衆議院

メインへスキップ



第3号 平成16年2月26日(木曜日)

会議録本文へ
平成十六年二月二十六日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 金田 誠一君

   理事 石崎  岳君 理事 北村 直人君

   理事 小西  理君 理事 宮路 和明君

   理事 佐藤 公治君 理事 中村 哲治君

   理事 白保 台一君

      井上 信治君    小渕 優子君

      木村 隆秀君    左藤  章君

      佐藤  勉君    中村正三郎君

      西銘恒三郎君    宮腰 光寛君

      山下 貴史君    川内 博史君

      高木 義明君    仲野 博子君

      若井 康彦君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 茂木 敏充君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  東  良信君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)  渡辺 文雄君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   安江 正宏君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  河野 孝義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官)  篠田 研次君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)  伍藤 忠春君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  竹谷 廣之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)  鈴木 久泰君

   衆議院調査局第一特別調査室長  高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  鳩山由紀夫君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  仲野 博子君     鳩山由紀夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官武田宗高君、内閣府沖縄振興局長東良信君、内閣府北方対策本部審議官渡辺文雄君、防衛庁防衛参事官安江正宏君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛施設庁長官山中昭栄君、防衛施設庁建設部長河野孝義君、外務省大臣官房審議官篠田研次君、外務省北米局長海老原紳君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、水産庁資源管理部長竹谷廣之君及び国土交通省大臣官房審議官鈴木久泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。

石崎委員 自由民主党の石崎岳でございます。私は、昨年十一月の選挙で国会に戻させていただきまして、それ以来初めての質問になります。三年九カ月ぶりの質問になりますので、特段の御配慮を心からお願い申し上げます。

 私は北海道でありますので、北方領土問題及び日ロ関係について御質問をさせていただきます。

 まず、日ロ関係について外務大臣にお聞きをしたいと思います。

 いよいよロシアの大統領選挙が来月行われるという報道に接して、昨年のロシアの国会議員選挙等々の情勢を見ていて、恐らくプーチン大統領は再選されるであろう、そういうふうな認識を持っております。

 日本も、昨年、小泉総理大臣が自民党の総裁選挙で圧勝をし、その後の衆議院選挙において絶対安定多数を確保するという、国民の信任、負託を受けたばかりでありますが、ロシアの最高指導者も恐らく今回の大統領選挙で再選をされる。そして、小泉総理もしばらく任期がありますし、プーチン大統領もしばらく任期があるという政治状況になる。これは、日ロ関係では久しくなかった、安定した両首脳の政治基盤が確立される状況があらわれる、そういうふうに私は認識をしております。

 そういう状況の中で、日ロ間に残っている領土問題、国境画定の問題を議論するには、本当に千載一遇のすばらしい政治状況があらわれるのではないか、そういうふうに思っております。そういう状況に対して、日本の政府として、外交として、やはりそういう政治状況を踏まえた前向きな、積極的な、ここぞという取り組みを推進していかなければならないのではないかと私は思っております。

 そういう中で、外務大臣、この日ロの政治状況を踏まえた、領土問題解決に向けての積極的な外交戦略とか見通しというものをお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 御質問のことにつきまして、選挙があってプーチン大統領が再選する可能性というのが世の中でいろいろ言われておりますけれども、日ロの間の交渉、平和条約についての交渉、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本的な立場をまたこの機会に強く訴え、交渉していく必要があると思っております。

 それで、今まで幾つかのことをやってまいりました。一つが日ロ行動計画、これを合意するということでして、これは、昨年の一月に小泉総理が訪ロをなさったそのときにプーチンとの間で合意をいたしておりまして、六つの柱から成り立っております。その一つが平和条約ということでございます。あと、経済ですとか、安全保障、防衛ですとか、それから国際場裏における一緒の取り組みとか、幾つか書いてございます。

 それで、それらの取り組みをその後着々と進めてまいりました。そして、日本とロシアとの間に肯定的な、前向きな関係をつくっていくということでやってまいりました。

 日本とロシアの間は、これはまだまだ、日中二国間関係あるいは日米二国間関係と比べますと、人の交流ですとか貿易量ですとか、いろいろ数字を挙げてみますと、一けた違った小ささであるということでございます。

 こういった状況を変えていって、日本とロシアが、よりよい、より強いパートナーとなって、そういった肯定的な雰囲気をつくる中で交渉をやっていくということは大事だと思っております。それで、私自身も、ことしの前半にもロシアに行って、この交渉をやりたいというふうに考えております。

 いろいろな取り組みを通じて、四島の帰属の問題を解決して平和条約をやっていくということについては、まさに領土の問題は非常に重要な問題であるということでございますので、しっかりやりたいと思います。

石崎委員 私もずっと日ロ関係の領土問題をウオッチしてまいりましたけれども、なかなか、ロシアも難しい国でありますから、簡単に解決するという楽観論は禁物であります。両国の友好関係あるいは経済交流の構築という環境の醸成とともに、やはりここは両首脳の力強いリーダーシップというものがこの問題を解決する非常に大きな、最大のファクターではないかと思っております。

 そんな中で、先般、日ロ賢人会議というものがスタートするという話をお聞きいたしました。そのメンバーが先般発表されていたと思いますが、我が国会からも、森喜朗前総理大臣、賢人中の賢人とも言える代表がノミネートされて、その他いろいろな方が名前を連ねておられました。

 こういう日ロの状況の中で、この日ロ賢人会議というものがどういう役割を果たすのか、どういう趣旨で、どういう意図でこの会議が設けられて、これからどういうふうに議論をしていくのか。どういうスケジュールで、どういうめどで、ゴールラインはどこにあって設けられるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

 この賢人会議の日本側のメンバーの方々には、少なくとも、この日ロ間に横たわるいろいろな問題、なかんずく、この領土問題の経緯や本質というものについて十分理解した上で会議に臨んでもらう、あるいは、北海道に行って元島民の方々の声を直接聞いてもらうという機会をつくる、あるいは、北方領土を視察してもらうという経験を積んでから賢人会議に臨んでもらうということが大事ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 おっしゃられました日ロ賢人会議ですけれども、これは、昨年の十月の時点で総理とプーチン大統領との会談によって設立が決まったものでございます。

 これの目的ですけれども、これは、日ロ関係の強化に向けた中長期的な展望につきまして、日ロの有識者の間で自由に大所高所から御議論をいただくということが目的であります。

 それで、それぞれの国のこの長でございますけれども、考え方としては、そういった議論を直接に両国の首脳に伝えることができる、そういう立場、そういう関係、それを重視してそれぞれの国で選ばれたということであると思います。

 今後、どういうふうに進めていくか、どういうテーマでやるかということについては、今調整中で、今の時点ではまだこうですということを申し上げることはできないということでございます。

 それで、領土問題、これは非常に大事な要素であると思います。領土問題だけを議論するという場ではなくて、日ロの広い、いろいろな問題について議論をするということでございますので、メンバーは、必ずしも日ロの問題の専門家だけを集めたということではありません。むしろ、日ロの問題について、他の分野での識見あるいは他の地域についての識見、そういった広い視野を持ってそこで議論をしてもらうということも重要であるということで、ロシアの専門家もいますし、そうでない人もいるということであります。

 ただ、おっしゃったように、幾つかの懸案事項が日ロの間には実際にあるわけでして、そういったメンバーの人が、今、それぞれの方が持っていらっしゃる識見に加えて、今までの経緯なりいろいろな現状、実情、そういったことについて十分に認識を持っていただくということは重要なことであると思います。現実から離れて、単に抽象的に大所高所の議論をしても、余り意味がないということだと思っております。

 そういうことでございますので、必ずしも、領土問題の専門家とかロシアの専門家とか、そういうことにこだわって選んでいるということではありませんけれども、そういった基礎的な知識あるいは現実の状況についての感覚、それを持っていただくための努力をその選ばれた委員の方々にもしていただきたいと思いますし、外務省としても、そういう観点からやれることをやりたいというふうに思っております。

石崎委員 北方領土問題、戦後五十九年という中で、国民の関心や理解というものが風化していく、そういうことを大変憂慮しております。

 今、北朝鮮問題あるいは拉致問題というものが大変国民の関心を集めておりますけれども、北方領土問題も、端的に言うと、島四島を拉致されたと言っても過言ではないと思いますので、その重要性においては全く引けをとらないというか、領土問題ですからより重要な問題であるとも言えると思います。

 そういった意味で、風化を避ける、国民的な関心をさらに持ってもらう、こういう日ロの政治状況の中で、さらにその勢いを加速するための国民世論あるいは国際世論の喚起ということが絶えず重要なポイントではないかと思います。

 先般、ちょっと新聞報道で、小泉総理の北方四島訪問なんという記事が出ておりましたけれども、小泉総理の根室からの視察というような計画はございませんでしょうか。

茂木国務大臣 石崎議員と久しぶりに国会で会えて、また質問をしていただいて、光栄に思っております。

 私も、先日、返還運動の原点、根室を訪問いたしまして、納沙布岬から四島を拝見させてもらいましたけれども、天気がよくて、非常に近くに見えるんですね。本当にこの四島というのは我が国の固有の領土だな、こういうことを実感した次第であります。

 委員の方から御指摘がありましたように、この運動が風化してはいけない、そんなことから、二月七日、北方領土の日でありますが、この日に北方領土返還要求運動の全国大会が開かれたわけであります。金田委員長もお越しをいただきましたが、そこの中で、小泉総理、本当にノー原稿で話すんです。とうとうと話されまして、やはり北方領土問題をどうにか解決したいという強い気持ちをお持ちだな、そんなふうに私は感じました。

 総理の根室の訪問につきましては、今後の国会の日程であったりとか外交交渉の進展等々あるわけでありますが、そういう中で判断をされる問題だと思っておりますけれども、この問題をどうにか解決したい、そういう強いお気持ちをだれよりも総理は持っていらっしゃると私は感じております。

石崎委員 そこで、ちょっと提案をさせていただきたいと思います。

 来年は二〇〇五年、この二〇〇五年という年は、今、日ロの領土問題の根拠になっております日露通好条約締結から百五十年という節目の年、それから、今、日露戦争開戦百年と言っておりますけれども、ポーツマス条約締結から百年、それから終戦から六十年という、ちょうど三つの節目に当たる、百五十、百、六十という三つの節目に当たる年にたまたま二〇〇五年がなるということでございます。

 今申し上げましたように、世論喚起、風化を避ける、いろいろな意味合いからも、その節目の年、二〇〇五年に、何か一つ大きな世論喚起、国際世論、国内世論喚起のためのイベント、取り組み、そういったものを例えば根室でできないか、そんなことを提案させていただきたいと思いますけれども、見解はいかがでしょうか。

宮腰大臣政務官 来年は、今ほど委員御指摘のほかに、実は千島樺太交換条約百三十年という節目も一つありまして、四つあるということだと思いますし、大変大きな節目の年であるというふうに考えております。

 御指摘のとおり、これらは、北方領土問題に関する国民の意識啓発にとって大きな契機となるというふうに考えておりまして、そのような観点から、どのような啓発の方法が効果的であるのか、先生御提案の点を含めまして、啓発事業を推進しております独立行政法人北方領土問題対策協会や北海道等関係機関と十分に相談をさせていただきたいというふうに思います。

石崎委員 そこで、元島民の方々というのは、もちろん六十年近い歳月の中で高齢化をしている。当時一万七千人余りいた島民の方々が現在は八千五百人、半分以下になっているという状況にありまして、この運動を継続して進めていくためには、やはり後継者、二世、三世へのバトンタッチというか意識の継承、そういったものも非常に重要であるというふうに思います。

 二世の方々が大体一万六千人、平均年齢が四十歳、三世の方々が一万二千人、平均年齢が十九歳というような状況の中で、今地元でも、元島民の青年部というような組織をつくって、横の連帯あるいはその運動の継承、そういったものをいろいろ検討されている、実際に地元で取り組まれている、そんなことをお聞きしております。

 宮腰政務官も地元に行かれて何かいろいろ意見交換をされたというふうにちょっと聞いておりますけれども、何かそういう若い人たちの動き、青年部活動、そういったものに国としてサポートしていく、そんなお考えはございませんでしょうか。

宮腰大臣政務官 御指摘のとおり、終戦後、一万七千名おいでになった元島民の方々が今半分になってきておりまして、平均年齢が七十一歳を超える、そういう状況になってまいりました。やはり、この返還要求運動を支える後継者の育成が極めて重要であるというふうに思います。

 私も、昨年の十一月に根室管内で行われました千島連盟の青年部連絡協議会の設立総会にみずから出席をさせていただきまして、率直に意見交換を行ってまいりました。やはり、今後返還運動の中核となっていくべき後継者の皆さん方の活動、これを支援していくということは極めて大切だというふうに思っておりますが、今後、どのようにすれば後継者の育成を図っていくことができるか、関係団体と十分に相談をさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、新たな助成制度ということになりますと、今の仕組みではやはりなかなか困難である。だから、関係団体とも相談をしながら、どのように後継者の方々を支えていけるか、相談をしてまいりたいというふうに考えております。

石崎委員 非常に重要な要素だと思っております。

 そこで、ちょっと細かいことをお聞きさせていただきたいと思うんですけれども、現在、元島民への融資制度というのがあるというふうにお聞きをしております。

 終戦時に本当に着のみ着のままで島を追われて北海道に渡ってこられた、そういった方々への支援の一環ということで、そういう融資制度というのがあるというふうに聞いておりますが、元島民が高齢化をする、お亡くなりになる方もいる、そういう状況の中で、そういう支援策というのをやはり継承していかなければならない、二世あるいは三世に、運動の継承とともにそういう仕組みも継承していかなければならないというふうに私は認識をしております。

 現状では、元島民の一世の方が生きておられる間にその権利を譲渡する、借り入れの資格を譲渡するという生前承継というような仕組みに限定をされているというふうに聞いておりますが、人間というのはいつ亡くなるかわからない。そういう中で、手続をしない、あるいは承継をしないでお亡くなりになるケースも多々あるというふうに聞いておりますが、では、それで、手続をしないまま、その制度というものが切れてしまう、どんどん亡くなってしまう、そういうことでいいのだろうかということを疑問に思います。

 ですから、手続をしないで亡くなった場合に、一世の方々の死後、その二世の方々が権利を取得するというような死後承継、そういうような制度を新たにつくるということはできませんでしょうか。

宮腰大臣政務官 平成八年の北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の改正におきまして、死後承継が認められず生前承継のみ認められましたのは、元島民等の高齢化によりまして、その生活基盤も子や孫に依存せざるを得ない状況になっていること等にかんがみまして、議員提案で措置されたということをお聞きいたしております。

 しかしながら、千島連盟の調査によりますと、この法改正後、生前承継の手続を行った方は四十一名であるというふうにお聞きをいたしております。これは法改正後に亡くなられた元島民の方々の約三%という数字でございまして、この現状をどう理解するのかという問題もあるのではないかというふうに考えております。

 内閣府といたしましては、法改正の趣旨にのっとった生前承継が円滑に行われるよう、引き続き北方領土問題対策協会を指導してまいりたいというふうに考えておりますし、また、今後とも、元島民の皆様に対する援護措置の着実な推進、自由訪問のさらなる充実によりまして、元島民の方々の心情にこたえていくという所存でございます。

石崎委員 それから、今、北方四島との交流というのは、今お話がありました自由訪問、それからビザなし交流、それから、昔から行われている北方墓参というのがございます。

 その中の自由訪問、これは、元島民あるいはその肉親によるふるさと訪問というような位置づけであるというふうに思いますけれども、その自由訪問の対象枠、これもやはり、二世、三世にこの運動や島というものを覚えてもらう、知ってもらう、そういうことを伝承していくためにも、その自由訪問枠、対象枠を拡大するということが私は必要ではないかというふうに思います。

 現在、もちろん元島民その人、それから配偶者、そして子供、そういったところに限定をされているというふうに思いますけれども、ビザなし交流の方は、子の配偶者あるいは孫というところまで拡大をされている。ぜひ自由訪問というものも、自分がかつて住んでいたところを訪問するということであれば、自分の子供や孫に自分がいたところを見せてあげる、そのことによって、この領土返還という思想、意思というものを子や孫につないでいく、そういうことがどうしても必要ではないか。そういった意味で、自由訪問の対象枠をどうしても拡大すべきだと私は思います。

 それから、今、自由訪問の回数も、歯舞、色丹、国後、択捉の各島一回ずつということになっておりますけれども、歯舞諸島というのは五つの島からあるということで、そうすると、歯舞に行くのには、一つの島に五年かかってしまうということになります。そういった意味では、この歯舞枠というのをもう一つふやして二回にする、計五回にする、こんなような回数の拡大、あるいは一回に渡航できる人数枠の拡大、そんなような自由訪問事業の拡充ということがどうしても必要ではないか。

