衆議院

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第7号 平成20年7月31日(木曜日)

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平成二十年七月三十一日(木曜日)

    午前十時五十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 恒夫君

   理事 江藤  拓君 理事 佐田玄一郎君

   理事 土屋 品子君 理事 早川 忠孝君

   理事 望月 義夫君 理事 松原  仁君

   理事 松本 剛明君 理事 高木美智代君

      新井 悦二君    稲田 朋美君

      浮島 敏男君    小川 友一君

      大前 繁雄君    坂井  学君

      平  将明君    西本 勝子君

      林   潤君    林  幹雄君

      林田  彪君    原田 憲治君

      平口  洋君    御法川信英君

      盛山 正仁君    吉野 正芳君

      神風 英男君    田名部匡代君

      田村 謙治君    西村智奈美君

      松木 謙公君    村井 宗明君

      石田 祝稔君    漆原 良夫君

      高橋千鶴子君    日森 文尋君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       泉  信也君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   大森 雅夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡本 全勝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         齋藤 晴美君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            横尾 英博君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           西阪  昇君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   衆議院調査局第三特別調査室長           生駒  守君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月三十一日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     吉野 正芳君

  高鳥 修一君     稲田 朋美君

  長島 忠美君     浮島 敏男君

  丹羽 秀樹君     西本 勝子君

  岡本 充功君     神風 英男君

  小平 忠正君     松木 謙公君

  近藤 洋介君     田名部匡代君

  桝屋 敬悟君     漆原 良夫君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     高鳥 修一君

  浮島 敏男君     長島 忠美君

  西本 勝子君     丹羽 秀樹君

  吉野 正芳君     梶山 弘志君

  神風 英男君     岡本 充功君

  田名部匡代君     近藤 洋介君

  松木 謙公君     小平 忠正君

  漆原 良夫君     桝屋 敬悟君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(岩手県沿岸北部を震源とする地震及び七月二十八日の大雨による被害状況等)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの岩手県沿岸北部を震源とする地震及び去る七月二十八日の大雨その他の災害による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、負傷された方々が一日も早く御回復されますようお祈り申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 委員会内の全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

鈴木委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、岩手県沿岸北部を震源とする地震及び七月二十八日の大雨による被害状況等について、政府から説明を聴取いたします。泉防災担当大臣。

泉国務大臣 七月二十四日の岩手県沿岸北部を震源とする地震及び七月二十八日からの大雨の被害状況並びにその対応につきまして御報告いたします。

 まず、これらの災害により不幸にして亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げます。

 初めに、岩手県沿岸北部を震源とする地震につきまして御報告いたします。

 七月二十四日午前零時二十六分ごろ、岩手県沿岸北部を震源とするマグニチュード六・八の地震が発生し、岩手県洋野町において震度六強が観測されました。

 この地震により、昨日の時点で、死者一名、負傷者二百七名、住家の一部破損二百十棟、土砂災害六件などの被害が発生しております。

 ライフラインにつきましては、電力は最大で八千三百戸の停電が発生しましたが、すべて復旧しております。水道は約千四百戸で供給停止となり、七十戸で断水が続いております。

 また、県管理国道及び県道の六区間で全面通行どめとなりましたが、五区間については通行できるようになっております。

 政府の対応ですが、地震発生後直ちに緊急参集チームが官邸の危機管理センターに参集し、総理の指示のもと、情報収集等に当たりました。私自身も、政府調査団の団長として直ちに現地に入り、被災状況の調査を行いました。また、自衛隊や警察広域緊急援助隊、緊急消防援助隊、海上保安庁等も現地に派遣され、被害状況の確認活動等を行ったところです。

 さらに、発災当日より関係省庁連絡会議を開催し、関係省庁間で情報の共有や対応状況の確認を行ったところです。

 続きまして、七月二十八日からの大雨につきまして御報告いたします。

 七月二十八日及び二十九日、北陸地方や近畿地方などで、場所によっては一時間に百ミリを超える大雨が降りました。

 これにより、昨日の時点で、死者七名、負傷者十三名、住宅の全壊一棟、半壊二棟、床上浸水六百四十八棟、床下浸水二千六百八十六棟、土砂災害五十六件などの被害が発生しております。

 ライフラインにつきましては、電力は延べ十万九千戸の停電が発生し、昨日の時点で二十五戸が停電しております。水道は約千戸で供給停止となり、三十戸で断水が続いております。

 また、県管理国道及び府県道につきましては、十九区間について通行どめとなっておりますが、早期開通に向けて復旧工事に取り組んでおります。

 政府の対応ですが、官邸に情報連絡室を、内閣府には内閣府情報対策室を設置するなど体制を強化して、情報の収集、集約に当たってまいりました。

 また、石川県知事からの要請に基づき自衛隊が情報収集活動を行ったほか、海上保安庁等により神戸市にて行方不明者の捜索活動を行ってまいりました。

 この大雨による被害に対しまして、災害救助法が富山県南砺市及び石川県金沢市において適用されるとともに、被災者生活再建支援法につきましても金沢市において適用されております。

 政府といたしましては、岩手県沿岸北部を震源とする地震及び七月二十八日からの大雨による被害に対しまして、被災地の速やかな復旧に向けて、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鈴木委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官大森雅夫君、総務省大臣官房審議官岡本全勝君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君、農林水産省農村振興局整備部長齋藤晴美君、中小企業庁事業環境部長横尾英博君、国土交通省大臣官房審議官西阪昇君及び国土交通省河川局長甲村謙友君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。盛山正仁君。

盛山委員 自民党、兵庫一区の盛山正仁でございます。

 まず、今週の二十八日月曜日の神戸での豪雨の災害について河川局長にお尋ねをしたいと思います。

 当日、私は、灘区、東灘区という私の選挙区でもございますので、ちょうどおりました。朝からかんかん照りの本当に暑い日だったんでございますけれども、二時ぐらいだったでしょうか、急に六甲山の方から空模様が暗くなりまして、これはいかぬなと思いまして、とあるお訪ねをする企業に入ったんでございますけれども、入った直後に雷が光りまして、どんという音とともに停電いたしました。その入っていたビルも停電でエレベーターその他すべてストップしたわけでございますが、それと同時に大変物すごい雨がそれから降り出しました。停電が復旧するのを待ってそこから出たわけでございますけれども、ビルの出入り口から駐車場までほんの五メートルぐらいの間にずぶぬれになるような、そんな大雨でございました。

