衆議院

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第3号 平成27年3月20日(金曜日)

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平成二十七年三月二十日(金曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 大見  正君 理事 工藤 彰三君

   理事 櫻田 義孝君 理事 高鳥 修一君

   理事 務台 俊介君 理事 小宮山泰子君

   理事 足立 康史君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    井上 貴博君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    木内  均君

      熊田 裕通君    今野 智博君

      坂本 哲志君    笹川 博義君

      新谷 正義君    鈴木 憲和君

      谷川 とむ君    冨岡  勉君

      藤丸  敏君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      泉  健太君    岡本 充功君

      神山 洋介君    小山 展弘君

      中島 克仁君    伴野  豊君

      河野 正美君    升田世喜男君

      松田 直久君    中川 康洋君

      濱村  進君    大平 喜信君

      堀内 照文君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       山谷えり子君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   総務副大臣        二之湯 智君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  持永 秀毅君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      関  靖直君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  本郷 浩二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           海堀 安喜君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         清水喜代志君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局次長)        長谷川博章君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           島村  淳君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  金田 勝年君     井上 貴博君

  神山 佐市君     青山 周平君

  森山  裕君     宮路 拓馬君

  泉  健太君     中島 克仁君

  今井 雅人君     升田世喜男君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     神山 佐市君

  井上 貴博君     金田 勝年君

  宮路 拓馬君     森山  裕君

  中島 克仁君     泉  健太君

  升田世喜男君     今井 雅人君

    ―――――――――――――

三月十九日

 防災・老朽化対策を優先すること等に関する請願(真島省三君紹介)(第四一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四一七号)

 同(宮本徹君紹介)(第四一八号)

 同(本村伸子君紹介)(第四一九号)

 被災者生活再建支援制度の抜本的拡充を求めることに関する請願(池内さおり君紹介)(第五〇六号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第五〇七号)

 同(大平喜信君紹介)(第五〇八号)

 同(笠井亮君紹介)(第五〇九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第五一〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第五一一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五一二号)

 同(島津幸広君紹介)(第五一三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五一四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第五一五号)

 同(畠山和也君紹介)(第五一六号)

 同(宮本徹君紹介)(第五一七号)

 被災者生活再建支援法の抜本改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五一八号)

 同(大平喜信君紹介)(第五一九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五二〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第五二一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五二二号)

 同(藤野保史君紹介)(第五二三号)

 同(堀内照文君紹介)(第五二四号)

 同(真島省三君紹介)(第五二五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五二六号)

 同(本村伸子君紹介)(第五二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官持永秀毅君、内閣府大臣官房審議官山本哲也君、内閣府政策統括官日原洋文君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長関靖直君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、林野庁森林整備部長本郷浩二君、経済産業省大臣官房審議官三木健君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、国土交通省大臣官房審議官海堀安喜君、国土交通省大臣官房技術審議官清水喜代志君、国土交通省土地・建設産業局次長長谷川博章君、国土交通省水管理・国土保全局長池内幸司君、国土交通省道路局長深澤淳志君、国土交通省航空局安全部長島村淳君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君及び防衛省大臣官房審議官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大平喜信君。

大平委員 おはようございます。日本共産党の大平喜信です。

 昨年の総選挙で中国ブロックから初当選をさせていただきました。広島県の出身です。

 昨年八月二十日未明に発生した、死者七十四人、四千七百を超える家屋損壊をもたらした広島市北部の豪雨土砂災害から、きょうでちょうど七カ月となりました。改めて、亡くなられた皆さんへの哀悼の意をあらわすとともに、被害を受けられた多くの方々へ心からのお見舞いを申し上げます。

 私は、日本共産党広島県委員会の土砂災害対策本部副本部長として、この災害が起きた直後から、被災地のお宅一軒一軒を伺い、お見舞いを申し上げながら、御要望を聞き取る活動に地元の皆さんと取り組んでまいりました。一カ月で二千四百四十九軒を訪問し、寄せられた声をまとめて広島市や県、また国に届け、改善を求める活動も行ってきました。

 そうした声は、先日、山谷大臣にも直接届けさせていただきました。その後も私は、この七カ月間、毎月被災地を伺って、被災者の皆さんから、その都度、お困り事や御要望などを聞いてまいりました。きょうは、現時点で問題になっていることについて、現場の実態も紹介をしながら質問をいたします。

 安佐南区の緑井七丁目に住むある被災者の方は、この地域に住んで十九年、今度の災害が起こるまで、土砂災害の危険性について考えたこともなかったし、行政からの説明もなかった、避難訓練も一度もやったことがなかったと話しておられました。

 既に指摘をされているとおり、今度の災害で大きな被害のあった安佐南区の緑井地域そして八木地域いずれも、行政は、基礎調査をし、危険性を知っておきながら、土砂災害防止法が定める土砂災害警戒区域にも、また特別警戒区域にも指定されていませんでした。警戒区域の指定が宅地開発の後追いとなり、土砂災害の危険を放置したと言われても仕方がありません。

 土砂災害防止法の改正した内容も含めて、今回の事態を政府としてどのように受けとめているのか、最初にそのことから確認をしたいと思います。

池内政府参考人 お答えいたします。

 安佐南区の緑井、八木地区におきましては、御指摘のとおり、平成二十六年三月までに基礎調査は完了しておりましたが、八月時点で警戒区域等は未指定となっておりまして、住民の方々に土砂災害の危険性が十分に伝わっておりませんでした。

 このため、土砂災害防止法を改正いたしまして、基礎調査結果の公表を都道府県に義務づけますとともに、法に基づく基本指針において、おおむね五年程度で完了させることを目標とするなど、基礎調査の促進を図ることとしております。また、土砂災害警戒情報の市町村長への通知の義務づけや安全な避難場所の確保など、避難体制の充実強化を図ることといたしました。

 国土交通省といたしましては、改正土砂災害防止法に基づきまして、土砂災害対策の推進に努めたいと考えております。

 以上でございます。

大平委員 まさに住民の皆さんにとっては、何も知らされることなく、今のこの場所に住み続け、日々暮らしていたところに、突然八月二十日を迎えた、そんな状況だったわけです。

 ある被災者の方は、全く情報がないままに、のうてんきに、平和に、のんきに暮らしていたと表現をされておられました。危険地域であるにもかかわらず、宅地開発を野放しにして、そのもとで起きたのが今度の土砂災害でした。

 もう一つ確認ですが、この災害が起こる前、安佐南区の八木地域には、国として、九つの危険渓流に九基の砂防ダムを整備するという計画を二〇〇一年から持っていたと聞いています。その整備計画が、この災害が起きた時点でどこまで進められていたのでしょうか。そして、砂防ダムの効果という点にもかかわりますが、その計画の整備状況によって今度の土砂災害の被害にどういう違いがあったのか。あわせて伺いたいと思います。

池内政府参考人 昨年の広島の災害におきましては、百七の渓流で土石流が発生いたしましたが、このうち、被害の大きかった緑井、八木地区では、国が、御指摘のように、砂防堰堤を九基整備しようとしておりました。そのうち二基が工事中でございまして、他の七基は用地確保や調査設計に着手したところでございます。

 砂防堰堤には、土石流発生時に土砂を捕捉することなどによりまして、下流の被害を防止、軽減する効果がございます。緑井、八木地区の二基の砂防堰堤は、工事中ではございましたが、下流の被害を軽減し、人命を守りました。また、同じく、安佐南区の大町地区におきましては、砂防堰堤が土石流を完全にとめておりまして、下流の被害を防いでおります。この広島の災害では、砂防堰堤が土砂災害の防止、軽減に大きな効果を発揮しております。

 一方で、土砂災害危険箇所が非常に多うございまして、必要な箇所は全国でも九万カ所程度ございます。そのうち、対策済みは二万カ所となっておりまして、砂防堰堤の整備につきましては、非常に多くの時間を要するということもございます。財政制約がございますが、住民を守る効果の高い箇所等に優先順位をつけまして、計画的に整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

大平委員 建設するはずだった砂防ダムが、九基のうち、わずか二基しか着手されていなかった。そして、その二基も未完成だった。しかし、未完成ではあったけれども、その場所では少なくとも命を守ることはできた。私も現場を視察しましたが、計画どおり九基できていればもっと救えた命があったかと思うと、本当に悔しくてなりません。

 つまり、私が言いたいのは、集中豪雨という自然現象をなくすことは難しくても、それによる被害、とりわけ、人命や生活基盤を根こそぎ奪われるという災害をなくし、軽減するのは、政治の責任。今回の災害は、早期の情報提供と避難勧告、避難指示のおくれ、危険地域であるにもかかわらず、宅地開発を野放しにし、危険の周知を怠った責任。そして、避難訓練や災害弱者の避難支援など、警戒避難体制の整備を怠ってきた責任。さらに、自分たちも危険だと判断し、ダムが必要だと認めてきた、その整備事業すらおくれにおくれてきた責任という、二重三重の政治、行政の責任が問われる政治災害だと言わなければなりません。

 先ほど御紹介した被災者の方は、この地域にどれだけの危険があるのかが知らされていれば、我々住民はあの豪雨の中にのんきに寝ているようなことはあり得なかったとおっしゃっていました。

 この方が言われるように、私は被災者には落ち度はなかったと考えますが、山谷大臣、どのように思われるでしょうか。

山谷国務大臣 大平委員の座右の銘は「アツくやさしく」ということで、先日もさまざまお声を聞かせていただきました。「アツくやさしく」、政治はそうあらねばならないと思いますし、思いを共有するものでございます。

 広島県においては、平成十一年に、土砂災害防止法制定の契機となった大規模な土砂災害が発生しましたが、今回再びこのような甚大な土砂災害が発生したことについては、大変残念であると考えております。

 この災害を受け、国土交通省では、土砂災害防止法を改正し、都道府県による基礎調査結果の公表を義務づけるとともに、土砂災害警戒区域における警戒避難体制を整備する等の措置を講じたところであります。

 また、政府の中央防災会議においても、総合的な土砂災害対策検討ワーキンググループを設置し、広島土砂災害等に関する課題を整理するとともに、住民に対する避難勧告等の適時的確な伝達や土砂災害防止施設の計画的な整備など、総合的な対策を検討しているところでありまして、本年の出水期までには報告を取りまとめることとしております。

 それぞれの住む地域がどのような状況、危険があるかを知る、把握するということは重要であります。被害の最小化を図っていかなければなりません。今回の土砂災害によって得られた教訓を十分に生かし、再びこのような甚大な被害が生じることのないよう、引き続き、関係省庁及び自治体と連携し、土砂災害対策に万全を期してまいりたいと考えております。

大平委員 今盛んに、防災といえば自助と共助ばかりが強調される状況の中で、その前に、本来、地域住民の暮らしと安全を守るという、この役割を担う政治や行政がこの点で大きな課題があったということをよく踏まえて、本当に被災者に寄り添って、今後の支援制度のあり方について検討しなければならないということを私たちはしっかり肝に銘じる必要があると思っています。

 その上で、今被災者の皆さんがお困りになっている問題について、一つずつお尋ねしていきます。

 一つは、被災した皆さんが現在一時的に住んでおられる公営住宅や民間借り上げ住宅など、仮住まいの支援に関する問題についてです。

 今皆さんが共通して悩んでおられるのは、今後、どこにどういう住まいを確保するかについての見通しが今なお持てないということです。家屋の損壊の程度はさまざま、これまで築き上げてきた地域の大切なコミュニティーもある、しかし、あんな恐怖はもう二度と味わいたくない、少なくとも砂防堰堤などが整備されるまでは怖くて戻れないなど、いろいろな気持ちが被災地では錯綜をしています。

 そんな中で、仮住まいの住宅支援の期間がことし八月までとなっていることに、皆さん大変大きな不安を感じています。これは、もともとは、被災から半年間、ことし二月までとしていたものを、まだ到底もとの家に戻れる状況ではないということで、半年間の延長をして、ことし八月までとしたものですが、では、この八月に見通しが持てるのかというと、決してそうはならないというのが、被災者の皆さんの率直な気持ちです。

 今回の広島の災害においては、都市部であったことでもあり、仮設住宅の建設は行わず、既存の公営住宅と民間の賃貸住宅を借り上げて被災者に提供するという形で行われています。

 ですから、この仮住まいが災害救助法で定められた借り上げ仮設住宅であり、仮設住宅の支援期間は被災から二年と定めているわけですから、半年ごとなどと小出しにするんじゃなくて、まずは来年八月までの延長を決めて、被災者の皆さんが、当面の心配に気をとられず、今後の生活再建、どうすれば恒久住宅へ移れるかをきちんと落ちついて考えることができる環境をつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 応急仮設住宅についての考え方でございますけれども、災害救助法に基づく応急仮設住宅については、原則として、住家が全壊し、居住する住家がない者であって、みずからの資力では住家を確保できない被災者に対して仮住まいを提供するものであります。応急仮設住宅の提供期間については、通常、災害公営住宅の整備状況等、被災者に対する恒久的な住宅の確保状況を踏まえて期間を定めることとされています。

 今回の広島の土砂災害においては、広島市が、応急仮設住宅以外にも、公営住宅や国家公務員宿舎、雇用促進住宅等の公的な住宅、無償提供の申し出のあった民間住宅等の仮住まいを、全壊世帯に限定することなく、住まいの不安を抱える被災者に幅広く提供したものと承知をしております。

 また、広島市は、これらの住まいの提供に当たっては、対象者により取り扱いを変えるということではなく、住まいの提供期間についても、当初は六カ月とし、その後さらに、個々の被災者の状況を踏まえて、延長が必要な場合には六カ月延長するなど、一律の取り扱いとしているものと承知をしています。

 応急仮設住宅の提供期間は、大平委員おっしゃられるように、最大二年でございます。応急仮設住宅も含めた被災者の住まいの確保については、今後においても引き続き、広島県及び広島市において、個々の被災者の置かれた状況を踏まえつつ、対応を検討していくものと考えております。国としては、県、市と連携しながら、必要な助言に努めてまいりたいと考えております。

大平委員 私はここに、昨年発行された「災害救助の運用と実務」という冊子を持ってまいりました。今回の質問を準備するに当たって、いろいろ勉強させていただきました。

 これは災害救助法の手引とも言えるもので、各自治体はさまざまな事態への対応をこれを使って行っているというものなんですが、その中の応急仮設住宅の供与という項目の中に次のようにあります。

 一つは、住宅の供与期間にかかわらず、なるべく早い機会にこれらの者を恒久的な住宅へ転居させるよう措置する。つまり、どういう期間を定めようと、別に半年で区切ろうと区切るまいと、なるべく早く恒久住宅へ移れるよう努力すると明記をされています。

 さらに、その後には次のように書かれています。建設型の応急仮設住宅と民間賃貸住宅の借り上げによる応急仮設住宅の設置により供与期間に差異を設けることについては適切でなく、民間賃貸住宅の借り上げによる応急仮設住宅の設置による供与期間も同様に最長二年三カ月としていると書いてあります。つまり、民間賃貸住宅の供与期間も仮設住宅と同じにせよという趣旨がこの本の中にも書かれています。

 山谷大臣のもとでこの冊子も出され、こういうことを言われているわけですから、今度の広島の公営住宅あるいは民間賃貸住宅の借り上げによる住宅提供も、まず二年という期間を定めるように重ねて求めたいですし、現場は本当に全壊の世帯も半壊その他の世帯も混在しているわけですから、まとめて全て二年と定めるように求めますが、重ねて、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 被災者の住まいの確保についてでございますが、今後においても、引き続き、広島県及び広島市において、個々の被災者の置かれた状況を踏まえつつ対応を検討していくものと考えておりまして、国としては必要な助言に努めてまいりたいと思います。

大平委員 住宅支援の問題にかかわって、もう一点お伺いをいたします。

 今回の広島の災害では、被災後に被災者みずから契約した民間賃貸住宅を、被災者向け借り上げ住宅として、借り上げ仮設とみなすという措置もとられています。

 そのもとで、今、被災者の方たちから悩みが寄せられていますのは、被災者向け借り上げ住宅の物件の条件が大変に厳しいという問題です。入居人数によって間取りと家賃が決められており、しかも、指定された不動産業者が提供する物件に限ると決められています。もちろん、何らかの基準を持つことそのものに私も反対ではありませんが、もっと実態に合わせて柔軟に対応すべきではないかと思うわけです。

 例えば、緑井七丁目で被災をし、この被災者向け借り上げ住宅で避難生活をしているある方から、次のようなお悩みを聞きました。娘が国家試験を控えており、勉強部屋を確保してやりたい、そう思っていたら、同じマンションでもう一つ部屋数が多い物件に住まれている方が近々引っ越されると聞いた、家賃は当然高くなるが、増額分の家賃は自分たちで上乗せをして払うので、そこに移らせてもらえないかと聞いたら、あくまでも入居人数と間取りは決まっているからだめだと言われたというお話でした。

 本当に柔軟な対応が求められていると思いますし、この制度も、背景には災害救助法の現物支給という考え方をベースにしていると思うんですよね。ですから、現物支給だけでなく現金支給という仕組みも加えれば、利用者も、自分たちで上乗せをすることも含めて、活用の幅が広がるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 被災者向け借り上げ住宅の対象について、一定の基準を設定することはあるにしても、その基準に合致しない場合であっても、被災者に寄り添った柔軟な対応をすべきではないかというお考えかと思います。

 委員御指摘の被災者向け借り上げ住宅制度は、災害救助法に基づく応急仮設住宅として提供されているものではなく、広島市独自の制度と承知をしております。国としては、そのために、その扱いについて具体的に御意見をさせていただくという立場にはないわけでございますけれども、広島市において、被災者の住まいの不安の解消に向けた対応に努めておられるものと考えております。

 そしてまた、現行の現物給付による提供だけではなくて、現金給付も選択できるようにしたらどうかというお考えでございます。

 平成二十五年十月に、それまで厚生労働省が所管をしておりました災害救助法が内閣府に移管されたことなどを受けまして、被災者支援について幅広く検討するために、被災者に対する国の支援の在り方に関する検討会を設置いたしまして、昨年の八月に、被災者支援全般についての課題や対応策について中間取りまとめがなされたところでございます。

 御指摘の応急仮設住宅のあり方については、応急仮設住宅の位置づけや現物給付のあり方、他の低所得者対策等とのバランス、恒久住宅への移行のあり方について議論をして、現金給付とした場合のメリット、デメリット等を含めて、各委員からさまざまな御意見をいただいているところでございます。

 現金給付を含めた応急仮設住宅のあり方については、被災者に与える影響も少なくないことから、今後、幅広く関係者の御意見を聞きながら、さらなる検討を進めてまいりたいと考えております。

大平委員 国の災害救助法は全壊世帯を対象にしている、半壊以下は対象にならないということです。しかし、現場、被災地というのは、全壊世帯はもちろん、一部損壊や床下というのも含めて、半壊以下も、怖くて住めないという思いも含めて、今、もとの家には戻れない状況になっている。ですから、全壊世帯だけではなくて、半壊や一部損壊の被災者に対してもこうした住宅支援が必要だということが被災の実態から求められ、こうして広島市が独自の事業として行うことになりました。

 実態は、全壊であろうと、半壊や一部損壊であろうと、何より砂防ダムができないことにはもとの場所に帰ることもできないわけですから、本来であれば、私は、国としてこういう全壊以外の世帯に対しても責任を持つべきだと思います。

 そのことも述べて、次の問題に移りたいと思います。

 次に、砂防堰堤建設に伴う用地買収に関する問題についてお聞きをいたします。

 今度の土砂災害を受けて、国土交通省は、緊急事業として二十四渓流について砂防堰堤を建設することを決定しており、現在、その建設に係る宅地の地権者の方との用地買収の交渉のための準備を進めています。

 この点で被災者の方たちから寄せられているのは、その土地や建物の査定基準の問題です。今聞いていますと、あくまでも一般的な公共事業と同じように、現在の状況を基準に査定をするという話になっているとのことで、そのことに大変不安が広がっています。家が壊れているお宅は、その状態での建物の価値が査定され、土石流などで家が流されてしまったお宅は、建物の価値はゼロということになるわけです。

 先日、ある被災者の方からお伺いをしましたのは、この前、広島市の町づくりの相談会があったときに、市の担当者から、木造の家屋で三十年もたっているならもう二割ですよと言われた、びっくりした、そういうお話でした。

 まず国交省に確認なんですが、この広島市の担当者が言っているように、三十年たった木造家屋は二割だなどのような、一律に査定の基準を設けているという事実があるんでしょうか。そして、それは国交省の立場なのかどうか。あわせて確認したいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 建物の補償につきましては、個別に建物を調査いたしまして、建物の構造や材質などによる異なる耐用年数を用い、また維持管理の状況などを判断して、補償額を算定することといたしております。

