衆議院

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第7号 平成28年5月25日(水曜日)

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平成二十八年五月二十五日(水曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 野田 聖子君

   理事 大見  正君 理事 工藤 彰三君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 務台 俊介君

   理事 望月 義夫君 理事 神山 洋介君

   理事 重徳 和彦君 理事 濱村  進君

      今枝宗一郎君    小田原 潔君

      加藤 鮎子君    梶山 弘志君

      勝沼 栄明君    金子万寿夫君

      金田 勝年君    神山 佐市君

      木内  均君    國場幸之助君

      今野 智博君    坂本 哲志君

      櫻田 義孝君    笹川 博義君

      新谷 正義君    武井 俊輔君

      武部  新君    谷川 とむ君

      中川 郁子君    中根 一幸君

      丹羽 秀樹君    原田 憲治君

      岡本 充功君    奥野総一郎君

      小山 展弘君    伴野  豊君

      升田世喜男君    横山 博幸君

      樋口 尚也君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    堀内 照文君

      河野 正美君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       河野 太郎君

   内閣府大臣政務官     酒井 庸行君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 久喜君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           横田 真二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梅田 珠実君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         印藤 久喜君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    宮本  聡君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        金尾 健司君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     古澤 ゆり君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (海上保安庁海洋情報部長)            仙石  新君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   衆議院調査局第三特別調査室長           宇佐美雅樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     小田原 潔君

  國場幸之助君     武井 俊輔君

  笹川 博義君     勝沼 栄明君

  鈴木 憲和君     武部  新君

  篠原  豪君     横山 博幸君

  浮島 智子君     吉田 宣弘君

  中川 康洋君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     加藤 鮎子君

  勝沼 栄明君     笹川 博義君

  武井 俊輔君     國場幸之助君

  武部  新君     鈴木 憲和君

  横山 博幸君     篠原  豪君

  樋口 尚也君     中川 康洋君

  吉田 宣弘君     浮島 智子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成二十八年熊本地震による被害状況等)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

野田委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る二十三日、平成二十八年熊本地震による被害状況等調査のため、熊本県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党の大見正君、工藤彰三君、務台俊介君、望月義夫君、民進党・無所属クラブの神山洋介君、重徳和彦君、公明党の濱村進君、日本共産党の堀内照文君、おおさか維新の会の河野正美君、そして私、野田聖子の十名であります。

 また、自由民主党の坂本哲志君、公明党の江田康幸君が現地参加されました。

 なお、全行程において参議院災害対策特別委員会と行動をともにいたしております。

 今般の平成二十八年熊本地震により、四十九名の方がお亡くなりになり、いまだお一人の方が行方不明のままとなっております。また、余震が続く中、数多くの方が避難生活を続けており、災害関連死と思われる方も二十名に及ぶなど、事態は深刻な状況にあります。熊本都市圏、阿蘇地方を中心に多数の家屋倒壊、大規模な土砂災害が発生し、その影響は熊本のみならず、全国の企業活動にも支障が生じました。熊本県の基幹産業である農林水産業にも大きな被害が生じ、さらに、熊本城や阿蘇神社といった文化財にも重大な被害が発生しております。

 ここに改めて、今般の地震により、とうとい命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告いたします。

 初めに、南阿蘇村の阿蘇大橋崩落現場で長野南阿蘇村村長より被災の概要について、また国土交通省九州地方整備局より復旧作業の状況等について説明を聴取し、現地を視察しました。

 阿蘇大橋は、昭和四十六年に供用が開始され、九州中央部を貫く国道五十七号と南阿蘇村を結ぶ交通の要所でありましたが、四月十六日の本震により発生した大規模な土砂災害により崩落しております。現在は、土砂災害が発生したのり面がこれ以上崩落しないよう、無人重機の遠隔操作による対策工事を行っており、復旧には相当の時間を要するとのことであります。

 次いで、益城町で家屋等建物の被災の状況について説明を聴取し、現地を視察しました。

 二度にわたる震度七の地震により、千二十六棟の家屋が全壊し、町の人口の一割近い三千人を超える方々が避難生活を余儀なくされております。現在は、六月中旬より仮設住宅に入居が開始できるよう、建設を急いでいるとのことでありました。

 次いで、熊本市の熊本市民病院で大西熊本市長ほかより同病院の被災の状況について説明を聴取し、使用中止中の病棟を視察しました。

 高度医療が必要な新生児が全国から集まる日本有数の総合周産期医療の拠点病院でもあった熊本市民病院は、本震による被災後、入院されていた方々全員に転院もしくは退院いただき、現在は外来診療のみを行っています。平成三十年度に移転、再建するとのことでありますが、移転までの間の業務については、現在、建物の被災の状態を診断しており、その結果を受けてどこまで再開できるかを判断したいとのことでありました。一方で、高度な技術を持った医療従事者が他の施設へ流出してしまうことが懸念され、施設の復旧だけでは終わらない病院の再建に当たっての大きな課題となっているところであります。

 次に、熊本県庁におきまして、まず、政府の非常災害現地対策本部を視察し、その後、県庁内の会議室におきまして、蒲島知事から復旧復興に係る特別な財政措置等のための特別の立法措置等について要望を受けた後、熊本県の被災状況、対応状況、復旧状況等について説明を聴取し、迅速な罹災証明書の発行、トレーラーハウスの活用、土砂災害への対応、被災者向けの多様な住宅施策等について意見交換を行いました。

 最後に、熊本城の被災状況について熊本市より説明を聴取した後、現地を視察しました。

 特別史跡である石垣、十三棟の国指定文化財、天守閣等多くの復元建造物等が被害を受け、その復旧には多大な費用と期間を要するので、国による復旧体制の構築と事業実施を要望したいとのことでありました。

 以上が調査の概要でありますが、今般の一連の地震による熊本県の被害はまことに甚大であり、早急な対策の実施が必要であると強く認識いたしました。当委員会としても、同一地域で連続して発生する大きな地震への対応のあり方、余震が続く中での被災者支援のあり方などの課題に対して積極的に取り組んでいく必要があると痛感した次第であります。

 最後になりましたが、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官加藤久喜君、消防庁国民保護・防災部長横田真二君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房審議官梅田珠実君、厚生労働省大臣官房審議官浜谷浩樹君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長福田祐典君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、農林水産省農村振興局整備部長印藤久喜君、中小企業庁次長宮本聡君、国土交通省水管理・国土保全局長金尾健司君、国土交通省住宅局長由木文彦君、観光庁審議官古澤ゆり君、気象庁長官橋田俊彦君、海上保安庁海洋情報部長仙石新君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 熊本の地震から約四十日が経過をいたしました。今、委員長から御報告をいただきましたとおり、一昨日、委員派遣で改めて熊本の地に赴いてまいりました。

 私は、個人的にも何度か、いろいろな案件を念頭に置いて現地に行かせていただいておりまして、一昨日の委員派遣の件を含めて、この一カ月、四回、現地にお邪魔をさせていただきました。

 きょうは、そのさまざまな観点も含めて、河野大臣にもお越しをいただきましたので、議論させていただきたいと思います。

 これは恐らく河野大臣も同じかと思いますが、私も、生まれ育ったところがそういう地震のリスクが非常に高いということが言われてきた場所であるがゆえに、非常に自分自身も敏感であります。そういう意味では、今回の熊本地震、今の現地の被災者の方々に対しての具体的な対応をどれだけ早めることができるかということと同様に、今回の教訓もあわせて、全国に波及させていくべきものは波及をさせていかなきゃいけないんじゃないかなということを考えておりまして、そういう観点から幾つか議論させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 さて、まず冒頭取り上げさせていただきたいのは、罹災証明書の発行の件についてでございます。

 四回、現地に行かせていただきました。一回目は、これは十四日に起きた後の、まだ十日もたっていないころでしたので、食料や水やら、本当に生活に必要なものはようやく調ってきたというところで、まだそういう議論にはなっていなかったわけですが、それ以後、一昨日の委員派遣の際も含めて、やはり被災者の方々の非常に大きな関心は、当座の住む場所、ここが非常に大きなところであって、それは当然だろうというふうにも思います。

 いろいろな環境の方々がいらっしゃいますので、お話をした方々それぞれ、さまざまいろいろなことをおっしゃっていましたが、やはり多かったのは、罹災証明書の発行が一つのボトルネックになっているのかなというところでもありました。

 例えばの話でいうと、みなし仮設という話もありましたが、みなし仮設を考えてはいるんだけれども、そもそも罹災証明書の発行がまだ終わっていなくて、自分が全壊なのか、大規模半壊なのか、半壊なのかもわからないから、どのぐらい費用負担をしてもらえるのかわからなくて決断をできないとか、いろいろな形で、罹災証明書の発行を早くしてもらえたらありがたいなというお話が被災者の方々からあったというのは、これは報道もあったとおりかと思います。

 そこで、まず河野大臣にお伺いをさせていただきたいのは、被災市町村における罹災証明書の発行状況、今どういう状況にありますでしょうか。

河野国務大臣 震災直後から、罹災証明書の発行、交付が非常にその次の段階に向けて大切だという認識は持っておりますので、五月末までにこの罹災証明書の交付を何とか終えたいというふうに思っているところでございます。

 五月二十三日現在の数字でございますが、申請件数約十二万一千件に対して交付件数が約五万件、交付率四二%となっております。

 主な市町村を見てみますと、件数の多い熊本市で、七万件の受け付けに対して交付件数二万八千件、四〇%、十九日から罹災証明の交付をスタートしました南阿蘇村が、受け付け二千件に対して交付三百件、約一五%、益城町は、五月二十日から交付を開始いたしましたが、一万一千件の受け付けに対して交付が三千五百件と、三二%でございます。

 この罹災証明書の交付の前提となります被害認定調査は、交付申請を受け付けている全ての市町村、約三十市町村ございますが、罹災証明の申請件数十二万一千件に対して十一万八千件の調査が終わっています。割合にして九八%が終了しております。

 また、二十四日から宇城市の交付が始まったことで全ての市町村の交付が始まりましたので、何とか五月中に罹災証明の交付をしっかり終えたいと思っているところでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 こういう状況の中で、現地で役所の方々ともお話をさせていただきましたが、それぞれの方も被災者である中で、休みも返上して非常に御努力をいただいているということと、あとは、当然、そこでマンパワーが足りないという中で、さまざまな形で応援体制に入っていただいているということで、何とかここまで早めていただいたものかなというふうにも思っているところです。

 また、今大臣からもお話がありましたが、被害認定調査がほぼコンプリートしつつあるということは大変喜ばしいことだと思っておりまして、その上で、あとは発行の事務ということが残っているという状況かと思います。

 一昨日の委員派遣で赴きました益城で、総務課長さんにも御対応いただきまして、そんなお話もさせていただきました。まさに、二十日からだったかと思いますが、発行が始まった状況ということでした。結局、一番何がボトルネックですかという話もしていたんですが、やはりマンパワー、人の問題が非常に大きいというお話がありました。

 今回の件に関しては、恐らく今の、現行体制の中で一〇〇%を目指してやっていくということになると思うんですが、今後ということを考えたときに、やはり罹災証明は早ければ早いほど、被災者の方々にとって次のステージを考えるための材料として大きな要素になりますので、抽象的な、感覚的な意味で早いの遅いのという議論をするつもりはないのですが、しかし、できるだけそれを早められるように、いろいろな意味で、外部からの応援体制、人員の派遣ということの体制整備であり、その供給力をどう高めるかという観点は、これから検証する中で改善をさらにする余地があるかと思っていますので、そこはぜひこれからも御対応いただけたらなというふうに思っているところでございます。

 ただ、この発行事務に困難を来している要因であり、その解消策というものは、益城の場合はマンパワーという話が強いのかなと思いましたし、とある場所に寄ってみれば、今度はスペース、発行事務をする場所の確保が、そもそも壊れちゃっているからないんだという話もあると思いますが、今どういう形で発行事務をスピードアップできるかということを大臣はお考えか。

