衆議院

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第3号 平成25年11月1日(金曜日)

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平成二十五年十一月一日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 坂本 剛二君

   理事 うえの賢一郎君 理事 北村 茂男君

   理事 原田 憲治君 理事 福井  照君

   理事 盛山 正仁君 理事 三日月大造君

   理事 山之内 毅君 理事 石田 祝稔君

      井林 辰憲君    伊東 良孝君

      泉原 保二君    大見  正君

      神山 佐市君    川田  隆君

      木内  均君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    清水 誠一君

      竹下  亘君    長島 忠美君

      林  幹雄君    藤丸  敏君

      松野 博一君    宮崎 政久君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      湯川 一行君    吉川  赳君

      黄川田 徹君    寺島 義幸君

      中川 正春君    松原  仁君

      吉田  泉君    今井 雅人君

      宮沢 隆仁君    濱村  進君

      樋口 尚也君    佐藤 正夫君

      笠井  亮君    小宮山泰子君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     武田 俊彦君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           室田 哲男君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      関  靖直君

   政府参考人

   (林野庁次長)      宮原 章人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           羽尾 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐藤 憲雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         望月 明彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       加藤 久喜君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    岡久 宏史君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     大野 宏之君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     奥田 哲也君

   政府参考人

   (気象庁予報部長)    西出 則武君

   政府参考人

   (気象庁観測部長)    永田  雅君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十九日

 辞任         補欠選任

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

十一月一日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     宮崎 政久君

  神山 佐市君     八木 哲也君

  松野 博一君     佐々木 紀君

  寺島 義幸君     松原  仁君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     松野 博一君

  宮崎 政久君     川田  隆君

  八木 哲也君     神山 佐市君

  松原  仁君     寺島 義幸君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  川田  隆君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十五年台風第二十六号による被害でお亡くなりになられました方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

坂本委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

坂本委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る十月三十日、平成二十五年台風第二十六号による被害状況等調査のため、伊豆大島に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党のうえの賢一郎君、福井照君、盛山正仁君、日本維新の会の山之内毅君、民主党・無所属クラブの吉田泉君、公明党の濱村進君、みんなの党の佐藤正夫君、日本共産党の宮本岳志君、生活の党の小宮山泰子君、そして私、坂本剛二の十名であります。

 なお、全行程において参議院災害対策特別委員会と行動をともにいたしております。

 今般の台風第二十六号により、東京都大島町では、一時間に百ミリ以上の猛烈な雨が降り、二十四時間雨量が八百二十四ミリに達するなど、記録的な大雨となりました。その大雨により大規模な土石流災害が発生し、昨日現在で、三十四名が亡くなられ、七名の方が行方不明となっております。

 この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。また、行方不明の方々の一日も早い救出を願うものであります。

 それでは、調査の概要について御報告いたします。

 まず、大島町役場におきまして、川島町長の挨拶に続き、高本東京都大島支庁長から被害状況等についての説明を、また、内閣府の尾崎政府現地連絡調整室長から政府の対応状況等の説明をそれぞれ聴取しました。その後、避難勧告や避難指示のあり方、ハザードマップの作成状況、瓦れき処理の方法、観光客の受け入れ再開の見通しや農業への被害とその再興など、町の復興等について意見交換を行いました。

 次いで、一同を代表し、私と参議院の竹谷委員長とで、役場に避難されている皆様を訪問し、お見舞いを申し上げ、激励してまいりました。

 次に、土砂や瓦れきの撤去が進められている元町二丁目、三丁目の被災現場を視察いたしました。道路などは通行できるようになっておりましたが、まだ多くの瓦れき、土砂が残っており、いかに大量の土砂が押し寄せてきたかをうかがわせました。また、この地区を初めとして、被災現場では、今も行方不明者の捜索が続けられているとの説明がありました。

 次いで、神達地区の被災現場を視察いたしました。この地区は、被害が一番大きく、被災前に集落があった場所は、わずかな家屋を残して流失しておりました。大量の瓦れきや根こそぎもがれた木が折り重なり、土砂で埋まっていました。また、現場からは、崩れた山肌が一望でき、ところどころの砂防施設が土砂を捕捉している様子も見え、その有効性がうかがえました。

 また、同地区の八重沢堆積工も視察いたしました。八重沢堆積工は、発災時に、山から土砂とともに流されてきた大量の流木を捕捉し、被害の拡大を防いだとのことでした。視察時には、そのたまった流木を搬出する作業が続けられておりました。

 最後に、大宮沢溶岩導流堤を視察いたしました。この導流堤は、本来は三原山の溶岩を海に流すために建設されているもので、ほぼ完成という状況にありました。ここにも大量の土砂が流入しており、今回の土石流災害でも被害の拡大を防ぐ一定の役割を果たしたことがうかがえましたが、そのために導流堤は一部損壊しておりました。

 いずれの被災現場にいたしましても、今回の災害の爪跡が生々しく残っており、大島町、また住民の方々を襲った災害のすさまじさがうかがえました。また、大量の瓦れきが発生しておりますが、大島町の処理能力を超えており、島外での処理も検討していかなければならないため、東京都との調整に入るとのことでした。

 以上が調査の概要でありますが、大島町の今般の台風による被害は甚大であり、また、今後も土砂災害が懸念されることから、早急な対策の実施が必要であると強く認識いたしました。当委員会としても、災害に対する警戒や警報、避難のあり方の検討、砂防対策などの取り組みを積極的に推進、強化する必要があると痛感した次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 平成二十五年台風第二十六号による被害状況及びその対応について政府から説明を聴取いたします。古屋防災担当大臣。

古屋国務大臣 国土強靱化担当、防災担当大臣の古屋圭司でございます。

 東日本大震災を初め、豪雨や台風等の一連の災害によりお亡くなりになられた方々と御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 我が国は、その自然的条件から、各種の災害が発生しやすい特性を有していると認識しております。こうした我が国の特性を踏まえ、防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であるとの認識に立ち、災害に対し、強く、しなやかな国づくりを進めてまいる所存です。

 坂本委員長を初め理事、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。

 台風二十六号による主な被害状況及びその対応につきまして御報告をいたします。

 まず、台風二十六号につきましては、十月三十一日時点で把握しているところでは、全国で死者三十八名などの被害が発生しました。特に、東京都大島町においては、土砂災害により死者三十四名の甚大な被害が発生しました。また、依然として七名が行方不明となっており、現在も捜索を実施しています。

 この災害によりお亡くなりになられた方々に対し、謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 政府としては、総理からの御指示を踏まえ、これまでに九回、関係省庁災害対策会議を開催するなどにより、関係省庁一丸となって対応してまいりました。

 十月十九日には、被害状況と現地の課題を確認するため、私自身が団長となり、政府調査団として大島町に参りました。

 現地を目の当たりにして、改めて極めて甚大な被害であることを認識するとともに、台風二十七号の接近が懸念される中、住民避難や二次災害防止対策が重要であると考え、これらを迅速的かつ的確に実施するため、内閣府大臣官房審議官を室長とする政府現地災害対策室の設置を決定いたしました。

 現地における対応としては、行方不明者の捜索や避難勧告等に関しての技術的助言、救援のための人員や物資の輸送、入院されている方の都心の病院への搬送、高齢者等の島外への避難支援及び大島町内の土砂災害危険箇所の緊急点検などについて、政府現地災害対策室を中心に、自衛隊、警察、消防、海上保安庁及び国土交通省を初めとして、政府一体となって対応してまいりました。

 さらに、台風二十七号の大雨等の対応については、総理から関係省庁に対して御指示をいただいたことを踏まえ、私からは国民の皆様に対して、空振りを恐れず、積極的に避難していただくよう呼びかけを行いました。

 幸いにも、台風二十七号においては、大島町を含め、全国においても大きな被害は発生しませんでした。

 二十七日には、総理に現地において被災状況の調査及び大島町長等との意見交換をしていただきました。地元からは、激甚災害の指定や住宅再建などの被災者支援について御要望がありました。

 激甚災害については、大島町において、農地等の復旧及び中小企業への助成についての指定基準に達する見込みとなりましたので、来週中の閣議決定に向けて、速やかに所要の手続を進めてまいります。

 今回の災害では、リードタイムのある台風であったにもかかわらず大きな被害が発生しており、気象情報の提供方法や自治体の避難勧告のあり方などの課題も明らかになりましたので、これらを含め、関係省庁とともに検証し、今回の災害を今後の教訓として生かしてまいります。

 大島町では、依然として、行方不明の方々がおられることから、行方不明者の捜索を行うとともに、災害復旧や被災者の生活再建支援など、被災者の方々が一日も早く安心した生活を送ることができるよう、引き続き、関係地方公共団体と連携を密にし、政府一丸となって対応に万全を期してまいります。

坂本委員長 以上で説明は終わりました。

 次に、西村内閣府副大臣及び亀岡内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。西村内閣府副大臣。

西村副大臣 国土強靱化担当、防災担当副大臣の西村康稔でございます。

 東日本大震災以来、豪雨や台風、竜巻等の一連の災害により亡くなられた方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 災害から国民の生命、身体、財産を守ることは国政の最重要課題の一つであります。国土強靱化担当、防災担当副大臣として古屋大臣を補佐し、一連の災害からの復旧復興、今後の災害対策と強靱な国づくりに全力で取り組んでまいります。

 坂本委員長初め理事、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

坂本委員長 次に、亀岡内閣府大臣政務官。

亀岡大臣政務官 国土強靱化担当それから防災担当政務官の亀岡偉民です。

 古屋大臣、西村副大臣を補佐し、災害対策そして強靱な国づくりのために全力を尽くしてまいりますので、坂本委員長、理事、委員の皆様方の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

坂本委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官日原洋文君、総務省大臣官房審議官平嶋彰英君、消防庁審議官武田俊彦君、消防庁国民保護・防災部長室田哲男君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長関靖直君、林野庁次長宮原章人君、国土交通省大臣官房総括審議官毛利信二君、国土交通省大臣官房審議官羽尾一郎君、国土交通省大臣官房審議官佐藤憲雄君、国土交通省大臣官房技術審議官望月明彦君、国土交通省水管理・国土保全局次長加藤久喜君、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長岡久宏史君、国土交通省水管理・国土保全局砂防部長大野宏之君、国土交通省住宅局長井上俊之君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長奥田哲也君、気象庁予報部長西出則武君及び気象庁観測部長永田雅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井照君。

福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 前略で、大野砂防部長にまず御質問させていただきたいと思います。

 私も現場に行きまして、あの尾根を乗り越えていて、その尾根が削れているという現場を見て、果たして、私自身が町長だったり砂防部長だったら、事前にその災害を予測できたかどうか、みずから問うてみますと、答えは否でございまして、震えるような思いをいたしました。

 ちょうど東日本の後も、全ての地震学者がもう切腹だというようなことでございました。発生のメカニズムからいっても、そして波動方程式にこだわる余り、地層からの声を聞いてこなかった、考古学としての地震学、津波学というものを私たちはばかにしてきた、それを反省しました。

 百分の一は完全にタックルする、直轄河川は、百五十分の一、完全にタックルする。しかし、千分の一の災害が起こったら、避難を拒否する人を一人も出さないんだ、とにかく逃げるんだ。消防団長に聞きましたら、サーチライトが雨で一ミリも進まない、一歩も前に進めないと。そんな雨でもやはり避難させなければならない、それが私たちの宿命でございます。

 今回、今まで想定してこなかった尾根を乗り越える斜面崩壊、土砂崩れ、これを目の当たりにして、砂防部としていかなる十字架を背負い、いかなる反省をし、そして教訓をいかに捉えて、これから行政としてどういう調査をし、そして事業をしていくのか、その御決意を伺いたいと思います。

大野政府参考人 今回、土石流の一種であります泥流が発生した大金沢では、上流域の広い範囲で多数の表層崩壊が発生しており、大量の土砂が流木とともに流下し、甚大な被害を及ぼしております。

 現地を調査したところ、泥流は複数回発生したと考えられ、初期の泥流が谷を埋め、その上を後続の泥流が真っすぐ流下し、尾根を乗り越え、そして尾根を削り、その結果、尾根の下の地区において甚大な被害が生じたものと考えております。

 砂防施設の計画に当たっては、今回のように、記録的な大雨により土石流や流木が立て続けに発生し、流域の境界となる尾根を乗り越えて流下するという現象は見込んでおりません。短時間に強い雨が降る近年の気象状況や頻発する土砂災害の状況を踏まえつつ、今回の災害の詳細な実態調査を行い、得られた教訓をもとに、人命を守るハード、ソフト一体となった土砂災害対策のあり方につきまして検討してまいりたいと考えております。

福井委員 ありがとうございました。

 ちょっと役所流の乾いた答弁だったので情感がこもっておりませんが、しかし、我々としては、土木屋でもあり、そしてこの災害対策特別委員会の構成員として、やはり町長と一緒に十字架は背負わなければならないというふうに思います。二度と我々の力不足によって命を失う人が出ないように、一緒に頑張らせていただきたいというふうに思っております。

 そこで、首長の防災研修というのが建大でもあり、今は何というんですか、建設省の建設大学校というのが改組されていると思いますけれども、いろいろな情報提供があって、そして、FEMAでは首長専用の三泊四日の研修がございます。

 それぞれロールプレーイングをして、特にメディア対応の訓練をするということなんですけれども、しかし、我々としては、避難指示なり避難勧告のリテラシー、その読み解き方、そして気象庁から来るいろいろなデータの読み解き方をやはり完璧に知っておかないと、私たち住民は首長さんに命を預けているわけでございますので、首長がいかに完璧に災害対策ができるか、対応ができるか、予測ができるか、そして住民の命をいかに守り切るかということについて、研修制度をつくる、あるいは研修をするというのが私たちの使命でございます。

 そこで、日原政策統括官から、今の日本の現状、そして、ホームページ以上のデータはないかもしれませんけれども、FEMAの研修制度について御紹介を賜れればと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 迅速かつ的確な災害対応を行うためには、災害発生時に第一線の災害対応を担う地方公共団体の職員が、災害対応について知識や技術をきちんと持っていただくことが極めて重要であるというふうに考えております。

 そのため、内閣府としては、これらの知識、技術を習得させるための研修というものを行っておるところでございます。

 今年度から、地方公共団体の職員約六十人に対しまして、内閣府防災担当の業務を体験しつつ、災害の予防から応急対策、復旧復興等に係る講座、演習を行う研修を実施しております。

 また、あわせて、地方公共団体の職員約四百名を対象といたしまして、有明の丘基幹的広域防災拠点施設を活用いたしまして、これにつきましては、一般職員、中堅職員、幹部職員、それぞれ職務、経験に応じました災害対応力の養成のための研修を実施しているところでございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、首長さんにつきましては、まさに災害発生時において陣頭指揮をとっていただくことになります。防災の重要性、防災業務を担う職員の養成の重要性について、しっかりと意識を持っていただくことが必要と認識しております。

 米国のFEMAにおきましても、さまざまな災害への対応につきまして、数日間にわたる研修を、各種のいろいろなコースを設けてやっておりまして、その中には、首長を受講対象としているものもあるというふうに承知しております。

 また、我が国におきましても、消防大学校などにおきまして、大規模災害発生時における対応能力の習得のための首長を対象とした研修を実施しているところと承知しております。

 先ほど御説明いたしました幹部研修等におきまして、首長さんに参加していただくということも十分あり得るんですけれども、組織のトップという職務の特殊性を考えますと、なかなか実際上、参加は難しいということでもございますので、首長さんが集まる会議も含めまして、どのようなやり方が考えられるか、関係省庁とも連携しながらよく検討してまいりたいというふうに考えております。

福井委員 ありがとうございます。ぜひ実現を早急にしていただきたいと思います。

 昨年、野党のときに出した国土強靱化基本法では、そういうFEMAみたいな組織をつくるんだぞという条文を入れていたんですけれども、今御審議いただこうとしている国土強靱化基本法にはそういうことは一切書いておりません。だからこそ、実際に行政として研修制度を実態として考えていただければ幸いでございます。

 そこで、同じコンテクストですけれども、今回、諸警報なり勧告の出し方、受け取り方、それを受けての町の行政としてのパフォーマンス、いろいろな言われ方をしておりますけれども、しかし、私自身は、まだ行方不明者がいらっしゃるその中で、そういう非難を、アキューズするということはするべきじゃないと思いますので、一切そういうことは言いません。

 しかし、その諸警報について、出しっ放し、ファクスを送ったから、メールで送ったから、これで責任が終わったという行政が数十年間続いてきたのではないかという疑義がございますので、受け取って、そしてどうするんだということを、やはり気象庁なり内閣府なり、あるいは都道府県と市町村だったら都道府県と市町村の間で、双方向のコミュニケーションという主義、原則が今までなかったので、隔靴掻痒の感あり、そして、もう実際にそういう犠牲者が出てしまった原因の一つになったのではないかということを踏まえまして、今、気象庁として、何をそれこそ教訓とし、今般の現況を捉え、そして、今後どういうふうにされようとしているのか、御紹介いただきたいと思います。

