衆議院

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第3号 平成17年3月1日(火曜日)

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平成十七年三月一日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 西村 真悟君

   理事 佐藤 剛男君 理事 斉藤斗志二君

   理事 福井  照君 理事 三ッ林隆志君

   理事 小平 忠正君 理事 松原  仁君

   理事 石田 祝稔君

      江藤  拓君    大野 松茂君

      小坂 憲次君    近藤 基彦君

      左藤  章君    坂本 哲志君

      竹下  亘君    中野  清君

      西村 明宏君    馳   浩君

      林  幹雄君    原田 令嗣君

      保坂  武君    三ッ矢憲生君

      宮下 一郎君    森  英介君

      山本  拓君    吉野 正芳君

      泉  健太君    泉  房穂君

      一川 保夫君    黄川田 徹君

      菊田まきこ君    岸本  健君

      下条 みつ君    前田 雄吉君

      村井 宗明君    和田 隆志君

      赤羽 一嘉君    白保 台一君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣        

   (防災担当)       村田 吉隆君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡本  保君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            田中 潤兒君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            鈴木 正徳君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     谷戸 善彦君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   衆議院調査局第三特別調査室長           五十島幸男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     坂本 哲志君

  小坂 憲次君     馳   浩君

  津川 祥吾君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     伊藤信太郎君

  馳   浩君     小坂 憲次君

  泉  健太君     津川 祥吾君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官柴田高博君、総務省大臣官房審議官岡本保君、消防庁次長東尾正君、厚生労働省社会・援護局長小島比登志君、水産庁漁港漁場整備部長田中潤兒君、中小企業庁事業環境部長鈴木正徳君、国土交通省都市・地域整備局下水道部長谷戸善彦君、国土交通省河川局長清治真人君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君及び気象庁長官長坂昂一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ林隆志君。

三ッ林委員 自民党の三ッ林隆志でございます。

 まず初めに、昨年は、新潟県、福島県の集中豪雨災害に始まり、たび重なる台風上陸による災害、さらには新潟県中越地震による被害と自然災害が多発し、記録に残る年になりました。また、年末にはスマトラ沖地震の大津波により多くの方が被災されました。これまでの災害によりお亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災をされた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 村田大臣には、昨年十月の新潟県中越地震に際しまして、防災担当大臣として、地震の翌日には被災地に赴き被災状況を視察するとともに、みずから率先して連日非常災害対策本部を開催していただき、災害応急対策に当たられていただきました。そして、現地支援対策室を設置していただき、林田副大臣と江渡大臣政務官には長期にわたり現地での対策に携わっていただき、被災者の皆様にとりましては大変心強かったのではないかと思っている次第であります。私も、当災害対策特別委員会視察の一員として被災地の状況を視察してまいりましたが、実際の現地の被害の悲惨さを見まして、災害に対する対策の重要性を改めて認識した次第であります。

 そして、現在、被災地においては、大雪の中、除雪や雪おろし、雪崩などによる事故が多発しております。また、地震で被害を受けた家屋などが積雪の重みに耐え切れずに倒壊するケースも見受けられ、不安な日々を送っております。

 そこで、これから雪解けを待って本格的な復旧復興対策に移っていくことになると思いますが、補正予算が成立したこともあり、改めて、政府としてのこれまでの被災地に対する対応状況と今後の復旧復興への取り組みについて大臣にお伺いいたします。

村田国務大臣 新潟県中越地震の対策でございますが、今委員が言及していただきましたように、政府といたしましては、発災後、翌日から非常災害対策本部を立ち上げまして、土日を含めて連日二十一日間、その非常対策本部の中でいろいろな応急対策あるいは復旧にまたがります対策を練ってきたわけでございます。先般は、激甚災害の指定も、推計値を含みまして大変素早く指定をしたところでございますが、補正予算も、委員の先生方の御協力も得まして、今通常国会の冒頭に成立させていただきまして、まことにありがたく思っているわけでございます。

 平成十六年度補正予算におきましては、新潟中越地震関係の予算として三千億円、これを計上しているわけでございますが、このほかに、新潟県から希望がございました復興基金、これにつきまして起債の許可をすると。これは、後には利子分についての交付税措置ということを伴ってくるわけでございますが、そうした復興基金によって、新潟県独自のさまざまな復旧復興活動に支障のない措置まで講じているということでございます。

 本日は、ちょうど新潟県が、新潟県中越地震震災復興ビジョン策定懇話会というものを開きまして、今まで検討してまいりました復興ビジョンを、午前中だったと思いますが、公表していると思いますが、今後とも、これに基づきまして、県において、インフラ、産業、福祉、文化にわたります総合的な復旧復興計画の策定に取りかかるものと考えておりますので、私どもとしても、そうしたものを見ながら、国としてできるものはできる限り支援をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

三ッ林委員 大変心強いお話をありがとうございます。あの激甚災害の指定も、大変素早く成立させていただきましたことも感謝申し上げまして、今後とも、被災者の方々の御要望に配慮いただいて、被災者の生活再建や速やかな被災地の復旧復興に御支援をさらにお願いいたします。

 そして、被災者の生活再建に関しましてですが、昨年の四月から、居住安定支援制度の創設を含みました被災者生活再建支援制度の拡充が図られました。その被災者生活再建支援法については、対象災害要件や支給対象要件などについて制限が厳しいとの指摘がされております。中には、法が適用された自治体で、自宅が全半壊した世帯の約一割にしか支給されていないなどの報道もありまして、これらの要件を緩和すべきとの指摘が数多くなされております。

 やはり、被害の実態に応じて弾力的に運用することにより、実体を伴った被災者の支援策になるようにするべきと考えておりますけれども、昨年発生しました一連の集中豪雨や台風等の災害において、政府としてどのような工夫を行って被災者に対する支援をしてきたのかをお聞かせいただきたく、お願い申し上げます。

 では、林田副大臣、よろしくお願いします。

林田副大臣 今委員御指摘のとおり、この法案、昨年の通常国会で成立させていただきまして、中身が金額とか拡充いたしましましたけれども、確かに、委員の皆さんも現地へ赴かれたとき、それぞれ生の声を聞かれたかと思いますけれども、首長さん初め、弾力的な運用はないものかという陳情といいますか要望をお聞きになられたかと思います。

 それを受けまして、我々担当といたしましては、もう既に委員御案内かと思いますけれども、特に地震に限らず、この地震が起きる前に発生いたしましたいわゆる浸水家屋、この分につきまして、いわゆる全壊というのは見た目ではすぐわかるわけですけれども、あと、大規模半壊なのかまだ微々たるものなのか、その辺がどうしても、見た目の判定というよりも、やはり家屋としての機能的な判定というか、そういうものをもうちょっとできないものかということで、例えば床が浸水すれば、当然水膨れといいますか膨れてきますし、あるいは壁にしましても、浸水ですから、見た目の浸水位置、ここまで水が来たよというのは確認はできるんですけれども、実は、水が入ることによって壁自体がもう既に被害を受けておると。あるいは、台風で屋根の方から吹き上げというかあれがありまして、そこから水が漏れてきて、知らないところで天井、床がどうしても浸水で壊れているというような、見た目ではもつのかなと思いながらも、いざ、やはりこれは解体してつくらざるを得ないというようなところがあります。この辺も含めまして、もうちょっと機能的な面を重視して弾力的にやるようにということで指示したところでございます。

 いずれにしましても、この法案、できたばかりでございますけれども、これからも、地元のといいますか、被災者になられた方々の身になって使い勝手のいいように、それぞれ一層の使い勝手をよくしていきたいというふうに考えておるところでございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 確かに、目視の点検というのは非常に主観的なものも入りまして、実際にそこで生活している人の状況というものとまたかけ離れた結果が出ることもあると思いますので、ぜひ、いろいろと弾力的にこれからも運用していただきますようお願い申し上げます。そして、被災者にとりまして実効のある、扱いやすい支援法となるようにお願い申し上げます。

 続きまして、先ほども少し触れましたが、ことしの冬は非常に雪が多く、青森県や北陸地方では記録的な豪雪に見舞われております。殊に新潟県中越地震の被災地では、地震の被害に加え、ここのところの豪雪により、道路の除雪費の不足が深刻な状況となってきております。先般、国土交通大臣が、臨時特例措置を適用する方向で市町村の積雪状況や除雪費等に関する実態調査の実施を指示されたと聞きましたが、地域の実情を踏まえた迅速な対応をしていただいたと感じている次第であります。

 この件につきましては、県や市町村からも追加対策の強い要望がなされておりまして、県に対する除雪費補助の追加措置や市町村に対する特例措置がぜひとも必要と考えますが、今後の具体的な対応につきましてお聞きします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりでありますが、新潟県中越地震の被災地では、道路の消雪パイプ等の消融雪施設の被災や道路の損傷に伴い、降雪期における除雪費用の増加が避けられない状況であるということから、平成十六年度の補正予算におきまして、新潟県及び被災地の十八市町村に対し、既に除雪費の補助を措置したところでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、ことしのこれまでの降雪量は、全国的には、最近の豪雪年である平成十二年度にほぼ近い水準となっており、特に、新潟県中越地震の被災地等の北陸地方山間部や青森県等の東北北部を中心に平年を大幅に上回り、除雪費の不足が深刻であるとの要望も私どもも聞いておるところでございます。

 国土交通省では、県管理道路の除雪につきましては補助をこれまでにも行ってきているところでありますが、ことしの冬におきましても、降雪状況、除雪費用等を踏まえ、三月に新たに追加配分を行うこととしておるところでございます。

 一方、市町村道の除雪費につきましては、通常のところ、普通交付税及び特別交付税により財政措置されるというところでございますが、全国的な豪雪の年で、地方財政の措置だけでは間に合わないような場合には、国土交通省において、これは幹線市町村道だけでございますが、幹線市町村道の除雪費について臨時特例措置を講じてきているところでございます。

 このため、本年度においても、平成十二年度に実施した臨時特例措置を実施する方向で検討を進めてきておりまして、今委員の御指摘のございましたように、国土交通大臣からの指示に基づき、全国の積雪寒冷地域の市町村における積雪状況、除雪費等の実態を把握するための調査を開始したところでございます。

 今後は、三月の上旬を目途に、なるべく早期に調査結果を取りまとめ、調査結果を踏まえた上で、三月中旬を目途に、市町村に対して支援を講じていきたいと考えております。

三ッ林委員 たび重なる集中豪雨や台風災害、さらには地震による災害などで地方行政は財政的に大変疲弊しておりますので、ぜひとも特例措置の適用をよろしくお願いいたします。

 次に、三宅島噴火災害についてお聞きします。

 三宅島島民の皆様は、これまでの約四年半の間、住みなれた島を離れて不自由な避難生活を過ごしてきたわけですが、二月一日に避難指示が解除されまして、順次島民の皆様の帰島が始まったところであります。まだまだ帰島が始まったばかりで、生活再建に関するさまざまな問題点や要望等現実的な点はこれから明らかになっていくことと思いますけれども、政府においては、島民の安全確保対策や基盤整備、そして生活再建に向けた対策などを三宅村や東京都とよく検討していただいて、三宅村の皆様が円滑に帰島し、また、生活再建できるように支援していただくことが必要ではないかと思っております。

 そこで、今後の三宅島の復興また復旧に向けての政府の見解をお伺いします。江渡大臣政務官、よろしくお願いします。

江渡大臣政務官 委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今委員がおっしゃられたとおり、三宅島の噴火災害につきましては、二月の一日に、約四年半ぶりに避難指示が解除されまして住民の帰島が始まったところでありますけれども、政府といたしましては、これまでに、村民の安全確保に向けた対策といたしまして、総合的な火山観測体制の整備、これは特にガスの問題ですけれども、十四カ所ほどガスの観測地点を整備させていただいたりとか、あるいは、クリーンハウスと言われております避難施設の整備等を行ってまいりました。

 また、基盤整備対策といたしましては、小中学校施設の復旧事業、あるいは診療所の復旧事業、都道の復旧事業、そしてまた漁港整備事業、あるいは村営住宅の新設そしてまた復旧等々を行ってきたところでございます。

 そして、生活再建に向けた対策といたしましては、被災者生活再建支援制度による支援を行いましたし、また、廃自動車等の処理に対する補助等、これらのことを三宅島に対しての支援を行ってきたわけでございます。

 また、さらに補正予算におきまして、火山ガスへの高感受性者がいる世帯に対しての小型脱硫装置の設置などに対して助成を行うとともに、税制におきましては、家屋、住宅用地等に係る固定資産税の軽減措置を創設いたしまして、帰島が円滑に行われるように措置を講じることとしているところでございます。

 今後とも、東京都、三宅村とも十分に連携いたしまして、三宅島の復興に万全を期してまいりたいと思っておるところでございます。

三ッ林委員 ぜひとも、安全対策はもとより、島民の皆様の生活再建が速やかになされますよう対策をよろしくお願いいたします。

 続きまして、地震対策についてお伺いいたします。

 二月二十五日の中央防災会議の首都直下地震対策専門調査会におきまして、首都直下地震が発生した場合の被害想定が発表され、翌二十六日の各紙の一面は、損失百十二兆円、七百万人が避難生活などの大変ショッキングな見出しで埋まりました。昨年十二月の、建物被害や死傷者の被害想定結果をまとめた中間報告に加え、今回の経済被害等の想定結果によりまして一通りの被害想定が出そろったわけでありますけれども、それらの結果、先ほども申しましたような、非現実とも言える甚大な被害が想定されるとのことであります。

 そこで、首都直下地震対策にかかわるこれまでの検討状況と今後の取り組み方針についてお伺いいたします。

村田国務大臣 我が国にとりまして一番大きな災害等の問題としては、私は、首都圏におきます大規模震災あるいは大規模テロの発生ということが、政治的あるいは経済的な中心がこの首都圏にあるということから、これに対する対策をいろいろとっていくということが危機管理という観点からも一番大切なことだと、こういうふうに考えているわけであります。中央防災会議でも、一昨年、平成十五年の九月に、首都直下地震にかかわります専門部会を設置して、首都圏で地震が起こった場合のいろいろな調査研究を進めてきたわけでございます。

 この地域にかつてマグニチュード八クラスの関東大震災が起こりました。しかし、関東大震災級のマグニチュード八という程度の大規模な震災というのは、大体この周期が二、三百年周期ということであります。しかし、その二、三百年の周期の間に、それほどまでに至りませんがマグニチュード七ぐらいの大規模な震災が起こっているということになると、やはりこの首都圏においても、マグニチュード七ぐらいの地震が起こるということも予想して対策を練っていかなきゃいけないということでございます。

 昨年の十二月と先週の金曜日に、震度予測とそれから被害想定というものを人的あるいは経済的な面にわたってこの専門会議では出したわけでございます。それで、震度予測においてはいろいろな想定を、十八モデルというものを想定しましてやってまいりましたんですが、一番蓋然性が高そうだという東京湾北部におけるマグニチュード七・三の地震では、都心部で震度六強になる、一都三県に及ぶ広域的な範囲で震度六弱と想定される、こういうことでございます。そのケースで、建物の倒壊が、火事による焼失も含めまして八十五万棟、それから死者は一万一千万人に及ぶ、こういうことでございまして、それで経済的損失は約百十二兆円、実にGDPの二割、国家予算の大体一・四倍に相当する大きな被害が出る、こういうことでございます。

 こういう被害想定が出た以上、私どもといたしましては、なおこの専門部会でこれに対する対策を考えていかなければいけないということでございまして、今後、こうした対策のマスタープランといたしまして、来年度中には大綱というものをまとめていきたい、こういうふうに考えておりますし、かつて南関東地区のいろいろな対策が練られておりましたけれども、これを見直して、首都直下型の地震についての対策を万全なものとしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

三ッ林委員 今後さらに具体的な対応をぜひ検討していただきたく、お願いします。

 次に、日本では東海地震など大地震の発生が切迫しておりますけれども、大規模地震の危険性がある地域においては、地震や津波による甚大な被害が想定されます。昨年のスマトラ沖地震の大津波によりインド洋の各地で大災害が生じました。その中で、モルディブでも被災しましたけれども、日本のODAによりつくられた防波堤が首都を津波から救ったという話を聞いております。

 そこで、日本でも、津波に対する対策として海岸堤防の必要性や重要性は同様のことだと思いますけれども、堤防の一部には、どのような構造で、また、どの程度の強度を持っているのか不明なものもあると聞いております。いざというときに役に立たなければ困るわけでありますので、海岸堤防の現状とまた対策についてお聞きいたします。

清治政府参考人 我が国におきます地震それから津波に対する海岸の安全性に対するお話でございますが、発生確率が高いと言われております、今御指摘の東海それから東南海・南海地震、あるいは日本海溝・千島海溝の海溝型地震あるいは津波に対して防御が必要な海岸について調査を行っておりますが、それによりますと、地震後の津波に対して所要の高さが確保できているものが、調査した六千三百キロのうちの約三分の二は対応できるようになっております。

 ただ、耐震性はどうかということにつきましては、不明なものがまだ六割弱あるという結果が出ておりますし、また、開口部、海岸堤防じゃなくて、通路になっているところとか河川とかそういうところについては、津波が到達するまでに閉まることが確認できていないものがやはり六割弱というような状況にあるわけでございます。

 こういう状況下におきまして、緊急性の高い地域につきましては着実に海岸の堤防の整備を進めていく必要があると考えておりますが、それに加えまして避難ということも非常に重要になってまいりますので、避難の対策についても強化していきたいということで、平成十七年度、来年度から津波危機管理対策緊急事業というのを新たに創設いたしまして、この中では、水門等の自動化、遠隔操作化、それから津波ハザードマップの作成に対する支援、あるいは津波情報提供施設でありますとか避難路の整備、こういうことを総合的に実施できるような制度を創設いたしました。これらによりまして総合的な津波対策を推進してまいる所存でございます。

三ッ林委員 ありがとうございました。日本の国土を守る重要な設備でありますので、しっかりとした対応、対策をお願いいたします。

 次に、河川の堤防についてお聞きします。

 昨年の集中豪雨や台風による豪雨により多数の河川で堤防が決壊し、大きな災害を招きました。ほとんどが中小の河川ではありましたが、国直轄の河川でも堤防の決壊が生じたことには大きな衝撃を受けたところであります。

