衆議院

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第8号 平成20年9月11日(木曜日)

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平成二十年九月十一日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長代理理事 佐田玄一郎君

   理事 土屋 品子君 理事 松原  仁君

   理事 松本 剛明君 理事 高木美智代君

      新井 悦二君    稲葉 大和君

      小川 友一君    近江屋信広君

      大前 繁雄君    梶山 弘志君

      北川 知克君    坂井  学君

      篠田 陽介君    杉浦 正健君

      平  将明君    高鳥 修一君

      徳田  毅君    長島 忠美君

      林   潤君    林田  彪君

      原田 令嗣君    平口  洋君

      藤井 勇治君    三ッ林隆志君

      武藤 容治君    盛山 正仁君

      森山  裕君    岡本 充功君

      小平 忠正君    田島 一成君

      田村 謙治君    筒井 信隆君

      古本伸一郎君    和田 隆志君

      赤松 正雄君    桝屋 敬悟君

      佐々木憲昭君    日森 文尋君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       林  幹雄君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   大森 雅夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡本 全勝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 久保田誠之君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (消防庁長官)      岡本  保君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           幸田 雅治君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    荒井 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       尾澤 英夫君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局食糧部長)         奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         齋藤 晴美君

   政府参考人

   (林野庁国有林野部長)  福田 隆政君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     松井 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   衆議院調査局第三特別調査室長           生駒  守君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二日

 辞任         補欠選任

  林  幹雄君     金子 恭之君

同月五日

 辞任         補欠選任

  金子 恭之君     森山  裕君

  石田 祝稔君     遠藤 乙彦君

同月六日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     谷  公一君

  早川 忠孝君     馳   浩君

  三ッ矢憲生君     小里 泰弘君

  御法川信英君     浜田 靖一君

同月二十日

 辞任         補欠選任

  遠藤 乙彦君     赤羽 一嘉君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  赤羽 一嘉君     遠藤 乙彦君

九月二日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     藤井 勇治君

  谷  公一君     萩山 教嚴君

  丹羽 秀樹君     北川 知克君

  馳   浩君     三ッ林隆志君

  浜田 靖一君     近江屋信広君

  村田 吉隆君     武藤 容治君

  望月 義夫君     原田 令嗣君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  鈴木 恒夫君     稲葉 大和君

  萩山 教嚴君     杉浦 正健君

  原田 憲治君     篠田 陽介君

  近藤 洋介君     和田 隆志君

  西村智奈美君     古本伸一郎君

  村井 宗明君     田島 一成君

  遠藤 乙彦君     赤松 正雄君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     原田 憲治君

  杉浦 正健君     萩山 教嚴君

  田島 一成君     村井 宗明君

  古本伸一郎君     西村智奈美君

  和田 隆志君     近藤 洋介君

  赤松 正雄君     遠藤 乙彦君

  佐々木憲昭君     高橋千鶴子君

同日

 鈴木恒夫君が委員長を辞任した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員長辞任の件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成二十年八月末豪雨による被害状況等)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

佐田委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行います。

 お諮りいたします。

 委員長鈴木恒夫君より、委員長辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、委員長の辞任を許可することに決しました。

     ――――◇―――――

佐田委員長代理 この際、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十年八月末豪雨による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、負傷された方々が一日も早く御回復されますようお祈り申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 委員会内の全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

佐田委員長代理 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

佐田委員長代理 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る八月二十五日、七月二十八日からの大雨による被害状況等調査のため、兵庫県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告いたします。

 派遣委員は、自由民主党の土屋品子君、大前繁雄君、盛山正仁君、民主党・無所属クラブの松原仁君、松本剛明君、公明党の高木美智代君、赤羽一嘉君、日本共産党の高橋千鶴子君、社会民主党・市民連合の日森文尋君、そして私、佐田玄一郎の十名であります。

 御承知のとおり、兵庫県の都賀川におきまして、七月二十八日の大雨による急な増水により五名の方が流され死亡するという水難事故が発生いたしました。

 この水難事故で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今回の大雨により被災された方々に対し、心からお見舞い申し上げます。

 近年、局地的集中豪雨による被害が多発する傾向にあります。特に、親水施設の整備により水辺の利用が進んでいるような都市部の中小河川においては、急な増水による水難事故が懸念されております。

 今回の派遣は、急な増水による水難事故の再発防止に向け、原因を究明し、今後の対応を検討するためにも、現場をつぶさに調査することが必要であるとの認識に立ち、実施したものであります。

 それでは、以下、調査の概要を報告いたします。

 まず、兵庫県公館において、井上兵庫県県土整備部長から都賀川の水難事故の概要等の説明を聴取いたしました。

 兵庫県では、今回の事故を受けて、親水施設を有する河川の緊急総点検を実施したところであり、注意喚起看板の増設、拡充や気象情報と直結した警報システムの整備などの対応策を検討しているとのことであります。

 次に、神戸市内において、都賀川の水難事故現場を視察いたしました。事故現場においては、川におりる階段、水位計、注意喚起看板、子供らが避難したとされる橋の下などを視察いたしました。

 また、同現場の遊歩道において、亡くなられた方々に対し、献花と黙祷を行い御冥福をお祈りいたしました。

 視察当日は、水の深さも二十センチメートルほどで流れも穏やかでありましたが、事故当時は、十四時三十分からの十分間で水位が一・三四メートル急上昇したとのことであります。急な増水による都市河川の危険性を改めて実感いたしました。

 以上が調査の概要であります。

 私どもは、短時間ではありましたが、この調査を通じまして、都市河川の急な増水に対する安全対策を早急に講じていくことが重要であると深く認識したところであります。

 終わりに、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

佐田委員長代理 平成二十年八月末豪雨による被害状況等について政府から説明を聴取いたします。林防災担当大臣。

林(幹)国務大臣 このたび防災担当大臣に就任いたしました林幹雄でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 平成二十年八月末豪雨による被害状況等につきまして御報告いたします。

 まず、今回の豪雨により不幸にして亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。

 八月二十六日から三十一日にかけて、東海、関東、中国及び東北地方などで記録的な豪雨となりました。愛知県岡崎市では、二十九日の一時間雨量が百四十六・五ミリに達するなど、一時間雨量の記録を更新した地点が全国で二十カ所を超え、各地で局地的な短時間の非常に激しい雨が降ったところです。

 この豪雨により、死者三名、負傷者三名の人的被害が出ています。

 住家の被害につきましては、特に被害が大きかった愛知県におきまして、現在集計中の名古屋市を除き、全壊四棟、半壊一棟、床上浸水千百二十四棟、床下浸水三千百四十七棟の被害が発生しました。それ以外の各地でも、全壊一棟、床上浸水五百五十四棟、床下浸水四千九百二十四棟の被害が出ております。

 また、水稲などの農作物や農業用施設等にも大きな被害が発生したほか、土石流やがけ崩れなどの土砂災害も多数発生しています。

 次に、政府の対応ですが、まず、官邸に情報連絡室を、内閣府に情報対策室を設置するなど、体制を強化して情報の収集、集約に当たるとともに、八月二十九日には、私も政府調査団の団長として、特に被害の大きかった愛知県に入り、被災状況を調査してまいりました。さらに、同日に関係省庁連絡会議を開催し、関係省庁間で被害や対応についての情報を共有するとともに、その後の対応についての認識の統一を図りました。

 この豪雨による被害に対しまして、災害救助法及び被災者生活再建支援法が名古屋市及び岡崎市において適用されているところです。

 政府といたしましては、平成二十年八月末豪雨による被害に対しまして、被災地の復旧に向けて、引き続き対応に万全を期してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

佐田委員長代理 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

佐田委員長代理 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官大森雅夫君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、総務省大臣官房審議官岡本全勝君、総務省大臣官房審議官佐藤文俊君、総務省大臣官房審議官久保田誠之君、総務省自治財政局長久保信保君、消防庁長官岡本保君、消防庁国民保護・防災部長幸田雅治君、国税庁課税部長荒井英夫君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長尾澤英夫君、農林水産省総合食料局食糧部長奥原正明君、農林水産省農村振興局整備部長齋藤晴美君、林野庁国有林野部長福田隆政君、国土交通省都市・地域整備局長加藤利男君、国土交通省都市・地域整備局下水道部長松井正樹君、国土交通省河川局長甲村謙友君、国土交通省道路局長金井道夫君及び気象庁長官平木哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。

杉浦委員 自由民主党の杉浦正健でございます。災害特の貴重なお時間をいただきまして質問できる機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 先ほども皆さんに黙祷していただいたところでありますが、今度の豪雨災害、東北から九州近くまで、全国的に大変な豪雨で災害を起こしたわけであります。三人の方がお亡くなりになりました。うち二人は私のふるさと岡崎市から出たわけでございます。亡くなられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心から御同情申し上げる次第でございます。

 林大臣におかれましては、いち早く被害地を御視察いただきました。岡崎市、幸田町にも足をお運びいただきまして、実情を、生々しいところを視察していただくと同時に、この災害の復旧はもとよりのこと、その根本原因となる河川の整備等に全力を挙げるという決意を御表明いただきまして、地元の首長、議員、関係者は、大いに喜び、また期待申し上げているところでございます。まことにありがとうございました。

 今度の、私のふるさと岡崎市、幸田町の豪雨は、過去の記録にない猛烈なものでございました。八月の二十九日未明、午前一時から二時までの一時間に百四十七ミリ。その前後も物すごいものでございました。約二時間にわたって記録的な豪雨になったわけであります。降り始めの二十八日から三十日までの総雨量は四百四十七ミリメートルに達したということ、これも記録的でございます。

 私、その後三日間、被災を受けた地域をくまなく回りまして、皆さんにお見舞い申し上げると同時に実情を詳しく伺ったわけでありますけれども、私はその日の夜はたまたま東京におったのですが、その雨の量について聞きましたところ、滝のような雨とか、それからバケツをひっくり返したような生易しいものではない。ナイアガラの滝というのがございますが、あそこに滝つぼに入っていく観光船があります、その観光船に乗った方は、ちょうどその滝つぼに入ったようだと。立っておれない。傘なんかきかない。おまけに、雷鳴、雷の光。雷雲がおよそ十キロ平方メートル、岡崎と幸田の上に集結したわけでありまして、すさまじい豪雨だったということでございます。

 お亡くなりになった方お一方は、浸水地域で、その地域は伊賀川に沿っておるのですが、百戸を超える一町内全部が天井近くまで浸水しまして、亡くなった方は平家だったものですから、逃げ場がないということでお亡くなりになったわけであります。

 もうお一方は、伊賀川沿いの河川敷内に五十八戸うちが建っておって、これが大正年代から建っておるということで、伊賀川整備の一つの大きな問題点だったわけですが、その家が基礎がえぐられまして、三戸が倒壊いたしました。お一人が流されまして、必死になって捜索したのですが、三日後にその方は、伊賀川から乙川、そして本流の矢作川へ、それから矢作川を下って三河湾の日間賀島というところに漂着されたわけで、痛ましい事故に遭われたわけであります。

 被害、床上浸水九百二十一棟、床下浸水千八百八十八棟、これも歴史的な記録であります。八年前の東海豪雨のときも私どもの地域は大変な被害を受けておるわけですが、それをはるかに上回るものでございます。

 床下浸水千八百八十八戸は、これは届け出た方でありまして、実際にはもっと多い。災害救助法等の適用を受けまして、床上の場合は、見舞金を一戸三万円、五万円差し上げる、それから固定資産税の減免措置を講じる、届け出ろということで、床上浸水についてはほぼ届けられていると思いますが、床下浸水については暗数がかなりあると見てよろしいかと思います。

 犠牲者を出しました伊賀川は、市の中心部、お城をめぐって南北に流れております一級河川でありますけれども、平時は桜、伊賀川の桜といえば桜並木で有名なところであります。市民の散歩道でありますが、何しろ掘削河川でありまして、狭い川を掘削したものですから、大雨が出ると溢水するという常襲河川であります。

 幸田町も記録的な豪雨に襲われまして、広田川が決壊いたしました。大臣に現場を見ていただいたのですが、百四十二ヘクタール、そのところが浸水いたしました。我々の地域でも有数の美田であります、米どころでありますが、一面泥の海になりまして、米はほとんど全滅だろうというふうに言われておるわけであります。

 この川の決壊は九十年ぶりだそうであります。今生きている人ではだれも知らない、九十年ぶりということでありますが、幸田町でも床上、床下浸水、それから農地その他の浸水、道路の損壊。それから、岡崎も幸田もそうですが、水路の一部損壊は数知れぬものがあります。橋が一本落ちました。

 このような災害を生じた原因でありますけれども、これは記録的な豪雨だ。大体、災害対策、排水等は時間五十ミリを想定してやられておるようでありますが、その三倍の豪雨ですから、雨がもちろん原因でありますけれども、同時に、河川とか雨水の貯留池とか、さまざまな形のインフラ整備がおくれておるというのは、もう根本的に一つ事情として言えると思うわけでございます。

 岡崎市は、僕の小さいころは人口七万でございました。合併地域を入れて現在は三十七万。川はそのころとほとんど変わっておりません。改修計画を進めておりますが、全部改修が済んでおりません。都市化がどんどん進む、農地が減る、林地が削られるという状況でございまして、それから工場も、トヨタさん初めさまざまな工場が立地するという状況であるにもかかわらず、その治水対策という点では、もちろん一生懸命やっておるわけですけれども、まだその計画の半ばというところでしょうか。

 例えば広田川については、整備計画がありまして、今まで三十年やってまいったんですが、やっと川の半分、西尾市から岡崎市へ入ったところまでの整備しかできていない。それから上の方、そのはんらんしたところに至るまでの整備計画、遊水地をつくる整備計画があるわけですが、それまでには、今のままのペースですと早くて二十年かかるのではないかというふうに地元の人たちは言っておるわけであります。

 伊賀川についてはまだ整備計画がありません。この水害を機に急遽検討を始めたところでございます。

 それから鹿乗川、これは私の住まいがあるところなんですが、これも計画があるわけですけれども、まだ道半ばと言っていいと思うわけでございます。都市化が急激に進むというのはいたし方ない面でありますが、そういったインフラが同時並行して進まない。

 鹿乗川というのは、私が小さいころ、水泳ぎをし、魚をとる、僕なんかはポンツクと言っていましたが、ポンツクをする遊び場だったわけですが、一時は下水道みたいになりまして、今は下水道がかなりよくなって清流を取り戻しつつありますけれども、大量の排水を矢作川、それから三河湾に流す機能は昔のままでありまして、いろいろな努力をしておるところでございます。

 堤防が壊れました広田川のあの田んぼのところは、大臣もごらんになったところは、江戸時代は菱池という天然の遊水地でありました。その下の方の新田という部落を中心とするところは、昔はアシ原だったところを新田を切り開いて美田にしたという地域であります。

 明治になってから、人口がふえて米が足りなくなったということで干拓をいたしまして、今の美田にしたわけなんですが、川よりもあの美田地帯は低い。沼だったわけですから、池だったのですから。常時ポンプで排水している、そういう地域であります。その池の面積は六十ヘクタールなわけですが、そういう自然を変えた。もともとそこに遊水地があるから下の方の洪水が守られていたというのを田んぼに変えたということに根本的な原因の一つがあるわけであります。あそこが決壊しなければ恐らく、その下の方の岡崎、南部のどこかで決壊をして都市部が相当の被害を受けたんじゃないかということを地元の方々は口々に申しておるところでございます。

 そこでお伺いしたいんですけれども、今までの河川、伊賀川とその支流、小呂川というのが源流になっているんですけれども、それから鹿乗川、広田川とその支流のうち砂川、占部川は別に一級河川に指定されておりますけれども、これらの川の改修計画とその実施状況について国土交通省の方から概略を御説明願いたいと思います。今後どれぐらいの年月と費用を要するかということもあわせて言っていただければありがたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま議員御指摘の小呂川は岡崎市が管理する準用河川でございまして、それ以外の河川につきましては愛知県が管理する一級水系の支川でございます。

 改修状況でございますけれども、伊賀川につきまして、合流点から三・八キロ上流の神明橋まで改修する予定がございますが、その河川区域内に多数の家屋があるということでその移転を順次行ってきておりますが、まだ抜本的な改修の着手には至っておりません。

 ただし、平成十二年九月の東海豪雨で愛宕橋上流左岸で一部溢水しました関係で、愛知県では、溢水箇所において高さ四十センチのコンクリート壁を約百二十メーター施工するとともに、岡崎市では、流下阻害している愛宕橋をかけかえたところでございます。

 次に、鹿乗川につきましては、東海道本線の交差部までは暫定的な改修が実施されておりますが、それより上流についてはまだ流下能力が低く、また、抜本的な改修をやろうといたしますと、下流から本格的な改修をやっていかなければなりません。

