衆議院

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第5号 平成25年11月8日(金曜日)

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平成二十五年十一月八日(金曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 坂本 剛二君

   理事 うえの賢一郎君 理事 北村 茂男君

   理事 原田 憲治君 理事 福井  照君

   理事 盛山 正仁君 理事 三日月大造君

   理事 山之内 毅君 理事 石田 祝稔君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      伊東 良孝君    石崎  徹君

      泉原 保二君    岩田 和親君

      大見  正君    神山 佐市君

      木内  均君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    小林 鷹之君

      笹川 博義君    清水 誠一君

      薗浦健太郎君    竹下  亘君

      長島 忠美君    林  幹雄君

      藤丸  敏君    松野 博一君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      湯川 一行君    吉川  赳君

      黄川田 徹君    篠原  孝君

      寺島 義幸君    中川 正春君

      吉田  泉君    今井 雅人君

      田沼 隆志君    宮沢 隆仁君

      伊佐 進一君    濱村  進君

      樋口 尚也君    井坂 信彦君

      佐藤 正夫君    高橋千鶴子君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   議員           井林 辰憲君

   議員           二階 俊博君

   議員           林  幹雄君

   議員           林田  彪君

   議員           福井  照君

   議員           石田 祝稔君

   国務大臣

   (防災担当)       古屋 圭司君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           室田 哲男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     薗浦健太郎君

  神山 佐市君     八木 哲也君

  長島 忠美君     石崎  徹君

  藤丸  敏君     岩田 和親君

  松野 博一君     小林 鷹之君

  中川 正春君     篠原  孝君

  上野ひろし君     田沼 隆志君

  濱村  進君     伊佐 進一君

  佐藤 正夫君     井坂 信彦君

  小宮山泰子君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     長島 忠美君

  岩田 和親君     藤丸  敏君

  小林 鷹之君     松野 博一君

  薗浦健太郎君     井上 貴博君

  八木 哲也君     神山 佐市君

  篠原  孝君     中川 正春君

  田沼 隆志君     上野ひろし君

  伊佐 進一君     濱村  進君

  井坂 信彦君     佐藤 正夫君

  鈴木 克昌君     小宮山泰子君

    ―――――――――――――

十一月八日

 防災・減災等に資する国土強靱化基本法案(第百八十三回国会衆法第一八号)の提出者「二階俊博君外十二名」は「二階俊博君外十一名」に訂正された。

 首都直下地震対策特別措置法案(第百八十三回国会衆法第四三号)の提出者「二階俊博君外十五名」は「二階俊博君外十六名」に訂正された。

十一月八日

 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(二階俊博君外十六名提出、第百八十三回国会衆法第二八号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(二階俊博君外十六名提出、第百八十三回国会衆法第二八号)

 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(二階俊博君外十六名提出、第百八十三回国会衆法第二八号)の撤回許可に関する件

 災害対策に関する件

 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、二階俊博君外十六名提出、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案につきましては、第百八十三回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官日原洋文君、消防庁国民保護・防災部長室田哲男君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君及び防衛省運用企画局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたい、こう思います。

 まずもって、提出されました法案につきましては、減災、防災の立法でありますので、そしてまた、被害を最小限にするということは、事後の復旧復興に、これは大きな負担の軽減になると思いますので、賛成の立場であります。

 私も東日本大震災の被災地岩手県の人間でありますので、ちょっと東日本大震災に関連して幾つかお尋ねいたしたい、こう思っております。

 まず初めに、南海トラフ巨大地震の被害想定について、事務方から御答弁いただけますか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ巨大地震の被害想定におきましては、地震動、地震がどこで発生するかとか、津波がどのようなパターンで起こるか、季節、時間帯がどのような場合か、あるいは津波からの避難行動はどうか、風速はどれぐらいかなど、さまざまなケースを想定して、一定の仮定のもとに推計を行っております。

 その中で、被害が最大のものといたしましては、死者数が約三十二万三千人、全壊棟数が約二百三十八万六千棟となってございます。

黄川田(徹)委員 今答弁を受けたのでありますけれども、それでは、東日本大震災の被災の実態といいますか、それについて重ねてお尋ねいたします。南海トラフとの比較を加えてお願いいたします。

日原政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災におきます主な被害は、死者数が、行方不明者を含めまして約一万八千八百人、全壊棟数は約十三万棟でございます。

 その前提となります地震の規模でございますけれども、南海トラフ巨大地震がマグニチュード九・一を想定しておりまして、東北地方太平洋沖地震、東日本大震災の原因となりました地震のマグニチュードは九・〇でございますので、やや大き目の規模を想定しております。

 この地震で想定されます最大の被害につきましては、東日本大震災と比較いたしまして、津波による浸水面積が約一・八倍、死者数が約十七倍、全壊棟数が約十八倍となってございます。

黄川田(徹)委員 今お話しのとおり、想定される南海トラフは、東日本大震災を大きく上回る被害を想定されております。

 東日本大震災は、全国レベルで、死者・行方不明者二万人、これは関連死の方々も含めてでありますけれども、それから岩手にあっては六千人、私の地元の陸前高田市にあっては一千八百人であります。

 そして、間もなく発災から二年と八カ月であります。社会資本の整備につきましては、平成二十五年度、復興の本格化ということでありますけれども、つい先日も、地元岩手の釜石の方で、土地区画整理の事業の着手ということであります。二年半以上かかって、土地区画整理事業への着手ということであります。

 御案内のとおり、阪神・淡路大震災は、地震本体と火災の被害といいますか、その瓦れきを処理すれば、そこに住宅再建、あるいはまた商店街を形成できる、こういうことなのでありますけれども、津波でやられるということは、浸水区域には住めないということで、そのための高台移転の土地の確保、これが最も大変な仕事の一つであります。

 もちろん復興庁も、これまでの制度設計の中で、土地収用法の制度、あるいはまた相続とか不在者の関係の財産管理人制度、さまざまな手だてを加えて加速化に頑張っておるところでありますけれども、東日本大震災の規模の震災でも、二年半かかって区画整理の着手ということであります。

 そうなると、法律は、起こった後の対応という法律ではないのでありますけれども、南海トラフの復興ということは大変な仕事になると思います。東日本大震災もそうでありますけれども。

 瓦れきの処理につきましては、来年の三月までにほぼ一〇〇%できるということでありますけれども、多分、太平洋ベルト地帯あるいはまた和歌山、四国など、瓦れきの量なんというのは、東日本の中山間地、過疎地と違って大変な量になると思いますし、それから住宅の再建もこれは並大抵のことではないと思っております。

 そしてまた、今一番問題になっているのは公共団体の復旧復興のための事業に係る土地の確保、これが一番難儀しているところであります。事業に着手するためには、関係者に事業着工のための同意書をもらわなきゃいけない、北海道から九州までだけではなくて、さらに海外までということもあり得るわけであります。

 それで、現実に、個別具体の法律をつくればいいのでありますけれども、その部分では、復興特別委員会の方で、野党四党から議員立法を出しておるのではありますけれども、南海トラフの発災後の復興復旧の中で、土地の権利関係あるいはまた土地の取得の部分で、大胆な発想といいますか、これまでの制度設計にとらわれないような形で物事を考えていかないと、我々も三年待って、私も仮設に入っておりますけれども、五年目で抜けられるのが、もしかすると、このままの制度設計だと十年とか、それでは応急仮設住宅になりませんよね。応急というのは、あくまでも半年とか一年とか、そういうことでの応急だと思っております。応急仮設住宅ということで、仮設住宅の前に応急がついていますから。