 つまり、子、孫への拡大、歯舞の範囲の拡大、人数枠の拡大、そういったことを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 先ほどおっしゃったように、北方四島の元の島民の方が、自分の孫やあるいはその子孫にずっとその経験を伝えていきたい、それによって、その運動の風化を防いで国民の中に定着をさせていくということは、重要なことだと私も思っております。

 それで、拡大の話ですけれども、今までの自由訪問、これは私は、今まできちんとその実績を上げてきていて、二〇〇〇年以降は毎年四回で参加人数延べ七百人ということで、実績を上げているだけに、それをもっと広げていくということは大事だと思います。

 今、ロシアとの間では、訪問の対象者の拡大ですとか、そういった枠組みを見直していくということについては働きかけを行っております。あした二十七日にもロシアにおいて、今局長が行っておりますが、協議がございますので、そういった局長協議の場でも改めてロシア側に申し入れたいと思っています。

 訪問の回数そして人数、これにつきましては、内閣府とも協議の上、旧島民や千島連盟を初めとする関係者の皆様の御希望を可能な限り取り入れていけるように、外交努力を行いたいと思っております。

 日ロ行動計画においては、この自由訪問について次のように書かれているわけです。いわゆる自由訪問の実施方法を、最大限簡素化された方式で行うとの合意を念頭に置きつつ、改善するべく努力をするというふうになっております。これを踏まえまして、自由訪問を今後とも、文字どおり自由な枠組みにしていくための努力を続けたいと思っています。

石崎委員 その際の船のことであります。

 自由訪問だけではなくて、ビザなし交流等々も民間のチャーター船を使っております。北方四島訪問事業は、平成十五年、日本側からの訪問だけで十九回ということで、かなりの数に上っておりますが、それに参加した元島民の方々、高齢の方が多いわけでありますが、関係者の声を聞きますと、現在のチャーター船の安全性とか居住性といったものにほとんどの方々が不安を覚えている、不満を覚えている、そういうような状況にあります。

 はしけへの乗りかえのときには、何か転落防止のネットを張って乗り移る。七十、八十の方が、本当に海に転落寸前の状況の中ではしけに乗り移るというような光景、想像しても実際に見ても、本当に危ないな、そういうふうに思います。現在の船、五百トン級の船というのも、波に弱い。天候によっては大変波のしけるところでありますし、はしけへの乗りおりも大変危険な状況にある。それから、船内が非常に狭い。あるいは、階段の上りおり、大変急な階段を使う。

 そんなような状況からかんがみて、そして、それを利用する方々が非常に高齢の元島民であるという実情からかんがみると、もう少し安全性の高い、居住性のいい、専用の船舶を準備した方がいいのではないかというのは、だれが考えてもそういうふうな認識を持つだろうと私は思います。

 もちろん、お金のかかること、予算のかかることでありますが、民間のチャーター船をチャーターするのでもかなりの経費がかかっているんだというふうに思います。ですから、現行の自由訪問、ビザなし交流、北方墓参、全体で船舶のチャーター経費というのは年間どれぐらいかかっているものなのか、それから、ビザなし交流開始以降、このチャーター料というのは累積でどれぐらいかかっているものなのか。

 そういうコストと比較して、専用船舶を持った方がいいのではないかという私の考えでありますけれども、その辺の、専用船舶の必要性、それについてのお考えをお聞きします。

宮腰大臣政務官 まず、平成十五年度の北方四島交流三事業、自由訪問、ビザなし交流、北方墓参の船舶のチャーター経費でありますが、約七千万円であります。ビザなし交流開始後の三事業全体のチャーター経費の累計は、約十億円に上っております。

 ビザなし交流事業等に使用する船舶は一般競争入札により選考いたしておりますけれども、このビザなし交流事業が特殊な条件のもとで行われておりまして、それに適した船舶が限られていること、それから、業者にとりまして営業メリットが少ないことなどによりまして、応札する業者が限定されているというのが実態であります。

 私もこれまで三度ビザなし交流で船に乗ってまいりましたけれども、先生おっしゃったような状況であることは重々承知をさせていただいております。特に、現在使用しております船舶は老朽、狭隘でありまして、高齢者には快適性や安全性が十分でないものとなっているということは十分に認識をさせていただいております。

 御指摘の専用船舶につきましては、予算制約等の観点から、現時点では専用船舶を保有するということにつきましては困難であると考えております。しかしながら、調達等、利用船舶の改善方策につきましては今後とも検討してまいる所存でございます。

石崎委員 質問時間が終わりましたけれども、専用船舶、これはいろいろな形式、形態が考えられると思います。国が直接保有しなくても、その船舶を購入して民間業者に預かってもらう、いろいろな手法が考えられると思います。

 これまでの累計経費、十億円以上のお金を使っているということでありますから、いろいろな考え方、やり方によっては、もう少し居住性、安全性の高い専用の船舶によって、高齢の元島民が快適に安心して四島を訪問できるような環境をつくるということが英知によって十分可能ではないかというふうに考えておりますので、御検討をいただきたいと思います。

 質問を終わります。

金田委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 民主党の仲野博子でございます。

 私は昨年十一月の総選挙におきまして初当選させていただきまして、今国会が私の初のデビューということで、大変今緊張いたしておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 ただいま石崎先生からも北方領土問題について質疑がございました。先週の委員会におきまして、川口大臣及び茂木国務大臣から所信表明の演説がございました。私からは、北方領土返還運動の原点の地、根室市に住む者の一人として、きょう質問させていただきたい、そのように思うわけでございます。

 北方領土問題については、多くの議員の方たちがこれまで質問をされまして、また、先般の予算委員会では、同僚の鉢呂議員からも総理に対しまして今後の領土返還についての具体的な対応を尋ねたところでございますけれども、昨年十二月に茂木国務大臣には根室管内を訪問していただき、地元の関係者の方たちが訴えるその厳しい現状を肌で直接感じ、北方領土問題の解決に向けて決意を新たにされたということでありますので、当然、本日は茂木国務大臣からは前向きな御答弁があるものと期待をしたい、そのように思うわけでございます。

 さて、元島民の方を含む多くの国民が不安と希望が交錯する思いを抱きながら、悲願である領土返還へ向けた運動を続けて、何と半世紀以上もの時間が経過をしているということであります。この間、九七年のクラスノヤルスク合意では二十世紀中に何とか解決をという目標が打ち出されましたけれども、日ロ平和条約締結に大きく期待をしたところでありますが、残念ながら実現に至らないで今日に至っているという状況であります。

 昨年の一月には、モスクワにおける日ロ首脳会談において採択されました日ロ行動計画において、この領土問題については重要な柱として位置づけられ、また、引き続く五月末の首脳会談でも、プーチン大統領から、領土問題を解決したいという強い気持ちを持っており、決して沼に埋めようというような考えは持っていないという発言があったとお伺いしているところであります。これが進むことは日ロ関係、北方領土問題解決への大きな進展であり、関係者を含め全国民が期待を抱いて今注目するところであります。

 外務大臣にお聞きをしてまいりたいと思いますけれども、ただいま石崎先生からも御質問があり、重複するところもあるかもしれませんけれども、御了承いただきたいと思います。

 昨年の一月から、この領土問題については多くの旧島民、関係者の方たちから、一向にその進展がないような気がしてどうしようもない、じりじりとした気持ちが今募ってきているというわけでございます。私は、この日ロ行動計画採択後、双方で何度もこの実行が確認をされているようですが、今現在この計画がどれくらい進んでいるのか、そしてまた、外務大臣にその進捗状況を改めてお尋ねをしたいと思います。

川口国務大臣 御質問のその進捗状況というのが、行動計画全体のお話なのか、平和条約の部分なのか、ちょっとよくわからなかったんですが……(仲野委員「日ロ行動計画です」と呼ぶ)失礼いたしました。

 行動計画の進捗状況ということで申し上げますと、まず、御案内のように六つの柱があるわけです。政治対話の深化、平和条約交渉、国際舞台における協力、貿易経済分野における協力、防衛・治安分野における協力、そして最後が文化交流ということでやってきております。その結果、これにつきましては、六つの分野でそれぞれかなり進展があって、そういった結果といたしまして、日ロ関係が幅広い分野で進展をしたというふうに考えております。

 幾つか例を挙げさせていただきたいと思います。

 例えば政治対話の深化、重層的かつ全面的な対話の促進ということで挙げますと、二〇〇三年、ちょっと勘定がし切れないんですけれども、二十二、三、四回ぐらいになるかと思いますけれども、首脳レベル、あるいは元首脳、それから外務大臣、外務副大臣といったレベル、あるいは議員の方の交流が行われております。必要ならきちんと勘定しますけれども。

 それから、平和条約の交渉ということで申しますと、首脳、外務大臣レベルでは六回ぐらいの会談がこの点についても持たれております。それから、外交当局間、事務レベルということでいいますと、これは皆二〇〇三年の話ですけれども、やはり数回の協議が次官レベルあるいは局長レベルで行われております。

 問題解決のための環境整備ということでいえば、先ほど御質問のあった四島交流、四島自由訪問の実施、それから、日ロ環境保護合同委員会において四島の環境問題についての意見交換ということも行っておりますし、世論啓発に向けた努力ということで日ロフォーラムも開催をいたしております。等々といったことがございます。

 国際舞台における協力、これはもう本当に枚挙にいとまがないんですが、テロへの対策、軍備管理・軍縮、不拡散の分野ということで、日ロ非核化協力、それから地域情勢に関する対話ということでは、北朝鮮の核問題についてのさまざまな協力、イランの核問題、イラク、中東和平、その他のさまざまな国際的な問題における意見交換を首脳レベル、外務大臣レベル、事務レベル、その他でやっております。

 経済の分野でいきますと、一番よく見えるのは、サハリンのエネルギープロジェクトであるかもしれません。これは、サハリン2につきまして、開発の第二段階移行に伴う総額百億ドルの投資の決定を昨年いたしまして、それから、我が国の電力・ガス会社三社とのLNG供給に関する合意の締結もございます。サハリン1につきましては、原油掘削工事が六月十日に始まっております。

 防衛・治安分野における関係の展望、これは、石破防衛庁長官の訪ロ、イワノフ国防大臣の訪日といったことに始まりまして、演習への参加というのもございますし、海自の艦艇の訪ロということもございます。治安当局間の協力も、細かくは申し上げませんが、進んでおります。

 文化、国民間の交流の進展ということでいいますと、昨年は、ロシアにおける日本文化フェスティバルというのをずっとやっておりまして、その一環として総理もロシアに行かれたということもございますけれども、日本のさまざまな芸能関連のグループがロシアに行き、ロシアからも大勢の方がいらっしゃったということでございます。

 日ロ青年交流事業も行われ、スポーツ交流も行われ、都市間の交流も行われ、さまざまな催しが行われたということで、今申し上げたのは本当に一部でございます。

 いろいろな試みがそういった六つの分野で行われている、そして、幅広い分野で日ロ間の交流あるいは協力の進展があったというふうに申し上げたいと思います。

仲野委員 ただいま大変細かくお答えをいただきましたけれども、先ほど川口大臣が、ことしの前半に訪ロしたいというお答えをいただきましたけれども、ことしの前半、前半でしょうから、そのタイムスケジュールというんでしょうか、具体的にいつぐらいで予定されようとしているのか、また、どういった訪問の目的を持って臨まれるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。

川口国務大臣 ことしの前半にもというふうに申し上げまして、今、ロシアともスケジュール等について話をいたしておりますけれども、何分にもことしの前半のほとんどは国会開催中でございますので、ぜひこの点についても国会の御協力をいただければ大変に幸いに存じます。

 イワノフ外務大臣と私は、過去二回、二〇〇三年、過去といいますか昨年ですけれども、議論をさせていただいております。

 それで、どういうことをやるかということですけれども、考え方として、先ほど申しましたように、日ロ行動計画の着実な実現、これを通じまして、経済分野を初めとして、日本とロシアがお互いに持っている大きな潜在力、これを現実のものにしていく、そういう中で、日ロの関係をよりつながりの強い、深い、肯定的なものにしていく、そういった日ロ関係の全般的な発展の中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという方向の動きをやっていくということが基本的な考え方でございます。この考え方に沿って外務大臣とお話をしていきたいというふうに思っています。

 今、イワノフ外務大臣というふうに申しましたけれども、ロシアの中で、昨日カシヤノフ首相が辞任をなさったということもございまして、ロシア側の準備の状況ということも考えなければいけないかなと昨日来思っておりますけれども、この基本的な考え方に基づいて、平和条約の交渉を粘り強く進展をさせていきたいと思っています。

仲野委員 前半が国会中であるからということのお答えでありましたけれども、前半というのは、確かに大臣も、通常国会、百五十日間の会期はもちろん既にもう御案内であるということですので、前半というのも、このお言葉、大変微妙な、日本語というのは難しいものですね。

 ぜひ、私から申し上げたいのは、一日も早い解決に向けて、しっかりとした大臣としての外交を進めていただきたいという思いで質問させていただいたところでございますので、前向きにお考えをいただければと思っております。

 次の質問に入らせていただきますけれども、この領土問題が未解決であることによって、さまざまな影響が根室市を初めとする隣接地域に今なお強く及んでいるわけでございます。

 例えば、戦前、根室市の産業は、北方領土を含めた世界的漁場を形成いたしまして、国内有数の水産都市としての基盤を築いてまいりました。しかし、その後、昭和五十二年の二百海里の設定により漁場が縮減され、また、昭和六十一年には通称三角水域での操業の全面禁漁、平成四年にはサケ・マス沖取り禁止や公海流し網漁業の禁漁により、四百十五隻あったサケ・マス漁船が、その二割にも満たない八十隻にまで減船を余儀なくされてきたということでございます。

 加えて、おととしの日ロ地先沖合漁業交渉では、資源減少を一方的な理由として、マダラ漁獲割り当て量が前年の約八割も削減をされまして、さらには、昨年のサケ・マス漁業では、ロシアとの入漁料や割り当て量の問題などで交渉が難航して、生産者はもちろんでありますけれども、その関連する水産加工業、運輸あるいは燃油、地域商業までの経済に多大な影響を及ぼしました。ちなみに、根室市においては五十四億円、そして、釧路市においては二十八億円もの経済的な打撃があったと言われております。

 現在、こうした厳しい状況にある北方水域の漁業に関し、とりわけ、来月でございますけれども、予定をされておりますサケ・マス漁業交渉にどのような姿勢で取り組まれるのか。本日、北海道に関連するサケ・マス沖取り禁止の、日ロサケ・マス漁業交渉に関する陳情団が要望書を持って水産庁にも行かれているとも伺っております。そういったことを踏まえての水産庁の見解を求めたいと思います。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘いただきましたように、国連海洋法条約を背景といたしまして、昭和五十二年のロシアの二百海里の設定、あるいはまた、それに続きまして平成四年には、先生からお話がありましたように、サケ・マスの沖取り禁止といったようなことで、次から次へと漁業をめぐります国際環境が変化してまいっているところでございます。

 そうした中で、関係漁業者の方々が、減船を初めといたしまして大変な御努力をされまして、経営改善に取り組んでおられるわけでございます。また、それと同時に、日ソそれから日ロという形で漁業交渉を進める中におきまして、政府、民間、よく連携をとりまして、そういう中で話し合いを一つ一つ積み重ねてまいりまして、そういう中で、漁業資源の管理ということ、それから、漁獲枠の確保といったようなことに努めてきたところがこれまでの経緯であるわけでございます。

 そうした中で、今回、来る三月の下旬に、日ロの漁業合同委員会が開催されるわけでございます。水産庁といたしましては、関係漁業者の方々からも、厳しいということを承っております。そうした状況、また御要望といったものを十分に踏まえつつ、安定した操業がしっかりと確保されるように、今回の交渉に向けましてロシア側に求めてまいりたい、かように考えている次第でございます。

仲野委員 安定した漁業経営ができるように、しっかりとロシアに対して働きかけていくというお答えをいただきましたので、ぜひ、ことしは昨年のようなことがないように、力強くロシアに訴えていただきたいと強く要望したいと思います。

 次に、このような厳しい経済状況の中で、地元自治体の行政も、今大変な危険水域に達していると言っても過言ではないと思います。

 総理は、地方にできることは地方にとの原則のもと、三位一体改革が大きな一歩を踏み出したと施政方針の中で声高らかに言われました。しかし皆さん、どうでしょうか。今、地方の各自治体は自主財源さえ確保できない状況で、全国の自治体のあちこちで、来年度の予算が組めない、これでは住民にサービスが提供したくてもできない、そういった悲鳴に近い声が今上がってきております。私は、まさにこれは地方切り捨てと言っても過言ではない、そのように思っているわけでございます。