 広田川につきましては、安藤川合流から上流五キロは改修済みでございまして、さらにその上流、占部川の合流点まで二・二キロを平成二十四年度までに改修を行う予定と聞いております。ただし、今回の豪雨で堤防決壊の被害に見舞われた上流箇所においての遊水地を含む河道改修にはまだ着手に至っておりません。

 また、支川につきまして、赤川、尾浜川、柳川につきましてはおおむね改修が行われておりますが、占部川、砂川、相見川についてはまだ整備が必要なところでございます。

 それで、今後の予定でございますけれども、まず伊賀川でございます。今回の豪雨被害を踏まえまして、愛知県は、伊賀川において抜本的な河川改修に着手することを決定し、河川区域内に存在する家屋の移転を地元岡崎市とも連携を図り緊急的に実施するということを昨日公表したところでございます。

 国土交通省といたしまして、災害発生時に、ヘリコプターによる現地調査、あるいは救急内水排水ポンプ車の派遣、照明車の派遣等を行ったところでございます。また、九月五日には、愛知県からの要請を受けまして、国土交通省から職員を派遣して、今後の早期復旧や改修方針等の技術的支援、助言のための災害緊急調査を実施したところでございます。

 今後、整備内容や要望等を踏まえまして、愛知県や地元の市町村と密接に連携いたしまして、再度の災害防止に向けて最大限の協力をしてまいりたいと考えております。

 さらに、下水道事業とも連携しながら、流域の中で水をためる貯留浸透施設の設置や流出抑制対策など、地元市町村の取り組みについても積極的な支援に努めてまいりたいと考えております。

杉浦委員 計画が完了する時期とおおむねの金額、概算で結構ですが、言及がなかったですが、お話しください。

甲村政府参考人 時期と金額でございますが、現在、愛知県において今計画を立てている段階でございます。その計画を詳しく聞きまして、私ども最大限の支援をしてまいりたいと考えております。

杉浦委員 今のは伊賀川ですが、鹿乗川についてはどうですか。

甲村政府参考人 伊賀川だけでなく、鹿乗川それから広田川等につきましても、現在県で、今回の災害を受けた早期の改修計画をつくっている段階でございます。十分聞きまして、積極的に支援してまいりたいと考えております。

杉浦委員 はっきりした計画があるのは広田川についてでございまして、これは、当初予定ですと事業期間は平成三十五年までで、平成二十年度以降の残事業量がその約半分、費用は橋梁を除いて百八億円ぐらいかかる。配付した幸田町の資料にございますが、それに間違いありませんか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 従来の計画では、先生おっしゃったような、二十年度以降残事業費約百八億円となっております。そういう中で、早く効果を発揮するために、暫定的な改修も含めまして、現在愛知県で検討中でございます。

杉浦委員 雨水の地下貯留池ですけれども、岡崎市の中央から少し南のところ、六名地域というのがあるんですが、そこに雨水貯留施設が建設されております。これは、占部川という川の総合治水計画に基づいて平成八年に完成したものなんですが、これは、計画規模は、降雨強度が四十七ミリ、貯水量が二万七千立方ということでございます。

 今回の豪雨では、午前二時ごろまでの間に満水状態になってしまった、そして被害が出るようになりまして、八年前の東海豪雨のときと同じ程度の被害がこの地域に生じたということであります。要するに、量が足りなかったということでしょう。

 鹿乗川について言いますと、これは私のふるさとなんですが、緊急の災害復興、対策工事を八年前の豪雨の際にやってもらいました。JRの東海道線以南の部分について、たしか二十億円ぐらいだったと思いますが、緊急工事を行ってくれました。その結果、今回の豪雨では、そのJRの駅周辺の八年前の大災害は回避できました。見事です。

 ところが、そのJRを越えた北側の方、旧矢作町の、町場と言っていますが、農村でない地域はやはり八年前の豪雨と同じような災害を生じてしまったというわけでありまして、鹿乗川も引き続き、これはもう緊急に工事をしていただく必要があるというふうに思います。

 鹿乗川の排水については、農水省の方でかんがい排水事業が、ちょうどその中流と申しますか、JRの北の方に排水機場を設けまして矢作川へ排水するという事業が進んでおります。平成二十四年度に完成するというふうに、あと四年かかると聞いておりますが、地元の関係者に聞きますと、予算を投入すれば早く完成できるんだということでございますので、これを例えば二年、半分に短縮して完成させる。これが完成いたしますと、矢作地域の今回程度の豪雨での浸水はほぼなくなる、今まで浸水だらけだったわけですが、ということで皆期待しておるわけですが、この点、農水省の方から御説明を願いたいと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の豪雨で被害を受けた地域で行われている愛知県営湛水防除事業、岡崎鹿乗地区は、受益地が岡崎市、安城市、豊田市にまたがり、その受益面積は千二百四十ヘクタールで、米、麦、大豆、野菜等の作付が行われるなど農業上重要な地域でありますとともに、農地の周辺には市街地も広がっております。近年の都市化の進展によりまして地区内における湛水被害が顕著となっており、農地の防災対策が急務となっているところでございます。

 本事業は、愛知県が事業主体となりまして平成十五年度に事業着手し、総事業費約四十七億円で、毎秒十一トンの排水能力のある排水機場、それから約一・八キロメートルの排水路等を整備する計画でございます。また、平成二十年度事業費は約六億円で、平成十九年度末現在の事業進捗率は約二七%となっております。

 現在、排水機場から河川につなぐ送水路一・一キロメートルを整備しているところであり、また、本年度から、排水機場の整備、具体的には基礎工と下部工ですが、それに着手することとしております。

 本地域は麦、大豆を作付するなど県下でも有数の優良農業地域であり、農地の湛水を防除することによりまして農業生産の維持を図るとともに国土の保全に資する観点から、愛知県とも密接な連携を図り、事業効果が早期に発現されるよう努めてまいりたい、このように考えております。

杉浦委員 いつまでに完成するか言及はなかったですけれども、返事は聞きませんが、急いでほしいと思います。

 今回の災害復旧、総合的治水対策、いろいろと検討いただいていると思うんですけれども、配付しております幸田町の資料の頭に要望書がついています。私あての要望書ですが、そこに、「激甚災害の指定をお願い致します。」とあるわけですけれども、激甚災害とはどういう要件なのか、指定を受けたらどういうメリットがあるのか、簡単に御説明願いたいと思います。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば公共施設などが壊れた場合でございますけれども、通常でいきますと、災害復旧事業でもって国の方は対応させていただきます。ただし、一定規模以上の災害ということになりますと、国の補助率というものが激甚を指定されますと上がってくるということでございまして、地方の負担が小さくなるというようなことでございます。

杉浦委員 岡崎市、幸田町、愛知県の間で、その指定も含めていろいろと検討が進められていると聞いております。指定をするしないにかかわらず、今お話を伺いますと、まだいつまでに完全に仕上がるというめどが立っていないというのが正直なところじゃないでしょうか。

 最近はこういうゲリラ的豪雨というのが全国的に多発しておるわけで、この種類の豪雨が五年以内にないという保証は何もないわけであります。

 一刻も早く、年限を切って集中的に投資して、二度とこの程度の豪雨でも災害が起こらないように、総合的な治水対策、雨水貯留槽をつくるとか、あるいは排水管を大きくするとかいうことも含めまして、計画の検討、実施をお願いしたいと思う次第であります。

 先ほど申しましたように、ちゃんと工事をしたところは被害が起こっていないんです。治山治水というのは国の基本的な責務でありますから、もちろん事業は県、地方であるにしても、国の責任で一刻も早くこの事態が解消できるように措置を講じ、実施するという努力をしていただきたい。今、県を中心にして協議しているようですが、地元では、具体的にどうなるか、どうするのかということを、国、県、地元で計画が明らかになることをじっと見ております。

 林大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。

林(幹)国務大臣 杉浦先生御指摘のように、私も、このたびの豪雨災害に当たりまして、現地へ飛びまして、先生指摘の被害の大きさを実感したところでございます。

 災害復旧への今後の取り組みについてでありますけれども、地元の御意見をよく聞いて、そして一日も早く調査を進めて、関係機関が協力して、災害復旧制度など最大限活用できるよう努力したいと思っております。

 調査の結果、先生指摘の激甚災害指定基準を満たすということになれば、当然速やかに指定に向けて対応することに相なりますし、政府としてはできる限りの支援をしてまいりたい、このように思っております。

 いずれにいたしましても、今回の豪雨災害も含めて、災害が頻発する我が国において、迅速な被災者支援と被災地の早期復旧を実現することは極めて重要だと思っております。今後とも政府一体となって全力を挙げて対応してまいりますので、よろしくお願いいたします。

杉浦委員 私も被害地を回って、本当にもう想像を絶する、こんなところでこんな被害が出るのかというところばかりでありました。

 伊賀川流域のみならず、市の中心地も、伝馬通、本町通あるいは能美通といった岡崎市の商店街、中心部ですが、そのちょっと低いところは水がたまって床下へ来る、場所によっては床上へ来る。もう商店街ですら大きな被害を受けているわけで、私も長年住んでおりますけれども、二度とこういうことが起こってはならない。安全な町というのを、言葉だけでなくて、本当に市民、国民が安心して暮らしができるという町をぜひ我々はつくらなければいけないわけですが、国が先頭に立って強力に速やかに進めていただきますように願いまして、質疑を終わらせていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

佐田委員長代理 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、先般、先ほど委員長から御報告がございました神戸・都賀川の視察に参加をさせていただきました。視察を踏まえまして、出席された委員の皆様から多くの意見が出されたところでございます。表示のあり方、緊急避難経路、また全国の河川総点検、また気象庁との連携システム等々、提案があったところでございます。

 例えば、表示一つとりましても、わかりやすく、山の中腹より上に黒い雲が見えたら直ちに道路に上がってください、このような、お子さんにもわかりやすい表示が必要ではないかとか、また、二百メートル置きに上がる階段があるわけですが、今御自分がいらっしゃる位置からどこに逃げればいいのか、そうした表示。まさに自然の脅威に対する認識の不足から来ているかと思いますが、その自然に親しむための親水公園、これは大変重要であるという観点でもあります。

 ということから、今回の事故を踏まえまして、また、委員がこのように視察をさせていただいたわけでございますが、今回、国がどのような対応をされたのか、また、今後、地方自治体、ここは河川によっては管理者になるわけでございますが、地方自治体に対してどのように働きかけていくのか。既に国土交通省ではワーキングチームも立ち上げ、検討会を開始されたと伺っておりますので、この点につきまして国土交通省に伺わせていただきます。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 七月二十八日の都賀川の水難事故でございますけれども、雨が降るとほぼ同時に水位が一メーター三十四センチも上昇して、五名の方々がお亡くなりになられたということでございます。

 国土交通省のこれまでの増水による水難事故対応といたしましては、平成十九年六月に「急な増水による河川水難事故防止アクションプラン」を策定して全国の河川管理者に周知して、さらに、平成二十年七月二十九日にも再度徹底をしているところでございます。

 十九年の六月のアクションプランは、割かし遠くのところに雨が降って、水が出てくるまで割かし時間があるというような、酒匂川等の事故を教訓としたものでございました。今回は、先ほど申しましたように、雨が降るとほぼ同時に水位が上昇したということでございます。

 そういうことがございましたので、平成二十年七月三十日に、河川に親しむ利用を目的として河川管理者が施設等を設置している河川について、施設の状況、急な増水に対する安全対策等について緊急調査を実施いたしまして、実態把握を行っております。また、現在、さらに詳細な実態把握のための調査を行っております。

 また、兵庫県におきましては、看板でございますけれども、委員おっしゃったように、川の上流の空に雨雲や積乱雲(入道雲)が見えるときは逃げましょうなどというような、避難を行う条件を具体的に示した看板を現在までに約四百八十枚設置しております。また、急な増水に対応するための警報システムとして、大雨洪水注意報及び警報の発表と連動して回転灯を動かすシステム、それから、河川利用者への情報提供及び防災意識の啓発等について検討を進めていると聞いております。

 また、国土交通省では、今後の対応方針検討のために、学識経験者、地方自治体、気象庁等の関係者を構成員といたしました中小河川における水難事故防止策検討ワーキンググループを新たに設置し、緊急調査の結果をもとに、都賀川で発生した事故のような局地的豪雨による急な増水に対する情報提供や啓発活動のあり方、緊急時の避難を想定した施設整備の考え方について検討を進めることといたしまして、九月八日に第一回の会議を開催しております。年内に取りまとめて、全国の河川管理者に周知して、各河川管理者において関係機関と連携した取り組みを進めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 年内取りまとめというお話でございました。

 都賀川の場合、前回も盛山委員からお話がありましたが、やはり急峻な河川でございまして、東京は、私は所属が東京でございますが、大体四百分の一、五百分の一という傾斜にもかかわらず、都賀川は四十分の一、五十分の一といった傾斜であったと聞いております。このような急峻な河川における親水公園の対策につきましてはまた別途手厚いものも必要があるかと思います。そうした特色に合わせましてもきめ細やかな取りまとめがなされますように、重ねて要望を申し上げるものでございます。

 さて、私は、本日は、豊島区で八月五日に発生をいたしました、マンホール事故と言われますが、雑司ケ谷幹線再構築工事におきます事故につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 この内容につきましては、資料を委員の皆様のお手元にお渡しさせていただいております。東京都の下水道局が作成をしたものでございます。

 このようなゲリラ豪雨、局所的集中豪雨、局所的大雨等々さまざま呼び方がございますが、このゲリラ豪雨に伴います事故といいますのは、ことしの夏、各所で頻発をしたところでございます。その中の一つでありますこの豊島の事故につきましては、八月五日午前十一時四十分から十二時ごろと推定されておりますが、発生をいたしました。場所といいますのは、次の図のところにございますが、施工区間、池袋、目白の方から護国寺に向かいます下水道の幹線でございます。この六百メートルの区間の中での事故でございます。

 東京都の場合、今、管渠更生工事、今あけていただいたところで右下のところにありますが、大体〇・八メートル以上の管の中には人が入れるという考え方をしておりまして、老朽化した既設管に硬質塩化ビニール製の帯を内側から巻きつけてモルタルで接合する、こうした再構築工事を進めているところでございます。

 この日、雑司ケ谷管内で管渠更生工事を行っておりました。作業員六名、上の監視員等を含めまして全部で十一名携わっていたところでございますが、管内で作業中の作業員六名が流されまして、うち一名は自力で脱出しましたが、残りの五名の方が亡くなったという事故でございます。

 その当時の詳しい状況をさまざま伺いましたが、このとき、十一時半ごろ、都の下水道局の担当監督員、この人物が、途中小雨になったということに気がついて、十分に注意するように、このようなことを言い残して役所に戻った。そのときに気象担当者が携帯のインターネットサイトから、注意報が発令されていないかどうか、これを確認しました。そのときにまだ注意報は発令されていない。ここで情報が途切れております。

 そこで、雨がその後急に強くなってきたということから、下で行っている作業員に対して上がれと指示をした。そのときには、くるぶしまで来たら上がります、こういうような返事もあったと聞いております。しかし、機材を上げる作業に取りかかりながら、その後、水位はと上から声をかけたところ、結構上がってきたという話から、その直後上がってくるのを待っていた。しかしながら、気がついたらもうまさに満水に近い状態であって、つかまっていた一人だけ辛うじて助かり、六人が流されてしまい、一人は自力で脱出、残り五人の方が亡くなった、こういう事故でございます。

 ここから、東京都は、早速事故調査委員会を立ち上げまして、この右側にありますような事故の再発防止策を取りまとめたところでございます。

 実は、東京都は、現在のような下水道管渠の設置といいますのは昭和三年から始まりました。今、二十三区内に一万五千六百キロあり、五十年経過したものというのは、今後また再構築が必要なもの、まだ直していないという長さは千五百キロに及ぶと言われております。ちょうど四十年前の東京オリンピックのころがピークであったことを考えると、五十年という耐用年数を考えると、恐らくその距離というのはこれからさらに増し、また、十年後以降加速をすることになるというふうに承知をしております。また、全国におきましては約四十万キロ、しかも施工から五十年を経過した管渠というのは七千キロを超えると聞いております。大阪、名古屋、横浜など大都市におきまして同様の工事が続くことを予測しております。

 このようなゲリラ豪雨、恐らく、くるぶしまで来たら上がります、これが今までの工事に当たる方たちの常識であったと思います。しかしながら、その常識を覆す今のゲリラ豪雨の状況であるということを考えるときに、この事故を一つの大きな、二度と起こしてはならない例とさせていただきながら、国、自治体を挙げて再発防止に取り組むべきだと思います。またさらに、その大もとであるこのようなゲリラ豪雨に対しまして、国を挙げて、また内閣府が先頭に立っていただきまして、この対策に総力を挙げるべきである、このように考えております。

