三宅に当たるかどうか、それは別の問題だと思いますが、考え方としては、そういうことが概して言えば言えるのではないかと思っております。

 それから、公営住宅のお話は、個々具体的に調べてみないとわかりませんが、先ほど先生がおっしゃったようなケースでは、私が申し上げたような例外というものには当たらないんじゃないかというふうには考えます。

高橋委員 ですから、公的な支援が必要だと。一人一人が解体できないで村でやるとか、さまざまなケースも考えられるのかなと今話を聞いていて感じましたので、その点ではやはり大いに相談に乗っていただいて、個人負担に背負うという形ではなく解決ができないのかの検討を続けていただきたいということ、これは要望しておきます。

 次に、条件の中で、上限の二百万というのは、いわゆる自宅が全壊した世帯を言うわけでありますけれども、この全壊の概念の問題ですが、これは確認であります。

 三宅島の被災の状態と地震などの被災とはまたちょっと違うだろうと。つまり、見た目はきちんと建っていても、シロアリにやられているんだとか床が抜けているんだとか、もう到底住める状態ではないということが確認されれば、それは全壊と同じことになるんだよというふうに考えてよろしいかなと思うんですが、確認したいと思います。

尾見政府参考人 先生のお話は、三宅島のシロアリ被害に基づいて住宅の居住が相当厳しいような状況になっているケースについて全壊というふうに考えることができるか、こういうお話だと思います。

 二つほど問題があると思いますが、一つは、まず、自然災害とシロアリとの関係でありますけれども、これについての一つの因果関係をどう考えるかということだと思います。三宅島の噴火と火山ガスの関係で、通常であれば、そこに人がいればシロアリも上手に駆除できるというのが一般的だと思いますけれども、そういうことができなくなったというふうに考えれば、もともとの原因は噴火ないしは火山ガスでありますから、それに起因してシロアリが発生して、それが住宅の被害につながったということであれば、これは災害に伴う被害というふうに考えることができるのかなという気もいたしますが、その辺の因果関係の見きわめというものも一つ課題ではなかろうかと思います。

 それから、一般論として申し上げれば、単に居住が困難だというだけで直ちに支援対象となるというものではございません。基本的には、全壊した場合、ないしは、やむを得ず全部解体した場合ももちろん含むわけですが、倒壊等の危険があり、大規模な補修を余儀なくされる場合等、今回の居住安定支援が想定しているような状況でなければ、直ちに支援対象になるということではございません。

高橋委員 今、因果関係のお話をされましたけれども、平成十三年六月二十八日の内閣府政策統括官の通知で、全壊の問題について、住居が「その居住のための基本的機能を喪失したもの」という言い方をしております。基本的機能が失われているという点で、見た目がどうこうではなくて、認定されるものだというふうに受けとめてよろしいですか。

尾見政府参考人 全壊の基準は、先生今おっしゃいましたように、住宅としての基本的な機能を失っているということでありまして、住宅を支えている構造的な部材のところに大きな損傷があって、それでもって使いようがないという状態になっていることを言うわけでありまして、例えば、先ほど来説明させていただいているものとしては、損壊割合でいきますと七〇%以上、損害割合でいいますと五〇%以上、そういうものが全壊の概念であります。

 したがって、シロアリの被害について、まだ必ずしもいろいろな詳しいことがわかっておりませんが、そういうものを実際に調べた上で、今私が申し上げましたような全壊の基準に合致しているということであれば、それは当然全壊になるということだと思います。

高橋委員 この点では、先ほど紹介した六十戸の村営住宅を建設するに当たって、現地での査定も行われて、十分全壊と同じ滅失状態になっている、そういう形で今回の建設が決まったということが国土交通省の方からも説明を受けておりますので、私は、そういう形で対応されるのだろうということを確認しておきたいと思います。

 もし違うんであれば、またお答えをいただければよろしいんですけれども、次に行きたいと思いますので。

 所得制限の問題なんですけれども、支援金の上限が引き上げられても、所得制限や年齢制限などの厳しい制限があって、私たちは、これは取っ払うべきだというふうに考えております。

