衆議院

メインへスキップ



第7号 平成27年12月3日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十七年十二月三日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 大見  正君 理事 工藤 彰三君

   理事 櫻田 義孝君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 務台 俊介君 理事 小宮山泰子君

   理事 升田世喜男君 理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    赤澤 亮正君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      石原 宏高君    今枝宗一郎君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      金田 勝年君    神山 佐市君

      木内  均君    今野 智博君

      坂本 哲志君    笹川 博義君

      新谷 正義君    鈴木 憲和君

      谷川 とむ君    中根 一幸君

      永岡 桂子君    原田 憲治君

      古川  康君    松本 洋平君

      泉  健太君    岡本 充功君

      神山 洋介君    小山 展弘君

      福島 伸享君    福田 昭夫君

      足立 康史君    松田 直久君

      中川 康洋君    濱村  進君

      真山 祐一君    塩川 鉄也君

      堀内 照文君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       河野 太郎君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   内閣府大臣政務官     酒井 庸行君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 久喜君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     吉田 光市君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梅田 珠実君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           山北 幸泰君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長)           天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         印藤 久喜君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   衆議院調査局第三特別調査室長           佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月七日

 辞任         補欠選任

  森山  裕君     石原 宏高君

同月九日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     赤澤 亮正君

  高鳥 修一君     中根 一幸君

  冨岡  勉君     松本 洋平君

  藤丸  敏君     原田 憲治君

  松本 文明君     あかま二郎君

  三ッ林裕巳君     薗浦健太郎君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     福島 伸享君

  松田 直久君     椎木  保君

  濱村  進君     真山 祐一君

  堀内 照文君     梅村さえこ君

同月二十一日

 辞任         補欠選任

  河野 正美君     升田世喜男君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  福島 伸享君     小山 展弘君

  足立 康史君     篠原  豪君

  椎木  保君     松田 直久君

  真山 祐一君     濱村  進君

  梅村さえこ君     堀内 照文君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  豪君     足立 康史君

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     丹羽 秀樹君

十二月三日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     永岡 桂子君

  加藤 鮎子君     古川  康君

  原田 憲治君     井野 俊郎君

  泉  健太君     福島 伸享君

  伴野  豊君     福田 昭夫君

  中川 康洋君     真山 祐一君

  大平 喜信君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     原田 憲治君

  永岡 桂子君     石原 宏高君

  古川  康君     加藤 鮎子君

  福島 伸享君     泉  健太君

  福田 昭夫君     伴野  豊君

  真山 祐一君     中川 康洋君

  塩川 鉄也君     大平 喜信君

同日

 理事高鳥修一君十月九日委員辞任につき、その補欠として丹羽秀樹君が理事に当選した。

同日

 理事足立康史君十月二十二日委員辞任につき、その補欠として升田世喜男君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

九月二十五日

 一、災害対策に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成二十七年九月関東・東北豪雨による被害状況等)

 派遣委員からの報告聴取


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      丹羽 秀樹君 及び 升田世喜男君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

梶山委員長 この際、河野防災担当大臣、松本内閣府副大臣及び酒井内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。河野防災担当大臣。

河野国務大臣 防災担当大臣の河野太郎でございます。

 東日本大震災や本年九月の関東・東北豪雨を初め、土砂災害、火山噴火等の一連の災害によりお亡くなりになりました方々と御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、全ての被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 各種の災害が発生しやすい特性を有している我が国において、防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であるとの認識に立ち、一連の災害からの迅速かつ円滑な復旧復興と、これらの災害を教訓とした災害対策の一層の充実のため、大きな使命感と責任感を持って全力を尽くしてまいる所存でございます。

 梶山委員長を初め、理事、委員各位の格別の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

梶山委員長 次に、松本内閣府副大臣。

松本副大臣 今回、副大臣を拝命いたしました松本文明と申します。

 被災者の皆様方の御無念にしっかりと心を寄せて、委員長、理事の先生方、各委員の先生方の御指導をいただきながら、職責をしっかり果たしてまいりたいと考えております。

 特段の御高配を賜りますようにお願いを申し上げ、挨拶といたします。(拍手)

梶山委員長 次に、酒井内閣府大臣政務官。

酒井大臣政務官 今般、防災担当の政務官を仰せつかりました酒井庸行でございます。

 東日本大震災や本年九月の関東・東北豪雨を初め、土砂災害、火山噴火等の一連の災害によりお亡くなりになられました方々と御遺族に対しまして、私からも深く哀悼の意を表しますとともに、全ての被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 防災担当の大臣政務官として、河野大臣、そして松本副大臣を補佐し、災害対策に全力を尽くしてまいります。

 梶山委員長を初め、理事、委員各位の御指導、御鞭撻を何とぞ賜りますようよろしくお願い申し上げ、御挨拶といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

梶山委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る十月二十二日、平成二十七年九月関東・東北豪雨による被害状況等調査のため、茨城県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党の櫻田義孝君、笹川博義君、新谷正義君、民主党・無所属クラブの小宮山泰子君、福島伸享君、維新の党の椎木保君、公明党の真山祐一君、日本共産党の梅村さえこ君、大平喜信君、そして私、梶山弘志の十名であります。

 また、自由民主党の永岡桂子君が現地参加されました。

 今般の平成二十七年九月関東・東北豪雨により、八名の方がお亡くなりになり、また、各地で住家の被害、農業、商工業への被害が発生いたしました。特に、委員派遣を行いました茨城県においては、九月九日から十日にかけて、鬼怒川沿いに上流まで多数の線状降水帯が発生し、降水の集中が引き起こされた結果、鬼怒川の水位が大幅に上昇し、七カ所で溢水が発生するとともに、常総市三坂町地先において堤防が約二百メートルにわたり決壊し、氾濫流により多くの家屋が倒壊、流失いたしました。常総市の浸水被害は約四十平方キロメートルにも及び、多数の孤立者が発生、また、常総市役所も浸水被害を受けました。

 ここに改めて、今般の豪雨により、とうとい生命を失われた方の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告いたします。

 まず、常総市役所におきまして、楠田茨城県副知事及び高杉常総市長から、被災者の生活再建支援、被災した農業者や中小企業に対する支援、公共土木施設等の災害復旧、洗掘された宅地部の復旧支援、関東鉄道常総線に対する財政支援、災害廃棄物の処理、保健衛生対策、激甚災害の指定、災害復旧に係る地方財政措置、社会資本整備財源の十分かつ安定的な確保について要望を受けた後、被害状況、災害への対応状況等の説明を聴取し、意見交換を行いました。

 この会議には、常総市からは、高杉市長のほか、副市長、教育長等市の幹部の方々、市議会の議長、副議長及び関係する委員会の委員長が、また、茨城県からは、楠田副知事のほか、関係部署の担当者に加え、常総市選出の県会議員お二人も出席され、鬼怒川の復旧の見通し、無堤地帯への対応、被災者生活再建支援制度の半壊世帯に対する適用等制度拡充の必要性、収穫後の穀物への補償、被災商業者への補助の必要性、災害時における指揮命令系統のあり方、外国人への対応、災害対策本部とボランティアとの連携のあり方等さまざまな論点について意見が交わされました。

 次に、常総市内の被災箇所を視察いたしました。

 まず、若宮戸地先の鬼怒川の溢水箇所で、国土交通省関東地方整備局下館河川事務所の伊藤事務所長より溢水に至った状況の説明を聴取し、現地を視察しました。同箇所は、太陽光発電施設を設置するために民有地内で自然堤防となっていた地盤を掘削したことが溢水の原因になったのではないかと問題視されていた箇所でありますが、先般の豪雨の際の鬼怒川の水位は、掘削前の自然堤防の高さをも超えていたとの国土交通省の調査結果が出ております。現在は、大型土のうを積むことにより応急復旧されておりました。

 次いで、三坂町地先の堤防決壊箇所で、伊藤事務所長より決壊に至った経緯や被害状況について説明を聴取し、現地を視察しました。

 堤防の応急復旧は九月二十四日に完了しておりますが、氾濫流に襲われた決壊箇所周辺では、瓦れきの撤去作業が続けられており、傾いた家屋も残されているなど、被災の爪跡はいまだ深く残されておりました。今般の決壊の原因は既に特定されたとのことであり、今後はそれを踏まえた本格復旧が行われることになります。

 最後に、決壊箇所周辺の被災農地にて、常総市の小室産業労働部長から農業被害についての説明を聴取し、被災状況を視察しました。

 常総市では、農地の四割超となる約二千六百ヘクタールが浸水し、用排水施設も深刻な被害を受けております。また、決壊現場にほど近い農地は、土砂のほか舗装材、家屋や樹木、自動車なども流されてきており、整地作業に先立ち、瓦れきの撤去を行う必要があります。氾濫流から外れた農地にも浸水により砂が六十センチほど堆積しており、来年の作付に間に合うよう、復旧が急がれております。

 以上が調査の概要でありますが、今般の豪雨による茨城県の被害は甚大であり、早急な対策の実施が必要であると強く認識いたしました。当委員会としても、大規模な氾濫における警戒や警報、避難のあり方の検討、被災者支援などの取り組みを積極的に推進、強化する必要があると痛感した次第であります。

 最後になりましたが、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官加藤久喜君、復興庁統括官吉田光市君、厚生労働省大臣官房審議官梅田珠実君、農林水産省大臣官房参事官山北幸泰君、農林水産省生産局農産部長天羽隆君、農林水産省農村振興局整備部長印藤久喜君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、国土交通省大臣官房審議官水嶋智君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君、環境省大臣官房審議官早水輝好君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永岡桂子君。

永岡委員 自由民主党の永岡桂子でございます。

 今回、平成二十七年九月関東・東北豪雨におきまして最も大きな被害を受けました茨城県常総市を地元としております。本日は質問の機会をいただきましたことを大変ありがたく思っております。

 まずは、今般の水害におきまして亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、また、被災をされた全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 十月一日には、今回の被災を受けまして、天皇皇后両陛下に常総市にお見えいただきました。被災者の方々、本当につらい、苦しい日々を過ごしておりましたけれども、お二方の温かいお言葉をいただきまして、本当に、頑張らなければいけない、そういう力が湧いてきたところでございました。

 また、今回の災害に当たりましては、これまでたくさんの皆様方に御尽力をいただきました。

 安倍総理を初め、各大臣、政府関係者の方々、また、この委員会の委員の皆様方にも現地を視察していただきまして、さまざまな政策を打ち出していただきましたことを心より御礼申し上げます。

 また、被災者の救助に懸命に取り組んでいただきました自衛隊、海上保安庁、そして警察、消防の方々、昼夜を問わずに職務に励んでくださいました各関係省庁、また自治体の職員の皆さん、さらに全国から集まってくださったボランティアの方々にも心から御礼を申し上げます。

 さて、まず河野大臣に御質問をさせていただきます。

 大臣におかれましては、就任早々に被災地を御視察いただきました。今回の豪雨災害を初めといたしまして、近年はほぼ毎年のように気象庁の命名を受けるような大きな豪雨災害が生じております。さらにまた、昨年二月には豪雪によります被害、昨年の九月には御嶽山の噴火による被害もございました。いろいろな災害が短期間のうちに起こるようになりまして、一つ一つの災害も激しいものになっているのではないか、そういうふうに感じております。

 こうした災害の多様化、激甚化というものについての御認識と、政府としてどのような取り組みをされているか、お聞かせいただければと思います。

河野国務大臣 近年、台風も大分強くなりましたし、数が多くなりました。常総市の水害を引き起こしたような大雨も大変ふえております。噴火や地震というのは、これはなかなか何が原因かよくわかりませんが、雨や雪、あるいは強風といった災害の多様化、あるいは先生おっしゃるような激甚化、かなりの部分、地球温暖化に端を発する気候変動の影響というのが、これは相当あるんだろうというふうに思っております。

 本来は、この気候変動を、起こる前に未然で食いとめるというのが大事なことでありますし、今フランスではCOP21が開かれておりますが、一つは気候変動を未然で食いとめる、もう一つは、気候変動が今現に起きつつあることを踏まえて、災害の激甚化にどう対応していくのか。

 今、防災担当大臣といたしまして、各界の有識者にお集まりをいただいて、まず一つは、気候変動を踏まえて、激甚化してきた災害の状況を踏まえて、防災、減災対策、どのようなものが必要なのかという議論をこれから幅広くやっていきたいと思っております。そして、その結果を取りまとめた上で、防災、減災対策にしっかりと盛り込んでまいりたいと思っております。激甚化に耐えられるようにしっかりと対応をとってまいりたいと思います。

永岡委員 大臣、ありがとうございます。

 防災、減災対策、やはり激甚化に対応するために、ひとつしっかりと議論をしていただきまして、政策として出していただければありがたいと思っております。

 また、今回の豪雨災害におきましては、鬼怒川のほかに、中小の河川で堤防の決壊でありますとか溢水などが発生いたしました。

 常総市の三坂の決壊現場では、仮堤防ですけれども、即座に、九月の二十四日に築堤をしていただきまして、国交省の強さというものを本当に感じたところでございます。

 しかしながら、まだ無堤防のまま残っているところも、茨城県内だけでも数多くございます。常総市の若宮戸では、溢水した後、現在では土のうを積んで補強しております。付近の住民は雨が降るたびに、また被害が出るのではと実は大変心配をしております。

 ぜひここのところは、五年間の激特事業で鬼怒川の堤防を強化するということを、石井大臣、就任早々に常総市を訪れていただきまして、記者の前でそういう話をしていただきました。これはイの一番に着手をしてもらいたいと思っておりますが、こういうことも含めまして、今後の治水事業について、方針を国土交通省にお聞きいたします。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 鬼怒川につきましては、今回の堤防決壊箇所や、今お話のありました若宮戸地区を含めた鬼怒川下流域において、ハード対策とソフト対策を一体とした取り組みを、鬼怒川緊急対策プロジェクトとして今年度から実施することにいたしました。

 具体的には、国、茨城県、常総市など沿川七市町が主体となり、国の河川激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業などによる平成三十二年度完成を目指した鬼怒川下流域の整備や、茨城県による八間堀川の整備などのハード対策、それから、タイムラインの整備と訓練の実施や、関係機関参加による広域避難の仕組みづくりなどのソフト対策、これらに取り組むものでございます。

 このような国、県、沿川の市町が一体となった取り組みは、今後の他の河川での取り組みのモデルになるものと考えております。

 今後、茨城県、常総市など沿川市町とも連携しながら、沿川地域の安全、安心の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

永岡委員 力強いプロジェクトが立ち上がるようでございます。鬼怒川緊急プロジェクト、これにつきましては、ハード、ソフト面、国と県と市と一緒になって取り組むということでございますので、本当に、今、次長がおっしゃってくださいましたような、全国のモデルケースになるような、そういう取り組みにしていただきたいと思います。

 さて、次に移らせていただきます。

 今回の災害では、農業県であります茨城県の農林水産業につきましても大きな被害がありました。

 自民党では、九月の二十四日にワーキングチームをつくりまして、幾度も会合を重ねまして、十月の二十日には、党として、今回の災害に対して打ち出すべき対応として、これを政府に申し入れいたしました。

 農水省からは、十月の二十七日にさまざまな対策を打ち出していただきました。収穫後に保管をしていた米に対します、これは水没したお米でございますが、必要な財源を確保した上での助成、飼料用米に対する助成、それから被災農業者向けの経営体育成支援事業の発動など、被災農業者の方々が本当にお願いしたいと待ち望んでいた対策を打ち出していただきましたことに心から御礼を申し上げたいと思っております。

 先ほど申しましたように、茨城県は農業県、北海道に次ぎまして生産額が多い、そういう県でございます。今回の水害では、農地が水に浸りまして土砂が堆積をしたり、本当に大きな被害があったわけでございますが、何といいましても、来年の春、営農が再びできるように、また田植えができるよう、今後の農地それから農業用施設の復旧の見通しについて農林水産省にお伺いをしたいと思います。

印藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 このたびの台風十八号に伴う豪雨により、農地及び農業用施設についても大規模な被害が発生したところであり、農林水産省としても、早期の復旧に向け、東北農政局や関東農政局の技術職員の現地派遣による技術的助言や災害査定の前に復旧工事の着手が可能となる査定前着工制度の周知などによる支援を行ってきたところでございます。

 例えば、常総市においては、被災農地は百十二ヘクタールございまして、そのうち九十一ヘクタールの農地で査定前着工制度を活用して前倒しで復旧に着手し、比較的被害の軽い、残り二十一ヘクタールも着実に手続を進めているところでございます。

 また、被災したポンプ場七十四カ所のうち、市の方で早急に対応すべきと判断した三十七カ所については、全て査定前着工制度を活用して前倒しで復旧に着手しているところであり、できる限り来期の田植えに間に合うよう、復旧事業を推進しているところであります。

 農林水産省としては、引き続き、関係機関と十分調整を図りながら、農地や農業用施設の早期復旧に努めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

永岡委員 今、整備部長の方からお話がありました査定前着工、これは以前からある取り組みであったと伺っておりますが、やはり被災した場所というのは、毎年毎年被災をするわけではなく、ほとんど大きな災害というのは初めて経験するわけですので、これの周知、査定前着工ということがあるということを知らせていくことが本当にこれから重要になるのではないかと思っておりますので、来年の営農再開につきまして、どうぞこれからもしっかりと地域の方々と連携をするように、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 今回の災害によりまして、医療施設も、特に常総市でございますが、大きな被害を受けました。多くの診療所、また地域の拠点病院の役割を果たしております入院施設の整った大規模な病院も浸水の被害を受けました。