 これから先々、この教訓を生かしていく際には、やはり罹災証明の発行に係る事務をどういう形でプッシュできるかというのはすごく大事な要素になっていくと思うわけです。そのあたりで、今、今回の経験も含めて、お考えがあればお聞かせをいただければと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 今回は、五月末までに交付をしようということを目標にいたしましたので、それぞれの自治体に対して、五月末までに罹災証明の交付を終えるためにはどれぐらいのマンパワーが必要なのかを言ってくださいというお願いをいたしまして、総務省を初め全国の自治体から、その要請に応えるだけの人数に入っていただいております。例えば、きのう、五月二十四日現在で、全国の自治体から五百三十三名、国の職員は約五十名、被災地に入っております。

 一つは、まず、目標をしっかりと決めて、おっしゃるように、被災している市役所、役場は職員の皆さんも被災をしている、さまざまな困難がございますので、これはどうしても外からの応援が必要でございます。目標日時を決めて、そのために必要なマンパワーを割り出して、必要な応援を入れるというのは大事だと思いますし、今回は、さまざまな自治体の御支援、御協力をいただいて、こうした事務を経験している方を特に回していただきました。

 それからもう一つは、ITを駆使した罹災証明書の発行システムというのがございます。俗に京大システムと言われているものと、今回西原村が独自にソフトウエアハウスと連携をして開発したものとございます。こういうシステムをしっかり導入するということ。特に、京大システムはこれまでもさまざまな震災で使われておりますので、自治体職員がこのシステムを使ったことがあるという方が結構いらっしゃったようで、これは非常に役に立ったと思っております。

 それからもう一つは、半壊に至らない場合に、それぞれ被害に遭われた方に写真を撮っていただいて、現地の調査を省略して、写真の判定で罹災証明を発行するというようなことも柔軟にやれるように対応してまいりましたので、今回のこうした事例をしっかりとまとめて、今後、罹災証明の発行をスピードアップするための方策というのをしっかり考え、また、システムの使い方その他を練習していくということが大事だと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 この件に関しては、今おっしゃっていただいたシステムを含めたハードの部分ももちろん大事ですし、それのオペレーションにかかわるソフトの部分も非常に大事だと思いますので、今大臣がおっしゃっていただいたように、これを先々に生かすという観点、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そこにつけ加えて申し上げれば、相互応援協定を自治体間ごとに結んでいる場合があるわけですが、今回そこが少し弱かったんじゃないかという実態もあるかと思います。それを促しているということはこれまでも政府側からやっていると思うんですが、しかし、それが現地にどこまで行き届いているかというと、もう一息かなという気もしますので、そのあたりも念頭に置いておいていただければということをお願い申し上げます。

 さて、続いて、これが二つ目というか、今回の地震そのものについて少し議論をさせていただきたいんですが、きょう、資料を幾つかお配りさせていただいているもののうち、一枚めくっていただいて、資料二をごらんください。

 今回の熊本地震において、残念ながら命をなくされた、亡くなった方が四十九名ということで、今指摘をされているところです。きょうお配りをさせていただいたこの資料は、その四十九名の方々の、もちろん個人情報等は入っていませんが、どういう場所で、どういう状況で亡くなったのかということを一つ一つ示したもので、これは警察庁さんからいただきました。恐らく、これはお一方お一方いろいろなシチュエーションがあると思いますので、詳細な分析は多分これからアカデミックな世界も含めてなされていくかと思いますが、この時点でわかることも含めて幾つか議論ができるかなと思っております。

 右側に推定死亡日というものがありまして、当然ですが、今回の地震の特徴を踏まえて、十四日の一発目、前震と十六日の本震というところになるわけですが、やはり目を引くのは、十四日、前震で亡くなった方は、この図表によれば九名、四十九名のうち四十名は二回目、四月十六日の方の本震でお亡くなりになっているということが一点あるかと思います。

 もう一点、これは阪神・淡路大震災でもそうでしたが、死因というところをざあっと見ていくと、やはり窒息であるとか圧死という死因が非常に多くなっているわけです。要は、家が倒壊をして、それでお亡くなりになってしまった方。阪神・淡路大震災のときは約八割の方がこういった形で命を失ったと言われていますし、今回も報道等によれば七割という表現もありまして、これを見ても、大体そういう水準なのかなというふうに思っているわけです。

 私は、この図表を見たときに、正直申し上げれば、もう少しでも救える命があったのではないだろうかということを考えました。確かに、四月の十四日について言えば、これはもちろん事前のいろいろな備えの中でもう少し何とか命を安全に持っていくことができたのかという要素はあるわけですが、特に、四月十六日の地震、二回目の方で四十九人のうち四十名の方が亡くなっているということは、これは誰が悪いとかという責任をここで言うつもりではなくて、少なくともこの犠牲になられた方々の犠牲に報いるためには、この四十名がどうやったら三十五人になったのか、三十人になっただろうかという意味で、まだまだやれる余地があったんじゃないかということを実は私は考えております。

 その前段としてまずお伺いをさせていただきたいのは、きょうは気象庁長官にお越しをいただいていると思います。

 四月の十四日、十六日、前震、本震とあったわけです。まず、十四日二十一時二十六分に、事後的に前震とみなした地震があったわけです。この地震を当初本震とみなした、考えたという事実はありますでしょうか。

橋田政府参考人 ただいま委員の方からございました、四月十四日二十一時二十六分の地震について、当初本震と考えた事実はあるかとのお尋ねでございます。

 今般の一連の熊本地震が発生したこの地域におきまして、マグニチュード六・五、これが四月十四日の地震と同じ大きさでございますけれども、このマグニチュード六・五の地震が発生した後にさらに大きな地震が発生した事例、これが気象庁のこれまでの観測においてはございませんでした。

 また、政府の地震調査委員会が取りまとめました余震確率評価手法におきまして、内陸地殻内の地震については、マグニチュード六・四以上の地震であれば、それを本震と見るとされていること。

 さらに、四月十四日以降の地震活動につきましては、本震、余震型で推移していると気象庁におきまして、また翌日、四月十五日に開催されました政府の地震調査委員会において、本震、余震型で推移しているというような評価がなされていたところでございます。

 このようなことも踏まえまして、気象庁では、当初、十六日のマグニチュード七・三の地震が発生するまで、この十四日のマグニチュード六・五の地震を本震と考えていた、これは事実でございます。

神山(洋)委員 誠実な御答弁をありがとうございます。恐らくそうだと思うんです。

 今、御答弁の中で出てきた、例えば余震確率算出のマニュアル、マグニチュード六・四以上であれば本震と見るということ、これは恐らく修正をしなければならないというふうに思います。

 今お話がありましたように、本震、余震型という形で、正直申し上げれば、私もそういう受けとめ方をしておりました。ここからの大きな問題は、我が国の災害対策、特に地震に対しての防災対策、政策が本震、余震型、つまりは、一発目に起きた地震が一番大きくて、その後は少しずつ小さくなだらかに落ちていくのだという前提で組み立てられているということは極めて大きな課題であり、今後修正を余儀なくされる部分であろうというふうに私は思っているわけです。

 今お話のあったもの以外にも、気象庁のホームページの中には、例えば余震についての記述もありました。「大きな余震による揺れは、場所によっては本震の揺れと同じ程度になることがあります。」という記述があったり、これを読んでいても、やはり基本的に地震は本震があって余震に至ってだんだんなだらかに下がっていくのだという前提がありとあらゆるところに、これは社会通念も含めて組み込まれてしまってきていた。確かに、おっしゃっていただいたように、今までその逆はなかったということもまたしかりだと思うんです。

 このことを考えると、非常に大きな要素をこれからこの件を受けて修正しなければならないと思うわけです。

 一回目の四月十四日の地震の後、当然気象庁の方で、今回こういう地震が起きて、こうこうこうですという会見があるわけです。引き続き大きな余震があるかもしれないので注意してくださいということは、確かにコメントとしてありました。

 今後で考えれば、表現をどうするかというのはいろいろ検討しなければなりませんが、今回の地震は本震とは限りません、もっと大きな地震が起きるかもしれません、少なくとも、今回起きた地震でおうちが壊れていたり、壊れている可能性がある場合は、より大きな地震によって建物が倒壊をする可能性が非常に大きい、少しでも危ないと思ったら家に入らないでくださいということが、たられば論をしてもしようがありませんが、今回の件でもし十四日ないし十五日の時点であったら、ここである二回目の地震で四十人の方がお亡くなりになっているわけですが、少しでもこの犠牲を防ぐことができたのではないかということを思いますし、最低限、今後我々はそういう形をとらなければいけない、こう思うわけです。

 この一件を含めて、例えば、当初屋内避難を指示したという報道があったわけですが、政府側からのさまざまな発言なり記録を見る限り、ちょっと報道とのずれもあるのかなという気もするわけです。人間お一人お一人の命を守るときに、この一つの表現というのは極めて重要になるということを考えると、これはよく言われるリスクコミュニケーションの領域ですが、大分改善をしなければいけないと思います。

 大臣、恐らくその思いは共有をいただいていると思います。これは、気象庁側での地震に対しての判定のあり方だけではなくて、被災者の方々に対しての情報発信、政府としての一元的な情報の伝達という意味で、リスクコミュニケーションという観点から大きな論点を今回提示していると思うわけです。大臣、この点、改善を要すると私は思うんですが、どうお考えでしょうか。

河野国務大臣 今までは、震度七クラスの地震がこんな短期間に連続して起こるというようなこともありませんでしたし、今気象庁の答弁がございましたように、それなりの大きさの地震が来れば、それを本震と考えるということでずっとやってきたわけでございます。また、地震の後一カ月近く余震がこれだけ続くということも余り例がなかったわけですから、今までの地震の考えというものは、こうしたことも起こり得るというふうに考え方を改める部分というのは当然なければいけないんだろうというふうに思っております。

 そうしたことも含め、今回の地震がどういうメカニズムで起きたかというところは、気象庁を初めさまざまな解析が行われているわけでございますから、それぞれの地震のメカニズムをよく考えながら、地震の後どのような対応をしていったらいいのかというところは、リスクコミュニケーションを含め、この一連の対策、復旧が終わったところでしっかり見直しをしてまいりたいというふうに思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 十日ぐらい前だったかと思うんですが、茨城の方で震度五弱か何かの地震があって、東京都内でもたしか震度四ぐらいの大きな揺れがありました。あのとき瞬時に私の頭をかすめたのは、これが例えば前震で、その後もっと大きな本震が起きるということはあり得るのだろうかということが実は頭をかすめたわけです。

 今、大臣がおっしゃっていただいたように、今回の件はさまざまな観点から総括をして、そして今後に対して生かしていくということは、もちろんやらなければいけないと思いますし、大事なことなんですが、それは、ゆっくり時間をかけてきちんとしたものをつくるということと同時に、一方で、地震というものがいつ起きるかわからないということもあわせて考えれば、できることはやはり着手をすべきだと思うんです。

 もちろん、被災地に対してのオペレーションというのが最優先であることは言うまでもありません。その中で、可能な範囲で急げるものは急ぐという観点で御対応いただければなと思いますし、気象庁の本震、余震の前提ということも、見直せるものはできるだけ速やかに見直していただくように、この場をおかりして要請をさせていただきたいと思います。

 今の点から派生をしたときに、我が国の、災害対策基本法があって、今回の被災地のことを考えれば、例えば被災者生活再建支援法があったり災害救助法があったりというこの災害関係の法体系そのものを、私は、いま一度本質的なところから見直してもいい時期に差しかかっているんじゃないかなというふうに思うわけです。

 振り返ってみれば、これは阪神・淡路大震災の後に、いろいろな意味で、災害救助法なんかまさにその典型ですが、我が国の防災政策というものはつくられてきて、約四半世紀運用されてきたわけです。確かに、それがうまく功を奏した部分というのはもちろんあると思うんですが、しかし、ここに来て、現地の状況にやはり合わなくなってきたということもまたしかり、あるのではないかと思うわけです。

