衆議院

メインへスキップ



第3号 平成13年6月20日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月二十日(水曜日)

    午後四時三分開議

 出席委員

   委員長 武山百合子君

   理事 北村 直人君 理事 西川 京子君

   理事 山本 幸三君 理事 吉川 貴盛君

   理事 釘宮  磐君 理事 古賀 一成君

   理事 江田 康幸君

      木村 太郎君    北村 誠吾君

      久間 章生君    鈴木 宗男君

      高木  毅君    野田 聖子君

      森  英介君    小平 忠正君

      高木 義明君    中沢 健次君

      楢崎 欣弥君    鉢呂 吉雄君

      東  順治君    児玉 健次君

      中西 績介君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   厚生労働副大臣      南野知惠子君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   厚生労働大臣政務官    佐藤  勉君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高

   齢・障害者雇用対策部長) 上村 隆史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           広田 博士君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院長)     佐々木宜彦君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  七条  明君     野田 聖子君

同月八日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     松島みどり君

六月二十日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     高木  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     松島みどり君

    ―――――――――――――

六月一日

 貝島炭鉱の鉱害復旧促進の実施に関する請願(中西績介君紹介)(第二三〇二号)

 同(小沢和秋君紹介)(第二三三八号)

同月八日

 貝島炭鉱の鉱害復旧促進の実施に関する請願(北橋健治君紹介)(第二四八九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 石炭対策に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

武山委員長 これより会議を開きます。

 石炭対策に関する件について調査を進めます。

 この際、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。

平沼国務大臣 このたび、新内閣のもとで再び経済産業大臣を拝命いたしました平沼赳夫でございます。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 我が国の石炭政策は、昭和三十年代以降今日に至るまで約四十年の間、計九次にわたり実施されてまいりました。炭鉱の合理化等を図る石炭鉱業構造調整対策を推進するとともに、構造調整に即応した炭鉱労働者雇用対策、構造調整の地域への影響を是正する産炭地域振興対策、累積鉱害の早期解消を目的とする鉱害対策等、諸問題の解決に努力してまいりました。

 現行のいわゆるポスト八次石炭政策においては、九〇年代を構造調整の最終段階と位置づけ、平成四年度から平成十三年度までの十年間を政策期間とし、各施策を着実に実施してきているところであります。

 平成十一年八月には、石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会において、現行の石炭政策の円滑な完了に向けての進め方について答申が取りまとめられました。同答申においては、平成十三年度までの間に十全の措置を講ずることにより現行石炭政策の目標は達成し得るとされました。

 これに基づき、昨年の通常国会に、石炭鉱業の構造調整の完了等に伴う関係法律の整備等に関する法律案を提出し、本委員会の御審議を経て、昨年三月に成立に至ったところでございます。また、本年三月に成立いたしました平成十三年度予算において、約一千四百六億円を確保し、平成十二年度予算と合わせて、現行石炭政策を完了させるのに十分な額と考えられる約二千七百七十億円を確保したところであります。

 残された政策期間はわずか一年弱となりましたが、引き続き、石炭鉱業構造調整対策、産炭地域振興対策、鉱害対策の各対策に全力を尽くしてまいります。

 このほか、海外炭安定供給確保の観点から、炭鉱技術移転五カ年計画の実施のための準備を進めるとともに、石炭利用に伴う環境負荷の低減を図るため、引き続き、クリーンコールテクノロジーの研究開発及びその普及を推進してまいります。

 なお、本年二月五日に発生した北海道の太平洋炭鉱における自然発火につきましては、幸い、罹災者はなく、約一カ月間、生産活動は停止したものの、三月二日から操業を再開したところでございます。今後とも、再発防止等の保安確保について万全を期してまいります。

 国民各位の御理解のもと、石炭政策の円滑な完了に向けて最大限努力してまいる所存でございます。委員長を初めとする委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

武山委員長 なお、坂口厚生労働大臣につきましては、ただいま厚生労働委員会に出席されておりますので、発言は後刻に譲ることにいたします。

 次に、松田経済産業副大臣、古屋経済産業副大臣、南野厚生労働副大臣、西川経済産業大臣政務官、大村経済産業大臣政務官及び佐藤厚生労働大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。松田経済産業副大臣。

松田副大臣 経済産業副大臣に再任されました松田岩夫でございます。

 平沼大臣を支え、現行石炭政策をその政策期限であります平成十三年度末までに円滑に完了することができますよう、万全を期してまいります。

 武山委員長を初め、委員の皆様方には、これまで同様、御指導、御鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

武山委員長 次に、古屋経済産業副大臣。

古屋副大臣 このたび、新たに経済産業副大臣を拝命いたしました古屋圭司でございます。

 平沼大臣を支え、国内石炭鉱業の構造調整の円滑な完了に向け、努力をしてまいります。

 武山委員長を初め、委員各位の御指導、御支援を心からお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

武山委員長 次に、南野厚生労働副大臣。

南野副大臣 このたび、厚生労働副大臣を務めることになりました南野知惠子でございます。

 石炭鉱業につきましては、構造調整が進められてきている中で、その取り巻く環境は大変厳しいものがございますが、合理化の影響を受ける労働者の方々の雇用対策に全力を尽くして、職責を全うしてまいりたいと存じます。

 今後とも、坂口厚生労働大臣を補佐し、炭鉱労働者の雇用の安定などに取り組んでまいりますので、武山委員長様を初め、委員の皆様方の御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

武山委員長 次に、西川経済産業大臣政務官。

西川大臣政務官 経済産業大臣政務官に再任されました西川太一郎でございます。

 平沼大臣を補佐いたしまして、現行石炭政策の円滑な完了に向けて努力してまいります。

 武山委員長を初め、委員の皆様方には、これまでにも増して、御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。(拍手)

武山委員長 次に、大村経済産業大臣政務官。

大村大臣政務官 このたび、経済産業大臣政務官を拝命いたしました大村秀章でございます。

 平沼大臣を補佐し、現行石炭政策を完遂するため、万全を期してまいります。

 武山委員長を初め、本委員会委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、あいさつとさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

武山委員長 次に、佐藤厚生労働大臣政務官。

佐藤大臣政務官 厚生労働大臣政務官の佐藤勉でございます。

 南野副大臣とともに、大臣を補佐して、労働者の方々の雇用対策に全力を尽くしてまいりますので、委員の皆様方の御支援、御協力を賜りますようよろしくお願いを申し上げたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

武山委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官広田博士さん、資源エネルギー庁長官河野博文さん、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦さん、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長上村隆史さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中沢健次さん。

中沢委員 民主党の中沢でございます。

 きょうは、わずか二十分、極めて時間制約がありますから、簡単にそれぞれ質問をしたいと思うのです。

 今、平沼大臣がおっしゃいましたように、約半世紀続いた日本の石炭の政策、制度、予算が残念ながら幕を引く。昨年のたしか二月、三月だと思いますが、当時は、深谷さんがその席に座っていらっしゃいました。私もそうでありますが、北村さんも、もともと、いい意味でいうと石炭族でありますから、あえていい意味といったらいろいろな意味があります、お互いに石炭を愛し、産炭地を愛し、ふるさとを愛する、そういう立場で、万感胸に迫る思いでいろいろ議論をした。

 それから一年四カ月ぐらい、あっという間に時間がたちまして、久しぶりの委員会です。本当はもっとお時間をいただいてゆっくりやりたかったのでありますが、そういうことになっておりません。武山委員長のもとでの初めての大臣質疑、こういう委員会でもあると思いますから、前置きをそのぐらいにいたしまして、まず、政府参考人に、広田審議官に、具体的な内容でありますから、幾つかまとめてお尋ねをしたいと思うのです。

 言うまでもありません。昨年、残念ながら、池島がああいう坑内事故を起こして、長期にわたり石炭の採掘がストップをする。ことしの二月には、今度は太平洋が、規模としては池島ほどではありませんでしたけれども、これまた同じような災害が起きて、生産がストップをする。こういうことに遭遇をいたしました。会社あるいは労働組合も含めて、保安最優先、こういうことでやってきたけれども、自然災害あるいは人為的な災害といういろいろな評価はありますが、そういう災害が起きたわけです。

 それで、ついこの間、十四日、石鉱審がありまして、十三年度の、露天掘りを別にした坑内堀りの生産量は年間三百万トン、このように石鉱審で決められました。

 私は、もともと空知管内の夕張の出身ですから、国会に出まして、結果的に七つの閉山とつき合う。もう残念で残念で、言葉で表現できないぐらい、いろいろな体験をして今日に至っているのです。ですから、政治家として、とにかく残っている二つの炭鉱の長期存続、これはもう私の政治哲学の原点と言っていいと思うのですね。しかし、残念ながら、両炭鉱とも大変厳しい環境に今置かれていると思うのです。来年の三月で政策、制度、予算が基本的には全くなくなる。その間、しかし、大臣としても、事務方としても、山を守る、そういう責任は、私以上に、ある意味でお持ちだと思うのですね。

 そこで、広田さんに、まず第一問、お尋ねをしたいのは、この両炭鉱の存続に向けて現行制度でぎりぎりの支援策をやっていることはよく承知をしておりますが、まだ来年の三月まであるわけでありますから、引き続き、さまざまな問題を想定しながらも、しっかりした支援策をとっていただきたい。

 それから、二つ目には、例の石炭技術の海外移転五カ年計画。これは昨年の議論でも随分やりました。やはり日本の石炭技術というのは国際的に大変なレベルに達している、技術的にも国際貢献をやるべきだ、そういう国際的な判断で、アジアを中心にした三カ国に技術的な移転をする。来年の四月からそれが本格的にスタートをする、既に予備的ないろいろなことはやっておりますが。

 したがって、海外技術移転五カ年計画、これまた非常に大事でありまして、私流に言えば、山の存続と技術移転の五カ年計画というのは表裏一体としてとらえてやるべきだ。これは恐らく広田審議官も同じ思いだと思いますが、そういう観点も含めて、海外五カ年計画について、五カ年間のおよその計画、太平洋、池島にどういう割り振りをしていくか、もっと言えば、予算が一体どの程度、まだ概算要求の時期ではありませんが、どういう心づもりで準備をしているか、その辺についてお聞かせをいただきたい。

 三つ目は、まとめて言いますから。時間がありません。例の産炭地振興のさまざまなプログラム、プロジェクトがある。中でも、産炭地域振興実施計画、出身の空知だけじゃなくて、北海道の各地あるいは九州、それぞれ持っております。しかし、政策がなくなると、えてしてそれで終わり、そういうことにはしないという今までの約束でありますが、産炭地の振興ということでいうと、さまざまな公共事業を積極的に持っていくということが非常に大事でありますから、エネ庁が事務局を持っております各省庁の連絡会議を効果的にひとつ運営していただいて、地域が切望しておりますこの内容について、ぜひ具体的なてこ入れをお願いしたい。

