衆議院

メインへスキップ



第8号 平成16年7月29日(木曜日)

会議録本文へ
平成十六年七月二十九日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 堀込 征雄君

   理事 河井 克行君 理事 河本 三郎君

   理事 三ッ林隆志君 理事 達増 拓也君

   理事 都築  譲君 理事 松原  仁君

   理事 石田 祝稔君

      今井  宏君    岩屋  毅君

      小野寺五典君    大野 松茂君

      金子 恭之君    北川 知克君

      近藤 基彦君    谷  公一君

      萩野 浩基君    早川 忠孝君

      原田 令嗣君    平田 耕一君

      保坂  武君    宮下 一郎君

      山本 明彦君    山本  拓君

      吉野 正芳君    小沢 鋭仁君

      奥田  建君    奥村 展三君

      菊田まきこ君    土肥 隆一君

      中川  治君    西村智奈美君

      増子 輝彦君    三日月大造君

      村井 宗明君    若泉 征三君

      漆原 良夫君    河合 正智君

      白保 台一君    高橋千鶴子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       井上 喜一君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)   鈴木 勝康君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (文化庁次長)      加茂川幸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)   小島比登志君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)   佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)   伊地知俊一君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局食糧部長)   高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)   南部 明弘君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  梶谷 辰哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)   服部 和良君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)   塚本  修君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)   竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   衆議院調査局第三特別調査室長   五十島幸男君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十九日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     北川 知克君

  江藤  拓君     宮下 一郎君

  大野 松茂君     山本  拓君

  大前 繁雄君     近藤 基彦君

  西村 明宏君     早川 忠孝君

  泉  房穂君     菊田まきこ君

  黄川田 徹君     西村智奈美君

  白保 台一君     漆原 良夫君

同日

 辞任         補欠選任

  北川 知克君     今村 雅弘君

  近藤 基彦君     大前 繁雄君

  早川 忠孝君     西村 明宏君

  宮下 一郎君     江藤  拓君

  山本  拓君     大野 松茂君

  菊田まきこ君     泉  房穂君

  西村智奈美君     黄川田 徹君

  漆原 良夫君     白保 台一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

堀込委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官柴田高博君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、消防庁長官林省吾君、文化庁次長加茂川幸夫君、厚生労働省社会・援護局長小島比登志君、農林水産省大臣官房政策評価審議官佐藤正典君、農林水産省大臣官房参事官伊地知俊一君、農林水産省総合食料局食糧部長高橋博君、農林水産省農村振興局整備部長南部明弘君、林野庁森林整備部長梶谷辰哉君、経済産業省大臣官房審議官服部和良君、経済産業省製造産業局次長塚本修君、国土交通省都市・地域整備局長竹歳誠君、国土交通省河川局長清治真人君、国土交通省鉄道局長梅田春実君、気象庁長官長坂昂一君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本拓君。

山本(拓)委員 自民党の山本拓でございます。

 私の選挙区は福井第二区でございまして、もろ、今回の豪雨災害に見舞われた地域でございまして、先般、佐藤副大臣を初め河川局長等々、責任者の皆さん方においでいただきまして、つぶさに現状を把握していただきました。心からお礼を申し上げます。

 何せ、普通の災害ですと、大雨が降って川があふれて、その周辺が床上浸水なんですが、今回は、一カ月に降る雨量が一時間で降っちゃったものですから、これは逆に山の方からの、よく豪雪のときに雪雪崩がわあっと来てつぶすことがありますが、いわゆる水雪崩現象で、むしろ、今まで水害とは関係ない高いところに位置している家屋が山からの水雪崩で災害に遭ったと。足羽川流域の、よくテレビでも紹介されましたが、奥さんが玄関にある台所で仕事をしておったら、うちの中からどおんと音がして、水と一緒にだんなさんが新聞を読んだ姿で流れてきておったというようなすごい状態でございまして、そういう中で、何とか立ち直りを今一生懸命やっているところでございます。

 一つ初めに、防災担当大臣として、今回の豪雨被害、どのような認識をまず受けとめておられるか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

井上国務大臣 このたびのこの災害といいますのは、一口に言いますと、集中豪雨による大災害ということが言えると思うんであります。通常、雨が長く降りますとか台風が来ましてああいう洪水が起こるんでありますけれども、ある一点に集中的に雨が降りまして大きな災害が出たというのが今回の特徴じゃないかと思います。

 したがいまして、関係県につきましても、新潟、福井とか福島、この三県に集中する。しかも、その三県の中でも、全県的じゃありませんで、ある程度地域が特定しているというところでありまして、その地点の被害が非常に大きく出ている、こんな感じを持つわけでございます。

 そういう意味で、私は、従来の災害対策といいますのは、雨がしとしと長く降ることによる水害の災害でありますとか、あるいは台風による災害ということでありましたけれども、どうもこの集中豪雨による災害は、従来の災害対応とはいささか違った対応をしなくちゃいけない、そんな感じを持った次第でございます。

 とにもかくにも、トータルとしては非常に大きな災害でありますけれども、特に局地的に大きな災害が出ているということ、そして、集中豪雨という特殊なといいますか、従来には見られなかった災害でありまして、それに即しました災害対策というものをこれから考えていかないといけないなと、こんな感を強くした次第でございます。

山本(拓)委員 今、とにかくお金があろうとなかろうと、地元の自治体では災害復旧、緊急対策も、ただでさえ財源がない中で一生懸命取り組んでいるところでございまして、よく、総理であれ大臣であれ、激甚災害指定とか、そういう激甚の指定云々の話で今作業も進めておりますけれども、ここで、一つ確認の意味で、この激甚災害指定についてちょっと事務当局から詳しく御説明いただきたいと思います。

柴田政府参考人 激甚災害制度につきましてでございますが、大規模な災害によりまして地方公共団体の財政に非常に大きな負担がかかることになります。こういった場合に、地方財政の負担を緩和いたします、特にそういうことを中心として、これらが大変大きな災害だと認められる場合、当該災害を激甚災害と指定いたしまして、あわせまして、当該災害に対して適用すべき災害復旧事業費等に係ります国庫補助特別措置等を指定するものでございます。

 これが指定されましたら、通常の災害復旧国庫補助事業の補助率にさらに上乗せがされるということでございます。

 さらに、激甚災害の制度の中身でございますが、これも委員も御承知のとおりでございますけれども、全国の被害額を基準として全国的な規模の災害を指定いたします本激と、市町村単位の被害額を基準として、個別の市町村で発生した災害を指定する局激、この二つがございます。

山本(拓)委員 今回の災害を受けた自治体というのは、極めて中小の、過疎地を含めた、財源の厳しい地域でございますので、従来の制度上の運営の中で、全体的に被害というよりも局地ですから、従来の査定でいくとなかなか厳しいところがあるのかなと。

 いずれにしても、そこらも含めて、地域は地域で局地的な指定制度もあるということでございますが、基本的には河川関係はほとんど県管理でございますので、そういう意味を踏まえますと、今の時点では、それを受けようと受けまいとすぐお金が出るわけじゃなしに、年度末のあれですから、そこはそこまで待っていられませんので、前倒ししてというか、地元の市町村長を初め、知事は、とにかく、再発防止も含めた、そして安心を地元の人に持っていただくという、頼りになる災害対策をやるという観点でやっておりますので、そこに当たっては、ひとつ弾力的に、そしてまた、特に中小のいわゆる公共団体に対して、特別な配慮もあわせて、ひとつ大臣、よく決めていただきたいというふうに考えております。

 そんな中で、災害現場を見ますと、これから復旧活動をやっていくわけでありますが、従来の中小河川なんかは、もう川が土砂で埋まっちゃって、それで新しい川ができているんですね。結構幾つもあるんです。だから、ちょっとこれはついでに聞く話でございますが、今後この復旧活動をやっていく上で、従来のパターンでいきますと、原状復帰というのが大体行政のパターンでありますが、また掘り起こして同じ線形にやるという原則論ではなしに、川が、水の流れが自然に私はこっちへ行きたいということで流れているわけでありますから、そこらもひとつ弾力的に考えていただきたいし、新しい線形も含めてこの際運用していくということも必要かと思いますが、その辺の見解について確認だけさせていただきます。

清治政府参考人 河道の埋塞についてのお話でございますが、河道が埋塞しますと、その後に来ます出水で、ほんの少しの洪水でもあふれてしまうということが懸念されるわけでございまして、これにつきましては応急復旧という形で現河道の掘削等を緊急的に進めております。

 それに加えまして、今後どういうふうに復旧していくかということにつきましては、同じような出水がまたあったときに同じことが起こってしまうという懸念のあるところにつきましては、改良的な要素を含めまして対応できるようになっております。これは、災害復旧の関係でまいりますと、災害復旧助成事業という事業がございましたり、災害関連事業というようなものもございますし、それから、改修をそこで緊急的に行うというようなことで、激甚災害対策特別緊急事業というようなものができるようになっているわけでございます。

 したがいまして、今回の災害につきましても、土砂の堆積など現地の状況あるいは地元の方々の御意向、こういうものも踏まえまして総合的に検討した上で、適切な対処を迅速に行って万全を期してまいりたいというふうに思っております。

山本(拓)委員 ぜひともそこの点を、柔軟に地元の意見をよく聞いて対応していただきたいと思うところでございます。

 それと、今回災害を受けた地域というのは優良な米産地でもございます。農地も御多分に漏れず砂利が入って、今回は本当に、水が浸して水が引いたんじゃなしに、土砂もまじっていますから、水だけ引きましたけれども、田んぼに土砂だけがいっぱいたまっているということで、大変な被害が時間がたてばたつほどわかるわけでございますが、その意味で、農地の被害状況、今把握をしているところだと思うわけでありますが、今後、農政、農民、また農業団体等含めて、そこらに対する支援策、今の時点で考えておられること、また、できること、その点をひとつお示しいただきたいと思います。

南部政府参考人 農地等の被害状況でございます。これは、今回の十三日から十八日にかけましての北陸、東北地方の豪雨による被害でございますが、現在調査中ではございますけれども、昨日、二十八日時点で六十億、これが農地でございます。農業用施設につきましては約百二十六億円、合計百八十六億円と報告を関係の県から私ども受けておるところでございますが、今後、調査を進めるに当たってまた増額するというふうに予想しております。

 これに関しまして、災害復旧につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、いわゆる私ども暫定法と呼んでおりますが、こういうこと等に基づきます災害復旧の事業制度により行っていくということになります。

 ただ、このような中で、今回の豪雨災害に関しましては、緊急を要します農地、農業用施設の復旧につきまして、既に水路等で応急工事が進められているというふうに伺っておりまして、今後とも、このような所要の応急工事が速やかに進められますように、県や市町村等と私ども緊密に連絡調整を図るということにしております。

 また、災害復旧全体が速やかに図られますように、県から復旧計画の概要書等が提出され次第、現地の調査等、災害査定に迅速に対応することというふうにしております。

 以上でございます。

山本(拓)委員 とにもかくにも、ひとつ、これもまた柔軟に、そして速やかに、迅速に対応していただきたいと思います。

 そしてまた、ここもまた森林、林業の盛んなところでございまして、森林や林道の被害状況をどのように、なかなかまだ山の中に入れる状態ではないところが多々あるわけでございますが、おのずと、山の荒れ方といいますか、大変なものだと存じます。

 そんな中で、その現状認識と林家への支援策、復旧事業の実施の考え方等々、今の時点での考え方を示していただきたいと思います。

梶谷政府参考人 まず、今回の災害におきます林野関係の被害についてでありますが、七月二十八日現在で、全体では二千五百十五カ所、被害額約百六十九億円となっておりますが、このうち、新潟県、福島県、福井県における被害につきましては、二千四百九十八カ所、被害額約百六十一億円、現時点のものでありますけれども、に達しておりまして、極めて甚大な被害であるという認識を持っているところであります。

 これらの被害箇所につきましては、林道施設及び治山施設の被害につきましては、県等から林道施設災害復旧事業及び治山施設災害復旧事業の申し出があり次第、速やかに現地査定を実施いたしまして、被災施設の早期復旧を図ることとしているところでありますが、特に緊急を要する場合には、現地査定前であっても、応急工事により対応するという考えでおります。

 また、林地の荒廃箇所につきましては、人家、公共施設等に係る緊急性の高い箇所につきまして、災害関連緊急治山事業あるいは林地崩壊防止事業によりまして、治山ダムの設置でありますとか土どめ工を実施いたしまして、荒廃した森林の早急な復旧と二次災害の防止に努める考えであります。

 それから、最後になりますが、林家への支援の方でありますけれども、人工林、育成天然林における気象害等による損害を補てんする制度といたしまして、森林国営保険というものがあります。今回の豪雨災害によって被害を受けた保険加入森林の損害額につきましては現在調査中でありますけれども、今後、被害額が明らかになり、森林所有者から保険金の請求がなされれば、迅速に保険金が支払われるように対応してまいりたいというふうに考えております。

山本(拓)委員 これもまた大事な話でございますので、柔軟にかつ速やかに対応していただきたいと存じます。

 きょう、台風がどこへ行ったのか知りませんけれども、きのう、きょうのニュースを見ていて、また台風がやってくるという話でございます。今の台風が進路を変えてあの北陸、新潟の方へ行ったら、もう末恐ろしいことでございまして、これは、今の現状でいきますと、とりあえずちょっとした雨でも、もうほとんど埋まっていますから、大変な二次災害が懸念されるところでございますし、特に、山の方はみんな急傾斜地で、フェンスなんかで結構助かったんですが、これはもうほとんどぎりぎりで、土俵際いっぱいで支えているようなところが多々ありまして、そこに追っかけて今の台風でも来たものならば、それこそもう想像がつくという話でございますから、この二次災害について、これは、初めは秋に台風が来るんじゃないかと思ったんですが、最近はいつ来るかわかりませんし、今もう来るわけでありますから、その意味では、二次災害に向けたとりあえずの復旧活動というのは取り急ぎやっていただいているところでございますが、もう既に大分やっていただいていますが、まず、その現状をどのように把握をしていただいているのかということと、時間がたてばたつほど、地元の自治体の長、責任者に、国にはまだ言っていないけれどもこんなおそれがあるというのがありますから、そこら辺、大臣の方から、急いで、速やかにということをいま一度決意を述べていただきたいと思います。

井上国務大臣 既に応急の対応としましては各省の方で対応していただいていると思うんでありますけれども、今のお話のように、もう大体箇所がわかっていまして、台風が来れば災害のおそれがあるようなところは、まさに重点的に点検をしまして、それに対する適切なる措置をとっていく必要があるというふうに思いますし、また、そのようなことを関係各省の方にも要請をしていきたい、こんなふうに思います。

 それから、これは公共工事ではないんでありますけれども、特に、新潟の場合は高齢者の犠牲が出たわけですね。これは高齢者の避難につきまして問題があるということでございますし、あともう一つは、情報が市町村の方に参りまして、市町村が判断をして避難の勧告でありますとか指示をするんでありますけれども、これが多少市町村によりまして区々であったというようなこと、これが原因で被害がさらに大きくなったというようなこともありますので、そんなことも含めまして、言ってみれば、工事だけではなしに、工事以外の対応につきましても、今回のこの災害にかんがみまして、これは、きちっと直すべきは直すように各省の方にも要請をいたしておるところでございます。

山本(拓)委員 被災者というか、私の地元の福井の鯖江市におきましても行方不明者がおりまして、片一方では災害復旧、片一方では消防団を初め遺体捜しというか、土砂の中に埋もれているのを順番で捜している部隊もおりまして、その意味では、今後の速やかな対応、再発防止という点ではぜひとも力を入れてやっていただきたいと存じます。

 それと、今の災害防止をするというのは、これは公共的な分野でございますから、これは当然と言ったらおかしいですが、していかなくてはなりません。

 問題は、激甚災害指定を受けたところで、個人の私有財産とか個人の敷地までは面倒を見てくれませんから、そこらあたりは、生活再建の支援法というものを知事さん等で早々に指定してやっておるところでございますが、最近、車なんかでも、水につかりますと、ハイテクコンピューター制御ですから、私なんかは知らぬから、水に車庫も一回つかりましたから、車ぐらいはこんなもの干せば直るがと言っておったら、最近の車はコンピューターですから、一回つかったらだめみたいでございまして、至るところで、家電も含めてそこらの再建費用というのが一昔前よりも大変かかる、いろいろな意味で。

 そういう意味では、地元の自治体ではその再建によって一生懸命やっておりますけれども、元方の国として、その運用が適切に行われるよう国として指導する必要があると思うところでございます。

 幸い、ボランティアが全国から来ていただきまして、手作業で随分助かっております。福井県なんかは、あの拉致被害者の地村さんも、先頭立てて私どもの地域へ一生懸命ボランティアでバケツを持って、それで、していただきました。本当に、やはりさすがだなと思っておりまして、地村さんを初め、全国のボランティアの皆さん方には本当に感謝を申し上げているところでございますが、それだけに、国の方の支援というものをもっとアピールをしていく必要があるわけでございますので、県のそういう運用に対して、さらに適切な運用を安心してやれというような意味から対応が望まれるところでございますが、その点のお考えをひとつ確認をさせていただきたいと存じます。

佐藤(剛)副大臣 ただいまの山本委員の御指摘でございますが、私自身、現場へ参りまして、プライベートの、自分の庭のところに大きな石が入り込む、これはボランティアではなかなかできない、そういうようなところも直面いたしましたし、また、行方不明の方から、ぜひお父さん、お母さんを、親戚をということを懇願されまして、非常に対応の重要性を感じたところでございます。帰りましてからまた防衛庁の方にも伺いまして、御礼とともに、さらなる御支援をお願いしてきたところでございます。

 いろいろな面で今回は、海上保安庁を初め、警察、消防、各省庁、本当に全力を挙げてやっておられまして、そういう意味で、さらなる努力が必要であるということを痛感いたしているところでございます。

山本(拓)委員 この点については、総理も、柔軟にやるようにという報道もされておるところでございまして、しっかりとその点を現場まで徹底的におろすようにひとつお願いを申し上げたいと。

井上国務大臣 生活支援につきましては、本当にこの支援が必要な人に対しまして支援をする、こういう考え方で生活支援法ができ上がったわけでございますけれども、確かに、地震の場合と水害の場合はこれは多少被害の状況が違いますので、水害につきましては、やはり水害の特殊性のようなもの、例えば床上浸水がありまして、随分泥が堆積をしてにおいが非常に残るというような場合に、うちは残っているんだけれども、実際はもううちとして使えないような場合もあると思うんですね。ですから、そういうのはそういうものとしてやはり特別に考えていかないといけないんじゃないかというふうに考えておりまして、できます限り、この被害の実態をよく見まして、それこそ適切に対応していきたいと、こんなふうに考えております。

 総理の方からも、できるだけ積極的に生活支援法の適用を活用するようにと、そういうようなお話もございましたので、そんなことも体しましてこれからやっていきたいと、こんなふうに考えております。

山本(拓)委員 保険はみんな掛けているんですけれども、大概火災保険でして、少し余裕のある人はその他の災害も含んでいる保険にも入っているようですが、民間の保険会社というのはかなり冷たいようでございまして、これは無理だ、あれは無理だということで、その運用は、恐らくそういうようなのは裁判で個々に争うことがふえると思いますけれども、国に至っては、もともと国の安全な行政の中でみんな生活してきているわけですから、そこは、しっかりと安心感を持っていただく意味で柔軟に対応していただきたいと存じます。

 それともう一つ、その地域は地場産業地域でございまして、我々の地域でも、眼鏡、漆器、和紙、そして繊維等々、地元の地場産業の振興地域でございます。御存じのとおり、御多分に漏れず不況の真っただ中でございまして、不況対策をやっている中でのこの災害でもございます。その地域で産業は、基本的にはそこで雇用も生まれておりますので、もうやめられたら、これは地域経済にとっても大変な打撃でもございます。

 ただ、御存じのとおり、地域の中小企業者というのは、資産は結構持っている人が多いんですが、みんな担保いっぱいお金を借りていまして、そうして何とか歯を食いしばってやっている。そこへこの水害で、商品がもう使えなくなり、まだそれだけならいざ知らず、設備までが水に浸っている。さっきの話じゃないですが、最近の機械設備、ハイテクコンピューターも多用していますから、ハイテク機械というのは本当に水に弱いんですね。だから、それが、設備して、借金して買ったものがまたこれがオジャンになっちゃう。保険は大して出ない。やはり、火災は出るけれども、それに対しては出ないというような状態が多いわけでございますので、まず順番としては、しっかりと再建をして、新しい設備を直してという新しい借り入れ以前の問題として、まず過去のものを、ちょっと言い方は悪いですが、ひとつ塩漬けにしてやらないと、もうどうしようもないと。

 だから、ある意味では、返済猶予は当然のことながら、利息も、これは地方自治体の方で利息を補てんしたり、そういうことは今後考えつくと思いますけれども、そういうことに対しても国の方が一定の措置を援助していただければ非常にありがたいかなと。

 物の順番としては、一般家庭のそういう生活支援というのは生活支援法を中心に柔軟にやっていただかなくてはなりませんし、もう一つ、事業者の振興策につきましては、まずは、無借金で地場産業をやっている人はほとんどおりませんので、やはりそこらあたりを、新しい設備をする前に、過去のもの、担保をとるといったってもう担保に入っていますし、だから、そういう意味では、そこらの柔軟な、今、国が直接そこらをやるわけではないですが、県であれ地元の自治体がしっかり支援策をやっていく上での追加支援策もしっかりやっていただきたいと思いますし、続けて、それをまず確保した上で、さらに、被害に遭った設備を更新するというか新しくする、そういう新しい運転資金であれ設備資金であれ借りる場合に、これは、一般の銀行は余りそういうところは協力したがりません。UFJの問題があるように、あの程度でもう自分のところが火がついていますから、だから、こういうときこそ政府系の金融機関の出番でございますので、そういう政府系金融機関の運用も、今回水害に遭って、また新しい再建をするための支援も当然無利子でもございますし、長期返済でもお願いいたしますし、そしてもう一つお願い申し上げたいのは、無担保枠を精いっぱい広げていただいて、第三者保証人を極力とらない。これは、従来のパターンでいくと、担保がなかったら保証人と。保証人になる人も泣きつかれたら大変でございますけれども、これは気の毒な話でございまして、その意味では、きめ細かな対応をやっていく中でしっかりとした政府系金融機関の運用をやっていただきたいと思いますが、その二点について御見解をお示ししていただきたいと思います。

