衆議院

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第6号 平成14年3月19日(火曜日)

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平成十四年三月十九日(火曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 萩野 浩基君
   理事 金田 英行君 理事 西野あきら君
   理事 松岡 利勝君 理事 吉川 貴盛君
   理事 荒井  聰君 理事 武正 公一君
   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      倉田 雅年君    仲村 正治君
      林 省之介君    福井  照君
      吉野 正芳君    渡辺 具能君
      金田 誠一君    川内 博史君
      楢崎 欣弥君    原口 一博君
      横路 孝弘君    丸谷 佳織君
      赤嶺 政賢君    東門美津子君
    …………………………………
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           尾身 幸次君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君
   政府参考人
   (内閣府沖縄振興局長)  武田 宗高君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  小林  光君
   参考人
   (琉球大学教育学部教授) 眞榮城守定君
   参考人
   (民主党沖縄県連代表)  島尻  昇君
   参考人
   (沖縄大学教授)     下地 玄栄君
   参考人
   (沖縄国際大学教授)   来間 泰男君
   参考人
   (社会民主党沖縄連合委員
   長)           友寄 信助君
   衆議院調査局第一特別調査
   室長           小倉 敏正君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 沖縄振興特別措置法案(内閣提出第五号)

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     ――――◇―――――
萩野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、沖縄振興特別措置法案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、琉球大学教育学部教授眞榮城守定君、民主党沖縄県連代表島尻昇君、沖縄大学教授下地玄栄君、沖縄国際大学教授来間泰男君、社会民主党沖縄連合委員長友寄信助君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、遠路、また大変御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 順序は、眞榮城参考人、島尻参考人、下地参考人、来間参考人、友寄参考人の順で、お一人十分以内でひとつよろしくお願いいたします。御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のために申し上げておきますが、発言の際は委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、どうぞあらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、早速ですが、初めに眞榮城参考人にお願いいたします。
眞榮城参考人 琉球大学の眞榮城でございます。
 沖縄振興特別措置法案に対する私の意見を述べさせていただきます。
 戦前、沖縄は農業が産業の中心であったということで、ほとんどその施策というのは、問題解決策は、移民を図るということが中心でありました。戦後、戦争があって米軍の統治下に置かれた間は、米軍基地の需要で経済も人口も伸びましたけれども、基地依存経済といういびつな構造があったということでございます。
 その間、日本では経済大国となって、沖縄は、格差というのが大変大きく広がったということが言えます。その格差を是正するために、復帰後、沖縄振興開発特別措置法によって特別措置を施して、格差是正に向けてさまざまな事業が展開され、県民生活あるいは経済成長等が達成されましたけれども、それでも、むしろ逆に、反面、公共依存型の経済といいますか、そういうふうな構造になってしまって、自立ということとは遠く離れていくというふうな実態があるわけでございます。
 ここに、現在の時点で沖縄振興をどうするかということが大変重要な課題だと思いますけれども、恐らく、さまざまな歴史的経緯、沖縄の持っている特殊性等々にかんがみた場合、特別措置という制度はどうしても必要であろうというふうに考えております。
 その際、特別措置の沖縄振興の論点と意義ということを若干考えてまいりますと、まず、所得格差の縮小と雇用の機会の創出、これをどうするかというのが大変大きな課題でございます。二点目は、公共主導型に陥っている沖縄の産業経済構造を、何とか民間主導型経済にその仕組みを持っていけないのかということでございます。三点目は、不利性をどう克服して、それをむしろ魅力ある地域振興に持っていくにはどうするかということが問われるのではなかろうかと思います。
 さらに、在日米軍基地の七五%が沖縄に集中しているということにかんがみまして、どうしても、基地の整理縮小と、またその跡地利用の促進ということが大きな論点になることは間違いないと思います。
 また、この間、沖縄の地理的位置等々を踏まえて考えた場合、我が国の経済社会に貢献する沖縄の役割はないものかどうかという点で、新しい沖縄の役割ということの実現を図ることが論点だろうというふうに思います。近年は、IT化、グローバリゼーションという形で経済環境は大きく変わってまいりました。そういう変化、そういう時代潮流に対応した沖縄振興の方向性というのは何だろうかということでございます。
 このようなことをやるためには、どうしても、従来なしていただきましたように、基盤の整備と特別措置というのはどうしても講じていただきたいというのが重要な沖縄振興の課題になってまいります。
 このような論点を踏まえて特別措置の意義を考えてみましたら、従来、格差を是正するという形で数々の公共資金が投入されましたけれども、結果としては、所得効果型でとどまった、民間経済に連動しなかったということが反省点としてございます。一種の弱者救済型の施策だけでは、どうしても限界がある。格差是正のための特別措置というのは依然として必要だと思いますけれども、それ以上に、沖縄という地域が、投資インセンティブ、投資誘因として、産業創出に直結するという形の特別措置、投資誘因型の特別措置というのを考えられないのかということでございます。
 もう一点は、沖縄という場を活用して、国内外の企業が沖縄でビジネスを展開するという、いわゆる沖縄の場の効果としての活用であります。
 さらに、沖縄に施される特別措置という制度が日本の経済構造改革あるいは地方分権化に対応した一つの先行的モデルとして評価できないのかという形で、先行モデル型としての意義があるのではなかろうかと私は思っているわけです。
 沖縄振興特別措置法案を見させていただきまして、私なりの見解を以下述べたいと思いますけれども、全体的には沖縄の自立的発展と豊かな住民生活の実現に寄与するという目的でもって沖縄振興全般に対応し、効果的な特別措置を内容としている点、高く評価されるものと考えております。
 個別具体的に申し上げますと、これまでの沖縄振興開発計画と同様に、内閣決定の沖縄振興計画を策定し、それにとどまらず、観光振興計画、情報通信産業振興計画等が主務大臣の同意を得て策定されるという数々の計画的な対応が明示されている点でございます。
 それから二点目は、産業の振興のための特別措置として、特に税制措置を中心として沖縄がこれから成長が期待できます観光、情報通信産業という両分野を中心にきめ細かい対応がなされ、その効果的な措置が講じられているということが考えられるわけでございます。
 特に、国内初の制度創設となります金融業務特別地区、これは大変魅力的な、本法案の一つの目玉として高く評価されるのではなかろうかと考えます。世界の金融業務は、IT化を背景にして機能の集中化と業務のアウトソーシングという形で多様な金融ビジネス、サービスが生み出されておりますけれども、例えば、東京マーケットにおける金融で生まれるさまざまなサービス業務を、そのバックオフィス業務として沖縄に設置するということ等がございます。そういうことを考えた場合に、東京と沖縄という関係で、情報通信産業、それから金融業務等の面では一つの補完センターとしての役割を大きく持つことができるというのが大変重要なポイントになってこようかと思います。
 規制緩和と特別措置というのが地域経済を振興する一つの大きな観点だと思いますけれども、規制緩和によって沖縄もまた一つの大きなチャンスが与えられる。例えば、全国から見ますと一%の市場ですけれども、その一%の市場の中で展開できる事業、すき間産業といいますか、そういうので、過去にはビール製造業がそういう特別措置の恩典を受けてその効果を発揮したことはございますけれども、近年では、情報通信分野で、携帯電話の分野で沖縄の企業が県内において大きな業績を上げているということがございます。
 ただし、規制緩和というのは、全国において規制されているものを沖縄において一つの特別措置を講ずることによってビジネスチャンスが生まれてくるという可能性があるわけで、これを一%のマーケットに一律の制度を設けた場合、ほとんど事業が育たないという実態があろうかというふうに思います。
 さまざまございますけれども、この沖縄振興特別措置法案というのは、全体的に特別措置がなされ、特に、税制措置、予算措置、高率補助制度、金融措置等が示されて、政策手段としての準備がなされているのではなかろうかというふうに考えております。このような諸特別措置が必要に応じて政策ミックスされて事業が展開されていくということを大きく期待いたします。
 最後になりますけれども、特別措置というのは、単なる援助ではなくて自立型経済社会を実現する政策手段であるということは申すまでもありませんけれども、それは地域経済をポンプアップするための大きな誘い水となるということだろうと思います。誘い水であれば誘い水に相当する水量がなければポンプアップしないわけですから、ちょろちょろ流すだけでは難しい。したがって、一定効果の、水量のある誘い水として内容を充実させていただきたいというふうに思います。
 沖縄振興特別措置法は、沖縄に対する特別措置という形で制度化されるわけでありますけれども、しかし、ある意味では、地方分権化が進展するこれからの我が国においては、これが一つの先行モデルとして全国の地域振興制度として普遍化に貢献していくということを期待いたしまして、私の意見といたします。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
萩野委員長 どうもありがとうございました。
 次に、島尻参考人にお願いいたします。
島尻参考人 おはようございます。私は、民主党沖縄県総支部連合会代表の島尻昇でございます。
 日ごろから、沖縄及び北方問題に関する特別委員会の先生方には、今回の沖縄振興特別措置法案について大変御熱心な討議をいただいていることを承っております。沖縄県民の一人として衷心より感謝を申し上げる次第であります。また、本法案作成に至るまで長期間にわたり御尽力いただきました沖縄振興開発審議会、沖縄政策協議会の先生方を初め関係各位に対しましても、心から御礼申し上げます。
 さて、今回、私は民主党、自由党の参考人として本席にお招きをあずかりましたので、本案及び関連する沖縄振興計画に関しまして、私どもの民主党沖縄県連組織内部、そしてまた、常日ごろから政策協議を行っている連合沖縄の皆さんやさまざまな市民団体の皆さんと、常日ごろから議論してまいりました本法案に対する内容につきまして、代表して意見を申し述べたく思います。
 先生方は既に御承知のことでありますけれども、我が沖縄県は、唐の世から大和の世、大和の世からアメリカ世、アメリカ世からまた大和の世という歌にもありますように、施政権が移り変わることによって世がわりを余儀なくされた地域であります。
 そのため、沖縄の文化、生活習慣にはその時々の風習が色濃く残り、独自の文化形成をなし得ました。県民はこれをチャンプルー文化と呼んでおります。召し上がった先生方もいらっしゃるかと思いますけれども、沖縄の庶民料理であるゴーヤーチャンプルーのチャンプルーです。たしか、NHKの昨年放送されました朝の連続ドラマの「ちゅらさん」という番組にも登場したのではないでしょうか。チャンプルーはさまざまなものを取りまぜるという意味ですが、沖縄の今後の振興策のあり方を考えた場合、このようなチャンプルー文化を沖縄のポテンシャルとみなし、沖縄地域の地理的、文化的特殊性を生かした振興策を推し進めることが何よりも肝要かと思われます。
 本法案の理念は、第一条の目的において、沖縄の自立的発展に資するとともに、沖縄の豊かな住民生活の実現に寄与することとし、第二条の施策における配慮において、沖縄の地理的及び自然的特性を考慮し、並びに産業活動及び住民の生活における基礎条件の改善、沖縄固有の優れた文化的所産の保存及び活用、環境の創造に努めなければならないとあり、文化的所産の保存について触れたことについて評価することができます。
 しかしながら、このような理想的な法律の理念も、同法施行後の振興計画並びに制度、政策、施策の実施段階においてその実効力が問われるものであり、施策そのものの実施いかんによっては必ずしも法案でうたわれた内容を全うし得るものではないと考えられます。
 すなわち、過去の沖縄振興開発計画に基づく沖縄県の発展度を考えた場合、社会資本等の整備には着実に振興、発展があったものとみなすことができると同時に、現在の沖縄の主力産業である観光産業につきましては、入域客が四百五十万人台に達するなど大きく前進した面も見られますが、一人当たりの県民所得は平成十一年度の集計で二百十七万三千円と全国最下位で、一人当たり国民所得に対する格差は七一・九%となっております。また、完全失業率も全国ワーストワンであり、平成十二年平均で八・三%と依然高失業率で推移をしております。
 このような状況をかんがみた場合、沖縄振興そのものが本来あるべき県民の益に資しているのかという点について精査する必要があり、県民益に資していくための振興策のあり方が問われるものであります。
 そこで、本法案に対する私の意見としましては、全県自由貿易、全県フリートレードゾーンの実施を促す措置を講ずる必要があるかと思われます。
 法案第二十六条、輸入品を携帯して出域する場合の関税の免除において、旅客ターミナルビル及び政令指定の地域においてのみ関税免除が行われることと定められておりますが、本県が観光立県として諸外国商品の物流を増大し、かつ本土観光客の増加を目指す場合において、法に定められた指定地域内のみで関税免除の措置は、抜本的な沖縄経済への実効性に乏しくなるものと考えられます。
 かかる沖縄県の関税免除は、これまでの沖縄振興開発特別措置法でもうたわれてきた項目でありますが、免税の施設・区域を限定することは、一部の事業者または一部の利用者のみに益することとなり、沖縄県全体の経済効果にはつながっていないという見方もできます。とりわけ、並行輸入等の事業によって輸入される商品については、日本本土においても格安で購入が可能となっていることから、第二十六条で定められた内容が消費者、すなわち観光客にとって必ずしも魅力的な商品価格の設定につながっているとは言いがたいということになります。
 現在、沖縄県の貿易等による物流を促進し、観光入域客の増大を図ることを目的とする場合、地域を特定せず、沖縄県全域を自由貿易地域の特別区とする方が好ましいと考えます。
 沖縄県全域を自由貿易特区とする場合には、あらかじめ関税免除対象の品目数量規制を加えることによって輸入に係る極端な行為を取り締まれることから、全県を自由貿易特区に定めても国益損失にはつながらず、むしろ、県民益のみならず、国益の増大にも結びつくものと考えられます。
 また、沖縄県が島嶼県であることをかんがみた場合、このような関税に対する配慮は、宮古、石垣、久米島を初めとする周辺離島にも敷衍化する必要があり、各種振興策を実施する段階において、全県を自由貿易地域に定めることが沖縄の経済振興策に即時的に作用するものと考えるからであります。
 次に、第二十七条、航空機燃料税の軽減については、これまでの沖縄路線航空機燃料、本土―本島便については二分の一の軽減、特定離島路線航空機燃料、本土―離島便については四分の三の軽減という扱いでありましたが、本法施行後には、同一基準での軽減措置となる旨を承っております。しかしながら、平成十五年三月三十一日までの期限となっておりますから、軽減措置を引き続き延長するとともに、沖縄県内の生活路線としての沖縄本島、那覇―離島便の燃料税についても軽減措置を加えることが必要であると思います。
 沖縄の主力産業が観光産業であり、旅客輸送の大半を航空機が担っている状況にある今日、これらの航空機燃料税の減免措置は旅客運賃にも大きく反映されることを期待することから、法律の実施段階において燃料税減免拡大の措置を図るべきだと思います。
 このように、沖縄県の関税・租税措置において沖縄県に配慮を促すことによって、本法案が目指す沖縄の自立的発展に資することが可能となり、即時的な経済効果が謳歌されることから、同法をもとにした振興計画、制度、政策、施策の実施段階において、島嶼県である本県の地理的特性を考慮しながら、一国二制度あるいは一国多制度的な要素を用いた沖縄振興策に踏み込むべきであるということが、私の論点であります。
 また、第五十六条、金融業務特別地区における事業の認定においても、沖縄時間を設定することを前向きに検討すべきだと考えます。これは、沖縄県のみならず、今日の国際社会のボーダーレス化、グローバル化社会の要所を沖縄地域に構築することに結びつき、ひいては、新たな、日本国家の社会システムを見直し構築する際のモデルケースにもなり得ると考えます。
 次に、沖縄県の最重要課題である在沖米軍に関する問題ですが、現在、SACOに基づき、在沖米軍基地の整理、縮小、再編統合が実施されていますが、基地跡地の環境浄化策と日米地位協定の見直しについては、積極的に進めるべき国家課題であると考えます。
 駐留軍跡地の利用の促進及び円滑化のための特別措置については、九十五条においてその基本原則が記され、第九十六条には国の責務が記されております。駐留軍跡地については、過去、沖縄県や県内の研究機関がまとめた報告書でも環境汚染が指摘されております。返還跡地の円滑利用に支障を来すことが明白になっております。駐留軍跡地を返還する際に環境浄化は必然的なものであり、返還を行うにしても、政府は、事前策を講ずるとともに、浄化に係る予算措置を十分に行う必要があると考えます。
 日米地位協定第四条においては、駐留軍跡地の復元について米軍はその責任を問わずということが明記されていますが、使用側の情報提供なしに駐留軍の跡地を利用することは、県民の生命財産を脅かす結果となることが十分に考えられます。先月も、沖縄県北谷町の返還跡地において、米軍が廃棄したと思われる廃油ドラム缶が大量に見つかったという事件が発生したところです。このため、環境浄化に関する責任所在を明確にする点からも、日米地位協定については、運用改善にとどまらず、見直しを前提にした両国間協議は必要であると思います。
 沖縄県では、太平洋戦争の不発弾処理もまだままならないことを考えますと、不発弾の情報収集、そしてまた調査、処理作業においても十分な国家による予算的措置が必要であり、現在も占領下当時の状況と変わらない沖縄の在沖米軍基地の状況を見ますと、その返還跡地の利用にも相当量の環境浄化が必要になるものと考えられます。
 本案は、沖縄県の産業振興のみならず、環境保全型自然体験活動など、自然環境を保全するという内容が強くうたい込まれております。沖縄の自然環境は、沖縄だけのものではなくて、日本国、そしてまた世界の共有する財産であります。これらを後世まで残していくことは、すべての人々がひとしく望むことであり、また、これが将来の地球的な財産になってくると思っております。
 最後に、沖縄固有の自然、文化の素地を有効活用した沖縄振興策が着実な歩みを遂げるために、先生方に御支援いただきますようお願い申し上げ、私の意見陳述とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
萩野委員長 どうもありがとうございました。
 次に、下地参考人にお願いいたします。
下地参考人 本日、本委員会において参考人として意見を求められておりますが、まず最初に私の立場を明確にしておきたいと思います。
 私は、一研究者として、一沖縄県民としての立場から本日の議題に対して発言をさせていただきたいというふうに思います。これから私が申し上げることは、法案の内容の細かなところに言及するというのではなくて、振興の基本的な考え方に焦点を当てて意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 それに先立って、要するに本法案についての意見を申し上げる前に、現行法、この三月三十一日まで続く現行法に基づく沖縄振興計画の成果あるいは三十年間の結果について若干コメントしておきたいと思います。
 復帰後の沖縄県の振興開発というのは、沖縄振興開発特別措置法に基づき、米軍統治下の二十七年間に生じた本土との格差是正、自立的発展の基礎条件を整備するという目標を掲げ、三次にわたる振興開発計画によって推進されてきたわけであります。国は、復帰後の三十年間に六兆円余の振興開発事業費を投入しているわけでございますが、その結果はといいますと、もう御存じのように、もちろんそれなりの、一定の成果は上がっておりますが、残念ながら、一次、二次、三次振計の目標として掲げられたこの目標そのものは、いまだ達成されていないというのが現実です。これは、厳しいけれども、事実は事実としてやはり確認しておく必要があるかと思います。
 この原因の究明をすることなくして新たな振興計画を立案したり策定したりということはいかがなものかと私は思うんです。しかし、それはまた別途総括するということもありますでしょうが、私なりに、なぜ三十年の歳月と六兆円余の巨費を投入したにもかかわらず、沖縄の振興開発というものが目的を達し得なかったのかということについて、幾つかの理由を考えてみたいと思います。
 その点、いろいろあるとは思いますけれども、まず第一に、特にこれは沖縄側の、計画を推進していく主体側の立場から考えた点、理由ですけれども、自立経済についての共通の認識というのがやはりまだ確立されていないのではないかという気がします。
 それから第二に、自立経済の目的、何のため、だれのための開発なのかということが明確にされていない。わかっているようだけれども、必ずしもそれが明確になっていないということがあるかと思います。
 三番目に、沖縄社会が目指す未来像と、沖縄県が国の計画とは別途に独自の振興開発計画なりを持ち得なかった、したがって、専ら国の振興開発に依存をしてきたということが一つの理由かと思われます。
 第四に、これは厳しい発言になるかもしれませんけれども、県の行政も含め、企業の皆さんも、復帰特別措置に甘えて企業努力を怠ってきた点もあるのではないかというふうに率直に指摘しておきたいと思います。
 第五に、自立経済に不可欠な精神的な自立、いわゆる自立心、自助努力、独立自尊の精神などが極めて希薄ではなかったのかというふうな思いがあります。もちろん、自立できなかった最大の要因というのは広大かつ過密な米軍基地の存在であるということは申し上げるまでもないと思います。
 戦後、半世紀に及ぶ米軍基地の存在が沖縄のさまざまな分野に否定的な役割を果たしてきたことは多言を要しないであろうと思います。県民の自立心、気概心をむしばんできた、この振興にとって大事な主体的な力量を発揮する前に、まず精神的な自立心あるいは気概心というものがこの基地によってむしばまれてきたということも、決して見逃してはならないというふうに私は思います。
 そこで、この沖縄振興特別措置法案について、若干意見を申し上げたいと思います。
 この法案には、現行法に比べ、沖縄の自立的発展に向けた多くの特別措置が盛り込まれております。そういう意味では、国の沖縄振興にかける意気込みと熱意が感じられ、高く評価できるというふうに思います。しかし、問題は、果たしてどの程度実現できるのかということだと思います。過去の経験からして、今申し上げたように、計画期間に実現するためには、やはり内容をもっと絞り込んで、プロジェクトを絞り込んで集中的に取り組むべきではなかろうかというふうな気がします。この三十年間で達成できなかったという反省の上に立っての発言でございます。
 そこで、次に、この法案の目的との関連で最大の問題は、いわゆる基地問題であるということを改めて申し上げたいと思います。したがって、基地の思い切った削減なくして本法案の目的の実現は極めて困難ではないかというふうに考えられます。
 実は、この法案の中に盛り込まれている、沖縄の地域特性を生かした開発をということが強調されております。そのことに関連して申し上げたいと思いますが、私は、沖縄が平和で自立する、そして経済的にも自立するためには、まず基地の縮小と同時に、沖縄の地域特性を生かした振興策が必要だろうというふうに思います。しかも、アジアの平和と安全がそのためには不可欠であり、その最大の手段は、沖縄に国際平和創造維持機構を誘致することだろうというふうに私は考えております。
 沖縄のすぐれた地理的、歴史的、文化的地域特性を積極的に活用して、アジア及び世界の恒久平和と安全の維持に沖縄が中心的な役割を担うことが、二十一世紀の沖縄が目指すべき方向であり、生きる道であり、かつ、みずからの平和と安全、繁栄を確保する最善の方途であるというふうに考えます。沖縄にとって積年の悲願である経済的自立も、アジアの平和と発展、繁栄、さらには世界の平和と安全という大きな枠組みの中で初めて実現できるものというふうに考えます。
 私は、以上のような問題意識と信念に基づいて、六年前から沖縄に国連機関、とりわけ国連アジア本部、もちろん国連アジア本部というのは現実には存在しません、それを国連に働きかけてつくらせ、それを沖縄に誘致したい、そして沖縄から世界の平和の創造と発信をする、沖縄を平和創造発信の基地にしたいという思いで誘致運動に取り組んでまいりました。本法案の第八十六条、八十七条、八十八条に、国際協力と国際交流の推進ということがうたわれておりまして、それと密接にかかわっているというふうに私は考えます。特に第八条は、その趣旨に沿うものであると思います。したがって、八十六条の中に、国連、あるいは国際機関の誘致の文言を入れていただき、そして、名実ともに、沖縄の持つすぐれた地域特性を生かした沖縄の振興を進めていただきたいというふうに思います。
 以上です。(拍手)
萩野委員長 どうもありがとうございました。
 次に、来間参考人にお願いいたします。
来間参考人 資料をお配りしてありますが、最初の二枚に、条文ごとに僕の意見を述べてあります。それで、これを先に片づけて、あと全体的な話をしたいと思います。
 まず、観光の振興が出ておりますが、国際観光振興会が海外で沖縄を宣伝するとかあるいは国際会議の沖縄開催関係情報を沖縄県に提供するとかいうようなことがあるのですけれども、こういうことに、沖縄にだけ国が関与するということが必要なのかと疑問を感じます。共通乗車船券という話も実効性には疑問があります。さらに、空港内に免税売店を認める、これも実効性には疑問があります。今や関税が低くなって、メリットはありません。既に破綻したこの制度に期待するのがおかしい。かといって反対というわけではないのですけれども、賛成はできません。
 それから、情報通信産業、産業高度化地域、自由貿易地域、金融業務特別地区、これについてもすべて実効性に疑問があります。
 自由貿易地域については、既に破綻しているというふうに現状を見ますけれども、それなのになぜまだ期待をつなぐのかという疑問があります。僕は、前に、二十一世紀プランにつながるNIRAの研究会のメンバーだったのですけれども、そこでも全県自由貿易地域については反対、しかし、地域限定の自由貿易地域については、反対はしない、しかし賛成ではないという意見を出しておきました。今も同じ立場です。
 金融業務特別地区についても、これは沖縄にそういう必然性が全くないというところで、また国際的にそういう制度が求められているというふうにも考えられないので、これも、やりたい人がいるからやってもいいよ、だけれども僕は賛成しないし成功しないと思うという意見を出しておきたいと思います。
 それから、次のページですが、文化関係は大体賛成です。ただ、大学院大学の設置については、国際的には意味があるかもしれませんけれども、実効性には疑問がありますし、できても沖縄には無縁の機関になるというふうに思っています。そうではなくて、既存の教育研究機関の整備充実ということが基本であるべきだと思います。
 それから、沖縄の国際協力及び国際交流に係る施策を推進するとありますけれども、沖縄の経済及び社会の発展に資するため、経済の発展に資するために交流をするというのには、僕は賛成できません。文化、学術の交流は結構ですけれども、経済の面で国際交流というような発想はやめた方がいいというふうに思っています。
 それから、次の、沖縄の均衡ある発展のための特別措置で、無医地区あるいは離島関係の項目が四つ五つありますけれども、すべて賛成です。しかし、こういうものを考えるときに、政府といいますか国会といいますか、そういう立場からは、なぜ沖縄の無医地区だけ、なぜ沖縄の離島だけという問題があるんじゃないかというふうに思います。離島における高齢者の福祉の増進というならば、何も沖縄に限定して考えることは必要ないのじゃないか、一般的な問題として処理すべきではないかというふうに思います。
 それから、跡地利用の話、これが僕は一番言いたいことなんですけれども、国は財政措置を講ずると言っていますけれども、仕組みは示されておりません。大規模跡地の指定についても、国の取り組み方針を定めるというだけで、内容がわかりません。本来はその内容を法に規定すべきではないかというふうに考えます。特定跡地についても具体策は示されておりません。
 大規模跡地給付金の支給というのがありますけれども、軍用地が返還されても、当該土地を使用せず、かつ、収益していないときは、地主に軍用地料相当額を支給するとあります。しかし、問題は、現状は地主の大半が使用しようとはせず、収益しようとはしていない、そういう現状にあるわけですから、こういう規定はいたずらに跡地利用をおくらせる結果になる可能性が高いわけで、これは賛成できません。
 ほかにもいろいろありますが、条文に沿った意見は以上とします。
 あと、次の資料は、一年前に県が出した基本的な考え方について、自問自答してみてメモをつくったことがあったのでそれをお持ちしました。その中で、高率補助の問題とか、国の投資をどう評価するかというようなことが書いてあります。
 皆さんは、先ほどの何名かの方もそうですが、一人当たり県民所得が低いといって大問題であるかのように言いますけれども、僕は全然そうは思っていません。イギリスやフランスよりも高いのです。これでいいじゃないかというのが僕の意見です。それと、失業率の高さ、これは問題ですけれども、失業率という統計自体に疑問が少しありますので、その点からも検討が必要かなというふうに思っています。
 これの六ページに、沖縄経済新法の制定に関する意見を書いておきましたけれども、これは経済新法という形で、知事の選挙公約からスタートしたと思いますけれども、新しい法律をつくる必要性というのがあるのかというふうにまず考えました。
 一つは、従来の特別措置法がありますから、これの改正で済むのじゃないかというのが基本的に僕が考えたことです。そして、県が新法を要求する根拠として、民間主導による自立型経済の構築のために新法が必要だ、こういう議論があったわけですが、これは本末転倒だ。民間主導による自立型経済の構築ならば、民間でやればいい。そして、国や県はそれを応援すればいい。何も特別立法が必要という論理にはならないのじゃないか。
 ただ、一つ、新法が必要だと僕が考えたのは、跡地利用のことです。これはもうそのままではできません。特に普天間基地を考えれば、これが返還されたら、時間も相当かかるでしょうし、大変な問題になるんじゃないかというふうに思っています。ですから、このことについて何か新しい規定が出されるならば、新法という形態もいいのじゃないかというのが僕の意見でした。
 しかし、この法案を見ますと、それについては、先ほど言いましたように、具体性が全然ありません。これについての僕の意見は、このページの十行目あたりから書いてあります。詳しくは最後に載せてある、僕の著書からのコピーなんですけれども、九八年に出した本に、跡地利用についての考え方を書いてあります。