 もっと言うと、今度、総務省になりましたが、かつての自治省の持っております市町村財政に対する支援というのも一方では非常に大事なテーマでありますから、そういう関係につきましても、やはり総務省に積極的に働きかけをしていくべきではないか。

 この三点、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。

広田政府参考人 今、中沢先生から御質問がございました三点についてお答えをいたします。

 まず一点目の、既存の炭鉱についてしっかり支援をしろという点でございます。

 池島炭鉱それから太平洋炭鉱とも事故の影響を受けたわけでございますが、いずれも、その事故から操業を再開いたしまして、ようやく現在、操業は順調に推移をするという状況に至っております。

 こうした事故の影響による経営の問題に対しまして、当省といたしましては、新エネルギー・産業技術総合開発機構による資金融資などを実施するほか、各種の補助金などの交付を実行してきておるわけでございます。また、この補助金等の交付に当たりましては、できるだけタイミングよく支援をするという意味で、機動的な交付をする概算払いの実施というようなことも努力をいたしてきております。

 十三年度につきましては、ただいま委員からお話がございましたように、先日の石鉱審におきまして、合計三百万トンの計画という答申をいただいたわけでございまして、私たちは、この計画を前提といたしまして、その計画数量が達成されるように、できるだけしっかり支援をしていきたいというふうに考えております。

 これがまず第一点に関するお答えでございます。

 それから、第二点目の、炭鉱技術移転五カ年計画についてでございます。

 炭鉱技術移転五カ年計画は、国内の炭鉱の現場研修や講義を通して、海外の炭鉱技術者に対し、採炭技術や保安技術など、炭鉱技術に関する研修を行うものであります。

 平成十四年度から本格的な実施ということでございまして、本年度はそれに先立って実施をするものでございますけれども、おかげさまで、準備が順調に進んでおります。八月からはベトナムから約六十名の研修生を受け入れる予定で、今、準備を進めております。来年度以降は、ベトナムに加えまして、中国あるいはインドネシアといった三カ国から受け入れることを検討いたしておりまして、受け入れ人数も十三年度よりは大規模なものになる予定でございますけれども、具体的な規模といったことにつきましては、今後、各国と十分に調整をした上で決定していきたいというふうに考えております。

 十四年度以降の大まかな、この五カ年計画による研修生の受け入れについてでございますが、そういうことでまだ確たる数字は申し上げられないわけでございますけれども、私どもが一応念頭に置いておりますのは、現時点で、おおむね年間二百名を超える水準、五カ年で約一千名を超える水準というようなものを一つの想定というふうに考えております。

 それから、産炭地域振興実施計画の推進についてでございます。

 産炭地域振興臨時措置法に基づきまして、産炭地域の振興のための実施計画というものが策定をされておりまして、この実施状況は、その都度、関係各省とも連絡をとりながらフォローしておるわけでございます。ことしの三月二十七日には、産炭地域関係各省庁等連絡会を開催いたしまして、この実施計画の実施状況を、地元の市町村からの報告をもとに、関係各省とともに確認させていただきました。既に事業が完了しているものが約四二%、実施中の事業が五〇%というふうに聞いておりまして、これらを合わせまして九二%ということでございますので、おおむね順調に進捗をしているというふうに考えております。

 産炭地域振興実施計画は、経済産業省だけではなく、その他の省庁にもかかわる幅広い分野にわたる事業が含まれておりますので、今後とも、この産炭地域関係各省庁等連絡会を積極的に活用していくように考えております。

 なお、地元産炭地域の市町村に対する資金的なといいますか支援ということで、私どもだけで対応できない部分がございまして、これは総務省、旧自治省とかかわるところがたくさんあるわけでございますが、先生が御指摘になりましたように、そういった省庁にも、十分、私どもの方から御説明をし、御理解をいただきながら進めてまいりたいと考えております。

中沢委員 そこで、一つだけ要望をしたいと思うのです。お答えがあれば、いただいても結構です。

 今、来年の四月以降の技術移転五カ年計画、三つの国からの受け入れをそれぞれ準備している。おっしゃるとおりだと思うのです。きょうも、傍聴の方に、石炭関係の会社だとか労働団体あるいはJCOAL、関係者がお見えです。そういう人方の率直な意見を聞きますと、受け入れももちろん大事だ、稼行炭鉱で技術研修、技術移転をする、しかし、もう一方で、せっかく国内で大変な技術者がたくさんいるわけでありまして、そういう国に対して積極的に、少し長期にわたって、それは何百人とはいかないでしょうけれども、技術者を研修で海外に派遣してはどうか、そういうことについて、中沢先生、どう思うと。私のことを先生と言う。私が言っているわけじゃありません。そんな話をよく聞くんですよ。

 今まで僕自身もそこまで余り思いつかなかったのでありますが、至極もっともだな、こう思いますので、来年から五カ年計画でありますから、できるだけ、この問題について早く大臣を含めて議論していただいて、そういう関係者の希望に沿うように、具体的な制度の充実というのでしょうか、これをぜひ図っていただきたいと思いますが、審議官レベルではどうでしょう。きょうのところ、御返事いただけますか。

広田政府参考人 ただいまの段階で、具体的にどういうような形で制度なり仕組みを持っていくかということについて、確たる計画がまだあるわけではございませんけれども、ただいまのお話でございますので、会社あるいは技術者の方々、こういった方々の意見をできるだけしっかり聞いて、具体化に向けての検討を進めていきたいというふうに考えております。

中沢委員 そこで、平沼大臣に、今の審議官と私のやりとり、注目をして聞いていただいたと思うのです。時間がありませんから、多くは申し上げません。両炭鉱の存続の問題、それから技術移転の五カ年計画の問題、改めて要望しました、こちらの技術者を三つの国に派遣するという問題も含め、あるいは、産炭地の振興というのはなかなか難しいのですよ。しかし、せっかく地元が関係団体と、もちろんエネ庁と相談をしながらつくり上げた実施計画についてもできるだけ実現を図っていく、こういうことがやはり大臣として大事な仕事ではないかと思うのですね。

 ですから、今言ったことも含めて、恐らく、もう通常国会ではこういう場面がないと思いますので、また相まみえることがあるかもしれませんが、今、私の率直な指摘について平沼大臣としての決意のほどを、あるいは私の申し上げた若干の要望も含めて、前向きのお答えをいただいておきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今、委員のお話を聞かせていただきました。日本の戦後、まさに焦土と化した中で日本が経済復興を遂げることができた、そのときの基幹エネルギーは石炭だったと思います。したがって、産炭地やそこで働く方々がこの日本の経済復興に対して大変大きな貢献をしていただいた、これは本当に国の歴史の中でも銘記をしなければならない問題だと私は思っています。

 そして、委員御自身が、大きな時代の変革の中で御地元の七つの閉山にも立ち会う、そして、まさに万感胸に迫る、こういう御表現を使われましたけれども、私も重く受けとめさせていただきました。

 そういった形で、これから、二つ残っております石炭の生産をしている会社、これに対して、先ほどからの御指摘のとおり、不幸にして事故等に見舞われて、今それぞれ一生懸命頑張っておられますので、私どもとしては、でき得る限りの支援をしていかなければならないと思っておりますし、そして、そういう中で培ってきた日本のいわゆる石炭生産の技術というものを海外に移転していく、こういうことに関して、今御指摘の、こちらに呼び込むだけではなくて、そういう技術を習熟した方々が現地の現場に出かけてきめ細かく対応するということも、大きな意味でこの計画の趣旨に沿うものだと私は思っておりますので、前向きに検討させていただきたいと思っております。

 それからまた、これからの産炭地の振興に関しましても、総務省とも連携をとりながら、そして、その地域の市町村の皆様方のこれからの発展のためにも、我々としてはでき得る限りのこともさせていただかなければならない、このように思っているわけであります。

中沢委員 大臣、ありがとうございます。

 来月早々に、この石特委員会で北海道調査、釧路の太平洋、恐らく採炭現場までは入坑すると思います。いずれまた、そういう調査のまとめも含めて恐らく大臣の方にも届くと思いますから、今お答えいただいたことをしっかり踏まえて、ぜひまた頑張っていただきたいと思います。

 さて、時間がありませんので、あとは、厚生労働省に一問だけにしたいと思います。

 三井の三池が閉山になりましてからもう三年、四年、恐らく、炭鉱離職者の雇用対策は相当進んでほぼ完了に近いのではないか。それから池島も、若干の合理化が出てきていた。あるいは太平洋も、それ以上、ちょっと規模の大きい合理化が出ていた。したがって、九州、北海道のそういう炭鉱離職者の雇用対策が現状どうなっているか。余り詳しい数字は別にいたしまして、およそで結構ですから、その実態をまず明らかにしていただきたい。

 それから、言うまでもありませんが、来年の三月で、残念ながら、炭鉱離職者に対するいわゆる黒手帳制度というのが廃止になります。一般的な雇用対策ということになってくるわけなんですが、しかし、来年の三月までまだかなりの時間が残っておりまして、炭鉱事故とは全然違いますが、なかなか想定しがたいさまざまな問題について、少なくとも雇用を担当する厚生労働省の方としては、それなりの心構え、それなりの準備というのはやはり必要ではないか。

 具体的には申し上げません。今後の炭鉱の関係する離職者に対する雇用対策について、ぜひひとつ万全な措置をとっていただくように、そのことだけ申し上げて、お答えをいただいておきたいと思います。

南野副大臣 先生は黒いダイヤに政治生命をかけておられる、その情熱に敬意を表します。

 先生の御質問でございますが、ベテランの先生に私どもの方からお答えということも何だろうと思いますが、お許しいただきたいと思っております。

 平成九年の閉山によりまして三井三池炭鉱を離職された労働者の方々の再就職状況ということでございますが、平成十三年六月一日現在における状況でございますが、求職申し込みをされておられた千三百四十名の方のうち、八百三十八名の方が再就職されており、現在は、十五名の方に対し、炭鉱離職者求職手帳、いわゆる黒手帳でございますが、それに基づく援護措置を実施しているところでございます。

 また、松島池島炭鉱につきましては、平成十三年六月一日現在、合理化は実施されていないということでございます。太平洋炭鉱につきましては、平成十三年、本年六月一日現在における状況であるわけでございますが、平成七年以降に実施されました合理化に伴い求職申し込みをされていた二百七十三名のうち、百四名の方が再就職されておられます。現在は、百三十九名の方に対し、炭鉱離職者求職手帳制度に基づきまして援護措置などを実施しているところでございます。