服部政府参考人 金融面での対応についてのお尋ねでございます。

 新潟県及び福井県での豪雨災害で被災されました中小企業の方々に対しましては、政府系中小企業金融三機関、すなわち、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫におきまして災害復旧貸し付けを実施いたしております。

 災害復旧貸し付けとは、一般貸し付けとは別枠で運転資金及び設備資金を、低利、現時点では一・八%でございますが、で貸し付ける制度でございます。貸付限度は、一般貸付枠とは別に、一企業当たり、中小企業金融公庫の場合には一・五億円、国民生活金融公庫では三千万円ということにしてございます。

 また、この災害復旧貸し付けに関しましては担保の特例がございまして、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫におきましては、実情に応じて貸付額の五〇%を上限として、金額ベースで申しますと八千万円を上限といたしまして担保の徴求を免除しております。また、国民生活金融公庫におきましては、信用保証協会の無担保保証等の活用を含めて、弾力的に取り扱うようにしております。

 それからさらに、今回、政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に対しまして、返済猶予等既往債務の条件変更等につきまして、被災中小企業者の実情に応じた対応をするようにということで指示を出しておるところでございます。

 いずれにしましても、中小企業の被災、大変重要な問題でございますので、地元自治体とも連携をとって万全を期してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

山本(拓)委員 今ほど御説明にあった運用は確かにそのとおりだと存じますので、逆に、決め事の中で、これもまた運用でございますので、地元の商工会議所、商工会等々も随分意見をまとめておりますから、そこらと十分にひとつ配慮していただいて、速やかな対応をしていただきたいかなと。

 これこそ本当に、政府系の金融機関というのは一緒には要らないと言う人もいましたけれども、こういうときこそ、やはりさすが政府系金融機関だなというようなことの存在意義が問われるんだろうと思っているところでございます。

 今からちょっと気象庁に聞きますけれども、この今回の集中豪雨というのは、地元に住んでいる年配の人、八十歳以上の人が結構いるんですが、人生八十数年生きていて初めてやと言う。山から雪崩じゃないけれども、そのぐらいのもので、家の中の家財道具を全部流しちゃうわけですから、辛うじてよくみんな命が助かったねという状態です。

 そういう集中豪雨というものが、百年に一遍とか、新潟災害のときに私はテレビで人ごとのように思っていて、わあ新潟は大変やな、百年に一遍かと思ったら、まさか我が身のところへわあっと来る。そうすると、百年に一遍と言っているのが一カ月に二回もおかしいじゃないか、これは何が原因だということも思いたくなるところでございますので、きょうはちょっと気象庁においでいただいていると思うんですが、これは時々世界ニュースで、地球温暖化が進むとこういう問題が起きるとか、集中豪雨、これは気象庁が、いや、我々は天気予報で毎日信頼して生活しておりますので、地球温暖化が進むと集中豪雨が増加をするという懸念は我々見ておりますけれども、テレビニュースを見ていますと、中国であれ世界じゅうでこういう被害があるようなことも報道されておりますので、気象庁としてその点どのような認識をされておられるか、また科学的になされているのか、一回気象庁の見解を伺いたいと存じます。

長坂政府参考人 お答えを申し上げます。

 気候変動に関する自然科学的並びに社会科学的な知見を取りまとめて、地球温暖化防止施策に対する科学的な基礎を与えることを目的としまして、気候変動に関する政府間パネル、これはIPCCと称しておりますが、が国連の組織として設立されております。

 このIPCCが平成十三年に発表しました第三次の評価報告書によりますと、地球温暖化がさらに進むと見込まれる二十一世紀中には、集中豪雨のような強い降水現象が世界の多くの地域で増加する可能性がかなり高い、こういうふうに見られているところでございます。

山本(拓)委員 大臣、地球温暖化が進むと二十一世紀はこんなことが多くなると思います。これは日本というよりグローバルな話でありますが、そういう事態ということをまさしく今回経験して、また、問題にはなりませんでしたけれども、先月か先々月、私が新幹線に乗ったら、浜松かどこかで集中豪雨で六時間ほど新幹線で閉じ込められたことがあるんですが、大なり小なりこういうことが大変多くなるということでございますから、今回の豪雨の経験というのが、まさしく百年に一遍、二百年に一遍という話ではなしに、もはやいつ起きてもおかしくないというような認識で準備、心構えをしていく。

 予算がありますから設計変更もなかなか難しいですが、そういう点、今回の経験を十分生かして、そして、できますれば、各自治体でそれぞれが県知事、市町村長を本部長に災害対策本部をつくっておりますので、そこらと連絡を密にとっていただいて、そしてまた、機会をとらえてそういう人たちから直接大臣が話を聞いていただいて、その経験をもとに、しっかりと今後の備えるべき対策というものに対応していただきたいと思いますが、防災担当大臣としての決意のほどをお伺いさせていただきたいと存じます。

井上国務大臣 既存の予算の中にも防災関係の予算というのはかなりの金額が含まれると思うんでありまして、そういった予算をできるだけ有効に、しかも優先度の高いものから実施をしていくということはもう当然だと思います。

 しかも、このたびのこの集中豪雨につきましてはいろいろと反省をさせられる点が多かったわけでございまして、これらの点につきましても、新しい制度をつくっていくとか、あるいは、新しく例えば来年度予算に入れていくとか、そんなことを考えていかないといけないと思います。

 ともかくも、この集中豪雨というのは、私は、これが地球温暖化と関係があるのかとかはよくわかりませんけれども、しかし、事実としてそういうのがもうしばしば起こるわけでありますから、そういうことを考慮した災害対策というのをいろいろな面で強力に進めていく必要があると思います。

 このたびの災害を見ましても、情報の方、つまり、各地域に応じた、気象庁からのそういう情報が的確に行っていたのかどうかとか、それを受けた市町村がきちっとそれに即して避難の勧告なり指示を出したかとか、あるいは、その中でも特に高齢者の問題が非常に問題になっておりまして、高齢者の救出といいますか避難が非常におくれた、そのことのために多くの被害を出したんでありまして、そういった点についてこれからどうしていくのかとか、あるいは、さきにもお話がありましたように、これから災害のある意味ではシーズンに入ってくるわけでありまして、二次災害なんか起こることはないのかとか、あるいはそれ以外の地域におきましても本当に大丈夫なのか、そういったことを点検しまして、やはり問題のあるところについてはそれに対する対応が必要だろうと、こんなふうに考えておりまして、そういった対策を関係各省庁にも強くとっていただくように求めていきたいと考えております。

山本(拓)委員 それでは、時間が参りましたので、この辺で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀込委員長 次に、菊田まきこ君。

菊田委員 民主党の菊田まきこでございます。

 このたびの集中豪雨で大変な被害を受けました新潟県の三条市、見附市、中之島町、栃尾市などは私の選挙区でございます。

 冒頭、この災害でお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りを申し上げます。

 災害発生以来今日まで、昼夜を問わず、政府、関係省庁の皆様方には御支援、御協力をいただいてまいりました。特に、井上防災担当大臣を団長とする政府現地調査団からは、いち早く視察を行っていただきました。七月十九日には、小泉内閣総理大臣からも現地視察を行っていただいております。この場をおかりし、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

 また、住民救助のために不眠不休で活動してくださった自衛隊の皆さんを初め、警察、消防の皆さん、そして全国からのボランティアの皆さん、救援物資や義援金を送ってくださった多くの国民の皆さんにも感謝の思いでいっぱいでございます。本当にありがたく、感謝を申し上げます。

 さて、本日は、限られた時間でございます。私は、特に被災者支援に対する国の取り組みについて絞って質問を行いたいと思います。

 住民の皆さんの願いはただ一つでございます。また再び、もう一度もとの生活を取り戻したい、そういう思いでございます。今こうしている間にも被災者の皆さんは、猛烈な暑さ、そして泥、ごみの強烈なにおいとも闘いながら、必死に復旧作業を行っています。

 私も、毎日毎日被災市を回り続けてまいりました。大げさに思われるかもしれませんけれども、私は、この東京に参りまして、これが本当に同じ日本国かと思うぐらいに、現地はまるで戦争の跡かあるいは地獄のようなさまと申し上げても過言ではないという状況に、ただただ茫然とするばかりでございました。

 被害者の皆さんは、この災害復旧のためにもう二週間も不眠不休の活動をしております。あるいは、まだ自宅に帰れずに、小学校の体育館などで寝泊まりをしているお年寄りの方、子供たちもたくさんおられます。そうした被災者の皆さんに私からはもう何もかけてあげる言葉も見つからない、そんな状況でございました。被災者の皆さんは、私を見つけましてこうおっしゃいます。自分たちでできる限りのことはすべてやりました、あとは国の支援におすがりするしかありません、しっかりお願いします、助けてください。本当に、涙ながらで私の手を握って訴えておられました。

 私は、この本日の委員会質疑を通して、住民の皆さんが少しでも元気を取り戻し、そして、あすへの希望を見出していただければと願っております。どうぞ、皆様方の変わらぬ御支援、御協力、そして、本日の明確な御答弁をお願い申し上げたいと思います。

 それではまず最初に、被災者生活再建支援法の適用についてお伺いをしたいと思いますが、この適用対象となるのは新潟県全体で何世帯と見込んでおられるのか、お聞きをします。

柴田政府参考人 被災者生活再建支援法の適用でございます。

 先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、現地に即した適切な運用を図るようにということで努力をいたしているところでございます。

 この法律の中身については、御承知のとおり、各世帯ごとにまず市町村が住宅の被害の調査を行っていただく、それで、全壊または大規模半壊に該当すると認定した場合に支給金が支給されるという制度になってございます。

 新潟県におきましては、七つの市町村について適用の公示を行っているところでございますが、具体的にどこがどうかということにつきましては、現在、市町村が被害認定のための調査を行っている段階でございます。現時点では、支援対象となる世帯数についてはまだ把握に至っていないという状況でございます。

菊田委員 私は、ぜひこの適用対象となる世帯を、本当に一軒でも一世帯でも一人でも多くの方を助けていただきたい、救っていただきたいという思いで、構造上の全壊、半壊にとらわれることなく、浸水等による、実質的に居住の用に供さなくなった住宅を対象にしていただきたいということをこの場をおかりし要望いたしたいと思っております。

 想像してみていただきたいと思います。また、井上大臣からも現場を見ていただきました。いわゆる普通の全壊、半壊のイメージと、大量の水が一階全体にまで流入をしてすべてのものが流されてしまったその後の住宅というのは、うちの形としては、柱としては、あるいは屋根としては残っておりますけれども、もうほとんど住むことができない、ひどい状況でございます。壁紙がはがれたり、あるいは、泥がこびりついてもうにおいがとれなくなってしまっているという状況でございます。

 過去のこの支給状況を見てみましたらば、平成十二年九月の東海地方豪雨災害では、大変な住居被害がありながら、愛知県と岐阜県を合わせても十八件しか支給されていないということがわかりました。あるいはまた平成十四年七月の台風六号の豪雨でも、岐阜県では大垣市で床上、床下浸水合わせて五百世帯以上あったのに、一件も支給されていないということがわかりました。

 私は、この状況を見ても、被害状況を把握するのに時間がかかることも問題ですし、そしてまた、余りにも細かい数値にとらわれ過ぎているのではないかと。すなわち、現場の実態にそぐわない、せっかくこういう法律をつくっても、その法律で救うことができないということは大変に残念であるし、今回もまた心配をしているところでございますが、その辺、大臣の方から御答弁をいただければありがたいと思います。いかがでしょうか。

井上国務大臣 今、政策統括官が御答弁を申し上げましたように、要するに実態なんですね。実態をどう判断をするかということだと思います。

 全壊の場合は、これは見た目にもわかりますから、これはそんなに問題になることはないと思うんでありますが、問題はやはり半壊なんですね。物理的な半壊だけではなしに、機能的に本当に住宅として使えるのかというような場合ですね。それは、もう使えない場合はこれは全く使えないということでありまして、これをまだ使えるものとして認定するということはいかがなものだと思うんでありまして、いずれにしましても、よく現実を見まして、全壊あるいは全壊に近いような、それは、物理的にも、あるいは物理的にか機能的にか、経済的と言っていいかもわかりませんけれども、そういう立場からも判断をいたしまして、全壊とか大規模半壊というようなことの認定をしていきたいと、そんなふうに考えております。

 今の政策統括官の意見は、そのようなことを内意といたしまして今市町村の方で検討しているといいますか調査をしているということでございまして、こういったことは市町村の方にももう連絡をしているといいますか、お互い連絡をとり合って進められているというふうに理解をしていただいていいと思います。

菊田委員 新潟県では、二十八日現在で、住居の全壊は三十二軒です。半壊が百五十七軒、一部損壊が八十八軒でございます。しかし、床上、床下浸水が二万二千軒を超えているという現状でございます。そしてまた、仮設住宅に入らなければならない、入居を希望している方が四百二十七世帯ございます。そしてまた、新潟県というのは雪国でございますので、十二月になればもう雪が降ってくるという、またこの東京とは違う気候にあるわけでございますので、その辺も御配慮をいただき、弾力的な運用をお願いしたいというふうに思っております。

 あわせて、自治体、市町村の職員も、彼らも被災者なんですね。自分たちの自宅が流されて、そして、あの災害発生以後、本当に寝ずに仕事をしているわけでございまして、早くしてくれ、早くしてくれというお願いをしましても、なかなかそれはやり尽くせないところもあります。そこら辺も、ぜひ、県とも連絡をとっていただいて、県からの支援もお願いをしたいと思います。

 それでは、続きまして、中小企業支援について御質問させていただきます。

 今回、刈谷田川が決壊してしまった、そして、そのために大きな被害を受けた見附市でございますけれども、日本でも有数の繊維産地でございます。しかし、残念ながら千二百社の事業者が被災をいたしました。折からの不況で、もともと借金を抱えながら厳しい操業を行っている地域でございます。

 御存じだと思いますけれども、この見附市は、昨今の不況によりまして、一昨年、経営難に陥った経営者が自殺に追い込まれる、本当に大勢の方が命を絶たれるという悲しい事件が起こった地域でございますが、その見附市に今回の水害が直撃したわけでございます。織り機や編み機、そしてまた撚糸や生地などの原材料、すべての商品が水没をいたしました。加えて、今現在起こっている問題としては、納期のおくれや注文キャンセル、あるいはまた商品が全色そろわない、アソート崩れなどの間接被害が見込まれている状況でございます。新しい機械を買ってもう一度頑張ろうという経営者は、残念ながら少ない現状でございます。機械を入れかえるだけでも数百万円、数千万円かかるわけでございます。そしてまた、その借金を取り返すだけの仕事を確保できるという保証もまたございません。このままでは多くの企業が倒産、廃業に追い込まれ、そしてまたたくさんの失業者が出るのではないかと心配をいたしているところでございます。

 あるいは三条市においてもそうでございます。三条市は、御案内のとおり、全国屈指の金属加工産地でございますけれども、今回、五十嵐川流域の嵐南地区が大変な被害を受けましたが、三条市の工業の四割がこの嵐南地区に存在しておりました。したがって、三条市の工業の四割が打撃を受けたということでございます。被災事業者数は千百十一件となっております。

 三条市の製造業の状況でございますけれども、製造品出荷額としては二千億円ございまして、これは新潟県内の四・七%のシェアでございます。そのうちの金属製品製造品出荷額としましては九百八十億円でございます。これは、新潟県においては一八%のシェアを占めているわけでございまして、ただ単に三条市だけの大打撃ではなく、新潟県の製造業全体、経済全般に与える影響ははかり知れない現状でございます。

 先ほどの質問、答弁の中にもございましたけれども、有利な融資を受けたとしても、それはもちろんもらえるお金ではございません。返さなくてはならないお金でございます。したがって、有利な融資制度があっても、それさえ借りることができないという企業がたくさんあるわけでございます。私は、天災だから仕方がない、だめな人はやめてください、借金返せないならあきらめてくださいとはとても言えません。政治の使命は国民の生命財産を守ることです。今苦しんでいるこうした中小零細企業の皆さんを救えなくて一体何が政治なのかと思うくらいに、私も本当に心を痛めているところでございます。

 何かよい知恵はないか、工夫はないかと思うのでございますが、被災した中小企業あるいは商店街を直接救済するのにどんな支援策があるのかをお聞かせをいただきたいと思います。いかがでしょうか。

服部政府参考人 中小企業に対する支援策に関してのお尋ねでございます。

 被災中小企業者に対する復旧支援対策としては、新潟県、福井県における災害救助法の適用を踏まえまして、次の三点の措置を講じてございます。関係各機関に指示をしたところでございます。

 先ほど御質問にもお答えいたしましたが、第一に、新潟県、福井県における政府系中小企業金融機関の各支店、それから両県の信用保証協会、それから主要商工会議所、商工会連合会等に特別相談窓口を設置いたしまして、関連中小企業者の相談に応ずる体制を整えておるところでございます。既に現在までのところ、新潟県内におきましては三百七件御相談をいただいておるところでございます。それから、福井県では八十四件御相談をいただいておるということでございます。

 それから、二つ目の措置といたしましては、先ほどこれは申し上げましたが、被災された商業、工業等の中小企業の方々に対して、政府系中小企業金融機関において一般貸し付けとは別枠で貸し付けます災害復旧貸付制度の適用をしておるところでございます。

 それから、三番目でございますが、政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に対しまして、返済猶予等既往の債務の条件変更等につきまして、被災中小企業者の実情に応じた弾力的な対応を行うように指示をしておるところでございます。

 それからさらに、地元自治体等からの御要請に応じまして、以下の措置をとってございます。

 第一に、今回の被災地における工場等の復旧に必要な代替工作機械等の優先的な融通につきまして最大限の便宜を図るよう、関係の工作機械、産業機械等の五十団体に協力依頼を行ったところでございます。

 それから、お話がございましたように、被災の下請企業としての被災中小企業が納期のおくれ等を心配されておるということでございます。親事業者との取引に関する問題につきましては、下請企業からの相談に適切に応じることなどを新潟県、福井県の各県の下請企業振興協会に要請をいたしておりまして、これにつきましても既に何件か御相談が来ておるようでございます。

 それから、見附のお話がございましたが、繊維の関連でございますが、日本繊維産業連盟に対しまして、被災下請企業等から相談、協力要請等がありました場合には、ぜひ積極的に対応いただくようにこれも要請をしてございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、地元の自治体あるいは経済関連の団体とも密接に連絡、連携をとりまして、中小企業の復旧に対しまして万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 ぜひ、このときだけでなく、引き続き、これは本当の復興というのには私は長い年数がかかると思うんです。とにかく悲しい選択をすることのないように、本当に少しでも皆さんが前向きに力強く立ち直っていただくように、ずうっと引き続いて御指示、御支援をいただきたいというふうに思っておりますし、また、いろいろな政府としての指示を下していただいておりますが、しかし、本当に細かく現場でそれが反映されているかどうかについては、私も地元を回りまして逐次検討、点検させていただきます。不都合なことがございましたら、早速対応していただけるようにお願いをしたいと思います。

 それから、融資のほかに、民需、官需の被災地の優先発注というものもあわせてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 それから、復旧作業のために、もう既に約半月でございますし、まだまだ工場の中から泥をかき出すあるいは機械を点検するという作業に追われております。この間はもちろん休業しているわけですので、現金の収入がないわけでございます。しかし、従業員の給与を支払っていかなければならないという現実問題がございますが、こうしたことにはどのような支援策、どのような資金手当てができるか、お聞かせをいただきたいと思います。

服部政府参考人 ちょっと、ただいますぐ手元に関連の資料がございませんけれども、復旧に当たりましては、地元の経済界、もちろん、今復旧にかかっておられる段階でございまして、事業が再開されておりませんので、これが、適切な段階で、事業が再開をされていくという段階で、民間取引の、直接は国からは介入ができませんけれども、いろいろな局面におきまして、地元の地場産業の振興あるいは地場産業への需要等につきまして働きかけていくということを考えていきたいと思っております。

佐藤(剛)副大臣 今、服部審議官から答弁がありましたが、私、総理に随行いたしたんですが、三条の金物、刃物の経営者から督々と、今先生が言われましたが、一つは、部品を何とかしてくれと。それで、集中的に全国的な形の要請を、先ほど答弁がありましたが、中小企業庁の方でいたしております。

 それから、ニット関係の見附あたりになってきますと、繊維関係はいろいろ複雑でございますので、必ずしも同じようなものが適用されるかどうかはわかりませんが、いずれにいたしましても、総力を挙げまして、関係業界の交錯しているところに産地のよさというものがあるわけでございますので、そういう面で配慮をする。

 それから、お金を借りている者については、答弁がありましたように、政府系金融機関、中小公庫、国民金融公庫、商工中金については、返済猶予、個別案件ごとにその指示を既にいたしているわけでございます。

 労働問題についての問題は、これからの問題ではないかというふうに考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 今副大臣がおっしゃった工作機械の部品の優先的調達については、もう早速に対応していただきまして、現地、現場それぞれの事業所から、本当に早速の対応に対して感謝の声が上がっておりましたことを私からも感謝を申し上げたいと思います。引き続いてよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、農業支援についてお伺いをしたいと思いますけれども、新潟県も農作物が受けた被害は大変甚大でございました。おいしいコシヒカリがとれるはずの水稲だけでも約三十億を超える被害額が見込まれております。その他、大豆も壊滅的な現状でございます。野菜、果樹、花卉に至るまで被害が大変大きくなっておりますが、まだまだこれから被害額も膨らんでくるということで、全体像は見えておりません。

 私も、この農業をやっている地域あるいは中山間地域に実際に足を運んで視察をしてまいりました。特に栃尾市や下田村など、これはもともと地すべりの地帯でございますけれども、土砂が所構わず、表現は悪いですけれども、本当にまさしく所構わず土砂が崩れ落ちておりました。その土砂が大量に田んぼに流入して、被害を受けております。そのほか、小さな農業用水路が決壊したために、直接的な被害を免れた農地も、水が回らない、水が行かないということで、せっかくの稲が枯れてしまっている、稲が既にもう色が変わってしまっているという様子が見られました。

 いずれもこれらの地域は中山間地域でございまして、小さな棚田を細々と守ってきた地域でございます。今、国としても、自然環境を守る、景観を守るという観点からも、この棚田をしっかり守っていこうという政策がとられているわけでございますけれども、そもそもが高齢化あるいは過疎化が進んでいる地域でございまして、その復旧についても、ほとんどが人海戦術、その地域のお年寄りたちが本当に骨身を削る思いで、今その土砂に埋まった用水路を一生懸命直しているという現状でございました。このまま復旧がおくれれば、もちろん秋の収穫にも影響がございますし、やがては耕作放棄につながり、中山間地域の農業そのものが成り立たなくなってしまうという心配がございます。

