衆議院

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第9号 平成23年4月21日(木曜日)

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平成二十三年四月二十一日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 吉田おさむ君

   理事 糸川 正晃君 理事 古賀 敬章君

   理事 中根 康浩君 理事 長島 忠美君

   理事 古川 禎久君 

      相原 史乃君    網屋 信介君

      石田 三示君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      打越あかし君    大西 健介君

      大西 孝典君    大山 昌宏君

      岸本 周平君    小林 正枝君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      斎藤やすのり君    高橋 昭一君

      高邑  勉君    玉木雄一郎君

      富岡 芳忠君    中屋 大介君

      畑  浩治君    松岡 広隆君

      皆吉 稲生君    森本 和義君

      山口 和之君    吉川 政重君

      若泉 征三君    秋葉 賢也君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      梶山 弘志君    竹下  亘君

      林  幹雄君    森山  裕君

      江田 康幸君    高橋千鶴子君

      中島 隆利君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   農林水産大臣政務官    吉田 公一君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   国土交通大臣政務官    小泉 俊明君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  別府 充彦君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            居戸 利明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          有松 育子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       石井 信芳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           金谷 裕弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 中沖  剛君

   政府参考人

   (水産庁次長)      宮原 正典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   黒木 慎一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           井上 俊之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   衆議院調査局第三特別調査室長           阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     石原洋三郎君

  大西 孝典君     大山 昌宏君

  岸本 周平君     玉木雄一郎君

  空本 誠喜君     相原 史乃君

  皆吉 稲生君     山口 和之君

  山本 剛正君     松岡 広隆君

  重野 安正君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     石田 三示君

  石原洋三郎君     今井 雅人君

  大山 昌宏君     大西 孝典君

  玉木雄一郎君     岸本 周平君

  松岡 広隆君     中屋 大介君

  山口 和之君     皆吉 稲生君

  中島 隆利君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     空本 誠喜君

  中屋 大介君     小林 正枝君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 正枝君     山本 剛正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(東日本大震災による被害及び対策状況)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件、特に東日本大震災による被害及び対策状況について調査を進めます。

 この際、去る十八日、東日本大震災による被害状況等調査のため、福島県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの糸川正晃君、梶原康弘君、古賀敬章君、中根康浩君、自由民主党・無所属の会の古川禎久君、公明党の江田康幸君、日本共産党の高橋千鶴子君、社会民主党・市民連合の重野安正君、そして私、吉田おさむの九名であります。

 また、民主党・無所属クラブの石原洋三郎君、太田和美君、山口和之君、自由民主党・無所属の会の吉野正芳君が現地参加されました。

 まず、今般の震災による被害の概要についてでありますが、去る三月十一日午後二時四十六分ごろ、三陸沖を震源とするマグニチュード九・〇の巨大地震が発生し、宮城県北部において震度七、宮城県南部、中部、福島県中通り、浜通り等において震度六強が観測されるとともに、東北地方から関東地方の太平洋沿岸の広い範囲に大津波が襲いました。

 この地震と津波により、死者・行方不明者は二万七千人、建物被害は三十万戸を超えたほか、農地、事業所、道路、鉄道、港湾、漁港や空港、また、電気、水道、ガス等のライフライン、情報通信インフラ等に甚大な被害が発生いたしました。

 さらに、福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質が放出されております。

 特に、福島県におきましては、津波等による広域的な被害を受けたことに加え、事故により、周辺住民の方々は、県内外に避難や屋内退避を余儀なくされております。

 また、事態の長期化が見込まれる中、健康や環境への影響が心配されるとともに、農水産物の出荷制限や風評被害により深刻な打撃を受けておられます。

 福島県の主な被害状況は、四月十七日現在で、死者・行方不明者二千七百六十三名、重軽傷者二百二十四名、住宅の全壊千八百三十二棟、半壊三千三百九十一棟などとなっており、今なお八万六千二百五十三名の方々が避難生活を送っておられるとのことであります。

 この災害により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、福島県災害対策本部において、佐藤知事等から、地震、津波、原発、風評という四重苦のもとでの被害等について説明を聴取するとともに、被災者生活支援、災害復旧経費の全額国庫負担、原子力災害の応急対策、一元的な復旧復興対策の必要性等について要望を受けた後、農水産物の損害賠償のあり方や原賠法等の既存法律以外の特別法の必要性等について質疑応答を行いました。

 次に、いわき市災害対策本部において、渡辺市長等からは、四重苦と二度にわたる震度六弱の余震に見舞われ、いまだ進行中の被害状況等について説明を聴取するとともに、原子力発電所災害の早期収束や適正な補償の実施、商工業、農漁業、観光業の風評被害の解消、同市への特段の支援等について要望を受けた後、放射線モニタリングの拡大や新たな救済制度の必要性等について質疑応答を行いました。

 次に、市内の小名浜港において、岸壁が沈下し、先端護岸側が大きく陥没した七号埠頭を視察いたしました。

 同港は、周辺の火力発電所の燃料である石炭、原油や製造業の工業原材料の輸入基地であり、復旧に際しては岸壁だけでなく荷役機械や野積み場を一体として整備する必要があるとの説明を受けました。

 次に、車中からアクアマリンパーク、永崎海岸の津波による被災現場を視察した後、薄磯地区において家屋が倒壊、流失した現場を視察いたしました。

 瓦れきがあたり一面に散乱している光景を目の当たりにして、津波災害の凄惨さを実感いたしました。現地では、重機による瓦れきの撤去作業が行われており、分別を行った後、仮置き場に搬入するとのことでありました。

 最後に、郡山市において、避難所になっているビッグパレットふくしまを訪問いたしました。

 富岡町や川内村の役場機能も移転しており、遠藤町長や遠藤村長から、将来への不安を抱え不自由な避難生活を強いられている住民の方々の実情について伺うとともに、足の踏み場もない状態の中で辛抱しておられる被災者の方々にお見舞いを申し上げ、激励してまいりました。

 以上が調査の概要でありますが、私どもはこの調査を通じまして、一日も早く被災地を復旧復興し、被災者の皆様がもとの生活に戻れるよう支援を行っていかなければならないと決意するとともに、そのためにも、原子力発電所事故を一刻も早く収束させる必要性を痛感いたしました。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉田委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官別府充彦君、金融庁総務企画局審議官居戸利明君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、文部科学省大臣官房審議官尾崎春樹君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官有松育子君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官石井信芳君、厚生労働省大臣官房審議官金谷裕弘君、厚生労働省大臣官房審議官唐澤剛君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長中沖剛君、水産庁次長宮原正典君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官黒木慎一君、国土交通省大臣官房審議官井上俊之君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原洋三郎君。

石原(洋)委員 改めて、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。

 民主党・無所属クラブの石原洋三郎でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。また、委員会の視察におきまして、先日福島県にお越しいただきまして、まことにありがとうございます。

 文科省は、十九日、幼保育園と小中学校の校舎などを通常利用する際の限界放射線量を一時間当たり三・八マイクロシーベルトに設定し、屋外活動を一時間程度に制限するといたしました。現段階では、福島市、伊達市など計十三校、園が基準値を超えており、その対象園児、児童生徒は計三千五百六十人に上ります。

 今回の調査では、一日の子供の活動パターンを屋外八時間、木造の屋内十六時間に設定し、五日から七日にかけて福島第一原発から半径二十キロメートル圏内の避難指示区域など以外の幼保育園と小中学校で行った線量調査で数値が高かった五十二校、園を再調査し、活動パターンに当てはめた場合に、年間二十ミリシーベルトを超えた学校について規制対象といたしました。今回の基準である年間二十ミリシーベルトという値は、ICRP及びIAEAの緊急時被曝状況における放射線防護の基準値を考慮したものであり、いわゆる川俣町や飯舘村のような計画的避難区域設定の基準値となされたものでございます。

 例えば成蹊中におきましては、四・三マイクロシーベルトとの数値が計測されておりますが、積算値は年間二十二・六ミリシーベルトとなり、計画的避難区域設定基準値を大きく超えるものであります。通学する児童生徒の健康に影響はないのか、大きく懸念されているところでもございます。

 原子力安全委員会の委員からも、基準を十ミリシーベルトとすべきとの指摘がなされるなど、基準について疑問視する声もございます。今回の基準を二十ミリシーベルトとしたのは妥当と言えるのか、お伺いいたします。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、四月十九日に、福島県内の学校の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方を福島県教育委員会等に通知したところでございますが、これは、原子力安全委員会の助言を踏まえた原子力災害対策本部の見解を受けて取りまとめたものでございます。

 先生御指摘の年間二十ミリシーベルトの件でございますけれども、この対策本部の見解におきましては、お話の中にもございました国際放射線防護委員会が、参考レベルといたしまして、事故継続等の緊急時の状況における基準については年間二十から百ミリシーベルト、そして事故収束後の基準といたしましては一から二十ミリシーベルト、また、ことしの三月二十一日には、改めて、今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして一年当たり一から二十ミリシーベルトの範囲で考えることも可能とする内容の声明を出しているということから、今回の場合、児童生徒等が学校等に通える地域におきましては、非常事態収束後の参考レベルの一年当たり一から二十ミリシーベルトというものを学校の校舎、校庭等の利用判断における暫定的な目安といたしまして、今後できる限り児童生徒等の受ける線量を減らしていくということが適切であると考えられるというふうにされているところでございます。

 今申し上げましたように、今回の暫定的考え方では、原子力安全委員会の助言を踏まえ、国際放射線防護委員会が示しました、非常事態が収束した後の参考レベルの数値を暫定的な目安として採用したものでございます。

石原(洋)委員 暫定的な目安ということでございますが、基準を十ミリシーベルトとすべきとの指摘の声が上げられたことに対しまして、委員長代理が、校舎内は放射線量が低いので二十ミリシーベルトとするとの見解を示したとのことでもございます。

 しかしながら、現実に、対象となった校舎は住宅街に隣接しておりますから、実際に木造の築四十年以上の家に暮らすお年寄りはどうなのか、昼間、外で作業している方はどうなのか、断片的な情報の中で住民の不安は募るばかりであります。

 現実に、これら指定を受けた学校及び周辺地区は、先日計画避難地区に指定された川俣町の一部地区の同日の数値より、はるかに高い数値を示しております。

 福島市御山小、第三小等、そのほとんどの対象校は、一次、二次検査とも本市基準計測値の二倍から三倍の数値を示しております。福島市の基準計測値の最高値が二十三・五マイクロシーベルトでありますから、最高値は五十マイクロから六十マイクロ以上であったことが容易に推測されます。事故発生時からの累積値におきましても、計画区域である川俣町の一部地区よりも大きい数値を示していることが想定されます。そのことから、周辺住民の不安はピークに達し、外出する人影も途絶え、事実上の屋内退避状態であり、自主避難している住民もいる現状であります。

 地域の安全性、また、今後の、計画避難、屋内退避等、区域変更の可能性があるのかどうか、お伺いいたします。

中山大臣政務官 まず、変更がないところは、プラントから二十キロ、この円周に関しては、プラントが自律的な冷却システムが完成するまでは、そこは変わらない。

 その二十キロより遠いところで線量が風向きだとかいろいろな状況によって特に多くなるところ、ここに関しては、計画的に避難してもらう地域ということで決定をしていく、こういうことでございますが、二十キロから三十キロの屋内退避の場所も、もう既に生活が始まっていて、コンビニが六十三も開業していて、SSなんかも十三カ所とか、銀行も二十三行が始まっている。そこであっても、いつでも避難する準備だけはしてくださいというようなところも設定していく、こういうことでございます。

石原(洋)委員 福島市の中におきましても、スポット、スポットで非常に高い線量を示しているところがあるわけでございますので、そういった不安を政府がきちんと解消していくということが特に求められると思いますので、よろしくお願いいたします。

 今回の対象に保育所も入っており、数値も非常に高い。当該保育所はゼロ歳児保育も行っておりますが、乳幼児においての安全性の担保はどのようになっているのか、基準の見直しはなされないのか。小学生の計測基準が五十センチメートルで、中学生が一メートル。乳幼児基準等々は十センチメートル未満とするべきではないか。四月六日の一次検査におきまして、一センチメートルにおきまして最高六・三マイクロが計測されておりますけれども、年間に換算しますと三十三・一ミリシーベルトとなるわけでございます。

 妊産婦に対する安全性についても示されておりません。安定期前、絶対過敏期、相対過敏期等を含めて安全性についてお伺いいたしますし、きょうの新聞報道等によりますと、女性の母乳からも沃素が検出されている県もあるとの報道もございます。

 児童生徒の不安を解消すべく、各学校に対して早急にフィルムバッジ、線量計等々を配付して安心感を与える、そういうことも大切だと思いますし、地域住民の不安解消に向け、対象校周辺に関する詳細な調査、情報の公開を速やかに行うべきと求めますが、お伺いいたします。

小林大臣政務官 保育所も含まれている、あるいは周辺の妊産婦の影響も考えられる、こういう質問と受けとめさせていただきました。

 先ほど来お話しのとおり、今回の暫定的な考え方は、原子力災害対策本部において原子力安全委員会に助言を求めて示されてきた、このようなものでございます。具体的には、国際放射線防護委員会の二〇〇七年勧告の非常事態収束後の参考レベルの年間二十ミリシーベルトを目安としたものでございます。

 その上で、子供の生活パターン、先ほど来石原先生からお話があったとおり、屋外活動を八時間、こういうパターンを想定して、屋外で一時間当たり三・八マイクロシーベルトのレベルであれば年間二十ミリシーベルトを超えないとの計算に基づいて、毎時三・八マイクロシーベルト以上である場合を屋外活動の制限の対象としたものでございます。

 乳児及び妊産婦については、一般的に子供に比べ屋外活動は少ないと考えられており、原子力安全委員会からも、活動の制限の必要性等について特段の言及はございませんでした。現時点では、周辺の妊産婦を含め通常どおりの生活で差し支えないもの、このように考えております。

 今後とも、関係府省や福島県とも連携をして、保育所等について継続的にモニタリングを実施するなど、乳幼児などの安全、安心の確保のために適切に対応してまいります。

田中政府参考人 線量計等について御質問がございました。

 福島県の児童生徒の方々が安心して学校生活を送ることができるように、国としても全力で支援をしたいというふうに考えてございます。

 このため、原子力安全委員会からの助言をも参考としつつ、例えば簡易型放射線測定器、いわゆるポケット線量計でございますけれども、を配付することによる放射線測定など、学校の安全、安心に資する取り組みについて、一次補正予算において措置できるかどうかというようなことについても検討している最中でございます。

 また、モニタリング調査の公開というようなことについても御質問がございました。

 福島県は、広域的な環境影響をさらに詳細に把握して県民の方々の生活環境の安全に資するため、四月の十二日から十六日まで、四キロメッシュで、市街地あるいは住宅地の道路、公園等について、約二千八百地点、モニタリングを実施してございまして、その結果につきましては文部科学省からも公表しているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、福島県が実施されるいろいろな環境放射線モニタリングに協力をするとともに、その情報の公開について、速やかにできるよう努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

石原(洋)委員 一ミリから二十ミリシーベルトの範囲の中で最大値の二十ミリシーベルトをとっているとのことでありまして、基本的に、福島等々におきましては、コンクリートが多いわけでもなく、畑、土というものが多いわけであります。そういう中で、子供は身長が低いわけでありまして、地面に大人よりも近い場所にいる、そして、子供は大人よりも後々影響を受けやすいと今まで報道がなされているわけでございます。

 ですので、その点に関しましてはよくよく慎重に考えていただきたいところでありますし、当初、飯舘村等々におきましては、IAEAの発表がなされたときに、政府としては、現在のところ安全であると言ってからしばらくたって、計画的避難区域と指定をしたところでございます。

 そういったことが繰り返されている中におきまして、福島市を中心とする方々は本当に不安な状況に今悩まされているところでありますので、よくよく慎重に、そして判断をするときには、その方針が変更にならないような形で、住民に安心感を与えていただきたいと思うところでございますので、お願いいたします。

 次に移らせていただきますが、地震、津波、原子力、風評被害と続いている状況におきまして、さらに地域住民を悩ますことが海辺近くにおいて起きております。

 相馬市松川浦地域でありますが、松川浦の陸地が決壊し、外洋の波が湾内に大量に浸入してきております。また、湾内の防波堤も決壊をしており、内陸側の水田地域が、地盤沈下により、今では海となっております。震災発生後、しばらくは水田の海水が引いたのですが、ここ二、三日、新たに潮が押し寄せ、夕方から夜、満潮時には、海から本来三、四キロメートル離れた地域に波が押し寄せ、夜も眠れない状況となっております。

 応急措置の実施、早急なる松川浦の陸地の再生、さらには防波堤の整備などが求められます。現地の状況は、日々、刻一刻と変化をいたします。早急なる対応を求めますが、お伺いをいたします。