 まず、国交省、厚労省、国交省はまさに発注元、下水道の一番の所管でございますし、厚労省はまた労働者の安全確保の上から主要となる官庁でございます。この災害事故につきまして、両省に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の対応、そしてまた今後の対応を含めまして、国交省がどのような対応を行っていらっしゃるのか、お伺いをいたします。

松井政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、八月五日に雑司が谷で御指摘の事故が発生いたしまして、五名の作業員の方が亡くなられました。まことに痛ましい事件であると考えておりますし、二度とこれが再発しないように考えたいと思ってございます。

 我が省といたしましては、この事故を受けまして、八月六日に全国的に、全国の自治体に対しまして緊急安全点検をするように要請いたしました。

 それから、八月二十一日に、学識経験者、関係省庁、それから地方公共団体等から構成されます検討委員会を設置いたしまして、正式な名称は局地的な大雨に対する下水道管渠内工事等安全対策検討委員会と申しますが、これを立ち上げまして、集中豪雨に対する安全対策のあり方について検討を開始したところでございます。

 今後は、早急にこの委員会の報告書を取りまとめをいたしまして、広く全国の自治体に配付し、安全管理のまた違った視点での強化というものが徹底されるように、我々としては地方公共団体に対して徹底を図ってまいりたいと思ってございます。

高木(美)委員 今、松井下水道部長からお話がありました取りまとめといいますのは、それをまたさらに国交省として精査されながら、ガイドラインという形でおまとめになるというふうに承知してよろしいでしょうか。

松井政府参考人 言い方はいろいろあると思いますが、報告書を早急にまとめたいと思いますが、使いやすいように工夫しておりますので、ガイドラインという先生の御指摘も当たるような文書にしたいと思ってございます。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 重ねまして、同じく、この事故に対します厚生労働省の対応をお伺いしたいと思います。

 本日は、日ごろから労働者の命と安全を守るために尽力していらっしゃいます渡辺副大臣にお越しいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

渡辺副大臣 お答えいたします。

 今回の災害で五名の方々がお亡くなりになりましたことはまことに遺憾であり、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 厚生労働省としましては、災害発生後直ちに、本省、そして東京労働局、そして池袋労働基準監督署から職員を現場に派遣しまして、災害の発生状況等について調査を行うとともに、発生原因の究明を進めているところであります。

 また、局地的な大雨による下水道管内工事での労働災害を防止するために、建設関係団体に対し、下水道管内の水位が急激に上昇するおそれが生じた場合の作業中止等の、再発防止のための措置を徹底するよう要請をしております。また、全国の都道府県労働局に対し、このことを指導するよう指示をしておるところでございます。

高木(美)委員 本災害は、確かにゲリラ豪雨が引き起こすというふうに思っておりますが、いずれにしましても、近年の都市構造の急激な変化に起因するものでございます。その意味からは、まさに都市災害への警告と受けとめるべきと考えております。

 申しおくれましたが、我が党も早速、五日の翌日六日、太田代表を先頭に谷垣国土交通大臣を訪ね、未然の防止、そしてまた今後の周知徹底等を含めまして申し入れをさせていただいたところでございます。

 これは気象庁にお伺いいたしますが、局所的な大雨による自然災害の犠牲者ゼロを目指す上で気象庁はどのような対応をされているのか、また、今後予測技術の開発もされると承知しておりますけれども、その概要につきまして簡単に御説明いただければと思います。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、局地的な大雨につきましては、もたらす積乱雲の発生、発達がどのような気象条件で起こりやすいかということにつきましては、現在は数百キロメートルの範囲について予測することができるというふうな実情でございますから、それより狭い地域に絞り込んで、いつどこでどのような雨が降るかということをピンポイントで予想するのは難しいことが現状でございます。

 これを改善すべく、雨や風の動きを立体的、連続的に観測する気象ドップラー・レーダーの活用により、雨雲の動きに関する監視精度の向上を図るとともに、現在より少しでも雨の降る地域を絞り込んで予想することができるように、数値予報モデルの高度化などを進めているところでございます。また、竜巻など激しい突風や雷、短時間強雨の危険性を予測し、わかりやすく伝える手法などにつきましても、局地的な大雨に関する予測技術の高度化を検討しているところでございます。

高木(美)委員 後ほどまた気象庁長官に改めて質問をさせていただきたいと思います。

 国交省が、下水道工事における安全対策の実施状況につきまして、この後に緊急点検を行ったと聞いております。その際にどのような傾向が全国にあらわれたのか、概略をお伺いしたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁いたしました緊急点検でございますが、概要といたしましては、各自治体がとっている安全対策の実施状況、それを再度きちんと確認するということと、必要に応じまして安全対策の基準等の見直しを図ること、これを要請したものでございます。

 その緊急点検の結果でございますけれども、八月十二日まで一週間の点検の猶予を与えておりますが、八月十二日時点までで百三十件の工事が見直し対象として挙がってきております。そのうち九割に当たる工事につきまして、緊急措置といたしまして工事中止基準等が見直された、すぐ実行に移されたというふうに聞いてございます。

高木(美)委員 再度確認いたしますが、この百三十件の見直し対象ということは、現に下水道工事がこの時点で百三十行われているということでしょうか。そのうちの九割が何らかの改善の余地がある、このようにとらえてよろしいでしょうか。

松井政府参考人 お答えいたします。

 八月五日時点で全国で百三十件行われていたというふうに御理解いただきたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 恐らく、その中で約九割が改善の必要性があったということは、今後このようなゲリラ豪雨に対してさまざまな見直しが当然必要であるという、大変緊急時でございますので不備はあるかとも思いますが、そのような傾向性を受けとめさせていただきたいと思います。

 国交省に重ねてお伺いいたしますが、先ほどの報告書、ガイドライン、名称はさまざまかと思いますが、これが取りまとめられ、周知徹底された後、地方自治体がどのように対応することを国交省は想定していらっしゃるのか。

 私は、やはり一番大事なことは、現場でこのことがきちんと徹底されるのかどうかという、そのフォローアップが大事ではないかと思っております。作業員の一人一人に至るまで、安全確保のために、緊急時の対応等について、このように自分自身も行動していけばいいのだな、ここまで周知徹底をしていただきたいと考えておりますが、国交省の御所見を伺います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体は下水道の管理者そのものでございますので、常に高い意識を持って管内の工事を発注していますから、安全対策については、そのマインドは非常に高いものがあるというふうに考えております。

 今般設置いたしました検討委員会の報告書あるいはガイドライン、これはじきに出てまいりますが、それを参考にしていただきまして、新たな安全管理の基準化、そういうことに積極的に取り組んでいただけるものというふうに考えてございます。

 また、施工業者さんに対しましては、基本的には発注者に周知徹底の義務がございますけれども、地方公共団体におきまして綿密に指導監督されるものというふうに考えてございます。

高木(美)委員 そのガイドラインまた報告書等を踏まえながら地方自治体で新たな計画をつくる、また、どういうことを標準仕様書等に書いていくのか、ここをそれぞれ工事ごとに、一律の基準というわけにはいきませんし、それぞれ特徴がありますので、そこを地方でしっかりと、自治体がその方向性を受けとめながら御自分たちの案をやはりきっちりおつくりいただく、ここが一番大事かと思っております。

 そこで、厚生労働省にお伺いしたいのですが、そもそも労働災害の防止といいますのは、労働安全衛生法を管理していらっしゃる厚労省の所管であると思っております。このような安全を確保する国交省のガイドラインが工事現場に生かされるということが重要と考えます。今後、厚労省とされても、例えば国交省がそのようなガイドライン、報告書を出される、それに対して、作業員に対してどのように現場で生かされているのか、そこを徹底されるよう指導していただくべきではないかと思っております。

 例えば、労働者の側から見れば、ブザーつき回転灯とか命綱などのそういう経費もきちんとこの仕様書に書かれているのかどうかとか、そうしたものが現場で支給されているのかどうか、こういったまた違う観点がそこに生まれてくるのではないかと思っております。

 私は今回、国交省さんにこの検討委員会が設置された、このことを伺いまして、労働者の安全を守るという観点からは国交省、厚労省合同の委員会でもよかったのではないかなという率直な印象を実は持っておりました。公共工事であるので国交省、こういうくくりなんだと思いますけれども、やはり労働災害という視点からは、命を守るという点からは、厚労省がもう少し出ていっていただいてもいいのではないかなと。

 もう一つ、今の時代の背景というのもございます。今の雇用状況、労働環境を見ましても、昨年暮れから所得が下がり続けているという中で、中小企業、零細企業から悲鳴が上がっております。当然、公共工事といいましても、入札価格を低く抑えなければ落札できない、下請、孫請、しかも工期ぎりぎりで、時間がないから一番下のところに仕事が来る、やらないと次はできない、無理をしてでもこなすしかない、こういう声も率直にいただいているところございます。

 こういう状況を考えますと、労働者の方の安全と命を守るという明確なメッセージを私は厚労省にはっきりと示していただくべきではないかなと。今後、そのようなことも踏まえまして、国交省と厚労省とよく連携をとっていただきながら、現場での安全確保という最終的な目的が果たされますように、取り組みをお願いしたいところでございます。

 こうした厚労省の取り組み、また副大臣の御決意とあわせまして、御答弁をいただければと思います。

渡辺副大臣 お答えいたします。

 国土交通省で設置をされました局地的な大雨に対する下水道管渠内工事等安全対策検討委員会につきましては、厚生労働省も参画をして、検討を進めておるところでございます。

 そしてまた、厚生労働省としましては、局地的な大雨による下水道管内の工事での労働災害の再発を防止するために、この委員会で取りまとめられるであろうガイドラインを踏まえまして、国土交通省としっかり連携をしながら、安全確保措置が工事現場に徹底されるように、全国の労働局を通じまして建設業者に対して指導をしっかり行っていく、そのような決意でございます。

 労働者の命と安全を守るということは、厚生労働省が重要な役割を担っておりますので、今後とも、関係省庁としっかり連携をしながら、労働災害の防止のためにしっかり取り組んでいきたい、そのように決意をしているところでございます。

高木(美)委員 ぜひ定期的な点検、監督等、執行をお願いしたいと思っております。

 もう一度、気象庁にお伺いをいたします。

 東京ではゲリラ豪雨が環七、環八沿いに多く発生している、そのような実感をよく都民の方から伺います。西に多く、東に少ない。気流の流れであるとか、また、車や高層ビル等の構造によりますヒートアイランドではないかとか、さまざまな話がありますけれども、私はぜひ、このゲリラ豪雨、局地的集中豪雨につきましては、発生メカニズムの研究を促進していただきまして、この地域は発生しやすいとか、このような分析結果を示すことが求められているのではないかと思います。

 例えば工事であれば、下水道工事を請け負う方が、下水管がどうつながっているのか、どこに雨が降ったら注意しなければいけないのか、その上流地域の豪雨発生の傾向性等を認識しておけば、これは災害防止のために大変有為であるのではないかと思います。

 気象庁長官のお考えを伺います。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 豪雨というものは、大気が不安定になりまして、積乱雲が発達して生じるものでございますけれども、どの地域は発生してどの地域は発生しないのかというようなことを申し上げることは現時点では非常に困難であろうと思っております。

 しかし、局所的な、極めて狭い範囲で降る豪雨につきましては、まず実態を解明いたしまして、どういうメカニズムによって豪雨が起こっているかということを理解すれば、今後の監視、予測に利用することができますので、利用することによって的確に情報を迅速に発表する、そしてまた予測を行うことができるようになるということであります。

 先ほど申し上げましたように、その発生メカニズムの研究によりまして、監視を行う、あるいは数値予報モデルなどの予測の高度化ができるということを思っておりますので、関係省庁とも連携して研究を進めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 最後に、内閣府にお伺いいたします。

 できれば大臣の御答弁をいただければと思っておりますが、例えば、今回は労働災害の問題でございましたけれども、これは、気象庁を初め環境省、また文科省等の研究成果なども分析、総合していただきまして、こうした局地的豪雨がどのような傾向で、どのような発生メカニズムで、そしてまた、それに対する災害防止のあり方、また、要援護者の保護をどのようにするか、また、エリア別の豪雨対策計画、これも必要ではないかと思いますし、また、国民の皆様にはその広報、周知徹底等も必要ではないかと思います。

 例えば、広島でも職員の方の死亡事故がありました。降り始めから数分間で豪雨になるというその認識がなかったという。私はやはり、こうしたことは、気象庁も今、出前講座等をやってくださっていると伺っておりますが、もっとさらに、国民の皆様に、こうした豪雨の傾向性であるとか、また、特にその中でも安全を担う担当部署の方たち、また請負者の方たちにつきましては、そのような普及啓発を急ぐべきではないかと思っております。

 この局地的豪雨対策、大変緊急の課題であると思っております。この対策に対しまして取り組みを急ぐべきと申し上げさせていただきたいわけでございますが、それに対します内閣府のお考えをお伺いしたいと思います。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 局所的集中豪雨につきましては、先ほど気象庁長官の方からもございましたように、発生メカニズムの研究、また降雨の予測精度を向上させるための取り組みが進められております。

 また、国土交通省では、河川情報の提供体制の強化、そして雨水貯留施設等の整備などで町全体の保水能力の向上に取り組んでいるところでございます。そのほか、先生も御指摘されましたが、消防庁であるとか文部科学省等、さまざまな省庁で局所的な集中豪雨に対する取り組みを推進しているところでございます。

 内閣府といたしましては、これらの取り組みが一体的、有機的にうまく機能するように取り組んでいきたいというように考えているところでございます。

高木(美)委員 中央防災会議が、例えば荒川がはんらんした場合のさまざまな災害の予測等々を発表されておりますけれども、私は、こうした局所的大雨、局地的豪雨、このお取り組みにつきましてもレベルアップしていただきながら、やはり先頭に立ってのお取り組みを、早急のお取り組みをお願いしたいと思っております。大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

林(幹)国務大臣 局所的集中豪雨につきましては、私も近年増加傾向にあると認識しているところでございます。八月末の集中豪雨でも、貴重な人命や財産が失われたところでございまして、集中豪雨に対する対策は大変重要課題であると考えております。

 今ほど統括官がお答え申し上げましたけれども、この夏の被害状況を踏まえまして、局所的集中豪雨対策につきまして、関係省庁と連携して、先生御指摘のように速やかに、なるべく早く万全を期して対応してまいりたい、このように思っております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

佐田委員長代理 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 本日は、閉中ではありますが、災害対策特別委員会で質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございました。

 全国的な集中豪雨によります災害が広がりを見せる中で、今般は愛知県岡崎市を中心とした災害であったということもありまして、愛知県連所属議員として機会をいただいたものだというふうに承知をいたしております。

 また、私の選挙区である豊田市は、先ほど来、杉浦委員から岡崎の話をいただいていたわけでありますが、まさに隣町でありまして、実は豊田市も若干の家屋の浸水がありましたが、岡崎市の皆様が本当に大変な思いをなさっておられるということを思いながら、ぜひ関係当局に質問をしてまいりたいと思います。

 冒頭、改めまして、被災された皆様の一日も早い生活の復旧に向けたさまざまなことを、本当に祈ると同時に、ぜひやっていかなければなりませんし、お亡くなりになられた方々の関係の方々への心からのお悔やみを申し上げる次第でございます。

 さて、きょうは気象庁にお越しをいただいておりますが、岡崎管内でいわゆるアメダスは何カ所ありましたか、観測ポイント。

平木政府参考人 岡崎市内の一カ所にございます。

古本委員 委員長のお許しをいただきまして今資料を配付いたしましたが、めくっていただきまして、資料の三でございます。出所を気象庁というふうにちょっと誤記をいたしまして、この場で出所を岡崎市というふうに訂正させていただきたいと思いますが、三でございます。

 例えば岡崎市で独自の雨量観測場所を持っておられまして、実に二十一ポイントあるわけですね。気象庁が持っておられるアメダスの観測ポイントは美合というところの一カ所だけでございまして、岡崎市の二十一ポイント持っておられる情報と気象庁の連携はなさっておられたでしょうか。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 岡崎市の管理しております雨量観測所二十一カ所についてはまず認識しております。そして、そのうち二カ所につきましては、通信システムによって気象庁に集められておりまして、それを常時利用させていただいております。残りの十九カ所につきましては、大雨のときなど、必要に応じてインターネットを利用して利用しているところでございます。