西出政府参考人 気象庁からの警報の伝達に際しましては、当方が伝達義務を有する都道府県でありますとかNHK等の関係機関に対しては、相手が受信した旨を常に確認しており、仮に確認ができない場合には必ず電話で連絡し、確認をすることとしております。

 さらに、警報については都道府県から市町村へ伝達いただくことになっており、この点につきましては、ふだんから都道府県に確実に伝達が図られるよう協力を求めてまいりたいと考えています。

 なお、警報等を発表するような大雨に際しては、警報の発表にとどまらず、気象状況によっては、気象台から自治体へ直接電話し、気象状況の解説を加え、危機感を共有するよう努めております。

 特に、今回の伊豆大島における災害を教訓といたしまして、気象庁が特に危機感を感じた場合には、自治体の長と防災対策の責任者に対して、直接電話によって連絡することといたしました。

 今後とも、地元気象台と自治体との間で、円滑にコミュニケーションがとれるよう取り組んでまいりたいと思います。

福井委員 ありがとうございました。

 もう訓練が必要でございます。気象庁、どうしても首長に遠慮するかもしれませんけれども、これは訓練ですといって、夜中の二時、三時に、月に一回ぐらいは携帯に電話する、そういう覚悟で、もう本当に、我々は当事者として、全ての首長も当事者、だから我々自身も含めて、夜中に電話していただいても結構でございますので、そういう訓練が重要だ。住民に訓練を押しつけるだけじゃなくて、我々自身が常に訓練があるということをぜひ肝に銘じて、今後の行政に当たっていただければというふうに思います。

 そこで、現地に行って、激甚災害、古屋大臣が火曜日の閣議後の記者会見で、まだ正式な閣議決定の前に、農業と中小企業について、計算値が達したから激甚災害に指定しますということをおっしゃっていただいたということに物すごく、町長がまずお礼をおっしゃっていましたので、それを報告するとともに、残る重要な公共土木の激甚災害の指定の予定を、もうとにかく一秒でも早くお願いしたいと思っておりますので、その予定について、西村副大臣でよろしいでしょうか、では、お答えをいただきたいと思います。

西村副大臣 委員御指摘のとおり、被災地におきましては、後々の費用負担を心配せずに、ちゅうちょすることなく復旧事業ができるということで、できるだけ早く激甚災害の対応をするということが重要だと考えておりまして、御指摘のとおり、最近ではもう発災直後からスピーディーに対応して、ある見込みが立った段階で大臣からその旨を公表することにしておるところであります。

 御案内のとおり、農業とそれから中小企業については、今お話しのとおり、来週中には閣議決定すべく、今精力的に手続を進めているところでありますけれども、公共土木施設につきましては、今回、続けて台風二十七号の接近が予想されたために、この間、国、東京都、それから町も、それぞれの関係部署は、まずは二次災害を防止するために応急復旧あるいは危険箇所の調査、これに全力を挙げてきたところでありまして、被害額の調査については、現在、精力的に行っております。

 今後、できるだけ早急にこの被害額等の把握を行って、基準もございますので、その基準に照らしながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

福井委員 ありがとうございます。

 国が前を切る、国がリードするということで、東日本でも国が先頭になってやっていただきました。まさに激甚の指定というのが、国が先頭でやっているんだというその証左でございますので、今までの交付金、交付税との関係というのはよく承知をしておりますけれども、それを乗り越えて、一秒でも早く指定していただきますように、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後に、古屋大臣、お待たせをいたしました。

 政権がかわりまして、国土強靱化の担当大臣という職をつくっていただいて、そして御就任いただいて、そして内閣官房に国土強靱化推進室というのができて、まさに国土を強靱化するんだ、強くしなやかにするんだ、一人も犠牲者を出さないんだという日本を築いていく行政をしていただいて、防災も拉致もあるんですけれども、国土強靱化に向けて今どのような覚悟で、そして何をされていこうとされているのか。

 今般、山津波という、まさに津波と一緒で、山からの土砂で津波のように道路の表面と土台しか残っていない、もう本当に全く何にもないというその津波の後の町を見せつけられたわけでございます。

 こういう災害も起こり得る、地震も起こり得る、台風も来るし、もう全ての災害が起こり得るのが日本列島。その列島で、一億二千万人の生命はもう全て古屋大臣にお預けをしているわけでございますので、一億二千万人の命を預かった身として、強くしなやかな国土をどうやってつくっていくのか、御決意を承れればと思います。

古屋国務大臣 委員御指摘のように、日本は災害が多い国ですよね。特にことしは、二十六号台風を初め、山津波という今までの常識を超えた災害がありましたけれども、しかし、余り想定外ということは言うべきじゃないですね。やはり、災害が多い国だからこそ、いかにしてそれに打ちかっていくかということを徹底するべきですね。

 我々は国土強靱化の、私も初代の担当大臣として、基本方針をしっかり定めています。それは、人の命を守る、致命傷を避ける、被害はできるだけ食いとめる、四つ目は速やかに復旧させる。この基本方針をベースに、ソフト、ハード両面にわたってあらかじめ徹底的な対策を講じる、このことによって平時から競争力をつけることができる。それは、国も地域も企業体も同じですね。そのことによって、結果的に成長戦略、投資も呼び込める、ひいてはアベノミクスにもつながる、そういう考えであります。

 ですから、今までのような、防災、減災のための投資をすることによってマイナスを減らすというだけではなくて、むしろプラスというところも含めた総合的な対策をしていく。それは、あらゆるジャンルが関係している。そのためには、まず、どんなリスクが日本にあるのか、リスクに対する評価をして、その脆弱性を評価して、それに対する対応を、縦割りを排して、プログラムで、絶対起こってはいけない現象というのを四十五決めて、そのうちの十五を最優先にして、要するに、優先順位を決めて対応していく、こういう取り組みをしておりますし、また、概算要求でもそういうことを反映してやっております。

 今後は、この防災・減災等に資する国土強靱化基本法、立法府の方で議員立法としてお願いをいたしておりますので、ぜひ私の方からも、できるだけ早く成立を、日本の、この国の強靱化のためにお願いしたいということを、改めてお願いしたいと思います。

 そうなりますと、今後は、もし成立をさせていただいたならば、年末に強靱化大綱をつくって、来年には基本計画、そしてまた地域の国土強靱化基本計画もつくっていただくことになろうかというふうに思います。

 特に、強靱化の大綱では、やはり全て税金だけでやるということではなくて、いかにして民間資金を上手に活用していくか。特に、二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックがありますので、こういったこともしっかり視野に入れながらその大綱をつくっていく。そして、どんな災害があっても打ちかてる、しなやかで強い国、地域、企業体づくりをしていく、これが私の責任だというふうに思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 どちらかといえば、国土強靱化というのは、十年で二百兆で、ばらまきで、公共事業で無駄だ、無意味だ、そういう世論が起こっていたわけで、それを完全に乗り越えて、この委員会としても、南海トラフの法案、首都直下の法案、そして国土強靱化基本法案、それぞれ、今、古屋大臣がおっしゃっていただきましたように、その横串、縦割り行政を乗り越えてというのがキーワード、そういう政策大綱だというのもキーワード、そして、基本法に、古屋大臣も一メンバーであって、総理大臣が本部長の推進本部で国土強靱化をしていくんだということがキーワードだと思いますので、委員各位の御協力、そして坂本委員長のリーダーシップで、この三法案、何とかこの災害対策委員会で上げたいと思いますので、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 大島町の地域防災計画によれば、気象庁が土砂災害警戒情報を出した場合には自主避難を促す、あるいは避難勧告の判断に活用するということでありました。

 しかし、残念ながら、防災計画どおりに住民に自主避難を促す、あるいは避難勧告を出すということはなかったわけでございます。これはなぜなのか。そこには、町長の判断があったわけでございます。この判断はどういう判断だったか。避難させることが被害拡大につながるという判断があったわけでございます。

 これは、大島町にしてみれば、六十キロも南にある神津島村が、村として避難勧告を出す基準として定めた百四十ミリという雨量、この百四十ミリに満たない百十ミリの計測値であっても、避難勧告を出しているわけでございます。そういった意味では、本来的には避難勧告を出すべきだったのではないかというふうに思うわけでございます。

 そうはいっても、指示を出す責任者である町長あるいは副町長も島にはいなかった。このこと自体は、もう既にマスコミからもさんざん指摘されていることでございますので、これ以上追及はいたしません。しかしながら、町長を惑わせた、避難指示、勧告を出すに当たっての基準については、同様の事態が繰り返されないように、見直す必要があるのではないかということを御指摘させていただきたいというふうに思います。

 首長は、防災計画の策定に責任を持ち、そしてまた避難勧告を発令する基準には判断の介入をさせない、また、雨量の数値など、そのための基準を具体的に明確化して義務とすることが必要であるというふうに思うわけですけれども、いかがでございましょうか。

古屋国務大臣 私も現地を視察させていただきまして、本当にすごい災害を被災されましたね。本当にお見舞い申し上げます。

 それで、今御指摘の、なぜ避難勧告、指示が出なかったのか。私も同じ思いでいっぱいです。

 ファクトベースで申し上げますと、十八時〇五分に土砂災害警報が出ていますね。結局、その時点も、今御指摘があったように、町長も副町長も不在でございまして、現実に町長と連絡がとれたのは次の日の未明の二時ですよね。だから、八時間、そういう状況ではなかったということは、これは事実ですね。別に私は、犯人捜しをすることを目的で言っているのでは一切ありません。

 したがって、こういうことが今後起こらないようにする、これが何よりも大切なんですよ。だから、そのために、今ガイドラインというのがありますけれども、この見直しを行ったり、全国には千七百十九市町村があります、非常にしっかりしている市町村と、人が少なかったり、あるいは役場の職員が少なかったり、あるいは余り災害が今まで起きたことがない市町村であったりして、そういう認識が、住民の皆さんにも、あるいは役場の防災の担当者の皆さんにも、強いて言えば首長にもないところもあるかもしれない。やはり、それはあってはいけないんですよ。

 ですから、我々はしっかりその辺をチェックして、そういった戦略的なアドバイス、指示をしていきたい。私は、二十四日ですか、あえて記者会見をして、ちょうど予算委員会の合間だったんですが記者会見をして、土砂災害警報が出れば、避難勧告、指示が出ていなくても、身を守るために、みずからの判断で積極的に避難してくださいという思いで、空振りになっても、無駄骨だったと思わずに、むしろ幸いだったと思って避難をしてくれと。

 これは、五十八人も被害者が出ていますからね、一連の梅雨からの豪雨災害で、あるいは台風で。もう一人の被害者も出したくないという思いから、ある意味ではちょっと異例だったんですが、そういう発表をさせていただきました。

 今後は、やはりこういった残念な台風の被害というものを教訓に、マニュアルの作成、そして地方公共団体のそういう指示のあり方をしっかり再検証していく必要があろうかというふうに考えています。

濱村委員 ありがとうございました。

 明確な基準とかを設けていくことに従って、基準より下回ってしまったがゆえに、さらに事故が起きてしまうということはこれまでもございました。こうしたことのないように、基準に満たないまでも、首長がしっかりと判断していける、そういった体制づくりが必要になるというふうに思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 今回、特別警報が出なかったわけでございますけれども、この特別警報の運用について質問させていただきたいと思います。

 今回の大島の災害では、現行ルールにおいては発令の対象にはなりませんでした。離島のような地域であっても発令できるように見直す必要があるかと思うわけですけれども、いかがでございましょうか。

西出政府参考人 特別警報は、ある程度の面的な広がりを持つ、広域で、五十年に一度を超えるような大雨が予想される場合に発表しております。これは、特別警報の精度を担保することにより、高い信頼性を確保するためです。

 一方、このような現在の技術を用いても、今回のような局所的な大雨を予測することは、特に海に囲まれた島嶼部であることもあり、難しいのが現状です。このため、今回の大島のような島嶼部での大雨には、特別警報を発表することは困難であります。

 ただ、今回の大島の事例を教訓とすれば、最も肝要なことは、国と自治体の連携により、住民の避難等が確実に行われることであると考えます。このため、島嶼部において特別警報に準じるような大雨が局所的に観測された場合には、地元気象台長から自治体の長に対して、直接電話で、ホットラインにより危機感を伝えることとしました。

濱村委員 ありがとうございます。

 特別警報を出すことが目的ではないというふうに思います。何よりも住民の皆様の命を守るということが大事でありますので、特別警報に準ずる形、あるいはそういった仕組みづくりというものを、今後も一緒になって進めてまいりたいというふうに思います。

 続いて、現地に行かせていただいて、私が感じてまいったことに少し触れさせていただきたいと思います。

 先ほど坂本委員長からもありましたとおり、三原山の溶岩流の対策のために導流堤がつくられておりました。こういった導流堤、あるいはそれとは別の堆積工、いわゆる堰ですね、大金沢や八重沢、長沢などの堰がありましたけれども、こうした堰が今回も非常に役立ったというところがございました。

 一方で、想定外の雨量のため、この被害に遭った神達地区などがございました。全能ではないとはいえ、ハードによる対策というのは減災には非常に重要であることを私は痛感いたしました。

 ハードと一概に言っても、これは既に大島においては設置し始められているものでありますけれども、監視カメラとか、あるいはワイヤーセンサーの活用なども進められておると聞いております。

 建築物だけではない、そういった機械や機器を含めた今後の活用についてお聞かせください。

大野政府参考人 まず、監視カメラでございますが、十月十八日以降、最も大規模な崩壊が発生しております、大金沢を初めとする二次災害の危険性の高い四カ所に監視カメラを五台設置しまして、大島町、東京都に映像を配信するなど、監視体制を強化しております。

 また、大金沢や泉津沢など五渓流、合わせて八カ所にワイヤーセンサーを設置しまして、泥流が発生した場合にサイレンを鳴らして避難を促すとか、それから、大島町関係機関の責任者にそういった泥流の発生情報をメールで速やかに送信することといたします。

 このような監視機器を活用しまして、二次災害防止並びに捜索活動の安全確保など、万全を期しているところでございます。

濱村委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げたとおりですけれども、ハードによる対策というのは全能ではありませんし、完全に災害から守れるというわけではありません。そういった意味では、ソフトも大事なわけでございますけれども、今回、大島では、堰があるから大丈夫といった認識が町長や一部の町民の皆様の中にあったというふうにも聞いております。こういった認識は改めなければいけないというふうに思っております。

 どうやって改めていくのか。何よりも大事なのは、事前の準備であるというふうに思います。事前の準備としてできることで、災害を想定して、チェックリストを作成してみてはどうかというふうに思います。一刻を争うときに分厚い防災計画を見直すということはできません。まずは、国が標準的なチェックリストを作成していただいて、それを都道府県あるいは市町村において、各地域において、特性に合わせてカスタマイズしていく、こういった取り組みが必要だと思います。

 災害時にこれがあれば大丈夫と言える一枚物のチェックリストを作成するようにお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

日原政府参考人 委員御指摘のとおり、災害時にはさまざまな作業をより効率的かつ迅速に実施する必要がございますので、おっしゃるとおり、詳しいマニュアルを読み返す時間はないというふうに考えております。より簡単なチェックリストを作成しておくのは、非常に重要なことであるというふうに認識しております。

 現在の避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインにおきましても、例えば、避難勧告等の伝達手段や伝達先に漏れがないかというような形でのチェックリストというものはつくっておるところでございますけれども、今回見直すに当たりましては、それにとどまらず、防災体制の設置でありますとか、あるいは避難判断のための情報収集など、チェックリストを充実させていきたいというふうに考えております。

濱村委員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。

 私は、前職、野村総合研究所時代にシステム開発に携わっておりました。そのときに、お客様の業務システムのトラブルが起きた場合にどういう対応をすればいいかというのは、もう全てチェックリストにして載せておりました。どういう対応をすべきか、こういうことを事前に考えておくというのが、本当に被害を最小限に食いとめる、このために一番重要なことではないかというふうに思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 今回、災害が起きたのは離島でございました。ただ、現地には、東京都の出先である支庁があるわけでございます。この支庁について、さらなる活用をお願いしたいと思います。大島町だけでは賄い切れないマンパワーを、都から人を動員して、現地での被害者にしっかりと寄り添いながら、情報を集約して町にフィードバックするという連携体制づくりについて改善を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

室田政府参考人 東京都におきましては、副知事を本部長といたします現地対策本部を設置いたしまして、例えば、避難所の運営の支援、給水の支援、あるいは島外避難の支援などを行ってきておりまして、現在におきましても、四十五名の職員を大島町に派遣いたしまして、支援を実施しているところでございます。

 このような東京都と大島町の災害対策本部が密接に連携するということは非常に大事だというふうに考えておりまして、消防庁におきましては、これまでも現地に職員を派遣しておりますが、その職員が、重機の提供などに関しまして、東京都から大島町への支援について助言等を行ってきたところでございます。

 今後、大島町におきましては、例えば、建物被害の認定調査、仮設住宅の整備、瓦れきの処理、あるいは災害復旧等の事務が増大してまいりまして、さらなる人手が必要になるというふうに見込まれております。そういったことから、東京都から大島町に対しましてしっかりとした支援が行われますよう、引き続き必要な助言あるいは働きかけを行ってまいりたいと考えております。

