第3号 平成28年3月17日(木曜日)
平成二十八年三月十七日(木曜日)午前八時四十分開議
出席委員
委員長 野田 聖子君
理事 大見 正君 理事 工藤 彰三君
理事 三ッ矢憲生君 理事 務台 俊介君
理事 望月 義夫君 理事 神山 洋介君
理事 升田世喜男君 理事 濱村 進君
今枝宗一郎君 加藤 鮎子君
梶山 弘志君 金子万寿夫君
金田 勝年君 神山 佐市君
木内 均君 國場幸之助君
今野 智博君 坂本 哲志君
櫻田 義孝君 笹川 博義君
新谷 正義君 鈴木 憲和君
谷川 とむ君 中川 郁子君
中根 一幸君 丹羽 秀樹君
原田 憲治君 泉 健太君
岡本 充功君 奥野総一郎君
小山 展弘君 篠原 豪君
伴野 豊君 浮島 智子君
中川 康洋君 大平 喜信君
堀内 照文君 河野 正美君
重徳 和彦君
…………………………………
国務大臣
(防災担当) 河野 太郎君
国務大臣
(国土強靱化担当) 加藤 勝信君
内閣府副大臣 松本 文明君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
国土交通副大臣 土井 亨君
環境副大臣 平口 洋君
内閣府大臣政務官 酒井 庸行君
総務大臣政務官 森屋 宏君
外務大臣政務官 山田 美樹君
経済産業大臣政務官 星野 剛士君
国土交通大臣政務官 宮内 秀樹君
国土交通大臣政務官 津島 淳君
防衛大臣政務官 熊田 裕通君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 河村 正人君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 加藤 久喜君
政府参考人
(警察庁交通局長) 井上 剛志君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 原田 淳志君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 吉田 眞人君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 大橋 秀行君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 横田 真二君
政府参考人
(外務省大臣官房儀典長) 嶋崎 郁君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 中村 吉利君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山田 重夫君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森 晃憲君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房技術総括審議官) 鈴木 康裕君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 梅田 珠実君
政府参考人
(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長) 福田 祐典君
政府参考人
(農林水産省農村振興局整備部長) 印藤 久喜君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 郷本 浩二君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 藤井 敏彦君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 舘 逸志君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 北本 政行君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 杉藤 崇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 池田 豊人君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 清水喜代志君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 栗田 卓也君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 金尾 健司君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 森 昌文君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 青木 由行君
政府参考人
(気象庁長官) 西出 則武君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 梶原 成元君
政府参考人
(防衛省統合幕僚監部総括官) 高橋 憲一君
衆議院調査局第三特別調査室長 宇佐美雅樹君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件
――――◇―――――
○野田委員長 これより会議を開きます。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河村正人君、内閣府政策統括官加藤久喜君、警察庁交通局長井上剛志君、総務省大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、総務省大臣官房審議官吉田眞人君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長大橋秀行君、消防庁国民保護・防災部長横田真二君、外務省大臣官房儀典長嶋崎郁君、外務省大臣官房審議官中村吉利君、外務省大臣官房参事官山田重夫君、文部科学省大臣官房審議官森晃憲君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官鈴木康裕君、厚生労働省大臣官房審議官梅田珠実君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長福田祐典君、農林水産省農村振興局整備部長印藤久喜君、林野庁森林整備部長本郷浩二君、資源エネルギー庁資源・燃料部長藤井敏彦君、国土交通省大臣官房審議官舘逸志君、国土交通省大臣官房審議官北本政行君、国土交通省大臣官房審議官杉藤崇君、国土交通省大臣官房技術審議官池田豊人君、国土交通省大臣官房技術審議官清水喜代志君、国土交通省都市局長栗田卓也君、国土交通省水管理・国土保全局長金尾健司君、国土交通省道路局長森昌文君、国土交通省道路局次長青木由行君、気象庁長官西出則武君、環境省地球環境局長梶原成元君及び防衛省統合幕僚監部総括官高橋憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○野田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。升田世喜男君。
○升田委員 おはようございます。民主・維新・無所属クラブの升田世喜男であります。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
質疑に入る前に、一言申し上げさせていただきたいと思います。
きょうは三月の十七日、先週に十一日がございました。東日本大震災から丸五年が過ぎたわけでありまして、改めて、この機会をおかりしまして、お亡くなりになられた方々に、そして御遺族の皆様方に哀悼の意を表したい、このように思います。そして、いまだに行方がわからない多くの方々が一日も早く御家族のもとへ戻られますよう、心から願うばかりであります。
現在もなお避難を余儀なくされている方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地に一日も早く安定が訪れるよう、微力ながら全力を尽くしてまいりたい、このように思います。
それでは、先般の大臣所信を受けての質疑を行いたいと思います。
気候変動による災害について、これに関することで何点かお伺いしたいと思います。
我が国日本は、防災対策は過去の痛ましい災害による被害を教訓として発展をしてまいりました。一九五九年伊勢湾台風、一九九五年阪神・淡路大震災、そして二〇一一年の東日本大震災です。
最近の災害の傾向は、地球環境の変動による異常気象の影響が大きいと私は思います。昨年の十二月、COP21において、先進国を初め途上国も参加する、温室効果ガス排出削減のための新たな枠組みとなるパリ協定が採択をされました。気候変動による環境への影響を食いとめることが最優先であることはもちろんのことでありますが、気候変動がもたらす災害の激甚化に備えることも重要になってまいります。
そこで、まず環境省から、気候変動に対応した政府の取り組みについてお伺いをいたします。
○平口副大臣 お答えをいたします。
近年、委員御指摘のように、我が国において、集中豪雨がふえ、全国各地で水害や土砂災害が頻発し、甚大な被害が発生しており、こうした異常な極端な気象については、温室効果ガス排出量の増加の影響との指摘があります。また、今後、温室効果ガス排出量の増加によって豪雨の規模や頻度が増大することが予測されています。
こうした気候変動による豪雨災害や農作物などへの影響に対処し、被害を回避、軽減するいわゆる適応策を進めていくため、昨年十一月に、我が国として初めて、気候変動の影響への適応計画というものを閣議決定いたしました。この適応計画を着実に実施し、温室効果ガスの排出削減はもちろんのこと、適応についても政府としてしっかり取り組んでまいります。
○升田委員 河野大臣にお伺いしたいと思うんですが、地球温暖化に伴う気候変動がもたらす災害の対策について、河野大臣の御見解を求めたいと思います。
○河野国務大臣 気候変動を引き起こさないというのがまず一番大切なことなんだろうというふうに思いますが、もう既に、地球温暖化による気候変動の影響で災害の激甚化というのを我々は感じているんだと思います。台風の数あるいは強さ、集中豪雨が極端になってきた、そういうことを考えると、やはりこれからの激甚化する自然災害にどう備えていくかというのが非常に大切なことになってくると思います。
委員おっしゃいましたように、我が国は、伊勢湾台風、阪神・淡路の震災、そして二〇一一年三月十一日の東日本の大震災、三つの大きな自然災害を経験して、それなりに法整備をしたり、あるいはさまざまな体制をつくってきたわけでございますが、これから我々が経験するであろう気候変動に伴う自然災害の激甚化というものが次の大きな節目になってくると私は思っております。
そうしたことから、内閣府の中に、防災四・〇、この四・〇という、次の四つ目の気候変動による災害の激甚化を見据えたプロジェクトを立ち上げました。政府あるいは自治体、行政による公助だけではやはりこうした自然災害にはなかなか立ち向かえないんだろう。自助、共助、御家庭や地域あるいは職場単位でしっかりとお互い助け合う、あるいは食料品を初めとする備蓄をやっていただく、あるいは、国民一人一人が本当に災害のリスクと向き合って、災害保険その他、備えをしっかりやる、そうした準備をしていく必要があるんだろうというふうに思っております。
このプロジェクトは、さまざまな分野の第一人者にお集まりをいただきまして、今検討を重ね、五月中には何とか取りまとめをして、我々が次に立ち向かわなければいけない災害にどのように備えていったらいいかということを国民と広く考えられる、そんなきっかけにしてまいりたいというふうに思っております。
○升田委員 防災四・〇という、今取り組もうとしている、あるいは何度かもう会議をやられたというふうに伺っておりますが、この環境問題は、今大臣もお答えしたように、国民の関心がまず高まっていかないといけないと同時に、国民の協力する気持ちもないといけない、これは根底に必要なことだと私は思います。
前回の災害特別委員会のときにも私は発言の機会がございまして、この気候変動の一つの要因としては、CO2の増大ということがあるのであろうと思います。これを削減するということは、我が国は省エネ等々で大変技術的に持っているわけでありますけれども、先ほど私が申し上げたように、国民の理解と協力がないといけないという観点から、前回私は、かつて県議のときに、研修のときにドイツにお邪魔させていただいて、そのときのドイツの方々の環境に関する対応といいましょうか、態度といいましょうか、市民感覚の中で、非常に感銘を受けたというお話をさせていただきました。
その中身というのは、我々は五名ぐらいの県議団で環境問題の研修で行ったわけでありますけれども、その運転手が待っていた態度が、クーラーもつけないで、窓をあけて、タオルで汗を拭きながら、じっと二時間、三時間待っていた、こういう姿に私は感動したわけです。それをお話をさせていただきながら、我が日本も、例えば大臣初め、あるいは首長さん、知事とか市長さんがいろいろな式典云々があるときは、運転手さんが、そこに待合室のあるような場面があるならば、車の中で暖房やクーラーをかけて延々と待つのではなくて、その建物の中で本を読んだりしてずっと待つということで、少しでもCO2を出さないということをいわゆるリーダー的な立場の人が模範を見せていくということは極めて大事だと思うんですね。先般、そういう意味合いでこのことを御指摘させていただきました。
河野大臣におかれては、実践するお考えがございますか。
○河野国務大臣 議員の、ドイツに行かれたときにそういうことに気がつかれたという感度の高さにまず敬意を表したいと思います。
一人一人が小さいことでもしっかりやっていく、この積み重ねが大事だと思いますし、議員がそういうことに気づかれて、恐らくいろいろなことを実践されているんだと思いますが、そういうことをやることによって、ほかの人にもその大事さを気づかせるというのも大事なことだと思いますので、私のスタッフともいろいろな話し合いをして、小さいことでもできる限り積み上げていけるように努力してまいりたいと思います。
○升田委員 小さなことをしっかりやるから大きな成果に結びつく、世の中というのはそうだと思うんですね。そのことを大事にしたときに、いろいろな発言がすとんとやはり国民に落ちていく、このように思いますので、ぜひ、まずは河野大臣から実践してほしいな、私も負けないように実践してまいりたい、このように思っております。
次に、豪雪地域の災害課題について質問をさせていただきたいと思います。
豪雪地域の傾向としては、過疎化が進んでいるわけであります。今、日本は、人口減少、そして世界に類を見ない高齢化が進んでおります。豪雪地域というのは地方が多うございまして、人口減少と高齢化が進んでいる中で、豪雪地帯における災害の課題がどのようなものが存在しているか、まずこの認識についてお伺いをしたい、このように思います。
○土井副大臣 御指摘いただきましたとおり、豪雪地帯では人口の減少、高齢化が全国を上回るペースで進んでいるというふうに思っておりますし、また、そういう中では、雪崩等々もございますが、特に高齢者の皆様方にとりましては、雪おろしや除雪の作業が大きな負担になっているというふうに認識いたしております。
昨年までの三年間の雪害、雪による被害ということにおきましては、死亡者数は、年平均九十四名亡くなっておりまして、屋根の雪おろしなどの除雪作業中の事故が七割を占めております。このうち六十五歳以上の高齢者が八割を占めておりまして、高齢者の除雪中の事故が多発をいたしております。
加えて、除雪されない空き家、倒壊や落雪のおそれなど、住民の安全確保の観点からも問題があるというふうに認識をいたしております。
このため、平成二十四年三月に、豪雪地帯対策特別措置法の一部改正を行わせていただきました。これに新たに、除排雪の体制の整備、空き家に係る除排雪などの管理の確保、このようなものの配慮規定が追加されておりまして、これらに基づく取り組みを推進いたしているところでございます。
○升田委員 私の地元青森市は今人口約三十万人でありますが、私が調べた範囲の中では、人口十万人以上を有している地域で降る雪の量は青森市が世界で一番でございまして、私はそこで暮らしておりますので、雪の大変さというのは身にしみている一人だ、こう思っているんです。
お伺いをさらにさせていただきたいと思うのは、いわゆる国道、県道、この除排雪に対してはしっかりと私は取り組みをされている、こういう認識であります。しかし、生活感の中では、その国道、県道につながるいわゆる市町村道路、生活道路、ここの除排雪がなかなか頻繁に行われないんですね。予算の関係もいろいろあろうと思うんですが、ここが実は生活者にとっては大変なんです。
広い道路に行くと車がスムーズに動きますけれども、そこまで行く道路の除雪がされないものですから、ちょっと狭いところになると車が交差できない、あるいは雪によってでこぼこができて車が立ち往生してしまう、あるいは歩行者にとっても非常に足元も悪いということで、外に出るのがもう面倒だなというような気分になってしまうんですね。
人がまず動かないと経済は回りません。それをいわゆる阻害するような状況に、生活道路の状態がそういうことをつくっているという現実がございまして、国道、県道につながる生活道路の除排雪に対する支援の状況はどのようなものなんでしょうか、お伺いします。
○森(昌)政府参考人 お答えいたします。
生活道路の除雪、例えば青森市では、除雪計画をつくって除雪を行っているということでございますが、その際には、交通量、あるいはバス路線に指定されているか否か、また道の幅といったようなものを考慮して優先順位を決めているということでございまして、今御指摘あったように、予算制約もございますので、生活道路が幹線道路に比べて除雪回数が少ないといったようなことも確かに否めないところではないかというふうに思っているところでございます。
こういった費用に関しまして、一般的には、交付税として道路の除排雪費用を措置しているというふうに理解しておりますが、積雪寒冷地における道路交通の確保に関する特別措置法というものがございまして、これに基づきまして、私たち国土交通省としましても、社会資本整備総合交付金によりまして除雪費に対する支援、こういったものを行っているところでございます。
加えまして、全国的な豪雪の場合には特別措置を講じまして、補助金による除雪費も支援しているところでございます。
市民の協力体制のもとで、官民一体となって冬期の道路交通の確保に一生懸命取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
以上でございます。
○升田委員 ただいまの答弁をお伺いしますと、バス路線等々というお話がございました。そういういわゆる費用対効果だと思うんですね、物差しとしては。
ただ、現場では、住宅の少ないところの細い道なんかは延々と雪があるんですね。そういうところは、冒頭申し上げました、高齢者が住んでいる可能性が高いんです。そうしますと、費用対効果がないから除雪がいかない。高齢者は、一歩外に出ると、もう雪で大変だ。こういうことになりますと、高齢者そのものが、冬の間は家に閉じこもってしまう、こういう可能性があるわけでありますよね。
ですから、そういう費用対効果、もちろん、それは物差しとして否定しません。しかし、そうでは、痛みを伴う生活者に寄り添うことはできないという視点もぜひ持っていただきたい、こう思います。
そして、現場で、元気なお年寄りは、極端な言い方をしますと、朝から晩まで雪かきをしているという状態なんですね。そこで、問題は、雪の捨て場がないとこれは大変なんです。ずっと行かないといけない。捨て場でけんかまで起きている。これが現実に、雪の降るところはあると思います。
ここの解決策の一つに流雪溝ということがございまして、これがやはり自分の住宅のすぐ近くにあると、そこに捨てればいいわけですから、大変助かるんですね。この流雪溝に対する、これをより以上整備、推進すべきだ、私はこう考えるわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○森(昌)政府参考人 お答えいたします。
流雪溝と申しますのは、道路上の除排雪のみならず、地域の除排雪活動におきましての作業の軽減、あるいは円滑化に資します重要な施設であるというふうに当方も理解しております。全国の豪雪地帯を中心に、平成二十六年度末時点で二千四百六十九キロが整備されておりまして、委員のお膝元でございます青森県は四百九キロということで、全国でもかなりの大きな割合が整備されているところでございます。
ただ、こういった流雪溝を整備あるいは管理する上では、しっかりと流水が確保されるかどうかといったようなこと、そして地域の住民の方々の協力が得られるかどうかといったようなこと自身が問題になります。自治体の要望あるいは関係機関との調整状況も踏まえながら、当方としましても、先ほど申しました社会資本整備総合交付金、こういったものでしっかりと御支援申し上げていきたいというふうに思っている次第でございます。
以上でございます。
○升田委員 流雪溝というのは地域にとっては大変歓迎されているということを、改めてこの機会に申し上げさせていただきたいと思います。
次に、空き家対策の予算措置についてお答えを願いたい、こう思います。
○杉藤政府参考人 お答えをいたします。
空き家対策につきましては、利用できるものは利用し、除却すべきものは除却するという考えのもと、地域の町づくり、住まいづくりとして取り組むことが大事です。空き家対策特別措置法が昨年五月に全面施行されまして、市町村における空き家対策の枠組みが整ってございます。
財政支援についてでございますが、これまで、社会資本整備総合交付金によりまして市町村の空き家対策を支援してまいりましたが、平成二十八年度予算案におきましては、この社会資本整備総合交付金とは別枠で、市町村が空き家法に基づき策定する計画に沿って実施するさまざまな取り組みを支援いたします空き家対策総合支援事業というものを補助金として創設することとしてございます。
この事業では、空き家の地域活性化の用途への転換による活用のほか、例えば積雪により倒壊のおそれのある管理不全の空き家の解体でございますとか、市町村ごとにさまざまな空き家対策の課題があると思いますが、こういったものを総合的に支援するというふうにいたしております。
豪雪地帯における空き家の問題、非常に重要な問題かと存じますので、こういった地区も含めまして、全国の市町村でこの事業は活用可能でございますので、その活用によりまして地域の空き家対策を総合的に支援してまいりたいと考えております。
○升田委員 ちょっと時間の予定もありまして、この後、この関係で何点か質問の予定であったんですが、またの機会にしたいと思います。
次に行きたいと思います。
公共事業の平準化についてお伺いをしたいわけであります。
いわゆる年度末決算ということでありまして、もうずっと言われてきたことで、なぜ、雪の降っている、あるいは降ろうとしているこの時期にいろいろな予算が出て、仕事が集中している。一方では、四月、五月、六月ぐらいは全く公共事業をやらない、何とか平均で発注していただければいいのに、集中されると対応できない。ないときは全くない。これだと、経営あるいは雇用を守るためにも余り環境がよろしくないんですね。
この公共事業の平準化について、今どんな取り組みがなされているか御答弁願いたい、こう思います。
○池田政府参考人 お答えいたします。
公共工事の平準化は、人材や機材の有効な活用、建設企業の経営の安定化の観点から重要な取り組みだというふうに考えております。また、委員御指摘のように、豪雪地帯においての円滑な工事実施の面からも大事であるというふうに考えております。
このため、国土交通省では、従来より、早期執行のためのゼロ国債の活用や繰越制度の活用を進めてまいりました。さらに、平成二十七年度からは、工期が十二カ月未満の工事につきましても、必要に応じまして年度をまたいだ工期にいたしまして、そういう工事をするための二カ年国債を約二百億設定させていただきました。この二カ年国債を、平成二十八年度予算案におきましては、今年度の三倍強の増額要求をしているところでございます。
こういった取り組みを地方公共団体にも広める必要がありますので、こういったことを働きかけてまいりたいと思いますけれども、去る二月十七日には、総務省と連名で、そういった取り組みを進めるよう、地方公共団体にも改めて通知をさせていただきました。
今後とも、豪雪地帯の工事の円滑化を含めて、国、公共団体において平準化が進むように、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○升田委員 ツーレートなんですね。これはずっと現場の声は届いていたと思いますよ。
経営をすると、お金がどんと来るときと、何も来ないときと、またお金が来るとき、これよりは、低くてもいいので平均で収入が入る方が経営は安定するんですね。こういうことをしっかり考えて、二カ年国債というのは、ようやくにしていいところを実践していただけるなと思いますので、しっかり取り組んでいただきたい、こう思います。
次に、災害時のライフラインについて何点かお伺いをしたい、こう思います。
時間の関係上、単刀直入にお伺いしたいと思いますが、電源車の配備状況についてまずはお伺いしたい、こう思います。
