第16号 平成23年9月9日(金曜日)
平成二十三年九月九日(金曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 吉田おさむ君
理事 糸川 正晃君 理事 梶原 康弘君
理事 古賀 敬章君 理事 中根 康浩君
理事 橋本 清仁君 理事 長島 忠美君
理事 古川 禎久君 理事 石田 祝稔君
相原 史乃君 網屋 信介君
石井登志郎君 石田 三示君
石津 政雄君 石山 敬貴君
磯谷香代子君 大西 孝典君
柿沼 正明君 勝又恒一郎君
木内 孝胤君 岸本 周平君
沓掛 哲男君 斎藤やすのり君
空本 誠喜君 高橋 昭一君
富岡 芳忠君 初鹿 明博君
樋口 俊一君 福嶋健一郎君
村井 宗明君 本村賢太郎君
森本 和義君 谷田川 元君
柳田 和己君 秋葉 賢也君
小里 泰弘君 梶山 弘志君
田野瀬良太郎君 竹下 亘君
二階 俊博君 林 幹雄君
森山 裕君 西 博義君
宮本 岳志君 重野 安正君
…………………………………
国務大臣
(防災担当) 平野 達男君
国土交通副大臣 奥田 建君
国土交通副大臣 松原 仁君
内閣府大臣政務官 郡 和子君
農林水産大臣政務官 森本 哲生君
国土交通大臣政務官 津島 恭一君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 原田 保夫君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 米田耕一郎君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 原口 亮介君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 佐々木克樹君
政府参考人
(外務省領事局長) 沼田 幹男君
政府参考人
(文化庁次長) 吉田 大輔君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 唐澤 剛君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 清水美智夫君
政府参考人
(林野庁長官) 皆川 芳嗣君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 関 克己君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 菊川 滋君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 久保 成人君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 井手 憲文君
政府参考人
(観光庁長官) 溝畑 宏君
政府参考人
(気象庁長官) 羽鳥 光彦君
政府参考人
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 伊藤 哲夫君
衆議院調査局第三特別調査室長 仲川 勝裕君
―――――――――――――
委員の異動
九月九日
辞任 補欠選任
今井 雅人君 樋口 俊一君
打越あかし君 石井登志郎君
大西 健介君 磯谷香代子君
大西 孝典君 谷田川 元君
小山 展弘君 村井 宗明君
近藤 和也君 沓掛 哲男君
畑 浩治君 石津 政雄君
皆吉 稲生君 福嶋健一郎君
山本 剛正君 初鹿 明博君
吉川 政重君 石田 三示君
若泉 征三君 柳田 和己君
小里 泰弘君 二階 俊博君
竹下 亘君 田野瀬良太郎君
江田 康幸君 西 博義君
高橋千鶴子君 宮本 岳志君
同日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 柿沼 正明君
石田 三示君 吉川 政重君
石津 政雄君 木内 孝胤君
磯谷香代子君 大西 健介君
沓掛 哲男君 近藤 和也君
初鹿 明博君 山本 剛正君
樋口 俊一君 本村賢太郎君
福嶋健一郎君 相原 史乃君
村井 宗明君 小山 展弘君
谷田川 元君 大西 孝典君
柳田 和己君 若泉 征三君
田野瀬良太郎君 竹下 亘君
二階 俊博君 小里 泰弘君
西 博義君 江田 康幸君
宮本 岳志君 高橋千鶴子君
同日
辞任 補欠選任
相原 史乃君 皆吉 稲生君
柿沼 正明君 打越あかし君
木内 孝胤君 畑 浩治君
本村賢太郎君 勝又恒一郎君
同日
辞任 補欠選任
勝又恒一郎君 今井 雅人君
―――――――――――――
八月三十一日
一、災害対策に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件(平成二十三年台風第十二号による被害状況等)
――――◇―――――
○吉田委員長 これより会議を開きます。
議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。
このたびの平成二十三年台風第十二号による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。
また、現在行方不明となっている方々が一刻も早く救出されますようお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。
委員会内の全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。
〔総員起立、黙祷〕
○吉田委員長 黙祷を終わります。御着席願います。
――――◇―――――
○吉田委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、平成二十三年台風第十二号による被害状況等について政府から説明を聴取いたします。平野防災担当大臣。
○平野国務大臣 平成二十三年台風第十二号の被害状況及びその対応につきまして御報告をいたします。
まず、この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
台風第十二号は動きが遅く、上陸後も大型の勢力を保っていたため、台風周辺の暖かく湿った空気が長時間流れ込み、特に紀伊半島では、降り始めの八月三十日十七時からの総降水量が奈良県上北山で一千八百八・五ミリ、三重県宮川で千六百二十・五ミリを記録するなど、西日本から北日本にかけて、広い範囲で記録的な大雨となりました。
この台風により、多数の土砂災害や河川の増水、はんらんなどが生じ、全国で非常に大きな被害が生じております。昨日までに把握しているところでは、人的被害としては、和歌山県で三十八名、奈良県で六名など死者五十四名、行方不明者五十四名、重傷者二十四名、軽傷者七十七名、住家被害としては、床上、床下浸水一万七千九百八十七棟、全壊、半壊、一部破損二百十六棟、非住家被害としては、百二棟となっております。また、道路の寸断により、多数の地区が孤立状態に陥るとともに、断水や停電、固定電話回線の使用不可、携帯電話の停波、鉄道の運転休止、農林水産関係被害などが生じております。
この被害に対する政府の対応といたしましては、九月四日、野田内閣総理大臣から私への、人命救助を第一に、被災者の救出救助を初めとする災害応急対策に万全を尽くすこと、被害状況の迅速的確な把握に努めること、関係省庁は地元自治体と連携し、復旧復興対策に政府一丸となって、緊張感を持って取り組むこととの指示を受け、同日二十時、私を本部長とする非常災害対策本部を設置いたしました。
これに先立ち、同日十時三十分、私と阿久津前内閣府大臣政務官の出席のもと、台風第十二号に関する災害対策関係省庁連絡会議を開催し、政府、被災県、被災自治体が一体となって、災害応急対策に万全を期することを確認いたしております。
また、同日午後には、被害状況の把握を行うとともに、被災地方公共団体と連携をとるため、阿久津前内閣府大臣政務官を団長とする政府調査団を和歌山県及び三重県に派遣をいたしました。九月六日には私も被災地に入り、政府調査団と合流した上で、和歌山県、三重県及び上空から奈良県を現地調査いたしました。和歌山県では、和歌山県知事や那智勝浦町、新宮市の関係者から、三重県では、三重県知事や紀宝町の関係者から被害状況について御説明いただくとともに、被災現場調査を行いました。さらに、同じく六日には、前田国土交通大臣を団長とする政府調査団を奈良県へ派遣し、奈良県知事や五條市、十津川村、川上村の関係者から被害状況について御説明いただくなど、現地の被害状況をつぶさに調査してまいりました。本日は、野田内閣総理大臣が、後藤内閣府副大臣とともに、和歌山県、三重県及び奈良県を視察する予定となっております。
非常災害対策本部会議は、これまで四回開催し、政府一丸となって、被災自治体との連絡調整を行いつつ、さまざまな対策を実施しております。
具体的には、行方不明者の捜索救助活動につきましては、三重県、和歌山県、奈良県において、延べ約四千五百七十名の自衛隊員が災害派遣活動に従事し、人命救助や物資輸送などの活動を行っています。
また、孤立地区への対応として、通信手段がない地区には衛星携帯電話や簡易無線を配備するとともに、ライフラインの復旧については、例えば厚生労働省の要請などにより日本水道協会が調整をし、水道事業体が給水車による応急給水の応援を行うなどの対応を行っています。電気についても、民間事業者が復旧作業に徹しているところであります。また、道路の復旧につきましては、国・都道府県管理道路の通行どめ区間は、最大三百五十カ所であったところ、二百二十七カ所に減少しております。
さらに、国土交通省緊急災害対策派遣隊、いわゆるTEC―FORCEが、被災状況の調査や復旧方針等の技術的な支援、助言を行っております。特に、河道閉塞箇所につきましては、国土交通省が土砂災害防止法に基づく緊急調査及び土石流危険範囲の解析、情報提供を実施しているところであります。また、大規模な河道閉塞につきましては、閉塞場所の解消に向けての準備を進めております。
これまでの国、地方公共団体初め関係機関の精力的な活動により、四十地区以上あった孤立地区は半減いたしまして、また、ライフラインにつきましては、例えば水道は、和歌山県、奈良県、三重県の三県で五万戸以上断水していたところ、約二万戸が復旧するなど、復旧が進捗しつつあります。
しかし、なお現在も、行方不明となっている方々がおられます。また、多くの方々が不便な生活を強いられております。さらに被災地では、地盤が緩んでいることなど、二次災害の発生も懸念されております。引き続き、捜索救助、孤立集落の解消、被災者生活支援、二次災害の防止などに全力で取り組んでまいります。
台風第十二号による被害に対しましては、引き続き、政府一丸となった対応が必要でございます。被災された皆様方が一日でも早く平穏な生活ができるよう、被災地方公共団体と緊密に連携しながら、全力を挙げて対応に当たる所存であります。
以上であります。
○吉田委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○吉田委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官原田保夫君、総務省大臣官房審議官米田耕一郎君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長原口亮介君、消防庁国民保護・防災部長佐々木克樹君、外務省領事局長沼田幹男君、文化庁次長吉田大輔君、厚生労働省大臣官房審議官唐澤剛君、厚生労働省社会・援護局長清水美智夫君、林野庁長官皆川芳嗣君、国土交通省水管理・国土保全局長関克己君、国土交通省道路局長菊川滋君、国土交通省鉄道局長久保成人君、国土交通省海事局長井手憲文君、観光庁長官溝畑宏君、気象庁長官羽鳥光彦君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西孝典君。
○大西(孝)委員 民主党の大西孝典でございます。
現在もなお進行中の台風十二号の災害でありますけれども、吉田委員長初め各党の理事の皆様方の御尽力によりまして、早々に委員会を開催させていただきましたこと、まずもって御礼を申し上げたいと思います。
このたびの台風は、特に紀伊半島三県で大きな被害が出ました。
お亡くなりになりました方々、またその御遺族には、謹んでお悔やみを申し上げます。
いまだ行方不明の方々、御家族には、一刻も早い発見、救出をお祈りいたします。
また、現在もなお不自由な生活をお送りの被災地の皆様方には、心からお見舞いを申し上げます。
私の地元奈良県においても、このたびの台風で大きな被害がありました。降り始めから二千五百ミリというような本当に大きな雨量を記録した地点もあります。特に、私の故郷であります吉野地方の山間地域において被害が集中をいたしました。私の自宅のある川上村も被災をいたしました。
私は、五十二年前、三歳と半年のころ、伊勢湾台風に被災をいたしました。当時八千人弱の人口のうち、二次災害で亡くなった消防団員も含めて、七十二名の方が私の村内でお亡くなりになりました。そんな大惨事を経験しております。
私のよく知っている辻井英夫さんという、村内の方でありますけれども、今回「吉野・川上の源流史 伊勢湾台風が直撃した村」という本を出版されました。この本は、被災前、被災後の写真あるいは地図、被災の状況等の数値を丹念に調べ上げて出版されたわけでありますけれども、私も二月前にいただきまして、読みながら、本当に台風の恐ろしさを改めて再確認したわけであります。
当時、私の自宅は無事でありましたけれども、対岸にある小さなしょうゆ工場が流失をいたしました。現在は国道百六十九号線、当時の県道と私の自宅の方を結ぶつり橋が流失をして、その復旧に三年弱もかかる、そういう時代でありました。当時の県道は路肩から根こそぎ消滅をするというふうな大惨事でありまして、二十数カ大字が、一切無傷であるという大字がないような、そんな災害の中であります。
長年かけて河原を迂回しながら道路を復旧していった、そういう経験からして、きのうの時点で五條市の大塔町辻堂のがけ崩れ現場を応急処理して、緊急車両あるいは生活救援車両に限りますけれども、大型車両、トレーラーでも通行ができる、落橋した折立地区まで通行ができるようになったのは、本当にそういう経験からして奇跡に近いと思います。心から各関係者の方々の御尽力に御礼を申し上げたいと思います。
それでは、質問に移らせていただきます。
まず、今回の台風で早速、非常災害対策本部というのを政府で立ち上げをしていただきました。平野担当大臣には和歌山県そして三重県を、そして前田国土交通大臣には奈良県を御視察いただきました。本日は野田総理が紀伊三県に視察に入られる予定とお聞きしております。
そこで、平野大臣にお伺いをいたしますが、今回の非常災害対策本部において、現在まで実施をしていただいた対応、施策、そして今後とる対応について、御説明をいただきたいと思います。
○平野国務大臣 先ほど御報告申し上げましたように、九月四日午前十時三十分に関係省庁連絡会議を開催し、その後、同日夜八時に、総理の指示を受けまして災害対策基本法に基づく非常災害対策本部を設置しまして、これまで四回会議を重ねてまいりました。
この間、まず優先しなければならないことは行方不明者の捜索救助、このことについては、現地自衛隊、消防団あるいは警察の皆さん方が今懸命の捜索をやっておりますけれども、これに対して、特に自衛隊については防衛省を中心にしっかり取り組みを、私は防衛大臣にも電話等でお願いを申し上げました。
それから、ライフラインの復旧等々につきましては、現地に行ったときには、水道の復旧を急ぎたいということがございまして、それら等々も含めまして、水道の復旧につきまして、厚生労働省等からも水道協会等々への働きかけもお願いをしております。
水道につきましては、自治体の組織がしっかりしていまして、私どもが動く以前に自治体間での連携は進んでいたということもあわせて紹介を申し上げておきたいと思います。
あわせて、孤立集落、道路が寸断されましたので、孤立集落等々があちこちに出てきました。そこへの物資の供給、それからあと、連絡がとれないということもございましたので、衛星携帯電話の配付、こういったことにも取り組んでまいりました。
これからでございますけれども、まず、引き続き人命の救助が優先されますし、孤立集落へのさまざまな物資の配付、それからあと孤立集落の解消に向けての努力が必要でございます。
特に、道路につきましては応急復旧が急がれますけれども、現場をごらんになった方々はわかると思いますが、今回の道路の崩壊というのは、道路上に上流の土石が堆積して道路が通行どめになったというものではなくて、道路の岩盤そのものが持っていかれるという非常に厳しい状況でございまして、応急復旧にも、あるいは本格復旧にもかなりの努力が要るかと思いますが、それについての準備はしっかり進めていかなくちゃならないというふうに思っています。
それから、河道閉塞については、国交省が今一生懸命調査をしながら、応急復旧をどうするか、それから本格的な復旧をどうするか等についての技術的検討を進めていますので、これもしっかり取り組んでいく必要があるというふうに思っています。
その他さまざまな対応が必要でございまして、特に、土砂崩壊をしたところについてどういう復旧をしていくか、これについても、技術的な詰めを急いで、早急な対応が必要かと考えております。
繰り返しになって恐縮ですけれども、まずは今、人命救助優先だというふうに思っております。
ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。
○大西(孝)委員 ぜひ、万端抜かりのないようにお願いを申し上げたいと思います。
今、大臣の御答弁の中にもあったんですけれども、今回の災害によって奈良県下で十カ所以上の河道閉塞が発生いたしました。自然に、いわゆる実害なしに、水が流出して無害化されたところもあるんですけれども、今なお数カ所、現在も水がたまりながら、一カ所、大塔町の赤谷地区では非常に危険な状況になっておるというふうに聞いております。
この河道閉塞を、現在も避難をされている方もおります、まずはできるだけ早く無害化をしていくということが非常に大事であると思うんですが、この点、今後どのように対応するか、技術的なことなどもありましたら、専門的な見地からぜひお答えをいただきたいと思います。
○松原副大臣 大西委員の御質問にお答えを申し上げます。
台風十二号に伴う豪雨により、奈良県及び和歌山県において、これまで十二カ所の河道閉塞の発生を確認いたしております。
このうち、奈良県五條市一カ所及び十津川村二カ所、和歌山県田辺市の一カ所、計四カ所の河道閉塞について、決壊に伴う土石流被害のおそれがあることから、九月六日、土砂災害防止法に基づく緊急調査に着手いたしました。
