衆議院

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第4号 平成15年3月20日(木曜日)

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平成十五年三月二十日(木曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 金田 英行君 理事 西野あきら君
   理事 谷津 義男君 理事 吉川 貴盛君
   理事 川内 博史君 理事 三井 辨雄君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      小渕 優子君    嘉数 知賢君
      左藤  章君    下地 幹郎君
      馳   浩君    松浪 健太君
      宮腰 光寛君    荒井  聰君
      近藤 昭一君    武正 公一君
      鳩山由紀夫君    丸谷 佳織君
      赤嶺 政賢君    東門美津子君
      金子善次郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           細田 博之君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君
   政府参考人
   (内閣府沖縄振興局長)  武田 宗高君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (環境省大臣官房審議官) 小林  光君
   政府参考人
   (沖縄振興開発金融公庫理
   事長)          八木橋惇夫君
   衆議院調査局第一特別調査
   室長           飯田 祐弘君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     左藤  章君
  武部  勤君     馳   浩君
  金田 誠一君     近藤 昭一君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     岩倉 博文君
  馳   浩君     武部  勤君
  近藤 昭一君     金田 誠一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官安達俊雄君、内閣府沖縄振興局長武田宗高君、外務省北米局長海老原紳君、環境省大臣官房審議官小林光君及び沖縄振興開発金融公庫理事長八木橋惇夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。
 沖振法改正案につきまして質疑を行わせていただきます。
 まず、本法案でございますが、電力の大部分を石炭火力に頼る沖縄の特殊事情があるとはいえ、石炭に係る石油石炭税の免税措置については、税の公平性の観点からいささか問題があるのではないか。電力構成の不均衡な状況がさらに悪化する可能性もある。これらの点を考えると、ゼロ税率ではなくて軽減税率にとどめる方が適当だと考えるが、沖縄大臣のお答えを伺います。
細田国務大臣 御指摘のような石油石炭税、全国的に新たな制度として課するときに、沖縄県において新しい石炭課税について非課税とすることは行き過ぎではないかという御質問でございます。
 沖縄の電力事情は、やはり本土九電力等の体制、そして大規模原子力発電所の存在、また石炭火力にしましても石油火力にいたしましても、百万キロワット以上の大きな能力を持ち、コストも安い現状と比較いたしますときに、離島も存在し、かつ石炭比率が高い、そして石油、石炭のいわば化石燃料火力に頼っておるという現状から見ると非常に難しい情勢でございまして、現に沖縄電力のキロワットアワー当たりの家庭料金は、いわゆる九電力の平均に比べましてキロワットアワー当たり八十六銭ほど高い現状でございます。
 そういった事情を考えますと、八〇%を石炭火力に依存しておる沖縄県において新たな税制を課するということは適当でないのではないかということと、それに加えまして、それでは一部でも負担させてはどうか、軽減税率でやってはどうかというお考えも理解はできるわけでございますが、そうしなければならないような格差以上の格差もございますので、この税は環境ということも念頭に置いていることは事実でございますが、やはり消費者に、一般家庭等にも大きな影響を及ぼす、また産業にも大きな影響を及ぼすコスト増大要因でもございますので、沖縄県においては非課税にしようという趣旨でございますので、御理解をいただきたいと思います。
武正委員 あわせて、この石油石炭税が、石炭が追加された、新たに課税ということは、これまで石油課税に偏重していた税収構造の是正が目的であり、そこには当然、ことしには京都議定書もロシアが批准をして発効といった、そういった二〇〇三年でございますが、CO2排出量が多い石炭エネルギーに対して抑制的であるべきだという環境面への配慮があるものと私は理解するわけです。先ほど大臣もそれについては触れられております。
 さらに、民主党は、温暖化防止等の環境問題対策の一環として環境税を創設すべきであると提唱しておりまして、これらの点を考慮すると、たとえ沖縄に限定したものであるとはいえ、石炭に係る免税措置は環境面への配慮にいささか欠けていると思われますが、いかがでしょうか。
細田国務大臣 これは、一つは歴史的な側面も申し上げたいと思いますが、第二次オイルショックのときに、ほとんど石油火力に依存していた沖縄の電力が、当時の石油価格の高騰によりまして、本土の電力に対して異常なコスト高、そして沖縄県民における負担、消費者物価の上昇等につながるということで、極力価格を抑えましたものの、沖縄電力が債務超過に陥るほどの、現に昭和五十五年度には陥ったのでございますが、そのような状況を踏まえ、国策といたしましても石炭火力の導入を促進してまいりました。不安定な石油よりは石炭火力のような、オーストラリアその他の国々に依存する方がいいのではないか、非常に安定的な供給源となるのではないかということで石炭を導入しております。
 それが、京都議定書等の温暖化という問題がその後に起こりまして、炭酸ガスを減らさなきゃならないということで見た場合には、石炭も石油もほかのものにかえた方がいいという価値観の転換が起こったということもございます。
 したがいまして、そう急にはなかなかかえられない面がございます、今の能力で沖縄の電力を賄っておりますから。しかしながら、長期の問題として、より環境負荷の少ないLNG等の発電の導入もしようということで今検討が行われておりまして、平成二十二年度以降の運転開始ということであればLNG発電も採用できるのではないかという具体的な検討に入っているほか、風力発電や太陽光発電等も行われ、実施されておりますが、これはまだ試行的段階で、十分な規模に至る見通しがついているわけではございませんが、そういったことが大切であるということは、全国的に必要であるということは当然のことでございます。
 以上でございます。
武正委員 LNGは平成二十二年以降、それから新エネルギーは検討中で、検討というか試行段階といった御答弁でございます。
 さて、今回のこの税が四年間の時限措置というのは、やはり税の特例措置の一般例から見ていささか期間が長過ぎるという印象を受けますが、四年間とする根拠もお伺いいたします。
細田国務大臣 この措置がそもそも平成十五年十月一日から始まるわけでございます。そこで、沖縄振興計画の計画期間は十年なのでございますが、沖縄振興法に基づく租税特別措置については、例外なく、平成十九年の三月三十一日を適用期限としておりますので、これに合わせて、おっしゃるような免税措置の期限を決めたわけでございます。
 もちろん、これの結果、実際に今後のエネルギー情勢というのは、石油をめぐる情勢とかあるいはエネルギー全体をめぐる情勢等でコストも大いに変わってまいります。本土の電力企業との価格差の問題も今後見ていかなきゃなりません。余り過大な負担を一般家庭に及ぼすわけにもまいりませんし、電力構成が違うので今後いろいろな変化が見通されるわけでございますが、とりあえず、この非課税措置は、今の大きさというのはそれほど大きなものではございませんので、三年半の措置としてとらえているわけでございます。
 その後の判断というのはまたその時点で考えなければならないと思いますが、特段の変化がない限りは続けていこうという議論はございます。
武正委員 先ほど来、環境面あるいは新エネルギーということを大臣も盛んに言っておられますが、民主党は沖縄ビジョンを昨年発表いたしましたが、その中で新エネルギーの、特に沖縄は島でございますので、また周りの自然環境がやはり沖縄の何といってもセールスポイントでございます、そういった意味では、やはり隔離をされた、クローズドな島ということで、ここを自給自足の、新エネルギーのモデル県にできないだろうか、これを民主党の沖縄ビジョンでも提言しているんですが、先ほど幾つか大臣も触れておられますが、大臣としての決意として、沖縄はこうあるべしといった点についてはいかがでございましょうか。
細田国務大臣 新エネルギーについては、政府を挙げて取り組みをしているところでございます。その新エネルギーについてあるいは代替エネルギーについても取り組みの歴史は長くて、第一次オイルショック以降ですから三十年以上かけてやっておりますし、最近では、特に水素エネルギーあるいは燃料電池、そしてもちろん太陽光、風力を初め地熱とか、できるだけ温暖化負担の少ないエネルギー開発について取り組んでいるわけでございます。
 私自身も科学技術担当大臣を兼ねております。科学技術予算におきましては、非常に力を入れて重点四分野というものを設定いたしております。そして、その一つが環境エネルギーでございます。あとの三つを言うと、バイオテクノロジー、ライフサイエンスの分野、それからナノテクノロジーの分野、それからITの分野でございますけれども、その四分野の一つとして開発を進めております。
 ですから、できるだけ早く代替エネルギー、新エネルギー開発を進めたいのでございますが、残念ながら、現在の既存の技術に直ちに、たちどころにかわるような大規模な技術開発がまだめどが立っておりません。風力、太陽光等も今いろいろ着手されておりますが、沖縄県において、今発電の比率でいいますと、風力が〇・一%、太陽光が〇・〇一%でございます。全国的に見てもそうでございますし。
 もう一つは、コスト面でまだまだ既存のものに太刀打ちができないわけでございますので、これらを余り大量に導入しますと、むしろ電力料金面で極めて高いものになるという問題もあるわけでございますが、おっしゃいますように、できるだけ炭酸ガスの排出という地球環境に対する負荷のないエネルギーをつくり出す発電をいたすということは人類共通の課題でございますので、ぜひともその方向に沿ってまた技術開発等を進めてまいる必要があると考えております。
武正委員 私は沖縄担当大臣として聞いたんであって、今のような、日本全国押しなべてという話ではなくて、今回この石油石炭税についての免税、しかもゼロ税率という、先ほど来の三問の質疑を踏まえて、沖縄担当大臣としてこういった新エネルギーのモデル県として取り組むことへの決意といったことを再度伺います。
細田国務大臣 先ほどは、なかなか、全国的に見て、今取り組んでおるけれどもいま一歩だというお話をしましたけれども、沖縄において、御提案のようなモデル県として、他に先駆けてできるだけそういうものをふやしていくということは非常に有意義なことではないかと思います。過去にも、沖縄は海洋県ですから、波力とか海の潮流、そういうものも使って発電ができないかという構想も随分あったわけでございますが、なかなかそういうエネルギーをうまく取り出すというところまで至っておりませんが、そういった研究もあるいは必要ではないかなと思っております。
武正委員 大学院大学も沖縄担当として積極的に進めていかれるといったことも聞いておりますので、沖縄の特性を生かした自然エネルギーにこうした大学院大学も当然関与をしていくべきだろうといったことを申し述べまして、次に移らせていただきます。