 さらに、石炭鉱業の合理化の影響を受ける炭鉱労働者の方々の雇用対策、これは非常に重要な問題であると我々は認識いたしております。炭鉱の合理化に伴い離職者が発生した場合には、厚生労働省といたしまして、炭鉱労働者雇用安定法に基づき行っているところでございますが、これに四つの項目がございます。一つは鉱山離職者求職手帳の迅速な発給、さらに機動的な職業訓練の実施、さらに離職者の方々の意向を踏まえた職業相談、さらに求人開拓の実施、そういったものを通じながら、速やかな再就職に対して努力してまいりたいと思っております。

 また、平成十四年度以降につきましても、業種の枠組みを超えた対策を講じていくということでございまして、厚生労働省としましては、今後の石炭鉱業の合理化の状況や関係地域の雇用失業状況、そういったものを十分に踏まえながら、公共職業安定所における職業相談や求人開拓の実施、さらに各種助成金制度の活用、それを図ることにより、炭鉱離職者の方々が早期に再就職していただけるよう、我々として最大限の努力をさせていただく所存でございます。

 ありがとうございます。

中沢委員 どうもありがとうございました。終わります。

武山委員長 次に、高木義明さん。

高木(義)委員 民主党の高木義明でございます。

 石炭政策について、若干の質問をいたしたいと思います。

 先ほど大臣の所信、ごあいさつがございました。この中から何点かお尋ねをしますが、その前に、冒頭に、地球温暖化防止、いわゆる京都議定書にかかわる問題について、考え方を聞いておきたいと思います。

 もちろん、最近のエネルギーの国際情勢、そういった中で重要な柱はやはり環境問題であるということは、私が今さら言うまでもないと思います。

 一昨日、六月十八日に、田中外相とパウエル米国国務長官が会談をされまして、田中外務大臣は、去る三月の米国の京都議定書の離脱問題ついて、米国の立場は理解するが共感はできない、こういう表明をいたしております。パウエル国務長官は、京都議定書は受け入れがたい、こういう答えで、平行線に終わっておると思っております。

 既に先週の党首討論、そして本日の党首討論におきましても、我が党の鳩山代表がこの日本の批准についてただしたところ、小泉総理は、六月三十日の首脳会談、それまで米国への働きかけを粘り強くやっていく、今まだ判断すべきではない、この趣旨のお答えをしたのでございました。

 アメリカはアメリカの事情があると私は承知をいたしておりますが、平沼経済産業大臣におかれては、既に六月十二日の閣議後の記者会見におきましても、日米欧の協調体制を築くことに努力をする、こういう答え、しかし同時に、若干の含みを残されたことを表明しておりますけれども、この京都議定書問題について、大臣としての基本的な考えを明らかにしていただきたい。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 高木委員御指摘のとおり、米国はCOP3、京都議定書から離脱すると、ブッシュ新政権になって表明をいたしました。私どもは、甚だこのことは遺憾なことだと思っております。

 その第一点は、世界の中でCO2の排出量は米国が断然一番多い国でございまして、四分の一を占めているわけであります。したがって、この国が抜けるということは、これまでの京都議定書のプロセスが大変狂う、こういうことになりますので、私もそのときには経済産業大臣として、もちろん担当者も米国には派遣をいたしましたし、私からも抗議の手紙を出したところであります。しかし、現状としては、今御指摘のように、引き続き厳しい局面にあることは事実であります。

 しかし、今月十一日だったと思いますけれども、ブッシュ大統領の声明では、国連の枠組みの中で温暖化問題への対応を発展させていきたい、そして、友好国や同盟国、世界全体の国々と取り組む用意がある、こういう旨の表明がありました。それから、今、高木先生が御指摘になられましたけれども、この十八日に、我が国の田中外相がパウエル国務長官と会談をいたしました折に、パウエル長官は、我々が公式に把握しているところでは、いわゆる京都プロセスの枠内で取り組む、こういう表現を示されたというふうにも聞いております。こういうことから考えますと、米国が、地球温暖化問題に取り組む上で、これまでの国際的な議論の枠組みを重視する、そういう意思を改めて表明した、こう思っています。

 地球温暖化問題というのは、先生御指摘のように、二十一世紀、人類にとって最重要の課題だと私は思っておりまして、そういう意味で、このことをちゃんとやるためには、日米欧がしっかりと連携をして、参加をして、国際的な枠組みの実現を図ることが一番重要なことだと私は思っております。そういうことで、きょうの党首討論でも、小泉内閣総理大臣が、御指摘のように、三十日に首脳会談をするまでは最大限努力をして最後まであきらめない、こういうことを表明されたのは、そういう観点に立っているからだと思っております。

 京都会議の重要な成果というのは、先進国が一致して一つの国際的枠組みに合意した、こういう点にあると思いますし、先生御承知のように、我が国は議長国でございましたから、日米欧の合意に向けて、再び積極的にリーダーシップを果たしていかなければいかぬと思っています。

 そこで、私が閣議後の記者会見でこの基軸は申し上げましたけれども、やはりCO2の四分の一を排出しているアメリカが除かれるということは大変大きな問題なので、京都議定書をめぐる交渉は現在難しい局面を迎えておりますけれども、このような状況にあっては、各国すべてに柔軟な対応を求めていくことが必要じゃないか。ですから、日米欧の協議の中でも、そういったことも視点としてやることによって、そして、日米欧が協力をし、世界が協調した体制ができるのではないか。ですから、私は、すべての、ヨーロッパを含め、あるいは発展途上国を含めて、柔軟性を持ってこの重大な問題に対応すべきだという趣旨で、若干そういうニュアンスの発言をさせていただきました。

高木(義)委員 さて、そのことに関連をしながら、今、エネルギー政策の大きな転換の時期にあろう、このように認識をしております。本委員会の主要テーマの石炭について、いかなる評価をし、そして、エネルギー政策の中でどのような位置づけをしておるのかということにつきまして、ぜひ聞いておきたいと思います。

 我が国は、どうしても資源のほとんどのものを海外に依存しておるという状況の中で、今からは、環境にも経済にも、そして、もちろんエネルギーの安定供給にも、それぞれ重要な柱をクリアさせていかなければならない。そのときに、どうしても、将来的には、再生可能なエネルギーの積極的な取り組みをしながら、そして同時に、原子力のエネルギーも使用しなければならないし、また化石燃料も、現実問題として、供給価格そして環境面、こういったものに留意しながら、石炭というものについても極めて重要なエネルギーだ、今でもそのように私は思っておりますが、この際、石炭の評価、位置づけについて承っておきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 我が国のエネルギー政策につきましては、環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギーの安定供給を実現する、そういう基本目標を達成するために、昨年四月より、総合資源エネルギー調査会において、各種施策や新たな長期エネルギー需給見通しについて検討を行ってきているところであります。

 委員御指摘の石炭というのは、可採埋蔵量が二百年以上あるわけでありまして、先進国にも幅広く分布する等、他の化石エネルギーに比べ、供給安定性が高い、また、御指摘のように経済性にもすぐれている、また、将来のエネルギー供給上も一定のシェアを占めると思っています。九九年度では一次エネルギーの一七%を占める、そういう位置も持っているわけであります。したがいまして、今後も主要な石油代替エネルギーとして位置づけられるものだと私どもは考えています。

 しかしながら、他の化石エネルギーに比しまして、単位当たりのCO2発生量が大きいことなど、環境面での制約要因が大きいエネルギーであります。このため、利用に当たっては、環境に調和した石炭の利用技術、いわゆるクリーンコールテクノロジーの開発、そして、それの普及によりまして、環境負荷の抑制を図ることがやはり重要な課題になっていると私は思っています。

 総合資源エネルギー調査会におきましては、こうした石炭の持つ特性も十分に踏まえつつ、今後目指すべきエネルギー需給の姿である目標ケースの策定を含め、本検討を夏ごろまでに取りまとめていただいて、これによって適切なエネルギー政策を構築してまいりたいと考えておりますし、我が国が持っている技術のポテンシャリティーからいっても、ある意味では、そういうCO2の発生量を抑制するような技術も将来において開発できる可能性も持っていると私は思いますので、総合的に検討はしていかなければならない、このように思っています。

高木(義)委員 そこで、国内では、現実の問題として、電力は今、小売分において自由化が進んでおりまして、海外からも新規参入の動きが活発でございます。特に、大型の石炭火力を建設するという話もあります。一方、五月二十九日の総合資源エネルギー調査会の中間報告を読んでみますと、二〇一〇年度のCO2排出量を一九九〇年度と同水準まで抑制するには、もちろん省エネの推進、新エネの拡大、そして、火力発電の石炭から天然ガスへの燃料転換が必要と提言をされております。

 私は、その方向性はそうだと理解をいたしております。天然ガスの環境特性あるいはコスト、またハンドリング、そういうことを考えますと、我が国においても、今後さらに、例えば燃料電池にいたしましても、あるいはまたコージェネレーションにしましても、その需要は大変伸びていくだろうし、そうなっていくと私は思います。

 ただ、考えなければいけないのは、天然ガスは今後の国際情勢いかんによっては価格変動リスクが大変強いということも、エネルギー小国として頭に置いていかなければならない。そのためには、現実、これからもアジアはエネルギー需要が相当高まってくるわけですから、我が国としてこのエネルギー、石炭というものをいかにして環境に優しく上手に活用していくか、そういう知恵と技術がむしろ我々の日本に課せられておる、このように私は思うのです。

 そういう意味で、ことしの六月、石炭ガス化複合発電、IGCC、この研究開発の会社がいわゆる九電力の会社と電源開発が出資をされまして設立されたと私は聞いております。もちろん、国の支援もあるわけでありますが、既に福島県のいわき市勿来においてはこのパイロットプラントがその成果を見ておりまして、私は、こういうものこそ我が国はおくれをとってはならない、既にアメリカでもオランダでもスペインでもこの研究開発が進められておりますので、今こそ私たちはこういうものについて強力に国として進めていくべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 重要な御指摘だと思っております。

 石炭ガス化複合発電、IGCC、これは、委員よく御承知のように、石炭をガス化し、ガスタービン及び蒸気タービンを駆動することによって発電効率を飛躍的に高めまして、二酸化炭素排出量を石油並みに軽減できるものでありまして、環境対策の観点から有用な技術だと思っております。

