衆議院

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第11号 平成23年6月9日(木曜日)

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平成二十三年六月九日(木曜日)

    午後五時十分開議

 出席委員

   委員長 吉田おさむ君

   理事 糸川 正晃君 理事 梶原 康弘君

   理事 古賀 敬章君 理事 中根 康浩君

   理事 橋本 清仁君 理事 長島 忠美君

   理事 古川 禎久君 理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石山 敬貴君

      今井 雅人君    打越あかし君

      大西 健介君    大西 孝典君

      岸本 周平君    小山 展弘君

      近藤 和也君   斎藤やすのり君

      空本 誠喜君    高橋 昭一君

      高邑  勉君    富岡 芳忠君

      畑  浩治君    皆吉 稲生君

      森本 和義君    山本 剛正君

      吉川 政重君    若泉 征三君

      秋葉 賢也君    石田 真敏君

      梶山 弘志君    竹下  亘君

      谷  公一君    永岡 桂子君

      二階 俊博君    林  幹雄君

      西  博義君    高橋千鶴子君

      重野 安正君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   衆議院調査局第三特別調査室長           阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     二階 俊博君

  小里 泰弘君     永岡 桂子君

  森山  裕君     石田 真敏君

  江田 康幸君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     森山  裕君

  永岡 桂子君     小里 泰弘君

  二階 俊博君     江藤  拓君

  西  博義君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

六月九日

 津波対策の推進に関する法律案(二階俊博君外六名提出、第百七十四回国会衆法第二八号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 津波対策の推進に関する法律案(二階俊博君外六名提出、第百七十四回国会衆法第二八号)の撤回許可に関する件

 災害対策に関する件

 津波対策の推進に関する法律案起草の件

 津波対策の推進に関する件


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 第百七十四回国会、二階俊博君外六名提出、津波対策の推進に関する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

吉田委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 津波対策の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において起草案を作成いたしました。

 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 津波は、東日本大震災においても明らかになったように、一度発生すると、広域にわたり、国民の生命、身体及び財産に甚大な被害を及ぼすとともに、我が国の経済社会の健全な発展に深刻な影響を及ぼすおそれがある災害です。

 他方、津波は、その発生に際して国民が迅速かつ適切な行動をとることにより、人命に対する被害を相当程度軽減することができることから、津波に関する国民の理解と関心を深めることが特に重要であります。加えて、被災地域の一刻も早い再生に向けて、産業の復興や雇用の確保にも十分留意した総合的な取り組みが必要であります。

 我が国は、常に大規模な地震及びこれに伴う津波による被害を受ける危険にさらされており、多数の人命を奪った東日本大震災の惨禍を二度と繰り返すことのないよう、これまでの津波対策が必ずしも十分でなかったことを国として率直に反省し、津波に関する最新の知見及び先人の知恵、行動その他の歴史的教訓を踏まえつつ、津波対策に万全を期する必要があります。

 本起草案は、津波による被害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、津波に関する基本的認識を明らかにするとともに、被害からの復旧復興までも視野に入れた津波対策を総合的かつ効果的に推進しようとするものであります。

 次に、本起草案の主な内容について申し上げます。

 第一に、津波対策を推進するに当たっての基本的認識について規定しております。

 第二に、ソフト面における津波対策として、連携協力体制の整備、津波の観測体制の強化及び調査研究の推進、地域において想定される津波による被害の予測、津波に関する防災上必要な教育及び訓練の実施、地域において想定される津波による被害についての周知及び津波からの迅速かつ円滑な避難を確保するための措置について規定しております。

 第三に、ハード面における津波対策として、津波対策のための施設の整備、津波対策に配慮した町づくりの推進、危険物を扱う施設の津波からの安全の確保並びに災害復旧及び災害からの復興に当たっての配慮について規定しております。

 第四に、津波対策に関するその他の施策として、被災地域の産業の復興及び雇用の確保、津波対策に関する国際協力の推進、津波防災の日、財政上の措置について規定しております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとするとともに、政府は、この法律の施行後三年を目途として、東日本大震災の検証等を踏まえ、津波対策のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずることとしております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 津波対策の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉田委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。二階俊博君。

二階委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま委員長から御提案の津波対策の推進に関する法律案について意見を述べさせていただきます。

 私が津波対策についての法案の必要性を痛感したのは、昨年の二月二十七日、チリ沖地震津波が我が国を襲った日であります。太平洋沿岸地域を対象に百六十八万人の住民に避難指示、避難勧告が出されましたが、実際に避難した人は、わずか三・八%、六万四千人にすぎません。私は、この事実に愕然とした一人であります。

