衆議院

メインへスキップ



第3号 平成16年9月6日(月曜日)

会議録本文へ
平成十六年九月六日(月曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 金田 誠一君

   理事 石崎  岳君 理事 北村 直人君

   理事 津島 恭一君 理事 宮路 和明君

   理事 阿久津幸彦君 理事 佐藤 公治君

   理事 中村 哲治君 理事 白保 台一君

      井上 信治君    小渕 優子君

      木村 隆秀君    左藤  章君

      佐藤  勉君    中西 一善君

      早川 忠孝君    宮腰 光寛君

      加藤 尚彦君    川内 博史君

      武正 公一君    若井 康彦君

      高木美智代君    穀田 恵二君

      東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 茂木 敏充君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   国土交通大臣政務官    鶴保 庸介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)   渡辺 文雄君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  河野 孝義君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  土屋 龍司君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   林  景一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局管制保安部長)   北村 隆志君

   衆議院調査局第一特別調査室長   田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十四日

 辞任         補欠選任

  高木 義明君     羽田  孜君

同月三十一日

 辞任         補欠選任

  羽田  孜君     高木 義明君

九月六日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     早川 忠孝君

  山下 貴史君     中西 一善君

  高木 義明君     武正 公一君

  鳩山由紀夫君     加藤 尚彦君

  丸谷 佳織君     高木美智代君

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 一善君     山下 貴史君

  早川 忠孝君     西銘恒三郎君

  加藤 尚彦君     鳩山由紀夫君

  武正 公一君     高木 義明君

  高木美智代君     丸谷 佳織君

  穀田 恵二君     赤嶺 政賢君

    ―――――――――――――

八月六日

 一、沖縄及び北方問題に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官武田宗高君、内閣府北方対策本部審議官渡辺文雄君、警察庁刑事局長岡田薫君、防衛施設庁長官山中昭栄君、防衛施設庁建設部長河野孝義君、防衛施設庁業務部長土屋龍司君、消防庁次長東尾正君、法務省刑事局長大林宏君、外務省北米局長海老原紳君、外務省国際法局長林景一君、国土交通省航空局管制保安部長北村隆志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白保台一君。

白保委員 ことしは何か台風の合間を縫って東京へ行ったり来たりしているなという感じがしております。沖縄の地元では、十八号の台風で大変なまた新たな被害が出そうな気配で大変心配をしておりますが、その前に、先月十三日に起きました米軍のヘリコプター墜落事故、この問題について、きょうは政府の考え方等を含めてただしていきたい、こういうふうに思います。

 十三日、私ども、例年行っております県本部の議員研修会がございまして、党の方から浜四津敏子参議院議員・代表代行が沖縄にちょうど来県しておりまして、会場に向かう途中で沖縄国際大学へ向かう道路を走っておりましたら、煙が上がるので、何が上がったのかなと思いながら、真っすぐ行かないで右折してほかの道へ行ったんですけれども、その後すぐ連絡が入って、また取って返して事故現場へ行きました。浜四津さんと私と地元の県会議員や市会議員が一緒になって現場へ行きましたが、民間地に米軍のヘリコプターが落ちる、大変な事故だな、こういうふうに憤りと恐ろしさといったものが入りまじる中で現場を見たわけであります。

 今もそのときのことを思い起こすと非常な憤りと、そしてまた、周辺のマンションにも破片が飛び込んだりテレビが壊されたり窓ガラスが割れて散乱している、そういう状況を今も思い起こしながらここで立っているわけであります。

 外務省は、当初から米軍との間で連携ができており、警備や捜査に問題はなかった、こういうふうなことを言われておりますが、現場に行って直後の現場の様子を見た者として、政府の認識にずれがあるんじゃないか、どこでどうこの報告が上がってきたのか知らないけれども、当初から連携や警備に問題はなかったという認識は全く違うんじゃないか、私はそう思っています。もう一度その辺のことについてまずお伺いをしておきたいと思います。

海老原政府参考人 お答え申し上げます。

 今白保委員の方から、事故後の対応につきまして、外務省としては米側と日本側との間の連携といいますか調整につきまして全く問題がないという認識であるというお話がございましたけれども、我々としてはそのように思っているわけではございません。

 我々といたしましては、今おっしゃいましたような問題も含めまして、さまざまな問題提起が事故直後の現場での日米の対応についてなされているということを受けまして、現場におきます日米の協力についての特別分科委員会、これを日米の合同委員会のもとに設けるということで日米で話し合っておりまして、昨三日にはそのための準備会合を日米の間で開催いたしております。

 我々といたしましては、今白保先生がおっしゃいましたような問題意識を持ちまして、日米の間でどのような連絡が行われ、どのような連携が行われ、どのような対応が行われたのかということをもう一度突き合わせながら検証いたしまして、その上で、改善すべきところは積極的に改善するという立場でございます。

 ただ、現場におけるそれぞれの警察の対応ぶりあるいは消防の対応ぶりというものについては、それぞれの所管官庁から我々も話を聞いておりまして、例えば警備につきましては、事故の発生、これはほぼ二時二十分ごろということでございますけれども、約一時間後の三時半ごろには現地の警察と米軍との間で、事故の機体のある直近の現場につきましては二次災害のおそれがあるので米軍が警備を行う、その外側につきましては県警が警備を行うということで、いわば調整、連携が確認されたというふうに聞いております。

 いずれにせよ、そのような問題も含めまして、今後日米の間で検証を行い、改善すべきところは改善していきたいというふうに考えております。

白保委員 海老原局長、今の答弁はちょっと違うな、こんな感じがしますね。

 あると言って、私が先ほど言ったようなそういう説明をして反発を食ったり、そういうことが報道されています。現実には問題があったわけでしょう。だから、分科会を開くわけでしょう。だったならば、当初から問題あり、こういうふうに言うべきですよ。ペーパーなんか、連携したというふうに書いてあるじゃないですか。連携したというふうに私は現場にいて思っていません。だから、問題点はいっぱいあります。そのいっぱいある問題点を一つ一つきっちりと片づけていかなかったならば、この地位協定は一体何なのかな、こんなような気持ちがいっぱいあります。

 そこで、沖縄国際大学に墜落する、何か後部のローターが落ちたようだ、そこで、基地の中で隊列を組んでいた海兵隊が司令官、軍曹ですかの指示を受けてフェンスを越えて大学の中に駆け込んで、そして現場に行った。あっという間ですよ、この人たちが来ているのは。警察なんか、落ちることなんか知りませんから、どうせ後ですよ。

 大学が管理している敷地内にフェンスを越えて入っていく。どういう同意があって、どういう根拠があって、フェンスを越えて事故現場まで大学の構内を軍隊が走っていけるのか。どういう根拠があるんですか。

海老原政府参考人 我々が米側から説明を受けておりますのは、今委員がおっしゃったことと大体同じでございますけれども、ヘリコプターが異常を来して落下をするということで、基地の中におりました二人の米兵がフェンスを越えて大学の敷地に入った、それでその機体の中から乗員を救い出したという行為をしたというふうに聞いております。

 同意の有無につきましては、我々も、米側が大学から事前に同意を取りつけたということはないというふうに理解をいたしております。

 法的根拠ということでございますけれども、これは基本的には、このような緊急の事態というとき、特に人命がかかっている、あるいは二次災害を防ぐというような観点から、このような緊急の墜落事故というような場合には、米側は、同意を得るいとまがない場合には公有あるいは民有の土地に立ち入ることができるという日米合同委員会の合意がございます。

 ただ、同意なく特に私有地に立ち入るという場合には、不必要な損害を与えないよう最大限の努力をしなければならないということもあわせて規定をしておりまして、基本的には、この合同委員会合意に沿った形で米兵二人が大学の構内に入ったというふうに理解をいたしております。

白保委員 それでは、その後の問題について申し上げます。

 その後、正門を封鎖して、中に海兵隊の隊員がいっぱいいて、排他的な支配をしている。それは大学の管理者の許可を得てやったのか。

 民間人が立ち入りできない。その墜落現場の周辺を、危ないから立ち入らないでくださいということをやるならともかく、大学の正門を封鎖して人を立ち入りさせない。その正門の前で、中から出てきた海兵隊の広報官という者が事実関係の記者会見をやった、そのときに私たちは外に立って話を聞いていました。中には海兵隊の隊員がいっぱいいます。そして、この会見が終わったら、その人が中へ入っていって閉める。それはどういうことなのか。

 あなたが先ほど言ったことは、事故を何とかしなきゃならないということで緊急のものがあったといって許されたとしても、その後の対応で、そもそも大学というのは、学問の自由、大学の自治、そういうことで日本の警察は大学に立ち入ることを良識を持って判断していく、そういうところです。他の主権国家の軍隊が、学問の自由の府であるところの大学に、自治のあるところに、正門を封鎖して、そしておれる、民間人を立ち入りさせない、その権限はどこにありますか。その根拠はどこにあるんですか。

海老原政府参考人 先ほど御答弁申し上げました日米の合同委員会の合意でございますけれども、これは刑事裁判権に関します地位協定の十七条に基づいているわけでございます。この合同委員会合意には、先ほど御紹介申し上げましたのに引き続きまして、現場におきまして許可のない者が立ち入るというようなことを統制するために、日米の当局が共同して統制を行うということが規定をされておりまして、米側がそのような統制を行えるということであれば、この日米合同委員会の合意に基づくということになるわけでございます。

 ただ、今白保委員がおっしゃいましたように、日米で共同して統制するというのが本当に現場においてそのように円滑に行われていたのかどうかというところについては、今おっしゃいましたようにさまざまな問題提起がなされておりますので、その点については今後、特別分科委員会で日米の間で検証をして、改善をすべきところは改善していくということにしたいというふうに考えております。

白保委員 私はそういうことを言っているんじゃないんですよ。ということは、この地位協定、そしてまた皆さん方が合同委員会で話し合いをされている運用の問題、問題ありということをあなたは今おっしゃっているんです。どういう根拠でそこに入ったのか、どういう根拠でそこを封鎖したのか、そういったことがはっきりしない。やはりこれは、この運用の問題も協定の問題も問題があるね、だから話し合いをしなきゃいけないねということをあなたはおっしゃっているんです。そういうことですよ。

 現実の問題として、それだけじゃありませんよ。私たちは、一号館の向かいに市道があります。一般道です。一般道を越えた向かい側のマンションに破片が飛び込んできてテレビが壊れたり、ふすまがぶち抜かれたり、窓ガラスが割れたり、そういう現場を見ながら、また先ほどの正門の方へおりていこうと階段をおりてきました。そうしたら、もう道路を封鎖して通してくれない、米軍が。我々は国会議員だ、何も怪しい者じゃないから向こうへ行かせてくれと一生懸命やりとりする。ノーと言ったきり絶対通さない。

 これは、道路を挟んで向こう側に事故がある。こっち側の道路まで全部ふさいで民間人を通さない。日本の警察がそこを仕切っているんじゃありませんよ。海兵隊がやっているんですよ。民間の一般道ですよ。

 仕方がないから、ずっとおりてきたのをまた上がって、もとへ戻って、やっと正門の方まで行かせてもらって。行かせてもらっているんですから。通してくれないんですから。先ほど申し上げたように、その前で広報官が事実関係の記者会見をやるところへ行った。我々は日本国民。我々の国の私立の大学です。そういう封鎖をし、そして人を通さない。

 しばらくして私たち、上がっていった。そうしたら、海兵隊があの落ちたもの、民間に落ちた大きなものを二十人ぐらいでみんなで持っていきましたよ。日本の警察は検証したのかどうかわからない。

 そういう状況が現に行われている。問題だらけだ。

 同時に、この事故機を撤去する際に、大学内の木を伐採していますね。枝を落としたりいろいろなことをやっています。どんな権限で、だれの許可を得てそういう人の財産に手をつけるのか。どういうことですか、これは。

海老原政府参考人 今委員から木の伐採のお話がありましたので、その点について御答弁をさせていただきます。

 我々の方から防衛施設庁に確認をいたしましたところ、八月十五日の十八時三十分ごろ、米国海兵隊から那覇防衛施設局業務課に対しまして、墜落機体の撤去の通知と障害立木の伐採の申し出がなされたとのことであります。これを受けまして、十八時四十分ごろ、那覇防衛施設局の業務課から沖縄国際大学の庶務課長に連絡をしたところ、木を切ることに同意するとの回答があったと聞いております。

 事実関係として我々が承知しているのは、以上でございます。

白保委員 それでは、時間が余りありませんから話を進めますが、現場検証、日本の警察が令状をとって検証を行おう、それを留保して、検証を行わせない、こういうようなことが現にありました。ところが、地位協定の中で、安保条約の中で、六八年の九州大学、七七年の横浜、八八年の伊方原発近く、ここでは地位協定に基づいて共同して検証を行っている。何で沖縄で行われないのか。これは、米軍の、地位協定を恣意的に運用している、そういう恣意的な運用の姿じゃないですか、地域によって。違いますか。

 なぜそのような状態が起きるのか、本来どうあるべきなのか。やれるはずなんです。どうですか、局長。

海老原政府参考人 まず、検証でございますけれども、これは、合衆国の財産であります機体そのものの検証というものと、事故現場の検証ということを分けて考える必要があると考えております。

 機体の検証そのものにつきましては、日米地位協定第十七条十の(a)及び(b)に関する合意議事録がございまして、米軍機のような米軍財産の検証は原則として米国自身がこれを行うということで、日本側当局は米側の同意がない限り行えないというふうに定めておりまして、これを受けました地位協定の実施に関します刑事特別法第十三条におきましても同様の規定がございます。

 我々が理解しておりますところでは、この規定に基づきまして、警察は機体の検証を米側に十三日に求めたということでございます。それを受けまして、十七日に米側から機体の検証には同意できないという返事がありまして、その後、警察の方で、機体の検証につきましては米側の拒否がございましたので、事故現場の検証を行ったというふうに理解をいたしております。

 過去のファントムあるいは九州大学のときのことでございますけれども、我々が警察庁から聞いておりますところでは、昭和五十二年の横浜市内のファントム墜落事案に際しましては、日米が共同して現場の見分を行った。この見分というのは、現場検証が令状を伴うものであるのに対して、見分というのは令状なく写真の撮影等を行うものというふうに承知をいたしておりますが、この現場の見分を行ったということだそうでございます。一方、昭和四十三年の福岡市の事案につきましては、事実関係の詳細は不詳であるというふうに聞いております。

 いずれにせよ、特に沖縄県であるから差別的な扱いをしたということはないと我々は考えております。

白保委員 時間がありませんので私ははしょっていきますが、今の話を伺っておっても、民間地にこういう危険なものが落ちてきて、そして、県民の命や財産に大きな危害を加えるようなそういったものに対して、常識的に言って、日本の警察がしっかりとこの危険除去のための検証も行えないというのは、これはどう考えてもおかしい。

 だから、地位協定の改定、こういったことが県民の中から大きな声として、県議会も県も、出ているのはそのことなんです。危ないものを除去していく、そのために、事故が起こったときにしっかりとした検証をしていく、当然のことじゃないですか。そういう協定であるならば改定しなきゃいけない、そういうふうに私は強く主張したいと思います。

 あと、時間がありませんので、今回の事故が起きて、十六日に大臣あての申し入れ書を海老原局長に届けました。その足でアメリカ大使館にも行きました。そして、政務担当公使のシェアーさんに会いました。この飛行機は危険だから、しっかりと原因究明を行った上でないとだめですよと飛行の中止を強く求めました。

 シェアーさんは胸を張って言いました。我がアメリカの方法としては、スタンダードとして、全部原因究明を行った上で日本政府に報告して、それから飛ばします、こういうことを言いました。私は、いや私は、県会議員当時から、事故があった後にそういうスタンダードなどという話は聞いたこともないし経験したこともない、だから強く申し入れをやっていると念を押したんです。いや、必ずそれはそうしますということでやりとりをしていましたら、わずかの日にちで同型機を飛ばすという。お互い公務にある者として、そういうことがあってはならない。

 海老原さんも相当怒っておられたようだけれども、こういうことはお互い国対国の間で信頼を損なうものであり、また県民の不安を助長していく。もう既に二百回以上飛行機が飛んでいますよ、ヘリコプター、同型機ではないけれども。もっと安全というものを確保した上で物事は行うべきであって、舌の根も乾かないうちにそういうことをやっている。こういうアメリカに対して、皆さんどういうふうな態度で臨んだんでしょうか。

川口国務大臣 事故機と同型機につきまして、飛ばさないという言葉があったわけですけれども、実際に、八月の二十二日になってそれを飛ばしたということがあったわけでございます。これについては、もう大変に遺憾であると私どもは思っております。海老原局長から後であると思いますが、強く抗議をしておりますし、私もその後パウエル長官と話をしたときにこの話をいたしております。

 いろいろな事情が大使館の中であったのか、よくわかりませんけれども、これは極めて遺憾であると思います。

白保委員 アーミテージさんがコラムニストに答えた中で、ブッシュ政権の三年半で最悪の問題は何か、一番ひどかったことは何かと聞かれて、CH53D墜落事故後の日米間の意思疎通の欠如だ、こういうふうに言っています。

 私どもはこの間、申し入れの際に、日本政府、アメリカ政府、そしてまた現地である沖縄を含めた三者協というのがありますが、その中に事故防止のための委員会を立ち上げて、しっかりとした検討をしてもらいたい、きっちりとした話し合いをやってもらいたい、そして安全を確保してもらいたい、そのことを強く申し入れておきました。このことについても対応をお願いしたい、このように思っています。ぜひ取り組むべきである、このように思っています。