 その中で、北方領土原点の地である地元自治体、とりわけ根室市において、補助金、交付税等の歳入の影響総額が約四億四千万円に上ることになるわけでございます。臨時財政対策費もかなり減額をされるという実態でございます。全国に向けた返還要求運動の推進を支援していくと茂木大臣から言われておりますけれども、その中心となるべき地元根室市自治体が、このままではもう赤字再建団体に陥らざるを得ない、そういう大変な深刻な状況にあるわけです。

 北方領土返還の推進をされていく担当大臣として、今のこの北方隣接地域におけるこのような大変な財政状況についてどのように御認識をされて、今後返還運動をどのように支援されていくのか、茂木大臣にお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 仲野委員とこの委員会で質疑をさせていただくのは初めてでありますが、立場は違っても、北方領土問題を一歩でも進めて解決していきたい、こういう思いは同じでありますから、緊張されているとおっしゃっていましたけれども、ぜひ率直な御意見をいただければ、こんなふうに思っております。

 私も昨年、御指摘のように、お住まいの御地元、根室を訪問させていただきまして、そして、根室市を初めといたします北方領土隣接地域、これはまさに北方領土返還運動の原点というべき地域でありまして、この地域における返還運動が全国の返還運動の原動力となる、こういうふうに考えております。

 そういった中で、地域の財政事情も厳しい、そしてその先頭を切ってこういった運動を展開しなければならない、大変厳しい状況にある、こういうふうに認識をいたしております。

 政府といたしましても、従来から、北特法に基づきまして、北方領土隣接地域振興等基金、これは基金全体が百億円でありまして、うち国費八十億円でありますけれども、この基金を設置いたしまして、その運用益で、隣接地域の振興事業のほか、根室市等が実施いたします世論啓発事業に対する助成を行っているところであります。

 また、昨年、平成十五年度から、内閣府といたしまして、この地域におきます広報啓発活動の充実を図るために、北方領土隣接地域振興啓発経費、これは十五年度で二千百万円を計上するとともに、来年度、今御審議をいただいております平成十六年度の予算でありますが、ここにおいては二千六百万円に増額を求めているところであります。

 返還運動の原点の地であります根室地域の返還運動を活性化させることによって、こういった運動が全国に広がっていくように、そのための支援策をしっかりやってまいりたいと考えております。

仲野委員 茂木大臣も、一度根室管内、昨年十二月に寒さ厳しい根室に来ていただきまして、関係者の方たちとも懇談を持ちながら、その厳しい実態を御認識いただき、そのような中で、大変今厳しいこの根室市、あるいはまたその近隣の地域が、三位一体改革の中で財政状況がなかなか厳しい中で、今大臣からは百億の基金も設置をしてあると。しかし、もう既に御案内のとおり、なかなか今、利子も、この低金利の時代の中で運用が困難である、それもまた大臣ももちろん御認識をされていると思います。

 昨年、十五年度には、啓発費として二千百万計上させていただいた、十六年度には、それをさらに増額して二千六百万求めているというお答えでありますけれども、この原点の地、根室市が、本当に厳しい財政の中で、今後返還運動を果たして続けられるのかどうなのか、そういった声が今あちこちで出ているということも承知をしていただきたい、そのように思うわけでございます。

 当面の課題といたしまして、当然、内政措置を改めて見直しをしていかなければならないのではないのか、その何らかの具体的な対応が求められると思うんですね。私は、きょう、このことについて幾つかお伺いしたいと思います。

 まず、北特法でございますけれども、この法律は、領土問題が未解決であるということで、北方地域が置かれている特殊な事情にかんがみ、北方領土問題、そのほか北方地域に関する諸問題についての国民世論の啓発、北方地域の振興及び住民の生活安定に関して必要な特別の措置を定めることによって、領土問題に関する解決の促進を図るという目的がその五条でございます。

 そこで、この北特法五条にあります北方地域元居住者に対する援護などでありますけれども、先ほども質疑がありましたが、財産権、旧漁業権の補償問題について、一向に進んでいないという実態にあるわけでございます。この旧漁業権が補償されないかわりに、北方領土問題対策協会に十億円を交付して、旧漁業者に対する低利融資等の援護措置を講じていますけれども、法律制定当時は多くの対象者がおりまして、なかなかその制度を利用したくても貸していただけなかったこと、担保がなければ貸していただけなかったこと、そのときは既にもう本人が高齢化している、こういった問題などがあったということであります。

 ようやく旧島民の権利を継承する子供に融資ができるようになったというものの、元島民本人は、現在、平均年齢も七十歳を超えているというわけでございます。そしてまた、島にもう一度帰ることを願いながら、無念の思いとともに多くの方がもう既に亡くなられているという実態でございます。

 また一方では、年金生活者である方たちが、返還運動に対して、自分たちの身銭を切って年々活動しているというのも、またこれは現状でございます。最近では、幾らこの運動をしていても先が見えてこない、そういった、この北方領土問題に対して疲労感だけが募り、千島連盟の会員の脱会者も少なくないという声も私のところに寄せられているわけでございます。

 この五条に対して、改めての改正が必要と思われますけれども、茂木大臣にお伺いいたします。

茂木国務大臣 元島民の皆さんの財産権、そして旧漁業権の問題、私が先日訪問したときも当然問題提起を受けたことでございますし、委員が元島民の皆さんの心情に心を砕かれている、よく理解をいたしております。

 この財産権の問題につきましては、領土問題とともに、日ロ間におきましてなお未解決な問題でありますし、平和条約締結交渉において明確にされていかなきゃならない、こんなふうに考えております。

 元島民の皆さんの心情というのは私も十分理解できるところであります。ただ、財産権の不行使に対する補償、こういう点でありますと、他の問題との均衡、こういった問題も出てまいりまして、なかなか困難な点もあると思っております。

 先ほど委員の方から御指摘いただきました、昭和三十六年に創設をされました十億円の基金、元島民の皆さん等に対します低利融資制度、これも創設をいたしておりまして、使いやすい制度にするための改善というのは私は常々必要だと思っておりますし、積極的に利用していただけるような形をとっていきたい、こんなふうに考えております。

 また、援護措置につきましては、現在、元島民等の皆さんに対します自由訪問の実施であったりとか、財産の相続申告の手続についての相談、指導等も実施をしているところでありまして、そういったことを通じて、少しでもこの問題の後押しができるように努力をしてまいりたいと考えております。

仲野委員 今大臣も非常に苦しい答弁なのかな、そのように思ってはおりますけれども、ちょっと大臣、皆さんにお聞きいただきたいことは、戦後思わぬソ連軍の侵攻、侵略によって通信が切られ、いろいろな情報がなくなり、そういう不安の中から、北海道の根室に近い人たちが、小さい船に乗って、身の回りのものを少し持って、すぐ帰れるという気持ちで避難的に脱出したのが半分。九月以降の海といえば、荒れていることが多いわけでございます。その海で命からがらに助かったことが案外わかってもらえない。

 そして、それから二年後、強制送還されたときには、今度は客船ではなくて貨物船で、荷物同然での小さい船で一週間もかかった。私の家族は三カ月もかかり、九月六日に出てから、四十五日間隣の島で収容され、樺太を経由して十二月に着いた。脱出と強制送還のときに、食べるものや着るものもなく、子供や老人たちが犠牲になっている。私も、この元島民の方のこうしたお話を聞かせていただいて、胸が大変熱くなる思いでした。

 本来でありますと、日本固有の領土であります。しっかりと私は、このことについては改めて、国として責任を持ってこの内政措置をしていくんだ、そういった決意をいま一度大臣からいただきたいと思います。

茂木国務大臣 仲野委員の御意見を伺いまして、スタインベックの「怒りの葡萄」だ、何か非常によくわかるような気もいたします。

 元島民の皆さんの心情を察すれば、高齢化も進んでおりますし、でき得る措置を早くとっていかなきゃならない。御案内のとおり、財政措置をとる、これはなかなか困難な問題でありますけれども、援護措置につきましては、これからも充実をする、こういう方向で努力をしてまいりたいと考えております。

仲野委員 今大変国が財政が厳しい、そこに尽きるんだと思うんですけれども、先ほど大臣からスタインベックの何か例を出されてお話しいただきましたけれども、私が言いたいのは、やはりこうして本当に元島民の心情を、もちろん茂木大臣も根室を訪れたときには聞かれていると思うんです。私も、根室に住んで二十数年になりますけれども、元島民の方々にお話しいただくたびに、本当に苦労をしたというお話をいただくたびに、国は何をしているのか、そういった思いでいっぱいなんです。

 これもまた、大臣、お答えになるのは苦しいかもしれませんけれども、一応質問させていただきたいんですが、北海道内に二十五カ所の島民の会がございまして、道からの支援費が打ち切られ、これもまた大変厳しい財政状況にあるということなんです。そこで、国としては、返還運動を、手弁当で活動を一生懸命行っているこの島民の方たちに何らかの財政措置を講じるべきと考えますけれども、大臣、お答えをお願いいたします。

茂木国務大臣 先ほどのお答えとも重なってしまう部分があるんですが、島民の会の皆さん、本当にまじめに運動を展開していただいている、敬意を表するところであります。そういった中で、援護措置につきましては、着実な推進を図ってまいりたいと考えておりますけれども、財政措置を講じる、これは現状におきましてなかなか困難な部分が多いな、こんなふうに考えております。

 一方、北海道の方から、社団法人の千島歯舞諸島居住者連盟を経由して各島民の会に対する助成事業も実施をしている、そのように報告を受けております。平成十四年度の実績では、二十五団体に対しまして総額八十一万五千円でありますが、そういったこともやっている。

 小さなことの積み重ね、こういうことも大変重要だと考えておりますし、私は、その二十五の団体の皆さん、そしてまた団体に加わっていただいている一人一人の皆さんの気持ちを大切にしながら、どんなことができるのか、こういうことを今後工夫してまいりたいと考えております。

仲野委員 そういった団体の皆さんたちに今後何が国としてできるのか、工夫をして考えていきたいということですので、ぜひ、話はそれるかもしれませんけれども、イラクも大事かもしれませんけれども、何とかこういった島の元島民の方たちに、やはり、先ほど私が申し上げました、身銭を切って手弁当で、島よ帰れと運動を続けているわけですね。そういった方たちの意をしっかりと酌んでいただき、財政措置をしていただけるようにお願いをしたいな、そのように思っているわけでございます。

 では、次の質問でございますけれども、ビザなし交流のあり方についてでありますが、平成四年から実施されたビザなし交流も、もう早いもので十二年となったわけでございます。こうした中で幾つかの問題点が最近指摘をされておりますので、そのことについてお伺いしてまいりたいと思っております。

 一つには、この交流が本来の趣旨を離れ、観光化しているのではないかという声が上がっていることと、また、ロシア人との歴史学習会では、四島はロシアの領土で返還する必要がないと教えられているという発言もあったことから、ロシア側の青少年に正しい歴史を認識していただく必要性があることや、ビザなし交流事業の基本に沿って、その歴史学習会の充実に向けた交流のあり方の見直しの必要性や、これまで十二年間に及んで交流事業が行われてきたんですけれども、その中で成果が上がっているのかどうなのか、茂木大臣の見解を求めたいと思います。

茂木国務大臣 まず歴史学習会につきましては、私は、改善すべき点がある、こんなふうに考えておりまして、北方四島のロシア住民、そして訪問団の両者が北方領土問題についてより認識を深めていくことができるように、改善すべき点は改善して、しっかり進めていきたい、こんなふうに思っております。

 また、ビザなし交流事業自体でありますけれども、これにつきましては、四島在住のロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む日ロ間の平和条約締結問題の解決に寄与する、こういった目的で、委員御指摘のように、平成四年から始まりまして十二年間、この間に一万八百名が相互に訪問を行う、こういう実績もございます。

 この事業を通じまして、着実に交流は深まって、相互理解が進んでいる、こんなふうに私は考えておりまして、この事業につきましては継続して発展させていくべきだ、こんなふうに考えております。

 委員の方から、観光目的化しているのではないか、こういう御指摘もいただきましたが、少なくとも私は、観光目的化している、こういう声は聞いておりません。もしそういうことがあるようでしたら、そういったことも含めて、事業全体については考えてまいりたいと思います。

仲野委員 今大臣から、この歴史学習会、大臣御自身も、これも改善をしたい、そしてまた、観光化しているという声は大臣のお耳には届いていない、もしそうであるんだったら、事業のあり方も見直しをしていきたいと。

 平成四年に始まったこのビザなし交流は、相互の人的交流を行うことによって、双方の北方領土問題を深めていく、そういう趣旨で始まった事業ですので、ぜひ、今後より一層その充実を高めていただければと思っております。

 今後の粘り強い運動の推進に当たって、国民の啓発、世論の喚起を促していくことが大切であると政府も言い続けておりますけれども、関係者のみならず、若い世代へその運動の後継者が育っていただくことは大変重要なことであると思っております。

 そこで、学校教育という現場で、子供たちに対して積極的に北方領土問題の教育をしっかりと推進していくことが重要であると思うんです。この北方領土問題について、現在、学校教育の現場でどのように取り組まれているのか。あわせて、高校、大学の入試問題に北方領土の問題を出題するなどのそういった工夫もできないのかなということで、大臣にお尋ねしたいと思います。

茂木国務大臣 先日、根室を訪問させていただきましたときも、資料館に立ち寄らせていただいて、今、教科書の中でこの北方領土問題がどれくらい扱われているかと。地元の皆さんからは、こんな少ししか扱われていないんですよ、こういう御意見も伺ったところであります。

 内閣府といたしましては、これまでも、学習指導要領の改訂に際しまして、文部科学省に対しまして、学校教育の現場におきまして北方領土問題の学習指導が明確に行われるよう要望してきたところでありますし、こういったことはこれからも続けてまいりたいと考えております。

 それから、入試問題にと。入試問題に必ずこれが出ますよと言うと入試にならない、こういうところはあるわけでありますけれども、ただ、先ほど来の議論にもありますように、来年が一八五五年の日露通好条約の締結から百五十年、いろいろな周年があるわけですけれども、また、再来年は日ソ共同宣言から五十年、こういう節目の年を迎えることになりまして、北方領土問題が、入学試験も含めて学校教育の現場においてさらに積極的に取り上げられることを私は期待いたしておりますし、内閣府としても、文部科学省を初め関係省庁に働きかけていきたいと思っております。

仲野委員 大臣から大変前向きな、各省庁と連携をするという答弁をいただきましたので、過去の歴史をきちんと子供たちに教えていく、そういった姿勢が大事であると思いますので、ぜひそのように努めていただきたいなと改めて要望をさせていただきたいと思います。

 次の質問なんですけれども、昨年、支援委員会が廃止をされました。しかし、北方四島の住民支援については、人道的観点からも必要であり、かつ平和条約締結交渉の環境整備としての意義を有していることから、継続して行うこととなりました。その結果、昨年九月十八日から、択捉島の患者二名を市立根室病院で受け入れました。

 現在、国後、色丹両島在住で日本での治療を希望している患者が四十三人いるとお聞きをしております。しかも、多くの方が重い症状である。今後、日本ですべてこういった患者を受け入れることが可能かどうか。

 さらには、患者の受け入れが一九九八年から十四回行われて、治療先は札幌にあります北大病院だったということでありますけれども、今後は、札幌という遠い距離よりかも、患者の負担を考慮したときには、距離的にも近い根室市の市立病院での対応をお考えになっているのか。茂木大臣にお伺いしたいと思います。

篠田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、昨年九月から、択捉島から患者二名を受け入れたわけでございます。それから、四十三名の患者の受け入れについての御指摘でございますけれども、この四十三名ということにつきましては、昨年九月に、国後島側、色丹島側から要請があったものでございます。

 ところで、この患者の北方四島からの受け入れでございますけれども、これは私どもとして、人道的な観点及び北方四島住民の我が国に対する信頼感を高めるという観点から行っているわけでございますけれども、その受け入れに当たりましては、以下のような基準に従いまして受け入れを決定しております。

 まず第一に、四島側では治療が困難な重い病状であること、第二に、適切な診断、治療等を行うことによりまして症状の改善が見込まれるということがある場合、第三に、当然のことでございますけれども、四島側からの強い要請があるということでございます。この三つの点を基準に受け入れを決定しておるわけでございます。

 今後の拡大ということでございますけれども、この四十三名の患者の受け入れということにつきましては、限られた財源の中での対応ということにはなりますけれども、効率的な事業執行に努めつつ、先ほど申し上げました基準に基づきまして、受け入れの要否を適宜検討してまいりたいと思っております。

 それから、受け入れの病院の件でございますが、昨年のケースにつきましては、御指摘のとおり、根室市立病院で受け入れをお願いしたわけでございます。この根室市立病院に選定しました際に考慮いたしました点は、患者にとって可能な限り望ましい受け入れ体制を迅速に確保するという観点から、まず第一に、適切な治療、診断を行うことのできる施設及び医師を擁していること、第二に、患者の移動距離が短いこと等を考慮に入れて選定したわけでございます。