濱村委員 副知事が都のトップとして十六日に即座に入られたということは伺っておりますけれども、トップであるのであれば、しっかり現地にそのまま滞在して陣頭指揮をとるというようなことがあってもよかったのではないかなというふうに思います。聞くところによると、日帰りでお越しになったというふうに聞いておりますので、本当に島民の側に立って、しっかりと、現地に骨を埋めるというか、それぐらいの覚悟で来ていただくというのが災害時には必要なのではないかというふうに思うので、そこの点だけは御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 続いて、時間がなくなってまいりましたので、復旧復興について質問をさせていただきたいと思います。

 復興住宅について御質問させていただきます。

 復興住宅、これはいつごろ、どの程度確保する見込みなのか、現状でわかる範囲で結構ですので、教えていただけますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 被災後約半月ということで、通常でございますと、まずは仮設住宅をどうするかという、要望を取りまとめて建設に入る段階だと思います。この災害の場合には、都の教職員住宅を仮設にかわって充てるというふうに報告を受けております。

 この上は、公営住宅をどうするかということでございますけれども、現在、まだ被災者の方の御希望等を取りまとめられている状況ではないというふうに伺っております。できるだけ早く東京都、大島町で状況把握をしていただいて、私どもも連絡を密にして、必要なアドバイスができるのであればそれもしながら、要望が確定しましたら、迅速かつしっかりとした対応をしてまいりたいというふうに思っております。

濱村委員 ありがとうございます。

 今、教職員の住宅においてあきがあるということですので、それを活用されるということは私もお伺いしました。まだ取りまとめ中というか、取りまとめに仕掛かれていないというのが現状だと思うんです。新たにつくるということも大事なんですけれども、現存の資産というものをしっかり使っていくということが非常に大事ではないかなというふうに思います。そういった意味では、大島にも非常にたくさんの空き家があるというふうに伺っております。我々公明党の町議がおるんですけれども、この空き家を活用していくことはできないのかということを申しておりました。

 少し質問通告とは違うんですけれども、被害に遭われた方に現存する空き家に住んでいただくことは可能かどうかという点について教えていただきたいということと、今後またふえてくる復興ボランティアの方々にこの空き家に住んでいただくということは可能か、あるいは、そのためにはどのような法整備が必要かという点も含めてお聞かせ願えればと思います。

日原政府参考人 大島町における空き家の活用というお話でございますけれども、仮設住宅につきましては、必ずしも建設仮設である必要はございませんで、民間の空き家を借り上げた形の仮設住宅という形で使うことも可能であると思います。

 また、ボランティアということにつきましては、それはまさに町なり所有者の方の関係かなというふうに思いますので、またよく情報収集してまいりたいと思います。

濱村委員 ありがとうございます。

 ボランティアの方が来たいと言っても、今は宿がないということでお断りしているという状況があるというふうに伺っております。ぜひ対策をいただきたいなというふうに思っております。

 復旧復興に関して、最後に一つ、ちょっとこれは質問というよりもお願いみたいなものになります。

 大島にとって観光というのは、非常に重要な産業の一つだというふうに聞いております。その中にあって、今、大島に対して、羽田と大島空港の間で全日空が便を設けているんですけれども、これがなくなるということを伺っております。ぜひこれの存続をお願いしたいということをお願い申し上げて、私の質問を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 今回の大島における大きな災害によって亡くなられた皆様に本当にお悔やみを申し上げ、私の知っている方もいたわけでありまして、お悔やみを申し上げ、また、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。

 私も、災害が発生して日を置かずにまた入って、現地を見てまいりました。本当に、ある意味において、この災害は悲惨でありまして、大島の町の歴史が始まって以来ということを地域の人に聞いてまいりました。

 現地も、私が行った段階では、多くの機動隊や現場の消防団の方々が働いておられました。既にあの段階で、現場の消防団の方々においては疲労が出ておりました。あとは、実は上空をヘリコプターがずっと舞っている、これが、私もメールを大島町の方から随分いただきましたが、非常にストレスになるというのが率直な地域の方の思いであります。

 この部分は、例えば行政のヘリコプターもあれば、また報道のヘリコプターもあろうかと思います。それが報道されることによって全国に情報が発信されて、多くの、まさに今御質問にあったような、ボランティアが集まるとか、また義援金が集まるとか、そういったさまざまな効果がありますが、どちらにしても、例えば、直後であれば、生きている方の声が聞こえないという可能性もこれあり、また、その現場にいる人たちのストレスになる、消防団の方もそういったことを私に語っていたわけでありまして、この辺、何か知恵がないかということもまず申し上げておきたいと思います。

 これは通告しておりませんから、もし何かお考えがあれば後で聞かせていただきたいと思っております。

 この被災が町長不在の段階で起きた、町長不在でこうした被災が起きたということに関してどんなふうな所感をお持ちか、まずお伺いいたします。

古屋国務大臣 まず冒頭の、事前通告はなかったのですけれども、ヘリコプターが飛んでいてどうなんだと。

 確かにストレスの問題と、それからもう一点、私はこれは今回の関係省庁会議でも指摘申し上げたんですが、サイレントタイムですね。初期は、これはやはり徹底する必要があるので、今後、そういった運営について関係者の御協力をいただいて、サイレントタイムをしっかり確保する。これは、阪神・淡路大震災のときの教訓もありますね。もちろん東日本もありますので、そういう対応はしていくべきだという認識を持っております。

 それからもう一点、町長不在だったことについてどういう所感を持っているかということなんですけれども、これはちょっと、所感というよりはファクトベースでまず申し上げたいんです。先ほども、公明党の委員のときに申し上げましたけれども、ちょっと違う視点で。

 六時四十五分と九時五十分に、気象庁から大島町に対して、今度の台風二十六号についての情報がもたらされているんです。それは、十六日の未明から十七日にかけて甚大な被害を及ぼす可能性がある、こういうことで、ただ、大島町長は十時十分の大島空港発の飛行機で立っておりますので、出張を取りやめるという選択肢もあったのかなという気はいたします。

 それから、あと、先ほども申し上げましたが、十八時五分に土砂災害特別警報が出ています。ただ、これはやはりファクスで通知していますので、今後、先ほどどなたかの委員でありましたように、インタラクティブでやる必要があるんじゃないか。それは、やはり反省点というか今後の教訓ですね。そういったこと。

 それから、やはり土砂災害警報が出たときには避難をするという、地域の防災計画にもありましたけれども、結果的に対応ができていなかったということです。

 もちろん、私は犯人捜しをするということが目的ではありません。今回の不幸な災害の結果をどうやって今後に生かしていくか、これが重要だと思っております。全国に千七百十九市町村がありますので、そういった方々の対応についてもよく検証しながら、我々が内閣府として、専門知識をしっかりと戦略的なアドバイスをして、二度とこういうことが起こらないような対策を徹底していく、これが何よりも大切だと思っています。

松原委員 この質問に関して幾つか御質問しようと思った項目も、今大臣が御答弁をいただいたので、少しそのことで。

 一つは、この土砂災害の警報がファクスで届けられた。ここは、まさにインタラクティブにするべきだと思いますが、その中で、逆に言えば、十八時五分に届いたけれども、それを町の役人もしくは連絡員、役場の人が見たのはいつごろだったかということだけ、ちょっと事務的に教えていただけますか。

日原政府参考人 防災担当の職員がファクスの存在に気づいたのは、十六日の午前零時ごろ、総務課長が登庁した際に気づいたということでございます。

松原委員 そこに時間差がかなりあるというのは、大変に残念だったと思います。

 気象庁にお伺いします。

 八百ミリメートルが元町の上の方で降ったわけでありますが、この八百ミリメートルというのは事前に予測できたのか。一時四十五分の段階で四百ミリメートルの情報提供をしているわけでありますが、そのときにはこのことは予測できたのか、気象庁にお伺いします。

西出政府参考人 気象庁は、十五日夕方の時点で、伊豆諸島で三百ミリ程度の降水を予測しておりましたけれども、大島町で局地的に八百ミリの雨が降ることは予測できませんでした。

 その後、一時四十五分に四百ミリを超えたというその時点でございますけれども、この時点でもその後の、十六日午前二時以降のあの百ミリを超えるような猛烈な雨についても、直前でも予測はできませんでした。

松原委員 私は、非常にここがこの問題の重要さだと思うんです。

 今、大臣は、インタラクティブなと。これは当然必要だと思うんです。それがあれば全然また状況が違った、大島のこの計画にもそれは書かれているわけですから。そういったことができなかったことも問題だけれども、それ以上に、町が危機感をもちろん持たなければいけないけれども、知見を町がどこまで持ち得るか、判断できるかということが実は大きな要素としてあります。

 つまり、雨量の今の予測、気象庁も、その部分に関してはある種の限界があるといいますか、そこまで予測できなかった。また、いわゆる地層の部分、地質の部分でもさまざまな議論がある。そういったときに、これらを総合的に判断して、国がもっと前面に立って、避難指示、勧告を首長に促すことが今回はできなかったのかということを、政府参考人で結構ですから、お答えください。

日原政府参考人 今回の事案を踏まえますと、危険であるという認識が十分に浸透しなかった、あるいは避難勧告についての判断が重要な機会になされなかったということを踏まえますと、勧告についてのガイドライン、我々はつくっておりますけれども、そういった点についてきっちり見直して、ちゅうちょなく避難勧告を出せるものに変えていかなきゃならないと思っています。今、ガイドラインの見直しを進めているところでございます。

松原委員 今回、実際にそこが、ホットラインもあるというふうなことも先般お伺いしたわけでありますが、機能していればというのは、本当に残念な思いとしてあるわけであります。

 当然、今、勧告もあるとか、また助言を求められれば助言するというふうな話は私も承っております。しかし、助言を求める環境かどうかも含めて、もちろんそれぞれの町は独立しているわけでありますから、当然そこは深い洞察力があるとは思いますが、しかし、他方において、やはりいろいろな知見や情報を集約し、総合的に危ないという判断をして行動するということになると、なかなかそこは、地方自治体の小さな首長では、荷が重過ぎるという表現は適切かどうかわかりませんが、判断に困る部分がある、やはり背中を押すところがなければいけないというふうに思っております。

 今後、確かに、求められれば助言はするとかということでありますが、もっと国が前に出て、求められなくてもきちっと言う、もっともっと国が前面に立って、こういった小さな地方自治体の首長に対し、また防災課に対してさまざまなアドバイスをするということは、今後は必要だと思うんですが、この枠組みについて、大臣、御所見を承りたいと思います。

古屋国務大臣 委員御指摘の考えは、私も実は共有しています。全国に千七百十九市町村あるわけですよ。先ほどもちょっと答弁をさせていただいたんですが、本当にしっかりやっているところ、それから災害の多いところなんかは、かなり専門家も養成してやっていますよね。ただ、小さな市町村、町役場と言った方がいいかな、こういったところとか、災害が余りないところというのは、やはりどうしてもそういう認識が少ない。

 むしろ、そうなってくると、例えば避難勧告とか避難指示は首長が出すということになりますから、首長が出して何もなかったときに、逆に、首長がすごく町民から批判を受けるということになる。これはやはり、四年に一遍選挙をする人間ですからね。そうなると、どうしてもちゅうちょするという面があると思うんですよ。

 だから、これは首長や関係者だけの認識じゃなくて、やはり住民の皆さんも、しっかり、そういう避難勧告があったら、素直に、自分の命を守るために避難をする。そして、それが空振りに終わったら幸いだったと思う。特に、アメリカは五日前からそういう勧告を出しますよね。それで、結構、アメリカの場合は、それが空振りに終わると、みんな、ああ、よかったね、そういう認識を住民が持っているんですよ。だから、こういう認識を持ってもらうと、やはり首長さんもやりやすくなる。

 それから、一方では、今、松原委員が御指摘のように、地方公共団体の防災担当の皆さんが、しっかりそういうノウハウ、それから対応のあり方というものを身につけて、そのためにガイドラインの見直しもして、私も、それぞれの市町村に対してどうあるべきかということを検証するということを今進めていますよ。これは地方分権の大原則ですから、国が命令をするということはいかがなものかという意見もあることは事実ですので、適切に地方公共団体がしっかりそういう指示を出してくれるということが理想なわけでありまして、私たちもそういう対応をしていきたいというふうに思っております。

松原委員 時間も大分乏しくなってきましたので、急いで質問をしていきたいと思います。

 今回、砂防ダムは大いに役立ったという議論もあります。現地へ行って、砂防ダムのところでとまっている事例、長沢ですか、私も見てまいりました。

 この砂防ダムについては、必要だということで、もう本当に時間がないので、端的に、参考人から一言。

大野政府参考人 現地調査の結果、大金沢、長沢では、砂防堰堤が大量の土砂や流木を捕捉しております。下流の被害軽減に一定の効果を発揮したものと認識いたしております。

 特に、大金沢でございますけれども、砂防堰堤より上流地点で大量の泥流が尾根を乗り越えまして、大金沢の流域から外れた下流域で泥流被害が生じました。しかし、大金沢の沢沿いに流下した土砂及び流木は砂防堰堤が捕捉し、効果を発揮しております。

松原委員 こういった砂防ダムというのは、ぜひ、命を守るために、さらに沢のあるところで検討していただきたいと思います。

 現地では、この被災を受けて、居住できない土地が発生した場合、防災集団移転促進事業の活用や祈念公園の整備を行うべきだ、行ってほしい、こういった要望が強く出されています。私、現地を歩いてそういう声を、後で電話でも聞きました。

 こういった、いわゆる防災集団移転促進事業の活用や公園の整備というのはどういう段取りで可能なのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

望月政府参考人 今回の台風災害のような場合、一般的には、土砂災害を初め、災害による危険性を低減させる措置を講ずることが重要でございますが、居住ができない土地が発生した場合には、防災集団移転促進事業の活用や祈念公園の整備を行うことは可能でございます。

 防災集団移転促進事業につきましては、住民の居住に適切でないと認められた区域で活用いたしますが、市町村が移転元の土地を買い上げたり、あるいは移転先の団地の造成等を行う場合に国が支援するものであります。

 また、祈念公園につきましては、都市公園整備として整備する場合に社会資本整備総合交付金などにより支援をすることが可能でございます。

松原委員 居住できるか否かの判断はどこが行うんですか。そのことがこの議論のスタートになると思うんですが。

望月政府参考人 これにつきましては、市町村が建築基準法の三十九条に基づいて災害危険区域を指定します。条例に基づいてやります。そこの中で、居住が適さないというふうに指定をすれば、この事業は活用することができます。

松原委員 今回の場合は、大島町の町長というか町が、これは居住できないと、できない理由というのはいろいろとあると思うんですけれども、何をもってするか、これがきちっとそういうふうになったときは、それに対して防災集団移転促進事業の道は開かれる、こういう認識でよろしいということで私は今了解しました。そういうことですよね。首を振っておりますから、そういうことだと思います。

 最後に、古屋大臣に、今言ったことも含め、大島の復興というか、今後の大島の対策について全力で取り組んでいただきたいということと、先ほど公明党の方からもありましたが、こういうタイミングで、いわゆる飛行機というものに関して、これを廃止するような議論が出てくると、本当に町は勇気と未来への夢をなくしてしまうので、その点、御答弁いただきたい。

古屋国務大臣 先生は選挙区ですから、本当に心配であることはよくわかります。

 飛行機のことは、ちょっと私は所管じゃないので、しっかり国交省の航空局に伝えさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、大島町はまだ行方不明者がいらっしゃいますので、この捜索の徹底、全員の行方不明者をまず見つけ出す。これは、自衛隊、警察、消防、国土交通省の関係者がもう全力でやっています。その上で、激甚災害に一応達するということになりまして、農業と中小企業、局激ですね。公共がどうなのか、これもできるだけ早く算定をしたい。

 それから、やはり被災者の支援のあり方ですね。応急仮設にするのか、あるいは借り上げにするのか、あるいはそのほかの方法があるのか。被災者の立場に立った対応というものをしっかり、大島町や都とも相談しながら対応を考えていくということがまずやるべきことだというふうに考えております。

松原委員 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 大臣初め政府の皆様方、お疲れさまです。

 亡くなった方々に心からお悔やみを申し上げ、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げたいと存じます。と同時に、救出活動、復旧活動、さらには捜索活動、現場で懸命に御尽力いただいている皆様方に、心から敬意とまたエールを送りたいと存じます。

 立法府、国会のこの当災害対策特別委員会も、ぜひ政党会派の垣根を越えて機動的かつ効率的な運営が行えるよう、先般も、多くの先生方の御配慮により、現地に御迷惑をかけないということで、衆参委員会一緒に視察に行くなど、いろいろな改善もされてきているところです。

 しっかりと、悲しい経験を教訓とできる、また、必要な法制度がなるべく迅速に立法していける、そういう委員会になるよう私も努めてまいりたいというふうに思いますし、発災後の対応も大事なんですけれども、そういう災害が起こらない、人命が失われないための制度というものをつくっていくという観点も大事だと思いますので、ともに努力してまいりたいというふうに思います。