 どういうことかといいますと、この文章を読みながら行きますが、跡地利用は、本来、地主の仕事であるが、実態からして地主にはできないと考えられます。それなら、地主は、自分たちはできないから、行政にそれを頼むという手順が必要である。それを受けて、特殊法人をつくって、あるいは既存の法人を使ってもいいですが、そこがすべての返還跡地を買い上げるということを考えたらどうかと思っています。代金は地料の二十倍程度、つまり相場で買うということです。それならば地主も反対しないだろうということ。
 それで、地主一人一人の地籍は解明しない。これをつくるのにまた数年かかると思います。こういうことはもうやらぬ方がいい。すべてこれまでの軍用地料を基準に、金額に換算して、お金を受け取って、個々の土地への権利を放棄してもらう。
 特殊法人は、前もって計画を立てておくから、返還されたらすぐに事業を始め、道路を引き、公園、緑地を設定し、公共施設用地を準備し、商業地も用意して、商業地は周辺のことを考えれば普天間跡地にまたでっかいショッピングセンターをつくっちゃだめだというふうに思いますが、できることなら農地とか工業用地も用意して、残りを住宅として造成する。その上で、必要な人や団体にその土地を売る。土地を売り戻すときに、旧地主を優先することは考えてもいいと思います。
 僕がこの沖縄経済について基本的に思っていることは、軍用地料が高い水準になり過ぎた。簡単に言いますと、これも新聞記事を入れておきましたけれども、この十年間、まず物価は横ばいから少し落ちてきました。地価は十年前から落ち続けているんです。その中で、軍用地料だけが年率五%も上がっていくというこの異常さは是正しなくちゃいかぬというふうに思っていますが、そういうふうに引き上げられてきた軍用地料が周辺の地域社会に大きな影響を与えているというふうに認識しています。
 そういう高い軍用地料が原因で、特殊法人がみんなから軍用地料並みで買ってまた売り戻すという事業をするときに、この法人は絶対赤字になる。ですけれども、このギャップを招いたのは政府の責任ですから、その特殊法人の赤字は政府が負担する、こういうふうにすべきではないかというふうに思っているわけです。
 沖縄の特別措置の補助率の部分とか、個別には細かく検討しなくちゃいかぬことはありますけれども、一応、総論的には以上のことを述べたいと思います。(拍手)
萩野委員長 ありがとうございました。
 次に、友寄参考人にお願いいたします。
友寄参考人 私は、社会民主党沖縄連合委員長の友寄信助であります。それでは、振興新法案に関連しまして、私の意見を述べさせていただきます。
 本県は、ことしで復帰してちょうど満三十年という重要な節目を迎えました。この間、第一次から第三次にわたる振興開発計画によって諸事業が展開してまいりまして、本県の道路、港湾、空港等の社会基盤の整備が着実に進展し、産業の振興が図られてまいりました。
 しかしながら、御案内のとおり、依然として米軍専用基地の七五%が国土面積のわずか〇・六%の本県に集中しており、県民の生命財産が絶えず脅かされている現状であります。最近は、むしろ米軍基地機能が強化されている方向に動いており、県民の不安と危機感は一層強まっております。
 また、産業や社会基盤についても引き続き整備する分野も多く、とりわけ雇用情勢は極めて深刻な状況であり、全国平均の二倍の失業率を推移し、昨年九月には九・四%と史上最悪を記録しております。
 これまでの振興開発計画が目指してきた格差是正、自立経済の基盤整備や米軍基地の整理縮小も、一向に進展せず今日に至っているのであります。したがって、これから策定される沖縄振興新法は、三次にわたる沖縄振興開発の反省と総括の上に立って、稲嶺知事もよく強調されているわけでありますが、魚より釣り具であり、本県の文化的、歴史的、地理的条件等、長期的にわたって存在する巨大な米軍基地などの特殊事情を十分踏まえて、抜本的な制度的な措置が求められております。また、このことは、昨年九月十一日、米国における同時多発テロ事件が沖縄の経済をもろに直撃し、とりわけ観光産業に大きな打撃を与え、業界からも基地災害だと補償を求める声も出るなど、経済と基地が両立し得ないということが如実に示されたのであります。
 そこで、私は、振興新法を策定するに当たり、もう一度復帰の時点での沖縄振興開発計画を策定した原点に立ち返って考えてみる必要があるのではないかと思うのであります。
 そこで、三次にわたる総括の観点に立って考えると、経済自立を格差是正という視点だけでとらえることはできないが、振計を総括して、沖縄の心が、これを求めてきた県の心が果たして実現したのかどうかということではないかと思うのであります。沖縄の心とは何かといいますと、平和、そして基本的人権の確立、基地経済からの自立、自治権の確立等であり、これらの目標が実現したかどうかによって、これからの振興策を考えていかなければならないのではないかと思うのであります。
 以下、基本的な考え方について意見を述べておきます。
 まず第一点目は、沖縄振興特別措置法案の第一条の目的なんですが、もって沖縄の豊かな住民生活の実現に寄与することを目的とするという条文の中に、沖縄のこれからの、基地が集中しているという沖縄の現状を考えるならば、やはり平和という文言も挿入すべきではないのか。基地の縮小、撤去なくして真の経済の自立はあり得ないという視点からであります。
 二点目には、今回の振興新法の大きな特徴点は、これまでの格差是正から民間主導による自立型経済の構築を目指すことが振興新法の柱となっております。
 新しい時代の潮流、経済社会の変化や三次にわたる振興開発計画の実績等を勘案すると、基本的な考え方としては理解できますが、県民所得は依然として全国最下位で、全国平均の約七〇%であることなど、依然として格差が存在し、深刻な雇用情勢、巨大な米軍基地が存在する現実からしても、振興新法が軌道に乗るまで、格差是正措置を薄めた形で果たしてよいのかどうか、その点が疑問が残るのであります。なぜならば、今回の振興新法の内容からして、その後の、十年後の沖縄の姿が一体どうなのかということが極めて不透明な状況ではないかと思うのであります。
 三点目には、今回の振興新法の中に、今後の米軍基地の対応が抽象的で不透明であるということであります。
 前大田県政は、復帰後の沖縄の米軍基地と振興開発計画のあり方を問う立場から、脱軍事基地、世界に開かれた平和外交都市沖縄、国際社会に寄与する南の国際協力、交流拠点の形成、そして沖縄経済の自立化、産業振興の政策課題の推進など、沖縄の将来ビジョン、新しい方向性を示す二十一世紀沖縄のグランドデザインを策定いたしました。すなわち、具体的な施策としては、国際都市形成基本計画が策定され、基地との共存ではなく、基地からの脱却を目指す方向が明確に示されたのであります。そして、この構想を受けて、基地返還アクションプログラムが策定され、沖縄の心である、基地のない平和な沖縄づくりの方向を明確に示したのであります。
 強調したいことは、米軍基地の現状をそのままの形で温存、維持し、米軍基地と経済振興策をリンクさせるような形にしてはならないということであります。
 四点目には、振興新法の特徴点として、特に重点的な四分野について個別の行動計画を作成することを定めております。観光振興、情報通信産業振興、農林水産業振興と職業安定の四分野であるが、ここでも基地の具体的な返還計画の策定なり、将来の米軍基地を具体的にどう整理縮小していくのかの方向が示されておりません。四分野での具体的な個別計画に、やはりもう一つ基地問題を加え、米軍基地を計画的、段階的に整理縮小する具体的な計画を立てることが必要ではないかと思うのであります。
 五点目には、産業振興の大きな柱であります国内初の金融業特別地区の創設案が盛り込まれたことと、特別自由貿易地域制度が拡充されたことであります。しかし、内容的には、自立経済に結びつくような思い切った一国二制度的ではなく、税制上の改善措置がなされたことであります。
 金融特区の具体的な優遇措置では、進出企業に対して、法人所得税の三五%控除、設備、装置などの投資一五%控除のどちらかの軽減措置がとられておりますが、新設企業の要件では、常時雇用者は二十人以上という厳しい条件です。
 特別自由貿易制度については、現行の特別自由貿易制度並みの三五%の法人所得税控除等の優遇措置が講じられておりますが、これまでも企業立地の実績が上がらなかったことや近年のWTO加盟の中国、韓国、シンガポール、アジア諸国の自由化への急速な展開を考えますと、振興新法が打ち出している措置では、果たして制度上の機能が発揮され、成果を上げることができるのか、極めて疑問であります。この際、抜本的な税制措置によるFTZなど、一国二制度の確立が求められると考えるのであります。
 このことと関連して注目すべきことは、先般、自民党の麻生太郎政調会長が総合経済ビジョンの中で、沖縄を経済特区として指定し、新規立地企業の法人税を五年間減免するほか、関税や輸入割り当ての撤廃、外国人の居住、就労の自由化等を提言していることであります。
 このことは、大田前県政時代の一九九七年にまとめた国際都市形成基本計画で、自由貿易地域の拡充強化による経済特別区の形成など、地方分権の先行モデル地域としての取り組みを政府に求めた経緯もあり、振興新法による個別の特別地区制度の創設よりは、沖縄の特殊事情からも、また自立経済の確立に結びつける立場からも有効な制度ではないかと思うのであります。
 最後に、数多くの離島で構成されている本県の地理的特性から、物資や人員の輸送の多くを海上交通に依存しております。そのことは、産業活動を初め県民生活全般に及ぼす海運の輸送部門の影響は極めて大きく、今後の物流拡大を図る上でも、輸送コストの低減等の措置を講ずることが重要ではないかと思うのであります。
 以上、これをもって終わります。(拍手)
萩野委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
萩野委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。
仲村委員 私は、自由民主党の仲村正治でございます。
 参考人の先生方には、大変御多忙の中、本日は、沖縄及び北方問題に関する特別委員会に御出席をいただき、現在審議中の沖縄振興特別措置法に関する貴重な御意見をお述べいただきまして、私たち議員が今後の審議に当たって大変参考になるところが極めて大でございました。皆様方の御意見に対して心から厚く御礼を申し上げたい、このように思っております。
 これから若干の質問をさせていただきますが、私に与えられた時間はわずか十分でございますので、私は眞榮城守定参考人に質問をさせていただきたいと思います。
 沖縄県からの要請に基づいて、平成十一年十二月二十八日に、現行の沖縄振興開発特別措置法の後に沖縄振興新法を制定するという閣議決定がなされたのであります。稲嶺沖縄県知事は、それを受けて、二十一世紀初頭の沖縄のイメージとして、新法に対する期待を次のとおり述べられております。
 平成十二年七月二十一日から二十三日に行われました九州・沖縄サミットの成功をG8の首脳から一様に高い評価を受けたことなどから、今後も、沖縄県に世界の人々が集い、世界の平和と繁栄のために会議や交流をするコンベンションアイランドにしたい、こういうふうに述べておられます。
 次に、沖縄に世界の人々が集まるために、多様な交通や通信のネットワークで世界と沖縄県がつながる国際的観光やビジネスが行われる拠点のメディアアイランドにしたい、このように二点目は述べられております。
 三点目に、沖縄の温暖な気候、すぐれた歴史遺産、自然環境の中で、沖縄県が長寿日本一という健康の島の条件を生かして、人々が健康で快適に生きられる、いわゆるウエルネスアイランドにしようという考えを述べておられます。
 恐らく、知事がお述べになったこの三点、三項目は、私は、今回の沖縄振興特別措置法案を先取りしたものであった、このように考えております。今申し上げました稲嶺知事の二十一世紀初頭の沖縄像がしっかり本法案に示されていると思いますが、その点について眞榮城守定参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
眞榮城参考人 ただいま仲村先生から御質問いただきましたけれども、二十一世紀の沖縄像として三点ございました。コンベンション都市沖縄、コンベンションアイランド沖縄、それから情報通信、メディアアイランド沖縄、それからウエルネス沖縄というふうなことでございます。
 本法案を見ますと、特に大きな特別措置というか税制措置としての主眼が、一つは情報通信産業分野でございます。情報通信産業分野については、情報通信産業特別地区ということで、そこに集中的な投資が行われるような配慮がなされているということでは、ただいまの稲嶺知事の二十一世紀像というのが一つ示されていると思います。
 コンベンション都市についても、いろいろ御意見ございますけれども、国際観光振興会等の義務づけに似たような形の条項などまで盛り込まれておりまして、沖縄を活用した国際コンベンション都市へ向けた一つの制度内容となっているというふうに思います。
 あと、ウエルネスについては、恐らくこれは予算措置等々で沖縄について十分達成されていくものではないか、本法案の盛られた内容で、この二十一世紀の沖縄像というのが十分に対応できる内容になっているのではないか。いろいろ課題は幾つかありますけれども、なっていくのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
仲村委員 今、私が稲嶺知事の考え方として申し上げましたコンベンションアイランド、いわゆる国際交流の拠点形成、次に情報通信特区にするためのメディアアイランド構想、あるいはまた健康保養基地としてのウエルネスアイランド、これはまさに本法案の中核をなすものである、私はこのように考えているわけであります。
 その中で一つ、五、六年来、沖縄に情報通信の産業が非常に急激に発達をしてまいりました。これはTAOなどが中心になって進めてきた仕事でありますけれども、地理的な位置からしても非常に有望な仕事だと思っております。そういう状況の中で、沖縄県がアジア太平洋地域の中心に位置する優位点を生かして、二十一世紀における情報通信産業の集積地としての特区構想が挙げられている点は、さっきの稲嶺知事のメディアアイランド構想と合致するものと私は考えております。
 ただ、沖縄のさまざまな不利性を克服してようやく軌道に乗りかけた電気通信事業が、市場支配的事業者としての指定を受ける感じになりつつあるわけです。私は、このようなことでせっかく育ってきた企業をここでつぶすようなことがあってはならないんじゃないか、こういうふうに考えておりますけれども、その点についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。
眞榮城参考人 情報通信産業は、要するに、距離のハンディをなくする産業でありますから、恐らく沖縄のこれからの産業として大変重要な分野だというふうに考えます。
 例えば、アメリカに例をとりますと、ニューヨークにある金融サービス業務のバックオフィスが、ニューヨークからそのまま暖かいフロリダ州に本社移転して、そこにバックオフィス業務そのものを移すというふうなことが行われております。つまり、ニューヨークとフロリダが補完し合うその関係が、東京と沖縄が補完し合う関係という形で、情報通信産業について言えば、またミラーオフィスというふうな形で、リスク管理も含めて、データセンター等が例えば東京と沖縄の双方にある、そういう状況が生まれてくると思います。
 ただいまの御質問の中で、沖縄は、そういう意味では、コールセンター等々この間企業が集積しまして、四千人余の雇用が生まれているという実態を考えてみました場合、情報通信分野で過去非常に努力して伸びてきた企業がございます。これは、一%という沖縄の市場を特に業務区域として営業を営んでいる携帯電話企業でございますけれども、その企業は、国内十五社ある携帯電話の中で最初の携帯電話会社であり、最初の株式公開をした企業であり、現在、従業員二百名、それから売り上げ二百六十億というふうな形で、沖縄県内では非常に成長性があり、沖縄の情報産業にとっても大変重要な位置を占めている。
 わずか一%の市場に対して市場支配的な事業者というふうな形で一般的な法律を適用した場合、こういう企業、一%の中で伸びて、市場のメリットは一%の中にしかない企業にそういう支配事業者という認定をするというふうなことがもしなされたならば、恐らく、沖縄の中で立ち上がっていく小さな企業がなかなか事業が展開できないのではないかというふうに考えるわけです。
 ですから、市場支配的という概念というのも、単に一般的に考えるのではなくて、市場の大きさ等々を含めて考えなくてはならない。そういう意味では、きめ細かな対応がこの措置法の中においても行われるべきではなかろうか、そういうように考えております。
 以上でございます。
仲村委員 どうもありがとうございました。
 ここで、今参考人からの御答弁もありましたが、御説明もありましたが、委員長にお願いいたしたいと思います。この法案を制定するに当たって、今、附帯決議が検討されているようでございますので、今の御意見に対する件も、ぜひ附帯決議の中に織り込んでいただきたい、こういうことを委員長にお願いを申し上げて、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
萩野委員長 趣旨はよくわかりました。理事会で諮らせていただきます。
 次に、荒井聰君。
荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。
 参考人の皆様、御苦労さまでございます。また、貴重な御意見ありがとうございます。
 私は、島尻参考人にお尋ねをいたします。
 本法案の意見として、特に全県自由貿易地域について意見を述べておられます。沖縄がかつて、琉球王国として貿易を中心に独立国をなしていた歴史的認識なども頭の中をよぎるのでしょうか。しかし、現在のように国際間のボーダーレス化が進み、グローバリゼーションが進む国際情勢にあって、沖縄県がかつてのような貿易立県として成り立つか否かについては、さらに具体的な議論が必要なのではないかと思います。この点について御意見がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
 また、本法案の五十六条の金融業務特別地区における事業の認定を行う際に、沖縄時間を設定するという御意見がございました。具体的にはどのようなことを意味し、どのような効果をねらっているのか、お答えを願いたいと思います。
島尻参考人 荒井先生に御質問いただきましたので、お答えいたします。
 先生御指摘のように、現在のようにグローバル化、またボーダーレス化している状況におきましては、やはりさまざまな点でクリアしなきゃいけない課題が多かろうと思います。逆に言えば、そうであるからこそ、本法案でうたわれている関税免除の措置だけではなくて、沖縄県の経済振興を推し進めることにはそれだけでは不十分だというふうに考えております。我々沖縄県は、輸入規制緩和等によって進めなきゃならない制度上の課題を、全県を自由貿易化することによってリーディングプロジェクトにまで進めることが必要であると考えております。
 沖縄県というのは、地理的条件、歴史的背景、そしてまた文化、風物、すべての点から考えまして、全県自由貿易地域のありようというものをこれまで私たち議論してまいりました。そして、この自由貿易を進めていくことによって、我が県だけではなくて、日本国全体の国益にも資するものになっていく可能性がある、我々はそういう結論に達しております。そのためには、やはりもっと踏み込んで、一国二制度を導入するぐらいの意気込みが必要であるというふうに考えています。
 その流れの中で、先生から御指摘がありましたもう一点の沖縄時間を設定するということになりますけれども、これもいわゆる一国二制度的なものになってまいりますけれども、本県の地理的な条件から見まして、沖縄に日本標準時間からマイナス一時間の時差を設定するということによって、例えば第五十六条、金融業務特別地区における事業の認定を想定されていますけれども、効果的に運用することが可能であると考えました。
 これは、本土市場と違う時間、いわゆる異なる時差を設定することによって発生する、例えば株価の終わり値などの値を運用することによって、新たに沖縄市場を展開することも可能となる。また、その活用の仕方によっては、県益のみならず、また日本国の国益にも資する結果とつながっていくという考えに基づいております。
荒井(聰)委員 沖縄時間の設定というのは、大変ユニークで示唆に富んだ御意見かと思います。確かに沖縄では五時、六時といってもまだまだ明るくて、時間が本土とは随分違うなという印象をあそこへ行くと一番最初に感ずることでもございますので、それを経済活動に反映するということは大変示唆に富んだものと思います。
 さらに島尻参考人にお尋ねいたします。
 日米地位協定の見直しについてでございますが、特に環境浄化について言及がなされました。基本的に地位協定のどの部分を変えることが望ましいと考えておられるのか、具体的な御意見がございましたらお聞かせください。
 沖縄県では、平成七年の九月に発生いたしましたあの痛ましい事件をきっかけに、日米地位協定の見直し論議が展開されております。私たち民主党としても、基地の環境問題や米軍人等による公務外の事件、事故などについて、地位協定の見直しの積極的な議論を行う必要があるということを決めてございます。特に、日米地位協定の十七条五項に定められている裁判権をめぐる刑事事件発生時の身柄引き渡しについて、人道的見地から見直しの必要性があると思われております。
 沖縄県で発生している米軍人による事件、事故の発生件数が一体どのぐらいの状況になっているのかということをお聞かせ願いたいと思います。
島尻参考人 荒井先生御指摘のように、いわゆる在沖米軍基地から発生する事件、事故は、今、後を絶っておりません。そして、県民生活にそれが重大な影響を与えております。過去五年間の統計資料によりますと、沖縄県での軍人軍属、家族による事件、事故の発生数は四千三百六十件ございます。また、交通事故の発生件数ですけれども、過去五年間で約七千二百件となっておりまして、これは在日米軍関係者の起こした交通事故の九三%が沖縄県で発生しているということになっております。つまり、こういったところで、県民の生活に本当に身近なところで米軍関係者の事件、事故が発生しているということでありますから、このような県民の生存権や財産権にかかわる問題は、やはり、日米地位協定の運用改善にとどまらず、見直しを基本に協議すべきだと考えております。
 また、もう一つの環境の問題でありますけれども、基地の環境問題及び環境浄化問題は、現在沖縄に生活する県民だけではなくて、後世にまた禍根を残す結果となってまいりますので、その責任所在を含め、強く訴えていくべきだと考えております。
荒井(聰)委員 地位協定をめぐる意見あるいは議論というのはたくさんございます。しかし、基本的に、そこに住んでいる人たちの経済活動あるいは日常の生活というものが安全で安心なものでなければ、新しい産業も、あるいは観光立県ということもなかなか難しいんだろうと思うんですね。その意味で、沖縄における在日米軍の犯罪の防止あるいは犯罪の抑止というものは極めて重要な問題であるというふうに考えてございます。島尻さんの御意見もまたそのような方向であったろうかと思ってございます。
 今回は沖縄振興特別措置法案についての参考人の質疑でございますが、沖縄における米軍基地問題が沖縄の振興を妨げる大きな要因になっているということは明白であります。機会がありましたらまた改めて議論をしていくことにいたしますが、最後に、島尻参考人から、これだけはつけ加えたい、あるいは意見を陳述したいというものがございましたら、どうぞ意見の陳述をお願い申し上げます。
島尻参考人 きょうは参考人としてお招きいただきまして、本当に感謝申し上げます。
 実は、きょう皆様のお手元にお配りさせていただいた資料がございます。これは、沖縄戦最後の日、当時の海軍司令の大田少将が大本営に打電した「沖縄県民斯ク戦ヘリ」という電報であります。
 私自身は沖縄戦を経験した世代ではありませんけれども、戦後半世紀以上がたっているにもかかわらず、今の沖縄、現時点でさえも重く基地の重圧がのしかかったままであります。どうか、先生方には、このような歴史的な経緯も含めて沖縄の諸問題について深く御高察いただきまして、今回の新法がよりよいものとして沖縄県民に還元されますことをお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。
 本日は本当にありがとうございました。
荒井(聰)委員 外務委員会では、地位協定の見直しについて附帯決議がなされております。私たち、特別に沖縄問題を取り扱うこの委員会としても、今後附帯決議の議論がなされると思いますけれども、ぜひ地位協定の見直しについては言及をしていくことが必要なのではないかということを最後に申し述べまして、私の参考人質疑を終わります。
 ありがとうございました。
萩野委員長 次に、白保台一君。
白保委員 公明党の白保でございます。
 各参考人の皆様方には、お忙しい中を、本委員会の審議の参考にするための御意見を述べていただきました。大変感謝いたします。ありがとうございます。
 同時に、それぞれの参考人の御意見、いろいろな意味も含めて、非常に示唆に富むものもございましたし、もっともっとじっくりとお話をお聞きしたいな、こういうふうにも思いますが、限られた時間でございますので、何人かの先生にお話を伺いたい、こういうふうに思います。
 初めに眞榮城参考人、先ほど、所得格差の問題、あるいは公共工事から民間の仕事をふやしていく問題、あるいは不利性から有利性、そしてまた基地の整理縮小と跡地利用の問題、そして沖縄が日本におけるところの貢献していくその役割、そういった問題等を整理されてお話を伺いました。その整理のされ方に、非常に私自身も同感でございますし、そういった面から、これを基本に置いて何点かお聞きしたいと思います。
 その中で、先ほど仲村委員の方からもお話があったかと思いますが、先生のお話の中で、規制緩和と特別措置の問題についてお話がございました。一定の、規制緩和、一%の中で経済を展開していく、そういう中に一律の規制を持ち込まれては成り立たないというお話がございましたが、具体的に、その辺の話がございましたらお答えいただければと思います。
眞榮城参考人 電気通信事業法で、その営業地域で二五%を超えると市場支配的な事業者というふうなことのようでございます。沖縄の携帯電話会社、沖縄セルラーという会社ですけれども、そこは国内で最初の携帯電話会社、県内では当初六〇%ほどの市場シェアがあったわけですけれども、ただいまは四八%程度。NTTドコモ九州さんがだんだん追い上げてまいっておりまして、要するに、競争的な事業者はほかにもいる。そういう中で二五%、沖縄という一%市場で二五%を超えている、そういう小さな市場に全体の物差しをはめたときに大変問題が起こっているというのがこの事例じゃないかなというふうに考えております。
 ですから、地域の事情、市場の大きさ等々を勘案して判断をすべきであるということと同時に、こういう情報通信分野がこれからの沖縄の産業振興に大変重要であれば、そういうノウハウを持った企業が、もともとは規制緩和で生まれた電話会社がまた新たな規制をかぶっていくというふうなことであれば、地域の事情に応じた対応の仕方があってもいいのではないのかというのが私の考えでございます。
 以上でございます。
    〔委員長退席、吉川委員長代理着席〕
白保委員 大変大事なお話でございまして、先ほどの質問にもございましたので、私ども、そのことについては、努力をしていかなきゃならない重要な課題である、こういうふうに思います。
 もう一点、一定効果の誘い水がというお話がございました。この振興計画そのものがそういったことだと思いますが、その一定効果の誘い水というものに対して、この程度、こういったことが考えられますか。
眞榮城参考人 特別措置というのは恐らく誘い水効果を及ぼす、しかも、それは時限法でございますから、十年の間に効果を及ぼさなくちゃならないということだと思います。
 例えば金融業務特区について申し上げますと、ここで三五%の控除ということで、実効税率二六%というのは一つの誘い水効果としては大きいと思います。ただし、雇用条件二十名というのはちょっときついかなということもありますし、さらに、高収益を期待できる金融業務においては直接人件費の二〇%を上限とする控除額等々というのはいささかきついかもしれないというふうなこと等あって、検討すべきことじゃないかというふうに思いますけれども、要するに、一定程度の誘い水というのは、どの程度の税制措置をやる、あるいはどの程度の予算措置をやる、そういう税制措置や予算措置の中で、企業が、そういうことであればインセンティブとしてそこに投資をしていく、そういう場をつくることだというふうに思うわけです。
 コールセンターの例をとりますと、沖縄県では、そういう意味では、家賃補助とかあるいは八〇%の通信コストの補助というふうなこと等を通して誘い水をかけておりますから、企業は、そういう点ではインセンティブを感じて来る。恐らく、企業がインセンティブを感じることによって沖縄に立地をするというのが、一つの誘い水のある目安になるのではなかろうかというふうに考えております。
 以上でございます。
白保委員 実は、三十年振興開発をやってまいりました。約七兆円に近い国費が投じられて、一定の社会資本の整備がなされて、そして、観光産業立県として進んできたわけですが、昨年の九月十一日の同時多発テロ、それを機に、一気に、三十年間積み上げてきたものががたがたとくる、そういう観光、そしてまた観光は産業としては非常にすそ野が広いですから、沖縄経済は打撃を受けたわけですね。
 その際に、私は尾身大臣にも川口大臣にも申し上げました。一方で振興策を進めていく、しかしもう一方で平和戦略がきちっとないと、基地があるゆえに沖縄は危険だという風評でもって、一気に経済は打撃を受けている。基地があるから、基地抑止力があるから、その対極に対話という平和的な手段というものがなければいけない。それがないと、平和戦略がないと、結局は、一生懸命積み上げて、営々として積み上げてきたものが、基地があるゆえに大きな結果として出てきたということです。
 したがって、そういう意味で、私どもは、きょう、あしたの問題というよりも、何としても対話の場を必要とする、国連機関等を含めて誘致をして対話の場をつくる必要がある、こういうことを強く訴えてまいりました。
 今回の法案審議の中で、新法の八十五条から八十八条、文化の交流や国際協力や国際交流、そういったものがうたわれておりますが、最後になりますが、下地先生に、国連研究会の代表幹事として、この平和の戦略という問題で御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
下地参考人 私は、先ほどの参考人陳述の中で基地の問題を強調いたしました。
 確かに、日米安保条約に基づいて、国家安全保障という視点から、沖縄に全国の占有施設の七五%があるということは、まさにその目的はアジアの平和と安定を維持するということになっているわけです。しかし、人間の安全保障という考え方がこの数年来、国連のDP、いわゆるUNDP、国連開発計画から出されており、それが今や世界的に大変重要な概念として語られ、そして、概念にとどまらず、もう実践の段階に入ろうというところでございます。
 私は、沖縄が我が国に対して果たすべき役割、あるいは果たし得る役割、あるいはアジアの平和と安定、繁栄、ひいては世界の平和と安全、繁栄という大きな国際的な役割を果たすべき地理的なすぐれた条件を持っているというふうに考えまして、先ほど申し上げましたように、六年前から国連機関、とりわけ国連アジア本部を、平和のとりでである国連アジア本部を国連に働きかけてつくらせ、それを沖縄に誘致しようという運動を進めてまいりました。
 本年度、今月までありますから、本年度、外務省において五千万円の沖縄への国連機関誘致可能性調査費が計上され、アメリカの二つのシンクタンクに委託をして、最終報告が出ております。しかし、最終報告の結論は厳しいという結論です。しかし、その結論は私たちが十分予測していたことですし、官僚の発想の限界、もはやできないということを我々十分承知の上で、ああいう提案をしてまいりました。そういう意味で、先ほど白保先生がおっしゃった抑止力にかわる対話の場を沖縄に設ける、これがまさに私どもが沖縄の地域的特性を生かして沖縄に平和創造と発信の基地をつくろうという運動でございます。
 我々の運動と連動するかのごとく、最近では、ロンドンの森嶋通夫教授が「日本にできることは何か」という著書の中で、日本がEUに対してAUをつくるべきじゃないか、そしてその本拠地を沖縄に持ってくるという提案をしております。昨年の十一月には、東洋経済新報社と台湾、韓国、ミャンマーとの共催による東アジア地域共同体をめぐる国際シンポジウムが那覇でありました。そのときにも沖縄の重要性というものがかなり強調されました。あるいは、参議院国際問題研究所の昨年六月二十日の報告書にも沖縄を国連シティーにしたらどうかという提言が盛り込まれております。
