衆議院

メインへスキップ



第10号 平成18年8月2日(水曜日)

会議録本文へ
平成十八年八月二日(水曜日)

    午後三時三十分開議

 出席委員

   委員長 大野 松茂君

   理事 秋葉 賢也君 理事 斉藤斗志二君

   理事 原田 令嗣君 理事 福井  照君

   理事 宮下 一郎君 理事 奥村 展三君

   理事 下条 みつ君 理事 谷口 隆義君

      小川 友一君    小里 泰弘君

      近藤 基彦君    坂井  学君

      菅原 一秀君    平  将明君

      高鳥 修一君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      丹羽 秀樹君    萩生田光一君

      林   潤君    林田  彪君

      平口  洋君    福田 峰之君

      宮路 和明君    望月 義夫君

      森  英介君    大串 博志君

      太田 和美君    小平 忠正君

      田村 謙治君    鷲尾英一郎君

      石井 啓一君    谷口 和史君

      高橋千鶴子君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増田 優一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 椎川  忍君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         金子 順一君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  石島 一郎君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            近藤 賢二君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   衆議院調査局第三特別調査室長           佐藤 廣平君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     萩生田光一君

  長島 忠美君     福田 峰之君

  西村 明宏君     菅原 一秀君

  三ッ矢憲生君     宮路 和明君

  盛山 正仁君     土屋 正忠君

  山本  拓君     谷本 龍哉君

  黄川田 徹君     太田 和美君

  松本  龍君     大串 博志君

  菅野 哲雄君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     西村 明宏君

  谷本 龍哉君     山本  拓君

  土屋 正忠君     盛山 正仁君

  萩生田光一君     岡本 芳郎君

  福田 峰之君     長島 忠美君

  宮路 和明君     小里 泰弘君

  大串 博志君     松本  龍君

  太田 和美君     黄川田 徹君

  日森 文尋君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     三ッ矢憲生君

    ―――――――――――――

六月十六日

 一、災害対策に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成十八年七月豪雨による被害状況等)

 派遣委員からの報告聴取


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

大野委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの豪雨による被害によりまして、多くの方々がお亡くなりになっております。ここに、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、負傷された皆様の一刻も早い回復をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

大野委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

大野委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 本日は、特に平成十八年七月豪雨による被害状況等について調査を進めます。

 この際、去る七月二十八日、梅雨前線による大雨の被害状況等調査のため、長野県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党の斉藤斗志二君、宮下一郎君、民主党・無所属クラブの奥村展三君、下条みつ君、公明党の谷口隆義君、日本共産党の高橋千鶴子君、そして私、大野松茂の七名であります。

 また、自由民主党の後藤茂之君が現地参加されました。

 まず、今般の梅雨前線による大雨の状況及び被害の概要についてでありますが、七月十五日以降、九州から東日本に延びた梅雨前線により、九州から関東地方にかけての広い範囲で大雨となりました。山陰、北陸及び長野県では七月十五日から二十一日までの総雨量が多いところで六百ミリを超え、九州では七月十八日から二十四日までの総雨量が多いところで千二百ミリを超えるなど、記録的な大雨となり、大きな人的、物的被害を発生させました。

 長野県におきましては、土砂災害、河川のはんらん、増水、堤防の決壊、道路の陥没等により、県民の方々の生命や財産のほか、公共土木施設、農地・農業用施設などに甚大な被害が発生いたしました。

 長野県内の被害状況は、七月二十八日七時現在、人的被害が、死者・行方不明者十三名、重傷者三名、軽傷者十五名、住家被害が、全壊十六棟、半壊二十二棟、一部破損十八棟、床上浸水八百六十棟、床下浸水二千四百四棟であります。

 なお、長野県は、七月十九日、岡谷市、諏訪市、下諏訪町の三市町に対し災害救助法を適用するとともに、岡谷市及び辰野町で発生した土石流災害等に対し自衛隊に災害派遣を要請いたしました。

 この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、諏訪市湖岸通り地区の浸水被害現場を視察いたしました。諏訪市は、河川の増水により諏訪湖畔の市街地を中心に約二千棟の家屋が浸水被害を受けました。湖岸通り地区には、七月十九日、諏訪市の要請により国土交通省の排水ポンプ車六台が派遣され、諏訪湖への排水作業が実施されたとのことでした。

 次に、諏訪合同庁舎において、田中長野県知事、林岡谷市長、山田諏訪市長を初めとする関係者から、被害状況の説明等を聴取した後、被災者生活再建支援法における住宅再建支援の充実、激甚災害の早期指定、災害対策費に対する特別交付税による財政支援、農業被害に対する新たな支援制度の創設等についての要望を受けました。その後、砂防堰堤の効果等について意見交換を行いました。

 次に、下諏訪町の注連掛橋下の国道百四十二号線の土砂被害現場を視察いたしました。同国道沿いの砥川の護岸が増水により削られ、路肩が崩落しておりました。

 次に、岡谷市上の原小学校地区の土石流被害現場を視察いたしました。同地区では、学校の裏山が崩落して大量の土砂や流木が体育館や校舎の窓を突き破って侵入いたしました。視察時には、教職員の方などによる土砂の除去、清掃作業や重機による土砂の搬出作業が行われておりました。今後、砂防堰堤や遊砂地の建設が予定されているとのことでした。

 次に、岡谷市湊地区の土石流被害現場を視察いたしました。視察時には、自衛隊を中心に行方不明者の捜索活動が行われておりました。また、倒壊した家屋や土砂が流れ込んだ家屋を見て、土石流災害のすさまじさを実感いたしました。

 最後に、箕輪町松島地区の天竜川の堤防決壊箇所を視察いたしました。同地区では、侵食被害の拡大を防止するために大型土のうやブロックが積まれておりました。また、被災前の堤防機能を確保するための盛り土を行うなど、二十四時間態勢で復旧工事が進められておりました。

 以上が調査の概要でありますが、私どもは、この調査を通じまして、豪雨災害の恐ろしさを改めて認識するとともに、現地の一日も早い復旧復興がなされるよう力を尽くす決意を新たにしたところでございます。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心からお礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大野委員長 次に、平成十八年七月豪雨による被害状況等について政府から説明を聴取いたします。沓掛防災担当大臣。

沓掛国務大臣 平成十八年七月豪雨による被害状況等につきまして御報告いたします。

 まず、今回の豪雨により不幸にして亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し深く哀悼の意を表します。また、行方不明者の方の一刻も早い発見をお祈りいたしますとともに、被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げます。

 七月十五日以降、九州から東日本に延びた梅雨前線により、広い範囲で大雨となりました。山陰、北陸及び長野県では七月十五日から二十一日までの七日間の総雨量が多いところで六百ミリを超え、また、九州南部では七月十八日から二十四日までの七日間で総雨量が多いところで千二百ミリを超えるなど、記録的な大雨となりました。気象庁は、この十五日から二十四日までに発生した豪雨について、平成十八年七月豪雨と命名したところであります。

 この豪雨により、全国で約一万三千世帯、三万人に対する避難指示が出されたほか、約九万千世帯、二十二万三千人に対する避難勧告が出されました。

 被害状況につきましては、この期間に、長野県、鹿児島県を中心として、死者二十六人、行方不明者二人などの人的被害が出ております。また、住家被害につきましては、全壊七十三棟、半壊三十九棟、床上、床下浸水が八千棟を超えるなどの大きな被害が発生しております。

 河川につきましては、天竜川の堤防が決壊したほか、川内川などがはんらんいたしました。さらに、がけ崩れ、土石流等の土砂災害も多数発生し、これによる死者が全体のおよそ三分の二を占めております。また、道路や文教施設、農業用施設などにも大きな被害が生じているほか、各地域でかなりの災害廃棄物が発生しているところであります。

 次に、政府の対応でございますが、災害の発生後、直ちに情報の収集を行うとともに、梅雨前線による大雨に関する災害対策関係省庁局長会議を開催するなど、関係省庁で緊密な連携を図りつつ、人命の救助や被災者に対する支援、さらには被災地の速やかな復旧に向け、全力で対応しているところであります。七月二十一日には、長野県に政府調査団を派遣し、私自身も団長として現地の状況をつぶさに把握してまいりました。さらに、二十五日には、嘉数内閣府副大臣を団長とする政府調査団を鹿児島県へ派遣したところであります。

 また、長野県を初めとする六府県知事からの災害派遣要請に基づき、自衛隊が人命救助や行方不明者の捜索等の活動を展開いたしました。

 さらに、災害救助法が長野県、鹿児島県及び宮崎県において、合わせて十市町に適用されています。被災者生活再建支援法につきましても、鹿児島県下の六市町において適用されているところであります。

 なお、被災地には多くのボランティアが駆けつけ、被災家屋の土砂の撤去や清掃、ごみ処理などの支援活動が展開されております。

 政府としては、このような各般の災害応急対策を講じてきたところでありますが、東北地方を除き梅雨が明けたと見られるなど、先ほど何か東北地方も明けたというような情報がございましたが、今後は被災者支援、被災地の復旧が取り組みの中心となるものと考えております。このような認識のもと、昨日には平成十八年七月豪雨被害対策等に係る関係閣僚会合を開催し、迅速な被災者支援に万全を期すこと、被災地の復旧について必要な支援を実施すること、今後の台風期において人命の保護を第一義として防災体制の一層の強化を図ることなどについて申し合わせを行ったところであります。

 政府といたしましては、引き続き、総理の指示のもと、関係省庁間の緊密な連携を図りつつ、一丸となって対応してまいる所存であります。

 以上、報告させていただきます。

大野委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大野委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官増田優一君、総務省大臣官房審議官椎川忍君、厚生労働省大臣官房総括審議官金子順一君、林野庁森林整備部長石島一郎君、中小企業庁事業環境部長近藤賢二君、国土交通省河川局長門松武君、気象庁長官平木哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 自由民主党の宮下一郎でございます。

 質疑に先立ちまして、さきの豪雨によりまして亡くなられた方々、そしてまた被害を受けられた皆様方に、心から弔意と、またお見舞いを申し上げたいと存じます。

 あわせまして、沓掛防災担当大臣におかれましては、早速、七月二十一日に長野県の被災地を御視察いただきまして、まことにありがとうございました。また、委員長を初め委員の皆様方にも、二十八日においでをいただきましたことに対し、御礼を申し上げたいと存じます。

 また、災害の復旧につきましては、関係の皆様方には、連日連夜、大変な御尽力をいただいております。ここに改めて敬意を表しますとともに、心から感謝を申し上げるところでございます。

 それでは、まず治水対策のあり方について質問させていただきたいと存じます。

 このたびの災害は、平年の数カ月分の雨量が数日間に降るという異常とも言える集中的な降雨によるものでございまして、各地で七月としては過去最高の雨量を記録しております。また、ここ数年の傾向を見ますと、こうした集中豪雨とそれによる被害はふえる傾向にあると認識しております。

 視察でも明らかでございましたように、諏訪湖周辺では水位の上昇もございまして広範囲な床上浸水被害がございましたし、天竜川では、現在の設計流量の毎秒四百トンを超える水が諏訪湖から流されまして、箕輪町では堤防が決壊するとともに、計画高の水位八・〇四メートルを超える八・一一メートルというところまで達しまして、伊那市としては史上初めて数千人規模での避難指示が出されるということで、大規模な浸水被害が起こる寸前の状況でございました。

 こうした状況を踏まえますと、諏訪湖の放流量や天竜川の当面の整備目標となる流量を見直す必要があると考えておりますが、いかがでございましょうか。特に天竜川につきましては、当日も各市町村長の皆様から御要望もありましたように、改修を早期に進めていただきまして許容できる流量をふやしていただくことが急務であると考えておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。

門松政府参考人 天竜川の最上流に位置します諏訪湖でございますが、出口が釜口水門という水門一カ所でございます。御承知のとおりでございます。将来計画におきますこの釜口水門からの放流量は毎秒六百立方メートルでございますが、下流天竜川の改修状況が進んでおりませんで、その最大の四百トンをマキシマムに長野県で操作をしておるのが現状でございます。

