衆議院

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第14号 平成23年8月23日(火曜日)

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平成二十三年八月二十三日(火曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 吉田おさむ君

   理事 糸川 正晃君 理事 梶原 康弘君

   理事 古賀 敬章君 理事 中根 康浩君

   理事 橋本 清仁君 理事 長島 忠美君

   理事 古川 禎久君 理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石井登志郎君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      大西 孝典君    柿沼 正明君

      岸本 周平君    小室 寿明君

      小山 展弘君    後藤 祐一君

      近藤 和也君   斎藤やすのり君

      空本 誠喜君    高野  守君

      高橋 昭一君    高邑  勉君

      富岡 芳忠君    中野渡詔子君

      畑  浩治君    浜本  宏君

      皆吉 稲生君    森本 和義君

      山本 剛正君    湯原 俊二君

      吉川 政重君    若泉 征三君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      金子 恭之君    北村 茂男君

      柴山 昌彦君    竹下  亘君

      谷  公一君    森山  裕君

      江田 康幸君    塩川 鉄也君

      重野 安正君

    …………………………………

   参議院災害対策特別委員長 松下 新平君

   国務大臣

   (防災担当)       平野 達男君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           高橋  洋君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        関  克己君

   政府参考人

   (気象庁予報部長)    西出 則武君

   衆議院調査局第三特別調査室長           阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十三日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     柿沼 正明君

  大西 健介君     後藤 祐一君

  斎藤やすのり君    湯原 俊二君

  畑  浩治君     中野渡詔子君

  吉川 政重君     小室 寿明君

  秋葉 賢也君     柴山 昌彦君

  梶山 弘志君     金子 恭之君

  林  幹雄君     北村 茂男君

  高橋千鶴子君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     高野  守君

  小室 寿明君     浜本  宏君

  後藤 祐一君     石井登志郎君

  中野渡詔子君     畑  浩治君

  湯原 俊二君     斎藤やすのり君

  金子 恭之君     梶山 弘志君

  北村 茂男君     林  幹雄君

  柴山 昌彦君     秋葉 賢也君

  塩川 鉄也君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     大西 健介君

  高野  守君     打越あかし君

  浜本  宏君     吉川 政重君

    ―――――――――――――

八月四日 

 災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(前川清成君外六名提出、参法第一四号)(予)

 東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案(前川清成君外六名提出、参法第一五号)(予)

同月九日

 災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出、参法第一九号)(予)

 東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案(災害対策特別委員長提出、参法第二〇号)(予)

同月十日

 災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一九号)

 東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案(参議院提出、参法第二〇号)

は本委員会に付託された。

八月九日

 災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(前川清成君外六名提出、参法第一四号)(予)

 東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案(前川清成君外六名提出、参法第一五号)(予)

は撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一九号)

 東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案(参議院提出、参法第二〇号)

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案及び東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。参議院災害対策特別委員長松下新平君。

    ―――――――――――――

 災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案

 東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松下参議院議員 おはようございます。

 ただいま議題となりました災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案並びに東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案の両法律案について、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 本年三月十一日の東日本大震災は、東北三県を中心に甚大な被害をもたらしました。現在、その復旧と復興に向けて、我々国会議員の一人一人も、それぞれの持ち場、立場で全力を尽くしているところですが、東日本大震災を起因とする、いわゆる二重ローン被害も深刻です。

 例えば、津波で住宅が流れてしまったとしても、その住宅ローンはなくなりません。今までどおり毎月の返済を続けていかなければなりません。事業向け融資も同様です。工場や機械、漁船、農機具などの生産手段をすべて失っても、今までどおり返済を続けていかなければなりません。

 他方で、生活を再建するには、新たな住宅が必要です。仕事を再開するには、工場を再建し、機械や漁船、農機具を購入しなければなりません。そのために、またローンを組み、融資を受ける必要があれば、これまでの債務に重ねて、新たな債務を背負うことになります。この結果、東日本大震災の被災者の多くが二重ローンに苦しんでおられます。

 これに対して、被災者の苦しみや負担を社会全体で分かち合い、支え合う仕組みとして、被災者生活再建支援法があります。被災者らの生活再建のために、この法律に基づいて最高額三百万円の被災者生活再建支援金、以下、単に支援金と言います、が支払われます。また、同趣旨の災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、最高額五百万円の災害弔慰金、以下、単に弔慰金と言います、や、災害障害見舞金、以下、単に見舞金と言います、が支払われます。さらには、人々の善意が赤十字や県、市町村等を通じて義援金として被災者に届けられます。

 言うまでもなく、支援金、弔慰金、見舞金に関しては制度の目的に、義援金に関しては寄附者の意図に照らして、被災者みずからにおいて、被災者らのあすへの第一歩のために使っていただくべきお金です。被災者の多くが二重ローンに苦しむ中、その趣旨に反して、銀行や金融機関、サラ金や高利貸しが被災者に対する債権を回収するために、差し押さえて、横取りしてしまうことは、私たちの正義に反します。

 ところが、現行法においては、これら支援金、弔慰金、見舞金、義援金に対する差し押さえが禁止されていません。それゆえに、これら金銭の受給権を差し押さえ禁止債権とし、受給権に基づいて現実に被災者らの手元に届いた現金を差し押さえ禁止動産としようとするのが両案の趣旨です。

 次に、両案の主な内容について御説明申し上げます。

 災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案においては、第一に、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づいて支払われる弔慰金、見舞金の受給権、被災者生活再建支援法に基づいて支払われる支援金の受給権を差し押さえ禁止債権といたします。

 第二に、右受給権にとどまらず、これら受給権に基づいて被災者へ支払われた金銭自体も差し押さえ禁止動産といたします。

 第三に、地方公共団体において実施している弔慰金、見舞金、支援金と同趣旨の金銭給付や、いわゆる賞じゅつ金等に関しても、同様に差し押さえ禁止とすべき場合もあり得ると思われますので、そのための検討と必要な措置を講ずることを定めています。

 次に、東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案においては、東日本大震災に関する義援金の受給権と、これに基づいて被災者へ支払われた義援金について、差し押さえ禁止債権ないしは差し押さえ禁止動産とすることを定めています。

 なお、両案は本年三月十一日にさかのぼって適用されますが、既に確定した差し押さえ命令等に関しては、その結果を覆さないことといたします。

 以上が、両法律案の提案の趣旨及び主な内容です。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

吉田委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 両案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、参議院提出、災害弔慰金の支給等に関する法律及び被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、参議院提出、東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

吉田委員長 次に、災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房参事官高橋洋君、国土交通省都市局長加藤利男君、国土交通省水管理・国土保全局長関克己君及び気象庁予報部長西出則武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本剛正君。

山本(剛)委員 おはようございます。民主党の山本剛正でございます。

 きょうは、久しぶりに質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございました。関係の皆様に心から御礼を申し上げます。

 時間も短いので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 ことしの三月十一日、もう御存じのとおり、未曾有の大震災が東北地方を襲いまして、以降、日本は国難にさらされているわけであります。国会では、早期の復興に向けて、政府を初め与野党の議員の皆さんがさまざまな努力をされておられますが、まずここで、この災害特と復興特の役割に関しまして整理をして、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 言うまでもなく、復興特では、今回の東日本大震災の被災地の復旧復興に向けて多岐にわたる論議がなされているわけであります。地震、津波の被害からの復旧復興はもとより、いまだ行方不明になっておられる方々の捜索や被災者の皆様へのさまざまな支援、そしてまた原子力発電所の事故による対応等、今回の震災に限定して、一日も早い復旧復興の実現に向けた取り組みについて復興特では熟議をされているわけでございます。

 一方、この災害特においては、東日本大震災への対応はもちろんでございますけれども、全国で起こり得る災害に向けた取り組みや実際の災害への対応を論議し、さまざまな災害から国民生活の安心、安全を守っていかなければなりません。言うなれば、この委員会では、我が国の災害に対する危機管理能力について大いに論議し、確立することが求められているわけであります。

 危機管理能力には、危機の際、その被害をどのようにして最小限に抑えるかということや、危機が起こる前にその危機を想定して備えておくかということがありますけれども、現在、災害は、ある程度予測可能なものもありますけれども、予測ができないものも多々あるわけであります。

 そこで、大臣にお伺いをいたします。

 東日本大震災から五カ月がたちまして、その余震もまだまだ続いている今日ではございますけれども、我が国で地震が起こる可能性は全国にあるわけであります。現在の地震、津波対策がどうなっているのかをお尋ねいたします。

平野国務大臣 御指摘のとおり、今、日本は、極端な話をしますと、いつ何どき大きな地震が起こってもおかしくないという状況にある地域もあります。そういったことも踏まえまして、それに備えた対策をとるということは喫緊の課題であるというふうに認識をしております。地震、津波被害の軽減のためには、防災施設の計画的な整備などのハード対策とあわせまして、災害発生時の円滑な避難を行うためのソフト対策を総合的かつ一体的に実施していくことが必要である、こういう基本認識に立っております。

 そのため、これまでは、建築物や防災施設の耐震化や、避難地、避難路の整備、津波予報の迅速化や精度向上、避難勧告指示等の住民への的確な伝達、海岸堤防、河川堤防等の整備などに鋭意取り組んできたところでありますけれども、今回の大震災では、御案内のとおり、東日本の太平洋沿岸全域において想定を超える大津波が発生しまして、人的、物的被害も極めて大きなものになりました。この事実を真摯に受けとめまして、これを教訓に、次への備えを確実にしていくことが必要であるというふうに考えております。

 その一環として、中央防災会議の専門調査会を立ち上げまして、六月二十六日には中間取りまとめをいただいておりまして、まずは、津波に対する対応を中心に考えて今議論をしていただいております。こういった中間取りまとめなどを踏まえまして、しっかりとした対策をとっていきたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 次への備えというお話がございました。無論、今回の東日本大震災についてはまだまださまざまな検証が必要だというふうに私も思っております。早期にこれを検証して、新たな地震、津波対策というものを策定していかなければならないということでございますけれども、しかし、先ほども申し上げたとおり、災害は予測ができないというものが大変多うございまして、いつどこで起こるかわからないというのも事実でございますから、一刻も早い対策というものが必要だ、次の備えが必要だというふうに私は思っております。

 そこで、具体的な新しい政策をいつごろ示して、どれぐらいの期間をかけて、万全を期すと言ったらあれなんですけれども、ロードマップがもしあれば、大臣、ぜひここでお示しをいただきたいというふうに思います。

平野国務大臣 今、東日本大震災でどういうことが起こったのか、ここから得る教訓は何なのかということを、まず一つ、今詰めております。それと同時に、いわゆる東南海の三連動地震、こういったものがどういうメカニズムで起こるだろうかといったことについての議論も始めております。

 こういったことをできるだけ早く、今ロードマップというふうに言われましたけれども、時間はそんなにないというふうに思っております。できるだけ早くやるということで今鋭意検討を進めておりまして、まずは、東日本大震災における教訓といったことをしっかり整理するということに取り組みたいというふうに思っています。

 ちなみに、東日本大震災で得る教訓というのはさまざまございます。例えば、今の防災の考え方は、市町村の役割重視ということになりまして、もちろんこれは当然でありまして、災害が発生した現地の自治体がまず一義的にそこの被災者の支援に取り組むというのが前提でございますが、御案内のとおり、今回の津波は、現地の自治体そのものが被災をして機能できなくなってしまったといったこともございます。

 それから、地震即完全停電ということで、何日間にもわたって停電をしたということ、こういったこともある意味では想定外であったということでございまして、こういったことに対する対応もしっかり考えていかなければならないということでございます。

 さらに言いますと、今回の大震災、未曾有の被害が出たわけでございますけれども、あえて二つだけ指摘をさせていただきたいと思います。

 一つは、発生時期が真冬でなかったこと、それからもう一つは、発生が真夜中でなかったこと、この点もよく考えておく必要があるかと思います。

 真冬であった場合、御案内のとおり、ガソリンも現地に行きませんでした、灯油も行きませんでした、情報の伝達も図られていませんでした。どういう状況になっただろうか。そういったことも加えて想定しておかなければなりません。それから、真夜中であった場合、完全停電であります。情報も入らない、街灯の電気もつかない、こういった段階でどういうことが起こっただろうか、こういうことも考えなければならないということでございまして、今、そういったことの課題をきちっと整理して、それを丁寧に分析しながらしっかり対策を立てていくということで取り組んでまいりたいというふうに思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 いつ起こるかわからないという中で、確かに、夜中であったりとか真冬であったりという状況では、今回の震災の対応とまた違った対応が出たというふうに私も思います。ぜひ、そういったことを踏まえて、次の万全な備えというものを構えていただきたいというふうに思います。