 三十年を経過すると一律の補償率で補償するということではないというふうに考えております。

大平委員 今考えないといけないのは、この地域全体の安全を守るために、堰堤にかかる皆さんは転居をしなければならない、そうだとすれば、当然、この人たちは次の住まいを確保しなければならないわけで、それが見通せるだけの、国としての責任を持った補償をしなければならないということです。

 しかし、今現地でのやりとりで聞こえてくるのは、ただではないから安心せよだとか、皆さん当然貯金もしているんでしょうなど、被災して心身ともに大きなショックを受けておられる皆さんにそんなことを言うのかと耳を疑うような話が次々と私のところに寄せられています。本当に不安と怒りが広がっています。

 用地買収の査定基準の問題、国交省としてこうした実態にどう応えるのか、教えていただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 災害復旧事業の査定基準、こういったものにつきましては、適正な財産権の補償を行うという観点から、基本的には、契約締結時の時価によって算定するということになっておる次第でございます。

 なお、住宅や土地が被害を受けて毀損したり滅失した方の生活再建については、重要なことであると考えておりまして、国土交通省の所管ではございませんが、被災者生活再建支援制度が準備されているというように承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、砂防事業に係る用地買収につきましては、契約締結時の土地建物の状況に応じて補償額を算定することとなるということでございます。

大平委員 被災者の皆さんは、何も豪邸に住ませろと言っているわけではないのです。もともとは、ずっと今のこの家、ここに住み続けるつもりだったのが、こういう災害が起きて、地域全体の安全のために立ち退かないといけなくなったわけだから、それにふさわしい補償をしてほしいという当然のことを言っているわけです。

 ある被災者の方から、次のようなお話を聞きました。災害があって、安佐南区のイメージは悪くなり、不動産の価値は下がると思われていたが、現実には、今マンションの相場から何から全部上がっている。別の被災者の方からも、砂防ダムができて地域の安全がしっかり確保できれば、もともとこの地域は、交通の便もよく、高速道路の乗り口も近くて、非常に人気の高まる可能性があるというお話を聞きました。

 つまり、緑井や八木で被災した方が、それでも、地縁、血縁もあって遠くには行きたくない、何とかこの地区で今後も住み続けたいと思っても、この補償額が低ければ、住みなれたこの地域に住宅再建ができないということになりかねません。

 具体的に一点伺いますが、用地買収の査定に、地域の安全が確保されたことによって生まれるであろうこの地域の資産価値、これも考慮に入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 災害復旧事業により取得する土地に対しましては、正常な取引価格をもって補償することとされております。

 この土地の正常な取引価格につきましては、近傍類似地の取引価格を基準といたしまして、土地の位置、形状、環境などの価格形成上の諸要素を総合的に勘案して算定することとなっております。

 砂防事業の施行による地域の安全性の確保についても、その要素の一つというふうに考えております。

大平委員 冒頭にも述べましたが、政治や行政が本来やるべき仕事を怠った二重、三重の責任によって起きた政治災害なわけです。そして、今度の災害があったからこその緊急事業として、地域みんなの安全確保のためにこの人たちは立ち退きを迫られているわけです。決して一般の公共事業と同じように考えることはできませんし、同じように考えてもらっては本当に困ります。

 ある方は、自分たちは本当に次の住まいに移り住めるのか、不安で夜も眠れない、被災者の我々は第二、第三の被災者になりつつある、心的外傷後ストレス障害ですけれども、PTSDになっている方もいて、第二、第三のPTSDも広がるのではないかと、不安の思いをおっしゃっておられました。

 立ち退きの対象になる被災者の皆さんは、地域の安全が確保されるならと、皆さん、気持ちとしてはみんな協力したいと思っておられます。しかし、次の住まいの確保の見通しが持てなければ、立ち退きたいと思っても立ち退けないではありませんか。それでは、結局、地域の安全も守ることができません。

 ぜひ政府としても、この立ち退きの対象になる人たちの次の住まいの確保を見通せるだけの補償をしてほしい、この声に応えていただきたいと考えますが、政務官、いかがでしょうか。

鈴木大臣政務官 大平先生おっしゃいますように、立ち退きの対象になる被災者の方々の移転先の住宅の再建のための資金を確保する対策は極めて重要であろうというふうに考えております。

 その上で、本件事業に伴う用地買収に伴う補償につきましては、ほかの災害復旧に係る事業と同様に、国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づきまして、適正に行ってまいりたいというふうに考えております。

大平委員 重ねて、本当にこの人たちのやむにやまれぬ思い、みんなに協力したいけれども、しかし、次の住まい、どこに住めばいいのか、この前に聞いた、ことし八月までの住宅支援、本当にそこまでに決まるのかという不安も感じながら、こうした次の住まいに向けての不安を抱えておられます皆さんの思いに応えてもらえるように、重ねて訴えたいと思います。

 最後の問題に移ります。

 被災者は、行政に言われるまでもなく、一日も早くもとの生活を取り戻したいし、一日も早く、誰に遠慮することもなく、自分たちが気持ちよく住み続けられる家を確保したいと願っています。それを支える上で、被災者生活再建支援法の拡充は欠かせません。

 三月十二日付の中国新聞では、被災者生活再建支援法に基づいて住宅の被害に応じて支払われる基礎支援金を受け取った世帯のうち、新築や補修などで追加の支援金、加算支援金の受給が決まったのは五割にも満たない、被災した場所に戻る不安や経済的な理由から再建できないことなどが背景と見られると報じています。つまり、現在の上限額では住宅の再建に踏み切れないという人が半分以上いるという報道でした。

 さらには、余り知られていませんが、今度の安佐南区、安佐北区の土砂災害では、千五百台近い自動車が流され、廃棄処分となっています。廃棄の費用は、さまざま制度があり、活用されましたが、新たに買いかえるのは、基本的には全て被災者の自腹となっています。こうした、今は表には見えていないものも含めて、相当な規模で被害が出ているわけです。

 ですから、この法律の名前のとおり、文字どおりの生活再建支援を図るための制度として、この制度を質、量ともに、両面で拡充することが求められていると思います。支援金最高額を現在の三百万円から五百万円に引き上げること、支給対象を半壊まで広げること、自宅の再建の難しい被災者も幅広く活用できるよう総合的な居住確保のための支援策にしていくことなど、この拡充が求められていると考えますが、山谷大臣、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた方に対して、その生活の再建を支援することは重要だと認識をしております。一方で、住宅の再建等、被災者の生活再建については、保険や共済等の自助、共助が基本であり、公助でそれを側面的に支援するということが適当であると考えております。

 被災者生活再建支援制度については、このような趣旨により、被災者の生活再建を後押しするための見舞金的なものとして、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により対応するものでありまして、基礎支援金については、全壊等の場合は百万円、加算支援金については、建設、購入の場合は二百万円、合わせて最大三百万円となっております。

 この被災者生活再建支援制度の経緯でございますが、阪神・淡路大震災で自助、共助の限界の認識がございました。収入、資産の不足により、事前の保険加入、耐震化や、事後の生活再建を行えない人々が多数存在した。町の市民の方々、知事会の要望、また国会による超党派の議論もありまして、被災者生活再建支援法の制定がなされ、そして、平成十六年、十九年と拡充がされてきたわけでございます。

 被災者生活再建支援金の対象拡充、支給額の増額については、他の制度とのバランス、国、地方の財政負担などを勘案する必要があり、慎重な検討が必要と考えます。引き続き、被災者の生活再建については、被災地方公共団体や各府省など関係機関と連携し、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

大平委員 他の制度とのバランス、あるいは過去の災害とのバランスなどと言われますが、本当に大事なのは、被災した人たちがもとの生活、安心、安全の生活を取り戻す上で今必要としている支援を行うことこそ、政治の責任ではありませんか。重ねて、生活再建支援法の拡充を求め、そのことを強調し、私の質問を終わります。

梶山委員長 次に、務台俊介君。

務台委員 アルプスの麓の選挙区から出てまいりました務台俊介です。

 私の選挙区が属する長野県におきましては、昨年は、あらゆる種類の災害が襲った年でございました。昨年二月には雪害、夏には南木曽の土砂災害、御嶽噴火という火山災害、そして十一月には、長野県北部地域を襲った神城断層地震災害が発災しました。山谷大臣には、白馬村、小谷村にもお越しいただき、感謝申し上げたいと思います。

 この三月十一日は、東日本大震災から丸四年を迎える日でした。そして、本日は、あの忌まわしい地下鉄サリン事件が起きてから二十年目のその日でございます。こうした経験を経て、我が国の防災体制は、ある意味で大きく進化してきたというふうに思います。

 今月は、今週、仙台で、国連加盟国百九十三カ国のほぼ全てに当たる百八十六カ国が出席し、第三回の国連防災世界会議が開催され、山谷大臣は議長を、そして赤澤副大臣は副議長をお務めになったと承知しております。ロンドン・オリンピックの参加国が二百四であるのに比較しても、大変大きな国際会議だったというふうに思います。東日本大震災の経験を踏まえ、総理は、防災分野での国際経験を、仙台防災協力イニシアティブという形で高らかに発表されました。

 こうした一連の流れの中で、我が国の防災体制がどの分野でどのように進歩したのかという御認識を伺いたいのと、そして、この国際会議の場で、我が国は、何を訴え、一方で、諸外国の先進事例から何を学習されたのかという点について伺いたいと思います。

赤澤副大臣 おはようございます。

 務台委員のいつも防災について高い関心をお持ちのところに、心から敬意を払っているところでございます。

 山谷大臣が予算委員会に向かわれましたので、私からお答えをさせていただきます。

 御案内のとおり、東日本大震災はさまざまな教訓を残しました。自然の猛威の前ではハードだけでは命を守れないといったこと、そして、ハード対策とソフト対策を最適に組み合わせることが必要だということ、さらには、被災後の防災、復興の取り組みには、女性を初め、多様な主体の参画とリーダーシップが重要であること、さらには、防災のための事前投資はその何倍にも当たる被害の軽減につながること、そして、想定外はあってはならないことなどなどでございます。

 それらの教訓を踏まえ、我が国は、今回の世界会議において、防災主流化の考え方のもとで、防災への事前投資の促進、あるいは、よりよい復興、ビルド・バック・ベターとか、ガバナンス、防災組織体制の整備、ハード対策とソフト対策の最適な組み合わせなどについて、積極的に発信をさせていただきました。

 私自身も、委員御指摘のとおり副議長を務める間に、閣僚級ラウンドテーブル、災害リスクへの対処・課題の克服や、あるいは、ワーキングセッション、国・地方レベルのガバナンスと開発計画に出席をいたしました。

 我が国の取り組みの一例として、国土強靱化の取り組みを各国の閣僚級の出席者に直接説明をし、会議の場でも、OECDの代表などから、日本の取り組みを評価するという御発言もいただいたところでございます。

 具体的には、国土強靱化基本計画が、国の他の計画の上位に位置するいわゆるアンブレラ計画であり、この計画のもとに、あらゆる政策分野に防災、減災の視点を取り入れる防災主流化の考え方に基づいて施策を推進していることを共有しました。

 今後とも、これまで培った防災に関する知見や技術を生かしながら、国際社会における防災の主流化に積極的に貢献をしてまいります。

 あわせて、委員御指摘のとおり、今回の会議では、私が出席したセッションで、各国の経験から得た教訓を共有し、法制度や政策などの強化につなげることを目的としたものであったので、諸外国のさまざまな防災対策の事例を聞くことができました。国の事情が異なるために、他国の事例が直ちに我が国に導入できるとは言えない場合が多いわけですけれども、防災主流化の促進のため、具体的にとり得る行動、阻害要因、各国の社会経済に応じた取り組みの工夫などから学ぶことは多々ございました。

 一つだけ例を挙げさせていただけば、キューバの場合、しばしば猛烈なハリケーンに見舞われます。サンディ等あったわけですけれども、防潮堤や早期警戒システムの整備の十分な資金が確保できない国でありながら、住民が自発的な避難を行う自助とか、隣人の避難を助けたり、非常時に他住民を自宅に受け入れるなどの共助の精神が徹底されておりまして、人的被害が非常に少ない。ハリケーン・サンディのときはたしか十一名だったと思いますが、アメリカは百六十何名だったと思います。

 ということで、非常にすぐれた例がありまして、また、昨年、長野県白馬村で発生した地震にも共通する事例がございます。今後の対策の検討において参考にさせていただきます。

務台委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今回の防災会議の中身を整理して、つまびらかに国民の間に広く共有していただく、そんな努力もしていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 私は昔、消防庁の防災課長をしていたんですが、当時、慶応大学の塾長であられた安西祐一郎さんから論文を寄稿していただきました。安西さんのそのときの論文は、米国は世界の警察官、一方で日本は世界の消防官になるべきだ、そういう論文でございました。消防官という意味は、災害時に立場を超えて協力できる役割であり、ある意味で、平和的な手段で国際貢献ができるということだったかと思います。

 今回、山谷大臣、岸田外務大臣ともに、中国の李立国民政大臣と日中間の防災協力について話し合ったと伺っております。防災分野を中核に、日中関係の改善の糸口ともなるのであれば本当にいいことだと思うんですが、国際防災協力を平和の手がかりとするといったようなことについての御認識を伺いたいと思います。

赤澤副大臣 委員御指摘のとおり、山谷大臣は、第三回の国連防災世界会議の期間中に十余りの国や国際機関の要人と会談を持つ機会がありました。中国の李立国民政部長とも会談をしております。

 本会談において、国際社会において、防災の主流化の推進、あるいは防災への事前投資や、先ほど申し上げたビルド・バック・ベター、よりよい復興の重要性などについて意見交換を行っております。また、本年、日本で開催予定の日中韓防災閣僚級会合への李立国民政部長の参加を招請するとともに、実務レベルでの防災協力の推進についても話をしたところでございます。

 今後とも、委員の御指摘も念頭に置きながら、このような機会を捉えて、引き続き防災分野の国際協力を進めていきたいと考えております。

務台委員 ある意味で、防災というのは、日本が世界に誇るキラーコンテンツの一つだと思いますので、ぜひ、遠慮しないで、いろいろな手段で使っていただきたいと思います。

 地元の話題に移ります。

 我が地元の松本市では、内閣官房の国土強靱化推進室からモデル計画の指定を受け、強靱化地域計画のモデル地域となっております。松本市がモデル事業に手を挙げましたが、その後、御嶽噴火が起きたために、その取り組みの必要性を地元でも改めて認識しているというふうに理解しております。やはり、自治体が当事者意識を持つ上では、実際にその地域で起こり得る災害の可能性をしっかり意識するということが重要だと思います。

 そこで、こういう問題意識のもとで伺いたいんですが、政府としては、市町村でモデル計画をつくっている自治体にどのようなアドバイスを行っているのかということを伺いたいと思います。その上で、法律上は、自治体は強靱化地域計画を策定することができるというふうになっておりますが、私は、できるではなくて、ぜひ全国の市町村がこういう計画をつくるべきだと思うんですが、これに対する政府のバックアップの体制を伺いたいと思います。

持永政府参考人 御説明させていただきます。

 委員御指摘のとおり、長野県松本市、こちらにおきましては、地域強靱化のトップランナーとしてモデル調査に先進的に取り組んでいただいております。

 そういう自治体の地域計画づくりでございますけれども、まず、どのようなアドバイス等々やっているかということについてでございますが、やはりこれも委員御指摘のとおりでございますけれども、その地域地域で起こり得る災害は違いますので、地域で起こる災害その他いろいろな地域特性に応じたリスクシナリオをしっかり設定する、それから、リスクシナリオを見ながら脆弱性の評価を十分に行うことなどをアドバイスしてきております。

 それから、できる規定であるけれどもより多くの地域で地域計画をつくるべきだという御指摘についてでございますが、私どもも同じような考えで、できるだけ多くの地域の皆様に地域計画をつくっていただきたいと考えておりまして、このため、地域計画を策定するためのガイドラインでありますとか、各種説明会、それから地域計画をつくった後の支援ということで、各府省の補助金だとか交付金を活用した支援が行われるような、また準備もあわせて進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、一つでも多くの都道府県それから市町村の皆様方に地域計画をつくっていただけるよう、またそれを実行していただけるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。

務台委員 ありがとうございます。ぜひ強力なバックアップをお願いしたいと思います。

 先ほど来、赤澤副大臣から、防災の主流化という言葉が出ております。そして、大臣所信の中でも、防災の主流化という言葉が使われました。

 近年、こうした言葉が頻度が多く使われるようになっていると思いますが、改めて、この防災の主流化というのは何を意味しているのか伺いたいのと、あわせまして、一昨年の災対特で当時の古屋防災大臣に質問した中に、日本は世界で最も災害対応が高度化している国ではあるものの、災害対応の標準化、マネジメントの面において課題があるというふうに申し上げさせていただいたことがございました。防災の主流化と言う以上は、この標準化ということは避けて通れないように考えております。この標準化につきまして、その後、政府部内でどのような議論が積み重ねられているのか、現状までの議論の進展を伺いたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 まず、防災の主流化という言葉についてでございます。

 この言葉は、二〇〇〇年に、国連の国際防災戦略、ISDRでございますけれども、これが発足したころから使われるようになった言葉でございます。

 明確な定義というものはないのでございますけれども、各国政府が防災を政策の優先課題としてまず位置づける、二番目に、あらゆる開発政策、計画の中に防災の観点をしっかり取り入れる、その結果として防災に向けての投資が拡大される、こういったような三つの概念をあわせて位置づけた、そういった言葉であるというふうに理解されております。

 それから、災害対応の標準化についてでございます。

 大規模災害の発生時におきましては、警察、消防、自衛隊、海上保安庁、国土交通省のTEC―FORCE、DMATなどさまざまなチームが現場に入って活動し、被災者の救援等に当たるわけでございます。その際、それぞれの組織が円滑に連携できるように指揮命令系統などの標準化を進めておくことは、災害対応を効率的、効果的に進める上で大変重要なことであるというふうに考えております。

 そのため、昨年度、実動部隊を有する関係省庁等との勉強会を開催いたしまして、現場における各救助部隊の連携のための課題として、現地における調整所の設置、運営、通信手段の共通化、それから省庁間における相互のリエゾンの派遣などの課題について整理、共有したところでございます。

 その実際の成果といたしまして、広島の土砂災害におきましては、現場の近くに合同調整所を設置し、各救助部隊の活動のエリア分けや、降雨による活動中止についての判断等の統一の調整が行われました。また、御嶽山の噴火災害におきましては、政府の現地対策本部のもとに、警察、消防、自衛隊のほか、気象庁、さらに県も参画した調整会議を開催いたしまして、火山ガス、降雨等による活動中止等の判断の統一、一斉捜索等の活動方針の調整等を行ったところでございます。

 こうした実践を通じて、我が国の実情に即した標準化の取り組みが進みつつあると考えておりますけれども、さらに、訓練でありますとかさまざまな場面を通じまして、現場のマネジメント上、なお支障となっている課題を発見、解決していきたいと思っております。

 また、中央防災会議のもとに災害対策標準化推進ワーキンググループも設置しておりますので、そうしたものも活用しながら、標準化に取り組んでまいりたいと考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 防災の国際標準として、インシデントコマンドシステム、ICSという仕組みがあると理解しております。日本もぜひこうしたものに伍する体制になるように作業を加速していただきたいと思います。

 もう一つの防災のマネジメントの面に関しましては、日本型FEMAの創設の提案がさまざまな方面から行われております。お手元の資料の三ページにもございますが、自民党の政権公約、そして自民党、公明党の東日本大震災復興加速化の提言の中でもこのことが行われております。

 特に初動対応に関しましては、内閣官房、内閣府防災、消防庁の間の機能分担が外から見てわかりにくいという指摘がございます。実は、昨年、在日のEU代表部の防災担当のアタッシェの方が私の事務所にお見えになったんですが、その三カ所のどこに問い合わせていいのかわからない、わかりにくいというお話もございまして、これが、外から見た人たちの実態ではないかというふうに思います。

 政府の中では緊急事態管理庁のようなものの創設の準備がなされているやに伺うんですが、現時点の進捗状況を伺いたいと思います。

赤澤副大臣 大規模災害発生時の政府の危機管理体制のあり方につきまして、平成二十五年に本委員会において、「災害対応に係る活動を一元的に指揮及び調整する権限を持つ組織について、検討を進めること。」との附帯決議をいただいております。あわせて、原子力規制委員会設置法や国会事故調などからも御提言をいただいているのは、委員御指摘のとおりでございます。

 これらを受け、政府の危機管理組織体制のあり方については、内閣府の副大臣を座長とする関係省庁の副大臣などによる検討を昨年の八月から開始しております。昨年十二月には、中間的な整理を行っておりまして、現在の災害対応について、被災自治体との調整機能の確保など、さまざまな改善すべき点があるとしつつも、現状の組織体制には一定程度合理性があり、現段階において抜本的な組織体制の見直しを行うべき積極的な必要性は直ちには見出しがたいとしたところでございます。今後、主要各国における危機管理体制の調査結果なども盛り込みつつ、本年度内を目途に成案を得るべく、引き続き検討を進めてまいります。

