衆議院

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第8号 平成17年8月4日(木曜日)

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平成十七年八月四日(木曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 西村 真悟君

   理事 佐藤 剛男君 理事 斉藤斗志二君

   理事 福井  照君 理事 三ッ林隆志君

   理事 小平 忠正君 理事 小林 憲司君

   理事 松原  仁君

      伊藤信太郎君    石田 真敏君

      大野 松茂君    上川 陽子君

      小坂 憲次君    小西  理君

      近藤 基彦君    左藤  章君

      竹下  亘君    谷本 龍哉君

      西村 明宏君    林  幹雄君

      原田 令嗣君    古川 禎久君

      保坂  武君    三ッ矢憲生君

      宮下 一郎君    森  英介君

      山本  拓君    一川 保夫君

      黄川田 徹君    菊田まきこ君

      岸本  健君    下条 みつ君

      津川 祥吾君    長妻  昭君

      前田 雄吉君    和田 隆志君

      太田 昭宏君    白保 台一君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       村田 吉隆君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   総務副大臣        今井  宏君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  正剛君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     江嵜 正邦君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 林  信光君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            鈴木 正徳君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   衆議院調査局第三特別調査室長           杉山 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     古川 禎久君

  左藤  章君     上川 陽子君

  竹下  亘君     小西  理君

  中野  清君     石田 真敏君

  吉野 正芳君     谷本 龍哉君

  村井 宗明君     長妻  昭君

  赤羽 一嘉君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     中野  清君

  上川 陽子君     左藤  章君

  小西  理君     竹下  亘君

  谷本 龍哉君     吉野 正芳君

  古川 禎久君     江藤  拓君

  長妻  昭君     村井 宗明君

  太田 昭宏君     赤羽 一嘉君

    ―――――――――――――

七月四日

 被災者生活再建支援制度の改善に関する請願(志位和夫君紹介)(第三〇六三号)

八月四日

 被災者生活再建支援制度改善に関する請願(津川祥吾君紹介)(第三二五六号)

 同(小林憲司君紹介)(第三二六〇号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三二六五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三三〇六号)

 同(石井郁子君紹介)(第三三〇七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三〇八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三三〇九号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三一〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三一二号)

 同(山口富男君紹介)(第三三一三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三三一四号)

 同(下条みつ君紹介)(第三三二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官堀内文隆君、内閣府政策統括官榊正剛君、警察庁警備局長瀬川勝久君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長江嵜正邦君、消防庁長官林省吾君、財務省大臣官房参事官林信光君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、中小企業庁事業環境部長鈴木正徳君、国土交通省都市・地域整備局長柴田高博君、国土交通省河川局長清治真人君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、国土交通省鉄道局長梅田春実君及び気象庁長官長坂昂一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。

佐藤(剛)委員 自民党の佐藤剛男でございます。

 七月二十三日に、千葉県の北西部を震源とする地震で二十三区内で震度五を記録した、これは十三年ぶりなんですね、平成四年の二月二日以来。そして、その初動対応といいますか、が非常に重要なことなんでありますが、これが非常に把握についておくれがあったと聞いております。私は、小泉内閣で防災担当の副大臣を二期務めさせていただいたわけでございまして、新潟県の地震の折にも二回行っております。また、カンボジアで行われました国際的な会議にも出席させていただいております。そういう経験も踏まえまして、今回の地震は震度が五であるといいますが、これについて行政当局に気の緩みがなかったのか、関係機関にこのまま任せられるのかということを感じていたわけであります。私は、高輪に宿舎がありますが、七階にいるんですけれども、そこのところの本棚ががちゃがちゃに崩れたわけであります。

 そういうことを踏まえまして、本日はこの委員会に、限られた時間でございますので、最初に、先ほど理事会で了承を得たんですが、災害対策基本法の一部改正ということについてこの委員会に提出いたしております。その時間がございますればこれについて敷衍させていただきますが、その前に、その外延の問題について、関係省庁から責任ある局長をお呼びいたしているわけでありますから、しっかりとした答弁をしていただきたいと思います。そして、総括的に大臣から、この問題につきましての対応をお聞きしたいと思います。

 まず、地震、雷、火事、おやじじゃないんですが、私は、亡くなられた渡辺美智雄先生に育てられた政治家でございまして、九月十五日の命日にはお墓参りしている政治家であります。その先生がよくこうおっしゃっていました。佐藤君、火事は最初の五分、選挙は最後の五分、こう言っておった。つまり、最初に五分の初期発動が、できれば一分ということなんでしょうが、対応ができておれば、きちんと、大火災が起きたり東京にちょっとしたあれがあったら大変だと思います、そういうことがない。選挙は最後の五分まで息を抜いちゃいかぬ、電話をかけまくれ、こう言われて、政局厳しい折、何が起きるかわからないわけでありますが、まず、消防庁林長官、消防庁としまして、昨年の新潟県の中越地震の際にも、震度七を記録しました川口町に私は行っていたわけでありますが、その震度情報の把握がおくれた、こういう状況を如実に聞いております。

 消防庁として今回の事態についてどのような対策を講じたのか、御答弁願います。

林(省)政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども、地震の際、正確かつ迅速な震度情報の把握というのが初動態勢を確立する上で極めて重要だと認識していることをまず申し上げさせていただきたいと思います。

 そのような姿勢、考え方から、気象庁におかれましては、地震発生後約五分を目途として震度に関する情報を出す、こういう取り決めができておりまして、地方団体も挙げてそのような制度を構築しているところであります。

 しかしながら、御指摘のように、今回の千葉県北西部の地震におきましては、東京都におきまして、気象庁への震度情報の伝達がおくれるという事例がございました。

 また、御指摘いただきましたように、昨年、新潟県の中越地震の際にも震度情報の把握のおくれがあったわけでありますが、新潟県のときには、停電等によりまして非常用電源等の整備がされていなかったり、あるいは、されていてもその作動の訓練が十分行われていなかったというようなこともございましたので、新潟県中越地震後の十一月には、私ども、全地方団体に対しまして、非常用電源設備の保守点検の実施と的確な操作の徹底をお願いをいたしたところであります。

 今回の東京都の件につきましては、私ども、東京都に照会をいたしまして、報告がございましたが、震度情報の送受信処理に時間を要してしまった、こういうことでありました。私ども、大変遺憾にも思いましたし、また、事が事だけに、早急に設備の改善をしていただきたいということをお願いをいたしました。東京都におかれましては、今月中にシステムの改善を行う、こういう姿勢で臨まれております。

 この際でございますが、私ども、全地方団体に対しまして、千葉県北西部の地震後の二十四日に、震度情報ネットワークシステムの再点検をお願いをいたしました。問題のあるところにつきましては早急な改善をお願いいたしましたが、大半の団体におきましては、システムの整備は気象庁のシステムとあわせて点検を行い、五分以内に気象庁に情報が届くようになっているという報告を受けたところでございます。

佐藤(剛)委員 重要なことなんですね、長官。東京都の話によりますと、七月二十八日の東京新聞をごらんになっていると思います。社説に私が言いたいことが全部書いてありますから、読んでください。要するに、「今回の地震を契機に、防災システムと担当者の姿勢をチェックし直す」とある。そして、地震は天災ですけれども、被害を少なくする方法を考える。石原知事は防災の日に自衛隊をあれして訓練しているんだから、きちんとその姿を日々のあれに見せていただきたい。そうしないと、都民の命を軽視したと言われても仕方がないと思われます。

 では次に、梅田鉄道局長、来ておられますか。

 今回の地震では、同じ地下鉄でも都営は早く再開したんですね。メトロは時間がかかったり、同じJRでも、路線によって運転再開時間に大きな差がありますね。国土交通省として、今回の事態をどのようにとらえて、どのようなことをなさるのか、これをきちんとあれしておいてください。

 それで、私、時間がないから言いますが、朝日新聞、八月一日の朝刊、「ニュースがわかる」という中にいろいろ書いてありますから、当然局長読んでおられると思うが、きちんとした対応をして、どういうふうなことをやるということをこの委員会でやってください。

梅田政府参考人 地震が発生しました場合、各事業者が設置している地震計というのがございまして、その震度による規制基準に応じまして、緊急停止後、次の駅までの最徐行による注意運転あるいは徒歩による巡回による施設点検を行いまして、列車の安全運行を確認した上で運転再開を行っているところでございます。

 今先生御指摘の点でございますが、都営地下鉄におきましては、同社の地震計の観測値が震度四ということを示しました。この基準によりますと、時速二十五キロ以下で徐行運転を行う、それで全区間による施設の安全確認を行った上で速度規制を解除したということでございました。

 ところが一方、東京地下鉄におきましては、同社の地震計は六カ所ございますが、そのうちの一カ所が百一ガルという百を超えるガルを示しました。この基準によりまして、同社は全線の徒歩巡回による施設点検を行うことになりまして、このために再開までにかなり時間がかかったと聞いております。この点につきましては、今後、基準に達したエリア、これは六カ所ではかっておりますので、基準に達したエリアのみを徒歩巡回を行う、その他のエリアはどういうふうにするか、こういう点について同社では現在検討中であると聞いております。

 それから、JR東日本におきましては、ここも地震計がございまして、これは最大二十六・五カインという数値でございますが、これを記録いたしました。この基準によりますと、十七路線が運転中止、徒歩巡回という基準でございますので、徒歩巡回のために運転再開までに時間がかかったところでございます。このJR東日本におきましては、より機動的な点検方法あるいは点検用の車両の増強、こういう点について検討しているところでございます。

 私どもといたしましては、当然のことでございますが、地震発生時には線路の点検を行う、これは、安全確認のために万全を期する必要があるのは当然でございます。その上で、先ほど申しました例えば点検の方法、規制区間の見直し、あるいは測定方法、あるいは地震計の設置箇所、こういうところにつきまして見直すところがあるかどうかを検討いたしまして、速やかに運行が再開できるよう、鉄道事業者ともども努力してまいりたいというふうに考えております。

佐藤(剛)委員 局長、しっかりとやってください。

 私は、こういう災害の関係というのは、予算でも、概算基準、シーリングのあれがまだ決まっていない、本当に申しわけないと思っていますが、そういう政局でありますから、ですが、しっかりと官僚は本件の問題に取り組んでいただきたい。気の緩みこそ大変な事態を起こすわけでありますから、特に局長の関係というのはいろいろ気を使うでしょうけれども、しっかりとお願いします。

 では次に、山本住宅局長、いらっしゃっていますか。

 今回の地震で六万台を超えるエレベーターが停止いたしました。そして、その再開に大変な時間がかかっているんですね。それで、最近の首都圏ではマンションやオフィスが高層化しているわけでありまして、続々建設されているわけですが、特に高層階の住民あるいは勤務員にとりましては、エレベーターの停止は非常に影響が大きいんですね。

 国土交通省として、これについての詳細は、私はまた時間が限られていますから、新聞がありますから、七月三十日の東京新聞朝刊、このところに、六万四千台停止して階と階との間にも閉じ込めもという記事がありますから、それをよく参考にしてしっかりとした形の対応をして、当委員会に報告してください。それでは、山本住宅局長。

山本政府参考人 エレベーターは、高層建築におきまして基本的な移動の手段でございますので、平時はもちろんのことでございますけれども、地震時におきましても、十分な安全性が確保されるとともに、できるだけ停止することによる支障が生じないようにするという必要があると認識しております。

 今回の千葉県北西部を震源とする地震におきましては、一都三県で約六万四千台のエレベーターが停止したとの報告を受けております。このうちの多くは、地震時に最寄り階に停止しドアを開放する管制運転装置が正常に作動したものと考えられます。この装置をつけましたエレベーターは、一たん停止しました後は、専門の技術者が安全確認を行ってから復旧させる必要があるということから、復旧まで、今回の場合、長い場合で約一昼夜を要するというようなこととなってしまいました。

 これは、こういうふうにしている理由は、地震時には、エレベーター内のロープが絡まりましたり、あるいはかごとかつり合いおもりがガイドレールから外れたり、あるいは制御装置が転倒するといったようなさまざまな支障が発生するおそれがあるために、そのまま運行を再開することが危険な場合があるために、安全確認を行った上で運行しているものでございまして、やむを得ない面もあるとは考えております。

 しかしながら、御指摘いただきましたように、エレベーターの停止が長期化するということは、社会活動にも大きな影響を与えるものでございます。できるだけ地震による故障が生じないような技術を開発した上で、地震時管制装置を作動させる地震の規模を引き上げるとか、そういったようなことで、停止する台数を極力少なくするということについてどういうふうな措置が講じられるかということを急いで検討してまいります。

 それからまた、今回の地震では、約二千五百人の技術者が六万四千台をおおむね二十四時間で復旧させたわけでございますが、この復旧体制につきましても、災害時の広域支援体制の整備、業者間の連携などによりまして、急いで復旧できる方策について検討してまいる考えです。

 いずれの点につきましても、社会資本整備審議会の建築分科会に設けております建築物事故防止対策部会を開催して検討しようと思っておりまして、既にこの審議を開始しているところでございます。

佐藤(剛)委員 山本さん、よろしくしっかりとお願いします。そして、先ほど言いましたように、この委員会において御報告を願います。

 次に、榊政策統括官、つい最近かわられたばかりで恐縮です。前の柴田さん、それからその前の尾見さん、よくやっておられました。榊連隊長のもとで、まとめてひとつやっていただきたいと思います。

 これは、まず最初に指摘したいのは、今回のあの防災白書というのは非常によく書かれておるんですが、国民一人一人が、みずから助ける、自助の精神、セルフヘルプの精神を持って日ごろから災害に備えておくということが非常に重要な時期に来ておると思っております。そして私は、このような自助努力というのを法律で義務づけるなど、大規模なもの等については特にそれを感ずるわけでありまして、お手元にお配りしましたこの食料、水等の物資の備蓄等に関し法人を含む住民の責務の明確化をする、これは災害対策基本法を改正しろということで、新しく就任された榊さん、恐縮ですけれども、この暑い夏の中、ひとつ全体の省を挙げて、内閣挙げて、この私が提出しました、災害対策基本法ですから、の一部改正というものに取り組んでいただきたい。それで、この問題について具体的に、僕の意見がおかしかったら私にあれしていただきたいし、そして、場合によっては議員立法でやる方法も考えますので、真剣に取り組んでいただきたいと思っております。ぜひこれは、もう時間がないから、基本法の一部改正ということで、私の試案ということで提出させていただきます。

 これは、いわば憲法に書いてあります義務というのは三つあるんですね。納税義務、勤労義務、それから子供たちを教育する義務。その義務にちょっと延長した責務、個人の責務、責任、それから、こっち側の東京でいいますと、二十三区の区長の責務、あるいは日産自動車とかトヨタの社員に対する経営者の責務、こういうものがあると思うんですね。そういうふうなものについて、この問題を、後ほど大臣にお聞きしますが、総括していただきたいと思いますけれども、やっていただきたいと思います。