 その後別のところへ伺いますと、道路の上が足のくるぶしの下あたりまで、靴のほぼ上ぐらいまで、下水道、排水の状態がそこの地域は余りうまくなかったのかもしれませんですけれども、そんな川のような状態で流れているような感じでございました。

 そして、その後、きのうもおとといもそうでございますが、五名お亡くなりになられました方のうち四名の方のところへお悔やみその他に伺ってまいりました。特に、小さいお子さんを亡くされた御両親の方からは、とにかくこういう悲しい思いをしなくて済むように何とかしてください、私たちはどこへこの悲しみや怒りを訴えればいいのかわかりません、こういう悲痛な言葉を受けて、ただただ言葉なく帰ってまいりました。

 六甲山といいますのは、神戸の場合には本当に山がすぐ、千メートル近い山が迫っておりまして、それで海に直結するという形で、昔も、昭和の十三年ですか、阪神大水害が起こったというような形で、水の事故が起こりやすい地形ではあるわけでございますけれども、その当時に比べまして、とにかく水をストレートに海へ流していく、あるいは、それに加えまして、都市がアスファルトやコンクリートで固められ、なかなか六甲山の山あるいは宅地での庭その他の保水力がなくなっている、こういうことも一つ影響してかと思いますが、降った雨をできるだけ下水溝を通して川へ流していく、その結果、残念ながらこういう被害が起こったのかなと思います。

 データの上では、十分間で一メーター三、四十センチですか、水位が上がったというふうに言われておりますけれども、私が見た川の状態では、実感としてはもっと上がっている。本当に泥水が、茶色い濁流がどっと、ごうごうと音を立てて流れている状態でございました。

 今回の事故のありました都賀川というのは、河川局その他も頑張られていたと思いますが、いい立派な親水設備ができているんです。市民の憩いの場というんでしょうか、子供さんたちが川におりて川遊びができるような形になっているのでございますけれども、そういったところを完全に超して、橋げたのすぐ下まで濁流が流れる、それが本当に短期間で起こったということもありまして、残念ながらこんな事故につながったのではないかと思います。

 国交省の方、きのう早速今後の対策を発表されたところではございますけれども、なかなか難しいとは思いますが、今後の河川行政というんでしょうか、あるいは場合によっては都市行政ともつながってくるかと思いますが、水辺での事故を防ぐに当たってどのように今後取り組みをしていかれるのか、甲村局長にお尋ねしたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、今回の七月二十八日の都賀川の水難事故でお亡くなりになられました五名の方々並びに御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げます。

 当日の雨の状況でございますが、七月二十八日の十四時四十分から十四時五十分にかけて、都賀川の近隣の住吉観測所で二十一ミリの雨を観測しております。都賀川の甲橋水位観測所におきましては、十四時四十分から十四時五十分までの間に百三十四センチの水位上昇を観測しております。ですから、雨が降ったのとほぼ同時に下流の水位が上昇して水難事故を起こしたことになります。

 これを受けまして、兵庫県におきましては七月三十日に、急激な増水に対応するための警報システムの整備ということで、大雨警報等の気象情報と直結した警報システム、回転灯等の整備について検討し、今年度から実施することとしております。さらには、表六甲河川につきまして、親水施設の緊急総点検と改善、並びに河川利用者への情報提供及び防災意識の啓発を行うこととしております。

 国土交通省といたしましても、平成十九年六月に「急な増水による河川水難事故防止アクションプラン」を策定したところでございますけれども、この七月二十九日に再度全国の河川管理者に対して周知をしたところでございます。さらに、七月三十日には、このような親水施設についての急激な増水に対する安全対策等の緊急実態調査を行うように各地方整備局、都道府県に依頼したところでございます。

 これらの結果を踏まえまして、このような急激な増水に対する安全対策につきまして、できるだけ早く対処方針を打ち出してまいりたいと考えております。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 これまでにも、都賀川ですとか住吉川、あの近辺の川につきましては、川での水遊びに注意しなさいですとか、いろいろ大きな看板、書いてはあるんですけれども、やはりなかなか皆さん、これまでこういった災害が起こらなかったこともあってか、余り深刻に思っておられなかったというところもあるんじゃないかと思うんです。

 また、河川の管理者という点でも、県や市、いろいろ入り組んでおります。どのような形で市民の方にうまく危険を通報するのか、国交省の方では、ぜひこれまで以上に、住民の目で見てどう思われるのかといったことを考えていただければなと思う次第でございます。

 それでは、もう一問、泉大臣にお尋ねをしたいと思います。

 六月、七月と続けて起こりました、岩手・宮城内陸地震もそうでございますし、今回のような集中豪雨、二十八日の神戸、そしてまたそのほかの地域にも災害が起こっております。気象庁との連携、あらかじめどの程度予知をして、地域の住民の方、やはり一般的な情報提供ではなかなかうまくいかないところもあろうかと思うんです。具体的なその地域ということでの情報提供でありませんと、なかなか皆さんぴんと来ていただけないところもあろうかと思います。

 あらかじめどうやってそういう災害につながりそうかということをキャッチしていくのか、またそして、その情報をどのように具体的にうまく住民の方にお伝えをして災害を少しでも抑えていくことができるのか、大臣として今後どのようにお取り組みを強化していただけるのか、お尋ねをしたいと思います。

泉国務大臣 今御指摘をいただきましたように、六月、七月、東北地方の地震、そして石川県を中心とし、また兵庫県、神戸の大雨の状況等、このところ自然災害が頻発をいたしておりますことに心を痛めておるところでございます。

 自然災害に対します予知ということになりますと、本当に難しい状況が現在の姿でございます。台風の進路を予測する、そういうことは逐次技術が進んではきておりますが、今回の大雨といった事柄については、状況を的確に把握し地域住民の方に伝えるというのは、先ほど国土交通省からもお話ございましたが、なかなか難しいところはございます。

 親水公園をつくっていこうというこの事柄は大変すばらしいことだと思っておりますし、これからもこういう事業は必要だと私は思っておりますが、今御指摘のように、このような場所で今回のような災害が起きないようにどうしていくか。これは、河川管理者や気象庁等の関係で有機的な連携をとるということが私どもの一つの大きな使命だと思っております。そして、その連携の中で情報を的確に把握して、対応策を利用者の方々、地域の住民の方々にお伝えしていくという取り組みをこれからしなければならないと思っております。

 国土交通省でお調べをいただく中に、過去の急な増水の実績というような事柄も、これからのそれぞれの河川の性格、性状を判断する上に重要な一つのポイントではないかと思います。その上でなお、住民の方々が自分の身を守るために一層の御注意をいただくということもあわせてお願いをしなければならないと思っております。