 特に、五百万円以下というのは、これは税込みでありますので、実質大体どのくらいかなということを調べてもらったんですけれども、三百四十五万くらいじゃないかというお話でありまして、この実質収入からローンその他を組むというのはなかなか厳しいだろうというのはどなたも考えるものであると思うんですね。ですから、この点では、全体の上限を引き上げる考えがないかというのが一点。

 それから、災害に遭っているんですから、当然その年の収入は極端に落ち込んで、リストラその他で落ち込んだりしているわけですが、前年あるいは前々年の収入で認定をされる。この点をもっと柔軟に、実態に合わせた認定にするべきではないかと思いますが、考えを伺います。

尾見政府参考人 この被災者生活再建支援制度の年齢要件、収入要件の点でございますが、これは、五年前にこの法律ができましたときに基本的な枠組みが決まったわけでありまして、そのときに、真に支援が必要な者というのはどういう範疇を指すのかということでいろいろ議論がある中で、おおむね全体の五〇%ということを念頭に置いて、今のような収入、年齢要件が決まったというふうに承知しているところでございます。これは、そういう意味で制度の根幹になるものであるというふうに考えております。

 それから、今の収入の要件のところでございますが、収入の要件のところにつきましては、やはりこれは、災害が発生した時点で基準にして、それの直近のということになりますので、先生がお話しになりました前年とか前々年、五月までの場合は前々年になるわけでありますが、そういうことにせざるを得ないということであります。

 それと同時に、そのことが早期に被災者の方に支援金を支給できるという面もあるということは申し上げておきたいと思います。

高橋委員 真に支援が必要な者という今のお話でありましたが、実質手取り三百四十五万以下じゃなきゃだめだというのが本当にそんなものかなと思います。

 半分とおっしゃいましたけれども、本当にそれは何か根拠があるんですか。積み上げがあるんですか。私は、被災者の半分が当たるだろうという考えであれば、予算がこんなものじゃ済まないだろうなと、ちょっと、どう考えても見積もり方が理解できませんが。

尾見政府参考人 各世帯の全国の家計の調査をもとにそういう検討をしたというふうに承知しています。

 それから、実際この五年間に被災者生活再建支援金を支給したというのが、およそ十三の災害だったと思いますが、ございます。三宅島を含めて二十億余りでありますけれども、そういう方々については、全壊をした世帯に対して七八%ぐらいの支給になっております。

 そういうことを申し上げておきたいと思います。

高橋委員 関連があるので次に行きますけれども、例えば宮城県では、全壊世帯が千四十六、半壊世帯が三千百九十一、合計四千二百三十七世帯が被災をされたわけですけれども、現行の被災者生活再建支援制度の利用はわずか百十四件にすぎないわけであります。ですから、今紹介されたようなほかの被災状況と比べても極端に利用が少ないと。どうしてかなということを県の担当者にも聞いてもらったんですけれども、勧めてはいるんだけれども利用がない、ちょっとわかりかねている、もっとPRしているというふうなお話でありました。

 実は、かわりに比べてみますと、宮城県が独自に、建築ですと百万、補修ですと五十万の、住宅建築そのものに支援できる支援制度をやっておりますが、これは千五百三十二件、十倍以上の利用があるわけですね。手続上はとても不便です、建っちゃってから領収書を出さなきゃとか。しかし、そういう不便を乗り越えてこれだけ利用があるということは、やはり本体支援が必要なんだということの裏返しだと思うし、同時に、何といっても所得制限がないんですね。そこが大きな力になっていると思うんです。

 その点について、大臣、認識を伺いたいと思います。

尾見政府参考人 まず宮城県でございますが、確かに先生がおっしゃるように、一月三十一日現在で支給しているのは百十四世帯ということでありますが、現在これは手続中であるということで、これから急速に伸びてくることを期待しております。

 宮城県に、私も被災後、現地に行かせていただきましたけれども、全壊の戸数は千戸を上回っているわけですけれども、全壊の態様というようなものはいろいろなケースがありまして、例えば、支援金というのは、家財道具とか引っ越し費用とかそういったところに充てるわけでありますので、そういう費用の必要性があったときに支給がされてくるという面もございます。そういうことがあって、現在の時点で直ちに多くなっていないというのはそういう理由もあるのかなと思っております。