 図らずも、大臣から教訓という言葉が出ました。私も、災害に対する意識や認識をこれから高めていく教育というものも一層重要となってくるのではないかなというふうに思っております。そして何よりも、今回の震災とその教訓を私たちは後世に伝えていく義務があるというふうに考えております。

 そこで、今後の教育の中で災害という危機に対する教育をどのように進めていくのか、また今回の震災をどのように後世に伝えていくのか、大臣の強い思いをお知らせください。

平野国務大臣 今回の大震災で何が起こったのか、これを踏まえて何をしなければならないのか、これを後世にしっかりと引き継いでいくということは大事なことであるというふうに思っております。

 そのためにも、繰り返しで恐縮でございますけれども、今回の東日本大震災で何が問題であったのか、今後何を検討しなければならないのか、そういったことを整理して、これを分析して、後世にしっかり引き継ぐということが大事であるというふうに思いますし、同時に、この災害については、繰り返し繰り返し教育の場においても話し合いをされるということが大事だというふうに思います。

 今回の震災では、例えば、釜石の奇跡と呼ばれておりますけれども、釜石東中学校の生徒のように、過去の災害の教訓に基づき、継続的な防災教育や避難訓練を行うことにより、想定を超える津波であったにもかかわらず、適切な避難行動をとることができたといった例もございまして、こういったことも踏まえまして、災害教育、しっかり引き続きやっていくことが大事であるというふうに認識をしております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 後世に伝えていくということは、本当に大事だと思います。ぜひ、しっかりと取り組んでいっていただけるようによろしくお願いを申し上げます。

 では次に、新燃岳の噴火災害についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 この災害特では、二月十七日に一度だけその論議が行われたわけでありますけれども、ことしの一月、新燃岳は、五十二年ぶりに爆発的な噴火が起こって、鹿児島県や宮崎県において大きな被害をもたらしたわけであります。

 噴火当初は、空港の閉鎖や高速道路の通行どめ、それから鉄道の運行にも大きな影響を与えたわけであります。また、近隣住民は当然避難を余儀なくされました。農作物にも大きな影響を及ぼしました。

 そこでまず、この新燃岳噴火災害について、現在の状況も含めて全体の被害状況、ハザードマップのつくりかえの必要性などについて東副大臣から、そして現在の新燃岳の状況と今後の見通しについては気象庁さんからぜひお答えをお願いします。

東副大臣 お答えさせていただきます。

 新燃岳におきましては、本年一月二十六日に約三百年ぶりにマグマ噴火を起こして、これまでに十三回の爆発的噴火が確認されているところであります。

 今回の一連の噴火による人的被害状況としては、降灰除去作業中の事故等により重傷十五名、軽傷二十一名となっております。また、空振や噴石により住宅のガラス、民家の太陽光パネル、自動車ガラス等の破損等も多数発生したほか、降灰により露地野菜やビニールハウス等の農業施設等の農業被害も発生したところであります。

 また、避難については、一月三十日に、火砕流を警戒して、高原町において五百十三世帯、千百五十八名に対して避難勧告が発令されました。また、都城市においては、火口周辺に堆積した多量の火山灰による土石流の発生を懸念して、二月十七日に、千百四十八世帯、二千五百二十三名に避難勧告が発令されるなど、現在までに計六回の避難勧告が発令されているところであります。

 この間、前防災大臣であります松本大臣が一月二十九日から三十日、また二月十一日から十二日、私自身も三月六日、七日に現地入りさせていただいて、降灰被害や空振被害の状況を確認して、地元自治体や関係機関による火山防災対応の状況をつぶさに把握するとともに、御指摘のありましたことも踏まえた上で、二月七日より現地に政府支援チームを派遣して、避難計画の策定を支援するガイドラインの作成や、噴石、空振などから身を守るための対応策について取りまとめて、被害軽減に向けて取り組んできたところであります。

 いずれにいたしましても、新燃岳は今後も、火山活動は継続されていることから、新燃岳を含む霧島山全体のハザードマップとしての役割を果たす霧島火山防災マップや、今般、地元自治体で作成されました避難計画などを適切に活用して、引き続き、関係省庁や地元公共団体と密接に連携して、国民の安全、安心の確保に向け万全の対応をしてまいりたいと思います。

西出政府参考人 新燃岳では、一月二十六日から本格的なマグマ噴火が始まり、多量の火山灰等の放出、火口内への溶岩の噴出、爆発的な噴火が発生しておりました。

 新燃岳の噴火は、二月中旬以降、最盛期に比べれば規模や頻度は低下しておりますが、現在も継続しております。最近では八月六日にごく小規模な噴火が発生しました。

 このように、新燃岳の噴火活動は低下してきております。しかし、新燃岳の北西地下深くのマグマだまりには深部からのマグマの供給が続いております。マグマだまりから新燃岳へ大量のマグマが上昇すれば、噴火活動が再び活発化する可能性があります。

 気象庁では、大学等の関係機関と協力して観測体制の強化を図っており、今後も注意深く新燃岳の火山活動の監視を行ってまいります。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 おさまってきたとはいえ、まだまだ予断を許さない状況だというふうに認識をいたしました。

 それでは次に、農林水産省さんにお伺いをいたします。

 今回の噴火は火山灰の降灰が非常に多いという話を聞いておりまして、農業への影響は深刻であるというふうに伺っております。宮崎県においては、口蹄疫の被害からやっと、復興をしていこうといってその復興が始まったばかりの中でのこの災害でございますから、関係の皆様は大変御苦労されているのではないかなというふうに思っております。

 これまでの火山灰の降灰などによる農作物への被害状況、それから被災された農家の皆さんへの支援策などがあれば、ぜひお伺いをしたいというふうに思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の新燃岳の噴火により農作物に出た被害、宮崎県及び鹿児島県におきまして、野菜などの収量や品質の低下が約一万三千ヘクタール、それからビニールハウスの破損十カ所が報告されております。被害額は約五億二千万円となっております。

 こうした被害に対応して、農林水産省としては、農作物被害の軽減を図るための技術指導を徹底するとともに、被害農家への緊急支援として、火山灰の除去などの営農継続に必要な資材導入への支援、さらには土壌改良やビニールハウスなど、農作物への灰による被害を防ぐために必要な施設整備への支援などを実施してきたところであります。

 今後とも、関係機関と緊密な連携を図り、被害防止に万全を期す考えでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 宮崎県においては、農業は基幹産業でございますから、ぜひ、その支援を継続してお願いしたいというふうに思っております。

 また、これは国交省さんにお伺いしますが、降灰量が多いということは、山間部に積もった火山灰が、梅雨の時期は大丈夫だったみたいなんですけれども、これから台風の季節を迎えるに当たって、火山泥流、いわゆる土石流となって被害をもたらすおそれというものも十分に考えていかなければならないと思うんですが、その対策があれば、政務官、ぜひお願いします。

市村大臣政務官 まず、新燃岳周辺には依然として大量の火山灰が堆積しておりまして、台風期に向けた土石流対策は非常に重要であると認識しております。

 火山の噴火に伴う土石流など大規模な土砂災害が急迫し、かつ、特に高度な専門的知識及び技術が必要な場合には、国土交通省が自治体の避難勧告等の判断を支援するために必要な情報提供を実施できますよう土砂災害防止法を改正しまして、ことし五月に施行したところでございます。

 また、国土交通省では、新燃岳噴火直後から、宮崎県都城市及び高原町に対しまして、土石流に対する避難勧告等の判断を支援するため、土石流災害が想定される地域及び避難の参考となる雨量基準等の情報を提供しまして、また、改正土砂災害防止法施行後は同法に基づいた土砂災害緊急情報を各自治体に通知しておりまして、これらの情報をもとに警戒避難体制が構築されておるようでございます。

 さらに、宮崎県の知事さん及び関係自治体の長の皆様の土砂災害防止対策の要望を受けまして、土石流の発生が想定される範囲におきまして、砂防堰堤の除石等の緊急的な土石流対策に二月一日から着手しておりまして、七月三十一日まで繰り返し実施してきたところでございます。

 国土交通省としましては、今後とも、火山噴火に伴う土石流の発生に備えまして、関係自治体が実施する警戒避難体制への支援とともに、除石や砂防設備の整備等必要な土石流対策を速やかに実施してまいりたいと存じております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 火山灰は土の中に浸透しないというような話も聞いていまして、ですから、今、ゲリラ豪雨みたいなものもある中で、大変警戒をしていかなければいけない問題だと思いますので、生活者の安心、安全のために努力をしていただきたいというふうに思っております。

 一昨日、私の地元の福岡で竜巻が実は発生をいたしまして、駅舎の屋根が飛んだり電柱などが倒れるという被害が発生をいたしました。また、海では突風による死者・行方不明者も出ているというようなことでございますが、おととい、発生の当日から現地に調査も入っていただいているというような話も伺っておりますけれども、この災害についての被害状況を、東副大臣それからまた気象庁さんにお願いしたいと思います。

東副大臣 お答えします。

 一昨日、福岡そして山口、長崎の一部で竜巻などの突風が起こった。現在までに把握しているところでは、死者一名、行方不明者一人、負傷者三人の人的被害が出ておりまして、住家被害百五十二件、非住家被害三十三件の被害が発生したところであります。

 引き続き、関係省庁間で連携をとって被害状況を把握してまいりたいと思います。

西出政府参考人 一昨日に福岡県で発生しました突風につきまして、地元の福岡管区気象台が現地調査を実施しております。

 福岡県福岡市で発生した突風につきましては、複数の住家の屋根がわらの飛散があったこと、もう一つ、複数の樹木で幹折れがあったことなどの被害状況から、風速にして毎秒三十三ないし四十九メートルの竜巻と推定いたしました。

 また、福岡県久留米市で発生した突風につきましては、複数の住家の屋根がわらのめくれがあったことなどの被害状況から、風速毎秒十七から三十二メートルの竜巻と推定いたしました。

 これらの現地調査により、現象の把握、解明を行い、その成果を踏まえ、突風等にかかわる気象情報の改善を図ってまいります。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 突風とか竜巻というのは予測が大変難しいのではないかなというふうに思います。

 一昨日の朝、宮崎県を除く九州全域と山口県には竜巻注意報というものが出ていたみたいなんですが、ピンポイントで、ではどこで発生するのかというのは、非常に予測は難しいと思います。

 私は気象の素人なので、なぜ竜巻が起こるのかというのもよくわからないんですけれども、こういった竜巻や突風の発生が最近のいわゆる異常気象と言われるようなものに大いに関係があるのか、また、気象衛星からの情報以外では、今どういった予測の方法、そして対処のようなものがあるのかというのを気象庁さんにちょっと教えていただきたいと思います。

西出政府参考人 竜巻は、直径数十メートルから数百メートルの漏斗状または柱状の空気が高速で回転する渦巻きでありまして、大雨や雷をもたらす発達した積乱雲の下で発生することが知られております。

 一昨日は、九州北部地方に停滞している前線上を低気圧が通過し、南から湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定となり、積乱雲が発達いたしました。これに伴い、福岡県内では、午前六時四十分前後に竜巻が発生したものと考えられます。

 気象庁では、竜巻をもたらす発達した積乱雲の監視に有効な気象ドップラー・レーダーの観測成果やスーパーコンピューターによる解析結果を用いて、竜巻の発生しやすい気象状況を予測しております。

 福岡県では、八月二十一日に発生した竜巻に関しましては、前日になりますが、二十日の十六時五十分に大雨と落雷及び突風に関する福岡県気象情報を発表し、同日二十時四十分には雷注意報、さらに、当日になりますが、二十一日の午前六時六分に竜巻注意情報を発表し、竜巻等の突風への注意を呼びかけました。

 異常気象との関係でございますけれども、これにつきましては、残念ながら関係がわかってございません。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 私も気象のことについては本当に素人なので、ちょっとわかりにくい部分もあるんですけれども、やはりこれも、住民の皆さんからしたら大変注意をしなければならない問題だというふうに思いますので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 それでは次に、激甚災害についての質問をちょっとさせていただきます。

 この制度は、非常によくできた制度ではあるんですが、中身が非常に複雑というかわかりにくい部分もあって、理解が行き届いていないというのが現状なのではないかなというふうに私は思います。