宮原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地震におきまして、堤防などの海岸保全施設に大きな被害が生じております。今御指摘を受けました福島県の相馬市松川浦漁港においても、海岸線の砂州上に整備されておりました堤防が約二百メーターにわたり決壊したため、外洋からの波が砂州の内側に直接浸入し、被害を出しているという状況だと理解しております。

 海岸線の背後地の生産活動を一日も早く回復させたいということから、海岸管理者であります福島県と連携をとりながら、被災した海岸の保全施設の復旧に向けて全力で支援してまいる所存でございます。

 また、御指摘ありました農地の浸水被害の解消につきましては、状況をよく確認させていただき、関係部局、機関と協力しながら、迅速かつ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

石原(洋)委員 今回、岩手、宮城、福島等々、海岸線におきましてはこのような状況が多数あると思いますので、的確に状況を把握していただき、梅雨や台風が来る前に早急なる対応をお願いいたします。

 また、漁村、漁場を今後どのように復興させていくのか、その点についてお伺いいたします。

田名部大臣政務官 本当に、漁港、漁村におきましては、大変広域的、そして壊滅的な被害があるわけであります。鹿野大臣もいつも、漁業者であるとかまた農業者、こういった皆さんが、もう一度漁業をやりたい、農業をやりたい、こういう思いを持たれていることを大変重要に考えて、地域の皆さんのその思いを踏まえながら復旧復興をしていかなければならないということを話しているわけです。

 まずは、漁業を再開したいという皆さんに漁船をしっかり確保していかなければなりませんし、さらには、漁港であるとか、また冷凍、加工、養殖施設、こういったものを一体的に復旧していかなければならない。このことに全力で取り組んでいきたいと思っておりますし、今、復興構想会議、有識者の皆さんがこの中で御議論をされておられます。こういった議論というものを踏まえつつ、今申し上げたような取り組みをしっかりと確実に行っていきたいと考えています。

石原(洋)委員 原子力損害につきまして、一義的には原子力損害賠償法による東電の補償ということになりますが、しかし、今回の天災並びに人災は、広範囲に広がり、風評被害に広がっております。実際に、三十キロメートル圏外の原乳、野菜、魚介類などからも放射性物質が検出され、群馬、茨城、栃木など各県の風評被害も甚だしいものとなっております。

 政府の補償方法についてお伺いいたします。

中山大臣政務官 今、海江田大臣を本部長にいたしまして、原子力発電所事故による経済被害対応本部で基本的な枠組みをつくっているところでございます。しかし、すぐに対応するようにいたしまして、私たちは、セーフティーネット五号という保証の枠を使いまして、今までですと、大体、担保つきが二億円、無担保で八千万円ですが、この枠をほとんどの方が使っているという状況もありまして、その枠を倍増するというようなことで、今、対応しようと思っております。

 それから、お金を借りたままで今のお店や何かだけが流されてしまった、これはマイナスからの出発でございますから、返済や何かを猶予して、できるだけ対応していこう、こういうことでございます。

 貸す金利も、限りなくゼロに近い、ある意味ではゼロ金利のものもございます。しっかり対応していきたいと思います。

田中政府参考人 先生御指摘がございました風評被害につきましては、これをなるべく起こさないように、的確かつ迅速な情報の伝達ということが重要であるというふうに考えているところでございます。

 原子力発電所の事故により生ずる損害につきましては、事故との相当因果関係が認められるものについては、原子力損害の賠償に関する法律に基づきまして適切な賠償が行われることというふうになってございまして、風評被害につきましても、この考え方に照らし、適切な賠償が行われるということになってございます。

 この相当因果関係ということの考え方につきましては、原子力損害賠償紛争審査会、四月十一日に設置されましたけれども、その審査会におきまして、今後、原子力損害の範囲の判定等の指針を策定することとなってございまして、この指針に沿って判断されるということになってございます。

 政府としては、被害者の方々が適切な補償を受けられるよう万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。

石原(洋)委員 いろいろと優遇制度を設けていただいてありがたいわけでありますが、ただ、実際にその方々が借りたいということで行くと貸してくれないということが多々あるわけでございまして、やはり制度を設けた以上は、それが適切に、現場の方にとって有利になるような形で運用されるように周知徹底をお願い申し上げるところであります。

 時間もないので先に進めさせていただきますが、どこまで補償が認められるかという、農業者のみならず、第二次産業従事者の大きな不安もございます。

 例えば、水産加工流通業者や乳業製品、食品加工会社、このような二次、三次加工流通業者にも大きな損害を今回の原子力災害はもたらしております。観光業も厳しい状況であります。福島の物産が売れないわけであります。当然、原子力災害が原因で加工物産が売れないわけでありますし、流通できないわけであります。この補償の範囲についてお伺いいたします。

田中政府参考人 今回の事故に関しましては、事故との相当因果関係ということにつきまして、先ほど申し上げたとおり、原子力損害賠償紛争審査会において、今後の考え方、つまり原子力損害の範囲の判定等の指針を策定することとなってございます。この指針に沿って、損害についての考え方が判断されるということになると考えてございます。

 いずれにしても、政府としては、被害者の方々が適切な補償を受けられるよう、万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。

石原(洋)委員 風評被害によって福島県全体の産業が大打撃をこうむっているわけでありますので、三十キロメートルだけで区切るということではなくて、それ以外の商工業、流通加工業者あるいは観光業、そういったことも含めて適切な補償をよろしくお願いいたします。

 飯舘村、川俣町の一部の計画的避難区域は、今後どのようなスケジュールで避難実施を行うのか、その概要の説明をお願いいたします。

中山大臣政務官 一つは、地元とまず官邸が話をする、説得をする、こういうことに尽きると思うんですね。今までも、私なども現地におりまして、現地の考え方がちゃんと官邸に反映しているかどうか、何回も確かめて連絡をとってきたところでございます。

 そういう面でも、地元が納得する説明の仕方をし、地元と意見がしっかり合った時点でやることが大切だ、このように考えておりまして、安易な発表であるとか、そういうことは避けて、できるだけ慎重にやっていくということがまず第一だ、このように思っています。

石原(洋)委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 今後、何よりも、被害をさらに拡大させない、未然に防ぐ、そのためには、さらに危機管理を強化していく、危機意識を強化させていく、そのことが大切だと思います。現在でさえ、現場は刻一刻と被害状況が変化いたしております。現場で状況を的確に把握し、その場で決断する。日々刻々と変わる被災地の要望をすぐに実現していく。そのためにも、一九五九年の伊勢湾台風の災害対策のような権限と決定権が移譲された現地災害対策本部の設置が必要だったと思いますし、これからでも遅くはないと思いますが、この点についての御見解をお伺いいたします。

松本(龍)国務大臣 昭和三十四年の伊勢湾台風を契機として、災害対策基本法ができました。今言われました、今回の震災でも初めて、災害対策基本法に基づいて、緊急災害対策本部、そして緊急災害現地対策本部を東副大臣のもとに設置しているところであります。

 今度は、青森から千葉、そして新潟も長野もさまざまな被害が生じております。そういう意味では、伊勢湾台風のときのような各省の事務次官会議、週に二回開いておりますし、当時の自治長も副本部長でありましたけれども、今、総務大臣も毎日私どもと連絡をとり合ってやっております。当然、国家公安委員長も連絡をとり合ってやっております。

 そういう意味では、緊急災害対策本部と現地の災害対策本部がしっかり連携をとり合って、地域のニーズをしっかり酌み上げていきながら、これからも政府一体となって国を挙げて努力をしてまいりたいというふうに思っております。

石原(洋)委員 最後に、一言だけ御要望させていただければと思います。

 当時、伊勢湾台風の際は、現地災害対策本部長が当時の副総理、そして本部長代理が自治庁長官兼国家公安委員長、副本部長が各省の事務次官、本部員が、各省庁の局長、出先機関長、中部三県の副知事、部長、中部電力、住宅公団の幹部らが任命されました。強力なトップ、省庁のトップクラスが現地に赴いて、その場で判断をしていったわけでございます。

 今回、原子力災害対策本部も設置されておりますが、原子力災害対策本部に関しましても、でき得る限り現場に近い場所で、そして各メーカー、プラントメーカー、あるいは会社、土木業者のそういったトップクラスが、現場で作業員の方々の意見を聞いて対策を練っていく、陣頭指揮をとっていくということが大切だと思いますので、その点も含めて御検討いただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、山口和之君。

山口(和)委員 民主党・無所属クラブの山口和之と申します。

 石原委員とは同郷で福島県で、同じ原発の被害を受けているところでございます。本来であれば、フィールドが違うところなので話がかぶらないと思って来たんですけれども、大半がかぶって、もしかすると時間が非常に短くなってしまうかもしれません。どうぞよろしくお願いします。

 初めに、東北地方太平洋沖地震で犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 内容としては、原発事故が今後の人災にならないようにということ、それから二番目として、原発事故の国の責務として、福島県を放射線研究、がん研究のメッカにしてはどうかということ、三番目に、風評被害を含めて原発補償問題のスキームについて、四番目に、たび重なる余震に早急の耐震評価が必要なのではないかということ、五番目に、高齢者の避難所から仮設住宅、町づくりへのスムーズな移行に向けてという五項目を以降話させていただきます。

 先ほど石原委員の方から、人災あるいは天災という話があったと思うんですけれども、一九九五年の阪神・淡路大震災は戦後最悪の自然災害でした。しかし、これまでの研究で、阪神・淡路大震災は、天災のみならず人災ではないかという指摘もされております。

 例えば、神戸市から調査依頼を受けて一九七二年と一九七三年に調査した大阪市立大学の笠間氏と京都大学の岸本氏は、神戸での直下型地震の危険性を指摘していたとのことでした。しかし、震度六の都市づくりの答申にも、震度五で都市づくりが行われて、震度六対応のビルは崩壊しないであったんですが、防災に必要であった貯水槽は震度五の対応で耐え切れず、被害が広がったと言われています。安全がお金で買えるなら、できる限りのことをすべきだと思います。

 今回、原発の放射能漏れが天災であったか人災であったかは、評価はまだ時間を要するかもしれません。しかし、今も進行中の原発事故には、安全に安全を重ねる意識が常に重要であることを改めて留意してほしく、お話しさせていただきます。今回の対応が人災にならないことを切に願います。

 先ほど、小学校等の十三校が福島県で屋内制限が加えられましたけれども、安全基準としては二十ミリシーベルトを設定したと言われました。枝野官房長官が十一日に発表した計画的避難区域の基準もまた二十ミリシーベルト。一方で、子供が受ける放射線のダメージは成人の三倍から十倍ということも話ではあります。同じ基準ではどうかと思います。

 もう一つ、労働安全基準法に基づいて定められた電離放射線障害防止規則は、第四条で、「事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者の受ける実効線量が五年間につき百ミリシーベルトを超えず、かつ、一年間につき五十ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。」とうたっています。つまり、年間二十ミリシーベルトなんです。

 一方で、労災認定基準、昭和五十一年十一月八日付の労働基準局長発の八百十号では、白血病の認定要件として、相当量を、五ミリシーベルト掛ける従事年数の電離放射線に被曝した後に発生した場合であるとしています。年間五ミリシーベルトということです。しかも、原発労働者が管理区域内に入るときは服を着がえて線量計などで厳密に被曝を管理して、中では飲食も禁じられ、区域から出るときはシャワーを浴びて放射能を洗い流します。

 ここまで述べた数値を見ても、基準は、もしかしたらばらばらじゃないか、できていないのではないかというふうに思われます。これらの基準がばらばらで、どれが正しいかわからず、人が政府の発表する値に不信感を持つのも当たり前だと思います。

 砂遊びや粉じんを吸ったり飲食したりする子供たちを考えれば、この基準は妥当なのか。先ほどは妥当ということでしたが、子供の放射線に関する感受性から考えれば少し甘い基準なのではないか、少しどころかかなり甘い基準ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御説明を申し上げたことではございますけれども、このたび私どもが、福島県内の学校の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方を通知した考え方のもとは、原子力安全委員会の助言を踏まえた原子力災害対策本部の見解を受けて取りまとめたものでございます。

 その際に、暫定的基準として、国際放射線防護委員会、ICRPが、今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、一年当たり一から二十ミリシーベルトという範囲で考えることも可能というふうな内容の声明を出していることを踏まえて、まさに今回のような児童生徒等が学校に通える地域においては、この非常事態収束後の参考レベルの一から二十ミリシーベルトというものを採用したところでございます。

 この国際放射線防護委員会の基準につきましては、子供と大人をすべて含んだ基準値として一から二十ミリシーベルトというのが定められているというふうに理解をしております。これは暫定的目安としつつ、今後できる限り児童生徒等の受ける線量を減らしていくことが適切であるというふうな考え方に立って採用したものでございます。

 さらに申し上げれば、この年間二十ミリシーベルトということを空間線量に計算をいたしますときに、先ほども少しお話が出ておりましたけれども、木造家屋を前提とした屋内活動十六時間、屋外にいる時間八時間という前提で計算をいたしまして、一時間当たり三・八マイクロシーベルトということにしているわけでございますが、これは、児童生徒等の実際の活動時間等を考えますと、かなり安全側に立って算出した値だというふうに考えております。

 さらには、先ほども申しました、今後できる限り児童生徒等の受ける線量を減らしていくという取り組みを進めることで、児童生徒の安全の確保に努めてまいることができるというふうに考えております。

山口(和)委員 五十一年十一月八日付の「電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について」ということで、一年間五ミリシーベルト掛ける年で、「被ばく開始後少なくとも一年を超える期間を経た後に発生した疾病であること。」ということで、一年間で五ミリシーベルトでも労災認定がされるということ。とすると、厳しい基準もあるということです。

 したがって、暫定基準にした理由は、恐らく、ちゃんとした基準が今までないからだろうということなんだと思います。そうすると、もっと厳しい基準が必要なのではないかというふうに思われるんですが、もう一度お願いいたします。

有松政府参考人 今回、年間二十ミリシーベルトあるいは一時間当たり三・八マイクロシーベルトということを算定いたしました考え方は、先ほど申し上げたとおりでございます。

 今回、その基準値を基準といたしましたわけですが、時間当たり三・八マイクロシーベルトを超える学校につきましては、今後、この算定の基礎になりました、文部科学省が実施いたしました詳細な調査を一週間に一回は実施いたしまして、その結果、きちんと継続的に線量が低減しているのかどうかということの確認を続けてまいりたいと思っております。

 それ以外の、高い結果が出た学校以外のところにつきましても、今回の調査の対象となったものにつきましては、児童生徒の受ける線量が継続的に低く抑えられているかということを確認するために、継続的に、国と福島県と連携いたしましてモニタリングを実施するということにしております。

 さらに、この暫定的考え方につきましては、二十三年三月に、このたび発生いたしました福島第一原子力発電所の事故を受けて、おおむね八月下旬、つまり夏休みの終了までの期間を対象とした暫定的なものとしておるところでございますが、それまでの間も、今申し上げましたように、モニタリングあるいは詳細な調査を実施しながら、線量の推移について、安全が得られるように、きちんと調査を続けてモニタリングをしていきたいというふうに考えております。

山口(和)委員 聞くところによると、土壌の測定のときに、日本の測定の場合は、掘り下げて、それをミックスして評価する、国際基準は、表面の測定をする。測定の仕方そのものも違うという話を聞いております。できる限り国際基準の評価法を使うことと、先ほど返答いただきました、例えば測定装置での頻回な測定、それからポケット測定装置をぜひとも前向きに配付できるようにしていただきたいと思います。

 福島県で起きた事故というのは、これは日本国内だけの話ではなくて、世界全体にわたる話なんだと思います。そう考えていくと、原発事故の責任国として、日本がもっと放射線やがん医療の研究の先進国になるべきではないかと考えます。原子爆弾を落とされた被爆国の責務として、このことは多くの国民の理解を得ると思いますし、原発国の責務として、安心の地域づくりに、福島県を放射線やがん医療のメッカにしてはどうかというふうにも考えます。

 福島県民としては、そういった研究をする場所それから医療ができる場所があることによって、長期間にわたり低線量の放射線の影響を受けた場合の人体への影響、あるいはがん発生のメカニズム等々に寄与することと思われますし、今後、国際基準が新たにつくられていく上でも日本がリーダー的な存在になり得ると思いますが、もしよろしければ、その辺のことをどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

田中政府参考人 ちなみに、放射線医学総合研究所は、被曝医療につきましては第三次被曝医療の中核機関ということでございます。あるいは、放射線医学総合研究所がやってございます種々の放射線のがんの治療は、世界最高水準のものだというふうに考えているところでございます。

 文部科学省としては、これらの研究ということをさらに積極的に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 福島県との関係でございますれば、どういう格好でやっていくのが一番いいのかというようなことについて、先生の御指摘も踏まえて、今後検討していきたいというふうに思ってございます。

山口(和)委員 日本はこの分野の先進国で、世界の安全基準を構築するためにそれはぜひやらなければいけないことだと思いますので、責任を持って我が国がそういうことに対応できるように、ぜひとも皆さんの御努力をお願いしたいと思います。