 そのためには、日ごろから、都市と農村との共生・対流を促進するあの調査会というのがきょうも開かれますが、これは終戦を経験していない人はわからないと思いますが、いわば疎開地協定、疎開、恐らく政府参考人で御存じの方というのは少ないと思いますけれども、昭和二十年を超えている、だから六十歳以上の人でないとわからないわけでありますが、この疎開地協定を、それぞれ少なくとも東京二十三区、結びつくような形をやっていく必要だろうと思っております。

 ここら辺の問題について、またさらには地震保険について、その加入率というのは上昇傾向にあるが、まだ不十分でありますので、これは地震保険を初めまして、災害に対する保険制度の充実とか、それから、税制上、今地震保険というのは三千円までしか控除されないわけですが、この控除額を上げるとか、これはこれからの秋の政治家の仕事でもございますが、国を挙げて内閣と一緒になってやらなきゃいかぬ課題だろうと思っております。

 また、中小企業、特に新潟とか福井で出てきたのは、みんな水で設備がだめになっちゃうんですね。そういうふうなところの対策について、この際に特別な措置を講ずるということをこの基本法の中に入れてありますから、きょうは中小企業庁の鈴木環境部長さん、御出席ですね。ひとつ検討をしておいていただきたいと思います。

 それから財務省についての、今の保険の問題は金融庁か。参事官からのお話も、僕はちょっと時間が限られていますので、そこら辺、ひとつ榊さん、それで最後に大臣、よろしくお願いします。

西村委員長 かなり時間が。呼びますか、求めますか、榊統括官に。

佐藤(剛)委員 はい。

西村委員長 では、榊政策統括官。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 災害対策を充実させていくために、行政による控除はもとより、自助、共助の取り組みを一層進めていく必要があると考えておるところでございます。

 一方で、大規模地震の対応といたしまして、各世帯や企業におきまして最低限三日間の食糧の備蓄をいただくといったようなことも必要ではないか、実践していくことが重要だというふうに考えておるところでございます。

 さらに、御指摘をいただきました地域間交流というようなことでございますけれども、例えば、早稲田の商店会の安井会長が進めております震災疎開パッケージ、疎開という言葉を使ってやらせていただいておるようでございます。平常時に地方の物産品の購入といったような地域交流を行うとか、災害時には疎開先として受け入れてもらうような取り組みも現に行われております。

 それで、内閣府では、こうした先進事例等を紹介した「みんなで防災」というようなホームページを立ち上げて、その内容の充実を図るなどの取り組みを進めておるところでございます。

 さらに、国民運動を推進するために、新たに専門調査会を設けまして、いろいろな基本方針をきちっと定めまして、関係省庁、地方公共団体と連携しながら、具体的な取り組みの促進に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 なお、中小企業関係とか保険関係の御指摘もございましたが、いろいろなことも含めまして、今後検討していきたいと思っておるところでございます。

村田国務大臣 時間がないようでございますから、まとめて簡単に答えさせていただきたいと思います。

 佐藤委員が災対法の改正案について御指摘をいただきまして、私もさらっと拝見をいたしました。法律に定めるのが適当であるかどうかはともかくとして、大変示唆に富む内容が入っておりまして、またいろいろ検討させていただきます。

 きょう、子供たちが夏休みで来ております。先ほど御指摘なさいました首都圏で直下地震が起こったときには、要するに、八十五万人を超える避難者が出る。そうすると、なかなか災害仮設住宅なんかできないということでございますので、今から要するに子供たちを、林間学校を兼ねて、避難するところ、疎開先を決めておく、親もなれておくということにすれば、二十三区の小学生だけで三十五万人いる、こういうことでございまして、中央防災会議でも志方委員が、子供たちはとにかく疎開をした方がいいんじゃないか、そういう御指摘もございまして、そういう意味で、佐藤委員の卓見について大変私も感心した次第でございます。ありがとうございました。

佐藤(剛)委員 少々時間が過ぎましたが、これで終わります。

西村委員長 次に、斉藤斗志二君。

斉藤(斗)委員 斉藤でございます。

 事前に質問も通告させていただいておりますけれども、ちょっと項目が相前後するかもしれません。お許しいただきたいと思います。

 最初に、火山対策をお伺いしたいというふうに思います。

 日本一の山、富士山におきましてもハザードマップが作成されたところでもございます。しかしながら、現行の砂防法等におきましては火山噴火対策が不十分だと私思っておりまして、したがって、溶岩流等に対するハード対策の整備が進んでいない現状があります。これは、法整備の面からももう一段強い法整備をする必要があるというふうに思っておりますし、一方、溶岩の導流堤等々の積極的導入、こういうことを、ぜひとも大臣、積極的に進めていただきたいと思いますが、いかがでございますか。

村田国務大臣 やはり富士山の噴火に備えるということにつきましても、あらかじめどういう状態になるかという情報を地域住民に知らせるということは大変重要なことなので、今、斉藤委員の御指摘のこと、我々も十分わきまえて、住民にも協力を求めてそうしたものを完成していきたい、こういうふうに考えております。

斉藤(斗)委員 日本でおくれているけれども、アメリカのハワイとかイタリアでは、この事例として導流堤等の対策があるわけですね。大臣がお忙しいのであれば副大臣、さらに忙しければ政務官、現地にいろいろ行かれまして十分視察を重ねて研究をしていただきたいというふうにお願いをしておきます。

 次に、時間の関係で水害対策でありますが、慢性的に災害が発生、また、特に水害が起こる。私の選挙区においてもしかりでありますが、さきの台風でも洪水、河川のはんらん等々があるわけです。これは全国的だと思いますね、引き続き。これは、慢性的に起きるというのは決して望ましくない。これが行政不信また政治不信につながっていくわけでございまして、ぜひともこの対策については、例えば、公共事業に対しての予算が毎年毎年三%ずつ減らされていく、大変厳しいんです。ですから、国も余裕がない、県もお金がない中で、しかしながら、この災害というのは大変甚大な被害をこうむるわけですから、積極的にやっていただく。そのためには一層強力な予算措置も必要である。もし国が出しにくいということであれば、災害対策特別国債というような別枠を設けてもいいというふうに思っているんですね。

 いずれにしろ、頻繁に起こる、慢性的に起きるそのようなものについては一段と早い対策を講じていただきたいということを考えておるわけでありますが、行政当局は今どのようにそれをお考えでいらっしゃいますか。

清治政府参考人 静岡も、最近、集中豪雨で何回も出水が起こっております。

 起きたときに非常に大きい災害というのも当然考えてやっていかなければならないと思いますが、委員御指摘のように、しょっちゅう起こるという水害に対する対策というのは、やはり、原因をよく考えて対策を講じていかなければならないと思っています。どこがネックになっているのかとか、それから、流域の中で調節池とかそういうような対応でできることはないのかと、いろいろな方策を講じていかなければならないと思いますし、それから情報伝達とか、そういうところで被害が大きくならないような工夫もしていかなければならないと思います。

 今、予算のお話がございましたが、限られた予算の中で、そのような対策の緊急性に迫られているところについては、的確な予算配分等を我々も講じてまいりたいと思います。

斉藤(斗)委員 慢性的なそのような災害箇所におきましては、ぜひとも積極的に、いち早く、優先度を最優先に上げてお願いしたいというふうに思っております。

 関連して、昨年、台風がたびたび日本を襲ったわけであります。そこで、ふだん考えない、気がつかないことということの中で、実は土のう対策というのがあったんですね。土のうが払底してしまった、備蓄がなくなってしまったということが幾つかの報道機関で報ぜられました。これは、マンパワーが必要な土のう対策、同時に、土をしっかりと確保しなきゃならない。今、オール・ジャパンで舗装されたところが広く広範囲にあるわけですね。土を探してくること自体が非常に難しい状況になってきた。

 今国会で水防団の待遇改善もしていただきました、消防団並みにしていただきました。本当にありがたく思っていますが、ある意味では遅きに失したのかなという感もいたすわけでありますが、その消防団にしても水防団にしても、団員数がどんどん減っていくわけですね。そういう背景の中で、例えば止水工法等々はどんどんどんどん研究が進む。新しい技術、新しいアイデア、新しい製品等々が導入されてくるわけです。こういったことを積極的に役所の方も導入検討され、さらに、その方がコストダウンになるということであればやるべきではないか。この土のう対策についてお答えいただきたいというふうに思います。

清治政府参考人 水防は、治水とあわせて、洪水から守っていくという重要なことであるわけですけれども、その中でも、今お話がありました土のうというのは、その基本になるものでございます。

 土のうも、土の確保が難しいとか、持って運ぶのが重たいとか、非常に水防になれている方ばかりでもありませんし、水防団自体が弱体化してきているという面も御指摘のとおりでありますので、新たに開発されてきている技術であるとか、それから簡素化の工法、こういうものを積極的に取り入れていかなければならないというふうに思っておりますので、水防演習の場で活用するとか、それから、備蓄するものについても、そういう効果的な、しかも新しい技術を取り入れて、迅速な、的確な対応ができるような工法を取り入れていく努力をしてまいりたいと思います。

斉藤(斗)委員 時間が限られているものですから、最後の、首都圏における直下型地震についてお伺いしたいというふうに思っています。

 阪神・淡路大震災がございました。六千人以上の方が亡くなられた、犠牲者になられたということは私どもの記憶に新しいわけでありますが、同時に、膨大な経済的な損失もこうむったというその歴史の中で、現在政府が想定している首都直下型地震、この被害は一体どのくらいになるのか。

 七月二十三日の首都圏における地震はマグニチュード六ということでありますが、この想定は、マグニチュード七、または、いろいろな報道によるとマグニチュード八だってあるじゃないかという、膨大な被害が甚大な被害につながっていくというふうに思っているところでございますが、その阪神・淡路との比較の中での御説明を、また、どのような対策を講じられることを考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、被害想定でございますけれども、首都地域における地震対策につきまして、発生の切迫性がございますマグニチュード七・三クラスの地震に対しまして、中央防災会議の専門調査会におきまして、防災対策の検討の基礎となる被害想定という形で行ったところでございます。

 この中で、十八ケースの地震を想定したわけですけれども、中心となります、東京湾北部震源といたしますマグニチュード七・三の地震でございますが、都心部で震度六強、一都三県に及ぶ広範囲な範囲で震度六弱、最大で、建物全壊、焼失棟数約八十五万棟、死者約一万一千人、帰宅困難者六百五十万人、経済被害約百十二兆円と被害を想定いたしております。

 被害想定の結果の特徴といたしましては、火災による建物被害や人的被害が極めて大きいということ、経済被害では、首都地域のみならず、全国各地にも間接的に大きな被害が波及することが挙げられております。

 それで、その対策でございますけれども、この二十二日に専門調査会で報告書を取りまとめまして、二十六日に中央防災会議に報告したところでございます。

 今回の報告を受けまして、まず一つは、秋ごろにはこの直下地震対策についてのマスタープランとしての大綱をつくっていきたいというふうに思っております。これは、国とか地方公共団体として実施すべき施策の方向性を明らかにしようと思っております。

 さらに、今年度内には、定量的な減災目標と具体的な実現方策を定める地震防災戦略の策定、例えば、住宅の耐震化率を九〇%に上げていく、こういったような防災戦略の策定を、さらに今年度内に、地震発生時の各省庁の具体的な役割を定めました応急対策活動要領の策定ということをやりまして、来年度内には、地震時の経済対策要領の策定というところにまで踏み込みまして、各種対策の効果的な実施に向けまして、具体的な計画策定を通じまして、関係省庁と十分連携をとりながら、強力に首都直下型地震対策を推進していきたいというふうに思っておるところでございます。

斉藤(斗)委員 時間が参りましたのでこれで終わります。ぜひとも、災害に対して万全の対策を講ぜられることをお願いしておきます。

 以上。

西村委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 今既にお話がありました、七月二十三日に首都圏を襲う大変に大きな地震がありました。しかしながら、今回は被害というのはさまざまあったわけでありますが、例えばエレベーターが、まさに先ほどの報告にありましたとおり、六万四千台ですか、とまったとか、もしくは、例えば、きょうはここに災害対策委員長の西村議員もおられるわけでありますが、西村先生が、車が二十分、三十分踏切があかなかったとか、電車がとまったとか、そういったさまざまな具体的な首都圏の問題でありまして、私たち国会議員も、首都で活動している限り今回の地震によってさまざまな影響を受けたということをまず冒頭申し上げておきたいわけでありますが、今回の地震を受けて、やはり首都圏の直下型地震対策が果たして現状のままでいいのかというのが再び我々に問われてくるわけであります。

 その中でまず申し上げたいわけでありますが、東京というのは、世界の中で最もこういった自然災害のリスクが高い場所であるというふうに認識をしております。この認識について申し上げるならば、ミュンヘンにある再保険会社、このミュンヘンの再保険会社は、世界大都市の自然災害リスク指数というものを公表しているわけであります。既にこのことは村田大臣を初め皆さん御存じだと思いますが、改めて申し上げるならば、世界のこの自然災害リスクで一番厳しい環境にあるのは東京であります。東京の自然災害リスクは七一〇、こういった数値であらわされております。二番目に厳しい環境にあるのはサンフランシスコであります。サンフランシスコは一六七というふうに言われております。三番目というか、以下、大都市で申し上げますと、ニューヨークがこの自然災害リスクは四二、ロサンゼルスが一〇〇、大阪は九二、パリが二五、ロンドンが三〇。サンフランシスコの一六七は、東京以外の諸都市と比べると、一六七はこれが一番高いわけでありますが、これが一六七。ところが、東京・横浜は七一〇という数値であります。七一〇という数値は、二位以下をはるかに引き離す、まさに自然災害リスクのその上に私たちは生活をしている、これが現状であろうというふうに思っております。

 そういう中で私が申し上げたいのは、今お話があった中央防災会議、こういった被害リスクを想定しているわけでありますが、この被害リスクで実際に被害がおさまるのかどうか。東京都は、それよりもはるかに少ない数字で七千八百人というふうな数値を挙げているわけでありますが、行政としては、やはりこの七千八百人もしくは一万一千人、阪神大震災と同じレベルの地震が来た場合、これぐらいの大体人的被害で済むというふうにまず思っておられるかどうか、御所見をお伺いいたします。

榊政府参考人 今回の被害想定の算定でございますけれども、阪神・淡路大震災を初めといたしまして、過去の被災をもとに算定をいたしました。

 今回の推計結果と阪神・淡路大震災の被害を比較いたしますと、阪神・淡路大震災の場合、震源域とか地盤構造が異なっております。阪神・淡路大震災の場合、最大震度七が観測された地域が帯状に見られました。首都直下型地震の場合には、死者数が最大のケースでも震度は六強というふうに私ども推計しておりまして、震度が若干低いということ。それから首都地域でございますけれども、阪神地域に比べまして全壊した場合の死者率が低くなっております。これも、木造の建築物の割合が阪神地域の場合は非常に高かったということがございまして、そういう違いがあるということに留意をして想定をしたところでございます。