古本委員 つまり、なかなか一カ所の雨量計で今般のような、例えばこの資料の一をごらんいただきたいと思うんですが、ちょうど気象庁は当日の午後、夕方の四時ごろに大雨警報と洪水注意報、これはその日の午前には大雨洪水警報だったものを注意報に格下げしていますね。その後、十九時から二十時にかけまして土砂災害警戒解除をしているんですよ。それから、ここは載っていませんが、二十時二十分に警報も解除しているんです、大雨洪水警報も。これが注意報に格下げになり、そして慌ててまた二十九日の午前零時に大雨洪水警報に変わっている。

 要するに、アメダスの一カ所のポイントだけでは、いわゆる積乱雲が本当に小さい範囲での突発的な豪雨にはなかなか対応できない。そうしますと、何が有効な、水位が一気に上がるような大雨が局地的に降るかということを先読みをしていく技術が、先ほど来出ておりましたが、なかなか難しいということでありますが、例えばですが、水位計というものがございます。河川の水位計が、例えば水位が上がってくるということが、物すごい勢いで短時間で上がってくれば、これはわかりますよね。アメダスの一カ所で、雨がどれだけ落ちるかというのをたった一カ所、美合町で判断するのではなくて、河川に水位計があればまた随分違うと思うんですが、長官として、水位計があると助かるなという、何かそういう感想があれば聞かせていただけますか。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、アメダスで観測するだけで降雨、降水の状況を観測、監視は不十分ではないかという御指摘についてお答えを申し上げます。

 アメダス以外に、実は気象レーダーというものを気象庁は持っておりまして、気象レーダーのネットワークによりまして降水を観測しております。気象レーダーは電波の反射によりまして降水を観測するものでございますから、それを降水量として正確に更正するためにアメダスを、観測点を利用しているというものでございます。ですから、そういうことで、アメダス以外の場所につきましても降水は把握しているということをまず申し上げたいと思います。

 それから水位計でございますが、川の水といいますものは、雨が降りまして、その結果として地表を伝って流れてきたものでございますから、降水量の観測のためには、やはり降水の観測をまず十分監視すべきであろうと思っております。しかし、今現在、河川の洪水予報をやっている箇所が何カ所もございますので、そういうことをするときには非常に有用な観測データであろうと考えております。

 以上です。

古本委員 今、有益な、有用なものだという話があったんですが、実はこの配付した資料の五番目、五に添付をいたしておりますが、これは国交省から出していただいた資料でありますが、河川の大中を問わず、発表する防災情報とそれに対応する水位を全国的に統一しようではないかという趣旨で改善されて、今現状はこれで走っているということなんですが、例えば何々川がはんらんしそうだと警戒情報が出されて、その際の避難判断水位は、ちょっと見えづらくて恐縮ですが、二の注意から三の警戒に格上げになったとか、こういう判断をなさるわけでありますが、この判断をする際の材料は、何をもって判断をされていますか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 洪水予報河川におきましては、現在の水位、それから今後予測される水位をもとに避難判断水位にいつ到達するかというのをもとにやっております。

 水位周知河川におきましては、まだ予測までできませんので、その時点の水位でもって避難判断水位に達した時点ということにしております。

古本委員 洪水予報指定河川、水位周知河川、こういうふうになっていますが、河川局長、全国で、河川というのは大体、一級河川が一万四千本弱、二級河川が七千本、準用河川が一万四千本、合わせて三万本余の河川ということになるんですが、このうち、気象庁としても、有益である、水位計によって判断をする、警戒だとか注意だとか、こういう判断をするものに水位計を用いるということなんですが、水位計はどのぐらいついていますか、三万河川に対して。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 河川法の適用並びに準用を受ける川、委員おっしゃったように約三万五千ございます。

 その中で、水位計が幾つついているかは、ちょっと急な御質問でお答えできませんが……(古本委員「通告してありますよ。何言っているの」と呼ぶ)現在、洪水予報を市町村に提供いたします洪水予報河川、それから水位周知河川の数は……(古本委員「失礼だよ」と呼ぶ)申しわけございません、合計で千六百十二でございます。

古本委員 ちゃんと用意しているじゃないですか。何が突然ですか。この数字ももらっていますよ、千六百十二本。四・五%しかないんです。

 一カ所幾らしますか。

甲村政府参考人 申しわけございません。私の誤解がございまして、水位計を設置していてもまだ水位周知だとか洪水予測を行っていない川もございますので、そういう意味で、水位計の設置箇所はわかりませんと答えたわけでございます。

 委員おっしゃるように、洪水予報河川と水位周知河川は、先ほど申し上げましたように、千六百十二でございます。

 水位計の一カ所当たりの価格でございますけれども、水位計の種類によって異なりますが、最近設置いたしましたフロート式水位計、筒の中に浮きを置いて、その浮きの上がり下がりで水位をはかる、そういう形式で申しますと、水位計本体が八十四万円、設置するための工事が約三百万円でございます。

古本委員 これは事前に資料要求しましたけれども、なかなか出なかったので、当委員会に提出を、お諮りを求めたいですが、大体どういうメーカーにどういうふうに発注しているか、随契なのか競争なのか、その辺の契約の概要を当委員会に提出を求めたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

佐田委員長代理 理事会で協議をさせていただきます。

古本委員 委員長、ありがとうございます。

 要は、人の命が奪われているわけですよ。それで、当該の伊賀川、先ほど来、杉浦正健元法務大臣におかれましては、何とかしてほしいと言っておられますが、残念なことに、何とこの伊賀川には水位計はついておりません。

 この伊賀川は過去何回はんらんしておるでしょうか。越水しているでしょうか。

甲村政府参考人 伊賀川は愛知県が管理している川でございますけれども、私どもが聞いているところでは、大きなはんらんは今回を含め三回と聞いております。

古本委員 委員の皆さん、そうなんですよ。もうええかげんにしてくれというのが地域の方々の叫びであります。

 この三万本ある河川の中で、過去に、例えばS字カーブであるとか、どうしても川のワイドが急に狭小してしまって、そこで水が歩どまってはんらんしやすいとか、いわゆる危険箇所というのは多分それぞれの河川管理者が把握をしていると思うんですが、例えばそういうところを重点的に、かつ早急にこういう水位計をつけて、しかもこれはリアルタイムの光ファイバーでわかるというじゃないですか、それで二十四時間監視しておけば。実は、局長、寝ておったら布団が水で浮いてきて、それで気づいたという人が随分おるんですよ。こんなひどい話はないわけであります。

 ぜひこの水位計を、よく知りません、原価もよく知りません、これから精査したいと思いますが、箇所当たり三百八十万円かかるという話ですけれども、本当にそんなにかかるものなのかも含めまして、安くていい水位計を早期に、できるだけその危険箇所のある河川に、わけても過去にはんらんしたことのある河川に二十四時間監視体制をつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

甲村政府参考人 水位計を設置いたしますのは当該河川を管理している管理者でございます。伊賀川の場合ですと愛知県になります。現在まだ設置しておりませんが、愛知県に聞きますと、今回の出水を受けて水位計を設置する予定と聞いております。

古本委員 本当に泥縄なんですよ。こうなってからなんです。

 それで、あえてこの伊賀川の件でいいますと、杉浦正健先生が先ほど言っておられたように、実は、河川区域内に家が建っていまして、そこの家の立ち退き交渉をちょうど十年ぐらい前まで愛知県が鋭意やっていたらしいんです。その断面が、イメージが資料の八です。

 これをごらんください。この市有地というのは岡崎市有地なんですね。ここにお宅が建っておりまして、この伊賀川というのが、当然その河川の区域内ですよ、区域内に恐らく既存不適格建築物として、河川法上は河川敷に家は建ちませんが、それより前に家が建っていたために、河川法上例外として認められている。建築基準法上は、この河川法によるクリアをすれば、満たせばやむを得ないということで、いわばリーガルに建っているわけでありまして、これを鋭意立ち退き交渉をやってきたのが実は少しスローダウンしていたという話を現場からは聞いておりました。

 この際、いろいろな予算面での力強いお話を、与党の先生ですから杉浦先生がおっしゃっておられましたが、愛知県の計画がまず出てきてそれでという言い方を先ほど局長はなさっていたやに記憶いたしておりますが、これは当然、補助事業で仮にやるならば、種銭が愛知県に幾らあっても、見合いの補助金がなければ起案できないわけでありまして、中部地整を含めて関係の機関に、補助事業をさらにここだけ重点的に、二十年度予算がもうついた、箇所がついた以降ではありますけれども、具体の御指示をいただけるということを今ここで約束していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

甲村政府参考人 先ほど杉浦委員にもお答えいたしましたように、愛知県におきましては、昨日、伊賀川の緊急整備について発表し、河川区域内にある家屋を移転していただくという説明を行うということを決めたわけでございます。

 国土交通省といたしましても、愛知県からの要望を受けまして、年度途中ではございますけれども、補助事業等で支援できるように努めてまいりたいと考えております。

古本委員 あと、連絡という意味では、気象庁、大雨洪水警報あるいは注意報というのは、出せる権能を持っておられるのは気象庁だけですよね。

 ちなみに、こういう雷注意報とか急な雨が降りますというのは、テレビ局のテロップが流れてわかるということだと思うんですが、あるいはラジオで流すとかいうこともあると思うんですが、こういうみんなが寝静まっているときに、ちょうど未明でしたからテレビを見ていた人も少ないと思いますので、そうなりますと、いわゆる同報無線ですが、正式には市町村の防災行政無線、全国千八百自治体でしたかある中で、この同報無線の配備率は何%でしょうか。

幸田政府参考人 お答えいたします。

 防災行政無線、同報系の全国の整備率は、市町村率でいきますと、本年三月末現在で七五・五%となっております。

古本委員 きょう総務省も来ていただいていますが、交付税の基準財政需要を計算する際に、いわゆる算定費目に、これは恐らく包括的算定経費として建設事業費、その他建設事業という範疇の中で入っておるということなんですが、したがって、財政需要額としては計算しておられるにもかかわらず、残り二五%の自治体では依然として、大雨だぞ、洪水が来るぞという警報を、あの拡声器で、ウーというものです、それが出せない自治体がなお二五%もあるということは、どういうふうに感じておられますか。

岡本(全)政府参考人 総務省自治財政局でございます。

 古本先生御指摘のとおり、防災無線のための財政措置、当初導入する際には地方債の財源措置もしておりまして、それの元利償還金の交付税措置もしております。また別途、それだけでは足らない分につきまして、今御指摘の単位費用に入れておりまして、細かい数字で恐縮でございますが、一市町村、標準団体でいきますと人口十万人でございますが、今年度でいきますと三百四十万円余りを計上してございます。当然、御承知のように、地方交付税では法律上、国は使い道を制限してはならないという規定がございまして、その使い道の判断は各地方自治体にお任せしておるところでございます。

 ただ、私どもといたしますと、防災行政無線は重要と考えておりますので、やはりその点は十分各団体において判断して使っていただければと思っております。

古本委員 いや、そのとおりなんですよ。基準財政需要を計算した総額が自治体に渡されるわけでありまして、それを実際の同報無線、命の糸をつなぐ、雨が来ている、みんな逃げろということを放送する無線を実際に需要計算したとおりつける自治体もあれば、それをほかのことに使う自治体もあるわけでありまして、それは自治体任せだというとまさにそのとおりでありますが、残り二五%もある。もっと言えば、杉浦先生のお地元ですからちょっと言いにくいですが、岡崎市というのは中核市ですよ。中核市でないんですから、これはぜひ一層の御決意で、大臣、早急な配備を各自治体に働きかけていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

林(幹)国務大臣 地元の意見を聞きながら、関係省庁と連携をとって取り組んでまいりたいと思います。

古本委員 無線あるいはテレビでテロップを流す、いろいろなやりとりがあると思うのですが、ただ、岡崎市に関しては、実は、総代さんといいまして、区長さん、自治会長、ここに市役所から連絡してみんなで伝達し合うというシステムだったそうでして、これは区長さん自身が水につかっていたら機能しませんよ。

 だから、これはぜひ挙げて、岡崎市に対する財政的な支援も含めまして、ただつくれというのでは、今回被災されているのでいろいろと出費もありますので、格段の計らいを、担当大臣に内閣の中でぜひ話題にしていただきたい、求めていただきたいということを強く求めておきたいと思います。

 それから、今回の災害は、先ほどの河川の伊賀川が、実は私も隣町とはいえちょっと離れているんですが、地元の浜崎県会議員に道案内をしていただいて見てまいったんですが、ちょうどワイドが、途中まで十メーターぐらいで来た河川が、その河川区域内に住居が建っているがためにちょっと断面が狭くなるんですよ、要するにボトルネックになっていまして、そこから、まさに水がぎゅっと詰まる感じになりますのであふれ出た。当時現場を見た目撃者からもそういう話を聴取いたしております。そうなりますと、ちょっと言いづらいですが、本当に、人災といいますか、例えば官製災害じゃないかなとさえ思うことがあるんです。

 その意味で、もう一点聞いておきたいんです。

 実は、先日、テレビ朝日さんの報道で見ていたのですが、私も実は驚いたのですが、乙川というのも同じくありまして、岡崎の管内図を地元の市会の皆さんからいただいてまいりましたが、ちょうど今言っている伊賀川というのが、杉浦先生もおっしゃっていた伊賀川がこの辺の真ん中を流れているんですよ。乙川というのが、矢作川から流れていっている支流といいますか、この乙川で随分な冠水があったんですが、昭和三十九年に愛知県が河川改修をした際に、附帯工事として水門を設置したというんです。

 これは何かといったら、隣の農地に、当然、堤防ができればレベル差ができまして、逆にオーバーフローした水が農地にたまっちゃいけないので、歩どまらないように川側に逃げる水門をつくったというんですが、この水門が、実は地域の方々が命がけで、腰に縄を巻いて自分たちでそこをおりていってあけようとしたんだが動かない。それで、草を取ろうと、雑草がいっぱい詰まっていたらしいんですけれども、取れなかった。大臣も報告を受けているかもしれませんが。

 これは実は、どこが監督官庁なんですかと聞いたら、わからないということがわかったんです。設置したのは愛知県、移管したのは岡崎市、管理移管していますので、河川自体はもともとは一級河川ですから国交省。ですから、みんな知らないという感じなんです。

 これはぜひ、全国にこういった水門が恐らくあろうかと思うんです、少なくとも国交省が直轄している河川については大至急に調べていただいて、こういったせっかく設置した水門が開かなければ話になりませんので、国交省直轄河川も含め、今申し上げた三万本の関係河川の全国一斉水門点検を求めるわけでありますが、大臣、ぜひその意味では関係省庁にしっかりと指示を出してもらいたいんですが、いかがでしょうか。

佐田委員長代理 時間が参っておりますので、短目にお願いします。

甲村政府参考人 まず、乙川の管理者は愛知県でございます。

 それで、この洪水水害による被害を防ぐためには、日ごろから河川巡視だとか施設点検を行って施設がちゃんと動くというのを確認していくことが非常に大事でございます。

 国交省では、毎年、出水期における防災対策というのを出しております。またさらに、七月末の豪雨を受けまして、直ちに河川管理施設の再点検を実施したところでございます。また、今般の、今のような事件を受けまして、「出水期における許可工作物の防災対策の徹底について」というのを国交省並びに全国の河川管理者に周知徹底したところでございます。

佐田委員長代理 時間が参っております。

古本委員 済みません。

 ちょっと大臣が、今、御決意を確認したいので、あわせて。でも、これは本当に、委員長、大勢の人が被災されている話ですので……

佐田委員長代理 わかりました。

 時間が参っておりますので。

古本委員 ちょっともう一つだけお願いします。

 今回、車が大分浸水しています。あるいは家屋も大変浸水しています。これは建てかえたり買いかえたりするのに随分お金がかかりますね。

 国税、地方税、関係税の減免に当たりましては、各自治体の裁量ということになっています。特に地方税ですね、固定資産税、自動車取得税、自動車税。こういう車両の買いかえ、住宅の買いかえも含めて各自治体の裁量になっています。ですから、ぜひ、これは大変な官製災害と見てもやむを得ない面もある今般の事案でありますので、格段の配慮をするように関係自治体に求めていただきたいということと同時に、今申し上げた水門の一斉点検をあわせて御答弁を願いたいと思います。これで終わります。

佐田委員長代理 簡略にお願いします。

林(幹)国務大臣 関係省庁とその辺はよく緊密に連携をとりまして、自治体でやること、あるいは県でやること、国でやること、いろいろあると思いますので、その辺はよく調整してまいりたいと思います。

古本委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

佐田委員長代理 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 まず最初に、気象庁にお伺いをしたいと思います。