 昭和三十七年に激甚災害指定基準、いわゆる本激というものができたわけでありますけれども、それでは局地的な災害に対応できないということで、昭和四十三年に局地激甚災害指定基準、いわゆる局激というものが設けられたわけであります。

 しかし、この制度は、ある意味二階建ての仕組みになっていて、災害自体が激甚災害に指定されても、被害を受けた地方公共団体が自動的に国庫かさ上げの対象とはならない、ここの理解がなされていない場合があって、被災した地方公共団体は、その災害が激甚災害というふうに指定となったら、被害の状況にかかわらずかさ上げの対象になるんだというふうに思っている部分もあるみたいです。

 また、局激の場合は被害を受けた対象の自治体の判別は非常に容易なんですけれども、本激となると、どの自治体が対象になるのかというのがいまいちわかりにくいのが現状であります。

 そこで、東副大臣にお尋ねをいたします。

 東日本大震災の発災や近年の豪雨被害の増加などによって、この制度の理解を深めていくことが私は重要だなというふうに考えているんですけれども、この所見をお伺いするとともに、地方公共団体への制度の理解を一層深めるための周知というものはどのように行っていくのかということをお尋ねしたいというふうに思います。

東副大臣 山本委員の論点と全く私は問題意識を共有します。激甚制度に関しての市町村への周知徹底というのは最も重要だというふうに思います。

 その上で、激甚災害制度について、国においては、内閣府のホームページへの制度解説の掲載だとか、刊行物「必携 激甚災害制度の手引き」の発行への協力等によって制度の周知に努めてきているところでありますけれども、実際には、市町村においては、各都道府県の支援を受けながら、激甚の把握事務や予算事務など、激甚災害制度の運用に関係する実務を行っているものと認識いたしております。

 議員御指摘の点については、激甚災害制度について、各市町村が具体的にどういう内容や方法による周知を必要とされているのか、あるいはまた、都道府県を通じてニーズを把握した上で、内閣府防災担当として可能な協力を惜しみなく行っていきたいというふうに思っています。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 今の御説明もそうなんですが、しかしながら、現状は、周知を徹底したとしても、災害対応業務については、平時から市町村の担当職員の人員不足というのが実は大きな問題になっていて、これは災害時において対応に重大な支障が生じるという懸念があります。

 総務省の平成二十一年地方公共団体定員管理調査というものによると、防災担当職員について、政令指定都市以外の市町村では平均二・一人、しかしながら、四五%の市町村では統計上はゼロ人というふうになっていて、実際には兼務をされている職員がいるからだというふうに考えられます。さらに、市町村において、過去被災経験を有している職員はそれほど多いとは言えずに、言いかえれば、多くの職員が災害を初めて経験するという状況の中で災害時の対応に当たっているというのが実情なのではないかなというふうに思っております。

 私は、平素から防災に対する知見をしっかりと蓄積して、災害時に迅速に対応できる防災担当職員の養成が急務であるというふうに考えておりますけれども、政府としてこの問題にどのような取り組みを行っているか、ぜひまた東副大臣にお答えをいただきたいと思います。

東副大臣 御指摘のとおり、今回の東日本大震災でも、各地域を回らせていただいたときに、防災だけを担当しているという人はほとんどいない、総務課が担当しているのが大半であります。そういう意味におきまして、全く的を得た御指摘だというふうに思いますが、さはさりながら、災害が発生したときに対応しなければならないのは基本的には市町村の皆さん方でありますから、地方公共団体の職員が迅速かつ的確な災害対応を行っていくためには、当該職員の災害対応能力の向上を図っていくということが極めて重要な課題だというふうに思います。

 これまで、平成十五年五月に中央防災会議、防災に関する人材の育成・活用専門調査会では、その報告にあわせて、国、地方公共団体の防災担当職員が業務を行うに当たって習得しておくべき知識や能力が標準的な研修プログラムとして取りまとめられたところでございます。さらに、内閣府では、平成十九年三月にこの内容を具体化して充実させる形で、今、山本委員が御指摘のとおり、知識編と実践編の二章に分けて、防災に関する標準テキストを作成して公開しているところであります。

 いずれにしても、各市町村においては、これらを活用しながら積極的な人材育成の取り組みを進めていくことが重要であって、国としても、引き続き、防災担当職員の災害対応能力の向上に努めてまいりたいと思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 ほかにも質問を用意していたんですが、時間が来てしまったので、最後に一問だけ市村政務官にお尋ねをしたいんです。

 水害についてなんですけれども、近年のゲリラ豪雨と呼ばれるような局地的な集中豪雨や、さまざまな要因と前線の活発化が重なって起こる大雨というのは、国民の生活に今大きな被害と不安を与えているわけであります。

 私の地元福岡も、近年は各地で大雨被害に悩まされて、私の住む筑豊には、日ごろは地元の人々に愛され、豊かな水をたたえて、私たちの生活を支えてくれている遠賀川という川があるんですが、これはすばらしい川なんですけれども、残念ながら、大雨の被害により、周辺地域は十年間で三回冠水被害に実は遭っているんですね。

 水害対策は、政府を初め関係の省庁の皆様に本当にお心砕きをいただいて進んでおります。地元も本当に感謝しています。しかしながら、水害対策の難しいところは、被害に遭う方がいつも同じになってしまうということですね。つまりは、改善されても同じところがつかってしまうというのが現実であると思います。ですから、私の地元で、十年間で三度、去年とおととしは二年連続で冠水被害に遭っているんですが、被災者の方々にお話を伺うと、本当にその心労というのは想像を絶するものがあるんですね。

 水害対策の取り組みが大分進んだ今、広くバランスをとって行われてきたその対策を、永年の被災状況に合わせて集中的に進めていく取り組みも必要なのではないかと考えますけれども、政務官、ぜひ前向きな答弁をお願いしたいと思います。

市村大臣政務官 詳細は、山本委員が一番御存じですから申し上げません。集中的に投資をするということについては全くそのとおりだと思います。

 これまでも一定の成果を上げていると思いますが、しかし、結果としてはその後も被害が発生しているわけですから、今おっしゃったように、被害に遭われる方の心情を考えれば、しっかりと取り組むのは当然だと思っております。

山本(剛)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わらせていただきます。

吉田委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 おはようございます。自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは質問の時間をいただきましたので、私は、新潟・福島豪雨災害の全般について、特に大臣に御質問させていただこうと思っておりました。冒頭、災害発災から三週間弱で激甚指定をしていただきましたことにまずもって感謝を申し上げながら、それでも問題の残る災害対策等についてお聞かせをいただきたいなと思います。

 本来、七月の二十九日、三十日の豪雨災害でしたから、もっと早く議論をしたいとは思っておりましたけれども、国会の諸般の情勢により今日になってしまいました。災害対策というのは、どんな状況であれ、ほかの審議とは切り離してやろうというのが与野党の合意の点であったと思いますから、委員長には特段お計らいをいただきまして、これから災害対策に、やはり国会議員全員が、いつでもどんな形でも取り組めるような形で御配慮をいただきたい、冒頭お願いをさせていただきたいと思います。

 豪雨災害に入る前に、ここ二、三日の新聞報道で一点気になることがございましたので、防災大臣に考え方を、通告をしておりませんでしたので、もしあったらお聞かせをいただきたいと思います。

 それは、福島原発被害の三キロ圏内でございましょうか、長い間住むことが可能でない可能性があるので、国が借り上げる、あるいは買い上げて、長期間そこには帰れないように、おわびをしてそのことの理解を求めるというような新聞報道を目にいたしました。

 私は、被災者にとって、今日までどんな気持ちで政府の対応を待っていただいていたかということを考えると、余りにも唐突で、余りにも遅過ぎた判断ではなかったか。それは、汚染水の除染がきちんと稼働をして、そして安定冷却する道筋ができたときに、ふるさとに帰ることを可能にする、その希望を政府はきちんと伝えてくれるものだと思って今日までずっと待っていたんだと思うんです。それが、唐突にそのことが可能でないと言われたときに、私は、わずかな希望が絶望に変わったときの絶望の大きさははるかに大きいものだと思うんです。

 防災を担当する大臣として、このことについてお考えがあったら、少しお聞かせをいただきたいと思います。

平野国務大臣 二十キロ圏内、いわゆる警戒区域からいまだにたくさんの方々が避難をされておりまして、避難されている方々がどなたでも口にするのは、早く帰りたいという思いであります。それに向けて政府も、今、まずは冷温停止状態の実現に向けて努力していると同時に、モニタリング等々の調査を実施しております。と同時に、二十キロ圏内の外については除染をするということで、除染の実績を積み重ねながら二十キロ圏内についての将来の除染に備えている、こういうことをやっております。

 今御指摘の点につきましては、帰れないところがあるということについての一部報道がされたということに対する御指摘であったと思いますが、詳細についてのコメントについては、大変申しわけございませんけれども、この場では、今の段階では十分きちっとしたまとめができているわけではございませんので、差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、私は、従来から、空気線量の測定、モニタリングをやりまして、土壌線量の測定をやりまして、専門家等々の意見を聞きまして、この区域が非常に高濃度に汚染されている、除染についても相当の期間を要するんだというような地域があるということであれば、その状況が判明した時点できちんとした情報開示をすべきではないかということは、閣内では重ね重ね主張してまいりました。と同時に、もしそういう情報開示をするときには、その地域に対し、住んでいる方々に対してどういう支援をしなくちゃならないかということもセットで提示するべきだというふうに考えております。

 今、そういう状況に来ておるのかどうかについては政府の中でもまだ議論中でございまして、先ほど言いましたように、具体的なことについての現段階でのコメントはちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思います。

長島(忠)委員 このことは、どこかできちんと議論をしなければいけないことだろうと私は思っていますので、きょうはそれほど深く議論をするつもりはないんです。ただ、少なくとも、あの地域の除染の方法はどうなのか、今実際に汚染をされている状況はどうなのかということだけは隠すことなく開示をした上で、やはり住民の皆さんにも、我々国会に対しても、国民に対しても開示をしていかないと、いつか、希望を持たせておいてどんとだめになったという失望感を広げさせたときには、そのことこそ取り返しのつかないことになるんだろうと私は思うんです。

 その人たちがその間どうやって生活をしていくかを含めて、やはりきちんと早目早目の情報開示、そしてそのことに対する理解を求めていく努力を怠ることのないようにということだけきょうは申し上げて、いずれまたそういったことを議論させていただく機会があるんだろうと思います。

 新潟・福島豪雨災害、私は地元でもありますので、ちょうど二十九日が金曜日でございました。二十九日の日から三十日の早朝にかけての豪雨が大変な被害をもたらしたものでありまして、七年前、三条地域を中心にした水害のとき、私は地元の村長でありましたから、その災害にも遭遇をしました。あのとき、多分百年規模、二百年規模の水害だといった災害が、七年にまた一度、しかもそれ以上の雨量を持ってふるさとに襲いかかってきたということで、私も一週間ほど被災地をずっと細かなところを回らせていただいて、あのときとは違った被害の形状があることも見てまいりました。

 激甚災害、先ほど民主党の委員さんからもそのことの周知徹底というお話がありました。実は、災害救助法等激甚災害を指定されながら、そのことがどういった形で市町村にとって使えるのかというところの、やはり市町村職員がなかなか把握をできていないところがあるんだと思うんですね。

 例えば、応急復旧です。そのままに放置をしたら河川がますます危険を増すことになるので、やむを得ず市町村が重機を借り上げてやらなければいけないところに対する費用負担はどうするのか。

 田んぼがちょうど穂を出す時期でありましたので、水がどうしても必要だと。ほとんどの用水がやられてしまったので、やはりその用水を、査定を待っていられないので、用水だけは確保をして水をかけなければ、せっかく助かった稲も作物も救えないということで、やったことに対する費用はどうやって負担をしていただけるのかということについて、なかなか周知徹底が図られていないような気がするんです。

 その辺はどういうふうに考えておられるか。大臣でなかったら、これは総務省なのかな。どちらでも結構ですから、市町村に対する。

平野国務大臣 泥につかった稲等々について、早く水をやることで助かる、助かるというか被害が軽減される、そういうときに、災害査定も終わっていない前にさまざまな事業をやったときの費用負担がどうなるか、そういう御質問だったでしょうか。

