第6号 平成16年12月2日(木曜日)
平成十六年十二月二日(木曜日)午前十一時九分開議
出席委員
委員長 西村 真悟君
理事 佐藤 剛男君 理事 斉藤斗志二君
理事 福井 照君 理事 三ッ林隆志君
理事 小平 忠正君 理事 小林 憲司君
理事 松原 仁君 理事 石田 祝稔君
伊藤信太郎君 江藤 拓君
大野 松茂君 小坂 憲次君
近藤 基彦君 左藤 章君
竹下 亘君 谷本 龍哉君
津島 恭一君 中西 一善君
中野 清君 中山 泰秀君
西村 明宏君 馳 浩君
林 幹雄君 原田 令嗣君
三ッ矢憲生君 森 英介君
吉野 正芳君 泉 房穂君
一川 保夫君 黄川田 徹君
菊田まきこ君 岸本 健君
津川 祥吾君 前田 雄吉君
牧野 聖修君 村井 宗明君
和田 隆志君 赤羽 一嘉君
白保 台一君 塩川 鉄也君
高橋千鶴子君
…………………………………
議員 泉 房穂君
議員 鎌田さゆり君
議員 松原 仁君
議員 高橋千鶴子君
議員 横光 克彦君
衆議院調査局第三特別調査室長 五十島幸男君
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委員の異動
十二月二日
辞任 補欠選任
小坂 憲次君 馳 浩君
近藤 基彦君 谷本 龍哉君
保坂 武君 津島 恭一君
宮下 一郎君 中山 泰秀君
高橋千鶴子君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
谷本 龍哉君 近藤 基彦君
津島 恭一君 中西 一善君
中山 泰秀君 宮下 一郎君
馳 浩君 小坂 憲次君
塩川 鉄也君 高橋千鶴子君
同日
辞任 補欠選任
中西 一善君 保坂 武君
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本日の会議に付した案件
被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(仙谷由人君外五名提出、衆法第五号)
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○西村委員長 これより会議を開きます。
仙谷由人君外五名提出、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井照君。
○福井委員 皆様、おはようございます。自由民主党の福井照でございます。
ただいま議題となりました被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案につきまして、提出者の皆様方に御質問を申し上げたいと存じております。
ことしは災害特異年とでもいうべき、台風が来て、地震が来てというようなことでございます。ということで、やむにやまれぬ気持ちでこの法律を出されたというようなことかと思いますけれども、私自身の身の上話といいましょうか、経験からちょっと最初に申し上げますと、建設省という役所でずっと現場に携わっておりました。なおかつ、ちょうど九年前というか、約十年前の阪神・淡路大震災のときに大阪の事務所の事務所長をしておりまして、まさに一月十七日から現場で災害復旧に携わらせていただいたというような経験から踏まえまして、この危機管理で一番重要なのは、事実関係の正確な把握だということだと思います。
組織は大小ありますけれども、組織の上層部まで正確な情報が寸分狂いなく伝わるかどうかというのが一番大事だというのが身にしみまして、大抵、サラリーマンとかでしたら、自分の身を守るために、誤りのある、自分を守るための情報を上に伝えたりとか、あるいは伝聞とか想像とかいうことを情報という形で上層部に上げたりとかいうことがありまして、そうしますと、判断が間違う、支援活動が遅くなる、あるいは支援活動のベクトルが間違った方向に行くというようなことをまさに経験しまして、危機管理の第一義は、正確な情報、正確な事実関係を積み上げていく、そしてそれを上層部まで正確に把握するということだと思います。
それからもう一つは、情、情け、現場においてその情けが最大限に発揮できるような後方支援をするということだと思います。
まさにそういう意味では、今この法律が出されたと思いますけれども、何を言っているかといいますと、ちょっと話が飛躍しますが、その一月十七日のちょうどお昼ごろ、大阪の事務所におりまして、所長ですから副所長に命令したんですね。もうこれは大変なことになるので、少なくとも、建設省の役人同士、現場、現場の事務所に、今からライトバンを使って、およそ考えられる弁当、水その他、カセットボンベから毛布からすべてのものをライトバンに詰め込んで今から神戸へ行きなさい、神戸にもいっぱい事務所がありますし、兵庫県下にもたくさん出張所もありますし、そこへそういう物資を運びなさいとこう命令したところ、命令を受けた副所長さんの返事は、そういうことは建設省災害対策マニュアルには書いておりませんので、そんなことはできませんという返事だったんですね。まさに絶望的な、何ということをおっしゃるのかということで、数時間かけて説得をして、その日のうちにそういう物資は運んだんですけれども。
その役所の中だけでも当時はそういう状態でありました。つまり、マニュアルどおりにしか動けないというのが役所の状況でありました。
その日から私は、心がマニュアルを超えるようなそんな行政でなければならぬというようなことで、あちこちでそういう実践をしてきたつもりでありまして、そういう意味で、心がこの支援法を変えるようにという皆さん方のお気持ちでこの法律改正案を出されたというところまでは最大限評価させていただくわけでございますけれども、しかし、今から申し上げる論点、あるいは、住宅本体に国家あるいは公の支援が行くべきであるという提出者の皆様方の御主張については、大きな疑義がございます。
つまり、私有財産と国家との関係あるいは国家と個人との関係をどこまで深く枠組み、理念を構築されてこの法案を出されたのかよくわからないということがございますので、まず、そのところから提出者の方に御質問、御確認をさせていただきたいと思います。
まだ四月から施行したばかりで、住宅本体についてはその支援の対象外、らち外ということで、四年の、後ほど御質問させていただきますが、四年間はその施行状態を見ようということで与野党一致してこの委員会で決めたばかりなので、そういうことを超えた、この三月までの議論を超えた事実関係でありますとか、あるいは、そういう国家と個人とか国家と私有財産との関係を再構築する新たな理念ができたのか、まず、その辺のところからちょっと御教授いただきたいと思います。
〔委員長退席、小平委員長代理着席〕
○泉(房)議員 福井照議員に御答弁申し上げます。