 天竜川水系全体の治水安全度の向上を図るには、今申し上げましたとおり、天竜川本川の整備水準と諏訪湖からの放流量の整合を図ることがまず第一の肝要なことでございまして、諏訪湖及び直下の天竜川を管理いたします長野県と、県管理の下流、我々が管理します部分とが、一緒になって対策について検討することが重要であるというふうに思っております。

 今の時点で確定したことは申せませんが、当面の整備目標であります、諏訪湖放流量毎秒四百立方メートルを見直した上で対策を実施することも視野に入れて検討して、早急に結論を出してまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

宮下委員 次に、今回の土石流被害についてお伺いをしたいと思います。

 今回の被害では、ふだん川や沢でない場所や、またこれまで被害の経験のなかった場所で大きな被害が発生しておりまして、特に、今回の災害で亡くなられた方々のケースを見ますと、いずれの箇所でも砂防堰堤設置などの対策がとられていなかったという共通点があると認識しております。一方で、地元では、中央高速自動車道が砂防堰堤としての機能を果たしたり、また小学校の体育館が堰堤としての機能を果たしたり、それによって下の地域での被害を結果的に少なくしたという例も多く見受けられました。一方で、砂防堰堤が敷設されている場所においては被害が少ないということも明らかでございます。

 また、今回の被災現場を見ますと、土石流被害では、濁流とともに多くの木が流れまして、住宅を直撃しましたり水路をふさいで、結果として周辺の住宅へ土砂が流入するというようなことで、流木による被害も多く見られました。多くの方々から、いわゆる一般的な砂防堰堤だけではなくて、スリット状の流木どめなどの機能を高めた施設の設置も効果的なのではないかというような意見も聞かれたところでございます。

 こうしたことを考えますと、砂防堰堤等の計画的な整備がこれまで以上に重要になってくると考えます。

 一方で、公共事業の縮小によりまして、こうした整備のスピードが落ちている懸念がございます。そこで、全国で必要な事業箇所や事業量がどれだけあって、現在の進捗状況はどれぐらいなのか、また、いつまでにどれぐらいの対策を行うのか、中長期的な見通しをぜひお伺いしたいと存じます。

門松政府参考人 お答え申し上げます。

 土砂災害から人命、財産を守って安全な国土を形成するためには、砂防堰堤の建設あるいは急傾斜地の斜面対策工事など、施設によるハード対策を推進することがまず重要であると考えております。

 しかしながら、現在、全国に人家等が五戸以上ある土砂災害危険箇所は約二十一万カ所ございます。その中には、保全すべき人家戸数が約三十四万戸存在しております。事業の進捗状況でございますが、平成十七年度末までに、施設整備によりまして約百三十万戸の安全を確保したところでございます。

 中長期的な事業の見通しでございますが、平成十五年に策定されました社会資本整備重点計画におきまして、平成十五年から十九年度の五年間で、土砂災害から保全される人家戸数を約百二十万戸から約百四十万戸までふやす計画を進めているところでございます。

 以上でございます。

宮下委員 今後の土石流災害を減らしていくためには、砂防堰堤の整備などいわゆるハード面での対策に加えまして、土砂災害警戒区域の指定でございますとか、ハザードマップを作成して住民の皆様方に日ごろから情報の周知徹底を図るなど、ソフト対策の整備が必要であると考えます。

 また、浸水による人的な被害を最小限にするためには、河川の浸水想定区域を画定したり、それを踏まえまして、避難経路なども明示した実効的なハザードマップの整備がやはり必要なのではないかと考えております。

 つきましては、その整備状況や今後の取り組み方針についてお聞かせをいただけないでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まず、土砂災害警戒区域等の指定状況でございます。

 七月二十一日現在でございますが、四十一の都道府県で、土砂災害警戒区域の箇所が一万六千六十五カ所、土砂災害特別警戒区域が七千九百九十二カ所の指定がなされております。現在、全国の人家などが五戸以上ある土砂災害危険箇所は、先ほども申し上げましたが、約二十一万カ所存在しておりまして、指定の作業はまだ緒についたばかりでございます。

 しかしながら、平成十七年度には、平成十三年の法律施行以降の累計指定箇所数が、三倍に及ぶ約一万カ所の指定が行われておりまして、今後、市町村、住民の理解が深まるにつれまして、この指定箇所数はさらに増大していくものと期待しているところでございます。国土交通省としましても、六月の土砂災害防止月間を中心に、市町村、住民の方への土砂災害警戒区域等の指定の重要性について啓発を行うなどの取り組みを推進しているところでございます。

 次に、土砂災害のハザードマップでございますが、危険箇所を記載した区域ごとに、約八割の箇所について作成し、配布などを行っているところでございますが、土砂災害防止法に基づきます土砂災害警戒区域等を記載したハザードマップを作成している市町村はわずか六市町でございます。このため、土砂災害警戒区域などの指定拡大の取り組みの中で、ハザードマップの整備をあわせて推進していく考えでございます。

 次に、河川の浸水想定区域でございますが、この想定区域は河川管理者が策定することになります。国あるいは都道府県が策定するものでございまして、もう一つの洪水ハザードマップ、避難方法などに関する情報を盛り込んだマップでございますが、これは市町村が作成することになってございます。

 その作成と普及の推進は重要であると認識しておりまして、国といたしましても、中小河川の浸水想定区域策定マニュアルや、効果的でわかりやすい洪水ハザードマップ作成のガイドラインを示すとともに、地方整備局の河川関係事務所に災害情報支援室を設置し、市町村に対する支援の充実を図っております。また、十七年度より補助制度を創設しまして、財政的にも市町村の支援を図っているところでございます。

 現在、浸水想定区域を公表済みの河川は全国で千二百十五のうち三百二十七の河川でございまして、約二七%の進捗状況になっています。長野県では、対象二十四のうち三河川、約一三%の進捗でございます。一方、洪水ハザードマップの公表済み市町村でございますが、全国では五二%、長野県では二七%という状況になってございます。

 今後の整備目標としましては、平成二十一年度までに、全国の主要な河川二千二百につきまして浸水想定区域を策定しまして、その対象地域である千五百の市町村において洪水ハザードマップの作成を目指してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

宮下委員 次に、財政的支援についてのお願いでございます。

 これは、地元の市町村長さん方から一番強い要望がございました。今回の大雨被害で、住宅、商店街、また、農地や林道、道路など被害が多岐にわたっておりまして、長野県南部を中心に各地に甚大な被害が広がっておりますことを踏まえまして、ぜひともこれらを一括して激甚災害として早急に指定をいただきまして御支援を賜りたいというふうに考えておりますが、今後の見通しについてぜひお聞かせをいただきたいと存じます。

増田政府参考人 お答えいたします。

 激甚災害の指定につきましては、御案内のように、災害により被害を受けました河川、道路等の公共土木施設や、農地、農業用施設等の被害、いわゆる災害復旧事業費の額を算定いたしまして、これと、被害を受けた地方公共団体の財政状況でありますとか、あるいは被災地の農業所得等の状況等に照らしまして、指定基準に該当しているかどうか判断して、指定するということになるわけでございます。

 まずは、地方公共団体の被害報告を受けまして、関係省庁において、指定の前提となります災害復旧事業費を把握することが必要になるわけでございます。現在、本年の一連の梅雨前線に伴う豪雨災害の被害額について、関係の地方公共団体において鋭意把握に努めているところでございます。

 いずれにいたしましても、関係省庁からの報告を踏まえまして、指定基準に該当するものにつきましては早急に指定の手続を進めてまいる所存でございます。

宮下委員 最後に、大臣が御出席でございますので、現地をごらんになられました御感想を含めまして、災害復旧並びに今後の防災対策についての大臣の決意のほどをぜひお聞かせいただきたいと存じます。

沓掛国務大臣 七月の十八日までは全国的に余り死者はなかったものですから、私はいろいろ災害対策がうまく効果をあらわしているなと思っていたんですが、十九日一日で全国で二十人亡くなる、そのうちの十一人が長野県で、そしてそのうちの七人が岡谷市の湊地区の土石流で亡くなるという大変悲劇的な事件でございました。

 翌々日、早速現地に参りまして、いろいろの状況を見せていただきまして、今委員御指摘のように、やはり土砂災害というのは、一体土石流はどこから来るかよくわからない。今、担当局長が一生懸命その対策を打っておられるわけですけれども、そのためにも地元なり、あるいは市町村、県、そういうものがやはり身近な土石流に対して常に注意をしておく、そういうことも必要だなと。しかし、土石流そのものは防げなくても、やはり命だけは助かるように緊急避難することをぜひやっていただきたいなというふうに思っています。

 先ほど来のいろいろで、今回のこの梅雨前線による避難指示あるいは避難勧告を受けて避難した人が二十五万人を超えているわけですけれども、私は、それは非常に大きな成果だった、いわゆる死者や被災者が少なくなるためにそういう避難行動を早くとれる、いろいろなことがうまく機能いたしまして、そのことが死者または傷害を受ける方を少なくしたというふうに思っています。

 しかし、その中でも、今のような岡谷の湊地区のようなこともありますし、また、先生おっしゃられました諏訪湖の問題というのは、三十五の川が諏訪湖に入ってきて出ていくところが一カ所、その一カ所も六百ぐらい出せればああいうことにならなかったんでしょうが、四百以上出すと天竜川が破堤してしまう。そういう中で諏訪湖が二・三メートルも高くなった、それで周辺が土砂まみれになった。

 そういうことで、これにどう対応していくかというのは大変大きな、またお金もかかる問題ですから、私は、もうこれは常に、いつもいつもそういうものへの対策を惜しまずにやっていく、そして、備えあれば憂いなし、そういう地域社会をぜひつくっていきたいというふうに思っております。

 これからも先生の御指摘をいただきながら、力いっぱい頑張りたいと思っています。

宮下委員 ただいまは力強い御答弁を本当にありがとうございました。今後も引き続き御支援を賜りますようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大野委員長 次に、宮路和明君。

宮路委員 自民党の宮路和明でございます。

 きょうはこうした質問の機会をつくっていただきまして、大野委員長初め関係各位に心から厚く御礼を申し上げたいと思います。そして、質問に当たり、今回の大災害でお亡くなりになった方、また被災された方々、そうした皆さんに心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第であります。

 質問時間が極めて限られておりますので、答弁は簡潔に、一問十秒前後ぐらいでやっていただきたい。そのことをまず最初に政府側に要請をしておきたいと思います。

 最初に、私の地元の川内川流域の大水害でありますが、河川局長、大臣は早速災害の翌々日というかあるいは翌日といいますか、七月二十四日に入っていただいたわけでありますが、行政の事務方の最高責任者である河川局長、国の直轄管理の川内川のこの今回の大はんらん、まず、局長みずから入ってもらったかどうか、それが一点。そして、今回のその大水害の原因は一体何というふうに考えるか。これを簡潔に答えてもらいたい、十秒前後で。

門松政府参考人 お答え申し上げます。

 最初の点でございますが、残念ながら現地に行っておりません。部内での指揮をとっておりました。

 二点目の原因でございますが、水害の原因は現在調査中でございます。が、二日間の流域全体の平均雨量が六百五十三ミリと、六百ミリを上回る大きな豪雨が発生したことが主なものと考えております。なお、この川内川の治水の基本であります計画においては二日間で四百二十五ミリが計画の雨量でございますが、それをはるかに上回ったというのが大きな原因かなというふうに考えてございます。

宮路委員 もっと簡潔に答えてもらえればよかったのですが。

 実は、この川内川はもう天下に有名な暴れ川でね、局長。それで、それに対応して昭和四十一年に鶴田ダムというのをこさえた。西日本一だと。そして、これで百年に一遍の雨量あるいは七、八十年に一遍の雨量を前提としてつくったので絶対に水害はない、こういうことを言って鳴り物入りでできた鶴田ダムですよ。ところがどっこい、ダムができた途端に地域は水浸しになる。

 そして、これは昭和四十七年六月十九日の新聞ですが、「北薩地方に集中豪雨」「七人死亡」と。みんな水浸しになった。そして、何とそれからまた二週間たつかたたぬかというところで、また今度は、同じ年の七月の七日に「宮之城温泉街百二十戸が流失」ということで、鶴田ダムが悪さをしてこういうことになった、こういう事態が繰り返し今起こっておるわけですね。百年に一遍どころじゃない、四十年か何年かで何回もやってくる、こういうことが。

