衆議院

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第3号 平成25年4月11日(木曜日)

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平成二十五年四月十一日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 坂本 剛二君

   理事 うえの賢一郎君 理事 小里 泰弘君

   理事 林田  彪君 理事 平口  洋君

   理事 吉田  泉君 理事 山之内 毅君

   理事 石田 祝稔君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      泉原 保二君    大見  正君

      神山 佐市君    北村 誠吾君

      笹川 博義君    高鳥 修一君

      竹下  亘君    二階 俊博君

      林  幹雄君    藤丸  敏君

      古川 禎久君    松本 文明君

      務台 俊介君    湯川 一行君

      吉川  赳君    黄川田 徹君

      近藤 洋介君    中川 正春君

      三日月大造君    高橋 みほ君

      宮沢 隆仁君    濱村  進君

      樋口 尚也君    佐藤 正夫君

      椎名  毅君    高橋千鶴子君

      小宮山泰子君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靭化担当)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   文部科学大臣政務官    義家 弘介君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   防衛大臣政務官      左藤  章君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 山下 史雄君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      清木 孝悦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中村幸一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     日原 洋文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        足立 敏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石川 晴雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     務台 俊介君

四月十一日

 理事若宮健嗣君三月二十八日委員辞任につき、その補欠としてうえの賢一郎君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事にうえの賢一郎君を指名いたします。

     ――――◇―――――

坂本委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官山下史雄君、警察庁警備局長高橋清孝君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長清木孝悦君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君、厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君、経済産業省大臣官房審議官中村幸一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官日原洋文君、国土交通省水管理・国土保全局長足立敏之君、国土交通省道路局長前川秀和君、国土交通省住宅局長井上俊之君、気象庁長官羽鳥光彦君、原子力規制委員会原子力規制庁審議官山本哲也君及び原子力規制委員会原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 自由民主党の笹川博義です。

 本日は、発言、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 冒頭に、東日本大震災で亡くなられた皆様方に心から哀悼の意を表し、また被災された多くの皆様方に衷心よりお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは質問の方に入らせていただきます。

 先日の大臣の所信でございますが、細部にわたりまして発言がありました。その中でちょっと私が気になったのは、実は要援護者についての御発言がなかったわけであります。要援護者の対策というのも、実はこれは大切な課題の一つだと私は思っておりましたので、あえてこの中でお触れになってはおりませんが、その辺のところは大臣も、私がここで確認をするまでもないんですが、一応確認をさせていただきたいんです。要援護者についての発言はなかったのですけれども、ちょっと思いの一端をぜひ御披瀝いただければと思います。

古屋国務大臣 私も委員と同じように、要援護者に対する、いざ災害が起きたときの対策は極めて重要だと思っています。やはり、健常者と比べて要援護者はそういう意味では弱い立場にありますので、しっかり支援をしていくということが必要だと思います。

 所信表明の中では入っておりませんでしたが、実は、今後、災害対策基本法の改正を皆様にお願いしようと思っておりまして、そこでは要援護者対策の支援の充実がしっかり入っております。いずれこの委員会でも御審議をいただけるというふうに思っておりますので、そういった意味では、たまたま今回の所信表明には要援護者対策という言葉が入っておりませんでしたけれども、極めて重要であるということを認識の上、災対の基本法の改正の中で取り組ませていただくということで御理解をいただきたいと思います。

笹川委員 ありがとうございました。

 それでは、質疑の方が非常にしやすくなるというふうに思いますが、その前に、大臣にもう一点だけちょっとお願いしたいのは、実は防災の日であります。

 これは国民の皆さんの防災意識を高揚させるためには非常に大切な位置づけだというふうに思いますが、この九月一日の防災の日、これは背景になったのが関東大震災、そしてまた台風のシーズンだというようなことで、昭和三十五年、一九六〇年、閣議で決定をした記念日だということであります。

 もちろん、関東大震災、これはもう十万人を超す死者、行方不明者を出した大災害でありますので、このことを忘れてはならないわけでありますが、残念ながら、私も昭和四十一年生まれでありますので、そういった意味では、イメージ的に、関東大震災と言われるものが非常に薄い世代にもなっています。

 その中で、今回の三・一一、もう三・一一といえば東日本大震災ということでありますので、本来でしたら、やはり、この月日の経過をした中で、国民皆さんの防災意識を高揚させるにとって、私は、九月一日であり続ける意義というものをもう一度考えてもいいんじゃないのか。ですから、私が申し上げたいのは、この防災の日と言われるものを三月十一日の日にしてもいいのではないか。

 ただ、もちろん、毎年この九月一日にそれぞれ全国的に防災対策、いろいろな事業をやっているのはわかっております。別にそれはそれでも構わないと思っていますが、ただ、国民の皆さん方が、やはり今回の三・一一、映像でも流れておりますし、きょう、久方ぶりに私も手元に持ってきましたけれども、読みましたか、「東日本大震災」。こういう写真等々のものも、ちまたに多く出ていますよね。そうすると、国民の皆さんにとっては非常に身近にこの問題というものを感じられるというふうに思うんです。

 ですので、今後の課題として、この九月一日の防災の日を三月十一日の日に変更が可能なのかどうか、閣議の中でもぜひ御議論を提起していただければなという思いがありましたので、その辺のところを、大臣に御意見があればお聞かせください。

古屋国務大臣 委員御指摘のとおり、九月一日は関東大震災の起こった日ですので、昭和三十五年に閣議了解事項として設定して、これは広く国民の皆さんに災害についての認識を高めるということですよね。

 ただ、三月十一日の未曽有の大災害が起きました。ことしも三月十一日に、昨年に引き続きまして政府主催で追悼式典を天皇皇后両陛下御臨席のもと開会させていただきましたけれども、今後、この三月十一日をどういう位置づけにしていくのかということはやはり考えていかなきゃいけないなと思っています。

 例えば一月十七日は、阪神・淡路大震災、これは防災とボランティアの日ということで決められています。

 ただ、九月一日を防災の日というのは、もう何十年間もやってきているので、国民の皆さんには定着しているんですね。一方、委員のおっしゃる指摘もありますので、今後、この三月十一日がどうあるべきかということはよく検討していきたいというふうに思っております。

笹川委員 ありがとうございます。

 各世代にわたって防災意識が高揚することが、いわゆる国土強靱化の理解、そしてまた進めるべき一里塚にもなるというふうに私は思っておりますので、ぜひ、そういう意味では積極的な御議論を重ねていただければと思います。

 続いて、大震災におけるいわゆる要援護者、身障者の皆様方の死亡率ということであります。

 私も、県議会におりましたときにも、県議会でも議論はさせてもらいました。当時、これはなかなか詳細な資料が実は国の方ではなかったということで、民間の団体のデータをもとに、二〇一一年のときには質問をさせてもらいました。

 今回資料としていただきました障害者白書の中にもありますが、数値的にはそれほどの差はない。ということは、これは非常に正しいデータだというふうに思っております。

 これは、データはもう皆さんごらんになっていると思いますが、いわゆる障害者の死亡率というものが一般の方の死亡率と比べても非常に高いということでありますので、この点につきまして、具体的な数値はもう私も承知をしておりますので、ただ、こういう数値が出たということについての御所見を一応いただければというふうに思います。

西村副大臣 お答えを申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、障害を持った方の死亡率は、いわゆる一般の被災された住民の死亡率に比べて二倍ぐらいの比率で亡くなられておりまして、改めてお悔やみ申し上げたいと思いますし、きちんと準備、災害の備え、対応はできていなかったのかなということを改めて痛感いたしました。

 御案内のとおり、これまでも、要援護者、障害を持った方とかお年寄りとかの避難支援のガイドラインというのもありまして、これに沿って対応してもらっていたところでありますけれども、それが十分でなかった点が多々あったんだろうと思います。

 どこにそもそも障害を持った方が住んでおられるのか、事前の、いざというときどうするのか、こんな対応ができていなかったんだろうと思いますので、この見直しも含めて、ぜひ、御指摘いただいた点をしっかり踏まえて今後対応していきたいと思います。

笹川委員 今副大臣から御指摘もございましたが、確かに、平成十七年から国は各自治体に対しても障害者など災害時の要援護者の避難対策の策定を促してきたということで、国としてもやるべきことをやってきたということでありますが、しかし、残念ながら、今回の震災においてはその結果が反映されたとは言いがたいということであります。

 そういう意味では、国の十七年からの自治体に促してきたこの施策を含めて、この措置の有効性について、振り返ったときに、どのような御所見をお持ちでしょうか。

西村副大臣 先ほどもお答え申し上げましたが、ガイドラインというものをつくって、各自治体に、例えば要援護者がどこに住んでおられてどういう人がおられるのかということの名簿を各市町村に作成するよう促してきたところなんですけれども、しかし、この名簿を整備している市町村は昨年の四月一日現在で六四%ですので、全ての市町村がつくっているわけではありません。

 その背景として、個人情報保護条例を各県、市町村は持っていまして、その個人情報の共有が、保護条例があるがゆえに十分にできていなかったという面があるんじゃないかというふうに思います。

 個人情報は守っても命を守れなかったという変な結果になってしまっていますので、そうした点を踏まえまして、今般、災害対策基本法を見直して、要援護者の命を救うための基盤として、最低限必要な、どこに誰が住んでおられるか、そういう名簿の作成、あるいは障害を持った方を支援して避難をさせている方への提供とか、こうしたことをしっかり法律上位置づけて、個人情報保護法制との関係を整理して、しっかりと支援できるようにしていきたいというふうに考えております。

笹川委員 ありがとうございます。

 実は、震災のときにも、ボランティアが被災地に入ったときに、個人情報保護法を盾にとって、いわゆる要援護者の所在を明らかにできないという自治体もございました。

 この個人情報保護法のおかげで、確かに自治体において名簿等々をつくるのが非常におくれているということも事実でありますので、決して褒められた措置ではございませんが、いずれにしても、それに着手をしていただいたということは自治体にとっても大変ありがたいことでありますから、ぜひ、そういう意味では、今の大臣の御答弁のように、一日も早くこの名簿をきちっとしたものにして、万が一のときに役に立つようなものにしていただきたいということを要望させていただきたいというふうに思います。

 それでは、続いてでありますが、震災時における要援護者、いわゆる障害者の皆様方、障害者といっても一くくりにできない、それぞれ、目の不自由な方もおられる、耳の不自由な方もおられる、そういう意味では非常に多岐にわたっております。そういうことで、今回の震災時に、いわゆる災害の情報というものが正確に伝達がされなかった、受け取ることができなかった、そのために命を落としてしまったケースが多々あるわけでありますので、その課題をどうクリアしていくのかということは、これもまた非常に大きな課題だというふうに思います。

 本来落とさなくてもいい命だったかもしれない。ですので、今回、災害の情報、これをどういう形で要援護者の人たちに伝えていくのか。これはもう国だけの責任、地方自治体だけではできない部分もあろうかというふうに思いますので、そこら辺の御所見をお聞かせください。

西村副大臣 大変重要な御指摘でありまして、まさに東日本大震災におきましても、住民への情報伝達については、いわゆる防災無線とか広報車、スピーカーを通じて、音声による避難準備情報の伝達が行われたということで、例えば聴覚に障害を持っておられる方においては、避難の判断ができなかったような問題も生じたものと認識をいたしております。

 この防災情報の伝達については、消防庁において、地方公共団体における災害情報等の伝達のあり方等に係る検討会の報告書、これは二十四年、昨年の十二月に出ておりますけれども、ここにおいても指摘がなされておりまして、各市町村における災害時要援護者の状況等も含めて情報の受け手の属性、状況等を考慮して、それからまた地域の事情、田舎で閑散と、家と家の間が離れているのか都市部であるのか、そこにコミュニティーがちゃんと存在しているのかどうかも含めて、そんなことに応じて、各情報伝達手段の特徴を踏まえて複数の手段を有機的に組み合わせて、災害に強い情報提供のシステムを構築していくべきだというような指摘もなされているところであります。

 具体的に、今お話がありましたけれども、耳の不自由な方に対しても、字幕報道、携帯端末での緊急速報メール、それからファクスなど、多様な手段を用いて情報を提供する必要があるのではないかというふうに考えております。

 先ほどから指摘しておりますこのガイドラインをぜひ見直してしっかりとした対応をして、それを市町村にまたお示しをし、しっかりと啓蒙普及活動をやって、市町村においてそうした取り組みが徹底されるように対応していきたいというふうに考えております。

笹川委員 その中で要望事項があったのは、民放のテレビ、確かに映像がわんさかわんさか流れておりましたけれども、そういうときに、字幕も含めて、手話も含めて、ぜひ民放さんにも、協力をしてそういう災害情報についてはやっていただけないかと。私の地元であれば群馬テレビであります。そういうところでぜひお願いしたいというような要望があったことはつけ加えさせていただきたい、ぜひ参考にしていただきたいというふうに思います。

 それから、聴覚障害者のためにアイ・ドラゴン3というのがありまして、これは、災害関係ですと、聴覚障害者、耳の不自由な方に字幕や手話つきのCS障害放送、これを流せる装置だということでありますので、そのこともよく踏まえた上での装備の整備をぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、障害者施設利用者の災害関連死ということで、障害者の方が運よく避難場所にたどり着くことができた。だけれども、知的障害者の方というのは環境の変化は非常に敏感に感じます。それから、どうしても、やはり災害でありますから、大勢の人もいらっしゃる。そういうのも含めて、一般の方でも通常の神経ではありませんので、そういう中で要援護者に対する理解も通常よりも非常に私は厳しいものがあるというふうに思います。そういう環境の変化になれずに、結局、持病の発症ですとかいうことになったケースがやはりあります。

 ところが、国の方ではその実態は把握していないというようなコメントも実はありまして、このことについて、やはり大事な課題だと思いますので、御所見をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。

岡田政府参考人 障害者施設利用者の方の災害関連死についてのお尋ねでございますけれども、先生御指摘のような環境変化と同時に、障害者施設を利用されている方は、必要な障害者福祉サービスがどういうふうに受けられるかというのが、やはり場所を移す、避難するというだけじゃなくて、そういった適切なサービスをどう提供していくかということ、そういう体制を確保していくということも非常に重要だというふうに考えているところでございます。

 今回、東日本大震災におきましては、こうした障害者支援施設の利用者に対して必要なサービスを提供するというような観点から、被災地の要請に基づきまして被災三県の施設に百四十五名の介護職員などを派遣いたしまして、必要なサービスが滞らないように調整を行ったところでございます。

 それから、福島県の入所施設につきましては、千葉県の鴨川にあります青年の家であるとか、これは群馬県の高崎市ですが、独立行政法人の国立重度知的障害者総合施設のぞみの園という施設がございますが、そういったところの他県の入所施設であるとか公共施設に、障害者と同時に介護をする施設の職員も同時に受け入れてもらうというような形で、必要なサービスが提供されるような体制をとりつつ、支援を行うというような形をとったところでございます。

 先生御指摘のように、今回の東日本大震災によります震災関連死のうち、障害者施設の利用者についての具体的な数値は把握しておりませんが、例えば、先ほどの鴨川の青年の家、それからのぞみの園に避難されたような方々が必要なサービスが確保されずに亡くなられた例というのは、我々、現在では承知していないところでございます。

 しかし、今後とも、被災自治体とか関係団体ともよく連携いたしまして、被災した障害者施設利用者が必要なサービスが受けられないためにそういった非常に生命の危機があるというようなことが生じないように、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

笹川委員 ですから、対策をとるということは実態を把握した上で対策をとるということだと思いますので、改めて確認をしますが、今後しっかりと追跡調査をしますか、しませんか。

岡田政府参考人 御指摘の点につきましては、今後、関係省庁それから関係自治体ともよく相談して、検討してまいりたいと思います。

笹川委員 よろしくお願いいたします。

 続いてでありますが、このたび、在宅障害者向けの避難スペースを整備していくということであります。これは、整備をしていくのは大変ありがたいことであります。ただ、そこに災害とどう結びつけていくかとなると、基本的には、そこに行って初めてほっとし、そういう手厚い対応をとっていただける。大事なところは、そこに行くまでの話。

 だから、そういうところについて、また運用についてどのようにお考えなのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。

岡田政府参考人 災害時において、在宅で生活されます障害者、障害児の方々が安心して生活を営めるよう適切な避難スペースを確保するとともに、必要な障害福祉サービスが安定的に提供できる体制を整備することは重要だというふうに考えております。

 このため、平成二十四年度の補正予算で、障害福祉サービス事業所などに在宅障害者向けの避難スペースを緊急的に整備する地方自治体に対して財政支援を行うため、十六億円の補正予算を計上させていただいているところでございます。

 その際、整備された避難スペースが災害時に適切に活用されるように、補助金の採択に当たりましては、必要な福祉サービス、それから物資などについて、行政機関、社会福祉関係機関などとの連携、協力支援体制を整備するように求めているところでございます。

 その中で、先生今御指摘になりましたように、そこにどう避難するかについても採択に当たって検討をしてまいりたいというふうに思っています。

笹川委員 そこら辺が大事な点だというふうに思います。

 特段答弁は必要ありませんが、民生委員の方に手助けをしてもらいたいとか、地方自治体はよくそういう話をするんですよ。ただ、実際、民生委員さんというのは六十代以上の方がもう五割、半分以上ですし、全体的にはいわゆる高齢者の人が民生委員なんですよ。逆に言うと、民生委員さんも要援護者なんです。その人に何とかせいと言われても、回らないんです。だから、それも含めて、地域の事情も含めて、せっかくこれだけいい事業をやるのであれば、これがしっかりと運営できるように、しっかりと御検討をしていただきたい、また、地域の実態を調査した上でやっていただきたいということを要望させていただきます。

 今までの御議論の中で、要援護者につきまして災害の対策というのは本当に大きな課題であると同時に、障害もまさに多岐にわたっておりますので、本当に国の方からしっかりと細かい目で見てあげて、ぜひ目線も低くしていただきたいという思いがありますので、改めて、この御議論を聞いた上で、ぜひ大臣、お気持ちをもう一度お聞かせいただきたいというふうに思います。

古屋国務大臣 委員は要援護者に対して大変思い入れがあるということはよくわかりました。

 それで、私どもも、今、西村副大臣の方から答弁がありましたが、例えばリスト、名簿でも六四%ですよ。

 現実に、あの東日本大震災においては、避難生活とか、情報がうまく入ってこないとか、あるいはどうやって支援をしたらいいかわからない、それぞれの状況で本当にこういった障害者の方々は筆舌に尽くしがたい苦労をされていますよね。それだけではなくて、やはりいろいろな状況があるんですね。老老介護をされている方もあれば、例えば寝たきりの状態の方もある、自分だけでは逃げていけないというような方々ですね。結局、そういった方々は、避難することを諦めてしまって、結果として命が奪われてしまった、こういうケースがあるんですね。

 我々は、そういったことをしっかり踏まえて、反省の上に立って対応していく必要があるというふうに思っています。

 ことしの四月に、災害時の要援護者の支援に関する検討会の報告書が出ていますよね。これでも、かなりきめ細かくいろいろな取り組みをしていかなきゃいけない、それぞれ障害によってその障害に適したきめ細かな対応をしていこうということで、その一環として、先ほど来話があります災対法の改正をして、災害時の要援護者の避難支援のガイドラインを抜本的に見直していくだとか、あるいは避難所における良好な生活環境の確保のための取り組み方針。