 今回の算定は、そういう意味で、阪神・淡路の被害結果も分析の上、推計したものでございます。

松原委員 私は、この数値は極めて甘い数値ではないかという気がしてならないわけであります。一朝事あって多くの被災者が出た場合に、数値が違いましたということでは済まされない議論でありますから、これは、もう一回さらに研究を進めてもらいたいと思っております。

 先ほどの答弁の中に、いわゆる帰宅困難、滞留人口六百五十万人、こういった数値が挙げられたわけであります。この六百五十万人というのは、要するに、災害があった場合、地方から東京に働きに来ている、通勤をしている方々が、六百五十万人が東京で自分の家に戻れないでいる、こういうふうに認識してよろしいんでしょうか。

榊政府参考人 そのとおりでございます。地震が発災しまして、大体歩いて二十キロ以上の方々につきましては、帰宅困難者という認定で積算をいたしております。

松原委員 前の七月二十三日の段階でも、帰宅が深夜になった方というのはたくさんいるわけでありまして、六百五十万人帰宅困難者が発生する、この六百五十万人というのは大変な数字でありまして、想像を絶する多くの方々が帰宅困難になる。この方々が例えばその場で一昼夜過ごすというふうな状況を想定したときに、どういうふうなリスクというものが想定されるでしょうか。

榊政府参考人 したがいまして、六百五十万人の方々が、実は、例えば交通が全く途絶している段階で一斉に歩いて帰宅をする、そういうことになりますと相当な混乱が生じるということでございますので、まずは一つは、すぐには動かないというルールをつくっていただきまして、そのルールのもとに、例えば企業なら企業におります方は、その企業の中で企業の備蓄を三日間程度していただきまして、そこでとりあえずはいわば過ごしていただくということと、それから、地震がある程度おさまりまして避難路等が確保されましたら、それからは歩いて帰っていただく、十キロぐらいは歩いていただこうというふうに考えておりますが、その方々に対しても必要な情報を提供するといったような施設整備が必要であろうと。

 それから、もちろんのこと、一日、二日たてば鉄道が通過すると思いますので、その鉄道と徒歩とをうまく組み合わせて、何らかの形で帰宅ができるような対策を講じていきたいというふうに思っておるところでございます。

松原委員 私は、この六百五十万人という大変なもう前代未聞の皆さんが帰宅困難になった場合に、その場でさまざまなことが、負のイメージを出すならば、さまざまな問題の発生があり得るわけであります。パニックであります。暴徒化することがないとは限らない。暴徒化した場合どうするのか。警察官はそれに対応するだけのマンパワーを持っているのか。それを抑えるだけの、例えば阪神等でも、多くの野盗といいますか、それぞれの家屋に侵入して物を盗んでいく者も発生したというような話も聞いておりますが、六百五十万人というのは、十分にパニックに陥り、大混乱を起こし、そして収拾がとれなくなる状況ではないかと思っております。

 今お話にあった、三日間程度の備蓄を企業はするようにというふうな話を審議官はおっしゃいました。これは徹底をされているんでしょうか。

榊政府参考人 今のそういう調査結果を踏まえて、これからそういう呼びかけを、企業なら企業の自助努力、共助活動をお願いしたいという段階でございます。

松原委員 これは速やかにやらないといかぬだろうと思っております。

 結局、企業で、今おっしゃったような、そこを動くな、三日間の備蓄は企業にしているというようなことが現実的にあったとしても、私は、さまざまなパニックが発生する、流言飛語も飛び交うだろう、こういうふうに思うわけでありまして、そもそも六百五十万人というのは、これは一たん乱れ始めたら収拾がとれない状況になるわけであります。もし企業が三日間の食糧の備蓄をするということ、ただ、この企業だって、大きな企業も小さな企業もあるわけでありまして、その企業の、例えば六百五十万人のうちの何人が三日間の備蓄で捕捉されるところに所属をしているか、これは極めて未知数であります。この問題はまた後で少し触れていきたいと思います。

 そういう中で、減災計画ということが言われているわけでありますが、減災計画としてさまざまな問題がある。きょうは住宅局の局長さんもお見えでありますが、減災計画として我々は、いわゆる耐震構造、免震構造の建物をつくっていかなければいけない。パニックは、今言った六百五十万人の滞留人口によるパニックもあるけれども、それぞれの家屋が倒壊することによるパニックもあるわけでありまして、とにかくパニックを減らす、これが減災の原点であります。

 そういった意味で、この免震構造や耐震構造の進捗状況、現状ではどんな感じか、簡潔に局長にお伺いいたします。

山本政府参考人 地震に際しまして、人の命を救うという観点から、建物、建築物の耐震化を図ることは非常に大事なことだと考えております。

 住宅について見ますと、我が国の住宅、人が住んでいる住宅は四千七百万戸ございますけれども、そのうちの約一千百五十万戸、全体の二五%ですけれども、について耐震性に問題があるといいますか、耐震性が不十分だというふうに見込んでおりまして、早急な対策が必要であるわけでございます。

 国土交通省では、ことしの二月に、学識経験者から成る住宅・建築物の地震防災推進会議を設置いたしまして、地震防災対策について総合的に検討していただきました。六月に、早急に講ずべき事柄をまとめました提言をいただいております。住宅の耐震化率の目標について、今後十年間で現在の七五%の耐震化率から約九割までこの耐震化率を高めていく、この目標の達成のために講ずべき対策をまとめていただいたところでございます。

 国土交通省としましては、住宅の耐震化は緊急の課題でございますので、平成十八年度予算、税制改正、それから法制の改正を含めまして、全力を挙げて取り組んでまいる考えでございます。

松原委員 恐らく、ペースをやはりアップしていく必然性というのはあろうかと思っておりまして、日ごろの免震構造、耐震構造の強化にかけるそのエネルギーをさらにパワーアップしていただきたいと思うわけであります。

 同時に、こういったときに、その六百五十万人という、まさにある場合においては烏合の衆になり得る、パニックになり得る、この六百五十万人がパニックになる前提としてはさまざまなものが想定されると思います。例えば、後で長妻委員からも質問があると思いますが、エレベーター、先ほどお話もあったわけでありますが、佐藤先生からもあったエレベーターの件、とまってしまってパニックになる。もしくは、ガラスが建物の上から落ちてくる、降り注いでパニックになる。そのことによって発生する被災もそうでありますが、そのことによってパニックが増幅をする可能性もある。

 パニックにつながるような事象はなるべく減らす、徹底的に減らすということを怠ってはいけないわけでありますが、このガラスに関しては、今の東京の建物、ガラスもしくはさまざまな建物から出っ張っている障害物といいますか看板とかありますが、こういったものについては今どのようになっているのか、お伺いいたします。

山本政府参考人 窓ガラスの落下防止対策につきましては、さきの福岡県西方沖地震の発生後、直ちに全国の地方公共団体に対しまして、類似の建築物、これは、ガラスをビルに固定する際に硬化性のシーリング材を使っているものに福岡市で見られたような現象が生じたことを踏まえまして、類似の建築物を調査し、必要があれば指導を行うように公共団体に要請してまいりました。

 東京都の場合は、昭和五十二年から賦存しております八万六千棟の建築物について、既に調査それから指導を続けてきております。ことしの六月現在でまとめていただいたところによりますと、ガラス落下の危険性がある建築物は四十棟ある。そのうち八棟について、既に改修を終わったり、あるいは改修予定となっているというふうに聞いております。

松原委員 どちらにしても、こういった見通しをきちっと立てていただいて、パニックにつながるような可能性のあるものはどんどんと削っていただきたいと思うわけであります。時間がないので先に進んでまいりますが、住宅から出ている、ビルディングから出ているさまざまな看板等についても、ぜひとも同様のチェックをしていただきたいと思っております。

 それで、消防庁長官がお越しであると思いますが、私は、実は減災計画というのは、免震構造をつくる、耐震構造をつくるということだけにとどまらないで、大事なことは、そういうハードパワーではなくてソフトパワー、つまり、そこに住む住民たちの日ごろの訓練がどの程度徹底されているかというふうな問題になってこようかと思います。

 実は、その日ごろの訓練も、そこに住んでいる人たちと、さっき言った滞留人口六百万人、こういった外からそこに仕事に来ている方々と二つあって、実は後者の部分に大きな問題があるような気がしているわけでありますが、とりあえず、消防庁がそれぞれの地方自治体と一緒になって訓練する通常の防災訓練というのは、大体そこの人口の何%ぐらいの人が参加しているものなのか。多いところ少ないところ、さまざまなケースも含めて教えていただきたいと思います。

林(省)政府参考人 お答えを申し上げます。

 大規模災害等発災時に被害をできるだけ少なくする、あるいは住民の方々に理性的かつ安全に対応していただくためには、日ごろの訓練が最も重要であると私どもも認識をいたしております。

 私どもの調査によりますと、平成十五年度中におきます地方公共団体における防災訓練の実施状況でございますが、これはすべての都道府県で実施をされておりますし、また、市区町村でも千二百四十二団体で実施されていると報告を受けております。市区町村におきます訓練に参加した総人員は約二百五十万人という報告も受けておりますが、このうち、特に御質問ございました住民の方々の参加人員数は正確に把握できていないところであります。

 ただ、東京消防庁管内におきましてデータがございましたので御紹介を申し上げておきますと、平成十六年度に実施されました東京消防庁管内の防災訓練では、管内人口約一千二百十七万人でありますけれども、これに対する訓練参加者、住民の方々の参加者は約八十三万人と聞いておりまして、率にいたしますと約七%にとどまっているところでございます。

松原委員 私もさまざまな防災訓練を見に行ったりするわけでありますが、実際、アパートやマンション等もある地域において、確かに七%という数値、私は、場合によったらもっと低いのかなという率直な印象を持っております。大変に低いのではないかと危惧をいたしております。しかも、参加している方々が高齢化をしているわけでありまして、もちろん、高齢者の方々が、先ほど自助という話がありましたが、みずからの力でみずからを助ける、これは大事なことでありますが、やはりこのパーセンテージが七%、実際はもっと低いのかもしれないなというようなことも私は感じているんですが、このパーセンテージは、仮に、村田防災担当大臣、何%ぐらいまでの参加率があるのが現実的に防災上メリットがあると思いますか。七%でいいと思いますか。

村田国務大臣 具体的に何%がいいとか悪いとかいうのではなくて、できるだけ多ければ多いほどがいいし、それから、具体的に参加でも、観衆として見ていてくれているだけでもその情報が伝わるということもありますから、そういう意味では、いろいろな形で大勢の人が参加していただく、しかも、あるいはお年寄り、若い人、それから主婦、昼間起こった場合には主婦の人が家に残っている率が多いとか、そういうことでございますから、主婦の人の参加を求めたい。

 それから私、大臣就任直後にメールをいただきまして、身体障害者の皆さん方から、政府のやる防災訓練に私どもは取り残されていて参加できないんだけれどもという、そういう話もありますし、だから、いろいろな意味で、いろいろな状況を変えまして、たくさんの方があるいはいろいろな方々が参加されることが望ましいと私は考えております。

松原委員 具体的に今何%という話をするわけにはいかないと思うんですが、やはり数値というのは一つの科学的な根拠性があるわけですから、私は、防災担当大臣というか、これは役所の中において、これぐらいの例えば防災訓練をやった場合は最低限これぐらいの出席率、パーセンテージを達成するべきだという努力目標はつくるべきだと思うんですよ。

 例えば消防団員の方々の数だって、それは人数が定員制があるわけですよね。しかし、それと同時に、一番大事なのは、多くの地域住民の方の参加でありますから、やはりそれは、これぐらいまで入れるべきだろうというふうなものを本来設定するべきだと私は思っております。それが七パーとか八パーではなくて、もっと大きな数字でなければいけないと思っております。

 そこで、さらにお伺いしていくわけでありますが、先ほど、例えば会社の方で防災のためのさまざまな取り組みをしている、こういう話がありました。丸の内とかには、企業がそういった防災のときに企業の施設を開放する、こういった会社もあるというふうな話も聞いておりますが、現状はどうなっているのか。時間がないので、簡潔に教えてください。

林(省)政府参考人 地域の防災力の向上のためには、地域に所在されております企業の防災協力活動が不可欠だと思っております。私どもの調査によりますと、多くの都道府県で、事業所の総合防災訓練への参加あるいは地域防災訓練への参加が促進されているという報告を受けております。

 さらに、お触れになりましたような首都直下型の地震を想定した、都内における帰宅困難者対策の訓練に、例えば大丸有という組織は大変熱心に活動をやっておられますけれども、多くの企業の方が多数参加して、企業の防災訓練等を着実に拡大されている、こういうような事例も承っているところでありますし、最近の事例で一つ申し上げたいわけでありますが、尼崎市の列車事故の際は、近くに所在しておりました企業の従業員一同が資機材を持ち出して被災者の救出救助活動に当たった、こういうような事例もあるわけでございます。

 私ども、今後、大規模の災害のときは、当地に所在する企業の災害対策への協力が不可欠だと考えておりまして、有識者、事業者あるいは地方公共団体等から成る検討会を近く開催したい、そして、企業の災害活動への協力をお願いしてまいりたいと考えているところであります。

松原委員 そういったことでありますが、これはもう緊急を要すると思っております。例えば、新宿の企業はどうなっているのか、丸の内はどうなっているのか、個別にまた後で時間があるときに聞いていきたいと思います。

 私は、重要なことは、先ほどから言ったように、免震構造、耐震構造、先ほど住宅局長がおっしゃった、これはぜひともやらなきゃいかぬ。しかし、災害訓練、机上でどんな訓練のアクションプログラムを想起されても、実際、災害になったらそんなものは紙切れにすぎないわけであります。現実に訓練している人間、体で覚えている人間のみがある意味で私は災害に対処できるというふうに思っているわけでして、その意味では、徹底した訓練をするべきだろうというふうに思っております。

 聞くところによると、サンフランシスコは、先ほど、指数一六七といって東京の四分の一ぐらいなんですが、世界で二番目に自然災害のリスクのある地域、そこに住む人たちは、住むときに市長に対して、一週間分の食糧や水を備蓄します、危険の高いところは言うという話も、これは伝聞でありますが、私は聞いております。

 それを考えるならば、危険指数七〇〇を超えているこの東京に住んでいる人間は、ある意味で災害訓練に対する訓練を私は義務化してもいいと。極端なことを言えば、もうそれは任意じゃない、東京に住む人間は、住む権利と同時に、義務としてそういった災害訓練は、例えば年四回あったら一回ぐらいは参加しなければいけません、義務です、これぐらいに強い対応をするべきだ、また、そういう指導を国としてするべきだとこう思いますが、担当の村田大臣、どうでしょう、この件は。村田大臣の考え方を教えてください。

村田国務大臣 なかなか義務化ということについては強制をするわけにはいきませんので、最近、特に地域住民の意識が高まってまいりましたので、そういう意味で、地域防災のためのいろいろな団体を経由して、住民のそうした防災訓練に対しての参加あるいはいろいろな備蓄、そういう備えについての意識というものを向上させていくということが必要なのではないかと。

