衆議院

メインへスキップ



第6号 平成13年6月21日(木曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月二十一日(木曜日)

    午後一時三十一分開議

 出席委員

   委員長 大木  浩君

   理事 金田 英行君 理事 下地 幹郎君

   理事 鈴木 宗男君 理事 宮腰 光寛君

   理事 鍵田 節哉君 理事 川内 博史君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      小渕 優子君    林  幹雄君

      福井  照君    増原 義剛君

      松岡 利勝君    吉川 貴盛君

      吉野 正芳君    荒井  聰君

      木下  厚君    小林 憲司君

      永田 寿康君    平野 博文君

      田端 正広君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)           尾身 幸次君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   外務副大臣        植竹 繁雄君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   内閣府大臣政務官     仲道 俊哉君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   襲田 正徳君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  安達 俊雄君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議

   官)           坂巻 三郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁総務部長)  山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  河尻  融君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国

   際社会協力部長)     高須 幸雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           清水  潔君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  川島  毅君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  浜中 裕徳君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  西尾 哲茂君

   衆議院調査局第一特別調査

   室長           飽田 賢一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十一日

 辞任         補欠選任

  加藤 公一君     永田 寿康君

同日

 辞任         補欠選任

  永田 寿康君     加藤 公一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

大木委員長 これより会議を開きます。

 この際、植竹外務副大臣から発言を求められておりますので、これを許可します。植竹外務副大臣。

植竹副大臣 今般、外務副大臣に就任いたしました植竹繁雄でございます。大木委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつ申し上げます。

 実は、私、もっと早くごあいさつ申し上げるところでございましたが、この委員会が開催される当時、私は、低開発諸国の国際会議、また国際エネルギー会議と続きまして、ヨーロッパに行っておりましたので、ごあいさつができなかったので、本日、ごあいさつ申し上げる次第でございます。

 まず、沖縄の問題について申し上げます。

 田中大臣が関係委員会で逐次申し上げているとおり、私としても、我が国の平和と安全のために沖縄県の方々が背負ってこられました多大な御負担に対しては、十分に感謝し、認識しております。米軍の存在は今後とも不可欠でありますが、沖縄県の方々の御負担の軽減に最大限努力してまいる所存でございます。

 田中大臣や杉浦副大臣と協力しながら、沖縄における米軍施設・区域をめぐる諸問題の解決に向け、米側とも密接に協議しつつ、全力で取り組んでまいりたいと考えます。

 次に、日ロ関係、北方領土問題関係について申し述べます。

 政府としては、北方四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結するとの一貫した方針のもと、交渉に取り組んでまいる考えでございます。

 これらの諸問題に取り組むに際し、大木委員長を初め本委員会の皆様の御指導と御協力をいただけますようよろしくお願い申し上げ、私のごあいさつといたします。(拍手)

     ――――◇―――――

大木委員長 それでは、沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官襲田正徳君、内閣府沖縄振興局長安達俊雄君、内閣府北方対策本部審議官坂巻三郎君、防衛施設庁総務部長山中昭栄君、防衛施設庁施設部長河尻融君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高須幸雄君、外務省北米局長藤崎一郎君、文部科学省大臣官房審議官清水潔君、国土交通省港湾局長川島毅君、環境省地球環境局長浜中裕徳君及び環境省自然環境局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

大木委員長 それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。

下地委員 小泉内閣になりましてから初めての沖縄北方問題に関する特別委員会が開催されること、私どもも大変うれしく思っておりまして、きょうは四時間半、そして尾身大臣や田中大臣に多くの皆さんが沖縄問題で質問すると思っておりますから、どうぞよろしくお願いをしたいなというふうに思います。

 きょう、自民党本部で、朝十時から十一時半まで、ヘイルストン中将、四軍調整官が来ていただきまして、講演をしていただきました。四軍調整官、米軍の制服組が自民党本部に来て講演をするというのは初めてのことだと思いますけれども、有意義なお話をさせていただきました。

 調整官が言われるのを少しまとめてみますと、自分たちは世界の安全保障に、平和の確立に貢献をしているんだということも申しておりました。ベストフレンド、ベストパートナー、日米関係は非常に大事であるというふうなことも話をしておりました。そして、年間七十回、千人から七千人の数になりますけれども、合同訓練といいますか、タイ、韓国、フィリピン、ブルネイなど、合同訓練もやっておりますよという話もしておりました。

 そして、ここは非常に大事な部分ですけれども、鈴木先生が御指摘をなされた部分なんですけれども、米軍が事件、事故で地域の皆様に御迷惑をかけているというふうなことも自分たちとしては非常に心苦しく思うということも、調整官みずからお話をしておりました。そういう意味では、自分たちの役割論だけお話をするのかなと思っていましたけれども、沖縄において自分たちが迷惑をかけているということも率直に認めながら、反省をしながら、改善もしていきたいというようなことをトップが話しておりました。

 そして、最後の方、グアム、フィリピンへの訓練の移転の問題、後の記者会見での記者との懇談の中でも申しておりましたけれども、グッドアイデアだ、検討する価値があるというふうなことを申しておりまして、スペースの問題もいろいろあるけれども、前向きに検討したいという話をしておりました。

 そしてもう一つは、在沖米軍兵力は一九四五年から一九七二年にかけて相当に削減をされている、フットプリント、駐留を意味するわけでありますけれども、この部分に関しても、我々はできるだけ削減ができる方向で考えるべきだということも明確に言っておりまして、本人たちもいろいろな取り組みの中で物事を、沖縄の声というのも感じながら、そして自分たちの役割というのも認識をしながら、どうしたら負担軽減につながるかということが、きょうのヘイルストン四軍調整官の講演だったような気が私はいたします。

 それで、田中外務大臣に御質問させていただきたいのですけれども、この前、外相会談で行っていらっしゃいました。それで、訓練の移設の問題を話をしてきたというふうに思いますけれども、その辺の詳しい内容、そして、きょうのヘイルストン中将の、一番の最前線の現場がこの問題に対してグッドアイデアである、検討する価値があるというふうなことを申していることも含めて、外相会談の状況と今の私が申し上げたことを総括した中で御意見をお伺いしたいというふうに思います。

田中国務大臣 お答え申し上げます。

 十八日の日米外相会談でございますけれども、これは、同盟関係が今後も非常に重要である、日米の関係というものが基軸であるということについては、私は再確認をし、はっきりと冒頭に申し上げました。引き続きまして私が申し上げましたことは、ミサイル防衛の問題、それから沖縄問題、そしてさらには地球の温暖化対策等の問題につきまして、率直に意見を申し上げました。

 それに対しましてアメリカ側は、御案内のとおり、先週ヨーロッパにいらっしゃって、そして土曜日の夜帰ってきたばかりで、そして日曜日を挟んで月曜日の朝に会っていただきましたので、一番ヨーロッパの、欧州の各国のこれらの今言ったような問題点に関する意見を聞かれた後、これから、私と会った後から、議会やらあるいは閣内といいますか政権内で物を具体的に決めていかなければいけないという状況のときでした。そういうときに日本の立場を、これらミサイルの問題にしろ、環境の問題にしろ、沖縄について、まあ沖縄は私ども固有の話ですが、これらをお話し申し上げる機会ができて、タイミング的に非常によかったというふうに私は総括をいたしております。

 それは客観的なことですが、個人的にも、非常にフランクといいますか、率直に、温かく、大きな心で迎えていただきましたし、私としても、そういう雰囲気の中でしたし、アメリカ人の極めていい、一般の国民も持っている温かさとか、それからブロードマインディドといいますか、そういう状態で受け入れてもらえて、極めて忌憚のない話し合いができたということを、さすがやはりアメリカ人はすごいな、政治家も一般国民も共通して持っているいいものが出てきた会談だったということを感じました。

 お目にかかったのは、もうほかの委員会でも申し上げていますが、ライス補佐官にお目にかかりまして、そのときに途中から大統領と副大統領が入ってこられまして、いろいろお話をちょっとする、立ち話でしたけれども、それでも結構時間を割いておられて、親しくいろいろとお話ができました。その後、USTRのゼーリックさんのところに行きました。そしてその後、パウエル長官のところに行きまして、そこには複数の方たち、アーミテージさんはもちろんですけれども、今度新しく七月にこちらに赴任される駐日米国大使も同席しておられました。全体、すべてを通して、そういう話し合い、雰囲気の中でできたということは大変よかったと思っています。

 私の目的は、小泉総理が行かれるための地ならしということもありましたし、私も個人的な信頼関係といいますか人間関係を築くというふうな目的もありましたので、その双方はかなりうまくワークしたのではないかというふうに個人的には思っております。評価とか結果は、今後出ます。

 今お尋ねがありました具体的な沖縄のテーマですけれども、これはいろいろなイシューについて具体的に申し上げましたけれども、その中で、下地委員が一番おっしゃっていらっしゃった海兵隊の訓練の一部移転、これについては具体的に申し上げました。

 すなわち、グアムですとかサイパンですとかそういうところに、約一万七千人いる海兵隊を一部訓練で移転できないであろうか。そういうことが、今おっしゃったようなフットプリントですよね。これは沖縄サミットのときに前大統領が使われた言葉ですけれども、同じことをやはりパウエル長官も言っておられました。そして、フットプリントを減らす方向で自分たちも考えなければいけないということはわかっているということもおっしゃっておられましたので、それを具体的に検討していただきたいということを申しました。

 そのほか、環境とか騒音とか、事件、事故等ございます。それから、本土につきましても遊休地の問題等もありますので、それらをトータルで、安保ができてもう五十年になりますから、その中でもっていろいろな問題が出てきている、そういうことをやはり正面からとらえて、アメリカがフットプリントを減らすことができる方向でやっていただければ、基本的な日米の基軸がまたここで強化できるので、見直しをしていただきたいということをお話しいたしました。

 その結果、パウエル長官がおっしゃったことは、これらについて自分も前向きに、直接は国防長官にじかにお話をして、そして具体的に対応できるようにしたいということで、すべてよく状況もわかっておられましたけれども、個別の問題については、沖縄問題は、ラムズフェルド長官に話をするというふうにおっしゃってくださいました。

 大体、概要は以上でございます。

下地委員 きのうの外務委員会でも、具体的にこれから取り組むのか、事務方の話はどうなんだということで北米局長に御質問がありました。藤崎北米局長は、これから防衛庁とチームを組んで具体的な話を進めていきたいというふうな答弁をしておりました。

 それから、私は一時十五分に、今度は中谷防衛庁長官にも会って、この状況を報告しました。中谷防衛庁長官は、外務大臣とも相談はしてありますということで、今度の防衛庁長官会談、ラムズフェルドさんとの会談においても、訓練の移設の問題に関しては自分の方からも話をしたいというふうなことは、明確にお話をしていたわけであります。

 それで、尾身大臣は七月の三日にアメリカに行かれるというふうなことであります。いろいろな日程をお持ちだと思いますけれども、今、外相会談、そして防衛庁長官のこれから行かれてお話をするというその内容、そして尾身大臣の場合には2プラス3を要望しておりました。

 2プラス3でありますから、基地の問題に関しても、これから沖縄振興にとって非常に大事だという認識のもとで2プラス3をお考えになられて、私は非常にいいことだというふうに思っております。七月の三日にアメリカに行かれて、いろいろな方々とお会いしていろいろな問題を協議なされると思いますけれども、十五年の問題だとか地位協定の問題だとか、いろいろな、どういう問題になるかわかりませんけれども、尾身大臣も、外務大臣や防衛庁長官が今やっているグアムとかフィリピンへの訓練の移設の問題に関してお話をするつもりがあるのかないのか、そのことをぜひお願いしたいと思います。

尾身国務大臣 現在、沖縄に在日米軍基地の七五%があって、大変大きな負担を県民の皆様にかけているという実情がございます。私どもは、その負担をできるだけ軽減したいというふうに考えておりまして、SACO最終合意の実現に向けて努力しているわけでございますが、先ほど来話の出ております訓練の移転の問題等々につきましても、現在の沖縄の基地の問題の大きなテーマでございますので、その種のテーマにつきましても、率直な意見を申し上げ、意見交換をしてまいりたいと考えております。

下地委員 ぜひ、尾身大臣の今までの御見識で、七月の三日からの訪米でいろいろな成果が出ることを期待しております。

 それでは、二つ目の話なんですけれども、六月の十八日に沖縄のマリンタウンの埋立造成工事で不発弾の爆発がありました。それで負傷者が一人出ているわけなんですけれども、この不発弾の爆発は、ブルドーザーが残土処理をするために埋立地に土をおろした後、ブルドーザーでならしをしたらこれが爆発をしたというふうなことであります。

 今、沖縄の不発弾の処理というのは、十年間の平均で大体三十六トンぐらいやっているんですね。これは、戦後処理問題がまだ続いているということになると思うんです。あと残っているのが二千六百トン。そうしますと、この平均の三十六トンで割りますと、あと七十年ぐらいかかるというふうなことになっているわけなんです。

 しかし、予算の仕組みが、国に関しては、物事を、公共工事をやるためには調査をして、不発弾があるかないかを調査する者に対して百の百の補助が出ていると認識しているんですけれども、市町村の補助事業、公共工事の補助事業だとかそういうものに関しては、まだ整備がおくれている。だから、二分の一の補助になったり補助率がなかったりするものですから、どうしてもやったりやらなかったりするという状況があって、こういう状況になっている。だから、こういう公共工事のときも全部やる、そして地方自治体の仕事のときも全部不発弾の処理をするというふうなことをやっていかないと、またこのような事故が起こる可能性があると思うんです。

 それで、ここは担当になると思うんですけれども、今の仕組みはどうなのかというのと、この戦後処理の問題を今後どうしていこうと思っているのかということをちょっとお答えいただきたいというふうに思っております。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国の不発弾に対する取り組みとしては、先生御指摘のように、国や県の行う公共事業におきましては、その中で所要の予算が計上され対策がとられている、また、工事のいかんにかかわらず、できるだけ広範に不発弾の発見を行うための調査、これが平成十三年度予算額で三億一千万円強でございますけれども、こういった予算で広く発掘を進めていくということをしているわけでございます。

 国、県の公共事業につきましては予算の中で手当てをされておるということでございますが、市町村におきましては、必ずしも十分でないというところは御指摘のとおりでありまして、検討課題ではないかというふうに認識しております。

下地委員 大臣、今度、沖縄県からも要望が出ていると思いますけれども、市町村の公共工事に関しても不発弾処理のための予算をつけて、公共工事に関しては全部補助事業でもやる、それから公共工事をやるというふうにやった方が二度とこういう事故が起こらないというふうに思っているのですけれども、今後の予算のあり方とか、沖縄新法においてこの戦後処理問題の不発弾問題に関して内閣府の方でこういう予算のつけ方をしていくというお気持ちはありませんか。

尾身国務大臣 この問題につきましては、沖縄県の不発弾等の対策協議会においていろいろ議論をしているところでございますが、市町村が行う工事につきましても、同じような措置ができるかどうか検討してまいりたいと思っております。

下地委員 ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思っております。

 そして、もしできれば、民間のマンション、世帯数の大きいマンションなんかに関してもやはりこの義務づけをしていくことが非常に大事だろうと私は思っております。不発弾の上に資産があるというのは非常に問題があるわけでありまして、そういう意味でも、そこぐらいまで、これはもう沖縄の戦争というものに対する処理がまだ残っているという証拠でありますから、ぜひ、市町村のものは前向きに検討なさるということでありますからやっていただいて、将来は民間の問題に関しても突っ込んで検討していただければありがたいなというふうに思っております。

 さて、この前、朝日新聞の一面に沖縄振興へ大学院大学の創設をするというふうな記事がどんと出ておりまして、非常にうれしい思いをしました。沖縄の振興策にとって人材育成というのは非常に大事なことでありますから、この構想が、尾身大臣の考え方の中でこれがきちっとできると夢があるなということを思わせていただいたのであります。

 職業訓練短期大学というのがありましたけれども、それも今度四年制大学に変わりましたね。今度、高等専門学校、高専というのが北部にできるわけでありますけれども、これも新しく今度の振興策の中でやっていこうというふうなことであります。

 この沖縄振興の大学院大学というものは、これは私が読む範囲では、高専だとか職業訓練短期大学を大学にするというのは、沖縄の人たちの、子供たちのためというか、それを伸ばす仕組みだと思うのですけれども、尾身大臣が考えているこの構想は、沖縄というよりも全体的に、全体的な中で、グローバルな形の中で沖縄をその拠点にしていこうというふうな、私は、新聞記事でしか見ていないのですが、そういう認識をちょっと持たせていただいたのですけれども、この構想に対する大臣の考えているところをお話しいただければありがたい。

尾身国務大臣 国立高等専門学校等につきましては、やはり職業につく上での技能、技術を学ぶという意味で大変大事だというふうに考えておりますが、この大学院大学の構想につきましては、もちろん、まだ非公式に検討しているということでございまして、政府として正式に決めたものではございません。

 ただ、私自身もこういう構想につきましていろいろと考えたりいろいろな方の意見を聞いているところでございますが、考え方としては日本一の大学院大学をつくるということでございまして、したがって、人数も、外国人と日本人、教授も学生も半分半分ぐらいにして、講義は全部英語でやる。そして、国際的に通用するITなどを中心とした世界一流の人材を、外国人、日本人を含めてここで養成することにしていきたい。

 ただ、それと同時に、もちろんその頭脳集団を使って沖縄の経済の発展のためにいろいろな意味のアドバイスをしていくということも、これはサイドワークとしてやっていきたいというふうに考えておりますが、つくるのならば最高水準の、日本というよりも世界最高水準の大学院大学をつくる、そういう構想にしていきたいというふうに考えております。

 関係方面といろいろと相談をしながら、次の振興計画の中に今までと違った形で盛り込めないかどうか、これから検討してまいりたいと考えております。

下地委員 これは非常にすばらしい案だと僕は思いますね。ぜひ大臣のお力でこれは成功させてもらいたい。

 沖縄がこれから沖縄らしさを出していくという意味でも、沖縄だけで物事をするのじゃなくて、世界じゅうに沖縄へ来てもらう。僕は、この構想を新聞で見まして、サミットをやった意義がこれにあらわれているのじゃないかなというふうに思いましたよ。だから、そういう意味でも、沖縄にいる人材を育てるということだけではなくて、世界から集めて沖縄で育てるという意義は大きなものがあると僕は思っていますから、ぜひこの構想だけは大臣に成功させていただきたいなというふうに思っています。期待をしておりますから、頑張っていただきたいと思っております。

 さて、時間ももうあれなんですけれども、この前、環境省を呼んで、外務委員会で質問をさせていただきました。それは、この前行われました代替協の話をいろいろと私の方でもやらせていただいたのですけれども、普天間基地の移設の問題について八案が出て、新しい仕組みをやりますよと提示をしたわけでありますけれども、私は、その提示を、ちょっと早いのではないかという意見でありました。それは、田中外務大臣や、基地問題をやるには、その基地の問題も環境問題も基地の経済問題も三つあるから、レベルを合わせてやった方がいいよというのが私の考えであったわけですね。環境問題がどんと出る、工法の問題がどんと出るというよりも、まずは基地問題に対して丁寧な仕組みづくりをしてから、やらなければいけないことでありますけれども、素直にその理解ができるような形でやった方がいいというふうなことが私の考えでありました。

 そこで、六月八日の夕刊に、尾身大臣が、この工法の取りまとめは一、二カ月でやるんだということが書いてありました。その一、二カ月でやるんだということに対して、自治体や辺野古の皆さんは、ちょっとこれは早いのじゃないかというふうなことが出ている記事が見られたのですけれども、私は、尾身大臣の、この一、二カ月で全部結論を出すんだということじゃないのが、違う報道でそうなっているのじゃないかなと。沖縄からすると何か強引に決めようとしているのじゃないかなという雰囲気があったのですけれども、この一、二カ月で決めるという意味と今の尾身大臣の考え方というのを、ちょっとお話をお伺いさせていただきたいと思います。

尾身国務大臣 六月八日に代替施設協議会が開催をされまして、防衛庁の方から、代替施設の規模、工法、具体的な建設場所などにつきましての八つの案につきまして説明がございました。これを地元で、持ち帰っていただいて、名護周辺の皆様、それから県の皆様からの意見の取りまとめをしていただく、こういうことになっておりまして、その取りまとめができた段階で次の会を開いてさらに検討を前に進めよう、こういうことになっているわけでございます。

 一、二カ月にしてほしいというようなことを私は全く言った覚えがございませんで、これは誤報でございます。私は、地元で検討するのにそこそこの時間がかかると思っておりまして、そのある種の要望あるいは意見等についてまとまった段階で次に進みたいというふうに考えているわけでございまして、地元の意見集約を待ちたいというふうに考えております。

下地委員 尾身大臣の誤報だということで安心をしましたけれども、僕は、尾身大臣ともお話をしたときに、基地問題で話をしたのですけれども、この基地問題がうまくいくかどうかは、大臣に対する信頼が沖縄からどこまで集まるかというのが非常に大きな要素を占めるというようなことでありまして、コミュニケーションだとか大臣の考え方とかというのがオープンに広く伝わらないとこういう問題はなかなか前に進まないという私なりの考え方を述べさせていただきました。ぜひ、そのことを沖縄によく語りかけていただいて、やっていただきたいというふうに思っています。

 そこで、私はこの前の外務委員会でもお話をしましたけれども、環境調査と環境アセスというのは、環境アセスの方が法律上の観点があるから重いですよというふうな環境省の話がありました。私は、この八候補出ておりますけれども、八候補全部とは言いませんけれども、ある程度絞り込んだ段階で、二つか三つ、多くても四つの段階で環境アセスを先に入れて、環境アセスを入れた中から、その環境に優しいものという条件のところを整備した中で最終的な工法を決めることが必要なことではないかなというお話をさせていただいております。

 環境という問題が、ジュゴンの問題や騒音の問題、いろいろな問題で、その決定する中で非常に大きな要素を占めているわけですから、調査をしたというのじゃなくて、法律に伴ってやったというのは非常に重い意義があるというのがこの前の環境省の話でもありましたので、ぜひ三つぐらいのプランに絞って先に環境アセスを入れる。そして、どうせ一つの工法に決めて環境アセスを入れても二年から三年の時間がかかるわけでありまして、三つのプランで環境アセスを入れてもこれも二年から三年の時間でできるわけでありますから、ぜひ環境アセスを先に入れるということを検討してみたらいかがかと思うのですけれども、尾身大臣、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 先日の代替施設協議会で八つの案につきまして私どもが地元の皆様に説明をさせていただいたことは、先ほど申し上げたとおりでございます。その際、工法と具体的建設場所の組み合わせの八つの案ごとに、藻場とかサンゴとかに関する影響がどうなっているかということにつきましての検討結果もお示しをしたところでございます。

 私どもとしては、その協議会の地元の皆様の御意見を踏まえた上で、代替施設の規模、工法、具体的な場所を決めますいわゆる基本計画を一本にして、そして、それを踏まえて、さらに代替施設の建設が環境に及ぼす影響などにつきまして調査、予測あるいは評価等を行ういわゆる環境アセスを実施して、環境への影響を最小限にするようなより詳細な検討を行うことにしているわけでございまして、こうした手順は、現在の環境影響評価法、環境アセスメント法の基本的な考え方に沿うものというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、代替施設の整備につきましては、十一年の十二月二十八日の閣議決定にもございますが、環境への影響を最小限にとめるための適切な対応を講じるというようなことで、自然環境に著しい影響を及ぼさないように最大限の努力を払ってこれから進めてまいりたいと考えている次第でございます。

下地委員 僕は、きょうは沖北ですから、この問題に関しても突っ込んだことは言いませんけれども、私は、一つに絞って環境に優しいやり方を考えていくというのと、三つの中から環境に優しいものを選びましたというやり方は、辺野古の方々だとかいろいろな方々の理解を得るのに全然違うと思っております。もっとうがった言い方をすると、もう一本に決まっているんじゃないか。八本出してももう一本に決まっていて、アメリカと調整も全部できていて、もう仕組みができている中で、これしかない方法でやろうとしているんじゃないか、そういううがった見方をする人もいる。

 だから、私は、先ほど申し上げましたように、信頼というものを得てうまくいくという意味では、今までの環境アセスの入り方の方法に固執しないで、新しいやり方で環境アセスを考えてやるというのも一つの選択肢として入れておいてもいいんじゃないか。初めから否定するんじゃなくて、それも方法として考えるということは非常に大事なことだろうと私は思っているのです。