 こうした中山間地域に対する特段の御支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 ただいま、農作物の被害につきましてお話がございましたけれども、今般の豪雨によりまして、新潟県では一万四千ヘクタールの農地が冠水いたしております。水田それから大豆でございますけれども、冠水、それから御指摘がありましたように、土砂流入によります農作物被害が発生しております。被害の詳細につきましては現在調査中でございますが、現時点では四十七億という数字を県から聞いておりますけれども、これは暫定的な数字で、これから少しふえていくんだというふうに思っております。

 こうした災害に対しましては、私どもといたしまして、水稲、大豆の農作物被害に対する共済金の早期支払い、あるいは経営再建に必要な低利な経営資金の円滑な融通、それから被害拡大防止のための技術指導、こういうものを通じまして支援を図ってまいりたいというふうに思っております。

 このため、これまで、共済関係につきましては関係団体あるいは県に指導通知を出しましたほか、金融関係につきましては関係の金融機関に要請をいたしたところであります。農林漁業金融公庫の支店にも、農家からの相談を受けるような窓口を設けたところでございます。

 それから、国と試験研究機関の職員から成ります技術指導チームを現地に派遣いたしまして、県の職員と意見交換をし、技術的な指導がきちっとできるような形での対応をいたしているところでございます。

 引き続きまして、こうした対応に加えまして、今後さらに、被害状況の早期把握に努めますとともに、被害拡大防止も含めまして、県とよく連携した上で農作物被害の対策に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 それでは引き続きまして、決壊した河川の復旧と改修についてお伺いをしたいと思います。

 今回破堤した三条市の五十嵐川、見附市、中之島町の刈谷田川などはいずれも一級河川でございまして、十一カ所も破堤したことを考えれば、かなりの問題があったのではないかと感じました。私も、実際、三条市の五十嵐川の現場を視察してまいりましたけれども、その堤防を歩いてみますと、確かにところどころひび割れをして、かなり老朽化しているなという、私は素人ですけれども、そんな感じがいたしました。この地域、県としては危険箇所として認識していたのかどうかということも検証してみなければならないと思っております。

 国の直轄河川、例えば信濃川の堤防等は逐次補強していただいてまいりましたけれども、県が管理している河川の補強はどうだったのかということをこの際しっかりと検証していただき、今後の取り組みに生かしていただきたいと思っております。

 あるいはまた、五十嵐川で決壊した左側の堤防は除草剤がまかれておりまして、きれいに草の根っこからなくなっていたということがわかりました。しかし、これと堤防が決壊した因果関係はわかりません。今後、いろいろな角度から検証、分析を行って、護岸と安全管理をしていただきたいと思っております。

 河川行政の基本的な考え方をお聞かせいただき、県と連携をとりながら、例えば、危険箇所のリストアップやマップづくりなどはやっていたのかどうか、お伺いをしたいと思います。いかがでしょうか。

清治政府参考人 河川の管理についてのお話でございますが、一級水系につきましても、国が直接管理する区間とそれから県が管理する区間、県は法定受託事務として管理をしているわけでございますが、こういうふうに分担が河川法上決められているわけでございます。

 都道府県が管理する河川の区間につきましては、法定受託事務ということで知事の方にゆだねられているわけでございますけれども、国土交通省としましては、毎年、出水期前に都道府県知事あてに、出水期における防災対策、出水対策について通知を出しまして、災害の防止それから危険箇所の適切な措置を要請しているところでございます。それぞれの知事が管理している河川の区間につきましては、適正な管理に努められているものというふうに考えております。

 今先生からお話のありました五十嵐川等につきましてでありますが、御指摘のように十一カ所で堤防の破堤があったわけでありまして、この破堤が大きい水害につながったというふうに認識しております。

 堤防は非常に重要な河川の管理施設でございまして、この堤防というものが十全の機能を果たしていくということが重要だという認識を私ども当然しているわけでございますが、この堤防というのは、劣化をしないような材料でつくろうとか、それから、調達しやすい材料でつくろうということで土でつくっている堤防が基本でございますので、こういう土の堤防につきましては、その均質さ、あるいはこれは地盤も含めてでございますが、いろいろな特性を持っているわけでございます。

 したがいまして、これらについては内容の把握というのが必ずしもよくわからない部分もあるわけでございますが、今回のように、河川の能力を超えるようなそういう大きい出水があったときには、河川の堤防というのは決壊あるいは破堤の危険性を内在しているということでございまして、これらについては、今回の出水も過去に経験のないような大きい雨による出水であったわけでございますが、その破堤に至った原因等につきましても、県の方でこれから十分調査をして検討していくというふうな体制で臨んでいるわけでございます。

 こういうような現状で、河川管理というものを基本的にどういうふうに考えてやっていくかということだと思いますが、堤防というのは、そういう意味で、完全な形で常に機能を発揮していかなければならないという要請に対して、日ごろから点検等を行うことによって管理をしっかりやっていくということは当然必要なことだと思いますが、それに加えまして、地域の皆様方にも、残念ながら、これは能力を超えたところではやはり大変な災害につながるようなことが予想されますので、そういう限界というものを知っていただく努力を私どもやっていかなければならないと思っていますし、そういうような際には、適切な情報をお流しする、あるいは、その危機管理のためのいろいろな活動等がしやすいようなことを関係の皆様方と十分連絡をとりながら体制を整えていくことが、広い意味で河川管理の基本ではないかというふうに考えている次第でございます。

菊田委員 本当に、この国民の生命と財産と安全を守るという意味においては、私は、国がきちんと責任を持って、これは県が管理する一級河川であって、法定受託事務を県に任せているということであっても、最終的には国が責任を持っていくということ、ぜひそういう意識を持って、住民の皆さんはもちろん、こういう経験を教訓として、さまざまな角度からそういう防災意識を持って訓練も重ねてまいりますけれども、最終的には国が責任を持って河川を守っていく、維持管理を行っていくということに取り組んでいただきたいと思います。

 特に、新潟県は名立たる河川の多い地域でございまして、しかも、今回決壊した河川というのは上流部にダムが二つもあったんですね。ですから、ダムがあるから大丈夫だと思っていたのに決壊したというショックは本当にはかり知れないものでございます。今もなおその不安を抱えておられる方がたくさんいらっしゃいますので、ぜひ、今後も引き続いて、先ほど申し上げましたけれども、危険箇所のリストアップをしていく、あるいはそこに対策を講じていく、必要な予算を投じていくということは逐次やっていかなければならないと思います。県も財政が厳しい折でございますので、国は、国民の生命財産を守るために、こうした予算をきちんと守っていく、使っていくということをお願いしたいと思っております。

 それから、決壊した河川について今後の復旧の見通しについてお伺いをしますけれども、七月二十八日の地元日刊紙の三条新聞に掲載をしておりました。この三条新聞というのは、三条市民のほとんどの、大変多くの世帯が読んでいる新聞でございますけれども、この新聞記事に、国土交通省は五年以内に五十嵐川改修に着手する見通しだという記事が載っておりますが、これについては事実であるかどうか、責任ある河川局長としての公式発言としてとらえてよいのか、お伺いをしたいと思います。

清治政府参考人 被災を受けたところでの河川をこれからどういうふうにしていくかというお話でございますが、応急復旧につきましては、県の方が昼夜兼行で実施したことによりまして応急的な復旧はできておるわけでございますが、これから同じような雨が降ったときにどうなるのか、それに対する改修はどうなのかということが大きい課題になるわけでございます。

 現在、県の方で、再度同じような雨が降ったときに、それに対して安全に流すことができるような川をどういうふうに整備したらいいかということを検討しているところでございますが、その際の一つの手段といたしまして、今お話にありましたような、これは河川激甚災害対策特別緊急事業というのが一つの方法としてあるわけでございます。これは、発生した年からその年も含めて五年以内に、再度災害が防止できるような方策を総合的に講じていこうということでございますが、これらにつきまして、五年間で実施する手段がありますよということを私お話ししたわけでございまして、県の方が今検討している内容を私どもこれから協議させていただきまして、その内容について財政当局ともお話をしまして、この五カ年間でそういうことが可能なような方策を、私どもとしては、そこに住んでいらっしゃる方々に安心していただくようなことを早期にお示しすることが重要なことだと思っておりますので、そういう意味で申し上げたわけでございます。

菊田委員 この新聞記事を読みますと、何か新しく提案されたことのように感じられるんですけれども、このことについては、三十年も前から、歴代の市長を初め、地元選出の国会議員が地元の土木事務所や北陸建設局に提案をしてきたことなんです。しかし、三条市の五十嵐川は上流から下流に向かってだんだんと川幅が狭くなっておりまして、信濃川との合流地点がとっくりの形のように細くなっています。これをどうするかという問題。それとあわせて、周辺の三百戸以上の住宅移転も絡むということで、難しい問題としてずうっと今日に至った経緯がございます。

 そしてあわせて、先ほどもありましたけれども、最近の雨の降り方が異常になっている、局地的に、集中的に降るという現状もございますので、あわせて、今これからじっくり研究をしていかなければならない。しかし、一日も早くそのめどを立てなければならないとは思いますけれども、そういう段階であるということを確認させていただきたいと思います。

 私の質問はこれで終わりますが、答弁を最後にお願いしたいと思います。

清治政府参考人 これからの話ということでさせていただきますが、上流の方にダムが二つあったというお話がありましたが、これも、今委員が御指摘のように、三条の市内で川が狭いものですから、なるべくその上流の方とか、そういうところで洪水を処理していこうという方針で臨んできた結果でございますが、二つのダムで、かなりの部分その上流で洪水がカットできるようになっているわけでございます。今回の洪水でも、二つのダムが満杯に機能しまして下流の洪水を軽減させたわけでございますが、結果として、河川の越水であるとか破堤ということになったわけでございます。

 これらについては、下流部の市街地の拡幅をどうするのかということとあわせて、これは、総理が現地に入られたときに三条市の市長さんもおっしゃっておりましたが、河川の改修、ダム、それに限らず、河川全体として何ができるかを考えていくべきではないかというような御意見がございましたが、それらも受けまして、一番効果的な、効率的な方策を検討してまいりたいというふうに思います。

菊田委員 終わります。ありがとうございました。

堀込委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 私の選出は、新潟一区、新潟県でございまして、今回、七月十三日に発生した集中豪雨に伴う水害の惨状のさまを、まさに近くで見させていただきました。

 民主党は、大畠ネクスト大臣を団長として現地調査団を派遣していただきましたし、その後に私も現地を見て回り、そして、政府への各種要望活動を一通り終わったと思う段階で、泥掘りや畳出しのボランティア活動に二日ばかり参加をさせていただきました。

 井上大臣も現地へお越しいただきましたので、その状況はおわかりだというふうに思いますけれども、本当に大変な状況です。一体いつになったらあの地域が本当に復旧するのか、またもとの生活に戻れるのか、全くめどが立っていない。このことについて私は、先ほど菊田委員が生活支援ですとか復旧を中心に質問されましたので、私の方は、なぜそもそもこういった水害が発生したのかという点からまずお伺いをしたいというふうに思います。

 河川管理についてでございます。

 今回破堤した五十嵐川、刈谷田川、これは直轄河川ではございませんけれども、一級河川でございまして、その二つの川の破堤は非常に甚大な被害を生んでいるということでございます。

 そこで、堤防の管理等についてまずお伺いしたいと思うんですけれども、その前に一言申し上げたいことがございます。

 昨日、実は、質問のレクに担当の方から来ていただきまして、大臣あるいは副大臣を答弁にお越しいただきたいということで御要望を申し上げました。そのときには、ルールだからそれはできないという御返答でございました。これほどまでに大きな災害であるのに、ルールだからという一言で大臣の出席答弁が得られないということであるならば、水害に対する国土交通省の取り組みの姿勢がなっていない、そういうことをあらわすのではないでしょうか。そういう態度では、また再び同じような水害を防ぐことができない。責任逃れともとれるこのような発言、このような姿勢は直ちに改めていただきたい。このことをまず申し上げたいと思います。

 それでは質問をさせていただきます。

 今回の破堤では、もう見ていただくとわかりますけれども、アウトライン、川がカーブしておりますアウト側の方ではなくて、インの方が破堤をしていたりする部分がございます。同時に、アウトの方が破堤していても、直接川の水の流れが当たると思われる部分ではなくて、その少し手前で破堤が起こったりしている。そういう地点が見受けられるということで、やはりこれは、堤防の強度に大きな問題があったのではないかというふうに考えております。

 そこで、まず第一のお伺いなんですけれども、これまで河川改修の中で、堤防管理について一体国土交通省は何をなさってきたのでしょうか、伺います。

清治政府参考人 堤防の管理につきましては、これは堤防をつくっていくということも含めて申し上げますと、過去の出水に対して堤防をだんだんだんだん大きくしていく、これは長い施設でございますので、一カ所だけ何か対応して済むというわけでございませんので、徐々に徐々にその堤防をしっかりさせていくというふうに整備してきている川が多いわけでございます。

 短期間で堤防がなかったところに堤防をつくるというようなところもございますが、一般的には堤防を拡築という形で整備をしてきておりまして、それに加えて、堤防の漏水なんかの危険性のあるところにつきましては漏水が生じないような対策を講じていくとか、それから、今、アウトサイド、インサイドといいますか、川表とか川裏とかそういうふうに呼んでおりますが、水当たりの激しいところ、侵食のおそれのあるようなところにつきましては護岸を施すとか、それから根固めというようなことも対策として講じながら、堤防を守って、堤防が壊れないようにして河川の整備を進めてきているという状況にあるわけでございます。

 そういう中で、そのつくった堤防が十全の機能を果たすことができるかどうかというようなことにつきましては、毎年、その堤防、川の様子を巡視しまして、それに対して緊急的に対応すべきところについては維持補修等を行っているというのが、現在の管理の実態でございます。

西村(智)委員 現地調査に行きましたら、とにかく破堤による被害が大きいわけでございます。堤防の欠壊、これが百四十八カ所、越水、溢水、漏水、これが百十八カ所、こういうふうになっているわけでございますけれども、それらによる被害と比べますと、破堤による被害はもうけた違いに大きい。

 この結果として、今回の集中豪雨で亡くなった方が新潟県内で十五名おられますけれども、そのうちの十三人は溺死でございます。そして、住宅の全壊、半壊、一部損壊、床上、床下浸水含めて合計二万六千棟を上回る世帯が被害を受けている。これらは、やはりすべて破堤による被害であると言ってもよろしいというふうに思います。

 そこで、第二にお伺いなんですけれども、土木行政に携わる皆さん方の側として、今回の惨状が起きました河川管理のありようそのものをどのように自己評価されていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。自己評価を伺います。

清治政府参考人 河川に関することでございますので、私からお答えさせていただきたいと思いますが、施設の調査とか評価、こういうものについては、その機能を維持していく上で重要なものであるというふうに考えておりますので、点検、評価、こういうものをセットで実施していくべきだと思っております。

 ただし、これは言いわけではございませんが、非常に長大な区間を管理しているということがございますのと、それから、国が直接管理しているものと、法定受託事務で県に管理していただいているものがあるということでございまして、それらについて、管理の水準といいますか、程度をどのくらいに維持していかなければならないかということが、今回一つ提起された大きな課題ではないかというふうに考えております。

西村(智)委員 課題がいつまで繰り返されればこういった災害がなくなるのかということを、本当に大きな怒りを持って申し上げたいと思います。今回は、破堤そのものが大変に急激でございました。住民が逃げる余地もなくて命を落としたということを忘れないでいただきたい、こういうふうに思います。

 壊滅的な被害です。絶対に守るべき箇所、本当に下にすぐ民家がある、お寺がある、そういったところが破堤してしまって住民が亡くなっているんですから、行政側の取り組みとしては零点であると私は思います。

 そして、オーバーフローしているところ、越水だけしているところもございました。そういったところは、泥も少なくて、水も案外すぐ引いたというふうに聞いております。ですから、こういった災害を通して私が感じますのは、オーバーフローはしても破堤だけは絶対にさせない、たとえ最後は破堤するとしても、越水でできる限り時間を引き延ばす。一気に崩れるのではなくて、ぐずぐずと崩れていく。そうして住民が避難する余地を少し残しておく。そういう設計とする、それが重要ではないかと思います。樹林帯も効果的じゃないかということを、刈谷田川の破堤箇所を見て思いました。

 今後、治水対策を、堤防の質を高めるという点から、堤防を強化する点から見直す必要があるのではないかと思います。そうしないと、豪雨が続いている昨今の気象です。再び豪雨になった場合に、同じような災害、また繰り返されてしまうのではないでしょうか。今後の堤防の強化について対策を伺いたいと思います。

清治政府参考人 今回の堤防の被災を受けまして、日常の監視であるとか管理に加えまして、今回、緊急点検ということを実施するようにいたしました。これは、国直轄の堤防も、それから県管理の堤防も、全体を網羅しようと思っておりますが、国の管理している堤防につきましては、堤防強化策につきまして少し前から取り組んでいるわけでございますが、そういう意味では、調査だとか評価とかのガイドライン、それから、技術的にどういう強化策があるかというような基準を持って進めているわけでございますが、県管理の区間につきましても、今回、八月中の目視による点検というのをまず第一優先に考えておりますが、それ以降、国の直轄管理しております堤防に準じた形で堤防強化に取り組んでいく必要があろうかと思っております。

 ただ、申し上げておきたいわけでありますが、現在の堤防というのは、堤防の高さから構造上必要な分の高さを引いたぐらいの高さのところまでしか、これは堤防が安全に河川の流量を流すという形になっていないわけでございますので、今、委員から御指摘のあったような視点も重要な視点だと思っておりますので、これは、河川が十分にまだその洪水を流すだけの断面がないところとか、それから、今まで計画で持っておりました流量を超えるようなことがもしかして起こったときにも、その堤防が簡単に壊れたりしないようなそういう策ということは非常に重要な視点だと思っておりますので、そのことも含めて今後に生かしてまいりたいというふうに思います。

西村(智)委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 台風十号がまた日本を襲っているようでございまして、次は気象予報についてお伺いをしたいと思います。

 今回は、新潟県のいわゆる県央地域と言われるところで降った雨でございましたけれども、今から六年前、一九九八年、新潟市では、百年に一度と言われる豪雨によりまして都市型水害が発生をいたしました。このときの一時間当たり雨量は九十七ミリでございます。今回、栃尾市では日雨量四百二十一ミリ、そして、今回の被害に遭った地域では、二百年、三百年続いた神社や寺が水害に遭っているということでございます。これまでにない異常な気象がどうも起こっているのではないかというふうに言われておりますけれども、まず気象庁長官にお伺いをいたします。

 巷間言われておりますように、このところの日本の気象は本当に異常気象なのかどうか、気象庁としての見解を伺いたい、このように思います。

長坂政府参考人 気象庁では、過去三十年間に観測されなかったような態様を観測した場合を異常気象と定義をいたしております。

 今も西村委員からもございましたけれども、今回の豪雨では、七月の十三日に、新潟県栃尾市では四百二十一ミリ、三条市で二百八ミリ、長岡市で二百二十五ミリの雨をそれぞれ観測をいたしております。これらの値は、それぞれ観測開始以来初めての値でございまして、冒頭申し上げました定義からまいりまして、我々、異常気象の一つと考えております。

西村(智)委員 異常気象だということでよろしいですね。

 それで、これだけ科学技術がもう既に発達しているわけですから、普通の国民の感覚からいえば、豪雨の予想もできるのではないかというふうに思えてならないわけでございますけれども、現状でそういった豪雨の予報、これはどのように行っているんでしょうか。あわせて伺います。

長坂政府参考人 集中豪雨の予測方法についての御質問でございますが、気象庁では、地上におきます観測、気球によります上空の観測、さらには衛星観測等のデータに基づき、スーパーコンピューターを用いた数値予報と呼ばれる予報技術を用いますと同時に、全国に展開いたしておりますアメダス、気象レーダー、これらを活用しまして、さらにきめの細かい集中豪雨の解析、予測等を行っているところでございます。

西村(智)委員 それで、豪雨の予報というのはできるんでしょうか、できないんでしょうか。

長坂政府参考人 豪雨の予測につきましては、ピンポイントでどこに何時ごろ降るということは、極めて現在の技術をもってしても難しいんじゃないかというふうに考えております。

 我々としましては、ポテンシャルといいますか、それを日ごろからモニターをして、まず注意を申し上げる。その後、いろいろな推移を見まして大雨警報等を発令しているというのが現状でございます。

西村(智)委員 ちょっと資料を持ってきておりませんので、記憶の中であるだけなんですけれども、新潟地方気象台は、大雨警報と申しますか注意報と申しますか、出す時期が少しおくれたという報道がございました。

 つまり、私が申し上げたいのはどういうことかと申しますと、豪雨の予報というのは、その後の行政側の防災体制にも極めて大きな影響を与えるというふうに思うんです。例えば、自治体が出す避難勧告や避難指示のタイミング、その後のさまざまな防災体制、こういったものに直接影響を与えるというふうに思うので、極めて重要であり、もし本当に可能であれば非常によろしいし、できないというのであれば、できる限り早く、できる限り正確に精度の高い予報を行っていくべきだ、こういうふうに考えておりますけれども、気象庁の方ではどのような考えで取り組んでおられるのでしょうか。

 それからまた、今後の予報の取り組みについてその考え方を伺いたいと思います。

長坂政府参考人 ただいま委員から御指摘のございました、なるべく早くということは、我々としても、当然その一つの重要な要素と考えております。今回の新潟の場合で申しますと、七月十三日の午前六時二十九分に大雨洪水警報を出しているところでございます。

 後半の質問でございますが、今後どのような改善を考えているかということだと思いますが、当庁としましては、先ほど申し上げました、スーパーコンピューターによります数値予報技術のさらなる改善、それから、レーダーによります観測データの有効利用、それから、気象庁の観測データに加えまして都道府県等の観測データを収集する、こういったことをさらに推進する、こういったものを一体的に取り組みまして、集中豪雨を含めた予報の改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

 また同時に、気象予報の精度向上に加えまして、気象庁の発表する予報のより有効な利用を目指して、ふだんから、集中豪雨や気象情報に関する解説等を通じて情報利用者との間の理解を一層促進してまいりたいというふうに思っております。同時に、関係機関とも連携をしまして、中小河川の洪水についても、より的確な情報の提供に向けての技術的な検討を行ってまいります。