 それから、都会と地方と違いますし、都会ではマンションという形でお住まいになる方も大変ふえてまいりましたので、我々としては、そうしたマンションの組合に対しましてのアプローチというものを今後積極的にやっていかなきゃいけないと考えているわけでございます。

松原委員 義務化をしないでたくさんの人間が傷ついてしまうのがいいのか、義務化をして、プライバシーは若干侵害されるとか自分の持ち時間がなくなるとか言うけれども、その結果、災害が来たときに軽微に終わるのか、どちらが行政として正しい選択なのかというのは、私はどこかでしなければいけないと思うんですよ。プライバシー重視ばかり言っていたら被災はどんどんふえますから。

 さっき、六百万人を超える滞留人口の議論がありましたが、この六百五十万人の方々というのは、場合によったら、言葉は悪いですけれども暴徒化する可能性もあるわけであります。パニックでありますから、どうなるかわからない。例えばどこかのデパート地下、暴徒化する可能性があるという議論もありましたよ、議論していたら。そのときその場で警察官がそれを阻止できるのか、そんな警察官の数もそこにいないだろうという議論すら、あるところの勉強会で出ました。逆に言えば、その暴徒化する可能性のある六百五十万人、どのようにして彼らが災害において防災ボランティアとして活動できるようにするのか、そういうことを私は役所として考えるべきだろうと思っております。それは東京都だけの問題ではなくて、やはり、防災担当の村田大臣とともに東京都もやるべきことであります。

 私が申し上げたいのは、そういったことをしておかなければ、これは本当に一朝事あったときに大変なパニックになるということでありまして、我が国の場合は、現状において徴兵制度のない国であります。少なくとも一定の男子が、女子も一緒であります、例えば二十から一年か二年は、常に非常勤の防災ボランティアとして一朝事あったらその地域のために防災として尽くす、それぐらいのシステムがこれはある意味で必要なのではないか、このように思っているわけでありますが、大臣、御所見をいただきたい。

村田国務大臣 私は、防災だけではなくて有事法制も担当しているわけでございますけれども、そのときも恐らく先生のような御意見もたくさん出ただろうし、地域のための、有事のためのいろいろな組織、そこも議論があった末に義務化をしないという結果をとらせたわけでございまして、松原委員のおっしゃるような意見は非常にわかります。テロとか、安全をとるのか、それとも多少の不都合をとるのか、これは、本当にいろいろな意味で両方の議論があるわけでございます。

 防災の議論をしていく中でも、いわゆる災害弱者という、御高齢の方とかあるいは体の御都合の悪い方について、そういう方たちをいち早く助けるために、名前とか、どこにそういう方がいらっしゃるという情報を共有するについても、個人情報の壁というのもございますし、いろいろな意味で困難性を伴うわけでございまして、先生のような意見もあることは私は十分存じておりますが、今のところは、なかなか義務化というのは難しいことだなというふうにつくづく考えているわけでございます。

松原委員 時間もなくなりましたので以上で終わりますが、私は、東京における災害の一番の問題点は、今言った六百万を超える滞留人口であると。この問題の、暴徒化、パニック化に対して、どういうふうに逆にこの六百万人が防災ボランティア的なもので動けるようにする、そういったことも含め、訓練ないところに成果は上がらない、どんな机上の空論を展開しても、実際パニックになったときには追いつかないということでありまして、アメリカのFEMA等は、この防災訓練を、実際に避難地で一昼夜明かせる、避難地にその地域の人らが集まってきて、例えばどこどこ公園に集まりましょう、そしてどういう不都合があるか、そこで実際いろいろな不都合をフィードバックして、それを次の防災訓練に生かす。こういうアメリカ流のプラグマティズムというんですか、これをやっていくことによって災害を乗り越えようというFEMAの試みは、サンフランシスコの四倍の自然災害リスクのある東京でこそ一番やるべきだろうと。

 そのためには、東京都だけの問題でなくて、国の中枢もあるわけですから、防災担当大臣も、今の議論も踏まえ、徹底して今回の七月二十三日を事前の一つの試金石として検討していただきたいと要望申し上げまして、私の質問を終わります。

 以上です。

西村委員長 次に、小林憲司君。

小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。

 本日は、災害救助犬について質問をさせていただきたいと思います。

 阪神・淡路大震災のときに、スイスから来てくれた災害救助犬が大活躍していたところはいまだ記憶に新しいところでございますが、このたびの新潟中越地震においても、災害救助犬を活用した生存者の確認、救助活動が伝えられました。去年十月の新潟中越災害における警察、消防などの総力を挙げての救助活動の中で、この災害救助犬の果たした役割、位置づけなどについてどのように評価をされておられるでしょうか。これは村田大臣と榊統括官にお伺いしたいと思います。

榊政府参考人 お尋ねの中越地震でございますけれども、新聞等で派手に報道されましたが、長岡市妙見町の土砂崩落現場におきます、優太君でございましたか、男子救出に当たりまして、警視庁の警察犬のうち災害救助に従事する救助犬が投入されまして、救出活動に貢献したところでございます。

村田国務大臣 防災担当で答えるのがどうかあれなんですが、国家公安委員長の立場で答えられないんだね、ここは。

 それでは、今御質問ありましたので、この資料を見ますと、中越地震で、妙見というところで崩落して子供が救出されましたけれども、そのときにも警視庁直轄の災害救助犬二頭を現場に連れていきまして、一番初めにその犬が生存者の可能性を感知したと、こういうことのようでございます。

 それからもう一つは、救助犬じゃありませんけれども、救助犬というか犬を、私も、今の情報でそれが救助犬だったか一般の犬だったかどうかわかりませんが、避難所において、子供たちとかお年寄りなんか、やはり犬を中に入れることによって非常に慰められて、要するに救いになったというケース、そういう試みもされたというふうに聞いております。

小林(憲)委員 大臣、ありがとうございます。

 突然大臣にお伺いいたしましたのは、きょう私が話しますこの犬の話なんですが、犬と人間というのは、長年、大変古来より一緒に生活をしてきているわけでございますが、何か日本はまだまだ犬に対する思いとか犬と一緒に暮らすという思いがない中で、先日フランス大使館で御一緒させていただいた村田大臣におかれましては、あのように楽しく「オー・シャンゼリゼ」を歌ってみえた、大変国際派であるということでございますので、私がきょうお話をする犬のお話、しっかり聞いていただきまして、これは、各部署、いろいろ質問をするに当たりまして資料を集めましたが、なかなか実際のところは、余り今日本の国として力が入っていないところでございます。

 そしてまた、防災として、今大臣がおっしゃったとおり、答えるところではないのですがというお答えのとおり、警察庁、消防庁、この二つがこの犬の件に関しましては主に行っておるわけですが、なぜか消防庁に関しましても、きょうは質問をいろいろしたいんですけれども、内閣府の方に答えてもらってほしいということで、なかなか答えることができない箇所があるのかなということで、そう先立っておっしゃったものですから、私も榊統括官の方にお伺いをしようと思います。

 それではまず、そのような前置きをしておりますとだんだん話が長くなりますので、警察庁の方にお伺いいたしますが、阪神・淡路の地震の際に、スイス、アメリカあるいはフランス、これらの国から十七頭程度の応援が来たと報道されていましたが、国内の救助犬も八頭出動したと言われております。ただ、その八頭というのは、実際には警察のものではなくて、警察の嘱託犬であるというふうに聞いておりますが、そして、その嘱託犬というのはボランティアの方が提供したということだそうでして、新潟中越地震においては何頭くらいが活動して、その犬たちの所属はどこの救助犬であったのでしょうか。今、二頭というお話が出ましたので、これは警察の犬だったんでしょうか、それとも嘱託の犬だったんでしょうか、お答えください。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 昨年十月発生いたしました新潟県中越地震におきまして活躍した災害救助犬でございますが、これは警視庁のいわゆる直轄犬という犬でございます。警視庁に所属する犬でございますが、二個班四頭が十月二十七日から十一月七日までの間活動したところでございます。このうちの一頭が、先ほど大臣から答弁ありましたとおり、妙見堤におきます、親子三人の乗車した車が崩落した土砂に巻き込まれたという現場におきまして、生存者がいることを最初に確認したという大きな成果を上げたところでございます。

 さらに、最初の御質問で、ちょっと評価その他というお話もございました。警察の方の考え方を申し上げさせていただきますと、こういった国内の災害現場以外でも、例えば平成十五年のアルジェリアの地震でありますとか、それから平成十六年のモロッコの地震、こういったところに警察国際緊急援助隊が派遣をされました。この際にも直轄の災害救助犬を派遣いたしました。捜索活動にこれも活用しているという運用実績がございます。

 今後とも、災害救助犬の活用を十分図ってまいりたいと考えております。

小林(憲)委員 ただいま局長からお話がございまして、警察の方で大変力を注いでいる直轄の犬が地震でも大変役に立った。そしてまた、その評価というものは今かなり認められてきているというふうに判断させていただいておりますし、私も、新潟の生き埋めになったあの子供を発見したときの映像で、犬が本当に国民の皆さんにとって一つの幸せを運んだことは間違いがないことだと思っております。

 そして、さらに警察犬の関係についてお伺いをしたいと思いますが、警察行政においては、相当警察犬の育成に意を用いられているなということは今局長のお話で明らかであるところでありますが、警察犬には、犯人追跡などを任務とする鑑識犬というカテゴリー、警戒警備に従事する警備犬というカテゴリー、それからもう一つ、例えば雪の中で人を捜すというような機能を持つ救助犬という認識をしていますが、現在、こうした警察犬の育成はどのようにして行われているのかということが興味であります。

 日本警察犬協会という社団法人があると聞きますが、警察犬の育成は公費で行われているのでしょうか、それとも、民間の育成家に飼うのを頼んで、委託犬としていざというときに出動してもらっているというのが現状でしょうか。これも、局長、よろしくお願いします。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 警察犬には大きく二種類ございまして、御質問にもございました、犯罪捜査に活用されるいわゆる鑑識犬というものと、先ほど御答弁申し上げました、警備に活用する警備犬、先ほど御答弁申し上げました災害救助犬というのは、この警備犬のうち、災害現場において捜索活動等に対応することができるものというものでございます。

 その育成についてでございますが、警察が直接育成をいたします直轄警察犬というものと、民間が育成する嘱託警察犬という、これも二種類ございます。

 直轄警察犬につきましては、警察の訓練所におきまして服従訓練あるいは嗅覚訓練等々を行っているところでございます。嘱託警察犬につきましては、各道府県警察におきまして、民間の方が育成されたものにつきましてこれを審査いたします。それに合格した優秀な犬について、嘱託犬ということで警察から嘱託させていただく、事件が発生するたびに出動を要請する、こういう仕組みになっております。

 ただ、その費用につきましては、直轄警察犬の育成につきましては当然公費で賄っているというものでございますが、嘱託警察犬につきましては、お願いして出動していただくたびに、公費で、借り上げの謝金という形で支給をしているというものでございます。

 なお、その割合でございますが、警察犬全体について見た場合に、丸い数字で恐縮ですけれども、直轄犬が約百九十頭、嘱託犬は約千三百頭、これは、災害救助犬等々を含む、鑑識犬を含む警察犬全体の数字でございますが、そのように御理解をいただきたいと思います。

小林(憲)委員 今のお話で、実際に直轄で百九十頭であり、そして、民間に委託しているのが千三百頭で、そのたびに、事件が起こると借り上げをして公費で来ていただいている、それで払うという形だということでございます。私は、よい災害救助犬とか警察犬というものを大量に早く養成、訓練して、災害発生時にどんどん働いてくれる時期が必ず来ると思っておるんですが、そのためには、問題は、救助犬の養成、訓練には大変な費用と時間がかかるということでございます。

 実は先日、埼玉県の和光市で実際に救助犬協会の訓練を私は見てまいりました。場所もお金もない中で、ボランティアの方々がみずから資金を出し合って調教に当たっているのを目の当たりにいたしまして、これは、何とか国や地方公共団体で手をかしていかなければならないんじゃないかと強く思ったわけでありますし、それに、今のお話で百九十頭と千三百頭、かなり数が違うわけですけれども、なるべくこれを直轄でやれれば、よりよいこれからのサービスといいますか、警察犬、救助犬などの出動の折にも、その方が、一たん育ててしまってお金はかかるかもしれませんが、そういう予算をきちっとつけて、ある程度民間にも委託しなきゃいけませんが、警察自体としても、そういうものを育てる訓練所とか、そういうものをしっかりつくっていった方がよいと思うわけであります。

 それで、ボランティアの方々の率直な感想を聞きますと、まず何より、訓練所の確保が最大の悩みであるということでございました。ただの野原では平地捜索の訓練だけしかできないわけでありますし、瓦れきの中での捜索や崩壊したビル内での捜索を訓練するために、公営住宅の解体現場、ビル解体現場などをぜひ使わせてほしいとの切実な声が聞かれました。

 NPO団体である日本救助犬協会と、一朝事があった場合に犬を派遣してもらうという協定を結んでおられる自治体も幾つかあるようでございます。そして、その自治体では訓練場所の提供ということもなされているようですが、良質な救助犬を育成するために、公共施設の貸し出しなどに配慮をお願いしたいと思っております。

 アメリカでは、盲導犬、聴導犬、介助犬というもののほかに、救助犬、シグナルドッグ、その他、障害を補うために特別に訓練されたいかなる動物もサービス動物として法律の保護を受けていると伺っておりますが、一方日本では、現在、盲導犬につきましては、その育成につきまして国が補助をし、それを受けて、また県や政令指定都市が育成団体に補助をするというような中で育成が行われているというふうに伺っています。

 また、我が国では、この盲導犬のほか、聴導犬、介助犬という三つの部分に法律的な支えがあると聞いていますが、現在、我が国における犬の種類の違いによる法律の適用、補助制度のあり方など現状がどのようになっているのか、まず詳しく御説明をいただきたいと思いますが、これは厚生労働省の方にお願いいたします。

塩田政府参考人 障害を持つ方々の日常活動を支援する、いわゆる身体障害者補助犬と言われる犬がいますけれども、身体障害者補助犬につきましては、平成十四年に、議員立法によりまして身体障害者補助犬法をつくっていただきました。平成十四年の十月から施行されております。この法律の中で、三つの犬の種類、盲導犬と介助犬と聴導犬、三つの種類について規定がされております。

 まず、盲導犬は、いわば視覚障害者の目の役割を果たすものでありまして、視覚障害者の歩行を誘導する訓練を受けた犬でございます。

 それから、二つ目の介助犬でありますけれども、これは身体の不自由な方のいろいろな日常活動のサポートをするということでありまして、物を拾い上げたり、あるいは手の届かないものを持ってきたり、あるいは着脱衣の補助をしたり、さまざまな、身体に不自由のある方のサポートをする訓練を受けた犬でございます。