高橋委員 必要性があったときじゃなくて、使い勝手が悪いからということをやはりしっかり見ていただかないとだめだと思うんですね。

 さっき言った所得制限の話にしても、たった今被災して、もう財産を失って、仕事も失ってという人たちに、前年の所得がしっかりあるから対象にならないよとか、そういうことはやはり本当の意味での支援にはならないだろうと。住まいの確保と先ほどもおっしゃったけれども、そうじゃないと思うんですね。そういう点で、使い勝手の悪いところは、今回一定の改善はされたけれども、さらに見直しをしていくという立場に立っていただきたいと思うんですね。

 鳥取県の片山知事が全国に先駆けて三百万の支援を始めたということが大きな力になったわけですけれども、この知事が二月の定例記者会見の中で、この制度のことでいろいろ質問される中で、二百万まで出されるのなら、ちゃんと被災者の皆さんが何に一番使いたいと思っているのか、そのことに応じて支援してあげたらいいと思うのです。それを一番支援してもらいたいところは絶対だめと言って、その周辺だけしか使ってはいけませんよということに何の意味があるのかということなのです。いまだに個人の資産形成には税金を投入してはいけないという論理を振りかざしておられるけれども、それは根拠がないことですと言われて、憲法のどこにも書いていないというふうなことでお話をされています。

 私は、枠自体も少ないと思うけれども、知事がおっしゃるように、枠がもう決まっちゃっているのなら、その上で一番使いたいもの、使いたいものといったって、被災者なんだから、全然関係ないものにということでなく、あくまでも住まいの確保のために使うということでいいんじゃないかと思うんですね。

 さっき、大臣と聞いたら大臣立たなかったので、これはどうしても大臣に伺いたいと思います。

井上国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないんでありますけれども、住宅を再建していく上でどういうような支援ができるのかということだと思うんですね。

 確かに財政資金を使うわけであります。財政資金を使うから何でもいいじゃないかという議論にはなかなかならなくて、そこは、性格としてどういう性格の金ならば公的資金がつぎ込まれるのかということをやはり議論しないといけないと思うんですね。

 確かに、税の制度でやっていくとか、あるいは金融、融資なんかやっていく場合も、それが税の減免なりあるいは低金利でやるということならば、それはもう財政資金が投下されているわけですね。

 だけれども、そういう投下の仕方につきましては、これまでそういうやり方で対応してきたわけでありまして、これは何の問題もないわけでありますけれども、今おっしゃられるように、建築費そのものに公金を出していくということにつきましてはいろいろな意見がある。確かに、委員がおっしゃるような意見もあるんです。それは我々は否定しませんけれども、そうでないという意見もあるわけでありまして、なかなか意見としてまとまらないという現況なんですね。

 だから、そういう中で、ぎりぎり住宅再建の支援できる方法としてはどんなものがあるだろうかということを考えて御提案したのが今回のあの制度でございまして、これまでこういう制度だってなかったわけでありまして、これは大前進だと思います。その点をぜひ評価をして御協力をいただきたいと思います。

高橋委員 今、大臣のお答えの中に、本体でもいいじゃないかという意見もあり、そうじゃないという意見もあり、まとまらないというふうなお話があったんですけれども、やはり、さっき引用した片山知事が言っているように、それは絶対だめという何らかのルールがあるわけではないと。今はまだそれは必要ないという認識の段階であって、ルールがあるわけじゃないということですね。つまり、本体に支援をしてはいけないという何らかのルールがあるわけではないですね。それ、確認してもいいですね。

井上国務大臣 そういうことが憲法に規定されたり法律には書いてありませんけれども、私有財産制度を前提にした場合に、果たして、住宅の建築費に対して財政支出をしていくことが適切であるのかどうかというそこの問題はあるということでありまして、我々といたしましては、そこに財政資金を投入していくことは適切ではないと、こういうことを申し上げているわけです。

高橋委員 いいです、ルールじゃないわけですから、今後さらに検討していけばよろしいかと思います。

 例えば、さっき補修の話を少ししたわけですけれども、三宅島の皆さんは、今回自分たちは対象にならないだろうと思っていたことや、長くなると住宅の傷みが激しくなるということをもって、全く自分の力で屋根の補修をとりあえずやったという方などもいらっしゃるわけですね。そうすると、多分それは、もう終わってしまったことだからということで対象にはならないということになりますか。ここ確認。