 それから、先ほど風評被害のことにつきましては丁寧な御答弁をいただきましたので、それを飛ばしまして、耐震評価についてお聞きしたいと思います。

 たび重なる余震が何回もあったんですけれども、一回目の地震のときに倒壊した建物があるんですが、二回目、三回目でまた倒壊した建物がございます。ということは、重なれば重なるほど耐震強度が弱っている可能性はあるわけなんですけれども、公共施設であったり、あるいは医療機関であったり福祉施設等であったり、早急に確認する必要があるかと思われるんですが、この件につきましてはどのような御見解があるのか、お示し願いたいと思います。

吉田委員長 役所は来ていないの。

 質問通告されていますか。

山口(和)委員 済みません、伝えたつもりではいたんですけれども、ちょっと……。

吉田委員長 どういうことですか、国土交通省さん。

山口(和)委員 済みませんでした。もしかしたら伝えていなかったかもしれません。後日、どなたかお願いします。

 続きまして、では……(発言する者あり)いや、しっかりやっていただけると。要望にいたします。

吉田委員長 国土交通省さん、ちゃんと質問通告されているのかどうか調べて、委員会に報告してください。

 以上。

山口(和)委員 高齢者の避難所、仮設住宅、町づくりへのスムーズな移行に向けてなんですけれども、仮設住宅、きのうの新聞においては、コミュニティーを重視して、閉じこもり予防、孤独死などの関連死をふやさないように、阪神・淡路大震災の教訓をもとに初めて介護拠点を整備するなど、コミュニティー対策を盛り込まれた仮設住宅というところで非常に期待しておりますし、ありがたいと思います。

 ただ、たくさんの避難所を見に行きますと、多くの高齢者は、常に床にいて、生活感がなくて、寝ている時間が多くて、ボランティアの介入レベルでは到底介護予防は困難だと思われます。このままであると、仮設住宅に移ったとしても、今までの生活習慣、寝た状態あるいは体力が低下した状態で、仮設住宅でまた孤立する可能性があるし、回復まで相当の時間がかかる。

 病院でいうと、急性期病院、回復期病院においてしっかりとした支援をして初めて次のステージに移っていくわけなんですけれども、避難所のレベルでは到底ちょっと、この長期化は危険な状態だと思うんですが、その点についていかがでしょうか。

金谷政府参考人 委員御指摘のとおり、避難所あるいは仮設住宅におきます高齢者の方々が活発な状態で活動ができなくなる、そういった状態になることが大変危惧されるところでございます。

 私どもも、避難所あるいは仮設住宅におきます高齢者の方々の日常を支えるための仕組みというのは非常に重要だと思っております。そういった意味から、介護予防の取り組みというのは極めて重要であるというふうに認識をいたしております。

 まず、避難所におきます対応でございますけれども、これにつきましては、厚生労働省といたしましては、そういった避難所に対しましてパンフレットあるいはチェックリストを配付いたしまして、定期的な運動を啓発するとか、あるいは高齢者の方々の健康状態の確認を呼びかけるなどさせていただいているところでございます。また、保健師の方々がそれぞれ避難所に入って、高齢者の方々の対応についていろいろケアをされているという状況でございます。

 また、理学療法士協会等の十七団体によりまして構成されております専門家チームが、現地に入って活動いただいております。避難所において介護予防に取り組んでいただいておりまして、その活動に対しまして、敬意とまた感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 私どもとしては、そういった団体と連携しながら、そういったことの支援をしていきたいというふうに考えております。

 また、仮設住宅に移りまして、これにつきましても、生活の支援あるいは介護予防というものは非常に重要だというふうに認識をしておりまして、そういった仮設住宅になりました段階でも、生活支援サービスあるいは地域交流、そういった総合的な機能を有するサポート拠点などの設置を推進して、介護予防等も含めました多様なサービスを提供してまいることによりまして、高齢者の方々が避難所あるいは仮設住宅に移る際に、寝たきりになるとか体の状態が悪くなるとか、そういったことがないよう極力努力してまいりたい。

 以上でございます。

松本(龍)国務大臣 今の御指摘は大変重要な御指摘で、避難所の生活改善、そして、自宅で避難をされている方々あるいはお寺で避難をされている方々、いろいろさまざまありますけれども、高齢者の見回りというのが一番大事なことだというふうに思っております。そういう意味で、我々も、支援本部としてはそれを第一の課題として、劣悪な避難所の改善等々に今取り組んでいるところであります。

 また、仮設住宅も、厚生労働省にも言いましたし、いろいろな意味で、福祉避難所とかあるいはコンビニも要るでしょうし、ふるさとに帰るための定期バスの運行とか、さまざまなニーズがこれから仮設住宅も出てくると思いますので、そこも含めて、今、いろいろな知恵を出して仮設住宅をつくるようにという指示をしております。

山口(和)委員 ありがとうございます。

 急性期の救命についてはかなりのスピードで対応されてきたと思いますけれども、その後のフォローについては少し力が抜けているところがあって、各団体の力を結集して、あるいはその地域の力も活用して、あの手この手で支えないと、一たん高齢者の機能が落ちてきたときに、心理的なものも含めて、阪神・淡路大震災では関連死が千近くあったという話があります。そういうことから考えて、これは、イニシアチブをしっかり握って本気でいかないといけないんだと思います。医療、看護だけではなく、もろもろのことをしっかりやっていかなきゃいけないと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 また、社会福祉協議会等々が避難している場合もあるんですけれども、社会福祉協議会自体が運営できなく、解散という話も出たりしております。そういうところに支援をしながら、内部からも外部からも支援できるような体制をつくっていただいて、今後、東北が、日本が、世界の長寿社会の見本となるように、安心、安全の社会が構築できて、いい国日本と言われるように、ぜひとも全力を挙げてみんなで頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

吉田委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは十五分間時間をいただきましたので、そのことについて少しお受けとめいただきたいと思います。

 きょう私は、質問通告という面からいったら、ほとんど通告はしてありません。大きなことで大臣と議論をさせていただきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 最初に、災害の後から、対策本部だとか会議だとか政府の中に随分いっぱいできています。大臣が出席する会議というのは震災関係で幾つあるんですか。

松本(龍)国務大臣 被災者支援本部の本部長をしております。そういう意味では、原子力の事故とある意味では切り離して、いわゆる地震、津波で、青森から千葉、そして新潟、長野もあります。そういう中で、何とか、今申し上げましたように、避難所におられる方、避難されている方々の生活の改善を図っていくために努力をしています。

 一方で、例えば就業とか雇用の問題がありますから、さまざまな緊急雇用をつくり出すチームがあったり、あるいは、瓦れきの処理も阪神・淡路と全く違いますので、法的な問題もあるので、そこで瓦れきの処理のためのチームをつくったり、あるいは仮設住宅のチームをつくったり、応急復旧のチームをつくって、それぞれ局長クラスも入りながら、あるいは副大臣、政務官が入りながら、やっているところであります。

 私が出ている会議というのは五つぐらいですね。

長島(忠)委員 大変な状況の中で、会議に出られるだけでも大変だと思うんです。

 私は、だから、大臣は被災者生活支援特別対策本部の本部長であるということは事実ですね。そこで、先ほど山口委員からの質問の中で、大臣は、避難所の環境を改善するというような御答弁をなさっておりました。

 私は、避難所をいつ解消するか、もうそういう時期に来ていると思うんです。避難所をいつ解消するか、避難所生活。環境改善じゃない、避難所にいるだけで劣悪な環境なんですから、そこのところをいつ解消するかという目標だけはもう持つべきときだと思うんです。

 私のところを振り返ってみたら、もう四十日を過ぎましたよね、どうも四十日目に、建設中でありましたけれども、仮設住宅の見学会をしているんです。そのことによって、家族でここに移れるという希望を持ってもらう、そういうことをやってきたわけです。

 避難所をいつ解消する腹づもりがあるのかだけ、ちょっとお答えください。

松本(龍)国務大臣 仮設住宅を早急にということで、大畠大臣、二カ月で三万戸という話をしております。そういう意味では、我々も、そこで避難所を解消していかなければならないという長島先生の御指摘は大変重要な御指摘で、急いでおりますけれども、ある意味では後背地に用地がないという状況もあって、かなり困難をきわめております。

 ですから、私は、当然解消に向けて努力をしてまいりますけれども、今、残念ながら避難所におられる方々がおられる。そういう意味で、移転をしてくれという意味では、あるいは公営住宅とか旅館とかホテルとか、バックアップ体制はずっとつくっておりますけれども、まだまだ地域では、おととい聞いた話でございますけれども、警察庁では毎日百ほどの御遺体が出ておられるという状況もあって、しかも、行方不明者を捜すという方々が、やはり避難所から離れることができない、粘り強く辛抱強く避難所におられますので、私は、解消に向けては努力をいたしますけれども、残念ながら避難所におられる方々の生活改善もあわせて今やっていかなければならない、そして、自宅に避難をされている方々の手助けもしていかなければならないと思っています。

長島(忠)委員 厚生労働省ですか、東日本大震災に係る応急仮設住宅にということでありました。

 先週、私は、内閣委員会で枝野官房長官に質問をさせていただいたときに、仮設住宅をいつまでに七万戸完成させるのか、どこに何千戸完成させるのか、早急に目標を示すべきだ、その中で避難所の生活をどう続けていくのかを住民に説明すべきだろう、場合によっては仮設住宅が完成するまで少し長期的に避難生活を旅館とか公営住宅でやる、また、今言われたように、行方不明者の捜索のために避難所にとどまるという選択をされるかもわからない、ただしそれは、仮設住宅の完成があったときには必ず仮設住宅で家族の生活が取り戻せるという目標を示さなければいけないというふうに枝野官房長官に質問したら、枝野官房長官は、一週間ぐらいで見込みを示します、必ず目標を示しますとお答えがあったんです。それからもう一週間ですよ。

 松本大臣は、その目標、仮設住宅の完成の目標というのは聞いていますか。

松本(龍)国務大臣 七月、八月という状況は聞いておりますけれども、見える化といいますか、何月までに何戸、連休明けまでに何戸という話は、漠としては聞いておりますけれども、具体的な数字は私は聞いておりません。

長島(忠)委員 いや、それはちょっと、大臣、七月、八月に完成するんだったら、もう今の時点で何々町に何千戸、いつ着工していつ完成しますという目標がなかったら、七月、八月なんて言っているうちに、七月、八月はすぐ来ますよ。

 着工してから何日で完成するか知っていますか。

松本(龍)国務大臣 二十日から一カ月だと思います。

長島(忠)委員 一カ月というのが目途なんですが、大体四十日ぐらいかかっています。それから引っ越しするまで大体五十日かかるんですよ。七月、八月という目途を決める以上、まだ土地も決まっていない、どこに何千戸と決まっていないで、七月、八月に完成できますか。

 では、どこに何千戸張りつけて七月、八月にあれするのか、資料をください、ここじゃなくていいですから。それがなかったら被災者は目標を持てないじゃないですか。

 だから、私は、いつまでに何ができるのか、小まめに目標を示すべきだと。最初、避難所では、電気がいつ通ずるのか、そして水道がいつ来るのか、そこから始まって、最終的には家族単位の生活にとりあえず落ちつけるのはいつなのか、早急に示さないと目標をなくしますよ。

 大臣にこんなことは余り聞きたくなかったんですけれども、避難所で、避難をしてからとうとい命をなくされた方は何人ぐらいいるか、把握をしていらっしゃいますか。

松本(龍)国務大臣 今御指摘でございます、私は、発災から、災害関連死ということをずっと言い続けておりました。中越では、十六名が地震で亡くなって、五十二名が関連死ということがありました。阪神・淡路も九百名から千人という状況がありました。

 今、新聞報道によりますと、これはどれを災害関連死というのかわかりませんけれども、先週の新聞では二百八十人とかいう数字は見たことがございます。

長島(忠)委員 被災者生活再建支援の本部長だったら、厚生労働省も使い、国交省も使い、きちんとそこのところは把握だけしておいてくださいよ。

 これ以上、避難所やそして避難生活の中で、それは御病気でということもあるかもわからない、でも、みすみす劣悪な環境の中で命を落とされたり、ましてや、みずから命を縮めるようなことがあったら救われないじゃないですか。そこはやはり、細かな対応をするために、大臣として見届けてほしいところが私はあります。

 きょう、鈴木副大臣に来てもらっているんです。私、聞きたいことがあるんですよ。

 この前の内閣委員会で片山総務大臣に質問したときに、市町村に対する手当てをしてください、人と物と金を渡してくださいと言ったんです。

 きのう、読売新聞で陸前高田の市長さんの話が出ていましたけれども、ごらんいただきましたか。

鈴木(克)副大臣 大変申しわけありません、具体的には伺っておりません。見ておりません。

長島(忠)委員 まさに、市町村に総務省としてどう対応してほしいかということを書いてあったはずなんです。きょう、総務省の中で話題にすらならなかったんでしょうか。お答えください。

鈴木(克)副大臣 申しわけありません、きのうはちょっと私もばたばたしておりまして、早速、帰ってよく精査をさせていただきます。

 ただ、発災以来、私ども、電話、そして副大臣、政務官、手分けをいたしまして現地にお邪魔をして、相当詳細な御要望等を伺ってきております。

 きのうの新聞報道についてはまだ承知をいたしておらない、そういうことでございます。

松本(龍)国務大臣 戸羽市長の記事は読ませていただきました。また、日曜日に陸前高田に行ってまいりまして、戸羽市長にいろいろな事情を聞いてまいりました。中にはやはり、市町村のマンパワーが足りない、とりわけ陸前高田市はかなり厳しい状況にあるということで、私も、そういう意味で、その報告は支援本部の中でしておりますし、これから市町村のバックアップ体制が必要だということも総務省等々に通告をしております。

長島(忠)委員 そこで、大臣と副大臣にお聞きしますが、現地対策本部という話がさっきもありました。私は、現地対策本部ではなくて、市町村対策本部と皆さんは、それぞれどういう連携をとっていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

東副大臣 基本的には、現地対策本部の最大の役割とは何かというと、県との連携、そして県と市町村との連携、これをいかに密にさせていくか。と同時に、現在、宮城県には約五十名、そしてまた岩手県に三十名、福島県に三十名、現場に行って、市町村の首長さんを初めとして被災地の皆さん方と直接話を聞いて、その声をどのように政府の立場としてできるかということで取り組んでいるんです。

 したがって、例えば宮城県の場合ですと、被災された地域市町村、約二十五市町村あります。ここにはすべて、政務三役にほぼその現場を訪問させ、何が問題なのかということを承り、そしてそれを県と連携させ、さらにまたそれを政府にちゃんとつないでいる。数々の、いまだかつて、多分まだここでは発表されていないと思いますが、直接、市長並びに首長の方から、ぜひこれをやってくださいということをダイレクトでやらさせていただいているものもたくさんあるということだけ報告しておきます。

長島(忠)委員 だとしたら、連携をとっているとおっしゃるんだったら、私は、では、そのとり方で、市町村に向き合って、あの記事の中にあったように、もう少し初期動作の中で使い勝手のいい制度とお金を用意してくださいということに今までにこたえていられたはずなんじゃないですか。

 私のところは、実は牛を千二百頭、金はなかったですよ、だが、命を助けることを優先するために私はある業者さんと連携をして、牛をヘリで千二百頭運びましたよ。お金の裏づけも法律の裏づけもあったわけではありませんよ。でも、きちんと後で手当てをして、もらうことができました。そういうことを言っているんじゃないですか。

 余り法や制度の中で制限をしてしまうと、思い切ったことができないから、初期の段階で権限とお金を早く回してくださいと。決して話を聞いてくれと言っているわけではなくて、その役割を認めてくれと言っているんだ、あの記事を見て、私はそう思うんですよ。そう私は受けとめたので、ぜひ大臣と総務省にはその支援をしてやってほしいということなんです。

 私の村でさえ被害額は、公共的な予算だけですよ、いわゆる年間の予算の二十年分ですよ。二十年分を消化するために、職員や、そして応援職員にどれだけ力をかりなかったらできないかというのは、鈴木副大臣、想像できますね。だとしたら、市町村の行政能力をアップしてあげる以外、例えば三十年分の予算が要るところもあるかもわからない、そのほかに被災者の対応をしていくとしたら、このことはやはりきちんと手当てをしてあげるべきじゃないですか。お金と人ですよ。この前そう言ったときに、しますと。それから人数とか何かふやしていただいたのか、ちょっとお答えください。

鈴木(克)副大臣 御答弁させていただきます。

 まず、陸前高田につきましては、四月の十五、十六日に、平岡副大臣が直接お邪魔をして状況等を伺っております。そのことをちょっと今申し上げなかったので、御報告させていただきます。

