衆議院

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第5号 平成23年3月28日(月曜日)

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平成二十三年三月二十八日(月曜日)

    午後五時十五分開議

 出席委員

   委員長 吉田おさむ君

   理事 糸川 正晃君 理事 梶原 康弘君

   理事 古賀 敬章君 理事 中根 康浩君

   理事 橋本 清仁君 理事 長島 忠美君

   理事 古川 禎久君 理事 石田 祝稔君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    大西 健介君

      大西 孝典君    金子 健一君

      岸本 周平君    小山 展弘君

      近藤 和也君   斎藤やすのり君

      阪口 直人君    空本 誠喜君

      高橋 昭一君    高邑  勉君

      富岡 芳忠君    橋本  勉君

      畑  浩治君    初鹿 明博君

      花咲 宏基君    森本 和義君

      山本 剛正君    吉川 政重君

      若井 康彦君    若泉 征三君

      秋葉 賢也君    江藤  拓君

      小野寺五典君    梶山 弘志君

      竹下  亘君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    林  幹雄君

      森山  裕君    吉野 正芳君

      江田 康幸君    高橋千鶴子君

      宮本 岳志君    重野 安正君

    …………………………………

   内閣府副大臣       東  祥三君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 道盛大志郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 長谷川彰一君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  樋口 建史君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    原   優君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    川田  司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           加藤 重治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           加藤 善一君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         河村 潤子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       石井 信芳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       梅田  勝君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 中沖  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           雨宮 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            吉村  馨君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 木村 雅昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  本田  勝君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長代理)          久木田 豊君

   衆議院調査局第三特別調査室長           阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     金子 健一君

  打越あかし君     橋本  勉君

  岸本 周平君     花咲 宏基君

  皆吉 稲生君     磯谷香代子君

  森本 和義君     阪口 直人君

  若泉 征三君     若井 康彦君

  江藤  拓君     小野寺五典君

  小里 泰弘君     橘 慶一郎君

  竹下  亘君     吉野 正芳君

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     皆吉 稲生君

  金子 健一君     網屋 信介君

  阪口 直人君     森本 和義君

  橋本  勉君     初鹿 明博君

  花咲 宏基君     岸本 周平君

  若井 康彦君     若泉 征三君

  小野寺五典君     江藤  拓君

  橘 慶一郎君     小里 泰弘君

  吉野 正芳君     竹下  亘君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  初鹿 明博君     打越あかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成二十三年東北地方太平洋沖地震による被害及び対策状況)


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、平成二十三年東北地方太平洋沖地震による被害及び対策状況について政府から説明を聴取いたします。東内閣府副大臣。

東副大臣 東北地方太平洋沖地震の被害状況及びその対応につきまして御報告いたします。

 まず、この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。

 この地震は、三月十一日十四時四十六分ごろに発生し、宮城県北部において震度七、宮城県南部、中部、福島県中通り、浜通り等において震度六強が観測されました。

 また、この地震によって東日本の太平洋岸全域において大きな津波が発生し、岩手県宮古の検潮所において最大八・五メートルを超える津波が観測されるなど、地震発生後、日本各地で津波が観測されたところであります。

 この地震による被害は、三月二十八日十時時点で、宮城県、岩手県、福島県等において、死者約一万九百人、行方不明者約一万六千二百人に上り、合わせて二万五千人を超えるなど、極めて甚大なものとなっております。また、約二十四万人の避難者が発生しているほか、電気、ガス、水道を初めとするライフラインにも非常に大きな被害が発生いたしました。

 この災害は、交通網が広域的に寸断され、孤立地域も多数発生するなど、かつてない広域津波災害でもあり、まさに未曾有の大災害であります。

 政府の対応といたしましては、地震発生後直ちに内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置するとともに、宮城県に緊急災害現地対策本部を、岩手県及び福島県に政府現地連絡対策室をそれぞれ設置し、被災自治体とも連携して、全力で対応に当たっているところであります。

 地震発生翌日の十二日には、東北地方太平洋沖地震による災害について全国を対象とする激甚災害に指定したほか、緊急災害対策本部では、人命救助、被災者の方々の安全な避難、物資の調達、輸送等に政府一体となって取り組んでまいりました。

 被災地は、地震及び津波の影響により壊滅的な状況にあります。地震の発生から約半月を経過し、被災者の方々の疲労は想像するに余りあるものがあります。被災者の方々の生活に必要不可欠な燃料を初め、水、食料、毛布、医薬品等を確保することが目下の最大の課題です。また、避難生活の長期化に備え、避難所における生活の全体としての改善も重要な課題であります。さらに、災害廃棄物の撤去や仮設住宅の建設にも早急に取り組んでいかなければなりません。

 このため、緊急災害対策本部のもとに設置した被災者生活支援特別対策本部を中心に、対応に全力を挙げているところであります。

 東北地方太平洋沖地震による被害に対しては、引き続き、政府一丸となった対応が必要です。被災された皆さんが一日でも早く平穏な生活ができるよう、全力を挙げて対応に当たる所存であります。

吉田委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長代理久木田豊君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官道盛大志郎君、内閣府大臣官房審議官長谷川彰一君、警察庁生活安全局長樋口建史君、法務省民事局長原優君、外務省領事局長川田司君、文部科学省大臣官房審議官加藤重治君、文部科学省大臣官房審議官加藤善一君、文部科学省高等教育局私学部長河村潤子君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官石井信芳君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長梅田勝君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長中沖剛君、厚生労働省社会・援護局長清水美智夫君、厚生労働省保険局長外口崇君、農林水産省大臣官房審議官雨宮宏司君、農林水産省農村振興局長吉村馨君、水産庁長官佐藤正典君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、資源エネルギー庁次長木村雅昭君、資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君、中小企業庁次長豊永厚志君、国土交通省都市・地域整備局長加藤利男君、国土交通省道路局長菊川滋君、国土交通省航空局長本田勝君、海上保安庁長官鈴木久泰君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石山敬貴君。

石山委員 宮城県選出の石山敬貴でございます。

 本日は、委員長を初め各委員の御配慮をいただき、質問の機会をいただいたことにまず感謝申し上げます。

 冒頭、今回の東北地方太平洋沖地震によりまして命を落とされた一万人以上の皆様の御冥福をお祈りするとともに、いまだ避難所におります、そして御不自由な生活を続けておられる二十万人近くの皆様の御苦労、御辛苦に私自身もいまだ胸が詰まる思いでおります。

 私自身も、震災発生後直ちに宮城に戻りまして、損害が、被害が大変著しかった、北から気仙沼、南三陸、女川、石巻、東松島、松島、塩竈、七ケ浜と、自分でも現地を歩かせていただきました。

 その中におきまして、懸命に、被災された方々の支援を行ってまたは人命救助を行っている市や町、職員の方々初め、自衛隊、警察、消防関係の方々、さらには避難者の方々のケアを行っている医師、看護師、介護士の方々、さらには行政がなかなか行き届かない部分をフォローしてくださっている各種団体または民間のボランティアの皆様、そして、何よりも、今回被災された地域に、避難所に全国各地から本当にさまざまな支援物資を送ってくださった全国民の皆様に、私自身も被災地の人間の一人として改めて感謝を申し上げさせていただきたいと思っております。本当にありがとうございます。

 また、副大臣におきましても、早々に宮城県に入っていただき、本部長としましてその陣頭指揮をとっていただいたことに本当に感謝申し上げます。

 そこで、本日をもちまして、その震災発生から十七日が経過しております。被災地の中には復興に向けた動きが出てきております。ですから、今回は、この何日間の間に、復興に向けて被災地の方々よりさまざま私の方に寄せられました質問を中心に、幾つかさせていただきたいと思っております。

 まず、副大臣に、先ほど激甚災害指定ということがございました。今回の震災に対します国の責務、または、国がいかにリーダーシップをとって復興していくんだという部分を、できるだけ具体的かつ、もし予算的なものも含めてお話しいただける点がございましたら、もう一度改めて、復興していくんだという意気込みをぜひ決意表明していただきたいと思います。お願いいたします。

東副大臣 石山先生が、出身地であります被災地である宮城県で、今お話ありましたとおり、多くの被災地を回られて、そして被災されている方々を激励され、また、そこで必要とされている諸ニーズについても把握してくださっていることに心から敬意を表したいというふうに思います。

 今回の災害、未曾有の災害というふうに言われますが、日本の観測史上初めてのマグニチュード九・〇を記録すると同時に、想像を絶する、先ほど検潮所で、計測では八・五メートルというふうに言われておりますが、現地の人々で難を逃れた方の言葉をかりれば、東さん、十五メートルぐらいの津波が押し寄せたと。まさに史上最大の、それほどと言ってもいいぐらいの津波。さらにまた、福島においては原発事故というまさに複合的な災害が、世界最大と言ってもいいかもわかりませんが、それが起きたわけであります。

 そしてまた、岩手県の北部から福島の南部まで、全長約三百キロメートルありますが、そのうちの百九十キロメートルの沿岸部が大被害を受けてしまっている。面的にも、日本の史上最高の被害をもたらしてしまっている。

 これに対して、先ほどお話ありましたとおり、多くの皆さん方が、まだまだ今ゼロの段階です、瓦れきの山に埋もれながら、この瓦れきを何とか除去していかなくちゃいけない、東さん、そこからしかゼロのスタートには立ち得ませんと。

 そういうことを考えたときに、私たちが取り組まなければならないことは、文字どおり、前例がない問題でありますから、今までの種々のいろいろな経験を乗り越えた形、それを脱皮した形での対策を講じていかなくちゃいけない、このように私は思っているところでございます。

石山委員 ありがとうございます。

 私は戦場というものを見たことはございませんので、何とも表現しがたいわけでございますが、少なくとも、私が歩かせていただいた南三陸、女川、町一つが壊滅状態になっております。鉄筋コンクリートづくりの役場や、またはさまざまな公共の建物も崩れて、骨組みだけになっているという状況です。恐らく、戦地というのはこのようなところが、そのような被害を今回こうむったわけです。

 災害というものは、これまでですと自治体がということがあったかもしれませんが、今、それすら機能していない状態の中で、私自身、国が強いリーダーシップを持って、時には強権と言われることがあるかもしれませんが、そのくらい強いリーダーシップをとって、復興に陣頭指揮をとっていきたいというふうに改めて考えております。

 昨日、宮城県で今回の被災が一番激しかった気仙沼市に行ってまいりました。そして、水産関係の方々とちょうど意見交換をすることができました。

 震災に遭ってこの二週間、私、きのう気仙沼の方々とお話ししていて、少しだけ光が見えたような気がしたのは、皆さんも御案内のとおり、もともと気仙沼というところは、カツオやマグロ、サンマといったように、本当に水産が基軸産業でございます。その中におきまして、水産界の方々が、気仙沼を復興していくのにはこの港からなんだ、市場からなんだということを、そのまなざしの中にまだあきらめない気持ちを持って私たちに強く訴えをされていた。

 私は、この気持ちがあれば、もう一回、気仙沼はこの港から復興していけるなといったような確信というか、自信というものを受け取らせていただいて、東京に参らせていただいております。

 しかしながら、その中におきまして、昨年の二月二十八日に発生しましたチリ沖地震由来の津波におきまして、実は、三陸沿岸はやはり津波の被害に見舞われ、激甚災害というものに指定され、まさに復興の途中にあったところに今回の大地震、大津波ということでございます。

 そのお一人お一人の方々、実は、水産業の方々、漁業の方も養殖業の方もまた水産加工業の方々も、そのときの復興のための借入金というものを既に多大に持っているといったことがございます。今、新しく、さらに復興していくんだといったときに、個々人のではございますが、今抱えている借入金というのが心にひっかかって、廃業してしまおうかといった方々もおられる。何とかこの辺の国の支援をといった声が出ております。

 この点に関しまして、ぜひとも、今どのように考えているのか、御意見を聞かせてください。お願いいたします。

佐藤政府参考人 ただいま委員の方から御指摘ございましたように、今般の地震、津波によりまして、震源に近い岩手県、宮城県、福島県のみならず、太平洋沿岸の広範囲において、漁港、漁船、水産関係の施設に大変大きな被害を及ぼしております。

 これを受けまして、三月十一日付で、被害漁業者等に対しまして資金の円滑な融通、それから既存の貸付金の償還猶予についての依頼を関係機関にしたところでございます。

 また、今般の被害によりまして返済が難しくなった借入金につきましては、その返済に充てるための資金を低利で融通する漁業経営維持安定資金への借りかえによりまして、返済期間を最長で十五年間繰り延べることができるように措置するということを考えているところでございます。

 今後とも、被災された方々が将来への希望と展望を持って水産業を再開されますように、さまざまな対策を考えていく所存でおります。

石山委員 ぜひともお願いして、ぜひともここのところはしっかりと考えていかなきゃいけない部分だと思っております。

 もう一つ、きょう参考資料としまして写真も提示させていただいているんですが、宮城県、東北の基幹産業は、水産業のほかに農業もそうです。

 これは一昨日の写真でございますが、石巻市の北上町、北上川の河口付近の写真でございます。決して、これは湖でも沼でも川でもございません。水田です。震災後、この時点でも、十五日がたっているにもかかわらず水が引かないといったような状況で、またさらには、水田におきましてはこのように家屋等の残骸が散らばっているといった状況。

 さらに、北上町ではございませんけれども、宮城県内におきまして、近くの工場がやはり津波に流されて、そして、その中で使われていた重金属であったり油だったりがそのような農地、水田に流されているといったこと、さらには、福島で起こっているような原発の問題といったことがあります。

 ことしの作付はできないと今農家の方々も言っておられる。このような農家の方々に対する支援、または田んぼの復旧というものをしっかり行っていかなければならないと考えておりますが、今の現状の方針というものをお聞かせください。お願いいたします。

吉村政府参考人 お答えいたします。

 津波による農地の被災でございますけれども、岩手県、宮城県、福島県合わせて、現時点での推計で約二万ヘクタールに及んでおりまして、極めて大きな面積でございます。このほかに、液状化等で湛水できなくなった水田ですとか水利施設の破損で影響をこうむった水田の被災状況、これは現在調査中でございます。そういうことで、全容はまだ明らかになっていない状況でございます。

 さらに、石山委員御指摘のとおり、津波の被害を受けた農地の一部には大量の瓦れきが堆積していて、復旧に当たってその処分が前提となります。瓦れきは、農地だけではなくて、宅地、それから公共用地、海上にも存在しておりますので、災害廃棄物の処理等の円滑化に関する検討会議におきまして、損壊家屋等の処理の進め方について指針を作成して、政府全体として取り組むことにいたしております。

 また、農地の塩害対策でありますけれども、これは、十分な量の真水を長期間かけて土壌中の塩分を洗い流す、場合によっては客土を行う、それから石灰等の施用、こういったことを対象地域の被害の状況に応じて、単独あるいは組み合わせて実施していくということが必要だと思っております。

 今後、実際の現場、先ほど石山委員はお写真も持ってきていただいていますけれども、そういう状況も我々としても把握しておりますが、そういう現場の調査をした上で、津波による被災、農地の復旧をしていきたいというふうに考えておりますけれども、やはりそれについてはかなり時間がかかるというふうに考えておるところでございます。

石山委員 ありがとうございます。

 宮城、岩手、福島、基幹産業は、水産業であったり農業であったりといった第一次産業です。これがなくなってしまって、壊滅的なことになってしまって復興ができないというようなことが起きれば、その地域から若い人たちが流出していく、地域の疲弊がさらに加速していくということにもなりかねませんので、しっかりとした復興をお願いしたいと思っております。

 きょうは文科省の方々にも、実は原子力、放射線のことでちょっと来ていただいたんですが、時間となってきましたので、それはまたの機会ということでお願いしたいわけでございますが、最後に、少し意見として述べさせていただきたいと思います。

 私、三人兄弟の長男坊でございまして、実は弟二人が消防士をやっております。すぐ下の弟が、今回、次に質問します斎藤さんの選挙区でもございますが、荒浜というところの人命捜索を震災後ずっと続けております。しかしながら、弟たちが消防士として捜索したところに、また警察の方が後から来て捜索する、自衛隊の方がまた来てやっているといったように、どうも横のつながりが悪いといった点が指摘されております。ですから、冒頭お願いした国のリーダーシップという部分、こういった部分においてもしっかりとした連携を図るといったことをお願いしたいというふうに思います。

 そして、最後にもう一点だけ。

 例えば南三陸、女川、今その役場の職員の方々も被災し、または死亡されたといったことが起きています。自治体の方々、復興といったようなことに集中してやりたいといっても、もうマンパワーが足りなくなっている、疲労も精神的にも限界に来ているといったことがあります。

 ですから、やはりこれも国が音頭をとって、例えば自治体経験者のOB、現役を、一人、二人ではなくて、本当に五十人、百人単位でそのような被災地に送り込んでいく、ボランティアとして助けていただくといったことも早急に行っていくことが、被災に遭った土地の早急の復興につながっていくものと思います。ぜひともよろしくお願いをさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございます。

吉田委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 被災地仙台の衆議院議員斎藤やすのりでございます。