緊急調査の結果、昨日、河道閉塞が決壊し土石流が発生した場合に被害が想定される区域等が明らかとなりました。
国土交通省としては、直ちに、避難勧告等の判断を支援するため、近畿地方整備局長から関係県知事及び関係市村長にあて、土砂災害緊急情報を通知いたしました。情報の通知を受け、対象地域では、住民への避難指示の発令等の対応が図られております。あわせて、被害が想定される区域の周辺で救助活動等を実施中の関係機関にも周知しました。
また、河道閉塞の下流にある四つのダムの管理者である国土交通省、関西電力及び電源開発が連携し、万一河道閉塞が決壊した場合に備え、貯水位を低下させ、四ダムで合計五千百万立方メートルの空き容量を一昨日までに確保しております。
今後、上流の湛水の水位を観測するための水位計や河道閉塞の状況を監視するためのカメラの設置等、監視観測体制の構築を図ります。得られた情報は関係機関と共有し、避難等の対応や周辺での救助活動等の安全確保を引き続き支援してまいります。
また、過去の河道閉塞への対応の実績を参考に、関係県とも協力し、ポンプによる湛水の排除や排水路の確保、堆積土砂の安定化等、緊急応急対策について検討しているところであります。
以上です。
○大西(孝)委員 ぜひ、上下流一体となった河川管理による完全なる防備をお願いしたいと思います。
次に、今回、人的被害が出ておるわけですけれども、いわゆる避難勧告、避難指示が出ていなかった地区もあると一部マスコミで取り上げられています。
こういった避難指示、避難勧告についての発令の指針やルールはどうなっているのか、お尋ねをいたします。
○郡大臣政務官 お答えを申し上げます。
水害や土砂災害などでの人的被害を防ぐには、避難勧告、避難指示といったことが的確なタイミングで行われることが大変重要だというふうに認識しております。
このため、市町村において避難勧告などの発令をする基準などを示すマニュアルの作成、これの手引といたしまして、平成十七年の三月に、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインというものを作成してございます。
このガイドラインにおいては、市町村がマニュアルを作成する際に参考となるように、河川はんらん、それから土砂災害といった災害の種類ごとに、河川の水位あるいは降雨量といった具体的な指標に基づいて、避難準備情報、それからまた避難勧告、避難指示の発令を行う考え方などを示してございます。
国におきましては、このガイドラインの周知を図りまして、市町村におけるマニュアル整備を支援したところでございますが、なお周知を徹底してまいりたいと考えております。
○大西(孝)委員 奈良県下の状況はどんな感じになっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
○佐々木政府参考人 平成二十二年十一月一日現在の調査結果によりますと、奈良県内の市町村の水害に係る発令基準の策定状況は、三十九団体中二十一団体の五三・八%でございます。また、土砂災害の基準につきましては、土砂災害が想定される団体三十三団体中二十団体、六〇・六%でございます。
○大西(孝)委員 まだ完全にそういった体制がとれていないということでありますけれども、引き続き御指導いただきたいと思うんです。
私は、小さいころ、台風が来るたびに、伊勢湾台風のトラウマがありますので、雨がやむまでずっと自宅で不安な気持ちで過ごしておったということを今もよく覚えておるんですけれども、二十代のころには、家業をやっていたころは、消防団員として災害出動もしたことがあります。
特に、山間地域というのは、洪水とか土砂災害というのは宿命なんです。水害というのは、河川の水位というのは目視できます、そしてまた上流の雨量の状況等をしっかりと把握しておれば、避難指示、避難勧告を出すというのはある程度できやすいと思うんですが、いわゆる土砂災害について、これは、昔からここは危ないと言われているところや、あるいは常時洗い出しのようなそういう現象が起こるところというのはあるんですけれども、初めて崩れるところというのは全くそういう経験値がないものですから、どこに逃げればいいのか本当にわからない。はっきり言って、山間地域で住民の安全を一〇〇%確保できる土地は全くないと私は思うんですね。
ですから、住民の命をすべて守るためには、台風が接近する前に、全村、安全な平野部に避難するしかないというのが私の結論なんですけれども、これはまた現実的ではないわけで、そういう現実を踏まえて、本当に、地域によっては比較的安全とされるような避難所もないところがあります。そういう地域の特性を考えて、住民等も巻き込んだ議論をしていく中で、それぞれの自治体に本当に合った避難の指示の方法、そういったことを考えていくべきだと思います。これは答弁は要りません。
続きまして、ちょっと質問の順番を変えさせていただきたいと思うんです。
先ほど申し上げたように、一六八の折立までの区間は、緊急車両、いわゆるライフラインは大型車も含めて確保できたんですけれども、今回、いわゆる幹線から枝線、枝線なんかも至るところで寸断をされていて、いまだに孤立をしているところがあります。しかし、その孤立をしている枝線に入っていくのに、今回は幹線も寸断されてなかなか入っていけなかったというふうなことがございまして、特に十津川村というのは、面積が村としては日本で一番広いわけで、琵琶湖ほどの広さがあって、村長選挙で街宣車ですべてをくまなく一巡するのに三日間かかるそうです。そんな村であります。
そういうふうな意味においても、この百六十九号線とか百六十八号線とかの復旧、回復というのは非常に大事であるんですけれども、その辺の見通しを教えていただきたいと思います。
○松原副大臣 御質問にお答えいたします。
国道百六十八号については、土砂崩落や橋梁の流失等により、当初、奈良県五條市大塔町阪本から和歌山県田辺市本宮町本宮までの間及び和歌山県田辺市本宮町大津荷から新宮市五新までの間の二区間が通行どめになっておりました。このうち、現在までに、五條市大塔町阪本から十津川村折立までの間は、緊急車両に限り、九月七日に通行が可能になったところであります。残る区間については引き続き通行どめの状況になっております。
国道百六十九号については、当初、奈良県吉野郡川上村内、奈良県吉野郡上北山村内、和歌山県新宮市熊野川町内、和歌山県東牟婁郡北山村内の合計四区間で、土砂崩落等により通行どめになっておりました。このうち、北山村内については路面冠水の解消により、また、川上村内の土砂崩落区間については迂回路の確保により、それぞれ通行を確保したところ、他の二区間については引き続き通行どめの状況となっております。
国土交通省では、早急に道路の復旧、孤立集落の解消を図るため、大臣の指示により、近畿地方整備局が奈良、和歌山両県と協力して復旧支援チームを立ち上げる等、被災内容の詳細な把握や、復旧工法の検討等に関し、被災直後より全力で支援を行ってまいりました。
いずれにしても、一般車両も含めた一日も早い通行の確保に向け、国としてでき得る限りの支援をしてまいります。
以上です。
○大西(孝)委員 ぜひ早急な復旧を本当にお願いしたいと思います。
百六十八号線の沿線、今、頻繁にテレビ等で放送されておりますこの百六十八号線は、十津川村の村長の更谷さんは命の道と呼んで早期の改良を要請しておるわけでありますけれども、まさに今回も、人工透析患者をヘリコプターで病院に近いところへ移送するということも現実に終わりました。
百六十八号線というのは、たまにテレビで、日本一距離の長い路線バスも走っておるところなんですけれども、百番台の国道にもかかわらず、いまだ一次改良すらできていない、そういう路線がまだまだ残っておるところでありまして、現在は、国の直轄事業を初め地域高規格道路として整備を進めておるわけであります。
道路整備について、いわゆる費用対効果、BバイC、これを整備の判断基準にするというふうな議論もあるんですけれども、この一六八あるいは一六九というのは、紀伊半島を京阪神から南紀に直結する幹線でありまして、必ず起こるとされる東海・東南海・南海地震で津波等で被災が予想される紀伊半島沿岸部とのまさに命の道になるわけであります。
今回の東北震災においても、内陸の幹線道路から海岸に出る、いわゆるくしといいますか、肋骨といいますか、そういったものが整備されて初めて、その地域の安全、安心が担保されるわけで、平時の費用対効果、これだけで道路整備の判断をするのではなく、こういった防災上も非常に重要な道路についてはそういうことは度外視して整備を進めるべきであると私は思います。
この考えについて、ぜひ、国土交通省のお考えをお聞きいたします。
○松原副大臣 お答えいたします。
今回の台風十二号により多くの箇所で道路が遮断され、各地域において孤立や迂回が余儀なくされております。
三月の東日本大震災においても、道路が遮断され、多くの地域で孤立、迂回が発生、その一方、津波浸水区域を回避して整備された三陸道は救助救援活動、緊急物資の輸送に大きく貢献したところであります。このような防災面の効果は、現行の三便益、BバイCだけでは十分に評価できないものがあると考えております。
このため、こうした道路の役割も踏まえ、現在、防災面の機能を適切に評価する手法について検討しているところであります。道路事業の多様な目的、効果に見合った評価手法の充実を図り、真に必要な道路の整備に向けて努めてまいる所存であります。
以上です。
○大西(孝)委員 私も微力ながら応援をしていきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
次に、非常時の、特に今回のように避難勧告、指示を出したりするようなときに電話が不通というときの通信手段として、自治体役場と各家庭を結ぶ防災行政無線というのがございます。
私の村にも、私の自宅にもございまして、これは停電になっても乾電池でそのまま使えるというふうなことで非常に便利なものでありますが、このたびのいわゆるデジタル化によって、現在、アナログのまま使えているところはあるんですけれども、しかしながら、いずれはデジタル化をしなければいけないということで、財政力の弱いところについては、デジタル化をあきらめざるを得ないというふうなところもあると聞いています。
今回も、被災地の野迫川村というところでは、吉野郡は地デジ化をするために地デジ対応をケーブルテレビですべてやりました。ですから、いわゆるNHKの受信料以外にケーブルテレビの基本料金というのが要るようになって負担はふえておるんですが、そのケーブルテレビに防災行政無線の役割を担わせておったわけですけれども、今回、そのケーブルテレビが不通になって、全く役場と家庭との連絡がとれなくなって、消防団員、役場の職員が出向くというふうなことがありました。
こういった意味で、ぜひ、デジタル化について、国として、自治体の更新費用を今の制度以上に拡充していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○佐々木政府参考人 防災行政無線、同報系の方になりますけれども、現在、全国の市町村の整備率は、二十二年三月三十一日現在七六・一%でございます。デジタル化の整備率は、そのうち二四・九%という状況になっております。
消防庁といたしましては、市町村の防災行政無線の重要性にかんがみまして、その整備、デジタル化につきまして、防災基盤整備事業、これは起債充当率九〇%、交付税算入率五〇%という制度でございますが、これによる財政支援措置を講じてきているところでございます。
引き続き、災害時における情報伝達が確実に行えるよう、自治体に対し必要な助言及び支援を行ってまいりたいと考えております。
○大西(孝)委員 時間が来ましたので、今後の国としての万全の支援を心からお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、岸本周平君。
○岸本委員 民主党の岸本周平でございます。
本日は、和歌山県選出の国会議員として質問の機会をいただきましたことを心より感謝申し上げたいと思います。
なお、私の後、県選出の先輩議員であられる二階俊博先生、西博義先生からも和歌山県民を代表しての御質問をいただけると思いますが、若輩の私がまず先鞭を切らせていただきますことをお許し願いたいと存じます。
発災をいたしまして直後に、寺本眞一那智勝浦町長のお嬢様がお亡くなりになり、奥様が行方不明になられたという大きな記事が出まして、寺本町長を知る私どもとしては本当に大変なショックを受けましたが、その中でも陣頭指揮をとり続けておられるお姿に感銘を受けております。心から敬意を表したいと思います。
台風十二号による被害、和歌山県のことだけ申し上げさせていただきますと、九月八日、きのうの夜の段階で死者が四十人、行方不明者が三十四人という、最近の台風による被害としては大変大きな数字となっております。
お亡くなりになりました皆様の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様には心からお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様には心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
そこで、今回の災害に際しましては、現地の状況を視察するということで、平野達男災害復興担当大臣の御指示で、大変早い段階、九月四日の段階で阿久津大臣政務官を派遣していただきました。私も一緒に県の防災会議に出させていただきました。
六日には、平野大臣みずから和歌山県に入っていただきまして、地元の惨状をくまなく視察していただきました。本日は、野田佳彦内閣総理大臣も和歌山にお入りをいただいています。その予定です。
そして、自衛隊、海上保安庁を初めとする国の機関の皆様が、地元からの要請に応じていち早く現地に駆けつけ、人命救助や復旧作業に当たってくださいました。
以上の点に関しまして、地元選出の国会議員として心からお礼を申し上げます。
さらに、これらの国の迅速な対応に対しまして、和歌山県の仁坂吉伸知事からも、大変深く感謝している旨を平野大臣にこの委員会で伝えていただきたいというメッセージをお預かりしております。県民を代表しての和歌山県知事のお礼のお気持ちもお伝えしたいと存じます。
そこで、現在、和歌山県では、大変な被害の中で、ライフラインの復旧が望まれております。現在、十七件の土石流、二件の地すべり、二件のがけ崩れなどの災害、さらに、現在でも孤立地区がございまして、七地区、百二十四世帯、二百三十二名に及んでおります。幸い、安否確認はとれておりますけれども、一日も早い孤立状況の解消をお願いしたいと存じます。
停電の戸数も、これは関西電力管内だけで約十九万四千戸、現在でも七千戸はまだ電気が来ないという状況でございます。断水戸数も、和歌山県では約三万三千、今でも二万四千戸程度が断水の状況でございます。電話もつながっておりません。加入電話が和歌山でまだ九千回線とまっておりますし、ISDNも千回線、光電話も三千回線が使えません。鉄道のJR西日本、私たちが誇りにしております紀勢線、新宮―白浜間が、那智川の橋梁が流れまして、しばらく復旧のめどは立っておりません。
そんな中で、社会福祉施設も四十一施設が床上浸水をしております。特に、特別養護老人ホームの古座川園、大変な被害を受けております。おふろも壊れたのですが、昨日、自衛隊が飛んでいっていただきまして、給湯の作業もしていただきました。さらには、県の特別養護老人ホームの協会の傘下の皆さんが、入れかわり立ちかわり、ボランティアに入ってくださっております。
そういう和歌山県民のボランティアのみならず、実は、石巻で活動されていた医療チーム、ボランティアで、てんとーむし団という名前のチームでございます。代表が本田テレズさんですけれども、ぜひ古座川園を助けたいということで、きょうからお二人まず下見に入っていただいて、明日から、医師、看護師、ケースワーカーの皆さんが入ってくださる予定になっております。
本当に今、必死でライフライン復旧の努力が行われておりますけれども、ぜひ大臣、政府のお気持ち、取り組みの心構えをお聞かせ願いたいと存じます。
○平野国務大臣 被災されている方々が一日も早く日常生活に戻るためには、言うまでもなく、電気、水道等々のライフラインの復旧が不可欠でございます。その基幹となるのは道路の復旧であることは言うまでもございません。
あわせて、先ほどの御紹介の中にあった社会福祉施設、いわゆる介護、医療サービス、こういったものについても支障が出ているとすれば、そういった支障の解消にも万全の体制で臨まなければならないというふうに思います。
特にハード面でのライフラインの復旧につきましては、道路の通行に支障のないいわゆる下流域、これにつきましては、各地方公共団体の御協力も得ながら、今鋭意急いでいるものというふうに理解をしております。問題はやはり山間部でございまして、道路の復旧をしなければ、電気、水道等の復旧もなかなか難しいということでございます。
今、国交省には、私の方から、道路復旧のめどをつけてくれと。そのことによって、短期で復旧するのであれば、孤立集落についてはそれなりの物資補給等々で当面しのぐことができますが、仮に道路の復旧が長期にわたるということであれば、その集落の方々については別な対応が必要になってくるはずでありますから、そういった対応等々も視野に入れながら、このライフラインの復旧については早急に急ぎたい。
政府の支援、できることは何でもやる、全力を挙げる、そういう姿勢で臨みたいというふうに思っております。
○岸本委員 ありがとうございます。
今、大臣もお答えいただきましたように、現在、人命救助を最優先に、そして、寸断された道路や河川等の復旧作業が始まっております。
少し先走ったお願いをすることになるわけですけれども、この後また、復興の段取りが待っているかと思います。
実は、和歌山県は、昭和二十八年にも大きな水害に見舞われました。その際には、その復旧復興に多大な事業費がかかりましたものですから、全国の都道府県の中で唯一なのでありますけれども、財政再建団体に転落をしております。大変厳しい現実がございます。
今回の災害に関しては、もちろん、被害規模、全貌はまだわかりません。今後詰めていくわけでありますけれども、報道等を見る限りには大変な復旧の事業費がかかることが予想されますので、まずは激甚災害への指定をお願いしたい。その上で、何とぞ、県、市町村への特段の財政上の御配慮もお願いしたいと存じますが、平野大臣、いかがでしょうか。
○平野国務大臣 激甚災害の指定については、御案内のように、災害の額が確定した段階で決まるものでございまして、被災自治体は、今、この行方不明者が多い段階では、まずそちらの捜索救助を主力に対応しておりまして、被害額の確定はその後ということになるかと思います。