 それから、総務省として、特にお金の関係でありますけれども、資金手当てとして、四月一日に普通交付税の四月分の概算交付と六月分の繰り上げ交付を合わせて九千七百六十七億円交付をさせていただき、四月八日にはさらに特別交付税の特別交付七百六十二億円を出させていただいて、さらに特交の増額を今、法案で準備中であります。

 もちろん、それで十分ということではありません。しかし、私どもは本当に連携を密にしながら、少しでも安心していただける、そういう体制をつくるために万全を図ってまいりたい、このように思っております。

長島(忠)委員 時間が参りました。いずれかの機会にまた質問させていただきますが、とにかくやりましょうよ。いろいろなところに耳を傾けてくださいよ、我々も一生懸命協力しますから。そのことで実現していきましょうよ、それが被災者のためだと思っていますから。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。震災関連を中心にして、お伺いをしてまいります。

 まず、松本大臣におかれましては、鹿児島の新燃岳あるいは鳥インフルエンザ関連では大変お世話になりました。心からの感謝を申し上げたいと思います。そしてまた、過去形ではありませんで、現在進行中であります。どうかまたひとつよろしく、引き続きお願いしたいと思います。

 自民党は、今回の大震災が発生をしましてから、例えば、部会で必死の議論をしながら提言を繰り返し、あるいは独自のボランティア活動を行ってまいりました。そして、三月二十四日には緊急対策のチームをつくりまして、みんなの意見を出し合って、また阪神・淡路その他災害のノウハウも踏まえながら緊急提言をつくる作業を進めてまいりました。

 そして、三月三十日に第一次緊急提言、それに対する回答を四月七日にいただいて、そしてまた、四月十五日に第二次の緊急提言を行いました。合わせて四百三十九項目の提言を行ったところであります。

 菅総理初め枝野大臣等々から、同じような形でやっていきたい、十分にしっかりと補正予算にまずは反映させていきたい、そんなお答えでありました。

 担当大臣として、この提言をどういう受けとめ方をして、どう実施されつつあるか、お伺いしたいと思います。

松本(龍)国務大臣 未曾有の災害に当たりまして、与野党問わず国難に当たっていこうという気持ちでおられるさまざまな皆さんに対して、私も心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 三月の十六日にいち早く与野党の幹事長会議が持たれました。そのときにも、例えば、早く公営住宅を、早く雇用促進住宅をという声が上がったり、南相馬のことを提言していただいたり、さまざまあって、同じ問題意識を持っておりましたので、ありがたいお言葉だなというふうに思ったところであります。

 三十日、そして四月の十五日、二度にわたって提言をいただきました。避難所の対策、被災者支援、あるいは仮設住宅、産業復興、農林水産業支援等々多岐にわたる御提言をいただいたところであります。

 御提言の内容は、私としては、被災者生活支援特別対策本部の本部長として、いただいた御提言の趣旨を重く受けとめつつ、可能なものからしっかり実行をし、被災された方々に対する生活支援を全力で行ってまいりたいというふうに思います。

 特に、避難所におけますプライバシーの保護、女性、母親のケアといった御指摘については、まさに私たちの問題意識と一致をするところがありましたし、被災された方々の御要望を踏まえたきめ細かい支援の実施もありがたい御提言ということで、私たちもステップアップをしていかなければならない、きのうよりきょうという改善をしていかなければなりませんし、先ほど申し上げましたけれども、避難所生活が長引く中で、これからも取り組んでいきたいというふうに思います。

 震災損失の繰り戻しによる法人税額の還付でありますとか、固定資産税や都市計画税の軽減、あるいは税制面での措置を講ずる方向とまた伺っております。

 いずれにしても、今後とも自由民主党にも御協力をいただき、お知恵や御提言をいただきながら、私どもも政府を挙げて被災者、被災地支援、復旧に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小里委員 可能なものからというお話でもありました。全部可能なものでありますし、不可欠のものであると認識をしております。

 我々は、決してこれをパフォーマンスで行ったわけではなくて、そしてまた、野党であるがゆえの高いハードルを設けたつもりでもありません。当然なすべき緊急提言を行いつつあります。しっかりと受けとめていただきたいと思いますし、そしてまた、各省庁に割り振っておられるようでありますが、ただ割り振るだけではなくて、検討しろと言うだけではなくて、やれという、実施しろという指示をぜひ与えていただきたい。そうすれば官僚の皆さんも動きますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 松本大臣は、新燃岳の噴火への対策等々陣頭指揮をとられて、本当にその姿がよく見えておりました。ところが、今回の震災に当たりましては、なかなか松本担当大臣の顔が見えてこないという声も大きく聞くところであります。それはやはり、菅総理が松本大臣にそれ相当の権限を与えておられないところにあるんじゃないかなと思うところであります。お答えしにくいところであろうと思いますが、お伺いしたいと思います。

松本(龍)国務大臣 発信は私は余りしませんからそういうこともあろうかと思いますけれども、三月十一日の午後二時四十六分に発災しまして、それからもう十分後に危機管理センターに入ってまいりました。それからもう十日間ほとんどそこを、夜中にちょっと休むぐらいの話でおりましたので、まさにほとんどの方々と会っておりません。

 その日のうちに津波ということがわかりましたので、まさに二次被害が起こったらだめだということで、ラジオをまず送れ、そして感染症や伝染病にしっかり注意しよう、しかも余震があったらだめなので、救助をされる、あるいは捜索をされる自衛隊や消防や警察に対しても、沿岸で作業をするときには必ず二人体制以上で、しかも余震や津波に注意してくれということをその日に発信しました。

 そういう意味では、菅総理からも信頼をいただいておるというふうに理解をしておりますし、同時に、原発事故がありましたので、これは私自身の知見を上回るということで、震災、いわゆる東日本大震災の方でしっかりやるということで、切り分けていきながら、被災者生活支援本部を立ち上げてやったところであります。

 その間も、マンパワー、自衛隊や警察、消防、海上保安庁は一緒でありますから、そこでとにかく捜索、救助、救援ということをお願いしていきながら、物資の運送をお願いしていきながら努力をしてきたところであります。

 顔が見えないということについては、私自身の、ある意味では不徳のいたすところであるかもわかりません。

小里委員 決して不徳ではありません。大臣が発信してこなかったとおっしゃったその声を聞きながら思ったんですけれども、やはり、発信するには権限が必要なんですよ。

 例えば、阪神・淡路のときは、一月十七日の発災でありましたから、その後の通常国会はフルにやりました。さながら震災国会になりました。

 総理も担当大臣も、平日は、朝から夕方まで予算委員会、災対特その他委員会にくぎづけになりまして、いろいろな現地からの質問もいただきながら、また批判にさらされながら、それをヒントにしてまいりました。

 夜は夜で、対策室のメンバーを集めてその日の対策の方針を打ち出していったわけでありまして、土曜日は土曜日で、被災地に必ず赴いて、被災地の皆さんと向き合いました。そして、日曜日は、朝からテレビ番組に出まくって、直接また被災地と結んでこの対策をやりとりしていったわけであります。

 常に批判にさらされて、それをまた糧にしながら、国民の皆さんの目に見える形で対策を展開していったのがあの阪神・淡路大震災でありました。

 今回、阪神・淡路とは違って、被災の範囲が広範囲だ、あるいは原発もある、それはわかります。しかし、それがゆえに対策がおくれていいという理由にはならないのであります。

 阪神・淡路のときは、まさに何もかもが未曾有の体験でありましたし、教科書も本当になかった。一から対策をつくっていったのであります。今回は、曲がりなりにもその阪神・淡路が教科書としてあるんですね。基本動作はかなり重なる部分が多い、七割方は使えるノウハウが残っているんですよ。そこをまずやっていただきたいが、やれていない。それをやるための組織体制そのものができていないと思うんです。

 さらに言わせていただければ、我々の緊急提言、一次分ぐらいはとっくにやっていなくてはいけないんですよ。

 どうでしょうか、大臣。

松本(龍)国務大臣 御指摘は承りました。

 私も、十六年前の阪神・淡路のとき、小里大臣のもとで、二週間ぐらいして復旧復興プロジェクトの座長をいたしました。村岡兼造先生、谷洋一先生、そして私と三人で交代で、復旧復興プロジェクトの座長をしました。

 一カ月たったときに、避難所の見回りでありますとか、瓦れきの処理でありますとか、そういったことはもう私のチームではほとんどなくて、復旧復興に向けて、それは小里大臣のもとにやったわけでありますけれども、六千四百三十四人亡くなられた阪神・淡路、そして三名、行方不明の方がおられました。今度の震災ではいまだにたくさんの方々が行方不明で、おとといも、百名の御遺体が毎日出ているという警察庁からのお話もありました。

 決して言いわけはいたしません。しかし、今、全力で、また自民党の皆さんの提言を受けていきながら、しっかりこれからの復旧に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。

小里委員 おっしゃるとおり、言いわけは許されません。震災対策に、やれないと言うことは許されないんですね。

 今まで政府の動きを見ておりますと、どうしても各省庁がばらばらであります。役人の皆さんはそれなりに対応はしてくれます。しかしながら、のりを越えることはできないんです、制度を超えることはできない。そこをやるのが政治決断であります。そして、震災対策というのは特例措置の連続なんですよ。それを政治決断でやる司令塔がどうしても必要なんです。

 私も覚えておりますけれども、阪神・淡路のとき、そばにおりましたが、毎晩毎晩、その日いろいろなニーズがどんどん上がってくる。それを夜、御前会議なんて言っていましたけれども、大臣と対策室のメンバーでみんなで協議をする。そこで、一つ一つ、その日に上がってきた課題に対して大臣が方針を示すんです。そして、翌日の対策会議でまた各省庁が具体策を上げてくるんですよ。それを大臣が裁可して実行していく。

 すなわち、原則として二十四時間以内に全部方針を出して具体策を示しているんです。そういった体制をぜひつくっていただきたいと思うんです。どうでしょうか。

松本(龍)国務大臣 同じように、各省庁の縦割りはなくすようにということ、しかも深掘りをもう一回しろということをずっと言い続けておりますし、問題が起きたときは、毎日各省庁の事務次官会議はやっておりましたので、すぐに連絡をいたしております。大体前の日に考えたことは次の日に、朝早く省庁に連絡をしてやっているところであります。

 御指摘のように、瓦れきの処理一つにしましても、ここは農水省、ここは国交省、ここは環境省、ここは県だ、ここは市町村だということがないようにという指示もしまして、とにかく出張って出張って、出張っていって、ぶつかって初めて瓦れきの処理ができるんだという指示も出しておりまして、今早急に、それぞれ応急復旧に対しても取り組んでいるところであります。

小里委員 その瓦れき処理にしましても、当時は半壊家屋、一部損壊家屋までは見ないことになっておりました。あるいは、公私の別をどうするのか、宗教施設をどうするのか、費用の分担を含めてすべてが初めてでありました。その瓦れき処理についても、すべて公費、公私の区別なく国の責任でやっていこうと三日で結論を出したんですよ。

 それぞれの大きなことから小さなことまで、そういういろいろな課題が毎日上がってくる。原則は二十四時間ですよ。それぞれしっかりと方針を立て、具体策を示していただきたいと思います。

 そのためには、やはり兼任じゃだめなんですよ。環境大臣はほかの人に譲って、専任大臣として、特命大臣としてこの被災地対応に当たっていただきたい。原発は別でいいんですよ、原発は別として、こっちの本来の被災地対応、これはぜひ自分にやらせろ、そのことを総理に進言いただきたい、切なる思いであります。

 それから、今も話にありました、特に今急がれるのは避難所対策、仮設住宅対策であります。特に、避難所に住んでおられる方々、被災地に行ってみましても、ほとんどが早く出たい、もう限界だ、あしたにも出たい、そういった声が満ち満ちております。そういった方々も、あと一カ月なら一カ月、あと二カ月なら二カ月で仮設住宅に入れるとわかっていれば頑張れるんだ、そういう声が多いんです。

 改めて、例えば三万戸をあと何カ月、最終的に七万戸ですか十万戸ですか、いつまでにつくるんだ、そのことをお伺いいたします。

池口副大臣 お答えをします。

 仮設住宅につきましては、被災者の皆さんに避難所生活から一日も早く仮設に移っていただきたいという思いで、我々としても県と調整をしながら努力をしているということでございます。

 現在までの進捗状況でいいますと、四月二十日時点で、百四十三地区で一万二千六百六十二戸の建設が着手されております。着手してもすぐ入れるということではありませんで、今月末、四月末には三千戸の完成が見込まれております。これについては、遅いのではないかという声はいただいておりまして、謙虚に受けとめさせていただきたいというふうに思っております。

 その上で、では、さらにこの後どうなるのかということですが、我々がまず確認をしておりますのは、プレハブをつくっております住宅生産団体連合会に協力をいただきながら、早く用意をしていただくということをやっておりまして、五月の六日までに三万一千戸はつくりますよという約束をいただいております。ということで、五月六日までに供給が確保されれば、それ以降、現地で住宅を建設するわけですから、三週間程度とすれば、五月末には三万一千戸という計算が成り立ちます。

 それと、さらに追加分ということでは、七月末までに三万戸を協力していただけるというお答えをいただいておりますので、これについても三週間から一カ月程度ということであれば、八月末ぐらいまでにはトータル六万一千戸ということになります。

 ただ、これですと、地方からいただいているのは今七万戸強要請をいただいておりまして、足らざる分については、地元の工務店なり輸入業者からも提供の話がありまして、これも今、地方の方で本当にお願いできるのかということを調整させていただきながら、できるだけ一日も早く被災者の皆さんの要望にこたえられるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

小里委員 今の答弁でも、協力とか供給とか、言葉をどうも使い分けておられまして、定義がはっきりしないんですね。最近、そこが問題になっているところであります。

 要するに、この間までは、少なくとも我々の認識では、あなた方は、供給とは資材と要員の確保であるというふうに言っておられたように思う。しかし、普通は供給といえば、完成して住める状態にすることを世間一般的には供給というはずであります。

 これをどういうふうにとらえておられるのか。改めてその定義を、実は、完成までが供給ですとおっしゃるのであれば、完成目標戸数も変わってくるであろうと思います。そこはどうも変わっていないようでありまして、本当に今の状態で目標が達成し得るのか、極めて心配なんですが、どうでしょうか。

池口副大臣 若干、説明不足の中身で誤解を与えたという面はあるというふうに我々も思っておりますが、我々が答弁をしたのは、住宅生産団体へ協力依頼ということで、二カ月で三万戸、その後の三カ月で三万戸ということを答弁させていただいておりました。

 その部分が、その段階で三万戸ができるというふうに受けとめられたという方がいたのは、言葉足らずであったというふうに思いますが、住宅生産団体にお願いというのは、当然、住宅生産団体がその分を用意していただくということで、現地に届けてそこで生産が始まるということで我々は現時点では確認をしておりまして、四月末までに用地が確保できれば、五月末までには三万戸の建設ができるということで現時点では説明をさせていただきます。

小里委員 そこの定義をはっきりしていただかないと、やはり被災者の信頼というのは得られないし、ましてや、取り繕おうとしていらっしゃるとは思わないけれども、そこはぜひ、はっきりと言葉遣いを分けていただきたいと思います。

 関連して言いますと、けさの記事にもありましたが、阪神・淡路のときには四万八千戸を七カ月かかったという記事が載っておるんですよ。それは、政府から、その情報は明らかに公文書において発信をされております。しかし、これは、事実のようであって、決して真実ではないんですよ。

 阪神・淡路のときは、当初から、何万戸必要なんだということを自治体に何度も何度も問いかけながら、最初は二万戸必要です、いや、それじゃ足りないだろう、では二万三千戸になった。もっと足りないだろうと、さらにそこに政治加算をして、三万戸を平成七年の三月末までにつくりますということを宣言したのが二月九日なんです。そして、実際、三月三十一日、その日に三万戸が完成をしたんです。その後、さらに被災地の追加要望等を踏まえながら追加をし、調整をしていったわけでありまして、四月末には四万戸前後がたしかできておったと記憶をしております。

 要するに、二カ月、三カ月のうちには、大半は完成をしておるんです。供給をしておるんですよ。そこを誤解を与えるような伝え方をしておられる。それは、いろいろな問題が出てくると思いますよ。そのことによって、当時の努力が無になる、そこまでは言いませんけれども、阪神・淡路でもあれだけかかったんだから、今回もかかっていいんじゃないか、そういう意識につながっちゃいけない。阪神・淡路では、極めて、二、三カ月のうちにほとんどつくり上げたんだから、今回も頑張ろう、そういうふうに持っていくべきじゃないんですか。

 それと、さっきの話に関連しますが、さっきおっしゃったように、現在のところ、資材と要員の確保は国土交通省、あるいは用地の確保、発注、建築は県の仕事となっております。そして、本来は、仮設住宅そのものは厚労省の所管であるはずであります。責任の所在がはっきりしないんですよ。だからこそ、特命大臣が一括してそこを責任を持って調整し、前に進めていく体制が必要だと私は思っておるんです。