 例えば、今回指摘されている内容でいえば、建築基準法、昭和五十六年以降今の基準になっているわけですが、一回の地震に対応するということは考えているわけですが、複数回に対しては特段考えられてきていなかったわけです。今回を機に、二回目も対応できるようにするためには、現行の一・五倍ぐらいの強度が必要だというような指摘も出ています。

 個人的に言えば、今回の件があったから一・五倍の強度を果たして法的に課すべきかというと、私は正直どうかなと思っているところもあって、公共施設と一般の家庭というところは幾つか区分して考えていいんじゃないかなということを考えていたり、しかし一方で、断層上にある公共施設、今回も、役場、役所がだめになって使えなくて、災害対応そのものに支障を来しているということがあるわけですから、断層上の公共施設というものをどう考えるかというところもやはり大きな観点だと思うんです。

 その意味で、最終的には地域防災計画等々に落ちていくわけですが、災害対策基本法に連なる各種法制そのものを全般的に、体系的なところからもう一度やはり見直すということが私はすごく大事な時期に差しかかっているかと思うんです。それをぜひやっていただきたいという、ここは要望ですが、大臣、そのお考えはありませんでしょうか。

河野国務大臣 こういう新しいタイプと言っていいかどうかはわかりませんが、経験したことのないような地震を経験しているわけでございますし、だんだん情報化あるいは高齢化、少子化といったような、社会のあり方も変わってきておりますので、防災の考え方、防災の計画というのは常に経験に基づいて見直しをしていかなければならないものだというふうに思っております。

 この熊本の経験を生かしてしっかりと見直しをしていくつもりでございますので、法体系を含め、どこまでやれるかわかりませんが、予断を持たずにしっかり対応してまいりたいと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 我が党も、これはきちんと見直さなければならないという意味で、専門的な方の観点も、見地も含めて、対応していきたいなというふうに思っております。

 最後にもう一度だけ資料二に戻っていただいて、この四十九名のお亡くなりになった方々、二回目で四十人お亡くなりになっていて、ほとんどの方が圧死ということを考えたときに、一回目の地震の後に、危ないと思われる家には入らないでくださいという指摘がもしあったらなということをやはり思わざるを得ません。

 ただ、そのときに、やはり個人個人でそれができるかできないかということはなかなか難しいわけです。

 応急危険度判定というものがあります。大きな地震が起こった後に、とりあえず、このうちは危ないのか、微妙なのか、大丈夫なのかという、信号のように緑と黄色と赤で表示をするものがあります。今回も大分これは時間がかかりました。しかし、これをできるだけ前倒しに迅速にするということがあると、やはり個々人の中でも、うちに帰って片づけていて大丈夫なのか否かという判断もまたしやすくなるというふうに思います。

 何でもかんでも早く早くという形で無理を言う、実行できるわけではありませんが、例えば今申し上げたような観点も含めて、大きな法体系も含めて、非常に多彩な論点が今回提起をされていると思っておりますので、犠牲になられた方々、そして今なお被災地で大変な思いをされている方々の思いに報いるためにも、これは与党も野党もないと思っておりますので、ぜひ具体的な対応をいただきたいと思っておりますし、我々も協力をできるところはさせていただきたいということを最後に申し上げて、終わりにさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

野田委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、熊本地震の経験をどのように次に生かしていくのかという観点を中心に質問していきたいと思います。

 まず冒頭、私からも、本当に多くの皆さんがこの地震で被災をされ、今なお避難生活、また不自由な生活を余儀なくされている方がいらっしゃいます。先ほどの神山委員の話ではありませんけれども、この問題、補正予算を含め、我が党も協力をさせていただいて、迅速な成立を図ってきたところであります。そういう意味では、こうした皆様方の思いをしっかり酌み取って、河野大臣、しっかり対策、そしてそうした皆様方の支援をお願いしたいと思います。

 その上で、きょうは気象庁に来ていただいています。

 熊本地震の地震の推移はなかなか経験がなかったとか、予測ができないというような記者会見を見ました。担当課長が話されている姿を見ながら、正直言って大変不安に思ったものであります。

 とりわけ、その後、日向灘沖を震源とする地震が発生したときには、これはやはり南海地震と関係しているのではないかという懸念が多くの皆さんに広がったわけでありますけれども、この地震の経験として、今後のいわゆる予測はどのようにしていくのか。また、この日向灘沖の地震について、熊本地震との関係、そしてまた南海トラフ地震との関係、どのように気象庁は考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員の方からお尋ねのございました日向灘地震への対応、それから今般の熊本地震との関連でございますけれども、気象庁は、二十四時間地震の監視をする中で、地震が起こりましたときに、まず、地震の揺れをいち早く近い地点で捉えまして、緊急地震速報を発表いたします。特に、この緊急地震速報につきましては、海溝型の地震につきましては有効でございますので、日向灘地震につきましては、この緊急地震速報をきちっと提供していくこと、それから津波警報等をきちっと提供していくことを目指してしっかりとやっていきたいと考えております。

 それから、熊本地震との関連でございますけれども、言うまでもなく、熊本地震につきましては、内陸において発生した浅い地震でございます。一方で、今御指摘の日向灘の地震につきましては、フィリピン海プレートが九州の下に潜り込む、陸のプレートに沈み込むことに伴い発生する海溝型の地震と考えております。この両者の地震、日向灘の地震と熊本地震の関係について、さまざまな意見あるいは学説等があることは承知しておりますが、明確にそれらの間に結論づけられた関連性があるとはなかなか言えない状態にあると思います。

 したがいまして、現時点におきましては、気象庁で、もちろん日向灘の領域における地震の観測データに特段の変化はございませんけれども、冒頭申し上げましたように、地震の情報、緊急地震速報、津波警報等を、しっかり監視する中で提供していきたい、このように考えております。

 以上でございます。

岡本(充)委員 なかなか、地震も火山も、まだまだ予知するのが難しいという中なんでしょうが、きのうのニュースで、ごらんになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、海上保安庁がいわゆるプレートのひずみを計測していた、その結果が公表されました。

 きょうは海上保安庁にも来ていただいております。こうした観測、資料の二枚目でありますけれども、こうした赤い点のところで海上保安庁が観測をしていただいている。こうした結果から、一ページ目に戻りますけれども、日向灘沖でもこれだけのひずみが出ているということであり、また、大きなひずみとしては、四国の南西沖、それから遠州灘沖で大きなひずみがあるというふうな話が出ております。

 この結果と今後の大きな地震、特にマグニチュード八級と言われている地震の発生をどのように関係づけるのか、今回の海上保安庁の発表を御説明いただきたいと思います。

仙石政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、南海トラフの海底に設置した十五カ所の観測点で平成十八年から平成二十七年にかけまして取得した海底の地殻変動の観測データを用いた分析を行いました。

 その結果、一九四〇年代に発生したマグニチュード八クラスの地震の震源域の西側の沖合と、想定東海地震の震源域の南西側にひずみの強い領域が延びていること等、これまでの陸上における観測のみではわからなかった南海トラフの想定震源域のひずみの分布が初めて明らかになったわけでございます。

岡本(充)委員 これまで政府として巨大地震の発生するという震源域よりもややずれた場所でも見つかった、こういう理解でよろしいですか。

仙石政府参考人 これまでひずみの分布というのはわかりませんでしたので、初めてわかったということでございます。

岡本(充)委員 私が聞きたいのは、これまで政府が想定していた地震の発生域と少しずれた部分でもひずみがあった、こういう理解でよろしいですか。

仙石政府参考人 おおむね一致しているというふうに考えております。

岡本(充)委員 つまり、おおむねということは、ちょっとずれているところがやはりあるわけなんですよ。

 それで、きょうはいろいろな各省庁に来てもらっているんですけれども、これを受けて、どのように今後地震のシミュレーションをしていくか。おおむねという話でしたけれども、どこにより大きなひずみが発生をしているか。単年度でありますけれども、毎年のトレンドも、きのうレクで聞いた話では、そのトレンドとして、ほぼその測定の誤差、統計学的なずれの範疇の中でそのずれがずっと推移をしてきている、こういう話でもありましたので、今後この傾向がずっと続くとすれば、このスピードでどんどんずれがたまっていくことになるわけでありますし、また、東日本大震災の前のいわゆる三陸沖でも同様のずれが認められたという話でもあります。

 今回、強いひずみがある場所がよりわかったわけでありますから、これまでの地震、巨大地震のいわゆる想定とは少し違った角度での検討が必要になると思いますが、それぞれお答えをいただきたいと思います。内閣府と気象庁ですね。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 地震、津波対策の推進に当たりましては、そのような調査の結果を、しっかり観測していただいて、データを蓄積していくことが重要であるというふうに考えておりますので、関係機関と連携をして、観測をしていただきまして、そのデータを用いまして、これから今後の対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員からございました、今般の海上保安庁の南海トラフのひずみ分布に関する調査結果への対応でございます。

 今回、海上保安庁が五月二十四日に公表された成果は、新たな知見として提供されたものと承知しております。

 気象庁といたしましては、海上保安庁とともに連携いたしまして、気象研究所における地震、津波の研究において、今回公表された調査結果も活用するなど、取り組んでまいりたいと考えております。

 また、南海トラフを初めとする地震活動につきましては、引き続き、的確に監視をする、そして得られた観測の成果を関係機関等に提供するなど、地震、津波対策に貢献してまいりたいというように考えております。

 いずれにしましても、二十四時間監視をする中で、観測データに何らかの変化があらわれた場合には、適時的確な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

岡本(充)委員 今、気象庁の方は、新たな知見が得られたんだ、したがって、これを踏まえてという話をされました。

 内閣府の方は、当然、これを踏まえて新たな被害想定もしくは対策を考えていかざるを得ない、こういう理解でいいんですよね。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 今気象庁の方からお話もございました、新しいデータの蓄積等が得られましたら、それを用いまして、必要に応じて地震、津波対策の見直しを検討してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 何か内閣府だけ後ろ向きなんですよね。新しい知見が得られたわけだから、これを用いて、どこで大きな地震が起こる可能性があるか、検討ができる状況になったんです。必要に応じてと言いますけれども、そうしたら、何のためにこれを研究しているのかわからないわけであります。

 きょうは政務の方にもお越しいただいていますから、これを踏まえてきちっと検討していくということでいいんですね。役所の方は何か語尾をあやふやにされていますけれども、はっきりとお答えをいただきたいと思います。

河野国務大臣 初めてこの南海トラフ地震の震源域と思われるところの地殻の動きが実際に確認されたというのは、大きな意義があると思っております。

 こういうデータをしっかりと蓄積して、これがこの南海トラフ地震の発生のメカニズムにどういう影響が出るかというのは関係機関がしっかり検証してくださると思いますので、それが、今までの想定の範囲を超えるような地震が起こる、そのような場合には計画を練り直さなければならないというふうに思っておりますので、関係機関としっかり連携をして、最新の知見をもって対策に当たりたいと思います。

岡本(充)委員 これは二ページ目にもあるように、実は観測点は、日本にある海溝、プレートの中で、まだ観測できているポイントが少ないですね。北海道沖だとか、それから沖縄の方面、そして小笠原諸島の方にも海溝があるわけであります。こうしたところでも地殻の動きがあるわけですから、今後こういうところも含めて調査を広げていく、こういう方針でよろしいでしょうか。海上保安庁の方針を確認したいと思います。

仙石政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、平成十二年以降、海底での海底地殻変動観測の技術の開発を行い、主に日本海溝、南海トラフ沿いに観測点を展開しており、さらに、平成二十三年東北地方太平洋沖地震後には、観測網を強化するため、南海トラフ沿いに観測点を増設してまいりました。その結果、これまでの陸上における観測のみではわからなかった南海トラフ想定震源域のひずみの分布が明らかになったわけでございます。

 これらの観測につきましては、地震調査研究推進本部の調査観測計画に基づいて実施されておりまして、海上保安庁といたしましても、同計画に基づき、引き続き関係機関と連携し実施してまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 それは、観測点を広げていくという理解でよろしいんですか。