ただ、私は、那智勝浦にもお邪魔してきましたけれども、例えば、瓦れきの発生量もかなりの量に上っております。特に、流木のみならず、家庭内から出てくるごみ、こういった処理に多分大変なコストがかかってくると思います。あわせて、自動車も、東日本震災の津波のように、相当の数が被災しまして、あちこちに放置されているという状況も見ました。
そういう中で、自治体がこれから取り組まなければならない課題は山積みでございますけれども、自治体がそういう復興に取り組むに当たって、財政上支障が生じないように、総務省等にもお願いをすると同時に、国としてもいろいろな、あらゆる措置を投入する必要があるというふうに考えております。
○岸本委員 ありがとうございます。
大変前向きの御答弁をいただきまして、感謝を申し上げます。
今回、先ほどの大西先生の御質問にもありましたけれども、東海、東南海、南海の連係した地震が起きたときの津波対策、防災上の観点から、本当に和歌山県も今必死になって準備を続けておられるわけであります。
今回、新宮市や那智勝浦町などが大きな被害を受けております、田辺市もそうでありますけれども。この紀伊半島の南東部に位置する市町村、これはまさに津波の対象にもなり得るところであります。
その一方で、やはり今回も道路が寸断されております。東日本大震災でもわかりましたように、道路はまさに命の道であります。これは大西議員からも御質問ありましたように、災害への備えという意味での道路の重要性、特に高速道路の重要性を指摘させていただきたいと思います。
現在、ミッシングリンクという意味では、和歌山県、紀伊半島は、田辺から南の方は高速道路がございません。皆さんの、先輩議員の御努力で随分と進んできたのでありますけれども、この高速道路はぜひとも整備していかなければならないということを強く申し上げたいと思います。
さらに、大きく防災の観点から申し上げますと、実は、紀北の紀ノ川のところが大きな断層が走っておりまして、ここも今建設していただいておりますけれども、京奈和道路という、これがきちんと整備されますことによって、防災上の観点からも県民が安心することができる。
さらには、実は大阪府の南の方は大きな医療機関がございません。和歌山市内には、県立医科大学附属病院、それから労災病院、さらには日赤病院という大きな総合病院がございまして、大阪南部の皆さんは、ほとんど救急車で孝子峠を越えて和歌山に入られますが、この第二阪和国道が四十年間かかってまだつながっておりません。
防災という観点では、今申し上げましたミッシングリンクをつなぐ紀伊半島一周の高速道路、そして京奈和道路、さらには第二阪和国道の一日も早い完成をお願いしたい。特に後者の二つの道路は、既に国土交通省が平成二十七年度供用開始という心強い宣言をしていただいております。ぜひ、その旨お守りいただいて、前に進んでいただきますようにお願いいたしますが、いかがでしょうか。
○津島大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。
災害時におけます高速道路のネットワーク、この果たす役割については、大変な、東日本大震災でも再認識をされたところであります。
また、今般の台風に伴う豪雨等によりまして、紀伊半島を周回する国道四十二号線が各所で被災され、そしてまた寸断するなど、幹線道路ネットワークの多重性の観点からも、災害に強い高速道路の整備の必要が再認識されているところであると思います。
さて、和歌山県におきましては、近畿自動車道紀勢線、那智勝浦道路、京奈和自動車道路、第二阪和国道の四カ所で高速道路等の整備を行っており、現在事業中の区間につきましては、先ほど委員の御指摘のように、平成二十七年度までの供用を目標に今整備をしているところであります。
今後は、高速道路のあり方検討有識者委員会の緊急の提言も踏まえ、地域の孤立化や多重性の欠如など災害面からの弱点の克服に向け、ミッシングリンクの解消等、引き続き高速道路ネットワークの強化に取り組んでまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。
○岸本委員 ありがとうございます。
大変前向きの御答弁をちょうだいいたしまして、県民も安心をしておると思います。ありがとうございます。
それで、今回の災害では公共インフラも大変な被害を受けましたけれども、農地あるいは林地、さらには水産業施設等におきましても大きな被害が生じております。
和歌山県では、農地の損壊が四十五カ所、それから農業用施設の損壊も三十二カ所、山国で、木の国和歌山でございますが、林地の荒廃が六十二カ所、さらに林道も四十一カ所で被害が出ております。水産関係につきましては、現在漁船あるいは養殖関係は調査中ということで細かい数字は出ておりませんが、少なくとも、水産業の共同利用施設だけでも十二カ所の損害が出ております。
それから、現在の農業をめぐる環境につきましては、森本大臣政務官よく御存じだと思いますけれども、農家所得の低迷、さらには後継者不足の問題、また、和歌山は特にそうなんですけれども、有害な鳥獣による被害が大変大きな状況であります。もちろん、この一、二年、鳥獣害対策は大きな予算をつけていただいておりますので感謝を申し上げるわけでありますが、本当に今、農業、林業、水産業をなさっている方々が四苦八苦で困っていたときの災害の発生でございます。
このようなときに国の方で冷たい扱いを受けますと、後継者がもう出てこない、あるいは、もうこの機会にやめてしまおうかというようなことにもなりかねないと思います。そうなりますと、耕作地が放棄される。まさに国土保全の観点からも、農林水産省として、政府として、手を打っていただきたいと思うわけであります。
例えば、私も主計局で予算を長いことやっておりましたので、予算の体系というのがありまして、こういう被災特例の場合はなかなか補助金というものが出ない仕組みになっておりまして、基本的には共済を使ってくださいですとか、あるいは融資は幾らでも御用意しておりますというような形の仕組みであります。
これはまさに官僚主導で、お役人さんが美しい体系をつくってやってきて、何となく今までそうかもなといってやってきた。特に財務省主計局の主査、主計官が厳しいことを言うものですから、要求官庁がちょっと遠慮をしてしまうということで、今日まで来ているわけであります。
例えば、ビニールハウスやトラクターなどの購入に対しても、被災特例の場合にはなかなか補助はございません。さらに、今リースがはやっております、農協がリースをしようということで、ビニールハウスやトラクターを購入するという場合にもなかなか直接の補助というのは厳しいということであります、これは被災特例という意味でございますが。
それで、きのう、この質問をしようということで質問通告いたしましたら、農林水産省の官僚の皆さんから、やめてくれ、こんな質問はやめてほしい、無理ですよ岸本先生、こんなものを幾ら言ったって補助金にはならぬのです、共済です、融資です、この美しい体系でやるんです、だから質問をされない方がいいですよという御忠告をちょうだいいたしました、いかがなものかと存じますが。
森本大臣政務官、政治家として、ひとつ前向きの御答弁をいただきたいのは、もう一つあります。
これは本当に、耕作放棄地にならせるわけにいかないわけであります。それで、平均年齢も全体上がっております。特に和歌山は高齢者が多いわけでありますから、では、わかった、もうここをあなたたちがやらないんだったら私たちがやります、法人で、農業法人をつくってやります、企業でやりますというようなところが新しく出てきたときも、なかなか、被災特例としては、そういう新規参入に対して、これも残念ながら補助の仕組みはございません。そういう新しく来る方の営農資金あるいは生活資金はやはり融資なんですね。
ここはひとつ官僚主導ではなく、これは与党も野党もありませんよね、皆さん。与党も野党もなく、こういう農業を守っていくという意味での新しい補助制度、被災特例の補助制度を、森本大臣政務官、よく農業のことをおわかりの政務官に、政治家としての御答弁をお願い申し上げます。
○森本大臣政務官 このたび大臣政務官を仰せつかりました森本哲生でございます。どうぞ今後ともよろしくお願いを申し上げます。
そしてまた、岸本委員の熱意あふれる御質問をいただいて、しかし、その前に、先般、七日に田辺と日高川町に大臣命令でお伺いをさせていただいたところでございます。
この被災を目の当たりにいたしまして、お亡くなりの方々の現場にもお邪魔をいたしてまいりました。全員で黙祷をささげて、そして一日も早い今行方不明の方の捜索をお祈りするばかりでございます。
関係の委員の皆様方の御心痛というものは本当に大変なものがあろうかと思います。それだけに、政治はしっかりとこの対応をやっていかなければならない。東日本も見せていただきましたが、それと同等の、河川のはんらんでことごとく農地がつぶされて、この惨状を目の当たりにして、今岸本委員が言われたこの方向は、やはりしっかり政治家として考えなければならないと思っています。
今、この質問はやめてくれということが事実であるならば、私からもしっかりそのことは厳しく申し上げておきますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。
今、被災地の特例というお話もありました。今の段階で、ある程度所得補償ができる制度がスタートをしております。これはもう御存じのことかと思います。ただ、それで、今の日高川の玉置町長が言われた、もう気持ちがなえるんだ、とにかく何とか耕作放棄地がこの町から多くなることだけは避けたいという、本当にもう気持ちから出るお言葉もいただいて帰ってまいりました。
ですから、そうしたことも踏まえて、今議員が申されたそうしたいろいろな方向の中で、農林水産委員会を中心にアイデアも出していただきながら、私どももしっかり対応をしていく。
現地を見せていただいて、委員がおっしゃるその気持ちというものは十分私自身も理解をいたしておりますので、今後しっかり対応をしていく、そのことをきょうはお約束をさせていただいて、私の答弁とさせていただきますので、御理解いただきたいと存じます。
○岸本委員 森本大臣政務官、本当にありがとうございます。政治家としての前向きの御答弁をいただきました。ぜひ頑張っていただいて、政務三役の皆さんで前向きの方向を出していただきたいと思います。
それでは、最後になりますけれども、平野大臣を初めといたしまして政府の政務三役の皆さん、それから、それこそ内閣府の防災関係の職員の皆さん、本当にこの間、昼夜二十四時間、徹夜の日もあったと思いますけれども、対応に尽力されてこられましたことに心より敬意を表しますとともに、さらにお願いを申し上げますが、この機会に、和歌山だけではありません、奈良も三重もほかの都府県も、大変な被害で苦しんでおられる皆さん、東日本大震災もそうでありますけれども、その半年後にまた大きな災害が起きました。どうか被災された皆さんに勇気を与えていただくような、そういう姿勢で今後とも取り組んでいただきますことを心よりお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
本日は、ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、二階俊博君。
○二階委員 先輩、同僚の御配慮で、このたび大変な被災を受けました和歌山県選出の者として質問の機会をちょうだいしましたことを大変感謝いたします。
同時に、平野大臣を初め政府の関係者の皆さんがいち早く災害の現場においでになりまして、関係者を激励していただいております。きょうまた野田総理大臣がおいでになるそうでございますが、これまた関係者の皆さんにとっては心強い限りでございます。
しかし、ただ現場で要請を聞くだけではなくて、先ほど既にお話がありましたが、市町村長を初め地元の関係者が求めておるものは、災害対策に対してやはり迅速な対応をやってもらいたい。それは何よりも激甚災害。私は当たり前のことだと思っておるんです。むしろ、激甚災害に指定しないという何か御意見があれば今政府の側から述べてもらいたいと思うくらいですけれども、まさかそんなことを考えている人はいないと思うんです。
ただ、平野大臣もお詳しいわけですが、災害の総量といいますか、被害額が集まってこないことには激甚災害の指定ができないということですが、私は、きょうは総理大臣がわざわざ現地へ行かれるならば、ちょうどいい機会ですから、総量はなくても、見ればわかるんですよ。森本さんがおいでになって、わかりますよね。これが激甚災害でなければ、何を激甚災害というかという思いです。
ですから、私は、大臣から総理に連絡されて、激甚災害の問題については、事務的なことを乗り越えれば、直ちにこれに対応して早急に復旧に向かって頑張るから皆さんも頑張ってください、このメッセージがなければ、ただいろいろな人がどんどんお見えになる、これは和歌山県も奈良県も三重県も皆一緒ですが、偉い人が来るたびにお迎えが大変なんですよ。ですから、それだけのことを地元にさせる以上は、やはりきちっとした将来の復旧に向けての、よし、これでできるんだと皆が思えるようなことをやってもらいたい。
あわせて担当大臣の御意見を聞いてみたいと思います。
○平野国務大臣 激甚災害につきましてですが、型どおりの御答弁で申しわけございませんけれども、まず災害額が確定して決まるというものであります。
ただ、今、二階委員がおっしゃいましたように、私も現地へ行って感じたのは今回の災害の大きさであります。そういう中で、しっかりとした体制と財政支援と技術的支援、それから国がやるべきものはしっかりやる、そういう体制で臨んでいかなければならないという思いを強くしたことだけは事実でございます。
また、今、二階委員の御質問の中で、やはり地元のあの惨状を目の当たりにしましての、一日も早い復旧をという強い熱意が伝わってきましたので、そのことも踏まえてしっかり対応していきたいというふうに思っております。
○二階委員 今、岸本議員からもるるお話がありましたように、特に那智勝浦町では、町長の御家族が大変ショッキングなことになっております。しかし、私が町長を訪ねますと、町長は直ちに、町長室へすぐ戻るからということでおいでになりまして、御家族のことよりも何よりも、災害復旧に対して国はどう手を差し伸べてくれるか、どう助けてくれるかということを次々におっしゃるわけです。
私は、たまりかねたような気持ちで彼の説明を聞いておりましたが、道路あるいは河川、鉄道、インフラが大変な状況になっておりますから、これらの復旧については、那智勝浦町だけではありませんが、今大臣もお述べになりましたとおり、心情を酌み取って、やはり人間として情のある対応が必要だと思います。
たまたま今回、三重県、奈良県、和歌山県と被災を受けたのですが、これは、あすは我が身ですよ。
先ほど大西議員からも話がありました、昭和二十八年のころの災害を私もお話を聞きながら思い起こすわけですが、これでは、本当に町も壊滅的な状態になり、そして戸締まりができないものですから、男の人は皆夜警に出て、そしてまた、そのそばを牛や馬が流れてくるというふうな、そんな悲惨な状態を、私は中学生でしたが、経験しております。まさか今度のようなことがもう一度襲ってくるとは思ってもみませんでしたが、今日この事態になっておることには間違いないわけです。
そこで、雨が何ミリ以上降ったら避難勧告を出すとか、また明確な技術基準というものをやはりはっきり確立しておく必要があるというふうに思うわけです。気象状況がどのように推移しようとも、それらに関連して大雨警報、洪水警報を市町村にいかに伝達するか、私は、反省の意味も込めて、当局から御説明を願いたいと思います。
○羽鳥政府参考人 まず、台風第十二号の状況について御報告します。
九月三日に高知県に上陸し、その後、四国地方、中国地方をゆっくりとした速度で北上しました。四日未明には、その後、日本海に進みました。
台風は大型で動きが遅かったというのが特徴でございまして、台風周辺の湿った空気が長時間流れ込みました。このため、特に紀伊半島では、気象レーダーやアメダスを用いた解析によりますと、降り始めからの総雨量が広い範囲で千ミリを超え、一部の地域では二千ミリを超えた地域もございます。また、アメダスによる観測によりますと、奈良県上北山村で千八百八・五ミリ、和歌山県古座川町で千百五十二・五ミリなど、多くの地点で記録的な大雨を観測してございます。
この大雨に対して、地元気象台では、九月二日から大雨警報、洪水警報を発表し、さらに土砂災害警戒情報を発表し、県や市町村に伝えてございます。これにより警戒を呼びかけておりまして、さらにその後も、警報に加えて、気象情報の中で二十四時間先までの予想雨量を発表し、記録的な大雨への一層の警戒を繰り返し呼びかけていたところでございます。
このように、今般の台風十二号につきましては早い段階から警戒を呼びかけておりましたが、結果としては大きな災害が発生してしまいました。このため、気象庁としましても、今回気象庁が発表した台風等の情報について、県や市町村等における利用状況を調査、評価し、防災関係機関とも連携しつつ、防災対策に、より効果的に生かされるよう、情報の改善に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○平野国務大臣 今、気象庁長官から御説明がございましたけれども、そういった情報に基づきまして、自治体がどういう避難勧告を出したのか、出さなかったのか。出したとすれば、いつの段階、どういうタイミングで、どういう考え方で出したのか。これにつきましては、私は、今回の被災の状況を踏まえまして、きちっと精査をする必要があると考えております。一部自治体からはヒアリング等を行いまして情報は入っておりますが、いずれこの状況につきましては全体像を明らかにしまして、次の災害に備えるということが大事だというふうに思います。
ただ、一点、今回の被災の中の特徴は、やはり土砂災害が非常に多かったということでございます。この土砂災害につきましてはかなり予想が難しいという問題もございまして、これも含めまして、今回の被災の状況については、今の状況から一段落しまして、復旧復興の姿が見えてきた段階でしっかり調査をしたいというふうに思っております。
○二階委員 先ほど気象庁長官の御説明がありましたが、先般も自民党で政府の関係者のお話を聞きましたが、そのときも、気象庁というのは、まるで気象学を国会へ説明しに来るようなつもりでいろいろ言われるんです。それも大事です。大事ですが、今こういうことが発生した以上、今後こういうことを再び起こさないためにどうすればいいかという考えが全くないんです。