 私も、震災以来ずっと、被災地仙台で、被災された方の声を国に届けてまいりました。きょうも、仙台市民、宮城県民を代表しまして、今最も宮城の方が不安に感じていることをぶつけていきたいと思っております。大変恐縮ですけれども、できる限り具体的な答弁をよろしくお願い申し上げます。

 まず、ちょっとこちらをごらんください。上の方なんですけれども、これは土曜日、おととい夕方の被災地仙台市泉区の様子です。一車線、長い車の列ができています。これは数百メートルではききません。数キロぐらいは渋滞ができている。実は、この先のスタンドでは給油をしておりません。次の日の午前中の給油を待って、一晩ここで停車しています。

 関東地方では先週既にガソリンの供給不足は解消されたようですけれども、仙台、宮城、福島ではいまだに供給不足が続いております。きのうの朝は、福島で給油待ちをしていた御高齢の方が車の中で亡くなったという非常に痛ましい事故がございました。

 宮城県には四万台の緊急車両が復興作業を一生懸命してくれています。まずはそのガソリンの確保というのが必要であるということは宮城県民みんなの総意なんですけれども、しかし、一般車両の供給不足は余りにも今さまざまな問題を発生させております。

 物資を避難所に運びたい、でも運べない。必要なものが届かない。スーパー、コンビニでは物資が届かない。今、仙台市内のコンビニエンスストアはほとんど閉店しております、閉まっております。そのために、避難所では食料があるんだけれども、避難所を出た方は食べ物がないという状況が出てしまっております。そのほか、ヘルパーの方が介護に行けないとか、介護施設に水も食料も運べない、脱水症状の入所者がふえたという介護施設もある、そんな事例もございます。

 政府は、先々週の段階で、あと数日には解消するというふうにコメントしておりましたけれども、仙台市民の多くは、失礼ですけれども、ちっともガソリン不足は変わらないじゃないか、並ぶ時間は変わらないじゃないかと思っております。

 実際の石油製品の出荷量のデータを見てみますと、確かに、休み明け、三月二十二日には二倍の石油製品の出荷量がありました。ところが、ごらんのように、その後は頭打ち。しかも、今、宮城県の石油商組合に加盟している五百六十カ所のスタンドのうち、震災の被害で給油可能なスタンドは二百カ所しかございません。しかも、緊急車両を優先的に給油している。しかも、県内のJR在来線、新幹線が不通になっていることなどもありまして、一般車両へのガソリン供給不足は余り改善されておりません。

 ただでさえ、震災で家族を亡くしたり、長い避難所暮らしで疲れ果てている宮城県の方が、歯を食いしばって頑張っているんですけれども、これですごいストレスがたまっております。しかも、ガソリン不足で足を奪われている。これは物理的に解消できる問題だと思います。

 そこで、質問です。

 できる限り具体的にお願いしたいんですが、宮城県のガソリン供給は一体いつになったら解消されるのか。それから、営業していないスタンドを営業できるように国として何らかの対策、例えば、陸前高田でもドラム缶のガソリンスタンド、仮設スタンドがオープンしました、あるいは、もしかしたらタンクローリーから直接給油できる方法というのを規制緩和ですることができないか、そういうことも含めて、ぜひ答弁をよろしくお願いします。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生御指摘になられましたガソリンスタンドの給油待ちで亡くなられた方、大変痛ましい事故が起きたものと思っておりまして、私どもも大変緊張して事に当たっておる次第でございます。

 現実の問題につきましては、今先生御指摘されたとおりでございますけれども、私どもがこれまでやってきたことについて、具体的にということでございますので、若干御説明をさせていただければと思います。

 塩竈油槽所というのが、御案内のとおり、宮城における大きな拠点でございまして、こちらにこれまでタンカーが着けられない状態が続いておりましたが、二千キロリットルに加えまして、昨日は五千キロリットルのタンカーが着船をさせていただきました。これによりまして、外から入ってくる量がある一定量確保されることになると思っております。

 ただ、今、先生御指摘のございました実際の出荷量の数字でございますが、二十六日の土曜日が一番新しい数字でございますけれども、五千三百キロリットルという数字を、一応数字の上では出させていただいております。これを何とか落ちないようにまた維持していくことが大切だと思っております。

 それと、今先生御指摘ございました稼働中のSSでございますけれども、私ども、いわゆるJXとか出光とかそういった元売系列、宮城県六百十五ございます。このガソリンスタンドの販売情報、これは先生御案内のとおり、POSというシステムがございまして、販売を一度行いますとそれが登録をされる仕組みになっておりまして、ある意味、時間帯がどういう時間帯で営業しているのかわかりませんので、非常に短い時間帯かもしれませんが、稼働できるSSは、今申し上げた六百十五のうちの四百十四が最新の数字として営業可能な数字ということでございます。したがいまして、こういうところにいかにしっかりと給油を行っていくのかということが大切だと思っております。

 今先生おっしゃいましたような仮設のミニSS、昨日、岩手の陸前高田で第一号をスタートさせていただきましたけれども、できましたら、あすにでも宮城におきましてもぜひ開設をすべく、今、関係市町村と調整をさせていただいております。

 また、タンクローリー、東北全県で二百五十台ほど投入をいたしましたけれども、まだ相当不足をしておりますので、自衛隊等の協力を得ながら、ドラム缶によります軽油、灯油、およそ四千本を自衛隊の御協力で搬入をしております。また、宮城県向けに灯油、軽油ということで三百二十五本ずつ、これはガソリンではございませんけれども、合計六百五十本を供給するということで、大変御迷惑をおかけして申しわけない次第でございますけれども、今精いっぱいやらせていただいているところでございます。

斎藤(や)委員 どうもありがとうございました。

 施策も含めて、ガソリンの供給のところも含めて、精いっぱいやっていただいているということではございますけれども、やっているやっているというふうにずっとここ数週間続いているんですが、なかなか解消されないということで、さらなる努力をよろしくお願い申し上げます。

 ガソリンスタンドを経営されている方も、みずからが被害者でありながら、被災者の足の確保のために店を営業しております。中には、経営者の方が、納品書が流れたり売り掛けもわからなかったり、経営状況の把握すらできない上に、沿岸部では、契約している銀行、金融機関が丸ごと流されているところもあります。さらには、油の量が平常時の二割しか流通していないので仕入れコストがかさむ、それから、渋滞対策の警備員の雇用などもありまして経費が非常に増大していて、値上げをすると便乗値上げだと言われる。ガソリンスタンドの経営というのが非常に危機的な状況になっています。

 ガソリンスタンドだけじゃありません。例えば、津波で工場が跡形もなく流された会社もございます。給料を払えないんだ、新卒を採用したけれども、採用を取り消しせざるを得ないんだ、被災地の取引先から集金できない、本当に路頭に迷っている宮城県の中小企業の経営者がたくさんいます。

 そこで、質問です。

 ここ二、三日に私のところに来る最も多い質問ですが、一つは手形の取引です。通常、不渡りが二回続くと銀行取引停止となりますけれども、その不渡り猶予に関して、国はどのような指針をお持ちになっているのか。

 さらに、この後、大量の失業者が出てくる可能性がございます。ハローワークなんかに問い合わせてみますと、既に大分出てきているということなんですけれども、国として、失業者を出さないための大胆な雇用政策のメニュー、どれだけの予算を計上して何をやるのか。今、もしプランがあるなら、ぜひ国民の皆様に示していただければ幸いでございます。よろしくお願いします。

和田大臣政務官 斎藤委員の前半の御質問の方にお答えしたいと思います。

 手形取引に対しまして、被災地域の方々、中小企業の方々を中心に大変な御苦労の状態になっていることは、私どもは最初から認識いたしております。そのため、被災直後の十一日以降、三度にわたりまして、こういった業界の方々に要請文を発しまして、手形の取引につきましても格段の御配慮をお願いしたいというふうに言ってまいったところでございます。

 また、それに対しまして、それぞれの手形交換所においても、こういった災害が発生したときの対応についてあらかじめ定めていただいているところもあり、実際には、この被災以降、期限を迎えます手形の取引につきましては、まず、不渡りになるという現象面はいたし方ないのでございますが、なったときに通常行われることとしまして、不渡り報告への掲載というものがございます。そちらの方を猶予するというふうにしていただいております。

 またさらに、先ほどお話の中にあったかどうかはあれですが、取引停止処分というものが普通は銀行等の間で行われるわけでございますが、これにつきましても、差し当たり猶予するということで措置をとっていただいています。

 もう一つ御説明させていただきたいと思いますが、実は今、被災地域におきまして、まだ手形交換所そのものが事業再開できていないところがございます。これにつきましても、真摯に御検討いただいた結果、短い時間で申し上げますが、あけられている各手形交換所で自分の対象範囲を広げていただきまして、まだ業務が再開できていない交換所の分も含めて手続をとっていただくというところまでやっておる次第でございます。

 以上でございます。

中沖政府参考人 雇用対策についてお答えをいたします。

 今回の震災によりまして、非常に多くの被災者が離職あるいは休業を余儀なくされると認識されております。

 このため、地震後直ちに、離職者の方のための特別相談窓口をハローワークに設置いたしておりますし、雇用促進住宅のあいております住戸を被災者に提供することといたしまして、今回被災に遭われました三県で三千戸以上が、一部分修繕は必要でございますが、入居可能ということを確認いたしております。

 また、雇用保険の失業手当につきましても、震災によります休業でもこれは失業したものとみなしまして、実際に手当を受給できる特例を今回実施いたしました。

 また、事業主に支出いたします雇用調整助成金につきましても、例えば、交通手段が途絶して従業員が出勤できないあるいは製品を出荷できない、また、事業所、工場等が損壊して修理がなかなかすぐにできない、そういった場合に幅広く活用できることを、実際の活用事例あるいはQアンドAなどを踏まえて周知いたしておりますし、また、要件につきましても、今回、災害救助法の適用地域に所在します事業所につきましては、確認の期間等を三カ月から一カ月に短縮するというような形で支給要件を大幅に緩和いたしております。

 今後は、さらに、ハローワークから避難所等に出向いての出張相談、あるいは住宅も問題でございますので、例えば社宅あるいは寮つきの求人を確保していくといったことを通じて、雇用対策に全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

斎藤(や)委員 力強い答弁をありがとうございました。

 失業されている方、それから路頭に迷っている中小企業経営者の方には少しだけ光が届いたのかなというふうに思います。ただ、まだ光は足りません。全力でよろしくお願い申し上げます。

 最後に、時間がないので、短目の質問を一問だけさせていただきます。

 私有地のごみの撤去の問題です。

 これは、被災地気仙沼の方からの意見が私のところに届きました。気仙沼というのは、自分の着ているもの以外全部流されてしまったという方もたくさんいます。何も残っていないんです。

 これらの人の私有地に入ってきているごみの撤去の費用をどうするか。私有地のごみの撤去、これは公費負担できるのかできないのか。実は非常に不安を感じられている方が多いんです。よろしくお願いします。

伊藤政府参考人 今回の震災で個人の住居などの私有地に入ってきたごみについての撤去でございますけれども、これは基本的に、災害廃棄物として、市町村により公費によって処理がなされるということでございます。もちろん、この市町村が行う災害廃棄物の処理に要する費用につきましては国からの補助をきちっとやっていく、こういうふうな仕組みでございます。

斎藤(や)委員 今の答弁で、気仙沼の方々も多分大分ほっとしているのではないかなというふうに思います。

 被災されている方にとって、今、政府に求められていることは、ガソリンにしても、それから住まいにしても、一体いつまで我慢すればいいのか、これを早く掲げてほしいということです。これをよく言われます。政府には、被災地の方の思いを、今でも酌み取っていただいていると思いますが、言われてから情報を出したり政策を決めたりするのではなくて、現場の声を察した、スピードある政策決定をぜひこれからもしていただきたいというふうに思います。

 きょうはありがとうございました。

吉田委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 岩手県選出の畑浩治でございます。

 今回の震災で被害を受けられた方、そして亡くなられた方に心よりお見舞いとお悔やみを申し上げる次第でございます。

 そして、救助活動、復旧復興活動に携わっておられる関係機関の皆様に心より敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 今回の震災では、まさに岩手や東北の海沿い、これが津波により壊滅しました。町一つ残っておりません。私の関係者で亡くなられた方、幸い亡くなられませんでしたが、すべてを失って避難所生活をされている方がたくさんおられます。

 私自身も、三月十一日、実は地元におりまして、すごい揺れで、急いで逃げた次第でもありますが、その後二週間近く、避難所、市町村の災害対策本部を回って、安否確認、情報確認、そして皆さんの要望聴取、こういう活動をしてまいりました。また、物資、これは本当に当初は足りなかったです。この物資の調達、コーディネート、あるいは運搬活動もした次第でございます。

 東北の方々は本当に我慢強いです。頑張っておられます。私が避難所へ行きまして、これは愚問なんですが、どうですか、大変ですか、御不自由ないですかとお聞きします。そうすると、避難所の方々は、いや、何とかやっています、大丈夫です、行政にはお手数をかけております、こういうことを言うんですね。私はこの言葉に本当に頭が下がりました。今こそ、政治がこの被災地の皆様の信頼にこたえるときだと私は思います。

 そして、被災地域の市町村は、極めて広範囲で、日ごろから、財政力も弱い、行政的にも厳しい、もちろん民間の経済活動も厳しい地域です。こういう厳しい地域が壊滅的な被害を受けてしまった。このことについて本当に、国の万全の御支援、御指導を賜りたいと思っておる次第でございます。そういう観点からお伺いさせていただきます。

 今回の震災では、公共施設や漁業関係施設が壊滅的な被害を受けてしまった。これについて、現行法制では、激甚災害の指定も早速やっていただきました。あるいは、公共土木施設災害復旧事業の指定というものもございます。ただ、この指定をして補助率のかさ上げをしたとしても、幾分地方負担は残るわけです。この地方負担さえも出せない、自己負担さえも出せないという悲鳴が地域から上がっております。

 こういう状況にかんがみれば、この地方負担分の手当てを国が特例的に負担すべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えをお願いいたします。

東副大臣 畑先生におかれましても、地元岩手、被災地の皆さん方に対して、本当に日々、今日まで激励、そしてまた現場で必要な情報を国の方に送っていただきまして、その活動に心から敬意を表したいというふうに思います。

 このたびの地震、津波による災害については、被害の全容が明らかになる前ではありましたけれども、被害の甚大さから、明らかに激甚災害指定基準を超えるものと判断して、翌日の三月十二日に激甚災害指定を閣議決定したものであります。

 御指摘のとおり、とにかく地方の負担がないようにという、僕も個人的には全く同じ気持ちでありますが、激甚災害に指定された場合、公共土木施設等の災害復旧事業は、地方自治体の財政負担力に応じて国庫補助率は一、二割かさ上げされ、その大半が国庫負担となるものであります。また、残りの地方負担分についても、起債そして交付税措置がありまして、地方自治体の実質的な負担は事業費に占める割合としてはごくわずかになるんじゃないのか、このように思っています。

 いずれにせよ、今後の被災地の復旧復興については、このたびの災害が未曾有の災害であることを踏まえながら、国のとり得る政策手段を最大限に活用しながら対応していく必要があると認識いたしております。

畑委員 心強い答弁、ありがとうございます。

 現行制度を前提にするしない、いろいろあると思いますが、使い勝手のよい、地域の裁量が大きいような、しかも事務手続も簡素なような、そういう組み立てで、ぜひとも地域を、地方を支援していただきたいと思います。

 次に、個人財産についてであります。

 今回の津波の被害に遭われた方は、全部なくしてしまった方が多いわけです。これは、家だけではなくて、地域のそれぞれの人の移動の手段であります車、あるいは生業の糧であります漁船あるいは漁具等含めてすべて失ってしまった。今回は、通常の災害とは受けた被害の質が全く違います。規模も全く違います。現行法では、被災者生活再建支援法で、支援金が出るのは住宅の再建費用で最大限三百万ということになっております。これはとても足りない。この足りない分をどうするかということを国として考えてほしいのであります。

 また、瓦れきの処理ということもございます。先ほど環境省の方からお答えがありましたけれども、市町村が公共でやるということはいい、そしてそれに対する支援もあります。ただ、これも市町村の負担がある。その負担が出せないという悲鳴があるわけです。

 そういうことで、お伺いしたいんですが、被害に遭った住宅、車、漁船、漁具等の個人財産について、これは撤去も含めて、撤去という意味は市町村負担の支援ということになりますが、この個人財産の補償、支援ということについて、従来の制度の枠を超えた、新規立法も含めた手厚い支援を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。

東副大臣 より技術的なことに関しては、また政府参考人の方から答弁させていただきたいというふうに思いますけれども、御質問にありました、例えば損壊家屋、自動車、それから船舶の撤去等、これは、あるところにおいては、町、地区ですけれども、三千隻ぐらいの漁船がもうぐちゃぐちゃになってしまった、そういうところもあります。

 こういう問題については、被災者支援特別対策本部に検討会議を設置いたしておりまして、関係府省庁が一体となって取り組んでいて、三月二十五日には、建物、自動車、船舶等を撤去する際の問題点について、損壊家屋等の撤去等に関する指針を取りまとめて、関係県知事に通知を行ったところであります。