 今回のこうした集中豪雨型というのがこれからどの地にどのようにして起きてくるか、これもまた予測をしていく技術を上げていかなければなりませんが、いずれにしましても、河川利用者等の安全を確保するために、警報システムの整備など情報提供を進める一方、防災意識の啓発を図るよう取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

盛山委員 委員長、ありがとうございました。

 ぜひ、これからこういった事故が起こらないように取り組みの強化をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。

 私は、金沢市内の浅野川のはんらん、土砂災害について質問をしたいと思います。

 二十八日未明から明け方にかけまして、一時間で百三十八ミリ、二時間で二百五十ミリという大変な豪雨によりまして、市内を流れる浅野川がはんらんし、土砂災害となったわけでございます。

 私も実は二十九日に現場に行かせてもらいましたけれども、道路、床上、床下、物すごい大量の土砂が流れ込んで、とてもこのままでは生活ができない状況になっております。役所の方も市民もボランティアの皆さんも、総力を挙げて泥と格闘しているという現状でございました。

 そこで、具体的に質問しますけれども、私は二十九日、災害救助法の適用をすべしだということを官房長官を通じて内閣にお願いしたんですが、ただいま泉防災担当大臣から、災害救助法の適用がされるというふうに聞いて、素早い措置で大変安心しております。ついては、今後、災害救助法が適用された場合にどんなふうになっていくのか、簡単にその手順を御説明いただければありがたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法は、被災者に対しまして応急的に必要な救助を行うことを目的といたしておりまして、その適用につきましては、法定受託事務として都道府県知事が行うこととされているところでございます。

 ただいま御指摘のとおり、金沢市におきましては、今般の二十八日の大雨により被害が生じまして、石川県は、一昨日の七月二十九日に、災害救助法を二十八日にさかのぼって適用し、避難所の設置とか食料品の給与等を実施しているところでございます。

 厚労省におきましても、地元自治体からの相談に十分乗りまして、被災者のニーズを踏まえた適切な対応が図られるよう、先ほど言いました避難所の設置や食料品、それから障害物の除去などの対応につきまして、引き続き支援に努めてまいりたいと考えております。

漆原委員 その点、ぜひよろしくお願いをしたいと思っております。

 次に、金沢市の主計町というところは、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定をされております。また、湯涌温泉というのは大変由緒ある温泉街でありますが、これらの観光地にとりましてこの夏はある意味では稼ぎどきになるわけでありまして、大変泥が床の上に上がって、あるいは床の上にたまっておる、今それを一生懸命取っている状況なんですけれども、一定程度の休業が見込まれます。また、それによる減収も相当なものになるんじゃないのかなというふうに思っております。

 もう一つは風評被害。もうあそこはだめなんだという風評被害もあろうかと思いますが、この風評被害対策をどうするのか。もう一つは、休業による減収に対して何らかの融資枠の確保はできないのかどうか、支援ができないのかどうか、この辺についてお尋ねしたいと思います。

西阪政府参考人 まず、観光の風評被害につきましてお答えをいたします。

 風評被害を防ぐためには、現地の正確な情報が国民に広く届くということが何といっても重要でございます。このため、必要に応じまして、まずは旅行業界全体として、正確な現地の情報の幅広い提供等につきまして協力するよう要請してまいりたいと考えております。また、その上で、今後、状況に応じまして、地元の意向を踏まえつつ、地方公共団体、関係者とも連携をとりながら適切に対応していきたいと考えております。

横尾政府参考人 緊急融資枠の確保についてお答え申し上げます。

 今回、災害救助法が適用されました富山県及び石川県の被災中小企業者対策として、政府系中小企業金融機関や商工会連合会、商工会議所等に特別相談窓口を設置するとともに、政府系中小企業金融機関における災害復旧貸し付けの適用や既往債務の返済条件の緩和、また、小規模企業共済の災害時即日貸し付けの適用といった措置を講じたところでございます。これらの措置は、委員御指摘の観光地の中小企業者の方を含めて支援の対象となります。

 経済産業省といたしましては、今後とも、関係機関と協力を密にして、被災した中小企業者の方の支援に万全を尽くしてまいります。

漆原委員 ありがとうございました。

 続いて、この復旧事業、自治体としては早急に復旧したいと復旧にかかわっているわけでありますけれども、何としても、費用の問題もあります、財源の問題もありますが、ここらはぜひとも特別交付税の交付措置ということで十分な手当てをしてもらいたい。そこのところを心配して早急な復旧に手間がかかるようなことがあってはならないというふうに思っております。

 実はきのう、与党の幹事長、政調会長、国対委員長会談がありまして、今回のいろいろな被害のうち、本激、激甚指定の適用にならないところ、今回のところがそうでありますけれども、そういう場所の復旧については政府を挙げて復旧支援していこう、それは特に特別交付税の措置をしっかりやるべきだ、したがって自治体の皆さんには安心して必要なところをどんどん復旧作業してもらいたい、こういうことをきのう、いわゆる二幹二国二政で確認し合ったところでありますが、地元の皆さんの安心のためにぜひとも特別交付税の措置をしっかりやっていく、こういう観点での御答弁をお願いしたい。よろしくお願いします。

岡本政府参考人 総務省でございます。

 御指摘の応急対策や復興対策に係ります自治体の財政負担でございますが、それにつきましては特別交付税で措置することとしております。今回の豪雨災害につきましても、被害状況をよく把握いたしまして算定し、交付する予定でございます。

 今後、被災されました地方団体の実情を十分お聞きしまして、財政運営に支障の生じることのないよう努めてまいります。

漆原委員 抽象的でありましたが、財政運営に支障のないように努めるというところ、しっかり確認させていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になりますが、実は、浅野川というのは女川と言われているんですね。川の水量も本当に少なくて、きれいな水が流れて、加賀友禅をそこで友禅流しをやるという大変きれいな、そんな暴れ川じゃないんですけれども、実は、一九五三年、五十五年ぶりにこういう大はんらんをした、こういうことでございます。

 今回のこの五十五年ぶりの大はんらんの原因は一体何なのかということと、再発防止対策、スコール級の雨がいっぱい降る昨今になってきたわけでありますけれども、将来、この再発防止にどういうふうにお取り組みになるのか、その辺をお尋ねしたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の浅野川のはんらんでございますが、七月二十八日の早朝から、委員御指摘のような記録的な前線性の局所的、短期的な豪雨がございまして、これに伴いまして、浅野川の水位が計画高水位を上回りまして、浅野川大橋下流等におきましてはんらんが発生し、浸水被害が生じたところでございます。