 信頼という意味では、ぜひそのことを御検討いただきたいなというふうなことを思っておりますから、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

尾身国務大臣 私ども、環境に対する影響を最小限にするということはもちろん大変大事なことであると考えておりますが、環境アセス法の基本的理念に基づく、基本的な考え方に基づくようなやり方で環境影響評価をやっていく、そういうふうに考えている次第でございまして、先ほども申し上げましたように、基本計画ができた後で、それの具体的なやり方、進め方等についての環境に対する影響を最小限にするような対応をする、そういう意味で環境アセスをやっていきたいというふうに考えておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

下地委員 時間がありませんので最後になりますけれども、三つの中から環境アセスというやり方は法律上問題がないというのはもうこの前の委員会でもはっきりしましたから、必ず一つに絞って環境アセスをするというやり方が基本的なやり方であるというふうな物の認識を余り深く持たないで、この特別な基地というものをつくるときの理解の深さの中で、三つの中から一つを選ぶという方法もぜひ選択肢の中に入れていただきたい。それも検討しながら物事をぜひ決定していただきたいというのが私の考えでありますから、ぜひお願いしたい。

尾身国務大臣 先ほど申し上げましたように、今の八案につきましても、環境への影響についての基礎的なデータというものは調べて出しておりまして、どういう水深のところがどういう影響があるというようなことも含めて、サンゴの地域にどのくらいの影響があるかというようなことも調べているわけでございます。そういうものを踏まえて基本計画としてまとめ、そして、その基本計画を実施する段階で環境アセスをやりまして、具体的な工事方法の内容等について詰めていく、それが環境アセスメント法の基本的なやり方だと考えておりまして、私ども、その基本的なやり方に沿って事を進めてまいりたいというふうに考えておりますので、これはぜひ御理解をいただきたいと思います。

下地委員 時間がないから終わりますけれども、また論議しましょう、まだ時間がありますので。

 ありがとうございました。

大木委員長 次に、宮腰光寛君。

宮腰委員 自由民主党の宮腰光寛でございます。きょうは、私の方は、北方領土問題に関して両大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

 まず、田中外務大臣に、北方四島周辺水域における韓国とロシアの漁業協定についてお伺いをいたしたいと思います。

 韓国は、昨年の十二月にロシアとの漁業交渉に合意いたしまして、ことしの七月十五日から、我が北方四島周辺水域においてサンマ一万五千トンの漁獲枠を確保し、操業の予定をしているということであります。もし報道のとおり、韓国側が、日本は北方四島を実効支配しておらず、日本からの抗議は根拠がないというふうに主張しているとすれば、韓国は四島における日本の主権を否定していると受け取れます。これは極めて遺憾であります。

 まず、この問題についての事実関係と政府としての見解を、外務大臣から明らかにしていただきたいというふうに思います。

杉浦副大臣 先生御指摘のとおり、昨年十二月、韓ロ間でそういう協議を行って、我が国の、我が国と申しますか北方四島の二百海里水域を含めているということが判明したわけでございます。

 私どもの立場は、先生のおっしゃるとおり、北方四島は我が国固有の領土であるという立場から、その周辺水域においてロシアが韓国に漁獲割り当てを行うことは認めないという立場でございまして、ことしの二月以来、水産庁と緊密に連携をとりまして、必要ならば詳細を申し上げますが、ハイレベルを含めまして何回となくロシア及び韓国に対して抗議をしてきておるところでございます。一番新しいのは、外務大臣から、この十九日、イワノフ外相あてに、ロシア側において適切に対応するよう求めるメッセージを出したところでございます。

宮腰委員 韓国との間には竹島の領有権の問題が存在をしております。残念ながら、竹島は韓国が施設をつくって実効支配をしているという状況にありますが、日本の立場は、実効支配と領有権とは別の問題ということであります。これまでそのようにして冷静に対応をしてきたわけであります。

 今回のように実効支配さえしておれば領有権を認めるという主張は、これは竹島の領有権問題とも共通しておりまして、北方四島における日本の主権を否定したと受け取れるような韓国の主張は到底見過ごすことができません。北方領土の主権にかかわる問題に韓国が言及したのは今回が初めてだということでありますが、日本政府として、韓国、ロシア両国に対して断固たる対応をとるべきだというふうに思っております。

 現在のところ、韓国、ロシア両国に対し合意の撤回を求めるとともに、水産庁の方では、韓国に対して三陸沖の日本の排他的経済水域においてサンマ漁の操業を許可しない方針というふうにお聞きしておりますが、果たしてそれで合意の撤回は可能なのかどうか、そのほかにとるべき対応は検討されているのかどうか、伺いたいと思います。

杉浦副大臣 実効支配と領有権の関係については、政府の立場は先生のおっしゃるとおりでございます。

 水産庁の方が二十日までに回答することになっていたのを保留しておるわけです。三陸沖で、日韓漁業協定に基づいて、九千トンほどですか、サンマを捕獲したいという申し入れをしておるわけですが、これに対して回答を留保しているのは事実でございます。

 今まで、水面下と申しますか、表立ってやってこなかったわけで、断固たる態度でやってまいりますが、私ども大変苦慮しておりますのは、実は一九九二年にも、つまり韓ロ漁業協定が発効した最初の年でございますが、同様の問題が起こりました。そして、その際は宮澤総理から当時の盧泰愚大統領に親書を出すなどして善処を申し入れまして、そのときには、結局、三国間で協議した結果、日本がロシアから割り当てを得ていたほかの水域の漁獲割り当てを韓国側に譲ることで問題を収拾したわけであります。

 今回の場合は、そういうような、何と申しますか実弾がないということから、非常に対応に苦慮と申しますか、対応に苦慮はしておりませんが、解決が非常に厳しいというふうに思われるところでございまして、七月十五日という漁期が目前に迫っておりますので、これはきちっと何とかしなきゃいけないということで、与党の方とも連絡をとって対応を協議しておるところでございます。

宮腰委員 もう韓国とロシアとの間では協定にサインがしてあるという話だそうでありまして、ただ、今のところは操業許可証そのものは発行されていないのではないかということでありますが、既に漁獲枠も漁船数も明らかになっておりまして、いつでも許可証を発行できるような状態にあると見た方が間違いないというふうに思います。

 もし、七月十五日の操業開始の前に合意の撤回が実現しなければ、サンマが三陸沖に来る前に大部分捕獲されてしまうことになる。サンマ漁は、二百海里問題で勢いを失いました日本のサケ・マス漁、これの裏作として貴重な漁業でありまして、日本の水産業全体にも与える影響が大きい。あるいは、日韓漁業協定そのものの見直しということにでもなれば、日本海側や日本南部の水域にも波及する可能性もあります。ぜひ、引き続き韓国、ロシアの合意撤回に向けてさらに御努力いただきますように、強く要請をしておきたいと思います。

 次に、北方領土問題に関する国内対策ということで、尾身大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 大臣は、この二十三日に沖縄を訪問されるというふうに伺っております。ぜひ、北方担当大臣として、早い機会にこの北方領土の視察をしていただきまして、根室市を初め北方領土周辺地域の住民あるいは元島民の皆さん方の意見をしっかりとお聞きいただきたいというふうに思いますが、尾身大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

尾身国務大臣 我が国固有の領土であります北方領土の返還は、日本国民全体の悲願でございまして、戦後残された我が国最大の懸案事項でございます。このような北方領土問題の重要性にかんがみまして、私自身も、できるだけ早くお伺いをして皆様の意見を聞きたい、また現地の状況も把握したいと考えておりますが、まだ日程の調整がつきませんで、果たしておりません。

 とにかく、できるだけ早く現地に赴いて、私自身が皆様とお話をしながら、この問題の解決に当たるようにしていきたいと考えている次第でございます。

宮腰委員 引揚者の方、元島民の皆さん方からは、ぜひタウンミーティングのような形でやっていただきたいという声があったことも申し添えておきたいと思います。

 昨年八月に、この沖北の特別委員会のメンバーが根室市を訪問いたしました。元島民の皆さん方からは、昨年の話ですけれども、年内に領土問題が解決しなかった場合、残置財産の政府買い取りを求めるという強い意見が実は出ておりました。元島民の平均年齢は既に七十歳を超えております。返還が実現をいたしましても、島に戻って生活をするなんということはほとんど不可能になってきております。そのように、実質的に財産権が行使できなくなっていることに加えまして、返還後における現在の島民との権利調整ということを考えますと、これは極めて困難と予想をされるのであります。

 戦後五十六年という時間の重みを考慮いたしますと、島に残してこざるを得なかった残置財産及び漁民の旧漁業権に対する国家補償について、政府としても、政治としても、戦後処理という観点から決着を図るべきときに来ているのではないかなというふうに思います。尾身大臣の率直なお考えをお聞きしたいと思います。

尾身国務大臣 北方四島からの引揚者につきましては、ほかの地域からの引揚者と同じように、過去に引揚者給付金、引揚者特別交付金が支給されているところでございます。また、北方地域の旧漁業権につきましては、昭和二十一年一月のGHQ覚書によりこれが消滅されたために、補償措置の対象とならなかったというふうに聞いております。政府といたしましては、北方地域の特殊事情を考慮いたしまして、元島民の方々や旧漁業権者等に対する生活資金や事業資金の低利融資制度を創設し、その充実強化を図ってまいったところでございまして、これを積極的に利用していただきたいというふうに考えております。

 財産権の問題につきましては、領土問題とともに日ロ間においてはなお未解決でございまして、平和条約締結交渉において明確にされるべきものと考えている次第でございます。財産権の不行使に対する補償については、元島民の皆様のお苦しみ、悩み等々、非常に身につまされる思いでございますが、ほかとの均衡などから、現在までのところ、困難であるというふうに申し上げざるを得ない状況でございまして、これを御理解いただきたいと思います。

 元島民の方々に対する援護措置につきましては、低利融資制度のほか、北方四島への自由訪問あるいは衛星画像を活用した北方四島の土地利用分析等を行っているわけでございます。

 いずれにいたしましても、元島民の方々、平均年齢七十歳になろうということでございまして、私といたしましても、さらに実情を調査いたしまして、適切な対応を図るべく全力を尽くしてまいりたいと考えております。

宮腰委員 ぜひ、生の声もお聞きいただきまして、返還運動の拠点あるいは返還運動の中核を担う元島民ということも考慮をしていただきたい。それから、目の前に四島が広がっていて、それでずっと外交関係に翻弄されてきているということもぜひ御考慮いただきたいというふうに思います。

 次に、森・プーチン会談の評価について、外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 去る三月にイルクーツクで行われました森・プーチン首脳会談につきましては、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとのクラスノヤルスク合意が実現しないという困難な状況の中で、新たな交渉の舞台をつくったという意味で一定の評価をしたいと私は考えておりますが、外務大臣はどのように評価をしておいでになるのか、伺いたいと思います。

田中国務大臣 この森・プーチン会談は、委員おっしゃるとおり、大変意義深いものであったというふうに私は思っております。

 その理由は、過去の総括がここでしっかりされたというふうに思っておりますし、そしてまた、未来への基礎というものをしっかりと築くことができたという意味でございます。

宮腰委員 このイルクーツク会談の目玉につきましては、平和条約締結後の二島返還を明記した一九五六年の日ソ共同宣言の有効性を確認したというのが大きな成果であると言われておりますが、私は、まず東京宣言の意義を再確認することが重要ではないかというふうに思います。

 一九九三年の東京宣言は、四島帰属問題の解決による平和条約の締結ということを明記いたしました。交渉の指針として、歴史的、法的事実に立脚すること、合意された諸文書及び法と正義の原則を基礎とするということがうたわれております。

 戦後長きにわたる外交交渉の積み重ねによりまして、ロシアを東京宣言のラインまでようやく追い詰めたという認識が重要と考えますが、外務大臣のお考えはどうか。また、既に日ソ両国で批准済みになっている一九五六年の共同宣言の有効性を改めて確認したということが、逆に、四島帰属問題の解決を明記した東京宣言の事実上の否定や、ロシア側が提案しております中間的条約の締結につながるのではないかという懸念がありますが、いかがでしょうか。

杉浦副大臣 イルクーツク宣言が五六年の日ソ共同宣言が法的文書であることを確認したというのは極めて大きな成果だということは、先生のおっしゃるとおりでございます。それといわゆる東京宣言との関係は、それを法的文書であることを認めた、それでイルクーツク宣言が出されたということと東京宣言との関係、いわゆる中間条約の締結につながるのではないかと今先生がおっしゃいましたが、それは全く違うと思っております。

 つまり、イルクーツク宣言の非常に重要なところは、その五六年の日ソ共同宣言を含めまして、過去の日本外交がずっと行ってきた積み重ねをすべて確認した。五六年宣言は、一時ソ連は批准しておきながら否定しておりましたから。それも確認した。ずっと、東京宣言も踏まえて出されたということでございまして、この過去のあらゆる形の外交努力をきちっと総括して、これからの日ソの交渉の原点を築いたという意味で意義があったと思うのでございます。

 したがって、東京宣言もイルクーツク宣言できちっと確認して、五六年宣言、東京宣言を踏まえた上でやっていくということでございますので、もう先生には釈迦に説法でございますが、政府としては、そのイルクーツク宣言までに達成された成果をすべて引き継ぎまして、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、ずっと一貫しておるわけですが、その方針のもとに進めてまいるということでございます。

宮腰委員 これからどういうふうな考え方でいくかということがこれからの日ロ交渉の基本的な方針につながっていくわけでありますけれども、対ロシア外交について、日本は一貫性がないとか総合的な戦略がないというようなことがよく言われているわけであります。その一貫性、総合的戦略というのは、よく二島先行返還論というようなことが言われておりますが、私は、これはマスコミのレッテルではないかというふうに思っておりまして、日本の国論分裂という誤った印象をロシアに与えるようなことは今後はぜひ避けなければいけないのではないかというふうに思います。

 あくまでも、我が国の一貫した立場というのは、東京宣言にありますように、まず四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結するということでなければなりません。今後の交渉に臨む基本方針として、四島帰属問題の解決を明記した東京宣言を重視すべきと考えるのか、あるいは、今回取り上げられた、平和条約交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書というふうに位置づけられた日ソ共同宣言でいくのか、そのお考えをお聞きいたしたいと思います。

杉浦副大臣 先生のおっしゃるとおり、東京宣言は現在の平和条約交渉の最も重要な基盤をつくったものであるという評価はそのとおりだと思います。

 先生のおっしゃるとおり、揺れているような印象を与える点は、マスコミの影響もあるかと思いますが、これは全く私個人の意見でありますが、日ソ共同宣言が批准されて、その後否定されて、また法的文書で確認されたというその一つの流れが、仮に誤解される点があるとすれば、響いているのではないかと私は思うのであります。

 しかし、先ほども御答弁申し上げたとおり、五六年宣言から始まりまして、ずっと外交努力をいろいろと重ねて、そして、東京宣言を基盤としながらイルクーツク宣言まで来たわけでございまして、その間、四島の帰属をきちっとするということを我が国外交交渉の一貫した方針としてやってまいっておるわけですし、これからもその四島の帰属をきちっとする、解決して平和条約を締結するという方向でやっていくことにいささかも変わりはないと私は理解しております。

宮腰委員 プーチン大統領が誕生いたしまして一年以上になりますが、ロシアの国内政治の安定ということから見ますとやはり時間がまだかかるのではないかというふうに思います。小泉政権にいたしましてもまだ誕生したばかりでありますから、当面はこの足元を固めるということが大切であります。

 日ロ平和条約交渉、二〇〇〇年までということで、目標を設定してやってきたわけでありますけれども、二〇〇〇年までという期間を区切ったことによって、日本外交に一時やはり焦りがあったのではないかなというふうにも思っております。これからの平和条約交渉に当たりましては、焦らず、粘り強く、これまでどおりしっかりと進むということが大切であると考えますが、いかがでしょうか。

杉浦副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、焦らずとおっしゃいましたが、プーチンさんの誕生によって我々が期待を持たされた、持たされ過ぎたということも言えるのじゃないかと思います。粘り強くやってまいるのは当然でありまして、ロシアは、日本のみならず中国あるいは北のフィンランドに至るまで国境紛争問題を抱えておるわけでございますので、そんなに一筋縄に簡単にいく問題とは私ども毛頭考えておりません。粘り強く基本的原則を堅持しながら交渉に当たっていくということだと思います。

宮腰委員 イルクーツク会談では、日ロ関係の相互理解のための啓発活動につきまして、お互いに推進をするという表現になっております。この表現は、日本がロシアに対して直接働きかけをするということを妨げていないわけであります。日ロ関係の相互理解のための啓発活動、外務省としては、直接、もしくは現地での委託なども検討していただいて、ロシアの主要都市だけではなくて地方都市でも啓発活動を積極的に進めるべきと考えますけれども、どのような計画になっておるのかお聞きします。

杉浦副大臣 外務省としてもさまざまな形で努力いたしております。先日も日ロ文化協力協定をお通しいただいたわけでありますが、本当にさまざまにやっております。

 両国国民に対する森総理とプーチン大統領のテレビメッセージをあれしましたり、ロシアのテレビ放送において日本関連番組の放映、これは日ロ文化交流事業でいろいろやっております。あるいは、日ロフォーラムを開催いたしましたり、青年交流事業をいたしましたり、日本関連ビデオの配布事業等もやっております。

 一、二申し上げますと、ロシア国営テレビ、全土に対する放送、例えば「鉄腕アトム」を提供しましたり、樺太の大やけどのコンスタンチン君の国境を越えた命のリレーというようなものも流しております、ほかにもいろいろございますが。それから、極東地方、サハリン州などでも、コンスタンチン君の命のリレーは流させていただいております。映画では、ロシア全土に「七人の侍」「用心棒」といった映画も提供いたしております。基金においては、年間数千万円の予算を割り当てまして、交流事業を積極的にやっております。

 民間でも非常に熱心でございまして、例えば姉妹都市などは、ロシアとは全土にわたって七県三十都市が姉妹都市を提携しまして、地方レベルでの交流もやってくださっているというようなことで、外務省としてもそういった動きを全面的に支えてやってまいる所存でございます。

宮腰委員 昨年の十二月に、サハリンフォーラムで、サハリンの方に行ってまいりました。交流が随分進んでいる、あるいは、そういう交流が進むことによって領土問題に対する理解も多少は進んできたのではないか。当初はけんか腰で領土問題の議論をやっておりましたけれども、交流が進むことによって、お互いに多少は冷静な気持ちで領土問題の話ができるというところまで進んできたということを実感いたしました。やはり、中央だけではなくて地方都市におきましても、今のような交流についてはぜひ積極的に進めていただきたいというふうに思っております。

 先日、政府派遣として訪ロいたしました経団連のミッション、これは、ソ連時代の土光敏夫会長当時以来二十五年ぶりの派遣であったということであります。日本の対ロ投資を拡大するために、両国の官民合同で問題点を解決する日ロ投資促進機構の設置、あるいはロシアでの来年の日本製品の産業見本市の開催を提案し、プーチン大統領もこれに同意する意向を表明したと言われております。

 これらの経済交流や海難救助活動など防衛交流の推進なども、平和条約締結への総合的戦略として着実に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

杉浦副大臣 おっしゃいますとおり、平和条約交渉のみならず、経済分野あるいは国際舞台における協力というさまざまな課題を同時に進行させるということが大切だ。幅広く日ロ関係を進展させていくことが大事であって、それによって領土交渉も、先生のおっしゃるとおりスムーズに進むという面があろうかと思います。

 防衛交流は防衛庁でありますが、いろいろ計画しておるようでございます。今後とも積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。

宮腰委員 実は、私の住んでおるところは、北海道に次いで引揚者の、元島民の方が多い地域でありまして、日ごろからずっと接触をさせていただいております。交渉のポイントのタイミングになりますと、やはり元島民の皆さん方というのは、本当に気持ちが揺れるということであります。

 二十一世紀になりまして、まだこの問題が解決しない。相当進んではまいりましたけれども、そういう中で、国論が揺れ動いているというような印象を与えることは極めてよくない。ぜひ腰をしっかり据えて、四島の帰属問題を解決して、そして平和条約を結ぶというその基本線をしっかりと確立をしていただいて、既に確立はしておりますけれども、誤った印象を与えるようなことがないようにしていただいて、平和条約交渉に臨んでいただきたい。このことを申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。

大木委員長 続いて、木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。

 まず、普天間飛行場の移設問題について質問させていただきます。

 もう一度確認しておきたいと思いますが、普天間飛行場の移設は、日米両国が進めている沖縄米軍基地の整理縮小計画の柱であります。住民の安全確保や跡地利用による地元の経済振興などが期待されているほか、米軍基地への県民の理解を深め、日米安保条約の円滑な運営、これが非常に重要でございます。九六年のSACOの最終報告では、一年かけて工法を含めた実施計画を決定、五年から七年以内に代替施設が運用可能になった後に返還する、こう約束されました。本来、この約束どおりであるのならば、最短で来年には普天間飛行場が返還されるはずであったと思います。

 ところが、六月八日の代替施設協議会でようやく提示されたわけですが、建設案、これによると、移設の前提となる代替施設完成まで最短で六年、最長だと十八・五年かかるという。一体なぜこれほどおくれたのか。その最大の理由は、いわゆる県民の負担軽減と安全保障上の必要性をどう両立させるか、そういった青写真が政府になかった。すべてを沖縄にお願いしていた。政府みずからが主導権をとって、本当に沖縄県民の苦しみ、痛み、こういったものを十分理解していなかった。その辺に最大の問題があると思うのですが、この問題につきまして、尾身大臣、いかがでございますか。

尾身国務大臣 私ども、在日米軍基地の七五%が沖縄にあるという現実を踏まえ、この沖縄県民の負担を軽減するためにいろいろと努力しているところでございます。SACO最終合意の線に基づいて整理、統合、縮小を図っていくということで、その最大の問題が、先ほどのお話のとおり普天間基地の移転でございまして、今その問題に特に重点的に取り組んでいるところでございます。

木下委員 普天間移設の前提である使用期限十五年、これが依然として何ら進展していない。

 先般の田中外務大臣の訪米、その中で、田中大臣はきのうの外務委員会で、普天間飛行場の移転と返還について向こう側に要請したという発言がありましたが、どうなんでしょう。移転と返還ということは、外務大臣は、その中に十五年問題も当然含まれている、十五年問題に直接言及はしなかったけれども含まれるという発言がありましたが、これはもっと言えば、今まである普天間飛行場の返還とそれから移設、移設と返還をアメリカ側はそう受け取ったのじゃないですか。いわゆる十五年問題とは切り離してアメリカ側は受け取っているのじゃないですか。

 その点はきちんと、十五年使用期限問題をやはり言及しなかった、時間的な問題もあったと思いますが、それをもって、返還と移設を言ったのだから十五年問題も含まれているというのは、むしろこちら側の一方的な思い込みじゃないかと思うのですが、その辺は大臣、いかがでございますか。

田中国務大臣 これまでの委員会でも御答弁していますように、この普天間飛行場の移設とそれから返還に係る問題という表現の中に十五年という年限が、期限がもう含まれていることは、先方が既に問題はすべてよく知悉しているとおっしゃっておられましたので、その中に含まれております。

木下委員 米国側のさまざまな高官の方から、これは、十五年問題は拒否するという姿勢が強く伝えられております。

 それで、沖縄県の稲嶺知事あるいは名護市の岸本市長は、使用期限の十五年の要望が満たされない場合は、移設容認を場合によっては撤回する、その可能性もあると。もし使用期限十五年問題が米国に受け入れられなかった場合、移設は白紙に戻るのか、それとも県民の意向を無視して強行するのか。大臣、その辺はいかがですか。

尾身国務大臣 先ほど外務大臣からの答弁にもありましたけれども、この十五年問題につきましては、非常に厳しい問題であるというふうに考えておりますが、稲嶺知事及び岸本市長の要望も私どもとしては重く受けとめて、これを米側との最高レベルの協議で取り上げているところでございます。

 今後とも、国際情勢の変化に対応して、この代替施設問題を含め、沖縄にいる米軍の兵力構成等の軍事体制につきましても、米国側と協議を続けてまいりたいと考えている次第でございます。十五年問題につきましても、私どもは大変に重く受けとめておりますが、今のところその協議を続けるということのお答えでいく以外にないという状況でございます。

