衆議院

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第6号 平成26年10月31日(金曜日)

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平成二十六年十月三十一日(金曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 泉原 保二君 理事 林田  彪君

   理事 平口  洋君 理事 福井  照君

   理事 松本 文明君 理事 泉  健太君

   理事 山之内 毅君 理事 石田 祝稔君

      赤枝 恒雄君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    大岡 敏孝君

      大久保三代君    大串 正樹君

      大見  正君    勝沼 栄明君

      門  博文君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    木内  均君

      工藤 彰三君    笹川 博義君

      清水 誠一君    鈴木 憲和君

      高鳥 修一君    冨岡  勉君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      藤丸  敏君    務台 俊介君

      湯川 一行君    吉川  赳君

      大畠 章宏君    菊田真紀子君

      中川 正春君    吉田  泉君

      柿沢 未途君    鈴木  望君

      浮島 智子君    濱村  進君

      中丸  啓君    西野 弘一君

      三宅  博君    柏倉 祐司君

      山内 康一君    高橋千鶴子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       山谷えり子君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    倉田  潤君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  深澤 淳志君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  畑  浩治君     小宮山泰子君

同月三十一日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     大久保三代君

  武部  新君     門  博文君

  冨岡  勉君     大串 正樹君

  藤丸  敏君     赤枝 恒雄君

  中丸  啓君     三宅  博君

  山内 康一君     柏倉 祐司君

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     鈴木 憲和君

  大久保三代君     高鳥 修一君

  大串 正樹君     冨岡  勉君

  門  博文君     福田 達夫君

  三宅  博君     中丸  啓君

  柏倉 祐司君     山内 康一君

  畑  浩治君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     藤丸  敏君

  福田 達夫君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     武部  新君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策基本法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、災害対策基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官日原洋文君、警察庁交通局長倉田潤君及び国土交通省道路局長深澤淳志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太です。

 きょうは、早朝からの審議、各委員の皆さん、また政務三役の皆さん、御苦労さまでございます。役所の皆さんも御苦労さまでございます。

 本日は、災害対策基本法の一部改正ということで、キーワードとしては、啓開活動、これが主な論点になろうかというふうに思います。

 とはいえ、きょう議論するこの啓開という活動そのものは、災害が起こって直後の動きでありますので、恐らく、ここにおられる国会議員の皆さん、私も含めてですが、実際に啓開活動の現場というものを見たことがないということではないかというふうに思います。恐らくそれは、政務三役の皆さんも同様ではないかというふうに思います。

 そういう中で、できる限り、現場のことを思い出しながらというか想像しながら、さまざまな資料を読み込んで、実態、現場で何が起こっていたのか、また、何が起こるのかということを想定しながら質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、大きな災害でありました東日本大震災、ここでまさに国土交通省と整備局、また民間業者によるくしの歯作戦というものが行われたことは、もう皆さん御存じのことと思います。

 これは、ちょうど今隣におられますけれども、大畠国土交通大臣のときの震災でありましたので、私も改めて時系列で見てみますと、二〇一一年、二時四十六分に地震が発生をし、その三十分後ぐらい、三時二十三分には防災ヘリ、みちのく号というのが仙台空港を離陸して、上空から監視に当たっていたという状況。その後、どんどん被害が拡大をするわけですが、当日の午後五時、十七時には啓開チームが釜石市の地区に到着をする、地元の業者だと思いますけれども、そういったことが記録として残っております。

 さまざまな道路の維持事務所等々が浸水をする中で、国土交通省も七時半過ぎにはTEC―FORCEの先遣隊、これが名古屋から出発をされ、また、各地整から順次現地へ出発するという状況でありました。そして、その震災が起こった当日の夜、十時三十分、二十二時三十分には本省とのテレビ会議で徳山局長からの状況報告があり、大畠大臣より、とにかく人命救助を第一に、局長は政府代表のつもりで全部やってほしいと。そして、その一時間後には、局長からの指示で、啓開によって道をあける、徹夜でその準備をしてほしい、あすからが勝負だ、こういう震災当日のことが書かれております。そして、翌朝からは早速、啓開活動に各地で着手をする。

 当日の半日の間に全て指示を出し、次の日から、夜、恐らく徹夜の状態で準備をして朝から啓開に取りかかったということがここからも伝わってまいります。

 改めてなんですけれども、この道路啓開というものは、これまで、そういった意味では、言葉としても注目をされることはありませんでしたし、私も、会館のパソコンでケイカイというふうに文字を打ってみても、変換されないんですね。ですから、啓発、開発と打って啓と開を出すような、そういう言葉でありまして、余り一般用語としては使われていないものでありました。

 今回の東日本大震災でそれが注目をされたわけですが、これは日常的な、災害での協定が地元の建設業者と結ばれておりますので、そういった災害について、もし発生時には、地元の業者が協力をする、重機と人員を提供するということになっているわけです。

 改めてですが、東日本大震災では、この道路啓開というのは、協定に基づいて、指示、命令がなくても自動的にどこどこの現場に出発するということになっているのか、改めて整備局から具体的に依頼をして出発するということになるのか、お聞かせいただきたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の際、東北地方整備局では、あらかじめ建設業団体と締結した協定に基づきまして、発災直後、整備局から団体の会員に出動を要請することになっておりました。

 ただ、実際は、東日本大震災の際、道路啓開作業、全部で五十二チームで行いましたけれども、二十二チームは、整備局から建設業者に出動を要請し出動していただきました。また、二十三チームは、建設業者が自主的に事務所等に参集していただきまして、そこで要請をさせていただきました。ただ、七チームにつきましては、自主的に作業を開始されました。事後的に出動の要請をしたというのが事実でございます。

 以上です。

泉委員 今のは非常に大事なお話だと思います。

 まさに大災害が起こった際には、本当にそういった意味で協定が機能したんだろうなと思いますが、自主的に出られたチームがあるというのは大変すばらしいことでありまして、私も、いろいろな水害等々が地元で起こった際に業者から聞きますと、事実上持ち出しになるようなケースもあると伺っておりまして、しかし、それは本当に日々のインフラ整備との関連で信頼関係が成り立っているというものでありまして、これからも、災害に応じて地元のチームがある意味自動的に作動するような、そういう空気というか、お互いの意識というものは醸成をしていただきたいな、これからもそうあっていただきたいというふうに思います。

 今お話があった五十二チームでありますけれども、改めて確認ですが、当然、現地で震災が起こっていますので、業者そのものが被災をして、作業につけないケースがあったかどうかということについても確認をしたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、東日本大震災の際、太平洋沿岸における建設業者の方の被災あるいは通信環境の悪化により、実際には連絡がとれないケースもございました。

 以上です。

泉委員 大変端的な御答弁、ありがとうございます。

 そういったケースも当然出てくるわけでありまして、可能な限り啓開活動を行うわけですが、やはり被災地だけでその作業が完結するわけでは絶対ないということで、広域からの協力体制をぜひこれからも徹底していただきたいというふうに思います。聞くところによりますと、東日本大震災を経て、全国各地でも啓開の体制というものを検討している最中だというふうに伺っておりますので、それもぜひお願いをしたいと思います。

 さて、道路啓開作業、実際の啓開というのは、東日本のときでいえば、大きな津波によって、破壊された住宅から車から、さまざまなものが道路にべったりとかなりの厚さで堆積をしているという状態であったかと思うわけですが、この啓開作業、改めて、啓開というのは、一車線を可及的速やかに啓開するのか、それとも両側通行ができる二車線分を啓開することを旨としているのか、そこをまずお聞かせいただきたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の際は、緊急措置として、まずは、救急救命のためのルートとして一車線分の道路啓開を実施いたしました。その後、順次必要な幅員を確保したわけであります。

 なお、首都直下地震の際は、行き帰りのことを考えまして、基本的には、二車線の道路啓開が必要なのではないかというふうに考えております。緊急に実施する場合、とりあえず上下二車線を確保し、周辺の状況等を考えながら拡幅していくということを考えております。

 以上です。

泉委員 これも、実際に東日本の作業に携わった方々のレポートを読みますと、とにかく、まずは一車線分の啓開に全力を尽くしたというレポートがほとんどであります。その後、順次、二車線分を確保していったということが書かれております。

 私も、きょうこの質問をするに当たって、何度か国土交通省なり内閣府からお話を伺いましたが、二車線でやりますということでありました。これは、作業のスピードですとか、東日本でいえば、余震がある中で作業をとめながらやってきたという経緯も考えますと、やはり、一言で言えば臨機応変にやる必要があるだろう。二車線をじっくりやっていくということ以上に、とにかく、人命救助もありますので、まずは一本のルートをしっかりつくっていくということが原則ではないかな。そして、最終形としては、今局長がおっしゃられたように、二車線分確保するということでありまして、ぜひ、その手順が、二車線確保を余り前提にし過ぎて一車線の進捗がおくれるということがないように、当たり前の話かもしれませんが、そのことはお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、道路啓開を行う業者の皆さんとの通信の問題なんです。

 今お話がありましたように、連絡がとれないところもあったということでありますが、恐らく、そもそも、通常の通信媒体のみで、啓開作業に携わる協定を結んでいる事業者だから特段何か別な通信媒体があるものではないというふうに認識をしておりますが、それはそれでよろしいでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災のときの例を申し上げます。

 建設業者と地方整備局の間には、携帯電話あるいは固定電話といった従来の機器のみでございましたので、特別な通信手段は用意されておりませんでした。したがって、通信手段、通信の困難ということが実際生じたわけです。

 委員御指摘のように、実際災害が発生した場合は、道路管理者間、業者の方、あるいは消防、警察、自衛隊等との緊密な連携が必要であると思っております。その辺の通信手段の確保は大変重要な課題だと考えておりますので、これからよく検討してまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

泉委員 ありがとうございます。検討していただけるということですね。

 実は、これは東北建設業協会連合会の方のお話で、協会本部と支部の情報伝達手段の確保は極めて重要ということをおっしゃられております。衛星電話の設置や、災害時でも複数の相手に情報を一斉送信できる電子メールのメーリングリストなどが有効という御指摘もなされております。

 やはり、もう皆さんも御承知のとおり、整備局にたくさんの重機が置いてあるわけではない状況でありますので、そういった意味では、私は、警察、消防、自衛隊と重要性はほぼ一緒か、初期においてはそれ以上の重要性がこの啓開事業者にはあるのではないか。ここがもし動かなければ、まさに自衛隊が重機を持ってこなければいけないわけで、そうすると自衛隊本来の任務もまたおくれるわけで、そこの最も肝心なセクションの一つを民間に委ねているということを我々はやはり大きく認識しなければいけないというふうに思います。

 だからこそ、通信が途絶するようなことがあってはいけないと思いますので、例えばここで出てきたような建設業協会とか、そういったところからでもいいかもしれません、とにかく拠点拠点から通信をしっかりと確保していくということについて、ぜひ御努力をいただきたいと思います。

 そういった意味で、啓開に参加される方々というのは、今お話ししたように、自衛隊や警察や消防と同じか、それ以上の局面で作業をするという話をさせていただきましたが、ここで、配慮しなければいけないと思うことを申し上げたいと思います。

 一つは手当の問題なんですね。

 たまたま、私、防衛ハンドブックというのをこの前読んでいましたら、例えば自衛官であれば、さまざま過酷な現場で作業する際には、当然ながら、日勤の、通常の勤務の給与よりも別な手当がつくということになっております。特に、御遺体を捜索したり、あるいは移送したりということが伴う場合にも、当然ながら、そういった特別な手当が出るようになっております。

 改めて、啓開作業をされた方々にはそういった意味での特別な手当というのはあるでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の際でございますけれども、道路啓開に従事されました建設業者の方へは、作業人数、それから作業時間、機械の稼働時間等を考慮して、適切に支払いを行いました。今委員おっしゃったような特別手当等の割り増しは支払ってございません。

泉委員 もしかしたら、業者によって、業者に応じてというか、それぞれ実際に出勤された方に手厚く渡されたケースもあるのかもしれません。

 そういった意味で、私は、かつて国土交通委員会でも、伊豆大島の水害のときにも、消防団の皆さんが実際そういった作業に携わるんですけれども、消防署員ですとか警察や自衛隊に比べると、そういった過酷な状況における手当がないという話をさせていただいたわけです。

 警察、消防、自衛隊は、当然、公務員ですから、そこら辺は全く問題なく手当てされているんですが、それに関連するというか、ほぼ同じ作業をする方々に対しての手当が私は不十分だと思います。これはかなり個人にかかってくることでもあると思っております。