 現在は、もう畑先生御案内のとおり、物資の輸送それから補給、避難所生活の改善等、被災者支援に重点を置いて取り組んでいるところでありますが、被災者の生活再建を含め、このたびの災害が、おっしゃられるとおり、未曾有の大災害であることを踏まえながら、国のとり得る政策手段を最大限に活用して取り組んでいきたいというふうに思っております。

伊藤政府参考人 私の方から瓦れきの処理について若干付言させていただきたいと思います。

 今回の震災におきましては、津波によって膨大な量の災害廃棄物、瓦れき等が発生して、深刻な状況にございます。このため、災害廃棄物の処理に関する財政上の支援については多額の費用を要するということでございます。したがいまして、その処理が着実かつ円滑に行われるよう最大限の努力を行ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

佐藤政府参考人 ただいま委員の御質問の中に、漁船、漁具の関係がございましたので、これの被害に対する対策の考え方につきまして多少御説明させていただきたいと存じます。

 漁船それから養殖施設の被害につきましては、激甚法に基づきます共同利用漁船建造費の補助あるいは養殖施設災害復旧事業に対する補助、それから漁船保険あるいは漁業施設共済あるいは低利の融資等、制度がありますけれども、今回は大変膨大な数の漁船等々の施設がやられておりまして、壊滅的な被害というふうに認識しております。

 したがいまして、これまで以上の事柄として、一体どのような支援が有効なのかということで、現在大至急で検討しているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 何とぞ、現場の状況を踏まえまして、最大限の検討をお願いしたいと思います。

 そして、これから復旧復興の長い道が続くわけでございます。阪神・淡路大震災の総復興事業費は約十六兆三千億円とされておりますけれども、今回の震災は、それを大きく上回る二十数兆円が必要と試算されております。財源確保については、まずあらゆる手だてを尽くす必要があると思います。増税や自治体負担は好ましくないと私は思います。例えば、日銀引き受けの震災復興特別国債の発行、あるいは政府保有の米国債を担保にした国債の発行、あるいはマイナスの金利をつけて義援金の性格を持たせた個人向け国債ということもあるだろうと思います。思い切ったあらゆる手段を考えていく必要があると思います。

 現在、全貌が見えずに、被災地の人々あるいは東北の人々、不安が高まっております。今こそ、国の信頼性が問われるときはないわけでありますが、国としては、現在進めていること、そして今後の対策をしっかりと国民の皆様に示して、説明する必要があるんだろうと思います。

 そこで、お伺いしたいと思います。

 財源確保とそして復旧復興に向けた政策実行に向けての決意を、東副大臣から、政治のメッセージとして明確に出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

東副大臣 畑先生御案内のとおり、今回の震災については、地震発生直後から、災害対策基本法第二十八条の二に基づいて、内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を、これは法制定以来初めて設置して、そして応急対応に全力で取り組んできたところであります。

 そういう意味で、現在は、もう畑先生御案内のとおり、僕も現場をぐるぐる回っていて、もちろん復旧復興のことが頭をよぎるんだけれども、今、自分の目の前にこれだけ埋もれている瓦れきを何とか早く撤去したい、そして整地化したい、そして、それが来ない限り次のことも考えられない、ただ、自分たちはここで生まれ育ったんだから、何とかしてここでまた再生の道を探っていきたい、こういうふうに言われている方々が圧倒的でございました。

 ただ、さはさりながら、今、畑先生が言われるとおり、復旧復興をどういうふうにするんだ、国のリーダーシップをもってどのように取り組んでいくのか、それはまさに御指摘のとおりでありまして、種々、国としてでき得るありとあらゆる政策手段、これを活用しながら進んでいかなくちゃいけないというふうに思っている次第であります。

畑委員 東副大臣の心強い答弁、本当にありがとうございました。

 また、申しおくれましたが、東副大臣には、岩手県の方にも来ていただいて、見ていただいて、そして岩手県の要望も聞いていただいたことにも改めて御礼を申し上げる次第でございます。

 この復旧復興のためには、確かにいろいろ問題はございまして、例えば規制についても、いろいろ現場でこの規制があって進まないということもございます。こういうことも含めて、戦時なんだというつもりで、柔軟に、かつ本当に現場の思いを酌んでいただいて、復興復旧に有効なことはしっかりやっていただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。

 そして、本日はもう一つ、実は、高速道路の東北道あるいは八戸自動車道、ここの部分、復旧復興の促進のために無料化したらいいんじゃないか、これを続けたらいいんじゃないか、私はこのことはあってしかるべきだと思って、このことをお聞きしようと思いましたが、これはまた国土交通委員会等で議論させていただきたいと思います。

 本当に、東北の人々は頑張っております。関係各機関の皆様、東北の人々をどうぞお助けいただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、橋本清仁君。

橋本(清)委員 東北地方太平洋沖地震被災地選出の橋本清仁でございます。

 まず、この災害によりお亡くなりになられた方々、そして、被災され、今も避難所に身を寄せられている方々に対しまして、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げさせていただきます。

 そして、東副大臣におかれましては、宮城県に震災直後からお入りになられ、陣頭指揮をおとりになられておりますことに、心からの感謝を申し上げます。

 また、全国そして全世界から温かい絶大なる御支援をいただいておりますことに、震災地を代表して、心からの感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 まず、私も、震災直後から地元に入りまして、さまざまな方々から国に対する要望、また自治体の市長、町長さんからの要望を国に伝えさせていただきました。そういった中で、私、一番心配いたしておりますのが、何といっても被災者の生活の再建でございます。

 今回の災害におきましては、愛する家族を失い、また、車やさまざまな農耕機具、ほかにもございますけれども、全財産を失い、避難所に今も身を寄せていらっしゃる被災者の方々が数多くおられます。被災者の方々は、きょう、あしたの生活を考えるので精いっぱい。被災者生活再建支援法などもございますけれども、不安を抱いていらっしゃる被災者の方々に対しまして、少しでも安心していただけるように、東副大臣から力強い生活再建についての御答弁をいただきたいと思います。

東副大臣 橋本先生におかれましても、すぐ、寸断されている道路の網目をくぐりながら、当日だったと思いますが、夜中に現地に到着され、そして、橋本先生の身近な方々においても被災されたことを聞き、また今日まで現場で多くの被災者を激励されてきたことに改めて敬意を表します。

 全く、橋本先生がおっしゃられるとおりでありまして、本当にできることは何でもしなくちゃいけないというふうに思っております。御案内のとおり、この震災が発生して一週間弱で被災者生活支援特別対策本部を設置したというのも、今まさに先生がおっしゃられることを踏まえた上で、政府ができる限りのことをやっていこうという決意のもとにでき上がったものというふうに私自身も理解しております。関係各府省庁が本当に一体となった取り組みを進めていかなければならないというふうに思っております。

 ぜひいろいろなアイデアも出していただいて、そして現在は、先ほど来申し上げているとおり、動脈の部分、物資支援という側面においてはある程度つながってきていると思います。

 ただ、先ほど来御指摘がありますとおり、まだ足りない部分がある、毛細血管にまだ血液が回っていない部分があります。そういうところから、被災に遭われた方々がとにかく自分たちはみんなとともに進んでいけるんだ、そういう環境を整え、そして、それと同時並行的に復旧復興の形ができ上がっていけばいいというふうに思っている次第であります。

 全力で取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

橋本(清)委員 東副大臣、本当にありがとうございます。東北地方の皆さん方をぜひ全力で助けていただきたいと思います。

 また、今回の災害は被災地が非常に広範囲にわたりまして、大規模な津波により地域そのものが壊滅的な損害を受けております。そういった中で、雇用の場を失ったり、また、さまざまあしたの生活に困っている、そういった状況の中で、何とか雇用の場をつくっていただきたいと思います。

 阪神・淡路大震災のときにおいては、被災地区において計画、実施される公共事業にできるだけ多数の失業者を吸収し、その生活の安定を図ることを目的とする、阪神・淡路大震災を受けた地域における被災失業者の公共事業への就労促進に関する特別措置法というものがございました。この法律、さまざまな効果の検証を行った上で、これから我々の今回の震災に対してどのような対応をとっていくのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。

中沖政府参考人 先生御指摘のとおり、阪神・淡路の震災時につきましては、公共事業就労促進法を制定いたしまして、無技能労働の方の一定割合について被災失業者を雇用する仕組みを設けたわけでございますが、その実績は残念ながら極めて低調でございまして、効果が限られていたため、今回の震災で同じ仕組みを設けるかにつきましては慎重な検討が必要だと考えております。

 しかしながら、当然、先生御指摘ありましたとおり、震災の影響で仕事をなくした方のために雇用の場を創出すること、これは大変重要なポイントでございます。そこで、各自治体において、失業者のために一時的な雇用を創出する緊急雇用創出事業、これは国からの交付金に基づいて基金を造成したものによります事業でございますが、こうしたものをまず積極的に御活用いただきたいと考えております。

 具体的には、例えばでございますが、被災者を雇用いたしまして、避難所における高齢者への支援を行う、あるいは被災地域の安全確保のパトロールなどの事業を実施いただきまして、いわば、復興の支援と同時に被災者の雇用創出にもつなげていただきたいというふうに考えております。

 なお、当然のことではございますが、厚生労働省といたしましては、被災地域の雇用状況、あるいは先ほど申し上げました基金の活用状況等を踏まえ、さらなる雇用対策を検討してまいりたいと考えております。

橋本(清)委員 ありがとうございます。

 生活再建と一緒に復興事業を行う、これは非常に重要なことだと思いますから、しっかりとその後の経緯も踏まえた上でなさっていただきたいと思います。本当によろしくお願い申し上げます。

 そしてまた、今回、私は被災地選出の国会議員ですけれども、非常に大変だなと思ったのは、物流拠点がすべて壊滅的なダメージを受けていたということです。仙台港にいたしましても、仙台空港にいたしましても、また道路におきましても、さまざま寸断されておりました。その中で、今も復興がおくれておりますのが、私の選挙区にございます仙台空港です。

 仙台空港は、日ごろは東北の空の窓口として機能いたしておりますし、また、災害においては避難所としての役目も果たしました。

 仙台空港におきましては、国土交通省の皆様方と、避難所に対しての機能を十分発揮できるようにと、偶然ですけれども、地震が起こる一週間前にもさまざま打ち合わせをさせていただいたところでございます。そういった中で、空港ビルの関係者の皆様におきまして、避難していた方々に対する食事の提供など、さまざまな御配慮をいただきましたことに心からの感謝を申し上げます。

 この仙台空港は、今回の津波によって、車とか土砂、瓦れきの漂着、浸水など、甚大な被害が生じております。また、滑走路につきましても、液状化についての心配も懸念されるといった状況もございます。

 こういった状況におきまして、ぜひとも、今、地方自治体は非常に財政が厳しい状況でございますから、できるだけ財政の負担を少なくしていただくとともに、また、ターミナルビル、こういった部分に関しましても特段の御配慮をいただければと思っております。この点に関してお答えをいただきたいと思います。

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに御指摘のとおり、今回の災害によって、仙台空港は甚大な被害を受けております。

 御案内のとおり、その直後から、被災者の方々への支援物資の輸送拠点として、まずは千五百メーターの滑走路を使えるようにいたしまして、現在は、米軍を中心に救援物資の輸送拠点とさせていただいております。

 ただ、仙台空港は、東北地方の中で航空需要の四割を占める、そういった巨大な空港でございます。やはり我々は、改めて民航機就航を目指して作業をやっていかなければならないと思っておりますが、現状を申し上げますと、今御指摘のとおり、滑走路その他に漂流物がなお堆積し、また滑走路の強度などについてのチェックが必要でございますし、航空灯火、電源、航空保安施設あるいは空港ターミナルビル、施設あるいは機器がそれぞれかなり損壊しておる状況でございます。

 また、民航機を就航させるためには、管制塔あるいはレーダーといった管制の仕組みももう一回立ち直らせる必要があるということで、これから我々はそれに立ち向かっていかなければならないと思いますし、その際に、現行の法制度では、そのうちの幾つかの施設を整備する場合には三分の一を地元に御負担していただくといったような制度もございます。

 こういった制度に対して今後どうしていくかということも、地元のお考えを聞きながら検討してまいりたいと思いますし、今回甚大な被害に遭っております民間施設であります空港のターミナルビル、これもやはり民航機を再開するためには必須の施設でございますので、この復旧に当たって、国からの支援策の必要性などについてもしっかり検討させていただきたい、かように考えております。

橋本(清)委員 ありがとうございます。

 神戸港埠頭公社への補助のようなものもございますから、ぜひとも、ターミナルビルに対する補助に関しましてもしっかりと対応していただければと思いますし、空港再開のおくれは、地域再生のおくれのみならず、我が国の経済に甚大なる被害を及ぼすと思いますから、いち早い復旧をお願い申し上げます。

 また、実は、仙台空港がある場所は非常に水がたまりやすいというか、今までこの空港自体が大雨によって水没したこともございます。まさに、あのセスナ機が水に沈んでいる様子というのは非常に大変な状況でございますけれども、これを防いできたのが、地域にある国営かんがい排水事業、南貞山堀沿岸地区の排水事業なんですね。

 この排水事業におきましては、新規着工を概算でお願いしておったわけですけれども、この部分に関しましても、もう根本的に事業を見直ししていかなければならないでしょうし、しかし、この事業をしっかりやっていかなければ、これから、今は雨が降っていないからいいですけれども、今も、国土交通省さんと農林水産省さんからポンプをお借りして、必死に排水をしながら復興を行っている状況でございますけれども、こういった部分、全体的に把握しながら、まずはこの事業の全体的見直し、及び、これも地方負担が出てきますから、こういった厳しい状況の中において、できるだけ地方負担を減らしていただきたいということもございますし、特段の御配慮をいただきたいと思います。

吉村政府参考人 国営かんがい排水事業南貞山堀沿岸地区の関係についてのお尋ねでございますけれども、委員御指摘のとおり、この地区は、地震、津波によりまして壊滅的な被害を受けておりまして、農地が広範に湛水しているという状況でございます。

 御指摘のとおり、農水、国交省から大きいポンプも貸し出して排水をしてきている状況でございます。被災状況からいたしまして、これまで進めてきた国営かんがい排水事業計画、残念ながら大きく見直す必要があるというふうに考えております。

 いずれにしても、この地区にとって排水改良は必要であるというふうに考えておりますので、今後、地元の意向を十分酌み取って、災害復旧事業を活用するなど、地元負担にも考慮しながら、早期の復旧に向けて尽力していきたいというふうに考えているところでございます。

橋本(清)委員 ありがとうございます。

 地域にとって必要な公共事業をしっかりと行っていただき、東北をよみがえらせていただきたいと思います。

 もう時間が終わってしまいましたけれども、私も国土交通委員会ですから、先ほど畑代議士もおっしゃっておりましたとおり、東北自動車道の無料化、地域の復興の起爆剤とすべく、こういった部分についてもお願いしてまいりたいと思います。

 頑張ってまいりますので、これからも末永い御支援のほどをよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 まず、このたびの災害で命を落とされた方々、本当にお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。

 私は、福島県です。双葉郡、まさに原発地域、そして津波で被害を受けた、私も被災民の一人であります。私の選挙事務所も壊滅です。宣伝カー、これも壊滅です。被災民の一人として、本当に、全国からの応援をいただき、全国の皆様方から救援物資をいただき、また、県外で避難をされている方々が温かい心でおもてなしを受けております。そのことに対し、心からの感謝を申し上げたいと思います。

 さて、質問に移りたいと思います。原子力を中心に質問させていただきます。

 東副大臣、残念です。この東副大臣の報告の中に、原子力災害のゲの字もありませんでした。私たちは、津波で、地震で被害を受け、浪江町請戸地区、これは漁港なんです、九百人もの方々が行方不明です。その捜索もできずに、今、他市町村へ避難をしているんです。まさに災害が現在進行中なんです。にもかかわらず、副大臣のこの報告書に、原発災害について一言も触れられなかったということは本当に残念。これが政府の気持ちなのか、怒りを覚えます。答弁は結構です。

 さて、今喫緊の課題として、原子炉をどうとめていくか、冷やしていくか、原子炉の安定化です。

 これは、とめる、冷やす、閉じ込める、これが原子力災害の三要素です。まさに、核分裂、臨界をとめました。今、冷やすことに本当に全精力を使っています。東京電力で作業している作業員の方々、本当に命がけで、死に物狂いで、満足な食事も受けられずに、食べずに頑張っているのが現状です。今、冷やすことに全力です。

 でも、閉じ込めるという方策があるんです。冷やすことがもしできなかった場合、どうやって閉じ込めていくのか。閉じ込めるというその選択肢を政府は今考えているのか。冷やすことだけにしか頭がないのか。その点を伺いたいと思います。

中西政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の福島原子力発電所の事故におきまして、地元の方々に大変な御迷惑と御心配をおかけいたしますことを、この場をおかりしましておわびしたいと思います。

 今御指摘の現在の原子力発電所の状況でございます。

 まず、福島第一原子力発電所では、現在も予断を許さない状況ということになってございます。今先生御指摘のように、まずは、原子炉及び使用済み燃料のプール、こちらの方に海水あるいは純水を鋭意注入しまして、できるだけ早いタイミングで冷却を終わらせるというようなことを可及的速やかにやろうとしております。さらに、加えまして、外部の電源を供給するというようなことを通じまして、ある程度安定的な原子炉の冷却というようなことを考えております。