 最後に申し上げたいことは、実は私、二〇〇〇年の沖縄サミットの際に、当時の沖縄開発庁の総括政務次官を仰せつかっておりました。サミットが終わった後どうしようかという話を、当時の野村一成大使やあるいは多くの方々がそんなことを言っておりましたが、その後、開発庁の当時の総務課長の東さん等が一生懸命頑張って、来年開かれるところのIDBの総会等、そういったものもいいんじゃないかという話で大分頑張っていただきました。

 このIDBの総会が来年宜野湾市で開かれます。これは大きな総会でありまして、そういう総会の直前に、この周辺にこういった危険な米軍基地がある。これは、みんなが安心して来れるような、そういう状況をつくり上げていかなきゃいけない。もとより、周辺住民の皆さん方が安心できる安全策を講じなきゃならない、これが第一義です。そしてもう一つは、こういう大きな総会もあります。

 そういう意味では、この安全対策、市民が安心できる対策、このことについてどう取り組まれるか、最後に沖縄担当大臣そしてまた外務大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 IDBの総会につきましては、今沖縄におきまして国際会議を誘致する、また、そういった沖縄の置かれている地域的な有利性を生かしてさまざまな会議をやっていくということは極めて重要だと考えておりまして、そういった会議を成功裏に終了するためにも、基地の問題に関しますさまざまな改善をしていかなきゃならない、こんなふうに私は考えております。

 先ほど来、白保先生のさまざまな御意見を伺っておりまして、日本側と米側で連携をしたか、調整をしたか、単にそういう問題ではなくて、私は、やはりそれが大学の関係者の皆さんや地元の皆さんから見て本当にどう見えたのだろうか、そういう点からの改善というのも必要なのではないかな、こんなふうに考えております。

 同時に、今後の危険の問題につきましても、ヘリコプターの同機種につきましては、二十二日に飛ばしてしまった。極めて残念なことでありましたので、二十七日に改めて政府として関係閣僚の会議を開きまして、もう一度米側の方に、絶対飛ばさないように、こういう申し入れをさせていただきまして、二十八日からそれはとまっておりますけれども、そういった地元の皆さんの御意向を受けてしっかり政府の対応に反映させていくのが私の仕事だ、こんなふうに思っておりますので、今後とも御指導のほどよろしくお願いいたします。

川口国務大臣 今回の事故につきましては、これは極めて遺憾の一言に尽きると思います。

 私も現場の写真を拝見いたしましたけれども、例えば大学に、あそこの場所に非常階段がなかったならばとか、それから、まかり間違って、本当に少しのことで人命に影響を及ぼしかねないような状況があったとか、いろいろなことを見聞きいたしますと、本当に沖縄の方が、県民の方がどのような気持ちを今お持ちでいらっしゃるかというふうに私も強く思っております。このことは極めて重大に受けとめております。

 IDB等の会合の安全対策ということですけれども、これは、国際会議が安全に行われなければいけないということは当然のことでございますけれども、そういったことがあろうがなかろうが、安全対策というのは十分にとられなければいけないと思っております。

 今回のことにつきましては、これは事故分科委員会で徹底的に原因の究明を行い、そして再発防止策を議論してまいります。それから、先ほど来委員から御指摘のあった、現場での対応が適切ではなかったのではという問題意識、これを踏まえて、現場の対応についての特別分科委員会でこれもきっちり議論をしてまいります。

 さらに、日ごろから申し上げていますけれども、やはり日米安全保障条約のもとで我が国の安全保障を、抑止力となっている米軍があるわけでございますけれども、その負担が特に沖縄県民の方に多くかかっているという事実をきちんと踏まえて、今まで申し上げている、この負担をどうやったら軽減させていくことができるかということを我々はしっかりと心に置いて、これを実現させていかなければいけないと思っております。

白保委員 終わりますが、再発防止というのがこれまでも何度も言われてきながら事故が起きています。今度こそ事故がないようにしっかりとした再発防止をやっていただかなかったならば、県民はこのままではおさまらない。しっかりとした対策を講じるように強く要望いたします。

金田委員長 次に、若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦です。

 このたびの沖縄県におきます軍用ヘリの墜落事故、本当に遺憾なことであり、沖縄の県民の皆様には本当に済まない、申しわけないことだというふうに考える者の一人であります。

 私は、沖縄県の本土復帰以来三十年にわたりまして、軍用地の転用を通じて基地の再編、縮小あるいは返還、これらの仕事に携わってまいりましたけれども、この普天間基地についても図面をかいたことがあります。大変に稠密な市街地の真ん中に、五百ヘクタール近い軍用地が横たわっている。もしも転用が実現をすれば、沖縄県にとって、あるいはその都市地域にとりまして大変に重要な、枢要な場所にある基地であります。

 しかし、これが軍用地であるということになりますと、逆に大変に危険である。今回の事故がそのことをまざまざと示してみせたと思うのでありますけれども、こうした状況を一刻も早く解消する、このことが今回の事故の教訓といいますか、私たち委員会のメンバーにとりましても重要な課題であるというふうに考えています。

 十六日の晩から、私は、三回にわたりまして民主党の同僚とともに現地に入りまして、現地の調査をし、あるいは関係者のお話を聞いてまいりました。なぜこのような事故が起きたのか、そして、どのようにしたら事故を防ぐことができるのか、二度と再発をさせないことができるのか、これについてみんなで一生懸命議論をし、考えてまいりましたけれども、どうしてもわからないところがあるんですよ。この事故の実態が本当に今国民の皆様の前に明らかになっているのか、こうした視点から、もう一度質問をさせていただきたいと考えています。

 まず第一に、事故発生後既に三週間以上経過しておりますけれども、この事故の核心に当たるべき部分、墜落をした軍用ヘリコプター、これは一体どのようなヘリコプターであり、どのような任務を帯びてああした事故につながる飛行をしていたのか、その辺について御説明をいただきたい。

海老原政府参考人 事故を起こしましたヘリコプター、CH53D型機でございますけれども、これは大型の輸送用のヘリであるというふうに理解をいたしております。

 また、米側からの説明によりますれば、当日は訓練飛行のために普天間飛行場を飛び立ち、普天間飛行場へ戻る途中において事故を起こしたというふうな説明を受けております。

若井委員 そうした米軍からの説明をそのまま信用しておられるとは思いませんけれども。

 では、関連してお聞きしますが、その事故の当時、隣設をするホワイトビーチに入港をしていた船舶について、もし御存じのことがありましたら御説明をいただきたい。

海老原政府参考人 今お尋ねの船舶は、多分、強襲揚陸艦のエセックス号ではないかというふうに理解をいたしております。

若井委員 それでは、そのエセックス号、四万トン余りの強襲揚陸艦ですけれども、それがホワイトビーチに寄港をしていた目的について御説明をいただけますでしょうか。

海老原政府参考人 これは、十九日、それから二十二日に沖縄の海兵隊の一部をイラクに展開せしめるということになったわけでございますけれども、そのときにヘリコプターも一緒に、海兵隊とともにイラクに輸送をするということのために入港していたというふうに理解をいたしております。

若井委員 それでは、先ほどの質問にもう一度戻らせていただきますけれども、墜落をしたCH53Dのヘリコプター、シースタリオンは、そのエセックスとの関係でどのような任務を帯びて飛行をしていたのか、もう一度お聞きをしたいと思います。

海老原政府参考人 これは、CH53Dを飛行させましたときの米側のプレスリリースによりますれば、イラクに対して海兵隊を輸送する上でこの大型の輸送ヘリコプターが必要であるという説明をしておりますので、海兵隊の輸送のためにこのヘリコプターが必要であって、普天間飛行場に展開していたというふうに理解をいたしております。

 それ以上の詳細につきましては、米軍の運用のことでございますので、我々は承知をいたしておりません。

若井委員 正確に言いますと、エセックスが入港をしたのは十四日だと思いますが、二十二日には、イラクの自由作戦という米軍にとっては大変重要な作戦を遂行していた。その間に、普天間飛行場では、これに同行するCH53Dの訓練をしていた。あくまでも通常の訓練だと言われておりますけれども、実は、この作戦の一環として行われていた作戦行動だというふうに考えることができると思いますが、いかがですか。

海老原政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたけれども、当日、同ヘリコプターは訓練飛行を行っていたという説明を受けておりますが、その詳細については承知をいたしておりません。

若井委員 それでは、質問をかえたいと思いますけれども、八月二十六日に日米合同委員会事故分科委員会の第一回の会合が開かれております。その段階で、今の事項についてさらに明らかになっている事項があれば教えていただきたい。

土屋政府参考人 お答えします。

 八月二十六日の午後でございますが、私どもの会議室におきまして、先般十三日に発生しましたCH53Dヘリコプターの墜落事故に関する事故分科委員会が開催されました。

 この会議におきましては、事務的なことでございますけれども、事故分科委員会における今後の運営についての取り決め、そのほか、米側における事故報告の手順につきまして説明がございました。それから、事故原因及び飛行再開までにとられた安全確認、さらに今後の安全対策及び再発防止策等について協議されたところでございます。

 その詳細でございますが、米側からは、事故発生後これまでに行ったとりあえずの調査結果としまして、事故の原因は、後部ローターの構成部分の小さな固定器具が外れ、後部ローターのコントロールができなくなったためであると説明をしております。

 私どもの方から、日本側から、その原因が整備上のものなのか、もしくはそれ以外のものなのか、さまざまな質問をしたところでございますが、米側は、引き続き入念に調査を行い、事故の原因と責任及び事故の結果生じた負傷や物的損害につきましては、おおむね三十日以内に報告書を日本側に提供することを約束したわけでございます。

 ということで、先生今御指摘になった細かな飛行の目的であるとか、そういうことについては、この分科委員会の場では説明はございませんでした。

若井委員 とおっしゃいますと、基本的には、今回のこのCH53Dヘリコプターの墜落の本当の原因はわかっていない。わかっていないにもかかわらず、イラクの自由作戦という一種の戦略行動の中で、故障の原因がわからないままに飛行をし、戦術行動を行ったというふうに認識をしてよろしいわけですね。

海老原政府参考人 これは八月二十二日の未明でございましたけれども、在京米国大使館のマハラック臨時代理大使から私の方に内々の打診といたしまして、このCH53Dの同型機のヘリを飛行せしめたいという打診がございまして、これに対しまして、私の方から、原因の究明、それを踏まえました再発防止策について十分な説明を受けていない段階で飛行を行うということには強く反対するということを言ったわけでございます。それにもかかわらず、二十二日の十二時半ごろ、ヘリ六機がイラクでの米軍の作戦に向かうために飛行をしたというふうに承知をいたしております。

 我々といたしましては、このような立場をいまだに維持いたしておりまして、事故分科委員会等の場で事故原因あるいは再発防止策について十分な説明を求めていくということにしておりまして、それがなされるまでの間は、CH53Dヘリについては引き続き飛行停止を求めてまいります。

 なお、米側は、これに対しまして、八月二十八日に至りまして、在京米大使館のシーア公使から外務省の梅本北米局参事官に対しまして、CH53Dのヘリの飛行は、これが適切となるまで行わないという連絡をしてまいりました。これが現在の米国の立場であるというふうに理解をいたしております。

若井委員 今の御説明では、私は、日本の政府の立場としては甚だ不十分であるというふうに考えざるを得ない。

 日米地位協定の第三条の第三項に、「合衆国軍隊」、米軍ですね、「が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払つて行なわなければならない。」とあります。これに対して、日本の政府は不同意であると言ったにもかかわらず、このヘリコプターの飛行が行われた。これは明らかに日米地位協定に違反をしているのではありませんか。

海老原政府参考人 今委員がおっしゃいました地位協定の三条の三項におきまして、おっしゃいましたような規定があるわけでございます。米軍が施設・区域を使用するに当たりましては、日米安保条約の目的の達成のためにこれを使用するというのは当然でございますが、それに加えまして、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払うということが書いてあるわけでございます。

 そういう意味では、地位協定の規定との関係ということでございますれば、我々がこの同型ヘリの飛行の停止というものを強く求めた背景には、おっしゃいました三項の規定がございまして、我々といたしましては、公共の安全に対する妥当な考慮、特に沖縄の県民の方々が抱いておられる安全性に対する不安というものに対して米側が十分こたえていないという立場に立ちまして、このヘリの飛行に反対をしたということでございますし、また、これが行われた後には強く抗議も行ったということでございます。

 ただ、このことをもって直ちに米側の同型機を飛行せしめたという行為が地位協定違反になるかということでございますれば、そのように直ちに違反であるということが言えるわけではないというふうに考えております。

若井委員 今の御説明は全く納得ができない。まず、この地位協定が何のためにあるのかということを全く説明していない。私たちは、基地を提供している、その責任を負っているわけです。国民の安全についても責任を負っている。アメリカ側が説明責任を果たさないのであれば、これは明らかに違反ではありませんか。違いますか。

海老原政府参考人 八月の二十二日に同型機のヘリを飛行させたときの米側の説明におきましては、本件の飛行に当たっては、ヘリコプターの機体及び乗組員双方について十分な点検、安全対策がとられたので、飛行の安全については確保できるというようなことを述べておりまして、これは、私は別に米側を弁護するという意味ではなくて、米側の立場に立てば、こういう観点から、公共の安全に妥当な考慮を払ったという立場であるというふうに理解をいたしておりまして、その意味におきましては、日米双方の立場に相違はございます。

 ただ、私が先ほど申し上げましたのは、そのことをもって直ちに米側の行為が地位協定違反であるということは言えないということを申し上げたわけでございます。

若井委員 その理由をちょっと聞かせていただきたい。今のは全然説明になってないですよ。委員長、今のは説明をしておられますか。言ってないです。結論しか言っておられない。

海老原政府参考人 地位協定の三条三項でございますけれども、施設・区域における作業におきましては、公共の安全に妥当な考慮を払うということが書いてありまして、その公共の安全に対して妥当な考慮というものが個々の事例におきましてどの程度のものであるかということにつきましては、一概に申せるわけではございませんで、今のような経緯をもって直ちに妥当な考慮が一切払われていないということが言えるかどうかについては予断ができないという意味において、違反ということに断定はできないということを申し上げているわけでございます。

若井委員 断定できないかどうかを聞いているのではなくて、先ほどの、事故の原因がわからないのに飛ばしているのは違反の可能性がある。非常にこれは重要な問題だと思うのでもう一回聞きますけれども、もし妥当であるとすれば、それは一体何ですか。今のお話で説明になっていると思われますか。

川口国務大臣 妥当であるかどうかということについて、妥当であったかどうか、それを一概には申し上げられないということを今海老原局長は言っているわけでございまして、こういったことについて、今後その事故分科委員会で、原因究明、そして再発防止策ということの議論をまさにしていくわけでございますから、我々の考えること、あるいはこれが本当に妥当であったかどうかということについては、その中で明らかになってくるであろうというふうに考えております。

 いずれにしても、先ほど海老原局長から説明がありましたように、米側からは、その当時、米側としてそういうふうに考えているという説明があったわけでございます。

若井委員 米側がこれに合致をしていると言っているということはもう先ほどからお聞きしておりますが、外務省はどう考えておられるのかということについてはお答えをいただいてないというふうに私はここで判断せざるを得ない。この問題については、さらに同僚の議員からも議論をしていただきたい、ぜひ残してもらいたいと思います。

 時間がないので次の問題に移りますけれども、今回、私どもも三度調査に参りましたけれども、日本の政府の各省庁あるいは県、それから当該市町村である宜野湾市、消防や警察も含めて余りにもちぐはぐな対応が目立っている。前後での説明が食い違っている。

 どこがどのように、こうした災害、災害といいますか事故に対して統一的な立場から対応していけるのか。一九七七年に横浜で戦闘機が墜落をした際にもこれが議論になったと聞いておりますけれども、災害の対策本部といいますか、事故の緊急対策本部みたいなものをつくって、きちんとこうした事態に対処をするということが必要だと思うんです。今回の事故に対して、政府の対応、各省庁はどのような連絡体制をとりながらこれに当たったのか、その辺について御説明をいただきたい。

茂木国務大臣 今回の事故は本当に深刻な事態だと私も考えております。

 実は、八月二十五日に、総理と稲嶺知事との会談、私も同席をさせていただきましたが、総理の方から、関係省庁が連携をとってしっかり対応するように、こういう御指示をいただきまして、その後、官房長官、そしてまた外務大臣、さらに防衛庁長官と私を中心にしまして関係閣僚会議を開きまして、また、そのもとで事務方の連携を一層緊密化しておるところであります。

 そんな中におきまして、先ほどの同型機の飛行停止の問題も、二十七日に米側に改めて申し入れをさせていただきまして、二十八日から同型機の飛行を停止する、こういう形にもなってまいりました。

 それから、今、分科会の設置の問題を初め、現場におきます対応、これは明らかに、やはりいろいろなところから問題の指摘がされているわけでありますから、謙虚にそういったことを受けとめて、必要な改善を図ってまいりたいと思っております。

若井委員 普天間飛行場に限らず、全国の七五%の米軍基地を抱えている沖縄県は常にこうした事故の危険性にさらされているわけですから、こうした危機管理の体制あるいはシステムを常時つくっておくことがぜひ必要だと思います。茂木沖縄北方担当大臣におかれましては、その点、ぜひ御配慮をお願いしたい。すぐにでもこうした体制をつくる必要があるんじゃないかということを強く要望させていただきたいと思います。

 次に、三番目、普天間飛行場の今後の運用に関する問題であります。

 先ほど来、日米地位協定室その他から御説明をいただいておりますが、このCH53Dのヘリが墜落をして以来、本当に紆余曲折があり、これがどうしてこのような流れになっているのか全く理解できない、そうした問題が数々あるわけです。先ほど御説明のありました運用再開についての文書ですが、この文書、本当に私には幾ら読んでも理解できない。