木下委員 そうすると、使用期限十五年問題が決着がつかなくても、ただ工法を決め、場所を決め、どんどん計画は進めていくということでございますか。

尾身国務大臣 私どもとしては、先ほど申しましたような地元の要望を受けて協議を続けてまいっているところでございます。

木下委員 いや、地元の要望はよくわかるのです、もう再三言っているわけですから。

 むしろ、これは日本政府の問題なわけですね。本当に政府が沖縄県民の痛みをわかる、一極集中を少しでも回避するという思いがあれば、もう少しこの十五年問題をアメリカに強く迫る、これがなければ、場合によっては、移設も含めて海兵隊を日本に置けないぐらいの強いものがないと、これはなかなか解決つきませんが、田中大臣、いかがでございますか。

田中国務大臣 先ほども申しましたように、移設と返還に係る問題ということで、私は日本の外務大臣として、最高責任者であるアメリカのパウエル長官にお話を申し上げたわけです。

 そして、先方はこの問題はよく承知しているとおっしゃっておられたわけでございますから、ほかでいろいろな発言もあろうとは思いますけれども、このことをしっかりと確認をしていくということが大切ではないでしょうか。

木下委員 国防総省の報告書なんかによると、新しい移設先の飛行場は、運用年数四十年あるいは耐用年数は二百年、そういう報告書が出ているのですよ。ですから、半永久的に固定化して使う、これが国防総省の基本的な考えだと思うのですが、大臣、その辺は承知しておられますか。

尾身国務大臣 これは飛行場そのものが軍民併用でございまして、沖縄県民も民間飛行場として使うということでございますから、その点も考慮しているわけでございます。

木下委員 今、尾身大臣の方から軍民共用だという話がございましたが、これはSACOの最終報告では、長さが千三百メートル、両側へ緩衝帯百メートルずつ、合計千五百メートルだと。ところが、この前の施設協議会の決定では、これが二千メートルになっているわけですね。二千メートルになった上に、両端に緩衝帯三百メートルずつつける、二千六百メートルになったわけですね。

 これを考えてみますと、大臣、これはもう沖縄県民の苦肉の策なんですよ。要するに、十五年問題もなかなか解決つかない、これは場合によってはもうここへ持ってこざるを得ない、そのためにはやはり政府から少しでも経済支援を引き出そう、そうでないと県民の皆さんが納得しない。その苦しみの結果、出てきた沖縄県側からの要請なんですよ。

 それで、私もずっとジャーナリストとして何回も沖縄へ行きました。やはりこれまで基地経済で、基地におんぶしてきた経済、これから脱却しようというのが今後の沖縄の進むべき道なんです。それを捨ててまで、あえてこれだけ巨大なものをつくろう、これはもう政府に幾ら言ってもだめだと、県民を納得させるための一つの方策である。大臣、本当にこれだけ巨大な軍民共用飛行場が必要なんですか。

尾身国務大臣 当初計画は、おっしゃるとおり千三百メートルであったというふうに聞いておりますが、その後、いろいろ地元の方々と相談をしている中で、やはり地元で、民間飛行場として使い、軍民共用にしたいという要望が沖縄側から出てまいりまして、これを二千メートルにしようというふうになったと私は聞いております。

 そして、三百メートル、つまり二千六百メートルに今なっているわけでございますが、この前後三百メートルは、いわゆるオーバーランと称して、ゆとりを持って安全に航空機が離発着できるような、ゆとりということで三百メートル足しまして二千六百メートルにしたということでございまして、民間飛行場としても使えるということを考えてこういう規模になったものでございます。

木下委員 私も随分沖縄に聞きました。具体的にいわゆる需要と供給についてのアセスメントも何もなく、ただ大規模なものをつくればいい、これがやはり発想なんですよ。

 具体的に、那覇空港は今一本の滑走路があります。ここで現在、キャパシティーを私は調べました。年間千三百万人の旅客を運べるそうです。平成十一年度で、国内旅客千六十八万、国際旅客三十二万七千。ですから、この一本の滑走路だけでもまだまだキャパシティーがあるわけです。

 地元から聞きますと、地元では、場合によってはもう一本滑走路をつくろうという動きさえあるのです。ですから、あえてわざわざあそこへ軍民共用のものをつくらなくても、那覇空港だけで十分まだ間に合うのです。ましてや、家島にもやはり飛行場があるわけですが、今それはどうなっていますか。遊休地になっているのですよ。ほとんど使われていないのです。

 ですから、こういうものを幾つもつくったところで、沖縄の経済にとっては、ただその工事のために潤うというだけであって、それが県全体の発展につながるかどうか、これははっきりわからないわけでしょう。どうですか。

尾身国務大臣 この点につきましては、私は委員と全く意見を異にしております。民間用にも使えるということにしてほしいというのは、北部を中心とする沖縄の方々からの要望でそういうふうになったわけでございまして、この飛行場を民間用にも使うということは、特に北部地区の経済の発展にも役に立つものであるというふうに私は考えております。

木下委員 だから、それは、私が先ほど言いましたように、やはり十五年問題が解決つかない、結局はここへ来るのだろう、だったら民間の飛行場もつくってもらって少しでも政府から金を落としていただこう、それが沖縄県民が潤う苦肉の策だと。その辺なんですよ。

尾身国務大臣 私は、この地区に民間との共用の飛行場、空港をつくるということは、仕事がふえるとかいうことではなしに、この北部地区、実は、一時間半くらい那覇空港との間の時間がかかるわけでございますが、そこに、北部の人のために使いやすいように、また観光にも使えるように民間用に使う飛行場があるということは、やはり北部の経済の振興に非常に役に立つ。

 そういう意味におきまして、北部の方々、それから沖縄の方からの要望であり、それが全体としての沖縄経済の発展にも、少なくとも民間で使えるという意味においてはプラスになるということは確実にあるというふうに考えております。

木下委員 私も何回も沖縄へ行きました。今、道路も相当よくなっています。那覇空港から北部に行くのに、車で行けば、今の交通のあれを考えればそんなに不便じゃないし、ましてや、那覇空港だけで観光あるいは産業を十分賄えるのです。もし、北部振興あるいは沖縄振興ということであれば、今までやられてきた一次から三次まであった沖縄産振計、これでやればいいのです。自然を破壊して、騒音とかその他を、あるいはさまざまな環境問題を起こします。そういうのまでしてあえてつくる必要はない、これは私が何人もの沖縄の人たちに聞いたあれです。

 ただ、一部ゼネコン関係者とか仕事をやっている関係者は、来れば政府からお金が入る、そういう気持ちがありますから、それはあそこへできればいいでしょうけれども、多くの人たちは、やはり那覇空港で十分だ、こっちは自然をそのままにしておきたい、環境を大事にしておきたい、それが偽らざる気持ちだと思うのですけれども、その辺はいかがでございますか。

尾身国務大臣 この普天間飛行場の移転問題につきましては、その点につきましては、特に民間用にこの空港を使うということにより北部経済に非常にプラスの影響があるという点につきましては、私は、まさにそうなるというふうに考えておりまして、委員の意見と異なっております。

 そして、そういう中で、地元の方々の御意見を踏まえた中で、具体的な基本計画をつくって移転を進めてまいりたいということでございまして、地元の方々の理解を得るということがこの移転を実現する非常に大切な要件であるというふうに考えております。

木下委員 これは見解の相違と言ってしまえばそれまでですが、もう少し、沖縄県民の皆さんの本当の気持ちをやはり日本政府は吸い上げてもらいたいと思うんです。これまで、本当に基地で苦しみ、大きな負担を背負ってきた、そういう人たちが今どんな気持ちでいるのか。経済が潤うからいいじゃないか、そんな問題じゃないと思うんです。その辺をもう一度しっかり考えてもらいたい。

 それから、田中大臣がこの前の訪米で、海兵隊の訓練の一部を沖縄から外す、大変画期的な提案だと思うんですが、ただ、そういっても、あそこの基地はなくならないわけでございまして、私は、十五年問題がきちんと、沖縄のやはり最低の願いだと思うんです。それがもし解決できなければ、これは、大臣も言われたように、例えばサイパンとかグアム等への移設もあるだろうし、場合によっては、沖縄県民だけに負担させないという日本政府の覚悟があれば、例えば本土へそれを持ってくるぐらいの覚悟をやはり私たち本土の国民もしなければいけない。政府も、それだけの痛みをやはり覚悟しなければいけないと思うんです。

 口だけで沖縄県民は大きな犠牲、負担と言っていながら、ここまで延ばし延ばし来て、結局解決つかないとすれば、やはり私たち本土の人たちも、痛みを分かち合うとすれば、場合によっては普天間飛行場を本土に持ってくる、その覚悟がなければ僕は解決しないと思うんですが、尾身大臣、いかがでございますか。

尾身国務大臣 在日米軍基地の七五%が国土〇・六%の沖縄にあるということは、沖縄県民に多大な負担をかけている、その点については、私ども大変な負担だなという思いでございますが、木下委員のお話、この沖縄基地問題について真剣に考えれば考えるほど、今おっしゃったような問題提起をされるという気持ちも、私は、実を言うと痛いほどわかる気持ちでございます。

 ただ、沖縄にあります海兵隊の訓練を本土において受け入れる余地があるかどうかということにつきましては、訓練の内容とか本土における施設の状況とか地元の状況等もございまして、私がどこでやれるではないかというようなことをなかなか申し上げかねるということも実情でございますので、これもまた御理解をいただきたいと思います。

 ただ、これまでも、SACO最終報告にございますように、沖縄の県道百四号線越えの実弾射撃訓練につきましては、本土の演習場においてこれを分散して実施するということは決めているところでございます。

木下委員 これは訓練だけじゃなくて、場合によっては基地そのものも本土へ移転するぐらいの覚悟がやはり我々国民もなきゃいけないし、政府も覚悟がなきゃいけないと思うんです。

 そういう意味では、今、岩国基地があるわけです。この岩国基地、米海兵隊岩国航空基地、これは一例ですけれども、ここも今、大変な増設工事をやっているんです。

 もう御存じだと思いますが、この岩国基地の概要をちょっと簡単に言いますと、ここは本土における唯一の海兵隊駐屯地で、沖縄基地群とともに、今最も活発に活動している。現在、瀬戸内海を埋め立て、沖合一キロに現存の滑走路に平行してもう一本の滑走路を造成中である。そして、二〇〇五年には、現在より二百十五ヘクタール拡大して現在の一・四倍の面積となり、横田空軍基地より一回り大きい、二本の滑走路を持つ海兵隊航空基地に生まれ変わるわけです。この滑走路沖合移設だけで千六百億円もかかるわけです。加えて、埋立地には延長三百六十メートル、水深十三メートルの岸壁まで築造され、空母も接岸可能な規模になるわけです。

 今、日本のあれを見ますと、沖縄の普天間の海兵隊、それからこの岩国の海兵隊、それから佐世保の、これはいわゆる強襲揚陸艦群がいるわけですが、この三つが一体となって、何か一朝有事のときには出動できるような体制になっているわけです。とすれば、場合によっては、岩国へ移転することも検討してみたらいかがでしょうか。あるいは、それは尾身大臣の地元だって、田中大臣の新潟だって、もし本当に沖縄県民の痛みがわかるんだったら、これは極論ですけれども、引き受けるぐらいの覚悟があってもいいと私は思うんですが、大臣、いかがでございますか。

尾身国務大臣 私も、その辺につきましては、申しわけございませんが、甚だ不案内でございまして、どこがいいとかそういうことは言える状況ではございませんが、いずれにいたしましても、SACO最終合意をしっかり実現して、基地の整理、統合、縮小を進めていくというのが現下の私どもの課題でございまして、これを何とかしっかりと進めて、沖縄県民の皆様の負担をできるだけ軽くしていきたいと考えている次第でございます。

木下委員 それから、もし普天間飛行場が移設された場合、防衛庁は、新しい移設した飛行場には普天間基地の米海兵隊のヘリをそのまま移すという説明をしていますが、国防総省の文書には、次世代の米海兵隊の主力輸送機である新型垂直離着陸機MV22オスプレー、これが三十六機配備される予定であることが記載されている。もしこれが事実だとすれば、基地の整理縮小ではなく、前方展開基地として基地の強化、固定化ではないかと思うのですが、このオスプレーの配備というのはどの程度承知しておりますか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、木下委員御質問のMV22オスプレーの配備でございますけれども、これにつきましては、これまでも国会で繰り返し御質問がございまして、私どもも累次にわたりまして米国政府に照会してまいりましたが、これまで得ている回答では、米国政府として具体的な予定はないというふうに報告を受けているところでございます。

木下委員 時間もありませんので、最後に、米軍人や軍属ら米軍関係者が引き起こす事件、事故が依然として頻発しております。被害者に対する損害賠償についてお尋ねしたいと思うのですが、米軍人や軍属ら米関係者が起こした事件、事故で、過去五年間に那覇防衛施設局に対して八百三十件余りの賠償請求が被害者から申請されていることが最近明らかになりました。

 日米地位協定第十八条五項には公務中の事件、事故について、同六項には公務外について記されています。公務中の場合は国内法により国が損害賠償責任を負うことになっていますが、公務外の場合は、当事者同士の示談交渉が基本になることから、その被害者は十分な補償を受けることができない。

 実際に、今、お手元に資料をお配りさせていただいたんですが、先般、被害に遭われた方々が四つの民事訴訟を起こしました。金城さん、海老原さん、喜屋武さん、儀保さん、これにございます。実際に事故が発生しても、これは裁判結果が出たんですが、この支払いを見ますと、例えば海老原さんなんかを見ますと、SACOの支払いで日本が三千百七万円、米国側の支払いが五百五十六万円です。こういう、要するに、ほとんどやはり日本側が負担している。この現状についてどう思われますか。

山中政府参考人 補償業務についてのお尋ねでございますが、今御指摘いただきましたように、公務外の事件、事故に係る補償につきましては、当事者間の示談によって解決するというのが原則でございます。

 ただ、その場合に、加害米兵が補償能力がないというような場合には、地位協定十八条六項の規定によって米国政府がかわって支払いを行うということになっておりますが、その場合に、米国政府の補償額の決定についての考え方が、民事訴訟における確定判決のもとになっている考え方と当然違う場合が生じます。例えば、過失割合の認定でありますとか、被害者の逸失利益をどういうふうに見込むか、あるいは慰謝料そのものに対する評価、こういったものに差異が生じてまいります結果、確定判決額と、米側、米政府の支払い額に差が生じてまいるということでございます。

 そこで、私ども、特に被害者救済という観点から、これはSACO最終報告において措置をされたことでございますが、差額につきまして見舞金として支払うということで、御指摘の事案につきましても、その差額の支払いをお見舞金として支払ってきておるということでございます。

木下委員 恐らく米国側には、米国内法に基づく慰謝料、見舞金制度というものがあると思うのです。しかし、この制度はあくまでも米国側による好意的、恩恵的制度であるため、被害者にとっては極めて不十分なものとなっています。

 その一つとしては、査定基準が非常に低い、提示額も極端に低額、手続と支払いに長時間を要する、裁量権はすべて米側にあり、被害者側は低額でも従うしかない。要するに、相当な格差があるわけですね。ですから、やはりここは、日米地位協定を運用改善ではなくて、地位協定をきちんと見直して、被害者が十分補償されるような形にしていかなければいけない。

 ここに四人の裁判の結果が出ていますが、そのほかの人たちというのはほとんど泣き寝入り、要するに、裁判結果が出ても米兵がアメリカへ帰っちゃう、あるいは支払い能力がない、よく事故の結果もわからない、それで泣き寝入りしているわけですね。そういうことがないためにも、やはり日米地位協定十八条、これを運用改善ではなくきちんとした形で改定してもらいたいと思うのですが、田中大臣、この問題について、これまで何らかお考えになったことがございますか。

田中国務大臣 おっしゃっておられます地位協定の十八条六項の運用でございますけれども、これは防衛施設庁と相談をして今後とも適切に対応したいと思います。しかし、今のいただいた資料を拝見しますと、やはり支払い額に相当の差があるということも正確に出ておりますし、しっかりといろいろな事犯を見きわめながら対応しますけれども、行き過ぎた場合には、改善、それから改定ということもやはり視野に入れていかなければならないと思います。

 こういう点も、今中谷長官が行っておられますけれども、また連絡があるときにお話をいたしますけれども、私も、こういうことについて、限られた時間内において、かなり詰めてパウエル長官にお話ししてございますので、あちらの出方を待たなければいけませんけれども、またこうしたことについてしっかりと確実に情報を得ながら、日本が不利をこうむることがないように、必ずよく対応いたしてまいります。

木下委員 田中大臣から大変前向きな発言をいただきました。本当にありがとうございました。ひとつよろしく御配慮のほどをお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

大木委員長 次に、小林憲司君。

小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。

 本日は、田中大臣が訪米されてお帰りになったということで、沖縄の問題を中心に御質問させていただきたいと思います。

 田中大臣は、今回の訪米で、沖縄のアメリカ軍海兵隊訓練の一部移転をパウエル国務長官にプロポーザルされたというふうに聞いております。それに対しまして、パウエル国務長官は、すべての選択肢を検討していきたいと答えられたということでございますが、この発言は、訓練の一部を沖縄から他の国へ移転する方向で積極的に検討しますよというようなニュアンスがあったんでしょうか、それとも、すべての選択肢、いろいろあるけれども、沖縄についても世界の基地問題と同じように、その一つとして考えていく方向にあるよというようなニュアンスだったんでしょうか。ぜひとも非常に、どのようなニュアンスですべての選択肢ということを言われたのかということを教えていただきたいなと思いまして、よろしくお願いします。

田中国務大臣 すべての選択肢とおっしゃりながら、再三再四私が強く申し上げたことに対して、ラムズフェルド長官にしっかりと自分からデリバーするということを二、三回おっしゃいました。

 ですから私は、これはまだきのう、おととい言ったことでありますので、結果をしっかり見届けていかなければいけないというふうに思っています。

小林(憲)委員 続きまして、田中大臣は、パウエル国務長官との会談で、日米関係は互いの受益と負担を考え直す折り返し点に来ているという指摘をされた上で、海兵隊の訓練の一部移転を提案したというふうに記者会見の結果聞いておりますが、大臣は、沖縄の基地問題を、この日米の受益と負担という観点からどのように考えておられるでしょうか。そして、海兵隊員の相次ぐ不祥事の中で、日本側、特に沖縄県民の負担が過重だと考えておられるでしょうか。ぜひともお教えください。

田中国務大臣 私が冒頭申し上げました受益と負担ということは、言ってみれば私の政治家としての大きな哲学を申し上げたわけでして、それは、安全保障の問題、今回この委員会で討論されていることはもう基本であります。

 と同時に、私が発言いたしましたことを繰り返しますと、これは日本の問題であって直接アメリカではありませんけれども、社会保障制度のあり方、それから税制の問題、財政のあり方、そういうことすべてが、日本人が自分の一人の個人として社会にどのように貢献していくかという視点に立って、自分がどのような受益を得るためにはどれだけ貢献しなければいけないかということを考えるべき曲がり角に来ているという発言をいたしました。これは、大きな哲学の問題、政治家としての私の思いなんですね。

 そして、具体的に申しましたのは、負担ということも、今度は安全保障問題ですけれども、沖縄に七五%も全部背負わせてしまって、一般の私たち国民が涼しい顔をして安全を享受しているということはまかりならないと私は思っているんです。したがって、沖縄の痛みは私たち国民一人一人の痛みとして受け入れていくようなマインドを持たなきゃならないし、そのようなまた制度をつくらなきゃいけない。

 したがって、日米安保は、日米の関係は基軸である、これを今後も変えてはいけない。けれども、長い目で見ると、安全保障制度ができて五十年たっております。したがって、五十年たった今、いろいろな、先ほど前委員から、木下委員からも御指摘のあったような諸問題が、環境にしろ騒音にしろ、それから遊休地の問題にしろ、そのほか事件、事故、事犯、いろいろ起こっていますね、そういうことについて、アメリカ側もできることから、それから海兵隊の一部移転もそうですよ、訓練の移転もそうですが、そういうできることもあるはずだ。そういう沖縄県民の、私たち日本人の痛みをアメリカもしっかりとすくい取って、そしてそれを解決できることからやってください、それをすることによって、さらに日米間は、軍事だけではなくて、日本人とアメリカ人もよい関係を再構築できる、そういう意味で、受益と負担、そして時代の曲がり角であるという認識を示しました。

 さらに言えば、なぜ小泉内閣が八〇%を超すすごい支持を得ているか。これについても、私は全員にお話をしました。それは何かというと、今までのような日本の政治の意思決定の仕方、だれが責任をとっているのか、日本はどうしようと思っているのかさっぱりわからないような内閣が次から次へと出てきている、そんなことに対して、もう国民はうんざりしているわけです。したがって、もっと見える形で政策を進めてほしいということが小泉内閣に対するエールであり、応援なわけです。

 それで、私たちは負託にこたえなければいけないし、現実にそのような施策をとっているということを、ゼーリックさんにも、経済の面でも申しましたし、私の政治家としての哲学はそこにあるということを話したんです。

 したがって、今おっしゃったような海兵隊の犯罪の問題等につきましても、もちろんアメリカは、十二分に倫理や行動規範ですとか厳しい教育等はしているでしょう。しかし、していても、やはり人間の社会ですからいろいろな問題が起こるわけですよね、先ほど木下委員が指摘なさったようなこと。それに対してしっかり対応しないと根本が崩れますよということを私は話したのです。そうしましたら、わかったから、それについては改めて自分からラムズフェルド長官におろす、しっかり伝えると二、三回おっしゃったのですから、これは責任を持ってトップとしてなさると思っております。

小林(憲)委員 確かに、今のお話の中にありましたとおり、今回の田中大臣の訪米は、途中でブッシュ大統領が非公式にあらわれるということは……(田中国務大臣「お化けみたいじゃないですか」と呼ぶ)お化けみたいという話も出ておりますが、日本の外務大臣としては本当に存在感をあらわした、リーダーシップのある人が来た、小泉内閣の人気、そして田中大臣の人気ということで、どういう人だろうかということで多分来られたのかなというふうに思っておりますが、そういうことであれば、ぜひとも、どんどんとリーダーシップを発揮していただいて、政治家主導の解決策をいろいろな形で出していただきたいと思っております。

 そこで、今お話がありましたとおり、沖縄の米兵、特に海兵隊員による犯罪が後を絶たない。大臣がおっしゃったとおり、アメリカにもできることがあるではないか、できることをやりなさいということでございますが、これは、私は、一万五千人いる海兵隊員の質の問題、これをまず解決していただかなければならないと思っております。米本国での教育の不足などが大きな原因であるのではないかということは、私もずっと言ってきたことなんですが、外務大臣は、この辺はやはり本国での教育をもっとしっかりして、この一万五千人いる海兵隊員の質を上げていただきたいということは、細かいことですが、その辺の話はされたのでしょうか。

田中国務大臣 そういう表現はいたしておりません。

小林(憲)委員 次に、先ほどお話がありましたとおり、本当にいろいろな安保の問題、五十年たってきております。日米地位協定と安保の問題というのは、アメリカ側から言わせますと、これはワンセットだと。セットとして発足してずっと来ているのであって、ですから、改定する必要はなくて、それの運用を変えていけばいいだけだというような話が出ております。外務大臣、今回、この日米地位協定については限定してお話をされたのでしょうか。

田中国務大臣 騒音ですとか環境問題ですとか、あるいは遊休地の問題、これは本土に主にございますけれども、それとか事件、事故、そういうことの地位協定にかかわる問題はすべて指摘をしっかりいたしました。それについて長官は、問題はよくわかっているというふうにおっしゃってくださいましたので、やはりこれは即応性を持ってアメリカも対応してくださることを私は期待いたしております。

小林(憲)委員 私が以前委員会で、河野前外務大臣に質問させていただきました。沖縄での海兵隊員による犯罪が多発しているけれども、地位協定の改正までは考えていない、運用の改善で何とかしたい、そういうふうに前外務大臣はおっしゃったのですが、田中大臣はいかがでしょうか。これは政治主導でいかないとどうしても前に進まない問題だと私は思うのですけれども、政治主導で改正からきちんとやっていきたいというふうにお考えでしょうか。お教えください。