尾見政府参考人 今先生がおっしゃるような補修は、今回の改正は、大規模半壊をした場合に、壁とか柱とか、そういうのを除却する経費等を支援対象とするということでございますので、一般的な補修というものを対象にしているわけではございません。もう既に終わっているということも含めて、先生のおっしゃるとおりでございます。

高橋委員 そういういろいろな矛盾がやはり実際に出てくるということでして、もっと実態に合わせてさらに検討していただきたいということを、今回は問題提起としてお話をしておきたいと思います。

 次に、さっき言った住まいの確保ということで、いろいろな方法があるということの流れで一つ伺いたいのですが、国土交通省の調査で、耐震性が不十分な住宅数が全国で一千四百万戸と指摘をされておりまして、住宅再建への支援と同時に、個人住宅の耐震化ということが強く求められているところでありますが、現在、都道府県や市町村が個人住宅に耐震診断あるいは耐震改修の補助の制度を持っているところがどのくらいになっており、また、国としてこれを進めるためにどのような取り組みをしていくのか、伺いたいと思います。

小神政府参考人 住宅の耐震化についての支援の実施状況についてのお尋ねでございます。

 地方公共団体におきましては、住宅の耐震診断や改修に対する補助を行う団体がふえてきております。私どもの把握では、平成十五年十二月時点でございますけれども、耐震診断の補助を行っている団体は五百二十団体、改修につきましては二百四団体が支援を行っているところでございます。

 国土交通省におきましては、こういった地方公共団体の耐震診断あるいは改修について補助を行う場合に、地方公共団体に国の方から補助をするという制度を設けて支援をしているところでございます。

 ただ、午前中にも御答弁申し上げましたように、耐震診断については国の補助について実績が上がっておりますけれども、改修につきましては、密集住宅市街地という要件がありましたので実績が上がっていないという実態はあります。十六年につきましては、制度の改善を行いますので、相当程度の実績が上がるものと期待しております。

高橋委員 時間になりました。さらに強めていくようによろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

堀込委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本でございます。

 最後になりましたのでかなりダブると思うんですが、確認の意味も込めて質問していきたいというふうに思います。

 被災者生活再建支援法の一部改正案という点についてでありますけれども、阪神・淡路大震災の被災者の方々からは住宅本体の再建支援を求める声が大変大きかったわけでございます。今回、居住安定支援制度という内容で、被災した住宅の解体撤去費用あるいはローン関係費、そうしたものに対する支援制度が提案されたわけでございますけれども、極めて不十分なものというふうに思わざるを得ないわけでございます。これでは、阪神大震災のときの被災者の声それから復興の経験というものを踏まえた内容なのかということについては、大変大きな疑問を感ずるわけでございます。

 先ほど来、住宅という個人の資産には公金を投入することができないということでございますが、明確なルールはないということでございました。そうしたことを再度確認したいんですが、個人の財産に、住宅に公金は投入できないというこの法的根拠というものをここでもう一回確認したいんですけれども、お願いします。

井上国務大臣 私有財産制度を前提にいたした場合に、住宅本体の建築費に対する支援は適切ではないということであります。

 ただ、住宅というのは個人の生活にとりまして大変大事なものでありまして、何らかの形で支援ができないかということで種々検討したわけですね。つまり、自助と公助のあり方、これを検討して、公助としては住宅本体への公金の支出はできないけれども、その周辺部分への公金支出はぎりぎり認められるんじゃなかろうかということ、これが大勢の関係者の最大公約数だったと私は思うんでありまして、それを踏まえて今回の制度を考えた、法律にして提出した、こういうことでございます。

山本(喜)委員 私有財産制度というふうなわけですけれども、しかし、今までは百万円ということでの家財道具に対する支援ということはありましたから、この家財道具と住宅との違いというのがどうもわからないわけですよ。どちらにしても私有財産には変わらないわけですから、この辺どうも、納得できるような説明をお願いします。