 この事業に関しましては、受け入れ患者の症状を第一に考えるべきであると考えておりまして、今後とも、今申し上げましたような観点に立ちまして受け入れ先を選定してまいりたい、このように考えております。

仲野委員 今、外務省の方から、患者の受け入れのいろいろな基準を考慮しながら対応していきたいというお答えをいただきましたけれども、こういったときに、返還までの間に、さまざまな不利益を受けている周辺地域について、国はそれなりの対応をされていかなければならないということ。

 今の病院問題一つ例に挙げて、支援委員会が廃止され、人道的観点からそのような住民支援に対するということで、根室市立病院で昨年二人の患者を受け入れた。

 今、根室市立病院は、御案内のとおり、例えば、総合病院と標榜していながらも、脳神経外科等の診療科目が不足をされているということ。すべての患者に、例えば北方領土の患者の方たちに、たまたま脳梗塞、脳溢血で、脳にかかわる患者が根室市立病院で治療したいといった場合に、その診療科目がない、対応できない。そういったことを考えたときに、当然、診療科目の充実はもちろんであり、病院そのものがもう相当老朽化をしておりまして、今、建てかえをしなければならないという問題が出てきております。

 そういった意味で、四島医療支援機能の整備をされていくべきでないのかな、そういった社会基盤整備に対してのお考えをお聞きしたいと思います。

篠田政府参考人 四島からの患者の受け入れの体制のお話でございますけれども、私どもとして、なるべく近いところに医療施設、各分野の医療体制が整った病院があることができれば望ましい、このように考えております。

 他方、現実、現状の中で、どのように受け入れをスムーズに行っていくことができるかということを考えますときには、まずは、患者の症状に照らしまして適切な治療、診断を行うことのできる施設、医師を擁しているのかどうかということ、それから、できるだけその中でも可能な限り患者の移動距離が少ないところという、この二つの基準に照らしまして、当面、限られた状況の中で全力を尽くしてまいりたいと思っております。

仲野委員 今お答えをお聞きいたしておりますと、可能な限り距離の近いところ、迅速に対応ができるところ。そうなれば、ちょっと私の理解からいいますと、根室の市立病院で受け入れていただきたいような。そうなると、先ほど申し上げました、足りない診療科目がある、診療科目を充実させていきながら、当然そうなれば施設の、病院の改修あるいは建てかえとなるわけですね。

 それを受けとめて、これは今後お考えいただけるのかどうか。お答えできる範囲でよろしいですので、お答えをいただきたいと思います。

茂木国務大臣 地元の病院につきましては、例えば脳神経外科であったりとか、科目が足りないということになると、恐らく、もともと住んでいらっしゃる地元の住民の皆さんにとって深刻な問題であって、これは、いわゆる日本の医療体制からどうしていくか、こういうことから考える問題なのではないかなと思っております。

 もちろん人道的な支援につきましても、日本の受け入れの体制をさらに充実していくということは必要でありますけれども、まず第一は、今ある施設の中で利用できるものがどういう形か、こういう中でベストを尽くすということだと私は考えております。

仲野委員 余り時間もなくなってきてあれなんですけれども、地元で考えるべき問題であるというような、そういうふうに……(茂木国務大臣「そうじゃない」と呼ぶ)いや、いいです、いいです。時間がないのであれですけれども、このことについては、また別な機会で質問させていただきたいと思います。

 先ほど川口外務大臣の方から、日ロ行動計画の中でさまざまな六つの柱が位置づけられて、その中に経済分野がございまして、今、サハリン2の天然ガスパイプラインについて、先ほど百億とお話がありました。

 今回、参議院議員の代表質問の中で、同僚の小川勝也参議からもこのサハリンの天然ガス2について総理に質問したところ、総理からは大変前向きなお答えをいただいているわけでございますけれども、一方では、こういった旧島民あるいは関係者の方たちから、経済交易が先行して北方領土返還がおざなりになっていかないのかな、そういった懸念もあること。

 私は、これから返還運動を続けていくことはもちろんではありますけれども、やはりこれから新しいエネルギーの供給を考えたときに、今、天然ガスが環境に大変優しいクリーンなエネルギーであるということで、先日東京でも環境に優しい天然ガスの車も走っておりましたけれども、そういった意味で、一方では経済交流が先行することによって領土返還がおざなりになっていくことの心配。

 もう一つは、私がお尋ねしたいことは、この返還運動と並行して、サハリンの天然ガス、未来のエネルギーのあり方ということで、今後どのように具体的に進められていくのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。

川口国務大臣 まず、経済分野が先行して領土問題がおろそかになるのではないかという御心配を聞かないわけではないんですけれども、そういうことではありませんということをお話しいたしたいと思います。

 日ロ行動計画というのは、先ほど申しましたように、六つの柱、その中で平和条約というのは一つの大きな柱であるわけでして、そういった行動計画に基づいて日本とロシアの間を強化し、そういった中で生まれる肯定的な雰囲気の中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約交渉を、平和条約を締結するという考え方でおりますので、これだけやってあちらはないというようなことはないわけです。

 それから、天然ガスについて、これは環境に優しいクリーンなエネルギーであるというのは委員がおっしゃるとおりでございまして、したがって、天然ガス自動車とか低公害車を、官用車として低公害車にしていくという中で、天然ガスというのは非常に大きな、大事なエネルギーだと思っております。

 ただ、私は、前環境大臣でございましたけれども、天然ガスについて環境の観点から申し上げることも、それからエネルギー政策の観点から申し上げることも、私の担当ではございませんので差し控えさせていただきたいと思いますけれども、個人的に申し上げれば、天然ガスの活用というのは非常に大事なことであって、今後ますますふやしていかなければいけないというふうに思いますし、エネルギー政策としても、天然ガスというのは一つの大きな供給源、エネルギー源の多様化という観点から大事なことであると思います。

 ただ、同時に、パイプラインの問題ですとか、幾つかあわせて解決をしていかなければいけない課題があるというふうに承知をいたしております。

 これは個人として申し上げたということです。

仲野委員 時間もないので最後になりますけれども、いま一度茂木大臣に。

 ぜひ小泉総理に、先ほどもございましたけれども、北方領土視察をしていただきたい。今、国会中でありますけれども、六月、これが終わるまでは期待はできないのかもしれませんけれども、国会が終わってからでも、小泉総理に、ぜひ北方領土返還運動原点の地、根室に足を運んでいただき、視察をしていただきたいことと、改めて、最後に茂木大臣のこの返還運動に対する決意をお尋ねいたしまして、終わりにしたいと思います。

茂木国務大臣 私自身、大臣としての訪問、大変有意義であった、こんなふうに考えております。

 また、小泉総理、この北方領土問題、大変強い関心、そしてどうにか解決したいという強い思いを持っております。ただ、総理御自身の視察につきましては、今後の国政の状況であったりとか外交交渉の進展を見ながら、総理御自身が御判断をされることだと考えております。

 また、返還要求運動等々、国民的な厚み、盛り上がり、これがなければどうしても強い外交が展開できない。こんな思いから、全面的にそういう運動の盛り上がりのために頑張ってまいりたいと考えております。

仲野委員 終わります。どうもありがとうございました。

金田委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内であります。

 茂木大臣、川口大臣、そしてまた尊敬する逢沢先輩も御同席をいただきましてありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、早速質問をさせていただきます。

 まず、茂木大臣に、大学院大学について聞かせていただきたいと思います。

 来年度の、平成十六年度の沖縄振興関係の予算を見ますと、大学院大学の関連経費というのが、平成十五年度予算額では十四億であったものが平成十六年度は二十九億という形で飛躍的にふえているわけでございますけれども、この予算を飛躍的にふやすことができる法律的な根拠というものがどこにあるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

東政府参考人 お答えいたします。

 沖縄科学技術大学院大学構想につきましては、先生今お話しのとおり、十六年度予算案で、対前年度比二倍以上の二十九億ということで御審議をお願いしているわけでございます。

 この構想は、沖縄振興特別措置法第八十五条第二項におきまして沖縄の科学技術振興の代表的プロジェクトとして規定されておりまして、また、この法律に基づきます沖縄振興計画において、その重要な柱として位置づけられております。つまり、プロジェクトとして法律的に規定されている。

 ただ、本構想につきます予算につきましては、これはあくまで予算措置で行われているというものでございまして、法律で義務づけられた法律上の直接の根拠があるというものではございません。

 以上でございます。

川内委員 今、この沖縄大学院大学については、茂木大臣の所信にもありましたが、今後の沖縄振興の目玉となる大変重要なプロジェクトであり、沖縄振興計画でも重要な柱として位置づけられているところだというふうに御説明がございました。総理の演説の中では、「沖縄県恩納村に、世界に開かれた最高水準の教育研究を行う科学技術大学院大学を設立する構想を推進いたします。」というふうになっております。

 内閣府が進めている構想である間は、私は、沖縄振興計画の重要な柱だという位置づけでいいかと思いますが、しかし、沖縄振興予算が三千億、そのうち公共事業関連経費が二千七百億、残り三百億を細かいいろいろな経費に割り振って、沖縄振興予算というものはほとんどもう余りがない、余分にひねり出す余裕がない状況ではないかというふうに思うわけでございます。

 今後の、研究所を経て、そしてまた大学院大学にまで発展をさせるその場合の初期投資の総額、そしてまた、最終的な大学院大学の形になったときの毎年の運営経費、ランニングコストをどのくらい見込んでいらっしゃるのかというところをお教えいただきたいというふうに思います。

東政府参考人 お答えいたします。

 大学院大学立ち上げまでの投資額、それから年間の運営費の見積もりについての御質問でございます。

 投資額や運営経費の見積もりということにつきましては、やはり研究内容だとかそういうものの具体的な内容が決まらないと、なかなか確たるお答えはできないというふうに考えております。

 大学の内容につきましては、新聞等々で御案内かと思いますけれども、今般学長就任の内諾をいただきましたブレナー博士のリーダーシップのもとに、大学の基本計画を策定してやっていこうということでございます。

 政府といたしましては、実は、官房長官、財務大臣、文部科学大臣、沖縄北方対策担当大臣、それから科学技術政策担当大臣という各関係閣僚の会合を持っておりまして、これをもって進めていこうというふうに考えております。

 今お話がありました経費等の見積もりでございますけれども、ブレナー教授のリーダーシップのもとでつくられました計画をもとに、今後、この関係閣僚会議を通じ、関係省庁とも十分連絡をとって検討していかなきゃいけないということで、今確たる数字はなかなか申し上げられないということでございます。

 以上でございます。

川内委員 今の御答弁は、財源的な裏づけが自信が持てないので、そこと相談しながらやっていかなければならないんだという、内閣府の大変に苦しいお立場を正直におっしゃられていらっしゃるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、今後、まず研究所の形での立ち上げを目指しているというふうに言われておりますけれども、研究所を設立するための特別な、そのための法律というものをお考えでいらっしゃいますか。

東政府参考人 この構想の実現につきましては、二段階方式ということで、研究機能を中心として持っております整備法人というものと、それをもとにして大学をつくっていこうというふうに考えております。

 その第一番目の整備法人につきまして、昨年の十二月十九日に関係閣僚による会合をさせていただきました。その中で、沖縄の研究の整備等を行う法人、すなわち、研究所を設置したり大学設置の準備をしたりする法人でございますけれども、これを平成十七年度中に設立するということでございます。

 この法人は、独立行政法人またはこれに類する法人ということでございますので、当然、このための所要の法案というものを提出しなければならないというふうに考えております。

 以上でございます。

川内委員 提出するのは内閣府から提出されるんでしょうけれども、この研究所の根拠となる法律を所管する役所はどこになるんですか。

東政府参考人 お答えいたします。

 法案の所管省庁はどこだというお問い合わせでございますけれども、今のところ、内閣府が当然中心になるということは想定しております。

 先ほど申し上げました関係省庁、四つございますけれども、そこがどういう形で入っていくかということについては今後検討しなきゃいけないだろうというふうに考えております。しかし、必要な部分で必要な省庁には確実に入っていただかないと動かないというふうに思っています。

 以上でございます。

川内委員 では、時間が一時間しかないので、大学院大学の設置法についても同様な考え方でいいんでしょうか。研究所の次の段階の大学院大学にいよいよしますというときに、やはり内閣府が提出するけれども、関係するところにはきちんと入っていただくということでよろしいんですか。

東政府参考人 お答えいたします。

 大学院大学のあり方については検討しなければならないということでございますが、ただ、一点はっきりしていることは、大学は文部科学省が所管をしているという点でございます。これはだれが何と言おうと外すことができないことだろう。あと、私どももどういう形で関与できるのかということが問題になってくるだろうということで、それ以外は、研究所、いわゆる整備法人の立ち上げの場合と変わりございません。

 以上です。

川内委員 大学院大学の場合には文科省が中心にならなきゃいけないんだ、中心というか中心的な役割を果たさなきゃいけないんだという御趣旨かと思うんですけれども、まだその辺の調整はできていないということでよろしいですか。

東政府参考人 その調整状況につきましては、一月にまた関係閣僚会議を開きまして、それを打ち合わせる事務的な連絡会議を立ち上げております。その中で決めていきたいというふうに思っております。

川内委員 学長に就任が内定をされたそうでありますけれども、ソーク研究所のブレナー教授、これは茂木大臣がわざわざアメリカまで行かれて話をお決めになられたそうでありまして、大変に立派なお仕事をされたなというふうに思うんです。

 このソーク研究所のブレナーさんという方は、ノーベル賞を御受賞になられた方であるそうでありますが、七十七歳。ソーク研究所を退職して、沖縄に奥様ともども移り住まれて、この沖縄の大学院大学構想を成功させるために毎日常駐でお仕事をしていただけるんでしょうか。そしてまた、大変下世話な話かもしれませんが、ブレナーさんに対するギャラというかお給料はどのくらいお約束をされたんでしょうか。

茂木国務大臣 給料の約束はまだしておりません。ブレナー教授、沖縄に対する思い、そしてこの大学院大学を本当に世界でもトップクラスの、また新しいモデルの大学院にしていく、こういう大変強い思いを持っていらっしゃいます。今後、どのくらいの期間といいますか割合で沖縄に駐在していただくのか、また、今後のさまざまな報酬等々の問題につきましても、ブレナー教授との間で話し合いを持っていきたいと考えております。

 それから、先ほどの文科省との調整の問題でありますけれども、これは、大学をつくるまでの間にさまざまな課題というのは解決していかなきゃなりません。ただ、これから研究所がまさに立ち上がる段階でありまして、その段階におきまして、関係閣僚会議、昨年末そしてことしの一月と二回開かせていただきまして、官房長官、財務大臣、河村文部科学大臣、緊密な連携をとっております。

 私は、事務的な調整につきましても、現段階でおくれている、こういうことはないと思っておりますけれども、詰めなければならない問題というのはまだまだある、こんなふうに考えております。

川内委員 大変尊敬を申し上げる茂木大臣にこのようなことを申し上げることは甚だ僣越でございますが、大臣、学長にお願いをした方が、給料が幾らかもまだこれからだ、勤務の形態もわからない、これからだ、そしてまた最終的な構想についてもこれからだ、すべてこれからだと。

 結局、私が最初に御指摘を申し上げたとおり、内閣府の限りのある予算の中で世界最高水準のものをつくるためには、内閣府の予算ではどうにもならない。これは多分大変なお金が必要になることだと思うんですね。だから、今内閣府でやっている限りは、なかなか、すべてのことを最初にぴしっと決めて、その目標に向かって進んでいくということが困難なんだ、だから一つ一つ固めていくしかないんだという大臣の大変苦しいお立場を感じるんです。

 ただ、しかし、この方は町内会長に就任をお願いするわけじゃないわけですから、本当に世界最高水準の大学院大学をつくろうということであれば、あなたに幾ら払う、だからしっかりやってくれと。そして、沖縄にちゃんと住んでもらって、奥さんともども来てもらって、沖縄に骨を埋める覚悟でやってくれと。それで、ブレナーさんは、わかった、骨を埋める覚悟でおれもやるというところがやはり必要なのであって、何か、名前だけ貸してちょうだいよ、あとは適当にやりますよというような感じにしか聞こえないんです。

 いいですか。受け取り方が、どう受けとめられているかということが大事なんですよということを申し上げているんです。どうですか。

茂木国務大臣 敬愛する川内委員からの御質問でありますけれども、私は、やはりノーベル賞をおとりになる方、しかも、このブレナー教授の場合はノーベル生理学・医学賞をおとりになって、ノーベル賞をとっているコミュニティーの中でも、ノーベル賞の中でのノーベル賞学者と言われるような立派な方であります。そういう方は、やはり理念であったりとか使命感で動く。お金で幾ら払うからやる、そういうことよりも、自分の人生の中で一番大切な仕事をどういう形でやるか、そういう意気込みが通じるかどうか、こういうことだと私は考えております。