田中国務大臣 いろいろな事犯を注意深く見詰めていかなければいけませんけれども、日本が大変不利をこうむって、これ以上いく場合には、当然改正を視野に入れていく。それはもう政治主導というよりも、納税者の皆様、国民の皆様の痛みに対して政治がこたえるというのは当然だと思います。それが政治の責任ではないでしょうか。

小林(憲)委員 納税者、そしてまた国民の痛みということはわかるのでございますけれども、これはもう本当に、沖縄では、沖縄だけの問題ではなくて、日本という国、独立した国家として、地位協定というものがある現状で、本当にしっかりと日本の国民の人権と納税者、そして日本の政治によって動いている人たちの権利が守られている、現状ではいけないという思いはあるということで、理解してよろしいでしょうか。

田中国務大臣 結構です。

小林(憲)委員 私は、安保の問題から発展させていただきますと、以前より、日本の国が集団的自衛権を行使できないという憲法の解釈を変更しないことが日米が対等な関係を構築することを阻害している、その結果、沖縄に過重な負担を強いているというふうに考えております。基地問題に関しましても、この地位協定に関しましても、本当に日本が集団的自衛権をしっかりと行使できるような状態をつくり出せば、お互いにきちんと解決ができる、対等に話し合いができる問題である、そう思います。

 六月十四日の安全保障委員会で、私は、田中大臣に集団的自衛権に関する明確な大臣御自身のお考えをお聞かせいただけませんかというふうにお伺いさせていただきました。そのとき、そういうことに関してはこれからみんなで話し合っていけばいい問題ではないでしょうかというような意味合いのことをお答えいただいたと思います。

 しかし、きょうは大臣に、集団的自衛権について憲法解釈を変更すべきなのか、それとも時間をかけて憲法を改正して集団的自衛権を憲法に明記すべきなのか、あるいは日本は集団的自衛権を行使する必要がないというふうにお思いなのか、ぜひともこの辺について教えていただきたいと思います。

田中国務大臣 これは小林委員から毎回お尋ねいただくことなんですけれども、この小泉内閣、やはりこのことについて前広に研究をしていきましょうということでございます。そして、去年、おととしからでしたか、衆参でもって憲法調査会もありますし、私もあれは初めからずっと参加しておりました。あそこでは、大変前広にいい議論、意見が出ております。したがって、それらを集約しながら、国民的合意を得ながら進めていくべきもの、それが民主的であるというふうに思います。よろしいでしょうか。

小林(憲)委員 これは、言及するということはなかなか難しいことだというふうに思っておりますし、ぜひとも小泉内閣では前向きにこの問題については解決していっていただきたい。本当に、時間がかかっている問題ですし、沖縄の問題、基地の問題、それからアメリカと日本の関係、これは、もう一番問題になってくるのが今の日本の国の安全を守る安保の問題に限ると思っていますので、ぜひとも根本を各大臣にはしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、沖縄振興開発計画について尾身担当大臣にお伺いしたいのです。

 尾身大臣は、このたび沖縄及び北方対策担当大臣に就任されたわけでございますが、基本的に三次にわたる沖縄振興開発計画についてどのような評価をされているでしょうか。沖縄振興開発計画は、これまで本土との格差是正を掲げてきたわけでありますが、成果が上がってきたと考えられておられるのでしょうか。尾身大臣、ぜひとも教えてください。

尾身国務大臣 沖縄が本土に復帰して以来、三次にわたる振興計画を遂行してきたわけでございまして、その間、約六兆円のインフラ整備のため等の資金を投入いたしました。その結果として、インフラの整備状況等はかなり本土に近づいた、格差是正がかなり進んだというふうに言われているわけでございます。

 しかしながら、県民所得平均が日本全体の七三%でございまして、まだかなり低い。それからまた、失業率も現在七・九%という本土の二倍弱の失業率になっているわけでございまして、さらにこれからも産業を振興し、雇用を拡大するということについて、私ども力を入れていかなければならない状態であるというふうに考えております。

小林(憲)委員 いよいよ来年度からポスト三次振興計画が始まるわけでございますが、現在その準備が着々と進んでおるというお話は、先ほど来いろいろとお伺いさせていただきました。

 この新振計につきましては、本土との格差是正を外すかどうかで沖縄県議会などで議論がなされているといいますが、この新振計は未来志向のものとしていきたいというお考えであるとは思いますが、一方で、依然としてある格差の実態をどうするかという論議もございます。

 新振計に向けた仲村副大臣御自身の基本的な哲学といいますか計画といいますか、お考えを教えてください。

仲村副大臣 私は、小林委員が大変重要な問題をお取り上げいただいたものだと思っております。

 昭和四十七年、沖縄が本土に復帰したときに、本土と沖縄の社会の面あるいは社会資本整備の面での格差は、非常に劣悪な状態でございました。

 その格差が発生した理由は、何といっても、去る大戦で全国唯一の地上戦が行われて、社会資本のすべてが壊滅状態になったということがまず一点。二点目は、米軍が上陸して二十七年間、米軍の占領統治がしかれたわけでありますが、その間、まさに民生不在、軍事優先の政策が進められてきまして、その中での社会資本整備というのが非常におくれた。したがって、復帰の時点で考えてみますと、あるものは五〇%、あるものは三〇%、あるものは〇%というような状態でございました。

 したがって、復帰して今日まで三次にわたる振興開発計画の中で、格差是正というものは最優先課題として取り組んでまいりまして、社会の各面で格差は縮められてまいりました。格差がすべてなくなったということではございませんけれども、しからば今後の振興の方向として、今申し上げた点は全部、沖縄の抱えている不利性から発生した格差でございまして、今後のこの格差を是正していく、なくしていく方策として、沖縄の持つ優位な点を生かしていくことによって、この格差は是正できるという考え方に立っているわけでございます。

 御承知のように、沖縄県は日本全体の南の玄関口に位置しておりまして、国際交流の拠点として、非常に優位な場所にあるわけでございます。昨年、九州・沖縄サミットの首脳会議が行われたのでありますが、この首脳会議が行われた会場は万国津梁館と命名されておりますが、一四五八年に、当時の尚泰久王が、首里城に万国津梁の鐘を掲げたわけです。その中に何と書いてあるかというと、我が琉球は、日本本土、朝鮮半島、中国の中間にあって、蓬莱のわき出る島である、これからは近隣諸国と友好親善を深め、物の交流、人の交流、文化の交流を図ることによって沖縄は繁栄していく、こういうことが記されておるわけでございます。まさに国際交流の拠点として昨年のサミットを成功させたことが、今後の沖縄を、いわゆるコンベンションアイランドとしての位置づけが非常に強くなった、こういうことが考えられるわけでございます。

 次に、沖縄は、御承知のように海洋島嶼性の、青い海、青い空、そして白い砂浜のすばらしい自然景観を持ち合わせた地域でございまして、今申し上げたように、琉球王朝五百年の歴史の中で築き上げた、非常に格調の高い歴史、文化を持っている地域でございます。幸いに、首里城を初めとするグスク群が世界遺産に登録された、こういうこともございまして、これからの国際的な評価にたえ得る、いわゆる観光・リゾート地としての発展の可能性が非常に高い、こういうことも考えられているわけであります。

 三つ目には、沖縄はアジア太平洋地域の中心に位置しておりまして、アメリカが、中国やアジア向けの光ファイバー海底ケーブル、これが全部沖縄に陸揚げされておるということもあって、これからの情報通信のハブの位置として非常に有望視されておりますので、いわゆる情報通信拠点形成を図っていこう、これからの世界のメディアアイランドとして発展を図っていこうというのが三点目でございます。

 それからほかに、唯一、我が国の亜熱帯気候の地域でありますし、また、日本一長寿の県であります。

 そういった利点を生かしていくことによって格差の是正は十分できるという視点に立って、あえて新振計の中に格差是正という考え方は入れていない、こういうことでございますので、どうぞ御理解をいただきたいと思っております。

小林(憲)委員 小泉内閣が掲げております聖域なき構造改革が、沖縄振興にも及ぶのかなということについてお伺いしたいのです。

 国債発行を三十兆円までに抑えるということで、小泉内閣は、あらゆる面で歳出の削減を進めておるわけでございます。今仲村副大臣からもお話がありましたように、大分状態はよくなってきているといいましても、なかなか沖縄というものは、これからまだまだお金がかかっていっても当然かなという思いもありますが、尾身大臣、沖縄予算も歳出削減ということで見直しの対象になるのでしょうか。

尾身国務大臣 小泉政権、聖域なき改革ということで、あらゆる予算、その他制度も見直すということでございまして、原則論的な考え方から申し上げますれば、沖縄もその例外ではないというふうに考えております。

 しかしながら、現在、沖縄に日本全体の七五%の在日米軍基地があり、そのことによって沖縄県民の皆様が重い負担を背負っておられるという現実は、我々日本人全体から見て、このことは決して忘れてはならないことでございまして、そういう観点から考えますれば、聖域なき改革ではございますが、沖縄についての特別な配慮というものは当然続けていかなければならない、あるいは強化していかなければならないと私は考えております。

小林(憲)委員 もちろん、国民の税金を使うわけでございますから、むだな部分を削るというのは当然だということだと思います。しかし、経済の格差の是正を掲げるにしろ、未来志向になるにしろ、沖縄振興のための予算の総額自体は維持していく必要があるのではないでしょうか。財政再建ということもございますが、沖縄の置かれた立場の特殊性ということもやはり考えていただかなければならないというふうに強く思いますので、どうか大臣、よろしくお願い申し上げます。

 次に、先ほどちょっと御質問があったと思うのですが、報道によりますと、政府は、沖縄県内に新しく科学技術系の大学院大学を設立するという構想をお持ちのようです。

 これは先ほど御説明がありまして、国際的なものにしたいですとか、いろいろなことが出ております。尾身大臣は、二十三日に沖縄入りした際にこの構想を説明されたと聞いておりますが、御説明をされたときに、これは地元ではどんな感じだったでしょうか。それとあと、きちんと、これも絵にかいたもちにならないようにしていかなければいけないとは思うのですが、何かこの思いについて、ぜひとも御説明をお願いします。

尾身国務大臣 沖縄に大学院大学、私は世界の最高水準というふうに考えておりますが、そういうものをつくりたいということで、かねがね、内々いろいろと検討をしているところでございます。もとより、まだ正式に決まっているわけではございませんで、政府部内で何とか意思統一を図ってこれを進めてまいりたいと考えているわけでございます。

 これは、今まで沖縄に存在する大学との連携も強化しつつではございますけれども、できれば非公務員型の独立行政法人にして、国際的に通用する大学院ということで、半分ぐらいの教授及び学生はほかの国から、アジアを中心とする世界各国から集まっていただいて人材養成をする、そして講義も全部英語を使ってやっていただく。世界に通用する人材、特に最高レベルの科学技術の人材を育てる核にしていきたいというふうに考えている次第でございまして、沖縄の米百俵というふうに私は考えているわけでございます。

 関係の皆様の御支援をいただいて、この意欲的な構想をぜひ実現していきたいというふうに考えておりますので、どうぞ御支援のほどをよろしくお願い申し上げます。

小林(憲)委員 ぜひとも、今の尾身大臣のお話にあったような、沖縄にあることが意義がある、そういう構想にしていただきたい。そしてまた、沖縄の皆さんにとってそれがあることが誇りであるようなものになっていってほしいと思いますし、本当の意味での国際的な大学になっていただきたいと私は思います。何をしても、日本は手前みそのようなことで、自分たちだけで何かやって、これは国際的だ、国際的だと言っておるような感がありますけれども、本当にアメリカで認められる、また諸外国にも認められる、そんな構想であってほしいと思っております。

 最後になりますが、報道によりますと、国会が終わりますと今度は尾身大臣が訪米されるということでございますが、これは普天間代替施設についてお話をされるという予定なんでしょうか。それとも、ほかにもいろいろと何かあるのでしょうか。それをぜひ教えていただきたい。お願いします。

尾身国務大臣 私は、沖縄問題以外に科学技術政策も担当をしておりまして、この面で、先ほどのお話にもやや関係がございますが、科学技術面における産官学の共同研究の推進を図って、外国並みの日本経済の活性化を図っていきたいというふうに考えておりますので、そういう点での関係者とのいろいろな話し合いも考えております。

 沖縄につきましては、かねがね、外務大臣あるいは総理御自身あるいは防衛庁長官も行かれていろいろな話をしておりますが、私自身も、在日米軍基地の沖縄における重さというもの、そしてまた沖縄県民の皆様の負担の大きさというものを踏まえながら、沖縄県民の要望、問題提起等をしっかりとアメリカ側に話をさせていただいて、また先方の御意見、考え方も伺ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 沖縄の米軍基地の存在は、日本の安全のみならず、アジアの平和と安定に大変に寄与しているという実態もございますが、同時に、県民の皆様に大きな負担をかけているということでもございまして、SACO合意の実現などによります基地の整理、縮小、統合等を進めていく、そういう考え方もしっかりと伝えてまいりたいと考えております。

小林(憲)委員 今お話がありましたとおり、本当に今の日本の国は、自分の国を自分で守っていない状態が続いておるわけでして、基地の統合、そしてまた縮小という話についてぜひとも要求をしていくということを大臣からお聞きしましたので、今後の外交の課題であると思いますし、やはり小泉内閣になりましてからの諸外国の注目度というのはかなり強いということも、今回の田中大臣の訪米で皆がわかったことではないかなと思います。ぜひとも、こういう基地の問題を中心として、しっかりと日本の意見を、腰に骨のある外交をしていっていただきたい。

 本当に今小泉内閣は、ライオンハートですとかライオンですとか言われておりますし、今回、田中大臣が向こうに行かれて、多分アメリカ人はタイガーレディーが来たと言っておると思いますが、尾身大臣も、小泉内閣としてぜひともしっかりとアメリカに意見を言っていただきたいと思います。

 終わります。

大木委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。

 質問の前に、尾身大臣、田中大臣、両大臣におかれましては、当委員会、小泉内閣初の委員会が開かれ、御出席をいただき、本当にありがとうございます。

 尾身大臣におかれましては、沖縄北方担当の大臣として、日々重要な職責を献身的に果たしていただいておるということに心からの敬意を表させていただきたいと思います。

 そしてまた、田中大臣、訪米後、普通あいさつでお疲れさまでしたと言うのですけれども、本当にお疲れだと思うのですけれども、この委員会に御出席をいただいております。まことにありがとうございます。

 大臣就任以来、田中大臣は、若干険悪化しつつあった日中関係を一人で立て直しに行かれ、また、返す刀で日米首脳会談の地ならしを行い、一方、各国の外務大臣とは緊密に連絡をとられるなど、大臣としてのその外交姿勢、私は、心から感服をいたしております。現在、秘書官が足りないという報道もありますし、でき得るならば私が秘書官になりたいぐらいだというふうに思っておりまして、私の場合は口もかたいですし、機密が漏れることは一切ございませんので、安心して、もし必要ならばお声をかけていただきたいというふうに思っております。

 そしてまた、大臣が外交機密費の問題等をめぐって外務省改革を必死におやりになろうとしている、その姿勢に国民の皆さんは大きな共感を持っているわけでございまして、ぜひ自信を持ってその職務に当たっていただきたいというふうにエールを送らせていただきたいと思います。

 ただ、外務省の中には、まじめに、一生懸命に仕事をしていらっしゃる方も数多くいるのだろうというふうに思うのですね。もし大臣が、この人には責任をとってもらわなければいけないというふうに思っていらっしゃる方が外務省の幹部の中にいるとすれば、その責任をとるべき人には早く責任をとっていただいて、外務省の新体制を早期に立ち上げていただきたいということもあわせて要望をさせていただきたいというふうに冒頭お願いを申し上げます。

 さて、それでは質問に入らせていただきたいと思います。まず、田中大臣、もう何回もいろいろな場所で聞かれていることでありますが、質問の流れもございますので、まず第一に聞かせていただきます。

 今回の訪米の成果でございます。日米関係の重要性を再確認し、予定外にブッシュ大統領、副大統領が会談に同席をされる、今月末の日米首脳会談に向けて、いわば地ならし的に大変重要なお役目を果たしていらっしゃった。今回の訪米を終えられての率直な御感想、そしてまた自己評価というものをお聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 川内委員から過分なエールをちょうだいいたしまして、痛み入ります。厚生委員会でのあの武闘派ぶりと、きょうはまたダークスーツにすてきなネクタイをお締めになって、私からもエールを送らせていただきます。

 お尋ねにお答えいたしますが、まず、私の目的は、小泉総理の訪米の地ならしといいますか、人間関係といいますか、そしてこの政権の担っている立場、そういうものを御説明することが基本にございました。その中で、日米同盟の基軸、これの強化、再確認、これがもう基本でございましたので、そのことをまず冒頭に、あらゆるときに機会をとらえて説明をいたしました。

 そして、政策といたしましては、ミサイル防衛の問題、それから地球の温暖化防止、いわゆるCOP6が近々ございますけれども、京都議定書の問題ですとか、もちろん沖縄の話もですけれども、それらを限られた時間内で私はメッセージの発信をさせていただきましたし、そしてまた、それに対して、非常に率直で建設的に対応をきちっと、これにはこれ、これにはこれとするというような形で、それは結果はどうかわかりませんよ。と申しますのは、やはりアメリカも議会がありますし、それから政府内での意見の調整もおありになると思いますが、日本の要請といいますか、言っている点は、しっかり、極めてよく理解してくださいました。

 ですから、そういう意味では私は、いよいよ総理が近々お立ちになりますので、その結果がまた少しでもいい方向にお役に立てればよかったなというふうに今現在は思っております。

川内委員 総理や官房長官からも、今回の外務大臣の訪米については百点満点だというような御評価もあったようでありますが、一方、訪問先のアメリカのマスコミの取り上げ方については、割と事実を淡々と報道するという姿勢であったようで、私も、インターネットでワシントン・ポストとかの情報をとっていたんですけれども、あるいはまたニュース専門テレビ、CNNですけれども、ごくごくわずかの時間取り上げられたにすぎないというようなこともあったようでございます。

 私は、日本の田中外務大臣をCNNがちょっとしか取り上げないなんてけしからぬというふうに自分自身では思うんですけれども、日本の米国に対する思いと米国が日本に対して抱いている思いというもののギャップがどうもあるような気がするんですけれども、その辺についてはどのように外務大臣はお考えになられるか。

杉浦副大臣 大臣はしょっちゅう答えておられますから、たまには私が。

 アメリカの報道ぶりが非常に冷静だったというのはそのとおりだと思うんです。私もCNNしか見ていないんですけれども、ちょっとしか出ませんが、アーリントンに花をささげられたり、センチメンタルジャーニーですか、フィラデルフィアへ行かれて恩師と抱き合ったり同級生と校外で、ちらっと出ておったんですけれども、何とも自然に振る舞われたんだろうと思うんです。

 私は、アメリカ国民は、これはどの程度全米に放送されたかは知りませんが、まあ日本でもちょっと出るぐらいですからかなり報道されたと思うんですね。アメリカのトップレベルもそうですけれども、国民が相当田中大臣に親近感を持たれたんじゃないだろうかと私は思うんです。外務大臣がアーリントンへ参るというのは、アメリカの国防長官が靖国神社へ参るみたいなものですね。それから、やはり、高校時代とはいえ、アメリカへ留学して根っこを持っておられるということを認識した国民は多かったと思うんですね。ですから、そういう人が、しかも最初のレディーフォーリンミニスターですし、私は、印象を受ける限り、冷静ではありましたが、アメリカ国民に与えた影響というのは非常に大きかったんじゃないだろうかと拝察しております。

 例えば、フィリピンの外務大臣シアゾンさんというのがおって、今度大使で着任してきますが、彼は日本留学生で、奥さんが日本人で、日本語もできますし、私たちは大変彼に親近感を持つんですね。やはりアメリカも多民族国家ですが、大臣に対してそれに似た好感を持たれたんじゃないか。それは、とりもなおさず、小泉内閣あるいは日本に対する好感度を高めたと私は思います。

 それで、大統領と副大統領が突然予告もなくあらわれて、何分間ですか、来られたというのも、ライオンレディーはそこまでやったのか、フィラデルフィアまで行ったじゃないかと。それはやはりそういう、何といいますか、巧まざるといいますか、共感をお持ちになった結果じゃないだろうかというふうに私は思っておりまして、冷静な報道ではあっても非常にいい報道だったし、日米関係に非常にはかり知れない好影響を与えた訪米じゃないかと個人的には思っております。

大木委員長 大臣の補足発言はあるんですか。いいですか。

川内委員 もういいです。

 私も高い評価をしているんですよ。その点については副大臣とも何ら変わるところはないし、田中大臣のアメリカでの行動について、私も同様にすばらしい評価をさせていただいているわけでございます。

 いつも思うんですけれども、私たちはもうアメリカが好きで好きでしようがないわけですよ。それで、アメリカへだれかが行ってちょっとでも声をかけてもらったりするとすごくうれしくて、日本ではそれが大きく報道される。ところが、米国の首脳というのは、恐らくどの国の首脳が来ても、やあ、あなたの国が米国にとって、我が国にとって一番大事なんだ、おたくの国との関係が基軸だ、それはすべての国におっしゃると思うんですね。ところが、日本は、日本にだけ言ってくれていると思うからすごくうれしくて、マスコミも大きく報道しちゃうけれども、しかし、実際にはすべての国にそういうことをおっしゃっているんであろうし、アメリカというのはそれぐらい冷静な国なんだろうというふうに私は思うんですね。

 だから、本当の意味で、米国、アメリカ合衆国に日本という国を、心底日米関係が基軸だ、本当に大事な国なんだと思わせるような、これから、それこそ田中大臣がおっしゃる、日米関係も、日米安保も五十年を経て曲がり角に来ている、受益と負担の関係を見直さなければならない、そのことというのは私もまさしく同感でございまして、それを見直していくことが、本当にアメリカ合衆国から日本が対等な国だと思わせるために重要なことだというふうに思うわけでございます。

 そこで、続いての質問にさせていただくわけでありますが、十八日午前中、パウエル国務長官と会談をされた。沖縄県が強く要望している米海兵隊の訓練の一部移転について、我が国がアメリカに対して公式の場で初めて提起をした。この点に関しても実に画期的なことであり、田中大臣の名前が日米外交史に深く刻まれることは間違いがないと確信をするところでありますが、この提起に対するパウエル国務長官の答えは、あらゆる選択肢を検討はするが、沖縄の米軍のプレゼンスは重要であり訓練も重要だという内容にとどまっているというふうにお聞きをいたしました。

 当初、マスコミの訪米前の報道によれば、訓練の移転については米側は受け入れるのではないかというような一部の報道もあったやに記憶をしております。この六月末には小泉総理も首脳会談に臨まれるということでありますが、この海兵隊の訓練の一部移転問題についての今後の取り組みについて御所見をお聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 これは、先方がこれから、こちらがボールを投げましたので、投げ返してくださるところに来ているというふうに思いますけれども、先ほどおっしゃった外国と、アメリカと日本との関係というふうなことと関連するので、先ほどの質問に対して、先ほど副大臣お答えくださいましたけれども、私も申し上げたいんです。

 アメリカの国の世界でのスタンスというものがどういう立場にあるかということの認識をしっかり分析していないと、今の海兵隊の移転の問題にしましても、それから普天間の移設等の、返還の問題も、リンケージして分析できないと思いますのでお答えしたいんですが、アメリカというのは、やはり押しも押されぬ、経済的にも世界で一番、世界じゅうで一番大きな経済力を持っています。そして、いろいろな国から移民をしてきている。アフリカも、それからヨーロッパもアジアも、ラテンアメリカ、最近はヒスパニックもいますし、ですから、あらゆるものが、あらゆる人があの国はやはり存在しているんですね。

 したがって、そのことは、そういうすべての国々とつき合いがある、オールラウンドプレーヤーでなければならないというのが我々日本と違うところであって、日本ももちろん、誤解がないように申しますけれども、世界じゅうとつき合っていますし、いろいろな国の方々と貿易もあるし、またおつき合いもある。でありますけれども、やはりアメリカと規模が違うと思うんですよ、経済力を見ても日本は第二位でございますけれども。したがって、アメリカが見るときは、新聞の扱いとしてもそうでしょうけれども、アフリカで何が起こった、南米でどうであった、アジアでどうだった、ヨーロッパはこうであった、カナダがこうだ、必ず載っていますよ。それを国民はやはり見ているんですね。

