衆議院

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第5号 平成19年4月13日(金曜日)

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平成十九年四月十三日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 木村 義雄君

   理事 小坂 憲次君 理事 谷  公一君

   理事 平井たくや君 理事 宮下 一郎君

   理事 土肥 隆一君 理事 長安  豊君

   理事 古屋 範子君

      飯島 夕雁君    江藤  拓君

      小川 友一君    小里 泰弘君

      岡本 芳郎君    金子 恭之君

      平  将明君    高鳥 修一君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      西村 明宏君    馳   浩君

      林   潤君    林田  彪君

      平口  洋君    保坂  武君

      松浪 健太君    三ッ矢憲生君

      村田 吉隆君    盛山 正仁君

      森  英介君    岡本 充功君

      黄川田 徹君    菊田真紀子君

      小平 忠正君    田村 謙治君

      松本  龍君    福島  豊君

      佐々木憲昭君    高橋千鶴子君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       溝手 顕正君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   文部科学副大臣      池坊 保子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増田 優一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西阪  昇君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   佐藤  均君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   衆議院調査局第三特別調査室長           田島 秀男君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     飯島 夕雁君

  村田 吉隆君     松浪 健太君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

  日森 文尋君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     坂井  学君

  松浪 健太君     村田 吉隆君

  佐々木憲昭君     高橋千鶴子君

  菅野 哲雄君     日森 文尋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官増田優一君、消防庁次長大石利雄君、文部科学省大臣官房審議官西阪昇君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官佐藤均君、国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君及び気象庁長官平木哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 自由民主党の宮下一郎でございます。

 本日は、先般お伺いをいたしました大臣の所信に対する質疑の機会をいただきました。本日は、特に地震対策を中心に質問させていただきたいと考えております。

 まず、私も現地視察に行かせていただきましたが、さきの能登半島地震により亡くなられた方の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し改めて心よりお見舞いを申し上げるところでございます。また、溝手大臣、平沢副大臣初め関係者の皆様方の御努力にも深く敬意を表するところでございます。

 大臣所信にも述べられておりますように、大規模地震対策につきましては、近い将来発生する可能性が指摘されているもの、すなわち、東海地震、東南海・南海地震、日本海溝、千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震につきまして、マスタープランであります大綱、また広域的活動の手続や内容を具体化しました応急対策活動要領、また定量的な減災目標と具体的な実現方法を定めた地震防災戦略が策定されまして、この中では、具体的な震度分布、被害想定に基づいたかなり詳細な計画などもでき上がっているところでございます。

 一方で、福岡県西方沖地震や新潟中越地震、能登半島地震など、これら以外の地方においても近年大規模な地震が発生しているところでございます。改めて、日本列島はどこも大地震のリスクにさらされているんだな、こういったことを実感しております。

 そこで、御質問でございますが、これまで大綱が想定してきた地域以外の取り組みとしましては、昨年十二月、次に来る東南海・南海地震の発生の前に地震活動が活発化する可能性が高い近畿圏、中部圏の内陸直下型の地震につきまして、想定される地震の震度分布が公表されました。

 今後、さらに他の地域についても調査分析を早急に行って、各都道府県や市町村が策定します地域防災計画にこうしたデータを反映させていくということが重要だと考えますけれども、政府として今後どのように取り組まれるのか、大臣からお伺いをしたいと存じます。

溝手国務大臣 今回の能登半島地震でも見られましたように、地震は本当に全国どこでも起こるおそれがあることから、大綱の対象となっていない地域の効果的、効率的な地震対策の推進というのは非常に重要になってくると考えております。まさに御指摘のとおりでございます。

 このため、平成十八年三月に地震防災対策特別措置法が一部改正されまして、都道府県及び市町村は、地震の揺れの大きさ、津波による浸水範囲その他想定される人的、物的被害をハザードマップにより周知徹底させることが第一点でございます。第二点としては、都道府県の防災会議は、都道府県地域防災計画において、想定される地震災害を明らかにして、当該地震の災害の軽減を図るための地震防災対策の実施に関する目標を定めるように、こういう定めをしたところでございます。

 また、地方公共団体のこのような取り組みを支援するために、内閣府においては、先ほどお話がございましたように詳細な地震防災マップ作成方法を示したガイドラインを既に平成十七年三月に取りまとめておりますが、その内容を広く周知するとともに、平成十七年十月に「表層地盤のゆれやすさ全国マップ」というものを公表いたしまして、取り組みを従来から実施してきております。

 さはさりながら、率直に申し上げまして、現時点では地震のハザードマップの作成、周知が十分に進んでいるとは言い切れない面がございます。また、都道府県においてその目標を定める取り組みにつきましても、まだ緒についたばかりというのが実質的なところじゃないかと思っております。

 今後、関係団体と一緒にしっかりスクラムを組んで、地震防災対策特別措置法の趣旨が的確に生かされるように頑張ってまいらなきゃならない、このように考えております。

宮下委員 次に、住宅の耐震化についてお伺いをしたいと存じます。

 地震防災戦略におきましては人的被害軽減をどうやっていくかが書かれておりますけれども、この中では、住宅並びに学校や集会場などの特定建築物の耐震化が対策の大きな部分を占めております。

 つきましては、耐震診断でありますとか耐震改修、耐震化目標率に対する達成率といったことが全国でどのようになっているのかの現状と、あわせてもう一点、過去の地震ではブロック塀の倒壊が大きな人的被害を発生させたということでございますけれども、実際、ブロック塀は、建築基準法のチェックなどが行われないで、危険な状態のものも世の中にまだまだ多い。能登半島地震でも多くのブロック塀が倒れておりまして、幸い死亡者はなかったんですが、けがをした方はやはりいらっしゃったということでございます。こうした状況を受けて、これにどう対応していかれるのか。政府としてのお考えを伺いたいと存じます。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、住宅建築物の耐震化でございますが、昨年一月に施行されました改正耐震改修促進法に基づきまして国土交通省が示しました基本方針におきまして、平成十五年現在約七五%と推計しております住宅の耐震化率を平成二十七年までには少なくとも九割を上回る、こういった目標を定めまして、平成十八年度を耐震改修元年として取り組みの強化を図っているところでございます。

 この目標を達成するために都道府県に耐震改修促進計画をつくってもらうわけでございますが、現時点で、三十八都道府県で本年三月末までに策定されております。残りの九県につきましても本年の七月末までには策定が行われる、こう聞いております。

 加えて耐震化の改修事業に対する支援予算でございますが、平成十七年は約二十億円でございました。これを平成十八年度には百三十億円に増額しまして、加えて平成十九年度予算におきましても百三十六億五千万と大幅に増額してございます。また、税制につきましても、平成十八年度に耐震改修促進税制を創設させていただいたところでございます。

 この結果、市町村における補助制度の現時点の整備状況でございますけれども、住宅の耐震診断につきまして、戸建て住宅については一千市町村、全市町村の五七%、マンションにつきましては二百市町村、同一一%。具体の工事に対する助成につきましては、戸建て住宅で五百五十市町村、同三〇%、マンションで八十市町村、これはまだ五%でございます。戸建て住宅の耐震診断につきましては、平成十四年度は約二万一千戸の実績でございましたが、平成十七年度には九万二千戸。工事についても、平成十四年度は残念ながら戸建て住宅の耐震改修の補助実績はゼロでございましたが、平成十七年度に二千七百戸に増加するなど、着実に実績を上げております。

 国土交通省としましては、今後、関係団体、地方公共団体と連携して、しっかりと目標が実現できるように努力してまいる所存でございます。

 二番目の御質問のブロックでございます。

 今回の地震におきまして、倒れたブロック塀によりけが人が出ましたことは大変遺憾でございます。

 建築基準法令では、過去の宮城県沖地震等の教訓を踏まえまして、ブロック塀の構造安全性の確保の観点から、基準の強化を累次してまいりました。具体的には、鉄筋で補強されていないブロック塀につきましては高さを一・二メートル以下に抑える、あるいは、鉄筋で補強されたブロック塀につきましても二・二メートル以下に抑える等の基準が設けられております。ただし、御指摘のように、建築物の建築にあわせましてブロック塀が設けられる場合につきましては建築確認等でチェックしておりますが、ブロック塀単独で建てられるとか修繕する、こういったものはチェックの対象になってございません。

 このため、国土交通省では、各年に二回行っています建築物防災週間等の機会を通じまして、公共団体に対しまして、特に通学路や避難路等を中心とした、違反状態にある危険なブロック塀に対する巡回、是正指導、あるいは広報を通じた住民に対する普及啓発、あるいは、こういったブロック塀の改修も助成の対象になりますので、そういった助成を通じた改修の支援といったことを行ってまいっております。

 今後とも、こういった施策の徹底に努め、危険の除去に努めてまいりたいと考えております。

宮下委員 時間の都合で一問はコメントにとどめさせていただきますが、住宅の耐震化と同時に、一つ今回の地震を通じて得られた教訓は、災害時の要援護者の避難支援ガイドラインがきちっと運用されることが大事だなということでございます。

 今回の能登半島地震では、ひとり暮らしの高齢者世帯、要介護者などの皆様については事前にきちっとした把握がなされておって、安否確認や避難が従来に比べて随分うまく実施できた、こういう評価も聞いております。ぜひ、全国の自治体においても、こういったガイドラインに基づいた避難支援プランを策定し、そしてしっかりと要援護者の皆様の把握や支援をしていっていただきたいと御要請を申し上げたいと思います。

 最後に、消防団の体制の充実強化について御質問させていただきたいと思います。

 火災はもとより地震や豪雨災害など、さまざまな災害に対処するために消防団の皆様の重要性がますます高まっている一方で、団員数を見ますと昭和二十九年に二百二万人いた消防団員が平成十八年では九十万人と大幅に減少しております。一方で出動回数は若干増加ぎみというお話も伺っております。

 こういったことで、この前「まとい」という賞を受賞しました私どもの地元の飯田市消防団においては、女性団員を百人以上も登用して、一〇%ぐらいですか、頑張って活躍していただいている。また、伊那市の消防団では、OBの皆さんで分団を編成して緊急時には活躍をしていただいている。また、機能別分団というふうなことで、臨時に特定の機能に限って活動していただくというような組織づくりもされていると聞いております。