 そういう中で、今後は、先生の御指摘のように、閉じ込めるというようなことに関しての議論もしていかなくてはいけないというようなタイミングになってきていると思いますけれども、日々、まだこの原子炉の状況が必ずしも安定的な状況になっていないということで、まずは可及的には冷やすというようなことに全力を注ぎ、現在の活動をいろいろと進めているところでございます。

吉野委員 冷やすことに失敗したならば、どうやって閉じ込めるのか、そんなシミュレーションはしていないんですか。

中西政府参考人 現段階で、原子炉の状態、特に福島原子力発電所の一号から三号機、ある程度の炉内の温度、炉内の圧力、我々は監視をしてございます。さらに、使用済み燃料プールということでは、四号機の使用済み燃料プールの温度につきましても、現在のところ、鋭意モニターをしております。昨日も、四号機には外部から大きなコンクリートミキサー用のポンプで鋭意注水をしております。

 そういうことで、こういう状況でございますので、まずはとにかく冷やすというふうなことで今頑張ってやっているということを御理解いただければと思います。

吉野委員 保安院の方々は本当に全力を尽くして、東電と一緒になって今冷やすことに全力を集中してください。それでいいんです。

 ただ、原子力委員会も原子力安全委員会もあるんです。保安院でないそのところで、きちんと閉じ込める、チェルノブイリのような形でどう閉じ込めていくかという、こちらの作戦のシミュレーションも政府としては立てていくべきである、私はこのように思いますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。

 それでは、資料を配付してあります。地図の書いてある資料を見ていただきたいと思います。

 原子力災害対策特別措置法では、二十キロ、三十キロ、この同心円で、被害の拡大といいますか、被害の影響をやっているんですけれども、現実の放射線を出す能力を持った物質の分布は、配付した図面のように、風向きと風力と地形、これによってかなり変わってきます。

 これはSPEEDIといって、原子力安全委員会が発表したものでございます。原子力安全委員会が発表したこれは、甲状腺の病気の確率をシミュレーションしたものなんですけれども、大体、放射性物質が分布しているのはこの図面に近いものと私は思います。

 これを見ますと、三十キロの外の地域も、かなり放射線量の高い地域があるんです。ここの地域は三十キロの外なんだから、もう政府は何もしなく、あなたの判断でどうしようともという形で、私の福島県いわき市も三十キロの外の地域です。でも、これを見ますと、百ミリシーベルトの範囲がございます。こういうところに対して、政府はどんな対応をとっているのか。三十キロの外の地域でも線量の高いところがあるんです、現実の姿として。ここに対してどういう対応をとっているのか、お尋ねをしたいと思います。

中西政府参考人 お答えいたします。

 現在、御指摘のように、原子力発電所からのある程度の、半径二乗にいろいろな退避エリアを設定しておりますけれども、SPEEDIの予測にありますように、我々もモニタリングをしておりますけれども、ある一部の地域は、その距離にかかわらず、モニタリングの値が高いところはございます。そういったところにつきましては、我々は、二十キロから三十キロ圏の方々につきまして、自主的な退避というふうなことをお願いしております。しかしながら、現地でのいろいろな状況のお話を聞かせていただきますと、かなり混乱しているというふうな話も聞かせていただいております。

 そういった観点で、我々も、これはできるだけ、二十キロ、三十キロ圏内の方々が自主的に退避されるときにはしっかりとそのサポートをする、あるいはそのエリアに残っていらっしゃる方に対しましても、いろいろな物資……(吉野委員「三十キロの外の方々、放射線量が高いところですよ」と呼ぶ)具体的には飯舘村だと思いますけれども……(吉野委員「名前は言わない、風評被害が出る」と呼ぶ)はい。ということで、そういったエリアにはかなり重点的に、我々の関係者、現地の対策本部の人間が行って状況を説明しているというふうな状況になってございます。

吉野委員 全く私の質問と答弁がずれています。私は、三十キロの外の地域に対してどうやっているのかと聞いているんです。

 特に、健康被害ですから、厚労省、意見を求めます。

外口政府参考人 厚生労働省といたしましても、関係省庁とよく相談いたしまして、必要な健康対策に不安のないよう努めてまいりたいと考えております。

吉野委員 全く何もしていないというのと同じです。こんなことで、私たち、そこに住んでいる者が安心できますか。もっとしっかりしてください。

 続けます。

 三月二十五日、枝野官房長官が記者会見で、二十キロから三十キロ圏内でも、基本的に屋内退避のところです、生活維持が困難だから、ガソリンが行かないから、食料が行かないから、自主的に避難してくださいと促しました。逆です。ガソリンがないならガソリンを運べばいいんです。食料がないなら食料を持っていけばいいんです。なぜ逃げろと言うんですか。

 原子力安全委員長、安全委員会を開いて、自主的避難が望ましい旨を発言しています。原子力安全委員会としては、科学的根拠はどこにあるんですか。自主的避難を促した科学的根拠はどこにあるんですか。述べてください。

久木田参考人 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどのSPEEDIの件について念のために申し上げておきたいと思います。

 二十三日に公表いたしましたSPEEDIによる試算結果でございますが、これは、限定的な情報を用いて、福島第一原発の事故発生後の十二日六時から二十四日の零時まで一歳児が二十四時間ずっと屋外にいた場合という、極めて慎重な仮定のもとに甲状腺の被曝線量を試算したものでございます。SPEEDIの結果については以上のとおりでございます。

 御質問の件でございますが、自主的な避難をというふうに安全委員会として申しましたのは、こういった被曝線量の観点からではなくて、当初設定されました屋内退避の期間が長期化していることについて、安全委員会としての考慮を示したものでございます。

吉野委員 もう本当に時間がないので、次に行きます。

 私が回ってきた八カ町村、七万二千人、全部外に出ています。一番心配しているのは、二十キロの地域、二十キロから三十キロの屋内退避の地域、そして三十キロ以上の双葉郡葛尾村というのがあります。この村は二十キロ、二十から三十、三十キロの外、全部入っているんです。ここは、全員、村長の判断で退避をしました。ほかの町に入りました。

 でも、次の資料を見てください。

 これはいわき市の医師会からの資料です。一例です。二十キロのところはお医者さんにかかっても自己負担はただだ、それ以上は自己負担が要る、こういうことになっています。調べたら、三十まではただになりました。でも、三十から外はまだお金を払わなきゃならないです、自己負担分。村長の判断で自己避難をした同じ村民が、扱いが別々なんです。同じ村民が同じところに避難をしてその取り扱いが別々。ほんの一例です、お医者さんの医療費の自己負担は。

 いろいろな形で、これから損害賠償等々、補償対象、いろいろな対策が出てきます。対象になる人とならない人、これが出てくるんです。ここのところを首長は本当に心配していますので、政府として、そこはみんな同じく扱うんだ、こういう強いメッセージ、東副大臣、出してください。

加藤(善)政府参考人 御説明申し上げます。

 原子力損害賠償法におきましては、被害者と原子力事業者の間の損害賠償にかかわる紛争の円滑かつ適切な処理を図るために、紛争が生じた場合の和解の仲介あるいはその当事者による自主的な解決に資する一般的な指針を策定することになってございます。

 この指針を策定する際に、先ほど御指摘がございましたような補償が、因果関係に基づき公平に行われるように配慮してまいりたいと思ってございます。

吉野委員 私の質問に答弁していないので、ちょっと時間が足りない。答弁が間違っている。

 原賠法の話をしているんじゃないんです。同じ村民で同じ扱いをしてくださいと言っているんです。現行法ではなかなかできないです。だから、東副大臣の答弁なんです。同じくするとぜひ言ってください。お願いします。

吉田委員長 しっかりと答弁をするように。まず、どなたからですか。

 吉野委員。

吉野委員 役人には無理ですから、これからのことですから、政治家の答弁です。東副大臣、お願いします。やりますという一言でいいんです。同じ村民です。

東副大臣 先生、僕は任務に基づいて動いています。そういう意味で、今回、一方においては災害対策本部、これは震災災害対策本部、そしてもう一つは原子力災害対策本部、この二つで動いていて、なぜ二つで動いているのか。震災それ自体を見たときには、先生おっしゃられるとおり、当然、自然災害そして事故災害が入ります。しかし、事故災害においては、とりわけ原発のことにおいては、専門的な知識がどうしても必要になってくる、そして別建てで二つの対策本部をつくって、そのトップにそれを差配しなければならないのが総理大臣であります。

 私は一つの方を担当しておりますから、先生が言われることというのは十分私自身思うわけですが、またある程度認識を共有するわけでありますが、しかし、それを私の立場で答えろというふうに言われたとしても、のりを越えてしまいます。

 ただ、この場で明確に言えることは、先生からそういう御指摘があったということを総理大臣にお伝えさせていただく、これは約束することができます。

吉野委員 東副大臣、ぜひ総理に伝えて、これが実行できるようにお願いしたいと思います。

 時間がありません。また、八カ町村、今、他町村に行っています。お金が欲しいんです。被災民は十円も持っていなく、自分の津波の被害、遺体捜索もできなくて逃げてきたんです、避難してきたんです、着のみ着のままで来たんです。なぜ、三万、五万、十万の生活支援金が渡せないんですか。町だって、町役場がほかの町に移ったんです。ここだってお金が要るんです。

 そういう意味で、原子力地域の双葉郡の八カ町村、本当に全部いませんので、早急に、今、当座の間必要なお金をぜひとも上げてください。財源は電源特会の金を十分使ってください。お願いします。

横尾政府参考人 電源立地交付金のお話がございましたので、それについて答弁させていただきます。

 電源立地交付金は、電源開発の促進の勘定から支出をしておりますが、二十三年度の予算が成立すれば、災害復旧復興事業にもこのお金は使えますので、自治体から申請があれば、可及的速やかに交付すべく、私どもも対応してまいりたいと思っております。

吉野委員 速やかに、今なんです、今必要なお金ですから。本当に、一日二日置かずに、このお金を、避難している町村、ここに上げてください。お願い申し上げます。

 さて、風評被害です。

 私は、福島県いわき市です。ガソリンが足りないから、ローリーが向かいました。でも、いわき市に入ってきません。全く風評被害です。いわき市の線量を見てください。ほかの地域と、遠くの地域と比べても十分の一くらい低いんです。にもかかわらず、入ってきません。風評被害、大変な、今福島県を覆っています。

 農産物の風評被害。まず、これから春の農作業があるんです。田んぼなら、まず稲の種をまく。まいていいかどうかわからないんです。畑もそうです。そういうこれからの農作業、農家は、これからの春の農作業をやらないと、一年間何にもしない形になるんです。すべて続いています。ですから、ここの春の農作業、やっていいんだ、だめなんだという、そこのところをきちんと政府として指示をしていただきたいんです。

 枝野長官、春の農作業をやめても全額補償する、こんな新聞記事がけさの日本経済新聞に載っていました。このことを確認したいと思います。農作業をやらなくて損害が出た場合にはきちんと補償してくれるのか、原賠法等々で補償してくれるのか、確認したいと思います。

雨宮政府参考人 今後の作付についてお答えをさせていただきます。

 米など今後の農作物の作付でございますけれども、放射性物質が土壌中にどの程度蓄積されているか調査をし、その結果を踏まえて判断することが必要だと思っております。このため、農林水産省としましては、関係県と連携して、早急に土壌のモニタリング調査を実施し、米などの作付が行われる前に一定の方針を示せるようにしたいと考えておるところでございます。

吉野委員 今の件について、原賠法できちんと損害補償できるかどうかも確認します。

加藤(善)政府参考人 御説明申し上げます。

 原子力損害賠償に関する法律にございますけれども、これは一般論として、事故と相当因果関係が認められる損害につきまして、原子力損害に当たるものにつきまして適切な賠償を行うことになってございます。したがいまして、御質問ございました風評被害、これからの風評被害を含めまして、このような考え方に照らして判断されるものと考えてございます。

吉野委員 農業被害については、本当に、今の原賠法でも因果関係が認められればきちんと賠償できるという答弁をいただきました。ありがとうございます。

 農業被害だけじゃありません。私のところにきのう、縫製会社が洋服をつくっています、いわき市で。でも、おまえのところの洋服は放射能があるから買えないと取引を打ち切られました、だから従業員全部解雇になっちゃいました。自動車リサイクル業、いわゆる解体屋さんです。津波で多くの車が解体されるわけです。でも、いわきのリサイクル屋さん、解体屋さん、ガイガーカウンターを探してくれと言われました。解体して金属くずと部品とに分けます。これが解体屋さんの売り物です。この金属くずが、きちんと放射能があるかないか証明書を出してもらわないと買わない。こんなことで本当にいいんでしょうか。

 特に双葉郡、工場も商店も全部いないんです。商売上がったりです。倒産です。ここのところも原賠法できちんと補償してくれるのか、確認したいと思います。

加藤(善)政府参考人 御説明いたします。

 風評被害に関しましては、それが生じないように、関係県を初めといたしまして、正確な情報を伝えるということがまず重要かと思ってございます。

 御質問ございました風評被害でございますけれども、これも先ほどと同様でございますが、一般論としまして、原賠法では事故と相当因果関係が認められるものにつきましては適切に賠償されますので、御指摘のございました風評被害につきましても、この考え方に照らしまして判断されると考えてございます。

吉野委員 ありがとうございます。

 ちょっとは安心しました。原賠法で、因果関係が認められれば損害は賠償されるというきちんとした答弁をいただきましたので、本当にありがとうございます。

 これをもって私の質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。

吉田委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 被災地の方から先ほど着いたばかりですので、前の質問も聞く時間がございませんでした。質問がもし重複してしまいましたら大変申しわけなく思っておりますが、ぜひきょうは、被災地を日ごろ回りまして、住む者の一人として、その地域に住む方あるいは避難所で日々暮らす方の声ということで聞いていただき、また安心できる回答をいただきたい、そのように思っております。

 実は、私の住んでいるところもそうですが、まだ電気、ガス、水道は一切通っておりません。余震が起こるたびに毎晩毎晩起きている、そういう状況にございます。ですから、ほとんど外の情報が入ってきておりません。私も、夜に電気がつくこの生活を久しぶりに経験しました。また、ラジオ以外に実は情報が入りません。

 ですから、避難されている方が大変不安に思っていることがございます。それは、一応おかげさまで避難物資はそれぞれ届いてきているんですが、次に、あしたの生活、あしたの雇用、これが大変心配になっています。特に、避難所にいる経営者の皆さんは、年度末を迎えるに当たって、雇用している職員の方の給与はどうしよう、社会保険はどうしよう、あるいは手形はどうなるんだ、支払いはどうなるんだ、こういうさまざまな不安が実はありまして、私どもは直接相談を受けます。

 国の方で従前からのさまざまな制度がありますが、実はそれを伝える手段がありません。ラジオはほとんど被災地の状況を伝えるだけで、生活再建の情報を流す、聞く状況がございません。テレビを見るツールもありません。ましてや、新聞が配達されることも余りありません。

 そうなりますと、今、本当に雇用者の皆さんは、雇っている職員の方、例えば雇用保険の失業給付の特例措置があるとか、雇用調整助成金があるとか、こういうことがわかっていないことがあります。

 そして、一つこういう事例がございました。私が回っている南三陸の方が、自分のところの従業員はどうしたらいいんでしょうかと。私は、雇用調整助成金あるいは失業給付、休業補償の中で、首を切らなくても何とか政府が支援して対応することができるんですよ、これを説明したんです。そして、この方は、ではということで、私が示した連絡先に電話をしました。

 そのときの答えは何と返ってきたか。例えば、休業については、その休業を受けられる方がハローワークに来てください、そしてこれこれの書類を持ってきてください、あの大津波で家もすべて流されて、体一つしかないその避難民に対して。しかも、実はハローワークは流されて、ないんです。南三陸から出ることができないその方が言ってこられたのは、ハローワークがなければ仙台に来てくださいと。行けるわけないんです、ガソリンもないんです。こういう答えをされてしまいました。

 私は、ぜひ、こういう機会だからお願いしたいのは、窓口をむしろ被災地に設けてほしい。あるいは、避難所を巡回して、こういう制度があるから、経営者の皆さん、少しでも多くの方の首を切ることをやめてください、国がしっかり支援して、一人も首を切らなければ例えば雇用調整助成金で九割給与が出せるんです、だから一年間頑張ってください、こういうメッセージをぜひ出していただきたい。

 そして、お願いしたいのは、ラジオしかないんです。大臣、ぜひラジオでこのことを周知していただきたい。大丈夫なんだ、それをぜひやっていただくこと、この二点をお伺いしたいと思います。

小林大臣政務官 小野寺議員、現地の状況について今報告も受けました。確かに、ハローワークに来い、これでは成り立たない、このように思います。したがって、私たちは、雇用保険の特例措置や雇用調整助成金を有効に使っていただきたい、こういう思いでいろいろ発信をしております。

 今御指摘のとおり、避難所における出張相談など、私どももきちんと指示をしておりますので、現地に向いて、足を運んでそういう相談に乗るように、これも周知徹底を図っていきたい、このように思います。また、現地もいろいろな状況になっていると思いますから、その状況を的確につかんで、しっかりこの点はやっていきたいと思います。