 それから、三つ目が聴導犬でありますが、これは聴覚障害者の耳の役割を果たすということで、電話の呼び出し音でありますとか、あるいは、危険を意味する音などを聞き分ける役割を果たす訓練を受けた犬でございます。

 こういう三つの種類の犬につきまして、身体障害者補助犬法に基づきまして、現在、四十七の訓練事業者が育成を行っております。そして、平成十七年四月一日現在で九百九十五頭の身体障害者補助犬が活躍をして、身体障害者の方の社会参加の促進に貢献をしているということでございます。

 こういう身体障害者補助犬の育成につきましては、御指摘がありましたように、厚生労働省の方で身体障害者補助犬育成事業を行っておりまして、その育成に当たっております都道府県、指定都市六十カ所のうち、五十九の自治体に対しまして、補助犬の育成に要する費用の助成を行っているということでございます。一頭当たり四百万円ぐらいの育成の費用がかかりますけれども、国の方で二分の一の助成をしているところでございます。

 なお、災害救助犬につきましては、障害福祉の立場ですので、詳細は承知しておりません。

 以上でございます。

小林(憲)委員 最近では、ここも現場を見てまいりましたが、マスコミなどでも取り上げておりましたとおり、がんの早期の患者の息を犬がとりますと判別できるような、がん発見の、本当にそういうのまで研究がされているそうでして、非常にこれは民間では、犬の持っている潜在的な能力というものとその研究が大変されておるということでございますから、ぜひ厚生労働省の方も、今お話がありましたとおり、いろいろな法整備、そしてまた補助の話、これからもどんどん進めていっていただきたい、そう思っております。

 オーストラリアにおきましては五百頭が既に災害救助犬として活動しているそうでございまして、それを支えるシステムとして、人的には、四万七千人の会員を擁する組織があるそうでございます。日本の場合はNPOの人たちが中心になって活動しているようですが、救助活動の実態、ニーズに合った活動を確保するためには、それらの支援も含めて、国が組織的に統一性を持って、災害救助犬のレベルというか基準というものを物差しのようにしてつくっていく指導をすべきだと思っておりますが、そこの辺をいかがお考えでしょうか。これは榊統括官、お願いいたします。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、既に日本救助犬協会など災害救助犬ボランティア団体が、平成十五年の九月一日に行われました防災訓練、政府と八都県市が連携してやりました合同防災訓練ですが、ここから参加をしていただいておりまして、自治体と連携した訓練がなされているところでございます。たしか、ことしの防災訓練にも参加していただけるというふうに聞いておるところでございます。

 ただ、統一的な災害犬の基準ということになりますと、ある意味では制度化ということになるようなことでございますので、これにつきましては、海外における活用の状況とか日本における実態も踏まえまして、制度化の是非も含めまして、消防庁、警察庁等の関係省庁に検討をお願いするのが筋かなというふうに考えておるところでございます。

小林(憲)委員 それと伴いまして、犬を訓練する人、訓練士さん、訓練士を育てなければいけない。これは今、訓練をするということで、訓練士を育てる訓練をするところというものもつくっていかなければならない、そう思っておるんですが、これは、例えば五十年近い歴史を持つ盲導犬の訓練についても、訓練にかかわる人の資格認定というか身分保障がないというふうに今回調べまして聞いておりますが、こうした事情を考えますと、今後、訓練する方の身分のありようも真剣に考える必要があると思うんでありますが、いかがお考えでしょうか。榊統括官、お願いします。

榊政府参考人 先ほど制度化ということについて申し上げましたけれども、災害救助犬に関する何らかの制度化を図ることが必要だというふうになった場合には、御指摘のような訓練者のあり方についても検討する必要が生じてくるというふうに考えておりますので、この点も含めまして、関係省庁に御検討をお願いしたいというふうに考えております。

小林(憲)委員 それでは、時間が参っておりますので最後の質問にさせていただきたいと思いますが、警察庁の方にお伺いいたします。

 救助犬の実際の活動面での問題をお伺いしていきたいんでございますが、実際の災害は基本的には予測不可能でありまして、いつどこで起きていくかわかりません。地方自治体と救助犬団体と何らかの協定が設けられていない場合は、そうしたケースの方が多いということは先ほど来お話がありましたが、現場に救助犬を運送する問題とか、活動の場所に災害救助犬が立入禁止で入れない場合もあるわけであります。

 こうしたことを考えますと、災害救助犬の民間団体は、災害時において自治体と円滑な活動を可能ならしめるようにあらかじめ協定を結んでおくことが望ましいと思うわけでありますが、さらに言えば、地方自治体と民間救助犬団体とが、災害救助の協定を結んだ上で、提携して災害救助訓練を行うことができればすばらしいことだと思うわけであります。

 なお、災害救助犬は、主に、全国災害救助犬協会など幾つかの民間NPO法人などの団体と警察犬協会で育成されているものと認識しておりますが、民間団体のネットワーク化が必ずしもできていないと聞いております。これらボランティア団体の方々を全国的にしっかり把握して、それらの方々と常時連絡を密にしておくことが国の危機管理の上からも大事なことだと考えております。そして、この問題についてはいかがお考えかということをまず警察庁の方にお伺いした上で、今、犬ではなくて機械とかロボットなど、そういうものにかなり力を置いて、その方が犬一頭育てるよりもトータルコストの面でいいんじゃないかというお話も、アドバイスを受ける上で今回の質問の中で教えていただきました。

 しかしながら私は、今、人類が機械やテクノロジーに頼ってきて自然との中で非常に闘っているわけでありますけれども、その部分は部分で研究を重ねていくことは大切であると思いますが、この犬という、本当にいろいろな、私たち人間がつくり出したものではないものでございますから、ロボットは私たちがつくったものですので限りがあります、可能性も私たち人間の能力以上のものはありませんが、ぜひ、この犬の訓練、そして訓練所、訓練士さん、そのようなことも警察の方でしっかりとこれは予算をさらにとってでも充実させていくべきだと考えておりますが、その機械との兼ね合いも含めまして局長の方からお答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきます。

瀬川政府参考人 大きく三点にわたる御質問かと思います。

 まず第一点目の、災害救助犬に関する民間団体の活動を円滑ならしめるために地方自治体との協定等を結んではいかがかという点でございますが、これにつきましては、内閣府を初め、また関係省庁それから地方自治体とも、今後、御指摘のような御意見も踏まえて検討されていくべきものかなというふうに、私どもとしてはそう思います。その上で警察としてしっかり協力してまいれることはまいりたい、こう思います。

 それから二点目の、警察犬協会以外の災害救助犬に関する幾つかの民間NPO法人、団体等とのネットワークというものは警察もしっかり持つべきではないか、こういう御指摘だろうと思いますが、この点につきましては、私どもとして、災害救助を嘱託でお願いする、そういった能力を有するいわゆる災害救助犬、こういった犬がどこにどのぐらいいるのかという実態をまずしっかり把握するということは、これは非常に重要だろうと思います。そういった作業にしっかり取り組んでいく中で、警察犬協会であるか否かということにこだわることなく、そういった能力を持つ災害救助犬については、警察としてしっかりこれを活用できるような体制を構築していくべきである、御指摘のとおりだと思っております。

 それから、装備資機材との関連のお話がございました。現在、例えば瓦れき等に埋もれた被災者の捜索を迅速に行うために、ファイバースコープでありますとか生存者探索システムでありますとか、最新のいろいろな機材ができております。こういった機材につきましても、私どもも積極的に導入をし活用しているところでございます。

 しかしながら、先ほど、中越地震の例でも申し上げましたように、災害救助犬は現場において非常に活躍をしているという状況も、十二分に私ども実際の現場活動を通じて承知をしておりますので、災害救助犬の今後の活用ということについては、十分これを図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

小林(憲)委員 ありがとうございました。

西村委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 私は民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。端的に御答弁いただければと思います。

 さきに千葉県を震源とする北西部地震が起こりまして、七月の二十三日、ちょうど発生のときに、私も、高層ビルでエレベーターにまさに乗ろうとした瞬間に、そのエレベーターの室内の明かりがぱっと消えましてとまったというような状況で、大きいどすんという音もいたしまして、大変驚いたわけでございます。その後、きょうお配りした資料でもございますけれども、国土交通省そして消防庁に調べていただきまして、エレベーターの中に閉じ込められたのが七十八台、これは国土交通省の調査、消防庁に一一九番があって救出要請があったのが四十六台、中に閉じ込められたということで、大変な数だということで私も驚いたわけでございます。今後のこともございますので、これは、きちっと今回を教訓にして対策を練るということが必要だと思いますので、質問をさせていただいているわけでございます。

 そしてもう一つ、国土交通省と消防庁の統計データ、今申し上げた数字もどれだけダブっているのかもわからないということで、お互いに情報交換をしていないということも明らかになりまして、もう地震が起きてから日にちもたっておりますので、縦割りのお役所的なことをするのではなくて、消防庁のデータと国土交通省のデータをちゃんと突き合わせて、お互い情報交換して、中でタコつぼみたいな形で情報を外に出さないのではなくて、そういう共有をお願いしたいということも強くお願いを申し上げます。

 国土交通省の資料では、今お配りした資料の二ページ目以降に、七十八件の閉じ込めの事例が事細かにというか、時間も含めて提出をいただいて、今お配りをしているわけでございます。最も長く閉じ込められたのが、三時間五分閉じ込められた。これは埼玉県の草加市、六階建てのマンションで閉じ込められたということでございます。二時間以上閉じ込められたのが、国土交通省の調査では八件あった。

 そして、もう一つ問題と思いますのは、閉じ込められてから連絡をして、あ、この人は閉じ込められたんだというふうな通報がエレベーターの保守会社に着信するまで最大八十五分かかっていた例がある。これは江戸川区の十一階建ての例でございます。三十分以上も十二件あるということで、八十五分かかったということは、閉じ込められて、インターホンを押したりドアをドンドンたたいたり、いろいろ多分されたんでしょう。しかし、八十五分間どこともちょっとつながらないというような状況だったと思いますけれども、これは大変不安でありますし、こういうことが起こってはいけないということでございます。

 そして、消防庁の調査の資料をいただきましたけれども、これは一ページ目にございますけれども、四十六件。消防庁では最大三時間五十分閉じ込められたということで、これが両省の調査で最大でございます。新宿区で、五人乗りのエレベーターで閉じ込められたケースであります。二時間以上閉じ込められたのが十一件ある。これは、閉じ込められてから一一九番まで最大三時間四十分かかっているということで、閉じ込められて不安に思っていて、一一九番に到達するまで三時間四十分、中に閉じ込められたこの五人の方はあらゆる手段を使ったんだと思いますけれども、それだけ時間がかかっている。三十分以上も二十三件あるということでございます。

 これは国土交通省にお伺いいたしますけれども、この主な原因、いろいろな原因はあると思いますけれども、一番多い閉じ込めの原因は何かというのを端的にお答えいただきたいと思います。

蓮実副大臣 お答えいたします。

 財団法人の日本エレベータ協会によりますと、今回の閉じ込め事故は、七十八件のうち七十三件は、地震の揺れを感知するとエレベーターの最寄り階に停車させる地震時管制運転装置つきのエレベーターで発生をしておるわけであります。その原因は、エレベーターのドアの、地震による開閉を感知する装置が揺れで反応したために緊急停止装置が優先して作動したというふうに考えられております。

 国土交通省としては、今回閉じ込めが発生したエレベーターの多くに地震時管制運転装置が装備されていたことを重く受けとめております。今後、関係団体と協力をして、緊急停止装置の作動と地震時管制運転装置の作動との関係等についてさらに検証し、地震時の安全性を確保しながらも、閉じ込めが生じないよう装置のあり方を検討してまいりたいと思っております。

長妻委員 そうすると、今の御発言は大変重要だと思うんですけれども、この七十三件は故障したのではないんだ、正常な形で閉じ込められた、機械は正常だったと、こういうことでよろしいんですね。

蓮実副大臣 先生御存じだと思いますが、この地震時管制運転装置というのは、例えば、エレベーターが上へ上がって、三階から四階の間に動いていたときに地震が来たとします。そうしますと、この装置のついたものは、三階から四階に上へ上がっていますから、四階まで行って自動的にドアがあくということになっているわけです。ところが今度の場合は、四階まで行く途中に、揺れでもって何らかの装置の発生によって、そこで少しあいていた……(長妻委員「誤作動」と呼ぶ)誤作動によってそれはとまったという問題に承っております。――そうですそうです、これは緊急停止装置が優先して作動した、こういうことであります。

長妻委員 今、副大臣が誤作動というふうに言ったら、後ろからお役人の方がぱっと来られたんですけれども、これは何かというと、お役所に話を聞くと、いや、機械は正常に動いたんだ、地震の揺れでドアがちょっとあきそうになったから途中でとまったんだ、それで閉じ込められた、機械は正常だということをずっと国土交通省は言い続けているんですが、私が聞くところによると、そういうケースもあったけれども、誤作動したケースもあるんですよ。それを、何でそういうふうにほっかむりして、副大臣の答弁をそういうふうに遮るんですか。ちゃんときちんと、誤作動のケースもありますから、必ず調べて、何か余計な仕事を抱え込みたくないのかどうかは知りませんけれども、全部機械は正常だったということでもないので、そこはきちっと突っ込んだ調査をいただきたいと思います。

 そして、もう一つ皆様にお配りをしたこの一枚だけのペーパーがございますけれども、これは私どもが調べました実例でございまして、これは閉じ込められた例ではございませんで、実際にエレベーターがとまって復旧するまでどれだけかかったかというデータでございます。

 ある新宿区内の高層ビルの事例で、エレベーターが約五十基あって、四社のメーカーでございます。ちょうど地震が発生したときに五十基のエレベーターは全部停止をいたしました。これは閉じ込められた方はおりません。近くの階で停止をした。そして、やはり高層のビルなので、上の階の方が下におりたいとかいろいろなこともございましたけれども、十六時四十分にエレベーターの保守会社四社に電話連絡をした。しかし、四社ともつながらなかったということで、ずっと電話をビルのメンテナンス会社がしましたけれども、電話がつながらないということで、やっと、やっとというか四分後にA社に電話がつながった。そして、来てくださいと言ったら、二時間かかった。B社にやっと電話がつながった、二十分後にB社につながった、来てくださいと言ったら、十分で来てくれた。C社は、一時間二十分後にやっと電話がつながって、要請をしたら、三十分後に来てくれた。D社には、二時間半も電話がつながらない状態があって、要請をしたら、その一時間半後に来た。トータル時間では、地震発生から最も遅いのが四時間かかって保守員が来たということで、電話が二時間半つながらないD社、これはNTTに確認しますと、当日の固定電話は、〇三から〇三は発信制限はしていないわけで、ですからこれは、保守会社の電話回線がパンクしたというふうに見ていいと思うんでございます。

 そこで考えますのが、これだけ震度五強で起こるということは、もうちょっと大きな震災の場合、大変人手が不足するということで、やはり、ビルの管理人さんでも、応急的な措置で閉じ込められた方を救出するようなそういう簡単な救出の教育、こういうようなことが必要ではないかというふうに考えるんでございますけれども、これは村田大臣、いかがですか。