 浅野川の治水対策でございますが、金沢市の中心部を流れるということで、大幅な河道の改修が実質困難であるということ、さらには、上流にはダムの適地がないということで、すぐ隣を流れます犀川と一体となった整備を進めることとしております。

 具体的には、浅野川の河川の改修、さらには犀川上流部でのダムの建設、それから浅野川の洪水を犀川に分派する放水路の建設、さらには犀川の河道改修ということでございます。

 現在、浅野川につきましてはほぼ河道改修はでき上がっておりますけれども、犀川上流のダム並びに犀川の下流の河道改修がまだ未整備なことから、浅野川から犀川に分派する放水路につきましては流量を制限しているところでございます。

 今回の災害につきましての再発防止対策でございますけれども、残っております浅野川の改修、さらには犀川下流部の改修、犀川上流の辰巳ダム建設などを重点的に進めまして、さらにはソフト対策も組み合わせまして、再発防止を図ってまいりたいと考えております。

漆原委員 大変ありがとうございました。

 万全の措置を講じていただいて、現在困っている人を何とか早く救いたい、また、将来も安心して住んでいけるような対策を早急に講じていただきたいことを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、田名部匡代君。

田名部委員 民主党の田名部匡代でございます。

 まずもって初めに、今回の災害で被害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方に対しての御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 今回、私の地元青森県でも震度六弱の地震が発生をいたしました。以前、阪神・淡路大震災の前に、東北でもはるか沖地震というのがございまして、そのときも震度六強だったと思いますが、そのときは非常に大きな被害がありました。亡くなった方もおられたわけなんですけれども、今回の震度六弱、震源地である岩手県では被害が大きかったようでありますが、青森県内では、負傷された方はいらしたんですけれども、しかし、お亡くなりになるとか、そういう被害がなかったということは不幸中の幸いだったというふうに思っております。

 また、大臣にも現地に入っていただきまして、ありがとうございました。あちこち現場を見ていただいて、大臣もいろいろおわかりかと思いますが、きょうはその点についてお話をさせていただきたいと思うんです。

 まず、地元の小学校の体育館の天井が落下をいたしまして、これも今申し上げたように夜中の地震であったために被害がなかったということだったんですけれども、本来であれば、指定避難所になっておりますし、何かあれば地域の皆さんがその小学校の体育館に避難をする、また、授業中であれば子供たちがその場で授業を受けていたかもしれない。

 特に、資料一というもの、写真をお渡ししてありますけれども、体育館の写真でありますが、学校の関係者、校長先生が驚かれていたのは、まず一点、この体育館は築五年である、市内でも一番新しい体育館であったんです。それと、避難をするときには、児童には体育館の中央に集まりなさいということを話しているんですが、今回のこの地震では、体育館の中央部分がはがれて落ちているという、特徴的な、今までにない被害だなということを話しておられました。

 それで、この体育館、一校のことではないので、市内、また各地でいろいろ被害があったと思いますから、全体的なお話に移らせていただきたいと思うんです。

 まず、耐震化をこれから文科省も進めていくということで、それに伴って耐震診断を早急に実施する必要があるわけでありますけれども、この耐震診断、現時点では、優先度順位、また第一次診断、第二次診断というものがあるわけですけれども、本来であれば、耐震化を図っていくためには実際どういう診断を行うことが大事なのか、優先度順位を行っただけで耐震化に向けての取り組みができるのかどうか、教えていただけますでしょうか。

岡政府参考人 今御質問がありましたけれども、私どもは、耐震診断の中では耐震化優先度調査、一次調査、二次調査というのを位置づけておりますけれども、耐震補強を行うということになりますと、実質的には耐震の二次診断が必要になります。

田名部委員 いただいた資料では、耐震診断実施率九三・八%、これは非常に耐震診断が進んでいるように見えますけれども、この中には、耐震化を進めていくに当たって必要な二次診断をやっていないところも含まれていると思うんですね。優先度調査だけを行っているところも含まれていると思います。それが、きのういただいた資料では四〇・二%というふうになっているんですけれども、ここ数年、本来耐震化を進めるのに必要である二次審査というのはどのぐらい進んでいるのか。ちょっとその現状を教えていただけますでしょうか。

岡政府参考人 二次診断だけというのは、済みません、きょう、数値を持ってきておりません。しかしながら、耐震診断全体の中での二次診断の実施状況でございますけれども、二十年の四月一日現在で、二次診断に限った場合の耐震診断実施率というのは六二・八%という形になっております。

田名部委員 私の地元では優先度調査というものが一〇〇%進んだわけなんですけれども、今後、耐震化を進めるに当たっての二次診断を行っていかなければならないんですね。それに伴って、もう言うまでもなく地方の財政が苦しいわけでありまして、そこにかかる予算というものは非常に、どうやって予算をつくっていこうかというのが地方の大きな悩みであります。

 きのう伺った限りでは、二次診断を行って、それから補強工事ですとか改築工事をする場合は、その診断にかかった経費も補助の中に含まれるということでありましたけれども、結局は、今ある優先度調査をした学校すべてをこれから二次診断をしていかなければならないわけですよね。そのときの予算、その負担というものが地方にとっては非常に大きいんだろうというふうに思うんですが、耐震化を確実に進めていくためにも、前回法律が改正されまして国庫補助というものが上がったわけですけれども、この診断に伴う経費、そこにかかる経費というものも何らかの形で予算を確保して地方に支援していくことができないかどうか。

 これは大臣からちょっとお答えいただきたいんですけれども、耐震化を確実に進めていくために、私は、この診断をきちんと行って、地方で、改築また補強の優先順位をつけて、その工事をちゃんと行っていくということが順番としては必要だと思うんですが、その第一段階である診断さえ、今予算がなくてできないという現状にあるんですけれども、大臣はこの点どんなふうにお考えでしょうか。

泉国務大臣 診断をして、そして必要な補強あるいは改築を行うという手順をとっておるわけでありまして、今の仕組み、システムでは、改築、補強の中で診断の費用を見ておる、先ほど委員がおっしゃったとおりでございます。これは一つの合理的な考え方だとは私は思います。

 ただし、それでは全部の診断ができないではないか、こういうことで今委員は御指摘になっておると思いますが、私が承知しておる限りでは、国土交通省の事業においては耐震診断費用単独でも補助の対象としておるということでございますので、こういうことと組み合わせながら、できるだけ多くの学校施設についての耐震診断をしていくということが必要ではないかと思いますし、今御指摘のような事柄について、もし私の答弁で少し間違いがあるとすれば恐縮でございますので、必要があれば国土交通省なり文科省から答弁をいたさせます。