○大橋政府参考人 お答えいたします。
災害の発生によって重要な情報通信ネットワークの維持に支障が生じた場合に、通信、放送確保を目的として、電気通信設備または放送設備の災害応急復旧対策を行う地方公共団体または民間事業者に移動電源車を貸与できるようにしております。
現在、十台を各地方総合通信局へ配備して、東日本大震災の被災地である東北総合通信局にも配備がなされているところであります。
本来、通信事業者あるいは放送事業者は、その事業の用に供する設備に関しましては非常時の電源確保に責任を持つ必要がありますけれども、広域、大規模な災害の発生などの事態に備えて、被災地の外からも含めて応援が行えるように、総務省においても配備を進めているところであります。
○升田委員 電源車、いわゆる車そのものが発電ということなんだと思いますが、調べますと、防災無線あるいは携帯電話のいわゆるバック電源といいましょうか、そこには対応されているということだと思っています。私は、それだけでは足りないんじゃないかなと思うんですが、次の質問に行きます。関連します。
河野大臣に、備えあれば憂いなしという言葉がありますが、この言葉に対する御感想をまずは求めたい、こう思います。
○河野国務大臣 防災担当大臣として、あるいは国家公安委員長として、非常に大切なお言葉だと思います。
○升田委員 そうですね。大切と言っていただいてありがたいと思います。
ここで、先ほどは小型、中型のお話でございましたが、大型の、極めて大きい、いわゆる先般ありました地震、津波、原発事故、これは世界で日本しか経験のない大災害なわけでありますが、あの当時、学校や体育館にみんな避難するわけであります。百人、二百人、あるいはもっと多いかもしれません。そういうところでも対応し得る大型の発電車といいましょうか、そういう備えもあった方がいい、私はこう思うんですね。
この辺に対する取り組み状況というのはどのような状況なんでしょうか。
○大橋政府参考人 お答えいたします。
先ほど、私ども総務省の方においての取り組みとして、通信設備に関して、非常時、これをバックアップしていくための設備を用意している旨を申し上げました。
これら設備については、災害応急あるいは復旧対策を行う都道府県や、災害対策本部が設置されている地方公共団体からの要請がある場合に、他に優先して貸与を行うこととし、被災地住民の救援であるとか、あるいは平時の防災訓練等にも役立てております。
今委員御指摘のありましたように、これを大きな設備として用意していくという点については、私どもの総務省の取り組みとしてはまだ十分なものではないというふうに考えておりますので、政府の中においてまたいろいろと議論がなされていく必要を感じているところであります。
○升田委員 時間が来たようであります。もう一問あったわけでありますが、備えあれば憂いなしという言葉に河野大臣に御感想を求めた以上、時間オーバーでも一言だけ。
大型のものもないと、これは動ける発電所でありまして、体育館とかそういうところに電気の車が行って、そこで安心を届けるというのは、生命を守る上では大変大事だと思うんですね。そういう想像を超えるものにも対応している日本なんだという形を見せることが私は大事ではないかなと思うんですね。今はそういう方向がないということなんです。
この点について、河野大臣の御見解をお願いしたい、こう思います。
○河野国務大臣 体育館その他、避難所になるときに、避難所に行かなければいけないというだけでも心細い中で、明かりがなければ大変心細い状況になると思いますし、防犯上も好ましくないんだろうと思います。
避難所の取り組み指針の中で、非常用電源というのは用意すべきものだというふうに位置づけておりますので、自治体におかれては、それぞれの状況に応じて、必要と思われるものをなるべく用意していただきたい、そういうふうにお願いをしているところでございます。
大きな電源車がいいかどうかというのは、それは費用の面あるいは場所の面、いろいろなものがあると思いますが、避難所に明かりが必要だ、そのための備えが必要だというのは、まさしくそのとおりだと思います。
○升田委員 電気は暖房でもあります。
時間が来たので終わります。
○野田委員長 次に、篠原豪君。
○篠原(豪)委員 おはようございます。維新の党の篠原豪でございます。
大臣の所信の冒頭にもありましたけれども、東日本大震災、あれから五年、被災者の皆様、御遺族の皆様に改めて哀悼の意をささげますとともに、今まだなお被災地で本当に大変な生活を強いられている方々に対しまして、本当に多くの方々です、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
大規模な自然災害の突然の発生に、時に我々は無力であることを痛感しています。このような甚大な災害が当地の方々の生活に何をもたらしたのか。この教訓を胸に、減らせる被害があるならば、事前に防げる災害対策を行えるのであれば、国会、政府、地方自治体、そして民間の企業の皆様、地域の皆様の力を合わせて、総力を挙げて立ち向かって、そして日々の努力を不断のものにしなければならないんだというふうに考えております。
そこで、本日は、そう遠くない日に来るかもしれないと言われている、甚大な被害をもたらすとされる、災害をもたらすとされる首都直下型地震の対策、防災対策とその進捗について伺ってまいりますので、よろしくお願いします。
さて、南関東地区では、二百年から三百年間で発生する関東大震災のようなマグニチュード八クラスの海溝型地震の間に、マグニチュード七クラスの直下型地震というのが数回発生しています。首都圏においては、大規模な首都直下地震が発生し、政治、行政及び経済の中枢機能に障害が生じた場合、膨大な人的、物質的資源への被害、そして、我が国全体にわたって国民生活及び経済活動に支障が及ぶと懸念されています。
これまでの対策では、平成十七年決定、平成二十二年修正の首都直下地震対策大綱、これに基づいて、地震応急対策活動で防災関係機関のとるべき行動を定めました。その後、東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会が設置されました。
そこで、初めに、まずこれが設置された経緯について河野大臣にお伺いいたします。
○河野国務大臣 東北地方太平洋沖地震では、それまで我々が想定をしていた規模をはるかに超える巨大な地震、津波が発生をし、一度の災害としては戦後最も多く人命が失われるということを経験いたしまして、これまでの津波対策、地震対策を抜本的に改める必要があるだろうというふうに考えたわけでございます。
そして、この教訓を踏まえて、今後想定すべき地震、津波のあり方を根本的に見直そうということで、平成二十三年五月に、中央防災会議のもとに、今お尋ねの東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会を設置いたしました。平成二十三年九月に専門調査会報告が公表され、今後、地震、津波の想定を行うに当たっては、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震、津波を検討していくべく、今、我々はこの方針に基づいて地震防災対策の推進に取り組んでいるところでございます。
○篠原(豪)委員 そして、そこでの考え方を踏まえて内閣府に設置された首都直下地震モデル検討会において、これまで想定対象としてこなかった、今、最大限のものをいろいろと想定しながらやっていくという話でしたけれども、相模トラフ沿いの大規模地震などさまざまな地震を対象に加えて、最新の科学的知見に基づいて検討を行ったということです。
そこで、その結果、どのような確率でどのような地震がどのような範囲で起きると想定されたのか。以前の計画との変化を踏まえ、お伺いしたいと思います。大臣にお伺いします。
○河野国務大臣 首都直下地震モデル検討会では、それまでマグニチュード七クラスの首都直下地震を検討していたわけですが、新たに相模トラフ沿いの海溝型地震を検討対象につけ加えました。
この海溝型地震は、過去に発生したマグニチュード八クラスの地震に加え、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震、津波を検討対象とすることにしてございます。最大クラスの地震で想定する震源域については、最新の科学的知見を踏まえ、相模トラフ沿いから南関東地域に及ぶ領域を想定しております。
文部科学省の地震調査研究推進本部による評価では、南関東地域でマグニチュード七クラスの地震が発生する確率は、今後三十年以内に七〇%、また、マグニチュード八クラスの海溝型地震が発生する確率は、今後三十年以内にほぼゼロから五%程度と推定されております。
○篠原(豪)委員 その結果において、最新の被害想定はどのようになっているのかというのは、他の地震とこの首都直下型地震の特徴の違いというのは何だろうかということについてお伺いいたします。
○加藤政府参考人 お答えをいたします。
中央防災会議のもとに置かれましたワーキンググループが二十五年十二月に取りまとめた被害想定によると、マグニチュード七クラスの都区部直下型の地震の一つである都心南部直下地震が発生した場合、建物の全壊、焼失棟数が最大で六十一万棟、死者数が最大で二万三千人に及ぶという想定になってございます。
他の地震との違いでございますけれども、首都圏には我が国の政治、行政、経済の中枢を担う機関が高度に集積をしており、これらの中枢機能に障害が発生した場合、我が国全体の国民生活や経済活動に支障が生じるおそれが高いということがございます。さらに、都市部直下の地震として、大きな揺れによる建物倒壊等によるほか、都心を取り巻く木造住宅密集地域を中心とした大規模な市街地の延焼火災の発生ということで、人的、物的被害の拡大が懸念されるということが特徴として挙げられるところでございます。
○篠原(豪)委員 今、大まかにどういう被害かということがありましたので、少し細かく聞いていきますけれども、それでは、生活への影響という観点ではどの程度の被害が想定されているのか、お伺いします。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
生活への影響ということでございますが、今申し上げました多数の人的、物的被害に加えまして、公共交通機関の停止等による多数の帰宅困難者の発生、あるいは家屋の倒壊やライフラインの被害等による最大で七百二十万人もの避難者の発生、それから交通麻痺等物流機能の低下による深刻な燃料や物資の不足、膨大な量の瓦れき置き場や応急仮設住宅設置のための用地の不足等の発生が懸念されるところでございます。
○篠原(豪)委員 医療機能への影響、被災都県で対応が難しくなる入院患者の方の数というのはどのぐらいになるんでしょうか。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
医療関係への影響でございますけれども、医療関係の建物が地震によって直接的に被害を受けることが想定されますけれども、そのほかに、停電あるいは断水等のライフラインの機能の低下によって医療機能が低下することが想定をされてございます。
一方で、多数の重傷者や被災した病院からの転院患者が大量に発生するということで、被災都県で対応が困難になる入院患者数が多数に及ぶというふうに想定をされるところでございます。
○篠原(豪)委員 経済的な被害額はどのぐらいになるでしょうか、お伺いをいたします。
○加藤政府参考人 経済的な被害額の推定でございますけれども、都心南部直下地震によって建物が倒壊あるいは焼失したり、下水道、港湾等の公共施設が被災したこと等による直接的な資産等の被害額は約四十七兆円、東京都内従事者の通勤に支障が生じること、あるいは停電が発生すること等により卸売・小売業、金融・保険業等のサービスや生産性が低下して生じる被害が約四十八兆円、合計して約九十五兆円に上るものと試算をしているところでございます。
○篠原(豪)委員 今伺いまして、私も調べました。これを聞いている方も、あるいは今後また見ていただく方もいると思いますので、もう少し細かく言いますと、生活への影響は、避難者は二週間後に七百二十万人、帰宅困難者は一千七百万人に上ります。一週間で、食料合計三千四百万食が必要となります。水が千七百万リットル、毛布の不足数が三十七万枚です。
また、インフララインについては、上水道が千四百四十万人規模の断水、そして千二百二十万軒が停電、固定電話は全体の五割で通話支障を来します。
加えて、インフララインの被害、先ほどおっしゃっていましたけれども、橋梁、高架橋などの倒壊の大被害が、倒壊ですよ、大被害が五十カ所。
そして、鉄道は、機能支障に至る鉄道構造物の中小被害まで合わせて、首都圏のJR、私鉄、地下鉄で八百四十カ所です。
そして、エレベーターに閉じ込められる方の数、一万七千人です。最近は、官庁の方で、閉じ込められた方に対してお水を置いておくことがあるんですけれども、民間ではなかなかないということを聞いていますけれども、一万七千人の方が閉じ込められるというんですね。一カ所だけでもよくニュースになって、大変なことになっています。こういうことが起きる。
そして、危険物、コンビナートの施設の流出、あの三・一一のときは千葉の方でありましたけれども、火災が起きましたが、これが六十カ所です。そして、そういった破損等も含めると七百三十施設、こういう数なんですね。
医療機関の影響は、先ほどおっしゃっていましたけれども、数をおっしゃられませんでしたが、まさにおっしゃったような、医療機関で亡くなる方及び被災した医療機関からの転院患者数、こういった方を入れると一万三千人。一万三千人の方の入院需要ができるというのは、この首都圏で果たしてどうなのかということを想像していただきたいと思っています。
その結果、おっしゃったように、被災地での被災額は四十七・四兆円、民間部門が四十二・四兆円で、先ほど約九十五兆円と言われましたけれども、そのとおりです。
これだけの数をなぜ今申し上げたかといいますと、やはり、国民の皆様とそして我々も、もう一度この数を知って、その規模感というものを、ぜひ、まさにこの場所でございますので、国会は中枢でございます、国権の最高機関で、そのど真ん中にありますから、そういったところを中心にこういうことが起きるということでございます。
そして、死者数、先ほどありましたけれども、最大二万三千人、そして被害建物が最大で六十一万軒。この数字を見ていただければ、いかに激甚な災害となるかということをおわかりいただけると思います。
ここまで想定されているのであれば、これは何としても減らせるものは減らさなければいけない、こう思うわけです。
そこで、政府は、具体的に、平成二十五年の十一月に、首都直下地震が発生した場合において首都中枢機能の維持を図るとともに、首都直下地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的として、首都直下地震対策特別措置法を制定して、同年十二月に施行しています。
平成二十六年三月には、同法に基づいて、首都中枢機能の維持を初めとする首都直下地震に関する施策の基本的な事項を定める首都直下地震対策推進基本計画が閣議決定されるとともに、首都直下地震緊急対策区域というのがありまして、ここが一つの対象になります。もう一つは、首都中枢機能維持基盤整備等地区というのがありまして、これは、東京の千代田区、中央区、そして港区、新宿区だけを対象にしたものです。この二つをつくりました。
この中で今大事だと思っているのが、両方大事なんですけれども、これも伺ってまいりますが、首都直下地震緊急対策区域、これはどのような範囲が指定されているのかということについてお伺いをいたします。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘ございました対策区域でございますけれども、首都直下地震対策特別措置法に基づきまして、首都直下地震による著しい被害の軽減を図るため、緊急に地震防災対策を推進する必要がある区域ということで指定をされてございます。
当該区域につきましては、首都直下地震が発生した場合に、震度六弱以上、三メートル以上の大津波が予想される区域を基本として、防災体制の確保など、地域の実情を勘案した関係都県、市町村の意見を踏まえて、平成二十六年三月に指定をしたところでございます。具体的には、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の全域、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、静岡県の一部が当該区域に含まれているということでございます。
○篠原(豪)委員 一部と全域と言うとわかりませんので、僕は数字で聞くのが一番大事だと思っています。一都九県、三百九の市区町村です。北は茨城県から、南は伊豆半島の西側の方までということになるんですけれども、これだけ大きい区域に対して、今想定されるような被害というのが発生するということです。
この中で、また、平成二十七年に変更された首都直下地震緊急対策計画では、今後十年で達成すべき減災目標が新たに盛り込まれ、関係機関が認識を共有して首都直下地震対策に取り組むとしています。
そこで、この取り組みの具体的内容、その進捗状況と、その進捗状況を見た課題についてお伺いいたします。
○河野国務大臣 首都直下地震対策につきましては、基本計画に掲げる減災目標を達成するために、関係府省庁においてさまざまな対策に取り組んでおります。
基本計画の中に示された目標としては、例えば、多数の者が利用する建築物の耐震化率を平成三十二年までに九五%以上に、住宅の耐震化率も同じく平成三十二年までに九五%、あるいは密集市街地を平成三十二年度までに解消する、そういう目標を掲げて、この実現のために各省庁で取り組んでおります。
そのために、毎年、各省庁において、必要な防災関係予算を確保するとともに、それぞれの施策の進捗状況の管理を行ってきております。
こうした減災目標に係る対策は、昨年の基本計画改定においてしっかりと盛り込まれたところであり、今後、関係省庁と緊密な連携をとりながらフォローアップをしてまいりたいと思っております。
○篠原(豪)委員 平成二十七年に変更されて、そして今後十年間の目標をきちっと設定して、先の目標を設定して、PDCAとかKPIとかとずっとおっしゃっている方もいらっしゃいますけれども、それは大事だと思いますよ、もちろん。
同計画の中で地方公共団体についても言及していまして、これに対して、首都中枢機能維持基盤整備等計画が一つ。もう一つは、地方緊急対策実施計画、これが二つ目です。三つ目に、特定緊急対策事業推進計画、これを作成するということになっています。
ですので、その大まかな内容と進捗状況についてお伺いをいたします。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの三つの計画でございますけれども、緊急対策区域を含む都県などが施設整備等を行う場合の容積率緩和等の特例を目的として作成をするもの、これが首都中枢機能維持基盤整備等計画あるいは特定緊急対策事業推進計画でございます。それから、地域の実情を勘案した緊急対策を策定するというものが地方緊急対策実施計画ということで、それぞれ、地方自治体のニーズあるいは判断に応じまして、任意で作成することができるというふうになっておる計画でございます。
現時点ではこれらの計画の作成実績はございませんけれども、内閣府では、これまで、地方自治体への通知あるいは説明会による周知のほか、個別の助言などを通じて地方自治体の計画作成の支援を行っており、今後とも必要な支援を講じてまいりたいと考えてございます。
○篠原(豪)委員 ここまでは全体の計画の中で特に大きなものについて伺ってきたんですけれども、では、実際に、今求められている施策の中で、地震はいつ来るかわかりませんから、どのぐらいのものが進捗されているか、具体的な施策として分野ごとに、気になりますので、少し伺ってみたいと思います。
まず一つですけれども、首都圏中枢機能の確保、これについては現状どこまで進んでいるか、お伺いをいたします。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
首都地域における政治、行政、経済の中枢機能としての首都中枢機能でございますけれども、二十七年三月に閣議決定されました首都直下地震緊急対策推進基本計画におきまして、発災直後においても継続性が確保されることが求められてございます。
まず、その三つの中で、政治中枢につきまして、国会の継続性の確保ということでございますけれども、これは行政中枢に準じて維持を図ることが必要ということで、私どもとして、国会における検討に資するように、まずは私どもの、内閣府の取り組み状況の情報提供を行っているという段階でございます。
それから、経済中枢でございますけれども、民間企業の継続性の確保ということで、事業継続計画等に係る取り組みを推進するために、事業継続ガイドラインというものを作成してこれを広めているところでございますけれども、現在、BCPの策定率の上昇を見てきておるということでございます。
それから、行政中枢のことでございますけれども、中央省庁の継続性の確保につきましては、中央省庁として維持すべき必須機能を非常時優先業務として省庁業務継続計画に定めてございます。参集要員の確保あるいは物資の備蓄等の対策を鋭意講じているところでございます。
引き続き、首都直下地震が発生した場合に首都中枢機能を維持できるように、関係機関と連携して対策に取り組んでまいります。
○篠原(豪)委員 政府業務継続計画で定めるとなっている行政中枢機能の維持というのはどのようになっているでしょうか。
○加藤政府参考人 今申しましたように、まず維持ということで、全てができるわけではございませんので、何をやらなければいけないか、必須の業務を非常時優先業務ということで省庁で定めてございます。それをしっかりやるために、参集要員の確保でございますとかあるいは物資の備蓄というようなことを、順次対応を講じているというところでございます。
○篠原(豪)委員 次に、建築物の耐震化についても進捗を伺いたいと思います。
○杉藤政府参考人 お答えいたします。
多数の者が利用する建築物の耐震化率につきましては、平成二十五年時点で八五%ということでございます。これは、平成二十年時点の八〇%に比べ高まってきてはございますけれども、先ほど河野大臣の御答弁にもございましたとおり、平成三十二年までに九五%という目標を掲げてございまして、このために、耐震改修促進法に基づきます耐震診断結果の報告、公表義務でございますとか、診断、改修に対する支援措置、こういったことにつきまして、より一層の努力を行いまして、耐震化の加速化を図っているところでございます。
○篠原(豪)委員 この点についてはあらゆる対策が大前提であって、本当に、公共施設の耐震化の強力な推進、ライフライン、交通インフラ等の耐震化、あと発災時の速やかな機能回復も大事ですので、しっかりと努めていただきたいと思います。
次に、火災対策についても進捗状況をお伺いします。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
首都直下地震に対する火災対策としては、出火防止、速やかな初期消火、延焼被害の抑制等が挙げられるところでございます。
まず、出火防止対策といたしましては、近年の大規模地震に伴う火災の出火原因の半数以上が電気に起因する火災であるというふうに考えられておりますことから、内閣府、消防庁、経済産業省と連携しながら、一定以上の揺れを感知した際に自動的に家屋への通電を遮断する感震ブレーカーの普及に努めているところでございます。目標として、平成三十六年度までには、延焼のおそれのある密集市街地における普及率二五%を目指しておるところでございます。
また、このほか、初期消火率の向上のため、消防団や自主防災組織の活動体制の充実を図ることを考えてございます。
また、延焼被害の抑制対策ということで、大臣の御答弁にございましたけれども、平成二十三年時点で約二千五百ヘクタール残存する著しく危険な密集市街地について、その早期解消を目指すというふうにしているところでございます。
○篠原(豪)委員 これは本当に、初期消火に、感震ブレーカーも、あと地域防災力の向上も大事です。おっしゃっている木造住宅密集地域、木密というんですけれども、ここは燃えると本当に大変なことになりますので、大正の関東大震災も火災が大変な被害をもたらしたところですので、しっかりと進めていただきたいと思います。
次に、一人でも多くの命を救うための災害応急体制の整備についてもお伺いします。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
首都直下地震により甚大な人的、物的被害が発生した場合、被災自治体だけでは十分な対応ができずに、全国からの応援部隊の派遣、あるいは広域医療搬送、広域物資調達等が必要になります。
そのために、首都直下地震を想定して、全国から救助、救急の応援部隊等を投入するための緊急輸送ルートの確保、救助部隊やDMATなど医療チームの進出方法、活動内容、物資の供給方法、さらに、これらの活動に必要となる各地の拠点を明示した具体的な応急対策活動に関する計画、まずこれを今月中に策定することといたしております。
今後、この計画に基づく訓練の実施など、関係機関と一体となった首都直下地震対策を強力に推進してまいりたいと考えてございます。