 それは、基本的には、これはもう委員も御承知のとおり、査定前着工制度というのが認められております。とにかく、そうすることが被害の軽減につながるんだ、緊急性があるんだということについては、最終的に被害額を査定して国から補助金を出す場合には、そこまでさかのぼって当然やるべきものだというふうに私は理解しております。

長島(忠)委員 そこで、確認です。

 市町村職員も一生懸命やって、どこかから出てくるということは実はわかっていると思うんです。それは、補助金という形で出るのか、例えば交付税という形で出てくるのか、特別交付税なりで配分をしてもらえるのかというところが、多分、市町村職員の中で把握をしていない人がいるんだと思うんですが、考え方はどうですか。

平野国務大臣 それは、形態によってちょっと違ってくるのかなというふうに思います。例えば、先ほど言いましたように、応急ポンプ等々の問題については、ちょっと私は今にわかにこうだという返事はできませんが、どちらの形態もあり得るのかなと。

 ただ、基本的には、施設を使う、それから施設を整備する、こういったものについては、補助金、いわゆる災害復旧事業として手当てすべきものだというふうに私は考えます。(長島(忠)委員「補助金ということですか」と呼ぶ)補助金という形ですね。

長島(忠)委員 そこで、補助金というのはきちんと申請をしていただくという役割があるわけですから、ここは、市町村によって、やはり少し使い勝手のいい形で、軽いところの災害対策を緊急的にやる必要があるんだと思うんですよ。

 そのときに、特別交付税なりできちんと積み上げたものを後で把握して担保してあげるということは、市町村にとってとても力強い味方だと思うんですよ。そのことを市町村にきちんと、災害応急復旧等について早急にやれ、そのことについては、もし補助金で漏らしたものについては、特別交付税できちんと後で担保するからということをメッセージとして市町村に発信してあげることができれば、市町村も機動力を持ってかなり早急にやってくれると思うんです。そういう基本的な考え方はいかがでしょうか。

平野国務大臣 大変重要な指摘だと思います。きっちり検討をしたいというふうに思います。

 特に、災害直後における初動態勢というのは非常に大事でありまして、やれることはやっていただく、そのやっていただくことに対して、特に財政力の弱い市町村については、後で財政問題が生じないというような形を用意しておくことは非常に大事だというふうに思います。

 いずれ、今の指摘を踏まえまして、きちっと検討したいというふうに思います。

長島(忠)委員 では、期待をしておりますが、総務省、それでいいですね。

逢坂大臣政務官 ただいまの件、今回の被災地においても多額の自治体の財政支出が出るということで、私もかつて首長をしていた者として非常に憂慮をしているところでございます。

 その際に、災害ですから、各省が所管するいわゆる補助の仕組みの中でやっていくということが第一だというふうには思いますが、それだけでは当然、自治体の財源に不足が生じます。

 そこで今回、総務省では、まず普通交付税の前倒し交付を行いました。具体的に言いますと、九月に定例交付すべき普通交付税の一部、三割を八月十六日に繰り上げ交付をしてございます。さらに具体的に言いますと、福島県内九市町村と新潟県内十五の二十四団体に対しまして、百五十三億一千九百万円を繰り上げ交付して、少しでも被災地の資金需要が円滑にいくようにという対応をしてございます。

 それから、今後につきましても、それぞれの自治体の実情をよく聞きまして、地方交付税あるいは地方債による財源手当てを適切に行ってまいりたい、そのように考えております。

長島(忠)委員 誤りなく、自治体にメッセージとして、災害から、自治体が先頭に立つことに対しては総務省がきちんと資金担保をするというメッセージだけはお伝えをいただければありがたいなと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 聞きたいことはいろいろあるんですが、きょう、実は国交省から来てもらっています。

 何を聞きたかったかというと、三条の被災地を大臣も御視察いただいて、七年前に被災に遭ったところ、災害対策復旧事業で災害復旧していただいたところは、今回の七年前の雨量を増す雨量でも何とか持ちこたえることができました。実は、そのときに改良事業ができなかった上流部分のほとんどが破堤をしたり溢水をしたりして、災害が広がっております。私の地元である湯沢から長岡までずっと回ってみると、ダムがまだ余力があったり待ち受けが残っていたりするところについては、実は被害を結構最小限にとどめています。ところが、待ち受けが土砂でいっぱいになってしまったり、河川改修が少し済まない区間について、破堤をしたり溢水をしています。

 私は、今回の被災を受けるまでもなく、全国、豪雨災害、百年に一度、二百年に一度を想定した災害が一年、二年のサイクルで起こり得るんだという想定の中で、やはり国交省は、インフラに対する考え方を、基本的に安全、安心のためのインフラ整備ということに考えを変えていくべきだと思うんです。そのために真に必要な公共事業は、たとえコンクリートから人と言っている政党であろうと、やはりそのことは優先をしてやっていくということにメッセージを変えるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

市村大臣政務官 今、委員御指摘のとおり、安心、安全のためのインフラというのは全くそのとおりであると思いますし、今の私どもの大畠大臣も、命を守るのが国土交通省の役目であるということで申しております。

 ですので、今の委員御指摘のとおりの思いで今後とも取り組んでいくべきだと思いますし、また、コンクリートから人へというのが象徴的に言われていますが、決して、コンクリートを全く否定するものではないということもあわせて申し上げたいと存じます。

長島(忠)委員 一つ例を申し上げると、私の地元の近くに広神ダムという、ことしの春完成をしたダムがあります。そこは供用を開始して間もなくでしたので、水の状態も土砂の状態もまだ満水になる状況ではなかったので、今回の災害で、その下流域においては被害を非常に最小限にとどめることができました。

 しかし、水力発電所を抱えるほとんどのダムが満水状態の中でこの豪雨を受けたものですから、出る量の二倍ぐらいの水量が毎秒入ってしまったということで、ダムとして持ちこたえることができず、やむを得ず放水をするということで、重要な河川がほぼ満水状態になる。そこに注ごうとする支流がほとんどそこに入れないで逆流状態になってしまったというのが、今回の水害を考えたときには、やはり被害の大きな原因になっていると思うんですね。

 そこで、ひとつ現状を見ていただきたいと思うんですが、大規模河川の河床がほとんど上がってしまって、木が茂ってしまったり、泥が堆積をしたままになっているところがあるんですが、そこの根本的な対策を示さないと、全国の河川はますます断面積が少なくなって、こういった災害に耐え切れないと思うんですが、国土交通省、そのことを、将来を考えてどんなふうに考えていらっしゃるか、お聞かせをいただければと思います。

市村大臣政務官 恐らく、今おっしゃっておられたのは、阿賀野川水系の只見川の利水ダムの操作等に関することだと思います。これだけじゃなくて、多分、先生が御指摘なのはもっと一般的な話だと思いますが、ただ、今回のことに関しまして、現在、記録について順次提出を受けているところでございまして、引き続き確認をしっかりしてまいりたいと思っておりますし、また、今御指摘の、やはりしっかりとした対策をとるべきだということについては、全くそのとおりだと思います。

長島(忠)委員 災害復旧をやりながら、検証をしながら、安全、安心に日本の国土を守っていただくという観点で頑張っていただきたいなと思います。

 一つだけ。私のすぐ近くなんですが、いつも雨が降ると、こんなに豪雨じゃなくてもあふれてしまって、地元の人たちが土のう積みをする河川があるんです。小千谷市に茶郷川という川があるんですが、そこは、大規模河川に注ぎ込むところがどうしても湾曲をしたりすることで溢水をしてしまって、住家に水が押し寄せるということで、そこでいつも住民が土のう積みをするんですよ。ところが、今回は、思った以上に短時間で雨が降ったために、押し寄せる豪雨の量が多分その人たちの想定を超えていたんだと思うんですが、残念ながら、一人濁流に巻き込まれて命をなくしてしまいました。

 だから、そういった、国河川ではないけれども、県管理の河川が国管理の河川に注ぎ込むところ、例えばポンプで揚げるところもありますし、そこはもう一回、今回の被災地、県と協議をしながら、内水被害が広がらないように、やはりお互いに調整をした災害復旧なり改良事業を進めていっていただきたいと私は思うんですが、その辺の考え方はいかがでしょうか。

市村大臣政務官 茶郷川の件、今お聞きしまして、お一人が犠牲になられたということで、大変痛ましく思います。

 今御指摘のことでございますが、しっかりと対策をとるようにということで、また引き続き国交省の方で議論してまいりたいと思います。

長島(忠)委員 国土交通省の皆さん、出先の皆さんが、今回の水害に関しては、それこそ先頭に立って御活躍をいただいたということを私は評価しております。ですから、これからもぜひ、国土交通省、国土を守る観点から、地域を守るために、全国の出先の職員に激励をして、やっていただきたいということを申し添えさせていただきたいと思います。

 農地のことについて少しお聞かせをいただきたいと思います。

 今回、水田である新潟県の農地、かなり被災をいたしました。農家が今一番心配をしているのは、もう起きてしまった災害、このことは受けとめざるを得ない。残った作物についてやはり守っていこうということで立ち上がりながら、今、残った作物の収穫をして、その次に一番心配なのは、来年の作付に間に合うように災害復旧事業をしていただけるのかどうかというのが、一番心配しているところなんです。

 農水省、この件について、特段知恵とかアイデアとかありますでしょうか。

篠原副大臣 先ほど、平野復興担当大臣からお答えしたことに尽きると思いますけれども、査定前着工というのがございます。

 長島委員の御指摘のとおり、早くやらないことには間に合いませんので、起きてしまったことはしようがない、来年に向けてということで、農家の皆さんももうスタートを切っているわけですから、その意向に沿って復旧作業をしていくべきじゃないかと思っておりますので、我々は、東日本大震災のときもそうしているわけでございますけれども、査定前着工というのを全面的に取り入れて、趣旨に沿うような形で事業を進めてまいりたいと思っております。

長島(忠)委員 査定前着工をしていただけるということで、現地にとってはとてもありがたいことだと思うんですが、市町村には、査定前着工でいいということは、もう農水省の方針としてお伝えをいただいているということで理解をしてよろしゅうございますか。

篠原副大臣 現に伝えてありまして、東北農政局管内では八月十日から、それから北陸農政局管内では七月二十九日から順次着手しております。

 東北農政局管内では、揚水機場七カ所、集落排水施設一カ所で八カ所、それから北陸農政局関係では、農地関係が二カ所、それから水路関係が五十二カ所、農道関係が九カ所といったぐあいで、北陸農政局管内、新潟が中心ですけれども、八十五カ所、計九十三カ所、もう査定前着工をしております。

長島(忠)委員 多分、状況がわかってくると、刈り入れが済んだ段階で災害復旧に入りたいと多分言ってくるんだと思うんですね。そのときにまた追加で、漏れのないように対応していただきたいのと、一つだけ、新潟県は雪国なものですから、工事期間が限定をされてしまうんですね。多分、十二月中旬までに災害復旧を終わらせておかないと、雪の下につかってしまって来春四月までは工事ができないという現況がありますので、そこのところだけはお受けとめいただいて、十二月中旬までには、事前着工を踏まえて、やはり来年作付けができるような状況にぜひしていただきたいと思うんですが、そのことについて。

篠原副大臣 私の選挙区も長野の一番北の端でございまして、悩みというか事情は同じでございますので、よく承知しております。きちんとそういう形で、十二月前、雪が降る前に事業が終わるような形で進めたいと思っております。

長島(忠)委員 力強いお答えだというふうに受けとめますから、ぜひ、被災市町村や農家の皆さんが一日も早く立ち上がれるように支援をしていただきたいと思います。

 欲張っていっぱい質問したものですから、最後までたどり着けるかどうかちょっとわからないんですが、いつも水害が起きると、被災者生活再建支援法について議論になることが実はございます。

 被災者生活再建支援法そのものが、住宅の被害認定によって再建支援金のランクを決めていくという性格があるものですから、水害については、どうしてもやはり建物が残ってしまう。残ってしまうという言い方は非常に失礼なんですが、残る。水によって床下に土砂が重積をしたり腐敗物が堆積をしたりという、またさらに使えるようにするにはお金と時間がかかるわけですけれども、災害認定についてはちょっと厳しいところがある。ここのところを考えたらどうかというふうにいつも議論をするんですが、そこのところは、柱の傾きとか土台の傾きというところからなかなか脱却できないで今日まで来ているんです。

