第2号 平成22年3月11日(木曜日)
平成二十二年三月十一日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 五十嵐文彦君
理事 市村浩一郎君 理事 神山 洋介君
理事 高橋 昭一君 理事 橘 秀徳君
理事 森山 浩行君 理事 谷 公一君
理事 古川 禎久君 理事 石田 祝稔君
糸川 正晃君 稲富 修二君
奥田 建君 奥村 展三君
勝又恒一郎君 川村秀三郎君
黄川田 徹君 沓掛 哲男君
小山 展弘君 後藤 祐一君
近藤 和也君 斎藤やすのり君
空本 誠喜君 田中美絵子君
平 智之君 高松 和夫君
高邑 勉君 松本 龍君
村井 宗明君 森岡洋一郎君
吉川 政重君 秋葉 賢也君
小野寺五典君 梶山 弘志君
佐藤 勉君 竹下 亘君
長島 忠美君 林 幹雄君
稲津 久君 高橋千鶴子君
重野 安正君
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国務大臣
(防災担当) 中井 洽君
内閣府副大臣 大島 敦君
総務副大臣 渡辺 周君
厚生労働副大臣 長浜 博行君
内閣府大臣政務官 泉 健太君
厚生労働大臣政務官 山井 和則君
農林水産大臣政務官 舟山 康江君
国土交通大臣政務官 長安 豊君
国土交通大臣政務官 三日月大造君
環境大臣政務官 大谷 信盛君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術参事官) 山縣 宣彦君
政府参考人
(気象庁長官) 櫻井 邦雄君
政府参考人
(海上保安庁交通部長) 小山内 智君
衆議院調査局第三特別調査室長 関根 正博君
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委員の異動
三月十一日
辞任 補欠選任
奥田 建君 空本 誠喜君
江藤 拓君 小野寺五典君
同日
辞任 補欠選任
空本 誠喜君 奥田 建君
小野寺五典君 江藤 拓君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件(平成二十二年度における災害対策の施策等)
災害対策に関する件(チリ中部沿岸を震源とする地震による津波に関する被害状況及び対応状況等)
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○五十嵐委員長 これより会議を開きます。
災害対策に関する件について調査を進めます。
平成二十二年度における災害対策の施策について、防災担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中井防災担当大臣。
○中井国務大臣 このたび、防災担当大臣に就任いたしました中井洽でございます。
第百七十四回国会における御審議に当たりまして、災害対策に関する私の所信を申し上げます。
昨年も、国内外において大きな災害が発生いたしました。
国内では、七月の中国・九州北部豪雨、八月の台風第九号、十月の台風第十八号など、相次ぐ大雨災害により大きな被害が発生いたしました。また、八月の駿河湾を震源とする地震、十二月末の伊豆半島東方沖を震源とする群発地震など、地震による被害も発生しております。
一方、海外では、昨年九月にはインドネシア・スマトラ島沖の地震により千人以上の方が亡くなりました。また、ことし一月にはハイチにおいて大地震が発生し、二十万人以上の方が犠牲になり、さらに、先月二十七日にはチリにおいて大地震が発生し、極めて甚大な被害が発生しております。我が国としては、ハイチ、チリのいずれの大地震においても、発災後速やかに国際緊急援助隊救助チームを派遣できるよう準備態勢を整えましたが、相手国の状況、要請等を踏まえ、医療チームの派遣により対応したところです。
これらの災害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。政府といたしましては、今後とも、必要な対策を講じてまいります。
続きまして、最近の防災対策について御説明申し上げます。
まず、大規模地震対策につきましては、近い将来の発生の切迫性が指摘されている東海地震、東南海・南海地震及び日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震並びに首都直下地震及び中部圏・近畿圏直下地震といった大規模地震について、中央防災会議において、地震対策のマスタープランである地震対策大綱、定量的な減災目標等を定める地震防災戦略、地震発生時の政府の活動体制や活動内容等を定める応急対策活動要領等の計画策定を推進しております。さらに、これらの地震が複合的に発生した場合の膨大な被害の想定やその対策についても検討してまいります。今後、検討を踏まえ、大綱等についても見直しを行いながら、具体的対策の充実を図り、政府一体となって、想定される甚大な被害の軽減に取り組んでまいります。
なお、東海地震対策の一環として、本年三月をもって期限を迎えるいわゆる地震財特法は、今回も議員立法として六回目の期限延長に向けた検討が進められていると承知しております。政府といたしましても、被害を最小限にするため、同法に基づく地震対策緊急整備事業をさらに推進することが必要と考えております。
また、地方都市等における地震防災のあり方については、一月の中央防災会議において設置した専門調査会を近く開催し、新潟県中越地震等、昨今地方都市を中心として発生した比較的大きな規模の地震への対応により得られた孤立集落対策や避難生活対策等さまざまな教訓や課題等について、充実強化すべき対策や支援方策について取りまとめたいと考えております。
さらに、地震から国民の命を守るため、学校の耐震化を初め、住宅・建築物、病院、ライフライン等各種施設の耐震化について、二兆円の景気対策枠の活用を含め、重点的に推進してまいります。
次に、大規模水害対策について申し上げます。
近年、世界的に大規模な水害が多発するとともに、我が国においても想像を超えた集中豪雨が各地で増加傾向にあることを踏まえ、中央防災会議の専門調査会において、首都圏における洪水及び高潮による災害を対象に、広域避難対策を初めとする対策を取りまとめたいと考えております。
続いて、火山対策について申し上げます。
我が国は、多数の活火山を有する、世界でも有数の火山国であり、最近でも、桜島が活発な噴火活動を続けているなど、引き続き警戒が必要です。今後とも、平成二十年に策定した火山防災体制の指針等に基づき、対策を進めてまいります。
一方、ここ数年の災害における死者、行方不明者のうち高齢者がその多くを占めていることから、高齢者や障害者などの災害時要援護者の方々の生命及び身体を守る取り組みを進めることが重要と考えており、引き続き、全国の市区町村における避難支援対策を促進してまいります。
また、近年の大雨災害を踏まえ、局地的大雨における避難のあり方等について、得られた教訓等をもとに課題の整理を行っているところであり、今後、避難のあり方全般について検討を行ってまいります。
さらに、被災者生活再建支援法については、昨年、水害等による被害の実態を考慮し、支援金支給の前提となる住宅の被害認定の運用を見直したところであり、これを踏まえ、同法の趣旨に沿って、制度の適切な運用に努めてまいります。
続いて、国際防災協力について申し上げます。
冒頭に申し上げましたように、チリ、ハイチ、インドネシアにおける大地震を初めとして、昨今世界各地で災害が頻発し、想像を絶する被害が起こっております。途上国を初めとする各国の災害に強い国づくりを支援するため、我が国の防災に関する技術や知識経験を役立てることが重要です。昨年十月末には、兵庫県神戸市において第一回日中韓防災担当閣僚級会合を開催し、日中韓三カ国の建築物の耐震化への取り組みについての情報共有や人材育成などにおける防災協力の推進について合意いたしました。今後とも、国連総会において決議された国際防災戦略への積極的な参画やアジア防災センターを通じたアジアの防災力の向上など、国際防災協力を積極的に推進してまいります。
最後に、災害への備えを実践する国民運動の推進について申し上げます。
災害から安全、安心を確保するためには、行政が災害対策を強化する公助を充実させていくことはもとより、国民一人一人や企業等がみずから取り組む自助や、地域の人々や企業、団体が力を合わせて助け合う共助の取り組み、さらにはこれらの連携が不可欠であります。今後とも、政府として、国民の防災意識の啓発、ボランティア活動の環境整備、企業の防災活動を推進してまいります。
去る一月十七日、阪神・淡路大震災十五周年追悼式典に出席してまいりました。鳩山総理も所信表明演説において述べられたとおり、災害列島と言われる日本の防災を担当する者として、この大震災の記憶を決して風化させることなく、その教訓を踏まえ、総合的な災害対策に万全を期さなければならないと改めて痛感いたしました。
大きな自然災害が日本を見舞ったときのために万全の備えをすることは、政治の重要な役割であります。今後も政府の危機管理体制の一層の強化に取り組むとともに、災害対策に全力を尽くしてまいる所存ですので、五十嵐委員長を初め、理事、委員各位の格別の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○五十嵐委員長 次に、平成二十二年度における防災関係予算の概要について、政府から説明を聴取いたします。大島内閣府副大臣。
○大島副大臣 防災担当副大臣の大島敦でございます。
昨年は、七月の中国・九州北部豪雨、八月の台風九号、駿河湾沖を震源とする地震、十月の台風十八号などにより大きな被害が発生いたしました。また、国外では、昨年九月のインドネシア・スマトラ沖地震、ことし一月のハイチ大地震、二月のチリ大地震でも甚大な被害が発生いたしました。
一連の災害によりお亡くなりになられた方々と御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。今後とも、政府として必要な対策を講じてまいります。
大きな自然災害が日本を見舞うときのために万全の備えをすることが政治の第一の役割であり、防災担当副大臣として、中井大臣を補佐し、災害対策に全力で取り組んでまいります。
五十嵐委員長を初め、理事、委員各位の御指導、御鞭撻をお願いいたします。
では、平成二十二年度の防災関係予算案の概要につきまして、お手元の資料により御説明いたします。
一ページ目が総括表、二ページ目以降が各分野ごとの具体的な内容となっております。
一ページ目の総括表について御説明申し上げます。この表は、関係省庁の施策のうち防災関係のものとして予算額を特定できるものについて、内閣府において取りまとめたものです。
科学技術の研究関係が九十八億円、災害予防関係が二千百三十六億円、国土保全関係が七千七百二十三億円、災害復旧等関係が二千三百七十一億円となっております。これらを合計いたしますと、一兆二千三百二十八億円となります。
次に、主要なものを簡単に御説明申し上げます。
二ページ目からの科学技術の研究につきましては、文部科学省において、引き続き、緊急地震速報の精度向上のための地震・津波観測監視システムを整備するほか、東海・東南海・南海地震の連動性評価研究等を推進してまいります。また、国土交通省、気象庁などでも、地震や津波、気象に関する調査研究に要する経費を計上しております。
四ページからの災害予防につきましては、関係各省庁において学校施設などの建築物の耐震化を促進していくほか、内閣府においては、平成二十一年度の大雨災害を踏まえ、災害の把握、情報の伝達及び避難のあり方に関する課題について検討するための経費を計上しております。
十二ページの国土保全につきましては、農林水産省においては治山事業、国土交通省では治水事業などに要する経費を計上しております。
最後に、十三ページの災害復旧等につきましては、内閣府において被災者生活再建支援金の支給、農水省や国土交通省では所管施設の災害復旧事業などに要する経費を計上しております。
以上の予算案に基づき、政府一体となって総合的な災害対策を推進するとともに、国民の安全、安心の確保に努めてまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○五十嵐委員長 以上で説明は終わりました。
この際、泉内閣府大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。泉内閣府大臣政務官。
○泉大臣政務官 防災担当大臣政務官の泉健太でございます。
国内外の災害において命を落とされた方々に、また御遺族の方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に深くお見舞いを申し上げます。また、その復興や支援に懸命に当たられている多くの方々にも心よりの敬意を表したいと思います。
政務官として、中井大臣、そして大島副大臣を補佐し、防災対策また災害対応に全力を尽くしてまいります。
五十嵐委員長を初め、各理事の皆様、そして災害対策に造詣の深い多くの委員の皆様の御指導、御鞭撻を賜り、今後とも頑張ってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
――――◇―――――
○五十嵐委員長 引き続き、災害対策に関する件、特にチリ中部沿岸を震源とする地震による津波に関する被害状況及び対応状況等について調査を進めます。
政府から説明を聴取いたします。中井大臣。
○中井国務大臣 チリ中部沿岸を震源とする地震による津波の被害状況及びその対応につきまして御報告いたします。
まず、この災害により被災された、特に水産関係の被害に遭われた方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