 特に避難所は、実際、こういった方々を前提に、もちろんバリアフリーなんかもそうでしょうし、全くできていないんですね。やはりこういったことは改めていく必要がありますので、そういったガイドライン等々をつくってきめ細かな対応をしていくべきだと思いますし、そのために全力を尽くしていきたいと思います。

笹川委員 大臣、本当にありがとうございました。今の大臣の御発言が、要援護者にとって、障害者にとっても、私は大変力強いものを感じる御発言だったというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってしまったので、いずれにしても要援護者、そのほかにも、病気にかかっている方も実は要援護者でありますので、これはまた要望でありますけれども、本来、人工透析も含めて、疾病別にぜひ災害対策マニュアルをつくっていただきたいという思いがございます。特に人工透析の場合は、週に二日、三日ということでありますので、これもまた命にかかわる問題でありますので、ぜひ御検討を入れていただきたいということ。

 それから、我々群馬県、実は今、前橋日赤病院の移転を抱えております。県議会の議論の中で、要するに、前橋日赤は移転するならもっと広いところに出ろと。何で広いところに出るかといったら、要するに、駐車場スペースもはるかにとれる。それはもうヘリコプターでも一機でも二機でも三機でもとめられるように、医療テント村でも建てられるように広い土地のところでやった方がいい。近未来の首都圏災害、これに対してのバックアップ機能を持たせるべきだという議論を実は群馬県議会でもしておりました。そういうことも踏まえて、今後とも、災害拠点病院の整備については、災害対応についてもぜひお考えを入れていただきたいというふうに思います。

 それから、学校についても同じでありますので、私学の問題も実はありまして、遠いところから来ている子供たちもおりますから、学校の災害対応機能というものをもっと強化すべきだと。通常ならば、首都圏であるならば、二日、三日でも子供たちを預かってもオーケーだと言われるぐらいの機能を持たせるべきだというふうに思いますし、同時に、私学が実は避難場所として二〇%ぐらいの割合だということでありますから、総合力でやはり災害に対策をしなければならないと思います。

 本当に、初めての質問だったので、余りにも項目をつけて半分も終わらなくて、大変申しわけありませんでした。

 ただ、最後に一点だけ、実は火山災害についてでありますが、我々群馬県も浅間山を抱えておりまして、大体、大地震が起きた後には大規模噴火もあるんだという学説があるそうでありますが、その点につきまして、気象庁長官もおいでですので、群馬県出身でありますので、その辺の御所見がありましたら、ぜひちょっとお知らせください。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、浅間山も含めて全国百十の活火山、これについて監視をしておりまして、その中でも特に監視体制の充実が必要という全国の四十七火山、これは浅間も入ってございますが、これについては、二十四時間、三百六十五日の体制で監視してございます。

 これらの監視結果によりますと、東日本大震災後、日本列島における火山活動について注目すべき点というところを見ますと、噴火等の現象ということでは大きな変化はございませんでしたが、国内の二十火山、これは浅間も入ってございますが、その周辺で、一時、一旦地震活動が活発化しております。しかしながら、現在は、これらのいずれの火山につきましても、地震活動はおおむね落ちついた状況にございます。

 いずれにしましても、気象庁では、引き続き全国の活火山について注意深く監視しまして、仮に異常現象等があらわれた場合には、噴火警報等を発表し、速やかに住民あるいは防災関係機関にお伝えしたいと思います。

 以上でございます。

笹川委員 ありがとうございました。情報公開は速やかにぜひよろしくお願いします。

 以上を申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、吉田泉君。

吉田委員 民主党、吉田泉でございます。

 引き続いて、防災及び国土強靱化担当の古屋大臣の所信に関しまして御質問をいたします。

 東日本大震災から二年たちました。現在の防災行政の最大の課題は、今回の大震災の教訓と課題を、今後発生が懸念される大規模災害への備えの充実につなげていくことである、これは所信で大臣がおっしゃったことでありますが、多くの国民がそう思っているというふうに私も考えております。

 この目的に沿って、この二年間、一方では、従来からの制度にのっとったといいますか、そういう努力がなされてきたと思います。つまり、中央防災会議を中心とした検討、そして法律の改正、こういう動きであります。そして、もう一方では、新しい動きといいますか、国土強靱化という名前の政策が推進されつつあるというふうに思っております。

 大事なことは、従来からの動きと新しい動きと両者の整合性をとりながら、粛々と最終的な目標である強くてしなやかな国づくりということに邁進したいものだ、そういう問題意識で質問をしたいと思います。

 まず、従来からの制度にのっとった努力という方の分野ですが、昨年の七月の末、政府の中央防災会議の防災対策推進検討会議が約九カ月の議論を経て最終報告書をまとめました。その冒頭には、大震災の教訓をまとめて将来の災害に備えた対策の充実強化の方向をつくった、こういうふうにあります。基本姿勢としては、災害に強く、しなやかな社会の構築だというわけであります。つまり、強靱な社会ということだと思います。そして、今後重点的に取り組むべき事項としては、大きくは五本柱、細かくは二百項目の指摘をこの最終報告書でいたしました。いわば、これからやるべきこと、さっき申し上げた目標に向かってやるべきことがほとんど網羅されているという最終報告書だと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいと思いますが、この報告書で指摘された今後のたくさんの課題のうち、特に大事なもの、主要なものについて、どういうものがあるか。

亀岡大臣政務官 今質問いただきました、昨年七月に取りまとめられた中央防災会議の防災対策推進検討会議最終報告書においては、これは被災地を体験された吉田委員も御尽力いただいたと思いますが、東日本の大震災の教訓や課題をしっかりと議論していただき、今後の防災対策において重点的に取り組むべき事項について、幅広く御提言をいただいたところであります。

 今委員の言われたとおり、主には五つということですが、四つありまして、この提言の内容は法制上の課題から運用上の課題に至るまで多岐にわたりますが、その四つの中の一つは、最初は、災害から生命を守るための初動対応や、個人情報保護法制との関係整理も含めた被災者の避難生活や生活再建に対するきめ細やかな支援、これは今言われたとおりであります。

 二つ目に、災害即応体制の充実強化や、国、都道府県、市町村の事務や権限のあり方等、自然災害による国家的な緊急事態への対応のあり方、これはもう地方自治体としっかりと連携をとらなきゃいけないという教訓を踏まえております。

 さらに三つ目には、減災や自助、共助、公助といった、防災の基本理念の明確化と多様な主体の協働、これは国民にもしっかりと意識を持っていただくということも踏まえております。

 そして四つ目に、復興の枠組みをあらかじめ法的に用意することなど、迅速かつ円滑な復興への取り組みという、この四つの大きな課題、五つ目はそれらを実行するということであります。

 政府としては、この最終報告を踏まえ、災害対策法制の見直しを初めとする災害対策の充実に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

吉田委員 いろいろなレベルの指摘が二百項目にわたってなされたわけであります。

 私も、この間の震災のとき、一年半にわたって現地で仕事をしてまいりましたけれども、そういう立場からしても、例えば、この報告書で指摘をしてありますけれども、災害救助法の所管を、今厚労省ですけれども、内閣府に移すというようなことを検討したらどうだとか、また、災害救助法というのは現物給付という原則がございますが、これが長期避難になってきた場合などはなかなかうまく当てはまっていない、そういうところを見直したらどうだとか、大変示唆に富んだ指摘が多々ある報告書だなというふうに思っております。

 そして、この検討会議、昨年は中間報告を受けて災害対策基本法の改正案が成立をいたしました。さらにこの国会では、今度は最終報告書を受けて、再び基本法の改正案などを今準備しておられるというふうに聞いております。

 結局、こういう対応によって、去年、ことしにわたる対応によって、どの程度、報告書が指摘した課題に対応できることになるのか、そこをお伺いします。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘をいただいた、たくさんの項目について報告をいただいておりまして、特に法制的な措置が必要と指摘された事項につきましては、今御指摘がありましたように、昨年の災害対策基本法の改正、それから、今般さらにそれで足らないところ、先ほど来議論になっています名簿の整備のときの個人情報保護法制との関係とか、こういったところを整理いたしまして今準備をしているところでございますので、これらが成立をしましたら、おおむね御指摘いただいたことは対応できるというふうに考えております。

吉田委員 去年、ことしの対応でおおむね対応できるという御答弁でございました。そうしますと、なお残された問題というのはどういう問題が残るんでしょうか。

古屋国務大臣 今御指摘の、今後まだ残された課題があるのではないかということですけれども、それは、まず災対法制の見直しだけにはとどまらずに、やはり実際に最終報告で提言された内容を、今後は、南海トラフ巨大地震とか首都直下地震、こういった大規模災害が想定をされますので、そういった大規模災害への備えの充実につなげていく、これが非常に大切だと思っています。

 まず、南海トラフ巨大地震は、昨年の八月とことしの三月にそれぞれ被害想定等を出しまして、今後、最終報告を取りまとめる段階に来ておりますけれども、その場合に、やはり南海トラフ巨大地震の対策大綱をしっかりつくる、それから減災目標等を設定する地震防災戦略、三つ目、具体的な応急対策活動計画、こういったものをしっかり策定して対策の具体化に努めていきたいというふうに思っております。

 また一方では、首都直下地震対策、これは現在、震度分布であるとか津波高等の検討を行っておりますけれども、その推計結果を受けて、被害想定とか首都直下地震対策の見直し、最終報告を取りまとめまして、それを踏まえて首都直下地震対策大綱、地震防災戦略等を基本的に見直しして、そして防災対策を進めていきたいなというふうに思っております。

 それだけにとどまらず、やはり今後大規模な、広域な災害が発生をする場合には、行政だけの対応では限界がある。現地に実際に一年半も復興副大臣として駐在をされた御経験からこの辺はよく御理解いただけると思うんですけれども、今後は、やはり家庭とか企業とかの備蓄の推進等の自助、これを促すための取り組みとか、自主防災組織、民間企業、NPO、ボランティアへの支援、こういった共助を促すための取り組みを進めていくことも必要であります。

 こういった取り組みを進めていくに当たっては、中央防災会議で設置が今度決定されました防災対策実行会議、こういった場も積極的に活用して、関係省庁がしっかり連携をする、省庁の縦割りの弊害をしっかり取り除いて、一体となって災害対策の一層の充実強化に努めていくべきだ、こういうふうに考えております。

吉田委員 ありがとうございました。

 従来の制度の枠組みの中でここまでやってこられて、そして、なおかつ今大臣がおっしゃったような、これからの備えにつながるような大きな課題がだんだんはっきりしてきたということだと思います。

 そこで、ここへ来て、先ほど申し上げた新しい動きが打ち出されてまいりました。それについてこれから御質問したいと思います。

 今回の第二次安倍内閣においては、初めて国土強靱化担当大臣が置かれた。そして一月には、内閣官房に国土強靱化推進室というのが設置されました。三月には、国土強靱化に関する有識者懇談会というのが始まった。そして昨日、四月十日、国土強靱化推進に向けた考え方というのが決定されて公表された。正式には、国土強靱化(ナショナル・レジリエンス(防災・減災))推進に向けた考え方。大変複雑な表記のペーパーにはなっておりますが、それがきのう決定されたということでございます。

 そこで、まず最初に、これら一連の国土強靱化推進に向けた動きの背景、なぜ今、国土強靱化政策なのかということをお伺いします。

古屋国務大臣 三・一一、あの災害が私たちに多くの教訓を与えてくれました。やはり日本は自然災害の多い国であります。自然災害に対してあらかじめ徹底的な防災や減災対策を講じる、これによって、しなやかな、強い、強靱性を持った国や地域やあるいは経済社会をつくっていく、これが極めて大切です。そういった一環から、この国土強靱化という取り組みを私どもは始めました。

 今委員御指摘のとおり、相当スピーディーに取り組んでいます。推進室をつくったり、あるいは有識者会議をつくったり、今度は、縦割りの弊害をなくすために、省庁連絡会議、全部、省庁の局長クラス、そして事務の官房副長官もメンバーに入っております。こういった取り組みをさせていただいておりまして、狭い意味での防災という範囲は超えて、国土政策であるとかあるいは産業政策も含めた総合的な対応、いわば国家百年の計、いや、百年ではなくて千年先をも見据えながら取り組んでいこう、こういう考え方です。

 基本的な理念としては、致命傷を絶対負わせない、人の命は絶対守る、被害を最小限に食いとめる、そしてもう一つは、迅速な復旧復興を図る、これを目的としてこの国土強靱化政策を取りまとめていきたいな、こんな気持ちで、私も初代担当大臣として、この国の極めて重要な、そして広範囲の課題に取り組ませていただいているということであります。

吉田委員 三・一一を含めて、日本という国は自然災害が多い国だということが基本的な考え方の背景にあるということだったと思います。

 重ねてちょっと大臣に確認でございますけれども、日本列島は戦後ずっと地震の静寂期にあったんですが、阪神・淡路並びに三・一一以降、地震多発期に入ったという指摘の学者さんもおられるんですが、こういう認識は、大臣、政府としては持っておられるということなんですか。

古屋国務大臣 今、それぞれの専門家がいろいろな角度から分析をしています。もちろん、周期的にこういった巨大地震が起きる可能性があると指摘している専門家もいらっしゃいます。いや、そうではないんだという専門家もいらっしゃいます。

 しかし、大切なことは、いずれそういうものは必ず来るということです。ですから、我々は、事前に今からその準備をしていく。それも、相当スピード感を持ってこの強靱化に取り組んでいく必要がある、こういうことであります。やはり将来のことですから、確実にいつ起こるというようなことは、残念ながら、今のこの科学技術の粋をもってでも断定することはできません。しかし、私たちがやるべきことは、どういう災害やあるいはリスクがあっても、それに耐え得るだけの強靱性を持たせる、これが一番大切だというふうに思い、その考え方に基づいて、大臣として対応させていただいております。

吉田委員 そうしますと、地震多発期に入ったとは必ずしも今のところ言えないが、大災害は必ず来る、スピード感を持ってやろう、こういう御答弁だったと思いますね。

 私も、この会議の座長をされている藤井先生の御本を拝読いたしました。藤井先生は、この二千年の日本列島の歴史を振り返ると、この東日本、西日本、首都直下、そして富士山と連動して起こるという事実が三回、四回とある、そういう事実を踏まえると、歴史認識を踏まえると、西日本大震災というのは五年から二十年ぐらいの間に可能性がある、首都直下は十年以内だ、富士山も近い、まずこういう認識から始まって、したがって、国土強靱化というのが今極めて大事なんだ、こういう御主張だと思います。

 そういう切迫感というんですか、そういうものを政府として共有されているのか。つまり、今から可能性があると大臣がおっしゃった三つの事象について、何らかのその発生予測ということをもうされているのかどうか。先ほどの答弁では、そこまではいっていないということなんでしょうが、改めてちょっと確認できますか。

古屋国務大臣 既に、例えば東海沖、東南海沖地震、正確な数字はちょっと今は控えていませんけれども、かなりの確率で、パーセントも出していますよね。それは公表がされています。そういうことはありますね。

 一方、今御指摘の藤井聡京大教授ですが、今、我々の専門家の懇談会、ナショナル・レジリエンス懇談会という名称でございますが、ここの座長を務めていただいておりまして、藤井聡座長は、幅広い観点から専門家としての意見を聞いて、その取りまとめをしているということであります。

 そして、そこの前提にあるのは、やはり私も先ほど申し上げましたとおり、それは何年後なのかということをここで断定することはできません、しかし、そういう災害が日本を襲う可能性が高い、そういう前提で私たちは取り組みをしているということです。

 ですから、何年後に起きるかとか、ちょっとそれはこの委員会の場の審議としては余りそぐわないのかな、むしろ、そういうことを想定して、私も冒頭にも申し上げましたように、千年に一回ということも想定外とはしないで取り組んでいく、このことが何よりも一番大切だと思います。

吉田委員 それでは次の質問ですが、この藤井座長の御本によると、強靱化政策というのは八つの柱があると。さっと申し上げますと、防災、減災のインフラ整備というのがまず一番だ、それから、防災教育だ、地域コミュニティー強化だ、エネルギーシステムも強化だ、事業継続プランというのが大事だ、救援、復旧対策も大事だ、日本全体の経済力の維持、そして最後に分散型国土づくり、八つの施策を展開する必要があるという御主張だと思います。

 そういうことを見ながら、政府としては、今打ち出されている強靱化政策の範囲をどのように考えておられるのか、お伺いします。

亀岡大臣政務官 今御指摘のあったように、範囲というものを質問されましたが、先ほど大臣が説明したとおり、本当に、行政、経済社会を維持する重要な機能が致命傷を負わない、または国民の生命をしっかりと守るというその一言に尽きておりまして、まさに全てのことが入ると思います。

 基本的な方針として書かれたものがたくさんあるわけですけれども、さまざまな分野における総合的な取り組みが必要と判断をしておりますし、その分野の例としては、エネルギー、情報通信、産業構造、金融、行政機能、住宅、都市、交通、物流等広範にわたるものと考えております。

 先ほどの藤井先生の話プラス我々もいろいろなことを考えながら、今、いろいろな分野の有識者十四名から成るナショナル・レジリエンス懇談会における議論や、政府関係省庁等で実施される脆弱性評価の結果を踏まえ、国土強靱化の取り組みを進める対象をこれから具体化していきたいと思います。

吉田委員 大変広範にわたる分野で強靱化という目標に向かってやろうと。これらの政策をどのくらいの期間で実行されると考えておられるんですか。

亀岡大臣政務官 先ほど大臣から、国家百年の大計の国づくりと、千年の時をもって見据えながらこの対応を行っていく必要があると御説明があったとおり、本当にずっとやり続けなければならない。

 一方で、大規模災害等のさまざまなリスクへの対応はまさに焦眉の急であり、真に必要な施策、事業について、重点化、優先順位等を行った上で着実に実行することが極めて重要と考えております。

 このため、昨日の政府関係府省連絡会議において、関係省庁で実施している施策、事業等を把握した上で、我が国の脆弱性を評価し、五月下旬を目途に、国土の強靱化推進に向けた当面の対応を取りまとめ、公表するとしたところであります。

 今からすぐやるべきことをしっかりやりながら、国家百年の大計、そして千年の時をもってしっかりと実行していくことを考えております。

吉田委員 百年、千年という数字が出てきましたけれども、藤井先生は、これは十年でやろうじゃないかという御主張だと思うんですね。ただ、どうも今の御答弁だと、それほどの切迫感がまだ共有されていないように思いました。

 要するに、これから起こる大きな災害の大体の発生予測がないと、百年かかってやろう、千年だということになってしまうんじゃないか。ある程度、私は、その発生予測というのをもう少し詰めたらいいんじゃないかというふうに思ったところでございます。

 続いて、先ほどもちょっと申し上げましたが、この政策の名前について少しやりとりをしたいと思います。

 国際的にこの政策で使われているのは、ナショナルレジリエンスという言葉ですね。レジリエンスというのは、直訳すると、弾力があるとか、要するに強くてしなやかだということでしょうから、私はこれは強靱化という訳でいいと思うんです。