 と申しますのは、私の住んでいる埼玉県東部地域、ここは、北には利根川、東には江戸川が流れておりまして、土地が低く、古来より水害の非常に多い地域でありました。殊に、昭和二十二年九月に関東地方を襲ったカスリーン台風の豪雨によりまして荒川や利根川流域でも幾つもの堤防が決壊し、特に、現在の大利根町での堤防の決壊によりましては、濁流は埼玉県東部ほぼ全域だけではなくて、東京都の葛飾区や江戸川区、また足立区まで達して、大変大きな被害を起こしたところであります。このような大災害の記憶がまだまだ残っている地域の方々にとりましては、昨今の異常気象による豪雨などもあわせまして、直轄河川の堤防決壊、これは大変身近な脅威として不安を感じているところであります。

 また、流域の都市化が進んだ現在、利根川や江戸川が一たん破堤すると首都圏の広範囲が水没し、当時をはるかに上回る壊滅的な被害が発生するということが想定されます。このため、利根川、江戸川において堤防強化対策などが進められていると聞いておりますけれども、現状と今後の方針についてお伺いいたします。

清治政府参考人 お話のございました利根川、江戸川は、我が国の中でも最も重要な堤防ということが言えるかと思います。首都圏の浸水が危惧されるわけでありまして、今御指摘のようなカスリーン台風での破堤と同じような箇所で今破堤いたしますと、二百万人を超えるような被災者が出るであろう、あるいは三十三兆円もの被害が出るんではないかということが予想されているわけでございます。

 これに対しまして埼玉県それから東京都の東部等を守ることは非常に重要なわけでありますが、これらは、被害が甚大だということもございますが、日本の経済活動全体に社会的な大きい問題を及ぼすということもございますので、高規格堤防の整備というのを進めているところでございます。しかしながら、この高規格堤防は他事業との調整等問題を抱えておりますので、なかなか思うように計画どおり進まないというところがございます。

 緊急に堤防を強化しなければならないところにつきましては、これは、全国的な直轄河川の堤防の点検というのを平成八年からやっておりますが、利根川、江戸川につきましても同様にその調査をいたしまして、必要な強化対策を講じなければならないところがございます。こういうところにつきましては、高規格堤防がなかなか進まないということで待っているわけにはいかないところにつきましては、高規格堤防を前提としたような堤防強化を計画的に進める必要があるであろうということで、現在、その堤防強化にも取り組んでいるところでございます。

三ッ林委員 利根川、江戸川、この流域にとどまらずに、首都にまで大きな影響を及ぼす河川の管理でありますので、より一層の対応をよろしくお願いいたします。

 そして、残り時間も少なくなってまいりましたが、昨年、国内にとどまらず、海外においても、スマトラ沖地震の津波によりまして未曾有の被害が発生し、世界的にも、改めて防災活動の重要性が再認識されたことのように考えます。こうした中で、阪神・淡路大震災から十年目を迎えました一月に、兵庫県神戸市において国連防災世界会議が開催されましたことは、大変意義深いものがあったと考えております。

 そこで、議長を務められました村田大臣からその会議の成果をお伺いしたいと思います。

村田国務大臣 時間が少なくなってまいりましたので端的に申し上げますが、一つは、国連を中心として、これから世界が災害に対して立ち向かうという行動計画、兵庫行動計画の枠組みができたということが一つと、それから、インド洋における津波早期警戒システムの導入に向けての協力の道筋がついたということでしょう。それから、あとは、防災協力イニシアチブ、これに基づきましてODAを通じて我が国が協力していく、それがございます。

 それからもう一つは、我が国は災害に対して本当にいろいろな知見を持っているわけなんで、アジ防、アジア防災センター等を通じまして開発途上国を中心に専門家を育てて我が国のノウハウを伝えていくということで、持続的な開発の阻害となっている災害に取り組んでいく、こういうことがみんなで認識されたということが成果だったと、こういうふうに思います。

 インド洋の津波早期警戒警報システムについては、二十二日―二十四日まで、既に、各国の皆さんがおいでになりまして、我々とともに研修をしていただいたという成果も具体的に上がっているわけでございます。

三ッ林委員 さまざまな災害に対する知見を持っているこの日本というものの知識また経験というものを、ぜひこれからも世界的な災害対策に役立てていただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、泉房穂君。

泉(房)委員 民主党の泉房穂です。

 本日も、三十分間、被災者の立場から、被災者生活再建支援法につきまして大臣のみに限って御質問をさせていただきます。先ほど答弁もありましたが、阪神・淡路大震災から十年たち、神戸に足を運ばれ、十年後の被災者の状況を見られた大臣のことでしょうから、本日は前向きな答弁が得られるものと信じて質問をさせていただきます。

 本日は資料をお手元に配らせていただいております。まずもって本日最初の質問は、現行の被災者生活再建支援法がうまくいっているのかどうかという観点からの質問であります。

 この点につきまして二つの問題があります。本当に支援をしている方に対してちゃんとこの制度が適用されているのか否か、そして、適用されている方に対して、この制度が予定している金額がきっちりとお手元に渡るようになっているのか否か、つまり、その世帯がちゃんと網羅されているか。そしてもう一点は、金額がきっちり手元に渡っているか。この二点であります。

 そこで、まず大臣に問いたいと思います。

 この法律、昨年の四月一日施行、それ以来十の災害につきまして適用をされておりますが、この間、一体どれほどの方がこの支援を必要としておられて、これまでに何割程度の方が既にこの適用を受けておられるのか。まずそのことにつきまして、細かい数字は結構です、大体で結構ですから、まずお答えいただきたいと思います。

村田国務大臣 昨年の通常国会で生活再建支援法が改正されて、従来の百万円の制度に加えてプラス二百万円、合計三百万円の制度になったわけでございます。

 委員のお目指しになっている質問の意図というのは、実際適用になったところがこれまで実績が少ないのではないかというそういう御指摘、そのねらいがあろうと思いながら私の方で答弁をさせていただきたいと思いますが、私どもとしては、平成十六年度中発生した災害によりまして本法の対象となる世帯というのは、全壊と大規模半壊でございます、おのおの三百万円と百万円ということ、これについて約四千戸ぐらいが対象になるだろうということで見込んでいるわけであります。

 ところが、二月十日までの状況を見ますと、支給の申請件数は三百件、それで、その実際に支給された件数は四十九件という形になっているわけでございます。

 これが少な過ぎるじゃないかという多分次の御質問に来ると思うんですが、これは、例えば中越地震では、全壊家屋が約三千戸ぐらいあったと思いますが、まだ雪が続いておりまして、それでなかなか工事に入れないということもあるし、そもそもこの支援法の対象期間というのは三年間ございますので、そういう中でお考えになっておられる、それから、昨年の水害の例でも、そういうことを考えながら申請をされるというふうに我々は期待しているわけでございます。

泉(房)委員 きょう、手元に資料をお配りしております。一枚は横書きのペーパーの方ですが、これが、消防庁の資料をもとにまとめた、今回の対象となっている十の災害についての全壊、半壊などの数値であります。もう一枚、縦書きの方が、これは内閣府が公表している資料であります。こちらの方には、これまでの支給をした世帯が書いてあります。この二つを見比べていただいたら結構なんですが、内閣府の資料は、そもそもこの改正前の数値も出ておりますので、本日は、改正後、昨年の四月一日以降の十の災害について見ていきたいと思います。

 例えば、この横書きの方を見まして、新潟・福島豪雨ですね、この場合、数値を見ますと、全壊世帯は七十、半壊世帯は五千三百五十四、合計五千四百二十四世帯が全半壊となっております。これに対して、では、この五千幾つもの全半壊の世帯のうち幾つ支給されているかというと、縦書きを見ますと、わずか十一世帯であります。

 少し飛びまして、台風十六号をちょっと見ますと、この中国、四国地方を襲った台風十六号、これももちろん適用対象の災害であります。全壊世帯は二十九、半壊世帯は九十五ありますが、実際のところ一世帯もこの適用を受けておりません、ゼロ。つまり、今の大臣の答弁だと、いや、まだこれからとおっしゃるかもしれませんが、その後、既に支給を受けたところもございます。

 台風十八号の場合、百九が全壊、八百四十八が半壊、ところがこれはたった一世帯です。こういうふうな状況です。

 これを被災者の立場から見ますと、全半壊になった被災者がこれほどたくさんおられるのに、実際この法律の適用を受けているのが、わずか、合計してもいまだ四十九世帯ですよ。四十九の家族、世帯が受けている程度なんですよ。こんな状況で果たしてこの法律はうまくいっていると言えるんでしょうか。

 大臣、お答えください。

村田国務大臣 委員はおわかりのことで、水増しをして質問されているというふうに思いますが、半壊は対象にならないんです。だから、我々が議論するときに、対象となる全壊とそれから大規模半壊、これでもって分母で考えていかなければいけないということなんで、半壊まで議論の対象に加えて少ないではないかと言うと、それは少ないのは当然だというふうになるんだろうというふうに思いますね。

泉(房)委員 そんなことは当然の前提であります。ただ、各自治体すべては、半壊を救わなきゃいけないという価値判断でつくっています。ただ確かに、計算するときに半壊まで入れると制度の枠組みを現行法上超えているという御指摘はそのとおりであります。

 であれば、その立場に立ったとしても、全壊は当然対象になります。全壊だけでも四千二百十三の世帯、その一人一人の顔を浮かべたら、四千を超える御家族が全壊の状況なんですよ。ところが、大規模半壊を入れたとしてもわずか四十九なんですよ。四千もの方が全壊なのに、大規模半壊を入れてもわずか四十九。

 この法律ができるときに、迅速な対応をしますという話もありました。先ほど答弁の中で三年間申請期間があると言われますが、生活再建部分、これの百万は速やかに出す概算払いもあるんですよ。別に、申請して認められる方はもう既に認められてしかるべき状況のはずなんです。ところがこの数値なんですよ。

 この原因はどこにあるとお考えなのか、大臣、お答えください。

村田国務大臣 改めてお答えをさせていただきますが、我々は、当然権利のある全壊世帯でも、所得制限とかいろいろございますので、所得制限でいえば、該当全壊世帯のうち五〇%、半分ぐらいを対象にするというそういう支援法の体制になっているということでございますね。

 それからもう一つは、四千何ぼ、要するに全壊家屋が、一連の災害でございますけれども、でも、ほとんどがこれは中越地震ですよ。中越地震が二千何ぼで三千弱ですよね。中越地震のあそこの地帯は、まだ建設が、大部分の地域において大変雪深いところですからできないんですね。だから、そういうことも私は考慮しなきゃいけない。ですから、雪解けが済んで準備ができるようになったら、大工さんを手当てして早くこの制度を利用できる人は利用していただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

泉(房)委員 今の大臣の中越を引いても、千四百もの方が全壊なんですよ。そして、今大臣に改めて質問したいのは、今回、政府の方は補正予算も組みまして、予定として四千世帯を対象としているという御答弁がなされております。

 では質問します。

 この補正予算で組んだ四千世帯に、今四十九ですよ、ことしの年度末、三月末ですよ、四千世帯にたどり着くのですか。もしたどり着かないときはどのようなお考えなのか、お答えください。

村田国務大臣 予算はあくまで積算根拠でございますから、これは別に目標値でも何でもありませんので、我々としては、我々は予算の手当てをするときに積算根拠というのが要りますので、予算で手当てするその前提としてそういう想定をしたということでございまして、あくまで、適用期間が三年間ありますから、その適用期間の中でできるだけの方がこの制度を御利用なすっていただきたいと心から願っておるわけでございます。

泉(房)委員 本当に答弁は逃げの答弁だと思うんですね。三年あるにしても、繰り返しですよ、申請する人は概算払いで速やかに受けられるためにこの制度をつくったんですから、いまだゼロというのは、やはり余りにもおかし過ぎると考えます。現在四十九、もちろん多くの方に支援をしていく方向性は全く同感です。

 ところが、四千という、目標でないとおっしゃいますが、実際この数値を見たら、全半壊全部足せば、全壊だけでも四千二百十三、半壊、今の制度は大規模半壊、わかっております。ただ、地方は半壊を全部入れています。両方足すと三万以上の世帯が、地方の立場からすればやはり支援が必要だという世帯だと考えるのが私の理解です。ところが、いまだ四十九。間もなく一年たとうとしている状況で、やはりこの制度自体に何らかの問題点があると考えるのが自然だと思います。この点、これ以上押し問答してもしようがありません。

 もう一点、金額の問題です。

 これも重要な問題で、今回の枠組み、合計足しまして三百万円であります。そもそもの昨年の春の議論の過程の中で、大臣の方から、三百万出るのかという質問に対して、いや、それは実効性がある、ちゃんと出るというお話がありました。

 しかしながら、この縦書きの資料で計算しますと、十六年度、四十九世帯で出ている金額が三千七百二十二万八千円になりますから、一世帯平均七十五万九千円にいまだすぎません。つまりこれは、政府の答弁でも、補正予算のときに関係してですが、四千世帯で予算額は補正も組んで九十億という答弁です。一世帯平均二百二十五万円程度を一応予算としては見積もっているはずでありますが、いまだ七十五万程度であります。

 これから伸びていって大臣としてはほぼ満額いくというお考えなのか、そうではなくて、今の制度に問題があるのでなかなかたどり着かない、実際の制度自体の出る金額はあるけれども、実際使い勝手が悪くて出ないということなのか、いずれか明確にお答えください。

村田国務大臣 では、委員に御質問をさせていただきたいと思いますが……(泉(房)委員「質問はするなよ」と呼ぶ)いや、質問権はあるんですよ。

 アメリカでは同様の制度がありますよね。アメリカの制度は幾ら支給をされるか、私からお伺いをいたしたいと思います。

西村委員長 発言しますか。

泉(房)委員 いいえ、大臣をかわっていただくなら答えますが。ちゃんと質問に答えてください。

村田国務大臣 国会の制度が変わりまして、私ども、答弁に徹するということではなくて、我々が質問者に質問することにして、それでやりとりをしようというのが、これが国会の審議の理想的な姿じゃありませんか。それを岡田代表も多分おっしゃっているんじゃないかというふうに思うんで、私は、だから先生の意図を、委員としての、質問者としての意図を聞きたい。額が足りないと言っているわけだから、民主党は五百万円出せとこう言っているわけですから、だから私は、例えばアメリカでは同様の制度は幾ら出しているんですかということを委員にお聞きしたいということで私から質問をしたわけでございます。

泉(房)委員 まず質問の意図を誤解しております。今の私の質問は金額の増額の話ではありません。今の制度の枠組みで、それを前提としても、ちゃんと少なくとも今の現行制度が機能するか否かの観点からの質問であって、金額の多い少ないを言っているわけじゃないんです。

 今の制度の枠組みであっても、対象経費を限定している結果、その結果、予定されている生活再建の百万に居住安定の二百を足して三百にたどり着かないんじゃないかという指摘がなされているので、その点について、いや、今の制度のままでも三百万にいくというお立場なのか、そうではなくて、もう一年近くたってみて、やはり今の制度ではそこにたどり着かないという御認識を今持たれたのかということを聞いておるんです。

 お答えください。

村田国務大臣 では、委員が外国の制度についての知識がおありでないようなんで。アメリカでは同様の制度がございます。ただ、アメリカの制度では住宅の本体まで支給されることになっておるわけですが、アメリカは一万ドル、百万円の支給ということになっているわけでございます。

 もちろん、日本の制度は、三百万円といっても、対象経費が委員がおっしゃるように住宅本体に入っていない、こういうことなんでございます。だから、そういう意味では多少アメリカの制度とは違うわけですけれども、アメリカの三倍が一応利用可能額としてあるわけでございます。

 しかし、今委員もいみじくもおっしゃったように、この三百万円というのは、対象経費が決められている、それで、最高限度額だからすべて三百になるということは到底あり得ないわけでございまして、それぞれの人の、それぞれの申請者のいろいろな条件によってその上限が抑えられるということもありますから、そういう意味では、私どもは限度目いっぱいに使われるように期待しておりますというのが私の御答弁でございます。

泉(房)委員 質問にはきっちりお答えいただきたいと思います。

 春のこの法案のときの議論と今の大臣の答弁は異なっています。どういうことかというと、春の法改正のそもそもの段階の時点でも、ちゃんとこの制度でも、予定された金額、つまり実効性があるか否かが争点だったわけです。そのことに対して地方の方が、これではお金が出ないからと、だからこそ住宅本体の補修費を含めるという議論があったんです。そのときの大臣答弁は、御心配要りません、この制度でも出るという御答弁だったわけですよ。ところが今の大臣の答弁は、いや、出ない場合もありますという答弁なんですよ。そこは変わったんです。

 では質問します。春の時点と答弁の内容が変わったのか変わっていないのか、お答えください。

村田国務大臣 その当時、私は大臣をしておりませんから、どういう答弁をしたか、私も子細に議事録を見ないとわかりませんが、対象経費が限られているというか列挙されているということは、出ない経費があるということじゃないですか。だから、そういう意味では、全部出ますよとかいうのはおかしいのであって、出ない場合があるということは当然の帰結じゃないでしょうか。

泉(房)委員 どうも今の大臣の答弁は、春と全く違った観点からの答弁になります。とすれば、その大臣の立場を前提とすれば、では、せっかく枠組みで、現行制度でも百万足す二百万の三百万を予定している、しかしながら、現行制度でたどり着かないんであれば、であれば、たどり着くように住宅本体補修費を入れればどうですかというふうにつながっていきますから、もし大臣の答弁がそうであれば、今後、そういう形で質問をしていきたいと思います。

 時間の関係は大臣のあれで随分押してしまっていますが、きょう聞きたいのは、実態調査の必要性についてどうしても確認したいんです。

 今の被災者の状況、きょう資料も配りましたが、このカラーの方を一枚めくっていただいても、新聞報道によっても、全半壊の九割が対象外だ、問題だと。一枚めくりましても、全国の知事のアンケート結果、共同通信がとったものですが、四十七都道府県中もうほとんどすべてが、この見直しが必要であると言っているわけです。一番大きなのは、まさにこの住宅本体について、四十七都道府県中四十四もの知事さんが、住宅本体補修費に充てるべきだというふうに考えておられるわけです。そして、もう一枚めくりますと、もう既に、地方の方ではそういった住宅本体補修費に充てる制度を地方自治体がつくっていっているわけです。もう既に十の自治体がつくっているわけです。昨年春、四月からの改正以降でも、八つもの自治体がこういう形で制度をつくっているんです。

 そこで問います。

 この地方の声を大臣はどう受けとめるのか。そしてもう一点、この地方の施策を大臣は評価するのかしないのかです。かつての議論では、そもそも住宅本体にお金を出すことは憲法違反であるかのような議論さえありました。しかしながらも、地方が、十もの自治体がやっているんです。