 ですから、日本の外務大臣が来たということが報じられること自体、私はありがたいと思っていますし、むしろ、私がアメリカの幹部の方にお目にかかった時間というのは月曜日の朝だったんですね、極めて早い朝八時四十五分。大統領にコンドリーザ・ライスさんがブリーフをなさって、毎週毎週八時四十五分前に月曜から金曜までなさるそうですけれども、その大統領と会った後に来られた。一番早い段階、ヨーロッパから帰ってきて日曜日休んですぐの一番に我々が行ったんです。

 したがって、そのときに、日本の立場、京都議定書もそうですし、それからミサイルもそうですし、沖縄問題も、とにかくしっかりとよくここで、畳み込むといったらおかしいですけれども、しっかりと打ち込んでおく、時間的にもいいタイミングだと私は思ったんです。時間というのは、朝じゃなくて、相手の頭が、ヨーロッパから帰ってきてこれから国内的にも政権としても整理をしなきゃいけない、そこに日本のことが出番としてあったわけです。

 ですから、そういう中で、アメリカがオールラウンドプレーヤーの中で、日本というものの意味、日本が何を一番抱えているのか、何が一番困っているのか、あなたはいっぱいパートナーがいるでしょう、うちもいっぱいいますよ、でも、日本がアメリカに対して、一番基軸のアメリカに対して言いたいのはこれですよというカードをしっかり切っていく、それは自主性なんですよ。

 声を大きくして、繰り返して、問題点を絞り込んでよく言わないと、相手はやはりわかりませんよ。私の後は例えば今度メキシコが来るとか、次はドイツが来るとかといった場合、後ろの予定が入っていますよ、事実。その中で日本のことを忘れないでもらうためには、そして何らかの形で関心を持ってもらうためには、どうやってしゃべるか、それのプレゼンテーションの仕方、すごく考えましたよ。自分なりに物すごく分析して、私なりに最大限冷静にやったつもりです。

 それで、むしろ、朝行ったときに、USTRもそうですし、ホワイトハウスもそうですし、国防省もみんなが、スタッフも、今度新日本大使になる方も、それから儀典係も、ガードの人たちも、みんながハウ・ワズ・フィラデルフィアと。みんな知っているんですよ。きのう行ったのを何でみんな知っているのという感じで、大統領ももちろんそうでしたけれども、フィラデルフィアはどうだった、楽しかったってねとみんなが言うんですよ、よかったねフィラデルフィアはと。みんな見ているんですよ。私が前の日に、日曜日に何をやったか知っているんですよ。それだけ関心を持ってもらえたわけですよ。

 ですから、そこでこちらのカードを切っていって、ラムズフェルドにちゃんと伝えると言ってくれたわけですから、これはやはりこちらが信頼をして後は待たなきゃいけないし、外交の要諦は私はそういうところにあると思います。特に対米ではそれだと思います。

川内委員 私がお聞きをしたことも含めて今お答えをいただいたんでしょうか。冒頭の、その前の質問については、今、田中外務大臣のお答え、すばらしいお答えであった、御答弁であったというふうに思うんですけれども、米海兵隊の訓練移転についてもしっかりとカードを切った、今後それは前に転がっていくであろうということでよろしいでしょうか。

田中国務大臣 はい、そう思っています。そう思ってお答えしました。

 ただし、私一人ではなくて、この後、防衛庁長官も行かれますし、それから総理も行かれますし、尾身大臣も行かれますから、一つの糸で続けていかなきゃいけない。そして、もう一言申し上げれば、内閣がころころかわっちゃだめだということをつくづく思いました。同じ政権で、同じ顔で、同じメッセージを発信することです。ですから、尾身大臣の訪米も私は期待いたしております。

川内委員 それでは、これも同様のお答えになるんでしょうか。

 普天間飛行場の代替施設、十五年使用期限の設定についても大臣は国務長官にお伝えになられたということでありますが、これについては、三月の日米首脳会談でブッシュ大統領が大変困難な問題であるというふうに発言をされたと聞いております。打開への道のりが非常に険しいようでありますけれども、これまでの大臣の答弁を踏まえるならば、今回大臣は、この十五年使用期限の問題についても、米側とこれから交渉をしていく過程の中でしっかりカードを切った、今までみたいにただ伝えただけではない、しっかりと相手に認識をさせた、今後それは前に転がっていくであろうということでよろしいでしょうか。

田中国務大臣 この問題は、私も一番、どういう切り出し方をするかということで、今おっしゃったように、前政権等で非常にアメリカが拒否的な反応をしてきているということは情報としてありました。それから、これはちょっと初めて申し上げることなんですけれども、外務省ではなくて私の個人的なルートで、この話をするとアメリカが反対の荷物を日本にしょわせる、その具体的なことまで私は聞いていましたので、これはどういう話し方をするかということは非常に自分で考えました。

 それで、その結果、この普天間については、使用期限の問題とか返還の問題について、私の言いぶりが、とにかくおふろに入ってシャンプーしていても普天間、普天間、お料理中も普天間、普天間、おお普天間、普天間、いつもいつも普天間、普天間、普天間と言ったらば、あちらが、おお普天間、普天間、ヘデイク、ヘデイクでしょうと言ったので、もういつも普天間、ヘデイク、ヘデイク、でもこれは大事な問題だと言ったら、わかったという答えが出たんです。あれをもしも棒読みで、あるいは怖い顔をして普天間の返還、十五年の問題と言ったら、その場で黙ったかもしれませんよ。そこの辺がとても大変でした。

 ですけれども、その気持ちをラムズフェルドさんにデリバーするし、そして、あなたの言ったことはわかったと。そこにいたアーミテージも、そのほか何人もアーミテージさん以下おられたんですが、みんながその私の言っている様子を見て、初め笑い出したんですよね。もういつもいつも、そこは私は英語で言いましたから、もういつもいつも普天間、普天間、沖縄の問題はこれです、これなんだ、このイシューだと言ったんですよ。そうしたら、みんながまねして、普天間、普天間、おお普天間、普天間と言い始めて、そして、それは自分はよく理解している、理解といいますか、ラムズフェルドに必ず自分が伝えると二回三回おっしゃったんですよ。

 ですから、やはり時間がかかるかもしれないけれども、時間というのは返事がですよ、きょう言ってあしたはすぐ来ないでしょうね。中谷長官に、はい、わかりましたとは言わないと思いますよ。ですけれども、アメリカはアメリカの国内事情があるんです、その中で、日本からこのメッセージをデリバーしたということは、私はしっかり理解されているというふうに思います。

川内委員 今、大変力強い御答弁をいただいて、やはり秘書官になりたいなと改めて思ったところであります。

 今までの外務大臣とは全く違う、外交とは何ぞやあるいは交渉の仕方をどうやるのかということをきょうは田中外務大臣に教えていただいているような気がいたしますけれども、この十五年使用期限問題、閣議決定の中では十五年という文言は出てきておりませんし、今まではただ単に、閣議決定に従って努力しますとか、地元の知事や市長の要望を重く受けとめて取り組みますとか、在沖縄米軍の兵力構成等を考えながらこれから協議しますとか、全く紋切り型の答弁しか、これまで数年間、この問題が議論が始まってから、もう全く、だれが質問をしても、いつ質問をしても、そういう答弁しか返ってきていなかったんですけれども、きょうは外務大臣に非常に、日米の外相会談での田中大臣がどういうふうに普天間のことを説明したのかということまで含めて、ああ、それであればもしかしたら相手も認識を新たにしたかもしれないなと私も何となく理解を今いたしました。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 それで、これは沖縄の問題とは直接にかかわりを持たないわけでありますが、日本全体ということで考えれば沖縄も当然入るわけで、北方も入るわけでありますが、京都議定書のことであります。

 私自身は、自然との共生を考える国会議員の会という超党派の、自然との共生を研究している議連の事務局長をしているんですけれども、この京都議定書の問題でありますが、政府はまだ批准するか否かについて態度を明らかにしていない、決定をしていないということでありますけれども、きょうせっかく環境省の地球環境局長、地球環境局長というすごい名前の局長がいるんですけれども、大臣知っていましたでしょうか、地球環境局長ですよ。物すごい局長なんですけれども、ぜひ、京都議定書の批准について、政府はまだ態度を決定していないけれども、環境省としてはどう考えるかということについて、一言答弁をいただきたいと思います。

浜中政府参考人 私の職名に言及いただきまして恐縮でございます。

 お尋ねの京都議定書の問題でございますけれども、米国が、京都議定書には致命的な欠陥がある、こういうふうにおっしゃっていることは、私どもとしては大変残念に思っております。他方で、それでは米国はどのような国際的な枠組みを志向するのかということについて、具体的にはまだ明らかにされておられないわけでございます。ブッシュ政権は、引き続き、気候変動政策に関する閣僚レベルの検討作業を続ける、そして温室効果ガス削減のための共通のアプローチを友好国、同盟国とともに探求するというふうにおっしゃっておられるわけであります。

 したがいまして、我が国といたしましては、もちろん従来から総理もおっしゃっておられますとおり、京都議定書の二〇〇二年までの発効を目指す、それに全力を尽くすという方針には変わりはございません。そしてまた、七月にいよいよCOP6の再開会合も開かれる、その成功も非常に大事でございますから、これに向けて全力で取り組むということでございますが、同時に、京都議定書の精神といいますか、そういうものにかんがみますと、すべての先進国がこれに参加をして、痛みを分け合って、そして、苦しいところもございますが、地球温暖化防止対策に一緒になって取り組んでいくということが非常に大事なことでございますから、米国がこの議定書の発効に向けた交渉に建設的に参加するように、引き続き粘り強く働きかけていくということが重要であろうというふうに考えております。

 我が国といたしましては、国際交渉も片面で進めながら、京都会議を主催した立場から、京都で約束をした削減目標の達成ができますように、国際合意を片方で追求しながら、京都議定書を我が国自身が締結できますように、そのための必要な国内制度の構築に全力で取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。

川内委員 今の地球環境局長の御答弁、最後の部分なんですけれども、わかりやすく御説明をいただきたいのです。国際合意を形成できるように環境省としても努力はするけれども、京都議定書は我が国がリーダーシップを発揮してつくったものであるから、我が国は批准をする、すべきだというふうに環境省としては考えているということですか。

浜中政府参考人 批准という問題につきましては、大変恐縮でございますが、私どもが承知している限りでは、批准の対象となる国際合意されたものがあるということがまず前提でございます。また、特に地球温暖化対策のような難しい問題に関しましては、いかに国際約束を我が国自身が実施をし目標を達成していけるのか、このことについての国内のきちんとした制度があるということもあわせて前提になろうかと考えております。

 そのためには、したがって、国際合意を得るということが必要になるわけでございますが、我が国自身として地球温暖化対策に国内できちっと取り組んでいくということはまことに大事でありますから、国際合意ができましたら、それを前提としてこれに締結できるような国内での準備を進めているということでございますし、また、そのような国内でのしっかりした取り組みが、国際交渉を進める上でも、我が国の立場を強くするものだというふうに考えているわけでございます。

川内委員 地球環境局長というお名前なんですから、もうちょっと積極的に、アメリカがどういう態度であろうが環境省としてはやるのだという強い意思をお示しいただきたいと思うのです。

 田中大臣、日米の外相会談の中では、先ほどは普天間、普天間、普天間と言ったということでしたけれども、京都議定書のことについてはどういうふうに印象づけていらっしゃったのか、お聞かせをいただきたい。

 それともう一点。私は、京都議定書については、大木委員長も御尽力をされていらっしゃいますし、日本がリーダーシップを強く発揮すべきものだというふうに思っておりますが、今後、アメリカがもし離脱をするということであったとしても、日本はヨーロッパと協力をして京都議定書発効に向けて努力をしていくということが、今度は国際的にも世論を盛り上げる重要なファクターになるのじゃないかというふうに思っております。

 ちょっと時間が来てしまいましたので、最後に田中大臣に、会談の中でどのように説明したかということと、京都議定書について外務大臣としてはどういうふうにお考えになられるかということ、それから、アメリカがもし議定書に参加しないということであっても日本としてはやるのだという御決意でいらっしゃるのかどうかということを、三点、最後にお聞かせをいただきたいと思います。

田中国務大臣 時間の関係で簡単に申し上げます。

 私は、結論として、アメリカの立場といいますのは、ちょっと時系列からいいますと、これは日にちが間違っていないと思いますが、六月十五日にスウェーデンで、欧州に行ってからアメリカに帰ってこられて私に会ったわけですから、スウェーデンでペーションという首相に対してブッシュ大統領が、京都議定書は致命的な欠陥を有していると発言なすったことは極めて残念だと私は思っています。そういう発言をブッシュ大統領がなさっているというふうに思います。そしてまた、アメリカの経済成長を損なうことなくCO2の削減を達成しなければならないということも思っておられるというふうな発言もなさっているわけです。

 一方、パウエルさんは京都プロセス・イズ・ノット・デッドということを言っていまして、長いプロセスの始まりなんだということを欧州でパウエルさんが言っていますので、それはどういう意味なのか、では、京都議定書を認めなかった場合どういう方法があるのか、そういうことを私は伺いました。要するに、私は、ヨーロッパで言われたブッシュ大統領及びパウエルさんの考え方は、私の頭では理解できるけれども、その言い方に対しては、それに対しては私は共感しませんということをはっきり言ったのです。

 ではどういうことなのかと言いましたら、これからいろいろと自分たちが考えなきゃいけないというふうなことをパウエルさんがおっしゃいましたので、私が具体的に言ったのは、例えばアメリカは、原子力の利用ですとかあるいはソーラーとか廃熱とか風力とかありますよね。そういうものの開発をしていって、CO2の出ないようにしようとしているのか、あるいは排出権の取引をしようとしておられるのか、あるいはまた省エネ家電の供給をふやすとか、そういうことも考えているのかと申しましたら、パウエルさんはそれも案だと言われたので、私は畳み込んで、それでは伺いますけれども、来月の十八日にドイツのボンでCOP6が開かれる、それに代表を送りますかと言ったら、送るというのですね。であったら、あと一カ月しかないのに、その間に、どうして原子力の問題やら省エネ家電の問題やら地熱、風力等ができるのですか、間に合いますかと言ったら、だからそれを含めて考えなければいけないということをおっしゃいました。

 したがって、私の結論でございますけれども、アメリカの参加を待たずに日本が批准するかどうかということについて、これは閣内で近々、通産大臣や環境庁長官や総理、そのほか関連の閣僚と会議をすることにいたしております。それは私も帰国してからすぐにそういう提案をいたしました。内閣は、すぐ機動的にそれをセットしてくだすっています。また、連立でございますので、残念ながら民主党さんとではなくて、ほかも大変強力な、有力な政党でございますので誤解のないように。連立でございますので、その中で合意をするというふうなところにとどめさせていただきます。

    〔委員長退席、下地委員長代理着席〕

川内委員 終わります。

下地委員長代理 次に、白保台一君。

白保委員 尾身大臣にお伺いいたします。

 まず三次振計の評価について、大臣に就任されて早速沖縄へ行かれまして、沖縄を視察されました。この三十年の沖縄の振興開発計画、三次にわたる振興開発計画を進めてきまして、視察も含めて、どのように評価をなされているのか。

 といいますのは、この三次振計が終わりまして、いよいよ来年から、また新たな振興法を制定して、沖縄の経済の自立、そしてまた発展を期していかなきゃならない。そういう作業を進めている大事な時期でございますから、この評価が次の新たなスタートにつながるということで、私は、まずそのことを最初にお伺いいたしたいと思います。

尾身国務大臣 沖縄が本土に復帰して以来、三次にわたる振興計画に基づきましていろいろな施策を講じてきたわけでございますが、その結果といたしまして、いわゆるインフラを中心として本土との格差がかなり縮小したというふうに言われておりますし、私どももそのように評価しているわけでございます。

 しかしながら、現在、まだまだ一人当たり所得も日本全体の平均の七三%という水準にございますし、また失業率も七・九%という、日本のほぼ倍近い失業率になっているということを考えますときに、次の段階におきましても、さらに沖縄振興を進めていかなきゃならないというふうに考えている次第でございます。

 その中で、格差是正というキーワードから今度は自立経済というようなキーワードに、一つの新しい段階に入るような方向で検討をしておりまして、私はその方向は基本的には正しい方向であるというふうに考えている次第でございます。

 いずれにいたしましても、全力を挙げて次の、今、ポスト三次振計の基本的な考え方の検討をしているところでございまして、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

白保委員 総論として、トータル論として、三十年、非常に明確に見えてきたというのは、社会資本の整備というのは、先ほどもどなたかが質問の中でも言っておりましたが、非常に整備をされてきた、そういうことなんだろうと思います。

 そしてまた、占領時代はすべて軍が優先でございましたが、軍から民の生活に、社会資本も全体的にそういう形になってきた。なお基地はいっぱい存在しますよ。存在しますが、道路一つとってみても、軍用道路だったのが、まさに民間がきちっと歩けるように歩道一つつけていく、こういった形も、ソフトの部分も大分充実したんだろう、こう思います。

 先ほど、大臣は格差是正の問題をお話しになりました。格差是正というのも、これは三次振計でも格差是正の問題は非常に議論なされた。そして、その格差是正の問題を表へ出すのか、地域特性を表へ出してやっていくのか、そういう二つの議論がなされて、その中で、むしろ格差是正よりも地域特性を生かしていって、そして自立の道を探っていくんだ、確立していくんだ、こういうことでした。

 ただ、格差是正論をすぽんとおろして、自立経済の道に、地域特性を生かしてやっていける状況にあるのかというと、縮まってきたとはいえ、なおなおその格差というのはかなり残っている。地域特性を表へ出してきても、これをしっかりと自立の方向に、表へ出して、多くの手だてを組んでやっていくことによって格差を解消していく、こういった方向に行くんだろうな、こう思います。

 同時に、格差という問題についての議論もあるわけですね。要するに、地域におけるところの豊かさの問題というもの、豊かさ度、こういった問題からいったなら、単に所得だけでもって豊かさ度というものを決められるのか、こういったこともありますし、それはそれとして、やはり格差という問題については、きっちりとした目線を持って臨んでいかなきゃならない部分があるんだろう、こう思います。

 そこで、先ほど大臣の御答弁の中にもありましたが、失業率の問題ですね。さっき大臣がおっしゃっておりましたが、これは四月末現在、間もなく五月の分が出ると思いますが、完全失業率七・四%、本土が五・一%です、全体が。そして、その中でも私が申し上げたいことは、若年層の問題なんです。若年層は、これは十五歳から二十四歳、この若年層の失業率が沖縄の場合一九・五%、そして、全国が九・九%。倍ですね。

 これは、長い間自立経済を目指しながら常に言われてきた、やはり企業自体が脆弱ですから、経済自体が脆弱ですから、そういった面ではなかなか失業率の解消というのは難しいということも一つありますし、もう一つ、どちらかというと県内求人よりも県外求人の方が多い、そういった構造もあります。したがって、全国が不況になると県外求人が減りますから、その分だけ高くなっていくという部分も、これはあります。それはなぜかというと、結局県内におけるところの脆弱さを物語るものだ、こう思います。

 そういう中で、今申し上げたいことは、この若年層の将来を考えたときに、やはり安定したきちっとした就職をさせていかなきゃなりませんが、これに対して、長い間いろいろと講じてきてはいますけれども、今後この問題についてもどのように取り組んでいかれようとするのか、そのことをお聞きしたいと思います。

尾身国務大臣 格差是正から地域特性を生かした自立経済へという言われ方がしておりますが、私は、今委員おっしゃいましたように、自立経済への道というのは沖縄の皆様の心意気を示すものとして高く評価をしておりますが、私どもとしては、やはりいろいろな意味で格差があるという点にも十分着目をしてこの施策を進めていかなければならないというふうに考えております。

 そういう中で、若い方々の失業率が非常に高いということは極めて重要な問題、深刻な問題でございまして、やはり二十一世紀に向かって、将来に夢を持てるような新しい事業を起こし、そして新しい雇用を創出していく。有能な人材がたくさんいるわけでございますから、そういう人たちの力を使って沖縄の発展も実現をしていく、そういうことが非常に大事だというふうに考えております。

 ですから、そういうことをはっきり意識した上でこのポスト三次振計の内容を詰めてまいりたいというふうに考えている次第でございまして、白保委員を初め多くの方々の御意見をいただきながら内容を詰めてまいりたいと考えております。

白保委員 そういうことで、おととしでしたか、現行の沖振法を改正した際にも、特自貿、特別自由貿易地域、あるいはまた観光発展のための振興の特別地域、あるいはまた情報通信産業の指定地域、こういったものを新たに加えて、新しい展開の方向へというふうな形でスタートは既に切られておるわけですね。したがって、この問題についても、あとはそれに就職できる人材をどうするかという問題があるわけです。まだまだミスマッチングのところがあるのかな、こう思っておりますし、そういう面では、教育も含めて極めて重要な時期にあるな、こんな認識を私自身は持っています。

 そういった面で、先ほど、今委員長席に座っていらっしゃいますけれども、沖縄振興、大学院大学の問題を取り上げられました。このリード部分をちょっと確認したいのです。「政府は沖縄県内に新たな科学技術系の大学院大学を設置する方向で検討に入った。沖縄振興予算から百五十億円の建設費を拠出し、三年後の開校を目指す。」百五十億円の建設費、三年後の開校ですよ。「当面は学生二百人、教授陣五十人を見込んでいる。世界各地から優秀な人材を集めるためとして、学生、教授とも半数を外国人枠にする。研究費に毎年十億円程度をあて、世界最高水準の研究機関をめざす。」こういうリード部分で大体まとめられているのですけれども、これをまず確認したいと思いますが、よろしいでしょうか。

尾身国務大臣 このいわゆる大学院大学の構想でございますが、私どもも、公式ではございませんが、内々でそういう検討をしていることは事実でございます。

 先ほどの白保委員のお話のとおり、若者が高い失業率であるというようなことを考え、将来有為な人材を育てる、いわば沖縄における米百俵の問題であるというふうに考えておりますが、そういう中で、今までの既存の大学との連携も図りながら、むしろ新しい形で、今まだできておりません非公務員型の独立行政法人という形で、自由に世界じゅうから最高水準の人材、教授陣を集めて来ていただく。そして、アジアを中心とする諸外国からも非常に水準の高い学生を集めていく。それによって、日本最高、世界最高水準と言いたいのでございますが、そういう理想的な形の研究教育機関をつくれないかということで、今いろいろと関係方面と相談をしているところでございます。

 授業もすべて英語でやるという考え方でございまして、この中身につきまして相談をしていますけれども、変に妥協をして二流、三流になることなしに、どうしてもトップ水準でいきたい。こういう研究大学院が一つあることによって、それが核となって、沖縄がアジア、世界のある種の自然科学系の研究あるいは教育の中心になっていく、そういうことを目指していきたい。そして、そういう意味で非常に山を高くしていきたい。もとより、その入学者は沖縄の方だけではなしに、むしろ日本じゅうから、世界じゅうから集まっていただく。そのことによります経済への波及効果といいますか、有形無形の効果というものが非常にあるだろう。

 それから同時に、サイドワークとして、沖縄の、例えば中小企業とか企業の方々のベンチャーを起こすときのインキュベーターの機能も果たさせるようなことはできないかというようなことも含めて、大変欲の深いことを考えているわけでございますが、何とかポスト三次振計の目玉の一つにしていきたいということで、前の東大総長の参議院議員の有馬先生の御意見なども伺いながら、今、内容の詰めと関係方面との接触を始めたところでございます。

白保委員 大臣、非常によくわかりました。わかりましたが、先ほど申し上げたリードの中の数字の部分を確認したいと思ったのですけれども、百五十億円だとか年間十億円程度拠出するとか、こういったことに対しては、また三年後の開校ということに対しては、このリードの部分はそれでよろしゅうございますか。

尾身国務大臣 百五十億円になるか二百億円になるか、施設の建設費でございますし、それからやはり年間十億という単位ではちょっと足らないかな、優秀な教授陣を連れてくるという意味では足らないかなと思っておりますが、数字そのものは実はまだ細かい計算をしておりません。したがいまして、ここではっきり申し上げるわけにまいりませんが、いずれにしても、どうせつくるのならば理想的な形のものをつくっていきたい、そういうふうに考えている次第でございます。