 また、将来の日本のエネルギーの安全保障を考えた場合には、石油に頼らなければならない部分もありますし、また、原子力もやはり必要な部分を占めると思います。そして、今先生御指摘になったように、新エネルギーというものも、やはりこれは伸ばしていかなきゃいかぬと思っています。現在、新エネルギーというのは全体のわずか一%にしかすぎませんけれども、これは国の計画で二〇一〇年までに三%、三倍に高める。私は、担当大臣として、それじゃまだ少ないからもっと高めるような努力をすべきだ、こういうふうに言っております。

 今御指摘のIGCCも、そういう意味では、新しい分野の、もとは石炭ですけれども、そういう新しいエネルギーに属することだと思っておりまして、当省といたしましても、この実用化に積極的に取り組んでおります。

 具体的には、平成十一年度から開始されている実証研究に対して財政支援を行っております。例えば、本実証研究事業費総額九百八十億円のうち、国庫補助三割で約二百九十億円出す予定にしておりまして、二十五万キロワット級の実証試験プラントを建設予定であり、今現在、設計段階、御指摘のとおりです。

 したがいまして、私どもとしては、実証研究の着実な実施を支援して、今先生おっしゃるようなそういう趣旨というのは、私どももそのとおりだと思っておりますので、その推進に全力を尽くしていかなければならない、このように思っております。

高木(義)委員 今言われております財政構造改革という、聖域なき改革という流れの中にありますが、私は、常にこの点について念頭に置かれたい、このように強く望んでおります。

 そこで、そのような石炭を、我が国のすぐれた石炭技術を活用してエネルギーの安定供給に努めようというのが、先ほどからも出ております、新しい試みである炭鉱技術移転五カ年計画でございます。この計画がいよいよ平成十四年度から十八年度まで行われるわけですが、私としては、その万全を期されるように、もちろん、体制、受け入れ、準備、そういったものがきっちりなされてこの取り組みに入られたい、このように思っております。

 そこで、そのグラウンドとして、先ほども出ましたが、北海道の太平洋炭鉱、長崎県の池島炭鉱、この二つが国内炭鉱として存続をしておるわけですが、先日、六月十四日の石鉱審の基準単価の引き下げ、それから、今日までも、山を守るという意欲の中で、労使がまさにみずからの身を削りながらその使命の中で頑張っておるわけです。しかし、昨年の二月、思わぬ坑内火災ということで、操業一時停止という大変残念な結果にもなりました。しかし、私は、これを一つのばねにいたしまして、さらに地域の経済のためにも、あるいは国の政策のためにも頑張っていただきたいと思うわけです。

 地元の鉱業市町村の外海町を初め、池島炭鉱の保安確保事業への助成、長期経営安定対策の推進をことしもまた国に対して求めておりますが、今日、池島鉱の現状についてどのように認識をされ、さらなる支援についてどうお考えをしておるのか、お尋ねをしておきたい。

松田副大臣 お答えいたします前に、およそ四十年ほど前になりますが、石炭局炭政課資金班長として、五千五百万トン体制を確立すべく頑張ったころを、今、感無量で思い出しまして、質問にお答えをさせていただきます。

 そのころも、まさに、お話ありましたように、石炭を維持することは日本の石炭鉱業が持っておるすばらしい技術を後世に伝えていくためにも絶対必要だということで、それも実は石炭産業をこうして国策として支えてきた大きな理由になっておりましたが、今おっしゃったその技術がまたこうして生かされ、そしてまた、そのことが日本の石炭の安定供給にもつながっていく、これまたいい政策だと思っております。恐縮でございました。

 今御質問の池島炭鉱につきましては、先ほどお話しのとおり、昨年二月に事故がありましたけれども、その後、七月には、既に本格的な生産が再開されたところでございます。以来、順調に生産が行われ、平成十二年度につきましては、当初計画どおり、八十二万トンの生産数量を実現したところでございます。

 平成十三年度の池島炭鉱の生産数量につきましては、先ほどもお話がありましたように、先日の石鉱審におきまして、百二十万トンとの計画でございまして、会社からは、本計画の達成に向けてしっかりと取り組んでいくというふうに承っております。

 当省といたしましても、平成十三年度予算といたしまして、今お話の出ました鉱山保安確保事業費補助金、石炭鉱業安定補給交付金等について予算を確保しているところでございまして、万全の保安確保を前提として、今後とも順調に生産が行われ、計画数量が達成されますよう支援してまいる考えであります。

 また、平成十四年度以降につきましては、我が国のすぐれた炭鉱技術を、先ほどから委員も御指摘のとおりでございます、海外産炭国へ移転する炭鉱技術移転五カ年計画を実施する予定でございまして、研修事業を実施するために適切な支援措置をしっかりと講じてまいりたいと考えております。

高木(義)委員 時間が参りましたので、最後に、大臣の決意を一言だけお聞かせいただきたいと思います。

 今の池島鉱の話も、同時に、いわゆる産炭地振興で例えばいろいろな実施計画がありますけれども、長崎県の西彼杵郡の伊王島では、まさに産炭地の疲弊の中から、根本的に町づくりを変えて新しく出直したいという意味で、その意味の交通体系、いわゆる伊王島大橋の建設、あるいは高島町におきましては、今の町の状況を生かして、高層ビルあるいは大型タンク、トンネル等の大規模な火災の消防総合訓練を目的としたセンターも、これまでも何回も誘致をしております。産炭地域振興関係各省庁等連絡会というのも、これからもどうぞ機能させていただきまして、産炭地の願いにこたえていただきたい。最後に決意をお聞きしまして、私の質問を終わります。

平沼国務大臣 お答えいたします。

 高木委員御指摘のような案件につきましては、産炭地域市町村から重点的に出された要望事項を当省において取りまとめまして、産炭地域振興関係各省庁等連絡会等の場を通じて関係省庁に連絡して、対応をお願いしているところであります。

 当省といたしましては、今後とも、このような重点要望事項につきまして、各省庁連絡会の場を活用しながら、各省庁との緊密な連絡を図りつつ対応していきたい、このように思っております。

高木(義)委員 終わります。ありがとうございました。

武山委員長 次に、江田康幸さん。

江田委員 公明党の江田康幸でございます。

 私、九州熊本でございます。九州比例でもございますので、石炭にゆかりのある九州の出身議員としてまた質問をさせていただきます。

 昭和三十年以降約四十年間、九次にわたって行われてきた国内石炭対策も、残すところ一年を切りまして、最後の仕上げのためには万全の取り組みが必要と考えるわけでございますが、そこで、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 今、石炭対策に長年携わってこられた経験豊富なお二人の先生から、いろいろな御質問がございました。いろいろなところがまた重なるかと思いますが、どうぞよろしく御答弁いただきますようにお願いいたします。

 まず、平成十四年度以降につきまして、石特会計石炭勘定がなくなりまして、予算措置もなくなってまいります。地域への影響は、これまでの取り組みに、より多くは改善されてまいりましたが、例えば、私の地元の熊本県荒尾市を初め福岡県大牟田市などにおきましては、平成九年三月の三井三池炭鉱閉山による地域への影響等はまだ残っているのが現状でございます。

 例えば、三池炭鉱閉山に伴う負の遺産として、炭鉱専用水道の市上水道への一元化、また、社宅跡地等の広大な企業遊休地の有効活用など、残された課題が山積みされておりまして、閉山後の後処理対策に、今後、長期にわたり膨大なエネルギーを注ぐ必要があるという状況でございます。これらの問題解決には、市独自の財政負担のみでは到底不可能でございまして、一定の期間を必要とし、国の積極的な支援と石炭企業の前向きな対応が不可欠でございます。

 その中で、こういう地域では、例えば、産炭地域振興対策の継続、すなわち地方交付税の特例措置の継続が要望されていたり、また、企業立地の促進として、企業誘致を促進するための税制上の優遇措置を継続していただきたい旨、さらに、産炭地域振興融資制度の弾力的運用、その継続、こういうような要望が相次いでいるわけでございます。

 そこで、お聞きいたしますが、平成十四年度以降もこうした地域には産炭地域振興対策の継続等の激変緩和措置が講じられることになっておりますが、その具体的な内容を教えていただきますように、よろしくお願いします。

広田政府参考人 石炭政策終了後の産炭地域の振興対策は、基本的には、一般の地域振興対策にゆだねることとなるわけでございますが、平成十一年八月の産炭地域振興審議会答申におきましても、閉山に伴う影響の残存する八次策あるいはポスト八次策影響市町村等に対しては、激変緩和措置の必要性が求められているところであります。ただいま委員のお話にございました荒尾市あるいは大牟田市、こういった地域はそういった市町村に該当するわけでございます。

 これを受けまして、これら六十二市町村を指定いたしまして、平成十四年度以降においても、一定の公共事業に対する国の補助率の引き上げ、これは産炭地域振興臨時措置法でこれまで実施をしてきたわけでございますが、こうした措置を十八年度まで、また、同じく、関係道県が発行する地方債の利率に対する利子補給については平成二十二年度まで、法失効後も引き続き行っていくこととしたところでございます。

 また、これとは別に、産炭地域を活性化するための新しい基金を造成することといたしております。この基金は、例えば産炭地域で新しい事業を創出する事業などを支援するために造成するものでございまして、平成十二年度及び十三年度の二年間で、北海道、福岡県、長崎県、熊本県に対しまして、合計百五十億円の補助金を交付することといたしております。

 このように、激変緩和期間中につきましては、産炭地域振興臨時措置法の失効に伴う法律的な面あるいは財政面、こういった両面から十分対応できる体制を整えているところでございます。

江田委員 ありがとうございます。以上のような激変緩和措置をしっかりととっていただきますように、よろしくお願いいたします。

 次に、エネルギーとしての石炭の役割、また、その意義について、幾つか御質問をさせていただきます。これは先ほどの御質問に相当重なるところがございますが、私の観点から質問をさせていただきます。

 最近の我が国のエネルギーを取り巻く情勢は、需要面では、快適さ、利便性を追求するライフスタイルの浸透性による需要の増大がありまして、また、供給面では、近年の原油価格の大幅な変動、地球温暖化等の問題への対応が必要となるなど、さまざまな変化がございます。

 そこで、我が国のエネルギー需給の現状はどうなっているか、その中で石炭はどうなっているか、それを基本的なところからまずお伺いしたいと思います。

河野政府参考人 我が国のエネルギー需給の状況と石炭についてお答えをさせていただきます。

 一九九九年度の数字を御紹介させていただきますと、最終エネルギー消費は、原油に換算いたしまして、四億二百万キロリットルという状況でございます。これに対応いたしまして、一次エネルギーの供給という数字を御紹介させていただきますと、これまた原油換算で、五億九千三百万キロリットルという数字になるわけでございます。