 そして、県から要望が上がってくるのを待つんじゃなくて、こっちから数字をとりに行く。何事でもそうですよ、こっちからニーズをとりに行く。例えば、民有地に仮設住宅をつくろうとすれば、いろいろな問題が出てくるでしょう。造成の必要も出てくる。その費用をどうしようか、では、国に任せてくれと。あるいは、自治体というのは、地域の皆さんと近いだけに、なかなか難しいところがあるんですよ。そこは国が引き受けましょうと、国がひっかぶって進めていくところも必要である。だからこそ、すべてにわたって国が明確に責任を持って進めていく、その体制が必要なんじゃないかと思っておるんです。

 阪神・淡路のときは、担当室そのものが取り組んだんです。担当室の部屋にグラフをつくった。何月何日、現在何万何千戸が完成した、次の日にここまで来た、次の日にここまで来た、そして三月三十一日にはそれが全部埋まったわけでありました。そして、担当室の室員みずからがトンカチをやろうという気持ちになるぐらい、実際、建設現場に毎日毎日行っていましたよ。

 国がどんどん前に出て進めていかなければいけない、そのための体制がやはりできていないんじゃないかと私は思うわけでありまして、最後に一言、大臣の決意をお伺いします。

松本(龍)国務大臣 今お話をお伺いして、当時を思い出しました。本当に、三月三十一日に三万戸、そして、片方では公営住宅、国の住宅を三万戸用意されました。三万戸に入居をされ、公営住宅の方は一万三千人ぐらいが移動されたというふうに今思い出しておりますけれども、そういう期限を区切ってというお話は、大変重要な御指摘だと思います。

 いわゆるグラフみたいに見える化をしていかなければならないということも、大畠大臣とともに、これからやっていこうという決意も新たにしているところであります。各省庁の垣根を取り払うという御指摘も私ども共有をしておりますし、これからも担当大臣等々と連絡をとり合って努力をしてまいりたいと思います。

小里委員 大変な仕事ですが、本当にどうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 東日本大震災に関して質問をさせていただきますが、まずは原発災害に対する国の対応についてお伺いをさせていただきます。

 私も、この災害対策特別委員会で十八日には福島県を視察してまいりました。放射性物質漏れにより、多くの住民の皆さんは不自由な避難生活を強いられている、その状況も見てまいりました。また、各地で高濃度の放射能が検出され、農産物の出荷規制や風評被害等々、国民に多大な不安を与えているのが現状でございます。住民の皆さんは、まさに、地震、津波、そして原子力災害という三重苦に苦しんでおられる、そういう状況であると実感をいたしてまいりました。

 そこで、質問をさせていただきますけれども、まず、原発事故の発生と、事態がいまだ収束せずに危機的な状況にあるということが非常に大きな問題であると思います。

 原子力安全・保安院は、この十二日に、国際原子力事象評価尺度、INESで、これまでのレベル五から、最も深刻な事故に相当するレベル七に引き上げました。

 東電は、冷却機能の復旧作業を進めるために、二号機の原子炉やタービン建屋の地下にたまった高濃度汚染水を集中廃棄物処理施設に移す方針で、当該施設にたまっている低濃度汚染水を海に放出いたしました。現在、その作業を終了して、二万五千トンの高濃度汚染水が集中廃棄物処理施設に移送されているところと伺っております。

 そこで、質問をさせていただきますが、原子炉と燃料プールの使用済み核燃料の連続冷却が当面の最重要課題であります。原子炉の水を循環させて冷却する機能の回復の見込みはどうなのか。

 私は、これまで、福島第一原発すべての原子炉及び使用済み核燃料の一日も早い安定化に向けて、今後の収束の見通しを政府は示すべきであるということを主張してまいりましたけれども、今般、東京電力は、福島第一原発事故の収束に向けた道筋を発表いたしました。政府はこのロードマップをどのように評価しているのかというのをまず第一にお伺いしたい。

 そしてまた、それは菅総理が指示したということを聞いておりますけれども、このロードマップの信憑性と計画の実施について、国の責任、政府の責任はどうなっているのか、それをお伺いいたします。

田嶋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のロードマップでございますが、四月の十二日に、東京電力に対して、事故収束までの今後の見通しを示すように指示を出したところでございます。事故の収束の一義的な責任は東京電力ということでございます。これを受けまして、十七日、東京電力から道筋が示されました。そのことに関しましては、経産省といたしまして、大事な一歩であるというふうに受けとめてございます。そしてもちろん、この道筋の作成過程におきまして、経済産業省は、東京電力から相談を受けまして、適切にアドバイスを行ってきたということでございます。

 今般の道筋の発表を契機といたしました海江田大臣からの談話では、これまでの応急措置の段階から、今後は、しっかりとした道筋のもとで事態の収束を目指す、計画的、安定的措置の段階に移行したいというふうに考えてございます。

 責任ということでございますけれども、これはもちろん東京電力だけの工程表ではございません、国としても、この工程表、しっかりとずれずにやっていくということで、さらには前倒しをした早期の実施をしていかなければいけないということでございますが、監督責任ということでは経済産業省に責任の所在があるというふうに認識をいたしておるところでございます。しっかり東京電力を指導してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 今、政府の責任、全面的にある、そういう意識で取り組んでまいらなければならぬと私は思っております。

 そのロードマップの目標は、ステップワンに三カ月、そしてステップツーまでは六ないし九カ月かかるというふうになっております。住民の最大の関心事は、いつ帰宅できるかにあるわけでありまして、六カ月から九カ月後に帰宅できるんですか。その判断は、いつ、どのようにしてなされるのか、これは明らかにすべきだと思っておりますが、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 これまで、地元を初め国内外の方々から、収束までの今後の見通しを早く明らかにするよう求められているところでございます。このため、十七日、東京電力から道筋が示されたことは大事な一歩であろうと考えております。

 この道筋では、ステップワンが、放射線量が着実に減少傾向となっていること、ステップツーが、放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられていることとなってございます。このステップ一、二の実施によりまして、すなわち六カ月から九カ月後を一つのめどといたしまして、一部の地域の方々には御帰宅が可能か否かのお知らせができますよう最大限努力していきたいと考えているところでございます。

江田(康)委員 今回の東電の工程表、ロードマップの発表で帰宅時期が示されなかったことに対して、住民から落胆の声が相次いだわけでございます。私も福島の避難所を視察してまいりまして、一時帰宅はこれから何としても迅速にやっていただくことになるかと思いますけれども、その見通しが見えるかどうか。これが、避難所の方々の健康状態にもつながるし、希望にも失望にもなるわけであります。

 そういう意味からして、このロードマップの目標というのは、東電の発表でこういうふうにありましたけれども、着実に、その段階のすべてにおいて、やはり避難者の皆さんを念頭に入れた、そういう発表、経過等の逐次の情報発信をしていかなければならないということを強く申し上げておきます。ただ単に、東電並びに政府の原子力災害対策の工程表ではない、そういうところにかかっているということを申し上げておきたいと思います。

 次に、原子力損害賠償法に基づく補償についてお伺いいたします。

 今回の原発災害に対する補償については、原子力損害賠償法に基づいて損害賠償が行われるわけでありますけれども、今回、大地震や大津波によって生じた原子力災害でありましょうから、これは政府補償契約であるとはっきりと政府は明確にすべきだと思います。いかがでしょうか。

 そしてまた、この損害賠償の範囲の判定指針を決める原子力損害賠償紛争審査会が設置されたわけでございますけれども、私が申し上げたいのは、判定指針を決定するに要する期間、支給されるまでの期間、これがややもすると非常に長くなってくる。私は、非常に大事な、因果関係があるやなしやというところがその判定基準になってくるかと思いますけれども、相当因果関係と損害認定の簡素化を行って、そして迅速な支給に努めるべきであるということを提言し続けておるわけでございますけれども、具体的にどのように今検討がなされているのかを御説明していただきたいと思います。

 続けて、我が国で原子力損害賠償法が適用されたのはジェー・シー・オーの事故であります。その際に、避難指示や屋内退避を余儀なくされた方々の休業補償を初めとして、農産物や水産物の出荷停止や風評被害を含む営業損害まで、幅広く補償の対象といたしました。今回も同じような考え方で幅広く補償する方針を早期に示すべしということを申し上げてきているわけですが、現状で政府の見解はどうなっているかをお伺いしたい。

 また、先ほども言ったように、損害賠償の政府の対応はおくれることが多い。そのため、農畜産や水産物の出荷停止、また風評被害を受けた方々には現金が入ってこないわけです。いわき市でも切なる要望が漁業者の皆様方からございました。現金が入ってこない、農家が生活できない、水産業の皆さんが生活できない、こういう状況に対して、農家や水産業者への仮払いを早期に実施すべきと考えますが、政府の見解はどうなっているんでしょうか。

 避難されている方々への一時払いについては、東電が百万円をめどに、これを四月中に行うということは決めましたが、こういう農家そして水産業、風評被害を受けているところも含めて仮払いを実施するかどうか、ここについて見解をお伺いしたいと思います。

 そして最後に、無利子つなぎ融資、これが中小企業を含めて非常に大事だということを主張してまいりましたけれども、今般それが実現したわけでございます。無利子のつなぎ融資の状況についても御説明を願いたい。

 時間がございませんので、一遍に聞かせていただきますので、複数の所管の方々にお答えいただければと思います。

笹木副大臣 文部省は、原子力損害賠償補償法、このことを担当しているわけですから、それについてまず御説明します。

 御質問があった、まず政府補償契約で対応すべきだろうというお話ですが、基本的にはそのとおりです。地震、津波、噴火、こうした自然災害については政府補償契約で対応する、その準備を進めているということです。

 それで、その後で御質問があった、どのぐらいの期間がかかるか、それを急げというお話ですが、十一日に原子力損害賠償紛争審査会を設置されまして、一回目を先週十五日に開催したわけですが、例えば、緊急性の高いものとか、あるいは、因果関係が相当ある、蓋然性が高いもの、具体的には、政府の指示によって避難あるいは出荷制限がされているわけですが、こうしたものは緊急性も高いし蓋然性も高いだろうということで、指針が全部まとまり切ってからという形じゃなくて、今言った緊急性と蓋然性が高いものについては、まとまり次第早期に出す、順次出していく、そういう方針で、今お話ししたことについては極力早く出したいと思っています。

 最後に、休業補償とかあるいは営業の損害に対する補償、これについてはどうだというお話ですが、今言った緊急性の高いもの、蓋然性の高いもの、この中でも、営業損害、休業損害、こうしたものがあるわけですから、こうしたものも、今言ったように、まとまり次第極力早く、あしたですが、二回目の審査会でも、そのことに係る指針をどう出していくか、具体的に審議をする、議論をしていただく、そういうふうになっております。

田名部大臣政務官 つなぎ融資の状況でありますけれども、先ほど先生がお話しなされましたように、先月の二十一日、一回目の出荷制限がかかった。その後すぐに、やはり日々の生活にお困りになっておられる農家の皆さんへ何とか支援ができないかというようなことを私どもの中でも議論してまいりました。そういった取り組みの中で、JAグループの皆さんが自主的につなぎ融資をしてくださったということでございます。

 その状況でありますけれども、既に、福島、茨城、群馬県におきまして、借り入れに関する相談受け付けや貸し付けが開始をされております。例えば茨城県では、四月十五日現在でありますけれども、十五件、三千六百七十万円、こういった貸し付けがなされているということであります。

 また、JAグループのみならず、民間の金融機関にもお願いをしておりまして、こういう非常事態を受けて、何とか円滑な貸し付け、融資というものをお願いしたいということで、通知を出させていただいたところであります。

 出荷制限、出荷自粛、そして風評被害、大変大きな被害があるわけですので、こういった方々の実情というものを踏まえながら、これからも営農継続に向けて取り組みが進められるよう、私たちも全力で支援をしていきたいと考えています。

田嶋大臣政務官 経済産業省から御答弁申し上げます。

 先ほどの仮払いでございますけれども、この仮払いという考え方は、本来、暮らしている家を、地震、津波であれ、原発の影響であれ、そこから避難することを余儀なくされている方、着のみ着のままに避難所に逃げている方、まさにそういう方の当座の生活資金を応援しようという形で始まっているものでございます。そういう意味では、御指摘のとおり、現在は、避難されている方に対する百万円ということになってございます。

 そういう中で、一方で、先ほどの営業損害や風評という部分に関しまして、農業従事者や漁業従事者について、損害賠償に関する指針が定められる前にも早急な支援を行うべきだという声はたくさんいただいておるのは事実でございます。そういった観点からどういった支援がということでございますと、今申し上げた当座の生活資金というところは現在は仮払いということでございますけれども、営業損害等に関しては、現時点で、仮払いということではなくして、さまざまな金融的な支援を講じている、あるいは検討しているというところでございます。

 今、農水省の方からもございましたけれども、JAに関しましてのつなぎ融資ということは既にございます。無利子ということでございますが、それによりましてまず当座対応を行い、そして、先般立ち上げた審査会において損害賠償指針が速やかに策定されたら賠償を行うという仕組みでございます。

 また、私ども経済産業省の所管ということでは、被害を受けた中小企業、商工業者を含め、特に業況の悪化をしている中小企業に対しましては、日本公庫等によりますところの長期、低利の融資制度、セーフティーネット貸し付け、それからセーフティーネット保証があるわけでございますが、これらは無利子ではございません、有利子でございます。

 それに加えまして、現在検討中でございますが、地元自治体との緊密な連携のもとで、通常の金融支援ではなくて、無利子で長期の事業資金を提供できる、そういう特別な措置に関しまして、可及的速やかに実施できるように現在検討中でございます。もちろん、これは、営業の損害ということで、風評被害も含めた形での対応をとらせていただきたいというふうに考えております。

 重要なことは、何業に従事していても、そこに差を設けることなく、しっかりとした支援を行っていきたいというふうに考えております。

 以上です。

江田(康)委員 しっかりと取り組んでいただきたいのでございますが、それらが現場にすべて届くように、この周知徹底をしっかりとしていただきたいと申し上げておきます。

 次に、原発の安全対策について、残りの時間でお伺いをさせていただきます。

 福島第一原発は、大震災の影響で外部からの交流電源を失って、その後の津波で、一号機から六号機までの非常用ディーゼル発電機十三台中十二台、ほとんどがこれを失ったわけであります。しかも、一度にです。その後も電源は復旧できずに、原子炉圧力容器また燃料プールの燃料棒を冷却できなくなって、水素爆発や放射性物質の大量放出を招いた、そういう事故であります。

 まず最初にお聞きしたいのは、非常用電源、ディーゼル発電機ですが、これは非常時の炉心の冷却機能を支える最重要機器でありますが、この非常用電源の設置基準についてはどうなっていたのかをお聞きします。

 また、福島原発の非常用電源は国の基準に基づいて設置されて運転されていたのか、津波に対するリスクというものを軽視していたのではないか、お伺いをいたします。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、非常用ディーゼル発電機など、原子力施設の重要度の高い安全機能を有する機器でございますが、これは、原子炉施設の設置に係る安全審査の基準でございます発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針において審査がなされております。この指針では、予想される自然現象のうち、最も過酷と考えられる条件を考慮した設計であるということが求められているところでございます。

 津波に対しましては、この設計指針に基づき、原子炉施設が設置される敷地の標高が、当該地点で想定される最大の津波水位を上回るか、もしくは、敷地境界にその津波水位を上回る防波堤が設置されていることなどを確認することで、非常用ディーゼル発電機が、想定される津波による影響を受けないことを確認しているということでございます。

 また、原子力安全・保安院は、平成十八年に、原子力安全委員会におきまして耐震設計審査指針が改定されたことを受け、電気事業者に対しまして、新しい指針に基づく耐震バックチェックを指示していたところでございます。

 しかしながら、耐震バックチェックにつきましては、中越沖地震のこともあり、今回の福島第一、第二の評価は間に合わなかったということでございます。

 今後、この耐震バックチェックに今回の事象をしっかり検証し反映させるなど、予断を持たず、徹底した審査の見直しが必要であると考えております。(江田(康)委員「国の基準に基づいてやっていたのか」と呼ぶ)

 国の基準に基づいて設置されておりました。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

江田(康)委員 大変回りくどい説明でございますが、国の設置基準、これは安全審査指針でもあり耐震設計審査指針でもあると思います。それに基づいて、国の基準に基づいてこれは設置されて運転されていた、こういうことだと思います。

 次に質問をいたしますが、これは原子力安全委員会の委員長に質問をさせていただきます。

 原子力安全委員会は、九二年に、スリーマイル島の原発事故を受けて、炉心溶融などの原発のシビアアクシデントへの対策を電力各社にまとめさせました。この報告書で、電力各社は電源が喪失した場合でも原子炉内に七時間から八時間は注水を続けられる冷却機能を備えていて、これに加えて、隣接する号機の電源を融通する非常用発電機を追加設置するとしたわけであります。しかし、全社とも、八時間を超えるような長時間にわたって全交流電源が喪失する事態を想定した社はなかった。当時の通産省や、経産省ですが、原子力安全委員会もこの報告書を了承していたわけであります。