 また、被災地の状況に応じて柔軟な対応をとるということは、ハローワークの要員強化も含めてこれからもしっかり考えていきますので、今、先生の御指摘、そういうことがないように取り組んでいきたいと思います。

小野寺委員 実は、避難所から、例えば一番近くの役場に行くことすら今できないんです。ガソリンもありませんし、道も大変厳しい。そして、そういう中で皆さん毛布にくるまって、不安ばかりが募っている。私は、少なくとも主なる避難所は、今DMAT初め医療関係の方が回っていただいています。同じように、これはハローワークの職員が回って、そして失業手当の問題も含めて、きちっと窓口を避難所ごとにつくるぐらいのことを、ぜひ全省を挙げてやっていただく。今は、家を失い、家族を失い、最後に仕事まで失ったら、心が折れてしまいます。その対応をぜひしていただきたい、そう思っています。

 もう一点お伺いしたいのは、金融機関の対応。

 経営者が次に頭に浮かぶのは、これだけひどい災害、一切、工場も生産基盤がありません。残っているのは、給与の支払い、そして手形、これはどうするんだろう、あるいは、これから返済する場合、どう対応したらいいんだろう。実は、こういうことに関しても、この災害の場合、しっかりとした制度があるんだと思います。

 ぜひ、金融庁の方にお伺いしたいんですが、今回、中小企業円滑化法を踏まえたリスケの問題あるいは手形の停止の問題、そして、何より、こういう周知を金融機関にしっかり出して、被災地にいる企業経営者に安心を与える対応を早急にとっていただきたい。できれば、私は、経営者の皆さん、こういう対応を政府はとっています、その紙、チラシ、そういうことを避難所ごとに回していただきたいと思いますが、どのような対応をとっていらっしゃいますでしょうか。

和田大臣政務官 小野寺委員にお答えいたします。

 今御指摘いただいたことを、本当に私どもとしても意識を共有させていただきます。

 十一日以来、今、各金融機関においてまさにとれる対応は何かということを考えていただきたいという意味の要請を各種発出いたしております。

 まず、個人の被災者の方々を中心に、預金の払い出し等につきまして、今お話は雇用の関係でございましたが、金融の関係でも、預金の払い出しが何もなくてできないという方々がたくさんいらっしゃるものですから、とにかく何らかの手段をもって本人確認できれば、すべての金融機関のネットワーク網を通じまして、払い出しに応じていただくというふうになっております。

 それから、御指摘の企業の関係でございますが、手形の決済につきましても、いまだ手形交換所で業務を再開できていないところもございます。しかし、幸いにして業務を再開できたところは、今までの商慣行からすれば、不渡りになった瞬間、報告への掲載や銀行取引停止ということになってまいりますけれども、それらを業界として猶予するという決定を行っていただいているところでございます。

 また、後半の部分でございますが、委員御指摘の、今通信インフラが現地ではかなり途絶えているといったところがまだまだございますので、どうした手段を講じるかということにつきましては、実は、財務金融委員会の方でもそうした御指摘が御党の後藤田筆頭理事の方からもございました関係で、いろいろと与野党ともに真摯に検討していただきまして、既にラジオを通じましての周知徹底も図っているところでございます。

 また、もう一つだけ付言させていただければと思いますが、いろいろ御提言もいただきましたものですから、現地に、金融庁本庁からも、関東財務局からも職員を派遣いたしまして、被災地を今いろいろ訪問いたしております。そんな中で、今申し上げたような内容を周知徹底するポスターや掲示文を用意しまして現地に配布させていただいたり、また、県庁や経済団体を通じまして、いろいろラジオ報道に流していただいたり、新聞にも掲載していただいておるところでございます。

 手を尽くしているところでございますが、まだまだ不十分なところは認識しておりますので、最大限努力してまいります。

小野寺委員 私の家もそうですが、家も流され、車もなくなり、そして避難所におり、そして、実は金融機関もなくなっているんです。ですから、企業経営の方は、一体どこに、どう相談したらいいのか。ようやく電話が通じて、電話での対応ぐらいしかできない。足を何とか確保して金融機関に行って少しでも相談をしたい、それすらできない経営者がたくさんいるということ、ぜひそれをよく知っていただいて、この金融問題、しっかり対応していただきたいと思っております。

 それから、同じく、社会保険料の納付の期限の延長、あるいは国保に関しては国民年金の保険料の減免、免除、こういうことも避難民の方はほとんど知らないんです。ぜひこういうことはしっかり周知するようにお願いしたいと思っております。

 さて、もう一つ、大きな問題がございます。

 実は、産業設備に今回大変大きな被害が出ています。私の選挙区であります気仙沼、南三陸、ここは水産業、水産加工業が中心なんですが、今回、すべての冷蔵庫、加工施設が壊れてしまいました。全く生産基盤がありません。しかも、さらに厳しいのは、停電がずっと続いています。実は、冷蔵庫、ここにたくさんの魚が凍ったまま入っているんです。そして、これが半分以上壊されてしまいました。冷蔵庫というのは、半分壊れたからといって、下を半分直せば復活するものではありません。

 まず一つは、この冷蔵庫を含めた撤去。形が残っていてももう生産基盤としては成り立たない、この撤去も、今回、瓦れきと同じような扱いで撤去していただきたい。これが一点。

 それからもう一点。冷蔵庫に実はまだ数万トンの魚が入っているんです。そして、電気が来ないんです。今、気温が朝夕マイナス三、四度、霜がおりております。昼間になりますと四、五度になります。これから春先になると、恐らくこの魚が解けてきて、何万トンもの魚です、これは異臭も含めた大変な問題になると思います。

 建物、そして中にある魚、この撤去、実はこれは指摘をされる方がほとんどおりません。現地に住む者だからこそ、この怖さがあります。数万トンの魚です。この処理についてもぜひしっかり対応していただきたいと思いますが、生産基盤、特に冷蔵庫や加工施設、半分残ったものについては、しっかりこれは国として撤去し、瓦れきの除去をする、そして同じく、冷凍魚に関しての対応、これをどうされるか、政府のお考えをお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 今回の震災におきましては、津波により膨大な量の災害廃棄物が発生し、深刻な状況にあるということは十分認識しております。

 被災を受けた冷蔵倉庫等の解体処理の問題についてでございますけれども、民間事業者の場合は、基本的には所有者の責任で解体処理を行うということが原則でございますけれども、阪神・淡路大震災の際には、中小事業者への支援、こういう観点から、被災を受けた中小企業者の建物等の解体や処理費について、市町村が行う場合に国庫補助の対象として処理を行った、こういう経緯がございます。

 こういったことも参考に、今回どうするかということはしっかり考えていかなければならないというふうに考えております。

 それから、魚の腐乱、どうしていくかということでございます。

 これにつきましては、一時地下埋設をして、それできちっとまた焼却処理ができるようになった段階で処理をするとか、そういった方法が当然あり得ると思っております。そういうやり方については、その際に、埋設する場合にプラスチックのシートをどうするとか、そういった留意事項について、既に地方公共団体の方には環境省の方から情報提供してございます。

 また、地下埋設する場所もない、こういうふうな御指摘も受けているところでございまして、そういった場合にどうするかといった方法についても、今関係者と至急詰めているところでございます。

小野寺委員 実は、地震であれば、壊れた家は自分のものなんです。我が家がそうですが、津波というのは、自分の家とか敷地にあるものは自分のものがほとんどないんです。ほかから全部流れてきているんです。ですから、全く、この除去を自分でしろと言われても、自分のものではないんです。

 我が家にも車が三台流れて突っ込んでおります。これは自分の車じゃありませんし、全く知らない車です。こういうものを自分の責任でということは、これはもうできない。津波は地震と全然違う、そういう現状、災害にあるということをまず認識していただきたいのです。

 今のお話の中では、この瓦れきの撤去については国で行うということで私は理解しましたし、また、冷蔵庫を含めた生産基盤についても、これは阪神・淡路の例をとって、中小企業の場合にはしっかり国がその撤去あるいは処理について対応すると伺いました。今回、冷凍魚、これについても国がしっかり費用も含めて対応するということで考えてよろしいんでしょうか。再度確認をしたいと思います。

伊藤政府参考人 従来、事業者が被害を受けたといった場合については、基本的には事業者で対応するということでございましたけれども、先ほども申しましたとおり、中小事業者の支援という観点から、阪神・淡路の際にはその中小企業者等の建物等の解体処理費についても国の補助対象とした、こういうことでございます。

 こういったことを踏まえて、今回、具体的にどの範囲までその国庫補助の対象にしていくのかということは早急に詰めたいというふうに考えております。

小野寺委員 今、国庫補助というお話をされましたが、現実に、企業経営者、冷蔵庫経営者はもうすべて生産基盤がありません。そして、これを解体しろといっても、解体する余力もありません。冷蔵庫に入っている何万トンという魚、これは黙っていても腐っていきます。そして、これを放置すれば環境悪化、大変なことになります。

 そんな補助じゃなくて、国が責任を持ってこれは対応する、瓦れきと同じ扱いだというふうに理解をしたいと思うんですが、済みません、もう役所の方じゃなくて、むしろ政治のレベルで、東副大臣、しっかり対応するとお答えしていただきたいと思うんですが。

東副大臣 先生が今回の最も厳しい被災された地域である南三陸や気仙沼の被災者の方々の声を直接お話ししてくださっていますから、物すごい説得力ある形でこたえてきます。

 政府として、御案内のとおり、そういう今まで前例のないことも踏まえた上で、被災者生活支援特別本部を十七日に設置させていただいていますから、お話のある部分も含めた上で、その手順、そしてまた法的な作業等、ここで一丸となって対応をさせていただく、こういうふうになっています。

 先ほど環境省の方から瓦れき等についてのお話がありました。これも検討会議が行われておるのでありまして、そこできちんとした結論が出せるように頑張っていきたいというふうに思います。

小野寺委員 ぜひしっかり対応していただきたい、これが被災民すべての願いであります。

 そして、もう一つお伺いしたいのは、一部報道では、瓦れきの撤去、これは国の責任で行うということがありました。瓦れきの撤去は国の責任でということで私どもは理解をしているんですが、例えば、一部報道がございますが、車、相当今回流されております。我が家にも三台突っ込んでおります。この車のそれぞれ所有がございます。ところが、所有があるんだけれども、だれのものかわからないものがほとんどだ。それを一々所有を確認していけば、復興はとてもできません。

 今回、車も含めてこれは瓦れきだということで対処した場合、例えば車を含めた個人資産に対して後々どのような対応をされるのか、政府としての考えをお伺いしたいと思います。

東副大臣 車等の撤去については、既に、三月二十五日に被災者対策本部長と環境大臣から通知し、公表しました損壊家屋等の撤去等に関する指針において、効用をなさない状態にあると認められるものは撤去して、仮置き場等に移動するというふうにしております。

小野寺委員 そうしますと、仮置き場に置いて、後でその車を自分のものだと確認しろということで、特に、車に対して、それぞれ今回は補償するとか、そういうことは今のところ検討されていないと理解してよろしいんでしょうか。

東副大臣 その部分も含めて検討されていくと思いますが、一般論で申し上げますと、先生御案内のとおり、現場に行けば、明らかにこれはもう効用を果たさないというものに対しては処理することができる。しかし、外見上、これはまだ使えるんではないのかというふうになった場合、車の場合は登録制でありますから、仮置き場に置いておくことによって所有者があらわれてくる、あらわれてこなければ同じように対応するということだと思います。

小野寺委員 想像を絶するぐらいの数です。ですから、仮置き場に並べているという、多分、そんな状況には現場としてはならないんだと思っております。ぜひこの瓦れきの撤去については国の責任で、そして、今回、一刻も早く行うためにも、やはり個人所有の車についてもしっかりとした対応をしていただきたい、そう思っております。

 さて、実は一つ、今回、国土交通省に感謝をすることがございます。

 三カ月前、私の地元の三陸縦貫道、唐桑道が開通をいたしました。実はずっと四十五号線は沿岸部を走っております。ここはすべて津波でやられてしまいました。もしこの唐桑道がなければ、私は、恐らく数百人、被害者がさらにふえたんだと思います。三カ月前にできた道路、これは本当に命の道路、このことについては、住民は本当に感謝をしております。

 さて、その中で、実は今回、四十五号線がほとんど壊滅的にやられています。また、走っている鉄道もすごい状況で、復旧は難しいんじゃないか、地元の市長はそう言っていました。そうなりますと、安心して走れる道というのは三陸縦貫道、この一刻も早い開通を私どもはお願いしたい、そう思っております。

 そして、ルートを、まだ一部明確じゃないところがあるんです。ぜひこれを機会に、早期実現とルートの早期確認。実は、どこを通るかということがわかれば、今、沿岸部ではみんな住めなくなっています。ここに高速道路が通るとなれば、その周辺を、今度はその市町村が自分のところの地域開発がしやすくなるんです。これはとにかく、病院をどこにしようか、避難住宅あるいは住宅地をどこにしようか、すべて、三陸道のルートが見えれば、それをうまく活用して新しい災害復興ができます。このルートが一日も早く確認できるようにお願いしたいと思います。

池口副大臣 三陸縦貫道の整備についてお答えします。

 委員が御指摘のように、今回、四十五号線はほとんど寸断されて使えなくなりましたが、三陸縦貫自動車道はほとんど損傷がなくて十分機能しておりますし、大きな役割を果たしているということで、委員の主張のとおりでございます。

 その中で、三陸自動車道の整備ですが、今、五割が供用中で二割が事業中ということでありまして、来年度についても、本吉気仙沼道路の第二期を新規事業化して工事に入ります。

 残りのルートですけれども、今御指摘のありましたように、今回の震災を含めて、ルートをどうするか、構造をどうするかということを早急に地方自治体と検討するということを考えておりまして、被災地の復興計画と調整を図りながら早急に検討して、お知らせできるものはお知らせしていきたいというふうに考えております。

小野寺委員 この三陸道ができる前、私どもは四十五号線というのを使っております。今回、津波でみんな車ごと持っていかれたのはこの四十五号線。三陸道がもっと早く開通していれば何千人という人の命が救われた、私どもはこのことを改めて重く感じて、なぜもっと早くできなかったのか、もっと早くできなかったのか。津波でやられる地域、ちゃんと地図を書いてあったんです。今回、それ以上にやられましたが、少なくとも心配したところが全部やられてしまいました。三陸道ができていれば救われた命がたくさんあったということ、ぜひ二度とこのような悲惨なことを起こさないように国交省としてはしっかり対応していただきたい、そう思っています。

 それからもう一つ、今回、地震で実は地盤が沈下しました。私の家もそうなんです。以前だったら、高潮の被害はなかったんです。今、調査によると、地盤が沈下しました。ゼロメートルに既になったところもあります。この土地をぜひ国として買い上げていただきたい。そして、その原資をもとに安全なところに新しい家を建てる。土地が水没してしまったんです。地殻が変わってゼロメーター以下になってしまったんです。この地盤沈下への対応、このことについて国のお考えを聞かせてください。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の津波により、地盤沈下した地域の代替地の開発をどのように進めていくかということであろうと受けとめておりますが、これにつきましては、被災地の被害の実態あるいは被害地の特性ですとか、地元の皆さん方のニーズに応じて、さまざまな施策の活用が考えられるということでございます。

 例えば、一つの例を挙げますと、災害が発生した地域等のうち、住民の皆さん方の居住に適当ではないというふうに認められる区域にある住居の集団移転を促進するための仕組みの一つとして、防災集団移転促進事業がございます。これは、市町村等が実施する移転元の土地の買い上げ、また移転先地の住宅団地の整備等を支援するという制度でございます。

 こういう制度も含めてでございますが、いずれにいたしましても、まず、被災地の実態あるいは地方公共団体の要望の把握に努めまして、今後の被災地の復興においては、多様で柔軟な手法や進め方が可能になるように検討を進めていきたいというふうに考えております。

小野寺委員 私の地域だけではなくて、今回被災を受けた多くの地域が実はゼロメーターになっている場所があります。我が家はまだ上なんですが、ぜひ、このゼロメーターになったところに関して、国としてしっかり対応していただいて、少しでも安全なところに行けるようにお願いしたいと思います。

 そして、最後に御要望ですが、実は、防衛省、海上保安庁、国土交通省、多くの皆さんに今頑張ってもらっています。私も、朝七時と夜七時、両方、対策会議にずっと出ておりまして、日中は避難所を回ったり声を聞いているんですが、本当に不眠不休で頑張っていただいています。感謝を申し上げます。

 そして、何より、気仙沼大島という離島がございます。きのう、ようやく電源車が入って、初めて、一部ですが、避難所に照明がつくことができました。まだ、水道もガスも何もありません。船がないんです。足がないんです。ぜひ、防衛省、海上保安庁、これから復興する中で、今までのような民航船が多分できると思います。それまでの間、ぜひ島民の命の足として、命の物資の補給先としてぜひ船を回していただくこと、これを心からお願い申し上げまして、被災者の中の一人としての気持ちも踏まえて、きょうは質問させていただきました。機会をいただきましてありがとうございました。