 ただ、ナショナルというのを今は一応国土と訳しておられるというふうに思うんですが、先ほど、私は八つの柱と申し上げました。亀岡政務官はもっと広いんだとおっしゃいましたが、国土政策に関するものは、この八つの中では、最初に申し上げたインフラ整備と、一番最後の分散型国土づくり、この二つですよね。残りの教育とかコミュニティーとかいうのは、直接国土政策とは言えないと私は思います。

 そういう意味では、今回やろうとしている政策は、国土だけではない、国全体の構造的な強靱化なんだ、いわば強靱な国づくりなんだというような言い方の方がぴったりくるんじゃないかなというふうに個人的には思っておるんですが、いかがですか。

亀岡大臣政務官 今のナショナルのとり方という判断をされましたけれども、やはり国土という位置づけは、先ほど教育の話も出ましたけれども、全てが入ってくると私は思います。

 国土形成計画法に基づく基本計画である国土形成計画は、土地や海域の利用のみならず、産業立地、文化、それから観光、環境、景観のあり方などを示すものとして法律に示されておりますので、現在進めている強靱化の取り組みは、大規模災害のさまざまなリスクに対応し、強く、いつも先生が言われている、しなやかな国づくりを進めていくものであることから、まさに人々の営みや経済社会システムを対象とした国土の強靱化であると認識されていますので、国土がふさわしいかなというふうに考えております。

吉田委員 国土政策には教育も入る、そういう考え方のようですが、いずれにしても、私も、国家百年の計にかかわる非常に重要な政策だと思います。公共事業偏重のようなイメージが世間にあると思うんですが、そういう誤解があっては困りますよね。そういう誤解を招かないためにも、国民に正確にこの政策の意図、目的を知ってもらうためにも、私は、政策の名前を一考願いたいなと、これは改めて要望を申し上げたいと思います。

 次に、この政策が法案化される場合の幾つかの問題についてお伺いしたいと思います。

 まず、法案の提出者の問題です。

 昨年、自民党の議員立法として同じ名前の法案が出されました。ことしも、今改めて準備をされているというふうに聞いております。私は、国家百年の大計にかかわる重要法案である、しかも、今までも営々とこの分野はやってきたわけですが、従来の政策体系と上手に、継続性といいますか、きめ細かくつなげながらやる必要がある政策だというふうに思っております。

 そこで、政権与党になった現在、私は、国土強靱化担当大臣の責任で、閣法としてこの法案を準備、提出されるべきではなかろうかなと思っておるんですが、いかがですか。

古屋国務大臣 私どもは、政府・与党一体で取り組んでおりますし、特にこの問題はそういう認識で取り組んでおります。したがって、この国土強靱化基本法は議員立法として出していただくことになっております。

 なぜか。基本的に、まず今委員の御懸念の、閣法でなくていいのかということについては、政府と与党が今一体になって、綿密な連携のもと、この法案の作成をしていただいております。

 それともう一つ、やはりスピード感というのが非常に大切なんですよね。閣法ということになりますと、例えば省庁連絡会議は全省庁が入っているということからもおわかりのように、全ての省庁の連携をしていく、あるいは内閣法制局の審査等々もありまして、やはり時間的にはこれは議員立法で出した方がスピード感というのは間違いなく出ると思います。それで、結果として国民の皆様に国土の強靱化を進めていく意義というものがよく御理解いただける。

 そういった観点に立って、私どもは、ぜひこれは、与党の方にお願いをして、議員立法で、立法府としてお願いをしたい、こういう考え方に立っているものであります。

吉田委員 余りよく理解できませんでしたが、ちょっと見解の相違というか、そういうことだろうと思います。最終的にはどちらでもいいという意見もありますけれども、私は、個人的には、閣法で出すべき法案じゃなかろうかなという気がしているところでございます。

 そこで、次の質問は、従来から自然災害対策はさまざまな法律があります。災害対策基本法を中心として、さまざまある。一方で、国土形成計画法、これも基本法だと思いますが、そういうものもあります。そういう既存の法体系の中で、もしこの強靱化に関する法案というのが提出された場合、法体系全体における位置づけというのはどういうものになるんでしょうか。

古屋国務大臣 国土強靱化と既存の法体系の整合性という趣旨の質問だと思います。

 今進めている国土強靱化に関する政府の取り組みは、あらゆるリスクに対して、防災計画や国土計画等を超え、分野横断的な方針を示すということでありまして、今ある、現実にもう既に成立をしている、そして活用している各分野の施策あるいは法律との重複や競合というのは、基本的に生じないというふうに私は認識をいたしております。

 したがって、イメージとしては、国土強靱化というのは大きな器の中に入っている、そして、その周りにいろいろな個別法があったり、あるいは、今御指摘があった国土形成計画であるとか防災基本計画があって、そしてその下の中にいろいろな個別の分野がある、それを全部大くくりで取り組んで、そして、今後、この強靱化基本法が成立をさせていただいた暁には本部としてその取りまとめをしていくということでありますから、その辺のすみ分け、整合性は十分とれているんじゃないかな、こういうふうに考えております。

吉田委員 この強靱化法というのは大きな器である、その中に、その周りにですか、従来の法体系があるんだ、重複とか競合は心配ないよということだと思います。極力そうあっていただきたいと思いますが、いずれにしても、既存の法律に基づく防災計画とか国土形成計画とかいろいろあるわけですが、それと同じような国土強靱化計画というのが出てくると、屋上屋といいますか、またこれはちょっと混乱するような懸念もあると思います。

 例えば、これは平成二十年、五年前に作成された国土形成計画では、既にこのとき、災害に強いしなやかな国土の形成が目標だ、こう言っておるんですね。そして、先ほどから出ていますが、自助、共助、公助でやるんだ、さらには交通、情報通信網におけるリダンダンシー、つまり迂回ルートの余裕性というのを強めることが大事だ、さらには事業継続プランも大事だ、首都中枢機能の継続も大事だ、こういうこともうたわれたわけでございます。

 つまり、その二年後に大震災が起こってしまったわけですが、五年前に、今御説明いただいた強靱化の基本的な考え方というのは、そのとき既に大体もうでき上がっていたんじゃないかなというふうに私は思っております。

 今、改めて強靱化政策だということで、屋上屋にならないように御配慮願いたいと思いますが、大臣、何かあれば一言。

古屋国務大臣 そういうことがゆめ間違っても起きないように、今私が申し上げたような整理をしているわけであります。

 私たちの国土強靱化の基本的な考え方は、先ほど申し上げましたように、致命傷を負わない、負わせない、速やかに回復する、被害は最小限に抑える、こういうことです。そのことが結果として平時の競争力もつくる、そしてそのことが産業の成長戦略にもつながっていく、こういう考えです。

 それで、では、そのためにどういう手法をとるかというと、まず、全てのリスクのアセスメントからもう始めているんです。各省庁にはそういう知見というかデータベースは全部ありますから、そういったものをまずしっかりアセスして、そのリスクに対する脆弱性は何なのかということを評価する。その上で、では、その脆弱性に対してどういう取り組みをしていくべきなのか、それを優先順位をつけて決めていくんです。最終的には、各省庁あるいは民間、企業のBCPなんかを企業にやっていただかなきゃいけないですね、そういう取り組みもしていく。

 そして、次のステップとしては、一回決めたから硬直的にこの事業をするということではなくて、やはり技術革新とか環境の変化がありますから、常にその決定したものについては見直しをしていく。要するに、そういう強靱性のサイクルというシステムを確立させていく。

 これが我々が国土強靱化を目指していく上での基本的な考え方でありますから、これはかつての計画とは大分趣も異なるし、新しい手法だし、そして全省庁が連絡協議会に入ってやるというのは、これは恐らく初めての取り組みだと思いますので、ぜひその辺は御理解をいただけるかなというふうに思っております。

吉田委員 最後になりますけれども、この政策の所管組織についてお伺いします。

 現在は内閣官房に推進室というのができたわけですが、聞くところによると、専属の職員の方は八人程度、併任の方も入れて二十人程度ということでございます。

 今大臣おっしゃったように、新しい手法で、全ての分野にまたがってこの政策を展開していくんだということになると、組織の見直しというのもいずれ必要になってくるというふうに思うんですが、いかがですか。

古屋国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 今は、我々はその基本計画をつくるために取り組んでおります。ただし、実は、仮にこの法律が近いうちに成立をしていただいて、国土強靱化本部ができ上がるとしましょう。それでも、実際この本部というのは、イメージとしては、企業でいうと総合企画戦略本部なんですね。一方、各省庁はその執行部隊という感じなんですね。ですから、多くの人間が必要であるということではないと思います。

 もちろん、行革の視点から、不必要な人間をふやすということはとても許される話ではありません。一方では、今委員御指摘のように、やはり作業が多くなれば当然、人をある程度充実させていくということが必要だと思いますので、その辺は、この強靱化本部の動きをしっかり見ながら、それにふさわしい人員を確保していくことが大切であるということは申し上げるまでもないと思います。

吉田委員 この強靱な国づくりというのは、大震災の前から実は目標とされてきた大変重要な政策だというふうに私は思っております。ただ、きょうの議論でも、では、強靱化の施策の実行のタイミング、期間がまだ決まっていないとか、それから閣法としては考えていないとか、さらには推進室が八人程度だということを考えますと、まだまだ本格的な軌道に乗っているとは言いがたい、そういう印象を持ちました。

 また一方で、この強靱化政策というのが単なる公共事業拡大待望論のようなことになってしまうと、国民の支持が得られないという危惧もあると思います。最初に申し上げた検討会議の最終報告書には、防災の主流化というのがうたわれております。政策の中でこれを一番のメーンストリームにしようということだと思いますが、さらには、世界に冠たる防災先進国日本を目指すんだ、そういうことでございますので、利権のレベルを超えた志の高い政策、そして実践をしていただきたい、やりましょうということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、高橋みほ君。

高橋(み)委員 北海道選出、日本維新の会の高橋みほでございます。

 本委員会では初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣の所信表明を受けまして、最初に、災害時におきまして学校に滞在しております子供たちの保護についてお尋ねしたいと思います。

 私が小学校のころ、もう随分前になるんですけれども、今もそうだと思いますけれども、九月一日には学校じゅうで避難訓練がございました。この避難訓練の内容を紹介しますと、まずは定刻にサイレンが鳴り、それを合図に机の下に潜って、机の足を持ってしばらく待っていると、揺れがおさまりました、急いで校庭に避難してくださいという放送が流れ、皆で整列しながら校舎から校庭に出て、その後クラスごとに点呼をし、全員そろったら、あとは集団下校をする、そんなものでした。

 このような避難訓練を毎年していたんですけれども、私は、子供心に、通常、地震や洪水が起こったとき学校に避難をするのに、なぜ子供は学校から倒壊しているかもしれない自宅に帰るのか、疑問に思っておりました。集団下校するぐらいなら、学校にいた方が安全だと子供心に思っておりました。

 この疑問を今までずっと持ち続けていたんですけれども、先日、東京都が、帰宅困難者対策条例が施行されるのに合わせて危機管理マニュアルを改定し、大規模災害の際には、東京都内の公立小中高校が原則的に校内で子供を預かることにしたというニュースを拝見しました。

 大震災のとき、どう行動すればよいかというのは、一律に決められるものではないと思います。東日本大震災の際、学校から集団避難をしている最中に津波にのまれたり、学校に滞在していても被害に遭ったりする方がいらっしゃいました。ですから、その学校が本当に安全なところにあるのかという、いろいろな考慮が必要だと思います。

 学校ごとの配慮が必要で、個別にマニュアルなどを作成し、いざとなったときに行動できるようにする、それは大事だと思いますけれども、一般的に、地震などの災害が生じたとき、学校で子供を預かるのか家に帰すかはかなり重要な違いで、大事な観点ではないかと思いました。

 そこで、東京都以外の、他地域の公立の小中高等学校では、学校に子供が滞在しているときに地震などが起こったりした場合に、どのように対処するようにしているのか。家に帰すのか、学校に滞在させておくのか、どうするのか把握しているのか、義家大臣政務官、お答えください。

義家大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、東日本の大震災、この教訓を踏まえまして、自然災害が発生した際に、在籍する児童生徒の安全を確保することは学校の重要な責務であります。

 私も、息子が、当時小学校二年生でしたけれども、電車の中であの地震に遭いました。夜の二時過ぎまで連絡も全くつかない状況でありましたが、その結果として、共働きで家に帰れない子が一人うちに泊まったわけですけれども、既に学校を下校してしまっている場合に起こるということも想定されます。

 一方で、委員御指摘のように、東京都で散見されました、共働き家庭の中で一人家に帰って非常に孤独な思い、不安な思いをしていたという事例も、私も直接聞き取りしているところであります。

 現在のところ、東京都のように、文部科学省としましては、学校防災マニュアルの作成の手引というものを出しまして、例えば震度五弱以上の地震が発生した場合には児童生徒を学校で保護しておくなど、大規模な地震等が発生した場合の手引や、待機についてあらかじめ学校と保護者の間でルールを決めておくようにという指示を既に出しているところです。

 統計を見ますと、小学校では、これは国公私の区別をつけずですけれども、八三%が震災時の対応マニュアルをつくっている。中学校では六一%、高等学校では三五%という形で全国では広がっておりますが、一方で、小学校八三%ということは、一七%の学校では、ないということもまたしっかりと受けとめた上で、その地域性や、それから保護者たちのライフスタイル等々をしっかりと勘案した上で、学校、保護者の間でマニュアルをつくっていくことは非常に重要なことだと認識しております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 この文部省の見解に対しまして、古屋大臣にもお尋ねします。

 この見解に対して、どのようにお考えでしょうか。

古屋国務大臣 今委員から、東京都のことを御指摘いただきました。私どもも、この東京都の帰宅困難者対策、むやみに子供を帰すんじゃなくて、一斉帰宅抑制という基本的な考え方を決定したというのは、私は非常に、これはある意味で新しい、先進的な取り組みなのかなというふうに思っております。

 こういった、いざ有事の際のガイドラインとかマニュアルは、画一的なものではなくて、やはりそれぞれの地域の実情であるとかそういったものをしっかり加味して決定をしていくということが何よりも大切だというふうに思っております。

 ですから、今、義家政務官が学校の対応策についてお話がございましたけれども、実際、こういう東京都が行っている学校内の児童生徒の保護を含めて、このような取り組みをやはり全国的に広めていくというのは好ましい方向なのかな、そんな認識でおります。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 東日本大震災のとき、家族がいると思われたところに迎えに行ったため被害に遭われた方が多かったと伺っております。子供さんは学校がきちんと預かってくれると周知徹底されれば、大人はその時々で適切な判断ができるかと思います。いろいろな、本当にマニュアルではない対応というのも大事だと思いますけれども、最低限のきちんとした対応というものができるようなマニュアルを全国津々浦々、行き渡らせるということも大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 現在、耐震改修促進法の改正がなされようとしておりますが、それについてお尋ねいたします。

 私は、昔、神戸に住んでおりましたので、阪神大震災を経験しております。ですから、建物の耐震性の重要性につきましては痛いほど理解をしているつもりです。建物の耐震性が少しでも高ければ亡くなられなかっただろう人たちが多いこと、そして、御家族が亡くなった方たちの御無念さはよく知っております。ですから、この法律を改正し、住宅、建物等の耐震化の促進をすることはとても重要なことだと思っており、一刻も早くすべきものであるとは理解をしております。

 しかしながら、この改正によりますと、一定の基準以上の特定建築物に関しましては、耐震診断を行い、一定の期限まで、例えば、病院や旅館や店舗などは平成二十七年末までに所轄行政庁に報告しなければならず、その所轄行政庁は、報告を受けたときは、当該報告の内容を公表しなければならないことになっております。現在、平成二十五年ですので、二十七年末まではほとんど時間がありません。

 そこで、なぜ二十七年末までと期限を設定したのか、それは余りに急ではないか、お尋ねいたしたいと思います。

坂井大臣政務官 地震災害から国民の生命財産を守るということはやはり大変重要なこと、これは委員御指摘のとおりでございまして、国交省も認識をいたしております。そのため、耐震化に関しましては、数値で目標も出しておりまして、平成二十七年までには耐震化率を九〇%にしようということで、鋭意努力をさせていただいております。

 まだまだ一層の耐震化を促進する必要がございますので、今国会におきまして法案を提出させていただいているわけでございますけれども、不特定多数の方々が御利用になられる、今御指摘ありましたような建物等につきましては、耐震診断を行って、その耐震診断の結果を二十七年末に報告していただく、それを義務づけるという形になっております。

 耐震診断結果の公表につきましては、法案におきましては期限を定めてはおりません。またこれは事情等々を見ながら対応をするということで、混乱が生じないように適切に運用してまいります。

 ですので、適切な期間かな、こういうことでお願いをさせていただいているところでございます。

高橋(み)委員 二年間で適切かどうかというのは、ちょっと私にはよくわからないところではありますけれども、この特定建築物の持ち主は、皆さん、この法律は改正が行われようということを御存じなんでしょうかということをお尋ねしたいと思います。

坂井大臣政務官 法律が施行されるということになるまでに、まず、業界団体さん等々を通じてしっかりと周知をすると同時に、各県等々を回りまして、これは最大限の周知を徹底させていただきます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 そうすると、業界団体に入っている人たちは御存じですけれども、そうではない人たちは余り御存じないかもしれないということはあるということでいいんでしょうか。

坂井大臣政務官 通常の考え方の中では、業界団体や各県等々を回って県行政の中で周知をしていただければ、漏れなくほとんどの方に御承知いただけるということを想定いたしております。

高橋(み)委員 では、伺いますが、大量の耐震診断が殺到するのではないかと思うんですけれども、その耐震診断は実際には誰がするんでしょうか。それらの人たちは日本全国あまねくいらっしゃるんでしょうか。阪神大震災のとき、住宅の緊急耐震診断をする人が余りいなく、大変だったということを伺っていることから、お伺いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断を行う方としては、できれば少し専門的な講習を受けていただくということでございますけれども、建築士の方を想定させていただいております。

 お尋ねの件の中で、人数が足りるのかということだと思います。

 実は、義務づけの対象の建物は、推計は、まだ現在精査中ですけれども、六千棟とかそういうオーダーではないかというふうに考えてございます。

 一方で、過去、特に公立学校の耐震診断、非常にピークには密にやってまいりまして、二十一年度、これは補助を受けたものに限ってでございますが、六千六百棟を一年間で耐震診断したという実績がございます。二十三年度は二千二百になってございまして、この数から見ると、マクロでは足りているのではないかというふうに思っております。

 あとは地域偏在が心配になるところでございまして、これは情報提供をしっかりきめ細かくやってまいりたいと思います。

高橋(み)委員 ありがとうございます。大丈夫だということで少し安心をいたしました。

 それでは、先ほどもおっしゃっていましたが、報告の内容、報告をするというところを業界団体の方たちとかはいろいろ心配していると思うんですけれども、その公表はどのような形でされるのか、今のところ決まっていることがありましたら教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 報告につきましては、事業者の方から、建築確認を扱っています行政庁、都道府県と大きな市だというふうに考えていただければいいと思いますが、そちらの方に出していただきます。出された都道府県あるいは市の中で、それぞれの自治体の中の実情なんかを見ながら、先ほど政務官からお答え申し上げましたように、丁寧な運用ということで公表させていただくというふうに考えてございます。