 在京米大使館マハラック臨時代理大使より海老原北米局長に電話があった。これからイラクでの米軍の作戦に向かわせるためにこのCH53Dヘリを飛ばすぞ、突然このような通達があった。これをなぜ日本政府はこれまでのいきさつを通じてとめることができないのか。十分な点検、安全対策がとられたと。しかし、先ほどの御説明によっても、その事故の原因すらはっきりしていない。この文書は一体何ですか。これでこんな重要な案件について決定をすることができるのか。その点について、もう一度御説明いただきたいと思います。

海老原政府参考人 私、委員の御質問の趣旨を正確に理解しておるかどうか、ちょっと自信がないところがございますけれども、紙というのは、委員がお配りになった、私どもが張り出しで出した紙のことでございますか。(若井委員「はい」と呼ぶ)この紙は経緯を書いているわけでございますけれども、ここにありますように、二十二日の正午ごろにマハラック臨時代理から私の方に、普天間飛行場においてCH53Dを飛行させるという通報があったということでございます。

 それに対しまして、日本政府の反対にもかかわらず、ここの部分は先ほどもちょっと御答弁を申し上げましたけれども、この日の未明に私の方にマハラック臨時代理大使から、この同型機を飛行させたいという話がありましたので、私の方から強く反対するということを伝えていたわけでございますけれども、その反対にもかかわらず、米側がCH53Dの運用を再開するということについては極めて遺憾であるということ、さきの墜落事故の原因についての十分な説明もなく、また再発防止策が十分にとられたとの説明もないまま、事故機と同型機の運用が行われるということについては強く抗議するということを伝えたわけでございます。

 この紙は、そのような経緯を書いた上で、今後とも、原因究明、それから再発防止策についての十分な説明と、ヘリの運用に当たっては安全対策に万全の策がとられるよう申し入れていくという考え方を述べたものでございます。

若井委員 要するに、この電話連絡がある以前に、十四日以来、さまざまなやりとりがあるわけですね。その結果として、ヘリの運用再開に至る。十四日にブラックマン四軍調整官が、すべてのヘリコプターを停止すると言ってきた。それから、すべての機種について徹底的な安全性の確認を行うと言ってきている。その二日後の十六日に、今度は、日本の政府から安全点検の具体的な内容を明らかにせず運用再開なきよう申し入れをしているという経緯がございますね。

 ところが、十七日になって、同型機以外の飛行は再開するんだということを言ってきた。私たちも調査団として、十七日の段階でこうした情報を米軍の准将から、あるいは総領事から受け取っておりますけれども、十六日に運用再開なきよう申し入れたということは、それ以前に既に運用を開始するということについての通知が内々あったのではないかというふうに私たちは考えざるを得ないんですけれども、いかがでしょうか。

海老原政府参考人 今の件につきましては、十五日の夕刻に米海兵隊は、点検の結果、CH53Dを除く機種については運用再開のための許可がおりたということをプレスリリースで発表したわけでございます。これを受けまして、外務省の方から、ヘリに対し実施した安全点検の具体的内容を明らかにすることなくヘリの運用を再開することがないよう強く申し入れをしたという経緯でございます。

 このやりとりを受けまして、米側は、ヘリの運用を再開しなかったということで、改めて十七日の未明、安全点検の具体的内容とともに、CH53D以外のヘリの運用、これはあくまで部隊の移動等必要最小限度の運用に限るということではございましたけれども、このCH53D以外のヘリの運用を再開する予定であるというプレスリリースを公表したという経緯でございます。

 この十七日の未明の方のプレスリリースを受けまして、私からマハラック臨時代理大使に対しまして、米側に対しまして、引き続き最大限の安全策をとるべきであるということと、同型機CH53D以外のヘリコプターの運用についても最大限慎重に行うべきこと、どうしても運用する場合にも必要最小限の運用とするよう申し入れたということでございます。

若井委員 いつものお答えが繰り返されたというふうにしか思えないんですが、この安全点検の具体的内容というのは何ですか。もう一つ、次の質問とあわせてお答えいただきたいと思います。

 私どもが十七日に調査をした際には、総領事は、例えばCH53Dについて事故の原因を突きとめて安全点検ができるまでに一月から二月かかると言っている。にもかかわらず、十九日には大使館から運用の再開通知がもたらされ、二十二日には飛行再開が通告されているわけですね。その際も、恐らく今と同じように、安全点検の具体的内容を明らかにしたというふうに通告をしてきたと考えるわけですけれども、皆さんは、安全点検の具体的内容というのはどういう内容であって、本当にそれを納得するに足る内容であるというふうにお考えなんですか。いかがでしょう。

海老原政府参考人 まず、十七日の米側のプレスリリースにおきましては、安全点検の内容として、すべてのヘリを対象に入念な安全点検を実施した、この点検には、綿密な視覚点検や基幹部分の作動検査、乗務員及び整備員に対する安全手順の確認が含まれる、点検の結果、CH53Dを除く機種については運用再開のための許可がおりたということで、ここで述べております点検については、CH53D事故機と同型機を除く機種については、この安全点検の結果、安全性が確保されたという判断をしたというふうに米側は述べておりますが、事故機と同型機のCH53Dにつきましては、このプレスリリースにおきまして、CH53Dの運用は事故原因につきさらなる分析が行われるまで引き続き停止するということになっていたわけでございます。

 これに対しまして、先ほども申し上げましたけれども、私の方から改めて、安全点検、安全策については引き続き最大限の安全対策をとることを要請したということでございます。

若井委員 まるで米軍の言いなりじゃありませんか。この安全点検の具体的内容、向こうが、これは実施をいたしました、ですから運用再開いたします、一応抗議はしているけれども、現実には飛行の再開を許している、そうではありませんか。

 次に、二十八日のプレスリリース、お手元にもありますけれども、これは、今度、二十八日に、飛ばしたCH53Dのヘリをもう一度飛ばさないようにするんだというペーパーですよね。五行目のところに、「在日米軍は、海兵隊CH―53Dヘリの飛行を、これが適切となるまで行わない。」という趣旨の電話での連絡があったということだと思いますけれども、例えば、「これが適切となるまで行わない。」というような非常に抽象的であいまいな表現で私たち国民は納得をしなければいけないのか、いつこのヘリの飛行が再開するのか、この点について北米局長はどのようにお考えでしょうか。

海老原政府参考人 この米側の言及、すなわち、これが適切となるまで海兵隊CH53Dの飛行は行わないという言い方は、米側の言い方をそのままここに書いてあるわけでございますけれども、この下の2のところに、当方の梅本北米局参事官からシーア公使に対しまして、さきの墜落事故の原因究明と再発防止策に対する十分な説明がなされるまではCH53Dの飛行は行わないよう求めるというのが日本政府の立場であるということを伝えたわけでございます。

 我々といたしましては、米側が言います「適切となるまで」という意味は、ここに言っております原因究明と再発防止策に対する十分な説明がなされ、それに対して日本側も納得するまでというふうに理解をいたしております。

若井委員 北米局長が、この「適切となる」という判断をどのようにするのかという点についてお聞きをしたつもりでしたけれども、今はそのお答えはいただけなかったというふうに考えても仕方がないですね。

 それでは、その次のところに「日本側政府関係者と緊密に連携していく。」というふうにありますけれども、これはどのような意味で使っておられるのか。これは米側からの回答なわけですけれども、どのように解釈をしておられますか。

海老原政府参考人 これは、今後のCH53Dの運用に関しては日本側と緊密に連携をしていくという意味でございまして、当然この運用については日米間で協議を行っていくということであると理解いたしております。

若井委員 さらに、これとは別の文書で、米側は、この海兵隊のCH53Dヘリ、四カ月から七カ月後に沖縄に戻してくるというふうに通知をしてきているとお聞きをしておりますけれども、それは本当ですか。

海老原政府参考人 今おっしゃったようなことは承知いたしておりません。

若井委員 それでは、この海兵隊CH53Dヘリは、日本の国民が適切と判断をするまで行われないというふうに考えてよろしい、沖縄には戻ってこないというふうに考えてよろしいわけですね。

海老原政府参考人 CH53Dにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、六機が普天間を飛び立ちましてイラクに向かったということでございます。そのほかに、ワスコー在日米軍司令官によりますれば、あと五機普天間飛行場に駐機しているというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、この事故と同型機のヘリにつきましては、我々といたしましては、事故分科委員会等におきまして、米側から納得のいく原因の究明、それを踏まえました再発防止策がとられるまではその飛行は認めないという立場でございます。

若井委員 このような事故が二度と再発をしないためには、日米安全保障条約に基づく地位協定の非常に矛盾している部分、あるいは、先ほど最初に、違反をしていない、違反をしているとは言えないというふうに北米局長がおっしゃったこのような部分について、徹底した見直しと再検討を行うことを要求したいと思います。

 最後に、普天間基地ですけれども、代替施設をつくる、辺野古への移転にさらに十数年を要する。この間、普天間の周辺の市街地の方々は、常にこうした危機に、危険にさらされている。既にCH46の輸送ヘリは、夜間の訓練も含めてこの上空で飛行訓練をしておるわけですから、一刻も早くこうした事態を解消するために別途対策をとる必要があると思いますけれども、その点について防衛庁の方はどのようにお考えになっておられるか、最後にお聞かせ願いたい。

山中政府参考人 普天間飛行場の移設、返還のプロセスを私どもは当然堅持し、一刻も早く代替施設の建設が進みますように努力をいたしております。

 他方で、稲嶺県知事もおっしゃっておられますけれども、移設、返還までの間における普天間飛行場の運用に伴う危険性をどう軽減していくかということが、私ども自身にとっても大きな問題意識の一つでございます。

 地元におきまして、とりわけ回転翼の運用に伴う安全性をどう確保するかという観点について、海兵隊、県、国、三者による協議をこれから行うべく調整を始めている。そのほか、兵力の削減でありますとか訓練の移転でありますとか、いろいろな課題はあるわけでございますが、私どもとしては、普天間の安全性の確保、移転、返還の早期実現ということに向けて、できるところからの努力をしていくという姿勢でやっていきたいと思っております。

若井委員 先ほど、CH53D、残り五機のお話が出ましたけれども、ワスコー司令官によれば、これは近い将来岩国に移転をするというふうに表明をされたと聞いておりますけれども、こうしたCH53Dについては、安全性が確保されるまで飛行をしないということでございますので、再度、普天間基地にこうしたものが飛来しないというような方策を重ねてとっていただくよう要望して、終わります。

 どうもありがとうございました。

金田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 まず冒頭でございますが、九月二日、首相は、船から北方四島の視察を行い、元島民との交流集会で、四島の帰属が確認されれば一括返還にはこだわらないと発言したと報じられておりますが、茂木大臣は同席をしておられた御様子でございます。茂木大臣に、その事実を確認させていただきます。

茂木国務大臣 武正議員には、この北方領土問題、大変関心を持って熱心に取り組んでいただいておりますこと、冒頭、感謝を申し上げます。

 委員御指摘のように、九月二日、小泉総理は、内閣総理大臣としては歴代三人目、そして洋上としては初めて北方領土を視察いたしまして、私もそれに同行させていただきました。それから、視察が終わりました後に、ニホロのセンターにおきまして元島民の皆さんと、予定では三十分だったのですが、実際には一時間近く、率直に島民の皆さんから意見を聞く、こういう会を持たせていただきました。

 その集会の席上でありますが、この北方領土問題に対します質問が出まして、小泉総理の方からは、四島の帰属を明確にすること、まず北方四島は日本固有の領土だと認めることが大事であり、それを明確にした後は、返還の時期については同時でなくとも柔軟に考えるとの発言をされました。北方四島への日本の主権が確認をされれば、実際の返還の時期、態様等については柔軟に対応する、これが政府の基本的な考え方でありまして、小泉総理も直接島民の皆さんの前でその方針について御説明をされた、このように理解をいたしております。

 何にいたしましても、来年、御案内のとおり、日ロ修好の百五十周年、こういう記念すべき年でありまして、またプーチン大統領の来日も来年早々に予定されているわけでありまして、私は、そういった時期に小泉総理が実際に北方四島を自分の目で視察され、そしてまた率直に島民の皆さんと、これは初めての機会であります、こういった対話集会を持たれたということは、今後の交渉を大きく進める上でも、また国民世論を高める上でも極めて有意義な機会だった、こんなふうに考えております。

武正委員 政府の姿勢は柔軟だというふうに言われましたが、私はちょっとそれは、政府の姿勢としてまだ確認をしておりません。二島先行返還かと思わせる首相発言ゆえに、その真意を確かめるべく、また、米軍ヘリ墜落事故にもかかわらず、稲嶺知事の十八日の面会要請を拒否するなど、二十五日夕方、ようやく沖縄知事と面会をしている。こういったことから申しますと、沖縄問題、基地問題へのその姿勢を問うべく、首相の本委員会への出席を求めたいと存じます。

 委員長にはお取り計らいをお願いいたします。

金田委員長 理事会で協議いたします。

武正委員 米軍ヘリ墜落事故の話に入らせていただきます。

 まず、民主党は、年に一回、沖縄ビジョンの事後検証ということで、八月十七、十八日、現地に赴きまして、十三日の墜落を経て、現地で調査団に衣がえをいたしました。十八日早朝、私がキャンプ・コートニーでナンバーツーの准将に会いましたときに、准将がこのように言われました。沖縄県警から、人手が足りないので機体検証は米軍に任せる、物的損害調査のみ県警でやる、警備は共同でやろう、こういった申し出があったというのは事実なのかどうか。

 また、刑事特別法十四条に基づいて県警は第一次裁判権が米側にあっても捜査できるとされているが、一体、捜査をしたのか、しなかったのか、したとすると何をしたのか。これをお伺いするとともに、きょうは大変時間的に押しておりますので、幾つかの質問を同時にさせていただくことをお許しいただきたいのです。

 日米地位協定十七条十項(b)、日本国の当局との取り決めに従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の秩序の維持のため必要な範囲内に限る、つまり施設外の警察権でありますが、県警の検証同意、合同捜査の要請を無視し、日本国当局と連絡して警察権が使用されたとは言えないのではないか。

 以上を警察庁にお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 まず、フロック氏とのお話の内容の詳細については存じ上げませんが、今御質問がございましたような実態はなかったのだろうと思います。と申しますのは、沖縄県警察では、米軍当局に対して機体本体及び墜落現場に対する共同実況見分の申し入れを行い、また、機体本体の検証を行うため検証の同意請求を行うなど、所要の手続を進めていたものでありますから、そのような言動は行っていないと思います。

 それから、現場における警備に関しましては、十三日午後、所轄警察署長と現場責任者の間で警備方針の確認をするなど、共同して警備を行っていたと承知をしております。

 それから、捜査についてお尋ねでございますが、御案内のとおり、この種の事案が発生いたしましたときには、現場というのはかなり混乱をいたしますし、さまざまな機関が現場に参ります。警察の仕事といたしましても、被害者の救出ですとかあるいは被害確認といった活動、警備のような活動、捜査のような活動、さまざまな活動がございます。そうしたことについてさまざま行っておりますが、御質問は捜査についてでございますので、捜査につきましては、事故発生直後から、事故現場の写真撮影、目撃者、参考人の確保等、所要の捜査活動、それらを書類化すること等も含めてでございますが、さまざまな捜査を行っているところでございます。

 それから、三点目の御質問は、むしろ警察庁ではないのではないかと思います。

武正委員 そうしましたら、三点目の質問は法務省ですので、次に一緒に行いたいと思います。

 外務大臣、先ほども同僚委員から質問があったんですが、米軍が許可なく立ち入った理由、これが日米裁判管轄権第十項(4)の「暇がないとき」。時間がなければ許可を得ずに入っていいんだ、そういう合意。これもとんでもないというふうに思うわけでありますが、いとまがあったのではないかということがさまざまな証言から言われております。

 きょうお手元に、これは川内調査団事務局長の資料が表紙に載っておるホッチキスどめでございますが、「米軍」のところに「墜落以前に現場付近に待機」、こう書いてあります。これが専ら記事でもさまざまな証言でも言われているわけでありまして、つまり、大学に許可をとるいとまはあったというふうに思われるわけでありますが、それをとらずに入ったということは甚だ問題である。

 また、大学側の主張は、既に十四日、警察に要請、現場検証、差し押さえ、押収、しっかりやってくれと。そしてまた十五日には抗議声明、国家主権が侵害されている異常な状態が続いているんだと。そしてまた十七日、これはヘリの機体搬出についての抗議ですが、事件の幕引きを図るのは問題だと大学が強く抗議をしている、渡久地学長名でということでありますので、私は、この民有地への墜落機等の立ち入り、これはやはり必ず承認を受けて立ち入るというふうにこの合意は見直すべきだと思うのですが、外務大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 今回、いとまがあったかどうかということでございますけれども、これは米軍の説明によりますと、事故当時、普天間飛行場にいた海兵隊員は、事故機が墜落するのを目撃して、二つのフェンスをよじ登って現場に駆けつけたということでございます。私どもはそのように承知をしているということでございますので、まさに、このヘリコプターに乗っている乗員を助け出さなければいけない、急いで駆けつけたという状況ですので、いとまがあったという状況ではなかったのではないかというふうに思います。