 総団員数の目標は当面百万人ということも伺っているんですが、この百万人、何年ぐらいで達成をするというふうにお考えなのか。また、理想的には全国で本当は何名ぐらいの団員の方々がいればいいんだがな、そういった理想の数字に向けた取り組みなどについて一点お伺いをしたい。

 それからまた、地域でも何とか消防団の皆様を確保しようということでございますけれども、特に今はサラリーマンの方が多くなっておりまして、企業の皆様の協力が必要でございます。こうしたことで、ことしは予算を七千三百万円確保して、入団促進のためのイベントなんかも開いていただくということでございます。

 私がすばらしい制度だなと思ったのは、優秀事業所表彰制度をスタートしてくださったということでございます。協力的な事業所をどんどん表彰していこうということです。一方で、長野県ではこのたび消防団活動協力事業所応援減税というのをスタートさせました。これは、こういった認証を受けておって、それから二人以上消防団員を出した方々に法人事業税、個人事業税を減税するという仕組みですが、こういうふうに地域がそれぞれ工夫して消防団活動に協力しやすい環境をつくっていく取り組みが全国に広まるように、国としても財政的な支援も含めて今後考えていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

大石政府参考人 お答えいたします。

 まず、消防団員百万人という目標を立てているわけでございますけれども、これがいつ達成できるかというお尋ねでございます。

 現在九十万人ということでございますが、市町村の条例の定数を積み上げますと九十五万八千人でございます。したがいまして、これはそれぞれの市町村の意思として九十五万八千人を定数にしているわけですから、まずこれを実現させることが第一歩ではないかと思っております。その上でさらに百万人を目指す、こういう考え方に立っております。しかしながら、御指摘のように毎年毎年消防団員は減少しているわけでございまして、九十万を切ってしまおうかという状況でございます。

 理想的な姿としてはどうなのかというお話でございますが、消防団はそれぞれの地域の沿革、歴史がございます。人口によって幾らとか、あるいは面積によって幾らとか、なかなか決めがたいものがございます。したがいまして、それぞれの地域の実情を踏まえた中で、それぞれに努力してやっていく。ちなみに、一分団一人ずつふやしていけば、約二万五千分団ございますから二万五千人は確保できるというような勘定にもなりますので、地道な努力が必要であろうと思っております。

 それから、先ほど御紹介のございました長野県における事業税減免の制度、これは私ども大変高く評価すべきものだと思っております。現在、消防団員の約七割の方が被雇用者ということでございまして、事業所の協力なくして消防団員の確保はできないわけでございます。

 そこで、消防庁におきましては、協力事業所表示制度というものを昨年度制度化しまして、これを普及させていこうと思っているわけでありますが、長野県のような減税の仕組みを組み合わせるとより一層効果的になると思っておりますので、これが全国的に普及されるように期待をしております。

 また、財政的な支援についてのお尋ねでございますが、何ができるか、よく検討してまいりたいと思います。

宮下委員 以上で質問を終わります。よろしくお願い申し上げます。

木村委員長 次に、盛山正仁君。

盛山委員 兵庫第一区、神戸選出の盛山でございます。

 今回の能登地震の関係で、政府もそして地元自治体も、また関係の皆さんも、一生懸命やっておられると思います。地震から二十日たちまして、朝市も始まり、少しずつ皆さんの復興に向けての動きが出てきているというのは大変結構なことだなと思うわけでございますけれども、十二年前の阪神大震災のことを思い出しても、やはり地元の皆様は心痛その他いろいろ大変だろうと私は思うわけでございます。

 十二年前当時、私は四十一歳でございましたけれども、うちも全壊いたしまして、幸いけがはなかったわけでございますけれども、まず家をどうしようと思うわけでございます。本当に家をもう一度建て直すことができるんだろうか。あるいは、御商売をしておられる商店の方にしますと、例えばアーケードが落ちた、あるいは火災で燃えた、お客さんは戻ってくるのか、一回だめになった店をどのようにしてやり直していくんだろうか。その他、絶望的な感じをお持ちになる方、いろいろ多いと思うんです。

 それでも神戸の場合には、十二年たちまして、御案内のとおり一見大変きれいになりました。どこに地震があったか、つめ跡ももうわからないような感じに一見なっております。もちろん、一皮めくりますと、自治体の方も企業の方もまだ当時の借金が残っておりまして、兵庫県も神戸市もそうですし、そして企業の関係者も大変厳しい経営状態、財政状態にあるというのはもちろんなんでございますが、それにしても、地震の直後を思い出しますと、よくここまできれいに戻ったなというのが偽らざる感じでございます。

 逆に言いますと、十二年前の一月、寒いころでございましたけれども、あのころ、寒さにも震えながら、ライフラインもなく、どこへ行って水をくもうか、あるいはどこへ行って温かいものを食べようか、そういうような状況のとき、自治体の人ももう不眠不休であったでしょうし、交通事業者その他関係者の方もそうだったと思います。住民の皆様は、やはり不安にさいなまれながら、けがをしたりした人もいたでしょうし、体育館、仮設の住宅その他で、これから先どうなるかと心配しながら眠れない一夜を過ごしていた、そういう方が多かったというふうに記憶しております。

 幸い、今回の能登の場合には二次災害その他も少なくて死亡者も少なかったものですから、それだけでもよかったなとは思うわけでございますが、関係の自治体の皆様、あるいは住民の皆様からしますと、一刻も早い激甚災害の指定をお願いしたいというのが偽らざる気持ちではないかと思うんです。

 政府関係者の方で、現在、これまで以上のハイペースで指定をすべく今手続をとっておられるというふうには伺っておりますけれども、被災をされた方あるいは自治体その他の関係の、復旧に向けて一生懸命頑張っている皆様に力づけをしていく、あるいは勇気づけをしていくためにも、できましたら、もうきょうで二十日たっておりますから、来週にでも激甚指定をしていただきたい。できるだけ早急にお願いしたいと思うわけでございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

溝手国務大臣 激甚災害制度については、御承知のとおり適用措置ごとに基準がございまして通常は地方公共団体の報告を受けて把握することになるわけでございますが、今回の能登半島地震については、おっしゃるとおり急がなくてはいけない、現地の応急対策を最優先で取り組んでまいろうという考え方でございまして、新潟県の中越地震の際と同様に、地方公共団体の報告を待つことなく、激甚災害の可否の判断を行いたいと考えているところでございます。

 ということになりますと、被害額を推定しなくちゃいけないとか、地図とかあるいは航空写真を活用するとか、ある意味ではラフな動きが必要になってまいるところでございます。しかし、スピード感を持ってこれに対処したいと、総理の意向もそうでございますし、鋭意検討を進めております。

 本日、総理、時間が許せば現地に赴かれるんではないかと思っております。うちも、政務官ができれば御一緒したいと思っております。その結果を見て、何とか来週はもうめどをつけなくちゃいけないかなと、そんなつもりで現在作業を進めているところでございます。どうぞよろしく御支援をお願いしたいと思います。

盛山委員 溝手大臣、ありがとうございました。細かいところは後回しにしてでも、ぜひ、つかみのところだけでも、できるだけ早く御指定をしていただきたいと、心からお願いを申し上げます。

 続きまして、平沢副大臣にお尋ねしたいと思います。

 阪神大震災のときもそうなんですが、私が甘かっただけなんですが、まさか阪神間で地震が起こるなんて夢にも思っておりませんでした。そして、今回の能登もそうだったと思います。また、ほかの地域の方でもそうじゃないかと思います。私も、役所におりまして、役所での防災訓練も一応あったわけでございますけれども、阪神大震災まではおざなりの訓練をやっていたなというふうに自分でも思っておるところでございます。

 さて、地元神戸の方では、阪神大震災後、防災訓練というのを、やはりさすがに住民の方あるいは関係者の皆様が認識を持って毎年ちゃんとやるようになってまいりました。しかし、さはさりながら、のど元を過ぎれば熱さ忘れるというのが通例でございまして、毎年一月十七日、メモリアルデーに、町内会あるいは先ほど宮下先生からもお話がありましたような消防団の方を中心に、地域のいろいろなところで訓練をしております。しかしながら、あれだけ地震の被害のあった神戸ですら、みんなで熱心に取り組むという感じではだんだんなくなりつつあるというのが現状ではないかなと思います。

 ただ、逆に言いますと、ふだん訓練をしていることが、いざ地震があったとき、災害があったときに急に対応できるというものでは決してありません。ふだんやっていることの六割、七割がいざというときにできれば上々というのが多分訓練というものではないのかなと私は思うわけでございます。

 地震のあった地域でそういう訓練を行うというのはもちろんなんですけれども、今回の地震のように、日本全国が地震列島でもございますから、いつ何どきどこで地震があるかもしれません。ぜひ政府を中心に関係の自治体を御指導いただいて、毎年ちゃんと国民の皆様に、いつ何どき地震が起こるかわかりませんよ、そういうときにはこういうふうなことをしましょう、そのためにも訓練が大事なんですよということを御指導していただく、あるいは、政府としての取り組みを今まで以上にしっかりとしたものにしていっていただきたいと思っておるのでございますが、いかがでございましょうか。

平沢副大臣 今委員御指摘のとおり、災害は日本全国どこでいつ起こってもおかしくないわけでございます。私の地元は東京の下町ですけれども、私の地元でも町会、自治会等が主体となりまして防災訓練が常時行われているわけでございますけれども、やや形式的になっているかなという感じがしないでもないわけです。私も、そういったところに呼ばれたときにいつも申し上げるのは、まず行政による公助、それから地域の住民一人一人が防災意識を持つというか心構えを持つ自助、あと地域の方々で助け合う共助、この三つが大切であるということを強く申し上げているところでございます。

 そういう中で、とりわけ公助といいますか、行政、政府の取り組みが極めて重要であるというのは全くそのとおりでございまして、現在、政府としましては、国民の防災意識の向上に向けまして、防災フェア「自然災害フォーラム」の実施、あるいは防災ポスターコンクールの実施及び表彰、あるいは過去の歴史的災害の報告書の作成、そしてそれらの活用、こういった事業を行っているところでございます。

 今後は、これらに加えまして、緊急地震速報の周知、広報及び利用、活用の推進、それから事業継続計画、BCPでございますけれども、これの普及促進及びビジネス街における防災活動の促進、あるいは内閣府ホームページに国民運動に関する優良事例のライブラリーを開設する、こういった新たな取り組みを関係省庁、地方公共団体などと連携して行っていきまして、国民の防災意識をさらに啓発していきたいと考えているところでございます。