○篠原(豪)委員 次に、今、緊急のルート、道路がというお話がありましたので、道路啓開と道路交通渋滞対策、これについてお伺いをいたします。
○森(昌)政府参考人 お答えいたします。
大規模震災時におけます救急救命に資する緊急交通路、あるいは復旧に資します緊急輸送道路といったようなこと、これらを確保していくため、道路の果たす役割は非常に重要だと認識しております。
ふだんながらの橋梁等の耐震補強、あるいは電線類の地中化といったようなものを進めてきておりますが、加えまして、国土交通省といたしましても、平成二十七年二月に、八方向から都心に連絡をいたします首都直下地震道路啓開計画というものを策定いたしまして、関係機関と連携のもと、実際の訓練といったようなものを行ってきております。
加えまして、あらかじめ民間事業者の方々と協定を締結いたしまして、必要な資機材、例えば土のうだったり、あるいは鉄板だったりといったようなそういう資機材、あるいは人員の確保にも努めているところでございます。
今後とも、関係機関と連携しながら、道路啓開あるいは耐震といったようなものに対する取り組みを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○井上政府参考人 お答えいたします。
警察におきましては、首都直下地震に対応すべく、災害対策基本法に基づき、人命救助等の災害応急対策に従事する者や、これに必要な物資を搬送するため、高速道路を中心に、一都十県にまたがる緊急交通路の指定予定路線を選定するなど、首都直下地震発生時の交通規制計画原案を作成するとともに、交通規制実施予定の警察におきましては、災害時に発生する渋滞等に迅速かつ的確に対応するための訓練を実施しているところでございます。
また、信号機の機能停止を防止するため、信号機電源付加装置の整備を推進しておりますほか、警視庁におきましては、環状七号線から都心方向への一般車両の流入を禁止するなどの交通規制を実施する計画を策定しているところでございます。
今後とも、首都直下地震発災時の交通対策に万全を期するための取り組みを推進してまいる所存でございます。
○篠原(豪)委員 もう本当に最優先の順位に一番最初のときになりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
このほかにも、膨大な数の被災者、避難者、帰宅困難者の対応、これも掲げられています。きょうは時間がないので伺いませんが、これもしっかりとチェックすべき項目だというふうに申し上げます。
もう一つ、社会の構成員が連携した自助、共助、公助による備えについて、これも実は計画の中に入っていまして、ここの進捗ぐあいもしっかりと確認していくことが大事だということを申し上げておきます。
もう一つ、オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた対応というのがありますので、これについては今この場で伺います。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
二〇二〇年にオリンピック・パラリンピック東京大会の開催が予定をされており、開催まで約四年というふうに迫ってございます。
首都直下地震対策につきましては、委員からもお話ございました基本計画を改定して、具体的な減災目標を追加してございます。
特に、人的、物的被害の多くは建物倒壊、地震後の火災により発生することが想定をされてございますので、オリンピック・パラリンピックの開催までに、住宅や多くの方が利用する建築物の耐震化率の、先ほどございました九五%への引き上げ、あるいは危険な密集市街地の解消を目指すというようなことを盛り込んだところでございます。
また、あわせまして、避難場所等に係る標準化したピクトグラムというものの整備の取り組みを進めるということにしておりまして、三月中には、災害時に素早く安全な場所に避難できるよう、津波、土石流、火事等の災害種別一般図記号をJIS化するということにしております。
オリンピック・パラリンピックの開催まで限られた期間ではありますけれども、関係省庁と連携して、首都圏にお住まいの方々の御理解、御協力を得ながら、早急に首都直下地震対策を進めてまいります。
○篠原(豪)委員 もう時間ですので、最後に一問だけ伺いたいんです。
先ほど、地方公共団体において、三計画、首都中枢機能基盤整備計画、そして地方緊急対策実施計画、特定緊急対策事業計画の進捗を聞きました。これは実際には存在しない、ゼロだというふうに言っていまして、これは任意だといいますけれども、任意だといったって、これだけ三つの大きな計画をしっかり立てていきなさいよとやっている中でまだ一つもできていないというのは、これは大変なことだと思います。
今、実は、ほかの伺った項目も、どのぐらい進んでいるのかというのが非常に怪しいというものが多くあります。ですので、あえて申し上げました。
これは大事な計画ですので、このきょうの一連の議論、質疑を聞いていただいた上で、この首都直下地震に対して課題をどう持っていて、そしてそれをどう解決していくのか、決意と覚悟も含めてお伺いして、私の質問を終わります。
○河野国務大臣 首都直下地震における重要な課題は、首都中枢機能をいかに維持していくか、そして、耐震化、火災対策などで膨大な人的、物的被害をいかに軽減するか、これが大きな課題であると認識をしております。
内閣府においては、首都直下地震緊急対策推進基本計画に期限を定めた定量的な減災目標を設置しておりますので、この目標を達成すべく、具体的な実現方策を定め、着実に実施をしてまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、この首都直下地震というのは国の存亡にかかわる喫緊な課題というふうに認識をしておりますので、しっかり対応できるように頑張ってまいります。
○篠原(豪)委員 どうもありがとうございます。
ぜひ頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○野田委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 きょうは、水害と、そして地震について質問をしたいと思います。民主党、岡本でございます。
まずは、大規模水害対策についてお尋ねいたします。
水防法が昨年改正されて、全国で浸水想定を策定していると承知をしています。
平成二十二年に既に内閣府において、関東地方の水害の被害、過去最大の水害想定をしたマップをつくり、被害の想定をつくったわけでありますけれども、これと同様の災害マップを大規模な都市部、愛知県、大阪府などでもつくるべきではないかということをこれまでも当委員会で質問してまいりました。
昨年の法改正を受けて、こうしたマップをつくると承知をしておりますが、なかなかできてこないわけであります。今、その進捗はどのようになっているでしょうか。
○金尾政府参考人 近年の想定を上回る洪水によります浸水被害等を踏まえまして、昨年五月に水防法が改正をされました。想定最大規模の降雨を想定した浸水想定区域図を作成することになりました。
国が管理する百九水系につきましては、来年の出水期までに浸水想定区域図の作成、公表を進めていくこととしております。このうち約七十水系につきましては、昨年の関東・東北豪雨による災害を踏まえて作成をされました避難を促す緊急行動、これに位置づけをいたしまして、ことしの出水期までに浸水想定区域図の作成、公表をすることといたしております。
○岡本(充)委員 出水期という言葉がわかりづらいんですけれども、来年の五月、六月ぐらいだというイメージだと聞きました。
各自治体がこの被害想定を見て対策を打つためには予算を組まなきゃいけない、その予算を組むためには、申しわけないけれども、五月、六月では遅いんですね。やはりもっと早く出すべきだと思います。努力をしていただいて、年内にその被害想定を出していただくことは可能か、お答えをいただきたいと思います。
○金尾政府参考人 それぞれの水系におきまして、流域の状況あるいは氾濫区域の状況等が異なりますので、作業には一定の時間がかかります。
ただ、委員御指摘のように、大変重要なことでございますので、なるべく早く公表できるようにしてまいりたいというふうに思っております。
○岡本(充)委員 なるべく早くじゃなくて、年内を目標に頑張れる、そう御答弁いただくときのう事務方より聞いておりますが、責任者が来ると急に答弁が変わるんじゃ困ります。ちゃんと答弁してください。
○金尾政府参考人 特に木曽川、庄内川につきましては、先ほど申しましたように、上流域の面積、氾濫原の面積が大きいので、氾濫シミュレーションモデルの構築に時間がかかるほか、計算にも多少時間がかかります。
先ほど申しましたけれども、なるべくこれは、今この段階でお約束はできないんですけれども、年内公表を視野に、全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○岡本(充)委員 ぜひお願いをします。
それで、きょうは委員の皆さんのお手元に、そんな中、なかなか遅々として進まない国の浸水想定にしびれを切らしたわけではないでしょうが、東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会、この協議会は、国土交通省の中部地方整備局も入っているようですけれども、自治体や放送会社、鉄道、さまざまな会社が入る中で、こうした浸水想定をつくられています。
委員のお手元にありますように、ペケのついているところで堤防が破堤をいたしますと、これだけの被害が出る。庄内川は、名古屋市の西区と北区の間、そしてまた木曽川は、左岸が愛西市、右岸が海津市などで破堤をすると、こういう被害が出てくる。また、岐阜県の揖斐川の方でも、海津のあたりで破堤をすると被害が出るということで、この被害想定がまとめられているわけでありますが、これは一体、いつまとめられたものですか。
○金尾政府参考人 この浸水想定区域図につきましては、二十七年の三月にこの協議会におきまして危機管理行動計画を策定しておりまして、その中に位置づけられておるものでございます。
○岡本(充)委員 この図は、できてから大分たつんじゃないですか、局長。
○金尾政府参考人 協議会が始まりましたのが平成十八年でございますので、その段階でこの図を作成いたしております。
○岡本(充)委員 つまり、十年も前の想定なんですね。やはりしっかり見直していかなきゃいけない、そういう思いでさまざまなシミュレーション、あれから東日本大震災のような大きな災害もありました、想定外ということでは済まされないわけでありまして、ですからこそ、早く水防法の改正に基づくこうした資料、浸水想定をつくるべきだと思っています。
ことしの三月四日に中日新聞に載っておりましたが、この被害が出ると、この協議会の試算で、およそ経済被害が二十兆円、最悪二千四百人死亡、そしてまた、この二十兆円には、電気やガス、交通網の寸断による被害波及は含まれていなくて、さらに経済的な損害額は膨らむと見られる、こういう記載もあるわけでありまして、大変大きな被害が想定をされるわけであります。
そんな中、もう一つ確認をしておきたいのは、水防法に基づく浸水想定をつくっていく中で、日光川の排水機場、また日光川の河口の排水機場の評価についてはどのように行う予定ですか。
○金尾政府参考人 協議会でお示しをいたしました浸水シミュレーションにつきましては、日光川の河口に二つの排水機場がございますけれども、このポンプは運転をしておらず、ゲートが閉鎖した状態で計算しております。
今後、改正水防法に基づきまして洪水の浸水想定区域の検討を実施してまいりますが、その際には、シミュレーションの中で、両方の排水機場、これは操作の規則がございますので、それに従って稼働させる条件で、適切にシミュレーションをしていきたいというふうに考えてございます。
○岡本(充)委員 その中で排水機場の能力が十分かどうかということも当然評価をする、こういうことでよろしいですか。
○金尾政府参考人 委員御指摘のとおり、操作規則に基づきながら、その機能が発揮できるようなシミュレーションをしてまいります。
○岡本(充)委員 続いて、この東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会策定のマップ、このマップを使って、地元の自治体、そしてまた政府内の連携をどういうふうにこれまで、平成十八年以降とってこられたか、御説明をいただきたいと思います。
○金尾政府参考人 委員御指摘の浸水想定区域図、これは危機管理行動計画の中に位置づけられておりますけれども、この計画につきましては、国の地方支分部局、内閣府、地方自治体、それからライフライン管理者などの五十三機関で構成されます東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会、この中で連携をしております。この協議会におきまして、ゼロメートル地帯での大規模な浸水被害が発生した場合に備えるための、関係機関が連携して行動する際の規範を取りまとめたものでございます。
○岡本(充)委員 大臣、これを見てもらっていますか、この図。これだけの被害が出るということが、十年間、地元の自治会など住民に周知されていない。今答弁を聞いてもらったとおりです。
こういう対応で適切だったと思いますか。
○河野国務大臣 朝、答弁を申し上げたところと重なりますけれども、これからの地球温暖化を受けた気候変動による自然災害の激甚化、特に、こうした水害というのはこれからも非常に大きくなってくる、その可能性も高くなってくると思います。
こうした水害に直面をした場合に、行政だけで何かができるというわけではない。公助だけではなく、やはり自助、共助というのが大事になってくる。そうすると、住民一人一人がそうした災害のリスクにどう向き合うか、あるいは地域でどう対応をするか、そういうことを考えていただかなければならないわけで、自治体と情報を共有するのはもとより、さらにその下の、自治体の中の地域、あるいは、極端なことを言えばマンション一棟ずつ、あるいはそこに住んでいらっしゃる御家族とこうした情報をしっかりと共有して、それぞれの世帯がどうするのか、あるいはそれぞれの地域でどういう対応ができるのかということをやはり一緒に考えていただくというのが必要になってくると思います。
そういう意味で、まず我々がやらなければいけないのは、情報をしっかりと共有するということだと思います。
毎年、自然災害が強くなってきているということは、私も感じておりますし、多くの方々も感じていらっしゃるんだろうというふうに思いますので、なるべく早くこうした情報をしっかりとお出しをして、説明をし、共有をし、どう対応できるかということを、我々も考えますが、一緒になって地域と考える、あるいは、地域、世帯にそれぞれ考えていただくということをこれから徹底してやっていかなければならぬと思います。
○岡本(充)委員 過去もきちっと反省してもらいたいんです。この十年間これが活用されていなかったという事態について、大臣がどう思われるか。適切だと思われるのか、やはり反省すべき点があったとお考えなのか、お答えをいただきたい。
○河野国務大臣 本来なら、もう少し早い段階で情報をお出しすべきだったと思います。
○岡本(充)委員 やはり役所の中で、次にお話しする堤防もそうなんですが、縦割りで、これは国土交通省だ、これは農水省だ、それは県だどうだと言って、結局のところ、一本の堤防でも、それぞれの管理者が違って、それぞれがお見合いをしているような状況が続いています。
「木曽川河口部周辺の耐震対策」というのをおつけしました。現状、木曽川の河口部、残念ながら、去年も指摘をさせていただきましたけれども、地震で液状化によって堤防が沈下をする可能性があるということがわかっています。早く対策をとるように。先ほどもお話をしました、たった一カ所が切れただけで、あれだけの面積が水につかり、三メートル、四メートルの高さなのに沈むんです、水の中に。どれだけの人が亡くなるかわからないこの地域において、堤防の改修の進捗が遅い。
この液状化の話がわかったのは去年です。それから皆さんにお願いをしているところでありますけれども、例えば、木曽川の左岸のところは国土交通省。そして、一番下流のところで、点線に変わっているところからは三重県。そして、またグリーンの実線になっているところが三重県と愛知県がともに管轄をする鍋田川下水門。そして、さらに、ちょこっとだけ、二百メートル弱と聞いておりますが、愛知県が管轄する堤防がまだ評価ができていない点線があり、そこからまた愛知県が、「(海岸)」と書いていますが、管理区間、これは農水省と一緒になってやっていくところだと聞いておりますけれども、こういった区間が続いています。グリーンのところはいつになったら対策がとれるかわからない。そしてまた、愛知県に聞かなければわからない、愛知県がどうするかわからない、三重県がどうするかわからない、こう言ってお互いに見合っているわけであります。
大臣、ここは、やはりこういう継ぎはぎだらけの整備で、一カ所切れただけでも先ほどの被害ですよ。ここは、愛知県、三重県に、きちっと大臣、政治力を発揮して指導して、ここの整備は早くやろうということ、リーダーシップをとってもらえますか。
○河野国務大臣 河川のどこか一カ所堤防が切れれば浸水するというのは、これは当たり前のことでございますし、堤防がきちんと整備されなければその効果は最大限に発揮できないというのもそのとおりでございます。
内閣府と両県と、しっかりと相談をしてまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 農林水産省もメンバーの一つですから、あわせて、国交省、農水省、そういう対応をお願いできるということでいいのか、それぞれ政務の方、内閣府、お越しですから、政務からお答えをいただきたいと思います。
○伊東副大臣 岡本委員の御質問にお答えいたします。
耐震化について、農水省管轄分のことでございますけれども、今御指摘ありましたとおり、木曽川河口部の農地海岸、これは農水省が、海岸管理者である県の裁量により重点的に進められているところでもございます。対策が必要な延長七キロメートルのうち、現在、平成二十七年度末で四・五キロメートル、六四%が対策済みとなっているところであります。
取り組みといたしましては、必要な海岸整備が重点的に進められるよう、御指摘ありましたように、県の事業ということもございますので、国としてしっかり十分に協議しつつ、農山漁村地域整備交付金などによりまして支援をしてまいりたいと思う次第であります。
○宮内大臣政務官 お答えをいたします。
管轄の省庁がそれぞれ違ったり、あるいは国管理、あるいは県管理といった、さまざまな、管理している主体が違うという状況であれば、一連の大きな災害に対して、それぞれが別々に責任を負うということではやっていけないことだというふうに思っております。まさに、内閣府を初めといたします関係省庁及び地方公共団体が連携をして、広域的に、避難等のそういう万全の備えが必要だというふうに考えております。
○松本副大臣 御指摘の点を先ほどから伺っておりまして、大変重要なことだという認識は強く持っております。
河野大臣のもとで、政務官ともども期待に応えられるよう、全力を尽くしてまいります。
○岡本(充)委員 愛知県がやる、三重県がやるといって、長いこと液状化の評価すらできていなかった地域でありますから、本当に早急にしてもらわなきゃいけないし、二十八年四月以降と書いてあって、いつまでに終わるかわからない、こんな状況です。
最後に、この問題について、もう一度大臣にお伺いしたい。
二十八年四月以降と書いてあるこのグリーンのところ、整備をいつまでに終えると、目標をぜひお話をいただきたいと思います。
○河野国務大臣 予算の制約もありますので、そこはしっかり検討してまいります。
○岡本(充)委員 そう言っている間に、堤防が地震で液状化で沈み、ここから海水が入ってきて多数の方が亡くなるというような話になると、私は本当にこれは人災だと思いますよ、こうやって、予算が確保できればと。長さはあと限られているんですよ。ただ一カ所でも沈めば、整備したこれまでのところは意味がなくなる。そういう意味で、ここは本当に早急にやらなきゃいけない。政治の決断だと思いますよ、予算のつける場所は。
もちろん、いろいろな災害の箇所がある中で優先順位はつけなきゃいけないでしょう。しかし、先ほどお話をしたとおり、二十兆円を超える被害が出て、場合によっては三千人近い方が亡くなる、こういうことが明らかになっているにもかかわらず、予算の確保ができればと言っているという状況。これは私は本当に、大臣、今、後ろから秘書官にささやかれてお答えになられるというのでは困ると思っていますし、やはりそこは決意を持って臨んでもらいたいと思います。
続いて、液状化の話の続きをしたいと思います。
液状化の評価というのはどうやって行うのかというと、液状化の可能性が高い、低いであらわしているのが現状のようです。一方、地震は、震度といって、定量的に評価がなされています。
液状化対策が進まない一つの原因が、残念ながら、被害想定がみんな余り目に浮かばない、どういうような被害が出るかということが十分周知できていないのではないかと私は思っています。
その一例が、最後のところにつけております宅地液状化防止事業、国土交通省でやっております事業であります。予算は幾らなのと言っても、はっきりとは数字が詰められないということでお答えいただけてはいないんですけれども、この予算を使った事業は平成二十五年度からスタートしていますが、二十五年、二十六年、二十七年、この予算を利用した自治体はどこですか。
○清水政府参考人 お答えいたします。
液状化に係る宅地耐震化推進事業について、二十五年からでございますが、本年度まででございますが、滋賀県大津市において宅地の液状化マップの作成に引き続き取り組んでいるところでございます。
○岡本(充)委員 大臣、全国で滋賀県の大津市だけなんですよ、この予算を使っているのは。
液状化するところが想定されているのはいっぱいあるんですよ。先ほどの木曽川の河口もそうでしょう。東京だって液状化の危険があると言われているところがありますね。関西だってありますよ。いろいろな河川の河口では、同じように液状化することが想定される地区があるはずにもかかわらず、これが進んでいない一つの要因が、やはり液状化のイメージが湧かないんじゃないか。液状化の可能性がある、なしという定性的な評価ではなくて、液状化の程度による定量的な評価をするべきじゃないか。
例えば地震の場合には、震度五ならどういうイメージですか、震度六弱だとどういうふうになりますかといったイメージを皆さんにお伝えしていますね。液状化についても、定量的な評価をする仕組みについて検討し、そしてそれに基づいた被害想定を公表するべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○清水政府参考人 これまで宅地の液状化による被害の可能性の判定につきましては、顕著な被害が生じる可能性を三段階で示してきたところでございます。
液状化マップは、地域の地盤状況によってその可能性を示しているわけでございますけれども、液状化による被害は、地盤状況が地域によっても個々の宅地ごとにも多様でありまして、また、かつ、そこに建っております家屋の規模や構造もそれぞれ異なることから、被害状況が一律ではございません。
御指摘のように、地震時の液状化現象によりどのような被害が想定されるか、具体的なイメージを持ってもらうことが、住民が取り組みを進めていただく上で重要であると認識しております。
今後、液状化マップでの判定、評価に対応した実際の被害の写真等の事例を示すなど、その深刻さが伝わるような情報とあわせて、地方公共団体を通じて宅地所有者への周知を図ってまいりたいと考えております。
○岡本(充)委員 今のは、液状化の写真をつけるというだけでは、それが自分のところで来る液状化のイメージなのか、要するに、液状化にもいろいろな状況があるはずですから、やはりその評価のあり方は定量的にあるべきだと考えているんですね。
その定量的な評価の指標をつくっていくという方針ではないということですか。
○清水政府参考人 液状化の凡例につきましては、専門家の方に集まっていただいた委員会をつくりまして、どのように評価ができるかということを検討したところでございますけれども、先ほども申しましたように、地盤の状況は地域によってかなり細かく異なっておりますし、それから、家屋の規模、そこに建っておる建物によりましてもそのことは変わってまいりますので、なかなかそのイメージというのが、ここではどれぐらい、ここではどれぐらいということを簡単に示すことはなかなか難しいかと考えておりますけれども、今御指摘のように、できるだけ自分の宅地がどのような被害の可能性があるか等が目でわかるような評価等ができていくように、これからも検討してまいりたいと考えております。
○岡本(充)委員 今の答弁で、いずれ目で見てわかるようにしてもらえるということでありますけれども、もう既に、液状化の可能性が高いか低いかというのは、さまざまな自治体でもマップをつくったりもされています。今、大津市だってそういうのをやろうと思っているわけですよね。