 この制度を評価するのか否か、そして、この地方の声をどう受けとめるのか、この二点、お答えください。

村田国務大臣 冒頭、先ほどの御質問について十分答えているかどうかわかりませんのでちょっと補足いたしますと、年齢制限とか所得制限とかそれに伴う条件が合っている、それで対象経費も条件を満たしている、それで出ていないということであるならば、私は、問題があるということでそれは改善しなきゃいけないんだろうと、こういうふうに思います。それで、条件が合わないというケースは、いろいろな条件を設けている以上、当然、もらえないというか支給されないというケースはあるということは委員もおわかりのことだろうと、こういうふうに思います。

 二点目でございますが、実態調査は毎年やっております。やはり、制度上問題があるかないかということについては、我々としてもこれは情報として絶対必要でありますので、毎年やっております。

 事実私も、発災後一カ月たった後に中越へ行ったときに、ちょうど東京都からボランティアで、東京都のどこの市だったか忘れましたけれども、手伝いに、支援法の申請の受け付けをやっているそういうところに出っくわしたものですから、私もお昼時間を割いて、どういう問題点にぶつかっていますか、お気の毒な例はどういうところがありますかということを、その担当者からお伺いをしました。

 我々は、常に、制度の趣旨ができるだけ法律の趣旨に照らして実行できるように、改善をするところは改善をしなきゃいけない、そういうふうに考えておりますので、誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。

 ところで、今の質問に対してお答えをいたしますけれども、災害というのは、まずは発災した地元で対策を練るというのが基本でございます。しかし、大規模で激甚な災害があったときに国が出て支援をする、例えば、補助率のかさ上げをしたりいろいろなことをして、それに重ねて国が支援をするというのが災害の復旧対策、応急対策の一つの柱になっているわけであります。

 ところで、この被災者生活再建支援法の立て方というのは、そうした原則に基づきつつ、地方と協力して、つまり地方の方も、県も基金を出して、それで半分半分お金を出し合ってやるというのがこの制度の趣旨でございます。

 そうしたことを理解していただいた上で、地方が自分たちのところの、例えば鳥取県の例で言えば、過疎な地域でもって、住宅の再建なくしてはコミュニティーがつぶれちゃうということで、片山知事の御発想で、そこに三百万円、住宅の本体にお金を出すということを決定されました。それこそまさに地方自治でございますよ。地方がその地方自治のニーズに従って自分たちの施策を講じていくというのは、まさに地方自治の本旨にかなったものでございますので、そういうことであれば私は評価していいのではないか。

 しかし、それに対して国がつき合うべきかどうかというのは全く別の問題であるかと私は考えております。

泉(房)委員 いつも大臣の答弁はずらした答弁をなさるんですが、この法律が昨年四月にできてから八つもの自治体が、この法律が不十分でつくっているんです。それをどう評価するかということは、やはり、地方自治体が今の法律では不十分であるという声だと受けとめるべきなんです。そのことについての答弁を求めていたわけですが、ちょっと時間の関係もありますので、問題点を指摘したいと思います。

 二枚めくりまして、大きく言って幾つも問題はありますが、図表にしております。これは、論点は幾つもあります。

 手短に言いますが、今は大規模半壊のみなので、半壊世帯が救われません。ところが、各自治体、半壊を救うべきだということで、去年春以降、この書いてある八つの自治体すべて半壊を含んでいます。問題は、半壊世帯まで救うか否かという論点。

 二つ目は、この要件が厳し過ぎると。この階段状の、原則五百万、高齢者について七百、八百という数字になっていますが、これはまさに、住宅再建意欲の強い四十五歳までの方が救えていない。これは非常に切実な願いであります。これは要件の問題です。そして、この要件の認定が前年度の認定なので、これは非常に不合理である、自営業の方が全く救われないというようなことになりかねないという問題もございます。

 そしてまたこの限度額についても、もちろん、三百万で足りるかという議論もございます。

 そして、住宅本体補修費に充てるべきだという論点、そして、国の補助率が二分の一でいいのか。災害の場合、三分の二というような場合も多く見られます。

 こういった個々の論点をどう検討していくのかを検討すべきだと考えます。

 ところが、今の政府がやっている弾力的運用というのは、これらの論点のうちの、まさに認定の程度を、大規模半壊の認定というところを柔軟化して、ここの認定のこの論点の一個だけに対応しているだけだと言えると思います。ほかの論点についても検討する必要があるのは当然だと思いますが、今申し上げたそれぞれの論点について当然検討対象にしていくという理解でよろしいのかどうか、少なくとも検討対象にするという理解でいいのかどうか、お答えください。

村田国務大臣 民主党さんが改正案を出されている、こういう……(泉(房)委員「三野党」と呼ぶ)三野党さん。もし、その法案が議論されることがあれば、そこで議論されることになろうかとこういうふうに思います。

 たくさん問題点を御指摘されましたので、時間の関係……(泉(房)委員「言われたとおりですから、別に、よく御存じのとおりです」と呼ぶ)そういうことであれば、その場で議論はされるのではないかというふうに考えます。

 問題点は、繰り返しあれでございますが、これも、民主党さんあるいは泉先生にお考えをいただきたいんですけれども、我々が今の制度を使っているというのは、やはりどうしても財源論というのもあるんです。これは谷垣財務大臣もおっしゃいました。やはり、税金をどうやって効率的に使うかということ、これが財源論に結びつくわけですね。その中で、私は哲学論もあると言いましたけれども、そこが個人資産には税金を使いがたいねということを申したわけですね。だから、そういうことで今の制度は今のような形になっているということを御理解をいただきたいというふうに思います。

 せんだって、首都直下の地震でもって被害想定を出しました。その中で、八十五万棟が、全壊だけですよ、首都直下の一つのケースでは家がつぶれる、そういう形になった場合に、泉先生は幾ら財政出動が要るのかと。

 今回の場合には、我々は、新潟県で全壊世帯が三千戸弱、これでもって大体数十億円のオーダーでもって財源を考えていると。それで、そのほかに復旧のインフラ費用として幾ら使っているかというと、あの新潟だけで三千億円を使っているわけですね。だから、五十億の六十倍ぐらいなインフラ整備というものをとりあえず今年度だけで考えているということになったときに、やれ個人の住宅に対する支援は必要だ、あるいはインフラの復旧費が必要だといったときに、財源対策はどう考えておられるのかということをむしろ私は泉先生にお伺いをしたいわけでございます。

泉(房)委員 本当に大臣は、質問にきっちりやはりお答えをいただきたいと思います。

 財源論、私が大臣に答えるのもあれですが、財源論については大事なのは当たり前ですよ。だからこそ、そのお金をいかに、どこに有効に使うかという議論をしているのです。

 今回の補正予算だって、一兆円もの補正予算を災害関連で組んだんですよ。そして、まさにきょう議論したように、九十億のこの被災者生活再建支援法のお金を組んでおるんです。ところが使えていないという問題なんですよ。お金がないからという議論の手前の段階で、組んでいる予算すらまだそこが使えていない今の法律というものはどうなんですかという議論なんです。お金の議論の前の段階の議論なんですよ。

 このことについて、四年後というよりは、昨年の春に附帯決議もついて見直しが議論されているわけですよ。する必要があるんですよ。少なくとも、こういった今の状況を踏まえて実態調査をきっちりしていくべき時期だと思いますが、大臣、少なくとも、今の施行状況、運用状況を踏まえて実態調査をきっちりしていくということでよろしいんですね。明確にお答えください。

村田国務大臣 三百万円まで限度額が上がったのは去年の法改正の後でございますが、今までは百万円という、家具等へ出すというそういうことでございましたね。そのときはほとんど使っているんですよ、百万円を、調査してみますと。

 だから私どもは、制度が実行されて、それからだんだんだんだんなれてくる、そういう形でいけば、だんだん皆さん方が十分に使っていただけるようなそういうことになるのではないかというふうに考えているわけでございます。

泉(房)委員 もう一年近くたって十もの災害があるんですよ。半壊を入れたら三万世帯もの方が求めているんですよ。それを踏まえて、少なくともやはり、大臣のイニシアチブで実態調査のチームでもつくって速やかにその被災者の声を聞いていく、そのことを始める時期じゃないですか。

 昨年の春から四年というめどでの見直しであれば、もうそれを始める時期だと考えますが、少なくとも、イニシアチブで実態調査するぐらい答えたらいかがですか。最後の質問といたします。

村田国務大臣 先ほど御答弁申しましたように、当然実態調査はするんです。毎年やっております。

泉(房)委員 今の答弁は、これまでとは違い、最もきっちりと被災者の声に耳を傾けた実態調査をするというふうに私は理解したいと考えます。

 また引き続き続きをやりますので、よろしくお願いします。

西村委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 泉房穂議員に続き、質問させていただきます。泉議員の方はまず税金の使い道の話でしたが、私は、同じように災害の義援金について質問したいと思います。

 昨年もこの委員会で災害の義援金の使い道について発言をさせていただきました。そこでいただいた答弁の実態、実は、阪神大震災はたくさんの義援金が集まったにもかかわらず、半年から一年間、義援金は何も使われずに寝ていたという実態が明らかになってしまいました。今回も、中越地震でそのようなことがない、きちんと義援金が配られるように今回は早目に対応する、そういうふうに返答いただきました。そこで、十一月二十九日、委員会が終わった後、十二月十日から義援金が今回は配られ始めていることが明らかになりました。私も、阪神大震災のときに比べて随分早く対応していただいたな、さすがだな、やはり今の大臣は立派だなと思いました。

 さて、今、中越地震で三百三十七億円が集まっています。そこで、十二月十日からは第一次配分として百三十億円配られたと聞いています。しかし、まだ使われていない義援金、使い道が決まっていない義援金が残っていると思うんです。一刻も早くこの中越地震で本当に困っている人たちの手にその義援金が届くよう、私は、第二次配分、どうなっているのかをお聞きしたいと思います。いつごろ第二次配分は配られ始めるんでしょうか、お聞かせください。

小島政府参考人 義援金についてのお尋ねでございますが、先生今御指摘がございましたように、直近の集計では、二月二十四日現在で三百三十七億円に義援金が達しているわけでございます。実際に配られましたのが、二月二十四日までに、人的被害五百四十二人、住家被害約十万世帯に対しまして約百三十九億円が配分されたところでございます。

 まだ多額の義援金が残っているわけですが、これは、第二次配分の具体的な配分基準を現在新潟県の方で鋭意検討しているというふうに聞いております。その基準ができ次第、速やかに被災者の方々にこの義援金は配分されるというふうになろうかと思います。

村井(宗)委員 今、私はいつからその第二次配分が始まるのかをお聞きしているんですが、いかがでしょうか。大体の目安をお答えください。

小島政府参考人 新潟県の配分委員会で検討中でございますが、私どもとしましては、年度末までにはできれば配分をしたいというふうに聞いております。

村井(宗)委員 大臣、どう思われますでしょうか。義援金が集まったのは約三百四十億円、そして、今配分が決まっているのが百四十億円、差し引き幾ら義援金が寝ているんでしょうか。

 多くの義援金を納めた人たち、いや、このお金はすぐに配られるものだなと思っていたと思うんです。中越地震が起こったのは十月二十三日、今お答えいただいたのは、年度末までに配りたいな、配り方を決めたいなという話でした。今集まっている三百四十億円、そして、今使い道が決まっているのは百四十億円、さて、差し引き幾らまだ使い道が決まっていないんでしょうか、お答えください、大臣。大臣、お願いします。三百四十億円引く百四十億円です。大臣、お願いします。

村田国務大臣 計算弱いんですが、多分、正解は二百億円じゃないかというふうに思います。

村井(宗)委員 いや、確かに、たくさんの義援金があってばあっと配った、だけれども、まだちょっと使い切れずに少し残ったがんだ、そういう説明を受けていました。まあ、そうなんかなと思っていたんですが、ちょっと待ってくださいよ。今の話でいくと、使い道が決まったのが百三十億円で、使い道が決まっていないのが二百億円、実際どちらが大きいんでしょうか。多くの義援金を納めた人たちの善意は本当に届いているんでしょうか。

 大臣は、その辺、どのように思われますでしょうか。

村田国務大臣 きのう予算委員会でこうしたことについても私は御答弁申し上げました。それで、義援金をできるだけ早くお配りする、かつまた公平にお配りするという観点から、あらかじめ日本赤十字社のガイドラインみたいなのができていて、それに基づいて地方公共団体が配る、こういう形になっているわけですね。それは、あらかじめそういうルールが明らかになっていれば早く配りやすい、それから公平さもかつまた担保できる、こういうことだと思うんですね。

 だから、そういう意味で私は、要するに倍以上がまだ残っているというのは、中越の特別の事情があるのかなというふうにとっさに考えるんでございますが、できたらできるだけ早く配っていただきたいなというふうに考えております。

村井(宗)委員 できるだけ早く配っていただきたいなと言うんじゃなくて、担当大臣でございますので、早く配るよう指示しますというお答えをいただきたかったなと思うんです。

 義援金を納めた多くの人たちは今どう考えているかだと思うんです。使い道を半年後に決めるなんてだれが考えていたでしょうか。もちろん、三分の一ぐらいはもう既に配られ方が決まった、それはそれでいいがですけれども、たくさんみんな義援金、あのときテレビでばあっとやっておった。私も現場に三回行きました。言われたがですね。いや、村井さん、議員さん、でかいと支援物資は来る、支援物資がすぐ来たがはありがたいがだ、だけれども、テレビを見ておったら、義援物資はこちら、義援金はこちらだと書いてある、義援物資はでかいと来とんがに義援金ちゃどうなっとんがけ、いろいろなところから聞かれました。まさか私そこで、いや、義援金のうちの三分の二は、半年後に使い方を相談してから皆さんに配りますなんてだれがそんなふうに答えられるでしょうか。そして、だれがそのように思うでしょうか。

 最後に大臣の方から、早く配るように指示しますと一言いただければこの質問については終わりたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

小島政府参考人 一言、大臣がお答えになる前に御説明をさせていただきたいと思いますが、義援金の受け付け状況は、震災発生後一カ月後の十一月十八日には約百三十一億円でございました。その義援金の配分について、十一月二十日に、新潟県では配分委員会をつくりまして第一次配分計画を決定したわけでございます。その配分計画は、百三十一億円と、年末までに寄せられる義援金を予測して決定をされました。

 それで、実際にはもう義援金の受け付けは年内で終了しようかという話もあったんですが、その後全国からさらに多くの義援金が送られたということでございまして、現在もまだふえ続けております。それで、必然的に第二次配分をしなければならない状況に現在至っているというのが実情でございます。

村井(宗)委員 だとすれば、予測の三倍のお金が来た、だからおくれたんだという答弁だと思うんですが……(発言する者あり)ただ、その予測が本当によかったのかどうなのか、私はそこをしっかり考えなければならない。そして何よりも失礼なのは、いまだに半年間、予想よりたくさん来たから、三分の二の義援金はそのまま使い方も決まらずに寝ている。そのことが失礼だと思いますか、どう思いますか。政治家の方からお答えください。

西村委員長 どなたに、御答弁は。

村井(宗)委員 できれば大臣に。(村田国務大臣「担当大臣じゃない」と呼ぶ)

西村委員長 担当大臣じゃないということですが。

村井(宗)委員 副大臣でも結構です。

村田国務大臣 私が先ほどお答えしましたように、いろいろなルールが決まっているんだけれども、そうなっているのはそれなりの理由があるわけじゃありませんかという御答弁を申し上げました。多分そういうことではないかなというふうに。

 新潟はまだ避難指示とか勧告が終わっていないんですよ。だから、ずうっと継続している状態だものですから、そういう事情もこれありということでおやりになっているのではないかとこういうふうに思いますので、私は、新潟中越地震の特殊事情ということもあったんじゃないかなというふうに考えるわけでございます。

 別にそれをどこかへ使っちゃうわけでもないですし、できるだけ手持ちのものは、要するに、既に百数十億はお配りになったわけでございますので、その後は、実際のことをいろいろ考えて、これからしっかりと被災者の手元に渡るようにお考えになっていただけるんだろうと。

 新潟県の中越地震の復興ビジョンだって、ようやくきょう発表になったんですよね、懇話会のものが。だから、これからまた新潟県がそれでつくるということでございまして、そんなにぱんぱんぱんぱんといくわけじゃないものですから、特に、今度は雪で大変な状態にかつまたなっているわけでございまして、そういう事情を委員も御理解をいただいたら大変ありがたいなと。

 これは必ず被災者の手に渡るわけでございますので、御了解をいただきたいというふうに思います。

村井(宗)委員 もちろん私も、前回の阪神大震災の場合もきちんと全部被災者の手に渡ったということも確認しています。ただ、最後に、やはり時間の問題なんです。本当に被災しているときに受けるのがありがたいのか、それとも、災害が終わった後大体半年後ぐらい、落ちついてから使い方が決まって、そこから一カ月、二カ月後にもらうのがありがたいのか。そして何よりも一番大事なのは、もちろん、義援金を入れた方の三分の一についてはそれで結構なんですが、義援金を入れられた方の三分の二の方については、半年後にようやく使い方が決まろうとするということが非常に失礼だということだけお気づきいただければというふうに思い、この問題を次の問題にかえさせていただきます。

 次は気象庁の方に。

 観測史上初めてというような災害が今次々と起こっています。昨年の集中豪雨や台風による水害等の多発に見られるように、過去に余り発生しなかった集中豪雨が起こるようになってきているわけですが、気象庁の観測からはどのようなことがわかっているのか、どのように分析しているのかをお伺いいたします。

長坂政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘のございましたように、昨年、我が国では梅雨前線や台風に伴います大雨が多発し、アメダスで観測をした一時間当たり雨量五十ミリ以上の大雨の発生回数は全国で四百七十回に上っております。これは、アメダスの観測が始まりました昭和五十年以降、最も多い回数でございます。

 ところで、このような時間五十ミリを上回るような大雨の見られる回数は、昭和五十一年以降十年ごとの平均で見てみますと、年間、全国でそれぞれ二百九回、二百三十四回、二百七十一回と、気象庁の観測からも、近年こういった大雨の降る回数が増加する傾向が見られているところでございます。一般的に申しまして、大雨の回数には年によりますかなりの変動が見られるところではございますが、ただいま申し上げた近年の増加傾向等にかんがみますと、今後も、年によりましては大雨が頻繁に発生する可能性が十分あると考えております。

 以上でございます。

村井(宗)委員 去年の災害におきましても、今お答えいただいたように、多くの記録的な数字が伝えられています。

 御承知のように、二月十六日に京都議定書が正式に発効しました。日本が約束している温室効果ガスの削減目標を達成するのは非常に厳しい情勢ではあります。しかし、今いろいろな方々が、地球温暖化を防ごうということで一生懸命頑張っているわけです。この間も、国会でいろいろなパフォーマンスなどもありました。