盛山委員 平沢副大臣、ありがとうございました。ぜひ、今後とも取り組みの強化をお願いしたいと思います。

 最後に、政策統括官にお尋ねしたいと思います。

 阪神大震災を契機にいたしまして被災者生活再建支援法ができました。そして、平成十六年に改正されたところでありますが、現在その見直し作業が政府内で進んでいると承知をしているところでございます。

 私自身は、長らく役所にお世話になっておりまして、いろいろそれなりに施策その他やっておったつもりでございますけれども、立場が変わって議員になりますと、私自身の反省ではあるんですけれども、国民、住民の方の目線に立ったことがやはりまだまだ欠けているところが多かったな、地域に入って皆さんにお目にかかるとそういうことを痛感することが多いわけでございます。

 心優しい増田統括官でございますから、私のようなことはないと思いますけれども、ぜひ、法の見直しに当たっては、ユーザーサイドというんでしょうか被災をされた方、被害に遭った方の目線に立って、どうすれば使いやすいものになるのか、どうすればありがたいと思えるようなものになるのか、そこら辺をぜひお考えの上、法改正をお願いしたいと思うんですが、今後の見通しについてお尋ねしたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からお話ありましたように、現在、検討会を設けまして生活再建支援法の見直し作業を進めております。三月一日に第一回の検討会をやりまして、さまざまな御意見が出ました。私ども、その際に、施行状況をつぶさに把握してからやろうということで状況の調査をしておりますが、私が一番気にしておりますのは、本来使える方、資格のある方が申請していないというケースが非常に多うございます。

 やはり委員御指摘のように、この制度は今の状況では使いにくいのかなということを一番痛感しておりますので、そういった委員の御指摘を踏まえながら、できるだけ早く検討を進めてまいりまして、夏ごろには方向性を出したいということで作業を進めてまいりたいと考えております。

盛山委員 統括官、ありがとうございました。ぜひともその方向でよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

宮下委員長代理 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは、質問の時間を与えていただきまして、大変ありがとうございました。

 先般、三月二十五日に能登沖地震が発生をし、被災者の皆さんには、私の立場からも心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 自身の経験と、能登沖地震で二度ほど現地に入らせていただきました。特に市町村の職員が、大災害が発生したときに、派遣要請のやり方、支援法そのものあるいは災害救助法など制度の仕組み、あるいは多く駆けつけてくれるボランティアの皆さんを仕切ることができない。やはり具体的な災害対応能力を市町村職員が有していないというのが、私どものみずからの反省、そして能登沖地震で訪れたときに感じられたところでございました。

 もちろん、災害が発生すると、内閣府、防災大臣を初め先頭に立って現地に駆けつけていただいて対策に当たっていただいている。私がお伺いをしたときにも、内閣府は対策室を設けて現地の職員あるいは住民の対応に当たっていただいたということは、私自身の体験も踏まえて心から感謝をする次第ですけれども、現実に住民の先頭に立っている市町村職員がやはり災害対策に対する総合的な知識を持ち合わせていないということが、初期あるいは応急対策の上で住民を混乱に陥れる部分も多少あるのではないかというふうに思われました。

 私は、市町村職員がやはり防災あるいは安全に対する総合力を身につけてくれるということは喫緊の課題だ、そんなふうに思っております。ぜひ内閣府にその先頭に立っていただきたいというふうに思っているところでございますけれども、今、内閣府が把握している範囲で、市町村職員の災害対応能力の向上のための研修等がございましたら、統括官の方からお教えをいただければありがたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 災害発生時に第一線の対応を担うのは何といっても地方公共団体、その職員なわけでございまして、そういった職員の防災対応能力の向上は不可欠だというふうに強く認識をいたしております。

 今回の能登半島地震におきましても、現地の職員の担当する業務というのは膨大なわけでございます。まず、発災時の初動対応をどうするのか。あるいは、災害救助法が適用になりますと、災害救助法に基づきましてさまざまな応急対策をとらなければいけない。さらに、復旧の段階になりますと、住宅被害をいかに把握するか、住宅被災者に対してどういう情報を提供するか、あるいは、水道等のインフラの復旧をどうするのかという膨大な作業がありまして、なかなかこれは、平時から知識を得、実務を積んでいないと大変だなというふうに改めて痛感したところでございます。

 現在、私どもで調べましたところ、各省庁それから関係団体が多くの研修の機会を設けております。例えば、消防大学校におきましては、地方公共団体職員等を対象とした災害対応業務の指揮能力の実務講習会をやっておりますし、消防庁は、インターネットを使いましてさまざまな災害対応の情報提供をしている。それから、国土交通大学校あるいは神戸にある人と防災未来センターにおきましても、さまざまなカリキュラムで研修をいたしているわけでございます。これに加えまして、国におきましても国の職員を対象にいたしまして毎年防災訓練も行っておりますし、研修も行っています。

 ただ、おっしゃるように、まだまだ参加する職員の数も少のうございますし、現場の職員がどのくらい対応能力があるかといいますと、いささかやはり不安なところがございますので、関係省庁とも一体となって、より防災力の向上のための取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

長島(忠)委員 ありがとうございます。

 私も被災をして、去る四月一日、二年五カ月と九日ぶりにやっと、百五十戸ほど最後に残った地域の避難指示を解除することができました。これはもちろん、関係省庁から御支援をいただいたたまものではありますけれども、その間ずっと、やはり住民と向き合って支えていくということが非常に大きな比重を占めてきたと思います。もちろん、頑張れという状況にないわけですから、やはりずっと温かい目線で、近くにいてあげないと、ともすると絶望感にさいなまれてしまう。

 行政も同時に、私も発災当時、何をしたらいいかわからなかったし、何ができるか、実は村長として恥ずかしい次第ですけれども、わかりませんでした。もちろん、私がわからないぐらいですから、私どもの職員は、何ができるかわからないし、何をしたらいいかわからない。

 ただ、そこに悲嘆に暮れている住民がいる。住民の方と向き合って、とりあえず応急対策、避難所にどうやったら落ちついていただくことができるのか、そして、応急的に仮設住宅あるいは親類縁者を頼っての生活はどういうふうにできるのか、そして、そのことに対する国、県あるいは村としてどういった支援ができるのか、そして、災害の調査が終わった段階で、道路あるいは農地に対してどういう災害復旧の補助あるいは支援をいただけるのか、総合的にわかる職員がいないのでは、誤った情報というのを住民に伝えてしまう。住民は、いつ、どんな形で災害復旧が完了できるのか、場合によっては、住宅にどんな支援が受けられるのかということがやはり一番気になる部分で、情報を伝えられないために市町村職員は黙ってしまう。そうすると、ますます不安が募ってしまう。

 やはり各市町村に災害を想定しろとは私は言えないと思うんですけれども、これだけ異常気象が起こったり地震が全国各地で起こると、災害がもしあった場合に住民をどう救うかという観点で、災害が起きたときの対応もさることながら、災害が起きる前に、総合力を持った災害対策のできる職員の養成が急務だ、私はそんなふうに実は考えるところでございます。

 実は、ここに資料が、各種団体が新潟地震のある程度落ちついた時点で自分たちの活動と反省点を踏まえた書類をいろいろまとめています。もちろん、商工関係者もいるし、工場関係者もあるし、医療関係者もいらっしゃるし、ボランティアの皆さんもいらっしゃるし、その立場の人たちがそれぞれの立場で地震を検証し、反省をし、どういったものが必要かと。

 ただ、それをまとめるところは、非常に今、市町村にとっては手薄になってしまっている。市町村の職員がそのことをすべてまとめて全国に発信をするだけの能力と規模を持っていないということで、私どもが災害のときに内閣府が先頭に立って災害復旧に当たっていただいて、国土交通省が県、村が対応しなければいけないところに直轄事業として乗り出していただいて住民の対応にも当たっていただいたことは、非常にやはり災害復旧あるいは希望という部分で助かったことを考えると、総合力のある、防災士というのか災害対応士というのか、言葉はわかりませんけれども、そういった職員の養成をやはり内閣府が先頭に立ってやることが、これから国民に安心、安全を届ける第一歩になるのではないか、私はそんなふうに実は思うところでございます。

 そのことについて、統括官からまず御見解を賜れればありがたいと思います。

増田政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、人材育成というのは大変重要な課題だと思っております。

 実は、これはもう既に過去になるんですが、中央防災会議におきまして平成十四年七月に防災に関する人材の育成・活用専門調査会というのを設けまして、有識者の方々でかなり御議論をいただきまして、報告もいただいております。

 実は、この報告に基づきまして、一つは、私ども内閣府におきまして詳細なカリキュラムを持ったプログラムをつくって、これをもう既に示しておりまして、そういった職員研修にぜひ役に立たせていただきたいということで、さまざまな研修のメソッドも提供しているわけでございます。

 ただ、そうはいいましても、先ほど来ありましたように、今度の能登半島地震でも、なかなか経験のない職員が対応するというのは大変なものですから、今回、私ども現地に連絡対策室を置きまして、国の職員を派遣し、それから、本省だけでは足りないものですから地方整備局と支分部局の職員、これは国土交通省、農林水産省にお願いして、多くの国の職員にも現地に入っていただいて、手とり足とりと言っては変ですけれども、現場の被災した市、町の職員を指導させてもいただきました。

 そんなこともありますので、今後とも、ぜひ私どもとしては、まずは研修をしっかりやっていただくということで、研修の手法の普及、それから研修資料の策定、提供、それから、さまざまな研修が現にございますので、そういった情報提供をして、一人でも多くの公共団体の職員に研修に参加していただくということをやっていきたいというふうに考えております。

長島(忠)委員 最後に大臣の御見解をお伺いしたいと思うんですけれども、その前に、少しみずからの意見を述べさせていただきたいと思うんです。

 実は、災害が起きたときには、応急的に落ち着いていただくことがまず第一段階で必要になります。その次に、三カ月あるいは六カ月というスパンで、恒久的な対策をとるまでの間の対策が応急的に必要でございます。その後が恒久対策という部分でありまして、応急的に例えば仮設住宅あるいは避難所にいるときに、恒久的にどういったことが復旧復興の道につながるというのを住民に示すことがやはり一つの大きな希望になりました。