仙石政府参考人 繰り返しになりますけれども、引き続きまして、地震調査研究推進本部の調査観測計画に基づいて検討してまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 これはやはり、大臣、観測地点を広げていく必要があると思いますよ。内閣においても防災の観点から発言をする責任者でもある河野大臣に、この今の観測点の状況は、日本周辺のプレートを把握している状況にはないわけですから、それ以外の地域にも多くの国民が住んでいるという事実を踏まえれば、当然、観測網を広げていくという方向でぜひ検討をいただきたい。

 御決意をちょっと聞きたいと思います。

河野国務大臣 政府として、どのように観測していくか、計画をつくっておりますので、それに基づいてしっかりやっていきたいと思います。

岡本(充)委員 続いて、きょうは、三月十七日に私が当委員会で質問をさせていただき、そしてその際、皆さんのお手元にお配りをした資料に、ある意味、間違った情報が載っていた、こういう話がありました。これをちょっと訂正させていただきたいと思います。

 きょうは国土交通省にお越しいただいておりますけれども、一枚目の大きい紙であります。前回、三月十六日、私が説明を受け、そして三月十七日の当委員会に提出をした資料で、木曽川の河川整備計画は、黄色で示した部分が三月末までに終わると皆さんに説明をする資料でありました。

 三月十六日時点で既にこれらの事業が終わらないことは明らかであったにもかかわらず、三月末までに終わるという資料を使ってこの委員会で議論をし、政務官にも御答弁をいただいたところであります。なぜこうした資料で皆様方と議論しなければならなかったのか、残念でなりません。

 国土交通省より、経緯の説明と対応について御答弁をいただきたいと思います。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 三月に国土交通省から委員に提出しました資料において、平成二十八年三月までに実施するとした区間については、平成二十七年度当初に予定していた計画に係る情報をもとに表示をいたしました。

 一方で、現場の施工においては、地中に埋まっております巨石等の支障物の撤去に要する費用が想定より増加したため、耐震対策工事が予定どおりに進捗しないという状況になりましたが、提出をいたしました資料は、こういった現場の実態を正確に反映するものとなっていなかったというふうに認識をしております。

 今回の事態が起こった要因といたしましては、当該資料の作成過程において、国土交通本省、地方整備局の本局及び事務所の三者の間で意思疎通が必ずしも十分でなかったため、結果的に、情報の共有が適切に行われなかったことであるというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 きょうは政務官にお越しいただいていますけれども、これで議論した記憶がおありだと思います。

 やはり本当に、資料が間違っていたというのなら、これは、たまたま私、きょう質問になるので、ことしの分はどうなんですかと聞いたら、ことしの分はこうですと持ってきた。持ってきたら、あれ、去年のところが残っているじゃないという話になったわけです。

 やはり誠実な対応をとっていただくのであれば、それが進捗していない、そもそも三月の段階で、できていないこと、できないことが見通せていたわけですから、それを使って三月に議論しているのもどうかと思うけれども、そうでなかった場合には、やはりこれは速やかに、委員会で議論したものですから、省としても誠実な対応をとるべきだったと思います。

 政務官としてきちっと、その点についてどうするのか、お話をいただきたいと思います。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 なかなか、実際に工事をやったときに想定以外のような状況が起こるようなことも当然、現実問題としてはあるということでございますけれども、そういうことも考慮に入れながら、しっかりと事業を確実に進めなければいけないというふうに思っております。

 例えば、今回の木曽川の河口部周辺の耐震対策工事のような大きなプロジェクトにつきましては、特に、工程管理に関する情報を関係組織が共有した上で、適切に工程管理を行うことが重要であるというふうに考えております。

 この点も踏まえまして、木曽川河口部周辺の耐震対策工事につきましても、先ほど局長からも申し上げましたが、国土交通本省それから中部地方整備局本局それから木曽川下流河川事務所の三者で、情報共有に基づきまして適切な工程管理を図るプロジェクトマネジメントを実施してまいりたい、しっかり対応してまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 政務官、政務官として申しわけなかったというお気持ちはないんですか、こういう資料で議論をさせてしまった結果として。誰もそれを言わないんですけれども。

宮内大臣政務官 先ほど申し上げさせていただきましたように、想定のことと実際に工事をしたというところのいさが大きく出てしまったということで、結果的にその事業計画は達成できなかったということでございます。

 この事情につきましては御理解をいただきたいというふうに思いますけれども、そういうことは、難しく大きなプロジェクトにつきましては、特にしっかりと、そういうことも想定の範囲の中で、しっかりと連携をして頑張ってまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 いやこれは、こんな議論、この紙で議論をしたんですよ。これが五月だとか六月に議論したものが進まなかったというなら別ですよ。それは間違いなく、三月の十六日に持ってきた資料。それが三月の末までに終わらないのは、もうわかっていたんですよ。それにもかかわらず、三月十六日にその資料を持ってきて、十七日にこうやって議論をしているんですよ。それはやはり、資料の管理のあり方、それからもちろん対策も含めて、それはこの委員会に対して申しわけなかったと言うべきじゃないですか。どうなんですか。

宮内大臣政務官 結果的にそういうことになってしまったことは、大変申しわけなく思っております。

岡本(充)委員 当然だと思いますよ。だって、それがなければ対策をとる必要がないんですから。したがって、今お話しになられたことをしっかりやっていただいて、こういうことが二度とないようにしていただきたいと思います。

 その上で、そのときの資料とがらっと変わっちゃいましたから、一つだけ質問させてください。

 木曽川左岸は、液状化で堤防が大きく沈む、場合によっては何メートルも沈んで、津波が来なくても水が、この愛知県南西部また三重県、浸水することが想定をされているわけです。今回、工事をするのは赤いところ、わずかに五十メートル分です。工事をしなければならないところはグリーンのところ、これだけ長い距離があります。

 一体、木曽川左岸、グリーンのまだ工事をしなければいけないところは、川表、川裏を合わせて何キロあり、そして、同じペースで仮に工事が進んでいくとすると、何年、工事の時間が必要か。事務方からでもいいです、お答えください。

金尾政府参考人 お答え申し上げます。

 木曽川においては、液状化による堤防の沈下を抑制するために、耐震対策といたしまして、川表側と川裏側の地盤改良を行っております。この事業につきましては、全国防災事業、これを活用いたしまして、平成二十三年度から平成二十七年度まで五カ年かけまして、川裏側と川表側の合計で二十七・七キロのうち約六・八キロの延長の工事を実施してまいりました。

 二十八年度の一年間、これは全国防災事業が終わったという事情もございまして、延長としては木曽川全体では〇・三七キロの施工になるということでございますので、残りの延長を単純に割り算を行って計算を行うとすれば、約五十五という数字が出てまいるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、厳しい予算の中でございますが、引き続き着実に対策を進めていきたいというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 内閣府は、この五十五年間に少なくともマグニチュード八級の地震が、東南海地震が起こる可能性は何%と想定していますか。

白間政府参考人 お答えします。

 地震の確率についてですので、文部科学省の方でお答えさせていただきます。

 地震調査研究推進本部では、南海トラフにおきまして、今後五十年以内にマグニチュード八から九クラスの地震が発生する確率は九〇%程度と評価をしているところでございます。

岡本(充)委員 つまり、九〇%程度の確率で、この事業が終わる前に地震が来るということを今政府として認めたわけですよ。このペースでいくと、五十五年かかってしまう。そして、五十年以内にマグニチュード八から九、このクラスの地震が起こる可能性は九〇%程度だと言っているんですよ。九〇%程度の確率で間に合わないと言っているわけです。こんな予算のペースではまずいと。特に、去年まで、皆さんと昨年度の議論をしたときには黄色のペースだと言っていたけれども、今回、赤のペースに大幅に落ちているんです。

 大臣、これは私、指摘をしておきますよ。九〇%の確率で間に合わないと今答弁しているわけですから、こんなペースでやっていっていいはずがありません。当然、しかるべき予算の獲得、そしてまた、予算が可能な範囲で進捗状況を大幅に見直していく提言を内閣の中でも発言していただきたい。大臣の決意をお話しいただいて、私、質問を終わりたいと思います。

河野国務大臣 我が国は、非常に多い自然災害、地震だけ取り上げても南海トラフあるいは首都直下、さまざまな地震が予測をされているわけでございますので、予算制約の中で、優先順位をつけながら、計画的に整備を進めていくということが全国的に必要だというふうに思っております。

岡本(充)委員 終わりますけれども、ちょっと、そんなトーンでやっていたら間に合わないし、もう何十万人の人がここに住んでいる、その事実を、ぜひ大臣、認識をしていただきたいと思います。

 終わります。

野田委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 発災から一カ月余りが経過しました。先日も、避難所での食事改善の通達が改めて出されるなど、避難所での生活改善自体にまだ課題が多く、これから梅雨入りして暑くなるだけに、一層強化が求められます。

 視察先の益城町で、壊れた住宅から和服などを取り出して整理していた女性が、申し込んで当たればいいけれどもと漏らしていましたが、仮設住宅ですね、必要な被災者にしっかり建設していくということも大事です。住宅や生活再建へ向けた本格的な支援も、今後もちろん必要になってきます。

 被災者一人一人の生活再建へ、文字どおり課題は山積していると思います。そういう意味でも、国の役割、責任というのは非常に大きいと思います。

 きょうは、その中でも、まず障害者支援について伺いたいと思います。

 東日本大震災では、障害者の死亡率が住民全体の二倍であると言われました。その教訓から、被災した障害者がどのような状況に置かれ、どんな支援が必要か、これを速やかに、そして的確につかんで、必要な支援に結びつけていくことが急がれる、このことを障害者団体は強く求めているわけであります。

 そこで、日本相談支援専門員協会と日本障害フォーラム、JDFが、地元の支援組織、機関とも協力をして、障害手帳保持者の実態調査を行っています。この調査の対象及び到達点についてまずお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 日本相談支援専門員協会は、熊本県及び熊本市と連携をいたしまして、被災自治体と相談の上、被害の大きかった熊本市及び益城町の障害者手帳をお持ちの方の自宅を全戸訪問して、障害者の安否確認及び必要な支援につなげていただくような活動を実施していただいております。

 四月の二十九日より活動を開始いたしまして、五月二十四日現在までで、熊本市の東区、南区及び益城町ではほぼ全戸訪問が行われまして、五月二十三日より新たに熊本市西区で訪問活動を行っているところでございます。

堀内(照)委員 今、全戸とおっしゃいましたけれども、手帳保持者全部に行っているんでしょうか。介護の利用者などは除いているとお聞きしたんですけれども。

藤井政府参考人 はい、手帳保持者全戸でございます。

堀内(照)委員 この訪問活動は、報道でも、熊本市東区で少なくとも二十五人の障害者が、危険、要注意と判定されたり、エレベーターが故障した住宅で暮らしていたことが判明するなど紹介されておりまして、非常に大事な調査だと感じております。

 私は、この土曜日に神戸の障害者施設で、ゴールデンウイーク明けから先週末までこの訪問活動の支援に参加していた方のお話を伺ってまいりました。ちょうど、そのときですから、きのう、金曜日に帰ってきたばかりだということでありました。

 この方は、益城町の訪問活動に参加をしていました。精神障害一級の方が多い、そもそも地域にこれに見合う障害福祉サービスの受け皿がなく、精神病院、医療にしかふだんからかかわりがなかった方々が多い、そういう意味では今後の支援という点でも大きな課題があるというふうにおっしゃっておりました。

 訪問すると、同居している対象者の家族や親も同じ精神障害を持つケースも珍しくないと。今、全戸とおっしゃいましたけれども、そういう方は名簿に載っていないんです。これはちょっとおかしいと思うんですね。その方はたまたま名簿に載っている方の家族だということで捕捉をされたわけですけれども、一人で生活されている場合、対象から漏れている方がいるんじゃないかと、今のお話を伺っても思うわけであります。