 もとより、これは、私どもだけではなしに、政府全体、それから国会の政治全体がこれを支援していただかなければできないし、また支援をしていただければ、現在の沖縄の状況に対する国民全体の理解の水準から見て実現できるというふうに考えておりますので、ぜひとも御支援をお願い申し上げる次第でございます。

白保委員 私がいろいろと申し上げておるのは、沖縄が自立を目指す中で、沖縄は日本の南の玄関口だ、あるいは入り口だ。したがって、かつて参議院議員の稲嶺一郎先生などは、東西センターにあれして南北センターということを考えられたり提唱をされたり、そんなことがありました。

 そして、先ほども話がありましたが、サミットが成功した。我々は、沖縄は南の国際交流拠点だということを常々言ってきて、現実に何があるのということになったときに、話としては交流の拠点だと言っていましたが、昨年のサミットでまさにそれが現実味を帯びてきて、昨年の閣議了解で多くの国際会議を沖縄で開くということを了解していただいて、今非常に多くの国際会議が開かれるような状況になってきていることは御存じのとおりでございます。

 そういった教育機関が、しっかりとしたものが出てくる。そういう意味では、また先ほどの大臣のお話でも、アジアにも手を広げてやっていく、こういう面からいったならば、まさしく国際的な、そして交流拠点としてふさわしい教育の交流の場にもなり得るということで、これは非常に大事なことですから、ぜひお進めをいただきたい、こういうふうに思います。

 そこで、問題は、北部振興の中で、高専の考え方というのがありました。高専は今どういうふうに進捗しておりますか。

    〔下地委員長代理退席、委員長着席〕

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のございました、専門性の高い技術系人材のニーズに対応するということで、高等専門学校を沖縄に設置する件につきましては、今、琉球大学に創設準備室及び創設準備委員会を設けて鋭意取り組んでいるところでございます。

 具体的には、昨年八月の中間まとめを踏まえ、専門部会において、教育課程あるいは施設整備計画の具体的事項について検討を進めております。

 また、いわゆる用地の問題につきましては、沖縄県知事から推薦をいただきました名護市辺野古地区についての用地取得、造成等について、県及び名護市と協議を行っているところでございます。

白保委員 こういうふうに高専が進んでいます。そして、今、大学院大学です。また、周辺に名桜大学というのもありますし、そしてまた琉球大学がある。いろいろと教育機関が配置されていきます。

 そういった中で、今の大臣の大学院大学とこの高専、この辺の位置づけ、役割というものをこれから教育の交流拠点として考えていかなきゃならないのだろうと思いますが、どのような御構想をお持ちなのでしょうか。

尾身国務大臣 高専につきましては、今文部科学省の方から説明がありましたように着々と進んでまいりまして、地域で働く、特にIT関係を中心とする有為な若者を育てる、こういうことで私ども力を注いでいるところでございます。

 研究、教育のいわばアジアの中核としての大学院大学の問題は、もちろん現実の問題としては、大学院大学の教授を高専に派遣するとか、高専の方々が将来この大学への入学を目指して頑張っていただくとか、そういういろいろなことがあると思いますけれども、とにかく世界のトップ水準を目指して、世界のほかのこの種のものとも競争できるアジアのセンターにする、こういうことでございますので、日本じゅうのトップの方々の総力を結集し、同時に外国の最高水準の学者を連れてきて、特に若手のばりばりの人を連れてきて、来ていただいて、そこをセンター・オブ・エクセレンスにするということでございます。

 そういう高い理想を持ってつくるものであるということでございますから、高専との結びつきを殊さら意識しますと、トップ水準というところが崩れてしまう可能性もございまして、そこは、現実に沖縄にこの大学院大学ができますれば現実問題としての波及効果は極めて大きいと思いますけれども、そういう意味で、この大学院大学をそれ自体としてトップにふさわしい理想的な形でつくっていきたいというような構想で今考えているところでございます。

白保委員 それでは、質問をかえていきたいと思います。

 先ほどもお話が出ましたが、第七回の代替施設協で、政府提案を受けまして尾身大臣が、先ほど誤報という話になりましたが、一、二カ月の間で取りまとめを期待する、期待ということですから余り強制力のあるような話じゃないと思いますが、期待するというふうに言われたということが報道されました。

 これは誤報ということでございましたからよかったのですが、地元では、基本的な認識にずれがあるのじゃないか、こういう話が、話というよりも新聞報道などでも出ておるぐらいでございます。名護市長岸本さんは、工法選定だけが突出しているというような発言をされたり、知事が、十五年問題でボールを投げてもボールが返ってこない、こういうお話をしている。そういう中で、工法だけが突出していると言われる、にもかかわらず大臣が期待をしておるという話になりますと、これは誤報でよかったんですけれども、実際問題として、こういう状況の中で慎重を期さなければならない、私自身はそう思っています。

 我々もまだ態度について明確にしておりませんが、要は、整理縮小をどう進めていくのか、普天間の五十数年のこの苦しみをどう解消していくのか、そのためにはどうするかということであって、一番大事なことは今の普天間の問題だろうと思っています。その先は、県外であったり、国外であったり、県内であったり、これは整理縮小というものを基本に置いてどう進めていくか、こういう問題だというふうに我々は認識して、どういう形が出てくるのかということを注意深く今見守っているところでございます。したがって、これは慎重に進めなきゃならない重要な問題である、こういうふうに思っておりますが、大臣、これから先どういうふうに進められますか。

尾身国務大臣 これはぜひ質問をしていただきたかったことでございまして、この普天間の代替施設につきましては、代替施設協議会にいわゆる八つの案を提示させていただいて、地元の皆様、それから沖縄県の方々の御意見、御要望等、これについてお伺いをするということにしております。この御意見、御要望がまとまりました段階で、次の代替施設協議会を開催させていただく。

 私が一、二カ月のうちに返事が欲しいと言ったということは全くの誤報でございまして、もとより、地元の方々にしっかりとこの内容について御検討していただき、御相談をしていただいた上で御意見を出していただきたい。そして、その御意見がまとまった段階で代替施設協議会を再度開かせていただいて、基本計画に向けて進んでいきたい。その間に、いわゆる四条件と言われている地元の最初の段階からの御意見、御要望等もございますから、その問題につきましても可能な限りのめどを立てたいというふうに考えておりまして、施設の内容を全くほかの問題と関係なしに進めることが適当であるとは私は考えておりません。

 ただしかし、その四つの問題につきましても、御存じのとおり、大変難しい問題、いろいろな問題がございますので、そのあたりをどういうふうにしていくかということはこれはまた慎重に考えなければならない。結論を出していかなきゃならない問題でございますが、そういうことで、施設の工事規模、工法等を強引に前に進めるというような考え方は持っていないところでございまして、したがいまして、期待している期限につきましても、確定的にいつというふうに申し上げているわけではございません。

白保委員 時間が大分なくなってきましたので、外務大臣に一点お聞きしたいと思います。

 政府が、十五年問題で一昨年沖縄が一応決定した際に、沖縄の意見を重く受けとめるということをずっと一貫して今日まで言ってきました。大臣も何回か重く受けとめるという答弁をされておったんですが、今回アメリカへ行きまして、非常に頑張られて、先方も理解をしている、検討すると言っておる、こういう話になりました。

 そこで、今の問題と関係するわけですが、先方が検討するということであるならば……(田中国務大臣「十五年問題」と呼ぶ)いや、十五年問題ですよ。先方が検討するということであるならば、むしろ、今の尾身大臣の話と関連して申し上げれば、やはり検討結果を見て進めていくということが大事なので、検討ということを、結果をどう、いつ出てくるのか、このことを、答弁の中で、先方も理解しているし検討すると言っているということですから、外務大臣、まさに大前進だというふうに答弁されておりますので、検討を進めるということが一番慎重なやり方でいいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 検討という表現をいたしましたでしょうか。(白保委員「いや、新聞報道を見た限りにおいて、先方は理解していると」と呼ぶ)私は、検討しているという返事はいただいておりませんで、先方は、私が言ったことの移設及び返還に係る問題につきましては、問題はよく承知しているとおっしゃったわけです。それで、それをラムズフェルド長官に伝えるということを二、三回おっしゃったということでございますから、検討します、はい、わかりましたといって簡単にいくという問題ではないと思います。これから、先ほど来ずっとお昼から申し上げていますように、この問題を受けとめて、そして、自分の政権内及び国会でもって議論をなさるんだろうというふうに理解をしております。

白保委員 ということは、向こうが理解を示したということで大前進である、こういうことですね。大前進だというふうには言っていらっしゃいませんか。

田中国務大臣 先方はよく承知していると述べられたわけで、今まで過去の外務大臣や総理が行かれたときに、あるいは知事さんが行かれたときに、この普天間問題でどういう反応があったかということに比べていただきましたらおわかりいただけるんではないかと思いますけれども。

白保委員 時間がありませんので、ほかの方も呼んでいますからそこの方に話は移りますが、アメラジアンの問題について、前の外務大臣との協議の結果、基地内に窓口を設けるということでありました。その問題についての御答弁をまずお願いします。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問のアメラジアンの問題につきまして、本年三月の委員会でも御質問をいただいて、この窓口の問題についての対応状況はどうなっているかということでございます。

 現在、米軍相談窓口が設立された場合に使用いたしますガイドブック、マニュアルにつきまして、日米間で協議を引き続き行っているところでございます。関係法令等の関係につきまして検討が必要でございますが、鋭意取り組んでいるところでございまして、一生懸命これはやっております。

白保委員 最後に、嘉手納の爆音の公平補償の問題についてことし二度ほど質問いたしましたが、その際、厚木をモデルケースとしてアンケート調査をやって、それをまとめて対応をしていくという話でございました。その際、三月の初めのころに調査を始めて、四月中には大体調査結果が出てきて、それから分析に入る、こういうことでございましたが、そのことについて確認をしておきたいと思います。よろしくお願いします。

河尻政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛施設庁では、従来から、自衛隊及び米軍飛行場関係周辺におきまして、住宅防音工事等の各種騒音対策に努めてきたところでございますけれども、厚木、横田、嘉手納及び小松の各飛行場におきます航空機騒音訴訟判決におきまして、国が行っている住宅防音工事等の現行施策につきましてある程度評価はいただきますけれども、周辺住民がこうむっている精神的被害などにつきましては防止、軽減が十分図られているとは言えないといたしまして、過去分の損害賠償請求を認容する判決が下されているところでございます。また、関係自治体などからも、精神的被害の緩和に資する施策を強く求められているところでございます。

 このため、委員御質問の、どのような施策がとり得るかなどを検討いたしますため、去る三月十九日から、全国の住宅防音工事対象世帯数の約三分の一が所在しております厚木飛行場周辺におきまして、住宅防音工事助成対象区域である第一種区域に居住する住民の方を中心に、無作為に抽出されました二十歳以上の約一万人の方々を対象に住民意識調査を実施させていただきました。

 現在のところ、約五〇%、約五千人もの多くの方々から貴重な御回答をいただいているところでございます。この種のアンケート調査におきましては、通常、回答率が二〇%あるいは三〇%ということが多いというふうに聞いておりますけれども、そういった中では大変高い回答率をいただいたということで喜んでおります。

 現在、これらの回答につきまして、整理、分析等の作業を行っております。七月末までには終えたいと思っております。終えましたならば、その結果につきまして、また公表させていただきたいと存じております。

白保委員 公平補償を求める皆さん方というのは、訴訟を起こしてどうこうとか、安保条約がどうこうという話ではなくして、まさに環境上問題がある、こういったものを公平に補償してもらいたいという思いで動いておりますから、ぜひしっかりとした調査をしてそれに対応していただきたい、このことを申し上げて、終わります。

大木委員長 次に、一川保夫君。

一川委員 私、自由党の一川保夫といいます。ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 沖縄及び北方問題に関する特別委員会というのは久しぶりでございますけれども、まず沖縄の問題から両大臣にお考えを伺いたい、そのように思います。

 まず、外務大臣に、この沖縄の問題というのは、今ほど話題が出ていますように、安全保障の問題等を中心にしまして、米軍基地の話題が非常に多いわけでございますけれども、これからの日本の外交政策にとって、この沖縄の地といいますか、沖縄というところにどういう役割を担ってほしいというふうに外務大臣として思われますか。

 また、沖縄というところに対する期待感といいますか、昨年は沖縄サミットという大変なイベントがあったわけですけれども、先ほどの話題のように、これから国際交流の拠点にすべきだとか、または平和のシンボルの地として、いろいろなそういう国際会議的なものを含めたことの位置づけをもっと明確にすべきだとか、いろいろな経済的な交易の場所としてもっともっと振興すべきだとか、いろいろな位置づけがあろうかと思いますけれども、外務大臣としまして、日本の外交上、この沖縄に対する期待感といいますか、そのあたりの基本的なお考えをお聞きしたいと思います。

田中国務大臣 今、一川委員がおっしゃった中に全部答えがあると思いますけれども、おっしゃったことを復唱するようになりますが、やはり自然もすばらしいですけれども、文化が独特なものがございますし、また、下地幹郎先生をお手本とするように、非常に明るくて、人柄が、女性も、老若男女、皆さんとても、何というか、親交的ですね。新潟県みたいに閉鎖的というか、そういう県民性と違いますので、そういうところは、本当に人をたくさん受け入れてくださる、そういう素地があると思います。

 それから文化も、私、織物とか陶芸とか、とてもいいものがあると思うのですよ。そういうものを、私も実は今ちょっとそういうものを持って、アメリカにも、いつも持って歩いて、化粧バッグとかペンケースとか、沖縄のミンサー織というのをいつも持っているんですけれども、とても世界に誇れるいいものがたくさんありますので、もちろん、基地の問題とか戦争の問題とかありますけれども、そういうこともやはり実態として人を受け入れてわかっていただく。そして、事情を知っていただくのに、独特のいいものがあるところですから、もう自然環境も交通の利便性も、ホテルにしましても、特に人間、県民性がすばらしいと思いますので、どんどんとみんなでもってPRをして、あらゆる方に来ていただくということは、日本にとっていいことだというふうに思います。

一川委員 今大臣がおっしゃった、そういう県民性としてのすばらしいところがたくさんあることは、もう大体日本の国民の皆さん方も御存じだと思います。最近では、毎朝、NHKの連続ドラマでも沖縄に関するストーリーでもってやっていますので、沖縄に対する関心が非常に高まってきていることは間違いないわけでございますので、そういう面では、外交政策の面でも、また当然ながら安全保障政策という面でも、国民の皆さん方に正確に沖縄のいろいろな課題なり現状を理解していただくということは大変大切なことではないかなというふうに思っている次第です。

 そこで、外務大臣にはちょっと事前通告はしていないことなんですけれども、先ほど来のいろいろな質疑を聞いておりましての私のちょっとした印象なんですけれども、今回、アメリカに行かれる前と後で、幾つかの、沖縄に対するいろいろな懸案事項がございますね、もう既に話題に出されたこともあるでしょうし、まだ出していないことがあるかもしれませんけれども、そういった沖縄に関する懸案事項、今回のアメリカとの外相会談等を通じまして、これはなかなかこれからこの問題を解決するのは大変だなという印象を持たれたのか、あるいは、そうじゃない、これはやり方によっては十分見通しが立つというふうな印象を持たれたのか、そのあたり、率直な印象はいかがでしょうか。

田中国務大臣 今の段階では、沖縄に限っては申し上げない方がいいと思います。それは、私の主観だけになりますし、相手がどう思ったか、それから、ほかに世界じゅうにアメリカは基地を持っておられますから、それらとのバランスとか、そういうトータルなことがよくわかりませんので、アメリカがどういう対応をし、どういうイシューをそれぞれの国、例えば韓国やドイツと持っているかわかりませんので、今ではちょっと申し上げかねます。

一川委員 それでは、先ほどの普天間基地の移転問題に関連しての話題でございますけれども、これも外務大臣にお聞きすればいいんだろうと思うのですけれども、十五年間の使用期限問題というのがあるわけです。私自身も、この使用期限問題という話を聞くたびに、ちょっと素直な印象としてまだはっきりわからないのは、十五年間使用期限ということであれば、十五年間使えるような施設をつくるということなのか。

 要するに、今いろいろなお話を聞いている限りでは、十五年間使用して、十五年後にはその施設を廃止してしまうのか、あるいはほかに転用して使うのかというところが、どうも何か定義がはっきりしないようなところがこの使用期限問題にあるような気がするのですね。そこのところを外務大臣はどういうふうに御理解していますか。

田中国務大臣 この間、初めてその会議が官邸でございまして、私も初出席いたしました。そのときに、三工法、要するに、メガフロートとケーソン工法と埋め立てがあって、八案がある、それらをどのようにして組み合わせて、そしてどのぐらいの期間で、どこの部分、どういう方法でやるのかというふうな、具体的にプロジェクターも使いながら――速過ぎますか、もっとゆっくりしゃべりましょうか。プロジェクターも使いながら説明があったんですけれども、私もこれは、いろいろな質問を私個人で手を挙げてしたものですから、余り私ばかりで、ほかの大臣がもう皆さんベテランでわかっていらっしゃるからなさらなかったのでしょうけれども、これ以上私も、その質問を二つ三つやったので、いけないかと思って控えていた質問の一つが、今おっしゃったことなんですよね。

 費用対効果という問題もありますし、ちょっと不勉強なものですから、ベテランの先生の方が、大臣の方がよく御存じだと思いますので、ちょっと先に述べていただいてよろしゅうございましょうか。

一川委員 では、次に尾身大臣にもお答えいただきますけれども、要するに、国民の皆さん方にこういった問題をもっとわかりやすく説明をして、理解していただくというのが大事だと思うのです。

 そういったときに、十五年使用期限、これは十五年であるか何年か、それはわかりませんけれども、一つの使用期限をつけるということは、その使用期限までもつような施設をつくるのか、それだけの耐用年数があればいいというふうに解釈するのか、いや、そうじゃない、十五年間軍事用として使えばいいんだ、それ以降はほかに転用して沖縄の振興のために使えばいいんだというふうに理解をすればいいのか、そのあたりの解釈がどうも国民の皆さん方もはっきりわかっていないんじゃないかなという感じがしますけれども、いかがですか。

尾身国務大臣 私は、一川委員、この種の問題のいわばプロだと思っておりますが、素直な感覚からの御質問で、質問にむしろ大変敬服をしている次第でございます。

 十五年使用期限の問題は、国際情勢等から見て非常に厳しい問題であるというふうに認識をしておりますが、稲嶺知事及び名護市長からの要望も踏まえまして、私どもこの問題を最高レベルで日米間の話し合いとして取り上げてきているところでございます。

 それはそれで何回か説明をしているところでございますが、十五年ならば、十五年もってその後はもう壊れてしまう施設でもいいのではないかという御質問でございます。そういう御質問も考えてみればあり得るなということでございますが、これは軍民共用で、今沖縄の方々は、将来は民間空港として使える、当面は軍民共用空港でございますが、将来は民間空港として使えるようなことを考えながら施設をつくっていくということでございまして、私ども、そのような考え方のもとに代替施設の建設を進めてまいりたい、こういうことでございます。

一川委員 大体基本的なお考えはわかりましたけれども、十五年という期限は別にしましても、使用期限をつけるということについては、場所が非常に、いろいろな面で自然環境に対して配慮しなければならないということからすれば、後で撤去しやすいような工法として建築していくのか、いや、これは公共施設としてつくるのだということであれば、当然ながら他に転用するということですから、そういうことももっともっと一般の国民の皆さん方にもわかりやすい、理解を得られるようなこれからの進め方をぜひお願いしたいなというふうに思っております。

 そこで、尾身大臣に引き続き、では沖縄の問題についてもお聞きするわけです。

 これは、先ほど来こういう質疑が相当されていますから若干重複しますけれども、沖縄の振興問題、振興開発、こういった計画をつくってこられて、もう三十年近くなるわけですね。こういう中で、どっちかというと、これまでは財政主導型といいますか、公共投資を中心としたハード的な面を中心に沖縄の基盤づくりをやってこられた。そのいろいろな経済に対する波及効果の中で、沖縄の経済も相当進展してきたのだろうというふうに思います。

 そろそろそのかじ取りといいますか経済構造をやはり転換していく時期に来ているなという感じは、大臣も大体そういう問題意識を持っておられると思いますけれども、俗に言う官主導型から民主導型の方へ転換すべき、そういう時代に来ておるなということを考えるわけです。

 では、今そういう力がついているかどうかというところは私自身もまだ十分わかりませんけれども、大臣自身はそのあたりはどうですか。沖縄の経済構造なり経済力からして、これまでのそういった公共投資主導型というか財政主導型の経済から、民間主導型の経済に切りかえがそろそろできる、そういう時代に、時期に来ているというふうに判断されますか。いかがですか。

尾身国務大臣 私自身もいろいろ考えるわけでございますが、今度のポスト三次振計を考える際に、大方の御意見は、インフラについてはかなり整備が進んで、格差もかなり少なくなった、小さくなった。そういう意味で、むしろ今度は自立経済を目指すということにキーワードを変えていくべきではないかという御意見が強くなってきているわけでございます。

 その意味は、やはり民間主導型の経済、あるいはベンチャーを育てたり、加工業を育てたり、情報通信産業に重点を置いたりすることになろうと思いますけれども、民間中心の経済に切りかえていって、自立経済という言葉にあるような形で進めていくべきだという意見が強くなっているように思いますし、実を言うと、それは大変いい方向だというふうに考えております。

一川委員 基本的には恐らくそういう方向だと思います。

 先ほど格差の問題も出ましたけれども、私も前にこの委員会でもちょっとお話をさせていただいたことがあるのですけれども、単なる所得水準だけでの格差の問題とか、また社会資本の整備率的なものだけでの格差ということを論ずるだけではなくて、先ほど外務大臣もちょっとおっしゃいましたけれども、沖縄の持つ明るさといいますか、そういう人情的なものも含めて、やはり我々から見ると非常に不便な、そういう島嶼部で、現実に明るく生活している方もたくさんいらっしゃるわけです。そういう人たちに、やはり一つの誇りを持っていただくというのですか、また自信も持っていただくというような観点での沖縄振興というのは、私はやはり非常に大事ではないかと思います。

 これは沖縄に限らず、本土の本当の過疎地帯の問題もそれに共通するわけですけれども、単なる、所得が低いとか非常に利便性に欠けるということだけで何か格差格差というふうな言い方は、それは、基本的には着実に進めるものは進める必要は当然あるわけですけれども、そういったことに十分配慮した振興計画的なものをぜひ考えていただきたいなというふうに思います。

 そこでもう一点。今のこの問題にも関連するわけでございますけれども、沖縄のこれからの振興計画というのは、先ほど、民間主導型の方へ移行しながら、そういう流れの中で一つの方向づけをしたいというようなお話がございましたけれども、沖縄には島嶼部、たくさん抱えておりますね、島を。その中でも、実際に人間が住んでいる島は約五十ぐらいあるというふうに聞いておりますけれども、そういう中のいろいろな、福祉対策とか、要するに医療も含めた、高齢者対策も含めた、そういうものもある面では非常に大切なことだと私は思います。こういったところについて、大臣、何かお考えをお持ちでしょうか。

尾身国務大臣 これは、沖縄は日本で一番のいわゆる島嶼地域でございまして、やはり一つの島に少ない方々しか住んでいないということの中で、福祉の問題とか、そういう問題の格差というのはかなりあるわけでございまして、これはこれで解決すべき大変多くの問題を含んでいると思いますけれども、海に恵まれた、自然に恵まれた沖縄、亜熱帯地域の沖縄というイメージで考えますと、またそこに非常に活路を見出せるということでございまして、自立経済を目指す場合でも、沖縄の地理的条件、非常に有利な点もございますから、そういうものも活用しながら、新しいビジョンを、夢の持てる、今のお話のとおり、夢や誇りや自信を持てるような沖縄をつくり上げていくために頑張ってまいりたいと考えております。