 もう一つはPTSDの問題ですね。これは、伊豆大島でも消防団員が一人なられたというのがありました。

 体験談を読んでいますと、多くの遺体が発見され、その処理作業も発生した、そのため作業員が精神的ダメージから離職するケースも発生したとして、PTSDに対するケアが必要との指摘を受けたというのが東北建設業協会連合会。そして、仙台建設業協会では、遺体を発見すると作業をストップして自衛隊に知らせる、自衛隊が人力で瓦れきを除去して遺体を収容すると警察がブルーシートをかけて運び出す、現場には消防も立ち会う、建設会社、自衛隊、警察、消防の連係プレーで対応した、作業員の精神的な負担も大きかった、泣き出す作業員もいた、まさに建設業の範疇を超える作業であったということが書かれているわけですね。

 しかし、今繰り返したように、公務員の皆さんにはこういうときの手当、そして心のケアということについてもフォローがあるということですね。そこについてどう対処していくのかということが、私は、やはり国としては求められているんではないかというふうに思います。これは、質問ではなく、提言とさせていただきたいと思います。

 大臣、このように、東日本大震災の実際の啓開活動というのは過酷であり、だからこそ貴重であり、大変大きな力を発揮されたと思います。そういった意味で、今後もさまざまな災害での啓開活動があると思うんですが、今指摘をさせていただいた面も含めて、今後の改善点や決意をお述べいただければと思います。

山谷国務大臣 経験から学び、そして、法改正を含めて具体的に改善をしていく、今、泉委員がいろいろな場面でのいろいろな状況を御質問されて、まだまだ課題が残っているというふうに思っております。

 東日本大震災においては、津波により車両が流され、瓦れきと同様に、車両としての価値が失われた物件が多数発生しました。一方で、中には破損が少なく価値が残存している車両もあり、このような車両については、処分権限や所有者の同意の取得についての取り扱いが明確ではなかったことから、その移動に時間を要したというケースもございました。

 今回の改正によりまして、道路管理者がそのような車両等をみずから移動することができる権限を規定するとともに、やむを得ない限度において破損することも許容され、損失補償規定も設けることとしております。

 これらの法整備によりまして、今後、仮に同様の事態が生じた場合には、より円滑かつ迅速な道路啓開が行えるものと考えております。

泉委員 ありがとうございます。

 ここからは少し、今回の法案について、具体的な点について駆け足で確認をしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。

 まず、今回、そういった車ですとか土地に対する補償ということでありますが、この補償手続は申告制ということでよろしいでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 車両を移動した場合におきましては、国道事務所等の連絡先を明記した掲示物を当該車両や現地に残すことによって問い合わせに対応することとしております。また、車両を移動した際に車両を破損した場合においては、当該車両の所有者等に対し、記録簿等に基づき道路管理者から連絡を行い、補償の手続を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

泉委員 もう一つ、車両といっても、恐らく軽自動車から高級車からいろいろあるわけですし、また、民地についても、この補償の基準というものはどういうものなのか。例えば、近隣の民間の駐車場の値段みたいなものの相場で考えたりするのか。あるいは、土地の値段、土地の価格、地価で大体相場を決めていくのか。その辺の算定基準がどういうものかを教えてください。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 破損した車両や一時使用した民地の補償につきましては、現時点では、既存の交通事故損害算定基準及び国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準等に基づきまして損失額を算定し、補償することを考えております。

 以上です。

泉委員 次に、細かい話なんですが、実際に、例えば、雪害で道路に車が並んでいました、それを移動させなければならない。いわゆる車丸ごと運んでしまう重機であればいいですけれども、例えば、サイドブレーキを解除するということで、車両の窓ガラスを割ってサイドブレーキを解除する、ロックされている車をあけて解除する。窓が割れた車が放置をされると、言ってみれば、傷つけた以上にそれが劣化をしていく。細かい話でありますが、そういうことも考えられる。それが何日間ぐらい放置されるかにもよりますが、そこで雨が降ったりして、中が、内装品がどんどん劣化していく。こういうものも補償の対象になるという考えでよろしいでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正に係る車両の破損した場合の損失補償につきまして、例えば、御指摘のような、サイドブレーキを解除するために窓ガラスを破損したことにより、雨水が車内に入り、車内の装備が損傷した場合につきましても、損失補償の対象となり得るものと考えております。

 ただ、窓ガラスを破損した車両を保管する際には、なるべく車内の装備に劣化が生じないように、道路啓開後において、例えば破損箇所を簡便な方法で塞ぐなど、できるだけそういった運用に努めてまいりたいと考えております。

泉委員 続いては、少し飛ばしますけれども、平時において、運転免許保有者に対して、そもそも、災害時の車の運転のあり方だとか道路上での車のとめ方ということについて広報啓発を行うべきだと考えますが、警察庁、いかがでしょうか。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 災害が発生したときに運転者がとるべき措置につきましては、国家公安委員会が作成、公表しております交通の方法に関する教則、これにおきまして示しておりまして、ウエブサイトを活用するなどして広報啓発を行っているところでございます。

 具体的には、大地震が発生した場合には、津波から避難するためにやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと、車を運転中の場合は、できるだけ安全な方法により道路の左側に停止させること、車を置いて避難するときは、できるだけ道路外の場所に移動しておくこと、やむを得ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せて駐車し、エンジンをとめ、エンジンキーをつけたままとし、窓を閉め、ドアをロックしないこと、駐車するときは、避難する人の通行や災害応急対策の実施の妨げとなるような場所には駐車しないことといった行動を促しているところでございます。

 御指摘のとおり、平時からこうした啓発を行うことは大変重要であるというふうに認識しておりまして、今後とも、運転免許の更新時講習の場を活用するなど、運転免許保有者に対する適切な広報啓発に努めてまいりたいと考えております。

泉委員 今回、主には道路というふうに伺っておりますけれども、例えば、東日本大震災のようなときに、警察署の前の駐車場ですとか市役所の前の駐車場ですとかに大量に瓦れきや車両が流れ込みました、こういうものについての撤去には、今回の法律は使えるんでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正は、災害が発生した場合において、道路における緊急通行車両の通行を確保するための措置でございますので、御指摘のような場合につきましては、今回の改正の対象とはなっておりません。

 ただ、御指摘の場合につきましては、応急公用負担について定めました災害対策基本法第六十四条などの規定によりまして対応することとなると考えております。

泉委員 次は、啓開活動をした場合に、ああいった東日本の場合なんかだと、本当に一面瓦れきが堆積していて、道路をあけるわけですね。そうすると、当たり前ですが、歩道に載せられる分はありますが、民地にもさまざまな障害物が山積みにされるケースがある。あるいは、雪害の場合に、車両を民地に寄せた場合というのはある意味わかりやすいですが、障害物をよけるということで、例えば雪みたいなものですとかも民地に寄せた場合には、それは補償の対象になるのかどうか。

 場合によっては、そこに撤去したものが置かれる期間というのは長いケースもあるような気もするんですね、災害の規模によってですけれども。かなり撤去したものが多ければ、長期間そこに置かれるケースもあるのかなと思うんですが、それはあくまで全額補償になるのか、あるいは補償額の上限があるのかということをお聞かせください。

日原政府参考人 今回の土地の一時使用に関します損失補償につきましては、通常生じる損失につきまして、期間の長さにかかわらず全額補償するということでございます。補償に上限はございません。

 ただ、必要な限度で可能な範囲で使うということですので、むやみに必要な限度を超えて使用するということは当然想定していないということでございます。ただ、使った分については補償する、そういうことでございます。

泉委員 さらにまた細かい話ですけれども、車両について補償の対象となるわけですが、車両その他の物件という書かれ方がありますが、何が入るのかというものを確認したいと思うんですね。例えば、コンテナですとかあるいはバイクですとか自転車、その他の物件というのは何が入るという想定でしょうか。

日原政府参考人 その他の物件、特に限定しているわけではございませんけれども、緊急通行車両の通行の妨害となっているものとして、例えば車両から落下した積載物などを想定しております。

 御指摘の道路上のコンテナにつきましても、その他の物件として、緊急通行車両の通行の妨害となる場合には、移動及び損失補償の対象となります。

 また、バイク、自転車は、車両にそもそも入っていますので車両として対応いたしますけれども、通常は、破損するまでのケースに及ぶことは少ないと思いますけれども、仮にやむを得ず破損した場合には、同じく損失補償の対象となります。

泉委員 少し細かいことを言うと、雪害の場合では、恐らく自転車まで破損するような運び方はしないだろうという想定はできるんですね。ただ、いわゆる自動車については、所有者がしっかりわかっていますので、登録制ですので、それは手続が可能だと思うんですが、東日本みたいな、あるいは首都直下みたいなときに、車両に自転車を含む、あるいはバイクを含むという対応を本当にされるんでしょうか。

日原政府参考人 車両の定義としては、道交法で定められておりまして、そこで車両の中に自転車やバイクも当然入ってまいりますので、対象としては入り得るということでございます。

 したがいまして、基本的には傷つけずにどけることは可能だと思いますけれども、万一やむを得ず傷つけた場合には、その場合には補償をするということでございます。

 所有者が誰かを確認することがなかなか難しいというのは、御指摘の点はあるかもしれませんけれども、先ほど道路局長からお話ししたように、移動した先に掲示しておく等によりまして、本人からの申し出ということもあり得るのかなというふうに思っております。

泉委員 ありがとうございます。

 細かな点も確認させていただきましたが、改めて、冒頭お話をさせていただいた、道路啓開に従事する方々の特別な手当と心理的サポートというところについては、ぜひとも御配慮をいただければというふうに思います。

 質問を終わらせていただきます。

梶山委員長 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 維新の党の鈴木望と申します。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、資料をお配りさせていただきます。これが新聞の実物大の資料なんですけれども、ちょっと縮小した資料です。

 どういう資料かといいますと、富士山が噴火をしたと予想して、山梨県、静岡県、神奈川県の三県が合同訓練をやったときの新聞記事であります。

 これは、十月十九日に行われまして、国、自衛隊、警察、住民等四千人が参加をして行われた非常に大規模な訓練でありました。富士山が御殿場側の中腹から噴火をして、溶岩流が御殿場市方面に流れたと想定する。実際は、こういうふうに溶岩が流れた場合には七十五万人が避難をしなければならないんですが、この訓練では四千人が参加をした。もう大臣等は十分御承知のことかと思いますけれども。実際は七十五万人避難しなきゃいけないんですけれども、四千人が参加をした訓練でありました。

 住民は自家用車とかバスで避難をするという想定で、実際、そういうことで、自家用車で避難をしたわけであります。そのときの実態をルポした記事がこの新聞記事ということでありまして、これだけ大きい実際上の新聞で見ますと、いかに車が渋滞したかということがよくわかるわけですね。七十五万人に対して、たった四千人が参加した訓練であっても、想定よりもずっとずっと車が渋滞をしたということであります。

 御承知のとおり、現代は車社会。都会よりも地方の方が車社会の実態が進んでおりまして、私の地元では、極端な例でいいますと、一家に一台じゃなくて、一人に一台ないとなかなか日常生活もうまくいかないというような状況で、もちろん軽自動車が多いわけですけれども、そういった格好で社会が回っている。

 車をどうするかというのは非常に大きな要素でありまして、そういう意味で、災害が起こった場合に車をいかに統御するのかということは、非常に重要な話であるというふうに認識をしているわけであります。

 そういう観点からしますと、今回の災害対策基本法で、啓開ということで、避難車両のところに緊急通行車両のための通路を開くというようなことは、非常に重要な法改正というふうに認識をしております。やらなきゃいけないことだなというふうには認識はしているわけですけれども、私は、その前にやるべきことがあるんじゃないのかなという感じが非常にするわけですね。

 七十五万人の避難の想定に対して、実際上の訓練では四千人が参加しただけなのに、これだけの渋滞が起こってしまった。ですから、渋滞した場合に車をいかに除去するのかということで今回の法律改正がなされているわけですが、その前に、車が渋滞しないように、もちろん渋滞をしてしまうんでしょうけれども、なるべくその渋滞が少しになるように。また、車を放置せざるを得ないにしても、さきの泉先生の質問の中でも出ておりましたけれども、作法というかマナーというか、車はなるべく道路上に放置しないとか、道路上に放置しなきゃならないとしたら、脇に、左側になるべく寄せるとか、鍵はつけたままで出てくださいよとか。そういったことは、当然、訓練をする前に周知をしておいてやれば、こういった渋滞というものがもっともっと防げるんじゃないのかなというふうに思うわけであります。

 まず最初に、そういう観点から質問をさせていただきたいと思うんですが、災害時に車の利用をあらかじめ抑制する方策について、そもそも、災害時に車をみだりに利用しなければ、道路上に大量の放置車両や立ち往生する車が生じないというふうに考えるわけでありますけれども、災害時における適切な車の利用、適正な運転に係る広報、またそのための規制措置について、どうなっているでしょうか。また、法制上の根拠は現状どうなっているのか。そこについてお尋ねいたします。