 私は、この十月まで厚生労働副大臣を務めておりまして、被災後には、塩崎大臣とともに地元の病院の視察に訪れました。この病院につきましては、建物も浸水で被害を受けておりましたが、高価な医療機器が水につかってしまいまして、被害額もかなりなものになっていた、そういう感じがいたしました。

 従来から、一定の政策医療を担っております病院などについては、被災復旧に対します厚生労働省の補助制度があります。そこでは、激甚災害に係る地震により被災した場合は事実上基準額が撤廃される、そういう規定になっております。自然災害の中で、激甚災害の指定の地震であれば基準額が撤廃される一方で、地震以外、今回のような地震を伴わない水害、これは激甚の指定を受けても補助に制限額があるというような区別がされているわけでございます。

 同じ激甚災害の指定を受けるほどの大きな災害であるにもかかわらず、地震と水害などを区別するのはおかしいのではないかと思いまして、発災からこれまで、厚生労働省に対しまして、水害と地震の区別をするなと重ねてお願いをしてまいりましたところ、前向きに検討するというようなお話をいただきました。

 また、高価な医療機器が水につかってしまいまして、被害額は大変大きなものになっております。病院においては、医療機器がないと診察がなかなか難しいということもございますので、医療機器につきましても災害復旧の補助対象にするようなことをお願いしてきたところでございますが、現在の状況はどうなっているのか、お聞きをいたします。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 本年九月の関東・東北豪雨では、多数の医療施設が床上浸水等により診療が不可能となり、入院患者を転院させるとともに、外来診療も一時中断するなど、甚大な被害が生じております。

 医療施設等災害復旧費補助金につきましては、これまでは、激甚法により指定された災害のうち地震災害に限定して補助対象の上限撤廃を行ってまいりましたが、今回の関東・東北豪雨を機に、新たに、激甚法により指定された災害による被災であれば、地震や水害等全ての自然災害を対象に補助対象の上限撤廃をするとともに、医療機器を補助対象として拡大することとしたところでございます。

 今後、必要な手続を進め、早期に交付されるよう努めてまいりたいと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 やはり、激甚災害に指定されるような災害は、地震であっても水害であっても大変被害が大きいわけですので、厚生労働省に対しましては、本当に、塩崎大臣を初めとして皆様方、改めまして、その改定に対します御尽力に心から御礼を申し上げます。

 次に移らせていただきます。

 今回の災害のケースにおきますと、鬼怒川の自然堤防のところに実はソーラーパネルが設置されておりました。この委員会でも視察をしたところではございます。

 近隣住民の方々は、今回の水害の前から、実はソーラーパネルが設置されることに不安を感じていらっしゃいました。そのソーラーパネルの設置、自然堤防を削る行為につきましては、河川法など現行の法令上による規制はなかったということでありまして、そもそも、今回のような場所におきましては、たとえ私有地であろうと、これは法令による規制が必要ではないか、そういう議論もあるわけでございます。

 これは非常に大きなテーマでございますので、質疑時間も限られておりますので、きょうは質問はいたしません。次の機会にとっておきたいと思っております。

 きょうは、ソーラーパネルの設置と、また近隣の住民との共生ということ、そういう観点から質問をしたいと思います。

 ソーラーパネルを設置するには、事業者の方は多くの場合、ソーラーパネルのすぐそばに住むわけではなくて、やはり気になることは、日射量を確保すること、そしていかに効率的に発電を行うかということを最重視するということだと思っております。長らくその土地に住んで、付近一帯の安全性ですとか景観などを大切に考える住民とは、もともと考え方に隔たりがあると思います。

 この隔たりを埋めていくためには、まず、事業者と住民に対して、これは直接対話をしてもらいまして、その場で、計画ですとかその土地固有の課題についてお互いに話をした上で、また双方が納得する計画をつくってもらうということが必要であると考えます。

 全国でソーラーパネルの設置者と地域住民の間で問題があるということも聞いてはおります。今回の常総市の若宮戸の場合ですと、工事が開始されましてから初めて、地域の方々は自然堤防のところにソーラーパネルができることを知ったわけでございます。大変不安だったと思うんですね。

 そこで、パネルの設置工事に着手をする前の段階で事業者と住民の対話を促すことなど、住民との共生を図るためにはどういった取り組みをされているのか、資源エネルギー庁にお伺いをいたします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、固定価格買い取り制度を運用する中で、認定という行為を行っているわけでございますが、今御指摘のように、太陽光パネルにつきましては、地元とのあつれき、いろいろな懸念を起こしているということも事実でございますので、本年四月から、この認定に当たりましては、周辺の関係の立地規制や条例といったようなものについて、手続をしっかりとっているかどうかというようなことをチェックするということもしておりますし、また、本年の八月からでございますが、自治体から要請があった場合には、認定した設備、事業者の情報というものを提供するようにしているところでございます。

 さらに、現在、私どもの審議会で固定価格買い取り制度の見直しということを進めておりますけれども、この中でも、地域社会との共生を図るという観点から、認定した設備あるいは事業者の情報を地域で把握できる、こういったような仕組みについても議論をしているところでございまして、今回の制度見直しの中でしっかり検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

永岡委員 時間でございますので、終わります。ありがとうございます。

梶山委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 まずは、先般の関東・東北豪雨によって亡くなられた方々に対し、心より哀悼の誠をささげるとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 また、先般は、本委員会におきまして、茨城県常総市の視察に私も差しかえで参加をさせていただきましたことに、委員長初め理事各位の皆様に心から感謝を申し上げる次第でございます。また、重ねましてこの質疑の機会をいただきましたことに、重ねて感謝を申し上げる次第でございます。

 私は比例東北ブロックの選出でございまして、当然、今回の災害におきましては、常総市が一番大きな災害でございましたけれども、私の拠点とする地域におきましても大変大きな災害があったところでございまして、そういった現場に行かせていただきました。宮城県大崎市であるとか大和町、また、福島県におきましても土砂崩れ等ございまして、伊達市の方に行かせていただきました。また、余り報道はされておりませんけれども、山形県の最上町におきましても災害があったわけでございまして、非常に広域に災害が発生しておりまして、そういった現場を通して見聞きしたことを中心に今回この質疑を行わせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 まず、第一点目に、被災者の生活再建支援についてお伺いをさせていただきます。

 あの豪雨から二カ月以上が経過をしたわけでございまして、最大の被害のあった、視察にも行かせていただいた常総市におきましても、もう間もなく避難所が閉鎖となるように聞いております。多くの被災者の皆様がそれぞれの自宅に戻る、または応急仮設住宅に入居される、場合によっては二次避難所に移動される、そういった形で、避難所は閉鎖される方向というふうに聞いております。

 こういった状況下にあるわけでございますけれども、被災者お一人お一人の生活再建支援というのは、まさにこれからますます重要になるというふうに認識をしております。

 委員派遣の視察に行かせていただいた折も、常総市関係者の皆様と意見交換をさせていただきまして、地元のボランティア団体、NPO団体と連携をしながらお一人お一人に支援の手を差し伸べている、そういった取り組みも御紹介をいただきました。現時点で置かれている環境、住宅の修繕がやはりなかなか進まずに、非常に生活上の不便を抱えていらっしゃる方々もたくさんまだいらっしゃいます。

 そして、特に住まいの確保につきましては、被災者生活再建支援制度の対象になる方、そして、当然、ならない方もいらっしゃいます。また、水害被害の中で半壊判定の方が大変多いわけでございますけれども、こういった方々は制度から外れてくるわけでございまして、住宅修繕、この費用の捻出が被災者のお一人お一人に与えている影響というのは大変大きなものがございます。

 そしてまた、みなし仮設住宅につきましても、このマッチング事業も現場で行われているようでございますけれども、手続上、さまざまな課題もあるというふうに聞いておりまして、被災者の皆様の生活再建という観点で見ると非常に課題は山積している状況下に置かれているわけでございまして、被災者の今後の支援について、政府の見解をお伺いさせていただきます。

加藤政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、被災者生活再建支援制度は、支給対象となる世帯は、原則として被害の程度が全壊あるいは大規模半壊といった世帯となってございます。半壊の被害を受けた被災者に対しましては、災害救助法による応急修理ですとか、住宅金融支援機構の融資、災害援護資金の貸し付けなどによりまして支援が行われているところでございます。

 また、みなし仮設住宅のマッチングというお話がございました。これにつきましては、住まいの迅速な提供ということは非常に重要なことだというふうに認識をしておりまして、円滑な提供が行えるように平時から備えることが大変重要であるというふうに考えております。

 みなし仮設住宅につきましては、従来から、自治体に対しまして、発災前から、民間賃貸住宅の空き住戸の把握あるいは関係団体との協定の締結ですとか、あるいは物件リストの作成、それから、マッチング等、御指摘の点につきましては、被災者みずからが物件を探し、自治体に申請するような方式ということなども促しているところでございまして、これらの手引なども作成をして提供しているところでございます。

 ほかにも、過去の災害でいろいろな先進事例を集めた事例集等も作成し、周知しているところでございまして、今後とも、住まいの確保などの被災者支援の取り組みを一層推進してまいりたいというふうに思っております。

真山委員 今、過去の災害の知見を生かしてというお話がございましたとおり、まさに、先ほども永岡委員のお話でありましたとおり、自治体にとっては初めてであったり数十年に一度の機会でございますけれども、国においては各地でさまざまな災害対応に当たる中で知見が、柔軟な運用ができるわけでございまして、そういった知見をやはり現場に届けていくというのも政府の大きな役割であるというふうに思っておりますので、ぜひ引き続きの取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、少し話題がかわりますけれども、東日本大震災に関連しまして、明確な定義はございませんけれども、震災対応の中で在宅被災者と呼ばれている方々がいらっしゃいます。これは東日本大震災の話でございます。地震、津波による被災を受けながら、その多くが生活、特に住宅の再建が困難な状況にありまして、被災を受けた、津波で水をかぶった住宅に、四年八カ月が過ぎたわけでございますけれども、いまだにそういう住宅に住み続けている方々がいらっしゃいます。

 私も宮城県石巻市に行かせていただいて、こうした方々、在宅被災者の支援をされている団体の方と一緒に一軒一軒訪問をさせていただきました。傾きかけたような家、また、地震によって、雨漏りによって、非常にもう畳も腐っているようなそういった住宅に、こうした劣悪な環境にいまだにいざるを得ない、脱することができない、そうした被災者の方々がいらっしゃいます。こうした状況の原因をたどっていきますと、一概には言えませんが、行政支援のサービスが活用されていない、また、行き届いていない、こうしたケースも多々見られるところでございます。

 きょうは復興庁に参考人で来ていただいておりまして、東日本大震災における在宅被災者支援について、現状の取り組み、また、今後の対策について答弁をお願いいたします。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の被災地の状況は地域によってさまざまでございますが、自宅が被害を受けながら仮設住宅へ避難せず、自宅での暮らしを続けてこられた方々、いわゆる在宅の被災者の中に、現在もなお生活環境が十分に整わない方々がおられるという指摘がございます。こうした在宅の被災者につきましても、国や自治体の支援制度の効果的な活用などについて、支援が必要な場合があるものと考えてございます。

 具体的には、例えば、国の生活再建支援金に加えまして、自治体独自で行う支援金制度がございます。ただ、この制度の活用に当たりまして、自己資金が必要となるためにこれが十分活用されていないといったようなケースもございます。このような場合には、その効果的な活用について相談支援を行っていくことが必要であろうかと考えているところでございます。

 私ども、来年度の概算要求では、被災者支援総合交付金の拡充を要求してございます。この中で、在宅の被災者への相談支援の取り組みをこの交付金で対応できるようにしていきたいというふうに考えてございます。

 委員御指摘の石巻市とも、私どもいろいろ連携をとらせていただいています。こうした対応を通じまして、今後とも、自治体における在宅被災者への相談支援等の取り組みを支援してまいりたいと考えているところでございます。

真山委員 在宅被災者の問題を取り上げさせていただきましたのは、今回の関東・東北豪雨におきましても、最初に答弁をいただいたとおり、今、避難所からそれぞれの自宅やまた応急仮設住宅に移動される、そうしますと、行政の支援の手が途切れていってしまう。実は、その延長線上に先ほどの東日本大震災における在宅被災者という問題が起こったのではないかというふうに思っておりまして、そういう意味では、今、この関東・東北豪雨によって被災された皆様が生活再建をされていくためには、やはり今後、中長期的な支援の手が必要ではないかというふうに私は思っているところでございます。

 そういう意味でいうと、常総市であるとか、また宮城県の大崎市に関しても、浸水被害がたくさんございました。多くの方々は自宅に戻っていらっしゃいますけれども、しかし、これから生活環境をしっかり改善していく必要があると思っております。

 そこで、きょうは河野大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 こうした災害時におきまして、行政として、発生してから直後というのは、いわゆる災害救助法の制度の枠の中で被災者支援がなされるわけでございますけれども、そこからその先、一定期間、また長期にわたって支援の手が行き届く体制づくりというものが必要と考えております。また、そのように各自治体も取り組んでいたり努力をしていらっしゃいます。

 そうした自治体をまた政府が支えていくことも必要であるというふうに考えておりまして、こうした観点につきまして、大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 私も、東日本あるいは常総の現場を見させていただきまして、いまだに大勢の方が大変困った状況の中で過ごしていらっしゃるということは認識をしております。御指摘いただきましたように、自宅で避難生活を送られている方、また、そういう状況の中でなかなか改善されていないという方々が大勢いらっしゃるということも認識をしております。

 自治体がそうした状況に応じてさまざまな取り組みをしているところでございますので、国としてはそれをしっかりとバックアップしてまいりたいというふうに思っております。

 おっしゃるように切れ目なく、きちんと復興できるまで、さまざまな手段を自治体が講じてくれておりますので、それを国としても切れ目なく支援をしてまいりたいと思っております。

真山委員 力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。まさに、本当に切れ目のない支援というのが必要であると思いますし、先ほど、何度も重ねてになりますけれども、東日本大震災、四年八カ月を過ぎてもまだそういう生活を送っていらっしゃる、そういった被災者を生まないためにも、今回の関東・東北豪雨についても万全の体制をしいていただきたく、お願いを申し上げる次第でございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 先ほども永岡委員の方から少しお話がございまして、重複する部分もあろうかと思いますが、農業被害の問題についてお聞きをさせていただきます。

 今回の関東・東北豪雨、ちょうど米の刈り取り時期を迎えていたわけでございまして、大変大きな被害をもたらしました。私も、宮城県大崎市、また山形県の最上町に行かせていただいて、農地の被害の実態も見させていただきました。農作物被害は当然のことでございますけれども、農地に水が運んできた瓦れき、ごみ、泥、また壊れた農業用水路のコンクリート片、こういったものが流れ込んで、農地復旧には大変な労作業となっております。

 また、農業用ハウスや農機具等についても、使い物にならない状況が多々ございまして、しかしながら、何としても復旧を次年度の作付までに整えなければならないわけでございます。

 そして、もう一つ大きな課題といたしまして、こうした災害時における救済として農業共済制度があるわけでございますが、この共済制度の対象となるのは刈り取り前もしくはJA倉庫に搬入済みの状態でございます。しかし、今回の災害は時期が非常に悪かったこともありまして、農家の軒先に米を保管していたケースがございまして、そうした場合、この共済制度の対象にはならないという現実がございます。

 こうした農業被害、そしてその復旧について政府としてどのように取り組むか、御答弁をお願いいたします。

印藤政府参考人 農地の災害復旧についてお答えいたします。

 農林水産省としても、早期の復旧に向けて、技術職員の現地派遣による技術的助言や、災害査定の前に復旧工事の着手が可能となる査定前着工制度の周知などによって支援を行ってきております。

 それで、先ほど委員が御指摘の、農地に流入した大量のごみや泥の除去については、被災地の地方公共団体において、災害復旧事業の活用が可能なものについて既に査定前着工制度の活用により前倒しで着手するなど、できる限り次年度の営農再開が可能となるよう農地の復旧を進めているところでございます。

 引き続き、関係機関と十分調整を図りながら、農地の早期復旧に努めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

山北政府参考人 農業用ハウスですとか、あるいは農業用機械の被災についてお答えをいたします。

 確かにこういった施設について多くの被害があったということでございまして、こうした被害に対しまして、農業者が今後も意欲を持って農業を継続してできるようにということで、十月二十七日に被災農業者向けの経営体育成支援事業の実施を決めたということでございます。

 とりわけ今般の被害では、農業用機械が、一度にたくさんの機械が被害に遭ったということで、農業用機械だけでも二十八億を超える被害があったということでもございますので、これまで事業の対象にしておりませんでした、例えば機械の修理ですとか、あるいは耐用年数を超えた機械の再取得、そういったものも助成の対象に加えたということでございます。

 現在、十月三十日から十二月の十八日ということで各被災地からの要望を取りまとめているということでございまして、取りまとめ次第速やかに事業の実施について各地域にお知らせをいたしまして、予算配分をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

天羽政府参考人 収穫後保管していたお米が被害を受けた農家に対する対応につきまして御説明申し上げます。

 収穫後自宅に保管している段階で浸水被害を受けた農業者に対しましては、農業者が来年の営農再開に向けて行う取り組みに要する経費について助成を行うこととしておりまして、その具体的な内容につきましては、現在、関係省庁間で詳細を詰めているところでございます。