 その他、この条件が今熟しつつあるというふうに考えておりまして、やはり抑止力にかわる対話の場、それが沖縄の生きる道であり、沖縄が日本及びアジア、世界に貢献する大きな役割だというふうに考えております。
    〔吉川委員長代理退席、委員長着席〕
白保委員 ありがとうございました。
萩野委員長 次に、一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫と申します。
 きょうは、参考人の皆さん、御苦労さまでございます。
 そこで、時間も余りないものですから全員の方々にお伺いするわけにいきませんけれども、まず島尻先生にちょっとお伺いしたいんです。
 今、戦後いろいろな課題が残っている中で沖縄の方々にも大変な御迷惑をかけておるわけですけれども、沖縄の本土復帰以来三十年の経過の中で、当時も、本土との格差是正とか、それから沖縄の自立的発展の基礎的な条件をこういった法律によって整備しようというのが大きな目的でスタートしたわけでございますけれども、三十年経過した今日、まだまだ課題が残されているというふうに認識しているわけです。
 その中の一つに、沖縄県は失業率が非常に高い、そういう客観的なデータがあるわけです。これからの雇用対策ということについて、参考人のお考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
島尻参考人 先生にお答えいたします。
 とにかく失業率が高い、そしてまた特に若年層の失業率が高いというのが沖縄県の特徴になっております。それで、雇用の問題なんですけれども、今、やはり沖縄県は観光産業をメーンとして県の経済が組み立てられております。ですから、その部分をふやすということを広げていくことをまず重点的に考えていかなきゃいけないと思っております。
 そしてまた、雇用等をふやす中でも、先ほどもお話し申し上げましたけれども、いわゆる一国二制度的な制度をいただきまして、そこで生まれてくるいろいろな職種とか、いろいろなニーズがまた展開されてまいりますので、そういった部分で、確かに援助をしていただく高補助率の援助金も大切ではあるんですけれども、もう一つ思い切って踏み込んだ制度を、沖縄県が独自に運用できるような制度を与えていただければと思っています。
一川委員 次に、眞榮城参考人に、御意見をお伺いしたいんです。
 先ほどもちょっと触れましたように、この三十年間で法律も二回改正されて、それから振興計画も一次、二次、三次とやってまいって、先ほどの白保委員のお話にありましたように、約七兆円の投資がされてきたわけです。そういう過去の沖縄振興に対する政府としての取り組み方の一つの結果として、どのような印象を持っておられるか。すべてがすべて皆成功したわけじゃないというふうに私は思いますけれども、そのあたりの点も含めて、これまでの反省点といいますか、そこのところを中心にちょっとお話を聞かせていただければありがたいと思います。
眞榮城参考人 過去三十年間にわたって七兆円の振興開発事業費が投ぜられた、その結果としては、沖縄の県民所得の向上とか県民生活の向上、そういう面で沖縄県経済自体がそれによって非常に大きく拡大したということが言えると思います。ただ、拡大の仕方が、実は公共事業を中心とした拡大でありますから、そういう事業が民間経済の活動に、民間経済自体にうまく連動していかなかったというところが大きな課題であります。
 なぜそういうことになったかというと、公共事業が多ければ多いほど、沖縄の労働力や資本や経済資源というのがほとんどその方に向かっていって、考えてみると、公共事業を次々投入しなければ維持できないというふうな状況の経済になってしまったということであろうと思います。
 したがって、反省点としては、高率補助に基づく公共事業の展開というものが、実は民間の経済活動のインセンティブになり得なかったということだと思いますので、今回、税制措置等を特に主眼とした産業の振興というところに力点が置かれたということが、恐らくこれまでの振興の方法とは随分変わった新しい効果を生み出す方向ではないかというふうに評価をいたしております。
 以上でございます。
一川委員 先ほど下地先生も米軍基地の問題に割と関心が強いというお話がございましたのでお聞きするわけですけれども、今の、これまでの反省も含めたことに関連すると思いますけれども、公共投資中心型の経済という中で、確かにこれまで社会資本を中心に相当の規模の投資をずっとされてきました。こういった状態がずっと継続する状態ではないと私は思うんですね。当然ながら、ある程度ハード的なものが整備されてくれば、それが耐用年数が来るまでは余り大胆な投資はない。その面の落ち込みといいますか、一種の公共投資の落ち込みというのは当然これから想定されるわけだけれども、ただ、一方において、今、米軍基地、米軍施設用地の返還ということも一つの大きな課題としてまたある面では期待もされておるわけです。
 基地というか、米軍施設用地跡地利用ということが有効に活用されて、それがこれからの沖縄の経済にいろいろな面でプラスになるような活用の仕方が当然いろいろと考えられていくんだろうと思いますけれども、そういうことに対する何か基本的な御意見がございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
下地参考人 お答えいたします。大変重要な問題の指摘でございまして、その御質問の趣旨に沿うようにお答えしたいと思います。
 私が基地にこだわるということは、先ほどどなたかの発言の中にもありましたが、要するに、沖縄の経済というのは、やはり基地経済から財政依存経済に移行したという言い方が一般的に沖縄では言われております。すなわち、基地依存度はどんどんウエートが下がっていって、五・二%というふうな推計がありますが、それにかわり財政依存度がもう三三%にまで達しているという意味で、財政依存型の経済というふうに理解することはできるでしょうけれども、しかし、根本が基地あるがゆえの特別な財政支出であるわけですから、基本的には、本質的には、基地依存経済というふうに私は理解しております。したがって、基地の返還、大幅な整理縮小によって返還される軍用地の跡地利用というのは、沖縄の振興を考える上で大変重要な意味を持つものだと思います。
 私が先ほど国連アジア本部と申し上げましたが、実は、私はこの六年間、年二回、スイスにあります通称ヨーロッパ本部というところで人権委員会にずっと参加をし、沖縄の基地問題なり人権問題なり、いろいろ訴えてまいりました。その中から、もしアジアにもヨーロッパ本部並みの機関があれば、アジアは相当変わっていたであろうと。あるいは、今国連が抱えている、人類が抱えているさまざまなグローバルイシューのかなりの部分がアジアにあるわけですから、アジアの問題を解決すれば、それだけ国連の抱える問題も解決され、世界の平和と安全の維持という国連の精神にも沿うということで、その役割を担うために、ヨーロッパ本部に相当するアジア本部を、日本政府のイニシアチブで、アジア諸国の人々に協力を呼びかけて国連に働きかけ、それをつくらせ、そしてそれを沖縄に誘致する。
 私の頭にあり、かつ論文の中で私は指摘しましたが、例えば、スイスのヨーロッパ本部並みの国連機関をというふうに考えているとすると、私は、単純に言って、普天間基地を全部使うくらいのスペースになりはしないかと。要するに、本部そのものだけの敷地でいうとそれだけの規模ではないんですが、関連する国際機関がたくさんあるわけですから、それらを仮に収容するとすれば、普天間基地の跡地利用に最も効果的なものではないかというふうに考えて、国連アジア本部が実は沖縄の二十一世紀の振興開発の切り札になるんだ、アジアの平和があって初めて沖縄の自立もあり得るという認識でまいっております。
 ありがとうございます。
一川委員 どうもありがとうございました。
萩野委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 参考人の先生方、本当にきょうは御苦労さまでした。私は日本共産党の赤嶺政賢ですが、来間参考人にお伺いしたいと思います。
 私たちは、沖縄の振興開発計画を振り返ってみた場合に、基地経済からの脱却を自立経済、このように認識して取り組んでまいりました。三十年間にわたる振興開発計画の積み上げが終わりまして、今新しいスタートの地点に立って大事なことは、二十一世紀には沖縄から米軍基地をなくしなければいけない、また、なくなるんだ、そういう基地のない沖縄を展望した、そして二十一世紀にわたる沖縄の振興という、夢というんでしょうか、目標というものを一つ持たなければいけないと思います。いつまでも基地があることを前提にした振興開発というのは、やはり二十一世紀の沖縄の進路をゆがめていくことになるのではないかと思います。
 そういう立場から、軍用地の跡地利用について、政府、県、そして地方自治体、地主挙げてどんな考え方で臨むのかという点で、先生の方から新しい視点からの問題提起もありました。やはり、二十一世紀の基地のない沖縄を目指したそういう角度から軍用地の跡地利用という問題を見たときに、将来の問題としても、長い大きなスタンスとしても、どのような問題があるのか、もう一度お聞かせいただきたい。
 それから、今回の法律の中では、軍用地の返還の大規模跡地の問題について触れられております。それから同時に、特定跡地。環境問題などが起きて再開発に時間のかかる問題、そういう土地も念頭に置いてのことでしょうけれども、実際に沖縄で経験したもう一つの問題は、細切れ返還があったと思うんですね。それは、もちろんこの返された土地をどうするかという地主の問題ということもあるんでしょうけれども、同時に、やはり一体の町づくりとして軍用地の跡地を見ていかないと、これはなかなか難しいというところがあります。今回の法律では、その細切れ返還について、過去の教訓に照らした十分なる考え方というのは反映されていないように見えるんですが、その細切れ返還、この二つの点について、来間先生にお伺いしたいと思います。
来間参考人 跡地利用について、僕は、ある意味で皆さんにはとっぴに聞こえるかもしれませんけれども、返還された土地については、国あるいはそれに準ずる公社等が一括買い上げをして、そして跡利用の必要な事業を行った後で売り戻すというやり方がいいんじゃないかというふうに提案しているわけです。
 この前、嘉手納町に行っていろいろ状況を聞いていましたら、嘉手納町のロータリー内の再開発事業があるわけですけれども、事務局の方の説明では、区画整理事業にも一種と二種があって、普通一種でやるんですけれども、二種というのは今僕が提案したような、その土地を全部買い上げて、そして後で売り戻すというやり方だそうです。僕は法律詳しくありませんけれども、ああ、これはもう僕の構想とそっくりだというふうに思いました。ですから法律的にも、少し考えればこの方法は可能じゃないかと。
 僕の考えの基礎にあるのは、軍用地料が高くなり過ぎて、そして軍用地地主は返還を望まなくなっているという現実を見ているからです。返還を望まないものですから、あと三年で返還するよ、一年で返還するよと言われたときに、急いで跡利用をどうするかという話し合いを始めるのではなくて、そのまま何もせずに時間を過ごしていく。そして、本当に返還されてからやっと腰を上げる。こういう事例が多過ぎるというふうに思います。だから、そういう地主の実態に即した跡利用計画あるいは方針でなければならないという考えです。
 細切れ返還についても、確かに、一体として開発しなければならないような地域が、ことしはこれだけ、来年はこれだけ、あるいは五年後にまた三分の一返ってくる、そういう事例が幾つかありまして、その返還の仕方が跡利用に影響を与えているということは間違いないと思います。
赤嶺委員 来間先生に引き続き伺いますが、沖縄の経済あるいは沖縄の産業を活性化させること抜きにしては、沖縄の雇用を吸収する産業を持たずしては、やはり失業率の問題も解決しませんし、産業の振興というのは非常に大事になっているわけですが、ただ残念ながら、先生御指摘のように、自由貿易地域や特別自由貿易地域、なかなか成果や効果が上がらないという面も見えているわけですね。
 それで、私は、やはり地場産業の足腰を強くする、とりわけ農業に力を入れていく、こういうのも向こう十年間の沖縄の産業の振興を考えてみた場合に大事だと思います。ただ、農業の場合には、輸送コストの問題がありますし、生産者価格の問題がありますし、日本全国の問題として輸入自由化の問題があります。ただ、沖縄というところに特化をして考えてみますと、やはり輸送コストは大変大事な課題になっていると思います。
 もう一つは、三十年間にわたる土地改良事業や構造改善事業などによって零細な沖縄の農家が身の丈以上の自己負担金、賦課金を負担せざるを得なくなって、いろいろな措置はとられているとはいえ、なおそれが農家の一つの困難になっている。今後また農家の負債問題も問題になっていくと思いますけれども、そういう問題も含めて、それからサトウキビの問題でも、沖縄の農家の七割が生産しているにもかかわらず製糖工場が閉鎖をされていく、製造業が少ない沖縄と言われながら有力な地位にある製糖工場が閉鎖されていく、この問題での先生の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
来間参考人 経済の活性化、産業の振興を求めるのは皆同じ気持ちだと思います。これまで国が七兆円近くの投資をしたということはそのためのいわば基盤づくりだったと思いますし、その意味で意味があったと思います。
 ただ、最近は、それにやり過ぎという面が見えてきております。今回どういう発想の転換をされるのかわかりませんが、僕は、もう公共投資の見直しが、特に沖縄については必要な時期に来ていると。最近でも問題になっております、那覇空港の滑走路を二本にするとか、それから那覇港湾をハブ港湾にするとか、宮古の伊良部島に橋をかけるとか、こんなことはもうやり過ぎだというふうに思います。こういうことは制度上補助率が高いということと関連がありますので、その点も検討の対象にならなくちゃいかぬと思います。
 というのは、例えば那覇港湾で、自己負担が一割で済むから、沖縄県側の負担が一割で済むから、だから今のうちやろうというような言い方があるんです。十割でないにしても、一般的には五割でしょうか、もしそういう基準で補助事業が組まれるのであれば、とてもこんな大きな構想は発想されないと思います。だから、補助率が高いということで実情に合わない過大な事業をするという傾向が強まっていることを問題提起しておきたいと思います。
 地場産業の振興、特に農業の話ですが、一年前ですが、日銀の那覇支店が失業率の分析をされました。そしてまた最近は、建設業の雇用が一万人ぐらい減るぞという警告の報告書を出しました。その中で言っていることは、どうしたらいいか、とにかく建設業は就業者が減る、となると、どこで吸収するかといったら健康産業と農業だと書いてあります。まさにそうではないかと僕も同感なんです。
 僕も、農業経済学を専攻しておりますので、長いこと農業に関心を持っていろいろな意見も出してきましたけれども、そして沖縄総合事務局の農政関係の勉強会などにもたびたび参加してきているわけですが、ただ、農業を振興することは本当に非常に難しい。
 サトウキビについて見ますと、これはもう十五年ぐらい連続して収穫面積が減少しております。我々もいろいろな手を考えて議論しましたけれども、そのうち幾つか今後芽が出てくるのがあるかなとは思いますが、大勢としてのサトウキビの減少には歯どめはかからないだろうという気がします。そうなると、離島地域の農業というものが総崩れになる可能性がありまして、最近は伊江島の製糖工場を閉鎖するということが話題になっております。
 僕は、こういうことは、サトウキビの生産量が多かった時期に合わせた工場規模になっていますので、今その工場規模が負担になっている、だから、この工場規模を縮小する、分みつ糖から含みつ糖に生産目標を変えるとかいうことも含めて工場を縮小する時代だと思います。沖縄本島だったら統合で済むかもしれませんけれども、離島はそれができません。だから、僕は、今までの補助事業とかにはそういう発想はないと思いますけれども、工場規模を縮小するための投資をやった方がいい、それで、それぞれの島にキビを残すということが必要だと思っています。
 土地改良事業とさまざまな補助事業も、沖縄経済全般にかかわる観点と同じなんですけれども、やはりやり過ぎた点が最近は目立っております。だから、補助率が高いから過大な計画をもって取り組んで、結果としてうまくいかずに負債を抱えるという事例が散見されます。ですから、この点も今後、向こう十年に向けて反省して、検討すべきことではないかと思っています。
 輸送コストの問題は、確かに大きな負担でありますけれども、先ほどお配りしたメモに書いてありますように、具体的に考えていくと、輸送コストの補助というのは制度上ほとんど不可能だと僕は思っていますので、そこに期待をかけるのではなくて、やはり農業に対する独自の取り組みを評価するということで対処すべきことだと思っています。
赤嶺委員 終わります。
萩野委員長 次に、東門美津子さん。
東門委員 参考人の先生方、本当にきょうはどうもありがとうございました。急なお願いでしたのに、本当に皆様には快くお引き受けいただきまして、そしてまた、きょうこういうふうな勉強の場を与えていただけたこと、本当にありがたく思います。できることならもっと早くそういう場があったらよかったなと思いながら、そしてもう少し時間が長ければという思いをしながらお聞きしておりました。本当に感謝申し上げます。済みません、最後のバッターですから、あとしばらくだけおつき合いください。
 私の方からは、友寄参考人にお伺いしたいと思います。
 復帰後三十年、どなたもおっしゃることなんですけれども、沖縄が本土に復帰してから余りにもその格差が大きいことに、やはり最初は格差是正からということで、ずっと、本土との格差を是正するという立場から振興計画がつくられて、それが実践されてきたということだと思います。この三十年間、本当に大きく変わったことは、どなたも口になさる、やはり社会資本整備。それはもう三十年前に沖縄へ行かれた方と今行かれる方、本当に驚きとなって出てくることは、沖縄は変わりましたね、とてもよくなりましたねと言う方がおられるのが多いです。それは、やはりインフラの整備がきちっとなされていることが大きいということはよく知っております。
 と同時に、やはり何か失ったものも大きかったかなという思いはあります。しかし、それはそれとして、三十年、これから新たな法律ができて、十年後の沖縄はどうなっているのだろうか、私たちはどういう沖縄で生活をしているのだろうかということも考えながら、それを見据えながら動いていかなきゃいけないのではないかと思います。そういう中で今回の法律、法案が提案されているわけですが、その中で、どうしても、沖縄県民がずっと願ってきたこと、経済の自立、経済の自立、これはもうどの政権でもずっと言われてきました。しかし、今に至ってもまだそこまでは至っていない、いや、決して近くもなっていないというような気がするのは、私ばかりではないと思います。
 そういう中で、稲嶺現県知事は、魚ではなくて釣り具が欲しいんだ、大切なのは釣り具なんだとずっとおっしゃっておられますが、今回の法案の中に、私たち沖縄県民が目指している経済の自立、望んでいる経済の自立、そこに到達できるという釣り具がしっかりと見えるのかどうかということを、友寄参考人にお伺いしたいと思います。
友寄参考人 復帰して三十年を迎えたわけでありますが、今日まで、第一次振計から第三次振計まで、格差の是正、そして経済の自立化を図ることを基本目標にして振興事業が展開されてきたわけでありますが、これまでにも指摘されておりますように、この三十年を振り返ってみて、結局、格差の是正もなされない、しかも産業の振興をこれから進めていく経済の基盤、自立ということもなかなか達成できなかった。それはやはり、一つには、巨大な基地が存在するということだと思う。
 同時に、私、格差という場合には、本土との県民所得とか、そしてまた本土との、おくれたいろいろな社会資本、基盤整備、そういう格差ということだけではなくして、沖縄というのは、歴史的な背景もあり、そしてさらに本土と違った巨大な米軍基地を抱えているということです。
 ですから、私は、格差の是正ということを考えておる場合に、そういうものを含めた、総体的に、これからの沖縄の現状をどう打開して振興開発計画に結びつけていくかという視点で考えていかなければならないのではないかなというふうに考えております。
 それで、やはり自立経済、今回の振興新法の中での基本の方向は、これまでの総括も踏まえて、いわゆる民間主導による自立経済の確立ということが柱になっておるわけでありますが、沖縄の自立経済という場合、やはりこれだけの過密な基地の存在、基地からの脱皮、これなくして本当の沖縄の自立経済というものはあり得ないというふうに考えておるわけであります。
 確かに、復帰三十年を経過して、復帰前後の基地経済依存度というものが随分低下をしてきております。約五%というふうにかなり低下はしてきている。しかし、振興計画を進めていく場合において、本島の基地の面積というものは約二〇%あるわけですが、そのほとんどが中部地域に集中しているわけなんです。この中部地域というのは、これからの経済振興を進めていく上で極めて重要な地域であるし、結局、多くの基地が存在するために、都市計画上からも、地域の町づくり等を進めていく場合も、極めていびつな形で町が進められてきたという状況もあります。
 ですから、そういうことを含めて、やはりこれからの経済の自立に結びつけていくためには、こうした過密な基地、基地の面的な整備、これを進めていかないと、幾らいろいろな方法を用いて経済の自立化といっても、本当の意味での自立化につながっていかないのではないかというように考えております。
東門委員 確かに御指摘のとおりだと思います。本島の約二〇%近い面積が米軍基地になっているという現実、それを全然整理縮小という形に持っていかなくて、整理縮小なくしてどういうふうにして産業がここで発展するかということは、私たち県民、これまでもずっと模索してきたことだと思うのですが、今に至ってそこに到達していない、いや、これから十年後、果たして今のままでいいんだろうかという思いだけしかないのですけれども、時間が迫っているようですので、あと一点だけお聞かせいただきます。
 お話の中で、久しぶりに沖縄の心ということを聞きました。ひところ随分使われていたなという思いをしながら伺いましたけれども、やはりとても大事なことだなと思います。
 三十年前沖縄にいらした大学の先生が、そのとき、沖縄を見て驚いた、本当に植民地だという印象を持ちましたと。その方は、今現在、沖縄で、沖縄の若い人たちを指導しておられる大学の教授ですが、先日、あるシンポジウムで伺いましたら、三十年たった今も沖縄は植民地そのものだ、その感じに変わりはないという御発言がございました。それはやはり異様な状況、異常な状態であるというふうに映っているんだなと。本土の方ですけれども、そういう方もまだまだたくさんおられる。
 そういう中で、私たちが、やはり沖縄の心というもの、いわゆる平和を愛する心あるいは基本的人権、そういうものをしっかりと確立していかなければいけないという思い、そういうものを忘れてしまってきているのではないか、それはなぜなのかということも私は今一人で考えているところですけれども、友寄参考人、沖縄の心、やはりそれを私たちが取り戻していくというには何をどうすればいいのか、もし御提案がありましたら、伺いたいと思います。
萩野委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
友寄参考人 沖縄の心ということですね。
 復帰の時点では私どもは、復帰が実現した際に、これからの沖縄の将来の展望を考えてみた場合、やはりまず何といっても過密基地、この巨大な基地を整理縮小または削減をしていく、これが一つの基本方針でなければならないのではないか、そういうことを基本にして振興開発計画を進めていくべきだというふうに考えているわけであります。
 確かに、これまで指摘されておりますように、この三十年で七兆円近い投資がなされまして、多くの振興策が展開されて、沖縄の経済もかなり伸展をしてきたわけであります。しかし、やはり私は、新たな振興新法をつくるに当たって、この三十年を振り返りながら、復帰の時点をもう一度考えてみる必要があるのじゃないかということであります。そういう意味から、振興開発計画を策定するに当たっては、そういうこともしっかり踏まえて、これからの諸施策をぜひつくり上げていただきたいというのが私の考え方であるということであります。
東門委員 どうもありがとうございました。終わります。
萩野委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言、参考人各位に御礼を申し上げます。
 本日は、大変遠路のところ、また御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、また大変貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。(拍手)
 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十分開議
萩野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官安達俊雄君、内閣府沖縄振興局長武田宗高君、防衛施設庁長官嶋口武彦君、外務省北米局長藤崎一郎君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省自然環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
萩野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
萩野委員長 質疑を続行いたします。武正公一君。
武正委員 民主党・無所属クラブの武正公一でございます。沖縄振興法につきましての質疑をさせていただきます。
 まず、金融特区でございます。第五十五条で「主務大臣は、」というような条文になっておりますが、観光振興計画、第六条、情報通信産業振興計画、第二十八条、特自貿地域活性化計画、五十二条、農林水産業振興計画、六十条等々、そういった振興計画を沖縄振興計画のもとつくることになっている中で、昨日も大臣からは、金融特区はそのまま指定をするんだ、まだ歴史的に浅いからというような答弁があったんですが、私は、この沖縄新法の目玉であるならば、やはり振興計画をきちっとつくって取り組むべしというふうに思うんですが、これについての御所見、大臣、再びお願いいたします。
尾身国務大臣 金融特区につきまして、いわゆる振興計画をつくらないということになっているのは事実でございます。
 これは、情報産業につきましては、数年来の各種の取り組みによりまして相当程度の関連企業の集積が既になされておりまして、今後さらなる集積を図るという計画的な取り組みが一層求められているという段階に来ておりますが、金融につきましてはまだ緒についたばかりでありまして、そういう点を、実態的な違いを踏まえてこういう差を設けたものでございます。
武正委員 緒についたばかりであるからこそ計画をつくって、またアクションプランをつくって、そして積極的に取り組むべしというふうに考えるところでございます。
 さて、昨日も話が出ておりましたが、キャプティブ保険あるいはまたCMSを金融特区に認めるべきではないか。この点につきましては、昨日大臣からは、いや、キャプティブ保険を実は入れたかったんだけれども、それを知ったのが間際だったというような趣旨の御答弁がありましたが、私は、今からでも遅くはないというふうに考えますし、また、遅くとも半年か一年のうちに実現を図るべきではないかと。
 これは、サピオという雑誌、二〇〇二年三月二十七日、沖縄特集でボレロ・ドット・ネット日本代表福重良文さんが言っていることなんですが、こういった形で、あるいは岸本名護市長もキャプティブということを再三再四言っておられますが、これをやはり取り入れるべきではないか。取り入れるとすればどのような形で今後可能性があるのか、そのタイムスケジュールも含めて大臣からお答えをいただきたいと思います。
尾身国務大臣 昨日、私は、キャプティブ保険を入れるべきだと思うけれども、時間が足りなくてという話はたしかしなかったと思うのでございます。私が申し上げましたのは、この話を岸本市長から初めて聞いたのは、調べてみましたら二月七日の午前九時二十分でございましたが、おいでになりまして、キャプティブ保険を本法案に盛り込んでほしいというお話がございました。そのとき私はキャプティブ保険というのを初めて聞かせていただいたわけでございますが、二月八日が本法案の閣議決定の日でございまして、したがいまして、内容について実はまだしっかりとした勉強をしていないというのが実情でございます。
 ですから、今後の検討課題として勉強をさせていただきますということを昨日申し上げたわけでございまして、これは岸本市長からも御要望があり、この委員会でもそういう話が出ておりますので、今後の検討課題として勉強させていただきたいと考えております。
武正委員 このキャプティブ保険を検討していくには日本の保険業法を改正しなければならないというふうに聞いておるんですが、これは村田副大臣、御答弁よろしくお願いします。
村田副大臣 お答えを申し上げます。
 キャプティブ保険につきましては、今尾身大臣からもお話がございましたが、私どもの柳澤大臣のところへも岸本市長がおいでになりまして、そのときにいろいろ御要請を承っております。
 私どもの大臣から、新しいビジネスとしておもしろい考え方だと思いますが、専門家が議論して、再保険を受けるキャプティブについてどのようなことが可能か、保険の原則にさかのぼって検討するような話だと思う、このようなお答えをしております。
 保険業を行うことについては、保険会社の保険業法上の認可を受けなきゃいけない、こういうことでございます。その趣旨でございますけれども、保険業を行う者は、ひとしく保険業法に定められている経営の健全性や業務の適切な運営を確保するための基準を満たすことが必要でありまして、この点について、キャプティブ保険に関しまして特例を設けることが適当かどうかということを検討してみなきゃいけない、こういうことになるだろうというふうに思っておりますので、今後検討していくべき課題として私どもも検討させていただきたいと思っております。
武正委員 尾身大臣も前向きに検討したいということで、この業法の改正についても、金融庁、副大臣から前向きに検討といったことで御答弁をいただきました。
 さて、二十人以上という、金融特区での一つのラインが引かれているわけなんですけれども、実際のところ、ダブリンは一社平均七名、あるいはまたキャプティブとかCMSというのは大体一社当たり三人から五人といったことも言われている中で、あるいはまた製造業でも、例の自由貿易特区あるいは特自貿、二十人以上というのは実は大変だという指摘もあるんですね。
 こういった中で、二十人以上にした理由が、昨日もペーパーカンパニーを防ぐんだという大臣の御答弁があったんですが、やはりこの金融特区を実効あらしめるには、二十人というのはハードルが高いのではないかというふうに考えるんですが、再度、大臣の御所見を伺いたいと思います。
尾身国務大臣 金融特区をなぜ設けるかという趣旨にも関係するわけでございますが、私どもは、こういう特別な特区を設けて、そこに企業を誘致して、そしてそれによって沖縄の雇用をふやす、経済を発展させるということを願ってこういう制度を新設しているわけでございます。
 三五%の法人所得控除というのは日本の税制の中で極めて異例な、非常に高いレベルの優遇措置であるというふうに考えている次第でございまして、言えば単なるペーパーカンパニーのようなもので、法人税の大きな減免を受けて沖縄の雇用の増大に余り貢献しないというのでは、この制度を創設した意味が基本的なところで崩れてしまうということで二十人以上という数を決めたわけでございます。これによってこの区域内の雇用が実質的に増加して、現に沖縄に住んでいる方々がそれによって非常にプラスの影響を受けるということをねらっているわけでございまして、むしろ、沖縄の本当の意味の雇用あるいは経済を守るという気持ちもその中に入っているということも御理解いただきたいと思います。
武正委員 金融特区、法人税の減免、これについては財務省さんといろいろとやりとりがあって年末に決定といったことで、年末の時点では大変喜ばしいというような発言が、大臣初め各方面から、現地でも上がったというふうに聞いておりますが、そういったいろいろな、財務省と今回の沖縄新法のやりとりがあった、せめぎ合いがあったというふうには拝察するわけです。