 きょうは経済産業省からもお見えでございますが、対イラク攻撃が迫っているという中で、一バレル三十ドルを超えるような価格で原油価格の高騰といったことも言われておるわけでございますが、IEA二十六カ国の加盟国として、日本は特に原油価格の高騰に対してどのような対応をされるのか。原油備蓄には国家備蓄と民間備蓄がございますが、それぞれどのようにお考えになっておられるかお答えいただけますでしょうか。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。
 石油備蓄の放出につきましては、石油供給の途絶またはそのおそれがある場合には、IEA加盟国とも協調して適切な対応を敏速に講じてまいりたい、そんなふうに考えております。
 実際の備蓄石油の放出に当たっては、民間備蓄は国家備蓄に比較して速やかに市場に流通させることが可能でありますが、実際の取り崩しは石油の所有者である民間事業者にゆだねられるため、必ずしも供給量の増加をもたらさない可能性があること。一方、国家備蓄は敏速性では民間備蓄放出に劣るものの、確実に市場に供給量を増加させることが可能であるといった特徴がございます。
 今後の備蓄石油の活用につきましては、このような国家備蓄、民間備蓄、それぞれの特徴を踏まえつつ、またIEAによる国際協調放出を原則として、石油供給の不測の事態となった場合には積極的に対応してまいります。
 以上です。
武正委員 私も昨年、沖縄の沖縄ターミナル石油ですか、あるいは沖縄石油精製、これも見てまいりました。実際、消防法の規定があって、タンクのうち二割ぐらい空きスペースを置いておかなきゃいけないとか、そういったところも実は規制緩和で日本はその分の備蓄をふやせるんではないか、こういったことを求める声もあります。実際また民間の方も、民間としてやはり国家備蓄と同じような備蓄量を協力もしている、ある面。そういったところもあるわけで、今回、報道では国家備蓄を先に放出と。前回、湾岸のときですか、四日ほど民間備蓄の備蓄量を取り崩した、そういった経緯もあるんですが、今、国家備蓄優先というような報道がある中で、やはり民間側からもさまざまな声が上がっているのは確かでございます。これは桜田さんも御承知のことだと思います。
 そこで、これは日経の社説、三月四日にも出ておりますし、あるいはまた、これは昨年やはり民主党の沖縄ビジョンで、沖縄を東アジアにおけるエネルギーの拠点にしよう、先ほど新エネルギーのことも言いましたが、東アジアのエネルギーセンターへという提言をしております。特に沖縄の地理的特性と既存の備蓄能力を生かし、東アジアにおける原油備蓄基地としてのエネルギーの相互依存連携を進めるというような形も提言をしておりまして、今般、対イラク問題に関する民主党のプロジェクトチームでも、今後の対応については石油の共同備蓄体制の強化というものを打ち出しております。
 実際、今アジアでは、韓国が、IEAの加盟といったことも踏まえて、この備蓄を義務づけられるといったことへの体制を急いでおりますし、台湾、そしてまた中国も五カ年計画で原油備蓄を打ち出しております。私もおととし、当時、朱鎔基首相とお目にかかったときにこの点を提起した経緯があり、中国としてもこれからはもう原油の輸入国に、しかも、大体今日本が年間二億五千万トン、中国が一億トンですが、早晩日本を追い抜く、そういった原油の輸入国になるというふうにも言われておりますので、実は、このアジアにおける原油の備蓄体制、そしてまたIEAでは、相互に備蓄を持ち合って、備蓄ができないところの分を補おうよという話もあるわけですね。
 そんな中、日本は、先ほど言ったように、例えばタンクは二割は空きスペースがあるとか、あるいは、沖縄も見てまいりましたけれども、実際、備蓄タンクが空のままになっている状態もあったり、あるいは、まだまだスペースもあるといったことからいうと、日経でもことしになってかなり書いておりますが、この東アジアにおける共同備蓄体制の構築、これについて経済産業省はどのようにお考えになりますでしょうか。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 アジア地域は、経済発展により急激なエネルギー需要の増加が予想されているところであり、エネルギーセキュリティー、とりわけ石油に関するセキュリティーの確保は重要と認識しているところでございます。
 アジア地域の石油備蓄の現状につきましては、日本、韓国がIEAに加盟し、IEAの基準である九十日以上の備蓄を保有しているのみであり、日韓以外の各国における石油備蓄を推奨することは重要な課題であると認識しております。
 こうした認識に基づき、昨年九月に我が国が主催した日中韓ASEANエネルギー大臣会合において、ASEANプラス3エネルギー協力が合意され、石油備蓄推進を図ることとされておるところでございます。具体的には、韓国とともに、石油備蓄についての経験やノウハウ等を、セミナーや二国間対話を通じ、中国やASEAN諸国に対して積極的に提供してまいりたい、そう考えております。
武正委員 沖縄大臣、先ほどから新エネルギーのモデル県といったことも民主党は提案をしておりますが、あわせて原油の備蓄基地がある。しかも、お隣の台湾あるいは中国は実はスペースがなくて原油の備蓄基地が、例えば中国はあれだけ沿岸が長いんですが、遠浅の海がないものですから実は備蓄基地がつくれないといったこともあります、今度、江蘇省に二〇〇五年稼働ということで計画はしておりますが。実は、そういった地理的な特性からいうと、沖縄あるいは日本は非常に優位性がある。しかも韓国は、IEA加盟で九十日。こういった中、これはもうASEAN各国も非常に困っている。やりたいんだけれども財政的にできないという、そういった事情であります。
 この沖縄の地理的な特性を考えて、この備蓄拠点といったことの優位性あるいは可能性、沖縄担当大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
細田国務大臣 もし御提案のような、アジアにおける原油備蓄基地を沖縄に置くというようなことになれば、沖縄の経済のためにもなりますし、最もアジア諸国に近い沖縄県を活用して、アジア地区のエネルギー供給体制にもいい影響があると考えますので、もし各消費国が、例えば自分の輸入した油を預けるということに合意をし、そのためのコスト負担もする、あるいはそのために必要な資金をどういうふうに、援助するのかしないのかというようなこともあるでしょうし、緊急の場合にどういう基準で、緊急というのは足りないわけですから、その足りない場合に、預けてあれば当然それは持っていくということなんでしょうが、そういう国家間の約束さえできれば、IEAでも推奨している国際的な融通措置ということでもありますので、非常に有益ではないかと思っております。
平林委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
平林委員長 速記を起こしてください。
 理事間の協議によりまして、武正公一君の残余の質疑は後刻に行うことといたします。
 赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 今日の情勢を反映してちょっと質問が変則的な形になっておりますが、私の方から先に質問をさせていただきます。
 急なことなので、私の答弁者がまだ何人か到着がおくれているようでありますので、質問の順序を変えまして、最初に細田大臣に、十五年使用期限問題についてお伺いをいたします。
 私たちは、繰り返し申し上げていますように、普天間基地の移設について、十五年の使用期限がつこうとも、これは建設は反対であります。同時に、そういうことを前提にして十五年問題を質問いたしますけれども、これはもう県民に全く理解されておりません。
 小泉総理は、参議院の本会議で、閣議決定に従い、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍の兵力構成などの軍事態勢についてアメリカ政府と協議していく考えであり、国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねたい、このように答弁しておりますが、現在の情勢、イラク、北朝鮮、あるいはテロ問題、国際情勢は肯定的に変化しているどころか、悪化しているんですね。
 ですから、もう閣議決定の前提そのものが失われている。こういう中で、十五年使用期限の議論というのは全く空洞化しているのではないか、このように思いますが、大臣、いかがですか。
細田国務大臣 赤嶺委員が引用されましたような小泉総理の答弁、方針、これは堅持しておるわけでございます。これは再三確認をしておるわけでございます。
 ただ、現下の情勢が、間もなく十時でございますが、まさにきょうの十時を回答期限として、米・イラクの戦争問題に発展するかどうかというような現時点でございますが、これはいわば環境としては最悪の状況でございまして、この方針につきましては、今後そういう国際環境が安定をすることを前提にしながら、安定した後、速やかにこれをまたさらに進めていくという方針には何の変わりもございません。
赤嶺委員 そうすると、大臣、安定するまで十五年使用期限の議論というのは前進しないんだということですね、現下の国際情勢では。
細田国務大臣 そもそもその安定につきましても、これからの国際情勢のありようによって変わっていきますから、そう否定的にお考えいただかなくてよろしいのではないか。できるだけ私どもとしては前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
赤嶺委員 国際情勢は肯定的に変化しているんですか、閣議決定を出してから。悲観的にと言いますけれども、現在の認識どうなんですか。
細田国務大臣 きょう時点が最悪の状況であると思っております。
赤嶺委員 つまり、そういう肯定的な情勢の変化がない限り前進しないというのが閣議決定の性格なんですね。
 それで、私たち、私は基地の島で生まれて育ちましたけれども、子供のころから、極東の平和と安全が来ない限り沖縄の基地への米軍のプレゼンスは必要だということを言われ続けてまいりました。今、同じことを皆さん言っているんですよ、あの当時の米軍の占領官と。
 それで、ブッシュ大統領は何と言っているかといいますと、これは森総理のときですが、ブッシュ大統領は、困難な問題だ、国際情勢に照らして考えないといけない、米軍のプレゼンスは重要だ、こう述べているわけですね。彼らは非常に率直に現下の情勢をとらえて、今、十五年使用期限、こういうことを約束するのは困難だということを率直に表明しているわけですよ。これを政府は否定できますか。
海老原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員の方から、日米首脳会談におきます大統領の発言、使用期限は困難な問題である、普天間飛行場の移設、返還に関してはよく相談していきたいということを平成十三年の六月の会談において述べられたということを指しておられると思いますけれども、我々その後も、川口大臣からパウエル長官に、昨年の十二月のいわゆる2プラス2の機会、あるいは先月の二十二日に行われた会談、パウエル長官が訪日した際の会談におきましてもこの十五年問題に言及をいたしておりまして、パウエル長官からは、日本政府と緊密に協議を続けていくという趣旨の発言がございました。
 大統領が十三年六月に述べられたように、困難な問題があるという認識を米側が持っているのも事実だろうとは思いますが、同時に、この問題については引き続き日米間で協議をしていきたいという、いわば姿勢を米側も持っている、それは今も変わっていないということであると認識いたしております。
赤嶺委員 私は、今の米軍の姿勢にあるいはアメリカ側の姿勢に、半世紀変わらぬ沖縄の米軍基地へのプレゼンスの重要性を訴えているものを見ます。
 細田大臣、きょうが最悪だからこれから国際情勢はよくなるなんて、こんなことは、半世紀以上も基地を押しつけられた沖縄県民に通用する話じゃないですよ。沖縄を担当する大臣とは思えないような話ですよ。私は、これだけ県民から信頼されずに、空洞化している議論をごまかしながら続けるのではなくて、本当に、こういう最初の約束が守られない以上、名護への新基地建設は白紙撤回すべきだ、計画を撤回すべきだ、そして普天間基地を無条件に撤去すべきだということを申し上げたいと思います。