 すぐさまこの制度設計をどうするかという議論にはなりませんけれども、その辺の認識を、古屋大臣それから提出者の方から何らかの認識等をお尋ねいたしたいと思います。それぞれからお願いいたします。

古屋国務大臣 黄川田委員におかれましては、御身内も犠牲になって、この東日本大震災の被害の恐ろしさ、十分に実感をされておられます。そういった黄川田委員からの御質問でございます、誠意を持ってお答えさせていただきたいと思います。

 まず、こういった大震災が起きたときに、土地の所有者なんかが行方不明になりますと、結局、用地取得がままならないという状況は、東日本でもそうでございましたし、今御指摘の南海トラフでも、仮に起きた場合はそういうことの危険性があるというふうに思っております。

 東日本からの復興に当たっては、もう委員御承知のように、関係省庁の連携とか、自治体の用地取得の事務の支援をしたりしておりますけれども、用地取得を円滑に進めていくためには、不動産登記法十四条地図と言われるものを、特に都市部とか住宅の密集地だとかこういったところは、十数年前に都市再生本部で整備をしていこうという取り組みをしております。今、実はDID、人口集中地区、デンスリー・インハビテッド・ディストリクトというんですか、ここが大体、平均がまだ二三%なんですね。十数年前は数%でしたから、少しずつ進んではきていますけれども、やはりこれを上げていくということで土地の権利関係についてしっかり対応することができる。だから、この取り組みをまずしていくということは非常に大切だというふうに思っております。

 全体的にも、全国では五〇%前後というふうに承っておりますので、この数値をまず上げることだというふうに思います。

 その上で、個人の権利と公益とのバランスというのを十分に、やはり法上の絡みもありますので、考えていかなきゃいけないということでございますけれども、東日本震災のこの土地の取得、そういったものがなかなかうまく機能しなかったということの教訓を踏まえて、これから適切に対応するにはどういった仕組みがいいのかということも含めて、しっかり検討していきたいと思っております。

二階議員 当委員会におきまして、昨日参考人質疑を行っていただき、きょう本格的な議論に入るわけでありますが、今大臣もお述べになりましたように、黄川田先生におかれましては、この東北の大災害によりまして、御家族の皆さんや関係者の皆さん、言葉に言い尽くせぬような御苦労といいますか、本当に胸が締めつけられるようなことを私どもはずっと感じておりましたが、きょう、先生から前向きな御提言とともに重大な問題について御指摘をいただいた。

 きのうの参考人質疑で東京都の区長会の代表であります西川太一郎荒川区長が切々とお述べになったことは、人が住んでいない住宅の場合、そこがやられた場合、それを取り除かなければ町の復興はできないということ、これは、災害地であろうがなかろうが、全国同じような問題が横たわっておる課題だと私は思います。これは、エンドレスで、解決の道がなかなか難しい。

 きのうも言われておったのは、東京都に住宅があるんだけれども、本当に持っている人は佐賀の人だ、あるいは京都の人が権利を持っておると。あちこち行っている間に解決のつかないような問題になっている。これに対して、今先生が御指摘になりましたようなことで、復旧復興事業、あるいは災害を防止するための新たな区画整理等を実行していく上において、新しい法律が要るのではないかというお話がありました。

 私も、傍聴席でお話を聞きながら、このことは大変大事なことだというふうに認識をいたしております。このことに対して新しい法律が必要かどうか等、政府の意見等も十分聞き、各党の御意見等も十分すり合わせた上で、本当の意味での前向きな対応をしていきたいというふうに思っております。

 南海トラフ地震が発生した場合には、被災地域において同様の問題が生じることは当然想定されるわけですが、これに対して、今後、必要な対策について、先ほど申し上げましたように、政府と一緒になって考えていきたい、そして全党で御相談を申し上げたい、このように考えております。

黄川田(徹)委員 今大臣の方からは、西の方が多分、国土調査といいますか地籍調査がおくれている。特に都市化になっている部分はおくれている部分があると思いますので、まず、被災すると境界がわからなくなるとか、復元するためのしっかりとした地籍の調査がなされていないと大変なことになるということがありますので、これもまた、防災、減災のための次善の策ということで進めていかなければいけないと思います。

 それから、亡くなった方が多いので、相続登記なんですよね。もちろん弁護士とか司法書士会からのお手伝いをいただいてしっかり頑張っているんですけれども、それでもなお登記未了の方がたくさんいるということです。それで事業に着手できないということ。さまざま課題があります。

 今、二階先生から、超党派でしっかりと考え方を共有していこうということでありますので、それはそれでまた次の課題にしていきたいと思います。

 時間が少なくなっておりますので、簡潔に、次に移りたいと思います。

 実は、十一月五日を、今週なのでありますけれども、津波防災の日ということで、我々国会議員が、二〇一一年六月、津波被害からの国民の生命、身体、財産の保護を目的に、津波対策の推進に関する法律でこれを制定したわけであります。

 二階先生のところといいますか、和歌山の「稲むらの火」の物語、これなんかは、国語の教科書、あるいはまた社会科の副読本として知れ渡っておるわけであります。しかしながら、我々が制定したこの日が全国に周知されているかというと、ちょっと、まだできたばかりかなというところがあるのでありますけれども、この津波防災の日についての国の取り組み状況についてお尋ねいたします。

古屋国務大臣 委員御指摘のように、法律に基づきまして十一月五日を津波防災の日と定めていますけれども、果たしてどれだけの国民が承知をしているか、ちょっと心細い話ですね。多分、この委員の中でも知らなかった方がいらっしゃるんじゃないかと思うぐらい、正直言ってPR不足ですね。

 これは、提案者の二階先生の御地元の浜口梧陵さんの「稲むらの火」という逸話で有名なこの日にセッティングしたわけです。ことしは、十月二十六日に、内閣府が共催をして東京で浜口梧陵さんのシンポジウムを開きましたし、また、九日ですか、これは十一月五日の一番直近の土曜日ということで、茨城県ひたちなか市において、国交大臣が主催で津波防災の日を記念してイベントをやりますけれども、これでも不十分ですね。

 今、黄川田委員が御指摘のように、やはり国としても、この津波防災の日をもっと国民に認識してもらうことは極めて重要だと思っておりますので、私どもとしても、しっかりその取り組みを考えていきたいというふうに思っております。

 特に、先生の御地元は陸前高田市でございますが、陸前高田市におきましては、奥様も含め、御身内も含め、千八百人の犠牲者を出してしまいました。不幸なことでございますが、しかし、実は、津波で亡くなった方が千八百人で、家屋が倒壊をしたり火災で亡くなった方はいないというふうに報告を受けております。

 ということは、津波に対するソフト、ハード両面の対応をすれば犠牲者は出ない、こういうことにつながるわけでありまして、まさしくこれが教訓だと思います。その教訓を国民全員が共有するためにも、この津波防災の日というものをしっかり定めた以上は、その啓蒙、そして津波に対する心の準備、ソフト、ハードの整備をしていく。国を挙げて取り組んでいくべきだと思っておりますので、私ども内閣府としても、委員の御提案をしっかり重く受けとめて対応していきたいと思っております。