被災者生活再建法の改正案、住宅本体補修費に向けて支援対象とすべきであるという議論が本日始まったことを、まずもって喜ばしいことだと受けとめております。
議員の御質問でございますけれども、この春に改正案が成立したばかりであるのに、その後の状況がどうかというような御質問でありますが、まさにその点につきましては、まず第一点、その後の一連の台風被害また地震というものがございました。
議員も、もう申すまでもございませんけれども、この春の、四月一日の施行後以降に、今回の支援法が適用されます災害がもう既に十起こっております。六月の佐賀、七月の新潟、福島そして福井。また、議員の御出身であります四国を襲いました台風十五号、十六号、十八号、また台風二十一号、さらには二十二号。台風第二十三号におきましては、十月の十九日から二十一日、このときに全壊世帯百九十五、半壊世帯九百六十という多大なる被害がございました。また、新潟の震災におきましては、全壊世帯二千六百十九、半壊世帯八千五百三十六、一部損壊七万七千八百三十八。これほどの重大な事実が今回の春の改正後次々と襲っている。これが最も大きな立法事実であります。
また、議員も当然御承知だと思いますが、この件につきましては、この春の改正後も各都道府県で独自に住宅本体補修費に対して支援をすべき各施策が行われております。これも大きな事実であります。
この春の改正までは、平成十二年の鳥取、平成十五年の宮城、この二つでございましたが、この春以降、さらに六つ、兵庫県、そして兵庫県に続きまして、福井県、そして徳島県、三重県、新潟県、東京都と、合計今八つの都道府県におきまして住宅本体補修費への支援制度ができております。これも大きな事実であります。
さらにもう一点だけ。この問題につきましては、百二十名を超える超党派議連の方針といたしましても、住宅本体補修費への支援をすべきである、そういった方針でございます。会長も事務局長も議員所属の自民党、半数以上が与党の議員で占められております。この超党派議連も、私どもの提出している法案の趣旨どおりの方針を決議なさっておられます。
また、全国知事会、そして個々の知事、兵庫県、京都府、福井県、新潟県、静岡などなどの知事が、この問題につきまして、住宅本体補修費を支援対象にすべきであるという御意見、御要望を寄せられております。
さらにもう一点。十一月八日付の毎日新聞の世論調査におきましても、八割の国民が住宅本体補修費への住宅再建について支持されております。
これらの点を踏まえまして今回の提出に至ったと、そのように御理解いただきたいと思います。
〔小平委員長代理退席、委員長着席〕
○福井委員 ありがとうございました。
予想どおりといいましょうか、まさにそうなんですね。たくさん災害が起こって、もう本当に気の毒な皆様方がたくさん発生、発生というかいらっしゃった、現在でもお苦しみ、もうすぐ雪が降るぞと、こういう近づく絶望感におののいているような方々もたくさんいらっしゃるということでこの法律を出されたということだと思います。
まさにそこが、提出された皆様方の限界をまさに問わず語りにおっしゃっていただいたわけでございまして、最初申し上げた、まさに私たちが立法者として本当に考えなければならない問題、つまり、繰り返しになりますが、国家と個人、国家と私有財産との関係について、今のような世論があるからとかいうことだけでは片手落ちになってしまうということだと思います。
それはどういうことかといいますと、例えば、住宅をその災害が起こる前に持っていらっしゃった方と持っていらっしゃらなかった方、持っているか持っていないかで不公平が生ずるということに、単純なもうそのことだけをおいても議論が解けないわけでございます。
私有財産と国家との関係でいろいろな境界条件があるかと思いますが、例えば土地収用法におきましては、その収用する側、公共の側が、目的外の使用が禁じられている、一方、その収用される個人の方は、賠償という形で金銭で賠償される、あるいはその引っ越し先も実態的には紹介してもらえるというようなこともございますし、あるいはもう一つ別の観点でいきますと、間接的、波及的な効果とか利益、不利益については、国家は賠償もしなければ税金を取り上げることもないという、間接的な財産の価値が増加するとか、バイパスをつくったので間接的に商売の利益がふえる、減るという形は国家とは関係がないぞといういろいろな境界条件が、私有財産と国家との関係においては存在するわけです。
ましてや、先ほどおっしゃいました地方公共団体との関係においては、国家と個人というのも一つありますし、さっきおっしゃった地方公共団体と個人という関係は、また別の論点があろうかと思います。つまり、不動産、財産ですから、不動産にかかわる税金については地方公共団体に払われているということで、別のタックスペイヤーとしての位置関係が存在する、したがって、いろいろな知事さんや市町村長さんが、横出しという形で、今回の三百万プラス百万円とかいう新たな制度をおつくりあそばしているというふうに理解すべきだと思います。
しかし、今議論させていただいているのは、日本国という国と個人、日本国という国家と私有財産との関係を今議論させていただいているわけでございまして、もう一度伺いますが、その関係について、理念について、もちろんいろいろな議論がずっとあって、両論併記がずっとあって、しかし私たちは、私有財産そのものに、本体には支援の手は差し伸べることは差し控えるというか、むしろ、国家と個人との関係においてもっと言えば悪い影響すら与えることも考えなければならないということで、もうありとあらゆる手を尽くして、周辺を尽くして、本当に行政的にはのりを越えるような形で周辺を足して足して足しまくって三百万という制度ができたわけで、今回も、そういう制度を皆さん方にお使いいただいているということですので、この基本中の基本の、私有財産に国家が関与できる、あるいは私有財産形成に国家が金銭という形で御支援するという、ルビコン川を渡るその論理が、もうそこはだから憲法までいくのかもしれませんが、論理があるのかどうか、そこだけもう一回お伺いさせていただきたいと思います。
○泉(房)議員 議員の御指摘でございますが、議員の御指摘は古くからの議論でございます。しかしながら、その点につきましては、まさに今回の法案が成立したそもそもの平成十年、そしてこの春の改正時において、ある意味一歩踏み込んだ法制度をつくったと理解いたしております。
このことは、まさに福井議員が、この春の改正時、三月十八日、この衆議院災害対策特別委員会におきまして議員みずからがおっしゃっておられますが、ちょっと読ませていただきます。