 この金融特区についての二十人ということが、やはりそれが雇用の確保につながるんだ、まずハードルを高くして人数を確保しようというお話だと思うんですが、私は、逆に、ハードルを低くしても雇用はどんどんふえる、ハードルを低くしないと雇用はふえないんじゃないかなというふうに思うんですね。
 これは日経の地域レポート、昨年、二〇〇一年十一月十九日ですが、例のコールセンターについてもこんな記載があります。問題は、人材供給力不足を指摘するコールセンター側に沖縄県が何ら新提案をしていないという点、県が人材供給や育成で何らかの対応策を打たないと、状況次第ではコールセンターの立地の流れが他へ移るというようなことで、二十人になったから、ではそれでいいのか。それでまた、なったときに果たしてどうなのか。やはり人材育成、供給というものの不断の努力が必要でしょうし、先ほど触れたように、キャプティブあるいはCMS、これをこれから前向きに検討するのであれば、まず二十人というラインはやはり高かろう。
 ですから、これは、これから法が施行されて計画をつくっていく、そういった中で、やはり現状に合わせて、それぞれの関係行政庁としっかりと協議の上、見直す必要もあろうといったことが出たときには見直していくべきだと考えるんですが、再度、大臣の御所見を伺います。
尾身国務大臣 この制度は、もとより今回初めて創設した制度でございまして、人数制限につきまして二十人よりふやすのか減らすのか、そのいずれかも含めまして、制度の実際の運用状況を見て適切な対応をしてまいりたいと考えております。
武正委員 これは週刊東洋経済、昨年二月十日なんですが、アイルランドの例がよく出ます。アイルランド・ダブリンの例が出まして、ここの国際金融センターの役割といったことがよく取り上げられるんですが、「成功の背景には、弁護士や会計士の重点育成など、明確なビジョンに基づく政府の施策があった。」ということで、やはり金融関係のサポート体制というものも非常に大事かというふうに思うんですが、これについての御所見をお伺いいたします。
尾身国務大臣 この金融特区におきまして、金融業あるいは金融関連業が誘致をされたという場合におきましては、それに関連する弁護士とか税理士あるいは会計士、そういう職業の方々も沖縄に活動の場をふやしてくるのではないかというふうには考えているわけでございます。
 ただしかし、弁護士や会計士や税理士をそれ自体として沖縄で事業をやっていただくことによる税制上の優遇措置をやるという考え方は、現在のところ、全体の税の公平性という観点から見ていかがかなという感じもするわけでございまして、こういう制度でスタートしたということでございます。
武正委員 であるからこそ、やはり金融特区を指定するについて、またその金融特区を振興させるについて、総合的な計画を立てる必要があろうということをあえて指摘をさせていただきたいと思います。
 今の週刊東洋経済で、また同じところで、この金融特区が国内の金融機関にほとんど認知されていないという指摘があるんですけれども、なぜ日本の金融機関の関心が少ないのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
村田副大臣 お答えをいたします。
 新しい制度を導入しようというわけでございまして、これから、今御議論になっております税制上の優遇措置等が導入されるわけであります。そうした措置のメリットなどを金融機関が認識することによりまして、金融機関サイドにおける具体的な検討が始まっていくんじゃないか、こういうふうに考えております。
武正委員 この金融特区をどういうふうにということで、地元の自立型オキナワ経済発展機構、OKIDOの呉屋守将社長、この方が琉球新報の平成十四年一月二十六日で指摘しているのは、「施策の変更に適宜対応できる金融特区調整室のような機関の設置が必要だ」と。あるいは、今回、情報特区と金融特区、ある面、いろいろ説明を伺っていると、かなり情報特区のコールセンター的なものを金融特区でもバックアップとして考えておられるようなニュアンスを非常に受けるんですが、「情報金融特区のように情報特区と組み合わせていくことで効果があがる」というようなことも言われているわけなんです。
 実は今、政府は特区ばやりでございます。規制改革特区に始まりまして、構造改革特区、IT特区、もうありとあらゆるところに特区特区と名前ができてきておるんですが、その中でこの沖縄が、特区ということではやはり先進地であります。私は、ここでまず先にモデルケースとして、そして沖縄のさまざまな特殊事情を体して特区を設けるのであれば、それがこれからどんどんふえていくであろう特区と差がないといったことでは、これはとても見劣りがすると考えるんです。この特区をさらに、今言ったようなさまざまな特区があるわけなんですが、前向きに取り組んでいただきたい。そのためにも、先ほど触れたような、金融特区については振興計画が必要だろうということをあえて申させていただきます。
 続いて、東京オフショア市場についてお話を伺いたいんですが、このオフショア市場の規模が激減をしている、この理由を御説明いただきたいと思います。
村田副大臣 私ども橋本内閣のときに、金融ビッグバンを進めていくということでありまして、そのときに構想したいろいろな計画というのはおおよそ実現の運びとなっているわけでございます。ただ、その後、日本の経済が大変停滞する中で、日本の金融システムも大変揺らいでいるという状況の中にありますので、そういうことが影響しているか、こういうふうに存ずるところであります。
武正委員 日本の金融機関のレーティングが下がっていることがかなり大きな原因だということを事前にお伺いをしております。やはりこの際、日本の金融の立て直しということが今大変喫緊の課題といったことも、このオフショア市場の扱い高でも見受けられるわけであります。
 さて、今、日本のオフショア市場では有価証券の負債での取り扱い、これが認められていないわけなんですが、その理由として、いわゆる外―外勘定のそれが、外、内というバリアを突破してしまうことを気にしているがためというふうに伺っております。いわゆるロンドン、香港型は内外一体型、東京、ニューヨーク、シンガポールは内外分離、外―外勘定だけは内と分離するよ、もう一つ、タックスヘーブン型、ケイマンなどがあるということなんですが、やはりこの外―外勘定のバリアを迂回したり、いろいろあるというようなお話があるんです。東京市場に関する専門部会でも、この内外遮断措置を講じていく必要というのはあるんですが、その中でもやはりこの有価証券の負債での扱い、これは認めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
吉田大臣政務官 お答えをいたします。
 証券というのは、流通の市場においていろいろなところを転々とするわけでございます。そのため、資金の出し手が非居住者であるということを確定するのがそうそう容易ではないということで、今の状況になっているものと考えます。
武正委員 そういう御説明はもう既に前から受けているんですが、そうであっても、日本のオフショア市場をもっと大きくしていく、金融ビッグバンと銘打って始めた有価証券の取り扱いでありますので、負債での取り扱いは必要ではないかなと思うんです。
 もう一つ、東京オフショア市場と沖縄金融特区、これが連携できないかなといったところでありますが、これについてはどうでしょうか、政務官。
吉田大臣政務官 お答えをいたします。
 この連携ということではあるんですけれども、そもそも東京オフショア市場というのは、全国どこであってもそれが適用できるというものであって、あえて沖縄に限ってというようなことをする考えというのは持たなくてもいいというふうに判断をしております。
武正委員 まあ、私は可能性を期待して、とにかくこの沖縄を、やはり金融特区をいかにして活性化というか成功させるか、これについてぜひ財務省、金融庁挙げてのお取り組みをお願いしたいという意味での質問でありました。
 さて、続いて、日経金融新聞、平成十二年十一月十日に「「日出ずる国」の優位」という文章がございまして、ちょっと読みますと、「インターネット時代に地理的要素などはすべて捨象でき、もはや国際金融センターになるなんて意味がないと割り切り、あきらめてしまっていいのだろうか。 実は、日本の地理的優位性は厳然として存在する。」云々かんぬんということなんですが、ただ、円を含めアジア通貨建ての証券が不利な扱いをヨーロッパでは受けているんだと。「国際的クリアリングシステムが日本にあれば問題は基本的に解決可能で、証券資本市場のみならず、貿易金融の分野でも同様なことが言えそうだ。」と。結論とすれば、「インターネット時代には、世界中で一日が最も早く始まる「日出ずる国日本」に潜在的なオペレーション上の優位性が存在する。」というふうに述べているわけですね。
 要は、世界で一番早くマーケットがあく日本、この優位性を生かさなかったらもったいない、ここに実はチャンスがあるのではないかというのがこの趣旨なんですが、これもまた沖縄にも当てはまってくるのかなと。ここに何か、今の東京オフショア市場も含めて日本の金融の、ある面、まあ囲い込みというか、漏れがあってはいけない、そごがあってはいけないというようなところを非常に感じるんですが、もっとオープンに、堂々とやったらどうかといったことでは非常に激励の文章と私は感じるんですが、これについての御所見を大臣に伺ってよろしいでしょうか。
尾身国務大臣 私自身、この種の金融の問題の専門家ではありませんが、世界全体がいつもどこかでマーケットを開いているという状況に変わってきた中で、一番早く一日が明けるという日本のこの地位というものは、世界全体のグローバルな金融活動の中で、ある種の特性を持ち得るものだというふうに考えております。したがいまして、そういうところに沖縄が位置しているということも含めて、沖縄の金融特区が将来何らかの形で世界の金融のある種のセンターになるということも、この日経金融新聞にありますように、夢ではないのではないか、そういう思いもございます。
 この点については、もちろんプロの方々がいろいろとお考えいただくことと思いますが、私どもも勉強してまいりたいと考えております。
武正委員 では、副大臣にお願いします。
村田副大臣 委員の御指摘の記事で、読んでみましたけれども、ちょっと理解ができないところもございますけれども、私なりに、私どもが担当しております証券決済システムについて、これの日本の証券市場の国際競争力を確保していくという観点から今やっていることを御披露したいというふうに思っております。
 昨年も、CPのペーパーレス化ということで法案をお願いして通させていただいたんですが、今回の通常国会でも、国債と社債のペーパーレス化、こういう法案を提出させていただいているところでございます。
 これは、今、証券の決済にはTプラス3ということで、契約をしてから四日目に決済がされる、こういうぐあいになっておりますが、世界各国の動きを見ますと、即時決済という方向、流れに動いておりまして、そういう意味では、私どもとしては、こうしたペーパーレス化を進めることによりまして決済の即時化を図っていく、こういう努力をしているところであります。そういうことによって我が国の証券資本市場が国際競争力を増していく、このことがまた沖縄の特区にもいい影響をもたらすのではないかということを考えて、この記事を読ませていただいた次第でございます。
武正委員 時間がかなり押してきました。下地政務官にもおいでいただいていますので、ちょっと先を急がせていただきます。ちょっと質問を飛ばさせていただきますが、御容赦いただきたいと思います。
 金融所得税制についても、いわゆる二元税制への見直しといったことも政府税調で言われております。これはもう平成九年から小委員会で打ち出されているわけでありまして、これについても、私もやはり積極的に取り組むべしというふうに考えます。
 また、自由貿易地域、特別自由貿易地域については昨日も大臣から御答弁をいただいておりますので、ちょっとこれも質問は飛ばさせていただきますが、ただ、やはり地元では、自由貿易地域に、決済業務を行う外資系金融機関が沖縄に一行もない、あるいは大手都銀も一行だけしか決済業務を行っていないという指摘もあります。ですから、沖縄の決済業務についてはまだまだ非常に不十分であるといったことが指摘をされているわけなんですね。
 さて、きょうの参考人質疑で、参考人から全島フリーゾーン化について再び提起があったんですけれども、このことについて大臣の御所見をお伺いします。
尾身国務大臣 当初、自由貿易地域をつくることを検討したときに、沖縄におきましてもこの議論がなされまして、全島をまとめてフリートレードゾーンにするか、あるいは特区的に一部をするかという議論がなされたというふうに聞いております。全島を一緒にまとめて全県をフリーゾーンにする場合には、農林水産業への深刻な影響があるというような意見もございましたし、また、香西泰さんを初めとする学識経験者で構成された総合研究開発機構、NIRAでございますが、その研究会においても、地域限定の方がいいのではないかという御意見もございまして、現在のような、地域を限定した形の自由貿易地域ということになったわけでございます。
 そういう考え方の中で、いろいろな意味での深掘りをして制度を整備してきたわけでございますが、現在のところ、そういう制度を活用してできるだけ多くの企業を誘致し、それを産業発展の起爆剤にするという考え方で進んでまいりたいと考えております。
武正委員 一国二制度ということは沖縄から絶えず今回の新法制定に当たって投げかけられているところでございまして、特に財務省さんからは、なかなかそれについてさまざまなせめぎ合いがあったと漏れ伝わっておるわけでございます。
 さて、下地政務官には、今アジアで自由貿易協定を、日本、シンガポール、あるいは韓国にもと、そしてまたASEANは十年以内に中国とというさまざまな動きがあるわけなんですが、この自由貿易協定を結ぶことの、日本国内で予想される、言ってしまえばメリット、デメリット、お答えをいただきたいと思います。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思っております。
 自由貿易協定を私たちが今結んでおりますけれども、今度一月にシンガポールとの新時代経済連携協定というものを結ばせていただきました。その協定を結ばせていただきますと、相互承認、今度法律を出すわけでありますけれども、国外適合評価、この二つをやりますと、輸出をするとき輸入をするとき、私たちが両方で承認をするというふうなことで、スピーディーに物事が進むということが一点目にあります。また、コストの面でも非常に安くつくというふうなことが、今度の私たち日本政府とシンガポールが結んだ最大の要素であるわけです。
 アジアは非常に経済的に成長しておりますから、そういう意味でも、この自由貿易協定を結ぶことによりまして、私たちは、そのアジア市場に対して日本の企業が、大きなマーケットがありますから、アクセスがしやすくなるということが一点、それともう一つ、アジアの企業が日本に対して投資をしやすくなるというふうなことが二点目に、両方であるのではないかなというふうに思っております。
 最後のところでは、どうしてもこれからは、グローバル化しておりますから、アジア全体で経済を成長させていくという意味では、数多い自由貿易協定を結んでいくことが私たち日本にとっては大きなメリットもあるし、アジアとともに、成長著しい国とこれから手を取り合っていきたいというふうに思っております。
武正委員 最後に、ちょっと大臣にお聞かせをいただきたいのですが、今下地政務官はプラス面、メリットを三つお話しになりましたが、やはり農産品の輸入といった日本にとって大変大きなハードル、あるいはまた、要は自由貿易協定を結んでしまうと特区というものの持つ意味がなくなってしまうということも反対で言われているのですね。
 これについて、この自由貿易協定を結ぶときの沖縄の持つ拠点性として、大臣としてどのようにお考えになっているのか。アジアの中心的な拠点性もあれば、そのときに特区ということにこだわっていると、結局は、さっきも言ったように、全島フリーゾーンならいざ知らず、特区の持つ意味がなくなってしまう。この相反するところがあるのですが、お答えをいただきたいと思います。
尾身国務大臣 確かに理論的には、自由貿易協定によりまして関税の撤廃あるいは大幅な引き下げがなされた場合には、この特区制度あるいは自由貿易地域に認められている選択課税制度につきましては、相対的には、本土に比べて優位性が低下するということが言えるかと思います。
 ただし、そういう中でやはり地域的一体性をさらに推進して、片方のプラスが片方のマイナスになるというようなことではなしに、プラス、プラス、プラスということで、こういう問題はむしろ全体の流れの中で、アジアにおける中心的な地位にある沖縄としては、そういう大きな流れの中でグローバルなネットワーク、アジア地域全体へのネットワークを生かしながら拡大的に発展していくというふうに前向きに受けとめていくのがいいのではないかと私は感じております。
武正委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
萩野委員長 次に、横路孝弘君。
横路委員 この新法についてお尋ねをしていきたいと思いますが、その前に、先日久しぶりに沖縄に参りまして、初めて平和の礎のところを訪問させていただきました。
 あそこの丘の上には各県の慰霊碑がたくさんありまして、北海道の戦死者というのは、沖縄で、各県ごとにいうと一番多いのですね。旭川の第五師団が旧満州に行っていまして、ちょうど最後の段階で沖縄に配属になって、あそこで一万人を超える者が亡くなっておるのです。
 ですから、私も慰霊祭でたびたびお邪魔したわけなんですが、今度初めてこの礎のところに行ってみまして、やはりあの沖縄戦で、全体で二十三万八千百六十一人ですが、沖縄県の県民は十四万八千三百人亡くなって、県外から七万五千、あとアメリカそのほかの人たちが亡くなったというところを見ました。北海道は、平和の火に近いところに各市町ごとに名前が一万名ずっと刻んであるわけですね。
 目の前の海は非常にきれいですし、見ながら思いましたことは、最近、有事有事ということで有事立法の議論が行われていますが、割と簡単にみんな有事ということを口に出しているけれども、一体どういう事態なんだろうかということの想像力が働いているのかなという思いが率直に言っていたします。有事というのは、いわば沖縄戦なんですね。ですから、私ども、本当に今、改めて沖縄戦あるいは沖縄のことをやはりもっとよく知って、国民の皆さんにも知ってもらわなければいけないなというように思います。
 あの激しい地上戦闘が行われた沖縄戦について、尾身大臣、どんな感想を持っておられるでしょうか。
尾身国務大臣 私もまだそのころ小学生であったのでございますが、大変に激しい戦争が行われ、そこでまた犠牲になった人も数多くいると思います。
 大田実中将、当時の沖縄根拠隊司令官でございますが、最後に、自決する前に電報を打ちまして、「一木一草焦土ト化セン。糧食六月一杯ヲ支フルノミナリト謂フ。沖縄県民斯ク戦ヘリ。県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ。」という有名な電報があるわけでございます。
 ですから、私どもは、そういう先人の犠牲の上に今日の平和と繁栄があるということをしっかり肝に銘じ、かつ、沖縄は太平洋戦争におきます大きな犠牲を払った、そういう歴史的な経緯があるということもしっかりと心に畳み込んで政策を進めていかなきゃならない、そういう思いでいつもいるところでございます。
横路委員 沖縄の地域振興というのは、日本の国民にとっても政府にとっても、今大臣が言われましたように、激しい地上戦を行って多数の沖縄県民に犠牲を強いたということ、それから、その後二十七年間にわたってアメリカの支配下にあり、復帰した今日でもなおかつ在日米軍基地の七五%、沖縄県土の一〇%を超える基地によって占められている、こういう歴史それから現状というものをやはり踏まえて沖縄へのバックアップをしていこうという気持ちは、もう国民挙げての気持ちだというように思っています。新法のベースもそこにあるというように思います。
 そこで、大臣に、ちょっと資料をお配りしてよろしいですか、雑誌の記事なんですけれども。
萩野委員長 はい。
横路委員 建築ジャーナルという雑誌がこの二月に出ておりまして、その中に「百三十万人の設計図」ということで、大学の先生でもありなおかつ新聞記者でもある方がこういうことを書いているのですね。今の二枚目のところ、開いたところの左側のページの一番真ん中から右上についてです。ちょっと余りにもびっくりしたものですから読んでみたいと思います。
 ここにこんなメモがあるということで、メモは二〇〇〇年の末、ちょうどポスト三次振計の議論が真っ盛りのころ。全省庁を挙げた新たな沖縄振興開発政策の立案段階で、沖縄振興策を一手に引き受ける内閣内政審議室沖縄担当室長がこう言ったということで、一、沖縄新法は沖縄に対する政府のプレゼンみたいなものだ。沖縄にしてみれば政府がどれだけやってくれるかが関心事。沖縄では地方分権の発想は評価されない。新法が沖縄で利用されるかどうか、需要があるかどうかは、気にする必要はない。法律をつくるということは閣議でも決められた約束事。既存の制度に化粧をしただけの、名前だけの制度でもよいというようなことがいろいろ書いてあります。これを読んでびっくりしました。
 大臣もこの新法を一生懸命情熱を込めてつくられたというように思うんですが、こんな記事を見てどんな感想をお持ちになるか、感想だけ。
尾身国務大臣 随分志の低い人だなと思います。
横路委員 それで、二〇〇〇年の末の内閣内政審議室の沖縄担当室長というのは安達さんですよね、違いますか。ちょっとこれ、御記憶あると思いますけれども、いかがですか。
安達政府参考人 さようでございますが、今初めてこういう記事を見ました。
 このようなことを言ったことは全くございません。そして、二年前の二月から沖縄問題担当室に各省庁の協力を得て法制グループを立ち上げました。大変困難でございましたけれども、営々二年間かけて今の法案の事務的な準備をさせていただきました。情熱を持って、そして少しでも沖縄の振興の役に立てばということで、必ずしも協力的でないところも政府の部門にはございましたけれども、説得をし協力を求めながらやってきたわけでございまして、このような発言をしたということは断じてございませんので、その点誤解のないようにお願い申し上げます。
横路委員 私も、こんな発言をされたというのをとても信じられない思いで拝見させていただきました。ただ、この記事を読んでからこの新法を見ますと、幾つか思い当たる節もないわけではないんです。
 きょうの午前中の参考人の質疑の中で、この新法を地方分権のモデルにしてほしい、こういう話がございました。しかし、この法律全体を見てみますと、地方を主体に、沖縄の自立と言いながら、どうも主体性、自主性ということが本当に確保されているのかどうかということについて幾つかの疑問がありますので、まずお尋ねしていきたいと思います。
 沖縄振興計画そのものはまず総理大臣が決めるわけですね。そこからスタートいたしまして、例えば、観光振興計画ということについて見ていますと、これは、主務大臣に同意を求めて、同意をするということになっていますね。そして、変更するときも、変更しなければいけないとなっていますが、例えば、観光振興計画の同意に当たって、法律の第六条の七項ですね、「主務大臣は、観光振興計画が次の各号のいずれにも該当するものであると認めるときは、その同意をする」と言って、その一に「第二項各号に掲げる事項が沖縄振興計画に適合するものであること。」ということ、二号、三号にもそれぞれ「沖縄振興計画に適合するものであること。」振興計画に照らして適切であるものという場合には、同意をするというようになっているんです。
 大体、沖縄の県知事が計画をつくって同意を求めるときに、振興計画に適合しないようなものをつくるはずがないわけでして、こういうチェックをかけることで、結局は一つ一つ事前のすり合わせだとか、整合性をとるためのものをどうするかとかいうようなことになってしまうわけなんでして、なぜこういうような規定が必要なんでしょうか。
 私はここに、どうもこれは沖縄の自主性、主体性というのを認めているとはとても思われない規定じゃないかと思いますが、いかがですか。
尾身国務大臣 先ほどの雑誌の記事でございますが、これがもし安達統括官のことを指したとすれば、この本人についての評価は全くの間違いでございまして、安達統括官は沖縄の振興、発展のために全身全霊をささげて、いわば命を賭してやっているわけでございまして、そういう人物に対して、本当かどうかわからないことを確認もしないうちにそのようなそしりをいただくことは、私はまことにもって心外であり、納得できないところであります。
 先ほどの件につきましては、県が計画を立てるときに各担当の行政機関の同意を得るということは、その過程においてその計画の実効性がきちんと担保されるという意味で大変大事なプロセスであるということで、そういう規定を置いたものでございます。
横路委員 さっきの雑誌の記事は、ちゃんと一般に売っている雑誌でございまして、そこでしっかり署名といいますか書いた人もはっきりしている記事でございますから、事実でないならば事実でないということで、それはここに名前は書いていませんけれども、ちゃんと当時の担当室長というように書いてございます。そのことを申し上げたいと思います。
 そして、この法律の中で、振興計画は、観光ばかりじゃなくて、情報通信産業振興計画、農林水産業振興計画、職業安定計画、みんなそれぞれ沖縄県知事が作成して同意を求めて、そしてそれについてチェックをして認めるという仕組みになっています。これは本当に、例えば職業安定計画にしてもそうですし、農林水産業振興計画にしても観光振興計画にしても、せっかく知事が国が決めた基本的な沖縄の振興計画に基づいてつくったものについて、それほどのあれだこれだというようなチェックをする必要性というのはあるんでしょうか。私はないように思いますけれども、いかがですか。
安達政府参考人 まず、全体計画としての沖縄振興計画につきまして、県が決定するという方がいいんじゃないかというようなフリーディスカッションをしたことはございます。その方が地方分権にかなっているんではないかと。県としての御意見は、それもそうだけれども、国としてきちっと計画を決定するということで、その実効性も含めて国としてしっかりとコミットしてもらう、そういう目的のためには、国が決定するという現在の沖縄振興開発計画の姿が一番いいというのが県の最終的な御意見でございました。私ども、それを尊重して原案とさせていただいたということでございます。
 さはさりながら、さらにやはり主体性、能動性ということで、サブの計画については国が決めるのではなくて県が決める、そういう主体性を持った計画ということで、個別分野については今のような案になっているわけでございますが、御質問の、同意を求めることができるという点につきましては、地域振興立法、いろいろございますけれども、基本的に、例えばテクノポリス法とか頭脳立地法の場合は承認というようなことになっております。また、リゾート法といったものにつきましては、同意を求めることができるということになっておりまして、地域振興法の他の例をもってしても、この今の案というのはそう特異なものじゃない、非常に通常のものだということで判断しておるところでございます。
横路委員 ちょっと観光に関連してお尋ねをしたいんですけれども、きのうも議論されていましたけれども、観光振興計画を作成するというところから始まりまして、観光振興についての幾つかの点が法律の中で決められているわけなんですが、特にこの中で、きのうも議論になりました国際観光振興会なんですが、こういう特殊法人の名前がこの法律の中にぽっと入ってくるというのはよくわからないんですが、これはどうしてなんですか。
安達政府参考人 本法は、十省庁の共同請議によりまして提案させていただいております。オール政府で沖縄振興についてそれぞれの省庁で知恵の限りを出してほしいという、内閣官房から、また内閣府になりましてからは内閣府から要請をいたしまして、それぞれの省庁で、自分たちが持っているどういう政策ツールで沖縄の振興の役に立つだろうかということで、各省庁非常に熱心に検討をいただきました。
 その中で、例えば現在の国土交通省について見ますと、国際観光振興会がございますし、また、外務省について申し上げますと、JICAでございますとか交流基金がございます。そういった中で、特例的な配慮規定を設けて沖縄により重点を置いた展開を図っていくということをやっていこう、そういう申し出があったわけでございます。
 特殊法人改革という問題がございますけれども、これは、現在検討されているわけでございまして、その結論が出た段階におきまして私どもはそれに従うという立場でございまして、純粋に沖縄振興のためにどういう手段があるだろうかという前向きの政府部内の検討の中で、それぞれの省庁が協力をして案を出していただいたというものでございます。
横路委員 昨年のテロの後の沖縄の観光のお客さんが減ったときに、いろいろな御努力を政府としてやられた中で、この協会が一定の役割を果たしたというのはそのとおりだと思うんですが、今お話があったように、これは特殊法人改革の対象になっているわけですよね。
 これは、この法律案をつくる際には、特殊法人等改革推進本部の方とは十分連携してやられたんでしょうか。ここは特に天下りで非常に問題になったところでございまして、事業を見ますと、事業予算三十六億のうち国庫補助が大体二十六億ですね。支出を見ますと、役員給与で十二億円、三分の一も使っているような特殊法人なんですが、これはいかがですか。
 私は、見ていると、何か特殊法人改革の中で生き残るために、どうも省庁がこの法律の中にもぐり込ませたのではないか、そういう疑いを持たざるを得ないわけで、何でここに、わざわざ書く必要は全くないですよ、この法律の体系からいうと。
安達政府参考人 行革の事務当局ともお話はさせていただいております。現在の枠組みの中で、どういった沖縄への努力義務といいますか、そういったものが書けるかということで、現在の案になっているものでございます。
横路委員 きのう国土交通省の方から、この沖縄に関する部分でちょっとメモをいただいたんですが、それによりますと、沖縄に関する事業については、我が国全体を対象とする事業の中で実施というように明確に言われているわけで、何か、沖縄は特別ということじゃなくて全体の中でやりますよということなんだと思うんですよ、この団体の性格からいって。
 昨年は、テロのいろいろな影響が出てきたから特別にいろいろなことをやったけれどもということでございますから、これはどうなんですか、わざわざこの条文の中に書き込む必要、必然性というのは、各省庁に言われたからと言うけれども、今まさに特殊法人改革でいろいろ議論になっているものを、まだその中身が、一応独立行政法人でやるということにはなっているようですけれども、わざわざここに書き込む必要というのはないんじゃないかと思います。いかがでしょうか。
尾身国務大臣 沖縄の観光振興につきましては、私どもとしては、あらゆる機関を活用し、あらゆるチャネルを使って観光の振興をしなければいけないと考えているわけでございまして、国際関係につきましては、ノウハウ、実績とも持っている国際観光振興会を沖縄の観光の振興に活用したいということで、こういう規定を入れたものでございます。
 もとより、特殊法人改革の議論の中で、特殊法人についての事業とか組織形態の見直しは当然行うこととなっておりますし、また、その検討結果には当然従うわけでございまして、この法案における観光振興会の支援の規定は、この特殊法人を延命するというようなことを意図したものでは毛頭ございません。
 なお、この法案をつくるにつきましては、行政改革担当大臣にもそういう趣旨であるということをしっかりと説明した上で、御了解をいただいてやっているわけでございまして、特殊法人に関する行政改革は、当然全体的な見地から粛々と進められるべきものであり、この国際観光振興会もそのもとで改革の対象になるべきものであると考えております。
横路委員 もちろん私も、沖縄にとっても多分比較優位産業というのは一番がやはり観光だと思います。観光というのは、雇用吸収力もありますし、これからまだまだ発展していく可能性というのを持っていると思いますが、そのための振興していく要件というのはいろいろありまして、ここに観光振興会が出てきたというのは何か突然のような気がいたします。
 ついでにと言ったら申しわけないんですが、雇用関係のところでもう一つ特殊法人が出ています。これは、例の雇用・能力開発機構でございますけれども、ここももちろん職業能力開発大学校など、現に沖縄の中で果たしている役割というのはこの業務の中にも大変あるわけでございます。