 山古志村では、復旧復興計画を住民にいち早く示すことが住民の希望につながると信じて、ところが、実は、市町村職員に復旧復興計画をまとめろといってもなかなかまとめ切れるものではありません。それには、関係省庁あるいは国、県の支援のことを全部確認した上できちんとした事業としてのせる、そしてそれによって帰村の年度がいつだと示す必要があったものですから、実は市町村の職員にとってはやはりとても大きなハードルになりました。

 私どもはおかげさまで、大災害が発生をしたということで、国には関係省庁連絡会議、あるいは県に山古志復旧の復興支援課を設けていただいて、それがまたさらに横から縦に一緒に会議をしていただくことによって復興計画をまとめることができました。

 でも、ふだんからそのことを受け入れられる職員が市町村にいると、やはり随分大きな力になるんだと思うんです。できたら、県あるいは国と市町村職員の交流を深めながら、防災の総合力、つまり、先ほど統括官の説明をいただいた消防とか国土交通だけの分野ではなくて、住民対策という総合を含めた専門的な職員の養成をぜひ急いでいただきたい。それがこの災害列島と言われる日本列島の安心、安全につながると私自身は思っているところでございますので、最後にぜひ大臣からそのことについて御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

溝手国務大臣 私も数年前までは地方公共団体の長をしておりまして、地方公共団体の職員が、現在のような合理化を要求される中で、災害対策について必要な知識をしっかり身につけていくというのは大変なことだなと。日常の作業に追われて、重要性はわかりながら、そうはいってもなかなかうまくいかないというのが実情であろうと思います。

 それからもう一つは、やはり何といっても首長の責任でございまして、首長がやはり防災体制の重要性とか職員の養成の必要性をしっかりと自覚する必要があろうかと思います。これは選挙で選ばれた首長の非常に大きな責任であろうと思います。

 こういったことで、まず自分たちの地方を自分たちで守ろうという情報を地方から発信してもらわなくちゃいけないんだろうと思う。それと同時に、我々東京、中央の防災担当部局というのは、これにこたえるだけの努力もしなくちゃいけないんだろうと思います。

 今回も実は、何ができるんだろうかといって私自身も自問自答してみましたが、なかなか知恵が出るものじゃないわけでございまして、職員の皆さんに、いろいろ整理して一つのマニュアル的なものをしっかり示してもらわないと、頭が混乱してなかなかスムースな対応ができないというのは私自身も痛感したところでございます。

 関係の国土交通省とか消防庁とか農水省とか、皆さんと一緒になって、各種の研修とか、そういう緊急時の対応について、しっかりその能力、ポテンシャルを上げていく努力をふだんから忘れてはならないんだろうなという、反省を込めた痛感でございます。

 これからも防災担当部局としては懸命に努力をしてまいりたい、このように考えております。

長島(忠)委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 本日はやや長目のお時間をいただきました。まず最初に、能登半島沖地震の被災者の皆様に、私も心よりお見舞いを申し上げたいと思います。そしてまた、委員会の理事を初め多くの方々、あるいは現場の職員の多くの皆様の御尽力に心より敬意を表したいと思います。

 大臣の所信に対する質疑ということで、ある程度長目の時間をいただきましたので、幾つかの点について御質問をさせていただきたいと思います。

 私の選挙区は静岡県でございますので、静岡県はいろいろなところで防災の体制が進んでいるというふうに言われておりますが、静岡のようにいつ東海地震が起こってもおかしくないというところの場合には、ある意味で防災対策を進めていくのは当然なんですけれども、今回の能登半島に限らず、それほど地震がすぐに近い将来ある見込みが高いと言われていないところでも、やはり地震は起きるということもありますので、全国くまなく防災の体制をしっかりとしなければいけないんだろうというふうに思います。

 そういった中で、平成十七年の地震防災戦略について現在の状況などを含めお伺いをしたいんですけれども、これは地域は、東海地震ですとか東南海地震の対象地域に絞った、そこをメーンとした戦略ではありますが、各地方公共団体においていわゆる地域目標、減災目標や具体的な数字などを含めて地域目標を策定するということを地震防災戦略で要請しておりますけれども、現在、それを受けて既にその地域目標を策定した自治体というのはどれくらいあるのか、教えてください。

増田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました平成十七年三月の中防の決定の地震防災戦略は、地震を、東海地震及び東南海・南海地震を対象にいたしておりまして、この地震防災戦略の中では、当然国としてやるべき戦略を決めているわけでありますが、あわせまして、それらの被害を受けるおそれのある公共団体に対しましても、この戦略を踏まえまして、数値目標、達成時期、対策の内容等を明示する地域目標を定めるよう要請しているわけでございます。

 これは十八年度までにどのくらいの策定状況かというお尋ねでございますが、現在、対象は二十三都府県ございまして、策定済みが八県ということでございます。残りの都府県につきましても、現在、鋭意策定作業中というふうに聞いております。

田村(謙)委員 現在、既に今までに、十八年度までに八つの県、それ以外の十五は鋭意作業中なんだと思いますけれども、めどとしては、いつまでにすべての都府県で策定される見込みでありますでしょうか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今お聞きしているところによりますと、残りのうち二府九県につきましては、今年度中を目途に作業が進んでいるというふうに聞いています。あと二十年度以降に四都県残るというふうな策定進捗状況でございます。

田村(謙)委員 その残りの四都県というのはどの程度の状況にあるんですか。まだまだ到底着手もしていないのか、あるいはもうちょっと、二十年度には何とかなるのか、見込みはございますか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 二十年度以降というふうにお聞きしている三県につきましては、若干作業がおくれておりますが、二十年度、あるいは遅くとも二十一年度中には策定をしていただけるというふうに伺っております。

 もう一つ、今これは東京都が残っておりますが、実は、東京都につきましては、この地震防災戦略の後で、首都直下地震につきましても地震防災戦略を定めておりますので、そういった海溝型地震のほか直下型地震につきましても検討ということで、東京都は、別途、今検討を進めているということでございます。

田村(謙)委員 二十年度あるいは二十一年度には大体全部そろう、大体すべてですか、そろうというのは。とにかくできるだけ早い方がいいと思いますので、おくれているところはいろいろ御指導いただいて、そのおくれているところの県のリーダーあるいは担当者の意識がどうなのかなというのは気がかりでありますけれども、そこはしっかりと指導していただきたいと思います。

 そしてまた、そもそも、今回、今のこの地域目標というのも、東海地震あるいは東南海・南海地震の対象地域でありますので、まさに全国の中でもそういう地域目標の策定を特に急がなければいけないところがまだそういう状況であるわけであります。やはり、先ほど申し上げたように、そういう明らかに近い将来起きると言われている大きな地震の対象以外のエリアにおいても、実際にいろいろなところで地震が起きているわけでありまして、そこは全国くまなく、すべての県の地方自治体でしっかりと地域目標をつくらなければいけないというふうに私も思いますし、それは地震防災戦略においても記述をされているわけでありますけれども、まさに今お話をいただいた、いわゆる東海、東南海・南海地震の対象以外のエリアでの進捗状況というのはいかがでいらっしゃいますか。

増田政府参考人 先ほど東海、東南海・南海に関する二十三都府県の状況をお話しいたしましたが、その他の道県につきましては、実は、平成十八年四月に、先ほども申し上げましたが、首都直下地震の地震防災戦略を決定しておりまして、この関係の都県につきましては、同じように地域目標を定めることを要請したところでございます。

 さらに、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震につきましても、近々、地震防災戦略を決定する予定でありまして、この対象となる公共団体につきましても、そういった、今後策定する地震防災戦略を踏まえて地域目標を設定していただくよう要請をしていきたいと考えております。

 問題は、それ以外の道県等々になるわけですが、これにつきましては、先ほどもお話ありましたように、全国の都道府県を対象にいたしまして、実は、地震防災対策特別措置法が一部改正になりまして、すべての都道府県につきましては、地域防災計画の中で地震災害の軽減を図るための対策の目標を定めるようということで、そういう意味では、全国の都道府県がこういった地域目標を定めることを、努力義務ではございますけれども、求められているわけでございます。

 残念ながら、先ほど言いましたその他の公共団体につきましては、今現在まだ策定されておりませんが、今後、その重要性を御指摘しながら、一刻も早く策定できるように指導してまいりたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 まだまだ意識が薄い、特にいわゆる対象地域以外のところですと、地方自治体の方々も意識が低いところというのはたくさんあると思いますので、そこはぜひとも引き続き強力な御指導をしていただきたいなということを改めて申し上げたいと思います。

 さて、この地震防災戦略、平成十七年の三月に決定をされて、十年計画ですね、その中で三年ごとにフォローアップをするということになっているわけでありますけれども、三年ごとということになりますと、最初のフォローアップは二十年度ということになると思うんです。

 確かに、それは十年計画でありますので、三年ごとにチェックをするというのは、大体、大きな、長期的な、中期的な政策においてはわかる、そうなんだろうと思うところもありますけれども、ただ一方で、まさにこういう災害というのはいつあってもおかしくないわけでありますので、十年計画であるから十年後に何とかなればいいというよりは、そこはむしろできるだけあらゆる分野について前倒しで進める方が当然好ましいというふうに思うわけであります。

 現在、まだ二年しかたっていないわけでありますが、さまざまなそういう数値目標をつくっていらっしゃって、それぞれの分野において部分的にでも何か進捗状況を把握しているものはおありですか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、この地震防災戦略、十年後を一つの達成目標年次として進めているわけでございまして、策定後、来年三月には三年という形になります。ただ、現在、三年を待たずしてできるものはきちっと現在の進捗状況をつかんでいこうということで、関係各省ともさまざまな情報共有を進めています。

 ただ、問題は、各種の統計資料の調査時期等の関係がありまして、なかなかすべての数値目標の現時点での進捗状況を把握することが難しいものもございますので、そういったものも含めて、その把握手法も含めて、来年からフォローアップということもあるわけですから、今年度につきましても、そういった作業を各省とも一緒になってこれから進めてまいりたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 確かに、毎年細かくフォローアップするというのは、とてもマンパワー的に難しいんだろうというふうには思いますけれども、そこは、とにかくできるだけあらゆる面で前倒しにした方が当然好ましいわけでありますので、できる限り、三年ごとに限らず、日々フォローアップをしていただくことをお願いしたいなというふうに思います。