 実は、東北の津波のときも、早く査定ができるようにということで厚生労働省に少しお考えいただいたようですけれども、今回の水害についても、天井付近まで水没をしたところ、床上一メートルまで水没をしたところ、そして床上まで水没をしたところ、床下まで入ったところといろいろタイプがあるんですが、その辺の被災者生活再建支援法の運用について、今回の災害について少し拡大というか、被災者が要望しているような状況で運用をしてあげることは考えていますでしょうか、どうでしょうか。

平野国務大臣 住宅の被害認定基準についてのお尋ねでございましたけれども、平成十六年の新潟・福島豪雨災害を受けまして、住宅被害の認定に係る被災者生活再建支援法の弾力的な運用を図るべきという御指摘をいただいております。ちょっと時間がかかりましたけれども、これを踏まえまして、浸水等による住宅の被害認定の運用指針を見直しました。平成二十一年六月に改定をいたしまして、今、これに基づいて認定をしているということです。

 どういうところが変わったかということでございますけれども、水害に関しましては、例えば床下へ堆積した汚泥除去のための床板の取り外し、それから浸水した壁内部の部材取り外しに伴う他の部材の取り外し、こういった点についてもきめ細かく損害として考える、あるいは二階建て住宅の中で一階が果たしている機能の重要性が非常にありますので、その点を考慮しまして、一階の損害を割り増しして算定する、そういったことで、水害に対応した見直しをやっているというところでございます。

 なお、被災者生活再建支援法の対象とならない住宅の半壊被害を受けた被災者に対しても、災害救助法に基づく応急修理、災害復興住宅融資制度による貸し付け、それから税の減免等々を行っているということについては御承知のとおりでございます。

長島(忠)委員 私は、今回、水害の被災地を回ってみました。地震や津波は確かに建物が壊れてしまったり、津波なんかは住宅がそっくりなくなってしまう。水害の被災地を回ると、浸水をしたところと浸水をしないところが本当に混在をしているんですよ。

 だから、災害が平等ではないのはだれもわかっているんですが、余りにも平等でない地域が混在をしているために、やはり被災をした人たちが、お金の負担だけではなくて、精神的な負担も非常に重いものに実はなっているんですよ。そこを少し運用上手厚くしてあげたら、災害からまた立ち上がって地域コミュニティーを守っていくというところにやはりつながっていくんだと思うんですよ。

 その上でも、やはり少し拡大をして、津波の被害を受けられたと同じような、生活再建支援金を少し払いやすくするように見詰め直してほしいなと。具体的には、例えば床上一メートル浸水をしたら、住宅被害でいったら半壊だとか、天井までいったら大規模損壊だとかという基準で査定をしてあげると本当はありがたいんだろうと思うのですが、そんな形での運用は今回の災害では考えていますか。どんなものでしょうか。

平野国務大臣 先ほど申しましたように、二十一年六月に改定をしたということでございますので、まず、今の考え方に基づきまして、被災者生活支援法に基づく支援をやっていきたいというふうに考えております。

長島(忠)委員 水害の被災地が被災者生活再建支援法から少し遠いところにある、厳しい法律であるということをそれぞれがわかっていて、途中で、そんなに難しいんだったらみたいなことを言っている人もいます。

 せっかくある制度で国民を救うのはやはり我々の役目であると思いますので、ぜひまた市町村に、少しでも支援金を受け取れるように少し徹底をし、周知をしていただきたいなというふうに思います。

 それと、今回の災害は、津波もそうでしたけれども、車が非常に被害を受けているんですよ。

 うちの方はほとんどの住宅が豪雪のために高床住宅で、高床のいわゆる基礎部分である床部分に車をとめていたために、浸水してほとんど車が被災して、今の車はコンピューター制御なものですから水につかると使えなくなるということで、東京の乗用車と違って、我々の方は生活必需品なんですね。次の日から仕事にも行けない、田んぼにも行けないという状況が実は生まれています。

 そこのところを何とかしてくれというふうに言われているんですが、なかなかそこまで今の法律では救える条項はないんだよ、自動車保険ではというような説明はしているんです。将来的には、そういった足に関することもやはり考えてあげなきゃいけないときが来るのかなという気がしてならないのですが、その辺は少し聞いておいてください。

 私のところに、JR只見線という鉄道が走っております。今回、被災を受けて、線路がぶら下がりました。この災害復旧が一日も早くという地元の要望でもあります。観光道路であり生活道路であり、かけがえのないところなものですから、そんなふうになって、道路が使えない、車が使えない、そして電車も使えない状況が続くと、ますますそこで生活をすることを、せっかくすばらしいふるさとがありながら、住めないという感覚を持つ人があると思いますので、JRの災害復旧に対しても国としてきちんと支援をして、早急にやれるようにしていただきたいと思うのです。

 もうやっていらっしゃると思うのですが、そこのところを確認させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

市村大臣政務官 今般の豪雨によりまして、JR東日本、北越急行、二事業者におきまして、橋梁の流失、盛り土の流出、変電所冠水などの施設の被害が生じまして、これらの被害及び雨量規制によりまして、合計十路線で列車の運休を生じたところでございます。これらのうち七路線につきましては、全線運転再開をしております。

 三路線の不通区間におきましては、大規模な橋梁の流失や盛り土の流出など大きな被害を受けておりまして、現時点におきまして復旧の見通しが立っていない状況でありますが、現在、JR東日本におきまして、詳細な被害状況調査や復旧方策の検討を鋭意進めているところでございます。

 ここにつきまして国がどう関与していくのかということでございますが、まずは、JR東日本におかれまして、先ほど申し上げましたように、しっかりと詳細な被害状況調査をしていただくということが大切かと思っております。

長島(忠)委員 これは、どこかでまた議論をさせていただきたいと思うんです。

 というのは、東北でも三陸鉄道とかいろいろな問題があります。やはり、足、公共交通が守れないということは、その地域にとって大きな障害になります。だから、災害があったときに、できるだけ早くそこのところを整備、復旧できる体制というのが私は望ましいんだと思う。

 確かに、JRさんの事業ではあるかもわからぬけれども、国は、国民の公共の足を守るという責務の観点から、そこのところをやはりきちんと支援ができたり促すことができるようにしていただく。これは、いつかまたいろいろな意味で議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。

 今回、経済産業省さんから何で来ていただいているかというと、水力発電所のほとんどが被災をしてしまったんですよ。今、御承知のように電力不足で、水力発電所が使えないということはやはり非常に大きな問題だと思うんです。

 二つ質問があります。この災害復旧について、民間施設等とはいいながら、やはり経済産業省として、電力を確保する意味からも、きちんと支援をして早急な災害復旧にどうお努めをいただけるのかということ。それともう一つ、東北の被災地と同じように、やはり今回の被災地も災害復旧には非常に電力を必要とします。だから、節電対象地域からこの地域を外していただきたいというふうに思うので、その二点、お答えをいただきたいと思います。

池田副大臣 お答えをいたします。

 今回、水力発電所が大変被害を受けた。水量が多いほどいいというのは普通の我々の見方でありますが、今回は、あの地域ではほとんどがダウンをしている。東北電力と電源開発を合わせて三十四の水力発電所、百五十三万キロワットが被害を受けて発電を停止している。その後、一部、七発電所は復旧をいたしました。

 現在、この問題につきましては、けさも事務方に対して、安定的なエネルギー源というふうに見られておりますので、しっかりと対策を講じるように申したところでございます。

 それから、電力の制限につきましては、これは今お話がございましたので、残念ながらここで私の方から明確に申し上げることはできませんが、検討をさせていただきたいと思います。

長島(忠)委員 大臣に少しお聞かせをいただきたいと思うんですが、東北地方をどうやって復旧させるか。やはり、究極の目標ですね。大臣はどういうふうにお考えになっているかわかりませんが、私は、災害復旧の最終的な目標は、被災者に自立をしていただくことだと思っています。つまり、国民の一人として、きちんと働く場所があって、働く中から税金として国家に参加をできる、そういった自立をしていただくことが災害復旧の目的だと私は思っています。

 その意味から、今回の災害、冒頭少し原子力のことで言いましたけれども、参加をさせるために目標を示していないような気がするんです。だから、私らが聞いている範囲では、お盆になったら仮設住宅に入りましょう、そして、いつになったらみんなで戻れるようにしましょうというメッセージが少し我々には聞こえてこないような気がするんです。

 私は、被災者が一番望むのは、自分たちがスコップ一丁持ってでも被災地に立つんだ、だからみんなで応援をしてくれ、そしてそのことに対して国は先頭に立ってくれということだと思うんです。だから、そのことをやはり大臣として、どういうふうに被災者に、今の時点でメッセージを伝えられるとしたらどういう言葉で伝えられるか、少しお聞かせをいただきたいと思います。

平野国務大臣 災害復旧復興の究極の目的については、被災者の自立を促す、そのための支援をしっかりする、そういう御趣旨であったと思いますが、全く同感でございます。

 地震、津波ということに言及してもよろしいんでしょうか。

 まず、地震、津波地域につきましては、今、市町村は復興計画を練っております。その復興計画を練る段階で被災者との意見交換も始めております。そういう中で、全体の町の復興のビジョンが示されると同時にスケジュール感が出てくると思います。

 あわせて、私どもが非常に留意しなくちゃならないのは、その過程の中で、就職の場、働く場をどのように確保するか。これにつきましては、今政府の方では中小企業庁あるいは農林水産省を初めとしていろいろ検討していただいておりますけれども、この方面での支えも大事だというふうに思っています。

 原発でございますけれども、おっしゃるように、スケジュールがなかなか立てにくいという状況に今あります。特に、二十キロ圏内についてはそうであります。これは何回も申し上げてきたとおり、まずは冷温停止状態を実現する。その一方で、モニタリング等々をやりながら地域の汚染状況を把握して除染作業に備える、やれるところは着手するということなんですが、そういったことを踏まえまして、私は、早期に計画を立てましてそれを示すということが大事だというふうに思っています。

 その前提として、除染計画みたいなものはできるだけ示していく。そして、除染計画をつくる段階で、先ほど申しましたように、非常に高濃度なところについては、こういう地域があるよ、これについてはこれぐらいの期間がかかる、それに対応するために被災者の方々にはこういう生活をしていただく、そういったものをパッケージとして出しながら、しかし出す段階で、一方的に出すのではなくて、できるだけ被災者の方との、あるいは被災自治体とのコミュニケーションを図りながらやっていくことが大事だというふうに考えております。

長島(忠)委員 間もなく時間がなくなります。

 私は、今、被災者の皆さんが、いわゆる東日本大震災、津波、原子力、そして今回の豪雨災害、先ほど質問にあった新燃、それぞれの被災者に対して、あえて先頭に立つ、やはり被災者が、自分たちが自分たちで立ち上がる、スコップ一丁持つんだ、くわ一丁持つんだ、だからみんなで支援をしていこう、やはり言いにくいことも政府としては言わなければいけない時期もあるんだと思うんです。そのときに、みんなが立ち上がるんだったら、絶対にそのことは守ってあげるよというメッセージもやはり必要だと私は思うんです。

 だから、被災者が全部国や県の世話になるのではなくて、自分たちのできるところは自分たちでやれる、やはり人間としての尊厳や誇りを持った中で被災地に向き合えるような災害復旧の姿であってほしい、私はそう思いますので、ぜひこれからもよろしくお願いをしたいと思います。何か内閣がかわるかもわからないんですが、大臣だけは残っていただいて、継続的に災害対応に当たっていただけるものだと信じております。

 もう一点だけ。聞きっ放しで結構です。

 地方の中小企業が今回水害で被災をして、そこには支援の方法がないということで、せめて金融支援だけでもお願いをしたいということでお願いをしておりましたので、ぜひそのことだけはお聞き届けをいただきたいと思います。

 ぜひ、国、県そして市町村一体となって、連携を密にして、被災者を一日も早く救い出していただきたいということを最後にお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 まず、大臣にお伺いをいたしたいと思います。大臣の所信も先日お聞きをいたしまして、それ以後、質問する機会がなかったと思いますので。

 特に、この中で一点だけお伺いをいたしたいと思いますが、大臣は所信の中で、地震、津波対策について、今回の大震災から得られた教訓を踏まえ、こういうことで、これから対策の見直しをすると。その中で私が着目したのは、防災基本計画の見直しを進める、そして今後の発生が懸念される東海・東南海・南海地震の三連動地震などの大規模地震対策に取り組んでいく、こういうことをおっしゃっております。