 それで、質問を泡瀬干潟に移します。答弁者との関係で私も質問を前に急がないといけませんので、よろしくお願いします。
 泡瀬干潟の問題は、繰り返しこの委員会で取り上げてきました。生物の多様性の問題、あるいは、自然環境の重要度が非常に高いというところから、この埋め立ては、承認の条件として、内閣府は環境監視・検討委員会を設けて環境への保全措置をとることになったわけです。ところが、その環境の保全措置をとるべき環境監視・検討委員会の中から、今回の皆さんの工事着工に対して厳しい意見書が提出をされて、そして、泡瀬の海草の専門家である専門家がお一人、辞任をしました。辞任をした先生は、結論を無視した着工で納得できない、こういうことを言っています。
 この泡瀬の海草の一番の専門家が辞任をされた、環境監視・検討委員を辞任された、このことについて大臣はどう考えますか。
武田政府参考人 事実関係について私の方から御説明を申し上げます。
 中城湾港泡瀬地区の環境監視・検討委員会でございますが、現在十五名の委員の方々がおられます。元来十六名でございましたけれども、このうち、ある大学の海洋生態学の専門家の先生でございますが、本年の一月、非常に多忙であるということで委員を辞任されたということでございます。
赤嶺委員 大臣、どう考えますか。
細田国務大臣 その方が辞任された具体的事情についてつまびらかにはしておりませんが、専門家が抜けてしまって専門性のある議論ができないのではないかというおそれにつきましては、残りの専門分野委員も、生態工学、水産植物学、陸生動物生態学、海洋工学、魚類生態学、海洋環境、環境評価等の専門家の教授、助教授もおられますので、その点の支障はないものと考えております。
赤嶺委員 大臣、環境保全という一番大事な仕事でこういう状態が起きている、専門家が一人辞任したぐらいで環境の保全は大丈夫だ、こんな認識で、泡瀬干潟の生物多様性だとか高度な環境の水準というのは維持できると考えているんですか。全くお話にならない答弁ですよ。
 それで、こういう事態がなぜ起きたかということについてちょっと説明させていただきますと、昨年の九月の環境監視・検討委員会、その直後に私も沖北で取り上げさせていただきました。そのときにはもう、海草の機械による移植の失敗は皆さんも認めていたわけですね。にもかかわらず、機械移植がだめなら手植え移植では可能だということで工事を着工いたしました。その手植え移植について、その評価をめぐって専門家の先生が一人辞職されたわけですね。
 お一人だけにとどまりません。今度の、この間の環境監視・検討委員会には、ほかの専門家からも意見書が出ています。その意見書、どんなふうに述べているかといいますと、例えば、やめられた先生について、琉大の教官ですが、やめられた先生は「メキシコで開催された国際海草会議に参加され、各国の専門家と海草移植について意見を交換されていただけに、彼を欠くことは本委員会にとって大きな損失である。」このように言っているわけですよ、「大きな損失である。」と。大臣は、いや、一人ぐらい欠けたって大丈夫だと言っている。ここに環境の専門家との認識の大きなギャップがあるわけですよ。
 彼はさらに、手植えについてこう言っています。「「手植え」移植でさえあくまでも予備実験の範疇にあり、なんら本格的評価の対象とはなり得ないのが実状である。」「事前通知なしに沖縄総合事務局の独断による埋め立て事業着工こそがボタンのかけ違いであり、これを小手先で取り繕っても事態は何も改善されない。」ここも環境監視・検討委員会の専門家の先生方の文書による意見なんですね。
 そして、もう一人の先生は、やはり意見書を出しまして、こう言っています。「前回の委員会では、これまでの試験結果から藻場移植の妥当性を判定するのは困難であり、来年まで様々な試験を試みなければならないという判断が下されています。委員の誰一人として、「手植えによって藻場の移植が可能である」とする判定を下していません。」このように言っているわけです。だれ一人として判定を下していない。お一人はおやめになり、残りの二人は文書で意見を出した。このぐらい皆さんの手植えによる事業再開というのは評判が悪いわけですね。
 それで、環境省は、皆さんのそういう態度を心配いたしまして、「埋立事業の藻場移植に関し、環境保全上配慮すべき事項について」という意見書も出ております。細田大臣も百も承知の意見書であります。
 この意見書の中では、十分な科学的根拠を明らかにした上で、藻場生態系保全の考え方を出してほしい、このように言っています。皆さん、これを作業しているようですけれども、専門家のこういう意見を無視して強行して、専門家と事業執行者である皆さん方との間にこれだけトラブルが起きて、どうして科学的な見識というのが担保できるんですか。担保できないじゃないですか、こんなことだったら。いかがですか。大臣、答えてください。
武田政府参考人 御説明申し上げます。
 まず、埋め立てにつきまして、昨年九月三十日の環境監視・検討委員会におきまして、手植え移植は、四年間の実験成果から、条件が整った場所においては良好な生育が確認され、適用性が高いという評価をいただいたところでございます。これを踏まえ、手植え工法で海上工事に着手をしたということでございます。
 また、環境省の方からは、いろいろ藻場の移植につきましてアドバイスと申しますか御示唆がございまして、私どももそれにおこたえするということで、例えば移植計画を作成するとかそういった形で、専門家の御意見も踏まえながら進めてまいったところでございます。
細田国務大臣 最近のこういう委員会の運営でございますけれども、もう最近は幾らでも例があるんですが、意見の相違は、委員の間で、専門家の間で幾らでもあり得ることですね。ですから、もう徹底的に議論を尽くしてその点をやっていただきたいと思いますし、それから、今はまだ仮の、試験をやっている、非常に小面積でのことをやっておって、その成果に対する評価もこれからのときでございますので、私としては、より積極的な御議論をいただきたいわけでございまして、議論をするな、もう方針を決めたからこうしろなどと言っているつもりはありませんで、むしろ、わしは意に沿わないからやめたんだというようなことをおっしゃったんでないと思いますけれども、これは御意見を十分御主張いただきたいなと心からそう思っております。
赤嶺委員 一般的に議論の中で私やめるというような、そういう問題じゃないんです。この方の専門家の知見が無視をされた。手植え移植についてはまだ評価は定まっていないというのは大臣もお認めでありました。しかし、事業を着工したんですよ。環境監視・検討委員会では、そういう事業着工の了解を与えた覚えはない、まだ手植えは実験段階だ、こういう見識が無視されたために、一人は辞表を出し、そして、内閣府の今の工事着工のやり方というのは間違っている、我々の助言を受け入れていないということになったじゃないですか。一般的にだれかがやめたとかという問題じゃないんですよ。
 皆さんが環境省から、環境の保全を科学的に十分根拠がある中身でやってほしいと言われたにもかかわらず、専門家がやめて、次々意見を出してくる、工事着工に対して意見を出してくる、ここに皆さんの大きな間違いがあると思うんですが、大臣はこの先生方の意見書や、そして辞任の意味についてまだ確認されていないんですか。
武田政府参考人 御説明申し上げます。
 環境監視・検討委員会、あるいはその下に設けられておりますワーキンググループ等において、専門家の間でいろいろな意見が交わされました。先ほど御説明申し上げましたように、それらを踏まえて、手植えについては、良好な生育が確認され、適用性が高い、なお機械化につきましては、委員御指摘のとおり、引き続きモニタリングを行うということにされたところでございます。
 この環境監視・検討委員会の意見を踏まえて、工事の着工につきましては、これは工事主体としての判断のもとに着工をしたということでございます。
赤嶺委員 ここに、私、環境監視・検討委員会の意見書を持ってきておりますけれども、「前回の委員会では、これまでの試験結果から藻場移植の妥当性を判定するのは困難であり、来年まで様々な試験を試みなければならないという判断が下されています。委員の誰一人として、「手植えによって藻場の移植が可能である」とする判定を下していません。議事録を再確認されることをお勧めいたします。このような事から判断し、事務局側が取った事業開始の条件は整ったとする判断は誤りだったと判断されます。」このように言っているんです。
 それで、皆さんは、そういう専門家の意見を次々に無視して、そして工事に着工しているという事態は隠せなくなってきております。もうボタンのかけ違いが始まっている、こういうことをこの問題で指摘しておきたいと思います。
 それで、その環境監視・検討委員会でワーキンググループがあります。そのワーキンググループについて、会議が非公開にされました。議事録を読んでみますと、非公開になった理由というのはマスコミの報道の問題だと指摘をされておりますが、私は、およそマスコミの報道を問題にするのであれば、どんな政府の会議でも公開できるものはないと思います。これが非公開の理由になるというのは驚きであります。何で会議を非公開にするのか。会議は公開すべきだ。そして、大臣はこれまで、いろいろなこの種の質問に対して、この問題は大事だから公開した会議のもとで進めていきたいということをおっしゃってきたじゃないですか。何で非公開にするんですか。
細田国務大臣 基本的には公開すべきだと思います。それから、非公開にした会議につきましても、現場で聴衆が入ってというようなことが審議に差し支えるような場面があるかどうかは委員会の判断ではございますが、しかる後に、会議を開催しました後に、例えば議事録で、今お読みになったとおっしゃいましたけれども、きちっとした情報公開をするのは当然であると思っております。したがって、今後とも、よほどの支障なき限り、基本的には公開を旨として運営するということは大切なことだと思います。
 ただ、その場の少人数の先生方ですから、やはり、本当の、自分たちの今後の方針について本音を話し合おうじゃないかというようなことで非公開にすることも全くないとは言えないのではないかと思いますが、これは、基本は先ほど申し上げたとおりでございまして、透明性の確保に努めることは当然だと思っています。
赤嶺委員 ルールをつくればいいんですよ、委員の側と傍聴者の側とそれからいろいろな者で。しかも、おしゃべりしているんじゃなくて、本音を話し合うといっても、科学的な知見を出し合うわけですね、実地調査を出し合うわけですよね。その議論を通してまた県民も科学的な知見を得ることができる、こういう関係ですよ。非公開にする理由は何もないんですね。
 それで、この間のワーキンググループの議事録についても私提出を求めましたら、きょう、この質問をやるまでにまだ本当に来ていないんです。皆さん公開公開と言いますけれども、本当に公開した論議ができない状態なんです。議事録の提出はちゃんとなさるんですか。
武田政府参考人 御説明申し上げます。
 ワーキンググループの会合につきましては、会議終了後、議事の概要を詳しく対外的に御説明し、公表しているところでございます。
 なお、ワーキンググループでございますので、特に議事録というものは作成をいたしておりません。
赤嶺委員 ワーキンググループの議事録はないということですか。発言の概要というのはちゃんと出されていますよね。
武田政府参考人 議事の概要というのは公表いたしております。
赤嶺委員 この一連の、工事着工のあり方が科学的な正確さを欠いたままどんどん前に進んでいく、環境省はそれに対して、本当に環境保全はなされているんですかという意見書を出す、そういうことをめぐって環境の専門家の間から、内閣府のやり方は間違っている、こういう意見がどんどん起こっている、こういう中で進められているわけですが、意見を出した環境省、来ておられますか。
 今のような泡瀬干潟の事業の進め方で、環境省は環境保全に万全を期している、このように確信することができますか。