 津波については、以前から、一度発生しますと国民の生命や財産に甚大な被害を及ぼすおそれがあり、迅速な行動をとれば相当程度被害を軽減することができる災害である、ただいま委員長からもお述べになったところであります。

 津波対策については、災害対策基本法等において、他の災害と一体的に規定されているにすぎません。津波災害の特性に対応した法整備の必要性を痛感したのであります。

 我々は、このような考えから、昨年の六月十一日、公明党の御賛成をいただき、自民、公明の共同で衆議院に法案を提出させていただいたことは、御高承のとおりであります。

 しかし、残念なことに、法案はその後一度も審議されることなく、日時は無為に過ぎ去りました。その間に、この三月十一日、東北大震災が発生し、津波に伴い多くの人命や財産を失い、被災地は壊滅的な惨状と化しました。我々の提案した法案が成立しておれば、多くの人命を救い、被害を未然に軽減できたのではないかと思うと、まさに法案成立のおくれは痛恨のきわみであり、まことに残念でなりません。

 しかしながら、今回の大震災を教訓として、民主党を初め各党の皆様方の御理解をいただき、災害対策特別委員会の委員長提案として法案をまとめていただくことができました。関係者のこれまでの御努力を高く評価し、深く感謝を申し上げる次第であります。

 この法律においては、十一月五日を津波防災の日としております。十一月五日は、「稲むらの火」として、津波対策上余りにも有名でありますが、小学校五年生の国語の教科書にも掲載されております。安政元年十一月五日の安政の大地震において、和歌山県広村の庄屋浜口儀兵衛氏がみずからの家の稲に火をつけて、そして住民に津波の襲来を伝えて、多くのといいますか全員救った、命を救ったという事実があります。多くの国民の皆さんも、この事実はまさに知る人ぞ知るところであります。この日を津波防災の日として、国民の津波に対する理解と認識を一層高める日としたことはまことに適切であると考えております。

 また、津波災害に対する施策としては、各地方自治体が地域の特性に応じて、海岸堤防、避難路等の施設整備などハード対策とともに、迅速的確な津波情報、津波避難ビルの指定、津波ハザードマップの作成等ソフト面での対策も講じられようとしております。津波対策に対する国際協力を規定していることも重要であります。

 さらに、今回の東日本大震災の経験、教訓から、高齢者や障害者、外国人の旅行者を含め多くの人々が津波からの迅速かつ円滑な避難を確保することができる措置を本則に規定しておること、原子力施設などの危険物を扱う施設の津波からの安全確保を規定したこと、災害からの復旧のみならず復興に当たっても津波被害の特性を配慮すること、津波避難施設、避難路及び誘導施設等に対し必要な税財政上の措置を講ずることとしたことなどは高く評価することができると思います。

 以上、法案に対する意見を申し述べました。

 私たちの国は有史以来、幾多の甚大な自然災害を受けながらも、その都度力強く立ち直ってまいりました。このような歴史を踏まえ、今回の大震災に屈することなく、今こそ国民の英知を結集して、津波に強い町づくり、国づくりを果敢に推進すべきであるとかたく信じております。

 政府におかれましては、立法趣旨を肝に銘じ、津波対策に万全を期して、各市町村にも積極的な協力を呼びかけて早急に災害復旧を促進するとともに、再び同じような悲惨なことを繰り返すことのないよう、心に誓って、自由民主党・無所属の会を代表しての意見表明とさせていただきます。

 ありがとうございます。(拍手)

吉田委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 私は、公明党を代表して、津波対策推進法案の可決に当たり、一言申し上げます。

 東日本大震災においてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 このたびの法案成立に御尽力をいただいた自民党、公明党の提案者の皆様並びに、修正合意に努力された当委員会の委員長並びに委員の皆様に、まずもって心より敬意を表します。

 このたびの法案で、十一月五日を津波防災の日と定めていただきました。この日は、百五十七年前の一八五四年、安政南海地震の津波に際して、私のふるさと和歌山県広川町で起きた故事に由来する日です。浜口梧陵という人物が、みずからの田に積んであった稲むらに火を放って津波の襲来を住民に知らせ、多くの人々の命を救い、その後、私財をなげうって広村堤防を築くなど、町の復興や人々の生活再建に命をかけたという歴史は、「稲むらの火」という物語でもよく知られているとおりでございます。

 この浜口梧陵先生は、私の母校、和歌山県立耐久高等学校の創立者でもあります。卒業生の一人として、本法案の可決はこの上ない喜びでございます。

 津波から五十年後、広川町ではこの日を津波祭りの日とし、浜口梧陵先生の遺徳をしのぶとともに、若い世代に津波防災の重要性を受け継ぐ日となっており、ことしで百九回目を迎えます。