 先ほど来話題になっているゲリラ豪雨という局地的な集中豪雨について、今どのくらいの確度で予報ができるようになってきているのか、そしてまた、もっと言えば、今後、どの程度の時間とお金をかけていけばどのくらいまで精度を上げていけるのか、まず、技術的なことについてお伺いできますでしょうか。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 局地的な大雨、豪雨に対するお尋ねでございますけれども、局地的な大雨は、積乱雲が発生いたしまして、これは通称入道雲と申しますが、不安定な大気の中で発達して起こりやすいということでございます。その場合、現在の技術といたしましては、数百キロメートルの範囲について予測することが可能であると思っております。その範囲で豪雨が発生する可能性が高いというときになりますと、気象レーダーなどを常時監視しておりまして、そして、雨の降っているその降り方を見ながら機敏に大雨警報などを発表しているのが現状でございます。

 それをもう少し長い時間、大雨が降る直前ではなくて、その前の長い時間予測するためには、いつ、どこで、どの程度降るかということをピンポイントで予想する必要がございますけれども、それは現在の時点ではまだ非常に困難なのが現状でございます。

 これに対処することができるようにするために、気象庁では、雨や風の動きを立体的、連続的に観測する気象ドップラー・レーダーの活用により、雨雲の動きに関して監視精度の向上を図りたいと考えております。また、先ほどの数百キロメートルでございますけれども、現在より少しでも雨の降る地域を絞り込んで予想することができるように、数値モデルの高度化に努めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 ぜひ早急に対策をとっていただきたいと思っております。

 今般、この夏各地で起こったこういう劇的な天候の変化による集中豪雨、こういった事態に至ったときに、どのように住民の皆様方が避難をされたり、また警戒をされたりするか。その一つの大きな信頼をする情報が気象庁発表の予報でありますから、そういう意味でのさらなる技術の進歩を早急に強くお願いしておきたいと思います。

 私の方からは、そういった中で、愛知県の一宮市、こちらの方で、先ほど古本委員が質問をされました岡崎市と同じ日でありますけれども、豪雨災害が発生をいたしました。一宮市に私も行ってまいりまして、実際の災害の状況を見てきたわけでありますけれども、この災害では、実際に被災をした地域、つまり、床上、床下浸水等の被災をした地域と避難勧告が出た地域に差がございました。また、時間的にも差があったと承知をしております。

 特に、降雨量でいいますと、市内の最大一時間雨量は、千秋消防署における観測点において、八月二十八日の二十二時十分から二十三時十分までの時間雨量百十・五ミリ、また、市内最大連続雨量というのは、丹陽消防署管内で八月二十八日十三時から八月二十九日五時四十分までの二百二十七・五ミリ、こういうふうな状況でありましたけれども、実際の避難勧告は、二十九日の午前四時四十五分に五日市場連区百七十世帯、また下浅野連区の百十世帯に避難勧告が出ています。

 ところが、実際には、床上浸水を多数した地域は、同じ一宮市内でも少し離れた富士連区、もしくは、今伊勢連区においての床上、床下浸水というのが被害件数としては多くなっております。そういう意味では、避難勧告をされた地域でない地区が床上に浸水をしてくる。結論として、住民の皆様方からすると、自分のところではないところで、しかも避難勧告が出る前に床上浸水をしてくるという状況になっているわけであります。

 集中豪雨が起こった場合、まさにピンポイントである場合には、河川の水位の上昇を見る避難勧告と、先ほどお話ししました避難勧告の場合には、日光川等の水系であります五条川、青木川等の水位の上昇を受けての避難勧告だと聞いておりますけれども、水位の上昇と局地的な雨が降る地区というのが必ずしも一致しない、排水の関係で局地的な雨の降ったところに浸水が起こるということになってくると、避難勧告のあり方についても見直すべきではないかというふうに考えるわけであります。

 と同時に、先ほど古本委員が指摘をされました、一宮市においても、深夜の住民への情報伝達というのは大変苦慮されております。一宮市は連区制というのをとっておりまして、連区長さんを通じ各区長さんにそれぞれ指示も伝わったと聞いておりますし、広報車を回したり、後ほどお伺いしますけれども、消防団の方々がハンドマイク等で避難勧告の連絡を伝えたといいますが、豪雨が終わった後でありましたから、そういう意味では今回の場合は避難勧告の情報が聞こえたかもしれませんけれども、逆に言うと、集中豪雨の最中、時間百十ミリを超えるような雨が降っている状況下で果たして音が聞こえるのかどうか、こういうことも一回試されてみてはいかがかと私は思うわけです。

 先ほどの、水位の上昇による避難勧告もしくは避難指示の出し方と降雨場所とのギャップについてどう考えるか、それからもう一つが、今の深夜の住民への情報伝達の方法についての一工夫をお願いしたいということについての御答弁をいただきたいと思います。

大森政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、避難勧告の出し方についてのお話でございますけれども、今回といいますか現在行われている避難勧告等の発出の考え方でございます。

 これにつきましては、平成十六年、新潟・福島豪雨を初めとした一連の水害等でさまざまな課題が出てまいりました。それらの課題に対応するために、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを策定して、その考え方に基づいて各公共団体が避難勧告等の発出を行っているということでございます。

 ちなみに、平成十六年の新潟・福島豪雨でございますけれども、これにつきましては、約二日で、最も降雨量の多いときが約四百ミリ、時間最大降雨量が約五十ミリ、そういう状況でございます。今回のような局地的または短時間の豪雨災害に適切に対応できるかどうかというような問題があるのはまた事実だろうと思っております。

 我々としても、この基本的な考え方、ガイドラインの見直しが必要かどうか、そういったことを含めまして、自治体における取り組みの実態を調査した上で検討していきたいというように考えております。

岡本(保)政府参考人 今委員御指摘ございましたように、住民の方々へ豪雨等のいろいろな情報といったものを的確に伝えるという場合に、さまざまな状況を想定して、一つの伝達手段に限らず、いろいろな手段を複合的に活用するということが非常に重要であろうと思っております。

 これまでも、今御指摘ございましたように、防災無線あるいは広報車両によります伝達、あるいは消防団、自主防災組織等を使って戸別に残っている方がいないなどのような伝達をする、さらには、ファクスでございますとか携帯のメールでございますとか、いろいろなそういう手法を使いながら伝達をしていく。それも、いろいろな状況を想定してその伝達ができるように、それが確実に伝わるようにということを常に体制的に用意をしておくということは、御指摘のように重要だろうと思っております。

 私ども、例年、そういう考え方から、集中豪雨等の時期を迎えるに当たりましては、事前に、そういう意味での各種の手段を複合的に講じていただくような対応ということをお願いいたしておりますが、今回の災害も踏まえまして、そういう意味での早期避難の重要性の周知といったことについて、都道府県、市町村等に周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 先ほどの古本委員の指摘にもありましたように、防災無線の設置についてもう少し補助をするとか、もちろん音だけではないと思います、先ほどお話ししましたように大変な音だというふうに思っています。マンションに住んでいる方が多い地区だと家の中の気密性は高いかもしれないけれども、一戸建てだと、そういう意味では、近くにトタンの納屋でもあれば大変音がうるさい、電話で避難の指示を伝えても電話の音も聞こえないという状況になり得ることは想定できるわけですから、音だけではない何らかの方法も含め、できないのか、創意工夫をしていただきたいと思います。

 その上で、きょうは総務省の自治財政局にも来ていただいておりますけれども、一宮市におけます今回のこの被災に対しての特別交付税の件です。

 きのうお伺いしましたところ、農用地の被災状況についての確定ができていないこと、また障害者の数等の確定、また死者数の確定ができていないということによって若干の誤差はあるとはいえ、その前段の床上浸水等のいわゆる住宅被災についての特別交付税はおよそ千四百五十万から千五百万円ぐらい出るのではないかというふうに承りましたけれども、その点については、十二月に出るということで間違いないのか、確認をしたいと思います。

久保政府参考人 御質問は災害に対します特別交付税措置でございますけれども、特別交付税に関する省令に沿いまして、私ども、災害復旧や応急対応に要する経費としまして、先生御指摘があったように、幾つかの項目に分けて計算をしております。

 恐らくといいますか、一番その中で大きな割合を占めてくる現年災害、とりわけその中でも算定額に大きな影響があると考えられますのは災害復旧事業関係費でございます。これにつきましては、御指摘がございましたように、まだ算定額が判明していないといったような状況がございますので、そうした幾つかの前提を置いた上で現行の省令に沿って計算をしてみますと、御指摘ございました一千四百万円程度の金額、これは恐らく出るだろう。先ほど言いましたように、恐らく最も大きな部分を占めるであろう災害復旧事業費関係、これが出ておりませんので、それがはっきりいたしますと千四百万を超えるだろうということは今の時点で見込めるだろうと思います。ただ、あくまでも仮の試算でございます。

岡本(充)委員 省内における精緻な計算というのはこれからだという話でありますけれども、実際に一宮市の場合には、床上浸水をした住居に対して、いわゆる見舞金を一世帯当たり五万円支給していると聞いています。今回の九月二日時点での床上浸水の総計が二百七十六件だというふうに私聞いておりまして、そういう意味でいいますと、これで五万円掛けるともうこれで一宮市の出費は千四百万円にかなり近づいてきてしまうという話になるわけであります。もちろん、市が独自にやっている制度でありますし、先ほどの話で、特別交付税の使途というのは限られていないわけですから何に使ってもいい、こういう話ですけれども、やはり次なる被災に向けての整備をしなければいけない部分に投資ができるような、別の角度で交付税の試算というのもまたこれから検討してもらいたい、金額についてももう少し見直しをしてもらいたいということをあわせて要請しておきたいと思います。

 その上で、今度は、次なる被災という前に、もう一つ一宮で私が聞いてきた話ですけれども、冠水した道路、今回も、雨が降って道路が冠水をしてきた、そのときに、道路際に住んでみえる方々からすると、家の土間のところから水が入ってきて、いよいよ畳に上がろうかとしているところで、要するに、道路上を勢いよく車がだあっと走っていくと、それによって生じた波によって、ぎりぎり土のうを積んでいたところから水があふれて床上浸水になってしまった、こういう話を聞いております。

 ところが、道路をとめてくれといって電話をすると、道路管理者、例えば県道であれば県でありましょうし国道であれば国でありましょう、と警察との間で、どちらになるのかというのが定かでない中で、ある意味、言葉は悪いかもしれないけれども、たらい回しのような状況になって、結局、冠水した水が家に入ってくるという形になった。この部分について、一度、道路管理者と警察の間で、どこにどう通報したらいいのか住民の皆様方に周知ができるようにしてもらいたいというふうに思っているわけでありますけれども、今後の対策としてどのようにすればいいのか、道路局長にお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 お答えをいたします。

 道路管理者、交通管理者、それぞれ道路法それから道路交通法に基づきまして、必要とあれば道路の通行どめをすることが可能でございます。

 今回のケースのように道路が相当程度冠水しました場合、現地で道路管理者それから警察、地方自治体で密接に連携をとらせていただきまして、危険防止の観点から道路の通行を制限する。それによって、先生御指摘のような車両の通行による沿道家屋への浸水の影響の防止ということが可能であると考えております。

 今後とも、災害時におきまして、道路管理者それから警察、自治体、密接に連絡をとらせていただきまして、柔軟に対応して被害の軽減に努めたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 では、住民はどこへ通報したらいいというふうにここでお答えいただけるのか、きちっと明確にお答えいただきたいと思います。

金井政府参考人 現地の方で密接にそれぞれ連絡はとらせていただいておりますので、道路管理者でも、現地の方の出先がございます警察でも、どちらでも可能であるというふうに考えております。

岡本(充)委員 どちらでも可能であるというのが、もうまさに、あっちだこっちだと回されるんですから、そこはきちっと明確な道筋をもう一度つくるように、私はこの場で強く要請しておきます。同じことがないように、また同じ質問をすることがないようにしていただかなければいけません。

 それから、今度は河川の管理についてのことでありますけれども、こういう局地的な豪雨ではなくて、周辺、流域への豪雨が続いた場合に、堤防の強度は大丈夫なのかという質問を私これまでしたことがあります。そのときに、五十年に一度の、もしくは戦後最大の降雨にも耐えられるように堤防はなっているというふうに話をされていましたが、台風等が来て、低気圧の中で潮位が上がる、もしくは大潮等で潮位が上がる、そういうものが、大変不幸なことにそれが合わさったときに、雨とそして今お話をした潮位、これでさらに堤防の破堤の危機が近づくと私は考えているわけでありますけれども、この相乗効果についてぜひ検討をしていただきたいと思っているわけです。

 ここまでしか潮位が来ないことになっていますとかそういう想定ではなくて、伊勢湾台風、これは五十年です、この秋になります。私の選挙区であります愛知県西部地方ではこの記憶がまだ生々しく残っている中でありますから、ぜひこれを検討していただきたいというふうに思っておりますが、検討していただけますでしょうか。

    〔佐田委員長代理退席、土屋(品)委員長代理着席〕

甲村政府参考人 近年、地球温暖化に伴う気候変化の影響と考えられる激甚な災害が発生しております。これまで想定していなかったような外力を想定してその対応を図ることが重要と考えております。

 このため、木曽川下流域を含む東海地方のゼロメーター地帯において、計画規模を超える高潮や洪水による大規模かつ広範な浸水被害が発生した場合を想定して、その場合においても被害を最小化することを目的に、国、地方自治体、ライフライン管理者等をメンバーとする東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会を平成二十年三月に設置し、危機管理行動計画を策定しているところでございます。これに基づきまして、想定以上の洪水、高潮が来た場合の被害を最小化してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 ぜひ検討していただきたいと思いますし、また、九月八日に内閣府の方から、新聞等で報道されておりました、いわゆる今後予測し得る大規模豪雨における堤防の強度もしくは被害想定、こういったものの中で、千年に一度の雨量が三百九十ミリ、こういうふうな想定をしているという報道がありました。多分そのように想定をされているんだろうと思います。

 例えば、千年に一度の降雨も、本当に三百九十ミリなのか。話を聞いてみると、どうも、二百年に一度が三百二十ミリだから、統計上、千年に一度は三百九十ミリになる、こういう話です。詳しく話していると時間がなくなりますけれども、その論理を使うと一万年でも十万年でも雨が予測できるという話になるんですが、統計的手法というのは長期で見ていくとやはり誤差が大きくなってくる。いろいろな方法を使って統計をとっていただきたい。

 本当に三百九十という数字が真の値かどうかも定かではないという中で、ここの再度の見直しをぜひお願いしたいと思うわけですが、お答えいただけますか。

大森政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の、中央防災会議大規模水害対策専門調査会が去る八日に発表いたしました利根川の被害想定で用いた千年に一度の確率の降雨でございます。これにつきましては、過去の降雨量を、実測値との相関が高い予測値が得られるモデル式を用いて求めたものでございます。専門調査会では、このモデル式を用いて計算した被害想定結果に基づいて、対策の検討を進めていく考えでございます。

 ただ、今先生御指摘の点でございますけれども、確かに最近の集中豪雨の多発等々がございます。こういった気候変動の傾向を踏まえると、このモデル式を含めた降雨量の評価方法のあり方についても、我々として、今後の研究課題としなければならないというように認識をしているところでございます。

岡本(充)委員 そういう、まさに洪水時などに活躍をする水防団、また、その水防団は消防団と兼ねていることも多いと聞いております。水防団、消防団、それぞれ、日中は仕事を持っている方も多いわけでありますけれども、こういった皆様方がより今後こういった活動に従事をしていただけるように、ぜひ消防庁にも御検討いただきたいと思っているわけですが、一言でいいのでお答えいただきたいと思います。

岡本(保)政府参考人 今委員御指摘のように、大規模災害等に対応いたしますために、消防団員の確保というのが大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 このため、この四月現在で約八十九万人の消防団員の方々がおられますが、かつてのピーク時は二百万人の方々が従事をしておりましたが、当面百万人という目標を掲げて、私ども、消防団の新戦力の確保ということで、現在各方面にいろいろなお願いをさせていただいておりますが、今の御指摘も踏まえまして、消防団の戦力の確保ということに意を用いてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 それと、今回大変大きなニュースとなっておりますが、災害時の食料として備蓄をしていた米を、その中で、事故米というそうですけれども、基準値を上回る農薬や、またカビが生えていたということで、事故米と称して、これを安価で買い受けて、そしてそれを実際は食用として転用していたという話でありますが、国民の皆様方が食の安全に関して大変不安をお持ちであります。

 確認をしておきたいんですけれども、テレビで報道されておりますが、三笠フーズのみならずこういった事故米を買っている業者に、農政事務所等農林水産省の方から、事故米が発生をして、買ってくれという要請をしていることはないんだろうと私は信じたいんですけれども、要請をされたことがあるんでしょうか、ないんでしょうか。そこははっきりしていただきたいと思います。

奥原政府参考人 お答えをいたします。

 事故米が発生した場合、この事故米、いろいろなタイプのものがございますが、倉庫に入っているうちに水が入って水にぬれたとか、それからカビが発生した、そういったものがいろいろございます。