小林政府参考人 環境省でございます。
 今御指摘のとおり、環境省といたしましては、昨年十月に内閣府に対しまして申し入れを行っております。
 その内容につきましてはもう御案内のとおりでございますけれども、計画の策定に当たって環境監視・検討委員会の指導助言を受けること、これに加えまして、実施に当たりましても、継続的なモニタリングを行い、常に最新のデータを踏まえ、適時、移植の正否を判断し直し、その結果を移植計画や事業計画に反映すべきという申し入れを行っております。
 そういうことでございまして、今後、事業者によりまして適切な環境保全対策が行われていきますよう、環境保全上の必要な措置につきまして引き続き注視してまいりたいというふうに考えております。
赤嶺委員 最後に、今の問題については環境省に対しても、あと一度、あと二度、環境省として意見書を出すぐらいの態度をとらなければ、内閣府の今のやり方では環境保全はできない、専門家を一人欠いても支障がないという大臣の認識のもとで泡瀬干潟の開発が進められているということを環境省にも強く申し上げて、環境省の責任も問われているということを指摘しておきたいと思います。
 それで、最初に予定していた質問なんですが、今、沖縄の米軍基地は非常に緊迫をしております。ベトナム戦争以来の米兵の派兵が沖縄から各地に行われている。基地にも外来機の飛来も多くなって、爆音、騒音、騒害も拡大をしている。こういう中で、沖縄県は、今のような情勢のもとで沖縄の米軍基地はどうなっていくんだという不安を外務省に対してその都度問い合わせをしているようであります。
 今日のイラクの情勢のもとで沖縄の米軍基地はどうなっていくのか、そして、従来とってきた警護体制のために、警察官の派遣だとかあるいはまた自衛隊の派遣とか、そういうことも考えているのか。これは外務省に。
 そして、細田大臣には、そういう沖縄の対策、きょうの沖縄振興法の一部改正についても、観光客の増大を図るということでありますが、根本の問題が解決されなければどんな対策をとってもびほう策に終わる。大事な対策ではあります。私も離島での生活が非常に長かったですから、離島便の軽減措置が非常に大事だということは知っております。同時に、やはり根本の問題で対策をとらぬといけない。さっき十五年使用期限も指摘をしましたけれども、同時に、今日のイラクの情勢のもとで内閣府は沖縄の基地にどういう対策をとろうとしているのか。
 外務省と細田大臣、答弁をお願いします。
平林委員長 質疑時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁願います。
海老原政府参考人 それでは、簡潔にお答え申し上げます。
 外務省といたしまして、現在、米国によって仮にイラク攻撃が行われた場合に、沖縄におきます施設・区域、特にその警護につきましてどのような影響があるかということにつきまして、確たることを申し上げるという立場にはございませんけれども、いずれにいたしましても、これは先年の九月十一日のときにもそうでございましたけれども、しかるべく警備体制に万全を期す、そのために、米国側はもちろんでございますけれども、警察等々の当局とも緊密に連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
赤嶺委員 済みません、答弁漏れです。沖縄県からの基地の問い合わせについてどう答えているんですか。
海老原政府参考人 今の御質問は、沖縄におります米軍の態勢の話でございましょうか。それにつきましては、昨日も私答弁申し上げましたけれども、米軍がどのような運用の状況になっているか、特に、あり得るイラクへの攻撃というものに関連してどのような軍の運用をとっているのかということにつきましては、我々は承知をいたしておりません。
 ただ、沖縄の方々がこういう状況におきましていろいろな不安を感じておられるということについては、十分承知をし、また理解もいたしております。
細田国務大臣 一昨年の九・一一テロのときの反省に立ちまして、今、早急に対応すべく県と協力をしております。
 県におきましても、各四十六都道府県の教育長あてに文書を発出し、旅行会社に対しても文書を発出しておりますとともに、内閣府といたしましても、一―三月の観光強化キャンペーンの実施に加えまして、特別調整費を機動的に活用いたしまして沖縄の観光をアピールしていきたい、具体的な修学旅行生確保緊急対策事業等を実施することとしております。
 今後の情勢によってもいろいろな動きが出てくると思いますので、できるだけ前回のようなことのないように措置してまいりたいと思っております。
赤嶺委員 終わります。
平林委員長 次に、武正公一君。
武正委員 民主党の武正公一でございます。
 委員長、理事の御配慮に感謝を申し上げ、また、茂木副大臣がお見えでございますので、質疑をさせていただきます。
 先般この沖北で、二月十八日の原口国連大使の国連での演説、私は、やはり突出をしている、そういう演説であったというふうに考えておりますし、また、政策的な演説であったというようなことを申し述べましたら、どこがあるのか指摘をしてくれというお答えもありましたし、また、英文和訳の相違を三点指摘し、一点目の御説明で私が時間を遮った経緯もありますので、きょうお見えをいただいたところでございます。感謝を申し上げます。
 まず、やはりこのときに、私が英文和訳で、ストロングプレッシャー、ストロングが訳されていない、ベリーリミテッドのベリーが省かれている、あるいはシリアスダウト、このシリアスが省かれている、三点を指摘したわけですが、私は、二月十八日の原口国連大使のやはりここがポイントだというふうに思っております。
 ちょっと和文、これは外務省発表のものを読みます。「これまでのイラクの対応が不十分であることは、十四日のブリックス委員長の報告でも再確認されています。したがって、単に査察を継続・強化しても、これまでのイラクによる消極的な協力姿勢が抜本的に改められない限り、大量破壊兵器の廃棄に結びつかず、査察の継続の有効性に疑問が生じていることは否めません。」この「疑問」というところのシリアス、重大な、深刻な、ここも実は抜いております。「今、最も重要なことは、国際社会が今後も一致団結した行動をとり、イラクに対し圧力をかけることであります。」この四行が、私は、ここの、原口国連大使の一番ポイントの文章だと思っております。今のこの「圧力」も、強い圧力のストロングを抜いております。この原口国連大使の、なぜストロングを抜いたのか、また、シリアスを抜いたのか。
 先般の原口国連大使の演説では、同じく、強い圧力ということで、ジ・エバー・ストロンガー・プレッシャーということで、丁寧に、御丁寧にジ・エバー・ストロンガーというふうに強めておりますが、やはり、このストロングプレッシャーのストロングを省いた点、あるいはシリアスダウトのシリアスを省いた点、ここの部分が突出した発言だから和訳では省いているのではないかというふうに私は思わざるを得ません。
 要は、このときの原口国連大使の発言は、もう査察をやってもだめだ、もう査察をやっても意味がないということを日本として国連の演説で高らかにうたった演説ではないか、外務省が突出をした。そして、実は国連での演説は、内閣がその演説原稿についてはきちっとチェックをする、ということは、小泉首相も当然理解の上での突出した国連演説、発言ではないかというふうに考えるんですが、茂木副大臣、御答弁をお願いいたします。
茂木副大臣 先日も委員の方に、政策的にもし大きな乖離があるんだったらお教えくださいと。
 ただ、表現でいいますと、必ずしも、日本語とそれから英語、これはインド・ヨーロピアン語族とウラル・アルタイ語族で同じ文法ではありませんので、完全に一対一の対比にはならない、こういうことでありますけれども、例えば、御指摘いただいた……(発言する者あり)申し上げます。静かに聞いてください。
 日本語の方で、一点目の、「査察の継続の有効性に疑問が生じていることは否めません。」英語の方は、ゼア・イズから始まります。もしこのまま訳すとすると、イット・イズ・ノット・ディナイアブル・ザットとかイット・イズ・アンディナイアブル・ザットというのから始まりまして、これは大変強い表現であります。否定することはできない。アンディナイアブル、ノット・ディナイアブル、これは大変強いわけであります。それが英語の方ではゼア・イズと、非常にシンプルといいますか、単純な表現になっています。その分、シリアスという言葉をつけた。プラスマイナスがありまして、すべてでそのまま日本語が英語にならない。例えば主語の後に述語が来るとか、そういう表現自体も違うわけでありますから、そこのところは御理解をいただきたいなと。
 先日もありました、例えば「もはやイラクに残された時間は限られていると考えます。」それがベリー・リミテッド・タイムだと。(武正委員「それはもうこの間聞きました」と呼ぶ)申し上げたいのは、日本語は「もはや」となっています。それに対しまして、英語の方はイラク・ナウです、今です。もはやと今でどちらが強いか、恐らくだれが考えてももはやの方が強い、これは明らかであります。それから、「イラクに対し圧力をかけることであります。」かける、こういう動詞形態といいますか、これからかけるという強い表現に対しまして、英語の方はコンティニュー・ツー・プットです、続くわけであります。
 そういうそれぞれを言っていきますと、一対一が比較できない、こういうことは御理解いただきたい。ただ、全体の強さとして、英語だけを強くして、日本語はやわらかい表現にしよう、国内向けと海外向けを使い分けている、こういうことは決してございません。
武正委員 私は、政策的なというお話だったので、再度そのことをまず冒頭申し上げたんです。国連演説で、査察をやってももう意味がないというふうにとられる四行ではないかと。そこでしかも、シリアスそれからストロングというものを強めて、非常に強く日本の主張をしている。これは、当時の外務大臣やあるいは首相の国会の演説とはそごを来している。
 十九日ですね、首相はこのときに、こう言っています。武力行使の決議を求めたわけではない、国際社会が一致協力してイラクに当たるということだ、誤解しないでほしいというふうに十九日言っているわけですね。首相が誤解しないでほしいとなぜ言うんでしょうか。やはりここの四行が突出した印象を与えている、しかもストロング、シリアスというふうな強い言葉を使っている、これについてお答えをいただきたい。突出しているのではないですか。
茂木副大臣 たしか私の記憶が正しければ、総理は二月の六日の日から、新決議の採択の必要性等々につきましても言及しておりますし、その段階で一貫して、イラクの査察への協力が不十分である、こういう表現を使っていると思います。その部分につきましては、「これまでのイラクによる消極的な協力姿勢が抜本的に改められない限り、」この部分とそごを来している、私はそのようには考えておりません。
武正委員 さっき言ったように、六日から、それは望ましいということで求めていますが、ここでは、もうこの四行は、査察をやっても意味がないですよという強い調子がこの国連演説である。(発言する者あり)いやいや、この四行が私はポイントだと思っているんです。しかも、その中で二つの大事な形容詞を和訳では省いている。この姿勢は到底私は理解ができない。外向けと内向けが違う。しかもその国連演説は、実は内閣が理解していたのではないかというふうに思うわけです。
 さて、続けて話を行きますけれども、国際法に照らしてこれは違法ではないか。きのう、菅代表が、アナン事務総長が国連憲章五十一条違反であると言ったことも例に挙げて首相に迫りましたが、首相からは明確な答弁がございません。国際法に照らして違法ではないかといったこの指摘については、どのようにお考えになりますか。
茂木副大臣 そのようには考えておりません。
 御案内のとおり、国連決議の六七八、六八七、そして一四四一、これらの決議はすべて、国際の平和と安全を回復するという明確な目的のために、武力行使を認めます国連憲章の七章のもとで採択をされたものであります。そして、イラクに対します武力行使を容認する権限でありますけれども、これは今申し上げた六七八、六八七、そして一四四一の存在、さらにその相互関連によって存在する、私はこのように今考えております。