 せっかくの機会ですので、幾つか質問をさせていただきます。

 今、資料をお配りいたしましたが、私の選挙区のある滋賀県も、先々月、九月十五日、十六日、台風十八号災害で多くの被災を受けました。特に、滋賀県というのは災害の少ない県だということで、私たち県民にも慢心や油断があった面もあったのかもしれません。県内では山腹崩壊が約三百カ所起こり、お手元の資料の一ページにありますような、滋賀県栗東市、これは名神高速道路も通っているところなんですけれども、この写真にありますような崩落が起きました。

 私は、この山林の土砂災害の復旧も、制度を活用しながら早期に復旧をしてまいりたいというふうに思っております。西村副大臣には被災早々に現地視察もいただきましたけれども、林野庁に、現時点での復旧事業の状況を、御決意も含めて伺いたいと思います。

宮原政府参考人 台風十八号の豪雨によりまして、全国で山腹崩壊等の山地災害が発生しておりますが、滋賀県におきましては、先生御案内のとおり、人命被害も出ましたし、被害箇所は三百七カ所、被害額は八十二億円と、大きな被害となっております。

 滋賀県におきましては、現在、これらの山腹崩壊地等の復旧計画を作成しておるところでございまして、林野庁といたしましても、災害復旧事業による緊急対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。

 なお、林野庁といたしましては、これまでも、災害発生直後から滋賀県に対して復旧工法等について助言を行ってまいっておりまして、今後とも、滋賀県と密接に連携して、山腹崩壊等の早期復旧に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

三日月委員 ありがとうございます。

 これまでの御助言を含めて御支援に感謝申し上げながら、これからいよいよ復旧の過程に入ってまいりますので、また格段の御配慮と御尽力をお願いいたします。

 二ページ目にありますように、滋賀県の信楽高原鉄道という鉄道区間も被災をいたしました。古くは紫香楽宮が所在した地域でもありますし、平成三年には悲しい列車衝突事故もあった場所でございます。

 この信楽高原鉄道は、ことしの四月から、実は、再生のために上下分離方式で営業をいたしておりました。今の時期は紅葉もあり、また陶芸の関係もあり、多くの観光客の方々が御利用いただけることになっておったんですけれども、十八号の被災により、現在は不通になっております。

 この信楽高原鉄道は、上下分離方式で営業していたがゆえに、この二ページの下段にありますように、災害復旧事業を使って支援をしていただきながら復旧しようといたしますと、国が四分の一、自治体が四分の一、そして事業者が二分の一ということになりまして、その事業者が施設を保有する甲賀市ということになり、もし、二番目に申し上げました地方負担四分の一というのと事業者負担二分の一というものを全て甲賀市で負担することになった場合、その可能性が大だと思われるんですけれども、都合四分の三の負担になるということがあります。

 この二ページの下段にありますように、例えば総務省の施策で、地方債の充当率一〇〇%だ、さらには、後年度ではありますけれども、普通交付税の措置が九五%で、多くを国からの支援というもので賄える仕組みもあるんですが、しかし、この復旧事業費が過大であれば、多くの費用を地元で負担しなければならず、そのことが鉄道復旧を断念させる、もしくは遅延させることにつながる懸念がありますが、この点につきまして、国土交通省といたしまして、どのようなお考えをお持ちで、支援措置を考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

土井大臣政務官 信楽高原鉄道は、本年九月、御指摘がございましたように、台風十八号によりまして、橋梁の橋脚五本のうち一本及び橋桁が二つ、流失や土砂流入などによりまして被害を受けたというふうに認識をいたしておりますし、被災の直後には、信楽高原鉄道と合同でJR西日本が現地調査を実施しまして、今後の復旧に向けたアドバイスを行っております。現在は、復旧方法や復旧事業費等について、地元の甲賀市において調査が行われていると承知をいたしております。

 今回の災害復旧の進め方につきましては、甲賀市の調査を踏まえ検討することといたしておりますし、上下分離した鉄道事業者に対する鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助の適用は今回が初めてとなることから、適用に向けての検討を行っているところでもございます。

 災害復旧事業費補助を適用した場合には、復旧事業費の二分の一を鉄道事業者が負担し、残る二分の一を国と地方自治体が四分の一ずつ負担することになりますが、信楽高原鉄道の場合、復旧事業費を負担する第三種鉄道事業者が甲賀市であるため、地方自治体が四分の三を負担することとなります。

 この場合、地方自治体への支援につきましては、地方財政の観点から検討すべき事項と認識しておりまして、ただいま総務省と調整をしながら検討を行っているところでございます。また、災害復旧以外の老朽化した鉄道施設について整備、更新が必要となる可能性がありまして、その場合には、他の支援スキームの適用の可能性についても検討をいたしたいと考えております。

 信楽高原鉄道は、沿線地域の学生が通学手段として利用したり、車を運転できない方々が買い物や通院の手段として使う地域の生活の足として不可欠な役割を担っていると認識をいたしておりますので、このような役割を担う信楽高原鉄道の復旧に向けて着実に対応できるように、国土交通省としても、関係者の皆さんと力を合わせながら知恵を出してまいりたいと考えております。

 よろしくお願いいたします。

三日月委員 土井政務官、丁寧な御答弁ありがとうございます。

 おっしゃったとおり、これは初めてのケースになります。この上下分離方式を活用して、地方の鉄道会社が、また自治体もそうなんですけれども、事業再生を図ることを検討されておりますので、今回の災害復旧の状況を注視しておられますので、その点も踏まえてしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 被災者生活再建支援制度について、西村副大臣にお伺いをいたします。

 これは多くを申し上げませんが、適用要件というのがあって、同じ災害でも、適用になる自治体とならない自治体があります。先ほど申し上げました滋賀県栗東市も、全壊家屋の件数の算定によって適用対象にならないということがございました。

 この再建支援制度を見直すべきだ、同じ災害であれば適用されるような要件に見直していくべきだと私は考えますが、政府のお考えをお伺いいたします。

西村副大臣 私も栗東市に視察に行かせていただきまして、今回、四棟が全壊ということで、大津市の方でも三棟全壊でありますけれども、御指摘のとおり、支援法の対象にはならなかった。他方で、京都市とか福知山、あるいは埼玉県の熊谷でも対象になっているということで、同じ台風十八号、特に近隣の京都や福井でなっているということもあって、御指摘の問題意識は我々も共有しているところでございます。

 もう釈迦に説法でありますけれども、小さな規模の災害は自治体で独自に対応していただくというのが基本でありまして、一市町村あるいは都道府県の対応のみでは困難なものについて、大きな被害を及ぼすような一定規模以上の自然災害の場合にこの被災者生活再建支援法というものがあって、お互いの、都道府県の相互扶助によってカバーし合おうということで、都道府県の積み立てたお金で半分、国が二分の一を補助するという仕組み、これは御案内のとおりであります。

 先般来、できるだけ早くこの適用をすべきということで、スピーディーな対応もしているところでございますけれども、もし対応にならないという場合に、都道府県が独自に自主的に対応されるというケースも多く、今回、滋賀もそのように対応されたと聞いていますけれども、その場合に、支援法と同水準の支援金を支給するような場合には、支給額の二分の一相当を特別交付税で措置するということにしているところでございまして、実質的に国の支援は同じようなことができるわけであります。

 そのような仕組みも使いながら、今カバーしているわけでありますけれども、さらに、災害救助法というものが我々内閣府に移管されたこともありまして、古屋大臣の御指示のもと、被災者生活再建支援法のあり方も含めた被災者支援策全般について幅広く審議をしていただこうということで有識者検討会を設けたところでありまして、既に第一回目、十月二十三日に開いております。

 こうした中でもぜひ幅広く御議論いただきたいと思っておりますけれども、基本は、先ほど申し上げたとおり、都道府県の意思もあり、意向もあって、そのような仕組みがこれまででき上がっているというところでありますので、今後どのような形でするのが適切か、ぜひ検討を深めていきたいというふうに思っております。

三日月委員 ぜひ検討しようじゃないですか、これは。累次にわたる改善をしてきておりますので、私が申し上げた方向もぜひ検討対象に加えていただいて、よりよい制度をつくってまいりたいというふうに思います。

 それで、もう一点、先ほど来、各委員からありました警報の問題、さらには観測体制のあり方、私は問題意識を持っています。

 資料の三ページに、これは、済みません、私がちょっといろいろ落書きしているんですけれども、今回の大島町での警報発表の状況であり、特別警報、今回の二十六号では出されませんでしたけれども、先々月の台風十八号では福井県と京都府と滋賀県で発出されました。一定の面的な要件が要るということなんですけれども。

 五ページをごらんいただければおわかりのように、気象庁にまとめていただきますと、近年、トレンドとして、日本の年平均気温というのが上昇の傾向にあり、短時間で強雨、たくさんの雨が降る回数が、これはアメダスで観測されたデータによれば、ふえていく傾向にあります。

 我が国、島国で、島に住んでいる方々も守っていく観点からすると、島の観測体制というのがいささか弱いのではないかというふうに考えております。

 最後の六ページにありますように、地上の観測網というのは全国で整備されているんですけれども、これはアメダスもそうです、また、気象庁の施設だけではなくて、例えば川にある雨量計だとか、さまざまな省庁が持っている、自治体が持っているそういうものも活用しながら、それらと空中でとれるデータを解析しながら雨量の測定をしている。この六ページの下段にあるようなレーダーも活用しているということだとお伺いいたしました。

 私は、海洋上の、島の地上だとどうしても観測地点が絞られますし、今、雨量をはかるメッシュも小さくすべく、いろいろな技術開発をしていただいていると承知をしておりますが、例えば海洋航行船舶の協力も得ながら、海面上の雨量をはかるというのは極めて難しいとは思うんですけれども、こういったこともぜひ視野に入れて観測体制を強化していくことでより早く警報が発出できる体制を構築していくべきだと考えますが、気象庁、どのようにお考えでしょうか。

西出政府参考人 先生御案内のように、気象庁では、集中豪雨等の大雨の監視を行うため、雨量計を全国約千三百カ所に展開しているほか、国や自治体等の関係機関による約九千三百カ所の雨量計と合わせて全国約一万六百カ所において雨量計のデータを収集しております。

 これら雨量計のデータと全国に二十基ある気象レーダーのデータをあわせて解析することで、全国の雨量の分布を一キロメートル四方のきめ細かさで監視しております。気象庁では、現在、気象レーダーの観測密度を一キロメートルから二百五十メートルに、よりきめ細かくする取り組みを進めております。

 また、次期気象衛星「ひまわり」八号と九号でございますけれども、それぞれ平成二十六年度と二十八年度に打ち上げることを計画しております。次期気象衛星では、現在の三十分ごとの観測を十分ごとに行うことで、海上を含めて、大雨をもたらす積乱雲等の発達をより詳細に早期に捉えることができるようになります。

 さらに、今回の大島における事例を踏まえて、特に島嶼部を中心に、自治体等の雨量観測の状況を把握した上で、観測ネットワークの強化に向けて検討を進めているところでございます。

三日月委員 これまでも検討していただいているんですけれども、私が申し上げたのは海洋上なんですね。やはり島の地上にある雨量計とレーダーとの解析、分析だけだと、どうしても島の雨量を細かく把握することが難しいので、ぜひ、海洋上の雨量についても、いかに観測していくのかということについて検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、砂防部長に来ていただいていますので、土砂災害防止法による土砂災害警戒区域の指定についてお伺いいたします。

 資料の四ページにありますように、ちょっと字が細かくて恐縮ですが、土砂災害危険箇所数が、この下段左側にありますように、五十二万カ所以上あるにもかかわらず、土砂災害警戒区域の指定が、特別警戒区域は全国で三三・四%、土砂災害警戒区域、黄色で示した方は全国で六〇・一%と、残念ながら低いパーセンテージで推移をしております。

 これは御尽力していただいているんだと思うんですけれども、この警戒区域をどのようにしっかりと指定すべく取り組んでいらっしゃるのか、また、これを広げていくためにどのような支援をしていくべきとお考えなのか、砂防部長、お答えください。

大野政府参考人 土砂災害警戒区域でございますけれども、全国で、一昨年は約三万九千区域、昨年は約五万一千区域の指定がなされております。本年九月までに約三十一万六千区域ということで、それなりに着実な進歩が見られるというふうに考えております。

 国土交通省としましても、これまでも、区域指定がおくれております自治体に対しましては、全国の先進的な取り組みを紹介しながら指定促進を助言する、それからまた指定に必要な調査費を交付金として措置するなど、都道府県に対しまして支援を行ってきております。今後、指定を促進するため、さらなる方策につきまして、全国をブロックに分けて、都道府県と詳細な情報収集、意見交換を行いまして、一緒になって、技術的な助言を行いながら進めてまいりたいというふうに考えております。

三日月委員 今回の大島も土砂災害警戒区域の指定がなされていなかったらしいですね、危険箇所だとされながら。今、古屋大臣、いみじくもぼそっとおっしゃっていましたけれども、やはり住んでいる方々の意識ですとか、そういうものも改善していかないといけない部分もあるんだと思うんです。これをぜひ進めましょうよ、それぞれの行政が協力しながら。

 最後に、大臣にちょっと認識をお伺いしたいと思うんですけれども、私、インフラ施設は大事だと思います、防災インフラ。しかし、そのインフラが人を救い、ある面では人を犠牲にしてしまう側面もあるのかもしれない。

 インフラを整備するときに、何年に一度というものを想定してつくられますけれども、今回、いろいろな被災を拝見していますと、想定外を想定していなかったということが、むしろ逃げおくれを助長してしまったりというような面があったことと、私が今回一番気になりましたのは、台風二十六号被災の翌日に、大島町長が、砂防の対策も講じてきた、しかし、それに対する過信もあったのではないか、過信という言葉を累次にわたり記者会見でも述べられております。

 このあたりのこと、自然災害への備えというものが、ややもすればハードが偏重されてしまいがちなことについて、どのように大臣としてお考えなのか。

古屋国務大臣 災害に対する備えは、ハードとソフト、バランスよくやることなんですね。

 ですから、我々が今度、国土強靱化の中身も、ごらんになっていただくとわかるように、ソフト面というのはかなり入っているんですね。それから、災害対策基本法でも、大改正、御協力いただきましたけれども、この中でも、ソフト対策、特に訓練をするとか、教訓の伝承だとか、こういったものも入れたわけですよ。

 やはり、いかにしてソフトとハードのバランスをとっていくかということだというふうに、そこに尽きるというふうに思います。決して、ハードは必要ないということではありません。ハードはもちろん必要です。一方、ハードがあるからということで安心をしてしまう、先ほど御指摘があった件ですね。これもよくないですね。

 だから、両方をいかにバランスよくしていくかということが今後の防災にとっても極めて重要なテーマであるということは申し上げたいと思います。

三日月委員 国土の強靱化も大事かもしれませんけれども、私たちは、国民生活の強靱化こそ大事だと思います。また、ハード、ソフト両面の対策が要るということだと思うんです。

 最後に、この災害対策特別委員会に所属をし、災害危機管理の六法を持ちながら勉強していますと、実はこれは平成二十年版で絶版なんだそうです。平成二十年で、もっと新しいのはないか、改正もあったし、新法もあるだろうということで問い合わせますと、もう絶版で、自治体も買えない、立法府にいる我々も買えないという状態になっていて、これをコピーして、印刷して配ろうかというぐらいのものなんです。

 ぜひ委員長、この災害対策特別委員会として、ここで議論をして制定した法律、また政府において定められた政省令もきちんと一冊にまとめて、それをタイムリーに更新していく、そういう何か取り組みを、民間業者も促しながらではあるんですけれども、取り組んでいくべきだということを提案申し上げ、これにはぜひ政府の皆様方の御協力を賜ることもお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 理事会で協議して、政府に強く提言していきたいと思います。

 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅です。

 まず初めに、今回、台風二十六号において亡くなられた方々の御冥福と、行方不明者の方々の安否確認が一日も早くなされることを心より祈念申し上げるとともに、被災者の方々に心よりお見舞い申し上げます。

 また、発災直後より活動されている警察、消防、自衛隊、海上保安庁を初め、携わる全ての方々に敬意を表します。

    〔委員長退席、福井委員長代理着席〕

 そもそも、日本は古来より、自然の恵みを享受しながら、自然に感謝し、それと同時に、恐れ、敬ってまいりました。日本は古来より自然災害と向き合ってきたと言っても過言ではないと思っています。

 その中において、今回、甚大な被害を特に伊豆大島にもたらした台風二十六号ですが、私は、事自然災害に人間が立ち向かうとき、誰が悪いだとか犯人捜しだとか、そういった欠点、あら探しをするのでなくて、国、都道府県、市町村、そして住民の方々の連携、そして、知恵を出し合い、自然と向かい合い、共存し、犠牲者を一人でも少なくするための道を探さなければいけないと思っております。