 安全委員会が九〇年、平成二年に定めた原発の安全設計審査指針では、長期間にわたる全交流電源喪失は、送電線の復旧や非常用発電機の修復が期待できるために考慮する必要はないという考えを示しております。

 これは想定が甘かったんじゃないですか。地震への備えを重視する一方で、津波や電源喪失への備えが甘かったから、ここまで深刻な事態になったのではないか。これについて安全委員会の見解をお聞きいたします。

班目参考人 そのことにつきましては、平成四年に、このような全交流電源喪失を含むシビアアクシデントに対するアクシデントマネジメントというのを事業者から出させ、それを行政庁の方で審査し、安全委員会に報告するようにしておったところでございます。

 さらには、昨年、このシビアアクシデントというものに対して全面的に見直すべきであるということを宣言し、本年になってからまさにそれに着手しようとしていたところでございます。

 しかしながら、指針の見直しが間に合わず、このような事態に至ったことに関しましては、安全委員会としては深く反省しており、今後、根本的に指針を見直そうと考えているところでございます。

江田(康)委員 今の答弁は大変重要であります。深く反省して、根本的に指針を見直すということが安全委員会からはございました。今後において大変重要な答弁であると思っております。

 あえて言わせていただくならば、それは、シビアアクシデントの全面見直しを今の段階でしていこうとしていたということでございますけれども、国民目線からするならば、地震や津波といった広範囲に影響を与えることを考えれば、複数の号機で電源トラブルが一度に発生する可能性は非常に高かったのではないか。そういう考えもできずに、これは想定が間違っている、甘いと言わざるを得ないわけでございます。それを認めていた国の責任も問われる、そういう重大な事項であると思っております。

 今後、原発の安全性については大きな審議が進むと思いますけれども、何よりも事故収束が大事であります。原子炉の燃料棒の安定化、本来の冷却機能を取り戻させて安定させること、これが本当に第一の重要なことでありますけれども、事故の原因の究明も同時並行してやって、対策を講じていかなければならないとも思うわけでございます。

 これほど深刻な事態に陥った原因は何なのか、事故後の一連の対応は適切だったのか、まだ現在進行中でありますけれども、公正中立な第三者委員会で徹底してこれは究明すべきだと思っております。

 その上で、今回の事故を踏まえて、早急に国内すべての原発の総点検を行うことが重要であるということを私もかねがね申し上げてまいりました。想定外津波、全交流電源停止発生時の原子炉冷温停止と使用済み核燃料安定化のための手順の確認を早急に実施すべき、こういうふうに申し上げてまいりました。

 その進捗状況、そして今後の対応について、これは同時並行していかなければ、いつ起こるかわからない地震に対する国民の不安がございます。それについてどのように考えているか、お聞きいたします。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 全くおっしゃるとおりだと思います。こういうことがたまたま福島第一で起きたわけでございますので、全国五十四基すべてに関しまして、やはりできる限り早く総点検をしなければいけないということでございます。

 具体的には、三月三十日以降でございますが、必要な緊急安全対策の実施を各事業者に指示してございます。三つございます。

 まず、三月三十日は、緊急安全対策を指示いたしました。これによりまして、要するに、津波によってすべての電源を喪失しても冷却機能を維持できるような訓練実施なども含めた緊急安全対策の実施の指示を行いました。

 二つ目、四月九日の安全対策指示でございます。これは、二日前の四月七日に宮城県沖地震が起きまして、強い余震でございましたので、そのとき東北電力の東通原子力発電所一号機の非常用ディーゼルが動作不能の状況に陥ったということがございましたので、原子炉が冷温停止中であっても原子炉ごとに二台以上の非常用ディーゼル発電機を動作可能としておくことを指示いたしました。

 三つ目、四月十五日でございますが、外部電源の信頼性確保の指示を行ったところでございます。この外部電源の信頼性ということは、例えば送電線の多重化、こういったことも含めての指示を行ったところでございます。

 今後も、今回発生した地震、津波と事故の全体像の把握、分析評価を行い、安全基準について徹底した見直しを行うなど、抜本的対策を講じていく必要があるというふうに考えてございますので、これまでの三回は応急措置という位置づけであろうというふうに思っております。事故原因分析を徹底的に行って、さらなる安全強化を行っていくということでございます。

 以上です。

江田(康)委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 きょうは、さらに質問を用意しておりましたけれども、特に災害廃棄物処理につきましては、環境省の樋高政務官に何度もお越しいただき、できませんでした。大変におわび申し上げます。次、取り上げてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、大臣に率直な御意見を伺いたいと思います。

 政府の復興構想会議議長の五百旗頭真防衛大学校長は、十四日の初会合で、東日本大震災について、十六年前の阪神大震災の被災がかわいく思えるほどのすさまじい震災だと述べたといいます。

 大変驚きました。私も、何度も一月十七日には神戸の集会に参加をしております。阪神では、六千四百名ものとうとい命を失い、今なお深い悲しみと、また震災による障害、生活の困難に苦しんでいる被災者がおります。絶対に許せない発言であり、議長としてふさわしくないと思います。大臣の率直な意見を伺います。

松本(龍)国務大臣 構想会議の発言については、基本的に、チャタムハウスルールといいましょうか、自分の発言は発言していいけれども、他人がどう発言したかということに関しては発言をしないというルールがあります。しかし、御本人が何かで発言をされたんでしょうか、ちょっとそこのところがわかりませんけれども。

高橋(千)委員 報道にもう既にありますので、会合の場でお話しされたと。

松本(龍)国務大臣 十六年前の阪神・淡路大震災、私もかかわりました。六千四百三十四名が亡くなられて、三人行方不明ということで、非常な災害だったと思います。

 五百旗頭先生もまさに被災をされて、御家族もさまざま御苦労をされたというふうに聞いておりますし、そういう意味では、今回の三月十一日の東日本大震災、津波被害、そして、ある意味では、原発の事故という複合災害がまさに未曾有の災害であったという思いで、そういう発言になったというふうに思います。

 ある意味では、経験をされた先生ですから、今度の災害に対する議長としての責務の重さ、また、復興にかける決意の大きさをあらわすための発言だったというふうに私は理解をしております。

高橋(千)委員 私は、理解をされなくてもよろしいと思います。

 もちろん、先生自身が被災されている、当事者であるということも承知をしております。しかし、そういういろいろな思いがあったにしても、これから復興の先頭に立たれる方が震災の大きさについて比較をされる、しかも、大変適切ではない表現をされるということがどれほど被災地の皆さんを苦しめるのかということを、私は指摘をしなければならない。まして、防災担当の大臣であり被災者生活支援の担当大臣として、そこはおっしゃってもよいのではないかと思いましたが、きょうはあれこれ続きを言うつもりはありません。私の気持ちをお話しさせていただきました。

 十八日、私も、委員派遣で福島県いわき市を視察させていただきました。福島原発の深刻な事故をめぐって、県、市町村、産業界も本当に怒り心頭でありました。

 総理を本部長とする原子力災害対策本部の中に、三月二十九日、海江田経済産業大臣を長とする原子力被災者生活支援チームが置かれました。

 その体制と役割についてですけれども、私の理解は、各市町村とマンツーマンで、担当制という形で情報の共有と支援を行っていくというふうに理解しておりますけれども、どうなのか。簡潔に説明をお願いいたします。

中山大臣政務官 簡潔に申し上げますと、高橋委員の認識と全く一緒です。

 私も、現場の本部長にいましたときはしょっちゅう官邸に電話をしまして、今、地元がどういうことを考えているか、マンツーマンでやってくれということを何回も申し上げました。

 そういう意味では、市町村にまず人員を送ること、そしてまた、県にも今二名送っておりますが、現地にも九十人近い人たちが働いております。私たちも、四月五日に約二十六名の方たちが、現地でいろいろボランティアをやりたい、これは経済産業省の若者を募ったわけですが、大変士気が高い皆さんでした。私たちは、しっかりやってこいと肩をたたいて送り出して、マンツーマンでやるようにしっかり命令をしたところでございます。

高橋(千)委員 これについても、例えば南相馬市の桜井市長が、保安院をここに置くべきだと指摘をしたり、国の責任ある人がいるべきだと指摘をしたり、また報道によりますと、総務省が副市長を派遣したというふうなこともございます。そういう現場からの要望で、ようやくこういう体制が整ってきたのかなと思っています。

 ただ、気になっているのは、名前がリエゾン、連絡員という名前ですので、本当に連絡に徹するだけでは困るわけです。つまり、その人に聞いても政府の方針がわからないとかいうことであってはならないということで、本当に責任がきちんと一元化されているということを確認させていただきたい、これは要望にとどめます。

 次に行きますけれども、一月以上も事態が収束しないという本当に世界に例を見ない重大な事故となりました。一日も早い収束を望む、当然であります。そして、避難だけではなく、仕事や農林漁業など、生活の基盤を失った被災者への全面的な補償が必要だと思います。

 百万円の仮払いが東電によって表明をされました。ただ、このプレスリリースを見ますと、四月十五日付で東電が発表しておりますが、国の原子力発電所事故による経済被害対応本部において、原子力災害対策特別措置法の規定に基づき、福島第一原発の事故に伴い避難を余儀なくされておられる方々に対して、避難による損害への充当を前提に、当社から当面の必要な資金を仮払い補償金として速やかにお支払いするよう決定がなされましたと書いてあります。

 これはつまり、決定をしたのは国の方針であるということだと思うんですね。そして、当面の資金ということでありますので、私たちは、産業者に対するお金は仮払いの中には一円もなかったわけですけれども、打ちどめではないということを確認したいと思います。

 その上で、昨日、日本共産党福島県議会と県議団、原発の安全性を求める福島県連絡会が東電の鼓副社長に、人災を認めること、そして全面補償を迫っておりますが、その際に鼓副社長が、個人的には、今回の事故でこうむった被害に三十キロ圏に限らず払うのは常識と思っている、国の方針が決まれば払っていくと答えたそうであります。

 私たちは、東電自身がきちんとそういう立場を示せと言っているんです。同時に、国が言えばと言っているわけですから、国が線引きはしないのだ、全面補償なのだという立場が今必要だと思います。いかがでしょうか。

中山大臣政務官 東電が言ったことは東電の気持ちだというふうに思いますし、私は、そういう姿勢でいてもらいたいと思います。

 なお、原子力政策は、これは国がずっと推進してきたことでございまして、福島第一の一号機は四十年前につくったものでございまして、そういう面からいっても、国全体がかかわってきたというその気持ちを我々はしっかり考えて、原子力損害賠償紛争審査会などもいろいろ議論をしてもらいたいと思いますが、とにかく補償のことは、まず第一歩を踏み出して、そういう枠組みをつくったところでございます。

 なお、中小企業や、または仮店舗それから仮工場、こういうことも今考えておりまして、本当に無償で、三十キロから避難された方たちが御商売をやったり、または新しい事業をやるときのお手伝いをしていきたいと思っております。国が全面的に、やはり国策でやったことであるということを意識しなければいけないと思います。

高橋(千)委員 今、全面的にでちょっと切ってしまったわけですけれども、今の趣旨は、まさに国策であると。

 本当にそうなんです。先ほど江田委員の質問を聞いていて、私は、本当に自分の質問を全部取りかえたい気持ちに駆られたわけですけれども、私も青森県の出身でありますから、原発、核燃サイクル、一貫してこの問題を反対の立場で訴えてきた身でもございますし、また、廃炉になった後もそれをずっと置かれるということがあるのか、絶対に認められないということも言わなければならない。

 しかし、それを国策だといって安全神話が振りまかれ、それを受け入れてきた、そういう背景があるわけです。それを安全基準などといいながら認めてきたのは国である、国の責任は絶対に免れないという意味で、全面的な補償に立つのであろうということを確認したいと思います。次の質問をしてから、もう一度戻りたいと思います。

 先ほど、原賠法の問題で既に一定のお答えがございました。ジェー・シー・オーのときしか実績はないわけですが、あの三名の死亡という大変ショッキングな事故だったにもかかわらず、三日間で退避を解除させたということでは、影響がかなり違うと思うんです。ただ、それでも八千件という、そして大変長い時間を要しました。

 今回は、紛争審査会が一回目が開催されて、先ほどの答弁では、緊急性、蓋然性の高いものを直ちにやっていくというような答弁であったかと思います。

 そこで、文部科学省に伺いますけれども、ジェー・シー・オー事故を受けての原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会報告書には、このように書いてあります。「重層的な紛争解決支援システムの構築の必要性」として、「原子力損害を被った被害者の心理状態等の実態に適切に対応する必要があること。」「原子力損害に関して一般に被害者の有する知見の水準に配慮し、因果関係の立証負担を軽減する必要があること。」これは非常に大事な指摘だと思います。

 つまり、国民は、毎日言われるマイクロシーベルトとかミリシーベルト、ベクレル、セシウム、そういう専門用語に面食らい、意味がわからないだけに不安が募るわけです。こうした中で、相当程度の因果関係があることを被害者自身が立証するのが困難なのは、当然なわけです。

 当事者同士に任せ、長く裁判に持ち込むことがないように、国のイニシアチブが大事だと思いますが、いかがでしょうか。

笹木副大臣 今、高橋委員が言われたように、当事者が、この場合ですと原子力の事業者と被害者、その間でこの賠償手続を行っていくわけですが、当事者間の合意のための交渉や和解、ここだけに任せていると非常に長い時間がかかります。ですから、紛争審査会でこの範囲の判定等の指針を策定して、立証を容易にする、被害者にとっても原子力事業者にとっても立証を容易にする、このことで被害者の救済が早くなるようにしっかりとやるということです。

 先ほどお答えしましたように、あした二回目の審査会がありますが、政府の指示による避難ですとか出荷制限、こうしたものを初めとした緊急性の高いもの、蓋然性の高いものはなるべくまとまり次第出していく、そういう姿勢でおります。

 あと、和解についての仲介も、この審査会が訴訟になる前に行っていく、これで被害者の救済のスピードアップを図る、そういうことです。

高橋(千)委員 そこで、もう一度、中山政務官に質問を返したいと思います。

 今、被害者の救済と和解のスピードアップというお話をされました。そうはいっても、非常に規模が大きい、そして実害であり、かつ風評被害も、福島県内すべて、そして県外にも及んでいるという中での補償のスキームを全面的にやっていかなければならない。

 そういう点では、きょう各委員にも視察の資料として配られている福島県知事の要望書の中にも書かれておりますけれども、国の責任を全面的に認めながら、今回の原発事故解決のための特別立法を要求されておりますけれども、それに対して、当然国としてやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

中山大臣政務官 その辺についてもスピードが大事でございまして、緊急にその辺を検討するように今やっているところでございます。

 私たち、今、高橋委員からお話がありましたように、補償を現金でお渡ししたというだけにとどまったらだめなわけですね。次は、仕事や生活を支えるための収入が必要なんです。そういう面でも、全面的にお手伝いをすることをお約束申し上げます。例えば補償後の問題、それから日本公庫からの融資の問題、ゼロからの出発だったらまだいいんですが、今はすべて失ってマイナスからの出発です。せめてゼロからの出発にできるように全力を尽くします。

高橋(千)委員 お願いしたいと思います。

 最後に、郡山市のビッグパレットの避難所で、富岡町が行政機能をそこへ移転しているわけですけれども、町長さんがおっしゃった言葉、避難者は疲れ切り、弱り切って体が小さくなった、そういう表現をされました。まさに、ここに大きな思いが込められているのではないか。

 きょう総理が福島県入りをして、零時に警戒区域の発表をされるということであります。本当に、人生を大きく変えられたその悔しさ、怒り、不安というものを私たちがしっかりと受けとめて、今おっしゃったように、全面的に支援をしていく、国が責任を持っていくということを重ねて指摘して、終わりたいと思います。

吉田委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 最初に、被災地で、住宅や車あるいは工場の設備などローンを組んでいた方が、震災でこれらの資産を失って、改めてローンを組まざるを得ない二重ローンの問題について、まずお聞きをしたいと思います。

 この問題につきましては、先日、日弁連からも提言が出されているようでありますが、端的に申し上げまして、二重ローンによって生活が困窮し、被災者や中小企業が将来の見通しが立たなくなるようなことのないよう、債務免除などの措置がとれないかどうか、お尋ねをしたいと思います。

 また、被災地の金融機関からは、当初ローンの減額や再融資の申し出が後を絶たない中、融資をしたくても借り手側に担保などの資産がない中で頭を痛めているというお話も聞いております。債務免除とあわせて、金融機関に対して公的資金の注入などの支援が必要ではないかというふうに思いますが、この点についてお尋ねをいたします。

居戸政府参考人 お答えをさせていただきます。

 民間金融機関を担当しております私ども金融庁といたしましては、今回の大震災の被災に遭われた方で、金融機関から借り入れのある方の支援のために積極的に全力で取り組んでいるところでございます。