 以上でございます。

西村(智)委員 科学というのは、やはり自然科学の分野において発達は速いと私は信じている者でございまして、スケジュールをきっちり組んでこれはもう早くやっていただきたい。今、長官からは改善に向けて取り組みたいという御答弁をいただきましたし、しっかりとやっていただけるということを確信いたしまして、この質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、ところで、井上防災担当大臣、御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど、気象庁長官の見解におきまして、異常気象であるというような御答弁がございました。気象が変化している、これはもうオーソライズされたわけでございまして、気象が変化しているとすれば、今まで私たちの国の中で蓄積をされてきた防災体制というもの、これは本当に新しい事態に対応できるものなのかどうか、改めて見直しをする必要があるのではないかというふうに考えておりますけれども、そのあたりについてはどのようにお考えでしょうか。

井上国務大臣 これまでの防災体制といいますのは、現実に災害が起こりますまでに一定の時間の間隔がある、そういう前提にして防災対策というのは組まれてきたんじゃないかとも思うんでありますけれども、今回のような異常気象で局地的に集中豪雨があります場合は、それはやはりその様相が違うわけでございます。

 私は、ですから、観測体制につきましても、できる限り局地の観測ができますような体制、それをやはり組んでいく必要があると思います。今日までの体制、箇所数は例えば今のままでいいといたしましても、その観測の中身ですね。中身につきまして、局地的に予測ができるようなそういうやはり観測体制をつくる必要があると思いますし、それからもう一つは、結果を関係のところにきっちりと早く送っていくということだと思うんであります。

 この間、NHKの会長さんのお話なんかでも、具体的に細かくは発言されなかったんでありますけれども、やはりおくれているとか、あるいは十分でないというような発言がありましたので、関係機関の方への連絡、これも、例えば気象庁の発表だけではなしに、地方気象台の発表でありますとか、あるいは県とか市町村、こういったいろいろな情報が報道機関に集まるようなそういった体制も必要だというふうに思いますし、また、いろいろな社会事情の変化によりまして、高齢者の誘導の問題なんかがございます。

 それで、茨城県のある町では、中学校が対象だと思うんでありますけれども、一種の社会教育といいますか、そういう一環としまして、独居の高齢者住宅を訪問させているんですね。これは、ヘルパーがついて訪問さす場合もありますし、あるいは、二人が一組になりましてそういった訪問をさせているわけでありますが、これは、独居老人の生活がどうなっているのかというようなこと、あるいはヘルパーとしてはどんな仕事があるのかというようなことだと思うんでありますが、こういったことも、災害のときに高齢者を例えばしょって避難をするということに役立っていくわけでありまして、そういうような避難の方法なんかもいろいろな社会状況の変化の中でやはり考えていくべきだと思いますし、さらには、今までずうっとこの質問がございましたけれども、やはり、絶えざる点検ですね。施設の点検なんかも必要だというふうに思います。

 総じて、今回の災害はいろいろな意味で教訓的なところが多かったと思うんでありますけれども、こういったことを念頭に置きながら、やはり全体を見直していく。余り油断をしないでそこはよく検討していくべき、そういった課題が多かった災害だったというふうに考えております。

西村(智)委員 災害は忘れたころにやってくるというのは世の常なのかもしれませんけれども、それにしても、やはり、備える側の方がどうもこの間怠りがあるのではないかというふうに感じてならないわけでございます。

 災害時の情報の提供についてお伺いしたいと思うんですけれども、地元の方では、今回、自治体からの避難勧告や避難指示が、連絡網を通じて、あるいは街宣車を回して行われたそうでございますけれども、それが徹底しなかったという声が出ております。

 私が感じましたのはこういうことなんです。ユビキタス社会の到来だと言われている。ユビキタス、双方向で、あらゆる家電製品に情報発信源が取りつけられたりいたしまして、私たちは、いつでも、どこでも、だれでも、どんな情報でも入手できるような社会になりつつあると言われているこの社会の中で、なぜ緊急災害情報だけが旧態依然とした情報ルートしか持てていなかったのかということについては非常に大きな疑問を持っておるわけでございます。

 基本的にはこれは自治体の課題だというふうには承知をしておりますけれども、国の緊急災害情報の提供に係る姿勢もこれは問われていることだと思っておりまして、質問をさせていただきます。

 災害時の情報提供について、例えば携帯電話、ファクス、電話、テレビ、ラジオ、あるいは電光掲示板、こういったふうに選択肢がいろいろあるわけでございますので、それを行政は可能な限り広げる、そして、情報を受け取る地域住民の側が、そのさまざまな媒体を通じて提供されるものを選択して入手することができるようにする、しかもその情報というのは、だれにでもわかりやすいそういう言葉で行われる、これが必要だ、望まれるというふうに思います。

 多角的な情報提供の体制、これを整える必要があるというふうに考えておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

井上国務大臣 それはそのとおりだと思います。いろいろな通信手段が今発達しておりますから、そういうものの利用も含めまして考えていくべきだと思うんでありますが、しかし、基本的には、やはり防災の関係はきちっと住民に伝わるような、そこのところはもう最低限必要だと私は思います。

 ただ、機器なんかを実際問題として使えない人だっているわけでありますから、耳で聞くとか、そういったどんな人間だって理解できるような方法で、やはり今だったらそれは防災無線だろうと思うんでありまして、そういったことをきっちりしていく必要があると。

 それから、同時に言われますのは、住民の方も、言われましても、いや、災害というのはすぐには来ないよ、水はすぐには来ないよというようなそういう油断もあったんじゃないかというようなことを言われる方もありまして、これは一般論でありますが、そういうやはり、住民自身にも災害についての何か心構えみたいなものをいま一度よくリマインドしなくちゃいけない、そんな感じもいたします。

西村(智)委員 私と大臣が話している論点は同じだと思っておりますけれども、見るどうも角度が違うようでございまして、私も大臣と同じことを言っています。だれもが入手できるものでなければいけない。ただ、それは、その人によっていろいろな媒体が、ふさわしい、適当な媒体というのは人それぞれだというふうに思うんですね。

 また、その情報の伝え方というのも、大臣は、いや、まだ水は来ないだろうというふうに考える住民が多かったとおっしゃいますけれども、それだったら、そうではないということをわかりやすく伝える必要があるんじゃないでしょうか。情報はそうあるべきだというふうに思います。ですので、住民の防災意識はもちろん大事ですけれども、防災担当大臣の口から、住民の意識がまだそこまでいっていないとおっしゃったことについては、私はいささか疑問を持つわけでございます。

 できるだけいろいろな形での情報提供のあり方をこれからも考え、そして早急に対応をとっていただきたい。防災無線は有効だと思いますけれども、それを唯一の解とするべきかどうかということについても私はいささかの疑問を持っております。つけ加えたいと思います。

 そして、避難所の関係でございますけれども、避難所指定などは学校などの公的施設が多いわけでございますが、いざ避難所となったときに、実はかなり使い勝手が悪い。トイレが少ない。入り口が狭い。身障者用のトイレも確認することができませんでした。

 私が思いましたのは、今ある施設についてハードを変えることはできませんが、ソフトを少しいじることはできるかもしれない。そしてまた、これから新しく公的施設などの社会資本を整備するときに、避難所としての機能を考え合わせて設計する必要がある。そのときには、先ほど大臣がおっしゃった住民の危機管理意識を高めるという意味でも、住民参加を促して、住民参加によって、この避難所にはこういう機能をつけたらどうでしょうかというようなことを話し合っていただいて、そうやってつくり上げていく。そのことによって、いやあ、うちの地域で災害があったときにはここが避難所になってね、こういうふうに使えるんだというふうに感じれば、それは地域の安心感にもつながるわけですから、避難施設の整備については、こういったこと、住民参加あるいは避難所としての機能、これを十分含め合わせて考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

井上国務大臣 避難場所につきましては、例えば小学校でありますとか公民館等ありますけれども、そういうところにつきましては、避難がスムーズにいきますような、あるいは、避難をした人たちが余り不便を感じないような形で避難ができるような施設を整備していく、そういうことが必要である、こういうことでかなり市町村のレベルでは進んできていると思うんでありますけれども、これは市町村によって区々でありまして、まだ、全体としてそういうことが整備をされているかといったら、必ずしもそうだとは思いません。

 照明でありますとかエアコンでありますとか、あるいは仮設のトイレとかマットだとか、いろいろなものが必要でありますけれども、まだまだこれから、避難がきっちりとできる、そこで生活できるようなそういう設備をしていく必要があるということは、私どもとしてはそれは十分に考えておりますし、また、防災基本計画の中にもそういうことを規定しておるんでありますけれども、まだ全体としてそういうレベルまで達しているということは言えない段階でありまして、今後さらにそういったことの整備につきまして努めていかなくちゃいけないと、こんなふうに考えます。

西村(智)委員 住民参加という点についてはいかがでしょうか。お答えいただきましたか。

井上国務大臣 これは市町村が責任を持ってやることでありますから、国がそこまでとやかく手とり足とりというんじゃなしに、市町村として、やはりどういう設備がいいのかとか、どういう設備をつくるのかというようなことは、市町村自身がもう考える段階に来ているんじゃないんでしょうか。

西村(智)委員 自治体にはもちろん考えていただきたいというふうに思います。

 ですけれども、国の姿勢もまた問われるんではないですか。国がほうっておいていいんでしょうか、この問題を。自治体にお任せだと言って国がほっぽり出してよろしいんでしょうか。ですので、そういった姿勢を見せていただきたいということを私は申し上げているんです。

井上国務大臣 国としましては、そういう避難の場所の設備の整備に努める、こういうことを言っているわけでありまして、具体的にどう整備していくかというのは市町村自身が検討するんですね。いろいろな人の意見を聞いて進める場合もありましょうし、あるいは専門家の意見を聞いてやる場合もありましょうし、そういうことは、市町村の判断に任せてその整備を進めていったらよろしいんじゃないかということを申し上げているわけであります。

西村(智)委員 大臣、ユニバーサルデザインという言葉を御存じと思いますけれども、私は、危機管理、防災、こういった中で、このユニバーサルデザインというキーワードが非常に大事だというふうに思っております。だれにでも適合する仕組み、年齢、性別、国籍、話す言語、障害があるなしにかかわらず、だれもがアクセスしやすいものとして言われるわけでございますけれども、まさに危機管理のときこそ、このユニバーサルデザインということが大事になってくるのではないか。ですので、考え方をぜひ示していただきたいというふうに思うんです。

 防災は、弱者に配慮し、ユニバーサルデザインに配慮して行うべきであるというその考え方をぜひ示していただければ、自治体は、そのことによってヒントを得て、いろいろな形で知恵、アイデアを出してくるでしょうから、ぜひともそういうことを考えていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

井上国務大臣 これは、国の方は防災基本計画の中で、ごらんになったと思うんでありますが、かなり詳細に記述をいたしておりまして、県なりあるいは市町村は、それを参考にいたしまして県の防災計画なりあるいは市町村の防災計画の中に取り込んでいっているんじゃないかと、こんなふうに思います。

 標準的な考え方がありますから、そういうことにつきましては、国としても、さらによくしていくことがあれば、当然のこととして改定をしていかないといけないと思いますけれども、一度その防災基本計画をごらんいただいて、検討していただきたいと思います。

西村(智)委員 防災基本計画は私も拝見をいたしました。ぜひともそういった意味では、拡充、これをお願いしたいということを要望申し上げて、この項を終わりたいというふうに思います。

 最後に、農業、水産関係の復旧支援について伺いたいと思っております。

 先ほどの菊田委員の質問にもございましたけれども、新潟県、農業県でございまして、県内の水稲作付面積の三%が冠水をいたしました。これからその被害はどういうふうに出てくるのか全く想像ができません。大豆、これはもう水をかぶりまして溶けている状況でございます。被害は、県の試算ですと百五十億円を超える、そういうふうに今のところ見込まれておりますけれども、問題は、金額のこともさることながら、農業の持っている多面的機能をこれからも維持していくという面で、中山間地での耕作放棄を何とか思いとどまっていただきたい、こういうことでございます。

 今のところ生活復旧が最優先になっておりますけれども、農業についても、先ほどの御答弁の中で、いろいろな形での御支援は検討いただくというふうにお聞きをいたしました。全体的に災害復旧について言えることだというふうに思いますけれども、すべてをしゃくし定規で切ったり捨てたりしないでいただきたいということをお願いしたいと思います。

 ちょっと話はそれますけれども、住宅に対する支援についても、これほどまでにいろいろな災害で個人の住宅が破壊されることがもう本当に続いておりますから、個人の財産たる住宅に対して行政、政府はどこまで支援ができるのかということについて、そろそろ根本的な議論をスタートさせるべき時期に来ているのではないかというふうに感じております。

 もとに戻りまして、農業に対する支援でございますけれども、復旧支援の考え方、これはできる限り早く示していただきたいという要望が出ておりました。いつごろになるのかお伺いをしたい。

 あわせて、天災融資法を、これは新潟県ですと百五十億円超、超える程度の被害ということですので、天災融資法の発動については現時点での考えはどうなのか、それについて伺って終わりたいと思います。

佐藤政府参考人 新潟県の災害につきましては、委員の方からお話がございましたように、大変な冠水の面積になっておりまして、冠水した期間に大変支配されるものでございますから、二日から四日ぐらいでございますと、一割とか三割とか減収というような感じでございますが、五日あるいは一週間となりますと、相当の被害になるということが見込まれるところでございます。

 こうした被害の結果、出来秋まで見ませんと、なかなか共済関係の支払い等どのくらいの感じになるのかよくわからないところもございますが、早期支払いに向けて、被害額の査定等についても急いで対応するように指導しているところでございます。

 それから、金融の関係につきましても、先ほど申し上げましたけれども、農林漁業金融公庫の支店に窓口を設けまして、その窓口に御相談いただけますと、金融の融資、それから、今まで借りておられます債務の支払いの猶予等についても、柔軟に対応するように指導をいたしているところでございます。

 それから、天災融資法のお話がございましたけれども、天災融資法につきましては、考え方といたしまして、国全体の経済に大きな影響を及ぼす、それから農業被害も深いというようなことでございまして、ここ近年の実例でございますと、平成十年、十一年、それから昨年のあの全国的な冷害、十五年ということで、おおむね一千億円程度の被害額の場合に発動するということになっています。

 まだ、現在のこの集中豪雨の農作物被害につきましては全体の数字がまとまっておりませんけれども、少し数字的にはなかなか難しいのかなというふうに思っております。

 ただ、ほぼ同様の条件の制度融資を用意しておりまして、これにつきましては柔軟に対応していきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

西村(智)委員 終わります。ありがとうございました。

堀込委員長 次に、若泉征三君。

若泉委員 民主党を代表いたしまして、若泉征三でございますが、よろしくお願いしたいと思います。

 大臣には、常々新幹線の中でお目にかかっています。大臣におなりになりましてから、その後部の席に二回一緒になりました。何か親しみを感じますが、そのことは関係ありませんが、これから質問させていただきます。

 実は、今回のあの災害に関しましてまずお礼を申し上げたいと思いますが、現在で、ボランティアの方に四万三千百七十二名、福井に入っていただいております。これは、新潟も福島も、この福井もそうだと思いますが、皆様のいろいろな御支援と政府の御支援、ここにいらっしゃいます各委員の皆さんの御支援に心より敬意を表し、福井県を代表して心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 そこで、実はつい最近でございますが、七月の十四日にホームページを開いてみました。元首相であります村山さんのホームページを開きましたら、わしは失敗したと言っているんですね、ホームページで。何が失敗したかといいましたら、危機管理体制ができていなかった、これに一つ失敗したと。それで二つ目が、住宅ローンとか、そしてまたマンションに対するローンの返済に対して何の救助もおれはできなかった、今でも反省している。ホームページに出ているんです。

 私は大臣にお伺いしたいと思いますが、この中で村山さんが失敗したという、一つの反省しているという言葉の中の危機管理体制というのは、今現状では、阪神大震災以後、どのような形でその体制が組まれているのかどうか、そういうことをまず初めにお聞きしたい、このように思います。

井上国務大臣 阪神・淡路大震災というのは本当に大きな災害でありまして、いろいろな意味で日本の危機管理につきましての問題を提起した事件だと私は思います。

 村山前の総理が言っておられましたこと、それはもっともだろうなと、こんな感じがするわけでありまして、まず、今の行政府といいますのは、閣議決定をしないと動かないようなシステムになっているんですね。行政権というのは内閣にあるということで、内閣が決定をする。これは、総理大臣といえども、内閣、閣議で決定をした方針に従って各部を指揮監督できるわけでありますから、その体制が私はまずもってできていなかったと思うんですね。すぐに閣議を招集しまして決定しないといけなかったんでありますけれども、そういう体制が残念ながらあの時点ではでき上がっていなかったということでございます。

 それで、今いろいろなレベルで招集をいたしますが、各レベルに応じまして、各省の審議官でありますとか局長を即座に招集をするということでございます。閣僚も、たしか一時間以内だったと思うんでありますが、一時間以内にいかなるときも参集をするということでございまして、そのような体制をとっているということでございます。

 したがいまして、これは、テロでありますとかその他いろいろな問題があります。地震の場合もそうでありますけれども、そういった事態が生じますと、その関係者がこの危機管理センターに集まる、そして急遽協議をいたす、こういうことに相なっているわけでございます。この点は非常に大きく変化をしたところだと思います。

 それから、各法におきましても、災害対策基本法等におきましても、阪神・淡路大震災の教訓が随所に取り入れられまして、いろいろなところでこれは改正をいたしております。概して言えば、非常に充実をしたということですね。

 一般的に言いますと、これまでの法律といいますのは、まあまあ中規模の災害には対応できた、しかし大きなのにはなかなか対応ができなかったということでありますが、阪神・淡路大震災を契機にいたしまして、さらに適用の範囲を広めるといいますか、新しい制度をつくってくる。例えば生活支援の法律なんかもそうでございますけれども、支援の幅をずっと広げることができたと、こんなふうに考えております。

若泉委員 前の村山さんが御心配されておりました危機管理体制は、前よりは一時間早く、一時間以内ですか、一時間内に緊急に閣議をされて、そしていろいろな指示をされると。このこと自体が、一時間ではもう既に遅いんですよね。そのことを私は今から申し上げます。

 実は、私自身がちょうどあの十八日、福井の場合には十八日に、五時半ぐらいに約八十ミリぐらいの雨が降ったんですね、一時間に。それで、六時半ぐらいに私のうちに電話がありまして、私の家の前の川が決壊するからみんな出てくれということで、雨がっぱを着て出て、そして、いわゆる道路までも川の水が越水しているというようなそういう状態だったんです。そして、鉄砲水がばあっと降ってきた。私は、その場ですぐに土のうを何カ所に分けて、鉄砲水のその水を分水するような形にして何とか決壊を防ごうと、そういう対応を私自身がいたしました。長靴を履いてすぐ下に行きました。そうすると、私どもの谷が、みんな田畑なんですが、今皆さんのお手前に写真がございますが、完全にもう畑が川になってしまいました。もう手がつけられないような状態。そして、ほかの土地へ行こうかと思ったら、全部通行どめで全面ストップになっている。それがいわゆる鯖江の河和田地区、または朝倉遺跡とか美山とか、そういう今立のやはり上流ですね。

 それで、今回の洪水の大きなこのポイントは、上流の川が全部土石流で埋まってしまって、その上を二メーターぐらい土石流がずっと流れたと。そしてしかも、これぐらい、直径六十センチぐらいの大木が七十本も八十本も根こそぎ流れてくる。それが家に当たって倒壊してしまう。そして、その下流は、みんなその土石流で一メーターぐらい床上になったわけですね。

 今、皆さんの前にあるその写真は、きょうはちょっと白黒で節約させていただきましたが、これは、カラーだともっともっと本当にショックを受けるようなものなんですが、それをごらんになっていただきますと、そのとおりなんです。

 そこで、私は消防庁に、消防庁の方がいらっしゃっていると思いますが、お聞きしたいと思います。今大臣がおっしゃったことに関係していますが、消防庁にお聞きしたいと思います。

 消防庁の方は、今回、緊急消防援助隊が速やかに被災地に入りまして、特に新潟とかそういうところでは二千人以上の方を救出したと。そして、今後も、大規模災害、テロ対策等に備えまして緊急消防援助隊の充実強化が必要と考えますが、消防庁はどのようにお考えでしょうか。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の豪雨被害に際しましては、七月十四日には新潟県知事から、それから、七月の十八日には福井県知事から緊急消防援助隊の応援要請がございました。私ども、直ちに関係県に出動の要請を行いまして、それぞれの地域におきまして、ヘリコプター九機、救命ボート七十隻から八十隻を持った救援隊が駆けつけまして、救援活動を行ったわけでありますが、延べ三百二十九隊、千三百六十七名が緊急出動いたしまして、新潟、福井両県域におきまして二千百十一名に上る方々を救出させていただきました。

 阪神・淡路大震災の教訓にかんがみまして、全国的、広域的な応援体制が必要だということで、昨年、法改正をお認めいただきまして初めての出動となったわけでありますけれども、地元消防機関との連携のもとで精いっぱいの活動をしていただいたものと報告を受けているところでございまして、今後とも、大規模な災害等を考えますと、この広域的な応援体制といたしましての緊急消防援助隊の効果的な活動はぜひとも必要である、こう考えておりまして、その充実、あるいは実践的かつ効果的な展開が今後の課題であると私ども考えているところでございます。

若泉委員 その防災体制の確立または危機管理体制の確立ということにつきましては、実は私は、シリコンバレーというアメリカの都市の、ヒューレット・パッカード社で一日で勉強させていただきました。

 それは、一九九五年の阪神大震災の前の一九九四年に、ロサンゼルスで大震災があったんですね。そのことがどういう形で指揮系統がなっていたかということを皆さんに御紹介申し上げます。

 いわゆるロサンゼルスの震災が起きると同時に、知事が消防庁にすべての権限を、全権限を与えました。軍隊の出動権から警察の出動権、道路の封鎖権、すべての権限を与えました。そしてその消防庁が、さらには、三十二歳でありましたが、主任にすべてを与えました、全権限を。三十二歳のその主任は、やはり同じくらいの年代の、コンピューターがよくできる、またそういう訓練がされていると思いますが、そういうところへ全部全面的に連絡をとって、あらゆるそういった権限を委任する。そして、知事や市長とか消防庁は、オブザーバーとしてテレビとかそういうところへ出て、何か質問されたらそれに答える、そういうような状況で、阪神大震災よりも早く、ロサンゼルスの震災は三カ月ぐらいである程度復旧ができたと。