 被災農家の営農再開につながりますよう、本年度の補正予算において必要な予算の確保に取り組んでまいりたい、そういうふうに考えております。

真山委員 ぜひ迅速な対応をお願いしたいというふうに思います。

 最後になりますが、防災、減災についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 宮城県大崎市、渋井川、ここも破堤があったわけでございますが、また、同市の鹿島台流域、吉田川におきましても漏水がございました。地元の関係者の方からお聞きしましたが、どうやら東日本大震災で傷んだものの修復が間に合わなかった影響ではないか、これは検証が必要な言葉でございますけれども、そういったお声がございました。また、山形県最上町、これは最上小国川というところが水害が発生したわけでございますけれども、この上流部のダムがありまして、このダムの建設がもっと早くできていればというお声もいただいたところでございます。鬼怒川では、先ほどソーラーの件もございました。

 こういった防災のためのインフラについて、非常にハード面の脆弱性があったのではないか、そんなお声も聞こえるわけでございます。

 一方、水害のあったある地域でお聞きしましたが、区長さんが、避難指示が出る前に関係の区内の住民の皆さんに避難になるかもしれないという通知をしておいた、そのおかげで深夜の避難でもスムーズにできた、こういったこともお話を聞きまして、これもソフト面で非常に重要なところだと思います。

 この関東・東北豪雨を踏まえて、防災、減災の観点から、ハード、ソフト一体となった水防対策を進めるべきと考えますが、政府の御認識をお伺いさせていただきます。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 今回の関東・東北豪雨を踏まえまして、国土交通省においては、社会資本整備審議会に大規模氾濫に対する減災のための治水対策検討小委員会を設置いたしました。そして、十一月三十日に同小委員会において、社会全体で洪水氾濫に備える、いわゆる水防災意識社会を再構築すべきとの答申案をいただきました。

 この答申案においては、治水対策につきまして、ソフト対策につきましては、例えばスマートフォンなどによる洪水予報の提供など、より実効性のある住民目線のものへ転換すること、そしてハード対策につきましては、従来の洪水を河川内で安全に流すという対策に加えまして、氾濫した場合でも被害を軽減する危機管理型ハード対策を導入していくことが重要であるとの提言がなされております。

 鬼怒川のような災害は、他の大河川でも起こり得ます。国土交通省といたしましては、小委員会での議論を踏まえ、大洪水に備える、このようなハード、ソフト一体となった対策を、スピード感を持って推進してまいりたいと考えております。

真山委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、小宮山筆頭、そして伴野委員の御配慮で、九月の関東・東北豪雨等により大きな被害を受けた栃木県民の一人として、政府の考えを確認してまいりたいと思います。

 特に、日光、鹿沼、塩谷、そして宇都宮の農林家の皆さんから現地で具体的に聞いた話で質問をしますので、相当細かい質問になるかなと思っておりますが、みんな不安に思っておりますので、ぜひ政府の答弁者におかれましては、それぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず最初に、臨時国会の開会予定についてであります。

 まず、開会予定はいつかという話でありますが、官房副長官においでいただいておりますが、臨時国会の開会予定はいつになるのか、明快にお答えください。

萩生田内閣官房副長官 臨時国会の召集につきましては、総理の外交日程、来年度の税制改正及び予算編成、また、さらには補正予算の編成作業といった種々の要素を考慮し、年内の国会召集は事実上困難であると判断したものであります。

福田(昭)委員 今官房副長官が話したことは、例年あることですよね、別にことしに限った話ではありません。これは例年やる話でございまして、それこそ、さきの通常国会では憲法九条違反の法律を可決して間もないのに、今度は憲法五十三条違反で臨時国会を開かない、とんでもない内閣だなというふうに申し上げておきたいと思います。

 それで、次に、災害復旧予算はいつ国会へ提出するのかということですが、今回もそれこそ甚大な被害が発生しておりますが、災害の復旧予算はいつ国会へ提出するのですか、お伺いをいたします。

萩生田内閣官房副長官 災害復旧予算、補正予算や本予算で計上させていただく予定でおりますけれども、多分、先生の問題意識は、こういう災害があった後に、先ほど前の質問者も御指摘をされておりましたけれども、復興がなかなか進まない問題があるんじゃないかという問題意識だというふうに思います。

 当然のことながら、査定前の着工の仕組みを活用していただいて、各自治体には、災害状況の、国の災害査定前であっても着手可能なこととなっておりますので、ぜひそういう形で進めていただきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 副長官、査定前、事前着工制度もあるということでありますが、その話が実は農家の人たちにきちっと伝わっていないんですよ。ですから、そういう意味で申し上げているのであって、この後の質問でもただしてまいりたいと思っています。

 ですから、こんなに本当に困っている人が被災に遭っているのに、まだいまだに家に帰れない人もいれば、再生産の見込みも立たない、こういう農家の人たちもいる中で、やはりこれは国民軽視、国会軽視と言わざるを得ないんですよね。とんでもない内閣でありまして、そういう意味では、誠意もない、真心もない、全く本当にとんでもない内閣だということを申し上げておきたいと思います。

 副長官、何かこの後あるようですから、委員長の許可があればこれで結構ですので。ただ、そうしたことをしっかり総理にも官房長官にも伝えてください。

 以上です。どうぞ。

梶山委員長 御退席いただいて結構です。

福田(昭)委員 それでは、本題の方に入りたいと思いますが、まず、土砂災害の認定についてであります。

 土砂災害として認定されるためには、堆積土が五センチメートル以上ということですが、例えば鹿沼などにはイチゴハウスがありますけれども、イチゴハウスには、皆さんも御存じのとおり、実は大きな山と谷があるんですね。そうしますと、今回の洪水ではそれが平らになっちゃったんですよね。平らになっちゃったんだけれども、しかし、五センチ以上、はかってみると、どうも五センチたまっていないんじゃないかということで、今回の査定では土砂災害として認定されなかった、こういう話があるんですが、どうでしょうか、こうしたことについて再査定が必要だと思いますけれども、農水省の考えをお聞きしたいと思います。

印藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 農地災害復旧事業の採択に当たっては、農地に堆積した土砂の平均の厚さが五センチ以上という要件がございます。この厚さは、被災した農地の十アール当たり十カ所程度試掘を行いまして、その平均値により求めることとしております。

 御指摘の畑地については、地元市町村はこの要件に該当した農地を災害復旧事業として申請してきたものと考えられますけれども、農林水産省としては、営農者の方々にこうした考え方について御理解いただけるよう、地元市町村との連携のもとで丁寧に説明してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 皆さんのお手元に被災状況の写真を配らせていただいておりますので、ごらんいただければと思います。

 一の方が、鹿沼のイチゴ農家のハウスが三棟、これは倒壊している状況であります。もちろん、パイプもだめですしビニールもだめですから、この三棟とも使える見込みはありません。全部撤去して、修復せざるを得ないわけであります。

 そうすると、ここは全部イチゴのハウスですから、ここが全部平らになっちゃったということで、どうもこれを査定した人が三分の一程度ですねという認定をしたというんですが、ちょっと私には余りにも不合理な査定の仕方かなと。これは全棟、平らになっちゃっているわけですから、全部該当させてもいいのではないかというふうに思っておりますので、またこの近隣の農家に査定に行く予定にあるようですから、もう一度やはりぜひ見てほしいな、こう思っております。

 ただ、どうしても農水省がそういう査定をしないときには、環境省の災害の廃棄物の補助事業もありますから、市の方で取り組んでいただければ、これもまたきれいに被害の状況が撤去できるということもありますけれども、そこの辺はぜひはっきりさせてほしいな、こう思っております。

 それでは、次に、農業用ハウス等の取得、修繕への助成についてであります。時間の関係で、もしかすると一緒に聞くこともあるかもしれません。

 まず一つ目は、農業用ハウスの再建は経営体育成事業で対応して、国三割、県二割、市町村二割、計七割の補助、残り三割は自己負担というふうになっているわけでありますが、自己負担分についてはそれぞれ自助努力で、農業共済組合の保険金で補填してもらう、そういう考え方で今回のこの経営体育成事業は対応しよう、こうしていることなんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

伊東副大臣 福田委員の質問にお答えいたします。

 気象災害等によりまして施設の被害が生じた場合には、共済や融資により対応することが基本となっております。特に、農業用ハウス等の被害に対応する園芸施設共済につきましては、平成二十七年の二月に、耐用年数の見直しや補償価額の引き上げなど補償内容の拡充を図ったところであります。

 また、他方、今回の台風十八号に係る被害につきましては、その甚大さを踏まえまして、農業者の早期営農再開を支援する被災農業者向け経営体育成支援事業、これは補助率十分の三でありますけれども、これを実施し、被災農業者が今後も意欲を持って農業を継続していけるよう万全を期することといたしたところであります。

 また、本事業に関しましては、ただいま委員御指摘のとおり、地方公共団体におきましても、各県及び市町村、この補助率はさまざまでありますけれども、例えば栃木県では、県の補助が二割、鹿沼市や宇都宮市では市として二割、栃木市では一割、さくら市では一割となっているところでありますけれども、上乗せの支援をされているところであります。

 なお、これらの国と地方の補助を除いた部分、御指摘ありました三割の部分でありますけれども、御自分の御負担になるか、あるいはまた、農業共済に加入されている場合にはこの共済金を充当することが想定されているところでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 このことについては、激甚災害に指定されたということで、多くのマスコミが九割を補助されるんじゃないかというようなことを書きましたので、農家の人たちはそのつもりでいたようでありますので、この辺はしっかり周知を徹底させないと、がっかりさせているという部分がありますので、ぜひ御注意をいただきたいな、こう思っております。それで、もう少し簡潔な答弁で結構です。

 二番目と三番目は一緒に質問をいたします。

 二つ目ですけれども、もとの場所が農業用ハウスが建てられるような場所でない場合は、場所を変更しても補助の対象となるのかどうか。

 三つ目ですけれども、農業用ハウスが流されて跡形もなくなっている場合、あったことが証明できれば再建の補助対象となるのか。

 これは、いずれも被災者の方が心配をしておりますので、簡潔にお答えください。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 まず、被災農業者向けの経営体育成支援事業でございますけれども、高台などに移転して営農を再開したい、そういった意向があることも認識をしているところでございます。こうした場合、農業者の早期の営農再開のために必要である、こういうことで実施主体である市町村が判断をした場合には、施設の設置場所を移動して設置する場合でも助成対象としているところでございます。

 また、跡形もなくなってしまっているといったようなケースということで御指摘がございました。

 農業者向けの事業につきましては、市町村が被災の証明を行うことを要件としているところでございます。そういう意味では、市町村が、あるときの写真ですとか、あるいは近隣の農業者に確認をしていただく、そういったことをとっていただいて、被災の事実が証明されれば本事業の対象とするということでございます。

福田(昭)委員 今の三つ目の方の質問ですけれども、これはニラ農家なんですが、片方の棟は全部残って、土がそれこそ五センチ以上堆積しているんですが、片方の棟は全部流されて跡形もない。そうしたら、査定に来た人が、これは被害はありませんでしたねということで帰っちゃった。どうしたらいいだろう、こういう心配をしているわけです。ですから、そういう質問をしたわけです。

 次に、四つ目ですけれども、四つ目と五つ目、一緒に質問しますね。四つ目は、農業用機械等の取得、修繕の補助対象となるものはどんなものがあるのか。

 そしてさらに、五つ目でありますが、聞くところによると、農業用機械等でも精米機や干しシイタケの乾燥機など加工用の機械は対象にならない、こういうふうに農家の人が言っているんですが、これはどれが正解なんですか。お答えをいただきたいと思います。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 被災農業者向けの経営体育成支援事業におきましては、農産物の生産に必要な施設あるいは機械の再建、修繕を助成対象としているということでございます。

 したがいまして、今御指摘のございましたように、本事業では、営農に欠かせない、農産物の生産に必要な施設ということですから、加工、流通、そういったものについては支援の対象としていないというところでございます。

 個別の施設が、農産物の生産に必要なものか、加工、流通にというのは、現地の態様によっても一部違いがあろうかと思います。一体で機能しているとかいろいろなケースがあるかというふうに思っておりますが、これまでのケースでは、精米機につきましては農産物の生産に必要な施設ということで対象にしているということでございますが、干しシイタケの乾燥機といったものにつきましては、まさしく加工ということでございまして、対象にしていないという整理をしているところでございます。

福田(昭)委員 これは宇都宮の農家の人ですが、精米機は対象にならないと言っている。干しシイタケの乾燥機も対象にならないと言われたそうです。

 そうすると、今の答弁だと精米機は対象になる、こういう話ですので、やはり、ぜひ農水省として補助対象となるものについての一覧表をつくっておく必要があると思うんですが、それはどうですか。

山北政府参考人 御指摘がございました。

 現段階において、こういうものがという一覧ということになると、また次々と補正していくというようなことになっていくかもしれませんので、そういう意味では、現場の実態を踏まえて、生産に必要な施設か否かということをきちっとしていきたいというふうに思います。

 また、個々のケースについても、御紹介がありましたので、そういった点についても丁寧に相談に乗ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 なぜそんなことを言うかというと、私とすれば、今後は加工用の機械も対象とすべきだと考えているんです。

 なぜかというと、政府・与党は農業、農村の所得を倍増させると言っているんですよね。しかも、今回のTPP大筋合意では、さらに、農家の皆さんを支援しなければ、ますます衰退して、後継者もいなくなっちゃうんですね。後継者も少なくなっていますが、さらに、今度はいなくなってしまう。

 そういうおそれのある中で、さらに加えて、農林漁業の六次産業化とか、あるいは農商工連携とか、言葉は違いますけれども同じような中身であります。そうすると、六次産業化や農商工連携を進める上では、加工用機械は必需品じゃないですか。農家の所得を上げるために、加工用機械は必需品だと私は思うんですよ。

 ですから、今回は仮に該当しないとしても、次からはやはり該当させるように直すべきだと思うんですが、いかがですか。

山北政府参考人 御意見をいただきました。

 加工、流通用の施設を対象にするということになりますと、農業者であるとか流通業者、食品産業、いろいろな方々がおられるということなので、非常に難しい面もあるかと思いますけれども、今、御意見というふうに承って、今後検討してまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 時間がなくなってきちゃいますので先へ行きますが、六つ目であります。

 農地、農業用施設、共同利用施設、森林関係及び漁業施設などの公共用施設については、先ほども副大臣から説明がありましたが、事前着工制度がありますけれども、農業用ハウス等の取得、修繕に対しても同様の仕組みが必要ではないかと考えておりますが、これについてお答えをいただきたいと思います。

伊東副大臣 通常、補助事業は交付決定後に事業に着工することとなるわけでありますが、この被災農業者向けの経営体育成支援事業におきましては、早期に施設の復旧等に取り組む農業者もおりますことから、事業計画が採択される前に実施している再建の取り組みを助成対象にできるようにしたものであります。

 これまで各種事業、まあ本事業におきましても同様の取り扱いをしているところでありますが、現場への周知につきましては、改めて県や市町村とも連携して対応をしてまいりたい、このように考えております。

福田(昭)委員 農業用ハウス等についても事前着工の仕組みがあるというんですが、これもまた徹底されていないんですね。

 農水省から、今回の被災農業者向け経営体育成事業について、都道府県や政令指定都市に出した通知の文書をいただきました。ここに「事業の着工」ということが書いてあるんですが、これを読むと、やはりだめなんですね。「なお、被災支援計画の承認前に着工したものにあっては、この限りでない。」こう書いてあるんです。だから、やはり事前着工の届けなりを出さないとだめなんですよ。

 ですから、こうしたことが周知徹底されていなければ、みんな不安でしようがないです。実際、ある宇都宮の農家の方が宇都宮市の農政課と話をしたら、多分大丈夫でしょうねという答えだったと。この通知を読めば、ちゃんと出してもらっていれば大丈夫ですよという答えが出せるわけです。しかし、そういう答えが残念ながら出てこなかったということでありますから、この一片の通知で市町村の職員がちゃんと理解していると思ったら大間違いで、ここはやはりしっかりと、公共用施設以外でも事前着工可能なんだということをもっと全国の市町村にちゃんと知らしめるような、そういう対応をぜひお願いしておきたいなと思っております。

 以上で農水省の方は質問を終わりまして、次に、環境省になりますけれども、栃木県塩谷町の指定廃棄物最終処分場候補地の豪雨調査後の対応についてであります。

 まず、一つ目は調査結果の結論でありますけれども、環境省は十月の十四日に現地調査を行い、十一月三十日に結果を発表しましたが、その結論を読みますと、一部冠水や侵食は認めたが、大雨による影響をより正確に把握するには、過去の降雨量の確認と測量や踏査などさらなる調査が必要だとしております。

 あくまでも詳細調査が必要、こう言っているようでありますが、しかし、冠水した、あるいは侵食したという事実がはっきりすれば、これは明らかに除外すべきではないですか。いかがですか。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 指定廃棄物の長期管理施設の詳細調査候補地でございますけれども、その選定手法につきましては、まず、一次スクリーニングにおいて、全国一律に整備されている既存の地図情報などを用いて詳細調査候補地の絞り込みを行って、その上で、詳細調査により現地固有の情報を把握し、有識者会議での評価を経て最終的な候補地と決定するということでございます。