 それで、当時から河川局の計画課長がこういうことを言っている。「ダムの”欠陥”を認める」ということが、もう四十七年のときにあるわけだ。河川局の飯塚敏夫計画課長が「鶴田ダムは昭和三十年代までの雨量を基礎にして洪水調節を考えてあるから、最近の集中豪雨では調節が無理だ」とダムの欠陥を認めている。それで、今日の降雨量を考えると、今までの設計は、これはだめだったと。したがって、抜本的な河川改修その他の対策を打っていかなければならぬ、こういうことを言っているわけですよ。

 それで、それはどうだったのか、答えてください。

門松政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の雨もそうでございますが、ダムに能力の限界があることは間違いございません。

 この鶴田ダムは、統計処理して八十年に一遍の規模の洪水に耐えられるようになっていますが、少なくとも今回の降雨は八十年に一遍の降雨規模を超えていると理解しております。ただ、流入量を超えて放流し被害を拡大したことはございません。一切ございません。そういうことで、悪さをしているというのは間違いでございます。

 ただ、能力に限界があって、最後、流入イコール放流という格好の調節になりましたけれども、繰り返しになりますが、悪さをした放流はしてございません。以上でございます。

宮路委員 役所側はそう言って説明に走り回っている。ダムの責任じゃありません、ダムの責任じゃありませんと走り回っている。ところが、地元はダムの管理がおかしいと。そして、今回の放流についても、説明責任はしっかりと果たしてくれということを厳しく言っているじゃないですか、地元は。

 当時からこのダムはおかしいということの指摘がもう繰り返しなされておるわけですよ、ダムがしっかりしていないと。河川局の計画課長もそのことを認めているわけだ。そして、反省の上に立って、この放流の仕方を初め、あるいは河川改修を抜本的に見直さぬといかぬ、こういうことを言っているわけだ。それをやったかということを聞いたわけだけれども、やっていないわけでしょう。

 今回の大災害の激甚地、最も激しかったところ、私の選挙区でいうならば、薩摩川内市の久住地区、さつま町の虎居地区、山崎地区、柏原地区。みんな前から河川改修をやってくれということを言ってきたにもかかわらず、ほとんど手がつけられていない。最近は何だ、この川内川流域で年間たった十億だ、えびのから川内川の河口まで。それほどの予算しか突っ込んでいない。それで改修に取り組んできたなんというのは言えた柄じゃない、これは全然。そのことをどう思いますか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 川内川におきましては、今回の梅雨前線豪雨によりまして甚大な被害を受けたところでありまして、河川改修の基本であります河川整備基本方針、またその下でつくります河川整備計画の検討を早めてまいる考えでございます。また、今回の洪水被害に対する対応につきましても、激特事業を含むさまざまな事業手法の中から地域に合った最適な手法を選定して、できるだけ早く実施に向けて動き出していきたいというふうに考えております。

宮路委員 今まさに局長が答えたとおり、これまで河川整備計画も全然立っていないわけだ、これだけの大河川で、暴れ河川であるにもかかわらず。そして、激特事業も本来は四十七年のその時点でやるべきだった。それが全くそういうこともしないで放置されているということですよ。だから、今回は、今その約束をしっかり守ってきちっとやってもらいたい、このことを強く申し上げておきたい。

 それからもう一点は、鶴田ダムが今もって治水対策とそれから発電用の両またかけたダムである、二足のわらじを履いているわけだ。今や川内原発が、その後、一基、二基できて、今度三基の増設計画だってあるわけだ。全然もう発電なんて関係ない、必要性はない、今や。にもかかわらず、相変わらず発電をやっているから、雨季にはもう全部これは治水用のダムに特化しろということを当時の県議会でも決議がされた。そして、当時、地元の首長さんなんかもそういうことを盛んに言っているわけです。新聞もそのことを指摘している。にもかかわらず、それもなされていない。ちょっとだけ制限水位を下げたけれども。

 だから、今回は、電源開発と話をつけて、もう雨季には発電はしないということをぜひこれは実行してもらいたい、このことも約束してもらいたい。

門松政府参考人 川内川の治水安全度の向上は、先ほども申したとおり重要であります。安全度の向上のための施策として、既存施設、鶴田ダムの有効活用というのは重要な、有効な手段であると思っております。洪水調節容量を増加することもその手段であると思っています。

 先ほど申し上げましたように、川内川の河川基本方針それから整備計画、これらを早急に策定する中で、関係機関とよく相談して、先生のおっしゃったことも一つの手法として検討していきたいというふうに考えております。

宮路委員 では、その点もしかと実行してもらうようにお願いしておきたいと思います。

 次に、商店街対策、商工業者対策について経産省にお聞きしたいと思うんですが、今回の大水害で最も大きな打撃を受けたのは商店街なんですね。ただでさえ今、空き店舗そして空洞化が目立っている我々地方の商店街でありますが、それが今度の水害でめちゃやられてしまったということなんです。

 経産省は、それに対応してセーフティーネット保証の発動を既に決めてもらった。それから、政府系金融機関による災害復旧貸し付けの適用も決めてもらった。そういうことで、その点は大変速やかな動きをしてもらったわけでありますが、これが商店街のそれぞれの皆さんにしっかりと普及、徹底する、こういうような対策を打ったということが。そして、それがまた迅速に実行されるということが肝心なわけですよね。

 それで、例えば商工会に政府系金融機関の皆さんや、あるいは信用保証協会の皆さんが出向いていって、鹿児島市でいらっしゃい、いらっしゃいとそういう商工業者の皆さんが来るのを待っているんじゃなくて、みずからが地元へ出かけていって、それで臨時の窓口を開設して相談に応じて、速やかなそうした対策の実行を行っていくというぐらいの対応が必要だと僕は思うんですが、それはどうですか。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のとおり、地元できめ細かな対応をすることが非常に重要でございまして、まず、国民金融公庫では早速に、商工会議所の場所をお借りして、特別な相談窓口を設置いたします。それから、商工中金、中小企業金融公庫それから信用保証協会につきましても、臨時の特別相談窓口を地元の要請を踏まえながら検討するように要請をいたしました。早速にそういう対応をさせていただきたいと思います。

 また、あす、私どもの中小企業庁の次長を現地に派遣いたしまして、地元の方々との意見交換をして、少しでも御要望におこたえできるようにいろいろと意見交換をしてまいりたい、このように考えているところでございまして、中小企業対策をしっかりやっていきたいと思います。

宮路委員 そういうことで、既に打っていただくことになった対策の速やかな、かつ確実な実行をやっていただきたい。

 それから次に、問題は、災害で被害を受けた商工業者の皆さんの損失、これを償う方法が商工業の場合、本当にほとんどないということですよ。

 例えば、農業であったならば、農作物は農業災害補償制度というものがあって公的な支えがある。あるいは、生産手段である農地がやられた場合は公共事業でちゃんと復旧してくれる、公共事業の一環として。それからまた、農家の皆さんの家財だとかあるいは住宅とか、そういうものが被害に遭った場合は、水害といえども、あるいは地震といえども、これは全共連という農協組織がやっている建物更生共済というやつで面倒を見てくれるわけですよ。

 ところが、商工業者についてはほとんどその手はないわけだ。火災共済はあるけれども、これは火災はやっても水害についてはほとんど手を差し伸べることができない、そういう状況ですよ。したがって、ここのところをやはり何とか公的支援も含めて見直して、そして、そういった人たちが受けた損失の補てん、この措置をやはり経産省としてしっかりこの際つくっていってもらいたい、こう思うんですが、そこはどうですか。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 中小企業者の場合には、共済の事業でいろいろな、こういう場合の、相互扶助の精神のもとで自発的にお互いにお金を積み立て合って、相互扶助をしていくという仕組みになっているわけでございます。

 今御指摘の農業等では予算補助等々もしているではないかということでございますけれども、中小企業の場合には、私どもの場合には、そういうスキームがございません。私、農業の政策に必ずしも十分通じておりませんけれども、なかなかそこは現時点では難しいのではないかというように考えておるところでございます。

宮路委員 終わりますが、最後に、難しいというふうに考えていると言うんじゃだめなんで、そこをどうやって、工夫を凝らして、一生懸命、近藤さん、頑張って政策をこの際確立するかというのがあなたの責任ですよ。しっかりと、大臣にも僕も申し上げておきたいと思うけれども、ひとつよろしくその点、難しいと言うんじゃなくて、前向きに検討するというぐらいの答弁をしてもらいたいと思いますね。

 以上お願いして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

大野委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。本日、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、今回の豪雨災害におきまして亡くなられた皆様、そして多くの被災者の皆様に心から弔意とお見舞いを申し上げたいと存じます。また、連日真摯に対応をいただいております政府各部局に対し心から敬意を表し、感謝を申し上げたいと存じます。

 さて、私は、災害発生当初より、まさに陸の孤島と化した被災地各地を、文字どおり道なき道をたどりながらお伺いをし、対応に努めてまいりました。発生直後のその惨状はもとより、日々調査が進むにつれ拡大をするその災害の大きさに大きく胸を痛める思いでございます。

 宮崎県えびの市、鹿児島県湧水町、菱刈町、大口市のいわゆる川内川上流域だけで床上浸水家屋約六百四十戸、水田の冠水二千ヘクタール以上という甚大な被害を初め、川内川の上流、中流、下流を問わず、流域全体として膨大な被害が発生しているということをまず御認識をいただきたいと存じます。

 さらには、米ノ津川水系の出水市を初め、阿久根市、長島町なども含めて、北薩一帯に広域的に戦後最大級の多大な水害を及ぼしたのが今回の災害の特徴であります。

 災害への対応におきましては、緊急対策、復旧対策、そして復興対策へと、着実にその歩を進めてまいらなければなりません。

 そこで、復旧の定義が原形に復するということにあるならば、これでは被災地の住民の皆様の不安はぬぐえず、地域の活力は生まれてまいりません。復旧にとどまらず、改良すべきをしっかりと短期間で改良する抜本的な対応こそが復興への第一の条件であると心得ます。

 国土交通省に見解をお伺いいたします。

門松政府参考人 お答えいたします。

 今回の出水でございますが、鹿児島県内においては、広域にわたりまして浸水被害が発生いたしました。特に川内川においては、えびの市、湧水町、菱刈町、大口市、さつま町、薩摩川内市など、上流、中流、下流を問わず被災が発生いたしました。

 川内川では、これまで川内市市街部の改修、中流山間地の築堤、鶴田ダムの建造、菱刈捷水路、湯之尾捷水路の建設など、鋭意河川改修を進めてきたところでございますが、今回のような記録的な出水で各地に甚大な被害が発生したと認識してございます。

 また、米ノ津川、二級河川でございますが、昭和二十四年のデラ台風による水害を契機に河川改修が完了しているものの、甚大なはんらん被害が発生いたしました。

 このような状況に対しまして、国土交通省といたしましては、今回の災害を踏まえ、再度災害の防止の観点から、迅速かつ抜本的な河川整備を行い、治水安全度の向上を図ってまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

小里委員 ありがとうございました。

 抜本的な改良を行っていきたいということでございました。それを前提にして、さらにお伺いをいたします。

 平成九年の豪雨災害に起因をする湧水町栗野地区の浸水対策事業の成果がありまして、今回、この地域の被害は軽微にとどまっております。また、多くのダムや堤防が功を奏したとも言えるところでございます。一方で、湧水町吉松地区永山狭窄部の開削や大口市曽木の滝分水路の整備など、従来その必要性が言われながらたびたび水害に見舞われてきたこれらの地域におきまして、今回も甚大な被害が発生をしております。すなわち、抜本的治水対策の有無が地域の明暗を大きく分けたのが今回の災害でございます。

 治水対策におきましては、上流、中流、下流の利害が必ずしも一致しないこと、また、限られた財政下にありましては、下流から改良をすることが基本であるということは承知をしております。しかしながら、国民の生命と財産を守ることは政治と行政の最大の責務であり、現にある危険を放置することは政治と行政の怠慢であると言わざるを得ません。