 以上のことを前提に質疑をさせていただきたいと思っております。

 私は、今回、被災地である伊豆大島に二度視察に行かせていただきました。一度目は発災直後、十月十六日に発災いたしまして、余りに早いと現場に迷惑をかけるということもありまして、二十一日に党派遣として一度参りました。それから、三十日に委員会派遣として二度目の視察をさせていただきましたので、現状は多少は把握させていただいております。

 先ほど大臣もおっしゃられたとおり、まさに表現としては山津波ということだと思います。二キロ先の山が崩れて、海まで流れている。またそれが、河川以外の、元町神達地区のような住宅地に、堰、砂防ダムのない場所を土石流となって襲っている。私も現地の消防の方にお話をお伺いいたしましたが、土石流の勢いが余りに激しいため、家が半壊しているんですけれども、まだ残っている家には、食器棚やテーブル、その上の備品は残っている。いかにすさまじいスピードで駆けおりたかがわかると思います。すさまじいスピードで削り取られたということですね。そういった地域では、まだ行方不明者の方の捜索中ということを聞いております。

 このようなすさまじい自然災害に対して、我々は対応し、被害者を一人でも少なくしなければならない。その中で、やはり行政間の連携というのは必要不可欠だと思っております。

 そこで、まず、今回の時系列、先ほど三日月理事も提示していた表なんですけれども、今回、警報が出されております。気象庁の方からですが、記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報、また大雨警報、注意報。まず、こういったものの事実確認を気象庁の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

    〔福井委員長代理退席、原田(憲)委員長代理着席〕

西出政府参考人 気象庁では、台風の接近に先立ち、十月十五日の午前に台風説明会を開催し、東京都内全市町村に対して台風の見通しについて説明を行いました。また、大島町を対象に、同日の十七時三十八分に大雨警報、同日十八時十五分に土砂災害警戒情報を発表しております。このほか、東京都に対して、気象情報を十二回、記録的短時間大雨情報を三回発表して、警戒を呼びかけておりました。

 さらに、大島町において、大雨により局所的に極めて危険な状況となるおそれがあったことから、気象庁本庁より東京都及び大島町へ、電話により数次にわたり極めて危険な気象状況であることを伝えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 今般、先ほどの各委員の質疑にもありましたが、やはり連絡が、気象庁から東京都、そして東京都はファクスを町に送ったが、その担当者、また役員の方が不在であった。こういった連携不足があったということだと思います。

 手元に伊豆大島の防災計画もあります。その中で、私は、今回、三段階の避難があると思っております。避難といいますか、予防も含めてですけれども。

 まず初めにあるのが、避難の準備ですね。これは、台風が迫っている、これがある程度わかる段階。防災計画にもありますが、時間を要する者が避難行動を開始しなければならない段階であり、人的被害の発生する可能性が高まった状況。それから次に、避難勧告。通常の避難行動ができる者が避難行動を開始しなければならない段階であり、人的被害の発生する可能性が明らかに高まった状況。あとは、避難指示。前兆現象の発生や現在の切迫した状況から、人的被害の発生する危険性が非常に高いと判断された状況、堤防の隣接地等、地域の特性等から人的被害の発生する危険性が高いと判断された状況、人的被害が既に発生した状況。この三段階があると思います。

 今回、私も、気象庁からこちらの表をいただきました。先ほど三日月理事が提示した、降水量と、またその警報をグラフにしたものでございます。

 まず、今回、台風が来ている、これはもう、今の技術ではおおよそ見当がつく。私は、この二段階目、先ほど、ファクスを送ったが届かなかった、これが今回の被害においては極めて重要だったと思います。

 また、町の防災計画には、土砂災害警戒情報が発表されたときは、島内に七十一カ所ある土砂災害危険箇所の範囲内にある住民等に伝達して自主避難を促すといったのがあった。また、土砂災害警戒情報が発表され、町長が必要と判断したとき。残念ながら、この町長が不在でいらした。

 こういった条件も重なったところがあると思います。しかし、かといって、そういった状況も、全国千七百十九自治体の中では起こり得ることであるのかもしれない。では、そのときにどうするのかというところです。

 今回、グラフでもあるように、まだ一時間降水量が三十ミリを超えない範囲、これが大体二十三時ごろまであったと思います。この間に促していれば、まだ降水量も少ないので、避難ができたかもしれない。今回これができなかったんですが。

 問題は、では、これを逃してしまった、三段階目。二十四時から、土砂が崩れるのが大体二時半、この二時間半の極めて厳しい判断ですね。このころには一時間降水量は五十ミリを超えている。それから一時間たつと、もう九十ミリぐらい。

 これは、気象庁のデータでもありますが、八十ミリを超えると、猛烈な雨ということで、息も苦しくなって恐怖を覚えるような状況。この中ではなかなか避難も厳しい。また、夜中ということだと思います。高齢者が避難するには厳しいような状況で、実際、二〇〇九年には、兵庫県佐用町の例のように、避難中に災害に巻き込まれて命を落とすという痛ましい事例もある。

 このような、一段階目も不可能だ、二段階目も結果的に残念ながら不可能だ、三段階目で、切迫した、本当に危険な状況の場合の判断。例えば今回のような事例ですけれども、今回の事例のような場合、結果論ではございますが、二十四時に逃げていれば助かった。このようなシビアな判断が問われる場合、具体的に今後どのように対応していけばいいのか、この点をお答えいただけますでしょうか。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、今回の災害から得られた教訓といたしましては、まず、そもそも土砂災害の危険性というものを十分認識されていなかったということ。それから、今御指摘いただきました、災害が発生する前の段階で、避難所の準備とか自主避難を促すなど、いわゆるおそれの段階での対応というものはとっていなかった。それからあとは、避難勧告の発令基準が明確でなかったというようなことがございます。

 今、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインというものを見直しておりまして、その中では、今回のように、暗くなってから尋常でない大雨等により災害が発生するようなケースということを想定すれば、避難準備情報を早目に発令いたしまして、高齢者などに自主的避難を呼びかけるよう促すということが必要だと思います。

 また、土砂災害警戒情報が発表された段階で、土砂災害のおそれのある区域を対象として避難勧告の発令を行うというように、気象情報と勧告指示というものをリンクさせるということも重要かと思っております。

 また、降り始めからの雨量のように、より定量的な避難指標を積極的に活用するということも必要かと思っております。

 さらに、防災体制につきまして、ファクスの受信というような話もありますが、注意報あるいは警報の発令、あるいは台風の接近状況などを見ながら、できるだけ客観的な情報に基づいて体制をしくということをきちんと目安として示すことも肝心かというふうに思っております。

 さらに、非常に雨が激しい段階におきましても、災害が予見されるのであれば、山の反対側の居室とか二階へ避難するということで、少しでも被害を軽減するための自衛措置を呼びかけるということも必要ではないかというふうに考えております。

 こういった点を踏まえまして、ガイドラインの見直しを進めてまいりたいというふうに思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 申し上げましたとおり、これだけ厳しい判断を、先ほど大臣も再三おっしゃられてはおりますけれども、一市町村に任せるのは極めて酷だ。

 その中で、さきの通常国会において可決された災害対策基本法等の一部を改正する法律案においては、的確な避難指示のために、市町村長から助言を求められた国または都道府県に応答義務を課す、市町村の方から助言を求められた場合は課すこととなったんですけれども、このような助言を求めるようなことがない場合、逆に、国の方から積極的に、もしくは都道府県の方から積極的に町の方に指示、助言、連携をしていかなければいけないと思うんです。

 古屋防災大臣も先ほど、地方自治体の首長が発する避難勧告は、原則は地方自治体の首長が発する制度だが、見直しも含めてあり方を検証すると、メディア等で発言もありましたが、改めまして、その点、お答えいただけますでしょうか。

古屋国務大臣 今委員御指摘のように、この制度のたてつけそのものは、やはり地方公共団体の首長が判断をしてもらうというたてつけになっていますけれども、何度も私も答弁させていただいておりますが、千七百十九ある市町村の中には、人的にも十分対応できていないところもあるということは否定できないと思います。ですから、私たちは今その検証をしてガイドラインの見直しをしている。今、統括官からの話があったとおりです。

 一方では、皆さんにも御協力をいただいて災対法の改正をやりまして、六十一条の二、そこで、求められたときには助言をするものとする、こういうふうな規定です。

 ですから、助言が、向こうから一方的になければ一切言えないという厳密な解釈ではなくて、やはり常に、情報を提供している電話なりメールなりファクスで、国の関係者あるいは都道府県の関係者と現地の市町村の関係者が連絡する中で、いろいろな戦略的なアドバイスということは十分やれると思うんですよ。ですから、そういったことも含めてしっかり検証して見直していこう。

 ですから、適切に避難勧告、指示が出せるようにしていくということが大切だというふうに思います。

 そのときにはやはり、場合によってはその避難勧告が空振りに終わることがあるかもしれないんですね。それはむしろ、自分の命が守れて幸いだった、こういうふうに町の関係者もあるいは住民の皆様も思っていただく、これがまさしく危機管理じゃないでしょうか。そう思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 次に、またこちらもありましたが、特別警報については気象庁の方にまた質問させていただきたいと思います。

 メディア報道等でもありました、府県程度の広がりの範囲内で、また要件としては五十年に一度ということがあると思います。

 私もデータを調べさせていただきました。伊豆大島ですが、過去に、約三十年前、一九八二年九月十二日、やはり秋なんですが、七百十二ミリという降水量がありました。第一位が今回の八百二十四ミリ。あと、三位から十位は大体四百ミリから三百ミリ。こういったデータがあると思います。

 恐らく、このデータからすると、三位から十位、多くても大体四百ミリだろう、これが想定の基準になったんでしょうか。今回、四百ミリぐらいをある意味想定していたという点について、このデータは参考にされて予想されたんでしょうか。そこの点をお聞きしたいと思います。

西出政府参考人 五十年に一度という雨量の基準でございますけれども、これは各地域ごとに過去の、今御紹介がありましたような大雨のデータを統計的に処理しまして、五十年に一度出現するであろうという雨量をそれぞれの地域ごとにまとめております。

 したがって、大島については、今御紹介があった部分なんですけれども、実を言うと、アメダスが全国的に展開された、そのアメダスのデータでデータがそろっているところで算定をいたしましたので、過去二十年の分のデータから、五十年に一度の確率で出現するであろう雨量を算定したところでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 過去二十年。ですので、この三十年前のデータは反映されていないということだと思います。

 これは決して、だから予測がどうこうということではないんですけれども、恐らくこのときに、七百十二ミリあったけれども今回のような山崩れは起きていないと思います。

 予測というのは極めて難しい。もちろん、先ほどおっしゃられたとおり、特別警報というのは、そのものの信用性も担保しないと、結局、特別警報が意味がなくなってしまうので、むやみに出すものではない中で、ではどのように適用していかないといけないのか。

 こういった過去のデータも参考にしなければいけない中で、先ほども質疑がありました、せめて島嶼部に関してはこういった細かな、五キロ格子が十格子に至るだとか、五キロ格子が五十格子に至る、そういった範囲じゃなくても運用したいと、一部、太田国土交通大臣の発言もありましたが、今後の運用についてお答えいただけますでしょうか。

西出政府参考人 特別警報の運用につきましては、今委員の御発言にもありましたとおり、確度を持って信頼の置ける情報として発表すべきということで、基準を変えるのはなかなか難しいと感じておりますけれども、今回の伊豆大島における災害の教訓といたしましては、島嶼部において特別警報に準ずるような大雨となった場合に、島嶼部の自治体の防災対策の責任者であります首長等に直接電話して危機感を伝えるということにしたところでございます。

 一方、気象庁ではこれまでも、警報等を発表するような大雨に際して、警報の発表にとどまらないで、気象状況によっては気象台から自治体へ直接電話して気象状況の解説を加え、危機感を共有するように努めております。

山之内委員 ありがとうございました。

 時間もなくなりまして、日々、こういった技術革新も含めて、また行政間の連携も含めて、この教訓をもとに、やはり一つでも被害をなくす、一人でも少ない被害者、そういった方向に向けるために、各省庁連携しながら、また、これに関しては、民間企業、住民の方々、ハードだけでなくソフトの面、こういったものに対する備えが必要だと思います。私もまた一国会議員として、国民の方々、住民の方々に危険を喚起するという形を懸命にとりながら注意喚起をすることを誓いまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 日本維新の会、宮沢隆仁であります。よろしくお願いいたします。

 このたびの大島災害での犠牲者の皆様の御冥福をお祈りいたします。

 まずは、私、この委員会の議論を聞いていまして、実は私、脳外科医であったんですが、医者の世界での、我々はカンファレンスと呼んでいるんですが、その議論と非常によく似ています。

 ちなみに、我々は一人の患者さんのために、ある疾患があれば、それに対してどうするか、戦略をどうするか、あるいはハードとしてどんな機械を使うか、そのベースにあるのは、例えば病院内で連携をどのようにするかというのが物すごく重要なんですね。いわば、古屋大臣はそのときの教授のような存在で、それを全部統括して、最終的に指示を出す、そういう形で我々はやっています。その議論はほとんど問題なく終わるんですが、時には議論が白熱して、大議論になってどなり合いになるようなこともあります。

 例えば、この日本列島というものをちょっと地図上で見ると、横たわっている患者さんのように見えなくもないんですね。だから、私は、国会議員になってからはそういう見方で日本という国全体を見るように努めているんですが、やはり災害という面でも、日本全体のみならず、地球ですよね、それからそこに存在する人間、本人だけではなくて周りにいる家族とか、そういう意味で、非常に思考プロセスは似ているように思います。

 それで、私の前までの皆様の議論を聞いていて、私が言いたいなと思っていたことは大分言われちゃったんですけれども、ちょっと重なるかもしれませんが、私が主に論点としたいのは、連携ですね。それから、ソフト。人間、首長さんがどうするかとかそういう問題です。それから、予防という観点で、ハザードマップの扱い。それから、住民の意識をどのようにするか。それから最後に、できたら、古屋大臣も想定外はもう使うべきではないとおっしゃっていましたが、私も全くそのとおりだと思いまして、その辺のいわば哲学的な議論になるかもしれないんですけれども、そこをちょっと議論させていただきたいと思います。

 まずは連携のお話なんですが、今までもいろいろ、例えば国レベル、県レベル、それから市町村レベルという主に三つの大きな団体があるわけですけれども、まずは、気象庁がさまざまな警報をかなり一生懸命出してくれているとは思うんですが、それを都道府県なり市町村に出すときに、どのようなツールを使って出しているかということ。今はITが発達していますので、いろいろな方法があると思うんですけれども、そこをちょっと具体的にお願いします。

西出政府参考人 気象庁からの警報の伝達につきましては、地方自治体へのルートといたしましては、当方が義務を有する都道府県へ伝えた後、都道府県より市町村に伝達していただいております。さらに、気象庁よりNHKなどの報道機関に伝達し、広く周知いただいているところです。

 なお、気象庁では、地方自治体等の防災関係機関向けに、インターネットの技術を用いた防災情報提供システムというものを整備しておりまして、必要に応じて、自治体より、警報を初めとしたさまざまな情報を活用いただいているところです。

 気象庁としては、警報の確実な伝達を図れるよう、ふだんから都道府県等の関係機関と連携協力してまいります。

宮沢(隆)委員 その辺はレクでもちょっとお話ししたんですが、都道府県、NHKにはまず行くと。それで、気象庁から市町村にダイレクトに必ず行くのか、それとも、選択的に、行ったり行かなかったりしているのか、その辺を明確にお答えください。

西出政府参考人 都道府県等につきましては、伝達の義務がございますので、いろいろな手段で伝達した後、ちゃんと確認をとっているということですけれども、市町村については、ふだんは直接やりません。先ほど来申していますが、警報等を発表している段階において予報官が特に危機感を感じた場合には、市町村の担当者等、場合によっては首長さんに直接電話する、そういう手段でやっております。

 もう一つ、先ほど御紹介しました防災情報提供システムは、受け手側の意思がございますので、受けたいものを受ける、そういうシステムでございます。

宮沢(隆)委員 僕は、今の防災のシステムの問題点はそこにあると思うんですよね。

 今、場合によってはとおっしゃいましたよね。それから、受け手側の事情によってということをおっしゃいましたよね。そこで、今も大島の町長さん云々のお話もそうだと思うんですけれども、ファクスを送った時間と受けた時間、読んだ時間が違うわけですよね。ですので、そこをまず埋める方法を何か考えなくてはいけない。

 それから、都道府県に伝えるのはもちろんいいんですけれども、市町村に何で伝えちゃいけないのか、僕はそこが不思議でしようがないんですよ。例えば、雨雲がずっと大島、伊豆七島の方向に動いているというのがわかるわけですから、だったら、伊豆七島なりの市町村にダイレクトに何らかの連絡はすぐ入れてもいいと思うんですけれども、それは、どうなんですか、相当煩雑な作業になっちゃうんですか。ちょっとお願いします。

西出政府参考人 基本的には都道府県から市町村に確実に伝えていただきたいと思うんですけれども、ふだんから常にその業務を行うということになりますと、それは相当の数の、千何百幾つの市町村がございますので、そこはそれなりの負担になると思います。