 それから、これは先ほど委員もおっしゃられた刑事裁判管轄権に関する事項の第十項の(4)、これに「事前の承認を受ける暇がないとき」というふうに書いてあるわけでございまして、それは私有地であったとしても、通常の、そういう状況でない普通の状況であれば、当然に私有地に入るときにはその許可が要るということでありましょうけれども、いとまがまさになかったわけで、その場合には立ち入ることが許されるというふうにそこに書いてあるということでございます。

 ということで、今回の事故におきましても、米軍におきましては、この合意に基づいて必要な救助作業そして米軍の財産保全のために事故現場に立ち入ったんだというふうに承知をしております。

武正委員 先ほどのフロック准将の発言もそうなんですが、関係各機関の発言が、墜落後大変錯綜をしておりました。そして、それが徐々に徐々に調整をされていくわけでありますが、例えば今の外務大臣の米軍の説明というのは一体どういうことなんですかね。外務大臣というのは米軍の説明をこの国会で伝えるのが役割なんでしょうか。日本側でさまざま、もう先に来ていたんだ、もう待っていたんだ、こういう報道や証言があるんですが、日本側のそういった説明は外務大臣の耳には届いていないんですか。あるいは、そのことを国会でなぜ言われないんですか。米軍の説明だけ言われる理由は理解できないんですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 そういう事前にいたということについては、外務省といたしましては、事実関係としては把握をいたしていないということでございます。

武正委員 こういった指摘があるんですが、それについて把握しようとされたのか、お答えをいただきたいと思います。

川口国務大臣 そういったことについては、現場における対応についての特別分科委員会も設置をされることになっているわけでございますので、そういう中で議論をしていく、また、その過程で外務省としても、必要な情報については当然に把握をしていくということでございます。外務省がみずから把握をするというか、日本政府全体としてこれは把握をするということであろうかと思います。

武正委員 最後がよく聞こえなかったんですが、日本政府として把握することではないと言ったんですか。

川口国務大臣 というようには申し上げておりませんで、特別分科委員会で事故のときの現場の対応については議論をしていくということになっているわけでございますね。それについて日本としてどのような認識を持ってそこに出席をしていくかということは、日本政府全体として把握をしていくことであろうかと思うというふうに申し上げたわけです。

武正委員 分科委員会はいいんですよ。私が言っているのは、きょうは国会の質疑ですよ、もう事故からそろそろ一カ月近くたとうというのに外務大臣が米側の説明しか国会の答弁でできないというのは、これはどういうことなんですか。

川口国務大臣 ですから、先ほど申しましたように、外務省としては、そのような状況にあったという把握はいたしていないということでございます。

 さらに申し上げれば、それは今後議論をしていくことでございますから、先ほどの繰り返しになりますけれども、そのときにどのような認識を持って日本政府としてそこに出ていくかということについては、日本政府全体として認識を持っていく、把握をしていくということであろうというふうに申し上げたわけでございます。

武正委員 担当大臣としての国会説明をなしていないというふうに思うんですね。本当はここでとめてもいいんでしょうけれども、関係省庁からたくさん政治家の皆さんもお見えになっていますので。

 まず、九月二日、三日、岡田代表も現場に、第二次の調査団に続いて、これは仙谷政調会長が八月三十、三十一日、両日入りましたが、行ってきました。稲嶺知事には三点、第一点が真相究明、第二点は日米政府に説明責任を求める、第三点は地位協定改定だと。まず第一点の真相究明ができていないんですよ、事実確認が。だからこうやっているんですよ。沖北だって、これは一回じゃ済まないですよ。二回、三回やる必要がありますし、閉会中審査は、安保も外務も法務もそれぞれみんな求めています。とても真相に至っていないというふうに言わざるを得ないのであります。

 次に、ちょっと先を急ぎますけれども、法務省に続いて聞きます。先ほど私が言ったのは、実際、県警の検証同意、合同捜査の要請を無視して、警察権が要は使用されていないということでありますが、これについてお答えをいただきたい。これは法務省でよろしいですよね。さっき警察は答える立場にないと言われましたが、これは法務省じゃないんでしょうか。ないならないで、お答えいただきたいと思います。

 続いて、一緒に法務省にお聞きをしたいと思います。

 私の方の資料をたくさん持ってきておりますが、地位協定の資料、二枚組に書いてありますが、二枚目に、刑事特別法というのが地位協定に基づいてつくられているんですね。この十三条に、要は米側の同意なくして捜索、差し押さえ、検証はできない、あわせて、施設・区域内の捜索は嘱託ができるんだと。これは、要は米軍に依頼して調査できるんだよ、こういうようなのがありまして、それで今回これをやっているんですけれども、これも私はおかしいと思うんですね。

 日本の民有地に落ちた墜落機を要は基地の中まで持っていっちゃって、調査は米軍でやってくださいと。要はこの十三条があるから、横浜のときもエンジンを持っていっちゃう、基地に。今回も、あれだけ早く基地に持っていっちゃう理由はこの十三条じゃないかというふうに私は思うわけでありますが、これは同意なくして検証できるようにすべきではないかというのが一点。

 そして、昭和五十二年九月、米軍ファントム機墜落事故、横浜のときには令状をとったのか、申請したのか。また、起訴にならなかった理由、そしてまた、横浜では嘱託をしなかったわけですが、なぜしなかったのか。

 そして、この嘱託の調査はいつ返事が来るのか。

 以上、法務省、一遍で大変だと思いますが、御答弁の方をよろしくお願いいたします。

実川副大臣 お尋ねの日米地位協定の件でありますけれども、刑事特別法第十三条の規定でありますけれども、日米地位協定第十七条の十及びこれに関します合意議事録の第二項の趣旨を踏まえまして、我が国の捜査機関が捜索、差し押さえ及び検証を行うための規定でございまして、委員御指摘のその改正を行うためには、日米地位協定等に関します議論が前提となるというふうに考えております。

 それから二つ目の、昭和五十二年九月のファントムの事故でありますけれども、これに関しましては、合衆国軍隊の構成員であります被疑者三名にかかわる業務上過失致死等事件が横浜地方検察庁に送付されたところでございまして、横浜地方検察庁は、第一次裁判権なしとして、いずれも不起訴処分としたというふうに承知いたしております。

武正委員 あわせて、今回、検証嘱託をやっておりますけれども、この返事がいつ来るか、お答えいただけますでしょうか。

岡田政府参考人 警察に関する事実関係のようでございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 検証の同意請求をして同意が得られないということでございますので、地位協定関連規定及び刑事特別法に基づいて検証の嘱託を行っておりますが、これについては、現在まだ米側においてもさまざまな調査中でございますので、いつ回答をくれるという返事はございません。

武正委員 先ほどの地位協定十七条十項(b)、要は、県警の検証同意、合同捜査の要請を無視して、日本国当局と連絡して警察権が使用されたとは言えないのではないかというのは、これはどちらがお答えいただけるんでしょうか。外務省でしょうか。外務大臣、お答えをお願いしたいと思います。

川口国務大臣 連絡を警察としなかったということについて、ちょっと御質問をきちんと伺っていないかもしれませんが、私どもの承知いたしておりますのは、日本の警察庁においては、米軍と連絡をしたということであるというふうに聞いております。

 それから、そもそもこれは、十七条の十項の(b)に基づく刑事裁判管轄権に関する事項第十項において、米国の財産、これは飛行機が不時着した場合ですけれども、これは――済みません、その話ではないですね。(武正委員「はい、わかりましたので」と呼ぶ)

武正委員 わかりましたと言ってもわかっていないんですね。

 要は、今私が聞いたのは、日米地位協定十七条十項(b)、日本国の当局との取り決めに従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の秩序の維持のため必要な範囲内に限る。施設外の警察権の使用は必要な範囲内に限る。でも、県警が検証を求めたら断ったり、合同捜査の要請を無視したり。

 要は、さっき県警と米軍は連絡をとっていると言ったんですけれども、日本国の警察からさまざま米軍にオファーをしても、それが無視をされて拒否をされた上で警察権が使用されているということは、日米地位協定十七条十項(b)に違反しているのではないですか、こういうことなんですが、外務大臣、いかがでしょうか。外務大臣、お願いいたします。

川口国務大臣 十七条十項の(b)でございますけれども、これについては、まさにその規律維持のために必要な範囲に限るものということが書いてあって、その警察権の使用については、日本国の当局との取り決めに従うということを条件としているというふうに書いてあるわけです。

 それで、日本の当局との取り決めでございますけれども、これについては合意議事録がございます。そして、合衆国軍隊の財産について、捜索、差し押さえまたは検証を行う権利を、米国が同意しない限り、これは日本にはないということが書いてあるわけでございまして、これは米国の、地位協定ということの関連でいえば、その枠内にのっとったものであるというふうに考えております。

武正委員 さっきの川内さんの、七ページにあるんですけれども、警察庁が言われたように、十五時三十分、署長が米軍現場責任者と警備方針を確認したんですね。確認したのは警備方針であって、捜査方針じゃないんですよ。これは大変大事なポイントだと思うんですね。

 先ほど来、県警と米軍は連絡をうまくとっているよと。あくまでもその警備についてであって、機体の検証その他について同意がされたり確認がされたというのは、検証の同意を出して断られた十七日になって、だめですよというふうに断られた八月十七日朝七時五十五分の不同意の回答まで、要は、その現場は米軍が、それこそフロック准将の言葉をかりれば、コントロールしていたんですよ。これが事実なんですね。

 さて、先ほど副大臣が大変ポイントになることを言われたんです。日米地位協定の議論が必要なんだというふうに言われたんですが、このことをもう一度、もう少し詳しくお答えをいただけますか、実川副大臣。

実川副大臣 刑事特別法は日米地位協定に基づく法律でありますから、あくまでも、先ほど申し上げましたように、地位協定等に関する議論が前提となるというふうに考えております。

武正委員 だから、議論の中身は何を議論するんですか。それこそ、外務省に遠慮せずに、法務省として、日本の法律をきちっと法治国家として守るんだ、やはり法務省として毅然たる態度を堂々と出していいと私は思いますよ。副大臣、どうですか、その議論は。日米地位協定の議論、何をするんですか。お答えいただけますか、中身を。

実川副大臣 今申し上げましたように、日米地位協定の議論を踏まえまして、積極的にこれからも議論を重ねて特別法をやりたい、このように思っております。

武正委員 中身を再度お答えいただけますか、何を議論するのか。

茂木国務大臣 検証の問題、それから検証の嘱託の問題についての議論は必要だ、こんなふうに考えておるわけですが、先ほど来出ております意見の中でも、やはりこの運用が恣意的ではいけないんだと思います。

 どちらの側から見ても、明確な基準があって、それにのっとって合意をするとか拒否をするとかいうのがあるべきでありまして、恐らく今回の事案を見ると、過去の事案と見比べて、本当にそれが恣意的でなかったのか、こういう検証が私は必要だと思っております。そういったものを踏まえて、検証のあり方、それから検証の嘱託のあり方について議論をしていく、こういうことになると思っております。

武正委員 先ほど言ったのは、私は刑事特別法十三条改正について実川副大臣に聞いたんですね。

 繰り返しますが、刑事特別法十三条に、施設・区域内の捜索は、同意だけでなくて、嘱託というのが出てきたものですから、今回、日本の政府が原因究明、再発防止の機体の検証をせずに、あるいは断られて、では、あなたやってください、こんなことになってしまうんですよ、だから、刑事特別法十三条を改正すべきだと言ったら、実川副大臣が、それは日米地位協定の議論だと言ったから聞いているわけですよ。

 今の茂木大臣の議論は、これから現場のいろいろな分科委員会をつくりましょうという話で、私は、この法改正の話で法務省としての対応を求めたのであります。

 ちょっと時間がないので、先を急ぎます。

 私は外務大臣に、地位協定の改正あるいは合意議事録の見直し、幾つも聞こうと思いました。ただ、残念ながら、外務大臣からは前向きな答弁がこれまでも聞かれません。大変残念であります。

 私が指摘をしたかったのは、まず第一点は、先ほども、不起訴理由は、第一次裁判権が日本にないから、昭和五十二年、米軍ファントム機事件を起訴できなかった、不起訴にしたんだと。今回も同じですよ。第一次裁判権は米軍にある、公務執行中だから。でも、警察は起訴しようとして一生懸命やっている。これは茶番じゃないですか。やはり第一次裁判権の放棄を米側に求めるべきだ、これは私は主張だけにしておきます。聞きません。

 二点目。合意議事録十七条第一、「合衆国軍隊の法律執行員は直ちに捜査に着手する責任があることを認める。日米両国の裁判権が競合している犯罪については日米の共同捜査が望ましい。」とありますが、私は、当然、共同捜査を行うことに変えるべきだというふうに思います。本当は基地の中だって、ボン協定のように、立ち入りしてやはり捜査しなきゃおかしいですよ。これが二点目。

 そして三点目。公務執行中は第一次裁判権は米側にあるというのはやはり改定すべきだというふうに思います。

 これは一例でありますが、昭和三十九年、町田で墜落事故がありました。妻と長男を失った吉田治さん、八年後の昭和四十七年、自動車事故で、八月二十三日、長女を失ったんですね。そのときの事故を起こしたブルック三等軍曹は、前の日に結婚をして、結婚手続をするために、キャンプ座間から陸軍病院に向かう途中の私有車の事故なんですよ。ところが、もう九月十七日には米軍は公務証明を出して、それで不起訴処分になっちゃったんですよ。

 ですから、この第一次裁判権が公務執行中はあるというのを全部やっちゃったら、やはりおかしいですよ。日本は独立国なのか疑わしいわけなんですね。これもやはり私は地位協定改定が必要だというふうに思う。これも指摘をさせていただきます。

 そして、今回も出てまいりました日米合意議事録十七条。所有地のいかんを問わずどこでも、米軍の財産の捜索、差し押さえ、検証、米軍の同意、日本全国どこでも。こんなのおかしいですよ。この合意議事録だってやはり直さなきゃおかしい、このように思うわけであります。

 そうした外務大臣への質問は、私から指摘にとどめさせていただきたいと思います。

 さて、防衛庁にお伺いをいたしますが、きょうは防衛施設庁の資料もお手元に用意をさせていただいております。

 九月二日付の防衛施設庁の時系列の資料でありますが、この一ページ目、二ページ目と、相次いで防衛施設庁次長がティモシー・ラーセン海兵隊准将に申し入れをしているわけなんですね。十三日に申し入れをし、十五日に申し入れをする。

 こういった申し入れを受けながら、一ページ目に戻りますが、八月十六日月曜日のところにありますが、実は八月十五日十八時半、「米海兵隊から施設局業務課に機体撤去のための障害立木の伐採について申し出があったので、同日、施設局業務課から大学事務局へ説明・了解を得た。」と。大学側は了解したとは言っていないですよ。撤去しないでくれ、切らないでくれ、昭和四十七年開設以来植えてきた木だから切らないでくれ、そういったことも言いながら、切られちゃったんですね、何十本も。

 きょうは、嘉数政務官は沖縄御出身でございますので、大変この問題にも関心が深いというふうに思いますので、私は、やはりこの十八時半の申し出、そして十八時四十分、これは外務省に一体相談したのかしなかったのか。この原因究明、再発防止を次長がこれだけ申し入れをしながら、機体を撤去しちゃったら、原因究明、再発防止できないじゃないですか。航空事故の事故調査のイロハのイは、現場の証拠保全ですよ。これはNTSBが一番よく知っている。米国が一番よく知っているんですよ。それをなぜ防衛施設庁はここで認めちゃったんですか。そして、大学側に邪魔だから木を切るようになぜ説得するんですか、日本政府の防衛施設庁が。おかしいじゃないですか。

 あわせて聞きます。

 横浜のときは、九月二十七日に墜落して、事故分科委員会を二回開いて、そして事故分科委員会は中間報告を発表しています。国会にも発表しています。私は中間報告を行うべきだと思いますが、これについて政務官のお答え、御見解をお伺いします。

 また、米側から調査報告書、さっきの嘱託ですよ、米側に任せちゃっているんですから、調査を。それが出てきてから事故分科委員会で吟味するんじゃなくて、やはりエンジンの吟味を、厚木基地で昭和五十二年やったように、やはり早く事故分科委員会で提起して、米側が納得して、そしてその事故分科委員会で機体検証をすべきですよ。この点、やる気があるかどうか、あわせて嘉数政務官、お答えをいただきたいと思います。

嘉数長官政務官 まず第一の御質問ですけれども、立木の伐採については、米軍から防衛施設庁に、機体を撤去するために邪魔になる、差しさわりがあるのでそれを伐採したいと申し出がありました。その申し出に基づいて、施設庁、私どもの業務部長から沖縄国際大学の庶務課長に申し入れをした。そして庶務課長の御了解をいただいた。ただ、そのときに、将来、補償の問題等いろいろあるので、撤去する前、伐採する前に連絡をいただきたいという条件で了解をいただいたということで伐採をした、そういうふうに理解をしております。

 外務省に対しての件については、要するに、所有者の許可さえいただければ、それは当然のこととして作業が続行できるということでありますから、そのとおり実行していただいたということであります。

 それから、機体の撤去等については、いろいろなことがあるかもしれませんが、私どもとして、日米地位協定の第十七条十項(a)及び(b)に関する合意議事録で、米軍の財産に対する捜査、差し押さえまたは検証については、米軍当局者自身による事故原因の徹底究明の必要性や、米軍財産がその性質上、高度な機密性を有する場合があることを踏まえて、原則として米軍自身がこれを行うものと定めていることから、米軍はその米軍財産たる事故機の機体を撤収したものと考えております。