日原政府参考人 お答えいたします。

 災害時の車の利用につきまして、大きく二つのテーマがあるかと思います。一つは、利用の自粛をお願いするということ、もう一つは、発災時に車をどういうふうに扱うかという問題があると思います。

 まず、自粛の関係でございますけれども、一般的な規定として、災害対策基本法第七条に、住民に対しまして、防災への寄与についての努力義務規定がございます。また、災害対策基本法第五十一条の二におきましては、総理大臣が、災害に対してとるべき措置を国民に対して周知することというふうになってございまして、例えば、本年九月一日の防災の日の訓練におきましては、総理から、車による移動を極力控えるような呼びかけを行ったところでございます。また、首都直下地震対策特別措置法に基づく国の基本計画等におきましても、首都直下地震時には一般車両の利用を極力控える旨を記載し、その周知等を図ることとしております。

 また、発災時におきますドライバーがとるべき対応につきましては、先ほど交通局長からもお話がございましたけれども、道路交通法に基づき国家公安委員会が作成する交通の方法に関する教則において、例えば、できるだけ安全な方法により道路の左側に停止させること、あるいは、車を置いて避難するときはできるだけ道路外の場所に移動しておくこと、やむを得ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せて駐車し、エンジンキーはつけたままとし、窓を閉め、ロックはしないことというふうなことを記載しているところでございます。また、同教則におきましては、津波等による避難を除いては車を使わないというふうなこともうたわれているところでございます。

 引き続き、こうした活動あるいは防災訓練の場等を活用して、この点を周知してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 ただ、答弁は非常に私は不服ですね。

 もう一回お聞きしたいと思いますけれども、例えば、現在の適正な車の運転の仕方等。

 私も免許を持って、実際、地方におりますので、自分で運転はしております。確かに、その中に、教則本のどこかに書いてあるかもわからないですね。でも、私、そういうことについて、免許の更新時に、映画とかフィルムとかそういうもので映されているというような記憶もありませんし、改めてそういうことを言われたということもありません。

 そういうものを踏まえて、教則本に書いてあるからどうのというんじゃない、もっと災害とかそういうのに特化したときに車の運転はどうしたらいいのかということについて、現在の広報体制はどうなっていますか。お答えをお願いします。

日原政府参考人 お答えいたします。

 昨年度、首都直下地震における被害想定を出させていただいたときに、やはり車の放置問題というのは大きな課題になるということで、車を極力使わないでほしいというようなことを発表とあわせて広報させていただいております。それと、先ほど申しましたように、ことしの九月一日の防災の日の訓練では、そういった内容を盛り込んだところでございます。

 引き続き、防災訓練だとか、いろいろな防災に関する防災教育の場がございますので、そういったときに、車の運転の仕方についても広報に努力していきたいというふうに思っております。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 これからそういった具体的な広報体制は多分構築をされていくと思いますが、ぜひどこかで、免許更新のときにやっているとかという言いわけ的な説明じゃなくて、防災、災害時における車の適切な運転ということできちんと広報、周知をしていただきたいと思います。

 それともう一つ。災害対策基本法七条で根拠規定があると。災害対策基本法の七条を読んでみますと、確かに書いてあるといえば書いてありますね。あるんだけれども、余りにも漠然とした規定であって、ただ単に書いてあるということ以上のことは言えないような規定じゃないのかなというふうに私は認識をします。

 そういった意味で、大臣にちょっとお聞きをしたいと思うんです。

 今の現代生活においては、自家用車による避難が最もポピュラーな避難の方法だというふうに私は思います。だからこそ、車による避難についてきちんとした基本方針を災害対策基本法で規定して、それに基づいて適正な車の利用を。適正な車の利用というのは、例えば、本当に車を利用しなければならない人以外は余り車を利用しないようにとか、自粛をするようにとか、なるべく相乗りをするようにとか。

 例えば、逃げるということで、実際に危機が迫っているときにちょっとでも余裕があると、では犬も連れて逃げようとか、家財道具も積めるんだったら積んで逃げようとか、いろいろなことを考えると思うんですね。だけれども、そういった財産よりも命が大切だというようなことをきちんと明示しておくというようなこととか。

 あとまた、適切な運転。例えば、道路脇、いろいろ言われましたのでもう繰り返しませんけれども、適切な運転の仕方、適切な放置の仕方というのはあると思うんです。そういったことをきちんと示して、周知、広報を図ることが極めて重要じゃないかと思います。

 大臣、今回の法案が意義のないこととは決して私も思っておりません。ただし、所有権侵害を償う法整備等をする前に、今言ったようなことをきちんと法整備すべきじゃないのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 鈴木委員はお地元が静岡でございまして、この十月十九日に行われた富士山火山三県合同訓練ルポの、この記事に基づいたいろいろな説明をありがとうございました。私も中央の本部の方から、静岡県知事、山梨県知事、神奈川県知事とテレビ会議をいたして訓練をしておりましたし、また西村副大臣は現地につかれて訓練をしておりました。

 この新聞記事にもありますように、地元の区長さん、人は想定外の動きをする、これが逆に当たり前かもしれない、避難計画はこうしたことも頭に入れながら作成に入ると、自治体はさまざまな課題を認識したところでございまして、私どもも、この検証をしながら被害の最小化に生かしていきたいというふうに思います。

 それから、災害時の基本行動のあり方の周知、広報強化の取り組みというのは、これは本当にやっていかなければならないことでありまして、全力で努めていきたいと思います。

 今お尋ねの、災害対策基本法第七条についてどう考えるかということでございますが、災害対策基本法第七条は、「地方公共団体の住民は、基本理念にのつとり、食品、飲料水その他の生活必需物資の備蓄その他の自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、防災訓練その他の自発的な防災活動への参加、過去の災害から得られた教訓の伝承その他の取組により防災に寄与するように努めなければならない。」という条文なわけでございますが、これがばくっとし過ぎているのではないか、もっときちんとした行動がとれるような、いろいろなことができないかということだというふうに思います。

 先ほど政策統括官より御説明いたしましたとおり、災害時における車の使用自粛や、災害が発生したときのドライバーがとるべき措置については、現行法においても一定の対応がとれることとなっております。

 今回の改正法は、いつ発生するかわからない首都直下地震や次の大雪に備え、喫緊の課題である放置車両の移動等について措置するものでありますが、運転者に対しさらに法律上の義務を課すことにつきましては、その方法、また義務づけるべき内容などの課題もございます。今回の改正法の運用状況を見ながら、対応を考えてまいりたいと思います。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 災害対策基本法七条が必要じゃないということを私は申しているわけではありませんで、こういった基本理念は当然必要だと思うんです。それをもう一段階ブレークダウンした、車の運転に関する、現在、車がこういう発災時に一番重要な避難手段であるということは共通の認識だと思いますので、そういったものについて法制上の整備をきちんと、ただ単に教則本に書いてあるとかというレベルじゃなくて、きちんと制度的にやるというようなことの整備を、これからぜひ、その必要性はもう十分認識をされているというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 この富士山の噴火の三県合同訓練の際に大臣、また西村副大臣が御活躍されたということは、地元の私としても十分認識しております。ありがとうございました。

 これに関連して、私は、災害時に、そういった法制的な整備がきちんとなされているんだったら、その前提として、例えば、車をみだりに放置したというようなものにペナルティーを科すとか、例えば、車のサイドブレーキが引いてあって鍵が閉めてある、だからドアを割ってというときに、先ほど、手厚い補償というのはしなきゃいけないかもわからないですが、一方で、もうそういうふうに周知徹底してあって、避難する多くの人々に迷惑をかけたんだから別に補償する必要もないじゃないかという考え方もあると思うんですね。

 その前提は、今言ったような法制上の手当てができているということが前提だと思います。きちっとそういうものをして、みだりに、やたらにみんなに迷惑をかけるような格好でもって車を使っちゃった、また、使った車をやたらに放置してというようなものについては、それを除去する際に国家が補償をするという必要は私はないんじゃないかと思うんですね。

 むしろ、そういう人たちから罰金を取るとか、非常に雑な言葉を言って申しわけありませんけれども、そういったペナルティーを科してもいいんじゃないかなというふうに私自身は質問しようかと思っていましたが、その前提がまだ全然できていないので、この質問は割愛させていただきます。

 次に、個別の問題に入っていきたいと思います。

 災害時における車両の移動で、七十六条の六第一項にこんなふうに書いてあります。「道路における車両の通行が停止し、又は著しく停滞し、車両その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害となることにより災害応急対策の実施に著しい支障が生じるおそれがあり、かつ、緊急通行車両の通行を確保するため緊急の必要があると認めるとき」という文言があるわけですね。おそれとか緊急の必要というのは、具体的にどのような状況でしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 御質問の、おそれとか必要のある場合というのは、想定される事例としては、例えば首都直下地震の発生時に、道路の被災や建物の倒壊などによって深刻な交通渋滞や大量の放置車両が発生し、道路交通が麻痺して、救助部隊が被災地に向かうことができないような場合でありますとか、あるいは、大雪のときに、除雪作業がおくれ、立ち往生車両や放置車両が道路を塞いでおって、大規模かつ長期にわたって集落が孤立するような場合などが考えられるというふうに思っております。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 今御答弁いただいたような状況を答弁で認識したわけですけれども、別に一般の方々はこの国会審議なんか聞いているはずがありませんので、それはどこで示すわけですか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申しましたようなことは一つの例でございまして、やはり災害時のさまざまな状況に応じて、通行車両の通行を確保する緊急性、それから車両の移動による破損等の損失を比較して考慮するということで、一律にこういう要件だというふうに決め切れるわけではないんですけれども、そうした考え方については、施行通知等によって明確にし、周知してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(望)委員 考え方を施行通知で示すというお答えでしたけれども、国民の権利を制限する、だからこそこういった法律的な手当てが行われようとしているというふうに認識をしているわけですが、直接権利と関係するような要件が、基本的な考え方と言われましたが、核心的な部分が通知でいいんでしょうか。ちょっとそこの御答弁をお願いします。

日原政府参考人 法律上の要件としては、先ほど委員も御指摘のとおり、車両がとにかく停止し、著しく停滞し、非常に渋滞しているというんでしょうか、道路の通行ができないという要件、それから緊急通行車両の通行を確保することが必要であるということ、そのために緊急の必要があるという要件で書いてございます。

 それを具体的な事例に当てはめたときにどうなるかということにつきましては、先ほど御説明しましたように、緊急性と、それから、そういった強制的な措置を講ずることによる社会的損失との比較考量によって定められてくるものですから、現在書かれている以上のことは法律上はちょっと書きづらいということでございまして、そういった長い説明については法律上書けないので、施行通知でその辺を丁寧に説明していきたいというふうに考えております。

鈴木(望)委員 非常に弾力的に対応しなきゃいけないということは、私も理解できます。

 ただし、法律でこういうふうに書いてある、おそれとか緊急の必要、それはその程度だろうと思うんですね。だけれども、それを具体化する、ブレークダウンするときに、急に施行通知というのはいかがなものかなという感じがするんですね。

 幾ら、弾力的な対応が必要、現場での対応をある程度縛ってはいけないというようなことがあるかもわかりませんが、例えば、政令で書くとか、省令で書く、規則で書く、何も細かいところまで書けとは、施行通知で原則を示すと言われていますので、その原則を規則で書くとか、そういう必要はあるんじゃないのかなと私は思います。

 時間もなくなってきましたので、ここでやりとりしても結論が出るとは思いませんが、私はそういうふうに思いますので、これから全体の法整備が行われると思いますが、ぜひ考慮に入れてやっていただければというふうに思います。

 次に、七十六条の六第一項の「車両その他の物件」とは何を指すのか、建物が倒壊し、道路を塞いでいる場合は、この規定により除去できるのかどうか、七十六条の六第三項の「やむを得ない限度」とは具体的にどの程度の破損を指すのか、これについても、どこでどういうふうに決めるつもりなのか、もう時間もないので、二問についてお答えいただければと思います。

日原政府参考人 まず、その他の物件についてでございますけれども、これは先ほど御説明しましたように、通常想定していますのは、車両から落下した物件というものを想定しておりますけれども、倒壊した建物についても本法律の条文の対象とすることは可能です。

 ただ、倒壊した建物については、いわゆる瓦れきに相当いたしますので、今回の措置によらなくても、道路法に基づく通常の維持管理行為の中で対応できるというふうに考えております。また、倒壊した建物を除去するのに大変時間がかかるという場合には、迂回路を探すというケースも考えられるというふうに考えております。