 なお、御指摘の災害発生時の初動対応に関しては、内閣危機管理監の統理のもと、内閣官房及び内閣府が総合調整を行っております。特に災害の規模が大きい場合にあっては、臨時の行政機関である緊急災害対策本部あるいは非常災害対策本部を設置して、政府として一元的に対応を行っていることは委員御案内のとおりでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 いろいろ慎重な意見もあると思うんですが、ぜひ、政権公約に入っていることもあり、より前向きの対応も行っていただきたいと思います。

 一つ質問を飛ばしますが、日本の先進科学技術を防災に生かすというのはとても重要な観点だと思います。最近、無人小型ヘリのドローンが結構注目を浴びています。災害時の偵察、状況把握に大きな力を発揮するように思われます。

 私の地元には、一方で、超小型有人ヘリを開発している事例もございます。無人小型ヘリは規制が緩やかというか、規制がないというふうに言われる一方、有人ヘリは航空法の規制が過度に厳格ではないかなどという話がございまして、実は、早急な実用化に至っていないという現状があります。

 こうした先端科学技術を災害対応に生かすための知見の蓄積という意味の規制緩和などが必要ではないかというふうに思いますが、このあたりについての御見解を伺いたいと思います。

島村政府参考人 御説明させていただきます。

 ただいまお話のありました超小型有人ヘリの開発が長野県で進められているということは承知しております。

 このような開発中の耐空証明を有しない航空機については、試験飛行を行う場合に、航空法に基づく飛行許可を取得する必要がありますが、許可に当たっては、当該航空機の設計や搭乗者等の安全対策について一定の審査を行っております。

 当該ヘリについては、開発の第一段階として、高度三メートル程度の試験飛行の許可を行っているところでございます。一方、当該ヘリについては、動力装置に故障が発生した際に安全に着陸するための方法が確立されていないなど、安全上の課題があります。さらに試験飛行の範囲を拡大するためには、開発を進め、これらの課題を解決する必要があると考えております。

 現在、国土交通省では、このような開発中の航空機等の試験飛行をより円滑に進めることができるよう、開発初期段階の試験飛行の許可期間を延長することとしており、現在、基準の改正を行っているところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、航空の安全確保という観点も踏まえつつ、超小型有人ヘリなど、新しい航空機の開発活動の環境整備に努めてまいりたいと考えております。

務台委員 ぜひ、安全に配慮しつつ、前向きの対応をお願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 前の古屋防災大臣は、効果的な防災投資を促す観点から、ふだんから使っているものが非常時にも役立つという、一種の防災機能の日常化が必要だというふうにおっしゃっておられました。防災の主流化という言葉の別の表現が、防災機能の日常化ではないかというふうに思います。防災投資というのがともすると負担が大きくなることを考えると、この視点がとても大事ではないかと思います。

 仮設住宅を例にとりますと、災害が起きて高価な仮設住宅をつくるというのがこれまでの一般的な手法でしたが、例えばトレーラーハウスの機能を活用し、ふだんはキャンプ場などにこれを置き、レクリエーションの役割を持たせながら、非常時には個人所有のトレーラーハウスを動員して被災者住宅として役立てるという手法が参考になるのではないかと思います。

 四ページに米国の仕組みをちょっと用意させていただいておりますが、原田英世さんという方が詳しいんですが、その方の資料をお借りしております。

 米国では、五百万台のトレーラーハウスがFEMAに登録され、ふだんはリゾート用として活用され、非常時には被災者に提供される、すぐ持っていけるということでございます。それで、被災者への提供が終わった後にもとに戻す、そういうシステムがある。五百万台というのはすごいんですね。しかも、トレーラーハウスの材料は、地元の木材とかそういうものが使えるということなので、地元の産業振興にも資するということになるのではないかと思います。

 こういう事例が参考になるのではないかと思いますが、政府の御見解を伺いたいと思います。

松本大臣政務官 委員御指摘のとおり、災害時におきまして、全壊等により住まいを失った被災者の方々に対し一時的な仮住まいを迅速に提供することは、極めて重要なことであると認識をしております。

 このため、自治体におきましては、災害時に備えまして、被災者の住まいの確保をどのように図っていくかについて、平時からさまざまな状況を想定して備えることが大切であると考えているところであります。

 そうした中で、ただいま委員から例示をいただきました応急仮設住宅の確保のための一類型といたしまして、いわゆるトレーラーハウスを活用することも可能というふうに考えているところでもあります。実際に、私も国連防災世界会議に出席をしてまいりましたけれども、企業やさまざまな団体の展示ブースにおいてはこうした展示もされておりまして、住まいだけではなくて、医療であるとかそうしたものにも使えるのではないかというようなことも展示をされていたところであります。

 なお、自治体において、こうしたトレーラーハウスの活用につきまして、被災者の方々が一定の期間生活する仮住まいとして、他の類型の仮設住宅と比べまして設備や広さ等が同様のものであるかどうか、また、発災後に迅速に一定個数の提供が可能か、コスト面の見合いがどうか等の観点から御検討いただいて、適切に御判断をいただくものと考えているところであります。

 そうした応急仮設住宅の活用マニュアルとして取りまとめました応急仮設住宅建設必携を、平成二十四年五月に国土交通省と連名で各自治体宛てに発出しているところでもありまして、その中で、トレーラーハウスを活用する際の留意点等についても記載をさせていただいているところでもあります。

 こうしたことを通じまして周知をさせていただきながら、御活用を各自治体において検討していただくものと認識しております。

務台委員 ありがとうございます。

 被災者の迅速な支援に役立つとともに、地場の資源を活用するという両方の機能があるものですから、ぜひこの点、御配慮をいただきたいと思います。

 次に、防災関係者の教育訓練について伺いたいと思います。

 日本では防災関係者の体系立った教育訓練の体制というのがややおくれているのではないかという指摘がございます。

 消防庁の消防大学校あるいは全国の消防学校ではそれなりのカリキュラムがございますが、広く地域防災を担う人材向けの防災訓練機能が不足しているということではないかというふうに思っております。消防職員だけではなく、自治体の長、防災危機管理部署の職員、消防団員、自主防災組織に参加する住民の皆様等に向けた、それぞれのレベルに応じた教育訓練システムの充実が求められているのではないかというふうに思います。

 数年前にアメリカのテキサス州のTEEXという防災訓練施設を視察しました。五ページの資料にございます。その後、当時の西村副大臣も現地を訪問されておりまして、これはびっくりするような体系的な充実した施設でございます。消防職員のディズニーランドとも呼ばれているようでございます。

 私は、日本全国のブロック単位でアメリカのTEEXのような防災訓練施設があればいいなというふうに本当に思うんです。お金もかかるし、なかなか維持管理も大変かもしれませんが、こういう先進事例に学ぶということも必要ではないかと思うんですが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

赤澤副大臣 教育訓練システムの充実が求められるという御指摘は、本当に重要なものだと受けとめます。

 災害発生時に国と地方公共団体が迅速かつ的確な対応を行うためには、平時から、災害発生に備えた具体の対策を検討、調整し、国と地方公共団体の間の連携を強化しておく必要がございます。このため、平時における防災訓練の継続的な実施や、国、地方を通じた人材育成の強化が極めて重要であると認識をしております。

 このような認識のもとで、内閣府においては、関係省庁と連携して、首長あるいは国、地方公共団体の職員などを対象とした防災研修を実施しております。それとともに、関係地方公共団体などと連携した緊急災害現地対策本部運営訓練なども実施しております。

 しかしながら、こうした取り組みは実は始まったばかりでありまして、先ほど議論いたしました政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合においても、地方公共団体の首長や防災関係幹部を対象とした研修、訓練、ブロック別の関係機関、地方公共団体の職員を対象とした研修、訓練の実施など、人材育成、研修、訓練の充実についてまさに議論が進められているところでございます。

 地域ブロックの防災訓練については、関係府省庁、関係省庁地方支分部局、関係地方公共団体、指定公共機関などの参加のもと、一部の地域では既に実施しております。

 今後、訓練の実施を全国の各ブロックに展開するとともに、でき得る限り多くの主体と連携した訓練をするなど、まずは既存の訓練の充実強化を図らせていただきたいと考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 このTEEXについては、広大な施設の中で標準化に基づいた訓練もされていて、諸外国から、イギリスのロンドン消防局がこちらに研修に来る、そういうレベルにまで達しておりますので、ぜひこういう事例も参考に検討していただきたいと思います。

 それから、日本の防災技術、先ほど国際貢献という話もありましたけれども、日本の防災技術が世界展開する上でボトルネックになっているというのが、日本の防災機器が世界基準として位置づけられていない、そういううらみがございます。

 資料の六ページに用意させていただいておりますが、米国ではNFPA、欧州ではEN、最近中国ではCCCという基準が出されておりまして、事実上それが国際基準になっているということでございます。日本の場合でも、検定制度、消防検定協会とかJIS等がありますが、どうも内弁慶の仕組みになっていて、国際標準として、これをとっていても世界で売れないということをいろいろな企業の方から伺います。

 ぜひ、日本の品質の高い防災機材が世界で通用するために、こうした基準づくり、国際相互認証づくり、こういうことをやっていくべきではないかと思いますが、政府の御見解を伺いたいと思います。

二之湯副大臣 検定制度は、消火器や感知器等の消防機器について、火災予防上必要な性能を規格として定めて、その規格に適合していることを確認するために設けられた制度であるわけでございます。

 東南アジアや中東の国において米国や欧州の規格に適合する消防機器が採用されている一方、我が国の規格に適合する消防機器については、必ずしもこれらの国全てで採用されているわけではありません。

 先生御指摘のとおり、防災分野の国際貢献の視点で、高い技術力を持つ日本の規格が各国で採用されるよう努力していくことは、我が国の重要な責務と認識をしております。

 これまでも、海外における我が国の検定制度に対する理解の促進を含め、消防防災技術を紹介するためのアジア国際消防防災フォーラムの開催等の取り組みをしているところであります。

 このような取り組みを強化するために、政府として必要な対策が何であるか、まずは関係業界の意見を十分に聞いてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

務台委員 ありがとうございます。

 ぜひ、消防庁はもとより、政府全体としてこの取り組みをバックアップするようにお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 初当選以来、災害対策特別委員会にずっと所属させていただいておりますが、本日は、所信に対する質問ということで、さまざま質問をさせていただきたいんです。

 私自身が昨年の三月十二日に当時の西村副大臣に御質問をさせていただいたんですが、阪神・淡路大震災における災害援護資金の貸し付けについて、返済免除について要件を拡充してほしいというようなお話をさせていただきました。これについて、当時の西村副大臣からも非常に前向きな御答弁をいただきましたので、それがどのように進んだのか、この点をまず最初に確認させていただいてから、その後、大臣の所信につきまして、地震に強い町づくりであったり、あるいは国土強靱化地域計画、こうしたものについて質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、昨年の質問に続いて、災害援護資金。

 そもそもは、阪神・淡路大震災に遭われた方について、死亡された方、お亡くなりになった方あるいは重度障害になられた方については、この災害援護資金の返済、償還を免除するということでございました。

 これを今回拡充するということが、本来であれば、私の希望であれば、震災から二十年を迎えた一月十七日には発表できないかということで内閣府の皆様にも検討状況をお伺いしておったわけでございますけれども、残念ながらそれには間に合いませんでしたので、いつ出るかということでお待ちしておりましたら、一月の二十六日には方針が出てきたわけでございました。

 それを大阪府あるいは兵庫県に伝えてくださいまして、実は、地元での反応がどうなっているのか、これが非常に大事になってくるわけでございますが、多少、その伝わり方については必ずしも正確ではないのではないかというような懸念もございますので、ちゃんとここで、この災害対策特別委員会の場でしっかりと、事実としてどのような枠組みになっているのか、この点を一つずつ確認してまいりたいというふうに思う次第でございます。

 まず、今回の返済あるいは償還の免除要件について、どのような枠組みで基本的に拡充をしようとされているのか、この点についてお答え願えますでしょうか。

赤澤副大臣 濱村委員から、本件に限らず、福祉の幅広い分野で大変建設的な御要望、御提言を多々いただいておりまして、本当にありがとうございます。

 今の件につきましては、災害援護資金貸し付けについて、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、借り受け人が死亡、または精神的、身体的に著しい障害を受けたため償還が困難になったときには、償還未済額の免除を行うことができるとされております。

 これに加えて、阪神・淡路大震災においては、貸付金の当初の履行期限から十年が経過することとなるため、地方自治法の施行令などの関係法令に基づき、債務者が無資力またはこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができることとなる見込みがないと認められる場合には、市町村は償還を免除することができるとされております。

 委員御指摘のとおり、このため、今般、関係省庁と協議の上、借り受け人自身が、破産法及び民事再生法の関係規定により当該債権につきその責任を免れた場合、それから生活保護法に基づく生活保護を受給している場合など、貸付金を弁済することができることとなる見込みがない場合であって、かつ、当該借り受け人の保証人についても同様の状況にある場合に、免除することができると整理させていただいたところでございます。

濱村委員 ありがとうございます。今副大臣から御説明があったとおりでございます。

 少しわかりやすく私の頭の中で整理をさせていただきたいのですが、今、破産法あるいは生活保護法に根拠を置く方々、対象となる借り受け人について返済免除になるということでございますが、これは何の法律を根拠にそのように言われているかというと、債権管理法であるというふうに、根拠となるというふうに考えておる次第でございます。その上で、もともとは災害弔慰金法というものがあって、それプラス、今回の整理で、債権管理法について対象となる方についてもしっかりと償還を免除するというようなことで拡大をされた、そういう整理をされたということであるというふうに思うわけでございます。

 そういう流れの中で、一応確認をさせていただきたいのですが、生活保護を認定されている方々、生活保護をお受けになられている方というのは、なかなか生活がままならないということで、大変な状況であるというのは間違いないというふうに思うわけでございますが、生活保護の方であれば必ず返済免除になるということでありますでしょうか。この点を確認させていただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 生活保護を受けられている方につきましては、基本的に、債権管理法三十二条第二項に定めます無資力またはこれに近い状態にあり、かつ、弁済できる見込みがないというふうに判断されます。

濱村委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、債権管理法に、無資力またはこれに近い状態にあるため履行延期の特約等々云々あるんですが、無資力またはこれに近い状態というわけでございますが、仮に、生活保護を受けていられる方であっても、生活のやりくりが非常に上手で、そしてかつ、震災のときに非常に苦しい状況になったけれども、この災害援護資金があることによって生活を立て直すことができた、何とかしてでも、千円ずつでもいいので返済をしたいという方があれば、それは妨げるものではないというふうに思うわけでございます。

 本来であれば、そこをどのように解釈するのかということをお伺いしてもよかったんですが、事前に私も聞いておりますので、これはそういう理解であるということを改めて確認させていただければというふうに思った次第でございます。

 さらに、ちょっと質問を広げさせていただきますが、生活保護の方は今のような整理でございました。生活保護を受けていらっしゃらないような方で、毎月千円ずつでも償還されている、返済されている、そういうような方であった場合にどのようになるのかというふうに思うわけです。仮に千円ずつ払いますと、完済するのが百年あるいは百四十年かかるとか、そういうような非現実的な状況もあったりするわけでございますが、これは非常に大事な点です。気持ちとして払いたいという方々もいらっしゃるかと思うんです。

 一方で、何とか払おうと思えば払えるけれども、そういう方々でも生活は大変なんだと。年金暮らしの方もいらっしゃるでしょう。なので、そういう方については免除にならないのかどうか。この点についても御確認をさせていただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 現在、少額償還を行っている借り受け人につきまして、直ちに免除対象とすることは難しいかと思いますけれども、市町村におきまして、個々の収入等の状況を踏まえまして、先ほど申しましたような、無資力またはこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができることとなる見込みがないというような状況になるというふうに判断される場合には、免除対象となるというふうに考えております。

 そのような形におきまして、免除対象となった借り受け人の保証人がさらに免除要件を満たす場合には、実際に免除することが可能となるということでございます。

濱村委員 今、基本的には、現在直ちに返済免除になるというわけではないというお答えだったかと思います。

 実はここはすごく大事でして、今払っておられる、そういう方々も生活の状況はお変わりになられるということがあるわけでございますので、苦しくなった、これまでも頑張ってきたんだけれども、ちょっと今後どうにか相談に乗ってほしいということであれば、それは状況が変わったということで認定されるというものであるとも考えるわけでございますが、基本的に、今までこれは借り受け人についてお話をさせていただいておりました。

 実は、借りた方、借り受け人もいれば保証人もいるわけでございます。この二者が基本的には債務者として該当するわけでございますが、借り受け人だけでなく、保証人についてもどうなるのかということについてちょっと確認をしたいわけでございます。

 今の現状では、借り受け人が返済できなくなった場合に保証人について返済が求められるということになるわけでございますが、保証人の経済状況が変化した場合にどのような扱いになるのか、この点についてお伺いできればと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 保証人につきましても、借り受け人の場合と同様の考え方で御判断いただければというふうに思います。

濱村委員 ありがとうございます。

 借り受け人だけではなくて、保証人についても同様だと。つまり、借り受け人と同様に免除されるということでございますが、これは根拠法は何かというと、災害弔慰金法であるということで、一応、念のための確認をしたいわけでございますが、統括官、いかがでございましょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 保証人の規定そのものは災害弔慰金法で定められておりまして、そちらの方に求める形になりますけれども、実際に免除するかどうかということにつきましては、借り受け人と同じように、債権管理法に基づいて免除するという形になります。

濱村委員 ありがとうございます。

 今のところ、実は大事なポイントでして、災害弔慰金法に基づいて判断される部分と債権管理法について判断される部分、二つありますよと。これは、どこまで行っても、債務者である限り、借り受け人であろうが保証人であろうが、変わりありませんということがわかりました。

 その上で、保証人については、行方不明の方がいらっしゃる場合がある。要は、借り受け人は実在していて、その人が無資力に近い状態であるということで返済が免除されるんだけれども、そうなると、本来は保証人に返済の義務が課せられるわけでございますが、その保証人が行方不明の場合、この行方不明になった場合はどのようになるのか。ここもちょっと事前にきっちり通告はできていないかもしれませんが、日原統括官ならお答えいただけると思いますので、御質問をさせていただければと思います。

日原政府参考人 済みません、先ほどの答弁、少し不正確な点がございまして、まずそこを訂正させていただきたいと思います。

 保証人に対する債務免除の規定につきまして、先ほどお答えいたしましたのは、当初の借り受け人に資力等がない場合の御答弁でしたけれども、当初の借り受け人がもうお亡くなりになっている場合に保証人が支払っている場合の免除につきましては、弔慰金法に基づいて免除する形になってまいります。

 それから、保証人が行方不明の場合なんですけれども、この場合は直ちに免除というわけにいかなくて、とりあえず、払ってもらえないので、そのまま、事実上延ばしているというんでしょうか、そういう状況が続いておって、保証人の死亡が確認されたとか、あるいはとても資力がないというようなことが判断された段階で、免除という形になってまいります。

濱村委員 今のところは非常に大事なんです。

 つまり、保証人が行方不明でも、借り受け人は別に返済する状況に今はない、つまり、履行期限は延長いたします、そういう理解をしております。ですので、実は新聞報道とか地元紙でよく書かれておるんですが、保証人で行方不明になったような方については返済免除にならないじゃないかというような御批判があるんです。しかしながら、本質的に言うと、これは借り受け人の方も払わなくて済むんです。なので、事実上は返済免除と同じ状態であるということが言えるわけでございますので、これはひとつ、県民の皆さん、市民の皆様にしっかりと伝わっていくことが大事なのかな、そういうことを思いまして、今回、くどいようですけれども、少し細かいところも御質問をさせていただきました。

 今お話をさせていただいたとおりではあるんですが、実は、少額償還されているような方についても、本来的に、少し厳しい状況も見えてきましたとなれば返済を免除できるということが拡大されたわけでございますけれども、そもそも、返済を免除するとなりますと、その貸し付けをしていたお金については誰かが負担することになるわけでございまして、これは、国あるいは市、県が、市というのは政令市ですね、が財政負担をするということになるかと思います。

 実は、この財政負担をしなければいけないという状況を鑑みながら、本来的には地方自治法の施行令で債権管理法と同様の規定が書かれているわけでございまして、実は、債務者が無資力またはこれに近い状態にあるため履行延期の特約または処分をした債権について、当初の履行期限から十年を経過した後、債務者が無資力またはこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは免除することができるということが、地方自治法施行令の第百七十一条の七に明記されているというわけでございます。