 なお、中間報告については、まだ私ども受けておりません。

 以上です。

金田委員長 最後の語尾がちょっと聞こえなかった。

嘉数長官政務官 中間報告については、施設庁の業務部長が答弁いたします。

土屋政府参考人 お答えします。

 中間報告の御質問と、それから機体の検証の関係についてお答えします。(武正委員「短く」と呼ぶ)はい。

 まず、事故分科委員会を第一回目開いたところですけれども、米軍は事故の原因につきまして、要は後部ローターの構成部分の小さな固定器具が外れたと説明したわけです。これにつきましていろいろな質問をしたわけですけれども、米側は、引き続き入念に調査を行い、その結果を提出するとしておりまして、それまでの間に現時点以上の事実関係についての情報を提出することは難しいとしております。したがって、第一回目の事故分科委員会における説明以上の米側からの説明を、現在のところ期待できないものと考えております。

 そして、その合同委員会の合意によりまして、一義的な事故調査は米軍が行うこととされておりますので、この事故調査報告書をできる限り早く提出するよう米側に要請しておりますし、これからもしていきたいと思います。

 これらのことを勘案しますと、現時点で中間報告を行いましても、先ほど申し上げた以上の内容がないというのが実態でございます。

 それから、その次の、事故機体の検証を早くやるべきではないかということでございますが、実地調査はその米側の事故調査報告の提出を得た上で行うことが適当と考えております。したがって、この事故報告書が提出された後、速やかな調査ができるよう専門家の方を含めて必要な準備を進めてまいりたいと考えておりますが、その専門家による調査につきましては、既に米側に申し入れているところでございます。

武正委員 要は、最初の点は期待できないわけですよね。それから、共同調査もやらないということですよね。本当にこんなのでは原因究明、再発防止できませんよ。それから、米側の調査報告書を待ってからなんて、そんなの待っている場合じゃないです。早く行って見なきゃ。前回は厚木から米国に持って帰っちゃったんですよ、エンジンを。政府の姿勢は、私は到底容認できないというふうに思います。

 さて、きょうは国土交通政務官もずっとお待ちをいただきましたので、まず一点。この防衛施設庁さんの資料で、十四時半、那覇航空交通管制部から那覇局業務課に連絡があったというふうにされていますが、この事実確認。

 それから二点目。今回のこの通報体制、これはチャートがありますけれども、現場司令官は那覇防衛施設局に、あるいは外務省に連絡しなきゃいけないんですけれども、十四時十五分に墜落して、那覇防衛施設局に連絡が行ったのが十四時四十分、外務省に行ったのは十四時四十五分、既に二十五分、三十分もたっていますよ。私は余りにも時間がかかり過ぎだと思って、この事故の通報システムも見直しが必要だというふうに思っております。

 特に、この事故通報システムのチャートの一番後ろをごらんください。これはSACOの合意です。SACO最終報告。一番上の「事故報告」を読みます。

  平成八年十二月二日に発表された米軍航空機事故の調査報告書の提供手続に関する新しい日米合同委員会合意を実施する。

  さらに、良き隣人たらんとの米軍の方針の一環として、米軍の部隊・装備品等及び施設に関係する全ての主要な事故につき、日本政府及び適当な地方公共団体の職員に対して適時の通報が確保されるようあらゆる努力が払われる。

 これが地位協定の運用の改善ですよ。運用の改善で、要は相変わらず二十五分、三十分たっている。運用の改善じゃだめなんですよ。地位協定の改定をしなきゃ。このことを改めて指摘して、国土交通政務官には先ほどの事実確認。これは防衛施設庁さんの資料に書いてあるんですからね。十四時半に沖縄県警及び那覇航空交通管制部から那覇局業務課に連絡が入ったんですよ、防衛施設庁に。

 私は、そういった意味から、嘉手納ラプコンを早く返せと。お手元に資料を用意しています。これは那覇の航空交通管制部の航空事故連絡系統図。先ほどのこのフローチャートの三枚目、ここに、どこにも、一言も、米軍のベの字も出てきませんよ。その理由は、やはり嘉手納ラプコンは米軍が管理していて、沖縄県が、日本が沖縄の上空の航空管制もできないという建前があるからですよ。

 でも、多分、レーダーを見ていれば当然わかるんですよ。わかったから、私はやはり十四時半に那覇航空交通管制部から連絡したんだと思いますよ。もしかしたら、立場上、これはないというふうに言われるのかもしれませんが、そういった意味も含めて、嘉手納ラプコンはもう一日も早く日本に返還をすべきだというふうに思います。

 以上二点、政務官のお答えをいただきたいと思います。

鶴保大臣政務官 御指摘の事実関係につきましては、那覇航空交通管制部から那覇防衛施設局に通報を行った事実はございません。

 また、嘉手納ラプコン返還問題につきましては、平成十二年三月に、コーエン前国防長官より返還に同意する旨の発言があったことを受け、現在、民間航空分科委員会のもとに専門家レベルの特別作業部会を設置し、具体的な問題について検討が行われておるところでございます。平成十四年五月には、日米間で進入管制業務に関する運用所要について合意するなど、返還に向けた作業を進めておるところでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘のとおり、国土交通省といたしましても、嘉手納ラプコンの早期返還に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

金田委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 共産党の穀田です。

 CH53Dヘリコプターが沖縄国際大学第一号館に衝突し炎上する、この事故のすさまじい情景を、私は大学の作成したビデオで見せていただきました。

 目撃者によると、ヘリの後部ローターが一瞬火を放って脱落した、すさまじい音に驚いて空を見上げたら、公民館の上で、後部ローターを失ったヘリから大小のローターや部品が機体の左右にばらばらと落ちていった、空を見ると、低空飛行するヘリの回転翼だけでなく、機体がゆっくり回転をしていたと、そのときの状況を語っています。

 そして、周辺の住民は、自分の頭の上に墜落すると思った、さらに、一瞬命が危ないと思った、ヘリの物すごい爆音で、民家やアパート、マンションから泣き叫ぶ悲鳴が一斉に上がったと訴えており、市民が受けた不安と恐怖感ははかり知れないものがあると思います。

 今回の事故は、茂木大臣が感想で言っておられるような、一歩間違えればと言われていますが、既に一歩も二歩も間違っている、人が死ななかったから惨事ではないというのは大きな間違いだと私は考えます。

 ところが、米軍は、事故を起こした反省も謝罪も全くない。在日米軍のワスコー司令官は、乗員は、被害を最小限に食いとめようと努力し、人がいないところへヘリの機体を持っていくため精いっぱい努めた、そのような努力を行ったことは大変すばらしいと称賛さえしている。私は、断じて許せない発言だと思います。

 政府はこの司令官と同じ認識なのか、外務大臣にお聞きしたいと思います。

川口国務大臣 極めて遺憾なことであったというふうに思っております。

 これは、たまたま本当に幾つかのことが重なって人命に影響がなかったということではありますけれども、それは本当にたまたまそういう状況であったということであって、そういうことに十分になり得た可能性も持っていた。そういう意味で、極めて遺憾であるというふうに思っております。

 米軍のワスコー司令官のお話でございますけれども、どういう文脈で言われたかについて私は直接にそこまで存じておりませんけれども、日本の、沖縄の県民の置かれた状況、その人たちの気持ち、そういうことに対しての十分な思いというのがもう少し言葉にあらわれてもよかったのではないかという個人的な感想は持っております。

穀田委員 私は、非常に残念だと思うんですね。少なくとも、どういう脈絡で言ったか。つまり、外務省が発表した時系列がありますが、そのところで、例えば米軍が、アメリカの当局が遺憾の意を表明した、それから国務長官についても川口外務大臣にそういう発言をされた、それはありますよ。

 だけれども、問題はその以後なんですね。それは、二十二、二十三日、何かやっているでしょう。だけれども、司令官は、東京の日本記者クラブで会見をしてそこでしゃべっている。それは明確な、記者クラブでの発言ですから、そういったものについて、では、少なくともそういう認識をした上で、知らなかったとは言えない、逆にそういうことを常に注視している必要があるし、そういう問題が明らかとなった場合は謝罪を求め、撤回を求める、そういう立場なんですか。当たり前じゃないですか。

川口国務大臣 先ほど、どういう文脈でと申し上げたのは、答えというのは、記者会見でよくありますように、そのときの質問の状況に影響を受けることがこれは間々ございます。そういう意味で、この方が本当にそういうふうに思っていらっしゃらないということではなかったんだろうと思うんですね。それは現に国務長官その他の方々から遺憾であったということをおっしゃられているということで、そういう意味で文脈というふうに申し上げたわけで、私の感想はというふうにおっしゃられましたので、先ほど申しましたように、この方の気持ちについてもう少し、この方のお立場ですから、そういうことが言葉にあらわれて、きちんと表明されてもよかったのではないかということは私は思っているということでございます。

穀田委員 今お話ししたように、国務長官が遺憾だと言ったのは二十三日なんですね。その後、二十六日にこれは発言しているんですよね。どういう脈絡かといったって、質問を受けたときにしゃべっているわけで、しかも、そういう質問を受けてそういうことを言っていること自体に私は非常に憤りを覚えるということについては指摘しておきたいと思います。

 問題は、なぜそういうことを言ってはならないかということを私は言いたいと思うんです。

 なぜなら、宜野湾市民が体験したのは、先ほど述べたように死の恐怖だったんです。この恐怖を取り除くためには、基地の閉鎖、撤去、これは一刻の猶予も許されない緊急の課題だと考えます。

 ところが、事故後も政府は米軍基地の運用をこれまでどおり容認しています。伊波市長は、今必要なことはヘリ基地機能を直ちに停止することであり、その上で閉鎖、返還に向けて日米両国政府が協議することを要求している、ずっとこの間の発言でもそうですし、言っています。ですから、私は、当然の要求だと思うんです。

 私は、政府がこの間、深刻な事故だという立場に立つのであれば、この宜野湾市民の要求に直ちにこたえるべきではないかと考えます。そこはいかがですか。

川口国務大臣 こういうことが二度と起こってはいけないというふうに思っております。

 したがいまして、原因究明と再発防止策、これは事故分科委員会の場できちんとやっていかなければいけない、徹底的にやる必要があると思っております。

 それから、より中長期的な話といたしまして、普天間基地でございますけれども、これについては平成十一年の閣議決定がございます。そういった閣議決定等にのっとって、これを一日も早くそういった状態があるように、政府としてきちんとやっていくということが政府の立場でございます。

穀田委員 私は、それでは極めて、いつなのかということも含めてわからないという問題があると思うんですね。

 茂木大臣にもちょっと質問したいんですけれども、SACOで普天間基地の移設、返還が合意された際、当時の橋本首相は、「住宅の密集している中にある普天間という基地の危険性」、これはその後で、「私は、何とかしてその危険を取り除く、少なくとも住宅の密集地の中にこのまま置いておかないで済む工夫をしなければならない、」と答弁しているんですね。

 そして、最近でも、アメリカのラムズフェルド国防長官は、沖縄を訪れた際に、普天間基地について、こんなところで事故が起きない方が不思議だ、さらに、代替施設の計画自体もう死んでいるとアメリカの国防長官自身が指摘しているんですね。

 だから、これらの危険性についてどう考えて、この危険な実態をどう解決するつもりかということについて、茂木さんはどうお考えですか。

茂木国務大臣 普天間の置かれている危険性につきましては私も実感をしておりますし、先ほど穀田委員の方からの御質問で、一歩間違えば、こういう発言をしたということでありますが、私も現場を九月の一日に訪れまして、あれだけでも大惨事だった、こういうふうに考えております。ただ、人命にそういった意味で影響が出なかったということから、一歩間違えばという表現を使わせていただきました。

 そこの中で、事故機については、何にしても徹底的な原因究明があるまで同型機は飛ばせない、それから、それ以外のヘリコプターについても、やはり安全の確認をこれから十分にやっていく必要があると思っております。さらに、今後の米軍の運用につきましては、それこそ必要最小限なものにとどめる、こういう必要があると思います。

 それから、普天間の一日も早い返還につきましては、今回の事故で改めてそういう思いを強くしておりまして、政府一体となって、SACOの最終合意に基づいて、移転が一日も早くできるようにしていきたいと思いますし、特に工期等々につきましては、防衛施設庁におきましても、どうにかしてこの工期を縮めるような努力をしてほしい、こんなふうに思っております。

穀田委員 今お話があったように、必要最小限の運用とする、さらには最大限の安全対策を行え、これはいつもそういう話で申し入れているんですよね。

 そうじゃないんですね。現実はもっと危険なんだということを言っていて、SACOの推進だとか合意だとか、それを早くとかと言うんだけれども、やはり宜野湾の伊波市長は、九六年十二月、SACO合意で普天間基地の返還が合意された理由は、普天間基地は市街地の人口密集地にあり危険だということが原点だったはずだ、ところが、政府がこの八年間やってきたのは辺野古沖への新基地建設の推進だったと指摘していますね。

 私は、ここが重要だと思うんですよ。行ってみられたらわかると思うんですが、あそこの宜野湾の中の一番肝心ないいところ、いいところと言っては言い方は悪いけれども、そこに全部あるんですね。それは、私も宜野湾には何回もずっと泊まっていましたから、よく知っています。

 ですから、そういう現実、危険の除去ということなしにはだめだ。だから、結局のところ、移設まで危険を我慢しろということになるんじゃないですか、今の発言というのは。どう思われますか。

茂木国務大臣 移設まで危険を我慢しろということではなくて、先ほども申し上げたように、今後とり得る安全対策に今まで以上に万全を期していかなければなりませんし、運用につきましても、今まで以上に必要最小限のものにとどめる、こういうことが必要だ、こういうふうに答弁を申し上げたつもりであります。

 それから、移設で新しい施設をつくるということよりも、移設を促進するためにも辺野古沖への代替施設の建設を急がなければならない、こんなふうに考えております。

穀田委員 それでは私が指摘したとおりじゃないですか。だから、やはり危険というものの認識がおよそない、深くないということだと私は思うんですよね。だから、今どんなふうになっているかということを、SACO合意の後も普天間基地の危険性は高まっているということを伊波市長は指摘しています。

 調べてみると、例えば米軍の演習ですけれども、九七年には一日平均六十四回だった飛行回数が、二〇〇三年には百五回にふえている。また、米軍ヘリの住宅地上空旋回訓練が集中する平日の火、水、木、この三日間に限って言うならば、九十五回から百四十九回、実に一・五倍にふえているんですね。

 しかも、今回事故を起こしたCH53Dというのは、ベトナム戦争時代から使われている旧式ヘリコプターで、繰り返し事故を起こしてきているわけですね。地元の方々はみんな言っていますよ、起こるべくして起きたと。先ほど指摘したとおりです。

 問題は、こうした普天間基地の危険な実態、市民の命と暮らしにかかわる、しかも日々脅かされる、そういう現実の問題をどう解決するかということについて、一刻の猶予もならないんだという立場に立つのかどうかということだと思うんですね。だから、それを推進するためにも一刻も早くじゃないんですよ。逆向きなんですよね。これをまず解決するということが大事だ。

 沖縄県内の八つの大学の学長も、普天間基地を使用するすべての軍用飛行機の恒久的な飛行停止措置を求めています。今回の事故を最後の警告ととらえて、二度と死の恐怖を繰り返したくないという思いから出ているわけです。だから、せめてこういうことに対応する必要があるんじゃないか。

 しかも、九月五日に予定されていた市民大会、台風で残念ながら流れましたけれども、その要求の中心は、何といっても、謝罪と完全補償、二つ目に、民間地上空での飛行の即時停止、そして三に、基地の運用停止と早期返還、四に、日米地位協定の抜本的見直し、これらを中心スローガンとしてやっているわけですね。だから、これほど切実なんだという思いをしっかり受けとめる必要があると私はあえて言っておきたいと思います。

 次に、政府は、今お話を何度も聞いていてわかるんですけれども、事故原因の徹底究明、再発防止、これをオウム返しにしています。だけれども、事故後の対応について見ると、それは問題だ。今まで多くの議員が指摘したとおりですよ。

 私は、今回の事故については、事故直後に米軍が独断で機体本体を持ち去って、日本側の検証、さらには検証の委嘱さえも拒否した、こういうやり方はけしからぬと思いますし、国民の財産が破壊され、生命が脅かされているのに、その捜査や検証を日本側ができないという屈辱的な事態について憤りを覚えるものです。

 政府は今回も、先ほど言いましたように、運用の見直しということを繰り返し言っています。問題は、では、そういう点は、こういう屈辱的な捜査のやり方を見直すということなのかどうなのか、それとも、しかしそれは地位協定があるからやむを得ないということで済まそうとしているのか、そこをはっきりお答えいただきたい。

川口国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは地位協定の枠内にあるわけでございまして、これに基づきました合意議事録がございます。それにのっとったということでございます。

 委員の御質問は、それが見直されるべきではないかということであるかというふうに思いますけれども、これは米軍の財産について言っていることでございまして、米軍の財産、この場合は飛行機でございます。飛行機ということの場合には、いろいろな軍事機密等がございます。そういったものを守る必要があるという観点から、米軍の同意が必要だとされているということであると理解をいたしております。

 したがって、これを直す、改正をするということについては非常に難しいものがあるというふうに思います。

穀田委員 それでは全然立場が明確でないんですよ。それは最初からやる気がないと言っても仕方がないんじゃないですか。

 これは御承知のとおり、日米両政府の合意議事録、先ほど議論がありました。確かに、「同意した場合は、この限りでない。」ということで、恣意的な運用はだめなんだということを一生懸命言いましたよね。その前の方に、一方では、「日本国の当局は、所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行なう権利を行使しない。」という文面もあるわけですね。少なくともそれを直すというぐらいの話はこちら側から提起できるはずだし、そのことを含めて、これは明らかに今の態度ではだめだ。