 この法律を見ていて、ちょっとこれはわからないので教えていただきたいんですが、この能力開発機構の援護業務の中に、手帳所持者が事業を開始する場合に、必要な資金の借り入れに係る債務保証を行うということで、それに関連する規定があるわけなんです。この特殊法人改革の中を見ていますと、雇用・能力開発機構も独立行政法人とするということで、廃止する業務と見直しする業務と民間へ拡大する業務というようにこれは分かれているわけなんですけれども、この中で、どうなんでしょうか、何かいろいろな融資などの雇用促進関連の業務というのは廃止するということになっているようなんですが、これは直接はこの特殊法人の本部の決定とはかかわりはないんでしょうか。御説明をちょっといただきたいと思います。
安達政府参考人 御指摘の雇用・能力開発機構に係る規定は、基本的には、この部分は現在の沖縄振興開発特別措置法の規定を継続しているものでございますが、やめる予定になっているものにつきましては、現行法におきまして、手帳所持者が公共職業安定所の紹介により移転して就職することを容易にするための宿舎の貸与を行うこと、これは廃止するということで、この部分は新法においては継承しておりません。
横路委員 いずれにしても、これから見直しとか、いろいろ片方で進めていくということが進んでいて、そしてこの法律の中にどかっと規定されるというと、それは各省の要望だったというのはわかります、雇用関係というのはなかなか厳しい関係にありますから、それを推進していこうという気持ちもわかりますけれども、特殊法人改革との関連で整合性のあることにぜひしていただきたいということを大臣に御要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 私どもは、これから二十一世紀に向かって、自立経済を目指して沖縄の振興を進めていきたいと考えているわけでございまして、その中で、現在使い得るいわゆるツールはできるだけ使っていくという考え方でいるわけでございます。
 さはさりながら、特殊法人改革、国全体としての大きな課題でございまして、その方向の線に沿った形で活用するという考え方でいきたいと思いますし、この項目を入れることによって特殊法人改革がいささかなりとも影響を受けることは私どもとしてはないと考えております。
横路委員 今までずっと沖縄振興政策というのはこの三十年間進めてきたわけですから、新法といってももちろんそれを踏まえてでき上がっているものでありまして、きょうも午前中の参考人質疑の中で、しかし三十年間のやはり総括をして、その上で新しい法律をつくるべきじゃないかという御意見などあったんですが、一つ、この法律と今までの、従来との関連で、各地域の指定制度というのがあります。
 観光振興地域、情報通信産業振興地域、産業高度化地域、これは現行の工業等開発地区の発展ということですが、自由貿易地域、特別自由貿易地域、今回新しく金融業務特別地区ということになったわけですね。これらのいろいろな振興地域の指定、そしてそのための幾つかの税制措置、優遇措置というようなことで沖縄への企業立地というものを誘導してきたと思うんですけれども、やはりなかなか大変だなという思いがいたします。
 数字を見ていますと、例えば県外からの製造業の誘致実績というのは、十五年間で十五企業の実績になっています、製造業です。それから、最近成果が上がってきているのが情報関連の企業誘致の実績でして、これも十年間で五十五の県外からの企業立地だというように受けとめておりますけれども、やはりなかなか実績が上がっていないという点。これは別に何も政策的な問題ばかりではないわけでして、企業誘致というのは、幾つかのいろいろな条件が整わないとやはり誘致というのは実現しません、民間企業が決断して行う行為ですから。したがって、この今までの制度そのものについて、今回は、その中から若干、所得の控除制度を情報通信産業の特別地区に入れたというようなこと、金融業務特別地区もその制度を取り入れたということなど、幾つかの新しい要素もありますけれども、基本的には従来の地域指定制度というものを踏まえているというように受けとめますが、この間のこれらの地域指定制度の果たした役割ということについてどのようにお考えでしょうか。
尾身国務大臣 例えば自由貿易地域の那覇地域につきましては、これは昭和六十二年に地域指定をされたわけでございますが、もうほとんど満杯状態になっているというのも古い地域指定の中ではあるわけでございまして、中城地区の新しい地域についてはまだ十分な企業が来ていないところもあるという実情でございますが、私どもとしては、そういう特別地域指定をいたした中で税の優遇措置等々の各種のインセンティブを出しまして、これを徐々にふやしていきたいと考えております。
 もとより、日本全体として産業の空洞化のすさまじい流れの中で企業立地をふやすということは、日本全体としてはむしろ空洞化が進むという状況の中でふやすということはかなりの難事でありまして、そういう状況の中での企業立地である。しかしながら、中長期的に見れば、これらのインセンティブがいずれしっかり働いてきて、徐々に多くの企業の誘致が実現され、経済の振興が進んでいくというふうに考えている次第でございますし、また、それをねらってこれからもいろいろな施策を進めてまいりたいと考えております。
横路委員 企業立地は全国各地でそれぞれ努力しながらやっているわけなんですけれども、比較的企業がバランスよく配置されているのはアメリカなんですね、もちろん一部集中している地域もありますけれども。
 アメリカなどで地方に立地していることについての企業のアンケートを見たことがあるんですけれども、地方に出る場合の要件というのは幾つかありまして、例えば一番大きいのは人材の確保ですよね。ですから、人材の確保ということですから、割と大学などのそばに立地をしていく。それから、やはり情報処理の力がその地域の中にあるかどうか、あるいはコンサルティングの機能というのをその地域が持っているかどうかというようなことも大事な要素ですし、交通と通信の費用についての格差が大きいと、やはりその格差の大きい地域には企業は出ていかない。ですから、やはり交通、通信といった費用の格差をどうなくすのかということも大変大事です。それから同時に、その地域のオフィスなどを借りるのが容易に借りられて割と安く借りられるかどうかといったようなことなども判断の基準になっていますね。
 それから同時に、やはり生活環境も非常に大きいわけで、その上でなおかつ治安の機能がいいかどうかとか、あるいは自然環境がいいかどうかとか、あるいは子供の教育にとっていい環境なのかどうか、あるいは病気をしたときの医療機能、高度医療機能が一時間とか二時間ぐらいのところにあるかどうかといったような生活環境についての幾つかのベースというのがあって企業というのは選択するわけで、あと、もちろん市場との関連で、自分たちの生産したものが市場との関係の距離がどうなのか、そういうことでもって輸送コストが余りかかっては困りますし、あるいはコストの中では電力料金とか、もちろん人件費だとかというようないろいろな要素があります。
 やはりそういった非常にトータルなことの中で、つまり、今は海外もありますから、海外もあり、国内もあり、そして沖縄ということで、沖縄に誘致するというのは、これは相当な努力を沖縄の人もしなければいけないし、それから同時に、では沖縄に合うものが何なんだろうか、そこを見つけるのが大変大事な点ではないかなというように思いますが、いかがでしょうか。
 やはり沖縄の持っている優位性、比較優位産業は何かとかその優位性というと、地理的な問題とか気候的な問題とかいろいろあると思うんですが、そういう議論が最近されてきたというのは非常にいいことだと思うんですね。それをむしろ積極的にどのように見ていくのかということがなければ、どうも地域指定のいろいろなメニューを出して、そして税でもってやりますよといっても、各地域も海外もそういう点では大体同じような条件を出しているわけですから、確かにこの所得控除制度というのは大きいというように思いますけれども、しかし、これだけじゃなかなか大変だというように思います。
 その企業立地について、どのようにお考えでしょうか。
尾身国務大臣 確かに、住環境あるいは通信、情報、それからいわゆる気候風土、医療施設などなど、企業立地を成功させる要因はいろいろあろうかと思う次第でございまして、私ども、一つ一つできる限りそういう条件を整えていくように進めていきたいと考えております。
 その一つが沖縄における大学院大学の構想でございまして、世界的な水準の、国際的なネットワークを張った大学院大学をつくり、授業も学内の会議も全部英語でやり、アジア、あるいはアメリカを含めたアジア太平洋地域から半分以上の学生に来ていただいて、研究をし、また若者を育てる、そういう一つの中核体ともなるべき知的水準の極めて高い世界的なレベルの大学院大学をつくることによって、情報とか通信とか、そういう条件、あるいは人的な供給能力といいますか、そういうものは人為的にできるものはどんどんとやっていく、そのために私どもとしてもできるだけの手を打っていくということで、魅力ある地域に育てていきたい、そういう思いでいろいろな手を打っているところでございます。
横路委員 私は、今立地している企業も見て、特別自由貿易地域は可能性がかなりあるな、本来の自由貿易地区としてのねらいに沿った企業が立地しているというように思うんですが、どうも那覇の自由貿易地域の方はうまくいっていないという感じでございます。
 満杯といいますが、入居率は、倉庫、工場施設で八〇%ということでございまして、問題は、今たしか十三の企業が入っていると思いますが、ただ、十三のうち三つの企業はこの自由貿易地域としての恩恵、特典を受けているわけじゃありません。スペースがあいているから、そこにコールセンターなんかが入っているという感じでございまして、本来の自由貿易地域ということの趣旨からいうと、あいているよりは使ってもらった方がいいということでございまして、本来の目的からいうと今十社ということで、そこで働いている人は百六十人ぐらいということだと思いますが、間違いございませんか。
安達政府参考人 三月現在の入居企業数は総計十三社でございますが、この自由貿易地域の認定を受けている企業は、御指摘のとおり、そのうちの十社でございます。
横路委員 これは、多分初めは、例えば原料だとか部品というのを海外から持ってきて、そこで原料を加工するとかあるいは部品を組み立てるということで、また海外に輸出をするというようなことをねらったものだと思うんですね。
 ところが、ここの現状を見ていますと、平成十二年ですと、海外へ持っていっているのは全体の一%ですね。それから、搬入先を見ても、県内が二一%、県外、国内ですが三五%、国外から何か原料を持ってきたり部品を持ってきたりしているというのは四四%にすぎませんから、結局、国内から持ってきて、何らかの加工、手を加えて国内に売っているというようなものが結構多いのかなというように思います。
 ここはやはりほとんどが小さな企業でして、スタートしてなかなか、いろいろな情報だとかそういうことに対するアドバイズの体制というのもなくて、しかも規模も狭いというようなこともありまして、これはやはり総括としてはうまくいかなかった、そういうことの中から特別自由地域の構想というのが出てきて動き出しているということだと思うんですが、そうじゃないんでしょうか。
安達政府参考人 二・七ヘクタールの中で二つの建物があり、そこに部分的に入っていくというスタイルが今の自由貿易地域、那覇地区の状況でございます。したがって、それぞれの企業が、もう少し自由に、もっと広い面積をとりたいとか、そういったニーズからいいますと制約がございます。また、沖縄の経済振興のために、新規の進出、投資ということで経済のパイを拡大していくという面から見たときに、この那覇地区において面積的にも一つの限界があったというところは事実でございまして、そういった中で、平成十一年の三月に特別自由貿易地域として中城が指定され、動き出しておるというところでございます。
横路委員 この特別自由貿易地域を見ていますと、三月現在で企業は六つですよね。六つですけれども、見ていて、海外から、例えばオートバイの、これは今、当面はエンジンでしょうか、将来はオートバイそのものを組み立てていく、部品を中国や国内から搬入して、製品をアジアに搬出しているということですね。こういう仕組みでここで役割を果たすようになると、それは大変大きな意味を持つんだろうというように思うんです。
 それで、最近は、結構あちこちで部品を生産してそれを組み立てるという仕組みで各企業とも生産をやっていますから、沖縄の地理的なポジションを生かすとするならば、そういうネットワークをしっかりつくっていかなきゃいけない。それはもちろん、情報のネットワークもそうですし、交通アクセスも必要でして、中国からの部品を輸入するのはどうしているんだと聞きましたら、中国から神戸に持っていって、神戸から台湾に持っていって、台湾から沖縄に持ってきているというんですね。ですから、こういうのは、やはり直接のそういう航路というのが、これはそれだけの背景となる経済的なメリットがあるかないかということになると思うんですが、やはりそういったものも将来を見ながらやっていかなければいけないんじゃないかというように思います。
 それから、関税の関係でいいますと、これはなかなか、農産物やなんかの関連になってくると難しい問題があると思いますが、日本の場合は、関税が高いのは農産物ですよね。そうすると、関税にメリットがあるのは、本当は、農産物の原料を輸入してきて、輸入というか搬入してきて、加工して国内に出すというようにできると、これは、沖縄としてのメリットというのは多分出てくるんだろうというように思います。これは、そのかわり、農業団体そのほかとの調整が必要になってくると思いますが。
 ですから、私は、将来、これは製造業に本州からやってこいといってもなかなか難しい、可能性があるのは、多分食品加工とそういうネットワークの、部品など、あるいは組み立てというような仕組みが、アジアも力ができてきていますから、そういうことに目を向けて努力を積み重ねていくということがここに少しその産業をつくり上げていくことなのかなということを、この新法を見ながら考えているんですが、いかがでしょうか。
安達政府参考人 工業製品につきましては、全県フリートレードゾーンというよりは、むしろ日本列島全フリートレードゾーンと言っていいぐらい関税がゼロに近くなっているということでございまして、そういった面で、関税の格差というものに注目して選択関税制度の適用を大いに図っていくということから、本来でいえば、農産物関係というのが一つ注目されていいわけでございますけれども、フリートレードゾーン構想が県内でも議論される中で、やはり地場の農林水産業への影響も大きいという中で、この業種も限定した形でやらざるを得ないというような状況があったわけでございます。
 また、そういった農産物を加工するものも含めまして、やはり原材料を輸出している原材料供給国において加工を行って、かさを低くして製品にして、製品関税として日本に輸出してくるという方が経済合理性があるではないか、こういうこともございまして、この加工交易型産業の沖縄における立地というのは、付加価値性をどう考えるかといった、やはり相当戦略的に、どういったものであれば現実的かということについて私どもも今後ますますよく考えていかないといけないんじゃないかというふうに認識しております。
横路委員 次に、雇用問題なんですが、雇用問題は本当に深刻でございます。特に高校生の新卒の就職内定率などは、本当にこれは信じられないぐらいの厳しい状況であります。
 もともと、若年層、十五歳―十九歳、二十歳―二十四歳、二十五、二十六と、十五から十九で二五%ですか、二十から二十四歳で一六・九%、二十五から二十九で一〇・六%ということで、全国平均よりも二十五歳以下のところではもう一〇%以上高いわけですね。
 それで、いろいろな要素があるんだと思うんですが、私は、資料をずっと見ていまして、一つあれっと思ったのは、高校を卒業した後どこへ行ったのかという調査があります。それを見ますと、平成十一年の三月なんですが、高校を卒業したのが一万六千六百十六人、そのうち、大学に四千七百九十三人で二八・九%、専修学校に四千七百十五人で二八・四%、就職した者が二千五百四十五人で一五・三%、それ以外という人が四千五百六十人もいるんですね、二二%もいるわけですよ。それ以外というのは何ですかといろいろと聞いてみても、よくわからない。つまり、やはり就職していない、ぶらぶらしている人がいるんじゃないかということなんですね。
 それで、あともう一つ、沖縄県の調査で、そういう失業者、未就労者、特に三十歳未満の未就労者の人がどこに集中しているかといいますと、例えば金武町とか読谷とか嘉手納とか北谷とか北中城とかいうような、軍用地主の人の世帯の割合が高いところ、そういうところで三十歳未満の失業者、未就労者というのは多いのですね。これは今挙げた名前の町、勝連町もそうですが、大体二〇%ぐらいです。三十歳以下の人で二〇%が職についていない、その辺のところの世帯と軍用地主との関連で見ると、非常に高いところですね。
 ある分析によると、軍用地料による所得保障効果で労働する意欲が減退しているのかもしれないということで、よくわからないということなんですが、本当にこの若年層の失業率の高さというのは、これはどういうように受けとめておられますでしょうか。私は、よくわからない、ただ、もちろん沖縄的ないろいろな、あそこは家庭のきずなも家族のきずなも社会のきずなも割と強いところですから、地域の相互扶助の仕組みみたいなのが機能しているのかなという思いもしますけれども、これだけ高い失業率ならば、もっといろいろな社会的な問題になって、いろいろな声もわっと大きくなるはずだとも思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 沖縄の失業率について、基地所在市町村の失業率が高いのではないかということでございますが、ちょっと、若年層の数字ではございません、トータルの失業率でございますけれども、平成十二年度に実施をされました国勢調査によりまして米軍基地の所在市町村とその他の市町村の完全失業率を比較してみますと、米軍の基地所在市町村では一〇・〇%、その他の市町村では七・八%ということでございまして、沖縄県全体では九・四という数字でございますが、確かに基地所在市町村の完全失業率が相対的には高くなっております。
 ただ、基地所在市町村の中にも、東村あるいは伊江村、宜野座村のように完全失業率が沖縄県全体の完全失業率を大きく下回っているというところもあるわけでございます。また、那覇市とか与那城、あるいは具志川村といったように、例えば基地面積のウエートが非常に低いという市町村におきまして完全失業率が高くなっているという市町村もございます。そういうことで、個別の市町村の完全失業率を見ますと、基地が所在することと完全失業率が高いということは直ちに結びつくとは言えないというふうに考えております。
 むしろ、米軍基地所在市町村につきましては、那覇市であるとか浦添市、宜野湾市あるいは沖縄市、石川市、嘉手納町、北谷町、読谷村など、沖縄本島の中心部を占めておりまして、例えば人口であるとかあるいは事業所の集積が非常に高いということもございまして、結果的に失業者も多く、完全失業率が高くなっているということも考えられるのかなというふうに考えておるところでございます。
横路委員 結局、需要を調べますと、専門的な職業など技術的な職業に従事する需要というのは結構あるのですね。そして、ここに、昔のいわば職業訓練校ですか、県の職業能力開発校というのがございまして、これの数字などをずっと見ていますと、結構就職率も高いですし、それから入校者の数も、倍率も結構二倍を超えるような倍率になっているわけですね。県外に就職してUターン、Jターン、割と短期間で戻ってきている若年層も多いと言われていますので、専門学校、専修学校も結構大きなウエートを占めていますが、こういう機能をむしろ充実していくのが大事じゃないかなというように思います。
 例えば、観光産業という場合、大学校の方で観光のコースがあったと思いますけれども、この県立の職業能力開発校にはないんです。観光のサービスですね、サービスをやるようなトレーニングをするというのは、これだけホテルもふえてきているわけですから、雇用につながっていくのじゃないかと思いますので、こういう職業訓練の機能というのを充実していただきたい。
 時間が余りなくなりましたから、もう一つ、いわゆる中小企業大学校、これは熊本にありまして、沖縄でいろいろな授業をしているわけです。これも、応募している方は枠よりは結構多いようですが、それでも大した数じゃないんですね。新しくベンチャーも大事ですけれども、既存の中小企業の経営者を、例えば今、五人雇用している中小企業が十人になる、十人雇用している中小企業が二十人になるという努力というのは、多分ベンチャーを起こすよりもそう難しいことではないんじゃないか。やはりそういうトレーニングの機会、これをふやしていくことが、他方に回って雇用にもなるわけです。
 いずれにしても、沖縄にとって大事なのは、そういった専門的ないろいろな技術を習得している人の養成をどのようにしてやるのか。ですから、そういうものをベースにして一番上に大学院大学があるわけですが、地域の振興という点からいいますと、そういった点の養成体制というのをもっと強化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 職業能力の開発のための職業能力開発大学校、これは雇用促進事業団でやっておるのもありますし、また県立のものもございますが、現場に密着したといいますか足が地についたといいますか、そういう能力を高めるような教育も大事であるというふうに考えておりますし、また国立高等専門学校も、平成十六年春の開校を目指して今準備を進めているところでございます。そういう政策もしっかりやりまして、若者も含めた潜在的働き手が仕事につけるような対策、人材の育成といいますか、そういうこともしっかりやっていきたいと考えている次第でございます。
 また、中長期的には、先ほどの大学院大学等の構想も実現をして、十年以上後になるかもしれませんが、非常に高い水準の知的能力を持ったような地域にしていきたいというふうに考えています。
 いずれにいたしましても、人材の育成というのは沖縄県の発展にとりまして大変大事な課題であるというふうに考えて、これをしっかりと推進してまいりたいと考えております。
横路委員 職業安定計画なんですが、この職業安定計画の中では、例えば失業率をどう抑え込むというような具体的な数値目標みたいなものは掲げるのですか。それとも、そうではなくて、政策を中心にするということになるのでしょうか。
安達政府参考人 私ども、気持ちとして、沖縄の失業率をせめて全国の失業率並みにしたいという強い気持ちがございますけれども、この失業率の状況につきましては、我が国全体の経済動向というものの上に沖縄対策がある、そして、そういう全体の中で失業率が出てくるということでございますので、具体的な目標として設定すべきかどうかということにつきましては、県とまたよく相談をさせていただきたいというふうに思っております。
横路委員 目標を設定しても、それを実現するというのはそう簡単な話じゃありません、今おっしゃるように全体的な経済に左右されるわけですから。しかし、何か政策を羅列するだけだと、わざわざ計画をつくることの意味合いというのはどうなのかという、なかなか難しい問題だというように思うのですが、私は、できるだけやはり目標を持って、それは一つの目標としてそれに向かって努力するということは、やはりある程度はっきりさせてやった方がいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
安達政府参考人 失われた九〇年代ということが言われるわけですけれども、沖縄の九〇年代を見ますと、過去十年間におきまして、この二年ばかりで見ますと、就業者数の労働力人口の増加分とほぼ見合った就業人口の増加が確保できているという状況になってきたということでございますけれども、これまでの長い不況の中で高まってきた完全失業者数というものを取り崩して失業率を低めるというところまでは至らなかった。私ども、常々、そういう労働力人口は一体どれぐらいふえるのか、そして就業機会をどれぐらいふやせば失業率はどうなのか、そういった数字を見て、また分野別の、それではITの関係ではどうか、あるいは製造業ではどうかといったことを吟味しながら、全体的な政策を進めていく必要があろうかと考えております。
横路委員 一つ、最後になりますが、駐留軍労働者の雇用対策なんですが、これから米軍の基地を整理縮小していくということに伴って、やはりそこから解雇される人も出てくるわけでして、これはいきなりばっと来るのでは本当に大変なわけですね。アメリカには、アメリカの国内法がありまして、基地を閉鎖するときには三年前に通告をして、その三年間で職業訓練などを行って転換をしていくという仕組みに何かなっているようですね。一九九〇年の法律があるというふうに聞いています。
 私は、そういう精神を入れて、問題は、特別法がまた来年でしたか、時限が切れるわけですけれども、それはそれの話として、沖縄においては大変ウエートが高いわけでございまして、いわば雇用政策といったものを職業安定計画の中に組み込むべきだというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
安達政府参考人 職業安定計画の中での位置づけにつきましては、検討させていただきたいと思います。
 それから、三年というお話がございましたが、沖縄の駐留軍関連で生じた失業者に対しましては、特別の手帳を発給いたしまして、三年間給付金を支給するという制度が現行もございまして、新法案におきましてもこれをしっかりと継続したい。
 なお、これが日切れ法案でございまして、空白期間が出ますとこの手帳も発給できないということが一時的に生じる懸念もございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。
横路委員 これで終わりますけれども、沖縄の歴史的な状況、現状を踏まえ、そして将来に向かっては、国土庁が、二十一世紀の国土のグランドデザイン、総合計画の中で、沖縄についても太平洋・平和の拠点という位置づけをいたしました。この新法を見ると、そういう今まで議論されてきた位置づけというのが生かされているかなということになりますと、確かに国際文化交流とか国際交流の話の規定はございますけれども、もっと積極的にそういう沖縄の優位性として地理的なポジションなどを位置づけて進めていく必要があるんじゃないかということを申し上げまして、私の質問を終わりにいたします。
 ありがとうございました。
萩野委員長 次に、一川保夫君。
一川委員 では、引き続き質問をさせていただきます。
 沖縄の問題で、いつもSACO最終報告ということがいろいろと話題に出てまいります。防衛施設庁の方に、特に米軍基地のこれからの返還の見通し的なところを含めて確認しておきたいと思うのです。
 米軍施設用地全体の七五%が沖縄にあるということ、これもまた非常に異常なことでございますけれども、沖縄県の面積全体の約一割ですか、本島面積の中では一八%ぐらいだというふうにお聞きします。それが、SACOの最終報告の中で、約五千ヘクタールぐらいだというふうにお聞きしていますけれども、そういう面積を何年ごろまでにどうするかというのはまだ定かでないのですけれども、まずそのあたりちょっと御説明をしていただきたいのです。
 これは、今米軍施設用地全体の七五%が沖縄にあるというのですけれども、もし五千ヘクタールだとしてもそれが七〇%ぐらいになるというような感じだと記憶しておりますが、そういうことでよろしいのですか。まず全体の、今のSACOの最終報告の中身をちょっと御説明ください。
嶋口政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のとおり、我が国に展開している米軍施設の七五%が沖縄に集中しているということでございますし、沖縄本島面積に比べますと約一八%、自衛隊を合わせますと一九%になる、大規模かつ集約しているということでございます。そういうことで、このことが沖縄県民の生活に対して、振興開発もそうだと思いますけれども、大変な制約があるということでございますので、私どもといたしましては、沖縄の米軍基地の整理、縮小、統合をできるだけ早く図っていきたいということで、SACOの最終報告が平成八年の十二月二日にまとまりました。
 現在、私どもといたしましては、とにかくできるところからできるだけ早くやろう、いろいろ期間等もございますけれどもやろうということでございまして、現状を申し上げますと、普天間飛行場につきましては、御案内のとおり、平成十一年十一月に沖縄県知事から移設候補地が表明され、同年十二月に名護市長から受け入れの表明が行われました。政府といたしましては、このような経緯等に基づき、同年末、今後の取り扱い方針を明らかにした普天間飛行場の移設に係る政府方針を閣議決定いたしまして、現在、同閣議決定を踏まえ、代替施設協議会等において鋭意協議を進めているところであります。
 若干敷衍しますと、移設場所、具体的に建設場所につきましては、リーフ上ということで、具体的な案が示されているということでございまして、それに従いまして現在基本計画を策定中ということで、できるだけ急いで基本計画を作成していきたい、このように考えております。
 それから、約三十年になんなんとする長年の懸案でございまして、那覇港湾施設の返還につきまして、昨年十一月十二日、移設先となる浦添市の儀間市長から移設受け入れの表明をいただいたところでございまして、同年十一月十六日に設置された那覇港湾施設移設に関する協議会などにおきまして、沖縄県、浦添市及び那覇市等との間で協議を行っているところでございます。これも、できるだけ速やかに移設に向けて努力していきたいと考えております。
 十一事案ありますけれども、残りのうち七事案につきましては、北部の方に安波訓練場というものがございます。これにつきましては、既に返還が実施済みでございます。
 それから残りの六事案、北部訓練場、ヘリパッド等の問題がございますけれども、それから楚辺の通信所、読谷補助飛行場、キャンプ桑江、瀬名波通信施設、住宅統合につきましては、地元の了解が得られまして、楚辺通信所、キャンプ桑江、住宅統合につきましては既に移設工事等に着工しております。
 残り二事案ございます。一つは金武町に所在しますギンバル訓練場、それから五十八号線沿いにございます牧港補給地区の一部土地返還でございますけれども、ギンバル訓練場の方につきましては、移設先のブルー・ビーチというところでのヘリパッドの問題等ございまして、今鋭意調整を行って、できるだけ早目に地元の御了解を得たいというふうに考えております。それから、五十八号線沿いの問題につきましては、道路拡幅工事ということも伴いますので、沖縄総合事務局とも調整しながら、できるだけ早く実現していきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、大変基地が大規模かつ集約していますので、一刻も早くこれを片づけていきたい、このように考えております。
一川委員 米軍基地の整理、統合、縮小ということは当然沖縄県民の悲願でもございますし、そういうアメリカと日本との間で合意した中身を誠実に履行するということが大前提であるというふうに私は思います。今ほどお聞きしますと、全体十一ですか、そのうちの二施設については、まだはっきりした形にはなっていないけれどもできるだけ早くということでございますけれども、今の見通しとしてはどうなんでしょうか。大体何年後ぐらいにはめどを立てたい、そういう目標でやっていらっしゃるのか、そのあたりいかがですか。
嶋口政府参考人 普天間飛行場につきましては、当初平成八年十二月二日の時点で五年ないし七年ということでございまして、間もなく期限が近づいてくるということでございます。何年後と申し上げませんけれども、いずれにいたしましても、できるだけ急いでいきたい、いろいろな調整する事案が多うございますけれども、一つ一つ丁寧にかつ着実に実施していきたいと思います。
 あと、残りの事案につきましては、那覇港湾はこれからでございますけれども、これはちょっとめどが立ちませんけれども、と申しますのは、那覇軍港は、那覇港湾の振興計画もございますのでそちらとの調整もありますので、今具体的に何年になるかということはございませんけれども、現在もう既に着手しておりまして、今月か来月ぐらいには第三回ぐらいの会合を持ってやっていきたい。
 残りの事案については、既に着工しておりますので、着実に図られております。
 残りの二つにつきましては、一つはギンバル訓練場について金武町の方でいろいろ計画があるようでございますので、それとの調整を図りながらということで、私どもだけでは決定できませんので何とも言えないところがありますけれども、これも速やかにやっていきたい。
 それから、牧港の道路拡幅のところは、これは沖縄総合事務局さんの方の計画もございますので、それを見ながらできるだけ早く実施していきたい、このように考えています。
    〔委員長退席、金田(英)委員長代理着席〕
一川委員 できるだけ早くということで、一言で終わっちゃうんですけれども、いろいろとお話を聞く限りでは、返還予定地域にかかわるいろいろな地域計画的なもの、いろいろな公共的な施設の整備計画的なもの、そういうものの計画の詰まりぐあいみたいなものが影響しているような感じも受けますけれども、そんなふうに理解していいんですか。