 それについて、販売するときには、基本的に入札あるいは見積もり合わせという形で売っております。ただ、それほど売れ行きのいいものでもございませんので、関係のところに、いろいろ、入札のときに、こういう入札がございますということをお話しして、入札に参加していただくということはございます。

岡本(充)委員 もう一つ。

 キロ単位五、六円の、事故米のいわゆる工業用の取引価格だと言われているのに、要するにそれよりも高い価格で事故米を三笠フーズなどが落札し、そこに、輸送コスト、キロ当たり三十円ぐらいかかるそうですけれども、三十円ぐらいかけたら、どう考えても、事故米を例えばキロ当たり八円、九円で買って輸送コストを乗せたら、基本的には、中に入る三笠フーズなどは利益が出ないだろうということが想定されるにもかかわらず……

土屋(品)委員長代理 申し合わせの時間が過ぎております。

岡本(充)委員 委員長、ここは重要なので、一つだけ。

土屋(品)委員長代理 簡単にお願いします。

岡本(充)委員 この価格差が、本来の市場の価格より高い価格で三笠フーズが買っているということをおかしいと思わなかったのかということが私は大きな疑問なんです。

 そういう意味で、入札価格が高かったことについて疑問を感じることなく、ひたすら要請をして、販売をしていたというような実態だったのかどうかという点と、それから、今後、いわゆる事故米の広がりについて早急な調査をして、これまでのずさんな検査体制、九十回以上も三笠フーズに入っておきながら帳簿しか見なかった、こういう体制を早急に見直すということを、ここで決意を持って述べていただきたいと思います。それで終わります。

土屋(品)委員長代理 時間ですので、簡潔にお願いします。

奥原政府参考人 政府が販売するときの価格につきましては、当然、入札でございますので、予定価格等を決めて公正に販売価格を決定している、こういうことでございます。

 それから、今回の事件、我々も非常に重く受けとめております。この三笠フーズの行ったことは、契約にも違反いたしますし、各種法令にも違反する、そういう行為だと思います。ですが、長年にわたってこれを見逃してまいりました農林省の問題点も重大なものがあるというふうに認識をしております。

    〔土屋(品)委員長代理退席、佐田委員長代理着席〕

 昨日も、太田農林水産大臣から、徹底した再発防止策、それから流通ルートの徹底解明、そういった指示を受けておりますので、早急にそれを徹底してまいりたいというふうに考えております。(岡本(充)委員「いや、おかしいと思わなかったのか」と呼ぶ)

佐田委員長代理 ちょっと、手を挙げて発言してください。

岡本(充)委員 おかしいと思わなかったのかということについてはどうだったんですか。(発言する者あり)

佐田委員長代理 お静かにお願いします。お静かにお願いします。

奥原政府参考人 入札等でやっております場合に、その価格でございますけれども、そんな高い価格でもって落札をしているわけではございません。それは事故品でございますので食用に回すことはできない、その前提で買っているわけですから。政府が売る時点での価格は低いものでございます。

佐田委員長代理 時間が参っておりますので、簡略にお願いします。

岡本(充)委員 はい。

 違うんですよ。工業用に流通するときには、キロ五、六円でしかのり用では買わないと言われていることを御存じなかったということですか。五、六円でしかいわゆる工場が買わないのに、それを八円、九円で落札したら、だって五、六円でしか売れなかったら逆ざやじゃないですか。その価格を知らなかったのか、もしくは知っていてもおかしいと思わないほどそこの感覚が鈍磨していたのか、そのどちらかしかないんですけれども、はっきりしていただきたい。

奥原政府参考人 工業用ののりの原料として使われる場合にどのぐらいの価格であるかということは当然わかっておりますし、それをベースに予定価格等を算定した上で入札等を行うという仕組みでございます。ですが、入札をやってみて、その予定価格との関係でおかしくなければそれで落札をする、これは入札の仕組みとしては当然でございます。(岡本(充)委員「高いんでしょう」と呼ぶ)いや、できるだけ高く売るというのが入札の仕組みでございますので。

岡本(充)委員 では、またこの問題は取り上げさせていただきます。ありがとうございます。

佐田委員長代理 次に、和田隆志君。

和田委員 民主党の和田隆志でございます。

 我が党のお二人の委員が質疑した後でございますので、また、ほかの各委員の方から今回の被災状況なり、詳細にわたって御質疑がございましたので、私の方からは、質疑通告をさせていただいておった中で重複をできるだけ避けながら御質疑をさせていただければと思います。

 まず、今回の豪雨につきまして、いろいろな分野でいろいろな評価がなされております。気象庁の方にお伺いしたいと思いますが、今回起きました各地での豪雨災害、私自身が、自分の地元地域でも被害に遭われた方々がいらっしゃいますので、そういった方々のここ数年間に起きている気象についての御感想も含めていろいろ取材してまいりました。市民、県民、国民の皆様方の視点からすれば、今回の豪雨は今までと違って、自分のところに降っている、ほかのところに降っていない、そういう意味での局地的なという違いも多少はございますが、一番皆様方の感想として違っておりましたのは、ごく短時間に物すごい量の雨が降ったということのように取材する限りでは感じられました。

 そこで、私自身、サンプルではございますが、今回の内閣府の出されておられますこの被害状況等についてという文書と、ちなみに昨年、やはり秋に、台風四号が参りまして梅雨前線が刺激されて災害がたくさん発生いたしておりましたが、そうしたものについての内閣府の発表された文書とを比較してみました。

 そこで、ひとつ気象庁の方にお伺いしたいんですが、今回内閣府が取りまとめられた中に、気象庁なり、また災害を受けられた方々の集計をされている消防庁なり、こうしたところがつくられている部分につきまして表現を見ておりますと、昨年の被害の場合には二十四時間雨量についての表現がほとんどである、ことしのこの報告の場合には一時間雨量についての表現がほとんどである。こうしたところからも、実は国民の皆様方の感覚というのは非常に当たっているのかなというふうにこの報告書を読んだ次第です。

 こうした観点から、気象庁の今の御分析の中で、今までの豪雨と今度の豪雨とが、どういった背景の違いがあったり、どういった発生メカニズムの違いがあったりすると考えておられるのか、それを御答弁いただければと思います。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 雨の降り方といいますのは、自然でございますから、毎年決まったように起こるわけではなくて年々変動がかなりあるものでございます。

 それで、ことしの大雨の傾向と申しますのは、一時間当たりの大雨の発生回数というのは平年に比べて多うございます。それから、一日単位の大雨の発生回数というのは平年に比べて少ないというのがデータから分析した結果でございます。ただし、一時間当たりの発生と申しますと、例えて申しますと、一時間五十ミリを超える非常に激しい雨の発生回数というところでございますけれども、ことしの六、七、八の三カ月で例年の約一・四倍でございます。ここ三十三年間では六番目の記録でございます。その程度の記録でございます。ですから、ことしだけ今までに比べて特に変わったわけではないんですけれども、短時間の大雨が多かったということでございます。

 どうしてこういうことがあったかといいますと、それは気象条件によって異なっておりまして、ことしの夏は前線が張りまして太平洋高気圧の勢力が弱かったため、南から湿った空気が入り込んで上空の冷たい空気との間で不安定を生じまして、そのため局地的な豪雨が発生したものと考えております。

 以上です。

和田委員 今の気象庁の長官の御答弁によりますと、端的に言って、それほど特異なことではなくてたまたま重なったんだというふうな御答弁のように受けとめました。しかし、そうであれば、今までにも十分想定された範囲内の豪雨ではないかと言うこともできるのではないかと思います。

 そうした意味から、私、今回質疑の機会を与えていただきまして、自分なりに研究しておる中で感じましたことは、自然の気象条件なりいろいろな現象がかなりスピーディーに起こっているにもかかわらず、まだまだそれに対して人間の対応がそのスピードに追っついていないのではないか、そのような問題意識を持った次第でございます。これはもう中での手続、また作業論のお話でございますので、後でよく分析されて、直すべきところを直してみていただければと思います。

 このような観点から、私の地元広島県の福山市、今副大臣をされておられる宮澤先生の御地元でもございますが、実は、地元の福山市に対しまして、今回の被災状況はどんなものだろうかというふうにお問い合わせいたしました。そのときにいただいたペーパー、こちらにございますが、きちんとした御報告ではございますが、実は、この報告が九月一日の十八時現在で最終報告としてまとめられたものでございます。

 そして、見ていくうちに、先ほども申し上げたように、今回の内閣府の取りまとめられた報告書、こちらにございますけれども、拝見していきますと、各県の被災状況についての表もございます。関係者の皆様方よくお持ちだと思いますけれども、そこに、私の地元広島県と申し上げましたが、広島県の欄もございます。これを比較しますと、内閣府の取りまとめになられたこのペーパーを拝読する限り、九月二日の十七時三十分現在で被害がまとめられております。

 つまり、自分の市の部分をまとめている福山市分は九月一日の十八時で最終報告でございます。その報告の被害件数と、この九月二日の内閣府の取りまとめられた、これは福山市とは書いてございませんが広島県と書いてございます、広島県の被害件数とが異なっております。しかも、普通、概念的に異なってもおかしくないんですが、福山市の取りまとめた被害件数の方が多くて、広島県の被害件数としてまとめられたものの方が小さいわけでございます。

 ここまで御説明すれば、何か皆さんまたおかしいと思われるのではなかろうかと思うんですが、特にこれを深く追及しようと思いませんが、少なくとも、二十四時間近くの差があって、後にまとめられた方の御報告がそれぞれ自治体から拾って合算しているであろう数字よりも小さい数字になっているということは、かなりこの御報告に入っている数字は前の時点の数字ではないかと思うわけでございます。

 これ以上は申し上げませんけれども、今回の質疑の時間をいただいたときに、私自身がこうやっていろいろな資料を拝見しておる際、先ほど申し上げたとおり、自然のスピードに人間のスピード、つまり私たちが最も国民の皆様方の生活の安全を守らなければいけない立場にございますが、私たちの対応スピードがまだまだ間に合っていないのではないかと思った瞬間でございました。

 この点について特に御答弁を求めたいと思いませんが、こうした問題意識から、もっともっと予報の時点からどれぐらいの幅で雨が降りそうかということを的確に国民の皆様方にお知らせする、要するに、地域で限定することが難しくても、例えば積乱雲の大きさを考えれば、どれぐらいの水分がその中に入っておって、どれぐらいの時間当たりの降雨量があり得るということは、気象庁の専門的な知識をもってすれば、技能をもってすれば対応可能ではないかなというふうな思いをいたしながら、今後、もっともっと早く皆様方に雨が降りそうだということをお知らせする、そういう精度の高い分析能力を身につける余地があるのではないかと考えているんですが、その点について、今気象庁のお考えになっているところをお述べになっていただけますでしょうか。

金子副大臣 今委員がおっしゃったように、局地的な大雨があって、なかなか予報が難しい部分もございます。局地的な大雨をもたらす積乱雲の発生とか発達の起こりやすい気象条件になるかを数百キロの範囲について予想することは可能でございます。しかし、それより狭い領域に絞り込んで、いつどこでどの程度の雨が降るかをピンポイントで予想することは、現在の技術では非常に難しいというのが現状であります。

 しかしながら、現在、一般の気象レーダーが全国で大阪ほか九カ所ございます。それに加えて、これまでのレーダーというのは雨とか雪とかだけであったわけでありますが、雨と風の動きを立体的、連続的に観測する気象ドップラー・レーダーというのを活用いたしますと風の動きもわかりますので、雨雲の動向に関する監視精度の向上を図るとともに、現在より少しでも雨の降る地域を絞り込んで予測することができるように数値予報モデルの高度化などを進めております。

 ただいまのところ、全国で東京ほか十一カ所で気象ドップラー・レーダーが運用中でございます。このドップラー・レーダーを活用して、精度の高い予報をできるように頑張ってまいりたいと思います。

和田委員 今副大臣の方から御紹介いただきましたようなものをぜひ早く導入していただきまして、何度も申し上げて恐縮でございますが、いろいろな諸条件が変化することの中で、どうも自然の方が早く変化しているようでございます。私どもも、政治、行政的な対応を急いでいただければと思う次第でございます。

 少し質問の視点を変えさせていただければと思います。

 今回、そのように急激に雨が降ったことによりまして、今まで全国で、冠水した、床下、床上浸水した家屋、こうしたものがそれほどなかった地域でも、一気に水が押し寄せてきたことにより床の上下に水が入り込んでしまった、そういうところが非常に多いようにお聞きしております。

 そうしたところからちょっと問題意識を持ったわけでございますが、既に御質問の通告をしてありますが、これからちょっと議論したいと思っておりますところから、日本の中で、海抜、つまり海面の高さよりも低いところがどれぐらいあるんだろうか、そしてまた、そこに住んでいらっしゃる人口がどの程度おありなんだろうか、そうしたところから、その方々が本当に多いのであれば、そうした方々の生活の安全を確保することは私どもとしても最も優先順位の高い事項ではないかというふうに思うんです。まず、この実態から、私自身も全然自分では把握できないでお聞きしておりますが、これは国土交通省さんでよろしいんですか、今御存じのところをお述べになっていただけますでしょうか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるゼロメーター地帯でございます。面積でいいますと全国で千六百四十八平方キロメートル、そこに住む人口でございますけれども、約五百四十万人でございます。

和田委員 ありがとうございました。五百四十万人いらっしゃるということでございます。

 実は、ここから先、ぜひ国土交通省の中でこうした方々の声を聞いてみていただければと思いますが、少なくとも、私が地元広島県福山市の中でこうしたところに当たっている住家の方々にお聞きしますと、今まで、この十年、二十年間、この低い地域に対して行政的な施策は展開されたことがないとおっしゃっておられる方々が、ざっくり申し上げて三分の二以上いらっしゃいます。そうした方々の声を、こういった災害が起きたことを契機に、ぜひ一度お考えいただきたいというふうに思う次第でございます。

 実は、自分の経験を申し上げて大変恐縮でございますが、私、国家公務員時代にタイの方に勤務させていただいたことがございます。皆様方も一度や二度はいらっしゃったことがおありではないかと思いますが、実はタイの首都バンコクも、とにかく相当洪水に悩まされている大都市でございます。そこで、私ども、ODAを使うなりなんなりしまして随分支援をしてまいっているわけでございますが、その中で海外の専門家がその地に入られて私なりに教えてくださることは、やはり海抜ゼロメートル地帯というのが、技術的、専門家の視点から見て、水を出していくのにいかに苦労する地域かということを相当力説される方々ばかりいらっしゃいました。

 細かな議論は私自身もちょっと理解しかねましたが、海面より低いというところは、雨が降ればどっと水が流れてきて、水が最後流れていく先は海でございますので、その海の面より低いところは、物すごい水圧を増して外に吐き出さなければそこの地域の水を排除することができないということで、その上に上げる力、しかも、上へ上げたところはまだ自分の土地より高いわけですから、さらにそれを押し込んでくるのを防止する力、そうしたものも必要なように聞きました。

 つまり、今回、この災害対策特別委員会をこの時期に開かれるに当たりましては、もう一度、こうしたゼロメートル地帯に住んでいらっしゃる方々の生活を最優先に確保していただくような、予算的な、法律的な手当てを検討していただくことが可能ではないかというふうに思って質疑をさせていただくのでございます。

 そうした意味におきまして、これはお聞きしておった各地の住民の皆様方からの御意見からも出てきたことでございます。国土交通省さんは各種の許認可権限を持っていらっしゃいますが、大きな宅地を開発するなどのこれから必ず人が住むというところがわかっているような土地について、その地帯がゼロメートル地帯であるだとかいろいろな条件で、その付近の水がどっと大量にそこの地域に流れ込みやすいだとかそういった事情があるときに、この地域に対して何らかの法的な手当てを打っていいのではないかというような御意見がございました。

 その一例に、開発案件を許認可するときには必ず何メートル以上かさ上げしなさいとか、要するに排水が十分に行えないというふうに思えるときには許認可はできないですよというふうに行政指導するだとか、そうしたことを考えてはいただけないだろうかという御意見が上がりましたが、この点についてはぜひ担当大臣の方からお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

金子副大臣 これまでは、大規模な宅地開発等につきましては、都市計画法などにおいて、災害防止の観点から必要な制度的枠組みを用意してきております。しかし、近年、これまで想定していなかったような集中豪雨によりまして大規模な浸水被害が起きていることから、現行の枠組みでは対応できていない面があるのも事実であると考えております。

 しかし一方で、多くの都市におきまして既に土地利用が進展していることを考えますと、近年の浸水被害の対策として国民に対してどの程度の建築規制や土地利用規制を行うことが適切であるかについてはいろいろな議論のあるところであり、有効な手法を慎重に検討していく必要があると考えております。