 この中で、石炭の供給量でございますが、これは、原油換算一億三百万キロリットル相当でございまして、一次エネルギー供給に占めます割合は約一七%ということでございますので、引き続き主要なエネルギー源という位置づけを有しているというふうに理解しております。

江田委員 次でございますが、エネルギー需給両面における各種情勢の変化を踏まえて、長期的なエネルギー需給の姿については、現在、総合資源エネルギー調査会において議論が行われていると承知いたしております。

 石炭は、ほかの化石エネルギー源に比べて供給の安定性に優位性を有するものの、他方、CO2を多く排出するといった環境面での問題があることは、先ほども指摘されているとおりでございます。

 そこで、今後のエネルギー政策において石炭をどのように位置づけていくか、明確なる答弁をお願いいたします。

河野政府参考人 ただいま先生御指摘がございましたように、昨今のエネルギーをめぐる諸情勢の変化に対応いたしまして、昨年の四月から、総合資源エネルギー調査会におきまして、今後あるべき政策、そして、長期エネルギー需給見通しそのものについての検討を現在行っているところでございます。

 まさに御指摘がございましたように、石炭は、可採埋蔵量にすれば二百年以上、また、先進国にも幅広く存在いたします。他の化石燃料に比べまして、供給の安定性は高いという評価でございますし、また、経済性もすぐれているという評価でございますから、将来のエネルギー供給上も一定の重要な役割を占めるということは考えられるわけでございます。

 ただ、御指摘のとおりでございまして、他の化石燃料に比べまして、単位当たりのCO2の発生量は高いということでございます。したがって、環境面での制約要因は多いと言わざるを得ないわけでありまして、利用に当たって、この環境負荷の抑制を図ることが重要な課題となっているわけでございます。

 こうしたことをすべて勘案いたしまして、現在、目指すべきエネルギー需給の姿でございます目標ケースをこの総合資源エネルギー調査会において検討していただいておりまして、これを夏ごろまでに取りまとめていただきたいというふうに考えております。この中で、適切な石炭の役割、そして、適切なエネルギー政策を構築していきたいというふうに考えております。

江田委員 今後とも重要なエネルギー源として石炭というのは位置づけられると、今、より具体的な話はございませんでしたけれども、その位置づけは変わらないと思っております。

 環境問題に対処しつつ利用していくためには、先ほどからも委員が言われておりましたが、クリーンコールテクノロジーの開発、普及が重要でございます。先ほどから言われておりますように、石油、天然ガスの限界性、また、原子力もまだまだこれから時間がかかる、それから、クリーンエネルギーはなおさらもう少しいろいろな意味で時間もかかる、石炭をいかにして環境に優しく上手に使っていくかということが大事であると御指摘もなされておりました。

 アメリカにおいても、クリーンコールテクノロジーを重視しているようでありますが、五月に発表されたアメリカの国家エネルギー政策には、今後十年間でクリーンコールテクノロジーに対して二十億ドル、資金を拠出することが盛り込まれております。

 我が国のクリーンコールテクノロジーに対する取り組み状況というものに関して、具体的にどのようなものか、もう一度教えていただきたいと思います。

広田政府参考人 石炭は、石油や天然ガスに比べて安定供給が可能なエネルギーでありますが、燃焼するときに、地球温暖化の原因となる二酸化炭素や、あるいは酸性雨の原因となる硫黄酸化物などを排出するために、燃焼効率の向上など、いわゆるクリーンコールテクノロジーの開発が欧米など主要先進国においても積極的に取り組まれているところであります。

 我が国は、クリーンコールテクノロジーとして、二酸化炭素低減に資する石炭の燃焼効率を向上する技術の研究開発やその普及に努めており、既に研究開発を終えまして、熱効率、これは発電熱効率でございますが、四二%ぐらいの効率が期待できる加圧流動床燃焼複合発電、こういったものは、現在、四基が建設中あるいは商業化しております。さらに、熱効率四六%ぐらいを目標としたような高度加圧流動床燃焼技術や、先ほどお話もございましたけれども、最終的な実規模では熱効率四八%ぐらいを目標とした石炭ガス化複合発電などの技術開発を鋭意実施しているところであります。

 経済産業省としましては、今後とも、このようなクリーンコールテクノロジーの技術開発あるいは実用化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

江田委員 今ありましたように、先端技術を使っていくことによってその熱効率を上げていく、そういうような技術開発によってより少ない石炭で同量のエネルギーが得られる、そういうことになってくれば、環境に優しく、そして、石炭を有効利用できるということになってくるかと思いますので、このクリーンコールテクノロジーの開発は十分高く評価されるところと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 時間がなくなってまいりましたが、雇用対策について、厚生労働省の方にお伺いしておきたいと思っております。

 先ほども申しましたように、荒尾市など、炭鉱閉山に伴う再就職状況というのはいまだ厳しい状況にございます。この荒尾では六〇%の就職率ということでございますので、これまでの雇用政策に対して、そういう荒尾市なんかは、高く評価されて、感謝されてはおります。しかし、本年度三月末をもって、炭鉱離職者求職手帳、黒手帳でしょうか、これが期限切れとなる。いまだ就職されていない方々にとっては、今後の生活不安はもとより、厳しい雇用環境の中で、再就職に対する不安はまだまだ取り除かれておりません。

 こういう中で、厚生労働省におきましては、炭鉱離職者求職手帳制度に基づく援護措置に係る所要の経過措置を含めて雇用対策に万全を期すということが先ほども申されておりましたが、具体的に、平成十三年度の雇用対策と、産炭地域開発就労事業が十三年末で終了することに伴う激変緩和措置について、これも再度になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

南野副大臣 お尋ねでございます。厳しい雇用失業情勢の中にありまして、炭鉱閉山の地元である先生のところ、荒尾市、本当に大変なことだと思っておりますが、炭鉱離職者の再就職の促進、そういったものを図ることは非常に重要な問題であると考えております。

 炭鉱離職者求職手帳の有効期限が経過した求職者の方々についても、関係地域の雇用失業情勢を踏まえながら、二つほど項目がございますが、公共職業安定所における相談または求人開拓の実施、さらにもう一つは、各種助成金制度の活用を図るということなどで、早期に再就職できるよう最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

 さらに、産炭地域開発就労事業につきましては、国の石炭鉱業構造調整対策、それと同様に平成十三年度末をもって終了する、その際の激変緩和措置のお尋ねでございますが、同事業の終了に伴いまして、自立する方々に対する自立支援加算金などの支給がございます。さらに、それ以外の方々に対する関係自治体が主体となった暫定就労事業というものがございます。そのための所要経費といたしましては、平成十二年度の予算におきまして五十二億円、平成十三年度予算におきましては九十八億円を確保いたしているところでございます。

 我々も誠意努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。

江田委員 どうぞ、雇用対策においては、よろしくお願いいたします。

 最後になりましたが、平沼経済産業大臣の御決意を、この石炭対策もいよいよ終わることになりますので、最後の仕上げのために万全の対策をとられていく、その大臣の御決意をお聞きしまして、私、終了させていただきます。よろしくお願いいたします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 我が国の石炭政策というのは、昭和三十年代以降今日まで、九次にわたり実施されてまいりました。総じて言えば、炭鉱の合理化等を図る石炭鉱業構造調整対策を推進するとともに、構造調整に即応した炭鉱労働者雇用対策、構造調整の地域への影響を是正する産炭地域振興対策、累積鉱害の早期解消を目的とする鉱害対策等、諸問題の解決に努力をしてきたところでございます。

 平成十一年八月には、石炭鉱業審議会等におきまして、現行の石炭政策の円滑な完了に向けての進め方について答申がまとめられ、これに基づき、昨年の通常国会で、本委員会の御審議を経て、石炭鉱業の構造調整の完了等に伴う関係法律の整備等に関する法律が成立に至ったわけであります。また、先ほども申し上げましたけれども、平成十三年度予算において一千四百六億円を確保し、平成十二年度予算と合わせまして、現行石炭政策を完了させるのに十分な額と考えられます二千七百七十億円を確保しているところでございます。

 かかる石炭政策は最終年度を迎えることになりましたが、平成十三年度末までの間、一つは、石炭鉱業構造調整対策については、構造調整の完了に向けた石炭会社の生産合理化に対する支援や石炭会社の新分野開拓に対する支援、二つ目は、産炭地域振興対策につきましては、産炭地域振興実施計画実現のため、各地域の実情に応じ、産炭地域振興臨時交付金等を活用した支援措置、三つ目は、鉱害対策につきましては、累積鉱害解消のための取り組みをさらに強化するとともに、浅所陥没等の処理体制を早期に確立するための十全の措置等に引き続き取り組んでまいる決意でございます。

 残された政策期間は一年を切ったわけでございますけれども、石炭政策の円滑な完了に向けて、全力を尽くしてまいりたいと思っております。

江田委員 平沼大臣、ありがとうございました。

 これで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

武山委員長 次に、児玉健次さん。

児玉委員 日本共産党の児玉健次です。

 池島、太平洋、両炭鉱の今後の発展にとって、それから、この委員会で私たちが真剣に議論をした、海外からの研修生を五カ年受け入れる、この受け皿になるためにも、二つの炭鉱の保安の確保というのは絶対的な条件だ、私はいつもそう考えております。

 昨年、ことし、残念ながら、それぞれ炭鉱が事故に直面しましたが、この事故からどのように教訓を学び取るか、そのことが今後にとっても非常に重要だと考えますから、そういう立場から幾らかの質問をいたします。

 まず最初に、釧路太平洋炭鉱の自然発火についてですが、保安統括者から釧路鉱山保安監督署に報告が入った日時と、どのような報告内容であったか、そのことを示していただきたいと思います。

    〔委員長退席、古賀(一)委員長代理着席〕

佐々木政府参考人 御説明させていただきます。

 二月五日十六時三十分ごろ、釧路鉱山保安監督署に電話で匿名の情報提供がありまして、直ちに、鉱務監督官三名を派遣しました。鉱務監督官が太平洋炭鉱に十七時五十分に到着いたしまして、同炭鉱の生産部長である保安技術管理者に坑内状況を質問しようとしたところ、同部長より、太平洋炭鉱の坑内において、一月二十七日に、巡回中の坑内保安係員が自然発火独特の甘味臭を感じ、注水等の対策を講じている旨の報告がありました。

児玉委員 率直に言いますけれども、私は、それは報告の範囲に入らないと思いますね。鉱山保安監督署が現地に行って、そして、どうなっているんだと聞いて初めてその状況がもたらされる。こういうのを鉱山保安法や鉱山保安規則における報告だと考えたら、私は、それは、この後、大きな問題が残ると思う。どうですか。