我々は、今、これが終わったらすぐ地元へ帰らなきゃいけない。また地元から山のように要望が集まってくるわけですね。そういうときにどうしようかと言っているときに、今のようなのんびりした気象庁のことではだめですね。いろいろなことを発信したにもかかわらず市町村がそれを十分受けとめなかったということを言いたいんでしょうが、日ごろの訓練がなされていないからだめなんですよ。練習がなされていないんですよ。だから、言ってきたって、気象庁なんという役所と市町村が何か日ごろ会議でもやったことがありますか。
私は、気象友の会という意味なんですが、地球ウォッチャーズというのをつくって、運輸大臣の時代からそういうことの促進を図ってきましたよ。しかし、幾らやったって、これは地元の人たちがそうだと沸き立ってくるようなテーマではありませんから、一生懸命やっておるには違いないんですが、大変効果を上げるというのには難しい仕事なんです。
しかし、大臣もあれだけの御決意を述べられたんですから、我々も協力しますから、これはやはり与党も野党もないんです、みんなで協力して対応しなきゃいけない。
今度、みんなひどい目に遭ったわけですから、気象庁から言ってくることを真剣に受けとめなきゃいけないということになっておると思うんです。例のチリ津波のときもそうですが、チリ津波で、警鐘を乱打して、みんな避難しなさいということを言っているんですが、だれも逃げないんです。まだぴんとこないんですね。それはやはり日ごろから訓練が必要で、逃げない人が悪いとか、市町村の対応が鈍かったのはそっちが悪いんだというようなことを言ったんじゃ、亡くなられた人とか被災を受けた人たちは浮かばれない。
ですから、今後に備えて、この事態を踏まえてどう対応するかということを、これは政府だけではなくて我々国会も一緒になって考えていかなきゃいけない問題だというふうに思っていますから、それは要望だけしておきますが、しっかり対応してください。今のような答弁だけで済むと思ったら大間違いだ。お願いしますよ。
二次災害の防止について一言触れておきたいと思います。
二次災害の防止については、政府も十分対応していただいていると思うわけでありますが、気象状況の見通しあるいは変化が激しいわけですから、これに対して、また二次災害を受けたとき、予想を超えたとか、思わざることであったとか、そういう慰めを言っていただくようなことではなくて、やはり今から二次災害への対応をしっかりやっておかなきゃいけない。
政府はどのような決意を持っておられるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○平野国務大臣 今回の災害は、例えば新宮川の洪水流出、現地で聞いたところによりますと、設計洪水量が一万八千トンだそうです。伊勢湾台風のときには一万九千トンの水が出てきまして、今回は、速報値でありますけれども、二万二千トンという数値の洪水が出てきたということでした。
そうした大量の水とあわせて、土砂災害が頻発したということでございまして、この土砂災害に関連する二次被害がやはり大変心配でございます。そして、まずは土砂災害が現に発生しているところがどういう状況か、これは上空なり現地でしっかり視察をし、見て調査をして、国交省で情報を把握したものについては、今、県に情報をしっかり提供しております。
それから河道閉塞、これは本当に大きな問題でございまして、国交省の方では十二カ所あると把握しております。うち四カ所はかなり大きな河道閉塞になっておりまして、これについては、今、国交省が直轄で調査をして、これからどういう対策をしなければならないかというものを鋭意検討中でございます。
あわせて、この河道閉塞につきましては、今後雨が降るということも想定されますので、それに備えての避難勧告も、避難の指示も出せるように、情報共有を県と国が一体的にやるという体制も今できているというふうに理解しております。現に、昨夜、河道閉塞が起きている下流域の住民についての速やかな避難を国交省の方からお願いしまして、県はそれを受けて迅速に対応したというふうに理解をしております。
こうした体制をしっかりつくって、二次災害の防止に努めていきたいというふうに思っております。
○二階委員 次に、農業についてちょっと伺いますが、既に政務官が現地に入られ詳しく御調査をいただいておるようですから、できるだけ手短にお尋ねをしたいと思います。
今の農業というのは、申すまでもなく、農家所得の低迷、それから後継者の不足、さらには、最近は有害鳥獣の被害等、もうあちらからもこちらからも本当に立つ瀬がないような状況に農業が追いやられていることは御承知のとおりだと思います。そこへ今回の災害を受けたわけですね。
この人たちが再び農業の道で頑張っていこう、そういう力強い第一歩となるような農業対策を速やかに講じることが必要だというふうに思っております。ですから、特に手厚く、さらにきめ細かく、農林水産業に対する対応をお願いしておきたいと思っております。
おいでになられたかどうか、日高町で、水害によってトマトハウスが全壊したとか、ミカン園がなぎ倒されている、農産物に甚大な被害がありました。
また、日高川の漁協で、政務官もおいでになったようでありますが、日本一のアユの養殖生産の施設であります、これが冠水によって全滅の状況にあります。内水面漁業もどうにか緒について、これでやっていけるのではないか、また、都会地からもいろいろな注文をいただいて将来に明るさが出てきたところですが、今度は根こそぎやられてしまったという状況です。
これに対して、昨日、仁坂知事からも、県としても精いっぱいのことをやりますから、これはぜひ再起、再開をいただけるように私からも地元に伝えてもらいたいというふうな話がありました。
森本さんは現地に行っていただいたんですが、その上で、例の東北の大災害と同様の対策を講ずるということをおっしゃったといって地方新聞にはでかでかと出ておりましたが、私は、政務官として大変立派な御発言だと思います。我々はそれをサポートしますから、しっかり頑張っていただきたいと思いますが、今御所見があればお願いします。
○森本大臣政務官 二階委員にお答えをさせていただきます。
選挙区と言ってはおかしいんですけれども、随分広範囲で合併されて、そしてこの町を中心に多くの方々が被災に遭われておる、その惨状は本当に心痛をお察し申し上げる、そんな思いで現地に入らせていただいて、今、アユの施設も一名の方が命を落とされるのではないかというような悲惨な状況でございまして、中も大変な状況でございました。そして、栽培トマトの関係の方もただ茫然と、投資したその施設がもう壊滅的な状況でございまして、河川が幅が二倍以上にはんらんをしてしまったような、そういう悲惨な状況でございました。
特に、町長とともに随分この現地は歩かせていただきました。ですから、そうした災害がこれまでにない大きな災害であるなという実感をさせていただいて、これは何としても全力で事に当たらなければならないというふうな、そんな思いをさせていただいております。
ですから、この日高川の現状、雨量も、十六年の台風と比べれば倍できかないような状況の雨量でございますから、ここのところは、ダムを含めて、いろいろな対策をこれから探り出さなければならないんだろうというふうに思わせていただいております。
そうしたことを踏まえながら、こうした被災に遭われた方々がもう再起不能というような状況にならないような支援はしっかりやっていかなければならないという認識でございますので、この委員会を通じて、また党を通じて、いろいろ皆様方から御支援をいただきながら頑張っていく所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
ただ、もう一つ、この今の災害を含めますと、二階議員はもう大先輩でございますのでよく御存じかと思いますが、私は、今の森林の生態系を失った我々のツケというものは非常に大きいというふうに理解をいたしておりますので、こうした対策も含めて、ここが有害鳥獣のもとにもなっておりますので、すべてをもう一度原点から見直す必要もあるという認識で帰らせていただきました。
○二階委員 今、政務官の有害鳥獣に対する言及もございましたが、これはなかなかまだ御理解をいただけない都会出身の議員もおるわけですが、あの地方、特に人口の少ない、早く言えば過疎地、こういうところの農業を高齢者の皆さんが一生懸命やっておる。特に、お年寄りのおばあさんがトマトだとかキュウリだとかナスビだとかというのを一生懸命つくっておって、自分が幾ばくか食べて、残ったものを農協へ持っていくとかというようなことをして生活費の一部にされておるんでしょうが、そこが、もうちょうど取り入れにいいなという熟してきたころに、必ずあの連中が出てきて、食べたりいろいろしておるんです。たまたま電気がばっと野菜にかかるようなところは、やはり電力のそういうことは野獣どもにとっては怖いものですから、そこは食べないんですね。
ですから、何か知恵を絞って、経済産業省なんかと、太陽光とかいろいろなことも活用して知恵を出して対応しなきゃ、私は、前に法律をつくるときも言ったことがあるんですが、あの走り回っておる動物に、頭の程度の負けないような法律をつくったりして対応しなきゃ笑われちゃいますよ。もうみんな引っ越しして、どこか都会の方へ逃げていこうかと言っておられる人も随分あるんですよ。そのことを思えば、これはちょうどいい機会ですから、このチャンスにその鳥獣の問題もしっかり対応していただきたい、これは要望しておきます。
次に、高速道路等のネットワークの促進につきまして、先ほど民主党の有力議員からそれぞれ御意見があったことを大変力強く思うんですが、同時にちょっと不思議にも思っておるんです。
せっかくやろうと思って、今回の被災を受けた新宮市や那智勝浦、紀伊半島の南東部があるわけですが、これがもう通行不能になっておったわけですが、那智勝浦道路が被災後の救援、復旧活動において極めて大きな活躍をしておるわけです。しかし、今から少し前に民主党のいろいろな方々がこの地にやってきて、無駄な公共事業だとか、こんな人も余り通らないところへ道路が必要かとか言って、まるでこれは、この地方に住む、人口が減少する地域に住む人たちに対してこんな失礼な言動はないんですよ。それを言って、言いっ放しておって、そのことに対して何か反省がなきゃだめですよ。
今、岸本さんから大変御親切な話がありましたが、我々南の地域に住む者として、一生懸命やって、東京や大都会近郊の道路をやることの十倍も百倍も労力が要るんですよ。ようやくこの御坊―田辺間というのも、七百四十五億を投じて二車線を四車線化にしましょうということを決定したんですよ。そうしたら、民主党の内閣が出てきましたから、今のようなお話から総合すると、もっと促進していただけるものと期待しておったら、直ちにこの道路は無駄な道路だからやめましょう、コンクリートから人への時代ですよというふうなことを言って、道路をやめてしまったんですね。今まで一生懸命やっておったことを民主党政権によってほごにされてしまったと地元はみんなが思っておるんですよ。
そういう状況の中で、どんどんと今新たな方々が被災地へおいでになって、道路は必要だとか言われるんですが、びっくりしちゃうんですね、そういうことを急に言われると。その前に、総理でもだれでもが、党を代表する立場から、こうした乱暴なことを言って歩いた、ラッパ持って言って歩いたんですよ。だれが言ってきたかと言えといったら、みんな名前言ってもいいですよ。
そういうことをしておいて、今災害だから一緒に解決しましょう、与野党みんなよろしくひとつ協力をと言われても、本当ですかと聞きたいんです。ですから、やはりだれか責任ある者がそういうことに対する反省の弁を述べる必要があるわけです。
コンクリートから人へということを大きな旗印にしまして公共事業抑制を続けておったわけですが、コンクリートに代表される公共事業、自然災害から国民の生命財産を守るという意味で大変不可欠なものであり、東日本大災害においても、そのことの重要性、福島の原発においても、もう少ししっかりした防災の対応をしておく必要があったのではないか、そういう意見を持っておられる方々もおりますが、私も、そういうことに対して、もう幾らかを支えるだけのことができたのではないかというふうな疑問を持っております。
今回の台風におきましても、公共事業軽視に対する大きな警鐘であるというふうに地元は受けとめておりますが、これは大臣の今後これらに対する対応についてお考えがあれば述べていただきたいし、これに対して、やはり、野田総理大臣がきょうは和歌山へ行かれるなら、大変ですね、大変ですねと言ってくれるだけじゃなくて、何で大変になったのかということから、今後こういうことに対して再びこういう目にみんなを遭わせないために政府としてこうしますというものを言いに行ってくれなきゃ、ただ見に行って頑張ってくれるだけでは我々としては極めて物足りないと思っております。
大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○平野国務大臣 コンクリートから人へというのは我々民主党が掲げたスローガンでございます。
私は、公共投資については、従来から、必要なものはつくるという、これまた抽象的な表現で恐縮ですけれども、つくるべきだという主張を申し上げてきました。
しかし同時に、二階委員を前に釈迦に説法のようなことを申し上げて恐縮ですけれども、この国は、日本は今、新幹線、高速道路、飛行場、大変な社会資本ストックがあります。これからその社会資本ストックが徐々に更新の時期を迎えてくる。この更新の費用だけで大変なお金がかかってまいります。その更新をしなければ地域社会が成り立たないという中で、厳しい財政事情の中で何とか予算を捻出してこの資本ストックをきちっと後世につながなくちゃならない。である以上、新規の投資については、これは私はできるだけ抑制的であるべきだという考え方を持っておりました。
ただし、今回の大震災、特に東日本大震災の中で、私も現地もつぶさに、また何回もお邪魔して、これは岩手県、私の出身地でもございますけれども、やはり道路の必要性というのは特に認識を新たにしたというのは事実でございます。
紀伊半島の三県、これから復興構想会議を立ち上げるというような構想もあるようでございます。その中で、地域の復興に向けた構想の中で、災害に強い体制づくりの中で、こういった道路についてもきちっとした議論がなされるのではないかというふうに思います。
○二階委員 それでは、観点を変えて、医療問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
今回の大災害に際して、例えば那智勝浦町なんかでは、病院が井戸水を活用できるということで、随分それが役に立ったようであります。
もう一つは、今大臣もお述べになりましたが、患者さんが病院へやってくるときの道路問題がありますね。
この道路問題も、幸いにして、新宮や勝浦の病院へ患者さんがお越しになるときの対応は準備できておった、こういうことがありますが、今後、非常のときに備えて、病院における、井戸水をどう活用するかということについてもやはり対応しておかなきゃいけないのではないか。
水の問題を考える場合に、いろいろやり方があろうと思いますが、一番簡単な、井戸水を準備しておくということ等含めて、厚生労働省が専門的なお立場から非常時の病院の運営に際して何を考えておかなきゃいけないか、整理されているものがあればお話しいただきたいと思います。
○唐澤政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘のございましたように、那智勝浦町にございます二つの病院につきましては、九月七日の夕方まで断水が続いておりました。そこを、受水槽の活用や給水車による給水のほかに、井戸水の活用ということで診療が継続できたというふうに承知をしております。
この病院の水の確保でございますけれども、私ども厚生労働省におきましては、平成二十三年度、今年度の厚生労働科学研究におきまして、病院に対するアンケート調査を実施しております。六千の病院を調査いたしまして、受水槽を持っているという病院は九四・八%、御指摘のございました井戸を持っているという病院は二四・一%でございました。
こういう観点から、災害時の医療機関の水の確保、特に東日本大震災におきましては、広範囲の停電、断水、こういうことが生じまして、医療機関の診療機能の確保ということが問題になりました。
このため、私どもでは、七月から災害医療等のあり方に関する検討会というものを省内に設けまして、医療機関の水の問題、これは、災害拠点病院では非常に大量の水を使用いたしますし、しかもまた高純度の水を求められるというような点がございますので、その中の重要な論点といたしまして、現在検討を進めているところでございます。
ここでの議論を踏まえまして、私どもが法律上持っております医療計画の見直しの中に、この災害医療についての検討会を踏まえまして、新たな指針を提示して医療体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○二階委員 常日ごろの備えが大事でありますから、厚生労働省におきましても、全国の医療機関に対して、しっかりした指導、あるいはまた、連絡したけれども向こうがぴんと反応しなかったというようなことのないように、日ごろの訓練もあわせて、よろしくお願いをしておきたいと思います。
次に、災害が起こるたびに、医療船の問題がお話としてあちこちに起こってまいります。私も、このことの必要性は前々から感じております。すぐ、大量の患者さんを治療できるわけですし、あるいは食料も運べるわけですし、それからおふろにも入ってもらえるわけですから、この医療船なんかが極めて大事なことはもう別に論争する必要はないわけですが、これも、話としては起こるんですが、災害がおさまりますと、この話もおさまっちゃって、どこかへ行ってしまうわけです。
例えば、海の新幹線とも言われたテクノスーパーライナー、これなんかも、日本の造船技術の最高の水準を達成した立派な技術だと私は思っておりますが、これも東京都と小笠原とを行き来するということでありましたが、ごく何人かの人の御判断でこれはそれに活用しないということで、今、この船は三菱造船所で休んでおるようであります。そうしたところ、先般の東日本の大災害に際して、あのテクノスーパーライナーに出てきてもらおうじゃないかという話になって、これは大変な活躍をしたということを聞いております。今回も、災害が起こるとこの問題も出てまいります。