「最後に大臣にお伺いさせていただきたいと思います。本委員会では、私有財産である個人住宅の建築費本体を支援対象にするかどうかというのが次からの議論になろうかと思います」、このように議員みずからがおっしゃっておられます。
まさに、平成十年に百万円の制度ができ、この春に三百万の制度ができた。しかしながら、その後の一連の台風の被害、また皆さんの御要望、それらを踏まえて、やはりそれに対してもう一歩踏み込むべきだというのが現時点だと思います。この点は、議員みずからがこの三月十八日に御指摘されたことではないでしょうか。
○福井委員 いや、ですから、野党の皆さん方がよく議論をはぐらかされるということをおっしゃいますが、まさにそのとおりで、要するに答えがないんですね。今のところ、もちろん課題認識としてはとらえなければなりません。それは私も三月に御質問させていただいたとおり、皆様方もその課題認識はお持ち。しかし、こういう法案に書き込むというところまで、国家と個人との関係、国家と私有財産との関係を憲法から演繹的に論理構築をするというところまでは、残念ながら私たちは立ち至っておりません。
しかし、冒頭申し上げましたように、一番大事なのは、心がマニュアルを超えること、そういう行政にしなければならない。現場で心ある人が対応できるように、そういう理を持った後方支援をする、現場の心が一番最大限に活躍できるようにというのが私たちの使命だと思いますが、しかし、私有財産に直接お金を差し上げるということについては理がないといけませんので、それはまだ私たちの共通の宿題だということで、今二回もう御答弁いただいたので、共通認識としてこれからも宿題だというふうにさせていただきたいと思います。
多分、世論もそこまでは当然考えてなくて、国家ですから、所得税とか法人税という形でタックスペイヤーの一員として国家に税金を払っている、そのごく一部をそういう住宅支援にしたっていいじゃないかというようなことはあるわけですけれども、しかし一方、今回のような量的なスケールだからそういう議論は起こるわけでございまして、四国から近畿、静岡、関東と、ひょっとして、一けたあるいは二けた違う、阪神・淡路でも五十万棟が全壊、半壊したので、もっとすごい量的なものが来たときに同じような世論が起こるどうか、これはまた別の話になると思います。国民の評価軸がまた別になると思いますので、そこも考えておかなければならないということだと思います。
理屈がないというか、憲法からの演繹的な論理がないということはよくわかりましたので。
次に、そのサブの質問みたいになりますけれども、私たちは、問題をとらえるということで、阪神・淡路のあの経験を踏まえて、自分のおうちに押しつぶされて亡くなった方が八割強である、八三・三%の方が建物倒壊等による圧死であるということで、なおかつ、今でも、全住宅が四千七百万戸ありますけれども、耐震性が不足していると思われているのが千百五十万戸、これを何とかしようというのを問題、課題の第一番ということでとらえたわけですね。つまり、事前の耐震補強が最も私たちとしては大事なんだというようなことをとらえて、それで三月のその三百万の制度をつくったわけです。
同じような議論になるかもしれませんが、もし御提案の法律ができたときに、自主的に事前に耐震補強を行った方、五十万、百万、あるいは二百万、三百万かけて立派にその耐震補強を行った方とそうでない方について、これはもう明らかに矛盾、不公平が生ずるわけですね。何にもしていないでそのままぐしゃっといった人と、耐震補強したけれどもちょっと壊れてしまったという人との不公平が生ずるわけで、そうしますと、その明らかなる予測される不公平は、耐震補強する、事前に自分のうちを自分で補強し、自分で自分の命を守るという自助努力の意欲を阻害することになるので、これはちょっと、そういうこともあって、私有財産に国家的な支援を直接金銭という形でするということは望ましくないという議論があるわけですけれども、そういったことについて、何か同じような議論になりますけれども、もしコメントがあれば御教授いただきたいと思います。
○泉(房)議員 議員のお考えは、まだ言葉は出てきておりませんが、いわゆる自助、共助、公助のバランスの問題だろうと思います。
自助というのは、議員御指摘のように、耐震化であるとか、または地震保険に加入するというような問題だろうと思います。共助というのは、義援金であるとか、またはそれぞれの共済制度の問題であろうと思います。公助というのは、まさに今回の法制度または都道府県施策、そのようなものであろうと理解しております。私はすべて大事だと思っております。
それで、議員の御心配の、こういった公的な支援を強化することによってむしろ自助の部分を阻害するのではないか、そういった御質問であろうと思いますが、この点につきまして、議員の事前の質問の通告がありましたのでいろいろと調べてみましたけれども、議員御指摘のような主張については、特に最近では見当たりませんでした。ただ、平成十四年の中央防災会議の方で議員御指摘のような指摘はなされておりますので、それは自覚いたしております。
ただ、この点、果たして、では耐震化が進まないのかと申しますと、これは平成十二年度の国土庁の報告に書かれておりますが、耐震化が進まない理由として挙げられているのは、費用負担の問題と、そしてもう一つは危機意識の低さ、この二つが挙げられておりまして、議員御指摘のようなことが耐震化を阻む要因になっているとは考えておりません。
また、もう一点の自助でありますけれども、地震保険の加入率についても一言申し添えておきますと、この制度、平成十年に創設されましたが、その前後を見ましても地震保険の加入率は減ってはおりません。前年の平成九年が加入率一四・二%、平成十年一四・八%、十一年一五・四%というふうに、その後も微増を続けております。
特に、こういった公的支援をしたからといって自助が損なわれることはないと考えております。
○福井委員 ですから、今の制度を前提にした世論の状況について御説明されたんですけれども、私は、御提案の法律ができたと仮定したときの状況の想像について今御質問させていただいたんですが、それは結構でございます。
論点が三つありまして、私有財産制度が一つ、二番目が自助努力、三番目が見直し時期ということで、一点目の私有財産制度、その論理的な問題、理念の問題と、それから、耐震補強した人とそうでない人との不公平についてもう議論は今終わりました。