 だから結局、見直しという話が、運用の見直しということ自体、何回もこれはやってきたけれども、現実はこういうことにタッチできないという事態をつくってきたのは、これは今までの経過から明らかじゃありませんか。何度も何度も、見直しと言ってきたんですよ。そして今度の事件でも、また見直しを言う。

 では、肝心の見直しという問題についてタッチできるようになるのか、また、こういう合意議事録の内容について、これをこちら側からやめるという話を提起するのかという問題じゃないですか。茂木さん、どうですか、ここは。

茂木国務大臣 稲嶺知事を初め沖縄の関係者の皆さんから、今回の事件以前からでありますが、改めて、今回の事件を契機に、日米地位協定そのものの見直しの強い要請を受けておりまして、真摯に受けとめなければいけないなと思っております。

 また、そういった中で、今回の現場対応につきましてはさまざまな問題指摘がなされているわけでありまして、必要な改善はしっかりやっていかなきゃいけない、そういうふうに思っております。例えば、日本と米側が共同で連絡それから調整をやっていたといっても、本当にそのやり方そのものがよかったんだろうか、こういうことも率直に振り返る必要があると思っております。

 例えば米側の警備区域、これが本当に必要な範囲だったんだろうか。日本側との役割分担というのが妥当だったのか。それから、当初において危険であった、しかし、危険が除去された後で日本側が入る、その時期についても適切だったんだろうか。それからまた、例えば現地の大学関係者、さらには現地の住民の方に対する説明も、恐らく米側がやるより日本の関係者がやった方が適切じゃないか、こういう指摘もあるわけであります。

 さらに、先ほど申し上げたように、検証の問題、それから委嘱の問題につきましても、恣意性が加わるようでは、また、そういうふうに見られるようではいけないと思っておりまして、明確なガイドラインなりが必要だ、こんなふうに考えております。その点について、私としては、運用の改善によって相当のことが今回の現場対応の問題についてはできるのではないかな、そういうふうに思っております。

穀田委員 やはり、先ほどの話と僕ははっきり言ってさらに後退していると思うんですね。

 大体、事故が起きているときに、例えば交通事故でもそうじゃないですか。交通事故を起こした車を持っていかれて、どういうふうにしてやるのか。当たり前のことを言っているんじゃないですか。

 それについて、運用の改善と何回も言ってきて、肝心かなめの、どこが問題があってという話は、さっきばくっと説明の話とかしているけれども、そうじゃなくて、財産権が侵されている、それから、事故が起きている、その後の検証が必要だ、そういう肝心なところを改善する手だて、つまり、タッチできるようにするということの方法がなければ意味がないということを言っておきたいと思うんです。

 最後に一つだけこの問題を言って次に移りたいんですけれども、私どもの議員団が調査したところ、新たな放射能汚染の問題が明らかになっています。

 事故後県民が放射能汚染の危惧を問題視したことに対して、米軍側は、物質はタングステンだから問題ないと説明していました。ところが、九月四日の沖縄の新聞は、「米軍ヘリ沖国大墜落事故で、機体の器具中にあった放射性物質が「ストロンチウム90」で、このストロンチウム90を含む回転翼安全装置六個のうち、五個は回収したが、一個は「焼けて気化し、識別できなかった」ことが分かった。」ということを米国大使館が三日発表したことについて報道しています。また、私たちの調査で、米軍は事故直後に約五キログラムの土壌を持ち帰ったことも判明しています。

 政府は、放射性物質の汚染問題でアメリカ側からどのような報告を受けているか、明らかにしていただきたい。

海老原政府参考人 米側から我々が聞いておりますところは、墜落したCH53Dヘリにつきましては、低レベルの放射性同位体であるストロンチウム90を含む回転翼安全装置及び氷結探知機が装備されていたということでございます。

 この回転翼安全装置一個には約五百マイクロキュリーのストロンチウム90が含まれておりまして、未発見の一個は墜落した機体の燃焼、溶解で気化した可能性が高く、識別が不可能である。焼失したストロンチウム90、五百マイクロキュリーでございますが、その量は、通常の胸部エックス線の一回の撮影、あるいは太平洋を横断する航空機への搭乗による放射線照射に比べかなり少なく、人体に危険性はないという説明をしております。また、米海兵隊が行った予備調査の結果によりますれば、墜落現場には放射能汚染の痕跡は存在しないということでございます。

 いずれにいたしましても、我が方といたしましては、この米側からの説明を踏まえまして、関係省庁との間で緊密に情報の共有を図りつつ、適切に対処する所存でございます。

 また、土壌につきましては、我々の理解では、米側は特に燃料による土壌の汚染を調査するということで、小さな袋五つに入れて土壌を持ち帰っているということでございますが、これは、大学あるいはその他の関係者の要請があれば返却する用意があると。

 いずれにしろ、目的は環境汚染の有無、燃料による土壌汚染の有無を検査することにあったという説明を受けております。

穀田委員 いろいろ話を小さくしよう、小さくしようというのはわかるんだけれども、いずれにしても、発表を変えているということは、私は重大だと思うんですね。

 また、地元の新聞で見ますと、琉球大学の矢ケ崎教授は、一秒に出す放射線の量は、ストロンチウム90の方が劣化ウランよりも一億五千万倍ほど多い、こういった見解もあるわけでして、さっき言ったように、米軍当局がタングステンだから問題はないという話を訂正しているのは極めて重大だと私は思いますよ。

 ところで、この放射能汚染とかかわるかどうか明らかではありませんけれども、米海兵隊は、事故現場の地質調査の申し出を大学側に言ってきている。沖国大の話によると、この申し出は防衛施設庁を通して要請してきていると言われます。

 米海兵隊からいつどういう申し出があったのか。事故後二十日も経た時点で改めて地質調査をしたいという理由は何なのか。どうも、先ほど言った燃料の話だけではないように、耳打ちされていますけれども、そういう問題がどうか。それから、時間がもう終わりだと言っているので、まとめて言っておきますと、アメリカ側が要求している地質調査はどういう法的根拠に基づくものか。今言った三点を述べていただきたいということとあわせて、そういう事実が明らかになって、きちんとした場合について言えば、独自調査の結果、そして分析の内容、すべて日本の国民に公表すべきだ、そのことを要求しているのかどうか。この四つをお伺いしたいと思います。

土屋政府参考人 お答えします。

 九月二日の午後、沖縄国際大学におきまして、米海兵隊から沖縄県、宜野湾市、沖縄国際大学、那覇防衛施設局に対しまして、先ほどから御議論されている放射性物質の関係を含めた説明があったわけでございます。そして、その中で米海兵隊は、今後、土壌の調査につきまして、日本の民間企業と連携して環境影響調査を行い、その結果をできる限り早急に報告する旨の説明が行われました。

 したがって、今先生御指摘の土壌調査というのも海兵隊が行う土壌調査のことであると認識しております。その結果が出ましたときには、これはできる限り公表すべきものであると考えております。(穀田委員「理由と根拠は。法的根拠」と呼ぶ)法的根拠は、まさに米側が行うものであるということで、米側が恐らく私的な契約関係でやるのかなと思っております。

穀田委員 私的なという、そんないいかげんな話をしたらあきまへんで。

 やはり、問題の本質を覆い隠される可能性もありますから、今も明確な法的根拠が言えなかったわけですから、やはり地質調査については、文字どおり、日本の独自の調査によって解明すべきだということまで述べて、終わります。

金田委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子です。

 今回の事故、本当に現場に行きましてぞっとする思いをしてまいりました。お許しを得ていますので、このパネル、ちょっと小さいかと思いますが、ごらんいただきたいと思います。

 十三日、三時ちょっと前に事故が発生したということを、私は東京で受けました。飛行機の都合でほとんど最終便で沖縄へ戻りました。かなりもう深夜に近い時間でした。もちろん現場には近寄れません。道を隔てた反対側から現場を見せていただいて、そして、道の反対側にあるアパートの三階、そこに主がおられたので中に入り見せてもらいました。本当にこういう状況でした。

 まだたくさんあったんですが、ちょっと選んでこれだけですけれども、アルミの枠を通り抜けて、ガラスはもちろん粉々です。そして、室内のテレビを突き抜けて、ふすまに穴があいている。それが飛んで、入り口に近い壁まで達している。何が飛んできたんですかと聞いたら、ブロックの破片だということでした。そのブロックはどこにあるんですか、どのぐらいの大きさですかと聞きましたら、米軍がみんな持っていきましたと。残っているのは、テレビのこういう形、ふすま、壁に穴があいたところです。

 そして、そこの御主人がおっしゃることに本当に身の毛がよだつ思いがいたしました。本当に驚きました。その直前、六カ月の赤ちゃんがお昼寝をしていた、そのときのことなんだそうです。妹から電話が入って、奥さんがびっくりして、子供を抱いて外に出た途端にこれが起こった。こういうことがあちらこちらで起こっている。

 一番近くの一番ひどいところを見せてもらったのかもしれませんが、あたりを見ますと本当にその被害というのはぞっとするようなものばかりでした。大きなアルミのアーチ、玄関入り口ですね、そこがばさっと切れているんですよ。

 こういうことができるんだなということで、本当に事故の大きな力というものの怖さを感じましたけれども、こういうことが起こったという事実。本当にこんなことがあっていいのだろうか。人身に被害がなかったからいいというようなことでは決してありません。

 そして、もちろん大学にも行って学長にもお会いしてきましたけれども、その件については後でまたパネルをお見せしながら少しお話をさせていただきたいと思います。

 それで、確認のために、まず川口大臣にお伺いいたします。

 大臣は、今回のヘリ墜落事故については、いつ、どこで、だれから第一報を受けられたのか、まずそこからお願いいたします。

川口国務大臣 私は、その日インドにおりまして、インドで同行の秘書官からメモを見せてもらいました。いろいろなことをやっていたものですから、ちょっと今直ちに十三日の何時であったかということは覚えておりませんけれども、お昼ごろであったか、お昼ちょっと前であったか、そういった状況で、事故からそんなにおくれた時間ということではなかったような記憶をしております。

東門委員 一番安心しておられるべき自宅でこういうことが起こり得るという沖縄の状態、すごく異常だと思いますが、大臣はその情報に接せられてまず何をお考えになったんでしょうか。

川口国務大臣 私がその話を聞きましたときには非常に簡単な情報しかまだわかっていない状況でございましたけれども、まず私が聞いたことは人命でございました。人命それから負傷、そういった情報でございました。

東門委員 インドから帰られて、沖縄へ行くべきだとはお考えにならなかったでしょうか。

川口国務大臣 私はインドにおりますときに、外務省の政治レベルで沖縄に派遣をすべきであるというふうに考えまして、十四日だったと思いますけれども、高いレベルで外務省を代表して沖縄に行って、そして現地の方々のお話を十分に伺い、それから米軍、県との関係で、日本の立場をきちんと伝えることが必要だということで、荒井政務官を派遣するように、これは結果的に荒井政務官ということでございましたけれども、派遣するように指示をいたしました。

東門委員 御自分で行くということは考えられなかったということになると思うんですが、この事故の件について、小泉総理とはいつの時点でお話し合いをなさいましたか。

川口国務大臣 これはもうずっと日本政府として一丸として取り組んでいることでございましたので、小泉総理との間で、具体的に何か御相談を私から総理に申し上げるということについては特にやらなかったというふうに思います。

東門委員 ということは、これまでも小泉総理とはその事故についてはお話はしておられませんということでしょうか。

川口国務大臣 総理とはいろいろな折にいろいろなことについて話をしておりますので、何のお話をし、何をしなかったかということは明示的に余り記憶をしていないわけでございますけれども、何か御相談をこれについてしなければいけない、私から申し上げないとその話が進まない、そういうことはなかったというふうに思います。

東門委員 ちょっと意外なことをお聞きしたなと思います。もちろん、外務大臣ですから、沖縄だけじゃないのもよくわかるんですが、これだけの事故が起こって、沖縄であのような怒り、県民の不安、そういうのが起こっているときに、お話ししたかどうかも覚えていないというのはとても私には驚きとしか言いようがないんですが、それは仕方がありません。それが大臣のスタンスですから、それはそれとして受けましょう。

 では、たまたま今回は沖縄でした。しかし、過去には本土で起こったこともあるわけです。その起こった後の処理の仕方の比較はいろいろこれからも出てくると思うんですが、もし今回の事故が沖縄以外の場所で同様なことが起こっていたとしたら、大臣の対応は同じだったでしょうか。

川口国務大臣 仮定の問題について、ほかで起こっていたら自分はどうしたであろうかというふうに考えて、こうであろうというふうにお話しするのは非常に難しいということはおわかりいただけると思いますけれども、私の頭の中では、どこで起ころうと、これが重要な問題であるということにはいささかの変わりもないというふうに思っております。

東門委員 茂木大臣にお伺いいたします。

 小泉総理に稲嶺知事に会うように勧められたのは茂木大臣だということを私は報道で知りました。そして、大臣御自身が現場においでになって、政府として行かれたと思うんですけれども、沖縄担当大臣ということもあろうと思うんですが、そこの現場を視察されて、あるいは学長とお話しなされて、伊波市長、県知事等ともいろいろお話をされて、政府として、沖縄担当大臣の立場から何をしなければならないとお考えか、そのお考えをお聞かせください。感想ではなくて、大臣としてこれから何をしなければならないんだというふうなことをお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 二十四日の日に総理とお会いいたしまして、閣議後でありましたが、この件につきまして御相談申し上げ、総理の方から、できるだけ早いタイミングで稲嶺知事とお会いしたい、こういうお話がありましたので、私の方で稲嶺知事の方に早速電話をさせていただいて、あすにでも出ていらっしゃいますか、こういう話を申し上げたら、知事があすでもいつでも出ていけるから、こういうことで、二十五日の日に総理と稲嶺知事の会談を持たせていただき、私も同席をさせていただきました。

 その場におきましても、総理の方から、何にしてもこういう深刻な事態であるから関係省庁が連携をしてしっかり対応するように、こういうことで、二十七日の日に関係閣僚の会議も持たせていただきました。

 やはり私は、責任者のだれかが現場をできるだけ早いタイミングで訪れる必要がある、こういう思いから、既に外務省でも政務官、それから防衛庁でも政務官が十三日の夜、十四日からと現地に入っておりますが、大臣として初めて現場を訪れさせていただきまして、思った以上に深刻な事故だった。報道されている、そしてビデオで見ている以上に、現場を見てみるとやはり深刻だったな、こういう思いを持っておりまして、繰り返しになって恐縮なんですが、まず一つは、やはり事故の原因の徹底した究明、そして再発防止を進めなきゃならない。

 それから、例えば大学がまた安全で平和なキャンパスを取り戻すためにも、それから、先生の方からもありましたように、この被害というのは、大学だけではなくて、ちょうどその反対側の中古自動車屋、それからその先のアパート等々、たくさんのところで出ておりますので、しっかりした補償について、今回できるだけ早期に柔軟にやっていきたい、こんなふうに考えております。

 そして、地位協定の問題についてさまざまな御要請をいただいておりますので、そういったことも踏まえた上で、私は特に、やはり現場の対応につきましてはいろいろ洗い直しが必要だと思っておりまして、必要な改善をしていきたいと思っています。

東門委員 今、大臣のお言葉にもありましたけれども、原因の究明と再発防止、これは沖縄県民は何百回、何千回、何万回と聞いてきたと思います。数限りない事件、事故、その中で、起こるたびに政府が、米軍が言ってくることは、原因の究明と再発防止を徹底させます。それでも起こる。再発、再々発どころじゃないんですよ。

 そうしますと、今回、原因がしっかりと究明される、そして公表するというお約束ができますか。二つ目、絶対に再発はしない、させないという実効性のある再発防止策がとれますか。外務大臣、お伺いいたします。

川口国務大臣 先ほど茂木大臣もおっしゃったことですけれども、事故の原因の徹底究明、そして再発の防止策、これについては事故分科委員会の場で徹底的に話し合っていく必要があると思っております。そういった決意で、事故分科委員会の場で我が国といたしましては話をしていくということでございます。

東門委員 これまで、何百回、何千回とそういうお話はしてきたんじゃないでしょうか。それでも起こり続けている。なぜ起こり続けるんでしょうか。なぜ起こり続けているとお考えですか。なぜ沖縄県民は常に不安と一緒に生活をしなきゃいけないというふうにお考えですか。

 決して初めてじゃないんですよ。それで、合同委員会あるいはいろいろな協議の場で米軍と協議をしてきたはずなんです。これから、あと何度、再発防止策についてお話し合いをしなきゃいけないんでしょうか。お伺いいたします。

川口国務大臣 またか、またかというふうに沖縄の県民の方が本当につらい気持ちを持ってこのことを考えていらっしゃるということは重大に受けとめておりますし、私としてもいたたまれない気持ちがしております。こういったことが二度と起こらないようにしなければいけないという決意はかたく持っております。本当に、これで事故というのが未来永劫に起こりませんというふうにしたいという気持ちを常に持っているということを申し上げたいと思います。

東門委員 仮定の話になります。再発したら、責任は政府としてどうとりますか。

川口国務大臣 再発をしないように、政府として全力を尽くしていくということでございます。

東門委員 よろしいですか。沖縄の置かれている実情、今大臣が、本当にひどい、厳しい状況だとおっしゃった。言葉は少し違うかもしれないけれども、それを大事に受けとめているとおっしゃった。そうであれば、打つ手はしっかりあると私は思います。なぜそこに目を向けないのか不思議なんですよ。