 この教訓というものを考えますと、私が思いますのには、いわゆる危機管理専門のスタッフ等の育成というものが困難であれば、やはり、二十四時間即応体制をとっている消防庁とか、いわゆる、いつも日常訓練をしている、よくわかっている人に指揮権を与えるべきじゃないか。これは制度上難しいかもしれませんが、これを皆さんが努力をされなきゃいかぬ、こういうふうに私は思っております。

 そういう意味では、今回の危機管理体制というのは、先ほど大臣もおっしゃいまして、一時間で速やかにやったけれども、閣議でみんなの考えを聞かなきゃいかぬのだと。

 私も実は現場へ行きまして、自衛隊のことを批判するんじゃないんですよ、自衛隊の方が五人、トラックに乗って来ていたんです。そうしたら、人命が第一なので、もう帰らせてもらいますなんて言って、助けてくれ、これ、ちょっと手伝ってくれと言ったら、スコップ一本も持ってこないで、トラックに乗ってさあっと帰ってしまったんです。ただ、それはまじめな方だと思います。上司の言われるとおりに、人命をまず考えて行けと言われて行かれたんだと思いますが、その場で、助けてほしいと言う人に、いわゆる手伝ってほしいと言う人に、スコップもないから、できないからすぐ帰ったと。

 後は防衛庁から自衛隊の派遣もされていますが、そのようなことを考えますと、一時間で閣議をされた後に指示されるものというのは、いわゆる防災マニュアルというのは、国も県も市町村もみんなできているんです。私も町長やりましたから、つくって知っています。ところが、市町村長も知事も、防災マニュアルというこんな厚い本ができても、一遍もあけたことがない、見たこともないと。実際は、専門の消防訓練とかこういうことをやっている人たちが現実を全部よく知っているんですよ。その指揮権というものを与えることによって私は大分変わってくるんじゃないかと思いますので、その辺はどのように消防庁はお考えか、お聞きしたいと思います。簡単でいいです。

林政府参考人 地方団体の危機管理体制の整備に当たりましては、首長である市町村長さんが第一義的な責任をお持ちになるべきなのは当然といたしまして、御指摘ありましたような、危機管理の専門家あるいは専門的な担当を設置しておく、こういう傾向が現在強くなってきております。

 それも一つの方法だと思いますが、特に御指摘をされましたように、消防は二十四時間即応体制で勤務いたしておりますので、その彼らの勤務実態に即しまして、特に、災害発生時の初動体制について、現場の業務に精通している消防の長に例えば避難勧告等の事務を補助執行させるとか、あるいは委任させてはどうかと。これは、一つ初動の場合の有効な手段ではないかというふうに私どもも思っておりまして、今、関係者の御意見もお聞きをいたしているところであります。

 はっきりと委任をしたという例はまだ出てきておりませんが、私ども、そういうことも将来考えるべきではないかと思っているところであります。

若泉委員 これは、できる限り早い時期にやっていただきますと、国民の不安も相当少なくなってくるんじゃないかと、このように思います。

 私どもも、この福井の豪雨で、福井市、鯖江市、美山町、今立町、池田町とこの五市町村に大きな被害が出たわけでございますが、自治体やその被害者に対しまして国として財政支援やら助成措置をいろいろと行うためには、これらの市町への激甚災害の早急な指定と適用が必要になると思います。

 激甚災害に対します指定ということはどういうことかといいますと、今、それぞれの県や市町村は、自治体側がいわゆる当該の被災にかかわる事業費の査定の見込み額を示す必要がありますが、提示を受けた後にどれだけの期間で指定が可能になるのかどうかと非常に心配しております。それで、この前も原田さんにちょっとお聞きしましたが、本激は二カ月かかる、局激は年度末になると。私は本激で早く指定していただきたいと思いますが、二カ月の間にまた二次災害が起きるような可能性も十分あるんです。

 私は上流を全部見てきましたが、上流は全部まだ川が埋まったような状態、川の流れそのものは今までとすべて変化しております。ここに今二次災害があって雨が降ったら、必ず二、三メーターの高さの水がまたもう一回直撃しまして、やっとボランティアの皆さん、住民の力で復旧したものがまたやられてしまうと。そのようなことがありますので、いろいろな復興支援のための一つの目標を、計画を立てていくためには、この激甚災害の指定というものは中央防災会議で決まるということでございますが、私も実は現地を歩いておりましたときに、これとは関係ないことでございますけれども、イラクに人道支援できるんだったら、若泉さん、我々の国民のこの人道支援を早くやってくれなきゃ困るじゃないかと私はどなりつけられました。そうですねと言ったんです。

 皆さんもそういう意気込みで、非常に大変な苦しみを、今でも、生活もできない、水も飲めないという方々がまだいまだにいるんです。それはそのままにしていいのかどうかというようなことを考えますと、やはり、激甚災害の指定を早目にこれはやっていただきたいと強く要望しますが、これに関しますお考え、御所見をお伺いしたいと、このように思います。

井上国務大臣 この特定の災害の指定につきましては、もうできるだけ早くやりたいと思いますし、そういう努力をこれからもしていきたいと思うんです。

 ただ、一番大事なことは何だといったら、これは、激甚災に指定されたということよりも、災害復旧を早くするということなんですね。これが一番大事でありまして、いずれにしたって、これは県とか市町村の施設でありますから、復旧しないといけないんです。ですから、激甚災の指定を待つまで待つというんじゃなしに、工事ができるようになりましたらどんどん工事をやっていただく、復旧をしていただくということが私は大切じゃないかと思います。

 今御指摘の災害の指定につきましては、できるだけ早くやるということ、これはもうそういうことで努力をさせていただきます。

若泉委員 災害復旧は、これはもう当然のことだと思うんですね。同時に、激甚災害指定は、あらゆる生活支援からすべてにおきましてこれは影響してきますので、大臣はできるだけ早くとおっしゃいましたので、大臣を信頼申し上げまして、本当にこれはできるだけ早く指定をしていただきたいと。指定されるものだと思っている。福井県の知事なんかは上乗せして百万つけていますから、予算を。利口なんですよ。

 やはり知事とか市町村長が、私は、実は前に渇水期のときに、町長のときに一千百万ぱんと予算をつけたんです。そうしたら、またそれも、災害の国からの指定で上乗せしてできましたけれども、ああ、本当に助かった。もう私は神様ぐらいに思われたんですよ。やはり、それぐらい大臣も、国民から信頼される方としてぜひそういう決定を早くお願いしたい、こういうふうに思っております。

井上国務大臣 誤解はないと思いますけれども、この激甚災の指定というのは一定の要件がありますので、市町村等からきちっとした数字が上がりまして、最終的に確定したその数字に基づいてやるものでありますから、私が申し上げているのは、その作業をできるだけ早くやるということでございまして、その結果、皆さん方の御要望はよくわかっております。

 また、私は、ああいう激甚災の指定というのは、災害の大きさでありますとか、あるいは自治体の財政力、そういったものをよく考慮してやるべきだというふうに考えておりまして、できるだけそういうような趣旨に沿うような形で努力をさせていただく、こういうことでございます。

若泉委員 こんなものを議論していましても、大臣の本当に決断だけですから、もうお任せするということで、期待していますから。

 それで、次に、被災者の生活再建支援法につきましてちょっとお聞きしたいと思います。

 現行の被災者生活再建支援法では、自然災害によって住宅が全半壊した世帯などを対象に、最高の三百万というのは今国会で成立したわけでございますが、現行制度では住宅の構造部分が損なわれていることが支給要件となっておりますために、福井県のこういった豪雨災害におきましては、泥や土砂まみれの床上浸水が広く見られまして、構造上の問題は少なくても、住居が居住ができないような激しい機能上の損壊を受けております。

 そういう意味で、現行の制度が水害被害の具体的な状況にそぐわない面があり、浸水で住宅が機能を事実上失われた場合にも適用できるような制度改正が必要である、このように思いますが、どのようにお考えか、ちょっと所見をお伺いしたいと思います。

柴田政府参考人 被災者生活再建支援法でございますが、これにつきましては、市町村が各世帯ごとに、被災を受けられました家屋、住家の被害の調査を行いまして、御指摘いただきましたように、全壊または大規模半壊に該当すると認定した場合に支給金が支給されるという仕組みになってございます。

 ただ、この基準が、いろんな基準をつくってございますが、今御指摘のように、一律、しゃくし定規ということではなくて、それぞれの地域の状況あるいは災害の状況等によってこれは適切に運用していくものであるというぐあいに考えております。

 昨日、総理の方からも、洪水被害を受けた住宅に対する被災者生活再建支援法の積極的活用を検討しろということを中央防災会議でいただいてございます。

 これを踏まえまして、支援法の具体的運用に当たりまして、例えば半壊でございましても、今御指摘のように、流入した土砂の除却や耐えがたい悪臭のために、やむを得ず家屋を解体しなくちゃいかぬ場合もございます。こういうものは例えば全壊と同様に取り扱うなど、被害の実情も踏まえて適切に運用していく考えでございます。これによりまして被災者の生活再建の支援に努めてまいりたいと考えております。

若泉委員 その現行制度につきましてちょっとわかりにくい点もあるかもしれませんが、私も被災地を全部見ますと、大体一メーター五十から二メーターぐらい土石流が入り込みまして、実際、家屋は、きれいになったとしても使えないような状態であります。地震の場合には半壊、全壊というのはそういうことじゃないんですが、床上浸水とか床下浸水ということに関しましては、現実には、今回のこの災害は地震と変わらないような災害であるということを十分に御認識をいただきたいと、このように思います。

 現行制度では主として地震災害を想定したものでありまして、全壊及び大規模半壊のみということで、浸水により住宅としての機能を失った場合でも対象とならず、所得制限もあって、制度の対象となる世帯が限定されていると。また、支給対象となる経費が解体撤去費用や借入金利子等に限られまして、住宅の建設とか補修費用は対象外になっているんですよね。そして、こういったいろいろな不備というものは、不備ではなかったかもしれません、地震に関してはこれでよかったのかもしれませんが、今回の災害の土石流の被害につきましては、これを対象外として検討していただきますよう、今すぐ御返事は結構でございますが、対象外としてぜひとも検討していただくようお願いしたいと思います。

 たくさん質問したいことがありまして、十五分しかないので、これはこれで結構でございますが、次に国土交通省の方に聞きます。

 JR越美北線の早期復旧ということで、もう内容等についてはほとんどお聞きになっていらっしゃるとおりでございますが、橋梁が五カ所、そして路盤とか、そういった十九カ所の甚大な被害を受けまして、福井―越前大野間が不通になっている。これに対しまして早期全線復旧をやっていただきたいと。

 もう一つ、これは国土交通省の方に同時にお聞きしたいと思いますが、足羽川の決壊しましたあの場所は、今、土のうとテトラポッドが置いてあります。今回、もう一回大きな水が出た場合には、この土のうとテトラポッドは全部流れてしまうと思います。前にもちょっと申し上げましたが、やはり、ここへ矢板をとりあえず処理として前に打っておかないと、これは恐らく、今回水が出た場合には、第二次災害が発生することはもう間違いないと思います。

 これは、この足羽川の決壊地だけじゃなくて、上流においてもそういうことが言えると思います。やはり、長い矢板か何かでぐっと囲わなければ、結局は同じことを起こすんじゃないかと、そんなことを思いますので、同時に二つちょっと質問させていただきますが、国土交通省の方にお願いします。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 JR越美北線につきましては、足羽川にかかる橋梁が五カ所流失いたしました。そのほか、広範囲にわたりまして線路流失等の被害がございました。おおよそ三十カ所にわたる被害でございます。

 こういう被害の規模からいたしまして、全面の復旧には相当時間がかかるというふうに見ております。現在、JR西日本におきましては、復旧計画を策定するため、被害状況の調査をしている最中でございます。

 私どもといたしましては、一日も早い復旧に向けまして、JR西日本に対しまして強く指導してまいりたいと思っております。

若泉委員 今、河川に対する答えがなかったんですが、この前、民主党の方からお願いしたときに、国土交通省ではそういう対応をしようということをおっしゃっていただいていますので、そういうことは十分にお気をつけいただいて、私も土木技術管理技士の免状を持っていますので、あれではだめだ、応急手当てにならない、そういうふうに思います。二次災害は必ずまた起きるだろうと、こういう可能性がありますので、そのときにまた皆さんから大変なおしかりを受けられないように十分にお気をつけいただきたい、こういうふうに思っています。

 なお、もう時間がありませんから端折って質問させていただきますが、経済産業省と金融庁の方にお願いしたいと思います。

 中小企業、伝統工芸、この福井におきましては、越前和紙と越前漆器、そして眼鏡、織物は、大体一メーター五十から二メーターの土石流によって、一階部分に置いてありましたそういった品物とか機械がほとんどだめになりました。そういうことに対しまして大変な打撃を受けまして、私もこの前もずうっと見舞いに歩きましたら、三十人ぐらいの小さな中小企業が何をやっているかといったら、機械を横へ持っていくのと、そして中の土石流を除くのが仕事で、あと品物もない、機械がだめになったから生産もできない、給料だけを渡して、本当にこれは何をしていればいいのか、もうこれは商売をやめなきゃいかぬ、このような悲痛な声を私は何件も中小企業の方からお聞きしています。

 そういう中で、当然、中小企業につきましては、信用保証協会の特別枠のセーフティーネットが直ちに利用できるような対応をぜひともお願いしたいと思いますのと、もう一つは、政府によりまして、設備貸与や設備資金貸し付けについて償還の猶予や免除などの特別な配慮が必要と考えられますが、あわせてひとつお願いしたいと思います。これは経済産業省の方にお聞きします。

 もう一つは金融庁の方にお願いしたいと思います。時間がありませんので、これだけはどうしてもお願いしたいことなんです。

 金融庁から地方の銀行にぜひとも指導をしていただきたいことがある。中小企業には、自己査定というのは銀行が決めているわけなんですね。自己査定というものを、銀行が一つのランクづけをしております。そのランクづけをしますと、例えば、この企業は借り入れが多いからだめだとかそういうことになって、なかなかお金を貸し付けをしていただくようになってもできないというようなことがありますので、その辺の緩和、弾力的に、金融庁の方からの指導で、地方の銀行に指導で、こういう甘くしてほしいということと、貸し付けを低金利でそして長期返済でやっていただくようなそういう対応をぜひともやっていただかないと、あの近くの伝統産業といったら、千五百年もたっております伝統産業が全部だめになってしまうというような形になりますので、この救済策は経済産業省も金融庁もお考えいただきたい、このように思いますので、それぞれ、今の私が申し上げましたことに対して適切な御答弁をお願いいたします。

服部政府参考人 最初にセーフティーネット保証の件でございます。

 信用保証協会のセーフティーネット保証制度の発動につきましては、現在、被災を受けられた新潟県それから福井県、それぞれ被害状況について調査を実施しているところでございまして、その早急な取りまとめが行われました後、迅速にその適用について検討してみたいと思っております。

 それからもう一つ、小規模企業者等設備導入資金助成の関連でございます。

 本制度を活用した事業者が災害によって損害を受けた場合でありまして、例えば償還がおくれた場合の取り扱いにつきまして、都道府県が、自己の判断によりまして、個別事業者の実態に応じて弾力的な対応をしていただくというのが一つ考えられると思います。

 それから、法令上は、小規模企業者等設備導入資金助成法第八条に基づきまして、災害その他の理由により設置した設備が滅失した場合について、都道府県がやむを得ないと認めるときは、経済産業相の承認を受けて、「貸付金の全部又は一部の償還を免除することができる。」ということになっております。

 いずれにしましても、本災害の被災状況に応じまして、都道府県とよく連携をとりまして適切に対処してまいりたいと、こういうふうに考えております。

鈴木政府参考人 今般の災害における民間金融機関に対する対応に関してのお尋ねでございます。

 金融庁といたしましては、災害発生の際には、今御指摘ありますように、現地における災害の実情ですとか資金の需要状況等に応じまして、関係機関と密接な連携をとりまして、民間金融機関に対しまして、機を逸せずに必要な措置を範囲内でとることを要請することとしております。

 それで、今般の七月十八日の福井県内における豪雨に関しまして、翌十九日でございますが、北陸財務局におきまして、日本銀行と連名で、関係金融機関等に対しまして、災害関係の融資、それから預金の払い戻し及び中途解約などに関して、適宜適切な措置を講ずるように要請を行ったところです。

 今御指摘いただきました融資に関しましても、災害の状況ですとか応急資金の需要等を勘案しまして、まず融資相談所の開設、それから審査手続の簡便化、それから貸し出しの迅速化、今お話しありましたような貸出金の返済猶予など、こうしたことの災害被災者の便宜を考慮した適宜適切な措置を講ずるよう要請いたしました。

 それから、二番目のお尋ねで、金融機関の債務者区分の扱いでございますけれども、この債務者区分に当たりましては、いわば豪雨災害といった一時的な要因で、これのみをとらえて判断していただくのではなく、今後の経営の見通しですとか収益ですとか、そういった等の諸般の要素を総合的に勘案して判断することがやはり適切で適当であると考えております。

 これは、本年二月に実は金融庁で改定を行ってございますが、金融検査マニュアル、別冊におきまして中小企業融資編というのがございます。ここに同様の点を示しております。ですから、こうした点を踏まえまして金融機関が適切に判断されるというふうに考えております。

 以上でございます。

若泉委員 今の御答弁を聞きますと、非常にいい対応でございますので、そのとおりさらに強く強化してやっていただきたいと、このように思います。

 それから、最後の質問でございますが、総務省の方にお聞きしたいと思います。

 被災者に対しまして、やはり税の減免措置とか、または各種経費に対します特別交付税の措置についてをちょっとお聞きしたいと思います。

 特に、この厳しい財政状況の中に、災害復旧の方にお金をやはり投じるということもございますし、そして、各自治体は被災者に対しまして県税、市町村税の減免措置を行わざるを得ないと。瀧野局長は福井県にいらっしゃったので、よく何でも御存じだと思いますが、そういう状況なんですね。

 この状況の中で、国としましても、災害復旧事業とか災害対策関連事業に伴いまして生じる各自治体の財政需要に対しまして、特別交付税の配分で特別な配慮を行うなどの措置が必要だと思われますが、どのようなお考えでおられるのかと思いますのと、ぜひやっていただきたいと。長く福井県でよくごらんになりましたから、どの辺がどのような災害が起きたか、あれは大変だな、少しそういうお気持ちを持っていただきまして御答弁いただきたいと思います。

瀧野政府参考人 福井県の災害につきまして、今回の集中豪雨によりまして非常な災害を受けているということは我々も認識しておるわけでございますし、被災した地方公共団体におきまして相当の財政負担が生じるということは、当然予想されるわけでございます。

 総務省といたしましては、これらの団体の実情を十分お聞きしまして、補助災害復旧事業あるいは単独災害復旧事業、それに対しまして地方債を当て込む、それから、その償還につきましては交付税できちんと見ていく、さらには、その被災の状況に応じましてきちんと特別交付税の配分をしていくということなどによりまして、財政運営に支障がないように対応していきたいというふうに思っております。

若泉委員 ありがとうございました。そういう対応をまたぜひしていただきたいと。

 私はこれで終わりますが、大臣、みんなきょうは眠そうな顔をして、疲れたような顔をされていますけれども、私はもうぱっちりと目があいているんですよ。やはり、自分の被災地のことを考えますと心配でしようがない。眠れない。事実、眠れないんだ。私の家の前が決壊しそうになったんです。自分のことを言うんじゃないが、決壊しなかったんです。だけれども、よその方のことを見ますと、大変なんです。新幹線でまたお会いできましたら、ありがとうございますとお礼が言えるように、大臣、頑張ってやっていただきたいと、このように思います。

 以上、どうもありがとうございました。

堀込委員長 次に、河合正智君。

河合委員 新潟、福島、福井の豪雨災害に対しまして、この災害でお亡くなりになりました方の御冥福を最初に心よりお祈り申し上げたいと思います。

 被災されました方々への心よりのお見舞いと同時に、昼夜を分かたず復旧を続けてこられました防災大臣初め、すべての皆様に感謝申し上げたいと思います。

 私ども公明党も、私の後に質問をされます漆原委員を団長といたしまして、神崎代表もすぐ現地入りしまして復旧に当たりました。私も、公明党の災害対策局長として現地にお邪魔させていただいたところでございます。

 その際、私たちが特に切実な陳情を受けましたことにつきまして、それに基づきましてきょうは質問をさせていただきたいと存じますが、二十分で十四問の質問でございまして、何とぞ御協力を願いたいと思います。できるときは結論のみで結構でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、防災担当大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 これは、先ほどもそれぞれの委員からも御指摘のあったところでございますが、改めて確認させていただきたいと存じますが、今回の豪雨災害につきまして、早急に激甚災害に指定すべきであると考えます。その場合、損害額の算定を初めとする事務手続を簡素化するなどその対応についての迅速化を図れないか、防災担当大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

井上国務大臣 この激甚災の指定の場合には、委員御承知のとおり、被害の金額というのが基準になるわけでありまして、したがいまして、損害額の算定をしないといけないわけでございます。

 それで、この算定につきましては、これまでも手続については簡素化をしてまいりまして、かなり迅速にできるようになってきたと思うんでありますけれども、さらに、関係の市町村にも連絡をいたしまして、早くその作業を進めていただくようにお願いしたいと思いますし、また、数字がまとまって上がってきました場合には、私どもも関係省庁とよく協議をしてやらせていただきますけれども、これも、極力期間を短縮して結論が出るようにいたしたいと思います。

 いずれにしましても、これは若干時間がかかりますので、きょう言ってあすというわけにはまいりませんので、その点についての御猶予はぜひともよろしくお願いをいたす次第であります。

河合委員 大変ありがとうございます。

 今回の豪雨災害につきましては、現地では今なお懸命の復旧作業を行っておりますけれども、分別しないまま排出されたごみの分別や焼却、それから宅地内に積もった土砂等、大変な経費がかかることが予想されます。被災市町村では積算すらできない状況が続いておりますが、これをどのようにするのか。

 また、地元としましては、これのみならず、土砂、ヘドロが家の中に入り込んでいるために水道水で清掃するしかなく、それぞれの家庭では大量の水道水を使っておりまして、この負担が大きな問題となっております。