 先生御指摘の二重ローンの問題、大変難しい問題でございまして、民間金融機関だけではなくて、やはり財政面あるいは政策金融面での対応も含めて、政府全体として検討されるべき課題だと思いますし、また、債務免除を民間金融機関に一律に強いるということは、先生おっしゃるように、なかなか困難であろうとは思います。

 しかしながら、私どもとしては、今、先月末に通していただいた金融円滑化法、いわゆるモラトリアム法というものの延長を国会で通していただきまして、そこで、金融機関に対しまして、貸し付け条件の変更に向けて努力をする義務というのを課させていただいています。

 この貸し付け条件の変更の中には、当然、債務免除というものも含まれておりまして、金融機関の自主的な判断あるいは債務者との相談で、経営再建に向けた、あるいは生活再建に向けた債務免除も行われ得るものだというふうに認識をしております。

 次に、公的資金による金融機関に対する資本参加につきましても、金融機能強化法という法律がございまして、この法律は、国の資本参加を通じて金融機関の金融仲介機能を強化することによって、厳しい状況にあります地域経済や中小企業を支援することを目的とした法律でございます。

 この法律に基づきまして、金融機関の経営判断として資本増強を行い、被災地を含む地域の中小企業等に対する金融機能を積極的に発揮する上で、この法律は有効な政策手段と考えておりまして、金融機関の活用を促しているところでございます。

 さらに、今次の大震災という未曾有の災害は、金融機能にさまざまな影響を与えることが考えられるところでございまして、今申し上げた金融機能強化法について、適用条件の緩和といいますか、震災の特例を設けるなどの検討を今しているところでございます。

 引き続き、被災地の中小企業等に対して円滑な金融仲介機能が発揮されるよう、努力をしてまいりたいと考えております。

中島(隆)委員 現在、金融円滑化法とか金融の支援、これについてあるわけですけれども、この制度があっても、借り手は担保とか資産が必要であるということですね。

 ですから、先ほど来質問の中で中山政務官が答弁されました、やはり返済猶予なりゼロ金利、できるだけ、もう再出発、ゼロよりマイナス出発だ、こんな厳しい状況の中にあるわけですので、現在の制度だけではなくて、新たな支援策を、緩和も含めて十分考えていただきたいと思います。

 次に、今回の震災は、東北、北関東地方の漁協に壊滅的な被害をもたらしております。特に、遠洋漁業の基地であった気仙沼市では、大型マグロ漁船が市内の幹線道路に打ち上げられる、こういう光景も報道で見ました。この陸地に打ち上げられた漁船ですが、解体して撤去する場合、あるいは海に戻して再び活用する場合、双方が考えられると思います。

 そこで、それぞれの場合について、必要な費用の支援を国が検討するべきではないかということと、とりわけ、海に戻して活用する場合、これは、営業収入が見込まれますと当然保険適用部分以外は自己負担になると思います。大型漁船の場合は大変な費用がかかると思うんですが、これらの支援、それから、特に漁協の復興の場合は、使われる船を早急に使って操業するということが雇用も維持できるわけでありまして、これらの支援についてどういうふうにお考えか、お尋ねいたします。

吉田(公)大臣政務官 お答えいたします。

 お話しのとおり、多くの漁船が陸上に打ち上げられておりまして、船主としては早く海に戻して漁をしたいという要望は当然だと思います。

 ただ、御承知のとおり、漁船のほとんどは保険が掛けられておりまして、当面は移動費、修繕費等は保険金で出るわけでございます。そのほかの、委員の御質問の中に、これからの大事な検討課題も含まれておりますので、今後は十分に被災者の船主の皆様方に、そういう点も含めてこれからの大きな課題だ、そう思っております。

伊藤政府参考人 津波により陸に打ち上げられ、再利用できずに廃棄物となった漁船についてでございますけれども、これを市町村が撤去する場合には、その費用は災害廃棄物処理事業の補助対象としており、この災害廃棄物処理事業については国庫補助率のかさ上げを行うこととしているところでございます。

 また、地方負担分につきましても、災害廃棄物処理事業費が多額に及ぶ市町村について、その金額を災害対策債により対処し、その元利償還金の一〇〇%を交付税措置することとしているところでございます。

中島(隆)委員 被災を受けた船が、十トン以上が八十隻、五トン以下が一万隻という膨大な数に上るわけですね。気仙沼の市長が言われたように、漁業の町で、これが復興しなければ地域復興はないというふうに言われているわけです。ぜひ、これらの早急なる救済支援を強化していただきたいと思います。

 時間がありませんので次に参りますが、今回被災を受けられて、今、雇用問題が大きな問題になっています。一カ月の間に千三百人、気仙沼市でハローワークに雇用手続をされています。震災による失業者がどの程度おられるのか、御答弁を願いたいと思います。

中沖政府参考人 お答えを申し上げます。

 被災を受けました東北三県を中心に、非常に多くの企業、事業所で被害があったわけでございます。ただ、その全貌がまだ明らかになっておりませんので、私どもの方でも、今回の震災によってどの程度失業者が出てくるかについては、具体的な数字の定量的な把握に至っていないわけでございます。

 ただ、先生御指摘ございましたように、当然、ハローワークには既にかなり相談が来ておるわけでございます。この数字を申し上げますと、三月二十八日から四月十一日までの間で、延べで、被災者個人から、これは仕事を求めての求職あるいは雇用保険の相談でございますが、これが十一万二千六百七十一件、また、被災企業が雇用調整助成金などの相談に来た件数が二万六千百六十八件ということでございまして、こういうものに対して非常に大きな影響があったというふうに考えております。

 このため、私どもの方では、今般、当面の緊急対策として、「日本はひとつ」しごとプロジェクトを取りまとめております。

 このプロジェクトの中におきましては、例えば、雇用保険の失業手当でございますが、これは離職していなくても失業したとみなしてお出しする特例を既に出しておりますし、また、雇用調整助成金につきましても、従来は確認期間三カ月であったものを一カ月に縮める、あるいは見込みでいい、要するに実績でなくて見込みでいいというようなことも特例として既に実施いたしておりますし、被災者の方を雇い入れた場合について新たに助成金を適用するなど、さまざまな措置を講じているところでございます。

 こうした対策を通じて、さらに雇用対策を徹底してまいりたいと考えておるところでございます。

中島(隆)委員 時間が参りました。

 特に、雇用問題はこれから大きな課題だと思います。今、安定所だけで十一万ということですが、まだまだ十四万の方が避難されているわけですので、万全な体制をとっていただきたいと思います。

 以上で終わります。

吉田委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、関係大臣、副大臣の皆さん、お忙しいところありがとうございます。

 連日お疲れだと思いますけれども、本当に、被災地の現場では毎日のように、一カ月と十日余りが経過をいたしましたけれども、瓦れきの除去とともに遺体が毎日数十体単位で発見されているような状態が続いております。また、県内におきましても、いまだにライフラインが完全にすべて復旧したという状況ではございませんで、まだまだ苦労が強いられている状況がございます。

 そういう中で、今後の復旧復興を考えていく際に最も大事になってまいりますのは、基本的な方針、考え方のフレームをどうつくっていくか、そのことをいち早く政府として国民にメッセージを発していくということが基本でなければなりません。

 そういう意味では、復興基本計画の策定を急ぐべきだと思うわけでございますが、きょうあたりの報道を見ておりますと、政府・民主党はこれを、月内を見送って連休明けだという報道がなされております。善意で解釈すれば、野党の意見も酌み入れていろいろ対応を慎重にやっていきたいという面もあるでしょうけれども、私ども自由民主党の考え方というのは既に政府側に提案をしております。

 やはり中核的なヘッドクオーターとしての復興院みたいなものをつくって、そこに権限を集約させてやっていくべきだということを言っているわけでありまして、こういった提言を政府の方でのんでもらえれば、連休明けではなくて、予定どおり月内の提案が可能だと私は思っておりますけれども、今後の復興基本計画、基本法のあり方について、あるいはその提出の見通しについて、大臣に冒頭伺っておきたいと存じます。

松本(龍)国務大臣 基本法のことにつきましては、鋭意努力をしております。見通しという点では、今答えを出すことはできませんけれども、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

 復興院あるいは復興庁という考えもありますけれども、私自身、復興という構想は各地域によってさまざまありますけれども、先ほどからずっと言っておりますように、喫緊の課題は、秋葉委員は仙台でございますので、よくおわかりだと思いますから申し上げませんけれども、避難所におられる方々あるいは家におられる方々の生活の改善を、残念ながらこれは長くなりますから、やっていかなければならない。また、復旧をしっかりやっていかなければならない。そして復興も、おっしゃるとおり、さまざまな点で構想をしていきながら、青写真を示していかなければならないというふうに思っております。

秋葉委員 明快なお答えがなかったわけであります。

 今地元で本当に苦しんでおられる被災者の皆さんにとっては、ゴールデンウイークもないわけですね。できるだけ早く、政府がどんな方針を、どんなビジョンを掲げて、この急場をしのぎ、復興に向けて努力してくれるのか、そういう思いで政府の動きを見ているわけです。

 今政府としてやらなければいけないのは、タイムスケジュールを前倒しして予定どおり月内に、何とかこの復興基本計画を策定するよう努力をすべきだと私は思います。月内に提案できないんですか。

松本(龍)国務大臣 今鋭意努力をしているところであります。

秋葉委員 論点あるいは基本的な方針に盛り込む考え方はほぼ集約されつつあると思うんです、もう一月十日余りの中で。ですから、まだまだ時間をかけて検討していかなきゃいけない分野というのは少なくなってきていると思います。あとは、政府としてどの程度野党の提言を受け入れて判断するのか、この部分だけに今集約されてきているんだと私は思っております。

 私どもの考え方は政府に既に伝えてあるとおりでございます。これから一部補充をしてまいりますけれども、改めて、我々は、国会もゴールデンウイークを返上して審議するぐらいのことがなければならないと思っているわけでありますから、できるだけ早くこの立法作業を急いでいただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 そしてまた、この基本計画の中にいろいろ盛り込むべき内容もさることながら、この計画年度というのをどのように現状ではとらえているのか、伺っておきたいと思います。五年計画なのか、十年計画なのか。

松本(龍)国務大臣 それも含めて、今作業をしているところであります。

秋葉委員 当初、民主党案の検討の中で漏れ伝わっていることによりますと、五年計画のような話も漏れ伝わっております。

 私どもは、やはり地元で、仙台市も宮城県もそうですけれども、これから夏をめどに策定を検討しております復興計画は、おおむね十年単位で予定をしておりますから、政府の基本計画というのも、やはり五年ということはないんだと思いますね。もちろん、最初の五年あるいは十年では、やるべきことはおのずと変わってまいりますから、途中で見直すということがあってもいいのかもしれません。しかし、やはり十年単位で、これからのスパンをどういうフェーズでやっていくのかということをしっかりと腰を据えてやっていくためには、五年では短いということを申し上げておきたいと思います。

 それから、組織についても、先ほど大臣の御答弁の中で、復興庁なり復興院のようなものはいろいろ出ているけれども、まだ政府としての盛り込みは決まっていないというようなお話がありましたが、玄葉大臣などの話を伺っておりますと、復興庁や復興院のようなものは設けない、やはり縦割りの機動性を大事にするんだというようなことが言われております。

 私は、復興庁にしろ復興院にしろ、各省にまたがる権限を一元的に集約して対応するということが大事だと思うんですよ。縦割りに対応することによって必ずタイムラグが生じてしまうわけですね。新しい機関の中に権限を預けてやっていくということが大事だと思うんです。

 今政府が検討していると言われているものは、やはり屋上屋を架すことになるから縦割りでいいじゃないかということが一つ、そして一元的な組織はつくらないというんですね。そして、復興対策本部みたいなものをつくって全閣僚が委員になって、あとは、この間設置した会議を法の中に位置づけていくというようなことが言われております。

 大臣、単に組織をつくればいいという問題じゃなくて、権限を集約した、各省の権限を束ねた一つの組織、強力な組織の設置が必要だと思います。防災担当大臣としての考えはどう認識されているんですか。

松本(龍)国務大臣 重要な御指摘だとは思います。

 それぞれ権限を束ねるということも重要なお話だと思いますけれども、今やっておりますことは、各省庁それぞれ縦割りをなくせよという話を、私、三月の二十日ごろから指示をいたしまして、それぞれ深掘りをしていきながら、前例のない震災でありますから前例のない対応、例えば阪神・淡路のときは一カ月で、被災市街地復興特別措置法を初めさまざまな法律ができてまいりました。ですから、そういう現況の中の措置の拡大や強化、あるいは特別立法等々も含めていろいろ想像力を働かせてやるように、そして、自分たちの権限だけではない、それぞれが横横でやっていくように、応急復旧にしましても、ここは農林省、ここは国交省ということは言わずに、どんどん出張っていってやるようにという指示は早くからいたしております。

 そういう中で、復興というものも、今、秋葉先生が言われたような話も参考にしながら進めてまいりたいというふうに思います。

秋葉委員 ぜひ、大臣におかれましては、復興対策本部を立ち上げて、閣僚がメンバーでいいというようなレベルじゃなくて、これはもう各省庁の精鋭を集めて復興院をつくってやっていくんだ、そして対策本部は現場に置くんだぐらいの思いで、大いに閣議でも主張し、そういう方向性で御検討、努力をいただきたいと思うわけです。

 さらに、私は、この基本計画の中にぜひ盛り込んでいただきたいと思っていることがあります。それは、国による被災エリアの一部買い上げということを明確に盛り込んでいただきたい。

 我が宮城県では、北の方はリアス式海岸ですから、地震があるといつも高い津波が押し寄せるということで、防災意識はもともと大変高うございました。仙台市はそれに比べて、仙台平野でちょうど直線の海岸線でございますから、市の防災計画も四メーターを想定し、また、海岸部につくっておりましたヘリポートなども四メーターしかかさ上げをしてきていなかったわけでありますけれども、今回は、御案内のとおり、四、五キロ先、十キロ先まで水が浸水をしてきたわけでございます。

 いろいろ国土地理院なんかに確認しますと、以前、国交省は暫定値で四百四十三キロ平方メートルが浸水したということを発表しておりましたけれども、浸水面積だけで五百六十一キロ平方メートルだというんですね。山手線の内側の面積が六十三キロ平方メートルですから、大体これの九倍のエリアだということです。農地があったり、市街化調整区域が過半だと言われておりますけれども、仙台の場合には一部市街化区域も当然含まれているし、三陸町やあるいは気仙沼は、文字どおりの市街化区域がやられたわけでございます。

 海岸線も数百キロに及ぶわけでありまして、これらをすべて買い取るというのは、事実上、財源の問題もあってこれはなかなか大変なわけでありますけれども、基本的には、やはり被災者に対して、将来買い上げも国として検討するんだというふうにメッセージを発することが大事だと思っておりますので、国による買い上げということを盛り込む考えがあるかどうか、まず伺いたいと思います。

松本(龍)国務大臣 私も、南三陸から石巻、あるいは牡鹿半島、寒風沢島、そして仙台にも参りました。今おっしゃるとおり、リアス式、そしてなだらかな海岸等々あって、とりわけ水没しているところ、石巻の河北ですか、あそこに行きました。そういう水没しているところには、やはり国によるさまざまな手だてが必要だろうという思いはありまして、そのことは今いろいろな意味で指示をしております。

 全体を買い上げるということはなかなか困難ではありますけれども、そういうことも含めて検討していることは事実でございます。

秋葉委員 今の御答弁は大変ありがたい話だと思います。本当に今、着のみ着のままで避難所に逃れて、全財産を失ったと言っても過言ではないわけです。

 最近、避難所を回っておりますと、漏れ伝わるのは、やはり仙台でも、古くからの農業の集落地でございまして、たんす預金をしている方も結構いらっしゃったという話がいろいろ聞こえてくるようにもなりました。そういう人たちに、やはり国がしっかり買い上げて、そしてそれを、被災者の皆さんが代替地を入手する際の、あるいは、国として代替地を用意していくというメニューも同時にこれから出していかなきゃいけないと思っておりますけれども、そういうものの足しにしていってもらうということは非常に大事だと思っております。

 その上で、今大臣の御答弁の中にもありましたように、どこまでをカバーするかというのはもちろん非常に難しい課題になるわけであります。

 浸水面積の中における世帯数というのは十五万世帯あると言われておるわけでありまして、この十五万世帯分の土地を皆買い上げるというわけにはもちろんいきませんので、どういう線引きをするかというのはこれから大変難しい議論になってまいりますし、同時に、ではこの被災者の皆さんは仮設住宅を出た後にどこに住めばいいのか、それもやはり国がある程度、まあ県になるのか、青写真を示してあげなきゃいけない。

 ですから、両論を同時に進めていかなきゃいけないという課題がありますので、大変難しいわけでありますけれども、やはりしっかりと対応していかなければいけない重要な課題だと思っております。

