衆議院

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第9号 平成25年5月23日(木曜日)

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平成二十五年五月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 坂本 剛二君

   理事 うえの賢一郎君 理事 小里 泰弘君

   理事 林田  彪君 理事 原田 憲治君

   理事 平口  洋君 理事 吉田  泉君

   理事 山之内 毅君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    池田 佳隆君

      泉原 保二君    大見  正君

      門  博文君    神山 佐市君

      北村 誠吾君    工藤 彰三君

      笹川 博義君    高鳥 修一君

      竹下  亘君    林  幹雄君

      藤丸  敏君    古川 禎久君

      松本 文明君    湯川 一行君

      吉川  赳君    黄川田 徹君

      後藤  斎君    中川 正春君

      三日月大造君    柚木 道義君

      上野ひろし君    河野 正美君

      木下 智彦君    高橋 みほ君

      濱村  進君    樋口 尚也君

      佐藤 正夫君    椎名  毅君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

      小宮山泰子君    畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       古屋 圭司君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   衆議院事務総長      鬼塚  誠君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 保夫君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           大庭 誠司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           平山 佳伸君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       山崎 篤男君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石川 晴雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  二階 俊博君     門  博文君

  務台 俊介君     池田 佳隆君

  近藤 洋介君     後藤  斎君

  上野ひろし君     河野 正美君

  宮沢 隆仁君     木下 智彦君

  佐藤 正夫君     中島 克仁君

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     青山 周平君

  門  博文君     二階 俊博君

  後藤  斎君     柚木 道義君

  河野 正美君     上野ひろし君

  木下 智彦君     宮沢 隆仁君

  中島 克仁君     佐藤 正夫君

  畑  浩治君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     務台 俊介君

  柚木 道義君     近藤 洋介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

 大規模災害からの復興に関する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、災害対策基本法等の一部を改正する法律案及び大規模災害からの復興に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官原田保夫君、消防庁国民保護・防災部長大庭誠司君、厚生労働省大臣官房審議官平山佳伸君、厚生労働省医政局長原徳壽君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君及び国土交通省水管理・国土保全局次長山崎篤男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 きょうは大臣、副大臣、そして三年間、大震災も含めて、今回の第二回目の災害対策基本法の抜本改正に本当に御尽力いただいた原田統括官には、心から感謝を申し上げたいと思います。

 四十分間という限られた時間でありますけれども、ぜひ真摯な、また建設的なお答えを頂戴できるようによろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、国会の問題について、ちょっと幾つか事務総長にお尋ねをしたいと思います。

 昨年の六月の十七日、当時、防災対策推進検討会議が中間報告を取りまとめて最終盤に向かっているときに、大規模災害、特に首都直下のように、首都機能が本当に混乱してしまうときにどのように三権が維持をされるかというふうな視点で、立法府の方に、当時の大臣でありました中川大臣から、首都直下地震に係る業務継続のあり方ということで、国会における業務環境の確保ということで要請、要望に行ったというふうに記憶をしております。

 その後、国会として、事務総長として、議長として、どのような形を御議論なさって今に至っているのか、まず冒頭、今の検討状況、そして、これからの見通しも含めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

鬼塚事務総長 お答えいたします。

 昨年六月二十七日、中川防災担当大臣から衆議院議長に対しまして、まず、国会における業務環境の確保、二番目に、東京で国会機能が果たせない場合におけるバックアップ体制、三番目に、非常災害時における国会の意思決定システムのあり方の三つにつきまして御要望をいただいております。

 このうち、まず、国会における業務環境の確保に関する、職員、電力等の体制につきましては、昨年、衆議院事務局業務継続計画におきまして、必要な業務資源の確保に努めてまいりましたところでございます。

 続きまして、バックアップ体制につきまして申し上げますと、昔、国会移転等のお話がございましたが、首都移転あるいは分都論といういずれの理屈にいたしましても、国会をあらかじめ動かすということでございましたので、それ以降の、万が一の対応という、第二の国会をどこへ置くかということについての議論は進んでおりません。

 また、意思決定システムにつきまして、憲法の例外規定をいかに設けるかというような大きな問題にもかかわってまいりますので、議論がまだ重ねられていないという状況でございます。

 いずれにいたしましても、二番目、三番目につきましては、先生方の御議論をいただいて最終的なBCPをつくってまいりたいと思いますので、事務的な段階にとどまっているというのが現状でございます。

後藤(斎)委員 今事務総長からお話をいただいたように、議長に当時の中川大臣が要望したんですが、一年近くたって、なかなか議論が事務ベースでも進んでいないと。当然、議院運営委員会でもきちっとした議論はしていないというふうに承知しています。

 大臣、実は、後ほど大臣ときちっと御議論したい緊急布告の部分の問題とかかわるんですが、一方で、赤坂宿舎の使用料の問題、余り議員の中では大きな問題になっていないんですが、私は、四月からこの問題、少し皆さんに周知をしたいということも含めて、分科会も含めていろいろな委員会でやっているんです。

 事務総長、四月の十二日だったと思いますけれども、私が予算委員会の分科会で麻生大臣と、国家公務員の宿舎問題、五万人程度のこれから宿舎全体の量の縮小と、あわせて家賃、今は公務員の給与が削減されていますが、それが解除されたときには段階的に引き上げていくというふうなことの中で、赤坂宿舎、青山宿舎もまだ存続していますけれども、今の議運の考え方は、国家公務員の宿舎プラス五%というのが相場感であるようでありまして、別に法律に書いてあるわけではありません、議運で決めればいいということらしいんです。このまま来年の四月から国家公務員の給与がもとに戻ったとすると、赤坂宿舎は今八万四、五千円ですけれども、倍の十五万程度になるというのがこれからの方向感であります。

 私は何が言いたいかというと、あそこに三百人、世帯も含めてお住まいになっている。これは、大臣、国会のBCPとして、土日は、大臣は御公務でほとんど今は在京だと思いますけれども、本当の危機管理ということを考えるときに、少なくとも、夜間も含めて、国会が何らかの対応をしなければいけなかったとしたら、やはり赤坂宿舎というのは、できるだけたくさんの方々がきちっとそこに来年の四月以降も住んでいけるような環境づくりをしなければいけないというふうな立場であります。

 特に赤坂宿舎は、大臣も御案内のとおり、PFI方式でつくっているものであります。なぜ国家公務員の宿舎と連動するかというのは、単なる議運の決め事ですから、これは国会の中で変えればいいといえばそれまでなんですが、事務総長、議運の庶務小で議論をするというふうに次長が当時お答えをいただいているんですが、庶務小も含めて、まだ議運の方でも正式に、赤坂宿舎も含めた宿舎の使用料の問題、これからどういうふうにしていくのかという議論が進んでいないというふうに承知していますけれども、今どのような状況になっているのか、ぜひ事務総長からきちっとお答えをいただきたいというふうに思います。

鬼塚事務総長 予算委員会分科会におきます先生の御指摘につきましては、委員長及び庶務小委員長に報告してございます。

 ただ、その後の議論は、いろいろな事情がございまして、まだ進んではございません。

後藤(斎)委員 いろいろな事情というのは何の事情かよくわかりませんが、ほとんどの議員の方が多分、今私と事務総長が話している話、何のこっちゃわからないなというふうに思うんです。

 もう一度言いますと、今八万五、六千円の部分が倍の十五万円にまずなるという前提で、それを何人かの方と議論したら、単身の方は、いや、違うところに住もうかなとかいろいろな議論があるんです。

 それは、危機管理上、三百人まとめたというのは、当事、赤坂宿舎が新しくなりスタートしたときに、安いとか高いとかいろいろ批判をされたんですが、そういう部分も含めて、これは国家公務員の宿舎もそうなんですが、大規模災害、特にこの東京を考えると、首都直下が起こったときに、やはり徒歩で参集できる範囲に、きちっと国家公務員の、特に緊急参集要員は宿舎が別に割り当てられますけれども、本当に少ない、百人、二百人のレベルなんですね、大臣。

 当時私たちの政権でしたけれども、やはりきちっと見直しをして、大規模災害、本当に首都直下が起こって、国家の存亡、統治機構が崩れてしまうかもしれないというものに備えなければ、仮に、今回の二つの法律を大きく改正して、新たな受け皿を用意しても、中で仕事をする人がいないということは本当によくないと思うんです。

 防災担当の方々はほとんどあれですけれども、多分、秘書官も含めて、千葉なのか埼玉なのか、港区に住んでいるのかよく知りませんけれども、かなり遠くから通われている方もいると思うんです。大臣も、大体、秘書官から災害対応のときに電話がまずはございますよね。でも、秘書官が千葉だった、埼玉だったというとちょっとしゃれにならないので。では大臣一人で何かできるかというと、まあ優秀な大臣ですから、もちろんきちっと対応ができると思うんですけれども。

 そういうことも含めて、赤坂宿舎の問題は、使用料も含めて一つの事例なんですけれども、議運委員長も含めて、きちっと報告をしながら、これからの使用料の問題や、なぜあそこに三百人まとめてああいう形でやっているのか、PFIの手法も含めたいろいろな検討の要素がありますから、それをきちっと事務的に整理して、委員長や庶務小にきちっと諮って、来年の四月以降またばたばたとやるんじゃなくて、きちっと議論をしていくということが統治機構の存続という部分では私は非常に大切だと思うんですけれども、もう一度、事務総長、お答えいただけますか。

鬼塚事務総長 使用料の問題を含めまして、非常に大事な問題であるということを十分認識してございます。いろいろな試案もございますけれども、そういうことを含めまして、再度、議運の委員長、庶務小委員長に報告させていただきたいと思います。

後藤(斎)委員 それでは、これも実は四月の半ばに総務関係の分科会で質問した事項なんですが、自治体のBCPは、都道府県では約四割でBCPが策定をされ、ただし町村では非常に低い、五%程度ということで、それも三、四年前の数字なので、できるだけ早く最新の実態について明らかにしてくれというふうなことを新藤総務大臣にお願いしていますけれども、現在の、最新の地方自治体のBCPに係る取りまとめ状況について、総務省の方からちょっとお答えをいただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 今お話ありましたとおり、現在、都道府県、市町村のBCPの最新の策定状況の調査は、二十三年四月現在となっております。

 今年度、内閣府において、地方公共団体におけるBCPの策定を推進するための課題及び対策の抽出等を行い、地震発生時の地方公共団体の業務継続の手引とその解説を改定する予定と聞いておりまして、この取り組みと連携しながら、消防庁で最新の策定状況を調査することとしたいと思っております。

後藤(斎)委員 もう一つなんですが、今回法律改正を行ったというか、現行法でもそうですが、地方自治体で地域防災計画をつくることになっていますし、そして、そのときに、地域防災計画を実施するためには職員の参集体制がどうなっているかということが非常に大切だと思っています。

 前回の新藤大臣との質疑の中では、まだ最新のものが理解をされていないし、私が気になっているのは、市町村、特に、四月十三日に西村副大臣の御地元で震度六弱の地震が起こったときに、五時半ぐらいだったというふうに記憶していますが、その三十分後にはある町の町長さんは町に行って、一時間くらいでもう災害対策本部をスタートしたと。町村では、先ほどの話ではありませんけれども、本当に大規模災害では車や交通機関というのは対応ができませんから、徒歩で行くというのがベースだと思います。

 ただ、やはり都道府県になると、いろいろな広域から、大臣の御地元でもそうだろうと思いますけれども、車だと三十分、四十分のところでも、徒歩で行けば五時間、六時間当然かかるということが前提で、職員の参集体制がどうなっているのかということを、地方自治体でも地域防災計画というのは、当然のことながら、ほとんどの市町村、都道府県で策定していますけれども、職員の参集体制というところまで国が口を出すなと、今の法体系では国は口を出さなくてもいいということですけれども、やはり実態はきちっと把握をしていないといけないという趣旨で、私は新藤大臣と質疑をしたんです。

 都道府県、市町村の現在までの取りまとめ状況、どのようになっているのか、これも消防庁さんでよろしいんでしょうか、よろしくお願いします。

大庭政府参考人 お答えします。

 先日、大臣からも御答弁したとおり、現在、最新のものは平成二十年四月現在となっておりまして、今年度、消防庁において、地方公共団体における危機管理体制全般について調査することとしておりまして、この中で、地方公共団体における災害時の職員の参集体制、これの最新の整備状況についても調査したいと考えております。

後藤(斎)委員 古屋大臣、これは防災担当大臣としても、新藤大臣の方に、今回、フレームを大きく変化させ、国、地方自治体のかかわりも見直しを当然するんですけれども、国が全て主導しろとは言いませんけれども、やはり国が責任を持つところは、まず情報を、地方自治体のあり方が今どういうふうな形になっているのか。

 どことどういうふうな形で対応すればいいのかというのは、当然事務ベースではやっていますし、いろいろなフローチャートが緊急連絡体制という形で、大臣や副大臣の部分でもいろいろな指示系統がありますけれども、やはり地方自治体でも、特に都道府県がそういうふうに実際なっていない。自分の県を見ても、部長さん、課長さん、霞が関から来ている部長さんたちは県庁に比較的近い宿舎に住んでいますけれども、そうではない課長さんたちは結構遠くから通われている。多分、大臣や副大臣の御地元でもそうだと思うんです。

 では、本当にそういうような体制ができるのかというのは、これも次の話のイントロで、昨年五月に、首都直下の部分で、霞が関の緊急参集のいろいろなデータを整理いたしました。

 三時間以内に、災害が発生したときに参集できる人数というのは、これは一般職員も含めてですけれども、二%。非常時優先業務職員という形でいうと二〇%ぐらいになります。実は、二十四時間たっても、一般職員を含めては一七%、非常時優先職員の方は六割くらいが駆けつけられるというたてつけになっていますけれども、そのときにはもう自治体の方、特に市町村は集まって、霞が関との連絡というのができないという、対にならないんですよね。

 ですから、大臣、これは麻生大臣に、くれぐれも国家公務員の宿舎の問題をもう一度検討してくださいというふうにお願いしてあるので、ぜひ大臣からも、どのような形で非常参集職員の確保というものが必要なのかというのは防策対策推進検討会議の最終報告書にもきちっと提案をしてありますので、今回、法律改正の中には入っていませんけれども、財務大臣が全体、宿舎管理をしているようでありますから、ぜひその辺は連携して、どういう形が本当に望ましいのかというのはもう一度検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 委員も防災担当の副大臣として非常に問題意識を持って取り組まれたのをよく承知いたしております。