尾見政府参考人 現在の百万円も、結果としては個人のそういう物品ということにつながっているのではないか、こういうことだと思いますが、私有財産制度と申しますのは、やはり、根幹的な資産、典型的には住宅と土地、そういうようなものについての概念であるというふうに承知しております。

 例えば社会主義のもとでも、もちろん消費財的なものについて個人が所有するということが禁じられているわけではありませんので、そういうベーシックなところについての財産制度のあり方ということで私有財産制度という言葉が使われているのだというふうに承知しております。

山本(喜)委員 いや、ですから、冷蔵庫とか家具とかテレビとかはよくて、なぜうちがだめなのかというそこの違いの説明がよくわからないんですよ。

尾見政府参考人 その国の基本的な成り立ちに著しく関係の深いベーシックな部分についてどういう制度がとられているかということだと思います。

 ですから、住宅と土地というのは、最も普遍的で最も価値の高いといいますか、そういう資産でありますので、そういうものと身の回りの物品といいますか、そういうものと一緒の議論は私はできないのではないかと思っております。

山本(喜)委員 そこで、住宅の公共性というのをどう認識するかという点についてお伺いします。

 阪神・淡路大震災では、倒壊した建物の跡地約八万カ所のうち約二万カ所が、現在でも更地や駐車場のままになっているというふうに言われているわけです。瓦れきが撤去された後も住宅が再建されないままで空き地があちこちに残っているということでは、地域のコミュニティーは再建されたわけではないわけです。町並みが破壊されたままで真の復興ということは言えないわけであります。

 二〇〇〇年の十二月に、国土庁が、被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会ということで報告を出しましたけれども、そこでは、「住宅は単体としては個人資産であるが、阪神・淡路大震災のように大量な住宅が広域にわたって倒壊した場合には、地域社会の復興と深く結びついているため、地域にとってはある種の公共性を有している」、「実際、被災者の住宅や生活の再建が速やかに行われれば、地域の経済活動が活性化し、その復興を促進することになる。」というふうに言っているわけですけれども、この報告に対する評価というものを政府はどう考えていますか。

尾見政府参考人 その前に、私どもとしては、被災者の安定的な居住の確保、先ほど住まいということを申しましたが、物理的な意味の資産としての住宅ではなくて、住まいの確保は、自立した生活再建を支援する上で最重要課題の一つであるとの認識から制度改正をお願いしている、こういう状況でございます。

 今御指摘いただきました委員会報告での記述を見ますと、被災者が早期にみずから住宅再建に取り組むことへの支援の重要性が指摘されております。これは、住宅そのものが公共財であるとか公共性があるとかいう議論とは別に、先生がおっしゃったような、復興とか生活の再建とかいう観点からの取り組みの重要性を指摘しているんだろうと思います。

 私ども、今回、公的支援として、これまで、応急仮設住宅でございますとか公営住宅でございますとか、あるいは税制とか融資とか、そういういわゆる間接的な支援にとどまっていた個人住宅に関して、御指摘のような観点を踏まえて、早期に住宅の再建等の自立した居住の確保が図られるよう、その立ち上げを支援するための支援制度を創設するということにいたしておりまして、その問題意識は、基本的にはこの御報告のこととそう変わってはいないのではないかと思っております。

山本(喜)委員 次に、借入金関係の経費ですけれども、今回の改正案では、住宅の建てかえ及び補修にかかわるローンの利子あるいは保証料ということに対する支援ということになっていますけれども、この設定されたモデルケース、建物だけで二千五百万円のローンを組むことを前提にしているわけです。

 しかしながら、現状、建物が壊れてもローンは残るというときに、年収五百万円以下の人が新たに二千五百万円のローンを組めるのかどうか。現実の庶民の生活を見たときに、これが果たして実態に即しているのかどうか。

 この点、ちょっとお伺いします。

尾見政府参考人 御指摘の点については、被災者の住宅建設に対する融資がどうなっているかということを申し上げますと、被災者の収入とか返済額等を勘案して、年収五百万未満の被災者や既往債務を抱えている被災者に対しても融資は行われているという事実はございます。