田名部委員 きょう国土交通省さんを私はお願いしていないのであれなんですが、きのう御説明の中で、耐震診断に関しては、国土交通省からも、三分の一でしたでしょうか、補助が出るということでお伺いをしておりました。

 そのことも踏まえた上で、地域の現状を伺ってきたときに、やはりこれから、優先順位をまずつけるための診断、調査をしなければならない。優先度順位、全国の公立学校のそれぞれの自治体が、ではまずはどこから調査をしようかということをまず優先度調査でするわけですね。その後さらに、危険度の高いところを調査して、工事を進めていかなければならないわけですよ。危険度がどこが高いか、その調査をするために、まず二次診断をしなければならないわけですよ。つまり、一部推測で、ここが危ないかなということではなく、本当に危険なところはどこなのかということを、築年数だけではなく、簡易診断だけではなく、きちんとした診断のもとで早急に対策をとっていかなければならないわけです。そのときの予算について少し、抱えている学校全体をまず診断して、さらに優先順位をつけて、そこで工事を進めるということに当たって、その診断するための予算というものが非常に苦しいというお話でありました。

 国土交通省からも補助が出るということは十分承知の上で御質問させていただいたんですが、ぜひそこの連携を図っていただいて、少しでも自治体に支援をしながら、本当の意味で耐震化が進んでいくような方向を文科省がリーダーシップをとって行っていただきたいというふうに思っております。

 この耐震診断、これは九十何%という高い数字が出ておりますけれども、そういったことで何かごまかさないように、優先度調査だけでは全く不十分なわけですから、その先の確実な二次診断というものが早急に行われるように文科省としても取り組んでいただきたいと思いますが、今後どういう対応をとられるのか、大臣、文科省の方、お答えいただけますでしょうか。

泉国務大臣 先ほど申し上げましたように、細かい仕組みは私は承知をいたしておりませんので、文科省から答弁をいたさせます。

 しかし、それぞれの公立学校を中心とする管理者、自治体ももう少し積極的に取り組んでいただきたいというふうに私は思っております。八戸市でも、皆様方に、学校の耐震化についてぜひ取り組んでいただきたい、今回の被災状況を見た上で、そのようにお願いをしたところでございます。

 それでもなおかつ国のお力添えが必要であるということであれば、また文科省ともよく御相談をさせていただいて、今後のあり方を議論させていただきたいと思います。

田名部委員 地元八戸のために申し上げておりますが、地元八戸でも、耐震化に向けて懸命に取り組んでいるところでございます。その上で、苦しい財政状況の中どうしようかという苦悩の声を聞いてきたので、きょうお話をさせていただきました。

 それとあわせて、法律が通ったばかりでありますけれども、国庫補助が、補強について二分の一から三分の二、そして改築に関しては三分の一から二分の一というふうに補助率が上がりました。これはまた耐震化を進めていくに当たって大変有効な手だてだと思うんです。

 実は、今後我々みんなで検討していかなければならない事柄だと思うんですけれども、改築の方がより深刻な状況にあるわけです、補強よりも。改築の方がさらに予算がかかるという中で、補助率も本当に二分の一でいいのか、早急に改築をしていかなければならない危険な状況にある学校に対しての予算というか補助というものも今後しっかりと地域の現状を見ながらみんなで検討していく課題の一つであるというふうに思いますし、三年の時限立法で法律が通ったわけでありますが、このことも、この進みぐあいをしっかりと把握しながらまた検証していく必要があるというふうに思いますので、そのことをお話しさせていただいて、もう一カ所の地震の災害について御質問をさせていただきたいと思います。

 お手元の資料二という写真があると思いますが、田んぼの崩落の写真であります。私も、次の次の日ですか、現場にすぐに駆けつけました。大変広い範囲で田んぼが崩れておりまして、雨が降ったら二次災害の危険性もあるんじゃないかなという、現場のこのがけの上に立たせていただいたんですが、非常に怖いなと思いながら行ったんです。

 余談かもしれませんけれども、行ったら、この水田の、田んぼの持ち主であるおじいちゃんとおばあちゃんが二人でこのがけのすぐ横の土盛りをしていました。田んぼの水が全部流れてしまって、この広い田んぼの水がない、何とか稲を育てていきたい、さらに被害が広がらないようにしたいということで土盛りをされておりました。危ないなと思いながらいたんですけれども、やはり皆さんにとっては生活のかかったことですから、危険を顧みずにそういう土盛りの作業をしておられたんです。

 それ以上に、この写真の一番上の右側の写真を見ていただきたいんですが、この崩れた土砂の下には用水路がありまして、この用水路が、さらに下の集落の田んぼに水を流しているんです。この用水路が埋まってしまったことによりまして、下の水田に水が一時期行かないということになりました。これをほうっておくと、被害額でいったら一千万から一千五百万ぐらいの被害になるだろうということで、町も、また土地の持ち主もすぐに対策をとられたわけなんです。

 そこのおばあちゃんが、地震はおばあちゃんのせいじゃないんですけれども、本当に御飯ものどを通らない、自分たちの田んぼはともかく、下の人たちの田んぼまでだめになったらどうしようかと本当に申しわけなくて御飯ものどを通らない、そんなことをおっしゃっておられまして、早急にこれは何か手を打たなければならないと思っていたんですが、これは実は五戸町というところで起こった災害なんですけれども、町と、また土地の持ち主が独自で災害復旧をいたしました。というのは、災害復旧事業に当たらないであろうということが一点、それと、急いでいたということもあったんですけれども、水路は、水は通るようになったんです、独自の復旧で。しかし、水が通ったからいいということではなくて、二次災害の危険性も考えると、今後ここの復旧工事に入っていかなければならないんだと思うんです。

 これは我が地元の話だけではなくて、どこにでも起こり得る話だと思いますので伺うんですけれども、一カ所だけではなくて、少し離れた、百五十メートルぐらい、車で数分のところ、離れたところに同じような崩落が起こったんです、田んぼの崩落が。しかし、きのう農水省の方にお伺いをいたしましたら、ちょっと距離が離れているので、一カ所二十万以下のところには補助として出せないからこれは無理だ、距離も離れているし、これを一つの災害と見ることは難しいというお話でありました。