 最初、私が説明を聞いたときは、介護保険利用者は地域包括等介護のケアマネとかかわりがあるから名簿から除かれているという説明を受けましたけれども、今、全戸とおっしゃいましたけれども、それでも現地では、精神障害の方、対象の名簿の方のところに行くと、その親御さん、六十五歳以上の方で名簿に載っていない方が、本来対象となるべき方がいたということであります。少し現場の実情と違うんじゃないかと思うんです。

 私は、マンパワーが必要なときですから、いろいろな組織の力を最大限に生かして、分担してやるということは大事だと思うんですね。しかし、その際にも漏れがないということが大事だと思うんです。今、全戸とおっしゃったけれども、現地で実際にはそうなっていない実情があるわけであります。

 全ての手帳保持者について、どのルートから把握されようとも、最終的には障害者支援のところでしっかり現況が集約されて必要な支援に結びつける、そういう意味ではいろいろな機関が連携するということが大事だと思うんですけれども、今の全戸訪問ということとあわせて、現場の実態とちょっと違うんじゃないかということもありますので、もし追加して説明があれば。それとあわせて、連携をしっかりやって、しっかり障害者支援のところで集約して支援に結びつける、このことが大事だと思うんです。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど答弁申し上げました、日本相談支援専門員協会等によります全戸訪問と申し上げましたけれども、障害者手帳をお持ちの方の属する世帯の全戸訪問ということでございまして、日本相談支援専門員協会等が訪問しておる御家庭につきましては、高齢者は別でございまして、そうではなくて、障害者手帳をお持ちの方のお宅に全戸訪問しておるということでございます。

 その上で、障害者手帳をお持ちの方の状況につきましては、日本相談支援専門員協会が、被害の大きかった地域についてまさに全戸訪問を通じて今把握していっておりますほか、障害福祉サービスの利用者、福祉サービスの利用者につきましては、相談支援専門員でございますとか、あるいは利用している事業者が状況を把握しておりますし、また地域包括支援センター等が把握するような場合もございまして、さまざまなルートから把握をしているところでございます。

 そうして把握された情報につきましては、相談支援専門員等が必要な支援に結びつけるということもございますし、また、熊本県、熊本市、それから厚生労働省の現地対策本部、それからまた相談支援専門員協会等も加わっていただきまして設置をされております職員派遣・支援調整協議会が現地にございますが、この協議会において情報を集約いたしまして、連絡調整が図られているところでございます。

 御指摘のように、まさに関係者がしっかり連携して取り組むことが重要だというふうに私どもも考えておりますので、今後とも、国、県、市町村、それから民間団体ともしっかりと連携をいたしまして、被災された障害者のニーズの把握、さらに必要な支援の提供に努めてまいりたいと考えております。

堀内(照)委員 私は、単純に高齢者ということではなくて、障害手帳をお持ちの高齢者が省かれている例が現場であったということを指摘しました。

 それから、名簿も、行ってみたら三十五年前にもうこの方は引っ越しましたよという方もあったり、そういうことも聞きましたので、しっかり、漏れがない、そして連携を図るということを強く求めたいと思います。

 それから、高齢者について、今も少しありましたが、介護支援専門員協会と地域包括支援センターが全戸訪問している地域もあると伺いました。それはどの地域で行われて到達がどうなのか、そしてその取り組みをどう評価されているのか、それ以外のところで今全戸訪問していない理由というのがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今回の熊本地震に際しましては、被災地域の地域包括支援センターの活動を支援するため、日本介護支援専門員協会の協力によりまして、他の地域のケアマネジャーに被災地の要介護高齢者等の状況把握をしていただいております。

 このうち、西原村と益城町におきましては、戸別訪問による実態把握のニーズが高いという市町村の要望を受けまして、日本介護支援専門員協会におきまして全戸訪問を実施しております。

 現状でございますけれども、西原村では、調査が必要な世帯への全戸訪問、千百三十二軒が終了しております。益城町におきましては、五月二十三日現在で五千九百四十一軒訪問しており、今月中をめどに全戸訪問を終了する予定と聞いております。

 地域の実態の把握、あるいはそれをもとに必要な支援につなげるという意味で、多大な貢献をいただいているものと考えております。

堀内(照)委員 ほかの必要なところも行く予定はあるんでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回の熊本地震におきましては、まず熊本県内の関係市町村に対しまして、地域包括支援センターや介護支援専門員などにも協力を依頼する等の方法によりまして、被災した世帯の要介護高齢者等の状況や実態の把握に努めていただくよう関係市町村にお願いしているところでございます。

 そういう意味では、各地域の実情がございますので、基本的には関係市町村の判断によりまして必要な実態把握、支援を行うというところでございまして、国といたしましても、先ほどありました、熊本県、それから厚生労働省の現地対策本部、関係団体等によりまして構成されます職員派遣・支援調整協議会を設置し、連絡調整をしているところでございまして、こういったところでニーズを把握いたした上で、必要に応じ、日本介護支援専門員協会に協力を依頼するなど、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

堀内(照)委員 これは、私はやはり全戸やる必要があると思うんですね。

 これは東京新聞に先日載っておりました支援に入った方の言葉ですけれども、自分は大丈夫と思ったり我慢をしたりして自宅にいる人がいる、状況が悪化していないかしっかり聞かなければ。そして、こういうことをつかむことによって、地域単位の網羅的調査で継続的な支援の基礎をつくっていきたいと。

 本当に大事な意味があると思うんです。地域包括等、ふだん利用がない方はやはり漏れてしまいますので、しっかりと全戸行くということが必要だ。

 けさの朝日新聞でも、支援に入った方が、長引く避難生活等で体調が悪化されている、しかし、今なかなか、医療機関等、相談支援の人手不足で十分対応ができていない、さらに悪化することも懸念される、ですから応急的なこういう聞き取り調査が非常に大事だと痛感したと。この方は最後にこう言っています。今後は国の復興予算で保健福祉の専門職を長期的に派遣できるよう関係者に対応を求めたい。

 ですから、しっかり国が対応していくべきだということを、ここはちょっともう時間がありませんので指摘にとどめたいと思いますが、お願いしたいと思います。

 益城町でこういう例もあったと、先ほどの障害者訪問活動の中での事例でお伺いしました。山合いにある二十軒ほどの集落で、二十七歳の女性と御両親が暮らしています。家は危険で住めません。しかし、一番近い避難所が歩いて四十分かかる小学校。家の片づけもありますので、毎日四十分かけて通われているというんですね。益城町には福祉避難所が五カ所しかありません。山合いにぽつぽつと集落があるというところもありますので、なかなか難しいところもあるのかなと思いますが、月曜日、視察の際、説明いただいた総務課長は、福祉避難所もふやしていきたいとも述べておられました。

 大臣にぜひお伺いしたいんですが、数字の上では福祉避難所のキャパシティーが足りているようには見えるんですが、実際には建物の被災のためにロビーでしか寝るスペースがなくて受け入れられるような状況じゃないとか、片づけや仕事、学校などもあって家から離れられないということで、そこには行けないという方もあります。やはりニーズに応えたきめ細やかな具体化が求められると思うんです。絶対数も益城町では足りていない。

 必要な福祉避難所を確保していく上で、特に人員配置の方も問題になると思うんですが、そういうことも含めて、市町村の取り組み、ぜひ国が責任を持って対応していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 まだ、きょう現在、九千人をちょっと欠けるぐらいの方が避難所に避難をされているというのが現状でございます。

 例えば福祉避難所もそうですし、避難所も、あらかじめ用意をしていたけれども、地震でそこも被災をしてしまって使えなくなってしまったというところが少なからずあったというのも現実でございます。そういう中で、配慮の必要な高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦、その他配慮することが必要な方に対しては、少し避難所の環境改善というのをしっかりやってまいりたい。

 特に、熊本は三十度を超えるような気温になってまいりましたし、梅雨もだんだんと近づいてまいりました。益城町などはメーンアリーナ、サブアリーナの改修が終わりましたので、いろいろなところからそこへ移っていただいて、あいた会議室にさらに移っていただくというような作業を今やっているところでございますので、少しでも良好な生活環境のもとで生活できるように努めてまいりたいと思っております。

 また、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機といったものを今全ての避難所に入れられるように、ニーズを吸い上げて手配をしているところでもございます。

 また、特に配慮の必要な方には、旅館やホテルを二次避難所、福祉避難所として活用できるようにさせていただきました。また、一般の避難所に福祉スペースを設けることができる場合には、そこも福祉避難所と同様に災害救助法による国庫負担の対象とさせていただいているところでございますので、御指摘のように、特に配慮を要する方を含め、避難されている皆さんに少しでもいい環境で避難所の生活を送っていただけるように、しっかり国も、熊本県あるいは自治体と連携をしてやってまいりたいと思います。

堀内(照)委員 今旅館などのお話もありましたが、やはりなかなか遠くて行けないという声がありますので、実態に合わせて国の責任を果たしていただきたいと思います。

 時間がありません。ちょっと飛ばしまして、被災した医療機関の再建について伺います。

 民間病院の再建への支援は、医療施設等災害復旧費補助金があります。補助の対象となる政策医療の中身がこの間拡大もされてきました。これにかかわって、二点なんですが、ちょっとまとめて伺います。

 申請期限、実は月曜日で終わっているんです。しかし、まだまだこれから受け付けていく必要があると思いますが、受け付けていただけるのかということを一つ確認したい。

 四月の末に、現地に医療機関の訪問調査をした全国保険医団体連合会、兵庫県保険医協会の担当者から私はお話を伺いました。地震の震動によるスプリンクラーの誤作動もしくは配管の破断等による水によって機器がやられるとか、機器そのものが倒壊してだめだとか、建物に損傷がなくても、なかなかそういう医療機器の被害というのは大きいんだという話もありました。もう高額の医療機器は自前では買えない、こういう方もあったということであります。

 再建に向けた補助金は、対象が拡大されてきたとはいえ、全ての医療機関が対象になりませんし、機器のみの被害ではなかなか対象になりません。月曜日に熊本県からいただいた要望の中にも、早期復旧へ、補助率のかさ上げや補助の対象の拡大、全額国庫による基金の創設など支援を求めております。東日本のときにも基金が組まれました。

 また、地域医療介護総合確保基金でも、地域医療構想の達成のためだけでなく、居宅等における医療の提供に関する事業も対象になっているわけです。

 こうしたことも含めて、自治体の裁量、自由度のきく仕組みも活用して、医療機器の購入費用も含めた支援の具体化をぜひ求めたいと思うんですが、いかがでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 このたびの熊本地震において被災した医療施設の復旧は地域の住民の健康を守るために重要と認識しておりまして、医療施設等災害復旧費補助金によって、復旧のための工事費等について補助することとしております。

 この被災地内の医療施設への周知に関しましては、震災後に事務連絡により復旧事業の実施についてお知らせしているところでございますが、議員御指摘の期日に関しましては、これは事務連絡において五月二十三日までとはしておりますが、期日までに間に合わない場合は個別の御相談によって期日を超過して申請することも可能と明示しております。

 災害復旧費補助金を活用した被災施設の復旧が円滑に進められるように努めてまいりたいと思っております。

 それから、当該医療施設等災害復旧費補助金でございますが、このたびの熊本地震につきましては、激甚災害に指定されたということがございますので、公立病院や日本赤十字社などの公的医療機関は補助率を二分の一から三分の二に引き上げ、救命救急センターや災害拠点病院などの政策医療を実施している民間医療機関は補助額の上限を撤廃し、さらに、これらの医療機関の医療機器の購入費についても補助対象に追加するといった対応をしてございます。

 また、医療施設等災害復旧費補助金につきましては、これまでも必要に応じ復旧対象を拡充してきておりますが、さらなる補助対象の拡充や基金の設置等による支援につきましては、今後、被災地における被害状況も踏まえつつ、関係省庁と調整してまいりたいと考えております。