この津波は、二月二十七日十五時三十四分ごろのチリ中部沿岸における地震により発生し、岩手県久慈港や高知県須崎港の検潮所においては最大一・二メートルを観測するなど、二十八日昼過ぎに第一波を確認後、同日午後から三月一日にかけて日本各地で繰り返し津波が観測されたところであります。
また、その後、津波の痕跡を調査したところ、岩手県陸前高田市において今回の津波で最大の一・九メートルの高さが確認されています。
この津波により、宮城県、岩手県等において水産物や養殖施設を初めとする水産関係の被害が発生したほか、宮城県等において住家の浸水などの被害が発生しました。
政府の対応といたしましては、総理指示を踏まえ、二月二十七日十九時に官邸及び内閣府に情報連絡室を設置して情報収集、集約に当たるとともに、翌二十八日には、大津波警報発令前に緊急参集チームが官邸に参集し、国民への適切な情報提供や住民の避難に万全を期すこと等について確認しました。
私自身も二十八日十二時十五分ごろ官邸に登庁し、副大臣及び大臣政務官とともに緊急参集チームから随時報告を受け、官房長官とともに大津波警報が発令された青森県、岩手県及び宮城県の各知事とテレビ会議を実施するなど、津波や住民の避難等の状況把握に努め、被害を最小限にするための対策に万全を期すよう指揮いたしました。
市町村の避難指示及び避難勧告に基づき避難所等に避難した者が少なかったことを踏まえ、今後、津波及び避難行動の知識の普及啓発を促進するとともに、今般の避難の実態を十分に検証し、どのように住民に着実に避難していただけるかという検討を行い、市町村との打ち合わせを深めていきたいと考えております。また、津波警報等の津波情報の的確な提供や、テレビを通じての発表方法のあり方等についても改善を図り、現実的、着実な津波防災対策の前進に努めてまいります。
以上です。
○五十嵐委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○五十嵐委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術参事官山縣宣彦君、気象庁長官櫻井邦雄君及び海上保安庁交通部長小山内智君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○五十嵐委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○五十嵐委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。
○谷委員 自由民主党の谷公一でございます。
まず、今回のチリ中部沿岸を震源とする地震による津波により、住んでいるおうち、あるいは養殖をされている水産関係の皆様など、被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げます。政府を初め関係者の皆さんがもとどおりの生活再建のため全力を挙げて取り組んでいただきますよう強く要望いたします。
私の方から、まず、津波被害全般にかかわることを御質問させていただきます。今度の津波災害で浮かび上がった課題は何なのか、どのようにしてその課題を克服していかなければならないのか、そういう問題意識を持ちながら質問をさせていただきたいと思います。
まず、津波警戒警報、予測についてであります。
今回、新聞などメディアの報道で、一部に予測が過大であったのではないかというような報道がございますが、しかし、プロのこういう津波予想、予測の難しさから見れば、倍半分という言葉もあるようであります。つまり、予想した津波の大きさが実際の二倍から半分の範囲内であれば許容できるという考え方であります。
私自身、十五年前の阪神・淡路大震災を初め、さまざま、いろいろなことを、災害、大規模事故も経験してまいりましたが、最悪に備えるということは、危機管理上あるいは防災対策上、基本であろうと思います。
そういう意味で、当初、検潮所では一・二メートルの津波が最大だというのが、調査、調べるに従って、きょうの報告では一・九メートル、あるいは大学の先生の調査によれば湾の奥の方では二メートルを超えているということもあるようでありますし、私は、気象庁の警報というのはしっかりしたものであったと評価しております。余り万が一のことを想定せずに、結果的に若干ずれていたから過大であったのではないかという意見についてはくみしません。
気象庁長官、今回の警報についてどう評価されているのか、まずお尋ねしたいと思います。
○櫻井政府参考人 お答えいたします。
今回の南米チリの地震につきましては、地震の規模、マグニチュード八・八として津波のシミュレーションにより計算した結果が、津波が南米から日本へ達する途中の海外での津波観測とよく一致したことから、このシミュレーションの結果に基づきまして、日本沿岸での津波の高さを予測いたしました。実際の津波の観測結果では、多くの予報区で、予測した津波の高さより小さな津波しか観測されていないところではございます。
このように、まだまだ津波予測精度は十分でないのが現状ではございますが、現在の予測精度を考えますと、今回の大津波警報の発表は適切であったと考えております。
今回の経験を踏まえ、引き続き、津波予測の精度の向上に努めてまいりたいと考えております。
○谷委員 ありがとうございました。
ただ、私も、気象庁の方でも今後検討していただきたいこととして、第一波よりも第二波が大きくなる場合があるということを一般の方々にわかりやすく、気象庁なりあるいは関係の自治体を通じてPRをぜひしっかりと行っていただきたいと思います。
私は、その意味で、中井大臣、大臣の発言がやや気になるんです。大臣は、新聞報道によれば、二日の閣議後で、判断は難しいけれども、もう少し警報のレベルダウンを素早くできなかったかという問題があると発言しているように報じられています。
しかし、災害が大きければ大きいほど、どういう被害状況であるか、どれだけ水が来たかというのはすぐには判明しないというのは、過去のさまざまな災害から我々が学んできたことです。そういうこと、あるいは、平成十八年の十一月ですか、千島沖地震のそれに伴う津波、これは警報が解除されてからさらに来たんです、そういった実例、また、実際災害の現場でその責任者の方がどう判断されているか、そういうことを踏まえるならば、やや軽率ではなかったかという気がいたしますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○中井国務大臣 谷委員の先ほどからの気象庁の今回の発表についての御激励は、まことそのとおりであろうか、このように考えております。
ただ、国民の皆さんの大半に、津波というのは第一波に大きいのが来てそれでもう終わりみたいなイメージができていて、避難等について、第一波の花咲港等に到着した高さを知らされて、安心感があった。こういったことがあって、これからも、津波の波が二波、三波、四波と来る中で、大きいのが後から来る可能性が多い、こういったことを十分御理解いただいて、これからの警戒に役立てていきたいと考えております。
今回のチリ沖の地震は、御承知だと思いますが、五十年前に一度三陸沖を、大変な被害をもたらした津波がございました。このデータが気象庁にはあるんだと考えております。同時に、チリ沖で、定点二点における観測、またハワイにおける観測等を十分やって解除等をなされたわけでございます。私どもも、本部におりまして、それらのデータについてある程度御説明をいただいたところでございます。
ハワイ島の波が大体四時間から五時間ぐらいでエネルギーが衰えてきている、そういったものを考えたときに、やはり解除ということも考えられるんじゃないかと私自身は考えております。
警戒、避難、国民の皆さんにとっては大きな緊張とストレス、また、日常生活に対する大変な影響も与えるわけでございます。科学でありますから、十分科学的にのっとってやっていかなければなりませんが、ハワイや各地のデータを見た上で、判断できるところは思い切って判断してもいいんじゃないか、こういったことを記者会見の場で申し上げたところでございます。
○谷委員 今の大臣の見解、少し私の思いと違うところもあるかもわかりません。また来週も大臣所信の質疑があるようでございますので、場合によってはそこでももう一度お尋ねしたいと思っております。
繰り返すようですけれども、やはり、予測、防災関係機関は最悪なケースを想定して注意を喚起する、これが大事です。空振りは許されるんです。しかし、必要なときに必要な警報を出さなかったというのは許されません。そういう意味で、この問題をしっかりと考えていかなければならないと思っております。
次の問題に移ります。
きょう、大臣の方から、津波被害について、今委員の方々にもお手元に資料があるかと思います。資料を見まして、ちょっと私はどうかなと思ったことが幾つかあります。十一ページから十六ページまで、各市町村ごとに、どのように避難されたかというデータがございます。トータルで見れば、大変低い、十六ページにありますように、対象人員の三・八%にすぎないという大きな問題があります。この問題はとりあえずおいておきます。
それよりも、大津波警報が三十六の市町村に出された、うち三十四の市町村は指示を出している、一番強いあれ。ただ、二つの市町村は、指示ではなく勧告になっている。この問題をどう考えておられるのか。
それから、十一ページからの資料が、例えば岩手の陸前高田、宮城の気仙沼、数字が丸い。数字が丸いというのは、これはまた検証していただきたいんですけれども、末端レベルで、地域で、しっかりと、どの地域の人々が避難すべきかというのを本当につかんでいたかな、そういう問題意識が私はあります。
それから次に、八戸、十一ページです。三万九十人に対して避難指示を出した。三万人に出している。宮城県石巻市、七万八千人に出している。あるいは、飛んで十三ページ、静岡市、十三万人の方々に、静岡は勧告ですけれども、避難勧告を出している。この避難の指示とか勧告は市町村長が出します。普通は全域に出したりしません。同じ海沿いにある例えば小野寺先生の気仙沼でも、山の中のところに出したりはしない。それは対象地域を絞る。そのときに、この範囲も適当であったかな、そういう問題意識があります。
大臣、全体の避難の率が三・八%、これをどう受けとめておられますか。
○中井国務大臣 総務省の方におきまして、その後も調査をいただいております。今とりあえずまとめました数字は、避難所に指示どおり、勧告どおり御避難いただいた方々の数字だと考えています。津波ということで、高台に避難すればいいじゃないかとお考えになって、高台から海の状況を見ておられた方もおられる。あるいは、今回、かなり早くから警報が出ましたために、少し遠くへ出られたという方もおられる。こういったことを含めて、現実にどう行動されたかといったところを今調査をお願いいたしているところでございます。
また同時に、お話がございましたように、大津波警報の中で二カ所の地域が勧告にとどまったというのは、そのとおりでございます。調べましたところ、大間町と東通村、青森県でございます。実は二つとも、原発の建設中あるいは原発を持っているところでございまして、護岸ということに関してかなり高い工事が既に行われて、あの予測の波等では大丈夫だろうという御判断もあったやに私どもは承知をいたしております。
しかし、今回、私どもが大変心配をいたしましたのは、満潮時、大潮のときに津波が来る、こういう予測がございまして、私ども、テレビ対談等を通じて、官房長官の口から直接、地方自治体の長である知事さんに避難勧告を十分徹底してほしいとお願いをいたしましたが、こういう数字であったことはいろいろな思いがございます。これからも検証をして、対応、対策をつくっていきたいと考えております。
同時に、ハザードマップ等についても、もう既に先生御承知だと思いますが、各地区で整備が急がれているわけでございますが、今回、例えば東京都なんかは、六メートルの波でも大丈夫のような防潮堤ができている。したがって、東京都では、一メートルの予測でしたから、まあ、シティーマラソンも行われたというようなことのようでございます。
したがって、ハザードマップを、防潮堤がどれぐらいできているかというところともう少し組み合わせて考えることも必要か、このようにも考えています。
○谷委員 ハザードマップも後で問題にしたかったんですけれども、ちょっと時間がないもので、先に答弁をいただきました。
避難誘導の話ですけれども、私は大変重くこれは受けとめております。十七年ぶりの大津波警報ですよ。一部の新聞で、いや、千島のときの避難率が七・九%にとどまっているから、それほど問題ではないかのような報道がなされていますけれども、これは全然違うと思います。千島は、あれは津波警報です。今回は大津波です。しかも、千島の場合は、平成十八年十一月と、そして平成十九年一月、二回来ていて、一月は確かに七%ぐらいですけれども、十一月の場合は十一%なんです。もっと高い。津波警報の方が避難される方が高いというのは、やはりしっかり重く受けとめなければならないと思います。
渡辺副大臣、千島のときにいろいろ消防庁が調査をされています。「千島列島を震源とする地震による津波避難の状況と今後の対応」で、その避難の、全域に出すよりも小まめに出すべきだとか、そういうような教訓も得ているわけですけれども、今回の避難の状況を見ると、それらが本当に十分に生かされていたのかなという思いがいたします。
そこで、副大臣にお願いしたいと思います。