 今のお話は、政府全体のBCPの一環として、いざ災害が発生したときに職員が速やかに参集できる体制を物理的にもしっかり整えておくべきだ、大変重要な御指摘だというふうに思います。検討会議の中でもそういう提案をされている、私もよくそれは承知しています。ただ、事前に質問をいただいていないので、細かい数字はちょっと私、ここに持ち合わせていませんので、それはお許しをいただきたいんですが、今後とも、そういう職員の配置のあり方を含めてしっかり検討していくべきだ。

 ちなみに、私の秘書官は歩いてこれるというところに、ちゃんとそういう対応はしておりますけれども、全体、特に今お話があった地方公共団体、こういったところも、これは地方公共団体が第一義的に取り組んでいくことでございますけれども、やはり国とのそういった危機管理という視点からの連携というのも必要だと思いますので、委員からの指摘をしっかり受けとめて、我々政府としても対応をしていきたいというふうに思います。

後藤(斎)委員 それでは、今度は内容に入ります。

 大臣、今までしてきた議論にかなり密接に関係をするんですが、現行法の緊急事態への対応という部分で、国会が閉会中または衆議院が解散中で、かつ、臨時国会の召集を決定し云々という部分で限定をされています。それが、検討会の報告の中では、国会中であっても物理的に会議を開けない、これは、当時、真夜中とか土日というのを、祝日も含めてですけれども、想定してあった議論だというふうに記憶をしています。

 しからば、きょう、ちょうどこの同じ時間帯に憲法審査会の方で緊急事態についての自由討論をするという部分で、非常に時宜を得たなというふうに思っておるんですが、多分同じ議論がされていると思うんですけれども、今の憲法の法体系の中でもう少し踏み込んだ形の緊急事態への対応というものが書き込めるという意見と、いやいや、憲法に手をつけなきゃいけないんだという意見で、きょうは、憲法に手をつけないという前提で話をさせてもらいます。

 大臣、今指摘をさせていただいたように、土日祝日みたいな、国会開会中であっても物理的に会議を開けない場合の規定というのは、やはり今回の法改正の中できちっと入れ込むべきだと私は今でも思っています、ほかの方はどうかは別としても。

 少なくとも、二年前の大震災を経験し、あの時点でも、あの日は金曜日の午後で、物理的に夕刻帰れなくて、土日東京にお泊まりになった方がいらっしゃるかもしれませんが、あれが仮に五時以降だとすると、ほとんどの国会議員は東京に在住をしていない。大きな部分ですから、当然、公共交通機関も一部とまっていて、何日も帰れなかった部分もあってという部分をどう想定するかということが、今回の二段階目の一番大きなテーマだというふうに私は去年までずっと思っておったんです。

 しからば、大臣、今回、いろいろな積み重ねの御議論がこの委員会であるということは承知をしていますし、この法案を閣議決定する際にもいろいろな御議論があったというふうにお聞きをしています。

 ですから、ぜひ、これからの検討の方向感として、緊急事態にどう対応するかというのは、憲法の問題を除いて、やはりもう一度そこは中で議論をしていただいて、それに備えなければ、これからいろいろ議員立法も含めて出てくるという話を報道ではお聞きしていますけれども、それに中身が伴わない部分ではなくて、中身をやはり、国会に優先して、お許しをいただいて行政府が事前に執行するというのは、当時、二年前の大震災のときに経験した時点でも、百以上の法律で発動をできなくて、この二年間に少しずつ法体系が、規制緩和というか、災害に備えた対応ということで進んではきているものの、そうではない部分も、大臣、まだたくさんあると思うんです。

 ですから、ぜひ、そういう意識を持って、これからの制度改正というか制度の執行に臨んでいただきたいと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 今委員は、非常に、憲法にもかかわる根源的な御指摘をいただいたと思うんです。

 確かに、国会の閉会中とか衆議院が解散のときは、臨時会の召集または参議院の緊急集会を求めて、緊急政令を制定することが例外的には認められているんですけれども、今の委員の御指摘は、国会開会中であってもということだと思うんです。

 では、国会開会中であっても物理的に国会が会議を開けない場合に緊急政令を制定することができるようにしようとするには、個々の具体のケースの妥当性というか、そういった精査はもちろん必要なんですけれども、もう一歩踏み込んでいくと、我が国の統治機構そのものに関係していることですよね。また、物理的に国会が開けない場合、これは誰が判断するのかという、国会運営上の問題もあると思うんですね。

 現行憲法では、五十六条で、三分の一以上の国会議員がいないと定足数には達しないということなので、ではこれを見直しましょうということになると、まさしく憲法改正ということが必要になってくると思うんですね。

 ただ、今委員御指摘のように、では現行憲法のままでどういった議論ができるのかというのは、これは議運とか、憲法調査会だとか、あるいは各政党、こういった場で大いに議論をしていくべきだと思いますね。

 ちょっと災害対策特別委員会の議論を超越しているのかなという感じが、私も、こういう問題に決して関心がない方ではございませんので、そういった場で大いに議論されることを期待いたしております。

後藤(斎)委員 そうであれば、大臣、去年、六月の二十七日だったようですけれども、クールビズだったとしか記憶がなくて、慌ただしかったので。先ほど事務総長にもお答えをいただいたように、行政府から、当時、検討会の報告の最終段階ということも踏まえて、三権の存続というのが国家統治の当然の基本ですし、土日で戻ってこいといっても、三分の一規定があるのは十分承知しておりますけれども、各党会派も含めて、大臣や副大臣も調整をしながら、御地元へ帰ったり、東京へ残ったりということを、毎週金曜日になると、秘書官等同士で調整をしてやられているんだと思いますけれども、同じように、国会にもその機能を求めなければいけないということだと思うんです。

 三分の一はきちっと在京してくださいよ、特に衆議院の方は赤坂宿舎にいてくださいよというふうなことが裏返しでないとやはりだめなんです。これは職員の問題と全く一緒なんです。

 そういう意味で、そういう部分の検討も含めて、防災推進検討会議の報告書は、本当にいろいろな分野の方からの意見を単に取りまとめたものじゃなく、これを法制度の改正に生かそうという視点でまとめたものなので、ぜひ、大臣、この部分も生かしていただいて。

 バックアップ機能の問題は、首都機能の移転も含めて、こんな大きいことは立法府でも行政府でもすぐ決められることではないんですが、まず、霞が関、永田町の統治機構をどう生かそうかということは、今の御職責の中で、憲法は憲法の問題として、大臣のお考えもメディアではよくお聞きをしていますけれども、それはともかくおいておいて、必要なことはやっておかないとだめだと思うんです。

 西村副大臣もそういう御見識が、実体験も含めて非常にお詳しいわけでありますから、原田統括官は、三年という、霞が関の局長さんでは最長とは言いませんけれども、本当に危機管理を現場で御苦労されたので、知見をもっと大臣、吸収された方がいいと思いますから、そんなことも含めて、ぜひ前向きに、まず中で御議論をしていただきたいというふうに思います。

 これも関係をするんですが、その法体系の部分は除いても、政府全体としての業務継続計画、業務継続をどうするかという視点も、大臣、実は余り強くないんですね。

 最終報告にも書いてありますように、先ほども触れましたように、職員の問題、執務環境の問題、そして、三日、四日完全に交通が途絶をしたときに、電力をどうするかということや、食料をどうするかということも含めて、今の霞が関の体制は、防災担当大臣、防災担当部局が内閣府にありますけれども、各省庁が実行部隊としては仕事をしてもらわなきゃいけないというふうな、ある意味では連絡調整という企画の総合体が大臣のポジションだというふうに思います。

 では、全体としてどういうふうにしていくのかということで、基本方針をこれから決めていくことに法的にはなりますけれども、やはり、どういうふうに業務継続をまず政府という立場の中でしていくのかというのを事前にきちっとつくっておかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

古屋国務大臣 その前に、前の問いで憲法の問題がございましたけれども、三分の一というハードルがありますよね。これは、やはり我々は憲法遵守義務がありますので、今非常にいい提案をされましたよね、本当に三分の一を確保する。

 例えば、我々は大臣、副大臣、政務官で必ず在京当番、もうよく御存じですよね。各政党でそれをやっているかといったら、実はやっていないですよね。だから、土日にやはりそういうことを、これは党派を超えてやれることだと思いますよ。ぜひ、議運とかそういう場でもこの危機管理、国会のBCPという視点からも、そんな提案を委員から御提案されたらいかがでしょうか。

 これは誰も反対できないと思いますね。選挙区に帰って選挙運動したいというのはみんなやまやまなんでしょうけれども、やはりそれは、国家のために我々は尽くしているわけでございますから、そういう国家としての責任を果たしていくということも大切なんじゃないかなというふうに思います。

 その上で、今の御質問でございますが、政府全体としての業務計画の方針とかBCPを策定すべきではないかという御趣旨の質問だと思いますけれども、やはり、平時から政府として業務計画の方針をしっかりつくってそれを策定しておくということは、委員御指摘のように極めて重要だと思っております。

 現在、局長級会議の申し合わせに基づきまして各省庁のBCPの見直しを進めておりますけれども、さらに、各省庁の業務継続計画の基本となる政府全体の業務継続方針や業務継続計画についても現在検討をしておりまして、速やかに作成をしてまいりたいというふうに思っています。

 こういった政府の業務継続方針とか業務継続計画については、あらかじめ策定することとしている対処基本方針のひな形の内容に適宜しっかりと反映をしていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、アメリカでよく言われているアメリカの大統領令の八つの国家の機能、国民の保護・治安の維持、災害からの迅速な復旧、経済の安定、安心・安全なサービスの提供、三権の機能維持、指揮権の確立、憲法の擁護、外交関係の維持、これは、その中には必ず入れてもらわなきゃいけない事項だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 やはり、政府の業務継続計画はあらゆる状況を想定した中身を反映していなくてはいけないというふうに思います。当然、委員御指摘の面もその一つだというふうに思いまして、私、そこの細かいところまで今ちょっと手元に資料がございませんので、委員の御指摘はごもっともだと思いますので、しっかり政府としてもそういう形で検討していく。

 ただし、やはり日本とアメリカでは統治機構そのもののあり方が違いますので、全てそっくりそのまま入れられるということではないとは思いますけれども、可能な限り想定外というものを生まないような形で政府の業務継続計画を策定していくことは極めて重要だ、こういう認識でおります。

後藤(斎)委員 そういう意味では、これからの政府全体の業務継続計画というのは、実はこれも、私は、本来であれば法律の中に明記をしていただきたかった部分なんです。またこれもぜひ、これからの、大臣のもとでのいろいろな検討の場をおつくりになっていると思いますので、その一つの要素として覚えておいていただきたいなというふうに思います。

 西村副大臣、お待たせしました。あと五分しかありませんが。

 災害を復旧また復興するにはお金がかかります。今、災害対策基本法の中では、地方公共団体では災害対策基金というものを積めるような仕組みになっています。二年前の大震災の後は、余りにも巨額だということも含めて、復興財源特別措置法という大きな枠をつくって財源を確保しました。

 これから、限られた税収と行政サービスの部分のバランスの中で、災害を減災するのか、予防をするのか、そういう仕組みも含めて、それをするには、ハード、ソフト、当然お金がかかるわけですから、民間でも、火災保険や地震保険や自動車保険があって、個人個人も企業も備えている。そういう発想をもう少し膨らませて、やはり災害対応に取り組む財源というものを私は別に確保してやっていく必要があるというふうに思うんですけれども、副大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

西村副大臣 御指摘のとおり、大規模な災害が一旦発生すると、相当な予算、相当な費用がかかるわけでありますので、それをまずはかからないように、防災、減災の対策を打って、少ない費用で、後々の被害が最小で済むような、そうした方策をまず組むことが大事だと思いますが、しかし、一旦発生すると、相当な金額が必要となってくるのは間違いがありませんので、この財政制約の中でどうやってそれを確保していくのか。

 あらかじめ用意をしておくと、ほかのところにしわ寄せが来ますし、また、国債発行がふえるということにもなりかねませんので、これは、いろいろな事態を想定しながら、知恵を出して、しっかりと財源が確保できるような工夫をしていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 西村副大臣らしからぬ、歯切れの悪い答弁ですよね。

 通常だと予備費を単年度で執行する。でも、やはりそういう意識がまだ国民の皆さん方の方にあるときに、きちっとした提案を政府みずから私はやるべきだと思うんです。でなければ、また改めてその起こったときに大きな御負担をお願いするというのは、これはちょっと違うのかなと。いつもの西村副大臣らしく、歯切れよく、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 私の地元の富士山が、ICOMOSから世界文化遺産で四月三十日に登録勧告をしていただいて、六月の半ばには正式にユネスコの世界文化遺産登録になるということの中で、実は、富士山噴火の問題が結構地元では大きな話題になっています。

 当然、今の災対法の関係も含めて、法的ないろいろな整備は進んでいるものの、やはり火山の知見というのはそんなに地方自治体にあるわけでもないし、地方自治体も、給与も下げられて、人的にも少なくなっている、これは霞が関も同じなんですが。やはり国がもっと前面に出てほしいという強い要望が地元からもあります。

 そういう意味で、先週の十六日ですか、大規模火山災害対策への提言という有識者の報告書を拝見させてもらいましたけれども、まさにそのとおりであって、もっと国がきちっと前面に立って、公益性のあるものですし、富士山が仮に噴火をすると、多分火山灰の影響というのは、普通、偏西風が吹くと仮定すると、神奈川や東京の方が大きな影響があるんですよね。

 これは、首都直下の地震と同じほどの、たくさんの経済的、人的被害がすぐあるかというと、経済的被害というのは、すごく大きな部分で多分あると思うんです。

 鹿児島にあるような、灰を吸い込む機械なんというのはほとんど置いてありませんから、ぜひそういう意味で、富士山噴火に対応する部分も、きちっと国も関与していただいて、むしろ国が静岡、山梨を引っ張っていってもらうような形での防災力を高めていただきたいというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