 近年の異常気象の今後の見通し、この地球温暖化の関連性について気象庁の見解をお聞きいたします。

長坂政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年我が国で出現しています異常気象の中には、先ほど申し上げました大雨の発生回数の増加傾向、こういったものに加えまして、気温の全般的な上昇に関係し、熱帯夜の発生日数の増加、あるいは冬日の日数の減少などが挙げられております。

 一例として申し上げますと、都市化の影響の少ない全国十七の中小都市について申し上げますと、熱帯夜の数の年間の延べ日数は、六十年前に比較しますと、当時の年間二十日から、最近では年間四十日程度に増加をしております。また、冬日の年間延べ日数は、六十年程度前には年間九十日あったところでございますが、現在では年間延べ七十日内外に減少しております。

 地球温暖化の影響としまして、気象庁を初めとして世界の気候変動の専門家が平成十三年に取りまとめました気候変動に関する政府間パネル、これはIPCCと称しておりますが、これの第三次報告書におきましても、地球温暖化が進む二十一世紀中には、強い降水現象が多くの地区で増加するという可能性がかなり高いとされております。

 一方、日本を対象としました気候予測を用いました気象庁の調査でも、地球温暖化の進行に伴って、多くの地域で短時間の大雨が増加する、さらには梅雨期の総雨量の増加等が見込まれており、気象庁としましても、IPCCと類似した見解を持っているところでございます。

 以上でございます。

村井(宗)委員 次の質問に移ります。

 国土交通省では、今国会に水防法の改正案を提出されると聞いております。その中では、高齢者等の災害弱者の警戒避難体制の充実や洪水予報の導入などと並んで、水防団の問題に関して、水防協力団体の指定制度の創設が盛り込まれています。

 昨年の事例を見ましても、水害は、都市部だけではなくて、過疎化と高齢化が進んだ山間部でも発生しています。場所によっては、救急車が到着するまで一時間近くかかるような地域もあったと聞いております。そういたしますと、いざというときにはその地域の人たちの力が頼りになります。日常からの見回りや点検監視、集中豪雨等の警戒体制、水害発生時の応急対応や避難誘導など、水防団に期待される防災上の役割は非常に大きいものだと思います。

 この地域の水防団の団員の減少、高齢化、サラリーマン化などが指摘されていますが、水害対策上、近年その活躍が目覚ましい災害ボランティアと従来からの水防団の連携や協力関係の構築が急務ではないかと考えますが、この水防協力団体指定制度の創設について国土交通省の見解をお伺いいたします。

清治政府参考人 今、委員からお話がありましたように、水防法等の改正を今国会でお願いしてございますが、その中で水防協力団体という制度を創設したいと思っているわけでございます。

 現在、水防活動に携わる消防団、水防団の数は約九十二万人でございます。これは、昭和四十六年当時が百二十二万人ということでありますので、どんどん減ってきている。それから、御指摘のように高齢化が進んでいる、若者がなかなか入ってこないというような問題を抱えておりますのと、また、各地域におきましては地域コミュニティーが変貌してきているというようなこともございまして、水防の能力は、はっきり申し上げまして弱くなってきているんではないかということを危惧しているわけでございます。

 その反面、ボランティア活動が非常に盛んになってきておりまして、平成十六年の十二月末現在で、NPOにおきまして活動目的に災害救助活動というものを掲げております団体が、千三百九団体ということで非常に多くなってきておりますし、また、災害後のボランティア活動も盛んに行われているというような状況がございます。

 私どもとしましては、水防管理者がこういう団体から申請がなされた場合には、それを指定することによりまして、日ごろからの訓練、それから、実際に活動するときに水防団との協力体制、こういうことをできるようにすることによりまして、自助、共助、公助のバランスのとれた水災防止能力の向上に寄与できるのではないか、このように考えておりまして、今国会に御審議をお願いしているところでございます。

村井(宗)委員 今おっしゃられたようなこういう災害ボランティアの登録制度をつくられることは、私は非常にすばらしいと思うんです。

 ただ、その水防協力団体に指定されたNPOなどボランティアについていえば、死傷者等の事故があったときの補償はないというふうに今のところ文書が出ているそうですが、本当に民間のボランティア保険だけでよろしいんでしょうか。水防団と同様の活動に従事をするわけです。片や、非常勤の公務員である水防団は公務災害の補償の対象になる、片や、登録された水防協力団体のNPOのボランティア、もちろん無給なんですが、そのボランティアは民間の損害保険だけということでは、制度のあり方としてどうでしょうか。その辺、もう少し検討をお願いしたいと思うんですが、河川局長、いかがでしょうか。

清治政府参考人 今お話にありましたように、ボランティアということでお願いしたいということで考えているわけでございますが、なお、活動内容、幅広くなっていくべきだという先ほどのお話しがございましたが、水防団が実際に危険な場所でくいを打ったり土のうを積んだりというようなことをするのが主でございますが、そのほかに、先ほどもお話しありましたように、情報収集に努めたり、それから警戒をしたりとか避難誘導したり、こういうような活動も非常に重要なわけでありまして、そういうような活動に当たっては、安全にお気をつけていただくということがありますが、危険な作業に従事するような場合には、水防の従事命令というような、現在の水防法にもそういうものがございますので、水防団がその協力団体に対して水防活動を一緒にやってほしい、やってくださいというようなことになった場合には、これは公傷の対象になるというふうに考えておりまして、活動内容と両方あわせて検討していくべき内容かなというふうに思っております。

 今国会にお願いしようと思っております水防法等の改正におきましてはそこまではまだ検討がなされていないのが実情でありますが、今後、その制度の充実をしていく中で引き続き検討していくべき課題だというふうに認識しておるところでございます。

村井(宗)委員 今お答えいただきました、水防の従事命令があれば公傷の対象になるというのは、従事命令があった場合は、その後、もし事故があった後で公務災害の補償の対象になる可能性もある、そういう方向で検討するという認識でよろしいんでしょうか。

清治政府参考人 現行の水防法においても、明らかにそういうような命令が出た場合には対象になるということでございます。

村井(宗)委員 わかりました。だとすれば、災害ボランティアに登録された方々、もちろん無給の方は、無給は無給で、当然ボランティアですからそうだと思うんですが、万が一従事命令が出た場合はそういう形になるとお教えいただいて、よかったかと思います。

 さて、人と防災未来センターの所長で、京都大学の巨大災害研究センター長でもある河田恵昭教授は、社会の変化を反映して災害は進化すると表現しています。昨年の水害を見ても、流域が比較的小さい中小河川での洪水が増大しています。今まで洪水予測が余り行われていなかった中小流域での警戒避難体制の整備が求められてきています。さらに、これまでの降雨量の記録が簡単に突破されることが珍しくなくなってきています。自然の力が施設の能力を超える可能性が常に存在していると言えます。

 昨年十一月二十九日の当委員会で北側国土交通大臣は、私への御答弁で防災対策の総点検を強調されました。そのときに、専門家による豪雨災害対策総合政策委員会の提言を受けて、今年度末までに抜本的な見直しを図り、来年度予算や制度改正に反映させていくと答弁されています。

 そこで、国土交通省にお伺いいたします。

 この豪雨災害対策総合政策委員会の検討状況と、緊急的に対応すべき中間提言の取りまとめの内容と、それを受けての制度改正、予算措置の取り組みなどについてお聞きいたします。

清治政府参考人 豪雨災害対策総合政策委員会、昨年の十一月に、大臣のお話もありまして発足させて、いろいろな検討を幅広く進めていただいております。その中間段階におきまして、昨年の十二月二日に中間報告をちょうだいいたしました。

 これを受けまして、国土交通省としましては、アクションプログラムを作成いたしまして、それに沿った形で、先ほどお話のありました水防法の改正の案の中にそれを含めていく、あるいは、平成十七年度予算の中に提言の内容を反映させていくということに努めているわけでございますが、具体的には、ハザードマップを全国に普及していくというようなことでありますとか、それから情報提供の充実を図っていく、こういうようなことを緊急に進めているところでございます。

 なお、引き続き検討をお願いしております中には、防災施設の整備のあり方でありますとか管理のあり方、こういうことにつきましても御提言を賜りたいと思っておりまして、現在も進めているわけでございますが、年度末あるいは年度明けぐらいに最終的な御提言をいただきまして、今後の総合的な対策の中にこれらについても具体的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

村井(宗)委員 さて、国土交通省から、都市部の浸水対策として下水道のハード対策とソフト対策の御説明を昨年の当委員会でいただきましたが、ソフト対策としてのハザードマップの作成や、リアルタイムでの地域住民への降雨情報の提供について、その対策の取り組み状況はいかがでしょうか。下水道部長にお伺いいたします。

谷戸政府参考人 お答えいたします。

 下水道の都市部の浸水対策を効率的に進めるには、先生がおっしゃいましたように、ハード対策とあわせまして、ソフト対策というものが非常に重要だというふうに認識をいたしております。

 具体的には、東京都の区部におきまして、千代田区など九区におきまして、浸水予想区域と避難所等を示しましたハザードマップを作成しておりまして、地域住民に公表いたしているところでございます。また、対象区域の拡大につきましてもただいま準備を進めておるところでございます。また、大阪市では、既に市域全域を対象にハザードマップを公表しておりまして、公表の方法といたしましては、東京都の場合も大阪市の場合も、区役所等での閲覧だけではなくて、ホームページ等にも掲載をしているところでございます。

 また、降雨時の雨量を観測いたしまして、その情報をリアルタイムで住民に提供いたしますということにつきましては、東京都、名古屋市、大阪市、神戸市などで実施をいたしておりまして、携帯電話やホームページを通じまして観測情報を提供いたしておるところでございます。

 引き続き、こうしたものにつきましての拡大、または積極的に対応をとっていく所存でございます。

村井(宗)委員 きょうの議論をすべて踏まえる意味で、最後に防災大臣にお伺いしたいと思います。

 きょう、事前に通告していた質問の順番等が変わったり、少々飛んでしまったことは申しわけなかったと思うんですが、さて、きょういろいろなことをお話しさせていただきました。特に、水防の関係、そして異常気象による集中豪雨を原因とする水害、浸水被害について、防災大臣の御所見と今後の国の取り組みの仕方をお聞かせください。また、特に災害ボランティアの普及、連携などについての御見解をお伺いいたします。

村田国務大臣 ハード面のより一層の整備ということに加えまして、今、国土交通省の方からも、ハザードマップをつくって住民にリスクの度合いを認識してもらう、そういう対策があるというふうに言われました。

 私どもとしては、昨年の夏の集中豪雨によりましていろいろ問題が生じたものですから、要点を二つ、一つは避難勧告等の指示の伝達のあり方、それからもう一つは高齢者等の支援のあり方、これを改善しなきゃいけないということでございまして、昨年の十月に検討会を立ち上げて、昨年末に一応骨子をまとめるところまで来ました。それで、今年度中にマニュアルをつくっていきたい、あるいはガイドラインみたいなものをつくっていきたいというふうに考えておるんですが、一つは、市町村長さんが避難指示とか勧告を出すときのその基準の明確化、それからもう一つは、お年寄りなんかの避難に時間がかかる人たちの避難準備情報、これは仮称なんですけれども、そういうものをいつ、どういう形で出すかということが一つ、それからもう一つは、お年寄りなんかは、あそこにどういうお年寄りがいるよとか、避難をするときの要支援者のリストというものを、これはプライバシーの問題がありますけれども、もしお許しをいただければ、そういう情報を例えば消防団等に持っていただいて、救命のために活用させいていただく方法等を考えております。

 それから、ボランティアの件につきましては、これは、ボランティアは災害にはもうなくてはならない存在になってきました。だから、地方公共団体の受け入れを初めとしまして、ボランティアがいざ集まっていただいたときに十分活動、活躍していただけるような環境整備、こういうものをやっていかなきゃいけない。我々としましても、ボランティアの集い等を開きまして、彼らから意見を集めて参考にさせていただいているというそういう状況にございます。

 以上でございます。

村井(宗)委員 本日は、質問にどうもお答えいただいてありがとうございました。大臣の方が今後ますます水防の対策を一生懸命やっていただくことを心から期待をしております。

 また、冒頭に質問いたしました、予想の範囲内であった三分の一の義援金については素早く対応していただいたことを本当に評価するとともに、予想を上回る三分の二の部分の義援金、一刻も早く使い道を決定し、そして被災者の手元に渡すことこそが、本当に義援金を寄附された方々にとって失礼のないことになると思います。一刻も早い使い道の決定をお願いし、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 時間の範囲内で、三十分でございますが、ぜひ、誠意ある、またよい御答弁をいただければというふうにお願い申し上げたいと思います。

 まずは、今までの昨年の動きを見ても、多くの方が災害の避難を受けて、またそれをこうむってきた、これを一刻も早くもとの生活に戻れるように心からお祈りしたいというふうに思います。

 実を言うと私は、サラリーマンを二十年やっておりまして、その後にこの世界に入りましたが、海外の赴任が多くありました。その中で、ちょうど十一年前に、アメリカの西海岸のノースリッジ、これは私が住んでいたところから数キロだけ離れた地区なんですが、そこでマグニチュード六・七のロサンゼルス地震をこうむりました。本当に家の中はもうむちゃくちゃでございまして、爆弾が落ちたみたいな情勢になっておりましたし、また、電気、ガス、水道、全部ストップでございます。

 その経験を踏まえて、きょうはちょっと、もう諸先輩、皆さん、いろいろな委員の方が言っておりますけれども、私の場合は、少し大局的に、事前の防災の部分、そして災害の直後の対応、最後に、数カ月間の復旧から完全復興まで、この三つに分けて、時間がどのぐらい入るかわかりませんが、範囲内でちょっと御質問、要請をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、昨今から出ておりますハザードマップなんでございます。今国会でも、まず洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップ等の作成を義務づける、私が属している国交省の委員会でも審議がこれからということであります。ただ、現実問題として、地震国である私ども日本において、津波のハザードマップの作成、公表状況というのは、危険性が想定されている区域内市町村のうち、現状たったの九・六%であると。危機管理が非常に甘いんじゃないかという感じがいたしております。大臣も、この間の所信の表明の中で、こうしたソフトの対策の推進をやっていかなきゃいかぬというふうにおっしゃっていられます。

 ただ、先ほどちょっと大臣がおっしゃっていた、災害が起きたときの、消防と自衛隊、ボランティアの皆さんが現地で活動されるときに、そのときの活動方針を僕はある程度決めておく必要があるんじゃないかと思うんですね。つまり、それぞれの自衛隊、消防団、消防庁、ボランティアがばらばらに言っていたのでは、その場の場当たり的な動きになってしまうというふうに私は思います。

 そこで、大臣が先ほどおっしゃった動きにくい方、例えば老人ホームの方とか、大臣の御地元の岡山でもたくさんあると思います、井原市を中心にある。障害者の方それから保育園児の方、いろいろな施設がある。つまり、人の手をかりなきゃ動けないという方がたくさんいる部分の地域また施設について集中的に入り込んだらどうかというふうに私は思っております。国の防災基本計画に基づいて、都道府県、市町村がそれぞれ作成してある地域防災計画というのは聞いておりますけれども、これは、ただ私、中身をちょうど読みましたが、若干やはり、そういう部分についてピンポイントの部分が少し薄いような感じがいたしておりますが、この辺についてちょっと消防庁の方から御意見いただきたいというふうに思います。

東尾政府参考人 国の防災基本計画に基づきましてつくります地域防災計画でございますが、ただいま先生御指摘のとおり、都道府県の地域防災計画と市町村地域防災計画があるわけでございます。これらにつきましては、先ほどのお話のとおり、全都道府県全域における応援調整手続や隣接する県など関係機関間の相互応援手続などを定めておりますけれども、非常に子細なところのエリアについては、この計画の性格上なかなか難しいということで、私どももその必要性を痛感しております。

 そのため、今回発生いたしました災害の教訓なども踏まえまして、今後、一般災害編のほか、震災対策編、そのほか個別編の具体的な編成、改定、さらには、避難のより具体的なマニュアルの作成など、地域防災計画が本当に具体的かつ実践的なものとなるよう指導をしてまいりたい、このように考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 災害というのは、常に次のことに向けてやるわけであります。そういう意味では、私どもは過去においては余り非難をしたくないんでありますが、ぜひその部分について子細に、具体的に中身を詰めていっていただければというふうにお願い申し上げたいと思います。

 もう一つ、同じ、かぶる話でありますが、自治体によってはハザードマップのつくり方が余りよくわかっていないというところも、正直ベース、私ども聞いております。この作成のためのガイドライン、マニュアルみたいなものをお国がつくっていく必要性があるんじゃないか。一時あったという話もありますが、立ち消えたりしていたという話も聞いております。

 そこで、これは内閣府の方に御質問したいと思うんですが、国が、国、県、市、町、村という順番で自治体ごとに、ともかくある程度の強制力を持って、今消防庁の方がおっしゃったような、子細、具体的な部分について入り込んだ、国からのレベル別のシステムの構築と、それから、ある意味でこれは半強制的でもいいと思います、次の方々の命がかかってくることでございます、こういう方向で国の方でこの部分についてレベル別なシステムをおつくりになるお考えがあるのかどうか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

柴田政府参考人 ハザードマップの作成の関係でございますが、災害があったときに自分がいる場所がどうなのかということが非常に重要でございます。やはり、自分の身は自分で守っていく、自分の地域は自分で守る、地域で守る、自分の家庭は自分の家庭で守っていくという意味で非常に重要でございます。そういう意味で、近年の多発する災害に備えまして、防災の基本単位でございます、基本的にはやはり市町村でハザードマップをつくっていくということが非常に重要、急務であると考えてございます。

 また、このハザードマップの質の向上のためには、地震だとか、火山噴火だとか、洪水なんかの災害の種類によりましてそれぞれ危険区域だとか避難の方法などが異なってまいります。また、非常に専門性も有します。そういうことで、それぞれの災害現象につきまして、専門性を有します国の各機関におきまして、指針あるいはマニュアルの作成等の技術的な支援を行ってございます。

 具体的に申し上げますと、洪水につきましては、平成十三年に国土交通省が作成要領を策定しておりまして、現在、三百六十一市町村においてマップが作成済みでございます。

 火山噴火につきましても、平成三年度に、旧国土庁、旧建設省が作成指針を策定いたしまして、富士山だとか浅間山など主要な三十七の火山についてマップを作成済みでございます。