村田国務大臣 あの地震の後で関係省庁の局長級の会議をやりまして、実際、私のところも発災後エレベーターが復旧して動き出したのは大体夜中の十一時過ぎでございましたので、ここは零時五十分と書いてありますけれども、大体それが普通なところだと思うんですね。

 それで、要するに、その局長会議でいろいろ聞いていたら、やはり問題は、エレベーターの、これはよく私もまだ正確に理解しておりませんが、直す技術が各社ごとに、三菱エレベーターなら三菱が行かないと直らないとか、そういう多分なっていると思いますので、私も、その場でだれでも直せるように、それから、技術を共通化するということまで含めて検討するようにということを指示したわけでございまして、委員がおっしゃるように、マンションの管理人でも直せるように、あるいは、エレベーターのメーカー系統の保守会社でなくても、だれでも、近くの保守会社がどこでも直せるような体制をつくるべきではないかということを指示したところでございます。

長妻委員 そして、お配りをしております「救助隊用救急教育資料」というこういう資料がございますが、十二ページの資料でございますけれども、これは現在消防庁が教育用に使っている資料で、これは日本エレベータ協会がつくった資料で、これは、消防の方が助ける場合、こういうような形でエレベーターをあけて助けるんですよ、こういう教育を今しているということでございますが、これを見て驚くのは、一番最後のページですけれども、平成六年の十一月につくられた資料を今も使っているということで、これは本当に、技術はもう進歩しているにもかかわらずのんきなことをしているなというふうに思うわけでございますが、これは消防庁長官にお伺いしますけれども、こういう古い資料を使ってきちっとした教育が今できているんでございますか。

林(省)政府参考人 お答えを申し上げます。

 エレベーターの保守管理は、基本的には、保守点検を任務とします会社あるいは管理人の方でやっていただきたいわけでありますが、私ども、一一九番通報があった場合、住民の生命、身体を保護する立場から救出作業に当たらなければならない、こういう責任があるわけでございまして、実はその管理会社に、私どもの救急隊員がそのような場面に遭遇したときにそのような技術あるいはノウハウを持っておきたいのでということでお願いをし、会社の方で作成をされたものでございます。

 これに基づいて確かに研修しておりますけれども、内容を見ますと、御指摘のように、新しいような技術に基づくエレベーターも出ているようでございますので、私どもとしても、最新の情報をもとに救急隊員の研修ができるよう、会社の方にもお願いをしてまいらなければならないと思っております。

長妻委員 そしてもう一つ、エレベーターが地震を感知して最寄りの階でとまるときに、火災報知機と連動していないエレベーターがかなりあるということを聞いておりますけれども、火災報知機と連動していないと、火事になっている階に自動的にエレベーターがとまって、それで動かない、こういうようなことも起こり得るんですけれども、火災報知機との連動というのはどのぐらいの率されているんですか、国土交通省。

山本政府参考人 建物内で火災が発生しました場合に、火災報知機と連動して、一階など外へ避難できる階までエレベーターを運行して停止することのできる装置、火災時管制運転装置つきのエレベーターというのは存在しておるんですが、これは、先ほど来話題になっております地震時の管制運転装置に比べますと非常に限られているというふうに聞いております。

 なお、建築基準法令では、火災時の避難は階段を使用するということを前提としておりまして、安全のため、エレベーターを使用せず、避難階段を使用するよう広報活動を行っております。

長妻委員 これは、今お話があったとおり、日本全国には六十万台エレベーターがあるわけでございますが、もうほとんどが火災報知機と連動していないというふうに聞いておりますので、火災報知機とも連動して火事じゃない階にとまる、これは、地震のときは、とまったら一回扉が開いてもう動かなくなるわけですから、そういう御検討をぜひいただきたいんですが、前向きな御答弁いただければと思います。

山本政府参考人 今回の地震の経験を踏まえてもろもろ検討しなきゃいかぬ事項がたくさんございまして、その中の一環として検討してまいりたいと思っております。

長妻委員 そしてもう一つ、日本エレベータ協会というところに国土交通省はいろいろ情報提供を頼んでいるわけでございますけれども、私も、日本エレベータ協会に、今回七十八台が閉じ込められたということで、メーカー別にはどういうメーカーなんですかと内訳を聞いたら、いや、それはプライバシーだ、メーカー別に出すとイメージが悪くなるので出しません、こういうようなことを日本エレベータ協会が言われるわけでございまして、それで、私が実はその大手五社に直接お尋ねをしましたところ、五社とも、いや、我々はもう件数は公表していますよということで教えていただきましたので申し上げますが、三菱電機が二十六台、フジテックが五台、日立が二十四台、東芝が十八台、日本オーチスが五台ということで、これは隠していないということで、私どものヒアリングで教えていただいたわけであります。

 ところが、メーカーはこういうふうにオープンに台数を教えるんだけれども、日本エレベータ協会は、件数だけでございますけれども、かたくなにそれも公表しないということで、非常に何か秘密主義といいますか、お話をいただけない。私の問い合わせでも、具体的なことは国土交通省に言っているから、余りほかの方にはお話しできないというような姿勢でございますので、ぜひこういう姿勢も是正をいただきたいと思います。

 そして、もう一つでございますけれども、内閣府の初動、まさに村田担当大臣の担当のところでございますが、この十七ページを見ていただきますと、これは平成十五年の十一月二十一日に官房長官決裁の資料でございまして、災害があったときなどは緊急参集チームというのが自動的に官邸に集まるということで、十七ページの下でございますけれども、一つの要件としては、二十三区内で震度五強以上の地震が発生した場合、集まる。それで、十八ページ目は、同じ場合は直ちに官邸対策室を設置するということで、二十三区内で震度五強以上と。

 ところが、今回はちょうどすれすれの、気象庁の怠慢だと私は思いますけれども、気象庁の怠慢で、東京都内震度五弱という情報がずっと流れておりまして、震度五強という情報が流れたのが震災発生から三十分程度たった後に流れて、内閣府の方に聞きますと、十六時三十八分にポケベルが鳴って、しかし、千葉が震度五弱だということで、二十三区の情報がなかったので集まらなかったと。十七時四分になって、やっと二十三区内が五強だということでみんな慌てて集まったということでございまして、ぜひ村田大臣、こういう気象庁の怠慢に対して厳しく厳重注意をされたのかどうか、教えてください。

村田国務大臣 東京都の通報の機械の不備で、震度五強の事実が、連絡が到着するのがおくれたということで、たしか十七時二分にそういう情報の改めがあったと、こういうふうに私は記憶しておるわけでございますが、そういう意味で、どの緊急参集チームの人間も、発災直後に構えの、準備の態勢は恐らく全員とったと思いますが、そういう意味で、残念ながら情報が正確に届かなかったということで、三十分徒過したということは……(長妻委員「気象庁には何か注意したんですか」と呼ぶ)気象庁には特に注意しておりませんが、全般的に、震度の情報を収集するあるいは送る方の反省点として、我々は、先ほど私が申し上げましたような関係の局長会議を開いて、問題点の点検を命じたところでございます。

長妻委員 それでは気象庁長官にお尋ねしますけれども、実際に気象庁が震度計を設置している理由というのは、お伺いをいたしますと、やはり、国の初期対応、それに資するために震度計を設置しているんだということでございますが、今回その初期対応が三十分もおくれた責任というのは、長官、どう考えておりますか。

長坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今も先生御指摘のように、気象庁としましては、地震に伴いまして被害の発生が広域に及ぶ、国としての対応が必要、こういった場合に相当するような揺れを検知すべく、全国で六百点の震度計を展開しておるところでございます。この六百点という数字につきましては、過去に起こりました地震とそれに伴います被害の状況、こういったものを勘案したところでございます。

 なお、自治体の震度計の情報の入手につきましては、消防庁と協力をいたしまして、その適正化、迅速化に努めておるところでございます。

 一例を、過去の活動を申し上げますと……(長妻委員「いやいや、責任はどうですか、今回のおくれの」と呼ぶ)これは、東京都の方からしかるべく情報が来るのが必要だというふうに考えておるところでございまして、地方自治体からの震度計の情報を私どもは受けとめて速やかに処理をする、こういう手順になっておるところでございます。(長妻委員「責任は」と呼ぶ)ですから、そこは必ずしも気象庁というところは、私は……(発言する者あり)自治体経由でございますので、ただし、自治体の方には我々いろいろ指導等をいたしておるところでございます。

長妻委員 いや、非常にふざけた答弁だと私は思います。気象庁が責任を持って国の初動を確保するために震度情報を教える役割を持っているんですよ。その裏の事情は私も聞いていますけれども、東京都が悪い、東京都が悪いと記者にも我々の説明にもずっと気象庁は言っていますけれども、あなた方が集めて、それで責任を持って国に送る責任があるんですよ。東京都が悪い、東京都が悪い、あなた自身の責任というのはどう考えているんですか。

長坂政府参考人 したがいまして、我々としては、円滑に情報が出るように、これを受けて処理をする、こういうことに全力を尽くすと同時に、自治体等からの震度情報が迅速かつ的確に来るようないろいろな助言、指導等をしておるところでございます。それをもって気象庁としては所要の責務を果たしておるということでございます。

長妻委員 これは非常に重要だと思いますけれども、やはり気象庁長官、気象庁に責任があるという御答弁をください。そういう答弁があると役所もきちっと動きますよ。気象庁に今回は責任がある。責任を持って自治体の情報とか気象庁の直営の観測所、今二十三区でたった三カ所しかないということでございますが、そういうことも充実する。何しろ人のせいにしないで、自治体収集も気象庁が責任を持って迅速に入るようにする、今回は気象庁の責任だったということを御答弁いただくと、役所が全然違うんです。ぜひ、責任だったという御答弁をいただきたいと思います。

長坂政府参考人 先ほどから再三申し上げておりますけれども、これは、それぞれの震度計の設置目的等を踏まえた上で、なおかつお互いに有効利用する、こういう観点から気象庁はきちんと情報を集めてきたのをきちんと提供する、こういう責任は当然努めるべくやっておるところでございます。(長妻委員「今回は責任があったんですか、今回は」と呼ぶ)

 まことに、再三申し上げておりますけれども、もともと気象庁の方に震度情報を送られない、このことに関しては、今、私に直接と言われてもなかなか難しい問題かというふうに考えておりますが、ただし、これを踏まえて、自治体との間にはいろいろな協議あるいは改善のための話し合い、こういったものは進めることは当然気象庁の責任だというふうに考えております。

 以上でございます。

長妻委員 いや、東京都も責任はないと言っているんですよ。それで、気象庁も責任がない。では、どこが責任があるんですか。気象庁がきちっと責任を持ってやはりそれを統括しないと、国の初動がおくれるじゃないですか。今回の件は責任がある、それだけ言ってください。

長坂政府参考人 本件につきましては、地方自治体の震度計につきましては、消防庁との連携の仕事でございまして、我々としては、再三申し上げておりますけれども、情報が的確に来るようなことのいろいろな指導等こういうことはする責務はあろうというふうに考えておるだけを申し上げます。

 以上でございます。

西村委員長 長妻昭君、あと、質問も時間がありますから。

長妻委員 気象庁はあくまでも責任を認めない、自治体から来るのがおくれたからおれたちは責任ないよ、そんなことで気象庁が務まるんですか、長官。これは大切な話ですよ。今回は幸い大きな惨事にはならなかったですけれども、三十分おくれたんですよ、実際は。長官、責任があるとぜひ明言してください。気象庁が責任を持って今回の件は措置する、今回は責任があったということを言ってください。全然変わりませんよ、言わなければ。また二の舞になりますよ、二の舞に。

西村委員長 最後の答弁でお願いします。

 長坂気象庁長官。

長坂政府参考人 先ほどから再三申し上げておりますけれども、地方自治体のおはかりになった情報を、気象庁は的確に集めそれを必要なときにお伝えする、これについては我々十二分な責任を感じておるところでございます。

 なお、地方自治体の方から情報をいただく、こういうことにつきましては、必ずしも気象庁がそこを所掌しているわけじゃありません。三千二百点あるものにつきましては、極めて貴重なデータということを承知した上で、有効に収集できるようなことを消防庁等とも図りながら進めておるところでございます。

 そういう観点では、我々としては、それが円滑にできるようなことをいろいろ進めていく、この責任はというか、責務はあろうかと考えております。

長妻委員 本当にひどいですね。気象庁の仕事は自治体任せで、おれたちは知らないよと。そんな気象庁長官であれば辞任してください、本当に。それで、理事会で後刻対応をぜひ協議もしていただきたいというふうに思います。お願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 はい、わかりました。

 次に、太田昭宏君。

太田委員 公明党の太田昭宏です。

 今、話のありました七月二十三日の千葉県北西部の地震につきまして、私は、ぜひとも、きょう答弁をされる方々、政府にあっては、認識を変えてもらいたいというお願いをまずしたいというふうに思っております。

 中央防災会議が、昨年来、首都直下の地震ということについて十八のパターンを出したのが昨年の十一月十七日、被害想定の第一次が十二月の二十五日でしたか、そして、ことしの二月の二十五日ぐらいだったと思いますが、百十二兆円に及ぶ経済被害だというようなことを報告し、対応ということについてやっているわけですが、マグニチュード七・二ぐらい、そして震度が大体六強ということで、いろいろなパラメーターを入れて被害想定をして戦略を組んでいる。

 しかし、今回の地震で極めて私が認識を変えてもらいたいと思うのは、いわゆるそうした地震というものではない、震度六弱あるいは五強という地震の中で、非常に首都機能といいますか、何とか網、道路網にしましても通信網にしましても、そうしたことが乱れる、首都機能のもろさというものと、その点検と回復ということのスピードというものは極めて大事であるという観点に立って、例えば地震が起きました、今のところで五強か五弱かということで相当長妻さんからお話があったわけなんだが、そこの判断ということもあり、エレベーターがとまる、とまってエレベーター会社にやっと電話をする、しかし電話が通じない、やっと伝わっても、それが駆けつけるまでに時間がかかる、そして鉄道網はみんなストップする、何時間もストップしていて、そして道路に人があふれる、タクシーがつかまらない、高速道路は入り口が閉鎖される。今回は震度五弱でしょう。こういうものの中でそれだけのことが起きる。

 全体的に二十三区内で五強という形になったときに、果たしてこれが、一体どれだけのデリケートな都市であるということをよく認識した上で、私は、中央防災会議が今六強ということを想定しながらやることについては結構だけれども、同じ時期にこの中央防災会議がそういうことを言ったことが非常に実感とかけ離れているということを痛感したのは、ぜひとも、そういうような首都機能というものの点検と回復スピード、こういうものが極めて大事である。

 震度六強というものを想定した今の中央防災会議のやり方と同時に、ぜひとも、震度六弱、震度五強、このあたりのシミュレーションをがっちりして、首都機能というものの点検と回復というものが極めて重要であるという認識に立ってのシミュレーションという形に入ってもらいたいということが、私は今回の非常に大きな教訓であったというふうに思っております。