 津波は、国民が迅速かつ適切な行動をとることにより人的な被害を軽減できます。その意味で、津波に対する正しい理解を深め、避難訓練など、ふだんからの備えが大変重要になってまいります。また、避難場所や避難経路の整備、原子力発電所の安全確保などの対策にも今後万全を期していかなければなりません。

 東日本大震災の惨禍を二度と繰り返さないよう、津波対策に全力を尽くすことをお誓い申し上げますとともに、政府におかれましては、本法案や後ほど採決される決議を十分尊重していただくとともに、津波対策のための十分な予算を確保するよう強く要望いたしまして、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

吉田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 ただいま議題となりました津波対策の推進に関する法律案の起草に対し、日本共産党を代表し、一言意見を表明するものです。

 本法案は、津波対策を推進するに当たっての基本認識を明らかにするとともに、総合的な津波対策の推進に必要な事項を定める内容の法案であり、賛成とします。

 多くの人命を奪い、甚大な被害をもたらし、深刻な原子力事故につながった東日本大震災の大津波被害については、今なお懸命な捜索活動が続くなど、復旧復興の途上であり、その検証は今後の課題となっています。その上に立って、検証や対策に当たり重要と考えられる諸点について、以下に発言をします。

 第一に、想定を超える災害が発生し得るという前提に立った防災対策、防災教育が不可欠だということです。

 東日本大震災では、指定避難所に避難した多くの方が津波にのまれました。強固な防潮堤や湾口防波堤も壊され、命と財産を守る歯どめにはなり得ませんでした。

 釜石市の津波防災教育に携わってきた群馬大学大学院の片田敏孝教授は、想定に縛られないことの大切さを強調し、自分ができる最大限のことを尽くすという観点から防災教育を実践されています。こうした取り組みが、市内の小中学校生徒の主体的な判断による避難を促し、犠牲を最小限にとどめたことは教訓的です。

 何度も大津波に襲われた三陸地方に古くから伝わる津波てんでんこという言葉に改めて学び、津波の被害を風化させないこと、ハード、ソフト両面の対策を総合的に進めていくことが必要です。

 第二に、津波警報の問題です。

 地震直後、三メートルの高さだという予想に安心して逃げおくれた方が多かったことや、大震災の二日前に発生した津波が一メートルと低かったために、今度も大丈夫だろうと逃げなかったなどの事例が指摘をされており、迅速かつ正確な津波予想や的確な情報伝達など、警報のあり方を見直す必要があります。

 第三に、災害弱者に対する対策の強化です。

 せっかく助かった命も、水にぬれた衣服を着がえることもできず、暖もとれない中で低体温症になり、命を落とした事例も多くあります。災害弱者の避難のあり方、視力、聴力に障害を持った方々への情報伝達の仕組みを初め災害弱者対策に関する今後の検証を強めて、対策を講じる必要があります。

 最後に、原子力事故についてです。

 福島第一原発の事故は、起こり得る事故だとの指摘を顧みず、地震、津波に対する防災対策を怠ってきた結果起こった紛れもない人災であります。参議院の経済産業委員会の参考人質疑で柳田邦男氏が、想定外とは、それ以上のことはないことにしようとか考えないことにしようとしてきた思考様式に免罪符を与えるものと指摘をしているように、事故原因を想定外の大津波に解消することは許されません。原発の総点検を直ちに行い、原発からの撤退を目指し、原子力依存のエネルギー政策の抜本的転換を図るべきだと思います。

 以上指摘して、意見表明を終わります。(拍手)

吉田委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、この法案について、我が党は賛成であるということを最初に表明しておきたいと思います。

 今回の大津波は、想定されていた規模をはるかに超えるもので、事前の想定に基づいたハードのみに頼った対策では限界があることが判明いたしました。今回の法案では、ハード面のみならずソフト面もあわせた対策が盛り込まれたことを我々は評価いたします。

 今回の震災では、原発事故が発生し、今なお収束の目途が立たない中で、多くの方が避難生活を余儀なくされています。原発を推進してきた歴代政権は大いに反省すべきであります。

 今回の法案では、十二条で原発についての記述がありますが、その記述の仕方には不満と言わざるを得ません。

 理由は、一つには、原発を石油や火薬、高圧ガスなどと並列で並べていることであります。核物質は他の危険物とは全く異質で、無害とみなせるまでには数百年から数十万年かかります。それを他の危険物と並列に並べるのは、明らかに間違った認識ではないでしょうか。さらに大きな問題は、並列に並べた結果、核燃料物質の安全確保についても、「産業との調和に配意しつつ、」という言葉がかかってしまっていることです。これでは、今の原子力安全委員会委員長がかつて裁判で述べた、安全問題について割り切らなければ原発などつくれないという思想と同じではないかと言わざるを得ません。