 御案内のとおり、六七八でありますけれども、安保理事会がイラクをクウェートから排除するため及び、ここの部分が重要でありますけれども、同地域に平和と安全を回復するため、イラクに対する武力行使の権限を付与した。そして、停戦の条件を定めました六八七でありますが、安全保障理事会が同地域に国際社会の平和と安全を回復するために、大量破壊兵器を除去する継続的な義務をイラクに課したと。決議の六八七は、決議の六七八のもとでの武力行使の権限を停止しましたが、これを終了したわけではありません。そして、この六八七に対します重大な違反は決議の六七八のもとでの武力行使の権限を復活させるものだ、このように理解しております。そして、一四四一におきましては、御案内のとおり、安全保障理事会が全会一致で、イラクが六八七のもとで負っている武装解除の義務を完全には履行していないため、イラクは決議六八七の重大な違反をこれまでも犯し、また依然として犯していることを決定いたしたものであります。
 そこで、安全保障理事会でありますが、この決議の一四四一におきまして、イラクに対し、武装解除の義務を履行する最後の機会を与え、これを履行しない場合の深刻な結果につきましてイラクに警告をしたわけであります。安保理はまた、一四四一におきまして、いかなる時点においてであれ、イラクが決議一四四一の遵守及びこれの実施のための完全な協力を行わない場合、それはさらなる重大な違反を構成することを決定したわけであります。
 イラクがこのような遵守を行わなかったことは明らかでありまして、したがって、イラクは、決議一四四一の時点において重大な違反を犯しており、その後も継続して重大な違反を犯している。したがって、決議六七八のもとでの武力行使の権限は復活し、それは今日も継続をしている。
 そこで、もう一回、一四四一のことを安保理に持っていくか、こういう話でありますけれども、決議の一四四一は、武力行使の権限を付与する安保理のさらなる決定が必要であることを意図したのであれば、その旨を明確に規定すべきである、そうはなっていない。したがいまして、決議一四四一が求めているのは、イラクの不履行について、安保理に対してそれが報告をされ、安保理によって議論をされるということでありまして、武力行使の権限を付与するさらなる明示の決定ではない、このように理解をいたしております。
武正委員 七章ということではございますが、これは自衛権を認め、そして、国連決議があった場合には攻撃ができるといったことでございます。今回、一四四一で最後の機会を与えた、そしてさらなる決議案によって、もうこれで攻撃をしますよという決議案、これを取り下げてしまったわけですよ、アメリカ、イギリス、スペインは。取り下げたということは、この一四四一、最後の機会を与えるといったところにまた立ち戻っているわけですよ。
 そこで攻撃をするのは、決議案の決議もないし、また、自衛権からの攻撃になってしまうのかどうか。日本は、だから、このアメリカの自衛権による攻撃であるということは認めていないんですよね。あくまでも国連決議だ。十二年前、十三年前にさかのぼって日本は支持をすると言っている。非常に無理がある。国際法からもこれは見解が分かれるところですが、新しい法律が前の法律をしのいでいくといった解釈もあります。
 つまり、六七八、あるいは六八七、そして一四四一、新しければ新しいほどその決議が生きてくる。ということは、今は一四四一が一番生きている、新しい決議案を取り下げたんですから。ということは、今最後の機会をまだ与えているんだ、その中でアメリカが武力行使することを認めるということはいかがなものか。国連決議はないではないか。国連決議があるのは、最後の機会を与えているという決議ではないか。ここにやはり矛盾がある。認めるのであれば、アメリカが自衛権を行使している、日本はそれを賛成するんだというふうに言わなければおかしいわけです。その発言がないわけです。ですから私は、これは国際法に違反していると言わざるを得ません。
 あわせて聞きますが、北朝鮮にもアメリカが国連決議なしで攻撃することも日本は支持をするんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
茂木副大臣 今私なりに丁寧に、国際法に違反するのではないか、こういう御質問がございましたので、恐らく十点にわたってお話を申し上げたつもりであります。
 違反するかどうかということに関して、例えばイラクの侵攻にさかのぼってという話でありますけれども、先ほど申し上げたように、イラクをクウェートから排除するため及び同地域の平和と安全を回復するためと、そしてまた、六八七におきましても同じ表現が使われている。そして、六八七の重大な違反は、六七八のもとでの武力行使の権限を復活させるものであると。
 それから、一四四一の解釈、そしてまた新決議がなくてはだめなんですか、こういうことにつきましては、先ほど、最後の部分で御説明を申し上げたつもりであります。
 新決議につきましては、日本は、それが望ましい、こういう立場をとり続けてまいりました。これはまさに、イラクに対して国際社会が一致してより強い圧力をかけ、平和的な努力、平和的な解決を目指す、こういう観点でありまして、この姿勢は今までも一貫しておりました。
 その上で、北朝鮮の問題でありますが、委員の御質問でありますと、北朝鮮に対しても国連決議なしでという話でありますけれども、まず、イラクに対しても、申し上げているように、国連決議に基づいて、国際法に基づいて強制的な手段が場合によってはとられる、こういうことであります。
 また、北朝鮮問題につきましては、累次国会でも答弁をさせていただいているように、日本そしてアメリカ、韓国、さらには中国、ロシアも含めた関係国とも緊密な連携の上で外交的な解決を図っていきたい、この姿勢を貫いております。
武正委員 最後に、おととい、官房長官が平壌宣言破棄の発言をされましたが、昨年この日朝平壌宣言が締結をされている、この平壌宣言を破棄しよう、破棄する可能性があるよと言っておるんですけれども、あの平壌宣言についてはさまざまな問題点が指摘をされております。
 経済協力ありきのさまざまな問題解決、お金をぶら下げなかったら日本はさまざまな交渉ができないのか、譲歩を引き出せないのかということがさまざま指摘をされた問題の多い、まして拉致の問題も、拉致の文字もないといったことも含めて大変問題の多いこの平壌宣言であったわけです。それをこの期に及んで、もともとあの時点で問題が多かったといったことも含めて、官房長官が破棄の可能性、これは一体どういう根拠で破棄をしようというのかお答えいただけますでしょうか。
茂木副大臣 官房長官の発言でありますが、これは十八日の参議院の予算委員会におきまして、こういう表現を使われていると思うんですが、もう少し全体の状況を見た上で判断していきたい、こういうふうに発言をされておると思います。
 この趣旨でありますけれども、今この時点で破棄の可能性、これを検討すべきだ、こういうことよりも、そういう事態に至らないように粘り強く交渉を進めていきたい、こういう意味で私は官房長官は発言された、このように理解をいたしております。
武正委員 今の答弁からも、しょせんこの平壌宣言は絵にかいたもち、砂上の楼閣、そんな宣言であったといったことが証明をされている。内閣での閣内不一致といったことを露呈したものと考えます。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 イラクにおけるアメリカの武力行使が大変緊迫して、この四十八時間を今過ぎたところですが、一つ茂木副大臣にお聞きしたいんですが、今度の戦いにおいて、アメリカから事前の通告、これはなされるふうになっているのでしょうか、なっていないのでしょうか。
茂木副大臣 イラク問題に関しましては、従来より、アメリカとの間、また関係各国との間で緊密な連絡、連携をとってきておりますが、先方との関係もございます、詳細は、明らかにさせていただくのは差し控えたいと思っております。
山田(正)委員 詳細を明らかにすることは差し控えると。事前通告があるかないかということは、その具体的な内容の詳細という意味じゃないわけで、ただ、いわゆる同盟国として日本はアメリカの立場を支持したいと言っているわけですから、同盟国である以上、その通告もないと言ってもいいのですか。詳細な内容を聞いているわけじゃないので、ただそれだけのことを聞いているだけで。
茂木副大臣 今申し上げましたように、イラク問題につきましては、アメリカとの間で緊密な連絡をとらさせていただいております。
 また、そういった脈絡の中で、我々として、アメリカが誠実にこの問題に対する情報提供等々を行ってくれる、このように期待いたしております。
山田(正)委員 納得いかないところでありますが。
 先ほどから話になっております、いわゆる今回のアメリカのイラクに対する武力行使は、新しい決議を求めずに、一四四一の決議、これで戦いをする、そういうふうに報道されているようですが、この一四四一の決議案、今私の手元にあるわけなんですが、先ほどから武正委員の質問に対してあれこれ言っていましたが、この決議を読む限り、いわゆる武力行使につながる文言というのはないと思うんですが、茂木副大臣、どう考えられますか。
茂木副大臣 先ほど申し上げましたように、イラクに対します武力を行使するための権限でありますが、国連決議六七八、六八七、そして一四四一の存在並びにその関連によって生ずる、このように考えております。そして、御案内のとおり、決議一四四一の中に六八七、六七八の言及がある、このように考えております。
 ちなみに、新決議なしでどうか、こういうことでありますけれども、一四四一の内容をごらんいただきますと、明示的に、新たな決議が必要である、こういう文言はございません。ですから、決議一四四一が求めているのは、イラクが不履行の場合につきましては、それを安保理に対しては報告をいたします、そして、報告をした上で、その問題につきまして安保理において議論をする、こういうことでありまして、そこで議論をした上で、新たな決定がない限り次のステップに移れない、このような表現にはなっていないと理解いたしております。
山田(正)委員 新たな決議を必要としていると一四四一にもちろん書いていませんよ、それは。ただ、いいですか、この一四四一に、新たな決議なしでもいわゆる武力行使ができると書いているのか書いていないのかと聞いているわけです。それを答えてください。
茂木副大臣 先ほどから申し上げておりますように、これは、単に一四四一だけではなくて、武力行使が容認されるかどうか、こういう質問であるといたしましたら、これは六七八、六八七、一四四一の存在並びに相互の関連によって存在をする、こういうことを申し上げておりまして、一四四一の中に六八七の言及もある、このように理解をいたしておりますということであります。
山田(正)委員 それでは、一四四一の決議で武力行使可能だと。いわゆる同盟国であるアメリカが発表し、そして日本もそれを支持した。ところが、その中身において、一四四一には武力行使については触れていない。
 ただ、この一四四一の全文を読んでいくと、確かに六七八に言及したところはある。言及だけで、一四四一の決議で戦いができると茂木副大臣はお考えだと、茂木副大臣はそう考えて、外務省、日本もそういう見解に立って、これは違法ではない、そういう考え方に立っておられるか。
茂木副大臣 ちょっと私の説明の仕方がまずいのかもしれないんですが、武力行使の権限でありますけれども、単純に一四四一ということではなくて、六七八、六八七、一四四一の存在、そしてそれぞれの関連性によって生じる、こういうことでありまして、もしその関連性について詳細に説明しろということでありましたら、御説明を申し上げます。
山田(正)委員 いわゆる一四四一の決議では武力行使までは触れていないが、六七八、確かに六七八については武力行使を触れてある。六七八の決議はいつのときの決議かというと、一九九〇年、いわゆる湾岸戦争の始まる前、いわゆるクウェートにイラク軍が侵攻した、これに対して、平和の破壊であると国連で武力行使を認めた。だから、そのときの六七八でもって今回アメリカは武力行使しようとしている、そう考えてよろしいのか、茂木副大臣。