 ですので、基本的には、地方自治体は独自の判断、自身の判断で、これが無資力の状態にあるか、あるいはそれに近い状態にあるかということを判断することができるというわけでございますが、当然、それには債権を放棄するということも伴いますので、非常に適切な判断が必要であるというふうに思うわけでございます。

 ここでまた副大臣にお伺いしたいと思うわけでございます。

 今までこの返済をされてきた方々もいらっしゃるわけでございますし、制度設計としても非常に絶妙のところ、あるいはこれまでの法律の根拠となるところを明確にされた、そういう整理で対応されていらっしゃるわけでございますけれども、より一層丁寧に地方自治体の皆様を巻き込みながら運用を行っていただきたいというふうに思うわけでございますが、今後、どのように自治体に対して丁寧に説明をし、周知徹底をされていかれるおつもりでありましょうか。

赤澤副大臣 大変重要な御指摘をまた幾つもいただいていると思います。

 阪神・淡路大震災における災害援護資金貸し付けの免除については、これまで、国において、法令上の免除要件を整理し、その内容について現地で説明会を実施いたしました。また、それ以外にも、自治体から実務上の課題も伺いながら、具体的な運用方法について検討を行ってきております。

 国としては、自治体からの相談に丁寧に応じるなどにより、引き続き、自治体において災害援護資金貸し付けの返済免除が適切に行われるよう、委員の御指摘も念頭に置きながら、不公平感等が生じないように、自治体の支援に努めてまいります。

濱村委員 ぜひ、自治体におけるスムーズな運営、そしてまた国民、県民、市民の皆様にしっかりと安心をしていただけるような環境をつくっていただけるよう、心よりお願いを申し上げる次第でございます。

 それでは、次のテーマに移りたいと思います。山谷大臣の所信について質問をさせていただくわけでございます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、首都中枢機能について、しっかりと地震に強い町づくりをされるということが明記されておりました。

 実は、これは非常に大事なことではあるというふうには思うわけでございますが、私自身は、二〇二〇年の一年前にもう少し大事なことがあるんじゃないでしょうかということを御提案させていただきたいというふうに思うわけです。

 二〇一九年、ラグビーワールドカップが日本で開催されます。このラグビーワールドカップは日本全国十二都市で開催されるということが決まっておりまして、地震大国とも言える日本の各地に会場があって、日本全体で行われるというわけでございます。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さらに国土を守っていくという方針は非常に大事であるということは、私ももちろん賛成をいたしますし、非常に重要なわけでありますけれども、二〇一九年、日本で開催されるラグビーワールドカップ、非常に多くの方が海外からも来られます。私の地元兵庫県の神戸市とか、あるいは大阪の東大阪市とかも開催されるわけでございますけれども、南海トラフ地震とかの影響を受ける可能性がある地域でもあるわけでございます。

 そうした中で、スタジアムについて、実は、東大阪市の花園ラグビー場なんかは大きく改修する必要がある。その改修をするにも、多少の防災機能を持たせようではないかというようなことも議論されているわけでございまして、こうしたスタジアムも、ただ単にスポーツイベントを開催するというだけではなくて、防災機能も兼ね備えた、そういったものが望まれているという現状がございます。

 この現状を踏まえて、二〇一九年の世界的な大会、しっかりと成功をしていかなければいけないですし、その上で、災害に強い国土をしっかりとつくっていかなければいけないというふうに思うわけでございますが、この二〇一九年に向けて、どのような目標設定をされておられて、どのように対応されるのか、政府の御見解をお伺いできますでしょうか。

松本大臣政務官 ラグビーワールドカップの大会会場となりますスタジアムにつきましては、既に災害時の避難場所や防災拠点として活用されている施設や、今後活用を計画している施設もあると承知をしております。また、ワールドカップの翌年には二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会も控えておりまして、これらの大会の成功のために安全対策は非常に重要であると考えているところであります。

 政府といたしましては、中央防災会議が平成二十六年三月に策定をいたしました大規模地震防災・減災対策大綱等に基づきまして、施設の耐震化を進めるなど、災害に強い国土づくりを推進してまいります。

 なお、南海トラフ地震対策につきましては、平成二十六年三月に策定をいたしました南海トラフ地震防災対策推進基本計画におきまして、防災拠点となります施設の耐震化率につきまして平成三十二年までに一〇〇%を目指すなどの具体的な目標を設定し、さまざまな施策を計画的に実施しているところでありまして、これをしっかりと進めてまいりたいと思います。

濱村委員 それでは、最後のテーマに移りたいと思いますが、国土強靱化地域計画についてお伺いをしたいと思います。

 まず、平成二十六年の六月三日、国土強靱化基本計画について閣議決定がなされました。国土の強靱化を効率的に進めるためにということで、国と地方公共団体の役割分担であったり、情報共有、連携をするということとともに、地方公共団体同士の横横の連携もしっかりと進めましょうということでございます。

 その中で、実は、国土強靱化地域計画の策定についてもしっかりと取り組んでいくということになっているわけでございますが、この国土強靱化地域計画、現段階で、これは特に義務ではないんです、努力を求めているという状況でございますが、昨日の三月十九日の段階で、策定に取り組んでいる地公体は二十九の都道府県と十三の市町村というふうにお伺いをしておるところでございます。

 災害に強い国づくりを進めるためにも、地域における計画的な取り組みが非常に重要であるというふうに思うわけでございますが、今現在、政府が各地公体に対して、この国土強靱化地域計画の策定についてどのような支援を行っていらっしゃるのか、お伺いできますでしょうか。

松本大臣政務官 御指摘のとおり、地域の強靱化は、地域住民の生命や財産を守ることはもとより、災害に強い国づくりの基礎をなすものであると認識をしております。また、地域の強靱化は、安心して経済社会活動を行うことができる地域づくりを通じまして、地域の経済成長にも資するものであります。

 できる限り多くの地方公共団体において地域計画を策定し、地域の強靱化に計画的に取り組んでいただくことは重要であると考えておりまして、まさに委員の御指摘のとおりだと考えているところであります。

 したがいまして、政府といたしましては、昨年の六月三日公表いたしました地域計画策定ガイドラインの作成、周知、地域計画策定モデル調査などの実施によりまして、地域計画の策定を促進しているところであります。

 また、地域計画に基づく取り組みにつきまして、関係府省所管の交付金や補助金などを通じた支援を行うべく、政府部内におきまして所要の準備を進めているところであります。

 また、昨年の六月から八月にかけましては、全国十一カ所におきましてこの説明会を実施させていただくなど、周知を行っているところであります。

 今後とも、地域計画の策定が全国的に進んでまいりますよう、支援に取り組んでまいります。

濱村委員 ぜひ、取り組みを進めていただきたいというふうに思うわけでございます。

 もうこれは最後の質問にさせていただきますが、私の地元兵庫県内でも、非常に小さな地公体もございます。町もございますし、市もさまざま、小さい市もあるわけでございますが、そうした地域においては自前の計画を立てるということは非常に難しいのかなというふうにも考えるわけでございます。

 小規模の市町村について計画を策定するという場合には、都道府県が補完されるのかなというふうにも考えたりするわけでございますが、その点はどのようになっているのか、確認をさせていただきたいと思います。

松本大臣政務官 地域計画の策定に当たりましては、地方公共団体の判断によりまして、さまざまな手段をとることが可能であります。例えば、都道府県と市町村が共同で地域計画を策定する、また、隣接する市町村が共同で地域計画を策定することなどが考えられます。

 また、体制が脆弱な小規模市町村が存在すること、インフラ整備など市町村の権益を超える課題があり得ることなどから、都道府県においては、広域的な地方公共団体という立場から、市町村における計画策定に御協力をいただきたいと考えているところでもあります。

 政府におきましても、これまで個別の地方公共団体への助言やノウハウの提供に努めておりますけれども、小規模な市町村におきましても地域計画の策定が進むよう、引き続き積極的に市町村を支援してまいります。

濱村委員 ぜひ、小規模な市町村も含めて地方でございまして、今、国を挙げて地方創生ということで取り組んでおります。防災計画を一緒に立てるということも含めて、連携が密になること自体が非常に地域に活性化をもたらして、いい流れをつくっていけるというふうに思うわけでございます。

 また、地方自治体は、法による支配の及ぶ日本の国において、地方分権の流れの中で自主的にしっかり取り組んでいくことも大事であるということを一つ最後に確認して、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 改選後、初めてこの災害対策特別委員会での質問をさせていただきます。

 山谷大臣におきましては、きょうは予算委員会も、両方でございますので、行ったり来たりとございますけれども、よろしくお願いいたします。

 さて、第三回国連防災会議がございました。被災地では四年たちましたし、また、二十年前には阪神・淡路大震災も起きました。当時、サリン事件もございましたけれども、私も、その後、県議会議員にならせていただき、視察もさせていただいて、自然災害というものの巨大さ、こういった前には人間は無力であるということ、また、自然に対して畏敬の念をきちんと持つということが人にとっては大切だと思ったとともに、安全に対しての価値観というものが随分変わった、そんな災害やテロだったというふうに感じております。

 まずは、仙台で開催されました国連防災世界会議は、新たな指針が出されました。深夜までの議論の末、仙台防災枠組というものが採択されたということは大変喜ばしいことではございますが、残念ながら、夜間であったこと、また、さまざまな報道という中ではその具体的な内容がニュースに余り載らなかったような気もいたします。

 ぜひ、この点も含めまして、会議全体並びに採択された指針を含む成果についてどのように評価されているのか、その点に関しまして大臣に御報告をいただきたいと思います。

山谷国務大臣 仙台市で三月十四日から十八日まで開かれました第三回国連防災世界会議でございますけれども、国連加盟国百九十三カ国中百八十七の国が御参加くださいまして、また、大統領、首相、二十五カ国から参加くださいました。

 国連事務総長を初めUNDPの総裁、また、百名を超える閣僚、国際機関代表、認証NGO等六千五百人以上、関連事業も含めますと、当初約四万人ぐらいの参加というふうに考えていたのですが、実際には約十五万人の方々に御参加いただきまして、我が国で開催されました国連関係の国際会議としては過去最大級となりました。

 それだけいろいろな、グローバリゼーション、気候変動、都市化、被害の大規模化あるいは局地化等々に皆が非常な危機感を持って、そして、事前防災、被害の最小化、防災の主流化ということを軸に世界が団結しなければならないんだという気持ちのあらわれだというふうに思っております。

 本会議におきましては、国際社会において各国の開発政策や国際協力に防災の視点が反映され、防災の取り組みが開発政策に組み込まれ実施される防災の主流化を目指し、新たな国際的な防災の枠組みである仙台防災枠組二〇一五―二〇三〇及び高いレベルでのコミットメントを示した仙台宣言を採択するなど、大きな成果がありました。

 各国の代表者がステートメント、代表発言をされたんですけれども、それぞれの国によって災害の種類も違う、対応も違う。それぞれ説明をされました、意見を発表されました。

 その上で、私は議長といたしまして、これはできるだけ対立ではなくて、みんなが気持ちを一つにして、防災の主流化、そしてビルド・バック・ベター、よりよい復興という概念、そして多様な皆さんの参画、国、地方自治体だけではなくて、さまざまな市民やメディアや関係者が参画してそれをしていくんだというような多様な主体の参画、この柱を共有化して、コンセンサスを得ながらその枠組みをつくりたいというふうに思ったものですから、本当は十八日のお昼ぐらいに終わるはずだったのですが、十九日の午前零時半まで会議が開かれまして、私が議長としての記者会見が終わったのが午前一時半という形でありました。

 しかし、これは本当によかったというふうに思っております。皆が思いを共有化して、そして二〇三〇年までの取り組みの指針ができたわけでありまして、あとはそれをどう具体化していくかということだろうというふうに思っております。

 日本は、さまざまな災害に遭いやすい環境にあります。そして、さまざまな体験から得た教訓あるいは技術、ハード、ソフトの組み合わせ等々を国際社会に発信して貢献していくという使命があるというふうにも思っておりますし、また、議長国としての役割も果たしていきたいというふうに思っております。

 これから恐らく、秋の国連総会でまたこうしたことについて議論されて、また冬のCOP21、そのような流れの中でも、この防災の主流化という視点、さまざまな開発や人々の暮らしの中に防災という視点を入れていくことが重要なんだ、それはコストではなくて投資なんだという、費用対効果が極めて高い、みんなを救える、こうした考え方を主流化していくという務めを果たしていきたいというふうに思っております。

 また、我が国にとっては、東日本大震災を初めとする幾多の災害から得た知見や技術等を世界と共有するとともに、東日本大震災の被災地の復興の現状や取り組みを発信する重要な機会となりましたスタディーツアーとかエクスカーションをたくさん企画いたしまして、多くの方々が参加してくださいました。

 本国連防災世界会議は、さまざまな成果を上げて、国際社会における防災の主流化を進めていく上で重要なターニングポイント、一里塚となったと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 大変、防災の主流化ということを目標に、議長国としてさまざまな御配慮、また奔走されたことだと思います。

 それでは、日本政府として、今後、二〇二〇年から二〇三〇年の人口十万当たりの災害による死亡率、被災者数の平均を、〇五年から一五年と比べて削減するというような内容も含まれているかと思います。どのような形で取り組みを具体的にされる見込みがあるのか、教えてください。

山谷国務大臣 仙台防災枠組においては、死亡率や被災者の数、経済被害の大幅な削減、医療や教育施設等々の被害の最小化、防災戦略採用国をどうしていくか、また国際協力のあり方、早期警戒のあり方、さまざまな目標が掲げられました。

 その実現を図るためにも、我が国としても、例えば南海トラフ巨大地震について、人的被害を八割以上、建物全壊数を五割以上、それぞれ削減する目標を立てるなど、防災対策にしっかりと取り組んでまいります。

 また、海外諸国における災害被害の軽減に資するために、会議の初日に安倍総理が発表いたしました仙台防災協力イニシアティブに基づき、今後四年間で、防災関連分野で計四十億ドルの支援を行うとともに、四万人の人材を育成することとしております。

 さらに、本年秋に策定されるポスト二〇一五開発アジェンダに防災の目標が明確に位置づけられ、各国の開発政策や国際協力において防災の取り組みが推進されるように各国に働きかけてまいりたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、防災の主流化、また国内も含めまして、大臣所信にございましたけれども、やはり防災、減災というものは進めなければならないと思います。

 今大臣の答弁を伺いながら考えたんですが、議長国として、また、国連の国内での会議では最大級の会議だったということ、これに関しましては、被災地だったということ、世界じゅうから、多くの方々から御支援をいただいた国としては、議長として大臣にはしっかりと仙台へ行っていただきたかったなという思いもいたします。

 もちろん、副大臣も行かれていたのは存じ上げておりますし、頑張ったとは思われますが、やはりそういったときには、国会の方におきまして参議院の方での答弁もあったようではございますが、そういう国際会議をやっている最中はしっかりと配慮を与党においてもされていただき、しっかりと対応していただきたかったなという思いがございます。そうすれば、もしかすると、深夜ではなく、もう少し早くにされ、もっとメディアにも載ったのかなという思いもいたします。

 これだけ過去最高の人数の方々が参加された、これは政府関係や企業だけではなく、NGOであったり、本当に多くの方がさまざまな形で参加されたし、さまざまなプログラムもあったのは承知をしております。そういったことを見ると、こういった防災に関する会議などの広報等も、もう少し内閣府の方で力を入れていただきたかったという思いがございます。

 そのあたり、大臣、何か、本当に努力されたのは存じておりますし、副大臣でも構いません。今後、こういった会議に関して、防災意識を高める、そういった主流化をするためには必要なことだと思います。

 特にこの災害対策特別委員会は、本来、災害があったときに開くのではなく、ふだんから災害に備えるということで、定例日を設けたりという歴史のある特別委員会でございます。残念ながら、きょう、先ほどより、開会時よりちょっとはふえた気もいたしますが、与党の先生方、朝から空席が随分目立つようでもございます。こういった防災の主流化をする、やはり議員も同じ思いを持つべきだというふうにも思います。

 この点に関しましては、ぜひちょっと、広報等に関しまして、大臣もしくは副大臣、通告はしておりませんけれども、何か感想があれば簡潔にお願いいたします。

山谷国務大臣 エールをありがとうございました。

 国会の、参議院の予算委員会の答弁がありましたので、少し戻った時間もありましたけれども、深夜までかかったというのは、そういうことよりも、むしろ、皆が一致団結して充実した枠組みをつくろうということで、本当に熱心な、実りある議論が重ねられたということであります。

 私たちは生き物であり、また人間でありますから、よりよく生きたい、そして死者が出ないようにしたいというのは、もう私たちの体の中にあるDNAだというふうに思っております。

 日本といたしましては、さまざまな技術、経団連等も、いろいろな各企業が何ができるか、現在何をしているかということの報告書等もまとめておりますので、世界の防災の主流化に日本は貢献をしていきたいと思います。

小宮山委員 議員の方の定足数に関しましては、ぜひ与党の皆様には認識を深めていただきたいということを伝えさせていただきます。

 昨年、私、ずっと感震ブレーカー設置推進について質問させていただいております。これは首都直下地震緊急対策推進基本計画の中にございますが、建物の耐震化率一〇〇%が実現すれば、全壊棟数が減り、そして死者数が約九割減少する、また、感震ブレーカー等の設置や初期消火の成功率を向上させることでも、焼失棟数も死者数も九割以上減少という指摘がございました。

 昨年の質問の中でも、今後、消防庁、経済産業省と一緒になりまして研究会を立ち上げ、年度内をめどにガイドラインを作成するという答弁、大臣からもさまざまな答弁もいただきました。このたび、内閣府、経済産業省、消防庁による研究会で感震ブレーカー等の性能評価及び普及の促進についての取りまとめが出ましたので、この点に関しまして、現在どのような進捗状況になっているのか、御説明いただければと思います。

 あわせまして、新築だけでなく、木密地域の既存住宅への設置促進に向けての一層の取り組み強化が望ましいと考えております。補助制度を国が主導して設けるなど、取り組みが必要ではないかと考えております。この点に関しまして、あわせて御答弁いただければと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地震におきます火災の発生原因としては、三分の二が電気に由来すると言われていまして、感震ブレーカーの普及は大変重要だと思っております。

 昨年の九月から消防庁、経済産業省等と一緒になりまして検討会を進めてまいりましたが、本年二月に、感震ブレーカー等の性能評価のガイドラインというものを取りまとめさせていただきまして、公表いたしました。

 ガイドラインにおきましては、さまざまなタイプの感震ブレーカー等について、性能評価を行うための試験方法、あるいは付加的な機能等について比較、整理し、消費者にわかりやすい表示方法、星幾つというような形の表示方法を定めるなど、信頼性の高い製品等の普及に向けた環境を整えたところでございます。

 さらに、検討会におきましては、今後の普及のための方策についても検討が進められておりまして、例えばということでございますけれども、その一つといたしましては、電気設備の設計、施工等に適用される民間の規程である内線規程というのがございまして、その中におきまして、一定の密集市街地における新築住宅等を対象に、感震ブレーカーなどの設置の勧告、推奨を行うなどの提言をすることを検討しているところでございます。

 また、木密地域につきましての感震ブレーカーの普及という点についてでございますけれども、特に大変重要な課題であるというふうに思っております。まずは、先ほど申しましたように、大規模地震におきます電気火災の対策の必要性について十分理解していただくことが必要だと思っております。

 また、先ほど申しましたような、感震ブレーカー、市販されているものについてのメリット、デメリット、使用上の留意点、あるいはみずからの住宅、世帯構成等を見た選択についての考え方をもう少しわかりやすくPRする方法についても検討しているところでございます。

 また、特に安価な、数千円単位というぐらいでございますけれども、簡易タイプでも出火抑制効果は十分ございますので、こういったものを面的に普及させるということも大変重要だと思っております。既に自治会等でそういった活動を行っているところもございますので、そういったところ、あるいは関係機関、関係団体とも連携しながら普及啓発活動を進めてまいりたいと思っております。

 また、特に、簡易タイプといっても、高齢者によってはなかなかその取りつけが難しいというふうなお話もありますので、こういった点についての支援というものも考えられると思っております。そのために、具体的な密集市街地をモデル的に取り上げまして、地震火災について住民の意識がどうなっているのか、あるいは普及についての課題は何かというようなことについての調査検討等も行ってまいりたいというふうに思っております。

 既に自治体等で設置への補助等を行っている例もございますので、そういった点も周知しながら普及に努めてまいりたいと思っております。

小宮山委員 ぜひ普及をしていただきたいと思います。これによって、一つ一つは小さいかもしれませんけれども、効果が確実に望めるものでありますので、ぜひその点は大臣にも要望しておきたいと思います。

 さて、最後になりますけれども、大臣所信の中に、首都直下地震への対策に関連して、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会も見据え、関係省庁、関係地方公共団体とも緊密に連携しつつ、地震に強い町づくりを推進されるという言葉がございました。