 私は、この三連動地震という考え方は非常に大事な考え方だというふうに思っておりますが、大臣がここに書かれた御決意と、今のところ、東海・東南海・南海地震はそれぞれ別個に起きるという前提だろうと思いますが、まだ三連動ということが正式に政府の方でオーソライズされておらないように私は記憶しております。そういうことを踏まえてもなお三連動地震ということを大臣がおっしゃっているというのは、相当な危機感がおありだというふうには思いますけれども、これは、正式に政府の発言として、三連動ということをもう考えている、こういうことでよろしいのか。そのあたりも含めまして、御答弁をお願いいたしたいと思います。

    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕

平野国務大臣 今回の東日本大震災の教訓を次に生かすということは、これは本当に重要なことでございまして、かねてから申し上げているとおり、今、中央防災会議の専門委員会を中心にさまざまな議論をしていただいております。

 その議論を踏まえまして、防災基本計画の見直しを速やかに行うほか、発生すれば、今回の大震災と同様に広範囲で甚大な被害が懸念される東海・東南海・南海地震について、さらなる最新の知見をも踏まえた具体の対策の検討を総力を挙げて進めてまいる、そういうつもりでございます。

 今、三連動についてのお尋ねがございましたけれども、三連動地震についても検討の対象に入っているということでございます。

石田(祝)委員 正式には、来年の中央防災会議でお認めをいただいて、三連動の対策ということが正式に動き出すだろうと思います。

 私の地元の高知県も、当然、南海地震ということを想定しておりましたけれども、やはりこれは、東海、東南海、南海、さらに日向灘と、この三つないし四つ、そういう地震が連動するのではないか、こういう前提で、関係各九県、そういうところが、知事さんも大変な危機感を持って今動き出している。

 ですから、これは、先ほど申し上げましたように、中央防災会議で正式に決定されるだろうと思いますけれども、私たちは、三連動だという前提でしっかりと取り組みをしてまいらなきゃならない、このように思っておりますので、大臣の問題意識、御決意はそのとおりだ、私はこのように思っております。

 それで、東日本大震災についてお伺いをしたいと思います。

 東日本大震災につきましては、復興特で質問も何度かさせていただいておりますが、きょうはせっかくですから、お伺いいたしたいと思います。

 まず、基礎支援金、義援金、災害弔慰金、こういうものが、当初、大変おくれている、被災者のもとに届いていない、また、特に義援金については、せっかくその思いで全国各地から浄財を出していただいたんだけれども、被災者の手元に行っていないのでは何にもならない、こういうお声もあったようですが、現在、一番新しい状況で、これらのお金の請求とか支払い、どれぐらい手元に行っているのか、このことをまずお聞きいたします。

阿久津大臣政務官 それでは、私の方から、東日本大震災に係る被災者生活再建支援金の支給体制についてお答えをさせていただきたいと思います。

 内閣府からの要請に基づきまして、財団法人都道府県会館において、事務処理要員を七月末に約百人に増員するなどの改善措置を実施させていただきました。

 この結果、八月二十二日までに財団法人都道府県会館に約十五万一千件の申請がなされまして、このうち十四万四千件の約千二百八十億円について振り込み手続を終えたところであり、申請件数と支給件数の乖離は解消するに至ったものと考えております。

岡本大臣政務官 今御質問いただきました、まず災害弔慰金の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 八月十一日現在の支給状況につきましては、支給済み件数は五千七百二十八件、約百七十五億円が被災者のお手元に渡っております。被災三県におきましては、岩手県において四百七十五件、十五億四千万円、宮城県において四千六百五十件、約百四十一億九千万円、福島県において五百二件、約十四億円がお手元に渡っているところであります。

 また、七月二十九日に兄弟姉妹を支給対象に加える法改正がされた際、本来、災害弔慰金は、市町村が条例で定めるところによって支給するものとなっておりますが、市町村の条例改正を待たずして災害弔慰金が支給できる旨の通知を発出したところでございます。

 続いて、義援金についてであります。

 義援金につきましては、八月二十二日現在、日本赤十字社等に寄せられましたお金は三千百七十三億円となっております。現時点で、それぞれの都道県、被災のあった地域にお配りをしておりますが、被災都道県への送金額は二千八百六十二億円、総額の約九〇%となっています。このうち、市町村への送金額は二千三百七十四億円、総額の七五%、そして市町村から被災者のお手元に千六百二十八億円、総額の五一%が配付済みであります。

 宮城県では、今なお住宅被害の件数が万単位でふえる可能性もあり、これらへの備えを除き、日本赤十字社等は毎月被災都道県に送金をしております。

 また、被災者への配付は進んできておりまして、四月に定められた一次分は、市町村への送金額の八百八十二億円のうち八四%、七百四十三億円、相当額が被災者のお手元に届いておりますし、六月に方針が定められました第二次分につきましては、おおむね第一次分の対象者と同じであって、新たな罹災証明や振り込み口座の確認などが不要である場合が多く、第一次分より速いスピードで配付されておりまして、市町村への送金額の五九%の八百八十四億円が被災者のお手元に届いていることとなっております。

 こういった中、第二次分の配付の件数を第一次分配付件数に対した割合で見ますと、第二次分で世帯単位から個人単位へと配付方法を変更した市町村が多いなどの事情がある福島県を除きますと、八四%となっておりまして、この二カ月で相当進んだというふうに理解をしております。

 これからも鋭意、しっかりと被災者の皆様のお手元に届くように努力をしていきたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 次に、これは措置をされているかもしれませんが、私が現地でお伺いをした意見の中で、いわゆる被災者生活再建支援法の住居被害で流失というカテゴリーをつくってほしい、こういうお話がありました。

 今回特に、今までとは違って、津波で家が押し流されてしまった、こういうことがあるわけですね。今まで、地震だとか降雨による水害の場合は、お家はやられますけれども、大体そこの地域、土地に残っているわけですね。今回の場合、私も宮城県等あちらこちらお邪魔をさせていただきましたけれども、家がそのまま流されて、そのままの形で別のところにお家がある、こういう場合もございます。

 率直な思いとして、流失というカテゴリーがないのか、こういうお話でございましたけれども、これについては、今回の状況を考えてそういうお考えが出てくるのかどうか、お聞きしたいと思います。

阿久津大臣政務官 被災者生活再建支援金については、従来より、住家の主要な構成要素に係る経済的被害の住家全体に占める損害の割合が、五〇%以上である場合などに全壊、四〇%以上である場合などに大規模半壊と認定し、その支給対象としているところであります。

 一般に、住家が流失したと認められる場合には当然全壊と認定されるものと考えられていることから、現時点では、住家が流失した世帯を新たなカテゴリーとして支給対象に加える必要はないのではないかと考えております。

石田(祝)委員 昨日、質問通告したときに、確かにお金の面では、流失すれば、これはもうお家がなくなっているわけですから全壊ということでしょうが、今回被害を受けられた方の思いは、自分たちの受けた被害というものが、大規模で壊れているとか全壊だとか、お家の形がなくなっているけれどもそのままそこに壊れたままであるよ、我が家としては壊れているけれどももとのところにあるということじゃなくて、流されてしまった、そういう被害というものを認めてほしいと。

 だから、お金の面じゃないと思うんですね。お金は確かに、基礎支援金、加算金含めて前回と同じだと思いますけれども、今回の災害の特徴として、ほとんど流されちゃった、そういうところで、被害は被害として、そういう被害に今回自分たちが遭ったんだという思いじゃないかなと思います。

 ですから、災害は、それぞれ一回一回、私は被害の状況も違うと思いますけれども、今回、お家が流されてしまった、全くなくなっちゃった、こういう方の思いがどうも、自分たちが流失という被害に遭った、その被害をちゃんと認めていただくような分類がないじゃないか、こういうお気持ちではないかと思います。

 きょうはそれ以上申し上げませんけれども、お金の問題ではないという、被害を受けられた人の心情、自分たちの被害はこうだったんだということがどうも、流失という範疇というんですか、カテゴリーがないということは、何となく自分たちの被害がただの全壊という言葉の中でくくられてしまっている、そういう思いではなかったかと思います。

 なお、これはお金の問題じゃないという前提で、また時間を他日いただいてもうちょっと詳しくやらせていただきたいと思います。

 それでは、新潟・福島豪雨、また台風六号についてお伺いをいたしたいと思います。

 この災害対策特別委員会でもうちょっと早く質問をさせていただければ臨場感のある質問もできたんですが、ちょっと落ちついた段階になってしまいましたので、最新の被害状況、これをそれぞれ簡単に御説明をお願いしたいと思います。

阿久津大臣政務官 それでは、簡潔に申し上げます。

 新潟県及び福島県では、七月二十八日から断続的に、一時間に八十ミリを超える猛烈な雨が降り、平成十六年七月新潟・福島豪雨を上回る記録的な大雨となりました。

 この豪雨により、現在までに把握しているところでは、死者四名、行方不明者二名、負傷者十三名、住家被害九千百八十七棟、非住家被害四千八百二十四棟のほか、土砂災害、河川のはんらん、道路の通行どめ、鉄道の運転休止、農林水産関係の被害などが生じているものと認識しております。

篠原副大臣 それでは、農林水産関係の被害についてお答えさせていただきます。

 まず、新潟・福島豪雨でございますけれども、農業関係では、冠水、浸水等で約一万六千ヘクタール、それから、農地、農業用施設の損壊で約一万カ所、林野関係では山崩れや林道施設等の被害で二千五百カ所、水産関係では養殖施設等の被害で約七百カ所の被害で、現在までの判明分、金額で約四百億円でございます。

 それから、台風六号の方は、農業関係では、水稲の倒伏、果樹の落果等で約一万七千ヘクタールの被害を受けております。それから、農地、農業用施設の損壊等で六百カ所、林野関係では山崩れ等が約一千二百カ所、水産関係では漁港、漁港海岸や養殖施設の被害が約百四十カ所で、現在までの判明分で約百八十八億円の被害となっております。

市村大臣政務官 では、私の方からは、河川、道路及び鉄道につきましての被害状況についてお答えさせていただきます。

 まず、河川につきましては、八月二十二日現在で、国管理の二水系八河川におきまして、堤防のり崩れや河岸の一部流失等百カ所の損傷を確認し、県管理区間におきましては、破堤箇所十カ所を初めとして二千百五十六カ所の被害が報告されております。これらのうち必要な箇所につきましては、すべて応急対応を実施しております。

 道路につきましては、八月二十二日現在で、高速道路及び直轄国道は通行どめ区間はなく、県管理国道は十二区間、県道等では七十一区間で被災により通行どめとなっているところでございます。

 国交省としましては、国で管理する施設の復旧に全力を挙げるとともに、被災した地方自治体を支援するために、緊急災害対策派遣隊、TEC―FORCEを速やかに現地に派遣し、排水ポンプ車による湛水排除や、早期の災害復旧に向けました被害状況調査を実施したところでございます。

 また、鉄道におきましては、今般の豪雨によりまして、JR東日本、北越急行の二事業者におきまして橋梁の流失、盛り土の流出、変電所冠水などの施設の被害が生じました。これらの被害及び雨量規制によりまして、合計十路線で列車の運休を生じたところでございます。

 これらのうち七路線におきまして既に全線運転再開をしておりますが、一方、磐越西線の馬下駅―津川駅間、只見線の大白川駅―会津宮下駅間、飯山線の十日町駅―森宮野原駅間の三路線の一部区間につきましては、現在なお不通となっております。

 これら三路線の不通区間につきまして、大規模な橋梁の流失や盛り土の流出など大きな被害を受けておりまして、現時点におきまして復旧の見通しが立っていない状況でございますが、現在、JR東日本におきまして、詳細な被害状況調査や復旧方策の検討を鋭意進めておるところでございます。

    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕

石田(祝)委員 両方一緒にお聞きしましたが、新潟・福島豪雨についてお聞きをしますと、これにつきましては早期の激甚災害の指定がなされました。非常にこれは大きな被害だったということだろうと思います。

 特にJRにつきまして、今、市村政務官からもお答えがございましたが、まだ三路線で復旧していない。復旧していないことはよくわかりましたが、いつごろをめどにこれが復旧をするのか。JR東日本がやっているからということでそのままにしているのか、それとも、督励をして、改めてある程度のめどを持ってやってもらっているのか、そこのところはいかがでしょうか。やはりこれは沿線住民の人の生活にも大きな影響がありますから、いつごろまでに何とかやるぞ、こういうお答えができますでしょうか。

市村大臣政務官 これは、先ほど申し上げましたように、今はまだ被害状況の調査を進めておるところでございまして、残念ながらまだめどは立っていないというところでございます。