茂木副大臣 まず、六七八でありますけれども、委員御指摘のとおりであるんですが、安保理が、イラクをクウェートから排除するため及び同地域に平和と安全を回復するために武力行使の権限を与えたものであります。その後の、停戦の条件を定めた決議の六八七、これは安保理におきまして、同地域に国際社会の平和と安全を回復するため、大量破壊兵器を除去する継続的な義務をイラクに課したものである。これを受けた上で、一四四一の武装解除の義務の問題、これが出てくる。そして、依然としてイラクがこの義務を果たしていない。それに対して、一四四一、これが最後の機会を与える、これを履行しない場合は深刻な結果を及ぼす。こういうことでそれぞれの関係が構成されている、このように私は理解いたしております。
    〔委員長退席、西野委員長代理着席〕
山田(正)委員 いつまでもこれで議論してもしようがないんですが、いわゆる六七八の中に、イラクのクウェート侵攻に対する武力行使の問題が解決しても、さらにイラクにおいて同地域の、いわゆる平和というか秩序というか、そういったものが回復されていないから、それで進攻するんだ、いわゆる六七八決議を援用して。ところが、現実に、イラクにおいては、イラクの周辺において、ここで武力行使をしなければならないほどの平和の回復が必要な客観的状況にない、武力を行使しなければいけないほど平和的な回復ができていない、だれが考えてもそうは思えない状況。
 それからもう一つ。大量破壊兵器の云々ということを言っていますが、査察はかなり進んで、いわゆる大量破壊兵器についても、かなりの査察の進行の結果、いろいろ出てきたものは破壊され、そしていろいろな意味で、それこそこの決議にあるように、無条件にイラクは査察に応じている。そういう状況下にあって、法律的に見れば、国際法上見れば、何ら、いわゆるアメリカが国連のこれらの決議によって戦争をするという、武力行使をするということの合法性というのはないんではないですか。最後、もう一言で答えてもらえれば結構ですから。
茂木副大臣 まず、この地域におきます平和、安全の回復の問題でありますけれども、その六八七にまさに書いてありますのは、平和と安全の回復のためにイラクが大量破壊兵器を除去する必要がある、こういうことでありまして、イラクがこの大量破壊兵器を除去したと明確に証明できていないということは、その前にあります、平和と安全が回復された、このようには理解できない、そのように考えております。
 それから一四四一の完全な履行という形でありますけれども、三月七日のブリクス委員長の報告におきましても、即時ではない。即時、無条件、無制限の、即時は満たしておりません。それから、分野が限られている、こういう形でありまして、一四四一に定められました完全な履行、こういうことにはなっていないと解釈いたしております。
    〔西野委員長代理退席、委員長着席〕
山田(正)委員 時間もなくなってしまいそうなので一つだけ申しておきますが、いわゆる大量破壊兵器の存在すら立証できていないのに、それを廃棄していない、だからこそというのは法律的に矛盾しているんじゃないか、論理的に矛盾しているんじゃないかということの指摘と、そしてまた、いわゆる即時、無条件に査察に応ずる、この即時がないじゃないか、そういう話もありましたが、いずれにしてもこじつけであって、私は、国連憲章で見る限り、五十一条の自衛権の行使、アメリカが、自衛権の行使、これでもって戦争をしているとしたら、全くこれは国際法違反じゃないのかと。
 それに対して、安倍副長官にお聞きしたいと思うんですが、小泉総理が十八日午後、お昼ごろですか、支持する、米国を支持するという表明をいたしましたが、いわゆる内閣としては、どういう理由で、どういう法的根拠に基づいて支持すると、そういう発言をしたのか、ひとつお聞きしたい。
安倍内閣官房副長官 小泉総理が支持するというふうに申し上げましたのは、国連憲章との関係におきましては、茂木副大臣が答弁したとおりでございます。大量破壊兵器を廃棄させるためには武力行使もやむを得ない、それに対する支持をした、そういうことでございます。
山田(正)委員 支持するということの表明は、いわゆるアメリカの軍事行動が、武力行使が国連憲章に違反していないという前提に立って、その理由は、さっき茂木副大臣が説明したとおりだと。そういう理解でよろしいですかね。はい。
 では、その、支持するということの表明の中身なんですが、それは、どういう中身で支持するという発言をされたわけですか。何を、どういう支持をするんですか。
安倍内閣官房副長官 総理が支持をするということを申し上げましたのは、イラクが大量破壊兵器の廃棄に結局応じることはなかった、その上で、この大量破壊兵器、これは極めて世界に脅威と危険をもたらす、そういう認識をし、そして、それに対しては武力をもってその大量破壊兵器を廃棄せざるを得ない、このアメリカの立場を日本としては支持をすると、認識も一致をしたということでございます。
 そして、総理がこう申し上げたわけでございますが、当然、その中で、もし仮に軍事行動が開始をされた場合には、国際社会の責任ある一員として、どのような役割を主体的に果たすべきかとの観点や、我が国にとり極めて重要なこの地域の安定を確保するとの観点から、あらゆる選択肢を念頭に置いて、現在、種々検討を行っているところでございます。
 特に、国際機関やNGO等を通した難民支援、周辺国支援は、国際社会から我が国が期待される分野であるというふうに考えております。復興支援についても、我が国として主体的かつ適切に判断していきたいというふうに考えておりますが、こうした周辺国への支援、また、今後必要が生じるかもしれない復興支援については、今、さらにまた推移を見ていく必要があるというふうに考えているところでございます。
山田(正)委員 支持するというのは、それでは、支持する内容、例えば、戦費の負担をして支持するのか、あるいはアメリカと一緒に軍事行動をして支援するのか、あるいは後方支援して支持するのか、あるいは戦後の復興支援をするのか、そういった中身は考えずに、単なるメンタル的な面で、精神的にただ支持すると言っただけなんですか。
安倍内閣官房副長官 基本的には、先ほど申し上げましたように、総理として、ブッシュ大統領が演説をされて、アメリカのこれからの軍事行動について説明をされた、その立場を日本として支持をする、そういうことに尽きるわけでございます。
 もちろん、先ほど私が申し上げましたように、周辺国の支援、あるいはまた戦後復興については、国際社会の中で日本は責任ある行動をとらなければいけない、また、人道的観点からも検討をしなければならない、こういうことでございます。もちろん、戦費を負担するということは考えておりませんし、また、アメリカからもそういう要請はございません。また、日本が戦闘作戦行動に参加をしないということは、御承知のとおりでございます。
山田(正)委員 総理の支持するという表明は、これは大変重大なことなんです。
 例えば、イラクの側からしてみれば、国連憲章に基づく自衛権、イラクの自衛権の立場からして、もちろんアメリカが旧国際戦時法でいけば敵国という形になるわけですが、それのいわゆる同盟国であり、支持するとなると、そして国際社会の一員として役割を果たすと言っているんであったら、イラク自身が、いわゆる敵国としてその時点でイラクは考え、そして日本に対して、例えばあの周辺にいる日本のイージス艦に仮にミサイルを撃ち込んだとしても、それはしようがない話で、国際法上、イラク側の自衛権の行使として認められることではないのか。
 そうであれば、それほど重大なこういった支持表明を、単なる、何ら支援の内容も決めずに、しかも、その手続において、その支持表明の前に、安全保障会議、安保会議を開いたのか、あるいは閣議を開いたのか。その辺はどうだったのですか。
安倍内閣官房副長官 総理が支持を表明された後、直ちに安保会議を開いておりますし、閣議も開いているわけでございます。また、その以前には、それぞれの、防衛庁あるいは外務省あるいは内閣情報室等々から情報は総理のところに入れて、また事務的には、それを横で束ねる形での会議を重ねて、その結果も総理に上げて、そうしたことを勘案した上で、総理は支持ということを表明されたんだろうというふうに思っております。
山田(正)委員 その支持表明の後に安全保障会議を開いたということですが、これは、手続的にいったら、それだけ重要ないわば支持表明ということであったら、当然、その前に安保会議を開かずにやったということは、これは違反ではないのか。どうですか。
安倍内閣官房副長官 総理は、支持表明の前に閣議を開催いたしまして、その閣僚懇談会において、総理発言について各閣僚にそれを紹介したということでございます。
 先ほど、記者会見の後閣議というふうに申し上げましたが、それは関係閣僚の会議でございまして、安保会議と関係閣僚の会議ということでございますので、訂正をさせていただきます。
山田(正)委員 その辺、はっきりしてもらわなければいけないんですが、支持表明の前に閣議を開いたのか、後に閣議を開いたのか、いわゆる座談会程度じゃなくて、正式な閣議というものを。
安倍内閣官房副長官 それは、支持表明の前に閣議を開いております。
山田(正)委員 支持表明の前に閣議を開いている。では、安保会議の必要はなかったのか。その辺は、ちょっと私の質問の時間も短くなってきますので、それ以上問いませんが。
 いわゆる後方支援、今給油とか物品の提供等をやっていますが、これはテロ支援法に基づいてやっているのであって、やれるのであって、アルカイダ等のテロで、今度のイラクへの武力行使においては、当然、後方支援、いわゆる給油とかそういうものはできないものだ、そう考えますが、安倍副長官、どう思いますか。
安倍内閣官房副長官 今の御質問の趣旨は、テロ特措法によってということでございましょうか。
 テロ特措法によってこのイラクのオペレーションにおいて我々は給油等の活動をするということはできないというふうに考えております。
山田(正)委員 できないとなったら、即刻イージス艦なり自衛艦を戻さなきゃいけない。例えば、まだアルカイダ、テロに対して継続しているんだからそのために残すんだということは理屈にならない、もうイラクに対する戦時態勢一本になっているわけですから。その辺は明らかにしていただきたいと思いますが、私の方も、きょうは沖縄の問題もちょっと聞かなきゃいけませんので。
 沖縄の問題で、今度、いわゆる四分の三の飛行機燃料の減免を二分の一にするのをさらに継続するという趣旨の法案だ、そういうことなんですが、沖縄の離島、沖縄にもいろいろ離島があるわけです。例えば宮古とか石垣、久米島と本島はそれが適用されているけれども、それ以外の離島には四分の三しか適用されていない、減免策が。これは矛盾しているんではないのか。なぜそうなのか。
細田国務大臣 これは歴史的経緯もございまして、離島の航路に対してはいろいろな補助金が出たり優遇措置が講じられておりましたが、航空関係についてはそういうものがなかなかないじゃないかということで、日本国じゅうの離島というものを一律に考えて措置をとられたものでございます。
 それに対しまして、この二分の一の軽減は、特に長距離の路線についての重要性等にかんがみ、政策的に二分の一に軽減したものでございます。
山田(正)委員 それでは、沖縄県全体の云々じゃなくて、いわゆる長距離が飛んでいるところだけ軽減したと。ところが、小さな島には小さな飛行機もどんどん飛んでいますね、私も離島ですからよくわかるんですが。あそこでしたら琉球エアーコミューターというんですか、そういったものもどんどん飛んでいるわけですが、そういったものにはいわゆる二分の一の特別減免措置はなかった。これはおかしいんじゃないですか。差別ではないですか。
細田国務大臣 むしろ、先生もそうでございますが、私も隠岐島という離島がございますが、離島振興の各議員が一致結束をしてようやく、非常に不利な、全国の離島といえば路線も多いわけでございますが、これについての軽減措置を講じたというのが四分の三の経緯でございます。
 これに対して、特に長距離のものはまた別に二分の一にするという措置を去年になって適用したということでございますので、そういう経緯を御理解いただきたいと思います。