 そういった中で、ほかの前の議員からも話がありましたけれども、やはり住宅の耐震化というのは防災対策として大変大きな柱なんだろうというふうに思います。神戸の阪神・淡路大震災で住宅の倒壊によって亡くなった方がたくさんいらっしゃる、死者の八割がそうだというふうに言われているような現状の中で、実際、この防災戦略におきましても、今後十年間で災害が起きた際の死者を約七千九百人から四千人にするという数値目標を立てていらっしゃって、減災目標ですか、そのうちのほぼ大半ですね、三千九百人減らすうちの三千五百人というのが主に住宅等の耐震化だというふうに地震防災戦略でも記述をしていらっしゃると思います。

 先ほども宮下委員からの質問でお答えしていらっしゃいましたが、各都道府県においてどの程度進捗をしているのかということについて、また改めてお答えをいただけますでしょうか。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、減災目標の中核は、住宅、建築物の耐震改修でございます。そこで、地震防災戦略に示されました減災目標を達成するために、昨年一月に施行されました改正耐震改修促進法に基づきまして、先ほども御答弁申し上げましたが、平成二十七年度までに住宅の耐震化率を少なくとも九割を上回る、こういったことで、十八年度を耐震改修元年と位置づけまして、予算、税制等の大幅な拡充をしております。

 この目標は、現在の耐震基準が適用された昭和五十六年、一九八一年以前に建築されました、この耐震基準を満たさない住宅につきまして、耐震改修等を促進しまして、平成二十七年度までにこうした住宅の割合を少なくとも一割未満にする、こういった目標でございます。

 この目標を達成するために、耐震改修促進法に基づきまして、公共団体による耐震改修促進計画の策定を進めております。現時点で、三月でございますが、三十八の都道府県で改修計画の策定が終わり、この七月までには残りの九県も終わる予定でございます。

 ただ、御指摘のように、計画の中で、具体的に建築分野別に耐震改修の目標率をきっちりと書いてある計画とそうでない計画もございます。したがって、御指摘のようにこういったことをしっかりモニタリングするためには、単に耐震改修計画ができるだけじゃなくて、そういったフォローアップが可能なような、より精度の高い耐震改修計画をつくっていただくというようなことをお願いしてまいりたいと思っております。

 加えて、補助事業でございますが、平成十七年度は二十億円でございましたが、これはおかげさまで十八年度に百三十億円、さらには十九年度は百三十六億五千万というようなことで、公共団体がこういったことに対して取り組む場合に、国として支援する体制はかなり充実してきたのではないか、こう思っております。

 加えて、十八年度には耐震改修促進税制を設けていただきましたので、こういったものをあわせまして、公共団体にしっかりと対応してまいりたい、こう考えております。

田村(謙)委員 どうもありがとうございました。確かに最近いろいろと御努力なさっているなというのは、私も敬意を表したいというふうに思います。

 確かに、耐震化というのは非常にいろいろお金がかかる。結局、個人個人の住宅になると大変お金がかかるわけでありますけれども、先ほど宮下委員へのお答えで、一戸建てとマンションの耐震化率というのをたしかお答えになっていらっしゃったと思うんですけれども、その数字も教えていただけますか。

和泉政府参考人 ちょっと細かくなりますが、まず、補助制度の充実状況でございます。

 平成十九年一月一日現在で、戸建ての耐震診断は一千市町村、全市町村の五七%、マンションは二百市町村、全市町村の一一%。具体の工事費の補助につきましては、戸建てが五百五十市町村で、全市町村の三〇%、マンションが八十市町村で、約五%。

 次に、御指摘の実績でございますが、戸建ての耐震診断が、十四年度は二万一千戸が、十七年度は九万二千戸。共同住宅の耐震診断につきましては、十四年度が九千戸が、平成十七年度には一万五千戸でございます。具体の工事につきましては、戸建て住宅のデータが今手元にございますが、十四年度には残念ながらゼロだったのが、十七年度には二千七百戸に増加している、こんな状況でございます。

田村(謙)委員 各地方自治体の耐震化についての、耐震改修についての支援措置というのは徐々に広がっているんだと思いますけれども、まだ、ある意味で半分ぐらいのところで導入をされていないという状況にあるわけですが、それは具体的に今後どの程度、全国すべての地方自治体にしっかりと導入を促すのか、あるいは、やはりエリアを絞って、その中で、例えば東海、東南海、南海地震のエリアにおいては一〇〇%をまず目指すのか、何らかのそういった促進の方針というのはおありですか。

和泉政府参考人 基本的には、先ほど来議論がございますように、どこで地震が起きてもおかしくないという状況でございますので、すべての市町村でこういった措置を設けてもらいたい、こう思っております。

 ただし、現実問題、公共団体の意識、先ほど先生も御指摘でございますけれども、リーダーの意識を含めまして温度差がございまして、東海エリア等では、全国平均に比べましては、当然のことながら、そういった助成制度の充実度合いが高うございます。

 したがいまして、今後、どこにあっても地震が起こる可能性があるというようなことをしっかりと普及啓発して、最終的には、すべての市町村、都道府県で耐震改修の助成制度を設けていただくというような方向で強力に働きかけてまいりたい、こう考えております。

田村(謙)委員 地方自治体も、国もそうですけれども、やはり財政状況が非常に厳しいという中で、特に、地震がすぐ起きるというエリア以外になると、地方自治体の方でも、財政が非常に厳しい中、どうしても後回しになってしまうという部分があると思うんですね。かといって、非常に国の財政も厳しいわけではありますが、とにかく重要性をより啓蒙して理解してもらう。それは、もちろんどんな地域の人でも理解はしていると思うんですけれども、いざお金を振り向けるかどうかということになると、どうしても後ろ向きになってしまうという部分があると思うんですが、その点、国の助成というのを、そういった地域、要は地方自治体の支援措置がまだまだ導入されていない地域の後押しをする、さらに強力な後押しをするために、今の予算というのはどの程度十分かというのはございますか。

和泉政府参考人 率直に言って、先ほど御説明しましたように、十七年度で二十億だったものが百三十六億五千万まで来ていますので、耐震改修プロパーの予算としても相当な増額を認めていただいたと思っています。

 加えて、最近の補助金改革の中で、いわゆるまちづくり交付金とか地域住宅交付金とか公共団体の創意工夫でさまざまな使途に充てられる予算も別途ございますので、率直に言って、こういった大事な問題について、公共団体が耐震改修の支援をしたいというときに、今の時点で国としておつき合いできないというようなことはないのではないか、こう思っております。

田村(謙)委員 わかりました。

 そうすると、まだまだそういう支援措置を導入していないような地方自治体に対する啓蒙が不足しているか不十分だという、それだけではないとは思いますけれども、そもそも自助努力という部分もありますので、ただ、そこはやはり国の方からもより強力な指導をしていただくようにお願いをしたいと思います。

 地震防災戦略についてはそれぐらいにいたしまして、次にお伺いをしたいのは、Jアラートという全国瞬時警報システム、昨年から整備が始まったシステムであると聞いておりますけれども、まず、それの概要を簡単に御説明いただけますか。

大石政府参考人 Jアラートのお尋ねでございます。

 全国瞬時警報システムをJアラートと略称いたしておりますが、これは、対処に時間的な余裕がない場合に、人工衛星を用いまして情報を送信いたしまして、同報系の防災行政無線を自動起動する、そういう仕組みでございます。そのことによりまして住民に緊急情報を瞬時に伝達する、そういうシステムでございます。

田村(謙)委員 ほかの国を見ても、大変先進的ないいシステムだなというふうに思いますけれども、私が聞いているところでは、現在、Jアラートによる情報の受信というのを十都道府県で開始をして、四つの市町で情報の受信及び同報無線の自動起動を開始した、そして、それ以外の地域では準備、検討しているということを聞いていますけれども、今後、各地方自治体においてJアラートに対応したシステムを導入するスケジュールというのはどうなっているでしょうか。

大石政府参考人 Jアラートによりまして住民に情報提供をいたしますためには、地方公共団体において防災行政無線の自動起動機等の関連設備を整備する必要がございます。それから、そもそも防災行政無線がまだ未整備の団体におきましては、この防災行政無線を整備していただく必要があるわけでございます。

 私どもは、Jアラート整備を速やかに進めていく必要があると考えておりまして、平成十九年度の予算におきまして、Jアラートの受信装置でありますところの衛星モデムの配備に要する経費を予算措置させていただいております。

 まずは、既に防災行政無線を整備している市町村に対しまして、二年間程度を目途にいたしまして衛星モデムを配備いたしまして、さらに、防災行政無線が整備されていない未整備の団体につきましては、その整備状況を踏まえながらJアラートの整備を全国的に普及させていきたい、このようなスケジュールでございます。

田村(謙)委員 今お答えいただいた中で、そもそも同報系防災行政無線が整備されているというのが、Jアラートのシステムを導入する前提となるというお話でいらっしゃいました。

 二年前に予算委員会の分科会で私もたまたまこの件を取り上げて御質問させていただいて、そのときに、地方自治体において、現在、同報行政無線を整備しているのは約七〇%弱だというお話を伺いましたけれども、それから徐々に整備をしている率というのは上がっているとはいっても、それほど、恐らく、私もことしの数字というのはそもそもあるのかどうかまで確認しておりませんけれども、五%前後なんじゃないかなというふうに思うんですが、とにかく、そこは、Jアラートというより進んだシステムを導入していくのはもちろん大変いいことだと思いますけれども、その一歩手前の同報無線について、やはりまず一〇〇%を目指すべきだというふうに思いますが、それについてはどのような対応を考えていらっしゃいますか。

大石政府参考人 同報系の防災行政無線の整備状況でございますけれども、平成十八年の三月三十一日時点の数字というのが、私どもがとらえている最新の数字でございます。これによりますと、市町村ベースで七四・六%の整備率となっておりまして、一歩ずつ整備率は進んでいるわけでございますが、まだまだ一〇〇%と言うにはほど遠いところでございます。

 そこで、私どもとしましては、地方債と普通交付税措置を組み合わせました防災基盤整備事業、こういう事業メニューによりまして防災行政無線の整備が全団体において速やかに整備されるように働きかけを現在いたしているところでございます。

田村(謙)委員 実際、そういった措置によって導入をする自治体というのは、まだ同報系防災無線の未整備のところがそういった措置によって導入がより進んでいるというふうにお考えでいらっしゃいますか。