 また、やむを得ない措置とはどの程度の破損を考えるのかということでございますけれども、ロックやサイドブレーキを外すためにガラスの一部を破るとか、あるいは、重機によって車両を持ち上げる際に、すり傷やバンパーのへこみがつくというような場合もあろうかと思います。さらに、これは、緊急性と他にとり得るべき措置があるかどうかということの関係になりますけれども、場合によっては、かなり強引な方法によって車を幅寄せするとか、極端な例では段積みするとか、そういったようなこともあり得るものと考えております。

鈴木(望)委員 次に移らせてもらいたいと思います。

 次に、七十六条の七、国土交通大臣等の指示規定ですけれども、この規定は、国土交通大臣が道路管理者に指示をできるという規定で、知事は、市町村長が道路管理者という場合に、国土交通大臣は、道路管理者たる知事、また道路管理者たる市町村長に指示ができるということの規定であります。

 この七十六条の七を読んでいて、私は正直言って違和感を感じたんですね。従来の中央集権体制のままの規定じゃないのかなというふうに私自身は思います。

 どういうことかというと、私は基礎自治体の首長をしておりましたけれども、私が首長をしていたところの自治体は、国道一号線も通っております、東名高速も通っております、合併したら今度は新東名も通っているというような自治体でありまして、もちろん県道もあるわけですけれども、国一の管理者は国土交通大臣、県道は知事。もし私が市長をしていた自治体で災害が起こった場合に、起こる可能性というのは大きいわけですけれども、市町村長たる私が道路管理者たる国土交通大臣、また道路管理者たる知事に指示ができてしかるべきだというふうに私は思うんですね。

 なぜなら、この規定では、国交大臣は都道府県知事や市町村に指示ができる、都道府県知事は市町村に指示ができる。何でその反対のことができないのかと私は思うんです。道路管理者たるというのがついていますよ、道路管理者たる大臣、道路管理者たる知事ということですので。ちょっとそこをお答えいただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 この規定につきましては、道路管理者たる国土交通大臣というよりは、道路行政全般を見る国土交通大臣として、被災地全体のルート全体を広域的に俯瞰して、ネットワーク全体で緊急通行車両をどういうふうに確保するかという観点から指示を行うということで、広域的な観点を持っている国土交通大臣あるいは都道府県知事が、より狭い範囲を担当されている方に指示をするという規定でございます。

 逆に、市町村から国や都道府県に対して車両の移動等を要請する、あるいはルートをあけてほしいというお話は、どちらかというと、広域的なネットワークを確保するというよりは、市町村で、現場において災害応急対策を緊急に必要とするために、関連する道路が必要であるという観点から行われるのではないかというふうに考えられます。

 この点につきましては、災害対策基本法におきまして、今般の改正による車両の移動に限らず、災害応急対策全般について、被災市町村から都道府県に対し、あるいは被災都道府県から国に対し、災害応急対策の実施を要請することができ、国及び都道府県は、正当な理由がない限り、その実施を拒んではならないという規定がございますので、こういった規定を活用しつつ、迅速な災害応急対策を行ってまいりたいというふうに考えております。

鈴木(望)委員 全くおかしいと思います。広域的なネットワークを確保するために、基礎自治体の首長が、国道一号線を、きちんとした措置をとるようにということを道路管理者たる国交大臣になぜ指示ができない。

 国と地方自治体は本来対等の立場であるということは、地方分権一括法等でなったはずです。にもかかわらず、従来、中央集権体制で見られていた基礎自治体の首長は、要請しかできない。道路管理者たる知事とか道路管理者たる大臣ですよ。なぜ、そこで差をつけるのか。

 私はおかしいと思いますが、大臣、どのように考えますか。

山谷国務大臣 鈴木委員の問題意識は、地方分権の観点から、そしてまた、実際に首長をやられた経験からということだというふうに思いますけれども、実際には、災害応急対策の実施の要請というのは、国及び都道府県は、正当な理由がない限り、その実施を拒んではならないとする規定がありますので、こうした規定も活用しつつ、迅速な災害応急対策を行ってまいりたいと思います。

鈴木(望)委員 時間が来ましたのでこれで質問を終わりますけれども、ぜひ、そういう問題意識、私は地方分権を進める立場ですので、災害対策基本法も含めて、どの法律でもやはり認識をして対応していただければなというふうに言わせていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 次世代の党、中丸啓でございます。

 きょうは、法案に入る前に、ひとつ西村副大臣にお尋ねしたいことがございます。

 安倍総理も含め、広島の土砂災害、八月の土砂災害においては、多くの方に視察、御指導いただきながら、非常に前向きな、さまざまな、従来の規定にこだわらず臨機応変に御対応いただくということでお言葉をいただいていたわけではございますが、きょう、ちょっと、お手元に資料を配付させていただきました。

 これは、今月、十月二十三日付の地元の中国新聞の朝刊の記事でございます。

 ここにありますように、八月の土砂災害で安佐北区の方の自宅裏の斜面が高さ十メートル、横幅三十メートルにわたって崩れて、台所に土砂が流れ込んできたと。

 この自宅裏の斜面については、実はもう、二〇〇六年の七月に事業を申請していたわけです。小規模崩壊地復旧事業、一カ所一カ所は非常に小さなものでございまして県がやっているんですが、広島市の場合は政令市なので広島市がやっているんですけれども、この記事にあるように、実際にできる件数がどんどん減っているんです。そして、今まさに本年度着工している事業は、何と九年前の申請をやっていると。

 それでいくと、今回土砂災害に遭った特にこういう小規模なところに関して、さらにまた九年、十年かけてやるのかと。その間に、当然、雨も降れば、台風も来るわけです。

 これには二点。

 まず、一点目、今申し上げたように、実施に関しての期間短縮が非常に大幅に必要であろうというふうに思われるということ。今回激甚災害指定をしたことによって、住民の皆さんへの各地区ごとの説明会に私もできる限り入らせていただいて、お話を聞かせていただいています。そこで必ず出てくるのがこの話なんです。

 なぜかというと、従来の枠組みでいきますと、県が事業費の半額補助、住民側が一割から二割を自己負担するというふうになっているんですね。大体、一カ所平均四百万円程度の工事ですから、一割から二割というと、単純に四十万円から八十万円の自己負担なんです。この自己負担というのは、はっきり言って、そうはいっても、四十万円から八十万円というのは、かなり大きいですし、幅も相当あるわけですね。

 激甚災害に指定されて、では実際に広島市の方がどういうふうにお答えになっているかというと、このまんま言っています、一割から二割の自己負担をいただくと。そして、ではとにかく早くやってほしいと言っても、いや、本年度は、今やっているのは九年前の申請を行っている状況でございます、こういう答えしかできないんですね。

 地元の市議の先生方とかに問題意識はどうなんですかと話を聞いたら、でも、市で決まっているものは、もう決まっているんだから、これは市の事業なので、国に言ってもできないだろうと。いや、それを上げていただく、この間西村副大臣に申し上げましたけれども、やはりどんどん上げていただくことが大事だということを申し上げたら、要は、ええ格好するなというふうに怒られたわけなんですけれども、でも、上げてきますと住民の皆さんにお約束したので、あえてここで質問させていただきます。

 これも、今広島市が答えているように、できないのなら、この場ではっきり、この規定どおりにしかできないと言っていただいた方がいいと思いますし、激甚災害指定、今まで、総理の現地での記者会見もそうですし、西村副大臣、本部長としてのお話としても、このたびの災害については臨機応変に対応していくというふうにお言葉をいただいているわけですから、住民の皆さんは大変期待をされています。

 副大臣、いかがでしょうか。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 御指摘の小規模な崩壊地の復旧事業、これは、大規模なものについては国の支援もいろいろあるんですけれども、小規模なものは自治体で対応していただくというのが基本的なルールになっておりまして、広島県については今御指摘のあった制度を独自に設けられているということでありますので、基本的には、小規模なものは国の支援にはなじまないというふうに考えております。

 ただ、いろいろ御指摘もいただきましたので、実情はよく聞きたいと思います。

 特に広島の場合、あれだけの大災害があって、かつ、山も、大雨が降ればまた二次災害の危険性もあるということでありますので、そのあたりの実情はよく聞いて、県、市も緊急性を判断しながら、御指摘のように、どうも箇所数が多いようでありますから、優先度を勘案しながら対応はするというふうに聞いておりますけれども、そのあたりは、よく実情を聞いて、緊急性の判断とかを含めて、国としてアドバイスできることがあればしたいと思います。まずはよく聞いて対応したいというふうに思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 あと、もう一つ。

 先ほどの、一割から二割、かなり幅のある住民負担、これも、現状ではこのとおりにしかできないわけでございますけれども、そうすると、この写真に写っているところはもう申請をされているからいいですが、そこがネックで、申請ができない方もおられるわけですよね。崩れそうではなくて、今回崩れているところでも、そういう意見が実際にあるわけです。そういう人たちは自己負担ができなければ崩れた崖を目の前にした危険な中で暮らしていけ、こういうふうに考えるのか。

 こういう緊急な事態があるところに関しては、やはり市では判断できないんですよ。ぜひ副大臣からちょっと御答弁いただきたいと思います。

西村(康)副大臣 恐らく、自己負担がないとなれば、物すごい数の方が、とにかく直してくれ、とにかく直してくれということを言われると思いますので、やはり一定の危険度などを勘案しながら、一部は自己負担していただいて進めるという考えに立っているんじゃないかと思います。

 大事なことは、特に広島の今のケースでいうと、二次災害、今後雨が降ったときにさらに災害が起こるかもしれないという中で暮らされていますので、そういう緊急度、緊急性、これについてはしっかり判断をして、やらなきゃいけないところは、住民の生命、安全を守るためには、必要なことはあると思いますので、これは市で判断しながら進めているとは思いますが、そのあたりのことを、国としてアドバイス、何かお手伝いできることがあれば、事情をよく聞いて対応していきたいというふうに思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 改めて、今の、ここまでの御答弁を聞かせていただきまして、要は、そういうのがあれば、やはり一応、一旦受けてもらって、その上で、必要があれば、相談してもらえれば、アドバイスなり支援できることがあれば前向きに考えていただくというふうに理解させていただいてよろしいでしょうか。

西村(康)副大臣 まずは、実態をよく聞いて、緊急度が高いものはすぐにやらなきゃいけないでしょうけれども、その人員が、広島市で、判断する人員も含めて足りているのか足りていないのか、そういったところから、国として応援できることはしっかり応援したいと思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 それでは、法案の方に入ってまいります。

 法案の説明時に、今回、車両の移動等をする場合、まず、根拠として、運転者の不在時等と、等という言葉が使われているわけなんですが、運転者の不在時というのは、わかりやすい。要は、運転者がいない。等というのは、どういう定義でお考えなのかというのをちょっと聞きたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 要約版には等と書いてございますけれども、法律上は条件が明記されておりまして、七十六条の六の第三項でございますけれども、不在の場合のほか、運転者が命令に従わないなど、命令をされた者が移動措置をとらない場合、それからもう一つは、移動させる場所が全くないなどによりまして、運転者が自力で移動させることができないことが明らかなために、そもそも命令そのものを出さない場合、合計その三種類ということでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 山谷大臣、今、命令を聞かない場合というのがあったんですけれども、命令を聞かなかったというのは、例えば、現場とかでナンバーから持ち主を、使用者を特定して連絡したりというようなやりとりをしたときに、これは、そのやりとりがどうだったかという証跡というか担保というかが必要なような気がするんですけれども、大臣、どう思われますか。

山谷国務大臣 運用に当たりましては、混乱が生じないように、さまざまなことを考えておく必要があるというふうに思います。

 今回の改正による車両の移動措置は、消防、救助などのための緊急通行車両の通行を確保するという極めて緊急性の高い災害応急対策のものです。このため、運転者がいない放置車両であっても、所有者への事前の連絡や同意を得たりせず迅速に移動させることを可能としているものです。

 実際に運用するに当たっては、例えば、できるだけ移動の内容を掲示しておく、車両の移動前と移動後の状態を写真で残しておくなどにより、事後に混乱のないように努めることが必要だと思っております。

 運用に混乱が生じないように、法律の施行と同時に発出する道路管理者等への施行通知等において、今回の規定の趣旨、運用を明確に周知していきたいと思っています。

中丸委員 同じように、これは道路管理者が他人の土地の一部使用や障害物の処分の措置をとる場合に、障害物を取る、例えば、そこに植えてある松の木を切るとか、フェンスを外すとか、そういったいろいろなことが考えられるんだろうと思うんですけれども、そうはいっても、同意をとるなり通達をするなりという作業は必要だと思うんです。そこはどのようにお考えか。きょうは国交省からも来ていただいたと思うので、お願いします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 沿道の土地の使用に際しましては、まずは、道路管理者の職員等が、土地の所有者または使用者が現場で容易に見つかる場合は、口頭により道路啓開のため使用する旨を説明することとなります。