ぜひ、しっかりとした避難誘導の調査をやっていただきたい。津波避難の状況はどうであったか。どれぐらいの人が避難所に行ったかというのはこれでわかりますよ。ただ、多くが避難所に行くというのは、実際問題、大変なんです。いろいろなものを、着がえも用意しなければならないし、病気のある方は薬を持っていかなければならない、あるいは、何か温かいものを食べたい人はカップヌードルを持っていかなければならない。そういうあれが大変なので、例えば親戚に行くとか、あるいは会社にとどまるとか、そういった場合もあろうかと思います。
避難所に行かずに避難された方はどこで避難をしたとか、あるいは、指示とか勧告のタイミングがよかったのか、範囲はよかったのか、あるいは伝達方法は適正であったのか、そういうことをぜひしっかりと調査をしていただきたいと思います。全域を徹底的に調査するというのは大変お金がかかることですけれども、サンプルでもいいと思うんです。我々の選挙だって、五百人ぐらいのサンプルで大体傾向はわかるんですから。
そこで、やはり、今までやってきた、政府なり自治体が取り組んでいたことが本当に問題なかったのか。教育は大事だということは、その千島の後の消防庁の報告であります。でも、それが生かされていたのだろうか。そういう意味で、ぜひ、しっかりと調査するということをお約束していただきたいと思いますが、副大臣の答弁をお願いします。
○渡辺副大臣 今の点でございますけれども、もう早急に三月中にも、大体五千人ぐらいの方を対象にした抽出の調査をやるということで、まさに、あなたはそのときどうしていましたか、どこに避難しましたか、それはだれか、例えば要援護者ならばだれに助けていただきましたか、千島の経験は生かされていましたかということも含めて、委員が御指摘のとおり、大体五千人ぐらいの規模で抽出をするという方向で今用意をしているところでございます。
○谷委員 ありがとうございました。
時間となりましたので、Jアラートとかハザードマップの問題もお尋ねしたかったんですが、また来週ということでさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○五十嵐委員長 次に、小野寺五典君。
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。
きょうは質問の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
まず、今、谷委員がお話をされた、湾奥で二メートルを超えるような場所もあったというお話がありました。それは、私の自宅の前でございます。目の前で、本当に津波というのはこういうふうに上がってくるのかということを実体験いたしました。
そしてまた、実は漁業者の皆様、沿岸をずっと私はこの後も何回か視察をしておりますが、皆様から言われる言葉は、いや、大津波警報を出してもらってよかったということです。これだけのことは来るということを皆さん予測したので、実は、漁船を沖合にいち早く出すとか、あるいはさまざまな漁具を片づけるとか、今回は水門を閉めるとか、相当備えのことができました。ですから、私ども地元の漁業者は、むしろ、これはオーバーではなくて、こういうことをしていただいたおかげで最小限に食いとめられた、そういうことを言っております。
ただ、どうしても避難、準備ができないものがございます。それは、湾や沿岸で養殖している養殖施設であります。この後、隣接する選挙区から選ばれている黄川田委員も多分このことは質問されると思いますが、与野党問わず、この問題、ぜひ実態を見ていただければ、知っていただければというふうに思っております。
きょうは、お手元に資料をお配りさせていただきました。これは、津波が起きた翌日、養殖施設がどうなったかということ、気仙沼湾の写真でございます。
ここで見られる養殖施設というのは、ワカメであったり昆布であったり、それからカキであったりホタテであったり、何か、こうやって見ると、浮きの中でぐるぐる巻いている塊のように見えると思いますが、通常は、これは御案内のとおり、実は線状にずっと海の中でまばらに浮きが設置されて、そこで昆布やホタテが養殖されている、そういう施設であります。
ですから、普通はこれは線状に、まばらに点、点、点としているのが状況なんです。これが、波に洗われ、ぐるぐる回って、結果的に、何十人ものいかだが、養殖施設がこうやって一つのだんご状になっている。ですから、これは手のつけようがないです。それから、どの人のどの施設かもわからない。それぞれの漁家、漁業者が、これを災害復旧しろと言っても、もうどうしようもない、そういう状況になります。
例えば、養殖施設、カキのいかだという施設があります。はえ縄式で百メートルぐらい延ばしているんですが、その施設一台設置するのに百八十七万円かかります。通常、漁業者は五つから十この施設を設置するんですが、そうすると設備投資だけで一千万、二千万かかって、そして、その下にカキをつるして養殖をしています。しかも、このカキの養殖というのは二年から三年かかります。今回これだけの被害を受けたということになりますと、この方々の逸失された、損害というのは数年分にわたります。ですから、この瞬間だけではありません。
また、別な湾ですが、ギンザケや魚類の養殖をしている場所もあります。そこは、生けすで囲まれたところで魚を養殖しているものですから、大きな波が来ると魚が網ですれてしまいます。今現在は何となく元気になっているかもしれませんが、これから大きくなる時期に病気がさまざま発生してきます。
ですから、この魚族の被害、養殖の被害というのは、これからだんだん時間がたつにつれて大きくなってくる、そういうこともございます。この瞬間の被害というだけではなくて、将来につながる被害があるということをぜひお含みおきいただきたいと思います。
そして、これだけの漁具の被害というのは、海に浮かんでいるからこの写真だけで見えますが、海の底に沈んでいるものもあります。これは、船舶の航行にこれから大変な問題もあります。
漁業者の皆さんが自分たちの全く意図しないところでこのような災害に遭うということ、私は、これはぜひ、激甚災害なり天災融資法なり、こういうことの適用になるべきだと思いますが、大臣にその見通しとお考えをお伺いしたいと思います。
○中井国務大臣 私も三重県出身で、カキではおいしさで負けない的矢湾のカキも被害に遭っております。本当に大変な、想像以上に、また後からどんどん被害が大きくなっていくというような中で、水産庁から報告を聞いているところでございます。
お申し越しの天災融資というのは、これは農水省の管轄でございますが、激甚等につきましては、できる限り資料を早く集めて、そして中央防災会議へ上げられるように努力をしたい、お手伝いをしたいと考えております。
特に、閣議が二日後に開かれまして、私の口から、一応、閣僚の皆さんに対応や報告をいたしましたが、その席で私から赤松農水大臣に、特に農業被害について十分な配慮を賜りたいということを申し上げた経緯もございます。
これからもどうぞひとつまた、被害額等いろいろなことで御指導賜りますようお願いいたします。
○小野寺委員 漁業被害、本当に今回は大変なことになっています。
今、現場の漁業者の皆さんはどういう状況かといいますと、まず、これだけひどく壊された養殖施設の前に茫然とたたずむ。ですが、少しでも収益を上げるために、この養殖施設にわずかについたワカメや昆布、そういうものをとにかく回収して少しでもお金を上げようとしている。
そして、その次にたたずむのは、これだけの施設をどうやって撤去できるのか。もう個人では無理です。これが通常、陸上のこのような災害であれば、恐らく自治体が率先し、あるいは国が支援をして、このような養殖施設や、例えば家屋の倒壊についての撤去、その除去、処理、これはしっかりと公的機関が支える、対応するということになると思います。もうこれは大きな重機を使って対応せざるを得ない、こういう実態を見て、ぜひこのことに関して、特に撤去を含めた処理に対して特段の御配慮をいただきたいと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○中井国務大臣 大変な状態にあるということ、報告を受けております。損害が償われただけですぐにまた漁業が再開できる状態ではない、漂着物も含めていろいろなものを取り除かないと到底再開が不可能だという状況にあるということも聞いているわけでございます。
これらの状況を踏まえて、御発言ありましたように、できる限りお手伝いできるように私どもも頑張ってまいりたい。亀井大臣が剛腕を発揮して、中小企業に対して特別の枠でいろいろなことをやりました。今回の災害に関して、仕組みはできておりますけれども、どれを適用してどうするかということを大至急、今検討いたしておりますし、各地区から被害が上がるのを待っている状況にございます。できる限り御趣旨に沿えるように、私どももお手伝いをしたいと考えています。
○小野寺委員 チリ地震の問題に対して、さまざまな義援金とか政府が対策をとるとか、そういうニュースを聞いて、私は、ああ、よかったな、私どもの地元三陸沿岸にも何か支援があるのかなと思ったら、実は、この支援というのはチリの国に対して行くのであって、日本国民にはまだ何も、日本の漁業者には何もこのような手当てが行われていない。私はおかしいと思うんです。ぜひ、こういうことをしっかり対応していただきたい。
そして、こういうときに頼りになるのは、例えば共済です。まず、共済について、今回、漁業共済、かなり支払いについても出てくると思いますが、これはむしろ数年間の利益が失われたということ、それからこの瞬間ではなくてこれからも、恐らく、だんだん生産が明らかになってくると被害が大きくなってくる。これは相当広くこの漁業共済というのを見なきゃいけないと思いますが、ぜひ、これを所管する農林水産省の方から、この漁業共済、今回どういう形でしっかり対応していただけるか、お伺いしたいと思います。
○舟山大臣政務官 今回のチリ地震におけます被害については、特に、議員の地元である宮城県、そして岩手県、三重県等、相当大きな被害が生じているというふうに承知しております。
先ほどの質問でもありましたけれども、天災融資法についても適用されるかどうか、今はまず被害状況をしっかりと把握しなければいけない、そんなふうに思っておりまして、被害が大きい場合にこれを適用することになると思いますけれども、なかなかこれは、全国でかなり広い被害のときに、今までの事例でいいますと、天災融資法が適用されているということであって、一番小さい事例で奥尻島のあの噴火のときに八十億円弱で適用があったという状況でありまして、今回、今の現状、それから資金需要等を総合的に勘案して、適用になるのかどうなのか、しっかり検討していきたいと思います。
今御質問の共済についてですけれども、共済につきましても、やはり今の被害の状況等を把握した上で、これは当然ですけれども共済に加入されている方のみの対応にはなりますけれども、その方々がしっかりと共済金が早期に受けられるように、今、全国の漁業共済組合連合会等に対して、しっかりと対応するように、そういった指導もしているところでございます。
もう一つ、先ほどの激甚の方ですけれども、これは、養殖施設に対して激甚災害が適用になればかなりの支援があるという状況で、今、これも被害状況を把握している段階ですけれども、現在の段階で十七億五千百万円の被害、今青森県、三重県では調査中、また、被害状況は多分後からまだふえると思うんですね。そういう状況の中で、恐らく適用になる可能性が非常に大きいと思いますが、そうなった場合にはしっかりと早急に対応していきたい、そんなふうに思っております。
○小野寺委員 昨日、宮城県知事が来られまして、県の状況では三十億を超えるという見通しもお話しされております。
実は、今回は津波ということで、対象が沿岸の漁業者です。ですから、多くの人ではないかもしれない。ですが、一番寒い中、つらい中作業されていて、零細で困っていらっしゃる、こういう方に手を差し伸べられなければ一体何のための政策かということになりますので、激甚災害ということでハードルが高いということをおっしゃいますが、実際に災害に遭っている方一人一人のダメージは、これははかり知れない大きなダメージだということをぜひお含みおきいただきたいと思います。
また、共済のお話がございました。
加入率が低い地域があります。宮城県では三割、四割というふうに伺っています。なぜ低いかというと、実は共済に入りたくないわけではないんです。漁業共済の場合は、地域共済ということで、その地域の中で全員が入らないと実は共済の仕組みになりません。一部の方が抜けると、そのエリアは実は共済のエリアにならないんです。ということで、今回、共済に入っていない、それはあなたの自己責任だというふうには言えない。実は共済制度の仕組みにも問題があるということを、政務官もよく御存じだと思います。
ぜひ、漁業共済の仕組みの根幹にあること、そして今回、共済に入っていないから救われない漁業者の皆さん、これは本人たちが意図して入らないわけではなくて制度上入れなかった、こういう方々もたくさんいるということで、こういう方々への差し伸べというのはやはり公的機関がしっかりとする必要があるのではないか、私はそのように思っております。
今回、こういう災害を見て、あるいは、昨日から豪雪が降りまして農業被害も出ております。こういう農業者とか漁業者とか、非常に零細な方々への被害というのは、やはり毎年少なからず起きております。ところが、ここにはなかなか支援の手が差し伸べられない、それも現状であります。
例えば、議員立法で成立させていただきました被災者生活再建支援法、地震で家が倒壊した場合に、それほど大きな金額ではありませんが、それを支援していく、こういう制度がございます。今までは個人の家屋、住居ということが守備範囲でありましたが、例えば、今回のこれを契機に、農業、漁業、こういう零細な施設に対しての小規模の支援というのを、この支援法を議員立法で改正させていただいて、若干遡及をさせていただいて、そういうところに支援の手というのができるような、そういうことも私どもがこういう委員会の場で議論していくことが大事だと思います。