 一方で、今御指摘ございました環境省が実施した豪雨影響調査の結果では、詳細調査候補地の一部で冠水があったものと考えられると結論づけておりまして、今回の豪雨の影響も考慮すべきものと受けとめています。このため、一次スクリーニングでは把握していない豪雨に関する現地の固有の情報について、詳細調査の中で確認するということとしております。

 町の御理解もお願いしながら詳細調査を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 あくまでも詳細調査にこだわっているようでありますけれども。

 栃木県における候補地選定手順に、洪水地域は除くとはっきり書いてあるわけですね。今回、洪水地域であることがはっきりしたわけです。したがって、これは白紙撤回すべきだと思います。

 当然、鎌形部長も御承知だと思いますが、「栃木県における指定廃棄物の処分場候補地の選定手法・提示方法等」を読んでみますと、「洪水」という項目があります。その中に、「降雨により河川がはん濫(溢水・越水・破堤)した場合に浸水が想定される区域を除外する。」こう書いてあるんですね。素直に読めば、このとおりだから、溢水もしたんだし、越水もしたんだし、これは除外するのは当たり前で、「具体的には、河川管理者(国・県)提供データを用いて洪水浸水区域に該当するエリアを除外する。」と書いてあるんですね。

 そうすると、そもそも、今回の候補地は国、県が管理していない河川ですから。国、県が管理していない河川だもの、データはありっこないんですよ。データなんかありっこないんですよ。ですから、当然のことながら、今回の候補地は洪水地域として図示されていなかったんですね。栃木県の知事は、図示されていなかったんだから大丈夫なんだなんて言っていますが、それは当たり前の話ですね、図示されなかったのは。この時点では、国と県が管理していたデータをもとに、ここが浸水区域ですよと図に示したのであって、管理していないんだもの、資料があるわけないじゃないですか。

 今回、改めて、五十年に一度の確率の大雨で、高原山にも六百ミリからの雨が降ったそうでありますが、大雨で今回候補地がえぐり取られ、そして候補地の上にも水が浸水をし、どれぐらいの時間かはわかりませんけれども、ある一定時間冠水をしていたということでありますから、これはまさに、明らかに除外すべき区域になっていると私は思っておりますが、いかがですか。

鎌形政府参考人 栃木県の詳細調査候補地の選定の手順には、今御指摘のとおり、降雨により河川が氾濫した場合に浸水が想定される地域を除く、具体的には、河川管理者提供データを用いて洪水浸水区域に該当するエリアを除外するとされてございます。

 そこで、具体的に、既存のデータといたしましては、水防法に規定する浸水想定区域を除外するということで対応してございます。今回、塩谷町の詳細候補地は、水防法に規定する浸水想定区域に該当しないということで除外はされなかったということでございます。

 ただ、申し上げましたとおり、先ほどの調査におきまして一部冠水が見られたというようなことがございますので、一次のスクリーニング、既存データを用いたスクリーニングでは把握し得なかった追加的な情報については、やはり詳細調査でもって確認して判断していくことが必要、このように考えてございます。

福田(昭)委員 そう言いますけれども、塩谷町では、町長が町民説明会を先日行いまして、候補地を返上するという表明をしておりますので、それを受け入れざるを得ないんじゃないでしょうか。いかがですか。

鎌形政府参考人 先般、塩谷町が開催されました報告会において、町として候補地を返上したいとのお考えが示されたことは承知してございます。

 このような考えは、塩谷町の方々が、先般の豪雨による影響など、さまざまな御不安や心配を持たれていることのあらわれだということで、私どもとしても重く受けとめております。

 しかしながら、詳細調査候補地というのは、市町村長会議、知事と県内の全ての市町村長が集まりました市町村長会議での議論を積み重ねて確定いたしました選定の手法に基づいて選定をしたものでございます。

 このことを踏まえまして、環境省といたしましては、これまでと同様に丁寧に説明を行うという姿勢には変わりなく、引き続き、詳細調査の実施について御理解を賜れるよう努めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 県が、それこそ市町村長会議で定めたのが、先ほど私が申し上げた選定手順です。その選定手順に該当するような事項が新たに起きちゃったんだから、当然、除外すべきですよね。その時点で、選定手順を決めた時点ではそういう事実はわからなかった。しかし、今回、新たに発生してしまったわけですよ。だから、当然除外すべきというのが普通の一般的な考え方じゃないですか。

 塩谷の町長は近いうちに環境省へ候補地返上に来ると言っていますので、ぜひそれを受け入れてほしいなというふうに思っております。

 こうしたことが各地で起きています。当然、宮城県でも返上するような動きがあります。千葉市では、全く環境副大臣にも会おうともしません。ですから、候補地が決まっている三県とも、全く進むような気配はありません。こうしたことを考えれば、やはり基本方針を改めるべきだと思います。もし、こうした地元の理解がない中で環境省が強硬にやろうとすれば、第二の沖縄になると私は思っています。

 沖縄だって、まさに行政不服審査法、行政手続法を破って政府は今飛行場をつくろうとしています。憲法違反だけじゃない。行政不服審査法、手続法も破って今飛行場をつくろうとしている。第二の沖縄にこれもなってしまうおそれもある。

 したがって、地方自治も尊重しながら、一番最善の方法というのは別にあるはずなので、そこをしっかりとやっていく必要があるということを申し上げて、時間が来ましたので、またいずれ、このことについては質疑を続けさせていただきます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民主党の福島伸享でございます。

 本日、このような場をいただきましたこと、地元の梶山委員長初め理事、同僚各位に感謝を申し上げます。

 まず冒頭、このたびの水害におきまして亡くなられた方に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様方にお見舞いを申し上げます。また、災害に当たりまして、多くの行政関係の皆さん、自衛隊、消防、警察、ボランティアの皆さん、さまざまな皆様方のお力を賜りましたこと、心から感謝を申し上げます。

 私の選挙区は、梶山先生と、トップバッターでお話しされた永岡先生の間に挟まれたところでありまして、選挙区内を鬼怒川が流れております。当初は、常総ではなくて、私の選挙区の筑西市や下妻市というところで越水が起こっておりまして、テレビカメラがわあっと集まっていたんですけれども、途中からは全然注目されなくなったという意味では、ある意味被災地であると思っております。

 お手元の資料、写真をつけさせていただいております。これは全て私の選挙区でありますが、船玉地区では車が埋まりそうになるぐらい水があふれたりとか、下妻市でも堤防が越水して、次のページを見ますと、ボートで避難している方の様子とか、食肉処理場やビアスパークしもつまという都市、農村の交流施設が五メートルぐらい水をかぶって水没するなど、かなりの大きな被害を受けました。

 きょうは、旧知の河野大臣が大臣に就任されたということで、質問させていただく機会をいただけるのは大変うれしいですし、メールマガジン「ごまめの歯ぎしり」をとらせていただいておりますけれども、大臣になられて、ごまめではなくマグロぐらいにはなっているんじゃないかと思いますので、河野大臣らしい思い切った答弁をお願いしたいと思っております。

 私の選挙区の筑西市、下妻市は、合わせまして、全壊は一件なんですけれども、大規模半壊六十八件、半壊四十一件。常総ほどではないんですけれども、かなり大きな被害がありました。鬼怒川流域の船玉、伊佐山という地区があるんですけれども、そのあたりは面的に、一つの集落全てが水没するぐらいの被害が出ました。

 しかし、さまざまな措置は、災害救助法の適用範囲にならないと出ません。例えば、住宅の応急修理をすることに災害救助法からお金が出るとか被災者生活再建支援事業で生活支援が出るといったものは、それは対象になりません。なぜかというと、資料の二の二、四ページ目にありますけれども、この一の「災害救助法施行令第一条第一項第一号又は第二号に該当する被害が発生した市町村」ということで、人口当たりの住家が滅失した世帯の数という基準がありまして、これに当てはめるとならないんです。

 実は、同じことが、私が一期目の平成二十四年五月に起きました竜巻被害でもありました。竜巻被害もぽつぽつとスポットで、その周りは決定的にやられるんですけれども、でも今は、市町村合併をしていて、市町村の区域が広がり人口が多くなっております。そうすると、この人口当たり滅失家屋幾つというのではなかなか対象になりません。今回のように川ですと、川の流域は壊滅的な打撃を受けるんですけれども、合併して市町村区域が大きくなっていると、それは市の端っこの方の一部というふうになってしまいます。

 この災害救助法の適用基準を決めたのは阪神・淡路大震災の後ですから、大規模地震とかあるいは台風で一斉に全部がだめになるようなことを想定していて、例えば竜巻とか、今回のように川だけが氾濫する、そういったピンポイントの災害を考慮しないでつくってしまった基準だというふうに言えると思います。

 そして、例えば今回、被災者生活再建支援制度の対象となるのは大規模半壊だけで、半壊は対象になりません。大規模半壊と半壊は何が違うかというと、床上浸水で一メートル以上浸水すると大規模半壊、それを超えないと半壊です。ただ、水につかっちゃうと全部泥だらけになって、畳から何から全部上げて泥を上げなきゃならないのは、床上浸水の半壊も一メートル以上つかった大規模半壊も変わりません。

 なおかつ、多くやられてしまうのは家電製品です。家電製品は、一メートルつかろうが五十センチつかろうが、冷蔵庫、洗濯機というものはもう使えなくなってしまって、買いかえなければなりません。一メートルいくかいかないかで差をつけて、片方は対象になるけれども片方は対象にならないというのは、これは非合理なんですね。

 さらに、所得制限があります。災害救助法に基づく住宅の応急支援、これは災害救助法に基づいて対象になる場合があるんですけれども、大規模半壊だとみんななります。ところが、半壊、つまり一メートルの水没以下だと、年収が五百万円以上だと対象になりません。多くの困っている家は子育て世帯で共働きなんですね、うちの地元は。共働きで、子供を育てるために一緒に夫婦で働いている家は五百万円を超えちゃっているから、この世帯が一番、災害救助法の住宅の応急修理の対象にならないとかいろいろおかしな例がいっぱいあるんです。

 それは恐らく、阪神・淡路大震災の後につくってそのまま見直してこなかったからですし、我々が政権にいたときも、竜巻があって直そう直そうと言っているうちに政権がかわって、私も落選しちゃったということもあって、そのままになっているんですね。

 ぜひ、河野大臣、これは今やらないと、喉元過ぎるとみんな忘れて、やめちゃうんですよ。河野大臣に私は期待して申し上げるんです。この基準をぜひ見直していただけないでしょうか。どうでしょうか。

河野国務大臣 常総ではございますが、今度の水害の被災地を拝見いたしまして、おっしゃるように、面的に水がだあっと流れ込んでくるという現場を見ました。やはり相当な被害ではあります。

 我が党の永岡先生を初め、同じような御要望をいろいろいただいたわけでございますが、一つは、水没の高さというところで、そこはある面、一メーターであっても五十センチでも同じではないかというような御指摘もありますが、そこは、例えば壁の中の断熱材が傷んでいれば、そうしたことをきちんと考慮して見ていこうというようなことで、必要なら二次調査も行うよというような対応をさせてはいただいております。

 できることはしっかりやってまいりたいと思いますが、いろいろ考えたんですけれども、やはり、まず災害の備えは自助でやっていただかなければいかぬなと。

 ですから、まずこれから先のことを考えると、災害に対する保険制度というのがございます。これは、地震だけではなくて水害についてもございます。こういうものにまずそれぞれきちんとお入りをいただいて、災害が起きたときにはちゃんと保険金がおりる、そこをきちんと宣伝して拡充をし、入っていただく。できれば、そうした保険料についても何か優遇措置がとれないかなということを今考えているところでございます。

 ですから、これから先は、まず政府としては、そうした自助の拡充をしっかりとPRすることによって、それぞれがまず災害について備えていただくということを基本にしてまいりたいというふうに思っております。

 今ある制度、なかなか柔軟にといっても、何らかのきちんとしたルールがないと公平性を担保することができません。災害救助法のルールでいえば、例えば床上浸水なら三件で一件分にカウントしましょうというような、それなりに、水害の被害の様子を見てきちんとカウントできるようなルールも盛り込んであるところでございますので、私としましては、しばらくこのルールでやらせていただきたいというふうに思っております。

 先ほどの、どこが一番年収の中で困っているかというのは少し検討をするところはあるかなと思っておりますが、基本的に、まず自助で復旧できるような御努力を促していくということをやってまいりたいというふうに思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 正直言って、ちょっとがっかりした答弁なんですけれども、自助はそのとおりだと思うんです。ただ、問題は、国の制度が非合理的であるがゆえの差は埋めた方がいいんじゃないか。

 同じ川が氾濫しているんですよ。同じ川が氾濫しているけれども、人口当たりの戸数がたまたま足りなかったがゆえに、隣り合った集落でも、こっちは対象になるけれどもこっちは対象にならないということが今は起こり得るんですよ。それは、市町村区域の人口当たりの被災戸数とやっているからです。川なんですから、水系で見なきゃだめなんですよね。ですから、そういったところは、私は、まだまだ見直す余地があるというふうに思っております。

 また、例えば被災者生活支援法で支給される額がマックスで三百万円ですけれども、これも自助でまずやれという話だとは思いますけれども、具体的にどの額であればいいかというのは、私は、もう一度これはしっかり検討した方がいいと思っております。これも、阪神・淡路のときにつくられてそのままになっているんですね。

 三百万円では、家が全部だめになっちゃった人は建てかえることは事実上できません。保険に入っていればいいんじゃないかという人もいるかもしれませんけれども、最低限のセーフティーネットとしてその額がいいのかどうかというのは考えた方がいいんですね。これはしかも、都道府県がお金を出して、同額を国が出した基金によって賄われております。今、基金には八百三十億円残高があるんですよ。毎年、大規模災害で使われるのは、例えばさっき言った茨城県の竜巻被害で出されたのは一・九億円です。東日本大震災は三千百三十六億円で別格にしても、最近で一番大きかった紀伊半島の台風でも大体二十億円。まだまだ使えるんですよ。

 もし、地元からもっとお金を出してという要望があるんだったら、都道府県から積み増す額をふやしてというのもいいと思うんです。単に、今の基準がそれでいいから見直しませんというのではなくて、先ほど私が申し上げた子育て世帯も含めて、どういう額が最低限のセーフティーネットとしてふさわしいのか、そして、それに合わせて基金の割合はどうしたらいいのかということも、こういう災害の後は必ず議論になるんだけれども、しばらくたったら忘れ去られてしまいます。

 ぜひ、河野大臣が御在任中に見直しの検討を行っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 何かひどく冷たい人間のように聞こえて、申しわけございません。

 三百万円、どうなんだというのは、やはりこの議論というのは、大きな災害が起きるたびにあったんだろうと思います。ただ、住宅の再建ということでいうと、では幾らまでふやしたら再建の役に立つのかというところがあって、これはなかなかちょっと難しいなというふうに思っております。

 一律三百万でいいのかどうか、合理的に、どういう家庭にどうしたらいいのかというところは、少し検討する余地があるとするならば、そこは、ちょっとそうしたことを含め、一度見直しを検討してみたいとは思っております。

 ただ、基金のことで申しますと、今この基金を出しているのは都道府県でございまして、都道府県から出した基金と同額を国が補助するということになっておりますので、この基金をどうするかは、国から都道府県に対してどうこう言える話ではございませんので、ぜひ福島先生の方からこれは知事会の方へお願いをしていただきたいと思います。申しわけございません。

福島委員 ありがとうございます。

 ちょっとほかも質問しなきゃならないので、手短に答弁いただければと思っています。

 現に、今申し上げたような足りない部分は茨城県が独自に出しているんです。県はけちだという批判をする県民の皆さんもいるんですけれども、今回頑張って六億円出しているわけですね、県で。それを、自治体が勝手に独自にやるからどうぞというのではなくて、私は、ここは国が温かく、ある程度の、例えば特交での手当てとか財政措置も含めてやっていただきたいと思いますので、その点もぜひ検討をお願いしたいと思います。答弁は求めません。

 次の問題に行きます。

 資料の一番最後のページを見ていただきますと、石井国土交通大臣、つくば市に在住の茨城県民の地元の大臣でいらっしゃいますけれども、今後五年間で鬼怒川を集中改修。これは、地元では非常に大きな期待を持って受けとめられております。

 そもそも、昔から鬼怒川は、中州ができてそこに木が生えて、本当にこれは洪水になって大丈夫なの、そこに木がひっかかってダムになっちゃうんじゃないのなどという話はいっぱいいただきました。また、無堤防地区も、私が一期目のころから要望を受けて、さまざまな要望を伝えてきたけれどもなかなか遅々として進まなかった、そうした例もあります。

 今回、この五年間の集中改修というのは一体どこでやるのか。みんな、常総だけなんじゃないかという人もいて、一体これはどこからどこまで、どの範囲でどんなことを行おうとしているのか、ちょっと具体的なことをお聞かせいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 鬼怒川につきましては、下流域におきまして、ハード対策とソフト対策を一体とした取り組みを、鬼怒川緊急対策プロジェクトといたしまして今年度から実施することにいたしました。

 具体的には、国、茨城県、常総市など沿川七市町が主体となりまして、国のいわゆる激特事業等によりまして、平成三十二年度完成を目指して、鬼怒川下流域の整備や茨城県による八間堀川の整備などハード対策と、タイムラインの整備と訓練の実施や関係機関参加による広域避難の仕組みづくりなどのソフト対策、両方をあわせて取り組むものといたしております。