 まず、各地の堤防で三年連続して計画高水位を突破して洪水が発生していることから、これらの治水安全度の大幅な向上が不可欠であります。そして、十分な財源措置のもとに、上流、中流、下流域それぞれの危険箇所を同時並行的にダイナミックに改良を進めるべきであると考えます。

 例えば、先ほどもございましたように、河川激特事業を川内川水系、米ノ津川水系に適用していただいて、それぞれの危険箇所を五年なら五年と区切って集中的、抜本的に改良を加えるべきであると考えます。また、河川改修のみならず、流域における貯留や情報伝達体制の構築など、ハード、ソフト両面からの総合的な治水対策が必要であると考えます。

 以上、あわせて国土交通省の見解をお伺いいたします。

門松政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、川内川、米ノ津川ともに、今回の豪雨によりまして甚大な被害を受けたところでございます。

 現在、この被害を踏まえまして、治水安全度の早急な向上に向けた対策を検討しているところでございます。激特事業を含むさまざまな事業手法の中から最適なものを選定して、早期に対応を図っていく所存でございます。

 特に、川内川でございますが、上流から下流まで、一体が浸水いたしました。水系全体としての安全度の向上を図ることができるように、今回のはんらん原因の調査等を踏まえ、整備内容等の検討をしてまいる所存でございます。

 また、この整備には時間がかかります。そういう中にあって、川内川、米ノ津川の対策につきましては、御指摘のように今回の降雨規模が非常に大きいものであることがございますが、築堤、掘削等の河川改修のみならず、流域における貯留や土地利用状況に応じた浸水の許容、宅地のかさ上げ、輪中堤の整備等々、流域対策や避難体制、情報伝達体制の充実等ソフトの対策とあわせて、流域全体で減災に努めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

小里委員 ありがとうございました。

 今回の災害は、申し上げましたように、各地域におきまして戦後最大級の災害となりました。したがって膨大な被害が発生をいたしましたが、それぞれの自治体が財政窮乏の自治体ばかりであります。また、大きな被害を受けながら災害救助法や被災者生活再建支援法の適用対象にならないという地域もあります。まず、先ほどありましたように、早期に激甚災害の指定を行っていただきたい。そして、普通交付税の繰り上げ交付や特別交付税の配分に格段の配慮をお願いしたいと存じます。時間がありませんので答弁は求めませんが、いよいよこれから災害復旧が本格化をいたします。速やかな災害査定のもとに、道路、河川、農地・農業用施設、そして教育施設を初め、災害復旧に向けて早期に対応をお願いしたいと存じます。

 また、最後に、抜本的な改良を重ねてお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

大野委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 まずは、このたびの災害でお亡くなりになりました方々、また被災に遭われた方々に対しまして、心よりお悔やみ申し上げますとともにお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、早速、大臣におかれましては長野県の方に二十一日に危険の中お越しいただきましたし、委員長も二十八日にお越しいただき、現場を見ていただいたことに対しましては、心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 そんな中で、与えられたお時間、きょうは質問させていただきたいと思います。

 大きく分けて、三つに分けていきたいと思っております。まず被害状況に対して、そしてまた、それに対する指定基準に対して、また、その指定基準に対する私の考えをちょっと最後に申し上げたいというふうに思っております。

 まず、被害状況でございますが、全国については先ほど御報告がありましたとおりでございますが、長野県でも、私も岡谷市に先日視察に上がりましたけれども、きょう現在で、死者十一人、行方不明二名、負傷者二十名。私の地元松本でも、床下、床上で十八棟の浸水、その他も土砂災害、崩落等によって道路が四十三カ所、それ以外に上高地の登山道もかなりの被害を受けておるという状態であります。また、松本以外でも四十三棟の、多くの住居が浸水の被害に遭っている。そしてさらに、私の長野県は農業部門の被害も随分出てきたというふうに思います。全体では、農業、農作物被害が十六億円に達しているということでございます。

 そんな中で、全国を全体として申し上げると、学校施設が約百カ所近く被害をこうむっている。また、農業水路等の損壊等も九千カ所被災。そして、農作物は全国では四十億円近くに上っているという話であります。まずは今住んでいる方々の住宅や道路や教育施設、そして農地・農業用施設、そして河川の順番だと思いますが、まずは速やかに復旧をお願いしたいというふうに思っております。また、その後でございますけれども、危険箇所の治山、砂防事業の実施について、県と市町村と一体となって連携して、予算を含め国にバックアップをお願いしたいというふうに思っております。

 ぜひ二十一日に乗り込んでいただいた勢いで大臣に突っ走っていただいて、ぜひその御決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。お願いいたします。

沓掛国務大臣 今、下条委員から長野県の地域について詳しい御説明がございました。

 さて、七月十五日から二十四日までに発生いたしましたこの平成十八年七月豪雨、気象庁で命名いたしましたこの豪雨による被害については、長野県、鹿児島県が非常に大きかったというふうに思っています。あと、島根県、福井県、京都、その他でもいろいろ起きております。死者が二十六名、行方不明者二人でございまして、この二人は長野県の上田市と、それから出雲市の方でございますが、などの人的被害のほか、住家についても大変大きな被害が発生したことについては、今下条委員のおっしゃられたとおりでございます。

 政府といたしましては、災害の発生後、直ちに情報の収集を行いまして、人命の救助など各般の活動に取り組む一方、政府調査団を長野県と鹿児島県に派遣いたしまして、私が長野県に、嘉数副大臣には鹿児島県に行っていただいたわけですが、被害状況の把握に努めるとともに、関係省庁局長会議を開催するなど、政府一体となって各般の災害応急対策を講じているところでございます。

 昨日、関係省庁局長会議の後に関係閣僚会合を開いて、この被害対策を各省庁いかにやるかということを決めたところでございますが、今まではいわゆる応急復旧に全力を挙げてまいりました。何といっても目の前にあるいろいろなことの対応が必要でございますが、ここに参りましたので、これからはある程度恒久復旧をやろう、いわゆる災害復旧に本格的に取り組むこと、もう一つは、被災者の支援、この被災を受けた方々が生活再建できていけるような、そういうためにいろいろなことをやろうということで、従来の名称を改めて、関係局長会議、さらに関係閣僚会合を一昨日、昨日と開いたところでございます。

 これからいろいろな国の施策がございます。激甚災の速やかな指定、これによって補助率が上がりますから、大変財政的にも苦しい市町村、そういうところにおいて大変大きな影響があると思いますし、これまた総務省等にも特交等、昨日も総務大臣はしっかりやると言っておられましたから、そういう形で各大臣とも総理の指示のもとに一丸となってしっかりやることになっています。

 いろいろな手だてがございますのでここでは全部申し上げられませんが、何しろ小泉内閣挙げて今回の被災者の支援をしっかりやっていきたいというふうに思っておりますし、それからまた、これから台風シーズンも参りますので、さらにこういう大きな被害が起きないようにどういうふうにしていくか。しかし、急に来る大きな自然の力には、それをとめるというわけにはまいりませんので、まずはともかく人の命がなくならないような対策を重点的に行い、いろいろなことが起きればそれにまた対応していくという形で、何としても人命救助、人命を失わないような対策を中心にまず急いでやろうというのが昨日の結論でもございました。

 これに沿って各省庁挙げてこの対応をしてまいりたいし、先生のいろいろな御指摘も参考にしながら進めていきたいというふうに考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 まさにおっしゃっているとおりでございますので、これは超党派を含め私どもの全体の気持ちとしてお願いすると同時に、申し合わせの会の中で出られたようにぜひ連携をとって進めていただきたいというふうに改めて申し上げたいと思います。

 次に、いろいろな自治体の方向感について私はちょっと確認をしたい、そして、それについての指導についてちょっと御意見を聞きたいというふうに思っています。

 と申しますのは、今回土石流が発生した長野県岡谷市の二つの河川は、長野県が土石流発生の危険がある土石流危険渓流として調査、公表している場所でした。ともに危険渓流であるから整備は行わなきゃいけないんでしょうが、実際は行われていなかったのが現実であります。

 危険渓流や地すべり危険箇所、斜面の角度が三十度以上で高さ五メートル以上の急傾斜地崩壊危険箇所など、土石流や崩落で民家などに被害を与えるおそれがある箇所を土砂災害危険箇所として県が調査し、公表するということであります。ただし、この危険渓流の防災整備には法的根拠がなく、防災対策は、長野県が民家への被害が予想される箇所を中心に、県が国に砂防指定を申請して、指定を受けた地域で進めていく。こういう順番で、あくまで主軸がこの場合は県になっているということであります。

 また、実際私が調べた感じでは、この大災害のあった長野県の岡谷市においては、こういう申請をした後のマップを自治体がつくらなきゃいけないんですが、一九九六年、今から十年前に市内の危険渓流を記した防災マップをつくって、それを全戸に配布しています。全戸に配布、ただし十年前である。十年前以降、つまり、九六年以降は全戸に配布していないと言うんです。これが実態である。そのため、今回、被害者の多くは、十年前でございますから、危険渓流の認識というのは余りなかったというのが現場の住民の方々の意見でありました。

 自治体でせっかく調べて危険とわかっているのに整備がされていないし、住民の多くが知らないままであったということであります。これについては、もう一度申し上げますが、いろいろな意味で法的な規制、根拠がないということでありますので、私としては、さっき順番で大臣おっしゃったように、全部の箇所を整備するのは大変だと思いますし、お金も時間もかかる、そうであれば、住民にこの部分は危険だよということを繰り返し認知してもらうということが必要じゃないかと思います。

 例えば、現場に私どもが大野委員長とお邪魔して、崩れた山の中にはセンサーを置いていますよと。今度また何かあったときは、そのセンサーで察知して下に住んでいる方々につなぐと。それは起きたところはセンサーを置くかもしれませんが、問題はこれから起きるところはどうするんだと。

 先ほど大臣おっしゃっていただいたように、台風もこれからもっとあるかもしれない。この千年で地球の温度が四度も五度も上がって、零下を超えてもう摂氏に入っております。そうすればどんどん氷が解けて、ますます雨量が多くなる可能性があるということじゃないかと思います。

 そこで、これはこちらからのあくまでも提案であります。今決まっていないので今後どうしたらいいかという指導の部分での提案でありますけれども、例えば人が集まってくるところでの閲覧や各戸への配布をどんどん進めていったり、公民館や地域の掲示板に目につくようにマップを掲示しないと、今回亡くなったり、土石流が当たったり木が当たったりして体がばらばらになってしまった方々というのは、若い人じゃないです、御存じのとおりほとんど七十過ぎの方とかお年寄りの方でありますよね。そうしたら、規則がなくて、十年前にマップを配ったからいいじゃないかというのではとても、年をとってくるとなかなかそこが危険だという認識がだんだん薄れてしまうということじゃないか。そういう意味では、目立つところに張りつけたらどうだというのが一つの提案だと思います。

 そしてまた、国としても、先般「土砂災害ハザードマップ作成のための指針と解説」という冊子をつくって、住民の意見を反映したハザードマップの作成と住民への周知の方法を具体的に発表されております。これは私も存じ上げている。その中でも、富山県の氷見市なんかは、避難経路、地域の災害履歴、危険箇所について地元の事情や住民の声を反映した地域密着型の防災マップを作成して全戸に配布しているということであります。

 私が申し上げたいのは、責任をとれということではなくて、自治体によってばらばらなんですね、やっているところもあるし、やっていないところもあるし、マップはもう十年前に配ったからおれは関係ないよというところもありますし、ですから、これをもう少し指導していただいて、住んでいるお年寄りの方々に、あなたの住んでいる上の渓流は危険なマップに入っているんですよ、ただ、まだ激甚的な災害まで至らないので整備はできていませんけれども注意をしてくださいよということを、事前にそこに住んでいる方々に認知してもらうように周知を指導していったらどうかなという考えを提案したいと思いますが、この辺御意見を伺わせていただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 現在、全国に、人家などが五戸以上ある土砂災害危険箇所でございますが、約二十一万カ所存在しております。これらの箇所に対する施設の整備率は、今の段階で約二割の状況でございます。これらの危険箇所を記載した区域図に関しては都道府県が作成することになっております。また、その作成された図面をインターネットで公表、またはチラシで配布する等を行うことによりまして住民に周知しているのが現状でございます。