西村副大臣 一七〇七年に富士山が噴火したときには、東京はもちろん、千葉あたりまでその火山灰は広がっていますので、相当な被害が出たものと思いますけれども、御指摘のとおり、この火山対策、先般、検討会でまとめまして、それぞれの地域で協議会をつくってもらって対策を検討していただくことにしております。

 富士山についても、火山防災対策協議会で、既に、広域避難計画あるいは降灰対策、こうしたことの取り組みをスタートされておられます。昨年は、溶岩流、溶岩が流れてきたときどうするかという対応をまとめておられますし、今後、融雪型火山泥流というんですね、要は、雪があるときに雪解け水で一気に土石流のように流れてくる、こうした対策について検討を進めるというふうに伺っております。

 そうした際に、我々政府が持つ情報であるとか、あるいはいろいろな調整も必要になってくると思いますので、そうした調整、助言を含めて、国が中心になって積極的な役割を果たしていきたいというふうに思います。

後藤(斎)委員 大臣、きょう幾つか指摘をさせてもらった部分、私は、本来であれば、今回の法改正で本当にかなり前進をしたというふうに思っていますけれども、大臣初め関係者の皆さん方の御苦労には本当に感謝をしますけれども、やはりまだ不十分な点があるんです。ぜひ、そこは、これから不断に見直しや、実行体制をどうするかという、また次のステージも含めて、これからもきちっと考えていただきながら、お願いをしたいと思います。

 原田統括官、三年間、いろいろな場面でお世話になりまして、本当にありがとうございます。くれぐれも、これからも大臣を助けていただきますようにお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日は、災害対策特別委員会に初めて出席させていただきまして、また重ねて、初めて質問の機会まで頂戴いたしました。

 ただいま議論されております議題、法案につきまして、既に数回の質疑及び参考人聴取が行われていると伺っておりますので、そこで今回、私は、これまで医師としてみずからが仕事をしてまいった観点から、災害時の医療支援の問題等々につきまして、そういった観点から質問させていただきます。若干、今までの討論と重複する部分もあるかと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。

 初めに、東日本大震災から二年以上経過いたしましたが、改めて、とうとい命を終えられた方々、御遺族となられた方、今なお進行中の放射線による被害により帰宅がかなわない方々など、全ての被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 まず、災害発生時の医療支援対策についてお尋ね申し上げます。

 我が国で大規模な災害が発生した場合、けが人の手当てはもとより、環境激変による急性期の疾病、さらに、当地にお住まいの方で慢性疾患の方々のケアをどうしていくのか、多くの医療スタッフというのが必要になってくるのかなと思っております。

 まずもって、国として、現場に急行してもらえるような支援体制、公的な支援体制として、国が行けと命令してすぐに駆けつけることができるような体制というのがあるのかどうか、この点、どうなっておりますでしょうか。現状をお聞かせいただきたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時における人命救助につきましては、災害発生後、七十二時間が経過すると生存率が急激に低下するということが言われております。このため、災害発生後、迅速に現地に医師などを派遣して、負傷者などに対して必要な医療を提供できる体制を整えることが必要だと考えているところでございます。

 このため、国といたしましては、平成十七年より、大規模な天災や多数の負傷者が発生した現場におおむね四十八時間以内に到着し活動できる機動性を持った医療チーム、DMAT、ディザスター・メディカル・アシスタンス・チームというものの派遣体制を整備しているところでございます。平成二十五年四月一日現在で、全国で千百五十チームが配備されているところでございます。

 このチームにつきましては、その構成としましては、原則として医師一人と看護師二人、それから調整員一人という形でチームを組むこととしております。

 このDMATにつきまして、東日本大震災におきましても、発生直後の三月十一日から二十二日までの十二日間で、全国から三百八十三隊、千八百五十六人が現地入りし、病院支援や広域医療搬送などの救命活動に従事したところでございます。

 また、このDMATのあり方といいますか使い方、あるいはその構成をどうするか、それらにつきまして、二十三年七月に、災害医療等のあり方に関する検討会を設置しまして、今回の東日本大震災を踏まえた課題などについて議論を行ってきております。その結果を踏まえまして、日本DMAT活動要領を改正いたしているところでございます。

 また、引き続き、医療関係者等からの御意見などを踏まえながら、DMATの機能強化に努めていきたいと考えております。

河野(正)委員 今、DMATのことについて御答弁いただきましたけれども、やはり、かなりの部分を、医師会であるとかあるいは赤十字病院、済生会病院等々の半分公的なところもありますけれども、民間の医療機関、医療チームに頼っているのが現状ではないのかなと思っております。

 その辺、政府としての御見解、民間に頼らずということの範囲ではいかがでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 DMATにつきましては、主として災害拠点病院等、そういうところのチームでありますとか、もちろん民間のところもございます。

 災害拠点病院等につきましては、例えば、もちろん日赤病院等も入っておりますし、国立病院やあるいはその他の公的病院も確かに入っております。

 それから、このDMATの活動は、主として、いわゆる災害発生直後を想定して、交代で十日間、今回も十日間余りですけれども活動いたしました。今回の場合、その後の慢性期の医療対応等につきましては、日本医師会などで構成していただいておりますJMATの活躍などに期待されたところでございます。

河野(正)委員 今お答えいただきましたように、やはり、今医師不足というのもありますけれども、かなり民間医療機関がこういった災害時も責任を持って一生懸命活動しているというところを御理解いただきたいと考えます。

 さきの東日本大震災では、宮城県石巻市におきまして、医師であるとして活動してきたボランティア団体の代表が実際は医師ではなかったと。後に医師法違反、医師名称使用の疑いということで逮捕される事件がございました。消毒措置とかいろいろされていて、大事には至っていないようなんですけれども、そういう非常に嘆かわしい事件があったということですね。

 この際、この方が、現地の災害ボランティアセンターに対して、英文で書かれた名刺であるとか、名刺というのは、誰でも、どういう名刺でもつくれますので、そういったものを提出したり、あるいは、厚生労働省認定とか小児科とか、そういったことが書かれた顔写真入りの医師国家資格認定証なるカードを提示していたというふうに報道されております。

 そもそも、厚生労働省の方で医師を証明するものとして発行しているのは医師免許証しかないんじゃないかと思いますが、そういった認識でよろしいでしょうか。

原政府参考人 御指摘のとおり、医師の資格を確認するための証書としては医師免許証のみでございます。

河野(正)委員 私も自宅に置いておりますけれども、大きな賞状みたいなものが医師免許証で、別に写真も張ってあるわけではないというのが唯一でございます。

 実は、一九九六年の六月十三日に、私の地元でもあります福岡県の福岡空港で、ガルーダ・インドネシア航空の八六五便が、離陸滑走中にエンジントラブルによって急に離陸を中止した、そうしたところ、滑走路をオーバーランしてしまい、乗員乗客二百七十五名のうち三名の乗客がお亡くなりになっておられます。

 この際、私どもの近くでありますので、地元のお医者さんが、空港で事故があったということで慌てて、ボランティア精神をもって駆けつけたところ、空港内というのは、御存じのように非常にセキュリティーが厳しいところでございますので、医師であるかどうかがわからないので入れてもらえなかったということを聞いております。

 看護師等につきましても同じことかと思いますけれども、急に駆けつけてくれたボランティアの医療スタッフに対しての、身分証明書、あるいは証明書とて例えばプライベートで外出しているときに持っている方も少ないかと思いますので、何らかの、そういった身分、資格を簡易的に確認するシステム、こういったことについて検討されていますでしょうか。現状をお聞かせください。

原政府参考人 医師の資格確認としては、正式には、最終的には、医師免許証の原本をしっかりと確認していただくということが必要でございます。これにつきましては、累次にわたりまして、都道府県を通じて徹底をしていただくようお願いをしているところでございます。

 また、例えば被災地での場合を考えますと、通常、緊急時には、先ほど申しましたような、DMATというような形での、チームでの派遣が主とした活動になります。その場合には、当然ながら、おのずから、もともとの病院というものからの派遣になりますので、そういう意味では病院でしっかりと把握されているというふうに考えられます。

 一方、個人で活動される場合はどうかといいますと、これはある程度落ちついた段階だろうと思いますので、その際には、やはり自治体や医療機関において、現在、厚生労働省で検索システムを持っておりますので、そこでの氏名の確認でありますとか、そういう形での資格確認をしていただくことになろうかと思います。

河野(正)委員 これはちょっと質問で通告していなかった点ですけれども、今、局長の方からお話があった、コンピューターで、パソコン上で確認するシステム、あれというのは、何か載っていなかった人がいたり載っていた人がいたりということで、実は、自分が載っているのかなと思って一回調べてみたことがあるんですけれども、僕は載っていたんですが、うちの父親が、亡くなった後に検索したら出てきたということもありましたので、その辺のメンテナンスというのはいかがなんでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 厳密に言いますと、医師の方が亡くなられた場合は医師免許証を返納していただくことになっておりまして、御遺族の、多くの場合、確実に守られているかどうかちょっと不確かでございますけれども、そういう点でお願いをしたい。

 それから、医師の場合は、活動するしないにかかわらず、二年に一回、報告をしていただきますので、それとの確認をとることも可能かと思いますけれども、ちょっとその点を全部システムまで反映されていないのではないかというふうに考えます。

河野(正)委員 済みません。遺族が悪かったということで、申しわけございませんでした。

 実は、この事故で、漏えいしたジェット燃料というのに長期に接触されていた消防の方が化学熱傷を起こしたということで、いわゆるやけどを起こしたということがございました。そういうふうに、テレビのニュースがこのときはすごかったので、近隣の先生方、ボランティアで駆けつけてくださった方がいれば、当然、空港の中ですから、そういう救急のシステムというのは、消防システムはできているんでしょうけれども、そういう遊軍的に動ける先生がおられれば、産業医的な役割も担って、これはちょっと危ないんじゃないのかとか、こういう燃料で化学熱傷というとかなりひどいと思うので、そういうことを誘導できるんじゃないのかなと思いました。

 その辺、有資格のボランティアが駆けつけてくださった場合、ぜひ確認してでも入っていただけるようなシステムというのが整備されればいいのかなと思って提案させていただきました。

 次に、遺体検案についてお尋ね申し上げます。

 さきの震災では、非常に多くの方が津波による被害でお亡くなりになりました。死亡診断書あるいは死体検案書というものがなければ火葬の許可がおりないものだと認識しております。そういったことから、東日本大震災におきましては、全国レベルで死体検案をする医師の募集というのが行われておりました。

 実は、被災者の救援のための医師を集めるというよりも、むしろ、御遺体を速やかに埋葬していくために、医師の方、集まってくれないかといった募集が盛んに行われていたように私は記憶しております。当時、実際、私のところにも死体検案のボランティアに来てくれないかという募集案内が来たんですけれども、私、常々、診断書の作成というのは極めて重たい仕事であると思っておりましたので、私は精神科の医者なんですけれども、ふなれな医師が行うべき仕事ではないと考えまして、実はそのときはお断りしてしまいました。

 先日お亡くなりになった三国連太郎さんという方の主演された映画で有名なんですけれども、水上勉さんの「飢餓海峡」という映画あるいは小説がございます。これは御承知の先生方もたくさんいらっしゃるかと思うんですけれども、青函連絡船が台風で転覆して、乗船名簿に合致しない身元不明のお二方の遺体が上がるというところから問題が展開してまいります。実際、強盗事件だったですか、仲間割れして殺された二人の方がその青函連絡船の御遺体に紛れてしまうということなんですけれども。

 現実に、多くの御遺体が集まった場合、どうしても短時間で検案していかなければならない。特に今のシーズンですと、夏、暑くなってきていますので、特に急いでやらなければならない。そういったところに私みたいな業務に習熟していない医師が行った場合、殺人事件の被害者等が仮にそこにまじっていたとしたら、見落としてしまうという可能性もゼロではない、そういった思いがございます。

 東日本大震災でも多くの方が溺死されたというふうに認識しておりますので、仮に、風呂場等で殺人をした、水に沈めて殺した、溺死状態だったという方がそういった被害者の中にまじった場合、この辺の見解というのは、仮定の話ですけれども、いかがでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 検案そのものは、これは医師が検案をするということになっておりまして、検案作業というものは、死因等を判定するために死体の外表を検査するということとされております。

 したがいまして、見た感じで判定をしていただくことになろうかと思いますので、検案書には、その結果わかった範囲での死因を記載していただくということになろうかと思います。

河野(正)委員 警察の方にもちょっときのうお聞きしていたんですけれども、後日、仮に、このような事件性のある御遺体をスルーしてしまっていたということがわかった場合、検案した医師の責任問題、あるいは書いた医師が何らかの法的な処罰を受けるというようなことがあるのかどうか、これについて御見解を伺います。

原政府参考人 お答えいたします。

 検案は、先ほど申しましたように、死体の外表検査ということでございますので、その範囲でわかる範囲を書いていただくということになろうかと思います。

 この後に、例えば犯罪の疑いがある等で解剖が行われて、検案書の記載とは異なる死因が判明した場合であっても、医師としての責任が問われるものではないというふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 そういったことであれば、ぜひ私も医師として協力すべきだったのかなというふうな思いもありましたが、当時は非常にそういったことを危惧しておりましたので、申しわけなかったと思います。

 私は、以前、福岡県の精神科病院協会で理事をしておりまして、その際に、災害対策も担当させていただいておりました。実は、平成十六年に新潟中越地震というのが発生したんですけれども、そのときに、我々の仲間が各人ばらばらに新潟県の親しい先生方にお電話して問い合わせをしたという事例がございました。

 被害の少ない地域の病院に電話をかけた先生は、新潟は大丈夫だよと言っておられまして、一方で、被害の甚大なところの病院に電話をかけた先生は、新潟が大変なことになっているぞ、我々福岡として何らかの支援はできないのかということで、私ども九州にいる人間としては、実際はどれが本当なのかと。いずれも実際は本当なんでしょうけれども、たまたま問い合わせをした地域によって認識が異なってしまうというようなことになりますと、遠方から支援していく場合に非常に混乱してくるかなと思います。

 これは病院に限る問題ではないと考えますけれども、被害をきちんと取りまとめて整理して発信するというような体制整備ということはなされているんでしょうか。

原政府参考人 被災地における病院等の被害状況についてですけれども、これにつきましては、広域災害救急医療情報システム、EMISと略しておりますが、これによりまして、災害拠点病院や救命救急センターなどの医療機関とまた国、都道府県などの行政機関のネットワーク化を図って、災害時の施設の被害状況あるいは患者の収容の可否などにつきまして医療機関で入力していただいて、情報共有を図るということにしております。