高橋(み)委員 その公表は、つまり、丁寧な公表というのは具体的にはどのようなものなんでしょうか。

井上政府参考人 具体的にはこれから政令で定めることになっておりますけれども、例えばでございますけれども、同じ業種の中で対応をきちんと迅速に行った方とそうじゃない方が時間差で非常に不公平になるということがあるんだとすれば、できるだけそれはまとめて公表するようなことをやっていただくのではないかというふうに思っております。

高橋(み)委員 私も、しっかり診断をして改修していただくような人と、それを放置というか、診断はしたけれどもまだ改修のめども立っていない人たちの差をつけるというのは本当に大事なことだと思うんですけれども、今おっしゃったことではまとめてということなので、それはホームページに載っけるとか、いろいろな地域のところの看板に名前を一覧にするとか、そんなようなイメージでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現段階でまだ確定的な考えを持っているわけではございませんけれども、基本的には通常の公共団体の広報のやり方の中でやっていただくということだと思います。今後の審議も踏まえながら、しっかりと対応させていただきたいと思います。

高橋(み)委員 そうしますと、例えば、建物に、この建物はだめですよとか、そういう個別の表示というものは考えていないと考えてよろしいんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今の耐震診断の義務づけの結果を個別に表示するということは考えておりません。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 私も、この改正というのは本当に必要なことだと考えております。ただ、補助があるとはいえ、自己資金で行う改修は建物が大きければ大きいほど大変でありますから、きめ細かいフォローをしていただければと思っております。

 では、最後の質問に移らせていただきます。

 災害対策に関する古屋大臣の所信にございました自助、共助、公助についてお尋ねしたいと思います。

 さまざまな災害対策の推進に当たっては、自助、共助、公助のいずれも重要とのことですけれども、災害に関しては全てを公的な対策で対応できないものであることは国民の皆さんは理解されていると思います。しかし、実際、どうしたらよいのか、具体的に何をしたらよいのか、こんなときはどう手をとり合っていったら効果的なのかということは、個人個人にはなかなかわからない、簡単にわかるものではないというような心配もしております。

 東日本大震災において我が国が経験しましたとうとく貴重な体験を全ての国民で共有し、災害のときに私たちはどのように行動していくのか、こんなときに誰を頼ればよいのかなどをわかりやすく示すべきではないかと思っております。

 災害のときには、日常生活ではかかわりのなかった世代の方々、例えば、突然、おじいちゃんやおばあちゃんも若者と一緒の境遇に置かれるわけであります。誰が悪い、彼が悪いということではなく、突然の災害にストレスもたまるかもしれません。そのようなストレスが争いにつながらないか、放っておくと必ず起こるトラブルでも、防ぐことができるトラブルであるかもしれません。

 こういう今述べました件を含めて、自分たちでここまでは頑張ろう、こんなときはこんな人を頼ろう、こんな組織を頼ろう、ここからは国がしっかりとやるから信じてくれという意味で、自助、共助、公助に関しまして大臣の所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

古屋国務大臣 今委員が御質問なすった内容、まさしくそれが自助、共助、公助ですよね。

 公助だけでこういう災害のときは対応できません。やはり、みずから考え行動する、そしてお互いに助け合う。ですから、私は、所信の中でも、自助、共助、公助がバランスよく機能して初めて災害対策が、災害時の対応がうまくできるということを申し上げたんです。

 東日本大震災でも、釜石の奇跡というのを御存じですよね。あれは有名になりましたよね、テレビに報道されて。小中学生の子供たちが高齢者をうまく誘導したとか、あるいはそれを見て、周りの人たちも同じような行動をとり始めた。こういうようなものはもう典型的な共助ですよね。あるいは、ちょっと、こういう例なんかもあったんですね。例えば、六年生の児童が、津波防災教育で視聴したビデオで、五十センチでも流されてしまうということを思い出したそうです。それで、外ではなく自宅の、この方は自宅が三階だったんですね、三階に逃げた、もちろん助かった、こういうことです。それから、みずからの判断で、もっともっと高いところに行こう、こういうような取り組みをした。

 だから、地域での防災教育とか学校教育現場での防災教育等々は大切です。それから、あらかじめマニュアルを、それは家庭内でもいいんですよ、あるいは町内会単位でもいいんですね、そういったものをしっかりつくり上げていく。実は、そういうのがなかなかわからないときには、今、そういうマニュアルを作成するノウハウとかひな形というものを、我々もあるいは地方公共団体も積極的につくり上げて、住民の皆さんに提示をしていますから。

 常日ごろからそういう意識を持つ、そのことが結果として自助、共助、公助、そして災害のときにうまく機能するということにつながるんじゃないでしょうか。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 ただ、私が少しだけ危惧しているのは、これは自助の範囲だからといって、公助ができない言いわけに使われないかという点です。もちろん自助は大事ではありますが、国や地方公共団体の言いわけにならないようにぜひしていただければと思っております。

 きょうはありがとうございました。これで終わります。

坂本委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 よろしくお願いします。日本維新の会、宮沢隆仁であります。

 私は、ちょっと前まで普通の国民だったんですが、前職は脳外科医をやっておりました。かなり、脳外科の手術というのはスリル満点でありまして、まさに緊張の極致に常に置かれながら、秒単位の判断を迫られておりました。そういう立場に立って、国の災害対策に対する一国民としての素朴な疑問をきょうは質問させていただきます。

 まずは、自然災害後の犯罪防止対策について、これは警察庁の方からでしょうか、簡単に今の概要をお答えいただければと思います。

山下政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの、自然災害発生時の犯罪対策でございますけれども、例えば、今般の東日本大震災の発災直後には、岩手県、宮城県及び福島県の被災三県におきましては、侵入窃盗が増加する状況が見られました。これは、時間の経過とともに、現在おおむね落ちついてきてございます。

 この間、警察におきましては、被災三県の警察官等約八千人に加えまして、それ以外の都道府県警察から、一日当たり最大約四千八百人の警察官等を三県に派遣するなど、体制を強化いたしまして、パトロール活動の強化や検問の実施、犯罪発生時の初動捜査の強化、自治体や住民と連携をした防犯パトロール、防犯カメラ等の設置、運用など、犯罪を抑止するための諸対策を講じてきたところでございます。

 自然災害の発生後におきましては、住民の方々の長期避難や、また災害発生に伴う混乱に乗じた各種の犯罪の多発が懸念されますことから、今回の東日本大震災の教訓も踏まえまして、自治体や関係機関などと連携をいたしまして、自然災害発生時における犯罪対策に万全を期してまいりたいと考えております。

宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。ほぼ体制としてはできているのかなと、一国民としても安心しました。

 その次は、日ごろの報道、災害後の報道をテレビ等で見ていて私が感じていたのは、いわゆる警察、防衛省、海上保安庁等との間の情報連携というのがどの程度できているんだろうという心配がちょっとあったんですね。

 それで、事が何か起こったときに、先に警察が入り、そこで警察が手に負えなくなったら、ではそこで防衛省へ連絡しようというのでは、恐らく、もうこれからの災害には対応できないと思うんですが、その辺の、いわゆるシームレス連携について、警察庁、防衛省、両方からでも結構ですけれども、お願いします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、これまでも、災害発生時における救出救助能力の向上等を図るため、さまざまなレベルにおいて、自衛隊、消防等の関係機関と連携しつつ、各種訓練を実施しているところであります。大規模災害が発生した場合には、国や都道府県の災害対策本部を通じて、自衛隊等の関係機関との情報の共有や、災害応急対策の調整が図られることとなります。

 今後とも、自然災害発生時に万全の対応ができますよう、自衛隊等関係機関との連携に努めてまいる所存でございます。

宮沢(隆)委員 とかくマスコミからは、連携が悪いとか連絡が悪いとかと、時々指摘されておりますので、これはもう本当に、ぜひ緻密なる連携体制をとっていただきたいと思います。

 そして、ここからはちょっと質問の毛色が変わりますが、今まさに北朝鮮がミサイルを撃つかどうかという報道がなされていますけれども、自然災害ではなくて人為的災害の話に入ります。

 私は、むしろ、南海トラフの大地震等よりも、確率としてははるかに高い危機ではないかと思っております。そして、自然災害発生後にも、この人為的災害というのは起こり得ると思います。

 まずは、私がずっと以前から心配しておりました原子力発電所の警備状況について、これは原子力規制庁ですか、よろしくお願いいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、全国の原子力発電所にサブマシンガンやライフル銃、耐爆、耐弾仕様の車両等を装備しました銃器対策部隊を常駐させまして、海上保安庁とも連携しつつ、二十四時間体制で警戒に当たっております。さらに情勢が緊迫したときには、銃器対策部隊を増強、派遣しますほか、高度な制圧能力と機動力を有します特殊部隊、SATを迅速に投入することとしております。

 また、原子炉等規制法に基づき、原子力規制委員会等と連携して、警察庁職員による原子力発電所への立入検査等を積極的に実施して、事業者による防護体制の強化を促進しているところであります。

 二年前の福島第一原子力発電所の事故によりまして、その脆弱性が国内外に明らかになったことを踏まえまして、人的体制の充実、装備資機材の整備拡充、警戒要領の見直し等、テロ対策の強化を図っているところでございます。

 警察としましては、引き続き、関係省庁、事業者等とも連携し、各種訓練の実施や警備体制の強化等を図り、原子力発電所の警戒警備に万全を期してまいりたいと考えております。

宮沢(隆)委員 ありがとうございました。

 私は、サブマシンガンを装備しているというのは今回初めて聞きました。これは他の一般の国民の方は知らないんじゃないかと思うんですね。同時に、これは、まさにテロを起こそうかとか思っている人間がもしいるとしたら、その連中にも知らしめるという意味で、どんどん広報活動をしていったらいいんじゃないかと思うんですね。それがそのまま抑止力になるのではないかと思います。

 私が読んだ記事、論文では、民間の警備員は武器を携帯できないみたいなことを書いてありましたけれども、その辺も、もしこういう事態が起こり得るのであれば、法制度を改正するなりして、武器をもうちょっと携帯できるようなシステムにしてもいいんじゃないかなと個人的には思います。

 次は、まさに今の北朝鮮の問題につながるんですが、原子力発電所の建物というのは、いわゆる飛行機そのもの、九・一一ですよね、あるいはミサイル、あるいはジェット戦闘機による爆撃等に耐えられるものなんでしょうか。よろしくお願いします。これは原子力規制庁ですか。

山本政府参考人 お尋ねの、そういうテロ攻撃などに対しまして、原子力発電所の脅威ということでございますが、もちろん原子力発電所の建屋自体はコンクリート等の構造物でございますので、一定の強度は持ってございます。

 特に今回、原子力規制委員会としましては、新しい規制基準を今現在検討して、ことしの夏から施行を予定してございますけれども、そこの新しい規制基準におきましては、先生御指摘の大規模災害だけではなく、テロも含めてさまざまな事象によりまして炉心損傷が起きた場合の対策を求めております。

 その中で、特に意図的な航空機の衝突、テロによるものというふうに想定してございますけれども、これによりましてプラントが大規模に損傷した状況においても、炉心を冷却し、あるいは格納容器を守る、こういったような対策を講じさせる、こういうことを新しい基準の中に盛り込む予定にしているところでございます。

宮沢(隆)委員 こういう災害対策というのは、やはり想像力が極めて重要だろうと思うんですね。現実として、まさにミサイルが飛んでくる、当たる可能性もある、ミグ戦闘機が飛んでくるかもしれないというようなことがあり得るのであれば、それを想定した建物にしておかないと、一発そこに当たって破壊されたら、もうそれは内なる兵器みたいなものですからね。これは、今回の福島原発の事故を見れば明らかなように、これでもかというぐらい徹底的な体制はつくっておくべきではないかなと思います。

 それから次の可能性、日本海側にあり得ると思うんですけれども、映画の見過ぎかもしれませんが、いわゆる007の映画に出てくるような、海の中からはい上がってきて侵入してくるテロリストなんというのも想像してもいいと思うんですよね。

 そういうものに対する体制、対策はしてあるのでしょうか。これは海上保安庁ですか、よろしくお願いします。

黒木政府参考人 お答えします。

 原子力関係施設の安全性を確保する上で、事故のみならずテロへの対応も大変重要な課題であります。

 このため、原子力規制委員会としては、核物質防護の規制を行う立場から、事業者に対しまして、テロリストの侵入を検知し、遅延させ、そしてその他の対策をとるために、原子力施設の周辺に立入制限区域、周辺防護区域を設けまして、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置して、警備員による巡視を実施するとともに、出入り口における従業員等の本人確認等の措置を講じさせているところでありますが、海からの問題に関しましては、あわせて海上保安庁による巡視が洋上から行われているところでございます。

 特に、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、建屋の外にある重要な設備の防護等の措置を求めるとともに、防護措置を国際的な水準に引き上げるため、国際原子力機関、IAEAの最新の勧告を踏まえた警備の強化を求めたところであります。

 これらの措置を確実に進めますとともに、引き続き、治安機関と連携しまして、原子力発電所のテロ対策には万全を期してまいりたいと思います。

 以上です。

宮沢(隆)委員 ある程度の対策は練っているということですが、ちょっとある事例を紹介したいと思います。

 サピオ二〇一一年六月十五日号掲載の記事からなんですが、一九九〇年十月に美浜事件というのがありました。御存じだと思うんですけれども、福井県原発銀座のど真ん中で、工作員の使用する潜入用の小型ボートと漂流する工作員二名の死体が発見されました。その後、乱数表、モールス信号用の電鍵等のスパイ道具、水中スクーターが発見され、北朝鮮による工作事件と断定されました。こんな事件も実際起こっているわけですね。

 ですので、これからも十分あり得ることだと思うので、海のどこから来ても大丈夫なような対策はぜひお願いしたいと思います。

 それから次の質問ですが、まさについこの間、韓国もやられたサイバーテロに対する原子力発電所の対策についてお尋ねします。

黒木政府参考人 サイバーテロ対策として、原子炉等規制法に基づく原子力規制委員会規則におきまして、原子炉施設等の操作に係る情報システムというものは、電気通信回線を通じて妨害破壊行為を受けることがないように、電気通信回線を通じた外部からのアクセスを遮断しておくということを原則にしております。したがいまして、外部からのそういったアクセスというのは、基本的にはないというふうに考えております。

 ただ、いろいろな状況がありますので、同規則におきましては、情報システムに対する妨害破壊行為が行われるおそれがある場合または行われた場合には、迅速かつ確実に対応ができるように、情報システムセキュリティ計画を作成することを求めております。事業者は、情報システムに妨害行為が発生した場合等においては、その旨を迅速に規制機関に連絡することになっております。

 あわせて、事業者が原子炉等規制法に基づき定めております核物質防護規定におきまして、サイバーテロを含む不法行為が発生した際には、状況及びその講じた措置の内容を遅滞なく関係機関に通報することを規定いたしておるところでございます。

 引き続き、治安機関と連携しまして、サイバーテロ対策につきましても危機感を持って対応してまいりたいと考えております。

 以上であります。

宮沢(隆)委員 これも今後十分起こり得ることですので、やられてしまったというようなことがないよう、ぜひお願いします。

 次は、これも原子力発電所ですが、原子力発電所というのは、かなりの人数の職員、いろいろなタイプの職員が入り込む施設だろうと思うんですけれども、職員の中に何らかの工作をしようと思う人間がいたら、これはもう、むしろ飛行機が突っ込んでくるとかそういうことよりもはるかに怖いかもしれない。

 そういう職員の管理ということに関して、これもお尋ねします。

黒木政府参考人 原子力発電所に立ち入る者につきましては、現在、事業者が身分証明書等の確認により本人確認を実施するとともに、例えば金属探知機を通して、不要なものは持ち込まないようにとか、そういった厳重な出入り管理を行っているのが現状であります。

 原子力発電所に立ち入る者に対するいわゆる個人の信頼性確認制度と申しておりますけれども、これにつきましては、主要な原子力利用国が制度を採用しておるところでありますが、かつIAEAの勧告でも求められているところであります。しかしながら、我が国においては同制度の導入には至っておりません。

 今後、警察等の関係機関と連携をとりつつ、核セキュリティに関する検討会、今立ち上げておりますが、これにおいて議論を深めまして、検討を進めてまいる所存であります。

 以上であります。

宮沢(隆)委員 その点に関しては日本は大分おくれていると言われているようですので、少なくともIAEAに準拠するような体制までは速やかに持っていっていただきたいと思います。

 ここで、あるシミュレーションをしてみたいと思うんですが、いわゆる想像力を試すという意味ですね。例えば、突然、原子力発電所に停電が起こった、実際、つい最近ありましたよね。原因としていろいろなことが考えられると思うんですが、ネズミが原因だとか普通の漏電、あるいは人為的ミス、偶発的事故、そしてテロ、これは必ず念頭に置かなきゃいけないことだろうと思うんです。

 その場合に、停電したという事実は関係する全ての省庁に一斉に伝えられるものなのでしょうか。それとも、まずどこかの省庁に伝えてから次の省庁、次の省庁という形になるんでしょうか。そこをちょっとお尋ねします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 原子力発電所におきましては、原子炉の冷却その他、大変重要な設備がございますので、これを駆動するためには電源が必要でございます。電源が失われますと、その安全機能が一時的に失われるということになりますので、これは、法律に基づきまして事故、トラブルの報告として私ども原子力規制委員会の方に報告が上がってくるというもので、これは法令上の報告として上がってくるものでございます。

宮沢(隆)委員 私が聞きたいのはその後です。要するに、その入った情報が同時にほかに伝わっているかどうかということ。

山本政府参考人 原子力発電所の重要な事故、トラブルに関しましては、関係者、例えば官邸であるとか関係機関の方にメール等で連絡をさせていただいているところでございます。

宮沢(隆)委員 私の、素人の感覚でいきますと、私は、あらゆる起こった事件は全ての省庁に一斉に伝わってもいいと思うんですよね。例えば、ただの、普通の停電であっても、テロである可能性がその中に含まれるのであれば、同時に防衛省に最初に通達が行っていてもいいと思うんです。すると、その時点で防衛省の方で、いつ出動になるかわからないという態勢をとるわけですよね。すると、いわゆる情報伝達によるタイムラグはなくなるわけですから、より迅速に対応できる。そこはぜひシームレス連携ということで考えていただきたいと思います。

 最後に、これで終わりますが、外科医にとって、いわゆる想像力、予測力、それと準備、この三つは極めて重要です。場合によっては、いわゆる外科医としてのスキルより重要な場合があります。これがなくて、例えば患者さんの手術の結果がうまくいかないと、本当に外科医は落ち込みますし、恥に感じます。ですから、防災対策もそのくらいの感覚でぜひやっていただきたいと思います。