本当に漁業者の皆さんは、みんな、養殖施設一つ一つ、百万、二百万、三百万、そういうのをこつこつとつくられて、営々と漁業をされております。本当にこれぐらいの支援があればやっていける、それは、大きな工場が壊れて何億円も何百億円も必要なわけじゃないんです。本当に数百万円、その支援があればあすの漁業を続ける意欲が出てくる、そういう方々ばかりだと思っております。
現政権では、農業者、漁業者、林業者に戸別所得の補償をする、そういうことで進められております。私は、本当の意味で不可抗力で被害に遭われた漁業者の皆さん、こういう方にこそ所得補償をしっかりするべき、そしてまた、その制度設計については私どもがこういうところでするべきだ、そう思っております。ぜひこのような方針について前向きに考えていただけるように、大臣の方から一言お願いしたいと思います。
○中井国務大臣 御提案のありました、農林水産業の小規模な施設の被害に対しても議員立法で考えようというのは、大臣としてじゃなしに議員として賛成であります。どうぞ各党派間でいいお話し合いをいただきますようお願いを申し上げます。
同時に、ことしのかつてない豪雪に対しまして、どれぐらいの人命が失われているか、あるいは地方自治体の雪かきに対する資金等はどうだというようなことも調査をいただいておりまして、市町村が十分な雪かき対策ができるように配慮もしていきたいと考えております。
しかし、議員個人の御質問は、今回の津波の被害、これをどう救済していくかということでございます。先ほど申し上げました法律はいろいろ承知をいたしておりますが、とにかく大変な被害に対して政治がお助けをする、できる限りのことを知恵を絞ってやる、このことについて責任を持ってやってまいりたいと考えております。
○小野寺委員 大変前向きなお話をありがとうございます。そして、自治体への支援というのも、恐らく国の支援とは別に、市、県でもかなり細かい対応が必要だと思います。ぜひそういう財政的な支援も、しっかりと総務省を中心にお願いできたらというふうに思っています。
さて、今回の津波が起きた直後、私は気仙沼市役所の対策本部に九時半から詰めまして、終日ずっと見ておりました。そしてそこで、この津波でこの制度は役に立ったなというのが一つございます。それはGPS沖合波浪計というシステムです。
主管は国土交通省、旧運輸省がやっていただいていますが、潮位をはかる数メートルの直径の大きなブイを沖合に浮かべまして、そして、GPSを使って波浪の状況を二十四時間モニターしているシステムです。これが津波に有効だということで大学の研究者の皆さんがさまざま活用されて、実は、沖合での波浪の変動に応じてコンピューターソフトを使ってシミュレーションして、どこどこの町のどの何丁目はこのぐらいの波が来そうだ、そういうシミュレーションソフトがおかげさまで完成をしております。
今回、私は、その沖合波浪計の情報、そして気仙沼湾の湾に入るところの潮位計、湾の真ん中の潮位計、そして二メートルを超えた湾の奥の潮位計、全部見ておりました。本当に、三十分前に大きな波が来たな、そして十五分後に湾の手前でこのぐらいの潮位が来たな、そして湾の奥ではこうなるな、わかるんです。ですから、津波の場合は、本当に一分、五分の時間があればみんな逃げられます。非常に有効に働きました。
こういうものを活用していただいて、今回はたまたま、チリで起きたので、四時間ぐらい前に大津波警報を出すことができました。ですが、宮城県沖あるいは三陸沖にこれから大きな地震が来た場合は、すぐそばです。恐らく、津波が起きて来るまでにそれほど時間がかからない、数十分かもしれません。こういう場合にはすぐ目の前にある波浪計というのが多くの人の命を救う、この設備に関しては私ども感謝を申し上げます。
ただ、一点、実はまだ制度に少しもったいない不備がございまして、沖合波浪計で確認した情報を、何とそこでコンピューターソフトに手作業で打ち込まないと情報が出てきません。なぜリンクさせないかというと、さまざま、これは多省庁にわたる所管だということで、なかなか、国土交通省だけですべて完結するとどうなのかとかいろいろなことがあって、つないでおりません。つないでいないということは、今津波が来て大変だというときに、職員の人が慌ててデータをわざわざそこで打ち込む。こういうことではなく、リンクする、あるいはこのシステムを、津波の被害がある、三重県もそうでございますが、全体に広げていく、これからそのような拡充についてぜひお願いしたいと思いますが、主管される国土交通省から、GPS沖合波浪計を使ったシステムについて、その効果についてお伺いしたいと思います。
○長安大臣政務官 小野寺委員にお答え申し上げます。
GPS波浪計の価値というものを御評価いただきまして、ありがとうございます。現在、全国で十一のGPS波浪計が稼働しているわけであります。
小野寺委員よく御存じのとおり、このGPS波浪計というものは、実際に潮が上がったり、波の高さというものが即時にはかれるというすぐれたものでございます。しかしながら、浸水マップというものをつくるためには、実際の周期の中から本当の高さというものを割り出していくところに、実はさまざまな、まだまだ開発されなければならない技術というものがあるのも実際のところでございます。現在は、人間が波の周期というものを見て実際の高さを判定し、それを手入力しているというのが現実であります。
このシステム自体、平成二十二年度のこの四月から、宮城沖地震に対応すべく、自治体と運用を開始する予定をしておるわけでございます。今おっしゃられたように、データのインターフェース、おとり合いをする、そのための開発を今後進めてまいりたいと考えております。
○小野寺委員 きょうはさまざまな質問をさせていただき、大臣からも各省からも前向きなお話をいただきました。このような災害対策については、ぜひ一丸となってこれからも取り組んでいきたいと思いますし、しっかり頑張っていただければと思います。
どうもありがとうございました。
○五十嵐委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
お時間をいただきましたので、質問させていただきたいと思います。
まず、ことしに入りまして、ハイチとチリで大変大きな地震が起きまして、お亡くなりになられたり、またけがをされたり、大事な財産を失った、こういう方に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
また、ハイチの地震につきましては、大変な方が亡くなった。私どもの公明党からも調査団を派遣いたしまして、参議院議員の谷合正明さんがハイチへ入りまして現地調査をいたしました。詳しく申し上げませんが、そこでは日本のPKOが大変評価をされている、こういうお話も伺いました。
冒頭、ちょっと大臣にお伺いをしたいんですが、先ほど所信をお聞きいたしまして、大臣のは所信でしょうが、そこで、総理も所信表明演説と。私はちょっとひっかかりまして、たしか、通常会は施政方針演説じゃないのか。これは、大臣の責任じゃなくて、まさしく書いた事務方の責任だと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○中井国務大臣 御指摘、恐れ入ります。
読み合わせたつもりなんですが、さらっと行ってしまいまして、注意が足りませんでした。ありがとうございます。訂正させていただきます。
○石田(祝)委員 さすがは中井大臣ですね。どこかの大臣のように部下の責任にしない。大変すばらしい態度だと私は思います。
それで、チリの地震ということで、それに起因する日本の津波被害、こういうことできょうは特化して質問をさせてもらいたいのです。
実は、今回、大変水産関係の被害が多い。これは今、徐々に全国から集まってはきていると思いますけれども、私が水産庁からお聞きをすると、北の方から、青森、岩手、宮城、福島、三重、徳島、高知県、須崎市ということでありますけれども、実は、これからわかってくると思いますけれども、神奈川県の横須賀市の長井漁港、こういうところも、現地へ行ってみると被害がある。ですから、これは水産ですから農水省の管轄かもしれませんけれども、災害ということに関して丁寧に被害は調査をする、こういうことでぜひお願いをいたしたいと私は思います。
それで、質問に本当は入りたいんですけれども、ちょっと舟山政務官に確認をいたしたいんですが、先ほど、激甚災害、これは大いに考えられる、こういう御発言がありましたが、それでよろしいということですか。
○舟山大臣政務官 お答え申し上げます。
まだ被害額の確定がされていない状況なので断定的なことは申し上げられませんけれども、特に養殖施設に関しましては、現段階でも十七億五千百万円という被害額が今想定されているような状況でございます。
これは、それぞれの、養殖であればその養殖施設の国全体の額の二%以上の被害があった場合には激甚だという大体、おおむねの基準がありまして、それを勘案すると、まだ被害の確定していない県、調査中の県もあることを勘案すると、激甚の対象になる可能性はかなり高いのではないか、そんなような見解を申し述べさせていただいた状況でありまして、断定はまだしておりませんけれども、そういう方向の可能性は高いのではないか、そこを申し上げました。
○石田(祝)委員 これは、可能性ということを言ったということですけれども、やはり皆さん大いに希望されるのではないかと思います。
きょうは、ちょっと質問通告と順番を変えまして、激甚災害についてまずお聞きをしたいと思います。
舟山政務官からは、先ほどの私の前の方の質問の答弁に対して確認をさせていただきましたが、激甚災、本激、これはやはり中井大臣に聞くのが本筋だろうと思います。
これは、今申し上げられたように、二%、そしてまた各県では四〇%、また最近ちょっと変わりまして、もしくはその県では全国全体の一%、こういうものもあるわけでありますが、ここは大臣、私も基準が決まっておるのは承知しておりますけれども、もう紙一重、また本当にいろいろな状況をかんがみてということも、政治的な判断もあるんだろうと私は思いますが、これはぜひ弾力的な運用を行ってもらいたい。
これにつきまして、大臣の御見解をまずお伺いいたします。
○中井国務大臣 省庁別それぞれ御担当があって、道路は道路、農地は農地、水産物または水産施設等いろいろ細かくなっておりますが、災害は災害被害でございます。先ほどからの御質問も承り、各党の皆さんの御意見もきょうお聞かせをいただく中で、十分皆さん方の御意向が体せるように、担当大臣として各省庁と相談をいたします。
○石田(祝)委員 それで、これは本激の話でありますけれども、水産の施設被害は局地激甚がないんですね。本激というのは全部で二十ぐらいあると聞きましたけれども、そのうちで局地があるのは五つぐらいだ、こういうことですが、これは局地激甚ということも、今回なんかよく考えてみますと、先ほど私は北から順番に申し上げましたが、大きなところは、やはり金額でいくと岩手、宮城、こういうことになるわけですね。ですから、南北東西の日本列島の中で、今回極めて限られた地域だった。
ですから、これは本激ということも当然私はお願いしたいし、大臣も先ほど御答弁いただいて、特に最後の語尾のところに力が入っておったように私は感じましたので、大いに期待したいと思いますが、この局地激甚ということを水産の施設についてももうつくるべきではないか、こういうふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
○中井国務大臣 各地域、いろいろな御努力をいただいて、防災、減災ということでかなり進んできております。そういう中で、従来どおりの区分け、区分で本当にいいのかどうか、また、迅速にこういったことを決めていくということについて、ある程度数字は必要でございましょうが、どこかで判断できるということはどうなんだろうとかいうことを含めて検討をいたしてまいります。
○石田(祝)委員 それでは、ちょっとごみの問題でお伺いをしたいんです。
今回、津波で、先ほど小野寺委員からも写真で出されておりましたけれども、これはそのままとても使えないだろう、こういうことだろうと思います。そういうごみの処理、これは、私も台風常襲県の高知県の生まれも育ちもなんですが、大変なごみが出ます。それを一カ所に集めて、広い、例えば市営のグラウンドいっぱいぐらいにごみが出るわけです。それを時間がかかっても役所が処理をしていく、こういうことでありますが、今回、チリの地震による津波で出た廃棄物、この処理について環境省はどういうふうにお考えでしょうか。
○大谷大臣政務官 環境大臣政務官大谷でございます。
災害廃棄物の処理、これは国が、回収、運搬において半分、二分の一費用負担をさせていただくとなっております。また、その費用が半分残りますので、そこも八割、ですから、合わせて九割国が補助できるというような仕組みになっております。
チリの地震においては、宮城それから静岡で床下、床上浸水という被害が出ておりますので、これまた廃棄物が出てくるんだろうというふうに思っております。状況を把握しながらしっかりと災害の廃棄物処理ができるように取り組んでいきたいというふうに考えております。
○石田(祝)委員 ごみは、はっきり言って、どこから出たごみかというのは災害のときはわかりません。台風のときなんかは、例えば水に乗って流れてくる、上から下まで流れてくるわけですね。では、このごみはあなたのところのごみじゃないのか、こういうことはあり得ないわけです。ですから、これは、廃棄物は廃棄物として処理をしていく、こういうことでぜひお願いをいたしたいと思います。