二階議員 今大臣からも大変力強い御答弁がなされましたが、私は、この津波の日の制定ということが大事だと思ったのは、浜口梧陵の逸話につながることが大事だからという発想ではなくて、チリ津波が二〇一〇年の二月二十七日に発生しました。当日、私たち自由民主党は全国一斉に街頭演説をしようということで、私の担当は当然、紀伊半島でありました。そこで大勢の人が集まっている中で、きょうは演説は短くして、すぐ逃げてもらうようにしようということを呼びかけたんですが、どう見ても逃げる気配がない。

 そこで、後に調べますと、このチリ津波で逃げてもらいたいというか、逃げなきゃならぬというのが二十都道府県、百八十九の市町村が該当であって、人数にしまして百六十八万人に逃げてほしかったわけでありますが、逃げた人の数は恐らく六万人ちょっとで、三・八%。私は、これを聞いて愕然としました。逃げない姿をちゃんと見てきておるからであります。

 週が明けて、私は、同志国会議員十名ほどの皆さんにお力をかりて、これは津波の日を制定してみんなに呼びかけなきゃ、本当に来たときにはひどいことになるよという話を御相談申し上げた。それから法律、しかし、その法律をつくるのに一年と六日間かかりました。最後のところは全党一致で御協力いただいてこれが成立したことは事実でありますが、これは議員立法でありますから、政府の手はほとんどかりておりません。ですから、政府としても気楽にこの日のことを考えておるのではないか。

 我々は当時、野党の立場で各党をお願いに行脚して、そして皆さんの御協力を得られる、全党の御協力を得られる、容易でないこの法案成立の過程がありました。にもかかわらず、この法律ができて、政府の対応というのは、今先生御指摘のとおり、私は、十分でない、こんなことをしておったらまたやられるぞという感じがするわけであります。

 これは、大臣とも先ほど御相談をさせてもらいましたが、大臣を中心に政府挙げてこの問題に取り組む。そして、小学校あるいは幼稚園、低学年の人たちにも参加してもらって、オール日本でこれにしっかり取り組んで、二度とあのような惨めな災害に遭遇することのないように、教育の面からもしっかりやっていかなきゃいけない。このことを特に私どもの方からもお願いを申し上げておきたいと思います。

黄川田(徹)委員 丁寧な御答弁なので時間がなくなってしまいましたが、一言だけお話しさせていただきます。

 震災の最前線で誰が一番汗をかくか、発災直後からの七十二時間、誰が一番汗をかくかというのは、やはり地元の消防団であります。ですから、消防の中で、常備消防だけでなくて非常備消防、消防団に光が当たっていかなきゃならないと思っております。

 お聞きするところによりますと、自民党さんの方でも地域消防力の強化ということで法案を出しております。今般も、この後、委員長提案の形でこの法案がまとまるような形に進んでおると思いますけれども、国民の安全とか安心に関する部分は、我が党が法をつくったとか、我が党がどうだということじゃなくて、共通課題であると思っております。それから、従来から、離島振興、半島振興、過疎地域の振興等々、みんなで足らざるところを埋め合わせてやってまいりましたので、どうぞ理事の方々にはひとつ頑張ってもらって、いい法案になるようにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

坂本委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 日本維新の会の宮沢隆仁であります。よろしくお願いいたします。

 昨日一日、災害特の委員会に出席して、教授の先生方等からいろいろレクチャーを受けまして、私はかなり引き込まれました。もともと脳外科医という職業で救急医療に従事していたんですが、医者というのは意外と全体が見えていないんですね。きのうの一日の答弁、レクチャー等でかなり全体像が見えてきまして、私は野党ですので、本来なら批判的にならなきゃいけないんでしょうが、この法案に関しては、政治家及び官僚の皆様の三・一一後の尽力と底力にちょっと感服いたしまして、非常に結構な法案だと私自身は思っております。

 それから、きのうのレクチャーで京大の林教授がおっしゃっていた、自助、共助から教育へという、今、二階先生もおっしゃっていましたけれども、まさにこれだろうと私も思いました。

 昨日夜、私自身もいろいろ論文を読みあさっていたんですが、その中でちょっと感じる文章がありましたので、そのまま読ませていただきます。これは、社会心理学で確証バイアスと呼ばれる心理状態についての文章なんですが、関西大学の河田恵昭教授で、この法案にもかかわっていらっしゃった方のようなんですが、ちょっと長いですけれども、読みます。

 「これまで日本で行われてきた防災・減災対策は、災害の被害をなくし、「安全にするための対策」しか考えられてこなかった。しかし人間は、安全を目指して行動すればするほど、都合の悪い情報を排除して安全を確信していく傾向にある。そして、「そんなことは起こらない」「起こったためしがない」と最悪のシナリオを考えること自体を拒否していくのである。その結果、危険性を過小評価したり、いざという時に先入観に囚われて正しい行動がとれなくなるのだ。」この法案の中に流れているのは、この哲学なのかなと思いました。

 そういうわけで、きのうかなり審議されたので、私がそれとは別に質問することを探すのがなかなか大変だったんですけれども、ちょっと二、三、細かい点を確認させていただきます。

 まずは、南海トラフということで、主に日本列島の太平洋側の話が中心になっているんですが、地図なんかを見ますと、日本海側とか東北、北海道の方は余りケアされていないように見えるんです。決してそんなことはないと思うんですが、その辺の、日本列島全体を見渡したときの分析とか想定、あるいは対策等はどのようになっているのかというのをちょっと確認させていただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省の地震調査研究推進本部というのがございまして、そこで、日本海側も含めまして、大きな地震を生む海溝型の地震それから主要な百十の活断層など、日本全国の地震を対象といたしまして、毎年、発生確率及び震度分布の推計を行っております。これは公表しているところでございます。

 それを受けまして、中央防災会議におきまして、これらの地震のうち、特に切迫性が高い、あるいは被害が甚大、広域であるというものを抽出いたしまして、これまでに、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、これは北方領土の方から北海道の東側ということです、それから中部圏と近畿圏の直下地震のそれぞれの地震につきまして、被害想定を行い、国の防災対策の検討などを行ってきたところでございます。

 ただ、先ほど申しました東海地震、東南海・南海地震につきましては、今、南海トラフの地震を想定した被害想定を出していますので、見直しを行っていますし、現在、首都直下地震につきましても見直し作業を進めているところでございます。その余の地震につきましても見直しを進めていく予定でございます。

 なお、日本海側の地震につきましては、先ほどの文部科学省の推計によりますと、発生確率がかなり小さいということで、現在のところはまだ被害想定等は行っておりません。

宮沢(隆)委員 ありがとうございました。

 決しておろそかにしているわけではないということでよろしいですね。自助、共助の啓蒙をしていく、教育をしていくという意味では、結局は全国の問題だと思いますので、私もそんなに心配はしておりません。

 その次は、各市町村、県、国で、連携あるいは協定を結んでいるというお話は聞いたのですが、私がちょっと危惧しましたのは、各市町村同士あるいは県同士で協定なり連携しているその連携の哲学、考え方を、どういう考え方でやっているのか、あるいはどういう連携が行われているのかということを、内閣府としてあるいは国として把握されているのかどうかというのがちょっと心配になったんですね。

 なぜかというと、いざというときに、その連携の内容がわからなければ、国が県、市とどう連携していいかというのはやはり見えてこないだろうと思うんですね。

 よろしくお願いします。

亀岡大臣政務官 今質問にありました地域防災協定、これは市町村間の災害時の応援協定なんですけれども、市町村によって事情がそれぞれ違いますので、今、国としては全体把握はしておりません。