時間がありませんから長々申し上げませんが、このテクノスーパーライナーと病院船等を組み合わせる、そのためには防衛省にも協力してもらう、もちろん厚生労働省、そして他の省庁も動員して、もちろん船の関係ですから国土交通省、英知を結集すれば私は道が開けるというふうに前々から判断しておるんです。
テクノスーパーライナーというのは、御存じの方もいらっしゃると思いますが、今ので大体四十四ノット、時速八十キロ、ですから、大変なスピードで現場に急行できるという強みを持っているんですね。防災船、災害対策の船として日本がこういうものを持っておる、そうすれば、日本の近海といいますか周辺のそれぞれの国で何かが起こったときに、直ちにこの船が直行できるというふうなこともあるわけですから、私は、このことをもう少し、どこの部署でおやりになるかは別として、政府としてお考えをいただければありがたいと思うし、私どもの立場からも、この問題に対してさらに追求といいますか推進を図っていきたいというふうに思います。
次に、世界遺産の問題が言われております。
世界遺産の熊野那智大社が大変な被害を受けていることは、もう皆さんが新聞、テレビ等で御承知のとおりであります。聞くところによると、あすかあさってに中川文部科学大臣がおいでになるとかということを聞いておりますが、いずれにしましても、電話が途絶しておるような状態でございます。
私は、昔の時代にあったような早馬でも準備して、何か連絡があったら上から走ってくるとか下からまた上へ連絡するとかしなければ、この神社そのものが孤立状態にあるんです。土をかぶって、土砂が入っているわけですね。これに対して、取り除けばいいようなものですけれども、これは文化庁の御指導をいただかなきゃ、それは砂一つさわっちゃだめだということで怒られちゃいます。
そうして文化財を今日まで守ってこられたんですから、私はそれに対して何も言うつもりはありませんが、こうした文化財、世界遺産、この対応に対してもっとしっかりした対策を講じなければ、宮司さんとか地域の人たちにだけ責任を持たせるのは荷が重過ぎますよ。これに対してのしっかりした対応をやってもらいたい。観光庁長官もお見えになっておりますから、御意見があればあわせてお述べをいただきたいと思います。
○吉田政府参考人 今回の台風十二号によりまして、多くの文化財に甚大な被害が生じております。とりわけ、先生御指摘の熊野那智大社では、社殿の裏山からの土砂崩れによる大きな被害がございましたり、あるいは那智の大滝では、景観全体に対する異常ということではございませんけれども、文覚の滝が消滅するなど、被害が生じているところでございます。
文化庁としては、被災自治体との連携を図りながら、まずは被害の大きい熊野那智大社に早急に専門家を派遣いたしまして、状況の把握と、それから被害の拡大防止のための応急措置につきまして指導助言の支援を行う予定でございます。
また、今回の災害は広範囲にわたっているところもございますので、文化財につきましても、私どもとして、幾つかのチームを編成いたしまして、迅速な対応を行ってまいりたいと思います。
また、その先には、文化財の本格的な復旧、こういった局面を迎えてくるわけでございますけれども、これにつきましても、専門的あるいは技術的な指導助言、さらに復旧についての財政的な支援、そういった万般にわたりまして、復旧に向けましての万全を期してまいりたい、このように考えております。
○二階委員 これは、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思うんです。
世界遺産だということで鳴り物入りで宣伝がなされておりますから、多くの観光客が押し寄せております。そこへこういう事態になったものですから、宮司にしても関係者にしても、手の施しようがないところで茫然としておるという状況ですね。そして、きのうヘリコプターで食料を運んでいただいた。
何にしても、災害がきのうかおとといに発生したみたいな話になるんですよ。文化庁はこれは大変大事な宝物だと思っておるんでしょうから、これに対する対応をもっと、若い人でも何でもいいから、現地はもう想像を絶するような状況になっておるんですから、中川大臣が行ってきて大変だぞと言って帰ってくる、我が方の谷垣総裁も近く参ります、そんな人が来てやんや言われて文化庁が立ち上がるようなことではなくて、災害が発生したら直ちに、問題があることは頭でわかっているんだから、もっとしっかりした対応をしていただきたい。これは要望だけにしておきます。
ごみ処理が言われておるんですが、これに対しても、環境省が随分しっかりした対応をしていただいているようですから町村長もこのごろは大変安心しておるんですが、ごみ処理を思うと、東北の皆さんには申しわけないが、東北のごみの状態を思い出すわけですよ。これはいつ解決するのかということになる。それらを思うと、これもしっかりした対応をしていただきたい。
答弁は要りませんが、最後に一つ。
これからボランティアの出番といいますか、皆さんにいろいろなお願いをしなきゃいかぬことになりますが、ボランティアは市町村や地元でいろいろな対応ですけれども、ボランティア全体がうまく機能していただくための対応を、やはり国として何らかの手厚い対応といいますか、御苦労さんという気持ちをどう出すか。それも含めて、これは大臣に要望だけしておきます。
時間が参りました。大変、皆さんの御協力や、全国からちょうだいしております激励の言葉やいろいろな義援金等につきまして、県を代表して心から御礼を申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、田野瀬良太郎君。
○田野瀬委員 質問の前に、奈良県の地形をちょっと説明するんですけれども、御承知のように、紀伊半島のど真ん中に、海のない県でございます、芋形で奈良県がございます。その北部の二割が奈良平野とか奈良盆地とか言われておりまして、百四十万人の県民の約九割が住んでおります。残りの八割は、非常にしわの深い急峻な山岳地帯でございます。ここに大体奈良県の人口の一割が住んでおります。
今回、平野部も山岳部もほぼ雨量は一緒なんです。ところが、平野部は全く被害が起こっておりません。すべて山岳部ですね。全山岳部がやられてしまいました。被害に遭うております。
その山岳部の八割のところを選挙区とする私と、先ほどトップバッターで質問された大西さんと共有する選挙区でございます。そんなことで、こうして私も質問の機会をいただいて、理事の皆さん方、委員の皆さん方に大変感謝申し上げますし、奈良県の災害を中心にちょっとこれから質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
先ほど申し上げた、平野部には全く災害はない、山岳部のみに被害が集中しておる。それも、全くワンパターンなんです。水害を起こすんだったら、むしろ平野部が起こすんです、川は山岳部から平野部に流れていますから。全く問題ないんです。山岳部の谷筋、川も、実は雨量では全く問題ないんです。あれだけたくさん降ったとはいえ、問題ないんです。何であれだけの災害が起こったかというと、さっき大臣がおっしゃったように、全部山の崩落なんです。土砂なんですね。すべてそうだと言ってもいいと思います。
大体、谷筋に道が走っていますね。川が走っておる、道が走っておる、そして集落が張りついておるんですね。そこへ土砂が裏山から、あるいは向かいから来るんですね。そして、道を崩壊させ自然湖、ダム湖、さっきは難しいことを言うておりましたが、私は自然湖とかダム湖とか言いますけれども、それを起こす。それで、上流に住んでおる人は下へおりてこられない。今、蟄居状態の部落がいっぱいあります。そして、もちろん、山の崩落で押しつぶされた家屋もたくさんございます。
それから、山の崩落が向かい側まで水とともに来た部落もございますけれども、山の崩落が川の真ん中ぐらいまで来て、流れが変わって迂回して、そして三十メーターも川より高いところまでやられておるというところもあります。三十メーターまでどさっと水が流れてくるんですね。それで部落が押し流されるというような、実に全部山の崩落なんですね。
昔、私も伊勢湾台風で経験しました。私も吉野川沿い、川筋で生まれ育ったんですけれども、河川がはんらんして実に大変な水害に遭うて、高校時代でございましたが、実に長期間、泥上げの奉仕活動をしたものでございますけれども、今回はそんなんじゃないんです。山の崩落で全部やられています。
こういった昨今の山の崩落事故を何とかとめない限りは、いつまでたってもイタチごっこになると思うんですが、山の崩落を起こさない、あるいは起こる原因は何かというようなことを、大臣、調査なり原因究明したり、起こさない方法を何か突き詰める、そういう研究をしたことがあるのかどうか、まずそれを聞かせていただきたいと思います。
○平野国務大臣 田野瀬委員がおっしゃいますように、私も一日しか現場に行っておりませんし、しかも、現地を歩いたということではなくて上空から見たという限りなんですが、今回の災害の特徴はやはり土砂災害だというふうに思っています。
この土砂災害に関して若干のコメントをさせていただきますと、和歌山県側の土砂災害というのは、どちらかといいますと渓谷もしくは谷筋の中で小さな土石流という形で起こっている例が多くて、奈良県側につきましては、どちらかといいますと円弧すべり面といいますか岩盤崩壊といいますか、大きくえぐられるような土砂崩壊が随分あったのではないかなというふうに思います。
この土砂崩壊のメカニズム等につきましては、国交省さんを中心にいろいろ検討されておると思いますけれども、今回は本当にあちこち起こっているという意味において、先ほど避難勧告等々の調査をやるということを申し上げましたけれども、あわせて、この土砂崩壊の今回のメカニズム、それから今後の対策等々についてしっかり検証するということも必要ではないかなというふうに思います。
○田野瀬委員 大臣、土砂災害を起こさない方法を一遍研究してくれませんかね。一遍、どこかの大学にでも調査させたらいい、研究させたらいいと思うんですね。
私はきのう、それこそ私の住まいする五條からずっと十津川村へ入りまして、十津川村の役場へ行きましたらちょうど知事もおりまして、村長ももちろんおりました。それで、忙しい合間でございましたが、その話に集中しまして、とにかく最近山が弱っておる、山へ入ったらもう安全なところはないんだ、後ろから落ちてくる、向こうから落ちてくると。
きのうも、その道すがら大塔村の宇井というところへ行ってきたんですが、対岸から落ちてきた土砂が水とともにこっちの部落へどんと押し寄せてきて、村の半分、家をとっていかれてしまった。そのほんの十メーターほど離れたところで何とか難を逃れた奥さんやら御主人と話をするんですけれども、身震いがいまだにとまらないといいます。もうこんなところにとても住みたくないと。集会所もやられた、どこが安全なんだ、安全なところは一つもないというんですね。とにかく、土砂の崩落だけはとめる方法はないのかと。
それで、知事と村長とも随分議論をしたんですけれども、とにかく山が弱っておる、何とか崩落をとめる方法はないのかといって大分きのう、大体皆さん経験談、経験値での話でございます、学者でも何でもないので。
大勢集まってきて議論するんですが、せめて、あるとすれば、最近の山は、木が売れないから間伐も枝打ちも何もしていない、山の手入れは一切していない、山はほったらかしだと。間伐もしないから山がうっそうとしていて、そして山にお日さんが差し込まない、お日さんが入らないから草木が生えない、だから地肌がむき出しになっておる。雨が降ったらたちまち、地肌むき出しですので、真っ茶な泥水がばあっと川に流れ込んだり、水がどんどん浸透していって、先ほど大臣が言われたように、本当に大きくえぐられていますね。上の表土だけがざあっと滑り落ちた現場が幾らもありましたけれども、かなり大規模にやられておるのは、水が浸透して、要は、山が手入れされておらないのが大きな原因だという皆さんの意見でございました。
そこで、それをとめる方法、その浸透をとめたり、地肌がむき出しにならないように、お日さんが差し込んでそして草木が生える。先ほど二階先生が鳥獣被害を言われておりましたけれども、うちの村々もイノシシ、シカ、猿が闊歩しています。住んでおるのはお年寄りですから、みんな、猿の集団が来たら怖いものですから家へ逃げ込むんです。逃げ込んで、そろそろ猿が逃げたかなと思って出ていったら、いっぱいキャベツやらキュウリやらトマトを抱えてだあっと走っていく。情けない限りや、生きる気力もない、こう言うておりますね。草木が生えると、実なり何かがあって、鳥獣も山からおりてこないんです。
そういうことで、実に山が荒れておるというか、手入れしないのが大きな原因だという結論に実はきのうなって、さすればどうしたらいいのかということですね。
だから、川があって、道があって、部落があるところの谷筋はせめて、谷川の斜面を国策で徹底的に間伐を先にしてしまう、枝打ちも全部してしまう。あるいは、針葉樹林、杉、ヒノキというのは最近大きくなってきて、五十年生、六十年生、戦後間もなく植えましたから、しかも針葉樹というのは根が浅いらしいですね。だから、重さでどさっと、この間、余り風は吹かなかったんです、大雨でしたけれども。ちょっとした風でもどさっと倒れておるんです。それが崩壊することによって川へ土砂と一緒に流れ込んで、その巨大な木々が下流の橋にかかって、そして橋が流されるという例がいっぱいあるんです。
だから、まず一つの方法として、人が住んでおる谷川の斜面を優先的に全部間伐してしまう、あるいは、斜面側に根の張るあるいは保水能力のある広葉樹林を徹底的に植えていく。広葉樹林というのは、新緑の五月になると物すごくきれいですし、秋には色とりどりの紅葉がきれいになりますので一石二鳥ですね。谷川に広葉樹林を植えるか、早急にできなかったら、間伐をそこを先にやってしまうという方法はどうかという話を随分しながら、結論としてそうなったんですけれども、現場の経験値でそういう発想をする皆さんと役所の考えと随分違いますか。いかがですか。
○皆川政府参考人 お答え申し上げます。
今、田野瀬委員御指摘のように、適切に管理された森林というのは極めて保水能力が高くある、また、土砂の流出防備をしっかりとできるということが言われております。また、その際大切なのは、やはり適切な管理という中に間伐の促進というのが大変大事だということも、私どもと認識は一致しております。
そのために、ことし森林法を改正いたしまして、間伐が早急に必要なところについては、ある程度、例えばその方ができなくてもほかの方に代行ができるとか、市町村長が関与して要間伐森林をもっと的確に間伐ができるようにするというような措置も含めて、森林法の改正もさせていただいたところでございます。
それから、例えば針葉樹のお話、委員御指摘ありましたけれども、私ども、学術会議の方で、針葉樹と広葉樹においてどれだけ保水能力が違うのかということについてもお調べいただいたことがございますが、適切に管理された針葉樹であれば、その保水能力等については大きな差がないということは、学術会議の答申の中には入っております。
ただ、やはり山の中で、当然に、針葉樹だけではなくて、多面的な機能をさまざまに発揮させるためには、針葉樹の間に例えば広葉樹がまじったような複層林というような形を造成していくということについても効果があるということも立証されておりますので、そういった森林整備等についても、今回の災害状況に対してどうするかということもあわせて、現場ともよくお話し合いをさせていただきながら、森林整備をより徹底化するという御指摘は全くそのとおりだと思いますので、そういった方向で努力をさせていただきたいと思います。
○田野瀬委員 大臣、今の話ですと、この話は、大方やはり現場の話と原因が一致していますね。これは、林野庁だけに任せてもとてもできないと思うんです。国土保全、あるいは道路を守る。一年間川が澄まない川もあるというんです。上の方で崩落しておるから、それがぼじょぼじょ流れてきて、最近の川は一年間澄まない。ずっと汚れっ放し。昔では考えられないことだといいますね。一年間汚れっ放しの渓流がいっぱいあるんです。
ですから、これは一に林野庁だけじゃなくて、国を挙げて、それこそ大臣中心になって一遍プロジェクトチームを組んでいただいて、崩落を起こさない、防災担当大臣ですから、災害が起こったのをどのように処理するかという話もそれは大事でしょうけれども、災害を起こさないという観点で、これを一遍徹底的に議論してもらったらどうかなと私はつくづくと思います。
これは、災害が起こって、これから莫大なお金が要りますね。激甚災害に申請して、えらい金がかかります。そのお金と、谷筋を間伐して山崩れを起こさないお金とどっちが高いのか。それも一遍、大臣、考えてもらったらどうでしょうかね。山をきれいに整備することによるお金の方がはるかに私は低いと思いますね。
どうぞ、大臣、御意見があれば。
○平野国務大臣 田野瀬委員からいろいろ御指摘がございましたけれども、いわゆる針葉樹と言われる杉、ヒノキ、これを植林した後、間伐もしない、枝払いもしないという状況になりますと、はた目から見ますと緑豊かな山に見えますが、一歩山に足を踏み入れますと、さいの河原になっているということがよくあります。これはもうまさに委員御指摘のように、密植して、枝払いをしないことによって日陰ができてしまう、日陰ができることによって下草が生えない、下草の生えないところに雨が降ると表土が流される。
一方であわせて、針葉樹は、委員御指摘のように根が横に張っていきます。広葉樹は縦に張るというふうに一般的にはよく言われているところでありまして、そういうところで、山の手入れをしないがために土砂崩壊につながるということは、多分これはもう明らかなことだろうと思います。
私は、今回の土砂災害につきまして、山の状況がどうなっていたのかということも今回の調査の大きなファクター、要素になってくるんだろうというふうに思います。その結果を踏まえて、どういう山の手入れをすべきか。やはり結論は、恐らく、間伐、除伐をしっかりやるということになると思います。
ちなみに、紀伊半島の山林の九六%、場合によっては九八%くらい、民有林でございます。民有林でありますから、山林の地主さんの方がそういう山の手入れをするようなインセンティブ、これは林業振興ということにもかかわってくると思いますけれども、そういった観点からの検討も進めてまいることも必要かと思います。
いずれ、山をしっかり手入れするということが治山治水につながるという、まずその原則に立ち返るということが、私は今の段階では非常に大事ではないかというふうに思っております。
○田野瀬委員 それでは、その観点でぜひ一遍調査、検討していただきますように、これは林野庁のみに任すのじゃなくて、国家、国土保全ということでひとつ取り組んでいただきたい、このように思います。