 しかしながら、委員御指摘のように、所有者等が容易に見つからない場合や説明に対して同意が得られない場合におきましては、同意を得なくとも土地の使用やそれに伴う竹木等の障害物の処分が可能となります。

 その際におきましても、使用、処分の理由、内容等を掲示するといった手続をとることにより、事後に当該使用、処分により生じた損失を補償することとしております。

 以上です。

中丸委員 ありがとうございます。

 なかなか、法律の文章を読んだだけでは。実際の運用が、これはやはり運用が大事だと思うんです、ルールを決めたことにかかわって。今二つほどちょっと例を挙げさせていただいたんですが、これ以外にもいろいろなことがあると思うんです。

 実際、運用を周知していくに当たって、ガイドラインの整備、そういったものを行う予定はお考えでしょうか、お聞かせください。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 運用、これは非常に大事だと思っております。したがいまして、内閣府とも連携いたしまして、法施行に伴う施行通知にあわせ、現場で活用できる運用マニュアルを作成することとしております。

 運用マニュアルには、例えば、対象となる道路の区間の指定の方法、運転者への命令等、車両移動の際の具体的な手順、さらには、他人の土地の一時使用等を行う場合の措置の方法などの内容を含める予定であります。

 運用マニュアルにつきましては、各道路管理者にも送付することとしております。

 各地方整備局で行う訓練等に際しましても、その内容により、より実態の運用に適したものになるよう、継続し、改善を図り、大規模災害時に迅速に対応できるように備えてまいりたいと考えております。

 以上です。

中丸委員 今非常に御丁寧にいただいたと思います。

 そういったガイドラインをしっかりつくり、訓練も行いということだと思うんですが、要は、ガイドライン、つくったもの、ペーパー、今回本当にさまざまなところで使われるわけですよね、災害が起こり得る可能性があるところ、訓練も含めて。

 それで、ペーパーをつくりました、お渡ししました、訓練もやってくださいではなくて、やはりこれはしっかりと、先ほど見直しも含めてとおっしゃっていただいたので、チェック体制も考えておられるんだろうと思いますが、現実的に運用する中での障害というのも、訓練をしながら、やりながら出てくると思うんです。

 山谷大臣、ガイドラインをつくるだけじゃなくて、このチェック体制も含めて、そういった見直し、周知活動というのをしっかり力を入れてやるんだという思いがおありだと思いますが、一言いただけますか。

山谷国務大臣 運用が大切であること、また、ガイドラインの整備、その周知徹底が大事だということも、おっしゃるとおりだというふうに思っております。

 内閣府といたしましても、国土交通省を初め関係省庁と連携しながら、施行通知等を通じて改正の趣旨を周知徹底しつつ、実際の現場において道路啓開作業が的確かつ円滑に行われるよう、しっかりと努めてまいります。

中丸委員 ありがとうございます。

 本当に、訓練も含めて、やはり仕事として、紙をつくることが仕事ではない、訓練することが役割ではなくて、本当に起こったときに的確に運用できるかどうか、これが一番大事だろうと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 次に、この車両移動等を行った場合に、今までは、例えばそれで車が壊れたとか傷がついたというときに損失の補償というのができなかった。これが、今回、損失補償ができるようになったということだと思うんです。

 この損失の補償、要はほとんどお金だと思うんですが、この資金はどこが払うのかという話なんです。それについて政府としては全体的にどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますか。

山谷国務大臣 災害時における道路啓開は、被災者の人命、財産を守るため緊急に必要となるものであり、道路管理者の重要な責務の一つです。

 今回の改正に係る、車両を破損した場合の損失補償については、国道、都道府県道、区市町村道など、それぞれの道路管理者がその管理区分に応じて費用を負担することとなります。

 これらの負担については、原則、通常の維持管理経費の範囲内でそれぞれの道路管理者が負担すべきものですけれども、例えば、大規模な災害によりまして、地方公共団体において、当該経費の範囲を超えている、損失補償に係る負担が大きなものとなる場合には、地方公共団体の対応状況等をよく伺った上で、国として適切な対応を検討してまいりたいと考えております。

中丸委員 そこなんです。これがあるときというのは、まさに緊急時を前提としているわけですから、今、国、県、市、市でも区、そういった市町村も含めて、それぞれ道路管理者が負担するとなったときに、緊急時にその予算が、例えばこの間の大雪の大渋滞もありましたが、非常に台数も多くて、これはちょっとうちのことしの予算じゃできぬぞというふうになると、やはりちゅうちょしたりすると思うんですよ。

 何かあれば、そういう大規模なときは国として検討してというふうに今大臣はお答えいただいたと思うんですけれども、それから検討してその返事を返してという、この手間暇が緊急時にどれぐらい時間がかかるとお思いか。

 私は、できるだけ、これはもう緊急時なんですから、先ほど広島の例で西村副大臣から非常にありがたいお言葉も頂戴したと思いますけれども、緊急時というのは、何かあったときにある程度バックアップとして政府が面倒を見るよという姿勢をどこかで強めて出しておかないと、特に、小さい自治体になると、予算の小さいところほど現場の責任者においては判断が鈍る部分があると思いますので、もう時間も来ますので、最後に、それについて山谷大臣からお答えいただければと思います。

山谷国務大臣 自治体といろいろな意見交換をこれからしていきたいというふうに思います。そして、国として適切な対応を検討してまいりたいと思います。

中丸委員 緊急時、今回、私も、自分自身が思っていた以上に、実際自分の地元でそういうことがあったときに、いろいろな方のお話を聞いたり、さまざまな、今の行政での現場の判断がなかなか難しい部分、やはり、責任の範疇を超えた部分に関して今までのルールからなかなか逸脱できないというのは、これは、西村副大臣がおっしゃっていただいた、とにかく受けて、まず受けて話を聞きましょう、それからできることを臨機応変にやっていきましょうと、こういう体制は本当に大事だと思いますので、今後ともそれをひとつお願い申し上げまして、中丸の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

梶山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

梶山委員長 速記を起こしてください。

 質疑を再開いたします。

 次に、山内康一君。

山内委員 まず冒頭、定足数を満たさない状況というのは、非常に異常な事態だと思います。ほかの委員会がたくさん立っているというのは、決して理由にはなりません。あえてきょう与野党合意の上で開いたわけですから、特に人数の多い会派については、ぜひ御努力いただきたいと思います。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 まず最初に、本法案についてはもう既に大分論点が出尽くしたと言ってもいいかもしれませんが、二、三、質問させていただきます。

 今回の法改正で、道路管理者が緊急車両の妨げとなる車両の移動を命令できるということになりました。運転手がいないときには道路管理者がみずから車両を移動できるということになっておりますが、そうはいっても、東日本大震災のような大きな災害の直後の混乱状況では、なかなか連絡がつかないということも考えられると思います。(発言する者あり)

 ちょっと静かにしていただきたいと思います。

梶山委員長 御静粛に願います。質疑中ですので、御静粛に願います。

山内委員 例えば、大震災の後で、県や市役所の担当者と、道路管理者と連絡がつかなくなるような状況、そういった事態も考えられると思いますが、そういった場合、どういった対応が考えられるんでしょうか、本当に困っている現場で臨機応変に対応できる状況になっているんでしょうか、質問させていただきます。

日原政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災では、市役所というんでしょうか、行政機関そのものが被災して大きな混乱があったというのは事実でございます。

 ただ、例えば、大きな被害を受けた大槌町の場合でも市役所に誰もいなくなるということはなく、何らかの連絡はつけられるのかなと思っておりますけれども、万一、全く連絡がつかず、市町村自身がみずから道路啓開に当たれない場合には、災害対策基本法の第七十三条の規定、災害の発生により市町村がその全部または大部分の事務を行うことができなくなったときは都道府県の方で応急措置を市町村長にかわって行うという規定がございますので、そういったものを活用しながら道路啓開を行っていくことになろうかと考えております。

山内委員 ありがとうございます。

 次に、今回、車両の損失補償ができるということになりましたが、実際に災害が起きてみないとどれぐらい予算がかかるかわからないということが実態かもしれません。

 しかしながら、万が一大きな災害があった場合、その車両の補償にどれぐらいお金がかかるのか、財源がかかるのか、そういった見積もりというのは政府の方ではやられているんでしょうか、お尋ねします。

日原政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害時の発生時に見込まれる損失補償の額につきましての見積もりあるいはシミュレーションというものは、行ったことはございません。

 ただ、通常の維持管理経費の中で負担していただくことになりますが、先ほど大臣からもお答えいたしましたとおり、通常の維持管理経費の範囲を超えて損失補償に係る地方公共団体の負担が大きなものとなる場合には、地方公共団体での対応状況等をよく伺った上で、国として適切な対応を検討してまいりたいと考えております。

山内委員 ぜひ、いろいろなケースを想定して、考えておいていただきたいと思います。

 それでは、本法案とは離れますが、災害に関する質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、防災対応の政府の組織や体制についてお尋ねをしたいと思います。

 今、政府の方では、政府の危機管理組織のあり方に関する関係副大臣会合というのを、ことし、やられていると承知しております。西村副大臣がその取りまとめ役だと伺っておりますが、そういったこともありますので、政府の危機管理体制のあり方について質問をさせていただきたいと思います。

 平成十三年の中央省庁再編に伴って防災担当大臣が設置されたわけですが、そのときに内閣府に防災担当の政策統括官が置かれ、たしか五十人ちょっとぐらいの体制でスタートしたと聞いております。そして、現在では、現在ではというか現在でも、人員は、定員が九十何人かしかいない、自治体の出向者を入れても百人ほどしか内閣府の防災担当のセクションには人がいないというふうに聞いております。

 日本全体の防災の司令塔になるこの内閣府の防災担当の政策統括官の下に九十何人しかいないというのは、私、個人的な印象としては、少ないなという印象を受けました。

 そういった意味で、大臣の御所見、感想を聞きたいと思います。人員が九十何人で日本全体の防災の司令塔みたいな機能を果たしているこの現状について、どのようにお考えでしょうか。

山谷国務大臣 内閣府防災担当の体制は、東日本大震災以降、職員の増員を図りまして、その強化に努めてきております。徐々に体制強化が図られていると感じておりますが、現在は、各省庁からの併任等を含め、政策統括官以下約百名の体制となっております。この人数は、山内委員おっしゃられましたように、私も、決して多くはないと考えております。

 今後とも、内閣府防災担当の役割や業務を踏まえて必要な体制の確保に努め、関係省庁とも連携して、災害対応に万全を期してまいりたいと思います。

山内委員 大臣もちょっと少ないなという感想をお持ちのようですが、私も、さすがに、アメリカの連邦危機管理庁のような、何千人もいるような大組織を日本につくるというのは難しいと思いますし、行政の仕組みも大分アメリカとも違います。そうはいっても、百人を百五十人にふやすとか、そういった対応は、何年か時間をかけてとるべきではないかなと思っております。

 次の質問に移ります。

 ことしに入って、非常に大きな災害が続きました。二月には、豪雪の非常災害対策本部ができました。八月には、広島の土砂災害の対策本部ができました。九月には、御嶽山の噴火の災害対策本部ができました。ことしに入って、既に三つも非常災害対策本部が設置されました。

 これは非常に多い、例年に比べても多い事態ですけれども、たまたま、同時に、同じ月に災害対策本部が二つできるといったことはなかったかもしれませんが、自然災害ですから、いつ同じ月に噴火と津波と土砂災害が起きるかもしれません。あるいは、一個大きい台風が来たら、熊本県と長野県で同時に土砂災害の対策本部が要るようになるかもしれません。そういった意味では、二正面作戦、三正面作戦というのは、常に可能性としてあるんじゃないかなと思います。

 松本政務官も御嶽山の噴火では二十日近く現地対策本部に入られたと思いますが、たまたま一カ所だったから対応できたんでしょうが、これが二カ所、三カ所になると、政務官もお一人しかいらっしゃらないわけですから、なかなか体制が困る。そういう意味では、もしものときのために、Aチーム、Bチーム、できればCチームぐらいまで、いろいろな、二正面作戦、三正面作戦にたえられるような、そういう体制というのをつくっておく必要があるのではないかと思います。