 その中で、鬼怒川の整備につきましては、具体的には、茨城県内のほぼ全域を対象区域といたしまして、堤防整備、河道掘削や樹木伐採などを実施することといたしております。

 今後、茨城県、常総市など沿川市町村とも連携をとりながら、地域の安全、安心の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 茨城県全域を対象にしていただけるということで、心待ちにしたいと思いますので、五年後、住民に安心が届けられることを心から期待しております。

 実は、ここだけではなくて、結構茨城県は水害が多い県でありまして、私のもう一つの地元の那珂川流域とか、梶山先生のところも無堤防地域がまだあるんですね、川の河口に。みんな今回のを見て、次は我が身だと思っているんです。

 ぜひ、私は、全国の河川をもう一回総チェックしていただいて、そのリスクを見て、ほかの予算もいろいろ都合があるでしょうけれども、国交省の中で、局とか課の縦割りを超えて、治水の予算をどれだけ出せるかという知恵を絞っていただけないかなと思っておりますので、ぜひこの点も提案をさせていただきたいと思っております。

 次は、被災中小企業への支援の問題に移らせていただきます。

 東日本大震災のときに、例えば商店街が面的にやられたりとか、産業が集積しているところが全部やられちゃって、その地域の産業が壊滅するようなところには、中小企業グループ補助金ということで、企業が復旧に要するところに、国が二分の一、県が四分の一、合わせて四分の三の補助を投じて再建するというのをやってまいりました。河野大臣に言わせれば、それも自助だろうということかもしれませんけれども。

 例えば、常総市でも商店街がまだ残っている地域があります。でも、このままいったらお店をやめちゃおうかな、面で集積したら商店街だけれども、ぽつぽつぽつぽつ抜けてあいてくると、もう商店街の機能を果たさなくなる場合もあります。あるいは、このあたりは東京に近いところですから、食品加工業なんというのが集積しているところでありまして、それが一抜け、二抜けとやっていくと、地域の産業集積自体がだめになってしまう可能性があります。

 そういう意味では、私は今回、中小企業グループ補助金的な、面で頑張る、その地域でみんなで支え合って産業集積をやっていたのが壊れるのを防ぐような、そうした方法が必要だと思うんですけれども、どうも中小企業庁は前向きではない。中小企業庁さんは前向きなのかもしれないけれども、財務当局の理解が得られていないという話も聞いております。

 震災のときは復興増税があったからそれでできたんだなんということを言っている人もいるようですが、私はこの制度を創設するのにかかわりましたけれども、復興増税より前にこの制度はつくっているので、復興増税とセットでやったなんという事実はございません。

 先日の報道では、今年度の税収が一兆円以上上振れするという話があるんですから、一兆円上振れする中で常総市の中小企業グループ補助金をつくるのなんて、一%もかからないでできる話ですよ。私は、それぐらいの財政措置を講じるのが政治の力だと思うし、政治の温かさだと思うんです。我々の政権がよかったとは言わないけれども、我々もいろいろな中で、前例を超えてそのような制度をつくったんです。

 今回、同じように壊滅的な被害を受けた常総市の中小企業のそうした集積を立て直すために、何かの支援措置を講ずる決意というのをお聞かせください。

星野大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今回の関東・東北豪雨に関しまして、経済産業省としては、茨城県の十市町になりますけれども、災害救助法が適用されたことを踏まえ、政府系金融機関等に特別相談窓口を設置いたしました。

 通常の保証とは別枠で、借入額の一〇〇%を保証するセーフティーネット保証四号の実施を決定するなど、中小企業、小規模事業者に対する各種金融支援措置を講じるとともに、今回の災害によりまして特に甚大な被害が出ている茨城県常総市に対しましては、十月二十七日に激甚災害法の適用が閣議決定されたことを踏まえ、さらなる金融の円滑化対策として、災害関係保証の適用や政府系金融機関からの融資の金利引き下げの措置を行っているところでございます。

 自然災害に見舞われた中小企業、小規模事業者の事業の復旧復興は重要な課題であるとともに、これまでの甚大な災害に対する対応ぶりを踏まえ、国と自治体、事業者の負担のあり方などを検討する必要があると認識をしております。

 いずれにいたしましても、経済産業省としても、自然災害が発生した地域の中小企業、小規模事業者の状況をきめ細かく把握し、自治体とともに連携をしながら、引き続き対策を検討してまいりたいと考えております。

福島委員 私も、経済産業省に昔働いていて、東日本大震災で被災もしましたけれども、そういう答弁が地元の人に一番かちんとくるんですよ。金を貸す窓口を設けましたといって、被災に遭った人にさらに金を借りろと言っているようなものですよね、金利がただだとかなんとかといっても。私は、それは被災者への支援にならないと思いますよ。それだったら言わない方がましですよ。

 政治の役割というのはそうじゃなくて、今、県も要望しているし、地元の商工関係の人もみんな要望しているんですよ。できないんだったらできない、それは自助だからやるべきじゃないというんだったら、そうはっきり言えばいいと思うんですよ。

 ただ、その声を受けとめて、今のような答弁じゃなくて、真剣に財政措置を講ずるのか、いや、やるべきじゃないというんだったらやるべきじゃないと思いますよ。それは自分たちでやってくださいと。でも、ちゃんとそれに誠実に応えるのが私は政治の役割だと思うし、政務として経済産業省に入っていらっしゃるのであれば、生意気を言うようで申しわけないですけれども、きちんと財務当局に要求してみてはいかがですか。要求して、財務当局が言う理由も国民に公開してくださいよ。地元の人に公開してくださいよ。

 私は、これはきちんと真面目に対応することを心から求めたいと思います。答弁は要りません。

 次は、収穫後の被害に遭った米の問題、永岡先生や真山先生からもありました。

 十月二十七日に出された台風十八号及び十五号の被害への支援策において、来年の営農再開に向けて行う土づくりや種もみ、肥料、農薬の準備などの取り組みに要する経費について、必要な財源を確保した上で助成しますというふうにされております。ありがたい、大分頑張って検討していただいたと思うんですけれども、ただ、これから年を越す人にとって、では一体幾ら出るのというのが一番問題なんですよ。これは一体どのぐらいの目安で、どのぐらいのものが出るとイメージすればよろしいのか。農林水産省さん、御答弁をお願いします。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 さきの関東・東北豪雨によりまして、お米の収穫後、自宅に保管している段階で浸水被害を受けた農業者に対しましては、当該農業者が来年の営農再開に向けて行う土づくりや種もみ、肥料、農薬の準備などの取り組みに要する経費について助成を行うこととしております。

 その具体的な支援内容につきましては、現在関係省庁間で詳細を詰めているところでございます。被災農家の営農再開にしっかりつながりますよう、二十七年度の補正予算において必要な予算の確保に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 なお、収穫後に農業者が自宅に保管している段階で浸水被害を受けたお米につきましては、基本的には、他の一般的な個人財産と同様、農業者みずからが民間の保険に加入して対応する必要があるということでございます。

 今後、同様の被害が生じた場合に対応できますよう、農業者に対して民間保険の活用を周知してまいりたいと考えてございます。

福島委員 今の答弁では何もわからないですね。本当にがっかりしましたよ、きょうは。被災者の人がきょうのこの答弁を聞いて、政府がやっていることを見たら、何にも具体的なことがないじゃないかと思うと思いますよ。

 もみが流されて収入が入らない人が、では幾ら収入が入るのかな。これは来年の営農のための資金と言っているけれども、そこの部分のめどがつかないと来年営農を再開する意欲なんて湧きませんよ。予算をとってからというんだったら、早く国会を開いて、早く補正を出せばいいんですよ。年を越せないですよ、これでは。

 今の答弁を変えるつもりはないですか。そのままですか。あと一問やるので、短くお願いします。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明をいたしましたとおりでございますが、具体的な支援内容につきましては、現在関係省庁間で詳細を詰めておるところでございます。

 支援水準につきましては、収穫前に被害を受けた場合に農業共済で補償される額相当を上限とするということを念頭に置きまして調整を進めているところでございます。

福島委員 恐らく、財務省に口どめされているような中で、精いっぱいの答弁をありがとうございます。農業共済と同じぐらいの額が出るということだと思います。

 最後の問いです。

 関東鉄道常総線というローカル線が走っておりまして、大きな被害を受けて、先週の土曜日に完全復旧のお祭りをやらせていただきまして、何とか復旧をいたしました。これに対して、災害復旧で国交省で鉄道施設安全対策事業費等補助金というのがあるんですが、この要件が、被災前の前三カ年が赤字であるというのか、被災年度以降おおむね五カ年度を超えて赤字になることが確実となる場合に限って対象になっています。

 今回、関東鉄道は約六億円をかけて復旧をいたしました。確かに、過去三年は黒字です。黒字だからいいかと思いきや、営業内容を見ると、今鉄道会社は多角化しているから、例えば平成二十五年度で見ると、鉄道事業の営業利益はわずか三千二百万円しかありません。その中で、六億円復旧のお金を使っていて、あとは不動産とかいろいろな複合事業でもうけているんです。

 これも、基準ができたのが昭和三十三年。昭和三十三年の鉄道会社というのは鉄道事業だけでもうけられる事業だからこのような基準をつくっているのであって、今、関東鉄道が黒字だといっても、鉄道以外なんですよ。

 特に水海道から先の、私の地元の下館の間は、一両や二両の列車が数人だけを乗せて走っているかもしれないローカル線でありまして、これは下手したら廃線になっちゃうんですよ、この基準だと。むしろ、鉄道事業が赤字でほかで黒字でトータルで黒字になっているような会社であれば、これを機会に鉄道をやめちゃう。地域の大切な公共の足がなくなってしまうんですよ。

 先ほどの被災者支援の話も同じですけれども、基準をずっと昔につくって、それをそのまましゃくし定規に当てはめるのは、それはお役人の仕事です。政府に入った政治家の皆さんは、昭和三十三年から変えていないんです、まだ国鉄の時代ですよ、その時代の制度ですから、この基準もぜひとも見直していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 鉄道施設の災害復旧につきましては、鉄道軌道整備法におきまして、鉄道事業者がその資力によってのみその復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときは、補助することができるとされております。

 一方、鉄道事業者は、通常、鉄道事業を核といたしまして、バス事業や百貨店事業、観光事業、ホテル事業、宅地開発事業などそれぞれの事業も営んでおりまして、これらの事業全体を有機的に連携させながら利益、収益を上げているというところでございます。

 このような鉄道事業者の特性に鑑みれば、鉄道事業とその他の事業とを合わせた全事業で十分な収益を上げている場合には、鉄道事業者が災害復旧事業をみずからの資力でのみ行うことができるものと考えております。

 このため、鉄道事業だけでなく、全事業についての経営状況を踏まえて補助の判定をしているところでございます。

福島委員 きょうの質問は全部、地元の皆さんの思いを込めて、いろいろな方の話を受けてやらせていただきましたし、インターネットでも多くの皆さんが地元で話を聞いております。

 そもそも、臨時国会を開かないのがけしからないんですよ。災害が起きたのはいつですか。それで、この委員会をやっているのは何カ月後ですか。私は、そんな政治ではいけないと思います。しかも、答弁に立つ皆さんが、役所の答弁書を読み上げるだけで何ら思いがこもっていないというのは、被災者の人たちにとってみたら悔しい思いだと思いますよ。

 政府に入っている政治家の皆さん、ぜひ、政治家として何ができるか、生意気を申し上げるようですけれども、考えていただきたいと思っております。私は、このような委員会を被災者の皆様方にお見せして、国会でこういう議論をしているということは、残念ながらきょうは言えない。少なくとも、自分の言葉で語っていただければと思っております。

 済みません。熱くなって申しわけないんですけれども、きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、升田世喜男君。

升田委員 維新の党の升田世喜男であります。

 質疑を始める前に一言申し上げたいと思います。

 当委員会は、さきの国会が閉会する九月二十七日の二日前、九月二十五日、山谷防災担当大臣の報告を受けただけの委員会を開催し、閉会になっております。それ以後、十月二十二日に委員会として被災地の視察に出かけております。そして、あれから一カ月以上も経過しても審議一つ行われていないこの状況について、国民はどう思っているのでしょうか。

 そもそも、この災害は、九月七日から十一日までの間に、台風十八号の影響で、日本列島の広い範囲で記録的な大雨をもたらし、多いところでは六百ミリを超える大雨となっております。茨城県では河川の氾濫、決壊などの被害が発生したのであります。テレビなどでヘリコプターで救出される様子が映し出され、私はくぎづけになったことを覚えております。

 内閣改造もあり、新しく河野大臣も就任されました。今、こうしてようやく委員会が開催されますが、この対応は極めて遅い、このように思います。すぐにでも臨時国会を召集するべきではなかったかと強く申し上げさせていただいて、質疑に入りたいと思います。

 まず、このたびの九月の豪雨災害についてお伺いをいたします。

 伊豆大島や広島の土砂災害時も、地元自治体からの避難勧告が遅かったとの指摘があり、避難準備情報を積極的に出すことが図られたはずであります。しかし、さきの豪雨で、茨城県常総市では人々が逃げおくれてヘリで救助される事態になりました。避難勧告は対象区域を絞り込んで発令するよう指針を改定していたが、残念ながら、今回も発令がおくれるという同じようなことが起きてしまいました。

 政治行政は地域住民の生命と財産を守らなければなりません。避難勧告を適切に出す体制を整備することは極めて重要なことと思います。

 まずは、河野大臣にこのことについて御見解を求めたいと思います。

河野国務大臣 おっしゃるとおり、避難指示、避難勧告というのは、空振りになっても早く出すというのが大事だと思っております。空振りになっても、災害に遭わなくてよかったと皆さんに言ってもらえる、そのためには、なるべく市町村が恐れずに対応をしていただくというのが大事だろうと思っておりまして、私も、市町村長、首長さんの皆様にはそうしたお願いをさせていただこうと思っております。

 また、先般鬼怒川では、避難してくださいと言うのが後手に回ったということもございますので、今、水害の対策のワーキンググループで、避難指示、避難勧告の出し方についても御議論をいただいて、もう少し勇気を持って早目に出せる、そんな体制をつくってまいりたいと思っております。

升田委員 今、大臣から、私が意図した答弁をいただきました。いわゆる勇み足であっても早目に出すということが大事なんだと。全くそのとおりである、こう思います。

 早く出してもし災害が起きなかったら、これは批判されます。しかし、避難勧告を出さずに災害が起きたら、これまた批判されます。しかし、同じ批判をされるならば、これはやはり勧告を出して批判される方がまだよい批判ではないか、こう受けとめるべきだなと思います。

 先ほどの大臣の答弁の中では、いわゆる市町村長、首長さんにそういうことを促していきたい、こういうお話がございました。これももっともだと思います。

 そこで、もう一つ大事なのは、国民の側も、たとえ勇み足であっても、我々の生命と財産を守るためにはこれはやむを得ないことなんだということもわかっていただけるような取り組みを国はすべきだと思うんですけれども、改めて大臣の見解を求めたいと思います。

河野国務大臣 おっしゃるとおりで、国民の皆様にもそう考えていただければ幸いでございます。

 きちんとそこはワーキンググループで検討していただいて、その結果を広く周知して、少し勇み足になるおそれがあっても早く出すというのが生命財産を守るために必要なんだということを御理解いただきたいと思っておりますし、市町村長の皆様には、いざ勇み足になった場合には、それは防災担当大臣として私が責任をとりますから、そこは恐れずにやってくださいということをきちっと申し上げてまいりたいと思います。

升田委員 大臣から、力強い、さすが改革大臣、河野大臣だな、こう思いました。私が責任をとるというのは大変重い言葉だと思いますので。

 次に行きたいと思います。

 近年、大規模水害がない年はございません。地球環境が変化している証拠だと私は思います。

 今回の水害から三カ月経過し、いつの災害でも言えることでありますが、決壊した堤防の工事が終わり、瓦れきが徐々になくなり、道路ももとどおりに開通してきた、しかし、家を失い、もちろん家財もなくなり、買い物に行くための車もない、仕事をしたくても機具も流されてしまった、または水につかって使い物にならなくなったなど、生活再建にはまだまだほど遠いのが現状であろうと思います。

 経済力がある豊かな家庭は自力で何とか復旧をすることができます。しかし、蓄えがない家庭はどうでしょうか。なかなか災害の被災から抜け出せない、このような状況が何度となく繰り返されてきたと思います。

 災害に遭われた方々に対する再建支援対策として、全壊で家を建て直すこととした場合、被災者生活再建支援法の基礎支援金として百万円、加算支援金として二百万円、合計三百万円の支援金が支給されるわけであります。もし、建て直しをせずに賃貸の物件に転居した場合は、被災者生活再建支援法の基礎支援金として百万、加算支援金として五十万円、合計百五十万円の支援金になります。

 しかし、この支援金もすぐにもらえるわけではありません。まず、罹災証明書を受けなければならない。その上で、書類を作成して提出し、手続が始まる。常総市の場合、災害から三カ月が経過した今でも支給までには至っていないと聞いております。災害に遭って自宅が全壊した、公民館あるいは体育館に避難した、その後避難所から公営住宅に引っ越しが決まった、さて家財道具はどうしようか、テレビを買わないといけない、洗濯機も冷蔵庫も必要だ、また、地方はとにかく車がないと買い物もできない、何もできない、そういう状況になってしまいます。