 それからまた、研究にどれくらいの時間を使うか、それも、ブレナー博士がこれから現地に行かれたり、そういった形でお考えになり、その意見も尊重しながら決めていきたいと考えております。

川内委員 大臣、それは大変甘い考えだと申し上げざるを得ないですね。志の高い人はお金では動きませんよ。しかし、お金も大事な要素なんです。アメリカみたいな社会で成功される方は特にそうなんじゃないですか。そこを、いや金ではないんだ、男と男が会って話をして、意気に感じて了解してくれたんだとおっしゃりたい気持ちはわかるけれども、現実は、これから多分いろいろな話を詰めていくと、こんなはずじゃなかったということがいっぱい出てくると思うし、現に今も出ていると思うんです。

 だから、私が申し上げたいのは、いやしくも世界最高水準の大学院大学をつくるんだということを打ち上げておやりになられているのであれば、茂木大臣がしっかりとリーダーシップを発揮されて、財源的なものを、財務省なり、あるいはどことお話をするのかわかりませんけれども、沖縄振興計画の一環ではなくて、国を挙げてのプロジェクトにするんだというところに大臣の所信が変わるべきだし、また、総理の所信の中でも、これはもう国策としてやるんだという文言が入ってくるように大臣に頑張っていただきたい。

 私はそれを応援しますという気持ちでありますから、最後に御決意をちょっとお述べいただきたいと思います。

茂木国務大臣 まさに、この大学院大学、国全体として進めていく必要があるプロジェクトだと思っておりますし、そういった意味で、総理も、昨年そして本年と二年にわたりまして、具体的に施政方針演説の中でこの沖縄の大学院大学の設立構想の推進、こういうことを述べているわけであります。

 私も、立場上、沖縄の振興にもつながっていく大変目玉のプロジェクトだと考えておりますけれども、同時にやはり、これがワールドクラスの、世界の一流のものにならなければ沖縄の振興にもつながらない、こういう意味で、ここは二兎を追うことも必要だ、こういう思いを持ちながら、しっかりした構想を関係閣僚とも相談しながら進めてまいりたいと思っております。

川内委員 それでは、次の話題に移らせていただきたいというふうに思います。

 米軍の基地問題でありますけれども、昨年の十一月十六日、沖縄県の稲嶺知事と米国のラムズフェルド国防長官が会談をされたそうであります。ラムズフェルドさんは、沖縄のいろいろな基地も御視察をされたようでありますけれども、このように稲嶺・ラムズフェルド会談の中でおっしゃっていらっしゃいます。知事、どうもありがとうございました、御存じだと思いますが、私はアメリカの政府とともに、現在、世界じゅうのアメリカの基地あるいは部隊の力の構造といったものを見直すことをやっておりますというふうにおっしゃっていらっしゃいます。

 米軍の世界的な規模でのトランスフォーメーションの協議が始まっていると考えてよろしいんでしょうか。

 最近、アメリカの偉い方々が日本に次々と来日をされていらっしゃいます。ロドマンさんという方やアーミテージさんの来日なども、この米軍の世界的な規模でのトランスフォーメーションの、具体的な提案あるいは具体的な合意というものはないにせよ、そういうトランスフォーメーションに係る協議が始まっていると考えてよろしいでしょうか。

川口国務大臣 日本とアメリカとは常日ごろ人の往来が盛んにあり、この安全保障分野もその例外ではございません。そして、安全保障についても、さまざまな問題について話し合っております。

 ですから、最近いらした、ラムズフェルド長官を初めとする一連の方が、日本と、安全保障に関してのさまざまな情報交換、これをやるためにというか、いらっしゃったときにそういうことをやっているということはそうでございますし、トランスフォーメーションの話も今、先般ブッシュ大統領が言われたように、アメリカは検討しているということでありますけれども、御訪問がその話をするためにあったということではないと思います。いらっしゃるたびにいろいろな話をしているということであります。

川内委員 いや、だから私、今大臣がおっしゃられたように、いろいろな話を、それは、その話ばかりしているとお互いに煮詰まるでしょうからね。まず、やあ元気だったかというようなあいさつから始まって、イラクは大変だとか、北朝鮮はどうだとか、そういう話もしながら、そういういろいろな話の中で、米軍の世界的なトランスフォーメーションの話についてもいろいろな意見の交換が行われているというふうに考えてよろしいんですねということをお尋ねしたんですけれども。

川口国務大臣 アメリカの国務省やホワイトハウスや国防省や、そういったところからおいでになるアメリカ政府の高官とは、まさに今委員がおっしゃったように、イラクの話もしますし、北朝鮮の話もしますし、イランの話もしますし、いろいろな話をしております。その中に安全保障に絡む話というのももちろんございます。

川内委員 済みません、ちょっと言葉の使い方が、僕は余り頭がよくないのでわからないんです。

 僕は、米軍の世界的なトランスフォーメーション、力の移動というものについての意見の交換も行われているんですねとお聞きしたら、大臣は、安全保障に関しての意見の交換はやっているというふうにお答えになられているんですけれども、トランスフォーメーションに関する意見の交換というのと安全保障上の議論をしているというのはイコールなんですか。

川口国務大臣 先ほど、トランスフォーメーションの議論というのはアメリカの中で始まっているということを申し上げたわけでございまして、安全保障と申し上げたときに、安全保障は非常に広い話であるわけでして、当然にそういったトランスフォーメーションに関する話もその中に含まれるということで申し上げていたんですが。

川内委員 はい、わかりました。

 では、平成十五年の六月十一日の当委員会で、これは共産党の赤嶺委員の質問に対して、当時の海老原北米局長がこのように答弁していらっしゃるんですね。

 日米間の兵力協議と申しますか、それについても議論が行われたということでございます。

いろいろ中略させていただきまして、

  何分そういう率直なやりとりでございますので、詳細につきましては控えさせていただきますけれども、この委員会で、

 日米間で兵力あるいは兵力構成の問題、その他安全保障に関する広い問題をいろいろなレベルで協議をしている。特に、去年の2プラス2のフォローアップとして、そこで合意された安全保障問題についての協議を強化するということで、そのような協議は行われてきているわけでございます。

 特に沖縄の米軍のあり方というようなことについて具体的に協議をもう既に行っているということではございませんけれども、沖縄における負担の軽減ということにつきましては、これはもう既に、この前のクロフォードの日米首脳会談におきましても、首脳間において原則一致していることでございまして、

というふうに答弁されていらっしゃって、今、川口大臣から御答弁をいただいたとおり、いろいろなレベルでいろいろな話がされているんだなと。

 ただ、我々には具体的なことは何も、それは交渉事ですから伝わってまいりませんし、外務省さんにお任せをするしかないわけですけれども、これは何も具体的なことをお聞きするわけではございませんので、日米のそのトランスフォーメーションの話題の中に、協議じゃないですね、話題ですね、話題の中に当然沖縄も入りますよね。

川口国務大臣 在日米軍の兵力の構成の話については、もちろんそういうことについても意見交換はしているわけでございます。在日米軍でございますから、在沖米軍についてももちろん入っているということです。

川内委員 ラムズフェルドさんがわざわざ普天間を御視察になられた。多分、町中にある普天間の様子を見られて、はあ、だからこれは返還しなきゃいけなかったんだということを多分、これは僕が勝手に感じていることですよ、ラムズフェルドさんが感じたかどうかは別にして。私は、はあ、これは早く返さなきゃいかぬなということを、早くお返しして沖縄の人たちに安心と安全を感じてもらわなきゃいかぬなというふうにお思いになられたと思うんですね。

 そういう、米国の国防長官が沖縄を視察していただいて、いろいろなことを感じていただいた、そしてまた、いろいろなことを率直に意見交換をしていただいた。大変ありがたいことだなというふうに思うんですが、今大臣が、在日米軍の中には在沖米軍も当然入りますとおっしゃられた。そうすると、在沖米軍の中には当然普天間も入っているというふうに考えてよろしいですよね。

川口国務大臣 今先生がおっしゃった、普天間についてラムズフェルド長官がごらんになってどういう感想を持たれたか、あるいは、その後どういうことを考えられたかということについては全くつまびらかにいたしませんけれども、私自身としては、普天間、前に拝見をいたしまして、やはりこれは地元の住民の方は本当に不安でいらっしゃるだろうという感想は持ちました。

 それで、いろいろな話をしている中に、どういう話を何についてしているかということは、細かいことを申し上げるべきではないというふうに思いますけれども、もし先生のおっしゃっていらっしゃることが、先ほどラムズフェルドの話をなさいましたので、今報道等にあるような、普天間について代替施設ということがなく返還をすべきであるというようなことをラムズフェルド長官が考えて、その旨の打診が日本政府にあったかということを意味していらっしゃるんでしたら、そのような事実はないということを申し上げたいというふうに思っております。

 普天間については、これはSACOの最終報告の中にも入っておりますし、それから先般、代替施設基本計画というのもございまして、そういったことを踏まえて、米軍とは密接に協議をしているということはございます。

川内委員 いや、別に私は新聞報道のことをお聞きしたわけではなくて、全体的な日米のトランスフォーメーションに関する意見交換の中で、ラムズフェルドさんはわざわざ普天間を御視察していらっしゃるし、普天間もその全体的な流れの中には当然入るんですよねということをお聞きしたわけでございまして、何も具体的なことをお聞きをしたわけではなくて、今大臣が後段で述べられたように、SACOの最終報告もございますし、普天間については当然日米間の話題に上っているということでよろしいですね。

 もう一度ちょっと確認させてください。

川口国務大臣 SACOの最終報告の一つの大きなテーマでございます。それから、普天間については基本計画もつくったわけでございます。それを実施していくという段階に今あるわけでございまして、そういった実施をしていくためには米軍と緊密に協議をしなければいけないという状況でございます。そういうことは、そのお話はしております。

川内委員 そこで、今盛んに大臣がおっしゃられていらっしゃるSACOの最終報告ですね。大臣は所信の中で、SACOの最終報告の着実な実施に取り組みますという決意をお話しになられていらっしゃいます。

 このSACOの最終報告の中に、普天間飛行場については、今後五ないし七年以内に十分な代替施設が完成し運用可能になった後返還すると書いてございますが、これはそれでよろしいでしょうか。

川口国務大臣 SACOの最終報告で、普天間の飛行場のところについて具体的にどういう文言があるかということについて、今ちょっと急いで探しているんですが、わかりませんけれども、SACOの最終報告の重要な柱であるということでございます。

川内委員 ここは大事なところなので。

 大臣、普天間については別ペーパーでアタッチされていて、普天間飛行場に関するSACOの最終報告、「この文書は、SACO最終報告の不可分の一部をなすものである。」というペーパーがついているんですね。

 その一が「はじめに」で、二が「SCCの決定」というところで、この「SCCの決定」というところの(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に、「今後五乃至七年以内に、十分な代替施設が完成し運用可能になった後、普天間飛行場を返還する。」と書いてございます。これは今確認いただけましたでしょうか。

川口国務大臣 平成八年だったかと思いますけれども、モンデール大使とそれから橋本総理との間で会談があって、そのときに、今おっしゃったようなそういうことが合意をされ、その趣旨がSACOの最終報告に書かれているということは承知をしております。

 今、手元に文書が来ました。「今後五乃至七年以内に、十分な代替施設が完成し運用可能になった後、普天間飛行場を返還する。」というふうに書かれています。

川内委員 大臣の所信の中にございます、SACOの最終報告の着実な実施に取り組むという大臣の御決意とは裏腹に、このSACOの最終報告は、今大臣がみずから読み上げられたこの部分において、既に最終報告は破綻しているというふうに言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 これにつきましては、先生もいろいろ御案内のような経緯がございました。

 平成十年の二月に、当時の大田知事が海上ヘリポートの建設の受け入れ拒否ということがございまして、その後に、平成十一年の稲嶺知事による移設先の候補地の表明、それから岸本名護市長による受け入れの表明がございまして、平成十一年末に、政府として移設候補地をキャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸地域とする、そういう決定が閣議決定であったわけでございます。

 それで、この閣議決定につきまして、地元の沖縄県知事あるいは名護市長等の地元首長の参加も得て代替施設協議会を平成十二年の八月に設置をし、その後二年間、協議を積み重ねて、そして、この協議会の合意を得て基本計画の決定を見るに至ったということでございます。平成十五年の一月には、代替施設の建設協議会というのも設立をされたということでございます。

 そういうことでこの話は進んできておりまして、これとSACOの最終報告との関係については、その後、2プラス2の話を受けて、2プラス2のたしか下に置かれた委員会でそれがエンドースをされ、さらに、私の記憶では、2プラス2でもそれをエンドースしたということがあったという記憶がございます。

川内委員 済みません、私、大変不勉強で申しわけないです。

 SACOの最終報告以降、このSACOの最終報告を修正する、何か2プラス2の下に置かれた、事務局というんでしょうか、事務レベル会合での合意文書というものが取り交わされているということですか、今のお話は。

川口国務大臣 ちょっと手元に資料がないものですから私のうろ覚えなんですけれども、SACOの最終報告はそういうことで、五年から七年ということが書かれているわけですが、さっき申し上げたようないろいろな経緯、それを踏まえて新しい計画ができたわけですね。だからといって、そのSACOの最終報告が違っている、それに反しているということではないということを申し上げたわけです。

 それは、私の記憶では、これはちょっと間違っていたら後で訂正をさせていただきますが、2プラス2の下に設けられた協議の場、そこにおいてそれがエンドースをされた。それが、私の記憶では、さらに2プラス2の場でエンドースをされたといったことがあったということで、SACOの最終報告が間違っているとか、それが異なっているとか、そういうことではないということを申し上げたということです。

川内委員 私、ドメスチックな人間なものですから、エンドースをされたとか言われても、それが何を意味するのかがよくわからないんです。

 要するに、文書があるのかないのか、そしてまた、あるのであれば、それをお見せいただきたいです。さらに、私が申し上げているのは、SACOの最終報告と今と違っているじゃないか、ほら、どうだどうだと、そんな大人げないことを私は言う人間ではございません。

 大臣、SACOの最終報告と今の状況はちょっと違っていますよね。ちょっとというより大分、普天間の部分については、ほかの部分でも違っているところはあるけれども、大分変質をしていますよねということを確認させていただきたいという趣旨なんです。

川口国務大臣 先生の御質問の趣旨をあるいは酌み取り過ぎて先回りのお答えをしてしまったかもしれないと思っておりますけれども、先ほど申しましたように、これは、SACOの最終報告と、この新しい基本計画で定められた普天間の移設、返還についてのこととの関係を先ほど来申し上げているわけですが、文書はございません。

 それで、SACOの最終報告を平成八年に承認したというのは、これは日米安全保障協議委員会、俗に2プラス2というものであり、その下にあるSCCという場であるわけでして、これが、二〇〇二年の十月二十三日に開催をされた普天間実施委員会の報告を受けて、二〇〇二年の十二月十六日の会合において、基本計画に基づいて迅速に移設を進めるということを確認した、そういうことを申し上げているわけです。

 ですから、SACOの最終報告自体に書かれたこと、五年から七年というのは、そういう事実が書かれていて、基本計画で今やろうとしていることはそういうことではない。なぜそうなったかというと、いろいろな経緯があった。それは、先ほど長々と御説明をしたわけですけれども。それがSACOの最終報告違反でないということをさらに申し上げているわけで、それは、今申し上げたことから、違反ではないということでございます。

川内委員 SACOの最終報告が今の状況に変わってきていることに関して文書はないということは、一つ事実として押さえさせていただきますが、いろいろなレベルでの話で何となくそうなったという意味ですか。

川口国務大臣 申し上げているのは、そういうことではありませんで、何となくではなくて、きちんとした形でなったということを申し上げているわけです。

 SACOの最終報告を承認した場、平成八年にこれをしたのは日米安全保障協議委員会というところであるわけです。この場が、SACOのその後の計画について、要するに基本計画、これに基づいて普天間の移設、返還を迅速に進めるということを確認したということであるわけです。したがって、SACOの最終報告を承認したところが基本計画をさらに、こういうことでやりましょうということを確認したということを申し上げているわけです。

川内委員 今、大臣は大事なことをおっしゃいましたね。日米安全保障協議委員会は、SACOの最終報告を受けて普天間の移設、返還を迅速に進めることを確認したというふうにおっしゃいました。

 その意味においても、SACOの最終報告では五ないし七年となっていた期間がもう既に過ぎて、これからあと何年かかるかわからないという状況に追い詰められている現状は、やはりこのSACOの最終報告を受けて、その下につくられた、今、川口大臣が正当性を主張された日米安全保障協議委員会の、普天間の移設、返還を迅速にするというこの文言にもやはり逸脱をしてしまっているということになりはしませんか。