 もし大きな災害が同時に複数の場所で起きた場合どういう体制をとり得るのか、政府の見解をお聞きしたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 複数の災害が同時に発生した場合、あるいは大規模な災害が発生した場合には、委員御指摘のとおり、災害対策本部を応援する事務局あるいは現地対策本部の要員として、大変大きなマンパワーが必要になるところでございます。

 例えば、南海トラフ地震あるいは首都直下地震などの場合において緊急災害対策本部を設置する場合、現在の想定では、本部の事務局要員だけでも、総勢二百数十名の要員が必要であるというふうに見込んでおります。

 そのため、内閣府の防災職員のほか、内閣府内の他部局あるいは関係省庁から職員を派遣していただき、対策本部を運営することといたしてございます。これらの応援職員に対しましては、常日ごろから説明会あるいは図上訓練などを実施いたしまして、災害対応能力の向上を図っているところでございます。

山内委員 今お答えがありました件、もう少し詳しくお尋ねしてまいりたいと思います。

 ほかの部署から応援があると。一つは、内閣府の中の、恐らく、青少年の健全育成とか男女共同参画みたいな部署から人を引っ張ってきて災害対策本部の応援に入れるということもあるでしょう。あるいは、ほかの省庁から応援が来るということもあると思います。

 私は、特に内閣府の中の応援体制というのが重要じゃないかなと思います。本当に大きな災害があったら、恐らく国交省は、自分の省庁だけでも人手が足りないときに、内閣府に出すというのはなかなか難しい。難しい中からも出しているのだと思いますが。そういった意味では、むしろ、同じ内閣府の中で人のやりくりを柔軟にできる体制をとっておくということが非常に重要ではないかと思います。

 今、内閣府の中でも日ごろから訓練に参加したり研修をやったりということがあるということをおっしゃいましたが、いわば、いざというときに災害対策本部の要員になれるような、自衛隊でいうと予備自衛官か即応予備自衛官みたいな、そういう体制を内閣府の中でしっかりつくっておくということが非常に重要だと思います。

 私が昔JICAの職員だったときに、JICAにも国際緊急援助隊というのがありまして、事務局は、ふだん、正規のスタッフは多分二十人ぐらいしかいなかったと思うんですが、災害が起きると、ほかの、人事部とか研修部とか、いろいろなところから人をかき集めてチームをつくるということをやっておりました。

 そのJICAの場合は、毎月だったか毎期だったか忘れましたが、今月災害が起きた場合は人事部から人を出せとか、来月災害があったら北海道センターから何人人を出せみたいな、事前にちゃんとスタンバイのアレンジメントをしてありまして、そういう事前の準備をした上で、何かあったときは内部で人を柔軟にやりくりできる、そういう体制をとっておりました。

 やはり、災害というのはいつ起こるかわかりませんが、ピークのときに合わせて人を配置するなどということはあり得ない話ですので、ピークのときにはよそから、特に喫緊の、物すごく急ぎの仕事ではないようなものがあれば、ほかの部署からどんどん人をかき集める、これが重要だと思います。

 そのためには、いろいろな手当ても考えなきゃいけないでしょうし、研修も、おっしゃったように丁寧にやっていく必要があると思いますし、あるいは、かつて災害担当部署にいたOBをまた引っ張ってくる、そういったこともあると思います。

 そういう体制というのは非常に重要だと思います。それについて、改めて、さらに詳しくお聞きをしたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 大変貴重な御意見をありがとうございました。

 私どもの方でも、首都直下地震など大規模災害が発生した場合に備えまして、内閣府内の防災担当以外の部局からの応援要員として、約六十名の職員をあらかじめ非常災害対策要員として指名しておりまして、いざという場合にはこの方々に応援に来ていただくという体制をとっております。

 また、そのほか、指名されているか否かにかかわらず、防災担当を一旦経験した後他部局へ異動した方につきましては、いざというときに応援してもらえるよう、防災予備役という仕組みを平成二十五年度から開始いたしました。

 具体的には、対象職員の名簿を作成し、これらの職員に対しまして、定期的に講習会を実施し、防災対策あるいは災害の現状等につきまして最新の情報を理解していただき、いざというときに新しい状況をよく把握した上で応援していただけるような、そんな仕組みをつくっているところでございます。

 あわせまして、他省庁からの出向者につきましても、国土交通省、総務省、特に防災には関係が深いということもございますので、これらの省庁につきましては、既に対象者、OBというんでしょうか、内閣府の防災に出向していただいた方の名簿を作成しておりまして、こういった方々につきましても今後同様の取り組みをしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

山内委員 非常にユニークで、恐らく実効性があるだろうなという仕組みを用意されているのは、よくわかりました。もしかしたら、既に退職したOBの職員なんかも含めて、いざというときは応援してもらえるような、そういう体制というのは必要ではないかなと思います。

 次に、防災に係る人材の育成についてお聞きしたいと思います。

 有識者の方が書いた論文などを読んでいると、一つの問題として、内閣府などで防災にかかわる人間が大体二年ぐらいのローテーションでかわる、これはよろしくないんじゃないかと。アメリカのFEMAなどでは結構同じ人がずっとやっていて、防災の専門家としてちゃんと養成しているということが言われております。

 そういう点で、霞が関はどうしても二年ぐらいでかわるのは仕方ないかもしれませんが、せめて、同じ人がまた同じ部署に戻ってきたりとか、あるいは、他省庁に出向するにしても、やはり災害中心に回っていくとか、国際機関も災害関係のところに出向するとか、そういう人材育成というのは非常に重要だと思います。

 ちょっと、時間がなくなってきたので、ぜひ大臣に、そういう防災人材の育成、特に内閣府に限ってお尋ねをしますが、内閣府に限らなくてもいいんですけれども、政府の、公務員の中で防災にかかわる人材の育成についてどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思います。

山谷国務大臣 今、山内委員の、災害におけるJICAの仕組みといいますか取り組みのあり方、興味深く聞きました。

 自然災害が起こりやすい我が国においては、継続的な防災訓練などの事前の準備、発災前の避難勧告の的確な発令や、発災後の人命救助を最優先とした速やかな対応など、災害対応を的確に行うことが大切です。

 そのためには、防災担当職員、とりわけ災害対応の陣頭指揮をとる首長の防災意識の向上、必要な知識の習得など、防災に関する資質の向上を図ることが極めて重要です。

 内閣府においては、平成二十五年度より、首長や国、地方公共団体の職員等を対象とした防災研修を実施しているところでございます。今後とも、これらの施策によりまして、計画的に、防災を担う人材の育成に努めてまいりたいと思います。

山内委員 今、首長の研修が必要ということをおっしゃいましたけれども、誰とは言いませんが、災害対策の専門家の方が、実は首長さんが意外と災害のことを知らない人が多くて困るということを書いていらっしゃいました。鈴木委員のような、非常に行政に精通した人がたまたま首長のときはいいんですけれども、行政実務、特に災害対策の実務に余り詳しくない人が選挙が終わって当選したばかりで大きな災害が起きてしまう、そういう不幸な事態というのは、いつでも考えられるわけです。

 特に首長さんはどこでも忙しいとは思いますが、そういう首長さんこそ、きっちり、緊急時の災害対策研修とか啓発キャンペーンの対象として含めていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。さすがに、市長さんとか知事をつかまえて研修に出ろと言うのも、なかなか内閣府からは難しいかもしれませんが。

 自治体の職員というのは、かなり真面目に研修されている方が多いと思うんですけれども、首長という仕事は、教育から高齢者問題から災害まで、あらゆることをやらなきゃいけない、そういう立場上、なかなか時間もとれないということもあるかもしれませんが、そういう首長さんこそ、いざというときの災害対策をきっちり知っておく必要があると思いますので、首長さん向けの研修というのがあるのかどうかわかりませんが、そういったところにぜひ力を入れていただきたいと思っております。

 同じ質問を政府の参考人にもお聞きしたいと思います。

 内閣府あるいは地方自治体の職員も含めて、防災人材の研修や育成についてお尋ねしたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣からお答えいたしましたとおり、地方公共団体における人材育成は大変重要でございます。このため、平成二十五年度から、有明の丘にございます基幹的広域防災拠点施設を活用いたしまして、研修を実施しております。

 二十六年度は、内容をさらに充実させまして、地方公共団体の職員等約一千人に対しまして、災害対策本部の運営の中枢的役割を担う職員を対象とした総合管理研修、それから警報避難、被災者支援等、個別の課題に対応するための個別課題研修、それから防災部門への新任職員を対象とした基礎研修を実施しているところでございます。

 また、受講者の拡大を目指しまして、全国の九カ所で、地方公共団体の職員を対象として、四百五十人に対する研修も行っております。

 また、今委員御指摘になられました首長さんに対しましては、消防庁と連携いたしまして、二十五年度には、市長会及び全国町村会が主催する会議の場を活用し、また二十六年度には、全国防災・危機管理トップセミナーということで、二百弱の市長さんを相手に研修を行ったところでございます。

 今後とも、こういった施策を行いまして、人材の確保、育成に努めてまいりたいと考えております。

山内委員 いろいろな取り組みがなされているということはよくわかりますが、やはり、地方公務員、数が多いので、今おっしゃったような、何百人という単位ではなくて、恐らくもっとたくさんの人たちを対象に研修などを行っていく必要があるかと思います。

 災害対策というのは、事前の準備とか事前の訓練というのが非常に重要だと思います。そういう人材育成や啓発に、ぜひこれから、さらに力を入れていっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今回の災対基本法の改正は、大規模災害時における迅速な道路啓開と放置車両対策に絞った改正であります。今冬の関東甲信地方の大雪被害と車両の立ち往生、孤立集落の発生などが契機になったものと承知をしております。

 私は、この関東甲信地方の大雪被害の時期に、それにも関連しまして、ことし二月二十四日の予算委員会で質問したことがございました。

 それは、北海道が昨年三月の暴風雪被害を教訓に、今冬から予防的措置で通行規制をかける区間を拡充して、大規模な立ち往生を防ぐことができたという教訓だったわけです。これは、気象警報が出されていない段階で、パトロール結果をもとに特殊通行規制区間を二十六区間指定し、うち十五区間で初めて通行どめの措置をとったといいます。

 昨年の十月に道路管理に関する検討会報告書というものが出されていますが、そこにこういう指摘があったのが実際に実行されたということと、いろいろな調査がありまして、立ち往生した当事者、つまりドライバーの八四%が、実は、立ち往生しているんだけれども、車内で携帯電話も使えたし、スマホやラジオで情報を得ようとしていた。つまり、適切な情報さえあれば、なるべく外出を控えるとかそういうことにつながるという、さまざま教訓的な興味深い内容があったと思っております。

 そこで、早目の規制で放置車両そのものを起こらなくするということは非常に重要だと考えますけれども、国交省にその後の取り組みを伺いたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、北海道では従来から、暴風雪のおそれがある場合は通行どめの措置を実施してきたところですけれども、平成二十五年三月に発生した暴風雪被害を教訓に、予防的措置として通行どめ措置の拡大を図ったところであります。

 ことしの二月の関東甲信地方を中心とした豪雪につきましては、ふだん雪が余り降らないところで記録的な豪雪となりました。各地で通行どめや大規模な立ち往生の車が発生いたしまして、社会的に大きな影響を与えたところです。

 こうした経験や北海道の取り組みを参考といたしまして、今後の改善策としては、まず、ふだん雪が降らないところにおきましても、関係道路管理者が事前に調整して除雪の優先区間を設定する、除排雪用の資機材の適切な配備それから協定等による調達、立ち往生車両の発生を抑制するために早目に通行どめを実施する、豪雪地帯との除雪機械等の連携の強化、冬タイヤ、チェーンの準備の呼びかけ、さらには、ツイッターによる通行どめ情報の提供など情報提供の充実を行うこととしております。

 これから降雪期を迎えるに当たりまして、冬期道路交通を適切に確保するよう努めてまいりたいと考えております。よろしくお願いします。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 本当に、ふだん降らないところですと、わずかな、東北の我々にしてみると余り影響がないようなところでも、備えがないということで大きな被害にもつながった。それを踏まえて、事前のさまざまな取り決めをしておくということがやはり大事なのかなと思っております。

 その上で、そうはいっても、実際に放置車両が起こってしまった場合ということで今回法案が出されているということは理解ができるところなんですけれども、まず伺いますが、道路法の六十七条の二には、長時間放置された車両の移動についての規定が実際にございます。ただ、適用実績が全然ないと聞きました。その理由はなぜでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、道路法第六十七条の二におきましては、長時間放置された車両について、現場に当該車両の運転者等がいない場合に限り、道路管理者が移動できることとなっております。