 そこで、これに関係しましてお伺いさせていただきますが、下水管に詰まった大量の土砂の除去に高圧洗浄機などの特殊機材を使わなければならず、これらの復旧や経費をどのようにするのか。

 この点につきまして、環境省、国交省、お伺いさせていただきたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 災害廃棄物につきましては、被災しました市町村が民間の事業者に委託して処理をしたり、また、分別のために作業員を臨時雇用するということで特別な経費が要るようになります。その場合には、その費用の二分の一を国庫補助するということにいたしております。

 また、なかなか作業が確定しないということでございますけれども、運搬車の運行日記あるいは伝票などをもとに事後的に経費を確定することも可能でございまして、現地の状況をよくお伺いした上で適切に支援してまいりたいと思います。

竹歳政府参考人 宅地内に堆積した土砂の処理でございますが、一定の基準量以上の土砂を市町村が排除する場合、その費用の二分の一を国が補助できるという仕組みになっておりまして、今後、市町村からの国庫負担申請に基づき、速やかに災害査定を実施し、早急に復旧が図れるように配慮していきたいと考えます。

 また、下水道でございますが、下水道が被災して排水施設の断面積の三割以上が土砂で埋まって詰まってしまった場合、その土砂の排除は、災害復旧として国庫負担の対象となります。

 それで、排除の方法ですが、口径が小さいものにつきましては高圧洗浄機を使用するということが標準的な作業として認められておりまして、このようなことを使って排除していきたい、このように考えています。

河合委員 今回の豪雨災害の結果、被災者家屋等から廃棄されました冷蔵庫それから自動車に含まれるフロンの回収につきまして、政府として早急に実施すべきであると考えます。これは、四年前の庄内川の災害のときに後ほど大変大きな問題になりましたので、環境省の対応をどうぞよろしくお願いいたします。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 リサイクル法につきまして定められました冷蔵庫、エアコン、そういったものにつきましては、製造事業者にそのものを引き渡していただく、そこでフロンを抜き取るという方法がございます。また、それが困難な場合には、廃棄物処理法に基づきまして、その基準に基づいてフロンを抜き取っていただくということのいずれかを選択していただくことにしております。これにつきましては、それに伴いまして発生した費用についても、当然ながら国庫補助の対象といたしております。

 ただし、個別の災害現場の判断に基づきまして、人命、財産の保護、衛生上の措置が優先して行われることを妨げないということにいたしております。

河合委員 引き続きまして環境省にお伺いさせていただきますが、被災家屋から排出された大量の廃棄物から悪臭が発生して、被災者が苦労しております。この廃棄物を早急に処理すべきと考えます。その対応についてお伺いしたいと思います。

 また、あわせて、個別リサイクル法の対象物が排出された場合、リサイクル法が適用されるのか、それとも廃棄物として処理されるのかにつきましてもあわせてお伺いさせていただきます。

南川政府参考人 今回の災害でございますが、非常にたくさんの災害廃棄物あるいはし尿が出ております。通常の処理でまいりますと、数カ月から、場合によっては、地域によっては数年というだけの災害廃棄物の量が出ております。大変時間がかかると思いますので、私ども、隣県の協力も求めることも含めて、早く対応ができるように支援をしてまいりたいと思っております。

 なお、個別リサイクル法の問題でございます。

 例えば、建設リサイクル法でございますと、一定規模以上の建築物の解体については分別解体を行っていただくことになっておりますけれども、災害によりまして倒壊した場合には、リサイクル法の分別解体の義務は生じずに、廃掃法に基づいて処理をしていただきます。

 また、家電リサイクル法などにつきましても、原則的に選択が可能でございまして、あくまで、人命あるいは衛生上の措置を優先してやっていただくということに考えております。

河合委員 気象庁長官にお伺いさせていただきます。

 先ほどの答弁の中で、今回起きていることにつきましては異常気象かという質問に対しまして、これは三十年間観測されなかった状況だから異常であるという答弁がなされました。

 さて、毎年このような局地的な集中豪雨による災害が起こっておりますけれども、気象庁は、これに対応するために、観測、予測体制を強化するとともに、防災のために気象情報のあり方についてさらに工夫すべきではないかと考えますが、答弁願います。

長坂政府参考人 お答えを申し上げます。

 観測予報体制でございますが、現在まで、アメダス、気象レーダー等を全国的に展開して、今回のような局地豪雨の常時監視、予測に当たっておるところでございますが、今後は、さらに気象レーダーのデータの有効な活用方策、あるいは、気象庁のみならず、都道府県等が運用しています雨量データのオンライン収集、こういったものを一層推進してまいりたいというふうに考えております。また、スーパーコンピューターを用いました数値予報につきましては、さらにその技術の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

 次に、気象情報のあり方についてでございますが、御案内のように、気象庁では、重大な災害が発生するおそれがある場合には速やかに警報を発表し、さらに一段と災害の危険度が高まった場合には、その旨を防災機関等に伝えて、より一層の警戒を呼びかけてまいっているところでございます。

 今後、気象庁の発表いたします情報をより的確に使用していただくことを目指しまして、日ごろから、集中豪雨あるいは気象情報に対する解説等を行い、利用者の理解を深めてまいりたいというふうに考えております。

 あわせ、浸水、中小河川の洪水につきましても、より的確な情報の提供に向けての技術的な検討を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

河合委員 消防庁長官にお伺いします。

 ただいまの気象庁長官の御答弁にありましたように、それを踏まえまして、今回、局地的な集中豪雨、例えば時間雨量七十ミリですとか九十ミリ、これは通常想定されていない雨量でございまして、避難勧告を出す時期とか出し方、また、従来のレベル、これは、こういう局地的集中豪雨に対しましては、レベルを、マニュアルを変えるとかそういった対応が必要と考えますが、いかがでございましょうか。

林政府参考人 現在、地方団体におきます地域防災計画では、避難勧告等を出します際の基準といたしまして、例えば洪水のおそれがあるときとか、あるいは気象警報が発せられたときとか、こういう形の判断に基づいて勧告が出されるようになっておりますが、私どもといたしましても、今回の災害の教訓を踏まえまして、この避難勧告、指示を行う場合の基準につきまして、例えば降雨量であるとか河川の水位であるとか、あるいは気象庁からの予報等の中で、より具体的な基準に基づいて出せるような検討をする必要があるのではないかと、こう考えまして、改めて、そのようなことを含めました避難体制の確立につきまして、先ほど地方公共団体に具体的に要請をいたしたところであります。

 それからさらに、時期についてでありますが、今回の教訓にかんがみますと、避難勧告、指示を出す前に、例えば今申し上げましたようなおそれがあるとか、あるいは気象警報が発せられたときというよりももっと早く、例えば、洪水のおそれはないかもしれないけれども心配だなと、こういう場合には、その段階におきまして、避難の準備のための例えば注意情報、こういうものを出すことについても市町村において検討していただければと、こう思っているところであります。

河合委員 引き続いて消防庁長官にお伺いさせていただきます。

 避難勧告を初め、行政の情報が住民にうまく伝わらなかったということを現地でたくさん聞きました。行政と住民の間を的確に結ぶ情報伝達の手段の整備が必要と考えます。この点についてお伺いさせていただきます。

 また、あわせて、今回の災害では高齢者の方が犠牲となられました。高齢者の方々を避難誘導するための例えば消防の方も、サラリーマンとして働きに出ている、こういう現況がございます。しかしこれは、日本の国の地域コミュニティーという最も根幹にかかわる問題でございますので、私は、この地域コミュニティーの力、これを大切にするために、全国的に活動が進んでいるところなどをモデルにしまして、自主防災組織を育成することや消防団の充実強化が必要と考えます。

 あわせて、この二つの問題についてお答え願います。

林政府参考人 御指摘のように、災害時等におきまして住民の方々に迅速かつ的確に情報を伝達するということが何よりも重要であると考えておりますが、そのためには、住民の方全員に一斉に同時通報が可能である手段、そしてまた災害によるダメージが少ない手段、こういうものを整備していただきたいと考えております。

 この観点からいたしますと、同報系の防災行政無線とこう言っておりますが、同時に情報が伝達できる手段として現在全国的に整備が進んでいるものでありますが、この同報系の防災行政無線の整備をお願いをしたいと考えております。現在のところ、全国平均で六七・八%にとどまっておりまして、ただ、中には、地震防災対策強化地域を含む県では一〇〇%整備されているところもありますけれども、まだ三〇%台にとどまっている県もあるのが事実でございます。

 行政の基本はやはり安全の確保でございますので、すべての市町村におきまして、いざ有事、いざ発災の際に備えて、同時に緊急情報が伝達できる、この同報系の無線の整備を強く働きかけてまいらなければならないと考えているところでございます。

 それから、もう一点御質問ございました、災害時における要援護者の避難誘導についてでありますが、今回の豪雨被害につきましても大変お気の毒な例を私どもお聞きをいたしておりまして、今後の災害対策に当たりましては特に注意すべき点であると考え、先ほどまた各地方団体にその点についてお願いをいたしたところでありますが、御指摘のように、やはり、災害が起こりましたときに公的な救助には限界があるのも事実でございまして、今回の例を見ましても、地域におきます消防団あるいは自主防災組織の方々の活躍に頼らざるを得ない点があるのは否定できないところでございます。

 残念ながら、自主防災組織の組織率は全国で六一・三%にとどまっておりますし、消防団も、御承知のようにサラリーマン化等の社会情勢を受けまして減少傾向にございます。しかし、地域で要援護者の方々を救い、また地域全体の安全を確保する上で、このようなコミュニティーによる共助の体制が最も重要であると私ども考えておりますので、今後とも自主防災組織の組織率の向上と消防団員の確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりまして、このような趣旨のお願いを各地方団体、各消防本部にいたしているところでございます。

河合委員 国交省にお伺いさせていただきます。

 水防につきまして、団員のサラリーマン化などによりまして参集が非常に困難であるという問題がございます。ボランティア等の連携などを考えられないか、この点についてお伺いさせていただきます。

 あわせて、今回の場合をさらに類推しまして、今回は県管理の河川でございますが、国管理の大河川でこのような集中豪雨的な事態が発生した場合に、どのように国交省として考えているかお答えをいただきたいと思います。

清治政府参考人 水防団についてのお話でございますが、御指摘のように、水防団の団員の数というのは大変減少しておりまして、昭和三十五年に百六十万人おりましたが、昨年の四月一日現在では九十四万人というような状況になっております。

 それで、この多くは消防団を兼ねているということになっておりまして、先ほどのお話のようにサラリーマン化が進んでおります。したがいまして、住んでいらっしゃるところでの災害等に即座に対応できない状況になっております。サラリーマンが約七割を占めているのが現状でございます。

 あわせて、水防団が抱える問題としましては、新入団員がなかなか確保できないということとか、それから、団員自体が高齢化しているというような問題も抱えているわけでございます。

 そういう中で、先ほど地域のコミュニティーというお話がございましたが、地域防災力を向上させて水災防止体制の強化を図るという上では、NPOでありますとか自主的な組織、こういう方々と水防団が一体となって取り組むことの重要性を我々も感じているわけでございまして、関係省庁と検討を進めたいというふうに思っているわけであります。

 また、水防活動の内容につきましても、水防団そのものの活動の魅力を向上させるとか、情報提供における役割であるとか、高齢者の避難支援、こういうところでの活動も検討していくべきではないかということで、関係省庁と検討を進めたいと思っております。

 それから、直轄の大河川等で破堤等が生じた場合には検討ができているかというお話でございますが、洪水の頻度という面でいきますと非常に少なくなっているところにつきましても、一たん破堤が起こると大変なことになります。首都圏を抱えている利根川等の破堤に際しましてはいろいろなことが予想されるわけでありまして、減災措置を講じていくためには、これにつきましても、関係省庁とよく話をして、自治体とともに体制を整えていく必要があろうかと思います。今後検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

河合委員 JRの越美北線につきましては若泉委員の質問がございましたので、我が党からも、この全面復旧及び一部区間、福井―一乗谷間の早期運転再開について強く要望を申し上げさせていただきます。

 さらに、被災者生活再建支援法につきましても、我が党からも、今回での床上、床下浸水につきまして、単に物理的な全壊、半壊という解釈ではなく、機能的な全壊、半壊という角度から、ぜひとも、改正法に基づいた適用をよろしくお願いしたいと思います。

 最後になりますが、防災担当大臣にお伺いさせていただきたいと存じます。

 先ほどの気象庁長官の異常気象であるという答弁がございましたが、これは既に平成十三年度版の防災白書に書き込んでございまして、さらにそれをさかのぼること一九八八年に、アメリカの上院におきましてジェームス・ハンセン博士がこのように証言しております。

 地球の気温は上昇しつつある。これは自然現象ではない。人間の活動によるものである。特に化石燃料の大量消費によってもたらされたものであります。ある場所は異常渇水が起き、ある場所は異常な集中豪雨が起きるという気候変動が起きる。

 この予見に符合するかのように、アメリカにおいてはミシシッピ川、バングラデシュ、それから揚子江、このような災害が起きておりますが、日本でも間違いなく、これは内閣府からちょうだいした資料でございますが、この十年間、毎年一回以上必ず、激甚災害に指定されている集中豪雨が発生しております。

 こういう通常では考えられなかった局地集中豪雨という災害に対しまして、防災大臣としての取り組みをお伺いさせていただきます。

井上国務大臣 御指摘のように、最近のこの異常気象というんですか、それによります災害も従来の災害と違ったような状況でありまして、このたびの新潟、福島、福井、これを見ましても、もう私ども直観的にどうもやはり違っているという感じでありますし、また、その対応につきましても、従来のような対応では必ずしも十分うまく対応できないんじゃないかと、こういうような感じを持ったわけでございまして、そういったことから、今週の月曜日にも関係各省の局長会議を招集いたしまして、さまざまな問題について検討をいたしたわけでございます。

 確かに、予報の段階から、きょうもいろいろな質問がございましたけれども、できるだけ的確にやはり予報していくということですね。タイムリーな、しかも適地といいますか、その地域に適合した予報でありますとか、その予報に基づく情報の伝達ですね。それで、具体的な避難の誘導につきましても、高齢者の避難につきまして問題がございまして、これからどうしていくかというようなことですね。あるいは、多くの箇所の点検にいたしましても、これは従来からやっていると思うんでありますけれども、なお一層、問題のあるところを十分に点検をして、できるだけの対応をとっていくというようなこと。

 それから、今回の災害、これは神戸の災害からそうでありますけれども、ボランティアの活動が大変活発になってきておりまして、もうボランティアの活動を抜きにして災害復旧はあり得ないような状況でございますので、これからも、ボランティアの活動の支援強化について検討していかないといけないと思います。

 すぐにできるものもあります。若干の時間がかかるものもありますし、あるいは予算要求なり制度改正を伴うものもあろうかと思うんでありますが、できるだけ早くまとめて、対応をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。

河合委員 阪神・淡路震災を体験されまして、党の政調会長も歴任された防災担当大臣でございます。ぜひとも渾身の指揮をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀込委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。

 新潟県の三条市は私が高校生活を送った町でありまして、多くの友人、知人がおられます。このたびの災害でお亡くなりになった皆様には本当に御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に対してはお見舞いを申し上げます。

 小泉総理、井上防災担当大臣、石原国土交通大臣、また佐藤内閣府副大臣が新潟県及び福井県の被災現場を視察されたこと、心より敬意を表するものであります。また、不眠不休で復旧作業に取り組んでくださっている皆様にも、深くこの場をかりて感謝を申し上げます。

 そこで質問させていただきますが、まず激甚災害法の早期適用についてでございますが、七・一三水害の被害額について、新潟県の試算によりますと、決壊した河川、堤防など県の土木復旧費が千六百億円、農林水産被害が百三十四億円とされておりますが、新潟、福島、福井、豪雨災害全体として早期に激甚指定がなされるべきと思いますが、いかがでございましょうか。

佐藤(剛)副大臣 漆原委員が被災後速やかに現地調査をせられておるお姿を拝見いたしておりまして、また、福井の飛行機で隣り合わせでいろいろなアドバイスを賜りまして、この機会に敬意を表するものでございます。

 ただいま委員御指摘の、新潟、福島、福井、一緒になって、早く一つの地域として激甚災害の地域として速やかにということでございます。

 私も三県行ってまいりまして、そこにいろいろな気象条件等きわめなければならない部分がありますが、同じ時期に同じ雲が出てこれだけの災害を、今御指摘のような話があったわけでありますから、そのような方向で、一つの地域、速やかにやる。そして、地域の指定ということで今事務的な詰めをやっているところでございます。よろしく……。

漆原委員 この点につきましては、小泉総理も積極的な発言をしておられます。激甚指定に向けての進捗状況、指定の時期についていつごろを目途とされているのか、御説明を願いたいと思います。

柴田政府参考人 事務的な件でございますので、私の方からお答え申し上げます。

 激甚災害指定のためには一定の基準がございます。その必要となる基準、その指定のためには災害復旧事業費の把握が必要でございます。可能な限り迅速に手続を進めるためにも、現在、各省庁と密接な連携を図りまして、被害状況の早期把握に努めているところでございます。

 本激指定について申し上げますと、これが基準に適合するとなった場合でございますが、通常でございますと発災から二カ月程度かかっておりますが、可能な限り短縮してまいりたいと考えております。

漆原委員 被災自治体の支出の中には、災害救助法あるいは激甚災害法ではカバーできないものがあると思います。被災自治体の災害対応及び復旧事業を十分に支援するために、特別交付税を含めた財政措置、ぜひとも講じてもらいたい、こう思いますが、いかがでございましょうか。

瀧野政府参考人 今回の豪雨災害によりまして被災した地方公共団体におきまして、応急対策あるいは復旧対策などに相当の財政負担が生じることが見込まれるところでございます。

 総務省といたしましては、関係地方団体の実情を十分お聞きしまして、罹災世帯数あるいは浸水家屋数に応じまして一定のルールのもとに特別交付税の配分をするなど、交付税あるいは地方債によります財政措置を講じまして、財政運営に支障が生じないようにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

漆原委員 地場産業に対する支援についてお尋ねしたいと思うんですが、三条市は金属機械の町であり、見附市はニットの町であります。また、鯖江市の河和田は漆器の里であります。今回の災害によってこれらの地場産業は物すごい被害を受けている、こういう事実があります。

 三条市では、一台数千万もする精密機械が水につかってしまったという大変な被害があります。また、見附市でも多くの業者が水につかって、これも、やはり一台数百万から一千万単位の精密機械が水につかった、使えなくなったというふうな話もあって、さらに、ニット業界は現在秋冬物ニット生産の繁忙期を迎えておりまして、納期のおくれによる損害の拡大が心配されております。

 鯖江の河和田地区は漆器の産地であって、これも全部水につかりまして、漆や木地等の原材料、乾燥機等の設備、のこぎり、かんな、はけ、へら、こういう漆器づくりに重要な備品が流されたという被害を受けております。

 また、今立町、これは和紙の産地でありますが、これも、和紙づくりに必要な機器が全部水につかって使用不能、こういう状況になっております。

 長年地域で頑張って根づいてこられたこれらの地場産業の多くは中小零細企業になっておるわけでありますけれども、これら地場産業に万全の支援策を政府は講ずるべきだと思います。どのような支援策が考えられるか、具体的に説明をしていただきたいと思います。

服部政府参考人 中小企業に対する支援策でございます。

 新潟県及び福井県におきます災害救助法の適用を踏まえまして、まず第一に、新潟県、福井県におきます関係機関に特別相談窓口を設置いたしまして、関連中小企業者の相談に応じる態勢を整えたところでございます。

 第二に、政府系中小企業金融機関におきまして、一般貸し付けとは別枠で貸し付ける制度、いわゆる災害復旧貸し付け、この制度の適用を開始したところでございます。

 第三に、政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に対しまして、返済猶予等既往債務の条件変更等について、被災中小企業者の実情に応じた弾力的な対応を行うように指示をしております。

 さらに、地元自治体等からの御要請に基づきまして、まず第一に、被災地におきます工場等の復旧に必要な代替工作機械の優先的な融通につきまして、最大限の便宜を図るように、関係の工作機械、産業機械等の五十に上る団体に経済産業省から協力依頼を行いました。

 それから、下請の関連でございますが、被災下請企業対策といたしまして、納期のおくれ等親事業者との取引に係る問題について、下請企業からの相談に適切に応じることなどを両県の下請企業振興協会に要請をいたしました。特に繊維の関連で、日本繊維産業連盟に対しまして、被災下請企業等から相談、協力要請等があった場合には、積極的に対応をいただくようにこれも要請をしております。

 今後とも、地元の自治体等と密接に連携をとりながら、被災中小企業の復旧支援に万全を期してまいりたいと、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

漆原委員 今の点はぜひとも頑張ってもらいたいというふうに思います。

 今お話がありました中に、中小企業庁と農水省が災害に係る特別相談窓口の設置を指示したというふうな説明があったわけでありますけれども、これは大変私はすばらしいことだと思います。ぜひとも、こういう相談窓口がありますよということを、きちっと多くの農業関係の皆さんまたは中小企業の皆さんに知ってもらう必要があると思います。

 そこで、その趣旨、相談の場所、実績について、おのおの中小企業庁、農水省、説明をいただきたいと思います。

服部政府参考人 相談窓口でございますが、災害で被災された中小企業の方々に対しまして、先ほど御説明を申し上げました支援情報等の提供を行いますとともに、金融相談、経営相談等に個別に応じるために設けたものでございます。

 設置場所は、両県の政府系中小企業金融機関、すなわち、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫の各支店、それから、両県の信用保証協会、主要な商工会議所、商工会連合会及び、関係いたします経済産業局でございます。

 なお、昨日、七月二十八日までの相談実績でございますが、新潟県で三百七件、福井県で八十四件ございまして、既に融資保証の実績が、新潟県で九件、金額で九千六百万円実現をしているところでございます。

 以上でございます。

佐藤政府参考人 お尋ねの件でございますが、七月十四日、豪雨の翌日でございますけれども、新潟市にあります農林公庫の新潟支店に、災害資金の借り入れや償還条件の緩和に対応するための相談窓口を設置したところでございます。なお、このことにつきましては、報道機関を通じまして県内にお知らせをしたところでございます。

 昨日までの実績で申しますと、稲作農家等からの新規の収入補てんのため等の借入相談が三件、それから、既往の借入金の償還期間の延長の相談が一件来ているということで、計四件でございます。