それで、今、二番目の自助努力のことで、まさに自分の財産ですから、自由に自分でふやすことも処分することもできるけれども、国家からは支援はないかわりに、何の関与もされないという自由があるということで、まさに自助努力というのが一番最大の問題だと思いますけれども、今おっしゃいました地震保険やJA共済という制度もあるわけで、そういう、毎月毎月お支払いすることによってもしものときは補償してもらえるという制度のインセンティブも、もし御提案の法律ができてしまうとインセンティブがもうはっきり言ってなくなってしまうわけで、ちょっと今聞いていなかったんですが、地震保険は平成十四年度末で世帯加入率が一六・三九%、それからJAの方が一二・七一%、全くダブりがないと仮定すれば二九・一%、つまり三割の世帯の方が、既にもう自助努力、毎月毎月、多分起こらないだろうけれども、地震が来たら補償してもらえるような保険を今掛けていらっしゃるということで、これをもっとやはりふやさなければなりません。
先ほど言いました、自分で五十万、百万、百五十万かけて自分のうちを強化する、耐震の工事もしていただかなければなりません。事前に自助努力というのが、一番私たちが問題、課題の根幹としてとらえている。その施策をもっともっと推進しなければならないというふうに思っています。それは答えは結構です。
ちょっとテクニカルになるかもしれませんが、最後に、論点の三番目で、「本法の施行後四年を目途として、制度の施行状況等を勘案し、制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えること。」という附帯決議が全会派の共同提案で出されておりますが、まさにそういう決議がされてから、今月ですと八カ月しかたっておりませんが、今回法律を出されたということで、別に、四年と八カ月という物理的な数字に意味があるとは私も思いませんけれども、四年で期待すべきそういう私たちの経験がこの八カ月に凝縮したんだ、圧縮されてきたんだということかもしれませんが、この附帯決議の重みをどのようにおとらえされているのか、ちょっとそれだけ教えていただきたいと思っています。
○泉(房)議員 附帯決議の趣旨でありますけれども、附帯決議のまず一番大きなポイントは、見直しを行うということだろうと思います。年限につきましては、「四年を目途」というのは、四年しなくていいという意味ではなくて、四年を目途というふうに理解しております。
そして、その後に、繰り返し申し上げますが、その後の一連の台風被害、そして新潟の震災におきまして、繰り返し申し上げます、これまでで既に全壊世帯が三千三百五十一世帯、半壊世帯一万六千四百六十八世帯、こういった被害が出ております。これらの方々のこの数字の奥には、これらの家をなくされた方々の悲しみや、それぞれ御家族の方、また、死者も出ておりますので、御遺族の悲しみがそこにはあります。その重い事実を受けとめたときに、四年という数字ではなくて、できるだけ早く、そういった趣旨で今回の法律を提出させていただいた、そのように御理解いただきたいと思います。
また、議員その前の御指摘の自助については、もちろん大事であります。自助も共助も公助も大事であります。すべて大事だ、そういった姿勢でこの法案を提出しているつもりでございます。
○福井委員 御答弁、ありがとうございました。
ちょっと、残る二分ぐらいで、きょうは政府参考人に私は質問しませんので、コメントだけさせていただいて、また来年議論させていただきたいと思っております。
今回、この中越地震におきましても本当にいろいろな工夫をしていただいて、十年前は、もう単線、一直線、とにかく、仮設住宅に入って公営住宅に入っていただくというその一直線しかなかった施策が、もう本当に、雇用促進住宅、国家公務員宿舎、都市再生機構の所管住宅とか、あるいは旅館、ホテルの提供とか、もうありとあらゆる考えられる施策を今すべて動員しているわけですね。これはもうすごい進歩だと思いますし、それから、この応急復旧の方も、まさに今までの行政のマニュアルを超えて、心がマニュアルを超える、そういう行政にしていただいていると思います。
それから、もっとすごいのは、被害者の方には当たり前のことなんでしょうけれども、十月二十八日に出ました通達、政策統括官から出た、「住宅被害の認定について」ということで、もうありとあらゆる場合でも全壊と同じように取り扱うことになるというような、細かくは申し上げませんが、そういう通達も出ています。
施策が総合的になって、そして、その施策を、できるだけ、およそ考えられる限界を超えてぐらい弾力的に今応用していただいているということで大変な感謝を申し上げたいし、まだまだ毎日毎日課題が変わってくると思いますので、その新しい課題に対応して、まさに情けを持って対応していただきたいと思いますが、ただ一つ、要望というか、空に向かってのコメントなんですけれども、人間ごとのトレースというのが、データもなかなかないですし、あの阪神・淡路大震災のときは、応急仮設住宅に入っていらっしゃった方で持ち家になった方が一五%ぐらい、あるいは、ほとんど六割強が公的な借家にお住まいになったということで、人間を単位としたトレースはできません。そういう統計はありませんが、これからは、まさにそういう人間一人一人の人生計画をどのようにサポートするかと。もう一人一人きめ細かく、それこそ、お金のことも住む場所も、財産のそういう処分の仕方も、一人一人きめ細かくお世話、サポートさせていただかなければならないというふうに思っています。
そういう意味でいきますと、今は相談窓口はすべて市町村職員がやっておられますが、そこまでそういう時間やノウハウはあるのかなという気がいたしますので、これからの課題として、人間一人一人のこれからの人生計画についてきめ細かくサポートする、御支援申し上げる、アドバイス差し上げる、あるいは相談に乗るというその仕組みについてこれから皆さん方と御議論させていただきたいというふうに思っています。
時間が参りましたのでもう答弁は結構でございますが、いずれにしても、我々としてはこの法案については賛成しかねるという立場でいろいろお話をさせていただきました。ありがとうございました。
これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○西村委員長 次に、津川祥吾君。
○津川委員 民主党の津川祥吾でございます。
今回、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案、提出をされました。まず、そもそもこの被災者生活再建支援法そのものでありますが、私としては、やはり、まずこの法律ができたこと自体大変大きな前進だと思って、このことについては評価をしております。また、本年、通常国会の中でもこの改正、見直しも行われました。これも一歩前進、二歩前進ということで、そこはそことして評価をさせていただきます。