宮沢(隆)委員 では、その辺は、この委員会を通して、気象庁等から市町村にできたらダイレクトに情報が行くようにしていく方向で検討していただきたいと思います。

 それからもう一つは、都道府県から市町村への連絡方法。

 ここに都道府県の方々はいないので聞くわけにはいかないんですが、僕は長野一区というところで、地元の町長さん、村長さんのところへ行くと、これは防災に限らずなんですが、国から県に情報が行っているらしいけれども、うちは来ていないよねというのがかなり、かなりかどうかはわからないんですけれども、あるらしいんですね。そうすると、むしろ、県が間に入っていること自体が情報伝達のおくれにつながっている。だから、ある意味、県はなくてもいいなんて雑談で言う町長さんもいるんですよね。だから、ダイレクトにしましょうと言っている理由はそういうところにあるんですよ。

 都道府県の文句をここで言ってもしようがないんですけれども、都道府県がそういうスタンスであれば、ぜひ、ダイレクトに送れるような方法なりをちょっと考えていただきたいと思います。

 それからもう一つは、伝達ツールです。

 今、口頭でやる電話、ファクス、テレファクスというのは今同じですか、あとはパソコンのメールがありますね。それで、今、スマホがありますよね。それも、県庁からでも国からでもいいんですけれども、各自治体の首長さんに、持っているスマホにダイレクトに送るという発想はいかがでしょうか。それはどなたに聞いたらいいですか。気象庁さん、いかがですか。

日原政府参考人 まず、都道府県から市町村への気象情報の伝達に関してでございますけれども、今回、東京都から市町村に関しましては、東京都の中では、気象情報に関しては、管内の市町村に対して一斉通報というか、一斉にファクスを送るシステムを持っておりまして、それによってファクスで伝達したというふうに伺っております。

 その際、ファクスを受信したかどうかの確認は、機械的に、ランプによって確認できることになっておりまして、ボタンを押すと受信したということが確認できるということでございます。

 今回、確認までに、受信までに間があいたというお話をいたしましたけれども、ランプがというか、受信確認がとれなかったために、再度電話で確認をとって、一応、届いている、届いているというのは物理的に届いているという意味であって、中身の確認はおくれたわけですけれども、物理的に届いているということは確認されたというふうに伺っております。

 他の都道府県については承知しておりませんけれども、一般的には、都道府県は、受け取った情報は流しているものというふうに考えております。

 それから、スマホの関係でございますけれども、私どもといたしましては、そういった気象情報等につきまして、現に、電話会社でありますとか、さまざまなアプリケーションを通じた気象情報の伝達のツールというものが、これまた全ての公共団体の気象情報なり勧告情報なりが流れるようにはなっていないんですけれども、そういうものが既に出回っておりますので、そういうものの普及を進めてまいりたいというふうに考えております。

宮沢(隆)委員 スマホは相当普及しておりますので、ぜひ具体的に考えていただきたいと思います。

 では、連携の話は終わって、ソフト、人間の話です。

 災害のときは、もちろん、多くの人間が一生懸命何かやろうとして間に入ってくるわけですが、結局、先ほど古屋大臣もおっしゃいましたけれども、まずは、各自治体の首長の防災に対する知識の量がばらばらです。それからもう一つは、意識ですね。知識と意識、この違いが結局は対応の違いになって出てきているんだろうと思うんです。

 先ほどお話を聞いていましたら、これから首長の訓練をするための研修会をやられるというお話も聞きましたし、双方向コミュニケーションももっとちゃんとできるように努力されるというお話でしたので、これはこれで私は結構だと思うんです。

 結局、人災とまでは言いませんが、やはり災害というのは、外科医も同じなんですけれども、一瞬一瞬、秒単位と言ってもいいんですけれども、そのときの判断で国なり人間なりの運命は決まるので、首長もそのぐらいの危機意識をまず持っていただけるように教育していっていただきたいなと思いました。

 先ほどもう既に大分議論されていますので、この点については、これ以上はお話しいたしません。

 それから、国土交通省の方にも来ていただいているので、ハザードマップについて詳細にお聞きしたいんですが、ちょっとおさらいという意味で、このハザードマップの現状を簡単に概説していただければと思います。お願いします。

大野政府参考人 土砂災害ハザードマップでございますが、これは、土砂災害警戒区域や避難所の位置、それから避難経路などが入った情報を住民に提供することによりまして、住民が土砂災害に対する認識を高め、大雨の際の避難に役立てることを目的としております。

 土砂災害防止法に基づくハザードマップを作成、公表した市町村の割合は、土砂災害警戒区域の指定がなされた市町村のうちの約五四%となっておりまして、さらなる作成の促進が必要と認識しているところでございます。

宮沢(隆)委員 これもレクでちょっと聞いたお話なんですが、このハザードマップをつくって公にしようとすると、住んでいる方々が、土地の値段が下がるから公にしないでくれとか、災害予防も大事なのはわかるんだけれども、今の生活のために、そんなにいわゆる危険度を高く設定しないでくれとか、そういうお話があると聞いたんですが、そこをちょっと教えていただけますか。

大野政府参考人 今のお話は、土砂災害警戒区域を指定するときに、指定に反対される住民のお声として、そういった指定をされますと地価が下がる、そういったことも市町村の方から県の方へ上がってきておるということは我々も聞いております。

 したがいまして、今全国で五十二万カ所ぐらい危険箇所がございますけれども、土砂災害警戒区域が指定されておるのは六〇%ということでございます。

 そういう状況でございまして、今委員御指摘のようなお話も、我々も聞いているところでございます。

宮沢(隆)委員 今の六〇%というお話ですけれども、これはやはり、多少住民が何か言っても、一〇〇%にしなくちゃいけないことではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

大野政府参考人 委員御指摘のとおり、我々も一〇〇%を目指して、市町村それから都道府県とともに頑張っておるところでございます。

宮沢(隆)委員 そうですね。今、住民も言いたいことは言いますので、多分苦労されているんだろうと思うんですが、ぜひこれは一〇〇%に持っていくように、県と国、市町村、全部挙げてやっていっていただきたいと思います。

 それで、この件に関しては、先ほど古屋大臣、非常に重要なことをおっしゃっていたんですが、まずは住民自身、個々の住民自身が災害に対してもっと認識しなきゃいけない、それから、避難勧告をされたら、嫌がっているんじゃなくて、自分の判断でどんどん避難しましょうということは、僕は非常に大事なことだと思うんですね。

 これは、ある意味、医療の世界でも言われるんですけれども、結局、自己管理の自己責任という問題だと思うんです。ですので、僕は、住民自身もちょっと、今の日本の住民は甘えているところもあるかもしれないなという気がしています。ですので、これはもう啓蒙活動をするしかないんだろうと思うんですけれども、これも含めて、ぜひ、国、県、市町村を挙げてお願いしたいと思います。

 それから最後に、先ほどの想定外という言葉のお話で、例の三・一一の大地震、大津波の後、盛んに、テレビ等で使われることが多くなって、私もよく聞く言葉なんですが、私自身も、古屋大臣と同様、この言葉はもう使うべきではないと思っています。

 またちょっと医療の世界に戻ってしまうんですが、医療の世界は想定外だらけなんですね。現実に、治療をやっていて、その場で何が起こるかわからないというのは日常のことなので、だから、想定外という言葉自身、余り使ったことがないんですね。ですので、逆に言うと、想定外なんという言葉を使ったら、それはもうペナルティーを受けなきゃいけないという状況なわけです。

 だから、そこの危機感の違いなのかもしれないんですけれども、そこは、ぜひ今の古屋大臣の哲学をどんどん日本に広めていっていただけたらいいなと思うんですが、その辺、ちょっとコメントをもう一回いただければと思います。

古屋国務大臣 先生は医師、特に脳外科でいらっしゃいますよね。まさしく危機管理ですね。決断ですね。でも、それは、前提は、知識がないとできない。これは、防災も同じだと思います。だから、しっかり知識をつけるということだと思います。

 その上で、自助、共助、公助と我々は言っていますけれども、やはり自助の部分というのは非常に大切なんですね。自助があるから、むしろ共助も成り立つし、公助も成り立つ、こういうことだと思います。

 五月に南海トラフ巨大地震の検討委員会が最終報告を出したんですよ。このときに、想定外を避ける、だから二千年に一遍しか起きない大災害もあえて記述したんですよ。そうしたら、マスコミは、最大被害二百二十兆円、大変だ大変だ、こういう報道をしましたけれども、よく読んでいただくと、事前対策、ソフト、ハードをやることによってかなり被害は防止できますよということ、冷静に正しく恐れてくださいということを私は申し上げたんです。それを、一部のメディアはしっかり報道していただきました。

 やはりそういう認識を、みんな、関係者、住民、地方公共団体、県、国が持つということが本当の意味での危機管理につながって、結果として、我々が目指す国土強靱化の中に、人の命は絶対守る、致命傷は負わせない、被害はできるだけ食いとめる、速やかに復旧をする、こういうことにつながると思います。

宮沢(隆)委員 全く、古屋大臣を外科医にしたいぐらいの言葉でして、非常に敬服いたしております。

 どうもありがとうございました。

坂本委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 質問がほとんど重複をいたしておりまして、重複する部分については御容赦願いたいと思います。答弁についても重複する場合があろうかと思いますが、誠意ある答弁をよろしくお願いしたいと思います。

 まず、これまでの議論を聞いていますと、今、古屋大臣が言われたように、知識、その知識も、住民もそうですけれども、当然、首長もそうなんですね。そのためには、議論がありましたように、それぞれの首長が判断をする上においての情報量が非常に大事であると思います。

 その観点からすると、やはり、例えば津波なんかだと、気象庁が津波警報で、逃げなさいと出るんですけれども、土砂崩れとか、こういうのはなかなか出ないんですね。

 レクでいろいろお聞きしました。林野庁の方、それから国交省の方、いろいろお尋ねをしたんですが、例えば、山に対する知識は林野庁の方が物すごく持っていらっしゃる。土砂をとめることについては国交省の方がすごい能力を持っていらっしゃる。そして、気象については気象庁が物すごい情報を持っていらっしゃる。

 そこで、私がお尋ねをしたいのは、まず、そのそれぞれ情報を持っている、能力を持っているところが、勧告をするのに、気象庁だけではなくて、総合的に情報を管理した上で、首長の方に、勧告すべきですよという具体的なものがあると、首長はすんなり、すとんと落ちるんじゃないかなと思います。

 なかなか判断が難しい現状の中で、どれだけ首長の方に情報を出すか、こういう点においてどのようにお考えなのか、まずお尋ねをしたいと思います。

古屋国務大臣 今の制度は、そういう気象情報を含めて、気象庁が第一義的に注意報、警報を出していく。それによって地方公共団体が判断をするというシステムをとっていますね。ですから、これは、正しくこの意図したとおりに機能すれば、私はいいかというふうに思っているんです。しかし、一方では、もうちょっと伝達をインタラクティブな形でするとか、そういった面での工夫は要ると思いますね。

 それで、気象庁が情報を出すということは、実は、関係省庁にみんな入っています。そういったものは、しっかりそこの中に消化をした上で、では次は何をすべきかということをそれぞれのつかさつかさで防災の担当者が考えていますので、今この制度が機能していないということではないと思うんですね。正しくちゃんと意図したとおり機能すれば大丈夫なので。

 しかし、委員がおっしゃるように、こういうシステムというのは不断の検証をしていく必要がありますので、今、委員の御指摘もいただいたので、本当に今の制度でいいのかも含め、今検討を始めていますけれども、ガイドラインの見直しも含めて対応していきたいというふうに思います。

佐藤(正)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 それとまた、委員長初め、今回の視察につきましては本当に御尽力をいただきまして、私もその視察のメンバーに入らせていただいたことを心から感謝申し上げたいと思います。

 そこで、通告にはないんですが、大臣、消防団ですね。今回も行きましたけれども、あの外に出られないような豪雨の状況でも、大島の消防団の方々は出ていかれて、土砂が来て埋まっている、そういう方々を六名救出されたんですね。

 先日の総務委員会でも新藤大臣にお尋ねをしたんですが、この消防団の方々というのは、常日ごろから訓練をされている。そして、なおかつ、地域がよくわかっていらっしゃる。消防職員の方々は転勤がありますから、ある意味では地域性のところでわからないところがたくさんあるんですが、消防団の方は、本当に地に足がついた訓練と、そして救助ができるような体制をとっています。

 古屋大臣の方から、この消防団の方々に対して一言いただければ。

古屋国務大臣 消防は総務省の所管ではありますけれども、実は私、消防議員連盟の会長をやっておりまして、私は、日本が生んだ世界に誇る、世界一の人的インフラは消防団、究極のボランティアだ、こう言ってもいいと思います。

 その消防団の皆様が、本当に日夜、仕事を持ちながら訓練をしている。年末警戒は、委員も御地元で年末警戒とかあったとき、夜中に回ってきて、本当に頭が下がりますね。私の地元は寒いので、マイナス十度ぐらいになるんですけれども、それでもみんな身震いしながら回っていますね。これはやはり使命感だと思いますよ。

 私は、ですから、そういう意味で、日本の消防にさらに頑張っていただいて、住民の生命と財産を守るというこの崇高な精神をこれからも完遂させるために取り組んでいっていただきたい。

 ただ、いろいろな環境の変化がありますから、今、総務省を中心に、もちろん消防議員連盟においても、その処遇の改善、あるいは、新たな議員立法というような動きも出ているようでございますので、しっかり地域の住民の安全を守るために、引き続き消防団の皆様も頑張っていただきたいと思います。

 特に、三・一一のときには大変献身的な活躍をされました。しかし、一方では二百五十人を超える殉職が出ました。やはり、そういったこともしっかり私たちは教訓として心に刻みながら、防災の総合的な強化を図っていく。しっかり心して防災担当大臣として取り組んでいきたいと思っています。

佐藤(正)委員 今、拍手が出ましたけれども、まさに私も拍手を送りたいと思っております。

 そこで、大臣、先ほど来から、いわゆる避難勧告発令があったときに、災害が起きない、もしくは土砂崩れが起きない、ああ、幸いだ、よかった、まさにそのとおりなんですけれども、そういう認識を深めるために、今までの議論を聞いていましたら、やはり教育の場でこれを徹底的に子供のときから教える教育、ここでも、予算委員会だったと思います、何の委員会だったか忘れましたが、まず逃げることを教えなきゃいけないということを言われた大学の教授がいらっしゃいましたが、防災、それから災害に対する教育をしっかりやらなきゃいけない、こういう御発言を聞いたことがあります。

 大臣、どう思われますか。

古屋国務大臣 前回の通常国会で災害対策基本法の大改正をお願いして、衆参で、あれは四日ずつぐらい議論しましたかね、お認めをいただきました。その中にも、ちょっと条文が何条だったかは記憶にございませんが、防災教育の徹底、そして、例えば防災の経験の伝承、こういったものもしっかり記されました。これは学校の教育現場も含めてその取り組みを徹底していく必要がありますね。

 釜石の奇跡、有名な話があります。あれは、先生がかつての津波の災害のことを教訓に子供たちに教えた、その結果、その学校はもう全部天井まで、屋上まで津波につかりましたけれども、一人も被害者は出ませんでした。それだけではなくて、近隣のお年寄りも一緒に助けたと。

 これがやはり教育の重要性、そしてその結果ではないでしょうか。

佐藤(正)委員 まさに教育が大事だと私も思っております。

 秋田の方も視察に行かせていただいたんですね。そのときの市長さんの御判断等々いろいろ御意見を聞かせていただいたんですが、実は大臣、それぞれ経験のあることは判断ができるんですね。例えば河川がオーバーフローしてすごい水難に遭った、しかし、山崩れなんて起きたことは過去に一度もなかった。だからどうしても、警報が来ても河川の方に頭が行って、そちらをどうかしなきゃという判断が働くそうなんですね。

 だから、確かに伝承も必要なんですが、そういう意味では、もっと首長にその情報を、河川もあるけれども土砂崩れもということが念頭に入るようにしてあげないと、やはり過去を背負っていますから、過去はわかるけれども、新たなものが出てくるというのはなかなか判断ができないんです。

 その意味で、先ほどから私が申し上げたのは、山のことは、詳しい林野庁さんがいれば、その地域の山はこういう状況であるというのをもっともっと情報をお伝えしていただきたいんですね。わからないんです、実は。

 そして、大臣が言われたように、全国各地の市町村に温度差が物すごくあると思います。そして、市町村によっては情報をとれないところも実はたくさんあるんです。ですから、地方分権に反するとかいうことではなくて、やはりこれは、生命を守る上においては、そういう情報を、いち早く知り得る情報を出していただきたい、このように思います。

 ぜひ、これは要望させていただきたいと思いますので、しっかり受けとめていただければ、このように思います。

 それから、例えば社会資本の整備、国土強靱化云々ありますけれども、今現在、河川だ、道路だ、橋だ、いろいろなものがつくられてきましたけれども、実は、市町村を見ると、いつつくられたかもよくわかっていないものがたくさんあるんですね。

 ですから、例えば、新たにつくり直すよりも、今あるものをしっかり点検して、それを修繕なり補強なりすることによっていち早く災害に対応できるところがあろうかと思いますが、その点について国交省はどのような御判断ですか。