それで、基本的には、これはもう当該の自治体、市町村でやっていただく以外にないと私は思います、正直言って。そのときに、これを市町村がまずやるけれども、大変なお金がかかるんですね。収集、そして焼却するか埋め立てるか、運ばなきゃならない、埋め立てるんだったら穴を掘らなきゃならない、焼却するんだったら焼却施設の能力の問題、こういうのもありますけれども、市町村がやった場合、例えばことしの持ち出し、支出になりますから、特別交付税等は来年になるかと思いますが、総務省、これは応援していただけるんですよね。
○渡辺副大臣 今の御指摘でございまして、これは、先ほど環境省からお話がありました災害等廃棄物処理事業の地方負担額の〇・八は、特別交付税で算定に入れるということでございます。
私の地元も港町が多うございまして、やはり風水害が来ると、とにかく放水路をあけたらそこに流木やら何やらがいっぱいになる、それを、やれ、これは県だ、市だといって押しつけ合いをした後、地元の生けす業者の方や漁師の方が、結局、自分たちで処理するのが早いと。そんなことも過去ありましたので、こういう個別の、採択されない場合には、やはり地元の首長さんなりとよく協議をして、何らかの形で、国が交付税の形で、特別交付税なのか普通交付税なのか、特別交付税という形で支援をするような、そういう仕組みは必ずつくり上げてまいりたいなというふうに思っています。
○石田(祝)委員 これはぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、津波予想の精度についてちょっとお伺いしたいんですが、この後でも質問を続けていたしますことと関係いたします。
今回、例えば三メーターだ、二メーターだ、これはだれが聞いても大変だと思ったんですけれども、最初に到達した地域、放送されているのと現実、大分違うなと。だんだんと西に行くに従って、うちは二メーターと言っているけれども四分の一の五十センチぐらいじゃないのか、こう勝手に判断をする人がいたわけですね。
この精度、今回どうだったのかということと、これから精度向上にどのように取り組んでいかれるのか、これは三日月政務官、お願いします。
○三日月大臣政務官 今回の地震、津波の被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げながらお答えしたいと思います。
先生御指摘のとおり、結果的に、予測した波の高さよりも観測した波の高さの方が低かった地点が大変多くありました。起こった地震に対して、海を伝わって日本の近海に、またそれぞれの港や岸にどれだけの大きさの津波が来るかという観測なり予測は非常に難しいものがありまして、今回も、日本の反対側であるチリで起こった地震に対して、ずっと波が伝わってくるその津波の観測結果、こういうものを踏まえながら、かつこれまでいろいろな、起こった地震のシミュレーション結果、その結果積み重ねられているデータベースにそれを入れ込んで、そして今回の津波の高さの予測を行いました。
結果的に、繰り返しになりますけれども、予測したデータよりも観測したデータが小さかったといったことから明らかなように、この津波の予測精度というのは十分ではなかったというふうに私どもも現状として見ております。しかし、今の予測精度、持っている能力からすれば、最大限それを活用しながら今回の観測と予測を行ったところでありまして、今回のこうした経験を踏まえて、さらに予測精度を高めるための努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○石田(祝)委員 今、政務官の御答弁を聞きますと、持っている能力を最大に使ったと。ということは、最大に使っているから、これからはやろうとしたら能力を高める以外にないわけですね。これはやはりスーパーコンピューターも要るんじゃないですか、事業仕分けでいろいろあったようでありますけれども。
ですから、実際に津波が起きるのを待ってそれぞれでやるわけにいきませんから、当然いろいろとシミュレーションをする。そして、一生懸命やっていただいたと私は思いますよ。その一つの結果として、残念ながら今回国民の受けた印象は、精度がいまいちだったな、こういうことですね。
ですから、何が言いたいかというと、二メーターが来ると言って五十センチだったら、これは結果として被害が出なくてよかったとは言えるんですけれども、そうすると、今度発表したときに、これが、では話半分だ、こういうように受けとめられたら困るということで、これから予想精度の向上について、例えば、チリ、地球の裏側から来るわけですから、途中で観測点をもっとふやすとか、先ほど申し上げたようにスーパーコンピューターであらゆるシミュレーションを実際にやるとか、こういうことは考えなきゃいけないと私は思います。
能力をいっぱい使って今だという答弁でしたから、では精度を上げるためにどうするか、お考えはありますか。
○三日月大臣政務官 ありがとうございます。
問題意識は一緒でして、今回は、持っている能力を最大限生かしてやった結果がこうでした。この能力を高めない限り予測精度というのは上がらないというふうに思っております。
そういう意味で、シミュレーション結果というものをやはりより多く積み重ねること、かつ、より多く、より細かく、より正しくそれぞれ起こった潮位の変化を観測すること、さらには、このデータベースというものを運用してより正確な予測をすること、この三つのことが重要だと思っておりまして、先生の御提案のあった観測点を海外においてもふやすということも含めたデータベースの改善を、予測精度を高めるための対策を、実は平成二十三年度中に運用開始ということで、来年度のどこかでそのデータベース化を拡充することを始めるということしか決められていなかったんですけれども、今回の経験を踏まえて、もう早速四月から、時期を早めて、観測点をふやすこと、具体的に申し上げれば、地震の想定パターンを観測するところを約五倍にいたしたり、また、海外での津波観測点を約八倍にふやす等の対策を実施してまいりたいというふうに考えております。
○石田(祝)委員 これは大変前向きな取り組みだ、このように思います。
続きまして、今回わかったことは、避難勧告、避難指示、そういうものが出ても、家でテレビを見ておったりして、私の言葉ですと、横着を構えていた、こういうことではないかと思います。御本人の命ですから、しっかりそういうときには対応すべきであると私は思いますが、それぞれのお考えはあったと思います。
数字として出ているのが、市町村で避難勧告、指示を出した、避難所で避難を確認できた方が対象人数の三・八%だった、こういうことであります。これはいかにも低い。実際確認ができた人数ですから、避難所に行かずに御親戚の家だとか、御自分で高台のところへお弁当を持って行ったり、そんな方もいらっしゃった、こういうことをお聞きいたしますが、これは、今回どうだったか、このことの実態調査がぜひ必要だ、このように私は思いますが、お考えはいかがでしょうか。
○中井国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたところでありますが、避難指示が出た地域で七・八ぐらいということでありました。先生のお話のように、高台へ行かれた方、御自分の家の二階、三階というところへ移られた方もおられて、今総務省の方で実態調査をしていただいております。
しかし、津波が来るというのにサーフィンをやったり、それから海岸で魚釣りしたりなんというのは、警告に行った消防団の皆さんはボランティアで命がけで行っているわけですから、ここらは少し考えてほしいと私は思っています。
しかし、避難のあり方等については、本当に実態を調査して、十分これから役立つようなやり方というものを考えていきたいと思います。瞬時に津波予報というのは出ますし、各地区データが出ますし、個人個人が、自分の地域はこの高さなら大丈夫だという勝手思いがあったり、非常に難しい、情報の多い時代になってきました。この中で、どういうふうに情報を高め、信頼をいただくかということが大事だと考えています。
○石田(祝)委員 それで、やはり一つは、津波の脅威というものの正しい認識ですね。例えば、津波と通常の波の高さ、同じ高さだったら同じじゃないか、こういう誤解があると思うんですね。今も大臣がおっしゃった、サーフィンをやっている、三メーターの津波が来る、おお、いい波じゃないか、こういう変な誤解をしているんじゃないか。
ですから、これは全く別物だ、持つエネルギーも全然違う、このあたりをやはり啓発をしていかなきゃならぬ、こう思いますが、この点はいかがですか。
○中井国務大臣 気象庁にもお願いをしてございますが、テレビ等の発表のときに、まじめにおやりいただいているんですが、高さは第一波みたいな感じを与えている。繰り返し繰り返し何回も、しかも後からの方が高い波が来る可能性が高いということについての国民全体の認識が不十分だったということも、今回わかったことでございます。そういったことを踏まえて、防災教育のあり方等含め、あるいは国民の意識の改革等に一生懸命努めてまいりたいと思います。
○石田(祝)委員 私は、実はけさ、ラジオでニュースを聞いておりまして、大変驚きました。これは渡辺副大臣にお願いしたいと思いますが、避難指示とか勧告を出さなかった市町村がある、こういうことを全然思ってもみませんでした。そういう津波情報が出ているのに、さっき言ったような精度の問題もあったでしょう、余り大したことないな、こういうことで避難指示、避難勧告を出さなかった市町村があった、こういうことが朝のニュースで流れました。
これは、ですから、きのうの段階では私も承知しておりませんでしたので、質問の通告はいたしておりませんけれども、この市町村の姿勢というのはいかがですか、副大臣。
○渡辺副大臣 けさのNHKのインターネットのニュースでも、群馬大学の大学院の先生が、二百二十の市区町村で避難指示や勧告が出ていなかった、五九%に当たるということを受けて、総務省にも調べさせました。総務省で調べたところ、大津波警報、津波警報が発表された四百七市町村において、避難指示、勧告の発令を行わなかった市町村は二百十八団体、割合にして五四%でございまして、これは、住民の意識の問題だけじゃなくて自治体の方にも、この三・八%という避難率にもやはり問題があったんだろうというふうに思います。
自治体の方も、やはり、指示や勧告を出して住民に負担をかけるのではないか、もし空振りしたときの行政責任を問われるのではないか、いろいろなことも考えたんだと思いますが、総務省には、とにかく、なぜこの首長さんたちがそういう判断をしなかったかということにつきましても、ちゃんとその原因究明をさせたい、調査させたいというふうに思っております。
○石田(祝)委員 これは、渡辺副大臣、ぜひ報告をしていただきたいというふうに思います。
最後ですけれども、消防庁、Jアラートの誤報があったというわけですね。一回警報を取り消された後、また警報が出た、こういう話もありましたが、この原因について、それと再発防止、どういうふうに考えているか、最後にそれをお聞きして、終わりたいと思います。
○渡辺副大臣 もう今お話ありましたとおり、実は五つの自治体で、津波注意報を解除するときに誤って津波注意報に切りかわってしまった。これはシステムの問題のようでございますけれども、二十二年度だけで、このシステムの高度化や全国整備、百十二億円もの膨大な予算をかけてやるわけでございまして、とにかく、もうこんなシステムのふぐあいということがないように、当然、業者にも徹底をさせますし、このシステム改修は三月中に行うということで、強く申し入れているところでございます。
○石田(祝)委員 終わります。ありがとうございました。
○五十嵐委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
日本海沿岸の各道県で数百名の命が奪われた一九六〇年のチリ津波から、ことしはちょうど五十年目であります。明治の三陸大津波から合わせて人生三度も津波を経験されたという方もまだたくさんいらっしゃいます。
今回の津波では、人的被害がなかったとはいえ、養殖漁業へ本当に甚大な被害がございました。一日も早い復旧や、また防災対策へ国会としても力を尽くしていきたいと思います。私も、気仙沼、塩竈、石巻などと回ってまいりました。また、先ほど激甚指定に向けた大臣の決意があったと思われますが、大いに期待をしているところであります。
今回の被害についてですけれども、例えば、台風にしろ低気圧にしろ、漁業だけではなく、農業や、あるいは公共インフラなど、さまざまな被害がある。そうした中で、今回はかなり限定的な、養殖漁業の部分に限定的な被害でありました。ですから、どうしても被害額ということで見ますと小さく見えてしまうわけですね。ですが、漁業というのはやはり加工や流通全体を合わせて地域経済という影響がございます。
それから、先ほど大臣、カキのお話をされましたけれども、この塩竈、松島地域というのは全国のカキの種苗の八割を生産している地域でもあります。ですから、ここで、種苗がどうだったかということよりも、種苗をつくっている漁業の皆さんがこれでもうあきらめてしまうということがあると、全国の漁業に与える影響も大きいのだということが言えると思うんですね。そういう点で、今回の被害をどう見るかという大臣の認識をぜひ伺いたいと思います。
○中井国務大臣 私も、若いときから水産の問題について発言をしてきた議員の一人でもありますから、水産業、どういう御苦労があって、どういうお金の使い方、どういう時間のかかり方というのを承知いたしております。今回も、被害額が日を追うに従って膨れている、これはやはりそういう業界の状態にあるのだろうと思っております。
そういう意味で、間違いなく、被害というものを幅広に確かめて、そしてできる限り国がお手伝いできるように頑張って発言をし、行動したいと思っています。