 今回、二カ所だけという言い方がふさわしいかわかりませんけれども、でしたけれども、どこにでも起こり得る。これが二カ所、三カ所、一カ所の値段は二十万以下かもしれないけれども、総額で考えたら大きな被害になる可能性もあると思うんですが、この規定というのは一体どうなっているのかな、例えば距離が何キロ離れていたら一カ所と認めないだとか、そういう規定があるのかどうか、ちょっと私はわからないので、教えていただけますか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 農地、農業用施設の災害復旧事業につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、いわゆる暫定法と呼んでおりますが、それに基づきまして行われているというところでございます。

 今先生の御指摘ありました件に関連して申し上げますと、採択要件といたしましては、暫定法第二条第八項の規定により、被害が百五十メートル以内の連続しているものは一カ所とみなして、その費用が四十万円以上であるということになっているということです。

 また、農地と農業用施設、例えば水路、ため池等ございますけれども、それは暫定法上同一の箇所の取り扱いは受けずに、農地と農業用施設それぞれに判断することになっております。

田名部委員 二十万以下という一カ所の値段で考えると、それは安いというふうにとらえる方もいらっしゃるのかもしれませんが、小さな町、村で起こるこういう災害、一つ一つが重なれば、負担というものも大きくなるわけでありまして、ぜひ今後そういう要項も見直していく必要もあるんじゃないかというふうに思うのです。

 もう一点が、さっきもちょっとお話にあったんですが、この場合、町が早急に判断をして独自で復旧工事を行った。この用水路の復旧には二十万かからなかったから独自でやったわけなんですが、ここから調査をさらに進めて、この周辺の、用水路の通っているところも含めた復旧工事を行っていかなければならないわけですが、先にやってしまったこの工事というのは、ある意味、国に何の了解も得ていないわけですから、その予算を見てくれといっても無理だと思うんですが、その場合、応急工事のあり方について、少しその手続を簡略化できないのかどうか。もう少し、地域の判断、そこに権限を持たせて、応急工事をして、その後で国が判断をした上で予算をつけるというようなことができないかどうか。少しその手続の御説明をいただけますでしょうか。

齋藤政府参考人 農地災害査定の簡素化を図るべきではないかということでございますけれども、農地、農業用施設の災害査定につきましては、県からの災害復旧事業計画概要書等の提出を受けまして、地元における災害査定受け入れの準備ができ次第迅速に対応できる体制を整えているところでございます。

 災害査定は、農水省の査定官が現地に赴きまして現地確認を行い、事業内容の審査等をその場で行う仕組みでありまして、申請者の資料作成に係る負担を軽減するとともに、迅速な地区の採択の決定に資するものとなっております。

 また、緊急を要する場合には、災害査定を受ける前に復旧工事に着手することができますいわゆる査定前着工や、それから、申請額が二百万未満の箇所、やむを得ない理由により実地検査が困難な箇所については、現地事務所等において書類による審査を行ういわゆる机上査定を実施することが可能でありまして、地域の実情に応じた簡素化を図るよう努めてきているところでございます。

 当省といたしましても、早期復旧の観点から、これらが積極的に活用されるよう、県、市町村等申請者の方々に対して今後とも周知を図っていきたい、このように思っております。

田名部委員 査定前に地域が独自で行える工事、どういう状況であればそれが認められて、そのときに必要な書類だとかというのは、何ら作成する必要がないというわけではないですよね。そのためのどういう手続をすればいいのか、教えてください。

齋藤政府参考人 先ほど申し上げましたが、農地、農業用施設に関しましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に基づいて行っているということでございます。

 本制度に基づきまして国庫補助を受けるための手続といたしましては、まず、県から農水省に対する被害報告及び災害復旧事業計画概要書等の提出を行っていただいて、農水省の災害査定官等による災害査定を受けることが必要となっております。

 農水省としては、これらの手続が円滑に進むように関係機関と連絡をとりながら復旧に努めてまいりたい、このように思っております。

田名部委員 査定を行うわけですか。査定の前に応急工事ができる場合もあるという御説明じゃありませんでしたか。

齋藤政府参考人 いわゆる査定前着工がございますけれども、具体的には、市町村等の事業主体が、被災の箇所とその状況、復旧方針、復旧を急ぐ理由、概算工事費、概略図等の最小限の資料を県経由で地方農政局に送付して、承認が得られれば復旧工事に着手できるということになっております。

 なお、申請に当たりましては、ファクスとかメールにより送付していただいて、直接農政局に赴かなくても電話等による対応も可能、そういうふうになっているということでございます。

田名部委員 それを、簡単なというか書類をつくって農政局にファクスなりメールで出せば、その時点で判断をして工事に着工できるというふうに思っていいんですか。

齋藤政府参考人 今おっしゃいましたように、現地が大変だというのは重々承知しているんですが、いわゆる先ほど申し上げたような書類等を出していただいたり、手続を進めて、それを農水省が承認した上で行うということでございます。

田名部委員 どのぐらいの期間がかかりますか。

齋藤政府参考人 具体的な日数については何とも申し上げようがございません。

 といいますのは、書類が完全に整っているかどうか、必要な書類が提出されているかどうか、そういった審査等を行いますが、いずれにいたしましても、緊急を要するということは十分承知しておりますので、迅速に対応したい、このように考えております。

田名部委員 そのことを申し上げているのでありまして、もちろん、何にもないのにお金を出してくれというわけにはいかないことはわかります。

 ただ、さっきの御質問の中にもありましたけれども、地域の皆さんの財産や命を守るために急いで応急工事をやらなければいけないということを判断しているんだけれども、しかし、計画書をつくったり、提出して、それを査定していただいて、それで許可が出るまで待たなければいけないというところに、それをもう少し、もっと簡略化できる部分がないのか、もう少し自治体の裁量に任せて、まずは前倒しで工事を先に行っていただいて、その後で特別交付金であるとか補助を決定するだとか、そういうことができないのかなということを申し上げているのであります。

 もちろん、資料をつくって出して、査定をして決定をするんだという通常の流れはわかるんですが、そこをもっと簡略化することができませんか。地方の裁量に任せて、その地域の安全のために、地域の判断で決定をして工事を行う。その後で、今の写真を見ていただいたってわかると思うんですよ、どういう状況なのか。その書類をつくる、何をつくる、見積もりをとる、いろいろなことをしなくても、もう少し早急な対応をとることができないかどうかということを申し上げました。