 津波、高潮につきまして、冒頭、委員御指摘でお触れになってございましたが、これは、平成十五年度に内閣府、農林水産省、国土交通省がマニュアルを策定いたしてございます。現在のところは百二十二市町村になってございますが、さらにこれを進めていきたいというぐあいに考えておるところでございますし、また、津波関係につきましては、今回のスマトラのインド洋の大津波等の問題もございまして、非常に重要な問題であろうかと思っております。マップ、それからまた津波の避難ビルといったものについての検討も内閣府で進めております。

 また、地震でございますが、これも、現在、地震のハザードマップというのは一都六市でできておるわけでございますが、内閣府におきまして、現在、有識者に入っていただいた検討会をつくってございまして、今年度内に作成の手引、マニュアルを作成することといたしているところでございます。

 今後とも、新たな知見の蓄積等を踏まえまして、指針等の不断の見直しを行いまして、ハザードマップの質の向上、これによりまして適切な災害情報の提供ができるように努めてまいりたいと考えております。(発言する者あり)

下条委員 今、名答弁というお声がありました。私も名答弁だというふうに思います。

 ただ、法律は、つくった後にいかに命を吹き込んで、それが市町村で使いやすく、かつ生きてくるかということだというふうに思いますので、今おっしゃったことを私も耳にとめて、頭の中にとめてこれからフォローしていきたいと思いますので、市町村でわかりにくいところがあるんだよという声が私に入ってきております。それを頭に置きながら、ぜひ前向きに、命の通った、息を吹き込んだ法案にしていただきたいというふうに思います。お願い申し上げます。

 次に、時間の関係もあるので、災害の直後、これがまた実を言うといろいろな議論が出てくるところなんですが、実際自分がかぶった話なので、ノースリッジの件について、アメリカの件についてちょっと申し上げたいと思います。

 まず、明け方の四時半ぐらいにあったんですけれども、地震発生から一時間以内に、カリフォルニア州知事、カリフォルニア州緊急災害対策局長官、連邦危機管理庁、防災担当の省庁でしょうね、連携のもとに救援、復旧作業がもう始められています。数時間後には、連邦危機管理庁長官、これは五時間後ぐらいです、大体十時ちょっと前だったと覚えています。住宅都市開発庁長官、運輸省長官、ホワイトハウス高官などが、トップがもう被災地に飛んでおります、五時間後には。申しわけないですけれども、アメリカは日本より相当大きい国であります。もう既に五時間後には、今私が申し上げた、高官やホワイトハウスのそれぞれの部署の責任者が大統領命令で現地に飛んでおります。こういう素早い対応がやはり必要だったんじゃないかなという感じがしています。

 また、六・幾つの地震のあれになりますと、道路はつぶれ、そしてほとんど家もつぶれ、また、高速道路もつぶれている。こんな中で私がすごく頭に残っているのは、アメリカの運輸省が、主要道路や高速道路の復旧について入札手続をすぐ改正して、そして緊急救済基金を投入して、この結果としてすぐに復旧に取りかかっているんです。二十四時間後にはもう復旧に取りかかっている。始まっちゃっているんです。これは何なのかなと思ったときに、やはり私は、被害者、被災者のニーズを重んじている国だなという感じがしました、私はそこにいましたので。

 そこで、言いにくいんですけれども、いろいろな意味で、省庁間、この災害の方でいろいろ私もレクをとったとき、いろいろな省庁にまたがっています。これはもう通常はそうだと思います。ただ、そういったもので間に合わないような緊急のときがその災害があった直後に起きてくるというふうに私は思っています。

 それと、もう一つ私は申し上げると、アメリカのそのときの大統領はクリントンでありました。それで、クリントンは災害発生から四十八時間以内にもう現地のロサンゼルスに立っておりました。そして被害状況を視察して、州や自治体のリーダー、地域の代表、警察、消防隊、救助隊、いろいろな人を招集して、復興についてのプロセスを自分が旗を振って確約しております。私も、遠目でありますけれども、現職の大統領が私が住んでいるノースリッジのすぐそばに来て被災地を見ている姿を見て、本当に勇気を、改めてアメリカというのはすごい早いなと。そして、いろいろな被災者は相当安心感や安堵感、ああ、こうしてくれるのだなと。私は、災害が起きたときのその被災者の気持ちというのは、「これからどうなるんだろう」、これだけです。この言葉です、括弧書きで言えば。この部分が大変に、そのときのクリントン大統領は、私自身が受けた印象では早かった。実際、早い動きで法制改正もあった。それによって、地震発生から、これはアメリカばかりで申しわけないですが、さっきも泉委員のときにアメリカのお話を出されたので、あえてお話しさせていただくと、地震発生から八日間の復旧費用は一〇〇%連邦が持つ。一〇〇%です。それから、電話のやはりいろいろ心配しているラインについてもすぐ復旧した。その部分も金もつけた。

 私はあえてここで大臣にお聞きしたいんでありますが、聞くところによると、大臣はそのとき、一月、ずっと前の一月であったりとか、去年のあれのところはあれでございませんでしたが、その後の中越地震とそれから台風二十三については、いろいろな意味で間近でございましたので、その意味で、この災害だけではなくて、国民はリーダーの動き、そしてリーダーの激励、そしてその背中を見ているんですよね。そういう意味で、実際に中越とそして台風二十三号のときの官邸とそれから大臣の動きについて、言いにくいでしょうが、反省点を踏まえてちょっと御所感を、アメリカの大統領やその他の高官の動きと比してちょっと御意見をいただきたいというふうに思います。

村田国務大臣 私がこの大臣を拝命いたしましたのが九月の二十七日でございます。あれから台風二十三号まで上陸した台風が三つございました。台風の場合には、日本列島でございますので、あっちの沖縄の方からだんだんだんだん北上してくるわけだから、台風二十三号がこちらに上陸したのは、私ども、その台風二十三号の警戒をして各省連絡会議なんかを持ってきたのは二十日から、それで二十一日には非常災害対策本部を設置しまして対応を議論していく。それで、今委員がおっしゃったように、我が国もたくさん役所があります。私が非常災害対策本部になると、本部員である各省の人、非常災害対策本部のもとで私の指示を聞かなければいけない、こういう形になるわけでございまして、私は、阪神大震災の経験から、そういう意味では中越のときも二十一日間ぶっ通しでやりましたけれども、局長さんたちも出てきてくれまして、いろいろな小さなグループをつくって対策を練って、即反応してくれまして、縦割りを排して、結構うまくいってきたのではないかなというふうに思います。

 それで、ちょっと話が下手くそになりまして前後しますけれども、あの中越のときのことを言いますと、五時五十六分に発災しました。私はうちにいました。私はこの仕事を受け持った以上、土日も地元に帰らないで、可能な限り東京に、自宅にいるということを私の責任と思っておりますので、地元にほとんどもう九九%帰っておりません。あのときもうちにいました。それで、すぐ着がえまして、テレビを見ましたら震度六を超えていましたので、これは官邸へ行かなければいけないというふうに服を着がえまして、発災後十分後ぐらいには私は準備をして待っておりました。その前から二十四時間態勢で要するに宿直番がいるわけです、官邸には。それと危機管理監というものを設けまして、そこが中心になって、危機管理参集チームというのが震度六以上になると官邸の地下に集まる、こういう形になって、私は六時五十分前ぐらいには官邸に着いていたと思います。そこにはたくさんの人がもうとにかく集まっておりまして、いろいろな情報を集めておりました。それで、自衛隊も、それから消防庁のヘリコプターも警察のヘリコプターも直ちに現地に飛んでおりまして、上空から映像情報を集めて報道して画面に映し出される、そういうことであります。総理は映画祭に行っておられたというそういうお話でありましたけれども、秘書官を通じて直ちに連絡をとりまして、私が七時二十分過ぎに記者会見に及んでテレビの前に立ったと、こういうことでございます。

 我々としては、現地対策本部というものを立ち上げなければいけません。ちょうど新潟は知事が次の日がかわるときでございまして、我々は、各省からの編成チームに成ります先遣隊を九時には市ケ谷の自衛隊からヘリコプターで現地に出しました。それで、現地で県庁に対策本部を整えて県側と対策を練り始めるということ、それから私は、次の日早朝出まして、ヘリコプターでこれも三十一人連れてまいりました。それで、一部は現地の本部に置いて私は帰ったわけでございます。

 こういう仕事は、私は国家公安委員長もやっておるんですが、やることをしっかりする、縁の下の力持ちだから、余り人の前に出て采配を振ることもなかろうと言っていましたら、皆さんからしかられまして、いや、そうじゃない、今委員がおっしゃったように、国民に安心感を与えるためにとにかく姿をテレビの前にあらわせと言われまして、後で考えると、それは皆さんの御指摘のとおり、被害が起こって、国が最大限やるから、一生懸命やるから任せておけというそういうサインを被災民に送るということが必要だなということで、私も改めて考えた次第でございます。

 縦割りになっておりますけれども、大変、そういう意味ではうろたえずに私は整然と今回の場合には進められてきたのではないかなというふうに思います。改善すべき点はもちろんございますが、そういうところを直しながらもうちょっとしっかりしたものに直していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

下条委員 大変、週末も御苦労さまでございます。大臣の動きについては全く敬意に値するというふうに思いますが、内閣総理大臣の小泉さんの動きについて大臣に御所見をいただければというふうに思います。

村田国務大臣 総理とは連絡をとりながらやっておりますし、災害に対しての責任は私が第一義的な責任は負うわけでございますので、そういう意味では、総理からも御指示を仰ぎました。逐一その要所要所において我々も状況を報告いたしましたし、何ら問題ないし、総理も我々に的確な御指示をちょうだいしたと私は認識をしております。

下条委員 同じ内閣でございますので、それ以上はちょっとおっしゃれないというふうに思います。

 ただ、私が言いたいのは、リーダーというのは、私自身が、異国の地でございますけれども、わざわざ遠くから飛んできてくれた、ワシントンDCから、東から西海岸に向かってジェット機で飛んできてくれたわけですよ。これはやはり、本当にこれからどうなるんだろうという人たち、被災者の本当の気持ちをつかんでいたし、またそれが、そこにいる、例えば下にいらっしゃる運輸大臣とか交通大臣とか、そういう方がアメリカもいらっしゃいます、またカリフォルニア州知事の気持ちをますます本気に動かしたと、村田大臣でも皆さん本気に動くけれども、もっと本気に動かしたということじゃなかったかなという意味でお聞きしました。

 そういう意味では、私はあえて申し上げますけれども、この国のリーダーとしては若干ちょっとその部分についての気持ちが薄かったように感じがいたしております。そういう意味では、その分は大臣がかぶりますから、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 あと、ちょっともう時間がなくなってまいりまして、この後は、その数時間の段階について以外に、今度は、数カ月から完全復興までの部分について最後にちょっと幾つかお聞きしたいというふうに思います。

 今、日本の場合は、災害発生後、被害状況の調査があって、それから各省庁の査定があって、内閣府や財務省の協議を経て、こうだよということで二カ月ぐらいで激甚災害等々の被害の認定を受ける、こういうことだというふうに聞いております。ただ、二カ月というのは、これはもう諸外国と比べて時間がちょっとかかっているんじゃないかと私は思います。二カ月たってから、これは激甚災害に認定して補助を格上げしましょうと言ってももう間に合わない部分もあるし、また、それだったらもっとこれをやっておけばという部分もあると思うんですね。

 そういう意味では、もう少しこの部分の、今現在、内閣府含めて財務省に上がってくる順番をもう少しスピードアップできないかということをちょっと具体的にお聞かせいただければというふうに思います。

柴田政府参考人 激甚災害制度につきましては、委員も御承知のとおりでございますが、非常に大きな災害があったときに、地方財政の負担の緩和を行うことが特に必要と認められる場合に、激甚災害に指定をしまして国庫補助のかさ上げ等を講ずるものでございます。

 中央防災会議でこれは基準を決めてございますが、公共土木施設の場合は、被害額、被害地方公共団体の財政状況をもとに、また、農地や農業用施設につきましては、被害額や公共団体における農業所得の状況をもとに判断しております。このため、指定に当たりましては、御指摘のように現地の被害状況の把握が必要でございますので、県や市町村の応急対応が一段落したところから実施いたしてございます。これらに約二カ月程度かかってございますが、できるだけ、政府として可能な限り短縮するように努めておるところでございます。

 なお、昨年の二十三号台風及び新潟県中越地震につきましては、被災地の公共団体が、調査どころではなくて、応急対策でてんやわんや繁忙をきわめておりましたので、特例的に、国土交通省、農林水産省等の国の職員が被害額の把握を直接行いまして、四十日前後で指定をいたしてございます。

 また、この制度自身は、その後の災害復旧の復旧費に係る公共団体の財政的な措置を軽減してやろうというものでございまして、これが終わらなければ復旧事業が行われないというものではなくて、非常に緊急的に応急的な復旧を行う必要があるものにつきましては、道路だとか河川だとか、そういうものについては緊急に、これ以前の、これとはちょっと別の話になりますが、災害査定というようなこともなくて緊急的にできるような制度もつくって、被災者の安全の確保に努めているところでございます。

下条委員 ありがとうございます。

 ぜひさらにスピードアップをして、アメリカがすべていいとは思いませんが、向こうは査定については物すごいスピードアップしております。それによって安心して被災者は、ああこれからこうなるんだなと、これからどうするじゃなくて、こうなるんだという指針が見えるところで生命力というかこれからの生活感が出てくるというふうに思っておりますので、ぜひスピードアップをお願いしたいと思います。

 もう時間が限られているので、最後に、ちょっと細かい話なんですが、激甚災害指定基準の六のBという基準がございます。もう質疑がとまってしまいますので最後ですけれども、これの基準を決めるのが、中小企業関係では、中小企業関係被害額が千四百億円を超える県が一とみなされるという案があります。それについては、もとになるのが、平成十二年の中小企業所得推定額の二百三十六兆の〇・〇六%が千四百十六億円、これがもとになっているとお聞きしております。

 しかし、逆に言えば、平成十六年、去年の場合は、中小企業の所得推定額は二百四兆円です。不景気で落ちてきちゃっている。ばあっと落ちている。そういう意味では、この数字の根拠になる〇・〇六%というのは千二百二十六億円といって、バーが中小企業に対して激甚は落ちています。バーが千四百から落ちてくる。

 私は、ちょっとこれは最後の質問にしたいと思うんですが、要するに生ものでございます。したがって、その所得水準をバーとして決めた場合は、平成十二年から比べれば相当落ちているわけですね、バーが。水準が落ちている。そういう意味では、今言いましたこの中小企業関係被害額が一千四百億円を超える県が一以上ある場合という部分について、現状の中小企業の売り上げと比して、もう少しバーを下げて対応対象を広く広げてあげたらどうかなということを最後の質問にさせていただきたいと思います。御意見いただければと思います。

鈴木政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございますけれども、実は、千四百億という基準につきましても、これは、平成十二年のときに東海の豪雨がございまして、そのときに、やはりそれまでの基準では不都合でございましたので、私ども、見直しをさせていただいたところでございます。

 やはり、その災害の状況に応じましてさまざまな見直しを行っていく必要があるかというように考えております。

下条委員 ぜひ、これはもう本当に生ものでございます。いつ皆さんの御家族のところへ降りかかるかわかりません。ぜひ、生ものとして、その状況に比してバーを下げていっていただきたいというふうに思います。

 時間が過ぎましたのでこれで終わりにさせていただきますけれども、皆さんの動きは、皆さんの地元も私の地元もしっかりと見ておりますので、ぜひ一丸となって災害復興についてお力をいただければというふうに思います。

 ありがとうございました。以上です。

西村委員長 次に、一川保夫君。

一川委員 民主党の一川保夫でございます。

 先日の大臣所信表明を中心に、若干、大臣を中心に関連する省庁の考え方を確認したい、そのように思っております。

 災害対応でございますから、災害が発生する以前のいろいろな防災ももちろん大事でございますし、発生した後のいろいろな対策がもちろんそれにも増して重要になってくるわけでして、大臣は、御就任以来大変な災害に見舞われまして、相当頑張ってこられたなという印象は持っておりますけれども、ゆっくりと、災害のいろいろな現象に対する対応の仕方とか、あるいは防災的な観点から物事を見るということを、若干時間の余裕ができた現段階から少し考えていただきたいなということを込めて質問させていただくわけです。

 災害が起こった当座は、応急的な対応とか、いろいろな対策本部を中心としたいろいろな応対で大変忙しい思いをされておるわけでございます。

 冷静に考えますと、日本という国は、国際的な見方をしている方々から見ると、災害常襲国だ、災害常襲先進国だというような言い方をする人もいますけれども、そういう中にあって、昨年末のインド洋に起こったああいうちょっと考えもしなかったような大きな災害は別にしまして、これまでのいろいろな動きを見ておりましても、先進国の中では、我が国というのは、常に自然災害に見舞われるそういう危険性をはらんでいる国家であるわけですね。

 そういう中で、昨年、先ほど同僚委員の資料にもありましたけれども、集中豪雨ですか、そういう被害から、毎月、六月、七月、八月、九月、十月、最後は大きな地震もありましたけれども、毎月そういう自然災害に見舞われたのも昨年だったわけですけれども、こういういろいろな昨年の自然災害の発生状況なり、大臣も、先般の所信表明の中で、昨年のいろいろなそういった自然災害の教訓を生かして対策をとっていきたいというような趣旨の表明もされたというふうに思います。

 要は、具体的にどういうことをこれから今後の対策に講じていこうとするかというところがポイントになるわけですけれども、そこのところを、大臣のお考えをちょっと整理して御説明していただきたいなと、そのように思います。

村田国務大臣 我が国は、豪雨、それから台風、それから火山の爆発、津波、地震、豪雪、災害対策基本法に書き連ねてありますけれども、とにかく、世界でもまれなくらいいろいろな種類の災害に見舞われてきて今日あるわけでございまして、先ほど御質問のありました神戸の会議でも、我が国がそうした災害に立ち向かって今日あるんだということを各国の参加者に御披露をしたところ、やっと、日本というのは一直線にきたわけじゃなくて、大変な苦労をされてきたんだなということは各国の代表者の皆さん方にもわかっていただいたんじゃないかというふうに思います。

 ところで、去年もそうした意味で一挙にいろいろな災害が我が国を見舞ったわけでございますが、一つは、台風にしても地震にしても、もちろん備えがあればかなりの程度いいわけでございますが、大概、昨年の場合には、いまだかつて経験したことがないと。私の地元の岡山でも、台風というのは今まで来たことがなかったんだけれども、ほとんどの台風が中国地方を横切っていったというそういう珍しい年に当たりまして、年寄りに聞いても、もう今までこんなことはない、そういう言葉を繰り返し聞いたわけであります。新潟も四十年前に地震があったわけですけれども、それ以来全くなかったということで、みんな一様にびっくりしたというような感じでございました。