○高橋(千)委員 力強い御答弁、ありがとうございました。
そこで、少し具体の話に入っていきたいと思うんですけれども、まず、海上保安庁にきょうお願いをしておりますけれども、今回の大津波警報を受けて保安庁がどのような仕事をしたのか、伺います。
○小山内政府参考人 海上保安庁交通部長でございます。
海上保安庁では、今般のチリ中部沿岸地震に伴う津波来襲後、巡視船艇、航空機により港内や沿岸の被害状況調査を実施し、松島湾内においては養殖施設や漁具等の流出が認められたことから、船舶交通の安全を確保するため、地域航行警報を発出して、航行船舶に対する注意喚起を無線やインターネットにより広く行うとともに、ファクス、電話により、船舶代理店や漁協等を通じて、海事関係者、漁業関係者などに対して個別に詳細な情報提供を実施いたしました。
○高橋(千)委員 確認をしますけれども、なぜこういう質問をしたかといいますと、今の行動については、例えば、塩竈の漁民の皆さんがおっしゃるのは、まず真っ先にやったのは航路の確保だという表現をされたわけです。先ほど小野寺委員からの紹介もありましたけれども、みずからの養殖施設が破壊をして、その処理に追われるわけですけれども、どんどん潮の流れで漂流もしていくわけで、大変な疲労感があるわけです。しかし、まず航路をあけなければならないのだということで、真っ先にその作業に取りかかって大変だったということがあったんですけれども、なぜそれが必要なのか、その意義について、一言お願いいたします。
○小山内政府参考人 先生御存じのとおり、この地域は多数の入り江がございまして、大小の港湾がございまして、また地域の方の生活も、船が生活の足にもなり、あるいは地域産業の大事な手段ともなっておりますので、この地域で船舶交通が滞るということは地域経済にも影響がございますので、海上保安庁といたしましては、航路の確保というのが第一任務になります。
○高橋(千)委員 地域交通が滞るということで、非常に重要な意義があったということが確認をされたのかなと思うんです。
それで、保安庁が実際に出されました「地域航行警報」という名のファクスをいただきました。一部読み上げますと、「本州東岸、仙台塩釜港塩釜区 次のとおり、漁具等の漂流がありますので、付近航行船舶は注意してください。」と、最初のものは「注意」です。次の航行警報によりますと、「漂流物」となっております。「本州東岸、気仙沼港内に多数の養殖施設が漂流しています。」次が問題です、「漂流位置は潮位の変動により移動しています。」。
つまり、警報が来るんですけれども、どこにあるかはわからないわけですね。何の目印もない。そういう警報を受けて、とにかく漁民の皆さんは捜しに行きます。しかし、半日捜しても、湾内は広くて全く見つからないのだと。疲労感だけがたまり、しかしガソリンは一日に四百リッターから五百リッターも消費をするということになっている。
そうすると、先ほどお話があったように、公共の航路を確保するために、みずからの作業をなげうって協力をしている。みずからの責任でもない津波のために、そういう協力をせざるを得ない。せめてガソリン代の補助とかがあってもよいのではないか。いかがでしょうか。
○山縣政府参考人 港湾内に流出いたしました浮遊物の撤去に係ります燃料支援策についての御質問でございますが、津波等によりまして流出いたしました浮遊物につきましては、その所有者がみずからの責任で撤去することが原則となってございます。今般の津波で流出いたしました養殖いかだの撤去につきましては、かかる原則を踏まえて行われておりまして、それに対する国土交通省関係の支援制度はございません。
以上でございます。
○高橋(千)委員 済みません、通告はないんですが、大臣に、今のやりとりをちょっと聞いていただいて。
納得がいかないわけですよ。公共交通の確保のために協力をしているのに、その浮遊物を片づけるのは自分の責任だと。どう考えてもおかしい。スキームがないのであれば、何らかのスキームをつくるべきではないかと思います。ぜひ検討されたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中井国務大臣 それぞれの役所にはそれぞれの役割があって、考えもあるんだと思います。しかし、わかっておるものは当人が片づける、わからないものは災害、防災の方で何とかするということだけで本当にこういう災害に対応できるかどうか、一度検討させてください。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
それから、先ほど農水省の方から、施設の激甚の指定の問題について、大体、今、全国の養殖漁業の所得額の二%ということで、二十数億でありますから、基準額は超えそうであるということがありました。
これに対しては非常に期待をしているところですけれども、しかし、実際の復旧の段になりますと、それは再度取得という、被害の積み上げとはまた逆の、同じではないわけですよね。つまり、減価償却などが係ってきまして、同じだけの基準で補助があるわけではないという問題がございますが、いかがでしょうか。
○舟山大臣政務官 お答え申し上げます。
仮に激甚災害に指定されたときの実際の支援については、今御指摘のとおり、減価償却分を除くというような算定になるわけでありますけれども、そこはやはり、しっかりとそういう基準にのっとって対応することになるのではないかと思っております。
ただ一方で、今回の災害に当たって、もちろんその激甚災害の指定での対応もあるわけですけれども、もう一つ、共済での対応、またはさまざま金融措置も講じさせていただいております。
特に、災害復旧の関係の資金、かなり低利の資金が幾つかありますし、もう一つは、農林漁業セーフティーネット資金、これは貸付限度額が三百万円なんですが、かなり多くの、たっぷりとした融資枠も設けさせていただいておりまして、それこそ天災融資法での融資よりもかなり条件がいいような形で借りられる、そういった資金も用意しておりますので、そういった資金面、共済、それから激甚での対応、さまざまなものを組み合わせて、しっかりと現場の声に対応していきたいと思っております。
○高橋(千)委員 共済の加入率が悪いということは先ほど来お話があったわけでありますので、そこはやはり実態に応じて、結局、再取得をしなければ意味がないわけですから、そこに応じた支援ということをぜひ考えなければならないと思うわけです。
例えば、大船渡漁協では、今、施設を漁協として買い上げて、リース方式で漁民に貸し出すということを考えていると聞いております。漁業者の高齢化が進み、これをきっかけに漁業を続けられなくなる人が出てくる可能性も大きい、あるいは、ホヤなどは収入が見込まれるまでに三、四年かかるために、若い人でも再建には負担が大きい、何とか漁業を続けられるようにそういう施設が必要なんだということをおっしゃっています。このことを、宮城県の漁協でも、こういう方式ができないのかなということを今考えていらっしゃるということなんです。
そうすると、例えば、漁協と県がこうした施設をつくってリース方式にするですとか、さまざまな知恵が今回出てくるし、出すべきだと思うんですね。そういうものに対して、例えば、強い水産業づくり交付金の拡充ですとか、さまざまな方法で対応することもこれありということで、ぜひ一言お願いします。
○舟山大臣政務官 御指摘のとおり、国としましても、復興に向けた漁業者の取り組みを積極的に支援していく考えであります。
ただ、今の仕組みの中でなかなかリースでの対応は難しい状況でありますけれども、共同利用する養殖施設については、強い水産業づくり交付金による助成が可能でありますし、これについては、都道府県が地域の事業要望を取りまとめて申請いただくという仕組みになっておりますので、関係県、特に今回、さまざまな不測の事態で被害が生じておりますけれども、そういった要望も受けて、可能な限り対応させていただきたい、そんなふうに考えております。
○高橋(千)委員 国も大いに知恵を使っていただきたい。国がリースをするわけではありません、漁協がしっかりと整備をして、そこにそういうリースということもまたこれありということでありますから。そういう知恵を大いに応援する、本来、民主党さんがおっしゃっている地域主権ということにも沿うものであるということで、ぜひ提案をしたいと思うんですね。
もう一つ、地域の知恵を応援しようということで、雇用の面で今回提案されているものがございます。
例えば、塩竈市では、先ほど、ごみという表現がございましたが、確かに廃棄物といいますと環境省の予算が使えるということは承知をしているところですけれども、しかしその中には、ブイがあったりとかアンカーがあったりですとか、まだ使えるものがあるんだと。その仕分けに厚労省の緊急雇用対策を活用するということを考えているということをおっしゃっていました。
そういう発想というのは、別に廃棄物の仕分けというだけではなくて、例えば、ダイバーを雇用して、水中の廃棄物や海産物のこんがらがっちゃったものを処理するですとか、さまざまな知恵ができてくるのではないかなと思うんですね。そういう雇用に結びつけていくことや、あるいは、かつてはよくあった救農土木の漁業版みたいなものがあってもいいなということも思うわけです。
なぜかというと、生活が大変だ、当面復旧しても、実際に収入が得られるまで二、三年かかるということもあって、そういうことも考えて、こういう雇用の対策を活用するということもあるなと思うんですが、いかがでしょうか。
○山井大臣政務官 お答え申し上げます。
御指摘のような事業については、緊急雇用創出事業というのは、自治体が行っている既存の事業の振りかえとならず、新たな雇用を生み出す事業であれば対象になり得ますので、各自治体の事業計画に盛り込んだ上で、実施していただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 こうした制度の活用についても積極的に周知や、あるいは知恵の出し方について援助をしていただければいいかなと思います。
先ほど融資の話もございましたけれども、これに対しても、例えば宮城県の水産業災害対策資金制度、〇六年十月の低気圧のときには、やはり今言った生活維持に三百万、そして全体の復旧事業などを合わせて一千万の枠で県が制度をつくっております。そういうものに対して県と漁協が一%ずつ利子を出そうよとか、いわゆる利子補給をやったら国も少し乗ってほしいな、そういう要望も出されているわけです。
こういうスキームも、低利の融資があるからというだけではなくて、利子補給を地元もやるから国もやってほしいという声にもぜひこたえてほしい。これは時間がありませんので、要望にして終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○五十嵐委員長 次に、黄川田徹君。
○黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。
通告に従い、順次質問していきたいと思います。そしてまた、質問項目を割愛するところがあると思います。副大臣、政務官には御迷惑をかけますが、よろしくお願いいたしたいと思います。
災害は忘れたころにやってくるというのは寺田寅彦の言葉でありますけれども、私にとっては、災害は忘れずに必ずやってくる、こう思っております。一昨年の岩手・宮城の内陸地震、災特で質問させていただきました。祭畤大橋の落下あるいはまた栗駒山のふもとの山の崩落と、本当にきのうのようなことで、目に焼きついております。
さて、一月十二日のハイチ、それから二月二十七日のチリ、これに続いて三月八日にはトルコの東部でも地震が発生いたしました。我が国の国際緊急援助隊の海外での支援活動が期待されておる、こう思っております。そこで、ハイチにおいては、我が国からの自衛隊及びJICAの国際緊急援助隊が派遣されまして、現地において懸命な医療支援活動が行われた、こう伺っております。
こうした被災地においては、麻酔薬を使用した外科手術が非常に重要になるわけでありますけれども、被災地では、医療施設の損壊等によりまして麻酔薬を現地調達することが困難だ、こういうことが間々あるわけなのであります。実際にハイチではそのような事態が生じた。実は、民主党のハイチ大地震支援・調査団の報告で、私もこれは聞いておるところであります。
全身麻酔薬として非常に重要な役割を果たすケタミン、これは日本から現地へ持っていくことも考えなければならないということだと思いますけれども、しかしながら、ケタミンについては、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬として指定されておりまして、国外への持ち出しに際しては厚生労働大臣の許可手続をとることが必要だ、こう聞いておるわけであります。
そこででありますが、国際緊急救助隊として派遣された場所でケタミンのような麻酔薬を使用できず、医療支援活動に支障を来すのは問題でありますので、このようなときこそ、ハイチでの経験を無駄にしないで、緊急事態に対応する態勢を整えて、人道的な観点から迅速で柔軟な対応が必要である、こう考えておるわけでありますけれども、これは大臣の見解と厚生労働省の見解をあわせてお伺いしたいと思います。
○中井国務大臣 御指摘はまことにそのとおりで、残念なことだと考えています。
私自身の口から、厚労大臣そして警察の担当に、国際的に輸出を禁止しているものであるけれども、各国の医療チーム等はこれを国内のやりくりで持っているじゃないか、日本だけが持っていっていないということでは十分な役割を果たせない、したがって、許可申請をしたら速やかに対応するよなんということを言わずに、方法を考えたらどうだということを申し上げ、委員長にも、委員会で超党派でひとつ方策をお考えいただけぬかということを含めてお願いをいたしているところであります。