 地位協定だって、運用の改善で事足れりとする。できないということははっきりしているじゃないですか。本当に、時間があればたくさん地位協定のことについて質問をしたい、余りにも時間がなさ過ぎてできないんですが。そのこと一つとってもそうです。

 しかし、本当にやるべきは何か。沖縄県民の思いが、つらさが、負担が本当にわかるのならば、普天間の基地をそのままにしてはおけない、少なくともこれだけは閉鎖しなきゃいけない、今回の事故からそういう教訓は出てきませんか。

 九月一日に、現場から三百メートル離れた小学校で子供たちにアンケートをとったようです。それは御存じだと思います。子供たちが回答したアンケートのうち、六百四十三人のうち約半数の三百十六人、四九・一%になりますが、また飛行機が落ちるのではないかと不安を訴えているんですよ。たった三百メートルしか離れていないんです。そういう不安を訴えている子供たちをそのままほうっておけますか。

 普天間飛行場は今までも、伊波市長だけではなく、それまでも長年、危険な場所ですよ、だから早く返還してくださいとSACO合意でちゃんと合意された。今か今かと待ちわびても、いつまでも来ない。今もってSACO合意の着実な実施とおっしゃる。これから十年以上もかかる。一日でも一週間でも早くできないかと茂木大臣はおっしゃったようですが、そんな話ではないと思うんです。危険はなくなりません。そこに基地がある、そこに問題があるんですよ。あれだけの人口密集地に基地がある、隣接している。しかも、周囲には多くの学校がある、病院がある。そのままほうっているというのは、私は政府の責任が大きいと思います。それにむしろ目を向けて、これをどうするかアメリカ側と今すぐ協議に入るべきだと思いますが、いかがですか。

川口国務大臣 東門委員には前にも申し上げましたけれども、私も普天間基地は見に参りました。基地の周辺にお住まいの方が大変に不安な思いをしていらっしゃるということは、東門委員のお気持ちは十分に私自身も強く受けとめている、私も同じ気持ちでおります。

 普天間基地について、一日も早くこれを移転しなければいけないということについては、政府としても強く思っていることでございます。これについていろいろな取り組みを行ってきた。そして、平成十一年の閣議決定等があるわけでございまして、政府としてこれを一日も早く実施をしていきたいと思っているということでございます。

 我が国の安全保障ということは、これは我が国にとって重要なことでございます。そして、そのために、沖縄県民の方に多くの負担、あるいは沖縄県民のみではなくて全国の基地の周辺にいらっしゃる方々に大きな負担がかかっているということも、これも紛れもない事実であるというふうに思います。

 この二つについて、これは非常に難しい問題であるというふうに考えております。悩みながら、そしていろいろな地元の方とも御相談をしながら平成十一年の閣議決定に至ったという経緯があるわけでございまして、政府としては、これについて一日も早く実施をしていくということが政府の務めであるというふうに思っております。

東門委員 悩まないでいいんです、大臣。決断してください。やはり沖縄県民のこれまでの負担を考えて、これから後を考えたら、もう今やるしかない、そういうことだけなんですよ。

 閣議決定、確かに大きな意味を持っているのはよくわかります。たとえそうであっても、今の状況はこれ以上改善できません。これから十年もそのまま我慢しろというのが大体おかしいと思うんですよ。本当にもう一度起こったらどうするかということも考えると、私はむしろ、悩まずにアメリカ側にしっかりと折衝していくべきだと思います。

 ラムズフェルド国防長官の言葉にもあったじゃないですか。こんな危険なところで事故が起こらないはずはない。見事に起こりました。そうですよね。そして、もうSACOは死んでいる。見直すべきだということだと思います。アメリカがせっかくそう言っているのであれば、日本が一歩踏み出せば何でもないことじゃないですか。ぜひやっていただきたいと思います。

 たくさん通告はしてあったんですが、時間的な都合がありますので、ちょっとはしょってまいりたいと思います。

 やはりこれだけは申し上げておきます。CH53Dのヘリの飛行再開についてですけれども、これももうどうしようもないのですか。

 政府は飛行停止を申し入れた。それにもかかわらず、アメリカは飛ばしたんですよね。最高責任者である総理が、政府というのはそういう意味だと思います、申し入れたにもかかわらず、アメリカはそれを無視して飛行させた。それはどのように受けとめられるんでしょうか。

 アメリカはやりたいことは何でもやれる、軍の運用上、仕方がないというのが、黙っているのが政府の姿勢かと思いますが、いかがですか。

茂木国務大臣 二十二日の飛行再開については、外務省を通じて停止するようにと申し入れたわけでありますが、それにもかかわらず飛行が再開された。極めて遺憾だと思っておりまして、大臣レベルでやはり話をしなければいけない、こういうことで、総理の指示を受け、二十七日に関係大臣の閣僚会議を開きまして、そこで、CH53Dについては飛行を停止すべきである、こういう申し入れをしようと決定させていただきまして、即日外務省を通じて米側に申し入れをし、二十八日の日に飛行停止になった、こういう経緯であります。

東門委員 次に、防衛施設庁長官、おいでですから、お伺いしたいと思います。

 二点ほどですけれども、まず一点目。

 これが、皆さん既にテレビあるいは新聞等で写真はごらんになっておられます、ちょっと鮮明ではないかもしれませんが、沖国大、あのヘリが墜落した、ここにヘリがあります、沖国大の一号館、いわゆる本館になります。

 中に入ることができました。二十二日という日でしたので、入ることができましたけれども、中を見てさらに驚きました。表を見ても確かに怖いなと思ったんですが、二十二日には中まで入ることができまして、見せてもらいました。

 壁が崩落している箇所がある。上を見ると、ひび割れが相当入っている。沖国大のスタッフの皆さんに、これをちょっと押したらおっこちてくるかもしれない、危険だからさわらないでくださいと言われて、注意をしながらあちらこちら見せてもらいました。なかなかそこに入れてもらえなかったのがやっと解除になって、今は入れます、しかし、この中で仕事するということの怖さ、不安を訴えておられました。茂木大臣もしっかりとお聞きになってこられたと思います。

 さて、十月には新しい学期が始まります。大学としては、当然、教学機能の回復ということが真っ先に来なきゃいけないと思うんですが、この状況ではどうしようもない。そして、こういう事故さえ起こらなければ建てかえる必要はないわけですよ。大学としては何の心配も要らなかった。もちろん、ある程度年月がたっていますから、いずれはということはあったとしても、今ではない。ちゃんと計画的にできたはずなんです。

 今、こういう状況になったところで、国として沖国大に対してどのような補償を考えておられるか、お聞きしたいと思います。

山中政府参考人 大学において発生をいたしました被害の回復をどうするか、現地、那覇防衛施設局におきまして種々大学と協議をさせていただいておりますが、建物につきましては、補修が可能なのか、あるいは、相当年数経過しておりますので、建てかえをしなければ機能回復ができないのか、そういったことを含めて、よく相談にあずからせていただいているという状況でございます。

東門委員 もう少し聞きたいところですが、時間の都合上、あと一点だけ聞かせてください。

 この普天間での事故が起きた後、政府としては辺野古を加速させて、何かしなければいけないという動きが急速に出てきたように私たちは感じております。

 今までボーリング調査に入ることを現地で、高齢者の方々、あるいは本土からの応援ももちろんあります、あるいは那覇市からの応援もあります、県民を挙げて、座り込みをして阻止する体制をとっておりますが、それを押し切って、強行してでもボーリング調査をするのではないかという情報が入ってきております。小泉総理は、私の質問に対して、地元の住民の気持ちをそんたくしながら進めなきゃいけないなというふうなことはおっしゃっていました。

 まず第一点目、今、ボーリング調査に入る、強行するというお考えですか。

山中政府参考人 これは普天間の代替施設の建設をできるだけスムーズに行うということで、既に、四月に公共用財産の使用協議が県との間で調いましたので、四月の十九日以降、私どもとしては、整々かつ円滑にボーリング調査が実施できますように、それなりの心構えもし、いろいろな準備も取り進めてきている。その過程におきまして、これは、昨年もそうでございますが、できるだけ現地技術調査の必要性について御理解をいただくべく手順を尽くしてきているというふうに考えております。

東門委員 最後になります。済みません。

 住民説明会だけが手順を尽くしたという証拠になるのでしょうか。それだけでもういいんだというふうに理解しておられるのか。そこだけお伺いして終わりたいと思います。

山中政府参考人 これは県、名護市にもいろいろ御協力いただいて、昨年来、例えば地元の久志の皆さん、行政委員あるいは区長の皆さんにも説明をさせていただいております。

 さらに、その上で、住民一般を対象にした説明会の開催を求める声等もございまして、私ども、さっき申し上げたように、できるだけ御理解をいただく努力をする、その一環として先般説明会を開催したということでございます。

東門委員 限定的な住民説明会、絶対に容認できません。住民説明会を持つのならば、希望者が全部入れるような配慮をすべきです。二百人しか入れませんよと言って、実際には百四十人しかいなかった。残りは外にいた。なぜ入れないのか。入場券がないからですよ。そういうやり方、しかも、県民のこれからの将来にかかる大きなことをやっていく国のやり方には絶対に反対していきたいと思います。

 それから、最後に申し上げます、地位協定の改定もとても大事ですけれども、一番県民が願っているのは普天間飛行場の閉鎖であるということを外務大臣、茂木大臣に強く申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内であります。

 沖縄戦の最後に、司令官の方が、沖縄県民かく戦えり、後世格別の御高配あらんことをというふうにおっしゃられたというのは有名な話であります。その後世の格別の御高配が、今日、沖縄県民の皆さんが受けていらっしゃるこのような事態であるとすれば、私たちは早急にそれを本当の高配に変えなければならないと思うし、しっかりと沖縄県民の皆さん方の心を心として政策立案、そして遂行に当たっていかなければならないというふうに考えます。

 きょう一日の議論を聞いておりまして、まだまだ政府の皆様方からの説明で十分に納得できない部分というものがたくさんございます。

 まず、今、東門先生がおっしゃられた辺野古の問題でございますが、住民説明会を地元の住民の方々だけに限定をした。これは何か法的な根拠があるのかどうか、それをまずお聞かせいただきたいと思います。

山中政府参考人 これは先ほどもお答えをいたしましたが、現地技術調査は昨年から取りかかっておりまして、その過程で、調査の趣旨、内容等について、これは県、名護市ともいろいろ御相談をし、御協力をいただきながら、地元の皆さんを中心に説明を行ってまいりました。

 その後、いろいろな運動団体の方も含めまして、例えばある場合には公開質問状という形でお出しをいただき、あるいはまた、現地における住民を対象にした説明会の実施を求める、そういった声がございまして、公開質問状に対してはできるだけ誠意を持って文書で回答するなり、あるいは現地における説明会につきましても、会場の手配等、今回いろいろと名護市にも御協力をいただきましたが、とりたてて明示的な法的な根拠があるということではございませんが、現地技術調査の内容、趣旨等についてより理解をいただくために私どもの発想として行っているものでございます。

川内委員 根拠がないことを堂々とおやりにならない方がいいと思います。法的な手続に従ってしっかりと対応する、それが沖縄の皆様方の心にこたえることであるというふうにまず御指摘を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 続けて質問させていただきますが、きょう一日の説明を聞いておりますと、全体として、地位協定並びに合意議事録に照らして問題はなかった、違反はなかったけれども、見えがかりが若干問題があったので、今後協議をしていきたいというような政府のニュアンスが伝わってまいります。私たちは、地位協定そして合意議事録の明確な違反があったというふうに考えております。

 したがって、ここで外務大臣そして茂木大臣、両大臣にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、今回の米軍のヘリ墜落事故、そしてまた、その後の米軍の行動に関して、日米地位協定あるいは日米地位協定合意議事録に違反する行動があったかなかったか、あったかなかったかだけをお答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 事故の原因等については、まさにこれから事故分科委員会で議論をしていくということでございます。それから、その特別分科委員会におきまして、現場における対応についてもこれから議論をしていこうということでございます。

 したがって、今の時点ではっきりと予断をするということについて難しい点がございますけれども、私が今理解をしている範囲で申し上げますと、そういったことはなかったのではないかというふうに思っております。いずれにしても、その子細については今後議論をしていくということであると思います。

茂木国務大臣 協定そのものに明確な違反があったとは考えておりません。ただ、さまざまなこれまでの経緯を検証した上で、必要な改善点があれば当然改善していきたいと思っています。

川内委員 両大臣とも、日米地位協定並びに合意議事録には現時点では明確な違反はないという御見解をお示しになられました。

 その点についてまず議論をしなければならないんですが、その前提として、これまで米軍が日米地位協定に違反をした過去の事例というものがありますか。

川口国務大臣 日米地位協定というのは国際約束でございます。したがいまして、国際約束として日米双方とも、当然ということですけれども、遵守すべきであるという考えのもとで行動してきているというふうに認識をしてきております。

 他方で、過去におきまして、日米地位協定の個々の条項等の解釈につきまして、日米双方で不一致があったということはございます。この協定におきましては、こういった地位協定の実施に関して協議をする機関として日米合同委員会が設置をされているわけでして、それぞれの事案につきましては、日米合同委員会の枠組みのもとで米側との協議を通じて解決を図ってきているところでございます。

川内委員 解釈の相違はあったけれども、地位協定の違反はなかったということですか。

川口国務大臣 当然に、国際約束ですから、両方とも遵守をするという認識を持って行動してきています。

川内委員 いやいや、私は具体的な事実を聞いているんです、議論の前提として。

 昭和五十年二月二十五日の予算委員会、「日米合同委員会で決定してない場所を米軍が無断で使用するということは、安保条約及び地位協定違反と思いますが、どうでございましょうか。」という質問に対して、「これは安保条約の規定に反することであると思います。」と、これは当時の外務省のアメリカ局長が違反していると明確に答えています。

 だから、違反した事実はあるというふうに答弁しなきゃいけないんですよ、私の質問に対しては。そういうふうに答弁してください。

川口国務大臣 その答弁が、全容をちょっと把握いたしておりませんので、具体的な場所について、それがそうであったのか、そういうことがあったとすればどうだったのかという質問であるのか、ちょっと私は理解をしておりませんけれども、いずれにしても、もしそういう協定に違反する事実があれば協定違反ということですが、解釈が違っている例というのは過去においてあるということです。その具体的な事柄、それが何であったかということについて実態を承知いたしておりませんので、その答弁について当たってみたいと思います。

川内委員 質問通告はけさですけれども、けさというか、とにかく事前にさせていただいているんですね。この質問をさせてくださいと、前提となる質問ですからね。それに対して、解釈の違いはあったけれども、違反であったかどうかについては全容をよく調べないとわかりませんなんて、そんなことを言われたらこっちは質問できないですよ。委員長、どう思いますか。それは、しっかり地位協定違反の事実があったかどうかということを確定させてから答弁してください。

川口国務大臣 まことに恐縮ですけれども、その具体的なケースについて、どういう違反の事例があったかということについては、私は質問通告としては伺っておりませんので、それについてはこれから調べさせていただきたいと申し上げたわけです。

川内委員 いや、だから私は、具体的な事実を聞いているのではなくて、具体的な事実があったかどうかということを聞いているんです。地位協定違反の事実があったかということを聞いているんですから、あったのかなかったのかということだけ答えればいいんですから、それをちゃんと答えてくれなきゃ質問できないですよ。

川口国務大臣 その国会答弁についてきちんと読んでみたいと思いますけれども、私どもが考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、両方とも遵守をするということで行動してきているわけでございまして、解釈が違うということは具体的な事例としてもちろんあったわけです。ですけれども、具体的な事例として日米地位協定違反があったかというふうにお聞きでいらっしゃいましたら、そういった件については今私は承知をしていないということでございます。

川内委員 いや、質問できないです。大事な問題ですよ、これは。

 だから、答弁を精査してから答えてください。

金田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

金田委員長 速記を起こしてください。

 川口外務大臣。

川口国務大臣 今いただきました昭和五十年二月二十五日の、これは予算委員会第二分科会の会議録でございますけれども、これを読みます限りは、米軍が提供区域以外の区域を使用した例があるという答弁でございます。そして、それは安保条約の規定に反するというふうにこの当時の答弁がございます。

 きょう、お昼に質問の通告をいただきました後、その違反した例があったかどうかという御質問でございましたので、その範囲でそのときは調べて、そういう例は承知をしていないということを先ほど申し上げたわけでございますけれども、この件につきましては、戻りましてから、そのときの事情についてきちんと調べてみたいというふうに思います。

 ですから、この当時、違反の例があるという答弁はありますということでございます。

川内委員 ありがとうございます。正確に御答弁をいただきました。違反したという答弁をした事実があるということを今お述べいただきました。

 それでは、地位協定の改定を我が国政府の方から米国側に対して今まで正式に申し入れをされたことがありますか。

川口国務大臣 政府といたしまして、日米地位協定につきましては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるという考えのもとで運用の改善の努力をしているところでありまして、これまでに米側に日米地位協定の改定を提起したことはございません。

 なお、つけ加えさせていただきますと、地位協定改定についての今申し上げたような認識ですけれども、これは協定のもう一方の当事国である米国においても共有されておりまして、二〇〇二年の十二月十六日に、いわゆる2プラス2でございますが、ここの共同発表におきましても、「閣僚は、地位協定の効果的な運用が両国にとり重要であることを強調した。」、そのように言及されているわけでございます。

川内委員 過去に地位協定に米軍の行動が反していると答弁をされた例もありますし、また、運用の改善ではなかなか前に進まないというか、沖縄県民の皆さんの心もおさめることができない、納得していただくことができない状況に立ち至っているのではないかと私は思いますが、まず、今回のこの米軍の行動が地位協定に違反しているという事実を挙げさせていただきたいと思います。