川口国務大臣 平成八年に承認をされたSACOの最終報告には、「今後五乃至七年以内に、十分な代替施設が完成し運用可能になった後、普天間飛行場を返還する。」と書いてあるわけですね。

 それで、もし必要ならもう一回繰り返しますけれども、先ほど長々と申し上げた、大田知事が何をおっしゃられたか、それで、SACOの状況が、普天間の状況が変わってきたという御説明を先ほどいたしました。これはよろしいですね。そういうことで、代替施設協議会をつくり、それで地元の方を入れて、稲嶺知事、名護市長等々に入っていただいて、そして基本計画というのを合意したわけですね。

 それで、その合意をした基本計画、これをSACOの最終報告を承認したその場で、新しい基本計画、これに基づいてやっていきましょうということを確認したということを申し上げているわけです。

川内委員 その新しい基本計画に基づいてやっていきましょうということを、SACO最終報告を確認した場で確認したと。その確認した場で確認したということの、何かそれこそエンドースはあるんですか。

川口国務大臣 ちょっと御質問の意味が定かでないんですが、その協議会、SACOの最終報告を承認した場、それが、新しい基本計画、それに基づいてやっていきましょうということを確認しているわけです。要するに、基本計画をつくったわけですから。代替施設協議会で議論をして、地元の方も含めて一緒に議論をして基本計画をつくったわけですね。それで、つくった基本計画に書いてあることは、先生が先ほど来おっしゃっていらっしゃることは、SACOの最終報告とは違うではないかということをおっしゃっていらっしゃるわけですね。

 ですから、私が申し上げていることは、SACOの最終報告を承認したその場、日米安全保障協議委員会ですけれども、その場が確認をしている、新しい基本計画に基づいてやっていきましょうということを確認したということを申し上げているわけです。

 確認をしたから、それが最終であって、日米安全保障協議会が確認したことが、何か別の文書によってエンドースをされなければいけないということでは全くない。これは、日米安全保障協議会がSACOの最終報告をつくったわけですから、その場が、違うことについて、それはここでこれでやりましょうということを確認したので、それで十分であって、先生がおっしゃるような新たなる、さらなるエンドースというのは必要ではないということを申し上げているわけです。

川内委員 いや、だから私が申し上げている趣旨は、要するにSACOの最終報告が変わったということをみんなで確認していると今大臣はおっしゃっているんですけれども、その確認しているという資料はありますか、証明できるんですかということを聞いているんです。

川口国務大臣 SACOの最終報告が変わったということを確認したのではなくて、SACOの最終報告に盛り込まれているあることについて、別なことでやりましょうということを確認したということなんですね。

 それは、SACOの最終報告を……(川内委員「だから、それがあるんですかということ」と呼ぶ)ですから、それは、SACOの最終報告をまさに承認したところがそういうことを言っているわけですから、それ以上に、何か第三者によって確認をされるとか、そういうことではないということを申し上げているわけです。

 例えば、川内先生があることを決められた、それで、そのことについて川内先生がこれはこういうふうに変えますということを言われた、それを第三者が承認をしなきゃいけないということではないということを申し上げているわけです。

川内委員 いや、もうちょっとわかりやすく、クリアになればいいなというふうに思うんですけれども。

 だから大臣、要するに、承認したというか認めたという議事録とか、何かそういうものがあるんですかということなんですよ。

川口国務大臣 日米安全保障協議委員会を二〇〇二年の十二月にやっております。この後、共同の発表をいたしておりまして、そこにおいて、これは、外務大臣、防衛庁長官が日本からで、先方から国防長官、国務長官が出るという場でありますけれども、「閣僚は、二〇〇二年七月の基本計画の策定を沖縄県民の負担を軽減するために両政府がとった一つの重要なステップとして歓迎し、同計画に基づいて、迅速に移設を進めることを確認した。」というふうに書いてございます。

 外に出ているという意味では、それで発表をしているということでございます。

川内委員 その記者発表の文言の中には、ちょっとよくわからなかったんですけれども、SACOの最終報告という文言はなかったんですよね。

川口国務大臣 長い文章なものですからその一部しか読み上げなかったんですが、全部を読み上げさせていただきたいと思います。(川内委員「後でください、それを」と呼ぶ)

 それでは、後からその共同発表の文書はお渡ししたいと思います。

川内委員 もうあと時間が五分しかないので、ほかにもいっぱいお聞きしたいことがあるので、ちょっとこの点はこだわりたいところなんですが。

 SACOの最終報告に日米間で取り決められたことが書いてあって、それは、国内的な事情によって、その最終報告の内容自体とはちょっと違う方向に今進んでいる。SACOの最終報告の内容とは、書かれていることとは違う方向に進んでいる。

 最初は、SACOの最終報告では、海上ヘリポート案、滑走路は千五百メートルというふうに書かれているわけで、すべての事柄について国際間の約束というのはそのように進んでいくものだと私は思っていたんですが、何か途中で全然違うふうになっても、いや、これは変わっていません、これはこれでいいんですと。

 私が言っているのは、平成八年のSACOの最終報告に書かれている言葉と今の状況は違いますよねと。別に、継続性を、正当性が問題があるなんということを言っているんじゃないですよ。正当性は、当然それは政府がおやりになることだから疑っていませんよ。間違っているとかおかしいなんと言うつもりはないです。平成八年のこの文書と今の状況は違いますよねということを申し上げているんです。

川口国務大臣 先ほど来申し上げているように、それは違っているということであります。それで、その理由、事情は申し上げたとおりです。

川内委員 だから、今違っているということをお認めになられたので、次に正当性のことを言わなきゃいけないんです。

 私は、大臣、後で記者発表の文書をいただけるということですけれども、このSACOの最終報告というものの中身を正当性があるように変えるのであれば、記者発表の文書ではなくて、やはり、これは国家間の契約なんじゃないんですか、ある種の。契約を変更するときには、契約変更の書類というものがなければ、これだと正当性が疑われる。ただ四人で会って、話し合って、外に向かってこうすることにしましたという、それで正当性がありますなんというのは、ちょっと町内会のレベルじゃないかなというふうにも思ってしまうんですが、いかがですか。

川口国務大臣 SACOの最終報告は条約ではないわけです。これは、両国の政治的な約束であるということであります。

 それは、先ほど来申し上げていますように、先生の先回りをして私は深読みをし過ぎていまして、正当性の議論を先に申し上げてしたわけですけれども、まさに、そのSACOの最終報告というのは、日米安全保障協議委員会が承認をして、日本とアメリカの間の政治的な約束になったわけですね。それをした日米安全保障協議委員会が、この部分についてはこの形にいたしましょうということを確認した、その旨を記者発表した、共同発表した、それで、その手続的には全く問題はないということであります。

 先ほど来申しているように、ちょっと例は悪いかもしれませんが、例えば、川内先生とどなたかが何かの約束をした、それで、その約束をした当事者が、その後起こったいろいろな現実的な変化、それを踏まえて、これはこういたしましょうということをまた二人でお決めになった、同じ人が決めているわけですから、決めた人がここの部分については変えましょうと言っているわけですから、それはそれで、その手続的に全く問題があるということではなくて、正当だということを先ほど来申し上げているわけです。

 それで、それは日米安全保障協議委員会の人間が勝手に変えたわけではなくて、その間のいろいろな事情、これを、地元の方にも入っていただいた、稲嶺知事ほかに入っていただいた委員会をつくって基本計画を決めたということであるわけです。

川内委員 るる言いわけをお聞きしましたけれども、私とだれかの約束じゃないわけですよ。人と人との、例えば私と金田委員長との約束なら、口約束で幾らでも変えても、二人のことだからいいですけれども、これは国家間の約束なんでしょう、政治的な。最初に文書にしているわけでしょう。

 条約ではない、国家間の政治的な約束は条約より下なんだというような言い方をされたけれども、そんなことはないと思いますよ。国家間で政治的な約束を文書で交わしたものは、それを変更するのであればやはりきちんと文書をつくらなければならないし、それをしていないからこういうことになるわけですよね。

 そういう意味でも、SACOのこの最終報告というのは破綻をしているし、アメリカ側がもしSACOの最終報告の見直しというものを望むのであれば、これは、今どういう形になっているのかということをお互いに確認する上でも、最終報告の見直しというものは受け入れるべきだというふうなことを申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、あと一分しかないので、まとめて五問ぐらい質問させていただきます。

 大臣、外務委員会で日米地位協定の改定に関する決議というものが行われ、沖縄北方問題の特別委員会でも日米地位協定の改定に関する決議というものが行われたにもかかわらず、大臣は、所信表明演説の中で日米地位協定のことについては一切触れられていないわけであります。

 そして、この間、日米地位協定に係る刑事裁判手続の見直しの日米交渉というものが、昨年の七月、四回にわたって行われ、また、これは河野外務大臣のときからの懸案事項でありますから、日米間で何回にもわたってこの日米地位協定の運用の改善並びに文言の解釈の変更ということに関しては話し合われてきたにもかかわらず、一切成果がないということに関して、どのように思っていらっしゃるのか。

 また、大臣所信の中に日米地位協定に向けた決意というものが去年もことしもなかったということに関する反省をお聞かせいただきたいというふうに思います。

 さらに、全然話題を変えて、石垣島の空港の件でありますけれども、茂木大臣、昨年、二〇〇三年は、石垣空港は乗降客が三十万人ふえているんです。人は空港がいいからそこに行こうと思うのではなくて、かえって不便だからこそ、遠いからこそ自然が残っていて、そこに行こうと思う人たちがいっぱいいるということをこの事実は物語っているのであります。

 今の石垣新空港の問題は、大変に、世界遺産にも登録されんとするサンゴ礁を破壊し、沖縄県は破壊しないとか、政府も大丈夫だとおっしゃるのかもしれないですが、これは確実に自然に影響を与えるものでありますから、その辺を十分に十分に御判断いただいて、きょうは国土交通省の方にもお運びいただいているんですが、事業採択に当たっては慎重の上にも慎重を期するというところをお願いしたいと思いますが、この件に関しての見解をお尋ねさせていただきたいと思います。

 まず大臣の方から。

川口国務大臣 二つ御質問があったかと思います。

 まず、刑事裁判手続の話でありますけれども、これは、昨年鋭意交渉をしたわけですけれども、まだ彼我の差が縮まるところに至らなかったといった経緯がございます。

 これにつきましては、先般、ラムズフェルド国防長官がお見えになったときに、私はその件についてお話をいたしました。そして、これについては早期に妥結をするということが重要だということについて合意をいたしました。その後、政府といたしまして、いろいろな意見交換をこの点について行っております。

 まだ、具体的にどの日にどのレベルで協議をするということについて申し上げられる段階にはないわけですけれども、これについては早期の解決を目指して今取り組んでおります。

 それから、地位協定でございますけれども、この考え方については、もう再三再四、これも何回も申し上げているわけでございまして、それは機微の、そのときそのときのいろいろな問題に迅速に対応をしていくということのためにはその運用の改善をするということが合理的である、そういう考え方でやっています、それが政府の考え方ですということは、もう今までずっと申し上げてきているところでございます。

茂木国務大臣 不便だからいいというのは、恐らく一部の観光客の方にはあるかもしれませんけれども、多くの観光客にとっては便利な方がいいですし、地元に住んでいる方から見れば、沖縄だけじゃなくて、先生の御地元の鹿児島の方だって、不便な生活がいいとは思っていないと思います。やはり、生活の向上を考える上での必要なプロジェクトというのは進めていきたいなと。

 この新石垣空港の建設、これは、観光のみならず、八重山地域全体の産業の振興、それから地元の住民の皆さんの生活の必要を図る上で大変重要なプロジェクトだと考えております。地元からも大変要望の強いプロジェクトでありまして、私も先月、石垣の方を訪問させていただきましたが、現状も拝見をさせていただきました。

 国土交通省とも連携をとりながら、もちろん、委員御指摘の環境面への配慮、これは十分していかなきゃなりませんが、しっかりした支援をしていきたい、こんなふうに考えております。

 それから、先ほどの答弁の中で、沖縄の大学院大学に関連しました第三回の閣僚会議、一月と申し上げたようでありますが、二月の六日に開かれたものであります。訂正させていただきます。

川内委員 また議論させてください。

 終わります。

金田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 ただいま川内先生の、SACO合意は破綻したという、るる詳しい質問の中での解明がありました。全く同感であります。

 やはり、一方でSACO合意の破綻があって、そしてもう一方で、先ほど川口大臣から説明がありました、二〇〇二年七月に決まった普天間飛行場代替施設の基本計画、これ自身も破綻をしているという面があると思うんです。

 ですから、ラムズフェルド国防長官が沖縄県に来て、普天間基地を見て、ある種の感想を述べられた。そして今、マスコミの報道では、普天間基地の返還は代替施設への移設なしにという議論が行われている。これは、そういう発言がどこであったかどうかということよりも、文字どおり、川内先生がおっしゃったSACO合意の破綻や、あるいは基本計画の破綻という沖縄の現実がそういう議論を生み出している、私はそのように考えております。

 それで、きょうは、その基本計画の実施に当たってのさまざまな問題点についてお伺いをしていきたいと思います。

 基本計画では、結局、埋め立て方式に変わりました。埋め立てるということで、今度は、複雑な地形に埋め立てをする、その埋め立てをするために護岸構造を検討しなければいけない。護岸構造を検討するために、六十三カ所の地点を設定してボーリング調査を行いたい、こういう計画が進行しているわけです。

 地元名護市議会や県民の間からは、環境アセス法に基づく方法書も作成していない段階で、サンゴ礁やあるいは海草藻場やジュゴンに影響を与えるボーリング調査をやるというのは、どう考えてもおかしいじゃないかという議論が起こっております。

 そこで最初の質問ですが、これは、護岸構造といいますけれども、この護岸というのは埋め立ててつくる代替施設と一体のものなのか、あるいはその代替施設から切り離されて沖合の方でつくるものなのか、そのことをまず説明していただけますか。

山中政府参考人 これは、今委員が御指摘になられましたように、埋め立て工法により代替施設の本体部分の建設をいたします。当然、土砂を海域に投入して埋め立てるということでございますから、投入された土砂が海域に流出をしたり、あるいは建設される施設への波の影響を防止するということが必要でございます。

 その意味で、埋め立てられる部分と一体不可分のものとして護岸が必要であるというふうに考えております。

赤嶺委員 埋め立てられる部分と一体不可分であると。

 ところが、その護岸構造を検討するに当たって、それは環境アセスの中でやっていくのではなくて事前調査でやっていくんだという言い方で、環境に影響を与えるボーリング調査を進めようとしたわけですね。一体であれば、護岸構造も護岸の建設も環境アセス法の対象になることは間違いないわけですね。

山中政府参考人 これは全体として環境影響評価の対象になるというふうに理解いたしております。

赤嶺委員 それでは、なぜ今回、護岸構造の検討に当たって、環境アセスの中で調査をするのではなくて、皆さんは、環境アセス方法書の作成が始まる前にボーリング調査なるものを、六十三カ所も穴を掘って、サンゴやジュゴンや海草藻場に影響を与えるようなこういう事前調査をやろうとしているんですか。

山中政府参考人 私どもが今護岸構造の検討のために実施をいたそうということにしておりますいわゆる現地技術調査、六十三カ所穴を海底に掘るというようなことを含めた調査でございますので、当然、その調査の段階において必要な環境面への配慮をするという考え方に基づいて、県とも協議し、あるいは専門家の方の御意見を伺いながらその計画を立てているということでございます。

赤嶺委員 その海域の地質、地形であれば文献でもまとめられておりますし、既に防衛施設局は以前にも同種の調査をやっております。現地技術調査というならば、環境に影響を与えない、文献に基づく資料の整理だとかという方法があります。

 何であえて環境に影響を与えるようなことを、専門家の助言も受けなければ環境に心配されるようなやり方を、環境アセス方法書の作成が行われる以前に皆さんはやるんですか。何であえてそういうことをやるんですか。

山中政府参考人 これは、代替施設の建設場所が非常に複雑な地形をいたしております。当然、設計に先立ちまして護岸構造、例えば護岸の幅でありますとか高さ、こういったものが適切であるということを確認するために、技術的な検討に必要なデータの収集を目的として実施をしたいということでございまして、地形なり気象、あるいは海底の地質、さらに海象、こういったものを調査項目としているということでございます。

 とりわけ地質につきましては、その地質の強度あるいは地層がどういう形状になっているかというようなことは、いわゆる地質の調査という形で詳細な調査が必要だということで行おうというものでございます。