大石政府参考人 実は、未整備団体の中でまだ整備計画が決まっていないという団体も半分程度ございまして、必ずしも先々の計画がしっかりしているという状況ではないわけでございますが、私どもの整備メニューとして用意してございます防災基盤整備事業というのは、起債を最高九〇%まで認めまして、その元利償還金の五〇%を交付税で措置する。地方団体にとりまして、財政措置としては優遇された措置であると考えておりますので、この措置を活用することによりまして、速やかに整備が図られるように努力をしていきたいと思っております。

田村(謙)委員 先ほどの数字ですと、十七年で六七・八%が七四・六、一年で七%ぐらい上がったんですかね。そうすると、単純にそのまま少しずつふえていくのであれば、あと四、五年という気がしますが、ただ、今、未整備のところというのは、いろいろ事情が、例えば財政状況ですとか、あるいはそもそも意識が薄いとか、そういった事情があると思いますけれども、大体あと何年ぐらいで一〇〇%にしようというような目標はお立てにならないんですか。

大石政府参考人 このような整備の進んでいない団体はそれぞれ事情があるわけでございまして、その一つの理由としては、市町村合併によりまして、そもそもこの整備計画全体を新たに見直していく必要があるというような点とか、あるいはデジタル化を現在進めなければいけないので、このデジタル化のためにはどのようにしたらいいのかとかいうようなことを検討しておられる団体が多いわけでございます。

 しかしながら、計画はいずれつくっていただけるものと私ども思っておりますが、今の時点で、何年ぐらいで一〇〇%にできるのかというのはなかなか申し上げかねる状況でございます。

田村(謙)委員 先ほどいろいろお伺いしましたが、地震防災戦略についても十年で、具体的な数字で、耐震化も九割とか、そういったある意味大胆な目標を立てていらっしゃいますので、そこはぜひ何年で一〇〇%というような目標もしっかり立てていただいて、より精力的に地方自治体を後押ししていただければなというふうに思います。

 そこで、Jアラートの方でありますけれども、先ほど整備計画、十九年度予算についてもお話をいただきましたが、約七百の団体に衛星モデムの配備をする予算を今回措置したということでありますけれども、御答弁にもありましたように、衛星モデムがあって、さらに同報無線自動起動機という機械ですとか、あるいは同報無線の制御の大きなコンピューター、それを改造するとか、いろいろ地方自治体自体にそれぞれ相当費用がかかるということを聞いております。

 例えば、それは市町村規模によるのかもしれませんが、一つの自治体でどれぐらいの負担をしなければいけないという何かイメージのようなものというのはおわかりになりますか。

大石政府参考人 御指摘のように、この防災行政無線をJアラートが自動起動させるためには、この自動起動機とその接続のための制御卓の整備が必要でございます。私ども、十九年度予算で計上されているところ、される予定の地方団体に対して照会をいたしておりますが、確かに、人口規模等によって、そのシステムの違い等によってさまざまでございますけれども、おおむね大体五、六百万程度の予算、平均的には五、六百万程度の予算で整備ができるものと考えております。

田村(謙)委員 その五、六百万、確かに市町村の規模にもよるでしょうし、あるいは財政の状況にもよると思いますが、実際に今回消防庁の予算で手当てなさった約七百の団体は、十九年度において、まさに今年度じゅうにそれぞれの自治体で整備する必要のあるそういう装置とかをしっかり整備するという見込みは立っていらっしゃるんでしょうか。

大石政府参考人 具体的な計画は、これからさらに市町村の方でお詰めになるものを私ども聞き取ってこのモデムの配備というのを行っているわけでございますけれども、この配備に当たりましては、先ほど申し上げたような額、これは市町村にとって必ずしも少ない額ではございません、そこで、これを整備促進するための方法についても十分検討しているところでございます。

田村(謙)委員 ちなみに、今回、今年度約七百団体ということですけれども、来年度以降の予定というのはありますか、どういうふうにやるか。

大石政府参考人 防災行政無線を整備している団体について、まず、おおむね二カ年でモデムを配備したい、モデムの配備と同時に自動起動機の整備をお願いしたい、こう考えておりまして、予定で申しますれば、今年度七百、来年度七百、そして残りについては防災行政無線の整備に合わせて整備をしていきたい、このような考えでございます。

田村(謙)委員 先ほども御質問させていただいたとおり、同報系防災無線についてもなかなか整備が一〇〇%というのがそうすぐに簡単に進んでいないという中で、同報系防災無線を整備している団体というのはそれなりに意識が高いところなんでしょうから、今回のこのJアラートについてのシステム整備というのも全国の中ではより進みやすいのかもしれませんけれども、国の方で衛星モデムの予算を二年間でといっても、実際に、それに合わせて千四百の団体が全部それに対応しましょう、予算を計上しましょうというふうになかなか簡単にならないんじゃないかなというふうに思うんですが、その見込み、あるいは、もうそれはとにかくこの二年間で全部地方自治体にも、それぞれの自治体で何とか措置をしてもらおうというふうにお考えなんですか。

大石政府参考人 そもそも、この防災行政無線は市町村の設備でございます。私どもとしましては、地震、津波、それから場合によったら弾道ミサイルに関する緊急情報を速やかに伝達する手段としてはこのJアラートをおいてほかにないと思っておりますし、市町村においてもそのような認識をほとんど持っていただいておりますので、財政措置を十分尽くすことによりましてこの整備が進んでいけるものと考えております。

田村(謙)委員 このJアラートについても、このような防災という観点から全国に張りめぐらそうという、これはほかの国にも余りないというふうに聞いておりますので、ぜひ世界に先駆けたそういう先進的なシステムを強力に推進していただきたいというふうに思います。

 あと、もう一点だけ。防災国民運動について幾つかお伺いしようと思って用意をしたんですけれども、既にほかの委員から御質問があった部分もございますので、公助と共助についてお伺いしようと思っていたんですが、それはかぶってしまいますので飛ばさせていただきまして、一点だけ、津波のことでちょっとだけお伺いをさせていただきます。

 ことしの一月三十日に各都道府県の防災担当主管部長あてに「千島列島を震源とする地震による津波避難の状況と今後の対応について」という文書が出されて、そこに、十一月十五日に津波警報が発表された地域の避難率は、避難指示地区で七四%、避難勧告地区で一二%であったというふうに聞いています。その報告書自体にも、文書自体にも、まだまだ避難率がそれほど高くないということをみずからおっしゃっていると思うんです。

 やはりそこは、津波の場合はとにかく瞬時に逃げてもらうというのが第一でありますので、今後、さらなる対策、今までも対策は既に講じていらっしゃるわけですよね、それが現状としてまだまだ行き渡っていないという中で、それをどうやって、どういう対策を打って避難率をより上げていくのかということを最後にお伺いしたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありましたように、地震に伴う津波による人的被害を少なくするには、何よりもまずは逃げていただくことが大事なわけでございます。このような認識から、これまでも、気象庁におきまして、まず津波予報の精度の向上というものに取り組んでおります。それから、私どもといたしましても、関係省庁と一体となりまして、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインもつくっておりますし、それから、それを受けまして津波ハザードマップ等々の作成も行っているわけでございます。

 ただ、残念ながら、御指摘のように、昨年十一月、それから本年一月に発生いたしました千島列島を震源とする地震による津波に際しましては、住民の避難率が非常に低うございまして、これはどうしたものかということで、実は改めて関係省庁と検討会を立ち上げました。この検討会の中では、今回の状況につきましてまず実態を検証しようということを始めまして、改めて課題を整理してさらなる政府の取り組みをまとめたというのが報告書でございます。

 この中では、具体的に何点か申し上げますと、一つは、津波予報の精度がまだまだ足りない。実は気象庁からは、最悪のケースを想定した予報ということになりますものですから、どうしても、悪く言いますとオオカミ少年みたいなことになってしまうということですから、まずは予報精度のさらなる向上ということをお願いするとともに、ただ、この予測にはどうしても誤差が伴うということを国民にも周知して御理解いただくような取り組みをしようということを決めております。

 それから二点目は、今回の避難の状況を子細に検討いたしますと、ハザードマップをつくって地域を特定して避難指示、勧告したところは非常に避難率が高い。そうじゃなくて、ハザードマップもできていない、それから避難の勧告も全市一律にというところは非常に避難率が低いわけでございますので、やはり基礎的には、公共団体でまず津波ハザードマップをつくっていただいて、勧告、それから指示もできるだけきめ細かに出すということが大事だということも徹底したいということが二点目でございます。

 さらには、自助の問題でございますが、どうしても住民意識の向上が必要だということで、現在、意識啓発活動を支えるためのリーフレットの作成を、関係省庁と一体となっておりまして、この意識啓発活動をやっていきたいというような取り組みを今回も取りまとめさせていただいたというところでございます。

田村(謙)委員 引き続き御努力をお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

木村委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 能登半島地震から二週間余りがたちまして、改めて、今回の地震で亡くなられた方、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 国会で、各委員会におきましてもこの能登半島地震に対する活発な質疑が繰り広げられております。若干前の委員と重なる部分もございますが、順次質問してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 初めに、今後の余震状況の見通し、また地盤の緩み等に配慮した取り組みにつきまして、気象庁にお伺いをいたします。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年能登半島地震の余震状況につきましては、けさ八時までに、震度五弱が三回、震度四が五回を含め、震度一以上を観測した地震は三百六十六回となっております。

 余震活動は、このたびの地震としては平均的な減衰の仕方をしてきております。現在、震度五弱以上の揺れとなる余震が発生する可能性は小さくなっております。震度一以上となる余震、すなわち、体に感じるような余震につきましても、四月下旬ごろにはおおむね一日に一回程度になるものと見られます。

 被災地においては、地震による強い揺れにより地盤が脆弱になっている可能性が高いため、大雨警報、注意報を発表する雨量の基準を引き下げて運用しているところでございます。

 なお、地元の金沢地方気象台では、一日三回、被災地の天気についてわかりやすく解説した資料を作成し、石川県や関係する九市町村に提供して、復旧復興に当たられる方々への支援に努めているところでございます。

古屋(範)委員 余震はほぼ終息しつつあるということでございますが、これから梅雨の季節にも入ってまいります。どうか、こうしたことにも配慮した、さらなるきめ細やかな対応をよろしくお願い申し上げます。