嶋口政府参考人 私ども内部ではいろいろスケジュールを持っておりますけれども、先ほど申し上げましたけれども、土地の問題というのはやはり多くの方の御了解を得ながらやっていく。具体的に実施していますといろいろな問題が生じてきます。
 そういうことで、いついつまでに解決を図るということを申し上げられないのでございますけれども、いずれにいたしましても、丁寧にかつ着実に、地元の皆様の御理解を得ながら、またいろいろな個々の問題が出ますが、それぞれ決着をつけながらやっていきたい、その中でできるだけ早くやっていきたい、こういう意味でございます。
一川委員 当然地域住民の皆さん方の意向を尊重するというのが一番大事だと思いますけれども、先ほども触れましたように、一たん約束したことについては、できるだけ約束どおりに、計画どおりに基地の整理、統合、縮小が図られるように全力を挙げていただきたい、そのように要望しておきたいと思います。
 さて、次にちょっと話題を変えますけれども、私は、沖縄のこれからの振興の一つの基盤的な資源として、水資源という問題があるような気がいたします。
 先日もちょっと言いましたように、かつて沖縄へ何回か出入りした者の一人としまして、やはりあのすばらしい自然条件をいろいろな面で生かしていく、そういう中で産業の振興を図っていくということになればなおさらのことですけれども、水資源をいかにして確保し、常時そういうものを使えるような状態にしておくことが非常に重要な課題だなということをつくづくと感じておりました。
 御存じのとおり、沖縄県というのは年間の降雨量も約二千ミリぐらいだというふうに思いますが、我が国全体の平均的な雨量に比べると相当多いと思うんです。我が国全体は千七百かそれぐらいだと思いますけれども、ただしかし、全体の降雨量が多いんだけれども、降る時期が非常に偏在しているというんですか、そういう特色を持っている県だと思いますね。しかも人口密度も、沖縄県は一方キロ当たり九百人台だと思いますけれども、全国の人口密度は三百人台だと思うんですね。そういうことを考えますと、沖縄県民の一人当たりの水資源量というのは、降雨量的なものでもいいんですけれども、そう余り安心できる状態じゃないというふうに思います。
 それから、沖縄本島においても、今、現実にいろいろなダム開発を中心にやられておりますけれども、どっちかというと水源地域は北部方面に偏っているわけです。水を使う需要地域はどっちかというと南部方面にあるということで、割と水資源開発の一種のコスト的なものも割高になるような感じも受けます。片や、本島以外の島嶼部、離島といいますか、そういう数が当然相当多いわけですし、そういうところの水資源の確保というのはまたまた大変なことだと思うんですね。
 前に沖縄へ行ったときに感心したことは、あれは本部半島のちょっと離れたところに、伊江島だと思いますけれども、あそこに小さな飛行場があったんです。その滑走路に降った雨を側溝的なもので受けとめて、それをため池に入れて、あるため池がオーバーフローすると、また第二のため池でそれを受けとめて、また有効に使っているという状態を昔見たことがあるんです。それぐらい降った雨を、極端に言えば、一滴も海に漏らさず有効に利用しようとするその地域の方々の知恵だと思いますけれども、ああいう姿を見ておりまして、これからの沖縄の水資源の確保ということは、ある面では非常に重要な問題である。
 ただしかし、一方では、これは我々本土においてもそうですけれども、今ダム開発をすることによって、逆に環境が汚染されるということも一つの課題です。ダムをつくった直後は、しばらくの間は余り問題はないんだけれども、何年かたつとダムの下流地域の水質が非常に悪くなるという現象がよく出てきます。それはダム湖にたまるいろいろなヘドロ的なものとかそういったものが徐々に年間を通じて流れ出すということで、下流の河川が汚染されていくというような現象もございますし、また、ダム湖の周辺にいろいろなレジャー施設が一方的に張りついて悪くなるというケースもありますけれども、沖縄県の場合には、その限られた土地の中で水資源の開発をやろうとすれば、当然ながらそういう環境面にも十分配慮していく必要があるというふうに一方では思います。
 そこで、尾身大臣、いろいろな面で見識豊かな方でございますけれども、沖縄県の水資源開発、後でちょっと具体的なことをお聞きしますけれども、大臣の基本的な考え方をまずお聞かせ願いたいと思います。
尾身国務大臣 今のお話のとおり、沖縄におきましては降水量の季節的な変動が大きいということ、それからまた河川の規模が小さいために流量が安定しないというような特性から、渇水に見舞われやすいという状況にあります。このために、沖縄振興の一環として、安定的な水資源の確保が極めて重要な課題でございまして、ダムの開発を中心に、従来から積極的な水資源開発に努めてきたところでございます。
 現在、都市用水に関しましては、日量にして三十九万八千トンの水資源を開発しているところでございますが、これに加えまして、平成八年には北谷町におきまして日量最大で約四万トンの全国最大の海水淡水化施設を建設したところでございます。農業用水につきましても、河川が少ない島嶼地域の特性に対応して、地下ダムを初めとする多様な水源の開発に努めているところでございます。
 このように、本土復帰以来、水資源開発に係る事業を積極的に推進してまいりましたが、水の供給能力は改善の方向にはありますけれども、今なお上水道についても流量が不安定な河川水に依存している部分もございまして、依然として不安定な要素があり、引き続き安定的な水資源の確保ということを私どもとしては大変重要な課題としていろいろな施策を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
一川委員 今大臣触れられましたけれども、沖縄県の置かれている特色からして、周りが全部当然ながら海なわけですから、海水の淡水化ということも、そういうことが割と割安にできれば、それは一番望ましいことだというふうに思いますが、現実問題、実用化するという段階ではまだコスト高だというふうに思います。
 今おっしゃったように、相当モデル的に先駆的な、そういう淡水化のプラントがもう既にスタートしているということも一つの特色だろうと思いますし、それから、宮古島ですか、どこかで地下ダム的なものがつくられて、主に農業用水に使われているということも沖縄らしい一つのやり方なんだなという感じもいたします。
 そこで、さっきちょっと触れましたけれども、島嶼部というか、離島部分の水資源を、それは当然生活用水が中心になろうと思うんですね。それにプラスして、観光客に対する水資源の確保ということも当然大切なことだと思うんです。量的な確保も当然ですけれども、水質的にも当然きれいな水を確保していくということもやはり沖縄の魅力として非常に大事な点だというふうに思いますけれども、そういった離島を中心とした水資源の確保ということについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
尾身国務大臣 離島におきます水資源の確保につきましては、生活水準の向上に伴います水道用水の需要の増大、あるいは農業の振興に対応するため、状況に応じまして、ダム、河川水、地下水、地下ダム、ため池など、実用に応じた水資源の開発に努めてきたところでございます。
 これまでに、水道用水につきましては石垣島、座間味島においてダムの整備、農業用水につきましては宮古島や伊是名島における地下ダムの整備等を進めてきております。さらに、水源の乏しい離島におきましては、海底送水管で、その敷設を行って水を供給するということもやっているわけでございまして、既に十八の島において敷設が完了しております。また、水資源に恵まれず海底送水管の敷設もできないような離島におきましては海水淡水化施設の整備を行っておりまして、北大東島を初めといたします五町村においてこの施設が完成をしているということでございます。
 離島の水源は小規模であり、生活水準の向上、観光開発に伴いまして今後とも需要が増大していくと見通しをされますので、今後とも多角的な水資源開発を積極的に推進して、この問題の解決に努めてまいりたいと考えております。
一川委員 そこで、水資源にもかかわっていきますけれども、要するに水源涵養ということがそれ以上に大事なことだというふうに思いますが、当然ながら、水源涵養の大きな役割を担っている森林というものをしっかりと整備していくということに尽きるわけです。
 沖縄県の場合に本土の森林とちょっとイメージが違うと思うんですけれども、こういった沖縄の今の森林の現状といいますか、課題といいますか、そういったところをちょっと整理して説明していただけますか。
武田政府参考人 御説明させていただきます。
 沖縄県におきます森林面積でございますけれども、県土のうちの約五割、四六%程度を占めております。面積にしまして十・四万ヘクタールということでございます。
 御案内のように、沖縄県は亜熱帯の島嶼県でございますので、台風であるとかあるいは季節風、干ばつ、潮害の被害を非常に受けやすいという環境にあるわけでございます。そういう意味では、森林の整備というのは、水源の涵養あるいは防風、防潮等の多様な機能を確保するという観点からも大変重要であるというふうに考えております。こうした役割にも配慮をいたしまして、これまでに治山事業、森林整備事業による森林の整備が積極的に進められてきておりまして、その結果、復帰後、森林資源の蓄積量で申しますと約三倍ということで増加をいたしております。
 また、水源涵養機能を目的といたしました水源涵養保安林につきましては、約七千七百ヘクタールということになってございます。しかしながら、沖縄の場合に、保安林率が一七%ということで、全国の三五%と比べまして依然として低いという問題がございます。
 そういう意味で、今後とも、沖縄の地理的あるいは気象的特性に対応いたしまして、水源涵養機能を初めとする多面的な機能の発揮が期待されている森林整備につきまして、引き続き推進する必要があるというふうに考えておるところでございます。
一川委員 四六%ですから、本土の森林面積に比べれば比率は非常に低いわけですけれども、しかし、本土復帰以後、相当積極的に取り組んできたという今の御説明でございます。
 直接的な、そういう、例えばダムとかため池とかというものの施設の整備も場所によっては当然大事なわけですけれども、しかし、その流域の森林をしっかりと整備し、それを管理していくということは、やはり水資源の涵養という面からして大変大事なことでございます。また、森林は、今おっしゃったように、そういうことだけじゃなくていろいろな多面的な機能を持っているというのは当然でございますけれども、そういう観点からしまして、やはり沖縄県の亜熱帯気候にふさわしい森林整備というものに私はもっともっと積極的に取り組んでいただきたいということをまた強く要望しておきたいというふうに思います。
 さて、次に、いろいろとこの質疑の中でもうある程度出尽くしたような話題になるかもしれませんけれども、大臣、これは特に沖縄県の個別の問題というよりも、環境ということが、これまた非常に漠然としておりますけれども大事なことだと思うんです。
 先般も、具体的な一つの中に赤土の処理とかいろいろな、ああいう具体的な事例は一方でありますけれども、しかし、やはり沖縄県の限られた面積の中で人口が割と伸び率が高いという中で、しかも、これからの振興計画の中では相当積極的な産業振興もやっていきたい、また観光的なものにも重点的に取り組んでいきたいというのが大臣としても強い思いでございます。そういったときに、やはり、沖縄県の森林面積は今四六%ぐらいしかないということも考えますと、ちょっと気になるところなんだけれども、本当の自然の浄化能力とか県土の持つそういう環境に対する負荷が余りでか過ぎちゃうと、沖縄県そのものが台なしになってしまうという危険性をはらんでいるような気もします。
 そういう面では、やはり常に謙虚な考え方で取り組んでいかないと大変なことになるのではないかという感じもいたしますけれども、沖縄県の今後の環境対策というんですか、そういうことについての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
尾身国務大臣 私も何回も沖縄に伺っておりますが、亜熱帯、海洋性の気候風土を持ち、サンゴ礁の美しい海岸線、緑豊かな原生林やあるいは貴重な動植物など、本当に豊かな自然環境に恵まれた沖縄でございます。そして、それがまた沖縄の観光にも優位性を持っておりまして、エコツーリズムというような考え方で観光も進めていく。しかし、その中で、自然環境はそれ自身貴重な沖縄の財産でもございますし、やはりこの環境をしっかり守っていくということが、いろいろな政策を考える上で大変大事なことであるというふうに私は考えております。
 この法案の第二条におきましても、沖縄の振興の実施に当たっては、沖縄の自然的特性を考慮して、環境の保全並びに良好な景観の形成に配慮するとともに、潤いのある生活環境の創造に努めなければならないという配慮規定を置いているわけでございますが、沖縄の豊かな自然というものを大事にした形で沖縄の振興を実現するということが極めて大事だというふうに考えております。
一川委員 私の持ち時間は一時間あるんですけれども、ほかの委員会とちょっとかけ持ちしておりますので、大幅に私の持ち時間を残しますけれども、最後に大臣に、念のために、今いろいろと話題に出ております大学院大学というんですか、非常に知的水準を向上させながら、これからそれを一つのインパクトとして沖縄を浮揚させようという大臣の強い思いがあるような感じがします。その本当の、本当というのはおかしいですが、本当に大臣が考えておられるねらいといったようなものを、自然科学系を中心とか、何かそういうふうにもお聞きするわけだけれども、沖縄県内の優秀な人材はもちろんその学校に行くと思いますが、全国、全世界からそういう優秀な人材をそこで学ばせるということだとお聞きしているわけだけれども、そこのところをもう一回ちょっと整理して御説明願えたらありがたいと思います。
尾身国務大臣 自然に恵まれた沖縄ではございますが、地理的条件その他から見ると大きなハンディキャップを負っているのも実情でございます。そういう中で、これから二十一世紀に向かって、二十一世紀という意味は、二十年、三十年、五十年、百年という次元で考えたときに、どうやって沖縄を発展させていくかということをいろいろと、あれこれと考えました。
 その中で、結局は、知的水準を高めていく、そして、沖縄の地理的な優位性を活用して、アジア太平洋地域の中核的な研究、教育の場にしていくことが本当の意味の長期的な沖縄の発展のためにプラスになる、そういうふうに考えてこの構想を打ち出しているわけでございます。
 同時に、日本の大学制度を見ますと、極めて古色蒼然としておりまして、世界全体の大学の制度から見ると非常に競争的原理が働いていない、若い有能な人材がその能力を十分発揮できるようなシステムになっていないという意味で、非常におくれているというふうに感じております。
 それから、日本人全体の英語の能力というのが実は大変、これまた世界水準から見るとおくれておりまして、このグローバリゼーションの時代に、このままいきますと、英語能力の欠如ということ、それから大学の水準が非常に低いということが日本という国家の非常に大きなウイークポイントになるおそれが多分にある、そういう状況だと考えております。
 そこで、沖縄は、昨日も議論が出ておりますが、特殊事情からかんがみて、政府で相当程度いわゆるてこ入れができる、そういう利点もあるわけでございまして、その利点を使ってほかの日本にないような国際的な大学院大学をつくって、これを世界最高水準のものにしようと。
 そして、どういう科目にしたらいいかということで随分いろいろな方の御意見を聞きましたが、やはりバイオテクノロジー、それから化学、物理、それからIT等を総合的に見た、学際領域の研究が二十一世紀の半ばから後半にかけては世界全体の学問の主流になるというふうに言われておりますので、その主流になる部分、日本はまだこの部分が必ずしも強くありませんが、その主流になる部分のテーマをねらって、沖縄にこういう世界最高水準の大学院大学をつくろう、こういうことで、有馬先生を座長にする検討委員会を設けて、今検討しているところでございます。
 インターナショナルな、学長もできれば外国の人にしたいというふうなことを考えておりまして、この検討委員会とは別に、今度、アメリカの西海岸で、ノーベル賞学者も何人かお呼びしておりますが、連休のときに私も参りまして、向こうでアドバイザリーコミッティーを開催していただいて、どういう大学にしたら世界一流の、最高水準の大学にできるかということについての御意見を伺って、これを実現してまいりたい。
 その大学のあり方として、アメリカの大学、例えばMITとかスタンフォードとかカリフォルニア工科大学とか、あるいはシンガポールのバイオの大学、非常に優秀な大学がございまして、そことの連携とか、そういう国際的な連携も含めまして、これを実現していきたい。
 もとより、沖縄の人であるからといって優先的に入れるということではなしに、世界全体から人材を集めていく、そのことによって初めてこの大学が世界最高水準の大学になるというふうに考えているわけでございます。そういう話はやや荒唐無稽だなというふうに思っている方も、現在ただいままだおられると思いますが、私としては、これを必ず実現して、そして沖縄を軸として日本の文化あるいは研究全体の改革の中核にこれを育てていきたいということで、極めて本気でございまして、その準備を着々と進めているわけでございます。ぜひ、皆様方におかれましても、これについての御理解をいただき、また御支援をいただきたいと思います。
 これは、関係の人々、特に日本の政治がしっかりとその方向に動いていかなければできないというふうに考えておりまして、現在の大学の法律の枠内にない新しい立法措置によってつくらなければいけないと考えております。いずれにしても、政治決断をする必要がある段階が必ず来ると思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
一川委員 大臣の大変な強い思いを聞かせていただきましたけれども、私ども基本的にはそういう考え方は賛成でございます。
 前に野中さんが沖縄担当大臣のころに、要するに、沖縄で公共投資的なものを中心に相当のお金をつぎ込んでずっとやってきたけれども、そういうものは当然、計画したものは終えなきゃならぬわけですけれども、やはり沖縄の方々が本当に自信が持てる、誇りが持てるようなものを沖縄のこれからの中でしっかりと位置づけていただきたいというようなことを当時お願いしたことがありました。その後しばらくしてから政治判断でサミットが行われるようになったんです。今そのことをちょっと思い起こすわけですけれども、やはり政治決断でそういうことができるわけでございます。
 ただ、国際的に最高水準のものをつくるということは非常にいいことなんだけれども、地域の方々との変な格差ができ過ぎちゃって、余り連携がなくなってしまいますと、ある面ではまた非常にまずい面もありますので、やはり、そういったものがあることによってその地域の子供さんたちもいろいろな面で意欲が出てくるような、そういう雰囲気の学校にしていかないと、余り疎外されてしまうと非常にまずいなという感じもしますので、そのあたりは、当然のことでございますけれども、ぜひ大臣、在任中にこういうのははっきり、工事にかかわるわけでもないわけでございますので、最後までしっかりと引き継いでいただかないとということで、私の質問を終わらせていただきます。
    〔金田(英)委員長代理退席、委員長着席〕
萩野委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 昨日に引き続いて、沖縄の産業振興、特に今度の沖振法の目的である沖縄の経済振興の問題について議論を交わしていきたい、このように思っています。
 沖縄で経済振興といいますと、今のところ公共事業というのは大変大きなウエートを占めております。したがって、公共事業のあり方について、やはりぜひともこれは議論しておかないといけないと思います。
 同時に、公共事業といいますと、やはり今度の国会では鈴木議員にかかわる政官業の癒着が大きな問題になっておりまして、鈴木議員は、我が国の外交の問題あるいは行政の私物化、企業の利益誘導、そしてその企業から見返りに政治献金を受けるということで、国民の批判を受けているわけです。このことは、私は、鈴木議員個人の問題ではなくて、企業と政治家のつながりの問題というぐあいに考えます。
 これは、加藤元自民党幹事長の秘書による公共事業の口きき疑惑でも同様の構図がありました。
 尾身大臣は、今国会で問題になった鈴木議員の問題について、どのような認識を持っておられますか。まず伺いたいと思います。
尾身国務大臣 鈴木議員が各般の疑惑問題で自民党を離党されたことは、まことに残念でございますが、やむを得ないことだと考えております。
赤嶺委員 鈴木議員にかかわる疑惑というのは、北方領土問題やODA、防衛施設問題だけではなくて、鈴木議員の行政私物化が沖縄問題でもあらわれております。沖縄の振興事業や軍用地問題にかかわる問題でも疑惑が取りざたされ、今国会でももう既に議論されていることです。
 きのう私が質問をしました泡瀬干潟の埋め立て問題で、鈴木議員は、工事を落札した企業から政治献金を受けています。例えば、工事総額約一億円の護岸工事を落札した仲本工業という企業がありますが、一九九五年から一九九九年の五年間で九十万円の献金を受けています。また、同事業で一億四千万円の護岸工事を落札した基企業、ここからは、九七年から九九年の三年間で三十六万円の政治献金を受けています。
 鈴木議員は、泡瀬干潟の埋め立て問題で、積極的にその事業を推進しておられました。きのうの議論で明らかになったと思うんですが、全体の需要予測がまだはっきりしていない、そういう段階であるにもかかわらず、埋立事業先にありきという形で進められようとしている背景には、私は、やはり政治家と企業との癒着があるのではないか、このように疑わざるを得ません。
 そこで、私たち日本共産党は、政官業の癒着あるいは公共事業に絡む政治家の口ききなどを根絶するために、政治家への企業・団体献金が政治腐敗の温床になっているということを、ロッキードのときやリクルート事件など数々の疑惑事件が起こるたびに指摘して、金権腐敗の根源である企業・団体献金の禁止を強く要求してまいりました。
 第八次選挙制度審議会で、将来の姿として、政党の政治資金も個人の拠出によって支えられることが望ましいという答申をしたにもかかわらず、政府・自民党は、企業も社会的存在であるなどと称して、企業・団体献金を存続してまいりました。
 今国会で、参議院で、私たち日本共産党の大沢議員が、政治家への企業・団体献金を禁止すべきであると主張し、特に税金を原資とする公共事業の受注企業からの企業献金は直ちに禁止、これを実施すべきであると要求したことに対して、小泉総理は、企業・団体献金を受け取ることを必ずしも悪いとは思っていないと答弁されています。
 尾身大臣も小泉総理と同じお考えですか。
尾身国務大臣 政党本位、政策本位の政治を目指すという政治改革の理念を踏まえまして、平成十二年の一月から政治家個人の資金管理団体に対する企業・団体献金は禁止されたところでございます。一方、政党に対する企業・団体献金につきましては、最高裁の判決におきましても、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められているところでございます。
 いずれにいたしましても、政治資金のあり方につきましては、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党各会派におきまして御議論をいただくべき問題であると考えております。
赤嶺委員 企業・団体献金は民主主義のコストという点では、小泉総理と同じ認識だと思います。
 そこで、私たちは、企業が政治家に献金する目的について、特に次の発言を重視しております。一九九一年八月十五日の毎日新聞で、当時の諸井日経連政策委員が、企業献金の性格について、企業にとってプラスにならないことに金を出すことは株主に対する背信行為であると。企業の側はそのように企業・団体献金を見ているわけですね。この本質は今でも変わらないと思います。企業が政治家に政治献金をするのは、見返りを期待するということが前提です。これまでもその本質がわいろであることがたびたび指摘されてきたのは、そうした理由からであります。
 尾身大臣は、企業が政治家に献金することは見返りを期待するからである、こういう性格については否定されるんですか。
尾身国務大臣 私は、必ずしもそういうふうには考えておりません。したがいまして、政治家に寄附をするというお言葉でございますが、今は政治家個人の資金管理団体には企業は献金をできないというシステムになっておりまして、政党に対する企業・団体の献金につきましては、先ほどの最高裁の判決のとおり、憲法上の政治活動の自由の一環として、企業といえども政治資金の寄附の自由を持つということが認められているわけでございます。
 いずれにいたしましても、政治資金のあり方につきましては、民主主義のコストをどう国民の皆様に負担していっていただくかという点で、関係各会派におきまして十分御議論をいただいて、内容を決定すべき問題であると考えております。
赤嶺委員 それでは、尾身大臣と企業献金の関係について具体的にお聞きしていきたいと思います。
 尾身大臣の政治団体は幸政会であります。この幸政会は沖縄にもあります。それは沖縄幸政会という組織になっておりますが、あなたがこの政治団体を沖縄に結成された経緯と目的について、当事者であるあなたはどのように認識されておられますか。
尾身国務大臣 沖縄に、私の応援をしてくださる皆様が設立をしていただきました政治団体で沖縄幸政会というのがございます。これは、平成十一年九月、つまり私がこの沖縄北方担当大臣に就任する以前に設立されて、現在まで継続しているものでございます。
 その収入とか支出は、政治資金規正法に基づきまして沖縄県の選挙管理委員会に届け出ておりまして、この選挙管理委員会でどなたにも閲覧に供されることになっているわけでございます。
 この会は、私が担当大臣に就任する以前の平成十二年の五月に沖縄で政治資金パーティーを一回開催いたしておりますが、大臣就任以後は政治資金パーティーは沖縄で開催をしておりません。
赤嶺委員 今の御説明のとおりだと思います。沖縄担当大臣に就任する前、一九九八年八月から一九九九年十月までは、尾身大臣、自民党の総務局長の役職についておられました。そして、二〇〇〇年の七月からは自民党の幹事長代理となり、二〇〇一年の四月からは内閣府の沖縄担当大臣として今日に至っている、こういう経過であります。
 実は、尾身大臣が沖縄とのかかわりを持つようになったのは、沖縄担当大臣のころからではなくて、自民党の総務局長の時代に、私たちも沖縄にいて、たびたび当時の尾身自民党総務局長の来県をマスコミで知ることになりました。その年は、十一月には沖縄の県知事選挙が行われているわけですね。この選挙は、大田革新県政が現在の稲嶺県政にかわった大きな政治戦でありました。尾身大臣も、当時は自民党の本部を代表して派遣されて、現場で直接この選挙の指導をされていたというのもマスコミの報道されているところでありました。
 ちょうどこのときの影響力が支えとなって、一九九九年九月に沖縄の経済界の呼びかけで、先ほど説明があったように沖縄幸政会が結成された。
 沖縄経済界は、どのような目的と期待を持って政治団体を結成し、そして尾身さんを支援しようとしているのか、尾身大臣御自身はどのように考えておられますか。
尾身国務大臣 この沖縄幸政会の設立でございますが、実は、私からこういう会をつくってくださいと頼んだことはないのでございます。
 しかし、簡単に言いますと、尾身さんはいい人だから応援してあげるということを皆さんがおっしゃってくださいまして、ありがたくそういう会を設立していただくということになった、こういうのが実情でございます。
赤嶺委員 沖縄の経済界が、尾身さんはいい人だということで後援会をつくっていただいたということですが、沖縄の経済界があなたに何を期待していたのか。
 これは、先ほどおっしゃいました公表をされている尾身大臣の数年間の政治献金を行っている企業を見たら、とても納得できるわけです。それは、ずばり言って、政府が進める沖縄の振興策事業に対する沖縄の企業への見返りを期待するという点にほかならないと思います。
 あなたの政治団体は、幸政会が、先ほど説明がありました、法改正で二〇〇〇年からは群馬県第一選挙区支部ということになっています。そこへの献金になるわけですが、これはもちろん尾身議員への政治献金という性格を持つと思います。一九九九年そして二〇〇〇年の沖縄の企業からの献金は、九九年に三十三企業から三百九十六万円の献金、それから二〇〇〇年には三十一企業から三百七十二万円の企業献金がされています。同年には、さらに沖縄幸政会から幸政会に百万円の納入がされているわけです。
 大臣は、一九九七年九月から九八年七月まで、つまり自民党の総務局長に就任する以前まで、経済企画庁長官という要職についておられました。その当時は、沖縄の企業からの献金は全くないのですね。あなたが沖縄への影響力を行使するようになった一九九九年から突然政治献金が寄せられ始めているわけです。これは、どのように受けとめればよろしいでしょうか。
尾身国務大臣 経済企画庁長官になるまで、私は沖縄の方々をほとんど存じ上げませんでした。稲嶺知事の選挙のときに何回か沖縄に行きまして、いろいろな方と、経済界だけではございません、いろいろな方にお目にかからせていただきました。
 その中で、皆様が、尾身幸次の政治姿勢、政治活動を評価してくださって私を応援してくださるということを決めていただいたと考えておりまして、その狭い意味の見返りなどを求める理屈で、それが理由でこういう会をつくっていただいたとは考えておりません。
赤嶺委員 私は、国民や沖縄県民の、政治一般、あるいは政治家尾身幸次さん、そういう期待感だけではやはり説明できないのじゃないかと思います。沖縄の企業がなぜあなたに企業献金をするのか。やはりそれは、沖縄振興策事業の受注の見返りを期待するということではないかと思います。
 先ほど私は、鈴木議員の政官業癒着問題で質問したときに、泡瀬干潟埋立事業のかかわりで、事業を請け負った仲本工業からは鈴木議員に政治献金が行われていることを問題にしましたが、これは鈴木議員だけではないのですね。この仲本工業から、あなたは、政治団体である幸政会に一九九九年に十二万円の献金があります。二〇〇〇年には群馬県第一選挙区支部に十二万円の企業献金がされています。
 泡瀬埋め立ての事業というのは、きのうも大分議論をしましたが、沖縄の振興にとっても大変大事な問題として、私、意見も述べましたが、県民の意見が大きく分かれている事業です。その両者の言い分を公正公平に聞いて、政府として間違いのない判断をしなければならない所管大臣であります。その所管大臣が、当該事業を請け負っている企業からの政治献金を受けていて、埋立事業の実施の是非について公正な判断ができると考えられますか。
尾身国務大臣 私、ただいまお話を伺うまで、そういうことがあるということを実は知りませんでした。
 泡瀬の埋め立ての問題につきましては、需要の方につきましては、沖縄県及び沖縄市から、第一工事分については需要の見通しが立っているということ、それから藻場の問題等については、検討委員会で藻場の移植についてこれが可能であるということが言われていること、そういうことを踏まえて、この第一区画部分についての工事を開始したい、開始してほしいという要望がありました。かつ、沖縄市における多くの方々の署名活動等もありまして、沖縄の県民の皆様、沖縄市の市民の皆様の要望としてしっかりと受けとめたその結果として今回の決定に至ったわけでございまして、その中にどういう方が入っているか、仕事をどういう方がやっているかということは、私は全く存じません。
赤嶺委員 その署名にもそれらの企業が非常に先頭に立っておられて、しっかりこの事業を受注契約した企業があなたの政治団体に献金をしているということであります。
 この、あなたに対する献金というのは、沖縄の企業が尾身大臣にかける期待というのは、泡瀬の埋立事業だけにとどまっていないのです。
 政府は、この間私も何度もこういう場で厳しく指摘してきましたが、SACOを推進するために基地を押しつける国策とリンクさせて沖縄の振興策を提起してまいりました。
 この沖縄の振興策として典型的に、普天間の代替移設基地がつくられる名護市初め北部市町村に、一年間で百億円、十年間で一千億円、北部振興策という予算があります。この振興策を受注した企業もまた、あなたに献金をしているんです。