それから、これもきのうの十津川村役場での話でございますけれども、村長は何が今一番かなわぬのや、どないしてほしいんかと聞いたら、とにかく道路だと言いますね。きょうは道路局長にお越しいただいておりますけれども、とにかく道路だと。道路さえちゃんとしていただいたら、それでとりあえず生活できる、道路があちこち不通になっておりますので生活できないと。
今ようやく、先ほどから大西議員への答弁にもありましたが、緊急車両が通れる鍛冶屋橋、五條市内の一番南の方の辻堂というところの鍛冶屋橋が、谷を渡しておる橋に土石流が来て埋まってしまって不通になっております。それを、砂利を撤去して何とか緊急車両だけは通れるようにはなっておるんです。きのう私も行ってきましたけれども、通れるようになっていますね。自衛隊やら警察やらみんな通っていました。
それが通れるようになったので、救援物資をどんどんどんどん運んできてくれているというんです。米やら握りやらいろいろな食料を運んでくれて、それぞれ蟄居状態の村々に配って、みんなそれは喜んでくれていると。しかし、それよりもどれよりも、それを通していただいたら、我々、そんなもの買い出しに行くというんです。一々物資を持ってきてくれなくても、それさえしたら、自立してちゃんと町へ買いに行くんだ、それよりも道路を通してくれと。
それと、十津川村で三十人ほど、透析を二日か三日に上げずしておるのは、行けないものですからよその町に住んでおるのです、透析する町に。何とか早く帰りたいと透析患者も言うておりました。
とにかく、十津川村は今、五條市の辻堂という、これは皆さんなかなか地形はわからないでしょうけれども、五條から十津川村、南部に入る、五條は十津川村と境にしておりますけれども、そのちょうど境あたりの辻堂というところをとめられております。あと一つ、和歌山との県境の折立というところで橋が飛んでしまいました。村々はそれぞれ、あちこちで県道やら村道が崩落していますから蟄居状態ですけれども、村全体が今身動きがとれない状態なんですね。
とにかく、橋の崩落はそう簡単にいかないとしても、緊急車両が通れるんだったら、せめて村民だけでも緊急用ということで通してくれないかというのが、今十津川村の最大の願いですね。どんどんどんどん通っておりました。
私は実は、緊急車両じゃないから、辻堂というところで一遍とまって、そこまでは五條からの車で、とまって、そこでその橋を歩いて渡って、そして十津川村から迎えに来てくれた車に乗り込んで今度は役場へ行ったんです。そんな状態で、今、乗り継がないと行けないんです、歩いて渡らないと。それをちょっと十津川村の人を通してあげたら、そんな一々救援物資を持ってきてくれなくても、みんな自分で生活していくんです。
そんなことで、道路局長、ぜひ辻堂の、今、土砂が埋まったのも撤去してありますから、緊急車両はどんどん通っていますから、これはせめて村民証でもあったら。
しかも、百六十八号線は、緑と水を求める一種の観光道路でもあるんです。そんな観光に来る車は今一台もおりません。村人が行き来するだけなんです。これもある意味では、病人が出て北の方へ行ったり、村人がこれを通りたいというのは緊急車両です。生活のために通るんです。緊急車両として十津川村の村民だけでも通してやるということぐらい、道路局長、きょうはひとつここで宣言してくれませんか。
○菊川政府参考人 お答え申し上げます。
田野瀬委員から先ほど御指摘があったように、今回の道路災害というのは、基本的には土砂崩壊の影響なんです。かなり大きな土砂崩壊、深層のものもありますし浅いのもあるわけですけれども、御指摘があったように、道路は大体皆谷筋を走っているというようなことがあるものですから、至るところで途絶しているということでございます。
お話があったように、辻堂の場所を私も見てまいりました。これは相当大きな崩壊でございます。したがって、今、自衛隊の方で、林道を使った迂回路、これは多分二十キロぐらいの迂回だと思います、これを一応確保しているというところでございます。
ただ、今、先生御指摘のように、緊急車両が一部走っているかもしれませんけれども、あれは上の方からまだかなり水が出ていますね。ああいう状態で本当に安全に通せるかどうかというのは、砂防の専門家、こういった方々としっかり検討した上で、どんなふうな形で復旧できるのかというのをやはり確認しないと、二次災害のおそれもあるものですから、その辺は、これは県が管理している百六十八号でございますので、県、あるいは今申し上げた砂防の専門家、こういった方と十分慎重に検討して結論を出していきたいというふうに思っております。
いずれにしても、今お話があったように、十津川はいろいろなところで途絶しておりますので、できるだけ早く一般車両が通れるような形になるよう、工法を工夫したり、あるいはルートを工夫したりというようなことで、国交省としても、近畿地方整備局は被災直後からリエゾンを派遣したり、あるいはTEC―FORCEも行っております。また、大臣の御指示で、県と一緒になって道路復旧の支援チームというものも立ち上げました。そういった場も使いながら、できるだけ早く一般車両が通れる道を確保するという形を実現すべく、努力をしていきたいというふうに思っております。
○田野瀬委員 実は、百六十八号線、百六十九号線が不通になるのは今に始まった話じゃない。四六時中、ちょっとした雨でも崩落して、一年のうちに三カ月ほど不通になっているでしょう。百番台の国道でそんな国道は一線もないでしょう。多分ないと思います。これは全部、もう完全に整備されています。百六十八号線にしても百六十九号線にしても、整備されていないところが崩落しておるんです。整備されているところは、ちゃんとトンネルも走っているし大きな橋も走っているし、ほとんど崩落はない。大体、整備されていないところが崩落を起こしておるんですね。
とにかく、今に始まった話じゃなくて、実は百六十九号線、崩落事故を三、四年前に起こして、今直轄代行でやっていただいているトンネル、何とその奥の上北山村と下北山村が八十日、蟄居生活を送ったんです。みんな、しまいには気が狂いそうになったんです。そこで幽閉されて、どっちも行けませんから。
恐らく、私は、十津川もそのうちにそうなってくると思うんです。これは、南の、二階先生の新宮も行けない、北を向いて五條も行けないということで。
そんな状態で、あのとき、国土交通省の道路局、それから県の土木部、あれは国から行っている土木部長でした、とにかく返ってくる話は、安全だ、危険だ、安全をまず確保せないかぬ、二次災害は起こさないと。安全、安全ばかり言っている。村民の生活は完全に頭から欠落しているんですよね、大体こういうときは。とにかく調査してと。
では、調査するのはいつするんやと言ったら、一週間後にどこかの学者が来るとか気楽なことを言っているんですよ、そのときも。随分私も経験しました。これは歯がゆい限りでございます、事故を起こしたときに。調査をするんだったら、徹夜でもしてほしいんです、地元は。一日も早く開通させてほしい。今は、緊急車両はどんどん走っているんですから。
私、十津川村からずっと五條を向いて辻堂のとまっておるところへ来たときに、ガードマンにちょっととめられました。十台ほどとまりました。私一台だけです、歩かないかぬところを行ったのは。あとは全部緊急車両で、通っていますよ。
だから、せめて村民ぐらいは、ましてや十津川村出身の前田武志国土交通大臣ですから、恐らく大臣に相談したら通してやれと言うはずですよ。だから、村民に村民証か何か渡してあげて、村民だけでも通る。
そして、村長はさらに言っていました。もし、危険があるんだったら、そこへガードマンを出せというなら村役場で出すと。それも、夜中まで通す必要はないです。あるいは、一日に何時間と限ってもいいです。この時間からこの時間まで通せるということであれば、みんな村民は計画を立てて買い出しに行くんですよ、あるいは病院に行ったりするんです。見通しの立たない状態で通さないというほど罪な話はないんです。
だから、局長、そんなもの、ちょっと前田武志国土交通大臣と相談して、村民が通るのは緊急車両だ、こういう判断で、ぜひそういうふうにしてもらえるように、ひとつきょうは強く要望しておきたいと思います。早速県と検討していただいて、ちょっといい返事を下さい。はい、よろしく頼んでおきます。
それから、さっき大臣からいろいろ御答弁がありましたので、もういろいろ言いませんけれども、ライフラインですね。例えば、一つ一つ、わかりやすいので十津川村の例を挙げますと、水道も電気も電話も全部まだ半分。夜もみんな真っ暗やみの中で生活しています。
特に、私は疑問に思うんですけれども、まず何が欲しいかというと、情報を欲しいと言っています。有線電話がつながらないのは、電信棒が折れていますから、電気が来ませんからそれは仕方ないとしても、早いところ携帯電話だけ何とかできないのかというのが切実な願いで、これはもうさっき、大臣、一生懸命やっておるということを聞きましたので、とにかくライフラインの回復を早いところしていただきたいと思います。
それから自然湖、私はダム湖ともさっき言いましたけれども、きょうの新聞にも、奈良県と和歌山で二万七千人避難しておるんです。いつその自然湖がなくなるかわからない、見通しの立たない状態の中、雨のたびに避難させられたんじゃ、それはかなわないというんだ。朝から電話がかかってくるのに、市も全部避難させられていますから。
それで、きのう村長に聞いて、そんなもの、あんた、村じゅうの建設会社を集めて、そのダム湖のところへ行って穴を掘って、水をぼちぼちぼちぼち流したらええやないかと言ったら、いや、そんなこととても村では力がありませんと。これは県もないと思います。とにかく、国が来て、早いところ水を抜いてほしいと。ぼちぼちぼちぼち抜いたら、決壊するおそれはないんですから。早くしてほしいと言っておりました。雨のたびに避難させられたんじゃ、それはたまったもんやないと思います、その下流は。
きょうの新聞には二カ所と書いてありますが、いっぱいあります。これは奈良県でもあっちこっちで起こっています、黒滝村も天川村も。あっちこっちですから、早いところ水を抜いてあげてください。これから雨のたびに避難させられたんじゃ、それはたまったもんじゃないので。それはとても、村や県にせいと言ってもようしません。国が早いところ行って、そして、きょうは国土交通省が避難せい言うて避難させられたと言っていますけれども、避難させるのが仕事じゃなくて、早いところそれを解決するのが仕事ですので、水さえ抜けばいいんです、水さえ。
これは山古志村の村長さんは大分それで苦労したと聞いていますけれども、先生、ちょっと一遍指導してあげてほしいと思います、早いところ抜く方法を。これから見通しが立たないですから、そのたびに避難させられたんじゃたまったことじゃないので、それをよろしく頼んでおきたいと思います。
それから、さっきもう二階先生がおっしゃってくれましたので、激甚指定ですね。もう一つはっきりしたことを大臣は言いませんでしたけれども、数値も集めてちゃんと書類で指定する日はちょっと先になるんでしょうけれども、激甚災害に指定すると言うてあげたら、村も県も市も心置きなくだだっと工事をやっていくんです。ところが、国が何ぼ持ってくれるんやら県がどれだけ負担するのやら、わけがわからぬ状態でなかなか工事は進まない。激甚災害にするんや、こう言うてもろうたら、緊急を要するところからどんどんやれるというんです。
ですから、きょうはもう一遍、二階先生に悪いですけれども、当然こんな大きな災害は激甚災害にします、そう言うてあげたら、みんな一気に動き始めますから。それをちょっと言うてください。書類そろえるのは後でもええですから、それだけ言うてもろうたら。
○平野国務大臣 激甚指定につきましては、大変恐縮ですけれども、型どおりの答弁で繰り返しになってしまいますけれども、まず被害額の確定がないとできないということになっております。
しかし、これも繰り返し申し上げますけれども、今回の災害、私も、役所時代も含めて幾つかの台風現場、豪雨地帯の現場を見たことがございますけれども、これだけのスケールでの土砂災害が起こっている例というのは見たことがございません。それぐらいの深刻な状況だということであります。ですから、今必要なことについては後のことを心配しないでやれということを、ぜひ委員からも町、村、県の方に言っていただきたいというふうに思います。
ちなみに、河川、河道閉塞について一点だけ申し上げさせていただきたいと思います。
あそこは、高いところで河道閉塞が起きているところがあります。つまり山の途中でですね。ですから、そこに資材を運ぶ道路がまずないということ。それから、土砂崩壊によって河道閉塞が起きていますから、二次災害が起こるかもしれないということ。あと、土そのものが物すごい水分を含んでいるはずであります。普通の機械が入ったとしたら沈むおそれもあります。
そういったことを勘案しながら、今、国交省の中ではいろいろな検討をしております。例えば、遠隔操作できる超湿地のブルドーザーを入れるとか、そういうことで検討しておりまして、迅速性もやりながら、しかし地域の特殊性も勘案しながら、まず水を抜くということについての準備を鋭意進めているということだけは御理解をいただきたいというふうに思います。
○田野瀬委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、そうしたら、激甚災害やるからどんどんやれと言いますので、それでひとつ対応してもらうように、よろしく頼んでおきます。
では、終わらせていただきます。
○吉田委員長 次に、西博義君。
○西委員 公明党の西博義でございます。
初めに、緊急に、このようにして災害対策特別委員会を開催していただきました委員長初め理事の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。
ふるさとが生んだ偉大な詩人佐藤春夫が、「空青し山青し海青し」、このように詠んだ紀伊山脈、紀伊半島、豊かな自然があるわけですが、今回、台風十二号で本当に大きなつめ跡を残し、また大変な被害を受けることになりました。
初めに、このたびの台風十二号によりとうとい命を亡くされました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
私も、日曜日、月、火、水と四日にわたり、紀伊半島、さまざまなところに被災地を訪ねてまいりました。また、さまざまな要望も寄せられました。
先ほど平野大臣の冒頭発言にあったように、行方不明の被災者がまだ大勢おられます。捜索にまず全力を挙げていただきたい。
それから、被災地では、水、電気などのインフラがまだ回復していない。したがって、電話も不通のところもまだたくさんございます。水、食料の救援物資を十分に届けていただきたい。道路、鉄道の復旧、土砂崩れダム湖の早急な解消、そして、次の台風に備えて、決壊した堤防の仮復旧を早急に、さまざまな要求を私もいただきました。
同時に、激甚災害、先ほどからもたびたび議論になっておりますように、この指定を速やかに行っていただきたい。
これら緊急を要する事項について、ぜひとも早急な対応をお願いしたいと思います。
また、政府においては、速やかに特別交付税の交付を行うとともに、第三次補正予算にもこの台風十二号関連の災害対策費用を十分確保するように要望したいと思いますが、大臣並びに総務省の関係者の御答弁をお願いいたします。
○平野国務大臣 まずは、行方不明者の捜索、こういったことに重点を置きつつ、ライフライン等の復旧について全力を尽くす、これが今、自治体、そして政府、一体となって取り組まなければならない課題だというふうに思っています。
その上で、これからさまざまな費用が必要になってまいりますので、特別交付税の交付等々につきましても、総務省とも連携をとりながら、自治体がさまざまな復旧作業あるいは通常の行政を運営する上で支障が生じないような措置、これをしっかりとってまいるということは大切なことだというふうに認識しております。
○米田政府参考人 お答えいたします。
ただいま平野大臣からもお答えいただきましたとおり、被災地方団体、これから応急対策、復旧対策で大きな財政負担が出てまいります。総務省といたしましては、それらの地方団体の財政運営に支障がないように、地方債、地方交付税で措置をしてまいりますけれども、当面、この団体の資金繰りが一番大きな問題になってまいりますので、現在、普通交付税の繰り上げ交付について検討を行っているところでございます。
以上でございます。
○西委員 復旧復興に支障のないように、十分な措置をお願い申し上げたいと思います。
次に、仮設住宅、文化財等についてでございます。
今回の台風十二号による水害で、住宅が流されたり、それから床上浸水、これも背の高さ以上の大変な浸水が各地で起こっているわけですが、多くの家が住めない状況になっております。仮設住宅として、公務員宿舎、UR賃貸、雇用促進住宅、公営住宅等の公的住宅の提供を初め、みなし仮設住宅としての民間賃貸住宅の借り上げ、そしてプレハブ建設の応急仮設住宅など、被災者に対する住宅の確保を早急にお願いしたいと思います。
あと、熊野那智大社、那智の大滝などの文化財についての被害ということを質問に予定していたんですが、この件については二階先生に今十分な答弁をいただきましたので、このことについては省かせていただきます。
厚生労働省から御答弁をお願いいたします。
○清水政府参考人 今回の台風十二号に関しましては、警察庁調べでも、住宅全壊だけで百三棟といったような大きな被害が発生してございます。これらの被災者の方々の当面の居住の安定を図っていくということは重要でございます。
現在、被災地の各県におきましては、応急仮設住宅がどの程度になるかという検討を行っているところでございまして、私どもとしては、よく県と調整してまいりたいと考えてございます。
また、その過程におきまして、応急仮設住宅の建築ということだけではなくて、既存の民間賃貸住宅その他の恒久的住宅の借り上げという御希望がございますれば、御相談に応じてまいりたいと考えてございます。
雇用促進住宅について申し述べますならば、台風十二号の被災県から、雇用促進住宅に被災者の方々を入居させたいというお話があった場合には、提供する方針でございまして、現在、被災県のうち、三重県、それから和歌山県と調整をしているところでございます。
厚生労働省としましては、被災者の方々の支援に尽力してまいりたいと考えてございます。
○西委員 ありがとうございます。早急な対応をお願いしたいと思います。
次に、瓦れきの処理について。これも先ほど議論が若干ありました。