 時間が来ましたので、ぜひ大臣、最後に一言いただきたいんですが、地域の住民の命や安全を守るために、こういう部分をもう少し簡略化できるところがないのかどうか、政府としてもしっかりと見直していただいて、地域の裁量で早急に工事に着工すること、そういう手段がとれないかどうか、また、その後で、特別交付金また補助というものを決定するような仕組みにできないかどうか。何らかの、地域の安全のために、政府としてももう一度御検討いただけないでしょうか。その点をお答えいただいて、質問を終わらせていただきます。

泉国務大臣 先ほど来の委員の御指摘に対して農水省がお答えを申し上げておりますことは、それぞれの、例えば、暫定法で処理をしていくというようなこと、あるいは紙上査定を行うというようなことで、それなりの努力をしておるとは思います。しかし、百五十メートル以内だということが本当に正しいのか、その下流域で水が水田に当たらないような状況をどう対処するかというようなことも、御指摘のように大きな問題であると思います。

 私は、こうした国が助成をしていくという事柄について、当然、税金をお預かりしておる立場から厳密でなきゃならないと思います。一方、被災を受けた方あるいは被災の地域、その方々にとっても、当面、何とか手当てをしてほしいというお気持ちもあることは十分にわかるわけでありまして、総理がいつも言われますように、被災者の立場に立って物事を運べというのが災害に対する私に指示されたお言葉でございます。

 委員の指摘も踏まえて、なお改善する余地があるとすれば、農水省等関係省相談の上で対処をさせていただきたいと思います。

 なお、もう一言申し上げますならば、地域が独自の判断でやるというからにはそれなりの覚悟でもやっていただきたい。すべてこれはお上に、お上という言葉はよくありませんが、国の助成策にのっとってということであってはならないと私は思います。

田名部委員 地方の町や村また市、各自治体、地域の住民の命や安全を守るために、私は、それなりの覚悟を持っていろいろな判断をして取り組んでおられるというふうに思います。今回の災害に関してもそういう早急な取り組みが行われたから最小限の被害で済んだんじゃないか、そんなふうに思っています。

 ただ、その中で、それは何といったって財政が伴うわけで、予算が伴うわけですから、そういった地域の苦しい現状も踏まえて、見直せる部分はしっかりと見直し、検証できる部分はしっかりとその取り組みを行っていただきたい、そのことを御要望申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先月、今月と続いて地震がありました。また、二十九日の豪雨でも大きな犠牲、被害が出ました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 私は、八戸市と岩手県洋野町に視察に入りました。今回、住家の被害が小さかったのに比べ、学校や体育館など文教施設の被災が多かったように思います。

 二百五十九の公立学校のうち、ガラス破損などの軽微なものもありますけれども、先ほど田名部委員が御紹介いただいた八戸市の吹上小学校などは、紹介された体育館は平成十五年築ですが、本体の校舎の方は昭和三十五年築であります。もちろん旧耐震基準で、まだ診断がされていません。建物の継ぎ目にひび割れ、教室の黒板の壁が盛り上がって崩れている、あるいは校舎をぐるりと一周する地割れができております。また、洋野町の、震源に近い旧大野、ここの第一中の体育館は昭和五十八年築ですけれども、六本の鉄骨がすべてゆがんでおります。しかも、体育館裏手の土手はやはりぐるりと地割れができておりました。

 これらの事業が災害復旧事業の対象になると聞いておりますが、基本が原状復旧である。とはいえ、耐震化も備えた復旧がどうしても必要である。そのことを十分考慮するべきだと考えますが、見解を伺います。

岡政府参考人 災害によって被害を受けた公立学校施設等の復旧に要する経費の一部は国が負担することとしておりまして、その経費の算出に当たっては、委員御指摘のように、被害を受けた施設を原形に復旧することを原則としております。

 しかしながら、地震等によりまして全壊または半壊した建物を災害復旧事業により改築する場合等につきましては、現行耐震基準に基づく建物に改良して復旧することが認められております。

 また、柱でありますとかはりなどの主要な構造部材が著しく損傷した場合は、耐震性の向上を図るための復旧についても災害復旧事業の対象としているところでございます。

 なお、被害の復旧と同時に、別途、公立学校施設整備事業により耐震補強事業を申請することも可能になっているところでございます。

高橋委員 そうしたセット、あるいは耐震化を備えた改良ということを十分、また同じことが繰り返されないように、御指導、御援助をいただきたいと思います。

 それで、さきの国会で、全会派による議員立法で地震防災対策特別措置法の改正が実現しました。耐震化工事に対する補助率のかさ上げなどが実現、措置されることになったわけです。学校の耐震問題はかねてから我が党としても訴え続けてきたところですし、私自身も、〇四年の本委員会での初質問がこの耐震問題でありました。前進が見られたということを率直に喜び、また、法改正に御尽力された各会派の皆さんに敬意を表したいと思っております。

 被災地である八戸市も、今回の措置によって大いにテンポアップを図りたいんだ、そういう期待の声が寄せられておりました。しかし同時に、真夜中であり、また八戸市は夏休みに入っていたということが幸いして負傷者がいなかったけれども、現状を見ると、使用中であれば大変だったとやはり言わざるを得ないのです。

 市内には、先ほど紹介した昭和三十五年築よりもさらに古い校舎も残されております。耐震化率は三九%にとどまっています。洋野町の大野体育館、さっき紹介した第一中とは別です、体育館は昭和五十五年築ですが、耐震診断の発注をしたやさきの地震だった。間に合わなかったわけであります。このことをしっかり受けとめ、一気に進めるべきだと思います。

 そこで、公立学校施設の耐震改修状況調査について、六月二十日の文部科学省の発表では、小中学校の耐震化率は六二・三%で、耐震診断実施率は九三・八%だ。そのことと、大規模な地震によって倒壊する危険性の高い小中学校は約一万棟だ。つまり、六割の耐震化と九割の診断と一万棟、この数字が全体いっているわけですね。

 しかし、旧耐震基準という中で見ると耐震化率というのはぐっと落ちると思いますが、どうなっていますか。

岡政府参考人 二十年の四月一日現在、一九八一年、いわゆる新耐震以前の建物に限った場合の耐震化率は三八・八%となっております。

高橋委員 ありがとうございます。

 つまり、今御報告いただいたように、旧耐震基準の建物のうち耐震化は四割にも届いていないのだ、そのこと自体を見るべきだと思います。しかも、小中学校だけで今言っておりますけれども、旧基準の建物の方が六割で多いわけですよね。その中でも耐震化率は四割にもなっていないんだ。ここは、しっかり現状をあからさまに見て、まだまだ非常におくれているんだというふうに認識をすべきではないかと思います。