 私自身、障がい者スポーツ・パラリンピック推進議員連盟のメンバーといたしまして、今、さまざまな取り組み、また検証等もさせていただいております。

 多くの方々が見えられます。先ほどの、二〇一九年にはラグビーのワールドカップが日本にも来る、そういった中にも障害をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

 なかなか、二行ほどの文章でございましたので、どのように連携して、どのようにしていくのか、時間は本当に限られておりますが、バリアフリーではない交通環境等でございますので、この点の強い町づくりについてどうお考えになっているのか、お聞かせください。

山谷国務大臣 小宮山委員の日ごろからの熱心な御活動、敬意を表します。

 二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックの開催に際しては、障害を持つ方を含め、さまざまな方が我が国を訪れることが見込まれる一方で、首都直下地震については、マグニチュード七クラスの地震が今後三十年以内に発生する確率は七〇%程度と推定されています。

 そのため、このような状況の中で、昨年六月に、防災担当大臣と東京都知事の合意により、首都直下地震対策を推進するための国と東京都による合同検討チームを設置したところであります。この検討チームにおいて、政府災害対策本部、現地対策本部と東京都災害対策本部との連携、帰宅困難者対策などについて具体的な検討を進めています。

 また、言語によらず、視覚的に避難場所等を示すことができる、ピクトグラムの標準化について、現在、関係省庁及び東京都と検討を進めているところであります。

 引き続き、これらの枠組みを活用して対策を推進するとともに、埼玉県、千葉県、神奈川県などの首都直下地震に係る関係地方公共団体との連携の方策に係る検討も含め、国土交通省や消防庁などの関係機関とも緊密に連携し、政府全体として首都直下地震対策を推進してまいります。

小宮山委員 ぜひ、関係の団体、また地方自治体とも連携をして、障害のある方にも優しい、そして強い町づくりを目指していただきたいと思います。これはひいては、機能低下をされました方々に対しても大変優しい、そして、災害のときには安心して、災害に強い町づくりにつながるんだと考えております。

 またこの点に関しましては改めて質問させていただくこととしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 きょうは所信質疑ということで、私も災害特委は初めてでございますが、ぜひまた御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、災害特委としてはもしかしたら若干特異な切り口かもしれませんが、まさに所信質疑でございますので、防災対策全体の中で、原子力防災の位置づけについて。

 正直、私自身、これまで原子力特委とかいろいろな場で原子力の問題を勉強させていただいてきているわけでありますが、実は、この原子力防災と防災一般、防災一般の中における原子力防災ということについて、なかなか腑に落ちないというか、すっきりと、自分自身というか、私だけじゃないんですが、周りと議論をしていてもわかりにくいところがありまして、ぜひこの辺、きょうは勉強させていただきたいという思いで質問させていただきたいと存じます。

 まず、大臣、今小宮山委員の方からも国連防災世界会議の話がございましたが、これは仙台で行われたということで、当然、東日本大震災があって、それに対して日本に世界じゅうから集まられたということでありますが、福島、原子力の事故を受けての議論というか、原子力防災についての議論があったのかどうか。その辺、扱いについて御紹介をいただければと思います。

山谷国務大臣 第三回国連防災世界会議の本体会議においては、原子力防災を含む技術災害をテーマにしたワーキングセッションが行われ、日本政府も含め、専門家による討論が行われました。最終日には、仙台防災枠組二〇一五―二〇三〇が採択されまして、技術的災害がその対象に含まれるとともに、東日本大震災の教訓である複合災害についても位置づけられました。

 このワーキングセッションでは、内閣府の審議官が話をいたしました。技術災害というのは、自然災害とはまた違うテクノロジカルハザードとして、例えばパイプラインの切断とか、あるいは化学薬品による災害、そしてさまざまなことが自然災害と複合して起きた場合というようなことも議論をされました。

 また、関連事業として、原子力災害を扱ったシンポジウム、展示が開催されたほか、世界会議参加者を対象としたスタディーツアーといたしまして、福島第一原子力発電所へのツアー等が実施されました。

 このように、第三回国連防災世界会議においては、原子力災害を対象とした議論が行われるとともに、被災地の復興の現状や取り組みを世界に発信する重要な機会になったと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 一定の位置づけを、取り扱いをしていただいていることがよくわかりました。

 今、複合災害とかいろいろな形で御紹介をいただきましたが、私がきょう特に関心を持って御討議をさせていただきたいのは制度なんですね。基本的には、国民というか住民の生命を守るというのは自治体の使命でありますので、防災については地方公共団体が中心になって対策を講じていく、こういう基本的なフレームがあって、その中で、原子力の枠組みもその枠組みの上に構築をされている、こういうふうに承知をしているわけです。

 私の中でまだ腑に落ちないというのは、原子力防災についても、例えば、今原発が再稼働されるという中で、避難計画がどうなっているかということについては、法令上は再稼働の要件には位置づけられていないわけでありまして、あくまでもこれは自治体がしっかりやってくれ、こういうふうになっているように承知をしています。

 今、大臣の方からは、原子力災害というのはやはり特殊なんだという御紹介をいただいたと思うんですが、一方で、制度上の基礎は、基本的には防災対策の制度の中にあると私は理解をしています。そういう防災対策全体の中で、先ほど国連防災世界会議における扱いということは御紹介いただきましたが、いわゆる制度面で、制度というか防災対策として考えたときに、原子力災害対策はどういう観点で防災一般と同じで、どういう面で原子力災害というのは特殊なのか、改めてちょっと御答弁をいただきたいと思います。

山谷国務大臣 防災における原子力防災の位置づけということでございますが、我が国の防災対策については、地震、豪雨などの自然災害のほか、道路災害、原子力災害など大規模な事故災害についても、その充実強化が求められているところであります。これらの災害について、それぞれの特性に応じて効果的な対策を講じることにより、できるだけその被害を軽減していくということが重要であります。

 防災基本計画においては、原子力災害についても、原子力災害対策編を設け、国、地方公共団体、電力事業者が実施すべき事項を明らかにしているところであります。一方、専門的、技術的事項については、原子力規制委員会が定める原子力災害対策指針によるものとしています。

 したがいまして、地域防災計画は、防災基本計画の原子力災害対策編と原子力災害対策指針に基づき作成されるということになります。

 なお、原子力災害への対応については原子力防災担当大臣が、自然災害については防災担当大臣がそれぞれ担当しておりまして、複合災害については両大臣が緊密に連携しながら対応するということになっております。

足立委員 まさに、今御紹介いただいたように、担当大臣も分かれているわけであります。だから、実は、山谷大臣の前でこうしてこの委員会で原子力災害を取り上げさせていただくのは若干特異かもしれませんが、繰り返しになりますが、防災全体の中で原子力の位置づけをやはりちょっと確認をしておきたいということで御答弁をいただいたわけであります。

 今、規制委員会がつくっている災害対策指針についても御紹介をいただきました。きょうは、エネ庁あるいは規制庁からも、多田部長、片山総括審議官においでをいただいています。ありがとうございます。

 原子力規制委員会が災害対策指針を定めている。今、大臣の方から、専門的、技術的な見地から指針をつくっている、こういう御紹介がありましたが、もう少し、規制委員会がどのように今大臣から御紹介があった点に関与しているのか、御説明、御紹介をいただければと思います。

片山政府参考人 お答えをいたします。

 原子力災害対策特別措置法におきまして、具体的には第六条の二というところでございますけれども、その中で、原子力規制委員会は、原子力事業者、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体、指定公共機関及び指定地方公共機関その他の者による原子力災害予防対策、緊急事態応急対策、原子力災害事後対策の円滑な実施を確保するための指針を定めなければならないというふうに定義をされております。

 原子力規制委員会設置法におきましては、他の法律で原子力規制委員会の所掌とされた事務を規制委員会は行えということになってございますので、法律上の枠組みにおいては、この原子力災害対策特別措置法の条文に基づきまして原子力規制委員会がいわゆる原子力災害対策指針を作成する、そういう位置づけになっているかと承知をしております。

足立委員 ありがとうございます。

 もともと質問の通告もちょっとアバウトで恐縮なんですが、この指針、私が一番違和感があるのは、原子力規制委員会が一定の専門性、専門的、技術的な見地からこの指針を定める、これは適当だと思いますが、どうも見ていると、定めっ放しというか、指針を定めました、その後、避難計画、防災計画を市町村等が定めたときに、これについて規制委員会が、例えばアメリカのように、NRCがそれをチェックするというようなことが米国では行われていると仄聞していますが、日本では、どうも、指針を定めて、後はよろしく、こういうふうに見えるわけですが、それはそういうことでしょうか、どうでしょうか。ちょっと教えてください。

山本政府参考人 原子力防災の方を担当しておる者でございますが、今先生御指摘ありました地域の防災計画、避難計画については、もちろん地方自治体がそれぞれ作成するという形をとっているわけでございますけれども、これは、地域の実情を熟知する自治体が策定するのが適切であるという観点から、そういう役割になっているというふうに認識しております。

 ただし、この計画については、地方自治体任せにするのではなく、国の関係機関がきちっとこれに協力をして実効性ある計画に仕上げていく、そのための協力をしていくということが極めて重要であるというふうに考えております。

 そのために、現在、国におきましては、原発がございます地域ごとにワーキングチームを設置いたしまして、関係省庁と関係する地方自治体が一体となりまして、避難計画あるいは地域の防災計画の充実強化を進めているところでございます。

 そして、その内容が、今御指摘がありました原子力災害対策指針あるいはIAEAなどの国際基準に照らして合理的であるかどうかといったこともあわせて確認をし、そして最終的には原子力防災会議で国として了承する、こういう手続を踏んでいるところでございます。

 いずれにしましても、こういう地域の防災対策あるいは地域の防災計画につきましては、終わりはございませんので、まず計画はつくった上で、さらにそれの継続的な改善強化に努めていく、こういうことで進めておるところでございます。

足立委員 山本審議官、ありがとうございます。

 現状、そういうふうになっているということは承知をしているわけでありますが、要すれば、規制委員会は指針をつくる、今おっしゃった内閣府の体制の中で、市町村がつくった避難計画について、私も予算委員会でもこの点を取り上げさせていただいたので勉強させていただきましたが、内閣府の職員の方が本当によく取り組んでいらっしゃるということは承知をしています。市町村任せにせず、内閣府の職員の皆さんが丁寧にそれを全部まとめ上げて、川内なら川内地域全体としてしっかりそれがワークするように取り組まれているその御努力、これは全く否定するものではありません。

 ただ、大臣、きょう大臣にぜひ共有をしていただきたいと思って御質問しているわけですが、では、それを誰がチェックし、あるいは誰が責任を持って担保しているのかというと、今御紹介があったように、最終的には国の防災会議で確認をする。これは予算委員会でも取り上げましたが、文書があって、国の防災会議が確認をすると書いてあるだけなんですね。防災会議というのは閣議メンバーですから、内閣としてそれは確認をしたということであるかもしれませんが、今、防災会議が確認をするというふうに山本審議官はおっしゃった。これは、法律事項というか法律に規定のあることではないわけですね。ちょっと確認です。

山本政府参考人 御指摘のとおり、地域の防災計画あるいは避難計画の確認につきましては、原子力防災会議で確認をするということをしておりますが、これは法律事項ではございません。

 ただし、この取り組みをさらに強化することも今検討してございまして、先ほどワーキングチームという言い方を申し上げましたが、これを地域の協議会という形でしっかりと位置づけいたしまして、中身の確認を行うということはさることながら、計画策定後におきましても、各地域で防災訓練などが実施されますので、その訓練の結果を踏まえて、反省事項を抽出し、計画の改善を図る、いわゆるPDCAのサイクルでございますけれども、そういう継続的な取り組みを強化していこうということで、今検討しているところでございます。

 それらの取り組みにつきましては、防災基本計画、これは法定計画でございますけれども、その中で、こういう協議会がそういう活動を行うということも明確に位置づけることを今現在検討しているという状況でございます。

足立委員 今御紹介があったように、地方公共団体がつくられた防災計画についてはさまざまな御支援を内閣府としてされている、これはわかっていますが、法的な位置づけでいうと、これはあくまでも地方公共団体がつくったものである。防災会議は確認をするということになっていますが、別に根拠があるわけでも、根拠というか法的な整理があるわけではない。

 原子力災害対策指針については、法律に基づいてつくられているわけですが、指針をつくった規制庁あるいは原子力規制委員会として、何かそれを事後的にチェックしているわけではない。非常に理解しにくいというか、私はある意味で素人ですが、理解をしにくいわけであります。

 きょうは、この場で取り扱わせていただいているのは、大臣、もともと防災の枠組みというのは、地方公共団体が防災計画をつくって、市町村の計画は知事が見ている、都道府県の計画は総理大臣が見ている、こういう枠組みががちっとあって、その枠組みの中でやっているものだから、どうも何か、アドホックな制度になっているような気がしまして、私は、いろいろな議論があり得ると思いますが、原子力災害については、もっと法律でしっかりとその枠組みをつくっていくべきだと思うんだけれども、どうも防災全体の仕組みがベースにあるものだから、何かちゅうちょしているように見えるわけであります。

 山本審議官か、どなたでもいいんですが、私、これは正直に、知りたくて質問しているんです。要すれば、防災全体の枠組みがあるから、そこは、規制委員会は指針をつくって終わり、内閣府は、手伝いはしているけれども、それだけというか。やはり、法的に、一体どの閣僚がどういう責任をこの避難計画について負っているのかということが、少なくとも法律上よくわからないんです。

 それは、防災全体の枠組みが背景にあるからそうなっているならそうかなと思うし、単にちょっと間に合っていないだけなら整備した方がいいし、その辺が実は本当によくわからないんですね。事務的にいろいろ、事務方とも議論をするけれども、よくわからないんです。

 きょうはぜひその辺をちょっと見識として持って帰りたいんですけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 今委員御指摘のように、原子力防災につきましては、原子力災害という特殊性に鑑みて、特別な法律、原子力災害特別措置法がございます。ただ、その基本は、災害対策基本法をベースとしまして、原子力災害の特殊性に鑑みた特別な措置を講じる、こういう枠組みになっているところだと思います。

 御指摘の、地域の防災計画は地方自治体が策定するということ、この枠組みを自然災害と同様に原子力災害についても行うということでありますが、基本は、住民の生命、安全を守るということを考えますと、やはり、地域の実情に一番詳しい地方自治体がまず一義的にその計画をしっかりつくり、それの不十分な点あるいは足らない点を国が支援する、こういう枠組みが最も実効的ではないかというふうに考えているところでございます。

 もちろん、諸外国の例を見ましても、やはり州政府であるとか地方自治体が主体的に取り組んでおられるというふうに伺っているところでございますので、国際的にもそれほど不整合な点はないのではないかというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 今、諸外国ということで言及いただきました。私もそういうものを参照させていただいているわけです。

 これは特殊な例だという御指摘もありますが、アメリカではNRCが一応関与しているわけでありまして、例えば、原子力規制委員会が対策指針までつくって、先般それを改定されて、どんどん充実して、規制委員長を筆頭に規制委員会がつくられている原子力災害対策指針は、改定してさらによくなったと私は承知をしています。逆に言うと、指針に照らして避難計画が十分なものであるかどうかということを規制委員会がやはりしっかりと見るべきじゃないかと一つは思います。

 さらに言えば、それが担保されているかされていないか。要は、規制委員会が、指針に照らしてしっかりとした避難計画が整備されている、運用できるということを専門的、技術的見地から確認するということが前置されなければ再稼働はできないというぐらいの法的枠組みがあっても、いわゆる素人感覚からいうと当たり前かな、こう思うわけですが、どうでしょうか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 再稼働についての法的枠組みにつきましては、原子力規制委員会としてお答えする立場じゃないと承知しております。

 その前提で、少し事実関係を申し上げれば、アメリカにおきましても、NRCに行く前に、事実上、FEMAにおいて実態的なチェックが行われているというふうに承知をしております。

 恐らく、それを日本に当てはめれば、先ほど内閣府の山本審議官から御答弁があったように、内閣府を中心に、これは原子力規制庁も参加をしておりますけれども、関係省庁、関係自治体、事業者が集まったワーキングチームで確認をし、原子力防災会議でそれを了承するというプロセスが日本ではそれに該当するのではないかというふうに承知をしております。

足立委員 大臣に通告がちゃんとできているかわかりませんが、今申し上げたような状況にあるわけでありまして、川内がもう最終的なフェーズに入った、高浜もそれを追いかけているという中で、私、この点は本当に重要だと思っております。

 大臣、所管ではないわけですが、防災担当大臣として、今申し上げたような法的な枠組みが、ちょっと山谷大臣に聞くことじゃないですね、しかし、今片山総括審議官が、再稼働の条件についてはちょっとまた別だということがありましたが、私は、避難計画が十分にできていない中で再稼働することは、やはりそれは人の道に反する、こう思っておりまして、法的な枠組みを超えて、十分な避難計画が整備されていることは稼働の大前提だと思いますが、それは御同意をいただけますでしょうか。

山谷国務大臣 足立委員は、今、素人の目からなんておっしゃられましたが、経産省にいらっしゃいまして、またエネルギー政策にもかかわっておられて、またアメリカにもいらしたということで、実はある意味、スペシャリストでありゼネラリストでありという、そうした総合的な視点から今の御質問をいただいたというふうに考えております。

 私の立場で答えられる部分とそうでない部分とがあるのでございますが、まず、ちょっと整理をする意味で、地域防災計画における原子力災害対策編の位置づけでございます。

 地域防災計画は、都道府県及び市町村の防災会議が地域の実情に即して作成する、災害対策全般にわたる基本的な計画であります。したがいまして、地域防災計画には、地震対策を初めさまざまな災害対策が記述されているところですが、原子力災害対策重点区域等の地方公共団体においては、地域防災計画の中に原子力災害対策編を策定するものとされており、防災基本計画及び原子力災害対策指針に基づき、原子力災害に関する予防、応急、事後対策が具体的に定められております。

 また、原子力災害対策編に係る原子力規制委員会の役割についてでございますけれども、地域防災計画、避難計画の具体化、充実化に係る国の支援については、原子力発電所の所在する地域ごとにワーキングチームを設置し、関係省庁が関係自治体と一体となって地域防災計画、避難計画の充実強化を進めていき、その具体化、充実化が進んだ地域については、ワーキングチームにおいて、地域防災計画、避難計画が原子力災害対策指針などに沿った具体的で合理的なものであることを確認し、その上で、原子力規制委員長も参画する原子力防災会議で国として了承することとしていると承知しております。

 これらの取り組みについては、防災基本計画を速やかに修正し、その中で明確に位置づけてまいりたいと考えております。

 最後の原発再稼働に係る地元同意についてでございますが、原発の再稼働に関しましては、地元の理解を得るということが大事だと考えております。その範囲や方法については、各地の事情、さまざまあることから、各地とよく相談して対応することが大事だと考えております。

 いずれにせよ、所管省庁において、立地自治体など関係者とよくコミュニケーションをとりつつ、適切に対応されるものと理解しております。

足立委員 ありがとうございます。丁寧に御答弁をいただきました。

 もう時間がありませんが、多田部長、通告で最後に地元同意、今大臣も触れていただいた地元の同意というのがありますが、この地元同意というのは、きょう災害対策特別委員会なわけですけれども、防災という観点と関係があるかないかというのがもう一つわかっていないんですけれども、地元同意というものは、災害の観点、防災の観点とは関係あるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御承知のとおり、地元の自治体の同意というものは、法令上は原発の再稼働の要件ではございません。事実上、各電力事業者が関係の自治体と結びます安全協定というものの中で言及がされているわけでございます。

 今、個別の安全協定でどう書かれているかということにつきましては、手元にちょっと資料がございませんけれども、その中で防災という言葉が使われているかどうか承知をしておりませんが、安全協定というタイトルにその精神はあらわれているのではないかというふうに拝察いたします。

足立委員 もう時間が来ましたが、実は、今どうも川内とか高浜を見ていると、今あったように、地元同意というのは、電力会社と地方公共団体が相対で安全協定を結んでいるわけですね。だから、制度的なものは、そういう意味では当事者同士ということでありますが、どうも川内を見ていても、主として立地自治体が当事者になっているんですね。

 でも、今多田部長がおっしゃっていただいたように、安全のためなのであれば、UPZとかもうちょっと広い範囲で、例えば高浜であれば、UPZを抱える知事というのは、滋賀県知事もあれば、京都府知事もあるわけです。本来、当然に彼らが同意対象になるべきだと私は思うわけであります。

 私はそう思うということでありますが、京都、滋賀は当然地元同意の対象ではないかという私の感覚について、最後に経産省から、多田部長、お願いします。

梶山委員長 資源エネルギー庁多田電力・ガス事業部長、簡潔に答弁願います。

多田政府参考人 それでは、簡潔に申し上げます。

 今の点でございますけれども、先ほど大臣の方からも言及がございましたけれども、同意の範囲や方法につきましては、各地の事情はさまざまでございます。したがいまして、国の方から一方的に一律に決めるのではなくて、各地域とよく相談をして対応することが重要であると考えております。