 土砂災害による被害を最小限にとどめるためには、原因地対策として施設整備を進めるとともに、被害を受ける被災地については、土砂災害防止法による土砂災害警戒区域等の指定を行うことによって、警戒避難体制の整備や開発行為の規制などを行うことが重要であると考えております。

 まさに今委員御指摘のように、いろいろな情報収集システムの構築あるいは伝達システムの構築をしても、エンドユーザーである住民にその情報が伝わり、行動を起こさないということになりますと、最後の最後に来て絵にかいたもちになってしまうわけでございますから、今御提案がありました目立つところへのマップの掲載等、いろいろな工夫をして指導していきたいと思いますが、特に今回災害がありました長野県を初め、都道府県を積極的に指導しながら、計画的な施設整備を推進するとともに、土砂災害防止法による警戒避難体制の確立などを図ることによりまして、土砂災害の未然防止により一層努めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

下条委員 ありがとうございます。

 要は、今の法律や責任の範囲内で何も悪いことは起きていないんですよ。ただ、今申し上げたとおりで、自治体がばらばらということと、実際に岡谷市で起きた渓流というのは何の整備もできていないし、住民もほとんど十年以上前にしか知らなかった。新しい人が来ても知らない。また、お年寄りは忘れてしまいますから。そういう意味で、これは前車の轍を踏まないという意味でも、今後の話として、今局長がおっしゃった、局長はいい名前で、門松さんですからね、新年のお祝いのあれですから、いい意味でぜひ後押しをしていただいて、なるべく起きないように、そして住民が認知して、ああ、危ないじゃないかと自分で認識して動きやすくなるんじゃないかと思います。ぜひ住民の目に触れるように指導を推し進めていっていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 次でございます。次は、今もあれさせていただいたんですが、土砂災害警戒区域についてちょっと御質問をしたいというふうに思います。

 土砂災害防止法に基づいて、自治体の知事が、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には、住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地を土砂災害警戒区域として指定。指定を受けた地域の市町村長は、土砂災害に関する情報の伝達方法、避難地に関する事項を住民に周知するために必要な措置を講じなければならない、こういうことであります。特に、住民に著しい危害のおそれがある区域は、土砂災害特別警戒区域に指定されて、住宅分譲地開発の許可制や建築物の構造規制、移動勧告の措置もとられるということであります。

 国交省では、二〇一〇年までに全国で約二十万カ所の警戒区域指定を目指している。ただ、ことし七月末で約八%の一万六千カ所にとどまっている、こういう状態であります。

 指定状況を都道府県別で見ると、これまたばらばらになっています。鹿児島県が三千七百カ所指定がある。続いて、広島県が約二千カ所指定がある。指定区域がゼロ、全くないんだという都道府県も五つあるということであります、全くないという。このように地域によって大差があるということでありますし、災害防止法に基づく区域指定は自治体の自治事務であるということに関係しているんじゃないかと思います。

 ここで、区域指定は自治体の自治事務ではありますが、指定区域がない都道府県がある中でどう指定区域をふやしていくのか。簡単に言えば、今、対象のうち九二%が指定区域にまだなっていないわけですよね、警戒指定区域の中で。ですから、自治体とも連携をとりながら、これからどうやってこれを、これは物事は順番ですから、だんだんにやっていかなきゃいけないと思いますが、進みぐあいを少しスピードアップしてもいいんじゃないかなという意味を含めまして、局長の御意見をちょうだいしたいというふうに思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 土砂災害警戒区域などの指定状況につきましては、七月二十一日現在でございますが、先ほど委員からも御指摘がありました、四十一の都道府県で土砂災害警戒区域約一万六千区域、土砂災害特別警戒区域が約八千カ所の指定がなされております。

 現在、全国に人家等が五戸以上ある土砂災害危険箇所は先ほども申し上げましたとおり約二十一万カ所でございますが、指定の作業はまだ緒についたばかりであると認識しております。御指摘のとおり、平成十七年度末では約一万四千カ所ありますが、平成十三年度の法律施行以降の累計指定箇所数でございますが、三倍に及ぶ約一万カ所の指定が行われておりまして、今後は指定箇所数がさらに増加していくものと期待しております。

 国土交通省といたしましても、土砂災害警戒区域などの指定は、土砂災害から国民の生命、身体を保護する上で最も重要であるというふうに認識しておりますし、六月の土砂災害防止月間を中心に、住民参加によります防災訓練や危険箇所パトロール、土砂災害に関する講習会などを実施するなど、市町村、住民の方に土砂災害危険区域などの指定の重要性につきまして理解を深めていただく取り組みを推進しているところでございます。

 さらに、土砂災害防止法に基づく国土交通省が定める土砂災害対策基本指針において、土砂災害警戒区域などの速やかな指定が重要であることを明記して、土砂災害警戒区域等の指定を強力に推進してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

下条委員 ありがとうございます。

 ただ、もう少しスピードアップということで私は意見を申し上げているということを認識していただいて、局長の方で踏ん張って頑張っていただきたいというふうに思っております。

 そこで、実を言うとこれから一つはクエスチョンの質問でございまして、今、警戒区域指定についてのお話をさせていただいたんですが、今回の災害と比べてみました、私の方で。そうしますと、九州の豪雨災害で六十七件の土砂災害が報告されていますが、六十七件中六十五件は土砂災害警戒区域に指定されていないんです。六十七のうち六十五は土砂災害警戒区域に指定されていない。また、死者が出た場所はもちろん指定区域ではなかったということであります。また、私どもの長野県でも、土砂災害警戒区域は約千八百カ所指定されていますが、調べる中で、岡谷市内で指定されている区域は今回の災害では一個もなかったのであります。指定区域じゃないところで災害が起きてしまった。福井県においても、土砂災害が発生した十四カ所のうち、警戒区域に指定していたのは一カ所しかなかった。つまり、十三カ所が指定でないところで起きているということでありますね。

 このことから、私は、警戒区域の指定が本当に災害防止に役立っているのかなと。恐らく役立っているんだと思いますけれども、何か足りないものがあるんじゃないか。したがって、今回の七月豪雨の被害に関しての結果から、数字で見たときに、指定していないところがほとんどじゃないのという結果になってしまったということであります。これは結果の話であります。

 私としては、原因としては観測史上最大の、最高の雨が、想定を超える雨量、降ってしまったということがあると思うんですね。ただ、その想定というのが問題になってくると思うんですよ。つまり、これからは従来の地球温暖化がいろいろ言われた直後ぐらいの想定の基準ではとても、想定を超えることが起きたら今まで置いた想定の意味がなくなってしまうということだと思います。ですから、この辺にもう少し積み重ねの部分が必要じゃないかなという感じがします。今、現状に照らし合わせ、また、今の環境に照らし合わせて想定を少し変えていく必要があるんじゃないかと。

 そしてまた、この指定が、いろいろ問題が起きると基本調査に時間がかかったり、その場所が特別警戒地域であるということになれば、建築とか開発とか、簡単に言えば私権の制約にかかわってしまう。それによって指定になかなかぱっと踏み切れないというところも……。現状、民間の方々がほとんどですから、土地持ちは。ですから、そういうこともあるかなと私は理解しています。それだから進まないというわけにはいかないと思うんですが。

 こういう現状を全部加味して今後の話はどうするかというお話を申し上げたいと思うんですが、そういう意味で、警戒区域外で土砂災害が多かったよという今度の災害の結果を踏まえると、発生箇所の過去の発生履歴や発生原因をもう一度細かく御省で整理していただいて、基本方針とか指定基準等についてもう一工夫、再検討がこれからも必要になってくるかな。これから雨が多くなりましょうし、私もこの間あるテレビを見ていて、先ほど申し上げた、一千年の間に五度も六度も七度も温度が上がって、どんどん水ものがふえている状態の中で、今までの想定の範囲内では、もっとふえる雨、そして想定を超えた雨になったときに、必ずそこに災害が発生する可能性があるなというふうに思います。これを加味した上でお答えをいただければというふうに思います。お願いいたします。

門松政府参考人 委員御指摘のように、想定を超える降雨であったことは間違いないと思いますが、いろいろな条件が重なって発生したものと思っております。今後、調査をして新しい方向を出せればなというふうに思っていますが、少なくとも、今回の豪雨で、設備がきちっと整備されているところで被害は生じていないということは事実でございますので、その辺も踏まえて今後の方向を決めていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

下条委員 もし大臣から御意見いただければ、今の件についても一言いただきたいと思います。

沓掛国務大臣 私は、日本じゅうのすべてについて国が責任を持ってやるというのは非常に難しいことで、国は大きな被害の発生するようなところについては当然責任を持ってやるべきですし、それから県や市町村、今、私も岡谷の湊地区を見てまいりました、これは中ぐらいの大きさかなというように思うわけですけれども、しかし、そうでない小さいところでも随分土砂崩れがありますから、そういう小さい土砂崩れについては、やはり市町村が住民の方ともいろいろ相談しながらそういうときにはどうするかということをいろいろやっていく。また、県レベルのもの、国レベルのもの、そういうものがやはり必要ではないかなというふうに思っています。

 私は今国家公安委員長もやっているものですから、重大犯罪人については警察当局がやるけれども、地域地域においてのボランティア的な団体というのが今日本で二万ぐらいできました、この一年間で二千ほどふえたわけでございますが、それが地域地域の治安を守っていく。そして、大きなものについては警察当局にやってもらうとか、きめ細かな、小さな、市民生活に密着した問題についてはやはり市町村なりボランティアなりそういうものが関心を持ってやって、そして、国全体としてそういう安全、安心が守られていくようなことではないかな。

 やはり、国だけで、今の国土交通省だけで、おまえ、だめだだめだと言ってもおのずから限界があるので、それはまた国家公安委員会も同じでございまして、そういう点で今国家公安委員会は非常に、地元にそういうボランティア体制をとっておりますが、これができると、地域の不審者とかそういう人たちはほかのところに流れていくんですよ。まあ、それはいろいろあるんですが、自然はそう流れていかないはずですから。そういう、段階的にみんなで協力し合って、ここだけだ、だからおまえはやらなきゃだめだと言うんじゃなくて、力を合わせていくことがやはり大切ではないかなというように思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたのでこれで終わりにさせていただきますけれども、被災地の方々は本当に行政府の方々がお邪魔していただいたことに勇気づけられておりますし、また、自衛隊を含めて、今までのいろいろな方々の支援に対して感謝しておりますので、ぜひ大臣のリーダーシップを今以上お持ちになっていただいて、頑張ってやっていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

大野委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 まず初めに、今回の豪雨でお亡くなりになられた方に対しましてお悔やみを申し上げますとともに、被害を受けられた方に対しまして心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 冒頭に大野委員長から活動報告がございましたが、七月の二十八日の日に現場に行ってまいりまして、五カ所の現場を視察し、また、知事初め関連団体の首長さんから陳情をお受けいたしたわけでございます。

 今回の豪雨、平成十八年豪雨ということで、沓掛大臣初め、政府の皆さんも非常に対応を早くしていただきまして、心から感謝を申し上げますとともに、敬意を表する次第であります。また、岡谷市の湊地区では大変な数の方がお亡くなりになったわけでありますけれども、自衛隊の諸君が大変頑張っていただいて、献身的な活動に対しまして心から敬意を表したいと思う次第であります。

 それで、私の方は、まず初めに、先ほどから出ておりますが、このところの豪雨の状況でございます。

 先日も、NHKを見ておりましたら、群馬大学の先生でありましたでしょうか、この十年はどうも雨の降り方が変わってきておる、ゲリラ的な雨が降っておる、このようなこともおっしゃっておられたわけであります。

 それで、気象庁の集中豪雨の発生状況を見ますと、一時間当たり五十ミリ以上の発生回数が、昭和五十一年から六十年まで平均二百九回、また昭和六十一年から平成七年までが平均二百三十三・九回、平成八年から平成十七年までが二百八十七・九回ということで、確実に回数がふえてきております。この時間当たり五十ミリの雨というのは大変な雨で、今回の集中豪雨は、鹿児島県では時間当たり雨量が九十ミリを超えるという大変な雨が降っております。また、累計しますと一千ミリを超えるような雨が降ったというような状況は、従来、我が国が防災の体制をつくっておったわけでありますけれども、また新たな見直しをしていかなきゃいかぬぐらいの大きな変化が生じておるのではないか、このように思うわけでございます。