そういう意味では、できないわけではないんですよ。地震だって、どこだと震度が幾つぐらいというのを細かく出しています、同じように地盤だって違うんですから。したがって、震度でできることが液状化でできないということが私には理解できないので、ぜひ定量的につくっていっていただきたいというふうに思います。
最後になりますけれども、この宅地耐震化推進事業、大津市しかやっていないというこの状況、大臣は、どういう問題点があって全国でたった一カ所しか執行されていないと思いますか。
○河野国務大臣 液状化対策については、国交省がかなり具体的な技術指針を出しておりますし、この支援事業がございますので、何が原因でこの支援事業が使われていないのか、この春に国交省が事業レビューを役所の中でしっかり行うと思っておりますので、それを見たいと思います。
○岡本(充)委員 私は、事業レビューしていただくのも結構ですけれども、もう一つ大きいのは、先ほど言ったいわゆる液状化の被害が定量的にイメージできていないのと同様に、やはり地元自治体の負担がかなり大きくなるということを懸念してではないかと思っています。
そういう意味では、今の補助率でいくということがいいのかどうかも含めて、今まだ参議院で予算は審議中ではありますけれども、こうした要件だとかまた補助率だとか、こういったものも見直していく、こういう方向で事業レビューをやる、こういう理解でよろしいですか。
○河野国務大臣 どういうやり方をするかは、国交省に任せたいと思います。
○岡本(充)委員 そういうことで、残念ながら、役所に任せていたのではなかなか事業が進まなかったのも事実なわけですから、この三年間。そういう意味では、そういう対応では不十分ではないかというふうに私は思いますし、大臣の政治的なリーダーシップを発揮する絶好の場ではないかというふうにこれも私は思うわけでありまして、そういう意味で、今の御答弁では大変残念だと思います。
私は、繰り返しになりますけれども、こうした液状化対策を全国で早急にとらなければ、これまた経済的被害は大変大きなものが出ると思いますよ。この委員会で私はしっかり政務の皆さんに指摘をさせていただいて、そして、これから対策がとられなければ、これだってやはり人災だという話が出てくると思います。
政府は、被害が出ることを知っていながら、結果として、事業に予算はつけていたけれども執行されないような予算のつけ方をして、自分たちは対策をとったんだ、そういう言いわけをするのでは、私はいけないと思います。
ぜひとも、自治体が使いたくなるような、そして使おうと住民も思うようなそういう事業にしていただくように、きょうは各政務もお越しいただいております、国交の政務官からも決意をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。いかがですか。
○宮内大臣政務官 いずれにいたしましても、国民の安心、安全をしっかり守っていくということが大変重要なことであることには変わりはありません。
このことについては、共通の意識を持って関係者が連携をし、そして、必要な、効果のあるそういう事業を積極的につくっていき、使いにくいのであれば、どのようにして効果を出すことができるのか、しっかり前向きに考えていきたいというふうに思っております。
○岡本(充)委員 もう終わりますけれども、それも早くやらないとだめですよ。ゆっくりやって、これまでと同様のスピード感ではだめだ、本当に早くやっていただきたいとお願い申し上げて、質問を終わります。
○野田委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 民主党の小山展弘でございます。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
ことしのこの委員会では、議員立法で成立をしております地震防災対策特別措置法、いわゆる地防法の事実上の期限延長も、恐らく次回の委員会でということになろうかと思いますが、審議される見通しと伺っております。
昨年期限延長を行いました、内容面で共通点の多い、同じく議員立法の東海地震財特法というものもございます。
今回、この地防法と東海地震財特法を統合して、東海地震財特法にある支援の枠組みを全国的にも展開する、そういったような、地防法に取り込むといったことも考えられるかとも思っておりますけれども、現状のところ、そういう方向ではなくて、地防法は地防法として単純な期限延長というようなことになろうか、そういう見込みだということで伺っております。
恐らく、今後も二つの議員立法が併存していくというようなことになっていこうかと思っておりますけれども、これについて、河野大臣、政府の受けとめを伺いたいと思います。
○河野国務大臣 両法とも議員立法でございますから、私がとやかく言うのはどうかと思いますけれども、地震財特法は、特に切迫性があると思われる東海地震に備えるために、地震防災施設の整備に係る地方自治体の取り組みを推進しようというものであり、他方、地震防災対策特別措置法については、阪神・淡路の震災の教訓を踏まえ、地震は全国どこでも起こり得るとの前提のもと、全国における地方自治体の地震防災対策を推進する、そういう議員立法でございます。
特に地震財特法については、迅速に東海地震対策を推進するために、構造上危険性が高い公立の小中学校の耐震化に対し特別な措置が講じられてきたということでございますので、想定される地震の特徴に応じて、それぞれ適切な措置を有する特別措置法が制定されてきたというふうに認識をしております。
○小山委員 今大臣からも、東海地震の地震対策の切迫性ということで御答弁をいただきました。
学校の耐震補強工事なんかもかなり進んではきておりますけれども、四年後にまたこの期限が来るわけなんですが、今大臣も切迫性ということでお話をいただきましたので、ぜひ委員各位の皆様におかれましても、東海地震の切迫性ということを、四年後も、本当にこの耐震工事の進捗度合いも見ながらということになりますが、必要があればまた期限延長をお願いしたいというふうに思います。ちょうど同じ静岡県の望月先生もお見えでいらっしゃいますので、ぜひここは与野党協力をして、こういった災害対策には取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それと、きょうは、特に災害時の水の確保ということで伺っていきたいと思っております。
言うまでもなく、災害時に最も必要となるのは水でございまして、飲料水はもちろんのこと、入浴とかトイレとか、あるいは洗濯。多分、避難所に避難をするということになれば、旅行に行くときみたいに何日か分の下着やら服を持って逃げるというよりも、着のみ着のまま逃げるということですから、同じ服をずっと着るようになりますね。そうすると、こういった洗濯のこともあるでしょうし、あるいはお風呂なんというのも、かなり東日本大震災のときにも入れないというようなこともありました。この水というのが、よく空気や水のようになんて日本語では例えますけれども、当たり前のように思っているものが非常に貴重に感じられるというような、震災のときにはそうだと思っております。
南海トラフ大地震の想定では、関東から四国にかけて大変広い地域で大きな被害が、今の岡本委員の名古屋の被害想定のお話も出ておりましたが、大変局地的な震災被害と異なって、大きな、広域な被害が出るということが予想されております。国は、この南海トラフ地震の発生に備えたシミュレーションの中で、飲料水等の水の確保についてどのような計画を策定しているのでしょうか。
○河野国務大臣 こうした災害のときの水の確保というのは、非常に大事な論点だと思います。まず、何はさておき、水と食料、それから断水時の簡易トイレ、せめて三日分はそれぞれの御家庭で御用意をいただきたいとお願いをしているところでございますが、おっしゃられたように、着のみ着のまま逃げなきゃいけない、さまざまな状況が想定をされるわけでございます。
南海トラフ地震では、発災後、二十四府県にわたって断水が発生し、最大で二千八百三十五万人に対して対応する必要があるとまず想定をしております。
昨年三月に策定した南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画では、全国の水道事業者に応援をいただき、給水車両などを用いて応急給水をする計画になっております。具体的には、一週間にわたり、一人に対し一日三リットルの供給を目指して応急給水を行いたいと思っております。
この量を調達するために、被災地の水道事業者は、域外からの応援給水車も活用し、浄水場、配水池が使えるならば、そこから各避難所への給水も行っていきたいと思っております。また、避難所でなく家庭で、それぞれの世帯で頑張っていらっしゃる方のためにも、被災地域内に被災者が利用できる仮設給水栓を開設する計画でございます。
○小山委員 大変丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。
きょう、資料一ということで、今、河野大臣からお話のありました南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画の、特に水の中でも飲料水に限った、飲料水の必要量ということで、この計画の中の一部を抜粋させていただいたものでございます。
そこで、今大臣からもお話があったんですけれども、この計画の前提になっておりますのは、発災後三日間は家庭等の備蓄、被災地方公共団体の備蓄を含めて対応ということになっていますけれども、多分、全ての御家庭で水の備蓄を大臣がおっしゃられたように持っているわけではないということ、それから、まさに今、地震があったときに、三リットルの備蓄をしていても、事務所にある方はこれから一旦逃げて安全になってからとりに行くということはできようかと思いますが、例えば家にある方なんかが職場にいるときに地震が発生したということになると、その備蓄している水をとりに帰るということがなかなかできない、あるいは家が潰れちゃったというと、水も一緒に、ペットボトルがはぜちゃったというようなことも考えられるわけであります。
そこで、これは政府参考人の方の答弁でも結構ですけれども、発災後三日間の計画量というのは、今私が申し上げたような、例えば家にとりに帰らなきゃいけないけれども帰れないとか、あるいは全ての御家庭が水を備蓄しているというわけではないということ、こういったようなことも含めてこの計画というのは立てられているんでしょうか。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
基本的には、計画に盛られておりますように、最初の一週間は三リットルとか、その後また自治体で支援をするといったことを前提として、計画としてはつくられているものと理解をしてございます。
○小山委員 今、一日三リットルということで、大臣の答弁の方が大変細かかったと思うんですけれども。
三日目をピークにして四日目から、この各日小計というところを見ますと、六万六千八百七立米から六万二千六百三十七立米、それから五万九千八百五十立米と、どんどん下がっているんですね。
これを事前に伺いましたら、水道の復旧が進むんじゃないかということとか、給水車が他県から応援に来るんじゃないかというようなことだったんです。では、確実にこういう必要量を補給できるかといいますと、例えば道路の破損状況なんかによっても、給水車が他県から応援に来ようと思っても、道路の破損状況が想定以上であればピストンに時間がかかるわけですね。これは、きのう、事前の通告のときにそういう御説明があったんですね。
そうだとすると、この供給量を確実に満たすということはできるんでしょうか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
災害時の飲料水の応急給水につきましては、厚生労働省が被害状況や被災地からの支援要請を把握した上で、全国の都道府県や日本水道協会などに対して支援の要請、調整を行い、都道府県等から要請を受けた水道事業者等が給水タンク車や人員を派遣して行われるものでございます。
応急給水につきましては、水道水が蓄えられております浄水場や配水池から避難所等へ給水タンク車等によります輸送を繰り返すことにより、先ほどお話ありましたように、行うことになるのでございますけれども、御指摘のように、車両や人員等の体制や、また道路状況等によりまして、給水に遅延が生じる場合も起こるというふうに考えております。
そのため、応援活動を行う主たる団体でございます日本水道協会では、現在、南海トラフ巨大地震等の広域的な大規模地震に備えまして、応援体制のさらなる検証でございますとか、また全国訓練の実施に向けた検討を進めているところでございます。厚生労働省もこれに参加をして支援をしているところでございます。
また、各水道事業者におきましても、断水の発生を防ぐべく水道施設の耐震化を進めるとともに、応急給水体制のさらなる充実を図っていくこととしており、あわせて利用者みずからが水道水を備蓄する啓発活動も行っております。
厚生労働省としては、引き続き、水道事業者に対します技術支援や財政支援に努めてまいりたいと考えております。
○河野国務大臣 あらゆる災害は想定外でございます。ですから、計画を立てたからといって、それが確実に実行できる担保はないわけでございますが、それでも、さまざまな多重性を確保することによって、例えばこの道路がだめでも反対側から持ってくる、あるいは海から給水をする、いろいろなことが考えられるんだろうというふうに思っておりますので、そこはさまざまな計画を立てながらしっかり対応できるようにしてまいりたいと思っておりますが、だからこそ、最低でも三日間各御世帯に備蓄をしていただく、できれば一週間を推奨させていただいているところでございます。
それがあれば必要な給水量というのは減るわけですが、それを全部当てにして計画をつくるわけにもいきません。しかし、それぞれの御家庭の備蓄をやっていただくということが、万が一水が足らなくても、何とかお互い地域で助け合ってということもできるでしょうし、やってまいりたいと思いますし、計画を立てたからそれが全ていくという前提ではなく、プランニングをすることによって、さまざまなことを想定し、何か起きたときに臨機応変に計画が立てられる、そういう訓練をしっかり関係部局とやってまいりたい。
そして、最後の手段として自衛隊にも給水に参加をしてもらう、そのようなことを考えていきたいと思っております。
○小山委員 大変御丁寧に答弁していただきました。ありがとうございます。
大変懸念されるところは、東京、大阪、名古屋、それから、一応政令市ですので静岡、浜松も、こういった都市圏、大都市圏がみんなあるところである。ですから、給水車なんかでも、それ以外の地域から応援に来るということなので、台数とかも含めて、厚労省さんの方でも、今、さらなる検証が必要というお話がありましたが、まさにそのとおりだと思うんです。まさに今、河野大臣がおっしゃるとおりで、だからこそ、実はちょっとここからは御紹介と御提案も兼ねてお話ししたいと思うんですが、資料二をごらんいただきたいと思います。
水の確保というところにつきまして、静岡県の磐田市というところがあります。そこの鮫島という海岸部のところで、NPO法人磐田鮫島方式という団体がございまして、これは、水の確保ということを東日本大震災発災直後からずっと研究してきた、平成二十三年からやってきた団体です。
実は、これは、塩ビ管程度の簡易な井戸、一本掘るのに大体百万円から二百万円ということで聞いております。その簡易な井戸を掘っておいて、各自治体に消防ポンプがあります、あの消防ポンプでくみ上げると水がくみ上げられたんですね。
もともと地下水ですから汚い水ではないんですけれども、この地下水というものを利用すれば、災害時に限ったということで考えれば水量は無尽蔵であるということ、それと、この消防ポンプ一台で、こちらの資料の二の方にも書いてありますけれども、避難所等の受水槽への給水も可能であったということで、これは実験済みでございます。消防ポンプ一台で、火も消せるし、それから、校舎の屋上まで水を吸い上げて、出すことができたということであります。
もしこの受水槽のタンクに給水をできれば、千近い学校の蛇口も使うことができる。それから、お風呂とか洗濯とか、トイレについてはちょっと下水の方の状況も見ながらということになろうかと思いますが、使うことができる。
では、台地の上とか山がちなところはどうかということですけれども、多少のところであれば、山火事を消すときも、自治会の消防ポンプを直列につないで今消火活動なんかも消防団はやっているということで、水を吸い上げるものについても、直列で、自治会にあるような手押しの消防ポンプ数台があればできるということでございます。
全ての被災地域でこのやり方が通用するということではないかとは思いますが、また、研究途上ではあるんですけれども、地下水を利用するというこの磐田鮫島方式というのは、私はかなり画期的ではないかなと思います。
今私が本当に短い時間でお話をしたぐらいですが、対案ということではないですけれども、提案型で質問させていただきましたが、これについての政府の今の感想で結構ですので、お願いできますでしょうか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
災害時の水の確保につきましては、浄水場や配水池等の水道施設の耐震化や緊急貯水槽の整備に加えまして、今御指摘ございましたとおり、地下水の利用も考えられるところと考えております。
磐田鮫島方式の詳細につきましては、今御紹介いただいたところで、詳しく承知しているわけではございませんけれども、各地域の判断で、得られる地下水の水質や水量などの条件も勘案しつつ地下水を適切に利用することは、災害時の水の確保の一方策として考えられるものと考えております。
○小山委員 この地下水というものも、先ほどの計画の御説明のときには余り出てきませんでしたけれども、地下水という水の確保のやり方もあるということで、ぜひこのところにもう少しこれからも注目をしていただければと思っております。
ちなみに、河野大臣、今、本当にこれは揚げ足をとるような質問ではございませんので、ぱっとごらんになられた限りでの御感想をもしいただければと思います。
○河野国務大臣 磐田鮫島方式というのは初めて聞きまして、済みません、見たことがないものですからあれでございますが、これは一つの大きな対策なんだと思います。そんなに大きな設備投資が必要なわけでもございませんし、地下水が出てくるような地域であれば、本当にこれは有効な手段だと思います。
恐らくこういう知恵が、全国さまざまな地域にさまざまな知恵があると思うんですね。かつては使っていたのかもしれませんが、だんだん失われてしまったそういう知恵をもう一度掘り起こして、いざというときにこういうものが使えるという用意をするのは大変に有効な手段だと思いますので、これはお地元の話なのかもしれませんが、ぜひ全国に伝道師になって広めていただきたいというふうに思います。
○小山委員 ありがとうございます。
まさに今大臣がおっしゃられたとおりで、この方式に限らず、別の内容のことでもいろいろな知恵が多分あると思いますので、ぜひそういったものを集めて震災対策に生かしていくということも必要かなと思っております。
ちなみに、これは私が余り言っているとちょっと受け売りみたいですけれども、静岡朝日テレビやSBSの取材のテレビ映像がありますので、別途、大臣のところに送らせていただければと思いますので、またぜひお時間があるときにごらんいただければと思います。
それと、きょうはもう少し津波対策について伺っていきたいと思います。
国の支援では、L1規模の津波への対応ということは国の支援策ということで行っております。静岡県の西部地域の自治体では、独自に、県と市町村、民間の共同によりまして、L2の規模の津波に備えた堤防建設を進めております。
政令市の浜松市では、大変ありがたいことで、三百億円の寄附がございまして、それを元手にやっている。ところが、浜松市よりもさらに震源地に近いと言われております磐田、袋井、掛川、御前崎といったような町では、独自に寄附を募ったり、あるいは自治体の側がお金を出して堤防建設ということで進めていこうとやっております。
そこで、三枚目の資料をごらんいただきたいと思うんです。
今、これは磐田市のものですけれども、既存の堤防、それから盛り土といったものを合わせて、幅が約六十メートルから七十メートルの堤防を結果としてつくっていくというようなことで、静岡モデルというふうにこれは言っておりますけれども、このやり方をしている。去年、この掛川市の部分について、山谷防災大臣にお尋ねをしたこともございました。
ところが、これは大変な問題がありまして、これは農水省さんの所管のところなんですが、防風林の用地も含めての整備ということになってまいります。今、既に着工して、でき上がっているところもあるんですが、何と松くい虫の被害が起きて、松が枯れちゃったところは、枯れた松の木を切って植えかえるときについでに盛り土もする、そういう理屈でやっているわけでして、松くい虫の松枯れがないところは、ずっと堤防の整備が進まないということになっております。
これは、今の法律のとおりにやっていけば、それは当然のことなんです。しかし、では、松が枯れているところはどうだったかというと、松くい虫の農薬散布に非協力的だったところが、全てとは言いませんけれども、そういうところなんかも含まれていて、松くい虫の対策の農薬散布に大変協力的だったところは、松の木が枯れていない、堤防建設が進まないというようなことがありまして、大変そのことで住民の皆様からは、市は何をやっているんだ、こういうクレームが来て、市の職員さんとか市議会さんなんかは結構責められて、苦しいというような声もかなり出てきております。
そこで、防風林、風を防ぐということも大変大事なことであります。あるいは防砂林ということで、海岸侵食も進んでいますので、しっかり防風林、防砂林を整備していくということは大事なんですが、それも何のためかといえば、住んでいる人のためなんですね。その住んでいる皆さんが、ぜひ津波対策ということで進めていただきたいという要望があるので、ここは、津波堤防建設に関するものであれば、ずっと未来永劫はげ山にするわけではありませんので、ぜひ防風林を含めた津波堤防の建設について農水省さんの御理解も賜りたいと思っておりますが、これについて農水省の認識を伺いたいと思います。
○伊東副大臣 小山委員の御質問にお答えをいたします。
静岡県の海岸部におきましては、江戸時代から造成されてまいりました海岸防災林がございまして、保安林に指定をされております。これらの防災林は、飛砂、いわゆる砂が飛んでくるのを防ぐ、あるいはまた風害や潮害の防備など多様な機能を発揮し、地元の方々が森林の健全な管理のため御努力をされていることは承知をしているところでございました。
こうした防災林のうち、松枯れ等によりまして機能が著しく低下した保安林におきまして、今委員お話しのとおり、静岡県では、市町村や民間企業が県と協力をして、盛り土を行った上で保安林を再度造成する取り組みを、森林法に基づく県の許可を得て行っているところであります。
一方、今御質問いただきました地域の取り組みでありますけれども、松枯れ被害がなく、機能を発揮している保安林に堤防を建設しようとする場合にありましては、保安林を一度全部伐採してしまわなければならない。もしそうなりますと、数十年にわたり、飛砂あるいは風害を防止する機能を発揮できなくなるのではないかという点に十分配慮する必要があると思うわけであります。
その上で、現行法では、地元の御意見を尊重しつつ、本件保安林の指定解除の権限を持つ静岡県の判断のもと保安林の指定を解除する、あるいは、保安林の機能を阻害しない範囲で盛り土を行うという方式をとり得るものと考えているところでございます。
○小山委員 ありがとうございます。
確かに、防風林、防砂林の機能が失われないように最大限の配慮をしながら、中には、農薬散布に協力して松の木が枯れないなら協力したくないなんというような、そういう後ろ向きな話も出てきておりますので、ぜひ、やらないということの理由を見つけることよりも、何とかやっていただけるようなことでこれからも知恵を絞っていただければと思っております。
時間も少なくなってまいりましたので、質問を急がせていただきたいと思います。
今、ガソリン等の燃料の確保ということで、国の方では、先ほども申し上げました南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画の中でも、大型タンクとか自家発電設備を備えた石油製品供給の拠点となる中核サービスステーションのうちで特に重要なものについて、燃料の重点継続供給を行うための支援の枠組みがございます。一定量の燃料の備蓄を行う制度なんですけれども、平成二十五年度の補正予算から措置をされております。
現在、二十四都道府県にて導入ということで、約半分ということで、これは多いと見るか、少ないと見るか、判断が分かれるところですけれども、大規模地震発生後の燃料確保をより確実なものとするための中核サービスステーションの追加指定とか、あるいは中核サービスステーションの在庫備蓄に関する補助の支援策について、今後、国はどういう対策、認識、あるいは支援の継続といったものをお考えになっているでしょうか。
○星野大臣政務官 お答えいたします。