 ただ、四十七都道府県全部で行われており、また、市区町村では、千七百四十二市区町村のうち千六百四十五市区町村、約九四・四%で締結されております。これをしっかり国がデータベース化すれば、何かあったときにすぐに対応できるということは間違いありませんので、今月になってから、内閣府と消防庁で各自治体にアンケートをとりまして、その中身をしっかり把握した上で、災害時に国が一緒になって、何が足りないか、何ができるかということに即時に対応できるようにということで始まったところであります。

宮沢(隆)委員 もう始められているということですので、ぜひこれはよろしくお願いいたします。

 それから、これはジャストアイデアですけれども、私はこの間の委員会でも申し上げましたが、スマホをぜひ活用して、それこそ本当に迅速にできると思いますので、よろしくお願いします。

 それから、またちょっと細かい話になるんですけれども、東名高速、東海道新幹線、これが、多少小さい地震でも、ある一定距離、一キロとか二キロ、完全に分断されてしまう場合もあるだろうと思うんですね。それは、いわゆる壊滅的打撃というわけではないんですが、ただ、経済的には相当な打撃を受けるだろうと思うんです。それに対する選択的な対策というんですか、それから、損害の規模の予測という面で出されているかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました南海トラフ巨大地震の経済被害の想定というのがございまして、その中で、交通寸断による迂回や移動取りやめなどの影響を大胆な前提で推計しております。ただ、これは直接的な影響だけでございます。

 具体的には、道路が寸断される、あるいは新幹線がとまるということに伴いまして、移動そのものを、そもそも旅行だとか荷物の運送をやめてしまうパターン、それから、別のルートで迂回するというパターンに分けまして、それぞれによって機会損失あるいは時間損失がどのように発生するかということを推計したものでございます。

 それによりますと、おおむねでございますけれども、一カ月当たり一兆円ぐらいの損失が推計されるというふうに考えております。ただ、これはあくまで直接的な被害でございますので、サプライチェーンを通じて日本経済全体に与える影響のようなものは想定しておりません。

 それから、対策ということにつきましては、今申しましたサプライチェーンの確保ということにつきまして、各企業に対して、BCPの中できちんと取り組むようにという働きかけを行っているという状況にございます。

宮沢(隆)委員 では、これも想定と対策はある程度できていると考えてよろしいということですね。わかりました。

 それから、これはかなり難しい質問かもしれないんですけれども、南海トラフ地震が起こったときの被害状況を、時間帯とか季節に応じて、コンピューター上で結構なんですけれども、シミュレーションして被害総額を想定して、あるいはそれに対して対策で予算がどのくらいかかるかとか、そこまで可能になっているんでしょうか。そこをちょっとお聞きしたいと思います。

日原政府参考人 先ほどの南海トラフの被害想定を出すときにおきましては、季節、時間帯を入れてシミュレーションする、これは特に、火事が発生しやすいかとか、あるいは避難にすぐに移れるかどうかとか、あるいは、人が、自宅にいるのか町に出ているのかとか、いろいろな影響が出ますので、そういったことを前提に置いた推計を行っております。具体的には、さまざまなケースを想定して、建物被害では四十八ケース、人的被害では九十六ケースの被害量を推計しておるところでございます。

 それに伴いまして、例えば耐震化を進めればどれぐらい被害量が減らせるか、あるいは、先ほど来話題になっております、避難行動を速やかに起こすことによってどのぐらい減らせるかというようなことを推計して発表しておるところでございます。

宮沢(隆)委員 それは、例えばホームページか何かで、普通の国民がホームページにアクセスして、そこへ数字を、朝昼晩入れてとか、そういう形で勝手にシミュレーションできるというわけではないんですね。

日原政府参考人 現在の仕組みでは、そういうシミュレーションができるということではなくて、我々が前提に置いた九十六なり四十八のケースについての結果が見られるようになっているというものでございます。

宮沢(隆)委員 了解しました。そこまでできるだけでもすばらしいことだと思います。

 それから、今度は医療関係のお話になるんですが、三・一一のときもそうだったんですけれども、医療機関は、クリニック、中小病院、大きな総合病院、三つぐらいに分けられると思うんですけれども、それぞれその中にいる医者、看護師が、いざというときにどういう動きをしたらいいかということに関して、なかなかそこまでふだんから認識できている医療従事者というのはそういないように思うんですね。その辺の教育システムがどうなっているかということをまずちょっとお聞きしたいと思います。

神田政府参考人 災害時におきます医療機関の体制についてでございますけれども、これにつきましては、一般の医療機関におきましても災害対策マニュアルや業務継続計画を策定しておくこととされておりまして、必要に応じて、例えば被災が大きくて外来を中断するとか、あるいは、状況によっては、今回の東日本大震災の際もございましたけれども、病院避難をするというような重要な判断について、あらかじめ基準を定めるということとか、職員に周知を図っておくということをやっておくように指導しているところでございます。

宮沢(隆)委員 一般的にはそういうことであろうと思います。

 それで、ちょっとエピソードをお話ししますと、三・一一のときに、私は埼玉の北の方の病院で普通に勤務していたんですが、そのときに手術していたドクターがいるんですね。当然、麻酔科医とか看護婦さん、患者さんは麻酔をかけられてそこに横たわっている。それで、私が真っ先に見に行ったのはその手術室だったんです、私は外来をやっていましたので。整形外科の医者が手術をやっていて、相当揺れたんですね、埼玉の北の方でも。患者さんは麻酔がかかっていますので、そのときに例えば手術室が崩れたら、もうそれで終わりなわけです。私自身も、どうしたらいいんだろうとそのときは思ったんですが、その手術をやっていたドクター自身は、麻酔科医も含めて、看護婦さんも、崩れたらもうそこで心中ですと、みんな腹をくくってやっていました。

 恐らく東北地方の病院でも、あれはたしか、地震が起こったのは三時ぐらいですね、そうすると、手術をやっているドクターは相当いたと思うんです。

 医療従事者というのは、基本的に目の前にいる患者を大事にするという哲学で仕事をしていますので、自然にそういう気持ちになるんだろうと思うんですね。

 ですので、それはただの一つのエピソードなんですが、それをいわゆる統率して、采配して、どのように動いたらいいかというのを指示する役目である厚労省とか、あるいは、立川に災害医療センターというところがあると聞いたんですが、そういうところの指示系統というのをできるだけ密にしていただいて、現場にいる医師、看護師等がどのように動いたらいいかという指示をすると同時に、現場にいる人間たちの状況というのを、その瞬間に何が起こっているかというのをぜひ理解はしておいていただきたいと思います。

 それから次に、話がかわりますが、私は、実は防衛医科大学校病院というところに十六年勤務していまして、防衛医大を卒業して、医官としてそこで仕事をしているドクターたちとしょっちゅうつき合っていたんです。

 三・一一のときに、本当かどうかは知りませんけれども、アメリカ軍がトモダチ作戦として東北の方へ動いたのは、もちろん災害救済という意味もあるけれども、北朝鮮を牽制している意味もあるというようなことを言っていたんですね。防衛医官だから、さすが、すごいことを言うなと思っていたんですけれども。