石田(祝)委員 被害状況調査はよくわかるんですけれども、別に、査定をしてお金がどうこうというよりも、やはり復旧に向けての調査、こういうことで、一日も早くめどが立って沿線の方々に安心していただけるようにすべきではないかと私は思いますが、お手を挙げているので、何か答弁があるんでしょうか。

市村大臣政務官 今、きょうこうして委員会で御指摘を受けましたので、JR東日本に対しまして、早急に被害状況を調査して対応するようにということで申し伝えたいと思います。

石田(祝)委員 続きまして、台風六号ですが、ここも、局地激甚、早期局激ということで指定をしていただきました。全国各地でもありましたけれども、私の住んでいる高知県も大きな被害がありまして、特に安芸市の穴内の漁港海岸が大変な被害を受けました。これは市の管理ということで、市の財政状況等を見ますと、これは激甚災害になるだろう、局地激甚、それも早期に指定をする、こういうことにしていただきました。

 私が思うに、これは今回の東日本大震災の津波の災害でも感じたんですけれども、いろいろな構造物を置いてはいるんですよ。その穴内の海岸もやはり何十トンというものも置いてあるんですけれども、今回行きますと、テトラだとかそういうものは全部埋まっちゃっているんですね。要するに、台風が長くとどまったというんですか、スピードが遅かったものですから、同じ地域で繰り返し繰り返し波が打ちつけられて大きな被害になりました。そのときに、波が来て引き潮のときに、そういうブロックだとか、何十トンものものですけれども、例えば砂の上に置かれているわけですね。その下がとられてしまって、結局自重で、自分の重さで崩れていっている、こういう現状なんですね。

 ですから、これは今後、きょうは時間がありませんから詳しくできませんが、こういう堤防だとかそういうものは、やはりある意味では地球の岩盤のところに一体となるような工法でやらないと、結局、今の工法は全部上に置いているだけなんですよ。置いているものですから、普通のときは、何十トンとか、大きなものだったら何百トンもあるでしょう、その重みで安定しますけれども、例えば置いているところの下の砂、土、そういうものが洗われてなくなってしまうと、逆に重みで崩れていってしまう、こういう構造になっているんですね。

 ですから、今回の問題もそうですけれども、何年か前に私は高知県の室戸市というところへ行きまして、そこも堤防が波で吹っ飛んで、その後ろにある市営住宅に直撃したんですよ。三十トンぐらいのものですよ。それを見たら、小指ぐらいの大きさの鉄筋でとめているだけなんですね。通常でしたら何十トンという重さで安定していますけれども、自然の力は物すごいものなんですよ。

 結局、これからの考え方として、波に対抗するようなもの、堤防、そういうものについては、やはり深く、岩盤まで一体となるような工法でやっていかないと、今のようなただ置いているだけというのはもう無理と、今回の東日本大震災でもわかったと私は思います。

 この問題についてはこれからやらせていただきたいというふうに思いますけれども、ここのところ、何か国土交通省から御感想がありましたらお伺いします。

市村大臣政務官 今、委員から御指摘のとおり、置いているだけという状況でありました。そこで今、新しい概念として、粘り強いという言葉を使いまして、今後の災害対応としまして、粘り強い堤防、粘り強いものをつくっていこうという考えで進めていこうとしております。

石田(祝)委員 粘り強いということで、今までと違う考え方だ、こういうことで災害を防いでいこう、これは結構だと思いますので、その粘り強いものがどういうものか、言葉では言えても現実には一体どういう工法なのか、これはぜひ研究をなさっていただきたいというふうに思います。

 では、三連動地震についてなおお伺いをいたしたいと思いますが、現在、東海地震だけは予知ができる、こういうことで特別扱いになっているわけですね。しかし、東海、東南海、南海、先ごろ大臣からも、ある意味でいえば危機感を持って取り組んでいく、こういうことが所信で述べられていたと思います。

 これは、それぞれの被害想定はあると思いますが、例えば三連動で発生した場合、それぞれが単独で被害が出てきたものの単純な足し算になるのか、さらに複合的に被害が大きくなるのか、このあたりの想定はどのようになっていますか。

東副大臣 お答えします。

 委員御指摘のとおり、現在は、東海地震、東南海・南海地震の被害想定ということで別々に考えているわけでありますが、御指摘の、三連動のときどうなるかというのは、まだその結論は出ていません。

石田(祝)委員 これはこれからだと思います。被害想定ができて、それでどうこうということではありません。それをどう防ぐか、どう減災していくかという観点がやはり大事であります。しかし、現実の数字として、それはしっかりと当該の県がわかるようにはっきりとすべきではないかと思います。

 これは高知県の知事からお話があった点なんですが、この三連動ということを考えた場合、現在の県と県の間の応援体制は、実は東海地震のときには高知県が静岡に応援に行くようになっている、こういうことらしいんですね。しかし、もう三連動ということが心配される状況ですから、そういう当該の三つの地域がお互いに応援に行くということは不可能ではないのか、こういう御指摘もありました。

 この県間の即応支援体制について、私は、三連動を前提として見直すべきではないか、こう思いますが、この点について、いかがでしょうか。

東副大臣 ちょっと時間をいただいて、結論からいくとなかなか難しいので。

 東海、それから東南海・南海地域を含むいわゆる南海トラフを対象とした地震については、先ほど御指摘のとおり、東海地震と東南海・南海地震、それぞれを対象として地震対策の大綱や広域応援の計画を作成するなど、対策を進めてきたところであります。

 しかしながら、御指摘のとおり、東海・東南海・南海地震の三つが連動して発生する場合を念頭に置くと、広域応援について計画どおりの対応をすることは困難な面もあると考えられます。一方、東海・東南海・南海地震同時発生を想定した検討はできていないわけでありますから、その場合に備えた広域的な防災対策について早急に検討を開始することが必要と認識いたしています。

 したがって、まずは、東海・東南海・南海地震について、同時発生も想定して、新たな地震動や津波の高さの推計、そしてまた人的、物的な被害想定を行って、これをもとにして、東海・東南海・南海地震の三つの地震が同時に発生した場合を想定した広域応援体制などの具体的な対策について検討してまいりたいと思います。

 今、石田委員御指摘のとおり、例えば東海地震が発生したときに、高知県から静岡県に消防の応援部隊が派遣される計画となっているわけですが、それは、この三連動が起きたときに不可能なんじゃないのかということは、そのとおりだろうと想定されます。しかし、今申し上げたことを踏まえた上で、新たなきちんとした支援計画をつくっていかなくちゃいけないと思っています。

石田(祝)委員 済みません、最後に一言。

 地震は、いつ起きるかという研究はなされても、結局、地震の発生そのものをとめることはできないわけですね。ですから、三連動なら三連動が起きる、そういう前提で、どのように人命を、いかに亡くなる人を少なくするか、被害を少なくするか、これしか我々はできないわけですから、そこのところをぜひ、これからは想定外ということはもう二度と私たちは使えないわけですから、地震がいつ起きるかわからない、そういう点も踏まえて十二分な対策をお願いして、質問を終わりたいと思います。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

中根委員長代理 次に、塩川鉄也さん。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 本日は、東日本大震災における宅地の地盤被害対策について質問をいたします。

 液状化被害とともに、盛り土の造成を行った団地で盛り土部分が崩壊して宅地被害が起こったり、あるいは人工擁壁が崩れたりする宅地地盤被害が多数生じております。

 私はこの間、仙台市の青葉区折立団地や泉区北中山地区、また、福島県いわき市の常磐西郷町、茨城県東海村の南台団地、栃木県那須烏山市の鴻の台ニュータウンなど、このような各地の宅地地盤被害の現場に足を運び、市長さんを初めとして自治体担当者の方のお話をお聞きし、何よりも被災者の切実な要望を伺ってまいりました。これを踏まえて質問するものであります。

 最初に、国土交通省にお尋ねをいたします。

 東日本大震災における宅地被害状況についてですけれども、この間集計した数字をお聞きしたいんですが、液状化による宅地被害件数が何件となっているのか、また液状化被害以外の盛り土造成地崩壊や擁壁崩壊などの宅地被害件数は何件に上るか、また、その場合、被害のあった都道府県は幾つに上るのか、この点についてお答えください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の大震災におきます宅地被害の状況についてのお尋ねでございますが、去る七月二十二日より、国土交通省といたしまして、盛り土等の宅地の被害状況及び液状化による宅地の被害状況について、関係都県に対して調査を実施いたしました。

 その調査結果によりますと、八月二十二日現在で、液状化被害以外の宅地の被害件数、今御指摘いただきましたように、具体的には、擁壁の崩壊ですとか、地すべりですとか、盛り土造成地の崩落といったような事象による被害でございますが、これが五千四百六十七件、液状化による被害件数は二万二千九百五十二件となってございます。

 また、宅地被害のあった都道府県数についてのお尋ねでございますが、液状化以外の宅地被害は十二県、液状化による被害が九都県にわたっているところでございます。

塩川委員 今お答えいただきましたように、液状化の宅地被害は約二万三千件。これは、NHKスペシャルでも紹介された、世界最大規模と言われるものとなっております。

 同時に、きょうこれから取り上げます盛り土崩壊などによる宅地地盤被害も、五千件を超えるという大きな被害であります。

 県別で見ますと、多い順で言いますと、宮城県で二千七百六十一件、茨城県で九百六十三件、福島県で九百七件というのが現在の数字でありまして、二千戸以上の被害が出ている仙台市の事例などはよく紹介もされておりますけれども、そこにとどまらず、十二県にも及ぶものとなっています。広域で大規模な被害となっております。

 国交省に確認でお尋ねしますが、このような宅地地盤被害というのはかつてない規模の災害だと思いますが、その点いかがでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、震災で、例えば大規模盛り土の造成地が崩落するといったようなこと、あるいは液状化被害についても一部あったことは事実でございますが、今お尋ねのように、今回の大震災のように広範に、広域にわたって多数被害が生じているのは初めてのことではないかと考えております。

塩川委員 初めてのことというより、最大規模の被害状況となっております。かつてない規模で宅地地盤被害の被災者が生じているわけです。

 平野大臣にお尋ねしますけれども、被災者の方は、宅地が崩れて、いつまた崩壊するかもわからないような不安の中で長期の避難生活を送っておられる方もいらっしゃいます。復旧費用を考えると、とても将来の見通しが見えない不安の中にあるわけで、このような宅地地盤被害の被災者の置かれている状況について、どのように受けとめておられるのか、その点についてまずお聞かせください。

平野国務大臣 今委員から御指摘ありましたように、今回の大震災におきましては、広範な地域で、これまでにない規模での宅地被害が発生をしております。

 こうした宅地被害につきましては、従来から、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業等、これはいずれも国交省所管の事業でございますけれども、こういった事業によっての支援が行われております。

 今、仙台市を初めとした、あるいは液状化の被害の発生した自治体を初めとして、この地域の復旧に対してできるだけの支援をお願いしたい、そういう強い要望を受けております。そういった要望も踏まえまして、今、この制度をどのようにするかということもあわせて国土交通省の中において鋭意検討されているものというふうに理解をしております。

塩川委員 これまでにない規模での被害という御答弁でありました。

 一人一人の被災者の方に寄り添って考えたときに、やはり先の見えない不安の中にあるということを我々はしっかり受けとめなければならないと思っております。

 宅地の地盤被害、もとに戻すのにも一千万かかるとかと言われているわけですし、被災者の資力だけでは解決できない状況があり、発災から五カ月を超えても、ほとんどの世帯が改修にも手をつけることができない状況にある。

 先日、栃木の那須烏山市に伺いました。栃木県内で唯一仮設住宅を建設している、そういう意味でも宅地被害が多数出ている自治体でありますけれども、一戸建てで地盤被害を改修するのに二百万から六百万円かかる、その上物の家屋の改修というのはさらにお金がかかるということになりますと、とても負担できないという声が上がっているわけであります。

 ですから、手がつけられないという点で、被災者にとってみれば、いわば時がとまったような状況にあるというのが現状だということが言えると思います。

 ですから、平野大臣に重ねて伺いますけれども、こういった被災者の気持ちを受けとめるならば、過去最大規模の災害に見合った、従来の枠を超えた宅地地盤被害に対する支援策が必要じゃないのか、このことが求められていると思いますが、大臣としてのお考えをお聞かせください。