 そういう中で、やはり我々は、常に災害はあるんだということで着実にその防災対策を積み上げていかなければいけない。一つはハードの面、それからソフトの面ということであるというふうに思います。ハードの面は、今、国土交通省を中心にハードについての対策を講じていただいている。

 それから、今度はソフトの面でも、私ども内閣府でも、いろいろ時代が変わりましてお年寄りが多くなって、そうしたお年寄りに対してどう命を助けるか。あるいは、各市町村においてもなかなか災害の経験がない首長さんも多いということで、判断ができない。避難指示といったって避難勧告だって、どっちがどっちだかわからないような首長さんも多いわけでございまして、我々は判断の基準を明確化するということを努力しなきゃいけない。あるいは、時代が変わって、高齢化もするしコミュニティーも崩れていっているものですから、そういうものをどうやってもう一度まとめ上げていくのかというようなことを考えつつ、対策をこれから、いろいろな検討部会も立ち上げましたので、そういうところで改めて練り直していきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。

一川委員 我々の体といいますか健康管理も、どこかちょっと都合の悪いところがあればそこへ皆集中するがごとく、同じ自然現象が発生しても、何かこう政策的にうまくいっていない、いろいろな世の中のそういう流れを的確にとらまえた対策がとられていないと、そこへいろいろな被害が集中するというようなことも当然言えるわけでございまして、想像を絶するような地震だとか集中豪雨だということは当然ありますけれども、私は、やはり基本的には、日本の国土の、そういう災害に強い国土づくりなりあるいは災害に強い施策の運営ということが非常に大事ではないかなというふうに思っております。

 今ほど大臣もおっしゃいましたけれども、こういった少子高齢化社会、あるいは、山間部では非常に過疎が進行している、高齢化が進行している、それからまた森林地帯では、もう松くい虫等にやられた赤茶けたそういう森林がたくさん目立ってくる、森林の管理そのものがおろそかになっている、それからまた、農政の一つのひずみでもありますけれども、中山間地域では、減反政策の影響を受けて、従来非常にいろいろな面の多面的機能を持っていた中山間の水田が耕作されていない、そういった現象も踏まえていろいろな各種施策が何となくうまくいっていないようなところにちょっと異常な自然現象が発生すると、非常に被害が大きくなるということが一つの教訓としてあるような気がするんです。

 それは、もろもろの一般の公共事業を中心とした社会資本の整備というのは、もう何十年前に比べれば相当整備水準が上がってきておることは間違いないわけですよね。そういう中にあってなおかつこれだけの被害が生ずるということになれば、そういうことをしっかりと反省しながらやはり対応していかなければならない。

 それで、防災担当大臣という立場から、そういう各省庁にまたがるような、例えば今の森林管理だとか、あるいは農地の保全の問題とか、それからまた河川対策とかそういうことに対して、大臣としてはいろいろな思いがあるでしょうけれども、こういった自然災害のいろいろな経験を踏まえながら、各省庁に対して、政策の点検なり、または、場合によっては政策の充実といったことについて防災担当大臣としてしっかりと御意見を言っていただきたいなというふうに思いますけれども、そのあたりはいかがですか。

村田国務大臣 今委員がおっしゃるとおりでございまして、個々の災害の一つ一つの現象とそれに対する対策ということのほかに、根本的な問題がやはりいっぱいあるわけですね。

 先ほどから、泉先生からも住宅のことで大分議論をさせてもらいましたけれども、これとて、時代が変わってきて、少子高齢化で過疎地がうんとふえているというときに一番気の毒なのはだれかといったら、田舎に住んでいるお年寄りかもしれない。お年寄りは、住宅がつぶれちゃったら、幾らこちらが援助しても、全額援助しなければもとにいたうちに住めないわけですね。だから、そういう意味で、施策の体系というのはどこに重点を置いていったらいいのかということを、今、一川先生にいみじくも指摘されましたけれども、もうとにかくあらゆることに首を突っ込まないと対策ができないということは本当におっしゃるとおりだなということで、貴重な御意見を私も伺わせていただいておりました。

 とはいえ、防災大臣としては、私は防犯の方もやっている者ですけれども、両方ともまさにそのとおりです。防犯の方だって、教育問題から何から全部いっちゃうわけですから、そういう意味で、先生に大変痛いところを突かれたなというそういう気持ちなんでございますが、その根本的なところを、防災担当大臣としての職域を超えるかもしれませんが、機会を見て私からも発言をしてまいりたいというふうに考えております。

一川委員 防災担当大臣でなければ経験できない経験というのはたくさんあるわけですから、そういう経験をしっかりと国の施策の中に反映できるようなそういう形での発言を大いにしていただきたいなと、そのようにお願いをする次第でございます。

 それから、中越地震のことでちょっと具体的なお話になりますけれども、先ほど来議論が出ていますように、今は、中越地震が発生したあの地域というのは大変な豪雪地帯ですね。そういった意味では大変お気の毒な地域でございますけれども、昨年十月に発生して以来、先ほど、いろいろな査定行為なり応急的な復旧なりがあったというお話もございます。ただしかし、十分な災害の実態はつかみ切っていないような気もいたしますし、それから、融雪という、今は積もっている大変な雪がこれから解けていくわけですけれども、融雪した暁には恐らく地震でひび割れしたところに水が浸透していくでしょうし、そういった中では、想像もできないようなまたいろいろな地すべり的な発生が出てくる可能性だってあるわけです。

 そうしますと、これからの災害の実態というものをより正確につかむには、もう一回災害の査定的なものをやり直す必要があるんではないかなというふうに私は思いますけれども、そのあたり、農林水産省と国土交通省に来ていただいておりますけれども、現状でのそういう考え方がもし整理されているんであれば説明していただきたい、そのように思います。

岩永副大臣 先生、元農水省の災害対策室長でございますので何もかもよく御存じだろうと思うんですが、今回、御承知のとおり、台風そして中越大震災の被害で一兆五百円に、一兆五百億に実は農水省の災害被害額が上ったわけでございます。そして、約四万四千カ所という箇所が農水だけでも出たわけでございます。新潟中越が一万四千七百六十九カ所で、災害金額が一千三百三十億でございますが、被害額としては六百八十九億円と、甚大な被害になっておるわけでございます。

 それで、早く査定をしなきゃならぬということでございまして、新潟の部分については、十六道県から九百四十二人の土木技術者、それから水土里ネットから九百六十二人、そして、査定設計書等の作成には四百六十人に各県から出ていただきまして、ともかく一万四千カ所を一月二十一日までにすべての査定を終わったわけでございます。

 だから、今までは机上査定は二百万未満のものでございましたけれども、これでは間に合わぬということで八百万未満すべてを机上査定にして、ともかく植えつけ時までに直せるものはすべて直していけということで大ピッチを上げておるわけでございますし、本省といたしましても、相当厳しくしりをたたいているところでございます。

 今おっしゃられました融雪などにより拡大した場合は、これは地震災害復旧計画の変更を行って処理をいたしたいと思っておりますし、また、融雪などにより新たに災害が発生した場合でも、平成十七年度の災害復旧事業として取り扱っていきたいということでございますので、雪解けを見ながらそれぞれにきちっと対応してまいりたい、このように思っております。

清治政府参考人 国土交通省所管の施設の災害復旧の関係につきましても、農林水産省と同様に、災害査定を早急に進めるということで、さまざまな工夫を行って実施してまいりました。その結果、発災後約三カ月の短期間で、平成十七年の一月二十八日に全部を終了することができたわけでございます。

 なお、融雪に伴う災害につきましては、平成十七年の新たな災害として災害査定を行って対処していくということで考えておりますし、平成十六年に災害採択された箇所につきましては、これは他の災害と同様でございますが、設計変更等によりまして対処してまいりたい、このように考えております。

一川委員 中越地帯というのは急傾斜地の地帯でもありますし、また、本当に中山間地域の課題の多い地域でもありますし、また一方では、ため池等、そういった農業用水をため込んでいるような施設も当然あろうと思います。そういったことを考えますと、本当に、融雪後のその実態がどういうふうになっていくかということが非常に心配になるわけでございまして、そういった災害復旧に対する対応を本当にしっかりとやっていただきたいなというふうに思っております。

 そういう中で、実際に災害復旧事業、工事を実施する場合に、それぞれの新潟県とか関係する市町村の執行体制の中で果たしてそれがやっていけるのかなというのが非常に気になるわけです。今の行政事務を執行するだけでも各地方公共団体は大変なわけですけれども、そこへプラスしての災害復旧事業ですから、何か新たな体制を応援してあげないと、ちょっと工夫を凝らさないと、短期間に復旧工事を終えるというのは非常に難しいことではないかなというふうに想像するわけですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

岩永副大臣 確かに、先ほども申し上げましたように、田植え時期までに早急に復旧をしなきゃならぬということで、莫大な事業量なんですね。さっき一兆五百円と言いましたけれども、一兆五億円の間違いでございますので、訂正をしておきます。それで、結局、県だとかそれから市町村の事業になるわけでございますので、これは、国が直接事業をするんだったらいろいろな手だてが講じられるわけですが、その点は県なり市町村に我々の意図というものを強く要請していくという以外にないわけですね。

 それで、例えば山古志村でございますが、これは復興プランの骨子というのができておりまして、やはり同じく五月末の田植えなどに、来春からの作付や鯉の養殖に取り組むように、雪解け直後から工事に取りかかるような山古志の復興プラン骨子というのがかなりできております。それからまた、新潟県におきましても、同じく県としてできるだけ早く対応していこうというようなことで、その復興ビジョンというのをつくっているわけでございます。

 私どもも、先ほど申し上げましたように、自分のところで事業実施をするわけじゃございませんので、そこらあたりは、農家、生産者、また地域の皆さん方の気持ちを十分酌んで仕事をするように、だからそういうことのためにも、わずか三十九日間で、これは災害、地震含めて全体四万カ所、そして新潟だけでも一万四千カ所、査定を終わったわけでございますので、早く査定を終わって早く工事にかかってもらう、こういうことでございますので、精いっぱい、県や市町村と連絡をとり合いながら、先生の意図に沿うように頑張っていきたい、このように思っております。

清治政府参考人 国土交通省につきましても、人的な支援等を行ってまいっておりますけれども、なお、事業の中身としましては、象徴的でありました芋川の河道閉塞、大規模な土砂崩壊によりまして河道がせきとめられたところがございます。これらにつきましては、知事の要請を受けまして、直轄の事業として取り組んでいくというような対応をしてございますし、また、山古志村を東西に横断します幹線道路であります国道二百九十一号の災害復旧につきましても、道路法の規定に基づきまして、これも知事の要請を受けまして、直轄事業として取り組んでいこうということになっております。

 こういうものも含めまして、国土交通省としましては、被災者の生活再建、地域の復興の支援を今後ともしっかりと努めてまいりたい、このように思っております。

一川委員 基本的には現行制度の中で早期に実施したいというようなお話だったと思いますけれども、私は、個人的には本当は、例えばこういう集中的に大規模な災害が起こったところについては、今の特区制度じゃありませんけれども、災害特区的な制度をつくってもっと柔軟な対応ができたらいいなというふうに思いますし、また、今、独立行政法人等のそういうある程度技術力を持った集団もおりますから、そういう何とか機構をそこへ集中的に投入するとか、そういったことを法律改正してまでもやったらどうかなということも考えたわけです。現段階では、まだ政府はそこまで踏み切った考え方は持っておりませんけれども、早期に、通常、災害は三年で復旧するという大きな原則があるというふうに聞いておりますけれども、そういう面では、そういったことも含めてもっと柔軟な対応をぜひ検討していただきたいなということを要請しておきたい、そのように思います。

 次に、ちょっと村田大臣中心にお聞きするわけですけれども、この中越地震の発生でちょっと気になることでございますけれども、日本列島全体が地震列島だというふうにも言われておりますよね。そういう中で、今現在、この地震対策に関連する法制度がどうなっているかということを見たときに、間違っていたらまた訂正していただきたいんですけれども、私が承知している限りでは、議員立法で、東海地震に関する、これは法律的には全国どこでもできるんだろうと思いますけれども、現実問題としては東海地域を一応対象にしたそういう法律が動いていると思うんです。そのほかに、東南海・南海地域というような言い方で議員立法もございます。それからまた、これは北海道から東北三陸方面にかけた地域を対象とした、詳しい法律の名前はちょっと今忘れましたけれども、そういう地域立法があるというふうに思います。

 そのほかにも、一応全国を網羅したような制度はそれなりに何となく地震に関連したような法律はありますけれども、基本的には、日本列島格差のない、地震に対するそういう法制度を用意しておくというのは、私は国の、政府の責任じゃないかなというふうに思います。たまたまこれまで、議員立法でそれなりの力のある先生方が中心となってそれぞれの対象とする地域を特定して法律をつくってきましたけれども、新潟中越地震地帯はそういった法律から外れているような気もいたします。

 そういうことを考えますと、私はやはり、日本列島全体を網羅する、本当にバランスのとれたそういう地震対策の法制度をこの際点検をしてつくり直すべきだというふうに思いますけれども、大臣はそのあたりをどういうふうにお考えですか。

村田国務大臣 私も、このポストについて、極めてわかりにくいという感想を持ったことは事実でございます。議員立法でおのおの地域地域に応じてつくられてきて、平成七年に、全国横断的な対策を定めた法律としては地震防災対策特別措置法というのがあります。あとは、東海というか、これは東海と書いてありますが、今先生も御指摘なされたように、予知可能な地震についてということだと思いますが、そういうのがあって、これは閣法なんですけれども、それに伴います地震対策特別法とか、そういういろんな措置を書いたものがくっついているという形なんでございまして、ばらばらにたくさんできているなというふうに私も印象としては思いました。

 だけれども、さっき申しました全国一律の地震防災対策特別措置法を、全国を網羅する法律ということを基幹にして、あと地震がそれぞれ特色がありますものですから、それに応じて対策がうたわれている法律体系になっているというふうに、今では私は辛うじて理解をしているわけでございますが、いずれにしても、法律の執行状況等を勘案しながら、改善できるところがあればやはりもうちょっときちんと改善をすべきではないかと私も印象を持っておりますが、一応はきちんと網羅していって、一番新しいのが日本海溝・千島海溝地震対策特別措置法みたいになるわけですけれども、それからあと、首都圏というのが今度出てきましたからどうなりますかなということもあるんですが、それぞれの特色に応じてやはりうたわれているというそういう体系でもって今は理解しておりますが、なおよく中身を研究してみたいと考えております。

一川委員 大臣も割と素直なお話をされたと思いますけれども、私は、本当に今回の新潟中越地震の発生を考えてみますと、何か地震の予知予知だと言われている地域は幸いにして余り地震が発生していなくて、何か余り予知の対象になっていないところで大きな地震が頻繁に起こっているという現象が非常に目立つような気がするんです。そういうことを考えますと、我々は立法府ですから、そういうことをカバーしてしっかりとした法律をつくらなきゃなりませんけれども、いろいろな情報、現状の把握をするデータを持っているのはやはり内閣でございますから、そういうことをしっかりと提案をされて、日本列島、日本国民やはり平等に、地震に対して憂いのないそういう法体制をつくるべきだなというふうに私は思います。

 今日まで、恐らく東海地域の方に対してはいろんな補助率のかさ上げがあったと思うんですね。そういうことで相当莫大な資金が投入されているはずでございますし、また、今回、新潟方面にもしそういう法律が適用になっておればもう少し被害が少なくなったんではないかということだって言えるわけでございますので、ぜひ、そういう観点でこれから法制度についてしっかりと点検をして前向きに取り組んでいただきたい。

 大臣は非常にそつなく物事をこなしていると私は思いますけれども、ひとつここで殻を破って、新しい時代に向けた新しい防災制度、災害復旧制度の芽を出していただきたいなと、それをお願いしまして、質問を終わります。

西村委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 大臣の所信を含め、何点か具体的な点も踏まえまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、昨年、大変な風水害、また新潟県中越地震と大きな災害が起きたわけでありますけれども、大体二十年来なかったぐらいの被害が出ている、こういう状況だろうと思います。

 そういう中で、大臣が所信の中で、昨年の教訓に学びと、こういう歴史に学ぶことは大変大事なことでもありますし、学んだものをどのように生かしていくか、これが大臣としてこれから問われていくことではないかというふうに思いますが、昨年の災害から得た教訓を今後どのように生かされるおつもりか、具体的な点も含めてまずお聞きをいたしたいと思います。

村田国務大臣 我々は、不幸にして起こってしまった災害から非常に多くのことを学んで、次に起こるかもしれない災害に備える、こういうことが非常に大切だろうと私自身も認識しております。

 それで、神戸の阪神大震災が起きてからことしで十年目に当たりますけれども、兵庫県の皆さん方も、あの神戸の教訓を忘れない、一・一七は忘れない、そういう標語のもとに十年間生きてきて、またこれからもそういう気持ちで災害対策に努めるということでございますので、ましてや、我々防災を担当している人間といたしましては、去年、本当にたぐいまれなる災害の連続でございましたものですから、それから大いに学びとっていくということが必要だろうと、こういうふうに思います。

 一つは、やはりハード面で、要するに、気象条件が変わってきていて、それで、今までのいろいろな防波堤とか防潮堤とか例えばそういうものでよかったかどうかとか、あるいは、町のいろいろな設備は大丈夫であったかどうかということについてハードの面でも検討を加えなきゃいけないというふうに思いますし、もう一つは、避難をさせるときの避難勧告等の指示を出すのに体制が十分であったかどうかということ、それから、お年寄りが大分お亡くなりになってしまったという、高齢化社会を迎えているということから、それに対してどうやって避難をしてもらうかと、こういう体制づくりをしていかなきゃいけない。

 こういうことは、我々、自衛隊あるいは警察庁、消防団等の実動部隊、それと地方公共団体、ボランティアの皆さん方とこうしたことについて改めることはないかということを考えなきゃいけないということで、我々も検討会等を実施してきたわけでございまして、この中で成果等得たものは早目に発表して、それで次の災害に備えるということでやっていきたいなというふうに思います。

 それから、特に、この日本のほとんどの地域が中山間地域であるということを考えたときに、新潟中越地震の教訓というものは、例えば通信途絶する、それから道路等のインフラが壊れる、そうすると救援物資も運べない、土砂崩れ等が起こって、そういう災害にどう備えるかということも我々の教訓であったというふうに思います。

 挙げれば切りがないわけでございますが、一つ一つを整理しまして、我々の教訓として対策を講じていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