 それで、お亡くなりになった方の状況を見せていただきますと、御高齢の方が多いわけであります。七十歳を超える方が、長野県の豪雨でもかなりの方がお亡くなりになっておりまして、大体、大宗はやはり御高齢の方、障害を持った方、乳幼児であるとか、また妊婦など、こういうような、なかなか援助をしてあげないと自分では避難ができないというような方がやはり被害に遭われていらっしゃって、お亡くなりになっておられるわけであります。

 このようなことがございますので、政府の方では、この平成十八年の三月に災害時要援護者の避難支援ガイドラインというものを策定していただいております。先ほども申し上げましたように、要援護者というのは、御高齢者、障害者、外国人、また乳幼児、妊婦など、このような方が災害時の要援護者というようなことのようであります。

 ここで問題点が三点ほど挙げられておりまして、一つは、防災関係部署と福祉関係部署等の連携が不十分で、避難勧告などの伝達体制が十分に整備されておらない、これが第一点であります。第二点が、個人情報への意識の高まりによりまして要援護者情報の共有、活用が進んでおらない、こういうようなことが二点目。三点目が、要援護者の避難支援者が定められておらないで、避難行動支援計画・体制が具体化しておらない、こういうようなことがあります。個人情報保護法が出てまいりまして、個人情報がなかなかつかめない、行政の方でそういうようなこともあったりして、このような三点が一つ大きな問題として挙げておられるわけであります。これは非常にそういう意味では重要なポイントだろうと思います。

 このガイドラインが策定されましたのが、先ほども申し上げましたように本年の三月でありますけれども、今回、大雨被害があって、先ほど大臣のお話を聞いておりますと、この集中豪雨の期間内に、長野県、鹿児島県を中心として、死者が二十六名、行方不明者が二人など人的被害が出ておりますと大臣の方がおっしゃっておられたわけでありますけれども、今回、このガイドラインがどのように活用されたのか、まず初めにお伺いをいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 ことしの三月に、災害時要援護者の避難支援ガイドラインを策定いたしました。この趣旨はほぼ今委員がおっしゃられたとおりですが、一つにはやはり要援護者となる人が、どういう人がどこにおられるのかということをまず知らなければなりません、まずそれを調べて知ってください。二番目に、では、いざというときに、その人をだれがどこへ連れていくのか、そのことをちゃんと決めておいてください。そして三番目に、そういうふうに避難所へ行った後、介護士とかいろいろな人たちに世話をしていただくのにどういうふうにするかということを決めてくださいというのが基本的な流れでございます。

 ところが、今委員おっしゃられましたように防災関係と福祉関係の連携が必ずしもというところに個人情報保護法の問題がございまして、まず、その要援護者に当たる人はかなり福祉部局では把握しておりますが、防災部局でそれを出してくださいと言われても、これはなかなかそのままには出にくい問題もございます。

 そこで、いわゆる個人情報保護の問題は自治の関係でございますから、個人情報保護の条例でいろいろ決めていただいているわけでございますが、そういう中である程度解釈的にやれるものもあるし、あるいは手を挙げて、その人たちが自分はそういうところで保護してもらいたいという、手を挙げて、その人を選ぶ方法もありましょうし、その中間的な方法というのもいろいろあるわけですけれども、そういう中でいろいろ議論していくものですから、そこの防災部局と福祉部局が連携を密にして、内部的にも情報を協力していただけるところとなかなか難しいところがいろいろあるというのが一つでございます。そういう関係で、非常に連携をとりながらうまくやれているところもありますが、なかなかそのことがつかえて動きにくいというような問題というところもございます。

 そこで、この問題はこの避難支援法をいろいろやっていく上において隘路でもございますので、今、関係省庁を集めましてそういう問題についてどうするかという検討会を、この七月二十七日、第一回、今いろいろ問題がございましたので、それを踏まえてこれからどうするかということで、七月二十七日に、そういう関係、主に中央官庁のお役人関係ですが、有識者の検討会を今開始したところでございます。この個人情報保護の問題をどのようにしていくかというのが福祉部局と防災部局の連携がうまくいくかどうかということで、その辺をいろいろ統一した考えを持ちながら、しかしこれはあくまでも自治事務でございますので、地方公共団体にさらにそういう指導をしながら、連携をとりながら、いざというときに要援護者がしっかりと保護されていくような体制をしっかりしていかなきゃならないなということを、去年一応決めて、さらにそれをいろいろ修正したんですけれども、この三月につくったことについて、今回が一つの大きなテストケースでもあったわけですけれども、その辺について今いろいろな問題があったので、そういう問題をしっかりとこの有識者会議、検討会でいろいろ検討した上で、地方公共団体にもさらにそれを指導しながら、そして、基本的な考え方は私はこれでいいんだと思いますが、その運用について、さらに緻密に、また皆さんの理解を得られるような形でやっていきたいというふうに思っております。

谷口(隆)委員 まさに大臣おっしゃるように、逆に個人情報保護法が一つの壁になっておったり、大変なことがあるわけでありますけれども、より一層進めていただきまして、安心して要援護者の皆さんが避難できるような体制をつくっていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 今回、視察をさせていただいて、現場は五カ所回らせていただいたんですけれども、現場に行きますと、上の原小学校、委員長も一緒に行っていただいたわけでありますけれども、そこで見ますと、土石流がばあっと下までおりてきて、小学校のところでばたっととまるわけですね。それで、早朝でしたから児童もまだ来ておりませんし、大きな被害に至らなかった。しかし、横には住宅街がありまして、こっちの方に土砂崩れで流れておったら大変な被害が出ておるという、やはり不幸中の幸いであったわけでありますけれども。そういうことがあって、やはりどこから土砂崩れが始まるかわからないというようなところもあるわけですけれども。いずれにしても、そういう体制をつくっていく必要があると思うわけであります。

 それで陳情をお受けしたときに、先ほども出ておりましたが、激甚災害の指定を早くしてもらいたい、こういう陳情がございました。それは、見せていただきますと、一刻も早く激甚災害の指定をしてもらいたいという気持ちはよく理解できたわけでありますけれども、ですから、一刻も早くこの指定をお願い申し上げたいと思うわけでございます。

 そのプロセスは、先ほどもおっしゃったように、まず初めに中央防災会議の意見を聞かなければならない。その際に、災害復旧事業費と地方の財政力の状況を勘案して激甚災害指定が行われるということでありますけれども、激甚災害指定といっても、本激、局激というんですか、そういう地域指定のものと全体のもの、こういうように分かれておるようでありますけれども、今回の場合は非常に広い地域にわたっておるわけでありますけれども、いろいろ検討された結果、では指定しようといったときに、これは本激になるのか局激になるのか、どのように考えたらいいのか、どういうようにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 被災した地域というのは大変財政力も厳しいところが多いわけでございますから、その補助率を高めていただくというのは復旧において欠かせない大事なことでございます。

 そこで、この激甚災害の指定というのは大変重要な課題になるわけでございますが、今回の災害については、ある程度、梅雨前線、全体的なものですから、全体的な考え方が必要ではないかなというふうに思います。施設的には公共土木施設等の被害、あるいは農地等の被害等々を別々にそれぞれ指定されるわけでございますけれども、何しろ一日も早くこれを激甚災として指定することが私は非常に大事だというふうに思っています。

 ただ、今も委員おっしゃられましたように、まずそれは市町村がどれだけの災害復旧事業費が必要かということを調査し、それを把握した上で、関係省庁にそれを上げまして、これだけ復旧費は要りますよと。そして、さらにそれを精査して各省庁が財務省と内閣府の方に上げて、内閣府、財務省が相談し合って、これで行こうという方向が決まれば中央防災会議にかけ、それを局議にかけて、そして激甚災の指定の政令を出すということなものですから、そこにかなりの手続が必要になります。大体、通常二カ月ぐらいということが考えられておりますが。

 今、できるだけスピードアップをして激甚災害になれるように、もちろん激甚災害になるには委員御指摘のとおりいろいろな基準がございますので、そういうものをクリアしながら、早く激甚災害の指定を受け、市町村が安心というか一生懸命この復旧に全力投球できるようにやっていくことも大変大切なことだというふうに思っておりますので、これからもそういう方向で力いっぱい頑張っていこうというふうに思っております。

谷口(隆)委員 大臣、ありがとうございました。早く激甚災害指定が受けられるように、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それで次に、この豪雨を見ておりましたら、先ほども申し上げましたように大変な雨量で、このような雨量が続きますと、私は今大阪から出てきておりますが、大阪の大都市河川の淀川というのがあるんですけれども、淀川のはんらんは昔はかなりあったようで、河川法は淀川のはんらんから出てきたというようなことも聞いておるわけでございます。

 大都市の中にあんなに大きな河川というのは余りありません。ですから、大阪の人たちは淀川なんというのは大丈夫だというように思っておりますが、仮に淀川の上流の木津川だとか桂川で鹿児島県で降ったような一千ミリを超えるような雨が降りますと、淀川といっても非常に危ないわけでございます。

 そんなことで、先ほど出ておりましたハザードマップのことをお聞きしたいわけでありますけれども、このハザードマップは、淀川の場合で考えますと、高台がありません。ですから、車で逃げたところで逃げられないわけであります。それで、流域人口は数百万人おられるわけであります。

 このような場合に一体どういうように避難したらいいのかというのが私が政治家である一つの使命だと思っておりまして、いろいろなところで河川事務所の所長さんともいろいろなお話をさせていただいておるわけでありますけれども、ハザードマップも、大阪市がつくったハザードマップを見ますと、はんらんすると、この地域はこのぐらいの浸水地域になりますよということなんですが。仮にはんらんしますと、決壊でもしたら大変です、それはもうエネルギーが物すごいエネルギーで吹っ飛ばされますので。越水になるのかどうかわかりませんが、仮にはんらんしますと、四、五メーターになるということになりますと、二階建てでは無理だ。そこで避難しなきゃいかぬわけですね。

 この避難するというのも、流域人口が先ほど申し上げておりますように数百万人おられるわけで、これを受け入れるだけの公共的施設がありません。そうしますと、民間のビルを開放していただかなければならぬわけです。この民間のビルを開放するというのは、国民保護法の審議のときでもそうでありますが、私権の問題がありますからなかなか難しいわけですね。

 それで、平成十七年十二月二十六日に大規模降雨災害対策検討会というのが「洪水氾濫時・土砂災害発生時における被害最小化策のあり方」ということで取りまとめをいただいておるわけでありますが、そこに、公共施設等による避難場所が十分確保できない場合、民間ビルと協定を結ぶなどにより避難場所を確保するほか、一時避難場所として近隣のビルや道路等の利用を図るというようになっておるわけでありますけれども、具体的に一体どうしたらいいのかというのがあるわけですね。

 これは河川局長、きょうおいでいただいておりますが、このハザードマップの問題、これは地方団体のことなんですが、地方団体にもこういうようなことがあるからやってもらわなきゃいかぬと、こういうような連携を深めていただかなければいけませんし、具体的にどうしたらいいのかということを最後にお伺いいたしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 洪水ハザードマップに記載される避難場所でございますが、原則として市町村が地域防災計画に定めた避難場所となります。また、人口の集中します都市部の浸水に際しては、従来の避難場所で十分でない場合には、先ほど委員が御指摘のとおり、近隣市町村と連携したり、近隣の安全な建物へ一時的に避難をするなどの柔軟な対応も必要であると考えておるところでございます。

 淀川下流部でございますが、洪水ハザードマップを作成している市町村におきます事例を若干御紹介いたしますと、現行の公的施設等のみでは十分な避難場所を確保することが難しい自治体もあると聞いております。公的施設だけではなく、近隣の安全な建物への避難についてハザードマップに記載している市町村もあるやに聞いております。

 国土交通省といたしましては、こういったいろいろな事例を各地域に紹介するとともに、地方整備局の中の関係事務所に災害情報支援室を設置して、関係市町村を指導していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