 そのためにも被災者生活再建支援法があるわけでありまして、しかし、まことに残念ながら、先ほども申し上げたように、災害から三カ月が経過した今でも、支援金が被災者に対しいまだ支給されていないのが現実であります。

 そこでお伺いをいたしますが、支援金が支給に至るまでの時間をもっと短縮できないものかどうか、災害への対応はスピードが命と私は思いますので、大臣の御見解をお願いします。

河野国務大臣 三カ月にわたり支給されていない方がいるというのは、大変申しわけなく思います。そこはきちっと調べさせたいと思います。

 支給に至る手続は、こういう状況でございますから、災害の中でございますから、本当に必要最小限の罹災証明ですとかあるいは住民票、申請書、それからどこの口座に振り込むかという通帳の写し、これをそろえていただくということになっております。その書類に不備がなくて三カ月もかかるというのはちょっと常識では考えられませんので、そこについてはきちんとさせていただきたいと思っております。

 この支払いにつきましては、公益財団法人の都道府県会館に事務の手続をお願いしておりますので、そこともきちんと話をして、まずどういう状況で三カ月支払われていないのかということを確認した上で、最大限スピードアップをして努力していただいているというふうに認識をしておりますが、その手続の流れでさらに短くできるところがないか、検討してまいりたいと思います。

升田委員 大臣、私の聞き取った限りではまだ支援金が支給されていないというのが事実だ、私はこう思って今このような質疑をさせていただいています。

 先ほども申し上げましたけれども、あしたからどうするんだ、だけれどもこういう制度があるからな、でも、一カ月たった、二カ月たった、まだお金が来ないとなると、これは精神的にさらにまた参ってしまいますので、ぜひ、大臣におかれては、なぜそうなのか、そして、そこに問題があるとすれば、しっかりとそれは解決策を述べて私は解決してもらいたい。やはり精神的に参りますから、国の対応が遅いとまたさらに悪影響になってしまうということをもう一度しっかりと述べておきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今の件でございますけれども、手続の方は関係の方としっかり迅速を図っておるわけでございますけれども、最初の認定なり、そこのところで出していただいた書類がきちんとできていないような場合もございます。その辺のところもございますので、しっかりとまた調べさせていただいて、迅速化に努めてまいりたいというふうに思います。

升田委員 手続、いわゆる書類のことだと思うんですけれども、被災された方は精神的に参っていますから、大臣、これはあくまでも、簡単に書けば済むようなそういう届け出の仕方でないと、私は、いわゆる被災者に寄り添っている政治行政ではないと思いますので、そこのところの解決をひとつお願い申し上げて、次に行きたいと思います。

 それでは次に、農業補償についてでありますが、ちょっと質問の順番が逆になると思いますが、アドリブでいかざるを得ません。

 まずは、収入保険制度の中身について聞きたいわけでありますけれども、リンゴと米、これは私の地元の青森県の農業の中でも非常に大事な品目でありまして、一たび災害が起きまして、例えば米は、収量の三割以上が被害をこうむらないと共済の適用がならないということであります。

 これが現場に行きますと、一筆の範囲が狭い人にとっては三割というのは大したことないんですけれども、大きいところに行くと、この三割規模というのは相当な被害がないと該当にならない、そういうところに不満の声があるわけであります。

 と同時に、それは、その量に対しての共済のものでありますが、いわゆる価格が低下したものに対する、全体に対するそれを補償するものではない、こう伺っておりますので、そういう意味において、収入に対する保険制度というのは農家の皆さんにとって非常に待望される制度だと思うんです。

 今、国は、たしか昨年とことしと来年でしょうか、調査費をつけているのは。そう伺っておりますが、そこで、今、その制度設計をどんなところにポイントを置いて行っているのか、その内容と目的というのをお伺いしたいと思います。

伊東副大臣 二点について御質問いただきました。

 まず、今お話ございました農業共済の補償基準の緩和ということであります。

 確かに、水稲の一筆方式では、収穫量の三割以上の減少がなければ補償されない、このように聞いているところでもあります。

 この農業共済制度は、加入者が相応の損害防止措置を行うことを前提に、損害の一部について、加入者同士が出し合った掛金で補填する保険の仕組みであります。

 この共済金支払いの開始となります支払い事業につきましては、負担金、そしてまた損害査定事務コスト等を勘案して、品目ごとで引き受け方式ごとに適切な水準を設定してきております。

 今、委員お話しの、一筆方式では耕地ごとに三割以上の収入減となっているところでありますが、このほかに半相殺方式というのがございまして、これは農業者ごとに被害耕地の合計で二割以上の収入減の場合、そしてまた、全相殺方式というのは農業者ごとに耕地の合計で一割以上の収入減がある場合ということで、支払い基準が低い引き受け方式も設けられておりまして、いわゆる三種類プラス品質方式というのがありまして、実は四種類の支払い方式があるわけであります。これは農家が選択をすることになっているところであります。

 また、お尋ねありました収入保険制度であります。

 この収入保険制度につきましては、現在、実は、農業共済制度というのは自然災害による収量減少を対象にしておりまして、価格の低下は対象になっておりません。また、対象品目は収量を確認できるものに限定されておりまして、農業経営全体を対象としていないといった課題があるわけであります。このため、全ての農作物を対象として、農業経営全体の収入に着目した収入保険の導入につきまして調査検討を進めていく必要があるということであります。

 これまでも、農業者の経営データを収集する、これは昨年度でありますけれども、相当数の、四千件のデータ収集を行っておりますし、昨年十一月からは、平成二十七年産を対象にいたしまして、農家の協力を得まして、制度の仕組みの検証を行う事業化調査を実施しているところであります。こうした事業化調査の結果を踏まえまして制度を固めていきたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

升田委員 収入保険制度ということで、保険制度の名前がついているのであって、ということは、これは加入者がいないと制度がまたもたないということになるわけですね。

 いろいろな制度があっても、加入者が少なくて、いざ被害があると国が何とかしてくれよということで、国が全部何でもできればいいんでしょうけれども、それは財源の背景もあってなかなかできないとなりますと、その保険制度で農家の方々が被害を最小限にするためには、なるたけ入ってもらえるということが大事なポイントだと思うんですけれども、これがなかなか、いろいろなところでうまくいかないと思っているんですね。

 この新しい保険制度を導入するに当たって、加入促進に対してはどんなやり方をしようとしているのか、お伺いしたいと思います。

伊東副大臣 先ほども御答弁しましたように、これは、農家の収入を全般的に把握する青色申告をした農業者というのが対象となっております。

 平成二十六年度予算の調査費で四千経営体、個人三千、法人千の過去七年分の収入データを収集しているところであります。

 今年度は、この事業化調査を行っておりまして、個人七百五十、法人二百五十の千経営体に実際にこの収入保険に入ったと同様の記録あるいは収入の算定をしていただいて、この結果を得て、来年、早ければ法制化に進みたい、このように考えているところであります。

 何回も申し上げまして恐縮でございますけれども、自然災害による収量減少を対象にしているのが現共済制度、そして、価格低下等々は、これはなっておらないわけでありますので、こうしたものも含めた収入保険、収入確定という今取り組みの最中でございまして、いま少しお時間をいただきたい、このように思う次第であります。

升田委員 次に行きます。

 リンゴ産地、私の地元青森県では、ことしの十月二日と十三日の爆弾低気圧によって、強風の影響で、私の地元である五所川原市を含めてその周辺にリンゴの被害が出ました。

 強風により木から落ちるリンゴだけではなく、枝や葉がすれ合うことでリンゴの実が傷ついてしまう。そうなりますと、皆さんがよく耳にするわけありリンゴとして販売することになるわけでありますが、これは値段も半値以下になってしまいます。まだこれはいい方で、加工に回された場合は、リンゴ一箱二十キロ、これが百円から二百円ぐらいになってしまいます。

 これは五所川原市周辺でのデータでありますけれども、先般の被害では、割合として、傷がついたのが三割。わけありリンゴになってしまいますが、これは販売可能であります。そして、加工用が四割。こういう状態であります。

 農家の皆さんにとっては、自分が生産している作物に対して災害なく収穫できる日を待ち望んでいるわけでありますが、このような災害が来ると、本当にその落胆というのははかり知れないものがあります。そのようなことが起きた場合は、これは国が一定の支援をするのは当然あるべき姿だ、私はこう思っております。

 そこで、基本的で恐縮でありますけれども、青森県におけるリンゴの状況というのをお伺いしたいなと思っております。

 といいますのは、当初は、大したことがないな、こう言われたんですが、しかし、時間がたつごとに、そうではないよ、結構被害があるねということでありますので、今現況どのぐらいの被害なのか、どう把握していますでしょうか。

山北政府参考人 十月上旬のあの暴風によりまして、青森県でリンゴについて大きな被害が出ているというふうに聞いております。傷ですとかあるいは落果といったことで被害が発生しているというふうに承知しているところでございます。

 そういうことで、九月三十日の段階で十月の一日から三日にかけて低気圧が急速に発達するという情報を我々も受けましたので、三十日の段階で、まずは被災の防止の措置をとってください、また、被害が発生したときには迅速に損害評価を実施してくださいといったようなことを農業共済組合の連合会の方にも通知させていただいたということでございます。

 今、青森県の農業共済組合連合会からお伺いしているところによりますと、十一月中かけまして現地での評価というのは終了したということを聞いておるところでございますが、これから学識経験者等によります損害評価会というのを開いて審査等をしていくということでございます。その後、国に対する再保険の手続をした上で共済金を支払わせていただきたいというふうに考えておりますので、今そういう手続をしているというところでございます。

 可能な限り共済金を早期にお支払いできるように対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

升田委員 しっかりとした対応を求めたい、こう思います。

 関連してお伺いしたいと思います。

 一つは、強風が来るとリンゴが落ちたり傷ついたり、先ほど申し上げましたが、それを防ぐために防風ネットの整備というのが行われているわけでありますけれども、この取り組み状況などというのはどんな状況なんでしょうか。

山北政府参考人 お答えいたします。

 突然の通告でございますので、今の時点で状況までは把握していないんですけれども、今、先生おっしゃったように、防風ネットの設置につきましては、国の方で、果樹の経営支援対策事業ということで二分の一の補助をさせていただいているということでございます。

 また、こういった防風ネットの設置につきましては、いろいろな制度の融資の活用も可能というような対応をさせていただきまして、そういった防風ネットの設置によって被害を軽減するような取り組みがされるように、我々としても対応しているところでございます。

 また、果樹共済に入るときに、例えばそういった防災ネットをみずからつくっているということでしたならば、その分被害が軽減されるということでもございますので、そういった防風ネットの施設を設置した農業者には共済掛金を割り引くといったような仕組みもつくりまして、あわせた対応を行っているところでございます。

升田委員 防風ネットは、今答弁あったように、二分の一が国の補助でありますけれども、私は、もうちょっとそれをかさ上げしてもらえないかなというようなところを思っております。

 というのは、理由は、今、災害が、時たまに起きるのではなくて頻繁に起きているという状況と、いま一つは、共済の掛金が、米に比べたらリンゴは五倍から六倍高いんですね。この状況を考えると、農家の負担をあるいは被害を最小限にするためには、防風ネットは相当有効な手だてなんです、私も現場を見て。ですから、そこは大きな意味で、あれも二分の一これも二分の一の二分の一ではなくて、トータル的にはこっちの方が大事だねということで、かさ上げというのをちょっと研究していただきたいな、こう思います。

 それでは、最後の質問に入らせていただきます。

 アイドリングストップについて、私は、これはぜひ河野大臣にお伺いしたいなと思っています。

 災害が起きる原因というのはいろいろあるでありましょうけれども、地球温暖化、あるいはCO2がどんどんふえているからこんなことになるんだ、よくこう言われておりますので、CO2の削減は、省エネとか、あるいは日本は技術を高めていろいろ取り組んでいるんですが、私は、地方議会を経験し、これまで政治活動をしながら、これはちょっとおかしいなと思うのがあるんです。

 それを述べる前に、ちょっとおいておいて、実は県会議員のときにドイツの方に研修をさせていただきました。我々、五名か六名で研修、視察に行きました。二十人乗りぐらいのバスだったと記憶しておりますけれども、研修場所に行きました。我々は二時間ぐらい入りました。帰ってきました。大変暑い日なんです。大臣、このとき、この運転手がどんな格好で我々を待っていたか。

 それは、車のドアをあけて、窓を全部あけて、今私も汗をかいていますけれども、タオルで汗を拭いて、二時間、運転手は待っていたんです。いわゆるエンジンは全くかけていませんでした。アイドリングもしておりませんでした。私は、研修内容よりも、むしろこのことに感動したぐらいです。いかに環境を守ろうという意識が高いのか、これは感動いたしました。

 翻って、我が国はどうでしょうか。大変これは恐縮でありますけれども、首長さん、市長さん、町長さん、村長さんがいます。議員も、偉い方、何か式典があります。車を待たせます。待っている人はほとんど、暖房かクーラーをつけてその場所にいるじゃないですか。

 そこで思ったことは、これはドイツの方で提言があったんですよ。もし、その建物の中にしっかりと待合室があるならば、そこはちゃんと冷房がきいているんだから、車の中で待たないで、その施設の中で待てば、車でエンジンをかける必要はないんですね。こういうことは我々の国では啓蒙していますと言っているんです。

 ですから、やはりこれは、国があるいは政治行政が率先してそういう姿勢を私は見せるべきだ、こう思っておりますので、この御見解を求めたいと思います。

河野国務大臣 大変にすばらしい御提案だと思います。

 ちょうど今、COP21をフランスでやっているわけで、気候変動をどう防ぐかという議論をしております。もちろん、国レベルでいろいろな議論も大事ですけれども、一人一人が自分でできることをやるというのがこの基本なんだろうというふうに思います。

 アイドリングストップを初め、いろいろできることはあると思いますので、政府としても何が、細かいことでもできるか、きちんとできるところからやはりやらなきゃいかぬと思いますし、これは政府だけでなく、日本じゅうの国民の皆さん一人一人に、こういうことができますよねということをやはりお考えいただくというのは大事だろうというふうに思います。

 今、防災の方で、気候変動による災害の激甚化にどう備えるんだという議論をしておりますが、本来は、気候変動による激甚化に備える前に気候変動をとめろよというのがやはり本筋だろうと思いますので、国民の皆さん一人一人とともにしっかりと対応してまいりたいと思います。

升田委員 時間が来ましたけれども、ほんの一言だけお許しいただいて述べさせていただきたいと思います。

梶山委員長 簡潔にお願いします。

升田委員 はい。

 技術は進んだんですね。信号でも、とまるとエンジンがかからない。ヨーロッパは当然で、今ようやく日本も追いついてきました。技術は進んだんですが、我々の精神性が追いついていないんです。ですから、ここはやはり立場が上の人が模範を見せるべきだなと思いますので、改革河野大臣と言われる強い指導力に期待して、終わりたいと思います。

梶山委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 関東・東北豪雨災害の発災直後から、皆さんからも、この委員会での質疑の要望も強くあったところであります。我が党も含めて、この災害対策の質疑を求めてまいりました。

 この間、野党五党が共同しまして、臨時国会の開催を憲法五十三条の規定に基づき要求したところですけれども、そういう議論すべき国民的な課題が多々ある中で、こういった豪雨災害に対する対策も当然求められていたわけであります。それにもかかわらず安倍内閣は臨時国会に応じないという姿勢で、極めて明確な憲法違反であり、国会として断じて容認できないということは強く申し上げておくものであります。

 災害特での閉会中審査は重要でありますけれども、これら一連の閉会中審査をもって臨時国会にかえることはできないわけで、重ねて臨時国会の開催を要求するものであります。

 九月十日の関東・東北豪雨災害は各地で多大な被害をもたらしました。きょうは、鬼怒川流域の茨城県常総市における被害は極めて大きかった、この点についてお尋ねをしたい。

 被災から三カ月近くたちますけれども、今なお避難所での避難生活を余儀なくされている方もいらっしゃいますし、ホテルや旅館などの二次避難所に移られた方、親戚や知人の家に避難されている方もいらっしゃいます。避難者、被災者全体を視野に入れた支援策を行っていくことを求めていくものであります。

 あわせて、住宅再建、生活、なりわいの再建は進んでおりません。その障害となっている問題は何なのか、この点についてきょうは質問するつもりであります。

 最初に常総市における浸水被害の大きさについて確認的にお聞きしたいんですが、常総市、四十平方キロメートル、その約三分の一が浸水をいたしました。住家被害の状況がどうなっているのかについてお答えをいただけますか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 茨城県の取りまとめによりますと、今般の被害によって、常総市では、十二月一日現在、戸数ベースで、全壊五十一、大規模半壊千四百五十二、半壊三千五百二十、床上浸水百、床下浸水二千九百九十六の被害状況が生じているところでございます。

塩川委員 今答弁がありましたように、合わせて八千百十九件、八千を超える世帯が被害を受けております。常総市の世帯数が二万一千世帯ですから、いわば四割に及ぶという甚大な被害であります。市役所も浸水し、また避難所も浸水をし、多くの商店や事業所なども被害をこうむりました。鬼怒川と小貝川に挟まれた地域はほぼ全域が浸水するような状況で、常総市の主要地域のほとんどの建物が浸水被害を受けたと言える甚大な災害だったわけであります。