石田(祝)委員 この大臣の所信でも私が御質問申し上げた点についても述べられておりまして、特に高齢者が、集中豪雨等のときにいろいろと放送されても聞こえていない、こういうこともわかったわけであります。広報の方が一生懸命豪雨の中を車を走らせ避難をお願いしても、高齢の方は耳が遠い方もいる、そういう方が聞こえていなかった、こういうこともわかったわけでございます。そういうことも含めて、たくさん、具体的な方策として村田ドクトリンたるべきものをまたぜひこれはお出しいただければというふうに思います。

 それで、特に大臣の所信の中で私が感じた点は、具体的に数値目標、こういうものをもって具体的な減災をしていこう、こういうことをお考えとして述べられております。私も、やはり災害を、例えば地震一つとっても、これの発生を防ぐということはこれはもうほとんど不可能な話であります。しかし、起きたときに災害を最小限にしていく、このことは、我々行政、また国会の大変大事な仕事でもあろうかというふうに思っております。

 特に大臣は、減災ということで例えばこういうふうに書かれております。「「東海地震、東南海・南海地震による人的被害を半減させる。」というような具体的な減災目標を定めた地震防災戦略を今年度中に中央防災会議において策定し、」こういうふうに述べられております。私はこの点で、減災ということをおっしゃっておりますので、例えば人的、物的、経済的、そういうものについて、今年度中といったらもう今月しかないわけですので、現在どの程度その策定について進捗しているか、このことをお聞きしたいと思います。

村田国務大臣 今月中にはもう出さなければいけないわけでございまして、今、作業を急がせているところでございます。東海、東南海・南海につきましては、そういうことで今年度中、それから、先ごろ首都圏についても被害想定というものを出しましたので、こっちの方もやらなきゃいけないということで、こちらの方は来年中に、できるだけ早い時期に大綱というものを定めて、そうした起こってしまった被害をできるだけ未然に少なくしていくための対策というものを練っていきたいというふうに考えております。

 どこまでというのはちょっと言いにくいんですが、できるだけ急いで、さきの防災戦略の方については、案を、案といいますか結果をまとめたいというふうに考えているわけでございます。

石田(祝)委員 この減災ということについて何点かさらにお伺いをしたいんですが、一つは、人的被害対策として、平成十五年に中央防災会議で東南海・南海地震に関する専門調査会、その中で、例えば津波の災害の場合に、いわゆる住民の避難意識の高低により、今回想定した二ケースでも津波による死者数に二倍程度の差が想定される、こういうふうなお話も防災会議の中で取りまとめられているわけですね。ですから、まさしく大臣がここで、「被害を半減させる。」こういうふうに所信にお述べになっておりますが、これは、津波という観点に関していえば、その段階で例えば避難意識を高揚すれば具体的に半分になる、こういうことだろうというふうに私は思っております。

 それで、この特に津波について、現在、津波警報等の発表について具体的にどのようにされているか、まずお聞きをしたいと思います。

長坂政府参考人 気象庁におきます津波警報等の発表の手順についてのお尋ねがございました。

 御案内のように、地震により震源付近の海底に隆起や陥没が発生した場合には、これに伴い海面が大きく変動し、それが波となって伝わり、津波となって海岸に到達するおそれがあります。地震に伴う津波の発生の有無、あるいは発生した津波の海岸への到達時刻、海岸での津波の高さ、こういったものは、震源の位置、深さ、地震の規模等の地震の特性、さらには周辺の海底地形など、多くの要素が複雑に関係をいたすところでございます。

 気象庁では、津波の迅速かつ的確な予想を行うために、日本近海を対象といたしまして、震源の位置、震源の深さ、地震の規模の異なる、全体で十万通りの地震を想定いたしまして、それぞれに伴う津波の発生の有無、あるいは、発生した津波が全国を六十六に細分しました津波予報区の海岸に到達するまでの時間と津波の高さをあらかじめコンピューターで計算し、その結果をデータベースとして構築いたしております。このデータベースをコンピューター上で活用しまして、地震の監視を常時行うために気象庁が全国に約百八十カ所に展開しています地震計の観測ネットワークで地震を検知した際には、地震の波形からその震源の位置、深さ、規模を迅速に求め、検知した当該地震に伴う津波の発生の有無、見込まれる津波の全国六十六区分の海岸へのそれぞれの到達時刻及びその高さを予測しているところでございます。

 気象庁におきましては、このようにして得られました津波警報を防災機関に伝達するとともに、報道機関の協力を得まして、国民への迅速な周知に当たっております。

 気象庁では、津波情報の発表のさらなる迅速化、的確化を目指して、常に、予測技術、地震観測網あるいは情報伝達等の改善に努めているところでございます。

 以上でございます。

石田(祝)委員 今、御答弁がありましたように、相当細かくいろいろなことを想定されて、津波警報、津波注意報を出されるシステムになっているようにお伺いをいたしました。しかし問題は、それを出されたときに、受け取る側が、では自分はどうしなきゃいけないのか、そこのところになかなか結びついていっていないのではないか、こういうおそれが実はあるわけであります。

 例えば、あの昨年十二月のスマトラ島沖の大地震、それの後の津波、逆に、海の水が引いたものですから、魚をとりに行っている人もいる、また見物に行く人もいる。これは、全然危ないという意識がないからそういうことをもちろんしているわけですけれども、では、それを今の日本の私たちが、あれはインドネシアとかあの地域の話で、日本とは関係ないと言えるのかどうか。そこまでしっかり、そういう警報が出たとき、そのときに、全然違う行動で合理的な行動がとれるのかどうか、理性的な行動が。これが求められていると私は思うんですね。

 それはなぜ申し上げるかといいますと、やはり昨年に、和歌山県また三重県の住民に紀伊半島沖の地震で避難勧告が出された、しかし、避難所への避難者はわずか六%であった、こういうことが総務省消防庁の調べでわかった、こういうことであります。

 そして、昨年のあの台風等の被害の場合も、台風が上陸して自分のところへ向かってきているのに、田んぼに見に行ったり、これは田んぼの水が心配だということはわかるんですけれども、それで用水に落ちたり、そして、海岸に行ったり土手に水を見に行ったり、また、ひどいというんでしょうかね、これは考えられないんですけれども、そういうさなかに屋根に上がって屋根の修理を始めて、落ちてしまった、こういう方が大分おります。

 ですからこれは、台風による被害と津波と違いがあるかもしれませんけれども、そういう避難をしなきゃならぬという意識、台風が来ているときは外に出ない方がいいんだ、こういう意識、それと、さっき津波の警報でこういう体制でやっているんだということが結びついていない。ですから、これをどのようにやっていくか、この点が私は大事だと思うんです。

 これは内閣府にお聞きをしたいんですが、この避難意識の高揚、徹底、これをどのように考えていくか、この点で御答弁をお願いします。

柴田政府参考人 津波被害の被害軽減のためには、津波の怖さと、それから、直ちに逃げていく必要があるということをやはり住民、国民が肌身でもって本当に周知している、わかっているということが非常に重要であろうと考えてございます。東南海・南海地震の被害想定におきましても、津波避難意識の差によりまして人的被害が五千人異なってございます。この津波避難意識の高揚というのが津波対策の課題であろうというぐあいに考えてございます。

 このためには、住民みずからが主体となってハザードマップをつくっていくということ、あるいは、避難計画の作成に住民も参加するということが有効でございます。十五年度には、津波・高潮ハザードマップマニュアルを作成しまして、住民も入っていただきましてハザードマップの作成を推進しよう、そういうことを努めてございます。

 また、津波の避難場所や危険地帯を示す標識の設置というものを進めてございますが、これは、日常的な津波に対する意識啓発手段としても有効であるというぐあいに考えてございます。このような取り組みを推進し、標識の標準化、こういうことも検討してございます。

 また、日本も、こうした避難意識の重要性については昔からいろいろなお話等があったわけでございまして、例えば、百五十年前の安政南海地震の大津波のときには「稲むらの火」という非常に有名なお話がございますけれども、これにつきましても、庄屋さんの機転というもの、自分の稲わらに火をつけるという機転というようなもの、あるいは自分の稲わらを焼いてしまうという自己犠牲の精神、そして何よりも津波の怖さ、それのどうやって逃げればいいかというようなこと、こういうことを小学校でも教えておったわけでございます。これも非常に重要であったと考えてございます。

 また、最近では、パプアニューギニアで一九九八年にマグニチュード七の地震がございまして、二千六百人の死者が出てございます。その後、アジア防災センターで津波啓発のためのポスターをつくるというようなこともやりまして、その後の、それ以上の大きな地震が来たわけでございますが、数千の住家は倒壊いたしましたが、津波被害はゼロになったというようなことも、これらの意識高揚の重要性ということをあらわしているものと考えてございます。

 スマトラ沖地震による津波被害、我が国における津波被害から得られる教訓、広く住民に知ってもらう努力が非常に重要であるというぐあいに考えてございます。関係省庁、自治体と連携して進めてまいりたいというぐあいに考えております。

石田(祝)委員 これには十二分に御努力もお願いをいたしたいと思います。

 それで、私は続いて海岸の堤防等についてまずお聞きをしたいんですが、一つは、昨年、高知県室戸市の菜生海岸、そこで堤防が損壊をいたしまして、私も現場に行ったんですが、三十トンというふうに言われておりました。それが高波で大きく破損をして、これは、破損をするというよりも、一ブロックそのものが民家の方に飛んでおりまして、大変な状況でございました。それで、想像を絶するような高さであった、こういうふうなことでございましたけれども、そこに住んでいる人は、そんなものが飛ぶなんということはもう想定もしていないわけでございます。私も現場へ行って損壊をした防潮堤を見ますと、鉄筋が大体目算で約十二ミリぐらいの大きさですね、十二ミリ径の鉄筋が五十センチ間隔に一列だけ並んでおりまして、それぞれの隣同士が連結をされていない、ただ引力、重力によって押さえている、こういう形のものが飛んでしまった、こういうことだったというふうに思います。

 それで、私も昨年質問をいたしましたが、こういういわゆる海岸の防潮堤は一体どうなっているのか、こういうことでお聞きをいたしました。この菜生海岸の、同じような構造令でできた堤防がたくさんあると私は思います。この原因と、原因は防潮堤ですから波かもしれませんが、それが壊れた理由と、そして、その調査がどこまで今進んでいるのか、復旧対策はどうか、まずこのことをお聞きをしたいと思います。

清治政府参考人 菜生海岸の被災箇所については委員にも現地を御視察いただきましたが、今までにないような被災形態でございました。高潮の堤防があるわけでございますが、実際に観測された波というのが、我が国観測史上の最大だったということと、それから、延長三十メーターぐらいにわたって被災したわけでありますが、ちょうどそこが、波が減衰しないで襲ってくるというような海岸地形のところであったようでございます。

 そういうようなことを、被災後、学識経験者等専門家によります委員会を設置いたしまして、現在、被災原因の究明それから復旧対策のあり方について三月中に取りまとめていただくようにお願いしているところでございますが、中間報告によりますと、とにかく計画規模を超えるような外力が働いたということでございますが、それによりまして、堤防の中にあります鉄筋の持つ耐力を超える力が作用して一気に壊れたという状況であったわけでございます。

 委員会の方からは、計画を超えるようなそういう高波が襲ってきたとしても、壊滅的な被害を回避できるようなことを考えるべきだという中間的な御提言をいただいておりまして、これらにつきましては災害復旧の工法にも生かしてまいりたいと思いますが、堤防の前面に消波の施設を入れていく、それから海岸堤防につきましては、高さを上げるということではなくて、補強をしっかりとしていくということによりまして壊滅的な被害を回避するように努めてまいりたいと思います。

 なお、これらから得られました教訓につきましては、全国の同様なことが考えられますおそれがあります海岸について生かしていくように今後対応をしてまいりたい、このように考えております。

石田(祝)委員 これは大変未曾有の波が来た、こういうことだろうと思いますが、その海岸の前の浜がやせてきたということも地元の方はおっしゃっているんですね。ですから、養浜ということもこれはちょっと考えていかないと、波が直接来るという形になってきている。だんだん浜がやせてきて、直接波が押し寄せるようになってきておりましたと、こういうお声もありました。

 こういう当時の構造令に従ってつくられている堤防はたくさんあるんだろうということで私も昨年質問いたしましたが、それで、津波に襲われる可能性のある全国の海岸についてお伺いをしたいんですが、もう時間もございませんので端的にお伺いをしたいと思っていますが、堤防の耐震性、大体一万一千キロあるというふうに聞いておりますが、その調査の現状と対策。

 それからあと、水門の作動状況、これについては、例えば地震が起きて津波がやってくる、そして、ゲートがフルオープンから完全に閉まるまでの時間と津波が来るまでの時間、これはちゃんと計算をされて、到達前に閉まるようになっているのかどうか、こういうことも私は大事なことだろうと思います。そして、この水門の管理についても、地元の部落の方に任せている、こういうところも実はあるわけなんですね。そういうところが現実にかちっと対応もできるのか、そういう点も含めてこれは大変大事なことだろうというふうに思います。

 この二点について端的に御答弁をお願いします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 先生の言われた調査につきましては、昨年の春、五月に調査をやっておりまして、まず、海岸堤防につきましては、想定される大規模地震に耐震性が確認された堤防は、先ほど先生がおっしゃられた一万一千キロメートルのうちの約三三%が確認されたという数字でございます。また、津波が到達するまでに閉鎖が完了することが確認された水門等につきましては、全国約七千カ所の水門等のうちの二七%にとどまっております。

 また、あわせて防災訓練等の調査をやっておりますが、例えば沿海市町村九百九十一市町村のうち、平成十五年度に津波に関する何らかの防災訓練を実施した市町村は六三%に当たる六百二十七市町村でございまして、津波ハザードマップを整備している市町村は、昨年八月時点で、一二%に当たる百二十二市町村となっております。

 こういったことから、国土交通省、農林水産省では、平成十七年度予算において、新規事業として、水門等の自動化、遠隔操作化や、津波ハザードマップを作成する上で必要とされる堤防等の耐震性調査それから浸水予測調査等を支援する津波危機管理対策緊急事業というものを創設することとしているところでございまして、今後とも、関係府省と連携を図りながら津波対策を推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

石田(祝)委員 防災訓練はお聞きしていなかったんですが、お答えいただいたんですけれども、やっているところが六三%ですか。逆じゃなかったですかね。やっているところが三七で、やっていないところが六三じゃなかったですか。

田中政府参考人 防災訓練と申しましても、避難のものとか例えば水門の操作とか、いろいろ分かれておりまして、そのすべてをやっているのは三分の一ぐらいの市町村しかございませんが、そのいずれかの防災訓練をやっているものは、先ほど申しました六三%ぐらいの市町村がやっているということでございます。

石田(祝)委員 どれかはやっていますということで六十数%ですから、全然やっていないところも一〇〇から引いた数あるということですね。

 それでは続いて、新潟県中越地震の被災地での除雪費用についてお伺いをしたいと思います。

 これは、ことしは大変な豪雪ということで、除雪費用の増嵩が各市町村の大変大きな負担になってきている、こういうことであります。これは、お金の面と、また国が直接やっていただく、こういう両方があると思いますが、特に、まず地方交付税の特交、この部分についてどういう対策になっているのか。あと、国道または市町村道についても国が直接いろいろとやっていただいている、こういうことがあるように聞いておりますので、それぞれについて御答弁をお願いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、新潟県中越地震の被災地は豪雪地帯でございます。したがって、被災を受けたことを契機にしまして、十六年度補正予算におきまして、新潟県及び十八市町村に対し除雪費補助を措置したところでございます。

 しかしながら、この被災を受けた地域のほかに、青森県等の東北北部を中心に平年を上回る大雪であるということでございまして、全国的に見ますと、最近の豪雪年である平成十年度に近い状況になっているということでございます。したがいまして、国土交通省では、県管理道路の助成につきましては補助制度というものがあるわけでございますが、こうした降雪状況、除雪費用等を踏まえて、三月に追加配分を行うこととしております。

 一方、市町村道の助成につきましては、通常、交付税により措置されておるということでございますが、全国的な豪雪の年で、地方財政の措置だけでは間に合わないというような場合におきましては、幹線市町村道でありますが、の除雪につきまして臨時特例措置というようなことを講じてきておるところでございます。

 本年度におきましても、平成十二年度に実施しました臨時特例措置を実施する方向で検討を進めてきておりまして、先週の金曜日、二月二十五日でございますが、北側国土交通大臣からの指示に基づき、全国の積雪寒冷地域の市町村における積雪状況、助成費等の実態を把握するための調査を開始したところでございます。

 今後は、三月上旬を目途に、なるべく早期に調査結果を取りまとめ、調査結果を踏まえて、三月中旬を目途に、市町村に対する支援を講じていく考えでございます。

岡本政府参考人 交付税の除排雪経費についてお答えさせていただきます。

 地方公共団体が行います除排雪経費につきましては、平年ベースの積雪のものは普通交付税でまず所要額を措置いたしますが、本年のように平年を上回るような豪雪になります場合は、地方公共団体から不足一般財源の所要額でございますとか降雪の状況をお伺いいたしまして、特別交付税により所要の措置を講じているところでございます。

 本年は、今お話がございましたように、降雪も非常に多いということでございますので、できるだけ最新の数値を使うということで、例年にプラスした追加の調査も実施いたしております。また、直接的に雪ということではございませんが、本年、非常に災害も多かったということもございまして、特別交付税の総額をさきの補正予算で七百億円ほど増額をいたしております。

 こういうような措置を通じまして、新潟中越地震の各被災団体の実情も十分に踏まえて、その財政運営に支障が生じないよう今年度の特別交付税の算定に当たってまいりたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 どうもありがとうございました。

 予定していた質問でできない部分がありました。通告しておりましたけれども、おわびを申し上げたいと思います。

 どうもありがとうございました。

西村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、豪雪対策について伺います。

 青森市の積雪が今冬最高の百七十一センチに達し、観測開始以来四番目の記録になりました。県も市町村も除雪予算が一月の時点で底をつき、悲鳴を上げています。

 また、消防庁の調べでは、今冬の豪雪により、除雪作業中の転落など雪による死者が、新潟県の二十二人、青森県の十人を初め、山形、秋田など日本海側を中心に六十一人にも上り、十九年ぶり、最悪のペースだと報じられております。重軽傷者も十三県で計五百五十人にもなりました。また、死者の六割が六十五歳以上の高齢者で、七十歳を超えた方が屋根に登って過って転落をしたり、あるいは、五歳、七歳という子供が除雪機械などに巻き込まれて死亡するケースも発生しており、本当に悔やまれてなりません。毎日の雪との闘いに必死に頑張っている中で犠牲も拡大し、市民生活や経済にも大きな障害となっております。