 例えば、二〇〇〇年度及び二〇〇一年度の北部振興策事業を調べてみますと、この事業を請け負った企業からあなたの政治団体に企業献金が行われています。具体的には、名護市食肉処理施設整備事業の本体工事、七億七千万円を請け負っている企業、これは屋部土建ですが、この企業は岸本名護市長の強力な支援企業であります。この企業から、幸政会、群馬県第一選挙区にそれぞれ十二万円、合計で二十四万円の企業献金が行われています。名護市食肉処理施設整備事業の食肉機械設備工事というのがあります、これは五億二千五百万円、名護市マルチメディア館増設工事、これは一億八千万円、これを請け負っている企業は株式会社東開発ですが、この企業からまた、幸政会、群馬県第一選挙区にそれぞれ十二万円の企業献金が行われています。
 企業が政治家に献金するのは、国の公共事業を請け負いたい、こういう見返りを期待する、こうした構図そのものではありませんか。そういう構図について、尾身大臣の見解を求めたいと思います。
尾身国務大臣 まず、平成十一年までの間は、私が今、私も全くその中の企業名を自分自身で確認しているわけではありませんが、いわゆる資金管理団体に政治献金を受けていたと思います。
 それからまた、平成十二年一月から制度が変わったわけでございまして、そのうちの何人かの方々は、私の、この自民党に献金をしていただいているということでございまして、これは政治資金規正法に基づきまして、全部しかるべきところに届け出、日本国民どなたでもこれを供覧できるということになっているわけでございます。
 そういう中で、企業の政党に対する政治献金は、政治家の政治活動を支援するために、憲法上の企業の政治活動の自由の一環としてこの寄附の自由を認められているところでございますし、また、言われているようないわゆる癒着関係を防ぐという意味で、その届け出をしてどなたにでも見ていただけるという透明性を確保しているところでございまして、私としては何らやましい思いはございません。
 いずれにいたしましても、政治資金のあり方につきましては、民主主義のコストをどうどなたに負担していただくかという観点から、関係各党各会派で御議論をしていただき、その結果に基づいて、どの政治家もどの企業も、公明正大に、堂々と透明性のもとで政治活動をすべきであるというふうに考えている次第でございます。
赤嶺委員 基地移設と取引した沖縄振興策の事業を請け負っている地元企業から政治献金を受け取っておりながら、あくまでもこうした企業からの献金を政治資金規正法の枠内ということで正当性を主張しておられますが、やはり納得いかない。沖縄県民は基地を持ってこられて、その基地に関連した振興策事業を請け負った企業が沖縄担当大臣に献金を行う、こういうことで基地の移設問題で公正な立場に立てるとは、とても県民は納得できないと思います。
 さらに問題なのは、今後実施されようとしている事業についても、事業の受注ということを、そういう期待を込めて政治献金をしていることがうかがえるという問題です。
 私が指摘したいのは、あなたへ政治献金をしている企業は、これまで実施した事業を受注した企業にとどまらない、これからの事業に対する期待感も反映されていると思います。具体的には、普天間基地の移設に絡む問題です。
 普天間基地の移設問題では、昨年十二月二十七日に第八回代替施設協議会が開催されて、名護市から移設候補地案が提案されました。この代替施設協議会の政府側の責任者が、尾身大臣、あなたであります。次回の代替施設協議会では工法が協議されると報道されています。工法は、恐らく埋め立て工法だろうと巷間言われています。それはなぜか。あなたに政治献金をしている沖縄の企業の中に、明らかに、この普天間飛行場の移設事業、具体的には埋立事業の受注を見込んで、それを期待して政治献金をしているのではないかと思わざるを得ない企業があるからです。それは、沖縄砂利採取事業協同組合です。この事業協同組合から二〇〇〇年に、群馬県第一選挙区支部に政治献金が行われています。
 この事業組合は……(尾身国務大臣「幾ら入っているんですか」と呼ぶ)幾らですか。(尾身国務大臣「そんな、行われているなんて言えば、大きい金額のように思われるから、数字を言ってください」と呼ぶ)十二万円です。大きい小さいじゃないんです。行われていることは行われています。
 それで、この事業組合は砂利採取事業を実施している九社の共同体でありますけれども、この協同組合の中には、先ほど指摘しました、別途献金している株式会社東開発も加入しているわけですね。
 この協同組合の理事長はだれであるか、尾身大臣、御存じだと思いますが、どなたですか。
尾身国務大臣 今、名前が出ません。
赤嶺委員 県中小企業団体中央会会長の吉山盛安さんです。よく御存じだと思います。この方は尾身大臣とは密接な関係がありまして、沖縄幸政会の結成で尽力した人であり、沖縄幸政会の会長となっている方であります。
 尾身大臣、普天間飛行場の移設問題というのは、言うまでもなく、沖縄県民が、移設容認の立場に立っている人でも、沖縄の振興策のことを考えて、消極的賛成の立場というのが圧倒的多数なんですね。非常にこの問題というのは、県民が共通して、賛成の人も反対の人も心を痛めている問題です。
 ところが、こうした県民の深刻な悩みの一方で、この移設事業を企業の利潤追求のための道具に利用しようとしているとしたら、これは本当にゆゆしい問題だと思うんですよね。ましてや、その事業の実施の是非を含めて、県民の立場で公正、公平に判断しなければならない大臣の立場があります。事業の受注を期待しているのではないかと思われる企業から献金を受けていることは、私はこれは許されるものではないと思います。
 尾身大臣は、それでもこうした企業からの献金を問題ないとして受け付けるのですか。それとも、普天間飛行場の移設について、賛成もあり反対もある、企業から献金を受けていてどうして所管大臣が適切な判断ができるというのか。そういう意味でも、こうした企業からの献金を直ちに拒否すべきだと思いますが、いかがですか。
尾身国務大臣 私は、沖縄担当の大臣として、国として何をなすべきかということだけを考えて政治活動をしております。仕事をやっております。
 そしてまた、いろいろな方々から経済的な支援を自民党支部を通じていただいておりますが、そのことについては、どなたでも見れるように、透明性のもとでやっております。これが民主主義というものだと私は思います。今の議員のように、そういう見方をする人が私は大勢いるとは思いません。
 私の政治活動については、私は、いろいろな方々に御理解をいただき、御支援をいただき、また、企業関係からも党を通じての政治献金をいただいております。そのことによって、私が日本をよくするための政治活動をできるものであり、そのコストというものは、私のようにもともと自分のお金のない人間は、何らかの形で負担をしていただかなければ政治活動ができません。そして、そのことは、企業が憲法上の権利に基づいて政治献金の寄附をする、政党に対して寄附をするという自由は認められているわけでございます。
 そして、今おっしゃったようなことが妥当かどうかの判断は、透明なデータを全国民が見ることによって判断できるわけでございますから、それによって判断をしていただくのが適切であると考えております。
赤嶺委員 全国民は、データを見ても、その企業が国の沖縄振興策の公共事業を受注しており、そして国の振興策の主管大臣に献金を行っている、こういう図式について、そこまで本当に国民の中で明らかになっていけば、これはとても納得できるような話ではない、このように考えると思います。
 そこで、私、話を転じまして、沖縄の振興開発における公共事業の県内と県外企業への受注の割合の問題の改善があります。これもやはり私は企業献金が大きなネックになっていると思います。
 復帰後三十年間、三次にわたる沖縄振興開発計画で、約六兆八千億円の国費が沖縄に投入されました。そのうち、公共事業関係費に約五兆七千億円です。この公共事業の半分以上を本土の企業が受注しています。沖縄に投資された資金の半分以上が本土に還流している。一九八〇年以降の沖縄総合事務局発注の公共事業の県内、本土企業の発注割合を見ていますと、この二十年間でほとんど変わっていないんですね。受注の割合が本土と沖縄で変わらない。このことについては幾たびとなく尾身大臣も要請を受けていると思いますが、この比率が変わらない問題については、どのように認識されていますか。
尾身国務大臣 今ここに、手元にあります資料で見ますと、平成八年度、県内企業七〇・六%、九年度七七・八%、十年度七七・九%、十一年度七六・六%、十二年度七六・八%というのが県内企業の発注比率でございます。
 これは工事の大きさとか適正とか、いろいろな要因があると思っておりますが、中小企業の受注機会の増大につきましては、官公需法、官公需についての中小企業の受注の確保に関する法律が制定され、これに基づいて、沖縄におきましても、政府発注の公共事業等について、地元中小企業への発注の増大に努力しているところでございます。
 この官公需法に基づきまして、受注機会の増大にさらに積極的に取り組んでいくという方針のもとで、今後とも、可能な限り地元中小企業の受注機会の拡大に努力してまいりたいと考えております。
赤嶺委員 今、大臣が提出された資料は、私たちがこれまで内閣府からいただいてきた資料と全く数字が違います。どういうことでこんなに数字が違うんですか。
尾身国務大臣 今のは会社の数の比率でございまして、金額比率は、平成八年度三九・三%、平成九年度五〇・九%、平成十年度五四・二%、平成十一年度五一・六%、平成十二年度四六・四%。
赤嶺委員 それこそ誤解を招くような答弁ですよ。
 それで、これでは県内企業の地元優先発注確保してくれということ、この企業数でいくと、これ以上やらないよという皆さんの意思表示みたいなもので、やはり事業総額に対する本土企業の発注額の比率は高くて、そしてなかなかこの二十年間変わらない、こういう事実があります。
 当初、政府は本土企業への発注について、沖縄の企業の技術力の問題や資金力の問題などいろいろな理由を言ってきたわけですが、最近は沖縄の企業も力がついてきております。沖縄県政や自治体でも地元業者を育てようということで、パレットくもじだとか、これは那覇市発注の公共事業ですが、立派な再開発ビルが一〇〇%地元企業発注ででき上がっています。
 革新県政時代は、県の公共事業というようなのは県内企業に優先して発注されているわけですね。ただ、それの変化、最近地元の建設業者も、例えばサミットのときなどは、本当に沖縄の業者には仕事が回ってこなかったという怒りが爆発しておりました。
 私、この点でも、二〇〇〇年の政治献金で自民党に企業献金をしている企業を調べてみましたけれども、例えば鹿島建設、川崎重工業、鴻池組、五洋建設、佐伯建設、住友建設、竹中工務店、東亜建設、日立製作所など、これらの企業は沖縄でも大変大規模な公共事業振興策事業を請け負っているところですけれども、自民党に数十万から二百万、三百万の単位で政治献金をしている。沖縄に投資された事業の半数以上が本土大企業に発注されて、受注した企業から自民党への政治献金として還流している、そのように指摘されても仕方がないような事態ではありませんか。
尾身国務大臣 どうも、さっきからお話を聞いているとちょっと変な感じがいたします。
 先ほど名前を挙げられた沖縄の企業の皆様は、みんな中小企業でございまして、ここで私が中小企業の受注拡大のために全力で努力しますと言ったら、尾身さんはみんな政治資金をもらっているからそのために働くんじゃないかというようなことを言われかねない、そういう思いも片方でございまして、どういうふうにしたらいいのか。疑惑は、私は疑惑というのはないと思っています。自民党支部としていただいている献金は全部届け出をして公開されているわけでございますから、そういう中で、公平、客観的に国のために何がいいか、沖縄のために何がいいかということで、仕事をしているということだけは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
赤嶺委員 どうすればいいかはっきりしているんですよ。やはりそういう指摘をされないためには、沖縄担当大臣が沖縄振興策事業として行われている公共事業の受注業者からは政治献金はいただかない、なおかつ企業の育成については公正、公平な立場で全力を挙げる、そうすれば非常にわかりやすいものが出てくると思います。
 やはり私は、企業・団体献金というようなのは政官業の癒着を生み、そして公共事業に絡む政治家などの口きき、こういうことを根絶するためには、政治団体献金、企業・団体献金が政治腐敗の温床となっている、そういう立場から企業献金の禁止を強く要求しておきたいと思います。
 それから次に、また話を転じまして、駐留軍用地の跡地利用問題について聞きたいと思います。大規模跡地、それから特定軍用地、これらについて恐らく普天間基地を念頭に置いたり、あるいは基地の跡から土壌汚染やPCBの発見など、そういうことが開発のおくれにつながるということを念頭に置いて、沖縄県の中からのいろいろな意見もあって、法に書かれた経過があるだろうと思います。
 私、ここで伺いたいのは、細切れ返還問題ですね。大規模な基地でありながら、細切れ細切れで二年、三年、四年、五年にわたって返還をされて、返還された地主は、返還跡地というのは一体となってやはり地方公共団体や国も一緒になって開発をしていくということにならなければいけないわけですから、細切れ返還というのは沖縄の跡地利用の中でも非常に困難な問題だったわけです。それが今度の法律では全く触れられていないわけですけれども、この細切れ返還問題について政府の見解を聞きたいと思います。
嶋口政府参考人 今先生御指摘の細切れ返還というものは、実際、定義上どういうものかよくわかりませんけれども、自分の住宅用地にしたいとかその他いろいろ事情がございました場合、そういう場合については、私ども引き続き細切れ返還、まあ定義によりますけれども、そういうことは協力していきたいと思っています。
 ただ、私どもの立場からすると、要望がありますけれども、まとまった形じゃなくてただ単に返してくれというふうな形の細切れ返還というものは、やはり私どもとしては控えていかなきゃいかぬのじゃないか、このように思っています。
赤嶺委員 細切れ返還の意味についてわからないということを防衛施設庁から、定義がわからないということをこの場で聞かされて大変びっくりしているんですが、細切れ返還というのは、復帰後今日まで返還跡地利用の重要なテーマだったんですよ、それはおわかりでしょう。そして、天久なんかは細切れ返還によって開発が十年もおくれたということで大問題になっているということもおわかりですよね。
 そういう場合に、細切れでは本当に、返された地主も開発もできない、固定資産税は毎年取られていく、そういう困難、苦労を抱えていたわけですよ。このことについて考え方が示されていないので、どのようにお考えですかということを聞いているわけです。
安達政府参考人 大規模跡地が段階的に返還されていくということになりますと、跡地利用の計画の策定あるいはその推進という面で遅延を生ずるということが過去においてあったところでございます。防衛庁の方針というふうに理解いたすわけでございますけれども、今後は一体として極力返還していく方針というふうに私ども承知しておりまして、そういったことで細切れ返還の弊害をなくしていきたいというふうに期待しているところでございます。
赤嶺委員 細切れ返還というのは、やはり米軍の都合で起こり得ることでありますから、しっかりこの面についての対策もとっていっていただきたいというふうに思います。
 それから、給付金の上限が一千万円となっている問題についてですが、給付金の上限は県の方からはもっと増額という要請もあったと思うんですが、これはいかがですか。
嶋口政府参考人 給付金の上限につきましては、現行の、現行と申しましょうか、返還特措法、もちろん一千万になっておりますし、これはいろいろな形で要望がないわけじゃございません。ただ、私ども見ますと、一千万で上限といたしますと九八%には対応できるというのが一点でございまして、それから、給付金は、いわば返還した後の借料見合いということではございませんで、やはり跡地利用できるまでの、再利用できるまでの生活ということを考えてやっておりますので、一千万で足りるのではないか、このように考えています。
赤嶺委員 個人の地主はともかく地方自治体の地主などは、やはり戦前の学校用地が基地の中にあったりといういろいろな問題があるわけですね。
 今後、細切れ返還問題や給付金の上限については、一千万円についてはしっかり検討し、議論もしていくということを要望したいんですが、これは尾身大臣、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 この点は、使っていないところについてのお金を払うという問題の中で、どの程度まで補償することが社会の公平上妥当であるか。これは、いずれにしてもお金を払う以上は税金で払うわけでございますので、妥当であるかというようなことを総合的に考えて決めるべき問題であるというふうに考えております。
赤嶺委員 これは、長いこと自分の意思に反して米軍基地に占領されてきた地主の側の立場に立って考えていく、特に細切れ返還というようなのは政治の問題としてきちんとやっていくということを要望したいと思います。
 それでは次に、農林水産業の問題について聞きたいと思います。
 沖縄の産業振興を妨げているのは米軍基地の存在ですが、その中にあっても沖縄の優位性を生かせるのは農林水産業であります。この農林水産業は、いろいろな優位性を生かした農作物の伸びもありますし、復帰後この方、ウリミバエの根絶によってゴーヤーなどが伸びていくし、テレビのドラマにも紹介されるという面もありました。ただ、本当に優位性を生かした農林水産業の振興という場合には、やはり島嶼性と遠隔性、沖縄の場合には本土と海で隔てられている、これは米軍基地に次いで沖縄の産業振興のもう一つの困難な面だと思うんですよ。
 そういう点では、やはり沖縄農業の発展のかぎを握るもう一つの面として輸送コストの問題があり、今度の振興法の論議の中で皆さんも議論されてきたと思いますし、私も橋本沖縄担当大臣のときに、輸送コストはしっかり考えていただきたいし、橋本大臣もこの点は意見を同じくするという答弁もいただきました。
 この輸送コストの問題について今どのように検討されているのか、お願いします。
武田政府参考人 お答えを申し上げます。
 沖縄の農業でございますが、亜熱帯特性を生かしました、例えば熱帯果樹であるとか花卉類、あるいは健康食品等、本土にはない特色のある特産物を産出しておるところでございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、島嶼県ということで本土等の市場から遠隔地にある、そのために連日の出荷が航空輸送に限定されて農産物の流通コストがかさむとか、あるいは県内需給も効率的にマッチングしがたい、そういった流通上の制約を抱えておることはそのとおりでございます。
 こうした制約を克服するために、農産物の集出荷施設あるいは保冷施設等の積極的な整備を進めておりまして、流通コストの削減あるいは品質保持の向上等の島嶼県に適合した効率的な流通システムの整備に努めておるところでございます。
 また、新しい計画のもとでは、こうした施設整備に加えまして、低コストでの環境にも配慮した連日輸送体系の構築ができないかとか、あるいは新たな輸送ルートや方法等の確立、あるいは県内需給の円滑なマッチングシステムを確立する、そういったことによりまして、県内物流の効率化あるいは県内消費等を促進しまして、島嶼県沖縄に適合した効率的かつ高度な流通システムの整備に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
赤嶺委員 ぜひ、有力な農水産物、確かに、県内野菜の消費率が三割といった問題もあります、県内需給を高めることによって、農業自身が下支えしていく。県産生乳が学校給食に一〇〇%使われるようになって、県産生乳が大分支えられたという経験も持っています。だが同時に、やはり亜熱帯の有力な農産物、これについてはぜひ、市場もうんと拡大をしていく。まだまだ沖縄の亜熱帯の農作物というのは本土で知られているところになっていませんから、ここは、市場からの遠隔性、島嶼性というのは、海に隔てられて、沖縄県民が努力して頑張って克服できるものじゃないわけですね。そこはしっかり見て、輸送コストの問題も検討していただきたい。
 それからもう一つは、三十年間、農業の基盤整備だとか構造改善事業だとか、農業の分野での公共投資が行われてきました。もちろん復帰当時は、かんがい施設はありませんし、干ばつと台風という厳しい気候条件のもとで離農も相次いでいる、そういう中での土地改良事業でしたから、それはそれで必要だったと思います。同時に、昨今、赤土の問題とかいろいろな問題も引き起こして、工法そのものも検討しなきゃいけないと思うんですけれども、私が申し上げたいのは、沖縄の農業の生産額と沖縄の農業の公共投資の額、農道をつくったり圃場を整備したりかんがい施設をつくったりという、この金額というのは幾らになっているか今御存じですか、この二つの金額は。
武田政府参考人 突然のお尋ねでございます。
 丸い数字で、大体、総生産額で九百億ぐらいが農業の生産額であると思います。それから、これに対しまして、農業基盤等に、公共事業の中で年間約三百億程度というものが投入されているというふうに承知しております。
赤嶺委員 総額では公共投資が生産額を逆転しているという数字が、専門家の間でも語られてきているんですね。つまり、生産額では公共投資をなかなか上回れない。一千億農業ということを早く突破して、かつてはあったわけですが、もっと大きな農業に発展させていきたいと思うんです。
 私、今度の振興法の審議の中で、やはり農業が沖縄振興のかぎを握っていると思いまして、農家の方々と、あちこち回って懇談をしてまいりました。
 石垣島は、畜産農家、BSEの問題で本当に困難にぶつかっておりました。これはこれで全国的な課題ですから、きょうここでの議論はおいておきますが、一番今、農家の中を回って、そして農業の期待を話し合っていくと聞こえるのは、やはり三十年間の公共投資の中で、農家、受益者にも一定の賦課金がかかります。宮良川土地改良事業で、若いころその土地改良事業の先頭に立って頑張った方が今、年をとられて年金生活をしているけれども、その当時の改良事業の受益者賦課金が払えない。一年間の年金を丸ごとそれに充てているという状態。もちろん、いろいろな手当てがされていますよ、国、県、市、されていますよ。しかし、それでも耐えられない。
 それから、北部に行きますと花卉園芸。父親の時代に、サトウキビやパインにかわる農作物をということで、本当に農業が大好きで花卉園芸、洋ランなどに取り組んできた。だけれども、本当に借金に借金が重なって首が回らない。何で、農業が大好きなのに。やはり価格の不安定、輸入自由化、いろいろありますけれども、ここでもビニールハウスなどの建設の構造改善事業等があるわけです。
 私は、沖縄の農業の振興を考えるときに、農家を元気にする対策、政策、これをとらないといけないと思うんですよ。土地改良をした立派な農地が、耕作されないでほったらかされていますよね。これは社会問題になっています。ビニールハウスを振興策の予算でつくったのに、生産団地という立派な団地がつくられていながら、荒れ果てたビニールハウスが並んでいる。もう農業ではやっていけないという農家が多い。
 それは本土の農家にも共通しておりますが、同時に、沖縄の場合は、農業構造改善事業による賦課金の重たさ、あるいは価格の不安定などによる沖縄的な問題による借金、こういうものについて、沖縄県もようやく重い腰を上げておりますが、国においてもよく調査をされ、検討され、沖縄の農家を支援していく、そういう対策というものをぜひとってほしいと思いますが、これは尾身大臣、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 本当の意味でやっていけるような農業を確立することは極めて大事だと思っておりまして、行き届いた形で農業を振興するということを念頭に置きながら今後ともやってまいりたいと思います。
赤嶺委員 私、ぜひこの問題、どんなに沖縄振興法という立派な法律をつくって、ただ残念なのは、観光振興では第六条から二十六条までの二十一カ条です。農業というのは二カ条なんですよね。農業の条文でいくとたった二つしかないんです。私、この条文で、皆さんの姿勢がけしからぬと言うつもりはありません。それに倍する努力をぜひこの面ではやっていただきたい。
 ほかの、企業の誘致というのは、そのときの経済情勢に左右されるんですよ。ですから、本当に地場産業の足腰を強くするというのは、この三十年間基盤整備をやってきたけれども、今度は農家の経営を支援する事業、安定させる事業、そこから本当に沖縄の二十一世紀に向かっての産業振興は始まる。そこをしっかりやれば、沖縄の雇用の吸収というのは極めて高くなると思います。ぜひそこを一生懸命やっていただきたいと思います。
 それから、私、最後に、基地と振興の問題についてお聞きしたいんですけれども、やはり政府の今の姿勢には、基地の固定化、強化、安保の役割を沖縄に立派に果たしてもらう、そういう意識が非常に強いと思うんですよね。
 産業振興の角度から見たときに、沖縄には米軍基地が存在しているがゆえに、土地利用に制限がある、県民生活に支障がある。だから、本当に沖縄の産業の振興を必要とすれば、米軍基地をなくしなければいけない。米軍基地がある限り、どんなに政府が投資をしても、これは果実が実らない、負の投資だということを、第一次振計、第二次振計、第三次振計、責任を持ってやってまいりました、沖縄経済学の重鎮であります久場政彦先生がおっしゃっております。
 本当に負の投資ではなくて、それが、果実が実るような投資にしていくためには、基地の撤去、整理、縮小、これが大事で、そして、安保による役割を沖縄県民に果たさせよう、こういうのは根本から間違っている、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
萩野委員長 次に、東門美津子さん。
東門委員 昨日の私の質問に関連して、一点お伺いしたいと思います。
 昨日、安達統括官に質問したときに、リゾートタウン整備事業についてお伺いしました。そのときに、答弁としては、全然聞いたことがないという御答弁だったと私ははっきり記憶しております。それは県からしっかりと要望があったということを、今手元に文書を持っているんですが、統括官、いかがでしょうか、きのうの答弁。やはり確かめておきたいと思います。
安達政府参考人 私のレベルで十分把握しておらなかったということでございまして、確認いたしましたら、そういう話が伝わってはきておったということでございます。
東門委員 伝わってはきておったと、今そういうふうな確認をなされたというんですが、伝わってきただけですか。しっかりと文書で回答という形でいっているんです、そちらからの問い合わせに対して。
安達政府参考人 国土交通省のみならず、内閣府の事務方の方にも話があったということでございますが、主たる判断をなさるのが国土交通省ということで、国土交通省の判断として難しいというような話であったというふうに聞いております。
東門委員 とても不思議ですね。これは「回答いたします。」と書いてあるんです。要望いたしますじゃないんです。「六月三十日付け依頼のありました事項につき下記の通り回答いたします。」という書き出しなんです。
安達政府参考人 今、担当参事官に聞きましたけれども、そういうものは承知していないということでございます。
東門委員 あて名がちゃんと「内閣官房内閣内政審議室 沖縄問題担当室法制グループ」と。そして、その下にお二人の名前が書かれております。それでも……(発言する者あり)これは、笹路健、富永健嗣様となっております。
安達政府参考人 富永は今内閣府におりますので、確認の上、お答え申し上げたいと思います。笹路は今米国に留学をしておりまして、ちょっと連絡がとれないと思います。富永の方に確認をした上でお答え申し上げたいと思います。
東門委員 ぜひ早いうちに確認をして、御連絡いただきたいと思います。県からは、ちゃんと皆さんの方から依頼があったことについて回答しています。その中で、現行の制度では海岸線の総合的な整備は十分に行えないということで、むしろそれを一元的にやれるようなということでお願いをしているはずなんです。ですから、これがあって要望ということで私は申し上げたので、ぜひ確認をしてください。
 それともう一点、私の質問に対して、自由貿易地域についてきのうお聞きしました。統括官の答弁は、いやもうすごいんだと。私は、すごく未来が明るいですねと申し上げたんですが、確かに入社企業数は減りましたけれども、面積的に言えば満杯状態ですとお答えでした、確かに。ところが、きょうの横路委員への答弁は、八〇%ですとおっしゃった。どうしてそういうふうに一日で答弁が変わるのですか。確かめておきたいと思います。
安達政府参考人 入居可能面積が約一万平米ございまして、一月末に一社退去いたしました。そして、その一月、ことしの初めの段階で八千五百平米が入居しておる。二月の一日段階で八千と。変動しているわけでございますけれども、かなりの高入居率でございまして、日常的な出入りということを考えると、私の主観的判断が適切でないかもわかりませんけれども、満杯に近い状況ではないかというふうに判断をしたものでございます。
東門委員 個人的な判断ではあれ、委員によっては一〇〇%です、満杯に近い状態です、あるいは委員によってはまた八〇%ですと変わるのがよくわからないんですけれども、もう少しちゃんとした答弁をしていただきたいと思います。
 それでは、泡瀬の干潟について質問をいたします。
 まず、環境省がおいでいただいていると思います。藻場の移植は可能であると考えておられますか。泡瀬に限らず、一般的に藻場の移植、それは可能でしょうか。
炭谷政府参考人 お答えいたします。
 二月二十二日に行われました泡瀬地区の環境監視・検討委員会におきまして、海草の機械化移植は可能と判断されたと伺っております。他方、今後とも、モニタリングを行い、技術の向上が図られるべきだという意見も出たと聞いているわけでございます。
 環境省といたしましては、そのような判断がなされた科学的な根拠については今のところ承知していませんが、確実に移植が実現できるよう、徹底したモニタリングを実施し、技術の向上を図る等、慎重に対応していくことが重要と考えておりまして、今後とも沖縄県の環境部局と連携を図りながら必要な助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
東門委員 そうしましたら、過去に藻場の移植、その成功例がありますか。ありましたら、教えてください。
炭谷政府参考人 今詳細なデータは手元に持ってきておりませんけれども、一部関西空港の関係でこのようなことを試みまして、成功したという事例があるというふうに承知いたします。
東門委員 平成十二年十二月二十二日の閣議決定で環境基本計画が出まして、生物多様性保全上重要な地域を特定し、その保護地域化を図る、そういう方針が確認されていると思います。また、生物多様性国家戦略では、「渡り鳥の渡来地として国際的に重要な湿地のラムサール条約登録湿地としての登録を進める」、そういう決定がなされております。このような背景を踏まえて、泡瀬干潟は国の環境政策の中でどのように位置づけられているのか、お聞かせいただきたいと思います。
小林政府参考人 御説明申し上げます。
 泡瀬干潟につきましては、沖縄県有数のシギ・チドリ類など渡り鳥の渡来地として大変重要な場所というふうに思っております。また、希少な種類を含みます広大な海草藻場の広がっている、形成している場所というふうに認識してございまして、泡瀬干潟を含みます中城湾全体、一帯が、生物多様性の非常に重要な湿地だということで、全国五百カ所の重要湿地を選んだ中の一つというふうに認識しております。
東門委員 沖縄担当の方に伺いたいと思います。
 藻場の移植を干潟埋め立ての代償措置として進めているようですが、何ヘクタールの干潟が破壊されて、新たに何ヘクタールを復元する計画でしょうか。お聞かせください。
武田政府参考人 お答えいたします。
 干潟で四十九ヘクタールというふうに承知しております。(東門委員「それで、新たに何ヘクタール復元するんですか。破壊するのが四十九、復元は」と呼ぶ)人工干潟で八ヘクタールということでございます。
東門委員 ひどいですね。四十九ヘクタールが破壊されて、新たに復元されるのは八ヘクタール、いや大変な差だなと思いながら驚いて、一応、後でまた戻ってきます。
 泡瀬の干潟は、生物多様性の面から国際的にも非常に高い評価を受けています。海草と一くくりでいっても、ベニアマモ、マツバウミジグサ、それからボウバアマモなど八種類の貴重な維管束植物などが生息していると聞いております。今回の移植実験の目的は、これら八種類の海草をすべて順調に移植、生息させることを目的としているのか、あるいは、このうちどれか一種類でも生息すれば移植実験は成功と見るのか、それをお聞かせください。
武田政府参考人 今回の移植に係ります主たる藻としましては、ボウバアマモあるいはリュウキュウアマモというふうに承知をいたしております。
東門委員 ということは、二種類が活着する、あるいは生息すれば成功と見るというふうにお考えだということでしょうか。