平野国務大臣 いわゆる民有地の被災に対しての支援をどこまでやるかということについては、これはさまざまな御議論があるということについては委員も十分御承知のとおりかと思います。

 その一方で、先ほど来議論されておりますように、今回の被害は非常に広域でありまして、滑落の規模あるいは液状化の規模もこれまでになかった規模で起こっております。そういう中で、災害復旧に当たっての公的な支援をどこまでやるべきか、これについては、やはり時間をかけず早急に結論を出すということが必要だというふうに思っております。

塩川委員 国交省の市村政務官にお尋ねしますが、大畠大臣も繰り返し、液状化被害対策とあわせて盛り土崩壊などの地盤被害についての支援策が必要だということを述べておられます。そういう点で、国交省としてはどうするつもりなのか。過去にない規模での宅地地盤被害に対して、過去にないような支援策が求められているわけですが、国交省として今の段階で考えていること、具体化しようと思っていることについて、お答えください。

市村大臣政務官 委員御指摘のように、これは未曾有の被害でありましたし、前例のない災害だということでありますから、前例なく取り組むべきだという考え方は基本だと思います。

 ただ、いろいろな制度の中でこれを行うとなりますと、今いろいろ調査をしながら行っていくということでありまして、もちろん、気持ちとしては、国交省としては一刻も早く復旧復興に結びつけたいということもありますし、技術的にもいろいろ研究もしておりますから、それもやりたいという国交省の皆さんの気持ちはあります。

 しかしながら、これは議論としては、やはりだれがこの費用を負担するのかというところになると私は思いますので、これにつきましては、また、この国会も含めていろいろ議論をしていただいて、何に対して、だれが何をどう負担していくのかということにつきまして、いろいろと御指導賜れば幸いだと存じております。

塩川委員 費用負担の問題というのは、そもそも、面的に被害を受けているわけですから、その地域全体の公共性を担保する上でも、宅地地盤被害に対して支援するということは公共性がある、二次災害を防止する、そういう観点も含めてしっかりとした公的支援を行うというのは、上物だけではなくて、宅地も含めて住環境をきちんと整えることこそ今政治が行うべき仕事だ、このことを強く求めておくものであります。

 今、市村政務官がおっしゃったように、前例のない、こういう被害でありますから、今までにない災害だからこそ今までにない踏み込んだ支援策が必要だということを強く求めておくものであります。

 あわせて、市村政務官も一刻も早く復旧復興に結びつけたいとおっしゃっておられたわけですけれども、そうであるならば、今何をやっているのかということが問われてくるわけで、これまでこういった宅地地盤被害についてとってきた対策というのは直ちに行う必要がある。

 那須烏山市でも、市長さんもおっしゃっておられましたが、被災宅地をこのまま放置すると、余震ですとか雨などによる、さらなるがけ崩れや擁壁、住宅の倒壊など、二次災害の危険性が高くなる、一刻も早く対策をとりたいということで、市としての独自の助成策をつくったわけであります。最大三百万円の助成策という点でのそういう積極的な取り組みを行っているわけですけれども、では、国は何をやっているのか。

 この点では、二次災害防止のためにも、やれることは今すぐ行う必要があるという点で、中越地震のときには、大臣も先ほど触れておられましたような災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業とか、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業について、人工斜面も対象にし、がけの高さも三メートル以上にするなどの要件緩和を行う特例措置を実施して被災者の支援に活用をいたしました。これは既に過去に行った実例があるわけですよね。

 それなのに、今回いまだに、この特例措置をやるとは言っていない、これはどういうことなんでしょうか。大臣なり国交省なり、お答えいただけますか。

平野国務大臣 そういった過去の例もございます。そして、先ほど申しましたように、繰り返しで恐縮ですけれども、今回の災害の規摸、前例のない規模であるということでありまして、いわゆる民有地に対する支援、その範囲ということについて、どこまでやるかということを中心に今議論をされているというふうに承知しております。

 いずれ、これは、被災者の立場に立て、立つことが必要ではないかという議員の御指摘が先ほどございましたけれども、被災者の立場に立てば、一日も早い復旧復興の姿が見えてくる。

 その前提として、制度がどういう状況になっているか、これがまだ確定していないということでありますと、被災者にとっては将来も見通せないということになりますので、先ほど申しましたように、検討すべきことについては早急に検討して結論を出して、それを地域に示して、そこから復旧計画をつくっていただくということを急がせることを私の立場で関係省庁に強く働きかけていきたいというふうに思っております。

塩川委員 過去最大規摸の災害に対応するかつてない支援策を行うということを強く求めるのと同時に、これまで実施したことがある、実績のある特例措置、これだってすぐできるはずじゃありませんか。なぜやっていないんですか。直ちにやるということがなぜ言えないんですか。その点について、国交省、いかがですか。

市村大臣政務官 今、平野復興大臣の方から、前向きにといいますか、そういう前例のないものに対しては前例なくやっていくということでありますから、今その大臣のお言葉をしっかりと受けとめて、また国交省として、直ちにという表現ではなくて、一刻も早く復旧復興に資するような対策を打ち出してまいりたいと思っております。

塩川委員 これまでにない支援策をとる上で必要な検討、具体化を行うということは求められているわけですけれども、過去やったことがあるような特例措置は今すぐできるはずで、それすらやっていないということが被災地の被災者の皆さんの復旧復興をおくらせる問題につながっているんじゃないのか。その政府の姿勢が問われているんだということを強く申し上げておくものであります。

 述べましたように、かつてない規模の災害、二次災害の危険もある、被災者だけでは負担が大きくて前に進めない、従来の枠を超えた支援策が必要で、宅地被害者の生活再建のために、今までにない踏み込んだ支援策を行うことを強く求めて、質問を終わります。

中根委員長代理 次に、重野安正さん。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 十分という時間をいただいておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

 私は総務委員会にも入っているんですが、先般の総務委員会で、地域の自主性及び自立性を高めるための改革についての法案審議を行いました。

 非常に多くの法案改正が行われることになります。防災関係でも二十を超える法律の改正が含まれております。その多くは、義務づけ、枠づけの見直しのうち、計画等の策定及びその手続の見直しに関するもので、防災計画の策定について、これまでの義務規定から努力義務規定への変更が行われております。しかし、こうした変更が適切なものなのか、私は疑問を感じている。

 先日の総務委員会でも、この点についてただしたところであります。東副大臣からは、国から言われなくてもやるのは当然、こういう答弁がありました。

 義務規定でも努力義務規定でも同じことだというのであれば、わざわざ義務規定を努力義務規定にする意味がないんじゃないか、防災という国民の生命財産に直結するものである以上、私は、義務とすべきではないか、このように思います。努力義務にすることによって誤ったメッセージを送ってしまうことになるのではないかと危惧をしております。

 今は東日本大震災直後であり、防災意識も高まっていることから、計画をつくらないという自治体はまずないと思います。しかし、将来にわたって本当に大丈夫なのか。天災は人の記憶が薄れたころに発生するという言葉もございます。今回の変更で自治体の防災体制にいささかも不備が生じてはならないと考えるんですが、その点について、大臣のお考えを伺います。

平野国務大臣 お尋ねの件につきましては、私も東副大臣と同様の意見を持ち合わせているところでございます。

 今回の義務づけ、枠づけの見直しによる法改正は、地域主権戦略大綱を踏まえて行ったものであるというふうに理解をしておりまして、地域防災会議等の自主的かつ積極的な検討を促す、そういう観点から行われるものであるというふうに理解をしております。

 しかしながら、防災に関しましては、このような国の義務づけ、枠づけの見直しがあったからといって、防災対策が後退することがあってはならないというのは言うまでもございません。防災行政は国民の生命身体等にかかわる最重要の行政分野でありまして、国及び地方公共団体の責務が変わるものではないと認識をしております。

 むしろ、今回の義務づけ、枠づけの見直しの趣旨にかんがみれば、国から命令されるからやるということではなくて、自治体は自発的に防災行政の一層の充実に取り組んでいかなければならないと考えておりまして、私が申し上げるまでもなく、各自治体の首長さん、自治体はそういう方向でしっかり取り組んでいただいているというふうに私は理解をしております。

重野委員 東副大臣も同様の趣旨の発言でございました。

 役所は、それが義務づけなのか、あるいは努力義務づけなのかという、このことが非常に違うんですよね。

 私が懸念するのは、今、地方自治体の力は間違いなく落ちています。それは、この間の平成の大合併で、私の選挙区でも、合併した市の中心部の状況というのはそう変化はない、しかし、周辺部の村、例えば人口三千ぐらいの村が合併するわけですね。この間のわずかの時間の経過の中でも、そういう周辺部の、例えば道路一つとってみても、道路の周辺の草刈り問題一つとってみても、もう手が届かないんですよ。それで、もう道路に砂利が敷き詰めているような道路があるんですね、山からころころ石が落ちてくる。聞いてみると、金がない。

 私は、そういう意味で、防災体制においても同様なことが起こるのではないかと懸念するんですよ。そういうふうに、少子高齢化社会の進行というものが今地方に与える影響というのは物すごく大きいんです。そのことが今回の地域主権という名のもとでの法改正でどのように認識されているのか、どういうふうに認識をしてこのことが語られたのかという点について、私は本当に不安を感じるんですね。

 そういう認識についてはどうですか、大臣。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

平野国務大臣 まず、防災の主体は地域が担うというこの原則は変わらないんだろうと思います。

 その一方で、確かに、特に地方においては高齢化が進んでおります。人口減少の波も、強い波が押し寄せてきております。そういう中で、災害に強い地域づくりをどうするか、多分、自治体単独ではできることとできないことがあるかと思います。だからこそ、自治体間の連携も図らなければなりませんし、それに対しての国のいろいろな支援も必要だと思っております。

 例えば、今回の東日本大震災の例を見ますと、水道の復旧、これは非常に早かったというふうに私は思っています。それは、従来から水道の関係の仕事をする方々は、自治体間で協定を結んでおります。どこかで災害があったら、すぐにそこに出動する、そういったことは、消防団の中においても、あるいは自治体間の行政の分野においても見られます。こういったことに関しては、引き続き強化をする必要があるというふうに思っております。

 さらに、もう一つつけ加えさせていただきますと、自治体が主体ではございますけれども、今回の津波の中で忘れてならないことは、自治体自体が、自治体の機能自体が被災をするというふうなこともございました。役所全体が被災をして、役所の機能が果たせなくなってしまった。こういったところには、これは県もしくは国が責任を果たす、そういった観点も必要だというふうに思っておりまして、主体はあくまでも自治体、しかし、やはり県、国との連携も深める、そういったことが大事だというふうに思っております。

重野委員 この問題は非常に重い意味がありますので、今後ともいろいろと意見していきたいと思います。

 では、次に移ります。

 先般の新潟・福島豪雨災害について尋ねます。

 まず、気象庁に尋ねますが、今回の水害を引き起こした豪雨では、降り始めからの雨量が千ミリを超える箇所も出たという報道もありました。

 大雨が長時間にわたって降り続いた今回の豪雨の特徴を気象庁としてはどのように総括しているのか、また、こうした豪雨は、今後も全国で発生し得るものなのかどうか、尋ねます。

西出政府参考人 今般の大雨についてでございますけれども、七月二十八日から三十日にかけて北陸地方に前線が長時間停滞し、非常に湿った空気が持続的に流れ込んだため、大気の不安定な状態が長く続き、新潟県、福島県会津地方で記録的な大雨となりました。

 同様の気象現象になった場合に、今後もこのような大雨が降る可能性はございます。

重野委員 気象庁としての認識を聞いたんですけれども、集中豪雨という言葉は従前もあったんです。従前の集中豪雨の発生の形と、現在の集中豪雨の発生の形、あるいはメカニズムとか、そこら辺に違いがあるかどうか。

西出政府参考人 同じ地域では、平成十六年に同様な豪雨がございました。このときと比較しますと、先ほども申しましたように、大気の不安定な状態が長く続いたというところに今回の特徴がございまして、降った雨の量で申しますと、前回、平成十六年の豪雨と比べますと一・五倍程度降ったという認識でございます。

 ただ、メカニズムとしては、同様なメカニズムで起こった、それが今回は前回よりも長く続いた、そういう認識でございます。

重野委員 形だとかメカニズム等々については、単にいわゆる雨の降った時間が長かったというところで整理されているということですね。中身や発生形態とか、そんなものに違いがあるわけではない、そういうことですね。はい、わかりました。

 以上で終わります。

吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


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