毛利政府参考人 これから人口減少社会を迎えまして、予算制約も強まる中でございますので、御指摘のように、これまで整備されてきた土木施設をしっかり維持修繕、維持補修をしていく、計画的に進めるということが非常に重要でございます。

 一方で、大規模な地震や土砂災害、そして異常な降雨による被害への備えも重要でございます。

 国土交通省としましては、本年をメンテナンス元年というふうに位置づけまして、全てのインフラの安全性の徹底調査、総点検、それから老朽化対策、防災、減災対策に重点的に取り組んでおります。

 具体的には、御承知のように、平成二十四年度補正予算におきまして創設し、そして別枠で確保されました防災・安全交付金、これは公共団体が行う、例えば橋梁の耐震化、あるいは、河川堤防を点検しまして、問題があれば緊急対策をするといった既存のインフラの補修に充当可能でございまして、これをさらに今後充実させる必要があると考えております。

 さらに、先生おっしゃいました点検や長寿命化計画を公共団体がつくるときに、公共団体の負担がございますので、その負担の軽減ができないか、関係省庁と調整をしております。

 一方で、直轄の方も、維持管理費につきましては、公共事業関係費が非常に抑制される中ではありますけれども、近年は増額に努めているところでございます。

 もう一つ、さらには、来年度の要求におきまして、新たな技術の開発を含みます社会資本の戦略的な維持管理、更新の推進といった予算もお願いをしておりまして、こうしたものを含めました防災、減災、老朽化対策に公共事業予算の半分以上を重点化していこうということでございまして、予算の編成に向けましてしっかり取り組んでいきたいと思います。

 こうした工夫や取り組みを重ねながら、計画的な維持補修等を公共団体とも連携して進めたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 実は、地方の建設業というんですか、土木関係もそうなんですけれども、大変今苦しいんですね。それはなぜかというと、確かに大型工事は大手がやるんでしょうけれども、私は、今一番やらなきゃいけないものは、こういう修繕だと思います、補修だと思います。それは十分地方で、地方の業者でできる仕事がたくさんあるんですね。ある意味ではそこから地方が元気になってくる、そういうふうに私は思います。

 そこで、国土交通省の方々にお尋ねをしたいんですが、今やろうとしていることはよくわかります。しかし、今の現状はどうなっているのか、その辺は把握をされていますか。

毛利政府参考人 御指摘のように、土木施設の維持補修にかかわる方々、担う建設業の方々、地元の方が大いに活躍していただく場面でございます。

 先ほど、直轄の方の維持管理費をふやしていると申しましたが、これは、平成二十四年度、五年度、一・〇六、一・〇四とふやしてまいりまして、来年度は一・一二の要求をいたしているところでございます。

 それから、先ほど、公共団体が維持修繕に使えるということで防災・安全交付金を申しましたが、これも二十四年度補正で五千五百億円弱、これを二十五年度におきましては一兆円余、二十六年度要求も一兆二千億円とふやしてきておりまして、こういう予算の執行に当たって、御指摘のような地元の方々も大いに活躍をしていただきたいと思っておりますし、結果的に維持管理が進んで安全性が確保されるということが重要であると考えております。

佐藤(正)委員 普通の家でもそうなんですけれども、家を建てました、建ててずっとほったらかしている間に朽ちていくんですね。その間に手入れをすると、この家はしっかりもつんですね。そして、なおかつ、手入れをすると愛着が出るんですね。その手入れをしっかりやっていただきたいということを今申し上げましたので、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 話はころっとかわるんですけれども、大臣、東京オリンピック、すごい夢を持っておりますけれども、実は、多くの観光客、いわゆる外国の方に来ていただくわけですが、これだけ自然災害の多い日本国です。そういう意味では、安心を持っていただかなきゃなりません。

 そこで、外国の方々がお見えになったときに、今回、例えば集中豪雨があったとか、いろいろな災害があったときに、避難勧告をしたときにどのようにお伝えすることができるのか。この辺については何らか方策を練っていますでしょうか。

古屋国務大臣 確かに、政府も外国人観光客を受け入れるという大方針で取り組んでいますから、やはりソフト対策は大切ですよね。

 今、観光庁の方では、ことしの五月から、災害時情報提供ポータルサイト、セーフティー・チップス・フォー・トラベラーズというのを英語版で出しているそうですね。災害時に宿泊施設とか観光施設が訪日外国人旅行者を避難誘導するための対応マニュアルをつくり始めたりもしているようでございます。

 また、初動対応のあり方についても、地域防災計画の位置づけも念頭に、指針を今後は策定していく予定ということでございますので、観光庁と防災担当部局がさらに綿密な連携をして、やはり外国人の観光客が、いざ災害が起きたときにちゃんと理解をできる、速やかに避難をできる、命を守る算段、その手順をしっかり伝える、極めて重要でございますから、しっかり心してかかっていきたいと思っています。

佐藤(正)委員 大臣、本当に大事なことだと思います。これは観光庁だけでできる話じゃありませんので、それこそまさに横串を刺してやらないと、どこに危険があるかわからないし、どういう避難場所があるのかとか、そういった細かなところもありますので、観光庁だけではなくて、やはり総合的に御判断をしていただいて、ぜひ東京オリンピックに多くの国からこの日本国に来ていただける、そういう大会を目指してしっかりと対策を練っていただくことをお願いいたしまして質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 冒頭、改めて、台風二十六号による被害で犠牲になった方々へのお悔やみと、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げます。

 記録的豪雨に襲われて、土石流による大災害を受けた伊豆大島、大島町で、いまだ行方不明の方々の捜索に全力を尽くすとともに、被災者の支援、そして被災地の復旧復興、さらには、さまざまな検証の上に、今回の教訓を生かした防災対策に、国と大島町が一体となって総力を挙げるときだと思います。

 そこで、まず、当面の被災者の生活再建支援についてであります。

 今回の被災直後の十月十九日に、私自身も党国会議員団の対策本部長として、吉良よし子参議院議員、あるいは都議団とともに現地を視察しまして、被災者の要望を伺って努力もしてまいりました。ちょうどそのとき、古屋大臣とも椿園周辺の現場でたまたま居合わせることになりまして、被災者の方から、一緒に、都立広尾病院に搬送されて集中治療室にいる妻や子供の治療が長期間になるので付添人も近くに滞在できるようにしてほしいとの要望を受けました。そのほかにも、広尾病院に搬送、転院された方々もいらっしゃいました。

 大臣は、十月二十二日の予算委員会で私が質問したときに、東京都ともよく相談をしながら、柔軟な対応ができるような話し合いはしっかりしていきたいと答弁をされました。

 この件は、その後、どのような対応をすることになったでしょうか。

古屋国務大臣 私も、十九日の視察当時に、御両親が犠牲になりました若い御夫婦にお目にかかりました。それで、具体的に要望を受けましたので、私も、東京都では、いわゆる高齢者、要援護者が島外避難をした際に、付添者一人を避難者に同行していただく取り扱いをしてほしいということで東京都にお願いをして、そういう方向になったというふうに承知をいたしております。

 それからもう一点、付添者については、東京都が避難場所として国立オリンピック記念青少年センター、オリセンですね、ここを用意していただいたので、ここにそういった付添者の方々については宿泊を確保させていただいている、こういうことでございます。

笠井委員 今、オリンピック青少年センターのお話がありました。島嶼会館にも、これは十一月一日オープンだけれども、それに先駆けてということで付添者の方が行かれることもできたということでありまして、大臣が言われたように大事な一歩だと思うんですけれども、引き続き医療、介護の面でも必要な対応をお願いしたいと思います。

 住まいの問題も深刻であります。

 元町地区を中心に、全半壊八十六戸を含めて、被害に遭った住宅というのが、町が最近出した数字で百六戸、さらにはそれを上回って被害想定があるということでありますけれども、このまま住めない、また豪雨があったらどうするという問題に住民の皆さんが直面している。

 避難所に避難されていた方々には、先ほどありました教職員住宅の提供もされるということでありますが、これは限られております。避難所以外に友人、知人宅に身を寄せている方々も多い。仮設住宅をどこにどうつくるか検討中であるということでありまして、さらには住宅を応急修理してとりあえず住めるようにする、これも被災者の生活を取り戻す上で緊急に必要だと思います。

 そこで、大臣でなくても結構ですが、政府として実態をどうつかんでどのような対策をとっていらっしゃるか、そして、今後どのような検討が必要だとお考えでしょうか。

西村副大臣 まず、今の被害状況、昨日、十月三十一日の段階で、全壊四十六棟、半壊四十棟、それから想定される被害戸数は二百八十三棟というふうに東京都が発表しておりまして、詳細をさらに調査しておるということでありますけれども、御指摘のとおり、一日も早く、一刻も早く被災者の生活の拠点となる住まいの確保、これは大変重要なことと考えておりまして、東京都は十三戸の都職員住宅を提供するということで決定をしておりますけれども、大島町は、都の協力も得ながら、それぞれのニーズを把握すべく調査を開始したところと聞いております。

 先般、私も安倍総理と一緒に視察させていただいた際も、町会議員の方から仮設住宅を早くつくってほしいという要望もありました。ぜひ、被災者の意向を最も尊重しながら、その意向を踏まえ、調査の結果を見ながら、仮設住宅が必要であれば、都と町に対しても、我々、支援もできますので、支援していくことを考えておりますし、さらに、借り上げる方式もあると思います。あるいは、あの場所にはなかなか、危険だということであれば新たな場所に恒久的な住宅を建てたいという方もおられるかもしれません。そういう場合には、それなりにまた対応を考えなきゃいけないと思います。

 いずれにしても、ニーズを踏まえて適切な対応、これは国としても万全の支援を行っていきたいというふうに考えております。

笠井委員 東日本大震災を踏まえた改正災害対策基本法は、被災者一人一人の生活再建を理念に位置づけました。古屋大臣もこの間の国会答弁でこのことを強調されておりますけれども、極めて重要なことだと思います。

 今回の台風被害に対して、災害救助法が適用されているもとで、これを全面的に活用するということで、今副大臣からもありましたが、住まいの確保についても被災者の立場に立って、現場の実情に見合って柔軟に対応していく、大臣、そういうことでよろしいですね。

古屋国務大臣 今副大臣から答弁させていただきましたけれども、やはり被災者の意向、これをしっかり尊重して対応していくということです。

笠井委員 一刻も早く被災者が自立した生活を取り戻せるということが大事だと思います。大島の被害の実態に見合った柔軟な対応をぜひしていただきたいと思います。

 次に、今町民の皆さんからは、大島全体が危険である、こう思われるのが一番怖いという声も上がっております。自分たちの命と暮らしはもちろんですが、観光が大きな産業である伊豆大島の今後の復興にとっても、これは切実な問題だと思います。

 そこで、国交省とも調整をして、やはり政府がイニシアチブを発揮して、伊豆大島の自然に詳しい学者や専門家、火山の問題とか、あるいは地質とか植物とかいろいろあると思うんですが、そういう方々の英知も含めて、全国の英知を結集して、必要な人たちを現地にも派遣するということで、急いで、今回の災害を踏まえた、まずは危険箇所の特定を改めてやるということが大事だと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

古屋国務大臣 今度二十七号が来る、二十六号の後に来るということで、二次災害を防止する観点から、相当専門家を派遣しました。具体的には、全国の各地整、地方整備局を中心に、TEC―FORCEとして約八十名、現地に入れさせていただいて、彼らは土木の専門家でありますから、緊急調査をし、大島町と東京都には既にお伝えをさせていただいております。

 今後も、東京都が土砂災害警戒区域等を設定するに当たり、こういった専門家の知見も活用しながら必要な調査を行っていくということは極めて重要なことと思っております。

笠井委員 大事なことだと思います。

 今のに関連してなんですが、昨年の離島振興法の改正で、十七条の四に防災対策の推進ということが盛り込まれました。非常に大事なことだと思うんですが、今後の復興や町づくりを見通して、やはり火山島であるがゆえの土石流の解明とか、あるいは長時間の豪雨に火山灰の土壌がどれぐらいもつかなど、科学的な調査と研究も、引き続き研究と同時に全面的にやる必要があると思います。

 まず、速やかに伊豆大島の全島的な地質調査を徹底的にやるべきじゃないか。その結果を踏まえて島での安心した生活を確保することが大事ではないかと思うんですが、この点ではいかがでしょうか。

西村副大臣 まさに火山島ゆえに調べなきゃいけないこともたくさんあると思いますし、既に土木学会なども調査に入って、さらに専門的な調査をして所見を発表されるということもありますので、そうしたものも踏まえつつ、さらに、これまでも独法である産総研の地質調査総合センター等でさまざまな調査も行われておりますので、そうしたものを総合しながら、これは東京都において今後警戒区域等を設定することになると思いますけれども、我々としてもぜひサポートしていきたいというふうに思います。

笠井委員 今回の大規模な土砂災害で、先ほど佐藤委員と古屋大臣とのやりとりがございましたが、国や都からの支援を受けながら、やはり私も、地元で消防団が懸命な救助、救援、捜索に当たって大きな力を発揮した、そして今も七名の行方不明の方々の捜索に全力を挙げている、改めて心から敬意を表したいと思います。

 そこで、伺いますと、ある消防団の部長はこう言っておりました。僕の友人も見つかっていない、人懐っこく冗談を言ってよく人を笑わせていた、ヘリで搬送されて無事だった奥さんのためにも、一分一秒でも早く見つけてあげたいと思う。本当にそういう思いで今頑張っていると思います。流れてきた泥と流木で埋め尽くされて、どこに家があるのか、地図と見比べても全く見当がつかなかった、とにかくがむしゃらにスコップで掘っても、すぐに倒木や根っこが邪魔をする、土の中にいる人を傷つけないように細心の注意を払わないといけない。まさに壮絶な救助、救援、そして行方不明者捜索の先頭に立っている。そして、遺体発見という大変に痛ましい不幸なこともあるわけであります。

 古屋大臣は、予算委員会での私の質問に対して、消防団員はもちろんですが、島民、町民の皆さんにとって心配なのは心のケアだということで、こういったものもしっかり万全を期していきたいというふうに答弁をされました。

 今、被災した町民の皆さんはもちろんなんですけれども、最前線でそうした活動に携わっている消防団員、とりわけ若い団員の中にも、遺体発見とかあるいは搬送などによるPTSDの問題が出始めているというふうに言われております。食事をとれなくなったり眠れなくなったりするという症状を訴える団員も出てきている。

 そこで、専門家による心のケアがどうしても必要になってくると思います。そういう点では、総務省、消防庁あるいは厚労省など、関係省庁とも連携して、そうした消防団員にも特別の支援が必要じゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 委員御指摘のように、やはり心のケアは極めて大切ですね。消防団員の皆さん、ボランティアとして献身的なお働きをしていただいております。

 それで、もちろん消防庁において適切に対処されておられますが、一方では、十月の三十日から、日本赤十字社が消防団員や町の職員などを対象にした健康相談室を町役場に設けました。心身のケアの実施をスタートさせていただいております。

笠井委員 さらに、そういう点では、しっかりした体制をとってケアするということをやっていただきたいと思います。

 先ほど大臣も言われましたが、消防団も、そういう問題では、特別にいろいろと努力もされているというお話もありましたが、民間人の集まりということで、そして、その点でいいますと、遺体と接するということに対しても精神的にも不安が非常に大きい、そして負担が大きい。消防団は、救助、捜索、発見だけじゃなくて、瓦れき撤去の際に出てくる家族のアルバムとか、そういう思い出の品も丁寧により分けて、求められたら家族、親族の家に届ける作業もしている。文字どおり、いろいろな面で懸命に、しかし大きな負担をしながらやっているという点があると思います。

 団員の中には、みずからも被災し、家族を島の外に避難させて、そしてみずからの親族を含む行方不明者の捜索活動を続けている方もいらっしゃいます。こうした消防団員の過酷な作業ということに照らしますと、それにふさわしい十分な処遇、待遇ということをしっかりとする、そういう点では、見合ったものをさらにしていくということで、やはりそうした団員の皆さんを激励するということが非常に大事だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 消防団員に対する手当を含む処遇については、管轄する市町村が適切に対応しているというふうに判断をいたしております。

 ちなみに、今回の大島町における消防団員の手当でございますが、これは大島町の条例がございまして、災害発生時の出動に対しては、二日目以降の活動に対して一日五千円の支給でございます。また、台風二十六号災害への出動、これは委員の御指摘のようないろいろ特別事情がありますので、特例措置として、四日目以降の活動に対して一日当たり二万円を支給しているというふうに承っております。

笠井委員 団員たちは、そういう意味では、預金通帳が出てくることもある、貴重品は役場に預かってもらうとか、島で起きた災害、できるだけ島のみんなの力で手助けしたい。この島の人間関係の濃さが好きなんだ、火山や土砂災害など災害は多い、それでも海や山などの自然が豊かだ、みんなで力を合わせてここで生きていくということで、そういう思いで頑張っていると思うんですね。これまでもそうやって島の生活と安全を支えてきたし、これから百年、二百年、やはり支えていくことになると思います。