どうぞひとつ、これを機会にぜひ迅速に可能になるように御協力のほどお願いいたします。
○長浜副大臣 先生から御指摘もありましたし、今、大臣からの御答弁もありました。
依存性があり、乱用されるおそれが高いということで、麻薬及び向精神薬取締法の麻薬として規制されているところでありますし、麻薬に関する国際条約、千九百六十一年の麻薬に関する単一条約において求められている輸出入手続にのっとって許可を行うことが必要だということで、国際条約でありますから、どこの国も、この条約を批准している国は同じ手続であります。
一方で、全身麻酔薬として、このケタミンというのは災害地での医療支援活動において非常に有用な薬剤であるということで、このため、御指摘のとおり、自衛隊やJICAの災害地への麻薬の持ち出し申請が所管省庁等を通じて行われた場合には、緊急援助隊の派遣に合わせて災害地へ持っていけるように速やかに麻薬輸出にかかわる許可証を交付する、こういうことを、今御指摘がありましたように、対応をしてまいりたいというふうに思っております。
いずれにしましても、外務省、防衛省と連絡を密にしながら対応してまいる所存でございます。
○黄川田委員 地震大国の日本でありますので、国際社会の中でしっかりと対応できるように、よろしくお取り計らい願いたいと思っております。
それでは、本題の質問に入らせていただきます。
まず、津波の基本的な課題についてお尋ねいたします。
気象庁の予報は、気象庁と海上保安庁、それから国交省の港湾局及び国土地理院の合計百七十一カ所の検潮所の波高データに基づいておるというわけでありますね。実は、大臣からの報告をいただきましたけれども、その後、津波の痕跡を調査したところ、岩手県陸前高田市において、今回の津波で最大の一・九メートルの高さが確認されておりますという報告でありました。
実は、私はこの陸前高田市出身の人間でありまして、気象庁は気象庁で調査をさまざま頑張っておるわけでありますけれども、海岸線の市町村にはそれぞれ自治体の潮位計がもう設置されておりまして、先ほど気仙沼の小野寺五典さんが話されていましたけれども、陸前高田にもありまして、私も九時半に、隣が市役所でありますので行っておりまして、リアルタイムで波高がわかるわけなんですよ。
そして、田舎ですから集落ごとに漁港があって、その集落ごとに潮位計があるわけなんですよ。やはり、気象庁の発表の三十、四十の世界ではない、一メートルを超えている部分がたくさんあるわけなんですよ。どこに潮位計があるかでも違ってくるんですが、いわゆるチリ地震、遠地地震による津波によっては、湾の奥、奥と波高が高くなっていくということで、場所にもよるのでありますけれども。
それで、一時半で、その後ずっと何もないような形で、第二波、第三波も心配だから、そういう報道だけなんですけれども、防災行政無線なんかを使って、臨場感があるといいますか、緊迫感がある、今こうなっていますよという形の自治体ごとの報道ができればいいのでありますが、ただ、だれが責任を持つんだとかいろいろなことがあって、さまざま議論されるところであります。
私も、予算委員会では、どうも国の仕事、県の仕事、市町村の仕事といって、横軸がなっていないんじゃないのかと。各省庁もそうですよ、内閣府が一番の幹事となるところなんでしょうけれども。それで、県や市町村を余り信頼しないんだかよくわかりませんけれども、そういう観測できる体制もあるので、現場の連携というものをもっとしっかりやってもらいたいというところなんでありますが、御答弁いただけますか。
○三日月大臣政務官 ありがとうございます。黄川田先生、御地元で、大変今回の地震、津波でも、いろいろと御心配をされたり、被害に遭われたりされた方々にもお見舞い申し上げながらお答えをいたしますが、問題意識、全く同じです。
それで、現在、気象庁の津波の観測は、もしくは予測に当たって、百七十一カ所の観測点を津波監視に活用しています、最新百七十一カ所。気象庁で七十一カ所、港湾局は、先ほど御議論がありましたGPS波浪計を含んで六十一カ所、そして海上保安庁で十九カ所、国土地理院で十四カ所、そして自治体で六カ所、合計百七十一カ所の観測点から得られる潮位データをもとに観測に役立てているんですが、ぜひ今回の経験を踏まえ、そして先生のこういう御指摘も踏まえて、自治体が設置をしている検潮所がありますので、この設置の環境ですとか観測の精度、データ伝送、要はとったデータがどう伝送されるのかといったようなシステム、インフラもしっかりと確認した上で、さらなる活用ができるように今後検討してまいりたいというふうに思います。
○黄川田委員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思っております。
それで、ちょっと重なりますけれども、消防庁によりますと、大津波警報と津波警報を発表した地域のうちの市町村長が避難指示や勧告を出したのは二十都道県の百八十九市町村、対象人口は約百六十八万人で、このうち市町村が避難所などに避難していることを確認した住民は六万三千人、約三・八%だった。これまで議論されたとおりですね。大津波警報の発表地域では平均七・五%だったが、津波警報の地域は平均二・八%だった、こういうことであります。
そこで、チリ地震の津波は一昼夜かかって日本に来るわけなんですね。避難勧告あるいは指示など、時間があるわけなんですよ。ところが、我々が住む三陸海岸、東海、東南海・南海もそうなのでありますが、日本近辺で起きる地震は瞬時に津波が来るということがあります。奥尻島の例を見ればそのとおりであります。五分、十分で来ます。瞬時でも、元気のいい人はすぐに高いところへ上がっていけるのでありますけれども、やはりその中で、高齢者や障害者、そういうところ、浜に住んでいる方々も高齢者あるいはまた障害者の方々がたくさん出てきておりますので、その対応策をどうするのかということが喫緊の課題になっておるわけであります。
それで、実はきょう津波が来てもおかしくないんですね、おかしくないという言い方はないですけれども。宮城県沖は三十年に九九%、この十年間で七〇%ということでありまして、その津波はすぐ来ますよということなので、その対応策、悠長な対応策ではとてもじゃないけれどもやっていられないという話なのであります。
そこで、避難支援計画づくりといいますか、たしか市町村に指示して計画策定を、〇九年度の策定を求めておるようなのでありますけれども、実は我が岩手、民主党におった達増知事が今岩手の知事をやっておりますけれども、この計画、私のところの岩手でも実はまだまだなところがありまして、大変な状況にあるわけであります。
たまたま私のところは集落があって、支える人たちがあって、だれがだれを支えていくんだというところまでできておりまして、そういう部分では、明治二十九年にやられて、昭和八年でやられて、五十年前のチリ地震津波でやられてという経験者が多いですから。津波というのは、経験、体験しないと風化するんですよ、言葉で言っても。世代間でつながっていかないんですね。間々そういうことがあります。
それで、こういう部分の計画とか指示とかどうなっておるか、お尋ねいたしたいのであります。
○中井国務大臣 御指摘、御心配、そのとおりだろうと思っています。
先ほどから議論がありましたハザードマップについては、岩手県初め七つの県で一〇〇%おつくりをいただいている。しかし、個々の地域、どう避難してどういう手助けをするかということについてはまだまだだ。特に高齢者、障害者の方々の避難のあり方等を含めて、私どもはきめ細かく各地方にお願いをしていきたいと考えています。
逆に、同時に、もう自分のところの護岸あるいは防潮堤はこれぐらいの高さまであるから大丈夫だといって、一メートルぐらいだと警報も発しないという地域もおありなのかと。ここらもひとつ検証をしていきたいと考えております。
しかし、私、昼過ぎに本部へ入りまして確認をいたしましたら、大津波警報が出た三つの県で、十二時時点で防潮堤が閉じられていないところがまだあった。これはちょっとのんきじゃないかということで、大至急お願いして一時過ぎには全部閉じていただいたとか、やはり人間のやることですから、どこかで緩みが出てくる。ここらに被害がばあっと出るときがある。
こんなことを含めて、今、黄川田先生のおっしゃったこと、少し時間はかかりますが、私どもは各市町村にお願いをしていきたいと考えています。
○渡辺副大臣 それでは、ちょっと数字的なことだけ申し上げたいと思います。
いわゆる要援護者、かつては災害弱者と言われましたけれども、災害時に援護を必要とする要援護者の避難支援の取り組み、いわゆる全体計画を今市町村で進めているのは、二十一年の十一月一日現在でまだ七百二十一団体、四〇・二%でございます。二十二年三月中に、二十一年度末には七六・五%を目指し今策定中で、二十二年度末までには九六・八%になるだろうと役所は言いますけれども、まさに先生おっしゃるとおりでして、いつ災害が来るかわかりません。またどこかで大きな地震が起きればいつ何どき予期せぬ災害に見舞われぬとも限りませんので、これは二十二年度末などと言わずにとにかく急いで進めるべき。
ただ、なかなか難しいのは、例えば私の、あるいは先生の岩手県や静岡県と違って、個人情報とかプライバシーとかいう問題になると、なかなか首都圏、都市部の方が意外と進捗率が低いというのはその辺の難しい問題がありますけれども、いずれにしても、要援護の方が近所の方々のまさに協力のもとで一刻も早く難から逃れられるように、そういう基礎的なデータはとにかく一日でも早くつくり上げていきたい、そういうふうに督励をしているところでございます。
以上でございます。
○黄川田委員 この津波経験を本当に生かしていただきたいし、それから気象庁の発表がオオカミ少年にならないように、そしてまた国民も自分で判断、過小評価をしがちですので、そのことのないように思っています。
それでは、後半の部分でありますけれども、三陸海岸、リアス式海岸、養殖施設が大分やられましたので、皆さん聞いておりますけれども、重ねてお尋ねいたしたいと思っております。
民主党の岩手県連としても三月六日に現地調査を行ったわけでありますが、本当に養殖施設、それから水産物、もう捨てなきゃいけないということで大変な被害であります。
順序立てて言いますと、まず、これまであった養殖施設が被害に遭って、これを撤去、処理しなきゃいけない、これに対する支援は国としてできるのかどうなのかというところから始めたいと思いますが、これはどうですか。
○舟山大臣政務官 まず、被害のあった漁具が浮いたりして漂着物になっておりますけれども、それについての除去、処分の責任は、先ほど来の答弁にもありますけれども、基本的には所有者にあるわけなんですけれども、漁港の航路とか、船が通る道をふさいだりというような状況の場合には災害復旧事業の対象となる場合もありまして、その場合には国の災害復旧事業で対応できるということになっております。
そしてもう一つ、本当にここ最近、三位一体の改革の税源移譲で一般財源化されたことによって、地方自治体においては、なかなか、農林水産関係の予算が少し薄くなっているような状況もあるというふうに聞いておりますので、そういったことについては、地方交付税を所管する総務省の方とも相談させていただきながら、何とか地方自治体で対応できる支援の税源というんでしょうか、財源を確保できるような、そんな働きかけもしなければいけないな、そんなふうにも思っております。
○黄川田委員 産業廃棄物だから個人の処理ということでしょう。それから、舟山さんからお話しされましたけれども、もともとは、ごみ処理ということで農水省にも予算措置か何か、補助金か何かであったんですかね、それが各自治体に、ごみ処理の部分とかそういう部分は交付税で一般財源化しておるということで。
ただ、三位一体改革というのは、御案内のとおり、税源移譲はしますけれども、一般財源化しましたけれども、その中で効率化を図ってということでありますから、額は八割ぐらいしか行っていないわけですよね。
ですから、ここは後は要望にしますけれども、渡辺副大臣、特交の部分で、従来から話がありますとおり、今年度間に合いませんので、しっかりと対応していただきたいということで、まずおさめたいと思いますが、おさまらないのは漁民の方の大きな声であります。
それから、処理はした、これから生活していかなきゃいけないので、新しい養殖いかだの整備をしなきゃいけないということでありますけれども、国にあっては、いつもそうだったのでありますけれども、三年ごとに名前を変えながら同じようなことをやっている、昔、自分が市役所職員の時代にそう思っていました。政権がかわったからそんなことはないんだろうなと思っておりますけれども、強い水産業づくり交付金というのが出ておりまして、これらによって支えられるのかどうか、お尋ねいたします。新しい養殖施設について、いかがでしょうか。
○舟山大臣政務官 今回、養殖施設でありますけれども、湾の手前の方が被害が大きいかと思ったら、実は、奥の方、比較的波の穏やかな地域の被害が大きかったというふうに聞いております。それは、いろいろな現地からの情報によりますと、湾の奥というのは、通常は、御案内のとおり非常に波が穏やかで被害が少ないということで、比較的簡易なアンカーを用いての養殖が行われてきた、そういったような事情があるように聞いております。逆に、本来波の被害が大きいであろう外洋部分については、思ったほどの被害がなかったと聞いております。