 全国の離島にすべて四分の三は適用されているわけでございますが、これも大きな恩典として認めたわけでございまして、この二分の一は三路線ということで、例外的措置だというふうに御理解いただきたいと思います。
山田(正)委員 沖縄、奄美とありますが、奄美は長距離が飛んでいます、東京から。そういった島においても長距離が飛んでいるところはいろいろあるわけです。ところが、そういうところは四分の三のまま。だから、沖縄、那覇間は飛行機運賃が三万二千九百円ですが、沖縄よりはるかに本土の方に近い奄美、奄美と東京間は三万七千四百円と、逆に沖縄よりも高い運賃になっている。
 そういう意味では、いわゆる税制そのものには矛盾がある。むしろ、沖縄にやっているような二分の一の軽減措置を、奄美とかあるいはそういう全国の離島に及ぼすべきじゃないのか。大臣、いかがですか。
細田国務大臣 私も、離島振興議員という立場もありますので、それは、御趣旨はよく理解するところでございますが、この措置は、とりあえず沖縄振興のための措置であるというふうにも御理解をいただきたいと思います。
 ただ、離島振興のために、いろいろな離島の問題点ございますから、何をどういうふうに措置をすべきかということは、もっといろいろ考えていくべき点があります。航路補助のようなものも出ておるわけでございますから、その点も考慮に入れなければなりません。
山田(正)委員 最後に、石炭の問題なんです。
 私、きのう沖縄電力さんに来てもらっていろいろ事情をお聞きしたんですが、一応前期も後期も利益を結構出していまして、それなりに頑張っているようですが、確かに、石炭に課税されると大変痛手を受けてくる、そういう意味で減免するのは当然のことだ、そう考えます。
 何よりも、この沖縄電力にとっても、離島、島々を抱えておる、そうすると、その分だけで他の電力会社よりも三十億から四十億の経費負担増である。そういったことを考えますと、石炭火力だと、これから先、CO2の排出、環境の問題でいろいろ出てくる、そういったものの配慮を十分に考えて、ひとつ、石炭の減税、免税だけではなく、沖縄の振興のために考えていただければと、そう思います。
 私の質問を終わらせていただきます。
平林委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 社会民主党の東門でございます。
 何か慌ただしい感じの中で、茂木副大臣、早目に委員室を出られなきゃいけないようですので、少し質問の順序を変えて茂木副大臣からお尋ねいたします。
 多分、この部屋にいるどなたもが緊張した感じで今座っているのかと思います。それは沖縄においても同じでございます。特に米国によるイラク攻撃が行われた場合、イスラム諸国を中心に反米感情が高まって、イスラム過激派等による報復テロが懸念されるのではないかと思います。そうした場合、我が国にある在日米軍基地もその標的となる可能性が高く、広大な米軍基地を抱える沖縄においては、よりその可能性が高いのではないかと危惧しております。
 報道によりますと、日米の防衛当局間では、報復テロに備えて在日米軍基地などを自衛隊が警護する警護出動について検討しているようですが、まず、この報道の事実関係について伺いたい。
 あわせて、その警護出動が検討されるほど報復テロの可能性が高いのであれば、米軍基地を抱える自治体に対して、あらかじめ政府が有している危機認識を知らしめる必要があると考えますが、茂木副大臣の御見解をお願いいたします。
茂木副大臣 まず、警護出動についてでありますが、九・一一のテロの後、自衛隊法が改正をされまして、総理大臣は、基地に対する破壊行為などを防止するため、都道府県知事の意見を聞いた上で在日米軍基地に対する警護出動を命ずることができる、このようになっておりますけれども、現在まで出動したことはない、このように承知しておりますし、また、今御指摘がありました、今次報道にあります動きにつきましては承知をいたしておりません。
 ただ、今後、さまざま緊迫した事態が予想される中で、委員御指摘のように、沖縄に米軍基地が集中している、こういう事実があるのは確かであります。御懸念の向きも確かだ、私はこのように考えておりまして、政府といたしましても、こういった在沖縄米軍を含む在日米軍の施設・区域の安全につきましては、米側そして関係省庁とも緊密な連携をとりながら、引き続き警備態勢につきまして万全を期していきたい、このように考えております。
東門委員 今回の緊迫したイラク情勢、横にはまた別の問題もあるんでしょうが、そういう中で、沖縄の米軍基地、本当に警備態勢の強化が行われている、それは副大臣よく御存じだと思います。その中で、基地の日本人警備員の銃携帯が拡大されているということも事実でございます。
 この問題につきまして、私は二月二十七日の予算委員会第一分科会で質問いたしました。その際、北米局長は、この銃携帯の問題について、地位協定に基づく米軍の管理権の範囲であると答弁をしておりました。
 しかし、日本の法律では、原則的に銃を持つのは警察官などに限られておりまして、銃や刃物などの凶器を持つ相手に対応するのも、警察に任せるというのが原則であると思います。民間の警備会社の警備員が銃を持った相手に遭遇した場合、あえてそれに向かい合うのではなくて、警察に通報して、その対応にゆだねるというのが日本社会の大原則なのです。
 銃の携帯のような日本社会の原則にかかわるようなものまですべて、北米局長の答弁にあったように、米軍の判断に任せるような姿勢で本当にいいのでしょうかというのが私の疑問なんです。
 政府は、地位協定については、常に運用の改善を言っています。であれば、法的には地位協定上で認められているといっても、米軍の管理権の範囲内のものであっても、我が国の立場として、それは、民間人に銃を携帯させることは望ましくない、運用改善をしてもらいたいということを私は申し入れるべきではないかと思いますが、地位協定の運用改善という観点から、副大臣、お願いいたします。
茂木副大臣 法的に申し上げますと、先日北米局長が答弁をさせていただいたとおりでありまして、地位協定上認められる、こういう形であります。
 もちろん、これは米国人そして日本人の管理者のもとでの話でありまして、委員御指摘のような懸念も十分踏まえながら、今後考えていきたいと思います。
東門委員 地位協定で認められていますとおっしゃっても、運用改善とよく口にされるじゃないですか。それこそ早目に運用改善、日米合同委員会などでなさるんでしょうけれども、しっかりそれを上げていただきたいと思いますが、もう一度その件についてお願いいたします。
茂木副大臣 沖縄の問題、そして基地問題につきまして、一貫して一つの御見識をお持ちの委員の御意見として、重く受けとめさせていただきます。
東門委員 私は、ぜひ副大臣のお力でよろしくお願いしたいと思います。
 関連ですが、銃を携帯させられたということで、日本人警備員にはどのような義務が課せられるのか。例えばテロリストなど、そういう武装した賊が侵入しようとした場合、銃撃戦をすることまで求められるのか、警備員が銃を持たずに現場から逃げた場合、それは処罰されることもあるのかということで、政府の見解を伺いたいと思います。
海老原政府参考人 お答え申し上げます。
 この日本人警備員でございますけれども、これは昭和二十七年に日米合同委員会の合意がございまして、この中におきまして、武装警備員による武器の使用は、日本国刑法第三十六条第一項の「正当防衛」及び同法第三十七条第一項の「緊急避難」に該当する事態が発生した場合に限られるということが合意をされております。
 したがいまして、今東門委員がおっしゃいましたような状況におきましてもし武器を使うときは、あくまでこの両項に該当する場合に厳に限られるということになっておりまして、その点の管理につきましては、これは米軍当局が責任を持って行うということも、この二十七年の合同委員会で合意されているところでございます。
東門委員 それで、今回の場合、基地で働いている日本人従業員の安全確保対策ということは、どのように考えられておられますか。イラク情勢を踏まえて、基地従業員の安全確保、その対策についてお伺いいたします。
茂木副大臣 基地従業員を含め、重要施設の安全確保、これは、例えば原子力施設も含めさまざまな施設があると思っております。関係省庁の間で、今、これまでも緊密にあらゆる事態を想定しながら調整を重ねてきているところでありますが、委員御指摘のように、事態が切迫しているのは間違いないわけでありますから、安全確保につきまして万全を期すように、これからも努力をしてまいりたいと思っております。
東門委員 これは本当に急を要するものだと思いますので、ぜひ早目に、そして自治体の、基地所在地の、あるいはその従業員の皆さんにも早目にそういうことを知らせていただきたいと思います。
 茂木副大臣、ありがとうございました。退席して結構です。
 北米局長、済みません、いや、しばらくいていただきたいんですよ。順序が変わってしまったんです、このあれで。
 それで、最初に予定しておりました沖縄振興と政策金融の関係についてお伺いしたいと思います。
 きょうは八木橋公庫理事長にもおいでいただいていると思います。済みません、一番最初にさせていただこうと思ったんですが、ということです。よろしくお願いいたします。
 沖縄振興新法が成立して一年を迎えようとしております。この間、昨年七月には新しい沖縄振興計画が策定され、また、県が作成する観光振興計画なども五分野のアクションプランが整い、自立型経済の構築に向けた、本当にそれを希望しますけれども、その新たな取り組みが開始されているところであります。
 しかしながら、日本経済自体が極めて厳しい状況にある中で、もともと経済基盤の弱い沖縄にあって、新しい沖縄振興を根づかせることは容易なことではなく、県民や、もちろん地元自治体の努力もさることながら、国の引き続きの支援は絶対に必要だと考えております。
 そこで、本日は、私も初めて取り上げさせていただきますけれども、沖縄振興開発金融公庫について質問をさせていただきたいと思います。
 沖縄振興の仕組みは、まず特別措置法に基づく振興計画、高率補助や特別振興費などの財政上の特別措置、そして沖縄公庫による金融措置という三つの柱から成り立っており、この枠組みは基本的に変わっていないと思いますが、自立型経済の構築を掲げる新しい沖縄振興のもとでの政策金融、特に沖縄公庫の役割について、これは八木橋沖縄公庫理事長とそして細田担当大臣、御両人から御所見を賜りたいと思います。
八木橋政府参考人 先生御指摘になられましたように、沖縄公庫は、これまでも政策金融機関として沖縄の経済振興に十分寄与してきたというぐあいに私ども考えておるわけでございますが、平成十四年度に施行された沖縄振興特別措置法におきましては、民間主導による沖縄の経済の自立化を図るということが基本目標に掲げられているわけでございます。
 そういたしますと、公共投資よりもむしろ民間経済をどのように支援していくかということが大きな柱として取り上げられなければならないということになりますと、私ども沖縄公庫が政策金融面から支援していくということが非常に重要な課題になってくると私どもは認識しておるわけでございます。
 特に、今回の新法におきましては、新たな産業創出のためのベンチャー企業への出資も位置づけられたわけでございます。私どもは、この新しい業務につきましても、既に初年度におきまして四件ほど出資を実行したところでございます。
 沖縄公庫といたしましては、この新しい時代、新しい課題を十分に達成すべく、また果たしていくべく、大いに努力してまいりたいというぐあいに考えております。
細田国務大臣 今でも覚えておりますが、沖縄復帰に当たりまして、私も通産省の沖縄対策室におりました。今の八木橋さんは当時理財局で特殊法人関係をやっておられまして、どうやったら最もいい政策金融機関ができるだろうかという検討をしまして、当時の国内にあるばらばらの、たくさんある銀行、公庫、事業団等を、そのまま支店を置いたんじゃ沖縄における適切な振興ができないだろうということで、今でいうと一銀行四公庫等の業務でございますが、当時はもう、合併前でいうともっとはるかに多い、十近くに上る金融機関だと思いますが、それらの機能を一体化して、そのときの趣旨からいっても、機動的にかつ中小企業あるいは沖縄県民の方々に円滑に地域に即した金融ができるようにということが最大の趣旨であったと思っております。