 さっき田名部委員も紹介いただいたように、耐震診断実施率そのものが九三・八%で、しかも、これは統合の見込みなどを入れますと九七・一%だということで、何か診断そのものはほぼ終わりますよみたいに響くわけです。しかし、実際は、十万から二十万程度の予算でできる優先度調査をやっただけのものを入れている数字である。実際には、一次、二次診断が必要ですが、二次診断の費用は二百万から三百万、自治体が二の足を踏んでいるということを指摘したわけです。

 私は通告してありますので、実際の二次診断の実施率は幾らですか。

岡政府参考人 二十年四月一日現在の第二次診断等に限った場合の耐震診断実施率につきましては、六二・八%となっております。

高橋委員 耐震性がない建物のうち二次診断がやられたのは四三・六%である。文科省の資料を見て言いました。それで、全体で言うと六二・八%である。そういう到達である。

 つまり、実際の耐震診断が終わったのは九割台ではなく六割台なんだということをしっかりと受けとめていただきたい。数字だけがひとり歩きして深刻さが見えてこないということはあってはいけないと思います。

 そこで、質問は、少なくとも優先度調査はすべてが終わっているべきだと思いますが、どうかというのが一つです。

 それから、五年間で一万棟を耐震化すると言います。しかし、〇・六以上が耐震化だと言われるにもかかわらず、Is値〇・三未満の建物がその対象と言います。例えば、青森県の耐震性が不足の小中学校は百二十六校ありますけれども、〇・三未満の小中学校でいうと二十六校にすぎません。八戸市は一つもありません。まあ、これは診断がおくれているということがあるんですけれども。あわせて、〇四年の中越地震でも、旧耐震基準の小中学校のうち大破した建物十四棟はすべて診断未実施でありました。同じことを繰り返していると言えるのではないでしょうか。

 財政的な事情から優先順位をつけざるを得ないのは理解できます。しかし、耐震診断については、もっと短期間に終わり、〇・三から〇・六のところが早期に視野に入るようにならなければならないと思います。診断をいつまでにやり、全体像はいつまでに把握できるのか、目標を持ち、そこにふさわしい予算措置をするべきと思いますが、いかがですか。

岡政府参考人 二点御質問がありましたので、お答えさせていただきます。

 まず、本年六月に改正されました地震防災対策特別法におきまして、地方公共団体に対して、公立小中学校等について耐震診断の実施が義務づけられたところでございます。義務づけの耐震診断の中身は、耐震化優先度調査、一次診断、二次診断等とされております。

 このため、文部科学省としましては、未診断の地方公共団体があれば、少なくとも耐震化優先度調査を実施するよう、個別に指導しているところでございます。

 また、二つ目の二次診断等の完了の時期というお話ですけれども、公立学校施設の耐震化を速やかに進めるためには、当然のことながら詳細な耐震性能を確認することが望ましいということになっておりまして、文部科学省としましては、地方公共団体に対しまして、通知等によりまして耐震化優先度調査等を実施した建物について早急に二次診断を実施するよう強く要請するとともに、関係省庁と連携しつつ必要な財源措置を講じているところでございます。

 しかしながら、第二次診断等の完了時期につきましては、学校の設置者である市町村の取り組み状況に負うところが大きく、現時点におきまして時期というのをお示しするのは困難な状況でございます。

高橋委員 義務づけはするけれども、今御自身がおっしゃったように、自治体の財政は厳しい、だからなかなかいかないんだと。それだったら、義務づけをして、後は自治体の責任よ、それではやはり進むはずがないわけですね。

 一万棟を五年を目途に耐震化すると。しかし、特別措置法は三年という期限がございます。三年たって、耐震診断、とりあえず一次までようやっといったわ程度でいいのか。法律で区切っている以上、そこはもっと見通しを示さなくちゃいけないんですよ。そこが一つです。

 それから、改修では間に合わないということでやむを得ず改築となった場合、補助率は二分の一である。しかも耐震診断の費用も二分の一になるわけです。こうなると、自治体にとって大きな障害であります。最も危険で改築を急ぐべき建物が財政上の理由で後回しになる。これじゃ全然子供たちの安全を守るという趣旨と逆ではありませんか。どのように考えますか。

岡政府参考人 学校施設の耐震化の手法としては、いわゆる改築、建てかえというものと、補強と大規模改造をあわせて行います改修という方式がございますけれども、改修方式によりまして長寿命化を図るという方向が、コストと時間をかけずに耐震化と老朽化の両方に対応できるなど、一般的にはより効率的、効果的な手法であると考えられております。

 今回の地震防災対策特別措置法の改正による補助率の引き上げでございますけれども、委員の御指摘のような引き上げ率になっておりますけれども、危険性の高い学校施設の耐震化を加速するという趣旨であります。このことから、改修方式が有効であるという点も踏まえ、改築事業につきましては、Is値が〇・三未満であって、かつ、やむを得ない理由により補強が困難なものについてかさ上げ措置が講じられているというような法案の趣旨になっている、そう理解しているところでございます。

高橋委員 だったら、せめて耐震診断だけでも補助率を同じにするとか、やりようがあると思うんですよ。だって、改築というのは一定時間がかかりますからね。そういう中で、やむを得ないということがあるだろうと。しかし、それでは済まないわけですよ。もっと危険だということが判明してしまうわけですから。そのことは大いに検討されていただきたいと思います。

 本当は最後に大臣に質問するつもりでしたが、時間が来ましたので、要望だけ届けたいと思います。

 昨年の十二月に泉防災担当大臣名で提言を発表されて、「自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指すために早急に取り組むべき施策」ということを提案され、その中でも、耐震診断を早急に進めることや、危険性の高い一万棟についての五年を目途に耐震化を図ることを提案されました。このことを、大臣、いや、文科省や国土交通省がと言うだけではなくて、災害の連絡調整であり、責任者として、全体として進むように大いにリーダーシップを果たしていただきたいということ、また、自治体が独自でその分カバーして頑張るところには必要な財政補助をしてあげるなど、そういうことも検討していただきたいということを要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

泉国務大臣 一言だけ私の立場からお答えを申し上げておきたいと思います。

 先日、各都道府県のこの問題の担当者を文科省、国土交通省がお集めになって御説明等がありました際に、私もあえて出席をお許しいただきまして、ごあいさつをさせていただき、耐震化を一層進めてほしいということをお願い申し上げました。

 内閣府の防災担当といたしましても、御指摘の数々の問題を踏まえながら、そして、子供たちがより安全に、場合によっては被災地の一つの手助けになる場所として使っていただけるように、これからも努力してまいりたいと思います。

鈴木委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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