 その点でお聞きしたいのが、こういう一連の被災者支援を行う場合、その制度が適用される指標となるのが住家被害認定であります。この被害認定は、被災者の住機能が維持されているかどうかというのが判断基準であります。被災者の被害実態に着目した被害認定が必要であります。

 そういうときに、現場の方では、床上だったら半壊、一メートルを超えていたら大規模半壊、こういう一律の線引きだけがひとり歩きをするような状況になってしまう。そうではなくて、そもそも被災者の住機能が維持されているのかどうかという観点で判断をするべきものであり、こういった線引きというのは、いわば迅速簡易な被害認定を進めていく第一歩として求められているものだ、そういうふうに考えますが、内閣府防災としての説明をお願いしたい。

加藤政府参考人 お答えをいたします。

 水害による住家被害につきましては、戸建ての住宅、プレハブ造の一、二階建てで、かつ、水流や泥流、瓦れき等の衝突の外力により損傷がある場合に、外観及び浸水深のみで被害認定を行えるという形にしております。この調査方法は、東日本大震災で津波により被害を受けた住宅の被害認定を迅速に行い、被災者の生活再建を早期に進めるために適用されたものでございます。

 その後、平成二十五年六月に、水害による住家被害の第一次調査として、住家の被害認定基準運用指針に位置づけられております。しかし、これは第一次の簡易的な調査でございますので、被災者から申請がございましたら、住宅の傾斜あるいは各部位の損害割合の合計により判定する二次調査を行うという形にしておるところでございます。

塩川委員 被災者の生活再建につながるように簡易迅速な被害認定を行うという中での措置であります。

 そういった点で、具体例でお尋ねをしたいんですけれども、床上一メートルを超すような浸水であれば、住機能が喪失しているということは一見して明らかであり、大規模半壊等の迅速簡易な被害認定によって被災者支援を進めるという措置であるわけで、その被害認定が実態に合わないということであれば、今二次調査という話もありましたけれども、実情に即した被害認定に改めるのは当然のことであります。

 そこで、三階建ての住宅の話をお聞きしました。一メートルを超える床上浸水のために、主要な居住部分が一階部分に集中していますから使用できないという中であるにもかかわらず、三階建ての住宅なので半壊というふうにされたというお話であります。

 しかしながら、一階部分に基本的な住機能が集中しているということであれば、住機能の維持ができないということであり、半壊にとどまらず、大規模半壊等の被害認定というのが実態に即しているんじゃないのか、こういう被災者の声というのが強くあるわけですけれども、このことについてはどのように考えているのか、お聞きしたい。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘ございました三階建ての戸建て住宅の場合で、台所、食堂及び居間が一階にありまして浸水を受けている場合は、一階の損害割合を、やはりそういうものがあるということで、一・二五倍ということで割り増しをするということができる措置はとってございます。

 しかしながら、三階建てということになりますと、浸水により被害を受けた床面積、これが平家建てあるいは二階建てに比べると相対的に小さくなるということがございますので、一般論として大規模半壊になることは少ない。全くないわけではございませんが、一般論としては少なくなるというふうに考えております。

塩川委員 一・二五倍の話がありました。一階の住機能に着目してという措置ですけれども、これは二〇〇九年からということで入っているわけですけれども、要するに、やはり実態に即してだんだんと改良、改善していくべきものなんですよね。

 被災者が住み続けられる、そういう環境を整える上で、被害認定というのは一連の被災者支援策を動かしていく基準、指標ですから、ここをしっかりと実態に合ったものにするということが必要なんだ、こういうことを訴えておられる方も異議申し立てをされておられるそうであります。

 応急修理を活用したいんだけれども、その期限が十二月の二十五日で、間に合うかどうか、こんな話もあるわけで、やはり被災者の実情に即したしっかりとした対応というのをとることを強く求めるものですし、そういう立場で被災自治体に対してもしかるべく助言を行うということを改めて求めておくものであります。

 もう一つお聞きしたいのが、三階建ての市営住宅、ですから、各階にそれぞれ住民の方がお住まいになっているわけですけれども、その三階建ての市営住宅の一階に居住していた住民が、床上一メートルを超えるような浸水被害をこうむったのに、三階建ての集合住宅全体で見たら一部だからということで半壊相当という話にもなったということも聞きました。これはおかしいんじゃないでしょうか。

 当然のことながら、二階、三階に住んでいるわけじゃない、一階部分だけで住んでいるわけですから、三階の建物、集合住宅全体を見て一階部分の被害認定を行うということは、それはどう考えてもおかしい話であって、こういうことについて、基本は入居者の世帯単位で判断するということになるんじゃないか。こういうふうな実際の運用としておかしい問題についてはきちっと改めていく、こういったことについてもしかるべく助言を行う必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

加藤政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘の点でございますが、水害により浸水した階の住戸と浸水しなかった階の住戸のように、集合住宅で住戸間で明らかに被害程度が異なる場合は、住戸ごとに判定して認定することも必要であるというふうに考えております。

 具体的に申し上げますと、建物の全体の傾き、あるいは躯体の被害というようなものにつきましては、全体のことでございますので、一棟全体で損害割合を算定します。その上で、内壁とか床とかにつきましては、浸水した階としなかった階で明らかに被害程度が異なる部位がございますので、住家ごとに損害割合を算定して、その合計で損害割合を判定するということは考えられるところでございます。

塩川委員 そういった実情に即した対応という点でも、住家の被害実態に着目した被害認定が行われるように、現場がどうなっているのかについて改めて検証する必要があると思うんですよ。そういうことについて、ぜひ検証の機会というのを設けていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 制度というのは常に不断の見直しをしなければいかぬというふうに思っております。先ほどの福島先生からの御指摘もありましたので、いろいろなことについて、この処理の後、きちんとした見直しを行って、改めるべきものは改めてまいりたいと思います。

塩川委員 こういった被害認定がスタートして一連の被災者支援制度なども動いてくるわけですけれども、その被災者支援制度がどうかという問題であります。

 常総市が、全半壊世帯の方にアンケートを行いました。その中では、自宅の修復や建てかえ、住みかえが終了していないという世帯が八一%に上っております。三カ月近くがたっても、いまだにそういう状況であります。自宅再建のめどが立たないという回答の方も、百五十世帯という形でいらっしゃいました。

 もちろん、工事事業者が確保できないとかという問題もありますので、早期の事業者の確保なども力を尽くすとともに、かつてない大規模水害だからこそ、被災者支援制度の抜本的な拡充が必要だと考えます。

 この点で、茨城県が常総市とともに一連の独自の支援策を打ち出しました。これも、被害の深刻さを踏まえてのものであります。

 幾つか紹介すると、一つは、被災者生活再建支援法では支援の対象にならない半壊世帯への二十五万円の支給、二つは、所得制限により災害救助法の応急修理の対象とならない世帯に対して、住宅応急修理の支援額と同等の補助を行うということ、三つ目に、被災中小企業の事業再開、事業継続に対する五十万円の補助などであります。

 これはまさに、現場の被災者の実態に即して、被災者の強い要望、要求もあり、県、常総市としても受けとめざるを得なかった中での措置で、これを被災者の皆さんはよしとしているわけではない、さらにという思いの中でのこういう施策であると思いますけれども、大臣は、この県等がとった措置についてはどのように受けとめておられますか。

河野国務大臣 基本的に、災害が起きたときの個人の救済というのは自治体がまずやる、さらにバックアップが必要なときには都道府県、さらに国という、段階的に対応することになっているわけでございます。災害の状況を一番間近に見ている自治体が、その状況に応じて必要な措置をとるということの結果なんだろうというふうに思います。

 国としては、必要な状況できちんとした支援を、バックアップを行ってまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 実際に被災の現場で動くのは市町村というのは当然のことであるわけですけれども、伴う金目の話というのは都道府県そして国の責任として行うという点でも、国がどう動くかというのは極めて重要であるわけです。

 その点でも、この一連の国の制度に不備がある、使い勝手が悪いという声が上がっているというのも、昨日、常総市の市議会において、常総市の高杉市長が答弁をしておられました。そこでは、被災者生活再建支援制度や住宅応急修理などについて、水害の実態とずれており、国の制度は理不尽だというふうに述べて、制度改正を求めていく考えを示したと報道されております。

 大臣に重ねて伺いますが、茨城県と常総市がこのような支援策を打ち出さざるを得なかったというのは、国の支援制度に不備があり、支援内容が不十分だということを示しているということじゃないですか。

河野国務大臣 今回の常総の災害につきましては、かなり大規模な水害でございましたので、国の制度がどうだったのか、あるいは自治体、都道府県のバックアップがどうだったのか、そこはきちんと検証をしてまいりたいと思っております。

 ただ、一義的には災害の救済は自治体が対応をするというのが原則でございまして、もちろん、都道府県、国は、財政的に余りに負担が大きいときにはしっかりとバックアップをしてまいります。

 それともう一つ、これから先の災害につきましては、やはり自助。

 今、災害の場合に対する保険制度というのがございます。これは、地震保険、あるいは水害の場合の保険もございます。これから先の水害につきましては、まずきちんきちんとみずからそうした保険制度に加入をしていただいて、実際に被災をしたときにはきちんと再建に必要な保険金がおりる、こういう制度があるわけでございますから、これをきちんと活用、拡充していただくようにお願いを申し上げたいと思いますし、その保険料に対して何らかの税の優遇その他、そうしたことができないかということは、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

塩川委員 地域社会、地域経済が深刻な打撃を受けるような大規模災害において、地域全体がまさに生活が整わない、いわばマイナスのような状況を少なくともゼロにしていく、プラスに上げていく、そういった段階での支援を国が率先してやるというのは当然のことであって、こういうことこそ今求められているんじゃないでしょうか。

 ですから、財政的な国の支援も当然のことながら求められますし、国がいろいろ制度設計をしている災害救助法などの応急救助の仕組みなどについて、国がそういう枠組みをつくっているがために現場で使いにくい、使い勝手が悪い、こういう状況というのを改めるというのも国の責任だ。

 その例として、災害救助法の住宅応急修理についてお尋ねをいたします。

 先ほど紹介しましたように、茨城県は、所得制限により災害救助法の応急修理の対象とならない世帯に対して、住宅応急修理の支援額と同等の補助を行うこととしました。いわゆる資力要件を取り払うということであります。この資力要件が被災者支援の障害となっていることを示しています。

 そこでお尋ねしますが、この住宅応急修理の資力要件というのはどういうものなのか。あわせて、もともとこの応急修理というのは、昔はブルーシートを配るような、屋根にかけるブルーシートですとか、具体的な応急修理の現物給付というのは生活保護世帯のような世帯に限定されていた。そういうものが、二〇〇四年の新潟中越地震のときに、いわば新潟県として広く被災者に活用してもらうという立場で改めた中でこういった資力要件がつけられたという経緯があると思うんですが、資力要件の中身とその経緯について、あわせてお答えいただけますか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法の応急修理は、災害のために住家が半壊し、みずからの資力では応急修理をすることができない者、あるいは大規模な修理を行わなければ居住することが困難である程度に住家が半壊した者に対して必要最小限度の分の修理を行うというものでございまして、以上のことから、みずからの資力では応急修理をすることができないということを判断するために所得の要件を設けております。

 具体的には、直近の世帯収入として一般的には五百万以下の世帯が基準になりまして、あと、年齢によって幾つかの段階が設けられているというような形になっておるところでございます。

 それから、応急修理の中身でございます。

 中越地震の以前は、今御指摘ございましたように、生活保護等の被保護者を対象としてまいりましたが、新潟中越地震のときに運用を改めまして、災害のために住家が半壊し、みずからの資力では応急修理をすることができない者と、ただいま申し上げました者に拡充をしてきたところでございます。

 その態様につきましても、ブルーシート等をかぶせるというところから、屋根、壁等の修理箇所を明確化して、そこについて対象に入れたということでございます。

塩川委員 被災者への応急救助の対策として、被災者の要求を踏まえながら、より改善をしてきているという経緯があるわけですよね。そこがやはり大事だと思うんです。

 そういう点でも、もともとはほとんど使えないような応急修理を、いわば新潟中越地震のときに新潟県の働きかけもあって少し前に出たわけですよ、五百万という所得要件のところまで引き上げてきた。であれば、改めてここを見直していくというときに来ているんじゃないのか。茨城県などが独自の支援策を行ったというのも、この応急修理の資力要件が非常に使い勝手が悪い、公平性を欠く制度になっている、こういうことから生まれているということでも、今こそ見直すときに来ているということを言わざるを得ません。

 それで、では、実際に住宅応急修理について資力要件を細かく規定しているというのは、災害救助法の例えば政省令とかでもない、実際、救助法を活用する上で実務担当者が使う災害救助事務取扱要領の中の巻末の別添資料にくっつけているだけなんですよ。都道府県が作成をする住宅応急修理の実施要領例ですよね。

 つまりは、住宅の応急修理を利用する際におおよそのひな形がないといけないから、こういう例を巻末につけているわけですよ。そこにわざわざ資力要件を入れ込んでいるんです。逆に言うと、でも、例示なんですから、それは県の判断でそういう資力要件を設けないということだってできるんじゃないですか。

加藤政府参考人 応急修理で直した分につきましては、経済的な価値を生むというようなこともございますので、そこについてはきちんとした基準なりを設けて運用していくのが望ましいというふうに考えております。

塩川委員 いや、この事務取扱要領のまさに巻末の別添の三に実施要領例というのがあって、そこに所得等の要件が入っているんですけれども、冒頭の注のところに、これはあくまでも例示として示したものですと書いているんですよね。必要に応じて修正して御利用くださいというのがあるんですよ。

 本来であれば、そういう趣旨で、自治体の判断でこういう資力要件を設けないということだって当然行っていいはずだと考えています。ですから、それにブレーキをかけているのが国なんですよ。内閣府防災の方がそこを認めないという立場をとっているのが障害となっているということははっきりしているんじゃないでしょうか。

 経済的な話ということもされましたけれども、災害救助法では、資力要件がかかるとされているのは住宅応急修理だけじゃありません。例えば、応急仮設住宅の供与、応急仮設住宅についても資力要件は規定されているんですよ。

 応急仮設住宅は、みずからの資力では住宅を得ることができない者に対して提供することを原則とするとなっているんですけれども、では、現行、この応急仮設住宅の供与に当たって資力要件というのは実施されているんですか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法の応急仮設住宅は、災害により住家が全壊、流失等をし、みずからの資力では住宅を確保できない被災者に対し、一時的な仮住まいを提供するというものでございます。

 具体的な運用につきましては、災害の態様やそれによる被害状況が個々の災害で千差万別であるということから、被災自治体において個別に判断をしていただくという形になっております。

 重ねて申し上げますが、応急修理につきましては、その修理したものが個々人の資産となるというようなこともございますので、そこは差があるというものだと認識をしております。

塩川委員 これは、この取扱要領の中では、応急仮設住宅について、迅速な対応が必要であるが、災害による混乱時には十分な審査が困難であり、資産の被害や被災後の所得の変化等も勘案すると、一定額による厳格な所得制限等はなじまないし、また、実際に行っていないということで、行っていないんですよね。ちょっともう一回。

加藤政府参考人 個々の自治体の全ての例を承知しているわけではございませんが、自治体において一定の判断をしているというふうに聞いております。

塩川委員 この間の大きな災害で資力要件をかけたものはあるんですか。

加藤政府参考人 東日本大震災等につきましては資力要件を取り外してやっておりますけれども、個々の被害の中では、そういうふうな、年収五百万とかという要件を使って応急仮設について対応しているという例があると承知をしております。

塩川委員 聞いたことないですね、例示としても挙げられていないし。

 基本は資力要件なんてかけていないんですよ。被災者の実情を考えたときに、応急救助ですから、直ちに救助をするといったときに、いろいろな要件をつけるというのはおかしいんですよ。公平に対応するということが必要なんだ。そういうことがあるからこそ、一応文言としては資力要件とかかっているけれども、応急仮設住宅では実際にはそれを行っていないというのが実態であるわけです。

 そういう意味でも、今言ったように、具体の運用については被災自治体で個別に判断するということですから、やはり住宅応急修理についても被災自治体の判断でできるようにすればいいんですよ。

 個人の資産云々といいますけれども、もともと被災者生活再建支援法についても、所得要件、資力要件があったのを取り払ってきているわけでしょう。個人の財産に資するようなことには公費は使えない、こういう理屈が間違いだ、こういうことで被災者生活再建支援制度を前進させてきたというのがこの国会での皆さんの取り組みだったんじゃないですか。

 今さらこんな、古い、時代おくれの理屈を持ち出して住宅応急修理について資力要件をかけたままにする、こんなことは認められないのははっきりしているんじゃないですか。

加藤政府参考人 先ほど申し上げました例でございますけれども、例えば、平成十六年の台風二十三号におきまして、兵庫県では年収四百万円以下、平成十八年七月の豪雨で、鹿児島県で年収五百万円以下、あるいは、ほかの自治体では、例えば所得証明書の添付を求めている平成二十三年の三重県の例とか、都道府県に応じて、具体の基準を示しておりませんが、所得、収入の状況を確認しているというふうに伺っております。

塩川委員 だとしたら、資力要件を応急仮設住宅も取り払うべきなんですよ。そうじゃないですか。被災者の皆さんが本当に目の前で困っている。資力要件といったって、来年、ことしの収入がどうなるのかわからないでしょう。それで何でわざわざこういうのをかけるのか。それこそ被災者の自立を損なうようなことじゃないですか。こういうことこそ大もとから見直すときに来ているんじゃないのか。