 最後になりますが、古屋大臣、ちょっと最後の見解というかコメントをよろしくお願いします。(古屋国務大臣「どこのことを聞いているの」と呼ぶ)いわゆる人為的災害という意味で、原子力発電所で結構です。

古屋国務大臣 私の所管は防災と国家公安委員会なので、原子力発電所の警備、先ほど高橋局長の方から答弁ございましたけれども、それは管轄しておりますけれども、それはあくまでも警備という視点です。ですから、これは災害対策特別委員会なので、内閣委員会ではありませんので、警察のことをお話しするのはちょっとふさわしくないかなと思いますけれども、そういう取り組み。

 いずれにしても、どの閣僚であっても、やはり常にいろいろな可能性、リスクをしっかり想定しておく。先ほど、イマジネーションが大切だという趣旨のことをおっしゃいましたよね。それはすごく大切ですね。ですから、想定外というのはあっちゃだめなんですよという取り組み。ですから、私どもも、例えば災害にしても、あれは想定外でしたというのは言いわけになりませんので、過日、南海トラフ巨大地震のときも、そうやって一番最悪な事態までも含めて発表して、しっかり冷静に判断して正しく恐れてもらいましょう、こういうことを申し上げている。そういった精神をこれからも閣僚としてしっかり心に刻みながら頑張っていきたいと思います。

宮沢(隆)委員 今の想定外のお話、まさにそのとおりです。すばらしいコメントだったと思います。無理言って済みませんでした。

 どうもありがとうございました。

坂本委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の新人の樋口尚也でございます。

 きょうは人生で二回目の質問でございまして、この委員会で初めて質問をさせていただきます。

 私はきょう、四十二歳の誕生日でございまして、質問の機会をいただいて大変光栄に思っています。坂本委員長初め皆様に格別の御指導、御鞭撻、よろしくお願いを申し上げます。

 さて、私は、昨年の十月の三十一日まで、建設会社でほとんど営業マンとして仕事をさせていただいておりました。そのときに先輩から教わったことで、大きな仕事をとるときの二つの秘訣は、一つは、スキルよりもウイルだということ、もう一つは、大きな仕事をするために、何でその仕事ができたのかと後で聞かれたら、できるまでやったからだ、こう答えろというふうに訓練を受けてまいりました。

 今、安倍総理の強いリーダーシップで、自公連立政権のこの断固たる意思、必ずやるという意思を持ってデフレ脱却という困難な壁を突破し、国民の皆様の暮らしとそして命を守るという取り組みに心から共鳴をしています。

 また、それとともに、先頭を走られて大変なお立場で災害対策行政に携わる古屋大臣を初め皆様の御尽力に、国民の皆様を代表して心から敬意を表しますとともに、私も、委員会の一員として全力で頑張ってまいる決意でございます。

 さて、古屋大臣は所信の中で、国土強靱化について、事前防災、減災対策を通じて、大規模災害が発生しても、何としても人命を守り致命傷を負わない、被害を最小限にする、速やかに復旧させるという強さとしなやかさを持った国土、地域、経済社会の構築が必要だ、こういうふうにおっしゃいました。全く同感でございまして、微力ながらお支えをしてまいりたいと思っています。

 さて、本日は、先日の古屋大臣の所信に対する質疑と災害対策行政全般について御質問をさせていただきます。特に、大臣がおっしゃっていらっしゃいました、今こそレジリエンス、国も企業も地域もレジリエンスということについて中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、本年一月の二十七日に、スイスのダボス会議におきましても、レジリエンスダイナミクスについての議論がされたという報道がございました。世界でも目下のトレンドとなっているレジリエンス、このことについて、ダボス会議には甘利大臣が御出席でございますけれども、そういった内容、どういうお話があったのかということと、それを踏まえて、大臣の我が国のレジリエンスの推進に対する思い、御決意をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕

古屋国務大臣 確かに、ダボス会議はレジリエンスダイナミクスというのがテーマでしたね。それで、各国のリーダーが集まりますので、日本からは甘利大臣が行って、特にそういった強靱化、レジリエンスということについて言及をしてもらいました。

 どの国にもやはり弱点はあるんですね、リスクがあるんです。そのリスクに対して、しっかり事前の備えをしていく、それがレジリエンスなんですね。結果として、ダボス会議でも、そういった取り組みをしていくことこそが競争力がつきますよという趣旨であります。

 もうダボス会議のことはよく中身を調べているでしょうけれども、例えば、公表されたデータにも、日本はすごく国際競争力はありますよ、ただし、レジリエンス、強靱性という意味ではちょっと弱いかな、こんなようなデータが発表されていましたね。ということは、強靱性を持たせれば、最高の、世界一の競争力ということなんですよ。だから、そういう意味では大切。

 ですから、これは、世界が今、競い合って強靱性に取り組んでいるということだと思います。アメリカとかイギリスでも実際にもう始まっています。

 イギリスは、二〇〇七年に洪水があって、それで、国土のそういう強靱性の計画。アメリカも、ハリケーン・カトリーナの教訓。あれは十四兆円の被害が出たんですけれども、実際にFEMAが分析をしたら、二千二百億円を投資していたらほとんど事故は起きなかったということですよね。やはり、これは非常にいい示唆を与えてくれています。また、ことしの一月の大統領の教書演説、あそこでも、フィックス・イット・ファーストというタイトルで、強靱化のことについてはっきりうたっています。

 ですから、そういう意味で、世界が強靱化の競争をしているんですよ。だから、日本はそのトップランナーになっていくということが大切。そのために私も初代の国土強靱化担当大臣を拝命しましたので、世界で最高水準の強靱性、レジリエンスを持った国を目指していきたいというふうに思います。

 野球で例えるならば、全盛時のイチローのようなバッターなんですね。どんな球が来ても見事に打ち返す、しなやかで、インナーマッスルを鍛えた強い国づくり、地域づくり、社会経済づくりを目指していきたいと思います。

樋口委員 ありがとうございます。

 世界一の競争力を持つ日本へという力強いお話、大変ありがたいと思います。

 続きまして、昨日、先ほどちょっと質問がございましたけれども、国土強靱化推進に関する関係府省庁連絡会議というものが行われたということでございます。その際に考え方が示されたということでありますけれども、その考え方のポイントと、その会議がどういうふうに進捗したのかということについてお伺いをしたいと思います。

亀岡大臣政務官 今大臣が御説明したとおり、大臣が就任以来、強烈なリーダーシップのもとに、災害に強い強靱な国づくりのあり方について、有識者会議、ナショナル・レジリエンス懇談会における御意見、御助言をいただきつつ、検討を行ってきたところであります。

 その上で、きのう、古屋大臣のもとで関係府省庁連絡会議を開催し、国土の強靱化、ナショナルレジリエンスの基本理念と当面の取り組み方針を決定したところであります。

 これは主に五つあるんですが、五つ目は実行ということで、その基本理念を四つ申し上げたいと思います。

 いかなる大災害が発生しても、人命は何としても守り抜くがまず一つであります。次に、行政、経済社会を維持する重要な機能が致命傷を負わない、大事なことであります。三つ目、財産、施設等に対する被害をできる限り軽減し、被害拡大を防止するということが一つであります。四つ目が、迅速な復旧復興を可能にするという考えのもとに、強くてしなやかな、強靱な国づくりを、政府として、府省庁横断的に、地方公共団体や民間とも連携をして総合的に推進することにあるということを決めております。

 当面は、従来の事業、施策の枠組みでは十分な対応が困難であると思われる低頻度大規模な自然災害によるリスクを前提に、現在の政府の取り組みや地域の現状における脆弱性を評価した上で、五月末までに国土の強靱化に向けた当面の対応を取りまとめることとしております。

樋口委員 ありがとうございます。

 所信においても、対象となるリスクを特定し、そして、地方の皆様の声も踏まえて脆弱性の評価を実施し、必要な施策を優先順位を含めて省庁横断的に検討する、こういうふうにおっしゃられておりました。今も五月末までにというお話がありましたが、日本の目指すレジリエンスのサイクル、ステップというふうにも表現をされておりましたけれども、その内容についてお伺いをしたいと思います。

亀岡大臣政務官 今、サイクルというお話がありましたけれども、まさにこれはサイクルが必要なのであって、国土強靱化に向けていろいろな取り組みをして、そして、計画をつくり実行するだけではなくて、実行した結果を評価して改善を加えていくというサイクルが一番重要だと考えております。

 具体的には、対象となるリスクを特定し、そのリスクに対して目指すべき目標を設定する、そして各分野において地方の声をお聞きしながらリスクに対する脆弱性をしっかり評価する、さらに脆弱性の原因を分析し、脆弱性を克服するための課題と対応方策を検討する、さらにその対応方策について、重点化、優先順位をつけて計画的に実施をする、さらにその結果を適正に評価するというものであります。

 こうしたサイクルを通じて、国土の強靱化の具体的な推進に努めてまいりたいと考えております。

    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕

樋口委員 もう一点、加えて、済みません。そのサイクルをどのぐらいのタームで回していくというお考えでしょうか。

亀岡大臣政務官 これは、これからしっかりと進めていく中で、懇談会の有識者の皆さんから意見をいただきながら、このサイクルに関しても一緒に議論をしていただくことになっておりますので、ぜひまた御意見があったら申し出ていただきたいと思います。

樋口委員 よくわかりました。ありがとうございます。

 さて、私ども公明党は、昨年来、いわば看板政策として、防災・減災ニューディール政策を強く主張してまいりました。すなわち、今こそ、防災、減災、そして老朽化、長寿命化に無駄のない公共投資を集中的に行って、それで命を守るということ。そして、何としてもデフレを脱却しなければいけません。デフレギャップを埋めていくということで経済を再生するということであります。

 その中で、私ども、五点ほど申し上げますけれども、力を入れてまいりました。一つは、防災・減災総点検、この実施について。二つ目に、事後保全型から予防保全型へ転換をしていこうという点。三つ目に、住宅を含めた耐震化を促進するという点。四つ目に、事前防災の考え方。そして五つ目に、教育等のソフト面について。

 これらについても、ぜひともこの政府の計画の中に強く取り入れていただきたいというふうに思っておりますけれども、御所見をお伺いいたします。

古屋国務大臣 公明党さんが今の五点を強調されている、よく承知をいたしております。いずれも極めて大切な項目である、そういうふうに認識をいたしております。

 したがって、この国土強靱化の基本理念、先ほども亀岡政務官から答弁がありましたけれども、これに照らし合わせても非常に重要ですね。ですから、我々は、公明党の皆さん方のそういったお考えというものもしっかり今後の計画の中に反映していくべきである、こういうふうに考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 例えば、インフラメンテナンスにつきましては、損傷が激しくなってから修理をするという事後保全が一般的ですけれども、長期的にはコストを抑制できる予防保全型への転換が急務であります。実際に、東京都そして青森県で、橋の管理に予防保全型の手法を取り入れて大幅なコスト削減がなされております。また、この防災の鍵を握るのが、先ほど高橋先生から御指摘もありましたけれども、耐震化であります。

 直近の調査で、公立の小中学校の耐震化率は八四・八%、病院は六一・四%、防災拠点となる公共施設は七九・三%となっています。

 とりわけ、南海トラフに関する災害想定、内閣府によりますものでも、建物の耐震化率を一〇〇%にしてほかの対策も含めて行えば、建物の倒壊による死者数は八万二千人から一万五千人に八割以上も減らせる、建物などの経済損害額も百六十九・五兆円から八十・四兆円、半減できる、こういうふうな試算もあります。

 あらゆる知恵、もちろん、財政的な支援も必要だと思います。だけれども、一刻も早く耐震化一〇〇%を目指すべきであります。特に、まだ手のつけられていないものが多い住宅について、非常に問題だというふうに認識もしておりますし、喫緊の課題でもあります。今後また議論させていただければと思います。

 また、事前防災については、先ほど大臣がおっしゃいましたように、アメリカのカトリーナの分析、非常によくわかりました。事前防災をしておけばほとんど被害はゼロになったということでありますので、事前防災も大事です。

 いずれにしましても、備えあれば憂いなしでありますので、事前の備えを強化して、命を守る防災、減災を力強く進めていただきたいというふうにお願いをいたします。

 続きまして、次の質問ですが、防災、減災、そしてレジリエンスを行う上で大切なポイントが幾つかあるというふうに認識をしています。

 先ほど吉田先生の御指摘にもありましたけれども、当然、公共事業も多く出てまいります。デフレ脱却ということもあります。

 まず、私は、公共事業は無駄だ、ばらまきだ、悪だというようなイメージ、こういうイメージを払拭していく作業は非常に大事だというふうに思っておりまして、こういうイメージを払拭するPR、こういう点についてどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

古屋国務大臣 今度の国土強靱化は、もう今何度も答弁がありましたように、まずリスクをしっかり分析して、脆弱性を評価して、では何をやらなきゃいけないか、それに優先順位をつけて、なおかつ重点的に優先順位が上のものをやっていく、そして評価をするということなんです。

 それは、公共事業だけにとどまらないんですね。ありとあらゆるソフト、ハードを含みますので、これが無駄な公共事業だと批判をされるということ自身がいかがなものかなとちょっと首をかしげたくなりますが、しかし一方では、まだそういうことを思っている方もいらっしゃるとすれば極めて問題ですので、正しいPRをしていくことが重要だと思います。そういった意味での政府としての広報戦略というのも大切だというふうに思っております。

 やはり、国民に、国土強靱化というのは何をするのか、何を目指しているのかということを正しく理解してもらうための努力は徹底的にやっていきたいというふうに思います。

樋口委員 私もそういうPRが非常に大事だと思っておりまして、私ども、ポイントとなる、公共工事は無駄だとかいうことについては、国民の皆様が本当にわかりやすく、見てとってわかっていただけるように、公共事業の見える化の推進というのを進めていくべきだというふうに思っております。

 例えばそれは、国や地方自治体、それらが管理する社会インフラについて、いつ、どこで、どのように点検をし、修繕されたのか等を一覧表にして見ることができて、そして、そこに幾らお金をかける、その理由は何なのか、何をしたのか開示をして、皆様に見える形で、国民の皆様が将来的にも見ることができる、こういう見える化が信頼性とか必要性の理解を深めることにつながってまいるというふうに思っています。

 この見える化については、さまざま議論がありますけれども、ぜひ推進方をお願いしたいなというふうに思っております。

 続きまして、先ほどスケジュール感のお話が少し出ておりました。五月ということでありましたが、まずは、来年度、平成二十六年の国土強靱化関係の予算の措置、これがどのようになっていくのかというのをスケジュール的な面から教えていただきたいと思います。

亀岡大臣政務官 当面のスケジュールとしては、従来の事業、施策の枠組みでは十分な対応が困難であると思われる低頻度大規模な自然災害によるリスクを前提に、現在の政府の取り組みや地域の現状における脆弱性を評価した上で、五月末までに国土の強靱化に向けた当面の対応を取りまとめることとしております。

 その上で、当面の対応に基づき必要となる施策、事業については、重点化、それから優先順位をしっかりつけさせていただいた上で、平成二十六年度予算編成過程を通じて具体化をして、予算づけをしていきたいというふうに考えております。

樋口委員 ポイントの二つ目でございますけれども、やはり今、特に建設産業については人材の確保が非常に難しいというふうに言われております。予算の長期化を求める声もあります。

 私は建設産業出身でございますので、一例でございますけれども、ずっと現場を見てまいりました。最近はやはり、仕事がないから人員を削減する、そして機材や設備を手放す、さらには、もうこれ以上仕事を続けられないからといってやめていった、こういう歴史がありまして、まさに負のスパイラルに陥った点も否めません。

 例えば、この建設業について言えば、建設産業の現時点での供給能力は明らかに不足であるというふうに指摘されているところでございます。東日本大震災からの復興のおくれもございます。

 こういう懸念もありますので、私ども公明党の山口代表は、最近好循環を生んでいる、現在の好循環の理由について、こういうふうに言います。先が見通せる予見可能性を連立政権が社会に示しているということを挙げています。この予見可能性を今示すことが非常に大事だというふうに思っています。今こそ予見可能性を示し、負のスパイラルに歯どめをかけるべきだと思います。

 そこで、これからたくさんの方がこのレジリエンスにかかわるお仕事もしていきます、デフレも脱却をしていきますけれども、将来を見通すことができて、人材の確保であるとか設備投資に踏み切るということについては、やはり長期的に安定的に計画が出てくる、そして予算を確保するということが非常に大事な点だというふうに思っております。

 このレジリエンスに関する計画の長期性や予算の確保について、その長期性についてお伺いしたいと思います。

古屋国務大臣 御党の山口代表が予見可能性ということを指摘した、非常に適切な指摘だと思います。やはり、この強靱化計画を進めていくためには、実際に公共事業という部分もあるわけですね。

 ただ、今委員御指摘のように、その業界にいらしたということなので、厳しさは一番よく身にしみておわかりだと思うんですが、やはり、計画的な仕事というものが確保できなければ、いい人材もなかなか確保はしていけないですよね。そうすると、技術的にもどんどん落ちていくということになりますね。

 ですから、今後は、国土強靱化本部をつくって、基本計画をつくっていく中では、やはり、そういったタイムスケジュール、こういったものもある程度は示していくべきでしょうね。そうしなければ、実は国の予算の確保ということもなかなか厳しくなりますから、やはり、そういったものをはっきり示した上で取り組んでいく。

 そして、それにはそれぞれ分野ごとにいろいろな事業がございますので、やはりそういったものも、見える化とさっきお話ありましたけれども、本当にはっきり見通せる、予見可能性、こういった取り組みをしていくことは大切だと思います。心してかかっていきたいと思います。

樋口委員 心強い、タイムスケジュールを指し示すというお話、ありがとうございます。

 続きまして、災害対策における民間そしてNPOとの連携についてお伺いをしたいと思います。

 東日本大震災での自衛隊の活動には救援活動がありましたけれども、例えば東北整備局のくしの歯作戦に代表される、地元の建設業の皆さんの案内や道路の整備があったればこそという指摘が強くされています。

 また、救援物資が不足しているという情報や、物資を届けるのはどこに届けるのが一番効率的なのかということについては、NPO団体が非常に協力をしたというようなことがありました。

 これから議論される点ではありますけれども、こういう政府と地方自治体と民間との連携について、非常に強固なものにしていくべきだというふうに考えておりますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。

亀岡大臣政務官 多分、樋口委員も民間におられて、いろいろ御支援いただいたんだと思います。本当にありがとうございます。

 私も、実は被災地にいて民間人としていろいろ対応させていただきました。特に、被災があって、津波があった後は、消防団の諸君が頑張って瓦れきの撤去から始まりまして、地元の建設業の皆さんが、本当に、自衛隊を案内していろいろな場所で活躍をしてくださいましたし、何よりも、避難所において、要支援者も含めて、本当に、NPO法人の方々が食事の世話から病人の対応までしてくださいました。まさに一番大事なのは、国とNPOや民間とのしっかりとした連携が必要であるということは、私も身をもって体験をさせていただきました。

 昨年の七月に取りまとめられた中央防災会議の防災対策推進検討会議の最終報告においても、東日本大震災での経験を踏まえ、行政が災害時に民間の企業や団体と協働で災害対応を行うため、民間主体との災害発生時の協定等の締結を促進することについて指摘されたところでありますので、この指摘をもとに、しっかりとこれから検討してまいりたいと思います。