赤嶺委員 方法書の作成の中でも地形、地質の調査というのは出てくるんですよね。だから、環境アセス法で言う方法書を作成する前にこういう事前調査をやることは、事実上の、工事着工の既成事実を積み上げていくやり方だと指摘せざるを得ません。結局、SACO合意が破綻し、基本計画も破綻するというやり方はここにも一つあらわれていると思います。

 きょうは、この問題は引き続き私は追及していきたいと思うんですが、その護岸構造の事前調査をするに当たって環境への影響を抑えるために、環境省から皆さんは、専門家の知見を得ること、このように指摘をされました。名護市議会も同様の決議が上がりました。事ほどさように、ボーリング調査というのは環境に与える影響は重大だと見ているわけです。

 そこで伺いますけれども、その専門家の皆さんからいただいた助言、皆さんのホームページにも載っておりますが、専門家の皆さんは検討の会議を行ったんですか。そして、現地に行かれたんですか。あるいは、専門家の回答というのはどういう方法で皆さんは得たんですか。政府が得た回答なのか、あるいは委託したコンサルが直接専門家からいただいた回答なのか。どのようにしてあの回答を得るに至ったか、それを具体的に答えていただけますか。

山中政府参考人 これは五名の専門家の方に、ジュゴンあるいは藻場、サンゴ、魚類、こういったものに対して現地技術調査を実施した場合にどういう影響を及ぼすか等、専門的な知見に基づいた助言を個別に那覇防衛施設局がお願いをしていただいたものでございます。

赤嶺委員 それは、皆さんが専門家に対して、かくかくしかじかの質問事項の紙を送って回答をいただいたやり方だったのか、あるいは検討会議を持ったのか。あるいはまた、現場調査を専門家は行ったのか。そして、その専門家の氏名についても教えていただけますか。

山中政府参考人 これは、五名の専門家の方は海洋動物学あるいは海洋植物学の御専門でございまして、それぞれの御専門の分野が異なるということで、お集まりいただいて検討会を開くというような形で御意見をいただいたものではございません。

 私ども、現地技術調査の作業計画というたたき台をまず策定いたしまして、それを専門家の方にお示しをし、それぞれの専門的な知見に基づく御助言をいただいた、それを最終的に作業計画の取りまとめに反映をしたということでございます。(赤嶺委員「答弁が二つ漏れています。現地に行ったのか、氏名はどうか」と呼ぶ)

 現地の踏査はいたしていないというふうに承知をいたしております。

 それから、五名の専門家の氏名につきましては、これは、氏名については公表をいたさないということで依頼をした経緯がございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 氏名は公表されておりませんが、専門家の回答の内容というのは非常に重要な中身になっています。

 きょうは時間がありませんので、ジュゴンに絞りますけれども、このジュゴンについて、作業音がジュゴンに与える影響について、専門家は、聞きなれない音については驚くことがあるが、危険でないことがわかればだんだんなれる、音の影響についてはよくわかっているわけではないが、嫌がる音が出ても、音がやめばほどなく帰ってくるので問題ないのではないか、海外では、航行中の漁船の下を泳いだりダイバーの横を泳いだりするのもいるし、発破漁法をやった後でも同じ場所にえさを食べに来ている事例あり、こういう回答が出ているんですね。

 ジュゴンは、音の影響についてよくわからないけれども、しかし、爆発音がしても、あるいは嫌がる音が出ても、しばらくするとまたもとに戻ってくるんだよという専門家の回答があります。その専門家は、音の影響についてはよくわかっているわけではないがと言いながら、問題ないという結論を出しています。これは説明になりますかね。

 爆発音がしても戻ってきた事例だとか、具体的な事例について、根拠を持って皆さんのところに回答があったんでしょうか。皆さん、その根拠を求めたんでしょうか。

山中政府参考人 いろいろな項目について専門家からの助言をいただいたわけで、今委員が御指摘になりましたジュゴンに関しても、今おっしゃったような専門家の助言内容になっております。

 ジュゴンの生態につきましては、今御指摘になりました音に対する反応、あるいは、どういう海域をどういうふうに遊泳をするのかといった点を含めまして、私どもも含めて、完全に把握できているわけではもちろんございません。

 ただ、現時点において最もジュゴンの生態等について知見を有するというふうに考えられる方々からの助言でございまして、そういったものをきちんと把握し、今後、調査に当たってその助言を生かしていきたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 その最も知見を有する方々が、音についての影響は定かではないが余り問題ないだろうという結論の出し方、これは、ジュゴンへの知見を持っていらっしゃる方々ですから、具体的な例示や具体的な根拠があると思うんですが、そういうのを求められていませんか。

山中政府参考人 これは、専門家の方からレポートをお出しいただいただけということではございませんで、いろいろなやりとりを局側もいたしております。

 例えば、専門家の方と、船のエンジン音、これも音の影響は小さい、小さいけれども、調査をする際にはエンジンを切るといったような配慮をすることも必要だという、要は、得られている知見の中で、できるだけジュゴンの生態等に影響を与えないような、考えられ得る配慮をしながら調査をしていくという姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 本当にこれで説明したことになるのかという疑問を禁じ得ません。

 例えば、世界的にジュゴンに対して一番権威のあるという研究者がオーストラリアにいらっしゃいまして、マーシュさん。マーシュさんの出している定説は、ジュゴンは音に対しては敏感だ、このように指摘しているんですね。一方で、音に対して敏感だという指摘があり、もう一方で、それでも大した影響を受けないという結論を出される。これでは、県民の方は納得いく説明にはならないだろうと思うんです。

 もう一つあります。

 専門家の回答に、ジュゴンがリーフの切れ目を通過しているかどうか、事実関係は明らかではないが、水深さえ確保できればリーフ上を通過することが可能である、しかし、念のためリーフの切れ目を避ける配慮を行った方がよいと助言があります。

 リーフの切れ目というのは、ジュゴンがえさを食べに外海から内海にやってくる入り口ですね。そこをふさいでボーリング調査をやるんじゃないかという不安が出た。それに対して、リーフの切れ目から入ってくるわけではないという専門家の回答がある。でも、地元では、漁民の方々は四六時中リーフの切れ目からジュゴンが出たり入ったりしているのを目撃しております。ですから、リーフの切れ目を、ざん口と呼んでいるんです。「ざん」というのは、沖縄の方言でジュゴンです。口というのは入り口の口ですね。

 そこまで地元の漁民がはっきり事実として認識しているようなことも、皆さんが依頼した専門家の回答では、そういうリーフの切れ目を通過しているかどうかわからないという回答なんですが、これもちょっと説明して納得させるのは難しいんじゃないですか。どうですか。

山中政府参考人 確かに、専門家の方の助言には、今御指摘のあった点がございます。

 私ども、そういった助言も踏まえまして、実際の作業計画の策定に当たりまして、六十三カ所のボーリングをいたしますが、同時にボーリングを実施する箇所、これは最大八カ所に限定をいたします。さらに、地質調査の作業時間、これは日中にいたします。

 当然、先ほども申し上げましたけれども、作業音の低減努力、あるいは、弾性波探査の実施の前に、ジュゴンは背びれがないということで、上空からジュゴンの存在の有無を確認する必要がございますので、航空機等による周辺からのジュゴンの存在の確認、こういった対応をしていきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 結局、ジュゴンに与える影響を軽減するといいながら、専門家の回答の内容というのは、防衛施設局にとっていわば都合のよい答えばかりなんですね。異論、異説もあるけれども、その異論、異説について、根拠を持って説明することさえもしていない。

 ですから、ある科学者団体がこう言っています。専門家の助言は、全体に施設局の見解をそのまま支持するものになっており、研究者としての情報収集、分析力、社会的責任から見ると不十分であり、大変に軽いと言わざるを得ない、このように言っております。

 そこで、沖縄担当の茂木大臣に伺いますが、大臣就任以来、沖縄をずっと、石垣、離島まで駆けめぐって大変御苦労さまでありますが、改めて、亜熱帯の地域の自然環境というのは、やはり本土とは全く違う自然環境、特有なすぐれたものを持っているというぐあいに多分お感じになっただろうと思います、茂木大臣のことですから。

 ところが、そういう専門家の中身というのは、環境に対して大事にしてほしいと願っている県民の願いにもこたえていないんじゃないか、説明責任を果たしていないんじゃないか。そして、防衛施設局にその専門家の氏名を、情報公開で氏名を明らかにせよと言ったら、この五人の方々が真っ黒に塗られた資料が出てきたんです。専門家というのは、その専門的な知見というのは、まさに名前が明らかになってこそ専門家じゃないですか。

 こういうやり方で、茂木大臣は説明責任が果たされているというぐあいにお考えですか。

茂木国務大臣 沖縄には、本土にはないすばらしい自然環境、動植物がたくさんありまして、その環境保全というのは非常に重要な問題だと思っております。

 今お示しいただいた専門家の氏名でありますけれども、先ほどの答弁を聞きますと、事前にその専門家の方に、氏名を明かさないことを条件に、こういうことでお引き受けいただいたということでありますので、今回につきましては、そういう措置をとったのはいたし方ないかなと思います。

 ただ、私は、基本的にはやはり、専門家の方は何も悪いことをするわけじゃないわけですから、氏名を明かして、きちんとその知見をやっていただくということが今後の方向としては望ましいんじゃないかなと思います。

赤嶺委員 私、きょう、泡瀬干潟の質問も用意して茂木大臣に伺う予定だったんですが、実は泡瀬干潟もいろいろな検討委員会が各種催されておりますが、専門家の発言の中身まで公開しているんです。そして、内閣府は、やはりそういう……

金田委員長 赤嶺君に申し上げます。

 質疑時間が経過しております。簡潔に願います。

赤嶺委員 専門家の議論を詳細に聞いていただいた方が環境への理解も得られるということで言っていますので、改めて、説明責任を防衛施設局が果たしていないということを指摘して、私の質問を終わります。

金田委員長 次に、白保台一君。

白保委員 公明党の白保でございます。

 初めに、茂木担当大臣にお伺いをしたいと思います。

 経済の自立を目指してスタートいたしました新しい振興策も、もう三年目に入ろうか、こういうときになっております。情報通信や、あるいはまた特別自由貿易地域だとか、あるいはまた観光振興とか、そういった形でもって着実な進展を見せているわけでございます。

 同時に、昨年は川口大臣等、皆さん方、政府関係者の判断で、太平洋・島サミットを沖縄で開いていただきました。改めて感謝いたします。

 沖縄のコンベンションアイランドとしての位置づけ、そしてまた国際交流の場としての位置づけ、そういったものが着実に進んでおるなと。二〇〇五年にはまた米連邦銀行の会議もございますし、そういった面で非常に大きな交流の場としての進展が見られておる。

 そういった中で、昨年は、沖縄は入域観光客が五百八万人、五百万を突破いたしました。五百万人突破感謝の夕べでは、茂木大臣は、五〇八、ゴーヤー、沖縄らしいとか言って非常に喜んでおられる姿もあったわけでございます。そういう中で、おとといですか、何か新聞にも出ていましたが、「「観光立国」本気! 政府」なんというのが出ていました。一千万人、ビジット・ジャパン一千万という、観光立国としての日本が今真剣に取り組んでおる、これは海外からのことでございますけれども。

 そういう中で、沖縄観光が五百万を超えた、その五百万をこれからまた伸ばしていかなきゃならない。観光というのは、もう皆さん御存じのように、非常にすそ野が広い、いろいろな業種とのかかわりがある業種ですから、そういう面では、経済の即効性という面から非常に大きな効果を上げる。したがって、今どこの地域でも、一地域一観光という形でもって進めております。

 そういう面で、私は、五百万を超えたこの段階での沖縄観光というのが、日本が今本気で取り組んでいる一千万、ビジット・ジャパン一千万という、観光立国としてのそういう政策の中でどのような位置づけをなされるべきなのか、この点について担当大臣はどのようにお考えなのか、御所見を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 昨年の沖縄への観光客数、委員御指摘のように五百万人を突破しまして、五百八万人。これは、さまざまな支援措置もありますが、何にも増して私は、地元の沖縄の皆さんの御努力のたまもの、こんなふうに感じております。

 観光産業の場合、委員御指摘のように、非常に経済波及効果が大きい、また雇用の吸収効果も大きい産業でありまして、沖縄の特性等を生かして、これからまさにリーディング産業になっていくものでありますし、日本全体の、観光立国の政策とも連携しながら、さらなる振興を図っていきたい、こんなふうに考えておりますが、特に沖縄の場合、これから三つぐらい大きな課題があると私は思っております。

 その第一点は、海外からの観光客。アジアに非常に近い位置にあるんですけれども、五百八万人といいながら、海外からは約十万人、こういうところにとどまっておりまして、やはりもっとアジアから集客できるような施策をとっていかなきゃならないなと。例えば、外国語によります沖縄の観光情報の発信等々の施策、さらには外国観光客の誘客キャンペーンなどの取り組みを行ってまいりたいと考えております。

 二つ目は、沖縄観光のさらなる魅力づくり、こういったものを進めていく必要があると考えております。このため、特定免税店の空港外への展開、それから、先月、一月にオープンいたしました国立劇場おきなわの利活用を図る等々、観光客の多様なニーズに対応するためのエコツーリズム推進事業であったりとか、健康保養型観光推進事業等々の対策も実施してまいりたいと考えております。

 三番目に、質の高い受け入れ体制の確立、こういうことも必要だと思っております。

 私は、沖縄を訪れるたびに、非常にホスピタリティーのある、そういう温かみのある人が多いなと考えておりますけれども、同時に、スキルを養う、こういうことも非常に重要だと思っておりまして、観光産業の人材の育成事業、そして観光関連の情報を一元的に集約する沖縄観光共通プラットホーム構築事業等々を実施してまいる所存でございます。

白保委員 それで、やはり入域の入り口が今は空港で一つですね、那覇空港。その沖合展開の問題というのが常に言われてき、また調査も行われておると思うんです。これは自衛隊と共用しておりますから、軍民共用、このようにかねてから言われて、その危険性の問題や、あるいはまた観光客が足どめを食う、そういう状況というものも多々あるわけです。

 そういう面で、沖合展開の件についてどのような状況になっているのか、この件について、事務方でも結構です、お聞かせください。

東政府参考人 お答えいたします。

 那覇空港の沖合展開につきましては、国土交通省にございます交通政策審議会航空分科会におきまして答申が出ております。その答申の内容は、既存ストックの有効活用をするとともに、滑走路増設等を含めた抜本的な空港能力向上策を検討せいという内容のものでございます。

 このため、内閣府といたしましては、平成十五年度から、国土交通省とともに、地元沖縄県と連携をいたしまして検討会をやっております。今後とも、引き続き調査、検討に取り組んで、沖合展開についての努力を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

 以上でございます。

白保委員 非常に大事なことでございまして、やはり観光立県という立場をきっちりと据えております。

 したがって、これからの入域観光の一番肝心なところは、先ほど大臣からもお話がございましたことも含めて、やはりその中でも誘客のための手段として私は映画特区を、今非常にロケーションがいいので、映画特区という形でもって進めていくべきだということも言っているわけでございますが、そんなことも含めて今後観光振興はこれも続けていかなきゃならない課題である、こういうふうに思っております。

 そこで、次の問題に移りますが、担当大臣、よく聞いていていただきたいと思うんですが、厚生省に伺いたいと思いますけれども、保育園の問題なんです。

 認可保育園と認可外保育園というのがありまして、これは厚生省の方から実態を教えてもらいたいと思います。私も持っていますが、皆さんから、この実態、全国と沖縄の対比、そして沖縄の中におけるところの認可外、このことについてまず数字を言っていただきたいと思います。

伍藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、認可保育所でございますが、全国に約二万二千カ所、沖縄県はそのうち三百二十六カ所でございます。

 これだけではわかりにくいので、この整備状況がどんな水準かということを就学前児童に対する認可保育所の定員の割合ということで申し上げてみますと、全国が大体二六%でございます。それに対して沖縄県は二二・三%、こういう水準になっております。

 それから、認可外の保育施設でございますが、施設数は全国で約六千八百カ所でございます。沖縄県はそのうち五百六十七カ所という数字になっております。

 認可保育所に対する認可外保育所の比率ということで見ますと、全国的には、認可保育所の三割に相当する数の認可外の保育所があるということでありますが、沖縄県の場合にはこれが一七四%という数字になりまして、認可外保育施設の方がかなり多い、こういう実態にございます。

白保委員 わかりにくかったと思いますけれども、要は、保育園が、認可外の保育園と認可の保育園とを比べると、ほとんど半々、少し多いぐらい認可外なんですよ。本土は九〇%以上を超えるんです、これが。それだけ施設も悪い、あるいは待遇も悪い、そして親も多くお金を出さなきゃいけない、こういう状況というのが今日沖縄の実態としてずっとあるわけです。