 また、法案では、津波防災の日も設定されました。設定することには異議はありません。十一月五日が最も適当なのかという点では疑問が残ります。先ほどお話がありましたそのことも十分理解をできます。問題は、その設定をすることによって国民が津波に対する思いをより深めていく、そういう効果を期待しなければなりませんが、そうなるとやはり三月十一日がいいのではないか、このように思います。

 以上、原発の安全確保の記述については大きな問題があり、また、津波防災の日の設定の仕方にも疑問を持たざるを得ません。他方で、津波対策の必要性の観点から、冒頭にも述べましたように、法案そのものについては賛成であります。脱原発を党是とする社民党としては、どんなことがあっても、産業との調和が原発の安全確保より優先されることがないよう、これからも厳しく原発問題に取り組んでいくことを申し上げ、意見を終わります。(拍手)

吉田委員長 これにて発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 津波対策の推進に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付してありますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 次に、本法律案の提出に際しまして、津波対策の推進に関する件について決議をいたしたいと存じます。

 本件に関しましては、各党間において御協議願っておりましたが、協議が調い、案文がまとまりました。

 便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。

    津波対策の推進に関する件(案)

  去る三月十一日に発生した東日本大震災では、地震に伴う大津波により多くの尊い生命が犠牲となった。このような悲劇を二度と繰り返さないために、政府は、国民の生命、財産を災害から守ることは国の責務であることを深く認識し、特に次の諸点について遺漏なきを期するべきである。

 一 津波は、一度発生した場合には甚大な被害が発生する危険性があるが、迅速に避難することにより人命被害を相当程度軽減することができる災害であることから、国として、学校、地域社会等における津波防災教育を通じて、国民が津波に対する理解と認識を共有できるようにすること。

 二 津波被害の発生を防止又は軽減するために、その規模等を迅速かつ適切に予測することが重要であることに鑑み、国、地方公共団体、大学等の研究機関との連携を図り、観測及び調査研究の充実に努めること。なお、津波の研究に当たっては、学術的な研究に偏ることなく、津波防災施設建設等の実務的研究との密接な連携を重視すること。

   また、我が国が主導して国際的な観測及び調査研究体制を構築すること。

 三 津波による被害は、その土地の形状や土地利用の現況等により大きく影響されることに鑑み、国は、都道府県及び市町村が行う津波対策が適宜、適切なものとなるよう情報の提供、技術的助言を積極的に行うこと。

 四 我が国における津波災害の教訓を踏まえ、津波に関する記録(国民の津波に関する体験の記録を含む。)の収集及びその活用が適切に行われるよう努めるとともに、津波防災教育においては、映像等の視覚を通じた方法が有効であると考えられることから、国が主導して、啓発資料の作成及び普及を積極的に行うこと。

 五 津波からの避難対策においては、迅速な情報伝達のための体制の構築を図り、特に高齢者等の災害時要援護者についての避難体制を確立するとともに、避難のための手段、避難路及び避難施設の確保に留意すること。また、避難場所に指定されている学校施設等において、津波を想定した第二次避難場所等の策定を実施し、迅速な避難が行われるようにすること。

 六 防潮堤、防波堤、海岸防災林等にかかる効果についての検証を行いつつ、ソフト、ハード両面における津波対策を総合的かつ効果的に推進すること。

 七 津波からの復旧に当たっては、単なる原状回復ではなく、地域の実情や、防災に配慮した復興に努めること。

 八 津波避難施設、避難路等の整備については、附則第二条第一項の趣旨に則り、適切に対応すること。また、被災した住民に対する心のケアを十分に行うこと。

 九 原子力発電施設については、原子力災害が我が国の経済社会の健全な発展と国民生活に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、安全確保に向けて総点検を含む万全な対策を講じること。

 十 十一月五日の「津波防災の日」を創設した趣旨について周知を図るよう指導するとともに、速やかな避難及び救援活動が行われるよう、国、地方公共団体、事業者及び国民が一体となった訓練及び啓発行事を積極的に行うよう努めること。また、広域エリアに配慮した体制整備に努めること。災害時の国内のエネルギーの安定供給体制の確立のため、関連事業者が一度に被災することのないよう、分散配置などに万全の対策を講じること。

  右決議する。

以上であります。

 お諮りいたします。

 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。松本防災担当大臣。

松本(龍)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

吉田委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十八分散会


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