 このシステムにつきましては、平成二十五年度において全ての都道府県で導入される予定となっておりまして、災害発生時には効果的な運用が図られるように努めてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 あらかじめそういった交通整理をしておくことで、支援物資やあるいは人的な支援というものが、不足している場所に、あるいは本当に求められている場所にきちんと適切に送られていくということで、非常に効率的な支援が可能と思います。

 今は病院のことでお答えいただいたんですけれども、ちなみに、自治体として、いろいろ、うちの県はこういうのが厳しいんですよというようなことがあるのであれば、わかる範囲で、あるいは東日本大震災の実態、経験でも構いませんので、どなたかお答えいただけたらと思います。

原政府参考人 御質問の趣旨がちょっとわからなかったんですけれども、例えば病院などで医薬品が足りないとか、そういうようなお尋ねだといたしますと、医薬品の供給につきましては、各県の災害対策本部などを通して、現地での融通とそれから中央での調達、そういうような形の中で配送していくということを考えております。

河野(正)委員 お聞きしたかったのは、病院に限らず、全体の、各都道府県あるいは地方自治体で、被災した場所にそういうシステムがあるのか、こういうのが私どもの町では大変なんだというようなことがあるのかなということだったんですけれども、その辺はなかなか難しいと、きのう質問通告したときに言われておりましたので、病院に限ったお答えをいただいたのかなと思っております。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品に限らず物資全般ということでお答え申し上げさせていただきますが、必ずしも十分把握し切れていないところがございますが、災害対策基本法で、市町村長は、災害応急対策、災害復旧に必要な物資等を備蓄しなければならないというふうにされております。

 その備蓄の状況でございますが、これは消防庁の調査になりますけれども、全国の市町村がみずから行う備蓄について、平成二十三年度と二十四年度を比較して、例えばで申し上げますと、乾パンでは約一千百万食から約一千二百万食に一割増、飲料水では約一・三万キロリットルから約二・四万キロリットルに約八割増、東日本大震災等々の影響もあったかと思いますが、そういった備蓄の増量が行われたところでございます。

 最後に、恐らく、通常、災害が起こりますと、備蓄だけでは足りないということがございますので、そういった不足した物資につきましては、第一弾でもそうですし、第二弾においても、必要な物資をその都度調達して必要な被災者に届けるという仕組みもいろいろと整備しているところでございます。

河野(正)委員 備蓄については、ちょっと後でまた詳しくお聞きしたいと思います。

 私ども、そういった経験から、福岡県では、精神科病院においては、あらかじめ災害時マニュアルをつくろうということになりまして、これも私が担当させていただきました。その後、日本精神科病院協会の雑誌にこれは発表、掲載して公にしたところなんですけれども、この際に、我々は病院団体でしたので、事務長会、看護部長会あるいは薬剤師会、栄養士会というのがありまして、そういったところから役員の方々にお集まりいただきまして、検討を進めてまいりました。そのときに出た意見を、もう大分前のことですけれども、思い出しながら、若干お尋ねしたいと思います。

 今少しお答えいただきましたが、まず、非常食品の備蓄等について改めてお尋ねします。

 栄養士会の意見をもとに、大規模な災害では、ライフラインの途絶ということも想定しまして、加熱調理する必要のないレトルト食品や缶詰などの利用が適当だろうということになりまして、これを推奨することといたしました。日本医療機能評価機構という公益財団があるんですけれども、ここが出している基準によれば、物資の補給が断たれても三日程度は耐えられる備蓄の確保をしろということでした。

 非常時ですので、患者さん一人当たり一日千二百キロカロリーぐらいということで想定しまして、これの三日分、そして、水は一人一日一リットルということで三リットルですね。さらに、病院から発災後帰宅できない職員がいるだろう、もしくは泊まりがけで働いていただかなければいけない医療スタッフがいる、こういうことを勘案すると、病床数、ベッド数プラスアルファということなんですけれども、おおむね患者数の倍ぐらいは病院にとどまるんじゃないのかということになります。大きな病院では、これをシミュレーションすると、体育館ほどの巨大備蓄倉庫を持っていないと、この量は入らない。

 そういうことから、この部分は、我々としては最初マニュアルということでお出ししようと思っていたんですけれども、これはもう、あくまでやはり病院の、病院長とか経営者の方の判断に委ねないと、三日分置きなさいということをマニュアル化すると体育館並みの倉庫を設けなきゃいけないということで、ガイドラインという位置づけにとどめたという記憶がございます。

 これが、地域住民も入りまして、地域の防災計画として、国の指針というのがどうなっているのかということと、実際に我々が検討した並みの備蓄を地域で行うとなると、もう置き場所が甚だ大変なことになるのじゃないかなと思いますけれども、その辺、国としての指針及び現在把握されている状態で結構でございますので、自治体がどういう取り組みをされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

西村副大臣 先ほども一部答弁ありましたけれども、御指摘のように、乾パンとか飲料水、それから缶詰、こうしたものの備蓄量をふやしております。これは、市町村と県とそれから国、さらに言えば、流通在庫備蓄というか、一定の協定を結んでおいて、民間事業者からいざというときに供給してもらう。コンビニであったりスーパーであったり、そういうところと結ぶということが考えられるわけであります。

 そうしたものを考えると、ざっと計算すると、例えば米なんかも、日本の一日の全消費量の二、三日分はどうもあるようでして、ちょっと細かく計算をしておりませんけれども、そうした取り組みで民間から供給してもらう、あるいは自治体間でいざというとき融通し合うということを含めて、いろいろなパターンを考えているわけでありますけれども、いずれにしましても、いざというときにスムーズに供給できるように考えていきたいと思います。

 さらに、南海トラフとか大規模災害になりますと、三日ぐらいでは足らない可能性もあります。検討会では一週間とか十日とかという議論もなされておりますので、ぜひ確実にふやしていけるように、そして供給がスムーズにいくように努めてまいりたいというふうに思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 今おっしゃいましたように、本当に、何日か、一週間とかいうふうに話していくと、これはどんどんすごい量の備蓄量になってしまいますので、その辺、適切な判断が必要なのかと思いますし、日本全体がやられてしまえば、これはもうどうしようもありませんけれども、震災とかそういう災害というのは、一部地域、地方限定になってくるのかなと思いますので、そういった意味では、融通するシステムというのがきちんとつくられればいいのかなと思っております。

 次に、これに関連しますけれども、医薬品の、薬の搬送についてお尋ねいたします。

 さきの震災でも、交通網の途絶などにより医薬品の運搬が大変だったということを聞いております。また、私どもの知っている先生では、支援に駆けつける際に自分のスーツケースに大量の薬を持って、これぐらい使うだろうということで持参したという話も聞いております。

 また、ガソリン等の燃料不足によって車が動かせないということで搬送に苦慮したという報道もございましたが、これは実際いかがだったのでしょうかということで、東日本大震災のときの状況や、そのときに学んだ問題点等がございましたらお教えいただきたいと思います。

原政府参考人 東日本大震災におきまして、御指摘のとおり、医師などの医療関係者や卸業者など医薬品の関係の方々による献身的な努力もありまして、制限のあった物流網の中でも最大限の供給が行われたと認識しております。

 ただ、課題といたしまして、特に初期対応時でございますけれども、現地の卸業者による供給体制が迅速に整備はされましたけれども、御指摘のように、ガソリン不足による給油制限のために医薬品の広域な搬送に支障が生じたこと、また、避難所の患者情報が乏しい中で、医療チームなどが携行できる医薬品の種類や量には限度がありますので、避難所などで医薬品の不足が生じたことなどの課題があったと考えております。

 このために、今後、被災状況に応じて、医薬品の搬送車両に対する優先給油などの扱いについて関係省庁との調整を実施しますとともに、避難所での医療ニーズの適切な把握、分析や、また必要な医療チームの配置、医薬品を含めた必要物品の調達など、コーディネートする機能を十分に発揮できるような体制整備を都道府県などにおいて、そのための支援を行っていくというようなことを考えております。

 今後とも、この東日本大震災の経験を踏まえながら、地方公共団体や関係団体などと連携をとりながら、災害時における医薬品の安定供給に取り組んでまいりたいと考えております。

河野(正)委員 実は、マニュアル作成時に、先ほどからお話ししていますように、近隣の病院から医薬品も貸すことができないのかということを検討いたしました。

 ところが、薬剤師さんの方から出てきたのが、薬というのは、性質上、備蓄として長期在庫していない、必要な分だけ仕入れているので、なかなか、よその病院に応援に持っていこうという量がない、余裕がないということを言われました。

 それと、やはり医療機関によって使う薬もまちまちですので、それも非常に難しい。また、今、政府によって、後発品、いわゆるジェネリック等の使用が推進されておりますので、なかなかたくさんの種類があって、剤型とかいろいろ変わってきますので、患者さんにも説明していかなければならないということで、非常に難しいということで、実際は応援が困難であろうということになったわけなんです。

 仮に、応援しようという場合、私、精神科の医者なんですが、向精神薬とか、あるいは病院によっては麻薬など、法的に、据えつけた金庫に入れておかなければいけないとか、非常に厳しい保管を指導されている医薬品というのがあるんですけれども、そういったものを、では、隣の病院が被害に遭っているので持っていこうとかいった場合に、そういうのは法的に可能なのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

 何かそういうときは超法規的だとかいうんですけれども、これはこういう場面では非常に使いにくい言葉かと思いますので、お答えいただけたらと思います。

平山政府参考人 お答えいたします。

 麻薬とか向精神薬につきましては、麻薬及び向精神薬取締法という法律がございまして、その中で、向精神薬を病院間で融通できるケースというのが限定的に規定されております。

 そのケースとしては、同一の法人の他の病院、診療所の間で融通する場合、もう一つは、ある病院、診療所とその職員のための福祉事業として設置されている別の病院や診療所との間で融通する場合という非常に限定された場合にのみ、向精神薬を病院間で融通できることになっております。

 それ以外のところは、規定がございませんので、できないということでございます。

河野(正)委員 そうすると、現実には、私どもの病院で、何かあった場合ほかの病院に貸すことは難しいということですね。

平山政府参考人 その場合は融通できないということで、正規の卸を通じて購入していただくしか方法がないということでございます。

河野(正)委員 非常にそれは厳しい。現実には、災害の程度にもよると思いますけれども、厳しいのかなと思いますので、今後検討課題としていただけたらと考えます。

 次に、時間もございませんので、精神障害者や結核、伝染病など、いわゆる強制的に入院が必要とされている方の災害時の処遇についてお尋ねしたいと思います。

 例えば、私、精神科の医者ですので、精神障害者の措置入院というのがございます。これは、自傷他害のおそれがある精神障害者について、必要な措置診察という手順を経た後、都道府県知事あるいは政令指定都市の市長が命令するという形で、強制的に精神保健病床に入院させるということになっております。

 通常、何らかの理由がありまして措置入院患者をよその病院に転院させるという必要が出た場合には、当該の保健所を通じましてほかの病院を当たっていただくというようなことが必要ですし、また、書面を提出したり、転院に対する許可をいただくのに、数日とかあるいは二週間程度かかるということもあります。

 震災などによって、そういった患者さんを診る部屋、いわゆる保護室等が破損した場合、このままでは当該病院では安全、安心な治療の継続ができないという場合が発生すると思うんですけれども、こういったときに、ちょっとまたさっきの答弁になるのかもしれませんけれども、医師同士で、転院させる、緊急ということで安全に患者さんを治療できる体制のある病院に送るというようなことが可能でしょうか。お聞かせください。

岡田政府参考人 先生御承知のように、精神障害者の措置入院は、精神保健福祉法第二十九条に基づきまして、都道府県知事などが、自傷他害のおそれがあると認められた精神障害者を行政処分として精神科病院に入院させるものでございます。

 この措置入院は、同法の二十九条の四に基づきまして、都道府県知事などが、指定医の診察結果に基づいて処分を解除することによって退院するということになります。都道府県知事が入院の行政処分を解除しない限りは措置入院の行政処分は継続しているということで考えておりまして、御指摘のように、被災した病院から転院の場合についても、特段の法律上の手当ては要らないという形で解釈させていただいているところでございます。

 したがいまして、措置入院の患者さんが入院している精神科病院が被災した場合にも、医師間でやった場合にも、適切な入院治療はそのまま継続されるというふうに考えています。

 感染症法に基づきます強制入院についても、基本的には同じ考え方で対応しているところでございます。

河野(正)委員 今お答えいただきましたように、そういう災害があったとき、病院間で薬のやりとりもできない、患者さんのやりとりも実際はできないということで、非常に問題が多いのかなと思います。

 次に、災害時に、被災した近隣の病院から、法的に強制的な入院の患者さんでなければ、任意的に、患者さんみずからの意思で入院されている内科の患者さん等であればお引き受けするということができるんですけれども、そういった患者さんを引き受けた場合、例えば、百ベッドの病院なんだけれども百五十人入ってしまったとか、そういった超過収容になってしまうというのが緊急時というのはあり得るのかなと思います。その辺について、コメントをいただけますでしょうか。

原政府参考人 被災地あるいはその周辺で、先生御指摘のように、患者さんが移動する場合、あるいは逆に、その病院で不足する場合、応援のために周りの病院から医療スタッフが現地に入っていくなどなど、いろいろな状況の中で、医療機関の人員配置基準、患者さんと医療スタッフの比率が満たされないというような場合のことだと思います。

 医療法上におきましては、実際の員数が人員配置基準に定める員数の半分以下になるという状態が二年を超えて継続している場合などについて、その増員を命令するなどという措置がありますので、こういう災害時において、短期的な場合においてどうこうということはございません。

 それからまた、診療報酬上の取り扱いについてでございますけれども、一般的な取り扱いとしては、例えば看護職員の数が一割を超えて不足する場合、この場合は通常は非常に低い入院基本料になるんですけれども、今回の場合は、特段の措置ということで、通知でもって、従前の入院基本料が算定できるようにということで特例の措置を行ったところでございます。

 このように、大規模な災害時におきましては、それぞれの状況に応じた形での対応をさせていただいているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 そうしたら、二年以上ということなので、暫定的にはそういったことができるのかなと認識いたしました。