一川委員 では、ちょっと時間もあれでしょうから、話題を変えます。

 先ほど北方領土問題に関連して、若干の話題が出ました。またその問題に関連しますけれども、先ほど外務省の方から一つの見解があったと思うのです。再度、ちょっと確認のために、大臣ですか副大臣ですか、どちらでも結構ですけれども、今回、北方四島周辺において韓国漁船がサンマの操業をすることについて、ロシアがそれを昨年の十二月ですか、もう認めたということが報道されましたね。これについて、外務省として、当然ながらいろいろな折衝はされてきたと思いますけれども、今後どう対応していくか等も含めて、ちょっとお考えをお聞きしたいと思います。

杉浦副大臣 北方四島周辺における韓国漁船の操業をロシア政府が認めたということは、先ほど御答弁申し上げたとおり、昨年十二月あったわけでございます。まもなく私どもの知るところとなりまして、以来、いろいろなレベルで申し入れております。

 手短に申し上げますと、二月二十日には東郷欧州局長からパノフ駐日ロシア大使に抗議の申し入れをしておりますし、三月五日には加藤外務審議官からロシュコフ外務次官に言っております。三月十六日は鹿取在韓大公使から秋韓国外交通商部太平洋局長に申し入れをしておりますし、三月二十五日にはイルクーツクでのトップ会談で、森総理からプーチン・ロシア大統領にも、このことは自制していただくように話をしております。

 六月に入りまして、川島外務事務次官から崔駐日韓国大使に厳しい抗議をいたしております。十四日には小町欧州局長からパノフ駐日ロシア大使に、そして十五日には、重ねまして鹿取在韓大公使から秋韓国外交通商部太平洋局長に申し入れておりますし、同じ日に、篠田在ロ大公使からガルージン・ロシア外務省第二アジア局次長に申し入れております。そして十九日には、先ほど申し上げましたとおり、田中外務大臣からイワノフ外務大臣に対して手紙を差し上げておるところでございます。

 最初は、事を荒立てないという趣旨で、事務当局あるいはトップレベルで静かにしておったわけですが、現状では七月十五日から始まる漁期から操業しかねない状況に相なっておりまして、外務省としては、水産庁と緊密な連絡をとりながら、与党三党にも実情をお話しして、何としても最悪の事態は避けたいということで努力をしているところであります。与党三党幹事長が国会終了後韓国に行かれる、その際にこのことを問題にされるやにもお伺いしておるところでございます。

 憂慮しておりますのは、強硬な態度が続くとすれば、三陸沖のサンマ、これは約九千トンですが、とりたいと言ってきておりますが、これを今サスペンドしております。これを認めないということになりかねませんし、北方四島沖は、割り当てはたしか一万五千トンぐらいだったと思うんですが、仮にそうなりますと、日韓の漁業協定全体、では韓国は東シナ海に入っております日本の漁船を制限するとか対抗措置に出る可能性もありますし、日韓の漁業協定の枠組み全体にも響く可能性なしといたしません。そして、日ロの北方四島に係る交渉も、せっかくトップレベルでいい方向に向かっていることにも悪影響が出かねない。

 野球のボールに例えますと、デッドボールに近い球を投げられている感じがいたしまして、非常に憂慮しておるというのが実情でございます。

一川委員 今副大臣もお話がありましたように、この問題は、交渉の成り行き次第では、これから日本の排他的経済水域内での漁業問題にいろいろな意味で影響をする話題だというふうに私は思います。そういう面では、今デッドボール的なことだというふうなお話もございましたけれども、それにひるまず、毅然として、しっかりと日本の主権を主張していただきたいというふうに私は思います。

 そこで、これに関連して、ちょっと尾身大臣にもお伺いするわけですけれども、北方領土の返還運動というのは、これは国民的な合意形成の中で当然進んでいくわけでございますけれども、要するに、今回、日本の固有の領土であるというふうに日本がかねて主張してきている北方四島の周辺水域でロシアが韓国漁船にそういうことを認めたということは、これからの北方領土返還運動にとって余りいい話題じゃないというふうに私は思うんですね。大臣、それに対していかがですか。

尾身国務大臣 言われております韓ロの漁業協定、北方領土地域を含みます地区における漁業協定の問題は、本質的には領土問題にかかわるものでございまして、北方領土問題を解決して平和条約を締結したいという日ロ共通の目標がある中で非常に問題である、したがって、私どもとしては、何とか適切な対応を図らなきゃいけないというふうに考えている次第でございます。

 固有の領土である北方領土がまだ半世紀たっても返還されていないことはまことに遺憾なことでございまして、私どもとしては、さらに早期返還を実現するために運動を全力で進めてまいりたいというふうに考えております。

一川委員 これは最後の質問にさせていただきますけれども、私は、尾身大臣に、これは前の大臣にも何回かお聞きして余りいい返事をもらえないでいるのですけれども、北方領土早期返還運動の一環として、日本の固有領土である北方領土について、日本政府として、要するに、北方領土の振興ビジョンといいますか、そういうようなものを、今は日本の正式な領土じゃないから勝手にかくのは難しいという意見は当然あるわけですけれども、ただしかし、固有の領土であるということを宣言している以上は、日本の政府としては、もし日本の領土として正式に認知されればこういう振興ビジョンがありますよというようなことを、ある程度のものを描いて、それを関係者に理解してもらうということも、ある面では、やはり日本の国民全体の機運を盛り上げるという意味でも私は意味があるというふうな感じがいたしますけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。

尾身国務大臣 北方四島の返還は国民的な運動でございまして、まだその目標を達成していないわけでございますが、ある段階で、何らかの形で氷を破る必要もあるわけでございまして、貴重な提案として承らせていただいて、検討させていただきたいと思います。

一川委員 以上で終わります。ありがとうございました。

大木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。きょうは、尾身大臣に沖縄の、きのうも参議院の沖北で取り上げられましたが、泡瀬干潟の問題、そして十五年使用期限の問題と、それぞれお伺いをしていきたいと思います。

 泡瀬干潟の問題ですが、総事業費が五百十四億円をかけて、泡瀬の干潟百八十六・五ヘクタールの埋立事業がこの八月から着工されようとしています。しかし、この事業は目的も採算性も全くあいまいなものでありまして、その前に、干潟の持つ意味について改めて考え直さなければいけない時期に来ているのではないかと思うのです。計画はバブルの時代につくられていて、今私たちに求められているのは、そのバブルの時代の計画を見直す勇気を持たなければいけないということだろうと思うのですね。

 それで、環境省にまず最初にお伺いしたいのですが、埋め立てる場所は沖縄島で最大の干潟であります。泡瀬干潟は、沖縄島で渡り鳥が最も多く飛来する場所で、オーストラリアと北東アジアを結ぶ渡り鳥の重要なルートになっています。鳥たちにとって、泡瀬の干潟はなくてはならない場所だと思います。また、その干潟は、広い海草藻場を持っていて、生き物の揺りかごとも呼ばれて、地域住民の憩いの場所にもなっており、沖縄で旧三月三日に伝統的に行われておりますハマウイ、浜おり、そういう文化を育てている本当に豊かな自然でもあります。

 沖縄県内では、ラムサール条約に指定されている豊見城村の漫湖より渡り鳥の飛来がふえていますけれども、泡瀬干潟をラムサール条約に指定する必要がないかどうか、最初に環境省に伺いたいと思います。

西尾政府参考人 泡瀬干潟につきましては、先生御指摘のように、沖縄本島の中では比較的まとまった規模の干潟でございまして、ムナグロやメダイチドリなどのシギ・チドリ類が定期的に訪れる渡り鳥の飛来地となっておるわけでございます。

 今御指摘のラムサール条約の指定ということになりますと、これは技術的な基準がございまして、二万羽以上の渡り鳥が飛来するでございますとか、その他幾つかの技術的な基準がございます。これまで泡瀬干潟におきましての観測例、これはかなりの羽数のシギ・チドリ類が確認されておりますが、まだそこまでの大きな数字は確認をされていないところでございます。

 環境省といたしましては、平成十一年度から、シギ・チドリ類のモニタリング調査に着手しております。この中で泡瀬干潟も調査ポイントの一つといたしまして、今後とも調査結果を見きわめてまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 ぜひ調査をしっかりしていただいて、この泡瀬干潟の豊かな自然を守っていく国際的な責任も果たしていただきたいと思うんです。

 それで、泡瀬干潟のちょうどその埋め立て場所に重なって、絶滅危惧種クビレミドロ、一・七ヘクタールが存在しております。埋め立てによってすべて消滅をしてしまうわけですね。ですから、事業者としては、一たん別の海域に移植した後、人工干潟へ再度移植する保全策をとるということになっています。

 ところが、その事業実施に当たって、泡瀬の干潟に留意をして環境監視・検討委員会が置かれていますけれども、その第二回目の報告では、クビレミドロの移植実験、特に室内における卵からクビレミドロにかえす実験については成功しなかった、そして、移植技術も確立していないというぐあいに聞いております。それから、海草藻場についても、藻の責任者の方々からは、藻場は根づくだけではだめで、沖縄の藻というのは四年、五年見ていかなければ移植が成功したかどうかというのは言えないんだ、もともと藻が生えていない場所に移植するというのは非常にばくち的なものだというぐあいに言っております。

 環境省、このクビレミドロの保存について、あるいは移植技術について、順調にいっておられるのかどうか、見解を伺いたいと思います。

西尾政府参考人 クビレミドロの保護についてでございますけれども、これにつきましては、公有水面埋立法に基づく承認等の際の留意事項として、クビレミドロが生育する区域の埋め立てはその移植が技術的に可能と判断してから着手するよう求められたわけでございます。

 現在までのところはまだ移植技術が確立されているわけではないというふうに理解しておりますけれども、何分にもこれは移植の研究実験を進められているところでございます。したがいまして、公有水面埋め立てにおきまする留意事項と付されましたところに従いまして、事業者におきましてそれにのっとった施策が今後ともきちんと実施されるように注視してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 クビレミドロの移植実験はほとんど失敗しているんですね。卵の発生は確認されていない。特に室内移植実験ではそのような数字も出ているわけですね。

 そこで、事業者は大半は国であります。その国と沖縄県との間に、事業を承認する際に沖縄県は総合事務局に留意事項として、泡瀬地区のクビレミドロの生育地としての重要性が高いことから、事業の実施に当たっては、クビレミドロが生育していない第一区域を先に行い、第二区域のうちクビレミドロが生育している箇所の事業に当たっては、実施については前記一の委員会の検討を踏まえるとともに、県に環境保全上の意見を聞くことという条件がついているわけですね。

 それで、クビレミドロの移植実験は失敗が続いている。ですから、二期工事が始まる前までその技術が確立していくかどうかというのは、環境省でもわからない未知の問題であるわけですね。そういう未知の課題を抱えながら一期工事を始めていった場合に、クビレミドロの生息環境にも重大な影響を与えるし、やはり今あそこの自然が守られない。守られるという保証がない以上、工事はストップすべきであるし、いずれにしても、二期工事に差しかかるときにはストップしなければいけない性格の埋め立てになっているわけですね。

 それから、渡り鳥の問題でも、人工干潟をつくるという計画もありますが、その隣に人工干潟があるんですね。川田干潟を埋め立てた後に人工干潟をつくっているんですが、人工干潟でないころは渡り鳥が千八百羽いたのが、人工干潟に飛来してくるのは今では十三羽というような、極端に鳥にとっての環境の悪い場所になっているんです。

 あれだけの豊かな環境を持っているところが、藻の問題でもクビレミドロの問題でも鳥の問題でも、その環境が保全できないということが極めてはっきりしてきた。これは今までなかったありようなんです。そこに着目してやはり今の工事を見直すべきではないかというぐあいに思いますが、尾身大臣、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 先ほど来お話をよく聞いておりますが、現在、この中城湾港の泡瀬地区につきましては、沖縄市が沖縄県とともに海に開かれた国際交流拠点を目指して開発計画を進めているところでございます。この事業につきましては、これまで、環境影響評価法等に基づく環境影響評価の諸手続並びに公有水面埋立法に基づく手続を適正に実施して今日に至っているものでございます。

 自然環境の保全の重要性につきましてはかねがね十分認識しているところでございまして、環境監視・検討委員会の議論を見守りつつ、環境の保全に十分配慮しながら、今後とも的確に対応してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 海に出ていきたいという話は計画の始まりのころであって、環境アセスもやりましたということもあって、しかしそれらの調査では、解決していない、環境が守られないという現象があらわれているんですね。

 クビレミドロの問題でいったら、これは、皆さんがおつくりになった環境監視・検討委員会の報告書です。きょう、ここに持ってきました。クビレミドロの実験は成功していないということが書かれているんですよ。それから、せっかくラムサール条約の指定に向けて鳥のカウントも始まっている中で、人工干潟で解決しようという皆さん方の考え方は、お隣の川田干潟を埋め立てた後の人工干潟の鳥の飛来ではっきりしているんです。海草藻場も移植できない、技術は未確立だということがはっきりしているんです。

 ここまで自然にとって大変大事な問題が持ち上がっているときに、今までどおりの計画で進めますというにしては、余りにも環境に対する配慮が足りないんじゃないか、環境に対する配慮を持つべきじゃないかということなんですが、いかがですか、尾身大臣。

安達政府参考人 先生御指摘なさいました点は、第二回の環境監視・検討委員会において報告された点であろうかと思います。

 二つの区域への移植実験があったわけでございます。それについてはそれなりの成果はありましたけれども、室内実験については発芽は見られなかったという報告がされました。

 私ども、尾身大臣が申しましたように、環境問題を極めて重要視するという姿勢でございまして、そのためには情報を公開することが極めて重要であるということから、この環境監視委員会はガラス張りの議論をしていただいて、広く県民、市民の皆様に、あるいは全国民の皆様にこの議論の過程を知っていただくということでさせていただき、またインターネット上も意見を受け付けまして、この監視委員会でその意見に対してまた議論をしていただく、こういうプロセスを今後とも経ていきたいというふうに考えておるわけでございます。

赤嶺委員 環境に対して重大な問題が出てきているという指摘であるわけですが、それは、情報公開をしたからといって、環境が守られるという話にはつながらないのです。

 そこで、先に進みますけれども、この泡瀬の干潟を埋め立てて、では何をつくろうとしているのかということなんです。

 東部海浜開発計画と呼ばれておりますけれども、これは一九九八年の際には、大規模のリゾート開発でリスクも大きいとして、一たんは国庫要求が却下されているわけです。ところが、御承知のとおり、沖縄振興開発特別措置法にFTZが盛り込まれたことによって、大型港湾建設のための航路しゅんせつが出てきて、そのしゅんせつの土砂の捨て場として泡瀬干潟を埋め立てようという話になっているわけですね。

 それで、埋立事業をやるわけですから、埋め立てた後に何をするかはっきりしなきゃいけないわけでして、それを国の方は、事業者である国の方が県知事に提出した埋立必要理由書、これによりますと、宿泊施設がホテル、コンドミニアムなど六施設、全体の客室は千二百七十五室、そして、これにそれだけのホテルが必要だという根拠に、沖縄に旅行に来た人たちの平均滞在日数五・二七泊というぐあいにカウントしてやっているわけです。実は、その総合事務局の立てた埋立必要理由書に対して沖縄の新聞は、「ケ・セラ・セラでは困る」、こういう社説を書いているのですね。後でどうにかなると思ったら間違いですよということを言っているのです。

 そこで、質問なんですけれども、沖縄への年間の観光客が二〇〇六年には六百十六万人になるという前提でこれらの計画を開発庁は立てておられます。しかし、皆さんが去年出しました、「沖縄振興開発の現状と課題」という沖縄開発庁のつくった冊子によりますと、「五百万人台の観光客数に対応した宿泊施設の整備」となっています。皆さんが去年六月に立てた観光の目標では五百万人であるのに、いつの間にか二〇〇六年に六百十六万人になり、きのうの参議院の沖北での答弁ですと、いや、七百万、こういう目標でやっているんだと言っているのですけれども、私、どうもこの数のはじき方というのは精密さに欠けているんじゃないか、精密な数を持たないで、やれ、これだけの観光客が来るからこれだけのホテルが必要だと言って、過剰な計画をもって過剰な埋め立てをやろうとしているのではないかというぐあいに思いますが、いかがですか。

安達政府参考人 このマリンシティー構想におきます観光客数の予測でございますけれども、これは、一九八六年から一九九五年までの十年間にわたる観光客数の伸び、こういったものをベースにいたしまして時系列解析をいたしまして、平成十八年、二〇〇六年の予測として、御指摘のように六百十六万人という数字が出されたというものでございます。ちなみに、この十年間の沖縄の観光客の伸び率でございますけれども、五・五%でございました。

 その後どうであるかということですけれども、一九九五年から最近までの五年間を見ますと、これが年率八・六%ということになっております。ただ、これは今から振り返っての私の見方ですけれども、二回にわたって航空運賃を下げるとか、こういうことの効果ということですから、八・六を前提とするとすればいささか楽観的過ぎるのじゃないかということを感じますけれども、それ以前の伸び率を基本的にベースにしながら解析をしたという面について見ますと、私は、基本的には妥当なものじゃないだろうか。

 最近の県の予測でございますけれども、十年後の観光客予測というところで最大七百万人という想定をしているものでございます。

赤嶺委員 滞在日数の五・二七泊になるという根拠はどこにありますか。

安達政府参考人 これも当時の推計でございますが、現時点でこれを検証いたしてみますと、観光コンベンションビューローが平成十一年度に実施いたしましたアンケート調査によれば、今後の沖縄観光における希望滞在泊数については、四泊以上が五〇%、五泊以上が二五%を占めております。

 一方、このマリンシティー構想、地元におきまして、やはり長期滞在型の観光リゾート、これによって地域経済の活性化に役立てたいという非常に強い期待がございまして、配置するホテルにつきましても、居住性の高い低層のホテル、あるいはコンドミニアム、コテージといった長期滞在に適した宿泊施設を計画しておるというところでございます。

 数字につきましては、客観的な見通しと我々の努力と合わさって結果が出てまいります。沖縄につきましては、観光客の増加の割には観光収入が伸びないという悩みは、先生御承知のとおり非常にあります。一つは、この対策として、長期滞在化を何とか図れないものか、こういう熱い思いがあるわけでございます。私ども、そういう思いに理解を示すこのプロジェクトの成功を期待してきたというのがこれまでの経緯でございます。

赤嶺委員 これらの年間七百万人の観光客と宿泊の五・二七泊というのは、県と皆さんの方で考え方は一致していらっしゃいますか。一致しているなら、そういう数値はどういうところでちゃんと明記されておりますか。

安達政府参考人 このプロジェクトの最大のプロモーターは沖縄市でございまして、市における議論が中心となり、それに県、そして政府が入り、そういったところで一つ見通しのコンセンサスが得られたというふうに理解しております。

赤嶺委員 そうすると、沖縄県は、皆さんが言う七百万観光客と五・二七泊についてはどういう見解を持っていらっしゃるのですか。

安達政府参考人 申しわけございません。この点について直接、最近において確認しておりません。

赤嶺委員 沖縄に観光客が年間七百万人来るというのを、沖縄県と確認しないで政府だけで決められるのですか。五・二七泊というのが、今沖縄の平均宿泊は三・七四泊ですよ。そして沖縄の観光というのは、沖縄県が特徴づけているのは短期滞在型なんですよ。そして、本当に短期滞在が九割なんですよ。そこに皆さん、どういうものを根拠に、何があったから、年間七百万人、そして沖縄市に、平均宿泊五・二七泊、これだけの客が来るからあれだけのホテルをつくろう、こういう計画になるのですか。政府の一方的な計画じゃないですか。

安達政府参考人 先ほどちょっと不正確な答弁をいたしました。五・三泊といった点について県がどう考えているかということについては確認しておりませんが、先ほど申し上げました七百万人といいますのは、最大値として七百万人と出ておりますのは、沖縄県がポスト三次振計に向けて現在いろいろ議論をされているわけでございますけれども、県の振興開発審議会総合部会経済社会展望専門委員会における作業として、推計値として出されたものでございます。

赤嶺委員 まだ作業途中の数字なんですね。沖縄県はその数字を持っていないのですね。七百万という数字を持っていないのですよ。

 それで、七百万という数字がどこから出てきたか、いろいろ調べてみたんですけれども、一九九九年にサミットを前にして二階運輸大臣が沖縄に行きまして、そして、沖縄の観光客を七百万人にしようじゃないか、その七百万人を達成するために百人委員会というのをつくってどんどん観光客をふやそうじゃないか、こういうことを打ち上げているのですよ。その百人委員会というものはどういう活動をしているかということを調べてみたのですけれども、発足したときに一回シンポジウム、これは一九九九年十二月に開いて、二〇〇〇年に一回シンポジウムを開いて、あれから何の活動もしていないのですよ。

 つまり、七百万人の観光目標というのは、今現在沖縄県でいろいろ、七百万人というせっかく二階運輸大臣が出した数字だから議論にはなっている。だけれども、今度は五百万人を来年度までに達成できるかどうかということで必死になっているのです。七百万人という数字じゃないのですよ。沖縄の観光の実態を知る人から見れば、七百万人という裏づけなんて出てこないのです。政府が持ち込んできた数字なんです。自分たちで、そういう裏づけもない、県との合意もない数字を持ち出してきて、ホテルをつくるのにだとか観光客がふえるからだとか、滞在日数も現在三・七日が四日になれば本当にありがたいんだがというのが観光にじかに携わっている人たちの実感なんですよ。

 だから、非常に過大な見積もりをしているのではないかというぐあいに思いますけれども、尾身大臣、いかがですか。

尾身国務大臣 今の数字、私、不勉強で申しわけございませんが、初めて聞いた数字でございます。これからいろいろと勉強してまいりたいと思います。

赤嶺委員 勉強して、この政府が立てた数字がやはり過剰であるということになれば、その数字の見直しということを行いますか。

尾身国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、これは沖縄県及び沖縄市が進めているプロジェクトでございまして、埋め立て事業そのものは私どもの方でやっているわけでございますが、そういう状況。それから、環境評価等につきましての調査も手続をきちっとしております。そういう状況も踏まえまして、適切に対応してまいりたいと思っております。

赤嶺委員 沖縄県は、七百万人の目標というのはまだ持っていないのです。それから、沖縄県は、皆さんが計算の根拠にした五・三日という根拠もまだ持っていないのです。ですから、埋め立てをしたいがために立てた過大な数字なんです。ここを再検討していただきたいということであります。

 それで、もう時間がありませんので十五年使用期限の問題について尾身大臣に伺いたいのですが、田中外務大臣は、先ほどの答弁を聞いていまして、私、十五年問題の経過を知っている人間の一人として、アメリカに直接言えば角が立つからえんきょくにメッセージを送っておこう、こういう話だと思うのですよ。それ以上でもそれ以下でもないのです。

 尾身大臣は、前の県知事選挙で稲嶺知事が十五年使用期限を県民に公約した経過についてもよく熟知しておられる立場だと思います。政府の取り組みの中で、十五年問題というのは一歩も前進していないということをお認めになるのかどうか。尾身大臣は、訪米の際に、やはり十五年という言葉を使ったら角が立つから丸くおさめるやり方でいくのか、それとも、十五年という稲嶺知事が課題に掲げているその数字を出してアメリカとの話し合いを行うのか、この点はいかがでしょうか。

尾身国務大臣 この問題は、国際情勢もありまして、厳しい問題であると承知しておりますが、稲嶺知事及び岸本市長からの御要望もありまして、それを重く受けとめて、私ども、最高レベルでアメリカ側と話をしているところでございます。現に前回の森・ブッシュ会談におきましてもその話が出ておりまして、ブッシュ大統領からの返事もちょうだいをしているところでございます。

 そういう経緯を踏まえてでございますが、私も、このたびアメリカに行きましたときには、この問題も当然向こう側との話し合いの中で含めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 十五年問題というのは、先ほど森・ブッシュ会談ということがありましたが、そのときのブッシュ大統領の立場も非常に明確なんですね。ですから、私は外務委員会で田中外務大臣にも質問いたしましたけれども、やはりアメリカ側の態度を見ていると、十五年問題が破綻しているのは明確なんです。その破綻をお認めになって、やはり普天間基地の名護市への建設は白紙撤回をすべきではないかということを求めるものですが、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 この点に関しましては、私どもは委員の意見と全く立場、考え方を異にしております。

 私どもは、SACO合意に基づきまして、沖縄全体の負担を軽減するという意味から、普天間基地の移転は大変大事な問題であり、地元の皆様の御理解をいただきながらこれを進めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 私は、最後に尾身大臣に、SACO合意では沖縄の基地問題は絶対に解決しないということを申し上げまして、質問を終わります。