 そういう意味では、ほかの地方といっても申しわけないんですが、東京には東京、新潟には新潟、あるいはまた福岡には福岡、それぞれの地域において何がその町の弱点であるかということと地震との関係ということを、全く同じレベルで、震度六強というものがあった場合にどうするかというような平板な中央防災会議の議論というものであってはならない。特に東京においては、五強と六弱ということのシミュレーションということを急いでやってもらいたいということをまず申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。

林田副大臣 今、太田委員の御指摘のとおりでございまして、先般の地震は、マグニチュード六、震度五強が一カ所だけ観測されたわけでございます。中央防災会議でいつ起きてもおかしくないと我々が表現しております首都直下型は、マグニチュード七・三、しかも震度は六強でございます。

 これも先生御案内のとおり、その起きる場所によって震度というのは変わりますし、マグニチュードというのはエネルギーでございます。したがいまして、マグニチュードが一違えばこれはもう三十二倍違うということでございますから、仮に、先ほどの二十三日のマグニチュード六が想定している七・三ならばエネルギーは、うちの連中に計算させたところ、九十倍違うと。しかも、この間のものはたまたま深度が七十三キロという深いところでございました。ところが、想定しているのは三十ないし四十、これを想定しているんですけれども、いみじくもおっしゃいましたとおり、その中間、震度六弱であり、なおかつ、先ほど来観測網の話が出ておりましたけれども、二十三区に置いておる地震計がほとんど五弱あるいは五強を記録したときは、恐らく、今までこの我々が想定しておるところ以外のいろいろな面で弊害が出てくる。それを一口に表現すれば、いわゆる首都機能の麻痺ということに尽きるんじゃないかと思います。

 そういう中で、当然、行政、政治がやるべきところが必要でもありますし、なおかつ、それだけでは当然いけませんので、今までいろいろなお話が出ていますように、企業、民間、そして最終的には、私に言わせれば、一人一人の五感を研ぎ澄ませてもらっていただきたいという思いでございますし、今、先生の御指摘ございましたその中間につきましても、内閣府としても、この中央防災会議に諮っていろいろな検討をしていきたいというふうに思っております。

太田委員 だれがどうやるかということが、本当に長い間私は、こういうのはあの省でございます、この省でございます、内閣府でございます、何とかでございますと、だれに言っていいかよくわからない。

 これは内閣を挙げてやるというようなことが非常に大事なので、今、中央防災会議で諮ると言った、これは間違いないですね。次の中央防災会議やそういうときに、きちっとこの震度五強とか六弱ということについては議題にのせてきちっとやるということだけ、もう一遍、明言してください。

林田副大臣 これはいろいろな計算がありますから、数値、データ等がぴしっと出てくるのは別にいたしまして、そういう精神というのは持ってやっていきたいというふうに思いますので、それぞれ各先生方は、いろいろなデータ、まだオープンにされていないものをお持ちだと思いますので、それからできる範囲内でもやっていきたいというふうに思っております。

太田委員 要するに、中央防災会議の議題にのせるかどうかということはどうなんですか。

村田国務大臣 想定された震度予測のデータに基づいて、この前、私が今回の震災の前日に報告書をいただいたわけでございますので、まずは、それに基づきましてこれからの大綱をつくっていかなきゃいけない、それから対策をつくっていかなきゃいけないということでございますので、そちらの対策を急がせていただきたいと思いますが、今度のような、中央防災会議で報告された震度に行かないやや弱い地震でも今回のようないろいろな問題点が出てきたわけでございますので、とりあえず関係省庁会議で問題点の洗い出しをして、その上で、中央防災会議に上げることがあれば上げて検討していきたい、こういうふうに考えているわけであります。

太田委員 要するに、もごもごもごもご言っていてよくわからないんだけれども、それを政府としては何らかの形で議題にのせて対応して、報告がいただけるかどうかということだけ、結論だけ言ってください。

村田国務大臣 優先順位がありますけれども、いずれ各関係省庁会議での報告がまとまり次第、まずその場でもって報告をし、その後で、必要となれば中央防災会議での議論に付したい、こういうふうに考えております。

太田委員 エレベーターについていろいろな話がありましたから、これは要するに、国土交通省として地震管制装置の義務化をするということですか。そういう方針になったということなのか、どういうふうになったんですか。

山本政府参考人 地震管制運転装置の取り扱いにつきましては、春先から地震防災推進会議を開催させていただきまして、六月に提言をいただいております。その中で、この装置の義務づけを図るべきだという御提言をいただいておりますので、急いで法令上の措置を講じたいと考えております。

太田委員 そうすると、地震管制装置の義務化をする方向に今なっている、したということですね。

 そこで、そうしたことをやる場合の、あわせて要望ですが、国からの補助とか何らかのことを検討していただきたいと思いますが、すぐは答えられないでしょうけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 住宅・建築物の地震防災推進会議で提起いただいた提言は、非常に広範な総合的なものでございます。したがいまして、この地震時管制運転装置の義務づけの問題も含めまして、十八年度に向けて、予算面、税制面、それから法令、制度改正、すべての局面において全力を挙げて取り組む考えでございます。

 したがいまして、例えば、既存の建築物におきましてエレベーターをこういうものにつけかえるという場合は、耐震改修の一環としてこれをやるということになりますと、そのための助成とか、あるいは税制がもし実現すれば、それで応援する対象にもなってくると思いますので、そういう観点から、この三面の措置を全力を挙げて取り組んでまいる考えでございます。

太田委員 それで、現場へ行きますと、レスキュー隊が入る、そしてエレベーターに閉じ込められた人を救助する。そうすると、エレベーター会社の方では、勝手にそういうことをやってもらったら困るという話があったりするということとか、エレベーター会社の方からいきますと、今度はいいけれども、もうちょっとひどい地震になったときに、交通が遮断をされていろいろなことが起きる。バイクで駆けつけるというようなことも結構あるようですよ。そういうようなバイクの場合、車の場合とかいうことで駐車違反を切られるとかいろいろなことがあるから、そういうようなことまでよく配慮をするようなことをしてもらいたいと。

 私は、今回は、中央防災会議とかそういう立派な先生方が会議をするというんじゃなくて、現場で五強だとか六弱とか、それで死者が一人もいなかったというような場合でも、東京の場合では大変な大混乱があるということで、そういうことのきめ細かい対応をそれぞれの五強とか六弱でしないと大変なことなんですよということの、全体の質問の趣旨なんですよ。

 そういう意味からいきますと、そこの駐車違反をとられることを何とかしてもらいたいなとか、それからレスキューとエレベーター会社との摩擦とか、そういうようなことにもよく気配りをした対応というものを今回この機会にやっていただきたいと私は要望しておきますが、答弁があれば、だれか言ってください。

村田国務大臣 今、局長レベルでいろいろな問題を出してもらって議論しているわけで、今太田先生がおっしゃるような本当に現実的な問題も、恐らく、個々の業者までおりていって、各役所がそういう業界の保守業者等も含めて話をして問題点のサルベージをやっていけば、おっしゃるような問題も出てくるかと思うので、それに関連して、今のような今度は警察庁にかかわるようなものが出てくれば、それは議論の俎上にのせていかなければいけない問題であろうと私も心得ております。

太田委員 鉄道とか道路のこちらの方に行きますと、とにかく山手線とかいろいろなところで閉じ込められているわけです。駅なんかで、おりた方がいいか、おりない方がいいか、相当迷っている人が大勢いたわけですね。そのときのアナウンスの仕方とかいろいろなことがあって、これは私も現場に行ってよく聞いてみると、JRの人たちも、そう簡単な話ではないと。山手線なら山手線、全部安全が確認されるまではきちっとオーケーだとは言えない。何時ごろにはどうなるという見込みもなかなか言いがたい。

 しかし、そのあたりの、これも非常に現場的なお話ですが、私は、そういうような都市機能の麻痺ということに対しての、今回は極めて貴重なある意味では教訓を得た、五弱ということでよかった、これが五強、六弱の場合はどうなったかということも踏まえて、このスピードある点検と回復作業というようなことについて、鉄道網とかあるいは道路網について、一々には申し上げませんが、ぜひとも、今回の機会にそういうことの点検と回復作業ということについての尽力、指揮というものをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

梅田政府参考人 先生御指摘のように、今回の地震では、各線区によりまして二、三時間停車いたしまして、運行がとまりました。その間、線路の点検等に手間取りまして、そういう点から、車両ないしは駅に大勢の方が滞留するというような状況が生まれました。

 それで、御承知のとおり、地震が発生した場合には、やはり安全が第一でございますから、この安全をどうやって確認するかという作業が大事でございます。この確認する作業につきましては、今は歩いて確認をしているわけでございますが、今回、具体的に言いますと、地震計の中で五強を示したというのは一カ所だけで、あとは五弱というような部分でございました。したがいまして、点検の方法につきましてももう少し工夫する余地がある。つまり、非常に揺れの激しいところとそうでないところというのは当然あるわけですから、ここら辺をきめ細かに点検をしていくということでスピードアップを図る。あるいは、点検する要員を一遍に集めるというのはなかなか難しゅうございます。これは、駅に行こうにも駅員が到達しないという部分がありますから、そういう点で、そういう招集の仕方それから点検の分担したやり方、そういうようなことを工夫しながら、点検の時間をできるだけ短縮するということが必要だと思います。

 それからもう一点は、そういう点検をしている最中にやはり利用者の方々はいらいらしているという状況でございますから、今の点検状況であるとか回復する見込み、予定、こういうものはできるだけ、これはなかなか難しゅうございますけれども、前広に利用者の方々に提供するような、そういう工夫を少し今回の地震を教訓にして検討していく必要があるかというふうに考えておりまして、現在、事業者の方々ともそういう協議の場もございますので、今後、そういう中で少し議論を深めていきたいというふうに考えております。

 できるだけ御趣旨に沿うようないい方策が、今回の地震を教訓につくれるように努力してまいりたいと考えております。

太田委員 さっきから震度計のネットワークシステムのことがあって、三十分おくれたという話がありましたね。私、十年前に、阪神大震災のときに建設委員会で、私は京大の土木工学科で耐震工学を専攻したものですから、その兄弟子を呼んで、そのときに、今は本当に震度計自体が足りない、ネットワークになっていないんですよ。これがやっとここまで来た。

 気象庁の長官たちはこれでありがたいなと思っているかもしれないんだが、そこで、今回のこういうことがおくれたというようなことは、初動段階でいろいろなことになりますから、だれが責任だとは私は言いません。しかし、これを機会にして、おくれがないようにどうすればいいかということについて、ちゃんとおくれないようにやれとしか僕は言いようがないんだが、そういうシステムに予算をちゃんとみんなでとるようにしてもらいたいということだけ言っておきます。

林(省)政府参考人 震度情報のネットワークでありますが、先生お触れになりましたように、確かに、以前は国の震度計だけでございましたが、阪神・淡路大震災を契機にいたしまして、都道府県においても市町村に震度計を設置するという方法でネットワークを拡大いたしました。その後、地方団体が取得した情報につきましては気象庁へも提供する、こういう国と地方との約束ができまして、平成十五年三月までに、全都道府県の震度計のデータが気象庁に接続される、また、気象庁の判断で初動体制をつくる、こういうネットワークは確立いたしたわけであります。

 しかしながら、今回の例のように、ネットワークは確立いたしておりますものの、その維持点検あるいは機能の向上が図られていない団体が出てまいりました。そのため、私どもは、七月二十四日付で全団体にこの調査を即刻お願いいたしました。

 結果といたしまして、現在、五分以内に気象庁に情報を提供するシステムに対応できない団体が三つほどあるということも判明いたしました。これらの団体は、東京都を含めまして、できるだけ早く、特に東京都は今月中にシステムの改善を行う、こういうふうに聞いておりますが、団体を改善していただきますので、全団体につきましてネットが稼働するような状態ができるものと考えているところであります。

太田委員 東京で話題になって新聞種にもなったんですが、災害対策住宅で待機していたはずの職員の多くが都庁に登庁しなかった、三十四人中二十一人来なかった、もう出て行け、こういうふうに石原都知事が激怒した、そういうことがあった。国の方はどうだということを私は心配して、いろいろな方に聞きました。

 要望を一つだけ申し上げますが、全体像をぴしっと、この質問をするに当たって、もう少し、何人この住宅に住んでいて、それが各省庁がどうなっていて、そして何人ここへ駆けつけてきて、今度の地震のときにはどうで、漏れがなかったんだよということをきちっと、数もいろいろ、これが、言っちゃいけないんだとか言っていいんだとか、掌握しているんだとかいないんだとか、よくわからない。そういうことで、内閣として、私はどこでもいいんだけれども、責任を持ってその全体像をきちっとつかむということを再度お願いしたいということと、聞いて見ますと、東京都とは違って、本当に待機している人たちはみんな駆けつけてきて、実は、二年間そういう担当についたけれども、お正月にも家にも帰らなかった、二年間はそういうことでしたというようなことも現実に私は聞いているので、大変御苦労さま、こういうふうに申し上げるとともに、そういうことは国民が非常に注目をしておりますから、この辺の体制ということについては、この計画どおりきちっと対応ができるようにお願いをしたいというふうに思います。よろしくお願いします。答弁、どなたかお願いします。

堀内政府参考人 お答えをいたします。

 政府におきまして、今回の地震発生後、直ちに官邸危機管理センターにおいて体制を強化いたしまして、都内の足立区で震度五強との発表が追加されたのを受けまして、十七時五分に官邸対策室を設置しまして、直ちに緊急参集チームを招集するなど、政府一体となって対応に当たったところでございます。

 それで、内閣官房の要員の参集につきましては、交通機関の障害によりまして参集におくれた一部を除きまして、参集を指示した者はすべて参集をしております。特に、内閣官房の防災担当職員用宿舎入居者につきましては、休暇で参集不要としていた者や交代要員としてそのまま宿舎待機とした者以外は、すべて参集をしているところでございます。

 また、呼び出しのシステムでございますけれども、要員の招集に当たりましては、ポケットベル、携帯電話のメール及び音声といった複数の通信手段を組み合わせ、その参集に万全を期しているところでございます。

 また、何名の職員が参集してという話がございましたけれども、官邸危機管理センターには、内閣官房のほか関係省庁からの要員も参集しまして、多数の要員で対応に当たったわけでございますけれども、御案内のように、官邸の危機管理センターで対応する緊急事態は、今回のような地震等の自然災害だけではなくて、テロですとか、場合によっては有事といった事態も想定されますので、危機管理センターでの対処体制の詳細については御説明を遠慮させていただきたいというふうに思います。御理解をいただきたいと思います。