谷口(隆)委員 これで終わりますが、ぜひ、あなたはどこに逃げたらいいですよというところを、そこまで明確にハザードマップのところに大都市河川の場合は記載していただく必要があるというように思いますので、その点よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上でございます。

大野委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、このたびの豪雨災害において、犠牲者並びに御遺族、被災者の皆様には心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 私は、七月二十三日、党の対策本部として長野県に入り、また今般、二十八日の委員派遣にも参加をさせていただきました。

 昨日、岡谷市湊地区では、百十四世帯への避難勧告が解除をされましたが、引き続き二カ所の避難所に二十三世帯六十一人がとどまっているとのことであります。新築の家を跡形もなく流された方、家はあっても土砂だらけで何から手をつけていいかわからない方、本当にこれからが大変だと思います。

 私は、避難所で被災者の声を直接伺いました。だれもが圧倒的に、情報が欲しい、あるいは情報が一貫していないことを要望の第一に挙げました。災害の初期には避難勧告のタイミングや安全情報が重要になりますが、今の時期は、自分がこれからどのように住まいと暮らしを再建していくのか、そのプロセスが知りたい、これが中心になるのではないでしょうか。

 そこで質問の第一は、内閣府がことし「被災者支援に関する各種制度の概要」というパンフレットを作成しました。これであります。(資料を示す)大変いいものなので皆さんにお配りしたいと思ったんですが、残部が余りないそうで、ぜひ増刷していただいて、ホームページからも引くことができます。授業料や公共料金などの免除制度、税金の減免など今すぐ役立つ知りたい制度から、住まいや営業を再建するための諸制度など多岐に盛り込まれてあります。また、住宅応急修理制度や地域住宅交付金制度など、この間大いに活用すべきだと訴えてきたこと、中越地震などで生かされてきた制度が盛り込まれてまいりました。これをどう生かすかということであります。

 長野県では県職員が一丸となった相談窓口も開設されております。自治体の独自の取り組みも生かしつつ、情報を的確に届け、被災者一人一人が再建の道筋を選択できるように国はどう支援し取り組んでいくのか、これについて伺います。

沓掛国務大臣 今、委員には内閣府でつくりました被災者支援に関するパンフレットのPRをしていただいて、ありがとうございました。

 さて、内閣府におきましては、被災者の方が各種の支援制度を最大限に活用しながら生活再建や地域の復興に向けて取り組むことができるように各種の支援制度をわかりやすくまとめたパンフレットを作成し、本年六月に各地方公共団体に送付するとともに、ホームページにも掲載しているところでございます。

 災害が発生した場合には、被災地方公共団体において、このパンフレットをもとに地方公共団体独自の支援制度等も含めた支援メニューを作成するとともに、住民へ適切な情報提供を行い、相談体制を整えていくことが重要と考えております。今後ともさまざまな機会をとらえてこの趣旨を各地方公共団体に徹底してまいりたいと考えておりますが、例えば、既にこういう形で、これは鹿児島県で、今度、川内川のはんらん後にこのパンフレットを参考にいたしまして鹿児島県としてつくったのがこのデータでございまして、(資料を示す)こういうものをいろいろ配っていただいているそうでございます。

 また、それで窓口をどうするかというような問題もいろいろございますけれども、それにつきましても、今、大きな被災を受けました鹿児島県、長野県ではいろいろな対策をしてくださっております。

 鹿児島県では、被災者支援に関する「被害を受けられた方へ」の開設で、そこでいろいろな相談に応じるようになっております。また、メンタルケア電話相談窓口も開設しております。また、住宅相談窓口の開設、これは各土木事務所や県庁住宅政策室等で行っております。また、金融相談窓口の開設も、これは県庁の経営金融課などで行っております。また、長野県でも今申し上げたもの以上にいろいろな窓口等もつくってきております。

 委員おっしゃられるように、内閣府においてつくったパンフレットが次第にこういう災害が起きた直後にそういう地域において生かされつつあるというふうに思っておりますが、これからもこの芽がどういうふうに生かされたかについてまた調査をしながら、さらに適切な指導をしてまいりたいというふうに思っております。

高橋委員 避難所で区長さんらが打ち合わせをしておりましたけれども、この地域は防災訓練のモデル地域である、助け合うことはできる、そして地域でできることはやる、だから、それが地域の力ではできないことは行政がやってほしい、安心して住めるように防災対策をしっかりやってもらいたい、このように強く要望されました。この声を受けとめていただきたいと思います。

 ある女性は、県道は県、市道は市、自宅は自分でやれと言われて、絶対にそれでは無理だと思ったと途方に暮れておりました。精神的にも打撃を受けているときに、こうした突き放すような言葉をされると、本当に二重に負担であります。

 これも情報の不徹底が原因でありまして、現実には、自力で解決できない方への支援はたくさんあると思います。その一つが災害救助法による障害物の除去であります。範囲は住宅とその周辺と限っております。しかし、今回のような土砂災害は、上流から流木や家、湊地区の場合はお社まで土砂になってしまいました。家と家の境界をすることに余り意味がありません。もともと災害救助法の計算は、個々の被災者単位ではなく、総数で見るプール制でありますから、特別基準なども含め思い切った柔軟な対応をするべきと思いますが、この点について伺います。

金子政府参考人 災害救助法についてのお尋ねでございます。

 議員御案内のとおり、災害救助法につきましては応急的な措置をするというのが法律の趣旨でございます。そういったことで法律的な目的というものがあるわけでございまして、あらゆるケースにというのはなかなか難しいわけでございます。

 それから、運用ということにつきまして申し上げますれば、今、国庫負担の算定に当たってプール制がとられているということなので、これは全体で総枠管理するということですので、そういったことで柔軟に対応すべきはしていかなければいけないと思っております。

 それで、住宅の敷地内に流入した土砂、こういったものを除去しなければならないという際にこの適用をどうするかということでございますが、私ども、法の趣旨に照らして、それを除去しなければ居住が不可能であるとか、あるいは住居への出入りができない、こういった日常生活に著しい支障を及ぼす、こうした範囲で救助の対象にするとしているところでございます。

 その運用に当たりましては、それぞれ事例は区々で、いろいろなケースが実態としてはあるんだろうと思います。今申し上げましたような法の趣旨、原則を踏まえつつ、またその災害の実態といったものも踏まえた上で、適切に実施主体であります都道府県あるいは市町村で御判断をいただくということではないかと考えております。

 厚生労働省といたしましても、この災害救助法の適用につきまして、関係方面からの御相談があれば適切にそれに対応して、できる限り柔軟な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。

高橋委員 今、柔軟な運用ということで確認できたと思います。

 法律の趣旨ということを随分強調されましたけれども、もちろん、住居と道路に出るまでの障害を除去するのが基本だというお話だったと思うんですが、今お話をしたように、また委員の皆さんもごらんになったように、家と家の境界というのが、土砂の量が非常に多くて引くのが難しいような今の状況である。そしてまた、上流から流れてきた中で、ここからここまでは出入りの範囲よと、そう単純にはいかないというところを踏まえて、許される総額の範囲でやってほしいということを言ったまでであります。

 もちろん、救助法では対応できないものもあります。それは十分わかっております。それについては行政や県がやるということは当然だと思います。それに対して、やはり国も大いに支援をしていただきたいということは内閣に対してお願いをしたいと思います。

 長野県は独自に厄介な災害廃棄物の処理をいち早く引き受けております。これは大変自治体からも喜ばれています。自治体独自の取り組みに対して国が強くバックアップしてくださることを要望しておきたいと思います。

 次に、例えば箕輪町や辰野町のように、災害救助法の適用を見送ったところもあります。しかし、例えば私たちが行った北小河内中村地区というところ、一本の坂道を挟んで三十弱の世帯が向かい合っているんですが、この狭い道を一気に流木と土砂が襲ってきたということで、けが人はなかったんですが、大変な被害をこうむっています。

 こうしたところに、救助法は見送ったとしても、支援という点で被災者生活支援法が使える道があるのではないか、あるいはそれがあるとすれば積極的に活用を促すべきと思いますが、この点についていかがでしょうか。

沓掛国務大臣 被災者生活再建支援法は、災害救助法施行令第一条第一項第一号または第二号に該当する被害が発生した市町村、そういうところは当然ですけれども、すなわち、大規模な住宅浸水被害等の発生した市町村について適用されるわけです。ですが、ほかにもいろいろ適用されるところがありまして、また、これに加えて、災害救助法の適用がない場合でも、十世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村あるいは百世帯以上の住宅全壊被害が発生した都道府県、五世帯以上の住宅全壊被害が発生し、かつ、今申し上げた被災者生活再建支援法が適用される市町村または都道府県に隣接する市町村にも適用されます。さらに、災害救助法施行令第一条第一項第一号または第二号の適用がなされなかった場合でも、これに該当するような大規模な住宅浸水被害等が発生したと後に認められた場合には支援法の対象ともなります。

 これらのことについては、これまでも各都道府県に通知しているところでありますが、今般の豪雨災害により被害の発生した各県に対しては、改めてこの旨を連絡し、周知を図ったところでもございます。今後とも、被災者生活再建支援制度の積極的な活用を図り、被災者の一日も早い生活再建に資するよう努めてまいりたいと思っています。

 これはたしか平成十一年、私も長いこと災害をやってきたんですけれども、個人に対する国からの支援というのは実は何もないので、私も非常に苦労していたんです。そういう中において、この生活再建支援法で、百万円でしたけれども平成十一年から実施されたことは大変ありがたい、画期的なことだというふうに思いました。しかし、百万円ですから、それを一昨年から三百万円までに上げて施行される、もちろんいろいろな条件はあるんですけれども。ということで、半歩なり一歩なりでもそういう面で個人の被災者に対する、個人の被災した方は非常に大変です、それに対してそういう手が進められた、政策が進められているということは大変ありがたいことだなというふうにも思っておりますので、そういうものをできるだけフルに生かせるようにやっていきたいというふうに思っております。

高橋委員 ありがとうございました。

 これからもよろしくお願いいたします。

大野委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 まず、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りすると同時に、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 最初に要望を申し上げたいと思います。

 実は、私ども社民党の各県の組織が鹿児島それから長野の被災地を視察調査いたしました。各県知事さん、三十項目を超える要望を出しているんですが、その中で特にぜひここで要望として申し上げたいことがございますので、お聞きいただきたいと思います。

 鹿児島でいうと、先ほど来お話がございました川内川それから米ノ津川の流域にある自治体、ここになるべく早く、先ほど御答弁ありましたけれども、激甚災害指定をぜひ行っていただきたいということと、同時に、両河川のはんらんによって被害を受けた自治体に対する激甚災害特別緊急事業を早期に採択していただきたい。

 それから、共通する問題でいえば、被災者生活支援制度の適用要件を緩和するあるいは充実するということも早急に検討していただいて、そして被災者に対する支援を早急に行っていただきたい。それから、交付税の繰り上げ支給ということができないのか、あるいは特別交付税の重点配分ができないのかということについてもぜひ御検討いただきたいということを含めて、報告がありましたので、この場で御要請を申し上げておきたいと思います。

 そこで、質問に入りたいと思いますが、ことしの大雨による災害の特徴の一つに土砂災害というのが指摘をされているわけです。今回の災害でいうと、これまでと違って約七割が土砂災害であるというふうに言われているわけです。河川に対する治水関係、不十分なところはたくさんあるんでしょうが、そこは随分力を入れてきたんだけれども、しかし一方では、がけ崩れだとか土石流だとか地すべり、こうした災害に対する対策というのは決して進んでいるとは言いがたい、むしろおくれていると言わざるを得ないんではないかというふうに今回の災害を見て感じました。

 原因はいろいろあると思いますが、例えば、先ほど来話が出ている、豪雨が非常に多くなっているとか、あるいは特に森林伐採が影響しているんではないか等々あるんですが、そこで、森林伐採の影響が土砂災害の原因になっているという指摘があるわけですが、これについて政府はどういう見解をお持ちになっているのか。また、地球温暖化対策としても重視をされている森林整備、これが非常におくれていて、山が荒れている。