今回の川のはんらん、それから土砂崩れで大量の瓦れきが発生をしております。この処理費用については、現行の廃棄物処理法が適用されると国庫補助率は五割ということになりますが、東日本大震災と同様の補助率への引き上げをすべきではないかというふうに思います。また、小規模な災害であれば五割補助で対応できる場合もあるんですが、今回のような大きな災害では、市町村の財政負担を超えてなかなか対応できないという状況が生じてまいります。
大きな災害が起きるたびに特別措置法で対応するのではなくて、瓦れき処理の費用に関しては、災害規模に応じて財政的な支援ができるように、災害基本法や廃棄物処理法等を改正して一般ルール化すべきではないかということも、あわせて御答弁をお願いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 災害廃棄物の処理に係ります通常の国の支援につきましては、先生御指摘のとおり、国庫補助率は二分の一、そして残りの地方負担分の八〇%について地方財政措置を講じている、こういうふうにしているところでございます。
これまで特別な対応を行ったものとしましては、阪神・淡路大震災では、住宅の大規模な倒壊等の甚大な被害が発生したことから、地方負担分の九五%について地方財政措置を行うといった拡充措置を行ったところでございます。
さらに、東日本大震災におきましては、空前の大規模津波により膨大な災害廃棄物が生じたことから、特例として国庫補助率のかさ上げを行うとともに、地方負担分につきましても、災害廃棄物処理事業が多額に及ぶ市町村について、その全額を災害対策債により対処することとし、その元利償還金の一〇〇%を交付税措置する、こういうふうにしたところでございます。
今回の台風第十二号に伴う災害廃棄物の処理に係る財政措置を考える上におきましては、まず、環境省におきましては、被害規模等の状況をしっかり把握する、これが大前提だというふうに考えておりますし、これを早急にやってまいりたいというふうに考えております。
○平野国務大臣 那智勝浦町にお邪魔させていただいたときに、これは先ほども申し上げましたが、ちょうど那智の滝に行く道路があるんですが、道路に沿って住宅があります。その住宅地域一面が河道になった、そこを水が流れていった、そういう状況であります。さらに、上から大きな土砂がごろごろ転がってきているという中で、流木がありますし、それからあと、家庭内からぬれたさまざまな家財道具等々が出されて、これが使えなくなっている。
それから、これも先ほど申しましたけれども、車の結構な台数がちょうど東日本大震災の津波のような感じであちこち放置されているという状況の中で、瓦れきの処理ということは、少なくとも、那智勝浦町一町に限ってみても結構な費用になってくるなということは、私の肌で感じました。
こういったことも踏まえまして、まずは今環境省で現状の把握に努めておりますが、いずれ、自治体が復旧する上で財政的に困らないように、そういった支援はしっかりとっていく必要があるというふうに考えております。
○西委員 市町村の規模それから被害の状況等さまざまな違いがあるかと思いますが、十分その辺のことを勘案した上で対処をお願いしたいと思います。
次は、災害に強い病院づくりということです。
これは二階先生もお触れになられた内容と若干かぶるのですが、今回、災害拠点病院である新宮市立医療センターで、断水のために備えている貯水槽の水を使って対応していたんですが、貯水量が少なくなって診療に影響が出ている、こういうお話がありました。貯水についてどのような配備をすることになっているのかということ、それから配備基準をきっちりつくるべきではないかというふうに思います。
厚生労働省では、災害医療等のあり方に関する検討会で、災害拠点病院の整備基準を大幅に見直す作業に入っている、こういうふうなお話を聞いておりますが、施設の耐震化のほかに、水、食料、医薬品等の備蓄、電気、通信手段等が確保されるように財政的な支援を強化すべきではないか、こう思いますが、厚生労働省の見解をお伺いします。
○唐澤政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘のございました、災害拠点病院でございます新宮市の市立医療センターでございますけれども、断水が続いている中で、給水車による給水などを御活用いただきまして、御努力いただきまして診療を維持しているとお聞きしております。
現在の災害拠点病院の要件でございますけれども、これは平成八年に決めておりますが、救急医療に必要な耐震構造でございますとか、水、電気のライフラインの維持機能を持つとか、応急医薬品等を備えるということで定めておりますけれども、比較的大ぐくりな定め方になっております。
そういうことで、私どもの方では、東日本大震災も受けまして、七月から災害医療等のあり方に関する検討会を設けております。
具体的には、今御指摘のございましたように、例えば水の確保、それから自家発電機、これはどのくらいの能力を有するべきか、あるいは通信回線、これは衛星電話などの確保も考えるべきじゃないかということ、それから食料、医薬品等の確保の問題、こうした問題につきまして現在検討を行っております。
年内に取りまとめを行いたいと考えておりまして、災害拠点病院の指定要件の見直しを行うとともに、必要な支援についても検討してまいりたいと考えております。
○西委員 東日本の大震災、今回の台風、さまざまな経験を経て、災害拠点病院の役割のまた欠けている部分というのは、さまざま教訓を得たわけですから、充実した対応をお願い申し上げたいと思います。
次に、避難勧告等の発令基準についてお伺いします。
台風十二号に伴う大雨による土砂災害などの犠牲者が出た地区には、タイムリーな避難指示や勧告が出ていないところが残念ながらあったように伺っております。中には、通信手段が断たれたというケースもあったというふうに聞いています。
被災した自治体は、まず、避難勧告等の発令基準を定めていない自治体と定めている自治体がございます。定めていない自治体では、なぜ基準を定めることができないのか。また、避難勧告等の発令基準を定めている自治体では、なぜ勧告が発令されなかったのか、またおくれたのか。それぞれの体制、運用及び手段等の問題が考えられます。
この問題については、平成十三年十一月、当委員会で既に議論が行われておりまして、そのときには、全国の市町村で二割程度の策定ということでございました。その後、平成十七年三月、避難勧告等の発令の判断に資するようにガイドラインがまとめられましたけれども、その結果、平成二十一年十一月現在でも、発令基準策定済みの市町村は四六%であったというふうになっております。策定中というのが四〇%。十分な対応とは言えない状況でありました。
気候の大きな変動や東日本大震災、今回の深層崩壊などを踏まえると、この避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを早急に見直さなければいけないと思います。既に決めているところも、改めてもう一度検討する必要があるのではないかというふうに思っております。
そして、発令基準の策定が技術的、人的に困難とする自治体に関しては、都道府県や国が支援する体制を組んででも考え方をまとめていかなければいけないのではないかというふうに思いますが、この点についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○平野国務大臣 今回の災害に際しまして、地元の被災自治体が避難勧告を出したのか出さないのか、出した場合につきましては、どういうタイミングで、どういう時期で、どういう出し方をしたか、その結果として地域住民はどのような行動をしたのか。こういったことについてはしっかり、今回の災害復旧にある一定のめどがついて、自治体が落ちついた段階で調査をすることが大事だというふうに思っています。それらを、これからの避難勧告等の発令基準を定める上でのガイドライン等々に反映させたいというふうに思っています。
さらに、今、委員から御指摘がありますように、自治体によってはまだ発令基準が決められていないという自治体がございます。今回の災害等々も踏まえまして、そういった自治体につきましては、早く避難勧告の基準を定めるように私どもも自治体に強く働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
○西委員 発令基準と同時に避難場所等も、やはりこれだけの、今まで想定しなかった、今回の台風も、雨量の面でも、これはかつてない、我々が考えている以上の降水量があったというふうに思うんですが、そういうことも含めて、新たに再度見直しをするという覚悟でそれぞれの自治体が取り組むことが大事だ、こういうふうに思っております。
今回の台風が過ぎて私も各地を回らせていただきましたが、一つは深層崩壊、もちろん表面の崩壊もたくさんあるわけですが、これによる土砂崩れ。土砂崩れは、当然、そこに生えている、紀伊半島の場合は植林が整備されていますからほとんど人工林が多いんですが、そういうものが一緒に川に流れ込んでくる、このことが一つの大きな特徴です。この流木によってせきとめられた川のはんらんということも、これは大きな災害の原因となっております。
一方で、中小の河川は立派な頑丈な橋ができているんですが、この橋によって流木が全部せきとめられ、後から流れてきた土砂がそこに埋まり、そして河床がどんどんどんどん浅くなって、それであふれ出す、これが共通した中小河川の被害の状況だというふうに思います。中には、十数メートルあった河川があと二メートルしか残っていない、こういう状況の河川もございました。
つまり、この山崩れ、深層崩壊、それから流木対策、これをやはり抜本的に考えていく必要があるのではないか。どこに橋をかければ、こういうことが起こっても被害が最小限に食いとめられるか、もしくは、ここはもう少し橋の高さを上げた方がいいのではないか、真ん中に橋脚を建てることが邪魔になるのではないか、さまざまな観点から、これから道路行政等についても考えていく課題があるのではないか、こんなことを考えているわけでございます。
今後の課題について、国土交通省から御説明をお願いしたいと思います。
○津島大臣政務官 今の深層崩壊についてでありますけれども、過去の発生事例から得られております情報をもとにいたしまして、深層崩壊の推定発生頻度に関する全国マップを昨年の八月に公表したところであります。そして今後は、深層崩壊が発生するおそれのある斜面を把握し、対策に資するよう、崩壊機構の解明のための調査研究の推進を図る所存でございます。
一方、流木対策でございますけれども、この件につきましては、林野庁とも連携しつつ、砂防事業において、流木どめを設置する工事を各地で実施しているところであります。
台風十二号におきましても、大量の流木が発生しておると認識しておるところであります。被災地におきまして、流木による被害の拡大を防止できるよう、実態を調査し、都道府県に対し技術的な支援を進めていく所存でありますことを御報告いたします。
○西委員 先ほど申し上げました中小河川における橋の位置、また橋の設計の仕方、このことについても十分対応をお願いしたい、このように思っております。
今回の災害で、和歌山県、奈良県などで多くの集落が孤立いたしました。
例えば、和歌山市から、甚大な被害をこうむった新宮市、那智勝浦町に向かうには、大きく分けて二つのルートがあります。田辺市まで行って内陸部を通るルート、それからもう一つは海岸線をずっと回っていくルート。大臣は、この間は串本を経由して海岸線をずっと行かれたというふうに思いますが、このうち内陸部を通るルートは、今回は土砂崩れのために大きな被害を受けて、主な幹線はいまだに遮断をされたままになっております。
ところで、これらの地域は、東南海・南海地震とその津波に襲われる可能性がまた高い地域でもあります。大震災が発生した場合には内陸部のルートは地震で利用できなくなるというおそれも、今回の災害で十分経験をいたしました。海岸沿いのルートは、これは逆に今回は大丈夫でしたけれども、今の予想でも、津波の場合はもう明らかに各地で寸断される、そういう感じになっております。今回の台風十二号以上に和歌山県南部では多くの集落が孤立して、救援活動、復旧復興が大きくおくれてしまう懸念があるわけでございます。
こんな状況を踏まえて我々は高規格幹線道路の整備を進めてまいりましたが、残念ながら、先ほどからお話がありましたように、政権交代によってその動きがとまっております。
高規格幹線道路の整備に関しては、その必要性についてどのように認識をしているのか、お伺いをしたいと思います。もし必要ということであるならば、政府はぜひともこの機会に積極的に整備を進めていただきたいというふうに思うわけです。
八月一日、我が党に、東海・東南海・南海地震による超広域災害への備えを強力に進める九県知事会議ということで、尾崎高知県知事がおいでになりました。その際、この対応について要望を受けた上で、私たちは、党として、党の東海・東南海・南海地震による超広域災害対策プロジェクトを発足して、対策の検討に入っております。
この高規格幹線道路の整備も含む九県知事会議の政策提言が実現をするように取り組んでいきたい、こう決意をしているところでございますが、防災担当大臣の決意を伺って質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○平野国務大臣 災害に強い地域づくりということもこれからの大きな課題になってまいりまして、これは全国的な課題になると思います。それを検討し対応していくに当たって、緊急時の道路、これをどのように確保するか、それから、道路が崩壊したときにどういう対応をしていくか、こういったことも全体計画の中できちっと位置づけて検討していくことも大事だというふうに思っています。
さらに、東海、東南海、南海のいわゆる南海トラフの巨大地震でございますけれども、これにつきましては、今、その発生のメカニズムということについて専門家で議論を始めております。あわせて、中央防災会議の専門委員会では、東日本大震災の津波、地震の発生のメカニズム、それからあと、どういう対応ができてどういう対応ができなかったのか、こういったことの検証も進めておりまして、この検証も踏まえまして、東南海の三連動の地震に対しての対策等々についてもしっかりとした検討を進めることが大事だというふうに思っています。
その場合に、東海・東南海・南海地震による超広域災害への備えを強力に進める九県知事会議の政策提言、これもいただいておりまして、先ほど委員からも御紹介がございました。こういった提言もしっかり踏まえながら、これを大切にしながら、県と地域と国という連携の中で対策を構築することが大事ではないかというふうに思っております。
○西委員 済みません、国土交通省も御準備いただいていると思いますので、よろしくお願いします。
○津島大臣政務官 高規格道路のミッシングリンクの解消につきましては、地域の活性化等に資するとともに、地域の孤立化や多重性の欠如など災害面からの弱点を克服するためにも必要なものと認識をしております。災害に強い国土の実現を図るため、高規格幹線道路のミッシングリンクの解消等による道路ネットワークの強化に取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○西委員 時間がほぼ近くなってまいりました。
私もまたこの災害の復興のために全力で頑張りますが、政府の関係者の皆さんの本当に復旧に対するお力添えをよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉田委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
九月三日から四日にかけて四国、中国を縦断した台風十二号は、西日本から北日本にかけて広い範囲で記録的な大雨をもたらしました。とりわけ、紀伊半島で甚大な被害をもたらして、死者五十四名、行方不明者五十四名と深刻な被害が広がっております。
私は、まず初めに、今回の災害でお亡くなりになった方々に心からの哀悼の意を表するとともに、被災されたすべての皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
我が党は、地方議員を先頭に直ちに現場に入りまして、被災の状況をつぶさに調査してまいりました。医師、看護師、保健師の派遣など医療体制の確保、あるいは電気、水道、電話などライフラインの復旧等々、課題は山積をしております。一刻も早い孤立集落の解消や新たな土砂崩れ対策、住民の避難など、二次災害の防止に万全を期すことが求められております。
激甚災害の指定ということも含めて、まず平野大臣にその御決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○平野国務大臣 今回の台風第十二号に関連しての災害、大変大きな災害となっております。まずは、先ほど来申し上げているとおりでございますけれども、まだ五十人を超える行方不明者がおられる、その方々の捜索救助に全力を挙げるということがまず第一でございます。
それからあと、孤立集落がまだございます。そこの孤立集落を解消すると同時に、そこにおられる方々への物資等の供給をしっかり進める。それから、ライフラインの復旧、これも急がなければなりません。さまざまな課題がございまして、自治体と国一体となって今回の災害に対応してまいりたいと考えております。
激甚災害につきましては、先ほど来申し上げているとおりでございますけれども、災害の額の特定を待って、これが発動されるかどうかが決まってまいります。ただ、今回の災害は本当に非常に大きな災害であるということだけは、私も強く認識しているということでございます。
○宮本委員 私も現場を見てきましたけれども、本当に甚大なものですので、しっかりとお願いをしたい。
次に、河道閉塞、いわゆる天然ダムとか土砂ダムと呼ばれるものについて聞きます。
これまで十二カ所で確認をされ、このうちの、奈良県の十津川村と五條市、それに和歌山県田辺市の四カ所は決壊の危険性が高い、こう言われております。
昨年成立した土砂災害防止対策法の改正で、土砂ダムなど高度な技術を要する土砂災害については、国が緊急調査を実施することができるようになったばかりであります。国交省として、既に危険な状態にある土砂ダムの水位を二十四時間監視して、避難勧告の判断などが適切にできるように情報を逐次提供することにしているようでありますけれども、排水作業の具体化を早急に進めるなど、二次災害を防ぐ対策に万全を期すことは当然だと思っております。
これは国交省の事務方で結構ですので、具体的にどういう対処をしようとしているのか、御答弁願います。