 そこで、今冬の豪雪を受け、改めて、雪は災害、そういう立場で政府の特別な対応が迫られていると思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。

村田国務大臣 今、委員が御発言なさいましたように、ことしの雪は格別なものでございまして、記録的な豪雪を観測しているわけでございます。災害対策基本法でも豪雪を災害と位置づけているわけでございまして、私どももそういう認識でおるわけでございます。

 これまでのところ、政府におきましては、二月の二日、十四日、二十四日、計三回でございますが、関係省庁連絡会議を開催しまして、気象の状況とか被害の状況、地方公共団体や各省庁の対応状況について情報共有を図っておるわけでございます。

 それから、二十四日の関係省庁連絡会議でございますが、雪崩によります人的被害防止のため、地方公共団体、関係機関に対しまして適切な指導に努めること、二番目に、今後、融雪出水期を迎えるに当たりまして、雪崩、あるいは融雪に伴う出水、それから土砂災害に対して、危険箇所の巡視点検、気象等に関する情報の収集、伝達、警戒避難体制の強化等に努めること、三番目に、特に新潟県中越地震の被災地におきましては融雪に伴う土砂災害の危険性が高いということで、一層の防災体制強化に努めること、四番目に、事態の推移に応じて必要があれば、今後においてもその連絡会議を開くということを決めたところでございます。

 それから、自衛隊につきましても、災害派遣によりまして山古志村におきます雪おろし支援を昨年末から断続的に実施しているということでありますし、小千谷あるいは川口町におきます除雪作業支援を二月に入りましてからやっているということでございます。

 それから、三月二日に、あしたからですが、青森県、それから三日には、新潟県に関係省庁担当官を派遣しまして雪害状況調査を行う予定としておりまして、今後とも適切な対応をしていきたい、こういうふうに考えております。

高橋委員 ありがとうございます。きめ細かい対応をぜひお願いしたいと思います。

 それで、先ほどの質問とも同じかもしれないんですけれども、整理の都合上、また、立場上ぜひとも伺っておきたいわけですが、県も自治体も頭を悩ませている除雪費用について、これまで降雪が多かった年は特例措置や交付税措置で対応してきましたが、特段の御配慮をいただきたいと思っております。

 国土交通省と総務省へそれぞれ伺います。

谷口政府参考人 お答えをいたします。

 市町村道の除雪についてのお尋ねでございますが、通常、交付税により財政措置されているところでございますが、委員御指摘のとおり、全国的な豪雪の年で、地方財政の措置だけでは間に合わないような場合には、国土交通省において、これは幹線市町村道のみでございますが、の除雪について臨時特例措置を講じてきているところでございます。

 このため、本年度におきましても、平成十二年度に実施したこうした臨時特例措置を実施する方向で検討を進めてきておりまして、国土交通大臣からの指示に基づき、全国の積雪寒冷地域の市町村における積雪状況、除雪費等の実態を把握するための調査を開始したところでございます。

 今後は、三月上旬を目途に、なるべく早期に調査結果を取りまとめ、調査結果を踏まえて、三月中旬を目途に、市町村に対する支援を講じていく考え方でございます。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 雪の状況につきましては、この二月に入ってからも非常に雪が多いというような地方公共団体のお話も踏まえまして、二月に、例年にプラスして追加の調査もいたしたところでございます。

 できるだけ各地方団体の実情をきめ細かくお伺いをいたしまして、また、特別交付税の増枠も補正予算で増額をしていただきましたので、そのような額も有効に活用して、地方公共団体の財政に支障が生じないよう特別交付税の算定に当たってまいりたいというふうに考えております。

高橋委員 ありがとうございます。

 それで、所要額の算定に当たって、やはり実態をぜひ見ていただきたいと思うんですけれども、きょうはパネルを少し用意しました。これは青森市内ですけれども、このように道幅が余りにも狭くなっておりますので、車同士が行き交うこと自体が困難であります。そして、全く歩道がございませんので、子供たちが、わかりますように車と車の間を、車道を通学のときに歩かなきゃいけないという大変危険な状態になっております。

 私たちの悩みは、除雪があっても排雪がなかなかされないこと、歩道の除雪が追いつかないこと、交差点の見通しが悪くなって非常に危険である、こうした問題が長年の悩みであります。安全確保の面からいっても、排雪、歩道や交差点の除雪が必要であること、また、その支援措置が除雪予算の中に位置づけられるべきと考えますが、国土交通省の考えを伺いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、ライフスタイルの変化もございまして、ますます積寒地域における産業の振興と民生の安定を図るための施策は重要だと考えております。

 国土交通省では、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づき、道路の除雪事業、防雪事業並びに凍雪害防止事業等に取り組んでいるところでございます。

 道府県が管理する国道、道府県道の除雪費補助につきましては、毎年度の冬期間における降雪状況、除雪費用等を勘案し、段階的に配分するなど適切に実施をしてきておるところでございます。また、先ほど答弁させていただきましたが、市町村道の除雪につきましては、幹線市町村道でございますが、除雪費補助につきましては臨時特例措置を講じてきているところでございます。

 今後とも、安全で安心な冬期道路交通の確保を図り、雪国の生活の安定と地域の振興を支援するため、柔軟に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

高橋委員 今の、安全で安心な冬期交通の確保、そのための柔軟な対応ということで、ぜひ御期待をしたいと思います。予算の制約から、自治体はどうしてもぎりぎりまで我慢をして、雪がかなり積もってから除雪あるいは排雪をするという実態がございます。その間、交通や生活にもかなり影響がございます。こうした問題を十分考慮して対応していただくよう要請しておきたいと思います。

 関連しますけれども、災害救助法において、雪害については、平年に比して短期間の異常な降雪及び積雪により住家の倒壊またはその危険性の増大などを基準として適用されることになっております。雪による倒壊が既に起こっております。これは青森市ですけれども、こうしたことをかんがみて、例えば、災害救助法による障害物の除去を活用して高齢世帯などの除雪をやるなど救助法の積極活用、こうしたことも考えに入れるべきと思いますが、この点いかがでしょうか。

小島政府参考人 災害救助法におきましては、市町村における災害での住居等への被害が一定程度に達した場合や、「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた場合」等で、被災者が現に応急救助を要する場合に適用されるものでございます。雪害につきましてももちろんこの災害救助法の適用があるわけでございまして、過去あった例もございます。

 しかし、一義的には災害救助法の適用は都道府県知事さんの御判断ということでございますので、こうした要件に当たる場合には各都道府県が判断をされるというふうに考えております。

高橋委員 もちろん一義的には知事さんが判断をされるわけですけれども、例えば新潟県では、適用基準が漠としているため、先ほど私が読み上げたところですけれども、旧厚生省と協議をして、二日間の合計値が二百センチ以上、あるいは連続三日間の合計が二百五十センチ以上の集中的な豪雪であること、あるいは、一般住宅で連日または確実に屋根に雪おろしが必要な場合というように、わかりやすくするように運用基準を定めています。こうした点でも、適用基準の考え方や活用方策について明確にするなど、国として、情報交換、援助もして災害救助法を活用する方策があるかと思いますので、この点についての検討をぜひお願いをしたいと思います。きょうはここは要望にとどめます。

 次に新潟の問題に行きたいと思うんですが、こんなふうに、もう皆さんもよく御存じだと思いますが、重い雪で家がつぶされそうな状況になっております。新潟県豪雪対策本部の調べでは、二十八日現在、雪による家屋被害が百三十四になっております。日本雪氷学会、日本雪工学会によると、この地域の建物は一坪当たり一トンの重さに耐えられる、そういう構造になっております。しかし、地震によって強度が低下している可能性があり、屋根雪の重さで家が倒れてしまう危険があると警告もされております。

 そこで、被災者生活再建支援法の適用に当たっては、一部損壊だったものが雪により全壊になってしまうなど、当然、独立した災害として見るのではなく、地震と雪という関連を考慮して適用するべきと考えますが、その点いかがでしょうか。

村田国務大臣 原則といたしましては、同法によります自然災害は一つの自然災害を適用とするということですが、新潟の中越の場合には、その災害の状態が続いておるということでございますので、避難勧告指示等が出ているそういう地域では、雪の結果倒壊したということになった場合には、地震による災害として、その倒壊として扱う、こういうことにしております。

 今のところ、雪によって倒壊した家屋というのは四十七戸ございますが、これは、もともとすべてが判定としては地震による全壊というふうに考えられた家屋が雪によってつぶれた、こういうことになっているようでございます。

高橋委員 まさか大臣がその数字を出すとは思いませんでしたので、ここに資料がございますが、四十七全壊、今、雪により倒壊していますけれども、そのうち、地震のとき全壊だったのは四十四でございます。だんだんこの差が開いてくるだろうと思います。

 ですから、当然今お話しいただいたように、避難勧告されて行けないところは、このように雪がどんどん積もっても手出しできない状況があるわけですから、それを考慮されるのは当然であります。しかし、避難勧告がされていないけれども追いつかない場合もまた出てきているんだと、そこのところはしっかり見ていただきたいと思いますが、もう一度いかがですか。

村田国務大臣 被災の状況をよく見る、こういうことだというふうに思いますので、委員の御指摘のような結果にはなるのではないかというふうに考えております。

高橋委員 よろしくお願いいたします。

 そこで、支援法の所得基準の問題なんですけれども、発災時の前年度所得を基準としております。しかし、申請期間は十三カ月あります。今は確定申告の時期でございますので、当然、新しく申告をして被災による失業などの所得の実態なども反映されるわけです。これを適用してもよいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

村田国務大臣 お気持ちは非常に私もよくわかるわけでございますが、所得条件というものがある以上、いずれどこかの時点の所得というものでもって判断をしなきゃいけないというふうに考えたときに、発災時の所得というのが一つの基準になり、かつまた、そうすることによって支援がスピードアップすると。はたまた、発災以前にそれだけの所得があるということは、資産の積み上がり等も考えておれば、そういうことは、余力があるというふうに考える一つの判断材料になるのではないかと私は考えておるわけでございます。

高橋委員 大臣は先ほど泉委員の質問に対して、新潟は、今は雪に閉ざされていて、まだ家を建てるとかそういうことも見えないだろう、それで、一定時間がたてばそうしたものが見えてくるんじゃないか、だからまだ支援法の適用が見えないじゃないかということを答弁されましたね。それと同じことなんです。十三カ月という申請期間があるんですから、その間の中で、いややはり、今雪の中でようやっと見通しがついてきた、支援法が受けられるのであれば住宅再建をしたいと思ったときに、そうしてみると、ことしは失業だとかあるいは廃業だとかということで所得が物すごく下がったことを証明するものは明確にある、今までは証明するものがないということも言ってあったわけですから、そういうことを言ったら、何をためらう必要があるのか。

 今まで言っていた真に支援の必要な人、この点からいっても、まさにこれはこたえる道ではないかと思いますが、いかがですか。

村田国務大臣 やはり、一定の時点でもって資力を判断して、それで、要するに公助としての支援をするという立場から考えますと、そういう一つの基準点が必要ではないかと私は考えております。

高橋委員 今のは全く答えになっていませんね。大臣がこれまで言ってきたことからいってもおかしいと思いますよ。その点はよく整理していただきたいと思うんですね。時間が必要だと泉議員に対して答えたことと、これまで言ってきた真に支援の必要な人という意味でも、それを照らし合わせても何の無理もないことだと。十三カ月の申請期限の中でやれと言っているわけですから、新たにその期限を延ばせとか、いろいろ私は意見はありますけれども、今ある範囲の中で合理的じゃないかということを言っているんです。これは、今はすぐにはお答えできないでしょうから、次にいい答えができますように、ぜひ検討いただきたいと思います。

 ちなみに、先ほど大臣が紹介しておりました実態調査、これが、平成十四年度の実態調査というのをいただきました。あくまでも支援法が受けられた方に対する調査でありますので、八割の方が役に立ったと答えております。当然であります。しかし、その中でも、同じように所得の問題を、当該年度の所得を考慮してほしいということが、被災者の側からも、そして自治体の側からも出ています。内閣府の調査でそういうことが出ていますということをしっかりと受けとめていただきたいと思います。

 次に行きます。

 災害復興公営住宅の建設についてですが、コミュニティーに配慮した住宅のあり方が大事だと思っております。例えば、集落単位、高齢者に配慮をする、雪国仕様でありますから高床式にする、地域の特性に溶け込む木造住宅などが考えられますが、これらが可能かどうか。

 また、その際、先ほど来お話ししているように、新潟では、雪のことで頭がいっぱいで、一日八回も屋根の雪おろしをしているというような状態もあるわけです。そうしたことでまだ先のことを考えられないので、年度内に計画をつくれと言われると非常に大変だという声が上がっております。

 そこで、公営住宅の建設計画決定に当たっては、年度内にこだわらず、一定の時間を保証するべきと考えますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 災害により住宅を失った低額所得者のために公営住宅を整備するに当たりましては、地域の実情や被災者の意向などに配慮して整備することは大事なことだと考えております。この仕事の事業主体は地元の公共団体でございます。今、地元の公共団体におかれましては、被災者の意向も確認しながら、地域の実情などを踏まえた具体的な計画を検討しているところだと聞いております。

 国としましては、地元の地方公共団体から具体的な計画が出まして、それを踏まえて柔軟に対応してまいりたいと考えております。

高橋委員 柔軟な対応ということですので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に行きますが、長岡雪氷研究所は、一月十二日の国道二百五十三号線十日町市における土砂崩れ発生について分析をし、中越地震が原因と見られる亀裂が斜面で発生しており、その亀裂に雪の重みが加わって土砂崩れが起きたと説明をしています。このように、地震後、斜面崩壊地における雪崩の発生や、震災で耐久性の低下した構造物が雪による荷重で倒壊する懸念があり、複合要因によって新たに発生する土砂災害への注意を呼びかけております。

 国土交通省がこの新たな土砂災害について今検討しているということは、先ほど、大臣の連絡会議の中での紹介がありましたので、そこを踏まえて質問を続けますけれども、この点で、例えば、先般、補正予算で特例措置が図られた災害関連緊急がけ崩れ対策事業などについて、人家が一戸しかないなどの理由で採択にならなかった事案が発生しているんです。ただ、県単独の小規模急傾斜地対策事業では自己負担が余りにも大き過ぎるとして、復旧をためらっている小千谷市の女性のところを見てきました。崩れがひどく、このまま放置すれば、雪も重なって、隣家にも影響を与えるという感触を持ちました。周辺に被害が及んでから気づくのでは遅い。

 今後は、こうした採択漏れも含めて関連する災害の実情をよく調べ、積極対応を求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。ちょっと簡潔にお願いします。

清治政府参考人 急傾斜地崩壊対策事業につきましては、委員御案内のとおり、がけの高さとか、それから保全対象の家屋の数とかいうことを採択要件にしているわけでございますが、御指摘の災害関連地域防災がけ崩れ対策事業におきましては、これは激甚災害の指定の対象になった地域の特例でございますが、そういうところでは保全人家を二戸以上ということで、かなり細かいものまで対応できるような措置が講じられているわけでございます。

 御心配の向きにつきましても、再度災害を防止する観点から、引き続き、新潟県とも連携を図りながら、これらの事業等によりまして施設整備を進めてまいりたいと思いますし、あわせて、警戒避難体制の整備など、ハード、ソフト対策をあわせた総合的な対策によりまして、融雪によるがけ崩れ災害の防止、軽減に万全を尽くしてまいりたい、このように考えております。

高橋委員 よろしくお願いします。

 きょうは、残された時間で、もう一つの大きな課題である営業の再建、この支援について検討してみたいと思います。

 業者の皆さんは、自宅と、もう一つ事業所や店舗、この両方が壊れて二重の災害に苦しんでいます。しかも、自分の責任ではないのに、お客さんが災害に遭ったために休業を余儀なくされている、そういう方もいらっしゃいます。しかし、ここに対してある対策は融資制度ばかりであり、仮に運転資金や設備資金を借りたとしても、生活費はどこからも出てこないのが現実であります。

 この間、十年目の神戸を歩くなどして強く実感したことは、商店街があってこそ人も集まります。開発で高層ビルやテナントビルを建てても、商店が次々に撤退しております。本来、復興というとき、どこにお金を使うべきか。住まいと営業を再建し町を守ることが最優先の課題ではないかと思います。

 中小企業・業者は地域振興や雇用において重要な役割を果たしており、震災対策においてもこれをしっかり位置づけるべきと思うが、この点について伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 私ども、中小企業対策といたしまして、災害復旧に当たりまして、政府系中小企業金融機関におきまして、一般貸し付けとは別枠で運転資金等の融資を行っております。また、あわせまして、政府系中小企業金融機関及び信用保証協会におきまして、既往債務の返済猶予等の対応を行うように指示を行っているところであります。これに加えまして、被害の程度が深刻な場合には、地方自治体におきます被害調査の結果を踏まえてでございますけれども、信用保証協会の保証枠の拡大等のセーフティーネット保証等を行っております。

 この中小企業対策、委員御指摘のとおり金融対策が中心でございますが、そのほかにも、例えば商店街等の共同施設の復旧支援につきましては、補助金による支援を行っているところでございます。

高橋委員 ですから、融資しかないということで、私は、もちろん、直接支援の問題とかそれから休業補償の仕組みをぜひ検討するべきだということを今お訴えしたいと思うんです。

 その前段としてまずやはり確認したかったのは、役割をどう見るかということなんですね。ですから、融資をやっているというのはもう皆さんが言わなくてもわかっているから、そうじゃなくて、その前段に、中小業者の役割、中小業者が本当に元気でなければ町が復活しないんだということを、その点で本当に大きな役割を果たしているんだ、あるいは雇用の面でも担い手なんだということをしっかり位置づけてほしいと思っているんですが、その点いかがですかと。

鈴木政府参考人 委員御指摘のとおり、中小企業、日本に四百七十万社ございまして、日本の企業の九九%以上は中小企業でございます。また、雇用面においても非常に重要な役割がございます。

 私ども、地元の中小企業の活性化、これこそが地域の活性化に必要と考えまして、さまざまの中小企業対策を講じさせていただいたところでございます。

高橋委員 ぜひその立場でお願いをしたいと思います。

 もう質問ができなくなりましたので、一言、例えば災害救助法の中にも、二十三条第七号、「生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与」という項目があり、給与も否定しておりません。でも、それが全然使われてこなかったという問題があるんです。そういうことを、やはり役割をしっかり見て、直接支援や、本当に次また頑張って仕事を再開できるために何ができるかということをぜひ御一緒に考えていきたいと思います。

 それで終わりたいと思います。

西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


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