経済産業省は、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害時においても救急車やパトカー等の緊急自動車等に燃料供給を継続する役割を担う、中核SSと呼んでおりますが、中核SSを指定するとともに、中核SSが災害時に機能を継続するために必要な自家発電機の導入やタンクの大型化を支援してまいりました。委員御指摘のとおりでございます。
加えて、平成二十五年度の補正予算におきまして、中核SSが追加的な燃料在庫を購入する費用を国が負担するとともに、都道府県がその追加在庫の管理費用を負担する形で、中核SSにおける在庫備蓄の積み増しを進めてきたところでございます。
中核SSの選定に当たりましては、災害時に緊急自動車等が燃料補給する拠点を確保すべく、全国各地で、消防署や警察署の近傍のSS等を合計で約千六百カ所指定したところでありまして、東日本大震災の教訓を踏まえた整備は一巡をしたと認識しております。
いずれにいたしましても、各地域の実情を踏まえて、災害時の燃料供給のあり方について自治体としっかりと議論をしてまいりたいと考えております。
○小山委員 以上で質問を終わりたいと思いますが、緊急防災・減災事業債、これは自治体でも継続を望む声が大変多いですので、ぜひ継続の御検討をいただければということを申し上げて、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○野田委員長 次に、堀内照文君。
○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
東日本大震災から五年が経過をいたしました。まだ現地は本当に、復興は道半ばにも至らないような深刻な現状がある、厳しい現状があると思います。復興は、そして被災者の生活再建は、決して年限、時間では区切れるものではないと言わなければなりません。これは、二十一年前の阪神・淡路大震災の被災者としての私自身の実感でもあります。
大臣に冒頭お伺いしたいんですが、二〇一三年に、大規模災害からの復興に関する法律が成立し、災害対策基本法が改正されました。その審議の際に、我が党の高橋千鶴子議員の質問に答え、当時の古屋防災担当大臣がこれらの法律の基本理念について、被災者一人一人の生活再建を図ることが大事だ、そういう趣旨の答弁がございました。河野大臣も同じ認識でよろしいでしょうか。
○河野国務大臣 災対法の基本理念の一つとして、被災者一人一人の生活再建を図るということを含めて、被災者の援護を図り、災害からの復興を図るというふうに規定をしております。
私も、被災者一人一人に寄り添って復興を目指していくということが大切だと思っております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
ところが、阪神・淡路大震災の被災地では、借り上げ災害公営住宅の期限が二十年と定められ、今、順次その期限が来るということで、被災者が災害公営住宅から追い出されようとしております。
阪神・淡路大震災の復興の過程では、避難所から仮設住宅へ、そして仮設住宅から災害公営住宅へと転居のたびにコミュニティーが破壊をされ、孤独死が社会問題にもなってまいりました。
この借り上げ住宅は、当時、災害公営住宅の建設が間に合わないことから、民間やURの住宅を借り上げて公営住宅としたものであります。
仮設で、公営住宅に入りたいということで何度も抽せんするわけですが、この抽せんに漏れて、ようやく当たったついの住みかがこの住宅だった。もちろん、他の公営住宅に当たった人は退去する必要はありません。抽せんでたまたま当たったのが借り上げ住宅だったということで、今退去を迫られているわけであります。震災から二十一年がたちましたから、当時六十歳代だった人は今八十歳代であります。到底引っ越しなどできないということで、入居者、被災者の方々に衝撃と不安が広がりました。
既に、今、西宮市と神戸市で、それぞれ借り上げ期限が切れた住宅がございます。神戸市は、立ち退きに応じない被災者三人を提訴いたしました。西宮市も、同様の立ち退きに応じない被災者を提訴しようと、今、市議会に諮っているところであります。神戸市は、この提訴に至るまでにも被災者や代理人との話し合いにすら応じないまま、踏み切ったわけであります。
借り上げ住宅入居者の中には、当初、行政から、この二十年という入居期限を知らされていなかった方も多いわけです。公営住宅法第二十五条二項では、「事業主体の長は、借上げに係る公営住宅の入居者を決定したときは、当該入居者に対し、当該公営住宅の借上げの期間の満了時に当該公営住宅を明け渡さなければならない旨を通知しなければならない。」とされているんですが、この要件を満たしていないのに一方的な退去を求めている。これは問題ないんでしょうか、国交省にお尋ねしたいと思います。
○杉藤政府参考人 お答え申し上げます。
公営住宅法上、事業主体の長は、今の例ですと神戸市長ということになりますが、公営住宅法第二十五条二項に基づき、借り上げ公営住宅の入居者を決定したときは、当該入居者に対し、当該公営住宅の借り上げの期間の満了時に当該公営住宅を明け渡さなければならない旨を通知しなければならないこととされております。
一方、借り上げ公営住宅の借り上げ期間の満了に際しましては、公営住宅法第三十二条第一項第六号に基づき、事業主体は入居者に対してその明け渡しを請求することができるとされております。この明け渡し請求を行う場合には、同条の第五項に基づきまして、当該請求を行う日の六カ月前までに、当該入居者に対してその旨を通知することが要件とされております。
しかしながら、事業主体が借り上げ公営住宅の借り上げ期間満了に伴うその明け渡し請求を行う際に、入居者に対する公営住宅法第二十五条第二項に基づく通知は前提条件とはされておりません。
したがいまして、同項に基づく通知を事業主体が入居者に対して行っていなかったとしましても、同法第三十二条第一項六号に基づきます借り上げ公営住宅の明け渡しを請求することは可能と考えます。
○堀内(照)委員 前提じゃないとは言うんですが、法律で定められていることがやられていない、これは全く問題ないと言えるんですか。
○杉藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回は、借り上げ公営住宅の明け渡しを請求したということでございまして、法律上、明け渡し請求をすること自体は可能であるというふうに考えております。
○堀内(照)委員 本当にこういうことでいいんだろうかと思うんですね。手続に不備があっても、六カ月前に退去請求の通知をしさえすれば、被災者はついの住みかから追いやられてしまう。これは本当に理不尽だと思うんです。
では、何のために二十五条二項が定められているんですか。
○杉藤政府参考人 借り上げ公営住宅は、事業主体が建物所有者から住宅を賃借するものでございますので、借り上げ期間が終了すれば、当該住宅を建物所有者に返還する必要がございます。
公営住宅法第二十五条二項の通知でございますけれども、このために、借り上げ公営住宅の入居者に対しまして、あらかじめ入居時に借り上げ期間満了時には明け渡しをしていただく旨を通知しなければならないこととしております。この趣旨でございますが、入居時にあらかじめ退去時期が予測できるように配慮をしたものでございます。
○堀内(照)委員 その配慮が全くされていないということなんですよ。
本来、この規定は、そういう入居者の居住の安定、やはりそれが守られなければならないから、そういう配慮をするために、事前にお知らせしなければならないということだと思うんです。
しかし、それがされていない。六カ月前に知らせさえすればいい、こんなことで本当にいいのかと私は思うんですね。期限についてまともな説明もない中で、納得できないという被災者がいるのは当然でありまして、その方々を提訴するという事態まで今生んでいるわけであります。
昨年、私は実は予算委員会でこの問題を取り上げまして、当時、太田前国交大臣でありましたが、質疑の中でこういう答弁がありました。
大臣は、「私としては、兵庫県や各市に対しまして、入居期限後の支援策全般について、きょう出た例等」、私が期限が来ることで被災者が転居を迫られているという事例を幾つか紹介しましたので、その例等、「も出しまして、丁寧な対処をしていただければ、」という答弁でありました。
きょう、国土交通大臣政務官がお見えです。これで丁寧な対処と言えるんでしょうか。
○津島大臣政務官 堀内照文委員にお答え申し上げます。
借り上げ災害公営住宅に入居している方々の居住の安定確保については、まずは地方公共団体において丁寧に対応するべきものと考えております。
一方、御指摘のとおり、神戸市においては、借り上げ期間の満了を迎えた災害公営住宅の明け渡し請求を三名の方に対して行い、さらに、建物の明け渡し等を求める提訴に至ったと聞いております。
しかしながら、神戸市においては、借り上げ災害公営住宅の借り上げ期間が満了する方に対し、例えば、高齢者の方や手厚い介護が必要な方に対し、入居期限を延長し、継続入居を認める、あるいは、その他の方についても、住みかえ希望先の市営住宅に入居決定するまで最長五年の延長を行うといった対応をしていると聞いております。
このように、地方公共団体においては、借り上げ災害公営住宅の入居者の方々の居住の安定の確保に向けて、各地域の状況に応じた対応を講じているものと承知しております。
○堀内(照)委員 今答弁がありました、各自治体において継続入居をどういう要件でやっているのかというのを、きょう資料でお配りさせていただきました。
私は、ぜひちょっと聞いていただきたいのは、どういう人が提訴されているかということなんです。
神戸市から提訴された七十二歳の女性は、以前に乳がんを患い、四・八センチ切られたというんですね。抗がん剤治療の副作用もきつかった。その後、左足にしびれを感じ、診察を受けると、後縦靱帯骨化症、難病だとわかった。手術も受けましたが、しびれはとれないし、真っすぐ歩けない、じっと立っているのも五分が限界。こういう方でも、神戸市が示している継続入居の要件は要介護三以上、重度障害者、八十五歳以上ですから当てはまらない、退去を迫られてきたわけであります。
私は国の方にもいろいろこの問題を何度かお聞きしましたが、市からは、丁寧な対応をしているんだ、今も大臣政務官から、住みかえ策等あるんだということであります。
例えば、この方は市からどういうふうにやられてきたか。市が行った説明会の日、インフルエンザで寝込んでいたというんですね。にもかかわらず、玄関先で呼び鈴を鳴らして、説明会に来てほしいと。インフルエンザで無理だと言っているのに、玄関口で三十分以上も話し込む。説明会は三日間続いてあったそうですが、三日連続して毎日そんな対応だったと。結局、被災者の実情を聞くというよりは、説得にかかる、そんな対応だったということです。
西宮市は、この表を見ていただいたらわかりますように、幾つかの要件で五年の猶予はあるものの、継続入居は一切認めていません。
兵庫県や神戸市は幾つかの条件で継続入居を認めているわけですが、しかし、例えば今の方も当てはまらないなど、それがかえって、一人一人の実態を見ることなく、要件によっての冷酷な線引きになってしまっている。これが被災者一人一人の生活再建を図るにふさわしい対応と言えるんだろうかと私は思うんです。
河野大臣にお伺いしたいんです。もちろん第一義的には、私は自治体の対応、責任が大きいと思います。しかし、国はそれを見守るだけで果たしていいんだろうかと思うんです。国としても解決のためにできることをやる、こういう姿勢が今求められているんじゃないでしょうか。
○河野国務大臣 お配りの資料を見ますと、宝塚市や伊丹市というのは全戸継続というふうになっております。このように、一人一人の事情にきちんと寄り添った対応を自治体がやっているところがあるわけでございますので、それぞれの自治体には、お一人お一人の事情をしっかりと酌んだ、しっかりとした丁寧な対応をしていただきたいと思っております。
○堀内(照)委員 しかし、実際はそうなっていないということなんですね。
兵庫県保険医協会の医師らが、昨年秋からこの一月にかけて、借り上げ災害公営住宅入居者の健康相談を行っております。それを踏まえて、県知事、神戸市長、西宮市長宛てに意見書を提出しております。
この意見書では、相談に来られた方の九割以上が通院をしているんだとか、薬の服用をしているんだとか、高血圧を有する人が、相談場所によってまちまちですけれども、六割や八割ということです。医療上の必要から継続入居を希望する人が多数だったということであります。これらの内容について、七十五歳以上と七十四歳以下ということで分けて分析もされています。しかし、年齢による、今言ったような医療上の必要の差異ということは見られなかったと。
この阪神・淡路大震災からの二十一年の現実というのは、被災者の生活再建というのは決して時間や年限では区切れない、期限が来た借り上げ公営住宅の継続入居の必要性についても、年齢などの要件で線引きすべきではないということを私は教えていると思うんです。今大臣からも答弁いただきましたように、入居者一人一人の状況を具体的に踏まえた柔軟な対応が必要だ、これは本当に教訓だと思います。
今大臣からも言っていただきました、現時点では、宝塚、伊丹の方々は全員が継続入居、兵庫県、神戸市は要件を満たせば、西宮は全員退去だということで、自治体によって本当にばらばらなんです。同じ災害の被災者で、同じように借り上げ住宅に入居しながら、自治体間でこういう格差があっていいんだろうかと思うんですが、この点、国交大臣政務官、お願いします。
○津島大臣政務官 お答え申し上げます。
阪神・淡路大震災においては、兵庫県や神戸市、西宮市など七つの地方公共団体で借り上げ災害公営住宅が供給されております。
公営住宅法では、借り上げ期間満了後の対応として、公募によらず他の公営住宅に入居することを可能とするなどの措置を講じております。
それに加えまして、災害公営住宅の借り上げ期間満了後の対応については、地域の状況等を踏まえ各地方公共団体が判断されることから、対応は異なっております。
具体的には、御指摘もございましたが、兵庫県では、八十五歳以上の者や重度障害者がいる世帯等への継続入居、神戸市では、八十五歳以上の者や重度障害者がいる世帯等への継続入居や一部住宅を市が買い取ることによる継続入居、西宮市では、重度障害者がいる世帯等は住みかえ先の市営住宅が決まるまで最長五年間の住みかえ猶予期間を設定など、入居者の方の事情等を勘案した対応を行っているものと考えております。
以上です。
○堀内(照)委員 住みかえが支援策だというのは、私は支援策と見るべきじゃないと思いますよ。住みかえられる人はいいんです。しかし、問題なのは、そういう転居ができない人にまで、年齢等の要件で線引きがされ、転居、退去を迫るということで本当にいいのか。しかも、それが自治体間によって対応がばらばらになるということで本当にいいのか。このことを私は問うているわけであります。
自治体任せだとやはりこうばらばらになるわけですから、私は、だからこそ国の責任というのが問われてくるんだと思うんです。
そこで、幾つか、提案も含めて、以下質問を続けたいと思います。
阪神・淡路大震災では、避難所から仮設住宅、仮設住宅から公営住宅、転居のたびに被災者がばらばらになり、それまでつくり上げてきたコミュニティーが壊されてきました。これは兵庫県が震災十年でまとめた検証の中にも出てくるわけですが、このコミュニティーの形成ということがやはり教訓なんだ、こう総括をされております。
これは、その後の東日本大震災からの復興の過程を見ましても、例えば仮設住宅を集落ごとにつくっていくですとか、そういうコミュニティーへの配慮ということがやはり大事になっているんだと思うんです。一般的に言っても、災害からの復興の過程でコミュニティーを壊さない、このことが非常に大事だということが確認できると思うんですが、いかがでしょうか。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
大規模な災害においては避難生活の長期化も想定されることから、被災者の方々が応急仮設住宅で生活を続けるに当たり、孤立化を防ぐためにも、コミュニティーの維持形成を行うことは重要であるというふうに考えております。
○堀内(照)委員 兵庫県は、要件を幾つか課した上で、実は判定委員会というのを設けまして、割かし丁寧に個別に判断されるというふうに聞いていたんです。しかし、私が実際に被災者の相談に乗っていた弁護士の方から聞くと、事前に県が相談会を持ち、この要件を示して、なかなかやはりあなた難しいですよということで、継続入居申し込みの申請の前の段階でふるいにかけているんじゃないかということが指摘をされました。
それで、実は兵庫県で、この判定に漏れた方でお一人、再判定の申し立てをしておられる方がいらっしゃいまして、この方は、六十四歳でひとり暮らしの男性です。二〇一三年に脳梗塞を発症し、右下肢麻痺、それから不眠症、発作性心房細動、腰部脊柱管狭窄症など、病気と要支援二の医師の意見書も添えられていたようであります。
トイレやお風呂に手すりを設置し、しびれや痛みが増す中で、人の三倍近い時間をかけて近所のスーパーに買い物に行く。病院も、総合病院、眼科、歯科、整形外科、今、全て歩いていける距離にあるから行けるんだ。十五年住む町にようやくこうやってなじんできた。デイサービスでも、介護者や利用者とも話せるようになって、友達もできたんだと。
いわば生活の糧ですね、スーパーですとか病院ですとか、それから友人や支え、そういうものが転居となれば断ち切られてしまうわけであります。ようやく培ってきたコミュニティーが壊されることが、この方にとって生きる力、生きるすべを文字どおり奪うことにもなってしまいます。
借り上げ住宅の期間が満了になったとき、これは実際には転居ということもあるでしょうし、継続入居という選択もあるでしょうけれども、自治体がそういう対応をする際に、コミュニティーの形成や維持ということをやはり重視する必要がある。運用上の指針やガイドラインなどでこういった観点をしっかり入れて示していくということも必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○加藤政府参考人 お答えをいたします。
借り上げの災害公営住宅においては、国土交通省から、コミュニティーの維持形成に資する観点から、住民が共同で使う施設の一つとして集会所や高齢者生活相談所の整備に要する費用の一部について国による財政支援の対象としているというふうに伺っております。
また、災害救助法に基づく応急仮設住宅においては、内閣府告示に基づき制定される都道府県の条例において、地域のコミュニティーを確保するとの目的で、おおむね五十戸以上の仮設住宅を設置する場合に集会所を設置することができるというふうにしておるところでございます。
また、東日本大震災では、先ほどの戸数にかかわらず、地域の実情に合わせて、入居予定者数等を勘案しながら、適切な規模の集会所、談話室を設置するとともに、空き住居が生じている場合には集会や談話室等のスペースとして利用できることとしているところでございます。
このように、さまざま事情がございますので、被災自治体においてコミュニティーの維持を図る場を確保していただくということにつきましては、助言を行ってまいりたいというふうに思っております。
○堀内(照)委員 借り上げ住宅ですから、オーナーとの関係では借り上げ期間を定めなければならないのはもちろんだと思うんです。
しかし、被災者の恒久住宅の一つとして提供される、応急仮設から恒久住宅へ移る、その恒久住宅の一つとしてこの借り上げということがとられてきたわけですから、そういう制度の趣旨から考えれば、期限後もなお転居できないという方がおられれば、希望すれば自治体は原則継続入居を認めるような、そういう仕組みというのも必要ではないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。
○杉藤政府参考人 お答え申し上げます。
平成十一年の借地借家法の改正によりまして、家屋の賃貸借の期限の上限が撤廃されまして、現在、建物の賃貸借期間は、借地借家法二十九条二項の規定に基づきまして、その上限が定められておりません。その結果、事業主体である地方公共団体と建物所有者との話し合い次第で、阪神・淡路大震災の当時とは異なりまして、その借り上げ期間を二十年を超えて自由に設定するということも現在では可能となっているところでございます。
また、各地方公共団体の判断によりまして、借り上げ災害公営住宅の借り上げ期間満了後において、建物所有者との話し合い次第で、引き続き建物を借り上げ、それを入居者の方々に転貸することで継続入居をしていただくということも可能でございまして、各公共団体におかれましてこのような仕組みを御活用いただきたいというふうに考えてございます。
○堀内(照)委員 自治体判断で今も延長は可能なのは知っているんですね。しかし、例えばURなんかは話し合いに応じますよという姿勢があるのに、自治体の側からやはりやらないわけですよ。ですから、私は、入居者、被災者が希望すればということで伺ったわけです。
これは最後に河野大臣にもお伺いしたいんですが、実はこれはきのうも質問通告のレクチャーの中でいろいろ議論があったんですけれども、公住法の枠組みだけでいうと、なかなか被災者支援ということでは難しい面がある。しかし、内閣府も、一旦公営住宅というのに入ってしまったら、これはもう公住法の枠組みですということで、なかなか難しいんだという話でありました。
ですから、私は、被災者支援という観点で、ぜひ内閣府として国交省とも連携をとって、国交省にもぜひ踏み込んでいただきたいと思っているんです。
もう一点の提案は、国からの財政支援の問題です。
継続入居を認めた場合、住宅を買い取るという対応も一つあります。その際の国からの支援を災害対応並みに引き上げていくことや、それから家賃低廉化のための補助も問題になります。
これは、再契約となったら、今は一般借り上げと同じ二分の一に下がります。激甚災害の場合は、当初五年は四分の三で、その後は三分の二だ。ぜひこれは三分の二の補助を続けていく。激甚災害が起きたことで住居を失って、なお生活再建に課題があるからこそ継続となっている。時間がたったからといって補助率が下がるということでは、被災者の実態とやはりかけ離れて時間で区切るということになってしまいますので、この点の財政支援、いかがでしょうか。
○杉藤政府参考人 借り上げ災害公営住宅の財政支援のあり方につきまして御答弁を申し上げます。
借り上げ期間が到来した災害公営住宅につきまして、地方公共団体が建物所有者との合意に基づいて住宅を買い取り、買い取り公営住宅として引き続き供給するということは制度上可能でございます。
ただ、この災害公営住宅の整備及び家賃の引き下げにつきまして、発災した後におきまして国の補助率を通常より引き上げている理由でございますけれども、被災直後の地方公共団体では、復旧復興のため平時では想定されない財政支出を余儀なくされることから、国が特別の支援を行う必要が高いためでございます。
したがいまして、災害公営住宅として相当の期間借り上げを行った後、地方公共団体が改めて建物を買い取り、公営住宅として使用するというような場合におきましては、復興の進展に応じた応分の負担を地方公共団体に求めるという観点から、一般の公営住宅としての補助率を適用することが妥当というふうに考えてございます。
○堀内(照)委員 しかし、国からの財政支援が下がることで自治体が継続入居に向かわないというようなことになってはやはりいけないと思いますので、ぜひこれは検討いただきたいと思うんです。
最後に、大臣に伺いたいと思います。
やはり私は、国が最後まで被災者を見捨てないという姿勢を示すことが本当に大事だと思うんです。今、阪神・淡路の被災者に起こっていることは、どう見ても、災害対策基本法で言う生活再建を図るというこの趣旨から外れるものだと私は思うんです。
東日本でも、みなし仮設から今借り上げへと、この手法が使われようともしています。被災者の住まいとして、一挙に住居が確保できないという中で、一方ではこの借り上げというのは有効な手段であるわけですが、しかし、期限が来ると被災者にとっては展望がないという制度であっては私はやはりいけないと思うんです。国が、ここまでやるんだ、被災者一人一人の生活再建にこうやって責任を負うんだ、この姿勢をはっきり示すことで、自治体の取り組みを促すことにも私はなると思います。
そういった点からも、先ほど幾つか提案申し上げましたけれども、ぜひ関連省庁とも連携して検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 私のおふくろの実家が神戸で、祖母がやはり阪神・淡路で被災をいたしました。自衛隊を初め、大勢の地域の方に助けていただきました。祖母は亡くなりましたが、私も実際被災地に何度か伺って、あのときの被災のすごさというのは、本当にきのうのことのように覚えております。
そういう中で、最初に申し上げましたように、被災された方一人一人にしっかり寄り添って復旧復興を果たしていくというのは大切なことだと思っております。一義的には自治体ということではございますが、国として何ができるか、しっかり検討してまいりたいと思います。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
昨年の質疑でも紹介しましたけれども、入居期限が来るまでに、もうこんなことやったら私は死んでしまいたい、こういう被災者もいたわけです。こんなことを言わせる政治ではやはりだめだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと強調しまして、終わりたいと思います。