 今度、では逆に、被災した知り合いの病院が大変なことになっているということで応援に駆けつけた場合ですね。応援に駆けつけたがために自分の医療機関が実は医師の定員を割ってしまった、あるいは看護師の定員を割ってしまった、いわゆる標欠になってしまうということがあるかと思うんですが、そういった場合について、厚生局等が指導とか処分を行われた事例はございますでしょうか。

原政府参考人 今ほどもお答えいたしましたように、災害時の緊急な場合ということで、その場合については医療課長通知等で特段の措置をとるということで、具体的に、例えば患者との比率が足りないということで今回措置を受けたところはございません。

河野(正)委員 時間もほとんどないと思いますので、最後に行きます。

 災害時多目的船、いわゆる病院船というのが検討されているかなと思いますので、これについてお聞きしたいと思います。

 この問題につきましては、病院船建造推進超党派議員連盟という議連がございますし、五月十日の本特別委員会におきまして、自民党の務台委員が質問されているようでございますが、病院船を国として導入する意思がありますでしょうか。あるかないか、ちょっとお聞かせ願えませんか。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 超党派の議連で検討して、それに基づいて、平成二十三年の補正予算等々でその可能性について調査は行ったところであります。

 その結果、もし病院船をつくるとなると、やはりヘリコプターが離着陸するとかそういったことになりますので、かなり大型船なんですね。一隻三百億円。大体こういうものはペアでやりますので、そうすると六百億。維持管理費で一隻二十五億、トータル五十億円。かなりの大きな財政負担になるということです。

 こういった船をつくっても、実際に平時に余り活用できないだろうということも出ているんですね。こういった災害対策も含めて、平時に何か利用できて、いざ災害が起きたり、有事のときにはその本来の役割を発揮する、こういう視点というのは非常に重要です。

 そういった観点からすると、例えば、コンテナのようなモジュールをつくっておいて、その中に医療の関係の施設だとかベッドだとかを入れておいて、いざ災害が発生したときにはそれを運ぶ、船で運ぶのもいいし、トラックで運ぶのでもいいだろうと。ふだんは、例えば無医村とか僻地に活用することができるんじゃないかな、こんなようなことも検討し、だから、船を絶対つくるということではなくて、あくまでも災害が起きたときに医療がしっかりできるようにするという視点からすれば、多様な選択肢があると思います。

 それ以外にも、例えば船をチャーターしたらどうかということもありますけれども、実際、船のチャーターもなかなか、船というのは用途によって全部決まっていますので、そう簡単ではないようですね。

 だから、当面、例えば自衛隊の既存船舶を活用した実証実験、こんなようなものもしながら、一番いい、費用対効果の高い対応をしていくというのが現実的だろう、こういうふうに今のところ考えています。

河野(正)委員 時間が来ましたけれども、大臣、ありがとうございました。

 古屋大臣の答弁を見ておりまして、前の記録を見ておりまして、非現実的ということでしたので、ちょっとネガティブな印象を受けておりましたが、非常に明快に、現実的なことを考えていただいているということがわかりました。

 検討されている報告書の中には、慢性期とかあるいは病床五百床とかいうのがあったんですけれども、私は、もうちょっと、ちっちゃな船で、とりあえず災害が起きたところに飛んでいく、そして、そこでトリアージなり簡単な手術ができるようにして、あとは後方支援していただく陸地にある病院に運んでいくというのがいいのかなと思いましたので、現実的にそういう災害のときに役に立つようなものができ上がればいいかなと思います。本当にありがとうございました。

 それでは、時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。

 本日、災害対策基本法、また大規模災害からの復興に関する法律案の質疑に入らせていただきます。

 まず最初に、先日、二十一日の参考人質疑において、関西大学の河田教授より、災害対策として社会インフラでは道路が最も重要であるという強い御意見をいただきました。私自身、東日本大震災では、くしの歯作戦など、やはり交通網、道路網というのは大変重要だと思っております。

 ただ、現在、二十四年度の補正予算など、大きな予算を組んでおりますが、その中でも余りよからぬ話なども聞こえてまいります。しかし、防災、減災ということは整備をしなければなりません。

 この点に関しまして、まず、防災担当大臣として、主要幹線道路、また災害対策においての道路の重要性をどのようにお考えになっているのか、お聞かせください。

古屋国務大臣 私は、今、防災担当大臣であるとともに国土強靱化担当大臣というのを務めておりまして、実は、その中でも、実際にいろいろなリスクを想定して、国家としてのリスクマネジメントの一環で、そのリスクの脆弱性を評価して、それに対してどういう対応が必要なのか、こういう考え方でも今検討しているんですけれども、例えば、今おっしゃったような基幹道路であるとかそういった重要インフラは、災害対策を万全なものにしていくという視点からも非常に大切ですよね。

 それで、先ほど、前の委員のときにも答弁させていただきましたけれども、そういう災害対策道路を準備するということは、平時にもいろいろな活用ができる、ある意味では経済の成長戦略にも資する話でございます。そういった視点から、今委員御指摘の道路というのは大切。

 ただし、全てが大切だといって全部を御要望されても、やはり財源にはおのずから限界がありますので、例えば今後、今、国土強靱化に関する法律が国会に提出をされたというふうにお聞きしておりますので、そういった法律を速やかに成立をしていただく過程の中において、こういった取り組み、優先順位をつけて、本当に必要なものを優先的に整備していく、これは極めて重要だ、そういう認識でおります。

小宮山委員 ぜひ、きちんとした、誰が見てもわかる、共有意識が持てる優先順位を決めていただければと思います。

 さて、同じ日の泉田新潟県知事からは、DMATやTEC―FORCEなど、このような災害発生時の活動に期待されるものの法的位置づけがまだなされていない、これはしっかりとした方が望ましいというような御意見も賜りました。私自身も、ある意味、本当に迅速に動かれたという意味においては、この活動を評価するものでございます。

 この点に関しまして、各省庁におきまして、現在、どのような取り組みをされるのか、方向性についてお聞かせください。

原政府参考人 まず、災害派遣医療チーム、DMATについてでございますけれども、平成二十五年四月一日現在、全国で千百五十チームが養成されております。これらが、大規模災害等の発生時に、被災都道府県等からの要請に基づき派遣されることになります。

 今回の東日本大震災におきまして、発生直後から被災地で活動したところでございまして、三月十一日から二十二日までの十二日間で、全国から三百八十三チーム、千八百五十六人が現地入りをしまして、病院支援活動や広域医療搬送などの救命活動に従事したところでございます。

 このDMATに関しましては、災害対策基本法第三十四条第一項に基づき作成されます防災基本計画に位置づけられておりまして、その派遣につきましても、同法第七十四条第一項に基づく要請を受けて行われるものでございます。また、このDMATの活動に要した費用につきましても、災害救助法第三十三条第一項等に基づきまして、都道府県によって支払われる旨が規定されております。

 このように、DMATにつきましては、さまざまな形での法的な位置づけがなされているところでありますし、また、今回の活動などの反省も踏まえまして、日本DMAT活動要領を改正するなど、必要な見直しを随時行っているところでございます。

山崎政府参考人 TEC―FORCEについてお答え申し上げます。

 TEC―FORCEにつきましては、大規模な自然災害で被災した地方自治体に対して技術的支援を行うために設置した国土交通省の実動部隊でございます。平成二十年五月に発足し、本年五月一日現在、国土交通省職員五千三百八十六名をあらかじめ任命しております。これまで、二十六度の災害に対しまして、延べ二万八千三百三十八人日の隊員派遣を行っております。

 例えば東日本大震災におきましては、TEC―FORCEは、被災自治体にかわって、排水ポンプ車による緊急排水や被災状況の調査、復旧工法の検討、それから途絶した通信回線の確保を行ったほか、被災自治体にリエゾン、情報連絡員でございますが、これを派遣し、応急対応に携わる市町村長を支える右腕としての役割も果たしております。

 また、一昨年九月の紀伊半島大水害におきましては、リエゾン派遣や被災状況の調査のほか、各所で発生したいわゆる土砂ダムの状況把握、それから緊急対策工法の検討をTEC―FORCEが行いまして、その後の応急対策を県にかわって国直轄で実施することにつなげております。

 これらの活動は、被災自治体からも高い評価をいただいております。

 TEC―FORCEの位置づけですが、現在、先ほどもありました防災基本計画、それから国土交通省の防災業務計画や訓令によって位置づけております。

 引き続き、TEC―FORCE活動のさらなる充実強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

小宮山委員 国交省のTEC―FORCEにおきましては、大変機動力もあり、また、全国から緊急に支援で集まるという意味においても、大変重要な、今後、災害復旧の初動に関しましても大きな役割を果たすと思います。ぜひ、制度面等、これからの検討に期待をしたいところでもございます。

 また、DMATにおきましても、国立病院機構や災害医療センターでの研修を経ておりますけれども、現在の枠組みですと、やはり四十八時間を目安にしているということでございます。大規模になれば、四十八時間では、まずそこの現地に行くことすら大変だったりという意味においては、この時間の壁というものもあるかと思います。

 ぜひこれから、こういったところも柔軟に活動ができるように、また、緊急事態法の制定など、さまざまなことは国会で整備するかもしれませんけれども、そういった中で、このような今まで培った研修や経験というものは次に引き継いでいただければと思っております。

 さて、大規模災害復興法に関しまして、災害からの復興に当たり重要な経済、産業、雇用面の再生について盛り込まれていないのではないかという御指摘を、我が党におきまして、被災地の選出議員でもございます畑浩治議員からよく伺っております。

 大規模災害からの復興に関する法律案では、町づくり、インフラ整備、復興整備事業に係る規制緩和、特例措置が盛り込まれていますが、復興に当たってポイントになるのは経済、産業、雇用面の再生です。しかしながら、東日本大震災復興特別区域法と異なり、本法案では盛り込まれていません。この点が問題だと思いますと指摘をされました。

 少なくとも、復興における規制のあり方の基準、関係者の意見聴取を含めた規制緩和の手続の基準となる規定が必要だと考えております。この点に関して、やはり、人が住んで、そこで雇用、働くことがある、それも早い復興に近づける大きな意義があると思います。この点に関しましての大臣の御所見をお聞かせください。

古屋国務大臣 お答えをさせていただきます。

 大規模災害からの復興を図るためには、やはり、インフラ等を整備するだけではなくて、被災地域における生活の再建とか経済の復興を図るということが極めて重要でございまして、御指摘の経済、産業、雇用面の対策が不可欠であるというふうに認識をいたしております。

 しかし、経済、産業、雇用面の規制緩和措置については、個別の災害状況とか被害状況、被災地域の主要産業がいろいろございますので、その必要性について具体的に検討していくという必要があります。ですから、あらかじめ法制化をするということはなかなか難しいのかなというふうに思っております。

 したがって、この法律案においては、大規模災害が発生した場合に、特別の必要があると認められた場合には、別に法律で定めるところによって、規制の特例などを含めて、その他の措置を速やかに講ずべき旨、規定をしているところでございます。具体的な災害規模あるいは災害状況等に応じて、東日本大震災復興特別区域法による措置等も参考に、現場の意向を踏まえて、適切に、そして速やかに対応していきたいと思います。

 その節には、やはり与野党を超えて速やかな御協力が不可欠であるということは、申し上げるまでもないことであります。

小宮山委員 やはり、早い復興をすることというのは与野党を超えて協力できればと思っております。

 さて、最後になりますけれども、さきの震災のときは、障害者の方々の居住地域や、また安否情報を確認するのには大変御苦労されました。また、当然、その特性から、多くの方がいる避難所での避難生活というのは困難を来したということも伺っております。

 そこで、障害者などの要支援者の居住情報など、個人情報の適切な活用と要援護者への対応の方法について、多くの方が、同じ思いや、どうするべきかというような知識を得る、その教育についてお伺いしたいと思います。

 先般、毎日新聞社の社説に、日本で、個人情報保護についての行き過ぎた配慮によって、必要な情報が渡らないといった事例が見受けられる、今回の法改正を機に、過度の配慮ということに陥らず、必要な対応がとれるようになることを期待するということでありました。私自身も、この点は思うところでもあります。

 また、情報をどこで管理するのか、さまざまな消費者被害に遭うということも、日常に漏れれば考えられます。そのリスクを外すためにも、情報管理というもの、そして、それと相反する形かもしれませんが、情報を活用するという面があるかと思います。障害者に関しての情報について今後共有ができる、そういった法案になったからこそ、どうするべきか、副大臣の御見解をお聞かせください。

西村副大臣 大変重要な御指摘でありまして、まさに、これまで、障害を持った方々あるいは高齢者、避難のときに援護が必要な、支援の必要な方々の名簿の作成も市町村はやっていたんですけれども、しかし、情報を提供できない、それから、つくるに当たっても、福祉部局と防災部局が共有できないといったような問題点がありました。

 その点については、今回の法律改正で、情報を共有し、そして、ふだんは、平時においては、御本人たちの同意を得ながら提供していく、いざというときは、同意の有無にかかわらず、避難支援者、消防団であったり地域の協議会であったり、こういったところに提供するということにしております。

 今後、こうした趣旨を踏まえて、国としても、災害時要援護者の避難支援ガイドラインの改定を行って、どういう方々が支援を求めているのか、そして、それを誰がどう支援していくのか、こういった計画を地域地域でしっかりつくってもらって、避難支援が的確に行われるようにしてまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 さきの三・一一の震災のときには、やはりそうはいいましても、情報を持っている町役場や市役所が被災を受けている、もちろん職員も被災を受けて、情報を集めることが、全て網羅できなかったというようなことも聞こえてまいります。

 また、そういう意味においては、自分たちでやらなければならないという思いで、障害者の団体の皆様が力を合わせて、自宅に戻った方の支援に当たられました。センターも、仙台とか、また沿岸部等に開いて、独自で頑張っていらっしゃいました。こういった方々にやはりきちんと制度の中に入っていただく。そういったところが持っている、各団体が持っている情報というのも、支援には大変重要かと思います。

 この点に関しまして、通告はしておりませんが、そういった方も入っていただいて応援に当たれる、市民団体、NPOなどに入っていただけるということも考慮するべきかと思いますが、現在の感想で構いませんので、お聞かせいただければと思います。