 被害の実態が明らかになるにつれまして相談案件がふえてくると思われますので、新潟の支店の方で、現在、八月の上旬にも、他の諸機関とともに、災害された現地での相談会を開くべく計画を進めているところだというふうに聞いているところでございます。

 以上でございます。

漆原委員 大臣にお尋ねしたいと思うんですが、被災者の生活再建支援についてお尋ねしたいと思います。

 新潟県では、全壊が二十二、半壊百五十六、床上浸水四千七十七。福井県、全壊は六十九、半壊百四十、床上浸水四千三百二十九棟。さらに、床上浸水のケースでは、泥水の水位が一階の半分ぐらいまで達しているということで、畳、布団、衣服、冷蔵庫、テレビ等の家財道具が泥水につかって使えない、こういうふうな状況になっております。

 ただ、こういう状況を救うための法律としては被災者生活再建支援法というのがあるわけなんですが、ただ、この対象が全壊または大規模半壊ということで、なかなか今回の水害では使いにくい状況になっているのではないかなというふうに思っているわけですね。

 ただ、特に水害で泥水をかぶった場合には、水害特有の悪臭だとか、あるいは将来の腐食などで、修復しなければ住宅として利用できない、あるいは大幅な質の劣化を招く、こういうこともおそれとしては考えられるわけでありますが、ぜひとも、この被災者生活再建支援法の弾力的な運用によって何らかの支援策を講ずるべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

井上国務大臣 生活再建支援法についてはもう委員十分御存じだと思うんでありますけれども、全壊または大規模な半壊の世帯が対象になるわけでありますけれども、全壊の場合は、これはもうわかりますから特に問題ないと思うんでありまして、問題は、半壊というんですか、実際には形は残っているんだけれども、住宅として果たしてその使用に耐えていけるのかどうかというそこですね。そういうところの家屋の取り扱いが問題になると私は思うんでありまして、私どもとしましては、物理的なそういう状況だけではなしに、機能的といいますか経済的といいますか、住居の用に適さないものは、その状況に応じまして全壊にするとかその他の分類をするとか、そういったことを現実に即しまして適切に判断をしていきたい、こんなふうに思いますし、その旨は県の方にも連絡をいたしておりますし、もう該当市町村の方にもそういうことが入っていると思いますので、市町村が第一義的には調査をされるわけであります。その調査の結果を十分見させていただきまして、今私が申し上げましたような趣旨といいますか考え方で最終的な決定をしていきたいと、こんなふうに考えております。

漆原委員 その点については、総理のコメントでも、ぜひ積極的な方向で対応すべしというお考えがあるようでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、消防庁と国交省に一点ずつお尋ねしますが、消防庁、避難状況をできるだけ早く多くの住民に周知徹底する有効な方法を講ずる必要がある、この点についてどう考えておられるのか。

 それから国交省については、洪水ハザードマップの作成についてぜひとも急がせるべきであるというふうに思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

林政府参考人 災害時におきまして、住民の方々に迅速かつ的確に情報を伝えることが重要でありますが、その際は、住民の方々全員に一斉に同時通報が可能であるような手段、また、災害によりますダメージが少ないような伝達手段を考えていかなければならない、こう考えておりまして、これまで消防庁におきましては、市町村に対しまして、これらの要件に適合するものといたしまして、同報系の防災行政無線の整備をお願いをいたしているところでございます。

 また、避難の勧告、指示の伝達に当たりましては、災害の状況及び地域の実情に応じまして、消防防災無線や、消防団あるいは自主防災組織を初めとした効果的かつ確実な手段を複合的に活用する必要があるのではないかということで、昨日、改めて全国の自治体に対して要請をさせていただいたところでございます。

 今後は、防災行政無線のみならず、例えば、自治体から放送事業者へ迅速に防災情報を伝達することによりまして視聴者に周知をしていく方法を含め、テレビ、携帯電話等の媒体を利用した災害情報の速やかな伝達についても検討してまいらなければならないと考えているところでございます。

清治政府参考人 ハザードマップでございますが、今、情報伝達のお話がございましたが、それ以前の問題としまして、水害の危険性のあるところに住んでいらっしゃる方々にその特性を知っておいていただくということも非常に重要なことだと思っております。それによりまして、迅速な避難でありますとか、人命が失われることのないようなことで機能させることができると思っております。

 これの作成もございますが、どういうふうにして普及していくか、皆さんに御利用していただけるかということも含めまして、国土交通省としましては、はんらんしたときにどういう現象が起こるのかということ、それから、そのときにどんな行動をとるべきかということがわかっていただけるようなマップを作成するためのガイドラインをお示しする等で支援を今後とも強化してまいりたいと思っております。

漆原委員 以上で終わります。どうも大変ありがとうございました。

堀込委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今回の豪雨災害で亡くなられた皆さんの御冥福をお祈りするとともに、被災者の皆さんには心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 ちょうど一年前は宮城県北部の連続地震だったな、そう思いながら、私も新潟、福島、福井とそれぞれ調査に行ってまいりました。被災地出身の委員の発言が続き、実態や要望もこもごも出されたわけでありますが、私からも、託された要望がいろいろありますので、これに沿って質問させていただきたいと思います。

 被災地は泥との闘いでありました。嵐南地区のある方は、畳部屋が三つ、台所というさほど大きくはないおうちでありますが、真っ正面から土砂が流れてきて、あっという間に泥に埋まり、三百袋分、これは土のうと同じ大きさでありますが、泥を出したそうであります。二階はとりあえずあって寝ることだけはできますけれども、一階は骨組みだけを残し、トイレも使えない状態で、今、避難所生活、仮設住宅を申し込んでおります。

 あるいは、平家で首まで水につかって逃げ場を失ったときに、たまたま畳が浮いたために、それにつかまって二晩畳の上で過ごし、一命を取りとめたという方もいらっしゃいました。この方はアパートで、大家さんが建て壊しをすると言っているので、帰る場所がありません。

 あるいは、福井県の美山町に行ったときに、泥かき作業中の家の中を見せてもらいましたが、これでありますが、家財道具を全部一式外に出して、泥だけが張りついた居間を通り抜けると、一つ残った部屋がこれでありまして、私のひざのところまで泥で埋め尽くされて、これを全部人の力でかき出しをしていたわけです。この方は、我が家はまだいい方だ、現場を直接見ていただけることが一番大事だ、この声を伝えていただきたいということを託されました。

 本当にどの方も、今どうすればいいのか、これからどうなるのかというたまらない不安でいっぱいでありましたし、行政がどれだけここの声にこたえることができるのかということを本当に考えさせられました。

 小泉首相はきのうの中央防災会議で、豪雨災害に対する被災者生活再建支援法の適用について、全半壊だけでなく、浸水被害を受けた住宅も、経済的損失を勘案して、同法積極活用の指示をしたと報道がありました。

 また、福井県の西川知事は、床下浸水を含む全被災世帯に一律二万円を支給するなどの緊急被災者支援金制度、あるいは、床上浸水なども対象にした被災者住宅再建補助金制度を県独自で立ち上げると表明し、その理由として、国の被災者生活再建支援法では豪雨災害に対応できないことを指摘しております。

 さきの通常国会でいろいろ議論をし、ともかく全会一致で採択をした改正法の最初のケースであります。今回の水害では、床上、床下浸水が圧倒的で、全壊、半壊という仕分けではほとんど少ないわけでありますが、今紹介した方々なども含め、実態に応じて支援法の対象になるということ、そのための周知徹底や査定など、さまざまな努力をするということをまず確認させていただきたいと思います。

柴田政府参考人 被災者生活再建支援法でございますが、対象となりますのは、地震のみならず、当然のことでございますが、自然災害ということで、風水害も対象になるわけでございます。市町村が各世帯ごとに住宅の実情を調査いたしまして、全壊または大規模半壊に該当すると認定した場合にはその対象となるということでございます。

 床上浸水あるいは床下浸水ということで区分するものでは決してないわけでございますが、ただ、これらにつきましては、今御指摘ございましたように、総理の方から、風水害、今回の実情に応じまして積極的に活用を検討するようにと言われておりますわけでございまして、支援法の具体的運用に当たりましては、この実情に応じまして適切な運用ができますように努めていきたいというぐあいに考えておりまして、この件につきましては、昨日、新潟県、福井県にも通知いたしたところでございます。

高橋委員 ありがとうございます。実態に応じての適用をしていただくということを確認したいと思います。

 同時に、文字どおり、名前のとおり、被災者生活再建支援ということができるというためには、やはり、前回の通常国会でも随分議論をしたところでありますが、建て直すための瓦れきの処分などという限定的な使用ではなく、修理をすれば住めるという方の修理費なども含めるべきだと考えます。そのためにさらに改正を検討するべきと考えますが、大臣の見解を伺います。

井上国務大臣 今の御質問の趣旨を私十分とらえ切れないんでありますけれども、制度といいますのは、実施をいたしますと、その実施の過程におきましてさまざまなこれは問題が出てくると思います。一つだけの問題じゃなしに、いろいろな問題が出てくると思うんでありまして、今の生活支援法の中にも見直しの規定が入ってございます。たしかあれは、四年経過の後に見直すということでありますから、その間に生じましたさまざまな問題についてその時点で検討させていただきたいと考えております。

高橋委員 四年を待てないなと今正直思っているわけですけれども、実施の過程においてさまざまな問題が生じてくるということを大臣がお認めになっていると思いますので、この点では要望にしておきたいと思います。

 次に、現行法の中でもっともっと解決できることがないのかと、そういうことをまず考えたいと思うんですけれども、三条市で、みずからも首まで水につかりながら家財道具すべてを台なしにした我が党の議員さんが、自治会長さんと一緒に、さっき出たまさにコミュニティーを発揮しているわけですが、町内を回ってお手伝いをし、また被災者の要望を聞く、そういう献身的な救助活動をしていらっしゃいます。その方が、今の災害救助法で何ができる、そういう怒りを込めてお話をされました。

 確かに今、三条市では、申し込みが多かったということで、申し込みに応じた仮設住宅を建設するということがもう決められました。私も避難所で直接被災者のお話を聞きましたけれども、ここならかなえられると言われた仮設住宅では、余りにも遠くて、自転車でパート先まで通うのは無理じゃないか、仕事をやめざるを得ないんではないかという不安の声が出されたり、あるいは学区の問題、子供さんの問題など、さまざまなことが指摘をされています。

 これはもう神戸のときも、仮設住宅を選ぶことができないというさまざまな立地の条件など指摘をされてきたところなんですけれども、改めてそのことが提起をされております。二年という指定があると。二年で何とか自分の家を持てたらそれも我慢できるかもしれないけれども、蓄えがない、アパートはもう建て壊しだ、そういう方々が、年金暮らしで今以上の家賃を払って新しいところを探すということは、難しい。まさに手も足も出ない状況であります。

 そういう点で、災害救助法には、第二条、「現に救助を必要とする者に対して、これを行なう。」と書いてあります。

 そこで伺いますが、災害救助法における仮設住宅については、公営住宅、民間アパートの借り上げなども含め積極的に活用するべきと思うが、いかがか。

 それから、被災住宅の応急修理について。今、台所やトイレなど破損箇所に手を加えれば何とか日常生活にたえられる、そういうことがわかっているけれども、資力がない者に対しては必要最小限度の補修に現物給付を行うことができますが、こうした制度をフルに活用すべきだと思いますが、見解を伺います。

小島政府参考人 二点、災害救助法関係のお尋ねでございましたが、まず、住宅の提供についてでございますが、災害救助法におきましては、災害によりまして居住する住宅が被災したという方で、みずからの資力では住宅を確保することができないという方に対しまして居住の場を供与するということにいたしております。

 一般的には仮設住宅を建設することとなる場合が多いわけでございますが、地域の実情を踏まえまして、それ以外の手段、今御指摘のありました、公営住宅の活用でありますとか民間住宅の借り上げ等、こういった地域資源をフル活用して被災者の救済に当たる、また、それも災害救助法で可能だということで、これまでも全国担当者会議で何度も説明をしてまいりました。今回の被害の被災地であります新潟県及び福井県の担当者にもこの旨を周知してきたところでございます。

 なお、福井県におきましては、公営住宅の活用や民間住宅の借り上げ等による対応を検討しておられるというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、今後とも、新潟県、福井県、それぞれの被災状況あるいは要望等を踏まえながら適切な対応をしてまいりたいと思いますし、また、公営住宅の活用や民間住宅の借り上げ、これにつきましては、全国の都道府県に、そういった対応もあり得るということをさらに周知徹底をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 次に、住宅の応急修理についてでございますが、災害救助法におきまして住宅の応急修理ということは、災害のために住家が半壊または半焼し、みずからの資力では応急修理をすることができない者に対して、日常生活に必要最小限の部分を現物により修理するというふうになっております。

 一応、条件として半壊あるいは半焼という条件があるわけですが、しかしながら、こうした一般的な条件によりがたい場合、例えば水害の場合、床下、床上浸水などの場合には、当面の日常生活にも支障が生じているような場合には、こうした応急救助の対象となるよう、都道府県から厚生労働大臣に協議をし、特別基準を設定することができるということにされております。まだ、新潟県、福井県から具体的な相談はないわけですが、今後、こういった特別基準設定の協議があれば御相談に応じてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

高橋委員 協議によって特別基準設定の用意があるというお答えだったと思いますので、非常にありがたく思っております。自治体の相談に乗って、フルに活用できることを強く要望したいと思います。

 次に、総務省に確認をしたいと思うんですが、先ほど来幾つか出ておりますけれども、改めて、自治体が独自に取り組む支援策に対し特別交付税など国の支援が必要だと思いますが、見解を伺います。

瀧野政府参考人 今回の豪雨災害によります地方団体の財政負担につきまして、相当の財政負担が見込まれるということでございます。

 これに対する財政措置といたしましては、災害復旧事業などにつきましては個別の事業に応じました措置を講じているわけでございますが、その他の災害の対策に要しました費用につきましては、罹災世帯数とか、そういう客観的な数字に着目して包括的な措置を行うことを基本としておるところでございます。

 いずれにいたしましても、関係地方団体の実情を十分お聞きしまして、財政運営に支障が生じることのないように財政措置をしていきたいというふうに考えております。

高橋委員 この点はよろしくお願いしたいと思います。

 次に、地場産業の支援の問題でありますが、今回の災害の大きな特徴でもあるかと思っております。

 先ほどお話にもありましたけれども、三条市は金属産業集積地として知られておりますが、一千を超える金属関係の七割近くが何らかの被害を受けたと言っております。あるいは、見附市が全国有数のニット産業の集積地で、市内の二十一社が被災し、二百五十台の編み機が水につかりました。修理で済めば一台約五十万くらいだと言われておりますが、購入すれば一千万円と言われています。在庫の糸がぬれてしまったと悩んでいた五十一歳のニット関係者が最近自殺をいたしました。こういうまさに待ったなしの状況になっております。あるいは鯖江市の、千五百年の歴史を持つ越前漆器の被害、これも八割近くが被災をいたしました。地域経済を担う地場産業と中小企業が災害から立ち直って事業を再建できるかどうかが本当に重要だと思います。

 しかし、やはりその対策を聞くと、融資しかないというのが今の現状かと思います。ただでさえ不況で、そもそも借金を抱えている業者に、幾ら低利とはいえ、新たな融資を受けることはなかなか困難ではないでしょうか。

 そこでまず伺いますが、先ほど来お話に出ている融資の問題でありますが、政府系の金融機関ではない金融機関の借りかえ融資、繰り延べなどを検討すべきではないか、あるいは、これは、自治体で積極的に国保税の減免措置をやっていただくことを国として促していくこと、同時に、滞納を理由にしない融資という形で今回の災害では便宜を図っていくことも検討すべきかと思いますが、その点について伺います。

服部政府参考人 お答えいたします。

 私からは、政府系金融機関でない、一般金融機関からの融資等についての関連するところでお答えをさせていただきますけれども、先ほど申し上げましたように、新潟県、福井県で災害救助法の適用がなされました段階で、相談窓口それから復旧貸付制度、これは先ほど来御説明をしておりますが、もう一つ、政府系中小企業金融機関それから信用保証協会。

 信用保証協会の信用保証というのは、これは、原則、一般金融機関からの借り入れについて信用保証をするものでございますが、両県の信用保証協会に対しましても、返済猶予等既往債務の条件変更等について、被災された中小企業者の実情に応じた対応を行うようにお願いをしておるところでございまして、こういったことで、一般の借り入れ等につきましてもある一定の対応はし得るのではないかと、こういうふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

高橋委員 一定の対応ができるというお話だったと思いますが、相談を受けるだけではなく、積極的に業者の皆さんが、ただでさえ借りにくい状態なのに大変な思いをされるということがないように、こちらから働きかけていくということをお願いをしたいと思います。

 あわせて、機械との関係で、一つは、納期がおくれたために補償金を迫られる、そうした問題が起こっておりますけれども、弱みにつけ込んでといいますか、こういうときにさらに大変な思いをするという状態にならないように、だから、下請の人から相談があったら何とかするということではなくて、やはり、そういうことはもう既に起きているわけですから、やらないようにということを事前に指導を徹底すべきと思うがどうかということ。

 それから、機械が、関連業界などの援助も得ながら無料貸与などの思い切った支援があってもいいと思いますが、その点について伺います。

服部政府参考人 私からは、下請関係の御質問の部分についてお答えをさせていただきます。

 中小企業庁といたしましては、被災した下請中小企業から、先生今お話しのように、契約どおりの納入ができない等を懸念する声があるということは承知しておりまして、先般、七月二十二日付で、財団法人全国下請企業振興協会を通じまして、被災地の県における各県の下請企業振興協会に対して、被災した下請中小企業から、納期のおくれなど親事業者との取引に関する問題について相談を受けた場合には、適切に助言を行い、また、必要に応じまして親事業者に連絡をとり、問題の解決のためのあっせん等を行うよう要請をしたところでございます。現在のところ、新潟県では六十四件、それから福井県では三件の相談をいただいております。

 ただ、この件数の中には、契約どおりの納入ができないといった相談は見られないわけでございますが、金融支援を受けたい、あるいは機械の入れかえをしたいというふうな形で具体的な相談が出ておりますので、今後とも、こういった具体的な相談内容などの把握に努めて適宜対応してまいりたいと、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

塚本政府参考人 復旧のための設備等の問題でございますけれども、これについては、可及的速やかにということで、今月の二十日に、業界、これは、産業機械、工作機械、金属金型、それから建設関連資材等の団体、七月二十日から、随時、約五十団体に優先的な融通を図るようにということでお願いをしているところでございます。

 それで、本件につきましては、ただ単にお願いをするだけではなくて、やはりきめ細やかな対応が必要だということで、現地には、地方の経済産業局の職員、さらには、きょうも派遣しておりますけれども、本省から担当の課長も派遣をしておりまして、そのフォローアップをさせていただいている。

 そういう中で、地元自治体それから商工会議所、それから、要請を行いました関係団体等からどのような状況かということを聴取しておりますけれども、例えば、編み機の製造業者が地元のニット製造業者の工場に対策チームを派遣して、部品の供給等を実施する等、既に迅速な対応が行われているというふうに承知しているところでございます。

 ただ、まだ十分に行き渡っていないところもあろうかと思います。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、地元の実態をより詳しく調査をし対応方策をともに考えていくということで、当省の職員も派遣しているところでございます。

 以上でございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 今、編み機のお話がありましたけれども、ニットの業者が、元請から毎日機械が動いたか動いたかと電話が来て、一日も早くもうつくり始めたいんだけれども機械が動かない、そういう悩みを抱えていると。そういうときに、やはり現場にいて対応してくださるというのは本当にありがたいと思うんです。

 ただ、今お話の中に少しあったかなと思うんですけれども、貸与というふうな形も検討されているということで確認してよろしいですか。

塚本政府参考人 遊休設備の無償の貸与の問題でございますけれども、これは、今御案内のように、我が国経済は景気が回復して、こういう産業機械、いろいろな意味で需要が伸びてきておりまして、そういう意味では、遊休の設備というのがどういうふうにあるのかというのはなかなか難しい問題もあろうかと思います。

 ただ、いずれにいたしましても、そういう貸与の問題も含め、地元での個別具体的な事業者の御要望を踏まえてきめ細やかな対応を図っていきたいというふうに、かように考えております。

高橋委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 それから次に、先ほど来出ているJR越美北線のことなんですが、もちろん、もうお話が出ていて、国の方でも積極的な答弁をいただいたと思いますが、やはり水の力とはこんなにすごいものなのかというのを、私も現地に行って驚きました。線路そのものがこれほど曲がってちぎれていると。陸橋がこれほどちぎれているのが五カ所あるということで、さっきお話があったように、復旧のためには莫大な時間と費用がかかるというのは、それはやむを得ないだろう。だけれども、それをやはり国が支援して初めて後押しになるのかなと思いますし、JRの西日本の社長が、最初は廃線も否定せずという言葉が見出しで大きく地元紙に載ってしまったために、翌日には撤回されたんですけれども、住民の不安が非常に大きくなっているわけなんです。

 今は代替バスを運行しておりますが、雪が降ると電車以外には道がない、バスではだめなんだということが非常に言われているんですね。もう通う手段がないと。だから、単純に利用がまだ思うように少ないというところはあるかもしれないけれども、もうほかにかわりのない線路だということからいっても、まず、必ず復旧させるという立場に立って支援をするということをぜひ確認をさせていただきたいと思うんですが、お願いいたします。

    〔委員長退席、達増委員長代理着席〕

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども答弁いたしましたが、JR越美北線の足羽川にかかる橋梁、これは五カ所が流失いたしました。それから、線路の流失、路盤あるいはのり面の崩壊等、三十カ所程度の被害がございます。この被害の規模というのは相当大きいというふうに考えておりますが、したがいまして、その全面復旧には相当の時間がかかるだろうというふうに思っております。

 現在、JR西日本におきましては、早期に復旧計画を策定するために被害状況を調べている最中でございます。私どもといたしましては、一日も早い復旧に向けまして、JR西日本に対しましては強く指導してまいるつもりでございます。

高橋委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、農業の被害のことなんですが、新潟も福井も福島もまさに米どころで、至るところ泥をかぶった田んぼや畑が続き、農業被害が本当に甚大なものとなっています。