また、その後、本年、台風ですとか、あるいは新潟の、中越大震災とお呼びした方がよろしいんでしょうか、こういった大変大きな災害も発生をしております。
そういった中で今回この改正案というものを提出されたものと思いますが、一方で、この法律については、ある意味で、もっといろいろとあそこも変えてもらいたい、ここも変えてもらいたい、いろんな要望がある中での改正案の提出であろうかと思います。
そこで、この当改正案の法の趣旨について、まず冒頭御質問をさせていただきます。
○松原議員 津川委員にお答え申し上げます。
当法案の立法趣旨は何かと、こういった御質問でございます。
自然災害による被災者がその被害から回復するためには、日常生活の再建、それは当然それだけではなくて、生活の基盤である住まいの再建を欠かすことができないのは言うまでもありません。また、被災地における住宅再建は、単に個人レベルにおける再建だけではなく、地域社会全体においていかに迅速な復興がなされるのか、すなわち、地域再生という観点からも極めて重要であります。
先般、通常国会にて成立した本法改正では、住宅再建の支援については、瓦れき撤去費やローン関係費など周辺部分に対する支援策の追加にとどまって、肝心な住宅本体への支援策というのは見送られた次第であります。
しかしながら、その後の相次ぐ台風襲来や集中豪雨、地震など、多くの災害が発生したことは記憶に新しいところでありまして、実際、このことについては、新潟県知事からの具体的な要望も上がってきたわけであります。
これらの住宅再建問題が大きな課題としてクローズアップされております。マスコミによる世論調査などにおいても、被災住宅の再建に公費を投入することについて多くの方々が賛意を示しておりまして、住宅再建支援制度の創設に対する世論の理解も進みつつあります。
先ほどの議論でも、従来のものにおいて弾力的運用というものは徹底的になされたということでございますが、知事会等にそのことについて聞くならば、このことは非常に意味があったといいながらも、それではやはり不十分であって、この住宅本体に対しての支援をぜひともお願いしたいと、これが現地、現場の声であろうと私たちは承知をしております。
そういったことも含め、本法を真に被災者のために役立つ法制度とすべく、立法府の責務においてここに改正案を提出したわけであります。
以上です。
○津川委員 特に被災者の方ですとか、あるいはその地域の自治体の方々から、まさに住宅本体への支出をお願いしたいという具体的な要望があったということは、私も承知をしております。
それから、加えて、世論、マスコミの調査でありますけれども、この世論の中でも、こういったところに直接税金を使うことに対して、納税者の立場としてどう判断するのかということにつきましても、大方賛意を示されている。
ただ、もちろん、先ほどの議論にもございましたが、世論が出せ出せというから出すというこれだけでは、確かに本当にそれでいいのかなということもございます。世論というのも、もちろん変わるものでもございますし。
それから、以前も指摘があったところですが、例えば、この当委員会に片山知事が以前お越しいただいて、参考人で御答弁をいただいた。そのときの話として、県のお金で住宅再建についてお金を出しますということを決定した、それに対して、必要はなかったけれども、念のためと思って国に来て報告をしたら大変怒られた、憲法違反だと言われた、頭にきて、では、何条の憲法違反なんだと言ったら答えられなかったという話をこの委員会で御披露いただいたところでございますが、その後も、やはり公金でありますし、また、私有財産あるいは個人資産の代表とも言われる住宅へ本当にお金を出していいのだろうか、憲法との関係というところで、十四条ですとかあるいは二十九条というところで指摘をされる方がいらっしゃるのも事実でございます。
このことについてどのように見解を持たれているか、御答弁をお願いします。
○鎌田議員 御質問いただき、ありがとうございます。
まずもって、ことしのたび重なるさまざまな災害で今なお不自由な生活を強いられている多くの国民の皆様に対して、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。
そしてまた、当災害対策特別委員会の委員長さんを初め、理事、委員各位の皆様におかれましては、今回提出をいたしました法案を審議いただける、本当に敬意そして感謝を申し上げたいと思います。
審議に臨んでいただける以上は、それだけ、それぞれ皆様が大切に誇りとし、愛していらっしゃる御地元の皆様の声をもってこの委員会に臨み、この法案も見ていらっしゃるんだ、そういう信じたい期待の思いを持って答弁を順次させていただきたいと思います。
ただいまの津川委員の御質問でございますけれども、先国会でも議論の中心的なテーマの一つでございました。そしてまた今回も、先ほど来やりとりの中で繰り返しされているところでもございます。おっしゃるとおり、御指摘のとおり、住宅は個人資産の代表例であると私たちも認識をしております。これにいわゆる公費を支出するということは、憲法第十四条に定めます平等の原則、あるいは憲法二十九条で定めております財産権との関係で、問題があるのではないかという御意見があることも承知をいたしているところでございます。
確かに、個人財産である住宅に対しまして、制限ですとか要件ですとか、そういったものを定めることなく無制限にじゃがじゃが湯水のごとくに使っていけば、支出をしていけば、これはやはりこの条文に抵触をするのだろうと考えております。
しかしながら、先ほど松原委員からも答弁ありました。被災地における住宅再建は、単に個人レベルにおける復興だけではなく、その地域経済の活性化、コミュニティーの維持、そして町並み保全、つまりは、もう国家全体にかかわる、そういう大きな問題であるというふうに私たちは認識をしています。地域全体の復興に通じるというこれらの観点から、我々は、ここに公共性を認めたい、認めるべきだという考えを持って今回の法案を出しております。
先ほど、福井委員の御質問とのやりとりの中で、私有財産にお金を差し上げるというワンフレーズございましたけれども、我々は、私有財産にお金を差し上げるというそういう理解ではございません。失われた財産の回復や損失の補償ではない、住宅を持つ方だけでなく、持たない方に対しても生活基盤回復のための住宅再建である、それを支援する制度だと考えておりますので、決して不合理が生じているとは私たちは考えておりません。
さらに申し上げるならば、今、自治体での取り組みも御紹介がございました。私たちが把握をしているところでは、八つの自治体で、独自に地域の皆さんの、被災民の皆さんの声にこたえる制度をとっているところがございます。