堀内(照)委員 ぜひよろしくお願いします。

 終わります。

野田委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 十分間ですので、早速質問に入りたいと思います。

 昨今、消費増税延期をめぐる議論の中などで、阪神・淡路大震災あるいは東日本大震災と平成二十八年熊本地震を比べることがあるかと思います。いずれも、とうとい命を失われた方々や御遺族、また被災された方々にとっては比較するものではありませんけれども、そもそも政府として大震災の定義をどのように考えておられるのかを、簡単で結構ですので、伺いたいと思います。

河野国務大臣 法令上、大震災を定義しているものはないというふうに承知をしております。法令において大震災という用語が使われているのは、東日本及び阪神・淡路の二つでございます。

 東日本大震災は、地震名は東北地方太平洋沖地震、こういうことでございますが、これに伴う津波の被害が、死者・行方不明者の発生において十三都県に及ぶ甚大なものであることに加え、原子力発電施設の事故が重なるという未曽有の複合的大災害であり、復旧復興施策の推進の際に統一的な名称が必要とされたことから、閣議了解において東日本大震災と決定をしております。

 また、阪神・淡路大震災につきましては、地震名は兵庫県南部地震でございますが、この被害が、やはり死者・行方不明者において兵庫、大阪、京都の二府一県にまたがり、合計で六千四百三十七名がお亡くなりになりあるいは行方不明になるなど、その規模が特に大きいことに加え、復旧復興施策の推進の際に統一的な名称が必要とされたということから、閣議口頭了解において決定をされております。

 ということで、特に政府内に明確な定義あるいは法令による定義があるわけではございません。

河野(正)委員 大臣、一問だけでございますので、もしよろしければ退席されても構いません。

 次に、耐震構造についてお話をしたいと思います。

 過去の震災の教訓から、先ほど神山委員の方からもありましたけれども、耐震基準というのが設けられておりまして、今回の地震では、現行の耐震基準を満たしていながらも倒壊した家屋であるとか使用困難になった病院などもあるように聞いております。基準を満たしていながら倒壊した家屋の実態を政府はどのように把握されているのか、伺いたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 今回の熊本地震では、建築物に関して多大な被害が生じております。国土交通省といたしましては、国土技術政策総合研究所及び国立研究開発法人の建築研究所の専門家を現地に送りまして、建築物の被害に関する調査を行っております。

 これまで明らかになった結果を簡単に申し上げますと、築年数がおおむね四十年を超えると推定されます木造住宅の倒壊が多数確認をされております。また、益城町の中心部等におきましては、昭和五十六年に施行されましたいわゆる新耐震基準以降に建設されたというふうに推定されます木造住宅においても被害が発生をいたしております。

 今後、特にこの新耐震基準の導入以降に建築されました住宅を中心といたしまして、さらに詳細な調査による状況の把握と被害要因の分析を進めてまいりたいと考えております。

 その一環といたしまして、五月二十六日に、熊本地震における建築物被害の原因分析を行う調査委員会の第一回目を、先ほど申しました建築研究所と連携をいたしまして開催をいたしたいというふうに考えております。

 同委員会におきましては、これまで国交省が行ってまいりました調査や、あるいは日本建築学会あるいは大学等が数多く調査を現地で実施しておりますので、そういった結果について幅広く収集、整理を行いまして、原因分析を行ってまいりたいというふうに考えております。

 耐震基準の見直しにつきましては、この委員会におきます原因分析の結果を踏まえまして、その対応の必要性も含めて、予断を交えずに検討してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

河野(正)委員 厚生労働省の方で、病院の方の基準というのはいかがでしょうか。

三ッ林大臣政務官 河野委員にお答えいたします。

 今回の熊本地震における被災につきましては、病院百五十四施設につきましては、十二病院が病棟の損壊等により入院診療に制限があり、さらに建物や医療機器の損壊等の被害状況について現在調査中でございます。高齢者施設、千二百三十四施設でありますけれども、三百五十四施設の建物の一部が損壊しております。また、障害児、障害者入所施設七十八施設につきましては、二施設の建物の一部が損壊と把握しております。

 病院の耐震化につきましては、地震発生時において建物の損壊等を防ぎ、入院患者等の安全を図る上で大変重要であり、厚生労働省としては、災害拠点病院や三次救急医療機関、二次救急医療機関に対しまして、平成十八年度当初予算より、医療施設耐震整備事業を創設いたしまして、平成二十一年度補正予算から平成二十四年度補正におきまして、医療施設耐震化臨時特例基金を措置することで耐震整備への支援を行ってまいりました。

 また、これらの補助対象外でありました一般の病院につきましても、平成二十三年度から、医療施設耐震整備事業の対象を拡大することによりまして、補助が行われるようになっております。

 なお、耐震基準の見直しにつきましては、一義的には国土交通省におきまして検討が行われるものと把握しております。

 今後とも、被災状況や地域における医療提供体制の状況等を踏まえ、耐震化の促進に向け取り組んでまいりたいと考えております。

河野(正)委員 耐震基準を満たすように補助金等を投入していながら、実際には使えなくなってしまった施設等々もあるわけでございますので、しっかりとやはりこれを機に考え直しておくということは大切なことではないかなというふうに思っております。

 次に、観光への影響について伺いたいと思います。

 今回の地震によって、熊本市内、阿蘇、湯布院などの観光産業には極めて多大な影響があったというふうに認識をしております。私は福岡ですけれども、福岡でもホテルのキャンセル等々があったというふうに聞いております。

 まず、政府として把握している実態をお聞かせいただきたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地震災害を受けまして、熊本県や大分県内の旅館、ホテルの施設設備への被害のみならず、熊本県を初め九州地方の広い範囲にわたりまして多くの宿泊のキャンセルが生じているというふうに理解をしております。

 御地元からのお話ですと、七十万件を超える宿泊のキャンセルが九州全域であったというふうに伺っております。

 したがいまして、今後、夏の観光シーズンに向けまして、スピード感を持って観光需要を回復していく必要があるというふうに考えております。

河野(正)委員 今お答えいただきましたように、かなりというか相当な打撃を受けているということでございます。本当に大変な問題だと思いますけれども、今若干触れていただきましたが、今後の対策についてどのように検討されているのか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、現在多くのキャンセルが生じているということでございますので、観光需要を早期に回復させていくために、九州の観光復興に向けての総合支援プログラムを策定し、実行してまいります。まず現地の状況を正確に知っていただくということが重要でございますので、引き続き国内外の観光客へ正確な情報を発信いたします。

 また、さらなる需要喚起のために、九州の観光プロモーションをしっかりと行いたいと考えております。具体的には、六月早々にも各国のメディアや旅行会社を招請いたしまして、九州の魅力を知ってもらうなど、九州をターゲットとしたプロモーションを実施してまいります。

 このように、地域の御意向をしっかりとお聞きしながら、ことしの夏休みの多客期を逸することのないように、速やかに対応してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 時間が参りましたので、一日も早い九州、熊本、大分の復興を祈念いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野田委員長 次に、務台俊介君。

務台委員 自民党の務台俊介です。

 私は、一昨日の衆参災害対策特別委員会の合同視察に参加させていただきました。そして、その前には、五月一日、二日と個人で現地に赴かせていただきまして、関係者と意見交換をさせていただきました。発災から二週間経過時点、それから一カ月経過時点と、それぞれのフェーズで災害後の状況が大きく変化しているということを感じさせていただきました。

 発災後の政府の対応は素早く、国民、住民の皆様の評価も高いと承知しております。私は、一昨年末に長野県北部を襲った神城断層地震の際の安倍総理、そして当時の山谷防災大臣を初め政府の迅速な対応にも目をみはるものがあったというふうに感謝しておりますが、今回も的確な対応にまず感謝申し上げたいと思います。

 その中でも、事前防災、災害対応の幾つかの点で、より改善が求められる、あるいは向上が期待できる面があったというふうに考えますので、ここであえて指摘し、今後のさらなる政府の対応を求めていくこととしたいと思います。

 五月一日、二日に熊本入りした折にボランティア組織の皆様からお話を伺いましたが、ボランティア活動の申し出に対して、自治体の側がこれを謝絶するというケースが相次いだというふうに聞いております。

 余震が続くなど災害が継続しているという事情があったものとは思いますが、自治体の負担を和らげる観点から、例えば、ボランティアの窓口を自治体でないところに最初から委ねるという方法もあり得たのではないかというふうに考えられます。被災後、ラストワンマイルの段階で人手不足のために物資が被災者に届かないという状況が報道されておりましたが、これもボランティア受け入れ体制に原因があったと考えられます。特に、ICTを活用した人的資源の活用が機能しなかったということも、一つの教訓として言えるのではないかと思います。

 これらに対する政府の考え方を聞かせていただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 一般市民や学生等によるボランティア活動につきましては、社協等におきまして各地域の安全確保の状況を見つつ順次センターを開設して、ボランティアの方々に家屋の片づけ等を中心に支援活動をいただいているところでございます。

 先生も御指摘ございましたように、発災当初、余震等が続きました関係もありまして、ボランティアの受け入れを控えていた時期もございましたし、大型連休中は、必ずしもニーズが十分に把握できなかったということで、ニーズを上回るボランティアの方々にお越しいただいたんですけれども、それも十分善意を受けとめることができなかったというのは、今後の課題ではないかというふうに認識をしております。

 今回の熊本地震での課題、経験を教訓といたしまして、御指摘をいただきましたICTの活用というような御意見、これも参考にしながら、今後のボランティアセンターの立ち上げ、あるいは円滑な運営、それからNPOの方との連携等につきまして、いろいろと検討を進めて、対策を講じていきたいというふうに考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 災害対応を行うべき自治体の庁舎が被災し、災害対応の中枢機能が機能しなかったということは大きな教訓だと思います。一昨日、益城町の総務課長から、今はとにかく仕事をする拠点が欲しいんだという切実なお話を伺ったことが印象的でした。

 国土強靱化基本計画あるいは防災基本計画といったものがありますが、庁舎の問題もしっかりと見据えて、防災拠点としての耐震化を計画的に進めていくことが今改めて求められているのではないかと思います。政府の側のさらなる取り組みを促したいと思いますが、計画、さらには自治体のその面での支援ということについての御見解を伺います。

加藤政府参考人 まず、計画の関係についてお答えをいたします。

 災対本部が設置されている自治体の庁舎、これにつきましては、災害時に拠点になるような施設ということで、災害発生時にもその機能を十分に発揮するということが求められてございます。今般の熊本地震におきましては、複数の自治体の庁舎が大きな被害を受けており、その安全性とともに業務継続性の確保ということについても喫緊の課題となっておるところでございます。

 御指摘のございました国土強靱化基本計画あるいは防災基本計画におきましては、庁舎の耐震性を初めとする安全性の確保、これにつきまして各機関が必要な措置を講じることなどを定めて、その取り組みを推進しておるところでございます。

 引き続き、関係省庁との連携のもと、庁舎耐震化の取り組みを促していくとともに、御指摘の点を初め、今般の地震を含め発生した地震から得られた教訓をしっかり踏まえて、総合的な防災、減災対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

横田政府参考人 自治体への支援という点についてでございます。

 総務省といたしましては、従前から、防災拠点となります公共施設の耐震化を促進するために、耐震改修に活用できます、起債充当率一〇〇%、交付税措置率七〇%の緊急防災・減災事業債等の地方財政措置を講じてきたところでございます。

 引き続き、こうした支援制度についてしっかりと周知しますとともに、さらなる取り組みを促すために、これまで都道府県単位で発表しておりました耐震化状況調査につきまして、今後新たに市町村別の結果を公表するなどして、地方公共団体において早急な取り組みが進められるよう、強力に働きかけてまいりたいと考えております。

務台委員 庁舎については、ほかの分野を優先して自分のところは最後に、そういう気持ちもよくわかるんですが、非常時のことを考えるとやはり重要な課題なので、政府としても余り自治体が過度に遠慮しないように促していただきたい、そのように思います。