 厚生省も非常に困っているんだろうと私は思います。待機児童の解消のために制度を整備しても、本土の場合には順番に解消していくことができる。ところが、余りの多さに、沖縄は同じような制度の中でやっていったならばとてもじゃないけれどもいつまでたったって解決しない、こういう実態があるんですよ。そこの実態をではどうやって埋めるか。

 どうですか、厚生省、どうやってこの格差を埋めるか。

伍藤政府参考人 御指摘のとおりのような状況をどうやって改善するかということで、これは沖縄県ともども取り組んでまいりました。

 まず、初期の段階といいますか、沖縄県の復帰後は、できるだけ認可施設を整備するということに注力をいたしまして、認可施設の整備ということに全力を挙げてきたわけでございます。達成した水準が先ほど言ったようなことでありますが、まだ認可施設そのものが全国水準より少し劣っておるという実情にあるわけであります。

 それから、まだたくさんある認可外の施設をどうするかということでございますが、これは保育のみならず福祉制度共通の問題ではありますが、一定の全国的な最低基準を設定して、それを満たすものに補助金を投入していく、公的な支援を行っていくという現行の福祉制度の中で考える限りは、なかなかこの解決が難しい問題ということになるわけでございます。

 そういうことで、これは沖縄県の考え方でもありますが、できるだけ認可外の施設を認可施設に移行していただく、そのためのいろいろなバックアップをするということで今まで取り組んでまいりまして、百近い施設が認可施設に移行して公的補助の対象になっておるというような実情もございます。

 今後、今県がつくっておりますプランにのっとってこういった施策をさらに一層推進して、できれば認可施設に移行していただくように努力をお願いできないかというのが基本的な私どものスタンスでございますが、現実はなかなか、全国水準と比べるとそういう認可外にある施設がたくさんあるということは急には改善できないという実情にあることも事実でございまして、その点は重々認識しながら、今申し上げましたような施策を進めておるというのが実情でございます。

白保委員 これを議論していますとかなり時間がかかるので打ち切りますが、三位一体等を含めて、非常に自治体の負担も大きいんです。したがって、自治体は非常に苦労をしておるわけですね。そういうこともあって、みんなの中から、特区的な形でもって、今の制度的な形でもって進んだらなかなか前に進まない、だから特区的な形でもって何らかの方法を考える必要があるのではないか、こういう声も出ています。

 そこで、今のやりとりを聞いていらして、大臣、どのようにお感じになりますか。

茂木国務大臣 沖縄の場合、今、全国的に見ても人口の増加率も多い。子供たちが多くて、それがまた待機率という形でも一番高くなっている。また、認可外の施設も、比率であったりとか認可施設との割合でも高いという現状にありまして、そこの中で、県の側も、また各市町村等々も、これをどうにか認可の方に変えていく、そしてまた待機児童を減らしていく、こういう努力をしているわけであります。

 全国的に一番厳しい状況にあるわけでありますから、厚生労働省としても一層のそういった県の取り組みを支援するように、内閣府としても働きかけていきたいと思っております。

白保委員 大変期待しております。厚生労働省の方、結構です。

 次に、国連機関の問題についてお伺いしたいと思います。

 二十三日の日に、私は、神崎代表、冬柴幹事長と一緒にアナン国連事務総長にお会いをいたしました。

 神崎代表の方から、一つ、イラクの問題についてのお話がございまして、それは国連の事務所を早くという話と、ちょうど私どもの浜四津代表代行がメソポタミアの調査に行っておりまして、これの湿原の問題についてもお話がありました。これが第一点。そして二つ目は、拉致問題を含めた、二十五日から始まる六カ国協議の問題についても言及をいたしました。そして三つ目に、国連機関の問題についてもお話がございました。

 そういった中で、アナン事務総長の方からは、国連平和大学の理事長を紹介していただきまして、そこと相談をしていただきたいということがございまして、我々はこれから接触を始めたい、こう思いますが、その前に、前にも一回その調査をやりました、外務省の方で。しかし、これは余りいい結果が出なかったんです。今、内閣府の方でもやっておりますし、県の方も積極的にやっています。そして、国会の中の与党の方で、河野議長を会長としたところの沖縄に国連機関を誘致する議員連盟をつくって活動もしております。

 このアナン事務総長の言を受けて、外務大臣、いかがでしょうか、どのような対応をされるのか、お聞きしたいと思います。

川口国務大臣 神崎代表を初めとしてアナン事務総長とお会いいただいて、いい会談をしていただいたというふうに伺っております。

 それで、国連機関の沖縄への誘致ですけれども、これは先ほど白保先生もおっしゃられた、前にやった調査がございます。この調査の結果を踏まえれば、大規模な機関の誘致というのは現実的ではないというふうに考えておりますけれども、現状を踏まえました上で、沖縄の歴史的なあるいは地理的な優位性、これを生かした形でどのようなことができるかということにつきまして、関係者と相談を続けていきたいと考えております。

白保委員 同じように沖縄担当大臣、内閣府の方でも調査をやっておりますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 内閣府におきましては、平成十五年度沖縄特別振興対策調整費を活用いたしまして、国連機関等の誘致の可能性等について委託調査を実施しているところでありますが、委員から御指摘いただきました平和大学も調査の対象の一つに含まれているところであります。

白保委員 それは、実態、状況はどのようになっていますか。

武田政府参考人 御説明を申し上げます。

 先ほど大臣から答弁申し上げましたように、内閣府におきましては、平成十五年度沖縄特別振興対策調整費を活用いたしまして、国連機関等の誘致可能性についての委託調査、正式名称は国際交流拠点形成調査と申しますが、これを実施いたしております。

 委託調査でございますけれども、基礎的調査といたしまして、沖縄における国際交流の現状と課題の整理、我が国における国連機関等の誘致動向の把握、あるいは国連機関等を誘致するに当たっての課題の整理等を行っておりまして、それとともに、平和大学、それから国連難民高等弁務官事務所のeセンター等、幾つかの国連機関等につきまして誘致の可能性を調査しておるところでございます。

 現在、委託先におきまして取りまとめを行っておる段階ということでございます。

白保委員 時間が参りました。SACOの問題や、あるいはまた沖縄の基地問題に取り組む姿勢の問題等を通告しておりましたけれども、時間でございますので、準備をいただきました皆さんには大変恐縮ですが、質問をこれで終わります。

金田委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門です。よろしくお願いいたします。

 ひょっとしたら、この委員会で質問することじゃないよとおっしゃる方もおられるかもしれませんが、沖縄担当大臣がおられますので、ぜひこの場で質問させていただきます。

 長引く景気の低迷は、今国民に大きな不安を与えています。安心して老後を迎えることのできない年金の問題、リストラ、賃金カット、倒産、失業による多くの自殺者等々、本当に暗い面ばかりがクローズアップされているきょうこのごろですが、その中でも特に、沖縄は今かつてないほどの雇用不安に直面しています。

 これまでも全国平均の二倍近くで推移してきた失業率はもう皆様御承知のとおりですが、今、さらにそれに追い打ちをかけるように、多くの失業者を出しかねない状況が発生しています。それは、バス会社の経営難による従業員全員解雇の問題であり、それが一社にとどまりそうもないというところに大きな不安がございます。

 鉄軌道のない沖縄で県民の足として頑張ってきたバス会社は四社あり、経営の安定化と雇用の場を確保するために四社統合を目指して努力されてきたところですが、現在のところ、残念ながら統合には至っておりません。

 そのような中で、退職金を五〇%カット、その上、分割して支払う、そして全員を解雇、そして賃金を大幅に削減しての再雇用を条件とするということが報じられています。現在、表に出ているのは一社のみで、解雇対象者は約六百八十人ですが、すぐ後に続く他の会社も控えているという厳しい状況があります。家族を抱えて懸命に働いてきた多くの四十代、五十代の働き盛りの人たちが職場を失ってしまい、路頭に迷うということは、沖縄県民に深刻な影響を与え、大きな社会不安を招くであろうことは否めません。

 当該会社は、県や国の関係機関に支援要請をされたとのことであります。もちろん、一義的に経営は企業の責任であるということは十分理解しておりますが、余りにもひどい現在の不況下で、さらにそれに拍車をかけるような状況を回避するにはやはり国の支援をお願いしたいと思い、大臣に伺います。

 沖縄担当大臣として何らかの手だてを講じていただけないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 私も、小さいころ田舎に住んでおりまして、公共交通機関はバスしかなくて、小学校のころそのバスがなくなりまして、大変寂しい思いをしたのを覚えているわけなんです、分教場に通いながら。

 御指摘の、沖縄の今のバスの経営の状態でありますけれども、四社のバス会社がある中で今複数のバス会社が、経営が悪化して会社再建に取り組んでいる、そのように承知をいたしております。

 琉球バスにつきましては、平成八年以来、商法に基づきます会社再建を進めていたわけでありますが、その管理人は先日、業績の低迷による収支の悪化を改善するために、従業員を全員解雇した後に、先生おっしゃいましたように、新賃金体系により全員再雇用するとの方針を打ち出したと聞いております。給与レベルは恐らく下がるということになるんだと私も思っておりますが、この方針は、琉球バス株式会社は会社再建の途上ではあるものの、失業者が他県に比べて高い沖縄県において、失業者を極力出さないよう努めていると理解をいたしております。

 今再建の途上でありまして、まさに従業員問題につきましては、労使間で話し合う、こういう問題でありまして、その推移をまずは見詰めていきたい、そして労使間でいい結論が出されることを期待したいと思っております。

東門委員 確かに、大臣のおっしゃること、そのとおりだと思います。

 しかし、これまで長い間、ずっと労使間で交渉しながらここまで来ている。今、かなり厳しい局面にあると思うんですね。その場合、本当に一番いいのは労使間でちゃんとした決着を見るということなのですが、それが本当に厳しいときに、国として、沖縄の雇用の問題、これ以上本当に失業者がふえるという状況は出してはいけないと思うんです。

 余りにも多くの方々の生活がかかっているということもありますので、やはり沖縄担当大臣として、ここは、このときには少し一歩踏み出そうかなということでもあれば、そういうことがお伺いできるかなと。国で面倒を見てくださいという意味じゃないんですね。何らかの手だてを講じていただけないかということなんですが、いかがですか。

茂木国務大臣 今申し上げましたように、労使間で真剣な話し合いが持たれているところでありまして、その推移を見詰めたいと思っております。

 ただ、沖縄の失業問題、これは大変深刻な問題でありまして、全国平均と比べても毎月数字を見るたびに高い、こういう深刻な状態でありますから、雇用全体の問題についてはしっかりした取り組みをしてまいりたいと考えております。

東門委員 ぜひよろしくお願いします。

 次に、普天間代替施設建設関連で伺います。きょうは特に、通告してあります作業ヤードについてお伺いしたいと思います。

 昨年十二月十九日の第二回代替施設建設協議会において、作業ヤードとして大浦湾西岸を埋め立てる可能性が言及されたということを、その翌日、十二月二十日の新聞報道で知り、沖縄県民は寝耳に水と強い衝撃を受け、憤慨しました。代替施設そのものの埋め立てだけでなく、また作業ヤードも埋め立てるのかという感ですね。その後、ことしに入って二月の十八日、また突然、今度は中城湾港の使用を検討しているという報道がなされ、二度目の寝耳に水。寝耳に水の報道が随分多いんですが、その報道に地元は驚きを本当に隠せませんでした。

 そこで、建設協議会の議長であられる茂木大臣に伺いますが、第二回代替施設建設協議会で、作業ヤードとして大浦湾を埋め立てるという案は、その席で初めて示されたのでしょうか。また、その場で、他の可能性も検討すべし、これから検討していくという意見も出たのでしょうか、お伺いいたします。

茂木国務大臣 昨年十二月十九日の第二回の代替施設建設協議会におきましては、その協議を経まして、今、作業ヤードの規模であったりとか設置方法、設置場所等につきまして、防衛施設庁において検討がされている。作業ヤードも含めまして、代替施設の建設につきましては、地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことがないよう最大限の努力を行うという平成十一年末の閣議決定の基本方針に基づいて、地元とも調整を行いつつ検討すべき問題と考えております。

 それで、大浦湾の西岸の埋め立ての関係でありますけれども、十二月十九日の第二回の協議会におきまして、防衛施設庁の方から、仮に近傍海域に埋め立てにより陸上ヤードを設置するとした場合の範囲として大浦湾西岸海域が考えられる旨、説明があったものでありまして、埋め立てによって設置をする、こういうことが決定したわけではございません。

 いずれにいたしましても、作業ヤードの規模、設置方法、設置場所等については、沖縄県、また地元の公共団体等々と相談しながら検討される、そのように承知をいたしております。

東門委員 では、その場合に大浦湾で決まりということではなかったという今の答弁ですね。そうすると、その後、ことしに入って出てきました中城湾港の使用というのは、どこから出てきたのでしょうかということなんですね。

 大浦湾と中城湾港、両方が出たんですが、それは両方、分散設置する可能性もあるというような報道もなされているんですが、それがあるのか。あるいは、大浦湾はちょっと地元の反応が強かったので中城湾港にするということなのか。そこら付近は、防衛施設庁さんで結構ですから、お答えいただきたいと思います。

河野政府参考人 御答弁いたします。

 普天間飛行場代替施設の建設に当たっては、代替施設本体の護岸部分の建設用資材であるケーソン、ブロック等のコンクリート製品の埋め立て用の土砂等が相当数の規模で使用されるということで、これらの製作や一般的なストックのために必要な地積を有する用地としての陸上ヤードを確保する必要がございます。

 それで、先ほど茂木大臣の方からも説明されましたけれども、第二回代替施設建設協議会におきましては、既存の陸域の使用のほか、近傍海域に設置することは一般的に可能であり、具体的な規模、設置方法等は今後検討していきますが、仮に近傍海域の埋め立てにより陸上ヤードを設置するとした場合の範囲としましては大浦湾西岸海域が考えられる旨、説明したところでございます。

 陸上ヤードの具体的な設置場所等につきましては、ケーソン等を効率的に海上輸送することができるかなどの技術的な観点や環境保全の観点等を踏まえ、地元地方公共団体とも相談しつつ、幅広く検討を行う必要があると考えております。

 現在、既存の港湾施設等、陸域において陸上ヤードとして適地が存在するか否かの検討を進めているところでございまして、中城湾についても、その一環として情報収集等を行っているところでございます。

 いずれにしても、陸上ヤードの具体的設置場所等につきましては、先ほど申し上げました技術的な観点や環境保全の観点等を踏まえ、地元地方公共団体とも相談しつつ、幅広く検討を進めていきたいと考えております。

東門委員 ちょっとよく聞こえない箇所があって余り理解していないので、後でまた続けて質問したいんですけれども、次の質問に入ります。

 大浦湾であれ中城湾港であれ、どちらになるのか、あるいは全然違う場所が出てくるのかわかりませんが、作業ヤードの決定、それはいつまでになされるということなのか、まず伺いたい。すなわち、恐らく決定することとなるその場所は第三回の建設協議会になるかと思うんですが、その建設協議会が開かれる予定は立っているのでしょうか。いつごろになるかわかりましたら、教えてください。

武田政府参考人 代替施設の建設協議会でございますが、これは、工事の進捗に合わせて適切な段階で開催をするということで、特に定期なものがあるわけではございません。したがって、現在、第三回の代替施設建設協議会の開催の日時は一切決まっておりません。

東門委員 そうしたら、もし大浦湾を埋め立てていくという場合、一番最初に出たのが何しろ大浦湾だったものですから、それについて伺いますが、大浦湾西岸が条件を満たしているというコメントが、一番最初、大浦湾と出たときに防衛施設庁の見解として出ておりましたが、条件を満たしているその条件が何か教えていただきたいということと、大浦湾埋め立ての場合、環境アセスはどうなるのか、その二点についてお伺いいたします。

河野政府参考人 お答えいたします。

 陸上ヤードを新たに建設する場合の設置場所につきましては、陸上ヤードが代替施設に必要な資材の製作及びストックのために利用されることであることから、しゅんせつを要しない深度や静穏な水域の状態を有している等、海上からの船舶による資材輸送に適した海域であるとともに、陸地側から代替施設を施工する際に、建設現場への陸上輸送のルートが確保される場所であることも必要であると考えております。

 代替施設建設場所の近傍海域においては、大浦湾西岸海域にこれらの条件を満たしている場所が含まれていることから、陸上ヤードを近傍海域に設置することとした場合の範囲例として示したものでございます。

 それと、アセスメントにつきましては、仮にの話でございますけれども、候補地が決まれば、一体としてアセスメントの中に含めて検討することになると思います。まだ、陸上ヤード等につきましては現在調査中でありますので、今、確定的なことを申せる状況ではございません。

東門委員 この作業ヤードについては、時間が短過ぎて思うように聞けないです。次、また質問していきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

金田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.