ありがとうございます。
○野田委員長 次に、河野正美君。
○河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。
早速質問に入りたいと思います。
ことしの一月二十三日から二十五日にかけて記録的な寒波が到来し、私の地元福岡県を初め九州七県で大きな被害が発生しております。
この寒波によって、福岡県内では十四カ所全ての観測地点で最低気温が氷点下となり、八カ所では観測史上一位の最低気温を観測したというふうに言われております。
福岡は、日本海に面しておりますので、降雪自体にはそうふなれではない地域ではございますが、やはり雪道での車の運転とか凍結路を歩くということに関しては極めてふなれで、容易に混乱をしてしまうという現実がございます。
寒波の影響で路面が凍ったことによって、歩行者の転倒事故なども相次いだと言われておりますが、最も大きな影響を生じたのは、今回、水道の問題であります。福岡県内だけでも二十八市町村で断水となり、九州七県では最大約二十六万世帯の断水が生じました。
まず、今回の寒波による被害の全体状況について、把握されている現状をお話しください。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
一月二十三日から二十五日にかけての強い寒気の影響によりまして、西日本から東海地方にかけてのふだん雪の少ない地域でも積雪というふうになりまして、テレビでも御案内と思います、鹿児島県の奄美大島では明治三十四年以来百十五年ぶりに積雪を観測いたしました。
ただいま九州のことにつきまして先生から御紹介もございましたけれども、寒気は水道管凍結にふなれな九州地方にまで及びまして、九州、中国地方を中心に各地で水道管が凍結、破裂をいたしましたため、全国二十一の県、百四十一自治体の約五十万四千戸で断水が発生したところでございます。
このほか、降雪等による高速道路の通行どめ、鉄道の運休などの大きな影響が生じたところでございます。
○河野(正)委員 大規模に発生した断水による水道の供給停止はどのような原因で生じたのか。
水道管などの施設は、高度経済成長期に整備されたまま、老朽化対策が十分に進んでいないという指摘もございます。内部のさびなどの問題もいろいろあるかというふうに思います。
今回の断水では水道管の老朽化による影響があったのか、また、今後、同じような厳しい寒波に見舞われた場合、同様に断水の被害が生じると見込まれているのか、再発防止に向けた取り組みとあわせて見解を伺いたいと思います。
○福田政府参考人 お答えいたします。
このたびの寒波の影響で、主に家屋の給水管の中の水が凍結し、断水や管が破裂する被害が発生いたしました。加えて、管の破裂によります漏水が一時期に集中したため、水道水をためておく配水池の水位低下が起こって、地域全体が断水した自治体もございました。
家屋の給水管が破裂した原因といたしましては、配管の屋外設置などのほか、委員御指摘のとおり、管の老朽化も一因である可能性があると考えてございます。
このたびの被害を踏まえ、たとえ温暖な地域の水道事業者であっても、事業者に対して、家屋の給水管の凍結対策の注意喚起を積極的に行っていく必要があると考えております。
厚生労働省では、先月の全国水道関係担当者会議におきまして、全国の自治体に対して凍結対策の充実を求めているところでございますが、今後はさらに、今回の被害の検証を行った上で、凍結の予防策や事業者への効果的な情報提供の方策等につきまして周知を図っていく所存でございます。
○河野(正)委員 福岡県内では一月三十一日までに復旧したということを聞いておりますが、長崎県などでは、時間指定断水が続き、復旧まで非常に時間がかかったというふうに聞いております。どのような態勢で復旧に向けた対応をされたのか。
さらには、報道では、空き家に設置された水道管において漏水の発生が相次いだ様子も盛んに取り上げられたようです。空き家対策特措法も制定され、今、空き家対策というのがいろいろ進んでおりますけれども、今後、同様な問題が発生しないためにも、空き家を対象とした漏水対策も徹底しなければならないのではないかというふうに考えております。
この点について、政府の見解を伺いたいと思います。
○福田政府参考人 お答えいたします。
このたびの寒波では、給水管の中の水の凍結により管が破裂し、断水した地域、また、管の破裂による漏水が多発したことによりまして配水池の水位が低下し、地域全体が断水した地域がございました。
管が破裂して断水したのみの地域では、給水管の交換により復旧できるため、比較的早期に復旧を行うことができた場合が多かったようでございます。
一方で、配水池水位の低下によりまして地域全体が断水に至った地域につきましては、配水池の水位回復を待って通水する作業を広範な区域で行う必要があったこと、また、断水範囲が広範囲に及んだことから水道工事事業者等の人手が不足したことなどから、復旧までの時間を要する傾向が見られたというふうに分析してございます。
また、空き家の件でございますけれども、今回の断水では、空き家の点検に時間がかかりまして、漏水箇所の発見や対応がおくれたケースが見られ、人口減少社会の中で、空き家における漏水対策の重要性を再認識したところでございます。
厚生労働省としては、今回の断水に関する検証を行っているところであり、空き家における漏水防止策として、例えば空き家の止水栓を閉めるなどの対策を行うことを全国の水道事業者に周知していくことを考えているところでございます。
○河野(正)委員 しっかりと対応していただきたいと思います。
ちょっと質問通告しておりましたが、先に進みます。離島における対策などもしっかりと考えていただきたいというふうに思います。
また、医療機関にも影響が及んだということで、この点はちょっと伺っておきたいと思います。
特に、人工透析などをされている医療機関におきましては、治療に必要な水が足りなくなるという心配の声が聞かれました。幸い、自衛隊等によって給水を受けることができたため、大きな被害には至らなかったと聞いております。病院自身の責任で断水に備えておくことも必要でありますが、いざというとき支援を受けられる体制も不可欠であるというふうに考えます。
このような災害時の医療機関における断水対策と公的支援の現状をお示しいただきたいと思います。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
医療機関における断水対策といたしましては、水道事業者等が透析病院等の重要給水施設に至る水道経路について優先的に耐震化に努めることとしております。
さらに、都道府県、政令市及び特別区が、平時より公共輸送機関等と応援協定を締結いたしまして、災害時には、公共輸送機関等と連携し、給水車による給水などを行い、断水しても応急的に給水できる体制を整備することとしております。
また、厚生労働省におきましては、災害拠点病院に対して飲料水等の三日分程度の備蓄を義務づけるとともに、受水槽や自家発電設備等を整備するための医療提供体制施設整備交付金を措置するなど、災害拠点病院の機能の充実強化に努めているところでございます。
給水車による給水などを行っても透析病院等における医療継続が困難な場合には、災害拠点病院に患者を搬送することで必要な医療を提供する体制を確保することとしてございます。
○河野(正)委員 私は前、福岡県の方で精神科病院協会の役員をしておったときに、やはり災害時のマニュアルをつくれということで担当になりまして、いろいろシミュレーションもやりながらやっていったわけです。
そのときに、一日一人最低一リットルとして三日分、今答弁にあったように三日分というと、三リットル。それで、病院のベッド数によってはかなりの人数もおられますし、また、病院というのは本当に、そういう災害時は、不眠不休でそこに残って、とどまって働く職員の数というのが物すごい数になります。
そういったことを考えると、実はこの一人三リッターぐらいでも、ペットボトル三リッター、思い浮かべていただくと、この部屋に入り切れないぐらいの備蓄をしておかなければならないという場合も食料も含めればあるわけでございますので、そういったことに対する支援というのを、ベッド数によってかなり変わってくる。巨大な、これぐらいの部屋とか倉庫を平時から持っていないといけないというのが現実であるということを、政府のみならず委員各位におかれましても、ちょっと頭の片隅に置いておいていただきたいなと思います。
次に、火山対策について伺いたいと思います。
昨年五月、鹿児島県の口永良部島で火山噴火が起こり、全島民が避難を余儀なくされました。島の小中学校ではことし一月から学校が再開されるなど、島民の皆さんの暮らしも徐々に戻り始めているのかなと思います。ただ、避難生活も長期化されまして、非常に大変なことだったと思います。
私は当時、維新の党として、災害対策本部ということで現地に赴いて、屋久島で避難されている方と、本当に皆さんにお話を聞いて回ったんですが、そういった中で、やはり生活再建あるいは就労に関する不安という声を多く伺いました。
これは党としてまとめて菅官房長官にも提出させていただいたところでございますが、避難者の暮らしの再建に向けた支援について、政府の現状認識と今後の取り組みについて伺いたいと思います。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
まず、内閣府の方から、避難の時点でのお話をちょっと差し上げたいと思います。
昨年五月二十九日の口永良部島の噴火につきましては、昨年十二月二十五日に、一部を除いて避難指示が解除されたものと承知をしております。
内閣府におきましては、避難指示が解除されていない地域の方々に対し、引き続き応急仮設住宅の提供を続けてまいります。
なお、避難指示解除を受けて帰島された方々への支援につきましては、災害時の応急的な施策ということではなくて、各省庁におきまして実施されている施策で適切な対応がなされておるものと承知をしております。
○鈴木政府参考人 避難しておられた方々の帰島後の生活、それから就労の支援についてのお尋ねでございます。
口永良部島の噴火に伴う避難指示については昨年十二月に大部分が解除されておりますけれども、島に帰られた方々のさまざまな生活上のニーズに対しては今後とも適切に支援していくということが極めて重要というふうに考えております。
厚生労働省では、例えば、生活資金に不安を抱かれておられる低所得の世帯の方々に対しまして、必要な相談支援にあわせて、生活資金等の貸し付けを行う生活福祉資金貸し付けを実施しております。
また、災害救助法の適用を受けて、雇用保険の支給に対する特例措置、これは通常は倒産や解雇等による離職者のみに給付されておりますけれども、これを一時離職者にも給付するということでございますが、これを講ずるとともに、求人情報の定期的な提供、それから求職者の方の希望に応じた個別相談の支援などを行っております。
今後とも、島に戻られた住民の方々のニーズに応じまして、地元自治体と着実な連携をしていきたいというふうに思っております。
○河野(正)委員 口永良部島の場合は、島から島への、屋久島への避難でございましたので、そう潤沢に就職先があるわけでもないので、本当に大変な思いをされていたと伺っております。
我が国は火山が多く、九州だけをとっても、今話に出ました鹿児島の口永良部島新岳噴火以降、桜島や諏訪之瀬島、熊本の阿蘇山でも噴火が起きております。先月末には、新たに霧島のえびの高原、硫黄山に火口周辺警報が出されております。このように各地で火山活動が活発になっており、住民の皆さんの不安は拭えないと思います。
九州内の火山活動の状況、監視体制の充実に向けて、どのような対応をとられているのか。また、実際に噴火してから迅速な対応が不可欠であると考えます。そのためには事前の備えと噴火後の速やかな避難といった対応が必要と考えますが、政府の取り組みを伺いたいと思います。
○西出政府参考人 今御案内いただいたように、九州には十七の活火山がありまして、気象庁では、このうち九つの活火山について常時監視を行っております。
このうち、近年、幾つかの火山において火山活動に変化が見られております。それは今委員が御指摘されたとおりでございまして、まず、口永良部島では、昨年五月二十九日に爆発的噴火があり、その後も火山活動に警戒が必要な状況であるということから、避難を求める噴火警戒レベル5を継続しているところでございます。また、これまでも噴火を繰り返してきた桜島や阿蘇山でも活動が継続しておりますので、それぞれ噴火警戒レベル3と噴火警戒レベル2を継続しているところでございます。さらに、霧島山のえびの高原においては、これまでも時折火山活動の高まりが見られておりましたけれども、本年二月二十八日に火山性地震が急激に増加したということから、火口周辺警報を発表しているところでございます。
このような状況でございまして、火山の監視、情報提供体制でございますけれども、これにつきましては、全国に四十七ある常時観測火山について、四つの火山監視・情報センターにおいて、二十四時間体制で火山活動の監視を行っているところでございます。変化が見られた場合には、噴火警報等を速やかに発表するということを行っております。
一昨年に発生した御嶽山の噴火災害を教訓といたしまして、このような全国の常時観測火山において水蒸気噴火の兆候をよりよく捉えるための火口周辺への観測機器の整備など、観測監視体制の一層の強化を進めております。
また、これに加えまして、火山の観測データを評価、解析するコンピューターシステムの能力向上も行うこととしております。
また、観測監視のためには組織体制、人材育成も重要でありまして、そのため、気象庁としては、先ほど申しました全国四カ所の火山監視、警報発表体制でありますとか、機動観測体制の強化を図るとともに、職員の能力向上に取り組んでまいります。
気象庁では、今後とも、全国の活火山について、大学や研究機関との連携のもと、火山監視、情報提供体制の充実強化に取り組んでまいります。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
昨年十二月の活火山法の改正によりまして、警戒避難体制の整備を特に推進すべき地域、これを国が火山災害警戒地域に指定をいたしまして、指定を受けた自治体に対して、火山防災協議会を設置すること、また、地域防災計画に火山噴火時の避難計画を定めること等を義務づけたところでございます。
火山災害警戒地域には四十九火山が指定をされまして、今後、関係する地方自治体においては、火山専門家も参画する協議会において、噴火時の避難計画の作成に向けた検討を進めていただくことになります。このため、内閣府としては、各火山地域の取り組みを支援するために必要な手引の充実を図っているところでございます。
今後とも、各火山地域の取り組みをしっかりと支援を行ってまいります。
○河野(正)委員 時間もありませんので、最後の話題に簡単に触れたいと思います。
我々おおさか維新の会は、副首都構想を掲げているわけでございます。東京への一極集中が進む我が国において、その首都が常に抱える首都直下型地震の被害の低減のため、あらゆる手だてを尽くさなければならないと思います。大阪に副首都を置くことは、危機に備えるためにも必要ではないかと提言をさせていただいているわけでありますが、こういった国土づくりについて、国交省の立場から御答弁いただきたいと思います。
○北本政府参考人 お答え申し上げます。
昨年八月に閣議決定されました新たな国土形成計画全国計画におきましても、東京一極集中の是正というものを重要な課題として位置づけております。
また、同計画におきましては、「諸機能及びネットワークの多重性・代替性確保等による災害に強い国土構造の構築」という項目の中で、「首都直下地震や南海トラフ地震等による被害を最小化し、迅速な復旧・復興を可能にする観点から、」「東京圏に集中する人口及び諸機能の分散を図るとともに、首都機能を始めとする中枢管理機能のバックアップ体制の整備等を推進する。」と記述しておるところでございます。
東京一極集中の是正でありますとか首都機能の確保を初めといたします安全な国土づくりというものは重要な課題と認識しておりまして、必要な施策に取り組む必要があるというふうに考えてございます。
○河野(正)委員 時間が来ましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、やはり災害にはきちんと備えておくことが大切だと思います。また、大阪の話をさせていただきましたが、距離的に見ると、福岡なども、アジアのゲートウエーとして頑張っておりますので、候補地の一つなのかなと思っております。そういったバックアップ機能についてもしっかりと検討していただきたいと思いますと述べさせていただきまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○野田委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 改革結集の会、重徳和彦です。
きょうは、津波の被害想定地域において特に重要な情報伝達の体制について話をしてみたいと思います。主に政府参考人の皆さんからの御答弁を求めますが、非常に重要なことだと思いますので、河野大臣にもしかとお聞きいただきたいと思っております。
まず、資料一をごらんください。
市町村防災行政無線、同報系、いわゆる同報無線ですね。これは、何か起こったときに、ばっと市町村が役所の方から各個人個人にまで情報を伝達する手段なんですが、これのデジタル化というものがこれまで進められてまいりました。
二十六年度までに完了させることを一応の目標としまして進めてきたんですが、デジタル化はどうかというと、各都道府県、四十七都道府県トータル、一番下を見ますと、真ん中の整備率というところは八一・二%。これはアナログも含めた整備率ですね。市町村数ベースですけれども、八一・二%。そして、一番右側、デジタル整備率、つまり整備されたもののうちデジタル化されているものは五六・二%なんですね。ですから、全体の母数からすると、四五%ぐらいしかまだデジタル化は整備されていないんです。
ところが、一応の期限が二十六年度だからということでしょうけれども、国の、国交省が所管する社会資本整備総合交付金が二十六年度で打ち切られまして、二十七年度からはもうメニューの対象になっておりません。
そこで、国交省に、まず、この交付金のデジタル化の促進効果、交付金の効果をどう捉えているのかということと、もし効果があるということであれば、もう一度交付金のメニューにするべきではないか。また、続けて総務省には、この整備率、現状をどう評価されていて、今後総務省としてどのように進めていく、対応されていくのか。両省にお尋ねをいたします。
○栗田政府参考人 お答えいたします。
社会資本整備総合交付金、これは地方公共団体の創意工夫を生かすというような交付金で、防災、安全に関しますと、事前防災・減災対策、そういった取り組み等を含めまして総合的に支援しております。
地方公共団体による防災行政無線の整備につきましてもこの交付金が活用されてきまして、これまでも一定程度、その整備について寄与してきたものというように考えております。
ただ、他方、財政が厳しい中で、国費を適正に執行するという観点から、平成二十六年度にその交付金制度の見直しが求められております。その中で、三位一体改革に伴って税源が地方に移譲された事業について、本来地方公共団体が全額負担すべき費用として、二十七年度より交付金の交付対象としないことといたしました。委員お触れになったとおりでございます。
具体的には、そのことによりまして、消防自動車の購入その他とともに、防災行政無線も交付対象外とさせていただいたところでございます。
今、改めて委員から御指摘頂戴いたしました。きちんと承りたいと思っておりますけれども、そのような経緯で防災行政無線を交付金の支援対象から除外したということについては、御理解も頂戴したいと考えております。
なお、支援対象見直しの影響を抑えるために経過措置を設けまして、二十七年四月時点で事業中だったもの、あるいはその時点で既に計画に位置づけられていたものについては支援対象としておりまして、できるだけの配慮も行ったつもりでございます。
○横田政府参考人 お答えいたします。
同報系の市町村防災行政無線の整備につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえまして、平成二十三年度からは緊急防災・減災事業債によりまして整備促進を図っているところでございます。
デジタル方式を導入した自治体数でございますが、平成二十四年の三月の時点では四百五十六団体でしたけれども、表にございますように、平成二十七年三月時点では七百九十五団体ということになっておりまして、整備が進んでいるものと認識をいたしております。
消防庁といたしましては、引き続き、自治体に緊急防災・減災事業債等の活用を働きかけますとともに、情報伝達手段の整備に係りますアドバイザー派遣事業など、自治体を支援する取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○重徳委員 既済の措置は続けていかれるということですが、なかなか財政措置というものが見えにくいものでありますので、今アドバイザー制度というようなことも言及されました、ぜひとも国を挙げてこの整備を進めていただきたいと思います。
それから次に、このデジタル化を含め、まだまだ情報伝達手段が不十分だと感じている津波の甚大な被害が想定される地域においては、さまざまな伝達手段を考えているわけですね。現場ではいろいろな知恵を出して考えているわけなんです。
その中の一つとして、地域のコミュニティーFMを活用しようじゃないか、こういうアイデアも当然ながら出てくるわけなんですが、きょう問題にしたいのは、資料の二をごらんいただきたいんです。
このコミュニティーFMというのが、設置した当該自治体の隣の自治体まではエリアとして認めるよ、だけれども、そのさらに隣、隣々接の自治体まではなかなか、認めるためには、ここのアンダーラインが引いてある、上の放送法施行規則によりますと、「住民のコミュニティとしての一体性が認められる場合」と書いてありまして、その下の審査基準によりますと、少し詳しく書いてありまして、「住民のコミュニティとしての一体性が認められる場合とは、公立の小中学校への通学、日常生活の用に供する食料品等の買い物、日刊新聞紙の折り込み広告等地元情報の日常的な流通等、住民が日常生活や社会生活を営む上で一つのコミュニティとしての一体性があり、同じ地域情報を共有する観点から一の放送を行おうとする地域とすることが相当と認められる場合をいう。」というふうに、一応こうやってルールづけられているわけでございます。
このルール、自治体といっても、ちっちゃな自治体、面積の狭い自治体もあれば、岐阜県高山市とか静岡県浜松市のように、東京都と同じぐらいの規模の自治体、基礎自治体だってあるわけで、そもそも、隣接だ、隣々接だという定義の仕方自体、私はナンセンスな面も多分にあると思います。
これで一定の考え方を示すのはもちろん構いません。しかし、これはあくまで規則であり、訓令でありますから、法律でも政令でもありません。余り厳しく捉えずに、しかも、今私が申し上げましたように、災害情報を広く周知するというのは国民にとって一番基礎的な大事な情報でありますので、ぜひともここの運用については、こう一応書いてはありますけれども、等でくくってありますし、ですから、災害情報というものはぜひ重視していただいて、コミュニティーの一体性というものも、地元が必要だと言えばそれは必要なんだというふうに弾力的に認めていただかないと、せっかくこういう伝達手段を地元で考えていても国が認めないなんということがあっちゃいけないと思いますので、その点についてお考えを確認したいと思います。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
コミュニティーFM放送は、もともと、地域の話題ですとか行政、防災、観光、交通など、地域に密着したきめ細かな情報を提供する地域密着型のメディアとして平成四年に制度化したものでございます。
その放送対象地域、放送エリア、これは放送でございますのでエリアを定める必要がございますので、やはり地理的な概念に着目をいたしまして、地域密着型というその性格から、いわゆる一の市町村の一部の区域、そして地域的一体性がある場合にはこれに隣接する市町村の一部の区域をあわせた区域と当初させていただきまして、その後、市町村合併等の状況も踏まえまして、関係者の御要望なども勘案いたしまして、さらに隣々接の地域まで拡張して、今委員御指摘の制度になっておるというふうな状況でございます。
地域密着型のメディアとしての性格を十全に発揮していただくというのが私どもといたしましても本来の趣旨だと思っておりまして、一定の審査の基準というのはやはり公的な制度でございますので必要でございますけれども、地域の方々に地域に密着した防災情報を初めとしてさまざまな情報を提供していただく上でどういう形が適当かということで、それはいろいろな個別具体的な事例に対応いたしまして、今いろいろな御相談もいただきながら、ある意味、柔軟に対応させていただきたいというふうに考えております。