 確かに、やはり南海トラフのような地震が起こったときというのは、もう自衛官等も全部災害の方に振り向けられると思いますので、そのときのほんの短い期間だと思うんですが、いわゆる日本国土の防衛という観点で、どのような対策を練っておられるのかというのをちょっと確認させていただきたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のような、大規模な災害によりまして未曽有の被害が発生するといった場合におきましては、防衛省・自衛隊といたしましても、大規模な部隊集中をいたしまして、災害派遣活動を行うことになるわけでございます。

 一方で、自衛隊は、我が国の防衛を主たる任務としているところでございます。したがいまして、防衛省・自衛隊は、震災対処計画というのをつくっておりますけれども、この計画におきまして、防衛、警備などの状況に対応し得る態勢を維持しつつ、最大限の勢力をもって災害対処に当たる、こういうことになっております。

 具体的には、例えば東日本大震災の際を取り上げますと、平素から行っておりますP3C対潜哨戒機によります我が国周辺海域における警戒監視、それから、全国のレーダーサイトにおきます常続監視、こういうことを含めまして、各種事態への即応態勢を維持しつつ、十万人を超える態勢で震災対応に当たってきたところでございます。

 各種大規模災害が起こりました場合には、救援活動、これは全力で取り組みますけれども、我が国の防衛の任務につきましても遺漏がないような態勢を維持してまいることとしております。

宮沢(隆)委員 大災害時でも、防衛省としては、バランスをとって災害救援と防衛と両方やるということでよろしいですね。わかりました。

 最後の質問になりますが、これは古屋大臣と二階先生、もしよろしければちょっとお聞きしたいんですが、こういう大災害のときに、結局、市町村、県単位では足りないというんですか、恐らく数県が一緒になって対応しなきゃいけないというようなことになるだろうと思うんです。

 そのときに、最近ちょっと国会でも余り話には出ないんですが、道州制というものを将来見据えて、いわゆるこれは私のアイデアなんですけれども、多極化と申しまして、東京都にかわるような極が、別に大阪だけじゃなくて、日本全国、例えば十カ所ぐらいにあってもいいんじゃないかと私は思っているんですね。そういう発想で、そこに広域防災という哲学を入れて、日本のあり方をこれから考えていってもいいんじゃないかなとちょっと個人的に思っているんですけれども、そういう考え方に対していかがでしょうか。

古屋国務大臣 防災という視点から考えますと、やはり統治機構がどういう統治機構であっても、先ほど亀岡政務官からも若干答弁をさせていただきましたけれども、しっかり情報を共有する、それから、今は都道府県、市町村の統治機構ですから、そういった枠を超えて、しっかり横串の連携をしていくということが大切ですね。

 今、それをやっています。実は、市町村の実際の協定内容は我々は承知していなかったので、十一月六日に、全部それを調べろと私は指示したんですけれども、それは、今度の大島の災害等々、やはり市町村によっていろいろ取り組みにばらつきがある、だったら、やはりしっかりその辺は我々内閣府としても認識しておく必要があるという視点でそういう取り組みをさせていただいております。

 したがって、どういう統治機構であっても、そういう連携ができるようにしていくということが非常に大切だ。もし、将来、道州制というものがしかれるということになれば、その道州制の統治機構に見合った形でそういう連携をしていくということが大切だ。

 防災の視点というのは、どういう統治機構にするかじゃなくて、どうやって連携をして、有効に、適切に機能するかという視点に着目して取り組むべきだというふうに考えています。

二階議員 ただいまの先生の御提案は、医学というか専門の分野からもお考えになられて、私はすばらしいアイデアだと思います。

 これにどう具体的に対応していくかということは、やはり道州制という制度そのものよりも、どのエリアに災害が発生するかということは、道州制の枠に沿って災害が発生してくるわけではありませんから、そこらのところは臨機応変に対応していかなきゃいけませんが。

 常日ごろから、隣県、あるいはその次の県あたりとの連携というのはしっかりやっていかなきゃいけませんし、最近の私たちの経験によりますと、米軍のトモダチ作戦、沖縄へも行っていろいろ調査をしてまいりましたが、トモダチ作戦等との連携においても、常日ごろからの連携がなければ、災害が起こって、トモダチ作戦来てくれるだろうかなんてじっと待っているようなことでは、その間にとうとい命を失ってしまうことになる。

 私は、先生も御承知のとおり、災害が発生して人が助かるかどうかというのは三日間だと思うんですよ。その三日の勝負をどうするかというときは、事前の、日ごろの対策ができていなければ、私は、知事といえども、市町村長といえども、対応のしようがないと思うんです。

 その点を、今度の国土強靱化ということの議論を通じて、災害に対してどう向き合っていくかということに大方の国民の皆さんの御参加をいただく、御協力をいただく、そのことが一番大事じゃないかと思っております。

宮沢(隆)委員 含蓄ある答弁、ありがとうございました。

 これで終わります。

坂本委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 まず、質問に入る前に、この法案に対しては賛成という方向で御質問させていただきたい、このように思っております。

 そこで、まず二階先生にお尋ねをしたいんですが、今もこの議論がいろいろありましたけれども、再度、この法案に対する二階先生の思いを、通告はしておりませんでしたけれども、聞きたいと思いますので、よろしくお願いします。

二階議員 私自身は乏しい経験ではありますが、阪神・淡路地震等におきましても、発生当時から、また発生当日現場に赴いた経験からしまして、災害の悲惨なこと、本当にもう筆舌に尽くせぬものがあるわけでありますが、東日本大震災におきましても多くの犠牲者を出した。

 こうしたことに基づいて、私どもは、常日ごろからの対応、そして、転ばぬ先のつえといいますが、事前に対応しておかなければどうにもならない。そういうことからすると、多くの皆さんの御理解や御協力をいただいて、これに対する備えをしておくことが大事だ。

 この点につきまして、広く国民の皆さんの御理解をいただきながら、国会において立派な法律をつくってそれに備えるということが大事だというのが、このことを考えついた最初でありますが、きょうこうして各党の御理解をいただいて御審議をいただくということ、坂本委員長を初め関係の委員の皆さんにも心から敬意を表しながら、この審議に参加をさせていただいております。よろしくお願い申し上げます。

佐藤(正)委員 この災害特の委員会でも私も何度か質問に立たせていただいたんですが、古屋大臣にもいろいろな観点から御質問させていただきました。きょうも質問が出ましたけれども、消防団の問題もさることながら、教育が大事であるということも、古屋大臣からも答弁をいただきました。

 先ほど、教育の問題については、やはり幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校、常にこの災害に対する意識を植えつけなければ、災害が起きたときはいろいろ騒ぐんですが、日にちがたってくるとどうしても忘れてくる。これはやはり常日ごろの教育の中でしっかりと防災教育をやることが必要ですということを、古屋大臣とは共有をさせていただいたところであります。

 そこで、教育もそうですが、今のお話でいきますと当然予防も大事なんですが、この問題も災害特で質問させていただきましたが、今現在ある施設のいわゆる点検、これもしっかりやっておかなきゃいけない。ところが、どうもその部分が少しおろそかになっているようであります。この辺も踏まえて、今後しっかり取り組んでいただくように、またこの法案の中にも、でき得ればそういう観点も入れていただきたいと思います。

 例えば、具体的に言いますと、この法案の中で、基幹的広域防災拠点というのがありますけれども、現在できているところもありますが、九州においてはその拠点をどのようにお考えになっているのか、その辺、お答え願いたいと思います。