 こうした問題意識のもとに、都市の安全について総合的に取り組むために、社会資本整備審議会に小委員会を設けまして、本格的に、できるだけ早く検討を開始することとしております。その成果を踏まえまして、安全な町づくりのための施策の充実を図ってまいりたいと思います。

和田委員 いろいろ御検討なさっておられるというふうに承りましたので、ぜひその検討を早く進めていただきまして、確かに、法的規制を行えばよいというものではないかと思います。ただ、住んでいらっしゃる方々からすれば、新しく開発されるところが安全なところでなければなかなかその地域の魅力も増さないというお声が町づくりの観点からも非常に高かったように思います。ぜひ、国土交通省の町づくり、いろいろな諸施策がございますが、その御検討の際に、洪水を起こさせないような町づくり、いわゆる、水が入ってきて、家はとにかく浸水したらかなりだめになりますので、それを防止するための町づくり、防止しながらの町づくりということに思いをいたしていただければというふうに思います。

 さて、時間も残り少なくなってまいりましたが、今回、いろいろと被災を受けられた地域、私の地元でも回らせていただいてみて感じたことでございますが、まだまだ、こういった自然現象の分析、もしくは今まで私たちがずっと数十年間国土を開発してきた、そうしたこととの兼ね合いというんですか、バランスというんでしょうか、開発してきたことが、自然現象の変化に対応する力が随分脆弱になってきているのではないかというふうに感じた側面がございました。

 例えば、私の地元で報告書をいただいて拝見したところによりますと、今まで私自身も経験したことがないところが冠水被害を受けております。実際に自分で運転しますので、道路が水につかって、車のエンジンに水が入りそうなぐらい水かさが増してしまうということがかなりの地域で発生いたしました。ちなみに、私の福山市だけで申し上げれば百十五カ所でございます。

 こういったところを、現場を訪れてみますと、普通に道路としては整備されておるのでございます。しかし、側溝に排水溝があって、その排水溝から普通のペースであれば水がきちんと排水されていくわけでございますが、先ほど来何度も申し上げているとおり、一気に降ったことによって今まで起こらなかったところの道路の冠水が起きている。

 そして、一夜明けた次の日に、いろいろ分析なさっておられる方々も地元におられました。そうした中で、その方々にちょっと状況を見せてくださいといって見てみますと、例えば前の日の夕方には道路一面が全く湖と化していたところの、その道路の真ん中の中央車線の真下が、土は乾いておるのでございます。

 つまり、片側二車線、両側四車線、またさらに広い道路もございますが、そうしたところをそのまま水を遮断するような材料でずっとアスファルト舗装を行っていたことにより、その面積に降った雨水はすべて側溝に集中するわけでございます。そして、その側溝が容量を超えており、それでどんどん水かさが増していったというふうにその現地の調査員の方々は分析されておられました。

 例えばこの点につきましても、アスファルト舗装の材料というものは、皆様方よく御存じのとおり、今では既にいいものが開発されており、高速道路では水がたまるようなところはかなり少なくなりました。こうしたことから、本当に防災対策を考えていくのであれば、我々が前回の通常国会で随分議論させていただきましたが、道路のいろいろな財源を使って、同じやるならば、本当に安全なものをつくっていただきたい。こうしたところが随分、十年、二十年ほうっておかれているから、今回私の住んでいる地域でも今まで全く道路の冠水が発生しなかったところで冠水が発生しているように、私自身ではなく、ほかの方々の分析によって感じた次第でございます。

 こうしたことを踏まえていただきまして、防災担当大臣、最後に、御自分の所見を述べていただければと思います。

林(幹)国務大臣 いろいろ御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 ことしの夏は各地で局所的な豪雨による被害が相次いだところでございまして、多くの人命が失われました。その結果、防災情報の伝達のあり方など、さらに取り組むべき課題が明らかになったと思います。

 担当大臣として、予測技術の精度を上げることや、あるいはまた迅速な応急対応、復旧対策、こういったものに関係省庁と連携を密にして万全を期してまいりたいと存じます。

和田委員 そろそろ時間が参りますので、この発言にて終わりにしたいと思います。

 今回、災害対策特別委員会での発言の機会をいただきまして、被災地を幾つか訪れてみて思ったことでございますが、やはり今の行政、政治に、本当に原点に立ち返って、国民の皆様方のもとに寄って現象を分析し、その対策を練るという視点がもっともっと必要であるように思いました。ぜひ、今政権にいらっしゃる方々のそうした意味での真摯な御検討をお願いして、質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

佐田委員長代理 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 八月末の豪雨で、岡崎市で二人の死者を出すという甚大な被害が出たわけであります。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 時間が短いので端的にお聞きしますけれども、私は、災害が起きた次の日、八月三十日、現地に参りました。

 岡崎市伊賀町で亡くなりました女性の隣の家の人の話でありますが、市役所あるいは消防、警察に何度も電話したというわけです。しかし、なかなかつながらない。ようやくつながった市役所に対して、川の水かさが増しているので危ないのではないか、避難した方がいいのではないか、こういうふうに問い合わせをしたということです。ところが、市役所は、ちょっと待ってくれ、今検討しているところだ、こういう返事で、具体的な対応がなかったというんです。そのうち水が上がってきて、電話が水没しまして使えなくなった、こういう話でありました。

 この地域は、八年前の東海豪雨のときにも伊賀川がはんらんしまして、大変な被害が出たわけであります。今回亡くなった方は、八年前にも同じ被害に遭って、胸まで水につかって命からがら逃げた、今回はそれができなかった、間に合わなかった、こういうことであります。

 皆さんにお配りをしている被害者の現場の写真ですけれども、一枚目でありますが、これは今回亡くなられた女性の御自宅の写真ですけれども、緑色の矢印のところまで、屋根のところまで水が来て、逃げおくれたわけであります。家は平家建てで、周りにコンクリートの壁のようにマンションが建っておりまして、地形がすり鉢状で水が簡単に抜けていかないわけであります。

 資料の二を見ていただきますと、岡崎市の防災マップですが、この地域は河川重要水防箇所とされているわけですね。危険性というのは初めからわかっていたはずであります。

 そこで、まず大臣に、一般論で結構ですけれどもお答えいただきたい。

 行政側がこういうときになすべきこととしては、まず河川の水位を的確に把握する、危険性を判断して避難勧告など住民にそれを速やかに伝達する、そして確実に避難できる体制をとるということですね。特に要援護者を確実に避難させる、これが大事だと思います。こうして初めて水害から命を守ることができると思うんです。これは基本的なことでありますが、大臣のお考えをまず確認しておきたいと思います。

林(幹)国務大臣 結論から言うと、先生おっしゃるとおりでございまして、ことしは特にまた夏に局所的集中豪雨がありまして、先ほども答弁しましたけれども、人命が失われるということで大変憂慮しております。

 これらの災害を通じて、防災情報の伝達のあり方など、さらに取り組むべき課題も明らかになったところでありますので、関係省庁と連携をとりまして、人命が失われることがないように対策を進めてまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 今回この実態を見ますと、この基本がきちっとなされていないというふうに思うんです。東海豪雨の教訓が生かされていないということだと思います。

 防災マップには河川重要水防箇所と位置づけているんですけれども、水防倉庫というものも、あるいは土のう倉庫というものも設置されていないわけです。こんな重要なところは土のうがなければ対応が敏速にいかないわけであります。私は三十日に調査に行きましたが、土のう積みが次の日の夕方からやられていたわけでありまして、これでは対応にならないわけであります。

 河川局に確認をしたいんですが、八年前にああいう水害を出した地域で、岡崎市の地域防災計画にも、避難の勧告、指示を発令する基準として、河川水位などの数値を定め、避難判断水位、特別警戒水位の具体的、客観的な基準を定める、こういうふうになっていると思うんですが、これは事実ですね。

甲村政府参考人 一般論ではそう書いてございますけれども、伊賀川にはまだ水位計がついておりませんので、そのことは今までは行っておりませんでした。

佐々木(憲)委員 これが重大なんですね。つまり、伊賀川に水位計、初歩的な、一番最初の、水位がどうなっているかが把握できていない、そういう装置さえないということですね。

 先ほどの同僚議員の質問に対して、過去三回大きなはんらんがあった、こういうわけですね。にもかかわらず、なぜこれが設置されていないのか。防災計画に、数値が必要である、あるいは基準が大事である、こう書いても、水位そのものを数値で把握できないということであったら、この防災計画も絵にかいたもちになるわけでありまして、なぜ、過去こういう災害が起き、かつ防災計画にも書かれていながらこのように水位計が設置されていないのか、その理由は一体どこにあるんですか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 伊賀川も愛知県が管理している川でございますけれども、愛知県におきましては、流域面積が大きく、なおかつ堤防決壊や河川がはんらんした場合に甚大な被害が発生するおそれのある河川について、水位計を優先的に今まで配置してきたというふうに聞いております。

 伊賀川は、今回を含めて過去三回の水害を受けておりますが、今まで設置しておりませんでしたが、今年度中に水位計を設置し、インターネットによる情報提供も来年度の出水期に間に合うように対応する予定と聞いております。

佐々木(憲)委員 これはやはり県の対応も非常に問題があったというふうに思いますし、国としてもしっかりとした指導が必要だというふうに思います。

 水位計を設置することを決めたということですけれども、水防倉庫、土のう倉庫、これも当然、設置されていないんですから直ちに設置するというのが当然だと思いますけれども、これはいかがですか。

甲村政府参考人 水防倉庫、土のう倉庫等につきましては、水防管理団体が設置の必要性を判断されて設置されるものでございます。補助制度もございますので、御相談いただければと思います。

佐々木(憲)委員 御相談と言いますけれども、例えば、八年前の九月十八日に、これは消防庁長官が答弁をしておりまして、当時の八田ひろ子参議院議員に対する答弁です。「今回の災害の教訓というものも踏まえながら、地方団体に対しまして、地域防災計画が実効性のあるものになるよう、今後とも一層努力をしてまいりたい」と。

 国と地方団体の関係あるいは水防管理団体、これはやはり一体として実効性があるものに、今回の教訓を踏まえ、何回もこれは繰り返されているわけですから、直ちにしっかり対応するというのが必要だと思いますが、大臣はどういうお考えでしょうか。

林(幹)国務大臣 今河川局長が答弁のとおり、愛知県において水位計を設置するということを聞いておりまして、避難活動に極めて有効であると思っております。

 また、伊賀川においては、抜本的な河川改修に着手することを愛知県が決定したということを聞いておりますので、伊賀川の流下能力の向上が図られるよう、国交省と連携して対応してまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 緊急事態に対応できるような、そういう体制をきちっとつくっていただきたいと思います。

 次は、避難勧告の問題です。

 私も現地で聞いたんですけれども、住民の方々に、避難勧告が出たということを知っていましたかと聞いたら、知らなかった、何の連絡もなかったと。すぐはんらんした地域の後片づけをされている方でありますが、そういう答えでありました。岡崎市は夜の二時十分、十四万世帯に避難勧告を出した。ところが、肝心の災害危険箇所の住民にきちっと伝わっていないわけです。このような事態は今回が特別ではなくて、何回もいろいろな、あちこちで災害がありますが、そのたびに同じようなことを聞くわけですね。

 やはり、豪雨の中で住民にきちっと危険性を伝達し、避難勧告を行い、安全に避難できるような体制をつくる、これは行政の責任だと思いますけれども、大臣はどのようなお考えでしょうか。

林(幹)国務大臣 災害発生時におきまして、避難勧告等の情報を住民に確実に伝えることは重要であるということは認識しております。

 平成十七年に策定いたしました避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインにおきまして、市町村は、地域特性を踏まえ、同報無線を利用した伝達や、消防団、自主防災組織等を通じた住民への伝達など、複数の手段を組み合わせて行うよう定めておりまして、消防庁においてこの旨を各自治体に周知しているところでございます。

 今後とも、避難勧告等の住民への迅速、着実な伝達が図られますよう、地方自治体の取り組みを支援してまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 いろいろと定めていても実際にそれが機能していないわけなんですね。

 例えば、防災計画には、伝達方法として、電話、ラジオ、テレビ、広報車、信号、戸別訪問、こういうのが書かれております。しかし、今回はどうだったかといいますと、夜中の一時、二時の話ですから、テレビやラジオを全然聞いたり見たりしていませんし、あるいはパソコンだって見ておられないわけですね。そういうときに、広報車とか戸別訪問も限界がある、そうすると、一斉に伝達するという手段としては防災無線がやはり有効だと思います。スピーカーを通じて一斉に知らせる。

 そこで、合併で編入された額田地区には防災無線はあるそうですけれども、旧岡崎市内に防災無線はないということなんですが、これは事実でしょうか。改めて確認しておきたい。

幸田政府参考人 お答えいたします。

 額田町には防災無線は設置されておりますけれども、旧岡崎市内については設置されていない。事実でございます。

佐々木(憲)委員 これは今回の災害との関連で大変重大だと私は思っております。危険箇所を中心に防災無線を設置するということは、何もこの箇所だけではなくて、先ほども質疑がありましたが、全国的に非常に重要な課題だと思うんですね。

 やはり国として、防災無線の重要な役割を全国の自治体に徹底する、そして財政援助もきちっと行うということが大事だと思います。その際、先ほども議論があったように、何か、交付税で、自治体が判断して自治体がやる気になれば進むというようなことではなくて、国としてきちっと計画を立てて、いつまでにどのように設置をしていくか、この姿勢がやはり大事だと思うわけです。

 この点での大臣の決意を聞きたいと思います。

幸田政府参考人 お答えいたします。

 同報系の防災無線は、今先生お話ございましたように、住民に情報を一斉に伝達するという意味から、災害時の防災情報の伝達に大変有効なものだというふうに認識をいたしております。

 全国での整備率は七五・五%ということでございますので、総務省消防庁といたしまして、この防災無線の整備につきまして、さまざまな機会をとらえて市町村にも働きかけをしてきたところでございますが、引き続き周知徹底を図っていきたいと考えております。

 また、財政支援措置といたしましては、地方債充当率九〇%、交付税措置五〇%の算入率という防災基盤整備事業による財政措置を講じているところでございまして、引き続き積極的な対応を図っていきたいと考えております。

佐々木(憲)委員 やはり計画的にきちっと進むような財政的手当てと同時に、指導というものが大事だと思うんです。

 どうも今、新しく設置する場合は、デジタル方式の場合にはやる、そういう限定がついているようですけれども、問題は、自治体側が今こういうものが必要なんだという要請があったら、それに対してきちっとこたえるような体制、そういう姿勢が私は大事だというふうに思います。

 さて次に、もう一人、伊賀川で亡くなった城北町の方の件ですけれども、この方は堤防の川の側に住宅があって、そして増水によって床下の土がえぐられて床が落ちたわけです。落ちたと同時にその方も流されて、後になって、矢作川を出て三河湾の日間賀島というところで遺体が発見される、大変お気の毒なことでございます。

 資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、この地域はこのような住宅の建て方になっておりまして、伊賀川に沿って住宅が建ち並んで、いつも危険と隣り合わせの状況にあるわけです。こういう形で家が張りついたのは大正時代からであったと言われております。戦後急速に、そういう形で建つ住宅がふえた。土地は市の所有で、五年ごとに借地契約を更新しているそうです。一番多かったのは八十八戸あって、現在は五十六戸あるということなんですね。

 ところが、なかなか移転が進まない。先ほどの説明ですと、昨日、県は、市と協力して緊急に移転させることを決めた、こういう答弁がありました。問題は、周辺が住宅密集地域であります。新たな土地はなかなか見つからないわけですね。しかも、家を建てるという場合にはその費用がかかります。なかなかそういう意味での制約がある。岡崎市の方の市営住宅はどうかというと、かなり離れたところにあるわけですね。

 やはり私は、緊急に移転させることを決めたというんですけれども、問題は、強制移転のようなことをやるんじゃなくて、住民の方の納得と合意を得て移転するということが非常に大事だ。その際大事なことは、要望をきちっと聞くということですね。そして、補償もそれなりにきちっと行って、スムーズに移転が進むようにする。これが河川管理者としての責任だと思いますが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

甲村政府参考人 先ほども申しましたように、昨日、県が、市とも協力しながら住民の納得と合意を早期に得られるよう努めていくというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましても、今回の甚大な浸水被害をかんがみますと、このような河川の中の危険な箇所に住宅があるということは、河川改修上もネックでございますし、住んでいる方も浸水被害を受けられるということでございますので、納得と合意を得た上で早期に移転していただくことが必要と考えております。