 以上でございます。

足立委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

梶山委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。

 本日は、国土強靱化、防災担当の山谷大臣の所信を受けまして、今、足立委員の方は原子力の再稼働に伴ういろいろな問題を質問されましたけれども、私は、災害時の救助あるいは避難という観点から質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 大規模な災害が起こりますと、陸上の道路交通網が分断されるということがたびたびあるんじゃないかなというふうに思います。こういった場合、被災地でけがをされた方や、被災地において従前より病気であった方を救助するという観点で、病院船というものが検討されてきたというふうに思っております。

 これまでも衆参両院の幾つかの委員会で、私も含めまして、質問、議論がされております。陸上交通網が分断された中では、海からのアプローチというのは極めて有効な手段ではないかなというふうに考えるわけであります。

 平成二十三年度以降、例年数千万円の予算がつけられまして検討されてきたというふうに認識をいたしておりますが、現状は、予算も含めてどのように議論されているのか。病院船検討の進捗状況について、現在どのように議論が進んでいるのかをお答えいただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる病院船についての検討でございます。

 平成二十五年度、平成二十六年度におきまして、関係省庁等と連携をいたしまして、海上自衛艦及び民間フェリーを活用して、船への患者搬送や船内での医療資機材の展開、あるいは模擬診療といったような実証訓練を行いまして、有識者等に点検をしていただきながら、どういった課題があるのか等々につきまして検討を進めてまいったところでございます。

 こうした結果を踏まえまして、災害医療全体の中でどのような役割が病院船にとってふさわしいのか、あるいは、運用に当たっての課題について、さらに具体的に明らかにするための検討を進めているところでありまして、今御審議をお願いしております予算案の中でも、二十七年度においても引き続き検討を行うようなことを考えているところでございます。

河野(正)委員 今、予算はどれぐらいにされているのか、お答えいただけますか。

日原政府参考人 非常にざくっとした数字でございますが、おおよそ五千億円、いや、五千万円を費用として入れてございます。失礼いたしました。

河野(正)委員 今、私が聞いている範囲では、一隻三百億円ぐらいというふうなことなので、これがコストがかかってしようがないということなので、五千億あったら十分できちゃうと思います。

 ペアで動かさなければいけない、定期点検とかありますので。そうすると、今お話ししましたように、一隻当たり三百億として、二隻で六百億円、年間五十億円ぐらいランニングコストがかかる、また、どこに置いておくのかとか、平時にどうするかとか、あるいは担当の省庁の問題とかあって、非常に難しい問題かなと思います。

 先ほどお話ししましたように、病院船に関しては、衆参両院において何度か議論をされてきておりますし、私も一昨年、平成二十五年五月二十三日のこの衆議院災害対策特別委員会で、当時の古屋大臣にお尋ねをしたところでございます。

 今お話ししましたように、巨額な予算をかけて平時から病院船を温存するのではなく、古屋大臣は、コンテナに医療モジュールを入れて積み込んでおいたら、これはトラック輸送でもできるし、平時はどこかに置いておくことができるということで、いいんじゃないかとか、極めて現実的な御答弁をいただいたように記憶しておりますが、山谷大臣の病院船に対する御認識をお聞かせいただきたいと思います。

山谷国務大臣 海からのアプローチによる医療機能の提供は、大規模災害時における医療機能を拡充し、多様化を図るという観点から、その位置づけ等について検討を行っているところであります。

 先ほど参考人から答弁がありましたとおり、平成二十五年度から、実際に既存の船舶を活用した実証訓練を行っているところでありまして、今後、引き続き実証訓練を行うとともに、これまでの検証結果等を踏まえ、海からの医療機能提供のあり方、必要な医療資機材等について、しっかりと取りまとめを行いたいと思います。

 古屋前大臣も、委員がおっしゃられましたように、コンテナのような、モジュールをつくっておいて、ベッドを入れたり、いろいろ考えられるのではないかとか、船をチャーターしたらどうかとか、自衛隊の既存船舶を活用したらどうかというようなことをおっしゃられ、今、二十五年、二十六年、二十七年、実証訓練でございますので、そうした検証訓練を踏まえながら、しっかりと取りまとめを行いたいと思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 平成二十五年四月二十二日、参議院の予算委員会におきまして、当時の小野寺防衛大臣が、「手術施設がある医療機能を含む艦船を十二隻保有しておりますので、これもしっかり活用していきたいと思います。」というふうに答弁をされております。病院船に準じるような役割を果たし得るこれらの防衛装備の現状について、きょうは防衛省に来ていただいておりますので、お答えいただきたいと思います。

辰己政府参考人 防衛省よりお答えいたします。

 今先生がおっしゃったように、防衛省としては、手術用施設等の医療機能を有する艦艇十二隻を保有しているところでございます。

 また、今月には、患者用寝台三十五床という大規模なものを有する護衛艦「いずも」、これが就役をする予定になっております。

 さらに、東日本大震災を踏まえて、昨年度の二十六年度予算において、潜水艦救難艦、これを建造することにしておりますが、これは、大規模な災害や水難事故にも対応できるよう、医療機能を具備した、多目的に対応できる救難艦として初めて整備をするものでございまして、手術用寝台を二床、病床を約十床設置することとしておりまして、このような整備に取り組んでいきたいというふうに思っております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 今、三十五床とか十床とかいう話が出ましたけれども、病院船の議論の中で、我が国においては、慢性期病床なども検討されてきたように思っております。私は、災害時ですから、手術も含めた緊急処置が行えること、あるいは、一時的な、最低限の数の緊急ベッドを有していることで十分じゃないかなと思っております。

 アメリカ海軍では、病床数が千ベッド、あるいは手術室が十二室ある船があったりとか、中国も三百床級の船がある。中国ですから、はり、きゅう治療もやれる部屋があるとか、そういった船があるというふうに答弁の中にあったと認識しております。

 大規模な入院機能は必ずしも必要ではないと思いますので、大切なのは、しっかりとトリアージが行えて、速やかに近隣の安全な病院に搬送できることだというふうに思っております。予算は潤沢にあるわけではございませんので、現実的な検討も含めて、もしもの場合、災害はいつ起きるかわかりませんので、しっかりと備えていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 話がちょっと変わりますけれども、先日、バヌアツを巨大台風が襲いました。いまだ被害の全容が明らかでないところも多いかと思います。

 アジア太平洋地域では、地震、津波、台風と、災害が頻発しているところであります。近隣諸国を初め、他国における災害救助に我が国も積極的に貢献していく必要があるのではないかなというふうに考えます。

 実際に、二〇一三年十一月には、巨大台風の被害に見舞われたフィリピンに自衛隊を国際緊急援助活動として派遣したというお話も聞いております。そういった他国に対する災害救助、政府としての考えをお聞かせいただきたいと思います。

辰己政府参考人 今先生のお話にあったように、一昨年の十一月、フィリピンの大災害に際しましては、護衛艦、輸送艦、補給艦など、あるいはそれに搭載、運用するヘリコプター六機など、海上をベースにして災害救助あるいは生活支援をできるような体制で取り組んで、実施したことは事実でございます。

 このように、自衛隊としては、各国の災害に対して、その国から派遣要請があれば、関係省庁とも連携しながら、自衛隊のこういった艦艇などを効果的に使用しながら対応していきたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 次に、離島での災害救助についてお尋ねをいたしたいと思います。

 一昨年、平成二十五年十月、台風二十六号により、東京都伊豆大島で大規模な土石流が発生し、四十名近い方のとうとい命が失われるということがありました。改めて御冥福をお祈り申し上げます。

 私は、当時、日本維新の会災害対策本部から派遣されまして、被災数日後に現地に行ってまいりました。重機等を用いて、まさに行方不明の方の捜索が行われているところでございました。

 今の時代は、土木作業に使用する重機というのをなかなか現地で常日ごろ持っているわけではなくて、公共事業など、建設に伴うそういった工事が発注されたときにリースをしてくるというようなことが多いというふうに聞いております。

 そうしますと、離島などの場合、災害が起きた場合、まさに海が荒れていて船が近づけないかもしれない、あるいは、台風、強風によって空からも近寄れないかもしれない、こういったときにそういった機器がない、まさに救助しなければいけないときに重機類がないということがあるんですけれども、そういったときにどのように手当てをするのか。

 日ごろ、そのためだけに置いておくわけにもいきませんので、大変厳しい問題だと思いますが、そういった事前の準備に関して、現時点での政府の考え方を、どのようにされているのかお聞かせください。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、災害時におきまして、多くの資機材を現地においてきちんと確保することがなかなか困難な場合もございます。

 伊豆大島におきましては、崩壊土砂が大変多かったために、島内におきます事業者が所有しておりました資機材だけでは不十分でありましたので、本土の方から民間や自衛隊の船舶を活用いたしまして搬送を行ったところでございます。

 こういったことを考えますと、ふだんから島外の事業者等と、あるいは輸送を行う物流事業者などと事前に協定を結んでおきまして、災害時の調達が迅速に行えるような体制を組んでおくことが必要かというふうに考えております。

河野(正)委員 離島といいましても、今お話ありましたように、その大きさ、人口規模、さまざまな違い、大きな違いがあると思います。離島を有する各自治体が、その地域の実情に合わせてしっかりと対策を練らなければいけないんじゃないかなと思っております。

 輸送業者さんと事前に協定をということもありましたけれども、具体的な取り組みがあれば、把握されている範囲で教えていただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ありましたように、災害時の応急対策につきましては、基本的には市町村が行っておりまして、市町村の地域防災計画におきまして、離島であるという地域特性も踏まえた上で定めているところでございます。

 その詳細全てを承知しているわけではございませんけれども、例えば東京都内の島嶼部につきましては、一昨年の伊豆大島の土砂災害を踏まえまして、これは東京都が音頭をとって進めているわけでございますけれども、本土から被災地に届けようとすると、まず本土内におきますトラック等の物流の確保、それから海上におきます船の物流の確保、それからまた荷揚げした後の物流と、さまざまな関係者、しかもその間に荷役業者さんも入りますので、関係者が非常にかかわってくるものですから、そういったことをスムーズにやるような、ワンストップで、一カ所にお願いすれば全部面倒を見てくれる、そういったような協定を進めているというようなことを伺っているところでございます。

河野(正)委員 離島というところは、そこに住民の方がしっかりと根づいて生活をしていただくということが極めて大切だと思っております。我が国固有の領土を守るという観点でも、そこの離島に人が住んでいるということは非常に大切なことじゃないかなと思います。

 離島の方々が被災された場合の救援、救助について、こういった意味からも、山谷大臣の御認識を伺いたいと思います。

山谷国務大臣 災害応急対策は、一義的には市町村において実施することとなりますが、市町村で対応できない場合には、国や都道府県が応援することとしています。

 平成二十五年の伊豆大島における土砂災害の際も、関係省庁が連携し、自衛隊の航空機や船舶により、警察、消防も含めた人員や資機材の輸送を行い、救出、救助の応援を実施いたしました。

 離島における災害の場合は、地理的制約から市町村で対応ができない場合もあると思いますので、地域の実情を踏まえ、政府としては、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 今国会で審議される法案の中には、半島であるとか、いろいろなところで定住の促進ということがキーワードで書いてあると思いますので、そういったことを考えておられるのであれば、しっかりとやはりこういった離島の方々に対する災害時の対策というのをやっていかなければいけないというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 ちょっと足立委員とも関連してきますが、これから我が国には、原発再稼働という極めて大きな問題が控えております。原発再稼働の是非は別の機会に譲るといたしますけれども、今、周辺自治体を中心に、まさに避難計画が議論されているんだというふうに思っております。周辺地域には、健康な方ばかりでなく、病気の方、障害者、あるいは高齢の方がおられます。

 そこで、障害者の災害対策の必要性の観点からお尋ねをいたしたいと思います。

 先ほど、もう前の方々の質問にかなり話が出ておりましたけれども、昨日まで宮城県仙台市で国連防災世界会議が行われておりました。

 障害のある人を初め、さまざまなバックグラウンドを持った方々が日ごろの防災活動から参加するなどの重要性が議論されたというふうに報道されております。

 どのような議論がなされ、今後の取り組みの方向性が検討されたかを簡単にお教えいただきたいと思います。

赤澤副大臣 今回の国連防災世界会議では、我が国の主導により、障害者の防災への積極的参加に関するセッションが行われ、障害者を巻き込んだ、インクルーシブな災害リスク削減に向けた議論が行われました。

 パネリストからは、各自の取り組みについての発表が行われ、障害者に対して特別なアプローチをとるのではなく、障害者を含んだ平等なアプローチで地域の災害対応計画を立案することなど、示唆に富んだ提案が行われました。

 これらの議論を経て、仙台防災枠組にも、ステークホルダーの役割の中に障害者とその支援組織の役割が明確に位置づけられております。

 今回の会議は、障害のある方も本会議に参加できるよう、バリアフリーの徹底や、手話通訳、リアルタイム字幕など情報保障の提供が行われるアクセシブルカンファレンスとなっていましたが、仙台防災枠組を踏まえ、我が国として、今後とも障害者を含むインクルーシブな防災をより推進し、世界のモデルとなるよう努めてまいりたいと思います。

 特に、私が副議長として会議に出ていたときに立ち会ったのは、国連の障害者の方のための会議でない会議で、本会議でメジャーグループの方たちと並んで障害者代表のタイの全盲のブンタンさんという方がステートメントを発表することが認められて、これ自体大変画期的なことでございました。

 そういう意味でも、今回非常にいい取り組みが行われたのではないかなというふうに認識をしております。

河野(正)委員 ありがとうございました。また、お疲れさまでございました。

 高齢者、障害者、妊婦さんなど、特に配慮が必要な避難者への対応は、平時から十分に備えておくことが不可欠だと思っております。地域でどれくらいの方が対象になるのか、誰が避難をサポートしていくのかなど、事前に関係者が情報を共有して準備しておく必要があるんじゃないかなというふうに考えております。

 具体的に、国は地域に対しどのような支援を行っているか、現状を教えていただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 高齢者や障害者などの方々への避難支援に関しましては、平成二十五年六月に災害対策基本法を改正いたしまして、実際は昨年の四月から施行されておりますけれども、高齢者、障害者等で災害時の避難等に特に支援を要する方を対象とした避難行動要支援者名簿の作成を義務づけたところでございます。この名簿を活用いたしまして、避難等の支援を進めてまいりたいというふうに思っております。

河野(正)委員 配慮が必要な方々のための福祉避難所の指定が進んでいないという報道がございます。

 福祉避難所は、阪神・淡路大震災をきっかけに検討されるようになったということでありますけれども、まさにことしは阪神・淡路大震災から二十年という節目の年に当たっております。

 福祉避難所の概要について教えていただきたいと思います。

日原政府参考人 福祉避難所とは、高齢者、障害者、乳幼児などの要配慮者の方に特別の配慮がなされた避難所のことで、一定の基準を満たす高齢者施設、障害者施設、児童福祉施設などが福祉避難所として指定されていると承知しております。

 なお、一般の避難所におきましても、これらの方々に配慮されたスペースを設ける場合もあると承知しております。

河野(正)委員 福祉避難所設置・運営に関するガイドラインというものでは、小学校区当たり一カ所程度の指定を市区町村に求めているということでございますけれども、福祉避難所の指定の状況が、自治体によってかなり差があるというふうに言われております。

 自治体によって、住んでいる町によって差があるというのは非常に問題じゃないかなと思うんですけれども、実態はどのように把握されているでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 福祉避難所につきましては、平成二十五年の災害対策基本法の改正によりまして制度が設けられまして、昨年四月から施行されたところでございますので、現在、その指定状況がどうなっているかということについて調査中でございます。

 内閣府といたしましては、その調査結果を踏まえて、さらなる改善策等について検討してまいりたいと思っております。

河野(正)委員 例えば福岡市では、指定避難所の場所が公開されていないということであります。そのため、実際の災害発生時にどこにどのように避難したらいいのかがわからず、非常に、障害のある方等を中心に不安だという声があるように報道されております。

 このように、自治体間で指定避難所の運用に差がある状況をどのように考えているのか。本当に、生活する地域で支援体制に差があるというのはゆゆしき問題だと思いますけれども、改めてお聞かせいただけますでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁させていただきましたように、現在、避難所の設置状況等について実態調査を行っておりまして、その集計結果を取りまとめているところでございます。

 今後、調査結果を踏まえまして、より多くの市町村において福祉避難所の指定などの対応が進むように検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 先ほど来、病院船のときもお話ししましたけれども、いつ災害が起きるかわかりませんので、ぜひ早急に調査の上、検討していただきたいなというふうに考えております。

 残り時間で、次に、災害時の備蓄食料対応についてお尋ねをしたいと思います。

 災害時に無事避難所に移動できたとしても、ライフラインが途絶している場合というのが考えられます。一般に、おおむね三日分の食料や飲料水を用意しておくのが望ましいというふうに言われております。水に関しては、一日一人当たり三リッターぐらい必要だというふうにも言われております。言うのは簡単なんですが、一人分で約三日分となりますと九リッター。十リッター近くを確保しておかなければならないということで、極めて大きな量になると思います。

 以前、私、病院団体の災害時マニュアルというのをつくる仕事をしまして、発表したことがあるんですが、そのときに、検討する中で、五百ベッドとか千ベッドとかいう病院になりますと、そこで働いているお医者さんや看護師さんもいらっしゃる、職員の方がいらっしゃる。有事になりますと、帰宅することもできず、そういった医療スタッフも、そこで不眠不休の、寝泊まりして活動しなければいけないという場合もございます。

 そういったことを考えますと、千数百人分の備蓄をするということになると、実は、もうこの部屋でも入らないぐらい、体育館並みの倉庫が必要になってくるというような検討をして、これは三日分をマニュアルに記載するのは厳しいなというふうに考えたところであります。

 そういったことから、実際問題としては、近隣の病院との連携、そういったやりとりができるような体制をとっておくことが望ましいというふうにマニュアルに書くしかないかなというふうに思ったわけなんですが、避難所の備蓄ということに関して政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 内閣府におきましては、平成二十五年の八月に、避難所を運営する市町村の取り組みの参考となるように、取り組み指針を策定いたしまして、それを周知しているところでございます。

 当該取り組み指針におきましては、平常時から、必要と考えられる備蓄の推進を促しているところでございますけれども、具体的な量などは、市町村が避難所の収容予定人数等を踏まえて決めることとなっております。

 また、おっしゃるとおり、備蓄そのものが大変難しいケースもございますので、そういった場合には、事業者団体との物資供給協定の締結等によりまして必要な物資を確保するという方法についても触れているところでございます。

 内閣府といたしましても、災害時に必要な物資が確保できるよう、取り組みを促進してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 本当に、水とか食料品というのは消費期限とかもありますので、ずっと置いておけば永久にそれだけでいいというわけでもありません。時々は入れかえなければいけませんし、今、地区によって、何人ぐらい避難されるかで検討するということですけれども、今お話ししたように、大体標準が三日間分ぐらいだというふうに言われておりますので、それを掛けていくと相当なことになります。ただ、本当にそれはしておかなければいけないことでもありますので、十分検討をしていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っているところであります。

 ちょっと細かい話になりますけれども、入院されている精神障害者の方への対応についてお聞きをしたいと思います。

 精神障害者であって自傷他害のおそれのある方に対して、措置入院という入院形態がございます。知事もしくは政令市長による強制的な入院というふうに理解していただければいいんですけれども、通常であれば、精神保健指定医の診断で要入院治療とされた場合、精神保健病床を持った病院に保健所などが手配することによって入院をされているわけであります。

 原発事故に限ったわけではありませんけれども、もし入院中の病院が被災等により入院治療を継続できなくなった場合、こういった強制入院の患者さんにどのように対応されるのか、教えていただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 精神障害者の措置入院につきましては、先生御指摘のように、精神保健福祉法第二十九条に基づきまして、都道府県知事等が、自傷他害のおそれがあると認められる精神障害者につきまして、行政処分として精神科病院に入院をさせるものでございます。

 お尋ねのような、措置入院患者がいる精神科病院が被災により受け入れの継続が困難になった場合の取り扱いにつきましては、まず精神障害者の安全を確保するということが重要であるというふうに考えておりますけれども、被災した都道府県等の機能が維持をされている場合は、通常、都道府県等の関与のもとに、被災した病院からの転院が行われることとなります。

 しかしながら、先生御指摘のような、仮に都道府県等が機能していないような場合につきましては、病院間で調整の上、病院において転院を行うということがやむを得ないような状況もあり得るものというふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 東日本大震災におきましては、実際に精神科病院が被災しておりますけれども、何かこれらの問題が起こったのかどうか、もし把握されていれば教えていただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災におきまして被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県に確認をいたしましたところ、被災した病院から措置入院患者を転院させた事例は、福島県で三件あったと聞いております。