武田政府参考人 今回の移植実験の主たる対象になっておりますのが、その二つということでございます。
東門委員 ということは、あとの六種類についてはこれからだというふうに理解していいということでしょうか。
 同じように、貝についても伺います。
 貝類は、二百十種類もの貝類が生息していると言われております。本当に大変豊かな干潟なんですよ。そこで、大体何種類の貝が移植先で生息できれば干潟の復元に成功したと見るのか、教えてください。
武田政府参考人 貝類につきましては、今のところ私ども、未検討でございます。
東門委員 渡り鳥はどうでしょうか。本当に渡り鳥の飛来地としてもとても重要なところなんですよ。現在渡来しているシギ・チドリ、もちろん年によって減ったりふえたりはあるかもしれませんけれども、しかし、どれくらいが飛んでくるだろう、干潟を埋め立てて人工干潟をつくったとして、どれくらいが予測できますでしょうか。
武田政府参考人 お答えいたします。
 私ども、その生態系につきましていろいろ観察等いたしておりますけれども、今何羽ぐらいというお尋ねについては、直ちにちょっとお答えができないということでございます。
東門委員 去る二月二十四日、環境省それから千葉県、公共事業チェック議員の会などが後援をしまして、日本湿地ネットワークの主催で講演会を実施されました。そこで講演をしてくださった湿地保全の権威、ビル・ストリーバー博士の指摘によりますと、多分皆さんも行かれたかもしれませんが、そういう事業を進める場合の環境への影響の回避について、チェックが四つあると。まず、事業そのものを検証する。必要性、採算など見通しの妥当性ですね。二番目に、その他の地域でできないか、ここでなければいけないのか、よそに持っていくことができないのかということを検討する。三番目、規模を縮小する。ということは、できるだけ影響を少なくしていくことですね。それから四番目に、失われるものについて、かわる場所の回復を行う、代償措置です。そういう手順で進められるのが鉄則とされているとお話ししておられます。
 今回の泡瀬干潟埋め立ての場合、その妥当性というのでしょうか、必要性、採算、そういうものさえ明確でない今、いきなり代償措置、いわゆる藻場の移植実験を進めて、それを可能と判断したと主張しているということだと思います。たとえこの一から四までの手順に従って事業が行われたとしても、やはり少なくとも復元の目標値が明確に設定されて、その目標達成ができなければ、代償措置は成功したとの判断にはならないということを博士は指摘しておられます。
 そういう点からも質問なんですが、目標値も明確に定めない中で実験が成功したという認識に立つのは、余りにも非科学的な移植実験であると言わざるを得ないのではないでしょうか。現段階では、海草を機械で運んで移したら、たまたま何本か根づいたというレベルにすぎないのではないかと思うのですよ。
 ですから、ここで環境省にお伺いいたしますけれども、今内閣府で沖縄担当の実施している移植実験、あるいは、ひいては干潟の復元が科学的な妥当性のあるものと認識するかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
炭谷政府参考人 先ほども御答弁いたしましたように、工学的には可能な方法だろうと思いますけれども、先ほど述べましたように、科学的な根拠について、現在承知しておりません。
 ただ、確実に移植が実現できるよう、後々までに徹底したモニタリングというもので技術の向上を図るなど、慎重に対応していくことが重要であろうというふうに認識しております。
東門委員 先ほど御報告ありましたけれども、重要湿地の選定の中間報告の中で、中城湾全体、泡瀬干潟について、重要湿地として選定しておられますね。そういう面からしても、そこはしっかりと私はやっていただきたいと思います。一度失われたらもう取り戻すことはできません。
 それで、今度は、泡瀬地区開発事業の推進に係る確認作業についてお伺いいたします。
 県と市による「確認作業結果のまとめ」では、各種の条件整備と努力を前提とすれば、達成の可能性はある、それから二番目に、情勢の変化等を的確に把握するとともに、地域のニーズに沿った土地利用が図られるよう柔軟に対応していくことが必要、三番目に、第一区域から着手し、土地需要の見通しを再度十分検討した上で第二区域に着手することが適当、四番目に、県、市は協力して企業誘致に積極的に取り組むなど、とりあえず頑張ってみよう、あるいはできるかもしれないという精神論的な締めくくりになっていると私は思います。
 地域のニーズに沿った土地利用であるとか、土地需要の見通しを再度十分検討するなど、見通しのあいまいさがにじみ出ているわけですが、事業者の国は、今後、規模の縮小あるいは用途変更などの可能性があると見ておられるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 先般、県、市の方で行われました確認作業の結果につきましては、委員まさに御指摘のとおりでございまして、一定の条件整備ということを前提といたしまして全体の達成可能性がある、その中で、土地需要が低迷した場合でも少なくとも第一区画相当部分を上回る需要があるという結論のもとに、今後、情勢の変化等を的確に把握するとともに、環境保全にも配慮しつつ、地域のニーズに沿った土地利用が図られるように柔軟に対応していくことが必要だという結論を得ておりまして、私どももそういうふうに伺っておるところでございます。
東門委員 県の方は、その確認作業の結果についての記者会見で、将来は中止、休止もあり得るのかということを再三にわたって聞かれたようです。そうすると、その担当の土建部長は、そういう理解でよいと、第二区域の中止にも含みを持たせたという報道がなされておりますが、国も現時点で同様の認識ですか、柔軟に対応するという言い方からして。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと県の方の記者会見の模様を私も詳細には承知しておりませんが、まさに、ここに言っておりますように、情勢の変化を的確に把握して柔軟に対応していくということでございまして、県の方からもそういうふうに承っておるところでございます。
東門委員 先ほど、県の部長はこういうふうに答弁したと私は申し上げましたけれども、もし規模あるいは用途の変更があった場合、環境アセスあるいは埋立承認の前提となる埋立必要理由、それは崩れませんか。埋立必要理由書が出ていますね。それは崩れることはありませんか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申しましたように、各種の条件整備と努力を前提とすれば達成の可能性があるということでございます。
 ただ、当面は、第一区画について着手をし、今後の情勢の変化等を的確に把握して柔軟に対応していくということでございますので、現時点で、全体について、もちろん一定の条件整備と努力は必要でございますけれども、達成可能だというふうに認識をしているところでございます。
東門委員 公有水面の埋め立てというのは、私はすごく大事なことだと思います、これは国民の財産ですから。そういう中で、今回の事態、公有水面埋立法十三条ノ二に照らしてどういうふうに理解されているか、お聞かせください。
武田政府参考人 今、手元にちょっと条文はございませんが、先ほど申しましたように、本計画について、その全体について努力を前提とすれば達成の可能性があるということでございますので、そういう意味では、全体についてそれなりの確認がなされ、かつその中で、土地需要が低迷した場合でも少なくとも第一区画相当部分を上回る需要があるということで、第一区画について事業に着工してほしいというお話があったということでございます。
東門委員 ということは、最初、埋立必要理由書が出てからこれまで一切の変更がない、今、今度着工予定、あすにでも着工というふうな新聞報道が出ておりましたけれども、どうなんですか、大臣。済みません、ちょっとそれます。あすにでも着工と新聞報道がございましたけれども、第一……(尾身国務大臣「いや、新聞は見ていません」と呼ぶ)いやいや、もう既に報道されました、大臣がそうおっしゃったと。
尾身国務大臣 第一区画分については着工をするということを、先日も知事ともお目にかかり、この前も、沖縄市長及び副知事が参られたときもそういうことで合意ができております。
 これは、第一期までの分、第一区画の分については、需要見通しは少なくとも大丈夫であるという沖縄県と沖縄市の正式の検討結果が私の方に伝えられました。それを踏まえて、とりあえず第一期、第一区画分についてはこれを推進する、それから藻場の移植作業等についても、藻場移植は可能であるという評価が二月二十二日の検討委員会で出されておりますので、この二つを踏まえ、かつ沖縄県及び沖縄市の強い要望も踏まえまして、私の方としてはそういうことで合意をしたわけでございます。
東門委員 そうすると、土地利用、用途の変更、あるいは縮小、あるいは設計の概要の変更ということは一切あり得ないということと理解していいですか。
武田政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、何分、土地利用が開始されるまでにはこれは長期を要する話でもございます。この間に社会経済情勢が変化することも考えられることから、今後とも情勢の変化等を的確に把握して柔軟に対応していくというふうに報告書に述べられておりまして、私どももそういうふうに伺っております。
東門委員 いや、私が何度もお聞きしてそこが理解できないんですけれども、埋立必要理由書をしっかりと提出して、そこの中で述べられている、それで免許がおりるわけですね、あるいは承認という形も出てくるわけですね。それが変更されるということは、免許も切れちゃうということじゃないですか。公有水面埋立法ではそれが言われているわけです。それを聞いているんです、先ほどから。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、その全体計画につきまして、一定の条件あるいは努力というものを前提としまして可能であるということが確認された上で、今後、情勢の変化等を的確に把握して柔軟に対応するということでございますので、そういうふうに御理解をいただければと思います。
東門委員 用途の変更、私は、もはやその免許の前提は崩れたと言えるのじゃないんでしょうかと今聞いたんですが、何度も返ってくる言葉は、柔軟に対応とおっしゃるからあれなんですけれども、用途の変更などの場合の手続が公有水面埋立法でわざわざ定められているというのは、きちんとした埋め立てだから免許を与えたり承認するということにほかならないわけですよ。ですから、それは、情勢があれだから、ちゃんとこういう状況になったから、ひょっとしたら、ならなかったら少し変えるということではないということだと私は思います。
 だから、今回の泡瀬地区の埋め立てが、本当に、採算性、必要性、緊急性があるとしっかり認められたのであれば、なぜ、第一区域相当分の需要だけを殊さら強調して事業を着工したり、あるいは土地需要の見通しを再度十分検討した上で第二区域に着手することが妥当などと、そういう自信のなさそうな言葉が並ぶのかなということを申し上げているんですよ。埋立必要理由は第一工期だけに当てはまるものなのかということをお聞きしたかったんです。
萩野委員長 委員長から申し上げますが、よく整理して話してください。
武田政府参考人 御案内のように、本計画は二区画に分かれております。まず一区画から事業に着手をするということで、当初から計画をされておりました。そういう意味で、第一区画相当分について、需要が非常にかたいものがあるので着工してほしいという地元の御要請があって、私どもとしては、まず順序として第一区画に着手をするということになったわけでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、土地利用が開始されるまでには相当の長期を要するわけでございますので、その間には社会情勢の変化というのは当然あり得る話でございますので、それは慎重に、その時々の経済状況等踏まえて的確に判断して柔軟に対応していきましょうというふうに、県の方もそういう姿勢でございますし、私どももそういうふうに伺っておるところでございます。
東門委員 確認作業結果についてなんですが、その報告書の冒頭に、事業者により藻場の移植作業が実施されてきたというくだりがありますが、国は、現在実施されている藻場移植を、実験ではなく、既に事業実施中の作業の一つと位置づけているのでしょうか。
武田政府参考人 私ども、藻場の移植実験というふうに認識をいたしております。
東門委員 なぜこのような質問をするかと申しますと、実は、ある研究者が次のような感想を話されているのですね。
 私の本意は、泡瀬干潟という沖縄最大の藻場を埋め立てるには、移植の可能性を探る必要があり、これまで移植の成功例がないことから、失敗に終われば貴重な藻場を攪乱することは承知で移植実験を遂行し、モニタリングを続けてきたつもりでした。また、まだ実験は継続中と認識しております。現段階ではおおむね順調となっていますが、今後、よい方向に向かうか悪い方向に向かうかは全く予想がつきません。バックホーによる移植実験が成功すれば、これは世界的にも最高の技術となるでしょうが、海草学者の現段階の判断では、成功とも失敗とも言えませんと申されているんですね。
 このような議論が環境監視・検討委員会でなされたのでしょうか。それとも、これは事務局側の認識とは全く違った感想かどうか、お聞かせください。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘の御発言が、どなたの、またどういう場で行われたものか、ちょっと私ども承知しておりませんが、私どもが聞いておりますのは、二月二十二日に開催をされました環境監視・検討委員会におきまして、専門家の方々あるいは地元の方々で、公開の場で御議論がなされ、その結果、海草の生育状況はおおむね順調である、また、機械化による海草の移植は可能である、ただ、今後ともモニタリングをしていくことによって移植技術が向上するものと判断できる、そういう結論が得られたというふうに承知をいたしております。
東門委員 今おっしゃっていましたように、藻場の移植作業については、二月二十二日に開催されました環境監視・検討委員会において、移植はおおむね順調である、移植は可能との評価が得られている、そういう文言が事業着工の切り札となっているようですね。確かにそうだと思います。
 環境監視・検討委員会において、委員の中から、最低でも一年は移植の経過を見てほしい、そういう意見はなかったのでしょうか。
武田政府参考人 お答えを申し上げます。
 個々の委員の方の詳細な発言につきましては、まだ議事録ができ上がっておりませんので、ちょっとここで私もすぐお答えすることは差し控えさせていただきます。
 いずれにしても、委員会としての結論が得られたのは、先ほど申し上げたとおりということでございます。
東門委員 すぐこれは答えられると思うんです。議事録ができていなくても出てくる答えだと思うんです。そういう意見はありませんでしたか。かなり強く出たと思うんです。そういうふうに聞いています。どうなんでしょうか。
武田政府参考人 私どもの承知しておりますところでは、モニタリングの必要性ということについて御意見が出てこういう結論になったというふうに承知をいたしております。
東門委員 委員の中では、かなり懸念する声が上がったと聞いております。やはり今のままでは、これでおおむね順調、移植は可能というふうには決して出ていないのではないかなという思いがあってお聞きしました。議事録ができましたら、ぜひ見せていただきたいと思います。
 環境監視・検討委員会では、委員による調査ではなくて、事務局サイドあるいは事業者側の提供したデータに基づくデータ解析を行ってきたというふうに聞いております。資料を見るのは、大抵はその日、当日ですね。あるいは、一度だけ前々日にもらったことがあるが、ほとんど読みこなせないというふうな発言をしておられる方もいらっしゃるんです。それは事実でしょうか。環境監視・検討委員会がしっかり調査検討し、その意見が反映されているのかどうか、本当に心配になりますが、いかがですか。
武田政府参考人 この環境監視・検討委員会の開催に先立ちましては、ワーキンググループをつくっておりまして、ワーキンググループ、学者の先生方から成る専門家のチームでございますけれども、現実に現場に潜って事実関係を確認し、それを報告書として取りまとめてこの委員会に諮り、皆さん方に御説明をしてこういう結論が得られたというものでございます。
東門委員 といいますと、委員の先生方、皆さんがそのワーキンググループで同じように現場に行き、チェックをし、そして報告書をつくり、そこで検討するということではないですよね。何人かのワーキンググループの皆さん、それは委員の皆さんが入っているかどうかわかりません、多分何人かでしょう、行って報告する。では、残りの先生方はそこでしか資料はもらわない。専門的な知識が、本当に専門の方だったらちょっと見ればわかるかもしれません、もし私でしたら全然わからないと思います。
 行政のあれはよくわかるんですけれども、本当にこれだけの資料を一日で持ってきて、はい、ここで、これで審議しますということが時々あるのをよく知っていますけれども、そういうことだったのかと。そうすると、とても大事な委員会で、本当にたくさんの資料をその場で審議してくださいと言われても、ちゃんとした正しい判断で正しい意見が言えるのか、とても疑問に思うんです。そういうことを私はお聞きしているんですが、どうでしょうか。委員の先生方は、ちゃんと前もって出された資料を読みこなして場に臨むということができたのでしょうか。
武田政府参考人 委員の方々に資料が何日前に配付をされたのか、ちょっと今、私把握をしておりません。
 ただ、少なくとも、委員の先生方は非常に皆さん熱心に資料を読み、またそれなりに御自身で勉強されてこの会議に臨んでおられるというふうに理解をいたしております。
東門委員 今の御答弁から、十分な時間を与えた、十分な時間があったというふうに私は理解したいと思います。ぜひそうでなければならないと思います。とても大事な検討委員会だと思います。その場で多くの分厚い資料を渡されて、こうこうです、あるいはどなたかが報告をして、こうでしただけでは済まされないものだと思います。ちゃんとわかって判断をする、そういう意味でも大事なことだと思いますので、ぜひ今の局長の御答弁が、時間はたっぷりあったというふうに理解したいと思います。そうですね。
武田政府参考人 いつ資料ができ上がり、いつ委員に配付され、どういう形だったか、ちょっと私、今ここに把握しておりませんが、いずれにしても……(東門委員「いや、いいんです。いつじゃなく」と呼ぶ)委員の皆さん方にはよく御理解をいただいて、よく勉強していただくということを私どもとしても心がけてまいりたいというふうに思っております。
東門委員 いや、いつとかなんとかじゃなくて、ちゃんと十分な時間があったのですねとお聞きしたんですよ。ぜひ、そうでなければ困りますということを申し上げたいと思います。
 泡瀬の干潟、先ほど大臣は着工の話もなさいましたけれども、やはり第一区域の方はもう着工するというふうなお話です。私は、昨日赤嶺委員も質問の中でいろいろ話しておりましたけれども、泡瀬の干潟、沖縄でもう本当に一つ残っている大きな干潟なんです、とても大事なところです、私たちの財産です。そこを埋め立てて、将来、この今の小泉政権の中でこれが行われた、これが計画され、実行されていったということで、大きな禍根を残したくないと思います。私もあのとき国会にいて頑張ったんだけれども、だめだったのよという言い方にはしたくないという思いで今おります。
 環境監視・検討委員会の先生方の御意見も、確かに、委員会の中での発言あるいはワーキンググループのその場だけの発言は大事なことなんですが、その外でもいろいろ、わからなかったこと、気づかなかったことを申し上げたんですが、もう取り上げられなかったというような意見も聞こえてきます。そういう意味では、私は、着工判断はやはり大臣にぜひお願いしたい、もっと検討する時間を持っていただきたい、委員の先生方も検討する時間が余りなかったかもしれないという思いがあります。信じないという意味ではないんですよ、ただ、時間を与えられなければどうしようもない部分があると思います。それを申し上げておきたいと思います。
 質問を変えたいと思います。大臣にお伺いいたします。
 大臣は人材育成に対してとても関心を持っておられまして、私もきのうからこの場で大学院大学についての構想を語っておられるのを聞いておりますが、本当にすばらしいことだと思います。そういうことで、もう一つ、人材育成について私も提言という形でさせていただきたいと思います。
 実は、ロースクール、これは法科大学院ということが今文部科学省の方で出ていると思います。ロースクールでは、米国式の法科大学院を設置して法曹界の人材輩出を図るということで、文部科学省の計画が出されております。琉球大学もそれに名乗りを上げています。隔絶した離島県の沖縄から他府県の法科大学院に進学するには地域的、経済的アクセス障害がありますし、大きな米軍基地から派生する特有の問題、独自の社会的、文化的、歴史的問題に対応するためにも、多くの法曹を沖縄において養成する必要があると思われます。
 沖縄は戦後、弁護士不足を補うため、特別な措置によりまして弁護士を確保した歴史、布令弁護士と呼ばれていますが、そういう歴史があります。これらの方々も本当に活躍されたんですが、御高齢となっております。そういうことから、弁護士の不足が現在以上に顕著に出てくるものと予想されます。
 そういう状況の中で、県民の権利保護のため、沖縄に若い弁護士の輩出を促すために、琉球大学への法科大学院の設置はぜひとも必要なことと思われますが、尾身大臣のお力もぜひおかりしたいと思います。若い人たちに夢を与える、希望を持って勉学にいそしむことができる、そういう観点から大臣の御所見を賜りたいと思います。
尾身国務大臣 この法科大学院につきましては、昨年の六月に、司法制度改革審議会の意見書にその基本方針が示されているところでございます。これによりますと、法科大学院は平成十六年の四月から学生受け入れ開始を目指して整備されるべきであるということになっておりまして、内容や設置認可の基準等、設置に向けた具体的検討が現在文部科学省及び司法制度改革審議会等で行われているところでございます。
 琉球大学におきましても、ことしの二月十九日から学内に法科大学院設置検討委員会を設置して、その設置についての検討を進めると聞いております。
 私としては、沖縄振興の観点から、沖縄にも法科大学院が設置されることが望ましいというふうに考えております。昨今、名目だけの大学院とか大学ではなしに、本当に実力の伴った人材が出ないと日本としても沖縄としても困るというふうに考えておりまして、私自身も沖縄の法科大学院につきましてはできるだけの御支援をしていきたいと思いますが、中身をしっかり充実して、どこから見ても大丈夫のような中身にするべく、関係者は全力で努力をしていただきたいと考えております。
 沖縄だけは甘い基準にするというのは、長い将来から見ると必ずしも好ましくない、そういう思いで、心配をしながら、前向きに検討したいと考えております。
東門委員 心配をしながら。いや、心配をなさらないでもいいように、やはり中身のあるしっかりとしたものをつくって、県知事を初め琉球大学の学長あるいは法曹界の皆さん一緒になって、検討委員会ですか、実行委員会というのか、ちょっと名称を忘れましたけれども、それをつくって、頑張っていくということです。
 特に沖縄の場合は、ずっと沖縄の基地の問題を話されておりますが、基地から派生するいろいろな事件等がございます。それは、やはり沖縄で、実際にそこでそういうことに関して学ぶ、法律の観点からも学んでいくことがとても大事だと思われます。そういう意味でも、ぜひ大臣のお力も、前向きに検討されるということでしたので、お力添えをいただきまして、沖縄に設置できるようにお力をかしていただきたいと思います。
 次に、とても気になっている記事が実は一月二十五日の朝刊に出たんですが、今まで、どうしたものか随分迷いながらきょうまで来ました。やはり質問をさせていただきます。
 これは、「米軍、建設計画認める 対テロ訓練施設」と。対テロ訓練施設の件です。これは、「在沖米陸軍の特殊部隊(グリーンベレー)が、県内の海兵隊基地施設内に対テロ訓練を目的とした都市型訓練施設の建設を進めている」ということが報道されておりました。それは、陸軍の方では施設建設の計画があるということを認めたという報道です。場所については調整中と言われているようですが、大臣、そのことについてお聞きになっておられますか。グリーンベレー、特殊部隊ですね、それが海兵隊の基地施設内にそういう、いや、大臣もぜひお答えいただきたいと思います。基地の問題であれ何であれ、沖縄担当はすべてカバーする、していると思います。
尾身国務大臣 同じ質問を現在私もしたいと思っております。
東門委員 ああ、そうですか。では、済みません。
嶋口政府参考人 その件につきまして、米軍の方に照会しております。私ども、早く教えてくれということですが、残念ながら、いまだ答えがないということでございます。
東門委員 一月二十五日に新聞で報道されているんですよ。もう三月の十九日です。それまで、照会して返事が来ない、これはごく普通にあることですか。こんなに時間がかかるんでしょうか。
藤崎政府参考人 お答えさせていただきます。
 ただいま東門委員の御指摘の施設でございますが、私ども承知しておりますのは、特にテロを対象とした施設ではございませんで、多くの米軍施設・区域にある通常の都市型の射撃訓練施設であるということでございます。こういう施設につきましては、また新たな施設ということではございませんで、既存のものの代替を今建設中ということのようでございますが、詳細については、施設庁長官の方から申し上げたとおり、米側に照会中でございます。
 ただ、全体としては、今私が申し上げたようなことというふうに御理解いただければと思います。
東門委員 確認だけ。対テロ訓練施設ではないということでしたよね、たしか今、局長のお話は。
藤崎政府参考人 私が今申しましたのは、本件施設は特にテロを対象とした施設ではなく、多くの米軍施設・区域にある通常の都市型の射撃訓練施設、こういうふうに理解させていただいております。
東門委員 そのことに関連しまして、那覇防衛施設局の山崎局長は定例の記者懇談会で話しているようです。今、局長は確かに新たな施設ではないとおっしゃったのですけれども、都市型訓練施設、これは対テロ訓練施設とはっきりアメリカが認めたということで多分書かれていることだと思うのですが、米軍が新たな施設を建設する場合は、外務省や施設局に相談があるだろう、詳細を把握し、適切に処理したい、そう述べて、今米軍が建設を強行することはないという認識を示したと。
 お二人の今の御意見と一致しているとは思うのですけれども、それは間違いありませんね。ちゃんと通報が来て、報告が来て、それでやりますよということが来てからなるのでしょうか。お願いします。県民の頭越しにはしないということだと思うのですが。
嶋口政府参考人 山崎施設局長がそのようなことを記者懇で述べたことは承知しております。ただ、いずれにいたしても、今北米局長から答弁ありましたけれども、詳細についてはわかりませんので何とも申し上げられないところがありますが、もちろん、地元の皆さん方のいろいろな考え方については私どもとしては最大限配慮してまいりたいと考えております。
東門委員 北谷のドラム缶の廃油の問題について、この間も質問しましたけれども、その後、原因者は特定できたでしょうか。そして、分析をしているということでしたが、その結果はどうなっているか。結果が出ているかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
嶋口政府参考人 この前申し上げたとおり、メイモスカラでございますし、大量でございますし、また証言等もございますので、私どもとして、ほとんど米軍に起因するものであると思っています。ただ、一方的に決めつけるわけにはいきませんので、米軍の方に照会していますが、記録がないということで、まだ返事がございません。したがって、特定できていないということでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、北谷町初め県の方も非常によくやっていただいて、今のところきちんと保管ができているということでございます。非常に心配したのは有害物質かどうかということでございましたけれども、県の方で最終的に結論を出していただいて、有害物質は含まれていないということでございます。
 それから、最終的な処理につきましては、若干の微調整が北谷町の皆さんとの間に若干残っているという状況でございます。
東門委員 それを今保存している沖縄市の方では、早く出してくれ、どんどん言っているようですけれども、なかなか動かない。そういうのもとても不思議なことだなと思うのですが。
 原因者は多分米軍だろう、しかし一方的に決めつけるわけにいかないから、あそこからのあれを待っているというのですが、一月ですよね。
 外務省さんに伺いますけれども、そういうことに関しては本当に、事件、事故の通報と同じように、こういうことも早目の通報が求められていると思うのですが、どうでしょうか。
藤崎政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、こういう問題は国民の生活の安全等にかかわる問題でございますので、非常に速やかな連絡がとられるべきものと考えておりまして、私どもも、そういう方向に従いまして今後とも努力をしたいというふうに思っております。おっしゃるとおりだと思います。
東門委員 通報体制の迅速化というのかな、それはもう九七年のときだったと思います、覚えておりますが、アメリカ側が、少女の不幸なああいう事件の後、私も訪米いたしました。そこで、通報体制はしっかりと早目にするようにしますという、アメリカ側はカート・キャンベルさんの答弁があったのですが、その後、ちっとも変わっていないのかなと。では、通報体制というのはうまくいっていないのかな、早目な連絡がないのかなと不思議なのですが、局長、どうなんですか。改善されたのでしょうか。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 二〇〇〇年の九月に、当時の河野外務大臣、先方はパウエル国務長官、それから防衛庁長官といたしまして虎島長官、先方はコーエン国防長官、この四者の間で会議をいたしまして、その際に、環境原則に関する共同発表を発出いたしたわけでございます。この環境に関する共同発表の中で、速やかな通報、連絡体制ということをうたっておりますが、私どもは、本件が単に言葉だけでなく、きちんと実現するように、今後とも鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。
東門委員 局長の答弁を聞いていると、いつも同じなのですね。だから、そういう意味でも地位協定、ここで地位協定の話をしている時間はきょうはもうないのでよしますけれども、そういう意味で、運用の改善とか、あるいは言葉だけのものではだめなのですよ。ちゃんと明文化できるように、北米局、担当として頑張っていただきたいと申し上げているのです。ぜひそういうことにも、通報体制、これはやはり国民の安全、安心、そういうものにかかっていることだと私は思いますから、日米地位協定の改定も視野に入れて、ぜひ交渉を続けていただきたいと思います。
 そろそろ時間ですので終わりますけれども、今回の沖縄振興新法、最後にお願いしたいと思います。
 十年の期限を切っての法律ですね。それに基づいて、いろいろな計画が出てくる、振興計画が出てくるということですが、ぜひ国の方としては、県からの要望、市町村からの要望、しっかり聞いていただきたい。そして、それはもちろん知事が作成し、主務大臣の同意を得るということになっているようですが、その中で、スタッフの皆さんから、最終的には大臣のオーケーが要るわけですけれども、ぜひ声に耳を、本当にニーズがどこにあるのか、この法律がどうすれば生きるのか、法律はつくった、だから感謝しろということではなくて、このできた法律が本当に県民の平和で豊かな沖縄県づくりに資するように、そしてまた、真っ先にうたわれています経済の自立、この三十年間かかってもできてきていない、その経済の自立がこの十年で大きく伸びた、本当にここまでやってきたかと言えるような、そういう、法律に基づく振興計画をつくっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
萩野委員長 どうも長時間、御審議ありがとうございました。
 次回は、明二十日水曜日午前七時五十分理事会、午前八時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十九分散会

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