 益城町、熊本県庁で伺った話では、仮設住宅の需要が非常に多い、しかし、六月中旬からの入居がやっと可能となるというお話でございました。一方、仮設住宅入居には罹災証明発行が前提となり、その手続の中でなかなかスムーズな運用が図られていないという実態もあるようでございます。

 兵庫県立大学防災教育研究センター長の室崎先生は、仮設住宅入居と罹災証明発行は切り離して考えてもいいのではないかという御提案をされています。この点について政府の考え方を伺いたいのが一点。

 それから、熊本県の蒲島知事から、今回の被災自治体の罹災証明発行については、防災科学技術研究所が開発してきた被災者台帳による生活再建支援システム、これが、十五市町村の共通のフォーマットによる認定調査を行うことができて、データの共有が行われて、飛躍的な効率化がこれによって図られているというお話がございました。

 例えばこういうシステム、これは京大システムと先ほど河野大臣がおっしゃったシステムなんでしょうが、これらのすぐれた事例を全国展開し、制度として普及する、定着する、こんなことも必要ではないかと思うんですが、二点について伺いたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、仮設住宅と罹災証明書の関係でございます。

 今般の地震により多くの方々が住宅を失われ、地震が相次ぐ中で避難所等において不安で不自由な生活を余儀なくされてございます。こうした方々の支援として、一日も早く安心して生活できる住まいに入居していただくことが極めて重要であるというふうに認識をしております。

 仮設住宅の入居でございますけれども、地方自治体が入居前に罹災証明書の提出を求めて、住家の被害状況を事前に確認した上で入居を認めるということは一般的でございます。

 しかしながら、熊本県におきましては、入居前の罹災証明書の提出を必ずしも求めているわけではなくて、例えば、写真を提出いただいてこれにかえて、入居後に罹災証明書を提出することも可能であるというような運用も行っているというふうに聞いております。

 内閣府といたしましても、被災者の方が一日も早く安心して生活できる住まいに入居していただけるよう、状況をしっかり確認し、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

 それから次に、システムの関係でございます。

 今お話がございましたように、熊本県内で罹災証明書の申請を受け付けております三十三市町村ございますが、このうち十五の市町村で、防災科研の林春男先生が開発をされた被災者生活再建支援システムというのが導入をされているというふうに承知をしてございます。

 先生からもございましたけれども、本システムの特徴として、例えば、地図つきの調査票を印刷することによって位置の誤認を応援職員でも防ぐことができるとか、あるいは、データを被災者台帳として活用して、被災者ごとの被災者支援策の活用の有無を把握できるなどの利点がございます。特に、被害戸数が多い場合には、事務の効率化を図ることが可能であるというふうに理解をしています。

 内閣府では、このようなシステムに加えまして、ほかにもIT技術を活用したようなシステムがございます。このような先進的な事例について、これまでも被害認定業務に関する手引等で周知をしてきておるところでございますけれども、今回の熊本地震の経験も踏まえて、改めて、システムの導入の効果等について調査分析をし、普及を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

務台委員 ぜひ、新しい技術をどんどん普及していただきたいというふうに思います。

 発災後一カ月を経ても、熊本県内で九千人弱の方が、九千人を切るとはいえ、まだ多くの方が避難施設におられるのは、何ともお気の毒としか言いようがございません。エコノミークラス症候群という言葉には、やりきれなさも感じる次第でございます。

 こうした状況にどうやって対応するのかということの中で、少なくとも仮設住宅ができるまでの間、自宅近くに居住できる手段としてトレーラーハウスというものの活用が考えられないか、私、これはかねてから実は申し上げてきているんです。

 現に、昔、「あのねのね」という歌手、グループがありまして、そこの清水国明さんという方が、河口湖にレクリエーションパークをみずからお持ちになって、そこでトレーラーハウスを備えて、熊本に今回リースで提供されている、そんな取り組みをされておられます。

 知事さんとお話をしましたら、現在のところ熊本県で二十五台が搬入され、特にハンディキャップを持つ被災者のために活用していきたいというお話を伺いました。先ほど、堀内委員からも福祉避難所の確保の必要性がございましたが、知事さんからは、こういうものについて政府の側で十分な台数を確保して、被災地に迅速に提供する体制を構築してほしいというお話も意見交換の中であった次第でございます。

 ちょっと資料を用意させていただいておりますが、アメリカでは、レクリエーショナル・ビークル・パーク、RVパークなどで、民間で利用、備蓄されているトレーラーハウスが五百万台あるということでございます。それで、直ちに被災地に行って、仮設住宅をつくらなくてもすぐ入居できる、そういうシステムがございます。アメリカの場合は、ほろ馬車文化があってそういう文化に親しんでいるということもあるのかもしれませんが、余りにも日本ではそこら辺がちょっと工夫がないのかなというふうに思います。

 資料の五ページを見ていただきますと、これは実は国土交通省住宅局からいただいたんですが、トレーラーハウスも場合によっては応急仮設住宅として使えるということが書いてあるんですが、中身を見ると、非常に制約があって、条件を満たさない場合には早期の活用ができないと相手に伝えろとか、住宅以外の用途として東日本大震災で一部利用された例があるだけだとか、何か使っちゃいけないみたいな基準になっています。

 それに対して、四ページを見てもらうと、FEMA、アメリカの例なんですが、ふだん民間備蓄しておいて、いざというときに被災地に駆けつける、そして不要になったらまた戻る、こういうリユース、循環的利用が行われているという事例がありまして、余りにも住宅局の対応とアメリカの対応が異なる、そういうコントラストの強い資料になっております。

 これは別に国交省がいい悪いという話じゃないんですが、知事さんも、ぜひ迅速に提供する体制を構築すべきだと言っていることもあり、ぜひ、政府全体として、今後、大規模に予想される地震を想定して、あらかじめ平時からこういう体制をつくっていくべきじゃないかというふうに考えますが、この点について、政府の考え方をお伺いしたいというふうに思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 災害時において、住まいを失った被災者の方々に対し住まいを迅速に提供するということは極めて重要なことであるというふうに認識をしております。

 このため、自治体においては、災害時の被災者の住まいの確保について平時から備えていくことが必要でありまして、そうした中で、仮設住宅の確保の一類型として、いわゆるトレーラーハウスの活用というものも可能であるというふうに考えられるところでございます。

 また、仮設住宅の場合はいろいろと条件等もございますけれども、今お話のあった福祉避難所というふうな活動についても一つまた考えられるのではないかというふうにも思いますし、今般の熊本地震の対応として、益城町において福祉避難所として活用されているというふうにも承知をしているところでございます。

 先生からもございましたけれども、メリット、デメリット、取り壊しが不要であるという利点の一方で、他の仮設住宅と設備や広さが異なっているとか、迅速に今の日本の普及状況の中で一定数の確保、提供が可能であるかとか、コストとか、いろいろな観点がございます。そういう中で適切に御判断をいただくものというふうに思いますけれども、トレーラーハウスの活用につきまして、都道府県の担当者を対象にしている全国会議等で事例の紹介などもしまして、周知に努めてまいりたいというふうに思います。

 トレーラーハウスの活用は、今お話のありました活動の事例を積み上げていただくことがまず必要だと思いますけれども、民間備蓄をもとにした供給体制というお話がございました。先生からもございましたように、日本とアメリカでかなり活用状況に差異が見られますので、その辺等も踏まえながら、今後検討していきたいというふうに考えております。

務台委員 ぜひ、省庁横断的な課題だと思いますので、検討していただきたいと思います。

 少なくとも、住宅局が非常に制約のあるこういうマニュアルをつくって配っていると、私も熊本県庁の住宅課の担当者に会いましたけれども、これに沿ってびしびしと要件を詰めているんですよね。他方、避難所でエコノミークラス症候群で苦しんでいる人がいるのに、完全な住宅でないといけないという、これはやはりちょっと完璧主義が弾力化を損なっているというふうに思いますよ。ぜひ、ここら辺を検討していただきたいというふうに思います。

 水道施設の復旧はほぼ完了したと伺っております。実は、水道施設、日本じゅうで老朽化が進んでおりまして、にもかかわらず国庫補助金が大幅に減らされ、耐震性の強い水道施設の整備が急務である。

 実は今回、耐震化と水道施設の復旧の関係、大変な相関関係があるということがわかっておりまして、資料の六ページを見ていただきますと、耐震化適合率と復旧率、これはきれいな相関関係があり、益城町は耐震化が進んでいなかったので復旧がおくれている、熊本市はそうでない、こういう数字も出ているんです。これは厚生労働省につくっていただきました。

 ついては、水道事業については水道料金で賄うべきという原則があるんですが、最重要ライフラインとしての水道の意義を考えると、補助金の大幅増額はもとより、水道分野の財源措置を総合的に充実して、地方単独事業についてもどんどんやるべきじゃないか。料金で回収できなきゃだめですよ、そういうことをちょっと例外的に打破する、そんなことも必要じゃないかと思うんですが、政府の対応を求めたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今回の熊本地震におきます断水被害の発生を踏まえれば、引き続き、水道施設におきます耐震化の取り組みを推進していく必要があると考えております。

 水道事業の運営は地方公共団体において水道料金収入で賄うことを基本としておりますが、政府としても、耐震化を進めるため、平成二十六年度補正予算より生活基盤施設耐震化等交付金を創設し、平成二十八年度には、耐震性が低く、法定耐用年数を超過した管路を更新するためのメニューを新たに追加したところでございます。

 平成二十八年度予算は、対前年度三十億円の増額を確保しており、引き続き、次年度以降の予算確保に向け努力してまいりたいと考えております。

森屋大臣政務官 総務省の考え方につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

 水道事業の将来にわたりまして持続的かつ安定的な事業の継続をしていくということは、大変な、重要なことであるというふうに考えているところでございます。

 委員御存じのとおり、水道事業につきましては独立採算が原則ではございますけれども、これまでも、管路の耐震化によります更新事業等につきまして格段の財政措置等を講じまして、整備の推進を図ってきたところでございます。

 まずは、これから、各団体における老朽化の更新状況や料金の状況等につきまして十分に実態の把握に努めまして、地方団体の御意見等も伺いながら、今後どのような支援が可能であるか、前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

務台委員 私は水道議員連盟の事務局長もやっておりまして、ぜひよろしくお願いします。

 今回の熊本地震におきまして、さまざまな教訓が得られております。事態が収束した後に、さまざまな関係者からヒアリングを行って、また、政府の対応を検証し、教訓を得る作業、これもぜひやっていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野田委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、一昨日の委員会派遣、そしてまた、四月十四日の発災以来現地に張りついている我が党の地方議員あるいは国会議員の人間から聴取した内容をもとに、質問をさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。

 きょうで発災以降四十日ほどたっているわけでございます。初動対応、そして応急対応、あるいは復旧復興というような形で、災害対応というのはフェーズが移り変わっていくというふうに認識しておるわけでございますが、今どういう状況かというと、やはり、応急対応が進む中において、いよいよこれから復旧のフェーズに移行していく、そういう段階であろうかというふうにも思っております。まだまだ現地では避難生活を余儀なくされている方々がおられるということに鑑みれば、一刻も早く対応を打っていかなければいけない、こういう状況であろうかというふうに思います。

 そしてまた、政府におかれましては、随分弾力的そして柔軟な対応も行っていただいているということも十分認識をしているわけでございますが、これの徹底や、さらなる対応を求めたいということを冒頭申し上げて、質問をさせていただきます。

 先ほど来ございましたが、罹災証明書の発行あるいは申請の受け付けについてさまざまあったわけでございますが、マンパワーの不足、これをまず解消していかなければいけないということで、ほかの自治体から助けを求めて、そのための人員を派遣していただくというようなことをやってまいって、何とかやってきた。

 さらに、今後想定されることでいうならば、今、応急対応から復旧の対応に移行するであろうということを考えますと、解体ですね、誰が解体をするんだということについて、非常に現地では気にしておられる住民の皆様がおられる。

 益城町にも、うちの、公明党の町議がおります。町議会議員にも聞いたところ、やはり、公費で解体をどこまでやっていただけるのか、これは住民の皆様の非常に強い関心があるところであるというふうに伺ってきたところでございます。