林田議員 災害は時間の関数でいろいろな対応が必要だということは、御案内のとおりです。起きた瞬間は、自分の身は自分で守る。そして、周り、近辺と一緒になって、共助の精神でお互いにやる。その後、時間の関数で、応急復旧、緊急復旧、それぞれございます。それには、御案内のとおり、拠点が必要だということは当然でございます。

 それぞれの地域の中で、本法案では広域の協議会を設けるという形をとっております。そのような、関係知事、市町村、あるいはそれぞれの国の出先機関等も含めまして、あるいは民間も含めて、全体でその地域をお互いに広域的に見ていこうという中で、九州のお話がございましたけれども、私も九州出身でございます。

 ちょっと九州出身じゃない方はぴんとこないところがあるかもしれませんけれども、御案内のように、南海トラフ地震、日向灘沖も想定しております。そうなりますと、九州で被害が大きいのは、各県それぞれあるんですけれども、特に大分、宮崎ということになろうかと思います。

 そうなりますと、宮崎、大分についての、いろいろな災害に対応してのあれはスピードでございますので、時間との関数で、スピードをいかにやるかということになりますと、当然、被災を受けていない地域。

 私、熊本出身でございますので、実はこれは熊本県等も、共助の精神も含めて、九州の中央に位置する熊本空港のレベルアップ、機能アップ、あるいは熊本と大分、熊本と宮崎というような、高規格道路も含めてのいわゆるスピードアップ、これを考えての、今まだミッシングリンクでつながっておりませんけれども、ここについても、両県それぞれ協議会をつくってやっておるというようなことでございます。

 つきまして、国、地方挙げての、そういう全体での協議会を通じての拠点整備については努力していかれるというふうに期待しております。

佐藤(正)委員 私は、九州出身でございまして、福岡でありますけれども、今回の南海トラフの被害の想定を見ますと、本当に宮崎、大分というところが津波の影響がかなりあるということであります。

 では、そこに例えば七、八メーターの津波に対応する防波堤をつくるとする。しかし、よく考えなきゃいけないのは、宮崎、大分というのは、あの景観で、観光業でしっかり支えている地域でもあるんです。そうすると、海岸べりに七、八メーターの防波堤がだあっと建つ。これは、逆に言えば宮崎、大分の魅力を損なってしまうわけであります。

 そういう点で、例えば中央防災会議がいろいろなことを決めても、その地域地域の特性、確かに命とどっちを大事にするのか非常に難しいかもしれませんが、そういう部分においては、地域の声、地域の情勢がしっかりと反映できるような連絡協議会というんですか、これは、法案を見ますと、事前に都道府県、市町村にもお伺いをするというふうにはなっておりますが、えてして、中央から決まったものがどんと来て、例えば今、東北で、岩手なら岩手で、数キロにわたって十数メーターの防波堤がつくられている。では、宮城はどうなっているか。宮城は一部分連続をしないところもある、そういう状況なんですね。だから、その辺のコンセンサスを今後どのようにとっていこうとされているのか。

 先ほどは道州制の話がありましたけれども、大きな災害は州ではできないと思います。これはやはり国がしっかり見ていかなきゃならない。しかし、今言ったような地域の実情をどのように反映するのか、これは非常に難しい問題だろうと思いますが、いかがお考えでしょうか。

石田(祝)議員 道州制につきましては、我が党も、二〇一三年の政策で重点政策、こういうことで入れております。

 それで、この災害対応につきましては、今回我々も法案を提案させていただいておりますけれども、国家の存立にかかわるとか、危機管理、こういうものについてはやはり国が責任を持たなくてはならない。

 しかし、では具体的に、今先生がおっしゃったように、それぞれの地域で工夫する余地はないのか、これは当然考えていかなきゃいけないことだと思いますので、この法案においても、都道府県、市町村また関係行政機関が地域の協議会を設けて、いろいろなことがその地域の中で工夫できる、防災訓練等も含めて書かれておりますので、こういう協議会を効果的に使っていただくということも一つの考え方ではないかなというふうに思いますので、ぜひ、そういう点もよろしくお願いをいたしたいと思います。

佐藤(正)委員 時間が参りましたので質問を終わりますが、大きな問題点になると思いますので、ぜひ注視していただきたいと思います。

 終わります。

坂本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二階先生初め提出者の皆さん、大変御苦労さまです。

 また、きのうは、参考人質疑で大変貴重な御意見をいただいたと思っております。法案審議だけではなく、これからの行政の中でさまざまな形で生かしていければいいな、このように思っております。

 早速質問に入らせていただきますけれども、まず、提出法案が現行第四条を削除した理由についてというふうに、私、お願いをしております。

 現行第四条、その現行というのは、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、これがもとの法案になっているわけですけれども、南海トラフということでエリアがかなり広くなったわけであります。

 その中に、第四条で地震防災対策強化地域との調整ということで、ちょっと長いので省略して言いますけれども、観測及び測量のための施設等の整備が図られて、予知に資する科学技術の水準が向上することにより、大規模地震対策特別措置法の第三条第一項の規定による東南海・南海地震に係る地震防災対策強化地域の指定を受けることとなったときはこの指定を解除するというものがあります。

 つまり、今までは、大規模地震対策特別措置法というのは、予知がある場合というふうな、今読み上げた部分があるために、全国どこでも予知が可能になればこの措置法が使えるわけですけれども、実際には東海地震しか予知が可能だというスキームになっていないということがございました。

 今回ここを丸々削除したということの意味を伺いたいと思います。

林田議員 現行の第四条は、御案内のとおり、平成十四年に提出されました東南海・南海地震防災対策法に基づく地震防災対策推進地域というふうにしております。事前に地震の予知に資する科学技術の水準が向上することにより、我々は大震法と言っておりますけれども、これは昭和五十三年にやったものですが、要するに、このときは、南海トラフのときは推進地域という表現をしていましたけれども、大震法では地震防災対策強化地域という形になっております。

 実は、大震法に基づき指定された強化地域は、十四年に設定した東南海・南海の対策推進地域よりも手当てがちょっと厚いんですね。したがって、両方とも読めるようにということで、実は、厚い方に持っていくということで、現行法の四条は削除というふうにしたわけです。

 今回は、御案内のとおり、改正法の第三条に指定される南海トラフ地震防災対策推進地域については、避難場所への経路の設置とか、事業としてより手厚くやっております。御案内と思いますけれども。

 したがいまして、大震法で見られる部分も生かそう、なおかつ、南海トラフ法で出した方も両方とも併用できるようにということで、若干法案の作成テクニック上の事案だ、そういうふうに思っております。中身はより細やかにやるという精神でやっております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 大震法より手厚いんだとおっしゃっていただきましたので、そうであれば、ここの部分では理解をいたしました。

 私は二〇〇三年に国会に上がってきたわけですけれども、その年にちょうど宮城県北部連続地震がございまして、その後、いわゆる日本海溝の特別措置法、この東南海・南海に倣った形での特別措置法がやはり議員立法で成立をいたしました。

 そうすると、部分的に地震が起きる確率が非常に高いと言われて特別措置法をつくった。その上には大震法がある。ところが、その大震法の下にいろいろな特別措置法が、重要なところがいっぱい出てきたという中で、そろそろ整理をして一番手厚いところにそろえるべきじゃないかという問題意識があったものですから、繰り返し委員会でも質問させていただいたんですね。

 ですから、今回の、東南海の法律をつくったことを通して、私が問題意識を持っていた、全体としてどうなのかということは、また議論していきたいと思っています。ありがとうございました。