 その中でも本当に驚いたのが、中之島町の中条新田というところですが、二千七百町歩のうち一千町歩が冠水をしました。これが田んぼですよと説明されなければ、普通の湖かなと思うような状況でありました。ここに行ったのは翌日の十四日でありましたので、今ならまだ間に合うんじゃないかということで、何とか水抜きをしてほしいと県の方にもお願いをして、県の方では直ちにポンプを配置してくださって、水抜きをされて、今は水は抜けたということであります。ただ、その後の、かぶった後のいもちの心配などがあって薬剤散布などをしているわけですが、こういう点でやはり援助が必要でないかと。

 今、もう水を見たりあるいは泥を見た時点で、こっちは泥なんですけれども、越美北線の近くの泥をかぶった田んぼなんですけれども、その時点でもう無理かなとあきらめてしまう農家が多いと思うんですね。それでなくても、この間、いろいろの米の値段が下がっているということもありますので、そこに、まだ間に合う、今頑張れば間に合うという点でのやはり援助がどうしても必要だろうと。

 その点での、例えば今お話をした薬剤散布に対する援助などを検討してもいいのではないか。まず、この点一つ伺います。

伊地知政府参考人 お答えいたします。

 今回の集中豪雨によりまして冠水いたしました水田では、今委員が言われましたように、いもち病や白葉枯れ病等の発生が懸念されております。このため、排水後の適切な防除対策を講じるよう、農政局から関係県を通じまして農業者に対し指導を行ったところであります。

 さらに、関係県におきましては病害虫の発生動向を調査しておりますが、これまでのところ、冠水した水稲では目立った病害虫の発生は見られていないと聞いております。

 今後とも、引き続き、県を通じまして農業者に対しまして、病害虫の発生動向に係る情報の迅速な提供に努めますとともに、的確な防除指導の推進により支援を図ってまいりたいというふうに考えております。

高橋委員 指導だけでなく、ここのさっき紹介したところでは既に県として薬剤散布の補助をしていますので、そういうのは、さっき言った交付税の措置でも何でもいいんですけれども、国として援助を検討していただきたいと思います。

 福島県でも、只見町を初め、土砂をかぶった転作田など農地被害が多く、林業と合わせ三十三億円の被害に上っております。あるいは、鯖江市に行ったときは、排水ポンプの修理ができていれば、これは要望してあったんだけれどもと、そういう声も聞きました。まず土砂を取り除くことやポンプの修理をする、そういう応急的な工事をすることで農地がよみがえる、そういうことがあるのであれば、急いでそれは対応すべきだと。

 査定云々以前に、仮工事といった制度もあると聞きましたので、その点での対応方がどのようになっているのか、伺います。

南部政府参考人 お答えいたします。

 緊急に復旧すれば新たな作付に間に合うようなものにつきましては、先生がおっしゃるとおり、査定の前でありましても、揚排水ポンプの復旧でありますとか、営農に支障があるような、農地にたまった土砂の除去等の応急工事を行うことができるようにしております。これにつきまして、県から、既に水路でありますとか仮設ポンプのような応急工事に一部着手しているという報告を受けているところであります。

 また、ほかの通常の暫定法等に基づきます災害復旧事業につきましても、県の方から概要書等提出されれば、できるだけ早く対応してまいるということで考えておりますので、よろしくお願いいたします。

高橋委員 農業については、あとは要望にしたいと思います。

 やはり、この間も、ずっと冷害があったり、価格の低迷で痛めつけられた中での今回の被害でありますので、農家の皆さんがもうあきらめてしまうことが一番怖いわけで、元気に続けていけるような支援をお願いしたいと。

 それで、一番最初に私が上越新幹線で長岡に入ったときに、冠水した田んぼを見て、あちこちずっと見たんですけれども、田んぼのダム機能というんですか、それが本当に果たされているなというふうに思ったんですね。私たちはいつも、中山間の直接支払い制度の拡充と同時に、これを、平場でもやはり多面的な機能というのを生かして援助すべきだというお話をさせてもらっているんですが、まさに今回はそういう機能が発揮されたなと思っているんです。だから、国土を守る役割を果たしていながら、しかし農業ではやっていけないという状況が今起きておりますので、この点をよく検討されて、農家の皆さんを支援することを強く要望したいと思っております。

 最後に、堤防の問題、それと治水対策のことでお話をしたいと思うんですけれども、なぜ堤防が決壊したのかということが、各方面、新聞でいろいろな専門家の方がお話をしたりして議論が始まっているわけです。これは、今私が単純にここでこうだとは言えません。時間がかかるかもしれませんけれども、しっかりこれは検討しなければならないと思っております。

 それで、福井市の酒井市長が、足羽川ダムを何としてもつくってほしいということを会見で主張したわけです。でも、同時に、ダムがある三条市などでは、例えば五十嵐川では笠堀ダム、大谷ダムの二つのダムがあるけれども、計画雨量をはるかに超えて、ダムも放流をするし堤防は決壊をする、こういうことが実際起きていると。では、もっと大きいダムをつくれという単純な話にはならないわけで、やはりこの点は、ここでいいのかということが本当に検証されなければならないと思うんです。

 さっきお話に出たこの五十嵐川の決壊部分ですけれども、この堤防は昭和八年から十二年に河川改修をしたものであって、だから、もう六十七年たっているわけです。どう考えたって老朽化ですよね。本当にもろく感じました。やはりこのことを、ダムはその後できておりますけれども、河川改修が手をつけられてこなかったんじゃないか、このように率直に見なければならないと思うんですね。

 二十三日に河川局が出した緊急点検項目を見ますと、のり面の亀裂、局所的に低い箇所がないか、取りつけ護岸の変形やクラックがないか、目視で点検をせよ、こういう指示をしておりますが、このような定期的な点検や補修あるいはしゅんせつなどがやられていたのかどうか、そのことがまず検証の中でしっかりと点検をされなければならないと思うんです。

 あるいは、ダムがあるからダム依存の治水対策になっていたのではないか。そもそもそのダムが、笠堀ダムでいいますと、昭和四十年完成で三十九年目を経過しておりますが、百年で二百十万立米を堆積すると見込んでいた堆砂は既に百八十四万立米、八十六年分も堆積をしております。こうした点が何かの手が打たれてきたのかどうか、影響がなかったのかどうか、この点も当然見なければならないと思います。

 県管理河川であり県管理のダムだから、そういう話にはしないで、国も一緒になって検証することが必要と思いますが、この点について見解を伺います。

    〔達増委員長代理退席、委員長着席〕

清治政府参考人 このたびの出水並びに水害につきまして県が今調査に入っておりますが、まず堤防等につきましては、今お話しありましたように、かなり古い堤防でございます。ただし、堤防は土でできておりますので、その後の維持管理を適切に行っていれば、その機能は保持されるものだというふうに考えておりますが、今回破堤した箇所につきましては、堤防自体、土でございますので、水を含んだときの性状がどう変わるかとか、それから、今回も増水がかなり大きかったわけでありますが、そういう中で破堤に至った機構といいますか、そういうものにつきましては、調査を進めるとともに、学識経験者等による調査委員会を設置しまして、その中で検討していくということにしているわけでございます。

 それから、お話のありました上流のダムでございますが、ダムが今回どのような機能を発揮したのか、また、どの辺までが限界だったのかということにつきましても、データ等の整理をいたしまして、十分おわかりいただけるような形でお示ししていきたいというふうに思っております。

 今回は、ダムが持っておりました洪水調節のための容量は、笠堀につきましては全く丸々全体が機能したということでありますし、もう一つの大谷川ダムというものにつきましても、ダムを設置した目的そのものは十分果たしているということを我々確認しておるところでございます。

 また、ダムの堆砂につきまして御指摘がございましたが、計画堆砂量は百年見込むわけでございますが、これは、その間の出水の状況によりましてかなりばらつきが出てきます。ただし、今回のこの五十嵐川に関係する二つのダムにつきましては、計画堆砂量以内の堆砂の現状にございますので、洪水の調節効果につきましては、堆砂の影響なく効果が発揮できたというふうに我々承知してございます。

 いずれにしても、今回の全体の洪水の現象がどうであったか、それから、水害に至った経緯がどうであったかということにつきましては、今後しっかり調査をして、お示しできるようにしてまいりたいというふうに思っております。

高橋委員 時間が来ましたので要望にとどめますが、今のダムの問題では、機能が発揮されたということを今言うべきではないのではないかと思います。十分な時間が必要でありますので、また質疑の機会をいただきたいと思いますし、今お答えいただきましたように、国としてもしっかり地元自治体や有識者とも協力をして点検、検証をされることを、当然確認をしたいと思います。

 先ほど来、警報の問題や避難勧告の問題なども出されておりますが、私、気象台が出した資料なども全部いただいたんですけれども、六時二十九分の時点で大雨洪水警報を出し、一時間の雨量は五十ミリ、八時二十一分の時点では、一日二百八十ミリになるということをもう警報し、重要変更、重要変更と、過去数年間で最も土砂災害の危険性が高まっていますということを警告しています。

 私は、これが本当に住民のところまで届いていれば、少なくとも寝たきりのお年寄りがそのまま流されるということはなかったんではないか、このように思っております。ダムの操作をします一時間前ですという通報を各関係者にされたという資料もいただきましたけれども、東三条駅やJRの保線技術センターなど、一部の連絡のとれないところもありました。

 ですから、機械を使う、人も使う、あらゆる手段を通して、気象庁、河川局、県が一体となって、警報が住民の避難や避難の準備に間に合うように取り組むべきだと思っております。この点を、今後の大きな改善を図っていただくことを要望して、終わりたいと思います。

 以上です。

堀込委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。

 今回の豪雨災害によって亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に対して深く哀悼の意を表します。

 被災された方々の皆さんに対して心からお見舞いを申し上げます。また、ボランティアの皆様を初め、関係機関の皆様の復興に向けた御努力に心から敬意を表する次第でございます。

 社民党は、新潟県の現地調査、あるいは、福井県に対しては又市幹事長が直接現地に赴きまして現地の状況を把握する、そして対策を検討してきた結果、二十七日に、井上防災担当大臣に対しまして、「激甚災害法に基づく激甚災害の指定を早期に行い、復旧事業の推進を図ること。」そして、「農業共済事業に係る共済金の早期支払いに努めること。」こうした十四項目にわたって、新潟、福井、福島の豪雨災害に対する申し入れということを行ってまいりました。

 これを踏まえて質問をさせていただきますが、最初に洪水ハザードマップの件でございます。

 今回の豪雨災害の原因でありますが、予想をはるかに上回る降水量ということで、新潟では、一日に四百ミリを超えるというふうな、観測史上例のない大変な豪雨でありましたし、福井県でも、二百年に一度というふうに形容されるようなすさまじい豪雨であったわけでございます。しかし、洪水ハザードマップが整備されていなかったということが被害を大きくしたのではないかというふうに指摘もされているわけでございます。

 この点についての政府の見解をお伺いしていくわけでございますけれども、このハザードマップは、全国で千二百カ所の河川流域が作成の対象になっています。大洪水の際の浸水範囲とか被害程度を予測して、避難経路、避難場所を示したハザードマップを作成して、住民に周知させる努力義務を市町村長に課した水防法一部改正案が平成十三年に成立しているわけでございますが、このハザードマップが作成された実績ということでは、ことしの七月段階で三百三十四市町村でしか整備されていないという状況にあります。

 福島県の例でございますと、九八年の豪雨、福島県の郡山市、このマップを事前に見ていた住民とそうでなかった住民との間で、平均五十五分、この避難の時間が違っていたということでございます。

 ですから、このハザードマップの整備というのが、これは急がなきゃならないと思うんですが、この作成が全国でおくれている原因、あるいは、国としてこのハザードマップ作成に当たっての援助というのがどうなっているのか、まずお伺いします。

清治政府参考人 ハザードマップについてのお尋ねでございますが、ハザードマップの有効性につきましては、今委員御指摘のように、既にハザードマップができているところにつきましてはその効果が見られているところでございます。

 残念ながら、今回の被災されたところではハザードマップがまだ未整備であったわけでございますが、これがあった場合には、かなり有効に機能したのではないかというふうに私どもも推測してございますが、なお、そのハザードマップをつくったものが地域の方々によく浸透しているかどうか、それから、いざというときにそういう意識を維持しておいていただけるかどうかというようなことについても、我々努力を重ねていかなければならないというふうに思っています。

 今、委員からいろいろ経過のこともお話しいただきましたが、私ども、このハザードマップにつきましてどのように取り組んできたかということを若干お話しさせていただきたいと思いますが、直轄の河川につきましては、平成六年ぐらいから関係の市町村にこのハザードマップをつくることを勧めておりまして、かなり進んでいる状況かなと思っておるわけでございますが、これらについても、以前の河川審議会でございますか、そういうところからも、有効であるので、その作成、普及に努めるようにということを平成十二年にいただいておりまして、平成十三年には水防法を御指摘のように改正させていただきまして、浸水想定区域を指定して、そこについてはハザードマップを整備していくということで力を入れているわけでありますが、残念ながら、まだ普及状況は委員の掲げられた数字のとおりでございます。

 まだ、そういう意味では十分とは言えないわけでございまして、このハザードマップの有効性を自治体によく知っていただく努力をしたいと思っておりますし、そのハザードマップの作成に必要な支援につきましても、情報、こういう現象が起こるんですよというようなことをお示しして、そして、ハザードマップはこういうふうに情報を盛り込んで配付なり掲げていくと有効ですよということについて、自治体の方々に今後とも強力に支援をしていきたいというふうに思っているところでございます。

山本(喜)委員 この水防法の改正のときに、第百五十一国会の国土交通委員会、このときに、ハザードマップの作成に当たって国が財政支援を行うべきではないかということで質問をしたわけでございますが、この当時の議事録によりますと、当時の河川局長、ハザードマップ作成のための財政支出は「市町村の当然の業務の中の支出」だと答弁しているわけです。この「当然」というふうに言われていることが多くの自治体で行われていない現状にあるわけですね。

 ですから、国の財政支援というのが必要ではないかと考えるんですが、この点についてはいかがでしょうか。

清治政府参考人 ハザードマップを作成する場合に、いろいろな調査が必要になってまいります。例えば、河川がここで切れたときにどういう現象が起こるのか、はんらんしたときに、どういう形で流れてどこにたまって、どのぐらいの水深にたまるのかとか、こういうことを調査しなければならないわけでございますが、こういうものを解析したり調査をする場合にはかなりの費用を要することになると思いますが、この点につきましては、河川管理者がそのハザードマップに盛り込む情報として提供していく努力を続けているところなわけでございます。

 それで、それをマップに印刷するなりして各戸に配付するというところについてそれぞれの自治体が取り組むわけでございますが、今その普及がなかなか進んでいないというところにつきましては、水害がしばらく起こっていないとか、さまざまな御事情はあろうかと思いますが、やはり、国民の生命財産を守るためにはこのハザードマップが有効なんだということを自治体の方が十分理解することによって、かなりの部分普及が進むのではないかというふうに考えております。

山本(喜)委員 次に、高齢者など災害弱者に対する対策についてであります。

 今回の新潟・福島豪雨で十五名の方が亡くなられましたが、そのうち十二名が七十歳以上の方でございました。災害時、緊急な避難が必要な場合に、高齢者や障害者への支援というのが不可欠でございます。

 それで、この新潟県三条市の場合、これはマスコミ報道でございますが、地域防災計画で災害弱者を救出するための安全対策マニュアルは用意していたようでありますが、民生委員は、そんな話は聞いたことがないということとか、あるいは、マニュアルで決められていた災害弱者対策班というのは設置すらされなかったというふうな報道があるわけでございます。

 災害対策基本法の八条によりますと、「高齢者、障害者、乳幼児等特に配慮を要する者に対する防災上必要な措置に関する事項」というのが明記されているわけでございますが、この災害時要援護者への対応、これが地域防災計画にどのように位置づけられているのか。それから、この地域防災計画を実効性のあるものにするために、今後どのように地方自治体に働きかけていくのか。これは消防庁長官にお尋ねします。

 それからもう一つ、今回の教訓を受けて、国として、高齢者、障害者など災害時要援護者の避難誘導に関しての取り組みを今後どのように強化をしていくのか、この点について対策をお願いします。

林政府参考人 地域防災計画についてのお尋ねでございますが、この計画は、災害対策基本法に基づきまして、都道府県及び市町村の防災会議が決定することとなっております。この地域防災計画をつくるに当たりましては、中央防災会議が策定されます防災基本計画に基づいて策定するということになっております。

 その防災基本計画の中には、御指摘ございましたような要援護者につきましては、「地方公共団体は、高齢者、障害者その他のいわゆる災害時要援護者を適切に避難誘導するため、地域住民、自主防災組織等の協力を得ながら、平常時よりこれらの者に係る避難誘導体制の整備に努めるもの」というふうにされているところでございまして、この計画に基づきまして、それぞれ地方団体におきましても、災害時要援護者対策として、この趣旨を受けた内容が盛り込まれているところでございます。

 一、二私も拝見をしてみましたけれども、平常時から、例えば、地域コミュニティーによる要援護者の把握あるいは安否確認を行うと同時に、災害時におきましては、地域の消防団あるいは自主防災組織、さらには近隣住民の方々を通じまして避難勧告、指示を伝達する体制を整える、また、避難誘導に当たりましては一般の方より優先する、こういう内容が規定をされているようでございます。

 ただ、要は、御指摘のように、このように定められました地域防災計画が、いざ災害が発生いたしましたときに効果的に動くような体制がつくれているかどうかによることになります。

 私どもといたしましては、この地域防災計画の実効性を確保する観点から、地方公共団体におかれましては、平時から、この計画に基づきまして、地域の方々が連携をして災害時の要援護者対策が実効あるような形で動くよう、訓練等を通じて担保していただくようお願いをしていきたいと思っております。

 具体的には、かなりそういう訓練をなさっている地域もたくさん出てきておりまして、例えば最近では、テレビ等でも報道されましたけれども、荒川区におけるおんぶ作戦というような事例が各地域で出てきております。

 このような事例を全国にお伝えをしながら、現在の計画を確実なものにしていただくよう、訓練を重ねていただくような体制づくりをお願いしてまいりたいと考えております。

佐藤(剛)副大臣 ただいま、委員から、高齢者の問題につきまして災害対策法との関係で御指摘がございましたが、今回の福島、新潟、福井という豪雨から受けました私どもの教訓は、高齢社会の中において、自分たちの町を、自分たちの村を、自分たちの地域を自分たちでいかに守るかという課題を突きつけられたのではないかと。そういう反省のもとに、防災大臣のところで、二十六日でございますが、関係局長会議を急遽開会いたしました。この問題につきましていろいろな方策を考えようということで今進め出したところでございます。

 非常に重要な点だろうと思いますし、これについては、郵便局の、もう既に郵政省時代のころから、配達の人が出かけていって、おばあちゃん、いかがですかというようなことでの制度ができたり、あるいは学校の生徒がおばあちゃん、おじいちゃんのところに寄っていくというような仕組みも、地域的には、また部分的でございますが、できておるわけでありますが、そういう問題について知恵を使って、この新たな一つのシチュエーションが変わったわけでありますので、これについて真摯に取り組んでまいりたいと思っております。

山本(喜)委員 やはり日常的に、高齢者世帯あるいはひとり暮らしの老人の世帯、こういうところをきちんと把握しておきながら、だれがどういうふうに緊急時に対応するのかということも含めた、きめ細かな対応が必要ではないかというふうに思っています。

 それから次に、防災行政無線についてでありますが、三条市ではこの防災行政無線が同報系ではなかったわけでございます。この整備状況、同報系は現在六七・八%の普及でございますが、この整備促進については国が一定の経費を払っているわけでございますが、この経費の支援というものをさらに拡充をするべきではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

林政府参考人 御指摘のように、私どもも、今後の防災対策を考えますと、同報系の防災行政無線の整備は、緊急を要する、特に優先度の高い施策だと考えております。

 状況につきましては、お触れになりましたけれども、まだ全国平均で六七・八%の整備率でございますし、県別に見ますと、なお三〇%台にとどまっている県も多くあるわけでございます。

 ただ、私どもといたしましては、やはり住民の安全の確保は行政の基本でありますし、優先して整備されるべきものであると考えておりますので、できるだけ早急な整備を各市町村長さんに強く働きかけてまいりたいと考えております。

 なお、財政支援についてお触れになりましたが、私ども、阪神・淡路大震災の教訓にかんがみまして、その後、補助制度及び地方債と交付税を用いました単独の事業費支援の制度を設けておりまして、できるだけこれを活用して整備をやっていただきたいということを以前から強くお願いをしているところでございます。

山本(喜)委員 時間がなくなりましたので、最後に、被災者再建支援法、小泉総理を含めて、先ほどから大臣も、浸水した家屋に対する弾力的な運用ということを話されておりますから、それはぜひお願いしたいんですが、やはり今回の現地で言われたことは、家の再建に対する直接支援ということがかなり強い要望だったわけでございます。前回の通常国会で改正が成立したばかりですけれども、やはり、まだまだ直接支援ということに対しては大きな要望がありますので、この点についてぜひ大臣の見解をお願いして、終わっていきたいと思います。

井上国務大臣 災害対応につきましてはいろいろな考え方があろうと思うんでありますけれども、私どもとしましては、やはり自助の部分と共助の部分と公助の部分、この三つがあると思います。

 住宅、これに対する支援というのは、こういう三つの分類をいたしました場合にどういうような角度から考えるべきかということになりますと、これは確かにいろいろな考え方がありますけれども、大方の考えとしては、いろいろな議論がある中にも大方の考え方としては、やはり、私有財産の基礎をなします住宅、住宅と土地というのは、まさに私有財産中の私有財産だと私は思うんでありまして、これの取得につきましては、個人が責任を持ってやるということがどうもやはり基本になるというのが大方の意見だろうと。

 これは生活支援法の審議の過程でも再三申し上げてきたところでございまして、そういう意味で、私どもは、保険の制度なんかも十分活用しながら、そういったことで対応していくというのが基本じゃないかと思っておりますが、ただし、いろいろな考え方があることは事実でございまして、法律の審議の最初の段階で、附帯決議、ちょっと前の御答弁で法律と申し上げましたけれども、あの附帯決議の中で、四年を経過したときに再検討するということでありますので、そういった問題を含めて検討されるんじゃないかと、こんなふうに思います。

山本(喜)委員 実際の被災をされた方々の多くの意見は、やはり直接支援してほしいということでございますので、そうした声に耳を傾けていただいて、一日も早い復旧に向けて努力をしていただきたいということをお話をいたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

堀込委員長 以上で質疑は終了しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.