そういう状況も見ますと、やはり、こういったしっかりとした、強固なアンカーを用いた養殖施設の建設なんかはきっちり進めていかなきゃいけないと思いますし、これから、先ほど来御指摘ありますけれども、本当に災害はいつ起こるかわからない、しかも確率が非常に高まっているような状況の中で、こういう施設整備をしっかりと応援させていただきたいと思っております。そういった意味におきましては、強い水産業づくり交付金による助成というのが可能でありますので、しっかりと地元の皆さんとも、要望をお伺いしながら、こういった交付金を使って支援させていただきたいと思っております。
○黄川田委員 個々の養殖いかだの部分までそれが使えるかどうかという議論もありますし、海の仕事といいますか、オリンピックですから、腕一本で生きていくという人たちなので、共同作業に余りなじまない方々が多いかもしれません。ただし、七十五歳ぐらいの人たちも現役で働いているというこの時代になってきますと、協業化とかいろいろな仕組みができていまして、私の地元のことをいいますと、ワカメの協業化ということで、そういうものだと協業だから支援ができるという仕組みができるわけですよね。できるだけ国がやるべきところと、それで外れた部分は、うちであれば達増知事なんかは汗をかかなきゃいけないというところなんでしょうけれども、それぞれ、国ができること、県ができることをきちっと。
先ほど来お話しのとおり、三年、四年かかるわけですよ。ホタテだって、カキだって、ホヤだってそうなんですよね。ホヤは共済がないですけれども。そういう部分で、今あるメニューを使って当座何とかするというのじゃなくて、津波がまた来て、また養殖いかだもやられるんですから。
そのために、実は、経験則の中で、平成十五年以来の被害を受けた中で、外洋に面したところのいかだは強固なものになっているんですよ。だから、実は被害がなかったということなんですよ。舟山さんお話しのとおり、奥の方は静穏域があったものだからそれなりにできたということなんだけれども。ただ、いつでもどこでもやってくるという災害なものですから、先々と、むしろ水産庁が前面に出てやらなきゃいけないと思いますよ。何もやらなかったら水産庁はなくなりますよ。私はそう思っていますよ。水産庁はなくなると思いますよ。そういうことがあるわけですね。
実は、農林水産省でも農業の方は頭のいい人がたくさんおるんだか、例えば生産施設、農業でビニールハウスがありますね、あれは補助が来るんですね。いかだの部分は来ないんですよね。どうなっているのかなと思って、次、また聞きます。
次は、二、三年、四年かからなきゃ出荷できないという種苗、この種苗購入費に直接的な支援はあるんでしょうか。
○舟山大臣政務官 まず、直接的な種苗購入費への支援についてなんですけれども、直接購入費を助成するという仕組みはないんですが、種苗の購入代に対してさまざまな融資の制度は使えるものがありますので、例えば、先ほども少し紹介させていただきましたが、セーフティーネット資金、これはかなり使い勝手のいいものになっておりますので、そういったものを御活用いただくということだと思っております。
そして、なかなか、水産の方は農業に比べて助成がまだまだ足りないのではないかという御指摘があります。
例えば、農業も、かつては、今もそうですけれども、個人補助というのが基本的に、いろいろ会計検査の関係、財務との関係でなかなかそれは認められないわけなんですけれども、例えばそれがリース方式という形で支援の方法を探っていたりとか、新しい方法を幾つか生み出しておりますので、やはり漁業に対しても、いろいろな知恵を絞って、漁業者の要望に沿うような形でのさまざまな支援策をこれからも考えていかなければいけないと思っております。
さらに言えば、今、共済制度、先ほど来、非常に加入率が低くて、なかなか現場ではそれによって救われる人が少ないというお話もありますけれども、例えばその共済制度についても今見直しをかけておりますし、もう一つ、根本的に、漁業に対しても、非常に今、魚価の低迷などで収益性が悪化しております。こういう状況の中で、例えば、新しい漁業に関する所得補償制度をどう構築したらいいのか、今の共済制度、特に積立ぷらすなんかでは、P掛けるQで損失補てんみたいな形になっていますので、そういう仕組みをどう構築していくのかということを今省内でしっかりと議論しているような状況でありますので、ぜひまた、さまざまなこれからの対策について皆様のお知恵もいただければと思っております。
○黄川田委員 水産庁も県の水産部も、種苗に関しては、経営再建に必要な制度資金の活用、漁業近代化資金による種苗等の購入への対応というふうな答弁だと思うのでありますけれども、近代化資金といっても、使われていませんよ。災害は別ですよ。農業も、近代化資金、たくさん積み立てていますよね。あれでさまざま議論になりましたよね。それから、利率も、七%、八%の時代であればあれなんですけれども。いや、舟山さんをいじめているんじゃないですから、変えてほしいという意味で言っているのでありますから。
参考までに、平成五年の大冷害、私、市役所の農政課の農産係長をやっておりまして、実は岩手の方は米がとれなかったんですよ。来年、米どうする、種もみどうするということになったんですよ。石垣島まで行って種もみをつくって、それで植えたわけなんですよ。その米の名前は「かけはし」だ、沖縄とのかけ橋ということで。そのとき、次季作種子の確保ということで、何か補助が出たような気がするんですよ。よくよく考えたら、農水省も考えたんでしょう、その種子自体には直接補助はできないんだけれども、やれ運送費だ何とかと、多分、沖縄から持ってくる運送費は見てもらったのかな。
ちょっと知恵を出せばあるでしょうが。だから、カキだって、ホタテだって、ホヤだって、おいしい、本当に、山の幸だけじゃなくて海の幸もみんな食べているでしょうが。自給率をどうするかと言っているでしょうが。きょう山田大臣がいないからちょっと迫力が欠けますけれども、舟山さんも山田大臣みたいに頑張っていただきたいと思います。
もう時間だと思いますので、最後の最後であります。
漁協の現場では、被害額が余り出ていないので激甚は無理だろうな、こう思ってしまいまして、実は、まず、一、激甚災害指定、こう書いてきたんですけれども、それが私の来るころには消えておりました。二%以上とか、その部分でちょっと無理かなと。ただ、これも、まだ被害額もきょう時点ということでありますし、あすになって減ることはありませんので、きめ細かな調査を引き続きお願いいたしますとともに、水産庁は変わったなというふうな形でよろしくお願いいたします。
お世話になりました。ありがとうございます。
○五十嵐委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正です。
早速質問に入りますが、質問に入る前に、今回の地震で被害に遭われた方、また関係市町村の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと存じます。国におかれましては、これを教訓にさらなる精緻な地震対策を講ずるよう、まず要請しておきたいと思います。
今回のチリの大地震に関連しまして質問しますが、今回は幸いにも津波による人的被害はございませんでした。専門家の方のお話によりますと、一メートル未満の津波でも人が流される、実際に日本海中部地震では七十センチの津波で人命が失われた、このように聞いております。
今回の津波では、予想に比べて津波の高さが低かったこともあり、この程度なら大丈夫、そういう認識が生まれはしないかと危惧をいたしております。したがって、その後のアフターケア、教育だとか、そういう点についても十分配慮していかなければならないなと。
既に報道等で明らかになっておりますが、内閣府の調べでは、避難指示対象人数のうち、避難所などで避難が確認された割合は、大津波警報が発表された青森、岩手、宮城、予想される津波の高さ三メートル以上、こういうふうに発表されたわけですが、それぞれ四・一%、一二・二%、六・五%、非常に低い数字なんですね。
この低い数字を確認した人数はいつの時点なのか。というのは、地震が発生して長時間にわたり何波何波と来るわけですね。ですから、これは相当に時間をかけてカウントしていかなければならないと思うんです。ところが、最初に避難した人は、一時間たったら、もう来ぬだろうということでそこから、避難場所から離れていく、こんな人も出てくるだろう。
したがって、そういうふうなものを想定していくと、この調査はどの時点でやったのかというのはある意味では非常に重要な意味を持つというふうに思うので、その点についてまず明らかにしていただきたいと思います。
○渡辺副大臣 今まさに御質問でございました、どの時点を調べたのか、これは実は時間帯じゃございませんで、ピーク時の人数。つまり、市町村が避難所等において、そこに行ってカウントできた、把握できた数の一番多かった人数をとっているんです。ですから、この時間帯でどうじゃなくて、今委員が御指摘のとおり、自分で判断しちゃってどこかへ出ていっちゃったり、例えばよその高台なんかに移っちゃったり、行った人なんかは累積では多分カウントされていると思うんですけれども、結局、カウントしていって一番多かった人数を統計としてあらわしているということでございます。
○重野委員 だと思うんですね。そうだろうと思うんですが、テレビなどでも逐次報道されておりましたけれども、津波は繰り返しやってくるんです、第一波よりも後の方が大きい波が来ることもあるんです、こういうことを言われていましたね。今回も一・二メートルを観測した久慈では、第一波が十四時十一分、最大波は十七時一分なんですね。三時間の時間差があるわけです。
今回は人的被害はなかったんですが、今後のことも含めて、避難が的確に行われるかどうかというのは極めて重要な意味を持つ。今回避難された方が少なかった原因、今言うように四・一%、一二・二%、六・五%というふうな数字なんですが、これは私は危険があると思うんですね。
したがって、そういう危機に対する対応能力、地域の対応能力、これをどう高めていくかというのは極めて重要だと思うんですが、その点について、特にその場合に、集まったときにだれがその集団を統率するとか、例えば、あらかじめ決まっていたんだけれどもその人がたまたま出張中でいなかった、そうするとその後だれがそのフォローをするのかとか、そういう仕組みというのはできているのかどうなのか、それを伺います。
○中井国務大臣 細かくは地方自治体それぞれでお取り組みいただくことでございます。しかし、今回の低い避難の状況というものはきちっと分析して、以降の対策に生かしていかなければなりません。
例えば、今回、ハワイでもう少し大きい波だったとか、ハワイで少し被害が出たというようなことでも万々一報じられておったら違う状況もあったんじゃないかとか、二十四時間ぐらいかかって到達する津波で、地震の揺れというものを日本人は感じていませんから、津波と言われても実感がなかったのではないかということが一つ。同時に、今御指摘いただきましたように、一波が比較的、三十センチとか二十センチという数値でテレビで一斉に報じられたために、もうそれで終わりだという安堵感があったのではないか等々が私どもの今の分析の一つでございます。
これから、先ほどございましたように、総務省のアンケート等で十分な調査をして、万全を期せるようにやっていきたい。
同時に、行政の側も、地域地域で、三メートル、あるいは東京のように六メートルの防潮堤が完成しているところもあるんですね。そういうところで一メートルで警報で避難勧告を出せと言ったって、それは出さないのでありましょう。それぞれ対応の仕方が、地方住民にとって安心ができる制度であるように、もう少しきめ細かくお願いをしていきたいと考えています。
○重野委員 いろいろな要素がありますので、可能な限りというか、いろいろな角度から検証していただいて、今後にいい方策を出していただきたいと思います。
もう時間も来ましたが、次に、共済加入の問題について、重複いたしますけれども。
調べてみますと、水産物の共済加入率、カキ、ワカメ、ホタテ、昆布、加入率は比較的高いんですが、施設関係については五三%という数字なんですね。カキが一〇〇%、ワカメは九九%、ホタテ九〇%、昆布八八%と高いんですが、施設関係については五三%、こういう低い数字になっている。なぜそうなっているのかということが一つと、今回、被害が出た各道県の共済加入の状況というのはどういうふうに把握されているのか、お聞かせいただければありがたいんですけれども。
○舟山大臣政務官 御指摘のとおり、施設共済については加入率が余り高くない、低いような現状にあります。この原因といたしましては、やはり定置網等の施設の単価が高いということ、それからもう一つは、事故原因を特定しない商品設計だったために掛金が高額だった、そういったことが原因として考えられました。
そういったことに対応するために、昨年の制度改正で、地震、噴火または津波による漁業施設損壊のみを補てんするといった、原因を特定することによって掛金を低く抑えた商品を開発したところでありまして、現在もこういった掛金の安い商品の普及に努めておりまして、漁業系統団体とか漁業共済団体と一体となって加入促進に努めているような状況であります。
契約の更新時にさらに強力にこの運動を進めていきたいと思っておりまして、こういったことによって、低い掛金できちんと補償が受けられるような、そういった制度のメリットと、こういったものの商品を積極的にPRしていきたい、そんなふうに思っているところでございます。
○重野委員 地震の被害は今で終わるんじゃなくて、二年先、三年先、じわじわとその影響が出てくる、そういうものなんですね。ですから、そこ辺もしっかり含めて対応あるいは対策を講じられるようお願いしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○五十嵐委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時二十二分散会