大木委員長 それでは、最後になりましたが、次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子でございます。いつもラストバッターです。どうぞよろしくお願いいたします。

 私もいろいろと質問を準備してまいりまして、通告もいたしましたが、かなり重複するところもあるかとは思いますが、幾らかはさせていただきたいと思います。

 まず真っ先に、十五年使用期限の問題。

 田中大臣、またもかときっと思われていると思います、きのうも随分外務委員会でもやりましたので。けさからずっとその問題は出ておりますが、私の昨日の外務委員会での質問に対して、移設、返還に係る問題ということでパウエル国務長官はよく承知しておられる、ですからその中に十五年使用期限というのは含まれるという御答弁だったと私は記憶しております。

 その中で私が本当に知りたかったのは、大臣が、十五年使用期限ということは、沖縄の県民はこういうふうに言っているんですよと実際に言葉にして出しておられたかということを本当は聞きたかったのです。それは出なかったということが、きょうはっきりわかりました。含まれるとはおっしゃったのですが、先ほどの民主党の川内さんへの答弁で、十五年使用期限について言うと何か角が立つ、何か重いものを負わされるかもしれないということがあって、それは言わなかったというようなことをおっしゃった。違うんですか。では大臣、済みません、そこの方からもう一度お願いします。

田中国務大臣 どうも私が言葉が足りないので誤解されがちみたいですけれども、聞き手が悪いと申し上げてはいけないのであえて申し上げますけれども、ちょっと整理して申しますけれども、では、議員になられて一年でいらっしゃる、過去のこともお調べいただきたいと思いますけれども、この小泉内閣以前のときの総理及び外務大臣等がアメリカのトップと、自分のカウンターパートとして外務大臣は外務大臣、総理は総理と話をしたときに、この問題をスムーズに言って、率直に、普通の平明なわかりやすい言葉で相手ときちっと話をして、どういう返事が返ってきたかというのは御存じなんでしょうか。御存じですか。(東門委員「いや、私、そこにおりませんから、それはわかりません」と呼ぶ)いや、それは理屈にならないのですよ。そういう過去があって、現在があって、将来があるのですね、物事というのは。年長者にお説教して申しわけないんですけれども。

 したがって、私が思いますのは、そういう過去のこと、そして将来を考えた場合に、今回は沖縄の問題、すなわち、沖縄の問題というのは、先ほどおっしゃったように痛みの問題とか、いつも申し上げているじゃないですか、沖縄県民の皆さんの痛みを私たち国民一人一人が自分の痛みとして感じるようでなかったならばこの問題は前へ出ないし、ましてや総理や外務大臣が、そういうことを実際に自分の身内のこととして、自分自身の騒音、自分の五感に感じるもの、自分自身の痛みとして感じているぐらいの気持ちでメッセージを発出しないと、それは相手から本当にまじめになかなか、アメリカはもちろん今までもまじめに答えておられると思いますよ、誤解があるといけませんから言いますが。ですけれども、アメリカが、さっき言ったじゃないですか、いろいろな国とこういう問題を抱えているわけですよ、経済問題も特に。そういう中で、日本との安全保障の中で、この沖縄の、しかも普天間のこの問題をどうとらえるかということをよく理解してもらって、少しでもポジティブな、前向きな、沖縄の方、日本人、私たちみんなのためになるようなことを引き出すといいますか、わかってもらうためにはどうすればいいかということです。

 過去も成功してこられたし、ベストを尽くされたと思います。過去のアメリカの側も日本の側もです。ですけれども、私は私なりに自分の方法で、新しく、政権五カ月目のアメリカの政権のパウエル長官に対して、政権二カ月目になんなんとしている小泉内閣の外務大臣としてお話をさせていただいたんです。その中で、私は、これについて先ほど来申し上げているようなパウエル長官の対応を得たということは、それなりに前進であったというふうに思います。したがって、返還という中に、いつもおっしゃっておられることが当然入っている、そういう認識をアメリカが持たれたと思うんです。それが一つ。

 もう一つ、荷物、荷物というかほかの問題といいますのは、これは私が自分の知り合いのある人から聞いた話で、これは信義もあるから中身は言いませんけれども、アメリカはアメリカで、ちゃんと日本について、これが来たらこれを答えよう、こういうアメリカの実情であるというものは当然準備しているということはおわかりになると思います。それはアメリカだけじゃないと思いますよ。どこの国だって、我々個人のベースで話をするときだって、相手がこういうことを言ってくるな、ではこうしようというのはやはり準備するものじゃないですか。それを言われないで済んだだけでも、かなり確率が高く、こちらの言い方によっては、こちらのやりようによっては、あれを言われたらかえって大失敗になったと私は思いますよ。でも、それは実際に本人から聞いたわけじゃないですからね。その周りから私は聞いていた情報ですから、だから、確実じゃないからそれは申し上げませんけれども、交渉事というのはそうじゃないんですか。おわかりになりますでしょう。だから、それをごちゃまぜに私はしていないんですよ。だから、私の先ほどの言い方が悪かったのかもしれませんけれども。

 そういう意味で、やはり今日本がやるべきことは、この後、今、防衛庁長官ももうじき着かれるでしょうし、総理も行かれますし、尾身大臣も行かれますから、みんなでこうした問題を、荷物を一緒にしょって、沖縄や日本が少しでも負担が軽くなるように、沖縄の負担が特に軽くなるように、そしてアメリカとの関係をあらゆる意味でもっとよく推し進める、戦後五十数年たって。そういう意味で言っているんでございまして、ほかの方のときの私が答え方が悪かったのかもしれませんけれども、最善の努力もいたしましたし、パウエル長官も、ほかのグループも、全部その担当者がおられた複数の中ですから、それはよく聞いてくだすったと思って、私は感謝をまずしたいと思っています。

東門委員 大臣が、パウエル長官がよく話を聞いてくださった、それに感謝しておられる、それは大臣のお立場として大いに結構だと思います。

 一番最初に大臣が、今までの大臣がとか、あるいは、過去に、現在、そして将来へ向けてどうかというのはわかりますかとおっしゃった。それは、私はそのままお返しします。見えないから、外務省の今までやってきたことが見えないから、それまでの外務大臣がやってきたことが見えないから、ある意味で不信感があるから、やっていますかと聞かざるを得ない。将来に向けてもどういう計画があるか我々はわからないんですよ。ですから、お聞きしている。直接、外務大臣としてそこでお話しするのは外務大臣です、私じゃないんです。それは申し上げておきます。これは外務大臣のお仕事なんですよ、アメリカと対応していくのは。

 私が申し上げたかったのは、十五年、アメリカへ行かれる前に大臣は委員会で、ちゃんとそのことはお話ししますと出したんです。ところが出なかった。それを、周囲のいろいろなことを、いや、実際出しておられませんでしょう、十五年使用期限のことは。それは、今のお話からもうかがえますよね。いろいろなことがあるから、いろいろなことを勘案して、どれがいいか、今がいいかということでやらなかったというように私は理解していますが、いかがですか。

大木委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

大木委員長 速記を起こしてください。

 田中外務大臣。

田中国務大臣 普天間飛行場の移設、返還に係る問題という形で、その重要性について、パウエル長官にまさしくお伝え申し上げてあります。

東門委員 いや、きのういただいたお返事はそれでしたと私はっきりと申し上げました。ところが、私が今お聞きしているのは、十五年使用期限ということをちゃんと申し上げると行かれる前に委員会でおっしゃったんです、外務委員会で。それが、十五年使用期限というのはどこにもないじゃないですか。返還に係る問題に入っているというのは、これは大臣のお気持ちでしょう。パウエル長官がそう思ったかどうか、どうやってわかりますか。

田中国務大臣 返還に係る問題という中に、これは含まれるのです。そのように先方も理解なさっていらっしゃると思いますよ。

東門委員 何をもって、先方もそのように理解しておられると思いますとおっしゃいますか。それを聞きたいと申し上げたんです。

田中国務大臣 ですから、先方は、問題はよく承知していると述べられました。そして、あらゆる折に触れてこういうことを、発言を、では、例えば沖縄の知事さんも発言してきたんじゃないのですか、この間行かれて。

東門委員 沖縄県の知事のことは私はわかりません。今大臣のお話しした中で、移設、返還という中にそれを含む、承知している、そう思いますよとおっしゃるでしょう、大臣は。そう思いますよ、相手はそういうふうに理解していると思いますよとおっしゃる。そこが、どうしてそういうふうにわかるのですか。初めてお会いした長官に、それにどうして十五年使用期限が含まれていると、あうんの呼吸でわかるのですかということです。そこをお聞きしたいんです。

田中国務大臣 パウエル長官は、普天間問題はよく承知なさっています、沖縄問題すべてを。そして、返還に係る問題、おわかりですか、その言葉の中に全部入っていると毎回申し上げているんですよ。理解したくないと思っているかどうかは知りません。そういう意味なんです。そして、問題はよく承知していると述べられました。

東門委員 かなり大臣と私の間に、確かに理解度が違うかもしれません。私は、沖縄県の立場としてこれまでも何度も申し上げてきました。この普天間の辺野古への移設の前提条件は、どなたも、皆さん朝からおっしゃったんですけれども、県知事も岸本名護市長も、十五年という使用期限が前提なんですよと。それでお引き受けになったんですよ。それで受けましょうということになったんです。それをアメリカに向かってちゃんと言っていくのは、大臣のお仕事であり、内閣のお仕事じゃないんですか。

 尾身大臣から、もしあれでしたらお聞かせください。田中大臣はきっと同じ答えしか返ってこないと思うんですよ、残念ながら。行く前は、やってきます、ちゃんと話しますとおっしゃったんですけれども、帰ってこられたら、その中に含まれているというような、オブラートで包んでしまう。大臣、よろしくお願いします。

尾身国務大臣 この問題につきましては、前の森総理とブッシュ会談の中におきましても取り上げられておりまして、私どもは、国際情勢もあり、厳しい問題であると見ておりますが、知事及び市長の要望もありましたことを重く受けとめて、米国政府との間のハイレベルの協議で取り上げてきたところであります。

 現に、森・ブッシュ会談ではその問題が取り上げられました。ブッシュ大統領のそれに対する回答というのも、使用期限の問題は困難な問題である、この問題は国際情勢に照らして考えていかなければならない、この地域でのアメリカのプレゼンスは重要である、普天間の移設問題については引き続き日米間で協議をしていきたい、こういう返答をいただいているわけでございます。

 小泉内閣におきましても、この問題についてのスタンスは変わっておりません。私も、そのスタンスに基づいてこれから対応していきたいと考えている次第でございます。

東門委員 とおっしゃいますと、今回訪米なさるときには、あちら側にははっきりとそのことをお伝えになるのでしょうか。議題として上げていかれるのか、お聞かせください。

尾身国務大臣 アメリカ側と沖縄における基地の問題、整理、縮小、統合等の問題についてお話をする中に、この問題も入っていると考えております。

東門委員 ぜひ尾身大臣におかれては、十五年使用期限という言葉もつけられて、それがいかに沖縄の県民が、沖縄の県民というよりも、沖縄の県知事と名護市長の受け入れの条件であったということは強調していただきたいと思います。

 両大臣のお話をずっと伺っていますと必ず出てくる言葉、いや、どの内閣、閣僚からも同じものが出てくると思うのですが、沖縄県民の負担を軽減したいというお気持ち、それから、痛みはよくわかっておられると一方ではおっしゃるのです。それは本当だと思います。そのお気持ちはあると思います。私は、これはないとは言いません。でありながら、ここではそれだけの、実際に見えてこない、これがとても残念なんですよ。こういうことを七二年の復帰のころから今まで、こういう基地問題に関して、政府の沖縄県にとってきたそういう政策、態度というのは本当に我々わからないのです。本気でアメリカと沖縄県の基地の問題を解決していこうとしておられるのかなというのを常に思っています。

 ですから、本気で沖縄県民の負担を軽減する、そして私たちの痛みを自分の痛みとして感じるということであれば、十五年使用期限の問題でも、私は、やはりどんなに苦しくても、どんなにあそこの壁が厚くても出ていくべきだと思っておりますので、お願いします。

尾身国務大臣 私どもは、沖縄の県民の皆様の負担を軽減するということのために、SACO最終合意をいたしまして、その線に沿って普天間基地の移設の問題も全力でやっているところでございます。

 したがいまして、委員のおっしゃいますように、私どもが負担軽減のために何もしていないという批判は全く当たらないものであると考えております。これをどうしても、地元の皆様の合意をいただいた上で、普天間だけではなしに幾つもあるわけでございます、たしか十一の問題があると思っておりますけれども、そういう問題の解決を一つ一つしていくというために全力を注いでおりますし、それから、普天間の移転の問題もそういう中で非常に大きな問題であり、それに全力を挙げてその解決に取り組んでいるところでございます。

東門委員 SACOの最終合意の実施で沖縄県民の負担を軽減したいとおっしゃる、着実にやっておられると。その返還する予定の十一の施設、そのうちの七施設が県内移設なんですよ。なぜ県内でなければならないのか、普天間の基地もなぜ沖縄県内なのですかということを、県民に政府の立場でこれまで説明してこられたでしょうか。なぜこうじゃなければいけないのだということが、私たちには見えませんよということなんです。県民に、これだけは県内移設します、それで期限があれば期限も切って、いつまでにはちゃんとしますということができていますかということなのです。そういうものが見えないから、そういうふうな今の話をしているわけです。

尾身国務大臣 私どもは、SACOの最終合意というものは、沖縄の基地についての沖縄県の皆様の負担を軽減するために必要なものであると考えております。整理、縮小、統合は、そういうことをしっかりとやることが当面大変大事なことであると考えておりまして、それに全力を尽くしておりますし、その内容については、知事を初めとする沖縄の皆様の理解もいただいているというふうに考えております。

東門委員 大臣、沖縄担当大臣としておられるから、もうこれ以上言っても恐らく同じ答えが返ってくると思いますのできょうはここで一応終わりますけれども、担当大臣として、今沖縄県民の意見も聞いてとおっしゃるから、ぜひ聞いていただきたい、沖縄に足を運んでいただきたい。一番大きな基地があるところです。日米同盟が大事である、それを強化していくという立場にあるならば、私は一番、沖縄はもっともっと本当に基地の整理縮小に向けていかなければいけない場所だと思っています。そのためには、ぜひ足を運んで、沖縄県民の基地容認派だけではなくて、その特定の人だけではなくて、反対派の意見も聞いてください。ぜひ、すべて両方聞いて判断をして、政策を遂行していただきたいと思います。

 質問を変えます。次に、国連アジア本部の沖縄への誘致についてお伺いしたいと思います。

 沖縄では、今、国連のアジア本部をぜひ沖縄へ誘致したいというふうに実行委員会をつくって活発に動いている皆さんがおられます。その方たちの趣意書等によれば、さきの大戦で本当に壊滅的な悲劇をこうむった沖縄、そして、戦後もこれだけの大きな、広大な基地がある沖縄に、できれば基地の跡地を利用して国連アジア本部というものを誘致したい、そこから平和の問題、環境の問題、共生の問題、いろいろな、二十一世紀に向けて沖縄がそういう拠点になれるように情報を発信していきたいというお考えだと私は聞いております。

 そういう意味で、外務大臣にお伺いしますけれども、沖縄へ国連アジア本部の誘致という可能性はあるのでしょうか。

田中国務大臣 本年の一月にアナン事務総長が訪日した際に、国連アジア本部の設置の可能性について話が及びましたが、現時点では、国連側に国連アジア本部を設置するというニーズがあるとのお話はございませんでした。

 でありますが、一般論として、国連は、長年にわたって国際社会の強い意向のもとで行財政改革を推進しておりますし、新たな機関を設置することには一般的に抑制が働いているということでございます。

 現在は、このことについて調査を行っております。

東門委員 今調査を行っておられるとおっしゃっていましたけれども、調査費が結構ついていて、調査が行われていると。調査費は幾らぐらいついていて、どういう調査が行われているのでしょうか。

杉浦副大臣 沖縄への国連機関誘致に関する調査については、国際連合諸機関調査経費の一部を使用して実施いたしております。方法としては、ニューヨークにあるコンサルタントへの外部委託調査を行うことといたしております。

 金額は、二社に委託しておりまして、両社で六万ドル程度。委託機関は、七月に中間報告、十月に最終報告が提出される予定でございます。

東門委員 副大臣、済みません、最初の方が全然聞こえないので。最後の方だけ聞こえました。もう一度最初から、少しゆっくり大きく読んでいただけますか。

杉浦副大臣 沖縄への国連機関誘致に関する調査につきましては、国際連合諸機関調査経費の一部を使用いたしまして実施する旨、従来御答弁申し上げているところでございます。

 具体的な方法としては、ニューヨークにあるコンサルタントへの外部委託調査を行うこととしたことから、国際連合諸機関調査経費より支出すべきところでありますが、支出できないということでありますので、現在は、同程度の金額を在外諸謝金より支出することとし、委託先は二社ございますが、両方で六万ドル程度支出する予定でございます。委託機関は、七月に中間報告、十月に最終報告が提出される予定でございます。

東門委員 これは、昨日の地元から取り寄せた新聞で、朝日新聞にも出ていますけれども、きのう参議院の国際問題調査会の方で、沖縄に国連機関を、これは決して国連アジア本部とは言っていませんが、沖縄に国連機関をということで提言があったというふうなことがありますが、その件は御存じでしょうか。その件についてお伺いできたら。

杉浦副大臣 先ほども申しましたとおり、東アジア本部とかいうことではなくて、沖縄に何らかの国連関係の機関等を誘致する可能性について、現在調査を行っているというふうに御理解いただきたいと思います。

東門委員 ということは、この国連機関、事務所か何かわからないのですが、それは可能性はある、調査中ではあるということですけれども、可能性としてはあり得るということですか、調査結果いかんによるとは思いますが。

杉浦副大臣 可能性があるという前提で調査をいたしております。

東門委員 そして、私は過去の経験からちょっとお伺いしたいのですが、もし、これは仮定の話です、国連機関、何か事務所が沖縄に設置されると決まったときに、その設置のための費用、あるいは設置後の経費負担というのか運営維持費というのは、国の負担になるのか、国連の負担になるのか、あるいは県になるとも聞いているので、ちょっとそこのところをお伺いできたらと思います。

杉浦副大臣 今調査中でございますので、国連の意向もございますし、私ども政府としての意向もございますが、その点についてお答えできる段階ではございません。

東門委員 そうすると、今の時点では何もはっきりしていない。国連アジア本部であろうが、あるいは国連機関、何らかの事務所であろうが、それはまだわからないということですか。

杉浦副大臣 そのとおりでございます。

東門委員 はい、わかりました。

 時間がかなり押してしまいました。先ほど泡瀬干潟について、同じ沖縄から来ております赤嶺議員がたくさん質問しておられたので、かなり重複しますので省きますが、私も二、三点だけ質問をしたいと思います。

 私は、その泡瀬干潟のある沖縄市に住んでおります。泡瀬干潟からはかなり近いところで、ちょっと時間があればそこへ寄ったりしております。ですから、この干潟が、市民が、あるいは市外の人もたくさん来て、いかにそこで日ごろ海と親しんでいるか、あるいは海の小動物と親しんでいるかというのを見ております。おばあちゃんたちが潮干狩りをして、そこでとった貝を売りに行く人もいるし、あるいは夕食のスープにする人もいると思います。そういう場なんです。あるいは小さなカニをとってとか、親子連れで来て潮干狩りをしているとか、あるいはアオサをとっているとか、近くではモズクの養殖をやっているとか、そういう場所なんです。ですから、市民全体にとは申しませんが、かなりの市民にとって、すごく心和む場所なんです。

 そういうところに埋め立てがあるということを聞いて、ある意味では心を痛めている一人ですが、同時に、もしそこに本当に、沖縄市にとって、沖縄市民にとって、それがとてもいい、意味のあるすばらしいものができる、それが沖縄市の活性化につながり、市民の生活の豊かさにつながっていくのならば、別に何も言うことはないかもしれません。何も言うことはない、残念ではあっても、認めざるを得ないのかなということも考えます。

 しかし、先ほどもお話がありましたけれども、ついせんだって総合事務局から県に出されました埋立理由説明書ですか、必要理由書を見て、内容を見て驚きました。これで本当に可能性があるの、これで沖縄市のいろいろなものが、この干潟にかえられるものが得られるのかなと。ホテルが四棟、コンドミニアムとそれからコテージ、六つの宿泊施設。本当にそういうものばかりで埋まるのですね。今この時期に、この時代に、本当に内閣府としては、これは有効だ、沖縄の、沖縄市の活性化につながるという思いで、お気持ちでそれを推進されるのでしょうか。ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

尾身国務大臣 甚だ失礼なことを聞かせていただきたいと思いますが、これは大田知事の在任中に、沖縄市及び沖縄県の方から私どもの方に要望があったというふうに聞いております。したがいまして、そのときに議員はたしか副知事をやっておられましたから、どういう理由でそういう原案が出てきたかということもよく御存じと思いますが、私は、実はそのときの経緯はよく知りません。

 そこで、私どもはやはり、基本的には地元の要望というものを尊重してやってきているわけでございまして、環境に影響を及ぼさないような万全の対策をとりつつ進めているわけでございまして、もしこういう席で差し支えなければ、そのときの経緯も教えていただければ大変ありがたいと思います。

大木委員長 東門君、今の説明も含めてやってください。多少の、二、三分のあれは延びても結構ですから。

東門委員 時間があれば。いや、そんな短くできない。

 ただ、一つだけ大きな認識の違いというのを指摘させていただきたいのですが、確かに、大田県政のときで提案されたかもしれません。それで、私もその一時期は副知事としておりました。それも否定いたしません。しかし、時代は随分変わりました。これが作成されたのは、実際に統計がとられたのも千九百八十何年から九五年ですか、それまでのものをとって、さっき報道の数字、観光客ですか、それもあったと思います。バブル期ですよ。日本が今のようになるとはだれも予想しなかったときですね。

 ですから、時代が変わる。先ほど何か、基地の問題を言うと国際情勢、国際情勢とおっしゃるけれども、情勢が変わっていく。そういう中で、変わったら変わった時点でこれからの見通しを立てて、本当にこれがこれからも有効なのか。あの時点はこれでよかった、しかし本当にこうなのか。しかも、住民の意識も変わりました。干潟に対する思いも変わってきました。環境問題も大きく出てきました。いろいろな中で、本当にそのままのものを通していいのか。私は、それはやはり為政者として考えるべきところじゃないかと思います。

安達政府参考人 一点だけ御報告させていただきますが、新聞報道で、先ほどおっしゃっている点、情報請求で初めて公表されたというふうに書かれておりますが、実は、平成十二年五月からの公有水面埋立申請書の縦覧の中に、理由書としてこの情報についてはすべて公開させて、そして意見を求めたわけでございます。そのときの縦覧において御意見が一件もなかったという経緯はございます。

東門委員 ぜひ大臣に再考をお願いしたいと思います。着工は八月とも言われております。しかし、先ほどの指摘もありましたように、絶滅危惧種のクビレミドロの件等もございますので、少し時間をかけて、私は今とめてくださいとは申しません、時間をかけて、市民の理解も得て。市民も知らない、中身がわからないと。沖縄市がどれだけの負担をするのかもわからない。この土地、埋立地を買い上げるのに三百億もかかるということを知らない。その財政負担、もしこれがうまくいかなかったらどうするのかということさえも知らない人がたくさんいます。そういう期間も与えていただきたい。むしろ、そういう周知の時間をとっていただきたいというお願いをしたいと思います。

大木委員長 御答弁求めますか。ありますか。

東門委員 はい、お願いします。もしあれでしたら、一言。

大木委員長 もうそれで、なるべく結びにしたいと思いますので。どうぞ。

尾身国務大臣 私どもは、基本的には地元及び沖縄県の意向というものを尊重してまいりたいと考えております。御意見として承らせていただきます。

東門委員 最後に一言だけ申し上げて終わりたいと思います。

 ちなみに、沖縄市の現在あるホテル、旅館の稼働率は年平均四七%。そこに新たな宿泊施設をこれだけ建てる意味がどこにあるのかわからないということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。

大木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時九分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.