西村副大臣 改めてまた重要な御指摘をいただきまして、市町村ごとにいろいろ計画をつくって、避難をするときの計画をつくる、あるいはその体制をつくっていくというときに、情報をしっかりと共有しながら、御指摘のあったような障害者の団体、そうしたところと協定を結んで応援をしていくということもしっかり進めてまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 社会の中で障害者と余り接したことがない方たちは、大変不安になると思います。もちろん障害者側も不安なんです。やはり、その相互の溝を埋めるためにも、ふだんから、公務員や学校の職員、学校の児童たち、また、議員や自治会も含めて、教育というか、研修なりさまざまなことを受けるべきなのではないかというふうに思っております。最低限の知識習得や、実習をしていくというメリットもあるかと思います。

 この点に関しまして、御所見を伺わせていただきたいと思います。

古屋国務大臣 やはり、東日本大震災は、障害者の特性とかを余り理解されないまま避難所運営が行われました。これは反省点ですね。障害者等の滞在に困難が生じて、結果として、いろいろな課題が生じてしまったんですね。

 だから、今度の、いわゆる避難所における良好な生活環境の確保に関する検討会報告書、もう委員御承知だと思いますけれども、ここの報告書でも、取り組み指針というのをつくりまして、さまざまな要配慮者の特性とそれに応じた接し方について、平常時から、公務員だけではなくて、教員とか、自治会の役員とか、一般の住民の方々にも、避難所の運営責任者となり得る者を対象とした研修というものをしっかり行うということと、そうした研修の実施内容が定着するように、避難所の運営責任者となり得る者や要配慮者などの参加を得て、避難所の運営に関する訓練、こういうものをしっかり実施していくこと、こういうことによって、きめ細かな対応が可能になると思い、しっかり心してかかってまいりたいと思います。

小宮山委員 ぜひ、日ごろからの備えをして、そして、障害を持っている方も、また難病のある方も、多くの方々が、安心してということはないですけれども、災害のときに冷静に判断ができ行動ができる、そういった法律に本日がつながることを願い、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 おはようございます。

 本日、災害対策基本法等の改正に関する法律案ということで、三十分の質疑時間をいただきました。私自身の防災に対する思い入れから、ちょっと多目に質疑通告してしまいましたけれども、多分、三十分の時間では、ごめんなさい、終わらないかもしれないので、順番を入れかえて聞くこともあるかと思いますが、御容赦をいただければというふうに思います。

 先日、最後、防災をビジネス化するという、自助を促すためのインセンティブの話をさせていただきましたが、ちょっと途中で終わってしまいましたので、その話の続きをさせていただければと思います。

 今般、改正案の七条の二項というところに、企業の役割、責務というのが入りました。ここでは、「災害応急対策又は災害復旧に必要な物資若しくは資材又は役務の供給又は提供を業とする者」というふうに限定されているわけでございます。

 しかし、災害が起きたときに企業の果たすべき役割というのは実は結構あるというふうに私自身は認識しております。特に、首都直下型地震のように、東京それから横浜、川崎といった都心で地震、災害が起きるようなときなんかには、企業が果たすべき役割というのは物すごく大きいというふうに思っています。従業員や顧客の安全の確保だったり、それから経済活動を引き続き維持していくということだったり、それから地域住民への貢献ということだったり、こういった形で企業の果たしていくべき役割というのは物すごく大きいというふうに考えています。

 そういった中で、企業が防災をするためのインセンティブ、防災を促していくためのインセンティブ設計をしていくことが物すごく重要なのではないかというふうに思っています。

 私自身はもともと弁護士をやっておりまして、弁護士というのも、訴訟が起きたとき、もめごとが起きたときに紛争解決に当たる紛争解決型の弁護士と、予防法務というのがありまして、紛争が起きないようにするために法律的な手続を整えていく、契約書をつくるということですけれども、こういった役割分担というのがあります。この予防法務をやっておくことによって、実際に紛争が起きなくするということで、紛争が起きたときのコストを下げるということがあります。

 医療に関しても、実際に体が悪くなったときの対症療法としての医療と、それから予防医療というのが存在すると思います。

 災害対策についても基本的には同じだと思います。災害が起きたときの災害対策と、それを防ぐための、予防としての防災ということだと思います。この防災をきちんと充実させればさせるほど、災害が起きたときのコストというのは下がっていくということだと思います。これは、コストというのはお金だけではなくて、人命の話であったり、さまざまなものを含むと思います。そういった形で、企業が防災を自発的に行うようなインセンティブ設計というのは物すごく重要になってくるというふうに思っています。

 しかし、現実は、企業にとって防災のための支出というのは、あくまでもコストだというふうに私自身は認識しています。要は、防災に関してお金を費やせば費やすほど、それは費用となるということで、余りメリットがないんだというふうに思います。しかし、これをコストではなくて企業価値を上げるような、バリューを生み出す投資として扱っていかなければならないんだろうというふうに思います。

 そんな中で、例えば、防災格付とか、防災に関する格付をした上で、防災について努力をしているところについてはレーティングが上がる、そういった会社について、金利のメリットがあるとか、それから地震保険の金額が安くなるとか、それからファンドで出資を受けられるとか、こういったメリットを与えていくことだったり、減税だったり、それからあとは会計上のメリットとして、防災に関する投資についてメリットを会計的に与えていく、こういったことが必要なのではないかというふうに私自身は考えますけれども、具体的に、防災をインセンティブ化していく、そういう施策というのはどういったことがとられているのか。

 これが行われれば、結局、防災そのものがビジネスとして回っていくんだと思うんですね。防災会計といったものを積極的にやっていくと、日本じゅうの会社が防災会計でメリットを受けるために、さまざまな会社が例えばアドバイスをしていくなりなんなりということで、どんどんどんどん膨れていくんだと思うんです。

 そういった形で、防災の自助を促すためのインセンティブ設計というところについてどういったお考えをとっているか、教えていただければと思います。

古屋国務大臣 委員の御指摘は、防災をコストという視点だけではなくて、企業にとっても、インセンティブあるいは防災のビジネス化という視点が必要なんじゃないか、おっしゃるとおりです。ですから、そういう取り組みは必要だと思います。

 まず、自分たちでやること、自助というのは、例えば地震保険に入るとか、そういったことがありますけれども、もちろんそれ以外にも、例えば、住宅の耐震化に関しては、現在でも、補助金とか、あるいは税、融資などの支援が行われています。これは一つの例だと思いますけれども、こういったものを充実していくという考えも私は必要だというふうに思っています。

 それからもう一つは、今、防災のために一生懸命取り組んでいる企業を督励するというか、これは決して金銭的なものではないですけれども、そういったことも、ではそれを制度上するのか、あるいは慣習上するのかということの議論はあると思いますけれども、そういう取り組みをしていくことも必要なんでしょう。

 それから、防災関連ビジネスを対象とした展示会だとか、あるいは、そういった開発に対する何かシンポジウムとかやっていますけれども、まだ十分じゃないですよね、正直言って。やはり、こういうものは企業にも働きかけて、また、関係する省庁はたくさんあるんですね、経済産業省もあるだろうし、あるいは消防庁もあるかもしれないし、いろいろありますので、そういったところとしっかり連携をして、そういったような取り組みを強化していく。

 そして、防災に対する対応は、決してコストじゃなくて、むしろ、企業にとっても前向きな取り組みとしての魅力が十分あるんだという考え方というものが定着をしていく。そうすれば、自然にそういう活用がふえてくるんじゃないかな。そういう取り組みが、私は目指すべき方向だと思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 確かに不十分なんですね。本当に必要だと思うので、ぜひ検討していただきたいなというふうに思います。

 日本は、自由主義の国であり、資本主義の国なわけでございます。したがいまして、最後の最後、良心とか思いやりとか、そういったところで人は動かないわけです。やはり、コストとして考えている限り、絶対企業も動かないですし、人も動かないわけです。

 コストは基本的には下げていきたいものでございますから、そういう意味でいうと、インセンティブを与える。これは、大臣が今おっしゃいましたけれども、やはり金銭的なインセンティブか名誉か何かでないと、人は動かないですし、企業も動かないわけですね。だからこそ、私自身も、減税だったり、それから補助金だったり、会計上のメリットだったり、それから格付によるビジネス上のメリットだったり、そういった話をさせていただいたわけでございます。

 今後とも、さまざまな省庁が関連するところでございますが、内閣府の防災担当の方々が取りまとめをするところだというふうに思っておりますので、ぜひ引き続き検討及び推進をしていただきたいなというお願いをさせていただきたいと思います。

 通告の中で一番最後に置いておいたものですけれども、次の質問に伺いたいと思います。

 先日の参考人質疑で、泉田知事がこうおっしゃっているわけです。一言だけ引用すると、自治体の行う業務は災害の原因に依存しませんと言っていて、やることは、何でも災害については基本的には同じであるという趣旨のことをおっしゃっているわけでございます。地震であろうと津波であろうと土砂災害であろうと原子力災害であろうと、自治体は、住民に避難をしていただき、そこに食料それから水を提供し、避難環境を整える、それから災害時要援護者に対する支援を実施する。こういったところで、基本的には自治体のやるべきことは一緒である、だからこそ災害対応法制については一括してほしいということをやはりおっしゃっていたわけでございます。

 先日の質疑で、私自身も、オールハザードアプローチという考え方について指摘をさせていただきました。大臣からは、戦争、テロなどの災害は、その類型によって、被害の形や発生原因、それから対応に当たる組織の責任所在なども異なるので、現行の法制でいきたいというような話をおっしゃっておりましたけれども、この泉田知事の指摘というのは、実際に、中越地震、それから中越地震によって柏崎刈羽原子力発電所で火災が起きたこと、今般の東日本大震災等を受けた上で、やはり重要な問題提起なんだろうというふうに思います。

 今回の東日本大震災のように、地震、津波、原発事故といった複合災害であると、非常災害対策本部とそれから原災本部、こういったところの指揮命令系統が異なるとか、そういったことによる現場の混乱というのがやはり指摘されているわけでございます。

 そういった中で、泉田県知事が御指摘いただいたこの考え方、そして、オールハザードアプローチという考え方と共通する部分もあろうかと思いますけれども、御所見を賜れればと思います。

    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕

古屋国務大臣 泉田知事がオールハザードアプローチという視点からの提言をしている、よく私も承知をいたしております。

 では、果たしてそれをそっくりそのまま日本の体系に入れられるか、こういう視点で考えていくと、まず、複合災害への対処では、被害者の避難とか救助といった対処で共通する部分について統一的に対処するということは大切ですよね。この点については、東日本の教訓を踏まえて、防災基本計画であるとか原子力災害対策マニュアル等々において、複合災害が発生をし、対策本部が複数設置をされた場合なんかには、重複する要員の所在の調整であるとか、物資とか輸送の手配など、共通的な措置内容を集約するだとか、必要に応じて合同的な会議運営を図る、こういう効率的な運営に努めるということにはなっております。

 一方、自然災害と原子力災害、あるいは武力攻撃事態とか、あるいは新型インフルエンザパンデミックのようなほかのハザードでは、その類型によって、前も答弁したと思うんですけれども、被害の態様とか発生過程が異なりますし、また、国とか地方公共団体、関係行政機関の責任の所在とか役割分担、具体的な対応にもやはりどうしても違いが生じてくるんですね。

 だから、オールハザードアプローチの考えに基づいて災害対策法制を全て一本化するというのは、今申し上げましたように、ちょっと、日本の法体系全体にそういう考えが果たしてなじむかどうか、なじむ部分があるということになれば、どこまで取り入れていったらいいのか、こういった課題があると思いますので、しっかり研究をして、果たしてそういった取り組みが可能なのかどうか、かなり緻密に精査をしていく必要があろうというふうに思います。

 結果としてこういったことによって混乱が生じては意味がないわけでありますから、やはり災害が起きたときの速やかな適切な対応という視点も含めて検討していくべき課題だというふうに思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 ぜひ御検討をされてください。やはり現場の声というのはそれなりに大きなものだろうと思います。今回と前回の改正前の災害の基本的な対応方針というところでやはり現場で混乱があるという声を踏まえた上で、どうしていくべきかということなんだろうと思いますし、緻密にとおっしゃいましたので、ぜひそこを詰めて研究していただきたいなというふうに思います。

 あと時間の許す限り、幾つか各論に入ってまいりたいというふうに思います。

 まず、改正案の四十二条の三項というところで地区防災計画というのが定められております。実際にこの地区防災計画というのをつくるのは、自主防災組織、要は小さな自治会その他もろもろだと思います。

 私の選挙区、神奈川県の川崎市にあります神奈川九区というところなんですけれども、ここには、日本で最も大きいと言われている町会が存在しています。町会エリアの構成員が大体四万人ぐらいで、町会に加盟している人間が二万人というところでございます。これが日本で一番大きいとされている、本当に大きいかどうかは正直知りませんけれども、町会でございます。ほとんどの町会は、せいぜい数百名から、大きくても千人台前半ぐらいかなというふうに思います。

 こういったところで、実際に防災の専門家による地区防災計画というのを整備していって、実際に自分たちで避難計画を実現していくことというのはどのぐらい実現可能なのか、どういった運用を現実的には想定してこういった規定を入れているのかというところについて、西村副大臣に伺えればと思います。

西村副大臣 四万人というのは相当な規模で、私の選挙区は神戸の隣、明石と淡路島、明石の方は三十万都市ですけれども、恐らく、最大のところで三千戸ぐらいの自治会ですので、五千人か六千人かだと思います。四万人というのは相当大きな規模で、そのぐらい大きくなるともう少し細かくやらなきゃいけないのかなという感じもしますけれども。

 いずれにしましても、御指摘のとおり、今回の法改正で、地区の防災計画というのを位置づけまして、居住者、住民による防災訓練とか、あるいはその地域で備蓄もやっていこうとか助け合いをやろう、そんなようなことも計画で定められるようにしております。

 これは、近年の防災意識の高まりというのは相当なものがあると思いますし、これだけの災害、東日本の大災害が起こりました。日本全国でその意識は高まっていると思いますので、事実、地域住民が主体となって、そうした訓練や備蓄、要援護者の避難支援、自発的にいろいろ防災活動を行われているというふうに認識しております。