樋口委員 ありがとうございます。

 続きまして、災害対策における、先ほど笹川先生から要援護者に関する詳細な御質問がありましたけれども、一点だけ、いわゆる災害弱者と言われる皆さんの対応ですが、特に東日本大震災で、社会が抱える問題が断層のように浮き上がってまいりました。それは、高齢者を初めとし、女性、子供、障害のある皆様、経済格差に苦しむ人々といった、社会的に厳しい状況に置かれてきた皆様に、被害がそこに集中をする、こういう傾向が見られたということにあります。

 そうした方々の苦しみや心中を思うときに、本当に政治の責任を深く自覚をしています。事前の準備、マニュアル化、その徹底が重要だと思います。

 特に女性の方についてきょうは質問したいと思いますけれども、女性については、非常にいろいろな御指摘があります。例えば男性のリーダーが多かったから、なかなか女性の気持ちが避難のときにわからなかったとか、例えば生理用品とかその下着の話、隣に男性がいてといったようなさまざまな問題点が出ておりますけれども、こういった災害弱者、特に、半数以上は女性の人でいらっしゃいますから、その点についてしっかり整備を、事前の備えをする必要があるというふうに思いますけれども、この点を伺いたいと思います。

西村副大臣 大変重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 まさに、先ほど要援護者のお話は御議論させていただきましたけれども、女性についても、今御指摘ありましたとおり、避難所においてさまざまな苦労をされた点が指摘されておりまして、例えば避難所における炊事場などにおいて負担がどうしても女性に集中したり、それから赤ちゃんを抱えられた方の授乳する場所がなかったりとか、さまざまな配慮が、必要な配慮がなされなかった、こんな課題があることが浮き彫りになっております。

 また、そうしたことを踏まえて、避難所における良好な生活環境の確保に関する検討会というものを開いて、先般報告書もまとまりまして、その中でも、避難所運営において、女性も含めた多様な主体が参加してその運営についての方針を決めていくとか、あるいは女性も含めて、あるいはそれ以外の障害を持った方、要援護者に対する相談窓口を設置する、あるいは福祉避難所について場所を確保するとか、量的な確保をしっかり努めるとか、さまざまな御指摘もいただいておりますので、今後、そうしたことを踏まえて、御指摘の点も踏まえて、避難所における良好な生活環境の確保に関する取組指針というものを作成して、市町村にその取り組みを徹底していただけるように対応していきたいというふうに考えております。

樋口委員 指針作成、ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いします。

 続きまして、最近話題になります日本版のFEMAの創設について、どのようにお考えでしょうか。お伺いをしたいと思います。

古屋国務大臣 最近、FEMAのことがよくニュースでも流れますよね。これはアメリカの組織でありますから、参考にすべき点は多いと思うんですけれども、一方で、やはり新しい組織をつくることは、行革との絡みでいかがなものなのかという批判が当然出てきますね。

 したがって、私は、過日、総合科学技術会議がありまして、そのときにちょっと提案をさせていただいたんですけれども、各省庁は、例えば地震とか災害に対するデータベース、こういったものを意外と持っているんですよ。しかし、それは各省でとまっているんですね。だから、全部政府としての共有にはまだ至っていない。一方で、民間の方は、そういった各省庁が持っているデータを分析して、民間なりのいろいろなレジリエンス計画とかリスクマネジメント計画をつくっているんですね。でも、横串にはなっていないんですよ。

 そういったものに、例えばアメリカでは、インフラデータウエアハウスというのがあって、これは省庁横断的、あるいは民間も入れて全部やっているんです。これは非常に、そういう意味でも効果があるんですね。やはり日本でもそういう試みをしたらどうでしょうかということを、私は総合科学技術会議でも提案をさせていただきました。

 そうするとデータが共有できます。そうすると何をしなきゃいけないかというプログラムが出てきます。その上で、やはりそこまで来たら、じゃ、今後は組織を見直していこうかということになるならば、日本型FEMAというものも一つの考え方かもしれませんけれども、現時点では、行革との絡みでいろいろな課題はあるな、そんな認識でおります。

樋口委員 最後になりますけれども、私は昨日伺いましたら、内閣府の防災部門には今八十名の皆様がいらっしゃるということで、もちろんFEMAは、御承知のとおり二千とか三千とかという数だと言われていますが、FEMAの人に言わせると、日本の面積とか領土から見ても、専従でやられる皆さんも三百人から四百人は必要だろう、こういう議論もあるというふうに伺っています。

 この人員は、私は、八十名という人はやはり少ないというふうに思いまして、何とか専門家で長くやれる、しかも長期在任をさせる、一年とか二年ではなくて、やはり、どこに行っても、災害といえば国の災害はあの人たちだということでわかるように、顔の見えるそういう形にするように、長くお勤めをいただくべきというふうに思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

古屋国務大臣 御指摘のとおり、人員の体制増は徐々に図ってきています。今八十六名体制、それが多いか少ないかという議論ですけれども、決して私は多くないというふうには思っておりまして、数をしっかり確保できればもっと緻密な作業が可能かなというふうに思っている。あとは、実際、どうしても役人の宿命で、同じところにずっといられないということはありますね。ですから、それはちょっと工夫の余地があるのかなという気がいたします。

 そういう意味では、しっかり専門職とかそういうようなものも考えていくべきなのかな。これは検討課題ということで御承知おきいただきたいと思います。

樋口委員 ぜひ、専門職という御指摘も今ありましたけれども、調整を担当なさるということでは、私たちも民間におりましたけれども、やはり、この人がやっているということが何年も横、横でずっとつながっているとか、重層的に人材がちゃんと継承されているというのは大事なことだと思いますので、ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。

 最後に、「星の王子さま」で有名なフランスの作家サン・テグジュペリは、人間にとって恐ろしいのは未知の事柄だけだ、だが、未知も、それに向かって挑みかかる者にとっては既に未知ではない、こういう言葉を残しています。未聞の大事業である、国家百年の計と先ほど大臣もおっしゃっていらっしゃいました防災、減災対策、そしてレジリエンスの推進に全力で挑みかかろうとされる皆様に、全力で私もお支えすることをお誓い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 質問に先立ちまして、今冬の大雪並びに週末の爆弾低気圧により犠牲になられた方々、被害者の皆さんに、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 本日は、古屋大臣に初めて質問しますので、よろしくお願いいたします。

 東日本大震災では、電気、ガス、水道などのライフラインに対する被害も甚大でした。震度五弱以上を観測した地域で都市ガスを供給している一般ガス事業者は七十七ありますが、十五都県、そのうち、供給停止に至った事業者は八県十六事業者、四十六万戸に上ります。

 中でも大きいのは仙台市ガス局、約三十六万戸が供給停止に至りました。全国のガス事業者が応援に来ていただいて、約一カ月以上かかったわけですが、復旧を見ることができました。市民からは、あるのが当たり前で空気のような存在だったが、ガスの大切さを感じた、ガスでお湯を沸かしたお風呂に入り、どんな温泉にも負けないくらい気持ちよかったと喜ばれたのであります。

 今後、さらに大規模な地震の想定もされる中、ライフラインの耐震化、老朽化対策などの重要性について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

古屋国務大臣 確かにライフラインの耐震化は重要だと、ごもっともな御指摘だと思います。

 過日発表しました南海トラフ巨大地震の被害想定でも、上下水道、電気、ガス等々のライフラインについては、被害が一番大きい地域、これは最悪の状況ということなんですけれども、発災直後に約九割が停電する、あるいは断水、供給停止するという甚大な状況が生じる可能性があるということも発表させていただきました。

 一方では、現在の耐震化率、全国の基幹的な水道管が三三%、下水道の主要幹線で三五%ですね。これらのライフラインの管路とか施設の耐震化や老朽化対策、これは重要だというふうに認識をいたしております。

 さらには、非常用発電機のための燃料の優先的な確保であるとか、全国からの復旧の応援要員、資機材の確保などの対策の重要性についてもしっかり認識をさせていただいたところでありまして、今後とも、こういった総合的な対策については、関係省庁と緊密な連携をとりながら取り組んでいきたいというふうに思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 やはり、一番大きい被害想定で九割が停電などの影響があるにもかかわらず、まだ耐震化率などが、非常におくれているという認識ではなかったかなと思っております。

 そこで、私は平成二十二年、二〇一〇年の三月の本委員会で、ガスと水道の問題について取り上げました。特にきょうはガスの問題にちょっと絞ってお話をしたいと思うんですが、九六年には白ガス管などの腐食劣化対策管の新規の埋設が禁止されました。

 これがどういうものかというのは、経産省の広報を皆さんに配っておりますので、「古くなったガス管は、早めにお取り替えください!」ということで、二十年が目安ですよということになっていますが、ちょっとこれはカラーコピーで見にくいですけれども、白ガス管の腐食状況、二十年ではとてもじゃないが腐食が進んでガスが漏れる状況になるというふうなことが、これだけでもわかるかなと思っております。

 線が引いてありまして、道路の方はガス事業者の資産だけれども、敷地内はお客様の資産ですというふうに分かれています。ここの部分、需要家が占有する土地と道路との境界線からガスメーターまでの導管、これを灯外内管というわけですけれども、その更新が必要とされるもの、これは三年前の質問では、残存量三百六十万本というのがありました。これが現在どのくらい残っており、つまり、更新されて、残ったものが幾らか、そして、総延長に対する残存割合がどのくらいか、お願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 更新が必要とされる灯外内管についてでございますけれども、現在の残存量は三百十九万本でございます。総延長本数に対する残存割合、二三・七%でございます。

高橋(千)委員 三百十九万本と今お答えでありました。

 さっき私、二十年と言いましたけれども、当然、二十年前からあるものもあるわけですね。

 これが本体なんですが、「古くなった「ガス管」は大丈夫!?」と言って、埋設はもうだめですよと言われてから、あと三年で二十年たっちゃうわけなんですね。そういう段階でいながら、まだ三百十九万本が残り、二三・七%残存割合があるというのは、やはり余り進んでいないように思うわけですね。これは非常に深刻ではないか。

 それで、大手四大ガス事業者とそれ以外の事業者では違いがあると思うんですけれども、具体的にお答えください。また、その原因はどういうことが考えられるか、お願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大手の四大ガス事業者でございますけれども、こちらにつきましての残存割合が二二・八%でございます。それから、四大ガス事業者以外の事業者でございますけれども、二五・四%ということでございまして、その二分類を含めたトータルとしてが二三・七%という形で先ほど申し上げた数字でございます。

 これにつきまして、その進捗状況について差が出てきているということでございますけれども、四大ガス事業者の方につきましては、その対策の強化と同時に率先して取り組みを進めてきたということでございまして、最近の進捗状況というものが、四大ガス事業者以外と比べまして若干低下をしてきているということはございます。これは、具体的には、対策が困難な箇所が残ってきているというところでございます。

 一方で、四大ガス事業者以外のところでございますけれども、若干、全体に比べましてまだ残存率が高うございますけれども、最近におきます取り組みというのはやや進んできているという状況でございます。これは、四大ガス事業者の取り組みというものが業界全体に浸透してきた結果ということでございまして、その結果として、その他の事業者についての取り組みが進展してきているということでございます。

 このような状況も踏まえまして、議員御指摘のような形で、残存配管というのをできる限り少なくしていくということが重要でございますので、現在、四大ガス事業者については将来の更新の見通しという計画をつくらせてございますけれども、四大ガス事業者以外の事業者についても、将来の更新の見通しを把握するということを検討してまいりたいと思ってございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今お答えがあったように、四大ガスは二二・八三%、その他が二五・四%で差がある。しかし、さっきお話ししたように、震災で大きなダメージを受けた仙台市ガスはまだ三三%残っております。東北ガスでは四一・三%ということで、この乖離を何とか縮めていきたいということで、今お答えがあったように、これまではやはりガス事業法に基づく報告などというのが四大ガスについてはきちっとされていたわけですけれども、それ以外の事業者についても更新の見通しを求める予定だ、考えているということだったので、やはり報告をしていく、あるいは計画を持っていくということでぜひ進めていくということをお願いしたいなと思っています。

 そこで、灯外内管の更新を進めるためのガス導管劣化検査等支援事業というのがあります。これはもともと、対象は公共性のある建物である、あるいは検査の費用だけで交換費用ではないということで、非常に不十分だという指摘をしてきたことがあるんですが、予算も九億九千万ということで余り大したことはないんですが、ことしはさらにそれが三億五千万というふうに減らされているのはなぜでしょうか。

糟谷政府参考人 ガス導管劣化検査等支援事業でございますけれども、検査のための土木工事等に限定をして補助をするという制度でございます。

 平成二十二年度にできまして、二十二年度、二十三年度、二年とも執行率が四割を下回っております。つまり、予算額の六割以上が不用となっておりまして、二十四年度の決算はまだ出ておりませんけれども、この傾向は余り変わっておりませんで、その中で、予算の有効な活用という観点から、二十五年度予算案では三・五億円を計上させていただいているところでございます。

高橋(千)委員 要するに、今おっしゃった、四割しか執行率がなくて残っている。それはやはり、最初に言ったように、中身自体が不十分ではないかということがあるわけです。それと同時に、対象が限られている。

 さっき言ったパンフレットで「古くなった「ガス管」は大丈夫!?」と言っておきながら、今皆さんに配ったこの資料を見ると、「ご存じですか?」「敷地内の「ガス管」はあなたの資産です。」ということで「交換費用はお客さまのご負担になります。」ということになるわけです。

 だから、古くなったよ、大変だよと言われても、これは全部あなたの資産だから、あなたの責任でやりなさいと言われたら、それは誰もちゅうちょするのは当たり前で、これから先、余り進む見通しがないなというふうに思うんです。

 そこで、ちょっと時間の節約で二問続けて伺います。

 一般家庭に支援がないのが問題だと思うんです。そこで、一般家庭の敷地内のガス管交換の必要性について、ガス事業者から情報提供したり周知徹底するということはどのようになっているのか。

 それから、もともとは、予算は本当はあったんですよ。経年埋設内管対策補助金という事業、三十四億円ございました。これが事業仕分けで平成二十二年に廃止をされたんです。だから、個人負担になっちゃうのでこれ以上進まないということなんですが、何らかの対策をそろそろやるべきではないでしょうか。お願いします。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まずは一問目でございますが、ガス事業者は関係法令に基づく法定検査として、一般家庭の敷地内のガス管、いわゆる灯外内管について、原則四十カ月、三年四カ月でございますが、それに一回の頻度でガス漏れがないかの検査をすることになっております。

 この法定検査の結果は、当然、当該一般家庭、需要家に通知をされ、もしガス漏れなどの異常が認められた場合にはガス管の交換の必要性があると通知をしているところであります。

 また、経産省としても、先ほど委員お配りいただいたパンフレット等、需要家の保安意識を高めるための広報を行って、ガス管の交換の必要性について周知をしているところでございます。

 御指摘いただいた、平成十五年度にできました経年埋設内管対策補助事業というのがございます。こちらは、経年内管の交換、修繕を進めてまいりました。また、その対応も、制度創設当初から徐々に広げてきておりまして、大規模地下街やショッピングセンターのみが対象でありましたが、集合住宅まで対象を拡大したところであります。

 しかしながら、民主党時代に、当時の事業仕分けで仕分けをされまして、現在は、需要家の資産である材料費、切断費、溶接工事費は補助対象とせず、経年ガス管の掘り起こし等の土木工事等を補助することとしております。

 しかしながら、全体的な、手当ての必要なガス管自体は右肩下がりで減ってきておりますので、経産省といたしましては、これらの今ある対策を着実に実施して、その進捗状況や事故の発生状況を確認しつつ、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 要するに、やらないということですよね。今、民主党という言葉にすごく力が入ったような気がしますが、やはり、政権がかわったんですから、思い切ってやってくださったらいいのかなと思うんですね。

 結局、さっきちょっとおっしゃらなかったんですけれども、最初紹介した事業、検査の方の事業が執行率が低いというのは、ある程度のところはもうほとんどできている、残ったところはお金があってもなかなかやらないだろうというふうな説明があったんです。そうすると、これ以上進めるには、やはり個人のお宅とセットじゃなきゃだめじゃないのということが私の問題意識だったんですね。

 それで、ちょっときょう国土交通省にも来ていただいております。

 今国会に、国交省所管で建築物の耐震改修の促進に関する法律一部改正が提出されております。また、二〇一二年度補正並びに来年度予算案の中でも、住宅の改修や建てかえに対する緊急支援を拡充されていると思います。その内容を簡潔にお願いしたいのと、上物の改修をやらなきゃいけない、耐震化しなきゃいけないというのだったら、一体でその下の敷地内のガス管取りかえ、これを補助対象にすればいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地震災害から国民の生命財産を守るために、住宅等建築物の耐震化を促進するため、いろいろな施策を講じてまいりました。

 これからの取り組みでございますけれども、今国会に耐震改修法の一部改正案を出させていただいております。主な内容は、大規模な店舗とか旅館のような不特定多数の方が使われる建物について耐震診断を義務化するというようなことでございます。これに対応しまして、本年度予算案の中で、従来の耐震改修、それから診断及び改修に対する補助率を上げるための予算措置を盛り込ませていただいています。

 また、特に住宅に関しましては、二十四年度の補正予算の中で、住宅の耐震改修、これは建てかえも含むということでございますけれども、通常の補助率、これは通常ですと改修費に対して二三%の補助でございますが、別に三十万円、国と地方で上乗せをするという補助制度を拡充させていただきまして、これは二十五年度末までの時間限定措置ということでございますけれども、措置をさせていただいております。

 最後に、御指摘のガス管の取りかえでございますけれども、耐震上非常に危険な、古くなったガス管の取りかえにつきましては、住宅本体の耐震改修とあわせて行う場合につきましては支援することができるというふうに考えております。

 今後とも、これらの周知等を図ってまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。きょうは、これを初めて答弁をいただきました。

 やはり、全国の自治体で、ほとんど全てに近い自治体が、いろいろな種類はあるんですけれども、住宅リフォーム助成制度で耐震化とセットということで補助制度が進んできまして、補助額というのは上限が十万とか非常に小さいんですけれども、それでも、百万かかる工事費なんだけれども、やはり思い切ってこの機会に改修をするという方が多くて、それがまた経済効果を生んでいるということを、私たち、全国各地で経験しているんです。そういうのを踏まえて、やはり国交省が今回、少し拡充をしていただいたのかなと思っているんですね。だから、それをぜひ、まず周知していただいて、やっていただきたいということを要望しておきます。

 それで、きょうは大臣に最後の質問をお願いするんですけれども、今聞いていただいたように、あわせて行うことができます。ただ、規模はやはり、地下のガス管を取りかえるということでは、かなりの事業費がやはりかかります。そういう点で、これはきちんと位置づけて促進していくということが大事でないかなと思うんですね。