 まず、この公費解体についてお伺いしたいと思うわけでございますが、公費解体、準備状況がどういう状況であるのか。申請について対応できる窓口の設置であったり、そしてまた、それに対応できる人員の確保、さらには、実際に解体をするための主体者、恐らくこれは、解体工事など、あるいは建設業の方々などのお力をおかりしないとできないことであるというふうに思っておるわけでございますが、今の現状を環境省にお伺いします。

鎌形政府参考人 家屋の解体についてのお尋ねでございます。

 家屋の解体につきましては、今回の熊本地震につきましては、通常、全壊以上について補助対象とするところを、半壊以上を補助対象とするという形にさせていただきました。

 そして、家屋の解体の手続の前提となる罹災証明につきましては、一次調査が五月末までに終了する予定で進められていると承知してございますが、このため、六月以降、解体に関する相談あるいはその申請の件数が増加していく、こういうことが見込まれることでございます。

 被災自治体におきまして、これに対応できるよう、窓口開設の準備、そして必要な知見を有する職員、必要な知見と申しますのは、例えば家屋の解体に当たりましては、権利関係の調査とか、こういうことで一定の知見が必要でございますので、そういった職員を確保していくというようなことでの調整が行われるということでございます。

 私ども環境省といたしましても、現地に東日本大震災の廃棄物処理に携わった経験のある人間を派遣して、そういった体制準備に協力、支援をしているというところでございます。

 また、解体工事になりますと、工事に従事する必要な人員の確保ということが必要になってございます。解体工事が円滑に進むためには、この人員を確実に確保することが必要なわけでございますけれども、現在、被災自治体と、解体に関連する業界団体がございますので、こちらが調整をしているというところでございます。具体的に、どういうふうなチームを編成して、どれぐらいの人数を確保していくかということについても調整をしているということでございます。

 これにつきましても、私ども環境省の経験ある職員を派遣しておりますので、その相談に応じ、調整に入って支援をしている、こういうところでございます。

濱村委員 ありがとうございます。ぜひ、引き続きの対応、熊本県の方でも、解体工事業協会、そして建設業協会の皆様ともしっかりすり合わせしながらやっているというふうに聞いておりますので、環境省としても、ぜひ取り組みを万全の体制をとっていただきたいというふうに御要請させていただきます。

 そしてまた、次に、これも、熊本県に在住、今回の委員会派遣でも現地参加議員として参加した江田康幸議員から聞いた話でございますが、熊本市内の繁華街についてはアーケードがあります、そのアーケードについても落ちてしまっているというような状況がございます。商店街の皆様がこのアーケードを直していきたいというふうな話があるわけでございますけれども、商売以外にも、自分の家、住居等も被災されている方も中にはおられて、なかなか二重に三重に借金を負うことは大変だという状況もございます。

 そうした中で、これは全般に、商店街以外にも言えるわけでございますけれども、中小企業の皆様の復旧のために、東日本大震災でもあったようなグループ補助金のようなもの、これをぜひ施策として検討していただきたいというふうに考えるわけですが、経産省に御意見を伺いたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業対策については、発災の直後より、相談窓口を設置するとともに、資金繰り支援として政府系金融機関による災害復旧貸し付けの実施、あるいは通常の保証とは別枠での一〇〇%保証、こうした措置を早急に講じてきたところでございます。

 一方、ただいま委員御指摘のグループ補助金につきまして、地元から強い御要望があることも認識しております。林経済産業大臣も、できることは全部やっていくとの考えを国会で既に表明しているところでございます。

 このため、その方針にのっとって、被害状況や支援ニーズ、これに応じまして、グループ補助金のような施策も含めまして、補正予算に計上されている熊本地震復旧等予備費を活用した支援策をしっかりと検討してまいりたいと思います。

濱村委員 補正予算でしっかり予備費を確保したわけでございますので、その中で地元の皆様の御要請が強い分野にしっかりと財源を振り分けていただきたいというふうに思うわけでございます。

 そして、義援金の差し押さえ禁止法案について少しお話をさせていただきますが、これは、先週、衆議院におきましては本会議で可決されたわけでございまして、今週、参議院で取り扱われるというふうに承知しております。

 本当に各党の皆様、与野党問わずに、皆様の御協力、そして御理解があって可決に至ったわけでございますので、心より感謝を申し上げる次第でございますが、そもそも義援金というものが法令上どのような位置づけになっているのか、そしてまた、この義援金はどのような仕組みで被災者の皆様に配分されるのか、確認をしたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 国民の皆様から善意により寄せられる義援金、これは、国の法令等に基づくものではなく、また、配分につきましても法令等による定めはございません。

 今回、熊本県、日本赤十字社、共同募金会に寄せられた義援金については、県に設置された配分委員会、ここにおいて、配分の方法や金額などの基本ルールが決定されるというふうに伺っております。

 これらの義援金は、四月十五日の受け付け開始後、四月三十日現在で約五十七億円が寄せられております。五月二日の第一回の配分委員会会議において、第一次配分分として約七億五千万を県内二十五市町村へ配分し、そこから被災者に配分するための手続を各市町村において進められているというふうに伺っているところでございます。

濱村委員 今、義援金、法令上何か後ろ盾があるかというと、そうではない。そもそも所管する省庁もなかなかないというような状況であるということで、そういった背景からも、今回の法案は議員立法という形になってきたわけでございます。

 これも特別措置法となっているわけでございますので、今回の熊本地震なら熊本地震というような限られた枠内での運用となるわけでございますが、これは我が党からぜひにということでお願いを申し上げたわけでございます。

 その背景といたしまして、実は現地に、五月六日、我が党の復興・防災部会の部会長である赤羽一嘉衆議院議員、兵庫県本部の代表を務めておられるんですが、赤羽さんと、党の女性局次長の伊藤孝江さんという方が一緒に熊本に行きました。熊本県の弁護士会の皆様からさまざま要請を聞く中で、義援金についての差し押さえ、これは東日本と同様に禁止をしてほしいというような要請を受けて、やらせていただいたという背景がございます。

 しっかりと参議院でも法案が可決されることを望むわけでございますが、先ほど少し触れていただきました配分委員会、熊本県が配分委員会でしっかりとその配分を決めるということでございました。これは実は地域防災計画に定められているというふうに認識をしております。

 では、地域防災計画にはどのようなことが定められているのか、確認をさせていただきます。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 地域防災計画につきましては、防災基本計画に基づき、地域の実情に応じて定められるものでございます。

 その中で、おおむね、一つは、地域に係る防災施設の新設または改良、防災のための調査研究、教育及び訓練その他の災害予防対策に関する事項、それから災害情報の収集、伝達、災害に関する予報または警報の発令及び伝達、避難などの災害応急対策に関する事項、それから災害復旧に関する事項など、さまざまなものが記載をされているところでございます。

濱村委員 今おっしゃるとおりで、計画に定める事項としても、災害予防、あるいは情報の収集、伝達等々あるわけでございますが、それプラス地域にかかわる措置に要する労務、施設、設備、物資、資金等の整備、あるいは備蓄、調達、配分、輸送、通信等に関する計画というふうに定められています。

 ただ、これは等というふうにあるわけでございますので、自治体によってさまざま幅があるというわけでございます。自治体によって、地形も違ったり自然環境も違う、そういう差異があって当然だと思いますし、海のない県であれば、津波についてはそんなに心配する必要がないのかもしれない、そしてまた、それに対応するべき計画などもそんなに充実しなくてもいいのかもしれない、そういう違いはあっていいというふうには思うわけでございます。

 もともと、先ほども私は少し触れさせていただきました、解体については、ちゃんと入れてくださいねというような項目にはなっていなくて、各地域ごとに入れたり入れなかったりしているというふうに認識をしているわけでございます。

 例えば、熊本県の地域防災計画の中においては、解体についての記載、規定はなかったというわけでございますけれども、阪神・淡路大震災を経験した神戸市のものについては、ちゃんと記載があるというわけでございます。やはり経験をしているかどうかということで、何が大事か、そうではないのかという知見が積み重なってきている、そういうことによる差異があるんだろうというふうに認識しております。

 ぜひこういった知見を、さらに国としても、政府としても集約して、その上でさらに地方自治体に還元していくというような取り組み、よく言うPDCAサイクルというようなものかもしれませんけれども、そうした取り組みをする中でより精度の高い地域防災計画をつくっていける、そういう体制づくりにも取り組んでいただきたいということを一言申し述べたいと思います。

 そしてまた、続いて、これも県会議員から聞いた話でございます。

 被災者の方々、例えば、住宅地が開発されていて、新規分譲で大体集合的に分譲されたりする、そこの住宅地にアクセスするための道、生活道路ですね、その生活道路が今回崩れている、あるいは崩落していてそこが通れない、車両は通れないというような状況があるというふうに聞いております。

 この実は生活道路だったりするところが私道になっているわけですね。私道であるがために、なかなか公費を投入して整備することには至らないというふうにも聞いています。生活再建をしていくという観点では、私道であるというところではあるんですが、災害復旧復興という観点から見れば非常に大切な道路であるというふうに思うわけでございます。

 国として何ができるか、公費をかけてどこまでやれるのかというのは非常に難しい判断であるというふうに認識をしているわけでございますが、例えば、その私道を無償譲渡して、一旦、公のものにする、そして、その公のものに対して公費を投入するといったようなことなども含めて、いろいろなやり方をぜひ前向きに御検討いただきたいということを、地元の皆様からの強い要請を踏まえて、酒井政務官の御決意についてお伺いをしたいと思います。

酒井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 発災後、もう一カ月以上がたちました。いまだに、まだ被災者の方々が苦しんでいらっしゃいます。しかも、九千人近くもいらっしゃるという現実があります。この方々の生活を早く取り戻せるように、しっかりと頑張っていかなければならないという思いを強くしております。

 そして、先生方から、補正予算として七千七百八十億円を成立していただきました。この補正予算をしっかりと十分に活用していきたいというふうに思います。

 そういう中で、先ほどの私道の問題等もあります。そういうものを検討しながら、また政府としてはしっかりと対応していきたいというふうに思っておりますけれども、総理もおっしゃいましたけれども、できることは全てやっていくというのが政府の方針であります。中長期的な視点から、今後ともできる限りの支援策を対応してまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

濱村委員 できることは全てやる、この精神のもと、しっかりとした対応、そして被災された方々に寄り添った対応をぜひお願いしたいと思います。

 先ほど、地域防災計画の話の中で、少し私もつけ加えで申し上げたいことがあるんですが、実は、この地域防災計画、非常にまとまっているわけでございますが、各業務ごとにインデックスがついているというような状況でございます。そういう意味では、いざ災害が起きたというところから、初動するときには何をすればいいのか、そして応急対応として何をすればいいのかということが、多少わかりにくくなっているわけでございます。

 そういう意味では、時系列的に、今何をしなければいけないのか、どういうことを次にやらなければいけないのか、そのための準備はいつぐらいから始めればいいのかということをまとめるというようなことも非常に重要だと思っております。

 熊本県におかれましては、そうしたマニュアルが実はあったわけでございまして、災害警戒本部・災害対策本部行動マニュアルや、災害待機実施マニュアルといったものがございます。

 こうしたマニュアル、やはり、私もサラリーマン時代に、さまざまトラブルが起きたときにどういうことをやればいいのか、トラブルの様態によって全然違うということはあるんですけれども、知見が積み重なってきていて、それに対してチェックをしたかどうかということは、やったことがなければ気づけないんですね。やったことがなければ気づけないということを防止するためにも、ぜひ、マニュアルの作成についても、もう一重、政府からもお取り組みを進めていただきたいというふうに思う次第でございます。

 もう一問、仮設住宅の入居要件についての弾力運用についても御質問させていただきたかったところではございますが、時間が参りましたので質問を終えますが、ぜひ今後とも、弾力的な運用について、政府にもより一層力強くやっていただけることをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

野田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時散会


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