 次に、激甚災害指定について質問してまいります。

 公明党は、安倍総理に対しまして、復旧事業への国庫補助率の引き上げなどを行う激甚災害制度の速やかな指定を求めたところでございますが、安倍総理は、地震発生の翌日、二十六日夕刻に、被災者の方々が激甚災害指定を強く希望されているので私も要望にこたえたいと述べられ、前向きに検討する考えを示されております。現時点ではまだ指定がなされておりません。一刻も早い指定をと考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

溝手国務大臣 気持ちは我々も同じでございます。

 それで、従来から、激甚災害の指定、特に局激の方はいつも年度末に査定をして指定するというのが習慣的に行われていたわけでございますが、今回はとにかく早くやろうということで、スピード感を持って指定をしようということで、先ほども申し上げたわけですが、少しラフな見積もりになろうと思いますが、航空写真とか地図とか本省から人間を派遣するとかいろいろな手をやって、早い段階で現地の皆さんに安心していただくように対策をとってまいりたい。来週には何とかめどをつけたいと思って、今フル稼働をしているところでございます。

古屋(範)委員 大変速やかな検討をしていただいていることに敬意を表する次第でございます。来週というお言葉もちょうだいいたしましたので、一日も早い指定を何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、文部科学副大臣に質問してまいります。

 地震発生から二週間が過ぎまして、この地震のショックが長期化する中で、避難生活のストレスから、不眠、頭痛、体の調子が悪いなどを訴える方が多いと聞いております。この被災者の方々は急性ストレス反応が出ている、あるいはうつ病、PTSDなども懸念されるとの指摘がございます。

 前回の質問では、高齢者の方々の心身両面にわたるケアを質問いたしました。今回は、被災地の児童生徒への対応についてお伺いをいたします。

 輪島市教育委員会では、地震後の児童生徒の精神状態を把握するために、市内十七小中学校の児童生徒を対象にアンケートを実施されまして、そのうち市立の二小学校では、児童の多くが心理的な圧迫、不安を訴えているということでございます。ちょっとした音に驚いたり、余震が気になって仕方がないと訴える児童、心的外傷後ストレス障害につながるおそれもございます。

 今回の調査で先に結果がわかった二校に限らず、被災地の全小中学校に対しまして、ぜひ、文部科学省、子供の心の専門家あるいはスクールカウンセラーを派遣し、または常駐させて子供たちへの対応をお願いしたいと思いますが、この点に関して池坊副大臣にお伺いいたします。

池坊副大臣 今古屋委員がおっしゃいましたように、市内の十七の小学校、中学校で調査をいたしましたところ、四割の子供が不安を抱えております。地震のことを早く忘れたい、あるいはちょっとした音でも驚く、そのような結果がございますので、これは放置いたしますとPTSDにもなりますから、しっかりとスクールカウンセラー、五十億の活用事業費をいただいておりますので、今、門前東小学校、西小学校、二校に一名ずつですが、私は、一名では足りない、随時しっかりと把握をしながら追加をしてスクールカウンセラーの方の派遣をお願いしたい。

 それから、今おっしゃいますように、この二校だけでなくて、四割の子供たちがそのような不安を感じているのですから、しっかりとケアをしてまいるように再度指示いたします。

 それから、保護者用には、このようなパンフレットを三万三千四百部、教育委員会を通して保護者の方々に語りかけております。保護者、地域の方々と連携をとりながら、PTSDにならないようにしっかりと今対応していきたいと思っております。

古屋(範)委員 文部科学省におかれましては、既に対応をとっていただいているということでございますが、ただでさえ四月と申しますのは、入学あるいは進級で子供たちの生活、また心の状態も落ちつかない時期でもございますので、さらなる手厚い子供たちへのケアをよろしくお願い申し上げます。

 次に、児童生徒の生命を守るため、また地震の避難所として活用されております公共の施設、特に学校の耐震化についてお伺いをしてまいります。

 三月末に公表されました文科省公立学校施設の耐震改修状況調査結果を見ますと、全国の公立小中学校の校舎、体育館など約十三万棟のうち、耐震性が不十分な施設は三〇%に上る、耐震診断さえいまだに行っていない施設も一三%ございます。耐震診断が進めば、強度不足の建物がさらにふえる可能性がございます。

 今回の能登半島地震に見舞われた石川県では、多くの学校で、校舎の壁や窓ガラスが破損するあるいは体育館が半壊をするという被害が出ております。石川県の耐震化率は五五・一%、全国的には中位クラスであります。もしこの地震が春休み期間ではなく授業中にあったら、児童にも大きな被害が出ていた可能性がございます。

 公明党は、これまで学校の耐震化を強力に訴えてまいりました。二〇〇六年度補正予算で、当初予算に計上された学校耐震化予算一千百三十七億の倍以上、二千八百六億を計上いたしました。また、自治体間の学校耐震化に対する意識もまだばらばらである、格差があるというふうに感じております。

 文部科学省におかれましては、本年度予算とともに、昨年創設された安全・安心な学校づくり交付金も活用しながら学校耐震化をさらに前進させていただきたいと思いますが、副大臣の御決意をお伺いいたします。

池坊副大臣 私ども文部科学省が常に教育委員会を通して学校に申しておりますことは、子供が大半を過ごす場でありますとともに、この間のような地震が起きましたときに地域の拠点なんです、地域の拠点が耐震ができていなかったら、これは避難をする場すらないのではないか。

 先日、調査の発表をいたしましたが、平成十八年度十二月現在、五六・八が耐震ができているところでございます。それから、今おっしゃったように、耐震診断実施率が小学校、中学校で七九・四%ですから、二〇・六%のところはこれすらやっていないんですね。速やかにそれをいたしますように、補正予算で千百三十六億、本予算で千百四十億を計上いたしております。

 御存じのように、地方分権、地方分権と言われておりますので、絶対にやりなさいということは指示はできませんけれども、これは市町村別でしっかりと情報公開をいたしております。ですから、情報公開をいたしますと、それぞれの首長とか議会の方が、これはうちのところは不安なんだとかあるいはしっかりとしなきゃいけないのだということがわかっていただけると思いますので、私どもは、情報公開ということをしっかりとこれからも、今もいたしておりますが、さらに進めることによって耐震化率を深めてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 最後に、溝手大臣に被災地復旧への御決意をお伺いして、質問を終わります。

溝手国務大臣 先ほどから話題になっております子供たちの問題、ともすれば高齢者を含めたことに焦点が当たっておりまして、子供たちのことがおろそかになってはいけないという御指摘については全くそのとおりだろうと思います。私のようにかなり鈍くなった男でも、当日は、到着したときに起こった五前後の余震で、当時二十五人の政府調査団が行って、しばらく口もきけないぐらい怖くて、大変な衝撃だったわけです。それで、そのときに子供たちというのは、恐らく大変な思いをして今日まで来たんじゃないかと思います。高齢者も含めて、子供たちも含めて、これからも安心して住み続ける町として再生をしていきたいと思っております。

 それで、問題は、山古志村のケースだけ申し上げたいんですが、もとの世帯数が結果として七割しか残らないという問題が起こっております。この問題も十分頭に入れまして、できるだけ多くの人が戻ってこれるように、いろいろな知恵を使って頑張ってまいりたい。また、それ以外にも、伝統的な、観光があり、温泉があり、朝市があり、漆器があるということで、そういったビジネスがしっかりこれからも継続できるような工夫をしてまいりたい、このように考えております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、原子力防災について伺いたいと思います。

 電力会社の発電設備における過去のデータ改ざんが次々と発覚したことで、昨年秋に経済産業省が電気事業者に総点検を指示し、三月末で三百九もの事案があったことが判明しました。しかも、北陸電力志賀原発を初め、福島、女川、浜岡、柏崎刈羽などでは制御棒の落下というトラブルもあり、志賀原発と福島原発では臨界事故まで起こしていたことが判明し、本当に許せないと思っております。

 私は、九九年に青森県議になり、議会真っ最中のときにジェー・シー・オー事故が起こり、急遽、深夜議会で質問したことがございました。日本初の臨界事故の衝撃は大変大きく、救急体制はどうか、沃素剤はどこにあるのか、避難路はどうなっているのかなどなど、県民の目線で質問を浴びせたことを鮮明に覚えております。

 この事故を受けて原子力災害対策特別措置法がつくられ、災害対策基本法に基づく地域防災計画原子力編の見直しも迫られました。しかし、私たちは、その後もたびたび、県当局があってはならないことと言うトラブルに直面し、そのたびに県民の不信感は膨張し、国策だといって出口のない核燃サイクルの推進はやめようと訴え続けてまいりました。

 二〇〇二年、東電のデータ改ざんのときは、本当に裏切られたと怒り、県当局も初めて、党が長い間提案してきた、推進と規制機関を分離せよと国に迫ったのです。福島第一原発の改ざんは、原子炉の格納容器という原発の中心にかかわるデータを改ざんしていたという極めて悪質なものでありましたが、あれほどおわびをし再発防止を誓っていたとき、実はその二十四年も前に制御棒が五本も落下し臨界事故が起きていたとは、絶対に許せないという思いであります。

 そこで、まず、大臣に伺います。

 原子力施設と地震の関係は、今、災害対策の中でも重要な柱の一つであります。また、原発の安全対策の大前提は信頼の確立、私はそのように考えますが、この点について大臣の所見を伺いたいと思います。

溝手国務大臣 御指摘のように、我が国はどこでも大きな地震が起こり得るという国土条件にあり、地震に強い国づくり、町づくりを進めることが重要であると考えております。広域における経済活動等に著しい影響を及ぼすような施設については、特に高レベルの地震動に際しても、他の構造物や施設に比べて耐震性能に余裕を持たせることを目標としていかなくてはいけないと思っております。

 御指摘の原子力発電所につきましても、当然ながら的確な地震対策を実施することが必要であり、しっかりとした地震対策がとられているものと考えております。

高橋委員 その上で、やはり国民からの信頼の確立ということは、同じ気持ちでよろしいでしょうか。一言。

溝手国務大臣 そのとおりでございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 それでは、保安院に伺いたいと思います。