 であれば、被災者生活再建支援法で、資力要件、所得要件がかかっていたのに、二〇〇七年に取り払いました。このとき、これは議員立法でしたから、発議者がどういう理由で取り払おうとしたのか、そのことについて答えてもらえますか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年の法改正に係る国会審議の中で改正案の提案がなされまして、ここで、見舞金的な形でお渡しする支援金であるという観点、被災者間の不公平感を是正するとの観点等により、収入要件を撤廃するとの議論が国会の中であったと承知をしております。

 なお、今の仕組みでございますけれども、最高三百万円ということでございますけれども、中身は、全壊の場合に百万、あるいは半壊の場合に五十万ということで、被害の程度に応じたものとか、再建方法で、建設の場合は二百万、補修百万、賃借五十万というふうに、状況を見て供給額を決めておるところでございます。

 なお、当初、阪神・淡路のときに百万で制度ができまして、現在の形になっておるということでございます。

塩川委員 ですから、資力要件を取り払ってきているのは、不公平感を解消する、公平に被災者支援をしっかりやろうというのが出発点なんですから。生活再建支援段階の、被災者生活再建支援制度の前の応急救助の災害救助法に基づく住宅応急修理について余計な要件をつけるということ自身が、公平性を欠く、迅速な被災者の救助にとって損なうものになるということこそ、今問われているわけであります。

 大臣にお尋ねします。

 今お話ししましたように、資力要件を取り払うということこそ必要なんじゃないのか。応急仮設住宅についても、実際には資力要件を行っていない。被災者生活再建支援法は資力要件を取り払った。住宅応急修理の資力要件についても取り払うべきではありませんか。

河野国務大臣 先ほどの福島先生からも問題提起がございましたので、資力要件の中身については少し見直すことを検討してまいりたいと思いますが、応急修理は、やはり個人の財産の形成にもつながりますので、資力要件の撤廃がいいかどうかというのは、私は少し疑問に思っております。

 これから先の災害については、むしろ、先ほどから何度も申し上げて恐縮でございますが、災害に関する保険制度というのがございますので、それにきちんと入っていただいて、いざ被災したときにきちんと再建につなげることができる、そうした制度の拡充、活用を政府としてはプロモーションしてまいりたいと思っております。

塩川委員 今やりとりしているのは、国の制度の足かせを取り払うべきだという話をしているわけで、その点でも資力要件についての問題点を見直すという方向での対応が求められているということ、ぜひそういう立場で踏み込んだ対応をお願いしたいということを求めると同時に、応急救助なのに使い勝手が悪いという本末転倒は許されないわけで、こういった住宅応急修理の資力要件を取り払うということを強く求めておくものであります。

 あと、被災者生活再建支援制度の拡充ですけれども、茨城県は、半壊世帯に対する支援金の支給を実施することにいたしました。冒頭確認しましたように、半壊の世帯が大変多いというのにもかかわらず、支援策が極めて不十分ということに不公平さを感じる意見が多数寄せられているからであります。

 そこで、お答えいただきたいのは、半壊世帯への支援金を支給する制度をつくったことがある都道府県の数が幾つか、また、そのうち、茨城県の二十五万円の金額と同等以上を支給する、そういう制度をつくったことがある都道府県が幾つか、その数を教えていただきたいのと、ぜひ国として半壊世帯も支給対象として拡充すべきだと思いますが、その点についてお答えください。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 本年九月に行った聞き取り調査によりますと、これで把握しておるところでございますけれども、二十四都道府県が、半壊世帯を対象とする、制度の数としては三十一の独自の支援制度を設けてございます。そのうち、半壊世帯に対して二十五万円以上の支援措置を設けているのは十都府県というふうに承知をいたしております。

 半壊世帯につきましてでございますけれども、先ほど申し上げました見舞金的な性格ということと、他の制度あるいは財政状況等のことも勘案いたしまして、慎重に対応するべきではないかというふうに考えております。

塩川委員 実際には三十一の都道府県でつくったことがあると。こういう点でも、半壊世帯の数が多いし、そういう意味でも甚大な被害というのは明らかなわけです。

 水害の場合でも、よく言われるように、床上浸水であれ、もう壁は全部水が吸い上がって、断熱材が使えませんと。畳だって全部だめですし、一階の家財道具、電化製品が全部だめと。これだけの大きな被害があるにもかかわらず、実際には生活再建支援法の対象にならないということについて、強い不公平感が上がっているのも当然のことだろうと思います。

 半壊世帯への支援金支給に踏み出すべきときでありますし、あわせて、この支給額についても見直しを行うときだと思います。

 基礎支援金に加えて加算支援金が住宅再建の際に支給されるわけですけれども、今、実際に住宅再建をしようと思えば、資材の高騰などもあります、必要な経費が膨らむような状況にあるということであれば、実際に住宅再建してこそ生活の再建だという意味でも、今改めて、こういう経済状況のもとで、この支援金の引き上げを行うときではないか。

 大臣に、この点で、被災者生活再建支援法の見直しを行うというのが、二〇一一年という規定があったわけですけれども、東日本大震災ということがあって、実際先送りになってきています。それからもう五年近くたつわけですから、こういった半壊世帯、被災者の皆さんには一部損壊にも拡大してくれという声もあるわけですよ、そういった対象の拡大と支援金額、支給額の引き上げ、こういうことについて今こそ見直しを行うときに来ているんじゃないのかと思いますが、大臣の答弁をお願いしたい。

河野国務大臣 御指摘のとおり、再建法については、施行後四年をめどに見直しなどの総合的な検討を加えるということで、二十三年二月に検討会を設けて、いろいろな中間取りまとめが出されております。

 その結論は、同一の被害でありながら居住する地域により支援に差が生じるのは不公平との指摘がある中で、まず、現在の国と地方の役割分担のもとで行われている都道府県の独自支援の活動を広げていくことが重要だという意見が出されております。内閣府から、それを受けて、各都道府県宛てに各自治体においての支援措置の実施について検討するなどの対応をお願いし、今、三十三の都道府県で独自の支援制度が設けられているところでございます。

 もう一つ、御指摘の三百万円の増額については、私は、どちらかというと否定的でございます。

 これは、お見舞金という性格のものでございますので、これを引き上げるというよりは、もう何度もきょう繰り返して恐縮でございますが、やはり災害に対する備えというのは、まず自助でお願いをしていくのが先だと思います。むしろ保険制度をきちんと周知して、多くの方に備えをしていただくというのが優先されるべきだというふうに私は思っております。

塩川委員 住宅再建というのは生活再建だという点でも、生活再建なしに地域の再建もありませんし、大規模災害であればなおさらのこと、日本社会にかかわるような重大な損害をもたらすわけで、そういった、住宅を再建するということがいわば本来政治の土台に座っていてしかるべきだ、こういう立場での支援策を国がきちっと示していくということを財政的にも保障する、こういう取り組みこそ改めて重要だということを強調しておくものであります。

 次に、被災農家への支援策についてお尋ねします。

 きょう同僚委員からの質問もありましたが、一つは、被災農業者向け経営体育成支援事業の話があります。

 常総市の農業関係の被害が大変大きくて、五十億円に及ぶような被害額、もちろん、農産物の被害と同時に農業用機械の被害というのが大変大きかったわけであります。

 今回、この経営体育成支援事業で、国三割、県と市町で三割の計六割の補助ですが、被災農家の負担は四割となります。大変重い。

 お聞きした話では、ある農家の方は、去年購入した田植え機や三年前購入したトラクター、さらにはコンバインや精米機などの農機具で二千万円もかかっている、六割補助でもこれらだめになった機材を購入するのには自己負担は八百万円になる、自宅も取り壊すのでその再建費用もかかることを考えるととても農業を続けられない、今回の災害で廃業することを決めたという話がございました。

 この点でも、営農をしっかりと支える上で、例えば、去年の大雪被害のときにも被災農業者向け経営体育成支援事業を活用して、国が五割、県と市町がそれに四割を積み上げる形での九割の支援を行うということが、農家の方を大変励ますものにもなったわけであります。

 こういった被災農家の負担軽減のためのさらなる上乗せ措置をとることを具体化していただきたいことと、あわせて、続けて、収穫した米への支援策がどうなっているのかについて確認をしたい。先ほどの答弁にもありましたけれども、共済と遜色のないものという趣旨の答弁もありました。この点についても確認をしたいと思います。続けてお願いします。

山北政府参考人 気象災害によりまして施設等に被害が発生した場合には、まずは、農業共済なりあるいは融資ということで対応していただくのが基本だというふうに考えております。

 とりわけ、昨年の大雪のときの被害の状況ということも踏まえまして、特に農業用ハウス等の施設につきましては園芸施設共済ということで対応しているわけでございますけれども、本年の二月に、耐用年数を見直すですとか、あるいは、耐用年数を超えたハウスの補償額を上げるといったような措置の補償内容の拡充を行ったということでございます。

 今御指摘ございました経営体育成支援事業というのは、過去に例のないような気象災害が起きて甚大な被害が生じたというような場合に、農業経営の安定化に支障を来す事態が発生したということで、早期の営農再開を図ることを目的として実施しているものでございます。今回の台風十八号に係る被害につきましても、本事業を実施することとさせていただいております。

 また、こうした国からの支援とあわせまして、委員御指摘のとおり、地方公共団体においても、各県及び市町村の補助率はさまざまではありますけれども、支援を実施するということをお伺いしているところでございます。

 また、今お話がありましたように、今回の台風被害では、農業用機械、一時に被害に遭ったというようなことでございまして、これまではこういったものは対象にしておらなかったわけでございますけれども、農業用機械の修繕ですとか、あるいは耐用年数を超えた農業用機械の再取得といったものも助成対象に加えるといったような対応をとらせていただいたということでございます。

 こうした対応をすることによりまして、実際に、先ほど申しましたように、加入をいただいている場合の農業共済金、そういったものとあわせて被災農業者の営農の早期再建を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

天羽政府参考人 お答えいたします。

 さきの関東・東北豪雨によりまして、お米の収穫後、自宅に保管している段階で浸水被害を受けた農業者に対しましては、当該農業者が来年の営農再開に向けて行う土づくり、種もみ、肥料、農薬の準備などの取り組みに要する経費について助成を行うこととしております。具体的な支援の内容につきましては、現在関係省庁間で詳細を詰めているところでございます。

 その中で、支援水準といたしましては、収穫前に被害を受けた場合に農業共済で補償される水準を上限とするということを念頭に置きまして調整を進めているところでございます。被災農家の営農再開にしっかりつながりますよう、二十七年度の補正予算において必要な予算の確保に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 なお、収穫後に農業者が自宅に保管している段階で浸水被害を受けたお米の取り扱いにつきましては、基本的には農業者みずからが民間の保険に加入をして対応する必要があるということでございます。今後同様の被害が生じた場合に対応ができますよう、農業者に対しまして民間保険の活用を周知してまいりたいと考えております。

塩川委員 農家の皆さん、大きな家に住んでいても、実際には水につかってそのまま住むことができない。床下も剥がしたままで、乾かして、においもひどいですから、それも飛ぶような、それでお住まいになっているのは古い離れ、あるいは蔵の二階にまだ避難生活をされているような方もたくさんいらっしゃるわけです。そういった方に対して、営農が再開できると思えるような支援をしっかりと行うということを強く求めておくものです。

 あわせて、時間がありませんからきょうは質疑できませんけれども、被災中小企業の事業再開も待ったなしの取り組みで、その支援策というのが強く求められているところです。県の方が事業継続に対する五十万円の補助を行うというのはそういう意味でも非常に重要な役割で、お豆腐屋さんでも数百万円復旧にかかる、先が見えないという商店の方もたくさんあるわけですから、そういった方々への営業再開の思いにつながるような支援策というのを国として強く求めたい。

 残りの時間で鬼怒川の堤防問題について質問をいたします。

 鬼怒川流域というのは、御案内のとおり、上流の方が大きく広がっている漏斗状の地形となっているがゆえに、下流の方はどうしても細くなる、水が集中してくる。ですから、堤防の重要性が大変高いわけです。堤防の整備を急がなければならなかったはずですが、この茨城県部分の鬼怒川の堤防整備率というのはわずか一七%ということで、余りにも低過ぎると思うんですが、何でこんなことになっているのか、お尋ねしたい。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 これまで鬼怒川につきましては、下流部の茨城県内区間では連続堤防の整備による流下能力の向上、そして、流れの速い上流部の栃木県内区間では護岸整備による河岸の強化、そしてダム整備による流量の低減などを行うことにより、川全体にわたって安全度を向上させてきたところでございます。

 このような中で、実は、昭和四十八年に、目標とする治水安全度を向上させるべく治水計画を変更しまして、茨城県内区間では、さらに流下能力を向上させるために、計画上の堤防の断面を大きくいたしました。その結果として、それ以前の従来の計画では必要な断面を満たしていたものが、結果、満たさなくなることとなりまして、そういうことで茨城県区間の堤防整備率は栃木県区間に比べ相対的に低下をしたということがございます。

 その後、鬼怒川では、下流部の茨城県区間における堤防整備に重点的に予算を充当し、下流から整備を進めてきたところでございます。

塩川委員 低くなってしまったというのは、まさに実態として必要な整備が求められているからこそなわけで、言いわけにはならない話でもあります。隣接する小貝川の堤防整備率が六八%という点でも、対照的に非常に低いというのがこの鬼怒川の茨城県部分の堤防の整備率という点でも、この間の国交省の対応というのが厳しく問われているわけであります。

 あわせて、常総市の若宮戸地区の自然堤防の件ですけれども、ソーラーパネル設置に伴う事業者の掘削工事によって大きく削られました。地元住民の方は、浸水被害への強い懸念から、工事を中止させるように国交省に強く要望してまいりました。時間がないのでこの経緯については問いませんけれども、この区間はもともと堤防整備を計画していた場所だった、自然堤防よりも高い堤防をつくる必要があったのに、本来高くしなくちゃいけないのに、その自然堤防を削って低くしてしまった、これを国が容認したということが納得いかないというのが住民の皆さんの声なんですよ。どうですか。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 今塩川委員御指摘の若宮戸地区でございますけれども、国交省といたしましても、いわゆる自然堤防の部分が掘削をされますと、洪水時に浸水するおそれがあると認識はしてございました。しかしながら、若宮戸地区のいわゆるこの部分については、河川区域外の民有地ということもあり、所有者による掘削を河川管理者が制限することは法的には困難であるということを、常総市との協議も重ねて、そういうことを確認しました。

 したがいまして、私どもとしては、事業者に対して、地盤高を下げると洪水時に浸水するおそれがあるので、現地盤の高さで残すことはできないか、強く申し入れはいたしました。これは要請ベースでございます。

 しかし、事業者との間でこれが合意に至らなかったために、私どもとしては、緊急的な対策として、掘削前の地形の一番低いところとほぼ同程度の高さになるように大型土のうを設置して対応したということでございます。

塩川委員 これは去年六月二日の常総の市議会ですけれども、質問者に対して、市の執行部の答弁に、鬼怒川の国の計画としての水位については、百年に一回の水位をもとに河川計画を立てている、今回削り取られた丘陵部が百年に一回来るであろう高さの水位の高さだった、削り取られたことで下回ったので、その高さまで土のうを積むということで河川事務所は考えている、こういうふうに答弁をしているわけです。

 つまり、ソーラーパネル設置により自然堤防が削られた部分に国交省が待ったをかけたい、しかし、結果として、削るというときに土のうを積み上げた。それはやはり、溢水をするような、被害をもたらすということがわかっていたからなんじゃないんですか。

 そういう点で、本来、きちんと整備をすることが求められ、削るようなことがあってはならないような場所について、結果としてそれを容認したという国交省の責任は免れないんじゃないですか。この点どうですか。

梶山委員長 簡潔にお願いします。

野村政府参考人 お答えいたします。

 今ほどの話で、掘削前の一番低いところと天端の高さが同じになるような土のうは積んだということでございますけれども、今回の洪水では、その大型土のうより水位が高くなって溢水したことが確認をされております。それからまた、溢水した箇所の六百メートルほど下流のところにある自然堤防も実はこの洪水により失われて、これは氾濫によりかなりの深掘れが生じておるというふうなことでございまして、いわば若宮戸地区での溢水は、掘削がなかったとしても、これは免れ得なかったものとは考えております。

 いずれにしましても、今回の災害、鬼怒川の河道の能力を大きく超える洪水により発生したものであると考えております。今後の対応をきちんとしてまいりたいと思います。

塩川委員 今おっしゃいましたけれども、土のうを積んだのを高さというんですけれども、それで、それも実際に水位よりも下だった、水位の方が高かったというのは、でも、それは推測でしかないわけですよ、実際には。

 土のうを積んだというんだけれども、高さだけで、厚みなんかないわけですから。そういう点でも、おかしいという声が地元の皆さんから上がるのは当然のことなんですよ。

 そういう意味でも、今回の対応はどうだったのか、しっかりと検証する必要がある。過去にさかのぼって、どういう対応が求められていたのかを含めて国交省の問題についてただす上でも、きょうは時間がありません、臨時国会も開いてもらって、しっかりと国交省の河川の管理責任をただす機会を設けてもらうことを強く求めて、質問を終わります。

梶山委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.