 古老の話などもよくテレビで出ていましたけれども、昔もこの程度の雨が降ったけれども、そんなことはなかったんじゃないか、しかし山が荒れて、どうも土砂災害がふえているんじゃないかという古老の話もありました。山が荒れているという声も聞かれるわけですが、これについて実態がどうなっているのかということについて最初にお聞きをしたいと思います。

石島政府参考人 答弁申し上げます。

 土砂災害の原因についてでございますが、これにつきましては個別の事例ごとに調査を行う必要があると考えておりますけれども、一般的には森林の保水力ですとか、根が土を支える力であります支持力、これを超える記録的な大雨が降ったことなどに起因するものが多いと考えておりまして、森林の伐採が直ちに土砂災害の原因になっているとは考えていないところでございます。

 他方、森林の状況でございますが、近年の木材価格の低迷などによりまして林業生産活動が停滞いたしております。これによりまして間伐などの手入れが不十分な森林が増大してきておりまして、国土の保全ですとか地球温暖化の防止などの公益的機能の発揮に支障を来すことが懸念される状況にあると見ております。このため、間伐などを行います森林整備事業、また治山事業、さらに保安林の指定によります伐採行為の規制、こういったことによりまして多様で健全な森林の整備保全を推進してまいりたいと考えておるところでございます。

日森委員 ありがとうございました。

 次に、土砂災害警戒情報というのがあるんですが、実はこれは気象庁の関係なんですが、しかし今回、島根県の例をとると、土砂災害警戒情報というのは出されたけれども、実は市町村の側で避難勧告の発令まで至らなかったという事例があって、被害が拡大したような話も出ているようです。

 この土砂災害警戒情報、これがどういう意義を持っているのか、この発令と避難措置までの流れについて具体的にどういう格好になっているのか、お伺いをしたいと思います。また、今回の情報の発令状況と今後の取り組み、そごもあったようですから、これについてお伺いをしたいと思います。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 土砂災害警戒情報は、大雨警報が発表されている状況の中で、地盤状況、過去の土砂災害、降雨履歴、観測雨量、降雨予測等から、市町村を特定して土石流やがけ崩れ等の土砂災害の危険性を示す情報でございまして、都道府県砂防部局と地元気象台が共同で発表するものでございます。

 この情報は、国土交通省河川局砂防部と気象庁が連携して推進しておる施策でございます。市町村を特定して発表する情報でございますから、市町村長が行う避難勧告等の判断に役立つことを期待しております。土砂災害は発生の危険性が目に見えるものではございませんので、避難勧告等の判断にはこの土砂災害警戒情報を活用していただきたいと考えております。

 先生お尋ねの今回の発表状況等でございますが、今般の平成十八年七月豪雨では、土砂災害警戒情報は、島根県では十九の市町村、鹿児島県では十五の市町村に対して、おおむね災害発生の数時間前までには発表されてございます。今後の改善に向けた取り組みでございますが、情報の信頼性を高めるために降雨予測の精度向上に引き続き取り組むとともに、地元自治体、住民の方々に対しても、情報の持つ意義を十分に周知するように取り組んでまいります。

日森委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、これは他の委員さんからも質問が出たんですが、土砂災害警戒区域、これを指定すべきところが二十一万あるんだけれども、三月の末日現在で一万四千二百九十六であるということで、大変指定がおくれているということの御答弁がありました。確かに、ここへ来て一万件以上指定してきたということは評価ができるんですが、しかし、二十一万カ所指定するにはまだまだほど遠いということが言えると思うんです。

 問題は、先ほど少しお話がありましたけれども、一体何が障害となって警戒区域の指定がなかなか進んでいかないのか、二十一万あるのに一万数千しか指定ができないのか。この障害になっているものがあるとすれば、それをしっかりと取り除いていかないと、二十一万カ所といってもなかなか難しい話になるんじゃないかというふうに思っているんですが、これについて国交省にお答えをいただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まず初めに、指定を進める上での課題でございます。

 現在も各都道府県におきまして指定が逐次進められておりますが、指定により土砂災害警戒区域内における警戒避難体制の整備及び土砂災害特別警戒区域内の住居の立地規制などを行うことになるため、関係いたします地域住民に指定の趣旨や内容を十分に理解していただくために時間を要しているという事例が多々ございます。

 次に、指定を促進するための努力でございますが、国土交通省といたしましても、土砂災害警戒区域等の指定は、土砂災害から国民の生命、身体を保護する上で最も基本となるものと認識しておりまして、六月の土砂災害防止月間を中心に、市町村、住民の方々へ指定の重要性について啓発を行う取り組みを推進しているところでございます。また、土砂災害防止法に基づきます国土交通省が定めます土砂災害対策基本指針において、土砂災害警戒区域等の速やかな指定が重要である旨を明記して、土砂災害警戒区域等の指定を今後とも強力に推進してまいる所存でございます。

 以上でございます。

日森委員 ありがとうございました。

大野委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃でございます。

 質疑に先立ちまして、この平成十八年七月豪雨によりましてとうとい命を失われました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対しましてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 平成十六年の新潟・福井豪雨でございますが、このとき、被害者の約六割の方が高齢者であった。こういうことのために、内閣府が中心となって、災害時要援護者の避難支援ガイドラインというものがつくられたということでございます。このガイドラインでは、移動に時間のかかる高齢者等の災害時の要援護者には早目に避難準備情報を出すように市町村に求めておるわけでございます。

 記録的な大雨となった鹿児島県の大口市では、七月二十二日に、八十六歳の女性が避難しようと自宅を出た直後に水に流されて死亡された。また、島根県の出雲市では、避難所に向かった老夫婦の軽自動車が災害に巻き込まれて、お孫さんの高校生と祖母が死亡され、祖父が行方不明になられたというふうに聞いております。

 また、土砂災害に関しましては、水害と比較をいたしまして突発的に発生する傾向がございますので、土石流等の被災の範囲、それから発生時刻を予想するということが困難でございます。早い段階で避難を実施させるべきだというふうに思います。

 要援護者の方が水害や土砂災害の犠牲とならないように、特に、避難所に向かおう、こういう行動をとっていらっしゃる最中に被災されるというまことに痛ましい事態が起きないように、政府は再発防止のために万全の措置を講ずべきだというふうに思いますが、防災担当大臣として、災害発生時の避難支援対策を今後どのように進めるおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 災害時における要援護者の避難でございますけれども、これは、実は平成十六年に発生いたしました福井豪雨などの一連の風水害等への対応に関して、高齢者等の避難支援や避難勧告等の伝達についての課題が明らかになったわけでございます。

 そこで、内閣府では、要援護者に確実に情報を伝達し、安全に避難させるための避難支援プランの策定を目的といたしまして、災害時要援護者の避難支援ガイドラインを一応昨年の三月に策定いたしました。本年三月にはこのガイドラインを改定いたしまして、避難支援プランを策定するために必要な要援護者情報を市町村の部局間で共有するための方法などについても内容を充実させたところでございます。

 具体的には、要援護者一人一人について避難支援プランを策定するために、主として福祉部局が共有しておる要援護者情報を防災部局においても共有する必要があることから、これを可能とするための個人情報保護条例の運用の考え方や、情報共有のための手順などを新たに示しております。これらの内容については、本年三月の改定後直ちに、内閣府、消防庁、厚生労働省の連名で地方公共団体に通知したところでありますが、市町村におきまして、このガイドラインに沿った取り組みを進めていただいているものと考えております。

 本年度においては、要援護者に関する情報の共有等、市町村においてこのガイドラインに沿った取り組みをさらに加速させていくため、特に重要と考えられる福祉部局と防災部局との具体的な連携のあり方を検討することとして、有識者による検討会を、この七月二十七日に第一回を開いて行っているところでございます。

 私は、災害対策においては人命の保護こそ何よりも優先すべきものと考えており、引き続き、要援護者対策も含め、防災体制の強化を図っていきたいというふうに考えております。今回の死者の中においても、高齢者は約六割から七割を占めております。こういう方々が要援護者であったわけで、そのことが今、この三月に出したガイドラインで直ちにどうだったのかということについては、これからいろいろ調査もしながら、さらにそれを改善していきたいというふうに思っています。

 差し当たって、やはりいわゆる個人情報保護法という問題がありまして、これは地方自治体において個人情報保護の条例をいろいろつくっていただいてこれを運用していくということでございますが、いろいろな解釈もございまして、今、いわゆる関係機関共有方式とか、あるいは手上げ方式とか同意方式とかいろいろあるものですから、その辺についてある程度取りまとめた形でこの検討会でやっていきたい、そして、いろいろなものを、今回の実例等も参考にしながら万全の体制をしいていきたいというふうに思っております。

糸川委員 ありがとうございます。

 今回、要援護者の方が避難中に災害に遭われているわけでございますので、こういう方が避難所に向かう際にどういうサポートを必要としているのか、こういうことを的確に情報を集めていただいて、それをまた検討会でも御検討いただければありがたいな、そういう生の声を聞いていただきたいなというふうに思うわけですね。

 実際、今のお話をいたしますと、この時期では関係ないのかもしれませんが、昨年の雪害、本年にもかかっておりますが、雪害のときも要援護者というのが把握できていなかった。だから、屋根からおっこちたり、雪おろしの最中にたくさんの方が亡くなられているということがあるわけですね。そこからやはり引きずっているわけですから、これは大臣、しっかりと取り組んでいただかないと、雪や雨やそういうときに、やはり対応がおくれているんではないかという声が聞こえてまいりますので、よろしくお願いします。

 また、我が国は国土の七割を急峻な地形で占めておりまして、脆弱な地質で構成されておるわけでございます。集中豪雨や台風によって、土石流、地すべり、危険箇所ですね、それから急傾斜地の崩壊を原因とする土砂災害が全国で発生しておるわけでございます。

 私の地元でもございます福井市の中野地区というところでは、七月十九日に住宅の裏手にございますゴルフ場の斜面が崩落しまして民家が被害を受けまして、住民の二名の方が亡くなられました。私も現地を視察させていただきましたけれども、聞きましたら、この場所は土砂災害危険箇所には指定をされておりませんでした。

 この土砂災害危険箇所でないところで土砂災害が起こった事態に対して、国としてはどのような対策を講じることが必要であるというふうに考えておられるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域に指定されていないところで土砂災害が発生した場合でございますが、砂防事業によりましてその対策を実施する必要がある箇所については都道府県と連携して砂防施設の整備等を進めてまいる所存でございます。また、施設の整備とあわせて、ソフト対策についても一層の充実を図ってまいりたいと思っております。

糸川委員 では最後に、先ほどの大臣の答弁にもございましたけれども、これまでは行方不明者の援助ですとか応急復旧など応急対策に取り組まれていらっしゃったということでございましたが、今後は迅速な被災者の支援とそれから被災地の早期復旧に全力を挙げるんだというふうにおっしゃられたわけです。

 では、国は地方に実際に何ができるのか、何をされるのか。今後の取り組みについて、防災担当大臣としてのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

沓掛国務大臣 国が地方にできるいろいろな制度がたくさんあるわけでございますから、そういう制度を生かしていくということですが、まず何よりも、どういう被災を受けて、どういうことが今必要なのかという、そういう情報をやはりきちっと確保していくことが私の防災担当局としても非常に重要だと思っています。

 その上で、全省庁の局長会議等、連絡会議等ございますので、従来のものに加えてさらに必要なものについてはそれを各省庁に要請していくという形で、連絡局長会議もございますし、必要に応じて関係省庁の閣僚も中央防災会議を通じていろいろ要請できますので、そういうものを通じてしっかりと情報を吸い上げ、その情報をもとにして、新しい対策の必要なものについては各省庁を督励してしっかりやるようにやって、場合によっては法律を改正していただいて、先生にも一肌脱いでいただくということもあるかとは思いますが、何はともあれ、力いっぱいやっていきたいと思います。

糸川委員 ありがとうございました。

 今回の豪雨では、甚大な被害を受けた地方公共団体から、激甚災害に指定してほしい、こういうことの要望が多く出されておるところでございます。政府に対しましては、この激甚災害の指定に向けた手続を速やかに進めていただくとともに、今後の被災地の早期復旧に向けて全力で取り組んでいただくことを強くお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大野委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.