 そういう点では、国としてもそういう頑張っている人たちを評価して支えていく。つまり、町で、今、基準があって対応するということなんですが、町の財政はいろいろなこともあると思うので、そういう点では、必要であれば国としても大いに、さらに激励的にもやる、あるいは、必要であればさらなる措置もとるということで検討をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 消防団の関係についてはあくまでも消防庁にお願いをするということでございます。一方では、日本消防協会もございまして、日本消防協会も適切な対応をされているというふうに思います。

 しっかり、そういった関係者が、消防団に対する適切な支援措置をしていただくことを期待いたします。

笠井委員 適切ということで、本当に今の現場の過酷な労働にふさわしく、またそういうことも激励をできるようにということで、さらに適切な措置をとっていただきたいと思います。

 最後に、今回の台風二十六号、さらに二十七号によって甚大な被害を受けた伊豆大島以外にも、伊豆七島に大きな被害が出ているということであります。例えば八丈島でも、幸い人的被害はなかったものの、住宅や倉庫、農業用ハウスなどに大きな被害が出て、大打撃を受けていると承知しております。

 今回の台風による伊豆七島全体の被害状況はどうなっているか。それに対して政府としてどのような支援を行っているか、今後どうするかについて答弁をお願いします。

西村副大臣 委員御指摘のとおりでありまして、幸いなことに人的な被害は出ておりませんけれども、伊豆七島の被害、全体として、住家被害では、八丈島における、一部破損一棟、港湾施設が三カ所破損等が見られますし、それから、農作物の損傷は、これはそれなりにかなりありますし、パイプハウス等の農業用施設も損壊をいたしております。漁船なんかの被害も出ております。

 私も、選挙区に離島、島嶼部を抱えますので、島の方々のお気持ち、特にさまざまなハンディキャップも背負っておられますので、そうしたことを踏まえながら、被災された方々が一日も早く安心した生活を送れるよう、引き続き、地元の自治体と連携をしながら、国としても万全を期していきたいというふうに思います。

笠井委員 今、西村副大臣も言われましたけれども、島に住んでいる方々は特別の御苦労があると思うんです。そういう中でも頑張って暮らしをし、そして営みを続けていらっしゃって、今後も住み続けるということで頑張っていらっしゃる。

 そういう点でいいますと、今回の台風被害に対して、先ほど大臣も言われましたが、被災者の立場で柔軟に対応して、文字どおり国を挙げた万全の措置をとるように重ねて求めて、質問を終わりたいと思います。

坂本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党、小宮山でございます。

 本日は、まずは、伊豆大島、先般視察をさせていただきました。台風二十六号で亡くなった全国の方にお悔やみを申し上げますとともに、改めて、被害に遭われた皆様、けがをされた方々の早い回復をお祈りするものでございます。

 また、この三カ月半ほどではありますけれども、前の通常国会閉会後、さまざまな大きな災害が起きております。そのたびに、この災害対策特別委員会理事会のメンバーにおきまして、状況説明を聞いたり、また九月には、越谷の竜巻被害が起こりましたその現場、また昨年のつくばにおきましても視察をしてまいりました。

 巨大な災害、本当に人間の力では及ばないということを実感させられるとともに、それに立ち向かっていく、本当に捜索を続けられている方、復旧をされている自衛隊やTEC―FORCEを初め、関係省庁、また都道府県など、多くの支援の組織が来ている。また、全国から、東日本大震災、阪神・淡路大震災のときに自分が助けられたからといって、その思いを一緒にするために、ボランティアの方々も本当に活発に動かれているし、そして、先ほどからございますけれども、地元でみずからも被災されながら頑張っていらっしゃる役場の方や、そして消防団の方々、そういった多くの方に支えられているということに心から敬意を表させていただきたいと思います。また、それを私どもはしっかり応援する、助けられるように国会の中でも活動しなければならないなということを被災地に行きますと常に感じるものでございます。

 さて、災害の場所に行きますと、本当にさまざまなことがあります。先ほども言いましたように、人間の力の及ばないこともたくさんございますが、国会におきましては、被災者生活再建支援法による支援制度が、運用を通じてより使いやすく、より実態に合った形を目指して改正が重ねられてまいりました。まだ検討すべき課題というのはこれからも出てくるんだ、生じてくるんだと感じております。

 越谷に行ったときでありますけれども、またその前もですが、被災世帯の定義について、十世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村の被災者を法の対象とするなどの規定について伺わせていただきます。

 東日本大震災では、千葉県での液状化による住宅被害は有名でありますが、埼玉県下にも、同じように、液状化による住宅被害が生じております。単独の市町村での全壊戸数、あるいは県内での全壊戸数、隣接県での戸数など、いずれの条件にも合わないという事例が最近の災害では多く言われてきております。当委員会での、九月十九日、越谷市、つくば市への竜巻被害の被災地視察の際にも指摘を受けておりますけれども、越谷市内や熊谷市内での竜巻被害、被災者の生活支援法の対象となる地域にならない地域が生まれているという、大変切実な訴えもございました。

 同一の自然災害に対して、対象となる世帯とならない世帯、市町村が生じている問題は解消されるべきだと考えます。

 そのような支援の中で格差の生じた近隣地域などは今までどのような対応がされたのか、お聞かせいただきたいと思います。

西村副大臣 委員御指摘のとおりでありまして、先般の、九月二日の竜巻、突風災害のときも、越谷で二十六戸もの全壊が出て、これは対象になるわけですけれども、すぐ近くの松伏町では一戸だけの全壊で対象にならず、あるいは、同じくその突風、竜巻で被害を受けた千葉県野田市でも一軒だけでこの支援法の対象にならないということで、我々も非常に悩ましいと考えつつも、今のルールはルールですので、そのような中でやっております。

 御案内のとおり、規模の大きなものについては、一市町村、一都道府県では対応できないので、相互に助け合おうということでこの仕組みが阪神・淡路以降でき上がりまして、さまざまな修正もなされているところでありますけれども、基本的には、そうした場合に、各県の相互扶助で積み立てたものから半分、国が半分支援をするという制度で、委員御案内のとおりであります。

 これは、できるだけ早く、スピーディーに、適用すること、しないことを含めて判断するように我々も支援を行っておりますけれども、今回の、例えば野田市のようなケースでは、一軒しかなかったわけですけれども、千葉県が自主的にこの支援法と同等の支給をするということで決定をされ、支援をされまして、その場合には、国が特別交付税で支給額の二分の一を措置するということにしております。したがって、国の支援としては同等の支援をやるということにしているわけであります。

 御指摘のあった今のような点も含めて、ちょうど災害救助法がこの十月から内閣府に移ったことも受けまして、古屋大臣の御指示のもと、まさに、御指摘のこの懸案の被災者生活再建支援法も含めた被災者支援政策全体について改めて審議をしていただこうということで、有識者検討会を設けたところでありまして、既に第一回を開いて議論を始めました。

 まさに、こうした災害事務を担当する自治体、それから都道府県の皆様方のお考え、あるいは有識者の方々のお考えもいただきながら幅広く議論をして、ぜひ、被災者の立場に立って、被災者支援の充実、推進になるよう議論を深めてまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ早急に、最近本当に災害が多いものですから、結論を出していただき、やはり、同一の自然災害であるならば同じように救われるんだ、救ってもらえるんだというふうに思っていただけるように、改正等を含めまして、御検討、結論を出していただきたいと思います。

 また、先ほどからもいろいろ各委員の方から出ているかと思うんですが、応急仮設住宅も、住宅全壊などをされた方が、離れた場所よりも、近くでみなし住宅を積極的に県が認めることで、より多くの被災者がより早く生活再建につなげられるような支援を、国が基礎自治体である市町村とともに進められることが望まれております。

 早く支援対象の定め方を改めるべきではないか、その点に関しまして、ぜひ大臣の御見解を伺いたいと思います。

古屋国務大臣 お答えをいたします。

 あくまでもやはり被災者の立場に立って弾力的に運営をしていく、そうあるべきだというのが委員の御指摘の要旨だというふうに思います。そういうことでよろしいですね。

 その一環として、例えば、被災者支援のための仮の住まいとしての住宅についても弾力的に運営をしていけと。例えば、災害救助法に基づく応急仮設住宅についても、場合によっては、被災者の要望によりまして、賃貸住宅の一室を借り上げて提供するということも可能であるわけでございまして、あくまでも、やはり、個々の災害の規模とか災害情報を総合的に判断されて、都道府県が適切に、弾力的に運営をされていくということを我々も期待いたしております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 現在もそういう形にはなっているかと思います。ただ、やはり県の判断ということで、また昨今の、越谷においては、ある意味大変局地的なこと。大島もそうですけれども、全島が被害に遭っているわけではない。当然、観光客も受け入れられる。そういったところで起きることでありますが、その場合は、市役所また町役場の機能も生きるということもございます。

 そういった場合には、ぜひ、より住人、被災者に近い、基礎自治体である市町村の意見というものをより重視できるような、そのような地域分権、地域主権の時代に合った認め方というものを早くしていただきたいなという思いで質問させていただきました。大きくうなずいていただいたので、気持ちは一緒かと思っております。ありがとうございます。

 さて、本当に多くの災害がございます。また、その際に避難をされたりする場所というのも大変重要かと思っております。農業等、畑等もなくなっていく中で、公園も、ある意味なくなってきているのも事実ですし、時代がわかるんですけれども、「タイガーマスク」の、昔のテレビアニメとか、ちょうど子供のころだったので見ると、子供たちが空き地でいろいろ遊んでいるけれども、今の子供たちは、道路で遊ぶにも、危ないからといってそういった場所もない。

 逆に言えば、昔は、そういったところ、避難をする場所はたくさんあったんだと思います。しかし、そういったものもない中で、都市公園の整備というものは大変注目をされているところでもあります。

 埼玉県は、七百万県民を抱えるとともに、都内での災害に対しても支援を行う、あるいは、代替機能を提供する重要な役割を担うものと考えております。一人当たりの公園整備率は、全国平均が九・九平方メートルに対し、埼玉県では六・六三平方メートルにすぎず、著しく低い水準にとどまっている。

 これは、埼玉県都市公園整備促進協議会の要望書からでもありますけれども、本当にいつ起きてもおかしくない首都直下地震への備えを考えるときに、避難及び支援の両面から、首都圏での放射状並びに同心円状の環状道路も災害対策が重要かと考えております。

 安全に避難できる場所、トイレなどを利用できる場所、また、ふだんはそういうものではないけれども、そういうものに転用ができるように、避難できる場所としての、防災のための公園整備の重要性について御所見をお伺いしたいと思いますとともに、防災機能を有する都市公園の整備が急務となる埼玉県のような実情を勘案していただき、公園整備事業を促進していくべきだと考えておりますが、どのような支援をされていくのか、お聞かせください。

坂井大臣政務官 さきの東日本大震災におきましても、都市公園が、津波被害の軽減、そして復旧復興活動の拠点等として活用をされました。都市公園は、避難地や防災拠点として、市街地の防災、減災に大きな役割を果たすものでありまして、国土交通省といたしましても、その重要性は認識しておって、従来より整備を積極的に推進してまいりました。

 今御指摘をいただきましたように、一人当たりの公園整備率、埼玉六・六三平米ということでございましたが、私の地元横浜は四・八平米でございまして、本当に大都市部はこういったスペースが大変不足をしている、また、都市公園整備の重要性が高い、こう認識をしておりまして、地方公共団体の御要望も踏まえながら、今後とも積極的に支援をしてまいります。

小宮山委員 大変、埼玉以上に狭い面積しかない横浜ということであります。神奈川でやるとどうなるのかなとはちょっと思いましたが、それはおいておきまして。

 でも、今、その用地に関しては、大変取得が難しい部分もあるかもしれないし、逆に、相続と人口減少の中で、住宅街の中での公園用地というのも、取得が容易になっているというのも現実だと思います。ぜひ、このあたり、通告はしておりませんけれども、進めていくことをどうされていくのか、ちょっと御見解を聞かせていただければと思います。

 最終的には市町村の判断かとは思いますけれども、国交省として、このあたり、どのように有効に、空き地になってしまう、場合によっては空き家対策の後の問題かもしれませんが、このあたりの御見解があればお聞かせいただければありがたいんですが。

坂井大臣政務官 御指摘の点、特に用地の取得は大変難しい問題でございますが、一つ、国土交通省におきまして、今まで都市はどんどん広がっていったわけでありますが、人口減少社会を迎えるに当たりまして、これから都市がどんどんコンパクトになっていくということで、その方向性も今、審議会等で検討を始めたところでございますので、それらとこれらの問題も検討しながらうまく合わせていければ、このように考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、マンション等、また、公共のところや民間のところにおきましても、備品を整えることができるような法案等も通っております。今後、緑地をふやす、マンションなど大規模な建物のところに、こうやって防災機能を備えた、一般の方も入れるような、そういった空間をつくれるような、推進できるような、そんな施策もぜひつくっていただきたいというふうに思っております。

 さて、私のメーンテーマかもしれません、下水道絡みになります。

 九月、私の地元の隣にございます、埼玉県川島町にあるG&U技術研究センターを訪問させていただきました。

 この研究所は、下水道マンホールの技術革新のため、検証、評価、研究を行う民間の施設であります。民間企業など三社により設立されており、通常、工業試験場で行われるマンホールふたの検査等を事業として行っている、世界的に見ても珍しい研究所と伺っています。

 下水道での逆流や流量の増大などによりマンホールのふたが飛び上がるのを防ぐように設計されたふたの性能試験や、車両による摩耗の状況を検査する耐久性の試験などを見せていただきました。

 東日本大震災では、首都圏においても、沿岸部や低地部分の一部において液状化によるマンホールの浮上現象が発生し、下水道の機能に支障を来すとともに、円滑な交通確保が困難となって、また、地域防災計画に位置づけられている緊急輸送道路は、地震時の避難、救助、生活支援物資の輸送路として重要なものでもあります。緊急輸送道路に埋設されている下水道マンホールの耐震化を早急に進め、液状化による浮上を生じないようにしなければならないと考えております。

 また、マンホールのふたが外れて人や物に当たる、あいた穴に人が落下するというようなこともありますし、管渠が崩れますと、トラックの片側が入ってしまうような、そんな大きな事故も実際に起こったようであります。

 今までも下水道の老朽化管渠の破損について質問をしてきました。近年、下水道の管渠に穴があく道路陥没事故など、多数発生していると伺っております。最新の発生件数の状況や取り組み状況などについて御説明ください。

 あわせて、緊急輸送道路におけるマンホールの浮上防止対策のため、耐震化促進事業について、より積極的に取り組むべきだと考えますが、この点についてお聞かせください。

岡久政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、下水道管渠に起因した道路陥没でございますが、こちらは平成二十四年度でありますが、全国で年間約四千件発生しております。その内訳ですが、約九割は大体五十センチ未満の小さな陥没ということであります。

 また、この下水道管渠に起因した陥没が発生した場合には、下水道管理者である地方公共団体が道路管理者と連携をしながら早急に応急復旧を実施するなど、適切に対応しているところでありますが、今後は、道路陥没を未然に防止するため、下水道管渠の長寿命化対策を推進する必要があると考えております。

 このため、国土交通省では、平成二十年度に下水道長寿命化支援制度を創設しておりまして、地方公共団体が実施する下水道長寿命化計画の策定でありますとか、必要な点検、調査、それから、管渠の内面をライニングするなどの長寿命化対策を推進しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地方公共団体における下水道管渠の老朽化対策が一層進みますように、技術面などでの支援を行い、下水道管渠の老朽化対策に万全を期す所存でございます。

 それから、次に、下水道マンホールの浮上についてでございますが、地震による地盤の液状化に伴いまして、地盤内の地下水圧が高くなることにより、比重の軽い構造物やマンホールが浮き上がるというものであります。

 マンホールの浮上防止対策につきましては、平成十六年の新潟県中越地震等での被害状況を踏まえまして、下水道耐震対策指針を改定しまして、その対策手法を取りまとめてございます。具体的には、マンホール周辺の地盤を締め固めるとか固化するとか、また、マンホールそのものを改造するなどの対策を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、緊急輸送道路下にある下水道管渠やマンホール等の耐震化対策の取り組みが一層進みますよう、防災・安全交付金による重点的な支援を行ってまいる所存でございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 昨今の災害というのは絶え間なく来ているという感じがしてなりません。これは、近年の気象の変化等、さまざまなことが要因だと思います。TEC―FORCE初め各省庁も頑張っていらっしゃいますが、常に出続けているということにおいては、災害に対する国の備えというものも根本的に考え直さなければならない時期かと思っております。

 絶え間なく来る災害に対して、大臣、最後に一言、決意などをお聞かせいただければと思います。

古屋国務大臣 日本は災害が多い国ですけれども、過去の教訓で全てそれを乗り越えてきました。今後とも、国土強靱化の視点に立って、災害に強くてしなやかな国、地域づくりに全力で取り組んでいきたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

坂本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 災害対策に関する件、特に南海トラフ地震及び首都直下地震に係る地震防災対策調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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