 三年前にこれを質問したときは、中井大臣でございました。災害対策の面で何かお手伝いできることがあるかどうか検討してまいりたいというふうな答弁をしているんですね。

 それで、古屋大臣は国土強靱化担当大臣でもありますし、広報番組でも、また先ほどの樋口委員に対する答弁でも、国土強靱化というのは、しなやかな国土をつくるんだ、イチロー的な国家を目指していくとたった今おっしゃられて、それはインナーマッスルをしっかり鍛えた国や地域や企業や経済社会をつくっていくとおっしゃる。

 大変おもしろい表現だと思うんです。確かにインナーマッスルは大事だなと思うんですね。建物を頑丈につくっても、結局その土台が腐っているんじゃ意味がない。そういう意味でも、ここを思い切って力を入れていく必要があると思うんですが、一言伺いたいと思います。

古屋国務大臣 私も今住宅局長の答弁を聞いて、住宅と一緒にやるとガス管の方も補助の対象になり得るというのは初めて聞きまして、勉強させていただきました。

 一方では、上下水道、ガスも含めて、電気、やはりこういうインフララインというのは非常に大切ですから、こういったものは、特に公益性の高い管路だとか施設は、今公費により耐震化を順次進めています。今後もそういった形で進めていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 引き続いてよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 みんなの党の椎名毅でございます。

 まずもって、最初に、東日本大震災から二年と一カ月が経過したところでございますけれども、死者一万八千四百九十三名、行方不明者二千六百八十三名、それから負傷者六千二百十七名の方々、そして今もなお避難されている方がおります。改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、その御家族の方々に心よりお見舞い申し上げたいと思っております。

 また、今冬期の暴風雪、それからせんだっての低気圧によりましてお亡くなりになられた方々の御冥福をあわせてお祈り申し上げたいというふうに思っております。

 本日は、去る三月の二十七日の災害対策特別委員会において表明されました古屋大臣の所信に対して質疑を行う機会をいただきましたこと、まことに感謝を申し上げたいと思っております。

 私、椎名毅、昨年の十二月の総選挙で初当選を果たしました新人でございますので、拙いところもございましょうけれども、どうか御容赦いただき、今後とも引き続きよろしくお願いできれば大変幸いでございます。

 本委員会の所管事項につきましては、東日本大震災を踏まえて、どのように日本を災害に強い社会にしていくかということと、それから災害が起きた際にいかに被害を減少させていくかという、未来志向のテーマだというふうに思っています。意見の対立はあると思いますけれども、基本的に、与野党全く関係ない、日本の国のために活動する、そういった委員会だと思っておりますので、どうぞ温かく見守っていただければと思っております。私自身も日本の再興のために精いっぱい貢献してまいりたいというふうに思っております。

 早速ですが、本題に入りたいと思っております。

 本日、首都直下地震というものに関連して、幾つか御質問させていただければというふうに思っております。

 中央防災会議の下で、今現在、ワーキンググループが走っていると思います。首都直下地震対策検討ワーキンググループというものだと思います。昨年の七月に中間報告が出て、今もなお引き続き検討されている状況かというふうに思っております。

 議論の一番大前提として、そもそも首都直下地震というのは何なのか、そしてその被害想定はどうなのかというところをまず確認しなければならないかと思います。

 平成十六年、十七年に、首都直下地震の被害想定というものが出されました。これによると、マグニチュード八クラスの地震は今後百年以内に発生する可能性はほとんどないという発言がなされた上で、マグニチュード七クラスの地震が今後三十年以内に発生する可能性が七〇%ぐらいあると。これを踏まえた上で、十八タイプの地震動、それから四つの場面、二つのパターンの風速といったものを想定して、被害を想定している。東京湾北部地震、マグニチュード七・三の想定で、冬の十八時で風速が秒速十五メートルのシナリオで、八十五万棟の建物焼失、それから死者一万一千人、被害総額百十二兆円ということでございました。

 しかし、東日本大震災を経て、なかなか想定していなかったことも起きるというようなことも我々は経験値として知ったわけでございます。その中で、改めてこの検討会の中で被害の想定の見直しというのを今行っているというふうに聞いております。

 今の首都圏の現状、そして今の東京及び川崎、横浜、千葉、埼玉といったところが国際経済の中で、そして日本の経済の中で果たしている役割等々を考えた上で、この平成十七年の見積もりを具体的にどのように見直しをされているという方向性を教えていただければと思います。

古屋国務大臣 首都直下地震は、やはり、いざ起きたときにはその影響は甚大でございますので、平成十七年に加えて、今回、検討では、新たに最新の知見として得られた首都圏域のプレートの位置あるいは形状などの地下構造を踏まえて、前回の想定地震の点検の見直しを今行っています。

 東日本大震災を踏まえ、これと同様のいわば海溝型地震である相模トラフ沿いの地震も対象として新たに入れるということで、相模トラフ沿いの断層モデルの設定を現在行っています。

 被害想定も、前回の想定に加えて、建物の築年数による建物被害の違い、液状化による家屋の全壊率を含めた推計のほかに、ライフラインであるとか交通施設の被害が複合的に発生した場合の様相とか、あるいはその復旧の見込みについても想定しようというふうに考えております。

 いずれにしても、首都直下地震対策については、引き続き技術的かつ論理的に十分に検討を行った上で、その見直しを図っていきたいというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。どうぞきちんと御検討されたいというふうに思います。

 特に首都圏ですけれども、政府機能の中心であると同時にグローバルな金融経済の中心地でございます。影響が日本のみならず世界じゅうに及ぶことがあり得るということをやはり御理解いただかなければならないんだと思います。特に、金融の決済機能をつかさどるシステムがダウンをするということによって、日本の首都圏の地震の国際経済に対する波及効果は物すごく大きくなるだろうというふうに想定しております。

 今後、日本をアジアの金融経済の中心地、ハブとして育てていくというおつもりがございますでしょうから、こういった金融決済機能のシステム、特に銀行システムだったり東証のシステムだったり手形交換所だったり、こういったところについて、政府としてきちんとバックアップするためのシステムをおつくりいただきたいということだけお伝え申し上げたいと思います。

 そして、政府機能の中心という観点から次の質問を伺いたいと思います。

 首都直下型地震が起きたときに、政府機能、これを避難させることが必要になることもあろうかと思います。国会それから霞が関の各省庁、これを避難させて事業継続を行っていくということが必要になってくることもあると思います。

 緊急事態ですので、政府が緊急災害対策本部というものを設置して緊急時対応を行っていくということが起きるのは当然だと思いますけれども、他方で、行政の継続性という観点から、実は平時の行政というものを並行して行っていくということも必要になるかもしれません。

 こういった状況を想定した中で、まず、東日本大震災でどういったことが行われてきたのかという教訓、これを学んで、それを生かしていくということが必要になろうかと思います。

 そこで伺いたいんですけれども、東日本大震災において、行政、自治体の組織そのものが被災し、それから避難を強いられたことによって機能麻痺を起こした事例について、それぞれ、どういった事案が成功体験として学ばれていて、またどういった事案が失敗体験として学ばれていて、それで今後どのように生かしていくおつもりでしょうかということを伺いたいと思います。

古屋国務大臣 東日本大震災では、地方の庁舎とかあるいは首長さん、職員も被災をして、中にはやむを得ず庁舎移転したケースがあります。行政機能の維持には相当支障が生じました。これに対して、国とか全国知事会が、国とか地方公共団体から職員を派遣するということを進めました。二十三年の四月末現在で十数万人だったというふうに記憶しておりますが、そういった職員を被災地に派遣することで被災地の地方公共団体の行政事務の応援は行っております。

 ただ、この応援に当たっては、まず、被災地方公共団体の求める応援の内容とか期間のニーズとどうもマッチしていなかったというケースがあるんですね。それから、派遣期間が短期間で交代してしまうので、業務の継続性という意味ではちょっと支障があったかな。それから、そもそもその応援のスキームとか調整主体が事前に全く構築されていなかったというケースもありまして、そういった課題が残りました。

 そういったことを踏まえて、二十四年六月に災対法を改正して、地方公共団体間の相互応援あるいは国や都道府県における調整機能を強化するということに取り組んできました。

 政府としては、今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震等の大規模広域災害にも備えるために、市町村だけではなくて都道府県も含めた、地方公共団体の行政機能が麻痺した場合の国及び地方公共団体による広域的な応援体制の構築、それと、地方公共団体におけるいわゆるBCP、業務継続計画策定を促進していきたいと思います。

 実は、このBCPですけれども、県は大体四〇%なんですけれども、市町村はまだ四%程度なんですね。これは問題ですので、しっかりこのマニュアルを策定してBCPをつくる、その支援をまずしていきたいなというふうに思っています。

椎名委員 どうもありがとうございます。

 そうしますと、今お話を伺ったのは、基本的には災害が起きた後の緊急時というよりかは、その少し後のタイミングなのかなというふうに思いました。

 私自身、国会事故調というところにおいて仕事をしておりましたけれども、そこで、原子力災害という観点からですけれども、被災自治体が強制的に避難をすることが強いられたという事案をたくさん見てまいりましたし、現地の方々からいろいろ話を聞いてまいりました。まさにこの災害が起きたときの緊急時の一番最初の対応というのが物すごく難しいということを私自身も認識しているところです。

 特に、まさに被災自治体がどちらに避難をするかというところについて、上位自治体である都道府県が調整機能を果たすことができないというような状況も生じていたわけでございます。引き続き、そのBCPのつくり方、それから都道府県の役割分担といったところについて、こういった原子力災害の例なんかも踏まえて整備をしていただければというふうに思います。

 次に参ります。

 私自身、一つ問題意識を持っている点がございます。昨今、この防災、減災という観点について、政府のみでは災害対応を行っていくことが難しいということで、基本的に自助、共助という観点を強調されているということがあろうかと思います。

 先ほど日本維新の会の高橋先生の質問に対しても、大臣の方から自助、共助の役割について強調されていたかと思います。しかし、やはり民間の役割というものを定義することが正直難しいというか、自分たちのことは自分たちでやれと切り捨てているというか、そういうふうに聞こえてしまう部分が正直あったのも事実でございます。

 要するに、この自助、共助というのはどういったことなのか、現実に理解している方々というのは、特に、この首都圏、実際に首都直下型地震が起きた場合に被災者になるであろう方々が理解をしているということは、そんなに多くはないんじゃないかというふうに思います。

 私自身、ハードのみならず、ソフトによる防災、減災政策というところで、このソフトの防災、減災政策というものの重要性を強調したいというふうに思っております。それで、東日本大震災において被災された方々から、特に現場で誘導に当たっていた方々、消防団の方々、それから自治会の会長の方々、実際に避難に当たった警察の方々、それから学校に避難をした児童、そして児童の誘導に当たった学校の先生、幼稚園の先生、それから保育士の方々、こういった本当に市井の方々の意見を取りまとめて、教訓を共有することというのが物すごく重要なんじゃないかというふうに考えています。

 ソフトによる防災、減災政策というと、防災ハザードマップをつくろうとか、マニュアルをつくろうとか、そういう形で最終的に形になるものをつくることに落とし込むのが、どうしてもこれは役所の性質上しようがないのかなと思いますけれども、そういう形になるものではなくて、最終的にはやはり、知恵の共有というか、知恵の内在化というか、そういったことが必要になるんだと私自身思っています。

 こういう問題意識を私自身は持っているということを前提とした上で、今、現状、この東日本大震災の被災された方々からどういったヒアリングを行っていて、そして、それを、今後の政府の、特にソフトの面ですけれども、政策を策定するに当たってどのように生かしていこうと考えていらっしゃるか、教えていただければと思います。

亀岡大臣政務官 今、椎名委員の言われたように、私も現場にいて一番感じたことは、本当に、体験をした人たちの意見、これをしっかりと聞くことが一番大事なことだと思います。そして、それを生かしていくことが一番大事なんですが、今お尋ねのヒアリングなんですけれども、実は、防災対策推進検討会議の取り組みとして、平成二十四年の四月から六月にかけて、同年三月に取りまとめた中間報告及び東日本大震災の課題、教訓について、岩手県、宮城県、福島県及び大槌町など被災五市町の防災担当者から幅広く意見聴取を行った、これが幅広いかどうかちょっとわかりませんけれども、行った経緯があります。

 そして、その大体の報告なんですけれども、被災地方公共団体からは、大規模災害時において、被害市町村から県への状況報告が困難になった場合の国や県による積極的な情報収集の必要性、それから、大規模災害発生当初におけるプッシュ型の物資供給の必要性、広域避難において、国主導による調整や受援応援協定締結の必要性、特に小中学校における防災教育の果たす役割の重要性などについて幅広い意見をいただいたという結果があります。

 さらに、防災対策推進検討会議の委員についても、現場のニーズに精通した委員を多く起用し、さまざまな御意見をいただいたところでありますが、多分、現場の、実際に、本当に避難の誘導に当たられた、例えば保母さんとか、市町村の町会の方々とか、そういう意見ももう少し取り入れてもよかったのかなという気もしないではありませんが、こうした意見も踏まえて、東日本大震災の教訓と課題をしっかり踏まえた今後の防災対策のあり方について考える上においては、しっかりとそれらの意見を生かしていきたいと思いますし、足らざる部分はこれからもヒアリングをさせていただきたいというふうに考えております。

椎名委員 どうもありがとうございます。

 やはり、どうしても、政府が主導すると、県、市町村の担当者の方々からお話を聞くという話になりがちなのかなというふうに思ってしまいます。

 しかし、ちょっと話はかわりますけれども、例えば、私自身、せんだって女川原発というところに行き、話を聞いてきたわけでございますけれども、あそこで原発の設置を決めるに当たりまして、昔から、古来伝承されている、リアス式海岸といえば高波が起きる、津波が起きる、そして波が高くなる、だから高台に設置をしようという、そういう言い伝えみたいなものをある程度やはり参考にしたという話を聞いたわけでございます。

 こういった形で昔から口伝えで伝わってくる知恵というものこそがまさにソフトなんだと思うんです。決して、津波ハザードマップ、それから防災ハザードマップを住民に配っておしまい、地域防災計画をつくっておしまいなのではなくて、知恵を国民、全土に内在化させて、災害が起きたときに臨機応変に対応できるような国民をつくることこそがソフトによる防災、減災政策の目的であるべきではなかろうかと私自身は思っています。

 だからこそ、私自身、もう一回、大臣の先生方に御提言申し上げますけれども、政府、地方自治体の関係者ではなく、市井の方々が持っている経験談を取りまとめるという作業を行うことをぜひ御検討いただきたいなというふうに思っています。

 特に安倍政権の中では、防災、減災というものがアベノミクスと呼ばれる経済政策の第二本目の矢と一緒に語られることがあって、公共事業中心のハードの政策ばかりが強調されているようにどうしても聞こえてしまうわけです。

 しかし、例えば南海トラフの地震で津波高三十四メートルというものが予想されている。三十四メートルの津波高が予想されているから、では四十メートルの防波堤をつくればいいのか。ではその想定が四十メートルに変わったら、四十五メートルに防波堤を高くすればいいのか。

 結局、ハードによる防災、減災というのは際限がないですし、要するに答えがないわけでございます。結局イタチごっこになってしまって、コスト・ベネフィット、景観といった別の観点から問題点が出てくるということなんだと思います。

 やはり、今後の防災、減災政策は、リスクゼロという発想をなくした上で、どのようにリスクを極小化していくかというところについて政府それから民間の役割分担を考えていくということが非常に重要なのではないかなというふうに私自身考えているところでございます。どうか御検討いただければというふうに思います。

 次に参ります。

 先ほど大臣からBCPという御指摘をいただきました。首都直下型地震が起きたときに、民間企業、東京それから川崎、横浜といったところ、千葉もそうですけれども、大企業の本社がたくさんあるところがございます。こういったところで民間企業がBCPをつくっていくということが非常に重要になっていこうというふうに思います。

 こういった大企業については、大企業の中の従業員をどのように災害から守るかということ、それから事業の継続性をどのように維持していくかというBCPの観点に関しては、基本的には自助、共助というところを重視していいんじゃないかというふうに思います。しかし、先ほど来結構話題になっておりますけれども、社会的弱者が集合している災害弱者という問題、これについてはもう少し政府の役割を積極的に考えていく必要があるのではないかというふうに思います。

 すなわち、何かというと、病院それから老健施設、こういったところについての災害対策、BCPの策定、そして避難といった問題だと思います。

 政府の役割が基本的には国民の命、健康を守るということであって、防衛だったり治安維持だったりというところが最終的な、究極的な政府の役割の肝の肝だとするならば、やはり災害からの国民の保護というのも同じような重要な役割だというふうに思っています。

 社会的弱者については、自助、共助、自分たちでやってほしいといって切り捨てるのではなくて、やはり政府が主導的な役割を果たして、避難をしていくべきなのではないかというふうに私自身思っています。

 私自身、国会事故調というところで、原子力発電所の事故が起きたときに、二十キロ圏内にある病院が全病院、避難をするというような事態に陥ったというところで、その避難の過程でさまざまな苦労があった、合計して百人以上も避難の過程で亡くなっている、そんなようなお話をやはり聞いてきたわけでございます。

 地域防災計画の中では、病院がみずから避難計画をつくるというふうに書かれていて、全て国民の方に責任が寄せられているわけでございます。

 こういった事態についてどのように調査しているのかということと、その現状を踏まえた上で、病院それから老健施設といった災害弱者の集合している組織について、今後の事業継続性それから災害における避難のあり方についてどのように考えているか、それぞれ、厚生労働省の参考人を呼んでいますので厚生労働省の参考人の方と、それから大臣にお伺いできればと思います。

西藤政府参考人 それでは、厚生労働省の方からお答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災では、津波あるいは原発事故によりまして、多くの病院あるいは老健施設などにおきまして広域的な避難を余儀なくされた。その中で、例えば大熊町の老人保健施設を含む双葉病院グループなどにおきまして、避難のおくれあるいは長距離の避難を余儀なくされたということで、多くの方々が亡くなられた、そういう痛ましい事案もあったかというふうに承知いたしております。

 そういうことも踏まえまして、老健施設におきましては、従前から、非常災害時の具体的計画を立てていただく、また、関係機関への通報や連携体制を整備しなければならないということになっておるわけでありますが、今回のような広域的な避難というのは余り想定されていなかったのではないかと思われます。

 そこで、私どもといたしましては、調査も踏まえまして、昨年の四月に、避難の必要が生じた場合に迅速かつ安全に避難が行えるようあらかじめ都道府県内あるいは近隣の都道府県の施設と相互に応援協定を結んでおいて、お互いに受け入れをする、あるいは職員の派遣などをする、そういう協定を結んでいただきたいというふうなことを都道府県を通じてお願いしたところでございます。

 また、医療機関につきましては、それぞれ災害対応マニュアルというものを作成していただいておりますが、今回の大震災を踏まえまして、昨年度、二十四年度の厚生労働科学研究の事業におきまして、特にBCPに準拠した災害対応マニュアル策定のための手引書を作成しております。

 今後、医療機関におきましても、この手引を参考にしていただきまして、特にBCPに準拠した災害対応マニュアルでありますとか、病院避難ということも考えた災害マニュアルを進めていただきたいと思っております。