 その上で、今は当面、建築基準法の八十四条の規定で二カ月間建築を凍結しております。宮城県では、二カ月凍結しても意味がないんじゃないかということで、まだ仙台市の場合にはやっていないわけですが、気仙沼や南三陸、ほとんどの被災地では一応建築規制を今かけています。

 しかし、これはどう考えても、五月十一日まで復興計画をつくるわけにいきません。県民、市民の皆さんに、こういう計画ができたからもう建てていいです、五月の段階でとてもとてもそういう状況になりませんので、私は、これを最低でも半年から一年ぐらい延期すべきだと思っております。

 この法律の所管は国交省になるんでしょうか。きょうは津川政務官においでいただいておりますので、この建築規制の延期の問題、私は、早急に国会に法案を出して、今、半年、そこからさらに二カ月の延長を考えているようですけれども、もう少し長期的に考えてもいいんじゃないかという思いもありますが、いつごろこの法案を出す予定でいるのか、明快にお答えいただきたいと思います。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 ただいま委員から御指摘いただきましたように、建築基準法の八十四条によりまして、現在、都市計画等に基づく市街地の健全な復興のために必要な場合という条件におきまして、災害発生日から最長二カ月間、建築制限を行うことができるという規定でございます。

 この規定につきまして、知事の方から、さすがにこれではとても間に合わないということで、ぜひ延長できるようにしてもらいたい、こういった具体的な御要望をいただいたところでございます。

 現在、省内で、早急に対応すべく、法案の中身について大至急検討をさせていただいているところでございまして、可能な限り早く国会に提出をさせていただき、ぜひ御議論をいただきたいと思っているところでございます。

 加えまして、同じ被災県でありますが、岩手県の方でございますが、建築基準法の第三十九条によりまして、条例等で津波等による危険の著しい地域を災害危険区域として指定して、建築制限を行うことができるという現在の手法がございまして、こちらの方を検討していただいているというふうに伺っているところでございます。

秋葉委員 今、可能な限り早くと言うけれども、一部報道だと、二十二日には一応国会に出したいなんという報道もあるんですけれども、そうじゃないんですか。

津川大臣政務官 まさに、これは大至急出させていただきたいということで検討しているものでございまして、まだ正式に決定しているものではございませんから、まさにその大詰めのところに来ている、そのように御認識をいただければと思うところでございます。

秋葉委員 現実的には、宮城県も仙台市も、遅くてもことしの秋までには復興計画を煮詰めたいということで今鋭意取り組んでおりますので、半年延長していただければ十分かなという思いもあります。

 私がなぜこの問題を力説するかというと、今現場では、とてもとても、全壊してすべて流されたのに、もう縄張りして建築確認申請を出すというような家もあらわれているんですね。実際、基礎自治体の窓口に行きますと、相談というレベルですけれども、五十件から六十件ぐらい来ているわけです。

 私は、とてもとてもじゃないけれども、やはり一定のエリアについては、復興計画が決まるまでは私権を制限せざるを得ない、こう思っているんです。ですから、五月十一日で切れてしまったのでは大変な混乱を招くわけですから、それこそ、復興基本法と同じようにこれもできるだけ急いで出していただいて、今月中には施行していかないと、やはり大変大きな混乱につながってくる問題ですから、声を大にして指摘しておきたいと思っておりますので、急いでいただきたいと思います。

 それから、ちょっと時間がなくなってまいりました。仮設住宅等の問題については、とにかくおくれているということがこれまでもいろいろと議論されてまいりました。資材不足や、あるいは南三陸町のように、なかなか代替地の選定に時間がかかっている市町村が多くて、県としては高台の方にという方針で指導してまいったわけですけれども、地元の被災住民の皆さんから言わせれば、やはり今までどおり戻りたいという声が強かったり、そういった混乱がおくらせてきたというところがございます。とにかく、今現在で、発注済みのものも含めて一万六千戸ぐらいしか見通しが立っていないという状況を早く改善していかなければならない、こう思っております。

 まず一つ伺っておきたいのは、これから仮設に入るときに、赤十字社などを通して生活支援物資が整備をされるわけでございます。地元の被災者の中には民間の借り上げ住宅で対応したいという方もいるわけでありますが、そちらの方には、そうした冷蔵庫や洗濯機と言われているいわゆる六点セットというものが対応できるのかどうか。

 これは、県の判断で、やってくれと言えばできるんだということになっていますけれども、本当にそれが可能なのかどうか。国の方においてもしっかりと対応方をお願いしたいと思っていますけれども、いわゆる仮設住宅ではない民間へのそうした家電製品等の支援物資の設置について、見通しを伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 お答えいたします。

 地方自治体が応急仮設住宅のかわりに賃貸住宅を借り上げた場合においても、応急仮設住宅の取り扱いと同様、日本赤十字社は、生活家電セットを寄贈する方針であると伺っております。

 また、個人で民間住宅に入居した場合はどうかということになりますと、このような場合の取り扱いにつきましては、日本赤十字社と県との間で個々具体的に相談していただくことになるというふうに承知をしております。

秋葉委員 今、いみじくも、個々でやった場合はどうかというような問題意識はありましたけれども、これはまさに、別に備品だけじゃなくて、住宅そのものについて言えるわけですよね。

 仮設住宅に入れる人は、それを全部国が丸抱えしてくれるからいいわけですけれども、県が借り上げて民間に入った人たちは、これも当然手当てがつくからいいわけです。

 しかし、問題は、被災者の皆さんはもう集団生活の中で疲れ切っていますから、経済的に余裕があるわけではないけれども、とりあえずプライバシーを確保したいということでアパートに入っているような人がいるわけですよ。こういった人たちは、国が借り上げた民間施設ではないけれども、しっかりここに私はやはり同じような補助を出すべきだと思うけれども、これについてはどうですか。

岡本大臣政務官 ちょっと確認をさせてください。家賃の面でしょうか。

秋葉委員 最初の質問は生活支援物資の六点ということで申し上げて、さっきの御答弁だと、赤十字社に頼んでやっていただける方向だというふうに私は理解したものだから、それはそれで、国の方もそういう方向でこれからしっかりと指導していただきたいということが一つ。

 それと、根本的には生活備品の問題じゃなくて、被災者の中には、余りにも仮設住宅や民間の供給がおくれているものだから、経済的に余裕があるわけじゃないけれども、まずは自力でアパートを借りている人もいるわけですよ。この人たちに対する家賃補助というのも考えていく必要があるんじゃないのかということです。

岡本大臣政務官 本日ですか、朝日新聞にそのようなことを厚生労働省が決めたやのことが書いてありますが、そういった事実は実はなくて、今、議員が御指摘のとおり、現時点においては、自力で住居を確保することができた方については国庫負担の対象にならないようになっております。

 一方で、任意に入居された住居の一般的な家賃補助といった経済的補助については、基本的には、被災者生活再建支援制度や災害援護資金貸し付け、生活福祉資金貸し付けなど、こういった生活再建のためのほかの施策を利用していただくということを想定しております。

秋葉委員 実態を踏まえた対応というのが本当に必要だと思いますよ。そういうしゃくし定規な対応をやっているから、まさに、政府は何をやっているんだという声が現場で聞かれるんじゃないですか。それは実質同じことですよ。ですから、しっかりと、やはり現場感覚に立った政策判断というのを強く求めておきたいと思います。

 それから、これまで仮設住宅では、当然、入居者の光熱水費まで国や県が持ったという例は今までないんですけれども、今回もこれは自己負担ということになるんですか、政府として一部負担なんかも考えているんですか。ついでに伺っておきたいと思います。

岡本大臣政務官 基本的には、災害救助法の範囲を超えるというか、改正をして新たな制度というのは、現時点では考えていないということであります。

秋葉委員 だから、さっきの個人が借り上げて云々というのも、もちろん救助法の範囲外なんですよ。でも、実質においては、これから民に入る人と事前にやっている人とでは実質的な差がないわけです。だから、改正も含めて対応していかなきゃいけないし、光熱水費なんかについても、従来の延長線上でやるんじゃなくて、やはり特例的な措置も考えてほしいという意味で私は質問しているわけです。

 原稿を読むような答弁じゃなくて、政務三役は、現場の声を踏まえてしっかりと役所を指導していかなきゃだめですよ。役所が書いた答弁書を読んでそんな優等生みたいなことを言っていたら、この災害は本当に乗り切れませんよ。強く進言しておきたいと思います。

 それから、備蓄の問題や避難所でのいろいろな問題についてまだまだ予定をしていたんですけれども、質問時間が参りましたので、では、最後に一問だけ質問させていただきたいと思います。

 指定避難所の見直しの問題も、これから復旧復興過程の中ではやはり大事なテーマになってくるわけであります。津波なんかの場合には三階以上というふうなマニュアルだったわけですけれども、今回は四階、五階まで浸水をして押し寄せているわけですから、そういう対応が必要になってまいります。

 私は、今回、本当に現場で感じましたのは、小学校や中学校、学校が避難所になっているケースが多いんですけれども、地震が来てすぐ全部停電になったわけですね。こういうときに、避難所だけでも自家発電装置が備わっていて何とか電気が使えるような状況になっていれば、この真冬の寒い時期に大変助かったんじゃないかなというのを強く強く感じました。

 この間、この委員会でも成立をさせました、地震対策特別措置を五年間延長させましたね。この中でも、自家発電に対する補助事業を三分の一から二分の一に引き上げたり、いろいろな充実を図ってやっていこうという意識は国もあったんだけれども、とてもとても足りない状況ですね。

 ですから、まず一つ質問したかったのは、避難所における自家発電設置の割合というのを政府としてしっかり掌握しているのかということ、そして、これから避難所だけでも電気が通るような体制をどう構築していくのかという検討を今始めているのか、この二つを最後に伺っておきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 発電機の件でありますけれども、相次ぐ余震、四月の十二日まで百回の震度四以上の地震があったということで、ライフラインということで電気のことは非常に重要な御指摘だと思います。

 被災者支援本部としましては、被災三県から要請がありました発電機三百七十二台につきまして、すべて送付をしたところであります。

笹木副大臣 今お尋ねの点にだけお答えしますと、学校関係だけで言いますが、避難所に指定されている学校の中で自家発電設備が設置されている割合は一三・七%、二分の一国庫補助で、大体一つの自家発電設備が数百万円と聞いております。

秋葉委員 ありがとうございました。

 今後、ぜひ文科省におきましても、やはりこの導入の充実ということに精力的に取り組んでいただきたいなと思うんです。

 本当に、この冬場の極寒の中で、避難所では最初、初期段階では十分な毛布も届かなくて、みんな震えながら一夜、二夜と過ごしていったわけでありまして、こういうときにやはり発電装置があればというのはつくづく実感いたしました。これを今後、地震評価の高いエリアから優先的に計画的に避難所に導入していくということをぜひ強く申し上げて、ほかの皆さんにも質問がございましたけれども、きょうの質問を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、古川禎久君。

古川(禎)委員 自由民主党の古川禎久でございます。

 十八日に、委員会派遣のメンバーとして福島県に行ってまいりました。佐藤知事がこうおっしゃいました。岩手県や宮城県は復興に向けて歩みが始まっているように見える、しかし、福島県はいまだなお霧の中だ、こういう悲痛なお言葉でございましたが、大変重苦しく私の心に響きました。

 きょうは、委員派遣に行ってまいりましたので、二点御質問をさせていただきます。

 まず、中山政務官。

 郡山のビッグパレットふくしまという避難所に行ってまいりました。原発由来の避難のあり方につきまして、本委員会で何度か政務官には質問をさせていただいておりますが、きょうは一点に絞ってお聞きしたいと思うんですね。

 避難生活をしておられる皆さんの表情には、深い深い疲労感があったわけです。かたい床の上に救助毛布をあるいは段ボールを敷いて、そして手づくりで、段ボール紙をガムテープで張った間仕切りをつくって、所狭しと家族用のスペースを確保しておられるわけですね。せめて、畳、あるいは腰か胸ぐらいの高さのあるようなパーテーション、これを政府として提供していただきたいと思います。そのお考えはございませんか。

中山大臣政務官 現場に行っていただいて、そして視察をして、見て、皆さんのお気持ちを聞いていただいたということはすごく重いことだと思います。

 私たちも福島にいるときにそのようなお話を大分伺いまして、早くマットレスは下に敷いてくれないかというようなお話をしておりますし、それが実現の運びにも今なっているそうで、パーテーションも早急にやるというような運びになっております。

 私たちは、何より、その本当に困っている方の意見をしっかり聞かないと、またその現状を見ないと、発想がわいてこない。ただ物資だけ届ければいい、あるところには水とカップラーメンばかり来ているとか、いろいろなことがあります。今お話しのような具体的な条項を言っていただくのが一番私たちはありがたいことです。

古川(禎)委員 一日も早く実現方をお願いいたします。

 これは、政府のみならず私ども国会もともにその責任を負っておると思いますが、人間の尊厳というものについては、私たちは大変敏感でなければならないというふうに思っております。政治は人の心と正面から向き合うものだと思いますから、ぜひ、政務官、陣頭指揮をとっていただいて、実現方をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、小泉政務官にお尋ねいたします。

 小名浜港に行ってまいりました。この小名浜港は大変重要な施設でございますが、発災後四十日たつのに復旧に関してまだ手つかずの状態という惨状でありました。これは非常に重要だと思います。その理由は、申し上げるまでもなく、御存じのとおりですね。

 これは、明治の近代化のときでも戦後の復興のときでも、戦略的に優先順位をつけて、重要インフラの復旧整備というものについては特段の対処が必要だと私は思っておりますが、スケジュール等についてお知らせください。

小泉大臣政務官 古川先生御指摘いただきましたように、小名浜港の周辺には複数の火力発電所、そしてまたたくさんの企業が立地しておりまして、大変重要な港湾であると強く認識をしているところであります。

 ただ、この小名浜港が今回の震災によりまして甚大な被害を受けました。現在のところ、三十六の岸壁のうち六つの岸壁は応急的な措置を終わらせており、緊急物資の搬入等ができるところまで回復をさせてきたところであります。しかし、先生が御指摘いただきましたように、火力発電所や、また企業が使うための荷揚げをします岸壁につきましてはまだ回復に至っておりません。

 ただ、火力発電は今度の電力不足でも大変重要でありますので、操業の再開が予定されております七月までには間に合うように、岸壁の復旧を早急に開始したところであります。そしてまた、他の企業に関しましても今ヒアリングを進めておりまして、操業再開に間に合うように岸壁の復旧工事を進めてまいりたいと思っております。

古川(禎)委員 もっと早くできませんでしょうか。バースのみならず、おっしゃったように、荷役機械だとか野積み場だとかあるいは周辺道路、そういう機能を一体的に機能回復をしないことには意味をなさないわけですね。そのためには、先ほど小里委員も意見を開陳されましたが、やはり各担当ののりを越えて、そこは政治決断でもって埋めて、そしてスピード感を持ってやっていただきたい。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に参ります。

 これは、先日の衆議院の総務委員会で釜石市長が意見を述べておられました。国道四十五号、これが津波で機能を失った、そのときに、三陸自動車道、まだこれは部分供用なんですけれども、ここが代替機能を発揮いたしまして、救難、救助、救援のために大変役に立ったという御報告でございました。これは、今回の震災に限らず、いわゆる命の道、道路整備における命の道という観点がいかに大事かということを強く示唆する事例だったと言えると思います。

 地震学者、研究者に聞きますと、東海、東南海、南海のみならず日向灘、三連動ではなくて四連動だという話もこの前ありましたけれども、そういうことからすると、全国で似たようなケースがいっぱいあると思うんです。

 例えば、日南海岸沿いの国道二百二十号、そしてその横に東九州道という計画があるわけですけれども、従来、BバイCの数値が低いじゃないかとか、あるいはどっちか一つでいいんじゃないかとか、そういう議論もこれまで経緯としてありました。

 しかし、今回の事例にかんがみまして、やはりこれは一体的に整備するべきであるということを確認したいと思うんです。特に東九州道、日南から志布志までの区間は、一一五二〇のものでありながらまだ基本計画なんです。これを整備計画に格上げして一刻も早くということを、国としてきちんとその意思を表明していただきたいと思いますが、政務官。

小泉大臣政務官 今古川委員が御指摘いただきましたように、今回の災害におきまして四十五号が全く使えなくなりました。三陸縦貫自動車道がそのかわりに、住民の避難路、迂回路、また緊急輸送路として、まさに命を守る道路として機能してきたわけであります。

 今回の災害におきまして、ネットワークを複線化して災害に強い道路網を整備するということがいかに大切であるかということが再認識されたわけであります。

 今先生が御指摘された地域も含めまして、今後の高速道路の整備のあり方については、高速道路のあり方検討有識者委員会等においても幅広く検討をしていただき、積極的に推進をしてまいりたいと思います。

古川(禎)委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。

 以上です。終わります。

吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会


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