私は地元は宮城県でございますけれども、宮城県御出身の議員もこちらの委員会にいらっしゃいます。宮城県は、ことしは大きな災害は特段ございませんでしたが、皆様御存じのとおり、昨年、地震とそして台風被害と、大変な被害がございました。
そして、その際、宮城県知事の政治的決断をもちまして、ふだんは、これはぶっちゃけた話、率直に申し上げますと、浅野知事と県議会というのは常にみんなが仲がいいというわけじゃないんですよね。仲いいときもあれば、余り仲よくないときもありますけれども、しかし、その際知事が、住宅の再建ということに対して、決断をもって、それぞれに県からの支出ということで財政支援を行いました。そこに対しては、県議会がそれを了とするという、まさにその当時は、県民は、県議会そして首長のそういう政治的決断をすばらしいというふうに多くが評価をしたところでもございますので、やはり私は、国家の責任として、今被災に遭われている方々に対して、あすへの、未来への希望を提供していく、これが非常に大事だと思います。
もはや被災民の方々は、国会で何を議論しているの、何を話し合っているのということはもう興味、関心を超えている。議論はもういいから、何とかあすへの希望につながるような支援制度を確立してほしい、それが現場のまさに切実なる声だと思っております。
その切実なる声に一刻も早くこたえなければならないとして、我々は、この今御提示いただいたテーマに対しても、今申し上げましたような考えでもって法案を提出をしてございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
以上です。
○津川委員 いや、まさに被災者の方々のお立場に立てば、憲法上の話も大事かもしれないけれども、とにかく何とかしてもらいたいと。ぜいたくを言っている話ではないということだと思います。
また、もう一つ、先ほどの鳥取県の話に戻りますが、鳥取県が住宅建設に三百万出すというときに、憲法との関係をどのように説明されたか。
これは、単に家を建てかえる、建て直す者に対して三百万出すのではなくて、同じ地域にまた家を建てる場合には出しますよ。つまり、同じ地域にまた住んでいただけるなら出しますよ。逆に、ほかの地域に出ていってほかの地域に家を建てる人、それは知りません。その根拠としては、その地域のコミュニティー、特に過疎地域もございましたから、こういったところで高齢者の方々がもうそれで出ていってしまうということになると、さらにその地域が壊れてしまう、だから、その地域を守るためにこのお金を出すんだ、こういう説明をされていらっしゃいました。
もう一つ、知事を余りよいしょするのもどうかと思いますが、私は非常に評価をしたのが、非常に早い段階でこの決断をされました。私も今回も新潟に行ってまいりましたけれども、被災者の方々は、いろいろな支援が必要ですが、やはり不安なことが多いですね。将来、これからどうなるんだろうか。きょう食べるもの、あす食べるもの、きょう暖をとるということができたとしても、これからどうなるんだろうか。そこに対する不安に対して、再建するときには三百万出しますよ、県が責任を持って出しますよ、そういうメッセージを出す、あるいは、国が責任を持って出しますよというメッセージが本当に被災者の方々の心を温めたと。鳥取県の場合はまさにそうだったというんですね。
やはり、私たちは、物資の支援ですとか金銭的な支援ももちろん必要、自助をサポートしてさしあげる部分ももちろん必要だと思いますが、まさに今被災者になっていらっしゃる方々に対して、将来の安心をプレゼントしてあげるということも大変大事なことだと思います。そこで、もちろんこの三百万で全部建てかえるわけにはいきませんから、全額持ちますよという話では決してないと思うんです。
ただ、今、憲法との話については御説明いただきましたが、これまでの歴代の防災担当大臣のお話、答弁では、大臣によって若干温度差はありますけれども、大体どの大臣もそれなりの必要性は認めていらっしゃると思うんです。
ただし、もちろん憲法との関係とか、あるいは、そもそも財政的にそこまで出せるだろうかというような話、そういったことを何点か指摘をされていますが、例えば政府としては、住宅の本体については、やはり自助でもって建設をされるべきものであるし、それは基本的にその住民の方の自由なものではないかという考え方が幾つか示されております。あるいは、現行の居住安定支援制度というのは、私有財産制度のもとでは、今の段階では最善ではないか、こんなようなコメントをされている大臣もいらっしゃいますが、こういったこれまでの政府の見解に対する御答弁をいただけますでしょうか。
○鎌田議員 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、それぞれの大臣、お気持ちの込め方ぐあいにも若干の温度差がありまして、あ、これはいいのかなという、言葉は不適切かもしれませんが、思わせぶりな、そんな御発言もあったやに記憶をしておりますけれども、しかし、やはり政府は、一貫して、今津川委員がおっしゃったような論点でもってなかなかここに踏み込むことはできない。
住宅というものは、私有財産、そして選ぶということでございますけれども、しかし、災害のある地域は住みたくないからそこには行かないとか、災害の来ない地域を選んで住もうとか、そういうところに我々の意思は到底及ばないわけでございまして、もう本当に、いつ来るかわからない、どこに来るかわからない、まさに自由も選択もないようなところで、自分の意思とは関係なく、好むと好まざるとに関係なく災害に見舞われてしまうというような状況でございますので、もちろん、一部、私有財産だというそういう見解は理解できないわけではございませんけれども、私たちは、国民の生活の実態、被災地の実態というものを果たしてどれだけ見ているんだろうか、だから役所は机上の空論だと批判されっ放しじゃないのというふうについ感情的にもなってしまいますけれども、そういう考えも持ちます。
やはり私たちは、災害というふうには特別特段の規定はないかもしれませんが、ドイツなどでは、それぞれのおうち、住宅というものを、国家、地域としての町並みの一つ、家がそれぞれにあって町並みを形成している、そして国家全体の経済発展につながっていくという考え方が、ドイツなんかにも私たちは例を見ることができます。
先進諸国でも、そういったような考え方でもって個人個人の住宅再建支援というものを位置づけているところもございますので、やはり私たちは、この住宅再建支援というものは、一人一人が自由で持っている私有財産だろうという考え方を持ちつつも、やはりそれは、地域社会の、あるいは国家経済の一部、町並み保全の一部なんだという、そういう考え方もぜひ持つべきではないかなというふうに私たちは考えているものでございます。