 終わります。

吉田委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 本当にこのたびは、私たちも想像を絶する大変な被害でございました。東副大臣におかれましては、翌日から宮城県にお入りいただき、陣頭指揮をとっていただいてまいりました。本当にお疲れもたまっていることと思いますけれども、今後ともしっかりした取り組みを、冒頭、よろしくお願いしたいと存じます。

 私も、当日は議員会館におりまして、東京も大変な揺れでございました。我が党では直ちに対策本部を党本部に立ち上げまして、自由民主党の本部でテレビの映像をつけながら、これからの初動態勢をどうするかという会議をしている最中に、まず冒頭、NHK中継で流れた映像が、宮城県、私の選挙区、若林区でございました。

 津波のときには大きな波が押し寄せてくる。仙台市でも四メーターの津波を前提に防災計画を立てていたわけでございますけれども、まさに想定外の大きな波。仙台平野はリアス式ではございませんから、防波堤も四メーターで設定をしておりましたし、つい何年か前も、国交省にお願いをして、七十億円をかけて防波堤も整備をしていたところだったわけでございます。それが、あの映像です。

 ちょうど海岸部から、東道路といういわば将来の常磐自動車道に当たる高速道路がございます。これは計画の時点から、将来の津波や避難所ということも一応想定して、高さ十メーターで計画道路をつくっておりました。皮肉なことに、この沿岸部から四キロにある東部道路が、高速道路が、いわば防波堤のような役割を果たしたというありさまでございまして、本当に、荒浜地区あるいは蒲生地区といった古くからの集落が一瞬にして流されてしまって、瓦れきの山という状態でございます。

 仙台市内も、いろいろな建物の崩壊を初め、さまざまな被災がございましたけれども、沿岸部の被災と中心部の被災ではまさに大変な格差がございます。ですから、今回、さまざまなこれからの対応を考えるときに注意をしなければいけないのは、地震による被害なんですけれども、津波で受けた沿岸部の対策というものと内陸部の被害というものをある意味では分けて、そして優先順位をしっかりつけて計画をつくっていく、対応していく。いろいろな物資の供給がそうですし、人の配置もそうです。沿岸部と陸側というものを明確に分けていく必要があるんだろうということを、まず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、私も、何とか翌日には八時間かけて地元に戻りまして、ずっと現場を回っておりました。石油コンビナートが鎮火したのが五日目でございます。沿岸部は、まさに仙台の都市機能を担うあるいは東北一円の物流拠点でございましたから、その意味で、さまざまな配送センターがやられている、そしてタンクローリーも流されているという中で、なかなか初動態勢が大変だったわけでございます。仙台に着いたときには、もう本当に黒煙が一面を覆うようなありさまでございました。

 そういう中で、この初動態勢の迅速化にとって非常に大きな足かせとなりましたのは、やはり燃料の供給に滞りがあった。これは恐らく、きょうの委員会でもそれぞれの議員が取り上げたことだと思います。何しろ東日本の製油所がほとんどやられているような状況、そして、宮城県の石油コンビナートがまさに仙台港にあったわけでありますから、なかなか行き渡らなかったということでございます。

 私は、素朴に思いますのは、想定を超えるという言葉を免罪符にしてはならないと思うんですね。やはり、仙台からエネルギーが供給できなければ、北陸から運ぶ、あるいは西日本との協定はどうなっているんだということも含めて、備えが必ずしも十分ではなかったということがこの供給不足を加速させてしまっている結果になっているんじゃないかと思っております。

 きょうは震災の発生から十八日目になるわけでございますけれども、いまだに仙台市内ですらほとんどのガソリンスタンドがクローズでございます。一応、経済産業省からいただく資料では、宮城県にはガソリンスタンドが六百十五店舗ございます、きょうの最新のデータで四百十七店舗があいていますよ、稼働率は六七%ですよという報告をいただいているんですけれども、実際には、ガソリンがなくなったら閉めているガソリンスタンドがほとんどでございますから、朝七時からあけて、もうお昼前にはクローズドというのがほとんどでございます。しかも、あいているのは、市民の実感からすれば一割もない。東京でも一時パニックになって一時間待ちがあったそうでございますけれども、地元では、いまだに、いつあくかわからないガソリンスタンドに徹夜で車列をつくって並んでいる、こういう状況でございます。

 全国的に、広域だったという事情があるにしても、宮城県、福島県、岩手県には特段の配慮でガソリンや灯油をさらに供給していただきたいと思いますけれども、東副大臣初め関係者の、これからの見通しを中心に御答弁をいただきたいと思います。現状はわかっておりますので、見通しについて。

東副大臣 現場をずっと歩かれてきて、現場の声を聞き、また、荒浜、蒲生といった、一瞬にして全壊しているその地からの発言でありますから、本当にいろいろな示唆に富むお話だと思います。

 燃料の問題は、先生御案内のとおり、当初からこの問題に没入しておりまして、今でも全く同じ、共有する意識を持ちます。現実にサービスステーションがあいていたとしても、十リットルで終わりだとか、なかなか満タンにすることができない。マクロの数字では五〇%を超えたといったとしても、現実にはなかなか給油もままならない。

 それを何とかしなくちゃいけないということで、一貫して先生と同じ視点で、資源エネルギー庁の方に頼みながら、関係企業にもその旨を伝えさせていただきながら、おっしゃられるとおり、被災地に十分な燃料が行き渡るように、そのように思っておりますし、また、そのことを踏まえた上で行動させていただいております。

 それは、見通しというよりも、とにかくそれを供給してもらわなければ困るという形でありますから、見通しは私は言うことができません。これはエネ庁関係の人にぜひ言ってもらいたいというふうに思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御案内のとおり、宮城県への一番重要な供給拠点は塩竈のオイルターミナルでございます。これが被災をいたしまして、機能停止をいたしました。十六日に既存の在庫出荷を……(秋葉委員「現状はわかっているから、見通しを」と呼ぶ)はい、わかりました。

 昨日から、五千キロリットルの大型タンカーが着桟をするようになりました。本日も四船、入船をしております。これだけで八千七百キロリットル入っております。同油槽所からの実際の出荷も、二十六日時点におきましては七千三百キロリットルのレベルにまで達しております。何とかこの水準を維持拡大していきたいと思っております。

 状況は、数字そのものは、入りと出荷の数字は改善はしております。ただ、末端に行き渡っていないのは、先生おっしゃるとおりでございます。

秋葉委員 現場は本当に一刻を争う状況でございます。車列に並んでいて亡くなったお年寄りもいるぐらいの状況でございますから、督促をしていただいて、被災地の優先順位を見きわめて、選択と集中をより適切にしていただきたいと思うわけでございます。

 私は、一つのアイデアがございます。例えば高速道路、最初は緊急車両のみでございました。救急車や自衛隊の車が中心でございました。そこから徐々に広げて、今度は物資を運ばなきゃいけませんから、物資を運ぶ民間の車に拡大をしてきて、おかげさまで今はようやく全面通行が可能になりました。私は、ガソリンスタンドも、ある意味ではダブルスタンダードでやっていくことも考えるべきじゃないかと思うんです。

 つまり、今は緊急車両は何とか入れられる状況になってまいりました。しかし、一般の市民との区別が難しいかもしれませんけれども、高速道路の通行許可でやったように、例えば資材を運ぶ工務店さんとか、現場に重機を運ぶ、必ずしも緊急車両には認定されていないんだけれども、復旧を急ぐために必要と思える業者を中心に、さらに給油の優先枠というのを設けていく、そういうことによって本当に必要な人に入れていく。このことは、私は、もう半月以上たってもこの現況ということを考えると、早急に対応していくべきじゃないのかと。

 高速道路についてはそれぞれの警察署が判断をいたしました。今回も、そうした出先をどうするかということを早急に検討して対応すべきと思います。経産省あるいは東副大臣として、そういうことを検討していただくべきだと思いますが、どうですか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 東北六県につきましては、今先生がまさにおっしゃったような、物資の輸送等々、緊急に仕事をしていただかなければならないような方に優先的に供給するガソリンスタンドというのを指定させていただいております。緊急重点SSということでございまして、二百七店舗のSSを指定させていただきまして、今まさに、ここ一週間ほどでそちらに約九百回の重点供給ということでさせていただいております。もちろん、一般の方々にも可能な限り供給はさせていただいておる次第でございます。

秋葉委員 現場は、さまざまな混乱の中で、それぞれの人がつかさつかさで本当に頑張っていただいています。そういう中で、被災の状況を考慮していただいて、本当に適材適所なところに行き渡るようにしていただきたい。

 緊急のスタンドも、各県五つずつつくったというのですけれども、どこにどうつくったのかという情報が十分伝わっていません。ですから、利用者にわかりやすいように、ここで緊急車両は入れられるようになったということも含めて、情報の提供の仕方ということも十分御配慮いただきたいと思うわけでございます。

 また、時間がありませんので、余り細かいことを伺えなくて残念でございますけれども、地元の避難所を回っておりますと、ワンストップで行政サービスを避難所でもできないのかという声を大分いただきます。みんな車が流されて、ありませんから、当然、いろいろなところにいろいろな手続に足を運ぶ、罹災証明書をとりに行くなんてことはとてもとてもできないわけでございます。

 仙台市内の場合には、沿岸部を除けば、ある程度の対応ができるような状況がございますから、すべての避難所に仙台市の職員を配置しております。ですから、そういった職員を窓口にして、一々支所や区役所に行かなくても、ワンストップでさまざまな行政サービスができるような対応というものもこれから考えるべきだと思いますが、どうでしょうか、総務大臣政務官ですか。

逢坂大臣政務官 今、罹災証明について言及がありました。

 結論から先に申し上げますと、罹災証明については、市町村の窓口ではなくて、避難所でも窓口機能が整うということであれば、それは十分に発行が可能だというふうに思います。

 若干説明させていただきますと、罹災証明は、個別法令でその発行について規定されたものではございません。市町村が行う事実の証明だということでありまして、申請に係る事実の確認ができる限り、市町村が発行できる性質のものだと理解をしてございます。

 以上です。

秋葉委員 また、現場では、本当に残念なことなんですけれども、盗難とか略奪というものが大変残念ながら横行し出しております。地元の警察だけでは手いっぱいでございまして、今、本県の警備業協会なんかもいろいろ人を出していただいて、民の力もかりているんですけれども、なかなか費用的な面で対応が追いつかないというような陳情もいただいております。

 状況にかんがみますと、民間の警備会社をもっともっと積極的に活用するという意味で、どうでしょうか、東副大臣、こうした警察力を補うために、民間の警備会社、これはボランティアには限界がありますから、手伝ってくれ、そのための費用負担も国がしっかりと措置したいということを私はぜひしていただきたいと思っておりますけれども、こうした地元の治安の維持というものについて、民間に対する支援についての考え方というのを伺っておきたいと思います。

東副大臣 残念ながら、今、秋葉先生が言われるようなことが頻繁に起こりつつある。余り信じたくないんですが、現実に起こっているみたいであります。被災が軽微だった人が避難所にいて、ちょこっと見に行ったら物がなくなっているだとか。

 そういう意味では、いろいろな、ただ単に警察のみならず、今おっしゃられることも含めた上で考えていかなくちゃいけないというふうに思います。意見、受け取らせていただきたいというふうに思います。

秋葉委員 もう時間が残り少なくなりました。

 ぜひ、政府が責任を持つから、今回はいろいろなケース、いろいろな領域で言えるんですけれども、超法規的な対応を前提にとっていただきたいと思います。心配しないでいい、政府が面倒見るから、やれることはやってくれというようなメッセージを力強く国民に発していく、これが政府の役割でなければならないと思っております。

 ほかにもいろいろ伺いたいことがあったんですが、最後に一点だけ。

 仙台で、あの津波によって、まだ詳細な調査はもちろんできておりませんが、平均三十センチ以上地盤沈下しております。そして、塩水をかぶっております。これは、いろいろな意味での今後の復興を考えるときに、現場の声は、沿岸部については、もうもとには戻れない、何とかこれを政府に買い上げてほしいという要望まで各地の避難所で聞かれるようなありさまでございますけれども、そうした被災地の政府としての買い上げということについても、まだまだこれは中長期的な課題でありますけれども、副大臣初め関係者の皆さんの頭にぜひ入れておいていただきたい。そういうことも検討していただかない限りは、なかなか被災民のしっかりとした自律的な再起というのは難しい現状だということを最後に申し上げておきたいと思います。

 いずれにいたしましても、今回は、想定外という言葉を免罪符とするようなことなく、本当にオール・ジャパンで取り組んでいかなければならないと思っております。我々もやれることを一緒に何でも協力をさせていただきたいと思っておりますので、ぜひ政府におかれましても、現地、現場の声にしっかり耳を傾けていただいて、そのニーズを酌み取って、反映できる対応をスピーディーにお願いしたいということを申し上げて、きょうの質問とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 東北地方太平洋沖地震について御質問をいたします。

 質問に入ります前に、このたびの大地震によりお亡くなりになられた方々に心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災に遭われた方々、負傷された方々、また今なお不自由な避難生活を送られている方々に心からお見舞いを申し上げます。

 まず、原子力災害に対する政府の対応についてお伺いをいたします。

 放射性物質漏れにより、各地で高濃度の放射能が検出されておりまして、農産物の出荷規制、また飲料水や海水の汚染など、国民に多大の不安を与えているわけでございます。住民の皆さんは、まさに地震、そして津波、さらに放射能被害という三重苦に苦しんでおられるところでございます。

 そこで、まず第一の質問でございますけれども、この二十キロから三十キロ圏内の屋内退避者への支援について、最初にお聞きをさせていただきます。

 これまで、政府は、原発周辺の二十キロから三十キロ圏内の住民には屋内退避を指示しておりました。ところが、二十五日、突如自主避難に切りかえて、避難地域の拡大も検討していると聞いております。

 私は、市の八割が三十キロ圏内である南相馬市で市民の命を守るために活動しておられる知人の薬剤師である保健所職員から、毎日その現状の報告を受けております。

 その中で、南相馬市の屋内退避地域においては、約二万人の方が地域内にとどまっておられますが、放射能の危険地域という風評被害でございますけれども、これにより、一般の貨物が入らずに生活物資が入ってこない、コンビニもスーパーも閉鎖している、病院は事実上撤収をしている、こういう状況下で食料が尽きかけているが、隣の相馬市に行くのにもガソリンがない、そういう状況であります。

 今回の政府が出した自主避難というのは、放射線の影響ではなく、住民の生活支援のためと政府は説明をしております。しかし、政府はこれまで、屋内退避という方針だけ打ち出して、それを維持する生活インフラもない状況を放置してきたではないですか。これが問題であります。屋内退避という指示を出した以上、それで生活ができる環境をつくるのが政府の責任ではないのかと思います。

 まず、自主避難を指示する前に、県と連携をとって屋内退避が維持される生活インフラを早急に整備すべきであると思いますが、政府においてはどうでしょうか。

中西政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました半径二十キロから三十キロ圏の屋内退避区域の件でございますけれども、現実問題、先生御指摘のように、商業や物流が停滞している、あるいは、社会生活の維持、継続するのが困難だというふうなことを我々もいろいろなところを通じて情報を収集しております。

 そういった観点で、我々、そういう問題点を踏まえ、これは自衛隊の協力も得ながら、南相馬市が全戸に訪問をして現在の実態を調査するというようなことを二十八日からスタートしているというふうに聞いてございますし、我々、現地の対策本部がございます、そちらの本部長が、生活支援あるいはいろいろな形での避難のための準備、そういったことに対してのいろいろなお話を聞かせていただくために、これは二十五日からでございますけれども、関係の市町村の首長様を訪問させていただきまして、現在、何が本当に困っているのかどうかというようなことのお話を聞かせていただいているというようなことでの活動を始めたところでございます。

江田(康)委員 再度質問をいたしますが、政府が指示した自主避難では、高齢者や病気の方など、移動が困難な社会的弱者が最後に残ってしまうことになりかねないわけであります。お年寄りにとっては、放射線による発がんリスクよりも、移動や避難生活のストレスの方がリスクが高い場合もあります。これらについてどうするのか。

 また、残っている住民のほとんどが、行方不明者の捜索また重篤患者のお世話、さらには、生計を支える家畜などの世話のために住みなれた町に残る決意をされているわけであります。自主避難を指示しても、残る住民に対してどのように生活インフラを確保していくのか、また、政府が生活物資の支援体制と医療提供体制をつくることが私は喫緊の課題であると思います。

 何のための実態調査なのか全くわかりませんが、明確に、政府の見解、対応、迅速にどのようにこれらの問題に対応するのかについてお聞きをいたします。東副大臣、いかがでしょうか。

中西政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもちょっと御紹介させていただきましたけれども、この区域に屋内退避ということでお残りになられたいというふうな御要望をお持ちの方々には、具体的に、例えば生活のためのいろいろな支援物資、そういったものがちゃんと届くような形での支援をするというふうな対応をこの次のステップとして考えてございますし、逆に、避難をしたいというふうな皆様に対しましては、どういったところに退避の場所があるのか、そういう情報提供をやっているというふうな形での活動を展開してございます。

江田(康)委員 迅速に、支援物資の輸送体制、お一人お一人に、生活をされている方々に届く体制を早急に取り組むことを強く要望いたします。また、自主避難を要望している方々に対しても、全面的に国がその支援をしていく、そのことをしっかりとやられるように強く申し上げておきます。