 その趣旨に従って、非常に沖縄金融公庫が今発展をして、いい金融機関になられ、また民間金融機関が十分な大きなものがございませんので、まあ中小金融機関はたくさんございますが、そういった中で大きな役割を果たしていると思いますので、これからも引き続き政策金融の柱として大いに活用してまいりたいと思っております。
東門委員 役割についてはわかりました。
 昨年十二月、経済財政諮問会議に竹中大臣の方から、政策投資銀行など八つの政府系金融機関の改革案、「政策金融改革について」が提示されまして、その中で、沖縄公庫については、沖縄特利制度のあり方と特定業種向け・産業振興目的の一般的貸付制度のあり方の二つが主要検討課題として取り上げられておりますが、その二制度、沖縄特利制度と特定業種向け・産業振興目的の一般的貸付制度、その具体的な中身を御説明いただきたいと思います。
 あわせて、その両制度、現在どのように機能しているかも一緒にお答えいただきたいと思います。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、沖縄公庫におきます特定業種向け貸し付けということでございますが、沖縄公庫の場合、政策投資銀行並びで行っております産業開発資金貸し付けのうち、政策的に優遇措置を講ずる必要のある事業で主務大臣が事前に定めたものは、特定資金ということで貸し付け条件を優遇しておるところでございます。
 特定資金のうち業種が明記されておりますのは、電気、ガス、海運、それからバス、航空機の五業種でございまして、これに対する十三年度の貸付額では二百七十三億円、貸付残高は二千七百十八億円ということになっております。
 それから、産業振興目的の一般的な貸し付けということでございますが、これは、産業開発資金のうち、特定資金以外の、いわゆる基本資金の対象となる事業でございまして、観光・リゾート産業あるいは運輸・通信業、百貨店やスーパー等の流通産業、食料品を初めとする製造業、市街地再開発に寄与する不動産賃貸業等がございます。
 これら、いずれにしましても、沖縄振興開発計画におきまして重要な、重点的な産業分野、あるいは基盤整備が求められてきた事業分野ということでございまして、これに対します十三年度の貸付額は三十一億円、貸付残高は五百四十三億円ということでございます。
東門委員 貸付額等もございましたけれども、民間の、そういう融資を申し込んでくるその人たちへの融資の状況ですね、パーセンテージでどれぐらいになっているんでしょうか。どれぐらいの業種の皆さんがその恩恵を受けているかということをお知らせいただきたいと思います。
武田政府参考人 ちょっと手元に正確な数字は持ち合わせておりませんが、先ほど申しましたように、特定業種向けで二百七十三億、それで産業振興目的の貸付制度で三十一億円ということでございますので、約三百億、公庫の年間の貸付額が千数百億でございますので、その中の三百ということになろうかと思います。
東門委員 お願いしたいのは、私がお聞きしたのは、申し込みに対してどれぐらいのという率をお聞きしたかったので、後でぜひその資料をいただきたいと思います。
 見直し、検討課題というふうに挙げられているんですが、見直されるということなのかなと。見直されるとしたらどのような方向に見直されるのかというのを、わかりましたらそれも教えていただきたいと思うんですが。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、昨年十二月十三日の経済財政諮問会議におきまして、政策金融全体の改革に合わせまして、公庫につきましては、おっしゃられましたように、検討課題といたしまして、沖縄特利制度のあり方と先ほどの貸付制度の改革の問題が指摘をされておるわけでございます。
 これにつきましては、今後、政策金融全体が見直される中で検討が進められるということでございますけれども、そういった決定や指摘を真摯に受けとめながら、しかし、やはり沖縄の金融の実情というものについては十分これを反映させた形で検討がなされていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
東門委員 細田大臣、沖縄開発金融公庫をこれからどういうふうにということですけれども、その見直されるという中ででも、沖縄にとって、細田大臣スタートのときから御尽力いただいたようですから、ぜひ、最後にもう一度、その御決意をお聞かせいただきたいと思います。
細田国務大臣 この見直しの中身というのは、逆に、小泉政権の中で、政策金融についてはできるだけ民間に移行して、民間の邪魔をしないようにというような民主導型のものも含んでおり、また、特殊法人の整理合理化という措置も含んでおる改革なんですね。ところが、実際は、この沖縄の金融公庫というものは、本当に民間ではカバーし切れない部分がたくさんございまして、やはり県の実態に応じた金融のあり方を十分考えていく必要があるので、いろいろな方向での沖縄県の実態に合わせた改革をやっていく、こういう趣旨でございますので、御趣旨に沿いながら具体的な策を検討していきたいと思います。
 ただ、特利制度とか、金利が今はもう非常に低金利時代になっておりますので、長期にわたる金利体系はどうあるべきか、政策金融機関の金利体系、これは横並びもあり、また沖縄の特殊性という面にも着目した金利体系は検討していかなきゃなりませんが、現在の時点でこれが非常に大きな問題になっているというわけではありませんが、制度の問題として提起されているというふうに御判断いただきたいと思います。
東門委員 八木橋理事長、ありがとうございました。済みません、お忙しいところおいでいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、北米局長も待機していただいておりますので、もう一度基地の問題に戻らせていただきますが、先ほど赤嶺委員からも質問がございました十五年使用期限の問題でございます。
 これは、先週の金曜日、新聞に出たときには本当に沖縄県じゅう驚いた。もう驚いただけでは済みません、こういうことがあるのかと。政府はこれまで何を言ってきたんだ、私たちにうそをついてきたのかという思いがしたのは間違いありません。
 そういう中で、細田大臣の記者会見のメモも読ませていただきましたけれども、大臣、その件に関しまして、その後外務大臣とはお話しになったのでしょうか、十五年使用期限の問題で。
細田国務大臣 たびたび閣議等でもお会いしておりますし、お話もしております。(発言する者あり)
東門委員 済みません、ちょっと今、私、答弁を聞き損ねました。済みません。
細田国務大臣 閣議等でもよくお会いしておりますし、御趣旨をよくお話ししております。
東門委員 それは、事実ではない、事実に反しているということなんですね。わかりました。
 北米局長、私、その直後、すぐ北米局長にお電話をしました。それで、事実ではないと言うので、うそですかと言うと、うそでもないというような発言だったような気がするんですが。うそとは決めつけたくないというお気持ちだったと思います。
 では伺います。しかし、協議はしているんですね、北米局長。その十五年使用期限の問題は、そういう合意はしていない、協議にはしないという合意はしていないということですから、協議は実際にしておられるんですね。
海老原政府参考人 先ほど東門委員がおっしゃいましたことに一言だけちょっとつけ加えさせていただきますと、私がうそかどうかはわからないと申し上げたのは、そのようなことを発言した国防総省の関係者がいたのかどうか、その時点で私はわからなかったものですから、そういう意味で、うそかどうかを申し上げることはできないということを申し上げたわけでございます。
 その後、我々の方でも国防総省の方にも照会をいたしましたけれども、このような事実はないということは、少なくとも対日政策に関係をしている責任者がこのような発言をした事実は一切ないということは確認をいたしております。
 十五年期限の問題につきましては、これはもう何回も御答弁申し上げておりますが、平成十一年の閣議決定に従いまして、米側に対してこれはいろいろなレベルで、総理のレベルあるいは外務大臣のレベルにおきまして何回も取り上げている、そういう意味におきまして、アメリカ側と継続して話し合いを続けているということでございます。
東門委員 その電話をした際、北米局長の方からは、その件については事実ではないという否定の後で、米軍の兵力削減等については協議をしているというお話がありましたけれども、それは間違いありませんね。
海老原政府参考人 私が申し上げましたのは、兵力の削減というふうなことではなくて、これは閣議決定にもございますし、もともと一九九六年の日米安保共同宣言にも書いてあるわけでございますけれども、沖縄におきます軍事態勢を含みまして、日米の間でその兵力構成につきましては随時協議を行っているところであるということを申し上げた次第でございます。
東門委員 その兵力構成についての協議、ぜひ私はそれを聞きたいと思いますが、時間がないようですからこの次に回したいと思います。私は、この間、はっきり北米局長に削減について協議しているんですねと聞いたら、はいとおっしゃっていたんで、その件についても次にさせていただきます。
 先ほど私、局長、日米地位協定の運用改善をと茂木副大臣には申し上げました。
 そこで、私、誤解があってはいけないので一言申し上げておきますが、運用改善が合理的でいいということではないんです。運用改善の方がいいという立場では決してない。私は、地位協定は本当はない方がいいんですけれども、仕方がない。今そういう安保体制のもとでは地位協定がある、それなら本当は見直していくべきだと、全面的な見直しを主張してきております。
 ただ、こういう状況の中で、従業員が不安を感じている、そういう中で、やはりこの件に関しては早急に運用改善の見直しということを提示していってほしいということを申し上げたということを私はこの場で申し上げて、時間ですから終わります。
平林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、谷津義男君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。谷津義男君。
谷津委員 提案者を代表いたしまして、本動議につきまして御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点に留意し、今後の沖縄振興の推進に遺漏なきを期するべきである。
 一 沖縄における特殊な電力事情に配慮しつつ、電力の安定的かつ適正な供給を確保しうる環境整備に引き続き努めること。
 二 地球温暖化への対応を図るべく、沖縄においても、省エネルギーの取組み及び新エネルギーの導入を推進するとともに、地球温暖化防止に関する環境・エネルギー政策の実施に当たっては、十分配慮し支援すること。
 三 観光が地域の重要な産業となっている離島地域に配慮しつつ、沖縄の基幹産業である観光・リゾート産業の振興に引き続き努めること。
  右決議する。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
平林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。沖縄及び北方対策担当大臣細田博之君。
細田国務大臣 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、可決いただき、まことにありがとうございました。
 ただいまの附帯決議につきましては、十分にその趣旨を尊重して努力してまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
平林委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十一分散会


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