佐々木政府参考人 御説明いたします。

 今、先生からの御指摘でございますけれども、監督部におきまして、現場に派遣した鉱務監督官から自然発火の兆候についての報告を受けたわけでございますけれども、二月五日の夜、二十一時四十五分でございますけれども、保安統括者である常務取締役に対して北海道鉱山保安監督部長から、口頭で、会社から監督部に対して通報がなかったことについて遺憾の意を伝えるとともに、会社として承知している事実関係あるいは本件発見の端緒を報告するよう、厳しく指示をしたところでございます。

 さらに、太平洋炭鉱社長に対しましても、二月の七日でございますが、北海道鉱山保安監督部長から改めて本件についての遺憾の意を伝えるとともに、今後は社長みずから率先して対策に当たるよう、厳しく指示をしたところでございます。

 本件につきまして、現在、鉱山保安法違反容疑で捜査中でございますが、事前の報告がなかったことは私どもとしてまことに遺憾であり、さらに捜査の上、厳正に対処してまいりたいと考えております。

    〔古賀(一)委員長代理退席、委員長着席〕

児玉委員 私は、このことを具体的に指摘しなきゃいけないと思うのは、先ほど言いましたように、こういうことが絶対に繰り返されてはならない。

 私が承知しておるところでは、一月三十一日二番方二十一時二十分に対策本部が設置されている、起きた事態に対して。そして、そういう中で、今お話のあったような経過である。こういった事態に対して必要な指摘、注意をなさったということですから、それはそれで承っておきますけれども、今後はやはり、こういった事態が繰り返されないようにするために、ぜひ皆さんとしても努力を強めていただきたいと思うのです。

 そこで、次の問題です。

 昨年二月、池島炭鉱で火災が発生したとき、やはりこの委員会で質問しましたが、当時の通産省環境立地局の中島局長は、保安確保のための集中監視装置の機能に触れた私の質問に対して、こう答えられた。「集中監視所からの指令等が有効に指示されたということで、早期の発見それから作業員の安全な退避が可能になった」私は、これはよかったと思いますね。

 太平洋炭鉱の今回の自然発火に関連して、各種の保安施設、とりわけ集中監視装置のセンサー等は有効に機能したのかどうか、そして、集中監視室はこの間どのような役割を果たしたのか、お答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 御説明いたします。

 太平洋炭鉱では、従来より、安全確保を図るため、集中監視室の各種監視装置の充実が図られてきたところでございます。集中監視装置といたしまして、ガス濃度上昇や火災発生などを監視するためのメタンガスや一酸化炭素等のセンサー、あるいは機械類の作動の状況を示す装置など、約三千四百点余りが設置されておりました。

 通常、自然発火の初期段階では、一酸化炭素濃度は少なく、また変化も少ないため、巡回時の通気状況により判断しておりますが、今回の一月二十七日の段階では、巡回中の通気担当の坑内保安係員が、坑道で自然発火独特の甘味臭の臭気を感じ、注水を行いました。その後、集中監視によるガス濃度の観測、監視を継続しつつ、自然発火の鎮静化のため、注水作業を断続的に行ったわけでございます。

 一月三十一日には、集中監視室におきまして、自然発火の進行を示す一酸化炭素濃度の上昇を観測しており、注水作業を継続しておりましたが、二月五日に至っても一酸化炭素濃度の上昇が続いたため、坑内と集中監視室とが安全確保について連絡をし合い、鉱山労働者の退避、続いて、密閉作業、消火作業を実施しました。

 これらのことから、太平洋炭鉱の集中監視装置は、池島炭鉱同様、有効に活用され、機能したと判断をしているところでございます。

児玉委員 有効に機能した、それを、どのように得た情報を活用していくか、そこのところが、今度の場合、厳しく問われなければならない、私はこう考えます。

 そこで、太平洋炭鉱が出された、この様式第十四号、鉱山保安規則九十六条関係の事故報告書をゆっくり拝見しました。この後、どういう対策をとっていくか、非常に具体的に、詳細に書かれていますね。例えば「COセンサー・温度センサーを増設し、監視を強化する。(六月二十日完了予定)」こうも書いておられるし、幾つかの箇所で、一々紹介しませんけれども、この後、保安を確保し、そして、坑内におけるさまざまな変化を素早く正確につかまなければいけないという決意がこの対策の中に示されていると私は思うのですね。

 この監視装置その他の保安施設の強化が今どこまで進捗しているか、そして、それに対して皆さんとしてはどういう指導、援助をなさっているか、お答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 御説明いたします。

 会社が提出した今後の対策のうち、監視・観測体制の強化、これは坑内保安係員の増強でございますけれども、また、警報基準の見直し、CO濃度の警報基準を絶対値基準にするということでございますけれども、これについては三月末に終了したところでございます。また、自然発火早期発見のためのセンサー類の増強あるいは携帯式CO計の増設、携帯式臭気センサーの導入、これらにつきましては、五月末に完了しております。また、今後、不燃化の工事、コンクリート吹きつけ等によります工事については、計画どおりに進捗しておりまして、すべての工事が終了するのは十一月末の予定となっております。不燃化工事を除けば、すべての対策について完了いたしておりまして、これらの工事等につきまして、いずれも、鉱務監督官が現場及び書類で確認をしているところでございます。

 なお、通常の操業に伴って実施する必要がございます自然発火の未然防止の対策につきましては、撤退期間の厳守であるとか、採掘終了時の切り羽の運営であるとか、あるいは中割れ坑道を設定しないことであるとか、こういう観点につきましては、その時点時点で実施することになりますけれども、鉱山保安監督部では、実施の都度、確認をしてまいりたいと考えております。

 なお、操業の再開に当たって、保安統括者には、同社の最高責任者である社長が選任されているところでございます。

児玉委員 昨年の三月十三日に池島鉱から出された「災害・事故報告」を拝見したのですが、それぞれ、災害、事故の内容が違いますし、池島の場合は、なぜあのような自然発火が出たのかということについて、原因一から三まで、まだその中身が確定されていない。

 そういうふうな経過もあるでしょうけれども、この後の保安対策について言えば、「全鉱山労働者に、保安教育を実施する。」等の項目が書かれておりますが、それ以外については触れられていない。さまざまな努力をなさっていると思うのですが、その点、どうですか。

佐々木政府参考人 御説明いたします。

 平成十二年三月十三日付の池島炭鉱の「災害・事故報告」では、御指摘のとおり、「当面の対策」として、水幕帯の増設と全労働者に保安教育を実施することとされております。その後、池島炭鉱では、災害の原因究明と対策検討を重ねております。

 五月の部分操業再開時には、これらに加えまして、COセンサーの増設、テレビ監視装置の増設、ベルトコンベヤーその他、施設の点検強化を実施するとともに、保安管理体制の強化として、人事の刷新、管理体制の変更、保安委員会の有効活用など、必要な対策を実施してきております。十分な対策が実施されているものと我々は判断をいたしております。

 なお、九州鉱山保安監督部は、災害発生直後の二月二十二日に、学識経験者から成ります坑内火災分科会を設置いたしまして、再発防止対策について技術的な助言等をいただき、炭鉱の対策に反映させているところでございます。

 また、炭鉱のこれらの対策については、鉱務監督官が常駐いたしまして、実施状況を適宜検査し、追跡してきたところでございます。

児玉委員 広田参考人に伺いたいのですが、今のやりとりからも明らかなように、二つの炭鉱が、残念な事故を乗り越える、それを繰り返さないということで、必要な努力を今なさっています。それを皆さんもつかんでいらっしゃる。

 保安対策の強化のためにも、各種補助金等の交付を迅速に行う必要があるのじゃないだろうか。概算で支払うことも可能になっていると思うのですが、例えば鉱山保安確保事業費補助金、坑内骨格構造整備費補助金、探査技術調査費補助金等、これらについての、二つの山に対する皆さんの側からの支払いというか支給の迅速化、そのあたりについてお答えいただきたいと思います。

広田政府参考人 ただいま委員から御指摘がございましたような、例えば坑内骨格構造整備拡充事業費補助金あるいは鉱山保安確保事業費補助金、こういった補助金につきましては、いわゆる概算払いというものができる制度となっております。したがいまして、私どもは、これらすべての補助金につきまして、事業の進捗状況に応じて、機動的に適宜適切に対応を行っているところでございます。

児玉委員 そこで、最後に、この後の問題に入りたいのです。

 海外技術移転五カ年計画、非常に具体的な中身を、平成十一年十二月二十日に、大蔵内示の段階で私たちはいただきました。具体的な研修計画として、五つの研修をしていく、二年間必要だ、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを中心にしていく、そして、先ほども同僚議員からの御質問もありましたが、五年間で合計約一千人ということだった。

 これが今、ことしの八月末に向けて二つの炭鉱でどのように受け入れられようとしているか、そして、このスキームを議論したとき、中国、インドネシア、ベトナム等というふうに言われましたが、それぞれの国がこの研修事業への参加をどのように今考えていらっしゃるか、そして、このスキームを実際に八月から実施に移していくとき、どんな問題点が今考えられるか、それらについて参考人からお伺いしたいと思います。

広田政府参考人 炭鉱技術移転五カ年計画は、炭鉱の現場を使った研修や講義を通じて、海外の炭鉱技術者に保安や採炭の炭鉱技術に関する研修を行うものでございます。

 本年度の事業は、八月にベトナムから六十名程度の最初の研修生を受け入れ、採炭や坑道掘進、こういった技術について研修を行う予定でございます。初年度でございますので、詳細につきましては、相手国とも、つまりベトナムでございますけれども、相談をいたしまして、具体的には、ことしの四月に担当の課長をベトナムに派遣いたしまして、事業の内容について調整を行った結果、八月から受け入れるということになったわけでございます。

 相手国の評価ということでございます。

 まず、中国でございますが、中国は、大変たくさんの炭鉱がございます。世界一の石炭生産国でございます。また、残念ながら、世界一の石炭の事故による被害が起こっておる国ということも言えようかと思います。そういう背景もございまして、この計画に対しては歓迎の意を表しておりまして、積極的に参加をしたい、こういう考え方であるというふうに聞いております。

 それから、インドネシアも、実はアジアの中で大変な石炭の産出かつ輸出国でございます。インドネシアは石油も産出するわけですが、石油はできるだけ輸出に回すというようなこともあろうかと思いますが、そういう意味で、炭鉱の技術を研修するということに積極的に参加したいという意思表示をいたしております。