 次に、放射能汚染対策についてお伺いをさせていただきます。

 今回、福島県の原乳、また関連四県のホウレンソウ、カキナなどの農畜産物が、食品衛生法上の暫定規制値を超える放射能が検出されたことに伴って、政府は、対象農産物の出荷制限と摂取制限を発表したわけであります。

 この出荷制限による被害状況について、政府はどの程度掌握をされているのでしょうか。例えば茨城県では、放牧牛の原乳から高い放射能を検出したことで、県内の原乳はすべて出荷停止になっております。町内のある牛舎では、毎日三トンもの原乳を畑に廃棄している、こういう状況なんです。

 また、被害は、対象農畜産物に限らないで、対象以外のものにも出ていることは、御存じでしょうか。福島県では、制限措置以外の農畜産物についても首都圏の店頭から撤去されて、さらには、取引先から放射線測定結果の添付を求められるなどの風評被害が出ているわけであります。

 そこで、お聞きをいたします。

 出荷制限による被害については、だれが責任をとっていくのですか。どこまでの範囲が果たして補償されるのでしょうか。風評被害もこれに含まれるのか、明確にお答えをいただきたいわけであります。

 今回の出荷制限による被害は、原子力損害賠償法に基づいて損害賠償が行われます。今回は、想定外の大地震や大津波によって生じた原子力災害でしょうから、政府補償契約となると承知いたします。一義的には、東京電力、事業者がこれを持つことになるでしょうけれども、その被害総額が千二百億円を超えた場合には、これも一義的には事業者が責任を負うとなっておりますけれども、必要と認めるとき、支払い切れないときには国が援助するとなっていると承知いたしますが、いかがでしょうか。

 また、損害賠償の政府の対応は常におくれることが多いわけでありますが、早く被害の損害を賠償してほしいとの思いがあります。そのためにも、民間事業者、これは東京電力ですが、仮払いをして、後で政府が補償をするということも考えるべきではないでしょうか。さらに、無利子のつなぎ融資も創設すべきであると考えますけれども、政府の見解をお聞きいたします。

笹木副大臣 今、委員から、一つは、出荷制限を受けた農畜産物に対して、それと、風評被害についての御質問がありました。

 原子力損害賠償法に基づいては、その損害が一般に社会通念上相当だ、そういう範囲で認められる、その因果関係があるということについては、原子力損害の賠償に関する法律に基づいて賠償が行われる。これは、今言った出荷制限を受けた農畜産物に対してもあるいは風評被害の損害に対しても当てはまるということです。

 それで、今、千二百億円というお話がありました。一発電所当たり千二百億円、それを超えるものについては、御質問の中でお話があったとおり、まずは電力事業者が責任を負うわけですが、その責任をしっかりと果たせるように国が援助をしていく、そのことも含めて、それは枠組みとして考えております。

江田(康)委員 先ほど、私、幾つか別のことも質問をいたしました。今答弁がございませんでしたけれども、そのほかについてお願いします。

田名部大臣政務官 お答えをいたします。

 今も答弁があったとおり、出荷制限を受けた農作物については、一義的には東京電力が補償していくということであります。原子力損害賠償法に基づく適切な補償がなされるものと考えておりますけれども、先生からお話がありましたとおり、農家の皆さんだけではないですが、本当に汗をかいて苦労して育ててきた農作物が出荷できなくなった、この出荷制限に対する補償がなされるまでには一定の時間を要するものと考えています。

 そういうことから、当面の資金繰りをしっかりと手当てしていくことは大変重要なことだと考えておりまして、この資金繰りを確保するためのつなぎ資金を提供する等、農業の実態に即した、どういう支援が必要なのかということをしっかりと把握しながら支援を行ってまいりたいと考えています。

江田(康)委員 最後に、もう一問御質問させていただきます。

 我が国で原子力損害賠償法が適用されたのは一例だけあります。平成十一年のジェー・シー・オーの事故でございます。その際、損害を判定するための指針として、原子力調査研究会最終報告書がまとめられましたが、その中に、避難指示や屋内退避を余儀なくされた方々の休業補償や農畜産、水産物の風評被害を含む営業損害まで、幅広く補償の対象としたわけでございます。

 今回も、同じような考え方で幅広く補償する方針を早期に政府は明確化すべきだと思いますけれども、政府の見解について、最後、お伺いをいたします。

笹木副大臣 今お尋ねがあった休業補償あるいは営業損害に対する補償についても、先ほどお答えしたとおりです。相当因果関係があると認められるものについては対象にして補償していくということです。

 今、ジェー・シー・オーのお話がありましたが、今回の原子力発電所の事故に即した紛争審査会を速やかに立ち上げて、そして指針をつくっていくということになります。お尋ねの件については、対象にはなっております。

江田(康)委員 因果関係があるとした場合に補償がされると何度も繰り返されますけれども、こういう大震災の被害に関して、幅広くこれを補償していく、支援をしていくということは、今回大変に重要なことだと思います。まさに政治判断でやるべきところではないかと強く申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、またお時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 私は先日、二十四日の日に、党の代表の山口代表とともに被災地を訪れさせていただきまして、この目で現場を見させていただきました。まさしくテレビまたは新聞等で見るのとは大きな違いを受けまして、ある意味でいえば大きな衝撃を受けて帰ってまいりました。そういう点を踏まえまして、私の思いも含め、率直な質問をさせていただきたいと思います。

 私も現場に行きまして、今まで災害対策特別委員会であらゆる被災の現場にも行きましたけれども、今回ほどの大きな被害のところはまさしく初めてでございました。そういう意味で、これから復興にも大変時間がかかるだろう、しかし、これは政治の力で、政治の責任として復興に努めていかなきゃならない、こういうことを感じて帰ってまいりました。

 まず、私がお伺いをいたしたいのは、その現状を見たときに、余りにも、ある意味では本当に瓦れきの海、こういう表現がぴったりするような被災地の現状でございましたので、復旧復興につきましても、まずそういうところの撤去から始めなきゃならぬ、このように感じました。

 それで、政府は三月二十五日に損壊家屋等の撤去等に関する指針、こういうものをお出しになりました。そこで、現場でいろいろお聞きをすると、市町村が先頭に立ってやらなきゃいけないということはわかるんだけれども、そのお金の問題、この費用を一体どうするのか、とても現在の状況では地方が負担をするのは難しい、こういうお声がたくさんございました。

 私は、今回の損壊家屋等の撤去、これについてはもう国が負担をすべきだ、国が全責任を持ってやるべきだ、このように考えておりますけれども、この点につきまして、政府の考えをまずお聞きをいたしたいと思います。

伊藤政府参考人 瓦れき等の災害廃棄物の処理に関する財政上の支援につきましては、多額の費用を要すると考えております。その処理が着実かつ円滑に行われるよう最大限努力をしていきたいと考えております。

 具体的には、阪神・淡路大震災の災害廃棄物処理事業においては、国庫補助率二分の一に加え、地方負担分についても、起債充当率一〇〇%、元利償還金の特別交付税措置が九五%、通常の場合は八〇%が上限でございますけれども、そういった手当てがなされており、地方の実質的な負担は非常に小さいものだったというふうに思っております。

 他方、今般の大規模津波による甚大な被害の状況は阪神・淡路大震災を上回っているということを踏まえ、甚大な被害を受けた市町村において阪神・淡路大震災を超える措置を検討中でございます。

石田(祝)委員 通常は、国の負担がまず二分の一、残りの二分の一に対して八割の補助がある、こういたしますと、通常九割まで国が持つ、こういうことでありますけれども、阪神の場合は、この地方負担の通常八割を九五%まで高めまして補助をしたわけであります。これをもともとの国の負担と合わせると約九七・五%、こういうことになるわけであります。ですから、これはあと二・五%なんですね。

 ですから、阪神以上の対策をするんだったら、二・五%だけ乗せればいいわけですから、それ以上、当然一〇〇%以上のことはありませんから、これはどなたがお答えいただけるんでしょうか。この残りの二・五%を埋める、今回の震災の大きさにかんがみ、これを埋めていくんだ、こういうお答えは出ないでしょうか。今、政治家は田名部さんしか残っておりませんけれども、ほかの方は一体どこへ行っちゃったんでしょう。これは伊藤さん、答えられますか。

伊藤政府参考人 私の方からは、阪神大震災を超える措置を検討中であるということでございます。

石田(祝)委員 田名部政務官、これは余り直接関係ないかもしれませんが、政治主導の政権の政治家は田名部さんしかおりませんが、いかがでしょうか。

 では、もうちょっと待ちましょうか。

吉田委員長 その質問は、後ほどもう一度お願いいたします。

石田(祝)委員 はい。では、次の質問をいたしまして、副大臣が帰ってきたらお聞きをいたしたいと思います。

 指針でいろいろと書かれておりますけれども、その中で、私は政府と各政党との合同対策本部の実務者会議に出ておりますけれども、そのときに申し上げたのは、この指針を決めるときに、明確にしないと現場が困るよ、現場は直接被災に遭われた住民と接するわけですから、いろいろなことは明確に指示をすべきだ、こういうことを申し上げました。

 その三月二十五日の中で、二カ所、方針を追って示します、こういうところがございます。これは自動車と船舶についてですけれども、この追って示しますということについて、一体いつごろ指針を出すのか、それまで一体どうするのか。このことについては、特に警察庁も関係しておりますから、警察庁を初め御答弁をお願いします。

樋口政府参考人 遺失物法の問題でございますが、御承知のように、これは法律上、被災地を管轄する警察署の所掌になっておりまして、今、車と船舶をお尋ねでございましたけれども、ぜひ御承知いただきたいのは、市民の方々が、金庫や貴重品、財布やバッグなどの拾得物の届け出が多数に上っておりまして、現地警察署も、御遺体の回収、身元の確認から警戒警備で忙殺される中で、正規の手続がなかなかままならない、保管する倉庫も、満杯で、ないといったような状況にございます。

 今お尋ねの、膨大な量の損壊家屋等につきましては、市町村が一括して解体撤去等を行うという方針でございますけれども、問題の車につきましては、登録があるものですから、価値が残っていると判断された車であって、かつ引き取り手がないものでございますけれども、これは法的には遺失物に当たるものと考えております。

 ただ、これから実際に市町村が撤去等の作業と手続を進められる中で、実際に、果たして価値が残っていて引き取り手のない車両というのがどの程度出てくるものかしっかり見きわめた上で、現実的な対応をしていきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、市町村が行う一連の撤去等の作業の流れからいたしますと、保管管理が一番手間であり、場所の確保の問題があるわけでございますけれども、一括して市町村でやっていただくのが現実的であり、相当であると考えております。

石田(祝)委員 ちょっとお願いしたいんですが、答弁は簡潔にしてくださいね、時間がないですから。

 東副大臣、ちょっと席を外しているときにお聞きをして、これは政治家にお答えをいただかなきゃいけないというところがありまして、お戻りになりましたからお聞きをいたしますが、瓦れきの処理費用、損壊家屋等の処理、これにつきまして、阪神・淡路大震災のとき以上の対応を国がすべきだ、国がする、こういうお答えも伊藤部長の方からありましたが、阪神・淡路大震災は国庫負担が九七・五%でありますから、一〇〇%まであと二・五%、こういうところであります。

 私は、全額、今回は国費で負担をすべきではないか、このことは政治家の発言を待たなきゃならないということで、お待ちしておりました。ぜひ御答弁をお願いします。

東副大臣 石田先生の御提案、真摯に受けとめさせていただいて、検討させていただくということでよろしくお願いします。

石田(祝)委員 続きまして、この撤去の問題でありますが、私は、指針を示すときに、これは私権の制限に当たる、侵害に当たる、そういう要素を含んでいるので、指針でいいのか、やはりこれは法律をつくるなり、または少なくとも政令で対応すべきではないか、こういうことも申し上げましたが、今回これを指針という形で、我々からいったら、法律でもない政令でもない省令でもない、指針という一種の解釈みたいなことでやったのはどういうわけなんだろうか、禍根を残すのではないかという心配をしますが、この点について、問題があるのかないのか、簡単にお答えをいただきます。

原政府参考人 お答えいたします。

 瓦れき等の処分の問題につきましては、政府の災害廃棄物の処理等に係る法的問題に関する検討会議において法的観点から御検討いただきまして、その結果に基づきまして今回の指針が発出されたというふうに承知しております。

 この指針は、瓦れき等の処分に関しまして、既存の法律の枠組みの中で法的問題を整理した上で、その既存の法律の運用について定めたものでございます。その意味で、委員が御指摘のような問題は生じないものと考えております。

石田(祝)委員 これはこれ以上申し上げませんけれども、困るのは現場なんですよ。よく覚えておいてください。現場で実際に車なりなんなりを処分したりしているところが、いろいろ注文がついてくるわけですから、だから、私は、明確にすべきところはしておかないと、あいまいな表現だと現場が困りますよ、こういうことを申し上げて、なお、このことも、指針ということでいいのか、法律にする必要はないのか、こういうことを申し上げたということは、これは記録に残りますから、よくとどめておいていただきたいと思います。

 続きまして、農林水産省にお聞きをいたします。

 今回の災害は、農林水産物に著しい被害を与えたと思います。この中で、いわゆる天災融資法、こういうものがありますけれども、この天災融資法をぜひ私は発動すべきだ。今回は、特に発災の翌日に、通常でしたら、いろいろと災害を査定して、激甚災をどうするのかということがありますけれども、そういうことをせずに激甚災の適用をしたわけですから、大変大きな災害であることは、もうだれもが認めるところであります。

 農林水産物に著しい被害が私は出ていると思いますけれども、天災融資法を発動しないのかどうか、これは早く発動すべきだと思いますが、その点と、その中で、貸し付けする場合に、金利は発動の都度に決められる、こういうことになっております。これは、利子はつけるべきではない、無利子で貸し出しをすべきだ、無利子融資をすべきだ、この二点について、明確な御答弁をお願いします。

田名部大臣政務官 先生御指摘のとおり、大変重要なことだと思っております。私どもといたしましても、この天災融資法発動についても今検討しているところであります。

 地震発生してすぐに、貸付金の償還の猶予等を関係金融機関に依頼をしたり、農林漁業のセーフティーネット資金を供給したりと、さまざまな、すぐにできる手を打ってきたと思っておりますが、先ほど来いろいろ御指摘があるとおり、まさに今、一次産業の農家の皆さん、漁業者の皆さん、今の生活をすることに非常に困っていらっしゃるというその状況もしっかりと踏まえ、今後、天災融資法の発動についても、まずは、特に市町村からもいろいろ聞き取りをしながら、どういう支援を必要としているのか、こういったことに、その要望を受けながら対応できるように、しっかりと対応していきたいと考えています。

石田(祝)委員 これはどういう要望があるかじゃないんですよ。そういう災害があったときにやれることは、いろいろと貸し付けができる、そういうものに対して金利も低く抑えることができるわけですから、発動するたびに事情を聞く必要はないんですよ、やってほしいのは決まっていますから。だから、これをやるかやらないのか、貸付金利をゼロにしてほしい、こういうことですから、特に金利のことはお答えありませんでしたが、お答えをお願いします。

田名部大臣政務官 同じような答弁になって申しわけございませんけれども、まさに今、天災融資法の発動については検討しているところでございます。

 それで、まさにこれは、本制度そのものが市町村が中心となったスキームであることから、市町村から要望をしっかりと受けながら、被災地の実情というものにしっかりと対応できるように検討してまいりたいと考えています。

吉田委員長 済みません。今のは金利のことが質問されているのですから、そのことに対してちゃんとお答えください。

田名部大臣政務官 この大変大きな災害の中、先生の御指摘も踏まえて検討をしてまいりたいと考えています。

 先ほど来、市町村からの要望と申し上げてきたのは、被害が大き過ぎて、全体的な被害の詳細というものがまだまだ十分に把握をし切れていないということもありますので、そのことも踏まえて、今できることをしっかりと検討し、すぐに対応できるようにしてまいりたいと考えています。

石田(祝)委員 ちょっと時間、申しわけありませんけれども、平成十六年の天災とか、いろいろなところが平成に入っても天災融資法が発動されているんですよ。それが、未曾有の、千年に一度じゃないかというぐらいの大きな災害で発動しないなんということはあり得ないですよ。

 これは、田名部政務官、まさしく東北の御出身ですから、現地のお苦しみはよくわかっていらっしゃると思いますので、ぜひこれには前向きで取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 私は、質問に入る前に、今回の大震災で犠牲になられた方に心からお悔やみを申し上げますとともに、また、被災者の皆さんにも心からお見舞いの意を表したいと思います。

 あわせて、政府の関係部署で頑張っておられる皆さん、本当に御苦労さまでございます。今後とも、粘り強く頑張って、被災者の皆さんの期待に十分こたえていただきたい、そのことをまず最初に申し上げておきたいと思います。

 そこで、何点か質問いたしますけれども、今回の震災では、情報の収集、伝達に大きな問題が発生したという認識を私は持っております。その結果、必要な救援物資が必要な場所に届かない、こういう事態も発生したやに聞いております。