 おっしゃるように、実際に適用した事例につきましては、私ども把握しておりません。

 道路に長時間放置された車両の多くは違法駐車であり、その場合は、警察が当該車両の移動を実施しているものであります。また、これまでの災害時における放置車両につきましては、運転者を探して、同意を得たときは移動するといった措置を講じてきたところであります。

 以上です。

高橋(千)委員 なぜかという理由は、違法だから、道路法の世界ではないという趣旨ですか、今言ったのは。確認します。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 道路法にこのような規定はございますけれども、これまでに適用した事例がないということでございます。

高橋(千)委員 ですから、なぜかということを聞いているんですよね。なぜだと思うかということです。伺います、もう一回。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、これまでの事例におきましては、長時間放置された車両につきましては違法車両として警察の方で移動を実施していただいておりますので、そういうこともあって、なかったものと理解しております。

 以上です。

高橋(千)委員 二十九日に、国交省が放置車両の移動について大がかりな訓練をしていたということをニュースで拝見しました。

 本来なら、実際に移動しなくちゃいけないときだって、多分、地方整備局の重機をお借りしたりとか、さまざまな手だてをするわけですから、やはり、道路法の世界でできると書いてあるものを、不足するものがあれば、例えば損失補償がないだとか、きのうそういう説明を受けましたけれども、報道にもありますけれども、一切お答えにならなかった、そこの部分を補足して、つまり、どっちみち改正しなければならないんだったら、まず道路法の改正をするとか、そういうことは考えられなかったんでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案は、道路そのものの状況は当然ですけれども、それだけではなく、例えば、多数の負傷者が発生しているとか、あるいは集落が孤立しているなど、その先にある災害現場の状況を勘案して、緊急通行車両の通行を確保するために適用されるということでございます。

 したがって、消防活動や救助活動といった災害応急対策全般の観点に重点を置かれた改正でございますので、道路法ではなく、災害対策基本法の改正として措置することといたしたものでございます。

高橋(千)委員 その趣旨はわかります。

 そうしたら、もう一回、済みません、局長に、国交省に伺います。

 そういう趣旨で、では、災害全般ではない、通常の、しかし違法駐車だけではない、警察は警察で別途ありますけれども、そうではない場面で、必要がない、つまり、道路法の六十七条の二が活用される場面が今後も一切ないかもしれないけれども、必要ないというふうに思っていらっしゃるのか、どうですか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、災害対策基本法を改正するということで、委員も御指摘ございましたように、損失補償の規定も設けていただくこととなっております。今後、同様な事態が生じた場合は、円滑な、かつ迅速な道路啓開が行われると思っております。

 それから、道路法の六十七条の二につきましては、先ほど申し上げましたように、これまで事例はございませんけれども、これに該当するものがあれば、今後こういうこともあり得るのではないかと考えております。

高橋(千)委員 あればということでした。やはり、全てが災対法ではないんだと。道路は道路でちゃんとやるべきことがあるんじゃないかと思ったので、改めて質問させていただきました。

 放置車両が移動する範囲が五十メートル内というふうに書かれているわけですよね、この六十七条の二には。つまり、移動されても、自分の車両が五十メートル以内であれば見えるだろう、そういう趣旨だとおっしゃっていました。なかなかそれが困難だというのかもしれないけれども、今の災対法だってそういう議論がされていくわけですから、非常に大事な中身ではないのかなと思ったので、その活用をやれるときはやった方がいいのではないかということで、改めて指摘をさせていただきました。

 同じように、今度は警察に伺いたいんですが、現行災対法七十六条の三第一項で警察官が強制排除措置ができるということ、そして、やむを得ない場合は、車両の破損についての損失補償規定があると思いますが、確認をしたい。その上で、実際の運用がどうなっているのか伺います。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 災害対策基本法第七十六条の規定によりまして緊急交通路を指定した場合には、同法第七十六条の三の規定に基づきまして、緊急通行車両の通行の妨害となる車両等を警察官が移動することができることとされております。

 その運用に当たりましては、できるだけ車両等を破損しないことが原則でございます。具体的には、まず車両の所有者等に対しまして移動等の措置をとるよう命じることとなりますが、命令の相手方が現場にいないような場合におきましては、警察官みずからが移動措置等をとることとなるものでございます。その際、やむを得ず破損をした場合には、同法第八十二条の規定に基づき、損失補償を行うこととなってございます。

 なお、この七十六条の三の規定につきましては、阪神・淡路大震災を踏まえ、平成七年の法改正によって設けられたものでございますが、今までのところ、破損を伴う車両の移動実績については把握はございません。

高橋(千)委員 こちらも、破損を伴う実績は把握はされていないという答弁だったと思います。

 今回、通行禁止区域の設定の考え方が変わるわけですよね。つまり、アクセス道路も含めてやるんだと。それは理解できるんです。

 だとすれば、結果として、区域の指定をするときの判断をもう少しシンプルにすれば、つまり一定の幅を持たせれば、警察官ができるのではないかというふうに思うんですね。しかも、ここは準用規定がありますよね。つまり、現場にいるのは警察官ではなくて自衛官だったりする、しかし、それは職務遂行について準用するということで、規定もあるわけなんです。それで、損失補償の規定ももともとあるということで、そういう形の整理というのもできたのではないかなということを改めて感じたものですから、意見をさせていただきました。次の質問があるので、ここは指摘にとどめます。

 それで、三・一一の大震災を踏まえて、警察庁は、二〇一二年三月に、大規模災害に伴う交通規制実施要綱を通知しています。人命救助を最優先に、第一局面は、規制する緊急交通路を、やはり必要なんですが、それを順次縮小していく。第二局面として、通行を認める車両、最初は警察とか消防とかいう緊急車両に絞るんですが、それをだんだん拡大していく。この流れというのは、非常に合理性があるなというふうに思っております。

 その中で、要綱には、民間事業者などの規制除外車両の通行の必要性についても考え方が示されました。また、円滑な運用のために、事前届け出制度を言っているわけですけれども、どのように機能させていくのか、説明いただきたいと思います。

倉田政府参考人 お答え申し上げます。

 災害対策基本法第七十六条の規定によりまして緊急交通路を指定しまして交通規制を行う場合、医療機関が使用する車両など、発災直後から緊急交通路の通行を認めることが適切と考えられる車両につきましては、事前の届け出を受け付けておくことにより、迅速な対応を確保することとしております。

 こうした制度を機能させるためには、民間事業者に対する制度の周知が重要でありますことから、各都道府県警察におきまして、関係事業者や事業団体に対する連絡を密に行うなど、周知に努めているところでございます。

 今後とも引き続き、民間事業者等の規制除外車両の事前届け出制度につきましての周知を行い、制度が適切に運用されるよう努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 非常にこれも参考になるなと思いまして、伺わせていただきました。時間があれば、最後にも一言伺いたいと思うんです。

 それで、今回、車両の移動と損失補償を規定したということは、毎年のように立ち往生が雪で発生している福島県ですとか、一昨年、県管理国道で同じように立ち往生があった青森県横浜町などにも聞いてみたんですけれども、やはり、歓迎する、非常に悩ましい問題であったというふうにおっしゃっていました。同時に、手続の簡素化を希望しております。

 とはいっても、さっき言ったように、警察の場合だって、できるけれども、実際にやったことはないということです。

 それで、大雪の場合は、現場まで救助隊が行くこと自体が非常に大変なわけですね。そういう中で、いかに道路をあけるかという点では、やはり技術的、人的にも体制が不足をしています。

 そこで、七十六条の七で、国土交通大臣による指示という規定もありますが、どういった場合に行うのか。それで、指示するだけでなくて、やはり現場が戸惑うことがないように応援するということが当然必要だと思いますが、いかがでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 国土交通大臣による指示につきましては、道路全体のネットワークという観点から行うものでございまして、例えば、幹線道路につきまして、直轄国道において道路啓開をしていた場合に、部分的に迂回路をどうしても確保しないと通行が確保できない場合、その迂回路についての道路啓開を担当している道路管理者に指示するというようなことが想定として考えられるというふうに思っております。

高橋(千)委員 そうすると、なかなか応援という雰囲気ではないなというふうに聞いているんです。

 それで、八十二条の損失補償の規定についてなんですけれども、車両の破損については実費負担、負担は道路管理者がするという仕切りになっています。

 実際には、そもそも今まで実績がないから、どういうことが起きるかというのはなかなか想像しがたいことがあるわけですね。緊急を要して、予想を超える財政負担になった場合というのもやはりあり得るだろう。そのときに、道路管理者に過重な負担とならないように、国の財政支援というのも何らか考える必要があると思いますが、大臣の見解を伺います。

山谷国務大臣 損失補償に要する負担についてです。

 原則、通常の維持管理経費の範囲内でそれぞれの道路管理者が負担すべきものですが、例えば大規模な災害により地方公共団体において当該経費の範囲を超え損失補償に係る負担が大きいものとなる場合には、地方公共団体の対応状況等をよく伺った上で、国として適切な対応を検討してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 今、適切なということをおっしゃっていただきましたので、ぜひと思います。

 やはり、最初に考えたのは、財政負担でためらってはならないなと思ったんです。だけれども、さっきお話ししたように、それぞれの自治体は、人命が最優先ですので、そんなことは言っていられないという気持ちで、この制度そのものを歓迎しています。だからこそ、逆に、使い勝手のいい、なるべく手続が簡素化されるということと同時に、しかし、予想を超える負担があった場合には国がちゃんと手当てするよという姿勢がやはり本当に大事なのではないかということを重ねて要望したいと思います。

 それで、最初に紹介した北海道のその後についてなんですけれども、朝日新聞が道内百七十九市町村にアンケートを行って、三月二日に北海道版で公表されております。

 昨年の暴風雪を踏まえた対策は六割が実施していて、それなりにできているということなんですが、まだまだ、例えば暴風雪があったときに地震が来たらどうしようとかとなると、全く考えていないところが多いということで、教訓がさまざま残されているなと思っています。

 きょうは時間がないので、一言指摘で終わります。

 さっき紹介した青森県横浜町では、自衛隊に出動要請しても、たどり着かないわけなんですね。やはり最後に活躍したのは地元の消防団、そして、地元の住民の皆さんがトイレを貸してくれたり、おむつを提供してくれたり、さまざまに力になってくださったという点で、立ち往生したときの一時避難所を事前に決めておいたり、やはり住民とのことを、きょうは事前ということが随分テーマに出てきたんですけれども、そういうことを、車両は移動するけれども、では、人をどうするのかということもあわせてよく議論していく必要があるなと思っておりますので、一言指摘をして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 まず、法改正の必要性についてという、そもそもの質問をさせていただきたいと思います。

 と申しますのは、私は東日本大震災の被災地の議員なんですが、東日本大震災があった後もやはりこういう議論があったと記憶していまして、そのときには、いろいろ議論はあったんですが、結局、運用で対応するということになりました。

 その後、実は、こういう大震災の教訓を踏まえて、災害対策基本法の抜本改正もあったわけです。本来、そういうところで一緒にやればいいかなという思いもあったんですが、そこでも行われなかった。

 その後の事情が、種々災害が起きたことは存じていますし、そういうのを踏まえたということは当然思っておりますが、こういう改正であれば、もっと早くやればよかったのではないかなと思うんですが、なぜ今この時期になったんでしょうか。そのことをお伺いします。

山谷国務大臣 昨年十二月に中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループが取りまとめた「首都直下地震の被害想定と対策について」では、道路の被災に加え、放置車両の発生により、深刻な道路交通麻痺が発生する可能性が示されました。また、本年二月の大雪では、多数の立ち往生車両が発生して、数日にわたり交通が寸断されました。

 今回の改正は、このような事態に対処すべく、災害発生時に立ち往生車両や放置車両によって道路が閉塞してしまった場合に、緊急通行車両の通行を確保するため、被災地域へのアクセス道路も含めて、道路管理者が車両の運転者に移動を命じたり、それが困難な場合には、みずから車両の撤去を行うことができるとするものでございます。

 今度の雪までには必ず間に合わせたいと思っております。

畑委員 ありがとうございました。

 きょう、いろいろ議論がありましたが、結局、東日本大震災は津波の災害であった、今回は、これから首都圏直下型地震等、密集した地域で車両が多い地域、なおかつ、雪なんかの場合には恐らく車が立ち往生する度合いが高いということで、津波の場合は、これも必要だったんですが、流される度合いが大きくて、首都圏直下型とか雪の災害における対策よりはそこの部分の緊急度が少なかったのかなというのも、ちょっときのう事務方と議論をしていて思ったんですが、ただ、これはこれで想定できることでありますから、本当は早くやればよかったと思います。