 具体的な中身につきましては、先ほど申しましたような状況で、それぞれの相手国とよく調整をしながら実施するということでございますが、一点だけ申し上げますと、長期に実施をするということにつきまして、こうした国とざっくばらんにお話をさせていただいたわけでございますが、実際問題として、現地の労働者、技術者の方々も、二年にわたって席をあけるといいますか、そういったことは現実になかなか難しいというようなこともございますので、一年ぐらいでやっていく、あるいは、もう少し短期の研修も実施してほしいというような御要望もございます。

 最後に、問題点ということでお話がございました。

 こういう事業を実施していくわけですから、どういうような問題点がこれから出てくるか、私どももきちっと対応していかないといけないと思いますけれども、それぞれ、炭鉱の自然条件も異なっておりますし、それから、保安の法規も全然違うというようなこともあろうかと思います。国情の違いというようなこともあって、お互いに戸惑いを感じるようなことが出てくることもあろうかと思いますけれども、こうしたことは、お互いに意思疎通を十分とり合って対処をしていくということによって解決していくべきものというふうに考えております。

児玉委員 最後になりましたが、大臣と若干の議論をしたいのです。

 先ほど私はお聞きしていて、松田副大臣が、現役、今でも現役ですが、山の問題を担当されたとき、五千五百万トン産出された、こうおっしゃった。言うまでもなく、今、日本の石炭消費量はその当時の二倍ですね。一億トンを超す石炭を日本自身が消費している。

 それから、先ほどからの何回かの大臣の御答弁の中でもありましたが、石炭が、可採炭量、可採埋蔵量が二百年を超す、そして、もう一つ重要な要素として、先進諸国の間に豊富にそれが埋蔵されている、その先進諸国の中の一つが日本だ、ここのところは非常に重要なポイントだと私は考えるのです。

 そこで、まず大臣に私が率直に言いたいのは、中国やベトナムやその他インドネシアの方々が日本の炭鉱技術を学ぼうとなさるとき、日本の炭鉱が炭を掘っていなければ学びようがない、稼行炭鉱を持っているところにこの五カ年計画の意味がある、この点、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 そういう意味では、技術移転を行うに当たって、五カ年計画で研修生を受け入れてやることにつきましては、当然、日本の炭鉱で継続的に採掘をする、こういうことがないと円滑にその事業を進めることはできない、このように私は思っています。

児玉委員 石炭をどのように見るかという問題、私の最後の質問ですが、この石炭特別委員会で、九七年六月十二日に参考人の御意見を聞きました。先ほどお話のあった池島炭鉱の現地の事故のときに、九州大学の先生たちがお集まりになって、その責任者をなさった内野健一教授が、この委員会で参考人として意見を述べられた。

 こうおっしゃった。人類は、五十年前後の将来、重要なエネルギー資源の枯渇という経験したことのない大問題に逢着するだろう、そう述べて、そして、確実性という点から石炭がより大きな役割を果たす、石炭は再びエネルギーの王座に返り咲くだろう、こういうふうに述べられました。

 私たちは、この海外技術移転五カ年計画、それは、アジアの石炭生産を前進させる上で大きな役割を果たすことは疑いないけれども、同時に、日本で現に稼行している二つの炭鉱を存続させ、発展させていくという点でも非常に大きな役割を果たしてもらわなきゃならない、こう考えています。

 そのとき、何が絶対的な条件になるかといえば、アジアの諸国が日本に来て学びたいというのは、日本の進んだ炭鉱技術、これを習得したいという意欲、とりわけ、かなり狭いところで、しかも複雑な炭層に直面している日本が今到達している保安技術に対する信頼感、これが基礎になっていると思うのです。その意味で、昨年、ことしと続いた両炭鉱の事故は大変残念だし、そして、ここから同じことを絶対に繰り返さないということが必要になってくるだろう。

 そういう意味で、両炭鉱の保安技術の一層の充実と経営者の炭鉱保安に対する責任を確かなものにしていく、そして、技術的なさまざまな日進月歩の進歩がありますから、それに対する経済産業省としての支援、この点で最善の努力を尽くしていただきたいということを求めて、大臣のお答えをいただきたいと思います。

平沼国務大臣 まさに、児玉先生のおっしゃるとおりだと思います。

 五カ年で、日本が培ったいわゆる採炭技術、それを特にアジアの諸国に移転していく、このことで、受け入れて、そして今御指摘のそういう発火事故があったりしたら、まさに、かなえの軽重を問われることに相なると私は思います。

 そういう意味で、炭鉱の保安確保につきましては、これは生産活動の大前提でございまして、海外の研修生を受け入れるに当たっても、これに万全を期さなければならない、これは論をまたないことだと思っています。

 今後、両炭鉱では、研修生を坑内の作業現場に受け入れるに伴いまして、保安対策を一層徹底することが必要だ、そのように思っています。

 まず、研修生に対しては、発火具等の携帯を禁止するというようなことを徹底する、炭車への乗車禁止など我が国の保安規則の遵守の徹底、それから、機械の作動状況を示す信号や正しい操作手順の理解による安全な作業の徹底、また、鉱業権者に対しては、安全な研修場所の選定、退避設備へのわかりやすい案内板の設置、退避訓練の実施、万が一、そういうことがあってはならないことですけれども、災害が発生した場合、研修生への速やかな連絡、指示を行う体制の確立、そういったことが必要だと思っています。

 政府といたしましても、鉱業権者に対して、研修生に対する徹底的な保安教育の実施を含め、これまで以上に緻密な保安対策を策定し実行し得るように、監督、指導していかなきゃいかぬと思っておりますし、児玉先生から冒頭御指摘がございました、自然発火が起こって、そして、それに気がついていても連絡がおくれる、そういうことが二度と再びないように、そういう監視体制と連絡体制をしっかりと構築していかなきゃいけない。経済産業省といたしましても、ここは最重要の課題だと思いますので、力点を置いてやらせていただきたい、このように思っています。

児玉委員 終わります。

    ―――――――――――――

武山委員長 この際、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 おくれて参りまして、申しわけございません。一言だけ、ごあいさつを申し上げさせていただきたいと存じます。

 衆議院石炭対策特別委員会の御審議に際しまして、一言ごあいさつを申し上げます。

 我が国の石炭鉱業の構造調整が進められてきております中で、炭鉱離職者を初め、石炭鉱業の合理化の影響を受ける労働者の方々の雇用対策は、重要な課題であると認識いたしております。

 厚生労働省といたしましては、炭鉱離職者の方々のできるだけ早期の再就職を促進するため、機動的な職業訓練やきめ細かな就職相談の実施、就職促進手当支給等の援護措置を講ずること等により、雇用の安定を図っているところでございます。

 なお、炭鉱労働者等の雇用の安定等に関する臨時措置法は平成十四年三月末をもって廃止されることとなっておりますが、炭鉱離職者求職手帳制度に基づく援護措置に係る所要の経過措置を含め、引き続き、雇用対策に万全を期してまいる所存でございます。

 今後とも、産業政策と密接な連携をとりながら、炭鉱労働者等の雇用の安定を図るべく全力を挙げて取り組んでまいりますので、委員長を初め、委員の皆様方の御支援、御協力を賜りますよう、お願いを申し上げる次第でございます。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

武山委員長 質疑を続行いたします。中西績介さん。

中西委員 私は、この委員会におきまして、約二十年を超える論議を続けてまいりましたけれども、この場におけるいよいよ最終の質疑になるのではないかということを思いながら、特に今、先ほど経済産業大臣のお話にございましたように、昭和三十年代以降約四十年間の九次にわたるこの対策がいよいよ来年三月三十一日に法律の失効を迎えることになるわけでありますから、時間がございませんので、私は、旧産炭地域における問題だけに集約をしまして、きょうは質問を申し上げようと思っています。

 と申しますのは、終息するに当たりまして、鉱害問題を初めといたしまして、大変な不安あるいは不信というのが残っておるものですから、これらについて、向こう五年間にわたるこれからの施策がどのように生かされるか、このことによってこれらを払拭しなくてはならぬと私は思っておりますので、そうした問題について、きょうは確認するだけに終わると思いますけれども、意見は申し上げずに、質問を申し上げたいと思っています。

 まず、鉱害問題でございますけれども、平成九年九月二十六日に、佐賀県を最後にいたしまして、残りは福岡県のみとなっておるわけでありますが、法の失効によりまして、住民の側の不安は深刻になっておりますが、現況についてお聞きしたいと思っています。

 復旧法による申し出はいつまでになるのか、どのようにこの問題について告知をしようとしておるのか、さらにまた、平成十三年度末までの努力の結果、残るものが多々あると私は思うのですけれども、それらについてはどのように対応しようとしておるのか、この点についてお答えください。

広田政府参考人 復旧法による申し出でございますが、本年九月末までになされたものを受け付けることといたしております。地元関係者に対する説明につきましては、こうした状況は既に説明を行っているところでございます。具体的には、五月二十九日に第一回の説明を行っておりますが、今後とも、各市町村による広報等を通じまして、十分に説明をしていきたいというふうに考えております。

 それから、唯一福岡県に残されました累積鉱害につきましては、十三年度中に解消のめどが確実になるということが見込まれておりますが、今、関係者において、最大限の努力をしておるところでございます。

 今後、二法の廃止に際しましては、経過措置が設けられまして、所要の予算による基金の造成等によって確実に処理を行っていくというふうに対応していきたいというふうに考えております。

中西委員 特に、私は、残りの部分ということを申し上げたわけでありますけれども、問題は、申し出の期間というのをわざわざお聞きいたしましたのは、多いところでは三次にわたって鉱害復旧しているのですね。しかも、一番問題のあったところというのは、十メートル近く下がっておるわけですから、それが家屋あるいは田地に対する――北海道と違いまして、九州の場合は、その地域全体、甚だしいものでは、一つの町が全部鉱害復旧したという状況等があるわけでありますから、そうしたところでは、また再びそうした状況が出てくるのではないかということで、先般も写真を持って我々のところにそのことを訴えに来る多くの人たちがいるわけですから、そういうことを今お聞きしたわけであります。

 残りは大型のものが多いということを聞いておりますけれども、大体、終了する年限というのはどの程度を見込んでおられるのか、その点についてお答えください。

広田政府参考人 平成十三年度以降に処理すべき累積鉱害量につきましては、既に確定しているものと、今後認定をされる物件量につきまして、推計を行い、対応しておりますが、具体的には、農地については九地区と確定をしております。それから、家屋については七百戸程度、公共施設については五十件というような予定になっております。