 いずれも、県の機能が喪失をしていたような状況ではございませんでしたので、県の方に必要な手続をしていただいた上で移送を実施しております。

河野(正)委員 病院というのは、病に悩める方に少しでもよい療養環境で治療を受けていただきたいということから、精神科病院には限りませんけれども、海沿いにあったりとか山際であったりとか、いわゆる風光明媚な場所にあるということが少なくありません。そういったことから考えますと、昨今の我が国の事例を見ていますと、病院が災害に遭うという可能性も考えておかなければなりません。備えあれば憂いなしということで、病気の方、障害者、高齢者の避難におきましては、十二分な検討をしておく必要があるんじゃないかなと思います。

 繰り返しになりますけれども、今後、政府におかれましては、原発再稼働を決断されるのであれば、しっかりと、十分にこういったところも検討して、対策をとっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 民主党の小山展弘でございます。

 それでは、早速質問したいと思います。

 まず、津波対策についてですけれども、東日本大震災の後、津波に対しては非常に国民の関心が高くなりました。

 津波から身を守るためには、津波から避難をする。避難タワーや命山、あるいは避難道路といった、避難するという対策がまず考えられます。それともう一つは、堤防の構築であります。

 もちろん、津波の高さが三十メーターとか四十メーターとか来るような、そういうところで津波の堤防によって津波から守るということは、これはなかなか困難であろう、そういういわゆるレベル2の津波が来る場合はですね。しかしながら、そこまでの高さのものではない津波の場合には、私は、究極的には津波の堤防の構築こそが望ましい対策だと考えております。命だけでなく、財産、資産を守ることができる、また、生活そのものを守ることができる。

 また、避難をする対策というのは、一見非常に簡単に考えられますけれども、地震で建物等が潰れて、その下敷きになったりしてしまって逃げられない、あるいは、建物の倒壊等によってけがを負って、避難しようにも、なかなかそれが素早く、けがをしていないときのように避難をするということが難しい、こういうことも考えられます。やはり堤防で津波をしっかりとめるということが可能であれば、これは一番望ましいということだと考えております。

 また加えて、二〇一一年以降、沿岸部においては地価がつとに低下をしておりまして、こういった風評被害的な経済的な損失というものもあるわけであります。

 津波に対しては、レベル1という比較的頻度の高いと考えられる津波と、レベル2という千年に一度ぐらいの最大クラスの津波に分けて、それぞれのレベルに応じた対策をとるということになっておりますけれども、このレベル1、レベル2に対応する津波堤防、これはどういったものであるかということで、この津波堤防の定義というか、そういったものを伺いたいと思います。

 まず、内閣府からお願いいたします。

日原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘のございましたように、平成二十三年九月の中央防災会議におきまして、レベル1、レベル2というような概念を持ち込みました。

 東日本大震災におきましては、いわゆる最大クラスの津波ということで、これについては、堤防で防ぐのではなく、住民避難を柱とした総合的な防災対策を構築するという考え方になっております。この場合、人命は救えるものの、社会経済的な被害は甘受しなければいけないということでございます。

 いわゆる発生頻度は高く、津波高は低いものの、大きな被害をもたらす津波について、防波堤など、津波の内陸への侵入を防ぐ海岸保全施設等の建設を行う上で想定する津波のレベルというのをレベル1というふうに呼んでおります。

小山委員 要は、内閣府の定義の中では、津波堤防に対しては津波の高さだけでやるということですね。確認です。

日原政府参考人 お答えいたします。

 高さだけというよりも、津波でございますので、津波自身、かなりエネルギーを持っておりますので、その高さに応じたエネルギーを持った津波ということでございます。

小山委員 質問では、津波堤防について定義があるかと。これは通告してあります。

 津波堤防については、内閣府としては定義がないんですか。なければないと言ってください。

日原政府参考人 お答えいたします。

 内閣府といたしましては、堤防を設計する前提となる津波について定義しているものでございます。

小山委員 内閣府では、堤防の定義についてはないということでしたが、では、具体的に構築物を管理している国交省所管の海岸構造物としての堤防について、レベル1、レベル2に対応する、これは事実上の津波堤防ということだと思いますが、それについての定義というか、どういうものをレベル1対応のものとするのか、どういうものをレベル2の対応とするのか、それについてお答えください。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、海岸堤防につきましては、先ほど御答弁ございましたように、中央防災会議の専門調査会の報告を踏まえ見直された防災基本計画におきまして、比較的発生頻度の高い一定程度の津波、いわゆるL1津波に対して整備を進めることとしております。

 これに基づきまして、海岸の設計に用いる設計津波と申しますが、これは、通知におきまして、原則として、数十年から百数十年に一度程度発生する、比較的発生頻度の高い津波でございます。具体的に申し上げますと、例えば三陸沿岸におきましては、明治三陸津波、昭和三陸津波、あるいはチリ地震津波、こういったものを対象として海岸堤防の設計を行っております。

 高さにつきましては、海岸保全施設の技術上の基準を定める省令におきまして、原則として、設計津波等の作用に対して、海水の侵入を防止する機能等が確保されるよう定めるものとしております。また、いわゆる構造につきましては、設計津波等の作用に対して安全な、すなわち、津波が当たってまいりますが、そういうものに対して安全な構造とするとしております。

 以上でございます。

小山委員 割と抽象的な定義かなと思います。

 それでは次に、農水省所管の海岸防風林、防砂林のレベル1、レベル2に対する実質的な堤防の高さ、あるいは強度等について御答弁願います。

本郷政府参考人 お答え申し上げます。

 林野庁におきましては、防潮堤の設置に当たり必要となる強度として、数十年から百数十年に一度程度に発生すると想定されているいわゆるL1津波への対応を考慮する必要がある場合には、国土交通省と同様に、この津波の高さと強度に対応した設計を計画し、設置をしてきているところでございます。

小山委員 余り細かくこのことで話していてもしようがない、時間もないものですから。

 何でこんなことを話したかといいますと、二〇一二年に静岡県の磐田市におきまして、きのうの質問取りの時点で、静岡県のこの地域はレベル1対応の堤防ができているということでございましたが、高潮で三百メーターにわたって堤防が流されてしまうということがありました。

 高潮で流されてしまう堤防が、レベル1だったとしても、津波に対応できているだけの強度があるとはとても、少なくとも信用はされない。安全は確保されるかもしれないけれども、安心は得られない。ちなみに、その磐田市の堤防でも、天竜川の河口付近のコンクリートで補強されたところは無傷であったと。

 ですから、レベル1といっても、津波の高さ、今非常に抽象的に、津波に耐えられ得るというような言葉で御説明がありましたけれども、やはりこの強度というところももう少し、レベル1、レベル2に対応するものとして、今後検討していく必要があるのではないかということを申し上げたいと思います。

 それと、今、内閣府さんは、レベル1の津波とは何か、レベル2の津波とは何かという、津波についての定義であった。国土交通省さんは、それに対する海岸構築物のことで、農水省さんも、林野庁さんも、ほぼ国土交通省と同じようなということでありました。

 私は、どうしても、これは災害対策やほかのものもそうなんでしょうけれども、やむを得ないところかとは思いますが、役所の縦割り的な、それぞれの所管で対策を立てていて、どうもそれが、横串で貫くような統一した対策あるいは基準といったものをもう少しこれから整備していく必要があるのではないかということを感じましたので、申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、この後いわゆる通称地震財特法、これの期限延長の議決もあるわけですけれども、この津波堤防の構築、レベル2に対応できるのであれば、例えば、大変地域エゴ的な話になるかもしれませんが、静岡のようなところであれば、津波被害の第四次想定においても十メートルから十三メートルであると。三十メートルの津波が来るということであれば、これはなかなか堤防の構築は難しいということになりますが、レベル2であっても十メートルから十三メートル程度ということであれば、これは堤防で防ぐことができるのではないか。一方で、東海地域は、南海トラフ地震の発生が懸念されておりまして、先ほど申し上げました風評被害的な経済的損失も大きいわけであります。

 そこで、本日審議予定のいわゆる地震財特法の期限延長について、例えば、公共建築物に対する耐震工事の補助のかさ上げということでやってきてはいるわけですけれども、こういったところに、津波堤防の構築、あるいは津波堤防のかさ上げに対する補助の方もかさ上げというようなことも、今回、地震財特法の期限延長に際して、法案をさらに充実させるということも考えられたかと思いますが、この点について大臣の認識をお伺いしたいと思います。

山谷国務大臣 地震財特法においては、災害弱者の被災防止等を迅速に進めるインセンティブを与えるため、公立小中学校等に対する国庫補助率のかさ上げが措置されております。消防用施設ですと、三分の一を二分の一に、社会福祉施設ですと、二分の一を三分の二、そしてまた、公立小中学校改築の場合は、三分の一を二分の一、補強の場合は、三分の一を二分の一または財政力により三分の二ということでございます。

 これまでの六回の延長を経まして、強化地域として指定されている八都県においては、例えば、公立小中学校の耐震化率が順調に向上してきておりまして、今なお耐震化の完了していない公立小中学校が残されておりまして、関係自治体から法の延長が要望されているところであります。

 一方、津波による被害軽減を目的とする堤防施設の整備については、公共事業そのものであり、本来的に地方公共団体が実施すべき事業として、国庫補助のかさ上げ対象とはされていないものと理解しておりますが、その整備については関係省庁において適切な支援がなされるものと考えております。

小山委員 静岡の県議会の複数の議員から、こういったことも工夫として何とかできないかということがありましたものですから、きょう質問をさせていただきました。

 この地震財特法というのは、東海地域に住む人間からすると大変ありがたい、そして、南海トラフ地震の特殊性を認めていただいているようなところもありますが、一方で、全国的なところで、東海地域だけが特殊としていいのかというような批判もある中ではあります。当地域選出の議員としては、これについて、ぜひ全会一致での可決を委員としてもお願いをしたい、議員立法でございますが、そのようにも改めてお願い申し上げさせていただきたいと思います。

 それと、南海トラフ地震により発生が想定される津波に対する多重防御の一つとして、粘り強い海岸防災林の整備が必要、これは予算の概算要求にもございます。

 静岡県の掛川市におきましては、掛川市大須賀海岸で、掛川モデルと言われております海岸防災林の強化を行っております。

 これは、河道掘削土を使用して基本的な盛り土をしまして、そこに、山土によってさらに覆土を、覆いまして、その上に海岸防風林、防砂林を植栽するというやり方で、全体としてこの地域のレベル2の津波の高さまで耐え得る堤防を構築するというものがあります。

 このやり方でありますと、浜松市がコンクリートを固める形でやっていますが、百八十億円をかけておりますけれども、全て、この河道掘削土を仮に用いなかったとしても百二十億円、河道掘削土を用いれば三十億円から四十億円程度で、かなりコストダウンを図って構築できるということでございます。

 これは、国交省、林野庁、それから地方自治体、地域住民、こういったものの協働によって行うわけですけれども、津波堤防としての役割、機能も果たす海岸防風林、防砂林を守るための堤防を力を入れて整備を推進すべきであると考えますが、政府の認識を問いたいと思います。

本郷政府参考人 お答えをいたします。

 海岸防災林につきましては、飛砂害や風害、潮害等から地域の暮らし、産業を守るとともに、南海トラフ地震による津波の発生が懸念される中、多重防御の一つとして、津波エネルギーの減衰効果の発揮の観点からも、その整備を全国的に進めていくこととしております。

 このため、農林水産省といたしましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、津波に対して、樹木が根返りしにくい林帯を造成するために必要となる人工盛り土による生育基盤の整備など、海岸防災林の造成に係る技術基準の見直しを進めるとともに、平成二十七年度予算におきましては、松くい虫被害による海岸防災林の機能低下を未然に防止するための保全対策を治山事業において実施できるように措置したところでございます。

 こうした取り組みにより、地震発生による津波等に対する防災機能が確保されるよう、海岸防災林の整備、保全を図ってまいります。

小山委員 今、ほとんどお答えの中にもありましたが、ぜひこういった、大臣の答弁にもございましたとおり、津波堤防をつくっていくというような予算がなかなか難しいという中で、さまざまな分野を活用して、実質的にこのような堤防の構築、整備をしていくということは大事なことだと思います。

 そういった中で、ぜひ、今お話しいただいた予算を確保する上でも、治山事業全体の総枠を拡大するということも、これからも政府の方で取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、最後になりますが、子供たちを守る学校施設の状況について。

 学校の耐震化は相当進んでいる、九五%以上になっていると思いますが、もともとの建物の老朽化が著しい場合は、耐震化の効果も怪しくなってくるというような意見もありますし、また抜本的な建てかえとか対策が必要になってくるかと思います。

 こういった、老朽化が進んで建てかえの必要な、抜本的な対策が必要な学校施設はどの程度存在し、またその建てかえ等の抜本的な対策の進捗状況はどの程度であるか、御答弁いただきます。

関政府参考人 公立学校施設の老朽化についてのお尋ねでございます。

 小中学校の施設につきまして、建築後二十五年以上経過し、改修が必要な建物の面積が全体の約七割となるなど、校舎等の老朽化対策が課題となっております。

 現在、主な改築、建てかえの対象となっておりますのが、経年四十年から四十五年ぐらいとなりますのが大体一千九百十二万平米、ちょうど昭和四十五年から四十九年ぐらいに建てられた施設でございます。

 これらの建物につきまして、現在、平均四十年程度で建てかえがされておりますが、厳しい財政状況のもと、学校施設の老朽化対策を効率的、効果的に進めるため、文部科学省では、平成二十五年度に、建てかえより工事費を抑えながら、建てかえと同等の教育環境を確保でき、排出する廃棄物量も少ない、長寿命化改修を実施するための補助制度を創設したところでございます。

 また、地方公共団体の計画的な取り組みを支援するため、老朽化した学校施設に係る中長期的な整備計画を策定するための具体的な手法や留意事項をまとめた手引の作成などに取り組んでいるところでございます。

 今後とも、各地方公共団体が、中長期的な計画のもと、それぞれの実情に応じまして、建てかえや長寿命化改修、大規模改修等の老朽化対策を適切に進めることができるよう、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

小山委員 昭和四十五年以前の、あるいは昭和三十九年以前の建物で、まだこういった抜本的対策が行われていないものもありますので、ぜひ早急にこういったものは進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

梶山委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 きょうは、まず冒頭、皆さんにちょっと御説明をしてから質問したいと思いますが、先ほどの小山委員の質問ではありませんけれども、学校の耐震化です。

 私は、さきの予算委員会でもこれを取り上げて、文科大臣に質問をしたところでありますけれども、お配りをしている資料のように、耐震化だけをとってみても、今、平成三十三年度までかかるという見込みを出されています。耐震化が十分でない、いわゆるIs値が〇・三未満の施設で過ごしている全児童生徒数は三万九千人を超える、こういう状況であって、これは急がれると。

 正直申し上げて、進んでいるところと進んでいないところに差があるということは聞いてはおりますが、自治体によって差がある。もしくは、Is値の最も低いところは〇・〇一、これはどのぐらいの強さかと予算委員会で質問したら、積み木を積んだものに近い、いわゆる摩擦で建っているだけのような建物の体育館だとか給食の施設などがあるということ自体、しかも、大きな南海トラフ地震が想定をされているような高知県にも、こうした施設がある。幸いにして、私の選挙区においての耐震化は、今年度で最後の一校が終わるわけでありますけれども、さりとて、こういうものが残っていくということに対して大変懸念を持っているわけであります。

 この改善をするために、これまで、首長に手紙を出してみたり、一義的には市町村が取り組むべきことであるからということで、文科省としては、こうした状況に対して、これからも引き続き地元の首長さんに働きかける、こういうような話をされているんです。

 大臣、ここでちょっとお伺いしたいんです。

 これを見て、やはりこれは、こんな数字の学校で四万人近い子供さんが過ごされているという現実を見たら、文科省が言っている、今までも首長にずっと働きかけてきたんですよ、でも、これは進まなかったところがある。

 いろいろ課題はあるかもしれないけれども、私は一つ提案したんです。例えば、教育委員会を通じて保護者の皆さんにお知らせしたらどうですかと。皆さんの子供さんの通われている学校の耐震化は今こういう状況にあって、引き続きやりたいと思っているということではあるけれども、まだこういう状況にありますよとお伝えをすると、保護者の方は知らない事実もあるんじゃないか。

 だから、一工夫して、もちろん、教育委員会がかまないという方法があればまた別でしょうけれども、保護者にお伝えをする。これまでのように、ホームページに載っているから勝手に見てくださいという話ではなくて、やはりこういう状況について保護者の皆さんにもお知りをいただいておく必要がある。

 結果として知らなかったという話にならないようにするために、こういう取り組みについて、大臣、ぜひリーダーシップを発揮して、政府内で検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 子供たちの命を守る、また、被害の最小化、防災の主流化という視点から、さまざまな施策を進めていくということは大事だというふうに思います。

 教育委員会を通じて保護者にということにおいては文科省の所管だというふうには思いますけれども、防災の主流化、被害の最小化という意味では、防災担当大臣としては、関係省庁と連携しながら、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひ、保護者の皆さんにお伝えをする方法を含めて検討していただけると御答弁いただけませんか。

山谷国務大臣 文科省と連携しながら、さまざま考えてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 きょうは文科省の方にもお越しいただいていますが、そういった趣旨でありますので、ぜひ鋭意工夫をしていただきたい。決意をお伺いしたいと思います。

関政府参考人 保護者に対して情報提供すべきというお尋ねでございます。

 公立小中学校の施設につきましては、地震防災対策特別措置法によりまして、学校を設置している地方公共団体が耐震診断を行い、建物ごとに耐震診断結果を公表しなければならないことが義務づけられておりまして、保護者を含む地域住民に対して説明責任を果たすことが求められております。

 文部科学省といたしましては、公立小中学校施設の耐震化につきまして、毎年四月一日現在の市町村別の耐震化率や耐震性のない建物の棟数などをホームページ上で公表しておりますが、今後、Is値〇・三未満の学校の建物を保有する自治体名を棟数とともにリスト化して公表するなど、国としての情報提供方法を工夫いたしますとともに、地方公共団体に対しまして、保護者を含む地域住民に対する説明を尽くし、必要な取り組みを行うよう、通知を行うことなどにより促してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 きょうは国交の政務官にもお越しいただいていますけれども、これはほかの公共施設も同じだと思っているんです。

 きのう、レクをする中で、かなり整理が必要な状況にあると思いました。さまざまな役所がそれぞれに一般会計、特別会計で建物を建てているということで、一義的にそれを把握する状況に今なっていません。整理をしてくれという話をしました。

 きょうはその整理の結果を聞くわけではありませんが、この公共施設の耐震化の状況についてきちっと整理をして、その状況を、また次の質問に向けて、私は情報提供いただきたいと思いますが、その整理をしていっていただけるということ、御確認を求めたいと思います。

うえの大臣政務官 非常に大事な御指摘だと思いますので、関係省庁とよく相談をしてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 そういう意味で、各公共施設、とりわけ学校の耐震化のあり方をもう一度整理していただきたいと思います。

 続いて、平成二十二年四月に中央防災会議が策定をしました大規模水害に対するいわゆる被害想定、それから、さまざまな対策の課題等についてまとめられたペーパーがありました。私の記憶では、当時、利根川水系でこれをまとめられたんですが、それ以外の近畿それから中京圏でも同様の検討をするやに聞いておりましたけれども、現実的にそれが、現在のところ、まとめられていません。

 ここでお伺いしたいのは、こうした他の河川に対して同様の検討がなぜなされなかったのか、その理由を問いたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 大規模水害対策に関する専門調査会は、大規模水害が発生した際に行うべき対策の事前の備えを検討するために、平成十八年に設置され、平成二十二年に報告を取りまとめました。

 その専門調査会におきましては、委員御指摘のとおり、利根川、荒川の洪水、東京湾高潮災害をケーススタディーとして被害想定を行いまして、これをもとに、全国の大規模水害発生時の各機関の応急体制のあり方などを検討してまいったところでございます。

 現在は、これをさらに発展させまして、いわゆるタイムラインの考え方に立って、広域避難のための各機関が具体的にどのような対応をとるかという検討を行っております。この検討の考え方そのものは、他の地域においても適用できる考え方だというふうに考えておりますが、こうした考えを進める中で、例えば中部圏などを対象とした検討についても、今後、関係省庁と連携して進めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 いや、そもそもシミュレーションがなかったらタイムラインも何もないわけですから、シミュレーションをまずつくらなきゃいけない。