 ですから、具体的にどれだけの残があり、どれだけの新しいローンを組むのか、そういうことになると思いますので、一概に、すべての場合にできないとか、すべての場合にできるとか、そういうことの断言はできないのではないかと思っております。

山本(喜)委員 この収入の要件ですけれども、五百万以下とか、あるいは五百万から七百万の間とか、あるいは年齢要件もありますね。この計算式ですけれども、年収なのかそれとも所得なのか、この辺わかりますか。

尾見政府参考人 この要件は年収でございます。所得を捕捉しまして、そこから一定の換算式で収入を出すというふうなことで取り扱っております。

山本(喜)委員 ですから、この換算式、これは政府の方でつくった換算式でしょう。これはかなり複雑なようなんですけれども、これはやはりもっとわかりやすくやるべきじゃないんですか。前年の所得とか、あるいは毎年の年収から全部引いた上で、ありますよね、そうした六十五万足すとか〇・八で割るとか、そういうふうな計算式は非常に複雑でわかりにくいんですけれども、なぜそういうふうにわざわざつくっているのかがよくわからないんですよ。

尾見政府参考人 この換算式については府令で決められておりまして、これについては私も、先生が今おっしゃっていましたように、具体的にこの場合はこう計算するんだというところまでは、申しわけありませんが承知しておりません。

山本(喜)委員 それで、収入ですけれども、これは前の年の収入が基本になるわけですが、実際、被災をされますと、途端に収入がなくなる、仕事もなくなるというふうな状況になるわけですね。ですから、本当に被害を受けた方の実態にそぐわないわけですよ。

 そういう意味で、この収入要件とか年齢要件、そうしたものはやはり取り払った方が非常に使いやすくなるんじゃないかというふうに思うんですけれども。

尾見政府参考人 ちょっと繰り返し申し上げることになってしまいますが、これは、五年前にこの制度ができましたときに、真に支援が必要な者の範囲を先生方と国の方でいろいろ議論した結果、そういう枠組みが決まったというふうに承知しております。したがって、この制度の根幹をなすものだというふうに私は思います。

 それから、収入の要件でありますが、それは災害があった年の直近のものということで、前年または前々年ということになるわけであります。

 この種の制度を当てはめますときに、どこかに基本的な基準点というのを置きませんと、例えば世帯でも、翌日になれば世帯が四人が三人になることもあります。どこでどう捕捉するのかというのは、これはテクニカルな問題もございますけれども、当然、一定の基準点というのを置かざるを得ない。そこで物を考えていくというのは、こういう制度をするときの一種の共通項ではないかと思います。

 同時に、この場合は支援金を速やかに支給するという要請もありますので、直近の前年度または前々年度の収入をベースにするということが、被災者の方にも支援金が早期に出るという観点からプラスの面もあるのではないか、こういうふうに考えております。

山本(喜)委員 五年前に、真に支援が必要な人たちの要件は何かということで話し合われた結果の要件ということのようでありますけれども、しかし、実際、震災で被災された方々の要求はかなり違うんですよ。本当に必要としている支援に届いていないというのが今の現状じゃないですか。

 そのことをもう一度お願いします。

尾見政府参考人 これも申し上げたことで、二つの点を申し上げたいと思います。

 一つは、この制度を五年間運用してきまして、これは、いわゆる住宅が全壊をするということと、それから、高齢でありますとか経済力がない、こういう両方相まった方については何とかしなくてはいけないということで、生活支援金の百万円の支給対象にする、こういう考え方でできているわけであります。

 全壊世帯については、先ほども申し上げましたように、既に申請期間が満了した十四年度までの数字では七八%という数字になっておりまして、相当数の全壊世帯の方に支援金が支給されている事実がございますということと、それから、この五年間の間に、これは蛇足かもしれませんが、収入あるいは年齢の要件がそれぞれ変化しております。それによりますと五〇%を若干オーバーする、こういう実態になっているということを申し上げたいと思います。

山本(喜)委員 次に、長期避難世帯に対する支援ということについてお伺いします。

 避難解除後二年以内に従前の居住地に戻る場合は、移転経費ということで七十万円を上限に援助するということでございますけれども、これがその三百万円以内の枠の中ということでありますが、この長期避難世帯の場合は、時間が経過すればするほど被害が積み上がっていくということだと思うんですよ。ですから、三百万円以内ではなくて、これは別枠として設けるべきではないのかというふうに思うんですが。