佐々木(憲)委員 この移転がスムーズに進むということは大事なことだと思いますが、同時に、一定の時間がかかるわけです。そう簡単に、きょうあすじゅうにというわけにはいかない。そうなりますと、ある程度、いろいろな条件のもとでそこに一定期間まだ住んでいるという状態が続くわけですね。そうしますと、現に住んでいるようなそういう方々が安全な状況をつくらなければならぬ、そういうふうに思います。

 お配りした資料の三枚目の下の写真を見ていただければわかりますように、床と川の間をコンクリートで固められている家は土台がえぐられるような状況は出ていないわけです。増水したときに床下の土が流出しないような整備というものが必要なんですね。それは、長期的な改修というものはもちろん必要でしょう。しかし同時に、今住んでいる方が、いつ大雨になるか、被害が出るかわからない。したがって、そうならないような整備というものが必要だと思うんです。それは河川の維持のためにもこのことは大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申しましたように、できるだけ、住んでいる方の安全の観点からも、納得と合意を得た上で早期に移転していただくのが必要と考えております。

 今回、この写真にございますように、これは河川の護岸なのかあるいは個人所有の擁壁なのかよくわかりませんけれども、それにつきましては、これを管理している愛知県が災害復旧なり等で適切に判断するものと思っております。

佐々木(憲)委員 ともかく、現に住んでいるわけですから、安全な管理を行う、安全な体制をつくる、これが管理者の責任だというふうに思います。

 最後に、政府の姿勢ですが、都市型災害に対する対応です。

 河川の上流では、どんどん開発が進むということで、保水能力が低下しているわけです。下流の方では、急速に増水したときの対応が間に合わない。これがやはり現状だと思うんです。災害が頻発するのはそこに問題がある。この点でどういう認識をお持ちか。それから、下流の対策として、貯水装置あるいは排水対策、これまで以上にこれは強めなければならぬと思いますけれども、大臣の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。

甲村政府参考人 都市化に伴う流出形態の変化によって洪水が頻発しましたことから、昭和五十五年から、総合治水対策ということで、流域のあちこちで貯留、浸透させる、あるいは宅地開発等を行う場合は流出増分をためる、それとあわせて河川の改修を鋭意やってきております。

 そのようなことで、今回の集中豪雨等の増加を見ましても、やはり流域全体でためる、あるいは河川改修を促進する必要があると考えております。

佐々木(憲)委員 基本的なことですので、ぜひ大臣にお答えいただきたいと思うんです。

 今、岡崎市などの防災マップも御紹介しましたが、これは各地で各自治体が公表しています。こういうものを見ますと、危険な地域というのはある程度わかるわけです。したがって、こういうところで開発造成を行う、そういう場合に、開発だけをどんどん進めていくというのではなくて、同時に、例えば貯水対策あるいは排水対策、こういうものもきちっと行うということを義務づける、何となくお願いするというのではだめだと思うんですね。やはりそういう義務づけというものがないと、これはもう開発だけがどんどん先行して安全対策を後送りということになると、危険な状態というのはますます広がっていくということになりますので、この点についての大臣の御見解を最後にお聞かせいただきたいと思います。

林(幹)国務大臣 河川局長から答弁したわけでありますけれども、もちろん安全確保は大事でございますし、先生指摘の貯水池を確保したりさまざまな対応をしていきながら、全体的な調整も図りながら進めてまいりたい、このように思います。

佐々木(憲)委員 では、時間が参りましたので、終わります。

佐田委員長代理 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 私は、最初に地震について質問させていただきたいと思います。

 ことし七月に、岩手県中部地震がありました。揺れの方ですが、最大震度が六強ということでした。最近で見ると、この六強を記録した地震というのは、岩手・宮城内陸、新潟中越沖それから能登半島沖等々があるわけですが、これらの地震では、いずれも、全壊したとかあるいは半壊したとかいう被害が残念ながら出てしまいました。幸いにして、岩手・宮城の中部地震では全半壊の住宅は出ていないということになっているわけです。

 気象庁の震度階級関連解説表というちょっと長い戒名の表があるそうなんですが、これでいうと、震度六強の場合は、木造の建築物でいうと、耐震性の低い住宅では倒壊するものが多い、耐震性が高いものでも壁や柱がかなり破損するということが言われているわけです。鉄筋も、同じように、耐震性が低いものでは倒壊するおそれがあるということになっているわけですね。

 今回の宮城・岩手はこうならなかったわけですが、これはどういうふうに分析をされているのか。同じような震度であるにもかかわらず、深度が違うとかさまざまな意見もあるかもしれませんが、これらについて、原因についてどのように分析されているのか。

 それから、震度の計測方法あるいは解説表そのものを少し見直す必要もあるのではないかということを少し感じたので、気象庁の方の御見解を伺いたいと思います。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 震度は、地震による揺れの強さを総合的に示す指標でございまして、以前は人間が体感で感じていた揺れの大きさというものを、震度計をもとに自動的に指標として計算しているものでございます。この震度は防災対応の基準として利用されておりますが、震度が同じでありましても、建物や構造物、さらに地震動の性質の違いによって被害が異なることがございます。

 気象庁では、岩手・宮城内陸地震が発生した後、震度六弱以上を観測した観測点の付近において建物の被害状況や住民への聞き取り調査などを行いました。その結果、はって歩くこともできなかったとおっしゃる方もおられたなど、震度六弱から六強相当の揺れであったことがわかりました。しかし、木造家屋の倒壊などは見られませんでした。

 木造家屋の被害が少なかった理由の一つとしまして、過去の阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などと比べまして、木造家屋の倒壊に大きな影響を与えると言われております周期一秒から二秒の地震波の成分がやや小さかったことが考えられております。

 気象庁としましては、震度と被害の関係の目安として、震度六強では、耐震性の低い建物では倒壊するものが多い、人ははわないと動くことができないなどと示した震度階級関連解説表を作成しておりますけれども、これにつきまして、近年の地震の被害の出方などを整理いたしまして、地震の特性による被害の違いなど、より実態に合ったものにするため、有識者の意見も参考に改善することとしております。

日森委員 ぜひお願いをしておきたいと思います。

 二点目も地震の問題なんですが、気象庁は、地震の予知情報を出すために、地下の岩盤の伸びだとか縮み、これを非常に高感度で観測することができるという、ひずみ計というんですかね、これを特に東海地域に設置しているというふうに聞いています。

 報道によると、ひずみ計の耐用年数というのは実は十年から二十年ぐらいだ、こう言われているそうで、気象庁には二十一カ所にひずみ計が設置をされているということなんですが、そのうち八カ所が一九七九年に設置されたもので、もう既に三十年たっている、耐用年数を大幅に超過しているということが言われているわけです。

 また、ひずみ計、新型も今出ているそうなんですが、ひずみの量だけではなくて力が加わる向きもわかるような、そういうひずみ計も新型としてもう既に設置されているようですが、これは九七年度から五カ所に新規で設置をされたんですが、二〇〇〇年を最後に新設もされていないというふうにも聞いているんです。

 地震の問題、大変決定的で、しかも重要な役割をこのひずみ計が果たしているということを考えると、耐用年数が過ぎても新型への切りかえが進んでいないというのを、予知情報の信頼性ということに対して、国民の側に不信感を与えるんじゃないかということが一つ心配されるわけです。その辺、どうお考えなのか。それから、新型に切りかえていくということについて今後どのような見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 ひずみ計でございますけれども、東海地震の前兆現象を監視するために、微小な岩盤のゆがみというものを計測するものでございます。気象庁は、十九基、静岡県とその周辺地域に設置しておりまして、そのほか、静岡県で設置しておりますのと合わせて二十一基ということでございます。

 それで、その新聞報道には耐用年数のようなことが書かれておりますけれども、実は、ひずみ計そのものは、地中のセンサー部と地上の処理部、それから伝送系から成っておりまして、地上の処理部などは、これは電子機器で構成されておりますので、交換部品などの関連もございまして、定期的に交換する必要がございますけれども、地中のセンサー部は、耐用年数というものが具体的にはっきりしていないのが現状でございます。今まで具体的に故障したような例がございませんので、耐用年数が何年かということすらも余りよくわからないんですが、逆に、今まで使えておりますので、直ちに経年劣化を起こすようなものではないと考えております。このようなことから、現状でも東海地震予知の監視業務に特段の支障はないものと考えております。

 それから、新型のひずみ計の話もございましたけれども、東海地震の前兆現象を監視するためにどういう観測網にすればよいのか、予知の精度向上に必要なことがあれば、それに対応すべく検討してまいりたいと考えております。

日森委員 ぜひ検討して、そういうことが一度報道されたりすると、実際に現地の人を中心にいろいろな不安だとかいうのが生まれてくるということも考えられますので、お願いをしておきたいと思います。

 次に、緊急地震速報についてです。

 昨年十月から本格的にこの速報が運用された。一般向けの緊急地震速報というのは、これまで七回出されているというふうに聞いています。さきの岩手・宮城の地震もそうなんですが、実は、民間の調査機関が調べたところによると、市民の過半数が地震速報を震度速報と勘違いしちゃったというような結果もあったようなんです。この地震速報を正しく理解した人は実は三〇%程度しかいなかったというのを民間の調査機関が調べたようです。

 気象庁は、この地震速報について啓発活動を大変努力してやっていらっしゃるということは十分承知をしているんですが、まだまだ不十分じゃないかという気がするわけです。勘違いをしちゃうとか、いやいや、震度速報だと思って大丈夫だというふうに思ったり、いろいろな誤解も生じることもあるわけで、それから、これは運用以前から、ちょっと問題だというか心配されていたことなんですが、発表から実際の揺れまでの時間が大変短い、おくれちゃったというような、いろいろな理由があったんでしょうが、ありました。

 お聞きしたいのは、既にもう七回発表されて、本格的に始まっていくんだけれども、これまでの状況についてどういう評価を一定されているのか。それから、今後課題として解決していかなければならないものについてどうお考えになっているのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、本日また緊急地震速報を一回発表しておりますので、昨年十月一日から本日まで八回の地震について発表したということでございます。

 それで、どのように評価しているかでございますが、六月十四日に発生しました岩手・宮城内陸地震では、地震検知後、約四秒後に緊急地震速報を発表しまして、震源近傍の岩手県奥州市や宮城県栗原市では強い揺れが到達するまでに間に合わなかったということがございます。しかし、震度四を観測した秋田市では、緊急地震速報を聞いた家庭において、テーブルの下に隠れて身の安全を図ることができるような時間的余裕があったとか、それから、震度五弱を観測した宮城県大衡村の工場では、強い揺れが到達する前に製造機械を停止することができたなどの有用な結果が報告されております。これらにつきましては、緊急地震速報のシステムが当初から想定した機能を発揮したものであろうかと考えております。

 しかし、先ほど委員御指摘のとおり、震源に近い場合には間に合わない場合、あるいは技術的な予測のこともありまして地震検知から警報の発表までに時間が長くかかった場合もございまして、こういうことにつきましては、技術的な改善に取り組みますと同時に、緊急地震速報の有効性と技術的限界の両方につきましても周知、広報に努めて、有効に利用していただきたいと考えております。

 以上です。

日森委員 せっかくの速報ですから、十分に住民の安全に寄与できるように、これからも啓蒙を含めて御努力いただきたいと思います。

 次に、岩手・宮城内陸地震の被害、これは大変被害があったわけですが、自治体の財政負担の軽減、それから、山が崩れてしまって国有林が大変重大な被害を受けた、これをどう再建していくのかということについてお聞きをしたいと思います。

 それぞれ県も御苦労されて、自治体もそれぞれ御苦労されておやりになっているわけですが、宮城県では三百六十億円の増額補正予算を提案して、ともかく何とかしていこうということになっているわけですが、実際には自治体財政は大変厳しくて、これをきちんと復旧していくにも大変莫大な予算がかかるということになっているわけです。

 局激などは指定されているわけですから、政府としても、現行法の枠組みの中で自治体に対する財政支援というのは当然行っているというふうに理解をしていますが、特別交付税、あるいは、どういう形が望ましいのかは別にして積極的な財政支援、これを被災自治体にしっかりと行っていくことが大事なのではないかということについて、政府側の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

岡本(全)政府参考人 総務省でございます。

 御指摘のように、各自治体では、応急対策、さらに復興対策などの財政負担が生じてまいります。特別交付税などで措置するようにしておりますので、今般の地震による被害につきましても、今年度の特別交付税において算定し交付することと考えております。

 今後、被災されました地方自治体の実情を十分お聞きいたしまして、財政運営に支障のないように対処してまいります。

日森委員 大変心強い御答弁、ありがとうございました。

 同じくこの岩手・宮城内陸地震で土砂災害が起きた山林の復旧についてお伺いをしたいと思うんです。

 テレビで空からの映像なんか随分流されましたけれども、各所、随所で山が崩れてなくなっちゃっている、こんな状況が散見されました。これについては、山地災害対策検討会というのがつくられまして、ここで検討が行われてきたというふうに聞いています。先ごろ、この検討会が中間取りまとめというのを出したということなんですが、その基本方針の中で、土砂対策と同時に緑化を進めるというふうに書かれていると聞いています。これは、ともかく山が半分なくなっちゃうような大変な事態が山の中で起きているわけで、これを復旧していくのは、土砂対策と同時に緑化を進めるといっても、それはちょっと、我々素人が考えても物すごい膨大な努力が必要になるんじゃないかという思いがあるんです。

 この中間取りまとめを受けて、政府として今後どのような段取りでこれを具体化していくのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、岩手・宮城内陸地震によりまして、宮城県栗原市の一迫川や岩手県一関市の磐井川などの上流域に位置します国有林におきまして、近年例を見ないような大規模な山地災害が発生いたしました。今後の本格的な復旧対策や計画の策定に当たりまして、専門家による山地災害対策検討会を設置し、検討いただいているところでございます。

 検討会では、八月三十日に中間取りまとめを行いまして、渓流内における不安定土砂の流出による下流への被害を防止するため早急に治山ダムを設置すること、治山ダムだけでは山腹内に堆積した土砂を十分安定できない場合には、あわせて山腹工も実施する、それから植生の回復状況を踏まえて、必要に応じ航空緑化工などによる緑化を早急に行うということなどが報告されたところでございます。

 緑化の実施に当たりましては、保全対象に直接かかわる場所には、土砂の安定、緑化のみならず構造物を配置して復旧をいたします。また、保全対象と直接的な関係は小さいんですが、森林の公益的機能発揮のために緑化が必要な箇所には、航空緑化工と人力施工を併用して早期緑化を促すということなどが方針として示されております。

 今後、こうした検討会の検討結果を踏まえまして、災害関連緊急治山事業等による復旧対策を推進し、国有林の早期復旧を図ってまいります。

日森委員 航空緑化というのは何。飛行機から何かの種をまいたりするわけ。ちょっとわからなかった。人力の方はわかったけれども。

福田政府参考人 航空機から種と肥料を合わせたものをまきまして、これによりまして早期に復旧をするということでございます。

日森委員 ありがとうございました。大変な労力とお金もかかると思うんですが、ぜひそういうことで、本当に環境問題にもかかわってくるわけなので、再生のための御努力をお願いしておきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、防災無線とか、それはちょっと省かせていただきます。先ほど御質問もありました。

 最後になると思うんですが、先日、神戸に佐田委員長も含めて視察をしてまいりました。ああいう川があそこもたくさんあるそうで、国土交通省の調査だと、例の水難事故と同じような原因で事故が起こる可能性がある河川が二十五カ所あるというふうに聞いております。

 今後、神戸の川も含めて、同様の河川に対して具体的にどのような対策をとっていかれるのか。もちろん、川の形態とかいろいろなことによってさまざまな取り組みの仕方は変わってくる可能性があると思いますが、少し基本的な考え方だけお聞きをしておきたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 この事故を受けまして、七月三十日に全国的な緊急調査を実施したところでございます。それを受けまして国土交通省では、今後の対応方針検討のために、学識経験者や地方自治体、気象庁等の関係者で構成した、中小河川における水難事故防止策検討ワーキンググループを新たに設置し、緊急調査の結果をもとに、都賀川で発生した事故のような局地的豪雨による急な増水に対する情報提供、啓発活動のあり方、緊急時の避難を想定した施設整備の考え方等について年内に取りまとめ、それを全国の河川管理者に周知してまいる所存でございます。

日森委員 専門的なチームも当然必要なんでしょうけれども、治水と親水、どこか矛盾するようなところがたくさんあるような気がしないでもありませんので、ぜひ研究をされて、具体的な、効果的な措置をお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐田委員長代理 これで質疑は終了いたしましたけれども、先ほど古本君から資料提出の要求がありました。これにつきましては、理事会を開くというふうに申し上げましたけれども、資料提出ということでありますので、国土交通省から一週間以内に提出することをお願いしたいと思います。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十分散会


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