○重徳委員 何かお答えいただいたのかどうかよくわからないような答弁でしたけれども、個別具体的というのは当然のことで、最後に柔軟にというふうにおっしゃったのは、災害情報というものは特に重要なものだという認識、そういう認識かどうか。
今、ずっと答弁の中で、災害というのは最後に一言触れただけなので、その点を私は聞きたかったので、そこをちょっとお答えいただけますか。災害情報というものをちゃんと考慮するかどうか。大臣も、もし後押しの御答弁があったらぜひお願いします。
○吉田政府参考人 コミュニティーFM放送の機能といたしまして、防災情報といいますのは地域密着型の放送の中の重要な情報の一つであるというふうには考えております。
そういう意味でいいますと、コミュニティーFM放送の免許等を出していく際に、それは個別具体事例に即して、ここで定めております法令あるいは審査基準等に則して判断をしていく形になりますけれども、その中で、防災情報等をどういうふうに地域に提供していくのかということは一つの重要な要素になるというふうに考えております。
○重徳委員 大臣、一言。
○河野国務大臣 災害のときにいかに情報を伝達するかというのは、これはさまざまな手段を講じてやらなければいけないことだと思います。
特に、このFM局については、重要な手段の一つではあるんだろうとは思いますが、これはやはり地域性はあるんだと思うんですね。都市部ですとそれぞれの自治体が持っていたりして、そうすると、どこまで広げていいのかという、電波の問題も出てくると思いますので、やはり個別具体的にやらなければいけないと思いますが、災害のときに必要な手段であるということは、これはぜひ審査のときに考えに入れていただいて、そこを重く見ていただきたいなと思います。
○重徳委員 ありがとうございました。
皆さん、力を合わせて災害対策をしっかりよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○野田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。國場幸之助君。
○國場委員 自由民主党の國場幸之助です。初めての質問の機会をありがとうございます。
戦後七十一年がたちますが、我が国は、紛争、戦争による戦死者はおりません。そういう国は、日本を含めて世界で十三カ国ほどあるそうです。しかし、我が国は、世界で最も深刻な自然災害の発生する国であります。平成二十七年の防災白書によりますと、一九四五年から七十年の間におきまして、自然災害による死者・行方不明者が数多く出ております。七万六千四百二十六人と出ております。そして、自然災害による死者が出ない年は一年間もないという特徴もあるわけでございます。
私は沖縄県の選出でありますから、亜熱帯気候の沖縄に毎年台風が発生して、その被害も深刻でありますけれども、歴史的には大津波の被害もありまして、十八世紀に明和の大津波というものがありました。これは、宮古、石垣を中心に、約一万二千人の死者・行方不明者が出ております。そして、昨年の地震は、沖縄県で一万四千五百六十八回発生しておりますが、これは全国の地震発生の数の一二・二%を占めております。沖縄県の国土面積が〇・六%しかなく、人口が一%ということを考えますと、極めて地震の多い地域であるということがわかるわけでございます。
私がここで言いたいのは、大規模な自然災害というものは時と場所と規模と人を選ばない、そのことがわかるわけでありまして、だからこそ、全ての政策の中に、自然災害に対する防災、減災という視点が極めて重要であると考えております。
その点を踏まえた上で、まず河野大臣にお聞きしたいと思います。
東日本大震災から五年の歳月を経ております。その災害に対する対応や復旧復興の過程で、さまざまな知見や教訓や課題や改善点というものが見えてきたかと思いますが、大臣のそれに対する見解というものをお聞かせください。
○河野国務大臣 東日本大震災、あるいはその前の阪神・淡路、あるいは水害もございました。土砂崩れ、雪害など、非常に多くの自然災害を最近でも経験しているところでございます。
そこから得られた教訓としては、全ての災害は想定外で起こるわけでございますので、しっかりとそれぞれに計画を立てながら、しかし、その計画に頼るのではなく、臨機応変にその場でプランニングができる体制をつくるというのが必要なんだろうと思います。
また、被災者のニーズというのは常に多様でございますし、日時とともに変わってまいります。そうした被災者一人一人に寄り添える支援というのが必要であるということ。それから、これだけ大きな災害になりますと、行政が防災、災害を防いであげますというのは到底無理なことでございますので、行政は行政としてできることをしっかりやってまいりますが、国民お一人お一人、あるいは地域、職場といったところで自助、共助というものがなくてはならないというのが、これまで得られた教訓ではないかなというふうに思っております。
我々は、この日本という自然災害の多い国にこれからも住んでいくことになるわけでございますので、これまでの経験から得た教訓をしっかり生かしながら、最新の科学技術を取り入れて、これから来るであろう災害にハード、ソフト両面からしっかりと備えてまいりたいと思っております。
○國場委員 ありがとうございます。
多くの教訓があったかと思います。その上で、今後三十年以内に発生の確率が七〇%と見られております南海トラフ大地震やそして首都直下地震、これは、対策の推進基本計画の中でも減災目標というものが出されております。想定される死者数の約三十三万二千人から十年間でおおむね八割減少させ、首都直下地震に関しましては、最大の死者数の約二万三千人をおおむね半減というものが目標値として定められております。
しかし、今大臣から答弁がありましたように、自助、共助、公助、ハード、ソフトも含めまして、一人一人の人命を守る、そのことを徹底することが極めて重要であります。
その上で、河野大臣が中心となりまして、来るべき大規模な自然災害への、一人一人が主体性を持って備えるという趣旨の「防災四・〇」未来構想プロジェクトというものがあります。
その構想に対する大臣の思いと、どのような効果、また、国民がどのように参画してほしいのか、この点についての答弁をお聞かせください。
○河野国務大臣 これまで日本の国は、一九五九年の伊勢湾台風、あるいは九五年の阪神・淡路の大震災、そして二〇一一年の東日本の大震災、大きく三つの節目の災害があったと言えるのではないかと思っております。そのたびに我々は、法律をつくり、体制を見直し、あるいは国民にも呼びかけ、災害に備える体制をつくってまいりました。
今私が懸念しているのは、最近の地球温暖化が気候変動につながり、台風が強く、数多くなり、また、極端な集中豪雨というのが見られるようになってまいりました。この来るべき気候変動による自然災害の激甚化に備えようというのが、この防災四・〇でございます。
そのためには、先ほど申し上げましたように、国あるいは地方自治体といった行政だけがこのリスクと向き合うのではなく、国民一人一人がリスクと向き合っていただいて、それこそ午前中に議論のありました水や食料あるいは簡易トイレといったものの備蓄、あるいは災害保険への加入といった、リスクに備えるということをやっていただくと同時に、それぞれの地域で地域防災計画、地区防災計画といったものをつくり上げていただいて、地域の中でお互い助け合うという体制をとっていく、あるいは災害が起きたときにどういう戦略で復興していくかという、復興を見据えた戦略を事前に立てていく、そういうことが必要になってくるんだろうというふうに思っております。
この防災四・〇は五月中にも取りまとめを行いたいと思っておりますが、国民一人一人の皆様に、災害のリスクというのは自分のことである、そう認識していただいて、それとしっかり向き合っていただきたいというふうに思っております。
○國場委員 ありがとうございます。
続きまして、加藤大臣にお尋ねをします。
大臣の所信表明にもありましたように、国土強靱化を実効あらしめるためには、国だけではなく、地方公共団体や民間の取り組みが不可欠でございます。
都道府県、そして市町村の国土強靱化地域計画の策定状況と取り組み内容について明らかにしていただきたいのですが、その際に、国土強靱化地域計画と地域防災計画との関係についてもお尋ねしたいと思います。
その役割というものは、国土強靱化地域計画は、想定し得る最悪の事態に対して脆弱性を是正するという事前防災の計画内容であると理解をしております。一方の地域防災計画は、災害が発生した後の対応が中心である、このように捉えております。
国土強靱化地域計画は地域防災計画の上位計画と位置づけられている一方で、国土強靱化地域計画は策定が努力義務で、地域防災計画は策定が義務となっているのはどうしてなんでしょうか。その関係についてもお聞かせください。
○加藤国務大臣 國場委員にお答えさせていただきたいと思います。
まず、国土強靱化地域計画の現状でありますけれども、十八都道県、十二市区町で策定済み、また、二十八府県、二十五市町村で策定中、こういうふうに承知をしております。
強靱化の取り組みは、地域の住民の生命や財産を守る、また同時に、強靱化の取り組みは、地域の経済成長にも資する、こういうふうにも我々考えております。そういう意味でも、それぞれの地域において主体的に進めていただくことが重要でありまして、地方公共団体にはぜひ地域計画を策定していただきたいと思っております。
私どもとしては、地域計画策定を促進していくために、地域計画策定ガイドラインの作成、また、説明会の開催、専門家の派遣を含む出前講座などを行っておりまして、こうした計画の必要性、そして、どうやったら策定をしていけるのかという策定手法の周知を図っております。
さらには、これから地域計画を進めるに当たっては、関係府省における関連する交付金や補助金でしっかり支援していきますよということも申し上げながら、引き続き、この計画の策定に向けて積極的に支援をしていきたいと思っております。
それから今、地域防災計画との関係がございました。
国土強靱化地域計画は、地方公共団体の区域における国土強靱化に関する施策の推進に関する基本的な計画であり、当該地域の特性に応じ、より具体的かつ詳細に国土強靱化の推進に資する内容を定めることが期待をされております。また、法律のたてりからいえば上位というか、いわゆるアンブレラ的な、こういう指針を示すという、地域防災計画に対してもそういう立場になっていることは御承知のとおりでございます。
立法過程において、地域計画の作成を義務づけるかしないかという議論もあったというふうに承知をしておりますが、国と地方公共団体とは対等、協力の関係にあって、それぞれの地方公共団体のみずからの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにする観点をしっかり考慮すべきという判断に立ちまして、国土強靱化地域計画の作成を地方公共団体に義務づけることはしない、一方で、当該計画を作成することができるということにしたところでございます。
また、災害対策基本法に基づく地域防災計画については、当該地域の防災にかかわりのある機関等が防災に関して処理すべき事務について広く定められている計画でありまして、災害対策基本法においては、国や地方公共団体は、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図ること、そして必要な体制を確立し、責任の所在を明確にする必要があることから、地域防災計画の策定が義務づけられている、こういうふうに理解をしているところであります。
○國場委員 今の加藤大臣の答弁の中で、国土強靱化地域計画の策定済み、また策定中というところが、四十六都道府県でなされているということでありました。残る一県がどこなのかと調べましたら、沖縄県でした。しかし、沖縄の方も、私も県とのいろいろなやりとりの中で、今月中には取り組みをスタートします、そういうふうなことでありますので、事前に大臣に御報告をさせていただきたいと思います。
続きまして、河野大臣にお尋ねをしたいと思います。
今回、災害対策基本法の改正によりまして、自力避難が困難な高齢者や障害者を避難行動要支援者として、その要支援者の名簿作成というものを市町村長の義務と課していると思います。
東日本大震災被災地全体の死者数は、六十五歳以上が約六割で、障害者の方の死亡率は被災住民全体の死亡率の約二倍ともなっております。こういった高齢者、障害者の方々の名簿作成というものは極めて重要であると思いますが、この名簿の作成と同時に、個別の避難計画の作成も、義務ではありませんが、求めていると思います。その進捗状況というものをお聞かせください。
○横田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の個別の避難計画と申しますのは、避難行動要支援者名簿作成のために消防庁と内閣府が示しました取り組み指針によりまして、避難支援の実効性を高めるために市町村に対して策定を促しているものでございます。
この策定状況でございますが、平成二十七年四月一日現在で、避難行動要支援者名簿の作成が完了している市町村が九百六ございます。このうち、個別の避難計画が策定済みの市町村が二百九十四、率にして三二・五%、現在策定中の市町村が三百十六、率にして三四・九%となっております。
消防庁といたしましては、市町村において個別の避難計画の策定が進みますよう、引き続き、関係府省庁、都道府県と連携して必要な助言をしてまいりたいと考えております。
○國場委員 私は、個別の避難計画の策定というものは極めて意義が深いと思っております。
と申しますのも、私の選挙区、一市一町六村、七つの小規模の離島町村がありますが、どうしても小さな自治体は職員の数も限られておりますので、このような防災計画をつくるに当たっても、えてして外部のコンサルに委託をするというケースがあると聞いております。そうではなくて、自分たちの地域に住む高齢者や障害者の方々のお名前を確認し、どのように具体的に避難をさせていくのか、そうすることをつくるプロセスの過程において初めて、自分たちの地域の災害に真剣に向かい合う、向き合うきっかけをつくっていると思いますので、ぜひとも個別計画の推進には積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
続きまして、せっかく熊田政務官がずっと私のことを見ておりますから、質問しなければいけないということを感じております。
私たちの国は、四百十八の有人離島を持つ島嶼国であり、そして世界第六位の排他的経済水域を持つ海洋国であります。
今の避難行動要支援者の名簿、また個別避難計画にも重なってくるかと思いますが、私の選挙区の沖縄県も三十九の有人離島を持っております。
その中で、自衛隊の持つ役割はさまざまありますが、災害時においても、また平時においても、離島の急患輸送というもので極めて大きな役割をしているわけでございます。
しかし、離島の急患輸送というものは大変危険を伴う任務でありまして、殉職された隊員の方もいらっしゃいます。いわんや被害発生時には、避難行動要支援者、離島には多くの高齢者も生活をしております。
個別避難計画をつくる際に自衛隊との連携というものは欠かせないわけでありますが、その際の自衛隊との平時の連携、訓練も含めて、現状と課題というものを示してください。
○熊田大臣政務官 防衛省・自衛隊は平素から、政府部内や自治体における各種災害に関する計画策定、見直しへの参画、さまざまな防災訓練の実施及び参加などにより、関係省庁や自治体などの関係機関との連携強化を図ってきております。
特に、離島における災害につきましては、一般的に、その地理的特性から、住民の避難や物資の輸送等の救難活動に際して輸送手段に大きな制約があるなど、対処に困難が伴うことが想定されております。
そのため、離島における突発的な大規模災害への対処につきましては、例えば、平成二十六年度より、沖縄県総合防災訓練に連接した実動訓練、離島統合防災訓練等を実施してきており、こうした自治体を初めとした関係機関との連携強化を図るとともに、統合運用による自衛隊の災害対処能力の向上を図ってきております。
防衛省・自衛隊といたしましても、今後も、各種災害に際し、国民の生命と財産を保護するため、平素からの取り組みに万全を期すとともに、関係機関とさらなる連携強化に努めてまいります。
○國場委員 済みません、山田政務官にも質問したかったんですけれども、申しわけありませんでした。ガイドラインが変わって、在日米軍基地のあり方、自然災害に対応するための自治体との関係について質問したかったんですが。
あと、やはり日本という国は、災害大国であると同時に、これから、東京オリパラも含めまして、二千万人、三千万人という観光立国も目指しております。その際に、在日の、日本に生活をする多くの外国人や、そして海外からの観光客の安否確認情報の提供、そういった大使館との連携というものも重要な課題になってくると思いますので、その点は要請という形で発言をさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○野田委員長 次に、加藤鮎子君。
○加藤(鮎)委員 質問の機会をいただき、ありがとうございます。山形三区選出、自由民主党の加藤鮎子でございます。
先週の金曜日の三月十一日で、東日本大震災の発生から五年が経過をいたしました。改めて、犠牲となられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
復興をなし遂げ、被災した方々に心安らげる生活を取り戻すため、災害特委員の一人として、山積する課題の解決に取り組んでまいりたいと思います。
質問に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
今後いつ起こるかわからない大災害に備えるため、解決すべき課題はたくさんございますけれども、その一つが、災害時におけるボランティアの方々との連携であると考えます。
私自身も、東日本大震災の翌月、ボランティアの一員として被災地支援に行ってまいりました。素人がただ力になりたいという気持ちだけで駆けつけても、かえって足を引っ張ってしまいますので、現地の情報をよくつかんでいる団体や仲間と組みまして、ボランティアの受け入れや被災地のニーズとのマッチングがしっかり機能しているということをあらかじめ確認した上で、また、自分たちの寝泊まりする場所や移動手段などもしっかり確保した上で、宮城県の七ケ浜というところへ入りました。
出発する前に、現地で不足をしている道具などについても調査をいたしまして、自分たちで買い込んでから行くようにしました。例えば泥かきに使うスコップ、これも、先っちょがとんがっているようなシャベルは山ほど余って転がっていたんですけれども、先っちょが平らなもの、これが泥かきには欠かせないんですけれども、そういったものが必要であったり、また、防水のゴム手袋も、丈が手首ぐらいのものでは全然足らなくて、細かい水路の中にある草ですとか、それからそこの中におっこってしまった仏具とかを拾うにはやはり肩まで覆えるぐらいのゴム手袋が必要であるとか、そういう、本当に細かいことなんですが、現場ではとても大事というような情報を事前につかんで行きました。
そういった情報を事前に発信してもらい、そしてつかむことができたので、スムーズに被災地でのボランティア活動に入れたんだと思っておりますが、それでも、現場では、被災者の方々の思いと、またボランティアを取りまとめる各団体の方々の思い、そして地元の行政関係者の方々の思い、それらが錯綜して、ああ、これはうまくかみ合っていないなと思う場面は多々ございました。
ことしの関東、東北における豪雨災害でも、多くのボランティアの方々が駆けつけてさまざまな活動を行われたというふうに聞いておりますが、やはり場所によっては、行政サイドや各種団体との連携がうまくいかないケースもよく聞かれるところでございます。
大きな災害を想定した準備というものが常に必要でありますけれども、このボランティアとの連携がいかなるときも円滑に進むようにするために、内閣府としてはどのような対策を講じるお考えでしょうか。お願いいたします。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
発災時には、主に被災地の社会福祉協議会、社協が開設するセンターに全国から一般の個人ボランティアの方々が駆けつけ、支援活動を行うことが定着をしております。一方、ノウハウや専門的な技術を持つボランティア団体、こうした団体の活動を支える中間支援組織など、さまざまなNPO、NGOも精力的に支援活動を展開しているところでございます。
内閣府では、ボランティアやNPO、NGOが行政、社会福祉協議会など関係するセクターと共同して発災時の支援活動に当たることができるよう、平時から定期的に意見交換会を開催するなど、連携を深める機会を設けてまいっております。
また、ボランティアが被災地に入る際の心構え、安全衛生に関するヒント集、被災地がボランティアを受け入れるためのポイント集を作成するなど、啓発活動も行ってきているところでございます。
さらに、内閣府では、今年度から二年をかけまして、広く防災に資するボランティア活動の促進に関する検討会というものを実施してございます。その拡大ですとか、社会全体でボランティアを支えていくための方策など、幅広く検討をしていくこととしております。
今後とも、ボランティアが活動していただくための環境整備に努めてまいりたいと考えております。
○加藤(鮎)委員 ありがとうございます。
平時のときから顔を寄せ合って、顔を合わせておくということが大事だと思いますので、その取り組みをぜひよろしくお願いいたします。
次に、避難所についての質問に移ります。
被災者の方々の中には、避難所での生活が長期に及ぶケースもございます。昨年の関東・東北豪雨でも、茨城県では約三カ月間にも及ぶ避難生活を強いられた方もいらっしゃるというふうに聞いております。
不足する物資の確保はもちろんではありますが、定期的な処置が必要な持病を持っている方あるいは助けが必要なお年寄りや妊婦、外国人のような要配慮者への対応や、衛生環境の改善等の課題は山積をしております。平常時からの準備も含めて、避難所の運営を円滑化させるための取り組みを強化すべきではないかと考えますが、政府としてのお考えを伺います。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
避難所につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえまして、平成二十五年に災対法を改正いたしまして、被災者を滞在させるために必要かつ適切な規模であること等一定の基準を満たす施設を指定避難所として市町村が指定することとするとともに、避難所における被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるというふうに規定をしたところでございます。また、市町村における避難所の円滑な運営について取り組みを進めるため、平成二十八年五月に、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針を策定したところでございます。
また現在、これら法律及び取り組み指針を踏まえまして、市町村がより的確に避難所を運営することができるよう、実施すべき具体的な内容についてのチェックリスト機能を備えるなど使いやすいガイドラインを、現場の経験者あるいはNPOの方々に入っていただいて作成をいたしておりまして、今年度中を目指して作成を進めているところでございます。
今後は、このガイドラインの周知などを含めまして、避難所における被災者の良好な生活環境が確保されるよう、市町村の取り組みを促してまいります。
○加藤(鮎)委員 どうもありがとうございます。
次に、火山活動による災害に関する質問に移らせていただきます。
御嶽山の噴火を受けて、昨年の七月、活動火山対策特別措置法が改正をされました。十二月、その改正法が施行され、二月には、基本方針の策定や火山災害警戒地域の指定がなされました。
私の地元山形県にある鳥海山も対象火山に指定されまして、酒田市や遊佐町を含む四市町が指定されました。
鳥海山は、海とつながる稜線のラインがとても美しい山でありまして、百名山にも指定をされております。鳥海山ブルーラインという観光客に大人気のドライブコースもございまして、万が一のときを考えた避難体制の確保も重要だと認識をしております。最近こそ、大きな被害は発生していない鳥海山でありますが、過去には、噴石等によって登山者がけがをしたという記録もございます。
そこで、河野大臣にお伺いをいたします。
この法改正によって、避難確保計画の策定をしなければならない集客施設の名前を市町村が地域防災計画の中に記載をすべしということになっておりますが、これはどのような考え方でもってその集客施設を選定するのでしょうか。避難確保計画が義務づけられる集客施設というものの選定に関する考え方といったところをお聞かせください。
さらには、その集客施設にきちんと避難確保計画を実際につくってもらうためには、重い腰を上げてもらうためにいろいろなサポートが必要かと思いますけれども、内閣府としてはどのような支援を行っていかれるのでしょうか、御見解を伺います。