決して、我々が考えているものが合理性に欠けているとは思っておりません。我々国会の役割として、国民に未来への希望、安心を提供することは当然の責務でございますから、やはり、実態に目を向けるその必要性をさらにお訴えをさせていただきたいと思います。
○津川委員 もう一つ、これまでの歴代の大臣がお話をされていた件で、気持ちはよくわかるし、出せるものなら出したいけれども、予算がないんですという話が何度か出てまいりました。
今回提出をされていらっしゃるこの一部改正案、これによってどのくらいの予算措置が必要なのか、そうではないのか、御答弁いただけますでしょうか。
○泉(房)議員 今回の改正案でありますが、特段、予算を必要とする法案とはさせていただいておりません。
理由といたしましては、現行制度、この四月から施行されている法制度の枠内においてその対象経費をどうするかというような整理をさせていただいておりますので、特に財源論の面からの否定論はないものと理解いたしております。
○津川委員 使い方でありますから、より使いやすいようにということであろうかと思いますので、その点については了解をいたしました。
もう一つ、見直し規定と読んでいいんだと思うんですが、「施行後一年を目途として、」ということが、この支払いのあり方についてというふうに書いてあります。それで、ことしの三月の改正のときに、民主党としては、当時の修正案で三年の目途というものを出されていらっしゃったと思います。この三年が、今回一年になっているということについて御説明いただけますでしょうか。
○鎌田議員 現行制度の方を見ますと、住宅本体への支給を行わないということのほかにも、支給に際しまして、年齢ですとか収入ですとか、はっきり申し上げて、合理的とはなかなか言いがたいそういった制限を設けていると私たちは考えております。
これらの問題点をぜひ今後とも国会の場で多くの方と議論していきたい、そういう認識を持ちつつも、やはり今回、先ほどから答弁をさせていただいておりますとおり、せめて住宅本体への支給をという一連の災害の被災者の皆様からの切実な声を受けまして、早期改正を目指した法案の内容となってございますので、その他、問題点を認めつつも、今回は改正点の中身には含まれてございません。
ですけれども、この問題点について、解消に向けて精力的に検討を行っているところでございますので、これは、一政党一会派を超えて、国会全体で、国民多くの皆様の問題点として国会で議論をする必要性を強く訴えますとともに、それが国会の責務だと私たちは考えております。
○津川委員 この災害対策特別委員会の質疑は、大概、政府対議員という闘いが多くて、余り与野党で闘うということはなくて、実際、まさに被災者の方々を前にして国会議員として何をすべきかというときに、余り与野党の垣根というものはないものだと思います。ただ、幾らでも予算があるわけでもありませんし、もちろん、お金があれば幾らでも出してもいいというものでもありません。
また、先ほどの与党の委員からの指摘もございました。特に、事前の、例えば、地震でいえば耐震補強をやることが大事なのではないか。当然それも大事です。また、それの方がお金がかからないんじゃないかということも言われます。
私は静岡県でありますけれども、静岡県でも、TOUKAI―〇、東海地方の東海と建物の倒壊をかけているんですけれども、防災というよりも減災という考え方で、少しでもその災害を少なくしていこうというそういう考え方で、県としても三十万ぐらいの補助金を出して、各自治体でもう少し上乗せをして、それでも実は全然お金が足りなくて、なかなか、先ほど答弁されていましたけれども、耐震補強が進んでいないという状況がございます。
これなんかも、かつては建築基準法で定められたとおりにつくっていたけれども、法律そのものがちょっと緩かったと。その後改正はされましたけれども、その前に建てられたものについては、言ってみれば既存不適格になってしまった。そういったところについて、やはりある程度公費を支出してでも倒壊を防いでいく、また、その下敷きになってけがをされたり亡くなられる方を少しでも減らしていくということは、大変大事な公共性のある政策だと思います。
ですから、予算としては、この三百万、足りるか足りないかということもありますが、これはまたこの法律とは一方で別の問題かもしれませんが、事前の対応を強化していく、促進をしていくということも大変大事な視点だと思います。
答弁がありますか。ではお願いします。
○泉(房)議員 津川議員の御指摘は全くごもっともだと思います。耐震化は極めて重要であります。
しかしながら、現時点において、我々立法府に身を置く者が現時点で一体何をすべきかという視点で考えたときに、被災者の方が多く苦しんでおられるときに今できることは何か。そのときに今できることとして、この法案は、まずは対象経費を、住宅本体、補修費を含むということが現時点でできることであるという理解のもとにこの法案ができております。
もちろん、金額の増額や支給要件の緩和、また半壊世帯や一部損壊の方も支援していく、こういったことも当然のことながら議論すべきであります。ただ、現時点においてまず立法府ができること、それはこの法案を成立させることである、そのようにお答えさせていただきたいと思います。
○津川委員 もう時間がないので終わりますが、質問通告しておりませんが、申しわけございませんが、日本共産党と社会民主党の提出者の方々にもせっかく来ていただいておりますので、後で共産党の方は塩川先生が質問されると思いますので、社会民主党の横光先生に、この法案に対する思いを最後にお伺いしたいと思います。
○横光議員 この現行の法案、これが阪神・淡路大震災をきっかけに成立したわけですが、そのときも全党で大変な努力をした結果、この生活再建支援法ができたわけでございます。そのときから、当初から、被災者への個人補償の是非というものが非常に大きな焦点だったわけでございますが、きょうの議論にもございますように、自助努力による回復が原則だとか、あるいは個人資産の形成に公費は出せないという、そういった経緯があってなかなか進んでいなかったんですね。
そういった中で、昨年の七月に全国知事会が、住宅再建支援制度の創設のための新たな拠出を行うことを決議した、これが非常に私は大きなきっかけになったのではなかろうかと思うんですね。そして、そこでは、いわゆるまず第一歩の公という力が被災者の助けになるという動きが始まったわけです。