 そこで、次に、第十条と第十三条の関係で質問をいたします。

 十条では、津波避難対策特別強化地域を指定して、避難路の整備とか集団移転などの緊急事業計画を策定できる。そしてまた十三条では、津波避難対策緊急事業で定めたいろいろな整備に対して三分の二国庫補助を定めている、先生おっしゃったように、手厚い補助をしているんだということでございました。

 そして、その中身なんですけれども、今ちょっと佐藤委員からもお話があったように、例えば防潮堤、当然、津波対策だから防潮堤というのは誰もが浮かぶことではあるんだけれども、しかし、今、岩手でも宮城でもいろいろな議論をされて、防潮堤の高さがそれぞれ修正をされてきております。やはり住民の議論の中で、海とともに暮らしてきた人たちが、単に高ければいいというものではない、しかし、それにかわる命を守る仕組みをつくりながら、高さは一定に抑えていこうとか、そういう議論がされているんですね。

 そういう観点をどう見るかということと、いろいろな取り組みがあります。例えば森の防潮堤とか、コンクリートではない仕組みがどうかというのがあるのと、それから、今回紹介したいのは静岡県の袋井市というところで取り組まれている人工の山なんですが、命山と呼んでいるそうです。コンクリートだと耐久年限があるんだけれども、これは言ってみれば自然の山をつくるわけですから、江戸時代からあって、ふだんは公園として使えるけれども、避難所としても使えるので、これはいつでも高さは調整できるし、耐久年限はないんだというようなことで、昨年取り組みを始めて、完工されたということです。

 こういうものに対しても当然支援ができるんじゃないかなと思っていますが、お考えを伺いたいと思います。

石田(祝)議員 委員の御指摘は、住民の意見を踏まえた、例えば沿岸住民の暮らしと防災対策の両立、こういう観点が大事ではないかということだろうと思いますが、それはもうそのとおりだと思います。

 そして、今回のこの法律案で提案しております第十条、第十三条、こういうものを使って、住民の暮らしと防災対策の両立、こういう観点の事業については法律上も可能である、このように思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 私も、岩手県の田老町の、万里の長城とも言われた防潮堤を見たり、あるいは釜石市の世界一の湾口防波堤、これらが本当に粉々に壊されてしまったものを見てきた中で、本当にハードも大事だけれども、やはりそれだけではない、いろいろな工夫が必要なんだということもあわせて問題意識として持っておりましたので、そこを本当に踏まえた対策にも支援をしていくということでありがたいと思っております。

 次に、第十六条。これも新設ですけれども、集団移転促進法の特例で措置されている、いわゆる災害弱者施設、高齢者ですとか、乳幼児ですとか、児童、生徒、その他の迅速な避難の確保を図るために特に配慮を要する者が利用する施設についてなんですけれども、これはすごく大事なことだと思っています。

 それで、公立、民間の区別があるのかということを確認していきたいのと、この財政上、金融上の配慮が規定されているんですけれども、具体的にどのような支援が考えられるのか。施設の移転というのは、当然、土地の取得もあり、建てかえの費用もありということで、かなりの財政の負担があるんですけれども、どのように考えていらっしゃいますか。

石田(祝)議員 御質問のありました公立か民間か、この区別は考えておりません。

 そして、財政上、金融上の配慮については、緊急事業計画記載の教育施設、医療施設、社会福祉施設等の災害弱者施設の整備事業に対する予算措置等を想定したものでございまして、具体的な支援の内容は、本法律案の成立後、政府において適切に判断されるものと思っております。

 現時点では、教育施設については、補助制度を用意いたしまして、例えば、公立学校は二分の一、私立学校は設置者負担に対する長期低利融資、また医療施設については補助制度を用意いたしまして、政策医療を担う民間医療機関は三分の一とか、また社会福祉施設等については補助制度を継続し、設置者負担分に対する優遇措置を講じるとか、こういうことも考えられておりますけれども、これは法案成立後、政府にしっかりとやっていただこう、こういうふうに思っております。

高橋(千)委員 ここがやはり東日本大震災でも大きなネックになって、特に土地の問題ですとかありますので、現実に動くように期待をしたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

坂本委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の鈴木でございます。

 限られた時間でありますが、二、三御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 本議題になっております南海トラフ地震に対する地震防災対策、私も、これは本当に緊急を要する、しかも重要なことだ、このように思っています。

 私は、御案内のように愛知県が選挙区でございまして、子供のときに、十三号台風、伊勢湾台風というのに、実は小学校、中学校で遭遇をいたしております。友人も亡くなっておりますし、親戚で被害に遭った者もたくさんいるわけですね。

 十三号台風は昭和二十八年、まだ生まれていない方も結構みえるかもしれませんけれども、死者・行方不明が四百七十八人、全壊が八千六百四戸、そして床上が十四万四千三百棟、そして流失家屋が二千六百十五というようなことです。

 伊勢湾台風は、さらに、三十四年でありますけれども、死者が五千九十八人、全壊家屋が三万六千百三十五戸、半壊が十一万三千五十二ということで、そういった災害を体験して、本当に、震災に対して防備をしていく、準備をしていく、備えていくということは最も必要なことだ、こういうふうに思っております。

 したがって、ぜひ、これを推進するという立場で一、二お伺いをしたいわけであります。

 東日本大震災で本当に多くの方々が犠牲になられ、被害を受けられたわけでありますが、震災復興ということで、いわゆる疑問を持たれるような事業が、被災地だけではなくて全国でも見受けられたわけであります。そこで今、見直しが図られているわけでありますが、今計画においてもやはりその点が、まあ、そういうことのないようにやるんだと言えばそれまでのことでありますが、やはり、あえて、それに対する提案者のいわゆるお考えというものをお聞きしたいということで質問をさせていただくわけであります。

 津波避難対策の緊急事業ということで、この計画の中に何でも盛り込んでしまえというようなことになってはならないというふうに思っております。そして、その間に、これも考えられないことでありますけれども、癒着とか、談合であるとか、いわゆる不適切な事業の発注というようなことがあってはならないというふうに思います。

 そこで、優先度の高くないものや関連性の低いものが事業として紛れ込んでくる可能性について、どのようにお考えになっているのか。そして、今申し上げた、不適切な事業の進め方について、そうならないために、対策としてどのようにお考えになっているのか。その点、賛成という立場でありますが、あえてお伺いをしたいと思います。

二階議員 生活の党の鈴木先生から賛成という意思表示を頂戴して、大変光栄に思います。

 この法律の審議につきまして、私ども、当初、自民党で進めておりました。そして、しばらくして、公明党に御協力をお願いして、自民、公明で成案を得るという努力をしてまいりましたが、正直なところ、国会議員の数にして延べ二千四百人の議員が出席して、六十四回会議をしてまいりました。

 私どもの狙いは、やはり、人の命を大切にする、そして、とうといそれぞれの財産、それをしっかり守っていく、そして、市町村の生活基盤を守っていくということが大事だという観点から、いろいろな対策について協議をし、有識者の意見も頂戴してまいりました。

 そうした上でもなお聞こえてくるのは、これは建設業者に対して仕事のばらまきを意図しているのではないか。真面目にやっておる私ども、本当に二年数カ月にわたって努力をしてきて、関係の著書も四冊も出版して、我々は常にオープンにしてやってまいりました。その者に対する批判としては、いささか度が過ぎておるというか、もっと正直に言えば、憤慨にたえないようなことがしばしばありました。