 私は、それなりに各地区地区でこうした取り組みがさらに進められるということを期待しておりますし、我々としても、ぜひ広く活用されるように、関係省庁とも連携しながら、ガイドラインをつくったり、あるいはモデル地区を設定してそうしたことを広めていったり、そうした取り組みをしながら、ぜひこの地区防災計画をうまく活用していただいて、地域の防災力の向上につながっていくように努力したいというふうに思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 ガイドラインをつくって、例えば模範解答のような地区防災計画をつくってしまうと、基本的にはどこの自治会も同じようなものをつくってしまうというのが人間のさがなのかなというふうに思います。しかし、やはり災害対応というのは、自分で考えるというのが非常に、基本中の基本なんだろうと思います。

 せんだって、私自身も一言指摘させていただきましたが、災害イマジネーションということを国民全体で共有するということが重要なのかなというふうに思います。やはり、あれをやれ、これをやれ、あれをやるなみたいな、そういうマニュアルだけでやると、基本的には、災害が起きたときに臨機応変に対応していくことができないんじゃないかというふうに思います。

 だからこそ、災害がどういった形で進展していくのかというのをイメージできる能力というのをきちんとつくった上で、その災害の各時点において適切なアクションをそれぞれとれるための状況判断能力を養っていくということがすごく重要でして、数百人から数千人単位の地区の中でそれを実現していくというのは、やはりなかなか難しいんじゃないかなというふうに直観的には思っているところでございます。

 ですので、やはり専門家を雇うということ、教育をしていくということ、それからその場所場所に合った防災計画をつくっていくということ、こういったことが物すごく重要になってくるように思います。

 そこで伺いたいんですけれども、各基礎自治体で、現在、地区防災計画の上の、基礎自治体でつくる市町村の地域防災計画というものをつくっていらっしゃると思いますが、こういったところが、東日本大震災を受けてどの程度改定されているのか。さらに言うと、今般の改正の趣旨なんかを踏まえて、自助の部分でどういったところで改定がなされているのかというところをまず総務省の方に伺いたいのと、それを聞いた上で、大臣に、こういった各自治体の個別個別、さらに言うと、地区防災計画みたいな、さらに下のレベルでいうと、もっと個別個別にアドホックな、その場その場に適切な防災計画をつくるためのトレーニングというか人材育成というか、そういったところについて伺えればというふうに思います。

    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕

大庭政府参考人 災害対策基本法におきまして、地方公共団体は、地域防災計画について毎年検討を加えて、必要があると認めるときは修正しなければならないとなっております。

 これまで消防庁では、東日本大震災を受けた防災基本計画の修正、二回されておりますけれども、これを踏まえ、各地方公共団体の地域防災計画について、自然的社会的条件などを十分に勘案して、地域の実情に即した、例えば原子力施設があるとか雪が多いとか、そういう実情に即した具体的かつ実践的なものになるように、速やかな見直しを行うよう助言をしてきました。

 二十三年度につきまして、都道府県で三十団体、市町村で四百六十八団体においてこの修正が行われておりまして、二十四年度はまだ集計はしておりませんけれども、必要な修正が行われているものと認識をしております。

 例えばの例ですけれども、鳥取県では、この三月に、県の地域防災計画を修正されまして、津波災害対策編を独立させたり、原子力対策編をつくられたり、あるいは避難所の運営の見直しなどをされている、このような状況がございます。

 消防庁としましては、引き続き、地方公共団体に対し、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。

古屋国務大臣 人材の育成、重要です。内閣府はことしから、地方公共団体の職員六十人、これはコアなメンバーですね、災害対策全般に対する防災のエキスパート。だから、かなり専門知識を持たせるための研修を実施したいというふうに考えておりまして、この研修は、内閣府の防災担当の業務に従事するいわゆるOJTが中心でございますけれども、災害の予防から応急対策、復旧復興にかかわる講座、演習というものをあわせて行うということであります。

 それから、地方公共団体の職員、ピラミッドでいうとその次の段階、これは四百人に対して、有明の丘基幹的広域防災拠点施設で、これはぜひ委員も一度御視察をいただきたいと思うんですが、私も見てきましたけれども、非常に内容が充実していますね。実は、そういう職員だけじゃなくて、学校の研修も受けて、子供たちがいかに防災に対して正しい知識を持つかというようなこともあわせてやって、数十万人が年間来ているそうでございますので、ぜひそれをごらんいただきたいんですが、ここでは、一般職員とか中堅職員、こういった方々の職務と経験に応じた災害対応能力養成のための研修をしています。

 それと同時に、さらに今度は、地方公共団体が実施をするいわゆる地域における防災リーダーを育成するための研修に対して、教材の開発であるとかその提供、講師の派遣等の支援をしておりまして、いわば自主防災組織のメンバーの皆様方を対象とする。だから、先ほど言った四万人の自治会がある、こういったときには、このような制度を大いに活用していただいて、人材育成ノウハウをつけていただくということが必要なんじゃないでしょうか。

 こういった研修を通じて、必要な災害対策をみずから考えることができる人材を育成していきたいというふうに考えております。こういった方々が、現場の実情に応じて、災害が生じた際の対応に当たってくれることを期待しています。

椎名委員 ありがとうございます。

 まず、地域地域に応じた防災計画という話ですけれども、私自身も、国会事故調にいたときに、福島県の地域防災計画、主に原子力災害対策編ですけれども、それから、それ以下の、富岡、楢葉、大熊、双葉といったところの地域防災計画、これも主に原子力災害対策編ですが、そういったところをつぶさに検討したわけでございます。もうはっきり言いますけれども、一言一句たがわないと表現しても過言ではないぐらいに、ほぼ同じものです。

 そのぐらい、やはりマニュアルがあって、マニュアルというか模範解答があって、それを県と市町村とその下とという形でやると、結局、上の組織のつくった、要は県のつくったものとほぼ同じものを市町村がつくり、それとほぼ似たようなものを、自分たちに関係あるところだけを切り張りして地区でつくっていくということになっちゃうんだと思うんです。

 だからこそ、防災に関する専門家を非常に充実させていくということが重要ですし、総務省の方々も改定はされているとおっしゃっていましたけれども、そこが、本当にその地域の実情にどのぐらい即しているかというのは、結局、中央で見ている役所の方々にはなかなか判別がしづらいということだろうと思います。なので、やはり、本当に人材を育成していって、自分たちで努力をして、自分たちで実情に合うために考えていく人たちをつくっていくということが物すごく重要になってくるというふうに思っております。

 そんな中で、ちょっと、通告では十番のところに置いておいたところでございます。この人材育成のところに引き続き関係して質問をしますが、やはり役所の中というのは、一般論ですけれども、大体、ローテーションというのがございまして、役所の人事というのは、二年ないし三年ぐらいでローテで回っていくということでございます。防災を担当する職員は、二年とか三年とか、通常の人事ローテーションで回っていくということがあるんだろうというふうに思います。

 しかし、やはり防災部署については長くあるべきではないかというような問題提起もあったところでございます。例えば、高知や三重などでは八年のローテーションにしているとか、海外でも五年、十年単位で、防災に関する職員についてローテーションを長くしているというようなことがあるというふうに聞いています。こういった形で防災をある程度専門的にやっていくという人がいると、ほかの部署に異動したときでもそれが役に立つということもあろうかと思います。

 こういったところにつきまして、政府の中での、実際、例えば内閣府防災担当における人材のあり方とか教育のあり方とか、そういったところについて、大臣の決意をいただきたいと思います。

西村副大臣 ありがとうございます。大変いい御指摘でありまして、御案内のとおり、内閣府は、もちろんプロパーの職員もおりますし、それから、各省からいろいろ出向してきていただいて成り立っているわけでありますけれども、防災の部局についても、プロパーの職員が少なくて、他省庁からの出向者が大勢を占めるというのが現状で、御案内のとおりであります。

 ちなみに、四月一日時点で、防災関係は七十八名いるんですけれども、他省庁からの出向者が六十六名でありまして、さらに、平均の在職期間も、七十八名の平均は二年未満ということでありますので、このあたり、ちょっと改善をしていかなきゃいけないなというふうに思っております。

 やはり、内閣府のプロパーの職員の専門家を育てていくことも大事でありますし、それから、在任期間、東日本大震災もありましたし、いろいろありましたので、ここのところ少し長くなっている方もいますけれども、例えば、経験者を、またもう一度内閣府に来てもらう。防災の中で、関連の業務を関係省庁と内閣府の間でローテーションで回ってもらうとか、こうした取り組みをぜひ今後も進めたいと思っております。

 さらに、職員の研修それから訓練等、こうしたものに参加を通じて、内閣府プロパー職員、防災担当職員、出向者も含めてでありますけれども、ぜひ、能力の向上、人材育成に努めてまいりたいと思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 質疑時間が終わってしまったので簡単にまとめますけれども、FEMAという組織についてせんだって言及しましたが、あそこには、大体、防災担当のエキスパートというか専門家というか、そこに勤めている人が千人単位でいるわけです。三千人とか五千人とかいう単位でいるわけでございます。そういう規模なわけです。

 それと比較すると、やはり、七十八名、しかもプロパー職員は、七十八引く六十六ですか、十二ということですね。ということなので、日本の防災に対するスタンスというものをもうちょっと強めていくためにも、内閣府の防災担当のプロパー職員、それから専門家の育成ということにぜひ御尽力いただければというふうに思います。

 これで質疑を終わります。よろしくお願いします。

坂本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最後の質問になりますので、よろしくお願いいたします。

 最初に、災対基本法で、今回、第四十九条に、指定緊急避難場所、そして指定避難所を法定いたしました。

 二十一日の参考人質疑でも、釜石市の野田市長が、防災センターという名前が誤解を生んでいたんだ、市民も、日ごろから避難訓練を行っていたこともあって避難場所と勘違いをして、私もそこを見てきましたけれども全壊で、大きな犠牲があったということが述べられました。

 ですから、今回、あらかじめ指定をし、そして同時に周知をしていくということが本当に大事だと思うんですね。

 例えば、九州の方のある都市で、水害の調査に行ったときに、公民館に立派なハザードマップが飾ってありまして、そのときのハザードマップの浸水想定地域とそのときの水害がぴったり一致していたんですね。ぴったり一致していたんだ、よかったなという話にならないで、市民はそこにハザードマップがあることを誰も知らない、何の役にも立たなかったということがございました。

 また、ある中国地方なんですけれども、避難所とみんなに周知をしている場所が、洪水でまるっきり冠水をしておりました。ですから、誰も行けません。

 そういうことなんですね。災害の種類によって、当然高台でなければいけない場合と、地震だからすぐ近くの方がいい場合と、さまざまある。ですから、今回の法案は、種類の違うごとに指定をするということも書いているんですね。これは、書くのは簡単なんだけれどもやるのは非常に大変であるということで、どのように進めていくのか、お願いいたします。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、各市町村で、地域防災計画で定められております避難所につきましては、その多くが震災を念頭に、被災者が一定期間避難生活を送る場所として定められているというものでございまして、災害の危険が及ぶことが想定される地域に立地するものなど、津波とか洪水等の災害の発生時に緊急避難場所としてはふさわしくないものも存在している、そういうのが実情でございます。

 そういった中で、今回の法改正におきましては、緊急時の避難場所と、それから一定期間避難生活を送る場所としての避難所を区別した上で、緊急時の避難場所につきましては、災害の種類ごとにあらかじめ指定緊急避難場所として指定するという仕組みを設けております。

 あわせて、今回、市町村において、災害が想定される区域や、避難場所、避難経路、避難情報の入手、伝達方法といった主要な内容が盛り込まれた防災マップを災害の種類ごとに応じて作成するという規定も設けております。これらにつきましては、仕組みだけではなくて、この仕組みがどういうふうに運用されるかが大切だということにつきましては先生の御指摘のとおりだと思います。

 このため、例えば、具体的に申し上げますと、防災マップの作成につきましては、これは行政が決めるという仕組みにはなっておりますけれども、実態上は、市町村と住民が一体となって取り組む、そういうことを通じて、避難所と避難場所の違いであるとか、あるいは、災害ごとに避難すべき場所が異なることについての理解を深めて、住民の意識の向上を図っていく、そういった取り組み。それから、さらに申し上げますと、ふだんから住民に対して、こういった仕組みの趣旨の徹底、それから、緊急時の避難場所や避難所の所在地情報の周知といったことも大切でございますので、こういったことにつきましては、防災訓練あるいは防災教育というのが大切な役割を担うのではないのかなというふうに思っております。

 こういったことにつきましては、市町村段階で徹底されることが大切だと考えておりますので、これから国としても積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今御紹介いただいた、住民が一体となって防災マップをつくる、釜石なんかは、まさにその過程にみんなが参加をしているわけで、だからこそ自覚がある。同時に、想定内ではないよということも防災教育の中で徹底されていたということが今回の釜石の奇跡につながったということはあったかと思います。

 逆に、陸前高田の保育所の先生方は、津波の、本当にフラッシュバックしてくる、そういう子供たちを見ながら、本当に緊張して避難訓練を繰り返し行っています。それで、今全壊してしまって、実は仮の保育所なものですから、みずからいろいろなルートを通って、避難場所にここがいいんじゃないかという空き地とか施設を見つけると、そこの持ち主にお願いをして決めておく、そういうマイ避難場所みたいな形の取り組みをしています。やはりそれは、それぞれが一番よく知っている、道をよく知っているということもありますので、本当にそういう知恵が生かされていって、日ごろからそこが徹底されていくようになればいいなということで、引き続き御意見を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そこで、大臣に伺いますけれども、国の責務に、住民の命と財産を守る、このように明記した災害対策基本法ですけれども、これは、やはり防災、減災、そして復旧復興、あらゆる過程での災害対策の基本を備えているということでは、いろいろな法律がありますけれども、関連した法律がいろいろあるけれども、そういう意味では上位法である、この認識でよろしいでしょうか。

西村副大臣 お答えしたいと思います。

 災害対策基本法は、御案内のとおり、その「目的」におきまして、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方団体その他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧、防災に関する必要な対策の基本を定めるということでありますので、まさに御指摘のとおり、この災害対策基本法が、その名のとおりでありますけれども、我が国における災害対策の基本であるということであります。