 ヘリコプター墜落の後、残骸撤去のために立木の伐採を米軍がやりましたし、土壌の採取もされました。さらに、もちろん機体も持ち出したわけでございますけれども、これらは沖縄国際大学の許可を得てやられたことでありますか。簡単にお願いします。

山中政府参考人 機体の撤去につきまして、私ども、米側から具体的な相談がございませんので、承知はいたしておりませんが、立木の伐採につきましては相談を受け、私どもの方から大学当局に対して米側の意向を伝え、同意をいただいております。

川内委員 沖縄国際大学は、私は何回も確認しましたけれども、沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事故対策本部としては、防衛施設庁に対して、あるいは米軍に対して一切の許可も提供もしていない、立木の伐採など許可はしていないというふうにおっしゃっていらっしゃいます。これは一体どういうことですか。

山中政府参考人 経過を御説明いたしますと、八月十五日十八時三十分ごろでございますが、在沖米海兵隊外交政策部から那覇局の業務課に、明日、つまり八月十六日に機体の撤去作業の支障になる立木二十五本を伐採したい、ついては、大学の許可を得てもらいたいという依頼がございました。十分後、業務課の方から沖縄国際大学、これは事務局長さんでございますが、連絡をいたしましたところ、大学の事務局、庶務課長さんを指していると思いますが、調整するようにというお話がございました。

 その後、那覇防衛施設局業務課の方から庶務課長さんに連絡をいたしました。庶務課長さんのお話では、大学としては移植を希望する、ただ、移植ができないのであれば、補償がなされるものという前提で木を切ることには同意する、その場合の日程について連絡をもらいたいというお話がございまして、折り返し那覇局業務課の方から在沖米海兵隊外交政策部渉外課に対しまして、その旨の連絡をいたしたということでございます。

川内委員 私は、その庶務課長さんに何回も確認したんですね。その庶務課長さんは、そのような話は受けていない、許可をした覚えはないと。庶務課長にその権限があるかどうかも疑わしいですけれどもね。事故対策本部として話を受け、許可をしたんだったらまだしも、私、庶務課長個人としても、そういう話は聞いたけれども、それに対して同意を与えた覚えはないし、ましてや文書でそういうものの申し入れをいただいたこともない、那覇防衛施設局の職員の方がただ連絡をされてきただけだ、その連絡を受けたことは覚えているということですけれども、今の答弁は事実ですか。もし、確認をされる必要があるのであれば、確認をされた方がいいと思いますよ。後で大変な問題になりますよ、これは。

山中政府参考人 これは、私どもの方から再度、先生からのお話もございまして、現地防衛施設局に確認をいたしました。これは、大学側の窓口といいましょうか、どの部署に同意を与える権限があるのかという問題にもなろうかと思いますが、私どもとしては、対外的に大学の意思を表明するであろうお立場にある事務局長さんを通じて話をさせていただいてきたということでございます。

川内委員 私からの指摘を受けて、那覇の防衛施設局に確認した、事務局長さんなりあるいは庶務課長さんに確認をしたわけではないですね。

山中政府参考人 これは、委員の方からの御指摘をいただいて、現地局の方から改めて大学の事務局長さんには確認をしたというふうに聞いております。

川内委員 事務局長さんに確認して何とおっしゃったんですか、事務局長は。

山中政府参考人 これは、先ほど十五日の夕刻の経過を御説明いたしましたが、再度の確認に対しまして、事務局長さんの方からは、確かに庶務課長と調整をするようにということを申し上げたという確認をいただいております。

金田委員長 長官、庶務課長と調整をするようにという確認を得たという今の答弁ですが、さっきの答弁と食い違いませんか。庶務課長と調整するようにというふうに事務局長は言ったと。その庶務課長に確認をしたら、許可をしていないというふうに指摘をしているわけで、今の確認だと、許可を得たということには明確に確定できないのではないですか。(発言する者あり)

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

金田委員長 では、速記を起こしてください。

 山中防衛施設庁長官。

山中政府参考人 これは、十五日夕刻の事務局長さんとのやりとりを再度確認したということを申し上げたわけでございます。十五日の夕刻は、事務局長さんとお話をした後、庶務課長さんと連絡をとらせていただいたわけですが、再度の確認は事務局長さんにさせていただいたということでございます。

川内委員 私がお聞きしているのは、防衛施設庁のつじつま合わせをお聞きしているわけじゃないんです。沖縄国際大学に、事故対策本部に許可をとりましたかということをお聞きしているんです。正式な、しっかりとした事故対策本部が沖縄国際大学には事故後即座にできているんですよ。その事故対策本部の会議で、米軍による立木の伐採あるいは機体の搬出、土壌の採取、これらについて協議をされたということは一切ないです。だから、許可をとりましたかということを聞いているんです。許可をとっていないと言わなきゃだめですよ。許可をとったと思っていたということは言っていいですよ。

山中政府参考人 これは、十五日夕刻からの事務局長さんあるいは庶務課長さんとのやりとりを通じて、さっき御紹介したような経過をたどったということでございますが、今委員御指摘の、大学で当時立ち上がったとされております対策本部、それを窓口として私どもがお話をさせていただいたということはございません。

川内委員 沖縄国際大学の正式な許可は得ていないということでいいですね。

山中政府参考人 これは、さっきも御答弁をいたしましたが、対策本部の役割、あるいは大学の一般的な管理権限を対外的に行使するといいますか、代表するところがどこかということで、私どもは、事務局長さんなり庶務課長さんだという判断でお話をさせていただいたということでございます。(発言する者あり)

金田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

金田委員長 では、速記を起こしてください。

 山中防衛施設庁長官。

山中政府参考人 十五日の夕刻に沖縄国際大学の事務局長さんあるいは庶務課長さんと連絡をとらせていただいたのは那覇防衛施設局業務課の課長補佐でございまして、そのときのやりとりとして、庶務課長さんは、さっきもこれは御答弁申し上げましたが、本当は移植をしてもらいたい、移植ができないのであれば、立木が補償されるものとして、木を切ることには同意をする、日程は連絡をもらいたいということで、これも先ほど申し上げましたが、折り返し在沖海兵隊外交政策部の方に、大学側は木を切ることに同意をした、よって木を切る日時を教えてもらいたい、木を切る際には、当局としても補償すべき立木を把握する必要があるので立ち会いを求めるというやりとりをいたしたわけでございまして、業務課の当該職員は、庶務課長さんから同意をいただいたという認識をいたしております。

川内委員 先ほどの嘉数政務官の御答弁では、立木の伐採の許可をいただく電話は防衛施設庁の業務部長から沖国大の庶務課長にしたと答弁されていたんですよ。

 今、課長補佐が電話をしたというふうに変わられましたね。それだけでも答弁が一貫していないのですが、これは、委員長、議論にならないので、ちょっと私ももう一回庶務課長にこの場で電話をしたいのですけれども。

 答弁がもう全然でたらめになってきているんですよ。これは、地位協定に違反したかどうかということを議論する上でとても大事なことです。事実の確認がなければ議論が進まないのです。庶務課長は、許可なんかするわけがない、何の許可も提供もしていない、防衛施設庁並びに米軍は実力行使で無断でやられたんだということをおっしゃいました。

 これはしっかり事実を確認しないことには議論が始まらないので、一回ちょっとここで、二、三分で結構ですからとめていただきたいと思います。(発言する者あり)いや、事実関係を聞いているけれども、本当のことを答えないわけですから。

山中政府参考人 先ほど来お答えをいたしておりますように、那覇防衛施設局業務課の課長補佐から庶務課長さんに、これは事務局長さんを通じてでございますが、依頼をし、そのやりとりについては先ほど御答弁をしたとおりでございます。

川内委員 嘉数政務官は、施設庁の業務部長が庶務課長に電話をしたとさっき答弁したんですよ。そこだけでも違うじゃないですか、答弁。どうするんですか、その答弁を。政務官にそんなうその答弁をさせておいていいのですか。質問できないですよ、これでは。

金田委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

金田委員長 速記を起こしてください。

 山中防衛施設庁長官。

山中政府参考人 同意の有無についての再確認の件でございますが、九月の三日夕刻でございます、那覇局の業務課から沖縄国際大学の事務局長さんに伐採の同意について十五日の夕刻電話で了解を取りつけるべく連絡をしたという確認を局長さんとはいたしておりますが、十五日の夕刻に私どもが同意をいただいたという理解をしております庶務課長さんには、その時点では改めて確認はいたしておりません。

川内委員 今明らかになったことは、同意が得られていたと思い込んでいたということでいいですね。(発言する者あり)いや、ここで進むと話ができなくなっちゃうんですが、同意が得られていたと思い込んでいたが、現時点では、沖縄国際大学の関係者の方々は、どなたに聞かれてもいいですよ、これは防衛施設庁も確認された方がいいですよ、そんな許可など与えていない、職員駐車場を使用させてくれという話に関しても、無断で使われた、一切の許可も提供もする気はなかったということをおっしゃっていらっしゃいます。

 だとすれば、米軍が立木の伐採をしたこと、あるいは土壌採取をしたこと、これは地位協定違反に当たりますね、外務大臣。

川口国務大臣 事実関係として、防衛施設庁の方から、これは大学当局から確認を、合意をもらったというふうに聞いておりますので、その違う前提に立って申し上げるということは非常に、そうであると言うことは難しいということでございますけれども、万が一もし同意がないという状況があったとすれば、それは、木を切るという根拠の法規はないということになるかと思います。ただし、それが実際のことであるかどうかということについてはコメントをする立場にはないということで、実際はそうであったというふうに理解をしているということです。

川内委員 この合意があったかどうかということに関しては、委員長、これは重大な問題ですから、ぜひまた理事会で協議していただいて、また、閉会中審査を私は求めさせていただいて、沖国大の学長に御出席をいただきながら、事務局長さんでもいいですが、とにかくしっかりとした事実確認をさせていただきたいというふうに思います。

 さらに議論を続けさせていただきますが、もう一つ、今回の米軍の行動について、日米地位協定あるいは合意議事録に照らして、私はどうしても理解ができない。米軍の皆さんが規制ロープを張り、そしてまた、マスコミの写真撮影や、あるいは市民の皆さんも、写真撮影をされようとしているところを写真を撮るなという排除をしたりとか、あるいは外務省の政務官でさえ、ここは危険だから入らないでくれというようなことを言われたらしいということもございます。

 今回のこの米軍の一連の周囲を規制した行為に関して、日米地位協定あるいは合意議事録に照らして、どの部分が今回の米軍の行動の法的根拠になっているのかということを教えていただきたいというふうに思います。

川口国務大臣 米軍が現場を封鎖したということについてのお尋ねでございますけれども、これは現地の警察と米軍との間で、二次災害のおそれのある事故現場直近は主として米軍が、その周辺は主として警察が警備を行うということが事故後確認をされて、そのような役割分担による共同の警備が実施されたというふうに承知をしています。

 それで、その根拠でございますけれども、それから写真撮影云々ということもございましたけれども、事実関係について、写真撮影については承知をいたしておりませんが、いずれにしても、これは機密漏えい防止、円滑な検証、捜査という観点がございまして、日米地位協定十七条に関連する日米合同委合意、これは刑事裁判管轄権に関する事項第十項の(4)ということでございますが、それに言う合衆国の財産の保護をなす行為の一環ということで考えられるというふうに思います。

川内委員 今、日米合同委合意を法的根拠にお挙げになられましたが、日米合同委合意には法律上の拘束力はありませんから、日米合同委合意を法的根拠にお挙げになられるのは間違いだということを御指摘申し上げさせていただきたいと思います。

 そしてさらに、地位協定並びに合意議事録によれば、法的拘束力を持つのは日米地位協定と合意議事録だけでありますが、この十七条の六項に、「日本国の当局及び合衆国の軍当局は、犯罪についてのすべての必要な捜査の実施並びに証拠の収集及び提出について、相互に援助しなければならない。」ということが書いてあります。

 そして、十七条の十項の(b)、先ほど同僚の武正議員も触れましたが、「前記の施設及び区域の外部においては、前記の軍事警察は、必ず日本国の当局との取極に従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。」というふうに地位協定に書いてあります。

 合意議事録には、合衆国が警備体制を施設・区域外にとることについての規定は一切ありません。したがって、今回の米軍の行動については、明らかに日米地位協定あるいは合意議事録に照らして行き過ぎがあったということをまず認めていただかなければならないと思います。

 さらに、これは今、だれが持ってきたのかわからないんですが、沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事件対策本部本部長渡久地理事長兼学長の名前で文書が出ております。「米軍に対する財産(土地・施設等)の使用許可について 本学は八月十三日(金)米軍ヘリ墜落以降、米軍及び日本政府より、正式な本学の財産(土地・施設等)の使用許可願いは一切受けてなく、許可もしていない。」という渡久地さんの名前の文書が出ております。

 委員長、もう私もあと五分しか質疑がないんですよ。私は両大臣に申し上げたいんです。この関係閣僚会議を開いて、日米合同委員会だけに任せるのではなくて、運用の改善でよければ日米合同委員会合意でいいですよ。ところが、関係閣僚会議を招集されているわけです、政府は。関係閣僚会議を招集して運用の改善で済ませるというのは、関係閣僚の皆さんが役所の局長クラスになるということですよ。そうじゃないですか。日米合同委員会の合意でいろいろなことをやりましょうというのが運用の改善の解釈でしょう、今までの。ところが、今回は、事態を重く見て関係閣僚会議を招集されていらっしゃるわけです。

 関係閣僚会議を招集して運用の改善で何とかなりますというのは、これは政治家がお役所の人たちと同じ立場に立つということですよ。お役所の立場の方たちの話し合いではどうにもならないから政治レベルに話し合いを上げる、すなわち、地位協定あるいは合意議事録の問題にするということなんじゃないですか。

 茂木大臣は、検証に同意が必要だというのは問題だ、これは変えなくちゃいかぬということを堂々と発言していらっしゃいます。この発言について、今も変わりないと言ってください、お願いですよ。

茂木国務大臣 関係閣僚会議について、局長以下だと厳しい御指摘をいただいておりますけれども……(川内委員「いや、そうは言っていないですよ」と呼ぶ)私は今おっしゃいましたから申し上げているわけです。

 例えば、ここで議論しておりますことは、一つ、先ほどからも答弁させていただいておりますように、沖縄の皆さんが求めているCH53Dの飛行を停止する、そのことを決めて、その日のうちに申し入れしたんですよ。次の日にとまったんですよ。そういうことも政治レベルではきちんとやっている、このことはぜひ御認識をいただきたい。

 それから、補償の問題につきましても、これまで例えばどれくらいの期間がかかる、こういうことがあるわけですけれども、できるだけ速やかに、地元も大学の方もそうでありますから……(川内委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)いや、だから……(川内委員「自慢話する場じゃないです、ここは」と呼ぶ)閣僚会議で決めたことという御質問でありますから、そこで決めたことについてお話を申し上げております。

 そこの中で……(川内委員「いや、御自身の発言について聞いているんです、私は」と呼ぶ)その前に、閣僚会議について申し上げたから、それについて私はお答えを申し上げているわけであります。自分が聞かれたことについても責任を持ってくださいね。

 もう一つは、補償の問題につきましても、これまでどおりではなくてできるだけ速やかに柔軟に対応するように、こういうことで決めさせていただいて、防衛施設庁の方に指示も出しております。

 それから、現場における対応の問題につきましてもさまざまな問題の指摘が行われている。したがって、そういった指摘を踏まえて、きちんと事実関係を検証し、改善すべき点は改善すべきだ、こういうふうに決めさせていただいたわけであります。

 そこの中にありまして、検証の問題でありますけれども、検証、そしてまた検証の委嘱につきましては、やはりここに恣意性が働いてはいけない、あるケースと違ったケースについて恣意的に運用がされている、こういうことでは問題がある、こういうことから、一つのガイドラインといいますか指針なりを決めて、だれから見ても、こういう場合は検証が必要なんだ、こういう状況をつくっていきたい、このように考えております。

川内委員 私は、茂木大臣を本当に尊敬して、兄貴として慕っております。その茂木大臣が検証に同意が必要なのは問題だとおっしゃってくれているから、私はうれしかったですよ。しかし、検証に同意が必要だというのを変えるためには、合意議事録を変えなきゃいけないんですよ。地位協定を見直すということにつながるわけですね。私は、だからこそ、茂木大臣の勇気ある発言を大変に心強く思いましたし、応援しようと思いました。

 しかし、今発言が後退された。いろいろなお立場があって大変に苦しいお立場だと思う。しかし、関係閣僚会議を開かれて、政治レベルの話にする、恣意性を排除するんだ、だれが見ても納得できるようにこれからしていくんだ。恣意性を排除するためには検証の同意の同意を外すしかないんですよ。そのためには、やはり政治レベルの話、すなわち閣僚の皆さん方が寄り合って、向こうの米国の方たちと話し合いをされて、しっかりと地位協定を、見直すでも、強化するでも、補足するでも、補完するでもいいです、とにかく、しっかりとした対応を今回の事件を契機としておとりいただきたいというふうに思います。

 私も、きょう山ほど質問を用意してまいったわけでございますが、しかし、今明らかになりましたとおり、立木の伐採の問題一つにしてもまだまだ詰めなければならない課題がたくさんあります。委員長、これは、閉会中審査をまた引き続き即座に開会を求めさせていただきたいというふうに私は思いますし、理事会での即時の協議をお願いさせていただきまして、私の質問をとりあえず終えさせていただきます。

 ありがとうございます。

金田委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.