 もちろん、私ども、今回の東日本大震災におきましても、広域的な避難ということで、病院あるいは老人福祉施設の広域的な受け入れ対応については調整もさせていただいたところでありますが、今後とも、そういった広域的な、大規模な被害については、厚生労働省といたしましても、各施設の受け入れなどのマッチングについて十分力を発揮してまいりたいというふうに思っております。

古屋国務大臣 委員は、病院などの公共性を有する施設については、BCP作成に当たってもしっかり応援していくべきではないか、そういった趣旨の質問だというふうに思います。

 今、公立病院、私立病院合わせて、全体含めて、BCPをきちっとつくっているのは大体一〇%ぐらいなんです。ですから非常に低いですね。やはりこれは、まずBCPをつくる支援をしていかないといけないでしょうね。そういうことをやって、そして、その上でどういった支援ができるのかということも関係省庁としっかり連携をして取り組んでいきたいなというふうに思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 先ほど来、私自身、ソフトの重要性というのを強調させていただいているわけでございますが、BCPをつくるというのは恐らくスタート地点にすぎないんだというふうにやはり私自身は思います。その後、どうやってフィージブルな避難手段を確保して、そしてその避難のプロセスの中で、例えば人が亡くなるというような不幸な事態を避けるための実現可能な避難手段をどうやって確保していくかというところまで考えていくことが望ましいのではないかというふうに思います。

 先ほどの厚生労働省の参考人の方にいただいたのも、受け入れ側の確保、それからマッチングといったところの準備について御指摘をいただきましたが、問題は、例えば、先ほどどなたかの委員の方も指摘しておりましたけれども、透析患者が多数入院している病院を、全病院、入院患者ごと避難しなければならないというような状況、そうしたときに、どういうふうに、どういう手段で、どういうロジスティクスで避難をするのかというところ、それから、寝たきりの老人がたくさんいるような病院について、どのような手段で現実的に避難ができるかというところまでやはり考えたいわけでございますし、そういったところについて政府の役割を明確化してほしいなというのが私の希望でございます。

 最後に、改めて大臣にお伺いしたいと思います。

 私自身、ハード中心の考え方ではなく、自助、共助といって国民を切り捨てる、切り捨てるというのは極論ですけれども、国民にこうやって責任を押しつけるのではなく、国民の生命身体を守るということが政府の役割である以上、やはり政府の役割というものを結構大きく考えてほしいというのが、防災の観点から非常に重要だというふうに思っています。

 その中で、知恵の内在化ということについて御検討いただきたいということを申し述べてきたわけでございます。国民全体が臨機応変に災害に応じて行動することができるようになること、これこそがまさに最終ゴールなのではないかというふうに私自身考えています。

 ハード、ソフトの組み合わせにより災害に強い国土、地域を実現すると所信で大臣がおっしゃったところを踏まえた上で、私の見解に対して何か御意見を賜れれば大変幸いでございます。

古屋国務大臣 ハードの対策というのは目に見えますよね、例えば耐震化すればわかるし、堤防をつくればわかる。しかし、ソフトというのは、目には見えないけれども、間違いない効果があるんですね。それは短期間にはなかなか難しいんですよ。やはり継続して、例えば防災教育とか訓練、これをずっと定期的にやっていくと、多分、三年続けると、相当そういうマインドとノウハウができますよね。いざ何か来たときは、かなり役に立つと思いますね。

 それから、防災にかかわる人材、やはりさっきの語り部みたいな人も人材なんでしょうね。あるいは、専門知識を持った人が、地方公共団体で研修を受けてそういった人たちが自治会に行って説明をするとか、それからさっき話があった防災マップをつくるとか、こういうのは当然だと思いますけれども、それからあと、民間企業とできるだけ連携するということなんですね。

 こういうような取り組みを一つ一つ地道にやっていくということが私はソフト面の充実のかなめだと思いまして、そういう意味ではマジックはないですね。一つ一つ確実に取り組んでいく。ぜひ、そういったこともそれぞれの関係者に徹底的に周知をしていきたいというふうに思います。

椎名委員 どうもありがとうございます。

 私自身もこの問題に一生懸命取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。

坂本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山でございます。よろしくお願いいたします。

 まずもって、三・一一の東日本大震災、そして、ことしは本当に大雪に降られました。そして、今まで大規模災害、災害でお亡くなりになった方々に心から御冥福をお祈りいたしまして、そして、私たちは、皆様の命から、多くを失ったことと、そしてそこから学んだことをきちんと生かしていく、これがこの衆議院における災害対策特別委員会での大きな役割だと思います。

 この特別委員会に入らせていただいて痛感するのは、この委員会が発足の当初から定例化されているということであります。災害が起こったときに開くのではなく、常日ごろから日本の災害に対して審議をするという、この国会での先人たちの、先輩方の思いというものを私どもはしっかり引き継いでいかなければならないと思っております。

 そこで、大臣、ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会についてお伺いしたいと思います。

 もう何度もあると思いますが、私自身は、これを強靱化というふうに訳すのは多少違和感を感じております。やはり素早い復旧であったりということもありますが、もう一つ大きなところで、何で横文字になるんだろう、やはり日本人であるならば、より明確な言葉として多くの方が共有できる、強靱化なら強靱化懇談会と最初から言った方がよかったのではないかという思いもしております。

 とはいえ、この懇談会の座長は京都大学大学院の藤井教授が務められておりますし、また、お話も何度か伺ったときには、TPPやデフレ不況下での消費増税は経済を冷え込ますことだったり、また、インフラなどの投資というものが大変日本を元気にするんだということを大変わかりやすく御説明されたことに対し、非常に感銘を受けたものでもございます。

 大臣は、この懇談会が行われた議論について、またこの懇談会での期待することというのは何か、お聞かせください。

古屋国務大臣 私がこの懇談会をつくった目的は、それぞれの分野でみんな専門知識を持つ人たちです、こういう人たちの知見を徹底的に活用しようということです。

 ですから、言いっ放し、聞きっ放しではありません。実際に、ここの懇談会で具体的な意見が出た場合には、実は政策の中にほぼ反映をしていますし、今後もそういうふうにしていきたいというふうに思っております。その取りまとめが、今御指摘のあった京都大学の藤井教授に座長を務めてもらっているということであります。

 実際にもう何度も議論しまして、実際、一回やると数時間やります。全部議事録、全て公開、頭から最後まで全部マスコミ公開でございますので、すぐネットで、あるいは議事録は恐らくごらんになっているとは思いますけれども、なかなか幅広い議論をしていただいているなというふうに思います。

 今後は、その議論をベースに、先ほど来から申し上げているように、被害を最小限にする、致命傷を負わせない、速やかに回復する、そのためのリスクのアセスメント、そして脆弱性の評価、それから優先順位をつけて取り組む、こういった形で強靱化の政策の実現を図っていきたいというふうに思っております。

小宮山委員 強靱化という日本語を使っていただいてありがとうございます。

 私も、懇談会の資料を拝見させていただきました。第一回に配付されております国土交通省作成の「社会資本等の老朽化対策等への取り組み状況」では、「高度成長期に大量に整備された道路、河川、下水、港湾等について、社会資本全体の老朽化が急速に進行することが想定される」として、建設後五十年以上経過する社会資本の割合の表が示されております。

 表からは、道路橋、河川管理施設、港湾について急激に老朽化が進む感じがする一方で、下水道はそれらよりは進行が緩やかというように捉えられてしまうような表でございますが、私自身、この下水道の長寿命化などをずっと以前から追いかけておりますと、今でも、年間三千件、場合によっては六千件からの陥没事故、最近も、上水道においての陥没事故のニュースが随分と、複数報道されております。

 これで考えてみますと、安倍政権、アベノミクスによる国土強靱化、防災、減災と銘打った公共事業への回帰という動きは、地上に、表に見えている建造物をつくりかえることは非常に進められていくのかなという懸念も持ちますけれども、私自身が被災地に、三・一一の後、行かせていただいたときに、なかなか、生活排水であったり汚物の問題を取り上げる方は少ないんですけれども、浄化槽であったり、また、津波によって下水処理場が大変な被害をこうむり、いまだに本格復旧はたしかできていないかと思います。しかし、人間、水が配られても、やはり、口に入れれば出さなければならない。そういった衛生管理の問題など、緊急対策ではこの分野に関してはもっと力を入れるべきだというふうに考えております。

 この点に関しまして、国土強靱化担当大臣及び国土交通省の御見解、御所見を聞かせていただければと思います。

足立政府参考人 下水道についてお答えをさせていただきます。

 下水道管渠の老朽化対策につきましては、定期的な点検、調査により管渠の状態を把握しまして、劣化や異常等を早期に発見して適切な修繕を行うなど、長寿命化を図りつつ計画的な改築、更新を実施していくいわゆる予防保全、これを基本といたしております。

 下水道管渠につきましては、先生先ほど御指摘のとおり、三十年を経過した管渠の破損などによる道路陥没の発生が増加する傾向がありましたため、平成十八年に地方公共団体に対しまして、三十年以上経過した管渠のうち、軌道の下だとか緊急輸送路の下など、社会的影響度の大きい箇所に布設されている重要幹線、これにつきまして、緊急点検及び対策を要請しており、現在までに九九%の点検を終えました。対策が必要な延長の八〇%が対策済みとなってございます。

 今後、このような重要幹線のうち、点検未了箇所や未対策箇所について早急に点検、対策を実施いたしますとともに、布設後五十年以上経過いたしました全ての下水道管渠につきまして点検及び対策を実施するよう、本年二月に地方公共団体に対して要請したところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地方公共団体における点検、調査、対策への取り組みが一層進みますよう、財政面、技術面での支援を行いまして、下水道管渠の老朽化対策の推進に努めていく、そういう所存でございますので、よろしくお願いいたします。

古屋国務大臣 委員は以前から汚水対策問題に関心を持って取り組まれているのをよく承知いたしております。

 その上で、委員が御指摘の汚水対策は、防災基本計画でも、避難場所を中心とした被災者の健康維持のために必要な活動を行うとともに、地域の衛生状態にも十分配慮するという規定が盛り込まれていまして、災害対策における重要な課題の一つであるという認識はいたしております。

 先日、南海トラフ巨大地震の被害想定を発表しましたけれども、下水道については、管路の耐震化、下水処理場の非常用発電機のための燃料の優先的な確保、全国からの管路復旧の応援要員であるとか資材の確保の対策の重要性、改めて私も認識をいたしております。

 発災時における復旧体制については、下水道事業者間では都道府県を越える広域的な支援に関するルールを定めています。また、このルールの適切な運用を図っていくということも大切でございますし、また一方では、事前防災の観点から、下水道管路の耐震化等についても、引き続き関係省庁と連携をとりながら進めていきたいというふうに考えています。

小宮山委員 ぜひお願いいたします。

 また、下水道だけでなく、震災のときによくわかったのが、合併浄化槽なども大変有効であり、下水が使えなくなる、あの場合は、津波で管渠を逆流したり、また破損したりということもございましたので、バキュームカーを持ってきて他県なりに引き受けをしていただきましたが、そういった合併浄化槽との連動というもの、これの設置というものもあわせて検討していただき、また進めていただくことは、今後の防災対策としては、備えとして大変重要かと思っておりますので、この点もよろしくお願いいたします。

 さて、巨大共同溝が入るところは、今既に電柱がなくなってきている場所が多いかと思います。ここのところ、首都圏の中では、巨大共同溝によって、考えてみれば確かに東京で電柱を見ることが減ってきたなというのも実感をしていますが、まだまだ各地域では電柱が出ています。しかし、大きな揺れになると、それがハンマーのように建物を壊し、ほかの電線を引っ張るという、また、それによっての二次的な被害ということ、危険なことになります。特に二車線等、また地方都市でいえば、そういったところが一番の目抜き通りであったりする場合、ここは使えなくなるという危険もございます。

 生活道路、そしてそのときの地域での緊急道路となる道路の確保、緊急車両が通れる道路の確保という意味においては、無電柱化するということは大変大きな意義があると思うんですが、今回、防災、減災のための対策が盛り込まれた道路法の一部改正、港湾法の一部改正が提出され、審議されることになるかと思います。ここの中には、緊急輸送路など防災上重要な道路における無電柱化を促進するため、占用制限に伴う電線共同溝への設備、施設費用に対する国と地方公共団体による無利子貸付制度を創設というのが予算関係で含まれております。

 景観のためにはこれまでもこのような制度があったかと思いますけれども、防災に資するものであるならばこれも進めていくべきだと思いますし、また、共同溝が入る場所というのは大変限りがございます。その面では、無電柱化の方法というものも防災として取り上げていく、また進めていくというのは大変重要かと思いますが、この点に関してお聞かせいただければと思います。

前川政府参考人 無電柱化についてお答えを申し上げます。

 電線類の地中化など、無電柱化につきましては、安全な通行空間の確保でありますとか良好な景観の形成といった目的もありますが、防災性向上の観点からも大変重要であると認識をしております。このため、緊急輸送路などの防災上重要な道路につきましては、電柱等による占用を禁止または制限することができるようにすることを検討いたしております。

 また、これに伴いまして、電線共同溝による無電柱化を行う場合には、電線管理者において地上に設ける変圧器等に相当程度の費用負担を生じることになるため、その負担を軽減する観点から、無利子貸付制度を創設することとしたところでございます。

 委員御指摘の軒下配線や裏配線による無電柱化につきましては、共同溝方式に比べてコストが安価でございます。また、幅員の狭い道路においても採用が可能ということから、大変有効な方式であると認識しておりまして、これまでも推進をしてきたところでございます。

 今後とも、軒下配線や裏配線の方式も活用しつつ、防災、減災のための無電柱化を推進してまいりたいというふうに考えております。

小宮山委員 ぜひこの点は推進をしていただきたいと思いますし、また、どちらかというと、電柱というと、各市町村は地中化という言葉が大変長く使われていた関係で、地中化という言葉で電柱をなくすというのが結構頭にこびりついていると言ったらなんですけれども、と思いますが、これではなくてもできるんだということをさらに伝えていただき、防災も含め、また町の景観も含め、町づくりというものをよくしていただく、そのために努力をいただきたいと思います。

 さて、災害対策と国の出先機関ということになります。

 先般も予算委員会で、私、新藤大臣に伺わせていただきました。国の出先機関の地方移管について、お考えに変化があったということは大変私も心強く思いますし、また、地域のことは地域で決めるということはありますが、被災をされた市町村また現場というものは、そこの県みずからも被災地であります。そういった方々をきちんとフォローするということも大変重要かと思っております。そういう意味においては、統治のあり方というのは大変重要かと思います。

 強靱化の計画の中も、正直、大変広い分野でありまして、どこに行くのか、実を言うと、私自身まだ全体像を捉え切れないというのもありますが、こういった防災、減災ということを中心に見るならば、緊急時のときというのは、やはり、国が全国に置く例えば地方整備局であったりを有効利用し、そして、それぞれが持っている資材や経験、また情報というものを共有しながら地域を支援していく、そして復旧に資することを早急に決断していくというのが重要かと思っております。

 この点に関しまして、国の出先機関と災害対策ということで、大臣のお考えをお聞かせください。

古屋国務大臣 東日本大震災では、東北地方整備局が、くしの歯作戦というのを展開しましたよね。非常に大きな役割を果たしました。

 大規模広域災害における広域的な応援体制の構築では、やはり国の地方支分部局の果たす役割というのは非常に大きいというふうに認識しておりまして、発災時に被災地方公共団体をしっかりと支援できる体制の確保が大切だという認識を持っています。

 防災基本計画でも、国土交通省は、必要に応じて緊急災害対策派遣隊を派遣し、交通の確保や施設設備の応急復旧活動等に関して被災地方公共団体等が行う活動に対する支援をするものと定められているわけでありまして、今後は、発生が懸念される南海トラフ巨大地震の大規模広域災害に備えた対策の充実が大切だと思っております。その中で、ブロックを越えた広域的な応援体制の仕組み、これも重要だと思いますので、そういった視点から検討を進めてまいりたいと思います。

赤澤大臣政務官 国土交通省も御指名いただきましたので、私からお答えをいたします。

 東日本大震災では、今、古屋大臣も御指摘になったとおり、東北地方整備局が迅速な道路啓開などに大変大きな役割を果たしただけでなくて、全国の地方整備局から、緊急災害対策派遣隊、いわゆるTEC―FORCEが集結をして一体となって被災地の応援をするなど、大変大きな仕事をいたしました。

 災害対応、特に大規模災害については、現場で磨かれる技術力やノウハウの蓄積が決定的に重要で、日常的に発生するわけではない、忘れたころにやってくるとされる大規模災害について貴重な知識経験を積み重ねて最大限有効に活用するには、各地方ごとで対応していたのでは極めて非効率、ないし事実上困難であります。国内で発生する全ての災害から得られるノウハウ、教訓などを国レベルで一元的に蓄積、管理、分析して、フルに活用することが不可欠であると考えております。

 市町村からも、東日本大震災の経験を踏まえて、出先機関の事務、権限を広域連合に移譲することについて、そういう法案については慎重な意見が表明されております。出先機関のあり方やその地方移管については、与党の基本的な考え方を踏まえて、地方の声も伺いながら、政府全体として検討を行う必要がありますが、その議論に当たっては、東日本大震災でも明らかになりましたように、地方整備局が防災、減災対策など国民の安全、安心に非常に大きな役割、重要な役割を担っているということをしっかり踏まえていただきたいものだと考えております。

小宮山委員 ぜひ国交省には、この経験、くしの歯作戦をやり、実際に活動されたこと、東北地方整備局が特にこの場合、こういったときには大きく取り上げられますけれども、私の住んでいるエリアは関東地方整備局のエリアでございますが、ここからも出動されております。また、関東全域に対しての行動もすぐに起こしているということもございます。ぜひ、この経験というものをきちんと残し、そしてさらに、次に来ると言われている巨大直下型地震等に対応できるように、省内におきましても取りまとめの方をしていただければと思います。

 時間がなくなりましたので、ぜひ最後に一言だけお聞かせいただきたいと思います。

 いろいろな予算をつけていただいています。補正でも、ここまでと思うほどにたくさんつけていらっしゃるんですけれども、比較的財政のよい自治体では、防災、減災のための公共事業、工事にかかわる交付金措置などは日常のままですともらえないということが懸念をされております。

 ここは、やはり防災、減災に資するということであるならば、今年度に関しては、人口や、また往来の多いような都市というものには集中的にそこから予算をつけていく。それは、日常の、俗に言う交付金のあり方と違う、思い切った予算のつけ方を現実にしなければならないんだと思いますが、この点をお聞かせいただければと思います。

古屋国務大臣 委員御指摘のように、今後とも、やはり災害対策で必要なところには適切に予算を確保していく、大切だと思いますので、心して取り組んでいきたいと思います。

赤澤大臣政務官 委員御指摘のとおり、地方公共団体の財政についてはまちまちでございますけれども、全ての自治体でしっかりと防災、減災の取り組みを進めていただくことが重要だと考えております。

 交付金の配分に当たりましては、地方公共団体から提出される計画の内容に基づいて配分を行っておりまして、財政状況のよい地方公共団体に交付金を配分しないということはございませんので、そのように取り計らわせていただきたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございました。

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


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