 制御棒は、臨界しながら発電をする原子炉にとって重要な安全装置であり、今回の事故は絶対に看過できない事象だと思いますが、その点についてまず確認をしたいと思います。

 続けます。

 その上で、東電が四月六日提出した再発防止策を見ますと、しない風土、させない仕組み、こうしたことが柱になっております。これは二〇〇二年のデータ改ざん時に企業内の風土が問題だったということを繰り返し言いわけしたレベルと余り変わっていない、率直にそう指摘せざるを得ません。

 発覚すれば原発をまたとめてコストがかかる、それが一番の原因でありました。ひびが入っていることを定期検査のたびに確認をしながら放置し、国の検査が入るときにこっそり新しいものと入れかえていたという当時の生々しい報告書がありました。東電の副社長は、そのとき、うそにうそを重ねることになったと深く陳謝をしたのでありました。

 また、今回の志賀原発に至っては、当時所長代理として事故隠しにかかわった現在の常務が、昨年十一月に北陸電力や下請業者らを集めて開いたトラブル防止の総決起大会において、最近のトラブルの要因はほとんど人為的なもの、もう少し注意していたら防げたはずと呼びかけています。自身がかかわった事故隠しへの反省はかけらもないと言わなければなりません。これでどうして再発防止策ができるでしょうか。抜本的な対策がとれるか伺います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省は、昨年十一月に、全電力会社に対しまして、すべての発電設備において過去にさかのぼりデータ改ざんや必要な手続の不備、その他同様の問題がないか総点検を行うよう指示いたしました。

 三月三十日でございますけれども、経済産業省は、電力会社から発電設備におけるデータ改ざん、必要な手続の不備などについての総点検結果の報告を受領いたしました。今回の総点検結果で明らかになったデータ改ざんは三百九事案ございまして、このうち、原子力については九十八事案の改ざんなどがございました。また、四月六日でございますけれども、経済産業省は、電力会社から発電設備の総点検結果を踏まえた再発防止対策を受領いたしました。

 経済産業省といたしまして、電力会社からの総点検結果の報告、再発防止策の内容などを踏まえ、電力会社が再発防止に努めるよう厳格に指導してまいりたいと考えてございます。

 特に、制御棒引き抜け事案を含みます事故トラブル情報については、経験を事業者間で共有することなどにより再発防止に生かし、一層の安全性の向上に努めるよう指導していきたいと考えております。

高橋委員 最後に、特にということで制御棒について触れていただきましたけれども、やはり原発の命綱とも言える重要なものなんだということは確認してよろしいですね。

佐藤政府参考人 原子力発電を運転するに当たりまして、制御棒はまさにブレーキの役目をするものでございます。したがいまして、今先生御指摘のありましたように、制御棒のこういった引き抜け事故につきましては、今後起こらないように、必要な手続などについて所要の見直しがなされているということを確認いたしてございます。

高橋委員 志賀原発は、能登半島地震のときにトラブルで停止中でありましたけれども、使用済み燃料プールの水、約四十五リットルが飛散したと聞いております。プールの水面というのはかなり床面から下の方にあるのですけれども、どうして水が飛散までしたのでしょうか。これは地震の揺れ方に原因があると思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 志賀原子力発電所一号機におきましては、能登沖地震により、使用済み燃料を貯蔵いたしますプールの水面が揺れ、放射性物質を含むプールの水、約四十五リットルがプール周辺に飛散いたしました。この飛散した水の多くは、プール周辺に張られました防護シートに落ちておりまして、その周辺部に拡大するおそれはなく、また、防護シート外に飛散した水は少量であったことから、安全上の問題はなかったと考えております。

高橋委員 安全上の問題を聞いているのではなくて、地震の揺れ方と関係があったのではないかということです。

 東大地震研の強震動グループは、能登半島地震による長周期地震動について映像で示しております。四分間くらい長く続いた。長く続く地震に超高層ビルですとか橋梁とかは非常に弱いということが、中央防災会議でも今研究している最中でありますけれども、震度自体は小さいけれども、長く続くことによってそういう被害が起きる。そういう揺れと原発の関係についてちゃんと研究をされているのか、するべきだということを踏まえて質問しています。

佐藤政府参考人 原子力発電所におきましては、地震のデータを観測するためにさまざまな地震計を設置しております。現在、この地震計のデータの解析を北陸電力において進めているところでございまして、そういった解析結果を踏まえ、適切に対応していきたいというふうに考えてございます。

高橋委員 新たな事象も踏まえて、しっかりした耐震対策をやっていただきたいということを要望して、終わります。

木村委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社民党の菅野哲雄でございます。

 三月二十五日に起こった能登半島沖地震で亡くなられた方々や被災された方々に御冥福とお見舞いを申し上げる次第でございます。

 さて、地震については、国の全体の方向性は、これまでの予知という観点から防災へという形へ大きくシフトしたと私は思っています。ただ、そういう中で、大規模地震対策特別措置法、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、これらの法律が、私もかかわったんですが、この間、整備されてきております。

 東海地震対策は、平成十五年五月、東海地震対策専門調査会報告を受けて、今具体的な取り組みがなされておりますし、先ほども質疑がなされております。

 東南海・南海地震対策は、二十七回にも及ぶ専門調査会が開催されておりますが、この調査会の、今も継続しているわけですから、今後の方向性をどうとらえているのか、これについてまず一点お聞きしたいと思います。

 それから、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策は、十七回に及ぶ専門調査会において議論がなされ、報告を受けているんですが、今後の防災対策をどのように考えているのか。

 この二点についてお伺いしておきたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 まず、東南海・南海地震関係でございますが、御指摘の専門調査会は、平成十三年十月から検討を進めておりまして、もう既にマスタープランである大綱、それから、地震防災戦略、応急対策活動要領等が策定済みでございます。

 ただ、この審議の過程で、海溝型だけではなくて、中部圏、近畿圏の大都市に影響を及ぼす活断層型の地震についても検討を加えるべきだという委員からの御指摘がございまして、現在、その活断層型の地震について検討を進めております。昨年十二月に、この活断層につきまして震度分布を公表させていただいたところでございます。現在、この震度分布に基づきまして被害想定を検討しておりまして、できれば今年度中には被害想定を公表したいと思っております。その後で、この被害想定に対応した地震防災対策等を取りまとめたいということで進めてまいりたいというふうに考えております。

 次に、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策については、これは専門調査会を設けまして検討してきたわけですが、平成十七年六月に震度分布をまず公表いたしました。この震度分布に基づきます被害想定を平成十八年一月に公表させていただきました。現在、その被害想定を受けまして、中央防災会議におきまして、対策大綱、これは昨年二月にできたわけでございますが、先ほど来申し上げています応急対策活動要領、これは地震発生時の各省庁の具体の役割を定めるものでございますが、今各省庁と最終的な詰めを行っておりますので、できるだけ早くこれを策定したいということで取り組んでおります。

 それから、定量的な減災目標等を定める、先ほど来議論になっております地震防災戦略につきましては、これも遅くとも今年度中には策定したいということで作業を進めているというふうな状況でございます。

菅野委員 予知から防災という体制にシフトしました、これは事実だというふうに思います。

 それで、後でも議論するんですけれども、そういう体制の中に、防災体制はどうしていくのかということで各都道府県がこの防災体制をつくっていくという今の流れになっています。だから、国はいろいろなデータを出しながら、そのもとで都道府県がつくっていくという体制です。

 ただし、宮城沖地震を経験した地域というのは、私の出身は宮城なんですが、もう敏感になっているんです。全国を見たときに、私はすべてがそうなっているというふうには思いません。そういう意味で、全国を網羅する場合に、国の役割というのは今日ほど重要なときはないんじゃないのかなという体制で、どこで起こってもおかしくないのだという啓発活動というか、そのことをしっかりやっていかなければ防災体制に結びついていかないというふうに思っているものですから、ぜひ国として、この四つの地域を今念頭に置いてやっていますけれども、全国を網羅する形でしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 その延長線上で何が必要なのか。今度の能登半島沖地震でも言えるんですが、住宅が崩壊しているのは、やはり古い住宅だということなんですね。それで、今、最も求められているのは、何といっても住宅の耐震診断と改修というものを進めていくことだというふうに思っていますし、今後の方向性について議論しておかなければならないというふうに思います。

 先ほどの宮下委員、田村委員の質疑を聞いていて、数字的なもの、今の進捗状況というものはすべて把握することができました。ただ、一九八一年以前の住宅というものが、建築基準法の改正で強化される以前の住宅がやはり問題だというふうに思って、その部分を、十八年度を元年度として、平成二十七年度、十年間で九割の耐震改修を行っていくんだというのがこれからの取り組みの方向性だというふうに思っています。

 それで、一年間の耐震改修を行ったのが九万二千戸という数字を聞くことができました。そうであるならば、一九八一年以前のこの住宅をどれくらいと把握して、十年間九割もと言っているんですから、現在の取り組み状況はこれでいいのかという部分を私は検討する必要があるというふうに思うんです。この点についてどう考えているのか、答弁願いたいと思います。

和泉政府参考人 少し細かくなりますが、数字でお答えします。

 まず、単純に、今委員御指摘の一九八一年以前の住宅のストック数、これを統計的に調べますると、千八百五十万戸ございます。これをすべてシラミつぶしにやったわけじゃございませんが、過去に多数の耐震診断の実績がございまして、五十六年以前の、新耐震基準以前の住宅で耐震診断を受けたものの結果で統計的に推測しますると、耐震性が不十分というものは千百五十万戸でございます。現在、人が居住する住宅は四千七百万戸でございますから、先ほど二五%と申し上げましたのは、この四千七百万戸に対して千百五十万戸の主として五十六年以前の耐震性の不十分な住宅があるので、これは二五%ですと申し上げました。

 これを平成二十七年までに一〇%に減らす。そのためには毎年相当数の耐震改修が必要でございまして、現時点で、先ほどお答えした数字で十分かということになりますると、まだまだ不十分だと考えております。したがって、今後、税、助成等々を充実する中で、そういった目標に向けて毎年着実に改修の実績を上げてまいりたい、こう考えております。

菅野委員 私は、この耐震診断、耐震改修というものが、先ほども議論になっていますけれども、防災対策上重要だというふうに思っています。国土交通省としては百三十六億五千万を予算化したから十分だという話にはならないというふうに思います。

 今の数字を見ても、これから政府として、国全体として取り組まなければならない大きな課題が私は明らかになっているというふうに思いますから、大臣も含めて、その点をしっかり取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げて、質問を終わります。

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十五分散会


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