太田委員 御苦労さまですと申し上げて、質問を終わります。

西村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来話題になっておりますけれども、中央防災会議が昨年十二月に、東京湾北部地震、マグニチュード七・三の地震が発生した場合の最大の場合で、死者一万一千人、重傷者三万七千人、自力脱出困難者が四万三千人、昼であれば六百五十万人の帰宅困難者、こういった大変衝撃的な数字を発表しました。経済被害が、直接、間接を合わせて国家予算の一・四倍にも及ぶ百十二兆円だ、そういう数字も発表されました。被害の想定の大きさが大変すさまじい。実際、これは過去のデータの積み上げで仮定をした数字でありますので、実際はもっと大きいのではないか、こういう指摘もあるところであります。

 しかし、そういうメッセージを受けて、国民の多くは、やはりこれだけ大きな地震であれば、もう逃げられないんじゃないか、起こったら終わりだ、そういう悲観的な思いも漂うわけですね。それで、先般の七月二十三日の地震がありました。これは震度五でいい勉強になったんじゃないか、いわゆる準備としていい経験をしたんじゃないか、そういう受けとめもあれば、逆に言えば、この地震でこの程度であれば、本当に首都直下が来たらどうなるんだろう、そういう思いもまたこれありということなんですね。

 私は、さっき自助努力を云々というお話がありましたけれども、まず、災害対策基本法にある国民の生命、財産を守るという国の責務をしっかり果たすんだ、もちろんそれは国としても頑張りますよ、そのメッセージが発声されてこそ国民も、自助もする、共助もする、一緒になって頑張るということがやはり受けとめられていくんじゃないのかな、そういう姿勢を非常に求めたいと思っております。

 そこでまず大臣に伺いますが、防災白書でも「住宅・建築物の耐震化が命を救う」と大変強調しているところでございます。今回の防災戦略においてもやはり大変重要だと位置づけられていると思いますけれども、改めて確認をしたいんですね。災害による被害を減らすために、住宅、建築物の耐震化の重要性、位置づけについて見解を伺います。

村田国務大臣 大震災が起こったときに被害を最小限に踏みとどめるためには、やはり住宅の耐震化というのが一番大切だろうというふうに思います。自然災害を減らすということはできませんから、我々はそうした耐震化の目標を立てて、いろいろな政策手段を講じて耐震化を進めたいというふうに考えているわけでございまして、地震防災戦略、減災目標の中でも、結果的にはやはり耐震化が一番大事だというふうに考えております。

 特に首都圏の場合には、中央の、例えば港区とか千代田区とかいうところは大変耐震化のビル、構造物ができましたんですが、世田谷区とか杉並区とかあるいは江東地区等において、やはりまだ戸建て密集のところで住宅の耐震化が進んでいないとすれば、なおさら力を入れてこうした地域の住民に耐震化の補修をお願いしていかなきゃいけない。そのために政府ができることはいろいろなそうした支援の措置でございますので、来年度税制改正等も含めまして、頑張っていきたいというふうに考えております。

高橋委員 ありがとうございます。

 そこで、耐震化が済んでいない住宅が一千百五十万戸、まだ二五%あるという数字が先ほど来紹介されておりまして、今後十年間で耐震化を九〇%に引き上げたい、そういうことが言われたわけですね。

 大臣も今個別の話もされて、ぜひ頑張りたいというお話だったと思うんですが、本当にこれを引き上げるための有効な手だてがあるか。つまり、手だてとして十分かということなんですけれども、国には住宅・建築物の耐震改修等事業というものがございます。また同時に、最近は自治体単位で耐震リフォームに対する助成制度なども広がっていると思いますが、これらの実績、取り組み状況などを御存じでしたら、紹介してください。

山本政府参考人 ちょっと、具体的な数字を手元に持ってきておりませんので大変恐縮ですけれども、今後十年間で耐震化率を現状の七五%から九割まで引き上げるという住宅・建築物の地震防災推進会議の御提言を踏まえまして、御質問にありましたように、できるだけ実効性のある形で施策を追求して目的を達成したいと考えておりまして、何といいましてもイの一番は、御質問にもありました住宅・建築物耐震改修等事業、これは十七年度から統合補助金化しました。

 まず耐震診断をやって、耐震性に問題があると診断されたものについて耐震改修を助成していくという、真っすぐに流れる統合補助体系として整備したわけですけれども、耐震診断につきましては、全国どこの市町村でもこの補助制度を使っていただけることになっているんですが、耐震改修費補助につきましては、特定の、地震のおそれが非常に逼迫しているとされる、例えば東海とか東南海・南海とか、今そういったところに制度として地域限定がかかっておりますので、福岡の例をとりましても、我が国三十八万平方キロ、どこで地震が起きてもおかしくないわけでございますので、あらゆる市街地でこの制度が使えるようにしていきたいというふうに考えております。

 それから、もう一つ御指摘がありました地域住宅交付金、これは公営住宅の……(高橋委員「聞いていません、まだ」と呼ぶ)そうでしたか、大変御無礼しました。

高橋委員 ちょっと余りにも長いので、時間が限られていますので、大変あれですよね。

 まず、今おっしゃったのは、耐震改修等事業、国の事業ですね。耐震診断は全国すべての自治体なんだけれども、改修には地域限定があるからまだまだというお話だったと思うんですね。やはりここなんですね、一つの問題は。耐震改修については、国と地方合わせて補助率が一三・二%しかないわけです。しかも、地震防災対策強化地域というのに限定されるので、大変条件が厳しいです。今、どこでも地震は起こり得るということが昨年来もう証明されているのに、全く実態に合わないわけですね。この拡充を求めたいということなんです。

 それから、さっき質問したけれども答えがなかったのは、自治体独自の耐震改修リフォーム制度ですね。これが一体に広がっているじゃないかということで、多分数字がなかったのだと思うんですが、例えば政令指定都市だけでも、耐震診断で十三都市あるうち九、改修で十三都市あるうち七というふうに、非常に大きく広がっております。仙台市では、診断費用の十分の九を補助する、市民負担は三千百五十円というところで済むわけです。改修については、二分の一で上限四十五万円ではありますけれども、融資ではない。そういうこともありまして、地元業者の活用と結びついて大変メリットがある、地域経済に与える効果も大きいということなんですね。こういう地域の取り組みをしっかり把握して、必要なところに応援してほしいというふうに思っているんです。これの答えは、次の質問と一緒に答えてください。

 それで聞きたいのは、今言おうとした地域住宅交付金なんですが、これは、本当は私はとても期待していたんです。というのは、まず、強化地域という縛りがございません。それから、個人の住宅の耐震改修について交付金が出せますよね。大臣がなかなかやりたがらない、いわゆる私有財産に援助するというもの、建築費本体にも自治体がやる分には費用が出せますね。そうですね。一応確認します。

西村委員長 どなたに答弁をお求めですか。

高橋委員 住宅局長です。

山本政府参考人 住宅・建築物の耐震改修等事業の方で耐震改修をしておりますのは、先ほど言いましたように、地域限定があります。それに対しまして地域住宅交付金は、地域住宅計画を策定された公共団体であればどこでもこれを助成することができます。これまで住宅の耐震改修については、一般的には、先ほどの例で出ました政令市なんかの場合は皆地方単独事業として取り組んでおられますけれども、地域住宅計画に盛り込んでいただければ地域住宅交付金でこれを応援することができる制度となりましたので、ぜひ活用していただくようにお願いしているところでございます。

 それから、先ほど、改修事業の実績ですけれども、一応、十七年度の事業量の見込みだけちょっと手に入りましたので御説明しますと、まず、十七年度の事業量で、住宅の耐震診断については六万二千戸を見込んでおります。それから、住宅の耐震改修については、これは限られておりますけれども、二百戸、地域限定がございますので。それから、建築物の耐震診断については三十一棟、建築物の耐震改修については二十七棟を見込んでおります。

高橋委員 ですから、建築そのものに、交付金ですから、お金を出せますね。

山本政府参考人 建築と申しますか、個人の住宅の耐震改修に対して公共団体を通じて助成できるということです。

高橋委員 そういうメリットがあるんです。

 ところが、八月二日付で、十五日までに募集をするという地域住宅交付金の計画の基本指針を見ますと、住宅の耐震改修云々ということがどこにも出てこないんですよね。これだと、どうしても自治体は積極的にはやらないだろうと思うんです。

 しかも、もともと予算は五百八十億の内数ですけれども、公共住宅、公営住宅の建てかえとか、本来持っている計画も全部この中に落とし込んでしまいましたので、全体数が非常に額が少なくなった中で、これもやる、あれもやるというふうにしなきゃいけないわけですよね。それなら、もっと位置づけて、使えるんだよということをアピールしなければ、なかなかそうはいかないだろうし、全体も進まないわけですよね。

 その点、時間がないので一言で、もう少しPRしていくよということをおっしゃっていただけますか。

山本政府参考人 せっかくの制度でございますので、民間住宅の耐震改修、建てかえ等にもこれが使えるということを公共団体に周知してまいる考えでございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 次に、先ほど来話題になっている震度データの問題ですけれども、東京都の震度データが送信に二十二分もかかって、緊急参集がおくれた。防災戦略の中でも、まず首都中枢機能の確保が真っ先に大事なんだと強調しておきながら、非常にこういう事態になっている。このことをまずやはりきちんと受けとめなければならないし、先ほど、平成十五年の十月にネットワークが完成して、あと三つですよとおっしゃいましたけれども、これは、平成九年からですか、阪神大震災から都道府県にちゃんと震度計を設置せよということをやってきて、その中でネットワークということをやってきたけれども、実際には、新潟で三十分かかり、ああ、新潟も直さなくちゃ、東京も今回のことで直さなくちゃということで、地震が起こってからネットワークをちゃんとやろうと後手後手になったということは否めませんね。どうですか、消防庁長官。

林(省)政府参考人 震度計のネットワークの維持点検が十分できていなかったという事実はございました。そこで、先ほど、七月二十四日でありますけれども、全団体に点検をお願いし、現在のところ、直すべきものは早急に直す、こういう形になっているわけでございます。

高橋委員 これで責任どうのと言うと、それだけで時間になりますので、しっかり認識をしていただいて、その上で一つ心配をしているのは、今、市町村合併が非常に進んでいる。そういう中で、各市町村に震度計があったものが合併したらどうなるんだろうか。やはりこれは、自治体が大きく一つになっても実際は面積は変わらないわけですから、当然維持されるべきだと思いますけれども、確認をしたいと思います。

林(省)政府参考人 御指摘のように、市町村合併が進んでおりまして、その中で、一市区町村一観測点というこの基本についてどのように考えるかという問題が出ております。

 加えまして、このネットワーク、現在でき上がっているわけでありますけれども、設置後十年近くを経過したものもあるとか、あるいは、今回の事例を見ましても、新しい機能を持って、できるだけ早く情報が伝達できるようなシステムに変えていく必要もある、こういうような課題がいろいろございます。

 そこで、昨年度から、私ども、気象庁と連携をいたしまして、次世代の震度情報ネットワークのあり方検討会を開催いたしております。その中で、御心配いただきましたような市町村一観測点という原則をどのように考えるかという点も議論になっております。中間報告が出されておりますが、そこでの基本的な考え方を御紹介申し上げてお答えにさせていただきますが、やはり、防災対応は市町村単位でやらざるを得ない、したがって市町村単位の配置を基本とする、この原則は維持してまいりたいと考えております。

 しかしながら、具体的な観測点を考えます場合は、一市町村一カ所では十分でない。例えば、市街地の広がりが大きく、複数の拠点で防災上の対応を行う必要がある場合があるだろうとか、山間部や島嶼部などの物理的に集落が離散しているところにおいては、防災上、複数の地点での震度情報が必要と考えられる場合があるとか、あるいは、地質、地形、防災上特に配慮すべき構造物が存在する場合も考えなければならない、こういうようなことも指摘をされておりますので、その検討会の結論をまちまして、観測点を複数配置することについても検討する必要があると考えております。

高橋委員 総務省は、消防についても、合併してもやはり現行どおり維持するようということを通知もされていると思います。やはり、今言った立場でこれまでの水準を維持していただきたいということを要望して、次に行きたいと思います。

 きょうはせっかく柴田局長においでいただいておりますので、新しい任務で大変恐縮ですが。

 この間の地震被害などの教訓を今回の首都直下にも生かすという上で非常に大事な問題が、例えば、地盤災害が非常に続いたということですよね。丘を削って盛り土をして造成した宅地、いわゆる高町団地のような宅地の問題というのが、あの七八年の宮城県沖地震やあるいは阪神・淡路地震でも指摘をされてきたことで、開発と許可のあり方というのが私は大変問われていると思うんです。

 東京では、高層ビル、臨海開発などを進めております。国全体として規制緩和を進めてきました。しかし今や、危険を取り除く、これ以上広げない、そういう視点から、土地利用のあり方、建物等の規制をやはりかけていくということを検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

柴田政府参考人 今回、首都直下の地震対策の専門調査会のレポートにも出しましたように、大都市、特に東京に地震が来たときに大変大きな被害を及ぼす。その中で、個別の規制の問題ももちろんあるわけでございますけれども、やはり、火災が起きたときに大変大きな被害を受けるということもございまして、これにつきましては、密集市街地の改善、これを重点的にやっていく必要があるんではないかというぐあいに考えています。今後十年間で、重点密集市街地というものを決めまして、最低限の安全性を確保したいと考えております。

 また、都市の構造全体を火災に強い、地震に強い構造にする必要がございますので、火災が発生しましても、延焼遮断帯を設けていくというようなことが必要ではないかと考えています。災害時に避難路となる道路の整備と、その周りを不燃化いたしまして防災環境軸というものをつくっていこうと。そういうことによりまして、また、そのほか、避難地、避難路となる道路、公園等の防災上重要な公共施設の整備等を実施しまして、災害に強い町づくりをまずつくっていく必要があると考えております。

 また、規制の問題でも、建築物の不燃化、密集市街地の解消、こういうことも重要でございまして、土地利用の関係からも、火災の危険を防止するために、都市計画におきましても防火地域、準防火地域等を定めておりますし、特に、地震等の危険性の高い密集市街地におきましては、防災街区の整備方針、これはマスタープランでございますけれども、こういうものをつくったり、防災街区の整備地区計画というものを定めまして、安全な市街地の形成を図ることにいたしているところでございます。

 これらの制度を適切に運用しながら、災害、特に地震、火災に強い都市づくりに努めていきたいというぐあいに考えております。

高橋委員 最後に、要望にします。今の規制については、本当に真剣に考えていただきたい。

 大臣にもう一回聞きたかったんですが、時間が来ましたので、今回の防災戦略の中で、国民運動ということが非常に強調されておりました。国民運動だと幾ら国が叫んでも、国民はそれで動くわけではありません。被害が甚大だといっても、三日間は自力で生きろ、これではとてもとても、絶望感が広がるだけであります。

 そうした点では、やはり、さっき言った国の責任を果たしていくと同時に、国や地方の防災計画をつくる段階、そして具体化する段階、訓練などの実行する段階において、住民参加をしっかり貫いていただきたい、住民の声をもとにしてつくっていっていただきたい、このことを強く要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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