尾見政府参考人 今回お願いしております長期避難世帯に対する支援でありますけれども、これは、上限七十万円の長期避難世帯特別経費としてこれを設定するということにいたしておりますが、まず基本は、今回の制度で、従来の百万円に加えて上限二百万を加えた三百万、こういうものが、制度全体として見れば公助として妥当な額であるというふうに考えているというのが第一点です。

 それと、この長期避難解除特例でありますけれども、これは、長期避難世帯の特殊性にかんがみ、三宅島を念頭に置いております。三宅島は、残念ながら今直ちに帰島できる状況じゃありませんが、帰島ができるという段階になりましたらば、多くの方がもう一回島に戻るのに引っ越し費用もかかると思います。それから、場合によっては、身軽で行けば家財道具も必要になるかもしれない。そういう観点から、七十万というのを、極めて例外的に二度目の支援金の支給ということで位置づけているわけでありまして、知事会とも調整させていただいた上で、全体としてはその三百万の枠内で対応しよう、こういうふうに決めさせていただいたところでございます。

山本(喜)委員 時間がないので最後ですけれども、賃貸住宅への家賃補助、これは、月額二万円以上の分については発災後二年以内ということですけれども、この二年の根拠をお伺いします。

尾見政府参考人 発災後二年といいますのは、仮設住宅の設置期間が原則二年とされておりますので、それとの均衡というか、そういうものを考慮して原則として定めさせていただきました。

 それで、これについては、やむを得ない事情ということがあれば、例外としてそれを延長するということができる道が設けられている、こういうふうに申し上げておきます。

山本(喜)委員 阪神大震災の場合、家賃滞納ということで住宅から出ていくようにと退去を命じられるケースがだんだんふえてきているわけですよ。そういう意味で、この二年というのは現状に全くそぐわないのではないかというふうに思うわけです。

 もう少し実態をきちっと踏まえた上で、仮設住宅が二年だからということで終わるんじゃなくて、もう少し、本当に悩んでいる人、苦しんでいる人の立場に立った支援というものをきちっとやっていただきたいということを申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

堀込委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 この際、松原仁君外四名提出の修正案について、念のため、内閣の意見を聴取いたします。井上防災担当大臣。

井上国務大臣 個人の住宅につきましては、自由かつ排他的に処分し得るかわりに、個人の責任のもとに維持することが原則となっております。

 今回の改正案は、被災した個人住宅への支援についてさまざまな議論がある中で、可能な限り公助としての支援の充実を図るものであります。

 したがって、本修正案については、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

堀込委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、松原仁君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀込委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀込委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、河本三郎君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。達増拓也君。

達増委員 ただいま議題となりました被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、特に次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期するべきである。

 一 被災者の自立した生活の開始を支援するという法の趣旨にかんがみ、支援金の支給に当たっては、概算払い制度の活用等、被災世帯が円滑かつ速やかに支給を受けられるよう、可能な限り運用上配慮するものとすること。

 一 支援制度の運用に当たっては、生活再建のためのニーズは被災世帯により多様であることを考慮し、書類の簡略化等申請手続の簡素化を図る等、弾力的な運用を図るよう努めること。

 一 大規模地震から国民の生命、財産を守るため、災害時に防災拠点となる公共施設等の耐震化を促進するとともに、住宅の耐震化に関する意識啓発を行い、個人住宅の耐震化の普及促進を図ること。

 一 阪神・淡路大震災のような大災害が発生した場合は、阪神・淡路大震災における支援措置を参考として、必要な措置を検討すること。

 一 居住安定支援制度等の充実を図るため、本法の施行後四年を目途として、制度の施行状況等を勘案し、制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

堀込委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀込委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、井上防災担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井上防災担当大臣。

井上国務大臣 本委員会におかれましては、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案につきまして熱心な御審議をいただき、ただいま全会一致で議決されましたことを深く感謝を申し上げる次第であります。

 審議中におきます委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存であります。

 本法案の審議を終わるに際し、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対しまして深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

堀込委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

堀込委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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