 これらの復旧工事につきましては、基本的に、本年度中に完了するものと考えておりますけれども、工事でございますので、十四年度以降にずれ込むというようなものがある場合には、経過措置により確実に処理していくというふうな考え方でございます。

中西委員 鉱害二法の失効に伴いまして、無資力鉱区の特定鉱害については、今後、指定法人でいつまで対応するのか、なお、三百八十億と言われる基金で、監督は県、事業は国が責任を持ってやるということを確認してきたわけでありますけれども、このことはそのように確認してよろしいかどうか、また、この基金で十分と判断できるかどうか、この点についてお答えください。

広田政府参考人 中長期的に発生する可能性のある浅所陥没の処理につきましては、浅所陥没等の処理があります限り、指定法人において対応をしてまいります。

 それから、基金の規模等につきましては、これまでの復旧件数の実績、こういったものをベースに算出を行っております。約三百八十億円ということでございます。

中西委員 この点、今後、浅所陥没なりいろいろなあれがどう出てくるかによってまた相当の違いが出てくるわけでありますけれども、こうした問題については、今後ともやはり国が責任を持つということを十分お考えいただくこと、このことについては追加をしておきたいと思います。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構の鉱区、有資力の鉱区にかかわる特定鉱害につきましては、それぞれが対応することになっておりますけれども、無資力鉱害区の特定鉱害対策のための基金とは無関係なのかどうか、そして、その分についてはどれだけ別個積み立てをしておるのか、この点についてお答えください。

広田政府参考人 NEDOの鉱区あるいは有資力の鉱区に発生した特定鉱害につきましては、それぞれ、NEDOあるいは有資力の鉱業権者が処理を行うこととなります。これらにつきましては、それぞれの賠償義務者により適切に対応されるわけでございますが、今お話しのございましたNEDOにつきましては、約二百九十八億の基金がNEDOの累積鉱害の復旧ということで積み立てられるということでございます。

中西委員 NEDOの今までのこうした鉱害というのは、戦後、鉱区を国が買い上げた分が残っておるわけですね。ところが、一般の分については、買い上げるという方針を出したのですけれども、途中で中断をされまして、それが今度また、すべて企業側のということになってしまったものですから、こうした状況等がございまして、NEDOがやっておる鉱害復旧というのが非常におくれてきておるわけですね。私たち、この点を非常に危惧いたしておりますし、さらにまた、有資力の場合には、もう特定の企業、きょうは名称を申し上げませんけれども、特定の企業になっておりまして、これらがやはり今まで相当おくれてきております。現在、相当のスピードでやっておりますけれども、これらはやはり、後日、禍根を残さないようにしておかないといけない、こう私は思うわけであります。

 次に、揚水問題は相当問題があったと思いますけれども、どのように処理をされてきたのか、同時にまた、ボタ山問題につきましては、失効後、防災対策、この問題が相当深刻に、皆さん、不安に思っています。風が吹くと、その周辺、依然としていろいろな被害を及ぼすわけでありますから、こうした点、どうでしょうか。

広田政府参考人 かんがいの関係についてお答えいたします。

 かんがいの基金は、所要の施設維持管理費を基金として市町村にお渡しして、市町村が維持管理を、その後、続けていただくということでございます。これにつきましては、関係の市町村と具体的な話をさせていただきながら、納得をしていただいた上で引き渡すことといたしておりますけれども、既に約半分の機場、二百五十一のうち百二十八の機場の基金を受け入れていただいているという状況でございます。

中西委員 次に、産炭地域振興対策につきまして、一、二、お答えをいただければと思います。

 地域振興整備公団による工業団地造成百四十団地、譲渡三千二百三十六ヘクタール、八九%の譲渡率となっておりますけれども、残りが、十三年度末で、新規のものを加えまして大体六百ヘクタールということになります。特に、困難な北海道、九州が残ると思われますけれども、この不況下、どうなるだろうかということを私は心配いたします。この点について、見込みはどうするつもりなのか。

 あわせて、この間におきまして、企業誘致が二千四百二十五社、創出雇用数が十四万二千人と言われておりますけれども、北海道、九州地区では、旧産炭地域の失業率、有効求人倍率は想像を絶するものがあります。今後は、この地域振興整備公団側の特別の提案あるいは経済産業省のこれからの指導等はどうなさるのか、この点、お答えください。

広田政府参考人 地域振興整備公団の公団団地は、これまで、譲渡対象面積の約九〇%を譲渡したところでございます。お話がございましたように、ただいま造成中のものを含め、二十四団地六百ヘクタールが残っておるわけでございますが、最近の分譲状況は、経済状況もあり、北海道や九州を含め低迷しているのが実情でございますので、私どもの中でも勉強会を開催いたしまして、団地の分譲促進策の具体的な検討を実施してまいりました。こうした検討会の結果を踏まえて、いろいろな弾力的な対応、機動的な対応をとるようにこれからも努力をして、分譲促進に努めたいと考えております。

中西委員 地域振興整備公団が整理なりいろいろなうわさになっておるだけに、これらの問題についても特に促進をしていただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、時間がございませんので、もう一点だけ、NEDOの鉱害本部九州事業部所属職員の配置等については、この委員会での確認どおり、話し合いで整理は進んでおると私は推察をしますけれども、この点についてはどうなっておるでしょう。

平沼国務大臣 新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDO鉱害本部の職員の雇用確保対策につきましては、職員の意向を可能な限り尊重いたしまして、NEDO他部門への配置転換、他法人等への受け入れの働きかけ等を行い、最大限の努力をこれまで続けてまいりました。

 関係者の御協力を得て、NEDOから雇用確保対策を必要とする職員全員に対して再雇用先が提示されまして、各職員の同意を得たところでございます。再雇用等の調整の見込みがついたところ、こういうふうに御報告できます。法期限であります平成十四年三月までの期間、職員が安心して鉱害復旧業務に取り組むことができるようになった、このように思っているところでございます。

中西委員 それでは、厚生労働省に、就労事業について、二、三、お聞かせいただきたいと思います。

 いよいよ時間がございませんので簡単に申し上げますが、石炭鉱業構造調整対策の終了する平成十四年度以降、暫定産炭地域開発就労事業を含めまして、特に開発就労事業は千三百二名、来年度以降残るわけでありますから、この分についてどのように措置をしていくつもりなのか。

 特に私が申し上げたいのは、筑豊の実態というのは、今までは、鉱害あるいは産炭地振興あるいは各種失業対策就労事業を初めとし、同和対策などなど合わせますと、六万人を超える就労者がいたのです。しかし、今度は、いよいよ来年三月三十一日ですべての法が失効しますと、これらがほとんどなくなってしまうという状況ですね。その中におきまして、唯一のものとして産炭地域開発就労事業なり特別開発就労事業だけが残るということになる。もう何千人なんですね。こういう状況で、しかも、失業率は一〇%、そして求人倍率は〇・一、よくて二程度のところでありますから、この点についてこれからどうなさるのか。この点を一つ。

 それともう一つは、両大臣がおられますのでお願いをしたいと思いますのは、今までは関係省庁会議を開きましてやってきたのでありますけれども、特に三池の閉山のときに、橋本総理を中心としまして、両省合わせ、そして各省庁、力を合わせた中で進められた、その結果が今どのように進行しておるかということを――私、二回にわたって大牟田に行ってまいりました。私たちが今まで産炭地問題を取り上げてまいりましたけれども、このように、私たちが評価できる状況になっておることはありませんでした。したがって、こうしたことを考え合わせていきますと、道路アクセスの問題から、依然としてまだ残っているのですね。まだまだ、五年から十年近くもかかるという道路問題等、依然として筑豊の場合には残っておるのです。

 ですから、ぜひ、こうした問題を各省庁連絡会、一年に一回程度でなしに、その実態と内容について実のあるものにしていただかなくてはならぬと思っています。そうした点について、両大臣の御決意なりをお聞かせいただければと思います。まず、坂口大臣の方からお答えいただきたい。

坂口国務大臣 ただいまお話にございましたように、石炭鉱業構造調整対策というのが終了をするわけでございますが、産炭地域開発就労事業も同様に終了をすることになります。今お話ございましたように、激変緩和措置といたしまして、平成十四年度以降、関係の自治体が主体となりまして暫定就労事業を実施することになっております。平成十二年、十三年にも、既に福岡県が造成をいたしました基金に対します補助は出ているところでございますが、引き続きまして、これらのことをこれからもやっていきたいというふうに思っております。

 また、平成十年十二月の特定地域開発就労事業の在り方に関する調査研究会報告というのがございますが、その指摘を踏まえまして、それに見合いました適正な実施を行っていきたいと考えております。

 そして、雇用失業状況が厳しい産炭地域におきましては、本年十月から実施されます改正地域雇用開発促進法に基づきまして、関係都道府県がその主体性や工夫を生かした雇用開発を行う場合には、それに対する各種の支援ができることになっておりますので、そうした支援を行いたいと思っております。それから、公共職業安定所における職業相談、求人開拓の実施及び各種助成金制度につきましても、これは当然のことながら行っていきたいというふうに思っております。

 私も地元で、そんなに大きな炭鉱ではございませんけれども、閉山になりまして、その後の皆さん方の雇用問題で大変苦労した経緯がございますが、長い間、炭鉱でお勤めの皆さん方でございますので、お勤めの場所等につきましても、どこでもいいというわけにはなかなかいかない。やはりそれぞれ限定された労働条件のところが必要であるといったことで、私もそうしたことを経験した経緯がございます。今までの長い間の御苦労をやはり十分に踏まえた雇用対策というものをやっていかなければならないというふうに考えているところでございます。

 また、最後に御指摘になりました点につきましては、平沼大臣のところとよく御相談申し上げさせていただいて、そして、現場をひとつよく踏まえた議論をさせていただきたいと考えております。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 昨年の石炭対策特別委員会における法律案の決議の際にも、産炭地域関係各省庁等連絡会、各省連の積極的活用を盛り込んだ附帯決議をいただきました。

 当省といたしましても、この附帯決議の趣旨を踏まえまして、関係省庁と十分な連携をとってまいりました。具体的には、昨年十月には、関係省庁の参加を得て九州地区の現地視察会を実施したほか、本年三月には、省庁再編後初めての各省連を開催いたしまして、産炭地域振興実施計画の進捗状況の確認などを行ったところでございます。

 先ほど先生御指摘のように、頻繁に、そして連携を密にしてその対策を講ずるべきだ、そういう御趣旨の御意見がございました。私どもといたしましても、その御意見を重く受けとめて、これから省庁間の連絡を密にして万全を期してまいりたい、このように思っております。

中西委員 終わります。

武山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十七分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.