 ですから、それをしっかり腹に据えて、これからの法律制定後も見守っていきたいと思っておりますから、駆け込みとか、これもついでに入れておけとか、そんな程度の考えで査定をしたり審査をしたりすることのないように、政府に対しても、関係各県、市町村に対しても、厳重に申し入れをしていきたいというふうに思っております。先生の御意見を十分生かして、立派なものにしていきたい。

 そして、二言目に無駄をなくせと。無駄をやりたい人なんというのは、およそ政治家の中にはいないと思うんです。無駄のために何か堤防でもつくっておこうかなというようなばかなことを考える者はいないと思うんです。だけれども、そんなことをしょっちゅう言われてまいりました。

 ですから、我々は、そういうことに対して厳重に注意し、本来の、被災を速やかに復興できるような対策を講じていく。そのためには多くの皆さんの献身的な御努力、御協力が必要ですから、我々はそれを積極的に呼びかけてまいりますが、この法律の一番のみそのところは、内閣総理大臣をトップにして、ずっと各省大臣が参加し、各省大臣はそれぞれ都道府県等とも打ち合わせをして成案を得るわけでありますから、いいかげんなものがそれに盛り込まれるということのないようにすることは当然でありますが、私は、あり得ないというふうに信じております。

 御協力をお願い申し上げます。

鈴木(克)委員 今、二階先生から提出者を代表して、本当にそんなことは絶対あり得ないとはっきりと明言をされたわけでありまして、そういった意味で、国民も注視をいたしておりますし、それだけ非常に大きな法律であるというふうに御理解をいただいて、頑張っていただきたいと思います。

 さて、時間もありませんけれども、私の経験を少しお話しさせていただくんですが、そういった伊勢湾台風、十三号台風で被害を受けた身として、実は私、県議会に今からもう三十年以上前に出たときに、県庁から地図を渡されました。その地図を見ましたら、海岸べりに、赤い線、青い線、緑の線というふうに三色で記載をされておったんですね。最初、私はその意味がわからなかったんです。当時、赤いのが建設省海岸、それから青いのが運輸省海岸、緑が農水省海岸なんです。

 そこで、何が言いたいかといいますと、実は構造も高さも違うんですよ。でも、外海から湾に来る波の高さというのは変わらないわけですね。省庁によって堤防の高さが違うというのが、実は現実だったんですね。

 したがって、これは何が問題なのかというと、やはり縦割り行政の弊害だと思います。今、国土交通省ですから、建設省と運輸省はないわけですけれども、そういうことでありまして、省庁の縄張り争いとかそういったようなことのないように、ひとつぜひやっていただきたいというふうに思います。それは私の体験談というか経験をお話しさせていただきました。

 そこで、質問というよりも、これで終わりますけれども、まさに東日本のつらい体験や経験、教訓を踏まえて、本当に反省をしながら、そういったものを生かして、いわゆる犠牲者を少しでも少なくし、そして被害を少しでも少なくする。そういう意味において、これから国を挙げて大いにこの法律を中心にやっていっていただきたい、このことを申し上げて、私の質問を終わりますが、何か御答弁があれば、お願いします。

二階議員 ただいまの御意見、並びにけさほど来、各党からも大変意義の深い、しかも含蓄のある御質問や御意見の開陳がございました。

 そのようなことを一々精査しながら、理事の皆さんにも御了解を得なきゃなりませんが、この基本法が成立の段階においては、各党から述べられたような御意見を体して、決議のようなものをきっちりそれにつけ加えて、そして、国会の意思というものを内外に示して、単なる法律ではないんだぞということをやはり示しておかなきゃいけない。

 大変勇気を与えられたような気がしまして、しっかり頑張ってまいりますから、御協力をお願い申し上げます。

鈴木(克)委員 終わります。

    ―――――――――――――

坂本委員長 この際、お諮りいたします。

 第百八十三回国会、二階俊博君外十六名提出、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

坂本委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、福井照君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、日本共産党及び生活の党の七派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石田祝稔君。

石田(祝)委員 提出者を代表いたしまして、本起草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 南海トラフで発生する大規模な地震による被害については、これまでの政府による被害想定等から明らかなように、西日本を中心に、東日本大震災を超える甚大な人的、物的被害が発生し、我が国全体の国民生活、経済活動に極めて深刻な影響が生じる、まさに国難とも言える巨大災害になるおそれがあるものと想定されております。

 平成十四年に、議員立法によって、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が全会一致で成立、施行され、これまでこの法律に基づく対策が着実に進められてまいりましたが、このたびの政府の被害想定等により、これまでの想定をはるかに上回る甚大な被害が発生するとされた地域の人々の不安な思いを受けとめ、このような巨大災害に事前に対処すべく、早急に国が主導して効果的な予防対策を実施するため、本起草案を提出するものであります。

 次に、本起草案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、法律の題名を南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に改めるとともに、南海トラフ及び南海トラフ地震について定義を定めております。

 第二に、南海トラフ地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災対策を推進する必要がある地域を南海トラフ地震防災対策推進地域とし、当該地域の指定に当たっては、内閣総理大臣が科学的に想定し得る最大規模の地震を想定して行うものと規定しております。

 第三に、この推進地域の指定があったときは、中央防災会議は、南海トラフ地震防災対策推進基本計画を作成することとしております。

 第四に、指定行政機関の長等は、防災業務計画において、一、地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備に関する事項、二、津波からの防護、円滑な避難の確保及び迅速な救助に関する事項等を定め、これらの事項を南海トラフ地震防災対策推進計画とすることとしております。なお、市町村防災会議は、これらの事項に加え、津波避難対策緊急事業計画の基本となるべき事項を定めることができることとしております。

 第五に、関係指定行政機関の長等は、共同で、南海トラフ地震が発生した場合における災害応急対策等を相互に連携協力して推進するために必要な協議を行うための協議会を組織することができることとしております。

 第六に、内閣総理大臣は、南海トラフ地震防災対策推進地域のうち、南海トラフ地震に伴い発生する津波に対し、津波避難対策を特別に強化すべき地域を南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域として指定することとしております。

 この指定があったときは、関係市町村長は、都府県知事の意見を聞き、内閣総理大臣の同意を得て、一、津波からの避難の用に供する避難施設等の整備に関する事業、二、集団移転促進事業、及び、三、集団移転促進事業に関連して移転が必要と認められる施設であって、高齢者、障害者、乳幼児、児童、生徒等の要配慮者が利用する政令で定める施設の整備に関する事業に関する津波避難対策緊急事業計画を作成することができることとしております。

 第七に、津波避難対策緊急事業に係る特例として、津波避難対策緊急事業に要する経費に対する国の負担または補助の割合の特例等の規定を設けることとしております。

 第八に、津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業に係る特例措置として、一、農地の転用の許可要件の緩和に関する農地法の特例、二、集団移転促進法の特例等を設けることとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。古屋防災担当大臣。

古屋国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものであります。

 政府といたしましては、本法案については特に異存はないところであります。この法案が可決をされた暁には、関係省庁と連携をとりながら、その適切な運用に努め、南海トラフ地震対策を一層推進してまいる所存であります。

 委員長初め委員各位の御指導、御協力を引き続きよろしくお願い申し上げます。

坂本委員長 お諮りいたします。

 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

坂本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 災害対策に関する件調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十八分散会


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