 そこで、現在、各避難所との連絡体制はどうなっているんだろうかという点が一つ。それから二つ目に、そうした体制ができ上がったのは、この震災が発生して以降何日ごろにその整備が完了したと認識しているのかという点。それから三つ目に、物資を各避難所に輸送する体制。すべての避難所に物資を、避難所の要求にこたえて送り届けられる、そういう仕組みは現段階において完成しているのかどうか、その三点をまず聞いておきたい。

東副大臣 重野先生にお答えをさせていただきます。

 今般の地震発生当日の三月十一日に被災地に赴いて、翌日には、現地における情報の取りまとめや地震防災応急対策の調整を迅速かつ的確に実施するために、緊急災害現地対策本部を宮城県庁内に設置しました。それと同時に、現地連絡室を岩手県、福島県にも設置したところでございます。この現地対策本部等において、県や市町村を通じて各避難所のニーズを把握し、また、政府からの物資支援が適切に行われるよう取り組んできたところです。

 ただ、この段階においては、まだ避難所がふえていたり、あるいはまた、先生がおっしゃられる完璧な情報が把握されておりませんでしたので、流動的でございました。その後、この仕組みを一つ一つ完成化させていく、そういう状況でございました。

 そして、御案内のとおり、三月二十日には被災者生活支援特別対策本部が発足したことを受けまして、二十二日には被災者生活支援特別対策本部と被災した各県との間にホットラインを開設いたしました。このホットラインを通じて、被災者の生活支援に関する要望を把握し、それに応じた支援を行っているところです。

 また、政府からのお知らせについては、テレビやラジオを使って発信するほか、特に、電気や通信のない地域におきましては、自衛隊の協力を得て、お知らせを記載した壁新聞を配付することを検討中であります。この壁新聞を避難所に張り出すことで、有効に情報の提供ができるものと考えております。

 また、御質問の避難所への物資輸送体制いかんということについてでございますが、被災した地方公共団体に対する政府による救援物資の支援については、災害発生直後から、被災者生活支援特別対策本部が基本的には県の集積拠点まで輸送を行って、集積拠点から避難所までの配送は、主に県、市町村が実施しております。ただ、市町村そのものが全壊しているところもあります。そういうところは、当初は、自衛隊のお力をかりたり、あるいはまた消防庁のお力をかりたりしてさせていただきました。

 一時、集積拠点での荷さばきが混乱したため、個別の避難所までの配送が滞る事態が生じたことも事実です。そのため、関係自治体に対して物流専門家も派遣させていただき、その助言のもと、自治体が、集積拠点における在庫管理を行うとともに、避難所等への配送の円滑化、効率化を図っているところでございます。

重野委員 本来、最前線で担わなければならない市役所であるとか町役場、村役場、ここもある意味では被害者なんですね。これは、私は、今までのこういう大災害の中にはなかった現実だろうと思うんですね。したがって、従前とは違った、国として厚みのある対処をしていかなきゃならぬ、そこら辺はしっかり受けとめてやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、今度の未曾有の大震災で、被災しなかった多くの自治体が被災地への積極的な支援を行っている、これはすばらしいことだと私は思うんですね。いろいろな、姉妹都市だとかそういう関係において、避難者を受け入れたり、あるいは物資を自治体として持っていったり、これは非常にいいことだと思うんですが、それは、そうだそうだと言っておるだけでは問題がある。

 とは申せ、やっているんだけれども、あくまでも献身的な、奉仕の精神でやるということについても、私は、現実としてはやはり限界があるんだろうというふうに思います。例えば、被災者に公営住宅を無償で提供する、そういう場合、これは災害救助法の適用にはならないんですね。ならない。したがって、それは、それをやる自治体の負担ではね返ってくる。

 私は、そういうケースは想定して、そのときに国はどうする、そういう枠組み、仕組みというものもつくる必要があるんじゃないかなと。それが、逆に言うと、自治体のそういう自主的な支援の輪を広げていくという意味においては有効な潤滑油になっていく。

 そういう点について国としてどういうふうな認識、町の町営住宅に入れたんだけれども、それにかかわる経費について国が負担をするとか、そういうふうな枠組みについて検討をしておるのか、あるいはする用意はあるのかどうか、お聞かせいただきたい。

清水政府参考人 災害救助法についてのお尋ねでございます。

 被災地でない都道府県が、被災県からの要請を受けまして住宅の提供など救助を行ったという場合につきましては、その救助に要した費用につきましては被災県に対して求償できるということが、災害救助法上書かれてございます。その被災県に対しましては、災害救助法に基づいて高率の国庫負担がございます。また、地方財政措置もございます。これらによりまして、実質的な県負担は極小化されるように国が最大限財政支援を行う、こんな形になってございます。

 私どもといたしましては、受け入れ県におきまして最終的な財政的負担が生ずるものではないというふうに考えておりますので、各都道府県におかれましては、積極的な受け入れをお願いしたいということにしてございます。

 今、公営住宅というお尋ねがございましたが、民間賃貸住宅、公営住宅、公的な住宅、すべてどれもが災害救助法の対象になるという考え方でやってございます。この旨、各都道府県に周知してございます。私どもとしましては、積極的な被災者の救助を要請している、そういうところでございます。

重野委員 時間が来たからやめますけれども、今言ったように、受け入れた自治体が被災した自治体に請求する、その被災した自治体が国に請求すれば国が出す、そんな回りくどいことをやるんじゃなくて、すぱっと国が一緒にやるのならばそれの方が、私は、この種の問題は時間との闘いですから、そんなのんびりした話じゃないと思うんですよ。そうであるのならば国がやったらいい。どうなんですか。

清水政府参考人 法の規定になっているということと、その考え方といたしましては、A県の被災者がB県に行っていろいろと住居に住むといった場合、A県がやはり出すという考え方の方が被災者の方にとってよろしいのではないか。

 また、A県からしてみれば、自分の県民がどこかに行っていても、お金と一緒に情報も返ってきますので、どこに何人いて、どのような形で住まわれているかというのがもとの県に情報として返ってきますから、今の規定の方が合理的ではないかというふうに考えてございます。

重野委員 僕はそのようには思いません。そんな回りくどいことをやるほど、今悠長な状況じゃないんですよ。

 だから、そこら辺は、今起こっていることは、ある意味では本当に千年に一度ぐらいの大事件ですから、それにふさわしいスピードを持ってやるという点においては、今言ったような、こう回るんじゃなくて、直にやったっていいじゃないか、そういう考えを私は強く求めておきたいと思います。

吉田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 このたびの東日本大震災により犠牲になられた皆さんに心から哀悼の意を表明し、被災者の皆さん、そして御家族や大切な人を亡くされた多くの皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 先ほど来、被災地出身の議員の皆さん、それぞれの御地元の声を訴えられております。本当に心に迫るものがございます。私も比例東北ブロックから国会へ送っていただいた者として、日本共産党の現地対策本部長を務め、この間、被害の大きかった宮城、岩手、青森の太平洋沿岸部を歩き、被災者の声、行政の声を聞いて、つなごうと頑張ってまいりました。

 また、週末は、首都圏で避難されている双葉町長を初め福島県の皆さんをお見舞いし、また南相馬市や飯舘村にも直接行ってまいりました。大変怒りの声が寄せられました。情報はちゃんと出してほしい、いい情報も悪い情報もきちんと生かせば、それに応じて心の準備もできるし対処も決まるんだ、それがはっきりしないから、まして何週間も自宅待機なんて、まさにそれは軟禁状態といいましょうか、そういうことになるんだという形で、怒りの声が本当に寄せられました。

 いっぱい伝えたいことがあるんですが、限られた時間ですので、答弁も何とか簡潔にお願いしたいと思います。

 東副大臣、本当に御苦労さまでございます。

 災害対策基本法には、第三条、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有する」、このように明記をされています。未曾有の災害に当たって、国、県、市町村との連携、省庁間の連携が決定的に重要であること。あれこれではなく、現実に起こっている事態から出発して、国の責務を果たしていかなければならないと思うのです。その決意をお聞かせいただきたいと思うんです。

 あわせて、一問目、時間の関係でこれはセットでお願いします。

 各種減免や生活再建支援金の給付など、被災者の生活支援の第一歩として罹災証明の発行が急がれるわけです。自治体の混乱が大きく、行政機能を失っている自治体もあります。行政支援も含めて、手続の思い切った簡略化を図って、罹災証明を早く発行するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

東副大臣 高橋先生にお答えいたします。

 政治の要諦は、命を守り、そしてまた財産を守る、この点に僕は収れんされるんだろうと思います。その意味で、今回の被災によって教えてもらえるものは、いつも申し上げているんですが、課題は現場にあるんだ、その一点に尽きるんだろうというふうに思います。その意味で、先生がおっしゃられる前段の部分に関しては全く賛成でございます。

 その上で、現在は、命を守らなくちゃいけない、そして一日も早く、私たちと同じように平穏な日常生活が送れるようにというそのことを願いながら、物資の輸送、補給、あるいはまた避難所生活の改善等、被災者支援に重点を置いて取り組んでいるところであります。

 さらにまた、今後の被災地の復旧復興については、先ほど来多くの皆さん方がおっしゃられるとおり、この災害が未曾有の災害であることを踏まえながら、国のとり得るあらゆる政策手段を最大限に活用していかなければならない、こういう認識をしております。

 そして、今御指摘の、復旧復興に向けては、罹災証明書の発行がその第一歩となるんだろうなというふうに思っています。そのため、住家の被害認定を速やかに実施して、罹災証明書を早急に発行することは急務と認識いたしております。

 もう既に回答もありましたけれども、残念ながら、市役所やあるいはまた町村の役場が被災したこと等によって行政機能そのものを執行することができない、あるいは行政機能が低下して、罹災証明書の発行体制あるいは住家の被害認定の実施体制に支障が生じている市町村があることも事実です。

 このため、内閣府では、住家の被害認定業務に係る都道府県のサポート等について記載した災害に係る住家被害認定業務実施体制の手引を、まだ案の段階であったのですが、急遽、都道府県の参考となるように送付したところであります。

 このほか、被災自治体の職員に対する研修会の実施や被災地以外の自治体職員の応援体制の構築などによって、全面的にバックアップしてまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 バックアップはお願いしたいと思うんですけれども、残念ながら、地域によっては、被害の認定なんて見ればわかるところもいっぱいありますね。名取市の閖上地区、気仙沼の鹿折地区など、一帯としてもう崩れてしまっている、境界がなくなってしまっている。そういうところにまで一々、罹災証明をとるには認定をしてとか現地調査をしてと書いているんですよ。でも、必要ないじゃないですか。一刻も早く出してあげるのが一番大事だということを重ねて指摘したいと思います。

 あわせて、今説明の中にあったように、罹災証明は、全壊、半壊、一部損壊、そういう認識しかないんですね。

 だけれども、先ほど来議論になっている、原発によって避難をしている方たちは、津波で家を流された方もいるんです、でも、そうじゃない方もいます。どっちにしても、戻れないので認定できません、そういう問題ではなくて、避難を強いられているという状況そのものに対して罹災証明を出して、そしていろいろな救助ができる、いわゆる支援法だけじゃないですよ、医療費の減免とかさまざまなことが今できるようになっているんです。それを一々医療機関で問題にしないで、罹災証明一枚あればいいんだ、そういうふうに簡素化したらいかがですか。お願いします。

東副大臣 ざっくり言うと、先生御指摘のとおり、地図を見ればどこが全壊になっているかということはわかります。また、市町村が全く行政の機能がないというところも、それは地図を見てわかるわけです。

 いずれにいたしましても、罹災証明をもらうためには、自分自身はどこどこのだれだれです、それを隣の役場、あるいは県、そういうところで、先生が御指摘になっている意を踏まえた上で、きちんと出せるようにする、そういうことを申し上げております。

高橋(千)委員 後段、原発の避難の方たちについては。

東副大臣 いつも誤解されてしまうんですが、私の担当ではないんです。

高橋(千)委員 罹災証明は内閣府の担当なんです。ですから、私は考え方を変えろと言っているんですよ。

 これは市町村の自治事務なんです。ですから、書き方は、本当は全壊、半壊じゃなくてもいいんだよと一言言ってくだされば、それで原発の避難だと書いてくださるんですよ。それでいいじゃないですか。

東副大臣 最後、つけ足すのを忘れておりましたけれども、例えば、福島県からの避難者が公営住宅への一時的な入居等のサービスを受ける際に必要な罹災証明書については、社会的インフラストラクチャーの破壊や原発事故に伴う避難指示による避難者であることを証明する被災証明書によって、受け入れ市町村において同様の取り扱いがなされるよう、各都道府県等に対し要請したところであります。

高橋(千)委員 それが当事者にもしっかり伝わるように、行く先々で困ることがないようにお願いしたいと思います。

 この間行ってきた首都圏の避難所では、同じフロアで、お友達同士で赤ちゃんを囲んで、片っ方は保険証があったので、私、避難してきましたと言ったら窓口負担があったというんです。片っ方は、きょう保険証、もうないです、私、流されました、そして避難してきているんですと言ったら窓口負担がなかったと言っています。現場ではそういうおかしなことが起こっているんですよ。統一すればいいんです。そのことを重ねて要求しておきたいと思います。

 時間を非常に食ってしまいました。きょう二つ省庁を呼んでいますので、簡潔に、財務省に最初に一つお願いいたしたいと思います。

 こんな中でも、既に被災者は次の生活を考え始めているんです。例えば女川や陸前高田、避難所で被災者から受けた相談は、確定申告はもうやっちゃった、でも車を四台も流されちゃった、どうしたらいいのと。十一日ですから、申告が済んだ人は非常に多いわけなんですよ。申告、納付の延長ということは言われているんですけれども、先ほど来お話があるように、本人には届いていないわけです。

 ですから、ここをまず、払わなくていいんだよということ、それから、そういう雑損控除も簡便法でいくんだということ、阪神のように、さかのぼって昨年の収入から戻ってくると、これを言ってください。

尾立大臣政務官 まず、このたびの災害で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、今般の地震、津波を受けまして、国税庁におきましては、国税通則法第十一条に基づきまして、青森県、岩手県、宮城県、そして福島県、茨城県の納税者に係る国税について、申告、納付等の期限延長を三月十二日付で行っております。

 御指摘の納付の期限については、そういう措置がとられておりますので、延長の対象となっておりますので、納税者の皆様には、落ちつかれた後に、ぜひ最寄りの税務署で御相談をいただければと思っております。

 そしてまた、もう一つ、雑損控除のお話がございました。

 現行制度上、災害により住宅や家財に損害を受けた場合には、税制上の措置といたしまして雑損控除という制度とその繰り越し、さらには災害減免法による税額の減免というのがございますが、これらの措置については平成二十二年度所得で適用できるようにするとの方針を、これまた三月の十二日、野田財務大臣からその方針を表明させていただいたところでございます。

 したがいまして、今、政府では、被災者の皆さんの必要な支援について全力を挙げております。また、被害状況の現況把握にも全力で努めておりますので、全体像がわかったところで、税制上の特例措置等については、阪神・淡路大震災のときの例も参考にしながら、また先生の御指摘もいただいておりますので、しっかり対応してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 簡便法で、簡単な計算法で大災害のときはやっていましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、きょうは筒井副大臣に来ていただいております。農業被害について一言お願いしたいと思います。

 これは宮城県岩沼市の田んぼであります。どう見ても海のように見えるんですけれども、道路の両側がこのようになっておりました。行く先々で、海や沼のような田んぼ、あるいは船や瓦れき、泥だらけの田んぼを私は見てきました。東北の農業被害が本当にどういうことになるのか、そしてそれは、日本全体にも、食料基地としての役割がありますから、大変な影響があるだろうと思います。

 塩害の話は、先ほど多分出ていたと思うんですけれども、除塩事業とか確かにあると思うんです。ただ、それは一年では済まないですよね。既にもう、作付をどうするかという時期に来ております。一方では、東北だけで、昨年一年間で約一万二千ヘクタールくらい減反面積がふえているはずであります。田んぼ自体はあるわけですよね。ですから、それを本当に生かしていくということ。宮城県では既に県間調整なども始めておりますけれども、それを、調整をやって田んぼを生かしていく。同時に、一年では済まない休業に対する何らかの補償が必要です。それについて、ぜひお願いします。

筒井副大臣 おっしゃるとおり、今、岩手、宮城、福島三県だけで、津波で海水をかぶったのが二万ヘクタールに上るわけでございまして、この復旧対策としてだけ考えても、水洗いとか客土とか石灰散布とか、そういう作業が必要になるわけでございまして、このためには少なくとも一年から二年かかる。ことしの作付は不可能に近いというふうに考えております。

 そして、生活支援も含めまして、その間の補償といいますか補てんをどうするのか今検討中でございまして、所得補償制度をその中で活用できないのかを含めて、早急にその結論を出していかなければいけないというふうに思っております。

 そして、もう一点質問がありましたが、所得補償で生産数量目標の配分をしております。配分された地域でそういう塩害に遭ったところは、その作付ができません。それについては、原則県内調整、今県間調整と言われましたか、県内調整を原則として行って、県内調整で間に合わない分は県間調整で行う、そういう方針でやろうというふうに決めているところでございます。

高橋(千)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 時間ですので、終わります。

吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時四十一分散会


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