 一方、地震とか水害とか土砂災害等、その災害の種類、特性に応じて、当該災害固有の対策が求められるものがありますので、これらについては個別法により対処することが適切である。この基本法と個別法が相まって、全体として災害対策法制を構成しているというふうに理解をしておりますので、基本法ではあるんですけれども、上位とか下位とかという概念には当たらないんじゃないかというふうに思います。

高橋(千)委員 そうなんでしょうか。ちょっと正直、残念な答弁だったなと思います。

 それぞれの法案があって、参考人質疑の中で、一本化するべきだという泉田参考人からの意見があって、そうはいっても災害の種別がと、いろいろありました。

 しかし、災害の基本は、今副大臣おっしゃったように、住民の命と財産を守る、それが国の責務である、その上でいろいろな出方があるということで当然法律はあるんですけれども、しかし、基本法がやはり上位法であるという位置づけがしっかりしなければ、そのたびにすき間が出てきて、予測できなかった事態に対してまた法律をつくらなきゃいけないということになる。

 本来は、基本法の中に基本的な施策、考え方というのが備えてある、そういうふうな立場であるんじゃないかな、私はそういうふうにつくられたと思うんですが、違うんですか。

西村副大臣 御指摘のとおり、災害対策基本法がこの法体系の中の中心にあることは間違いないんですけれども、それにほかの個別法がつながって全体としての法体系を形成しているというふうに理解をしております。

 それからあわせて、ちなみに言えば、復興については大きな規定がこの対策基本法には入っておりませんで、基本的には、防災それから復旧、それを通じて復興につなげていくということで、個別の法律でいろいろ復興のことが書いてありますから、そういう意味では、中心ではあるんですけれども、横にいろいろな法律が広がっているというふうに理解をいたしております。

高橋(千)委員 中心ではあるけれどもと。でも、そこが本来上位法の位置づけなんじゃないかと私は思うんです。そこをはっきりしないから、やはりいろいろな問題が出てくるし、指摘がされるのではないかなと思うんですね。

 図らずも副大臣がおっしゃったんですけれども、復興ではないとおっしゃいました。そうすると、今回、もう一つの大規模災害からの復興法は、まさしく復興の枠組みを書いたものなわけですね。だけれども、大規模災害なわけですよね。特定大規模災害と特定大規模災害等という定義がございます。そうすると、それ以外の災害についての復興の枠組みについてはどうなるんですか。そこに本当は災害対策基本法が備えていなければならないんだと思うんです、私は。ところが、それは復旧の、直後の話だけですよと。復興になったら大規模災害だけですよというわけじゃないわけでしょう。そこはどうなんですか。

西村副大臣 復興については、従来から、災害対策基本法においては、目的とか定義に直接的な規定はありません。ないわけですね。

 ただ、その規模にかかわらず、災害が発生したときには、速やかに、復旧及び被災者の援護を図り、災害からの復興を図るという規定がありまして、復旧、被災者の援護から復興につなげていくところまでの規定で、そこから先は細かい規定はないわけであります。

 こうした規定を受けて、いわゆる復旧についてはそれぞれ、例えば公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法を初めとする個別法がありますし、それから援護についても災害救助法があるという、そこのところはちゃんと規定があるわけですね。

 今回、御指摘の大規模災害からの復興に関する法律を用意いたしました。他方、中小の規模の災害からの復興については、こうした個別の法律による復旧あるいは被災者の援護を通じて復興が図られる。さらに言えば、土地区画整理法とか再開発法なんかで面的に復興を図っていくということになっております。

高橋(千)委員 大臣に伺いますけれども、私が本会議で質問した趣旨は、まさにそこにあるんですね。細かい法律はいろいろあるんだけれども、やはり基本的な考え方が基本法にあって、復興の道筋がちゃんと書かれているということが大事だと思っているからなんです。

 それで、大規模災害からの復興法は、本会議で質問したとおり、災害を受けた地域における生活の再建及び経済の復興であると理念が書かれました。それは被災者一人一人の復興、再建を意味するんですよと大臣は明言をされたと思うんです。

 だけれども、災対基本法の方は、速やかな施設の復旧、被災者援護、災害からの復興とあるんですが、被災者援護までにとどまっているわけですね。だから、中小の災害の復興についても、被災者一人一人というのがちゃんと明記されればよかったなと私は思っているんです。同じ書き方でよかったのにと思うんです。そういう趣旨で質問をさせていただきました。

 大臣、もう一回。

古屋国務大臣 今、副大臣から答弁させていただいたとおりですけれども、中小規模の災害からの復興については個別法による。具体的には、例えば、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法だとか、激甚災害に対処するための特別の財政支援に関する法律であるとか、土地区画整理法あるいは被災者生活再建支援法、職業安定法、中小企業信用保険法等々、こういうことで個別的に対応しているんですね。

 ですから、そういう意味で、今、西村副大臣から申し上げたような答弁に、説明になったということであります。

高橋(千)委員 ですから、大規模災害の場合は、そういういろいろな法律を踏まえて復興の道筋を書いているわけじゃないですか。だから、それを全部書くというんじゃなくて、基本的な考え方は一緒ですよねということを聞いているだけなんですよ。それを何か、言っては非常に都合が悪いことがあるんでしょうか。

 ただ、本会議では、一応、大臣は、含めとおっしゃいました、被災者の一人一人の再建を含めとおっしゃいましたから、私は、それを違うと言っているんではないと思いますけれども、よろしいですよね。要するに、災対基本法の基本理念も、被災者一人一人の生活再建を図っていくということを意味しているんだということでよろしいですよね。

西村副大臣 御指摘のとおり、今回の改正案の中で、基本理念の中に、繰り返しになりますけれども、「災害が発生したときは、速やかに、施設の復旧及び被災者の援護を図り、」この後ですけれども、「災害からの復興を図ること。」という、その委員御指摘の気持ちは、理念はここに入っておりまして、大臣が先般お答えをしたとおりであります。

 ただ、個別の復興につなげていくところはこの法律の射程の外でありまして、つなげていくところまではあるんですけれども、個別の復興は別の、個別法の体系によるというところであります。

高橋(千)委員 ぜひ、今後に向けてもう少し整理をしていただきたいと思います。気持ちは含まれているというお答えでありました。

 それで、災害の定義なんですけれども、見直しをするたびに少しずつふえております。

 ただ、第二条第一号の「政令で定める原因」として、放射性物質の大量の放出というものがあります。これは政令に落とし込んでいるんですけれども、政令のトップに出てくるのが、この「放射性物質の大量の放出、」とあるわけですね。

 ですから、基本的には、福島第一原発の事故もこの災害基本法の範疇の中に入っている、この考え方でよろしいんですよね。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力災害につきましては、概念上、災害対策基本法の災害に該当するということではございますけれども、その特殊性に鑑みまして、別途、原子力災害対策特別措置法が制定されているということでございます。

 したがいまして、災害対策基本法と原子力災害対策特別措置法は、一般法と特別法の関係にあるというふうに解するのが相当かと思います。

高橋(千)委員 ここもちょっと、なぜこうなのかなと思うんですけれども、特殊性があるというのは私たちが言ってきたことです。ですから、当然、事業者の責務があり、国の責務があって、特別な対策をとらなきゃいけない、情報をとらなきゃいけない。

 ですが、被災者という点では、泉田知事がおっしゃったことは、要するに、被災者がいて、避難所をつくらなきゃいけない、あるいは仮設住宅をつくらなきゃいけない、支援をしなきゃいけないという点では、自治体のやることは一緒なんだよと。つまり、被災者の視点では同じなんだと。当然、特殊性によっての特別な法律が必要なのは当たり前なんです。結局、そこが整理されていないから、今回の東日本大震災と原発事故の発災当初は大変な混乱がありました。

 要するに、福島の皆さんは、東電から賠償があるんだから、これは救助法の対象になりませんよとか、そういうことがさまざま現場であったわけであります。だけれども、それは、今すぐ東電が一から十まで面倒を見てくれるわけではなくて、後からそれはついてくるというか、申請しなければ出てこないわけであって、その直後において被災者であるという点では一緒なんですね。そこにすき間があってはならない、そういう意味での体系をちゃんと意識してほしいということで指摘をさせていただきました。それはよろしいですよね。

西村副大臣 法体系上の整理は、先ほど説明のあったとおりでありますけれども、御指摘のように、今回の東日本大震災のときに、現場でいろいろな混乱があった、特に指揮命令系統で混乱があったことは我々も十分認識した上で、そうした混乱がないよう今後は統一的な対処が必要だということ、これは十分に認識をいたしております。

 去年修正をした防災基本計画とかさまざまな議論の中で、人員をどういうふうに配置するのか、指揮命令系統をどうするのか、輸送の手配をどうするのか、こうしたことについては、措置内容を集約していき、必要な合同の会議の運営をするなど、そういった効率的な運用に努めてきておりますので、先ほどもありました、さまざまな、それ以外の災害、武力攻撃事態のようなこと、あるいはインフルエンザみたいなことも含めて、法体系上どう整理するかは、これは十分な研究、検討が必要だと思いますけれども、現場での混乱はないように、これはさまざまな手を打っていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 お願いします。

 政府の地震調査委員会が、南海トラフを震源とする巨大地震の発生確率の予測について、これまで、東海、東南海、南海、この各領域に分けてきた従来の方法を見直して、全域で統一した確率を算出することを決めたとされています。今月中にも発表するということが報道されておりますけれども、直前予知が可能な巨大地震、そういうことで個別に対策法をつくってきたんですけれども、逆に、今専門家の間では、単独では起きないよ、セットで起きるよということが随分指摘をされているわけです。そういう意味での、対策法も一元化が必要なのではないかということが各方面から指摘をされています。

 それに対する認識と、さらには、もう既にどこでも起こり得るよね、この間、起こってきた災害もかなり、起こらないよと言われてきたところで起こっているよねというふうなことが指摘されている中で、地震対策法の、個別法の一本化ということについて、大臣の見解を伺いたいと思います。

古屋国務大臣 お答えをいたします。

 全国対象、そして地震予知を前提に、警戒宣言発令後から発災までの災害応急対策に関する特別の措置を定めた大規模地震対策特別措置法が定められておりまして、現時点においては、技術上の観点から、地震予知に必要な地震観測体制が整っている東海地震のみが対象とされているところであります。

 一方、議員立法で、東南海・南海地震については、その災害の特性を踏まえた、災害予防対策を中心に必要な措置を定めた特別措置法が定められており、これに基づき、地震防災対策の推進が図られているというところでございます。

 現在、南海トラフ地震に一体的に対応するため、与党において議員立法の検討が精力的に行われているものと承知をいたしております。

 私も、実効ある対策につながる法的枠組みが整備されることを期待いたしておりまして、一方では、大規模災害については、一般対策としての災害対策基本法に加えて、それぞれの災害の種類や特性に応じた個別法も整備をされていますけれども、それぞれが有機的に組み合わされていけば個別法も有意義なものになるというふうに考えております。

高橋(千)委員 東海地震しか予知できないというところからもう飛び出していかなければならないということを指摘して、また今後お願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、災害対策基本法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、大規模災害からの復興に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、林田彪君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、日本共産党及び生活の党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。吉田泉君。

吉田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    災害対策基本法等の一部を改正する法律案及び大規模災害からの復興に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、東日本大震災の教訓を生かし、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期するべきである。

 一 今回新設された減災等の基本理念については、国民に広くその意味を周知するとともに、共有化を図ること。

 一 災害発生時の初動対応においては、人の生命及び身体の保護を最優先として、人的資源及び資機材を集中的に投入すること。

 一 大規模災害発生時の政府の対応については、必要な対応が漏れなく、かつ、効率的に行われるよう、平素より、関係府省・部局の適切な業務分担及び密接な連携の確保に努めるとともに、災害派遣医療チーム(DMAT)、緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)等の既存の組織の法制化、更には救難・救援その他災害対応に係る活動を一元的に指揮及び調整する権限を持つ組織について、検討を進めること。

 一 災害発生時においては、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)等により住民等から寄せられた情報を関係する組織で広く共有するとともに、これらの情報を救難・救援活動に活用することも検討すること。

 一 地域コミュニティが提案できることとされる「地区防災計画」については、地域の災害危険を自治体と共通認識とし、現実的な防災対策を共同して進めることができるようにすること。

 一 災害緊急事態において、生活物資をみだりに購入しないよう国民へ協力を求めることについては、平素より、その目的及び趣旨を国民に周知するなど、国民が理解に基づき、冷静に対処できる環境を整備しておくこと。

 一 避難所の設置及び運営については、自治体が、子ども、女性、難病・障がい者及び高齢者等に必要な生活環境を整備できるよう、国として適切な支援を行うこと。

 一 市町村長が避難行動要支援者名簿の情報を消防機関等の関係者に提供する際に、遺漏や個人情報の取扱いの問題が生じることのないよう、国としてもガイドラインの見直し等の支援を行うこと。また、避難支援等関係者の確保についても、必要な支援を行うこと。

 一 市民のボランティア参加やNPOによる活動の更なる促進に努めるとともに、災害発生時にこれらの活動の受入れ・調整等を円滑に行うための体制を自治体が整備できるよう、国として支援をすること。

 一 今後の大規模かつ広域な災害に的確に対応するため、専門課程を含めた大学等における防災教育の充実、防災に関する専門知識を有する人材の長期的な育成の促進、国及び自治体における防災の専門家の適切な配置等により、防災体制の強化を図ること。

 一 災害多発時代に備え、地域防災を担っている自治体職員や市町村消防の体制の強化を図ること。

 一 国による復興基本方針の策定及び被災都道府県による復興方針の作成並びに被災市町村等による復興計画の作成においては、被災住民の意見が十分に反映される仕組みを整えておくこと。

 一 復興対策本部については、同本部が司令塔機能を十分に発揮するとともに、省庁の縦割りを排した一元的な復興施策を効率的に実施できるよう、東日本大震災での取り組みを検証し、そのあり方について検討すること。

 一 大規模災害からの復興に係る経費については、被害の状況及び被災自治体の財政等に留意し、迅速な復旧及び復興を推進する観点から、自治体の負担を可能な限り軽減する財政措置を講じるとともに、速やかに必要な予算編成を行うこと。

 一 今回積み残された課題については更に検討を重ね、必要なものについては法改正を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。古屋防災担当大臣。

古屋国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。

    ―――――――――――――

坂本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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