そして、その後、ことしの四月の改正で、中身が、少し対象金額が上がったというのが、徐々に徐々に進んでいる。その直後に今度は物すごい大災害が来たわけですね。これはもうまさに、昔から天災は忘れたころにやってくると言いますが、今や地球環境の変化によって、天災は忘れないうちにやってくるような状況にもなった。このことを考えたときに、私たちは、さらにいま一歩公の力が必要ではなかろうかという思いでこの法案を提出したわけでございます。
災害直後も、やはり一番頼りに被災者の方がしたのは公の人たちなんですね。その後、ボランティアの人たちがどっと来てくれた。直後は、とにもかくにも、市町村職員であり、学校の先生であり、郵便局の職員であり、消防署であり、警察であり、本当にみんな公の人たちが非常に大きな力を発揮した。そういったことから、今度は違った形でこのあらがいようのない不可抗力に対応するためにはどのようにするか。
そして、先ほどお話ございましたように、国民の世論調査、一概にこれが決定的ではありませんが、八〇%の方たちが、公費が、国がやはり援助するのも必要だということを言っておるだけに、ここはひとつ、こういった状況を考えて、ぜひともこの法案を、個人的には私はこの法案に反対している議員は与野党いないと思うんですね、被災者のことを考えると。(発言する者あり)あなたは反対ですか。個人的に被災者をこういった形で支えることに反対ですか。
私は、いろいろな憲法の問題もございます。今言われました。私有財産のこともございます。しかし、そういったことを今説明されました、そういったものもクリアできるんだということ。そういったことから考えて、これからいつどこに災害が起きるかわからないことを考えたときの対策でございますので、ぜひこの委員会で採決をしていただきたい、このように思います。
○津川委員 終わります。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
野党三党共同提出の被災者生活再建支援法改正案について質問をさせていただきます。
私ども日本共産党は、一九九五年一月十七日の阪神・淡路大震災直後の二月十日、被災者の生活再建を復興の土台に据えること、そのためには、生活再建に対する国の責任を回避するのではなく、国による個人補償、住宅の補償を行うことを提言し、その実現のために努力してまいりました。
大規模災害から被災者が生活や営業を再建し、また地域の復興を図る上で、国としての支援のあり方はどうあるべきなのか、阪神・淡路大震災の教訓も踏まえてお答えください。
○高橋議員 お答えをいたします。
阪神・淡路大震災の教訓に学んでという問いでありました。
来年は阪神・淡路大震災十周年であります。この十年間、被災者は、住宅や事業再建のための二重のローンや災害援護資金などの返済に追われております。もとの住まいを断念して移り住んだ災害復興住宅では、昨年十一月までの統計で通算二百五十一人もの方が、自殺を含めて孤独死に終わっております。あるいは、家賃を工面できずに強制退去させられる事例が急増し、大きな社会問題となっているところです。十年後の被災地の現状は、御指摘にあるように、生活再建に対する国の責任が果たされていなかったことによるものと考えております。
私どもは、住宅と生活、また営業の再建にもそれぞれ五百万円を上限に支援金を支給する独自の法案大綱を発表するだけでなく、超党派の有志議員や市民の方々と共同を積み重ね、九七年五月に、六会派三十九議員で災害被災者等支援法案を参議院に提出しました。住宅の損壊により生活基盤にダメージを受けた被災者を支援しようというものであり、対象を低所得者に限定しない、また、支援金の使途についても制限しておりませんでした。
今、改めて被災者の願いにこたえる支援のあり方が問われているものと考えております。
○塩川委員 次に、法案が住宅本体への支援を盛り込んでいることに関連をして、二〇〇〇年十月の鳥取県西部地震や昨年の宮城県北部連続地震などを初め、ことし七月以来の相次ぐ集中豪雨、台風被害、三宅島や新潟県中越地震など、国の支援制度を上回る独自の支援策がとられてまいりました。
いわば、やろうとすればできるにもかかわらず、国だけが被災者の住宅再建に対する支援を拒んでいる状況をどのように評価をするのか。また、改正案との関係をお答えください。
○高橋議員 御指摘のとおり、住宅再建に対する公的支援は、やる気になればできるものだと考えております。二〇〇〇年の十二月、被災者の住宅再建のあり方に関する検討委員会報告書は、「被災者の住宅や生活の再建が速やかに行われれば、地域の経済活動が活性化し、その復興を促進する」として、「ある種の公共性を有している」ことを明記しました。
さらに、「大規模災害時の住宅再建の支援は、対象となる行為そのものに公共の利益が認められること、あるいはその状況を放置することにより社会の安定の維持に著しい支障を生じるなどの公益が明確に認められる」と述べております。
同委員会は、九八年の被災者生活再建支援法の附則第二条に基づいて設定されたものであり、その委員会が公的支援の妥当性を認めていることは重要であると考えます。
本年三月十八日の本委員会で、住宅本体に支援をしてはいけないというルールがあるかという私の質問に対し、井上当時の防災担当大臣は、「そういうことが憲法に規定されたり法律には書いてありません」と認めております。
災害対策基本法第九十七条、「被災者の災害復興の意欲を振作するため、必要な施策を講ずるものとする。」と規定されているように、被災地の要望にこたえ、住宅本体への支援は待ったなしの課題であると考えます。
本改正案は、そういう意味で住宅本体への支援を実現するものであります。
○鎌田議員 被災地全体の町づくり、コミュニティー維持の観点から見ますと、個人の住宅は、私有財産であると同時に公共性を持つものということは再三申し上げてまいりました。これに公金を投入するということは、地域復興の視点からも十分な合理的な理由があると考えております。
加えてなんですけれども、農地が私有財産であるということは皆様御存じのとおりでございますが、災害により被害を受けた農地につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、この中で、すべて農林事業者個人の責任に帰すことは過酷であるという理由から、被害を受けた農地については公費が投入されているということもございます。
ですので、我々は、これと住宅再建を別扱いする特段の理由はない、これも一つとして考えてございます。
○塩川委員 時間が参りましたので終わります。
ありがとうございました。
○西村委員長 次回は、明三日金曜日午前十一時理事会、午前十一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会