 なぜつくっていないのか、そして、つくる予定がないのはなぜなのかという理由を聞いています。

日原政府参考人 お答えいたします。

 手順の問題だと思います。被害想定をもとにして、具体的な対応をどうとっていくのかという一連の流れを検討して、それを横に展開したいというふうに考えておるということでございます。

岡本(充)委員 結局、どれだけの人が避難が必要になるのか、それから、ある意味どれだけのライフラインが途絶えるのか、それはやはり首都圏と愛知県やまた大阪府とは違うわけですから、それがなければ対策はとれないわけですよ。したがって、人数も違う、面積も違うのに、首都圏でシミュレーションを立てたから、それをもとに愛知県も大阪府もそれを援用するんだというのは、ちょっと乱暴な議論じゃありませんか。

 なぜやらなかったのか。もう五年たとうとする中で、これがずっと行われなかった理由は、今の答弁ではなっていないと思いますよ。私は、だからこれを取り上げて、指摘をしているわけです。

 今回、水防法の改正で、たまたま、国土交通省が浸水想定区域を新たに策定することを法律事項に盛り込んだ法改正をする、こう聞いています。しかし、今お話をしましたように、そもそもの浸水想定区域以外にも、避難を必要とする方がどれだけいるのか、それから、ライフライン、ガスや水道、下水道がどうなるのか、こうしたことについて含めて検討した、あの中央防災会議のような検討、これをしていく必要があると思います。

 国交省に見解を尋ねたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会で、先ほど御指摘がございました水防法の改正案を提案させていただいておりまして、最大クラスの降雨等を対象とした洪水、内水、高潮に関する浸水区域を公表することとしております。

 中部圏などにおきましても、今後新たに公表されます高潮や洪水等の浸水想定を踏まえまして、死者数、孤立者数、あるいはライフラインへの影響等についての被害想定を行うことにつきまして、自治体や関係機関等と連携して検討を行っていく予定とさせていただいております。

岡本(充)委員 では、確認ですけれども、平成二十二年四月に中央防災会議で取りまとめられました被害想定のさまざまなシミュレーションを含む、そうしたシミュレーションが出てくる、こういう理解でよろしいでしょうか。

池内政府参考人 繰り返しになりますが、まず、浸水想定をいたします。それを踏まえまして、内閣府で実施されました、いわゆる死者数とか孤立者数とか、あるいはライフライン等への被害想定、そういったものをしていくことを検討したいと思っております。

岡本(充)委員 それ以外にも、避難を必要とする人の数なども入っているんです。したがって、あそこに入っている項目は全部網羅する、こう答弁いただけるのであれば答弁いただきたいし、あそこに入っているもので含まれないものがあるのであれば、ここではっきり言っていただきたい。

池内政府参考人 各地域の土地利用の状況ですとか市街地の状況、あるいは地下空間の利用状況が異なりますので、全く同じかどうかはまだわかりませんが、少なくとも、内閣府で実施されました被害想定、ああいったものに基づいて被害想定を検討していきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 きのうのレクに来た方は、それを含むものをつくると私に言われましたが、局長は、それを含むものをつくらない可能性があるということを残したという理解ですか。

 それができないんだったら、それは内閣府でもう一回やり直すべきだし、それを含んでやるんだから、内閣府は、きのうレクに来た職員の方は、今回、水防法の改正のこうしたシミュレーションを見ながら、我々として対策をとると言っています。つまり、水防法の改正で出てくるシミュレーションが不十分であれば、みずからやると言っていることに等しい話になるわけですが、そういう理解につながるので、ここははっきりしてもらいたいんです。

 きちっとあの内容を包含するものをつくる、そのように理解してよろしいですか。

池内政府参考人 基本的に、各項目について包含する形で検討していきたいと思っております。

岡本(充)委員 その上で、もう少し先に進めて聞きたいと思います。

 あのシミュレーションでは、千年に一度の降雨を想定していました。今回、千年に一度より多い降雨を想定するやにも聞いておりますが、降雨の量だけではなく、そうした降雨があるときには、低気圧が来ていて高潮の可能性がある。満潮、大潮のときかもしれない。そういう意味では、港湾部における水のリスクというのが高まる複合的要因があるわけであります。

 今回のシミュレーションにおいて、もしくはそのシミュレーション以外の場でも結構なんですが、こうした複合的な要因、それも、想定されるかなり悪いシチュエーションにおいてどうなるのかということ、これについて、特に、浸水想定もそうですけれども、先ほど言いました被害の内容、下水や雨水なども含めて検討していただける、それを示して公表していただける、こう理解してよろしいでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、水防法の改正案におきましては、洪水、内水、高潮、それぞれの現象ごとに浸水想定区域を公表することとしておりますが、例えば、洪水時におきましては、台風の接近によりまして、今御指摘のように、そういう台風による雨と、それから、いわゆる河口部の潮位が上昇している場合が考えられます。このため、最大クラスの洪水の浸水想定区域の決定に当たっては、河口部の潮位も適切に設定する必要がございます。

 このような条件につきましては、複数の現象が同時に発生する可能性を考慮しつつ、浸水に関して厳しい条件を設定することが基本だというふうに考えております。また、今御指摘の被害想定につきましても、この可能性を考慮しつつ、厳しい条件を考えて設定することが重要だと考えております。

 具体的な設定方法につきましては、今後、有識者の御意見も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 もう一度確認させてください。

 複合的要因で、高潮、大きな低気圧、そして満潮、大潮のとき、こういうときの最大降雨、千年に一度、もしくは二千年に一度という降雨のときの港湾の状況、河川の状況について、検討したシミュレーションを市町村に示す、こういうことでよろしいですか。端的に答えてください。

梶山委員長 国土交通省池内水管理・国土保全局長、簡潔に答弁願います。

池内政府参考人 まず、例えば最大クラスの洪水が来ます。そのときの下流の潮位の条件は、可能性を考慮しつつ、いわゆる満潮とか、あるいは、台風がやってまいりますと当然潮位が上がりますので、そういった厳しい状況を河口部の条件に入れて、設定していくことになると考えております。

岡本(充)委員 あわせて、もう一つ重要なのが堤防の強度です。確かに、コンクリートとしての強度というものもありますが、もう一つ堤防の強度として重要なのが、やはりいわゆる液状化現象に伴う堤防の損壊だと思っています。

 そういった意味で、現状、木曽川の堤防もしくは庄内川の堤防で、こうした液状化のリスクがある、もしくは破堤のリスクがある場所はありますでしょうか。想定しているところでお答えいただきたいと思います。

池内政府参考人 例えば木曽川におきましては、地震の揺れによって、液状化等によって堤防が沈下して、その後に津波がやってくる、そういった場合に、危険性のある地域がございます。

岡本(充)委員 具体的に、どこの堤防が今その状況にあるかということはお示しいただけますか。庄内川はいかがですか。

池内政府参考人 実は、庄内川につきましては、四キロほど、従来、そういった堤防の液状化等によって沈下して、対策の必要な区間がございましたが、その四キロ区間につきましては、これまで対策を完了しております。

 それから、木曽川等におきましては、対策の必要な区間がございますが、これは、現在鋭意整備中でございます。

岡本(充)委員 何キロ対策が必要で、何キロ対策が終わっているか、お答えいただけませんか。

池内政府参考人 木曽川におきましては、対策の必要な区間は約十四キロメートルございますが、約二割が対策済みでございます。

岡本(充)委員 やはり、これだけ大きな地震が来る可能性があると言われていて、結局のところ、まだできていないところが十キロ以上ある、こういう説明ですよね。

 これはいつになったら終わるんですか。多くの皆さんは、やはりそこは命と財産を守らなきゃいけないんですから、この液状化に伴って沈降することにより堤防の破堤を来す可能性のある堤防、具体的にいつまでに対策を終えるのか、御答弁いただきたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震化というのは、地盤改良等、非常にお金がかかるものですから、一方で、昨今、非常に事業費も厳しくなっておりますので、今直ちに何年ということは申し上げられませんが、できるだけ早急に進むよう、予算についても考えてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 学校の耐震化は平成三十三年度の終わりまで、こういうことを文科省は答弁で答えてもらっています。同じように、これについてもきちっといつまでにやるということを示すべきじゃないですか、かなり多くの方の命がかかっているテーマでありますから。

 私は、事前にこれは通告しているはずですから、いつまでにこれをやるのか、この目標を示すということについて、ぜひお願いをしたいと思うんですが、もう一度だけ答弁を求めたいと思います。

池内政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、本当に大変なお金がかかりますので、現時点でいつまでにということを申し上げることは難しゅうございますが、できるだけ前倒しして実施してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 きょうは時間の関係もありますから、その詳細の報告を求めたいと思いますので、お願いします。よろしいですか。はい、うなずいていただきました。

 そうしましたら、次の質問に移ります。

 次は、東日本大震災でも大変大きな課題となりました液状化についてお伺いをしたいと思います。住宅です。

 この住宅の液状化、さまざま事前に液状化をある意味防ぐ、そうした事業が行われているようです。私のお配りした裏面の宅地耐震化推進事業、平成二十五年から平成二十六年度、この二年度実施をされています。

 いわゆる液状化のリスクのある地域のマップをつくることもこの補助だと聞いています。こうしたマップをつくる補助事業から、実際に、それぞれの家屋、道路を含めて公共施設と一体化したいわゆる液状化防止のための事業の実施事例、マップをつくった事例と事業の実施事例、この二年間でどれだけありますか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 宅地の液状化対策事業につきましては、御指摘のように、大規模な地震が発生した際の液状化の被害が生じる可能性のある地域におきまして、一つは、マップ等の作成、調査等のそういった部分と、それからもう一つ、対策工事の部分がございます。

 現在の実績でございますけれども、まだ二十五年から始まったところでということでございますけれども、現在のところは、マップにつきましては、実施している例が滋賀県等でございます。工事につきまして、対策工事まで至っているのは、まだ現在のところはございません。

岡本(充)委員 正確にしてください。滋賀県等じゃないですね。正確に答えてください。

清水政府参考人 実際にやっておりますのは、滋賀県でやっております。

岡本(充)委員 一カ所しかやっていないんですよね。これは、全国で液状化するところがたくさんあると言われているのに、なぜこうしたマップをつくる事業が推進されないと考えているのか、その原因について分析結果を教えてください。

清水政府参考人 既成市街地におきます宅地の液状化対策につきましては、これまで取り組み事例がほとんどございませんで、技術的な知見が十分蓄積されておりません。

 このため、東日本大震災におきまして液状化被害がたくさん発生いたしましたその実態を踏まえまして、被害発生の可能性を判定するための技術指針をつくるとか、あるいは具体の対策方法を示す市街地液状化対策推進のガイドラインの策定等にまず取り組んできたところでございます。

 具体の液状化対策事業の取り組みに当たりましては、これらを活用してまず調査等をしていただき、そうした上でマップ等を作成していただいて、住民の理解を得て液状化対策等を進めていく、そういうことになるかと考えております。

岡本(充)委員 これを事業化して二年、滋賀県の大津市でただ一カ所やっただけで、あと全国やっていない。これはやはり、この事業のたてつけが悪いか、補助金の金額が悪いか、どちらかだと私は考えるんです。

 これは見直さないといけないんじゃないんですか。いまだにマップをつくるという申請すら上がってきていないんでしょう、滋賀県の大津市以外で。であれば、二年やって誰も手を挙げない事業、これをやはりこのまま、二十七年度もそのままの要件でやるというのは私はおかしいと思います。そういう意味で、見直すお考えはありますか。

清水政府参考人 先ほども申しましたように、液状化に対しましてはまだ十分な知見等が集まってきておりませんでした。

 そういったこともございまして、技術指針等をつくって、どういった地域で液状化の危険性があるか、そういったこともようやくわかってきたところでございますので、こういったことが、自治体を通じまして、宅地をお持ちの方、そういった方に浸透していくことによりまして取り組みがふえてくると考えておりますので、我々といたしましては、こういったことのPR、そういったことに努めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 ようやっと今液状化の知見が集まったというのは、それは違うでしょう。もう昔から液状化するところはわかっていたし、東日本大震災で現に液状化したところはどういうところかという分析も行った。あれからもう時間がたっていて、今ようやっとわかったことですなんということを国会で言うのは、やはりそれは誠実じゃないですよ。

 やはり、これまでやってきた事業に問題があったんです。したがって、それを見直していく必要性があると私は考えるところですが、これを聞いて、政務官、どうですか。

うえの大臣政務官 液状化対策につきまして、大変貴重な御指摘を頂戴していると思います。

 先ほどの耐震化もそうなんですが、私どもとしては、やはり住民の皆さんに周知を徹底していくということが非常に大事だと思っておりまして、そういった意味から申し上げましても、地方公共団体において、まずは液状化の可能性を調査検討し、その結果を反映した液状化マップを作成して公表していただくということは非常に大切なことだと思います。

 一方で、御指摘があったように、東日本大震災の被災地におきましては、これは具体の液状化対策の事業が進められているところでございますので、こうした事業の推進の結果、取り組みの状況等々を踏まえながら、また、これまで得られた技術的知見も大いに活用しながら、当面は、制度の周知や情報提供に努め、全国の地方公共団体における取り組みを促進してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 政務官、もう一回ちょっと確認なんですけれども、それは、今まで使われていない、マップをつくってもいない、だから周知をするというのは、もちろんそうでしょう。その周知をするということはお答えいただきました。

 ただ、では、実際に液状化対策を事業としてやろうとしたときに、かなり要件が複雑ですね、レクで聞かれていると思いますけれども。こうした複雑な要件だと、市町村、自治体もなかなか手が挙げづらい、そういった面があるのではないか。

 私は、だから、予算の問題、それから要件の問題、二つあるんじゃないかと私なりに分析をする中で、その要件の問題についても見直す必要があるんじゃないか。もう少し皆さんが手を挙げられる制度にしなければ、これは二十七年度もゼロですよ。

 したがって、手を挙げられる、そういう意味では、政務官のお地元滋賀県が一カ所手を挙げているという話ではありますが、さりとて、では、そこが液状化対策のお金を要望すると思いますか。これは制度が複雑だからですよ。政務官の地元もかかっている話ですから、この制度の要件を見直す、そうここで御答弁いただけませんか。

うえの大臣政務官 繰り返しになりますが、まずは地方公共団体の皆さんに周知徹底をしていくということが非常に大事だと思いますし、そうした中において、どんな制度でもそうですが、やはり不断の見直しというのは我々も当然やっていくべきだと思いますので、いろいろな御意見を頂戴しながら検討は進めてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひ皆さんが使える制度に切りかえていただきたいと思います。

 その上で、きょうは内閣府の方にも同じ話を聞こうと思っています。

 いざ液状化して傾いたおうちをもとに戻していくというときに、今現在国で出るお金は幾らで、そして、東日本大震災の事例では、実際に全壊した場合、幾らの金額が出るというふうに内閣府では把握をしていますか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 被災者生活再建支援制度という制度がございます。これは、基本的には住家の被害を対象として支援を行っている制度でございますけれども、地盤の被害に伴いまして住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した場合には、全壊と同様の支援を受けるという形になってございます。

 地盤の影響、液状化の被害につきまして、平成二十三年の五月二日付で被害認定方法というのを定めまして、住宅の不同沈下、要するに、沈下をして傾きがずれているということで、そのために住家が傾いた場合、一定の傾き以上の場合とか、あるいは、住家が重みで潜ってしまったような場合に、その潜り込みの高さによって、一定のケースを超えたものについて、それによって全壊した場合には、被災者生活再建支援金の対象となるようにしております。その場合には、最大で三百万円の支援金が出るということになっています。

 そのほか、公共団体の独自の措置といたしまして、例えば、千葉県浦安市の液状化被害につきましては、被災者生活再建支援金に加えまして、千葉県及び浦安市によります上乗せ措置が講じられています。この場合、お聞きしている範囲では、百万円の上乗せが行われているということで、国の仕組みとあわせまして四百万円になるというふうに考えております。

 そのほか、税や保険料、保育料の減免等、あるいは融資に関します利子補給等の措置が講じられているというふうに承知しております。

岡本(充)委員 内閣府として、これも通告していますけれども、実際に、浦安の事例で、どのくらいの液状化で傾き、全壊をしたと認定された家、家を片づけ、もう一度家をつくったり、もしくは傾いた家をもとに戻したり、こうした事業でそれぞれどのくらいお金がかかっているというふうに調査をし、把握をしていますか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 浦安市の事例でございます。平均いたしまして、一世帯当たりの事業費が六百六十万円。公的支援が、復興庁の交付金、交付税を含めまして三百三十万円、それから浦安市の追加支援が百万円、したがいまして、残りの被災者自己負担が二百三十万円というふうに伺っております。

岡本(充)委員 それは、家を引き上げたときですか、倒壊をしたときですか。ちゃんと分けて説明をしていただくようにお願いしています。

日原政府参考人 お答えいたします。

 これにつきましては、地盤の被害に対する額というふうに伺っているところでございます。

岡本(充)委員 地盤をもとに戻すだけであって、家屋の部分は含まれていないんですよね。ちゃんとそこのところをきちっと説明した上で答弁していただきたい。

日原政府参考人 委員御指摘のとおり、地盤のみの金額でございます。

岡本(充)委員 つまり、上物の部分の話は含まずに、地盤の部分だけでこれだけ、二百三十万円のお金がかかるという事業ですから、だから、翻ってみて、先に対策をとることが重要だと。

 これは、先に対策をとった場合に自己負担は幾らになるというふうに国交省は考えていますか。見積もりは幾らですか。

清水政府参考人 液状化がどれぐらい発生するか、それに対してどれぐらいの対策が必要かというのが、それぞれの地盤の状況によって異なっております。また、その広がりがどれぐらいあるか、一戸でやるのかたくさんの範囲でやるか、あるいは公共施設にどのような対策を行うか、それによってもそれぞれ違うかと考えておりますので、それぞれの地盤の状況等を調査した上でないと、一概にどれだけのお金がかかるかというのはちょっとわからないということでございます。

岡本(充)委員 きのうのレクの中では、それぞれの見積もりを、大体こういうような見積もりだというようなことをお話しされていたと思いますが、ここでお話をしていただけないのであれば、先ほどの事業の費用で、予算の推計をする中で、それぞれ大体幾らかかるのか。

 六十坪、二百平米ぐらいで大体このぐらいの金額だということをきのうお話しされていましたよ。そのお話を踏まえると、私は六百万だと聞きました。いろいろ御支援が入ってきて、個人の自己負担、それぞれ軽減をされる中ですが、先ほどお話をした上物をかえることまで含めて考えれば、相当安くなることが想像されるわけです、先にやることで。

 だからこそ、早目に対策をとることが、最終的に個人の負担も減るし、国の負担も減るという意味で、まずその先の事業を展開していくことの必要性を私はここでお訴えしたい、こう思っています。

 もう一度、最後に、こうしたいわゆる総合的な地盤対策をあらかじめとっていくことの必要性について、それぞれ、大臣と政務官からその御決意をいただいて、質問を終わりたいと思います。

山谷国務大臣 液状化被害の支援について、被災者生活再建支援金を支給するべきではないかということは、答えは統括官の方から、政府参考人の方からございました。また、浦安市の例もございます。

 内閣府としても、引き続き、被災地方公共団体、各府省など関係機関と連携しながら、しっかりと対応していきたいと思います。

うえの大臣政務官 液状化対策等々につきましては、これからも精力的に取り組ませていただきたいと思います。

岡本(充)委員 終わります。

     ――――◇―――――

梶山委員長 この際、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において起草案を作成いたしました。

 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、昭和五十五年五月に災害対策特別委員会提出による五年間の時限立法として制定されたものであり、これまで、五年ごとにその有効期限を延長してまいりました。

 この間、発生の切迫性及び被害の甚大性が懸念される東海地震に備え、本法律に基づき、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業が三十五年にわたり鋭意実施されてきたところでありますが、本法律は、本年三月三十一日をもってその効力を失うこととなっております。

 しかしながら、地震対策緊急整備事業には、現行計画で執行できなかった事業がある上、現行計画には盛り込めなかったものの地震防災対策の推進上緊急に整備すべき事業も少なからず存在しております。

 本起草案は、このような状況に鑑み、本法律の有効期限をさらに延長し、当該事業を引き続き実施することにより、地震防災対策強化地域における地震防災対策の充実強化を図るために提案したものであります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明いたします。

 第一に、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限を五年延長し、平成三十二年三月三十一日までとすることとしております。

 第二に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。山谷防災担当大臣。

山谷国務大臣 本法律案の提出に際しての議員各位の御努力と御熱意に対し深く敬意を表します。

 政府としては、本法律案については特に異存はありません。

 御可決いただきました暁には、その御趣旨を踏まえて、適切な運用に努め、地震対策緊急整備事業が速やかに達成されるよう、関係省庁と密接な連携をとりつつ、事業の一層の推進を図ってまいります。

梶山委員長 お諮りいたします。

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十三分散会


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