○河野国務大臣 活動火山対策特別措置法改正をしていただきまして、ロープウエーの駅ですとか宿泊施設といった不特定多数の方が利用する施設、あるいは病院など避難に時間を必要とする要配慮者が利用する施設の中で、市町村に、必要と考えるものを避難促進施設として指定をしていただき、所有者には避難確保計画を作成していただくということになっております。
この避難促進施設の選定ですが、例えば、鳥海山が突発的に噴火をした場合に、直ちに対応が必要な火口の近い施設、あるいは多少離れていても利用人数が多い大規模な施設といったものは、避難確保計画を作成していただきたいというふうに思っております。火山の状況は火山それごとに違いますし、周りの状況も違いますので、地域の実情をしっかり考えて、火山防災協議会において議論をしていただきたいというふうに思っております。
また、重い腰を上げてもらうためにも、内閣府として、避難促進施設の所有者に計画をつくっていただくための参考となる手引を御用意したいと思っております。今月末にはこの手引を公表して、それに沿ってしっかりと計画をつくっていただけるようにしてまいりたいと思っております。また、それだけでなかなか十分でないということがあれば、内閣府としても、しっかり引き続きの支援をさせていただこうと思っております。
○加藤政府参考人 大臣から御答弁ありましたとおりでございますけれども、加えまして、個別の課題でなかなか手が及んでいないところ等ございましたら、内閣府の中で、学識経験者の意見を聞きながら共同で検討していくというようなことも重ねて行ってまいります。
それから、済みません、先ほど、取り組み指針のところで、私、二十八年五月と申し上げました。これは二十五年八月の間違いで、訂正をさせていただきます。
○加藤(鮎)委員 ありがとうございます。
ぜひ、その施設の方々がつくりやすいようなサポートをよろしくお願いいたします。前向きな取り組みのスタンスを御表明いただきまして、本当にありがとうございます。
次に、引き続き鳥海山の話で恐縮ですけれども、鳥海山のハザードマップでは、雪解け水を巻き込んだ融雪型の火山泥流や土石流の危険が及ぶ地域が広範囲に広がってございます。被害を最小限に抑えるためには、これらの危険から避難をするための避難計画だけではなくて、堰堤の整備などのいわゆるハード面での整備も組み合わせて実施することが効果的ではないかと思いますが、この点の御見解をお伺いいたします。
○金尾政府参考人 お答え申し上げます。
鳥海山では、噴火時に融雪型火山泥流や土石流等が想定されておりまして、被害を少しでも軽減するために、平常時から施設整備を進めるとともに、緊急時の対策も準備しておくことが重要であります。
平常時の対策といたしましては、これまで、山形県、秋田県の火山砂防事業により砂防堰堤等の整備を行っておりまして、現在も山形県の日向川等において整備を進めております。
また、平成二十七年三月には、緊急時に行うハード及びソフト対策をまとめた火山噴火緊急減災対策砂防計画を国及び山形県、秋田県の三者で策定いたしました。この計画では、噴火や前兆現象などの火山の活動状況に応じて、ブロック堰堤の設置などの緊急工事を集中的に行うことといたしております。
国土交通省といたしましては、平常時及び緊急時のハード、ソフト対策を一体的に行い、噴火による被害をできる限り軽減できるよう、引き続き最大限の支援を行ってまいります。
○加藤(鮎)委員 ありがとうございます。引き続きの支援をどうぞよろしくお願いいたします。
ちなみに、鳥海山では、周辺でジオパークの計画も進んでおりまして、これは、子供たちや来園者の方々に防災の面での啓蒙といったことができるような場所でもございますので、そういった取り組みへの支援もあわせてお願いをしながら、次の、最後の質問に移りたいと思います。
最後のまとめとしまして、国土強靱化につきまして、大ざっぱなお話ですが、加藤大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
災害による被害を少しでも減らすためには、事前の備えを万全にしておくことが肝要であり、国土強靱化の取り組みが非常に重要であるというふうに考えます。特に、民間の力も十分に活用していく必要があると考えますけれども、政府としては、今後民間の取り組みをどのように支援されていかれるのか、御見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 加藤委員御指摘のとおり、事前の備えを万全にしていく、まさに国土強靱化を実現していくためには、国また地方公共団体のみならず、企業やNPOといった民間の方々の取り組みが不可欠だと思っております。そうした取り組みをしっかりと促進していくことが大変重要であるというふうに認識をしております。
現在でも、企業等においては、事業継続計画の策定や、それを踏まえた訓練等が行われております。また、国土強靱化に役立つさまざまな商品やサービスの提供といったことも行われ、さらには帰宅困難者への支援など、まさに社会的な貢献といったこと、そうした取り組みも行われております。こうしたものを取りまとめた民間の取り組み事例集をこれまでも作成し、またリバイスしながら、その周知をしっかりと図り、そうした取り組みがさらに広がっていくように促していきたいと思っております。
また、特に、災害の発生時に、それぞれの企業、あるいは地域の方々の生活を支えておられるNPOの皆さん方のこうした活動が継続していけることは、被害の拡大を抑えるとともに、その後の復興復旧には大変大事だというふうに思っておりまして、事業継続に積極的に取り組んでいる企業やNPO等を国土強靱化貢献団体として第三者が評価、認証する仕組みを構築し、そうした取り組みのさらなる普及促進も図っていきたいというふうに思っております。
こうした取り組みを進める中で、災害に強く、しなやかな国づくりに向けて、民間の取り組みを促進していきたいと思います。
○加藤(鮎)委員 大臣の御丁寧な御答弁を大変ありがとうございます。
ぜひとも、今後とも、民間の力も取り入れた上での国土強靱化にお努めをいただきたいと同時に、国会議員として、またこの災害特の委員の一人として、私も引き続き災害対策に関して力を尽くしていくことを申し上げまして、少し時間が余ってしまいましたが、終了とさせていただきます。
ありがとうございました。
○野田委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
きょうは私が最後の質問でございまして、もうしばらく皆様おつき合いをいただきますよう、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
きょうは大臣の所信に対する質疑ということで、河野大臣さらには加藤大臣、大変にお世話になりますが、よろしくお願いします。
最初に、私、事前防災に対する政府の考え方及び取り組みについて河野大臣にお尋ねをさせていただきたいというふうにも思っております。
東日本大震災の発生から五年が経過をいたしました。国が取り組む復興事業も、集中復興期間から新たな復興再生期間に入ったわけでございます。
我が国は、これまでの阪神・淡路大震災や東日本大震災など過去に発生した災害から学び、そして、それを教訓としながら新たな取り組みを進めてきたのではないかというふうに私は思っております。
しかし、これまでの日本の防災をひもといてみますと、どちらかというと、災害が起こってから対策を考えるといういわゆる事後対処型、さらにはパッチワーク型の対策が多かったのではないかなというふうに感じている一面もございます。
首都直下型地震、さらには南海トラフ地震という巨大地震の可能性が叫ばれている中、私は、今こそ、阪神・淡路、さらには東日本を教訓に、この事前防災の取り組みを真剣に考え、次なる災害への備えの仕組みを確立していかなければならないというふうに強く感じている一人でございます。
実は、この事前防災の取り組み、地方におきましては既に幾つかの事例が生まれております。
少し御紹介をいたしますと、例えば、南海トラフ地震の被害想定で、津波の高さが全国で最も高いと言われている、三十四メートルというふうに想定されております高知県の黒潮町では、一人の避難放棄者も出さないとの町長の強いリーダーシップのもとに、住民一人一人の避難マップを作成していただいております。
また、私の地元でもあります、さらには自民党の三ッ矢理事の選挙区でもあります三重県の鳥羽市におきましては、公立の保育所、安楽島保育所、相差保育所という保育所を既に高台の方に移すという取り組みを行っていただきました。
また、さらには和歌山県の串本町、私、三重県の隣でございますが、大災害が起こる前に、既に高台移転を進めている、そういった地域もあるわけでございます。
このように、既に地方においてはいわゆる事前防災の動きがある中、私は、国においてもこの事前防災に対する取り組みを恒常的、さらには日常的に捉えて、次なる災害への備えの仕組みを確立すること、これは自然災害の多い我が国にとって急務の課題であるというふうに考えております。
そこで、まず初めに、政府の事前防災に対する考え方、また、そのための仕組みの構築や体制の整備につきまして、大臣の御所見をお伺いいたします。
○河野国務大臣 私も高知県に視察に参りまして、南国市や土佐市といったところの避難タワーの取り組みを拝見いたしました。また、今お話にありました和歌山県の県知事さんから、高台移転についての御相談もいろいろと受けているところでございます。
南海トラフ地震あるいは首都直下地震というものは、大変大きな地震と同時に津波が想定をされておりまして、人の命を救うためには、事前の取り組みというのが欠かせないわけでございます。
そういう中で、首都直下地震や南海トラフ地震に備えるということで、まず、法律に基本計画をうたって、期限を定めた定量的な減災目標を設定し、この達成のために政府一丸となって取り組んでいく、事前防災にしっかり取り組もうということにしております。
このためには、行政が何かやる公助だけでなく、自助、共助、地域あるいはそれぞれの御家庭でリスクに向き合っていただくということが欠かせないわけでございまして、行政だけでなく、地域あるいはそれぞれの家庭でも事前防災に努めていただく、さまざまな用意をしていただく必要がございます。
そのために、地域においては、地区防災計画制度の推進を今始めているところでございます。また、防災ボランティア活動の環境整備、これもしっかりやらなければいかぬと思っておりますし、それぞれの企業には、こうした災害時の事業継続に係る計画、BCPの取り組みを進めていただいております。
国民の皆様には、三日分の水と食料と簡易トイレ、できれば一週間分を推奨させていただきたいところでございますが、そうした備蓄、あるいは災害保険の加入といった、災害が来る前に備えられることはしっかりとみんなで備える。
国から御家庭まで挙げて事前防災に取り組んでいくということに努めてまいりたいと思っております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。大変に具体的かつ前向きな御答弁をいただいたかというふうにも思っております。
阪神・淡路、さらには東日本の教訓の中で、災害が起こってから対策をとる、この対策をとることは当然必要なんですけれども、それにかかる費用と、自助、共助、公助の中で事前にさまざまな対策を打っていく、この費用とを考えると、事前にしっかりと打っていく、このところの方がやはりコスト的にもかからないという部分もありますし、その意識を、自助、共助、公助の中でさらにしっかりと持っていただいて進めていくことの必要性、それをやはり国としてもしっかりと支援する。
そのためにも、今回、この委員会でも審議予定であります地震防災対策特措法、これはいわゆる補助率のかさ上げ等が盛り込まれておりますけれども、そして、今まだ公的助成の範囲ではないものに対してもさまざま御検討をいただきながら、事前防災に対する仕組みの構築、さらには体制の整備をさらに国を挙げて進めていっていただきたい。また、地方なり民間なり、市民、国民も巻き込みながら進めていっていただきたいと思っておりますので、河野大臣のリーダーシップをよろしくお願いしたいというふうにも思っております。
続きまして、活動火山対策特別措置法に基づく取り組みにつきましてお伺いをいたしたいと思います。
これにつきましては、先ほど自民党の加藤委員も御指摘をされまして、私が聞きたいなと思っていたところと重なる部分もありますので、そこはうまく省きながら質問を進めさせていただきたいというふうにも思っております。
一昨年九月に発生いたしました御嶽山の噴火、これは私たちにとっても非常に衝撃的な災害であったわけですけれども、この噴火を受けまして、政府は、昨年の七月に、活動火山対策特別措置法、いわゆる活火山法を改正いたしました。その後も国内では数々の火山噴火が続いておりますが、ここでは、この活火山法に基づく法施行後の具体的な取り組みについてお伺いをしたいというふうに思っております。
最初に、避難確保計画の作成に対する国の支援についてお伺いをいたします。
今回の法改正では、いわゆる四十九の火山が指定をされまして、この火山地域の対象となる都道府県や市町村に対しては噴火時などの避難計画の作成義務がなされました。さらには、今回新たに、今、加藤委員もおっしゃいましたが、火山周辺の集客施設や要配慮施設に対しても、避難確保計画の作成義務がなされたところであります。
私は、この避難計画などの作成については、やはり過去の火山災害の教訓から見ても非常に重要であるというふうにも思っております。しかし、要配慮施設とか集客施設、これは今回作成を初めて義務化するものでございまして、ここに対する手引とかサポート、これは私も大変に大切な部分があるだろうなというふうにも思っております。
この部分につきましては、先ほど加藤委員の質問に対して大臣の方から、今手引書を作成しておる、さらには、三月を目途にそれを公表予定であるというお話をいただきました。
その上で、個別具体的な課題はあると思いますので、そこに対してどう対応していくか、これが必要になってくるかというふうにも思っておりますが、加えて、地方公共団体がつくる避難計画、これにつきましては、既に平成二十四年の三月に一度、この手引書というのがつくられておるわけでございます。
しかし、この二十四年の三月のときには、御嶽山の噴火による被害者、登山者等を想定したこういった内容というのは余り盛り込まれていなかった、要するに想定をされていなかったというふうにも思っておりますし、さらには、四十九火山あるその地方自治体においてはそれぞれの課題があるというふうにも思っております。
地方公共団体に対するこの作成に対しての支援、これを国としてどのように図っていくのか。当然、集客施設等の手引、これをおつくりいただくことは必要であり、今御答弁いただいたわけですけれども、市町村や都道府県に対する、避難計画、ここに対しての何らかのサポート、これも私は必要であるのではないかというふうに思っておりますが、そこにつきましての大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○河野国務大臣 今お話がありました地方自治体が避難計画を策定する際の手引は、これは平成二十四年の三月でございます。登山者や旅行者の対策を含めて少し内容の充実をお願いしたいと思っておりまして、来年度中になってしまいますが、来年度中にはこれの改定をして、自治体にはそれに沿って少し計画をアップグレードしてもらいたいというふうに思っております。
それぞれの火山が抱えている具体的な課題の抽出をして、その対応策などを学識経験者の意見も聞きながら内閣府と地方自治体共同で検討するというようなこともあわせて行ってまいりたいと思っております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
やはり今回の活火山法の改正のその一つの大きな根拠は、御嶽山の噴火でありました。そういった中で、いわゆる集客施設とか要配慮施設に対しての作成義務が生じ、そこに対しての手引は三月ぐらいまでに公表したいというお話をいただきました。そして、さらには地方公共団体においても、今までも手引はあったわけですが、さらに今大臣おっしゃっていただいたように、アップグレードしていただいたものを来年度中ということのお話をいただきましたので、おつくりをいただいて、それを関係都道府県、市町村の方にお示しをいただきながら、その地域地域に合った避難計画がそれぞれの地域で作成されること、これを私も願っておりますので、そこに対する御支援をよろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、火山の専門家の育成、確保について伺います。
今回の法改正によりまして、四十九の火山を対象に、火山防災協議会が設置をされました。しかし、この火山防災協議会の必須構成員の参画状況を見ますと、いまだ、都道府県の職員とか、さらには火山の専門家、これが未参画の協議会が多く見受けられるわけでございます。
そこで、まず初めにお伺いしますが、この火山防災協議会における火山専門家の参画状況、さらには、いまだ未参加の協議会への今後の火山専門家の参画の見通しについてお教えをいただきたいと思います。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
活動火山対策特別措置法の改正によりまして、火山災害警戒地域に指定された地方自治体に対して、先ほどございました火山防災協議会の設置が義務づけられ、この協議会には火山専門家も構成員として参画することが規定をされたところでございます。
同法に基づきまして設置が義務づけられた四十九火山のうち、三十七火山につきましては、既に火山専門家が参画をしております。残りの十二火山でございますけれども、各火山協議会等に問い合わせたところ、既に参画予定の候補者が決まっており、来年度の早い時期までに同法に基づく協議会を設置して、その規約の中で参画する火山専門家が明記される予定というふうに伺っております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今の答弁を聞きまして、ひとまず安心をしたところがあります。やはりそろっていないと、幾ら体制ができても中身のある議論というのはなかなかできないというふうに思っております。
今回の火山専門家、加えて、今、一旦はそろえるということだったんですが、ここを根本的に解決していくには、さらなる人材育成、確保、これを継続的に行っていく必要があるのではないかなというふうにも思っております。
そこで、火山研究者さらには火山専門家の人材の育成、確保、これを継続的に今後どのように図っていくのか、ここの部分についても確認をさせていただきたいと思います。
○森(晃)政府参考人 お答えいたします。
火山災害に対する減災、防災に資する研究及び火山研究者の人材育成は喫緊の課題だと認識しておりまして、文部科学省といたしましても、昨年、省内に局課横断的な検討の場を設けて検討を行い、平成二十八年度予算案におきまして、新規事業として次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトを計上しているところでございます。
このプロジェクトでは、先端的な火山観測技術、噴火、降灰の予測技術、災害状況をリアルタイムで把握する技術開発など火山研究を一層推進するとともに、大学等を中心とした火山研究人材育成コンソーシアムを構築して、体系的な教育プランを提供するということとしております。
こうした取り組みによりまして、火山学から、幅広い他分野の研究者や若手研究者の参画を促しまして、広範な知識と高度な技術を有する火山研究者の育成、確保に努めますとともに、火山研究者の知見や研究成果の火山防災協議会における活用などについて積極的に推進をしてまいりたいと考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
日本は、地震の専門家は多いですけれども、火山の専門家は少ないというふうに言われておりました。そこのところ、文科省の方でしっかりとまたよろしくお願いをしたいというふうにも思っております。
最後に、国土強靱化地域計画の策定について加藤大臣にお伺いをしたいと思っております。
ここにつきましては、先ほど國場委員からも御質問がありまして、重なっている部分がありますが、大臣の所信の中でも、国土強靱化地域計画の策定については、その必要性を強調するとともに、今後の地方での策定に向け、国として積極的に支援をしてまいりたい、こんなお話をいただいたところでございます。
都道府県については確かに進んでおるわけですが、先ほど答弁にもありましたとおり、市区町村においてはこれからのところがあるわけでございます。やはり、市区町村での策定が進んでいかないと、国土強靱化というところがしっかりと力強く進んでいくことはなかなか難しいのではないかなというふうにも思っております。
ここにつきましては、いわゆる努力規定であったりとか、また都道府県がつくってから市町村は検討しよう、こういった市町村もあるわけですが、ここの部分をどう進めていくのか。さらには、どのように国として市区町村の地域計画の策定を支援していくのか、サポートしていくのか。國場委員の御答弁にも少しありましたが、よりちょっと詳しく御答弁をいただければというふうに思っております。
○加藤国務大臣 中川委員からも御指摘ありましたように、この国土強靱化地域計画、都道府県については、先ほど、沖縄のことも含めて、進捗をしている。それに比べて、市区町村における取り組みというのはまだまだこれからという状況だと私も認識をしておりまして、こうした取り組みをさらに加速していくことが大変必要だというふうに思っております。
そういう意味では、先ほど申し上げましたけれども、それぞれの市区町村が、こうした取り組みの、計画の必要性というものをまずやはりしっかり認識していただく。そして、どういうふうにして策定をしていったらいいのか、特に、小規模なところは、やはり相当丁寧に対応していく必要があると思っております。そういう意味で、地域計画策定ガイドラインも作成させていただきました。
また、それらを踏まえた説明会の開催、そして、さらには、それぞれの市区町村に出向いていって、専門家の方々が行っていろいろと御説明をする、こういったことをこれまでもやってきているわけでありますけれども、これからもしっかりそうした取り組みをしていきたいと思います。
また、やはり地域計画をしっかりつくっていただいたというところが、関連する交付金や補助金ということにも、支出にもつながっていく。そういったことも、予算の執行がこれから進んでいくわけでありますけれども、そういう中でもしっかり見えるようにしていくことがそうした策定を促進していくことにもつながっていくんだろう、こう思っております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。そういった部分のところ、ぜひお進めをいただきたいというふうに思っています。
そこで、最後一点、ちょっと確認をしたいと思うんですが、この地域計画を策定した場合、国土強靱化に対しての具体的な支援をしていくということで、今大臣の御答弁にもありましたとおり、九府省庁の所管する三十二の交付金や補助金は支援をしていきたい、こういったことを書いていただいているわけなんです。しかし、ここの具体的な内容を見ますと、その支援の内容、項目が、それぞれの交付の判断に当たって、一定程度配慮するという表記がずらっと並んでおるわけなんですね。
実は私、この一定程度配慮するという表記は、やはり地方にとってみると、少しインセンティブとして魅力に乏しいのではないかなというふうにも感じるところがあります。やはり、地域計画をつくったところについては力強く支援しますよというところが必要になってきまして、例えば、補助率をかさ上げするとか、さらなる財政支援とか、こういったところに踏み込む必要がある。逆に、そこまでいかないと、この市区町村における地域計画の作成は進んでいかないのではないかなというふうにも思いますが、そこに対しての御所見なり御意見をいただきたいというふうに思います。
○河村政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、関係府省庁の所管の交付金、補助金につきまして、ことしの一月から、その対象となる関係府省庁の交付金、補助金の数を三十から三十二にふやす等の内容の充実を図ったところでございますけれども、この交付金、補助金による支援は、昨年の三月に北海道等の地域計画が策定されました以降策定されました地域計画につきまして、新年度、二十八年度からの予算について順次適用されるということになります。
先ほど大臣御答弁になりましたように、その結果を把握して、それをきちんと周知していくということとともに、委員御指摘のように、必要に応じて、さらにどのような支援方法があるかということについて検討してまいりたいというふうに考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
きょうは、両大臣の所信に対する質疑をさせていただきました。
以上、公明党の質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。
○野田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時五十九分散会