○関政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘のように、現在、奈良県及び和歌山県におきまして、台風十二号に伴う豪雨によりまして十二カ所の河道閉塞の発生を確認しており、これに関する調査の結果、四カ所の河道閉塞につきましては、決壊に伴う土石流の被害のおそれがあるということで、九月六日に、御指摘のように土砂災害防止法に基づきます緊急調査に着手し、この調査の結果、土石流が発生した場合に被害が想定される区域等が昨日明らかになりました。
これに基づきまして、国土交通省といたしましては直ちに、避難勧告等の自治体の判断を支援するため、近畿地方整備局長から、関係県の知事様それから市町村長にあて、土砂災害緊急情報を通知させていただきました。この通知を受け、対象地域では避難指示等の発令が図られたところでございます。
あわせまして、この地域につきましては、救助活動をされているいろいろな機関がございます。こういった関係機関にも、二次災害の防止という観点からも周知をさせていただいたところでございます。
そういった状況を踏まえ、今後でございますけれども、湛水池あるいは上流の水位を観測するための水位計、河道閉塞の状況、あるいは土砂が埋塞している、こういった状況をしっかり監視してまいらなければなりませんので、カメラの設置等の監視観測体制をしっかり構築していくということをまず考えております。既に進めているところでありますが、今後、こういったものをさらに構築してまいります。そして、得られた情報につきましては関係機関と共有いたしまして、避難等の対応や周辺での救助活動の安全確保等を引き続き支援してまいりたいと思います。
また、御指摘のように、今後の具体的な対策でございますが、さかのぼりますと、平成十六年の中越地震あるいは平成二十年の岩手・宮城内陸地震でもこういった状況が発生してございます。こういった河道閉塞への対応実績を参考にいたしまして、関係県と協力しまして、ポンプによる湛水の排水、排水路の確保、安定的に排水が行われるようにこういった確保、あるいは堆積土砂の安定化等、応急対策について現在検討を進めているところであり、こういったものを実施に移していきたいというふうに考えております。
○宮本委員 そういった対策を行う費用の負担でありますけれども、私どもは本当に、今のこの災害のもとで、その費用負担についても国がしっかり責任を持って対応すべきだと思っておりますが、これは、平野大臣、よろしいですか。
○平野国務大臣 災害復旧、応急復旧も含めてでございますが、それに対しての費用負担については、激甚指定あるいは局甚指定等々を含めて制度が用意されております。あわせて、自治体負担が過度になれば、例えば総務省さんが特別交付税についての措置をするとか、こういった措置については今までやってきたとおりでございますけれども、こういった措置をフルに活用して、かつまた、今回の場合の被災の大きさにかんがみて、さらに措置が必要であれば必要な措置をとる、こういう姿勢で臨んでいきたいというふうに思っております。
○宮本委員 次に、大滝ダムのある奈良県川上村迫地区で起きた土砂崩れについて取り上げたいと思います。
私も、九月七日に川上村の土砂崩れ現場に伺いました。私が見て感じた限りでありますけれども、ここで起きた土砂崩れは、長さ五百メートル、最大でも幅二百メートルにわたるものでありまして、きょうは皆さんに写真をお配りしてあります。資料一を見ていただきたい。
山腹の大半が大きく崩れて、大量の土砂と水が写真中央部左右にある国道を越えて、下に見える大滝ダムにまで流れ込んでおります。この大滝ダムはまだ本格稼働しておらず、貯水率は約二割となっておりますけれども、その水面に流れ込んだだけでなく、ダム湖内に木が根から水底に突き刺さって立ったままになっている、こういう状況でありました。
現場からわずか五十メートルほど離れたところの飲食店の経営をしておられる方に話を聞きましたけれども、土砂崩れのときの様子、ゴーという、まるで飛行機が落ちてくるような不気味で大きな音がしたので外へ出てみたら、国道の橋になっている部分がダム湖の水面で円を描きながら沈んでいくのが見えた、地震のように地面が揺れ動いていた、こう話しておられました。
これは国土交通省に聞くんですけれども、今回の土砂崩れとダム建設による地盤への影響についてどのように見ておられるか、お答えください。
○関政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘の大滝ダムにつきましては、建設に際し、ダム本体を設置し、そして水をためることになるわけですけれども、この湛水が及ぼす影響という観点から事前の調査を行いまして、現在、地すべりが発生するおそれがあると考えられる箇所につきまして必要な対策を講じているところであり、一部では完成をしているという状況にございます。
御指摘の、今回台風十二号によりまして川上村の迫地区で発生しました土砂の崩壊につきましては、今回の台風十二号により他の箇所で発生した土砂災害、こういったものを含めて見ますと、極めて大量の、多くの雨、降雨に伴って発生しました深層崩壊に起因する土砂の崩壊であるというふうに見ているところでございます。
○宮本委員 そういうことであれば、実はこのダムは、試験湛水を行ったことによる地面や家屋の亀裂ということがこの間問題になってきた場所なんですね。
今回崩落したこの場所というのは、地すべり対策を行っている場所ではないんですけれども、そういう点では、徹底的に国土交通省と奈良県で調査を行って、改めて万全の対策を国の責任においてとる必要があると思いますが、国土交通副大臣、お答えいただけますか。
○奥田副大臣 お答えいたします。
川上村迫地区を含めた奈良県内の土砂災害対策については、これまでも奈良県が中心になって進めてきたところであり、今後も、県を中心として進められていくべきものと考えております。
国としても、今回の災害の大きさにかんがみ、奈良県に対し最大限の支援を行い、土砂災害が発生した箇所による再度災害の防止を図り、地域の安全、安心の確保に努めてまいるつもりであります。
また、国の方の支援というのは、先ほど局長の方から、土砂災害防止法の改正に伴う支援を行っているということの説明をさせていただきましたので、省略をさせていただきます。
○宮本委員 この地域というのは、大滝ダムをめぐって随分歴史があるわけですよ。そういう点では、国との信頼関係ということもありますから、しっかりと国が対策をとっていただきたいと思うんです。
あわせて、国道百六十九号線についても申し上げなければなりません。
資料二につけてありますけれども、これは先ほどの崩落現場のさらに接近した写真でありますけれども、今回の土砂崩れで国道百六十九号線は橋梁ごとダムに水没をいたしました。そして、この道は、奈良県奈良市から川上村を通り和歌山県新宮市に至る一般国道であり、村にとっては命綱とも言える重要な道路です。
今回の土砂崩れ現場のすぐそばには村役場もあるわけでありますけれども、私は副村長から、一刻も早い復旧と安全対策を切望する声を聞いてまいりました。
この道路の重要性や川上村が置かれた状況にかんがみれば、国の責任でこの国道百六十九号の復旧と安全対策を行うべきだと思うんですけれども、これは、平野大臣、お答えいただけますか。
○平野国務大臣 国の責任ということが、国主体、国直轄でやるかどうかということでございますれば、これは国交省から御答弁いただくのがよろしいかと思いますが、いずれにせよ、こういった被災については、国と自治体が情報を共有し合ってしっかり対応していくというのが基本だと思います。
○関政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど先生がお示しになりました土砂の崩壊箇所、そしてその下にはまさに国道、県管理の国道でございますが、国道があり、その橋梁が流失したところでございます。
当該箇所の復旧、特に緊急対策、それから本格復旧に当たりましては、土砂の対策と橋梁という両方の側面があることから、基本的には、先ほど申し上げましたように、県が中心になって進められるというふうに考えておりますが、進めるに当たっては、私どもも既に緊急調査に入ってございまして、橋の復旧及び斜面の対策というのを一体的に進めるという非常に困難な、技術的にも非常に高度なものが求められますので、国としても積極的にそういった調査に協力し、県を全面的に支援させていただきたいというふうに考えてございます。
○宮本委員 もう時間が参りましたけれども、最後に、これは私の方から奈良、和歌山両県にも伝えたことでありますけれども、これからたとえ電気が通じてテレビなどが映るようになりましても、例えば視力障害者や聴覚障害者など、いわゆる情報弱者と言われる方々がどの地域にもいらっしゃいます。東日本大震災でも今ごろになって、そういう方々が取り残されたということが問題になっておりますけれども、こういったいわゆる情報弱者と言われる方々への特別な配慮が必要だというふうに思っております。
こういった被災地の要望に最大限にこたえる、こういう平野大臣の御決意を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○平野国務大臣 今回の災害に関しましては、医療体制の確保とか、ライフラインの早期復旧、それから情報弱者への特別な配慮等、こういったことが喫緊の課題だというふうに思っております。
特に情報弱者につきましては、今回の被災の中でも情報がしっかり行っているかどうか、多分行っていない地域も多々あったろうと思います。こういった状況についてはしっかり把握するとともに、今後の対策に役立てていくということが必要だというふうに思っております。
○宮本委員 終わります。
○吉田委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正です。
質問も最後になりました。もしかして重複する部分があるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
まず、質問に入ります前に、今回の台風十二号の災害により亡くなられた方に衷心より御冥福をお祈り申し上げます。また、被災されたすべての方々に心からお見舞いを申し上げます。
政府におかれては、行方不明者の捜索救助活動に全力を挙げて取り組んでいただくこと、また、週末にかけて再び近畿地方で大雨が降ると予想されていることから、せきとめ湖の決壊や新たな土砂災害に万全の体制で臨んでいただくことを要請し、質問に入ります。
今回の台風十二号は、各地で記録的な豪雨が観測されました。死者・行方不明者が百人を超える甚大な被害が発生しました。減災という観点から、いかに避難を安全かつ迅速に行うのかが問われていると思います。
そこでまず、連絡、通信手段についてお尋ねをいたします。
今回の災害では、通信網が寸断され、避難勧告を出そうにも連絡手段がなく、断念した自治体があります。衛星携帯電話の配備など、非常時に確実に使える通信網の整備拡充を急ぎ、防災情報の伝達、提供の迅速化、確実化を早急に全国で図ることが必要と考えますが、この点について大臣のお考えを尋ねます。
また、今年度予算で、地域防災力向上支援事業として、衛星携帯電話並びにその充電設備の整備に対し、二分の一補助で二億円余りが盛り込まれています。進捗状況はどうなっているのか、また、この予算で十分なのか。
さらに、通信手段が途絶する可能性の高い自治体の多くは中山間地域などに位置しています。財政状況も厳しい、そういう自治体が多いのだろうと思うんですが、補助率の引き上げが必要ではないかと考えますが、この点についてはいかがお考えか、お聞かせください。
○平野国務大臣 災害時におきましては、言うまでもなく、被害状況や対応状況についての情報収集、それから住民に対する災害情報の伝達などを的確に行うことが重要でございまして、この情報をもとにして避難勧告等々が出されるということについては御承知のとおりでございます。
今回の被害に関して言いますと、防災行政無線、こういったものが流されたり、それからあと、通常の電話回線が途切れて連絡がとれなくなったところがあります。そういったところについては、総務省がいろいろ努力いたしまして、携帯無線電話等々の配付もさせていただきました。
これから、こういったことに備えまして、情報がしっかり伝達できるように、例えば携帯電話無線等々の整備ということについてはしっかり取り組んでいく必要があるというふうに思います。
委員御案内のように、この携帯無線電話につきましては、平成二十三年度から地域防災力向上支援事業に基づきまして、これは二億円の予算を計上しておりますが、約一千台を供給しようということで用意をしております。しかし、残念ながら、今のところ自治体からの要請は一件もございません。私どものこの制度に対してのPRが不足しているということがまず大きな理由だと思いますけれども、あえて申し上げれば、自治体の危機意識もちょっと薄いのかなという感じがいたします。
今回の被災を契機に、防災無線、情報の伝達の必要性、情報をつなぐ、情報を送るということの必要性を再度認識しまして、この制度の活用方につきまして自治体にしっかり訴えていきたいというふうに思います。
さらに、補助率の問題につきましては、これから自治体等々の意見も聞きながら考えていきたいというふうに思っております。
○重野委員 まず、やはり上流で何が起こっているのかということが極めて重要であります。一刻も早く、上流で起こっている状況というものが下流域に伝達されていく、そういう問題意識を共有するという点からも、ぜひ力を入れて、その率を上げていただきたいと思います。
次に、避難指示、避難勧告のあり方についてお尋ねをいたします。
土砂災害に見舞われた地区で、そもそも避難勧告や避難指示が出されていなかったとの問題がある。勧告、指示を行う自治体では、雨量、水位などによる基準がなく、また、過去の経験に頼る現状、避難途中での被災を懸念する声も上がっている、こういう状況にあります。
気象庁の情報提供のあり方、自治体における避難勧告や指示のあり方とタイミング、避難の基準づくり、土砂崩れ、河川のはんらんなどの判断、政府や都道府県の市町村に対する支援等について専門家も含めて検証して、今後の防災・減災対策に生かすことが極めて重要だ、このように考えます。その点についていかがお考えか、お聞かせください。
また、河川の上流に水位計がなく、避難の呼びかけができなかった自治体もあった。自治体の水位監視の体制の強化も必要です。大臣の考えをお聞かせいただきたい。つまり、上流で何が起こっているのかということがより早く下流に伝達されることが大事だということを強調したいところでありますが、いかがお考えでしょうか。
○平野国務大臣 避難勧告を出された自治体、出さなかった自治体、どうしてそうなったのか、あるいは、避難勧告を出した自治体ではどういうタイミングで何の判断で出したのか、その結果として住民がどのような行動をとったのか、こういったことについては、先ほど来申し上げておりますけれども、今回の災害が一定のめどがついた段階でしっかり検証することが大事だと思っております。
あわせて、情報を何で得るかといいますと、これは水位計でありまして、流量計、雨量計等々であるかと思います。こういったものについて十分な整備があったかどうかについても、検証の対象になってくるのではないかというふうに思います。
ただ、一点だけ申し述べさせていただきますと、土砂災害の予測というのはなかなか難しいのではないかという多少の危惧も持っております。
今回、被災現場に行って、これは紀宝町でございましたけれども、もう既に学校としては使われていないところが避難所になっておりました。その避難所のところに地域住民が避難をしておりまして、たまたま二階に上がっていたんですが、その背後で土砂崩れが起きています。その土砂崩れによって地域の住民の方数名がいまだにたしか行方不明だと思いますが、一階に土砂が入ってきて、もし一階におったら大変な災害になった、そんな地区がございます。
その地域の方々、十分な話は聞いておりませんが、よもや後ろから土砂災害が来るというふうには想像していなかったと思います。こういった状況等々についてもつぶさに、今回の土砂崩れの状況についてもしっかり精査することが大事だというふうに思っております。
○重野委員 最後に、今回土砂崩れなどの土砂災害が発生した地区で、土砂災害警戒区域あるいは特別警戒区域に指定されていなかった地区があると聞いています。
そこで、現在把握されている土砂災害が発生した区域で、警戒区域、特別区域に指定されていなかった箇所はどのくらいになるのか、また、指定されていない理由は何だったのか、それが一つ。
それから、警戒区域あるいは特別警戒区域に指定する定義というものがあるんだろうと思うんですが、その定義に当てはまらないのであれば、例えば施行令の見直しが必要だ、調査中や未着手ということであれば、早急に調査を完了させ指定を行うことが全国的にも必要だと考えるんですが、いかがお考えでしょうか。
○奥田副大臣 重野議員にお答えいたします。
まず、数字の点で、土砂災害の警戒区域指定の報告をせよという御質問がありました。
九月八日現在で、県から報告のあった災害箇所のうち、まず土砂災害の発生した箇所というのは百二十七カ所報告されております。そして、御指摘の土砂災害警戒区域に指定されていた箇所は二十八カ所ということで、そのほかの、指定されていなかった箇所というのは九十九カ所ということになります。
そして、いま一つ、この指定というものをしっかりと調査とともに進めていくべきではないかという御指摘をいただきました。
土砂災害防止法に基づく警戒区域指定というものは、都道府県により順次進められているところであります。なかなか進まない、この指定が進捗しない理由としましては、区域指定の前提となります基礎調査、十分な地形データを収集するための地域調査、これに時間を要しているということ、あるいは地域住民の方々に指定の趣旨、内容を十分に理解していただく説明というのがまだ浸透していないということが挙げられるかと思います。
国土交通省としましては、今回の災害を踏まえた上で、先進事例の紹介あるいは住民の理解を深めていただく取り組みといったものを支援して、土砂警戒区域の指定、これが推進されるように鋭意努めてまいりたいというふうに思っております。
○重野委員 以上の報告でも、全国的に見れば非常に取り組みがおくれているということが明らかになりました。これが、速やかにそのおくれを取り返すように、国においても全力を挙げていただきたいし、地方自治体に対しても、そういう気合い合わせをぜひぜひやっていただきたいということをお願いして、終わります。
○吉田委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後一時十五分散会