 実は、きょう、るる議論がありましたが、道路法六十七条の二と六十八条による運用ではなかなか難しいということも明らかになったのだろうと思います。

 六十七条の二だと、長時間放置された車両が対象であると。東日本大震災のときの議論だと、確かに、長時間放置というところを緩く解釈して対応すればいいということだったような気もしますが、やはりそこは抜本的にしっかり対応しなきゃいかぬということだろうと思います。

 六十八条は、確かに、一時使用できる土地というのは災害の現場なんですよね。首都圏直下型みたいなところは災害の現場と言えるか。そこに入ってくる道路というのは、周辺のアクセス道路もあるわけですから、現場ということもなかなか解釈で言いにくい。解釈でやればやれるし、やれないならやれないという微妙なところで、無理くり解釈でやった部分もあったんですが、そこを今回はしっかり手当てするということだと思います。

 改めて、そこは、事務方からで結構ですが、六十七条の二、六十八条による運用ではなかなか対応できないから改正したんでしょうか、そこのところを含めてお伺いしたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現行の道路法の六十八条では、災害の現場ということになっておりますので、首都直下地震のように、かなり広域な範囲から被災地へアクセスするような場合には、対応がとりづらいということがございます。

 また、六十七条の二につきましては、これは平時を想定した規定でございますので、車両の破損がなかなか認められないとか、あるいは、そもそも手続的にも非常に厳格な手続を踏んでおりますので、緊急時の対応が困難であるというようなことがございましたので、本改正を行おうとしたものでございます。

畑委員 こういうふうに、法的に整備をして、疑念がないように、そしてなおかつ、大規模災害のときに手続が煩雑ではないような改正をしたということで、これを踏まえてしっかりと今後も対応に取り組んでいただきたいと思います。

 その際に、これは法律というよりも、体制なりいろいろなやり方で、やはりしっかりやっていかなきゃいけないと思うのは、国のリーダーシップだと思います。

 東日本大震災もそうだったんですが、道路管理者が国道、高速道路、あるいは県道、市町村道と分かれるんですが、当たり前のことですが、道路管理者がばらばらにやっていてはなかなか対応できない。なおかつ、こういう未曽有の災害だと、最前線の市町村なりは壊滅していることも残念ながらあるわけです。公務員もそもそも亡くなられたり、いなかったり、市町村の機能を果たせない。県だって、そこの対応で大慌てになる。災害対策基本法では、そういう場合にまさに国が助ける規定も入ったわけですが、やはり国が出張っていかなきゃいけないんだろうと思います。

 地方分権、地域主権とありますが、ふだんはそうでも、やはり未曽有のときには国の体制、責任、役割が重要だと私は思っております。結局、現場が混乱している中で、道路管理者がばらばらに対応することもできないし、道路管理者もかなりごたごたになって大変なときに、啓開をしっかり、まず道路を啓開することが大事ですから、そこを迅速にやっていかないと、いろいろな支援も入ってこないし、災害が増幅してしまうと思います。そこは、道路がネットワークとして機能するような形で、しっかりとした対応を果たす必要があります。

 いろいろるる申し上げましたが、結局、国が直接市町村道の啓開を行ったりすることもあるだろうし、しなきゃいけない場合もあると思います。また、道路の被災情報というのが錯綜する中で、どこかが一元的に管理しなければいけない。その場合に、やはり国が一元的に管理するということもあるだろうし、国がリーダーシップを果たすべき部分は大きいだろうと思いますが、そこのところをお伺いしたいと思います。

西村(康)副大臣 お答え申し上げます。

 私が現地対策本部長で滞在をいたしました広島においても、被災をした、瓦れき等がたくさん積み上がった場所は、道路啓開が必要だった場所は市道がほとんどであったのですけれども、市役所、広島市がとても手が回らないということで、市からの要請も受けて、国土交通省地方整備局が担当をしてみずから土砂撤去等に当たった、道路啓開に当たったというケースもございます。

 今回の改正による車両の移動についても、これまでの道路啓開と同様、道路管理者である市町村に十分能力がない、被災をしてとても対応できないというような場合においては、地方公共団体と連携をして、要請、依頼を受けて、国において直接車両の移動等を行う、そういう迅速な対応をすることとしております。

 御指摘のとおり、平素から、道路の被災情報の一元管理については、地方整備局が中心となって、関係機関、自治体と調整会議を行ったり合同で防災の訓練を行って、いざというときに備えているということでございますし、発災時にも、自治体を含め、被災情報を集約して、優先啓開路線、どの道路を優先するのかといったことの調整を行うことにいたしております。

 いずれにしましても、大災害時には、御指摘のとおり、必要に応じて国がリーダーシップを発揮して、自治体をしっかり支援する形で、災害対応に万全を期していきたいというふうに考えております。

畑委員 ありがとうございました。

 今、地方整備局の話もありましたが、私は、東日本大震災のときに地方整備局の果たした役割を大変評価しております。くしの歯作戦という形で、本当に道路の啓開が早かったと思っております。

 あのとき感じたことは、やはり、しっかり機能するところがそういう対応をしなければいけないなと思いました。あのときは、地方整備局なり国交省は、道路の啓開以外にも、言ってみれば権限外のこともやってくれたわけですね。いろいろ相談に乗ったり、極端に言えば、棺おけを買ったり、当時の大畠国交大臣、おられますが、何でもできることはやれということで、大変やっていただきました。もちろん、あれは国交省がやればいいのか、適切か、議論はありますが、いずれにしても、国がやはりそういういろいろなことを一元的にやるシステムというのは絶対必要だと思います。

 これは、実は前の政権のときから今に至るまで、地方分権の議論の中で、地方整備局廃止という議論もちらっと出たことがあります。私は、地方整備局は廃止すべきじゃないと思っておりますが、仮に廃止するのであれば、受け皿をしっかりつくらなければいけないんだろうと思います。

 その受け皿は何なのか。そのときは広域連合という議論もありましたが、やはり、民主的正当性を持って、いざとなったら指揮命令がしっかりしている、そういう組織でなければいけない。私は、現行の組織を活用して、しっかりその役割を果たしてもらうのが適切だと考えております。

 ですから、そういう意味で、地方整備局の果たした役割に鑑みて、非常にいい役割を果たしてもらった。引き続き、この機能を果たしてもらうような仕組みを維持していくことが現実的には必要なことだと思っております。

 そういうことで、災害時に必要な体制について、どのように国として確保していくつもりなのか、その点をお伺いします。

山谷国務大臣 地方整備局の果たす役割でございますが、地方整備局は、大規模災害時における被災地の早期復旧など、不可欠の役割を果たしてきたと認識をしております。

 東日本大震災では、東北地方整備局がくしの歯作戦により道路啓開を迅速に実施するなど、国土交通省の出先機関が、迅速な道路啓開や緊急物資の調達など、被災地の復旧復興に極めて重要な役割を果たしました。

 また、全国の地方整備局が、緊急災害対策派遣隊、TEC―FORCEとして、一体となって被災地の応援に当たりました。広島の土砂災害のとき、また御嶽山の火山噴火のときに、本当に大きなお力、お働きをいただいたと思っています。

 このように、国土交通省の出先機関は、大規模災害時の危機管理、全国組織として防災、減災対策など、国民の安全、安心に直結する重要な役割を担っているものと認識をしております。

畑委員 ありがとうございました。

 結構時間がまだ余りましたので、通告は終わっておりますが、もう一つぐらい、私の意見を申し上げながら、素朴な見解でいいので、ちょっと議論を進めたいと思います。

 まさに、災害のときに、シンプルな組織で、国が一元的に、権限が明確な、指揮命令系統が明確な組織じゃなければならないと思います。そういう意味で、TEC―FORCEの果たした役割も広島の土砂災害で大きかったということも私も認識しているし、お聞きしているところであります。

 これから災害の対応体制をどうやってやっていくかという中で、日本型FEMA、米国の危機管理庁のような議論もあるわけですが、あれも、しっかり従来の組織との関係を整理してつくれれば効果を発揮するんでしょうが、何となく心配なのは、屋上屋を架す形でもう一本、従来の実動部隊との関係をうまく整理しない形でできてしまうと危ないし、そういう組織というのは、ふだんはできればできるほどいいんですが、まあ、いいとは言わないけれども、災害のときには、組織ができればできるほどいいとは言わなくて、むしろ一つの組織、シンプルじゃなければいけないのだろうと思います。

 そういう意味で、私は、そのつくり方、制度の設計の方法にもよりますが、日本型FEMAというよりも、既存の組織をしっかり生かすような形で組んでいく方が現実的なのではないかなという思いは持っております。

 かなり時間がありますが、ちょっと日本型FEMAに対する認識といっても多分できないでしょうから、今の日本型FEMAも含めた議論が現状どう進んで、どんな感じの議論をしているのか、そこの紹介をいただけますでしょうか。

西村(康)副大臣 私の方からお答え申し上げます。

 FEMAの組織、これも、いろいろ歴史を経て、失敗も重ねながら、改善を積み重ねて、一元的に災害対応するという組織ができ上がってきております。

 私ども、こうしたアメリカの事例、あるいはそれ以外の諸外国の事例も研究をしながら、日本のやり方をよりよくしていくために何か改善するところはあるのか、こういった視点から副大臣レベルで会合を重ねておりまして、事務レベルでもそうした諸外国の例も勉強して、年度内に一定の方向を出そうと思っております。

 御案内のとおり、災対法に基づいて、非常災害対策本部、広島のときもそうですし、それから御嶽山のときもそうですけれども、この非常災害対策本部が設置されれば、防災担当大臣のもとに関係省庁が集まって、大臣にいろいろ指示できる権限が付与されますので、そしてまた現地対策本部長にもその部分が委任をされますので、かなりの部分、調整機能が大臣そして現地対策本部長に付与されて、そこで一定の権限を与えられて、調整をし、指揮、指示をしていくというようなことになります。

 こうした面で、非常にうまくいっている面と、しかし、やはり各省が集まってやりますので、初動がどうかとか、いろいろなことも検証しながら、よりよい制度にしていきたいと思っております。

 経験を重ねながら、例えば人命救助についても、自衛隊、消防、警察、それぞれの得意分野がありますし、役割分担しながら、統合の指揮所もつくって調整を行ってきておりますので、経験を重ねるたびに、我々の組織、我々の対応も進化をしてきていると思いますけれども、さらにいい組織を目指して、引き続き研究をし、対応してまいりたいというふうに考えています。

畑委員 よろしく御検討をお願いしたいと思います。

 災害対応というのは努めて現実を踏まえなければいけないと思っておりまして、これはイデオロギーの世界でも何でもなくて、むしろ、本当にしっかり現実を踏まえてやっていかなきゃいかぬ。

 その中で、東日本大震災のときは、やはり現場を持っている役所というのは非常に頼りになりました。先ほど申し上げた国交省もそうなんですが、まさに自衛隊も、自衛隊の活動には、本当にもう感謝してもし切れない思いでおります。また、警察もそうであります。

 現実でしっかり日ごろ訓練されて、そしてノウハウを持っている、そういう人たちをしっかり生かす体制が必要だと思っていまして、そこにいかに縦割りを超えて指揮できるかということはもちろん大事であります。もちろん、米国の大統領制と違って日本は内閣制ですから、どうしてもやはりそこの司令機能というところになると、なかなか、そこはいろいろな各省の縦割りの部分が出てきますが、そこを何とか工夫していただいて、強力な司令機能で、本当に、現場で最前線で活動される、そういう国交省、自衛隊、警察官の皆様みたいな方々の能力を阻害しないような形の司令機能ということだと思います。

 まさに、こういう現場の方々の能力とモラルは日本の役所は私はピカ一だと思うし、本当にやっていただいたと思っております。そういうことを踏まえて、今後、体制をしっかりと組んでいく、そのこともお願い申し上げまして、ちょっと早いですが、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

梶山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、災害対策基本法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、林田彪君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党、次世代の党、みんなの党、日本共産党及び生活の党の八派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。泉健太君。

泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    災害対策基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、今後の大規模地震や大雪等の災害時において、緊急通行車両の通行が確保されるよう、本法の施行に当たり、次の事項の実現に努めるべきである。

 一 災害時の道路啓開に万全を期すため、道路管理者の人員体制の確保、重機等の資機材の充実等による現場における体制の強化並びに安全の確保を図ることとし、そのために必要な措置を講じること。

 二 災害時の自動車運転の在り方や道路上の車両停止の在り方について、運転免許保有者に対する講習や防災訓練等を通じて適切な普及啓発を図ること。

 三 災害時における車両の移動等を行う際の車両、土地等への損失補償について、可能な限りその手続の簡素化と補償の迅速化が図られるよう適切な措置を講じること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山谷防災担当大臣。

山谷国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。

    ―――――――――――――

梶山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十二分散会


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